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2001-12-11 第153回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十二月十一日(火曜日)    午前十時六分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩井 國臣君     理 事                 佐々木知子君                 中原  爽君                 三浦 一水君                 今井  澄君                 川橋 幸子君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 北岡 秀二君                 後藤 博子君                 斉藤 滋宣君                 月原 茂皓君                 中島 啓雄君                 藤井 基之君                 山本 一太君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 神本美恵子君                 谷  博之君                 辻  泰弘君                 山下 栄一君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 田嶋 陽子君                 広野ただし君                 岩本 荘太君    国務大臣        外務大臣     田中眞紀子君        財務大臣     塩川正十郎君        厚生労働大臣   坂口  力君        経済産業大臣臨        時代理        環境大臣     川口 順子君        国土交通大臣   扇  千景君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    村井  仁君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)  尾身 幸次君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣     石原 伸晃君    副大臣        内閣府副大臣   仲村 正治君        内閣府副大臣   松下 忠洋君        内閣府副大臣   村田 吉隆君        総務副大臣    小坂 憲次君        外務大臣    植竹 繁雄君        財務大臣    尾辻 秀久君        文部科学大臣  青山  丘君        農林水産大臣  野間  赳君        経済産業大臣  大島 慶久君        国土交通大臣  佐藤 静雄君         ─────        会計検査院長   金子  晃君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        郵政事業庁長官  足立盛二郎君        外務大臣官房長  小町 恭士君        財務省主税局長  大武健一郎君        厚生労働大臣官        房審議官     中村 秀一君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        厚生労働省医薬        局長       宮島  彰君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        厚生労働省労働        基準局長     日比  徹君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       播   彰君        厚生労働省保険        局長       大塚 義治君        厚生労働省年金        局長       辻  哲夫君        社会保険庁運営        部長       冨岡  悟君        農林水産省生産        局長       小林 芳雄君        農林水産省農村        振興局長     木下 寛之君        食糧庁長官    石原  葵君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        古田  肇君        国土交通省土地        ・水資源局水資        源部長      渡辺 和足君        国土交通省河川        局長       竹村公太郎君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       岩尾總一郎君    説明員        会計検査院事務        総局次長     関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第四局長   有川  博君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)     ─────────────
  2. 岩井國臣

    委員長岩井國臣君) ただいまから決算委員会開会いたします。  平成十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は全般的質疑第一回を行います。  質疑に入る前に一言申し上げたいと存じます。  ようやくにいたしまして全般的質疑第一回を迎えるわけでありますけれども、その間、決算委員会進め方等につきまして若干のトラブルが見受けられました。参議院におきまして、決算重視という中で多少問題があるのではないかという感じもいたしました。  この委員会終了後、理事懇を開きまして、今後の進め方等につきまして協議をさせていただきたいと存じます。御了承願いたいと存じます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。どうも本日はおはようございます。  大臣、副大臣皆さんも、閉会中何かとお忙しいところを御苦労さまでございます。特に扇国土交通大臣にあられましては、本日非常に大事な日韓会議が予定されております。あえて、私、どうしてもお尋ねしたいということでお引きとめしてここに御出席いただいていることに感謝を申し上げておきたいと思います。  今、実は、委員長の言われたことなんですが、これは私個人の意見というだけではなくて、与野党を超えて、大勢の理事あるいは理事会に出席しているメンバー共通の気持ちですので、まず申し上げておきたいと思います。  私も一九九二年に参議院に当選させていただきまして、自分自身政治家になるなんということを考えないときに、参議院というものは余り深く考えたことがないんですね。それで、参議院になってから、二院制のもとの参議院は何だろうかということは、私自身、当選させていただいて十年目になりますけれども、ずっと考え、追求してきたことであります。  これは扇大臣も、それからきょうお二人お見えの副大臣も、ともに参議院でやっぱりその問題は自分たちの問題として考えてきたことだと思いますが、二院制下において参議院がどういう役割を果たすべきか。これはもう本当に古くて新しい問題で、私たち自身が苦悩しながら解決し得ないできた。  私は、参議院権力とは一定の、国家権力と申しますか政府と申しますか、一定の距離を置いた方がいいと思いますので、大臣にはならないとか、それから党議拘束はなくして党派活動は最低限に控えるとか、いろんなことを考えたんですが、そうはいってもなかなか現実的には難しいという中で運営していますし、特にあれは八九年ですか、与野党逆転現象参議院で起こって以来、それから扇大臣与党に入られた理由も実はそこにあるわけですが、参議院自民党が過半数を割ったということから参議院権力闘争の場になってしまったという、非常に不幸な歴史参議院がしょわざるを得なかったということも実はありまして、参議院参議院らしい機能を発揮できないできたと思うんです。  そういう中で、これは私自身全く自己満足かもしれませんが、私は当選させていただいて以来、第二種常任委員会については一貫して決算委員会を志望して、予算委員会はどうしても年期上やらざるを得ないときに一回理事をやらせていただいたきりで、ずっと決算委員会で頑張ってまいりました。私の先輩どももそういう方がおられました。例えば、自民党ですと、亡くなられましたが守住有信先生。きょう私が取り上げます川辺川ダムの問題、前も取り上げたときは大分しかられ、御忠告、お教えを受けましたけれども、例えば決算男として有名でした。それで、私が当時当選したときは、社会党には会田長栄先生という福島出身先生がやっぱり決算男として頑張っておられました。やはり公共事業、特に木曽岬干拓の問題をずっとフォローしてやってこられた。あるいは当時の日本新党では、今、我々同志であります円より子先生決算女として国家財政の問題をやっていく。  もう各党とも何人かそういう決算男決算女がいて、この決算委員会を何とか、参議院で一貫して言われているのは決算重視ということなんですね、やってきているわけですが、先ほど委員長は、お立場上、しかもまだ決まっていない内容なんでおっしゃりませんでしたが、実は今回、決算委員会、残念なことに開会中に開けないんですよね、なかなか。法案審査とか予算とか、そういうものが優先されて開けない。だけれども、何とかしてこれを開きたいと委員長以下御尽力いただきながら、閉会中、やっときょう開けるようになったわけですが、きょうの大臣出席参考人政府参考人出席についていろんな問題が起こったことは御存じだと思います。  扇大臣については御無理をお願いしてやっと出席していただけるようになったんですが、経済産業大臣農林水産大臣中国にきょうから行かれるという、いずれも大事なお仕事だというのはよくわかるんですね。それから、例えば私の後に質疑をされます同僚の谷議員の方からは、外務省のいわゆる不祥事問題で野上事務次官参考人として要求したところが、あるいは広野理事もたしか御要求になっているわけですね。これは今、国民的な課題ですからそうなんですけれども、その質疑の時間にも外国の大使や何かといろいろな行事がもう入っちゃったということで出られない。私は、この事態は非常に問題だと思うんですね。  大事なことはわかるんですよ。例えば、扇大臣がきょう韓国に行かれる、朝から行かれる御予定だった。私は、この大事さ、よくわかります。それから、農林水産大臣経済産業大臣中国に行かれる大事さ、非常によくわかるんですね。なぜかというと、私も実は、日中関係とか東北アジア関係とか、特に今、世界が騒然としているだけに、世界の平和とか経済の安定とか考えたときに、日中韓がどういうふうに連携してやっていくかというのは実は非常に大事なことだと思うんですね。  それで、私は、ことし九月三日から九日まで中国共産党の対外連絡部のお招きで、我が党の伊藤英成ネクスト外交防衛大臣を団長として中国を訪問してまいりました。中国では、曽慶紅さん、胡錦濤さんに次ぐ若手ナンバーツーと言われる方にもお会いして、いろいろ高官とお会いしてまいりました。その中で中国側は、やはり大変心配しておられたんですね、教科書問題、李登輝問題、そして総理の靖国参拝問題。こういうことについて、単に怒っているだけではなく、むしろ大変心配しておられました。これは、日本側はどうやって、小泉総理はどうやってこの糸をほぐすんだろう、中国側から動く問題ではないんだよということで心配しておられました。  そのとき私は不勉強だったのを恥じたんですけれども、実は来年は、日中国交回復三十周年、それから中韓国交回復十周年、そこへワールドカップサッカー日韓共同開催というのが重なる。これはもう絶好の機会なんで、これを機会に、東北アジア友好関係とより緊密な政治経済社会、あるいは国民のあるいは国会議員の間のレベルの交流を深めたい、こういう試み、意図でもって三国の間で粛々と準備を進めてきている。ところが、三月の教科書問題が起こって以来、これ、ぱたっととまってしまったのをどうするんだ、あなた方どう考えるんだということを私も言われまして、帰ってきてからいろいろ走り回りました。私は、そんな責任ある立場でも大きな力を持つ立場でもありませんでしたが、微力でしたが、一生懸命走り回りました。  そういう意味では、扇大臣が、たとえ大臣としての使命ではないにしろ、日韓友好議連で、その面できょうお話に行かれる、大事なことだと思いますし、農林水産大臣経済大臣がセーフガード問題で行かれるというのは非常に大事なことだとわかるんですね。  わかりつつも、一方で、じゃ決算委員会というのはこういうときにしか開けないんだということについて、一体大臣方がどうお考えになって、頭の隅に認識があったのかどうかということですね。それから、大臣を支える省庁の側にそういう認識があるのかどうか。  私は、十年間決算委員会でずっとやってきて、参議院決算重視と言いながら、いかに役所側がこの決算委員会を冷たくあしらっているかというのを嫌というほど感じたんですよ。法案があるときにはとにかく委員会を開いてほしい開いてほしいと来るくせに、決算になれば逃げ回る。そして、大体これはもう財務大臣と大蔵省に任せて、今財務省ですね、ほかの省庁はとにかく逃げ回る。委員長委員部が苦労して日程調整に当たるという姿を十年間見てまいりました。十年というよりも、正確には八年余り見てまいりました。私は、このことは非常に問題だと思うんですね。  ですから、例えばきょうの野上事務次官の問題にしても、大事なお仕事があるのはわかります。しかし、これほど国民的な不祥事になっているときに、これまで事務次官国会に出ないなんという慣例をもとにして勝手にスケジュールを組んだとすれば、それは国会軽視も甚だしいんですよ。  今、大きく歴史が変わりつつあるんですね。政治主導という形でやらない限りだめだということは霞が関の官僚皆さんがよくわかっているじゃないですか。越えられない壁が官僚世界にある。また、それが逆に官僚仕事をしっかりさせる支えにもなっている反面、壁になっているということはわかっているはずです。  この日本の国を救うには、本当に立ち直らせるには今大きな政治の転換が必要なときに、私は、やはりこの参議院決算委員会を重視してやろうということについてはっきりと認識をしてもらって、注視をしてもらいたい。特に、閉会中は大事な大臣の外遊もあるでしょう、いろいろあると思いますけれども、そのときこそ参議院決算委員会閉会中にどういう動きをするかということについて必ず情報をまず集めて、その上でスケジュール調整をしてもらいたい、このことをはっきりまず申し上げておきたいと思います。  さて、十年間を振り返ってみますと、本当に世の中は変わりました。きょう、私は川辺川ダムの問題を中心に質疑をさせていただきたいと思っているわけですが、このダムの問題、実は私が国会議員になってから、私は医者出身ですから、社会保障、これを自分のライフワークとしてやってきて、今医療改革も大変で、夜も寝ずにいろいろ政府の案に対する対抗案などをつくっておりますけれども、同時に、やっぱり国会議員というものは幾つかの分野を持ってやるべきだろう。私は、外交とそれから公共事業と、特に水の問題ということに焦点を絞ってこの十年間やってまいりました。  なぜ私がこのダムの問題、水の問題に目をつけたかというと、実は私が院長をやっていたときに病院移転、新築をしたわけであります。移転、新築してできた病院は二百床の小さな病院ですが、三つの点で日本で指折りの病院ということで有名になったのを御存じないかもしれませんが、大変きれいな病院と。日本一きれいな病院、カーペットが敷いてあり、美術館のような病院、心安らぐ病院というので、私の後の院長がついこの前、芸術祭参加テレビに「がんばらない」というものの主役で出ました。  あの主役の御夫婦は、本当に私の後の院長、副院長の、この夫婦雰囲気を実によく出している。あのテレビをごらんになった方はいるかもしれませんが、あそこに出てきたのが私が院長のときに移転、建設した諏訪中央病院でありまして、あのハーブガーデンもそのときつくったわけであります。その後、鎌田院長は今また院長をやめましたけれども、うちはどんどん世代交代をするというので、十年前後でどんどん院長を譲っていっているんです。  そのときに、実は私は三万坪欲しいと市長さんにお願いしたんですが、なかなか三万坪は、その前わずか百二十床の病院ですから、とてもいただけなかったんですが、これからの病院にはそのぐらい必要なんだ、いろんな複合機能が必要だということでお願いしたんですが、何と一万二千坪買っていただいたんですね。うち病院の前に移転、新築した長野県内病院が、長野日赤が七百床で八千坪でしたかね。昭和伊南病院が三百床で一万坪ぐらい、一万坪もなかったですかね。その両方を合わせたぐらいの敷地を確保していただいて、病院移転、新築したわけであります。  そのときに、調整池をつくらなきゃならない。せっかく確保した敷地、将来使いたい敷地の中にやたらに大きな調整池をつくらなきゃならないんですね。どうしてこんなものをつくらなきゃならないんだろうと言ったら、百何十年確率で、ここは山林と畑だったんです。そこを開発すると、ちょうど中に小さい川なんですが暴れ川と言われる川が流れていたんです。それで私は、そうなのかというので少し水のことを勉強しまして、それで当時、岩波新書でしたか、間違いだらけ河川管理という本があって、それを読んでみたら、どうも日本河川管理は間違っているらしいと。それで、河川調査会という、たしか高田馬場のあたりにあるんですが、私ははるばるそこまで諏訪の方から出てまいりまして勉強しました。そしてそれ以来、水の問題というのには非常に関心を持ってやってきたわけであります。  したがって、参議院決算委員会に所属してからは、ウオータープランとか利水権とか治水の問題、発電、いろいろ関心を持って勉強したんですが、実は私の地元にも随分ダムがあって問題になって反対運動があったんですが、私は参議院議員に当選した当時、地元ダム反対が言えなかったんです、十年前は。ダム反対なんて言ったら、後援会皆さんからもう選挙をやってやらないぞと、こういう雰囲気だったんです。  それで、私は何でこの川辺川ダムをやっているかというと、子供のとき「五木の子守歌」という映画を見たのが非常に印象に残っていたこともあって、遠いですけれども行ってみたり、遠いから余り選挙関係ないですしね。それから、ネパールのアルンⅢというODA関連ダムの話で向こうへ行ってNGOと話したり、そんな遠くのダムに取り組みながら地元ではじっと口をつぐんで黙っておりました。  しかし昨年、田中知事が誕生して、私もこの選挙を一生懸命やったわけですが、脱ダム宣言、ようやく地元でもこのダム反対ということを胸を張って言えるようになったんです。大臣、こういうことで、この十年間に大変時代が変わったということが一つ大きいのではないかと思います。  もう一つ、十年前の十二月八日、十二月八日というとパールハーバーでいろいろマスコミに出ておりますが、実はソ連邦が崩壊した日でもあるんです、十年前。あれ以来世界は変わりました。今度のテロ問題では、アメリカとロシアはがっちり手を握って、中国まで手を握ってやっている、本当にさま変わりであります。その間に、日本国会でも与野党いろいろ入れかわったり、再編がありましたし、私も与党仕事をさせていただいたことがあります。  特に、私は、このダムの問題に関しては非常に印象的なのは、一九九四年にアメリカ開墾局ダニエル・ビアード総裁ダム時代は終わったと宣言をしたのを聞いたのが私は非常に印象的でした。アメリカはまさにダムの国です。今、大恐慌のときの話がよく問題になって、TVAの話、それだけではありません。一九三〇年ごろからアメリカでは、もう一つ開墾局という政府の部局が何と一九八〇年までに千ものダムをつくった。それから、それだけじゃないんですね、独立戦争のときにできた陸軍工兵隊というのは実はダムづくり専門で結構やってきていたみたいですね。こういう形で、TVAが有名です、あれも三十ぐらいダムをつくったんでしょうか、まさにダム時代ダムの国だったし、日本アメリカに倣ってダムをつくったんですが、このダムも終わりだということでダムを壊し始めた。これは非常に私にとってもショックでした。  それで、ではどうするんだというときに、非常におもしろいのは、特に陸軍工兵隊が、ダムについてはもう転換させなきゃならないというときに、何か構造物をつくる構造的なアプローチから非構造的アプローチに変えるんだと。つまり、例えば治水というのは国民の生命、身体、財産を守るという、一番大事と言われていますけれども、それは別の方法でやるんだ、洪水が起こることを前提としてやるんだというふうな考え方に変わる。自然との共生ですね。人が全部水をコントロールできない、八十年確率だろうと百何十年確率であろうと。そういう考え方に転換したというのでびっくりしたわけです。  実は、私自身、ヨーロッパに行ってもその体験をしてびっくりいたしました。私は、介護保険のことを一生懸命やっておりましたので、一九九五年に、ちょうど参議院厚生委員長ではありましたが、議運や何かにお願いをして、閉会中じゃない、会期が延長になっちゃったんですが、ドイツに行きました。そのときに、ボンでライン川のほとりのドレーゼンホテルという非常に由緒あるホテル、各国の首脳が泊まるホテルに泊めていただきました。それで、それは介護保険が導入されて一年目なんですね。まだ在宅しかやっていない。二年後にもう一度、今度は施設も始めてどうなったかを見に行きました。  そのときに、ドレーゼンホテルに泊まろうと思ったら泊まれないんです。なぜかといったら、ライン川がはんらんしたから。あそこ水浸しで泊まれませんよと言われました。そうか、あのいいホテルにまた泊まりたいのになと思った。それで、ドイツ人たちは平然としているんですね。だから大変だ、だからかさ上げをしろとかダムをつくれじゃなくて、やっぱりそういう中でどう生活をするかという話になって、というふうなことがあります。  さて、こんな話だけをしていると話だけでもう十八分もたっちゃって大変申しわけないと思いますが、実はきょうの質問は十二問もつくりました。しかし、余り細かいことを私やるのはやめました。というのは、おととい熊本県の潮谷知事のあっせんで討論集会県民集会が開かれました。そこで国土交通省が民間の研究団体が出した案に対して反論を出されましたね。私もそれを入手して読ませていただきました。しかし、率直に言って私はこれがわからないんですね。  そして、九日に出された国土交通省のカラーの入ったこれを読ませていただいたんですけれども、この日曜日、月曜日で専門家のアドバイスをいただいて、例えばこれには建設省は、必要となる不等流計算を行わずに算出しており、水理学の基本から外れている、例えばこういうふうにして民間の研究団体、学者が加わっている、専門家が加わっているんですが、これに反論されている。残念ながら、私はそれに対する反論の今資料を持っていない。時間的にも無理なんですね。これは、大臣も素人でいらっしゃるから、このことをきょう私はやりとりをしようと思いません。  さて、川辺川ダムでありますけれども、これは古くはもう一九五九年、電源開発が発電用のダムの構想を発表して、その後、実質的にはそれを引き継ぐ形で当時の建設省が一九六六年に川辺川ダム建設計画を発表したわけです。それから三十五年たつわけです。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、この三十五年の間でこの川辺川ダム建設の目的、意義について何か変わってきたことはないのかどうか。変わったとすればどう変わったのか。今日的な意義は何なのか。  ダムについては、多目的ということが言われますけれども、多目的というのは無目的につながると私は思っておりますので、お答えいただきたいと思います。
  4. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今井先生から決算委員会の意義、参議院としては決算委員会を重視しようという、今まで何度も参議院改革が叫ばれました。そして、衆議院と違って、参議院予算よりも決算を大事にしようということは、参議院各党各会派、今まで何度も参議院議長のもとに改革委員会をつくり、御論議を尽くされてきましたけれども、いまだその点は、今、今井先生がおっしゃったように決算委員会予算委員会に対してはまだ軽視されているのではないかという御議論がございましたけれども、これは私は参議院全体の意見として、委員会で取り上げるべきことでありませんし、私がコメントすることでもございません。  けれども、参議院をともによくしていこう、国民の目に見えるような参議院改革をしていこうということに関しましては、私も一九七七年以来、この籍を持っておりますので、参議院改革には何度も挑戦してまいりましたし、これからも挑戦し続け、また与野党を超えて参議院議員としては参議院の地位向上のために努力するということを、先週、議長のもとに各会派の代表者が集まって議論したところでございますので、今後も、先生ともども参議院の改革と、参議院がより国民に開かれた、そして参議院らしい委員会ができるということを私も切に切望しておりますので、御一緒にこれからもさせていただきたい。そういうのを冒頭に申し上げておきたいと思います。  それから、今、先生がおっしゃいました多くの、ここ八年ぐらいと先生はおっしゃいましたけれども、当選以来、大変水に興味を持って、水に熱心に取り組んでおられるというのは私は本当に国民がひとしくそれを見習うべきであろうと。水ほど大事なものはないということも言われておりますし、今、環境大臣もいらしていますけれども、温暖化現象等々でより地球規模での環境というものを考えたときに水の大事さというものが再確認され、また今日まで科学技術が発達してまいりまして、そして工業の排水路とかあらゆる生活水準の、生活自体が変わってまいりました。そういう意味では、進歩して、より文化的になり、日本国民の生活水準の向上とともによりたくさん水を使うようになったり、あるいは化学製品を使うようになったりという、生活の向上、文化の向上、日本の科学技術の進歩とともに逆にデメリットも出てきたと、メリットだけではないと。そういう意味では、日本じゅうの環境問題、水に関する関心というものは大きく変わってきた。  私は主婦でございますから、例えば洗い物をした汚水一つにしても、みんなが、一人一人が認識するべきだと。国全体の環境の問題はあるけれども、そういう意味で、私どもも日常生活そのものから我々は意識を持たなければならないということは、私は一主婦としても大事なことだと。  ですから、公共工事も、先生も熱心に取り組んでくださいましたけれども、二十世紀は大きな箱物をつくってハードの時代、二十一世紀は環境とバリアフリーを重視したソフトの公共工事にしなければならないというのが私の基本理念でございますので、国土交通大臣としてもソフトの公共工事に転換しようと。環境も重視、バリアフリーも、その一つとしてこの川辺川ダムも、一部の皆さん方では、堤防を高くすればそんなことをしなくてもいいじゃないか、ダムをつくらなくてもいいじゃないかというお話も伺いました。私のところへも話もありました。  けれども、また一方、先週でしたか、私のところへ農業をしている女性がわざわざいらっしゃいました。そして、私は今まで都市に生活していたが、農家に嫁いで農業を始めたけれども、水の大切さを今ほど感じていることはない。私が農家として、農業者として今するためにはぜひ水の確保が必要ですから、何とかしてこの目標を達成してくださいという陳情もございました。  必ず一つの物事には賛成、反対、両者があることこそが私は民主主義だと思っておりますので、両方の御意見を聞いて、そして何よりも地元の意見を尊重した行政であるべきだという観念で川辺川ダムにも取り組んでおります。
  5. 今井澄

