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2001-11-14 第153回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十一月十四日(水曜日)    午後三時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         沓掛 哲男君     理 事                 国井 正幸君                 鈴木 政二君                 江本 孟紀君                 福本 潤一君     委 員                 有馬 朗人君                 大野つや子君                 太田 豊秋君                 河本 英典君                 近藤  剛君                 保坂 三蔵君                 山下 善彦君                 伊藤 基隆君                 谷  博之君                 長谷川 清君                 和田ひろ子君                 浜田卓二郎君                 井上 美代君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    参考人        三重県知事    北川 正恭君        近畿商工会議所        連合会会長   高橋宗治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国会等移転に関する調査  (国会等移転に関する件)     ─────────────
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国会等移転に関する調査のため、本日、三重県知事北川正恭君及び近畿商工会議所連合会会長高橋宗治郎君を、また、明十五日の午前十時に、岐阜県知事梶原拓君及び中部経済連合会会長須田寛君を、同日午後二時に、栃木県知事福田昭夫君及び福島商工会議所連合会会長坪井孚夫君を、それぞれ参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 国会等移転に関する調査を議題とし、国会等移転に関する件について参考人から御意見を承ることといたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人におかれましては、御多忙のところ当委員会に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。  本日は、忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  両参考人から意見を伺う前に、初めて本委員会に所属となられた委員もいらっしゃいますので、僣越ながら、私からこれまでの国会等移転に関する経緯について簡単に御説明させていただきます。  国会等移転をめぐる大きな動きは昭和三十年代ごろから何度かありましたが、今回の具体的な動きは、国会において平成二年に国会等移転に関する決議を行ったことから始まります。平成三年には衆参両院に、本委員会である国会等移転に関する特別委員会が初めて設置され、平成四年には議員立法として国会等移転に関する法律が成立し、国会等移転について国の検討責務が明確にされました。  同法に基づき国会等移転調査会が設置され、平成七年には選定機関移転先候補地選定すること等を内容とする最終報告が提出されました。この最終報告を受けて、国会等移転に関する法律が改正され、移転先候補地選定する場として国会等移転審議会が設置され、国会等移転検討移転先候補地選定という段階に入りました。  そして、平成十一年、国会等移転審議会は、移転先候補地として栃木福島地域及び岐阜愛知地域選定するとともに、三重畿央地域を、将来新たな高速交通網等整備されれば移転先候補地となる可能性がある等の答申を提出し、現在は移転先候補地の絞り込み、東京都との比較考量等国会にゆだねられている段階となっております。  本委員会といたしましては、これまで大臣や有識者との意見交換や、移転先候補地への委員派遣等を行ってきましたが、移転先候補地である三地域知事経済界方々から委員会の場で国会等移転に対する取り組みについての御意見を伺う機会がなかったため、本日及び明日、三候補地域方々にお越しいただくことになりました。  まず、本日は三重畿央地域方々から御意見を伺うこととし、明日の午前には岐阜愛知地域、午後には栃木福島地域方々から御意見を伺うことになっております。  本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からそれぞれ二十分程度意見をお述べいただき、その後、八十分程度委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず北川参考人からお願いいたします。よろしくお願いします。
  5. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 三重県知事北川正恭でございます。  首都機能移転論議平成二年の国会決議から十年が経過し、いよいよ来年の五月を目途に移転先が絞り込まれるという非常に重要な時期に差しかかっております。この大切な時期にこのような発言機会を設けていただき、まことにありがとうございます。  最初に、国会等移転につきまして私の考えを申し述べさせていただきたいと思います。  今、日本においては、新たな千年紀のまさに入り口にあって、政治経済社会のあらゆるシステム価値観を見直し、私たちみずからがリスクを恐れずチャレンジする心と、斬新な創造力を持ってさまざまな改革に取り組むことが強く求められています。  折から、小泉内閣では、骨太の方針により聖域なき構造改革を進めることとされておりますが、改革方向をより鮮明にする意味からも首都機能移転小泉改革が優先すべき絶好テーマであると考えます。ぜひとも日本再生の総仕上げとして首都機能移転改革プログラムに取り込んでいただき、さらなる大議論を巻き起こしていただきたいと考えています。  そのためには、首都機能移転を、単に国会等を物理的に移転して新たな都市を建設するということでなく、首都機能あり方はもとより、これからの民主主義のありよう、国際社会における日本の役割など、我が国の進むべき方向を問うものとして問題提起していく必要があります。  一極集中構造をこのままにしておいていいのか、集権官治分権自治か、それらと首都機能移転はどうかかわるのか、かかわらすべきなのか、首都機能移転はまさに我が国構想力を問うものと言えます。国民の側にも、何もかも政府や政治家に任せるお任せ民主主義ではなく、自分たちが二十一世紀日本をつくる、日本を変える主役であるという気持ちが求められることになります。国民に夢と希望を抱いてもらい、日本ビジョンを一緒に考えていく。首都機能移転はそのためにもまた絶好テーマであると考えています。  最近、東京都は、これまでの国会国会等移転審議会結論が現状にそぐわなくなっているとして首都移転の再検証をされました。その内容について論評する立場にはございませんが、本来国が行うべき事項にまで踏み込んで検証されるなど、移転論議を深める上では大変有意義な取り組みと考えており、さらなる議論の深まりを期待するところでございます。  どうか、当委員会先生方におかれましても、明るい未来に向け日本の礎を築くことができますよう、さらなる審議を進めていただきますことをお願い申し上げます。  ここで、三重畿央地域概況取り組みにつきまして、本日は四府県を代表して御説明させていただきます。  「未来を拓く三重畿央」という表紙の概況説明資料ごらんいただきたいと存じます。この冊子でございます。(資料を示す)  一ページでは、三重畿央地域移転先地として最適な理由について記述しております。  昨年十月、四府県三重畿央新都構想を取りまとめ、当委員会でも報告させていただいたところですが、移転先地としてふさわしい五つ資源、特性があります。この四府県というのは、京都滋賀奈良三重の四府県でございます。  一つ目が、日本中央、かつ関西圏中京圏結節点に位置し、全国からの均等なアクセスはもちろん、両圏域から独自性を保ちながらも連携して首都機能を担うことが可能ということでございます。既存大都市圏をうまく活用し、政治経済機能が東に偏らない均衡ある国土構造を形成する都市づくりが可能でございます。  二つ目が、関西文化学術研究都市に代表されるように、最先端学術研究機能が数多く集積しており、これらの知的資源人的資源を生かすことで日本世界の将来ビジョンを先導する新たな社会システムを構築し、高度な政策立案機能実現する都市づくりが可能でございます。  三つ目が、京都奈良、近江など、我が国固有歴史文化を継承している地域に囲まれていることでございます。これら世界に誇る歴史文化資源を生かし、新たな文化創造することにより、我が国のアイデンティティーを発信し、新たなライフスタイルを実現することが可能です。  四つ目は、アジアなどとの交流歴史があり、既存国際会議場二つ国際空港を有効に活用することにより、国際交流の新たな拠点として新しい日本の姿をアピールすることができます。  五つ目は、海から山に至る多様で魅力ある自然環境や景観が広がっています。これらゆとりある空間の中に、関西圏中京圏既存都市機能活用し、環境と調和のとれた新たな都市モデルを構築し、世界を先導する都市づくりが可能です。  二ページの「三重畿央地域をとりまく交通網」について御説明いたします。  三重畿央地域を取り巻く広域的な交通網は、既存新幹線を初め、高速道路JR在来線、さらには我が国の中で最も充実している私鉄網に加えて、当地域を貫くように第二名神高速道路整備が進められており、また関西中部二つ国際空港も利用可能です。  このため新都構想では、新都市町開きまでには、軸となります中央新幹線について名古屋—大阪間を先行整備すること、また東海道新幹線と草津線の交差部に、既に整備構想のあります、仮称でございますが、びわこ栗東駅を設置し、そこから新都市まで約二十五キロの区間に新幹線整備することが適切と考えました。  新都市成熟段階では、中央新幹線が全線整備されることにより、全国との交通利便性が飛躍的に向上するとともに、東京—都市—大阪間の高速交通網が二重系化され、災害対応力の強化が図られるなど、世界的に見ても極めて高水準の高速交通体系が構築されるエリアになります。  三ページでございますが、三ページの「三重畿央地域エリア図」について御説明いたします。  このエリア図は、国の審議会答申で示されました六つ検討地域に、クラスター方式を採用したコンパクトな都市づくり基本方針に、分散配置することを提案しています。一体となった地域である畿央1、畿央2、畿央3に新都中枢機能配置し、畿央4、三重1、三重2に新都を支援する機能配置することを想定しています。  次に、四ページから七ページにかけて、今お示ししました六つエリア概況を書いてございますが、説明します。  