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2001-11-08 第153回国会 参議院 財政金融委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十一月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     櫻井  充君  十一月八日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     松井 孝治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 松井 孝治君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 大渕 絹子君                 平野 達男君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    大臣政務官        総務大臣政務官  山名 靖英君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      谷内  満君        内閣府政策統括        官        坂  篤郎君        金融庁総務企画        局長       原口 恒和君        金融庁監督局長  高木 祥吉君        総務大臣官房総        括審議官     林  省吾君        総務省郵政企画        管理局長     松井  浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○銀行等株式等保有制限等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六日、川橋幸子さんが委員辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行等株式等保有制限等に関する法律案の審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官谷内満君、内閣府政策統括官坂篤郎君、金融庁総務企画局長原口恒和君、金融庁監督局長高木祥吉君及び総務省郵政企画管理局長松井浩君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 銀行等株式等保有制限等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございますが、きょうは柳澤大臣村田大臣初め関係者の皆様に御出席いただき、ありがとうございます。  本法について若干の御質問をさせていただきますが、まず、この法律の大目的である株式保有総額制限するという理由についてお尋ねをいたしたいと思います。  法律の第一条では、銀行等公共性及び銀行等をめぐる諸情勢の著しい変化にかんがみ、銀行等の業務の健全な運営を確保するため、株式等保有制限する、こういうことでございますけれども、自由主義経済体制のもとではなるべく規制をなくしていこうというのが本来の趣旨だと思いますし、その中で、銀行公共性という面から、独禁法上は事業支配力を抑止するということで五%ルールがあるとか、それから本年の四月からは時価会計ということでかなり厳しい減損処理が求められておるとか、BIS規制もいろいろ強化をされるとか、いろいろな規制がございますから、ある範囲ではそれで管理可能ではないかということもありますし、銀行株式保有というのは、持ち合いの問題がございますけれども、過去には、含み益ということで、これが銀行経営健全化かなりバッファーの役割を果たしていたというようなこともございますので、もう少し今回の法律制定趣旨について御説明をいただければありがたいと思います。
  7. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 銀行保有株式をめぐる諸情勢と申しますか、そのことについて、また、銀行が何ゆえにこのような規制を重ねるほどにこの問題がいわば問題化してきたかということについては、むしろ今、中島委員の方から御指摘があったところだというふうに存じます。  私の方からさらに、若干釈迦に説法になるかとも思うんですけれども申し上げさせていただきますと、要するに、日本銀行というのはいろんな経緯のもとで株を随分保有してきたわけでございますけれども、それが自主的な経営判断で最近随分放出をされてきたということも事実でございます。しかし、ここに来まして、株価変動銀行経営、ひいては金融安定性というものにもたらす影響というのはまさに看過できないほどの市場変動というものがございまして、これについては、できるだけそういうところに銀行を置いておくということは望ましいことではない、これが大眼目なんです。  加えまして、今、先生自身も御指摘になられましたように、バーゼル銀行監督委員会の方でも、この保有株式リスクリスク資産としての評価をどのようにすべきかということについて議論が実は進んでおるわけでございます。  まだ結論が出てはいないんですけれども、そういう議論が進んできておりまして、多くの方はこれが強化されるのではないかという展望を持つ人が多いわけですけれども、そういう中で、この問題をいきなりバーゼル規制に直面させるというのはやっぱり少しリスクが大き過ぎるじゃないかと、こういうことでございます。これは多分時価評価以上のものを課せられるということも考えておかなきゃいけないというようなことが実はございまして、少なくとも自己資本ティア1ぐらいのところにまで落とさせておかないと非常に困難な局面に直面するおそれなしとしない、こんなふうに考えまして、今回、こうした形で保有規制をかけるということにいたしました。  大眼目は、もちろん金融機関健全性であり、そのまた先にある金融の安定ということでございますけれども、この問題をめぐる状況としてはそんなことが念頭にあったということを申し上げて、御理解を得たいと思います。
  8. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今、バーゼル規制関係ティア1というようなお話もあったんですが、今回の規制は、要するに銀行株式等自己資本に相当する額の範囲内であるということで、外国の法制などと比べますと、アメリカの場合は原則禁止でありますが、EUの場合は、一〇%以上の持ち分を持っている会社について、当該会社自己資本の一五%以下とか総額で六〇%以下とか、やや今回の日本規制よりも緩いのではないかというような気もいたしますが、今回、自己資本範囲内ということに決められた理由がどの辺にあるのか、子会社等株式を除いているというふうなことについてもあわせて御説明をいただければありがたいと思います。
  9. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) お答えいたします。  まず、ドイツ等の例をお示しいただきましたが、このドイツの場合におきましては、御指摘のように、例えば議決権の一〇%以上を有する事業会社株式総額自己資本の六〇%を超えて保有してはならないということになっておりますが、これは、経緯的な問題とか保有制限目的そのものも多少違う部分もありますし、制限の仕方が違うということで、どちらがきついかということは一概に比べるのは少し困難かなと思いますが、いずれにしても、我が国の銀行等相当程度株式を持っているということからの、今、大臣からも御説明いたしましたように、BIS等状況も踏まえて一定制限をすることが必要であろうと。ただ、国際的にも銀行等が適切に株式に係る価格変動リスクを把握する方式というものがまだ合意を得ていないといいますか、未確定でございますので、当面の規制としてはその上限自己資本相当額としたところでございます。  また、子会社等株式につきましては、銀行株式保有に関する報告金融審議会の第二部会の報告におきましても、子会社関連会社等につきましては、本来的には銀行本体一体で取り扱われるべきものであることを考慮した上でその取り扱いを決めることが必要であるとされたところでありますが、この考え方を受けまして、今般の株式保有制限自体連結ベース規制をするということにしておりますので、その意味子会社等はまさしく銀行一体で取り扱われるということを勘案いたしまして適用対象外としたところでございます。
  10. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、株式評価基準についてお伺いをしたいと思いますが、本法による株式評価基準というのは四条で政令で定めるというようなことになっているかと思いますが、もう一つは、企業会計上の基準ということで、本年の四月から減損処理などをかなり厳密にやるというようなことになっております。評価基準が、言ってみればこの法律による基準企業会計上の基準と、あと税法上の話もあるわけですが、やや違っておると。  本年九月期の中間決算で、新聞にも載っておりますが、かなり企業会計上の減損処理方式について銀行によって異なっておる。固有名詞を申し上げてもいいかと思いますが、東京三菱は四千百七十億の減損処理をした、みずほグループは千五百だというようなことで、かなり処理基準が違っている。  保守主義原則からいえば、銀行経営安定性ということから見ても、やはり思い切って評価損を計上すべきではないかというような気もいたしますが、この評価方法企業会計上の計上方法等についてもう少し統一的な指導をしていただいた方がいいのではないかというような気もいたしますが、御見解を承りたいと思います。
  11. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今、委員から御指摘のように、有価証券減損処理につきましては、金融商品会計に関する実務指針というものがございまして、それに従いまして、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除きまして評価差額を当期の損失として処理しなければならないと、こういうふうに記載されているところでございまして、おのおの金融機関がこの実務指針に従いまして、監査法人によります外部チェックを受けて適切に減損処理を行っている、こういうふうに思います。  ただし、今申しました株価回復可能性判断等におきまして、株価の先行きに対する各金融機関の認識の相違等から銘柄ごとに認定に差異が生じてくる、こういうことも結果的には各金融機関の態度の違いとしてあらわれているのではないか、こういうふうに思います。  いずれにしましても、各金融機関減損処理に当たりまして、監査法人によります外部チェックを受けて、そして会計処理を行っていくものでありまして、各金融機関にそれぞれの、おのおのの対応がゆだねられている、こういう実情にあります。  しかしながら、金融庁が統一的に何か基準をつくる方がいいじゃないかという御指摘でございますけれども、我々は、今申しましたように、各金融機関監査法人によります外部チェックを受けてやるものでございますと、これが原則でありますけれども、しかし、金融庁といたしましても、検査あるいは監督を通じまして減損処理が適切になされているかどうかということはフォローをしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  12. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、やや法文のことについてお尋ねをいたしたいと思いますが、この法律で、まず第一条に「当分の間、銀行等による株式等保有制限する」ということが出ておりまして、さらに第三条でも「当分の間」という言葉があるわけですが、「当分の間」というのは法令用語の常識としては臨時、暫定的な措置だということであろうかと思います。  そうすると、これは期間的な意味と、定性的に、ある解除条件があればというような意味と二つあると思いますが、その辺についてどういうふうにお考えになっておられるのか。機構の場合は十年ということが決められておりますし、三年見直し条項というようなものもあるんですけれども、「当分の間」の考え方について聞かせていただければと思います。
  13. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほど政府参考人の方からも答弁をいたしましたけれども、我々としては、今回、株式保有制限を課しますけれども、現在のところまだ、例えばBIS等におきます国際的な銀行株式による価格変動リスクをどうしていったらいいかという基準もこれからもう一度検討するという、そういうことで未確定な状態にありますものですから、当分の間、自己資本相当額上限とする制限というものを設けたわけであります。  しかしながら、今後とも、社会情勢変化に対応しつつ、自己資本比率規制等の進展によりまして、株式保有制限のあり方についても再検討の余地はある、こういうふうに考えておりますので、当分の間がいつまでかということは今の段階としては申し上げにくい、こういうことでございます。
  14. 中島啓雄

    中島啓雄君 次に、「当分の間」に関して内閣府といいますか行政改革担当の方にお伺いをいたしたいと思いますが、今の御説明である程度やむを得ないかなという話ではあるんですが、日本法制では「当分の間」というのが非常に多いんですね。やっぱり行政改革趣旨からいえば、サンセット方式で、ある時限を決めて、そこで一たん法律は廃止する、改めて考えるというような方式にすべきだと思います。  例えば、金融関係法律では臨時金利調整法というのが「当分の間」とあるんですが、これは昭和二十二年に当分の間と定めた法律でありますから、五十四年間、当分の間と、こういうことになっておるわけですね。こういうのはやはり法制としてはおかしいのではないかというような気もいたしますが、行革の趣旨から今後サンセット方式をとるべきではないかという考え方を私はとっておりますが、この辺について御見解を伺えればと思います。
  15. 坂篤郎

    政府参考人坂篤郎君) 私は、内閣府では規制改革、つまり石原大臣規制改革部分のスタッフをやっておりますが、今委員指摘になりましたように、平成十三年三月三十日に実は閣議決定されました規制改革推進三カ年計画というものがございます。ここの中に、委員指摘になりましたように、いわゆるサンセット方式原則といった考え方が出ておりまして、「規制新設に当たっては、原則として当該規制一定期間経過後に廃止を含め見直す」という、つまり、新設するときにはもう一回見直すんだよということをちゃんと考えておきなさい、こういうことでございます。また、その具体的なあらわれとして、「法律により新たな制度を創設して規制新設を行うものについては、各府省は、その趣旨目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律一定期間経過当該規制見直しを行う旨の条項を盛り込む」ということが閣議決定されております。  したがいまして、当然法律国会でお決めになるわけですから、これ自身は別に国会を縛っているわけではありませんが、内閣が例えば何か法律を提出するというようなときには、各府省においては見直し条項というのを盛り込むべきである、こういう考え方が示されております。  ちなみに、私の承知しておりますところでは、今御審議銀行等株式等保有制限等に関する法律についても附則にそういった趣旨附則がついているというふうに理解しておりまして、そういう意味では、サンセット方式といいますか、見直すんだということは規定されているというふうに理解いたしております。
  16. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  ぜひ、そういう趣旨で今後進めていただければと思います。  次に、銀行等保有株式取得機構について少しお伺いしたいと思いますが、まず、機構必要性についてです。  基本的には株式というのは自由な市場で売買されるものでありますから、余りプライスキーピング・オペレーションといいますか、そういったことはすべきでないと思っておりますけれども、今回の公の関与の必要性等について御説明をいただければと思います。
  17. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) この株式取得機構というものが必要なのか、特にPKO目的とするものと紛らわしいのではないか、こういう御指摘でございます。  この株式取得機構と申しますのは、要するに、まず一方で株式保有制限というものを今度新しくかけたわけですね。それも時限を区切ってかけました。さらに、上限を画して決めました。こういうことをいたしましたものとのいわば一体制度としてそういうことを課して期限を決めますと、基本的には市場売却、自主的な市場売却でやってもらえばいいんですけれども、この規制に適合するために、場合によってはいろんな事情で追い込まれているような感じになって、一時期というか、短期間の間に非常に大量の株式処理するようなことにならないとも限らない。その他もろもろ場合によっては考えられるかと思うんですけれども、いずれにせよ、そういう保有制限との関係で、保有制限を課している以上、やはりそれがマーケットの需給というものに一時的に攪乱要因になるということも他方避けなければならないというようなこともありまして、いわば限界的、補完的な機能を持たせる、いわゆるセーフティーネットと申しますのでしょうか、そういうような趣旨でこの取得機構を置いておくのが適切だろうと、こういうふうに考えたということでございます。  したがって、これは株価をある水準に維持しようというようなことではありません。株価というのは、基本的に私どもは、長期的にはその株式からの収益の現在価値、将来にわたる収益の現在価値だというふうに思っておりますが、いっときそういう需給でもって短期的に動揺することもあると。そういうものを規制をすることによって起こすということはやっぱりはばかられるというような感じもありまして今回の措置をとったわけでありまして、決してこれがPKOプライスキーピング・オペレーションの一環だというようなことではないということで御理解を賜りたいと思います。
  18. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  それでは少し、特別株式買い取り関係特別勘定のことについてお伺いをしたいと思いますが、現在、銀行株式保有総額がどうなっていて、今回の措置によって要売却額というのはどのくらいになるのか、まずお聞かせください。
  19. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 十三年三月末時点におきます銀行等株式保有総額は約三十九兆円、保有制限に伴う要売却額は十一兆円というふうに見込んでおります。
  20. 中島啓雄

    中島啓雄君 十一兆円ということでありますが、問題は、この十一兆なら十一兆の価格変動がどの程度生じるのかということで、今後の価格変動リスクというのは推定するのはなかなか難しいと思いますが、何かその辺について過去の御議論などあったらお聞かせいただければと思います。
  21. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、変動リスクというのはどういうものか具体的に示すというのは困難だと思いますが、一例として、本年五月二十三日の金融審議会議論の中でいわゆるバリューアットリスク分析というものがされておりますが、それによりますと、都銀九行ベースで、計測期間六カ月、信頼区間九五%のバリューアット分析では最大損失約四兆円、それから、計測期間一年、信頼区間九九%では約十四兆円というような試算が示されているところでございます。
  22. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  四兆から九兆というのは、なかなか幅もありますが、額としても大変な額だと思います。  そこで、機構買い取り見込み額というのはどの程度と見込んでおられるのか。もう一つ買い取り価格決定方式についても時価ということと聞いておりますけれども、この辺は具体的にはどういうふうに決定をされるのか。時価といっても、ここはやはりかなり幅のある話だと思いますので、機構側決定によっては、機構には銀行出身者などがかなり入っているといいますから、場合によっては利益相反取引にもなりかねないと思いますが、公正な買い取り価格決定するという仕組み等についても、どうなっているのか少し御説明をいただければと思います。
  23. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まず、十一兆のうちどの程度見込んでおるかという御質問でございますが、原則として銀行等売却というのは市場で消化されるということが望ましいと考えております。ただ、市場にどの程度売却できるかは今後の市場動向等にも左右されるものでありまして、一概に今確定することは困難でございますが、最近の主要行市場売却実績というのが大体年間二兆から三兆円ということでございます。それに機構セーフティーネットとしての位置づけ等も勘案してかた目に置きますと、保有制限の実施される平成十六年九月末まで三・五年間ございますので、仮に二・五掛ける三・五という数字を置きますと約九兆円程度ということで、十一兆から九兆を引いた差し引き二兆というものを当面予定をすれば、機構が買い取る場合に特別勘定以外に一般勘定というのもございますので、当面二兆円で足りるものというふうに考えております。  また、買い取り価格決定方式でございますが、これは時価で行うということにしておりますが、万が一損失が生ずると国民負担にもつながりかねないということ、あるいは市場透明性を確保するということから、買い取り価格決定に当たっては株価操作余地を可能な限り排除する仕組みを講じることが求められていると考えております。  このため、特別株式買い取りにおける時価は、買い取り日前日における終わり値、またはいわゆる出来高加重平均価格のいずれか低い価格とすることを予定しておりまして、これにより、買い取り日の前日に急激な株価上昇が見られたような場合でも、いわゆる引け値の高値買いというようなものは回避できるというふうに考えております。
  24. 中島啓雄

    中島啓雄君 今、買い取り見込み額が約二兆円というお話があったんですが、これは少しふえるかもしれませんが、機構借入金なり債券発行限度額、それは当然政府保証がつくと、こういうことだと思いますが、その辺もやはり大体二兆円だと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  25. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、買い入れのための借入金に対する政府保証については当面二兆円を予定しております。
  26. 中島啓雄

    中島啓雄君 先ほど、リスクがどのくらいあるかと、これはなかなか難しい問題ではありますが、やっぱり四兆円から九兆円ぐらいの価格変動リスクがあると。そうすると、三十九兆の株式保有ということから考えると、かなりの比率になると思います。もちろん景気が上昇して株価が上がって利益が出れば問題はないわけでありますが、最悪の場合にはその二兆円の保証限度のかなりの部分国民負担にならざるを得ないというようなことも生じるかと思いますので、基本的には経済を活性化するということが重要だと思いますが、金融面の施策として、機構に欠損が生じないような施策というので当面の対策としてどんなことを考えておられるか、お聞かせいただければと思います。
  27. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、機構セーフティーネットとしての役割を果たすことができるために政府保証をつけておりますが、最終的にこれが国民負担に極力つながらないようにすることが重要であるというふうに認識をしております。  このような考え方のもとに、まず一つは、国民負担につながらないと考えられるETFとか投資信託の組成、さらには自社株取得を目的としたそういうものは一般勘定によるということにしておりますほか、特別勘定買い取りにつきましても、まず買い取りの対象株式について限定をすると。それから、買い取りの開始には運営委員会の議決を要することとする。さらに、銀行等からあらかじめ株式売却額の八%に相当する売却時拠出金の拠出ということを求めることとしておりまして、損失が出た場合には、まずこの八%の拠出金ないし当初拠出金、これでもって補てんをするという方策も講じておりますので、こういうことと相まって極力国民負担につながらないように運営をしていく所存でございます。
  28. 中島啓雄

    中島啓雄君 今、一般勘定お話が出ましたんですが、一般勘定株式買い取り目的というのをもう少し御説明をいただけませんでしょうか。
  29. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 機構一般勘定による株式買い取りでは、先ほど御説明しましたように、銀行等による株式の処分の円滑を図ると同時に、証券市場の構造改革あるいは活性化に資するという観点から、ETFでありますとか投信の組成、あるいは事業会社による自社株取得のための買い取りを行うこととしております。  この場合、証券会社事業会社にとっては、市場や個別金融機関から買い取るより機構から買い取る方が、一定価格で相当のロットの株式につきまして、例えば品薄状態のときに急騰するというようなことを避けながら容易に取得するということができるという効果があると思います。  また、銀行等保有する株式の銘柄につきましては個別行によってまちまちでございますが、一般論として申し上げますと、銀行等保有する幅広い銘柄を前提といたしますと、そういうETFの組成等についてはかなりニーズがあるのではないかというふうに考えております。
  30. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今回の法案の目的を総括して言いますと、まずは銀行経営の安定ということなんでしょうが、同時に、金融・証券市場を活性化させて直接金融を促進するとか、個人持ち株を促進するとか、持ち合いの解消というのもあると思いますが、そういうことだろうと思いますが、そういったための施策として総合的にどんなことを考えておられるのか。  もう一つ、昨日、十一月二日の経済財政諮問会議の議事録が公表になったわけでありますが、その中で、きょうは日銀総裁来ておられないんで金融担当大臣にお伺いをしたいと思いますが、日銀総裁の発言の中で、現在のゼロ金利政策というのは、「物価の継続的な下落を防止するという日本銀行の断固たる決意によるものである。」と。そこはいいんですが、「物価のターゲットという声があるが、デフレ下でのインフレターゲットの例はない。是非、無理なことをお決めにならないようにして頂きたい。」というふうな御発言があったと載っております。  インフレターゲットという話はいろいろ議論があって、今デフレ下でインフレターゲットというのはおかしいではないかという理屈もあるんですが、今、党の中の議論でも、日銀法について、物価水準目標というのを設けたらどうだというような構想があると聞いております。物価水準というのは、デフレ状態を解消すると。少なくとも、ゼロ%以上にするというようなことであれば、何もインフレに引っ張るということではないんで、日銀法の趣旨からいっても当然通貨価値の安定というのは必要なことでありますから、「無理なことをお決めにならないようにして頂きたい。」とまで言われるのは、ややいかがなものかなという気がいたしております。  そういう意味で、金融担当大臣としてこの日銀総裁の発言についてどんな感想をお持ちか、また、今後やっぱり金融政策というのはもっと政府側と日銀側とよくコンタクトをとって調整をすべきではないかと思っておりますが、この辺について御感想をお聞かせいただければと思います。
  31. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、金融という名前はくっついているんですけれども、私が所掌しているのは、主として金融機関行政というか、ミクロの行政というふうに御理解を賜りたいのでございます。もう一つ、マクロ経済政策の一環としての金融政策、これとはやっぱりとりあえずまず分けて考えていくのが、私は議論を混乱させないために必要だというふうに思っております。  もちろん無関係ではなくて、私の立場からも、例えばデフレがどんどん続いてしまうようですと、債務の方はデフレしませんから、債務の方はもうきちっと決まっているわけですから、金融仲介機能を持っている金融機関などはそれが起こるだけで非常に困った現象になるということでございます。そういう意味で、無関係ではないし無関心でいるというわけではありませんけれども、ただ、私の立場で余りマクロ金融政策のことについていろいろ他言、多言するということは、私はかねてから申し上げているように避けたいというふうに思うのでございます。  金融という字がくっついているものですから、そういうことを私の立場で論じてしまいますと、あの金融担当大臣は多分金融政策のことについても何か責任を持っているとか、あるいは権限を持っているとかというようなとかくの誤解が起きがちで、非常に私は議論が混乱するというおそれを持っているわけでございまして、そういう意味で、本件につきましても私もそれなりの所感がないわけではありませんけれども、それを表明するということは差し控えたいというふうに考えるわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
  32. 中島啓雄

    中島啓雄君 次に、債務処理問題について少し全般的にお伺いをいたしたいと思います。  改革先行プログラムでも、既存のものは二年以内、それから新規のものは三年以内に処理すると、こういう御方針でございますが、この処理の規模はどの程度と考えておられるのでございましょうか。
  33. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) 処理の規模といいますと、今後新規発生するものもございますので、正確なことは申し上げられないんです。  ただ、十二年度末の主要行の破綻懸念先以下の債権ですが、それが十一・七兆円ございます。それから、昨年度新規に発生した破綻懸念先以下の額が主要行で四・七兆円でございます。こういった規模で新規に発生してくるもの等を含めて二年、三年で処理していくということでございます。
  34. 中島啓雄

    中島啓雄君 十一・七兆とか四・七兆とかいう数字をお伺いしたわけでありまして、最近の主要行の債権処理状況を見てみますと五、六兆円ということですから、この範囲におさまれば三年以内の処理というのは可能なんだと思いますが、必ずしもこの範囲内におさまるという保証があるわけではないと。主要行だけでなくて全金融機関について自己査定によるリスク管理債権というような定義を用いますと四十三兆円とか、それから金融再生法上の開示債権というのでも四十数兆円というような数字があるわけでありまして、かなりこの辺に踏み込んでくると処理の規模がふえるのではないかと。  その場合には、やはり銀行等に資本増強あるいは公的資金の投入が必要になるのではないかというような気もいたしますが、この辺についてはいかがでございましょうか。
  35. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) もちろん、三年というのには二つ意味がありまして、新規に発生したものについては三年以内に、一番わかりやすく言えば三分の一ずつ処理をするというような意味合いで、もちろんそれはそんなに等分する必要もないんですけれども、またそれが可能とも思いませんが、そういうふうにやるということと、そういう努力を続けることによって、三年の集中調整期間終了後においては不良債権比率というものを正常化と目される比率にまで落とすということ、この二つの意味があるわけでございます。  いずれにせよ、そこはそういうことで御理解をいただきたいわけですけれども、そういうことをやると公的資本の注入というものが必要になるんではないかと、こういうことを今委員おっしゃられたわけですけれども、幾つかの点をちょっと御指摘させていただきたいんですが、一つは、不良債権の処理というのは処理損という形でまず損益勘定の問題になるわけです。そうしますと、片方、銀行には業務純益ということで、それぞれの年度に動員できる資金がそこに生じております。そういうことで、そんな楽観的なことを言ってといってまたおしかりを受けることはちょっと覚悟させていただいて申し上げますと、不良債権の処理というのは、まず業務純益を動員できるという格好で、皆さんがお考えになるのより、割に自己資本への影響というのが減殺される面があるんだと。  それは何と比較して言っているかというと、例えば株の時価会計を導入することによって今度生じた評価差損というものは、これはもう直接的にバランスシート上の資本金を食うということになるものですから、減損関係の問題はちょっと別にしますと、全額が自己資本を毀損するということになるんです。だから、例えば五兆の不良債権が発生した、五兆の株の差損が生じたという場合に、どっちが影響が自己資本に対して多いかといったら、明らかに株の差損の方が多いということになるわけです。  そういうこともちょっと、皆さんお考えになるときにこういう面もあるんですよということで私申し上げるわけですけれども、私はちょっとそういう理解をしていまして、そのあたりが非常に、何というか、みんなが考えるのと私どもが実際に計算をするときの違いになってあらわれているのかしらんと、こんなふうに思ったりもしているということでございます。  それからもう一つは、不良債権の処理損で自己資本が毀損された場合に公的資金が必要かと、こういうふうになるんですが、現在の国会や何かの御指導のもとでつくっているスキームではどうなっているかといいますと、それは、早期是正措置が行われるというそのコースに入っていくわけです。  自己資本が少なくなると、例えば国際基準行で八%を割った場合には、六%までの銀行だったらこういう措置をするんですよということで、まずいろいろな形でその事態の改善を求めて、そして、それぞれの該当した金融機関というのはその求められたことに応じなければならないと、こういうことになっているわけでございまして、現在の制度を運用する限り、いきなり公的資本の注入なぞというようなことが出てこないという制度のもとで我々は今生きているんですよということでございます。  もちろん、その中でもそういうことが起こって、金融システム全体の危機のおそれがあるんじゃないかというようなことになれば、それは危機対応という形で公的資本を入れることも道が開かれているわけで、我々は、そういったことを現実のものにしてはいけない、危機を現実のものにしてはいけないということで緊張して慎重に見きわめて、果断に必要な措置をとっていかなきゃいけない。  その中には公的資本の注入もある、これはもう当然なんですけれども、今言ったような、現在我々が置かれている制度というものはそういうものだということをひとつ御理解を賜りたいと思います。
  36. 中島啓雄

