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2002-02-14 第154回国会 衆議院 憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
平成
十四年二月七日(木曜日)
憲法調査会
において、設置することに決した。 二月七日 本小
委員
は
会長
の
指名
で、次のとおり選任された。
伊藤
達也
君
奥野
誠亮
君
高市
早苗
君
谷垣
禎一
君
中曽根康弘
君
額賀福志郎
君
松島みどり
君 島 聡君
仙谷
由人
君
伴野
豊君
松沢
成文
君
斉藤
鉄夫
君
藤島
正之
君
山口
富男
君
土井たか子
君
井上
喜一
君 二月七日
高市早苗
君が
会長
の
指名
で、小
委員長
に選任された。
平成
十四年二月十四日(木曜日) 午後二時
開議
出席小委員
小
委員長
高市
早苗
君
伊藤
達也
君
奥野
誠亮
君
谷垣
禎一
君
中曽根康弘
君
中山
正暉
君
額賀福志郎
君 島 聡君
手塚
仁雄
君
中村
哲治
君
伴野
豊君
松沢
成文
君
斉藤
鉄夫
君
藤島
正之
君
山口
富男
君
金子
哲夫
君
井上
喜一
君 …………………………………
憲法調査会会長
中山
太郎君
憲法調査会会長代理
中野 寛成君
参考人
(
東京大学教授
)
高橋
和之
君
衆議院憲法調査会事務局長
坂本 一洋君
—————————————
二月八日 小
委員松島みどり
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
中山正暉
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同月十四日 小
委員伴野豊
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
手塚仁雄
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員仙谷由人
君及び
土井たか子
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
中村哲治
君及び
金子哲夫
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員手塚仁雄
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
伴野豊
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員中村哲治
君及び
金子哲夫
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
仙谷由人
君及び
土井たか子
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政治
の
基本機構
の
あり方
に関する件 ————◇—————
高市早苗
1
○
高市
小
委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
一言
ご
あいさつ
を申し上げます。 先般、小
委員長
に選任されました
高市早苗
でございます。よろしく
お願い
いたします。 当小
委員会
は、
政治
の
基本機構
の
あり方
に関する
調査小委員会
ということで、例えば
国会
と
内閣
の
あり方
ですとか、そしてまた
選挙制度
と
政党
、また
司法制度
など、非常に大きなテーマに取り組んでいく小
委員会
となりそうでございます。 精いっぱい、充実した
議論
を重ねていけますように心を込めて私も頑張ってまいりますので、
委員
の
先生方
の御協力、また御
指導方
、どうかよろしく
お願い
をいたします。
政治
の
基本機構
の
あり方
に関する件について
調査
を進めます。 本日、
参考人
として
東京大学教授高橋和之
さんに御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の方に
一言
ご
あいさつ
を申し上げます。 本日は、
先生
におかれましては、
大変お忙しい
お体でいらっしゃいますのに
衆議院
までお運びをいただきまして、本当にありがとうございます。小
委員会
を代表して御礼を申し上げます。
参考人
のお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきまして、
調査
の
参考
にいたしたいと思いますので、どうかよろしく
お願い
をいたします。 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
最初
に
参考人
の方から御
意見
を四十分以内でお述べいただき、その後、小
委員
からの質疑にお答え願いたいと存じます。 なお、
発言
する際はその都度小
委員長
の許可を得ることとなっております。また、
参考人
は小
委員
に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御
承知
おき願いたいと存じます。 御
発言
は着席のままで
お願い
いたします。 それでは、
高橋参考人
、
お願い
いたします。
高橋和之
2
○
高橋参考人
ただいま紹介いただきました
高橋
でございます。 きょうは、
日本国憲法
が定めている
議院内閣制
の
運用
の
あり方
について、「
議院内閣制
の
国民内閣制的運用
」というタイトルでお話しさせていただきたいと思います。 お話の御依頼をいただいたときには、
議院内閣制
の
運用
を職務とされておられます
議員
の皆様に、その
運用
がどうあるべきかなどということをお話しするのは釈迦に説法ではないかと思いましたが、木を見て森を見ずという
言葉
もあることでもあり、現場から離れたところで
議院内閣制
の
運用
を観察している者に、そのありようがどのように見えているかということをお話しすることも、あるいは何らかのお役に立つかもしれないと思い直しまして、ここにやってまいりました。そういうわけで、話の
内容
は、遠くから見た
議院内閣制
というものがどういうふうに見えているかといったことになるかと思います。
日本国憲法
が採用した
議院内閣制
の
構造
は、御
承知
のように、次のようなものであります。 まず、
内閣総理大臣
は、
国会議員
の中から
国会
が
指名
いたします。
国会
といいましても、
衆議院
に
優越性
が与えられておりますから、実際には
衆議院
の意向が重きをなすことになります。
総理大臣
が決まりますと、他の
国務大臣
は
総理大臣
が
任命
いたします。
任命
のみならず、自由な
罷免権
も与えられておりまして、この点で、
日本国憲法
の
総理大臣
は、御
承知
のように、戦前と異なり、
内閣
の首長としての地位を明確に与えられているわけであります。 このように、
首相
を
中心
に
一体性
、
連帯性
を確立した
内閣
は、その
行政
について、
国会
に
責任
を負います。
国会
が
内閣
の
責任
を問う方法の核心にあるのは、言うまでもなく、
内閣
の
不信任
を行うことでありますけれども、
憲法
は、その
権限
を
衆議院
にのみ与え、参議院には与えておりません。 さて、
衆議院
は
内閣
を
不信任
する
権限
を持ちますが、それに対抗して、
内閣
は
衆議院
を解散する
権限
を与えられております。
内閣
が
解散権
を行使し得るのは、
衆議院
が
不信任
をした場合に限定されるのか、それとも、それに限定されず、いつでも必要と判断したときには
解散権
を行使し得るのかという点につきましては、学説上は解釈の
対立
がありますが、実務においては初期のころから後者の
理解
が確立しておりまして、今では通説もそれを
支持
しておりますから、
日本
の
議院内閣制
は、
衆議院
の自由な
不信任権
と
内閣
の自由な
解散権
が対抗する、いわゆる均衡型の
議院内閣制
だということになります。 以上は、
国会
と
内閣
の関係にのみ着目した場合の
議院内閣制
の姿でありますが、
日本国憲法
は、
国民主権
を
政治
の
基本原理
として採用しております。したがって、
議院内閣制
は、
主権者
たる
国民
の求める
政治
を行うための
メカニズム
として
理解
する必要があります。
国民主権
といいましても、
代表制
を
基本
としておりますから、
国民
が行うのは
通常
は
代表者
を
選挙
することに限られます。
国民
は、
代表者
の
選挙
を通じて、間接的に
自分たち
の求める
政策意思
を表明するわけであります。したがって、
議院内閣制
というのは、
国民
が
選挙
で間接的に表明した
意思
を基礎にして、
代表者
が
国民
のための
政治
を行っていく
メカニズム
ということになります。 ここで、
国民
が
選挙
で間接的に
政策意思
を表明するという点と、
国民
のための
政治
を行うというこの二点に注目しておきたいと思います。 よく
民主政治
のことを、リンカーンの
言葉
を引用いたしまして、
国民
の
国民
による
国民
のための
政治
と言われますが、
国民
によるというところが、仮に直接制であれば、
国民
のためのということは不要になることでありましょう。
国民
が直接
意思表明
をすれば、それが
国民
のためにならないと主張することは困難であります。何が
国民
のためかは
国民
が最もよく知っているというのが
デモクラシー
の
前提
でありますから、
国民
が直接
意思表明
した以上、それは
国民
のためであると判断する以外にないということになります。 しかし、
代表制
においては、
国民
が直接
意思表明
をしませんから、その分、
代表者
の裁量が拡大し、
代表者
による
国民
のための
政治
に期待されることになります。
代表制
においては、
国民
による
政治
と
国民
のための
政治
が微妙な
バランス
に置かれているということであります。 そこで、
議院内閣制
の
運用
を
考え
る場合、この
国民
による
政治
と
国民
のための
政治
のどちらに重点を置いて
運用
を行うべきかという問題が出てくることになるわけであります。
国民
による
国民
のための
政治
を
議院内閣制
を介して行っていく場合に、その
政治プロセス
は、
有権者
が
議員
の
選挙
を通じて
自分たち
の求める
政策
についての
意思
を表明し、それを受けて、
議員
が
現実
に実施する
政策
とその
担当者
、
首相
を決定するという展開をたどります。 ここで重要なことは、まず第一に、
国民
あるいは
有権者
の間には望ましいと
考え
る
政策
についての多様な
考え
が存在するということであります。しかし、第二に、
政治
によって実現し得るのはただ
一つ
の
政策プログラム
だということであります。 もちろん、多様な
プログラム
のうち、中には
相互
に両立可能なものもあるでしょう。そういうものは
一つ
に統合すればよいわけであります。しかし、統合の努力を行っても、どうしても両立させ得ない
プログラム
が最後には幾つか残るはずであります。そのうちのどれか
一つ
しか
政治
の
プログラム
とはなり得ないということであります。 つまり、この
政治
の
プロセス
の
課題
は、多様な
政策プログラム
を統合し
選択
していって、最終的に
一つ
の
プログラム
に絞り込むということであります。 そこで、問題は、この
絞り込み
をどのようなリズムといいますか、
段階
、区分で行うのがよいかということになります。
制度
的には、
憲法
は、第一
段階
を
議員
の
選挙
、第二
段階
を
首相
の
指名
、第三
段階
を
国務大臣
の
任命
という形で設定しておりますが、その
制度
的な各
段階
でどの
程度
の
絞り込み
を期待するかということであります。ここでは技術的な
選択
の性格が強くなります第三
段階
は省略して
考え
ますと、問題は、
選挙
前に
国民
の間に存在する多様な
政策プログラム
をまず
選挙
を通じてどの
程度
に絞り込むのが適切なのか、次いで、第二
段階
での
絞り込み
の
あり方
をどういうふうに
考え
るのかということになります。 この点について、私は、
二つ
の
モデル
を区別して
考え
るのがよいかと
考え
ております。
一つ
は、
基本政策
への
絞り込み
を
選挙
の
プロセス
で行ってしまうというものであります。この
モデル
では、
選挙
の結果、
国民
の多数派が
支持
する
政策プログラム
が確定いたします。もちろん、
政策プログラム
と同時にそれを担う者、つまり
首相
も事実上決定されるということになります。この場合、第二
段階
、
首相
の
指名
というのは形式的なものになります。
憲法
上の
手続
としては
国会
が
首相
を
指名
しますが、だれが
首相
となるべきかは
選挙
の結果事実上決まっておりますから、それに法的な効果を与える
手続
にすぎなくなります。ここでは、
内閣
とその
政策
は
選挙
を通じて
国民
が直接的に
選択
いたしますから、これを
国民内閣制モデル
と呼んでおくことにいたします。 これに対し、もう
一つ
の
モデル
は、
選挙
において絞り込むことは避けて、
選挙
では
国民
の間に存在する多様な
プログラム
をできる限り忠実に
国会
の構成に反映させ、
一つ
の
政策
への
絞り込み
は
首相
の
指名
という第二
段階
にゆだねようというものであります。つまり、ここでは、
内閣
とその
政策
の決定は
選挙
後に
議員
によって行われるということになります。
国民
が直接行うのではなくて、
議員
の
媒介
を通じて行われますので、これをここでは
媒介内閣制モデル
と呼んでおくことにいたします。 この
議院内閣制
の
二つ
の
運用モデル
、
国民内閣制モデル
と
媒介内閣制モデル
というのは、理念型的なものでありまして、
現実
の
運用
がどちらか一方だけで行われているということではありません。実際には、
国民
の間に存在する
多様性
をその
立体的構造
まで含めて完全、正確に
国会
に反映させ得るような、そういう
選挙制度
は存在いたしませんから。どんな
選挙制度
においてもある
程度
の
絞り込み
がなされますし、また最大限の
絞り込み
を目指したとしても、常に多数派に
支持
された唯一の
政策プログラム
がそこであらわれるという保証はありません。
選挙
の
プロセス
で多数
派形成
に失敗すれば、その限りで
議員
による多数
派形成
が必要になります。 しかし、重要なことは、この
二つ
の
モデル
は、
考え方
としては明確な対照、コントラストをなすものでありますから、両者を折衷して
考え
るというわけにはまいりません。どちらかを
運用モデル
として
選択
する必要があります。 では、どちらがよいのか。 どちらがよいのかという問いに対しては、一般的に正解を出すということは困難であります。どちらも十分可能な
モデル
であり、それぞれが長所、短所を持っております。実際、イギリスは
国民内閣制モデル
を代表しておりますし、オランダとか
北欧諸国
、こういった国は
媒介内閣制モデル
に属する国だと言われておりますが、
民主政治
の
あり方
としてどちらがよりよい
政治
を行っているかなどということは簡単に言い得ることではありません。 確かに、
国民内閣制モデル
の方が、
国民
が
政治
に対してより強い
発言権
を持つことになりますから、より民主的だと言えないわけではありません。特に、
国民
による
政治
を強調すればするほどそういうことになるでありましょう。 しかし、どんな領域でも、その道のプロ、
専門家
というものは存在するものであります。素人が謙虚になって
専門家
を尊重するということは、非難すべきことではないと思います。
国民
のための
政治
ということを強調すれば、その方がよい場合もあるのではないかと思います。私
自身
、
政治
的な
争点
について、自信を持ってどちらかを
選択
することができるものもありますが、しかし、この問題の
選択
を私にさせてくれるなと願いたいような
争点
もたくさんあります。そういうものについては、
専門家
の判断を尊重したいと
考え
ております。 したがって、どちらがよいかは、現在の
日本
の
政治
の
あり方
、そこにどういう問題があるのか、今
政治
に何が求められているのかといったこととの
関連
で
考え
るべきことだと
考え
ております。 私の
理解
では、戦後長期にわたって、
日本
の
議院内閣制
は
媒介内閣制モデル
に従って
運用
されてまいりました。それが、一九九〇年代に入ってさまざまな困難に直面し、その
運用
の
あり方
がここで模索され始めているというのが現状ではないかと
理解
しております。 現代の
政治
は、積極的なリーダーシップを必要としております。
社会
を運営していくためには、だれかが率先して必要な
活動
、
アクション
をとらなければなりません。
消極国家
と言われる
考え方
においては、
アクション
は
社会
にゆだねておくのが最善であって、そうすれば
基本
的には神の見えざる手により
調和的発展
が実現されるんだ、
国家
は
社会
の行き過ぎを
コントロール
していればいいんだと説かれました。しかし、今日では、
積極国家
、
福祉国家
という
考え方
のもとで、一定の
人為的プログラム
により、神の見えざる手ではなくて、
人為的プログラム
によって
国家
が
社会
の
調和的発展
のかじ取りを行っていくことが必要だと
考え
られるようになっております。 その
プログラム
に広範なコンセンサスがあれば、
政治
の
課題
はそれだけ軽減されますし、ましてや、それにより
社会
が順調に発展していたときには、
政治
が果たすべき
役割
はさらに限定されるということになりました。しかし、御
承知
のように、そのような
時代
は、仮に存在していたといたしましても、今ではもう失われてしまったのであります。 今では、
政府
が積極的な
活動
を展開するには、まず
政治プロセス
を通じて、そのための
アクションプログラム
を決めなければなりません。それは、
デモクラシー
を掲げる国である以上、
国民
の過半数に
支持