四ページの畿央2については、三重県と滋賀県にまたがる地域で、上野盆地の北部に位置し、パノラマ写真ごらんいただきますように、標高二百メートル前後のなだらかな丘陵地が広がっています。空中写真ごらんいただきますと、大規模な国有林民間所有地が一団で広がっており、土地の円滑な取得が可能です。また、大阪名古屋のほぼ中間に位置し、東西に走る名阪国道JR関西本線など既存交通網や、さらに建設中の第二名神高速道路などにより、関西圏中京圏連携活用が容易な地域です。  これらのことから、新都構想では、国会中心とする立法関係機能や主な行政関係機能配置することを想定しております。  次に、五ページの畿央1については、全域が滋賀県に属し、標高百五十メートルから二百五十メートルのなだらかな丘陵地帯です。古くから伊勢参宮の町として開け、江戸時代には東海道の宿場が置かれるなど、交通の要衝として産業文化が栄えてきた地域です。  新都構想では、既存の充実した交通インフラ活用畿央2との連携が容易なことなどから、司法関係機能配置を想定しているエリアです。  六ページの畿央3は、三府県にまたがる地域であり、奈良県立の月ケ瀬、神野山の自然公園童仙房高原など豊かな自然環境に恵まれた地域です。我が国固有歴史文化を継承している京都奈良に隣接し、最先端学術研究機能が集積する関西学術研究都市に近く、国立国会図書館関西館京都迎賓館などとの連携が容易な地域です。  これらのことから、新都構想では、在日外国公館など外国からの賓客をもてなす外交関係機能配置することを想定しています。  次に、七ページをお願いします。  畿央4については、三重上野市の東南に位置する里山丘陵地帯であり、また三重1、三重2については、伊勢平野の平たんでなだらかな里山と谷地田が連檐する丘陵地帯で、海から山に至る多彩で豊かな自然に恵まれた地域です。既に集積している人的・知的資源を生かして、技術創造人材育成など、新都を支援する機能配置を想定しています。  最後に、八ページの「三重畿央地域取り組み」について御説明します。  昨年十月二十三日に設立しました三重畿央新推進協議会は、関西圏行政経済界を初めとする地域全体が積極的に連携し、三重畿央地域への移転実現に向けた取り組みを推進していくために設けたもので、ごらんの皆さんにより構成されています。また、近畿二府七県議長会議関西広域連携協議会近畿ブロック知事会においても推進決議をいただくなど、関西圏が一丸となって、シンポジウムの開催など、さまざまな手法で首都機能移転の意義、必要性や、三重畿央地域優位性を積極的にPRし、国民合意形成に努めているところでございます。  かつて大航海時代は、西洋は西風に乗って東洋と出会いました。古来より、創造や発見のシンボルとされたのは西からの風であります。  移転先候補地で一番西に位置する私ども三重畿央地域から変革の風を起こし、新しい日本創造する力になりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げまして、私の公述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ありがとうございました。  次に、高橋参考人にお願いいたします。
  7. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 近畿商工会議所連合会の副会長をいたしております高橋でございます。  まずもって本日は、特別委員さんが近く結論をお出しになります大変重要な時期に発言機会をちょうだいいたしまして、厚く御礼を申し上げます。  先ほど北川知事さんから御発言がございましたが、その考え方につきましては、私ども経済界も全く同感でございます。  ここで、経済的な側面を少し追加して説明をさせていただきます。  首都機能移転問題は、国内課題でありますと同時に国際的な観点も重視する必要があろうかと存じます。世界経済では、今や一国では解決できない課題が余りにも多く、世界の中の日本という位置づけで対応していくべきだと考えております。この場合、首都機能移転問題はその観点についても十分参酌されることが望ましいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  説明をさせていただきます。  まず、二十一世紀以後の世界経済との関連を申し上げます。  二十一世紀世界経済はかなり大きな変化が生じてくるものと考えております。その変化は多種多様でございますけれども、大きな二つ潮流があるかと存じております。一つ世界各国グループ化でございます。もう一つグローバル化でございます。  まず、グループ化の方から説明をさせていただきます。  日本といたしましては、貿易立国立場から本来世界各国との自由貿易が望ましい、これは当然でございます。ところが、各国におきましては、自国の産業を保護すると、こういう目的のために、貿易上の障害と申しますか、関税だとかその他の障害を設けておるわけでございます。  一方、世界経済全体を考えますと、各国貿易がスムーズに行われることは望ましいということで、御高承のとおり、WTO世界貿易機関を設けまして各国参加を求めておるわけでございますが、途上国等参加も少のうございますし、またその中でも各国の事情がいろいろございますので、なかなかその効果が上がらないという状態でございます。  そこで、先進国中心関係国が、これは二つの国だとかあるいは数カ国寄りまして自由貿易協定を結びまして、その域内貿易上の障害をなくしていこうやないかと、こういう努力をしておりますし、現にもう実行しているわけでございます。  一つアメリカでございますが、御承知のようにNAFTAと申しまして、アメリカ、カナダ、メキシコ、この三カ国が組みまして、この域内はいわゆる自由貿易でございます。税関もない、いろんな障害もないというような状態でございます。これはいずれ南米の方にも望んでいきたいと、こういうことだろうと考えております。  一方、ヨーロッパでございますが、EUとして、ことし一月から自由貿易だけじゃなしに通貨統合まで入ってまいりました。これも、将来は東ヨーロッパからさらに言うならばアフリカの一部までも包含したいと、こういうような状態でございます。  そう考えますと、世界空白地帯というのは、中近東から東へ向かいましてアジアまで、この間がちょっと空白になっておるわけでございます。  アジアにおきましてもその動きが出てまいりました。御承知のように、日本とシンガポールの間で、十月十二日、先月でございますが、合意をいたしまして、来年の四月に発効すると、こういうことで自由貿易協定を結びました。中国の方も、御承知のように、ことしの十二月にWTOに加盟するということは決まったわけでございますが、一方、今月の初めからASEAN諸国との間で自由貿易協定検討を呼びかけておりまして、既にASEAN諸国はこれに応じる構えを示しております。ただ、実現まではかなり時間がかかるんではないか、人によっては十年ぐらいかかるんじゃないかと、こう言っておりますけれども、そういう状態でございます。そこで、日本ASEAN諸国との自由貿易協定を望みまして、中国に劣後してはいけない、これが非常に肝要な問題だと、このように考えておるわけでございます。  いずれ、そういった動きもございまして、二十一世紀アジアというのは、経済の面で考えますと、日本中国の間でリーダー争いになるんではないか。したがって、日本としては、今後アジアを重視すると、これは絶対に必要ではないかというふうに考えております。  もう一つは、グローバル化でございます。  これも御高承のように、世界経済は今後ともグローバル化が進んでいくと考えております。ところが、現在のグローバル化は実はアメリカンスタンダードでございます。標準アメリカになっておるということでございます。現在、ヨーロッパグローバル化を進めておるわけでございますけれども、内心ではアメリカンスタンダードについて反発をしているという状態でございます。  アジア、特に日本におきましても、文化伝統、企業のあり方、例えば永年勤続制の問題だとか雇用問題とか、いろんな問題の違いがございまして、果たして現在のアメリカンスタンダードに乗っていっていいのかどうか、そういう思いを持っております。  御承知のように、またせんだっての同時テロに見られますように、イスラムとそれから欧米社会以外の世界につきましては、経済的な面でも文化的な面でも、西洋的に今のアメリカンスタンダードにはなじまないと、こういう風潮がございます。  結局、考えまするのに、二十一世紀グローバル化というのは、各国地域伝統文化を尊重しつつ、その上に標準化を設けていくと、こういうことに進まざるを得ないと考えておるわけでございます。  こういった観点から考えましても、日本アジアの一員として、東洋文化哲学に裏づけられたスタンダードを主張していくべきだと考えております。こういう点から考えましても、経済的に日本アジア重視ということが絶対必要な問題であると、このように考えているわけでございます。  以上、世界経済二つの大きな潮流のいずれをとりましても、日本は今申しましたようにアジア重視が最も肝要だと、このように考えておるわけでございます。  一方、アジア諸国日本に対する期待でございます。  従来、アジア諸国は、日本近代化経済発展に成功したモデルの国としてまいりました。今こういった変化が出ておりますので、今後はやはり各国地域文化伝統哲学を土台にした、その上に立った近代化経済発展を望むように変化をしてきておるというふうに感じております。その点についても日本に期待しているわけでございますが、しかし、最近の中国の目覚ましい経済発展を見るにつけまして、ASEAN諸国は多少中国の方に目を向け始めているんではないかというふうに感じております。この傾向はアジア経済中心中国に移る可能性も示しておりまして、将来の日本経済を考えますときにゆゆしき問題ではないかというふうに存じております。  国際経済はまさに政治と表裏一体の状態でございまして、日本の顔として、首都機能移転先日本独特の文化伝統を踏まえた地域が望ましいんではないかというふうに考えております。  こういった観点から、多少我田引水がございますけれども三重畿央を考えますと、アジア諸国古来から日本の中で最も親しみを感じていただいている地域でございます。言うならば、心理的に最も近い地域であるというふうに考えます。そして、今申しましたように、京都奈良滋賀三重日本伝統文化を最も多く保有している地域でございます。また、古来から経済的にも発展している地域でございます。  以上の三点から考えまして、国際経済的にも首都機能三重畿央が望ましいと、このように考えている次第でございます。  次に、国内問題として申し上げます。  先ほど三重知事さんがおっしゃいましたこの同じ資料でございますが、「首都機能移転先候補地三重畿央地域」の概況」というのを、一ページから三ページまでございますので、ちょっとごらんをいただきたいと存じます。  三重畿央は地理的に見まして日本中央に位置しております。最近の国内移動につきましては航空機がかなり利用されておりますので、地理的な隔たりと申しますか偏りは余り考えなくてもいいんではないかと、こういう意見もございます。しかし、交通には飛行機のほかに自動車、鉄道、その他いろんなものを利用することが望ましいと、このように考えておりまして、やはり地理的には中央に位置していることが経済的にはよろしいんではないかというふうに考えております。  そこで、ちょっと脱線をいたしますけれども日本は地理的に狭い国であるから政治経済中心は一カ所でよいと、こういった説がございます。