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石田分科員 自由民主党の
石田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、関西国際空港と国会等の移転という、もう既に長く長く
議論されてきたテーマでございますけれ
ども、あえて質問をさせていただきたいと思います。といいますのは、これらの問題について、私、
地方から見ておりまして、どうも長い
議論の中で原点が忘れられているのではないかという危惧をいたしたからでございます。
今日の日本というのは、財政
状況からもむだを省く、そのことは当然でございますけれ
ども、余りにも、何につけても、経済性、効率性が異常なほど叫ばれるばかりで、十年先あるいは二十年先を見越した国策というような
国土計画が見当たらないのが現実ではないかなというふうに思っているわけでございます。大きな計画のないところに語るべき目標とか夢はないわけでありまして、まことに寂しい限りであります。
そういう
意味で、次の世代あるいは次の次の世代に、時間をかけ、お金をかけてでもやらなければいけないことはあるはずだというふうに私は思います。将来に大きな禍根を残さないように着実に進めていただきたい、そういう期待を込めて質問をさせていただきたいと思います。
まず、関西空港の建設の原点は何であったかということであります。
これは、私は二つあったというふうに
考えておりまして、
一つは、まず伊丹空港、大阪国際空港の騒音問題です。これはもう大変な騒ぎになりました。周辺自治体の十一市協、十一市協と言いましたけれ
ども、この正式名称は大阪国際空港騒音対策協議会でございます。それで、住民からも訴訟が起こるとか、空港
廃止の調停申請が出たり、そういうような大変な騒ぎになったわけでございます。
ちなみに、その当時、関西国際空港の位置と規模を航空
審議会で
審議していたころですが、大阪府下では、大阪府議会を初めとして、泉州
地域の七市五町の議会で反対決議が採択されていました。また、兵庫県下でも、八市一町の議会で新空港などに対する反対決議があった。そして、私の地元の和歌山市議会も後に反対請願を採択する。つまり、空港反対ムード一色であった。それが現実の姿でございました。
そして、もう
一つは、そういう中で、例えば夜間の飛行ができない、そういう問題が起こってまいりました。しかし、一方、国際化というのが進展をしてきました。どうしてもやはり二十四時間運用可能な空港が必要だ、それは成田の問題も大変滞っておった、そういう中で起こってきた問題でございまして、それを解決するために、航空
審議会の答申文では、伊丹空港の
廃止を前提としてという言葉が明確に記されているわけです。そして同時に、航空騒音に配慮して、工費は高いけれ
ども海上空港が望ましいということが運輸省の
説明できちっと
説明をされております。
昭和四十六年の第一回関西国際空港部会、ここで運輸省は、調査に当たっての基本的態度として、騒音問題を最重要
事項として
考え、騒音公害を市街地等に及ぼさないことを第一の条件とした。
そのためには、工費は高いが海上空港が最も望ましく、海上の七カ所の候補地のうちで、泉州沖、神戸沖、播磨灘、淡路島の四候補地から建設場所を選定するのが望ましい、海上七カ所からまた四カ所を選んで、そのうちでつくる方が望ましい、そういうことをこの空港部会ではっきりと明言をされているわけでありまして、これが関西空港の私は原点だと思うのです。
伊丹空港は騒音であった、そしてまた国際化の中で二十四時間空港がどうしても必要であった、その中であえて工費の高くつく海上に空港をつくろうとしたということで始まってきたわけでございます。
ところが最近、
国土交通省では上下分離案とかいろいろ御
努力をいただいておりますけれ
ども、新聞論調なんかを見ましても、特に、先日、日経新聞ですか、出ておりましたけれ
ども、「関空の
経営実態を覆い隠さず、まず単独での再建案を練るべきではないか。」こういう論調が出ております。
それで、いかにも関空株式
会社の
経営が悪いように主張されているわけでありますけれ
ども、私は、先ほど申し上げましたように、この関空建設の原点というものを
考えたときには、そんな今日までの経過から見れば、単独での再建策を練るべき、そういうような簡単なことは言えないんではないかなというのが、私のこの関空の問題に対する基本的な認識でございます。その上に立ってお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
それは、先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、
審議会の答申で、伊丹空港の
廃止を前提としてと述べられているわけです。にもかかわらず、伊丹空港は航空機の騒音問題を抱えたままで、
平成二年に存続が決定をいたしました。
そして、
平成十二年度の
決算を見たらわかると思いますが、
平成十二年度には百五十億円余りの騒音対策費を使っているんです。昭和四十二年から
平成十三年度までのトータルということでいきますと七千七百億円近いお金をつぎ込んでいる、騒音対策費にですよ。そう
しながら存続をしてきているわけです。
毎年百数十億円、ほかに空港対策として振り向けたら随分と有効なことができるのではないかなというふうに私は思いますけれ
ども、そういう
状況の中で伊丹が存続されている。
そこで質問なんですけれ
ども、この伊丹空港の存続が関西空港の
経営問題に与えた影響について、
当局はどのように具体的に
考えておられるのか、お答えをいただきたいなというふうに思います。
また、工費が高くなるということを承知の上で海上空港をつくられたわけでありまして、そこには騒音という問題がありました。それからもう
一つは二十四時間空港という問題があったわけなんですけれ
ども、このことについてどのように
考えておられるのか、ぜひ御
答弁をいただきたいと思います。