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2001-10-25 第153回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十月二十五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  十月九日     辞任         補欠選任      岸  宏一君     三浦 一水君  十月十二日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     岸  宏一君  十月十七日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     櫻井  充君  十月十八日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     小川 勝也君  十月二十二日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     岡崎トミ子君  十月二十四日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     榛葉賀津也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         常田 享詳君     理 事                 太田 豊秋君                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 加治屋義人君                 岸  宏一君                 小斉平敏文君                 野間  赳君                 松山 政司君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 榛葉賀津也君                 羽田雄一郎君                 鶴岡  洋君                 渡辺 孝男君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   武部  勤君    副大臣        農林水産大臣  野間  赳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       岩永 浩美君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    参考人        国際獣疫事務局        アジア太平洋地        域事務所特別顧        問        小沢 義博君        那須野農業協同        組合肥育牛部会        部会長      木下 政夫君        全国消費者団体        連絡会事務局長  日和佐信子君        全国食肉事業協        同組合連合会会        長        福岡伊三夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (野菜等品目に係る一般セーフガード確定措  置の発動に関する決議の件)  (派遣委員報告)  (牛海綿状脳症問題に関する件)     ─────────────
  2. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、武部農林水産大臣野間農林水産大臣及び岩永農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。武部農林水産大臣
  3. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 農林水産委員会開催に当たりまして、当面の課題に対する私の考え方一端を申し上げます。  農林水産大臣に就任して間もなく半年になりますが、改めて申し上げるまでもなく、構造改革なくして日本の再生と発展はないという認識もとで、新世紀維新ともいうべき改革を断行することが重要な課題であります。このような観点から、小泉内閣は、聖域なき構造改革に取り組む改革断行内閣と銘打ち、抜本的な改革を進めているところであります。  農林水産業農山漁村についても、人の生命、健康にかかわる良質な環境や、安全、安心で良質な水と食料などの確保を図るヒューマンセキュリティー、安全な国土を確保し、安心して暮らせる社会を保障するとともに、地域に密着した産業活性化を図る観点から、活力ある二十一世紀型日本経済創造に向けた構造改革一環として、農林水産業構造改革を進めるとともに、農山漁村の新たなる可能性を切り開くという名に値する政策転換に取り組んでいるところであります。  まず、農業構造改革を通じた効率的な食料安定供給システム構築であります。  現在、世界で約八億人の人々が飢餓や栄養不足に直面している中で、今世紀中ごろには世界の総人口は九十億人を超えると予想され、食料需要発展途上国中心に大幅に増加すると見込まれております。一方、農業生産については、既に水資源の枯渇、土壌の劣化などの資源環境問題が顕在化しており、中長期的には世界食料需給が逼迫する可能性も指摘されております。他方、我が国食料自給率は年々低下し、供給熱量ベースで四〇%と、主要先進国中で最低の水準となっております。  国民食料を安定的に供給するということは、歴史的に見ても政治の最も大事な役割であります。先ほど述べた中長期的な食料需給の見通しや、不測の事態に対する備えを考えれば、私は、国内で一定の食料生産確保し、食料自給率向上を図ることは、日本国民のみならず他の世界国々国民に対する責務でもあると思っております。  これらのことから、農地の確保生産基盤整備、技術の開発普及などを推進し、平成二十二年度までに食料自給率を四五%にするという目標の達成を図ることは、我が国農林水産行政上最も重要な課題の一つであると考えております。  このため、全農家への一律政策をやめ、効率的で安定的な経営体農業生産相当部分を担う農業構造を確立する観点から、専業農家を初めとする意欲と能力のある経営体食料安定供給中心的に担う経営体と位置づけ、経営規模拡大法人化推進などの施策を集中する必要があります。  一方、それ以外の農家等については、地域農業資源維持管理や、人や自然との共生役割を担うものと位置づけ、農村振興施策などについて、これらの農家等も含めて実施してまいります。  また、我が国農業の中核をなす米については、特に構造改革がおくれていることから、生産調整見直し稲作農家経営を安定させるための制度計画流通制度見直しなど、米の生産流通システム見直しが必要と考えております。  次に、循環型社会構築に向けた農山漁村の新たなる可能性創出であります。  委員皆様も御承知のとおり、農林水産業は本来的に自然の物質循環に依存するものであり、人類社会の歴史上、何千年と持続的に営まれてきた産業であります。新しい世紀を迎え、こうした農林水産業的な営みを基盤とした社会づくりといったものを真剣に考え時代がやってきていると思います。  このため、生ごみなどの貴重なバイオマス資源を有効に活用し、都市農山漁村を結び、農産物木材などの生産につながる「環のつながった循環型社会」の実現、ごみゼロと脱温暖化社会づくり、自然との共生を目指すこととしております。その一環として、農林水産省みずからも生ごみリサイクルに取り組むこととし、本省食堂の生ごみなどについて、肥料、飼料に再利用して農家に提供するリサイクル事業に取り組むこととしております。  また、都市住民が望むおいしい水、きれいな空気に囲まれた生活空間確保や、美しい自然の姿を持ったふるさと、農山漁村住民が望む都市と変わらない社会基盤もとでの生活や仕事、都市の持つ魅力へのアクセスなどは、都市農山漁村とが共生、対流する循環型社会を形成することによって初めて実現するものであります。  こうした観点から、高度な情報化社会利便性の享受を可能とするIT化推進するとともに、人、物、情報循環を可能とする共通社会基盤整備、いわゆるプラットホームづくりが必要であります。このため、関係府省とより一層密接な連携を図りつつ、新たな村づくり推進してまいります。  次に、緊急に取り組んでおります牛海綿状脳症、いわゆるBSEに関する対策について御説明いたします。  このたび、我が国で初めてBSE感染した牛が確認され、農林水産省遠藤武彦大臣本部長とする牛海綿状脳症対策本部を設置いたしました。  この対策本部中心に、国民皆様の安全、安心確保するための方策を検討するとともに、厚生労働省連携し、安全な牛以外は屠畜場から食用としても飼料原料としても出ていくことのないシステムを確立したところであります。具体的には、厚生労働省は、今月十八日から屠畜場においてすべての牛についてBSE迅速検査を行うこととしたところであります。また、BSE感染性がある危険部位である脳、脊髄、目、回腸遠位部については、感染有無にかかわらず、すべて焼却することといたしました。  また、BSEの主な感染源とされている肉骨粉などについては、一部農家において不適切な使用事例が見られたこと、国民の間に使用への不信感が強いことなどから、当分の間、すべての国からの輸入を一時停止するとともに、肉骨粉などが飼料として製造、出荷、使用されることのないよう法的に規制することによりBSE感染経路を遮断する体制整備したところであります。  さらに、今回の事態を招いた原因を早急に究明し、防疫体制の一層の強化を図るため、当該牛導入経路飼料給与状況などについて疫学調査立入調査を行っているところであります。  そして、今回の事態影響を受ける生産者関係業者に対して、緊急融資肉骨粉焼却や患畜と関連のある牛の自主的BSE検査焼却への支援BSEの正しい知識の普及国産牛肉などの安全性PRの実施などを内容とする緊急対策を講じたところであります。また、これらの対策に加え、現行の仕組みでは対応できない肉用牛肥育経営の大幅な収益性の悪化に対し、機動的に対応できる仕組みの創設、BSE検査開始前の国産牛肉市場隔離に対する支援などの措置を講じたいと考えております。  今回の事態は、起こり得ないことと思っていたという認識の甘さと、報告連絡、相談といった基本的な点検、確認作業を怠っていたことが非常に大きな問題でありました。今後とも、厚生労働省との連携をさらに強化し、畜産物安全性、品質の確保に向けた対策推進してまいります。  次に、セーフガードに対する取り組みであります。  ネギ、生シイタケ及び畳表の三品目について、WTO協定及び国内関連法令に基づき、四月二十三日から二百日間のセーフガード暫定措置発動したところであります。  これらの三品目について、国際競争にもたえ得る国内生産流通体制を確立するため、平成十三年度から四年間に、低コスト化、高付加価値化などの抜本的な構造改革対策を強力に推進することとしております。  本件につきましては、今後とも円満な解決に向けて、引き続き中国側と積極的に粘り強く協議を続けるとともに、今後、輸入増加国内産業損害との間の因果関係有無などを見きわめた上で、関係府省とも調整の上、確定措置への移行について鋭意検討してまいります。  次に、WTO農業交渉への取り組みであります。  農業分野につきましては、多様な農業の共存を基本的目標とし、農業多面的機能食料安定供給確保などを追求してまいります。今後とも、EU、韓国など我が国と立場の近い国々との連携をさらに強化するとともに、関係府省とも十分連携を図り、粘り強い交渉を行っていく考えであります。  また、来月にはカタールにおいて新ラウンド立ち上げを目指した第四回WTO閣僚会議開催が予定されておりますが、バランスがとれ、幅広い分野を対象とした新ラウンド立ち上げ農業交渉をその一環として位置づけることが不可欠であると認識しており、農林水産省としても国際会議などの場でこの新ラウンド立ち上げを積極的に主張してまいります。  さらに、林野・水産分野につきましては、地球規模環境問題及び有限天然資源持続的利用観点を踏まえた議論が可能となるような交渉の枠組みを確保するよう主張してまいります。  次に、望ましい環境創出基本とする森林林業政策展開であります。  森林林業分野については、さき通常国会で成立した森林林業基本法に基づき、森林林業基本計画を今月中に閣議決定し、新たな森林林業木材産業展開に向けた力強いスタートを切ってまいりたいと考えております。  具体的には、二酸化炭素の吸収源としての森林地球温暖化防止機能を初めとする多面的機能持続的発揮を図るため、水土保全森林と人との共生資源循環利用という三つの機能区分に応じた森林整備推進するとともに、林業における中核的な担い手への施業や経営集約化需要構造に対応した木材産業構造改革、活力ある山村づくりなどに取り組んでまいります。  また、厳しさを増している雇用情勢にかんがみ、森林整備を通じた雇用対策推進し、森林守り手を育成、確保してまいりたいと考えております。  次に、資源管理基本とした水産政策展開であります。  水産分野については、さき通常国会で成立した水産基本法に基づき、資源を守り育てる漁業推進を初め、水産業構造改革を進めることとしております。  このため、水産に関する施策についての中長期的な指針である水産基本計画平成十三年度中に策定するとともに、資源回復計画導入漁業経営基盤強化水産資源の積極的な培養、消費ニーズに対応した水産物流通加工体制整備、豊かな沿岸域環境創造漁村の総合的な振興などの施策推進してまいります。  なお、北方四島周辺水域における第三国漁船の操業問題につきましては、北方四島周辺水域我が国排他的経済水域であることから、操業の中止を求め、関係国協議を行ってきているところであり、今後とも外交当局連携をとりながら、その早期解決に努めてまいります。  以上、当面の課題に対する私の考え方一端を申し上げました。  今回のBSE発生事態により、国民皆様信頼を著しく損なったことを深刻に受けとめております。人間の生命維持に欠くことのできない食料その他の農産物供給機能多面的機能を有する農林水産業施策推進に当たっては、国民皆様理解と合意、そして何よりも信頼が重要であります。一日も早く国民皆様信頼を回復するため、情報の開示を徹底するとともに、御批判、御意見に対して謙虚に耳を傾け、幅広く支持される政策展開に向けて努力してまいります。このためには職員一人一人の意識改革が欠かせません。私自身がその先頭に立って全力を尽くしてまいります。  委員各位におかれましても、農林水産行政推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。
  4. 常田享詳

  5. 野間赳

    ○副大臣野間赳君) 農林水産大臣を拝命をいたしました野間赳でございます。  武部大臣を補佐をいたしまして、岩永大臣政務官ともども、我が国農林水産行政振興発展のために力いっぱい頑張ってまいりたいと思っておりますので、委員長さん初め委員皆様方のよろしき御指導をお願い申し上げまして、ごあいさつにいたしたいと思います。(拍手
  6. 常田享詳

  7. 岩永浩美

    大臣政務官岩永浩美君) 農林水産大臣政務官を拝命いたしました岩永浩美でございます。  武部大臣もと野間大臣の御指導もいただきながら、諸課題全力を傾けてまいりたいと思っております。  委員長初め委員各位は、それぞれ、農林行政に大変深い御理解と造詣のある方ばかりでございますので、さらなる御支援と御助言を賜りますように心からお願いを申し上げて、ごあいさつにかえます。  よろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  8. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 農林水産に関する調査議題といたします。  この際、便宜私から、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び無所属の会の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫君の共同提案による野菜等品目に係る一般セーフガード確定措置発動に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     野菜等品目に係る一般セーフガード確定措置発動に関する決議(案)   本委員会は、去る三月二十九日、ねぎ、生しいたけ及び畳表の三品目について、一般セーフガード発動に向けた政府調査終了を待っていては、国内産地の崩壊を招きかねないとの判断から、暫定措置を速やかに発動するよう決議を行ったところである。   その後、政府は、当該品目について、四月二十三日より、一般セーフガード暫定措置発動し、生産者を始め関係者とともに国際競争にも耐え得る体質の強い国内産地体制の確立を図るため、平成十三年度から四年間の構造改革を実施すべく、その体制づくりに着手している。   生産者安心して農業生産に取組み、消費者にとって安全で良質な国産品供給されるようにするためには、秩序ある輸入体制を確立することが不可欠である。   政府は、早急に政府調査結果を公表し、日中間の話合いによる解決に努めるとともに、暫定措置の期限である十一月八日までに中国との間に協議が整わない場合、WTO協定のルールに則り暫定措置期間終了後、速やかに本措置発動を行うべきである。   右決議する。  本決議案を本委員会決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に対し、武部農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武部農林水産大臣
  10. 武部勤

    国務大臣武部勤君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。     ─────────────
  11. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のうち、牛海綿状脳症問題に関する件の調査のため、本日の委員会国際獣疫事務局アジア太平洋地域事務所特別顧問小沢義博君、那須野農業協同組合肥育牛部会部会長木下政夫君、全国消費者団体連絡会事務局長日和佐信子君及び全国食肉事業協同組合連合会会長福岡伊三夫君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  13. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 農林水産に関する調査のうち、牛海綿状脳症問題に関する件を議題といたします。  まず、去る十月十一日及び十二日に行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。田中直紀君。
  14. 田中直紀