されたものであることが求められます。また、そうであってこそ、
政府
は
時代
の要請する
政策
を強力に推進することが可能となるのであります。 この
観点
から、
内閣
とその
政策
に対する
国民
の多数派の
支持
が明確である方がよいということになるのではないでしょうか。この点で、
国民内閣制
と
媒介内閣制
のどちらが明確な
支持
を確立し得るかといえば、明らかに
国民内閣制
ではないでしょうか。 もっとも、
媒介内閣制
でも、
人口規模
の小さな
国家
で
国民
の
支持
の動向が比較的把握しやすいなどの特別な
条件
があれば、明確に
国民
の多数派の
支持
する
内閣
を
媒介内閣制モデル
でも形成することは可能でありましょう。しかし、
日本
のように
人口
の大きな国になると、
国民
の多数派と議会の多数派を一致させるということは、
媒介モデル
では相対的に困難となるように思われます。ですから、今、
日本
が目指すべき
運用
の
あり方
は
国民内閣制
ではないかと私は
考え
ております。 したがって、一九九〇年代以降、
政治改革
の
一環
として
衆議院
の
選挙制度改革
がなされましたが、それが成功しているかどうかは別にいたしまして、
基本
的な方向としては
支持
し得るものではないかと
考え
ておりますし、また、
行政改革
の
一環
として
内閣機能
の強化のための
制度改革
がなされましたが、
内閣
の積極的な
アクション
、イニシアチブを促進するものとして、これも
基本
的には
支持
できるものと
考え
ております。しかし、その全体が
国民内閣制
的に機能しているかといえば、まだまだ不十分な点が多いのではないかというのが私の率直な実感であります。 その不十分な点、さまざまありますが、その中で特にここで私が強調しておきたいのは、
内閣
の
コントロール
という問題であります。
内閣
が
国民
の多数の
支持
を受けてその
政策
を強力に推進する、このような
政治
の
あり方
を実現するのが
課題
だと申し上げましたが、これは
課題
の半面にすぎません。これだけがひとり歩きするとかえって危険であります。
アクション
には常に
コントロール
が必要であります。
アクション
がなければ
政治
は動きませんが、
コントロール
なしではどこに行くか不安になります。ですから、
アクション
と
コントロール
は常にセットとして
考え
る必要があります。
内閣
を
コントロール
する主体は、言うまでもなく
国会
であります。より具体的には
野党
ということになります。ですから、
アクション
と
コントロール
の
バランス
のためには、
内閣
に
アクション
の
手段
を与えるだけではなく、
野党
に
コントロール
の
手段
を与えることが必要であります。
野党
による
コントロール
は、
内閣
の
政策
及びその執行の
問題点
を指摘し、
国民
に知らせるということが
中心
になりますが、それを行うためには
行政
についての正確な情報を入手する必要があります。その
手段
として、
国会
にとっての最も重要な
手段
は
国政調査権
であります。そこで、この
権限
の行使を
野党
の主導で行い得るようにする必要があるのではないでしょうか。 この点、例えばドイツでは、
議員
の四分の一の要求で
調査委員会
を設置し得ると
憲法
上規定されておりますが、
日本国憲法
にはそのような明示の規定はありません。しかし、
憲法
はそれを禁止しているわけではありませんから、法律でそのような
制度
をつくることは十分可能であります。これはほんの一例でありますが、
野党
による
コントロール
が十分に可能になるような
制度設計
が望まれるところであります。 要するに、「
議院内閣制
の
国民内閣制的運用
」とは、
政治
における
アクション
と
コントロール
をめり張りある形で行っていくということであります。 もちろん、かかる
運用
が可能となるためにはさまざまな
条件
が必要でありますが、その点について、
選挙制度
の
あり方
、
政党
の
役割
、
国民
の心構えといった
観点
から若干のコメントをさせていただきたいと思います。 まず、
選挙制度
の
あり方
との
関連
でありますが、
国民内閣制モデル
で
考え
るか、
媒介内閣制モデル
で
考え
るかによって、
選挙
の見方は大きく変わります。
選挙制度
にはさまざまなものがありますが、比較的多くの国で採用されているものは小
選挙
区制と
比例代表制
、これにも具体的にはさまざまな
内容
がありますけれども、
基本
的な
考え方
としてはこの
二つ
が代表的であります。そして、単純化して図式的に申し上げれば、小
選挙
区
制は国民内閣制
に適合的であり、
比例代表制
は
媒介内閣制
に適合的だと言うことができます。
国民内閣制
は
選挙
で
国民
の多数
意思
が明確に表明されることを要求しますが、それが可能となるためには、
国民自身
がそのような
投票行動
を行う必要があります。つまり、
国民
一人一人が多数
派形成
を
考え
て投票する必要があるわけであります。小
選挙
区制こそそれに適した
制度
ではないかと
考え
ております。 なぜなら、小
選挙
区制で
自分
の
意見
を最大限反映させようとすれば、
最初
から当選する
見込み
のない
候補者
に投票してもだめでありまして、当選する
見込み
のある
候補者
の中で
自分
の
考え
に近い人を選ぶということが必要になります。こうして、
有権者
はみずから多数
派形成
を
考え
て投票することになります。また、
政党
の方でも、他の
政党
と協定を結ぶなどして、当選可能な
候補者
を立てようとすることになります。 少なくとも、小
選挙
区制というのは、
投票者
や
政党
に対してそのような
行動
をとる
インセンティブ
を与える
制度
であります。ですから、結果としても、
国民
の多数に
支持
された
内閣
と
政策
を生み出す
可能性
が高いと言えるのではないでしょうか。 これに対して、
比例代表制
は、
国民
の多様な
考え
をできるだけ忠実に
国会
に反映させようという
制度
であります。
有権者
も、
候補者
の中で最も
自分
の
考え
に近い人を選ぶという
投票行動
をとります。その結果、たまたま
国民
の中に明確な多数派が存在すれば、その
意思
に従った
内閣
と
政策
が
選択
されるということになりますが、
通常
はそうはならないでありましょう。
比例代表制
は、多数
派形成
とは逆の
インセンティブ
を与えるからであります。 というのは、
比例代表制
のもとでは、できるだけ多くの票を得るためには、
自分
に近い
政党
との
差別化
を図ることが重要だからであります。多数
派形成
のためには
政策
の
類似性
を強調することが必要になりますが、
比例代表制
のもとではそれとは逆の
インセンティブ
が働くわけであります。勢い、ほっておけば、
差別化
によりどんどん
政党
が細分化されるということにもなりかねません。 ですから、
選挙
の結果、明確な多数派が出現するということはまれでありまして、多数
派形成
は、
首相
の
指名
という第二
段階
の
議員
の
役割
ということになり、まさに
媒介内閣制
的に機能することになるわけであります。 よく、小
選挙
区
制は少数意見
を切り捨てるものだということが
批判
として言われます。
選挙
とは
国民
が
自分
の
意見
に最も近い
代表者
を選ぶ
手続
であるべきだという
理解
で問題を
考え
る限り、全くそのとおりだと私も
考え
ます。 しかし、小
選挙
区制は、実はそのような
目的
の
制度
ではないのでありますから、この
批判
は、言ってみれば、ない物ねだりの
批判
と言わざるを得ません。全く異なる
目的
の
制度
に対して、
自己
の欲する
目的
を実現していないから間違っていると
批判
しても、それは本当の
批判
にはならないと思います。 同じ論法を使うならば、逆に、小
選挙
区制の
立場
からは、
比例代表制
こそ
国民
の多数
意思
をゆがめるものだということになりましょう。
選挙
の
役割
は
国民
の多数
意思
の探索でありますから、そうであるのに、
比例代表制
は、その多数
意思
を分散させてしまい、
議員
の多数
意思
をもって
国民
の多数
意思
に代替させるものではないかということになるからであります。 こういった
相互
の
批判
は、いずれも、
選挙
の
役割
についての
自己
の観念を
前提
にして、その
前提
を受け入れていない相手の
制度
を
批判
しているわけでありまして、かみ合った
議論
ではありません。真の
対立
は、
選挙
の
役割
として何を求めるかなのであり、この
対立
は、
国民内閣制モデル
か
媒介内閣制モデル
かの
対立
に対応しているのであります。 同じような
批判
で、小
選挙
区制では死に票が多く出るというのがあります。しかし、死に票が
国政
に反映されない票という意味でなら、そのような死に票は、
選挙制度
のいかんにかかわらず、不可避であります。
一つ
の
プログラム
しか
国政
に反映させることはできない、少数派の
プログラム
は当面
国政
には反映されないというのが
デモクラシー
の論理のはずであるからであります。 もっとも、死に票が議会の議席に反映されない票だという意味であるならば、全くそのとおりだと思います。小
選挙
区制は、
国民
の多様な
意思
を忠実に議席に反映させることを
目的
にした
制度
ではありませんから、それは当然のことであります。 もっとも、私
自身
は小
選挙
区制で当選に貢献しなかった票が死に票だという
理解
には少なからず疑問を持ちます。その票の重みというのは、当選者も含めて、ここにいらっしゃる
議員
の方々を含めて、無言の影響力を持ち続けているのではないかと
考え
ているからであります。当選された方も、
自分
の競争相手に投じられた票の大きさ、性格、意味、これは絶えずプレッシャーとなって作用し続けているのではないかと思っております。 次に、
政党
の
役割
との
関連
でありますが、
政治
が
国民
のためのものとすれば、
政党
の
役割
は、
政治
が
国民
のために、
国民
の
意思
に従ってなされることを手助けするということにあると言えると思います。 どのように助けるかといえば、まず第一に、
国民
にとって最もよいと
考え
る
政策プログラム
を提案することであります。それが
国民
が
政策
選択
を行う助けになるわけであります。さまざまな
政党
がさまざまな
プログラム
を提案すれば、
国民
はその中から
自己
の
支持
する
政策
を
選択
する
可能性
が広がります。 しかし、
国民
にみずから多数
派形成
を行うことを求めるということであれば、
政党
は、
自己
の
政策
を提案しただけでは務めを果たしたということにはなりません。
国民
の
支持
のぐあいを見ながら、多数の
国民
が
支持
し得るような
政策
に修正していく必要があります。この
国民
と
政党
との
意見
のフィードバックを通じて、
国民
の多数が
支持
する
政策プログラム
を見つけ出し形成していくということになります。 その過程で、
政党
は、他の
政党
と話し合い、連携し、共同の
政策
を形成して
国民
に再提案するということも必要になるはずであります。
政党
が多数の
支持
を受ける
可能性
もない
政策
にしがみついているとしたならば、
国民内閣制モデル
からは失格だと言わざるを得ません。
媒介内閣制モデル
の場合は、
政党
間の話し合い、妥協というのは、
選挙
の終わった後に
議員
が
責任
を持って行う、
議員
に任せてくださいという論理に立ちますが、
国民内閣制
はそれとは異なる論理に立っているわけであります。 これに
関連
して、
政党
に
二つ
のタイプを区別するのがわかりやすいかもしれません。
政党
とは、一定の理念を掲げその実現を目指して運動する団体でありますが、その理念を詳細な理論体系につくり上げ、それに厳格にコミットしているいわゆるイデオロギー
政党
と、理念を緩やかにとらえ、
国民
の
現実
の要求に柔軟に対応するプラグマティズム
政党
に区別できます。
政党
が
自己
のイデオロギーの純粋性に重きを置き過ぎますと、
国民
の多数
派形成
に協力し、それを手助けするということが困難になりますから、
国民内閣制
のためにはプラグマティズム
政党
が好ましいということになります。 プラグマティズム
政党
が
国民
の多数の
支持
を獲得し得る
政策
を探索する真摯な努力をするならば、
政策プログラム
は
基本
的には
二つ
に収れんしていくのではないでしょうか。場合によっては、どうしても妥協し得ない
争点
が複数あって、
プログラム
が三つ以上並立するということも起こり得ないではありませんが、
国民
の多数派の
支持
を獲得し得る
政策
ということを
考え
れば、
通常
は、おのずと
二つ
に収れんする傾向を持ち、
二つ
の間の
選択
という形になるように私は
考え
ております。 また、小
選挙
区制においては、
選挙
で勝つためには
選挙
区の多数が
支持
してくれる
政策
と
候補者
が必要でありましょう。
選挙
戦略としても、
政党
は協力し合う方向に動くことになるのではないでしょうか。 重要なことは、
政党
が
自己
保全の発想を捨てて、
国民
のための
政治
に何が必要か、どう貢献できるかを
考え
ることではないでしょうか。しかし、
現実
にはこれが非常に困難なのかもしれません。それだけに、
国民
の側から見れば、
政党
や
候補者
が
自己
保全的
行動
をとれば不利になるような
制度設計
が必要だということであり、小
選挙
区制の
一つ
のメリットはそこにあるのではないかと私は
考え
ております。 次に、
国民
の心構えということでありますが、以上お話ししたところから、
国民内閣制的運用
を行うためには、
政党
も
議員
の皆様方も
国民内閣制
の精神を
理解
して、それに即した思考と
行動
のパターンを採用していただくことが必要になりますが、同様のことは我々
国民
にも言えます。
制度
というものは、その理念、精神をどう
理解
して
運用
するかにより、全く異なったものとなってあらわれます。ですから、
議院内閣制
を
国民内閣制
的に
運用
したいというのであれば、その精神を
理解
して
行動
する必要があります。 例えば、
国民
が小
選挙
区制で投票するときに、
自分
の
考え
に最も近い
候補者
を探して投票しようとするならば、
政党
が
選挙
協力で
候補者
を一本化してきたというような場合、恐らく
自分
の投票したいような
候補者
がだれもいないと言って嘆く
国民
が多く出ることになるに違いありませんし、また投票したい
候補者
がいても、今度はその
候補者
は当選する
見込み
がなくて、私の声が反映されないとか、死に票がふえると文句を言うことになるわけであります。
国民
が
選挙
で
自己
に最も近い
考え
の
候補者
に投票し、後は
代表者
に任せたいというのであるならば、
国民内閣制
ではなくて
媒介内閣制モデル
を
選択
し、それを主張していくべきであります。それとは異なる論理に立つ小
選挙
区制を採用した以上は、それに合った
行動
パターンをとらなければ
制度
はうまく機能しないということになるわけであります。 さて、以上の
議論
は
日本国憲法
を
前提
にして、その
運用
をどうするかというものでありました。私は、
国民内閣制的運用
をするのに
憲法
の改正は必要ないと
考え
ております。
日本国憲法
は
国民内閣制的運用
も
媒介内閣制
的
運用
も許容しております。しかし、
憲法
の条文の中には、多少気になるものもないではありません。それを最後に
一つ
指摘して終わりにしたいと思います。 それは、
議院内閣制
と参議院の関係という問題であります。
議院内閣制
の核心的
メカニズム
は、
内閣
と
衆議院
の間に設定されております。参議院には
内閣
を
不信任
するという
権限
は与えられておりません。しかし、参議院は法律の制定につき非常に強い
権限
を与えられております。これによって事実上
内閣
の
責任
を問うことが可能になります。
内閣
は、
自己
の
政策
を遂行するために法律がどうしても必要であります。しかし、法律を制定するには、原則として参議院の同意が必要であります。もし
衆議院
で与党が三分の二の多数を占めていれば、参議院で少数派になっても法律を制定することが可能になりますが、現状では、与党が参議院で少数派になるというような状況のときに、
衆議院
では三分の二を確保するというようなことはちょっと
考え
ることはできません。したがって、
内閣
は、衆参両院で多数を形成し得るような
政党
間の提携を基礎にしなければ存立が困難だということになっております。 逆に言えば、参議院は
不信任権
はないが、
内閣
の重要法案を否決するという形で事実上
不信任
を行うことが可能であり、それに対して、
内閣
は参議院の
解散権
を持っておりません。こういう不均衡が生ずることになります。つまり、
日本
の
議院内閣制
は参議院との関係で機能不全を起こす危険性を持っているわけであります。 そこで、
運用
上、参議院が
議院内閣制
の正常な機能を阻害しないようにするための方法を
考え
ていく必要が出てまいります。 直近の
衆議院
選挙
で
国民
の多数の
支持
を得た
政策
を遂行するための法律が提案されたときに、参議院がそれを否決するとすれば、これは、
アクション
に対する
コントロール
というよりは、
アクション
自体を否定するものではないでしょうか。ですから、参議院がこのような行為に出ることは自制すべきではないかと
考え
ます。自制するという慣行を形成していく必要があるだろうと思います。そのためには、参議院を真に良識の府、理性の府となるように
政党
規律を緩和するなどの措置が必要でありましょう。ただし、自制することと引きかえに、別途
コントロール
の
手段
は与えなければならないと思います。 要は、
議院内閣制
を民主的に機能させるには何が必要かということを良識に従ってプラグマティックに
考え
ていけば、必要なルールは、ちょうどイギリスの
憲法
習律と言われるものが慣習的に形成されていったように、
日本