    今井澄君 大臣のお気持ちはわかりましたけれども、簡潔に私のお聞きしたことにお答えいただきたいんです。  三十五年前に発表された計画が、目的、内容、変わってきているのか、変わってきていないのか、今何が一番大事なのかということなんですね。  水の問題については、私も農業の水については申し上げることありますよ。大臣は、じゃ現場に行かれましたか。私は五木村にも行って、五木村の村長さんや議長さんとも話しました。とにかく外から来て騒がないでくれと。もう五木村はさんざん反対してきたんだ。反対に反対に反対してきた。最後に移転決断したときに、そっとしておいてほしい、今このままにされると、代替地に移る人ともとのところへ残っちゃう人と別れて村がばらばらになるとかですね。一体補償は、まだ終わっていない人どうなるのか。私は、そういう人の意見も聞いてきましたよ。それから、あそこの高原でお茶をつくっている人や野菜をつくっている人の話も聞いてきました。六角水路という水路も見てきました。これは水の配分の問題は、ダムがなければできないんじゃなくて、その水をどう分け合うかだということも私は現地へ行って見てきているんですよ。  大臣、行ってこられましたか。今、水の問題言われましたけれども、川辺川ダムの目的は水じゃないでしょう。今、焦点なのは農業用水じゃなくて、発電でもなくて、治水でしょう。そうじゃないんですか。
  6. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、今井先生がおっしゃいました、それが三十五年間の変遷だろうと思います。それはあらゆるところで、川下にも工業誘致をしようとか、いろいろ発展のために目標にしたことが、時代が変わってきて、来るべき工場も来なくなった、だから利水面ではかなり利用も減ってきたと。  あらゆることでの変遷というものは、私はこの三十五年間であったということはよく存じておりますし、今、先生がおっしゃいました皆さん方も私のところに、十二月の五日、先週でございますけれども、五木村も相良村の村長さんも全部で私のところに、ダム促進協議会というのがございまして、とにかくやってください、私たちは耐えられないんです、外部からの声で私たちの信念を曲げないでくださいと、今、先生がおっしゃった多くの村民の皆さんの意見を介しての御陳情もございましたので、私はやっぱり時代の変遷というのは、三十五年間で利水、治水両面で変化はしてきたと思っています。
  7. 今井澄

    今井澄君 まさにそうなんですよね。だから、工業用水もありましたけれども、これはきょう農水大臣にお伺いしようと思ったんですが、時間があれなんでちょっと私の方から言っちゃいますけれども、途中でこの農水省の国営事業は変更になっているんですよね。利水面積が減っている、そういう変化があるんですよね。  そして、今何が目的かというと、要するに洪水、かつて人吉市、八代市に洪水があった、その洪水を防ぐために、その地域の住民の生命、財産を守るためにということで、今この二十五日、事業認定が切れるところで漁業権の強制収用をするかしないかというところへ大臣は立たされているわけですよね。大臣は、この強制収用をするかしないかで歴史に大きく残るんですよね。その大きな決断、選択を迫られている。政治家として、私は非常に重いものだと思います。  けさの読売新聞によると、もう漁業を専業でやっているのは二十数軒だという資料を国土交通省の中で準備してあって、反論の資料もあるなんということが新聞に出ていました。これは、その二十数人だか四十数人の専業のアユとりの人の生活権の問題じゃないんですよね。  大臣は、あそこの川辺川のアユをお食べになったことありますか。私は何回もあそこに行きましてアユも食べさせていただきました。すばらしいアユですよね。あの流れは環境庁が日本一だということを折り紙をつけられましたよね。  そういうことも含めて、本当に洪水を防ぐために、今はもうそこに、一点に絞られてきているわけですよ。変わってきた。そこで、洪水を防ぐためにはあの巨大なダムをつくらなければならないのかどうか。  先ほどの五木村の人もそうなんです。みんなずっと何十年も反対をしてきた、だけれども、とうとう反対し切れなくなって賛成に転換した。補償金ももらった人もいるし、今交渉中の人もまだ残っている。そして代替地もできた、つけかえ道路もできた、そっちにもう家を建てている人もいればまだ地元に残っている人もいる。だから、あの人たちの苦しみは、反対したけれどもだれも応援してくれなかったじゃないか、ついに我々も刀折れ矢尽き、結局賛成になったんだ、今さら反対をされたら困るという意味なんですよね。別に、外部の人に反対してほしくない、そういう感情的な問題じゃないんですよ。  私も、地元の村長さんたちとも随分話しました。賛成派、反対派、いろいろ話して、非常にいろんな問題があるんです。本当に、今、生命、身体を守るためにどうしてもダムが、強制収用するおつもりですか。
  8. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、私は何も決定しておりません。  御存じのとおり、日曜日には知事さんが市民集会を、六千人お集めいただいていろんな意見、七時間に及ぶ論議をしていただきまして、私に報告が参りました。今その報告を私は整備局長からいただいて、まず周辺の市町村長さん、知事さん等々から確実にもう一度意見を聴取して、そして私のところへ持ってくるようにという宿題を出しました、その宿題がいつ上がってくるかはわかりませんけれども。  今おっしゃいました五木村の村長さん、最初は反対だったけれども賛成に変わったという御意見、私のところへ来てもそのことをつくづくおっしゃいました。そして、とにかく皆さん方は私のところへいらして、五日です、日曜日の前の前の日ですけれども、少なくとも皆さん方は、両村長さん、五木村、相良村、収用してでもダムの建設を促進すべきであるという決議を持っていらしたんです。  だから、私は決議ですからお受け取りをいたしましたけれども、私は、なおそれに、地方整備局の局長に、両岸の市町村長さん、知事さんの意見を聞いてもう一度持ってくるようにということを再度指令しておりますので、その報告はいつあるかまだ私はわかりませんので、改めてこの間の市民集会の結果等々を踏まえて、きのう知事さんが県会で前向きな答弁を何かなさっているようでございますので、それも議事録も私はありませんので、それも含めてもう一度地元から意見を聴取してきてほしいということを言っている段階でございます。
  9. 今井澄

    今井澄君 おとといの集会ですけれども、これは地元の熊本日日新聞に出ています。これは知事さんの主催で行われたわけですね。予定の時間を大幅に延長して行われた。そうすると、討論をこれ以上続けるのは不毛だ、退席すると、開会から約六時間たった午後七時過ぎ、ダム推進の市民団体、活気ある人吉をつくる会の○○さんがマイクを握り、声を荒げた。五木村の村長さん初め地元の建設業者ら数百人が一斉に席を立った。まだ終わっていないと私は思います、途中で話し合いに背を向けていいんですか、潮谷知事の呼びかけを無視するように外に出たという記事もあるんですよね。  みんな複雑な思いでこの三十五年間来ているんです。これを強制収用したら本当に未来に禍根を残すことになりますよ。国じゅうに笑われる。世界にも笑われるかもしれません。村長さん方の気持ちも私も痛いほどわかるんです。地元でもつき合っていればわかるし、ここだって行って何回も話していればわかります。  例えば、これだってそうですけれども、これは利水の方ですよ。受益地の説明に訪れた○○村の村長さんが、税金のむだ遣いではないと。村民からもらう税金は年二億九千万円しかないと。村の総予算は三十七億。国から税金をつぎ込んでもらわないと仕事ができないんだ。今、水は要らなくても、水を持ってきておけば、農地じゃなくても、何に使うか、必ず使うときが来ると。地元の市町村長さんたちのそういう立場での陳情ということもちゃんと理解しなきゃならないんです。  環境大臣、せっかくお忙しいところおいでいただいたので一言お願いしますが、この球磨川について、あるいは川辺川ダムについて環境大臣としてどういうふうにお考えか。
  10. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 環境省が一九九七年、このときは環境庁でございましたけれども、水質の調査の結果で川辺川が日本一の水質であるということは発表をいたしております。  それで、球磨川への影響でございますけれども、その点について、事業者でございます国土交通省が環境影響評価法に準じた調査を平成十二年六月にいたしまして、その調査結果で、ダムによる水温変化や濁り水の対策として選択取水設備等の水質保全対策が講じられるということとされておりまして、これらによって水質に及ぼす影響を軽減することができるというふうにそこではされているわけでございます。  環境省といたしましては、球磨川及び川辺川の水質について、熊本県による常時監視を通じましてその保全が図られますように努めてまいりたいと考えております。
  11. 今井澄

    今井澄君 済みません、時間が参りましたから次にかわりますが、少なくとももうここ三十年ぐらい洪水は起こってないんですよ、幸いなことにね。もしこの間に起こっていたら建設省は大変なことだったと思うんですよ、おくれおくれになって。今まで起こってないのはいろいろ理由があるんです。民間研究団体の提案も門前払いするんじゃなくて、いろんな方法で治水は考える、これが世界の知恵だということを考えて、ダムにこだわらないでもらいたいと思うんです。  これは重大な決断ですよね。大臣、本当に世界が注視しているわけです。強制収用という、漁業権の強制収用という今までやったことのないことをやる、やった日本で初めての大臣になるかどうかなんですよね。  それともう一つ、五木村のことをお話いたしましたけれども、五木村の人たちが心配ないように、ダムができてもできなくても心配のないように、この三十五年苦しめ続けた責任の一端を感じて、安心してもらうことがダムをつくることよりももっと大事だということも申し上げて、財務大臣には実はいろいろお尋ねしたかったんですが、状況が変わりましたので失礼をして、私の質問を終わります。
  12. 谷博之

    ○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  初めての決算委員会での質問の機会をいただきまして感謝を申し上げながら、そしてまた私は栃木県選出の国会議員でございまして、栃木の風土やあるいはその風をしっかりと背負いながら、時には栃木の具体的な例なども話させていただきながら、数点にわたっての質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問の前に、実は私はきょうのこの決算委員会で、先ほども今井委員から決算委員会のあり方についてるるお話がございましたけれども、一週間前から、外務省のさまざまなプール金問題を初めとする問題についてどうしても外務事務次官に直接御答弁をいただきたい、こういうことで出席を要求してまいりました。しかし、残念ながら、きょうの時点で出席をいただけませんでした。  いろいろ理由をお聞きいたしますと、一つは非常に仕事が忙しいという、ほかに予定があるということと、もう一つは、専門的内容に対してのみ政府参考人を呼ぶという中で、どうも私の質問が専門的内容であるのかどうかということを見られたかどうかわかりませんが、いわゆる政府参考人としての答弁に値しないというか出席する必要がないと、このように御判断されたのかもしれませんが、残念ながら出席はされなかったということであります。  今、今井委員からもお話ありましたけれども、実は十二月五日の衆議院の外務委員会でも我が党の金子委員が質問をいたしまして、田中大臣は、事務次官のこうした態度について、まことに遺憾である、そしてぜひ出席していただきたいと、このようなお話もしておられますけれども、私は、一時間の私の質問の持ち時間の中で最低五分でも十分でもいいからこの部分については答えてもらいたい、こういうことで譲りに譲ったわけでありますが、それすら出席かなわなかった。今までの衆参における委員会の経過を見ていて、大臣の答弁やあるいは官房長の答弁を聞いていまして、どうしても事務次官に直接聞きたいと、こういう気持ちがあって要求したわけでありますが、くどいようですけれどもそれが実現しなかったわけでありまして、こういうことについて大臣外務大臣として改めてこの事態についてどのように考えているか、御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 事務次官に対する大変そういう御熱心な働きかけがあったということは今初めて聞きましたし、それからほかの委員会のときも事務次官に対してそういう御要望が大変あったということは、私は役所側からは聞いておりませんで後で知ることになりましたのですが、事務方の最高責任者でもありますし、それはどこの省庁でも事務次官というのは一名であって最高の責任をとる立場にいる方だというふうに思いますので、やはりこういう不祥事等が起こって、そして国会からそういうふうな御要望があった場合には、立場上やはり出てきて答えてくれる方が、答えるべきであるというふうに私は思います。  やはり国会というところは、国民の皆様から選ばれて党派を超えて来ているわけでありますから、国民の代表者からそういうふうなお尋ねがあるときに、いかなる理由をもって出席しないのか、慣例であるのかよくわかりませんが、今まで事務次官という人が、国会というものが始まって以来どこの省庁からも国会答弁に出たことがあるのかないのか、私も細かくは存じませんけれども、どういう理由であるのか、ちょっと私もわかりかねております。
  14. 谷博之