    田中直紀君 理事田中直紀です。  十分ほど時間をいただきまして、委員派遣の御報告を申し上げます。  我が国において初めて牛海綿状脳症発生したことによって、国民は大きな不安を抱いております。また、畜産農家等関係者は深刻な状態にあります。こうした事態に対処し、国民の不安や疑問に積極的かつ的確にこたえ、国産牛肉安全性に対する国民信頼を早急に回復することが極めて重要であるとの考えもと、去る十月十一日、十二日の二日間、東京都、千葉県、茨城県の五カ所を訪れ、牛海綿状脳症問題、以下BSE、の実情を調査してまいりました。  派遣委員は、常田委員長太田理事国井理事和田理事紙理事松山委員三浦委員郡司委員羽田委員鶴岡委員渡辺委員岩本委員中村委員、そして私、田中の十四名でございます。  以下、調査の概要について御説明申し上げます。  まず、東京中央卸売市場食肉市場に参りまして、屠畜検査及び食肉処理並びに競りの現状調査するとともに、関係者意見交換を行いました。  今回のBSE発生に対応して、東京都においては、消費者サイドに立った危機管理体制と行き過ぎた風評被害を防止するという考えもと、まず初動体制として、同居牛食肉市場に入荷していないかの確認を行い、また肉骨粉が給与された牛が市場に入らないようにするため、牛の経歴書を義務づけたほか、肉骨粉の非使用証明書を都の家畜保健衛生所で発行することとし、他県にも非使用証明書を発行するよう要請しているとのことでありました。  十月十八日からの全頭検査に向けた対応について委員から尋ねたところ、開始時期が早まった関係導入を予定していた高性能機械が間に合わず、衛生局の他の部署からの応援を得て対応するとのことであり、個体ごと分別保管方法等については、業界との間で最終的な詰めを行っているとのことでありました。  また、BSE発生による影響についての委員からの質問に対しては、発生以後入荷量が激減し、また、価格については特に中物以下が大幅に下がったことから、仲卸等関係事業者は厳しい状況にあるとのことでした。  さらに、特定危険部位処分方法については、感染有無にかかわらず全部取り除き、即日清掃工場焼却処分することにしているとのことでありました。  なお、委員からの背割り等についての質問に対し、東京都としては、その扱いについて国で全国的に統一された処理基準を示してほしい、場合によっては肉の流通形態そのものを変えざるを得ない面もあり、その影響は大きいとのことでありました。  次に、千葉県庁に参りまして、千葉県、白井市及び畜産関係者意見交換を行いました。  我が国酪農の発祥の地である千葉県は、畜産の粗生産額が約九百八十億円で全国第六位という我が国有数畜産県となっております。このように畜産の盛んな県において我が国初BSEの発症が確認されたということは、関係者は非常に大きな衝撃を受けておられました。  最初に、堂本知事及び千葉牛海綿状脳症防疫対策本部事務局長の大槻副知事から、BSE問題の現状及び対策について説明を受けました。  千葉県においては、牛肉安全性確保のため、徹底した情報公開を行う方針のもと、二十名のチームを編成して対処してきたところであります。また、国に先駆け、牛由来肉骨粉はすべての家畜で使わないという自主規制を打ち出すとともに、肉骨粉の混入がないよう飼料検査を徹底し、今後、県内での飼料自給率向上を目指すということでありました。  また、一、農場等での死亡畜獣焼却施設を県を超えたブロック単位で設置すること、二、牛の移出入に当たって、当該牛飼育過程証明書の発行を制度化すること、三、肉骨粉焼却処理への財政支援、四、生産者を初めとする関連業者が受けた風評被害による損害に対する支援等、八項目の国への要望を挙げられました。  次に、中村白井市長から、正確な情報の収集及び市民への伝達・提供、当該農家への経営支援等対策を講じている、当該農家においては、こうした事態にめげず酪農を続けていきたいという強い意欲を持っている旨、述べられました。  次に、千葉酪農業協同組合連合会奥澤常務理事から、原因早期究明価格下落に伴う所得補償対策等要望が述べられました。  委員より、今回の問題における縦割り行政の弊害について尋ねたところ、これからは総合行政時代とされる中で、担当部局の壁を超えて対応していく方式をとらない限り、また同じような事態が生じかねないとの指摘がなされました。  次に、茨城県神栖町の配合飼料工場に参りまして工場視察意見交換を行いました。  視察した配合飼料工場は、年間生産量が六十万トンであり、一工場としては我が国最大規模となっております。  肉骨粉については、以前はニュージーランド、オーストラリアから輸入していたが、近年は主に国産を利用しており、月に最高約六百トン使用していたとのことでありました。  そこで、委員より、牛用飼料への肉骨粉の混入の可能性について質問したところ、牛用は加工度が高く、豚や鶏用のものとは全く形状等が異なること、牛用の生産は集中的に行うことから、混入することは考えられないとの説明がありました。  次に、農林水産省動物検疫所成田支所に参りまして、検疫施設の視察を行うとともに、その実施状況について説明を受けました。  動物検疫所においては、家畜の病気の侵入防止等のため、生体の動物と肉製品などの輸出入検査、狂犬病やエボラ出血熱のような感染症の日本への侵入を防止するための検査を行っていますが、国際化に対応した大量、迅速かつ厳密な検査が求められる中で検査体制の充実を図っているとのことでありました。  最後に、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所、以下動衛研、に参りました。  動衛研は、BSEについて、十年前からイギリスに研究員を派遣して共同研究と専門家の養成を図っており、農林水産省BSEサーベイランスにおいて技術的なアドバイスと確定診断検査を実施するという位置づけになっております。  委員より、今回の発生において動衛研での最初の検査で陰性の結果が示されたことに関し、検査会社のマニュアルと異なる方法を用いた点について尋ねたところ、一、国際的なBSE診断の基準は、延髄かんぬき部の病理学的な検査とされていること、二、欧州協議会において、かんぬき部の隣接部を用いた免疫学的な検査でも一〇〇%診断可能という報告が出されていること、三、日本のようにBSE発生国において初の発生例を診断するためには、かんぬき部は病理学的な検査での使用が不可欠であることから、いたし方なかった。また、陰性という結果になった原因については特定されておらず、検査キット会社からもかんぬき部を用いなかったことが原因になったという指摘はない。異常プリオンの分布が不均一であった可能性等も否定できないとの認識が示されました。  今後は、我が国BSE発生国となった現状を踏まえ、異常牛の早期の発見と迅速な診断を骨子とした広範なサーベイランスが一層重要であり、エライザ法でのスクリーニングを都道府県家畜保健衛生所でできるようにして、疑わしいと判断されたものについては動衛研で確定診断するという体制をとることとしているとのことであります。  また、今後の研究で重要な点として、一、BSE診断の標準化、二、早期生前診断法の開発、三、迅速な安全性評価法の検討等を挙げていました。  なお、動衛研に向かう車中で、厚生労働省の研修において疑陽性の反応が出たとの情報を得たことから、その点についても詳細な説明を求めました。  そこで、厚生労働省農林水産省連携に関し、委員より質問したところ、要請があれば食肉検査に対し動衛研としても協力する体制はあるとしており、BSEサーベイランスに二系統存在することについては、動衛研は国からの依頼を受けて検査する立場であり、国で検討してもらいたいとの見解が述べられました。  以上が調査の概要であります。  その後、去る十八日に食肉処理場における全頭検査開始され、農林水産及び厚生労働の両大臣から「牛海綿状脳症BSE)の疑いのない安全な畜産物供給について」との大臣談話が出されましたが、現場はいまだ混乱しており、円滑な焼却処理の問題など課題も残されていることから、牛肉安全性に対する国民信頼を回復し、畜産農家が自信を持って生産、出荷できる環境をつくるため、本委員会において議論を深めていく必要があるものと思われます。  最後になりましたが、BSE発生農家を初めとする生産者や食品関係事業者等の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、BSE発生以来、緊急対策原因調査に取り組まれている関係各位に深く敬意を表します。また、当委員会調査に当たりまして、繁忙の中、格別の御協力を賜りました現地の皆様方に厚く御礼を申し上げまして、報告を終わります。
  15. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 以上をもちまして派遣委員報告終了いたしました。  参考人が席に着かれますので、しばらくお待ちください。     ─────────────
  16. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 本日は、牛海綿状脳症問題について参考人意見聴取及び参考人に対する質疑を行います。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。まず、小沢参考人木下参考人、日和佐参考人、福岡参考人の順序で、お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと思います。  それでは、まず小沢参考人からお願いいたします。小沢参考人
  17. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 本日は、私、OIEを代表して出席ということではなしに、ヨーロッパで長い間BSEを担当していました経験をもとにしていろいろ御意見を申し上げたいと思います。  じゃ、OHPをお願いします。(OHP映写)  最近の新聞その他の記事を見ていますと、かなり誤解をしている、この病気に対する認識が非常に間違っているんじゃないかという心配があります。それがこのパニックを引き起こした一つの原因ではないか、まずそれを正すべきではないかと思います。  それは、この病気は実は伝染病ではないんです。御存じと思いますが、トランスミッシブルという伝達性疾患ということで、どうも皆さん、新聞、一般の方は伝染病と誤解をしている。ですから、例えば屠場に一頭発生するとみんな伝染してしまうのではないかという心配があるようで、極めて遺憾です。そこで、これをまず払拭する必要がある。  この病気は、ここにも書いてありますように、実は肉骨粉を通して、牛、そして食肉その他の製品を通して人にかかる、直接牛から人間にはかからない、また人間から人間にもかからないということがはっきりしています。したがって、CJD、バリアントCJDと言われているものは、人から人へはうつりません。また、狂牛病も、牛から人にもかかりません、直接はかかりません。  もう一つよく言われることは、これはHIV、エイズと同じように非常に怖い病気であるという印象を与えられていますが、これもかなり誤解がある。HIVというのは伝染病、人から人へうつります。しかし、狂牛病とは違います。もちろん、プリオンという病原体も違いますけれども、そういった伝染病と伝達性疾病との違いというのは全く違うもので、これをはっきりメディアも伝えてもらいたいということが一つあります。  それから、HIVの場合は今までに約三千三百六十万人ですか、そういう患者が出ているわけですけれども、CJDは今のところ百十一人という、比較にならないほど発生した人の数は少ない。これをHIVと同じように扱うというのはちょっとオーバーではないかと思います。もちろん、類似点はあるんですが、その類似点というのは、潜伏期間が非常に長い、それから免疫抗体ができない、したがってワクチンがないということはありますけれども、その他二、三の問題はありますけれども、HIVの方がはるかに私から見れば怖い病気であるということが言えると思います。  それから、この病気は非常に広がりが遅い。そういう意味では、日本にこんなに早く来るとは実は私も思っていませんでした。それが早く見つかったということ自体がむしろよかったのではないかと私は思っております。これがおくれますと、もちろんますます広がってしまうという問題があります。  次、お願いします。  よくテレビなどでも使ったんですけれども、牛の臓器の問題です。牛そのものは怖くない、さわってもうつりません。屠場の人は一人もかかっていません。それから、一番問題は脳と脊髄、この部分が、脳は約六四・一%のプリオンがたまっています。危険なものがたまっている。それから、脊髄には約二五・六%がある。合計すると約九〇%がこの二つの臓器にまとまっているというわけで、そのほかよく言われるのは回腸遠位部、「回腸」と書いてありますけれども、遠位部の約三・三%、それから目と言われますけれども、この目はごくわずかで〇・〇四%しかプリオンがたまっていないというわけで、この四つを取り除けばほとんどの病原体は取り除かれるということなので、特に脊髄とそれから脳、この二つを確実に除くということがこの病気の安全性を保つ最も重要な点だと思います。  次に、英国でそれじゃなぜあんなにたくさん出てしまったのかということは、もう皆さん御存じだと思いますけれども、一九八九年に危険部位が決められて、それを除去して、もう与えないということが決まるまでは例えば今の脳だとか脊髄が使われて、ハンバーガーなどにかなりたくさん使われていた。例えばハンバーガーですと、一つのハンバーガーに約三グラムの脳が入っていたということもみんな知っています。  そういうわけで、そういうものを食べた人が今かかって出てきているんだと。それを取り除いてしまった後食べた人は、肉そのものを食べた人たちはそれほど、まだ発生がほとんどないんではないかと思いますけれども、そういう意味では何を食べたかということが問題で、肉が危ない、あるいはミルクが危ないということではないんです。これをはっきりやはりメディアも認識していただきたいということがあります。  それから、その他、部位をきちっと分けること、九九%以上の正確度でこれを取り除くということがこの病気の安全性を保つ、食肉あるいはその他の製品の安全性を保証するという上で最も重要なことであると思います。  次、お願いします。  今、世界じゅうで狂牛病の発生国といいますと、ほとんどがヨーロッパ、日本は十六番目に発生したと。その後、スロバキアも発生がありました。そういう意味で、今のところヨーロッパ、特に西欧、東欧は二カ国ですからまだこれから、実はこの次に大発生が起こると思うのは東欧系統、その次に起こると思われるのが中近東、その次に起こるのがアジアだという順番に考えられていたのですが、日本は特別早く発生がつかまったというわけで、そういう意味では、これから日本も先進国としていろんなことがわかってくる。アジアのリーダーシップをとる上で、将来はいろんな問題が出た場合に日本意見を聞くということもあると思います。  次、お願いします。  これは英国の場合、発生数は、既に一九九二年、三年以後落ちてきていますけれども、実はまだ一、二%の割で英国の牛に残っているということはほとんど疑う余地がない。にもかかわらず、今まで、一九九六年以後、ことしの初めにかけて約五百万頭の牛が殺処分されました。日本でいうと日本の全体の牛以上のものが殺されたと。余り御存じのない方もおられるかと思いますけれども、こういう仕事は畜産業にとってまさに破滅という状況でありまして、その上、今英国は口蹄疫が発生していますので、また四百万頭殺したというわけで、こんなことが日本に起こったら、日本畜産は完全に滅亡してしまうということですので、この病気の恐ろしさは、後でも御説明しますけれども、打つ手を打つだけではだめ、要するに、法律あるいは行政、立法を立てて、それから、通達を出してもそれを守らなきゃ意味がないということではないかと思います。  次、お願いします。  現在、この順番で発生したわけで、アイルランドとかポルトガルで、スイスは割に早くから発生があった。これはなぜかというと、EU諸国が肉骨粉を使わないということを決められましたら、EUの国ではないスイスに流れ込んでしまった。というわけで、スイスは非常にそういう意味では痛い目に遭っているわけで、この業界は非常に連絡網が発達していまして、一カ国で売れなければ次のところへ持っていく、翌日には東から西の隅まで行ってしまう。もちろん国境はありませんので、そういう意味ではフリートレードというわけです。  次、お願いします。  それから、最近になって、ヨーロッパでまたポジティブ、陽性のものがかなり見つかっています。これはなぜかというと、去年あたりから新しいプリオンの検査方法というのができまして、日本でも始めたばかりですけれども、この方法を使って調べると、症状が出ていなくても感染しているものが見つかってきたわけです。  ドイツは、二〇〇〇年、昨年かなり頑固に絶対にないと言い張ったんですが、この検査方法によって新しく症状のない狂牛病にかかっている牛が見つかってきた。かなりの数が今ふえておりまして、現在ドイツでは百十二ポジティブ、陽性というふうになっています。  これから日本はどうなるかということは、来年になってみないとわからないと思いますけれども、ことしの暮れまでにある程度の予測はできると思います。  次、お願いします。  ヨーロッパでとられた今までの対策をごく大まかに整理してみますと、一番上の反すう獣由来の飼料の反すう獣への使用というものを禁止した。それが英国では一九八八年、スイスで一九九〇年、それからヨーロッパ連合、EUでは一九九四年にそれぞれ対策がとられました。そのほか、牛の指定臓器の使用禁止も、一九九〇年英国で、それからスイスが一九九六年、それからヨーロッパ連合が二〇〇〇年。そういったわけで、一番重要なことは、一番下のすべての動物由来の飼料家畜への使用禁止、英国が一九九六年、それからスイスが二〇〇一年、ことしの一月一日から、ヨーロッパ連合もことしからというわけで、これでスタートラインに達したわけです。すべてのヨーロッパの国が検査を始めた。日本もこの検査が始まりまして、そういう意味では日本もヨーロッパ並みに始まったということになるわけです。  次、お願いします。  肉骨粉を含む飼料の全面的な禁止というのはイギリスが一番早くて、その次フランス、二〇〇〇年ですね、それからその次にスイス。それから、特定臓器危険部位、これの使用禁止をしたのが英国が一九八九年、それからスイスが一九九〇年。結局、屠畜場における検査が始まったのがスイスで一九九九年、フランスが二〇〇〇年、それからドイツが昨年、それからその他のEUはことしからというわけで、大体皆スタートラインがことしから始まったと。  ヨーロッパの幾つかの国の例も御質問があれば御説明いたしますけれども、大体皆さん、どの国も同じようなことを現在やっております。日本もこれからいろんな仕事を始めるわけですけれども、それについては御質問に従ってお答えしていきたいと思います。  日本でとられた対策としては、プリオンの検査体制肉骨粉の全面禁止というのはヨーロッパ並みであって、これはこれから確実に進めていけばヨーロッパ並みの結果が出てくるとは思いますけれども、難しいのは、いかにその後の対策、いろいろな対策をどういうふうに進めていくかということではないかと思います。  それからもう一つ、やっぱり食肉や牛乳の安全性情報キャンペーンというものをもう少し活発に行う必要がある。  それから、一番重要なことは、この病気の対策の重要なポイントは、ただ単に法律や規則をつくるというだけではなしに、これを監視する、監督するという、そういうシステムをきちっとしておかないと、裏口から流れ出すという心配があります。  では、最後のOHPをお願いします、BSEの検査体制の種類という。  幾つか重要なことは、検査体制で八つの検査方法がありまして、その検査方法をこれからどうやってきちっと進めていくかということがこの病気の撲滅の成否を決めるポイントだと思います。  一つは、農場での症状検査、これはやっていますね。これもずっと続けていく。それから、屠畜場の生体検査、これもきちっとやっていかなきゃいけない。それから三番目がプリオンテスト、これも始まりました。それから四番目が食肉製品の検査、これもこれからやっていかなきゃいけない。脳、脊髄等の神経組織が実はいろんな食肉にまざる、まざっている、そういうものを検出していくということが重要ではないかと思います。それから陽性牛の追跡調査肉骨粉の検査方法、これはエライザ法その他の方法で着実に検出していく、検査を厳しくすると。それから、加工食品、医薬品それから医療品、化粧品等の生産国のチェック、どこでつくったかということを調べる。それから環境汚染の監視。そういったものをこれからきちっとやっていく必要があるかと思います。  では、時間も過ぎましたので、あとは御質問にお答えすることといたします。
  18. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ありがとうございました。  それでは、次に木下参考人にお願いいたします。木下参考人
  19. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 私、ただいま御紹介をいただきました栃木県大田原市より出席をいたしました那須野農協肥育牛部会の木下政夫でございます。  今回、当委員会において参考人として意見を述べる機会をいただきましたこと、全国畜産農家の代表といたしまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  まず、私の経営を御紹介いたします。  水田が六百アール、そのうち休耕も含めまして麦作二百九十アール、大豆が同じく二百九十アールを作付しております。和牛の肥育でございますが、六十五頭の肉牛を肥育し、繁殖牛も十五頭ほど飼っております。その繁殖牛の中から子牛が生まれますので、育成牛として十三頭、合計九十三頭の複合経営を行っているところでございます。  平成十二年、和牛の肥育牛の実績は、二十七頭の出荷で平均枝重は四百六十六キロでございます。枝肉単価千九百五十六円で、売り上げも九十万六千円余となっておりますが、私も学校を卒業以来四十年近く牛飼いを行っておりますが、これほどの打撃は過去に例はなく、牛肉風評被害の大きさには驚きと、今後の肥育経営には大きな不安を持っております。  平成十三年九月十日にBSEが疑似発症し、さらに九月二十一日には真症と確定されました。これに関連し、国の情報及びテレビ、ラジオ、新聞等の報道に伴う風評被害発生し、一般消費者国産牛肉に対する不信感発生、さらには全国各地の学校給食での牛肉の利用中止等により、牛肉の消費が急激に減少し、量販店での売り場から国産牛肉が姿を消すというような事態に至っております。  千葉県でBSE発症の牛はもともと乳牛の廃用牛で、一般的に焼き肉やステーキの素材ではないのであり、我々の肥育した牛肉とは販売目的が違う牛肉も同様の牛肉扱いにされ、新聞やテレビの報道により牛肉の消費被害が拡大してしまったのであります。牛乳を生産する目的の牛と我々の牛肉が混同し、消費者が混乱の中で錯覚を起こすような報道の責任は重いのではないでしょうか。  このような中で、肥育経営、繁殖経営に関して各種の問題点が発生しております。  平成十三年度の東京食肉市場の枝肉単価、枝肉卸価格でございますが、八月期までは安定して推移いたしました。九月十日のBSE疑似患畜の発生、それに伴うマスコミ報道により一挙に下落をした次第でございます。  例えば、九月十一日に開催の当JAなすの肥育部会の枝肉研究会がございまして、三十頭の出品牛で、枝肉単価が千八百九十四円、枝売り上げ九十二万六千円でありましたが、九月二十六日、JAなすの大田原支部の枝肉研究会では、二十八頭規模の枝肉単価は千四百七十六円、枝肉売り上げも六十八万円となってしまったわけでございます。さらに十月十一日、東京食肉市場開催された六十二頭規模での全国の和牛生産者の枝肉共励会においては、単価が千三百四十六円、また枝肉売上高でも六十二万六千円にとまったわけでございます。  ここで、和牛肥育一頭当たりの生産費を見ますと、和牛では飼料費、資材費、出荷費用を含めまして約三十万円かかるわけでございます。これに素畜価格を加えるものが生産費となりますが、ところで最近の素牛価格を見ると、じりじりと高値で推移してまいりました。九月期の全国平均去勢牛の市場価格は四十万一千円、栃木の矢板市場においては四十五万九千円で、手数料、運賃を加えますと四十五万から五十万円となります。これに肥育生産費を加えますと、利益なしの直接生産費で七十五万から八十万円となるわけでございます。先ほどの売上高と比較すると、大変な赤字経営になるのがおわかりだと思います。  このようなことから、当然、素牛価格にしわ寄せとなり、肥育経営ばかりでなく繁殖経営に対しても重大な影響を与える結果となっております。  そこで、繁殖経営について申し上げますと、平成十三年度は順調に推移し、栃木矢板市場の九月期の価格は雌去勢として平均四十四万円でしたが、十月期に入りますと、BSE影響で平均価格が三十五万九千円となり、八万一千円の価格低下になったわけでございます。  現在の枝肉卸売価格の推移で見ますと、まだまだ安値が予想され、現行の保証基準価格の三十万四千円を下回ることが考えられるわけでございます。これが長期になりますと、繁殖経営に重大な影響があると考えるわけでございます。  以上、BSEにおける窮地に陥っている生産現場の状況を述べましたが、ここで国に対しまして要望がございます。  一つとして、BSEの一日も早い発生原因の解明、消費者信頼を回復する手だてを実施し、学校給食の再開及び牛肉安全性をPRしてほしいと思っております。  二つ目として、肉用牛肥育経営安定対策事業、新マル緊事業と申しますが、肉用子牛生産者補給金制度、子牛不足払い制度発動基準の特例措置、上乗せを実施してほしいと思っております。  三つ目として、大家畜経営維持資金の償還期間の延長でございますが、一時払いを複数年にしてほしいわけでございます。牛の肥育は約一年半から二年を要しますので、一年では到底返せる道理ではないわけであります。  四つ目として、昨年の口蹄疫とこのたびのBSE発生に伴い畜産経営が悪化しているために、家畜排せつ物法の猶予の延長をぜひともお願いしたいと思っております。  五つ目として、屠畜場での病畜の受け入れ体制が非常に今困難になっております。死亡獣畜処理ルートを確保してほしいわけでございます。  六つ目として、全頭検査後の屠畜制限に伴う出荷繰り延べに対する方策をぜひとも講じてほしいと思っております。  以上、六つの要望をお願いいたす次第でございます。  最後になりますが、日本の和牛は一頭一頭血統証明書を持つ素牛を愛情を持って個体管理により飼育し、世界に誇れる世界一おいしい牛肉であると確信しております。前に述べたとおりの風評被害により消費が激減している状況の中で、今回より世界一厳しいBSEの全頭検査が実施され、これに合格した牛肉のみが販売されることからも、消費者の皆さんに対する安心、安全のPRをますますお願い申し上げます。  我々生産者も今まで以上に衛生管理に注意し生産振興に努力いたす所存でありますので、国におかれましてもさらなる御支援、御指導を賜りますよう念願申し上げる次第でございます。  私のところにも後継者が就農しておりますが、昨年の口蹄疫、このたびの狂牛病の影響により収入も大幅に減少しており、不安の毎日を送っている次第でございます。このことは、全国の肉用牛経営者にとりましても全く同じ気持ちであろうと思っております。  再度、日本畜産業を守るためにも一刻も早く消費回復の施策をお願い申し上げまして、私の意見といたします。  大変ありがとうございました。
  20. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ありがとうございました。  それでは、次に日和佐参考人にお願いいたします。日和佐参考人
  21. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) BSEについてここで意見を申し上げる機会をいただきまして、大変感謝申し上げます。  お手元にレジュメがございますが、それに従って申し上げます。  今回のBSE発生に関して行われた施策の問題点と今後の課題について、これから農場から食卓までの食の安全性推進するためにどのようなことが必要なことなのであろうかということについて申し上げたいと思います。  現在、全頭プリオン検査が開始いたしまして、状況は一応平静を取り戻しつつあるように見受けられます。  この際、BSE発生から今日に至る経過について、これは私は、事態よりも必要以上に問題は拡大したと受けとめておりまして、どうしてこのように拡大してしまったのか、そのことについて検討し、今後の課題は何なのかということをきちんと考えておかなければならないと思っているわけです。  まず第一に、最大のミスは誤報による不安の増大だったと思っています。もうこれはいろいろなところで言われていますけれども、非常に重大なことですので、やはりきちんと確認しておくべきだと思います。  それは、九月十日にプレスリリースがあり、疑陽性、疑われるものが発見されたというプレスリリースがありました。十一日に関係者を招いて説明会が開催されました。これは農水省によってなんですが、この対応は私は非常に早かったと思っているんです。一般の私たちは、マスコミによってしかほとんど情報を得ることができないというのが日常でして、なかなか直接お話を伺うことは難しいわけなんですが、翌日説明会が開催されたということは、非常に私はやり方としては早く情報を開示されたというふうに評価をしていたわけなんですが、実はその情報の中身に大きな問題があったということですね。  一つは、その場での説明でBSEに罹患した牛は焼却処分されたという報告でしたけれども、それが十四日になって、実は肉骨粉になっていた。肉骨粉BSEを伝播するもとになっているということなわけですから、非常に重要な問題なわけですね。BSEに罹患した牛が肉骨粉になっていた、これはまさに重要な問題でありました。  それと同時に、行政指導によって肉骨粉の牛の飼料への利用は禁止している、それは徹底しているから大丈夫だ、安全ですという説明であったわけですが、御存じのように、その後、九千頭を超す牛に、調査の結果、肉骨粉使用されていた。要するに、指導は徹底していなかった、知らなかった。通達というのは、伺いますと、こんなに厚くどんどんと来るそうです。ですから、それをすべて完璧に行うということは非常に難しいことだと現場の方もおっしゃっていました。  そういう事実があったわけですね。これは、重大なことに関して、しかもその重大な二つのことに関して誤報であったということです。ここがやはり問題を非常に拡大した大きな要因になっていると思っております。  その後、総合的な政策が検討されないまま次々と対策が打ち出された。そのことがかえって消費者に不安を増大させたという形になっています。  例えば、肉骨粉の製造を全面禁止いたしました。これは、鶏それから豚も禁止したわけですね。したがって、私の身近でも、えっ、豚や鶏も危ないんですか、危ないのかしらという声が聞こえてくるぐらい、それは誤解を伴うわけですね。余りにも過剰な規制に走ったがゆえに誤解を伴って受けとめられていたという事実です。  また、全頭プリオン検査の月齢に関しても、二十四カ月から三十カ月までは症状のあるもの、三十カ月以上は全頭、二十四カ月以下は検査はしなくてもいいという方針が最初打ち出されたわけですけれども、結果的には全頭検査になった。これは、最初から全頭検査ということで説明がなされていたならば混乱は起きないわけですね。それが、緩い規制からきつい規制へと次々と規制のレベルが変わるわけですから、事態はそんなに重大なのかなという受けとめ方を一般の消費者はしてしまうわけです。  それに、厚生労働省による加工食品等で危険部位が使われていないかどうかの調査をするようにという通達。  それから、全頭プリオン検査の結果の報告なんですが、最初のスクリーニングで当初は公表するという発表だったわけですが、いや、そうではなくて国の方針としては確定してから発表するということになりまして、正確な数字ではないかもしれませんけれども、十四の道県においては、自主的にそれはスクリーニングの段階で発表するということになって現在来ております。  このように、非常に政策が一貫していないんですね。このことがやはり消費者に不安を増大させる大きな要因になったと思っております。  それと、情報の提供のあり方です。情報を正確にわかりやすく丁寧にきちんと提供するというのは、非常に技術が要ることだと私は思っておりまして、また同時に、その情報をきちんとわかりやすく提供するということが非常に大きな役割を果たす、逆に大きな役割を果たすことであるとも思っております。  ですから、やはり専門広報官が必要だなということを今回つくづく感じました。なぜかといいますと、日常的に本当に忙殺されて、ほとんど徹夜徹夜で十分な睡眠をとっていないでいらっしゃるであろう担当官が説明をするわけです。疲労も重なっていますし、かなり厳しい質問も飛び交うわけですね。そういたしますと、どうしてもお答えする方が、ちょっと品のない言い方ですが、気分が冷静でいられなくなってしまう、そういう回答の仕方になってしまうわけです。そうすると、聞いている方は、これは一体説明されているんだか何だかという非常に不信感と不満とを感じてしまうわけです。  冷静にわかりやすく丁寧に説明するということが非常に重要ですし、当初から牛乳や肉は大丈夫大丈夫、安全ですということはおっしゃるんですけれども、なぜ大丈夫なのか、なぜ安全なのか、食べても大丈夫なのかということについてのわかりやすい説明がなかったんですね。ですから、情報の提供の仕方というのは非常に重要だと思っております。  それと、先ほども申し上げましたけれども、総合的な政策がなくて、その場対応で次々と手を打ってきたという経過ですけれども、やはりこのような場合には総合的なリスク評価を行った上できめ細かい規制が必要。ですから、規制が必要ではないところまで規制をする必要はないわけです。そのようなきめ細かい対策が行われて、やっと私たちは、ああそうなのかということで納得するわけですけれども、総合的なリスク評価が今回は行われなかったと思っています。  そして、リスクと規制の間にやはりきちんとした論理的な整合性があって初めて納得が得られるわけですから、やはり日本は安全だという気持ちがあったのでしょう、日ごろから対策について余り議論がされていなかったのではないかということも考えられるわけなんですけれども、本当に慌てふためいた対応であったと言うことができると思います。  それからもう一つ、マスコミの問題点です。かなりセンセーショナルな記事が出ました。特に東京で発見された疑似のBSEなんですが、それはもうあたかも第二頭目が発見されたかのような報道がなされました。スクリーニングテストというものは、感度を過敏にしてありますからひっかかりやすいです。もともと疑わしいものはひっかけようというのがスクリーニングテストの趣旨ですから、疑陽性で上がってきやすいわけですね。そういう検査方法であるということをきちんと踏まえた上であの東京のケースが報道されたならば、あのようなことにはならなかったと思っています。  報道、マスコミの責任というのは非常に重いものがあると思っていまして、BSEについては、先ほどOIEの方がお話しになられましたように、まだまだわかりにくいことなんです、このBSEというものそのものが。なかなかわかりにくい、一般の消費者にとっては。どうして危険部位、あそこだけにプリオンがたまるのかとか、なかなかわかりにくいわけですね。ですから、もっともっとわかりやすい解説的な記事を積極的に掲載してほしいと思っております。一部新聞では努力してそういうことがなされておりましたけれども、もっともっと解説的な記事が必要だったと思っています。  このようにシロ、クロがなかなかはっきりしないといいますか、発病のメカニズムが明確に確認されていなくて、疫学的あるいは統計学的な見地から対応していかざるを得ないというような特殊な問題、BSEがそうなわけですけれども、BSEを初めとして、ダイオキシンの問題、あるいは内分泌攪乱物質の人体への影響の問題、それからクローン技術は果たして安全なのか、あるいは遺伝子組みかえの技術は果たして安全なのか、さまざまな、すぐにシロ、クロを決着することはできませんけれども、そうかといって完全に安全だと言うことはできないという新しい問題を私たちは食生活のところで抱えています。  こういう問題に対応していくために、私は思うんですけれども、今の食の安全行政というのは不十分であると思っています。ヨーロッパ、アメリカ等でももう既に導入されていますけれども、リスクアナリシスという概念をやはり導入していって、リスクに関して専門家が評価し、その評価したリスクについて関係者との間でリスクコミュニケーション、話し合いを十分に行い、その結果どういう規制の仕方がいいのか、どういうリスク管理をしていったらいいのかということについても十分なリスクコミュニケーション、コミュニケーションがあってそれが行われていくという仕組み、そういう仕組み導入していかざるを得ないと思っています。  行政が、安全だから任せておけ、ちゃんとやっているからというだけではもう対応できない状況になってきていると私は思っておりまして、食品安全行政への消費者の参加、それから専門家のもっと積極的な関与、それから当初の誤報の要因にもなったのではないかと考えられます農林水産省厚生労働省の緊密な連携等、見直していく根本的な問題を私たちは明確にされたのではないかと、このBSEを通して感じております。  以上です。ありがとうございました。
  22. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ありがとうございました。  次に、福岡参考人にお願いいたします。福岡参考人
  23. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) 三人の方々からいろいろ参考を聞かせていただきまして、私どもはマーケティングを抱えている、全国、沖縄から北海道までの小売専門店を抱えておるわけでございまして、そこの刺激が非常に強いというふうなことで、全面的に、最初のうちは、最初の一週間ぐらいは三〇%ダウンぐらいでいったわけですが、十日の日に農水省の方から夜、連絡をいただきまして、十一日に全国へ、こういうふうなBSEが出たというふうなことの発生を通達いたしました。そのことで、一頭であるから大体おさまるだろうというふうな私どもでは考え方基本に持ったわけでございますが、あに図らんや、二週間目に入ったら、五〇%強、多いところでは八〇%の結局は影響力というふうなことで、まるっきり販売の停止になってしまった。  US、オーストのビーフだったらいい、安全だというふうなことで、オースト、USのビーフにかえたところもございます。ただし、私どもは国産ビーフをきちっと販売する業者の団体ですから、やはりなるべくそれを曲げないように販売しろというふうな指示を出しました。  そういうふうなことで行っておるわけですが、先日来、東京発生した第二の疑似陽性というふうなことでちらっと一日出た。あれで大分もう神経が関西の方では即響いたというふうなことで、各県下、全国のブロック会議というのがありまして、私も各県へ出向くんですが、もうどうにもならぬ、小売店は悲惨な目だというふうなことで、厚生省、農林省、各庁に、結局は先生方のところへも、議員会館、一号議員会館、二号議員会館と歩きました。  やはり店舗の融資関係が非常に厳しい、融資をしていただかなければ結局は倒産に追い込まれるというふうな各県からの御連絡をいただきました。これをもって早く融資体制を整えていただきたいというふうなことで、中小企業庁その他国民金融公庫、農水省の方では限度額一千万まで、一年間たったら返済というふうなことで結局は御指示がありましたけれども、それもなかなか思うようにいかぬというふうな体制であったわけです。  こういうふうなことについて、先ほど来から誤報というふうなお話がありますが、やはり過大なマスコミが誤報をしていただいたのでは非常に困る、もう生き死にに関係するというふうなことでございますので、今後ともやはりそういうふうなことのないように、ひとつマスコミ関係でも注意をして、誤報のないような体制をとっていただきたいなというふうに思っております。  先ほど来、小沢先生からありましたように、人間同士の感染はあり得ないと。それで、結局は、脳、目玉、脊髄、小腸、こういうふうな四部位を除けば肉には感染しておらないわけですから、そこいらを強調していただくような宣伝をきちっとしていただきたいなというふうに感じておるわけです。  毎日のように会議をやっておりますが、やはり悲惨だというふうなこと以外には何物もないと。  それで、今までは農林省の場合にはなかなかこのマーケティングの方へは手が伸びないで、生産者志向というふうなことで御指導いただいておるわけですが、私どもも組織団体としては農林省傘下で結局御指導いただいておるわけですが、やはりこの狂牛病、BSEに関しては、末端の消費者の窓口で消費しない限りはやはり価額が形成されない、ふん詰まり状態だというふうなことでございます。だから、市場に出しても価額が出ない、売れません。売れなかったら結局は価額は低落すると、こういうふうな状態がふん詰まり状態で、今、九月十日以後、十三万頭ぐらいが牧野にいるんじゃないかというふうに私も推察しているわけです。そうしますと、子牛が結局は小屋に入りませんから子牛の供給がとまっちゃう。そうすると、子牛の価額が出ない。自然状態の中で結局はそういうふうな全体的な問題点が発生する。それを大きく何か対策を講じていくというふうなことでいろいろ今苦心しておるわけですが、そういうふうなことです。  これをある程度、今まで販売できませんから凍結にしているというふうなことですから、それを何かの方程式で結局は温存させると、凍結で一回保存すると、それでスムーズに流れる機能性をやはりつくり上げるというふうなことが大事じゃないかなというふうに考えておるわけです。  それと、食肉センターでございますが、やはり屠畜場で新しく検査体制をこれを特別負荷させるわけですから、それだけ費用がかかるわけです。地域によっては、行政の方で八百度以上の焼却ができませんというふうなことで窓口でなかなか断られていると、私どもの行政では七百度ぐらいまでしか焼却炉は上がりませんと、こういうふうなところがたくさんあるわけです。そうしますと、その脳、目玉、四部位をどこかやっていただけるところへ運ばなきゃいけない。運ぶということは結局は非常にコストもかかる。毎日の作業でございますので非常にコストがかかる。この整備をぜひとも皆さん、先生方の御理解をいただいて整えていただきたいなというふうに考えておるわけです。  それから、そこから牛、豚を運んでくるわけですね。来ると、足が滑らないように寝わらが敷かれている。そういうふうなものを結局は全部トラックを洗い流しますから、そういうふうな汚泥が食肉センターにたまる。それから、血液、いろいろなものがたまるのですが、それも今、農水省の方でいろいろ思案しておりますが、どうしても焼却する必要があるだろうというふうな考え方基本にあるようです。  そうしますと、その焼却するコスト、これも大変だと。だから、今現在、牛の方の処理関係に、屠殺料イコール検査料というふうなことでありますけれども、それ以上に検査料がかかり、またその汚泥を毎日何十トンかの結局は焼却をする、これにも非常にお金がかかる。こういうふうなことが、今現在、来年の三月三十一日までに食肉センター整備をしろというふうなことで豚に対しては指導いただいておりますし、今全国整備を行っておるわけでございますが、やはりそのほかにそういうふうな焼却関係に対する膨大な金がかかる、こういうふうなことが非常に厳しいなと。  これを、このコストをどこに、普通だとやはり生産者が持ってきておろすわけですから生産者にお支払いしていただくというふうなこと以外にはないだろうというふうに思うんですが、生産者に負荷させたら結局は生産者にリスクがかぶってしまう。どこがこれを持つ必要があるだろうというふうなジレンマがあります。これからまだ検討して進めなければいけないだろうというふうに思っております。  そういうふうなことで、三方いいような形の中で処理体制を整えなければいけないというふうな関係でございますので、やはり先ほど来の小沢先生の御説明、また各都道府県では深刻に受けとめておりますから、消費者の方たちに理解をしていただくというふうなことが非常に大事だというふうに思っておりますので、これからもそういうふうな先生方の御指導をぜひお願いしたいというふうに存じておるわけです。  それで、そのコスト関係が非常にあいまいなんですね。各県ごとに、普通の脳を焼くところへ持っていきますと、一頭分で約九千円、一万円弱かかるところ、その都市で焼ける能力があるところは二千百円ぐらい、この差がたくさんあるわけです。  それと、内臓関係を処理して、スムーズに検査ができて、その検査体を運ぶ時間約十二時間、検査をするだけでは四時間ぐらいですが、やっぱり取った、運んだ、何というふうなことでグローバルで十二時間ぐらいかかるということになると、内臓関係にしてみると鮮度が結局は価値観を生んでいるわけです。その内臓が、本当に一晩とめるということになると、やはり価値観が大分下落してしまうというふうなことの問題点が生じてくるわけです。  それで、その内臓を、芝浦なら芝浦で、一日八百頭の市場の競りが行われて三百頭強の牛が屠殺できると。だけれども、その内臓を、何百社というのが下にいるわけですね、それで処理しているわけですから。きちっと、Aという枝肉にはAという内臓が常について回っているわけです。検査体制が全部済むまではそこにいなければいけない。そうすると、内臓を保管するということになると、冷蔵庫その他もきちっとそれだけの内臓を保管できるような体制組みは整えなきゃいけない。器も必要だし、器だって大きなステンレスの結局はボックス、だけれども、そこの中には二槽三槽で、結局はレバー、何と、こういうふうな区切りのついた水槽でなければいけない。こういうふうなものをきちっと整えるということに対しては非常にこれは大変なことだと、こういうふうなことがこんな簡単に半月、一月で全部整えられないだろうというふうに私は思っております。  そういうふうな点も含めまして、私たちの業界をきちっと整えるまで御指導いただけるように、また先生方の御理解をいただきたいなというふうに思っておるわけです。  そういうふうなことを含めまして、私どもの小売関係の業者、流通業者含めまして、ひとつ御尽力を、御助言をさらにお願い申し上げたいというふうに考えております。  また、皆さんの方から御質問があればそれにお答えし、きょうの参考人としての義務を果たしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  24. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  25. 田中直紀