においても形成していくことができるのではないかと
考え
ております。その意味で、
議員
の皆様方に大いに期待しているところであります。 以上で、とりあえず私の話は終わらせていただきたいと思います。(拍手)
高市早苗
3
○
高市
小
委員長
以上で
参考人
の御
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
高市早苗
4
○
高市
小
委員長
これより
参考人
に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
奥野
誠亮
君。
奥野誠亮
5
○
奥野
小
委員
自由民主党の
奥野
誠亮
であります。
議院内閣制
の
運用
の
あり方
についていろいろと御教示をいただいて、ありがとうございました。 長の選任の方法についてはお触れになりませんでしたけれども、やはり一番大きな、
運用
に影響を及ぼす
課題
じゃないかと思います。また、立法論にもなるわけでございますし、殊に
首相
公選制が今や
一つ
の
政治
課題
になったりしておりますので、私からは、
国政
が
議院内閣制
でありますし、地方が大統領制である、また、こういうとらえ方には、ジュリストを見ますと、
先生
は、
内閣
と議会の関係のみに着目するのは視野が狭過ぎるとおっしゃっているわけでございますけれども、
現実
の
政治
の世界に身を置いている者でございますし、時間も極めて制約されておりますので、私なりの
考え方
を申し上げさせていただいて、御教示あるいはまた御所見を賜ればありがたいなと思っております。 言うまでもなく、現行
制度
では、
国政
におきましては、
衆議院
の総
選挙
が行われますと、単に
議員
を選び出すばかりじゃなしに、あわせて
内閣総理大臣
を間接的に選んでいるんだ、こう判断をしているわけでございます。
選挙
が終わりますと、
内閣
は総辞職をして、真っ先に
内閣総理大臣
を
選挙
する、こう
憲法
は定めておるわけでございますし、また、各
政党
の党首がその際に
内閣総理大臣
の
候補者
になっているわけでございます。結論的には、第一党の党首が政局の収拾をする
責任
者になっていくということがだんだんと慣例的に固まってきているんじゃないかなと思います。 そういういろいろなことを
考え
ますと、
政党
の
役割
というものは非常に重要な意味を持ってきているわけでございます。それだけに、また、選ばれた
内閣総理大臣
は、議会や
政党
に対しては弱い
立場
にあると言えないこともございません。
日本
の
内閣総理大臣
が最近は頻繁にかわっている。世界の
責任
者がかなり長期にわたって政権を担当しているところから見ますと、恥ずかしいような状態になっているわけでございます。 そういうことなどもあって、もっと強い
内閣総理大臣
をつくったらどうかということが、大統領制にする、住民が直接に選び出すことにしたらどうか、そういうことになると安定した
内閣総理大臣
ができるじゃないかと。事実、大統領制をとっています地方団体の長は、途中でやめたりするのは例外でございまして、任期いっぱい務めておるわけでございます。そのためには、やはり
内閣総理大臣
の選任方法を、現在のような
議院内閣制
の
立場
で選ぶんじゃなくて、大統領制の
立場
で選んだらどうかということになってきているんだと思います。 しかし、地方でも、
人口
五、六百人のところから千数百万人のところまで、同じように団体の長は住民が直接に
選挙
で選ぶということになっておりますので、やはりこれは無理があるじゃないかな、地域の実態に応じていろいろな選任方法があってしかるべきだ、こういう
議論
もあるわけでございます。 直接に選ぶということになりますと、
選挙
する者はいろいろな人でございまして、
支持
政党
を持たない人もあれば、共産党
支持
者もあれば、自民党
支持
者もあるわけでございます。したがいまして、
候補者
は大体無所属でございます。いろいろな幅の広い
支持
を得なければ当選できないということから無所属でございまして、
政党
の関与する力が非常に弱いものになっていくと思うわけでございます。同時に、選ぶ方も、大きなところになってまいりますとなかなかわからないものだから、人気投票みたいになっていると思います。長もまた、いろいろな人の協力を得なきゃなりませんので、どうしても迎合的になってくる、人気
政策
みたいになる、こういう欠陥が出てくると思うわけでございます。 いずれにいたしましても、これは
憲法
改正につながっていくわけでございます。 私は、長の選任方法をどうするかということにつきましては、単純にそのことだけでよしあしを言うんじゃなくて、その地域なり国なりの歴史とか伝統とか、あるいは
日本
であれば天皇制とかほかの機関との関係も
考え
ながら、総合的に判断して決めていかなきゃならないと思っているわけでございます。例えば、アメリカやフランスは大統領制をとっている、イギリスは
議院内閣制
をとっている。それぞれ事情がわかるわけでございますし、
日本
には千何百年トップには天皇制をいただいているという、これも簡単につくろうと思ってもつくれないわけでございますから、この存在も十分
考え
ながら長の選任方法を
考え
ていかなきゃならないと思っておるところでございます。
先生
はまた、ジュリストに、天皇は
政治
的
権限
のない完全に名
目的
、儀礼的な存在として設定されている、こう述べておられるんですけれども、私はこれもちょっと異論があるわけでございまして、天皇に対する
国民
の感情、今日におきましても、
憲法
は、
日本
国の象徴、
日本
国民
統合の象徴という
言葉
を使っております。これが出ましたときには何か違和感を
日本
国民
は持ったわけでございますけれども、仰ぎ見る存在が天皇だ、こういうふうに見てまいりますと、やはりだんだんと敬愛の念が強いもの、今日でも変わりはないようなことになってくると思っておるわけでございます。 殊に、いろいろな国事行為を持っておられる。例えば、乱闘
国会
になりまして、法律が本当に議決されたのやら議決されないのやら、速記録は聞き取れず、聞き取れずと書いてある。そういうことから無効論が出たりしますけれども、天皇の国事行為として法律が公布されますと、もうそれでおさまってしまうわけでございます。 そういういろいろなこともございますし、また、焦土と化した後、天皇が全国に行脚して回った、
国民
を激励された、あれも
国民
が立ち上がる
一つ
の契機になったのじゃないかなと私は思っておりますし、文化や福祉や、あるいは国際親善やいろいろな面において、天皇なり天皇御一家なりが
活動
しておられることが大きな影響を持っておるわけでございまして、これは軽視すべきでないんじゃないかな、こう私は思っているわけでございます。 同時に、直接
選挙
の怖さというものも感ずるわけでございまして、消費税のときには、非常に信頼の厚い
政治
家がどんどんみんな落選していった苦い経験がございますし、また、サンフランシスコ講和条約が決まってまいりますときに、ソビエト・ロシアなども賛成するまでは待つべきだという
意見
もございまして、全面講和か単独講和かということで争われました。まあ、単独講和じゃなくて、多数講和と言った方がいいのかもしれません。東京大学の学長をされた南原繁さんが反対の急先鋒でございました。苦心惨たんしておられる吉田茂総理は、曲学阿世の徒と厳しく
批判
をいたしました。 また、昭和三十五年に安保条約を改定いたしますときにも、学界も、またマスコミの多くも労働界も、大体多くは賛成でございました。それを戦争に巻き込まれる、戦争に巻き込まれるということでございました。これも、ソ連は
日本
にアメリカの基地がある限りは独立を認めるわけにいかない、こういう姿勢をとっておったのに加担をしていったわけでございまして、こういうことを
考え
ますと、こんなときにもし
総理大臣
の
選挙
でも行ったらどういうことになるんだろうかなと私には思えるわけでございます。 そんなことを
考え
てまいりますと、やはり地方の弊害が、同じような大統領制をとった場合には
国政
の中にも出てくるわけでございます。もちろん、総裁の
あり方
については、今日では
国会議員
だけが自民党の総裁を決めるのじゃございませんで、党員、党友も参加する。もちろん
支持
者だけでございまして、共産党の方が参加されるわけじゃございません。しかし、大統領制になりますと、みんなで決めるわけでございますからそういうわけにはいきませんが、いろいろな工夫をすることによって努力をしていきたいな、こう思います。 私は、天皇制についての
考え方
も、現行
憲法
では……
高市早苗
6
○
高市
小
委員長
失礼いたします。
奥野
誠亮
君に申し上げます。申し合わせの時間が終了いたしましたので、結論を
お願い
申し上げます。
奥野誠亮
7
○
奥野
小
委員
それでは、皆さんに迷惑をかけちゃいけませんので、これでとめておきたいと思います。
先生
に十分な時間を残せませんでしたが、何かコメントでもございましたら、お教えをいただいておきたいなと思います。
高市早苗
8
○
高市
小
委員長
では、大変簡潔に
お願い
しなければいけませんが、
高橋参考人
。
高橋和之
9
○
高橋参考人
質問の趣旨がよくわからなかったので、聞かれていることが何かというのは十分
理解
しているかわかりませんけれども、例えば、地方の
制度
について、よりいろいろな形のものを導入できるようにした方がいいというような御趣旨が
一つ
あったかなと思いますけれども、全く賛成であります。 天皇については、私がジュリストで書いたことは、
憲法
上こうなっているということでありまして、その法的問題以外については、またいろいろ
議論
があり得るかと思います。 そんなところでよろしいでしょうか。
高市早苗
10
○
高市
小
委員長
松沢
成文
君。
松沢成文
11
○
松沢
小
委員
民主党の
松沢
成文
でございます。
先生
の御主張に大変な興味を持ったんですけれども、
先生
の御指摘されています
国民内閣制
、私なりに判断をさせていただくと、
議院内閣制
をより直接民主制的に
運用
する、できる限り
国民
の
意思
を
政治
プログラム
や
首相
選びに反映させていく。また
先生
は、立法府と
行政
府の関係を、単なる法的にとらえるのではなくて、
内閣
と議会の機能として、
アクション
と
コントロール
の関係だと。この二点が、
先生
の
国民内閣制
の大きな特徴だと私は把握しております。 さてそこで、
先生
の
国民内閣制
というのは、私なりに
考え
させていただくと、イギリスの
議院内閣制
が
モデル
になるんじゃないかなというふうに思うんですね。イギリスは
日本
と
政党
制が違いますから、かなり
政党
が体系化されていますので、イギリスの場合は、党の中でかなりの
政策
を収れんする機能があって、党大会も何日も開きますし、また
首相
も、
選挙
のときにはその党大会で決まったマニフェストを提示して、
自分たち
の
政党
が勝ったら私が
総理大臣
になるんだという形で
選挙
に臨みます。また、
首相
になれた者は非常に強い
首相
の
権限
を持って、リーダーシップをとれるようになっている。それに対して、
野党
の方は逆に影の
内閣
を組織して、しっかりと与党を
コントロール
する仕組みもできている。 こういうふうに
考え
ますと、
先生
の主張されている
国民内閣制
は、ある意味でイギリスの
議院内閣制
を
モデル
にされているというふうに認識してよろしいんでしょうか。それが
一つ
目の質問です。
高橋和之
12
○
高橋参考人
全くそのとおりであります。
松沢成文
13
○
松沢
小
委員
そこで、ヨーロッパの
議院内閣制
をとっている国で、もう
一つ
、
日本
にない
政治
の仕組みとして、
国民
投票制を導入している国が多いと思うんですね。昨今のEUの統合問題なんかにしてみても、マーストリヒト条約をどうするか
国民
投票に諮る。あるいは通貨統合の問題でも、この前、たしかデンマークでは、総理がEUの通貨統合に入りたいと言っているにもかかわらず、
国民
投票にかけたらそれが否決をされて、デンマークは猶予しているような形だったと私は拝察いたしますが、また、イギリスのブレア
首相
も、総
選挙
のときの
一つ
の公約に、
国民
投票でEUの通貨統合に入るかどうかを諮りたいんだということも言っています。 この
国民
投票制というのは、ある意味ではワンイシューを
国民
の
意思
にダイレクトに諮る
制度
であります。これを、
先生
のおっしゃる
国民内閣制
の中でどのように位置づけるのか。例えば、
国民
投票をやる場合には、総理の
権限
でそれを決められるのか、あるいは議会がそれにも絡むのか。そしてまた、その
国民
投票で得た結果は
政治
にどのように反映させていくべきなのか。今後の
憲法
を
考え
る上で、
日本
も
国民
投票制をどう位置づけるかという
議論
が必ず出てくると思うんですが、
先生
は、
議院内閣制
における
国民
投票との
政治
的整合性をいかがお
考え
でしょうか。
高橋和之
14
○
高橋参考人
国民
投票を
憲法
上は認めておりませんから、それを
日本国憲法
との
関連
で深く
考え
たことはありませんけれども、その
制度
を仮に導入するとすればどういう問題が出てくるかということで
考え
ますと、
国民内閣制
的に問題を
考え
る場合には、
政府
の
基本
的な
政策
というのは
選挙
によって決定される。それとは別に、それと矛盾するイシューを別途
国民
投票にかけるということをするとすれば、これは
制度
のつくり方いかんという点もありますけれども、事実上の効果としては、
自分
の信任を
国民
に対してかけるという意味を持ってくるだろうと思います。
選挙
で約束した
政策
に矛盾するイシューを
国民
に問うて、それで負けたならば、やはり
政治
責任
として退かざるを得ないだろうという意味を持ってきて、したがって、
国民
に対して直接
責任
を負うという形になる。しかし、それは
国民内閣制
と矛盾することはないだろうと
考え
ております。
運用
の仕方で矛盾することはない。ただ、辞職せざるを得ないという問題が出てきますから、それを
憲法
の中にどういう形で書き込むかという、技術的に難しい問題は出てくるだろうと思います。 それから、
政府
の
政策
と独立性を持った重要問題が発生してきて、どっちに転んでも
政府
の
政策
と矛盾するわけではないけれども、
国民
にとっては非常に重要な問題であるから、
国民
の決定に従ってあとは
考え
ていこうというような場合は、これはそういった
政治
責任
というような問題は起こらなくて、割合うまく使えばうまく機能するんではないかなというふうに
考え
ております。
松沢成文
15
○
松沢
小
委員
それでは、現行
憲法
の条文と
先生
のおっしゃる
国民内閣制
で問題となるとすれば、
先生
は、参議院と
議院内閣制
の問題を挙げました。私は、あと
二つ
の条文が非常に気になるところがあるので、そこを指摘させていただいて、
先生
の御見解をいただきたいんです。 まず、今の
憲法
の第四十一条であります。
国会
は国権の最高機関であるという書き方がされているんですね。ただ、それと同時に、
日本
は
民主政治
の国であって、権力分立原則、簡単に言えば三権分立、これが
憲法
には同時にしっかりと書き込まれているんですね。ですから、立法府、それから
行政
府、司法府の中でさまざま、
解散権
があったり、あるいは違憲立法審査権があったり、それぞれこの三つの
政治
の主体が均衡と
コントロール
のもとに
政治
を運営していくという大原則があるにもかかわらず、
国会
が国権の最高機関だという書き方をしている。ここには、私は
一つ
の矛盾があると思うんです。 ただ、もちろん
民主政治
においては
国民主権
、主権在民が大原則でありますから、
国民
から直接選ばれている機関として
国会
、その
国会
に最高の権力があるんだという書き方はあるのかもしれませんが、これは極めて
政治
的なものであって、法的に
憲法
を
考え
るとおかしいんではないかという思いがありますが、その点についていかがお
考え
かということ。 もう一点、
国民
の
意思
を
政治
に反映させるために
選挙
があるわけでありまして、この
選挙
が公正なものに機能しなければならないわけですね。 そこで、第四十三条に、両議院は全
国民
を代表する
選挙
された
議員
でこれを構成するというふうにありますけれども、四十四条には、そこで資格を定めておりまして、
議員
、
選挙
人の資格は法律で定める、ただし、人種、信条、性別、
社会
的身分、門地、教育、財産及び収入で差別してはならないと書いてあるんですね。 ただ、私は、今ここで挙げたような項目での差別は、ほとんど今
日本
ではなくなっていると思います。
一つ
重要な差別が抜け落ちている。これは、居住地による差別なんですね。いわゆる一票の格差という問題であります。
衆議院
の小
選挙
区は、選ばれた
議員
が
内閣総理大臣
も選びますから、立法府での
権限
と同時に、
行政
府の
権限
もこの
衆議院
の総
選挙
というのは決めていくわけですね、間接的に。
二つ
のオーガンの
権限
を決めていく。しかし、その
選挙
における格差が二倍以上ある。これまで二・五倍あったのが、今度格差是正をしても二倍をまだ超えてしまっている。簡単に言えば、一人の参政権が二人以上になっているわけですね。私は、こういう状況を残していたら、
民主政治
とは言えないと思います。 ですから、もし新しく
憲法
をつくり直すとしたら、この中に、居住地における差別はしてはならない、あるいは
選挙
区
選挙
における一票の格差は例えば一・五倍以内にするとか、
憲法
の中にしっかりとそこまで書き込まない限り、これはあくまでも
政治
的な、恣意的なもので格差が是正されないで終わっていく。ここが私は
日本
の
民主政治
の大きな欠点だと思っていまして、この四十四条をどうとらえるか、一票の格差の是正を
憲法
にしっかり組み込むということをどうとらえるか、
先生
の御所見をいただきたいと思います。
高橋和之
16
○
高橋参考人