    中島啓雄君 今、公的資金の制度お話があったので、ちょっと私の理解が足りないかもしれませんが、預金保険機構に対して政府保証なりあるいは交付国債というので、いわゆる七十兆円という枠がございますですね。これまでもかなり贈与なり交付国債の償還というような形で使っていると思いますが、今おっしゃったようなシステミックリスク等へは、ある程度この枠の中で対応できるのかどうか、その辺お伺いさせていただきたいと思います。
  37. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 危機対応勘定というものが既に預保の勘定の一つとして設定をされておりまして、そこでの資金というものは、七十兆円の内訳でございますけれども、十五兆円割り当てられているわけでございます。まだ当然一銭も使っておらないわけでございまして、そうした事態が起これば、この十五兆円でもってそうした事態に的確に対処できる、こういうシステムのもとに置かれていると、こういうことでございます。
  38. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  最後に、本法による金融機能再生の効果をどのように考えておられるのか、大臣として金融機能再生への決意をあわせて伺って、終わらせていただきたいと思います。
  39. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いろいろ私どもの国の金融機関というのは、これまでの融資態度を反映し、さらにはこれまでの投資の結果というものに影響されて、現在の経済社会情勢のもとで、昔は強みであったものが今や弱点というか、そういうようなことになっておるわけでございます。  今回の保有株式の問題もまさにそういうことであるというふうに思っておりまして、これは、早急にこの問題を解決しておかなければいけないということで、あえて私ども今回、保有制限ということを課したわけでございます。  そういうことで、銀行も既に自主的にいろいろと努力はしておるわけですけれども、金融システムの安定というものに責任を持つ行政としても、これをできるだけ早くにやっておかなきゃいけないということで今回の措置をとることを考えて、そして今回こういう法案の形で御審議をお願いしているわけでございます。  したがって、不良債権問題と保有株式問題という、ほかにもいろいろ問題あるかもしれませんけれども、とりあえず、焦眉の急というか、非常に大きな問題というこの二つを適切に処理することによって、早く日本金融というものを安定させ、そしてまたいつかの日のように、それは実力を伴っていたかどうかはともかくとして、国際金融市場で雄飛をするような、それからまた国民経済全体にとっても、金融産業というのはサービス産業の中で非常に知的な集約度というようなものも多いわけで、日本人の民度を考えると非常にこれは伸ばしていかなきゃならない産業でございますので、そういう産業としての確立ということも考えていきたいということが私どもの念願するところでございます。
  40. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  終わります。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 法案の中身に入る前に、前回のこの財政金融委員会質問をさせていただいたことと関連をしながら少し質問をさせていただきたいと思うんですが、まず、私は前回指摘をできなかったんですが、どうも金融庁のこれまでの不良債権問題に対する改革のある意味では中身がかなりぐらぐらしていたんじゃないかというふうによく指摘を受けるわけです。  それは、私ども注意深くいろんな資料を読んだり金融担当大臣からお話を聞けば何とかわかるような気もするんですが、実は最初に、たしかあれは骨太の方針ですか、六月に、不良債権については、今までのものは二年、新規に発生するものは三年で解決をすると、こういう話だったんです。参議院選挙が終わって八月に入ってまいりますと、これは経済財政諮問会議で、今のテンポでこういう形でやってもやや七年ぐらいかかると、こういう話だったんですね。そうすると、最初の二年から三年の間に解決するということと、七年という数字が出てきたりして、これは一体どうなっているんだと、こういうある意味では疑問を持つ向きもあるわけであります。  改めて、金融担当大臣として、この不良債権の処理の方途といいますか、具体的なめどといいますか、日程的な問題を含めて、時間軸でもってどのように考えておられるのかを最初に確認しておきたいと思います。
  42. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私ども、当初から今回不良債権と、当初というかことしの一月ごろから私が申し上げたわけですが、不良債権というのは間接処理にとどまらないでやはりオフバランス化を考えないといけない、こういうことを申し上げ始めたわけですけれども、それが政府の施策という形でしっかりした文書の形でまとめられたのは骨太の方針のときでございます、六月だったと思います。  そういうことでございますが、そのときに私どもは、この話が審議されるときに、そういうプロセスを追求していったときに、一体その先に何があるんだということをやっぱり国民の皆さんにお示しするということが必要ではないか、特にそれは、不良債権比率という非常にわかりやすい指標、こういうようなものを採用することによって、全貸し出しの中に不良債権がどのぐらいの比率になって今現在おり、それがどのくらいの比率まで下がるかという形で、それから、どのくらいまで下がればそれが正常な状態と言えるのかというようなことを含めまして、はっきりしたイメージを国民の皆さんにお示しする、また我々の行政にとりましても、いや、これじゃテンポが遅いぞとか、もうちょっと早くしなきゃいけないぞとかというような、そういう一つのスケールというか物差しというか、メルクマールをつくっておくことが必要だということで不良債権比率、もちろんもう一つ与信費用比率というものも補足的に掲げさせていただいたわけですが、そういうものを採用させていただいたということでございます。  そうして、その上で、じゃ一体我々がやろうとしていることが時系列的に言ってどういう姿になるんだということを実は明らかにしておこうと、こういうことを考えまして、全くの試算でございます、これはもう前提をかなり置かなきゃいけませんので試算なんですけれども、そういう形で示したものが不良債権問題解決のイメージということで公表をさせていただいた資料というか計表と、こういうことになっているんです。  そのときに、今、峰崎委員がおっしゃったように、七年ということになっちゃったじゃないか、三年と七年とは一体何の関係があるんだと、こういう御疑問をわかせてしまったというのはまことに我々にとって不本意であったわけですが、それは、七年というのは計算上のことで七年ということになるわけで、どうしてそうなるかというと、不良債権というのは、御案内のように、要管理先以下の債権を不良債権というように我々とらえているわけですが、その不良債権が、この三年の最後の年に生まれるという不良債権、それが一体その後どういうふうになるかということも一応確かめておこうと、こういうふうに計算をする者が考えたんです。  そうすると、三年目の最後のところに要管理債権に正常先あるいは要注意先からおっこってきたものがその後どういう推移をたどるかということを考えますと、生まれてきたその一年を入れまして、あと三年でそれをやるというと合計四年になるわけです。三年の先っぽにあと四年、全部見ておかないと新しく生まれた要管理債権の行く末というものが見届けられないということを計算をする者が考えまして、それで合計七年のスパンでもって資料を作成し、それを公表したと、こういうことでございます。  したがって、それで正常化は一体いつなのかといえば、これは私ども、ある格付会社の申していることですが、不良債権比率というのは四%ぐらいになれば正常化と言えるというふうな一つ評価もあるものですから、この四%を切るぐらいのところは一体いつ実現されるかというと、我々が前提にしているもので試算したところでは、これは三年が終わったところでそういうことが実現されるということを私ども一応この試算から読み取ることができたものですから、そういうことで、この前提というのはもちろん経済財政諮問会議が提示するような前提を置いての話でございますけれども、そういうことに従って経済が運営されるという前提に立つならば、今言ったような三年の集中調整期間が終わった後の四年目には四%を下回る不良債権比率というものが実現できますねと、こういうことをあらわした計表を一つのイメージとして提出させていただいておると、こういう次第でございます。  したがいまして、私どもとしては、不良債権問題の正常化ということをできるだけこのイメージに近い形で実現したい、実現すべくいろんな施策をし、また銀行にそれを促していきたいと、このように考えているということでございます。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今四%という数字を出されましたけれども、これはどこかオーソライズされる根拠はあるんですか。
  44. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、例えばアメリカの不良債権比率の推移、これFDIC加盟銀行の不良債権比率で、峰崎委員もたびたびごらんになっている表かと思うんですけれども、最近一%とかそういうラインまで下がっておりますが、これはもう一種のブーム現象のアメリカ経済を背景とした数字だというふうに言っていいと思います。それで、私の記憶するところでは、その四を切ったあたりの経済というのは、九〇年代の半ばごろ実はアメリカも実現しております。  そういうようなことで、私ども、そのブームの状態の不良債権比率を実現するということよりも、今から落としていくというところでは、アメリカと同じように、通常のというか、ブーム状態でない経済の状況のところあたりが目指すところだろう、それが四%近傍であろうと。  それからまた、これはスタンダード・アンド・プアーズが言っていることですけれども、この四%を下回る、三%ないし四%となる不良債権比率であれば問題がないと考えておるというような、これは一つの文書でございますけれども、そういうようなことから、我々はそういったところをひとつ念頭に置いて不良債権の問題に取り組んでいきたい、こういうふうなことを考えているということでございます。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣、この間からずっとお話聞いていると、要するに、民間のシンクタンクだとかそういうところはマクロで不良債権もと、なかなか民間の調査については余り信頼されていないところがあるんですが、今の話になると途端にスタンダード・アンド・プアーズだとかあるいは日本のシンクタンクだとかそういうものが出てきて、何かお話聞いているとダブルスタンダードになっちゃってですね、物の見方、とらえ方が。そういう意味で、ちょっとお話を聞いていて、そういうところでは民間のそういった研究機関とかシンクタンクとか格付機関を信頼されているんだなと。だから、ある意味では、私どもとすると、柳澤大臣、何か一貫していないんじゃないかなというふうに思うんですが、その点はどんなふうに考えておられますか。
  46. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) マクロの分析というのは、私ども、その中身についても実は少し粗っぽいというふうな認識を持っておったわけですが、その人たちは証券会社のアナリストでございまして、ちょっと私が引用した格付会社が格付をするに当たって不良債権問題をどういうふうに見ているかというのとはちょっと違うと思います。  加えまして、私はそれだけを言ったんじゃなくて、アメリカの不良債権比率の推移というものを見た上でそういうところでいいんではないかなと考えたということも、先ほど申したとおりでございます。
  47. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう一つちょっとお聞きしたいんですが、今、要管理債権とおっしゃいましたですね。私ども、骨太の方針を読んだときは、破綻先あるいは破綻懸念先、要するにⅣ分類、Ⅲ分類とお話を聞いて、要管理債権というのがそこの中に入ったというふうに思わなかったんですが、そのあたりはどういうふうに考えておるんですか。
  48. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 不良債権というものの把握というもの、あるいは認識というものを要管理債権以下にしておるということでございまして、オフバランス化の対象にするものは破綻懸念先以下であると、こういうことでございます。  その後は、また御質問の展開に応じてお答えしたいと思います。
  49. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは後でまた話を戻していきたいと思いますが、どうも大臣お話は、答弁のときによく耳を凝らしているつもりなんですが、よくわからないことが多くて、実はちょっと前回の財政金融委員会で、諸外国に対して出向かれたと、IMFだとかあるいはイギリスやアメリカの方に行かれて関係者と会われたと。そのときの内容はどうだったんですかという話をそのとき聞いていて何だかわかったかわからないなと思っていたんですが、議事録を改めて読み直してみたんですよね。ちょっと読んでみますと、ちょっと長くなりますけれども、   そこまで大仰に構えられる必要もないというふうに思うんですが、相対的に言いますと、不良債権処理というものとマクロ経済政策というのはある種の緊張関係にありますねということを指摘する向きがやっぱりございます。 これはどういうことなのかわからない。これ、まず一点目です。  これは、今の日本の不良債権の問題に対する世論というか、マーケットの声もそうなんですが、私はこれに対していささかもあんばいするとかというようなことは絶対言えない立場なんです。また、する気もない、そういうことは。 これはまたどういうことをおっしゃっているのかなと、ちょっと私の頭脳ではおっしゃっている中身がよくわからないので、二点目にお聞きします。   しかし、本当に冷静に考えたときに、マクロの金融政策あるいはマクロの政策の責任者がどういうふうにこういう状況を見るかということについては、今の世の中の人たちよりもやっぱりもっと姿勢がニュートラルに、本当にどういうふうになるんだというような観点で見る向きもあるということで、要は、それぞれの金融当局者が最大の注意深さと最大の果敢さをもって取り組まなきゃいけない問題だ、大体そういうラインの話であります。 これも、よく読んでいっても、おっしゃられたことの要点、よくわからなかった。  そのときに再質問して、言っていることがわかりませんと言えばよかったんですが、改めて議事録を読んでみて、諸外国へ行って日本金融政策に対してどういうふうに思われたのかということを今三つぐらいに分けて段落で説明しましたけれども、改めてもう一回説明していただけませんかね、わかりやすく。
  50. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今質問が始まってすぐに過去に私がお話し申し上げたことを全部読めるわけじゃないんであれですが、私、多分、基本的に私がイギリスあるいはアメリカの金融当局者と話したことはここで申し上げたくないと、私申し上げる立場にないと思うということを申し上げたと思います。  ですけれども、それでぽっきり話をほとんどすべて拒否するというのもいかがかと私、心の中で思いまして、何と申しますか、そのものずばりを言うわけにもいかないけれども、峰崎委員のような方の御質問にフラットにノーというか、そういうことをすべきではないということで回りくどい言い方をしたということは私十分自覚の上で申しているわけでございます。  これをはっきりさせろと言えば、またもとへ私の話は戻ってしまって、本当に金融当局者の間の話を明確にここでディスクローズしろということであれば、それはやっぱり御遠慮申し上げるほかないと言わざるを得ないと思います。  要は、要はというのはもうここでやめておきます、それじゃ。
  51. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 言いにくいことがあったら、私も前回のとき、それは問題があるのであれば議事録だとか秘密にしたってお話を聞かせてもらっていいじゃないかという話をしたわけですね。そうしたら、そこまで大仰に構えられる必要はないですよということでお話しなさったんですよ。不良債権処理とマクロ経済というのはある種の緊張関係にありますねという、これはどういう意味なのかなというのが、要するに、不良債権を処理しなければマクロ経済は安定しないのか、不良債権を処理すればデフレをますます加速させますよと、両方ともとれるんですよ。そうすると、どういうふうにおっしゃっているのかということ、これだけでは全然わからない。  だから私どもは、ここで議事録としてお話しなさったことの真意というのは、柳澤大臣、先ほど私はマクロの経済については余り発言しないんだとおっしゃっているけれども、しかし、今やっておられることがマクロと緊張関係にあるということをおっしゃっているわけですね、ここでは。また、そういうことを指摘をされたとおっしゃっているわけです。  どういうことを言われたのかというのは、要するに、不良債権処理を急ぎなさいと言われたのか、不良債権処理を余りに急ぐとマクロ経済にデフレをもたらすのであるから、もう少しテンポをゆっくりやりなさいと、どういう話だったのかとこれだけではさっぱりわかりませんね。改めて、これは言いたくないということなのか、言えないということなのか、ちょっとお話を聞かせてください。
  52. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) まさに核心に触れた御質問の立て方をされていらっしゃって、どういうものなんでしょうか、私も、金融当局者の話について、こうでした、ああでしたということを申し上げるということはできましたら御勘弁いただく方がこれからも、私がどういう立場にいるか知りませんが、仮にほかの人がなったとしても、もう行ってフランクに話をするということができなくなるんじゃないかと私は思うんですね。  ですから、これはちょっとディスクローズをするということは御勘弁いただいた方が、峰崎委員が私のお立場に立つようなときのことを考えても、私は、フランクに話をする、本音の話をするということを将来ともに確保するためには、お話ししない方が、そういう将来の立場を確保するためにもよろしいのではないかというふうにとりあえず判断するわけです。
  53. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 十月三十一日の衆議院の財金委員会で、金融庁長官の森昭治さんがたしか新生銀行に対して話をした中身で、何か同じようなやりとりを聞きまして、それは細かい具体的なことはなかなか言えないというような話でありましたけれども、私は何かそこら辺、もう少しフランクにお話しなさったのならこの場で言えないことはないんじゃないかなというふうに思うんですが、わかりました、そこはそれ以上追及しても時間がもったいないですし、それがすべての本質的なことではありません。  じゃ、柳澤大臣は、この緊張関係ではどちらの見解をとっておられますか。それは国務大臣として、私は聞く必要があると思っておりますが。
  54. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、私の立場では、ここで申し上げているように、不良債権の処理をした方がマクロ経済政策とも軌を一にすることになるだろうというふうに考えています。
  55. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、不良債権の処理を急いで早くやった方が経済にとってはいいと、こういうマクロの考え方ですか。
  56. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そうです。
  57. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 はい、わかりました。  それでは、先に進ませていただきたいと思うんですが、特別検査の中身でございます。  実は、改革工程表にも載ってまいりました、特別検査と。前回も私は少し質問させていただいたわけでありますが、この中身が、十月二十八日付の日経新聞に「要注意先債権洗い直し」ということでその特別検査の概要が載っております。立入検査期間が今年十一月から来年三月末、対象行が四大銀行グループの傘下銀行など大手十四行、対象企業が市場評価に著しい変化が生じている残高百億円以上の大口融資先、参考とする株価が三月末、六月末、九月末時点の株価、参考とする格付ということでS&Pとかあるいはムーディーズとか、「などの」と書いてありますから、これはかなりあるんでしょう。それから、破綻懸念先企業への銀行の対応は、いわゆる債権放棄と民事再生法など法的処理とそれからRCCへの売却と、この三つに分けられておりますが、これは間違いないのでありましょうか。
  58. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、最後におっしゃった破綻懸念先企業への銀行の対応というところは、これは公表もいたしておりますので、私、ここでそのとおりですと申し上げることができます。  しかし、その他の部分、どういうものが対象であるかとかいうような、そのときに対象を選ぶときの指標はどういうものであるかというようなことにつきましては、これはかねて申し上げておりますように、対象となる債務者を風評のリスクにさらすことになるということから、これはぜひとも、その選定基準にかかわるようなことでございますけれども、私どもコメントは差し控えさせていただきたい。  どうも峰崎委員がコメントを私が避けさせてもらいたいことばかり次から次へとおっしゃるので、すべて何かミスター・ノーみたいなことになって私も不本意なんですけれども、実際、今私が言っていることは、その都度ずっと今まで言い続けて一貫してきたことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  59. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いわゆる改革工程表の中で特別検査というのが入ったわけですね。入った理由は、原因はやっぱりマイカルの破綻の問題ですか。そこら辺、少しお話しいただきたいと思います。
  60. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 率直に言ってそうでございます。これは、私どもの検査というものが基本的に、特に新体制になってからは基準日というものを直近の銀行の決算期というふうに考えておるわけでございまして、そうすると、銀行の貸出先の決算期との関係では非常にタイムラグが生じてしまうという傾向がございまして、このことをいわば私ども衝撃的に認識させられたというのは、今、先生の御指摘の事案であった。  何とかこれを、タイムラグの問題等ですが、そういったものをやはり克服する新しい補完的な手法というものを導入しなければいけない、こういう考え方から今回、特別検査ということをさせていただくことになったというのが経緯でございます。
  61. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう意味では、市場のシグナルに敏感に反応しようという、タイムラグの、この間本会議で質問させていただいたわけですけれども。  そうすると、こういう疑問がわいてくるんですよ。つまり、市場のシグナルをもっと感度よく入れたいとおっしゃっているときには、多分それは株価の問題が一つありますよね。これは我々だって、株価の問題は毎日の市場のシグナルで、建設業で五十円を割っている株が幾らあるか、あるいは百五十円を割って危ない企業がどれぐらいあるか、これはわかるんです。それはもう金融庁であろうと私、峰崎個人であろうと、これはもう要するにだれでもがわかるんですね。アクセスできる。  それから、スタンダード・アンド・プアーズとかあるいはムーディーズとかという格付会社は、我々はもちろん情報を持っているんだろうと思うんですが、一番情報を持っているのは金融庁なんですよ。そうすると、金融庁が要するにムーディーズだとかあるいは市場のシグナルだとかということを活用したいというふうに言っているということは、私はどうも、もっともっといろんな情報やデータを持っている金融庁が事実上、要するに検査能力を持っていないということを逆に証明してしまうんではないかなという気がしてならないんですが、そういうふうに考えられませんか。この点、大臣としてはどのようにお考えになっていますか。
  62. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 少し事柄を区分けして申し上げますが、銀行の資産査定というのは自己責任原則のもとによる自己査定なんですね、自己査定。そういうことが前提になって、その自己査定が的確に行われているかということを検査する、こういうことでございます。  それで、私どもは、金融庁がたくさん情報を持っているということはありません、これは正直言ってありません。金融庁が、金融機関の先の事業会社、貸出先の情報をたくさん持っているという事態は、これはないわけでございます。金融機関の情報はたくさん持っています。それから、金融機関は貸出先企業に対しての情報を、これは持っていないと困る、はっきり言って。たくさん持っていないと困る。  ということで、それで我々は、基本的に金融機関の自己査定というものが的確に行われているという、検査マニュアルは少し手続の面に偏っている面もあるんですが、その実態にも踏み込んで検査をしているんですが、基本的には、そういうきちっとした手続でその情報をちゃんと踏まえた債務者区分をしているかということを見に行っているということでございます。  ですから、金融機関が今までだれよりも多く自分のお金を貸しているわけでございますから、横合いの人がああでもないこうでもないと言うことよりも、はるかに当事者としてそれはたくさんの情報を持っていなきゃなりません。そういうことで、我々はそれを前提にしていろいろ検査をしてきたわけですが、ここに来てああいうことが起こった。それから、特に基準日との関係で基本的にタイムラグという問題も我々突きつけられたということで、今回そういう補完的なことをやるぞということを金融機関に対して命じた、課したということであります。  ですから、今の御質問金融庁が持っているはずだということであれば、それはちょっと違うということを申し上げたいと思います。
  63. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 金融庁が貸出先の情報を持っているということを言っているんじゃないんです。金融庁は、銀行の検査を通じて、金融機関の検査を通じて、一体それはどういう状況になっているかということを把握をされているわけですね。要するに、分類債権がどうなっているかということをやるわけですね。その大前提としては、それはちゃんと利息が入ってきているか、これが延滞していないかとか、いろいろ条件をつけてやっているわけです。  そこで、今マニュアルのお話をされました。私は、どうも今の金融監督のマニュアルの中に、こういうマイカルのようなものをもたらす大きな原因があるんじゃないかと。  それは何かというと、厳格な資産査定に対して、マニュアルの中に、銀行がこの融資をしているか、引き続き融資をしているかどうかということが必ず入っているじゃないですか。そのことによって、本来ならばこれは破綻懸念先だけれども、しかしメーンバンクがちゃんとこれを応援しているから、だからこれは要注意でいいんだよと、こういうのが実は今の銀行の検査マニュアル、これは私も前にも一回質問したことがありますけれども、検査マニュアルの中にどうもそういうものが入っているから、実は銀行同士が、私、後で申そうと思ったんですが、不良債権の持ち合いというのをやっている。  つまり、そごうならそごうには、具体的な固有名詞は挙げませんが、Aの銀行もBの銀行もCの銀行も全部貸し込んでいる。しかしそれは、そこから自分が融資を引き揚げるぞと言ったら、おまえのところも、メーンバンクのところの企業も、おれも引き抜くぞという、お互いにこういう不良債権同士の持ち合いっこになっている。だからなかなか足が引けなくなっているということもあるだろうと思いますし、マニュアルの中に、要するに銀行の支援というものの措置が入っていれば、本来査定すればこれは破綻懸念先だというふうに入れなきゃいけないものも、いや、これは要注意でいいんだというところになるような仕掛けが入っているんじゃないですか。ここが最大の問題じゃないですか。要するに、民間のアナリストなんかの見方も私はそこにあると思うんです。やはりもうそこのところは峻別すべきじゃないのかなというふうに思うんですが、その点どのように考えておられますか。
  64. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今の質問のお言葉だけですと、各委員もそんなものかというようなことで、いわばメーンの支援というようなことでまた格上げされちゃうということかと御疑問になられると思うんですが、それはありません。それはまずないんです。  それはなくて、じゃ何があるかといいますと、今、先生の御指摘になられること、おわかりになってそういう表現をされたのかもしれませんが、企業の経営改善計画、あるいは場合によっては再建、再建ではないですね、企業の現状を改善する計画というものがうたわれているケースは確かにございます。  そういうものがある場合には、本当にそれが実現可能なものであるということをいろんな形で全金融機関が一致してその経営改善計画を支持していれば、それは上げてよろしいとか、あるいはそういうことを形式的に考えなくても、主要なところがそれを支持していれば、それは上げてよろしいとか、いろいろな表現というかグレードはあるわけですけれども、いずれにせよ、そういうことで「経営改善計画等」、「等」と書いてあるのは、その名前がいろいろなものですからそういうふうに書いてあるんですけれども、経営改善計画というようなものが本当に実現可能性のあるものであるという場合には、それは格上げしていいですよということが書いてあるわけでございます。  さらに御質問があればまたお答え申し上げます。
  65. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今おっしゃられたマニュアルのところ、例えば破綻懸念先のところに、検査マニュアルの中で破綻懸念先の査定のただし書きの中にこう書いてあるんです。「金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者については、以下の全ての要件を充たしている場合には、経営改善計画等が合理的であり、その実現可能性が高いものと判断し、当該債務者は要注意先と判断して差し支えないものとする。」と。以下の要件としては、いろいろ書いてあるけれども、一方で基準を「機械的・画一的に適用してはならない。」と、こう書いてある。  要するに、検査官と銀行とのやりとりによっては、ここは非常に玉虫色になっちゃうという可能性があるんです。どうもこれは、かつての護送船団方式の中で、いわゆるメーンバンクシステムで企業と銀行というのが融資する融資される、融資関係を持っていたわけです。そのことが依然としてこの検査マニュアルの中にも残っているんじゃないんですか。これが残っている限りは第二のマイカル、第三のマイカルがいつ起きてもおかしくない状態になるんじゃないですか。  要するに、株価がどうなっているかとか、あるいはその格付がBBBからBマイナスに落ちたとか、そんなことよりも、ここのところの基準がある意味では極めてあいまいなものになっていることが実は、今申し上げたように第二、第三のマイカルをもたらすんじゃないんですかということを言いたいわけです。それがあるがゆえに、日本の不良債権というのはなかなか、国際社会からもあるいは市場の皆さん方から見ても、どうもこの点が隠されているんじゃないのか、あるいは正しく査定されていないんじゃないか、こういうふうな疑念が出てきているんじゃありませんか。この点、改めてお伺いします。
  66. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私自身もいろいろと問題にしているところを今委員から御指摘をいただいたということでございますが、要するに、ここで申していることを、そういう目から見て、じゃ、ずばっと落としちゃうことができるのか、こういうことを世の中で認めないのかと。本当に幾ら経営改善計画というものを真剣になってつくってそれでやろうとしても、それを一切認めないという基準にすべきなのか。やっぱりそうじゃないんだろうと思うんですね。  そうじゃないということにした場合に、一体、改善計画というものの合理性、実現可能性というものをどうやって見るのかということは、これは何か書かざるを得ないですよね。そうなると、じゃこれのどこがいけないのかと。ずばっと全部切り捨てるということは世の中のあり方としておかしいということになると、じゃどうするんだと、こういうことなんです。  だから、今ここに書いてあることをこういうふうにも読めちゃって、信頼がされないような金融検査の結果をもたらす危険があるじゃないかというのも正しいというか、まあ譲ってそういう側面があるということであっても、じゃどう書くんだ、じゃ本当にちゃんと改善計画をつくってこれから回復していこうという企業をきちっとサポートしていくためにどう書くんだということが私は問題だろうと思うんですね。  ちなみに、ちょっと言いますと、これは公認会計士の実務指針も同じ表現だということでして、もちろん公認会計士の実務指針とこの金融検査マニュアルとは非常に連携をとりながらつくられているということはあるんですが、基本的には公認会計士の実務指針の方が先にできて、それを検査マニュアルは引っ張っているというのが建前の上での構造でございます。このこともちょっと指摘をさせていただきたいと思います。
  67. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、要注意先を破綻懸念先にしてつぶせと言っているんじゃないんです。問題は、ある条件、いろんな銀行が融資をしているからとか、あるいは経営再建計画を持っているからといって、それをいわゆる要注意先とかあるいは問題のない債権にするとか、そういうある意味では扱いそのものが非常に問題を生じているのであって、そこの分類は分類できちっとやりましょうと。なおかつ、そこで破綻懸念先と要注意先の間に場合によっては一つの、一時的にせよ、今おっしゃるように、この会社の経営健全計画だとかそういうのを出してきているからそれを何とか銀行としてはやりたいということについては、それはあっていいと思うんです。だから、場合によってはその区分先をつくってもいいと思うんです、臨時的に。  問題なのは、そのときにちゃんとそういう引き当てをしているかどうかというところが問題だと思うんです。そういうきちんとした、いわゆるほかの条件を考えたときに、銀行支援があるからないからということじゃなくて、一体この企業はある意味ではどういう分類になるのかということについての厳密な査定というのがやっぱり私はあっていいんじゃないのか。  そこのところがないがゆえに、あるとき突然ぱたっとマイカルのようになっちゃう。まだ第二、第三出てくるかもしれない。そこのところが一番やはり今金融当局と市場との間の、何となく日本金融検査はどうも完全じゃないんじゃないのか、あるいは不良債権の実態というのはどうもやはり正確にとらえられていないんじゃないのか、こういったところが、私ももう何回も言いますけれども、国内だけじゃない、海外も、ブッシュさんからも言われる、いろんな方からもそういうふうに言われてきている背景というのは、どうもそういうところにあるんじゃないのかという気がしてならないわけです。改めて御意見をいただきたいと思います。
  68. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 心情的に言うとかなり近いんですよ、心情的には。ですけれども、これを直すということになりますと、実務指針、少なくとも実務指針まではさかのぼってやるということになります。それをあえて避けるなということもあるわけですが、実務指針を直すということになると、企業会計審議会あるいは今度新しくできた何とか審議会、新しい財務会計基準機構だそうですけれども、そういうところでのむしろイニシアチブでスタートするというのが新たなる方法でございますので、それの出方も待たなきゃいけないし、また、それまでのことを考えるとやや時間がかかるということもありまして、冒頭言ったように心情的には近いものを持っているわけですが、今急場の間には合わないということと同時に、これを今厳格にやる、この与えられた制度を厳格にやる、まず判断で裁量的に適当なことをやらない、これはもう我々の検査当局がきちっと踏まえている点でございます。  それから、先生が申された引き当てについては、私ども、行内区分の細分化をすることによって、細かく分けるという作業をすることによって、できる限りそういったこと、その債権の特殊な弱さというか、そういうものをできるだけ反映するような引き当てをするようにということを今回やらせていただいたということでございます。
  69. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 心情的には近いということをおっしゃられたんですが、要するにそういうふうにした方がいいねということだったら、私は、金融行政の責任者として直ちにマニュアル改定やられたらいかがですか。それは、金融庁としてそういうものを毎日やっているわけですから、検査はこれからもやるんでしょうから、そうすると、よりよいものに切りかえるというのにはそんなに時間をかけないでいいと思うんですよ、私は。そういう手続ももちろん一定程度必要かもしれないけれども、しかし、国際社会からもあるいは国内のマーケットからも、やはり今の日本金融検査のあり方について重大な疑義が呈されているわけですよ。そういう意味では私は、直ちにそれを自分の責任で改定すると。心情的に私と考え方が同じだなんというふうに言ってもらわないで、それはもう直ちにやると、こういうふうに大臣やっぱり断言されませんか。
  70. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 心情的に同じということなんですが、問題意識を持っているということです、問題意識を持っている。ですけれども、私が今やるべきことは、今与えられたこの金融検査マニュアルにおいても、同じような結果を招来できるような、そういうことが可能なんです、不可能ではないんですね。そこで、今私は工夫をしてそういうことに踏み出しているんですということを先ほど御答弁申し上げた次第です。
  71. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 問題意識は同じだと。先ほどの心情的に同じとどこが違うのかわからないのですが。しかし、特別検査というものを実施すれば、じゃ本当に第二、第三のマイカルのようなものが出てきたらこれは防げるんですか。その自信ございますか。責任者としてどう考えておりますか。
  72. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) どういう意味で生ずるのを防げるかとおっしゃるのかちょっとわかりません。我々の方は、債務者区分を的確にして所要の引き当てをする、当面ですよ、所要の引き当てをするということに尽きるわけでありまして、客観的に金融検査の結果、ある企業が倒産、破綻するのを防げるかと、そんなものは私どもの任務でもないというふうに思います。
  73. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういうことを言っているんじゃないんですよ。要するに、今のマニュアルで十分やれるんだというふうにおっしゃっているんでしょう。私は、今のマニュアルの中には、要するに破綻懸念先なのに要注意債権になってしまう要素がここにありますねと、だからこの点をやはり直さなきゃいけませんねと言ったら、そこのところは今、心情的に私も共通しているものがあるとおっしゃったんですから。まあいいです。  要するに、そういう破綻懸念先に分類し直してそれを積んで、それを直ちにオフバランスで企業を倒産させろと言っているんじゃないんです。破綻懸念先であってもやや一定年限銀行として支援したいというのは、それはあったっていいじゃないかということを言っているわけで、今申し上げたように、資産を査定するに当たって、何というのでしょうか、手心を、手心というか、手心と言ったら変な言い方ですが、要するにそういうものが生まれないようなものにやはりマニュアルをしなきゃいけないんじゃないのかということを私は言っているわけです。その点で私は、今、心情的に同じだというふうに理解を得たから、それでは直ちにマニュアルを変えてくださいというふうに申し上げたんです。
  74. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 議論がちょっと私、迷路に入っちゃったような気もするんですけれども。  私は、今、委員は、要注意先にされるのがいけないということであれば、それはそうじゃないんじゃないかということを私は言ったんです。それは、破綻懸念先の上は基本的には要注意先なんです。要管理というのは要注意先の中の一部ですから、それはもう先生御案内のとおりです。したがって、破綻懸念先に区分されないというのは今の制度では要注意先と、こういうことになるわけですが、では要注意先にするのがいけないということでは多分ないんだろうと思うんですね、要注意先になっちゃう。  問題は、その要注意先にしてもしかるべき引き当てを積むということが必要なんじゃないかということであれば、それに対しては我々は、できる限りそういうふうな引き当てが可能になるような今度、債務者の行内区分の細分化という形でそれが実現できるようにいたしましたということを先ほど来お答え申し上げているんです。
  75. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと何かわからない、何かまたごまかされているような感じがしないでもない。ごまかすというのはちょっと表現を訂正いたしますが。  大臣、私がさっきから言っていることは、破綻懸念先であるものを要注意先に落としてもいいですよという条件がるる書いてありますね。書いてありますね、検査マニュアルに。その検査マニュアルにそういうものがあるがゆえに、本来は破綻懸念先として分類をし、それに相応の引き当てを積まなきゃいけないものが要するに要注意先になっている、あるいは半ば要管理になっているのかもしれません。そうすると、これは個別引き当てになっていない場合がありますね、三%、四%だということになっています。これも後でまた質問しようと思っているんですが。  そうすると、そういうものがやはり我々からすると、しかし実態的には銀行の支援があるとか、あるいは改善計画を立ててあるからとか、そういうことがあるからその引き当ては少なくて済んでいるというんじゃなくて、そこはもう本来ならば破綻懸念先にしておいて、引き当てをきちっと積んで、その上で、破綻懸念先だけれども、この破綻懸念先については何とか再生できるようないろんな努力を、銀行としては引き続き融資もしたいと、こういう分野があっていいじゃないですかということを私は言っているわけです。そうでないと、これは金融システムの不安のことを言っているわけですから、要するに、銀行が引き当てが四%ぐらいしかないのに、一気に、破綻してしまうと七〇%ぐらい足りない部分について要するに損失を出すわけです、結果的には。  そういう意味で、私は、そういうところに第二、第三のマイカルが起きてもいつでも金融システムは大丈夫だというふうにしておくのが本来の役割じゃないんでしょうかということで私は申し上げているんですよ。
  76. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、峰崎委員は、やっぱりこれを削るというかどうかして、あるいは破綻懸念先でもというところで動かしていこうとされているのか、ちょっとよくそこの具体的な処理はわからないのですけれども、いずれにせよ、こういった経営健全化計画というものが合理的でありかつ実現可能性があると、そういうことを具体的に金融機関が皆支持しているというようなものでも破綻懸念先に分類しちゃえ、区分しちゃえということかと思うんですが、私どもは、やっぱり破綻懸念先にしてもう資産の保全だけを考えたような処理にして、果たして裁判所がどういうふうに判断するかという問題があると思います、継続融資をした場合に。そういう問題も絡んできちゃいますから、私は、今のこのマニュアルのもとで今度やらせていただいたのは、要注意先にするけれども、しかしこれをいわば銀行の行内区分においてカテゴリーを一つつくって、それに見合うような倒産確率というか、そういうものを勘案したところで引き当てをきちっとするということを具体的な施策として今度出させていただいたということでございます。  やっぱり破綻懸念先にしちゃうということになると、峰崎委員お話でも、破綻懸念先A、破綻懸念先Bというような、そういうまた結局新しいカテゴリーが必要になるということだろうと思うので、私は、ここの判断をきちっとやる、それでまた引き当てもそれに応じてきちっとやるということで、現在の枠内でも、おっしゃっていることは実際実現することは可能だという考え方で今制度の運用をさせていただいているということでございます。
  77. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は大分違うと思っているんです。  というのは、要するに、資産査定をしたんだけれども、銀行の支援とか改善計画がなかったらこれは破綻懸念先になりますという債権でしょう。その債権を、銀行の支援と改善計画があるから、これを要注意にしておいていいという判断をするわけです。そうすると、本来というか、この二つがなければ破綻懸念先であるのが当然だという資産査定になった場合は、それなりの引き当てを積んでおかなきゃいけないんじゃないか。その上で、そのいわゆる破綻懸念先Bに、いいです、これはBで。しかし、破綻先の中でも、これは引き続き銀行も融資をさせたいというようなものを考えられないのかなという、ちょっと違うんじゃないかというけれども、恐らく引き当てをしなきゃいけない金額が変わってくるんだと思います。そこが実は一番日本のいわゆる金融システムの脆弱点じゃないかと、こういうふうに言われているんじゃないでしょうか。  そこで、ちょっと視点を変えます。  昨日の衆議院の財政金融委員会で八城新生銀行頭取が発言をされました。どういう発言だったか聞こうかと思いましたけれども、間違いがあれば言っていただきたいんですが、要するに、新生銀行が継承した要注意先債権がその後どうなったかということについて、いわゆる五五%が一年で不良債権になった、その内訳は、要管理が四四%、破綻懸念先が六%、実質破綻が五%と、こういう数字をおっしゃいました。そして、感想として、国有化された長銀の査定が非常に甘かったと思う、こういうふうにおっしゃっているわけです。これは恐らくアメリカ流のドライな、銀行の責任者としてそういう見方をされているんだろうと思います。  そうすると、こういう事実とか、あるいはかつてのそごうがもう数年前から債務超過だったとか、そういうような話を我々は、衆議院の予算委員会だったでしょうか、そういうお話も聞いているわけです。そうすると、やっぱり破綻懸念先債権にならざるを得ないものについては破綻懸念先債権にして、それでもある一定の期限を、二年なら二年、三年なら三年区切って、その間立ち直れるかどうか融資を継続してみよう、そういうような形の方向の方がより実態に合うんじゃないんでしょうか。その点についての御意見をお伺いします。
  78. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 譲渡時の資産査定、債務者区分、こういうものがその後自分たちのところでどういう変化をしたかということでございます。  足かけ三年間ですが、九月ですので二年半ですか、ということでございまして、その間に何があったかと申しますと、会計原則等の変更がありました。特に要管理のところでは、これは私マニュアルの次元でよく承知をしておるんですけれども、特に要管理に落とすということについて厳格化が行われています。これは明文上確認という形をとりましたけれども、条件変更は、かくかくしかじかのものはもう要管理ですよと、こういうふうになりました、厳格化が行われて。  というようなこともありまして、これをもって一概に同じ事態を、同じ状況のところを、移管後というか、新生銀行がやった場合、それから旧長銀がやった場合ということでこういう結果なんだと、それはもうひとえに査定態度の厳格の程度を反映したものだとはやっぱり言えないというふうに考えます。
  79. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと今お話を聞いていて私自身がまだ納得できないなという感じなんですが、しかしいずれにせよ、日本のいわゆる不良債権問題というのが、ことしに入っても、森前総理大臣がアメリカに行ってブッシュさんに約束をしてくる、そして新しく小泉内閣になってもこれが最重要課題だと、こう言われているんですが、どう見てもその不良債権の処理がどんどんおくれてしまっているというふうに否めないわけです。そして、しかもマイカルのようなことが起きてくると、途端にその査定が甘かったんではないかという議論が続出してくるわけです。  そういう意味で、そこをもう本当にきちっと資産査定をやって、我々民主党が何度も言っているように正確な資産査定をやって、そしてそこで自己資本が足りなくなったらそこに公的資金を注入するというような、いろんな対応はとれるわけですが、私は、どうも今進められているやり方というのは、先ほどからずっと話を聞いていても、私自身がよく理解していないから大臣の話がわからないのかどうかわかりませんけれども、どうもやはり日本の不良債権のやり方、特にそのマニュアルの中にそもそもそういうものがもう含まれてしまって、それが誤解を生んでしまい、しかもひいては日本の不良債権をある意味では不透明なものにしているのではないか、こういうふうに思えてならないわけです。  この点はまた引き続き、ここでやっても仕方ありませんから先に進ませていただきます。  次に、今、公認会計士の話をされていました。最近、これいつだったでしょうか、十一月の初めでしょうか、四大監査法人が、株価が簿価の五〇%以下でも損失処理を強制しない、そういう記事を私ども目にしたわけであります。  先ほど来、公認会計士の実務指針でも認められているんですよと、こうお話しなさっていましたが、これは本来ならば、ことしの年度から会計のあり方というのは変わってきているはずでありまして、有価証券時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表の価額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない、ここでこういう規定がありますよね。この点は間違いございませんですね。まずそれをお伺いします。
  80. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 間違いないということでございます。
  81. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それで、この著しい下落というのは、一体これは、もし数字の問題で答えていいということであれば、事務方でもし数字の問題だけでしたら構いませんから後でやっていただきたいんですが、ここで著しい下落というのは一体どういうときに著しい下落になるのか、これを明確にしていただきたい。
  82. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今御指摘実務指針におきまして、時価が五〇%以上下落した場合には著しく下落したということに該当すると。しかし、それにおきましても、合理的な反証があれば評価減を行う必要はないと、こういうふうに記載しております。
  83. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、五〇%を割ってしまったような場合、これは本来ならば、当然これは減損処理をしなきゃいけないんじゃないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  84. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今申しましたように、合理的な反証があれば評価減を行う必要はないと、こういうふうに記載されております。
  85. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 合理的な何と言いましたですか、もう一回。
  86. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 合理的な反証があれば。
  87. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 合理的な反証というのは、具体的にはどんなことでしょうか。
  88. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 株価価格の回復の見込みがあるという合理的な理由が存在するということだと思います。
  89. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 株価の回復というのは、そういうのは、この公認会計士の皆さん方は、これは株価の回復が将来見込めるということを判断されるんでしょうか。どうですか。みんな買いますよ、それじゃ。
  90. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 要するに、そういう観点から適正に公認会計士が検討されると思います。
  91. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、今の話を聞いていても余り回答になっていないなと思うんです。何でこんなことをするのか。決まったことを、いや、こういうときは合理的な事情がある場合にはいいですよと、こう言っているけれども、どう見てもこれは、いわゆる配当原資がだんだん枯渇してくる、株価も下がってくるし、そのいわゆる配当原資の確保というものがそのねらいなんじゃないかな。特に、我々、公的資金を入れている銀行は優先株の配当原資を確保しなきゃいけない、それに今、金融界が四苦八苦していることをどうもこの四大監査法人の皆さん方はお手伝いをしているような感じがしてならないんですが、どうなんでしょうか、その点について。
  92. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融商品に関する実務指針、その合理的な根拠は一体どういうふうに考えるんだというと、個別銘柄ごとでやる、株式の取得時点、期末日、期末日後における市場価格の推移、市場環境の動向、最高値と最安値と購入価格との乖離状況、発行会社の業況等の推移等、時価下落の内的、外的要因を総合的に勘案して検討することが必要と、こういうふうに書いてあるんです。  ですから、この公認会計士さんとしてあるいは監査法人としては、この公認会計士協会の定めた実務指針にのっとって処理をするというのは、これはもう別に、それは不適切だというふうにはなかなか言えないということだろうと思います。
  93. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは中間決算なんですけれども、これは本決算でもこういうことをやられるんでしょうかね。会計処理ですからそういうことはあり得るわけですね、じゃ。  そうすると、いつまでたっても、せっかく時価会計とかそういうものを導入されているのに、実態的には、この金融機関に対してはそういうものは、もう時価会計という原則は導入しないと、こういうことになっちゃうんじゃないかという気がするんですが、これは誤解でしょうか。
  94. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは損益に響かせる減損会計の基準なんですね。(「損益ですね」と呼ぶ者あり)損益勘定で損として処理しなきゃいけない。  それで、時価会計というのは、先ほど私ちょっと別のところでも申し上げましたけれども、これはバランスシート上、いきなり持ってきて評価損というものを立ててよろしいということになっておるわけですから、時価会計の導入ということには直接関係がないというか、減損処理でやっちゃえば時価会計評価損というのは逆に立たないということでございますから、時価会計評価損というものには立つということでございます、この五〇%以上下落したものについても。その限りではしっかりした会計処理が行われます。ただ、損益勘定で減損処理をしないということを今回のこの処理でやっているということでございます。
  95. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも私もバランスシートと損益計算書とごっちゃになっているせいもあるのかもしれませんが、そこら辺が非常に会計基準が変わったということで、実はけさも私たち部門会議で勉強会をやって、なかなかわかったようなわからないような、自分自身のまだそこのところがないのかもしれません。  ただ、本当にこの監査法人の皆さん方がそういうふうにあえて、本来はこれは五〇%を割った場合は損失処理をするわけですね。それをあえてしなかったというのは、いや、将来株価が上昇するかもしれないとか、そういうことを見込んでの上ですね、これ。ということですよね。とすると、どう見ても、将来これは株価が本当に上昇を見込めるのかなというふうに私どもはとても、今の世界経済、日本経済の現状からすれば、ますます下がっていくことはあっても、これはなかなか。もし本当に上がるということがかたいんだったら、さっきこちらから出ていましたけれども、それならおれらも株買おうかななんという話になるわけですね。  そうはならないのが株式市場だと思いますので、この点ではどうもよくわからないということについて、ちょっと後でまた。ちょうど十二時になりましたから、ここで、この質問をもって午前中は終わらせていただきたいと思います。
  96. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  97. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行等株式等保有制限等に関する法律案の審査のため、本日の委員会総務大臣官房総審議官林省吾君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  99. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 銀行等株式等保有制限等に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 午前中最後のところで、金融商品にかかわる会計基準というので、実はけさ私も資料をいただいて金融庁から説明を受けた中身ですが、要するに今回、今問題になっている四つの大きな監査法人が、五〇%以下に株価が下回った場合、これは将来回復の見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表の価額とするほか、評価差額は当期の損失処理すると、こういうことですから、BSにもそれからPLにもこれは記載しなきゃいかぬと、こういう理解でよろしいですか。
  101. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) それで結構でございます。
  102. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、この四大監査法人はなぜ今回、本来かなりBSにもPLにも計上しなきゃいけないにもかかわらず、多分これはPLの方だと思いますけれども、それを載せないで進めようとしているのか、そこら辺は、金融庁としてはその理由はつかんでおられますか。
  103. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、回復する見込みがあると認められるときと、こういうことでございますが、これは個別銘柄ごと株式の取得自体云々ということで、大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、そうした観点から、回復の見込みがあるというものについて個別に公認会計士が判断をしていると、そういうことであろうかと思います。
  104. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも銀行が、やはり配当原資が非常に枯渇してきていると、それゆえそういう会計処理をしなきゃもたなくなっているんじゃないのか。これは、何も今回の会計基準の問題だけじゃなくてほかの面でも、そういうある意味では銀行の配当原資、例えばある銀行は持ち株会社になる、持ち株会社になることによって剰余金が取り崩せると、こういうようなやり方もとっているので、どうも日本銀行に対してそれだけやはり基礎体力というものが弱っているんじゃないかなと。いわゆるBISの八%基準を上回っていると少々株価が下がっても問題ないんだというのは、どうもやはり虚構の上に成り立っているんじゃないかというふうに思えてならないんですが、その点、この問題についての最後の答弁をお聞きしたいと思います。
  105. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほどのあれでございますが、強制評価減をしたケース、あるいはそれに至らないケースにおきましても、当然のこととして配当原資には影響があると、こういうことでございますので、そこだけは御指摘を申し上げたいと思います。
  106. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、ペイオフの方の話にちょっと進めさせていただきたいと思うわけですが、昨今の新聞を読むと、きょうは補正予算の議論じゃありませんが、補正予算については三十兆のことしの国債発行枠を守る守らないが議論になっていましたけれども、このペイオフについても、金融担当大臣にお聞きしたいんですが、まさか再度引き続き一年とか二年延ばすなんということは考えておられないと思うんですが、改めてその点についてお聞きしたいと思います。
  107. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 全く考えておりません。もう既定方針どおり実行するということでございます。
  108. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、お聞きしたいんですが、例えば名寄せに必要な体制整備というのはほぼ大体整ったというふうに見ておられますか。
  109. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいまのところ、各金融機関がペイオフに向けてのいろんな準備の作業を進めているわけでございますけれども、この名寄せの作業につきましても、預金保険機構が調べたところによりますと来年の十四年三月までにはすべて終了する見込みであると、こういうふうに聞いております。
  110. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総務省にちょっとお尋ねしますが、自治体には、要するに公金を預けているんですね、そういう公金を預けている金額はおよそ二十兆円ぐらいあると言われているんですが、その自治体の二十兆円に及ぶ公金の扱いというのはどういうふうに処理されているんでしょうか。
  111. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えをさせていただきます。  御指摘のように、地方公共団体の公金は、歳計現金あるいは基金、あるいは預託金というような形で運用されておりまして、その規模は年によって異なりますが、ほぼ御指摘のような規模となっております。  ペイオフ解禁後は、地方公共団体もみずからの公金預金の管理運用に関しましては自己責任が前提となりますので、各地方団体におきましては、取引金融機関の経営状況を把握した上で、地方自治法の趣旨を踏まえ、安全で確実かつ有利な公金の管理に取り組むことといたしているところであります。
  112. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっとお尋ねするんですが、郵便局に預ける例というのが前にもちょっとここで議論になっていたことがあるんですが、そういう形でやっている、あるいはそういうところがふえていくということはありませんでしょうか。総務省です。
  113. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 私、承知しておりません。
  114. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 承知していないということはわからないということですか。それとも、調べてみないとわからないということですね。
  115. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 調べておりませんし、特にそういうことを聞いていないというふうに御理解いただきたいと思います。
  116. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 かつてこの委員会でも同僚の浅尾慶一郎君の方がそういう事例を挙げておりますので、私は、やはり下手すると郵便局がそういう公金を扱うような形に、一般的には余りないだろうと思いますが、そういうものが仮にあったとしたら、そこにみんな安全有利な郵便貯金だということで行ってしまうということになりかねないわけですから、そこら辺はぜひまた、自治体ではどんな動きをしているのか、ちょっと注意をしていただきたいなというふうに思います。  さて、いよいよ本題の今回の法案でございますが、少し質問させていただきたいんですけれども、私は、今回は株式保有ティア1のところまでとめようと、大手行に対してですね。そして、約十二兆円近い銀行保有している株を保有機構売却する、一般勘定特別勘定と、こう分かれているわけです。  けさ、金融庁の方々から、株価がこれだけ下がっても、実は言ってみれば自己資本比率そのものはそんなに下がらないんだという話を聞いたわけですね。つまり、それほど銀行健全性にとって問題はないんだと、こういうお話を聞いたのでありますが、そうしたら、こういう法律をつくって無理やり市場に介入して、銀行保有機構をつくって、しかもそれに二兆円ばかりの国家の保証までつけて、そういうことまでする必要はないんじゃないのかなというふうに思えてならないんですけれども、改めてその導入の、この法律目的のところを明確にしていただきたいと思います。
  117. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私どもの庁の職員が株価の下落による自己資本への影響について話を委員にしたということでございますけれども、何との比較というか、どういう意味でそういう言葉を申したのかというのが、ちょっと背景というか事情がよくわかりませんが、実は私、手計算で自分がやったものですから間違っているかもしれませんけれども、十三年三月末と十三年九月末の株価というのはほぼ二五%ぐらい下落したと思うんです、日経平均で。これの影響というものがどのくらいになったかということについて計算をしたら、仮定を置いた試算ですけれども、〇・八ぐらいだったと。その結果は、これだけでの影響を考えたところでは一一%近くの自己資本比率を維持できるという意味でそういうことを言ったんだろうと思います。  私にして言わしむれば、先ほどちょっとどなたかの御質問のときに申したように、実は不良債権の処理損よりもダイレクトリーにこちらの方が自己資本への影響が、全額であるという意味では私の感じ株価の下落の方がちょっときついなという感じでございます。
  118. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今おっしゃられた一一・七%から一〇・九%と、数字は〇・九ほど下がるという。それでも、これは我々からすれば、ああ自己資本比率を二けた、大手行で平均ですけれども、できてるんだなと。そうすると、ある意味では、先ほど原口局長が約九兆円ばかりはこれから市場で売っていきますよ、そして残るのが二兆かもしれないと。そうすると、案外、別にこういう機構をつくらないでも、銀行が従来やっておられる持ち合い株を解消するとか、そういう一連の動きを進めれば余り問題ないんじゃないかなというふうに思えてならないのでございます。  それは別にして、じゃ今度別の角度で。と申しますのは、ことし五月ごろ盛んに私お聞きした問題があります。それは、銀行株式が下落することのリスクについてこういう形でセーフティーネットを張られるとすれば、債券の方はどうなんですかということで、国債の問題について私随分、あるいは地方債の問題についてお聞きをいたしました。  じゃ、国債が暴落をし、暴落というか一%上がっただけで今大体どのぐらい、長期金利が一%上がったら一体銀行保有している国債の値段はどのぐらい下がるんだろうか、どのぐらい影響を受けるんだろうか、この点についてわかれば教えていただきたいと思います。
  119. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 国債の金利が一%上昇したときの、大手行でお答えいたしますけれども、どういう影響があるかということなんでございますが、主要行保有する国債残高は十三年の三月末で約五十一兆円でございます。その平均残存期間は三年程度でありますので、残存年限の入れかえは行わないという、そういう前提でもって計算をしています。金利一%の上昇により国債価格は残存期間三年と見て三%下落するということでございますので、評価額は約一兆五千億円程度減少するという、そういう計算になるわけであります。  それで、自己資本比率に対する影響でございますが、一兆五千億という観点からいいますと、三月末に比べまして〇・二%ポイント程度の低下になるだろうと、こういうことでございます。
  120. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私の聞いている数字からするとちょっと影響が少ないなと思っているんですが、これは恐らく全国銀行ベースなのかもしれません。  ちょっとお尋ねするんですけれども、衆議院の財金委員会で我が党の永田議員とやりとりをしていましたね。実は国債の長期保有が四月がたしかピークになって、それ以降十兆円ぐらい減っているんですよね。たしか村田大臣そういうふうにお答えになりましたよね。この四月から八月ぐらいまでにかけて急速に十兆円ぐらい国債保有が減っているのは、あれはなぜなんでしょうか、ちょっとその点わかれば教えてほしいんですけれども。
  121. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほどの数字は大手銀行ということで御理解をいただきたいと思います。  今御指摘のように、ピークが二〇〇一年の四月でございまして、それから現在までで国内銀行全体で申しますと十二兆円ぐらい国債の保有高は減少していると、こういうことでございます。一般的に言えば、金融機関がそれぞれのリスク管理のもとでポートフォリオを組んで、リスクとリターンを考えてそういう行動をとっているものと、こういうふうに考えているわけでございます。
  122. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ずっと我々は、銀行は中小企業とかあるいは企業に対する与信をふやさないで、それを減らして国債をずっと買い続けているじゃないか、こういう批判をずっとしてきたんですよね。そうすると、企業に対する与信はふえない、国債の保有残高も減らしていくというのは、マネーは一体どういうふうに動いたのかなというのがちょっとわからないなと。もしわかれば教えていただきたいんですが、その実態を。いや、最近は与信がふえているのなら、それはそれで一つの結構なんですが、どうもそうじゃないように思うんですね。そういった金融機関の行動についてわかれば教えていただきたい。これは事前にちょっと言っていませんでしたので。
  123. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 一つは、これも日経新聞にも出ていたことでございますけれども、外債の金融機関による投資がふえていると、こういう事実はあるようでございます。
  124. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  また、ここら辺、少し注意深く進めていかなきゃいかぬと思っているんですが、そこで、先ほどの話に入りますが、株式保有についてこういう機構をつくる、つまりセーフティーネットだと、こうおっしゃられているわけですが、であれば、今度は国債、あるいは地方債を含めても構わないんですが、この国債の下落リスク、これについては何も手当てしなくてよろしいんでしょうか。
  125. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 株式保有につきましては、株式の持ち合い等を、議決権を有する株ということでございますので、保有においてリスクとリターンという観念を超えると。こういうことから、株式については価格変動リスクを避けるためにこのたび保有制限を設けて、制限を設けた結果、こういう取得機構を設けると、こういうことになったわけでございます。
  126. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでもしかし、ティア1を超える国債を保有しているということは間違いないわけですね、大量に。そうしますと、長期金利が一%というわずかな金額でも、先ほどあったようにかなり毀損するわけですよね。そうすると、これから長期国債がどういうふうになっていくか。  きょうは副大臣がお見えですから後でまた副大臣にもお聞きしたいと思うんですが、来年、再来年、その次の年ぐらいで結構ですが、新発債ではなくて借換債だけでどのぐらい発行されるのか、そして財投債はどのぐらい発行するのか。来年、再来年、そしてその三年先ぐらいで結構ですが、ちょっと教えていただけないでしょうか。
  127. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 借換債の見込みの額でございますが、まず数字でお答えいたします。  平成十四年度七十・二兆円でございます。平成十五年度七十六・七兆円、平成十六年度八十三・一兆円。三年とおっしゃいましたので……
  128. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もうあと二年先ぐらいまでわかれば。
  129. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) それじゃ、お答えいたします。  平成十七年度九十八・九兆円、平成十八年度百六・六兆円でございます。  この数字ですが、少しお答えを続けさせていただきたいと思います。  ただいま申し上げた数字は、これは毎年、予算審議の参考のために予算委員会に提出させていただいております国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算、いわゆる資金繰り表とよく言っておりますけれども、これに基づくものでございます。申し上げましたように仮定計算でございまして、一定の仮定のもとで計算しておる数字ということだけを申し上げておきたいと思います。
  130. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちなみに、財投債はどのぐらい発行する予定になっているか教えてください、五年間。
  131. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今後の財投債の見込みでございますけれども、市中発行額の見込みにつきましては、将来の財政投融資計画の規模や、ただいま経過措置を講じておりますので、この経過措置に基づく郵貯等の直接引受額等が確定しておりませんために具体的な数字でお答えすることができません。お許しいただきたいと存じます。
  132. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いずれにせよ、これから七年間は要するに経過措置があるわけですから、そうすると、少なくなっていくか多くなるかは別にしても、財投債というのはまさに国債と同じような形になりますね。  そうすると、もう平成十七年度ぐらいになると恐らく百兆を超える借換債になる。それに、今、三十兆円にするかしないかというような議論が入ってくるわけですね、国債だけで。そうすると、百三十兆、百四十兆、これを実は市中で消化をしなきゃいけないというふうになってきたら、これは国債に対する暴落といいますか、そういうものが起きてこないという方がかえって不思議じゃないかと思うんですが、そういうリスクに対する、金融機関に対するリスク管理というものの指導は本当に今お聞きしているような状況でいいんでしょうかね。この点、金融庁として、こういう国債暴落リスクというものに対する備えといいますか、セーフティーネットをどういうふうに考えていかれるのか、御意見があったらお聞きしたいと思います。
  133. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 国債の増発によって国債金利が上がってくることが予想され、そのときには国債の価格が暴落する危険性があるのではないか、それに対する備えはどうしているんだと、こういうことでございますが、私どもも、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、金融機関それぞれの立場でもって適正なリスク管理をしていくと、こういうことであるというふうに思います。  そういうことでありまして、金融機関が適切なポートフォリオの選択によって国債の保有をすべきかどうかということ、あるいは残存期間につきましてもいろいろリスクに応じて長短させたりしている、そういう対応を金融機関が適正にとっていると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  134. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう対応だけで本当に大丈夫ですか。私はどうも大丈夫とは思えないので、本当に国債の暴落という問題に対して注意が必要なんじゃないかなというふうに思っております。  なかなか財務大臣が帰ってこられないんですが、十五分までということだったんですけれども、帰ってこられません。そこで、改めてまた柳澤大臣にちょっとお聞きします。  きょうの日経金融新聞にすごく重要なことが出ておりました。大手銀行との会合の内容判明と、こう出ているわけです。これはいつかといいますと、九月の二十八日に開催された大手銀行十五行の頭取、社長と柳澤金融担当大臣金融庁幹部の会談と、こういうことで載っているわけです。  そこで、たくさん聞きたいことがありますが、非常に国民にとっても関心が高いと思うのは、予算委員会で仙谷由人議員から、要するに銀行金融機関の退職金とかそういうものが全然リストラされていないじゃないかと。しかも、役員の退職金というのは、役員になる前に、やめたときに一回退職金をいただいて、普通の職員として。それからまた役員としての退職金をいただくと。一説によれば、ある頭取は今回やめれば十億円ぐらいの退職金になるんじゃないかと、こういうふうに言われている頭取もおられるそうです。そういう意味で、ここで柳澤大臣は非常に厳しい御指摘されているんですが、この点に対するこれからの指導といいますか、そういったものについてはどう考えておられるのか。
  135. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、金融機関の個別のいろいろな社外への利益の流出というか、収益の流出について余り細かいことを申し上げるつもりは実はありません。ただ、あのときには、仙谷委員から聞かれましたし、私自身も、若干というか、そのことに確かに触れた発言も、当事者というか、その会合でしておりますので、それで申し上げたんですけれども、私は基本的に金融機関の個別の判断だというふうに考えています。  ただ、私は、そんな一つ一つの細々したことの集積ではありますけれども、一体全体この現在置かれている金融機関の厳しい状況というものを考えたときに、すべての問題についてもっと真剣に取り組めと、こういう気持ちを持っております。日本の、個別の企業を言うわけじゃないですが、製造業の人たちのいろんな、貿易の自由化あるいは資本の自由化その他、国際市場のもとにおける真剣な経費節減の努力あるいは技術開発の努力というようなことに比較して、どうも生ぬるいものがありはしないかという気持ちを私、持っているわけです。  そこで、そういうことを一つの例として、どうしてそんなことをする気になるのかというその根本のところが私には理解ができないということを申しておるし、申したいわけでありまして、基本的に今のこの厳しい現状に向けて、本当に真剣に事業の組みかえあるいは経費の節減、そういったことに対して努力をしてもらいたいという気持ちを持っているわけでございます。
  136. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 あのときはテレビでもう全国に放映されておりますから、銀行に対する問題意識は非常に仙谷議員と柳澤大臣、その点では一致しておりましたから、そういった公的資金を投入している銀行の問題ですから、これはやはり堂々と株主として当然そこに一定の影響を与えるべきではないかなというふうに思えてなりません。  さて、財務大臣、大変お待ちしておりましたので、最後に財務大臣にお伺いしたいと思いますが、十月二十九日に大阪市内で記者会見をされて、過剰債務企業の選別について行政が関与して処理を進めるべきだと、こういう記者会見の内容が報道されているんですが、その点について、事実かどうか、事実とすればその真意はどこにあるのか。
  137. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その件につきましては、一紙だけそういうことを書いていますね。ほかの新聞は全然違うことを書いています。私もそういう趣旨を言いましたけれども、それは聞いている方が取り違えていることも多分にあるんではないかと思っています。
  138. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一紙、多分、私この一紙を持っているんでしょうかね、日本経済新聞でございますけれども。どういう趣旨お話しなさったんでしょうか。
  139. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、その前にもこの委員会でも申しておりますが、金融関係のことあるいは不良資産のことについては私の所管事項じゃないということは断っております。それでも言えとおっしゃるんだったら言ってもよろしいですが、その点はっきりしておいてもらわぬと、また権限がもつれてまいりましてややこしゅうなりますので。
  140. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 発言なさったのは、要するに、権限外のことだけれども、実は過剰債務の企業に対しては選別することに行政も関与していいんじゃないかということを、これ銀行基準を示すと書いてありますよね。どういう中身をおっしゃったんですか。ちょっと、もう一回。
  141. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私の聞いているのも聞いてもらいたいので。私は、所管外でも言っていいのかと聞いておるんですが。
  142. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いいですよ、それは。国務大臣ですから、当然……
  143. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうですか。それじゃ申します。そこをはっきりしておいてもらわぬと、またほかの委員から何でおまえ金融機関のことを言うんじゃと言われましたら困りますから。  そこで私が申しましたのは、この不良債権問題というのは、銀行へやいやい言ってもなかなか解決しないだろうと言っておるんです。それで、金融機関監督官庁であります金融庁は一生懸命やっておられますし、また正確にいろいろと事業をしておられます。銀行の応対もちゃんと法律を整えてやっております。問題は、金を借りたところが本当に責任を感じてその処理をしようとしているのかしていないのかということが問題だということを、私はそこを訴えたんです。それがそういう記事になったんです。  そこで、私は、金融界のことでも言ってもいいとおっしゃるから申し上げますと、こういう問題は歴史に学ぶべきなんです。峰崎先生なんかまだ生まれていなかったからね、生まれていたかもわからぬけれども、終戦後のことですからね、ああ、生まれていたですか、そうですか。  私はその経験をしておりますので、戦後すぐに起こった問題として、国家補償があったんです。国家補償が突然切られた、何千億円とそれこそ大きい金額が切られて、それで軍需産業をやっていたところは全部困ってしまって、どうにもならぬようになった。ちょうど今バブルがはじけたのと、ちょうどそんなような状態によく似ておると私は思うんです。  私は復員してまいりましてその会社関係しておりましたので、整理いたしました。そのときにとりましたのは、そういう軍需補償を打ち切られた会社、つまり現在でいいますと不良債権の会社、それは一たんB会社に、いわゆる整理会社、旧会社へもう移しなさいと。そして、その中から使える施設やとか設備やとか資材とかいうものを、それを有効に使うために新会社をつくりなさい。新会社に対しましては、これには、復興金融公庫というのが当時ございまして、その復興金融公庫が金を貸して、旧会社の施設は借りるとかあるいは買うとか、資材を使ってそれで再生していく。労働力はそちらへ吸収していく。そしてB会社、いわゆる旧会社は十年かかって整理をする、そういうことをやったんです。そして、旧会社に対して保証しておる個人補償は、その支払い能力に応じて旧会社に対する補償の責任を果たすと、こういうことをやったんです。  私の親父がちょうどそんなことをやっておりましたので、私が復員してきたらそれを手伝いさせられたんです。その経験がありますので、そういう整理の方法がいいじゃないかと。  それじゃ、その会社はどういう会社がやるんだということになりますと、そこが難しいところで、これはもう行政上はなかなか言えないから、言えることは、一つ基準を示したらどうだろう。  例えば、東証一部上場している会社というのは、これは社会的公器ですよ。ただ単なる営業上の、あるいは利益追求だけの会社じゃございませんし、やっぱりそれと同時に社会的責任もあります。そういう会社がですよ、もう長年にわたって赤字で配当もできない、しかも債務超過になっておる、もう五年も六年もほったらかしてある、そして何か銀行からも債権の放棄もしてもらっておる。これだけ社会的に非常に大きい負担をかけておる会社が、いつまでたっても再建のめどがないということはおかしいじゃないかという、私はそこを言っておるんです。そういうことを企業会社が自覚して、やっぱりそれに対応したものをしてもらう必要があるんじゃないかと。  それにはどういうところが基準かといったら、例えば何年以上無配であり、債務超過であり、そして債権の切り捨ても受けたような会社、そういうところが再建のめども何もないということはおかしいと、その責任はやっぱり社会的責任として追及されるべきではないかと。そういう基準はどこで示すのだといったら、やっぱりこれは行政が示さなきゃならないんだろうなということを私は申し上げたと。  それじゃ、再生するのにどうするのかということでありますけれども、その会社が旧会社にやって、新会社をつくるかどうか、そして新会社に対する再生の道を講じるかどうか、これは行政の問題じゃなくて、金融機関が支援体制をとるかどうかの問題にかかってくるということで、これは民間に任すべき問題だということでございまして、私は、社会的に見る場合の一つ基準というものはこんなのだろうということを示したらどうだろうということを言っておるわけでございまして、銀行の責任やとか金融の問題と絡んでの話じゃございません。
  144. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間が来ましたので終わりますけれども、しかし、商法の強制放棄の規定からしたら、債務超過になっているんだったら、これはもう債務超過の時点でもうあれじゃないですか、金融機関はそれにもし融資しているといったら、これはもうつぶさないとどうもならないんじゃないですか、こういう今おっしゃられたようなところは。  だから、その意味でいうと、またもとへ戻っちゃうんですけれども、金融機関が、この企業は本来もう債務超過だと、たしか、どこかの頭取さんが言っていましたね、そごうについて言えば何年も前からもう債務超過でしたと、ところが、それをずっと融資しているから、これを、さっき言ったように正常債権に近いような問題におとしめたわけですよ。  そういったところをやはり本来の原則に立ち返ってやらない限りだめなんで、私は、もうそういったものは全部今の商法だとかさまざまな法規の中に今おっしゃられたことは入っているんで、それをやらないのがやはり今問題なんだというふうに思いますよね。  その点で、ちょっと私、塩川大臣、これ以上もう議論する時間ありませんので、また別の機会にしたいと思いますけれども、そういう意味でいうと、私はやはり行政がそういうところへ直接介入していくというのはいかがなのかなというふうに思っているわけでございます。  とりあえず、私の質問は終わります。
  145. 櫻井充