    ○谷博之君 今、大臣から率直な状況についてのお話がございまして、そういうことであろうというふうに私も思いますが、私は、実はきょうこの委員会の質問で、冒頭、プール金の問題と、それからまた三年以上異動がなく同一のポジションにいる省員のリストの問題、そしてまた私的に流用した者九名がノンキャリアだったということについて、そういう理由と、それからその処分の内容について、この問題について事務次官にお伺いをしようといたしておりましたが、この答えが、答弁される方がおりませんので、大臣の方から、事務次官にこの質問を事前通告してありますので、私の方に答えていただけるようにお取り計らいができないでしょうか。
  15. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 谷委員の御質問の御趣旨はこういうことでよろしいんでしょうか。今の委員からの二点のお尋ねについて、野上事務次官本人から何らかの形で、書面でもよろしいんでしょうか、何らかの形で回答をよこせということをおっしゃっておられるのでしょうか。  じゃ、これは持ち帰りまして、相談をしてお返事を申し上げるようにいたします。どのような形になるかということについて、御報告申し上げたく思います。
  16. 谷博之

    ○谷博之君 それは、そういうことでぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから、委員長一つお願いがございますが、冒頭、先ほど委員長からコメントがございました。そして、今井委員からも重ねてこの事態に対する考えも表明されましたけれども、私は少なくとも、今も大臣がお話ありましたように、私たちは国民の代表としてこの国会の場で議論をし、しかも国会議員としての国政調査権的な、そういう立場を踏まえて議論をしているわけでありまして、そういう意味で、この決算委員会の持つ委員会の重要性ということを考えたときに、私は、この事態というものをもう一回理事懇の中でぜひ受けとめていただいて、今後こういう事態が起きることがないような方策をぜひひとつ検討していただきたい、このことをぜひ委員長にお願い申し上げたいと思っております。
  17. 岩井國臣

    委員長岩井國臣君) 谷委員の御趣旨に従って、後刻、理事懇で協議させていただきたいと存じます。御了承願いたいと思います。
  18. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、この問題につきましては以上で終わりまして、具体的に外務大臣に数点今日的な問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、まずプール金の問題についていろいろ議論や報道されておりますけれども、今後の査察の問題について一点お伺いしておきたいと思います。  在外公館の査察の問題については既に現在計画中ということでございまして、特別なチームをつくって、恐らく抜き打ち的になると思いますが、在外公館の査察ということに当たっていくんだろうというふうに思いますけれども、私は、その特別な大使をつくって幾つかの大使館を、あるいは在外公館を査察するということについて、これがまた言うならば豪華な査察旅行になってはいけないというふうにも思いますし、そしてまたどういう視点でどの程度査察ができるかということについては、非常に私は人的にも時間的にも限界があるのではないかというふうに思っております。  そういう意味では、むしろ在外公館の各大使に実際の実情というものをきちっと報告させるという、そういう義務づけをやはりする必要があるのではないか。そしてまた、さらには世界各国の在留の邦人からそれぞれの各国大使館のいろんな状況について情報を集める、こういうことも私は、インターネットを通じてやるとか、そういう方法はあると思いますけれども大事なことではないか。むしろそれは費用もかからない、本当にすぐできることではないかというふうに考えておりまして、国民外務省に対する信頼を得るという立場からもそうした取り組みについて、そしてこれからの査察の内容についてお答えをいただきたいと思います。
  19. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 在外公館に対する査察計画についてのお尋ねであったというふうに思いますが、在外には百八十七の公館がございます。そして、それの経理上の問題等につきまして、外部の専門家の参画を得て、そして査察を実施するということによって査察体制の強化、拡充を図るということを私どもも、今回いろいろと不祥事が起こっておりますので、具体化することにしております。  そして、九月末には公認会計士でありますとか弁護士さんという外部からの参加を得まして、一部の在外公館に集中的な特別査察を実施いたしました。  この経験を踏まえまして、今後集中的かつ広範にわたる査察を行いまして、在外の経理の厳格なチェックをしていかなければならないというふうに思っていますが、今問題は、会計士さんにしましても税理士さんもなかなか手が足りませんで、鋭意、官房を中心として人選をさせていただいておりますが、何分にも百八十七もありますので、なかなかすぐに機動性はないというふうに申し上げなきゃいけないと思いますが、例えばインターネットで在外公館に対する批判等を募るとの考えもあると思いますけれども、いわゆるホームページというものを立ち上げてございます、外務省の。それに対しまして、一般から外務省に対する意見や苦情とか要望とか批判とか、そういうものをいただいておりますので、当面それを活用はしておりますけれども、直訴のようなものもありますし、それから査察というものもできるだけ機動的に抜き打ちでやっていくべきだというふうに思っておりますし、それを実行する体制を早目に立ち上げたく思っております。
  20. 谷博之

    ○谷博之君 具体的な例ということで既に新聞に報道されていますけれども、ロシア大使館の建物の建設の問題について、百億円をかけて地下にプールとテニスコートという大変豪華な大使館をつくるということでありますけれども、これが私たちの庶民感覚にとって果たしてどうなのかという一つの疑問。そしてまた、それを使うにしても、先ほどおっしゃいました世界各国の大使館の中で八十七の大使館がプールを持っていて、実際それを在留邦人に使わせているのがたった七つしかないというようなことも私たちは聞いておりまして、つまり外務省が余りにもそういう特権階級的なやっぱり立場にあるんじゃないか。  例えば、外務省の職員の給料の二割を配偶者手当として支給をしたり、さらにはまた健康管理のための休暇をとるときに二、三週間にわたって毎日日当を五千円ずつ支払っているというようなこういう事実、こういうようなものは、今の外務省の皆さん方の感覚がどこかやはり違っているなというふうな感じを私たちは感じざるを得ないんです。  そういう意味で、この査察問題については、そういうふうな単なる内部のプール金の問題云々というふうなことだけではなくて、そういう全体のやっぱり広い視野で置かれている状況というものを見て、厳しい査察をぜひひとつやっていただきたい。特に、大臣はこの問題については前向きに取り組んでおられるというふうに私は思っておりまして、ある意味ではそういう意味では応援団の一人でありますけれども、これは重ねて答弁を求めるわけにいきませんので、要望ということでぜひお聞きいただきたいと思っています。  それから、続いて経済産業大臣にお伺いしたいと思いますが、関連をした話になりますけれども、言うならば、こういうプール金問題等については、どうもほかの省庁にもこういう事実があるんじゃないかというふうなことが巷間うわさされております。現に、文部科学省でも過去にそういう例もあったというふうに聞いております。  具体的には、例えばAPECの会議とか、あるいはまた先日の沖縄サミットのああいうふうな会議でもそうですけれども、さまざまなそういう国際会議というものが行われるときには外務省がまず中心になってとり行うわけでありますけれども、当然そこに経済産業省の皆さんも一緒になってそういうふうなことに取り組んでいくというふうに私たちは認識をいたしております。そうすれば、例えば同じホテルでそういう会議を開くとか、いろんな行動をともにするということが多いと思いますが、今申し上げましたAPECや沖縄サミット、こういうふうなときに経済産業省が実際支出したそういうふうな費用については、これは果たしてプール金があったのかないのか、この辺についても私たちは定かでございません。したがって、これらについての事実を御説明いただきたいと思います。
  21. 大島慶久

    ○副大臣(大島慶久君) 経済産業省といたしましては、プール金をもってそういう費用に充てるということはないというふうに私は承知をいたしております。
  22. 谷博之

    ○谷博之君 それで、重ねてお伺いしますけれども、実際、それでは、そういうふうなAPECとか沖縄サミット以外の、例えば経済産業省内部の職員の歓送迎会とかあるいは懇親会とか、そういうふうな部分についての経費はどうなっておりましょうか。
  23. 大島慶久

    ○副大臣(大島慶久君) お答えいたします。  これは、職員がみずからのお金をもってそういう費用に充てるというふうに私どもは承知いたしております。
  24. 谷博之

    ○谷博之君 そういうお答えですからそれ以上のことは申し上げられませんが、ただ、これは一つのお話として聞いていただければと思いますが、外務省が言うならばプール金を使うときの相手側の業者に幾つかのホテルが、都内のホテルもありましたけれども、その中の一つホテルで、どうも外務省とそのホテル側との持っている裏帳簿とその金額が、どうも外務省の使っている金額とホテル側の持っている金額、その食い違いがありまして、それはどこかの省庁がそこのプール金、ホテル側のプール金のお金が入っているんではないかというふうな、そんなようなうわさもありまして、これは私の方でこれから事実をさらに調べていきたいと思いますが、今の副大臣の御答弁は答弁として受けとめさせていただいておきたいと思います。  それから、続きまして、今大変国際的な、私たちにとってはもう最大の課題でありますアフガンの支援の問題について、外務大臣にお伺いしたいと思います。  十一月の二十七日からの三日間、パキスタンで、要するに世界銀行などが中心になりましてアフガンの今後の復興についての、いわゆるその復興支援の準備会議が行われました。そのときに、実はイギリスの有名なNGOが、今アフガンに投資しているいろんな債務のこれを、アフガンがしっかり経済的に立ち直るまではこの債務を帳消ししたらどうだというふうなことをこのNGOが主張しております。  私たちが調べている範囲では、アフガンに対して、アジア開発銀行が二千九百万ドル、そして世界銀行が七千五百万ドルのアフガンに対する資金援助をしておりまして、言うならばこれが債権として残っているわけですね。そして、合計の一億四百万ドル、この言うならばアフガン復興のための支援がこれからどうなるかということなんですけれども、日本世界銀行とかあるいはアジア開発銀行の中で出資率の比率はまさにトップクラスでありますから、日本としてはこういうふうな債務履行について、これを帳消しする、そういう考え方もやはりアフガンの復興にとってはまさに大事な私は考え方の視点ではないかというふうに思っているわけでありますが、これについては財務大臣外務大臣に、両大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  25. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) それでは、まず私の方からお答えいたします。  先生お話のとおりでありまして、アフガニスタンに対する世界銀行、アジア開発銀行の融資残高は七千五百万ドルと二千九百万ドルでございます。そして、これらのかなりの部分が返済が滞っておる、こういうことでございます。そうなりますと新規の融資はできない、これは常識的にそうなります。  そこで、どうするんだと、こういうお尋ねでございますけれども、日本だけでどうにかできることでもございませんし、あくまでも国際的な協力のもとで、枠組みの中で今後のアフガニスタンの支援というのは考えなきゃなりませんし、またお話しのように、今の部分でいいますと世界銀行、アジア開発銀行の問題でございますから、これは今後申し上げたようにそうしたいろんな枠組みの中で検討させていただく、今申し上げられることは以上でございます。
  26. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) お答えいたします。  債務返済の問題、いわゆるパリ・クラブの問題等がありまして、私が着任いたしましてからも、このアフガン問題以外でも、債務返還の帳消しでありますとか繰り延べとかいろいろな要望が来ておりますけれども、今の日本の財政、これは財務大臣御本人が一番よく御存じでいらっしゃるからお教えいただきたいと私は思っておりますが、この債務繰り延べでかなり日本の財政は圧迫されていくだろうということは私は外交を見ていながらも実感をしておりますので、トータル日本の財政がどうあるべきか、外国との関係は今後どうあるべきかということを見直すところに来ているのではないかというふうに思っております。  そして、財務大臣が新規の融資は不可能と言っておられましたが、それは当然だと思いますし、私どもといたしましてはワールドバンクよりもむしろJBICとの関係が強いわけですけれども、枠組みについてもやはり考えていかなきゃならないというふうに思っています。  ただ、アフガニスタンへの復興の支援につきましては、関係国でありますとか国際機関がありますから、それとも緊密に協力をしながら取り組んでいくということにしなければならないと思っております。そして、アフガニスタンに対する融資を通じた支援につきましても、今後も、国際的な視野というものについて復興支援をどうするかということも検討していく中で、返済の延滞を解消して新規の融資を可能とするということができるかどうかということも含めまして検討していきたいと思いますが、トータルで、これは小泉内閣として財務大臣がどのようにかじ切りをなさるかということを私もぜひ伺わせていただきたいと思っております。
  27. 谷博之

    ○谷博之君 あえて財務大臣からも一言、この件についての御答弁をお願いしたいと思います。
  28. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど副大臣がお答えいたしました範囲のお答えしかできませんですが、しかし谷さん、一カ国をこれをもし返済猶予するとなったらもう世界的に大変なことになってしまいます。  でございますから、世銀なりIMFの原則といたしましては、返すものは返してもらいたいと、返済予定どおり。ただし、また必要なものは追加して貸し出していくと。その際、追加して貸し出しした分については、その国の政情の安定というものと、それから政権が責任を持って借り入れる体制ができないと追加の融資はできないということ、これは当然のことでございますね。そういうところへ今来ておるのでございまして、IMFとしても、返済すべき額の滞納額が、今おっしゃった総額の中で、一億何千万のうちで、返済の予定額が滞っておる、この問題の処理をどうするかということが今当面IMFの問題となっておるということでございます。
  29. 谷博之

    ○谷博之君 いわゆる常識的な考え方としては私はそうだと思いますけれども、今のアフガンの状況については、私は、まさに徹底的に痛めつけられてもう立ち上がることすらできないような今のアフガンの状況の中で、これからどうやってアフガンの国を立て直していくかということをみんなで世界がそれを注目し、支えていかなきゃならぬという状況だと思うんですよね。ですから、そういう意味では、これはほかの国との関係でいうと、すぐ横並びに比較するということは私は非常にこれは現実的じゃないんじゃないかというふうな気がしています。  そして、これは後ほど私、ミャンマーのバルーチャンの第二水力発電所のことで御指摘をしようと思ったんですが、例えばミャンマーには一九九五年から九八年までのこの間に相当無償資金援助が日本から流れている。どうもその使い方を見ると、そのうちの、これはNGOの調べでありますけれども、五十億程度のお金が全く使途不明になっているというようなこと、そして二十六億の金が、実は木材公社に援助されたわけですけれども、そのお金を使って伐採した木材を売ってミャンマーの軍が武器、兵器を購入するという、そういうふうなところに使われているというようなことを考えていったときに、実際そのアフガンの問題について言うのであれば、ほかの国々のそういうことについても私はやっぱり厳密に精査し、調査し、そしてきちっとした対応をしていく必要があるというふうに思っておりまして、これは通り一遍と言うとおかしいですが、今の御答弁は御答弁として私はお聞きをいたしますけれども、今後もこの問題について、日本だけじゃなくて世界がそういうような意味で注目をする問題になると思いますので、ぜひきょうこの場で私が申し上げたことについては十分御検討いただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  それから次に、NGOの問題についてでありますけれども、NGOの支援の活動についてであります。  ここに私は、ちょっとこういうパネルの写真を持ってまいりましたが、これはことしの十一月にアフガンのジャララバードで、日本のジャパン・プラットフォームに参加していないNGOがもう既にこういう食糧支援ということで、こういう形で活動を始めております。(資料を示す)これがその写真なんですけれども、このように政府は十億円のNGO緊急活動支援無償に今取り組んでおりまして、そのうち五億八千万がこのジャパン・プラットフォームに資金として支出されているというふうに聞いております。  このアフガニスタンに関するいろんなNGOの動きというのはこれはあることは御承知のとおりでありますが、必ずしもジャパン・プラットフォームにそのNGOがすべて参加しているというわけではないわけですね。そういう中で、残るこの十億のうちの四億二千万というお金をこれから平成十三年度中にどう使うかということだと思うんですが、この使途の目的についてはまだ具体的に決まっていないというような話も聞いておりまして、ぜひそういう意味では、ジャパン・プラットフォームそのものは非常に機動性があり、またいろいろと連携をとっているNGOの総まとめでありますけれども、それ以外のNGOに対してもそういう残った資金をやはり活用させる、こういうことも大事なことではないかと思っておりまして、そこの辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 谷委員の今の御指摘は大変正しいと思います。  ただし、ジャパン・プラットフォームにつきまして、私も今回イスラマバードで活動ぶりを実際に見てもきましたけれども、大変草の根的にしっかりと根を張って、具体的に非常に建設的な貢献をしているNGOであるということは申し上げられますが、残り四億二千万円につきましては、それ以外の有益な緊急な人道支援をやっているところがたくさんあります。本当にNGOがたくさんあって、よくやっているなと思うところはたくさんありますので、そうしたところの要請に応じまして積極的に有効に活用していきたいというふうに思います。
  31. 谷博之