まず第一点の最高機関の方でありますけれども、おっしゃるように、最高機関という規定と権力分立は矛盾するんではないかという問題はあります。
通常
は、権力分立もそうですけれども、もう
一つ
は、
国民
こそが最高機関ではないか、それなのに
国会
が最高機関というのはどう
理解
したらいいかという、そちらの方も一緒に
議論
するんですけれども、そこのところを説明するために、
憲法
学の通説では、これは法的意味ではなくて
政治
的な意味にすぎないんだと説明してまいりました。
基本
的には私もそういう
理解
になるかなと思いますけれども、ただ、全く法的に意味がないかといえば、
憲法
上、場合によって、どの機関に属するか不明な問題が出てきた場合には、当然
国会
に属する、そういう主張をする根拠になるだろうと
考え
ております。 それから、一票の格差の問題は、おっしゃるとおり、全く私もそのとおりだと思います。それを
憲法
の中に書けばより明確になると思いますけれども、
憲法
解釈としては、既に、書かなくても、現在、
憲法
学の方の通説的見解として、一対二を超えるようなものは
憲法
違反だというふうに普通
考え
ております。ただ、それが最高裁判所では認めてもらえていないということでありまして、それを
憲法
に書けばより明確になるということはあるかと思います。
松沢成文
17
○
松沢
小
委員
ありがとうございました。
高市早苗
18
○
高市
小
委員長
斉藤
鉄夫
君。
斉藤鉄夫
19
○
斉藤
(鉄)小
委員
公明党の
斉藤
鉄夫
でございます。きょうは、
高橋
先生
、大変ありがとうございました。私は、
国会
と
内閣
の関係、それから二番目に
首相
公選制、三番目にメディアの
あり方
ということで、三点、質問をさせていただきたいと思います。 まず第一点目ですけれども、これは先ほどの
松沢
委員
の質問と同様な質問になるかもしれませんが、ちょっと別な角度から問わさせていただきます。 四十年近く前になりますが、中学校のときに三権分立というのを
社会
科で習いました。そのとき、たしか私はこのように習ったような記憶があるんです。つまり、国権の最高機関である
国会
が法律をつくり、その法律を実行するために
内閣
が組織される。そして、司法は、その法の執行が正しいかどうかをチェックする、こういうふうに習いました。この
考え方
からすれば、
先生
が著書の中でおっしゃっている、まず
内閣
ではなくて
国会
が
中心
なんだという説か、もしくは
内閣
中心
なんだけれども法制定・法執行図式、これに当たる、その
理解
だと思います。そういうことを私は習ったような気がするんですけれども、
先生
のきょうのお話はそうではなくて、統治・
コントロール
図式、
内閣
中心
で、かつ、
国会
との関係は統治・
コントロール
図式だ、こういうお話でございました。
日本国憲法
は一体どちらを想定しているのか。
先生
のおっしゃる
国民内閣制
にはこの統治・
コントロール
図式がいいということなんですけれども、
憲法
はそもそもどちらを想定していたんでしょうか。
高橋和之
20
○
高橋参考人
憲法
が制定されたころの
考え方
は、私とは違う
考え
が基礎にあったんではないかなと思います。ただ、私の
考え方
と矛盾しているということではなく、そういった問題意識が当時はなくて、歴史的に見ますと、法定立・法執行というイメージで
国会
と
行政
権の関係をとらえるのが一般的でありましたから、それを吟味することなく受け入れていたんだろうというふうに
理解
しております。 ただ、現在問題を
考え
る場合には、きょうお話ししましたように、
アクション
・
コントロール
図式あるいは統治・
コントロール
図式で
政治
の領域を見た方がより現代に対応した見方ができるであろうと
考え
ておりまして、かつ、そういう見方をすることを
日本国憲法
は禁止しているわけではないと
考え
ております。
斉藤鉄夫
21
○
斉藤
(鉄)小
委員
それでは、二点目ですけれども、実はこの夏、
憲法調査会
で海外視察をし、イスラエルへ行きました。イスラエルは
首相
公選制を実行し、失敗ということでまたもとに、
議院内閣制
になりましたけれども、その実情を見てきたわけです。 民意の反映、集約というその
二つ
の事柄を、
国会議員
を
選挙
する、これはほぼ完全な
比例代表制
です。スレッショルドも、投票率二%というほとんどないに等しいスレッショルドですし、完全な比例代表、ここで民意を反映する。そして、もう
一つ
の行為として、民意の集約という形で
首相
を選ぶ。ある意味では理想的な姿だったんですけれども、行った皆さんは、
政党
政治
の死以外の何物でもなかったという厳しい評価をする方がほとんどでございました。
制度設計
が本当によかったのかどうかということも検証しなければなりませんけれども、このような
首相
公選制ということについての
先生
のお
考え
をお聞かせ願えればと思います。
高橋和之
22
○
高橋参考人
首相
公選制も、私の
国民内閣制
も、
内閣
のリーダーシップを確保しようという
考え方
では同じだと思いますけれども、
首相
公選制の場合は、
議院内閣制
ではなくて、
基本
的には大統領制の論理に立っていて、
運用
の仕方が非常に異なるというところがあると
理解
しております。 ただ、
首相
公選制は
制度
として全く成り立たないかというと、そうではないだろう、その
運用
の仕方いかんだろうと
考え
ております。大統領制
自身
、アメリカでうまく
運用
されております。アメリカしか
運用
できないという説もありますけれども、必ずしもそうではないだろう。アメリカのような大統領制は、ある
程度
その精神を
理解
して
運用
する限り
運用
できるわけでありまして、それと同じように、
首相
公選制も
制度
として成り立たないわけではない。 ただしかし、いろいろな点で難しい問題をはらんでいる。その
一つ
が原因でイスラエルではうまくいかなかったというふうに
理解
しているんですけれども、
政党
が
政治
に対して
責任
を負う、そういう
行動
をきちっと確保できるような何らかの工夫があれば、
首相
公選制というのも不可能とは言えないと思います。 ただ、私は、
国民内閣制
の方が同じ
目的
を達成するのにずっと容易に、やろうと思えば実現できるものだと
考え
ておりまして、現在のところ、
首相
公選制の方がいいというふうには思っておりません。
斉藤鉄夫
23
○
斉藤
(鉄)小
委員
ありがとうございました。 最後、三番目の質問なんですけれども、
先生
の著書の中にも、
国民内閣制的運用
、この三つの要素は、
国民
と
内閣
もしくは
国会
及びメディアだ、このような表現もありました。
国民
が、今
政治
で何が論じられ、何が問題なのかということを認識するのはメディアを通してしかないわけでございますので、その重要性がわかるわけでございます。きょうは、そのメディアについての
先生
の言及がございませんでしたので、これを質問させていただきたいと思います。
一言
、その前に言いますと、我々
国会
にいる者として、大変メディアに対しては歯がゆい思いをすることが多くて、実際にはここが問題でこういう
議論
をしているのに、メディアを通して見ると全く問題のすりかえが行われて、別な報道がされているということ、これは
一つ
や
二つ
ではなくて、もうたくさんございまして、大変歯がゆい思いを
現実
にはしているということもちょっと申し添えさせていただきます。
高橋和之
24
○
高橋参考人
私も、これは
国民内閣制
に限らない、
政治
がうまくいくためにはメディアの
役割
が非常に重要だと思っております。特にきょうお話ししたこととの
関連
でいえば、メディアが
議院内閣制
の
運用
の仕方についてきちっとした
理解
を持って、それを
国民
に解説すると同時に、
政治
家の
行動
がそれとの
関連
でどういう意味を持っているのかということを明らかにしていく必要があるだろうと思います。
政党
の
政策
についても、その意味を質問し、内的な一貫性を持った
政策
なのかどうか、どこの
政党
とどういう関係があるのかということをみずから分析し、あるいは
政党
に対して質問をして、
国民
の側で求めているものは何かをメディア
自身
が探索して、それを
政治
の場へ伝える、そういう
政党
と
国民
の間のフィードバックを
媒介
するという非常に重要な
役割
を負っていると思っております。メディアがきちっとそういう形で機能してくれないと、
政治
はうまくいかないだろうと思います。
政治
家の皆さん方から見ると、メディアは正確に反映していない、常にそういう御不満をお持ちのようでありますけれども、私に言わせれば、メディアで
発言
する機会をお持ちなんですから、そう思われたらどんどん正確にお伝えいただきたい。そうすれば、我々の方に正しい
考え方
が伝わってくるというふうに
考え
ております。
斉藤鉄夫
25
○
斉藤
(鉄)小
委員
ありがとうございました。
高市早苗
26
○
高市
小
委員長
藤島
正之
君。
藤島正之
27
○
藤島
小
委員
自由党の
藤島
正之
でございます。三点ほど質問させていただきたいと思います。 まず第一点ですが、私は、
先生
がおっしゃる
国民内閣制
、これが
現実
にかなり近づいてきているんじゃないかという感じがします。特に、
選挙
の際は、選ぶ際は、次の総理がだれになるかというのをほとんど念頭に
衆議院
の
選挙
は選ぶようになってきているというふうな感じがしますし、現在のように非常に変化の激しい
時代
には、そういうことが必要になってきているんだろうという感じはいたしております。 ところで、最近は与党と
内閣
との関係が非常にぎくしゃくしている、あるいは大臣と官僚との関係が理想とすべきものと非常に違った形になっているというふうに感じるわけですが、
先生
はその辺についてどうあるべきだというふうにお
考え
でしょうか。
高橋和之
28
○
高橋参考人
現在の
政治
の
あり方
が
国民内閣制
的なものに近づいているかというと、先ほど言いましたように、まあそういう方向が少しかいま見られますけれども、まだまだ不十分かなと思っております。 特に、
選挙
の際、だれを
首相
にするかを
考え
て投票しているかというと、
政党
の側でそういう状況を整えていただいていないのではないか。
選挙
のときに、各党が確かに党首がいて、
首相
候補者
だといえばそうですけれども、
国民
の側からいいますと、
自分
の
支持
する
政党
に投票したからといって、その党首が
首相
になるだろうとはほとんど思っていない。
選挙
が終わってから話し合いで決めるだろうというふうに
理解
しているのではないかなと私は思っております。 それから、政官関係の問題は、もちろんあるべき姿として、政が決定し官が執行していく、まさに決定・執行イメージというのは政官関係に妥当すべきものであるというふうに思っております。ですから、
政治
の領域で私の言いましたような
国民内閣制的運用
を行って、きちっと
政策
決定を行う、それを官僚の方に忠実に執行していってもらうという
政治
の
あり方
を実現する必要があるのではないかなと。
日本
の場合は、伝統的に官の方が非常に力が強かった。それを続けると、やはり民主的
政治
という点で問題でありますし、と同時に、官が現在の
国民
の要求にうまく対応できないということが次第に明らかになってきたわけでありますから、
国民
がみずから選んでみずから
責任
を負う、それが可能な
政治プロセス
をつくっていかなければいけないだろうと
考え
ておりまして、そのために、やはりあるべき姿としての、政が決定し官が執行するという
あり方
をぜひ皆様に実現していただきたいと
考え
ております。
藤島正之
29
○
藤島
小
委員
今の件に関係するんですけれども、今までのような官僚
制度
に
政治
が乗っかっているんじゃ、なかなか改善できないんじゃないかなという感じがするんです。要するに、政権が交代したら官僚の上層部分は全部かわるといったようなダイナミックな方法を
考え
ないと、いつまでたっても官のしつらえたものに乗っかっていくということが変わらないんじゃないかなという感じがしているわけです。 それともう
一つ
、先ほどの質問の中で、今の総理、
内閣
と、はっきり言って与党の自民党との
政策
が必ずしも一致しないで、うまくいかないときは総理が
自分
の党をぶっつぶすとかいうような
言葉
を使っている。そういうものが今の
議院内閣制
の中で予想はされているのかなという感じがするんですけれども、その辺、もう一度お答えいただければと思うんです。
高橋和之
30
○
高橋参考人
官僚制の
専門家
ではありませんから、全く素人
考え
で役に立つかどうかわからないんですけれども。 官の側が変わるということがなくて、同じ人間が続いていくというところに問題があるとおっしゃいました。ある
程度
私もそういう点があるのだろうと思いますけれども、もう
一つ
、官僚の方々も、いろいろやりがいのある仕事をしたい、それで一生懸命競争
社会
の中でやってこられている。そういうことを
考え
ますと、もう少し競争原理を官の中に
政治
家の方々が取り入れていくということをお
考え
になったらいかがかなというふうに日ごろ思っております。 つまり、公務員
制度
をどうするかというのは
政治
で決めることでありまして、現在いろいろ
議論
されておりますけれども、改革されるときに、公務員の身分保障との兼ね合いもありますけれども、身分を保障しながら、しかし
内閣
あるいは与党と官が一体化するんではなくて、官を中立化させて官の中に競争原理を取り入れるといいますか、そういった工夫ができないものだろうかというふうに感じております。
藤島正之
31
○
藤島
小
委員
今の与党とその与党の党首である総理とのずれみたいな部分については。
高橋和之
32
○
高橋参考人
これは、現在の
日本
の
政治
の
あり方
の
一つ
の大きな問題だと言われておるところでありまして、私もそう思いますけれども、
内閣
と党とが二重権力
構造
になっている、これを改善していく必要があるだろうと思います。 連立政権の場合、党が違いますから、
内閣
と党がより一体化していくというのはそれだけ困難になりますし、自民党の場合は、恐らく派閥連立ということがありまして困難だったという事情があるかと思いますけれども、やはり
内閣
の中に、あるいはその周辺に与党のリーダーが入っていって、そこで決定することが与党全体の決定になっていくような
制度
の
あり方
を実現していかなければ、どうしても二重権力
構造
ということになってしまいます。これは外から見ていても、どこで決定されているのか非常に不透明という問題にもなりますから、今後の
課題
だと私
自身
も思っております。
藤島正之
33
○
藤島
小
委員
では、最後にもう一点。 先ほど
先生
は、参議院の
あり方
との関係で、
憲法
上問題が出ると。まさにそういうことだろうと思うんです。ですから、
衆議院
で与党が過半数をとっておっても、参議院で少数であれば、法律はもちろんですけれども、問責決議で、実際、問責決議が可決されますと法案審議等に出られなくなって、結局、その
内閣
は立ち行かない。これは、本来
考え
ている二院制と逆のことになっているわけですね。 そういう意味で、私は、参議院の機能の
あり方
をこの際どうしても見直さざるを得ないんではなかろうかという感じがしておるんですが、簡単で結構ですけれども。
高橋和之
34
○
高橋参考人
全くおっしゃるとおりだと思います。
議院内閣制
の
中心
は
内閣
と
衆議院
の間に設定されております。ただ、
日本国憲法
は、
内閣
が
国会
に対して
責任
を負うというふうに言っておりまして、参議院にもある
程度
は
内閣
の
責任
を追及することは認めているわけであります。 しかし、
不信任
、
解散権
という
構造
はありませんから、参議院は、
内閣
の
基本政策
に対してノーと言う場合には相当慎重な
行動
が要求される。これは、イギリスで、貴族院がみずから自制して、
選挙
の結果決められた、
国民
が
支持
した
政策
に対しては、その
選挙
の前に反対していても、
選挙
の結果そういうことがわかればもう反対しないという慣行を形成していったという歴史がありますけれども、
日本
の参議院もそういったことを
考え
ていく必要があるんではないか。そういうことを慣行的に形成していく
条件
を整えるというか、参議院改革としてそういったことまで
考え
ていっていただきたいと思っております。
藤島正之
35
○
藤島
小
委員
終わります。
高市早苗
36
○
高市
小
委員長
山口
富男
君。
山口富男
37
○
山口
(富)小
委員
日本
共産党の
山口
富男
です。
議院内閣制
の
運用
の
あり方
の提起として、
参考人
の提起は随分
議論
を呼んできたと思うのですけれども、きょうも
参考人
の、一種の理念型という表現がありましたが、理念型から出発して、
選挙制度
や
政党
の
あり方
についても示唆がありました。この点では、理念型が違いますと当然評価も大きく食い違ってきますから、例えば小
選挙
区制の評価なんかは、私は随分違った
考え
を持っております。同時に、
参考人
がおっしゃった、これは
運用
の
あり方
の問題であって、
憲法
の改正は必要ないんだという点は、私も同じ
立場
に立つものなんです。 そこで、幾つか事実の認識の問題でお聞きしたいのですが、この
モデル
を
考え
られた発想の源には、民意が十分反映されていないじゃないか、あるいは
議院内閣制
といってもそれが十分うまく機能していないじゃないかという発想があったと思うのです。それで、
憲法
研究者のお
立場
から見まして、
憲法
の規定とのかかわりで、この点はうまくいっていないというようなところが、判断をお持ちのようでしたら、何点か示していただきたいと思います。
高橋和之
38
○
高橋参考人
まさに民意を
政治
に反映させるということが出発点であります。ただ、その場合に、従来は、民意を反映させる一番いい方法は、言ってみれば
国民
を鏡に映すような形で
国会
に忠実に反映させるということを
考え
てまいりました。そういった
観点
から、例えば定数不均衡はなぜいけないかというと、忠実に反映していないからいけないんだとか、かつての中