    田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。  きょうは、四人の参考人の皆さん方には、大変お忙しいところお出かけをいただきまして貴重な御意見を伺わさせていただいて、ありがたく思っております。  私からは小沢参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、我が国で初めて狂牛病の発生確認をされて以降一カ月がたつわけでありますが、大変、消費者あるいは生産者、販売事業者の皆さん方には情報の面であるいは認識の面でいろいろと混乱が生じておるということで、先ほど冒頭にBSE認識をもっともっと広範に確立をしていかなきゃいけない、こういうお話もございましたし、最終的には検査体制、八項目の項目を御提示をしていただいたわけでありますが、芝浦の食肉市場に行きまして、当時は発生後でありましたから、十八日の全頭検査で安全な食肉を提供するということで現在進んでいますが、屠場に行きまして、当然危険部位の問題、きっちり分別されておるかどうか、あるいは脊髄の取り方は、いわゆる飛び散るんじゃないかというような話もございましたし、今の状況で、当時いろいろと屠場で言われておりました解体という中で、今やられておるような状況で出口の方で安全だということで対処すれば、どの程度の、改善は必要だと思いますが、諸外国はどのような状況で対処されておるかということが一点でございます。  それから、行きましたら、このレポートでも報告されておりますが、食肉用と乳用牛ですか、分かれますが、狂牛病の対象は乳用牛で、肉骨粉を栄養補給ということで大量に与えているようなこともあって感染して、日本で発見されたのも乳用牛でありますが、その辺の考え方ですね、その用途によって対処方法が違うのかどうか。  それから、最初に発生をして、英国まで検査を依頼いたしまして、残念ながら陽性である、こういうふうに確定されたのでありますが、先般の疑陽性のときに、これは食肉牛だったものですから、私もちょっと農林水産省におりましたので、せっかくでしたら食用牛を、疑陽性であったら英国まで、日本でもそれだけの検査技術はもうしっかり間違いないんだと、こういうお話をいただいているわけでありますが、やはり二、三英国まで持っていって本当に疑陽性が陰性であったんだということをしっかりと確認をしておいた方がいいんじゃないかなというような、個人的にちょっとそんな印象もありました。その辺三点、まずちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  26. 小沢義博