人呼んで東京一極主義と申しますか、そういう説がございます。さらに今、最近のIT革命によりましてその考え方が強まってくるものと思われます。  しかし、アメリカのせんだっての同時テロでもおわかりのように、政治経済中心を一カ所に置くということは、国家の安全を考えますときに大変大きな問題であるというふうに存じます。殊に、経済におきましては、国際的な金融機能というのは日本国内に限らず全世界に同時に通じているわけでございます。一日の二十四時間をニューヨーク市場、東京、ロンドンと、三つのマーケットがくるくる回っておるような状態でございます。  したがいまして、もしここで万一、東京で混乱が生じましたときには、全世界金融機能を麻痺させると、こういうおそれがあるわけでございます。せんだってのアメリカの場合は、幸い政治が離れておりましたために被害を少なくされたのではないかと、こういう思いがございます。そういったことで、私ども、一カ所に集めるということについて一番恐れているのがこういう点でございます。これらは同時テロだけの問題じゃございませんで、地震だとかいろんな天災においても同様でございます。  それでは、話はもとへ戻りまして、二番目に、三重畿央経済環境社会的な現在持っておりますあらゆる設備の活用が大いに望める地域であるということを申し上げたいと存じます。  これにつきましては、先ほど御説明がございましたのでちょっと簡単に申し上げてみたいと思いますが、京阪神、東海の二つの大きな経済圏を持っております上に、少し離れて北陸の経済圏を持っております。言うならば、三角の状態のその真ん中にあるわけでございます。これは消費地であるとともに生産地であると、こういったことでございます。  そこで、首都機能移転実現いたしましたら、これらの経済圏は大きな刺激を受けるわけでございまして、日本経済の活性化に大きく寄与すると、このように存じております。  それから次に、交通網でございます。これはもう先ほど御説明がございましたので省略をさせていただきますが、ただ一つ、現在の東海道新幹線の中で、米原と京都の間に、現在、仮称びわこ栗東駅が予定をされております。ここから三重畿央の都心まで新幹線を引っ張り込みますと非常に便利になるわけでございまして、これは約二十キロから二十五キロの距離でございます。ちょうど東京から京都までぐらいの距離になるかと思います。したがって、所要時間も、のぞみ級でございましたら二時間ちょっとかな、こんなふうに考えている次第でございます。  それから、空港の問題は、先ほどお話がございましたが、そのほかに、二ページにもございましたんですが、候補地の円周部分にびわこ空港というのを計画中でございます。この空港がもしできましたら、これまた都心部まで二十キロから二十五キロぐらいの距離でございますので非常に短い時間で到達できると、こういうふうに存じております。  それから、三番目の問題でございますが、これは既に御承知のように、近畿一円というのは文化財の宝庫でございますので、今お話が出ましたように、京都奈良、伊勢、伊勢というのは三重ですが、滋賀と、この一直線の上に日本文化が並んでおりまして、これによりまして外国からの来訪者に非常に親しまれております。今後の首都機能に大きな魅力となるのではないかと、このように存じております。  それから、四番目でございますが、首都機能の、造成費というのは間違っているかもしれませんが、つくり上げにつきまして、コストといいますか費用は非常に安くつくのではないかと、このように考えております。規模とか内容の大小によりましてコストが変わってくるわけでございますけれども、田園風景の中の環境共生型、そして人口が三十万から五十万ぐらいと、この程度都市をつくるとしましたら、三重畿央が一番安くいくんではないか。世間では、何か東京とか大阪のような大都会をつくるようなイメージがございますけれども、そういうことではないと、このように考えております。  比較的安くつきますのに幾つかございますが、一つは土地の値段が安いということでございます。三重近畿のちょうど中間のぽかっとあいた空白地のようなところでございまして、百五十から三百メーターぐらいの高原地帯でございます。したがって、土地の値段はかなり安うございます。  それから、国有林が比較的多うございます。  三番目に、先ほど申しました交通網は、少し手を入れればかなり充実したものができ上がると、このように考えております。それから、第二名神高速道路でございますが、これはもう現在着工中でございます。  さらに、この地域は過去、天災の非常に少ない地域でございますので、この対策費も最小限で済む見込みでございます。  最後に、東京よりの所要時間でございます。  東京よりの所要時間が選定をしていただきます一つの基準になろうかと、このように存じておりますが、三重畿央は地理的には確かに東京から遠うございます。しかし、所要時間は、新幹線の先ほど申しました引き込み線をつくりましたら、東京—京都程度で行けるわけでございます。  将来、さらにリニアの計画もございます。しかも、そのリニアはこの地域を通っていくということでございます。それから、新幹線につきましても、これも将来の問題でございますけれども名古屋から現在の東海道新幹線を外れまして、今の候補地を通りまして大阪へ行くと、こういうバイパスもつくれるのではないかと、このように考えまして、もしこれができましたら、さらに時間が短縮されるのではないかというふうに考えております。  以上、三重畿央につきまして、経済的な側面から考え方を申し述べさせていただきました。国際経済国内経済のいずれから考えましても、三重畿央優位性が高いと確信をしている次第でございます。  言葉足らずの点も多々あったかと存じますが、お許しをいただきたいと存じます。貴重な時間をいただきまして、まことにありがとうございました。
  8. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。また、委員の一回の発言時間はおおむね三分程度とし、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  9. 近藤剛

    ○近藤剛君 近藤剛でございます。  きょうは、北川知事、そして高橋会長様、大変いいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  冒頭、委員長から御紹介がございました。新しくこの委員会参加をさせていただいている議員の一人でございます。そういう意味でいろいろと勉強をさせていただいておりまして、きょうのお二方のお話、大変参考になりました。ありがとうございます。そしてまた、高橋会長アジア日本との関係、まさに私も同感でございまして、ぜひこのようなことをベースにいたしまして、いろいろなことをこれから一緒にまたお話しさせていただいてやらせていただきたいと、そのように存じておりますので、よろしくお願いをいたします。  さて、きょうのお話についてでございますが、実は私、この委員会に所属をさせていただくことが決まりましてからいろいろと勉強させていただいております。そして、まず勉強させていただきましたのがこの委員会の設立のもとになります国会決議でございまして、平成二年十一月七日の衆参両院において決議がなされているわけでございます。これを改めて読ませていただきますと、この委員会設立の最大の目的は、先ほど北川知事からもお話がございましたように、一極集中を排除する、この一点にある、そのように思うわけでございます。  そのようなことを前提にいたしまして、いろいろ今までの調査した結果のレポート等も拝読させていただいておりますが、まず新人、新人といいますか、初めて参加させていただいている議員でございますので大変初歩的な質問をまずさせていただきます。また、特に日ごろ私、尊敬をしております北川知事がせっかくおいででございます。そういうこともございまして、北川知事の御見解を伺うような質問もさせていただきたいと、そのように存じます。  まず、先ほど申しましたように、本委員会の、この国会等移転の目的は、東京一極集中を排除するということでございますが、ただ政府機能あるいは国会の物理的な移転だけでいいのかどうか、あるいは移転が本当に効率的にいいのか、あるいはそれと同時並行的にほかのことも推進しなければいけないのではないか、そのようなことを感ずるわけでございます。  結論的に申しますと、先ほど北川知事が申されたように、一極集中の排除、それを考えるときには、中央政府、この権限を地方にできるだけ譲与していく、むしろ私は地方分権という言葉よりも地方主権という言葉の方がこれから正しいのではないかと、そのように感じておりますが、この地方主権に向けた同時並行的な、物理的な移転ではなくて、権限の移転も同時並行的に、あるいはこの物理的な移転に先行してそれがなされるべきではないかなと、そのように感ずるわけでございます。  先ほどグローバル経済のお話が高橋会長からございましたが、グローバルであるからこそまたローカルな力も強化していかなければ地方経済の活性化は達成されない、そのように感ずるわけでございますが、このような基本的な考え方に関連いたしまして、北川知事そして高橋会長の御見解を承れれば大変幸甚でございます。
  10. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 実は、今の日本の置かれた状況といいますか、私ども行政改革とか財政改革、いろいろ努力してきていますが、そんなことではとても及びもつかないんではないかという恐怖感が実はありまして、十三億の中国の民が一気に世界の労働市場に出てきている現在を見たときに、日本の大企業とか中小企業の七、八割は変化するんだろうと私は思わざるを得ないと思います。したがって、そういう点からいって、時代認識は、明治維新や戦後の改革なんかとは次元の違う問題外の大きな大革命であって、文明史的転換点にあるという認識のもとに知事を務めていると申し上げて過言ではないと、そう考えているんです。  それで、物理的な移転だけでなしにということは、やはり明治維新のころに、結果的によかったか悪かったかはまた検証はされなければいけませんが、殖産興業、富国強兵というような大コンセプトのもとに大成功をおさめ、戦争という失態も犯してきたとは思いますが、国民一つに統一して、本当にこの国をどうやって盛り上げていこうという、絶えず青い山脈の時代で、努力すれば報われる社会というのが絶えず政府において提供され続けてきたと私は思えるわけです。  さて、ここへ来て価値がカオスの状態になって、本当に国として一体何をなすべきかと。単にきのうよりきょうを豊かにしようという、そういうことが圧倒的な目標になって、大哲学論争が国民を挙げて議論されていないのかなという正直そんな気がいたします。したがって、例えばアメリカのアポロ計画なんかでも、月へ行こうよという発想がアメリカをして私は随分と国民に勇気を与え、そして技術進歩をして、そして大アメリカをつくり上げてきたというような感じがしてならないわけです。  したがって、私どもは、新しい世紀あるいはミレニアムを迎えまして、国民が本当に参加して日本の国のありようというものを抜本的に根こそぎ、根からどうあるかという考え方、キャッチアップの体制でこのまま続けていくのか、殖産興業、富国強兵、工業社会を続けていくのかどうかの大議論こそが国会において議論されてしかるべきだろうと、そう考えるところでございまして、ぜひ哲学論争をしていただければなというところがございます。  