○東(祥)
委員 外務大臣に申し上げたい。同義反復はやめてください。何のために
国交正常化するのか、答えはこうですという形にしてください。僕は、
委員会で
外務大臣の話も全部聞いています、今までの記録も全部読んでいます。そういう
意味において、私の
質問に対して端的に答えていただきたい。
総理
大臣が訪朝したときに、いわゆる八人の
死亡を聞いたときに、ここにいらっしゃる安倍副長官、総理帰りましょうと。これは極めて、
外交感覚からいくならば、ぎりぎりの線であります。しかし、謝罪したから調印せざるを得なくなった。世界から見れば、
日本の国というのはどういうふうになるのかということです。
日本に対して他国が、いわゆる
拉致を含めた上で犯罪、国家テロ的な行動を行う、二十数年間にわたってそういうことが行われている、しかし、それをトップが謝罪すれば、
日本の国というのは水に流す国なんだ、
国交正常化のための
交渉に入る、それがまさに今回出てきている共同
宣言の本質ではありませんか。世界じゅうはそのように見るんですよ。
その
意味で、今の
外務大臣の御答弁というのは不満きわまりないものがあります。
安全保障上の脅威がありながら、何のために
日本は
国交正常化をするのか。だれ一人答えていないじゃありませんか。過程だけを答えている。
外務大臣、長くなるから、きょう私の警告を発しておきますから、その次に答えていただきたい。具体的に
質問させていただきますから。
外務委員会において、多くの同僚議員が
拉致問題についてお話をしてくださいました。
安全保障の問題について詰めていきたいというふうに思うわけであります。
政府は、
国交正常化交渉と
安全保障協議を切り離しました。あの共同
宣言を見る限り、
安全保障問題、これは
双方で一生懸命ごちょごちょっとやっていきましょう。
拉致問題は、訪朝後、いわゆる
国民そしてまた世論が騒ぎ出してきて、この問題について安倍副長官中心に積極的にやっていらっしゃいます。徹底的にやっていただきたい。しかし、この問題が
解決されない限り
国交正常化はないと、
拉致問題に関しては言われております。
安全保障の問題についても本当に言えるのかどうか、それを詰めていきたいというふうに思うわけであります。
国交正常化に際しては、
経済協力と引きかえに、
北朝鮮の
我が国に対する脅威をいかに減少させていくかということが
日朝交渉の最大の眼目であると思われます。ところが
政府は、
国交正常化をなし遂げたいという誤った、ある
意味で、言葉はきついですけれども功名心にあおられていて、
経済協力問題と
安全保障問題を切り離したと私には思われます。
国交正常化交渉の主要問題としては、もはや
経済協力の金額の問題しか残っていないはずであります。
政府は、困難な
安全保障問題を別枠の協議に切り離して、だらだらと建前だけの安保協議を続けさせ、その傍らで
国交正常化交渉という名のもとに
経済協力の金額
交渉を、表裏のチャンネルを駆使して一気呵成に行うつもりなのではないのか。このことを私は危惧しているわけであります。
この並行協議方式というのは、皆さん、この二、三年の間、どこかで聞いた話なんだろうというふうに思うわけであります。つまり、鈴木宗男議員が、歯舞、色丹の二島返還を画策して国後、択捉を切り離そうとした領土問題に関する並行協議の手法と同じであります。目先の利益に目がくらんで、
国益にかかわる最重要問題を棚上げ、先送りしようとする極めて危ない仕組みであると私は思います。
この問題に対しても、まだ
政府の方からちゃんとした
説明もない、
国民の合意もない。
経済協力と
安全保障を切り離したことは、私は、最高責任者がどんなに謝罪したとしても足りない大罪になってしまうのではないか、そのことを危惧しています。
政府が
北朝鮮外交においてこれほど
安全保障を軽視する裏には、戦後ひたすら
安全保障問題を米国に頼り切って自分の問題として
考えてこなかったという
政府の無責任な体質があるわけであります。