    櫻井充君 午前中の峰崎さんとそれから柳澤大臣の話をお伺いして、医者的な感覚で物を言いますと、ある病気があって、診断基準の話をまずしているんだろうと思うんですね。その診断基準がお互いに違っていて、認識が違っていて、その診断基準が違う中で、今度は診断をするために検査が必要ですが、その検査の精度を上げますというのが柳澤さんの答弁であって、診断基準を変えたらいいんじゃないかというのが僕は峰崎さんの指摘じゃないのかというふうな気がします。  しかも、その診断して治療を行った、じゃ、日本という国で行って、その治療した企業が、患者さんが一体どうなっているかというと、これはアメリカから見た診断基準で見ると全然違う病気だったということがわかって、日本で行った治療ではさっぱりよくなっていないんじゃないかと、そういう話を先ほど昼間、椎名先生とやらせていただいていたんですが、そういう意味で、これはこれでいいんですが。  きょうはちょっと生保に関してやらせていただきたいんですが、別にこれは、個別の企業が危ない危なくないの議論をするとまたいろいろ問題がありますので。ただし、そういう意味でいうと、日本基準でやるとすべて安全ですというようなところでも、アメリカの基準でやると、ソルベンシーマージン比率が一〇〇台というところが実はあります。これはこれで個別のことになりますのでここで議論しませんが、そうすると、破綻する可能性がどちらにしろ、高かろうが低かろうが、いずれ破綻する可能性はゼロとは言えないわけであって、そういう意味でのセーフティーネットの整備が必要なんだろうと思います。  そのために生命保険の契約者保護機構があったかと思いますが、現在、九千六百億円あって、民間から拠出されたお金が五千六百億円、このうちの約五千四百億円はもう使い切ってしまっております、破綻処理のためにですね。そして政府から公的資金が四千億円投入されていますけれども、この暫定措置が二〇〇三年に切れてしまうというような状況になっています。  このセーフティーネットに関して民間側に拠出を求めた際に、民間の生保会社の会長は、強くこの拠出金はもう出せないという形で否定されているわけであって、このセーフティーネットをどのようにしようとお考えなのか、その点について教えていただきたいと思います。
  146. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 生命保険会社セーフティーネットをどうするかということでございますけれども、委員も御存じでございましょうが、十五年三月三十一日で政府補助の特例措置が切れるというこの関連の法律には、必要があると認めるときには、その検討の結果に基づいて必要な措置を講じるんだということが書いてありまして、常識的に読めば、その効力の延長を図るということを中心とした文言かと、こういうように受けとめているわけでございます。  ただ、もちろんセーフティーネットというのは非常に大事で、まさかのためには備えておく必要があるということで、この規定の運用もそんなことで私としては考えているわけですが、別途の議論も党の中にはあるようでありまして、今、党の支持もないままにそういうことを断定的に申し上げるのは差し控えたいというふうに思いますが、考え方としてはそんなふうに思っています。  ただ、一つだけあえて指摘をさせていただきますと、一番最近の東京生命の例などは特にそうだったんですけれども、こうしたところに負担を課することなく処理を終えたというようなこともありますので、セーフティーネットとしてはしっかりした準備をしておかなきゃならない、仮にそういう破綻のようなことが起こっても、できればこうしたところにかかわりを持たない形で処理がされるというのがよろしいんではないかと、このように思っております。
  147. 櫻井充