    参考人小沢義博君) まず第一の屠場での安全性の問題ですけれども、一つやはり気になることは背抜きの問題、脊髄をいかにして傷つけずに取り出すかと。これはできましたらスライドでお見せしたいと思うんですが、今かなり普及してきているのは新しい方法で、非常に簡単な方法で脊髄を抜いてしまうという方法がスイスでも始まりましたし、ドイツでつくられたものですけれども、それがイタリア、スペインなどでも使われるということを聞いていますので、ちょっと時間を拝借してお見せします。(スライド映写)  人間のやることですから、背割りは、その脊髄を避けてやるということはわかるんですが、やはり急いでやっているとそこでミスがあるという可能性がありますので、これを何としても避けたいというわけで、脊髄を抜いてしまうと。  これはちょっと出ませんから、また後でできてから御説明します。  非常に簡単で、バキュームポンプで、チューブを脊髄の方に差し込んで吸い出すだけの話なんですけれども。ちょっとした器械が必要なのはバキュームポンプであるというわけで、ドイツでつくったので約二百十万円ぐらいの価格でできることになっています。それで、これを行えば少なくとも屠場でのコンタミはかなりうまくいくんではないかというふうにヨーロッパでは見ています。  そのほか、英国ではいろんなやり方をやったんですけれども、いまだにこれといって、業者もアクセプトするし消費者もアクセプトするようなものはなかなかできていないというのが実情です。  そういうわけで、できればもっと簡単な方法でできるんじゃないか。そうすると、あとは、そのシステムがちゃんとできれば問題は、もうそれでほとんど屠場内の問題は解決というわけで、残りは、結局のこぎりをどうやって洗うかとか、一頭ずつやる場合ですね、そのくらいの問題になるというふうに考えています。  じゃ、次やってください。  これがそのチューブ、二つ、手に持っているチューブ、それからもう一つ細いのがありますが、この太い方のチューブを頭の、切ったところの脊髄の中に先に入れまして、その中に細い方のチューブを差し込んでいくと。その先がずっとバキュームポンプに通じていますので、中のものがびゅっと飛び出してしまう。  次お願いします。  これが飛び出してきた脊髄なんですけれども、ひものようなものですね。これだけの問題なんです。それから次、この後に背割りをすると。  次、お願いします。  この背割りのときにはもう脊髄はありませんから、残っている神経節とか、そういうものをきれいにバキュームポンプでふき取ってしまうということをします。これ以上きれいにしろといっても、水洗いするくらいが精いっぱいで、むしろそれは汚染を広げる可能性があるのでやらない方がいいと言われています。  これだけでほとんどのものがきれいに除去されるというふうに考えられていますので、このシステム導入すれば、たとえ一頭に陽性が出たとしても、それ全体を処分する必要がなくなる。一頭だけをきちっと仕分けしておいて、それを確実に破棄すれば、その一頭だけで済むと。そういう意味で、経済的にも非常に負担が少なくなるということで、これはヨーロッパではもう日常茶飯事に行われています。それが一つ。  それから、肉牛と乳牛との問題。これは乳牛の方が非常に発生は多かったということが今言われていますが、最近では、乳牛というとかなり、三十カ月以上長い間生きているというものはだんだんだんだん減ってきましたので、そういう意味では肉牛もかなりふえてきたと。比率からいうと、昔のような比率と大分変わってきたということが言えると思います。  疑陽性の問題については、この間の失敗は別として、今後は、できれば翌朝までに疑陽性のものは、もう一回できるだけ早くプリオニクステストといいますか、ウエスタンブロットテストを続けて、疑陽性が出たらすぐやろうという方向に来年の四月から始まるらしいんですけれども、方向に持っていって、できれば一晩のうちにその答えを出してしまうというふうにすれば、何もとまらないでスムーズに流れる。これが今ヨーロッパで始まっているやり方だと思います。できれば一晩のうちに両方の答えを出してしまおうと。  それで、ポジティブと出た場合には、さらにその一頭だけは残しておいて、それを病理組織的な検査をする。免疫組織化学の方法で検査する。それを確定診断として、今度はフィールドへ、いわゆる追跡調査をやって、もともとの農場をどうするかというときに、訴訟問題などが起こると困りますので、その三つを確定診断として、その結果をもってそこの農場をどうするかを決める。それが今ヨーロッパで行われている方法だと思います。
  27. 国井正幸

    国井正幸君 きょうはそれぞれの参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。大変示唆に富んだお話をいただきまして、本当にありがとうございます。  限られた時間で、各会派二十分ということなものですから、答弁含めて、ひとつ簡潔にお答えをいただければと、このように思っております。  それで、先ほど小沢参考人の方から大変貴重な御意見をいただいたと思っております。どんな法律や通達をつくってもそれが現場で守られなけりゃだめだと、まことにそのとおりだというふうに思うんです。  小沢参考人木下参考人にその点についてお伺いをしたいというふうに思いますが、一つは、小沢参考人は、そういう国際獣疫事務局にいらっしゃるという専門家の獣医学的な観点から見てどうなんだろうかと。この肉骨粉等の牛への給餌、これらについてきちっとだめだと言っておるわけですが、それをきっちり守れるのかどうか。  一つは、私が聞く範囲においては、牛が生まれて間もなく下痢をする場合なんかがある。そのときに、鶏用の配合飼料、初びな用ですが、ここの中には抗生物質を一部含んでおるというふうなことから、それを転用して使う場合があるというふうなことなんかも、これは見たわけではありませんが、そんなことをちょっと聞いたことがあります。そういう意味でどうなのかということ。  それから、木下参考人に、やっぱり安全な食品をしっかりとつくって消費者に届けるというのは生産者基本的な責務だというふうに思っておるんですね。そういう意味で、ぜひ、生産現場にいらっしゃるわけでありますから、その決意を込めて、本当にもう短い時間になりましたが、それぞれからひとつよろしくお願いをしたいと思います。
  28. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 参考人の方に重ねてお願い申し上げます。時間が限られておりますので、簡潔にお願いをしたいと思います。
  29. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 結局、英国の場合は二百も三百も通達や法規を決めてやったんですけれども、どれも成功しなかったというのが実情で、最終的にはEUが入っていってこれを全部整理して解決したというところまで約十年近くかかったわけですね。そういう時間のロスは、結局は法律をつくってもそれを守らなけりゃ意味がない。  この病気の一番難しい点は、実はモラルを守るか守らないか、人間のモラルが問われる病気なんです。これは恐らく世界で一番最初に起こった病気だと思います。人間がつくった病気ですから人間のモラルが問われると。そのモラルを守らなければこの病気は淘汰できないということまで言って過言ではないと思います。  その意味で、たくさん法律を出すのもいいですけれども、できれば、それがどうやって守られているか、チェック体制をきちっとつくっていく、これがキーポイントだと思います。チェック体制というのは、ただ単に見てどうだと聞くだけではだめなんで、検査をする、検査方法をつくっていくということがキーポイントだと思います。これをやらなかったら、この病気は恐らく日本から消えないと思います。  それから、もう一つの問題は……
  30. 国井正幸

    国井正幸君 鶏のえさなんというのは。
  31. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 鶏のえさにまぜるということですか。(「肉骨粉のね」と呼ぶ者あり)肉骨粉の問題。  これは、やはり一番のキーポイントだったのは、肉骨粉を初めのうちは鶏とそれから豚にやっていたのが、いつの間にか途中で、生産過程あるいは農家のレベルで間違って使ったりして、いわゆる交差混合といいますか、コンタミが起こったというふうに考えられていますから、これはもしそういう方法をとる場合には、絶対にそういう間違いが起こらないということを一〇〇%保証しなければ危ないんですね。それができるかできないか。検査方法をきちっとつくっておく。まざっていれば、まざったものを与えた場合にはすぐ見つかる、見つけられるという方法をまずつくること、これが大切だと思います。
  32. 木下政夫