    ○谷博之君 大臣からはいろんな立場からの今御答弁いただいたわけでありますけれども、一つそれにさらに関連しまして、NGOの皆さん方の活動をどう見るかということの一つの課題ということでお聞きいただきたいんでありますが、外務省はよく危険度情報というものを流します。これは、それぞれの紛争が起きている地域とか、あるいは非常に日本人が海外に行って、あるいは在留邦人が危険と思われる、そういうふうな地域に対していろんな情報を収集して、あるいはその情報を分析して危険度というものを設定してそれぞれ情報を流すということをとっておりますが、これが非常にいろんな地域地域の、現地のその地域社会に影響を及ぼしているということもあります。例えば、エジプトとかフィリピンなどでそういう危険度が非常に高いということが情報で流れて、日本人がほとんど行かなくなってまさに地場の産業が落ち込んでしまうというような、そういうふうな影響もあるというふうなことも出ております。  もう一方では、NGOの皆さん方が海外で頑張っておられて、そしてその危険度が高いということが出たことによって半ば強制的に日本に帰ってくるという、こういうことも現実に起きているわけでありますが、しかし実際は、一番知っているのは現地にいる、そういうNGOの活動をしている皆さんではないかというふうに私は思っております。  そういう点で、これらの危険度の情報を含めてどのような対応をとっておられ、NGOに対する、そういう人たちに対してどうしようとしていくのか、御答弁をいただきたいと思います。
  32. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 海外からいろいろな賓客が来られたりしてお目にかかるたびに、危険度、日本が発する危険度の影響力の大きさということはよく言われておりますし、また同時に観光業に与える影響ということも業界からも指摘されておりますが、やはり外務省が基本的にやるのは人命の尊重といいますか、そこで事故が起こってはいけないと思うものですから、少しきつ目といいますか、そういうふうに受け取られるところもあるかと思いますが、たくさんの御指摘をいただいておりますので、見直しをするということも必要だろうというふうに思いますが、やはり安全第一であるということは御理解いただきたいというふうに思います。  危険度の見直しにつきましては三カ月を一つの目安としておりまして、従来より必要に応じて機動的に弾力的に見直しを行っておりますけれども、しかしやはり多発テロ以降いろいろな影響もありますので気をつけていかなければならない、安全ということもあるということも御理解いただきたい。そういう危険度を下げて急に何かが起こった場合に、やっぱり大事件にもなりますので。  また、NGOの方が一番もう本当に皮膚感覚でよく理解なさっていると思いますから、そういう皆さん、大使館だけではなくて民間の方の声もよくアドバイスを聞いて、そういう意味でも私はNGOとか国際機関の方たちと政府レベルだけではなくて密接に連携をとるということは非常に大切だと思いますので、そうした声も吸い上げながら危険度についてもきめ細かくチェックをしてまいります。
  33. 谷博之

    ○谷博之君 外務大臣にちょっと、日程が詰まっているということでございますので、引き続いてその時間の範囲の中で御質問したいと思っております。  ミャンマーの先ほど申し上げましたバルーチャンの第二水力発電所の問題でございますけれども、これは論点だけ簡潔に申し上げます。  このバルーチャンの第二水力発電所の問題は、今ILOでその事業の背景に強制労働があるということを非常に勧告として指摘しておりまして、つまり、今のミャンマー政府がこの水力発電所をつくるについては、その背景に相当そういうふうな現地の過酷な状況が報告をされております。そういうふうな発電所への、これは修理を含めた計画だと思いますが、こういうものに対してやっぱり国際的にはそういうふうな監視体制、そしてモニタリングのチームをつくってチェックをしていく、そしてその内容によってはこれはもう資金を分離供与するようなそういう形で、分割供与するような形でやっぱり取り組んでいかなきゃいかぬだろうというふうに思っているんですが、そういう中で日本においても、連合がこの実態を相当外務省に対してことしの五月に注意を、勧告といいますか申し入れをいたしております。  聞くところによりますと、この計画について今月中旬に閣議で無償資金協力供与をするというふうに私どもは聞いているわけでありますが、その事実と、そういうことであるとすれば、余りにもこの事業は今申し上げましたように非常な問題をはらんでいるということで、再度時間をかけて検討するということが必要ではないかというふうに思いますが、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  34. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 閣議でテーマに上るかどうかということにつきましては今の段階では申し上げかねますが、バルーチャン第二水力発電所のことにつきましては、私の着任後も相当頻繁に各委員会で発言がありましたけれども、結論的には労働の問題に、強制労働とおっしゃいましたけれども、これにつきましては我が国としても大変懸念を持っております。ミャンマー政府がILOと協力しながら状況の改善を図っていくように、ILOの場を通じて私どもも働きかけというものを行ってきております。  なお、バルーチャンの、もう御存じだと思いますけれども、水力発電所の修復プロジェクトにつきましては、もうこれ自体が非常に老朽化が進んでいまして、これはNGOや政府からも見に行っておりますけれども、民生支援として補修工事を緊急に実施する必要があり、またミャンマーの民主化に向けた政府と、それから国民民主連盟との対話の進展というものを促す観点からも実施する方針でございますが、いずれにいたしましても、多数の労働者を現地で雇用する必要があるというものでもありませんので、もう一度ILOの場も通じてしっかりと労働の実態についてはまた把握もしていきたく存じます。
  35. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろ質問のテーマが多いものですから、さらに聞きたいことが、時間がないので次に行きたいと思いますが、最後に外務大臣に、そしてまた財務大臣にもお伺いしたいと思いますが、ODAに対する一つの、日本の国の政府考え方ということなんですけれども、今までODA大綱というものがあって、それに基づいていろいろと対応をしていったわけでありますけれども、しかし今回のアフガンのいろんな問題等も含めて考えてみたときに、どうしても私は、結論からいうと、ODA基本法的なものをやはりつくっていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。  これは、例えば国際協力銀行とか、あるいはJICAとか、あるいはアジア経済研究所とか、そういうものを一元化して、言うならば援助庁的なシステムでそういうODAに関する一つ政府の中に核をつくるといいますか、そういうふうなものがやはり私は必要になってくるんじゃないかというふうに思っております。  これは古い話になりますが、一九九七年、こういう民間のODA改革ネットワークというところが提言書を実はまとめておりまして、このことはその時点からもう既に提案をされてきていることでありまして、今後のそういう課題ということで、このODA基本法の言うならば動きについて両大臣からお答えをいただき、外務大臣はこの御答弁で御退席をしていただいて結構でございます。
  36. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私の方から申し上げますと、現在、国際関係機関の融資といいましょうか、資金援助体制、非常に多岐にわたっております。戦後から発足いたしましたIMF体制のほかに、いろいろ地域開発銀行等がございますし、またその目的別の基金というもの、例えば難病対策基金であるとか、いろんな基金ができております。  私は、これで過去二回G7の会議で訴えておるのでございますけれども、こういう国際機関のいわば融資体制の基本的な理念というものをやはり明確にしなければいけないんではないか、そしてそれぞれの基金の援助というものも、これも明確な一つのルールをつくっていかなきゃいかぬのではないかということを訴えておるのでございまして、国際機関がいろいろとこうしてNGOを通じまして世界の難民対策とかあるいは復興、復旧をやっておられるのは結構で、日本も応援しなきゃならぬのでございますけれども、最近はそれが非常に多岐多様にわたり過ぎておるような感じがいたしておりますので、この整理をしていかなきゃいかぬ。  したがいまして、それに伴いまして、我々もODA活動の一環としてこういう体制の中に積極的に協力していくように心得ていきたいと、こう思っております。
  37. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 外務省のこのODAに関しましては、さきの中央省庁の改革といいますか、あのときにODAの一元的な実施ということについての議論もあったというふうに理解しておりますけれども、結果といたしましては、外務省が、政府の開発援助に関する全体的な企画等につきましては、政府全体を通ずる調整の中核としての機能を担うということで結論的に規定されたということを御報告申し上げます。  ですが、基本法というものは枠組みを決めるということになると思うんですけれども、ODAというのは、進めていく上でやっぱり二国間、相手の国とこちらとの関係というふうな関係がありますけれども、それを総合的に判断をしていくという側面もあります。そしてまた、機動的かつ柔軟な対応を必要としているという性格もありますから、基本法の策定というものにつきましては、やはり慎重な検討もしていかなければならないというふうに現在考えております。
  38. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、続きましてタイ南部のボー・ノックの石炭火力発電所の問題があるんですが、これはちょっと時間がございませんので、質問の通告をいたしましたが、次の機会に譲らせていただきたいと思います。  そして、続いて国土交通の方にお伺いしたいのでありますが、いわゆるリゾート法の関係でございます。これは既に、今回、総務省の方でいろんな調査をされた結果ということで、このリゾート法に基づいて現在四十一カ所というふうに聞いておりますが、第三セクターの中身が非常に状況的に悪いというふうな、こういう報道がされております。私どもの住む栃木県でも日光・那須リゾートライン構想というものがあって、いち早くこのリゾート構想についての取り組みをいたしましたが、残念ながらいろんな弊害が今起きていることは他のリゾートと同じでありまして、大変第三セクターの経営も厳しいという状況にございます。  私は、そういう中で、ことしの三月の十八日だと思いますが、毎日新聞に国土交通省のコメントが出ておりまして、税制などの優遇を廃止すると第三セクターの破綻に拍車がかかるということで、このリゾート法の見直しを慎重に考えておられるということでありますけれども、私は、ことし四月に施行された新産業都市建設促進等を廃止する法律というんでしょうか、新産業都市建設促進法等を廃止する法律、これは一応廃止をした法律でありますけれども、こういう法律と同様に、一定の期間を置いて、所要期間を置いて、そしてこのリゾート法を将来廃止していくという、こういう方向が私は今一番とる必要があるんじゃないかというふうに考えております。  そこで、このリゾート法の廃止と、そしてそれに伴うところの影響、先ほど国土交通省はそういうふうに新聞発表されておりますが、その具体的な影響についてはどのようになっていくか、お伺いをいたしたいと思います。
  39. 佐藤静雄

    ○副大臣(佐藤静雄君) 新産・工特法はもう四十年たっておるわけでありまして、もう既に国が指導してその地域地域に拠点の大きな工業地帯をつくるという役割はもう大きく終わっております。そのために、ことしの三月に廃止を決めたわけであります。  ですから、リゾート法とは少し違うのでありまして、リゾート法は、六十二年にこの法をつくって、全国にリゾート地域をつくろうということでスタートしたことは皆さん御承知のとおりです。当時、まだバブルがちょうどはじけるところでありまして、多くの企業が地域に大きなリゾート地域をつくりました。しかし、その後バブルがはじけて、非常にうまくいかないという状態が続いてきまして、私は五月に国土交通の副大臣になると同時にリゾート法をひとつ見直そうということを提案しまして、そして六月に関係都道府県にこの基本構想の見直しをしてくれということを通知しまして、今、有識者による懇談会を開いていただいておるわけであります。  しかし、リゾート法は、それぞれの地域を観光を中心として、二十一世紀は交流の時代と言われますけれども、観光を中心として地域開発をし、地域おこしをしていくという上で非常に重要な法であろうと思っています。税の優遇措置等をやりながら多くの投資をしていただく、地域づくりをしていただく、そういうので、まだ今少し、今申し上げましたとおり調子の悪いときを迎えていますけれども、未来を見ましたらこれは地域にとって非常に必要な法であろうと思っていますし、そういう意味で、地域経済が停滞している現状を見たときに、こういう制度があることによって、地域づくりを未来を夢見て考えることのできる、多くの民間資本を誘致することができるという考えでおりますので、これからも続けていきたいと考えております。
  40. 谷博之

    ○谷博之君 リゾート法につきましては今御答弁があったとおりでありますけれども、私は、リゾート法という法律ができた、あるいはできる経過については地方の県会議員をやっておりましたのでその経過はよく存じておりますけれども、大変あのことによって、特に我が県もそうでありますけれども、大変いろんな動きが出てまいりまして、社会的にも混乱を招いたというふうな経過もありました。  私は、そういうバブルの時期のそういうふうな動きであったということで、ある意味では時代の流れであったわけでありますが、そういう時期はもう終わったということでありまして、これはもう明確に、国がやはりいろんな意味で、そういう法律をつくった責任も含めて、私は今見直しをしていく必要がもう来ているんじゃないかというふうに思っておりまして、こういう点についてもぜひそういう意見があるということを十分お含みおきをいただきたいと思っております。  それから、環境大臣に沖縄の中城湾泡瀬の干潟の保全問題についてお伺いしようと思ったんですが、時間がございませんので、これは後ほど環境委員会の場ででもまたお伺いをいたしたいと思っております。  それから、その同様の問題ということで中城湾の埋め立ての問題についてでございますが、これは沖縄担当大臣国土交通大臣にお伺いしたいわけでありますが、この中城湾の埋め立てについては、沖縄が非常に今経済的にも落ち込んでいるというそういう状況の中で、やっぱり沖縄のこれからの経済的にも起死回生を図っていくためには、やっぱりどうしても沖縄の持つ特有の自然というものを前面に出した、そういうふうな経済対策というものを、あるいは地域振興策というものをとっていく必要があるというふうに思います。  そういう点で、今この埋め立てについて計画をされておられますけれども、そのうちのまず一つは、旧運輸大臣国土交通大臣が昨年十二月に一応認可したところの県施行分の九・一ヘクタールの埋立部分、これについての許可の取り消しをできないかどうかということを考えています。それからもう一つの、沖縄担当大臣が昨年やはり十二月に申請をして知事に承認された国の施行部分、百七十七ヘクタール、これについての申請の取り下げ。この二つを私は、先ほど申し上げましたような沖縄のこれからの自然をやはり保全するという立場から大胆にこれを行うべきではないかというふうに考えておりますが、両大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 佐藤静雄

    ○副大臣(佐藤静雄君) 本件埋め立ての事業主体は沖縄総合事務局と沖縄県となっておりまして、このうち沖縄県分については、平成十二年五月に免許権者である沖縄県に対して免許申請がなされております。沖縄県はこれを受けて、環境面への影響の審査など所要の手続を進め、免許をし得るものと判断して同年十二月、運輸大臣に対して認可申請を行っております。  運輸省はこれを受けて、本件埋め立てが中城湾港の港湾計画に沿ったものであるかどうか、また埋め立ての必要性や環境上の問題等につき沖縄県の審査が適切に行われているかどうかということをチェックいたしまして、その上で認可したものであります。  以上のように、本件につきましては適正な手続を得て認可がなされたところでありますが、いずれにしても、本事業につきましては、開発による経済効果と環境に与える影響、そのバランスが問題だと思います。そこをこれから地元沖縄県において適切な判断がなされるべきものと考えております。
  42. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 中城湾の泡瀬地区埋立事業でございますが、沖縄本島中部の地域振興のために、地元の沖縄市が沖縄県とともに海に開かれた国際交流拠点の形成を目指して計画したものでございまして、国及び県が地元の強い要請に基づきまして進めようとしているものでございます。  現在、環境保全に万全を期するため、環境監視・検討委員会の指導に基づきまして藻場の移植作業を実施している一方で、地元におきましては、この時間を利用いたしまして、観光客やあるいは土地需要の見通し等につきまして改めて現時点におきまして確認する作業を行っているところでございます。  この事業につきましては、先ほど申しましたように地元の強い要請に基づきまして進めようとしているものでございますが、現在実施中の先ほどの藻場の移植作業の結果や、あるいは観光客と土地需要の見通し等に関する確認作業の結果を踏まえまして、沖縄県を初め関係者とも相談をいたしまして、また地元の意見を尊重しながら進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  43. 谷博之