    櫻井充君 おっしゃるとおり、東邦生命等が破綻した際にはこの機構からお金が拠出されていて、相互会社でも、会社更生法でしょうか、その手続がとれるようになってから破綻処理が変わってきたというのは確かでございます。ただしこれは、新たな引き受け手があったからそれは可能だったわけであって、この先新たなる引き受け手があらわれるかどうかはわからないという状況もあるんだろうと思います。  再度、ここだけはっきりしていただきたいのは、民間から拠出を求めるおつもりはあるのかないのか、その点に関してもまだ決まっていないということでしょうか。
  148. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっとまだ時間的な余裕というか、そういうこともあって、自後どういうふうに対処していくかということは決まっておりません。
  149. 櫻井充

    櫻井充君 時間的な余裕があるのでというお話をされていますけれども、何か突発的な事故が起こった際にどうするかということだってあり得るわけです。例えば、今回のアメリカのテロのような事件が起こった場合には、損保会社というのは多分、たしか相当な被害を受けているはずです。そういう意味でいうと、今度は、損保に対しての同じような機構がありますが、そこの積立金というのがたしか二百五十億円程度しかないというようなことであって、ある意味の危機管理というものはきちんと常に持っておかなきゃいけないんだろうと思うんですよ。  ですから、大筋どうされるのかという議論も全くなっていないのか、その辺の議論もされていないのかどうかだけお伺いさせていただきたいのですが。
  150. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 損害保険会社の問題につきましては、生保同様の、ちょっと規模は小ぶりですけれども、契約者保護機構があるわけでございます。しかし、今度は会社の実態の方のことで申しますと、ソルベンシーマージンの比率というものも健全性を十分に示すものでございますし、また損害保険会社の場合には再保険というような仕組みが活用されることから、今そのような災害に対して、特にこの問題について構想を改めて取り組むというような状況というか、準備の状況はございません。
  151. 櫻井充

    櫻井充君 今回のこと、なぜこんなことをお伺いしているのかというと、もう一つは、日生に対して業務改善命令を出されているかと思います。今回、日生がやった行為というのは、他社は不安であるという違法勧誘を行ったからだという話になっていますけれども、そこの中で、もう一つは風評被害を起こす、増加するんじゃないかというようなことがあると、そう指摘されているんだろうと思います。  しかし、セーフティーネットがきちんとされていれば、どこの保険会社に入っていても大丈夫なんですよというメッセージさえ送れば、契約者の方々は多分、例えばセールスマンの方が来られたときに、うちはこういうところに入っているんだけれどもここは安全なんでしょうかねというのは、それはやっぱり聞きたくなるものなんだと思うんですよ。そのときに、そういう財務諸表とかを見せて、ここはこういう形になっていますと言うというのはある意味仕方がないところもあるんだろうと思うんです。  しかし、そういうところにあなたが契約されていても、国がメッセージとして送るのは、こういうところに加入していてもあなたの生命保険、契約しているものはすべてきちんと守られます、こういう機構があるから大丈夫なんですよというメッセージさえ送れば、風評被害というのはなくなるんじゃないか。つまり、こういう個々に業務改善命令などを出さなくても、いや、これはもちろん法律違反ですから、法律違反だったんでしょう、だからそれはやらなければいけないけれども、そういう意味でのセーフティーネットの充実というのが私は必要じゃないかと思っています。その点に関していかがでしょうか。
  152. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) もう櫻井委員はつとに御存じでございますと思いますが、この契約者保護機構の金が動いたとしても、契約の全般について原契約のまま契約者が保護されるわけではございません。そういう意味では、何というか、無傷ではないわけでございまして、どうも先生の御指摘のことだけではなかなか、それでこうしたことを防げる、風評の問題を防げるというものでもないというふうに考えます。
  153. 櫻井充

    櫻井充君 確かにそのとおりなんです。でも、そうなってくると、今度は、新規にそういう生命保険会社に加入されようとしている人たちがいるとすると、基本的にはそういうところは危ないから入らない方がいいですよというのは、これはある意味親切で、親切なやり方になると思いませんか。
  154. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) それは全く違うと思います。私、この前の委員長、伊藤基隆先生が委員長だったころにもこの議論、若干似たような議論がありまして申し上げたことがあるんですけれども、ソルベンシーマージンとかいろんな指標、特にソルベンシーマージンで議論したんですけれども、ソルベンシーマージンというのは高いところから低いところ、会社が並んでおるわけでございまして、今度、低いところは非常に危険な会社なんだということになれば、それは次々に下の方から攻撃の矢面に立ってしまうということはあり得るわけでございます。  しかし、ソルベンシーマージンに最も厳しい考え方をする大学の教授でも、そういうことはやってはいけないんだと、つまり、ソルベンシーマージン二〇〇%をオーバーするものというのは同じように安全なところということでいかないと、それはもう下から次々ねらい撃ちされて、保険会社健全性あるいは安定性というものはもうしょせん確保できなくなってしまう、こういう議論が行われておるところを私指摘いたしまして、もう本当にそういうことはここでの議論としても慎んで、お互いに慎まないといけないことではないだろうかということを私申したんですが、めったに褒めない伊藤先生に後で褒めていただきまして、本当にそうでなきゃいけないんだという御議論になったことを思い出しますが、私は、そういうものだろうと、こう思っております。
  155. 櫻井充

    櫻井充君 とにかく何が大事な点なのかというと、要するに金融システムという点で、今はいわば銀行が中心になっているわけですけれども、このまま果たして生保がこういう状態でやっていけるのかどうかという議論というのはもう一回しなきゃいけないわけであって、金融審議会の中のワーキングチームで、予定利率引き下げのところである方がこう言っていらっしゃるわけです。今のソルベンシーマージン比率は来年ぐらいは企業はまあ大丈夫でしょう、しかし、このような例えばゼロ金利なんかが続いてくると、株価状況もそうですけれども、こういう状況が続けば、五年後の数字はとても怖くてほとんどのところ見せられませんよと、そういう話すら出ているわけです。  しかし、その手の話というのは一般の方々は全くわかっていないわけであって、その中で、契約者である人たちがどういう形で守られるのが一番最低限、被害を最小にすることができるのかという議論はしていかなきゃいけないことなんだろうと思うんです。  その中で予定利率の引き下げというのが提案されていましたが、これは当分行わないということになったと考えてよろしいんでしょうか。  ただし、そうは言いながらも、今度は利率変動型の商品のウエートがだんだん高くなってくるだろうというふうに生保協会の会長がおっしゃっています。ということは、今度は生命保険会社の方で勝手に、利率の変動型の商品というか、自分の都合で予定利率を変えることができるようになるんでしょうから、結果的には予定利率の引き下げと全く同じことが起こってしまうんじゃないかと思うんですが、この点についていかがですか。
  156. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 変額保険でございますけれども、これも直近の国債の応募者利回りに連動しまして一定期間ごとに予定利率を動かしていくという商品が出ておるわけでございますけれども、この比率がこれからどれぐらい契約をとっていくかというのは定かではございませんけれども、これもまた保険契約者のニーズを反映しているということで、我々としてはその商品の推移を見守りたい、こういうふうに考えているわけであります。
  157. 櫻井充

    櫻井充君 これで例えばその契約者の方がきちんと説明されていればいいのかもしれませんが、その説明が不十分であったりとか、それから予想するよりもはるかに大きく利率を引き下げられるとか、だから金融商品に関する販売の法案ができたんだと思いますが、しかしあれは契約者の方々が全部立証しなきゃいけないということになって、なかなか難しいんだと思うんですよ。  そうすると、こういう商品に対してのチェックというのは、一応は金融庁というのはなされるのですか。
  158. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいま新しい商品の内容のディスクロでございますけれども、御指摘のとおり、金融商品販売法あるいは保険業法によりましても利用者の保護を図らなければいけないということで、そのディスクロがしっかりされなければいけないということであると思います。  特に、今御指摘の点でございますけれども、新しい商品が出てくるに当たりましては金融庁でチェックをしていく、こういうことでございます。
  159. 櫻井充

    櫻井充君 もう一つ、生保業界にとってゼロ金利やそれから株価の低迷というのが問題ですが、もう一つ前から指摘されているように、簡易保険というものが民間の生命保険会社の経営を圧迫しているのではないかという指摘がありますが、この点について、金融庁、どうお考えでしょうか。
  160. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは簡易保険にとどまらず、公的金融と申しましょうか、そういうことは全般に言えることなんでございますけれども、やはりどこに均衡点を持っていくかということであろうというふうに思います。  私、住宅金融のことについてここでしばしば議論をいたした記憶がございますけれども、住宅金融というのは今やリテール金融のいわば本当に宝の山みたいなことで非常に魅力のある収益獲得先だというふうに思いますけれども、少し金融が繁忙になってきたときに、本当に個人の住宅金融のようなものが非常に金融の緩んでいるときと同じようにケアされるのかというようなこともまた一つの問題の側面ではないかというようなことを私指摘させていただいた覚えがございます。  もちろん、そういうことにも本当に覚悟を決めて取り組んでもらいたいというのが私の民間金融機関に対する願いなんでございますけれども、じゃぎりぎりのところ政策的な金融は一切要らないかといえば、やっぱりそれも要らないとまでなかなか言い切れない面もあって、そのあたりの均衡点を我々は探っていかなければならない、そう考えております。  簡易保険も同じでございまして、一千万、無審査、それから郵便局というようなああいう二万四千カ所でございましたか、もう本当に田舎の隅々までユニバーサルなサービスが行われるというようなことを考えますと、本当に自分の生命保険を、保険のシステムと自分とをつなぐチャンネルとしてはそれしか持っていないというような方も容易に想像されるわけでございます。そういうようなことを考えると、それにすべて取ってかわるような民間の生命保険会社があり得るのかというようなことで、やはりここもまた均衡点をどこに見つけるかの問題ではないかと、そのように考えております。  もちろん、今委員が御指摘いただいたような民業圧迫と、官業がはびこって民業を圧迫するなどというようなことはこの均衡点を探る場合にも全くあってはならないことだというのは言うまでもないことでございます。
  161. 櫻井充

    櫻井充君 でも大臣、例えばWTOのサービス貿易一般協定の中に、そのWTOの加盟国の場合には、サービス及びサービス提供者に対して、自国の同種のサービス業及び提供者に与える待遇よりも不利な待遇を与えてはならないことという規定がございまして、そうすると、例えばこういう簡保なんかの場合には契約者保護機構とかそういうところに対しての資金の拠出が免除されたりしているわけであって、明らかに有利、不利というのはあるわけだろうと思うんです。  この点から考えても今の簡保のあり方というのは私はおかしいと思っていますが、大臣はいかがお考えでございましょうか。
  162. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 内外無差別をそのWTOの金融サービスにかかわる取り決めは言っているんだろうと、こう思います。ですから、日本の民間の生命保険会社と外国の民間の生命保険会社のことがさしずめ直接の対象になっている取り決めではないかと、こう思うわけでございますが、それはそれといたしまして、簡易生命保険というのは丸ごと問題ではないかと、こういうことについて申し上げれば、繰り返しになりますが、何と申しますか、最後のところではどこにバランスを見出していくかということで考えていくべきものだろうと、こう考えているというわけであります。
  163. 櫻井充

    櫻井充君 これは民間と民間の取り決めなんですか。
  164. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 総務省の郵政企画管理局長でございます。  お答え申し上げますが、WTOのサービスの貿易に関する一般協定におきましては、そこでとりますサービスといいますのは、政府の権限の行使として提供されるサービス以外のすべての分野におけるすべてのサービスを言うとされております。簡易生命保険事業は政府が直接提供しているものでございまして、WTOのサービスの貿易に関する一般協定、GATSと言っていますが、これにおけるサービスの対象外と整理されているところでございます。
  165. 櫻井充

    櫻井充君 ここはもう一度議論になるところですけれども、政府が本当にやらなければいけない事業であったとすれば、そこのところは納得のいく規定なんだろうと思います。しかし、政府が本来やらなくてもいい事業、やらなくてもいいような事業でもし民間の事業者がもっと参入したいということになったとすれば、簡保はやはり縮小していくべきではないか、そしてこの間のワーキングチームの議論の中には、予定利率に対して簡保が比較的高かったので、その予定利率の引き下げを行えなかったというような発言をされている方もいらっしゃいました。  そういう意味で、やはり民間企業を圧迫していると言わざるを得ないような点もあるんですが、大臣、その点について再度お伺いさせていただきたいと思います。
  166. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 郵政三事業も平成十五年からは公社に移行をするわけでございまして、そういう動きの中で、これは単に組織形態を公社にすればいいというものではないはずなので、事業の内容等についても見直しを行うということが伴う話であろうと思っておりまして、そういう中で検討が行われるであろうと私思っておりますが、その際には新しい観点で私どもも言うべきことはきちっと言っていきたいと、このように考えております。
  167. 櫻井充