そこで、本当に中央集権というのがキャッチアップに見事に機能する組織で、余りにも見事にサクセスストーリーがいっぱいでき上がったために、一九八〇年代ごろからレーガン、サッチャーなんかが出てきて大革命が起きて、日本はおくれたんだろうと思うわけです。したがって、今まさにそういった大革命の議論を国を挙げてお願いを申し上げたいと。  そのためには、キャッチアップのこの形というのが恐らく終えんを告げて、いわゆる物が不足していて、そしてそれをうまく満たすためにはキャッチアップも必要であったであろうし、供給側の論理で政官財が護送船団でという形式も見事に機能したと思います。皆さんのそういった努力のおかげで物が充足しまして、そして今度は消費の側が圧倒的に強くなったときに、それを例えば国から、こういう制度をつくりましたよ、こういう考え方ですよ、こういう法律ですよと全部地方へ押しつけてきますと、キャッチアップのときは非常に効率的に日本は統一して動きましたが、地方の時代とはいえ、全く思考停止の状態に置かれたままということを、何も国のせいばかりにはいたしませんが、私どもそれを変えようと思って今全力を挙げているところですが、そういったもの自体を本当に一遍お考えをいただかないと日本の国は直らないんではないかと、そう思います。  そこで、私ども三重県庁をいろいろ変えようと思ったときに、議論はいろいろあって、セオリーどおり動くことが一番いいことだと思います、理屈どおり動くことが一番いいことだと思いますが、実は県庁の職員の意識改革とかあるいは県民の皆さんの意識改革では、形から変わった改革が一番わかりやすかったわけでございます。  例えば、ごみを少なくしようと何ぼ言ったってなかなか減らないんですね。去年より一割減らしましょうかと言ったら、役人はまじめですから県庁職員は一割は減らすんですが、私の目指す世界はごみをなくそう、ゼロにしようということだったんですね。ごみをなくそうということになったときには、なくすんだからごみ箱は要らないじゃないかというので県庁からごみ箱を全部取ったら、八割ごみがなくなったんですよ。  だから、今、東京にあって、東京一極集中で、キャッチアップで明治以来百三十数年続けてきた形をそのまま残しておいて、形がそのまま残って、今その既得権益というのはそういう人たちが全部つくり上げて、その人たち東京にいて、そして本当に大改革ができるかどうか大議論を起こしていただきたいなと、そのような感じが正直私はしております。  そこで、権限移譲というお話がございましたが、エンパワーメントをどう訳すかという問題だと思いますが、権限を移譲していただくということは当然よろしくお願いは申し上げたいと思いますが、むしろ自主的、自立的にどうそれぞれの地域がモザイク国家で自己決定、自己責任をとっていくかということこそがエンパワーメントだという解釈をいたします。  そういう社会をつくった方が、四十七都道府県なり三千三百の市町村、今度の合併でどうなるかは別にしまして、そういったそれぞれが自由濶達に発想できるような状況をつくり出すということの方が閉塞感を打破する大きなことになると、そのような感じがしたときに、ぜひ形から一遍変わっていただくということは、東京にある政官財が全部一カ所に集まってそして護送船団というのを脱却していただくには、東京からそういったことを離していただくことが非常に大きな影響を与えると。そんなことをぜひ御議論を賜って、来年五月に結論をお出しいただければと、そのように思っています。
  11. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 高橋参考人、時間の関係もございますので、ひとつ簡潔に。
  12. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 今、先生がおっしゃいましたように、政治といいますか首都機能は、私はやっぱり一つのところでないとだめだと、こう思うんですが、経済は必ずしも日本じゅう一カ所でなくてはいけないということはないんではないか。むしろ、アジアとの関係を考えますと、今は御承知のように中国から随分安いものがどんどん入ってきております。しかも品質が非常によくなっておるわけですね。品質が悪いと大した問題でないんですが、どんどん品質がよくなっておりますから、安いということで日本も大変な状態になっております。  やっぱり経済的な問題としては、対外的にどう競争していくかということは、これは本当に大変な問題だと思うんです。そうしました場合に、日本の中で経済は一カ所に集める必要がない、やっぱり得手得手のところに配るというか、別のところでやったらいいじゃないかと。  具体的に申しましたら、大阪は比較的アジアに過去関係も深い、だからアジア大阪に任せてもいいんじゃないか。例えばの話でございまして、東京アメリカとかヨーロッパ分を任せたらどうやとか、将来もし極東のロシアのあのあたりが発展してまいりましたら北陸の地域に任せたらどうやというふうに、やっぱり得手得手に配って競争する方が私は効率的じゃないか、このように思っております。先生おっしゃったように、首都機能の分は一つだけれども、そのほかの分は分けていいんじゃないか、こんなふうに感じています。
  13. 谷博之

    ○谷博之君 お許しをいただきまして、私の方から、委員長の御指名ですから、時間が限られていますのでちょっと箇条書き的な質問になりますが、何点かお伺いしたいと思っております。最初の質問ですので初歩的なところもあるかと思いますけれども、お許しいただきたいと思っております。  まず、その一つは、移転の形態の問題なんですけれども、御案内のとおり、国会等移転に関する法律、いわゆる移転法の第一条に、ここにありますけれども国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なものの東京圏以外への移転とされておりまして、いわゆる三権の一括移転というのが原則になっていた、前提になっていたというふうに思うんです。  その後、最近になりまして重都論とか分都論とか、あるいは、つい先日、私どもの那須の方でも、経済団体が主催しましたシンポジウムの中では、東京都の野村という首都調査担当部長ですか、という肩書の方が唱えておりましたが、展都論ということで、機能を関東一都七県に分散をするという、そういう展都論というふうな議論もされてまいりました。この地域ではどのような考え方をこれについて持っておられるか、ひとつお伺いしたいと思っております。  それから二つ目は、そういう中で特に、いよいよ来年の五月というふうなときになってまいりますけれども、いわゆる東京からの国会移転ということですけれども、他地域への移転の問題ですが、国会において複数の候補地から移転先を絞り込んでくるということになってきたときに、例えば三重畿央地域ではなくて他の地域に決定した場合においても移転については賛成するかどうか、これを二つ目、それぞれお伺いしたいと思っております。  それから三つ目は、北川知事はよくいろいろなところで発言されておりますが、環境との共生というふうなことがよく言われていますけれども、御案内のとおり二十一世紀というのは環境の時代ということでありまして、国会移転によって誕生する新しい都市というのはまさにこの課題に的確に対応できるような、環境と共生した世界モデル都市というんでしょうか、そういうふうなものにしていく必要があると思いますけれども、当該地域としてはこれをどういうふうな形で具体的に実現しようとしていっているのか、これをお伺いしたいと思います。  それから、ちょっと数が多くて悪いんですが、四点目は、いわゆる三重畿央地域が候補地になった経過の中で、国会等移転審議会答申の中に、将来新たな高速交通網等整備されることになれば移転先候補地となる可能性があると、こういうふうに一応規定されておりますよね。今申し上げました移転法の第六条にもやっぱり、ここにありますが、新都市と東京都との機能面での連携の確保とあって、この観点からこの国会等移転審議会では高速交通網等整備移転の前提としているというふうに我々は考えております。したがって、東京都との機能面での連携の確保、それからこれからの基盤整備の見通しについてお伺いしたいと思います。  それから最後に、三重畿央地域の新都市構想における人口それから用地フレーム、これについてどのように考えておられるのか。特に、昨年の十月に公表された日本創生新都という構想で、ともかくクラスター方式を採用したコンパクトな都市づくりという、そういう構想が出ております。そんな中で、現在のままの規模で移転をするということになると無理があるということになりますと、当然そこにおける移転先移転の人口とか新たな用地についての需要というものがやっぱり出てくると思うんですが、これらについてどのように考えているか。  以上の五点をお伺いしたいと思います。
  14. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 形態については、国会の御議論を待つことが多いと思いますが、私どもとしては、国会並びにそれを補完するさまざまな行政形態が一括してお越しいただくという、そういうイメージで考えております。  二番目に、三重畿央以外の他の地域に決定を国会でしていただいたときにはどういうことになるかということだったと思いますが、それは、決定に従うことは三地域で相談をいたしておりまして、十二月にも三地域が結束して大会を持たせていただきます。要は、まず東京と比較考量が本当にできるかという状況をつくり出すことが重要なことだと思っておりますので、国会の御決議に従うと、こういうことになろうと思います。  その次に、環境との共生ということでございますが、多分二十一世紀は、環境対応とか環境保全ということで今日まで規制行政なんかが公害対策ということでやられてこられたと思うんですが、公害というマイナーな言葉が環境に変わってきたごとくに、私どもとしては、環境保全からもう一歩進んで環境経営というようなことをやっていこうと、環境に配慮した方がより得ですよということ、あるいは環境に配慮しなければ企業とか団体は存続しませんよというところまで踏み込んでいこうと思っております。  したがって、一千八百万ぐらいの人が海外に出ていかれて、そしてこちらへ来られるのが四百七十万ぐらい、その差は三兆一千億ぐらいあると、こういうふうに思いますが、ローマとかパリとかウィーンの町が何百年かで市民の知恵によってえも言われぬさまざまな価値を生み出していると思います。残念ながら、キャッチアップの日本社会でそういった都市形成がされてきた歴史がございませんので、私どもとしては、首都機能移転することによって環境にすばらしい影響を与える世界モデル都市になるようなそういった町ですね、あるいは情報のインテリジェントシティーというようなことも考えて、そこで技術の粋を集め、世界じゅうの知恵を集めて日本の全体の科学技術の発展につながればと、そんなことを考えております。そういう中で、クラスターという、それぞれブドウの房のごとくというのも、環境との共生でいかがなものかという提案でございます。  次に、交通網でございますが、これは名神とか新幹線の問題がございまして、そういったことが整備されれば非常にいい地域ではないかということをいただいておりますので、今後そういう努力は私どもはさせていただきたいと、そう考えておりまして、その間、二十五キロを今の新幹線と結びつけることによって解決をしていきたいと考えているところでございます。  そして、その地域の基盤整備は、実は国有林とか民有林のところが二千ヘクタール以上ございますので、そういった問題については比較的話がしやすくなる地域だと、そのように考えて、基盤整備については水の問題等々含めまして確実に対応できると、そのように考えているところでございます。  また、人口とか用地の問題につきましては、私ども、まず当初、十カ年計画を立てて順番にやらせていただきたいと、そう考えておりまして、第一段階では十万人、そして最大の場合には五十六万人という、最終的な点ではそのような二段階をとらせていただいております。  そういう数値ということは、すなわち、先ほどの近藤先生のお話のように、エンパワーメントをしていくという、権限移譲ですね、国と県と市町村、県と市町村があるかどうかはわかりません、三層がいいかどうかも議論をぜひこの際していただきたいと思いますが、そういった責任と権限を明確にする地方分権をぜひやっていただくという前提で、最大で五十六万人と、こんなことを想定させていただいているところでございます。  大体そんなことでございましたですか。