選挙
区制もそれから小
選挙
区制も、これは忠実に反映することができないからだめだ、
比例代表制
が一番いいんだということを
議論
してまいりました。私が
憲法
を研究するようになったころにおいては、そういった
考え方
が圧倒的に支配的でありました。 私も
最初
はそういった
考え方
を学んでいたのですけれども、そのうちに、
日本
の
政治
をうまくやっていくのに、
国会
に反映させることでうまくいくんだろうかという問題に直面し、と同時に、それを
考え
ているうちに、民意の反映とは一体何なのかという疑問を持つようになりました。
国民
の間に存在するさまざまな
考え
を
国会
に反映させればそれが民意の反映なのか。本当の反映というのは、
現実
に執行されていく
政治
の
プログラム
に民意が反映されていることではないか。 民意といっても全部を反映することはできませんから、そうしますと、
デモクラシー
の原則からいって、過半数が
支持
した
政策
が実現されるということが民意の反映された
政治
であろうと。
国会
に反映させても、その後
現実
に採用される
プログラム
が
国民
の過半数が
支持
するような
政策
でないならば、過半数が
支持
するような
首相
でないならば、これは民意に従った
政治
とは言えないだろうというふうに
考え
まして、民意の反映と言う場合の民意というのを
考え
直さなければいけない、そういったところから出発して
考え
出した理論であります。
山口富男
39
○
山口
(富)小
委員
民意の場合は、私は多様なものの反映が必要だと思うのです。 もう一点お伺いしたいのは、
国民内閣制モデル
の場合、
国会
の最高機関性とのかかわりで、どういう内的な位置づけを持つのですか。
高橋和之
40
○
高橋参考人
国会
の最高機関性というのは、
憲法
の中で、例えば
憲法
改正の発議を、
国会
がその
権限
を持つとか、
憲法
のもとで最も強い力を持つ法形式である法律の制定権を
国会
が持つというような形、さまざまなところで
国家
にとって一番重要な行為を行う
権限
が
国会
に与えられている、そういう意味で最高機関と表現されているというふうに
理解
しておりまして、それは法形式としてはそのとおりであって、別に否定する必要はない。
国民内閣制
論が問題にしているのは
政治
の
あり方
でありまして、
政策
をどう決定して、どう執行していくかという問題であり、それを
現実
に執行していく場合、つまり、
国民
に対して場合によっては強制していくという面も出てきますから、したがって、
国政
を執行していくには法律が必要である、その法律を決定するのは
国会
であるということで、私の
考え方
との間で整合性があるというふうに思っております。
山口富男
41
○
山口
(富)小
委員
その
政治
の
あり方
の問題なんですけれども、
参考人
の
モデル
によりますと、統治・
コントロール
論というお話もありましたが、普通、
憲法
で
考え
ますと、
行政
権の問題、立法権の問題ということで、関係と区別をはっきりさせながらやっていくわけですが、きょうの場合は、
政治
あるいは統治というカテゴリーでとらえることが大変多かったように思うんですけれども、この点はどう整理されているんですか。
高橋和之
42
○
高橋参考人
憲法
上使われている立法、
行政
、司法という概念、これらは明確に定義をして使っておりますが、私の
理解
では、この三つの権力が区別された
目的
は、法の支配を実現することにあったと
考え
ております。
国会
が法律をつくり、それに従って
行政
が行われていく、ちゃんと法律に従っているかどうかを裁判所が判断する、こういう
構造
で法の支配が組み込まれておりますが、それは法の領域の問題でありまして、それと別に、
政治
の領域をとらえる場合には、統治・
コントロール
という図式でとらえた方がいい。統治・
コントロール
図式で展開される
政治
領域の
活動
が、それは法の支配の原理を採用しておりますから、法に従ってなされなければいけない。したがって、これを法的に
コントロール
するためには、法的な言語に翻訳されなければいけないということになります。その法的言語で
コントロール
するシステムをとらえる概念が、立法、
行政
、司法という概念であるというふうに
理解
しております。
山口富男
43
○
山口
(富)小
委員
少し角度が変わるんですけれども、
国政
レベルの問題として
議院内閣制
の
運用
の話がありましたが、となりますと、地方
政治
は、もし
モデル
をお持ちでしたら、
参考人
はどのように
モデル
化してごらんになっているんですか。
高橋和之
44
○
高橋参考人
基本
的には、地方
政治
を見る枠組みは同じでありまして、
国民内閣制
的な
モデル
で見るか、
媒介内閣制
的な
モデル
で見るかという
考え方
、その
モデル
の違い、つまり、
政治
の
中心
を地方の首長に置いて見るのか、地方の議会に置いて見るのかという
二つ
の
モデル
に区別されるだろうと思っております。 地方についても、私は、現代の地方
政治
を
考え
る場合には、
基本
的には国とパラレルに、同じ
モデル
で
考え
た方がいいだろうというふうに
考え
ております。
山口富男
45
○
山口
(富)小
委員
最後に、ごく手短に終わりますが、
参考人
は、
議院内閣制
の
運用
の問題をこれだけ大きな問題にされて、これを保持するという
立場
なんですが、この
議院内閣制
を今後とも保持する意味というもの、これはどういうふうにお
考え
か、最後にお述べいただきたいと思います。
高橋和之
46
○
高橋参考人
非常に単純にお答えすれば、
憲法
上採用されているから、その
運用
をうまくやっていくにはどうするかということをとりあえず
考え
ているということであります。 別に、
議院内閣制
が絶対的で、大統領制はだめだという気持ちはありませんから、大統領制をやってみたいという気持ちが
国民
の間に強くなれば、それはそれで結構だと思いますけれども、ただ、
日本
では
議院内閣制
をずっとやってまいりましたから、経験があるということが
一つ
。ですから、それを基礎に改善をする方がより易しいのではないかと
考え
ております。
高市早苗
47
○
高市
小
委員長
金子哲夫
君。
金子哲夫
48
○
金子
(哲)小
委員
社会
民主党の
金子
です。 幾つか、ちょっと違う角度かもわかりませんけれども、私は二〇〇〇年の六月の
選挙
で初当選したのですけれども、それまで
国会
の外におりまして、特に九〇年代、連立の
時代
になって、いわば連立の組みかえが
選挙
を経ずに起こるということは、
国民
の目から見ると、素直に
考え
て、どうも
理解
ができない。 それで、
先生
のおっしゃっております
議院内閣制
の
基本
的なことからいえば、
選挙
で
政策
を明示して選ばれた
議員
によって、その結果によって
内閣
が構成されていくとしますと、途中で明らかに転換するような
内閣
の異動というのは、
先生
がおっしゃっている
議院内閣制
の問題からいうと問題があるように思えるんですけれども、その点についてのお
考え
をまずお聞きしたいと思います。
高橋和之
49
○
高橋参考人
現状は
国民内閣制
的に必ずしもなっていないといったことの
一つ
の理由はまさにそこにあるわけであります。任期の途中で政権がかわった、しかしそれは
国民
の信任を受けていない、それがずっと続くということは、やはり
運用
としては好ましいことではないだろうと
考え
ています。 ただ、これは、
国民内閣制
の論理から
考え
ると当然そういうことになりますけれども、恐らくは、従来は
媒介内閣制
の論理でやってまいりましたから、そもそも、
選挙
の後の政権が、
国民
が事実上直接つくったという形ではなくて、
選挙
が終わった後、各党間あるいは党内のいろいろな話し合いで決定されているわけでありまして、その限りで
国民
は蚊帳の外にいる、観客として見ているだけであります。そうしてつくられた政権でありますから、途中でかえるのもまた自由だという発想になるだろうと思います。 そうではなくて、
最初
から、
国民
の
選挙
によって
内閣
が形成されたという形で出発すれば、それが途中でかわれば、当然、これは
国民
の信を問わなければいけないというふうにお
考え
になるだろうと思うんです。そこの違いだろうと思っております。
金子哲夫
50
○
金子
(哲)小
委員
その際、
一つ
、
先生
の
国民内閣制
の
考え
をもっと発展さすとすれば、例えば
選挙
のときに、ある
程度
、
首相
候補といいますか、そういうものを各党が示さなきゃいけないということになってくると思うんです。ただ、そのときに、今の連立の
時代
のような場合になりますと、各党が出すということと、結果として連立を組まなきゃいけないということが出てきますと、その中の
選挙
の関係というのは、何かやはりちょっと矛盾を起こすような気がするんですけれども、その点はどうなんでしょう。
高橋和之
51
○
高橋参考人
私は、理論としてだけ
考え
ておりますから、非常に単純に言うことになりますけれども、実際の
政治
においてはなかなか難しいことだろうと
理解
しております。 つまり、理論的には、
選挙
の前に
首相
候補者
を各党が出す、しかし各党が出してそれでやればいいというわけじゃなくて、先ほどの話の中でも言いましたように、ある党の
首相
候補者
というのは
首相
になる
見込み
が全くないわけでありますから、したがって、本当に政権をとろうという気持ちで
選挙
を戦われるならば、
選挙
の前に、少なくとも四〇%ぐらいの
支持
は得られるような
政党
間の協定を結んで、勝った場合にはだれを
首相
にしますということを
国民
の前に明らかにして戦う、
政策プログラム
と
首相
を明らかにして
選挙
を戦う、本来そういう形で行うべきではないかなと
考え
ております。
金子哲夫
52
○
金子
(哲)小
委員
少し角度を変えたことでお聞きをしたいのですけれども、
選挙制度
の問題で、少数
意見
をどう尊重していくかという問題があると思います。
先生
がおっしゃいましたように、民主主義というのは、最終的には多数決によって事を決するということになると思いますけれども、同時に、少数者の
意見
をどう尊重していくかということも重要な
課題
だと思うんです。 最近の
国会
の状況を見てみますと、これが本当に十分に審議されているんだろうかというように思えることがあるんですね。例えば、私は広島におりまして、国旗・国歌法などというのは、たまたま広島で不幸な事件が起きまして、それまでほとんどそのことが俎上にも上らなかったけれども、当時は、そういう法制も必要ではないとおっしゃっていた人たちが、その同じ
通常
国会
の中で提案をして一気にやっていく。 そういうことが、最近は数の力ということもありますけれども、議会の運営の中に進んでいくということになると、例えば
選挙制度
の問題等含めて、小
選挙
区制も導入されたことを含めていきますと、少数者の
意見
がもっと
日本
の
国会
の中では尊重される、そのためには十分な、
野党
の
役割
ということも
先生
おっしゃっておりましたけれども、その点からいえば、例えば、今は、与党の場合には、法案決定前に十分な協議が行われて把握されているけれども、我々
野党
の場合には、それは十分説明もない。そして、法案が出ても、そう期日のないままに審議がされていくというような形になると、本当にその過程の中で少数者の
意見
が尊重されて今
現実
があるだろうかというような疑問を私は持つのですけれども、
先生
は、その点の現状の認識も含めて、お
考え
があればお聞かせいただきたい。
高橋和之
53
○
高橋参考人
先ほども申し上げましたように、
野党
による
コントロール
をきちっと
制度
化していくというのは非常に重要なことだと思っております。 先ほどは、
国政調査権
の
運用
の仕方をひとつ
考え
てみる価値があるのではないかということを申し上げましたけれども、そのほかに、例えば質問時間の配分なんかでも、本来、
内閣
の
政策
というのは、与党を基礎にして与党の中で
議論
されて出てまいります。
内閣
がそれを
国民
に説明する。それに対して
野党
が質問して、代替
政策
があればそれを提案するという形で行われるものでありますから、
政府
に対して与党が
国会
で質問をしているというのは、私にはどうもよくわからない点があります。時間がないというのであれば、
野党
にもっと質問時間を多く配分する、
現実
には与党の方で遠慮されて配分されているということは
承知
しておりますけれども、そういった点で、少数会派にもっと配慮する。と同時に、もう少し
権限
を強化する方が、与党及び
内閣
の
政策
が真に
国民
に受け入れてもらうためにもいいのではないかという印象は持っております。
金子哲夫
54
○
金子
(哲)小
委員
では、最後に、短くですけれども、
憲法
の五十一条に、
議員
の
発言
、評決の無答責ということがうたわれております。これで、院外で
責任
は問われないということになっておりますけれども、例えば党内におけるさまざまな問題、役員の解任であるとかそういった問題は、
先生
のお
考え
で結構ですけれども、この五十一条の院外で
責任
は問われないということとの関係ではどのようにお
考え
か、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
高市早苗
55
○
高市
小
委員長
高橋参考人
、簡潔に
お願い
いたします。
高橋和之
56
○
高橋参考人
政党
内部での問題、あるいは会派内部での問題とは関係はないというふうに解釈しております。
金子哲夫
57
○
金子
(哲)小
委員
ありがとうございました。
高市早苗
58
○
高市
小
委員長
井上
喜一
君。
井上喜一
59
○
井上
(喜)小
委員
保守党の
井上
喜一
でございます。
内閣
の首班を選ぶやり方として、首班の公選制もありますし、
日本
のような
議院内閣制
もあるわけでありますけれども、私も、
日本
の場合には、
議院内閣制
の方が首班を選ぶ場合にはよろしいのじゃないかという感じを持っておりますし、また、
先生
が言われますように、その
議院内閣制
の
運用
も、
国民内閣制
の
モデル
ですか、それを志向したような
運用
がいいのじゃないかというお
考え
でありますが、これまた、恐らく、今の
日本
の
国民
の多くの人が賛成する
意見
じゃないかと私は思うんです。 ただ、
日本
の場合、今、
選挙制度
も小
選挙
区
比例代表制
になっておりまして、確かに小
選挙
区制というのは民意の集約でありますし、
比例代表制
というのは民意の反映と言われておりまして、何か妙に違うものが一緒になっていることは、これはおかしいのでありますが、そうはいいましても、小
選挙
区は三百人、比例区の方は百八十人ということで、やはり二大
政党
を志向するような
制度
になっていると思うんですね。 また、
日本
が当面するいろいろな
課題
がありますが、これを解決していく方法としては、やはり二大
政党
による緊張した関係の中で政権交代が行われていくということが一番いいのじゃないかと私は思うんですが、ただ、
日本
の場合は
行政
府が非常に強いのですね。これはいつからできたのかよくわかりませんけれども、少なくとも明治以降は間違いなく私はそうだと思いますし、今でもそうだと思うんです。 例えば、
国会
の中の
議論
を聞きましても、司法の場で係争中のものについて
行政
府の見解をただすような質問だってあるんですよ。こんなことは余りほかの国では起こらないことだと思うのでありますけれども、端的に言えば、役所の言っていることは信用できる、でもそのほかの、
国会
とか何かの方はもうひとつ信用しがたいような、そういう雰囲気がありますので、私は、
内閣
に対するチェックといいますか、
コントロール
はきちっと
考え
る必要があると思うんですね。 今、
野党
については、
国政調査権
を執行するについて、例えば
調査
会を設置するのに、四分の一以上の賛成があればできるようにすればいいじゃないかというような提案がありましたけれども、私は、これは
野党
だけじゃなしに、与党につきましてもそこはやはり必要なんじゃないかと思うんです。与党が幾ら反対したって、
内閣
でやるぞというようなところまで来るわけですよ。そういうようなことだって十分に予想されるわけでありまして、だから、
制度
的には、
野党
だけじゃなしに、与党の方にも
国会
の場で
コントロール
の
権限
を与えていくべきじゃないか、こんな感じは持つのですが、その点です。 それからもう
一つ
、それに
関連
しまして、党議拘束です。これは与党だけじゃなしに
野党
もそうでありますけれども、党の存立にかかわる
基本
的なことについて党議拘束があるのは当然だと思うのでありますけれども、問題によりましては必ずしもそうでない問題もありますので、これについて、
先生
、どういうぐあいにお
考え
なのか、お
考え
をお聞かせいただきたい。
高橋和之
60
○
高橋参考人
日本
は伝統的に
行政
府が非常に強いという点は、全くそのとおりだろうと思います。だからこそ、それを改善して、政官関係で、政が
国民
の
支持
を得て、きちっと
政治
を行っていくという形にしなければいけないというふうに
考え
ております。そのためには、与党がきちっと
内閣
を支えるということが必要ではないかと思うんです。与党の
考え
を
内閣
が無視してやっていってしまうから、だから、
行政
府が強過ぎると言われますと、それをまさに改善していただきたいというのが私の感想であります。 ですから、
国政調査権
を与党に与える、もちろん与党も
権限
を持っていますから、与党の場合は与えるも何もない、
国政調査権
を発動したければ、多数を持っていますからいつでも発動できるわけであります。現状では、
野党
が
国政調査権
を使いたくてもなかなか使わせてもらえないということになっていますから、その点をぜひ、
野党
が発案して
調査
までは、それに基づいて何か決定するということになれば多数決ということになりますけれども、
調査