    櫻井充君 本当に民間でできることは民間でということが基本になるのだと思いますので、ぜひそのことを踏まえて御発言いただきたいと思います。  それから、最後にですが、前回の財政金融委員会の中で、柳澤大臣金融機関の競争をもっと大きくして、ここにこうあるんですが、競争をもっと大きくして盛んにすることによって資金の疎通が円滑に行われるということについては気をつけているつもりだという発言がございました。  あえてもう一度お伺いしたいんですけれども、金融機関の数がふえればそれで競争原理が働くというものではないと思います。ですから、大臣としてはどういう施策をもって競争原理を働かそうとしていらっしゃるのか、その点について教えていただきたいと思います。
  168. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、そのくだりで既に私申し上げたことでございますけれども、私ども、地域金融機関について、資本増強等に当たってもその方針を既に明らかにいたしておりますけれども、やはり複数行の存在というのを大事にしていこうと。それは何がゆえに大事にすべきかといえば、一行の独占になりますと、これはもうとかく価格の面でもサービスの面でも過剰な利益を得てしまうというようなことが容易に想定されるわけでございますので、そういうことのないように、対抗行と申しますか、そういうものを念頭に置いていろんな措置、資本注入を行わなきゃならない、こういうように考えてそういう方針を明らかにしておるわけでございます。  そういうようなことで、競争ということが、私いろんなときに申しますけれども、特に経済問題については、やはり問題を解決するのに何だかんだ言っても一番有効な原理と申しますか力だというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味でも、地域の隅々にまで金融を疎通させるためには競争が非常に大事だということを申したわけでございます。  ついでに、先ほどの簡易保険との関係がどうしても連想されるものですから申し上げますと、それに加えて日本の場合には、さらに国民生活金融公庫であるとかいうような公的な金融というものが、そうしたとかく陰に入りがちな利用者に対していろいろなサービスを提供するというシステムも片方に整っているというふうに見てよろしいんではないかと考えております。
  169. 櫻井充

    櫻井充君 競争というのは、だれとだれが、要するに企業の人たちが金融機関を選べるようにしていくということが競争原理が働いてくることなんだろうと思うんです。そういう意味でいうと、企業の方々にどれだけの情報を提供するかということが非常に大事でして、今確かにディスクロージャー誌がございますが、そのディスクロージャー誌の情報が、企業の方々が本当に欲しい情報ではなくて、金融機関が自分のところの都合で出してもいいような情報を適当に出しているという状況なんだろうと思うんです。  だから、我々は地域金融の円滑化に関する法律案を今度また提出させていただきますけれども、つまり銀行の情報を公開して、その企業の方々がこの銀行はどういう銀行なんだということを知った上で、そういう情報があるからこそ初めて競争原理がより強く私たちは働くんだと思っているわけです。ですから、我々はこういう法律が必要じゃないかということを前から強く訴えているんですが、再度お伺いしたいのは、こういう法律が必要でないと考える根拠を教えていただきたいんです。
  170. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 法律でどこまで民間の活動を規制していくんだということだろうと、こう思います。金融機関規制についてはやはり健全性というようなところにとどめて、そこを基本としていろんな規制を考えていくというのが基本原則ではないかと私は考えておりまして、それ以上にいろんな社会的な側面から規制をする、あるいは干渉していくということはできるだけ慎むべきだという原則に立つべきだと考えております。
  171. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、それはちょっと法律を誤解していまして、我々は情報公開のルールをつくるだけであって、規制しましょうと言っているわけではありませんので、後でもう一度ぜひこの法案を読んでいただきたいと思っております。
  172. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  きょうは今回の新しい法律についてお伺いいたしますが、最初に大臣にお聞きしたいんですけれども、これまでも大分お話が出てまいりましたが、少しまとめのような意味で、この法律がねらいとしているところについて少し整理をしたいと思います。  といいますのは、やはりあれにもこれにも何にも効くというような対応というのは余り効かないということもよくあるわけでありまして、一番のねらいはどこにあるのかということ、そしてそれがどうして今必要なのかということについてお伺いしたいと思っておりますので、まずそれについて簡単にお話しいただけますか。
  173. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いろんないきさつに基づいて、日本金融機関銀行がかなりの株式保有しているという事実がございます。他方、株式というのは、この金融のインストルメントの特殊性として、極めて価格変動リスクが高いということでございます。そういうところを目して、最近、バーゼル銀行監督委員会でも、リスク管理上、株式についてはリスクウエートを高くするというような動きもあるわけでございます。そういうことを考えますときに、私どもとしては、一刻も早く日本金融機関株式保有について、これを減額していくという努力をしなければいけない、そういうことで、今回、株式保有制限というような制限を緊急に臨時にかけることにいたしたわけでございます。  そういうことを一方でやるからには、これに適合するためには、どうしても金融機関としてはいろいろな事情からこの規制に適合するためにかなりの株を一挙に売らなきゃいけないというようなことも想定されるので、そのときには短期的に需給関係から市場に無用の攪乱というか混乱を生ずる、それはやっぱり避けなきゃいけない、そのために今度、取得機構というものを置いて、セーフティーネットとしてそういうことを防いでいこうと。  こういうようなことで、今回この二つ、保有制限取得機構というものをワンセットにして法案化して御審議をお願いしたという次第でございます。
  174. 山本保

    ○山本保君 それで、まず最初に背景として、国際的にもこういう日本銀行の特殊な状況について問題指摘があるのではないかというお話でございました。これは、そうだとすればといいますか、既にもう以前から問題に当然なっていたことではないかと思うわけですが、私はこの委員会、今回初めてでございますので、ちょっとこの辺についても、今まではどのような形で金融当局は銀行について監督もしくは指導をされてきたのかなということについてお聞きしたいんです。  つまり、きょう午前中にも出ましたけれども、もう既に主要行は毎年何兆円、二兆円とか三兆円という形で進んでいるということで、もう既にそういう効果は、効果といいますか、そういう指導なりまたは流れというのは今までの金融当局の努力もしくは各銀行の努力によって進められているのだということであるならば、今ここで新しい法律をつくる必要も逆にないのかもしれない。そうではなくて、いや、進んでいるんだけれども、ここでもう一度この法律をきちんとつくることに意味があるのだと、こういうことになるのか、この辺についていかがでございましょうか。
  175. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、山本委員の御指摘の順で言いますと、第二番ということになるわけでございます。  今、なかなか話が、国際会議ですので、まだ問題の複雑さからいって十分まとまっていないんですけれども、検討の過程から伝えられてくるいろんな案というのは、やっぱり株式という資産に対するリスクウエート、例えば百株式持っていても、リスク資産としてはこれはもう百五十持っているんだ、二百持っているんだ、二百五十持っているんだというふうに計算すべきであるというようなことについていろんな動きがあるわけでございます。  そういうようなことを考えますと、これはやはりできるだけ早く株式保有の縮減を図っておかなきゃいけないということが、株式変動リスク、特に時価会計関係で自主的にやってきましたけれども、それに加えて今のリスク管理の面からの話が最近加わってきたという状況を、私ども、これは放置できないという切迫感からこうした制限という直接的な手法を導入せざるを得ないと考えた、背景として持っているわけでございます。
  176. 山本保

    ○山本保君 保有についてもちょっと、今お話ありましたのでもう少しお聞きしたいんですが。  ということで、三年間でこの基準をクリアしなさい、場合によっては五年ぐらいまでよろしいというのは、私などにしますと、一つの考えとして、これまで明治以来の日本銀行なり金融の体質というのが多分あるんだろうと思うんです。それを三年とか五年で、一片の法律で入れかえるなんということができるんだろうかという、こういう感覚と、反対に、いやもうお話のように既に進んできているので、実際には法律が発動といいますか、一つの考えとして、東洋的ですけれども、法律などというのはつくっても実際には意味がないぐらいのものでも私は悪くはないと思っているんです、その意図するところがきちんと進められれば。そういうことで、もう三年とか五年というのは非常に微妙な数字なのかなという気もするわけですが、この辺、大臣、重ねての質問ですが、お願いいたします。
  177. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) もうおっしゃるとおりでございます。  この三年、五年というのは非常に重要な時期であろうというふうに思います。余り技術的なことをここでちょうちょう長話をする必要はありませんけれども、バリューアットリスクというような新しい手法で、それもしかも何%の確率で起こるというようなことをカバーしようというようなことでリスクウエートを考えるというような手法が導入された場合には、非常に厳しい指標になってくるという可能性が強いわけでありまして、そういうものに対して早く備えをしておくということはどうしても大事だというふうに考えているわけです。
  178. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  つまり、そうしますと、私が最初に言った方はちょっとのろくて、つまり大変なところにあると、今。そこで、こういう法律を早く成立させて、内容的に見ますと非常に単純な基準だなというふうには思うんですけれども、これの生むところが出てくる、もっとたくさん出てくるということだと思います。  もう一つ最初に総論的にお聞きしたいんですけれども、この前、銀行法の議論がここでありまして、新しい新規参入というのを認めるというようなことをやりました。それから、この後でもお聞きしますが、金庫株ですか、こういうものの制限を緩めたり、また持ち株会社というような形で再編のようなものも進んでいると。こういう全体の今の金融行政の流れの中で、今回のこの保有制限というのはどんなところに位置づくのかということについて、できればお教えいただきたいと思いますが。
  179. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 一つ規制の緩和というのがあると思います。  先ほど御指摘になられた持ち株会社というようなこと、あるいは他業からの銀行業への参入であるというようなこと、こういうようなものは、全体としては自由化という、組織形態も自由化しようというようなことでございますけれども、それと同時に、その自由化絡みでは、行為規制というのは非常に強くなる傾向にあると私は思います。  ですから、規制というものが撤廃あるいは緩和されるというようなときによく誤解を生じがちなんですけれども、私は、規制というものは、何というか、特に参入の規制が緩むと、もうだれも入っていらっしゃいというようなこと、それでいろんな組織形態もどうぞ自由に選択してください、このあたりまではいいんですけれども、しかし、そういうことで中に入った人たちはこういうルールを守らないといけませんよという意味では、逆に規制がかかるわけですね。参入が規制されている場合には、行儀のいい人たちが大体そろうとか、あるいは業界というような、業界の組織団体をつくって、そこのところにきちっといろいろ指示をすればあとはもう徹底するというようなことで、割とルールというのは細かいところまでは必要ないわけですけれども、今度はもう個体がいろんなことで自由に動いてよろしいということをやりますから、今度はその一つ一つの個体に対しては、こういう行為をしてはいけませんよとかいうルールが非常にきつくなるということでございます。  そういうことは一つあるわけですけれども、今度のこともそれと関係がないとは言えないかもしれませんけれども、やっぱり金融機関の場合は健全性というものが非常に大事だということになっていまして、不良債権の問題も先ほど来御議論いただいているんですけれども、そういうものも非常に長く抱えていたんでは健全性に欠くるところが出てきますよということでありますが、もう一つの課題として、日本の場合には株式保有というのがあったものですから、今回はこれについて一定の対処をさせていただきたいということで法案を提出させていただいたということでございます。
  180. 山本保

    ○山本保君 確かに、今お聞きしていて、自由に参加できるということと、そのための公益性もしくは確実性、健全性ですか、この確保というものの二面性が必要だということで、何か見ていますと、片方では緩めたり片方では縛ったりというような気もするんですが、少しわかってきたような気がいたします。  それで、ちょっと具体的に、今度はまず最初に保有制限について伺いたいと思うんですが、これは最初は、櫻井委員がさっき聞いていたことと私も実は同じようなことを素人的に考えたんですけれども、どんな株式をどれだけ持つかということは、基本的には会社に任せておけばよろしいんじゃないかというような気もするわけですね。株というのは、当然、銘柄によって非常にいい株もあるでしょうし、そうでないのもあるでしょうし。  ですから、問題は、消費者といいますか、利用者にとっては、どういう状況で持っておられるのかということがある程度わかればよろしいんじゃないかなというような気もするわけなんです。それを今回のように自己資本という額で定めるということは許されるのだろうかというような気がするんです。また、そのことについて、自己資本の額というのを一つ基準にするということについて何か理論的な根拠なりはあるのでございましょうか、それは目安なんでございましょうか。
  181. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 委員おっしゃるように、各銀行がどれだけ株を持つかというのは、それは各行がそれぞれのリスクとリターンの考量によって判断すればいいということはおっしゃるとおりだと、こういうふうに思います。  今回の法律によって一定範囲内、すなわち自己資本範囲内に銀行保有する株式制限しようと、こういうふうにしたわけは、現状において我が国の金融機関の持っている株が非常に多くて、それが株価変動にさらされているという、そういう現状にかんがみまして、それをそれぞれの銀行リスク管理の能力の範囲内に抑えようと、こういうことから制限を設ける、こういうふうにしたわけでございまして、ただそのときに自己資本範囲内が適当かどうかということに関しましては、まだ、例えばバーゼルでも、いろんな株式についてリスクをどうするのかとか、そういう検討がなされる最中でございまして、そういう意味で、とりあえずリスク管理能力の範囲内におさめようという観点から自己資本範囲内という基準を置いたと、こういうことでございまして、その制限につきましても、「当分の間」という規定があわせて書いてあるとおり、とりあえずそういう制限を置かせていただいたということでございます。
  182. 山本保

    ○山本保君 そうすると、これも確認ですが、「当分の間」、午前中にも議論がありましたけれども、これは期間的な意味だけではなくて、自己資本という基準にしたことについてもまず当分の間だと、これは変更があり得るということでございますね。ちょっと確認させてください。
  183. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 二〇〇五年にはBISの基準も固まっていくと、こういうふうに思われますので、そういう意味では、我々はそういうことをにらみつつ、当分の間こういう制限を設けさせていただいたということでございます。
  184. 山本保

    ○山本保君 それで、もう少しここは知識としてお聞きしたいんですが、外国についてという話も出たと思うんですが、外国でこういう制限法律で設けておるところは少ないとも聞いているんですけれども、というのは、当然、外国での持ち株というんですか、それの状況日本と多分違うんだろうなという気もするんですが、諸外国の基準や実情とあわせて日本状況はどうであるのかについて、少し参考にしたいのでお教えください。
  185. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 外国の状況お尋ねでございますが、諸外国の株式保有制限、これは各国の歴史あるいは社会経済情勢等に応じて行われておりまして、法律において一律に制限を設けている国もあれば、設けていない国もあるということで、制限のあり方はさまざまと承知しております。  例えばアメリカにおきましては、これはリスク管理というよりもむしろ金融と事業の分離という観点から、銀行原則として自己勘定で事業法人の株式保有できないという、そういう形の制限がされております。  また、ドイツにおきましては、銀行議決権の一〇%以上を有する事業会社株式総額銀行自己資本の六〇%を超えて保有してはならないというふうにされております。一方では、議決権が一〇%以下の事業会社株式保有については制限が設けられていないということで、日本の場合はこういう各国とやや異にして、今御説明しましたように、専ら株式価格変動リスク銀行等リスク管理能力の範囲内にとどめるために導入したということで、一概に比べるということはやや困難かなというふうに感じております。
  186. 山本保

    ○山本保君 当然、これは各国の状況によって違うのかなというふうに思いますが、議論を少し戻すような気もするんですが、今、局長からは、アメリカなどはいわゆる事業と金融は分離しているんだという伝統があるということがあったわけですが、実際に考えてみますと、しかし銀行というのはいわゆる産業、経済に対して大変なそれを伸ばしていく力を持っていると思うわけです。  それは形としては、例えば会社の、または新しい会社などの株を買って直接投資するという形ですべきではないかと。今までのように融資で銀行を通してというよりは、直接金融の形がこれから望ましいんだというような議論がされておりますよね。こういう流れ等を考えますと、これは規模の違う議論なのかなという気もするんですが、今回、銀行が株を持たないということと何か反するような気がしないでもないんですけれども、この辺はどう理解したらよろしいでしょうか。
  187. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 直接金融というのは、要するに仲介者、特に銀行ですね、銀行が飛ばされて資金の出し手と資金の受け手というか利用者が直接結びつく、そういう形で金融が行われるということでございます。その仲介者というのは、自分のバランスシートで多分資産、負債というような形を介在させてということだろうと思うんですけれども、いずれにしても、株式での資金調達というのは明らかにこれは直接金融、そのほかに社債とかそういうようなもので行うのもこれも直接金融と、こういうことになるわけでございます。  そういうものがある場合にはリスクはどういう状態になるかというと、リスクがその資金の出し手に当然生まれてくるわけですけれども、それがもう最終の負担者ということになるわけです。銀行が介在した場合は、銀行リスクをとった場合には自分は最終的な負担者ではありません。預金者に迷惑がかかる危険性を持ったリスクの負担をしているということになるわけでございまして、直接金融によってなるべくリスクが最終の帰属者になるような金融を適切なバランスのもとでもっと日本は導入しなきゃいけないというのは、今の金融ほど間接金融に傾いていると、銀行がほとんど全部事業のリスクを背負ってしまうというようなことでありまして、こういうものはもう耐えられる金融体制ではないんじゃないかということから、直接金融をもっとふやさなきゃいけないということを我々申し上げているわけでございます。  したがって、銀行株式を持っているのはどういうことかというと、これは確かに株式は直接金融の手段ではありますけれども、銀行が持っている限りは最終の投資家、最終のリスクの負担者が持っているわけじゃありませんから、これはやっぱり、何というか、金融のインスツルメントというか、商品は確かに直接金融の手段なんですけれどもしっかり最終のリスク負担者に帰属していないということで、これはやはり排斥されるべきもの、全部が全部ではありませんけれども、ウエートダウンをしなきゃならない形だということになるわけでございます。
  188. 山本保

    ○山本保君 そのことでちょっと確認したいんですが、今回の保有制限の対象には未公開株は含まれていないというふうになっておりますね。現場の方を見ていまして、この委員会でもよく言うんですが、本当に応援が欲しい会社がたくさんあるわけでして、頑張っていただく。そのときに、いろんな手段が今考えられているんでしょうけれども、伝統的な手法でいけば、やはり銀行さんがその地域の中で努力していただくということが一番スムーズにいくんじゃないかと思っているんですが、未公開株が今回は入っていないということについては、ベンチャー型ですとか、そういうところには積極的に応援をしていただくという効果があるのかどうか。逆に、こういうことになりまして、何か銀行が余計貸し渋りといいますか、貸し出しなり投資というものをびびってしまうんじゃないかという気がしないでもないんですけれども、その辺のねらいというのはいかがでございますか。
  189. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、いわゆる今銀行保有している株式というのは、どちらかというと持ち合いというようなことで、これは企業評価に基づかない株式保有株価形成をゆがめるとか、あるいは直接金融なり直接金融市場であります株式市場の健全な発展を妨げていた要因の一つであるというような指摘もあることから、ここはむしろ銀行等株式保有制限によって株式市場の健全な発展をねらったものでございます。  一方で、今御指摘のようなベンチャー企業などの未公開企業の株式は対象外としておりますが、これはまさにベンチャー企業等の資金調達、これがいわゆる直接金融という形で容易にできる、また、それによって地域の経済の活性化を図っていくということも重要な課題でございますので、ここは今回の保有規制の対象外といたしまして、そういう直接金融の流れと整合性を欠くことのないように配慮したところでございます。
  190. 山本保

    ○山本保君 そこはわかりました。  ではもう一つ、これも難しい議論なのかもしれませんが、簡単にお聞きしたいんですけれども、先ほどもたしかあったし説明も聞いたんですが、いわば株価の上昇とか下落ということとは余り今回のこの、というか、それは自己資本というような、ティア1ですか、これにはほとんど影響はないんだという、先ほど数字、パーセントも上がったような午前中に議論があったと思うんですが、そのことについて少しお聞きしたいんですが、結論のところだけ言いますと、例えば今回のこういう議論が、議論というか法律が出てきたのは、理由にはなかったわけですが、今大変景気が悪い、株が下がっているとか、こういう日本状況の中で出てきたんじゃないかなと思われるわけですが、もし大変、もしといいますか、そうあってほしい、経済が非常に元気になりまして株の値段がどんどん上がっていくと、こういうようになったとき、この今回の法律というのはそのまま必要になっていくのかどうか、またはそのパーセントなど、先ほどちょっと答えもあったんですが、変わっていくのかどうか。また逆に、どんどん株が下がっていったときに、じゃ事実上そんな何も新しく制限なんというのは関係なくなってしまうというようなことにはならないのかという気がするんですが、いかがですか。
  191. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) まず初めに、今回の措置でございますけれども、株価の支持をするためにやろうと、そういう目的を持ったものではありませんでして、株式保有制限銀行に課すと、その裏腹で、銀行がその株式を処分する過程でもって市場に我々が予期しないような大きな波乱が起こるような場合にセーフティーネットとしての買い取り機構を設ける、こういう目的を持った措置でありまして、株価を支持する、こういう目的で導入しよう、こう考えているわけではありません。  ただ、今度は株が上がっていった場合にその政策を見直す可能性があるのかどうかということにつきましては、その制限のやり方、度合いにつきましては、国際的な関係のこともこれあり、またそういうことも考えて、あるいは我が国の金融機関財務健全性等々もかんがみまして、そのつど適時適切に見直しをしていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  192. 山本保

    ○山本保君 基本的には、株の上下というようなことではなくて、日本金融銀行の構造について変えていくのだと、ただしその数字等については状況によって変化があるべしという答えだと思いました。  それで、じゃ次の質問で、今お話も出た、今度は株式取得機構について少し細かくお聞きしたいのでございますが、今、副大臣お話ありましたけれども、この議論が出てくるときには、何かこれを、政府が株を買い支えるのではないかというような意図ですとか、介入する、またはつぶれそうな銀行を助けるというような、いろんな議論がされたような気がするわけなんですけれども、今回のこの法律というのはそういう流れから出てきて、そしてそんな意図を持っているのではないかということについて、いかがでございますか。
  193. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) あくまで、先ほど申しましたように、この買い取り機構株式の買い支えをするものではなくて、もとよりこの機構に、今度の制度に従いまして銀行株式を処分する場合でもあくまで任意に、市場で売るかあるいはここに売るかは任意になっていると、こういうことでございます。  先ほど申しましたように、この買い取り機構の創設というのは、銀行保有株式制限を設けると、その関係で、銀行の処分によって株式市場に思わない、予期しない波乱が起こるような場合にセーフティーネットとして買い取りを行うと、こういう措置でございますので、買い支えになるとかあるいは銀行救済になるとか、そういう目的はもとより有していないということを御理解いただきたいと思います。
  194. 山本保

    ○山本保君 そのことについてもう少し、じゃ中身ですが、例えば株がどんどん下がっていったとき、それをどんどんこの機構が買い取って、そしてもうほとんど値がつかない、それにどんどん国の税金が入れられるんじゃないかというような気持ちがやはり国民にはあるんじゃないかと思うんですよ。そうじゃないと、そういうふうにならないように仕組みはつくってあるというふうに御説明いただきたいんですが、いかがですか。
  195. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 市場で売るかあるいはこの機構に買い取ってもらうかというのは、これはあくまで任意である、こういうことでありますし、それから特別勘定の方でこの機構銀行株式を買うという場合においては、恐らく市場では処分できないというようなケースにおいてこの機構買い取りという措置が発動されるのではないかと、こういうふうに思います。  ただ、一方において、国民負担につながらないようにということでございまして、幾つかの措置がなされております。  一つは、その特別勘定のほかに一般勘定という勘定を設けまして、これは政府保証範囲外でございますけれども、そこで可能な限りETFとかあるいは投資信託の組成のために瞬間タッチでもって損が出ないような形でもって買い取りが行われると、こういうことが一つ。  それから、特別勘定におきましても、買い取る株式一定の格付以上のものとか、あるいは上場株式であるとか、そういう対象株式制限されていること。それから、買い取りの開始につきましても運営委員会の議決を要すると、こういうことにしてあること。それから、売却時に八%の売却時拠出金というものをいただくことになっていると。  そういうことをあわせまして、国民負担に極力つながらないように措置しているということでございます。
  196. 山本保

    ○山本保君 もう少しそこについて、局長でもいいんですが、お聞きしたいんですよね。  つまり、まず今お話にもちらっと出たんですが、どんな株でも全部買い取るのかどうか。つまり、銀行としてはもうだめになった株を売りたいでしょうし、それは、国民の側からしたらそれは困るよということになる。やはり基準があるんだと思うんですよ。それも、どんどんと買いかえて、銀行の方は、この五年間、三年間の間に動いている株を次から次へと引き受けるんじゃないかという、トータルが自己資本の中であればいいんであれば幾らでも動くわけでしょう、そういうようなことにならないのか。  つまり、買い取るというときに、その対象となる株の範囲や、それからその性格や、それから幾らぐらいまでのお金がそこで使われることになるかという額ですね、この三つについて御説明いただきたいと思います。
  197. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 買い取る、特別勘定のケースでよろしゅうございますか。
  198. 山本保

    ○山本保君 はい。
  199. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 特別勘定で買い取ることになる対象の株式は、十三年三月末において銀行保有している株式ということで、時限的にその制限を設けると。これは、銀行から報告を出させていただきまして、十三年三月末の保有株式ということでまずセットいたします。  それから今度は、先ほど申しましたように、対象株式としては店頭市場以上の株式市場において上場されている株式で、かつまた格付がトリプルBマイナス以上のものと、こういうこととしているわけであります。  もう一個の質問は……
  200. 山本保

    ○山本保君 総額です。
  201. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 総額は、一応銀行保有している株式は三十九兆円ぐらいというふうに想定されますけれども、ここ数年間の趨勢を見ますと毎年二兆円とか三兆円という、そういう売却の実績がございますから、そういう実績を超えるものとして株式買い取り機構措置しなければいけないものとして大体二兆円という、そういう政府保証をいただきまして、措置をいたしまして、買い取る額を一応予定しているということでございます。
  202. 山本保

    ○山本保君 額、種類、そして対象の株についても、相当今お聞きしていると制限された、本当にこれで十年間にどれだけの仕事ができるのかなという気がしないでもないんですが。  ちょっとそれについてもう少しお伺いしますが、細かい話ですけれども、こういう団体を、それも民間の団体なんでしょうけれども、いわゆるお役人の天下り先になったり、また銀行の人事のリストラのはけ口といいますか、そんな形で運用されるんじゃないかというような懸念もあるんですね。この辺はそうならない、またこのときの給料といいますか、役員、職員の給料などというのは幾らぐらいでどこからそれは出されるのか、いかがですか。
  203. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) この機構は認可法人という形態をとる予定にしております。それは、この機構において、銀行保有する株式について保有制限を設けて、その処分を計画的に進める、そういう中でセーフティーネットとしての買い取りを行うということでありまして、その機構について、特別勘定買い取りについては、公共性がある、こういうことから政府保証をつけていただく、こういう観点から認可法人という形態が好ましいというふうに考えた次第であります。  それから、存続期間でございますけれども、一応最長で十年、その買い取った株式が途中で全部処分し終わった場合にはその時点でこの機構は解散をすると、こういう形になっております。それから、この特殊法人につきましては見直しを行うということを規定しておりまして、発足後三年以内に、法律施行後三年以内に見直しを行うと、こういう規定も設けられているわけであります。  それから、機構の運営は基本的には銀行界から選んだ役職員が行うということになっておりますけれども、ただ役員につきましては内閣総理大臣の認可が必要だと、こういうことになっております。そのほかに、我々としては、政府の職員とかあるいはOBが役員になる、役職になるということは考えていないということであります。  それから、給料等につきましては、機構の一般職員につきましては当初拠出される当初拠出金の中から支弁する、こういう規定になっているわけであります。幾ら給料を支払うかどうかについても機構が自主的に決めていくことになろうと、こういうふうに考えております。
  204. 山本保

    ○山本保君 もう一つ、ちょっと違うことですが、先ほど出たことではありますが、特別勘定株式を買うわけですが、先ほど十三年三月末のところでということでしたが、これは今後どこの銀行から何株を何株買ったかというようなことは公開されるんでしょうか。何か公開されますと逆にマイナスのような気もしないでもないんですが。
  205. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) これは、市場に与える影響等も考えまして、そういう買い取りの株、具体的な個々の株がどうだということは公開をしない方針でありますし、かつまた役職員等につきましては守秘義務が課せられている、こういうことであります。
  206. 山本保

    ○山本保君 大体それで特別勘定というものについての意味はわかったんですが、先ほどの話にもありました一般勘定の方、これが私どうも説明の方にお聞きしても余り意味がわからなくて、大手銀行というのは数も限られているわけですし、それからそのために、前日ですか、いわばだれもが認める値段で株を買ってすぐに売る、即時売ってもうけはないというような仕事、こういう仕事というのは本来銀行とか証券会社とかそういうところが行うことであって、この機構が行うことのメリットというのは、スケールメリットがあるとは言われるんだけれども、どの程度あるのかなという気がするんですが。
  207. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これはむしろ特別勘定よりも一般勘定の方が順番からいっても先に出てくる話でございまして、一般勘定を我々は大いに活用したいという気持ちを持っているわけでございます。  それはどういうことかといいますと、ETF、日経二二五というのが一番人気のあるETFですからこれを例にいたしますと、一行から買ってETFをつくるよりも、二行、三行から買ってETFをつくる方がはるかにこれは易しいです。それは、補充をするのはどっちみち全銘柄そろいませんから、したがってどこかで市場から補充しなきゃいけませんけれども、やっぱり複数行の株を拠出してもらってETFをつくる方がこれは易しいです。そういう意味で、ETFを組成するいわば場としてこういうものがあった方がいいと。  それから、例えばの話、A銀行はこういう銘柄を持っている、B銀行はこういう銘柄を持っているということで、この銘柄、あそこのものをたまたま持っているからあれをちょっと出してもらいたいというようなことも、この機構があればこそ言えるわけでありまして、一般のプライベートな地位しか持っていない証券会社がのこのこ行ってそういう話はできないということでございます。  会員の銀行であればこそ、そういうことを率直に言ってやれるというようなことにもなるというふうに考えておるわけでございまして、そういうことで、できるだけETFのような形のものでうまく市場につないでいきたい。これは現物出資の市場型の信託でございますから、そういう意味で私どもはこういう場を大いに使っていきたい、これを主に考えていきたいということを考えているわけでございます。
  208. 山本保