  15. 谷博之

    ○谷博之君 用地の需要の見通しというか、今言った新都市の用地の確保というか需要というか、そこら辺の見通しについて。
  16. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 用地は、国有林と民有林がございますので、比較的取得はしやすい状況の地域だというふうに考えております。
  17. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 環境のことだけちょっと追加をさせていただきたいと思います。  私どものこの地域は琵琶湖を抱えておりまして、以前からかなり環境につきましてはシビアな対応をしてまいっております。ちょうど今、滋賀県の大津で世界湖沼会議を第九回目でございますがやっておりまして、これはスタートは琵琶湖でございましたが、世界を回りましてまたもとへ戻ってきて今里帰りをしておるわけですが、今やっております。それもやっております。それからまた、同時に、国際環境メッセと申しまして、環境をよくするために産業面で協力、努力できないかと、こういうので、見本市のようなことを今、長浜でやっております。  したがいまして、我々の思いは、自然というのはほっておけばそれでよいのかという問題がございます。二十世紀の場合はどっちかというと自然を痛めつけてきたわけでございますけれども、今度は、私どもは、自然をどういたわり保全していくか、こういう立場でやっていきたいなと、これが自然と共生といいますか、そういう考え方でございます。  そういうことで、この地域三重畿央地域は非常に環境について関心の深い地域でございますので、その点は非常にプラス面かと、このように考えております。
  18. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  きょうは、北川参考人、そして高橋参考人、遠いところからわざわざおいでくださいまして感謝申し上げます。  私は、東京に長く住んでいるものですから、首都といいますとやはり東京だという気がしているんですけれども、私、このたび初めてこの委員会参加させていただきましたので、大いに勉強をいたしまして、皆様方といろいろお話し合いができるといいというふうに思っております。  まず、私は、時間もそうたくさんありませんので、二問をお願いしたいというふうに思います。  一つは、予算の問題を考えているのですが、今、日本は、国とそして地方自治体、両方合わせましたら六百六十六兆円という、そういう借金を抱えております。その上に首都機能移転等を行ったら一体どうなるのかなということを思っているわけなんです。  平成九年の七月に国会等移転審議会答申がありましたけれども、それによりますと、首都機能移転にかかる費用というのは十二兆三千億円という大変なお金です。そのうちの公的負担というのは四兆四千億円と、こういうふうになっておりまして、もうこれだけの負担さえも大変な予算だなというふうに思っているところです。  たまたま先月の、十月二十六日でしたが、東京都が発表しました独自の再試算がありますが、ごらんになった方もおいでになると思うんですけれども、それによりますと、移転費用は二十兆一千億円にもなる、そしてそのうちの地方自治体の負担額というのは五兆七千億円になるんですね。だから、これも大変だというふうに思うんですが、さらに大きな問題として、移転費用以外に必要な費用についてあるわけですね。  東京都が試算している三重畿央地域での広域交通網の建設事業の費用というのは、中央リニア新幹線が約十兆円です。そしてさらに、畿央新幹線が約一兆八千億円、また新都市周辺の都市基盤整備費用が七兆一千億円で、そして引っ越し費用が二千八百六十九億円というふうになっているわけです。起債の利子負担が約二兆二十二億円必要だということになっております。移転費用二十兆一千億円だけでも、これはもうとても大変な膨大な予算だというふうに思います。  このように、首都移転は途方もない大金がかかるというものなんですが、国も自治体もとても耐えられないものではないだろうかと私は思っているわけです。  三重県として、その辺についてどのようにお考えになっているのかということをまず一つお聞きしたいというふうに思います。  もう一つは、この東京都の試算との関連で、三重県の問題についてお聞きしたいと思います。  私が我が党の地方議員から聞いたところによりますと、三重県の借金というのは八千六百六十億円ということで、知事も大変御苦労されているんだなということをこの数字を見て思ったわけなんです。さらに、長良川の河口堰等の建設費の借入金の返済に一般会計から一千百億円も出されなければならず、合計すると一兆円もの借入金がある。この返済を一日で割ってみますと、二億八千万円も充てておられるということになるわけなんですね。本当に知事の御苦労はいかばかりかと思って、大変私、心配もしたりするわけなんですけれども、このような状況のもとで、さらに首都移転に伴う財政負担が加わります。  国会等移転審議会の試算した公的負担額は約四兆四千億円ですから、そのうちの地方自治体の負担分を試算すると約一兆九千億円となるわけですね。東京都の試算によると、移転費用が二十兆一千億円のうち、地方負担が、地方自治体の負担額が約五兆七千億円だということですので、そうなると地方自治体の負担は三倍に膨れ上がることになるわけなんです。この負担の一部が三重県にもかかってきます。こんな巨額の費用負担ができるのだろうかというふうに思うんです。  知事はこのようなことをしてまでやはり移転するメリットがどこにあるんだろうかというふうに、私は知事立場になったりしていろいろ考えたりしてもう思案してしまっていたんですけれども、その辺について御答弁をお願いしたいというふうに思います。  以上です。
  19. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 一つは、公共事業でという発想というのをできたらやめていただきたいなと思っています。世紀をまたぐ百年、千年の考え方で、この国の形というものが東京にそのままあって、そしてみんな東京でお考えいただいて地方が全部思考停止になって、そしてそれぞれの高コスト社会をつくってきたこの見事な、いわゆる工業社会にマッチするキャッチアップの体制というのを続けていかれるのがいいかどうか、先生よく御議論をぜひいただきたいとまさに思っています。  それで、東京の試算は東京の試算で結構で大いに出していただいて、そして本当に議論をしていこうよと、そのように思っていますから、東京が出された試算は大いに尊重すべきだと思います。そして、そこで比較考量するべきだと思います。そうしますと、果たして東京が本当にローマとかパリとかウィーンとかのそういう町をつくれるのかどうか。  例えば東京で、こんなことを一々数字のことを出すと保坂議員もいらっしゃってちょっとあれですが、四・六兆円ぐらい毎年使っていて、十年間でますます環境は悪くなり、通勤ラッシュのときに通勤時間は長く延びていると。そして、それに膨大にかかる、いわゆる交通ラッシュによって一番の費用負担一兆数千億は東京都の住民がやっていらっしゃるということなどを考えたときに、本当に適正規模はどういうことか、あるいは首都機能というのはどういうことかという議論がなされずに今日まで、あす少し豊かになろうというような議論に終始してきたところにこそ問題があるんだということを、ぜひこの際は哲学論争をしていただければ本当にありがたいなと、そのように思います。  東京で公共事業で四兆六千億、あるいは首都圏だけで十兆円でございます。百兆円がすぐ十年間で行くわけで、私どもも十年間で四兆とかいうお話をいただきましたが、それとの効果というものも本当に考えていただかないと、一キロ直すのに一千億とか四百億という単位で、本当に集中が集中を生むような形というのをこのまま続けていっていいかどうかという議論はまさにあると思います。  したがって、首都機能移転以前に首都を強化するという意味合いから、今までもそうでしたけれども、これからも百兆円というようなものを投下されるということとこれはやっぱり比較考量していただかないと、一方的に首都機能移転をするから費用がかかるというようなことは非常に短絡的な発想ではなかろうか、そのように明確に申し上げておきたいと、そのように考えているところでございます。  もう一つは、確かに費用対効果で行財政改革はみんなが真剣に議論をしていかなければいけない問題ですが、本当にこのまま従来のままの中央集権で、そして従来の法律なんかを、本当に制度を守りながら国の六百六十六兆円が解決できますかねと、抜本的に入れかえない限り私は日本の将来はないと思います。  そういうふうなことを考えたときに、確かに現実に置かれた、私どもは八千六百六十億円持っておりますが、これを本当にローコスト社会に変えたり、あるいは世界のボーダーレスになった経済に対抗するための国の対策というもの、あるいはそれぞれの地域の対策というのは改めて考えていきませんと、とてもではないが、従来の東京中心に、そして地方は何の思考もなく思考停止して東京の言うことを聞きなさいよという形でとても変わるとは思えません。  みんながそれぞれが地域で力を出して、例えば先ほどおっしゃったようなロシアに対しては本当に北海道が力を発揮するとか、いろんな形はいっぱいあると思います。そういったことが、どんどんモザイク国家になっていくことこそが閉塞感をとることかなと、このように考えますので、単に公共事業とか、そういった発想ではなしに、国家百年の考え方あるいはミレニアムの新千年紀の考え方でお取り上げをいただければと、そういう意味で御提案を申し上げたと、こういうことでございます。
