○山本孝史君 ただいま議題となりました
雇用対策臨時特例法案並びに関連する諸問題について、
民主党・新緑風会を代表して、
総理並びに
関係大臣に
質問します。
本年九月の完全
失業率は最悪の五・三%を記録しました。近畿地方では六・六%であり、仕事を探しても見つからないからとあきらめているディスカレッジドワーカーを加えると、十人に一人は仕事がないという極めて厳しい
状況に置かれています。
高
失業率の原因は構造的なものです。失業期間も長引く傾向が鮮明になっています。しかしながら、本法案は、三年間に限って三項目について臨時の特
例措置を行うという
内容であり、抜本的な
雇用対策とはなっておりません。このような法律を提出すること自体が
政府の無策ぶりを際立たせ、かえって
雇用不安を高めるのではないでしょうか。あるいは、
総理は、
雇用対策に決め手はなく、
失業率の高まりは仕方がない、リストラされた人は運が悪かった、あきらめなさいとでもおっしゃるのでしょうか。
今後、
失業率はどこまで高まると予測して
対策を検討しているのか、
総理にはその数字を含めて
政府の
雇用対策の基本
方針をお示しください。
経済財政諮問
会議の基本
方針によれば、サービス分野で今後五年間に五百三十万人の
雇用機会を創出し、子育て分野で三十五万人、高齢者ケアで五十五万人、医療サービスで五十五万人の百四十五万人の増員を見込んでいます。
ところで、保育や高齢者ケア、医療といった分野は費用の多くを税や社会保険料に依存しています。そのような中で、国や地方自治体の支出をふやさずに
雇用をふやそうとすれば、受益者負担をふやす以外に手段はないのではありませんか。それでは多くの者にとって負担増となり、サービス水準の切り下げになります。それが小泉流社会保障、福祉
改革でしょうか。明確な御
答弁を求めます。
あわせて、
厚生労働大臣に
お尋ねします。
保健・医療・福祉分野の総従事者は九六年に三百二十万人であり、八六年からの十年間に約百十万人
増加したことを
考えると、五年間に百四十五万人もの増員を福祉施設の公設民営、民間企業の参入などの規制緩和だけで生み出せるとは到底思えません。どのような手法を用いるのか、お示しください。
我が国の医療機関や福祉施設における患者や入所者に対する職員数の不足が
指摘をされてきました。この際、職員の配置基準を
見直して職員数を増員し、サービスの向上と
雇用創出に取り組む
考えはないのでしょうか。
厚生労働大臣に
お尋ねします。
総理に
お尋ねしますが、
日本では公共サービスに従事する者の割合が少ないのではないでしょうか。非効率な公的サービス部門の再構築は必要ですが、犯罪の急増に
対応する警察官の増員、テロ
対策のための出入国管理官の増員、公教育における教員一人当たりの生徒数を減らすなど、公務員の増員が必要と
考えますが、
総理のお
考えをお示しください。
今回の特
例措置では、中高年の派遣期間の制限が三年間に延長されます。坂口
大臣は、中高年の皆さんに対する安定を図るためにとった
措置と
答弁されていますが、リストラが進み、買い手市場にある中での期間延長は、正規
雇用の代替機能として作用したり、一年間働き続けた派遣労働者が正社員になる道を防ぐことになるのではないでしょうか。それとも、
大臣は、正社員にならなくたって、派遣労働者だって三年間働ければいいじゃないかとでもお
考えなんでしょうか。
そもそも、九九年十二月の労働者派遣法の改正の折、派遣期間の
見直しについては三年後に法改正の影響など実態調査を踏まえて再検討するとされてきました。実態調査はなされましたでしょうか。以上、明快な御
答弁を
厚生労働大臣に求めます。
派遣労働者やパートタイマーと正規労働者の待遇格差の
是正が求められます。今後は、年功賃金制度の
見直しとともに、時間で幾らという時間給の概念も導入しながら、同一価値労働同一賃金原則の確立が求められると言われています。
厚生労働大臣はどのようにお
考えですか。
派遣労働者やパート労働者にも社会保険の適用を拡大すべきだと
考えます。また、国家公務員や地方公務員、私立学校教員等も
雇用保険に加入すべきと
考えますが、
厚生労働大臣の
見解を求めます。
塩川財務大臣もお
考えとお聞きしますけれども、労使の合意により超過勤務時間の削減などによって労働者一人の働く時間を減らし、
雇用機会を分かち合うワークシェアリングを取り入れるべきだと
考えます。政労使の協議を推進するとともに、
政府としては、新たに労働者を雇い入れた
事業主に対しては社会保障負担の軽減や賃金の一部助成などを検討してはいかがでしょうか。
厚生労働大臣に御
答弁をお願いします。
募集や採用のときに人種、信条、社会的身分を理由とする差別の禁止を明文化すべきと
考えますが、
厚生労働大臣の
見解を伺います。
坂口
大臣は、解雇ルールを法制化したいとも明言されています。今後、どのような手順によって、いつごろまでにお決めになるお
考えですか。解雇権乱用法理や整理解雇四要件の法制化をお