    ○山本保君 大臣、おっしゃることはよくわかるんですが、そういう仕事はまさに民間で銀行の団体とかがやるべきことだったんじゃないか。つまり、政府保証をするとか制限枠を決めるということはまさに国の決める仕事だと思うんですが、今、大臣がおっしゃったようなことはまさにビジネスの問題じゃないかという気がして、いや、そういう動きがあったのでちょうどそれを入れてやったんだということかもしれませんが、その辺いかがですか。
  209. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) できないんですね、純粋の民間ですと。純粋の民間ですと、全くもうむしろイニシアチブはその当該の銘柄の株を持っている銀行の側のイニシアチブにかかってしまうということですね。やっぱりこういう一種の共同の利益を追求する場というものがあればこそ、そういう話を持っていきやすくなるということです。そのぐらいにしておきます。
  210. 山本保

    ○山本保君 よくないという意味で言っているわけではありませんし、また、できる限り民間型に運営をしていくという話もありましたので、期待はしたいなと思っております。  あと、この団体がもうかったときには税金を当然払うんでしょうね。それから、最後に剰余金といいますか、お金が余ったときには国民の方に、赤字にならずに、また出した方たちにもリターンがあるんだというふうに認識しておりますが、それでよろしいでしょうか。
  211. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この機構は、まず税金の関係でございますが、認可法人として設立されるものでございますが、機構に拠出金を納付した会員に対して残余財産の状況によっては拠出金相当額を超える分配が行われるということから、法人税法上は普通法人の扱いになるということでございます。  あと、御指摘のように、この残余財産で利益が生じた場合、一定の額までは拠出金に対して配当を払いますが、それを超えた場合は、いわば政府保証を付しているということの対称形と申しますか、それとの均衡を考えて国庫へ納付していただくという仕組みにしているところでございます。
  212. 山本保