安全保障政策の企画立案は、本来
外務大臣が行わなくちゃいけない問題であります。この立案を米国に任せ切ってきて、自分はその下請に徹するという、ある
意味で被占領国家の奴隷根性がまだまだある、さらにひどくなってきている、このように私には見えてならないのであります。
日本ほどの大国が、
安全保障協議を切り離して、その
進展は、よく
外務大臣いろいろなところで言われています、いや、米朝ともいろいろ協議しなくちゃいけないのでと。米朝協議の
進展次第という無責任な甘えを見せることは、私には、本当に無残なものであって、こっけいを通り越して、まさに悲惨な
状況に見えてくるわけであります。
ちょっと長くなりますけれども、
北朝鮮との
安全保障問題には、御案内のとおり、核査察、生物化学兵器、DMZの通常兵器削減等多くの問題があります。
一つ一つが極めて重い、重要な問題であります。本日は、時間の制約がありますので、ノドンミサイルの問題だけ取り上げたいというふうに思います。
ノドンミサイルは、現在、百発以上が
日本をねらっているわけであります。その多くには化学兵器や生物兵器が装てんされている、このように言われている。弾道ミサイルは、発射されたら、御案内のとおり防ぎようがないのであります。今でも、新潟の原発も、天皇陛下の住まわれている皇居も、国
会議事堂も、霞が関も、一千万人の東京都民も、既に
金正日の人質になっている、誇張した表現で言えば同じ
状況になっているわけであります。日米ガイドラインも周辺事態安全確保法も、ノドンミサイルの前には紙くずにすぎないのであります。
金正日のミサイルによる恫喝の前に、例えば新潟の原発と県民を犠牲にして、基本計画を承認することなんてできないではありませんか。
ノドンミサイルというのは千五百キロしかない射程であります。つまり、
日本しか入っていないんですよ。ノドンは
日本攻撃専用のミサイルと言ってよい弾道ミサイルであります。米国はこのミサイルに余り
関心がありません。米国が真の
関心を持っているのは、第一に核兵器です。第二に、射程が五千キロを超えるテポドンであります。第三に、イスラエルを射程におさめる国々へのミサイルやミサイル技術の移転なんです。
もし米朝協議が
進展して、仮に
北朝鮮が無条件で核査察を認めれば、ノドンミサイル問題は置いてきぼりにされる
可能性が十分にある。
日本は、ノドン問題を自分自身の手で
解決しなければならないんです。
外務大臣の手でやらなくちゃいけないわけであります。しかし、
政府は、これまでこのノドン問題を真剣に
北朝鮮に提起したことはありません。クリントン政権時代でさえ、ミサイル問題はアメリカにおんぶにだっこだったと思います。
安倍副長官は、僕のテレビの
質問に対して、この問題について小泉総理は言ったと言っています。記者会見の
内容を見れば、強い憂慮を表明したという話で終わっているわけであります。懸念を表明しただけなんであります。これではアリバイづくりのための
発言と言われても仕方がない。
平壌宣言には、皆さん御案内のとおり、
経済協力に十数行の行数を割きながら、ノドンミサイルには一行の言及もないじゃありませんか。総理は、
金正日に対して本当に
外交をやろうとするならば、
国民の生命と安全をかけた
外交をするとするならば、ノドンミサイルの廃棄、製造及び輸出の永久停止なくして
国交正常化も
経済協力もない、このように言い切らなければならなかったんですよ。そう言わなかったこと自体が、そもそも
安全保障問題を棚上げしているというふうに言っても言い過ぎではないんだろうと私は思っているわけであります。
そこで、
外務大臣にお伺いします。
主要
安全保障問題、たくさんあることを申し上げました。特に、ノドンミサイルの廃棄、製造及び輸出の永久停止なくして
国交正常化はない、
経済協力はないと
国民の前に明言することはできますか。
国交正常化交渉の中でノドンミサイルは妥協できない最重要事項であることを
国民に約束することができますか。イエスかノーかでお答えください。