考えでしょうか。また、ルールの決定に当たっては、安易な首切りにつながらないよう歯どめをかけるとともに、従業員を解雇する場合には、職業紹介をしたり、一定期間有給で求職活動をすることを保障するなど、労働者の
雇用を守る観点から法律を組み立てることをお約束ください。
若年失業者の技能の開発は、将来の良質の労働力を確保する観点からも重要な政策です。そのためにも、学校段階での技能訓練や能力開発、就職あっせんが重要とされますが、高校や大学の新規求職者の動向を見ても問題が少なくありません。若年失業や非自発的フリーターの発生を防ぐためにも、高校や大学でどのような
対応策を実施あるいは検討されているのか、文部
大臣に
お尋ねします。
委託職業訓練については、講座の定員増、長期間の訓練、必要性の薄い者の排除など、真に受講を必要とする者が必要に応じて受講できるように制度運用の改善を図るべきです。さらに、東京都などが求めているように、地方自治体みずからが職業紹介
事業を実施できるようにすることも有効と
考えます。必要な法律改正の
考えはありませんか。以上、
厚生労働大臣の
見解を求めます。
さて、今日の
失業率の高まりの
背景には、製造業の中国を初めとする海外への生産拠点の移転があります。安い労働力を
背景に、今後とも大空洞化への勢いはとまらないと思われますが、
総理は何か具体的な
対応策をお持ちでしょうか。
また、中国は
アジア諸国を巻き込んでの自由貿易圏の形成に力を入れておりますけれども、
日本は乗りおくれていると強く感じております。
アジアの
経済圏形成に関して、今後どのように対処されるお
考えでしょうか。
あわせて、中国のWTO加盟はこれからの
日本経済、とりわけ
雇用の姿にどのような影響をもたらすのでしょうか。
日本はどのような
対応が求められるのでしょうか。
総理に
お尋ねをします。
〔
議長退席、副
議長着席〕
関連して、
財務大臣にお伺いをします。
日本の産業界には、中国が早期に変動相場制に移行することや人民元の切り上げを望む声が聞かれますが、塩川
大臣はどのようにお
考えでしょうか。
新たな
雇用の受け皿として特定非営利活動
法人、いわゆるNPO
法人の活動が期待をされております。しかしながら、NPO・NGOに関する税・
法人制度
改革連絡会の調査によれば、優遇税制への
申請はいまだ二件しかありません。
認定NPO
法人の
認定要件の再検討や収益
事業所得に対するみなし寄附金制度の導入が求められております。
財務大臣に御
答弁をお願いをいたします。
失業者が急増する中で起きている悲しい三つの事象について、
政府の
対応を求めたいと思います。
一つ目は、親の失業に伴って学業の継続が困難になる生徒学生の問題です。
就学援助の
申請は急増し、
景気低迷の影響から、民間企業・団体の奨学金もその額が激減をしております。対象者全員への就学援助の支給や、希望者全員が無利子の公的奨学金制度を利用できるようにすべきと
考えますが、文部
大臣のお
考えをお伺いをします。
また、
特殊法人改革のあおりを受けて、来年四月に高校、大学に進学を予定している者に対する
貸し付け内定通知が、例年であれば九月に発送されるのに、今年度はいまだ発送されておりません。子供たちにとっては大変につらい
状況に置かれていると思います。文部
大臣には、謝罪をされるとともに、その
対応策をお示しをいただきたいと思います。
二つ目は、自殺者急増の問題です。
男性の
失業率と自殺者数のグラフを重ね合わせますと、ぴったりと一致をいたします。昨年も三年連続で三万人を超えました。
自殺未遂者は三十万人を超え、精神的な打撃を受けた家族や関係者の数は一年間に百五十万人を超えるという研究もございます。
首相の肝いりでせっかく本年度
予算に
措置された三億五千万円の自殺
対策予算は、総合的な
対策を検討する有識者
会議も開かれるめどが立たないなど、有効に生かされておりません。
アメリカやカナダでは、
政府が主体となって自殺者減少に
取り組み、有意義な提言や政策を取りまとめています。
日本においても
政府全体で取り組むことが求められています。
総理の主導により関係閣僚
会議を開催し、自殺者減少のための基本
方針を協議決定するなど、省庁横断的に取り組んでください。
また、
国民全体で
危機感を共有し、抜本的な
対策の樹立を急ぐためにも、交通事故死者数の発表は毎年お正月にありますけれども、それに倣って新年早々に自殺者の数を発表してください。
以上、
総理の御
答弁を求めます。
最後に、ホームレスに対する施策の充実を求めます。
現在、ホームレスの
自立支援に関する法律が成立に向けて各党間で協議されています。間もなく冬の厳しい季節を迎えます。私が大阪城公園でお話を聞いたホームレスの方の、何か仕事ないか、仕事があったらこんな惨めな生活せんでもええのにな、この言葉が耳に残っております。
早急にホームレスの
自立支援法を成立させるべきだと思います。議場の皆さんの御理解と御協力をお願いいたしますとともに、
政府としても成立に向けて後押しをしてください。
総理の温かい御
答弁をお願いして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