を行うということは少数派にも認めるような
運用
が必要ではないかということを申し上げたつもりであります。 それから、党議拘束については、
国政
の重要な問題についてはやはり党議拘束というのは必要になるでしょうけれども、もう少し柔軟に対応していった方がいいのではないかと私
自身
は
考え
ております。
井上喜一
61
○
井上
(喜)小
委員
それから、参議院との関係でありますけれども、
憲法
の規定では、首班
指名
などを、参議院での
指名
選挙
を予定しておりますが、こういう必要性が果たしてあるのかどうか。あるいは他の事項につきましても、
衆議院
と参議院の関係は見直すべきことが多いと思うのでありますけれども、
先生
自身
、特に参議院の権能といいますか
権限
といいますか、これについて、
憲法
改正との
関連
におきまして、どのようにお
考え
なのか。 とにかく、
憲法
改正の機会があればこれは当然見直さないといけないというようにお
考え
なのか、もしそうであれば、その場合はどういう点を見直していくのか、お
考え
をお聞かせいただきたいと思います。
高橋和之
62
○
高橋参考人
参議院に
憲法
上
首相
の
指名
権が与えられております。これは、参議院にもある
程度
の
発言権
を認めて、最終的には
衆議院
が優越しますけれども、
衆議院
と参議院の話し合いによって、場合によっては違った
候補者
が浮上するかもしれませんから、そういう意味で、参議院にも
発言権
をある
程度
与え、
国会
に対して
責任
を負うということの
一つ
の具体的なあらわれとして
制度
化したんだろうと
理解
しております。 しかし、先ほどお話しいたしましたように、参議院が、
首相
指名
権よりは法律制定権ですけれども、この点で非常に強い
権限
を持っていますから、難しい、不均衡な状態が生ずることがあり得る。では、それを
憲法
改正しないと困るかというと、私
自身
は
憲法
改正しないとうまくいかないとは
考え
ておりません。参議院にある
程度
内閣
に対する
コントロール
権を現在与えているというふうに
理解
しています。 ただ、参議院が、
コントロール
権をオーバーしちゃって、
アクション
自身
を否定するような
行動
をとるとすれば、それは問題であろう。だから、そうはならないように、
日本国憲法
が定めた
議院内閣制
の趣旨をよく
理解
して、それに合った
行動
をするような慣行的なルールをつくっていっていただきたいということは申しました。
井上喜一
63
○
井上
(喜)小
委員
終わります。
高市早苗
64
○
高市
小
委員長
谷垣
禎一
君。
谷垣禎一
65
○
谷垣
小
委員
自由民主党の
谷垣
禎一
でございます。 きょうは
高橋
先生
に貴重なお話を聞かせていただきまして、心から御礼申し上げます。 ここまで参りますと、いろいろな方が質問をされましたので、私が伺おうと思ったことが随分今まで出てきたんですが、
一つ
伺いたいのは、
先生
が
国民内閣制モデル
と
媒介内閣制モデル
に分けられた。これは、今までのいろいろな
議論
をしますときに、多分こういう物の見方が違うんだろうなと私が感じておりましたことを非常にうまく定式化されているように思うんですね。それで、その背景にさらに
選挙制度
がある、小
選挙
区と比例代表があるという御分析はなるほどなと思ったわけなんですが、我が国の
制度
は、
衆議院
も参議院も比例代表と小
選挙
区を合わせた形になっております。そうしますと、
先生
のようなイデアルティプスを立てられたお
立場
から見ると、この
選挙制度
はどうごらんになるのか。 私
自身
は、この
選挙制度
の
運用
もいろいろな
可能性
があるんだろうと思うんですが、我々の頭の中に中
選挙
区
時代
のイメージがやはりあるせいか、例えば、小
選挙
区と比例代表の重複立候補を認めて、小
選挙
区で落選しても惜敗率がいい方は復活して当選をしてくるというようなシステムは、ある意味では中
選挙
区的な
運用
である、我々
自身
がこの
選挙制度
を中
選挙
区的なイメージで
運用
しているんじゃないかなという
考え
を私は持っているわけなんです。
先生
からごらんになると、この
選挙制度
が
議院内閣制
の
運用
に関してどう見えるか、御
意見
を聞かせていただけたらありがたいと思います。
高橋和之
66
○
高橋参考人
現行の
選挙制度
については、先ほど私は、
国民内閣制モデル
からいえば小
選挙
区制の方が適合的だと言いましたけれども、では現行の
選挙制度
が
比例代表制
を組み合わせているからまずいかというと、そうは
考え
ておりません。
基本
的には小
選挙
区制が
中心
になっていると思いますけれども、イギリスのように小
選挙
区制を全面的に取り入れることがいいかというと、そこはやはり少数
意見
が議会に議席を持つということも別の意味から重要だと
考え
ております。 つまり、比例的に議席を持つ必要があるとは
考え
ませんが、しかし、
社会
の中に存在する少数
意見
も、少数といっても大小ありますけれども、ある
程度
議会に議席を持つ、
一つ
でも議席があれば、これはシンボリックな意味を持つわけですね、そういう
意見
が
社会
の中に存在すると。ですから、そういった意味で、少数
意見
の代表が
国会
の中に議席を持っているということはそれなりに意味があるので、
比例代表制
をそういう
観点
から加味することも正当化できるのではないかと
考え
ています。 私がもっと問題だと思っているのは、
衆議院
と参議院で余りにも同じような
制度
を取り入れているということであります。
衆議院
は現行でよいのではないかと思っていますけれども、参議院の
あり方
は、
選挙制度
を含めてもっと
考え
ていただきたいと思っています。 それから重複立候補
制度
は、私としてはどちらでもいいといいますか、
政党
の方でそういう必要があれば、それはだめだと言う必要もないのかなというぐらいの気持ちで見ております。
谷垣禎一
67
○
谷垣
小
委員
今、
選挙制度
のことを伺いましたのは、
先生
がおっしゃるような
国民
代表制
モデル
というかイギリス型の
モデル
で
運用
していこうという場合に難しい点が、
一つ
は
選挙制度
で、やや多党制みたいになっている、どうしても連立が必要である。そうすると、なかなか
国民
代表的に
運用
しにくいのかな。これは
憲法
より下位の規定でございますから、またいろいろ工夫もできるのかもしれません。 それからもう一点は、先ほどから御
議論
が出ておりますけれども、参議院の問題で、今
先生
がおっしゃいましたように、
衆議院
と同じような
選挙制度
にしているということも
一つ
問題があるんだろうと思います。
議院内閣制
の趣旨から
考え
て、先ほど
先生
は自制するような慣行をつくれというふうにおっしゃいました。これはなかなか実は難しいなと思いますのは、イギリスの場合には貴族制を背景にした上院でございますから、民主制の進展とともに、やはり直接
選挙
を経ていない貴族は自制をせよというような
議論
が可能であったんだろうと思いますが、我が国の場合は参議院も
国民
から直接
選挙
された
議員
でございますから、あなたたちは自制しなきゃいけないんだよと我々の方から言うのはなかなか難しいことだなという気がいたします。 そうしますと結局、我が国の
憲法
上、昔は参議院はカーボンコピーなんて言われましたけれども、
衆議院
と参議院の
権限
が、予算や何かを別としますとほとんど同じ
権限
だというところに問題の根源があって、なかなか自制だけではうまくいかないんじゃないかなという印象を私は持っているんですが、いかがでございましょうか。
高橋和之
68
○
高橋参考人
全くおっしゃるとおりで、難しいところなんですけれども。ただ、これは
選挙
の前後でいろいろ違うんだろうという感じで
考え
ています。 つまり、参議院の
選挙
が終わって、その結果参議院で与党が少数派になったというような場合は、これは
国民
の
意見
を聞いてきたわけですから頑張ってもいいんだろうと思うんです。私がさっき申し上げたのは、それとは逆の
立場
で、参議院が反対している、そこで
国民
の信を問うという意味で
衆議院
を解散して、その結果与党が勝ってきた場合には、参議院は自制すべきではないか。以前の勢力比で頑張り続けるとしたら、これはやはり
国民
の大きな
批判
を受けてもしようがないんであって、そういった点について、マスコミなんかも筋を通した
批判
をして参議院の自制を求めるということをやっていけば、難しいけれども可能ではないだろうかなというふうに期待しております。
谷垣禎一
69
○
谷垣
小
委員
あと一点伺いたいのは、
先生
の御
理解
の中で、与党の
役割
というのは一体
国会
の中で何を果たすべきかということでございます。
野党
は
内閣
を
コントロール
するんだと。与党は、今までは確かに事前審査制みたいなことで、先ほどちょっと二重権力ともおっしゃいましたけれども、
内閣
の
政策
づくりに積極的に関与するというか。しかし、この
時代
の変換のもとに
内閣
の強力なリーダーシップを求められると、いつもそういう
モデル
ではいけないかもしれないというようなことを今我が党の中でも
議論
しているわけでありますが、それでなおかつ
国会
の中では、じゃ君たちは与党で
内閣
を支える
役割
だから質問は自制しろよということになりますと、与党
議員
は一体何をやるのかな。ここのところに、こういう
言葉
をするといけないかもしれませんが、小人閑居して不善をなすという
言葉
がありますから、やはりそれぞれきちっと
役割
を持たせないと不満がたまるのかな、正直言ってこういう気がするわけでございますが、いかがでございましょうか。
高橋和之
70
○
高橋参考人
与党の
役割
というのは
内閣
を支えることでありますから、
内閣
の
政策
形成にどんどん参加する、党内でどんどん
議論
する、これは結構なことだと思いますし、
国会
の中で質問は少し遠慮したらどうかということを言いましたけれども、党内で
会議
を開き、そこで党のリーダーを呼んで質問をする、それはどんどんやっていいと思うんです。 ただ問題は、党内のそういう場で決定を行うということなんではないかなと思うんです。決定を行う場というのは、やはり
内閣
のもとに集中していく必要があるのではないか。そうではない、
内閣
とは別のところで決定して、それを
内閣
が行いなさい、あとは
内閣
との話し合いの問題だというやり方になると、いろいろ問題が生ずるんではないか。 ですから、党内では活発な
議論
をし、会合を持ち、そこで質問もし、
政策
の提案をもし、そういう形で
内閣
を支えていく、それが与党の
役割
ではないかなと
考え
ております。
谷垣禎一
71
○
谷垣
小
委員
ありがとうございました。
高市早苗
72
○
高市
小
委員長
島聡君。
島聡
73
○島小
委員
民主党の島聡でございます。 民主党は、今
先生
おっしゃいました
国民内閣制
を目指して一生懸命研究してきました。私もイギリスへ行ってきました。今、
谷垣
先生
のお話、イギリスの与党でも困っているそうでございまして、副大臣、政務官に百人ぐらい入るんですが、あと残りはどうしようかというのが大きな問題だそうであります。ただ、イギリスの場合は、きちんとそういう政務官、副大臣、まあ名前は違いましょうけれども、
内閣
のリーダーを目指す人間と本当に地元で頑張る人間とに分かれてくるので自然にうまくいくんだそうでありますが、それは
日本
でどうなるかわかりません。 それで、同じようにそのとき、サッチャーの研究をしまして、サッチャーも
最初
から鉄の女じゃなかったというのは極めて印象的でした。イギリスは、保守党が労働党に政権とられて、そしてサッチャーを
首相
にしたとき、ある意味で、女性だということもあって、いろいろな
議論
もありました。その中で、サッチャーを
首相
にして、
最初
は鉄の女ではなかったけれども、イギリスには、慣習も含めて、
首相
がリーダーシップをとれるようなきちんとした法
制度
、システムがあるから鉄の女になったんだということを向こうの方が言われて、極めて印象的だったわけであります。 その意味で、ちょっと御質問を申し上げますが、
先生
は今、
日本国憲法
は特に変えなくても
国民内閣制
ができるというお話でございます。これは
基本
的には、総理候補を出して、そして
政策プログラム
、マニフェストを提出して、それで
選挙
で決めるという話だと思いますが、それで決めた後に、今申し上げたように、きちんとした
政策プログラム
を実行できるだけの総理の
権限
がなくちゃいけません。
首相
の
権限
がなくちゃいけません。 ところが、
日本国憲法
の第六十六条では「
内閣
は、法律の定めるところにより、その首長たる
内閣総理大臣
」となっていますけれども、これが
内閣
法六条になると、御存じのように、閣議で決定してという話になっています。さらに言うと、
国家
行政
組織法になると、ほかの大臣と同じになっています。そうすると、今の中ではなかなか首長たる
内閣総理大臣
ということはできないんじゃないかという話になっています。 これは民主党の
憲法調査会
の中間報告ですが、そこに私どもは、こういうことなんで、
憲法
六十五条に規定される
行政
権は、
内閣総理大臣
に属すると規定するのが当然と言えようというところまで踏み込んで
議論
をしております。今
先生
、必要ないとおっしゃったんですが、それは多分見解の相違もあるかと思いますので。 例えば、今の閣議が全会一致制と言われております、連帯して
責任
を持つという話ですから。私は、別に全会一致制じゃなくても、
憲法
の範囲内で解釈していいと思うんですが、
先生
はどう思われるでしょうか。
高橋和之
74
○
高橋参考人
憲法
解釈としては、別に全会一致が要求されているとは
考え
ておりません。ですから、多数決で決めても構わないと思います。 それと、
内閣
法についても、私
自身
は、これは法的な問題ではなくて、
首相
のリーダーシップの問題であって、
権限
を率先して行使しようとすれば、現行法上妨げになるものはないんではないかなと思っております。
島聡
75
○島小
委員
首相
のリーダーシップでやれればいいというのは当然御
議論
としてあると思いますけれども、どちらかというと、ここは立法府でございますので、法
制度
としてきちんとして、どういう人でもそれをやれば、先ほど申し上げたサッチャー
自身
が鉄の女になっていったように、もちろん、もともとそういう素質があったかもしれませんけれども、そういうように選ばれた人がなっていくシステムを整えた方がいいと私は思っております。それは私の
意見
でございます。 次に、今の与党の事前審査制についてちょっとお話を承りたいと思っているんですが、与党が事前に党内調整を行って承認しなくちゃいけないというのは、ここにも全会一致制というのがございます。御存じのように、自民党の総務会が全会一致制でございまして、この事前承認の慣行というのは、一九六二年二月二十三日に、自民党総務
会長
が、当時赤城さんだったと思いますが、
内閣
官房長官に対して、法案提出の場合は閣議決定に先立って総務会に連絡を願いたい、そういう文書を出したことに由来する。その拘束力の強さは、同じ
議院内閣制
をとるほかの先進国に比べても例がない。これは読売新聞のある提言を読んだわけですが、こういうのは例がないというのは、
先生
の御研究で、
議院内閣制
運営上例がないとここには書いてあるんですが、どんなふうに御感想をお持ちでしょうか。
高橋和之
76
○
高橋参考人
私は、深くその点、勉強したことはありません、そういう話を聞いたことはありますけれども。ですから、諸外国と比べて
日本
の自民党の
制度
の
あり方
が非常に特殊であり、どういうところに問題があるかという点については、ちょっと今答える準備がありません。
島聡
77
○島小
委員
今度、
首相
の発議権というのができました。
首相
が閣議に発議をすることができる。ある意味で、
首相
がそれこそリーダーシップを発揮して、その発議権で出す。そのときに、その
権限
で出して、与党の事前審査は無視してやったという話になったときに、
先生
は先ほど
国会
で与党
議員
が質問するのはというようなことを言われたので、私はこう
考え
るという話ですが、
内閣
がまず
最初
に事前承認の慣行の廃止を通告します、
内閣
の
責任
においてこれは出しますと。そうすると、
内閣
の先ほどの
コントロール
という意味では大変なので、必要な場合は、与党
議員
も
国会
審議を通じまして、そこで修正するという形をとればいいのではないかと私など思うんですが、いかがでしょうか。
高橋和之
78
○
高橋参考人
ちょっと難しい質問で、即座に答えられないんですけれども、イシュー、それは問題によるんだろうと思うんですね。
内閣
の存続がかかるような問題だと、
国会
で党議拘束を外して与党の
議員
もやればいいというわけにはいかないでしょうし、そういう問題でなければ可能かなと思いますけれども、ちょっと抽象的には答えづらいんですが。
島聡
79
○島小
委員
多分、
首相
発議権を展開できるのはかなり重要な問題だと思いますので、そういう意味では、重要な問題の中でそういう
議論
がされていくのかなというふうに思います。私はそういうふうに解釈をさせていただいております。 あと残りのお時間で、少し
首相
公選制についても
議論
させていただきたいと思うんですが、実は
首相
公選制は、ここにおります
松沢
議員
も私も我が党でいろいろな
意見
を言っておったんですが、昨年五月にある
憲法
のシンポジウムに出まして、私が
首相
公選制的な話をしましたら、総攻撃を受けました。いわゆる
議院内閣制
下においてなかなか難しいんじゃないかとか、あるいは天皇陛下との関係をどうするのかというような話でございました。 そこでのポイントは
二つ
でございまして、
首相
公選をしたときに、
先生
がおっしゃったいわゆる
コントロール
でございまして、
国民
が選んだ
首相
を議会が例えば
不信任
的なものが出せるのか。私は、例えば弾劾的なことはできるんじゃないかというふうに申し上げたんですが、それは難しいんじゃないかという御