    ○谷博之君 これらの課題につきましてはいろいろ現地沖縄のさまざまな動きがございまして、私どもは、特にこの泡瀬干潟についてはあるいは中城湾の埋め立てについては非常に自然を破壊するといいますか影響を与えるということで大変深刻に受けとめておりまして、ぜひひとつそういう意味では、現地沖縄のいろんなそういう動き、そういう声をしっかりとこれからも受けとめていっていただきたいと思っております。  それから、環境大臣に残っていただきましたが、財務大臣環境大臣にお伺いしたいわけでありますが、特にこれからの公共事業というのは自然再生、環境に十分配慮した、そしてNPOの皆さん方とかいろんな方々を一緒にした、そういう環境重視の公共事業というものにやっぱり取り組んでいく必要があるというふうに考えております。そういう意味で新しい形のこういう公共事業への脱皮というか、そういうものが必要と考えておりますけれども、こういうことについての財務大臣の御見解と、そして環境大臣の御見解をあわせてお伺いいたしたいと思います。
  44. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 自然との共生、自然と共生する社会の実現ということが非常に二十一世紀になりまして重要な課題としてクローズアップされてきているというふうに感じております。この実現のためには、二十一世紀「環の国」づくり会議というのをことしやらせていただきましたけれども、今ある自然環境を確実に保全するということに加えまして、失われた自然を再生するということが重要だと考えております。  この自然の再生のためには、生態系を全体として重視した総合的な観点が必要でございまして、この点を踏まえて各省が連携をしまして自然再生のための事業を行うということが重要であると思いますし、またこの過程で地方公共団体、NPOの方々の参加も得ながら自然の再生事業を進めていきたいというふうに考えております。そのための予算につきましてもお願いを申し上げているところでございます。  以上でございます。
  45. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃるような自然と共生するようなそういう方面における公共事業というのは私も大歓迎でございまして、今、大型の既存の公共事業から順次そういう面に、人間の住むための条件をつくっていく、そういう公共事業に振り向けていくという、大いに賛成でございます。  そこで、一つ考えてもらわなきゃならぬのは、どうしても地元から言いますと、自然との共生よりも合理主義に走ってしまう。私は、合理主義に自然を考える場合に、共生の分は少なくなってしまうのじゃないかと思っております。どうしても、むだがあることがやっぱり自然の状態であると、そこを大事にしてもらわなければ自然と共生というものは進まないのではないかと、こう思います。
  46. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、一点要望させていただきますが、そういう意味では財務大臣にもお願いしたいのでありますが、来年度の予算の中にもそういう意味の位置づけの環境対策的なものを、環境調査費といいましょうか、そういうふうな省庁間にまたがるような予算の措置というものをぜひこれから配慮していただきたいと思っています。  それで、最後になりますが、難病対策について坂口大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、十項目ほどちょっと質問を予定してまいりましたが、時間がありません。結果として、何点か本当に結論めいた御質問になりますが、お伺いいたします。  一つは、小児慢性特定疾患の対象者、これは五百ぐらいの病気の患者さんがおられます、全国で十一万人。そして、この人たちが十八歳からあるいは病気によっては二十になって小慢のこの制度から外される。結果として、その次の日から、この制度から外れることによって大変な思いをしているという人が大勢おられます。これは私たちの調べでは、十一万人の小児慢性の特定疾患の子供たちのうち、実際渡っていける、成人の難病特定疾患の公費負担制度につながっていける人はわずか二百三十七人という、こういう数字も出ておりまして、この制度の不備についてどのように考えておられるか、これが一点。  それからもう一つは、いわゆる制度的補助金とその他の補助金ということがありまして、ともかくそのいわゆる制度的補助金というのは、私どもの認識では法律に基づいて出すのが制度的補助金というふうに考えて、そうではないのをいわゆるその他の補助金というふうに私たちは考えているわけであります。  ところが、厚生労働省から出されているそのリストを見ておりますと、そうではない、何というんでしょうか、プランとかあるいは要綱とかいったところの根拠でもって補助金を出している、そういうふうな部分もあるということであります。この難病対策につきましてはその他の補助金ということで、いわゆる法律に基づかない制度でやっておりますけれども、しかし戦後三十数年、言うならば難病対策要綱というものをつくってずっとやってきている事業でありますから、そういう点では、これは私はもう法律に準ずるような、そういうような補助制度ではないかというふうに考えておりまして、これがなぜ制度的な補助金というふうにならないか、ここのところをぜひひとつ御説明いただきたい。  そして、こういうふうな問題を解決していくために、将来的にはやはり難病基本法という法律を我々はきちっとつくって、全国で数十万と言われている難病患者の皆さん方のやはりきちっとした、特に生活の面で限度を超える厳しい方々もたくさんおられるわけでありますから、こういう方々の生活を支えるという面から、言うならば支えていく法的な制度をつくっていく必要があるというふうに思っておりまして、こういう点についてもぜひそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから最後に、細かな話を二点申し上げます。  公営住宅、県営住宅、市営住宅がありますが、いろんな身体障害者の手帳を持っている方とかあるいは母子家庭、父子家庭の皆さん方とか、そういう方々は優先的に入居できるわけでありますけれども、残念ながら、この難病患者の皆さん方はそういう制度から外されております。その原因は公営住宅法の第二十三条、この部分に入居の資格を書いてありますけれども、ここに実は難病患者の皆さん方のことが入っていない。これはぜひひとつここに入れていただきたいというふうに考えております。  それから最後に、ALSの患者さんの皆さん方、筋萎縮性側索硬化症、この患者の皆さん方は、言うならば人工呼吸器を使って毎日生活をいたしております。この人たちは少なくとも訪問看護が必要なわけでありますが、そういう意味でその回数が制限されたり、あるいは訪問看護ステーションの複数利用を禁じている、こういう制度でございまして、なかなか利用しにくいというふうなこともあります。そしてまた、言うならばこの当該事業の実施要綱では、その中に診療報酬対象分と本制度を利用する場合に同一機関でなければだめだという、こういうことになっております。この部分をぜひ外していただくことによって利用率が高まっていくというふうに考えられますので。  以上、ざっと申し上げましたが、手短に御答弁をいただきたいと思います。
  47. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) たくさんの質問をいただきましたが、小児の特定疾患それから大人の特定疾患等、慢性の難病対策等々につきましては、これが生まれました経緯からいたしまして、その研究に重点を置きましたり、あるいはまた治療面に重点を置きましたり、あるいはまた経済的な側面から見ましたりとさまざまなことを積み上げてまいりましたので、一つの整合性を持った体制になっていないことは、これは御指摘のとおりと私も思っております。  一番最初に御指摘ありました小児慢性特定疾患の場合と大人のいわゆる難病としましての特定疾患との問題でございますが、子供の場合には、これはその治療が長期間にわたって医療費の負担も高額となりますことから、これが児童の健全な育成を阻害する、そのことをどう克服するかということででき上がったものでございます。そして、一方のいわゆる難病、すなわち大人の方の難病というのは、原因が不明で治療方法が確立をされていなくて患者数が非常に少ないものというふうに限定されておりまして、これは研究面で実はでき上がったものでございます。  したがいまして、前者の小児慢性特定疾患の方は、先ほど御指摘をいただきましたとおり五百を超えるような病気があり、そして大人のいわゆる難病の方は、今四十六でございますか、非常に少なくなっている。  ここの連結をどうするかという問題は、本来の趣旨からいきますと、これは連結しないわけでございます。しかし、経済的にも御負担になりお困りになる皆さん方に対してどうするかという問題が生じてくるというふうに思います。  先ほど、全体として基本法をつくってはどうかという御指摘がございましたが、現在、難病対策委員会で幅広く検討しているところでございますが、そこでこれから議論を詰めていただいて、今御指摘になりました法的なものも含めて体系的な議論ができ上がることを期待しているところでございます。それが一点でございます。  それからもう一つは、身体障害者の場合に難病として認定ができるかどうかというお話もあったわけでございますが、ここは、難病であるとかないとかということを度外視して身体障害者の基準に合えばするということになっているものですから、身体障害者の認定をお受けになっている難病の患者さんの皆さん方もかなりお見えになることは御承知のとおりでございます。ここも若干整理をしなければならない点はあるというふうに思っておりますが、現在のところ、身体障害者としての認定はやはり身体に障害があるかどうかということを中心にしてやらせていただいておりますので、御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、ALS等の難病疾患についての問題がございましたが、これは現在の訪問看護ステーションからの訪問看護を受けます場合に両方から受けるということは一応できないように今しているわけでございますが、しかし人によりましては一日に何度か受けなきゃならないような人もあるわけでございますので、そうした場合に一カ所では訪問看護が不可能なようなこともございますので、次の改正時期にこの点につきましては十分配慮をしてやりたいというふうに今思っているところでございます。
  48. 谷博之

    ○谷博之君 それじゃ、これで終わります。
  49. 山下栄一

    ○山下栄一君 お昼前でございますけれども、時間割りでこうなっておりますので、昼の時間にかかりますが、よろしくお願いしたいと思います。  私は、きょうは二点質問したいんですけれども、大きく二点ですけれども、最初に、昭和四十三年に起こりましたカネミ油症問題、それとダイオキシンの人への汚染、健康への影響、こういう観点から質問させていただきたいと思います。  このダイオキシンというのは史上最大の猛毒と言われて、特に九〇年代、大変大きな問題になり、今、国を挙げて削減対策に取り組んでいる状況でございます。  平成十年に能勢町、私が住んでおります大阪府能勢町にございます環境美化センター焼却施設、その中から大量のダイオキシンの汚染がされているということがわかりまして、特に清掃作業員の方の体内にダイオキシンがたくさん入っているということがわかりました。日本で人がダイオキシンで汚染されていると。これは程度があるわけですけれども、日本列島に住んでいる人間全員が汚染されているわけですけれども、量は微々たるものだ、健康上影響ないと。ところが、はるかに濃度の高いダイオキシンが人体に入っているということが平成十年に明らかになったと。  これについて、当時労働省、今現在厚生労働省ですけれども、これは健康影響調査をされてきたと。もうすぐことしもやるというふうに聞いておりますけれども、この状況をまず御説明ください。
  50. 播彰

    政府参考人(播彰君) お答え申し上げます。  平成十年の豊能美化センターの高濃度の暴露の事案を受けまして、その後、当時の労働省、労働衛生の専門家を中心に調査委員会を設けまして、血液中のダイオキシン類濃度の測定、生化学検査、免疫検査及び皮膚視診等を実施してございます。  毎年、その結果は公表してございますが、その所見の中でも、今後とも総合的に暴露された方についての調査が必要であるということで、今後とも新たな医学的な知見等も参考にしながら、この調査を継続していくこととしてございます。
  51. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと具体的に、どの程度の汚染なのかということをお願いします。
  52. 播彰

    政府参考人(播彰君) 先ごろ発表いたしました平成十二年度の調査によります結果でございますが、血液中ダイオキシン類濃度でございますが、二十一人の暴露された方の平均が百三十一・七という単位のものでございます。  また、皮膚の視診等につきまして直接ダイオキシン類への暴露と疑われる所見は現在のところ出てございませんが、先ほど申し上げましたとおり、引き続き継続して総合的な評価を行うべきである、こういう御指摘をちょうだいしてございます。
  53. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっとわかりにくいんで。大阪でいいですけれども、一般の人と比べて、特に平成十年、十一年、どの程度の高い濃度だったのか、何倍という形でおっしゃってください。
  54. 播彰

    政府参考人(播彰君) お答え申し上げます。  付近の住民の方の平均と比べまして、平成十年の時点での最初のデータで四十倍というデータが出てございます。
  55. 山下栄一

    ○山下栄一君 要するに、余りにも高い汚染だったので今継続調査しているわけですね。  今のところ何かはっきりとした影響が出ておらないというふうなことですけれども、この焼却施設は一九八八年からスタートしているわけですから、事件が起きた平成十年で閉鎖しましたけれども、だから十数年、十二、三年、この作業をやっていたわけですね。ずっとやっていた人もいらっしゃるでしょうし、途中から入った人もおるでしょうし、途中からやめた人もいらっしゃるだろうということで、百名近い方々がその診断を受けて、現在はある一定の濃度以上の方、二十三名ですか、が調査されているということです。  私は、特に生化学調査、免疫調査、異常が見られないという判断ですけれども、そこがおかしいと、異常が見られるじゃないかというふうに思うわけです。平均値が正常の人の範囲の上限を超えているものも調査項目によってはあるし、最高値が正常の範囲をはるかに超過したものも生化学調査、免疫調査に出てきている。これは異常が見られるというふうな判断をすべきだと、異常が見られないというのはおかしいのではないかと思いますが、いかがですか。
  56. 播彰

    政府参考人(播彰君) それぞれのデータを総合いたしまして、調査会では、先ほど申し上げましたような、現在の時点ではダイオキシンによる障害が出ていないという判断でございますが、ただそれに合わせましたとおり、先ほど申し上げましたとおり、おっしゃるとおりのデータもございますので、今後なおきちっと調査をして、そしてその上で総合的な判断をすべきであると、こういうことでございまして、問題がないと申し上げている趣旨ではございません。今後ともきちっとやっていくということでございます。
  57. 山下栄一

    ○山下栄一君 とにかく問題ないんだということを優先させた発表の仕方だというのは私は正確性を欠く、そして科学性もない、そういう発表の仕方はおかしいということを指摘しておきたいと思います。  また、このダイオキシンの体内における蓄積状況というのは、そう簡単に消えていかないわけでございますから、そういう意味で継続調査が必要であると思うわけでございまして、十年、二十年、三十年、四十年という単位でどのような影響が出てくるのかということ、これをやはりきちっと検証すべきだと。  全世界でダイオキシンの問題はいまだに終わっておらないわけですし、特に日本は後手後手の対策で大きな問題になりました。ホウレンソウの中にダイオキシンがちょっと入っているとか、お茶の葉っぱに入っているということで大騒ぎになったわけです。それが大量に、この場合は呼吸器からでしょうけれども、大量に吸って、作業員の方が、先ほどおっしゃったように四十倍、普通の人の、蓄積されているという状況。それが具体的にどのような影響があるのかということは、ダイオキシンの人体的な影響というのは、動物実験はたくさんあるけれども、人への影響というのはいまだに未解明の部分があるわけですから、そういう意味で二十一名の方のデータというのは貴重なデータであるというふうに考えるわけです。  特に、このダイオキシン類の中でもこの作業員の中で特に多かった類ですね、PCDD、PCDF、コプラナPCB、この三種の中で一番多かったのはどの部分の種類なんでしょうか。
  58. 播彰

    政府参考人(播彰君) 今御指摘の三つのカテゴリーのもののうち最も多かったものはPCDFであると承知してございます。
  59. 山下栄一

    ○山下栄一君 農薬からもダイオキシンが検出されているわけですけれども、焼却によって、要するにごみを焼いて、日本はごみをたくさん焼いてきた国であるわけですから、焼却灰もたくさん全国に素掘りで余りわからないときには埋められていたという状況があるわけで、地下水にしみ込んで、それが魚の中に入り、それを人間が食べたら大変なことになるじゃないかということから大問題になったわけで、この焼却によるダイオキシンの排出というのは中心はPCDFであるということが言われているわけです。  それはそういう認識でよろしいですか。
  60. 播彰

    政府参考人(播彰君) 私ども、能勢のこの調査結果で一番強いデータが出ており、一年目、二年目と全体としては減ってございますが、しかし最も注目しておるのがPCDFであり、そしてこの暴露された方がごみ焼却場の中で中心的な焼却施設の中に実際に入られた、あるいは入らないまでも支援された方でございますので、ごみ焼却場でのダイオキシンの暴露の中心になるのは先生御指摘のこのPCDFであると考えてございます。
  61. 山下栄一

    ○山下栄一君 専門家の間ではそれが常識になっているというふうに認識しております。時間の都合でその確認は今度のときにさせていただきます。  次に、カネミ油症なんですけれども、昭和四十三年に、ライスオイル、食用にしていた油ですね、それにPCBが混入して、製造過程の中で、それを人が食べて大きないろんな症状が出てきた。油症というふうに、油の症状と言われるわけですけれども、これ以来もう昭和四十三年ですから三十三年たつわけです。厚生労働省はこの油症についての研究班を昭和四十三年に立ち上げて、また予算措置もしてまいりました。平成十三年度も七千五百万円あるわけです。  ところが、このカネミ油症というのはPCB汚染だと、PCBによる汚染なんだというふうに、いまだにそういう認識があるぐらいでございまして、実はダイオキシンの汚染だったんだということが数年前からわかってきた。そういう意味でいうと、能勢の清掃作業員の方の人体汚染のはるか前からそういう実は油症事件があり、その油症で今も悩んでいる人がたくさんいらっしゃる、全国に。うちの大阪府にもいらっしゃる。それがダイオキシン汚染だったのかということになってくると、対策をもう一回検討し直す必要があるのではないかということを、私は平成十一年の三月の予算委員会でもこのことを申し上げました。  ところが、余りそういう認識が、一部の専門家ではあるけれども国民の間にはまだ定着しておらない。忘れられた過去の事件だというふうになっているわけです。厚生労働省が、このカネミ油症は人体へのダイオキシン汚染であるということを認識されたのはいつごろなんでしょうか。
  62. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 今、先生お話がございましたように、一九六八年から研究班が立ち上がりまして、自来今日まで研究を続けているわけでございますが、最初に一九七五年にライスオイルの中にPCDFが含有されていたということが研究班の研究の中で判明をいたしまして、一九七七年には患者の体内にもPCDFが存在するということが確認されたということで、PCBとこういったPCDFを含めました混合汚染と申しますか、そういうことになったわけでございますが、今の御指摘のダイオキシン類という考え方については、当時はまだそういうダイオキシン類というものにどういう物質が含まれるかということについての整理がされておりませんで、厚生労働省としてPCDFをダイオキシン類というものと認識したというのは一九八〇年代の後半ということで、もう少し申し上げますと、一九八八年にNATOの方が最初にこのダイオキシン類というものについての分類をお出しになりました。  それから見ますと、その前から御議論があったということで研究班の先生方にもお聞きをしたわけでございますが、その一九八八年の、若干その前時点ぐらいから、そういうダイオキシン類というものに含まれるものとしての認識があったのではないかというふうに考えているところでございます。
  63. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、厚生労働省としてはもう一九八〇年代にカネミ油症の患者はダイオキシンで汚染されているということは知っていたということになると思うわけです。  そのカネミ油症の原因物質ですけれども、油症という症状があらわれる原因物質はどのように理解されているんですか。
  64. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 原因物質は、一つはPCBそのものが原因物質の一つであるということは間違いのない事実だと思っておりますし、今御議論ございますダイオキシン類の中で三つのカテゴリーがございますが、その中でも特にPCDFがライスオイルの中でダイオキシン類としては大きな比重を占めておったと。それにコプラナーPCBというものが若干比重的に入っておると。そこが原因というふうなことで考えるべき物質ではないかというふうに理解しております。
  65. 山下栄一

    ○山下栄一君 では、こういう言い方をします。  油症の主要な原因物質は何だというふうに理解されていますか。
  66. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 患者さんのこれまでの研究班での臨床的な追跡も含めまして、研究の中から得られておりますのは、今申し上げましたように、一つはPCBそのものによります皮膚障害等々、これについては明らかにPCBによります症状というふうに理解されるものでございます。それ以外に今申し上げましたPCDFなどのダイオキシン類というものも影響をしているというふうに、この二つが主な原因物質ではないかという理解でございます。
  67. 山下栄一