  20. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤であります。しばらくでございました。  私は、他の委員会の仕事がありまして、少し説明のときに抜けていて申しわけなかったんですけれども知事のお話を聞いていまして思うのは、私は日ごろから思っているのは、国とか地域社会とかまたは家族とか、これらは合理性のみで考えられないものを含んでいると思います。これは長い歴史の中で、地域社会とか連綿とした家族の連続とか、こういうものがそれぞれの変化をしてきたものをすべて捨てることでなくて残しながら、それを伝統というものでしょうか、歴史というものでしょうか、固めて今存在していると。ですから、大変矛盾に満ちた要素を社会というものは持っていると思うんです。これらが国を強固にしている一つの要素だと思っています。  とかく、今は経済効率ばかりが優先される、そういうイデオロギー的な動きが強くて、将来の日本を危うくするんじゃないかと思っておりますけれども、そういった意味では、首都機能移転する先は合理性のみで立ち上げてはいけない。その地域の中で、環境の問題も歴史の問題も文化の問題も、経済の力と経済の形の問題も、すべて東京と異なる地域であるわけですから、それらの発展をしっかりと見据えて、あるいは経済効率とか経済性とか、または人間が今、ずっと明治以来日本人が求めてきた合理的な発展とかいうものと離れたところでの首都機能の展開ということをしていかなきゃならないんじゃないかと、これが一つであります。  もう一つは、経済的な力がそこに伴うかどうか。かつて、関西経済界関西経済圏という構想を持ちまして、宇野さんの時代であります。私もかねがねそのことを思っていたので、じかに宇野さんと話し合う機会がありまして、そのことを、しかし関西経済界中央のくびきを断って自分でできなかった、しかし、これからはできるんじゃないかと。これが道州制がいいか悪いかは別にして、地方の主権という話もありましたが、そういうところに経済力を伴った政治的な力として独立し得るんじゃないか。  ですから、この三重畿央地域、その周辺も含めた経済的にあるいは情報的に確固たる地位をつくり上げていかないと、首都機能としては生きられないんじゃないか。東京というものがありますから、あるいは中国も韓国もあるわけで、ということからすれば、そういう力を独自に持って、もう一つの軸というか、というものにしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。  そういうことを一つ一つ議論し、連結させた具体的な設計図にしていくということが、今首都機能移転することの経済効率と対抗し得る、何といいましょうか、価値観というか意義というか、というものとなっていくんじゃないかというふうに思います。  余り時間はかけられないと思いますけれども、早急にそういう議論をぜひやっていく必要があるんじゃないかというふうに思います。  感想めいて恐縮でありますけれども、そういう考えを私はこの問題に思っているので、何か知事のお考えありましたら聞かせていただきたいと思います。
  21. 北川正恭

    参考人北川正恭君) そうだと思うんですね。場所なんかは経済的効率だけではなしに総合的な御判断をいただくべきでしょうと思います。したがって、この際、先ほどおっしゃられた経済的な追求だけではない、非経済的な価値というものもどうするかという大哲学論争が最近ずっとされてこなかった、経済問題が優先し過ぎたかなという嫌いがございますので、この際はぜひそうしていただければと。それは私どもからもお願いを申し上げたいと思うわけです。  そういうことの大議論をしていただくには、首都機能移転なんというのは一つの大きないいターゲットになるのではないか。先ほど二番目のお話に出てきた設計図というようなことは、まさにそういう大構想があって、それに基づいて順序立てて設計をどうしていくかというようなプライオリティーを決めまして、そういうふうなことになるのではないか。その前提は、未成熟社会から成熟社会に変わり世界が小さくなったということになれば、今まさに政官財の護送船団からそれぞれが分離、独立して、透明性の高いそういった社会というものを明らかに私はつくっていかなければいけないのかなと、そのように思います。  それの象徴が東京一極集中で、政官財で見事に機能してきた国家が終わったのではないか、そのあたりに閉塞感があるのではないかという問題をこの際提起させていただいて、そういったこともぜひお考えをいただければ本当にありがたいなと、そのように思っています。
  22. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 私も全く同感でございまして、現在、私ども経済的に閉塞感を感じておりますのは、日本が戦後、高度成長時代に一律に用意ドンということでだっとやってきた、これは大成功したわけですね。ところが、過去の成功が将来の成功に結びつくかといったら、私は逆になっていると、ここが閉塞感だと思うんですね。これからはやっぱりそうじゃなくて、言うならば今までの用意ドンで来たのは農耕民族的な考え方で来ておるんですが、これから世界と競争していこうとすれば、やっぱり狩猟民族の考え方を取り入れていかないとあかんのやないかと。そういうことを言いますと、多種多様な価値観といいますか、こういうものを持った経済社会にしないとだめじゃないかなと、こんなふうに思います。  したがって、今、先生のおっしゃるとおり、私もそのように存ずる次第でございます。
  23. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 北川知事の声を久しぶりに生で聞いて感激しています。中央集権の地軸を動かすキーマンとして、日ごろから尊敬しております。  先ほどあった首都移転哲学論、あるいはミレニアム事業、新世紀へ向かって、いろいろ修飾語がございましたが、私もそのとおりだと思っておりますけれども、きょうは東京出身の議員ということではなくて、一参議院議員としてひとつお尋ねしたいんです。したがって、できましたら北川知事におかれましても、三重県知事ではない立場でぜひ御意見を拝聴したいと思います。  実は、移転の意義なのでございますが、これはもうずっと言い尽くされて、ちょっとその前に、北川知事の最初のきょうのレクチャーの、御講演の一番最初の話の中に来年の五月という説が出ておりましたけれども、あれは実は衆議院の決議でございまして、参議院は同じ決議はまだしておりません。それで、御案内のとおり、財政構造改革法が凍結されまして、そして大規模財源を伴うナショナルプロジェクトは凍結されました。その中で、事実上は首都機能移転は、官の方は諸準備を法律に基づいて進めておりましたけれども、全体としては直ちに着工という雰囲気ではなかった。  ところが、九八年から三年たったところでというような暗黙の了解の中から、二〇〇一年、すなわちことしまで凍結しておいて、そして来年ごろはというような非常に暗黙の流れがあったような気がするんですね。しかし、御案内のとおり、今の経済情勢でございますので、これはむしろ、来年の五月に決めようというのは、私は、反対する立場から言えば衆議院の一つのプロパガンダのような思いがするわけでございますが、しかし見方としてはそういうことがあるんだなと思いました。  お尋ねしたいのは、実はきょう高橋さんの方でまとめていただいたこの「移転の意義」の中に、これはもう全部言い尽くされてまいりました。一つは、政官財の密着によるところの国政全般の改革を推進しますと、これが一つでございましたけれども、それから二番目が一極集中、そして災害。この三つの条件の中で東京以外に持っていこうというのが実は結論のように思いますが、今までの首都移転論というのは、過去の歴史を見ますと、一極集中の内容がその時代その時代で変わっているんですね。一番最初は人口の集中の排除だった。これが全総を生み、新全総を生んで、田中内閣の列島改造論につながっていったというようないきさつがあるわけで、そのうち富の集中、文化の集中、情報の集中というもろもろの集中が後からくっついてまいりました。  しかし、私は、これは申しわけないのでございますけれども、例えば経済力の集中ということを総合的に言えば、これは何も官がやったのでもなければ東京自身がやったのでもなくて、現実的に経済活動の中では、当然資本と労働の移転だとか集中というのは効率上市場原理の中に起こるわけです。したがって、もし東京一極集中がきわまれりとおっしゃるならば、これは経済界がおやりになったことじゃないかと、こういうような思いが私はするんですね。されど実態はやっぱり一極集中はしているとは思うのでございます。  それから、そういう意味から申し上げますと、哲学論争という中で一番大きなのはやはり、一番目の国政全般の改革を推進するために首都移転をきっかけにしたいという議論がかなり国土庁長官の国会答弁などでも出てきた。例えば今の柳澤さんなんかはそうおっしゃっていた、はっきりと。それですけれども、私はぜひ小泉政権がお出ましになったときのことを読んでいただきたいんですけれども、やっぱり小泉さんが進めようとしている行革は小さな政府を志向していますよね。規制緩和、そして同時に地方分権、さらにITの時代で距離も時間も短縮した。こういうことをトータルで考えると、姿なき遷都と、こう言われているんですね。だから一方では、遷都はソフトの上では進んでいるんじゃないでしょうか。  ですから、もしそれをあえてハードで遷都しろとおっしゃると、それは何やら古色蒼然たる富の再配分、パイの再配分を官に依存してやろうというふうに見えるんですね。ですから、それこそ自主的な力でやろうという、いわばセオリーを崩すようなことになるんじゃないか。パイの再配分を官の力で、官の力に依存してやる、イコール公共事業を誘致する、万博と同じ理論じゃないでしょうか。  ですから、そういう点で申し上げれば、私は、この移転の意義というのは今、時代的に見て際立って薄れたんじゃないかと、こう思うのです。これが一つの見解で、これを北川知事にぜひ総論として伺いたい。  それから最後に、長くなって済みませんでしたけれども、例えばさっき、もしほかの地域に決まったらば決定に従うというお話がありましたけれども、それは大変私は潔いと思うんですが、もしその潔いお気持ちがあったらば、まず立候補をおりられて、ばらばらにして、どこかいいところに移すか東京に残すかの方が理論は私は筋が通るような気がするんですよ。  それで、東京から条件は当初三百キロだった。三重畿央は三百キロを超えている部分で入ってきたんですね。これは、もう明らかに大阪を意識したりあるいは西を意識したりという僕はてこが働いたと思うんです。ですから、そういう点では私は、さっき伊藤先生がおっしゃったように、本来、経済関西政治の関東だったんですよ。だから、関西の力がなぜ後退したかということにやはり私はもう一回着目していただいて、東京以外のどこでもいいという理論はちょっと稚拙なような気がするんですね。ですから、やらなくちゃならないんなら東京を含めて全国どこでもいい、場合によっちゃ苫東の空き地が残っている札幌でもいいぐらいにもし北川知事がおっしゃっていただければ、これは論理に私は納得させるものがあるような気がするんです。ですから、ウエルカムというのはなかなかやっぱり差し引いて残念ながらお考えをさせていただかなくちゃならない、こう思います。  長くなりましたけれども、二点です。