意見
もありました。 では、もう
一つ
は、
首相
が一体議会に対してどうやって連帯して
責任
を持つのか、それから、議会を解散することができるのかというようなこともあったわけでありますが、その二点について、いわゆる公選された
首相
と議会との関係についてどのように
考え
ればいいのか、お教えいただければと思います。
高橋和之
80
○
高橋参考人
首相
公選制には大統領制型のものと
議院内閣制
型のものがあって、今の質問の趣旨は
議院内閣制
型、
不信任権
、
解散権
というのが存在するようなものの場合、どうかという質問だと
理解
いたしましたけれども、
国民
が選んだ
首相
を
国会
が
不信任
できるかといえば、
国会
も
国民
によって選ばれておりますから、これは別に問題はないだろう。というか、
首相
を
不信任
して
首相
だけを取りかえるということにしたら、両方とも直接選ばれていますけれども、別に
国会
の方が上だということではありませんから、それは対等ですから、まずいと思いますけれども、
不信任
したら
首相
も
国会
も同時にもう一回
国民
の前に出ていくという
制度
にすれば、その点はクリアできると思います。 逆のことも全く同じで、
国民
が選んだ議会を
首相
は解散するわけでありますから、その場合に、
首相
は、解散した以上は負けたら
自分
も辞職する、そういうシステムとして存在するというか、
首相
公選制ですから、議会を解散したら
自分
も
選挙
を行うというふうに私は
考え
ております。 つまり、
首相
公選と議会の
選挙
というのは、常に同時に一体として行っていかなければいけない。これをずらしちゃうと、いろいろ問題が生じてくるんだろう。イスラエルの失敗の
一つ
の原因はそこにあったのではないかなと思っていますけれども。 私のように
考え
れば、直接
国民
が選んだ
首相
を議会が
不信任
するなんてできるのかという心配はないと思います。
島聡
81
○島小
委員
ありがとうございました。終わります。
高市早苗
82
○
高市
小
委員長
中山正暉
君。
中山正暉
83
○
中山
(正)小
委員
現
憲法
は、アメリカが
日本
に押しつけた
憲法
なんですが、アメリカが
日本
にこの
憲法
を押しつけたときには参議院はなかったと聞いています。昔の貴族院を懐かしむ人たちが、何とか参議院をつくってくれということで申し入れ、不思議なことに、マッカーサーはこれだけは言うことを聞いて、参議院をつくってしまった。今、与
野党
が、参議院の場合は薄氷を踏むような状態でして、何か参議院の参というと、降参の参という字に私なんか見えるんですが。
先生
、私、実は十一日に虎ノ門ホールで行われた建国記念日に、私が開会の辞をやったものですから、小泉
総理大臣
の前で、今月十八日に米国大統領ブッシュさんが来るのならば、ブッシュさんに、どうだろうか、
日本
がもう経済も力がなくなってきた、これは、企業が悪いことをする、それから官僚が悪いことをする、税務署をやめた人が脱税する、その根源は、私は、愛国心や国に対する誇りみたいなものがなくなったからじゃないかしら。 一九一〇年に発効した陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約、ハーグ条約には、相手の国で陸上戦闘を行って占領をしても、その国の法律や条例を変えちゃいけないという、いわゆる陸戦法規慣例条約という条約があるのに、
日本
にこの
憲法
を押しつけた。 だから、どうだろうか、長年、
憲法
を押しつけたことを黙秘し続けた米国のブッシュさんが来たら、一番先に、情報公開法で、ほとんどの情報は二十五年たつと全部公開するわけですから、永久秘密になっている真相を公開してはどうかと要求するべきだと言いました。 この
憲法
の問題というのは、大変、何かにつけて、不審船が来ても、何かわけのわからないことを言っています。そういうことからすると、
日本
の安全の問題は原点の解明にあると思います。今までいろいろな御質問がありましたが、私は安全の問題で、
先生
、どういうふうに
考え
ておられるかお伺いしたいと思います。
日本
最初
の
首相
伊藤
博文は、グナイストというドイツの学者のところへ
憲法
を習いに行って、明治維新後の
日本
はどうして治めたらいいだろうかと聞いています。グナイストが、おまえたちの村にはみんな氏神様があるじゃないか、その氏神様の頂点が天皇様だと言って、天皇制を
中心
にして
日本
を統治したらどうかということをドイツの学者に教えられた。それで、帰ってきてから、明治
憲法
第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」。
総理大臣
の名前がないんですね。
総理大臣
、
首相
という
言葉
は条文の中に
一つ
もありません。 だから、統帥権干犯の問題も、大臣は天皇の臣だということで、それを条文にない
総理大臣
が勝手に軍縮協定を結んだとして、統帥権干犯だと陸海軍人が反発しました。そして、自由主義者たちの努力で、いわゆる日露戦争の戦費は十八億かかっていますが、そのうち、クーン・ロエブとかシフとか、英国の財団から借りたものが六億だった。その六億を借りてきた
高橋
是清とか、いわゆるアメリカや英国と親しい
政治
家たちが二・二六事件で全部殺されてしまいました。軍隊に文句を言えなくなった
政治
家の哀れな姿があったと思います。 それを
考え
ると、今のこの
日本国憲法
には、
先生
、改正反対だとおっしゃいましたが、これはどうでしょうか。 「国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する
手段
としては、永久にこれを放棄する。」と言っていますが、最近、中国の二人の空軍大佐、喬良という人と王湘穂という人が「超限戦」、限界を超えた戦争という本を出しています。これは共同通信さんが出していますが、これを読みますと、戦争の形は、何か戦争の民営化みたいな話でして、どことでもどこででもやるぞと。東京の地下鉄サリン事件などに触れて、実に注目に値するなんてことが書いてあるわけですね。 中国の
憲法
なんか見てみると、中国
憲法
は、五十五条に、祖国を防衛し、侵略に抵抗することは、中華人民共和国のすべての公民の神聖なる責務である、法律に従って兵役に服し、民兵組織に参加することは、中華人民共和国公民の光栄ある義務である、こう書いてございます。 それから二十九条には、武装力の帰属・任務及びその強化、中華人民共和国の武装力は、人民に属する、その任務は、国防を強固にし、侵略に抵抗し、祖国を防衛し、人民の平和な労働を守り、
国家
建設の事業に参加し、人民への奉仕に努力することである、
国家
は、武装力の革命化、現代化及び正規化の建設を強化して、国防力を増強する、こう書いてあります。三百十万の軍隊と二十四発の原子爆弾と五十四回の実験をやっていますね。 イタリア
憲法
はどうかというと、イタリア
憲法
も、
日本
とドイツとイタリアは一緒に戦争に負けたわけでございますが、アメリカは、
日本
にはポツダム・デクラレーション、宣言、同じく負けたドイツにはポツダム・プロトコール、議定書というふうに別の扱いをしています。ですから、防衛関係も、アメリカ軍が
日本
にいたから心配ないと押しつけた
憲法
は発想が違うのでしょう。 イタリア
憲法
にも、十一条に、戦争の否認、主権の制限と書いてございますが、五十二条には、祖国の防衛、それから兵役の義務なんて書いてあります。ところが、
日本
は何もないんですね。特にイタリアは、おもしろいのは、十八条に秘密結社禁止条項というのがあります。イタリアの秘密結社禁止条項というのは、イタリアはマフィアがいますからね。第二項、秘密結社及び軍事的性格の組織により、直接間接に
政治
目的
を追求する結社は禁止される、こう書いてあります。
日本
は、破壊
活動
防止法で、オウム真理教を解散団体に指定できないんですね。それが、今度「超限戦」、限界を超えた戦争の
時代
は何でもありというか、どこで何が起こるかわからぬぞと指摘しています。我々がこうしているときに、窓の外でぴかっと光ったら核攻撃であった、そんなことが起こるかもしれません。今、旧ソ連のアタッシェケースに入るような原爆が、百四十何箱のうち四十数個が行方不明だとアメリカは気にしています。そんなときに、
先生
、このままの
憲法
で一体どう
考え
ればいいんでしょうか。
先生
は、
憲法
を改正する必要はない、それはのんきに、
国民
投票で
内閣
をつくったり何かするのも結構でございますが、何が起こるかわからないときに一番大事なのは、やはり国防と治安と外交と教育の中身、この四本の柱が
国家
の
基本
の柱だと私は思いますので、ちょっと形を変えた話で恐縮でございますが、きょうは全く出ていない話でございましたので、どんな新しい方法によっても、
内閣
ができたときには、
日本
の安全をどう確保したらいいのか、どう超限戦に備えるのか、
国民
に問うと今までの平和ぼけがありますから、なかなか難しい問題だと思っているんです。ですから、はっきり
政治
の世界で、
憲法
をどう
考え
ればいいかということを
基本
にして物を
考え
ていかなければならない、それから
国民
の説得です。 私は、都市出身でございますから、今公明党さんが出している三人、百五十
選挙
区というのは大賛成でございます。私は、日中条約が
国会
に提案されたとき、中国は
二つ
あるのに何で
一つ
を否定するんだろうと思って、外務
委員会
ではたった一人で反対しました。
衆議院
本
会議
に
出席
して反対したのは、
中山正暉
、浜田幸一、林大幹、参議院で玉置和郎、源田実、このたった五人でございました。二人死んで、二人やめましたから、私一人しか残っていません。私は、これがあのころがもし小
選挙
区ならば、日中ブームの最中の反対ですから落選していると思いますよ。それから、自民党というのは、生産者米価のときには幾晩も徹夜で決めるんですが、消費者米価のときは一時間で決まってしまうんですね。 そんな中で苦労して生き残ったのは、やはり五人を選ぶ中
選挙
区で九回やりましたからこそで、私なんか、今では十一回、三十三年間、この
国会
に連続しておらせてもらったのだと思っています。私は中
選挙
区論者であることを
前提
にしながら、この
憲法
、
先生
はこのままでいいとおっしゃっていますが、アメリカから押しつけられた
憲法
でそのままでいいとおっしゃる
議論
のうちから、防衛というものをどう
考え
られるかということを
一言
聞きたいと思います。
高市早苗
84
○
高市
小
委員長
三十五秒しかございませんが、
高橋参考人
。
高橋和之
85
○
高橋参考人
誤解を
一つ
解いておきますけれども、
憲法
改正に反対だというふうに言ったつもりはありません。きょうの
国民内閣制的運用
を行うのに、
憲法
改正は必要とは思っていないということを申し上げました。 その他の点については、きょうは準備しておりませんので、
発言
を控えさせていただきます。
中山正暉
86
○
中山
(正)小
委員
ありがとうございます。それでは、終わります。
先生
の御
意見
、わかりましたので、私、誤解をしていましたので、失礼いたしました。
高市早苗
87
○
高市
小
委員長
これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 この際、
一言
ご
あいさつ
を申し上げます。
高橋
先生
におかれましては、大変長い時間御一緒いただきまして、貴重な御
意見
を賜り、本当にありがとうございました。小
委員会
を代表して、御礼を申し上げます。(拍手)
—————————————
高市早苗
88
○
高市
小
委員長
これより、本日の
参考人
質疑を踏まえまして、小
委員
間の自由討議を行いたいと存じます。 一回の御
発言
は、五分以内におまとめいただくこととし、小
委員長
の
指名
に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてから
お願い
をいたしたいと存じます。 小
委員
の
発言
時間の経過につきましてのお知らせですけれども、終了時間一分前にブザーを、そしてまた終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたしたいと存じます。 御
発言
を希望されます方は、お手元にありますネームプレートをこのようにお立ていただきたいと思います。御
発言
が終わりましたら、戻していただくように
お願い
いたします。 それでは、ただいまから御
発言
を願いたいと思います。
中村哲治
89
○
中村
(哲)小
委員
民主党・無所属クラブの
中村哲治
でございます。 先ほど我が会派の島聡
委員
が申させていただいた件について、私の
意見
を述べさせていただきます。 私は、与党が今事前審査をやっていること自体に問題があるのではないかと思います。
国民
内閣
モデル
をとる場合に、事前に与党が審査する必要があるのかどうか、それを私たち
国会議員
でもう一度
議論
する必要があるのではないでしょうか。与党の方は、
内閣総理大臣
を含めて
政府
へ人を出していく、そして予算には賛成する、そういうふうな枠組みでいいのではないでしょうか。党議拘束の
あり方
というのも今回
議論
していけばいいのではないでしょうか。
内閣
が提出した案について与党
議員
でも
国会
の中で
議論
していく、そして公開の場で議事録が残る形で
問題点
を浮き彫りにしていくことこそが、全
国民
を代表する
国会議員
としての務めではないかと私は
考え
ます。 以上です。
奥野誠亮
90
○
奥野
小
委員
今、
中村
さんがお話しされたことと違ったことを私は皆さんに一遍
意見
を聞いてみたいな、こう思っておったんですけれども、
中村
さんの御
意見
を基礎にして
議論
をしていった方がいいと
考え
ておられるのか、それぞれがちょっと違った角度で物を言ってもいいのか。——いいでしょうね。
高市早苗
91
○
高市
小
委員長
はい。御自由に
お願い
します。
奥野誠亮
92
○
奥野
小
委員
今の
憲法
について、無効宣言をすべきだという
意見
があるぐらいに、大変不自然な形で
憲法
が生まれてきているんですね。私は、全く客観的な事実だから、これくらいのことは積極的にお話をお互いに出して、少なくとも
調査
会としてはこうだったという結論ぐらいは出さないと、
調査
会をやっている意味が不十分になっちゃうんじゃないかな、こう思うんですよ。 私に言わせますと、ポツダム宣言を受諾したから、昭和二十年八月で戦争は終わったと思った。しかし、相手は簡単にそうさせてくれなかった。戦闘は終わったんですけれども、敵は本土に上陸をしてきて、そして一方的に
日本
は無
条件
降伏をしたんだ、天皇及び
内閣
の
権限
はマッカーサー総司令官に従属するとやられちゃって、それから七年間というものは、直接
政治
を下げてもらって、間接統治、
日本
政府
や
日本
国会
を置いてもらったけれども、全く総司令部の
政策
、思うがままにやられていったと私は判断をしているわけです。
憲法
だって、マッカーサーが三原則を示してスタッフに書かせた。これはおまえたちがつくった
憲法
として
国民
に公表しろ。それに対して、どうしても許されないものがどことどこですかと聞いたら、全部だと。そのうちで、
国民
が
理解
しやすいように、てにをはぐらいは許されるものがあるかもしれぬ、こんなことだった。唯一認められたのは、今出ておりました一院制だったのを二院制にするぐらいのことじゃないかなと思っているのです。そして、
憲法
と総司令部とのかかわり合いに触れてはならない、占領
政策
を
批判
してはならない、いろいろなことを言われましたよ。 そして、たくさんの検閲項目、
最初
は新聞なども事前検閲でしたよ。ですから、事前検閲の
段階
で、例えば大東亜戦争と書きますと太平洋戦争と書けと改めさせられた。だから、いろいろな指令が出ているんですけれども、彼らの気に入らぬものは全部追放というような処分も、また命令も出す
権限
も持っておったし、厳しいものでございました。 こんなことで時間をとってはいけませんからこの
程度
にしておきますけれども、本当に
日本
は無能力者でしたよ。だから、少なくとも
憲法
なり
憲法
の条文なりについては、一遍それぐらいの形は、七年間の占領
時代
というのはこういう状態だったんだというぐらいのことはお互いに
議論
し合ってもいいんじゃないかな。 そして、私の言いたいのは、そのときの状態と今とすっかり、世界も変わったしアメリカや
日本
も変わっていますよ。事情変更の原則というものもありますね。そうしますと、我々は、こういう問題についてこの際にどうあるべきか、またどうあるべきかということを
考え
て、
憲法
に則しているか則していないか、それは
憲法
をこう解釈したらそれはやれるじゃないか、そういうような
憲法
運用
に持っていく。解釈の変更でも何でもないのであって、
憲法
ができた状態がこうだったし、あの当時の世界もアメリカも
日本
も、当時と今とはすっかり変わった。今は既に世界第二の経済大国になっておって、世界に対して必要な
役割
を分担していかなかったら、世界から笑い物に
日本
はなっていくんじゃないかな。 そういう意味で、
日本
はこういう問題についてはいかにあるべきかということを
議論
して、その
議論
に沿って
憲法
を見直してみて、いや、
憲法
でもこう解釈したらやっていけるじゃないかというのなら、そういうような
運用
をしたらいいんじゃないかなというふうに思っているわけでございまして、そうでなかったらなかなか世界に対して
責任
を果たせないんじゃないかな、こう思っているわけでございまして、適当にこういう問題もひとつ
課題
に取り上げていただくように
お願い
をしておきたいと思います。
島聡
93
○島小
委員
今の
奥野
先生
のお話は、私もこの
憲法調査会
でいわゆる
憲法
制定経過についてのいろいろな
議論
をしました。まさに私も、私の記憶が正しければ、
奥野
先生
がおっしゃった、当時のいわゆるGHQのそういう関係者から、当時の外務大臣吉田茂さん、松本国務担当大臣が草案を渡されたのが二月十三日ですから、きのうのことだったような気がします。そういう意味では、極めて重要な御