    参考人木下政夫君) ただいまの国井先生からの御質問にお答えいたしますが、我々肥育農家にとりましては、特に私は和牛の肥育農家でございますが、肉骨粉使用というのは当然私たちには考えられないことでありまして、私も四十年ぐらい前に肥育を始めたわけでございますが、肉骨粉というのは見たこともない、聞いたこともないような初めてのそういう現物でございます。  たまたまBSE発生いたしまして、えさ屋さんに聞いたところによりますと、乳牛においては受胎がよくなると。乳牛は当然受胎をして出産をしないとおっぱいが出ないということで、受胎をよくするために使っていたえさなんだというようなお話を聞いておりますが、私たち肥育者にとりましては寝耳に水、本当に聞いたことのないような、そんな印象を受けております。  当然、私たちの日本の和牛は世界に誇れる和牛だと信じておりますし、世界じゅうの方々が日本に来るときには、以前にもスキヤキというような歌がはやったように、非常にすばらしい、世界一おいしい牛肉でありますので、ぜひともそのおいしい牛肉を安全、安心もとに私たち生産者は今後もぜひ生産したいと思っておりますが、残念ながら、この肉骨粉が使われていたという事実は、これは消すことができないわけで、我々繁殖農家の一部においては、鶏のえさをやっていたという、そんなうわさも私も、今、国井先生がおっしゃいましたが、そんな話は聞いた、今回の事件によって聞いたわけでございますが、本当にそういうふうに使っていたかと調べますと、おれは使っていないんだというようなお話になっちゃうわけで、なかなか本当の証明ができないわけでありますが、今後とも我々はやはり消費者に安全、安心を届けるんだという、そんな覚悟のもとに精いっぱい努力したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  33. 国井正幸

    国井正幸君 本来、時間があれば、日和佐参考人、福岡参考人にもお聞きをしたかったわけでありますが、我が党の時間が五十一分までと、こういうふうなことでございますので、後は民主党の会派の方に質問を譲るわけでありますが、私どもも政府と一体となってやり得る限りのものはすべてやると、こういうふうな感じで、そういう決意を私ども与党としても持っておりますので、そういう意味では皆さん方も自信を持ってそれぞれの分野でぜひこの狂牛病の撲滅というんでしょうか、こういうことが二度と起きないように、それぞれの分野でひとつ御指導をいただければと、このように思います。  ありがとうございました。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司と申します。  きょうは、大変お忙しい中、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  先ほど来からの話にありますように、限られた時間でございますので、それぞれにお聞きをしたいと思いますので、簡潔にお答えをいただければと思っております。  まず、小沢参考人の方にお聞かせをいただきたいと思いますが、OIEとそれから欧州委員会の判定の基準などが若干統合されるということがありまして、それも聞きたかったのでありますが、そのことはまた別の機会にいたしまして、きょうは一点、私ども、古い文献からどうも読む癖がございまして、先生御指摘のように、スクレイピーからBSEにというようなことが頭の中にございました。先生のお書きになったものを読んで、それはもう今のところ考えられない、逆に、BSEから羊、あるいはネコ類でありますとかシカ類でありますとか、そういうところの可能性の方が強いといいますか、そういう事例の方が当然のように出てきていると。  日本の場合には、今BSEが人にという問題がありますが、これはまたいろんなところで話がされているわけでありまして、このBSEからほかの動物へのBSEという感染日本の中において今後起こり得る可能性がやっぱりあるんではないかな、そういう予測と対策等がございましたらばお聞かせをいただきたいと思います。
  35. 小沢義博

    参考人小沢義博君) スクレイピーとBSEは違うものであると、今はもうすべての方が理解していると思いますけれども、オリジンはどこかまだはっきりわからない。最初は牛だったかもしれない。一頭の牛から発したかもしれないし、あるいは動物園動物をアフリカから持ち込んだ、それにあったのかもしれない。だから、アフリカにオリジンがあるのかもしれないという説が実は今かなり強くなってきています。  そういったわけで、オリジンはわからないんですが、問題は、今おっしゃられたように、さてその牛からほかの動物に行くかどうかということが、今、英国でもかなり大きな問題になりつつあると。既に英国では、羊のあるいはヤギの頭とそれから脊髄は取ってしまう、捨ててしまうということをやっていますので、かなり慎重に対応してきていると思います。ただし、実験的に羊にかかるということはわかっているんですが、いわゆる野外での、自然感染を起こした、BSEにかかった羊はまだ一頭も英国でも見つけられていませんし、スイスでも、あるいはあと二、三の国でも、検査していますけれども、まだつかまっていません。そういう状態です。ただし、猫だとかほかの動物園動物にかかった例はたくさんあります。
  36. 郡司彰

    郡司彰君 小沢参考人にもう一つだけお聞きをしたいと思いますが、今の問題と別にしまして、イギリスなどでは、いわゆる頭部という部分からすると、下の部分だけは許可をしているけれども、ほかのものは全部廃棄というような形になっておりますね。食文化、いろいろ違いまして、日本の場合には、その他の内臓類でも先ほどからありましたように食に供する文化があるわけでありますけれども、このいわゆる四カ所の危険部位というものを除けば、それ以外はもう間違いなく安全だというようなことを先生のお口からお聞かせをいただければと思います。
  37. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 四つの部位とそれに附属している神経がありますね。神経が危ないんです。神経系統の組織ですね。ですから、その周り、頭のある周り、いわゆる頭蓋骨の周りについている神経、これは三叉神経も含めてですね、そういったものをかき出してつくるようなものはぜひ使わないでほしいと。ですから、できれば頭の中はいじくらない方がいいと。  それから、脊髄についても同じで、いわゆる脊髄の周りに神経がいっぱいありますから神経節もあるわけですね。それを機械的に集めたようなものは神経を含んでいますから、これもいわゆる脊髄系統は使わない方がいい。そういうものはぜひ避けていただきたい。神経のあるものは危ないということでございます。
  38. 郡司彰

    郡司彰君 はい、わかりました。  それでは、木下参考人の方にお聞かせをいただきたいと思います。  三百六十五日、生き物を相手にされておりまして、きょうこちらにお見えになるのも大変な中で来ていただいたというふうに思っております。  参考人の資料を読ませていただきますと、混合飼料をお使いになっているということでございまして、配合飼料だけではなくということになるかと思います。  日本の中において、これを機会にもう少し飼料としての自給率を高めてはどうかというような話がされてきておりますけれども、おいしい和牛をつくるということと、今のような混合飼料というものの中に、これからもし日本の中で、草をあるいは稲を材料にするとかいろんなことが考えられるわけでありますけれども、そういう組み合わせの中で日本の中の自給率を高めるということと、おいしい和牛をつくっていくということを両立するようなというお考えがございましたらばお聞かせをいただきたいと思います。
  39. 木下政夫

    参考人木下政夫君) お答えしたいと思いますが、ただいま先生は混合飼料というお話でございますが、実際は配合飼料なんですね。私の場合には、基本的に配合飼料、八%は配合飼料をやっておりますが、あとの九二%ですか、それは大麦あるいはトウモロコシ、大豆かす等をただえさ屋さんでまぜてもらう、そういうシステムでございます。  それで、ただいま、日本として今後自給飼料の増産に向けてどうかというお話でございますが、やはりコスト的にいきますと日本生産したのでは生産費が非常に高く、また、気候の関係上、良質な麦あるいはトウモロコシ等ができない現状でございます。そういうことを考えますと、今はやはり輸入に頼らざるを得ないのかなと。  ただ、問題は、今、スターリンク問題、遺伝子組みかえのトウモロコシの問題がありますが、私も今後のアレルギー問題等にも寄与すると思いますので、大変心配しておりまして、私は、トウモロコシは今一七%ほどの配合をやっているわけなんですが、遺伝子組みかえじゃない純粋なトウモロコシを使用して、消費者に幾らかでも安全をPRしようということで、私の農協においてはそういう方向づけをしたいと思って、一番先にそういう配合をつくったわけでございます。  なるべく自給自足と、これからは本当にそういうことをしないと、海外からもし何かあったときにはもう当然穀物類は入ってこなくなる危険性は十分に含んでおりますので、ぜひとも休耕制度があるうちにそういう確立をしていただければよいと私は思っております。  以上でございます。
  40. 郡司彰

    郡司彰君 もう一点お聞かせをいただきたいと思いますが、農協の理事もなさっているということでございまして、御本人のあるいは平均的な数字でも結構でございますが、法律が変わって、今度堆肥盤を新しくするとか、これまでの借り入れの返済等がある、大変だというようなことが先ほどの話の中にありました。  予測されるこれからの堆肥盤その他の設備を含めて、今どのぐらいの借り入れでやっていらっしゃるか、今後そういうものに対応するようにするとどのぐらいの借り入れだということで、先行き、畜産をこのままやっていくということの元気が出るような数字なのか、大変厳しいということなのかを若干お話をいただければと思います。
  41. 木下政夫

    参考人木下政夫君) ただいま、畜産振興資金等、あるいは堆肥盤の設備等で畜産リース事業がございまして、平成十六年には畜産廃棄物処理法の中で十頭以上の牛を飼う場合には堆肥盤を持たなくちゃ違反になるわけでございます。  そういうことで、堆肥盤の設備というのを逐次進めているわけでございますが、非常に予算づけがない関係上、なかなか申し込んでも、その予算づけが少ないために部会の本当に数%の今範囲で堆肥盤をつくっているのが現状でございます。私も堆肥盤の設置ということでもう三年ぐらい前に申請をしたわけでございますが、なかなかその予算づけがとれないということで大変悩みでもあるし、またこの今回のBSE問題あるいは昨年の口蹄疫によって大変厳しい畜産経営になっておりますので、今度のBSEに関しては、本当にアッパーカットを食らったようなそんな衝撃で、堆肥盤の作製も、今後どういうふうな経営にするかということで大変悩んでおります。  それをまずつくるとすれば、当然長期にわたって畜産経営をせざるを得ないということで、私も後継者が当然畜産を、後継者として畜産を継いでおりますので、そのやるかやらないかの本当に今板挟みというところでございます。この現状が今長引きますと、小さい、十頭、二十頭の小規模の肥育農家あるいは繁殖農家の方も今回は本当にやめざるを得ないのかなと、それも借金をつくってやめる状況でございます。  畜産経営が一頭当たり本当にささいな、二年かかっても十万か十五万の手間しかならない、人件費がならないというような今現状でありますので、ぜひともこの堆肥盤のリース事業に対しましては多くの予算をとっていただいて、それに間に合うような体制をとっていただければと思っておりますが、この問題でまだまだ先の見えない現状でありますので、その猶予期間をいただければありがたいなと思っております。  以上でございます。
  42. 郡司彰

    郡司彰君 済みません、次に日和佐さんの方にお聞きをしたいと思います。  三点ほど時間の関係でまとめてちょっとお聞きをしたいと思いますが、情報公開のことがいろいろと取りざたされておりまして、特に食の安全に関する、例えば食品衛生法の関係ですと審議会の議を経ないと実際は情報がすべて流されないなどということもあって、その辺の改善もあろうかと思っております。  情報公開のあり方についてちょっとお聞かせをいただきたいのと、それから先ほどの意見の中で両省の連携というものをするべきだということが言われましたが、私どもからすると、連携ではなくて一本化をすべきではないかというような考えを持っておりますが、そのことに対しての御意見があれば。  それから、専門官からその広報を行うということ、これも大変大事なことだと思いますが、私どもは実はNGO、NPOというものをもう少し日常、ふだんに育てることによって、そのような形のところからの例えば安全宣言なりというものの方がかえって消費者にとっては安心を与えるのではないかという考えを持っておりまして、その辺のところについて三点ほどお聞かせをいただければと思いますが。
  43. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) 情報公開のあり方なんですが、基本的にはすべて公開をする。公開をする場合、情報を提供する側の方たちが、すべて全部公開してもわかってもらえない、あるいは理解されない、難しいというようなことをおっしゃって、公開する方が選択をしがちです。ですけれども、それではいけないと私は思っておりまして、基本的にはすべて情報は公開する。ただし、情報の伝達の仕方には非常に工夫が必要だと思います。  専門家用の情報あるいは一般消費者、市民への情報、子供たちへの情報。御存じかと思いますけれども、アメリカのFDAではホームページの最初のページにフォー・キッズというような項目まであるわけです。同じ情報が専門家、一般の方、子供たちということで分けて、それぞれ理解しやすいように工夫されて提供されていますけれども、もと基本的な情報はすべて開示されているというやり方ですね。ぜひ日本でも検討をしていただきたいと思っているところです。  それから、農水省と厚生労働省連携なんですが、おっしゃるとおりに私も一本化していくべきだというように思っておりますが、ただ、チェック機能というのをどういう仕組みでつくっていくか、その一本化した場合、そこが一つ問題としては残るかなと思っております。  それから、NGOからの安全宣言なんですが、これは非常に難しいですね。専門家を、かなり高度な専門家を抱えていなければといいますか協力をしていただかなければ、それは無理なことです。私が先ほど申し上げました専門家からの情報提供といいますのは、もっと専門家が発言をしてほしいんです。やはり専門家からの発言というのが非常に少ないと思っています。まず基本は、専門家からの積極的な発言がぜひ行われるようにしていただきたいなと思っております。
  44. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。時間が限られておりまして、もう少し質問をしたいこともあるんですが。  次に、福岡参考人の方にお尋ねをしたいと思います。  先ほどから、工程がふえる、あるいは焼却場の問題が出てくる、それから置いておくための冷蔵庫といいますか施設の問題が出てくる。これらがすべてどこの責任で行わなければいけないかということになると大変難しいんだと思いますが、基本的には今回の問題、行政の中の水際の対応の不手際から起こったんだというような指摘をされる方がありまして、だとすれば、当然そういった問題についてはすべて国がやるんだというような意見もそれはございます。  先ほどの焼却場の問題等は特にそういうことにかかわるのかもしれませんが、特に冷蔵庫その他の、それから屠畜場におきまする血の部分といいますか、そういう浄化をするための装置とかこの辺のところについて、今考えられるスピードからいって、あるいは予算の問題からいって、どの程度の時間でもって対応できるような形がとれるということになりましょうか。
  45. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) ただいまの質問ですが、これが半年かかるか一年かかるか、食肉センターの整備を伴う処理でございますので、その間はやはり国の方でフォローしながら、体制が整い次第、どこで結局は見るか見ないかというふうな論理じゃないかなというふうに感じておるわけです。それで、そこの処理関係に対して、やはり大分落差があるわけですね。高いところも低いところもあるわけです、価格が、処理の、処理料が。そういうふうな問題も統一化をとっていかなければいけないだろうと。  先ほど来、武部大臣が言ったように、産業廃棄物の利用、こういうふうな話が出ましたですね。それで、骨粉関係について、シロのものを骨粉にはできるわけですよね。だから、そういうふうなことを早く、シロのものはやはりレンダリング屋で骨粉にしてペットに与えるとか、ミカンの果樹の堆肥にする、こういうふうなことにすると甘みが出る。こういうふうな現に今まで利用していたところがあるわけですから、そこに事を欠かないように、そういうふうなシロのものについてはやはりレンダリング屋で結局レンダーする。それを全般的にだめだといってコンクリートにするとかなんとかというのは、ちょっともったいない、むだをする考え方じゃないかな、基本的に。そういうふうなところをやはり利用していただきたいなというふうに私どもは考えますね。よろしくお願いします。
  46. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  実は、きょうレンダリング関係の方がいらっしゃいませんので、本当はそのことも質問したかったところ、お答えをいただいたということでございまして、同じ考えでございますので、これから分別と使用法の区別をきちんと行っていくというような形に努力をしてまいりたいと思います。
  47. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。きょうは、参考人の皆さんから貴重な御意見を伺いまして、本当にありがとうございました。  私の方から、今までとなるべくダブらないようにということなんですが、一つは木下参考人にお伺いしたいんですけれども、屠畜場の検査体制等の関係で出荷が少し延ばさなきゃいけない、そういう調整出荷の問題があるんですけれども、これは現場の皆さんの状況で、一カ月ぐらいでそういう調整出荷というのが終わりそうなのか、またはもう何カ月か続きそうなのか、その点お伺いしたいと思います。
  48. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 出荷繰り延べの関係でございますが、私たちは東京食肉市場に今出荷しているわけでございます。検査体制が十八日より整いまして屠畜も始まったわけでございますが、今の現在の屠畜の状況を見ますと、二百頭が精いっぱいのようでございます。それというのは、やはり検査の人員の問題もあろうかと思いますが、やはり焼却の問題あるいは検査に時間がかかるという問題があっての二百頭だと思っておりますが、本来なら三百七十頭の屠畜が行われていたわけでございますが、約一カ月、私ももう一カ月間、十月は一頭も出荷していないわけでございます。そういう方が全国にはもう何万といるわけで、約一カ月間の牛がダブっている感じになるわけでございますが、一カ月間屠場が閉鎖されていたわけではないんですが、やはり半分ぐらいになって、三〇%になって本当に一頭もつぶせなくなったというような状況です。  地方においても、今までは搬入というような、地方でつぶして芝浦市場に上場するというような出荷方法がとられていたわけでございますが、現在は当宇都宮、私たちの郷土は宇都宮の市場でつぶしていたわけですが、やはり焼却施設関係、あるいは検査体制の不備によって一日にいまだにまだ二、三頭か五、六頭のようでございます。本来ならもう五十頭も百頭もつぶせた施設が、今回の検査の体制によってそのように縮小されているということで、大変毎月毎月、この出荷体制は、十月の出荷牛がまた十一月に出荷できない状況になる。また十一月出荷しようとしたやつが十二月になるということで、非常に、今後どの辺まで出荷が繰り延べになるかということで大変心配しているところですが、情報によりますと、まだまだ東京市場も二百頭体制がことしいっぱいぐらい続くであろうというような、そんな状況でございます。  以上でございます。
  49. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 一カ月ではちょっと無理な状況のようだというようなお話でしたけれども、そういう意味では、そういう方々に対する助成、支援というのもやはり一カ月以上必要だというようなお話ではないかな、そのように思います。  次に、福岡参考人にお伺いしたいんですが、先ほどもありました肉骨粉、牛の解体後の使われない残渣等、そういうものを肉骨粉あるいは別な形で処理するのに今、焼却場が足りないと。現状でいっても、既存のものをこれからいろいろ使えるようになったとしても、それでも新たにつくらざるを得ないようなところもあるんじゃないかと思うんですが、そういう処理焼却場を新設しなければならないような状況というのはどのように皆さんは把握されているでしょうか。
  50. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) やはりまだ皆さんが暗中模索だというふうに存じております、食肉センターでは。それで、ここのところ、こういうふうな屠殺規制が行われて牛が屠殺できないというような感じですから、本格的に屠殺ができるようになるとその処理体制は非常に大変だなというふうに存じておるわけです。  それで、これから始まるというふうなことで、八百度以上、千三百三十度というふうなことですが、一センターでこの間業者を呼んで聞きましたら、やはり少しの量であれば十億ぐらいで大体施設はできるだろうと。だけれども、量が多ければ、十トン単位で出るということになると、それがそれではおさまらないだろうというふうにお話を承っております。  だから、そういうふうな点において、やはりダイオキシンその他がありますので、片や食肉センター内で衛生的なものを処理する、そのサイドに焼却炉というのはなかなか難しいだろうと。ある程度距離感を置いたところに処理をする。そうすると、ダイオキシンというと公害関係の認可も必要だというふうなことでございますので、そこいらを相まって結局は努力しなければその設備ができないというふうなことで、周辺の結局は了解も得るというふうな形になりますと、これはなかなか日程が組めないなというふうな感がいたします。周辺の消費者関係の御理解をいただくというふうなことになると、なかなかこちらの日程どおりに進まないというふうなこともありますし、そこいらを相まって努力するというふうなことになろうかと思います。
  51. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうすると、質問の方は、既存の施設をいろいろ使えるようになっても新たにやっぱりそういう新設の処理場が必要になってくる、焼却場が必要になってくるという御認識でしょうか。
  52. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) そうです。
  53. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 はい、わかりました。  次に、小沢参考人にお伺いしたいんですが、先ほどいろいろお話を聞いておりまして、背割り解体法、新しいやり方があるんだというお話で、その折に、水洗いするとかえって問題があるようなお話があったんですが、やはり、今いろいろ屠畜場を見ますと、水洗いしていますよね。ああいうものは逆にしないで吸引という形でやるべきだというふうにお考え、お考えといいますか、ヨーロッパのいろんなものをよく御存じな参考人からの御意見ではそういうことになるんでしょうか。
  54. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 水洗いというのは一時かなりやられて、それで最近では洗った場合にどのくらいの率できれいになるかということまでBSEに関しても調べられたんですが、結局はきれいにならないということが結論づけられて、少しはきれいになるけれども、それだけの価値があるかどうかということが今問われています。スイスなどでは洗わないでそのまま真空バキュームポンプできれいにふき取ってしまう、そういう方法で終わるというようになっているようです。  それから、空気はほとんど汚染されていないということもわかっていますので、屠場は安全である。先ほどの写真でもわかったように、屠場の人は手袋もはめずにほとんど素手でやっているという、マスクも眼鏡もかけずにやっている。むしろ我々の方が心配するようなことで、現地に長い間やっている人はそれほど気にしていない。自分たちはかからないんだというくらい自負を持っているというのでちょっと驚いた次第です。
  55. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 小沢参考人にお伺いしたいんですが、今、先ほど、焼却場等がありますと逆に煙突から何か出てくるんじゃないかとか、焼却が不十分で心配があるみたいなそういう、住民の方もそういう不安もあると思うんですが、ヨーロッパの例ではそういうきちんと八百度以上の焼却場でやれば周辺住民にはリスクはないんだというような、ヨーロッパの方はそういう考えが広まっているんでしょうか。
  56. 小沢義博