    ○山本保君 大臣、もうかりますかね。
  213. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 結論を言えば、わからないわけでございます。したがって、損失の負担とこの利益というか剰余金の帰属先というのは全くシンメトリーにつくってあるわけでございます。  ただ、十年という期間を持っておるわけでございまして、私どもとしてはやはり持っている株が上がるような経済運営をしていかなきゃいけないし、そのことはやっぱり政治家としての使命だという御指摘も衆議院の方でいただいておりまして、私はそのとおりだというふうに考えております。
  214. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございました。  終わります。
  215. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  法案について伺います。  結局、すべての出発点は、銀行が非常にたくさん株を持っておるというところから始まっているわけなんですが、そこで、基本的なところについて伺いたいんですが、柳澤大臣相当程度の株を保有するに至った理由ですね、それについての評価、これは変わったんでしょうが、そのことも含めてまずお伺いしたいと思います。
  216. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は若干個人的な経験も踏まえて整理をしているわけでございますけれども、銀行保有株式のいきさつというものは、第一にはやっぱり財閥解体というようなことの中で、その後に企業グループというようなものを考えたいというときに、こうした株式を持つということ、特に金融機関が中心となって株式を持つというような歴史的背景もあったというふうに思います。  それから第二番目には、資本の自由化のときに、やっぱり各事業会社ともに、当時は外国人の株主があらわれるということに対して、ちょっと今から考えると考えられないくらい心配をしておったということがありまして、特にそういう中で、企業経営に参加する形の株式の取得というものをやや恐れ過ぎるほどに恐れる中で、安定株主対策ということをその企業が志向しまして、そういう中でやはり金融機関が安定株主としてその企業の株を持つということが行われた、これが第二の要因かと思います。  それから第三の要因は、これはまあ昨今というか少し前に起こったことですけれども、エクイティーファイナンスというものが非常に盛んに行われたときに、できるだけ市場にあらわれる株が少ない方が株価が上がりやすいというようなこともあったかと思うんですけれども、そういうことの中で金融機関が株を持つことが多く出てきたと。これも否定できないんじゃないかと思っております。これやそれやで銀行保有株式というものが非常に多い量になったということでございます。  これは、何と申しますか、日本経済が右肩上がりで、株式もそういう企業の成長性というものを目して右肩上がりのときには、こうしたことは金融機関健全性というような視点においてももうほとんど何の問題もなかったわけでございますけれども、それが昨今のように経済そのものが低迷をするという中で、企業の経営も必ずしも成長を容易に望めないということの中で株価が下落をしてくると。こうなりますと、金融商品の性格上、変動幅が非常に大きいものですから、金融機関健全性にかなり大きな問題となってのしかかってきた、これが現在の評価だと思うわけでございます。
  217. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 結局、戦後経済、今おっしゃった株式の持ち合いということなんでしょうけれども、六大企業集団というようなものもつくって大変どんどん経済を拡大してきた、それに大きな役割を果たしてきたという点では、ある面で合理性があったというふうに評価しておられるんだろうと思うんです。  しかし、今の経済情勢変化の中で、これはかえってマイナス要因になってきたと。だから、これは減らさにゃいかぬと、こういうことになったわけなんですが、そういたしますと、この株を保有したこと、そのこと自身は何といいましても企業自身の自己責任において、銀行自身の自己責任においてやってきたことですし、そしてまた、今の経済情勢変化の中でこれを縮減していかなけりゃいかぬ、圧縮しなければいけない、それもまた企業の自己責任においてやらなければいけないことだと思うんですね。  まず、出発点ですから、まずその点については確認しておきたいと思います。
  218. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融機関も民間の企業でございますから、基本的には池田委員の仰せのとおりだと思います。  ただ、ここで金融機関だけがそれではなぜ、先般も緊急二法という形で税であるとかあるいはその他の公的資金を投入することになったのかといえば、やっぱりこれは金融機関としての特殊性、つまり公共性であるとかあるいは金融秩序というものが非常に国民経済全体の観点からいっても大切なものであるとかというようなことが背景にあるわけでございまして、それと軌を一にしていると言ったら言い過ぎかもしれませんが、基本的にはこうしたことが、特に池田委員、恐らく政府保証枠のことをおっしゃっているんだろうと思うんですけれども、それはやはりそうした企業の特殊性、特殊な公共性というところにその理由があるというふうに申し上げ、御理解をいただきたいと思います。
  219. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 原則的には銀行の自己責任において解決すべき問題であるということは否定されませんでした。  それでなんですが、金融二法のこともおっしゃいました、公共性の立場に立って政府保証、公的資金投入ということをやったんだと。それと同じ考え方がここの底流にあるという御説明だったと思いますが、私たちはこの金融二法も銀行の自己責任においてやるべきものだということで、これについては一貫した私たちの考え方があります。そういう立場の違いがあることをまず申し上げておきたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  そこで、基本的な点について再確認しておきたいんですが、午前中の質疑の中で、今度の銀行業界が売却する必要のある株が大体十一兆円と。それから、本法で購入することになる株は大体上限二兆円と。それは政府保証をつけるということがありました。大体五年間、三年から五年ですね、この間において銀行業界全体でどのくらい株を売却しているかということについては、二・五兆円ぐらいという説明がありました。その基本的な数字があったわけなんですが、じゃ、日本株式市場ですね、これはトータルで年間どれぐらいの取引になっているでしょう。これは事務方で結構ですが。
  220. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 約三百兆程度というふうに認識しております。
  221. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それで、今度の機構の設立理由なんですが、ここには、銀行等による短期間かつ大量の処分による株価の著しい変動が起こることにより云々と、こう書かれてあるんですね。要するに、信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがある、こうあるわけですけれども、まず、銀行等による短期間かつ大量の処分、つまり株価に著しい変動を起こすような短期間かつ大量の処分というのは一体どの程度のものなんでしょう。大体、先ほど確認した基本数字を超えるものじゃない、山より大きなイノシシが出るはずはないので。そこを押さえた上で、どの程度の数字を考えておられるんでしょうか。
  222. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これはやはり、その時々の市場の動向、それから市場全体が活況を呈しているとき、あるいは市場が停滞といいますか取引が減っているときでありますとか、あるいは時期等もありますので、具体的にこの額というふうなものを具体的に想定しているということは、なかなか事前に確定するのは難しい御質問かなというふうに思います。
  223. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 じゃ見ていきたいんですが、要するに証券市場、これは三百兆だと。これまでの銀行業界ではここで二、三兆円の保有株を年間に売却してきたわけですね。今度は十一兆円の制限枠があるわけですから、まず三年でやるとすると大体三・五兆から三・七兆ぐらいですか、五年でやるとすると二・二兆ぐらいということで売却していくことになるわけですね。そうだとしても、年間三百兆の株の取引があるわけですから、大体一%程度ということになります。  これを一気にその一%程度を売ったとしても、これが果たして大量の処分という形で言えるのか、そのことによって株価に著しい変動を起こすというふうに考えられるのか、どうですか。これは大臣、どうお考えでしょうか。
  224. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、何と申しますか、銀行株式の放出についてはいろんなことも言われてまいりました。私どもとしてはそう大きな影響があったというふうにも思いませんが、マーケットの中ではそういうことを言われてまいりましたし、何と申しますか、銀行が常に放出するよという姿勢だけでも、そういうオーバーハングというか目の前にぶら下がっているものがあるのが、市場のファンダメンタルズとしては仮に上昇機運にあるときでも頭を下げてキャッピングの役を果たしてしまうというようなことも言われておったわけでございますので、定量的に三百対二・五兆でどれだけの影響があるかということのほかに、やや心理的なということも十分マーケットのことですからあり得るというふうに思うのでございます。  特に、原則としては市場に任意で売却するというものが主で、我々としてもそれを期待しておるわけですけれども、いろいろなことで、何らかの事情でそれがうまくいかなかった人たち、銀行がこの保有規制に適合するために売らなきゃならないというときのいわばラストリゾートというか、セーフティーネットとしてこういうものをやっぱり持っておくことが制度として整合性のとれたものになるであろうと、このように考えているわけでございます。
  225. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 何かようわからぬですね。とてもじゃないけれども、今まで二、三兆円毎年売却してきた、そのことによって市場に著しい変動を起こしたことがあったのかというと、これはなかったということですから、銀行の株の売却によってですね。今までの経験からいっても大体そうですよ。これからやるのも大体二兆円から三兆円という間で、同じようなオーダーでやっていくという考え方ですよね。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  そういうことになっているわけですから、ちょっと今の説明は私は納得いきませんが、ちょっと先へ進みたいと思うんです。  先ほど副大臣の答弁の中で、機構が買い取る場合は、大体市場で処分できないようなものを特別勘定で買い入れることになるだろうと。ありましたね、いやいや、僕はちゃんとメモしているからあるんだけれども、これは否定されればそれでいいんですけれども、こんなことにはならないだろう、この法律でと私は思うから、それはちょっと間違いじゃないかということをまず確かめておいた上でお聞きしたいんですが、それじゃ機構は、今度の提案理由説明の中にもありますが、保有株式の短期間かつ大量の処分により、株式価格の著しい下落を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生ずることのないようにするために買い入れるわけですね、そうですね。そうすると、あくまでも、銀行の株の売却によって株価に影響を与えるおそれがある、そういうときに買い入れるわけです。市場株価が下落しているから買ってやろうということじゃないわけですね。そのことを確認してください。
  226. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私の先ほどの答弁が言葉足らずだったと思いますが、単純に市場で処分できないという意味ではなくて、いわば市場が荒れて、そういう状況のもとで信用秩序に大きな影響が与えられるような場合に特別勘定で買い取るということでございます。  そういうことでございますので、そこのところは御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
  227. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そこをちょっともう一度確認しておきたいんです。  市場が荒れているから買ってやろうということじゃなしに、銀行側の株を売却することによって市場が荒れるから、そういうようなことのないように買ってやろうということでしょう。
  228. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) それでは池田委員の後半部分のお答えをさせていただきますけれども、これは銀行株式保有制限をかけることとの裏腹でございますものですから、それで、一般事業会社あるいは一般投資家が売って市場が何とかというときは、我々の制度としては想定外でございます。
  229. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そのことは十分承知の上で伺っています。  それでは、そういった判断ですね、今、会員銀行から買ってくれという申し込みがあったと、それで市場を開設しようという判断、そのときにこの判断はだれがするんですか。今の時点こそ買わなければ、買ってやらなければ市場に大変な悪影響を与えるという判断はだれがどういった基準でやるんですか。
  230. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 機構特別勘定による買い取りにつきましては、セーフティーネットとしての機能を果たすものであることから、これは運営委員会が、会員のニーズ、会員の株式処分の進捗状況市場動向等を勘案して必要と判断する場合にこれを行うことと考えております。  そういう意味で、法律におきましても三十八条で、特別勘定による買い取りを行おうとするときは、あらかじめ運営委員会の議決を経ることを要すると定めたところでございます。また、こうした判断を行うもととなる基本的な考え方につきましては、業務規程において定めることを予定しております。
  231. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、三十八条関係ですが、業務規程で定めるというのは、今御説明のあった買い取りの開設について運営委員会が判断する際の基準、会員のニーズとか会員の株式処分の進捗状況とか市場動向等三つありますけれども、これを運営基準で決めるということですか。
  232. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) その基準についての基本的な考え方について業務規程において定め、これについては内閣総理大臣及び財務大臣の認可にかからしめるという仕組みにしているところでございます。
  233. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 この会員のニーズとか会員の株式処分の進捗状況市場の動向というのはある程度わかるけれども、その進捗状況というのは一体何を基準に見るのかというようなことについて、これはもう運営委員会の業務規程で決めていくということであればかなり融通無碍ですね。そのときの運営委員の個人的判断ということで、何にも客観的基準というのはないんですね。柳澤大臣、これはまずいんじゃないですか。
  234. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) どういうときにこのセーフティーネットを発動するかということは、今例えば会員の株式処分の進捗状況ということについて御指摘がございましたけれども、やはり保有制限とのタイムリミットの関係で、どの程度進捗をしており、どの程度残っているかということと、そのときにおける例えば市場の消化能力というようなことはかなり相対的な関係にもなると思いますので、それをあらかじめ定量化するというようなことはかなり難しい問題だと思います。
  235. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これをやったって余り結論出ないでしょうからこれ以上やりませんけれども、かなり融通無碍だなと、客観的基準というのはないなというふうに思います。  それで、じゃこの機構をつくってやっていくことについて伺っていくんですけれども、要するに金融の信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがあるということがこれは最大の根拠になっているわけですけれども、これを利用する会員ですね、これは十社以上が発起人になってつくるということになるわけですけれども、どの程度になるかということなんですが、要するに、自分が保有している株を売却したら市場に悪影響を与えるというほどの、そういった大量に株を保有している銀行、これが中心になるわけですけれども、大体どの程度銀行がこれに参画するというふうに考えておられますか。
  236. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これは、この法律を成立させていただいた後、具体的に立ち上げていく話になりますので、現時点で何行参加するかということについては我々も確たる数字を持っているわけではございません。  ただ、我が国の金融システムというものは、大手行を中心としておりますけれども、それとの強い関連のもとで、地銀等々も含めて一体として構成されているということでございますので、大量に株式保有していない地銀等におきましても、こういう金融システムが安定するということは直接的に大手行に関係するところは多いといたしましても、全体として金融システムにかかわってくる機構であるということから、できるだけ多数の銀行の参加を期待はしているところでございます。
  237. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 何を言っておられるのか。実際、ティア1を超えて持っておる株を売る、その必要性のある銀行以外は入らないでしょう。売却する株ないのに何で会員に入る必要があるんですか、現実問題としてですよ。  大体、今、ティア1を超えて株を保有している銀行はどれだけあるかというと、二十六行しかないんですね、都市銀行、地銀、第二地銀を入れて。二十六行のうち十六行が都銀、地銀が八行、第二地銀が二行。その中で見ても、七%とか八%、三%、あるいは一〇〇%ちょうどというようなところもありますから、そういったところを抜いて、大体ティア1に対して一五〇%以上株式保有しているといったようなところはどの程度あるのか、見たら三行しかないですよね。三行、間違いないですね、これ。また、一〇〇%を超えているというところでも、一〇〇%は二十六行ですけれども、大体、一五〇%で行きましょう、一五〇%を超えているというのは、さくらと東京三菱と大和銀行、この三行だけですね。大体、大量に株を放出して株価に影響を与えるおそれがあるという、そういった銀行というのはこの三行しかない。このことを確認できますね。
  238. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) ちょっと、具体的な数字はありますが、すぐ確認して後ほどそこは御報告したいと思います。
  239. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは金融庁からいただいた数字なので、もう別に確認していただかなくて結構です。  三行なんですよね。そうすると、セーフティーネットセーフティーネットとおっしゃるんですけれども、セーフティーネットを必要としているのはこの大銀行三つと言っても言い過ぎじゃないと思うんです。大臣、いかがですか。
  240. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 池田委員は一〇〇%というような数字を非常に固定的にお考えだと思うんですね。これは今の恐らく株価を前提に、あるいはことしの九月末とかことしの三月末の話だろうと思うんですけれども、そこの株価変動も当然あるわけです。それから、一〇〇になれば絶対おれは持っているぞということを別に決めているわけじゃないんですね。一〇〇を切って売るということだって十分これあり得るわけです。特に、前からたびたび申し上げているように、要するにリスクウエートがどのあたりで決まるかというようなことも片方で非常に頭に置いておかなきゃいけないことでございます。我々の方は、一応今度は自己資本ティア1以内ということを一応保有制限のメルクマールにしますということを言っているんですけれども、金融機関の運営に当たる経営者等のことからいえば、BISのいろんな規制の話し合いの進展の状況によっては、この三年間にもっともっと自分たちはこれを縮減しなきゃいけないという当然ニーズも発生してくるというふうに思っております。  したがって、余り固定的に今の時点を押さえて、出っ張っているのはこれだけだというようなことで議論するということではなくて、少し事柄を流動的に考えて、我々がセーフティーネットというふうに置いているということをぜひ御理解賜りたいと思います。
  241. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これ何も私が決めた数字じゃなしに、そちらの方でティア1というのを基準にして決めたわけですよね。固定的に見ないとしても、大体これぐらいの数字ですよ。今二十六行です、一〇〇%超えているのは。これが百行にも二百行にもなるはずないでしょう。こんなこと、ならないんですよ。何か大きな変動起こすようなことをおっしゃるけれども、大体これの基準を一五〇%超えているのは三行ですよ、今。それが十行にも二十行にもなるはずないんですよ。そういうところで見ていかないとおかしな議論になっていきますよ、あなた方自身がこういう線を引いたわけですから。  そこで、続けたいんですけれども、衆議院の側で全銀協の会長さん等を呼んで参考人質疑をやられたんですね。それを見ますと、山本全銀協会長は何と言っているかといいますと、この機構、これ必要かということについて銀行業界全体としての固有のニーズはないというふうに言っておられますね。それからまた、銀行保有株式の圧縮については銀行の自己責任のもとで進めることができるんだと、こういう機構がなくても十分できますと。第二地銀協会会長さんは、協会会員行が機構を利用する可能性は低いとおっしゃっていますね。そうなんですよ。実際に今、先ほど見たように、機構を利用をしなければならないようなそういった状況はないだろう、そしてまた、かなり一斉に売ったとしても年間で二兆円から三兆円の間だと。株価に影響を及ぼす、そういうようなことは余りないだろうということが考えられるわけですから、大体こんなの必要ないんじゃないかと言っているんですよ。もう実際そういうことを言っていることは事実なんです。  それじゃ、そういったものに対して、銀行自身がみずからの責任で計画的にできると言っているのに、わざわざ税金で損失補てんまでしてやろうという仕組みをつくる必要が一体あるのかということが一つ問題になります。  しかしながら、セーフティーネットなんだから必要なんだとおっしゃるわけですね。要するに株価が値下がりして、保有株の含み損が拡大すると信用秩序に重大な影響を及ぼすということになるわけですね。そこで、セーフティーネットというのは、そういったとき、そういうことのおそれがあるので、一度機構がこの株を買い取ってそれで売却してやると、こういうわけですがね。  そうすると、その機構って一体何だろうかと。市場から外れたところで、市場にその株が放出されれば株価が下がるから一度買い取って、またおさまったときに売りましょう、つまり、緩衝地帯をここに設けるということですね。まさに株価市場形成に一定の介入をする、政府保証機構をつくって。そういうことですね。
  242. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 株価がどういうことで決まるかというのは、衆議院でも論議がありましたけれども、純資産とかそういう資産に着目して株価を考える向きもいっときにはありましたけれども、基本的にはその企業の収益力だと思うんです。その一定期間内のものを現在価値に割り引いたのが基本ですね。中長期的にはそういうもので株価というのは決まると考えるべきだと、こういうことです。しかし同時に、短期的には株式市場需給というものも影響がある、こういうことなのでございます。  したがって、私どもが今ここで避けようというのは、そういう一時的に何か、正直言って何かの事情で売り損なった人たちがどうしてもこの時期までには売らなきゃいけないと、そういうようなことを考えたときに、一時的に需給が乱れるということがある。それを緩衝地帯、まさに今委員がおっしゃったような意味で緩衝地帯を置いてこれをスムーズに、こぶをつくらないで消化していく。それは基本的にはまさにファンダメンタルズで決める株価でもってそういうものを最終投資家に売りさばいていくということであって、決して介入だとか干渉だとかということには私はならないというふうに考えているわけです。
  243. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 しかし、株価の下落を抑えるわけですよね、買うことによって。だから、そういう点では価格形成に介入しているわけですよ。それは買い支えじゃないですか、まさに。そういう点で、それを政府保証を行う機構においてやってやろうという形になっていっている。それはもう何も否定することはできないでしょう。  それから、私はこういった株の売却で著しい価格変動が起こるなどというようなことは余りないだろうと思ってはいますけれども、それが起こるおそれがある、セーフティーネットをつくらにゃいかぬのだという御主張ですよ。  そうだとしても、じゃ本当にセーフティーネットをつくらなければいけないと仮定したとしても、じゃそれが何で政府保証をつけた機構でやらなけりゃいかぬのか。銀行自身の責任で、自己責任で拠出金をちゃんと出して、一番最初に言いましたように、自分たち自身が営々として株の持ち合いをやり、大きな事業を拡大してきてもうけてきたわけですよ。これを今減らさなければいけないところへ来たときに、みずからの責任でちゃんと拠出金を出して機構をつくってやればいいじゃないですか。なぜ政府の保証をつけなければいかぬのか、そのことについていかがですか。
  244. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは先ほども申して、冒頭のこの応答で明らかになったところですけれども、やはり我々、二年前でございましたけれども、緊急措置二法をつくって公的資金を入れたということと、そのものずばりとは申し上げはしませんけれども、やはり考え方としてそこに通じるものを持っている。つまり、金融秩序の維持というのは公益だ、公共の利益だという考え方がある。それを担保しようという考え方に出るものでございます。
  245. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 最初に戻ってしまいますけれども、それについてはもう言いません。ずっと私、順を追って話してきましたように、要するにこういった機構を必要とする、そして株を売却するために、こういった機構を必要とするというのは本当に一握りの銀行でしかないじゃないですか。そうでしょう。そういった一握りの銀行、それも大銀行のためにこういった機構をつくってやろうと。  大体、株価の暴落というものは危険だから何とかしてセーフティーネットをつくってやるんだと言うけれども、決してこれは一つの銘柄の株が下がるからということじゃないですよね。株式市場全体のことでしょう。銀行一つや二つ、あるいはせいぜい三つぐらいの銀行の持っている株が放出される、特定の銘柄が放出されるということでそういったことが出てくるというのは余りないですよ。結局は、その銀行保有する株が下がるかもわからないようなそういった株、大体こう売られるような、後でもう一回やりますけれども、言ってみればぼろ株ですよ。そういったものを持ち込んでくるだろうということは想定されるわけだけれども、そういったものを買ってやるための機構でしかないということになるだろうと私は思うんですね。  そこでもう一つ確認しておきたいんですけれども、いわゆるこういった行為によって、金融秩序といいますか、金融のシステミックリスクが起こり得るおそれがあるんだというふうなことがこういった機構をつくる理由になっているわけですけれども、これだって、たとえ一行、二行あるいは数行の、数行までいかぬか、一つや二つの銀行の個別行の問題がここで起きたとしても、これは今のシステムの中でそういったシステミックリスクに発展するのを阻止する、そういった事態を阻止するような仕組みというのはあるわけでしょう。日銀が乗り出せば十分に解決できる。日銀特融だってあるわけですね。そういったことがあるにもかかわらず、こういった公的資金の支出によって保証してやっていくような必要があるのか。個別銀行で、私さっきから言っているように、本当にこういう問題を起こすのは数行ですよ。一五〇%というのは三つしかない。こんな個別行が問題起こしたとしても十分対応できるじゃないですか、日銀特融で。柳澤大臣、いかがですか。
  246. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融システムの危機というものについてはどういうケースかというのは、これ何と申しましたか、建設的な沈黙と申しますか、どういうケースであるかということについては言わないということを建前として一貫させてきているわけです。それはもう本当にケース・バイ・ケースでありますからそういうふうに申し上げてきております。  したがって、私どもとしては、このケースの場合には、株式保有制限を課すことによってそういうことを招来するということは、局所的な問題として処理したいということからこういう特別な制度を設けたということでございまして、一般的な金融システム危機対応のシステムを動かすのではなくて、ここで局所的におさめたいという考え方なのでございます。
  247. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういうふうな金融システム危機が起こり得るからこういう機構をつくったというわけですけれども、わざわざ機構をつくらなくたって、一行や二行のことであれば日銀特融で解決できるじゃないか、今の仕組みで十分に処理できるじゃないかということを私は申し上げている。この機構というのは、あくまでもその幾つかの銀行の持ち込んでくる株を買ってやって助けてやろうというものにしか私ならないと思うんですよ。  余り時間がありませんので具体的に伺いますけれども、先ほど伺ったように、まず開設については運営委員会決定しますね、決議します。さあ買い取りの開始ということを決めたと。そうしますと、銀行がそれじゃもう開設されたからということで売りに来ます。それはどんな株であっても、先ほど条件が幾つかありました、トリプルBマイナス以上の株でないといかぬという、格付が悪けりゃだめだという条件がありましたけれども、その条件さえ満たしておれば、トリプルBマイナス以上の条件さえ満たしておれば、どんな株だってこの機構は買い取らなければいけない仕組みになっていますね。そうですね。
  248. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 先ほど具体的に副大臣から申し上げたのは、一応その対象とするという要件でございます。  具体的に、もちろん買い取るときにできるだけ国民負担につながらないようにするという努力も大切でございますので……
  249. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 余り時間がないからそんな余計なことはいい。
  250. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) はい。一方で、具体的なことはまた運営委員会で決めますが、そのときには、そういう市場評価の変更とかそういうものをタイムリーに反映するように、具体的にきめ細かく規定することを考えているところでございます。
  251. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そんなことできないでしょう、法律上は。法律ではどう決められていますか。開設されたら、後は格付トリプルBマイナス以上の株であれば、持ち込まれてきた場合、機構の側からこれ買いませんよという手はないでしょう。そんなことを勝手に決められないでしょう。
  252. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 先ほど御答弁したうちの、例えばトリプルBマイナスということは、法律にはそこのところまでは書き込んでおりません。
  253. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 政令で書くと書いてあります。
  254. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) はい。ですから、そのところにそういうことを含めて具体的に今後書いていくということでございます。
  255. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、その政令を見なければなかなか言えないわけですけれども、事細かに書くんですか、その政令に。私がこれを心配しているのは、そういう法律事項が決められますね。それで政令で、今私たちが伺ったのでは、トリプルBマイナス以上だったらもうそういう条件つけますということしか聞いていない。そうすると、大体どういった株かということについて言っても、果たしてこれ、買ったはいいけれどもすぐつぶれるような会社の株なのかどうなのか、そんなことについてはこんな運営委員会はわかりはしませんよ。売る側の銀行が一番よく情報を持っているわけですから、売る側の銀行とすれば、要するに自己資本が下がらないようにということで株を処分するわけですから、できるだけ市場で売れないような、心配で心配でたまらないような株から先に売りますよ。そういう株を持ち込んでくる。そういう株を持ち込んできたときにこれを拒否できないというのが今度の仕組みになっている、法律上はまさにそうなっているじゃありませんか。政令で、じゃどこまで書き込むというんですか。
  256. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 具体的な条文で、三十八条の第三項でございますが、ここで「上場されている株式又はこれに準ずるものとして政令で定める株式であることその他内閣府令・財務省令で定める要件を満たしている場合でなければ、行ってはならない。」という規定でございますので、むしろそういう制限を課しているということで、そういうものであれば、仮にいろいろ問題があるというようなことが判明しているときでも無条件に引き取らなければならない、買い取らなきゃならないということではなくて、むしろそういう弊害を起こさないようなことは運営委員会等でチェックをしていただくということだろうと思います。
  257. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 だから、運営委員会にそういう資格がないでしょう、法律上そこまでの資格を与えていないじゃないですか。法律上、三十八条のどこにその資格が与えられるようなことが書いてありますか。
  258. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今、三十八条を引用しましたのは、まさに行ってはならないということで、無条件に引き取るということを説明しているわけではないという御説明を申し上げたわけでございます。  それから、運営委員会の権限につきましては、二十六条で「理事長の諮問に応じ、機構の業務の運営に関する重要事項を審議する。」という権限を与えているところでございます。
  259. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それがどうして買い取りの株の条件を一つ一つ審議する資格になる、するということになるんですか。そういうことにならないでしょう。この株は一体どういう株なんだろうか、どれだけのリスクがあるんだろうか、そういうことを判断する権限が運営委員会に与えられていないでしょう、そんなものは。
  260. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 順を追いますと、まず、法律上は一定の要件を満たしているものでないと買ってはならないということでございます。それから、法律上認められているものについて、今度府令等でできるだけ具体的な基準を定めていく、それに基づいて今度運営委員会が判断をするということでございます。
  261. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと、もうこれ以上、事務方はいいです。  大臣伺いますが、今のやりとりでおわかりだと思うんですよね。そこまで細かく政令に書くんですか。一つ一つリスクを判断できるようなものを全部基準として書いて、運営委員会がそれを判断する、そういうふうにするおつもりですか、大臣は。
  262. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 要するに、運営委員会といたしましては、セーフティーネットですから、その趣旨が生きなければほとんど意味がないということになりますが、他方で、今、池田先生もちょっと口にされたように、ぼろ株のごみ捨て場になるというようなことは許されないわけでございまして、その均衡のとれたところでむしろできるだけ緩やかに、私は、緩やかという意味は、余り事細かにでなくて決めておかなければいけないだろうと、こういうように思っております。
  263. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それをやるとなると大変なことですよ。その基準というのは非常に細かく書かなけりゃいかぬし、運営委員会法律上その資格を与えないといけないと思いますよ。この法律だったら、やってはならないということは書いてあるけれども、そこまでの判断をする資格というところは書いていないですよ。ということで、ちょっともうあと五分しかないんで、そういうことを一つ申し上げておきたいと思うんですね。ある面では私は欠陥法だと思いますよ、もしそこまでおっしゃるなら。  そこで、さらにこのことについて伺いたいと思うんですけれども、要するに、買い取り機構銀行がどうしようもない破綻懸念のあるような株を持ってきたと。悪意がなければこんなことをやらないけれども、悪意があったと。悪意を持ってそういうことをやった銀行に対して、その企業が破綻した場合には、これはもう一〇〇%その損失は国民がこうむる。銀行はもう売り払ったわけだから、それで、はいさようならでうまく売り逃げたということになるわけですね。銀行はそれを売り逃げて損失は免れたと。その上に、恐らくそういった企業に対しては金を貸しているでしょうから、債権者としての回収を図る、こういうことになるでしょうね。  こんなことになったんでは、これは結局この仕組みそのものは、もうまさに銀行のモラルハザードを促進するようなそういった仕組みになってしまうんじゃありませんか。そのおそれが十分にあるんじゃないでしょうか。先ほどぼろ株買っちゃだめなんだとおっしゃるけれども、この仕組み自身がモラルハザードを引き起こすようなそういった仕組みになっているじゃありませんか。
  264. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私、聞き違いでないと、池田委員は今、会社の株を売って、その売却代金でもって何か回収を図るというようなことをおっしゃられたようにもちょっとお聞きしましたが、そういう仕組みにはなりませんね。これは、会社に別に売却の代金が入るわけではありませんから、そんなことはあり得ないわけです。ですから……
  265. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そんなことは言っていないです。
  266. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そういうふうに聞こえたので、私、何というか、まさにモラルハザード的な仕組みをこの法律はビルトインするものであるという御批判は当たらないと思います。
  267. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私、そんなことを何も言っていないんですね。要するに、悪意でもって破綻懸念のあるような株を持ち込んできた、それは機構は買わにゃいかぬから買った、会社はつぶれた、そうしますと、その銀行にとってはもう株を売っちゃっているんですから損失は免れるわけですよ。その損失はだれがするか。結局は最終段階で国民がそれを政府保証という形でやり、国民がそれをしょうことになっていくということを私は申し上げた。だから、銀行のモラルハザードを促進するような仕組みになっているんじゃないかと、私が言ったのはそういうことなんですよ。  だから、要するに先ほどとつながっていますよ、話は。あんな運営委員会が事細かにきちきちっとその株を、そのリスクを判断して買う買わないと決めるという仕組みになっているんであれば、そういう法律にしないとだめですよ。そんな法律にはなっていないんです。そのことを申し上げておきたいと思うんです。  もう時間が非常に迫ってきましたので、もう一つ。先ほどの山本委員質問の中にもあったと思うんですけれども、ディスクロージャーの問題です。これはディスクローズしないわけですね。先ほどの質問に対するお答えがありました。要するに、機構がいつどの銀行からどういった株を買ったのか、どういった株をいつどういう形で売却したのかということについてはディスクローズしないとおっしゃいました。  そうすると、結局これは国民から見れば、政府保証までして公的資金をつぎ込む、最終的には税金で面倒を見なければいけない、そういったものであるにもかかわらず、全く国民の目に見えないところでこれをやられる、こういうことになりますね。これで大臣、国民は納得しますか。ディスクローズしないという前提で伺っていいんでしょう。
  268. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 特別勘定の、あるいは一般勘定だってそうだと思いますが、特別勘定の具体的な取引をどうやったかということの個別の問題については、これは市場に対する影響がございますので、これはディスクローズしない、こういうことであると思います。  それから、あとは、機構も法人でございますし、それから認可法人として必要な財務諸表とかそういうものはタイムリーに報告しなければいけない、個別の問題についてはディスクローズはすべきではない、こういうふうに考えておるわけです。
  269. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 言いましたように、個別の信用の問題だと言うけれども、まさに銀行がそういうふうな状況になっているときにその銀行を助けてやるわけだけれども、細かい銘柄まで言わなくても、どの銀行に対して株をどれだけ買ってやったとか、そんなことぐらいはやっても全然問題はないんじゃないですか。大体、今言いましたように、一五〇%を超えて持っている銀行というのはこれぐらいしかないんだとみんなわかっているわけですから。どの銀行の株をどれぐらい買ってやったか、これもディスクローズしないんですか。
  270. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) どれぐらい自己資本を超えてある銀行が持っているということはわかるかと思いますが、その内容について、どこそこの銀行がどういう株式をどれぐらい持っていて、それを機構に、要するに特別勘定にいつどれだけのものを売りましたということは、これは何といいますか、市場に与える影響が大きいということでありまして、それはディスクローズしないということでありますし、通常の状態でそういうものが、個別の取引がわかるということでもないだろうと思います。かつまた、職員には守秘義務がかかっているということだと思います。
  271. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 最後に申し上げたいんですけれども、このような、要するに銀行保有株式政府保証をつけて株を買い取ってやると。それを売却するためのそういった機構、こんな機構を持っているような国は世界じゅうどこにもないですよ、これは金融庁にも伺って聞いた話ですけれども。とんでもないことで、こんなのはどこにもないということは、こんなとんでもないことはやるべきじゃないということをやっぱり一つは示しているんだろうというふうに思います。  きょう私が伺った点でも、何のことはない、もう矛盾だらけじゃないですか。説明では何かその運営委員会は拒否できるようなことを言うけれども、法律に何もそんなことは書いていないんですよ。それを、へっちゃらけで拒否できるようなことを言うでしょう。こんなでたらめなことないですよ。  こういう機構をつくることに道理がないし、そんな道理のない機構をつくるから、そんないいかげんな形の法律になっているんだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  272. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほど池田委員銀行株式保有を高めてきた要因についてはお聞きになりましたので、それに関連をして、今度は銀行株式保有制限がつけられるわけですけれども、株価変動リスクの遮断と、それから株式持ち合い解消の促進という意味でこの保有制限がつけられてくるというふうに思うわけです。バブル景気が崩壊をした以後、それまでは日本式慣行として株式の持ち合いというのは、ややもすると、日本の産業や経済を強め、高度成長を引っ張ってきた原動力のように称賛された時期もあったように記憶するわけですけれども、それ以後、非常にその持ち合いの弊害が顕在化をしてきた中で、なぜ金融庁銀行に対してこの持ち合い解消をもっと積極的に指導してこなかったのかというところをお聞かせいただけますか。
  273. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 持ち合いの解消ということはいろいろな面で論じられているわけです。  持ち合いということは、株主権の行使によるコーポレートガバナンスと申しますか、そういう経営では困るとかというようなことを株主として言うということにブレーキがかかってしまうわけですね。つまり、相手も自分の銀行の株を持っているわけですから、相身互いでここは口をつぐんでいた方がいいわというような話で、要するに物言わぬ株主をつくってしまうと。それで、その結果、本当は株主がもっとどんどん発言すればしっかりした経営ができるのに、そういうチャンスも失われてしまう、これがコーポレートガバナンスとの関係で言われていることでございます。  今回の我々の株式保有制限には、そういうコーポレートガバナンスの観点が全然ないわけではありません。少し頭の片隅には当然あって、もっと日本の企業のコーポレートガバナンスをふやすためには、持ち合いで持っているんじゃなくて、最終の個人投資家が保有するような株のウエートを高めていかなきゃいけない、こうあるんですけれども、今度の私どもの銀行に対する株式保有制限といいますのは、株式のいわば価格変動というものに着目して、たびたび申し上げて恐縮ですが、バーゼル監督委員会がすごいリスクウエートをかけるというような話をしておりまして、これをやられたというか、こういうものが実行された暁には非常に今以上に自己資本比率の規制というものが厳しくなるわけでございます。  したがって、今回、今まで何を放置してきたのかと言われると、そう言われれば余り言いわけをすることが少ないかもしれませんが、今どうしてこういうことをやったかといえば、やっぱりバーゼルの動きに対して我々は対応しなきゃいけないということからきているということでございます。
  274. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 後からそこのところは触れていきますけれども、放置をしてきたというようなことではないかもしれないけれども、強力にそういう指導は余りなさってこなかったのかなというふうに今の答弁を聞きながら思いました。  株式につきましては、時価会計を導入することで含み益や含み損の実態が明らかになり、いわゆる株価変動リスクの遮断方法は今回のこの保有制限というような形でその方法は見えてきたと思いますけれども、銀行が持っている不良債権は、貸付債権とかあるいはそれによる担保不動産については、価格変動リスクとか損失リスクを明らかにする時価会計の導入など、まだなされていないですよね。それと、さらに、その事業用資産として含み損を表に出させることができるための減損会計を整備するというようなことがおくれているというふうに思うんですよ。  将来的には、この資産ごとのリスクを特性に応じて自己資本に割り当てる、いわゆる統合リスク管理を早期に進めるべき必要があるというふうに思いますけれども、この件に関してお答えいただきたいと思います。
  275. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 固定資産の減損会計につきましては、平成十一年十月から企業会計審議会において検討が進められておるところでありまして、企業会計審議会がことしの七月に、固定資産の減損会計等にかかわる具体的な論点につきまして、これまでの議論をまとめて固定資産の会計処理に関する経過報告を公表してございます。  我々としては、そうした報告書に寄せられました各界からのコメントを参考にしつつ、これから審議会で行われる審議の行方というものを見守っている、そういうところでございます。
  276. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほど大臣も触れましたけれども、BISの規制、いわゆる自己資本比率規制に関する国際基準見直しの動きが大変大きくなってきていますし、あるいはまたIMFの金融部門の評価プログラムでディスクロージャーの制度化なども言われておりまして、いわゆる銀行株式保有に対する関心は高まってきているというふうに思っております。それにあわせて、我が国でも国際基準銀行株式保有上限を設ければよろしいのにと思うんですね、私は。  しかし、今回この法案では、その自己資本比率規制上の自己資本のうちのティア1、いわゆる基本的項目を上限とする総額規制にとどめたのは、アメリカやヨーロッパに比べましても非常に甘いのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでございますか。
  277. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今回の措置でありますけれども、株式価格変動リスク銀行等リスク管理能力の範囲内におさめていこう、こういう趣旨で実施しようとしているものでありまして、国際的にも銀行等が適切に株式にかかわる価格変動リスクを把握する方式が先ほどから申し上げているようにまだ未確定の現段階でございますものですから、そういう意味で、我々としては、当面、銀行等株式保有量について規制するに当たりまして自己資本範囲内と、こういうふうにしたところでありまして、今後のBIS等リスクウエートの、株式を含めました金融資産のリスクウエートのあり方についての検討の状況等を見守っていきたいと、こういうふうに考えております。
  278. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、あくまでも過渡的な措置というふうに考えてもよろしいのかというふうに思います。  池尾和人さんとおっしゃる金融審議会委員ですが、今度ここの委員会にも参考人としてお見えいただくことになったそうですけれども、銀行からヒアリングを受けた結果として、リスクウエートが二〇〇%、三〇〇%になっても自分は驚かないというような発言をしていますし、六月二十六日に金融審議会が出された報告では、保有株式リスクウエートを最低一五〇%にするという案もあったのではないですか。  これが立ち消えに今なっている状況ですが、さっきの過渡的な措置と考えてよいかというのはそこにつながりますけれども、いかがですか。
  279. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 重ねて申し上げますけれども、私どもとしては新BIS規制の動向というものを注意深く見守っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  280. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この法案の中で、保有制限導入で株式売却が過度に集中しないための措置として導入されているのは、簡潔に言ってください。
  281. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ちょっともう一度。
  282. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 質問通告ちゃんとしていますよ。まあいいです。  それでは、この株式取得機構をつくることはもちろんですけれども、バスケット方式の低価法の採用とか、あるいは申請に基づきまして一年から二年の適用猶予をするというようなことが盛り込まれておりますけれども、これは大臣、先ほどから随分、一時期に株が放出されることによる 株式市場への影響を回避をしたいというようなことがあるわけですけれども、既に多くの銀行では、経営責任において、株式持ち合いの解消に向けて株式市場に株の売却を進めているんじゃないでしょうか。  例えば、衆議院の参考人質疑の中で、山本参考人はこういうふうに言っているんですね。みずほフィナンシャルグループの例で申し上げますと、九八年度より二〇〇三年三月、この期までに総保有額の三分の一、約三兆円の保有株式の圧縮を計画しており、この九月末時点で既に二兆円強の圧縮を実施済みでございます。本計画が予定どおり達成できますと、その時点で私どもみずほの株式保有残高は自己資本にほぼ見合う水準となる見込みでございますと、こういう発言をされているんですね。  そうしますと、もうこの九月期で既に二兆円の株式売却が済んでいるという状況があるわけで、このことが今の日本株式市場の下落にさらに拍車をかけているんではないかと私は疑っているんですが、この件はいかがですか。
  283. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) まず、先ほどの御質問にお答えをいたしたいと思いますが、株式を普通以上に持っておる銀行につきましては、二年間の経過措置が設けられると……
  284. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それはもう済んでいるから、いいです。
  285. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) はい。  そういうことでございまして、今の御質問でございますが、各銀行がそれぞれの経営判断によりまして自主的に株式を処分していけるということになれば、それで好ましいことであると、こういうふうに考えております。  その上で、我々としては、銀行株式処分が一どきに集中しまして、それで株式市場に大きな影響を与えるような場合においてこうしたセーフティーネットとしての機構を設けていると、こういうことでございます。
  286. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 質問に答えていません。通告してあります。
  287. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) そういうことで、銀行がそれぞれの経営判断において株式を処分しているわけでありますけれども、最近の市場状況は、アメリカの景気が低迷している、あるいは我々の日本市場における企業の業績が先行き見通しが立たないという、そういう状況のもとに株式価格が低迷を続けているということが言えるのではないかと思います。
  288. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 みずほフィナンシャルの山本参考人が言った、九月末まででもう二兆円を既に市場売却をしていると、そのことと、ずっと一万円割れを、一万円割れしたのはテロがあったということもあるわけですけれども、その以前から一万円、一万二、三千円あたりを低迷してきているわけですよね。そのことは、私たち一般の全く株なぞに興味のない者から見てもこれは少し異常な状況が続いているなというふうに思ったわけですね。そこにこの山本参考人の発言を聞くときに、ああ、これはもう銀行が持ち合い解消のために事前に、今度の法律が出ることを先取りして売却を進めている結果こうなっているんだなというのはだれの目にも明らかではありませんか。そのことを私は聞いているのに、何かとんちんかんな御返事をなさっていますが。
  289. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおりでございまして、そうした持ち合いの解消によって株式市場の上値にキャップがかかると、こういうこともあると思いますが、また一方において、株価というものが将来の企業の業績を反映したものであるというふうに考えれば、今私が御答弁申しましたように、米国等の景気の動向、そして我が国における景気の動向、そういうものが反映していると、こういうことであろうと思います。
  290. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、先ほど本年三月末の銀行の過剰の分が十一兆円というふうに言いましたけれども、九月末ではお幾らの過剰になっていますか。
  291. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 直近時点での我々が入手し得る数字というのは、三月時点のものでございます。
  292. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 早急に調べてください。  もう参考人で来られた方が明快に九月末でこうなっていると言われているわけですから、過剰になっているいわゆる一五〇%もの株を抱えているところについて金融庁が聞くことは可能だというふうに思いますので、きちんと調べておいていただいて、それと株価との連動について、またいずれかの機会にお答えをしていただきたいというふうに思います。  それでは、いわゆる株式取得機構についてお伺いをしていきたいというふうに思いますが、機構に参加が見込まれる金融機関一体どのくらいあるのでしょうか。
  293. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) この機構への各金融機関の参加はあくまで任意でございますので、今の時点で私ども幾つ参加するのかということを予想することは困難だと思います。
  294. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この法案をつくるときに全銀協などと随分と重ねた協議がなされてきているというふうに思いますし、山本参考人は同じ参考人質疑の中で、法案が通りましたらできるだけ努力をして参加できるように自分も働きかけたいということをわざわざここで言っているわけですよね。  それで、金融庁は、ではそこに参加をしてくれる銀行がどのくらいあるかという予測もつかないでこの法律を出してきているんですか。
  295. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 繰り返しになりますけれども、あくまでこの機構への参加は任意でございますし、それからこの機構の運営は参加金融機関が自主的に運営するということでございますので、私どもはその数は把握しておらないということでございます。
  296. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いわゆる負け組企業の株式だけが集中するのではないかという懸念がございます。いわゆるオールドエコノミー銘柄といいますか、建設、食品、化学、商社、自動車、電力、ガスなどなどに集中するのではないかというふうに言われています。これはもう新聞報道等で今銀行が持っている株式の銘柄が既にもう報道されているわけで、ここらに集中をしてくるのではないかという懸念がありますが、いかがでございますか。
  297. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) この法案を制定する過程でもって我々が特別勘定による買い取りの対象株式として条件を設けた株式は、上場株式または店頭公開株式で格付がトリプルBマイナス以上、そういう企業が発行した株式というふうに考えているわけでございまして、今後、銀行がどういう株式を売ってくるかというのは実際の運営の状況でもってわかることだろうと思っております。
  298. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 だって、これから上がる可能性のある株式をそんなに銀行がたやすく手放すはずはなくて、これから成長が見込めない企業に限って時価で株を引き取ってくれる機構に売ってくるということは、だれが考えてもわかることではないでしょうか。それでも副大臣はそういうふうにおっしゃるんですか。
  299. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 銀行がどういう株を今後保有し、それからどういう株を手放していくのかというのは銀行の判断だろうと思っております。かつまた、この機構に売るのかあるいは市場で処分するのかということはあくまで任意になっているわけでございまして、そういう意味では銀行の判断であろうかと思います。
  300. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、その機構政府保証、二兆円については政府保証つけなきゃならないし、損益が生まれたときには税金で賄うなどという項目がなぜこの法案に要るのか。私はそもそもこの法案自体が必要かどうかということを非常に疑っておりまして、むしろこんな法案は、日本のこれからの健全な株式市場をつくる、あるいは経済基盤を強くしていく上では要らないのではないかというふうに思っている一人でございますから、あえて言っているわけでございます。  この法案の第三十七条ですけれども、ここに、この仕組みの中では平成十三年度三月末までの銀行保有株式とかあるいは銘柄に限って買い取るんだというふうになっていますけれども、法案上はそういうことは全く明記をされていないわけですけれども、その銀行がこれから先、来年になってから、再来年になってからこの機構に持ち込む株が本当に十三年三月末に保有していたものかということを確認するその手だてはどうするんですか。
  301. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 三十七条に、その会員に資料を求めることができるという規定がございます。  おっしゃるとおり、買い取る対象の株式は、先ほど申しましたような条件のほかに、十三年三月末時点で各金融機関が持っていた株式と、そういうことでございまして、それを確定するために報告を徴すると、こういうことでございます。
  302. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最後に大臣にお伺いをいたします。  私たちは、この間、この財政金融委員会大臣と向き合うたびにいろいろな議論をしてきましたけれども、この株式買い取り構想が出たときに、春、四月ごろだったと思いますけれども、大臣お話をしたときに、大臣は民間でやるべきことであるということを明快に答えておられまして、そしてその後、緊急経済対策が決定というこの新聞の中でも、記者会見の席上、柳澤大臣は、この株式買い取り機構については、公的関与、公的支援が検討されることには、銀行にモラルハザードが生ずる危険性があるということで非常に否定的だったというふうに思いますね。  それから、保有制限については必要だと。しかし、保有制限は緊急経済対策の中に盛り込むべきではないということも、これはもう構造上の政策として極めて重要な位置づけのことであるので、緊急経済対策とそれから株式買い取り機構とがセットで出てくるようなことはあってはならないというふうにおっしゃっていたというふうに私は思っておりますけれども、残念ながら今回のこの法律は、まさに柳澤大臣が懸念をしていた株式保有制限買い取り機構一体として出されておるということ、私はもう不思議でなりません。  この四月から今日この法案を出されるまでの間、柳澤金融大臣考え方を大きく変えるための確実な事実関係というようなものがあったのかどうか、そこをお聞かせをいただきたいなというふうに思っているんですよ。それでなかったら、大臣はまあ渋々担当大臣としてやむなくこの法案を提出をしてきたのか、そこらがちょっとわからない。  私は、竹中さんと柳澤さんが存在をするこの小泉内閣というのは本当に金融や経済について同じ方向に行けないのではないかという懸念もずっとあったわけでございまして、ここの変化というのがちょっとわからないんですよね。ですので、大臣が今日この法案がどうしても必要だというところに至ったその経過をお聞かせいただきたいと思います。
  303. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 最初に、もう新聞等にもあらわれていることですので申し上げますが、買い取り機構だけが最初着想されたということはあったかと思います。そのことについては私は余り望ましくないというふうに思っておりましたけれども、先輩の円熟した政治家であられる方が、金融の秩序のためにああいう緊急二法も出したということ等を考えると、やはりここはそういうことがあってもいいんではないかと、こういう御意見がございました。  しかし、私としては、公的資金をいろいろな形で入れるということについては国民の皆さんに対する透明性というようなことからも余り望ましくないんではないかというふうに考えて、買い取り機構を使うにしてもできるだけ公的支援が不要なような形を努めてそこに組み込むことをなすべきである、こういうように考えたわけでございます。  そういうふうに考えておりましたところに、あのBISのリスク管理の手法の転換というか、エラボレートというか、そういう動きがありまして、先ほど委員は池尾委員金融審議会での発言も引用されておりましたけれども、そこにあったような非常に高率なリスクウエートをかけるというようなことも具体的に検討の俎上に上るというようなことがありまして、私としては、保有制限ということについては、これは緊急に手をつけなければいけないことだということを考えるに至りました。  そして、そういうふうに考えますと、保有制限をするということを考えれば、それは受け皿が当然必要なんでございまして、その受け皿としては、しかしできるだけ公的支援のない、今ここの法制の中では一般勘定というようなことで具体化を見たようなところで受けとめたいということを考えたわけでございますけれども、しかしまあセーフティーネットということも最後のラストリゾートとしては受け皿として備えるべきであるというようなことも考えあわせまして、このような形でまず保有制限というものを課そう、そして受け皿がその場合には必要だけれども、しかしそれはできる限り公的支援が必要でない一般勘定というような形で、ETFとかそういうものを使う形にしようと。  しかし、それでもなお、そう言ってはなんですけれども、いろんな事情でうまく売却ができなかった銀行の最後のよりどころということも考えておかなければならないという形で、先輩の、金融秩序というものは大事なんで、緊急二法と同じような形で、ここは公的資金がこの支援に出ても別にそうはばかられるところではないんではないかというようなことも、それでまた同時にその全体のスキームの中に含ませることができる、こういうふうに考えて、いろんな要請というものをこのワンセットの中に盛り込むことができたと申しますか、盛り込むことをさせていただいたというのが、あらかたの経緯を含めて、この制度の御説明ということで申し上げる次第でございます。
  304. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。     ─────────────
  305. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 委員異動について御報告いたします。  本日、大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として松井孝治君が選任されました。     ─────────────
  306. 平野達男

    ○平野達男君 自由党の平野達男でございます。  法律に関して、何点か基本的なことを確認させていただきます。  銀行につきましてはいろいろな評価がございますけれども、少なくとも自己防衛といいますか、銀行を存続させるための努力というのは、これは最大限の努力をしているんじゃないかというふうに私はとらえております。  BIS導入後、特に、株をたくさん持っておりますから、株価の低下がコア資本を侵食するということについては、これはもう銀行は十分理解しているわけでありまして、でありますから、株式市場等を見ながら株を計画的に吐いてきた、株を吐く努力をしてきたということが言えるんではないかというふうに思っております。  こういう状況の中でなぜ今法律をもって株式等の取得制限をかけなければならないのか、なぜガイドラインではだめなのか、銀行に危機意識がないという考え方なのか、あるいはあったとしてもリスクマネジメントがないんだという理解なのか、そういったところの大臣の所見をちょっと冒頭でお伺いしておきます。
  307. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ガイドラインでどうだということが具体的な問題提起としてあったわけでございますけれども、これについては私どもは、本当に国会の先生方をお煩わせするのは恐縮に思いますけれども、できる限り、規制とかなんとかということであれば、これは一番透明性が高いと考えられる法律の形をとるべきだというふうに考えているわけです。  加えまして、ガイドラインというのは昔の通達というかそういうことになるわけですが、これは今日ではできるだけ実態の問題にかかわらないで手続的な面にかかわるような事項に限るべきだという考え方でございますので、こういう法律の形式をとらせていただいたということをまず申し上げます。  BIS規制の問題等も銀行は知っているはずではないか、またこの時価会計の導入ということも知っているはずではないか、したがってそういうものについては、もう子供でもないんですから、自分の経営の能力をもって対処すべきだということは、もう全くそのとおりだというふうに思うんですけれども、ここは平野委員の御理解をいただきたいところでございますけれども、BIS規制といえども、何というか、そう整々と議論が進んでいるというわけでもありません。率直に言っていろんな議論が錯綜しているわけでございまして、早い話が一年延びたというようなこともそのあらわれでございます。  したがって、どういうことが最終の結論になるかということは率直に言ってわからないわけですが、しかし、その議論のいろんな方向を考えるときには非常に厳しいこともあり得ると、それには我々は、もう少し先回りしてこういうことを、法制上の措置として規制を課していくということは、これはやむを得ないことじゃないかというように考えて、今回の御提案ということにさせていただきました。
  308. 平野達男

