○
浜田卓二郎君 私もそうですけれ
ども、
不良債権処理というのはきちんとやっていくべきだという出発点は同じなんですけれ
どもね。
ちょっと最近、大手の
企業の方から聞いた話なんですけれ
ども、あなたのところは大丈夫ですかと、いろいろ話題に上る
企業ですから聞いたんですね。そうしたら、
銀行のさじかげんですとおっしゃるわけですね。
今、例えばスーパーなんかも需要が物すごく落ち込んでいるわけでしょう。だから、需要が落ち込んでなかなか需要の回復の見通しがない。その中でどういうふうに経営改善をしていくのか。リストラを一生懸命やったりしているんでしょうけれ
ども、なかなか収益の改善ができない。
だから、本来、経営者にあなたのところどうですかねと
質問すれば、売り上げをどういうふうに上げるかとか、合理化をどうするかとかいうのが真っ当な答えのはずなんですけれ
ども、もう今みんなの神経というのは、
銀行のさじかげんで、何か
特別検査も始まるし、
不良債権、もうそれが要管理債権に落とされたらどうするんだろうと、そういう他律的な、神頼みじゃないけれ
ども、何か私は妙な雰囲気だなというふうに思うんですね。
だから、二、三年の間でどうしてもやれという命題を金科玉条にしておっていいのかと。それに異を唱えると守旧派と、最近のはやり言葉は抵抗勢力じゃないですか、抵抗勢力だという話になって、それが嫌なばかりに、ちょっと妥協した議論をしちゃっていたら、これ取り返しつかないですよ。
いずれにせよ、だからそこのところは私はちゃんと見きわめてほしいと思うんですね。
不良債権の
処理のツールを備える、それは大事ですよ。それから、環境はいろいろほかにも整備して早くやりなさいよとおっしゃるのはいい。だけれ
ども、一番心配しているのは
銀行経営者であり、そして貸付先
企業についても過保護と言われるぐらいこの中身を見てきたのは
銀行経営者ですから、やっぱり余り期限を切ってその間に何もかもという話は、どうも私は、庭先だけきれいにして日本
経済の行く末どころじゃないよという発想に全体をしちゃうような気がするものですから、たとえ守旧派と言われようとも正論はきちんと言ってほしいというのが
一つですね。
もう
一つだけ、これは感想だけ聞かせていただければいいですけれ
ども、私は日本とアメリカは違うと思うんですね。今、世界じゅうで日本の
不良債権処理を急げ急げとしりをたたいているのは、ほとんどアメリカだけじゃないですか。厳密に調べたわけでもないんですけれ
ども、新聞等で読んでいる限りはそういう
感じしますね。でも、アメリカと日本、違いますよね。
つまり、この前、やはり
参考人の意見陳述の中に、学者の皆さんが、日本のバンキングは産業金融だと、これはもうほかの、例えば米国に比較して違うところだという話をされておられました。
それから、今直接金融へという御旗が振られておりますけれ
ども、確かに日本は間接金融でやってきた。その間接金融のよさというのをちょっと前まではよく言っていたじゃないですか。日本型経営の強さなんというのが言われていたのは、まだ十年もたたない前の話ですね。この前、自己資本の範囲内に株式保有を抑えるという
改正がなされました。確かに、
時価評価による株価の
銀行経営への
影響の度合いを考えれば
一つの策なんでしょうけれ
ども、しかし、それは同時に、日本型経営の特色とも言われていた株式持ち合い制度というのを解消する結果につながっていきますよね。だから、株式持ち合い制度というのが日本の日本型
企業社会、
経済社会の中で安定化装置として果たしてきた役割というのは、これは私は検証してみる必要があると思うんで、じゃ、そういうものをなくして一体、直接金融の世界にまだ日本はそれほど進んでおりませんから、その後の
企業社会というのは大丈夫なのかなという不安は残るんですね。
〔
理事若林正俊君退席、
理事円より子君着席〕
それから、
銀行の護送船団で
企業の面倒を見ながら一緒の運命共同体でやってきた、それが今回の
不良債権処理を通じてかなり変質してきているというふうに思えてならないんですけれ
ども、じゃ一方で、本当に直接金融で
企業が独立独歩でというか、それはアメリカの
企業社会にはまた別のいろいろな安定化装置もあると思うんですけれ
ども、そういうものがほとんど根づいていない中で、しかも直接金融そのものが余り進行していない中で、こういう
銀行の変質を迫っていくということが一体どういうふうな
企業社会につながっていくのか。
その辺、
改革というのはタイムラグを伴うものですから、この時間的なずれの間にいろいろな問題が起きてくるわけでありまして、そこのところもきちんと金融の責任者としてお考えになって、それに対する配慮もしながら進めていらっしゃるというふうに思いますけれ
ども、その辺の存念というのもちょっと聞かせていただいて、私の
質問を終わります。