    参考人小沢義博君) やはり、英国が一番それの問題に悩んでいる国なんですが、焼却場はもう限られていて、今二カ所ないし三カ所、肉骨粉を焼くところが非常に限られているということがありまして、それにはいろんな条件がつくんだろうと思いますけれども、そこで行わなきゃならないと。一時、口蹄疫がことしの二月に発生したときにはにわかにいろんなところを使ったんですけれども、やはりそれも結局は汚染の可能性があるというわけで、結局指定されたところで全部やるというわけで、BSE肉骨粉はいまだに保存されたまま焼却し切れないというのが現状なんですね。ですから、やはりきちっと決められた焼却場というものを早く決めて、そういったところでちゃんと焼却するようにしないと、いいかげんな焼却はかえって危険であるということになるんじゃないかと思います。  ですから、今、世界の実は問題で、焼却をどうするかというのが畜産関係して大きな問題になりつつあるので、もう燃すだけじゃ恐らく世界じゅう対処できないだろうというくらい言われていまして、新しい方法として苛性ソーダを使って溶かしてしまうとか、全く新しい概念でいこうという動きも出ているわけです。
  57. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 確認したいのは、焼却場から煙とか何か、あるいは水とか外に流れてきた場合にリスクはないのかということなんですが、その点はいかがですか。
  58. 小沢義博

    参考人小沢義博君) きちっと指定されたところではそういう問題はありません。
  59. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 わかりました。  これも小沢参考人にお伺いしたいんですが、日本は残念ながら汚染が一例発生してしまいましたので、汚染国ということになってしまったわけです。これからまた発生がどんどんなければ清浄国に復帰するわけですけれども、先ほどもこういうものの新たな発生を予防する等はやはりモラルの問題が大事だというようなお話もありましたし、チェック体制が大事だということがありました。日本が清浄国に戻る上で重要なポイントがあれば、アドバイスをいただきたいと思います。
  60. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 一つは、これから始まるサーベイランスといいますか、日本全体でどのくらい汚染しているかあるいはしていないかということを早く把握する、これは疫学的な調査も含めてですね。それから、プリオンの検査結果をもとにして、北海道だけなのかあるいは日本のどこが一番汚染しているのかということを早くつかむ、もし汚染しているとすればですね。それに沿って新しい対策をまた少しずつ組んでいくということになるんだろうと思います。  その度合いによってかなり対策も変わってくると思いますけれども、やはり疫学的な調査というのは非常に重要であるというふうに考えています。それは、ただ単に見つけるだけじゃなくて、その見つけたオリジンがどこから来たかと、追跡も含めていろんな調査をするということが重要な方法じゃないか。それとリスクアナリシス、リスク分析ですね、どういったリスクがほかにあるかということを早くきちっと整理しておくということではないかと思います。
  61. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、今回の発生原因の特定についてもそういうサーベイランスが大事だというお話ですけれども、今回、いろいろ政府の方でも調査しているわけですね。しかし、まだ原因の特定、感染ルートがわからないという状況でありますけれども、さらにどういう点を調査していったら、あるいは今までで抜けているような点がございましたら、その原因特定と感染ルートの解明について、アドバイスがあればお伺いをしたいと思います。
  62. 小沢義博

    参考人小沢義博君) これは日本だけの問題じゃなくて、世界の問題になってくると思いますけれども、一つの問題は、どのくらいの英国あるいはヨーロッパオリジンの肉骨粉がどこの国に流れたかということがつかめない。この間の国際会議でも、この問題は各国でやってもらう以外にないという一種の結論に達したんですけれども、もう一つのデータは、FAOが持っている輸出・輸入のデータ、これを使ってある程度のデータを集めようということはやっていますけれども、一番信頼の置けるのは、輸入した国がきちっとどのくらいどこへ輸入したかということをつかむ、肉骨粉ですね、それがやはり重要ではないかと思います。  それをもとにして、どういうふうに流れたかということをある程度把握はできるかもしれないけれども、もう十年前の話ですから、なかなかそういうデータが集まらないというのが実情じゃないかと思います。  そのほか、もう一つ、やっぱりトレースバックといいますか、追跡調査をきちっとできるようにしておくということが今後の疫学的な対処の方法に最も重要な点になってくるんだろうと思います。そういう意味では、ナンバリングを早くやる、そういうことも含めて考えるべきではないかと思います。
  63. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 小沢参考人にいろいろ質問が多くて申しわけないんですが、もう一つ確認のためにお伺いしたいんですけれども、肉骨粉等も肥料の方に使われる場合がありますね。肥料の方に使った場合は大丈夫なのか、そういう不安もやはり、そういう質問も私も受けることがあるんですけれども、ヨーロッパではそういう肥料に肉骨粉がまじった、万一それに異常プリオンが入っていた、しかし、それではそれをもと感染が広がったということがあるのか。そういう肥料の分は心配がないのか。あるいは堆肥、そういう患畜があった場合の堆肥等からの影響で広まったというようなリスクはないのか。その点をお伺いしたいと思います。
  64. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 肥料がもとで広がったということは聞いておりません。少なくともBSEには聞いておりません。ただし、英国の場合なんかですと肥料として使わない、一切焼却処分、それ以外の方法はない。水に流してもいけない、埋めてもいけない、普通の焼き方でもだめ。それから肥料として使わない。肥料として使ったとすると、三年しても恐らく、少しタイターは落ちるでしょうけれども、自然界に残ってしまうという問題がありますので、もし自然界にそういうものが蓄積するとどういうことが起こるかということもまだわかっていないというのが実情だと思います。
  65. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 日和佐参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど日和佐参考人は、リスクアナリシスの概念の導入が大事だということでありまして、そこに消費者が参加することが大事だという、そういう御指摘がございました。  消費者の参加というのがどういう形で入っていけばいいのかなと、その点、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
  66. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) 現在、食品の安全性に関して主に機能しているのは食品衛生法でございます。生産段階では農水省が管轄し、食品の段階では厚生労働省が管轄しという形になっているわけですが、そこの審議会のメンバー構成の中で消費者代表は二名いるんですが、ただしそれは消費者代表という位置づけではないんです。食品衛生法は事業者取締法ですから、消費者の参加という考え方を持っていません。と同時に、消費者への情報の提供という考え方も食品衛生法という法律は持っていません。拡大解釈をしまして便宜上消費者代表を入れている、要するに運用の拡大です。ですから、正式な位置づけではないわけです。  現状がこういうわけですから、政策の策定の場にもっとたくさんの消費者代表を入れていくということ、それだけではありませんで、消費者からの意見を聞く場をたくさん設ける、説明の場をたくさん設けるというような、さまざまな段階での消費者の参画ということは検討されると思っています。
  67. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ありがとうございました。
  68. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。きょうは本当にお忙しい中、ありがとうございます。  早速、ずっと続けてで申しわけないんですけれども、小沢参考人にお願いいたします。  十月十八日に安全宣言が出されたわけなんですが、なお国民の中での不安、不信というのは払拭されていない状況だと思うんです。それで、やはりそれの信頼を回復するということでも、原因となっている問題、感染経路の解明ですね、これはやっぱり避けて通れないというふうに思うんです。  そこでお聞きしたいんですけれども、この感染源となったと思われる肉骨粉、これがイギリスからEUへ、それからそのほかの国へということで流れていったわけですけれども、いわば直接そこからは輸入していないんだけれども、結局、第三国を経由して入るという形が、小沢さんがテレビでたしか言われていたと思うんですけれども、日常的に自由貿易の中ではそういうことはあり得るし、よくあることなんだという話もされていまして、そのあたりの実態について、やはり国際的なところで働いておられたというお立場からそのことをひとつお話しいただきたいことと、もう一つは、やっぱり各国が安全を確保するということでは検疫体制が大事だと思うんですね。迂回して入ってくるということを食いとめるということから考えた場合に、日本の今の検疫体制の中で改善しなきゃいけないことがあるのか、工夫しなきゃいけないとかいうことがあればお聞きしたいと思います。
  69. 小沢義博

    参考人小沢義博君) ヨーロッパに英国から流れたものは、一たんEUの国内に入ってしまうと、国境がありませんので自由自在に動けるというのは現在も続いております。そういった意味で、ヨーロッパ内でつくられたもの、あるいは輸入されたものは、ほかの国に転送され、あるいはアジアに流れ、中近東に流れたということはあると思います。  ただし、それにつけられているラベルといいますか、証明書みたいなものは案外信用が置けないということをこの前の国際会議でもみんなが認めたというわけで、余り信用するな、それだけに頼っていると危ないよという警告が出されました。そういった意味で、これからはラベルに余り頼らないということが一つのポイントではないかと思います。  そのほか、いろんなルートで入ってくるので、検疫だけで今後はやっていけるかどうかという問題もあると思います。  一つは、検疫で完全につかまるもの、例えば、動物では検疫所で調べて病気かどうかということはわかるんですが、こういう飼料の問題になってきますと、素通りするものがいっぱいあるんじゃないかという心配があります。この前の実はわらの問題、口蹄疫の場合のわらの問題、それから今度の肉骨粉の問題、そういったものは検疫で幾ら調べてみても出てくる問題じゃないんですね。素通りしている場合もあるわけです。畳の材料として入ってきたというようなわらが飼料に使われていたということもあるので、そういった盲点をついていろんなものが入ってきているという時代ですから、検疫体制もいろんな意味での検疫をやらなきゃいけない時代に来ている。それが、自分のところでやるものがよそのところでやられていたとか、そういう連携がうまくいっていないことが一つと、それから、将来の検疫のあり方というものをもう一回見直す時期に来ているんではないかと思います。それが一つ。  それから、この機会に申し上げたいんですが、どうも去年の口蹄疫も今回のBSEも、安いものを買う、安いものは危険なんだということをもう認識する時期に来ているんじゃないかと思います。安いから買ってしまう、そういうことではだめなんで、それにどのくらいの危険があるか、危険度分析というものをきちっとやって、それをクリアした上で輸入するならいいんですけれども、それをしないでよその検疫所がやってしまったというようなことでは問題になると思います。  そういう意味で、ぜひ将来は検疫ももう少し広い意味での検疫に変えることと、それから検疫自体をもう一回調べ上げて、検疫を素通りして入ったものはどうするかと。その場合には違う対処の仕方があると思いますね。いわばテロにやられたときと同じで、この狂牛病も、BSEもテロだと思っているんです。そういう意味で、そういったものが出たときに対処する対処の新しい方法が必要になる。いわゆる危機管理体制というのが、植物の場合、動物の場合、人間の場合、みんな必要になってくると、そういう時代に既に来ているんだと思います。  そういった意味で、危機管理体制というものを農水も厚生省も、それからその他の機関でそれぞれ持っていて、いざというときはそれが一緒になって対処するということが将来は重要になってくるんではないかと思います。  以上でございます。
  70. 紙智子

    ○紙智子君 もう一つ、済みません、お聞きしたいんですけれども、肉骨粉についてはアジアにも多く入っていて、そして今回、日本での発生を通じまして、水際での対策が非常に遅かったということが指摘されているわけですけれども、肉骨粉輸入をずっと続けてきていたという問題がありましたし、イギリスなどでは九〇年の段階から、今度、交差汚染という話もさっき説明の中にありましたけれども、牛から牛というのはストップされたんだけれども、結局、豚とか鶏というのはいいということで、そのまざり合いがあってそれが原因となったというふうに言われて、そういうことが問題になってその対策がとられてきたわけですけれども、その点でも日本はずっと使っていたわけですよね。  その点で、一たん全面禁止ということになって、つい先日、鶏、豚については解禁ということになったわけで、そのことの是非は別としましても、混入するとやっぱり大変だということでは、しない保証ということで先ほど来もちょっと話がありましたけれども、そのあたりのところを、どういう工夫が必要なのかというところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  71. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 先ほど来いろいろ申しましたけれども、結局、監視体制、監督ですね、実際に現場に入ってよく調べてみる。ただ、紙の上でそう書いてしまって、それを法律どおり守れと言うだけでは非常に危険なことが起こり得る。しょっちゅう行ってやっぱり調べることと、それからもう一つ、それだけではまだ心配なので、混入していないかということをきちっと科学的に検査する方法を早く打ち出す、この二つをやらないと完全に危険性は除けないというふうに考えています。これはヨーロッパではそう言われています。
  72. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、木下参考人にお願いいたします。  政府が打ち出した、今回の大きな被害を受けられているということで、一つは牛の枝肉価格の安定の対策、それから肥育経営の安定対策の事業の補完とそれから子牛の対策ということで出されているんですけれども、これでもまだこの点が漏れているとか、もう少しこういう点が大事なんだということで御意見あれば伺いたいと思います。
  73. 木下政夫