    ○平野達男君 次の質問に移りますけれども、株式等保有限度額を「自己資本に相当する額」というふうに規定しておりますけれども、これは午前中の中島委員質問にもございましたけれども、この合理的根拠、先ほどの午前中の説明ではちょっと納得できるような説明がなかったように思います。  それから、自己資本に相当する額、株の額を算定する場合は、これは低価法を用いるというふうなことがここに書いてございましたけれども、なぜ低価法なんでしょうか。  この二点をちょっとお聞きしたいと思います。
  309. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 確かに、なぜ自己資本相当額にするかということは、これだという決定的な決め手のある議論が現時点で申し上げにくいんですが、これは繰り返しになりますが、BISにおいてもいろんな考え方がなされているということで、しかし、その中でやはり自己資本というものは銀行健全性を示す一つの大きな指標でございますので、これによるところが妥当ではないかというような観点から当面の措置としてはこれを採用したということでございます。  それから、評価の際に評価益を除いている理由いかんということでございますが、上限として採用しましたティア1には評価益が算入されておりませんので、それと平仄を合わせるという意味で当該評価益を控除するということにしたところでございます。  また、仮に株式等評価益を控除しないこととした場合には、株価の上昇が起きた場合に、意図せざる制限違反というようなものが発生し得るというようなことも考慮したところでございます。
  310. 平野達男

    ○平野達男君 まず、自己資本に相当する額というのが、これが原点になっていて、後ほどいろんなこの議論の中で出てくると思いますけれども、十一兆の株式を吐かなくちゃならないとか、それが出発点になっているんですよね。だから、十一兆というものが出ていくから、株式取得機構必要性ということに発展していくわけですけれども、この肝心の自己資本に相当する額についての説明ができないというのは、これはちょっとおかしいんじゃないかと思います。  それから、取得原価を用いることの正当性なんですけれども、柳澤大臣は午前中からずっと言っておられますけれども、株はリスクが大きいんだと、それからいろんな新BIS規制の中では、リスクマネジメントをやるときに、リスクウエートをやるときに、一〇〇%じゃなくて、もう一五〇%とか二〇〇%にするんだというような議論もあるんだという議論がある中で、なぜこういう抜け道をつくるんでしょうか。いい株は銀行に持っておいてください、悪い株だけ吐きなさいというふうな、そういう揣摩憶測みたいなものを持ってしまう理由になってしまうんですよね。そこをもう一回お答えください。
  311. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これは、そういういい株は持てとかということではなくて、ティア1を採用した結果として、そこに評価益が入っていないということとの整合性ということで決めたということです。
  312. 平野達男

    ○平野達男君 そういう機械的なことを聞いているんじゃないんです。今回の法律趣旨を踏まえて、銀行の株を制限しようとしているわけですから、なぜこういう含み益を算定させないような低価法を用いるんですかというのを聞いているわけです。法律趣旨に矛盾しませんかと聞いているんです。
  313. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これはできるだけ、そのリスクとの問題で、委員の御指摘はある意味では低目に算定しろということかもしれませんけれども、やはり一つの理屈の立て方としてこういう案を採用したということで御理解いただきたいと思います。
  314. 平野達男

    ○平野達男君 柳澤大臣の先ほどの答弁との整合性でもう一回お伺いします。  株は非常にリスクが高いものだ、株に対しての取得制限をしなければならないんだという御説明でしたですよね。そして、強制的に法律で取得制限をかけますと、それで吐いてくるから、ここに株式取得機構までつくってやるわけです。もしそういう流れでいくんであれば、わざわざここで低価法を採用しなくてもいいんではないかという単純な質問なんです。
  315. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 平野委員御承知のとおり、含み益を取っ払うというのは簿価ということですね。そういうことでやらないで、含み益を含んだところで計算すればよかったじゃないかと、こういうふうにおっしゃるわけですが、当然、含み益、それから含み損はどうするかということも、相対ですから、集計値ですからあり得るわけですけれども、私も、その辺はなまくらに過ぎるかもしれませんが、十三年三月末に含み益と含み損が集計値でどうだったかということまでは調べておりませんけれども、極めてそういうある種の偶然値みたいなものによらないで、コアのところで事柄をつかもうとしてティア1ということも言ったし、それから、それと見合いで比較すべき保有株式評価に当たっても、そういう含み益的なものを取っ払った簿価ということで対応させたというのはそれなりに合理性があるというふうに御理解賜りたいと、こういうように思います。
  316. 平野達男

    ○平野達男君 何か、株を持つことに対する前段の評価説明と、ここに来て、この部分については自己資本に相当する額には算入しないんだという説明の間には、ちょっとすき間があるような気がします。  それでは次の質問に移らせていただきますけれども、法律規制することでもって、ただでさえ銀行は今自己防衛に必死になっているときに、よりナーバスになって貸し渋りに結びつくような懸念というのはないんでしょうか。
  317. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今回の措置は、銀行保有株の価格変動によって銀行財務内容に影響がある、これをできるだけ少なくおさめよう、こういうことで保有制限を設けていくと、こういうことでございまして、その保有制限が実施されて各銀行リスク管理能力の中におさまるような状態になった場合には、銀行財務内容の健全性が確保されることを通じて銀行の信用仲介能力の回復につながっていくものと、こういうふうに理解をしております。
  318. 平野達男

    ○平野達男君 貸し渋りの原因にはならないということなんでしょうか。  次の質問に移らせていただきます。  株式取得機構なんですが、これは先ほど池田委員から質問がございました。池田委員と同じ視点に立っての質問をさせていただきます。  株式取得機構、この目的は、銀行等保有する株式の短期間かつ大量の処分により、株式価格の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な障害が生じることがないようにするためということで、どうも表現がマクロ的な表現になっているように思います。  一方で、これは池田委員の先ほどの御指摘にもありましたけれども、確かに、主要行と言われるところのティア1の超過額は十一兆。株式等保有額は三十三兆で、ティア1が二十二兆で、その差額が十一兆ということで、これは平成十三年の三月期なんですけれども、十一兆吐くんですよというその一方で、これはいただいた資料なんですけれども、東証の株の取引量は百五十兆とか二百兆とかという、そういう大台であります。  百兆とか二百兆というのは、これは年間の取引の額です。この十一兆というのは、これは三年間で吐くという計画でありますね。三年間で仮に平均しますと三兆六千億ぐらいということになるんですけれども、市場の大きさに比べて三兆幾らというのは非常に小さい感じがするんですが、これをもってして株式価格の著しい変動を通じてということに結びつくのかどうかというようなことについての御説明をもう一回お聞きしたいと思います。
  319. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほど池田委員からも御質問がございましたけれども、私どもは銀行リスク管理能力の範囲内に株式保有制限すると。かつまた、BIS等の国際的な基準がどう動いていくかということがまだ確定されていない中で、十七年に一応予定されておりますが、その前にそうしたリスクをできるだけ小さいものにしていくという観点から今回の制限を設けた、そしてこういう機構を設けたということでございまして、もちろんその需給ということもございますけれども、しかしながら、銀行のそうしたリスク管理能力にとどめる分、その制限を設けると、こういう趣旨で導入したということでございます。
  320. 平野達男

    ○平野達男君 設立の趣旨を聞いているんではなくて、設立の理由を聞いているわけです。  もう一回言いますけれども、株式価格の著しい変動を通じてとなっているんですから、全体の株式の量からいって三兆六千億というのはそんなに影響があるものですか、それはどのような検討をされたんですかということをお聞きしているわけです。
  321. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 先ほどもお答えしましたように、確かに三百兆という年間の取引というのはございますが、やはり株式需給というのは、そのときの相場の動向ですとか見通しによっては需給関係にかなり、それほど大きなものでなくても、それらの株式の心理的な影響ですとか、あるいは、特に銀行の場合は、一定期間に必ずこういう保有制限をかけた場合は売らなければならない、あるいは売ってくるということが予見されるという特別な事情にありますとか、あるいは三百兆というのは、これはある意味では同じ人が売ったり買ったりということの回転を含むわけですけれども、今回のこの二兆円とか三兆円というのは売り切りに、手放してしまうということが確定しているというような、そういうことをるる総合勘案しますと、やはり状況によってはかなり相場に大きな影響を与えることは十分あり得るというふうに考えているところでございます。
  322. 平野達男

    ○平野達男君 確かに、取得制限をかけて売りますよというふうに宣言するわけですから、出した途端に買い手市場になって買いたたかれるというか、買い手市場になってしまうというような性格はひょっとしたらあるかもしれません。  ただ、これは十五行なんですけれども、平成十二年度の大手銀行保有株式売却では、実績として三兆一千億ですね。十三年度売却予定額では三兆七千億ということですよね。そういう流れにあれば、十一兆というのは比較的自然にはける額じゃないかと。  それからもう一つ。このときのキーワードは二〇〇四年なんです。この報告書を見ますと、金融審議会報告銀行株式保有に関する報告というのがありますが、これは定量的な話が全然されていないんですね。定量的な話がされていないんですけれども、ただ、過去の売却額株価動向との間の相関関係が明確でないとして、しかし、何だかんだ言いながら、インパクトを与えるかというような視点が大事だというようなことを言っておいて、最後に、後へ来て、新しい規制によって銀行株式を放出することの与える市場インパクト等を考慮し、原則としては二〇〇四年から導入することが適当であるということで、びたっとここで二〇〇四年が出てきておるんですね。これ、二〇〇四年であるから三年で吐かなければならない、三年で吐かなければならないということで、十一兆の中で、過去の動向からいくと三兆ずつでやったから、二兆の要するに余分が出てきて、それに政府保証つけますよという、そういう考え方ですよね、考え方としては。  二〇〇四年に限定しなければならない理由というのは何ですか。もし本当に、今言われるような説明で、多少心理的な要素もある、柳澤大臣は攪乱要素という言葉を盛んに使っておられましたけれどもね、心理的要素もあるということであれば、十歩譲ってそれを認めたとして、三年に限定しないで四年に延ばせばその辺の問題も解決するんじゃないかという、これは単純な発想なんですが、どうでしょうか、これは。
  323. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この点については、新BIS規制の導入ということで、これが現在のところ平成十七年ということで導入される予定でございますけれども、その環境整備ということを考えますと、セーフティーネットを設けた上で、十六年度からもうその体制を整えるということから決めたということでございます。  また、二兆円という数字は、これはある意味では、確定的にこの二兆が余剰ということではなくて、市場状況が非常によくて保有制限をオーバーしている分が完全にうまく消化できることが起きれば、これはセーフティーネットが発動しなくて済むということでございますし、逆に、市場状況によりますと、今まで消化できていた分が消化できないということも考え得る事態としてはあり得るんではないかというふうに思います。
  324. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、今の説明では新BIS規制の導入に備えるということなんですか、今回の全体の制度は。そういう説明ではなかったと思いますけれどもね。あくまでも短期間の中で株を出させるよということで、それに対するリスクヘッジとして株式取得機構をつくるという説明でしたよね。
  325. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 少し御説明飛びましたけれども、そもそも機構をつくるもととなる保有制限自身は、背景として新BIS規制の新たな株式規制強化ということを念頭に置いていると。それに備えて株式保有制限をセットしたものですから、そのための機構の役割というのはそれに対応して計算をしたということでございます。
  326. 平野達男

    ○平野達男君 新BIS規制の二〇〇四年というのも、これは見込みですよね、今のところは予定ということですね。だから、その中で二〇〇四年ということで限定して三カ年間で株を吐かなくちゃならないという合理的な理由にはならないですよね、これは。  そして、ましてやこれは、先ほど言いましたけれども、自己資本規制の、自己資本に相当する額についての合理的説明もなかなか、今、先ほどの話を聞いていると、なかなか説明できないみたいですね。  そして、なおかつ、その十一兆が株式市場に与える影響についても、これは量的な分析がなされたのかどうかよくわかりませんけれども、聞いている限りにおいては、確たる説明というか、きちっとした説明はなかなかできない。しかも、その二〇〇四年についてもBIS規制についても、これは見込みとして新BISは導入されるかもしれないということなんですけれども、これについても確たるものではないと。  何か全体が、この株式取得機構に対する必要性説明の根拠が非常にぐらぐらのような感じがして、非常に悪くとらえますと、無理してとにかく株式取得機構をつくりたいんじゃないかというふうな感じにさえとれるし、だからこそ、こういう定量的な話をきちっと説明しないから、この株式取得機構については、ぼろ株が来るとか銀行の悪い、要するに変な株がどんどんどんどん入るんじゃないかという、こういう懸念が払拭されないと思うんですよ。  今までの説明の中では、全然私は説明責任果たしていないと思いますよ。
  327. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) まず、それでは株式保有制限というものの必要性はお認めになるんでしょうか。明らかにそうだと思うんですね。そして、それが結局、銀行保有株式リスクをできるだけ縮減するということの必要性というのはどなたも認めると思います。  これはもう誤解を恐れずに言っちゃうと、BIS規制があろうとなかろうと、もう極端に言うと、BISがやらんとしていることを国内の法制でやったって構いやしないわけでありまして、そういう意味では、銀行をその株式価格変動リスクからできるだけ隔離したいということはまず必要だし、それからできるだけ早くやった方がいいということは、みんなそうお認めになるんだろうと思うんですね。  それじゃ一体いつまでに、どういうふうに、どの程度やるのかということについて、何かもう一義的に、定量的にやるといったら、ゼロにすればそれはいいですよ、アメリカみたいに、そういうことでない限り、どこかに一つのめどというか、そのめどですね、めどをつけなきゃいけない。  そうすると、素朴に考えて、我々もいろいろ考えて、例えば自己資本と同じとか、あるいはティア1、やっぱりティア2は含めるべきでない、ティア1にしようとかというようなことで、いろいろ考えた結果、とりあえずまず素朴に考えて一番最初に来るのはティア1だろうということで、ティア1ということを一つのめどにして、そこに向けて縮減をしていくということを考えたわけでありまして、それを、もう絶対の根拠をもって説明しろって、これはちょっとなかなか困難なことだというふうに思います。  そうして、それを必要だとしてそういう規制を課すからには、それを現実に実現できるようなこともしてやらなければ、やっぱり一つのシステムというかスキームとしては完成しないわけでありまして、しかし私はもう、先ほど大渕委員の御質問のときに答えればよかった、ここでもいろんなことを申し上げております。できるだけ公的資本を少なくしたいと。したがって、そういう形のスキームをつくりたいということで、今回もう本当にぎりぎり、それがどういう機能、実績になって結びつくかはともかく、予想するのはかたいですけれども、しかし、とにかく一般勘定でできるだけやると。それから、しかし一般勘定だけでなおできないことのセーフティーネットというかラストリゾートというか、そういうものとして今回のこの取得機構というものをつくらせていただいたということでございまして、取り越し苦労だからそんな苦労はやめておけという議論も十分成り立つと思うんですが、セーフティーネットというのはそういうものだと私は考えるわけでございます。
  328. 平野達男

    ○平野達男君 私は、この銀行等保有株式取得機構については、正直言って反対です。ただ、反対については、確たる理由によって反対じゃないんです。何で必要だというのがわからないから反対なんです。  そのときに、先ほど言いましたように、ここをやったときに、「株式価格の著しい変動を通じて」ということを目的でうたっていますから、株式価格の著しい変動というのは、先ほど言ったように、マクロの要するに全体の市場で見たときに、何兆円、何百兆とある中で三兆というものは本当にそれだけの影響があるんでしょうかという質問いたしてみたら、それも明確な答えはない。  そういう説明の中で、こういう銀行等保有株式取得機構というのは本当に必要なんですかと聞かれれば、私はわかりませんからこれは賛成はできませんと、こういう答えになってくると思うんですよ。だからお聞きしているんです。これでなければだめだとか、ああでなければだめだということを言っているんじゃないんです。こういうことに対して疑問があるからお聞きしているんで、もう一度全体の定量的な話と、原点に立ち返ってその必要性をもう一回説明していただきたいと思うんですが。
  329. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) やっぱり今大臣が申し上げたように、がちがちの、数字がきちっと合わなければというんじゃなくて、これはセーフティーネット、ラストリゾートなんでございますから、そこを御理解をしていただかなければ、この機構の、買い取り機構の方ですね、制限の方は了解ということなものですから、買い取り機構の方はまさかのときに発動する用意として、セーフティーネットとしてこれはつくります、つくらせていただきたい、これが我々のお願いではないかというふうに思います。
  330. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 無所属の会の椎名でございます。  最初にお断りしておきますけれども、私、何にも予告しておりませんから、たまに聞くかもしれませんけれども、お答えになりたくなければお答えにならなくても結構です。  というのは、いつでも七番目か八番目ですから、これはなるべく時間をむだ遣いしたくないと思うので、重複したようなことは余り言いたくない。思い出すと、各党の皆さんに、一体何をお聞きになりますかというのを、ちょうどお役所の方が質問をとるように、とって歩いた上で考えなきゃいけないというようなことを考えますと、私は生来、不精なものですから、とてもそんなことをやる気が起こらないので、前からの方はおわかりでしょうけれども、私は通告というのをしたことがありませんので、どうぞ御遠慮なく拒否していただいて結構です。  もう、感想のようなことになりますが、さっき大渕さんの質問にお答えになって、いろいろあったけれども円熟した先輩がどうこうというようなお話がありましたが、私のちょっと感じを申し上げると、余り大きな公共の秩序とかなんとかかんとかというような、いわゆるビッグワードを使ってだんびらを振り回すような方はむしろ円熟していない方だと私は思っておりますので、余り軽々しく円熟というようなことをそこらじゅうの方にレッテルを張らないようにしていただいた方がいいんじゃないかと思っております。これは余計なことですが。  この金融システムの問題をずっといろいろと見たり聞いたりしておりますと、大体、この金融業界というのはほかの産業と違った特殊な性格を持っているということは大臣も言われたし、そして、そのときに、つまり公共性というものが非常に強調される。それから、きょうの議論などを聞いておりますと、一方、それぞれの銀行などの自主的な判断ということも随分、何遍もきょうは伺ったような気がするわけです。  この法律もそうですし、あるいは不良債権の処理の問題、こういうのを通じて、その大前提がやっぱりいろいろ出される法律なんかにあると思うんですが、これは要するに、自分がやっている仕事の公共性の自覚を十分に持って、そして自主的な判断ができるというプレーヤーを相手にした話だというのがどうも前提になっているように思うんですが、一方では、どうも本音を聞いてみると、信用できないと。このプレーヤーが本当に自主的に判断をする能力があるのか、あるいは公共性の自覚というのが十分かということに対して、本音ではどうも不信の念を抱きながら、しかし建前としてはそうせざるを得ない。そうでないと、昔のような本当の意味での護送船団方式で旧大蔵省が何もかも抱え込んで言うことを聞かしたというところにまた戻ってしまうというようなこともあるんでしょうか。そういう感じがするんですね。  そこで、もしもお答えいただけるんでしたら、この金融機関公共性というのは一体何なんであるか。それから、だれに対して責任をとらなきゃいけないのか、あの人たちは。それから、つまり公共性というものを自覚したらどういう行動をとることが期待されるのか、あるいはどういうことはやってはいけないということになっているのか。  いつも公共性と、こう言うとそれで話が終わっちゃうような気がするんですが、そこのところがどうもはっきりしていないためにいろんなことをやりたくなるという、その心の葛藤が大臣には非常に感じられるんですね。  さっき、何ですか、懇談会でおっしゃったというんだけれども、その退職金のなんのという、そんな話はどうでもいいんですが、さっきおっしゃったのは、ちょっとおもしろいからとってあるんですが、こういうときなんだからすべての問題についてもっと真剣に取り組めというのが私の気持ちだったと、こうおっしゃった。そういうことを察すると、やっぱり、おい、この並んでいる連中は本気でやっているのかねというお気持ちがどこかにあるんじゃないか。  それから、塩川財務大臣お話を聞いていると、これは銀行に限ったことじゃありませんけれども、一体、配当もせず、借金も返さず、赤字を何年も続けるような企業というのは一体どういうことだと言って憤激をなさっていたところ、あの本気になって怒っていらっしゃる様子を見ますと、一体、企業の公共性というものについて、本当のところ疑念がありながら、建前としてはそういうことにしておかなきゃいけないというあたりがきちっと割り切れていないんじゃないかと思うんですね。  ですから、この法律でもそうなんですが、私も何人かの委員と同じように、余りこんなものつくる必要あるのかなと実は思っているんですが、しかしどうしても、もうきちっと書き上げておつくりになったから、それを否決してしまう、否決にはならないんでしょうけれども、してしまおうというほどの一生懸命な気持ちにもなれない。  何か初めて伺いましたが、さっき池田委員がおっしゃったけれども、銀行協会長はこんなもの要りませんと言ったと、我々自主的にできますからと。そういうことなら、そういうことをおっしゃるのが本気で言っているのだとしたら、つくっても別に害はない。  ラストリゾートにおっこちる銀行が出てきたとしますね。下手なブランコ乗りみたいなもので、それは命は助かるけれども、年じゅう落ちるやつというのはみんながブーイングで信用しないんですね。それを含めて会社価値というのはマーケットで判断されるという長い目で見れば、いや、公的資金に手をつけたようなところの銀行はだめだというような判定が恐らく下るんだろうと思うし、だからどっちでもいいというふうな気持ちに今なっておりまして、どうしようかと思っているんですが。  今いろいろとぐしゃぐしゃ言いましたけれども、もう一つ言えることは、一般の人から見ていて、本当に銀行というのは何やっているんだろうという大変な疑念が我々以上に率直にあると私は思うんです。  とにかく一生懸命働いて預金をしていたら、あれ、みんな保証してくれないとかなんとかいうような話があって、一体、だめだとしたらどこへ移そうかとか、そういうようなことがいつまでも持ち越されるようなことをどこかでとめなきゃいけないというのは、やっぱりできれば銀行を信用したい。しかし、もういいかと思っていたら、何かマイカルの問題やその他あって、それもきっかけになったんでしょうが、特別検査なんというのをやると。こういうことになってくると、またどこをやったなんということはおっしゃらないのは、これは当たり前な話だと思いますが。  ちょうど、戦後、日本の憲法を変えてしまおうというので、向こうでつくったんだけれども、それを上から押しつけたというんじゃまずいから、おまえの方から出せといって、いかにも自主的に改正をしたというような格好にしたのと同じようなことをやらなきゃいけないというような、大変手の込んだ話とどうも似ているんじゃないか。こんな例を持ち出すとお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが。  それこれひっくるめて御感想があればお聞かせいただいたら、もう私はこれで終わります。
  331. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 椎名委員の方から基本的な公共性の問題を改めて尋ねられまして、私、できる限りのお答えを申し上げたい、こう思うわけでございます。  結局、私は、信用秩序といい、公共性といい、中核はやっぱり決済機能というか、そういうものだろうと思います。やっぱり現代の社会というのはみんな信用でつながっていて、決済はその信用の一つの区切りでもって決済が行われるということでございまして、それが本当に連鎖の鎖になって結ばれているということでございます。  ですから、一つ決済ができないというようなことになると、それは次の、仮に同じ日の決済だったら当然できなくなってしまうわけでありまして、結局、経済が、例えば手形だったら手形の決済資金が自分の口座に振り込まれていないということになったら、ぎりぎりピンポイントでそこは合わせているわけでございますから、それが入っていないなんといったら手形が不渡りになってしまう。そういうようなことで実は私はもう倒産ですというようなことになると、その人がもらったお金でもってまたそのお金を次の人に決済としてやるというようなつながりがありますから、そっちの違う人も倒れてしまうというようなことで、もう次から次へと、余裕資金を持って決済しているという人は余り多くなくて、ぎりぎりのところで決済しているという人が大半でございますから、そういうことで経済が破綻をしてしまうというようなことが金融というものの一番の怖さでありますし、また連鎖で結ばれている一つの秩序というのが信用秩序ということで、公共性というか公の問題になっちゃう。一私人の問題だけではなくて、非常に多くの人がかかわりを持つような公の問題になってしまうということが基本だと思います。  それともう一つあえて言いますと、やはり金融機関というものは、仕入れをするわけですけれども、仕入れが全く不特定多数の人であるということがありまして、預金者でございますが、その預金者が預金をしてくれない限り全然こっちの信用創造もできないわけですが、この預金者の人たちというのは割と情報格差がありまして、もしある銀行が自分の預金を払い出してくれない、あるいはそういうおそれがあるなどというと、全然違う銀行に預金をしている人も、また私の預けている銀行も同じような羽目になるのかしらんというようなことで、実は連想というものが非常に働きやすい構造を持っている。それも、そうして次から次へとその連想が働いていきますと、預金者が預金の取りつけをしたら、これもまた完全に金融システムは崩壊してしまう。全部の銀行から全部の預金者が現金の払い出しを求めたら、それは日本銀行は頑張るでしょうけれども、これは本当にすごいことになってしまう。  つまり、信用秩序というんですが、その一番裏打ちになっているのは連鎖と連想ということだと思うんですが、要するに連鎖と連想ということで次々、一つの個別的あるいは局所的なことにおさまらないで次々波紋が広がっていってしまうということが、金融システムというものの結局公共性、変な公共性を帯びちゃうということの特殊な性格だというふうに考えるわけでございます。  ですから、一つの問題というのが必ずしも一つの問題にとどまらなくなってしまうということで、一つ一つは本当に慎重に頑張らなきゃいけないということが出てまいりますし、我々も、金融行政の方も、そこのところを非常に気をつけていろいろ対処、処置をしていかなければならないということでございます。  私は、その上に立って今の金融機関の皆さんに申し上げたいのは、そういうことで公共性ということを十分自覚して、しかし、そうはいいつつも、私ども昔やってきたような事前統制というものは、これは際限がないというか、要するに、例えば検査などもよく話があるわけですけれども、自己査定ですというふうに申して、検査はその自己査定が適正な手続の上に行われているかということを調べに参るんですと、こういうふうに申し上げるわけですが、いや、そうではなくて政府が全部資産の査定をすればいいじゃないかというようなことが割と簡単に言われるわけですが、そういうことをやったんでは、政府は全能ではありませんから、結局それは全体としては物すごいリスキーなことになってしまう。  そこで、分権ではないんですが、それぞれのところに権限を持たせて自己査定、自己責任のもとの自己査定をするというのは、トータルとしては結局それが一番リスクから離れていられるという立場を築くんではないか。こんなことで最近そういうやり方、自己責任のもとの自己査定ということをやらせていただき始めたわけですが、それにしてはもう少し努力をしていただかないと、システム全体として自己責任のもとの自己査定ということで、公共性のある信用秩序を担うものとしてはちょっと不足するところもあるんじゃないかと、こういうことを私どもしょっちゅう言わせていただいておるということでございます。  どれだけお答えになったかわかりませんけれども、また椎名先生にもいろいろ教わりながらやってまいりますので、御理解のほどを賜りたいと思います。
  332. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 やめようと思ったんですが、もうちょっと一言、時間がありますので。  ちょっと話を広げますけれども、自己査定というような話でいいんですけれども、銀行だけでなしに、銀行でもSEC基準で向こうに上場しているのは今は東京三菱しかないというあたりで、ほかのところはどういう理由かは知りませんが、日本の中の監査のシステムでやっている。全部で三十何社ぐらいしかないですね。  よく指摘されるんですが、日本の公認会計士さんのやった仕事というのは、もう一回全部ひっくり返って調べなきゃとても信用できないというのが世界の相場なんですね。そのあたりは、これは旧大蔵省にも罪があったと思うし、さっきお話が出た公認会計士の実務指針、こういうものも恐らく少しずれがある。  ここあたりきちっとしておかないと、これから直接金融に転換していきたいといったときも、あやふやな企業会計報告書をずらっと並べてみて、さあ株買えといっても、これなかなか本気にならないおそれがある。ましてや、海外の投資家なんというのは、いつでもまゆにつばをつけて見るというような話にもなりますから、これはやっぱりBIS規制などいろんな波が押し寄せてくるんでしょうけれども、これは早いところきちっと考えて直していくという努力は、ぜひぜひこれはやっていかないと、今でもそうなんですが、金融庁の方からごらんになって銀行の自己申告というのはもうちょっとと言うけれども、あの人たちにもわからない。企業の監査法人がきちっと適正だという報告をつけてきたのを、本当かねというところがあるでしょう。それにまた銀行報告が来て、そうすると、あやふやの自乗みたいな話になっているおそれがあるんですね。  これこそきちっと政府なり国なりが本当に急いでやっておかなきゃいけないことだと思うということを申し上げて、もう答えは要りませんが、終わります。
  333. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  334. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行等株式等保有制限等に関する法律案審査のため、来る十一月十三日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  335. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  336. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会