    ○山下栄一君 PCBとダイオキシンが油症の主要な原因物質だと。ということは、この油症はダイオキシンの人的被害であると、このように言えるわけですね。
  68. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 両物質が影響をしているということはおっしゃるとおりでございます。
  69. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、両物質と言われている。  ちょっと僕、これはいろいろ取り組む過程で厚生省の方ともお話をしたんですけれども、ちょっとこれ明確にしておきます。  「油症研究」という九州大学出版会が出版された大変な研究があるわけですけれども、ここで歴代の研究班長も執筆されております。その中にこういうふうに書いてあるわけです。「油症を惹起した主役は、当初考えられたPCBsではなく、原因ライスオイル中の含量がPCBsの約二百分の一に過ぎないPCDFsが、むしろ圧倒的に重要な役割を演じており、油症はこれらPCB関連化合物による複合中毒であることが分かった。」と。中でもPCDFは「最重要の原因物質であると結論された。」と、このように書いてございます。  また、倉恒九州大学名誉教授、この方は元研究班長でございますけれども、この方の言葉も非常に大事な言葉だと思いますので、あわせて紹介してみたいと思います。  当初はPCBが原因だと言われたけれども、その後の研究により、油症の最も重要な原因物質はPCDFでありPCBではないことが判明したと、このように書かれておるわけです。  なぜそういうことがわかっていったかというと、一九七一年、バークレーのカリフォルニア大学の海洋資源研究所のR・W・ライズブルー博士がこの倉恒さんに手紙をよこして、油症はPCBの単独ではないよ、生成過程でPCBが熱変化によってPCDFに変化するよ、これ極めて強い毒性があるよということを、手紙を送ってくれたと。それをきっかけに研究していってこのような結論になったというふうに書いてあるわけですね。  今、主要物質はPCBとPCDFということをおっしゃいましたけれども、研究班では、研究班というのは厚生省認定の班ですから、そこの専門家はPCBじゃなくてPCDFであると、このように言われているわけです。これは研究班の正式の研究報告と私は思うわけですけれども、それと先ほどの部長の話とちょっと違うので、それもう一度確認します。
  70. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 今、先生御指摘の油症研究班の「三十年の歩み」にそういう記載があるのは、そのとおりでございます。  御指摘のように、私が申し上げましたのは、カネミ油症の原因物質としてはPCBとPCDF、これによります複合汚染であるということは、研究班の方でもそういう理解でございます。  ただ、人体に対する影響を考えた場合に、PCDFの方がダイオキシン類と、その後の研究によりました知見等からダイオキシン類ということで、人体に対する影響ということから考えれば重要視すべきものであるという御理解でそういう記載がなされているというふうに理解しておりまして、注目すべき度合いからいえば、当初PCBということで考えておった以上にPCDFというものを重要視すべきではないかという御指摘だというふうに考えているところでございます。
  71. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっとまあ違いますけれども、少なくともカネミ油症という症状はダイオキシンによる被害であるということは言えるということではございますので。  その関連で一つ、先ほど、PCDFがダイオキシンだということは初めわからなかったけれども、八八年以前に、以前というのははっきりしませんけれども、一九八〇年代後半には厚生労働省もPCDFはダイオキシン類の一種であるということを認識したということですけれども、環境省にお伺いします。  環境省では、PCDFをダイオキシン類であるということを認識されていろんな調査されたのはいつなんですか、いつからなんですか。
  72. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) PCDFにつきましては、一九八八年、昭和六十三年の報告書からダイオキシン類として結果を公表しておりますので、少なくともこの一、二年前からPCDFをダイオキシン類として認識していたと承知しております。
  73. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境省の方は、昭和六十年ということは一九八五年ですから、その一、二年前、八三、四年ごろからもう既にダイオキシンわかっていたということなわけですね。  ということは、少なくとも一九八〇年代後半にはわかっていたと。だけれども、その後の対応は、PCB汚染という観点から診断基準もつくり、そしてそういう観点から診断体制もつくり、さまざまな患者に対応してきたということだと思うんですよ。  ダイオキシンの汚染というふうになってくると、これは僕ちょっと、ちゃんとした対応をしないと世界に笑われるぞというふうに感じます。実際この油症は、日本だけじゃなくて台湾でも一九七九年、同じ日本製のPCBを使って同じような事件が起きている。被害者が二千人も出ているわけで、そういう意味から、ダイオキシンの人的汚染、人的被害という観点から世界も注目しているこれは内容だと思うんです。  動物実験はたくさんやってきました、どのような影響あるのかということは、人間には実験できませんから。実は、だけれども、この認定患者、千八百人の方が亡くなっていって、今千四百人と聞いておりますけれども、千人を超える方々が今も日本にいらっしゃって苦しんでいるわけです。そういうふうな観点から、僕は、厚生科学研究費補助金という形で七千五百万円というふうな対応をされているわけですけれども、これでは余りにもこの研究班の方々もかわいそうだなというふうに思うわけですね。  それで、ちょっと話を変えまして、今、日本の国はダイオキシン対策にどれぐらいの金を使っているかということを環境省にお伺いしたいと思います。
  74. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 取りまとめておりますので、環境省の方から御説明させていただきます。  政府全体のダイオキシン関係予算は、平成十三年度が千二百五十四億四百万円の内数及び研究費となっております。平成十四年度の予算要求額は千五百五十六億八千二百万円及び研究費となっております。
  75. 山下栄一

    ○山下栄一君 この数年、対策強化されまして、ダイオキシンの削減のための焼却施設への国からの支援、補助金等もありまして、来年度は千五百億円を要求していると。人への対応は七千五百万円でやっているわけですね。僕はこれはちょっとどこか狂っておるなというふうに思います。  それで、この患者さんは特に福岡県と長崎県に多いと。特に長崎県の五島列島、これ離島ですけれども、ここに認定患者は約三百名ぐらいと聞いておりますけれども、認定されない方々も数百人いらっしゃる。そんな人口たくさんの島じゃないと思います。一九六九年二月の九日と十日でしたか、つくられたライスオイルが福岡県から長崎五島列島の永尾商店で販売されたと。それは、成人病にもよく効くということでたまたまそのときにつくられたのを初めて購入した。そのころにつくられたのはPCBが混入しておったわけですけれども、それよりもうちょっと後のやつはもう混入していないわけです。たまたまその時期に混入された食用油、それが五島列島まで運ばれて、そこで一つしかない商店で売られて、そしてその方々に被害が広がっていったと。  対応も僕はちょっといろいろまずかったと、こんなんしていたら時間がかかりますので言いませんけれども、しかし、黒い赤ちゃんが生まれたとか、生まれているわけですけれども、それはすぐ見たらわかるから、PCBの皮膚の汚染だというふうに思っていたんです。ダイオキシン汚染という観点になってくると話が違ってくるし、そして長期にわたるいろんな影響が出てくるわけです。  どんな影響があるかということは、いまだに未解明な問題なわけですから、これはもう患者さんに対する扱いを丁寧にしていかないと僕はだめだと思いますし、黒い赤ちゃんなんかが生まれたということがわかっただけで、何で黒い赤ちゃんが生まれたんだというようなことから御主人も疑うし、そんなことは言えないということからみんな秘密にせないかぬということで、親族からも白い目で見られながら五島列島で住まわれている方も今もいらっしゃるわけです。いまだに申し出られない、申し出たらカネミ油症だと、いろんな風評被害もあるというようなことから、認定患者じゃない、されていない患者は申請者だけでも一万数千人といるそうですけれども、認定そのものも僕は診断基準が、PCBということでないというんだったら、PCB以外のものもあるというんだったら、診断基準の見直しせないかぬというふうになってくると思うんです。  この診断基準の話に移りますけれども、ダイオキシン汚染という観点からの診断基準になっているのかということをお聞きしたいと思います。
  76. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 今の診断基準につきましては、PCBによる影響の症状を中心につくられているものというふうに考えております。
  77. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、先ほども部長おっしゃったわけやから、ダイオキシンの被害、汚染という観点から診断基準を見直すべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  78. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 診断基準で御指摘のようなPCDFを仮に考えた場合に、どういった項目なりを入れればそういった基準として整理できるのかというところは専門家の方にもう一度私どもの方から御相談はしてみたいというふうに考えておりますが、恐らく可能性としては、症状からとらえるというのはなかなか難しいのではないかと、恐らく検査をするということが一つの手だてではないかと思っておりますが、そちらの方は専門家の方によく御意見を聞いてみたいというふうに思っております。
  79. 山下栄一

    ○山下栄一君 そういうことを、もう考えられない御答弁をされるから。  PCDFが人体に入っているということを一九七七年から知っておって、それがダイオキシンだということがわかったのも八〇年代後半だと。もう十数年前に認識されているのに、ダイオキシン問題であれほど騒いだのに、その観点から診断していないというようなことは、もうこれは根本的に姿勢が問われるというふうに思います。  大臣にもこの件、私きちっと対応していただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  80. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) カネミ油症問題が起こりました直後から、この主な原因はPCBであるというふうに言われてきたわけでございますが、その後の研究によりまして、主因は、先ほど御指摘になりましたように、PCDFであるということが発表になったことを私も幾つかの論文で見た記憶がございます。今御指摘になりました論文と同じであったかどうかはわかりませんけれども、確かにそういうふうに書かれております。PCBが熱処理によりまして、それが変性したというんでしょうか、新しいそういう物質が生じたということのようでございます。  したがいまして、それが主な原因であります以上、私も今までちょっとうかつでございましたが、そのことを中心にした対策というのを立てるのは当然のことというふうに思いますので、即刻それはそういう体制で見直しを行いたいと存じます。
  81. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  この診断基準つくられたのは昭和五十一年なんですね。追加見直しされたのは昭和六十一年です。六十一年に追加の見直しが──間違えました、昭和五十一年に最初できて、五十六年に追加見直しされたきり全然見直されていないわけです。ということは、ダイオキシンということを認定する前の段階の診断基準で今もやっているということですから、今、大臣おっしゃったように、見直しを即刻やっていただきたいと思いますし、僕はこれはもう国の取り組みを根本的に変える必要があると。研究班の方々が細々と七千五百万円のお金で、もちろん治療費はカネミ倉庫が払っているんですけれども、カネミ倉庫もちっちゃい中小企業ですから、申請したかてなかなかくれないということで悩んでいるわけです、みんな。  また、検診も年一回です。五島列島に確かにあります。行って、もう三分で終わると。船に乗ってそこまで行って三分で終わって、だれが行くかと。そして、女性の方は、産婦人科の医者も来ないし、女性の医者も来ない。女性の医者来てくれ言ったかて、班長も、検討するけれどもできないでしょうねということを言っている。そんな体制でやっているわけです。巡回検診もしてほしいと言ってもできませんと言われる。それはできませんわ、厚生省の班長さんかて。そういう班長さんの体制で全国でやっているんですよ、これ。だから、お金のかかることはできないわけです。PCDFの血中濃度もはかりたいけれども、機械も高いしと、というようなことになってしまっている。  七千五百万円の枠内で対応してきた、これは根本的に僕は変えるべきだと思いますし、全国にこれほど大変な反響があったダイオキシンの人体汚染が、日本で実は三十数年前からあったんだという観点から考えると、この調査はきちっと、将来の人類のためにも医学的データもきちっと、ありとあらゆる観点から、皮膚とか目とか、それだけじゃなくて神経に内分泌に、また生殖毒性はどうだと、さまざまな観点から、奇形児も生まれている可能性があると。行けないわけです、そういう診断のところには、奇形児の方々は。  というようなことを考えましたときに、ダイオキシン対策予算で千五百億円来年つけようとしている、人への調査は七千五百万円、そんなばかな話があるかと。根本的に国家プロジェクトとして人類に貢献するためにもこの対応はきちっとやっておかないと、日本の行政は何をしているんだというふうに全世界から笑われると思います。国の取り組みの抜本的な見直し、予算も含めて、この点についてのお考えを大臣にお伺いしたい。  ダイオキシン対策閣僚会議はことし四月で解散したそうです。あれは削減のために一生懸命、何のために削減のために金をかけてきたんですか。人に入らぬようにでしょう。入った人がたくさんおるのにそれを無視してきたというか、軽視してきた、これはもう大変なことだと思いますので、先ほど申し上げました国の取り組みの抜本的見直しにつきまして、予算も含めて、大臣にぜひともお願いしたいと思います。
  82. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私の記憶に間違いがなければ、PCBというのは比較的体内に蓄積をしましても出やすいというんですか、比較的ですけれども。しかし、PCDFの方は一遍蓄積をされますとなかなか出ないという、非常にそういう特性があるということも読んだことがございますが、そうしたことを考えますと、PCDFが中心であるということになります以上、さらなる研究が必要であり、それに必要な財源は確保しなければならないというふうに思います。  ここから先は財務大臣にお答えをいただく方がよろしいかというふうに思いますけれども、その点をしっかりと財務大臣にもお聞きいただいたというふうに思いますから、私どもの方も努力したいと思っております。
  83. 山下栄一

    ○山下栄一君 財務大臣関係閣僚会議に入っておられる、メンバーでしたか、ダイオキシンの。
  84. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) メンバーです。
  85. 山下栄一

    ○山下栄一君 そうしたら、今の見直しをしていただきたいということの御答弁、簡単にお願いします。
  86. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 坂口厚生大臣とよく相談して、また善処いたしたいと思います。
  87. 山下栄一

    ○山下栄一君 国の姿勢、特に政治家の姿勢が問われる私は問題だと思いますので、真剣な御検討と対応をお願いしたいと思います。  時間がなくなってきました。行政改革担当大臣に来ていただいております。公益法人の改革の問題でございますけれども、ちょっと会計検査院から御報告していただく時間がなくなりました。  平成十二年度の指摘の中に、国から公益法人への基金の補助金として多くの補助金が出ている。総額一兆円を超えるお金でございます。そのうち、幾つかの公益法人では基金をつくって補助金を出しているにもかかわらず全く執行されていない、ひどいのは十数年執行されていないというふうなこと、そういうふうな公益法人もあるという大きな問題が指摘されております。それのみならず、実は特殊法人から公益法人へも同じような形で基金が設置され、それについては問題があったので平成十一年度の指摘で変えさせているというふうなことも指摘されております。会計検査院の指摘でございます。  私は、特殊法人がたくさんできた、しかしそれも、昭和六十年代ごろでしたか、中曽根行革のときに特殊法人、これをつくらないということになってからは特殊法人にかわって公益法人という形で行政委託型の公益法人、今もう行革事務局で、また石原大臣のもとで検討されているわけですけれども、そういう形で天下りが行われたり補助金が行われたり、だけれども不透明な、はっきりよくわからない、そういうふうなことがあるということの一端が今回の会計検査院の指摘ではないか、十一年度と十二年度の指摘だと思うんですね。  この公益法人のあり方につきましては、民法第三十四条の、明治三十年ごろにできて以来百年以上たっているけれども見直されておらない、その大きな問題点の中に私は公益性をどこが判断するかという問題があると思います。公益法人の場合は、スタートのときに行政側が、許可制ということですけれども、公益性は国が判断するんだということで民法三十四条成り立っているわけです。公益は国民益であって官益であってはならないわけですけれども、ともすれば国民益から官益に変わってしまうというふうなことが指摘されておるわけでございます。  そんな観点から、刻々と変わる、何が国民のためにいいかという、それは時代状況によって変わってくると思うんです。組織もそうだし、組織のあり方もそうだし、事業もそうだと思うんですね。そういう観点から、私は公益性の判断を、税の優遇にも結びついてきますけれども、公益性の判断を許可するという形で国が独占しているというようなことは、もう百年以上たってNPOの時代になって、全くこれは見直さないと、見直さないとというか、もう変えないと私はだめだというふうに思うわけです。  この公益法人の設立の許可主義、許可制、これについては見直しをし、きちっと対応すべきだというふうに考えるわけですけれども、石原大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  88. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 山下委員は、既に御党の方の公益法人の改革に関する委員長としてこの問題に取り組みでございますので、もう御存じのことかと思いますが、七月二十三日に行革事務局の方から行政改革推進本部に提出いたしました資料の中で、公益法人の問題点、私ども、今、委員が意見の開陳の中で示されたのと同じような問題点を指摘させていただいております。いわゆる公益性の判断が主務官庁の自由裁量にゆだねられていることによりまして統一がとれていないんじゃないか、あるいは官主導で公益法人を設立したり行政代行機能を担わせたりしている場合があるんじゃないか。そして、委員が最後に御指摘されました、民間法人である公益法人について今後もなお許可制を維持する必要があるのかどうかといった指摘の中で、公益法人の許可制については見直すべきかどうか、今現在鋭意検討させていただいております。  年度内には公益法人制度の目指すべき方向性とそれに向けた改革のプロセスなどを内容とした抜本改革の基本方針をお示しさせていただきますので、山下委員の御指摘を十分に踏まえたものを出すべく努力をさせていただきたいと思っております。
  89. 山下栄一

    ○山下栄一君 終わります。ありがとうございました。
  90. 岩井國臣

    委員長岩井國臣君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  91. 岩井國臣

    委員長岩井國臣君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  史上最悪の失業率の中で、労働時間の短縮によって雇用を拡大することは急務であります。  そこで、まず最初に労働時間の短縮とサービス残業を根絶する問題について厚生労働大臣にお尋ねをいたします。  ことし七月上旬に、トヨタ自動車で違法なサービス残業が行われました。所轄の労働基準監督署が是正を勧告したということが大きく報道をされましたが、この残業の実態とどのような改善が行われたのか、端的にお示しください。
  93. 日比徹