    参考人木下政夫君) ただいまの御意見でございますが、農家サイドといたしましては、昨年の口蹄疫あるいはことしの、今回のBSEによって大変衝撃を受けて、もう今どのような対策をしていただいたらよいかということで、大変、本当に経営が厳しくなりつつあるという、そういう思惑のもとに、新マル緊事業という肥育牛の経営安定対策事業ということが今行われておるわけでございますが、私たちは四月から六月期においては八千円の一頭当たりの積み立てをしているわけでございます。その中で、今回、四月から六月においては二万二千九百円の労働費が足りないということで出資していただいたわけでございますが、なお、今回の試算をしますと、九月から十月にかけましては非常に、今までよりは本当に二十万も三十万も足りないような状況でございます。  今回、八千円の積み立てにおいて、最高、和牛では七万二千円の積立金が取り崩されるわけでございますが、交雑種においては三万四千円ということで、これも今、市場価格は半値に落ちている現状でございまして、非常に七万や八万の補償では労働賃金にもならない、素牛の本当に経費の段階までもならない状況でございます。  そういうことを考えますと、これにまた特例措置として上乗せをしていただかないと、今後の畜産の継続はちょっと無理ではなかろうかなと、そんなふうに思っておる次第でございます。  なお、最近、屠場の屠殺制限において屠畜ができない状況になっておりますが、我々はやはり三十カ月齢を目標に肥育をしている段階でありますので、それ以上になりますと、やはり病畜なり、牛でいえば脳溢血等も起こりますので、そういう焼却施設がないものですから、病畜の場合は屠場に運ぶことが今できませんので、小屋でみすみす死ぬのを待っている状況で非常に心苦しいところがあるわけでございます。  そのために、やはり一日も早く焼却施設を充実していかないと、安くても我々は売るほかないわけでありまして、ぜひとも焼却施設の充実等をお願いしたいと思っております。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 やはり私も千葉やあるいは佐呂間を含めてずっと歩きまして、生産者の皆さんから寄せられた声の中で、やはり今度の問題を通じても畜産のあり方自身の見直しという問題も出されまして、コストを下げてやるということで安い飼料に頼って、輸入にほとんど頼らざるを得ないと、こういうことも含めて改善を図ってほしいという声も寄せられたんですが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  75. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 自給自足ができれば一番よろしいわけでございますが、やはり日本の風土、気候において、大麦、小麦等は地方によってはできるところがあるわけでございますが、日本全土においてはそんなに、できる範囲は決まっているわけで、やはりトウモロコシにおいても、労賃の問題、コストの問題等で生産がなかなか伸びないというのが現状だと思っております。  それで、やはり今何といっても日本は外国から安いものを買ってそれで生産せざるを得ない、人件費が非常に高いものですから。やはりそういうような習慣的なものが今起きまして、デフレの原因も私はそこに一番問題があるのではないかと思っております。  やはり日本の労働力を奪って外国の労働力で賄っているわけでございますから、そういう点も含めまして、やはりこれから改善の余地が十分にあると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
  76. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次に日和佐参考人にお願いいたします。  今回のことで、残念ながら、やはり国民の健康や食品の安全を第一にということでの行政がなされているとは言えないんじゃないかということが今度の問題を通じても出てきました。食品安全の行政の根本的な打開といいますか、改善の問題が求められているわけですけれども、これまでも食品衛生法の改正を求める声が消費者の中から高まってきたわけですけれども、いよいよ緊急になっているというふうに思うんですね。  その点で、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、この食品衛生法の問題でも、例えば目的の中にきちんと国民の健康のために食品の安全性確保するんだということを明記するとか、予防の原則とか検査規定の強化とか、こういったことの改正が必要じゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  77. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) 先生のおっしゃるとおりでございます。  つけ加えて言わせていただきますと、消費者の参加、それから情報の積極的な提供等もつけ加えられた法律への改正が必要だと思っております。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 もう一点お願いいたします。  牛の個体識別システムという問題が今言われていまして、もしか病気が発生した、発見されたときにはこれはすごく大事な役割を果たすわけですけれども、政府も重視してこれを導入するということで言われているんですが、ただ、今出ているのは生産者から屠畜場までの間なんですね。実際にそれが市場に出て小売店に回った段階になると、これはわからなくなるというのが今の段階で、EUなどは小売まで出てもわかるような仕組みをつくろうということで、そこまで徹底しないと本当の意味での安心が得られないということで取り組まれているということなんですけれども、これは狂牛病だけに限らずいろんなほかの病気にも共通することだと思うんですけれども、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  79. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) ヨーロッパそれからアメリカでもトレースアビリティーという考え方でこのシステムが完備しつつあります。それは農場から食卓までの安全性確保する、したがって、食卓のところで何か問題があった場合にはトレースする、さかのぼってどこに原因があるのかということがチェックできる仕組みですね。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  フランス等では、牛についてすべてナンバーが振ってありまして、履歴書がついていまして、どのような育て方をされ、どのような病歴があり、どのような治療をしたかという履歴がすべてついて回りまして、それが小売まで行くという仕組みになっています。そういう仕組み日本でも導入する必要が出てきていると思っています。
  80. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、福岡参考人に最後にお聞きしたいと思います。  それで、一番やっぱり敏感に消費者の反応があるという、あらわれるところだというふうに思うんです。焼肉店に全然人が入らないとか、軒並み本当に売り上げが下がってきているということで、先ほどのお話からもそういう実態が明らかになっていると思うんですが、今、食肉の業界全体が受けている、もっと影響を受けている中で、業者の皆さんへの対策ということで国が出した緊急融資ということで政策があるんですけれども、運転資金の融資ですとかつなぎ資金の無担保無保証ということなどを含めて出されているんですけれども、これで実際に足りるのかということを率直にちょっと御意見を伺いたいと思います。
  81. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) 融資の関係ですが、大小あるわけですね。末端の本当の小売店、流通業者、それを全部包含しているわけです、私たちの組織団体は。流通業者の場合には億単位ですね。結局は大きいところほど逆に大変なんですね、私たちが聞いてみると。やはり全国のデータを一週間ごとに皆さん集めているわけですよ、事務所では。その中で、やっぱり大きなところは経費も、ランニングコストがかかっているわけです。それで、家族労働の場合にはある程度は我慢できるわけですね。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  だから、そういうふうな点の温度差があるというふうなことで、もちろん一般小売店の場合には一千万ないし二、三千万で対応できるだろうというふうに私たちは思っておるんです。大きなところになると、やっぱり中小企業公庫の三億、四億、五億というところまで結局はフォローしてあげないとまずいだろうというふうに思って指導しておるわけですが、そういうふうなことが現状でございます。  それから、先ほど来、こちらの方へ、消費者に対する点について啓蒙関係はどうなのかと。  私たち食肉関係では、顔の見える販売というふうなことで、実は今、道筋がわかるように、Aというふうな畜舎でAという人が生産しましたというふうなことで、結局販売の方までそれが全部わかるような対策をやっておるんですが、まだまだこれも額が少ない、補てん額が少ないというふうなことで、全面的にフォローができかねているというのが現状でございます。  そういうふうな点ももう少し厚くひとつお願いできればなというふうに、御指導をお願いしたいというふうに考えております。
  82. 岩本荘太

    岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  きょうは、参考人の先生方、大変お忙しいところ、ありがとうございました。  大変いいお話を伺いまして、また、今まで各委員の御質疑等で私の聞きたいことも大分わかってまいりまして、そういう意味では感謝しておりますが、私なりに何点かちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。  この狂牛病問題というのは、BSEの問題というのは、安全宣言が出るか出ないか、安全かどうかというのがまず最初の大きな問題であったと思いますが、きょう皆さんのお話をお聞きしていますと、何となく、いわゆる関係者の経済的な面の問題、あるいは危機管理、本来こうあるべきであったなというような問題に移ってきたというような、当然、安全問題も重要でございますけれども、ちょっと段階が次の段階に来たなというような感じを私は持ったわけです。  ただ、各先生方の御質問を聞いていますと、どうも小沢先生に多いということは、まだ安全問題が十分に理解されていないというか、まだ問題意識としてあるのかなというような思いがございまして、私もその点でちょっとお聞きしたいんですけれども。  いわゆる消費者に対する安全宣言、これは全頭検査ということで、先ほどの小沢先生のお話で私も、これはもう安全の段階に来たと、地元に帰っても十分そういうことは、消費者に対しての安全性は十分確保されたということを言いたいと、こう思っております。  ただ、もう片一方で生産者に対する安全宣言といいますか、これは私の勉強不足かもしれませんけれども、先日も視察で参ったんですが、要するに生産者に対する安全宣言というのは、この牛を育てたら絶対安全だということじゃないかと思うんです。それが今までの状況だったと思うんですけれどもね。  ということは、私の浅知恵では、例えば生まれたら、生まれて、その後、肉骨粉を食べさせなければこれはもう大丈夫だ、全然関係ないんだということかなと思って、先日、その試験場で質問をしましたら、必ずしもそうでもないというようなお話を伺いましたし、先ほど来のお話で、何といいますか、ヨーロッパの方でも検査をだんだんだんだん拡大し始めているということは、これはずっとこの後、やっぱり消費者に行くその瀬戸際というか、そこで検査することによって安全が得られるしかないのかなというような感じがいたしまして、その点で、もしそうだとすると、生産者というのはこれは気の毒だなというような思いが非常にあるんですが、これはこれからの研究課題かもしれませんが、その辺の現状というのを小沢先生がもしおわかりでしたら、お話しを願いたいと思うんですけれども。
  83. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 確かにおっしゃるとおりだと思います。  世界がやはりこの問題は、生産者も含めた安全というものを考えなきゃいけないと。例えば、肉骨粉原因でこの問題が起こったということはほぼ間違いないと思いますが、では、将来この肉骨粉を絶対安全なものにするにはどうしたらいいかということが研究がまだ進んでいない。この問題を早く解決しないと次の問題がまた起こってくるよということまで言われているわけで、これは日本も含めて研究課題として取り扱っていくべきだと思います。どうしたら安全な肉骨粉が将来使えるようになるか、これはもう一生使っちゃいけないのか。  これは動物愛護の問題も含まれるんですけれども、倫理の問題も含まれるけれども、それも含めてもう一回よく考え直そうと。そして、もし使うんだとすれば、絶対に安全なものをつくる方法を早く開発するということが必要であると思います。それが生産者に対する一種の保障に、安全宣言になると思いますけれども、今のところその安全宣言というのは極めて難しい。要は、早くこのBSE日本から消すということに専念していくということになっているんだろうと思いますけれども、最後はそこに行くんだろうと思います。  その間、だから生産者にはできれば絶対安全な国内飼料を提供する、そのためにはいろんなテストをしなきゃならないということではないかと思います。コストが上がるかもしれないけれども、それはある程度覚悟してもらう、補償もしてもらうと。スイスなんかでは、もうすべて植物たんぱくにかえてしまいました。それがやはり現状では一番安全な方法であるというふうに考えているようです。
  84. 岩本荘太

    岩本荘太君 そういう研究をぜひしてもらいたいんですが、要するにもう少し身近な問題として、今、生産者の方々は、牛を飼うなり、あるいは繁殖するなりして育てなきゃいかぬ。それをやっている牛が本当に大丈夫かどうかという問題があるんだろうと思うんですね。  この辺は本当は農林省の試験場あるいは行政機関に聞かなきゃいけないと思いますので、今、先生のお話で、まだその辺の詰めがこれからの問題だというようなことはよくわかるんですが。ただ、だから今、私自身、自分のことで申しわけないんですけれども、いわゆるここに来る前は県で農林水産関係の行政をやっていたものですから、どうしても、消費者の立場もわかるんですけれども、生産者がどういう気持ちかなという方が非常に私は心配になってきまして、どちらも同じじゃないかと、両方があって初めて日本の国の社会が成り立つと。そういう意味で、生産者の方がどういう気持ち、今みたいなお話の中で、どんなふうにお考えになっているか。  先ほど僕は大変いいお話を聞いたんですけれども、木下さんは使っておられないと。私も前に質問もしたことがあるんですけれども、生産者はもしあれが悪いと思ったら絶対使わなかったはずだと。生産者といえば、そのぐらい自分の職業といいますか、要するに動物を飼うわけですから、自分の子供のようにかわいがって飼っている。だから、それをなぜ行政的にもっと宣伝しなかったかというようなことを申し上げたら、生産者は知っているはずだというような大臣の答弁がありまして、そのままになっちゃったんですけれども。  そういう面から今の状況を、生産者の本当のお気持ち、何というか、補助が出るとか出ないとか、そういうことでなくて、僕は逆に言えば、離農するとか厭農気分になっちゃうとか、そっちの方が心配なものですから、そうなったらもう肉が供給されないわけですから、その辺のお気持ちをぜひちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  85. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 今、大変貴重な質問をいただきまして、本当にありがとうございます。  私たちは、今、肉骨粉というものは一切、私、肥育始めてから四十年間、初めてのお話で、今までわからなかった名称でございます。  それで、これから我々肥育者として、地元としてもそういうえさは一切使っていないわけでございますが、これから全頭検査となると、出荷するたびに、やはり使っていなくても、自分の牛が出るんじゃなかろうかという不安を非常にもう全員の方が今持っております。もし出たときには、もううちの方では牛飼いはおしまいだなと、肥育はおしまいだなという、もうそういうお話まで出ております。本当に、使っていなくても検査をされるということは、非常に不安の毎日だということで、大変苦慮しているところでございます。  以上でございます。
  86. 岩本荘太

    岩本荘太君 そういう意味で、これはきょうは参考人の皆さんのお話ですから、行政に対しても、その辺の生産者に対する取り組みというのはこれからやってもらわなきゃいけないことだなと思っております。  それともう一つ、肥料としての、肥料といいますか、土壌改良剤としての使用。先ほど渡辺委員の方からも出ましたけれども、あれでわかるんですけれども、要するにそういう狂牛病との関連性はないと。ただ、イギリスの場合はそういう使用はしていないというようなお答えだったと思うんですけれども、それは揚げ足をとるわけじゃないんですけれども、そういう今のお話ですと、私も現場へ、現場というか地元に行きましたら、相当滞留しているんですね、耕種農家に。ああ大丈夫だよとよく言うんですけれども、本当にそれは大丈夫だと言ってもらいたい、これは農林省にしてもですね。  そういう、その辺で、先生にこれはあえて言うわけじゃないですけれども、もし農林省がそういうことに対して対応するとすれば、農林省はどういうことをやったらいいのか、その辺、もし何かお考えがありましたら。安全だと、肥料というのは、肥料なり土壌改良剤として使うのは安全なのか、あるいはだめなのか、その辺の農林省はどういう処置をとるべきだと先生はお思いになっているか、お話を聞かせてください。
  87. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 大変難しい御質問で、私の答えが果たして通用するかしないかはわかりませんけれども、一つの問題は、羊のスクレイピーがありましたね。これは地上に残ると、いわゆる水平感染といいまして、羊がまた感染するということが言われているわけですね。ですから、英国のスクレイピーは消えないんだと。土の中に残っていたり、それの上に生えている牧草とかそういうものを食べて感染する可能性があると。  ところが、BSEの場合もまだそれは証明されていない。だけれども、危険性は考えておかなきゃいけないというわけで、かなり慎重に扱うということで、肥料も危ないからやめておいた方がいいと。自然界に捨てることはならぬと。埋めてもいけない、水に流してもいけない、肥料にしてもいけないと、この三つですね。そういう厳しい対応をしているんですが、果たしてどちらが正しいかということは日本側でよく研究して結論を出してもらいたいと思います。  これは、いろんな問題がそのほかに絡んでいまして、そう一概に言い切れない問題もあるので、よく検討していただかないと、将来、今は大丈夫かもしれないけれども、将来の問題としてまた新しい問題が出てくるかもしれないということがあります。  正直言って、果たしてそのプリオンが、BSEのプリオンが地中に入ったときにそれがどういうふうになっていくかということはよくわからない。とにかく三年たっても消えないということは事実なんですね。それが草に、例えば牧草に入ったときに、それを食べるとかかるのかとか、いろんな今みんなクエスチョンはふえていく一方です。それの答えを出すのは数年先というわけですから、一つの実験をやるのに約七年間かかるわけですから、そういう意味では気長な検討が必要であるということが言えると思います。  以上です。
  88. 岩本荘太