  24. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 経済的な理由から東京に一極集中されたのではないかと、こういうお話ですが、そこが全く見解が違うところでございまして、政官財が護送船団を組んできて、輸出奨励金をつけて、サプライサイドで政官財が一緒になってやってきたと、こういうことですね。したがって、五十兆円内外の財政規模で五百兆円を超えるGDPをもう律し切れなくなったところに今日の無理があるというならば、そこの護送船団方式を改めない限りこの国にあすはないという私は発想に立っているところで、そのことを変えずして財政再建をやったってなかなかできないのではないかという、国の根本的なつくり直しがそのあたりにあるという、いわゆるパラダイムシフトだと思います。  したがって、経済界がやったというのは、東京に一極集中するのは政府がそういうお考えで、経済界と一緒になって輸出奨励金をつけて経済のパイを大きくして海外にということになったからこそ東京に寄ってきたんですね。したがって、そこへ全部寄ってきたということを前提にすれば、こういったことが本当に壊れない限りはなかなか理論だけでは変わりませんねと。  だから、理論どおり変わることはとてもいいことなんですが、理論だけではなしにやはり形から本当に変わると。徳川幕閣が、徳川幕府の閣僚が最優秀だったと思いますよ、その当時の政府の閣僚ですから。何にも変えられることができなくて、維新の志士たちの若い皆さん方が志に燃えて、そして明治維新が起きたということになってくれば、そういった形から変わるということもぜひお考えをいただけたらありがたいなということを提案をさせていただきます。
  25. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 小泉改革でもだめですか。
  26. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 大いにやっていただいて、それは国会でもう一つやっていただいて、やるんですが、小泉総理もかつては首都移転論者なんですね。それで、総理になってどうなったか、ちょっと一遍保坂議員もお尋ねをいただきたいと思いますが、本当に国変わりというのはそういうことじゃないでしょうか、制度だけじゃなしに。  だから、国が変わるときに、いいか悪いかは別にして、戦争という手段があったんですね。我々、戦争できないということになったときに、本当にそれぐらいの気宇壮大な、経済理論だけではない、この国の民族の悠久性だとか日本国のありようとか、そういうことをぜひお考えいただけたらありがたいなと、そのように思います。  もう一つは、地域の決定の前におりられたらどうかということでございますが、これは行政政治というのが理想どおりいくかといえば、そうはなかなかいかないと思いますね。したがって、私どもが受け皿として最も適切だと考えている地域がそれぞれ競い合って、そして御提示を申し上げ、そして最終的に国会の御決議で決めていただくならばそれに従うというようなことをしていった方がより盛り上がりやすいと、そのように思います。  何せ、名にし負う東京相手でございますので、本当に東京が御議論を吹っかけていただくことは僕はいいことだと思います。それで、我々も大いに議論をして、そして本当に天下国家論をこの際していただければと、心から期待をいたしております。
  27. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございました。
  28. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  私もこの委員会、初めて参加させていただいておるんですけれども北川知事が夢と希望、ロマンとは言われなかったですけれども一つの百年、千年の間の大きな見通しを立てた上で経済不況の中でもやろうという思いを訴えていただきました。  私も、日本中心というのは今現在東京にはなっておりますけれども、地理的条件で中心はどこだろうかというふうに考えてみましたら、子午線じゃないですね、明石が日本標準時刻でございますし、与那国という最も沖縄の西まで入れてみて緯度、経度で調べてみましたら、岡山あたりぐらいになるわけです。そういう中で、一つの新しい時代の転換期をつくり出そうという思いは私も非常に多とすべきところだと思います。  と同時に、これが例えば首都移転先が三重畿央に決まったときに、この三重畿央を例えばワシントンDCみたいに国の直轄地にして特別区にすると。と申しますのは、例えばワシントンとニューヨークの分離とか、ブラジリアにブラジルが首都移転したとき、またキャンベラに移転したとき、新しい都市形成というのは非常に大変な状況が生まれる現実がございます。人口も今予定されていたような十万人から五十六万人というような形になると、ますますそう簡単に本当にいくだろうかという思いが私ございますので、そういう特別区にするような状況でも移転三重畿央の場合は地元として考えられるかと。  それと、あと水資源の確保。私も大学の学者をやっておりましたときに、水の確保、新しい移転地を決める、なかなか大変なんですね。筑波学園都市も、当初は国会移転しようと言っておりましたけれども、最終的に学園都市ということで各省庁の研究所のみという形に落ちつきましたので、ここの自然状況を、私もかなり高度が高いところだなということを、国有林、私有林ということで伺いましたので、この平均高度と、あと水資源の確保の見通し、また自然災害が今までないのか、これを二点目にお伺いしたいと思います。  それと、経済界からも来ていただいておりますので、こういう厳しい財政状況下であえてそれだけの多額の金を出してもやるべきなのか、政策も、行政の見直しもすべき時期に来ているんじゃないかという声に対しては、経済界からはどう考えられるかと。また、地域の外の大資本が参入して、ここに移転が決まったときに地元企業が逆に圧迫されるということに対してはどういうふうに考えられておるか、地元産業界の声も含めてお伺いさせていただければ。
  29. 北川正恭

    参考人北川正恭君) さまざまな形はあると思いますが、ワシントンDCのような選択肢もあるんだろうと、そのようには思います。  水資源の方は大丈夫でございます。先ほどの先生のお話にもありましたが……
  30. 福本潤一

    ○福本潤一君 琵琶湖から延々と引かなくても大丈夫なわけですね。
  31. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 延々というのは、どこまでが延々なのか近々なのかはわかりませんが、水については例えば長良川河口堰の問題もございますが、この水については御心配なくというふうに思っております。  もう一つ、政策を見直すということで移転をとめたらどうかというお話なんですが、もちろんそれも大いにやらなければいけませんが、従来のパラダイムとか地理的、例えば東京に一極集中していて本当に変わりますかという問題をぜひ御議論をいただきたいと。やっぱり形から変わるというので、そこで政経分離で地域を離して、そして本当にそこでやるという、そういった透明なシステムというのが必要ではないかということを私どもは申し上げているわけでございまして、政策的にも変わっていくべきことはもう当然だと思っております。
  32. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 私、水資源のことでちょっと申し上げたいと思います。  確かに、琵琶湖は下流の千四百万人に供給しているというような大きい湖でございます。しかし、先生がおっしゃるように、ちょっと引っ張ってくるのは遠いんじゃないかということでございますが、実はこの近くに鈴鹿山脈というのがございます。これがいろんな河川を大小持っておりまして、そういったところからも引き込みもできますし、今申しましたように、最悪は琵琶湖から多少経費がつくかもわかりませんが持ち込みもできると。また、三重県側にも結構河川もございますので、三重県側というのは伊勢湾に面したところでもございますので、その点は御心配ないと、このように思っております。  それから、経済界としてこんなに高くつくものを今やっていいのかというお話でございます。私は、この国の百年、二百年にわたる大きな問題を、直前の今の経済状態だけで判断していただいてよろしいのだろうかという思いがございます。  例えば公共工事も、じゃすべての公共工事が悪いのかと、こう申しましたら、そうではないんではないかと思うんです。それは確かに、だれも歩いていないような道をこしらえるということは、それは確かに問題かと思いますけれども、その一つの道がつくられることによって非常に活性化するということならば、あえて工事をしていただきたいと。だから、公共工事の中にもいいのと悪いのと、そこを峻別していただく時期に来ておるのじゃないかと、こう私は思うんです。そういう意味で、長い目で見て、ここはやはり日本のために、日本の将来のために投資をしていただくときではないかと、このように感じます。
  33. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 きょうは遠くからありがとうございます。  私は、平成二年に国会決議したことがいつも、そこからもう延々といろんなことをもう一回言い出すんだけれども国会議員たる者、国会決議したことをどう思っているかということをまず問いたいということなんです。それは皆さんがそういう思いでいらっしゃるというふうに思います。  そして、今、小さい政府をつくらなければいけないということがしばしば問題になっていますが、こんなときに機能移転が図られれば小さい政府が本当に実現するんじゃないかと。行政改革はなかなか進まないんですけれども、こういうときにぜひやれば、小さい政府をつくる本当にすばらしいチャンスになるというふうに思います。  そして、一極集中、人口の一極集中とか経済の一極集中とか文化の一極集中とかありましたけれども、やっぱり一極集中なんです、今、日本の国は。そういう集中の中で、地方がこんなに苦労しているのに対して東京の都知事なんかがいろんなことを言われておられますけれども、私たち地方はもう本当に東京のためにいろいろしています。  そして、この首都機能移転というのは、本当は東京の皆さんの安全を守るための、地方が補完をするという大きなあれでもあるというふうに思っています。例えば、集中化してしまった、そして阪神・淡路大震災のような震災が来たらどうするんだ、また同時多発テロのようなあんなことがあったらどうするんだというふうになれば、私は、集中をしているこの状況を少し多極に分散するということがすばらしいことになるんではないかというふうに思いますので、ぜひにそれは実現したいと思っています。  今、東京は人口が年々ふえていって、東京都市温暖化になっています。東京の政策でビルの上に植栽をして少し温暖化を防ごうなんていう話をしておりますが、こんな話何でしているのというふうに思っています。もっと国土の利用、土地利用のもっと上手な利用の仕方があるんじゃないかというふうに思って、この議論は本当に国民と一緒に議論をしていかなければいけないという知事の御意見に大賛成であります。  そして、素朴に質問をさせていただきます。  地震とか災害、そして土地の円滑な取得、国有林がたくさんあるというふうにおっしゃいました、そして地形なんかが良好であるか、お聞きをしたいと思います。