    政府参考人(日比徹君) トヨタ自動車の件についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、昨年六月に定期監督を実施しまして、関係書類の確認、関係者からの事情調査、確認等を行った結果でございますけれども、私どもの方で調査対象六十九名について確認したところ、うち二十一名につきまして時間外労働に対する割り増し賃金の未払いが認められました。  また、これの結果で本年一月に是正勧告を行い、それにあわせまして他の部門についても会社側で社内調査を実施するよう指導を行いました結果、その他の部門からも六十二名について割り増し賃金の未払いが認められたというものでございます。  その後、トヨタ本社から、この一月及び二月にこれら八十三名の方に係る割り増し賃金分として合計九百万円弱でございますが、これはトヨタの場合には割り増し賃金、一般の法定率よりも高くなっていますので、これが法定の未払いという額ではございませんけれども、九百万円近くの額を支払ったという是正報告を受けたところでございます。
  94. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 八十三人で九百万円の未払いというのは大変なものでありますが、会社の中での根絶に向けての改善というのも、例えば定時から五時間以上もたった午後十時以降の残業の事前申告を義務づけたとか、全く常識を疑う中身なんですね。トヨタ自動車では、自己申告の勤務認定カードの退社時刻と警備室にかぎを返した時間がかけ離れていたことからサービス残業が判明したわけですが、中には朝四時半まで会社にいながら認定カードでは残業ゼロという事例もあったと。  昨年三月に最高裁判決が出されました電通過労自殺事件のケースと全く同じですが、一般論として、大臣、このような悪質なケースは司法処分も視野に入れて厳正に対処すべきだと思いますが、いかがでしょう。
  95. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 労働基準法に違反をするということがありましたら、これはもう厳正に対処するということが基本だというふうに思っております。  個々のケースにつきましてはいろいろの場合があるというふうに思いますが、労働者の権利救済を行って違法状態の是正を求めることが基本的に大切だというふうに思っております。ですから、まずは違法状態を改善をするということが大事でございますが、その権利が回復されなければその次にはどうするかという問題が起こるというふうに考えておりまして、まずはこの違法状態を改善させなければならないというふうに思っております。
  96. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当、そのとおりです。  サービス残業というのはトヨタ自動車のグループ企業の中にも実は蔓延をしております。例えば、豊田工機というところでは、一昨年以来二度にわたって労働基準監督署からサービス残業の是正勧告が出ておりますが、依然としてサービス残業の解消を求めた厚生労働省の四・六通達に反する状況が続いております。  現在、職場の労働者が一刻も早い改善指導を申し入れておりますけれども、監督指導はどうなっているのか、お示しください。
  97. 日比徹

    政府参考人(日比徹君) ただいまお尋ねの豊田工機の件でございますが、本年十月に監督指導を実施いたしまして、労働時間の把握の不十分さなどの労働時間に係る問題が認められましたことから、先ほど委員も御指摘になられました本年四月六日に発出した通達の遵守、労働時間短縮などについて指導を行ったところでございます。  なお、その改善状況等につきましては報告を受けることになっておりますが、その期限は年内ではございますけれども、まだ到来しておりません。
  98. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 トヨタグループの長時間過密労働というのは実は大変なもので、ラインでは汗をふく時間さえなくて、みんなバンダナとかタオルでここへ、首や額に巻いているというのを、かつて予算委員会で私ども指摘したことがあるんです。  きょうは、豊田工機の労働者と家族の皆さんから悲痛な訴えや悲鳴も私ども日本共産党に寄せられていますので、その一部を読みますと、「助けてください」「主人は毎日十五時間もの労働をしており身体を悪くし死にたいとまで言っています 子供たちとも一週間に一度も会話がなく家庭崩壊しています 賃金は八時間ほどのお金しかもらってません 同僚も同じだと言っています」、中略ですが、「一日も早い対応をしてください このままでは過労死や自殺者がでます 従業員への犯罪です」。このほかにも、「本社技術部 月に一人平均月四十時間のタダ働きをしてます」とか「本社事務です。残業ゼロ、すべてタダ働き」など、枚挙にいとまがありません。  違法なサービス残業は絶対に許されないものですが、そもそも午前四時半までとか毎日十五時間などという長時間労働が野放しにされていることが問題だと私は思います。  新聞報道で、このトヨタのただ働き残業の報道のときに、トヨタ自動車の時間外労働の限度は一年間七百二十時間と報道されているんですけれども、大臣、これは確かでしょうか。
  99. 日比徹

    政府参考人(日比徹君) ただいまお尋ねの件でございますが、労働基準法三十六条に基づく協定によりまして、延長できる労働時間の限度につきましては原則として一年間三百六十時間まで、ただしということで、特別の事情が生じたときに限り、労使間で定める手続を経て、限度時間、これが三百六十時間でございますが、を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨をあらかじめ協定に定める場合はこの限りでないということとされているところでございます。  ただいま御指摘のトヨタ自動車につきましてはそのような特別の定めがなされておりまして、特別の事情が生じた場合には七百二十時間までと協定では定められていると聞いております。
  100. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 労働基準法では残業を認めていないんですけれども、特別な場合は例外として三十六条で認められ、それが旧労働省の告示では年間三百六十時間。しかし、言うまでもなくトヨタ自動車は世界的企業でありまして、年間の利益も一兆円を超えることが見込まれています。そこがこの告示の二倍、一年間に七百二十時間の残業の限度を定めていることは私は大問題だと思うんです。  参考までに鉄鋼最大手の新日鉄についても調べました。時間外労働の限度、これは三百六十時間で、特別な、その上にまた特別な場合というんですから、年間六百時間あるいは六百五十時間となっています。  日本を代表するこういう大企業に対して、大臣、強力な規制を加えなければ、労働時間の短縮、サービス残業の根絶は一歩も前進しないと私は思います。年次計画でも示して時間外労働の短縮というのを強く指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 一カ月四十五時間、一年間三百六十時間という上限を設けておりまして、これが一つの限度時間というふうにしているわけでございますので、できる限りこの限度時間を守るようにしてもらいたいというふうに思っています。  先ほど局長からも話をしましたとおり、特別な事情のある限りはということでございますが、そういうことがあったとしましても、そういう契約ができたとしましても、そういう契約を定めたとしましても、できる限りそういう事態が起こらないように努めるのが原則であると思っております。
  102. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 厚労省の三六協定に関する調査をいただきましたが、年間三百六十時間をオーバーする協定が五・四%。特別の上の特別じゃなくて、三六協定ですね。年間一千時間を超す協定は〇・九%ですから、七千二十件ということになりますね。九八年の労基法改正の際に労働省は、行政指導に法的根拠を与えたと述べて、基準に適合しない場合は何度でも指導すると約束された。今、大臣も原則と言われるんですけれども、きちんと指導をしないといかぬと思うんですね。  私どもは、サービス残業を根絶して長時間労働の改善を図る法案を提案しておりますけれども、国連からも日本は労働時間の短縮を勧告されております。厚生労働省では、労働時間の短縮とサービス残業根絶への厳しい姿勢、原則とおっしゃいますけれども、きちんと三百六十時間におさまるように、こういう姿勢を重ねて求めまして、次の質問に移ります。  次は、国家事業でありますが、トヨタ自動車のトップが就任されておることからトヨタ万博とも言われております二〇〇五年日本国際博覧会の問題であります。  環境の世紀と言われる二十一世紀に環境をテーマに開くということで注目をされていますが、この主会場となる青少年公園は、この地域特有の生態系が豊かな場としても知られてまいりました。豊かな自然がありますので、その生態系の頂点としてオオタカもいます。青少年公園は広くこのオオタカのえさ場となっており、こうしたところ全体を四年間にわたって工事をし、展示、解体、そして撤去をして、開催時は夜十時まで、一日最大十五万人、これはBIEに登録のときは十一万人だったんですけれども、十五万にふえていますが、これでは、大臣、オオタカの営巣が脅かされ、オオタカ保護が図られない、こういうふうに心配がありますが、環境大臣の見解を伺います。
  103. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員がただいまおっしゃられましたように、青少年公園ではオオタカがえさをとっているということでございます。愛知県は専門家から構成をされますオオタカの調査検討会を開いておりまして、青少年公園及びその周辺でオオタカの採餌、営巣等の調査を実施いたしますとともに、その対応について検討を行っています。  検討会におきましては、施設設置によるオオタカの営巣に対する直接的な支障はないが、青少年公園はオオタカの主要な採餌場所の一部であり、施設設置の区域以外でもえさをとれるよう代償的な配慮を検討していくという結論を得ております。  環境省といたしましては、引き続き注視をしてまいりたいと存じます。
  104. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 主要なえさ場で影響があると。大臣は、環境大臣として代償的措置と言われましたが、これは世界じゅうでどこも成功したことのないことなんですね。この問題はまた後で議論したいと思います。  最初にこの万博構想が出されましたのは、きょう、パネルを持ってまいりましたが、(図表掲示)この上の方にあります黄色いところですね、海上の森を住宅用地として切り開いて、先行利用で開催しようというものでありました。テーマを環境というふうにしましたので、万博の環境影響評価に当たって、当時の通産省が博覧会協会への環境影響評価要領を通達しました。「環境影響評価法の趣旨を先取りする新しい環境影響評価のモデルを示す」として、「このような環境影響評価のプロセスが二十一世紀における人類共有のモデルとなることを目指す。」、これは要綱に書いてあることなんですね。  この姿勢は非常に立派で大事なことだと思いますけれども、そうであるからこそ、環境を守るということで二転三転と迷走して、この黄色い部分はなくなりまして、こっちに移ったわけですよね。ですから、青少年公園が主会場になった以上、当時の通産省自身が定められた環境影響評価要領に基づいて、第一章第一節、実施計画書の作成からきちんとやるべきだと私は考えますけれども、今度は川口大臣経済産業大臣臨時代理として伺いたいと思います。
  105. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) それでは、経済産業大臣の帽子をかぶった方でお答えをさせていただきます。  愛知万博の環境アセスにつきましては、経済産業省の要領に基づきまして博覧会協会が実施をしてまいったところでございます。  万博事業につきましては、計画の熟度の高まりにより会場計画の変更が生じることはやむを得ないことでありますが、経済産業省といたしましては、従来より博覧会協会に対し、環境負荷の低減に常に最大限努力するとともに適切な環境影響評価を行うよう指導をしてきたところであります。去る十二月三日に博覧会協会から基本計画が公表され、会場計画もより具体化してきたところでありますが、今後とも、経済産業省としては、当省に設置された環境影響評価会の御意見も伺いながら、適切な環境影響評価及び十全な環境保全対策の実施を図るよう、引き続き協会を指導してまいる所存でございます。
  106. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私、環境省にちょっと伺いますけれども、最初に要綱をつくられたときには、これは地図を見ていただくとおわかりなんですが、三キロも離れている、全く違う自治体なんですね。ここでやるということも想定されて要綱がつくられたんですか。審議官、お答えください。
  107. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  私どもの経済産業省の環境影響評価の要綱によりますと、事業が縮小されたり、環境負荷軽減のための措置としてなされた変更であれば環境アセスメントの手続のやり直しは必要はないというふうに規定されておるところでございまして、御質問のような最初から特定のケースを想定して特定の文言を置いたわけではございませんが、一般的な考え方として、今のような手続のやり直しについての文言が入っておるわけでございます。
  108. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 質問にちゃんと答えてください。ごまかしてはだめです。  私が聞いたのは、全く違う自治体に考えていたんですか。これは海上の森でやるということで最初、要綱をつくったじゃありませんか。要綱には五十メートル程度移動することもあると書いてあるんです。三キロですよ。  現行の環境影響評価法、きょうは環境大臣もおいでになりますのであれですが、事業予定地が市町村を越えて変更になった場合は再実施、やり直しですよね。「環境影響評価法の趣旨を先取りする新しい環境影響評価のモデルを示す」、こういうふうに書かれているものですから再実施、やり直しは当然なんですよ。  この長久手町、青少年公園は長久手町ですけれども、その住民の立場に立ってみますと、実施計画書に係る公告縦覧はなくて、意見書の提出の機会がなかったんです。準備書に係る公告縦覧はなくて、説明会の開催もなくて、意見書の提出の機会もなかったんです。  大臣に伺いますけれども、海上の森については、これは通産大臣の方で聞きますけれども、不十分ではありますけれども二回参加することができたんですよね。青少年公園のある長久手の場合は二回とも機会は保障されない、正規の手続とも違うんですよ。これ、どう思われますか。
  109. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 愛知万博の推進に当たりましては、関係の皆様方の十分な理解と幅広い協力が何よりも必要であると認識をいたしております。こうした観点から、経済産業省、県、博覧会協会は、これまでに地元住民、自然保護団体などと意見交換や説明会の開催などを数多く重ねてきたところでございます。  青少年公園につきましては、博覧会協会が地元長久手町住民等に対しまして昨年九月に会場計画の検討状況や環境調査の結果等につきまして前広に説明会を開催しまして意見聴取を行いました。さらに、昨年十月に環境影響や環境保全措置の検討状況を検討状況報告書として取りまとめまして、住民等に対しまして説明会を開催をするとともに、報告書の閲覧、意見募集を行いました。こうしたさまざまな機会を通じまして地域の住民など関係者に対しまして十分な説明と意見交換がなされておりまして、またこれによりまして関係者の理解も深まってきたものと考えております。  いずれにいたしましても、経済産業省としましては、今後とも、地元、県、市、町、協会とも密接な連携をとりながら、地域の住民等関係者の十分な理解と幅広い協力を得るよう最大限の努力を払う所存でございます。
  110. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ことし、BIEの総会がありまして、私どもの代表団もピーター・クレイマーさんにそのときに、WWFインターナショナルですけれども、お会いしていろいろ話をしてきたんですが、市民の声を聞かないということについては残念に思う、計画が悪い方に変更されていることを残念に思うと、そういうことをおっしゃっていたんですけれども、今、大臣がお示しになったのは要綱に基づく環境影響評価の手続じゃありません。単なる説明会では正式な意見を表明する権利がない。意見が反映されないわけなんですよね。  基本計画を私、見せていただきました。これによりますと、青少年公園の自然環境というのが重大な改変になります。軽微な修正とはとても言えないと私は思うんです。  きょう、この基本計画の中の図を拡大コピーをして、ちょっと何かぼけているみたいなところもありますが、ごらんになれるでしょうか。(図表掲示)  観客が主に歩きますのは、ここにあります水平回廊というんですか、ループと言われるところですけれども、これは幅が小さいですけれども、二十五メートル、実際は大きいですね。ループの長さが二・五キロで高さが十メートルの巨大陸橋になるわけで、その上をゴンドラが二本。これを支える支柱というのも相当大規模なものになると思います。しかし、これ全部後で撤去する仮設ということで、これらは環境状況報告書にも載っていません。BIE登録のとき以上に自然環境に与える影響が増大をしたわけですね。このままいきますと増大をするわけです。  巨大道路と高層住宅の開発計画ということで海上の森の計画がBIEから二十世紀型の開発至上主義と批判をされまして、海上の森の先ほどお示しした黄色い部分はやめになって青少年公園になったわけです。ところが、出てきました基本計画を見ますと、結局先祖返り、巨大開発しかないんですね。この青少年公園においては評価書なるものが実は出ていません。環境への負荷が低減するかどうかは何と比較をして検討されるのか、お答えいただきたいと思うんです。
  111. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  青少年公園につきましては博覧会協会が継続的に環境影響評価に必要なデータの取得等を行ってきております。今回取りまとめられました基本計画に基づきまして所要の環境影響評価を行い、修正評価書を取りまとめることといたしております。基本計画に基づく環境影響評価につきましては、協会としては経済産業省の要領にのっとり、平成十一年十月に取りまとめました評価書と比較して行うこととしております。  今後、私ども経済産業省といたしましては、当省に設置されました環境影響評価会の御意見を伺いながら、所要の手続を検討してまいりたいと考えております。
  112. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣に伺いますけれども、なぜ修正評価書でいいのかということが、今までずっと私質問をしてきましたけれども、二〇〇五年日本国際博覧会に係る環境影響評価会に向けて専門家の地元皆さん方が文書を出されているんですけれども、これを読みましても、実際には青少年公園にBIEに登録したときよりも負荷がいろいろとあり、しかも道路の問題で海上の森がなくなったわけなんですけれども、道路の問題でも新しい道路、これを見ますと、ここに赤いのがあって、これが道路で、ここが全く新しい道路ですね。ここの環境影響評価というのは全くありませんし、そういういろいろな問題があると。  客観的に見て、環境負荷の低減が明らかと言えない以上、要領に従えば評価書の修正に当たっては実施計画書にさかのぼる環境影響評価の再実施が避けられない。私は先ほど住民の立場とかいろいろ言いましたけれども、こういう専門家のお立場からいっても、再実施、要するに最初からきちんと手続を踏んでやることが必要だと、こういう意見も出ているわけでありまして、これを環境大臣はどういうふうに受けとめられるんですか。
  113. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この博覧会は「自然の叡知」というテーマにふさわしい博覧会であるということでございまして、環境アセスメントにつきましては、会場計画の具体化に応じまして環境保全措置の検討、情報の公開や意見聴取を行うなど、手続を明確にして適切に実施する必要がございますので、関係省の御協力をいただいて、またこれは関係省においてそのように適切に進められているものというふうに環境大臣といたしましては考えております。
  114. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 やっぱり適切でないということをお認めにならないといかぬというふうに思うんですね。  私、説明を受けて、BIEに持っていかれたイメージ図を示して、これは一体何なのかと、まるっきり環境破壊の図ではないのかと言ったら、いや、これはイメージと関係なく絵をかく人がかいたんだとか、そういうような御説明もありましたが、何と何を比較するのかということが私は重要だと思いますし、海上の森の環境の負荷が減少すれば、同じように豊かな自然環境をつくっている青少年公園の環境への負荷はふえても仕方がないんだと、こんな環境影響評価では二十一世紀における人類共有のモデルだというふうに通産省がかつて言われたこれとは全く違うと思うんですね。  愛知県でいいますと、年間三百万人がこの公園を利用しています。ところが、来年四月からこの計画がスタートすると全面閉鎖ということで二〇〇六年の半ば過ぎまでは使えないわけで、一千二百万人以上の方が実際は利用できなくなる、六カ月のイベントのために。  平沼経済産業大臣はきょうおいでにならないので、私、質問ができませんが、十二月六日に新聞社のインタビューで愛知万博について、「国際公約であり、関連する交通施設は財政的に厳しくても、最優先で進めていかなければならない」、こう述べられて、「第二東名の愛知県内ルートや東海環状自動車道などは整備すべき」との考えを示されました。結局、国際公約をにしきの御旗にして道路建設の促進、あるいは基本計画にも一番最後にありますが、結局、道路とか空港をつくるため、だからもう後に引けないということになるわけですね。  昨年、第二回の世界自然保護会議で勧告が出ました。そこにも明らかなように、日本政府に対して、環境万博の開催こそが日本世界に約束をし、そして期待されている中身だと私は思うわけです。だから、時間がないからといって環境影響評価もきちんと行わない、オオタカ保護にもいろいろと疑問が出て、今までやったことないことをやるからこれは成功するだろうと、そんなことあり得ないわけです。だから、これではとても環境万博、世界に約束をした万博とは言えませんので、きちんとできないなら私はこういう万博はやめるべきだと思うんです。  一九九四年に、ハンガリーの政府が直前になりまして市民の反対もあり万博中止を決定されました。このときに参加を予定していた多くの国が、賢明かつ現実的な決定と、こういうふうに理解を示されました。日本外務大臣が、ハンガリー政府の信用を高めるでしょう、こういう表明をされたわけなんですよね。  環境を破壊してむだな公共事業にどんどんとお金をつぎ込んで、そして福祉や何かを削っていくというのが現実にあるわけですので、改めて財務大臣も含めて愛知万博の開催の中止、返上、これを要求いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  115. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。  きょうは年金のことについてお伺いします。  年金は、国民年金も空洞化を言われておりまして、厚生年金も、不景気のせいもあり小さな会社がふえたこともあり、やはり空洞化が言われております。その中で、国民年金の第三号被保険者、すなわち専業主婦ですね、その人たちにかかわる種別変更の届け出についてお伺いしたいと思います。  その前に、この第三号被保険者、すなわちこの保険者の九五%以上を占める専業主婦の状況について聞いていただきたいと思います。  皆さんのところにお配りしました三枚の紙があると思いますが、そのうちの二枚目に入っておりますでしょうか、三号被保険者がどういう状況にあるかというのを表にしてあります。いわゆる専業主婦の人たちは、九十九万円未満の収入の場合は住民税も所得税も国民年金の掛金も医療保険の掛金も払っていません。これは普通、夫が払っているものと思われていますが、そうではなくて、専業主婦は国民全体でこの年金の掛金、医療保険の掛金を支えています。  百三万円未満になりますと住民税は支払いますが、所得税とそれから国民年金、医療保険の掛金は相変わらず払う必要がありません。ところが、百三十万円未満まではいいのです、百三十万円未満ですと住民税と所得税は払うようになりますが、国民年金の掛金と医療保険の掛金は相変わらず国民全体で支えております。  なぜそういうことになったかということは、皆さん御存じのように、戦後日本経済的復興を果たすためには動きやすい男性を主な働き手として、男は外に女は内にということで男性を中心に保険制度も何もつくり上げてきた結果がこういうことになっているわけです。  ところが、現在は女性たちの意識も高まり、均等法もできて、そして専業主婦の人たちもパートや派遣で働くようになりました。そうしますと、この百三十万円未満を超えて、百三十万以上の収入があるようになります。そしてまた、不況の折もあって、男性が失職したり、いろんな理由があって、とにかくパート労働をする人、派遣労働をする人がふえているわけです。  けさ、たまたま見つけた朝日新聞の記事に、まさに今、女性全体がどのような方向に向かっているかということをよくあらわしている投書がありました。添削指導員の三十七歳の専業主婦の人の投書ですけれども、脱扶養家族を目指してというものです。ちょっと内容を読ませていただきます。   夫に扶養されるのが当たり前と思いこんでいた二十六歳のころ、会社をやめて専業主婦になった。出産後に始めた添削の仕事が性に合っていたのか、始めて十年になる。この十年の間に、いろいろな刺激を受け、考え方も変わり、経済的自立を目指すようになった。目標は「脱扶養家族」である。   仕事量を少しずつ増やした結果、昨年めでたく夫の所得から配偶者控除がなくなり、住民税を自分で納めるようになった。 要するに、先ほど説明した百三万円未満のところに行ったわけですね。住民税を自分で納めるようになったら、  やっと一人前の市民になった気持ちだ。以前より堂々と、また責任を持って市政に意見を言えるようになった。   そして今年、年収が百三十万円を超え、来年から国民健康保険料と年金を自分で払えそうである。正直言って不安はある。多くの女性が夫の扶養の範囲内に年収を抑えているのに一人、意地を張って、払わなくてもいいお金を払っているようにも思える。 この人は、百三十万以上超えたときに払うお金を「払わなくてもいいお金を払っているようにも思える。」と言っています。  次、続けます。   しかし、年金も保険も税金も、だんだんと妻が働きやすい制度に変わるだろう。一日も早く、働く妻が損をしない社会に、そしてゆくゆくは、老若男女にかかわらずだれもが自分のペースで働けて、年金も税金も平等に納められる社会になればいいと思う。 というふうに、この方は国が新しいいい方向に行くことを期待していらっしゃるわけですね。  ただ、ここで、先ほども申し上げたように、払わなくてもいいお金を払っているように思えるというのが、この百三十万円を超えた場合に結局今どういうことが問題になっているかというと、先ほど最初の質問で申し上げた種別変更の届け出をしないといけないんですね。  例えば、どういうことをするかというと、まず夫の会社で夫の扶養から外れるということを申請しないといけません。この段階で、夫は自分の妻が扶養から外れることで余り快く思わない人もいます。それからもう一つは、自分で役所へ行ってその手続をしないといけません。でも、いろいろ聞いたところ、見たところ、こういうことを知っていらっしゃる方は少ないんですね。そして、その結果、百三十万円を超えても国民年金の掛金も健康保険の掛金も払わないままに過ごしていらっしゃる方が全国に大変多くいらっしゃいます。  会計検査報告、十一年度の決算を見ますと、会計検査の報告を見ますと、たまたま抽出で調査をしたんですが、二十六都道府県の百六十七社会事務所管内の六十五市町村、そこで第三号被保険者のうち二万六千百二十四人を抽出して調査した結果、平成十年度と十一年度、その二つを調査したんですね。それを平均すると、いわゆる脱税ではありませんが未納入の保険金が一億二千七百万以上あります。それを全国平均で試算しますと年二百二十七億円になります。  すなわち、専業主婦で百三十万円を超えて働いている人、その人たちがもし年金を支払ったら、基礎年金は二百二十七億円毎年少なくともふえるということです。しかも、パート、派遣の労働者たちは大変ふえているわけですね。それで、もしこの現行の年金制度を続けていくとしたなら、ぜひこの人たちにきちんと納入していただかなければいけないわけです。  それに対して、要するに百三十万円過ぎたら強制的にこの保険に、国民年金に加入しなければいけないんですが、知識不足、あるいはもっと言ってしまうと、社会保険庁の広報不足でこういうことを主婦の人たちが自覚していないということです。先ほどの人は百三十万円を超えたら市民としての自覚ができたと言っていますが、大方の専業主婦の人たちはその自覚が足りないわけですから、社会保険庁はそのことをきちんと広報で知らせるべきです。お聞きしたところ、パンフレットなどを事務所に、事業所に出しているということですが、これが徹底していないということですね。  ただ、もう一つは、これはよく言われることですが、事務所を経営している人から、就労調整をする、すなわち税金を納めないだけでなくて年金も健康保険の掛金も払わないでいるような就労調整を頼まれて、その結果、非常に事務が煩瑣で困る。すなわち、二つここで問題があります。一つは事務所が非常に煩瑣な事務で困っているということと、女性でもこの意識がある人は就労調整をして税金も年金の掛金も支払わないような努力をしているということですね。それは逆から言うと、女性が金銭的な抑圧で自立できない方向に社会が向いているということです。  そこで、もし現行制度を徹底してやるとしたならば、社会保険庁に、どのような広報活動の対策を立てていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  116. 冨岡悟