    岩本荘太君 ありがとうございました。後ほどまた委員会があると思いますので、そのときの質問を一ついただいたような感じでございまして、ありがとうございました。  それと、これは日和佐先生、別に質問じゃないんですけれども、先ほど来からの、いわゆる危機管理あるいは情報公開等云々言っておられましたので、私、大変勉強になったんですけれども、私なりに今回の事件を踏まえて考えておるのは、いわゆる今回の事件も本当は、要するに疑わしきは排除するという原則を貫けば、残ったものは全部安全なわけですから、安全だったはずですから、それで消費が落ちるなり疑惑を招くということはなかったんじゃないか。こういうことが起こったときは、要するに疑わしきは排除して、それから、最初ですからわからない、わからないけれども、調査なり研究をやっていくうちにだんだんそれが狭まってくる。狭まったら、それを狭めればいいじゃないか。その間のタイムラグによる所得補償なりは、もしこれが必要であれば、そういうものは行政的に措置すればいいんじゃないかなというような考え方を持っておったのが一つですね。  それから、危機管理というのは、私なりに考えますと、やっぱり行政なりがやるわけでしょうけれども、要するに消費者とかそういう人の、一般の国民の方々の参画もいいんですけれども、ただ情報を流すだけでは建設的にならない。要するに、どこかが責任を持たないといかぬ。責任を持つところが情報管理こそ一歩一歩先手でいかないといかぬという、私はそういう気持ちでおるんです。要するに、言われてからやったんでは百点の措置が零点になっちゃうんですね。そういう対応をやると。  だから、農水省なり厚生省なりの連携というのも十分大事ですけれども、そういう意識の問題というのがこれからぜひ、危機が非常に多いわけですから、私はそういうものは大事だと思うんですが、その辺について何かお話がございましたら聞かせていただきたいと思います。
  89. 日和佐信子

    参考人日和佐信子君) 特にございませんで、先生のおっしゃるとおりであると思っております。  ちょっとここでつけ加えさせていただいてよろしいでしょうか。  肥料の件に関して、私、実はBSE対策検討会のメンバーで、先般、鶏とそれから豚については肉骨粉に再度再開するということをみんなで合意して決めたわけなんですが、そのときに肥料に関しても話題になりました、議題になりました。日本においては、現状は草地、そこに肉骨粉を混入した肥料は使っていない。むしろ有機肥料として果樹の品質、味をよくするために使っている。今、秋肥の時期ですので、非常に、特に有機生産者のところで困っていらっしゃるということでした。  したがって、その検討会では、肉骨粉単独での肥料の使用はやめましょう、そのかわりほかの肥料の成分、窒素だとかそういうものと一緒にまぜて、蒸製骨粉が多いというふうに聞いておりますけれども、そういう形で肥料は使っていけば、要するに問題は、牛の肉骨粉が牛の飼料にまざらない仕組みをどうやってつくるか、そこだと思うんですね。そこの仕組みをしっかりやればいいわけですので、そういう議論になったということをちょっとつけ加えさせていただきます。
  90. 岩本荘太

    岩本荘太君 ありがとうございました。  私も肥料と言いましたけれども、こういうやつは、今の農業というのは物すごい肥料の分析をして、正確な成分分析をして使いますから、そういう意味でこれは肥料として成り立たない、いわゆる土壌改良剤だというふうに思っておりますし、そういう意味でも使えたらいいなというふうな思いでいるわけで、その辺の研究が進んでもらえたらいいと思っております。  それともう一つは、廃棄物、廃棄されたものの処分というのもこれから大問題だな、廃棄されたものばかりじゃなくて、例えば牛なんというのは飼料一つとっても大変な問題なんですね。それがさらにふえるわけですから、これも大変な問題だと思っておりますけれども、先ほど質問もございまして、また私の質問は行政に向かうようなものも多いと思いますので、その辺は省略させていただきまして、時間が早いですけれども、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  91. 中村敦夫

    中村敦夫君 中村敦夫でございます。  最初に、小沢参考人、もうお疲れでしょうけれども、基礎的な質問をさせていただきたいんです。  実を言いますと、臨時国会の開会前に招集されたこの狂牛病の委員会でも同じことを質問したんですが、まあお役所の方々の答弁、一生懸命勉強されたんでしょうけれども、間接的な勉強だと思いますので、ちょっと頼りない感じのまま疑問がずっと続いております。それで、専門家である小沢先生にお聞きしたいんですけれども。  例えば、これからはないと思いますけれども、感染した牛の脳みその部分をもし人間が食べたとしますね。そうすると、もうこれは必ずある潜伏期間を経て発症するのか、あるいはずっと一生発症しない場合もあるのかということについてお聞きしたいんですが。
  92. 小沢義博

    参考人小沢義博君) これもまだわからない点がたくさんございまして、結局、バリアというものが、種のバリアというのがありまして、例えば羊から牛、それから牛から人間、それぞれ種のバリアというのがありまして、そのバリアを越えるか越えないかでその病気がうつるかうつらないか。人間の場合ですと、確かに牛からバリアを越えて入ったというのはもう事実だと思うんですが、それがどのくらいの率で起こるのかということがまだわからない。したがって、どのくらいの量を食べれば人間にかかるのか、人間にかかるドーシスというのもわからない。どのくらい食べたのか。かなり高い量を食べないと恐らくかからないだろうという想像はつくんですが、じゃ一体全体、牛一頭が大体八千頭を殺すドーシスを持っているんです、平均で。それはわかっているんですが、その何ドーシスを人間が食べれば人間がかかるのかということがよくわかっていない。そのバリアがあるということで、実際、人間の脳内に接種すればかかるでしょうけれども、自然に食べたものがそのバリアを越えて入るという率は極めて低いだろうというふうに考えられていますね。  インキュベーションもまだわからない。だから、二十年から六十年ということで、発生する人の数も千三百人から十三万五千人とかいうふうにわからないことがたくさんありますので、いろんな説はありますけれども、これから一つずつ解決していく問題だというふうに感じています。
  93. 中村敦夫

    中村敦夫君 それに関連しまして、動物間のバリア、これはどのぐらいの範囲で今確かめられているところでは広がっているのかということなんですが、例えば猫や犬もそういうケースになっているか、あるいは哺乳類だけなのか、鳥類までそれがいくのかということでは大体どのぐらいの程度がわかっているんでしょうか。
  94. 小沢義博

    参考人小沢義博君) 今わかっていることは、野生動物でいいますと、ウシ科の動物、それからシカ類、それから動物園にいましたトラだとかタイガー、それとネコ科の動物、これがかかるということもわかっていますけれども、鳥類はかかっていないようです。犬もかかっておりません。ですから、バリアは確かにある動物とない動物があるというふうに感じています。  大体、一つの説によると、アフリカにあった病気、このBSEというのはオリジンがアフリカで、これはエイズとよく似ているというのもそこに一つあるんですが、それが英国の動物園動物に入ってきて、それが死んでそれが肉骨粉になったというふうにこのごろ大分いろいろ言っている人がたくさん出てきましたので、そのうちにもう少し詳しいことがわかってくる。今アフリカでもいろんなことを研究している人がいます。
  95. 中村敦夫

    中村敦夫君 感染するということは、異常プリオンが脳を中心発生し始めて発症はしていないという段階のことだと思うんですけれども、そこの部位を取り出すということは検査のためなんですが、それは殺傷して取り出さないとわからないわけですね。そういうことなしに感染したということを検査する方法というのはまだ開発されているんでしょうか。
  96. 小沢義博

    参考人小沢義博君) これはつい最近の研究なんですが、主にイスラエルでやった研究で尿の中のプリオンを検出する方法が開発されたと言っております。それは英国の牛のサンプルも持っていってテストをしております。それもポジティブであったということを聞いております。スイスと英国とイスラエル、三者が合体で研究が進んでいます。  それで、開発者に聞いてみると、一応可能性は非常に高いということで、もしそれが成功すれば尿検査によってポジティブがわかるようになる。これは人間にもアプライドできる可能性がある。そういった意味で、今注目されている研究の一つです。ただし、わからないことは、人間にしても動物にしても、いつ尿の中に出てくるのかということを調べるのはこれは大変な仕事なんですが、それがないとやたら調べてみても意味がないということですので、それがはっきりした段階で実際に実用化するんではないかと思います。テスト方法は既に確立していると言っています。それが商業ベースに乗るのはまだ大分先ということのようです。
  97. 中村敦夫

    中村敦夫君 今回の狂牛の発生というのは北海道から出ているということで、大体主要な原因というのは肉骨粉ではないかという強い疑いがある現状なんですけれども、それが感染原因だとすれば、その牧場で同じ肉骨粉、これは食べていないというような今証言もあるんですが、例えば何らかの間違いで口に入ったとします。そして、それが原因だったとすれば、ほかの牛も同じような症状になってもおかしくないんじゃないかと思うんですけれども、この問題についてはどういうふうに考えられていますか。
  98. 小沢義博

    参考人小沢義博君) これちょっと説明が長くなるかもしれませんけれども、肉骨粉を使って、同じ肉骨粉を食べた場合では、百頭いるとその三頭以上、三%以上にかかる例がないんです。ですから、大体ヨーロッパでは一頭ないし二頭が普通で、一頭が一番多いんですけれども、一つの農家で三頭以上出たという例がないと。  これはどうしてかというと、肉骨粉の中のプリオンの分布が全然普通に、イーブンになっていないというか、平均して分布していないということが一つ。だから、固まりになって入っていて、その固まりを食べた牛がかかるんだという説があるんですが、これもまたよく今後研究していく必要があると思いますけれども、要は同じ肉骨粉を食べても全部はかかる例はほとんどない。実験的には、これは違う話ですが、実験的には感染した脳をそのまま食べさせるとかかるんです。高い濃度でかけてみるとみんなかかるんです。だけれども、自然界において肉骨粉を与えると三%以上は同じ農場では発生しないということがヨーロッパではわかっています。  したがって、追跡していって農場が見つかると、その農場の全部を殺すことは現在ではほとんど行われていません。プラスマイナス一歳の牛を殺すと、これはコーホートシステムというんですけれども、その方法で殺処分するという方法が多くとられておるのです。
  99. 中村敦夫

    中村敦夫君 ありがとうございました。  実は、こういう事柄が全然世の中に伝わっていない。一番基礎的なところで、だれでもがそこを思うんですが、別の情報ばっかり出ていくということで、なぜこういう先生のお話のようなものが発表されないのか、私は大変残念に思っているわけです。  今度は木下参考人にお伺いしますが、おたくの牧場では混合飼料を使っていられると。それは中身は大麦、トウモロコシ、それから粗飼料というんですか、大豆のかすとかそういうものですね、それプラス配合飼料が大体全体の八%を使っているというふうに言われましたけれども、そして、肉骨粉なんという言葉も本当に今度初めて聞いたというようなことだろうと思いますが、先日、配合飼料をつくっている会社を委員会で視察しました。いろんなものがあるんですね。牧草までキューブにして外国から輸入しているという緑色のものを見て、草まで輸入するのかというふうにショックを受けたほどなんですが、いろんな種類がありますね。  そうすると、それは鶏だけの骨粉もあるだろうし、牛肉、豚肉の配合の骨粉もあるだろうというんですけれども、こうしてただ生産農家が配合飼料ということで疑いもなく仕入れていると、その中身がなかなかわからないということがあるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことに対する生産農家の注意というのはこれまでどうだったんでしょうか。
  100. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 当栃木県においては、栃木くみあい飼料というものがありますから、その中で回答いただいた内容等は、鶏、豚等のえさとは全然ラインが違いますので、そういう途中のバルク車や配合の機械の中では肉骨粉というものは一切混合するような経過は見られないというようなお話でありますので、私たちはそれを信じて使ってもいますし、多分ラインが全然違いますからそういうことはないものと思っておりますが、今回、先ほど岩本先生から出ました感染経路の件も、生産現場の中では突然異変もあるんじゃないか、あるいは脱ぷんの中から出たのではないか、いろいろな憶測が飛んでおります。  小沢先生の話では肉骨粉が非常に有力説のようでございますが、北海道からの牛が千葉に行って出たとしても、よそからはまだまだ出ていないということは、その農場で出ていないということは、やはり何らかのそういう原因考えなくちゃならぬということで、やはり調査機関においては原点に戻って、あくまでも肉骨粉という調査一本的じゃなくて、違う観点からやはり調査研究をしていただきたいなと思っております。
  101. 中村敦夫

    中村敦夫君 そういうものも大事なんですが、やはり肉骨粉というのが非常に大きな流れになっていますから、そこのチェックなしにどうしても安全だというふうにだれも思わないような状況なんですね。  それで、確認しますけれども、配合飼料は使っていたというけれども、肉骨粉は全く使わないで、例えば牧草だとかほかの植物の配合飼料を使っていたというのが組合の全体の調査の結果なんでしょうか。
  102. 木下政夫

    参考人木下政夫君) 牛関係もカルシウム分は当然必要でございます。私たちの地方においては、貝化石を成分とする古代化石が岩手県の方で産出されるわけでございます、それを少しずつたまにやるぐらいで、カルシウム分は肥育にはそんなには多くは必要としないということで、ほんの、本当の数%もやらないような状況でございまして、本当に肉骨粉というのは我々には思いもつかないようなお話であるんですよね。これは本当の話でございますので、途中でまざるということも、農協関係で配合をしておりますので、そういうことは私たちは信じております。
  103. 中村敦夫

    中村敦夫君 ありがとうございます。  それで、福岡参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、小売の部門は大変な状況だと思って大変同情しているわけですけれども、今まで小売の部分で、今、危険な部位が四つ指定されていますけれども、そうした部位を小売の場面で売っていたとすればどういう部分だったんでしょうか。
  104. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) やはり焼き肉屋、レストラン、そういうふうな業務用関係で使うものは、大体レストラン関係ではロース、テンダーロイン、焼き肉屋さんの場合には肩系統、ショルダーとかばらですね、そういうふうなものが使われるというふうなことでございますし、一般小売の場合には、やはりスライス物ですから、すき焼き用ですから、ももだとか肩だとか、こういうふうなものを大体主体にやる。高級部位にしてはロースも一部あるというふうなことで、全般的にスライスの需要が多いと。それだけど、切り落としだとかそういうものが大分需要のウエートが高くなってきている。切り落としというのは、結局はいろんな部位を、高級部位をスライスしてまぜて出す、混入ですね。そういうふうなことで販売しておりますので、そういうふうな点では、特定部位に余り偏らず全般的に運用ができているというふうに思っておるわけです。
  105. 中村敦夫

    中村敦夫君 私は、焼き肉も何でも大好きでいろいろ食べてきたんですけれども、実際に四つの危険な部位だという部分のものというのは一体あの中で何だったのかなと。簡単に言えば、私は目玉というのは食いませんから、だから実際問題としてそういうものが出たのかなとか、例えば骨つきカルビとかいう話はありますけれども。だけれども、全体的には余り関係していないんじゃないかと思うんですけれども、特にここだけ外せばもう安心だということも一つの安全宣言だと思うんですけれども、そういう、何ですか、メニューですか、大体どういうところを外せばいいとお考えですか。
  106. 福岡伊三夫

    参考人福岡伊三夫君) 不浄部位というふうなことであるわけですが、レストランでスープをつくると、コンソメスープ。やはりこれは牛の骨、ボーン、すねですね、すね肉を結局煮込むというふうなことで、ボーンの中の髄をだし、スープにするわけです。それは、結局はボーンの中の髄は何でもないわけですね。ただ脊髄だけが結局は問題なんです。  だから、脊髄、先ほど来、小沢先生の方からお話がありましたように、水で洗うと、水で洗ったら結局は菌が多くなっちゃう。バキュームで吸えば菌が少ない。今まさに日本の厚生省は現実に、水洗いをしろと、こういうふうな指導なんですね、厚生省で。だけれども、違う、あなたたち、違うよと。やっぱりヨーロッパではもう今水洗いをしないと。  水の消費量というのは非常に高いウエートを、ランニングコストでかかるわけです。だから、水洗いをしない食肉センターというものが今できつつあるわけです。そうすると、豚一頭に対して一トン水を使うわけですね。それじゃ、二千頭ラインをつくったら二千トン使うわけです。毎日二千トンの水をじゃばじゃば流れていたら大変だと。ヨーロッパでは大体五分の一です、水を使うのは。水を使うことによって、普通マーケティングに流れている肉コンが、豚にしても牛にしても、十の四乗から五乗の菌がいるわけです。それが水を使わなければ十の一乗でラインに組めるわけです。  だから、水を使わないということがいかに大事かということを、私、今、厚木に日本一の食肉センター、統合をやっているんですが、まさにそれをシャットアウトしちゃう。検査官なんかにしても指導しているんですが、そんなことが現実に行われている。こういうふうなことをぜひ先生方から厚生省の方へ御指導をお願いしたいなというふうに感じているわけです。  そういうふうなことで、骨つきカルビなんかというのは絶対間違いないわけです。骨つきでも何でもないわけです、ばら骨ですからね、脊髄とは距離が離れているわけですから。そういうふうな点で、骨つきカルビも問題ありませんというふうなことをひとつ御認識いただきたいと思います。
  107. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 時間がもう来ておりますので。
  108. 中村敦夫

    中村敦夫君 大変ありがとうございました。  非常に参考になるお答えをいただきまして、これから役に立てたいと思っております。  終わります。
  109. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、本当に長時間にわたり御出席をいただき、また、大変有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。私たちは、この大変貴重な御意見を今後の委員会の審議に十分生かしてまいりたいと思っております。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめます。  次回は来る三十日午前十時に開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会