  34. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 地震とか災害が他の地域と比べてどうかというのは言い切る自信はありませんが、比較的安定しているとは思います。  しかし、それに備えをする体系が果たして東京にできているかといえば、できていないからこそ、我々はそういったことに本当に世界の英知を集めて、防災に強いとかあるいは環境に優しいとかあるいは情報の先進地にするとか、そういったことを大実験をさせていただくには絶好機会ではないかと、そのように思っておるのが一つと、その土地の形態ですかね、それはぜひまた御視察もいただきたいと思いますが、平たん部でございまして、それほど費用がかかるところではないと、そのように思います。そして、自然との共生ができるということを前提に考えておりますので、他の地域もそういう地域だとは、ほかの二地域もそうだとは思いますが、三重畿央もそんな地域ではございます。
  35. 有馬朗人

    ○有馬朗人君 北川知事のお話、大変印象深く伺っていたのですけれども、ちょっとさかのぼってお聞きしたいのは、この前、私が最後に国会等移転審議会会長代理としてお聞きしたときとどのくらい変化したのかということです。あのときにも北川知事が随分御丁寧にお話しくださったことを印象深く覚えているんだけれども、それ以後、例えば飛行場ができるとか、あのときも問題になっていましたね、そういう飛行場の実現性であるとか、それからそれ以外の準備態勢がどのくらいできたか。  哲学論争じゃなくて現実論争でちょっとお聞きしたいんですけれども、例えば一体人数をどのくらいの、人口をどのくらいのものにするのか、十万都市にするのか二十万都市にするのかとか、それから全体の時間数は十年でやるのか二十年でやるのか、あるいはさらにもう一つ、一体幾らかかるのか、その辺について具体的にどうお考えであるかという、要するに、私が伺ったその後のことを一体どこまで本気でおやりになっておられるのか、そこをお聞きいたしたいと思います。  そして最後に、先ほどもちょっと北川知事、最初に言っておられたけれども、こういうことが一体日本経済にどういういい影響を与えていくか、日本文化にどういういい影響を与えていくか、この辺について知事さんと高橋さんにお聞きいたしたいと思います。
  36. 北川正恭

    参考人北川正恭君) 一つは、前、有馬先生が会長代行をしていただいたときと内容といいますか、ほとんど変わっていないと思います、まずは。したがって、考え方もあの時点とは変わっていないと思いますが、現実の問題としては、移転審議会で出していただいた、例えば最大値、最終的に完成図としまして五十六万人で、これは皆さんの審議会での内容でいきますと十二・三兆円で、四兆四千億が公ですね、公でございます。あとは七・九兆円が民間でいけるのではないかと、こういう試算のとおりのことをお答えをしています、私どもとしては。そういう形です。その後は、PFI形式とかさまざまな点はその後の議論で積み重なっていくんだろうと、そのように思います。さらに、飛行場とかさまざまな点でのインフラの点については当時と変わっていません。  ただ、今回の名神とか東名の凍結論が少し出ておりますので、そういった点では若干厳しくなっているのかなという感じがいたします。しかし、これは両方とも開通したところがいっぱいありまして、その中をカットしておったのでは、とてもではないがこれをつながない限りは全くの公共投資がむだになるだろうとは思いますが、若干その点は厳しくなっているのかなと、そのように感じます。  そこで、私どもが考えております日本経済にどのような影響を与えるかというのは、少し僣越過ぎるかもわかりませんが、私どもは、本当に政治経済の分離という、お互いが自立した透明な制度に持っていかない限り、この規制がすごい多い国家で世界経済にはもうとっても伍していけないだろうということを本当に思うところでございます。  さらに、私どもも努力しますが、地方分権一括法案が私どもに本当に大きな影響を与えていただいて、まず私どもがいわゆるエンパワーメントという、自分で決定して自分で責任とるという体制が大分出てきましたね。今まではほとんど国に説明責任だったんです。ところが、原則、機関委任事務廃止ですから、私どもは主権者である県民の皆さんに説明責任を果たさなければなりませんから、どうしても国の言うことに従いませんよという場合が出てきたというのは、まさに自己決定で自己責任なんですね。これをもっと加速しないと、本当に地方のせっかくの九千万人余りおる人々の思考停止状態はますます続いていくだろうと。  そういう根源的な問題がこの国に大きな影響を与えていくし、そういう部分が変わってこないと、今までのつくり上げてきたピラミッドですね、東京中心にして東京で発想をして、東京にいらっしゃる人が東京で考えてという、これが閉塞感をもたらしていると。単に経済だけではなしに、さまざまな、教育の世界から、あるいは人々の暮らし向きから、本当にこれはいい影響を与える方向にこれをきっかけに持っていかなければいけないと思います。  そのためには、私はテーマが要るんだろうと思います。そのテーマ一つに、二十一世紀日本のありようという問題をこの首都機能移転で大構想を立てていただき、それを完成さすまでの手続あるいはプライオリティー、あるいはそれを順序立てて、短絡的じゃなしに長期にわたって国家戦略として立てていくというような習慣がこの国にないと本当にいけないのではないかと、そのようなことを思います。  したがって、戦後、少し言い過ぎかもわかりませんが、私も経験者でございますのでちょっとお許しいただきたいんですが、やっぱり経済中心の、きのうの生活よりきょうを豊かにすることが大国家目標になって見事に成功しましたが、今日の閉塞感はそのあたりにあるのではないかということを打破するためにも、この首都機能移転はそのようにお考えをいただいて、ぜひ来年の五月という衆議院の決議事項でございますが、参議院の方も歩調を合わせていただきまして御検討を早急にしていただければと、そのように思います。
  37. 高橋宗治郎

    参考人高橋宗治郎君) 私は、一番最初に説明をさせていただきましたように、今の日本資源のない国であるならば貿易立国経済的に成長していかざるを得ない、みんなの生活をよくしていかざるを得ないと、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、これが一つ今非常に難しい時点に来ております。先ほど申しましたように、アジア一つとりましても大変なところへ来ておるわけでございます。日本の製品はもう世界で優秀だと言っておったのに、いつの間にか中国で同じような立派な品質のものができてくるという時代でございます。  したがって、我々が今どうこの閉塞感を打開していくかということだと思うんです。先ほどもちょっと申し上げましたように、戦後の成功感が我々の頭、もう体の中にいっぱい入ってしまっているんですね。これを一遍打開をして、過去の成功は将来の成功じゃないということをみんなが実感を持ってもう一遍努力をし直さないと経済的にだめではないかと。  こういうふうに考えますと、過去の日本歴史を見まして、首都が移るたびに人心とかいろんな機構が変わっております。この際、私はやっぱり首都機能移転をチャンスとして日本人の考え方を、殊に経済的な考え方を変えないと、もう二流国、三流国、下手したらもう世界のどん底へ落ちる心配があるんじゃないかと、このように思うわけでございます。
  38. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 民主党の江本でございます。もう時間もありませんので、簡単にお話しさせていただきます。  私もここに九年いるんですけれども、以前にもこの委員会でいろんなお話を聞きまして、保坂先生初め、東京都知事国会議員の皆さんからこの首都移転なんというのはちゃんちゃらおかしいというようにがんがんいろんな意見を言われると、やっぱりそうかなと一瞬思います。それから、各候補地の方、それから移転した方がいいという人から聞くと、何となくそうかなと、そういう感じがするわけですけれども、我々民主党もまだもう一つ、党としてこれはもう絶対移転すべきだというふうにまだ決定をしておらないわけです。それぐらい非常に大きな問題だと思います。  最後の質問で、ちょっとピントがずれるかもしれませんけれども知事にお聞きしたいんです。  先日、東京都知事がホテル税案というのをお出しになりました。これについてどう思われるか。これ、鳥取の知事が、どうもこの発想の中に一極集中の考えがあって、そういうところから出てきたんじゃないかというようなことを言われていました。それについて、ちょっとずれるかもしれませんけれども、まずその件についてお聞きしたいことと、それから、東京都知事を初め、遷都するのはおかしい、首都移転するのはおかしいというようなことで、乗じてといいますか、扇国土交通大臣が、実際移転にかかる費用を十二、三兆円と試算し、移転に伴うお金を東京につぎ込み、国際都市東京にふさわしい都市整備を考える時期に来ているのだというようなことを発言されまして、これについても、私、皆さんとけんかさすわけじゃないんですけれども、多分御異論があると思いますので、その二点の御感想をお聞かせいただきたいと思います。知事、よろしくお願いします。
  39. 北川正恭

    参考人北川正恭君) ホテル税につきましては、まさに地方分権一括法のすごい威力を発揮されていると思うんですね。したがって、法定外の目的税でいろいろ各地域がお考えいただくということは、それはそれでいいと思います。  そこで、今度は法定外目的税が、税は一律公平、公正で簡素でなけりゃいけないという議論はまた別途あるといたしましても、それぞれの地域が自主自立でという、先ほどの自己決定、自己責任という点では、それはそれで東京都のお考えだとは思います。  ただ、私どもも、上京すれば安ければ安いほどいいわけですから、その点はその角度から言えば少しまけてほしいなというのは、地方の責任者としてはそういう意見はあります。  そこで、実は東京だからこそ、これ国会もありますから来ざるを得ないという圧倒的に強い強者の立場に立って御判断をいただくということですね。法人税の税の形というのは、今やっぱり東京中心になっているわけですよ。だから、東京都に本社がある数と、それと全部いけば、さまざまな点で換算すれば、東京は圧倒的有利な本社機能を持っていて、税制がありますから、移転させたらその税制の問題も抜本的に私は考えられるではないかという、そこの抜本的なことを考えていかないといけないという、ホテル税はさまざまな意味合いが含まれているのかなと、そのように思います。  東京都の石原知事初め、東京都がいろんな御議論をいただくということは、これは当然の権利だし、大いに結構だと思います。大臣が発言されるのは、閣内の問題でございますので、一致か不一致かはどうぞ国会の方で、国会決議をいかに内閣が思っていらっしゃるかというのは先生方の御議論だと思います。
  40. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、参考人に対する質疑はこれにて終了させていただきます。  この際、参考人に一言御礼を申し上げます。  参考人方々におかれましては、大変お忙しい中、当委員会のため貴重な御意見をお述べいただき、また質疑に対しましては懇切にお答えいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会