○辻
政府参考人 いま少し、経過につきまして御
説明申し上げます。
このお配りいただきました条文に即して経過を御報告いたしたいと思います。
このお配りいただきました条文、一番上に
厚生年金保険法三十六条、附則十一条というような規定がございますが、
厚生年金で六十歳で例えば受給権が発生している、しかしながらお勤めであるというときには、お勤めでありますので
負担能力がありますので、十一条に基づきまして支給停止がなされます。そして、お勤めをやめましたときに、いつから支給停止が解除されるかということが三十六条に書いてあります。そのような規定のもとによりまして、この一枚目にあるような、例えば三月三十一日退職につきましては、五月から支給停止解除がされる、五月からもらえるようになるという解釈で行われてまいりました。
問題は
平成六年の改正でございますが、六年の改正で、この「
平成十二年改正前(
平成六年改正)」という中段をごらんいただきたいと思いますが、三十六条の規定を十一条の七で
一定の場合には
適用しないというふうにして、そして、今の在職者の支給停止の根拠の十一条を改正いたしております。その結果、実は、五月から支給停止の解除があるんじゃなくて、四月から支給停止解除、すなわち四月から支給が
できるようになったんではないかという考え方があるということについての御
指摘かと存じます。それについては、結論から申しますと、私どもはそのように解釈いたしておりません。
具体的には、恐れ入りますが、詳しく御
説明させていただきますと、なぜ十一条をこのように改正したかということでございますが、通常、支給停止の根拠というのはさまざまございます。他の
年金をもらっているから支給停止するとか、それから、今言ったようなときだから支給停止するとか、さまざまな支給停止の根拠の規定と、そして、その根拠に基づいて動き始めたときにいつから停止するという規定と、二つに分かれて入っているのが普通でございます。
ところが、
平成六年に、この十一条に関しましては、一つは、支給開始年齢の延長が行われまして、例えば六十一歳までは報酬比例
年金、六十一歳に到達しますといわゆる
厚生年金の定額
部分と報酬比例
年金といったように、
年金の種別が変わる、一方において被保険者資格はずうっとつながっている、こういう今までの規定ではきちっとうまく読めて動かないような
状況が出てきた。あるいは、
平成六年の改正におきまして、在職中の給与だけではなくて、もらう
年金額と合わせて、その総額によって支給停止をどうするかという
仕組みに変えました。
そうなりますと、これは、月々単位で支給停止を行うということを、この二つの規定ではなくて、一つの十一条の規定で書かなければなかなか条文上の整理がつかないということで、支給停止の仕方を、原因も、それから支給停止の月もすべて十一条に書いたものでございます。したがいまして、十一条の七で三十六条は
適用しないとしたわけでございます。
詳細省きますけれども、十一条の解釈として、私ども一貫して、やはり同じように五月から支給停止解除である、四月分はもらえないという解釈をとっておりまして、十二年改正でそのことを入念的に明らかにするために改正をいたしました。したがって、十一条の七で三十六条を
適用しないという規定があるままで、やはりきちっと五月分から、すなわち四月はもらえないという運用をしております。
内容的には、もし月末退職だけに関して四月から支給するということにいたしますと、結論から申しますと、在職している間、
保険料負担しております。
保険料負担するような月々は
負担能力があるので支給停止するということで、
保険料負担した月と支給停止する月が合うように仕組まれております。ところが、月末に退職した人だけ仮に御
指摘のような解釈をとりますと、月末に退職した人のみ
保険料負担をした月数よりも支給停止をされる月数の方が短くなって、一カ月もうかることになります、ちょっと不適切な言葉でございますが、得をすることになります。
したがいまして、私ども、そのような解釈は到底公平な
年金制度の運用としてはとれないという
実質的な意味も持ちまして、このような解釈については一切変えておりません。
以上でございます。