発言
だと思って伺ったものです。 また、私
自身
は昭和三十三年生まれでございますので、前に一度こういうことを言ったことがあります。そういう制定経過ばかり話をしていますと進まないので、制定経過の事実確認だけをしているんじゃなくて、もっと先の
議論
を、
時代
に合わせた
憲法
という
議論
をした方がいいんじゃないかという
発言
をしたこともございます。 でございますが、事実は
一つ
なので、これは、今
中山
委員
おっしゃって、おられたら言おうと思ったんですが、
中山
委員
が、
日本
の
憲法
は米国が押しつけたことは有名なので、米国は永久秘密にしている、
日本
に経済でしっかり立ち直ってくれというなら、
日本
の精神から立て直すために、
憲法
を押しつけたと正直に情報公開をしてもらうよう日米首脳会談に小泉
首相
から言ってもらう必要があると語っておられるそうでございますので、ぜひ自民党内で
議論
していただきまして、事実は
一つ
なのでありますから、事実をきちんと出していただくようなことを努力していただくと私たちの
議論
に生きるのかな。ちょうどブッシュさんが間もなく来られますので、ぜひともそういう事実を確認した上でまた進めていくというのが最もいいことではないかというふうに私
自身
は思っています。 以上です。
高市早苗
94
○
高市
小
委員長
本小
委員会
、
調査
案件が
政治
の
基本機構
の
あり方
ということでございますので、少しそちらの方に
議論
を移せたらと思います。
中山太郎
95
○
中山
会長
自民党の
中山
太郎です。 ここで私
一つ
申し上げたいことは、この
憲法
が百三条ある、その中で、第六章の司法のところで書かれている裁判官の給与の問題。七十九条の六項「最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」こういう条項があるわけですね。八十条の二項に「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」こういうふうに
憲法
上、給与に関する規定を行っているのは裁判官だけなんです。ほかの
国家
公務員の給与に関しては一切
憲法
では規定がない。 司法の独立ということは、私ども、もちろん
憲法
の原則で三権の分立ということを認めていますけれども、
一つ
の権力のところのいわゆる公務員が給与の保障を
憲法
上されているというところは、どういうことでこういうことが起こってきたのか。これは、いずれ国の統治機構の中で、司法という大きな問題の中で、その司法に携わる裁判官の身分と給与に関して
憲法
がなぜこれを決めたかということは、
国家
の
基本
的な統治機構の中の問題として、ぜひひとつ各
委員
にも御検討いただくように私から
お願い
を申し上げておきたいと思います。また、御存じであれば、私に御教示をいただければ大変ありがたいと思います。
山口富男
96
○
山口
(富)小
委員
小
委員長
から自由討論の進め方について御
意見
があったのですが、
最初
に
一言
だけ申し上げたいのですけれども、今の私たちの国の
憲法
を押しつけとみなすことはできないと思うのですね。 それは、確かに占領下のものですから、アメリカが素案をつくったというのは事実です。それを
政府
が受け、そして当時の制定議会に諮り、
国民
の合意を広げていったという経過から見ても、それから、実際に
憲法
でいっても、九条でも部分的な手直しがありますし、それから生存権規定が入った問題や、先ほど指摘がありました二院制に至った問題等々含めまして、あの時期の、戦争を反省して、起こす国にならないという誓いのもとにつくったものとして、二十一世紀に生きる大事な中身を持ったものだというふうに
考え
ます。 その上で、今
中山
会長
からもお話があったのですけれども、私、きょうの
参考人
のお話を聞きながら、一番の問題意識は、結局民意がきちんと反映されているかどうかというのが
参考人
の一番大きな背景だったと思うのです。 その点で見ますと、例えば
選挙制度
の問題も当然問題になってくると思うのです。私ども一貫して、
憲法
が定めている事柄と
現実
とどこが食い違っているのか、そのところを
調査
会としても
考え
なきゃいけないと提起してまいりましたけれども、きょう
参考人
の話を聞きながら、やはりそこの点はきちんとやっていかなきゃいけないというふうに思いました。その中には、単に
選挙制度
の問題だけじゃなくて、
国会
での審議の
あり方
ですとか
行政
への監督をどう進めるのかとか、多々あると思います。 この
会議
は、たしかこの
通常
国会
は四回になるでしょうか。ですから、その中身は今後ともよく
考え
ながら進めていく必要があるというふうに思いました。 以上です。
松沢成文
97
○
松沢
小
委員
私は、
憲法
を
考え
るときに、そもそも論になって恐縮なんですが、
民主政治
国家
の要諦というのは、
国民
が
自分たち
の
基本
法である
憲法
をつくる自由と権利が保障されていることというふうに
自分
なりに定義をしているのですね。そういう意味において、我が国は、今まで明治
憲法
と今の
憲法
、
二つ
つくってきたのですが、その歴史の実態を見ると、
国民
が
議論
をして
自分たち
でつくったという形には残念ながらなっていないと思います。 明治
憲法
のときは、
伊藤
博文さん初め明治の元勲が海外の
憲法
を見てきて、それで
日本
も近代
国家
を目指してこういうものがいいだろうということでつくった。そこには、まだ主権意識を持った
国民
というのは形成されていなかったと思うのですね。 また、今の
憲法
についても、先ほど
奥野
先生
からありましたように、占領下においてGHQからある意味で押しつけられたという事実も私はあると思いますし、あの当時、
国民
が総出で新しい
憲法
をつくるための
議論
をやってきたかといったら、やってきていない。 私は、
日本
が本当の
民主政治
国家
になるには、もう一度、
国民
挙げて
自分たち
の
基本
法を
議論
し、みずからの力でつくり上げていくという経験をしない限り、
日本
が本当の意味での民主主義
国家
になれないと思っていまして、そういう意味で、
憲法
を
議論
する重要性を今感じています。 さて、きょうの議題に入りますが、私も先ほどの質問でも
発言
をさせていただきましたが、
日本
の
政治
機構を
考え
る上で最も根本的な問題は、私は、
国民
一人一人に平等に、公正に
政治
に参加する権利が与えられているかという問題だと思うのです。先ほど四十四条の話をしましたけれども、居住地によって
国政
に参加する権利が二倍なり三倍、参議院の場合はもっとありますけれども、それだけ格差があるというのは、
民主政治
国家
が成り立たないと思うのですね。 今回、
衆議院
の小
選挙
区の線引きのやり直し、今勧告が出ていますけれども、それでさえも、二倍以内にしなきゃいけないと法律には書いてありますが、
行政
区を割れないために二・何倍かの格差が生まれている。これは、
政治
が完全に曲がっていってしまうのですね。端的に言えば、やはり郡部、農村部の方が過剰に
国政
に民意を反映してしまう。都市部の方は一票の格差が軽いですから、都市部の
有権者
の
意見
は、比べると非常に少なくしか
国政
に反映されない。 このいびつな形をそのまま続けているのが今の
日本
の
政治
でありまして、私は、
日本
の
政治
機構を
考え
るときに、この一票の格差を本当に平等に、公正に是正をしていかない限り
日本
の
民主政治
は成り立たないと思っています。 そういう意味で、私は、この
政治
機構を
議論
する大
前提
条件
として、一票の格差の是正、
国民
一人一人の平等、公正に
国政
に参加する権利を保障するということをぜひとも
議論
をし、
国会
全体でコンセンサスをつくりたいというふうに思います。もしこれを、それをやっちゃうと我が党に有利だとか我が党に不利だとかいう党利党略で語るのであれば、私は、
憲法
を
議論
する資格がないと思っていまして、ここだけはぜひとも
委員
の皆さんに共有した意識を持っていただきたいというふうに思っています。
斉藤鉄夫
98
○
斉藤
(鉄)小
委員
私は、きょうの
参考人
質疑、
議論
の中で一番印象的でしたのは、
内閣
と
国会
の関係が、当初
憲法
を制定していたときに想定していたもの、そのときの設計図から、価値観の多様化等いろいろな世の中の変遷を経て、現在変わってきたと。当初は、
国会
が法律をつくり
内閣
がそれを執行するという
モデル
だったけれども、現在は、統治・
コントロール
モデル
に変わってきた。
日本国憲法
はどちらを想定しているかという質問に対しては、当初は法制定・法執行
プロセス
だったけれども、今のように
コントロール
プロセス
に変わってきたというところを一番印象的に思いました。つまり、この統治機構という
憲法
が定めるべき最も
基本
的な事柄についても、世の中の変化に応じて
憲法
の解釈が変わってくる、
憲法
が想定する事柄が変わってくるということが明らかになったのが非常に印象的でございました。 そういう意味では、より
国民
の
意思
を反映する統治機構の
あり方
について、
憲法
の
観点
から
議論
することの大切さ、また、必要であれば
憲法
についても本当にその改正について
考え
ていかなきゃいけないという点を私は申し述べたいと思います。 それから、
奥野
先生
の御
意見
に対しての私の個人的な見解ですが、事実の解明、押しつけであったかどうかの解明は、これは進めていかなくてはなりませんけれども、少なくとも、戦後五十七年間、この
日本国憲法
が
日本
国の発展に果たしてきた
役割
、これは否定しがたい重みがあるわけでございまして、
国民
に認知されてきたと私は思っております。だからこれからもずっと変えちゃいけないということにはならないわけで、その事実の上に真摯な
議論
をこの場でしていかなくてはならないのではないか、このように個人的には思っております。 以上です。
伴野豊
99
○
伴野
小
委員
民主党の
伴野
でございます。本日、私にとりましては、
憲法調査会
はデビュー戦でございまして、またよろしく
お願い
いたします。 本日の
一つ
のテーマであった民意の反映の
あり方
ということで
一言
意見
を述べさせていただければと思うわけでございますが、これだけ激動の
時代
で、先が見えない、しかもスピーディーかつタイムリーというものが
時代
に求められているときに、リーダーがどう選ばれていくかというのは非常に重要なことでございまして、そのトップリーダーの判断、それからトップリーダーへの信頼感というのは非常に重要なことだと思うのです。 そういった場合に、その民意の反映の
あり方
ということでございますが、今の仕組みで
考え
るならば、やはり総理がかわるたびに民意を問うべきではないか、それはスピーディーかつタイムリーにやるべきではないか。結果的に連立を組み直すときもそうだと思うのですが、現状では、
国民
の
立場
から見た場合に、選ばれた
責任
は問うことはできても、選んだ
責任
を問う仕組みにはなかなかなりにくいのではないかと思います。そういった意味で、この
調査
会で、
国民
にとって望ましい
政治
の
あり方
をどうスピーディーかつタイムリーに組み込んでいくか。 ですから、電子投票の
あり方
とか、
選挙
結果がもっと早く出る仕組みというものを
考え
ていかないと、
選挙
期間中が空白になることを避けていかなければならないということを
考え
る
時代
ではないか、そんなふうに思っています。
金子哲夫
100
○
金子
(哲)小
委員
社会
民主党の
金子
です。 私、ちょっと違う角度かもわかりませんけれども、今我々を取り巻いている状況の中で、例えば投票率が非常に低い問題、このことは、一体
憲法
の定めた
制度
上の問題だろうか。それからまた、今お話がありました、民主主義
国家
としてみずからがつくった
憲法
でなければならないというような御
発言
もありましたけれども、そこに問題があるのだろうか。私は、むしろそれよりも、
国会
の、
政治
のありようとかの中に、
政治
家なり
政党
を含めた
政策
と
選挙
と、また
国会
での実行の面と、そういった問題にもっと問題があるのではないか。 三〇%台とか四〇%台の投票率しかないような
選挙
がある。確かに、一票の格差の問題も非常に重要で、そのことを否定するわけではありませんけれども、むしろ、その状況の中で、例えば都市部の方が非常に投票率が低い問題とかが
現実
の問題としてはあるわけでして、そうしますと、そのことは本当に民意の反映の問題も含めて、私はそういう意味で、ここの中でもっと現状の
政治
の分析ということもやる必要があるのではないか。それで、もし
制度
として問題があるとすれば、変えていくということも検討しなければならないと思いますけれども、私
自身
は、今の
憲法
に定めたそういう
制度
に大きな疲労があったためというようには余り
考え
ていないということであります。 それから、そういう意味で、私は先ほど質問のときも言いましたけれども、この
憲法
には書かれていないわけですけれども、それは、民主主義の大原則としての少数
意見
の尊重ということ。これは
選挙制度
にもかかわるし、議会の論議にもかかわる問題だと思いますけれども、そのことがどのように保障されるかということも、ある意味での民意の反映ということでは非常に重要ではないか。それも、これまでの経過の中の、
国会
のありようの中で問うべき
課題
になっているのではないかというふうに実は思います。 それで、最後ですけれども、この
委員会
の論議の
あり方
ですけれども、小
委員長
も先ほどお話がありましたように、この
委員会
全体に対しては、幹事会でも十分協議をして
委員会
の運営についてやろうということになっております。 それで、成立過程のことがかなり出てくるわけですけれども、これは一応
憲法調査会
としては、私は
出席
しておりませんでしたけれども、第一の
課題
としてそれなりの時間をとって、そして一応の、結論というわけではありませんけれども、整理をしながら次の
段階
に進もうということで
憲法調査会
はあったと思うのです。それぞれに違う
意見
はあると私は思うのですけれども、しかし、それを何度も繰り返し、違うテーマのところでもやるという論議の進め方ですと、
調査
会の
活動
そのものもスムーズにいかない。 この点については、ぜひ、幹事会でもしっかりと論議をしたいと思いますけれども、きょうお見えになった
参考人
の方に対しての問題もありますし、その辺についてはお互いが、もっと幹事会の中で
責任
を持って運営するという点では、しっかりと次回でも論議をしたいというふうに私は思っております。
高市早苗
101
○
高市
小
委員長
小
委員長
なりに案もつくりまして、また幹事会でも御相談申し上げます。
中野寛成
102
○中野
会長
代理 この
憲法調査会
、戻ってまいりましてから初めての
発言
なのですが、先ほど来、
奥野
先生
の御
発言
が若干尾を引いて話題になっておりますが、私も感想だけ申し上げたいと思います。
先生
のおっしゃられた結論は、タブーをなしにして、前向きにいろいろなことをもっと
議論
してもいいのではないかという、前向きの御提言だったろうと思って、むしろ私は、
先生
の結論については積極的に評価をさせていただいてもいいのではないかと実は思いました。 ただ、今
金子
さんも言われましたけれども、押しつけ
憲法
かどうかということは、今日のこの
憲法調査会
の
議論
の理由づけだとかという中にもはや加えなくてもいいことなのではないか。むしろ、押しつけられた
憲法
だったということをもし口実に使うとすれば、
日本
が独立をいたしましたときに、占領下から解けたのだから、
日本
独自で、
国民
の
議論
のもとに新しい
憲法
をつくろうということをあの
段階
ですべきだったことであろう。 それ以後もう五十年間、現在の
日本国憲法
に基づいて我々の
政治
、経済、
国民
の暮らしが形成されてきたわけでありまして、今さらそれを否定することもできないわけでありますから、現
憲法
が有効に機能し、そして
国民
のものとして
運用
されてきた、それが現在の
国民
生活や、経済の発展や、国際
社会
の変化に照らし合わせて、的確に
運用
されているかどうかの精査もこの
調査
会の仕事であると思います。 また、それが不都合が生じていないかどうか、それらも精査をし、不都合があれば、それはまた論憲から、修正なり、改憲なりへと話が発展をさせられるものだろうというふうに思っておりますので、言うならば、この
憲法調査会
は、あらゆる視点から
日本国憲法
の環境、またその
運用
、そして実態について
調査
をし精査をしていく、また、
国民
の皆さんに
意見
を求めていくという
役割
を果たすことが大変重要なのではないかと思います。 また、先ほど幹事会でもお聞きしますと、先般の建国記念日の式典の御
発言
の中で、この
憲法調査会
があたかも意味のない、または意味の薄い
調査
会であるような
発言
をされた方がいらっしゃるようなことをお聞きしましたけれども、それもまた私は、いかがであろうかというふうに思います。 改憲を目途としたものではない、だから意味がないということではなくて、むしろ、現在の
憲法
が確かに正しく
運用
されているのかどうかを
調査
することもまた極めて重要なことであって、例えば、
憲法
がもし将来改正されることがあったとしても、
憲法調査会
というのは引き続き存在するべき意味を持ったものなのではないのかというふうにさえ私は思いますので、この
憲法調査会
の意味を、存在意義を低からしめるような
発言
はお互いに戒め合いたいものだなというふうに思いますので、よろしく
お願い
したいと思います。
高市早苗
103
○
高市
小
委員長
それでは、特に御
発言
の御希望も今出ていないようでございますので、これにて本日の自由討議を終了いたします。 次回は、来る三月十四日木曜日午前九時から小
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十六分散会