○今泉昭君 基本的に私も、
大臣がおっしゃられましたように、
雇用対策は中長期的な対策と当面する対策というのは分けて両面作戦でやらなきゃならない、これは全く賛成でございまして、そうあるべきだろうというふうに思います。
特に、中長期対策的なものとして、これまでの経済対策の中には大変多くのものが盛られてきたことも十分
承知をしているわけでございます。去年の二〇〇〇年度から、それから少しずつ具体的な当面の対策として、ある
意味ではばらまきと言われる一面も持ちながら当面の具体的な雇用創出、すぐにでも暫定的に行うということが少しずつ出てきているということも
承知をしております。しかし、私はもう少しずつでは間に合わないという気がしてならないわけであります。むしろ、この雇用問題については、今、緊急事態だという意識を
政府に持っていただきたいという気持ちが大変強いわけでございます。
とにかく、一日に百人近くの自殺者が出るような毎日、しかもこれは、
仕事がなくて、あるいは企業が倒産して生きる道を失った
人たちが、働き盛りの
人たちが自殺をしていくという、毎日百人近くの人が自殺をしているというこの
実態。そして、年間で言うならば二万件近くの、一定水準の規模の企業の記録でありますけれ
ども、企業が倒産をしていっているという
実態。しかも、こういう
実態がこれから先、テロの問題や
狂牛病の問題などを考えてみると、構造的なものではなくして突発的な事故によって生じていることを考えてみますと、これはもう緊急事態というとらえ方をしていかなければ、先に行けば行くほど対策が大変なことになるんじゃないだろうかという私は気がしてならないわけであります。
ですから、その区分けをはっきりいたしまして、私はぜひ緊急事態としての対策をもっと積極的に打っていただきたいと思うんですよ。例えば、今まで地域
雇用対策として出された国からの地方の事業に対する補助金を見ましても、実はほんの涙金みたいなものしか地方に行かないわけでして、それに対して地方が上積みをしてやらなければ、実際上その人の生活あるいは収入の一定限を保てないというような実は個別的な緊急対策なんですね、国がやっているのは。もうそういうことをやっている状況には私はないんじゃないかと思うのであります。
国としての、
外国のやり方をまねればニューディールですよ。例えば、一九三〇年代のアメリカのニューディールもそうでしょうし、
ブレア首相がやったあの
イギリス病から立ち直るための、サッチャー政権の後を受けたニューディールですよ。ああいう形の、国がよっぽど強い主導権を持った
雇用対策をやっていただかなければ、先ほど
大臣が言われました、確かに森林や土地の保全の具体的な対策のために一時的に人を雇う、あるいは環境保全とか、あるいは教育の補助とか、あるいは保育・介護という問題について具体的に出されているのは十分
承知をしております。しかし、それを出すにしましても、結局は地方がお金を出さなければ、あれも実は実現できないんですよね。今の地方財政からいって、そんなものができっこないんですよ。
具体的に申し上げましょう。
前回出していただきました雇用活性化総合プランの中での一つの地域に対する具体的な雇用の創出のために出された計画を私、全部実は地方で出させたわけでございますが、見てみますと、予算は国から二千億ですよ。そして実際上これが地方に出されて、地方が計画を実現したのが、私が入手した段階では千九百億程度のものが出てきている。ほとんど国が予定をしたものは賄っているというふうに考えているんですが、これを一つ一つ見てみますと、実に、何というんでしょうか、非現実的な計画が立てられているんですよね。
例えば、この資金をもとに駅前の自転車がばらばらになっているのを整理する人を百五十人雇う。その予算を一人頭計算してみますと、何と三万とか二万程度しか行き渡らないような状態になっているとか、あるいは学校の補助員を雇う。大学を出て教職員の免許は持っているけれ
ども仕事がない人がこの計画に基づいて臨時に補助員として雇われた。しかし、これも労働時間が週に何日と限られていて、実際上、一カ月にもらう収入というのは一けたですよ。十万を超える人なんかほとんどいない。しかもそれは六カ月に限られている。延長するにしても最長一年しかできないというような状態。それは見てみますと、何か失業率というのを下げるための数字のマジックを操作するような、
実態が本当に失業者を少なくするというようなものに使われていないんです、実は。
私は、もうこうなったらやはり国が主導権をとってひとつやっていくべきではないかと思うわけです。しかも、地方に流した場合は地方自治体が直にやるわけではなくして、いろいろな特殊法人に回してそこでやらせているわけですから。ですから、例えば一兆円なら一兆円というこの
雇用対策の資金を時限立法で二年間なら二年間、三年間なら三年間継続して出すことによって、いわゆる雇用の不安を少しでも解消することによって経済の立て直しに結びつけていくという、一定の期間を区切って
政府が主導権をとっていくようなやり方が緊急経済対策じゃないかと思うんです。緊急
雇用対策じゃないかと思うんです。この点がまだ
政府の失業に対する受けとめ方が大変安易ではないかなと、こういう気がして実はならないわけです。
しかし、去年から動き出しました個別の地方における特別の
仕事をふやしていくという方向づけは大いに結構ですから、これにもっと私は、地方に任せるんじゃなくて、地方分権の時代にさお差すかもしれないけれ
ども、一定時期、雇用がある程度上向くまで、二年なら二年、三年なら三年、思い切って国がやってみたらどうですか。これをやらないことには、これから迫ってくるだろう大変難しい雇用の問題を解決できないような気がしてならないんですが、いかがなものでしょう。
例えば、具体的に言いますと、一兆円で年収三百五十万の人が三十万人できるんですよ。それも、こういう人にこれだけこういうふうに使いなさいという道をはっきりしてつければいいわけです。これを三年間やってごらんなさい。そうしたら相当のやはりこれは雇用の受け皿になると思いますよ。地方にお金の一部を補助してばらまいて地方の計画を出させてということではなくして、もっと、今
内閣に
雇用対策本部というのができているようでございますが、むしろ緊急
雇用対策本部を労働省が
中心になってでもこれはやっていかなければ私はこの雇用の不安は乗り切れないと思いますが、いかがでしょう。