    政府参考人(冨岡悟君) 国民年金等の広報について御説明申し上げます。  御指摘の点につきましては、事業主を通じまして、大変重点的にはパートの方を多く雇っているような事業主の方、それから市町村を通じまして、具体的にパンフレット、そういったさまざまな素材の中で、年収が百三十万円以上になる場合には被扶養者ではなく第三号被保険者から第一号被保険者に変わるのでその届け出が必要ですということをかなり具体的に記載しましたパンフレット等をお配りしております。それから、市町村の広報を通じましてそういったことにつきましても努力しております。  こういった中で、私どもとしては、なるたけこういった届け出をしないことによりまして年金に結びつかないといったことがなくなりますよう努力しているところでございまして、今後ともその努力を続けてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  117. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 効果のある努力を続けていただきたいと思います。少なくとも、現在の年金制度の中でそれは大変な収入になると思います。  それから、今度は年金制度の改善について厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。  まず、今、パート労働者、それから派遣労働者が大変ふえているわけですけれども、そして一方では、年金検討会などでその百三十万円の額を六十五万円にしたらどうか、引き下げた方がもっと女性たちは年金に対する支払いがたやすくなるんではないかということを考えています。そのことに関してどう思われますか。  それともう一つ、年金加入の条件を緩くするということで、今のところはフルタイムの人の四分の三までの就労時間ですか、それまでを満たしている人が年金に加入できるわけですね。ですけれども、それを二分の一に引き下げる。その二つの点についてお伺いしたいと思います。  実際、一九九六年度のパートタイム労働者の総合実態調査報告では、パート労働者の六四%が健康保険とか厚生年金には加入していないという事実があります。  以上二つのことをよろしくお願いします。
  118. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) まずもちまして、現在の検討状況を御報告申し上げたいと思います。  今御指摘のように、女性と年金検討会というものが行われておりまして、今月中を目途に今取りまとめに入っていただいておりますが、御指摘のような問題が既に指摘されておりまして、例えば今御指摘のように四分の三基準あるいは百三十万円基準といったものをもっと引き下げる、具体的に言えばもっと適用拡大をするという方向について議論が行われておりまして、そのような方向のもとで、ただ、保険料負担がその場合は増加いたしましたり、年金財政への影響もございますので、そのような論点について議論を重ねていくべきということでございますが、そのような方向に向けての取りまとめが現在議論されているところでございます。
  119. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 女性自身が、ぜひ一人一人が自分の年金を持てるように、先ほどの表に示しましたが、これですと、例えば国民の義務というのは、税金を納める義務と、それから仕事について働く義務があります。でも、第三号被保険者は、仕事にはついています、家事労働はしていますが、これは不払いですから給与明細がありません。いわゆるシャドーワークとも言われますし、アンペイドワークとも言われますけれども、大の大人の女性をそういう状況にいつまでも押し込めておくことは国としては大変な損失になると思います。  そして、やっぱり税金を納めたくても納められないということは、これは人権問題でもあると思います。やはり、納めたい人は、主婦の中には現在自分は税金泥棒と、そう思っている、言われているという、そういう屈辱感を表明する人もいます。そういう意味で、女性が一人一人が自分の年金を持つということ、女性の自立を阻んでいるのは一つに年金制度もあるということをお伝えしておきます。  それから、例えば年金の経緯を見ますと、昭和三十六年、一九六一年の年金制度の改革のときには専業主婦の人は無年金でした。男の人が保険料を、夫が保険料を払って夫がその年金をもらうと。それから、六十年、一九八五年の年金制度の改革では初めて専業主婦の人が年金をもらえることになりました。これは、長年御苦労さまですということもあると思いますが、先ほども説明しましたように、この専業主婦の人たちも夫もこの主婦の年金を支払ってはいません。国民全体で専業主婦を支えてきました。今度は、二〇〇四年の年金改革のときには、専業主婦の人も一人の人間として、専業主婦であろうとなかろうと、一人一人が自分の年金を支払い、そして離婚しようとしまいと、自分の年金は自分で手に入れるという、そういう個人をきちんと確立できるような、そういう年金制度にしていただきたいと思います。  それで、そのためにはこの年金制度を、どうしても男と女をセットにして動き回すというのではなくて、一人一人が個立して、個人で自立した上での相互扶助形態になる個人単位化に進めていってほしいと願っております。  そして同時に、いきなりそれは変えるのではなくて、年金制度は、今五十代の人、六十代の人はずっとそういう生活を長く送ってきたわけですから、そういう新しい制度をつくりながら移行措置をきちんとつくっていただきたい、経過措置ですね、つくっていただきたいと思います。昔からいる人はこれでも生きていけるんだというそういう形、でもこの年代の人からはこう変わるんだという経過措置を考えた制度をつくっていただきたいと思います。  それから、現在、先ほどもおっしゃってくださったように、女性と年金検討会というものがありまして、いろんなことが議論されていますけれども、下手をすると女性と年金のことは皆さんの視野の中からそげ落ちてしまうような危機感があります。来年の一月から発足する社会保障審議会の年金部会でもぜひ女性と年金のことを取り上げてほしい、継続して取り上げていってほしいと思います。  私は、小泉首相が構造改革と言っていらして、大変賛成ですが、私は長いこと女性と男性の関係の構造改革を唱えてきました。男と女と半分ずつです。ボーボワールに言わせると二等市民扱いされている女性が普通の人間として扱われるためには、この年金制度と同時に、保険制度も税制度もいろんな意味で変えていっていただきたいと思いますが、とりあえずはこの年金制度、二〇〇四年にかけて、女性が国民としてのきちんと義務を果たせるようなそういう制度に変えていっていただきたい。そしてこの構造改革、男と女の間の構造改革をきちんとしない限り、私は日本という国は何をやってもがたがたの国になると思っています。  よろしくお願いします。
  120. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 女性と年金につきましては、先ほど局長からも答弁がございましたとおり、女性と年金検討会におきまして精力的に今議論を進めていただいているところでございますが、一応その議論は収束する方向に向かっております。その後は、先ほど御指摘になりましたように、年金全体の審議会におきまして議論をしていただくということになっています。これは、社会保障審議会年金部会というのがございまして、来年の一月から本格的な議論に入っていただく予定をいたしております。その中で、この女性と年金検討会の中で議論をしていただきましたこともその中で取り上げて、そしてそこでもう一度トータルの年金制度の中にどう位置づけるかということを議論をしていただく予定にいたしております。  女性と年金の問題につきましては、今御指摘になりましたように、いわゆる個人としての年金にするか、世帯としての年金にするかという大前提の大きな問題がございまして、いよいよその辺のところから議論をしていただくものというふうに思っております。あるいは、応能負担、応益負担というような問題もそのほかにあろうかというふうに思いますが、そうしたものも含めて議論をスタートさせたいというふうに思っておるところでございます。
  121. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 それでは、ぜひ続けて、一月から始まる社会保障審議会でもこの問題を取り上げてくださるよう、よろしくお願いいたします。  これで終わります。
  122. 広野ただし

    広野ただし君 自由党の広野ただしでございます。  まず、今問題になっております狂牛病問題でございます。  先ごろ三頭目が出まして、私どもも初めて肉骨粉という言葉を知ったわけでありますけれども、九六年、数百トンという輸入量であったものが、現在、平成十一年度、二万トンぐらいまで輸入されているんですか、そういう形の中で、今、輸入禁止ということになったと思います。  これは、牛の肉骨粉だけが輸入禁止になっておるのか、豚、鳥等、どういう、貿管令上そうなっているのか、その点、お答えいただきたいと思います。農林省副大臣
  123. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) すべてのものが輸入禁止ということになっております。
  124. 広野ただし

    広野ただし君 そして、現在、肉骨粉は焼却処分にと、こういうことでございますけれども、実際のところ野積みになっているくらいに、なかなか処分がいかないということでありますが、そのときに私は、肉骨粉がイギリスあるいはヨーロッパ諸国を経由して日本に入ってきた、そういうことが昔あったわけでありますから、日本から今度肉骨粉が海外に出ていく、こういうことのないように肉骨粉の輸出を禁止すべきだ、このように考えておりますが、いかがでございますか。
  125. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) 我が国からの国産肉骨粉の輸出につきましては、相手国の輸入条件を満たす必要があるわけでありまして、今回の我が国のBSEの発生に伴いまして米国、韓国等貿易相手国は我が国からの牛由来の畜産物の輸入禁止をいたしておりまして、実際にも肉骨粉の輸出は行われていないというのが現状であります。  なお、肉骨粉につきましては、十月四日から製造及び工場からの出荷の一時停止を行っているところでありまして、さらにこの実効性を確保いたすために、十月十五日付で、肉骨粉等を用いました家畜用飼料の製造、販売、使用を法的に禁止したところであります。これら製造、販売等が禁止をされております肉骨粉については、家畜の飼料として利用されることのないよう監視下に置いた上で、順次焼却処分を行うことといたしておるところであります。
  126. 広野ただし

    広野ただし君 そのこともよく存じておりますけれども、国内だけではなくて、やはり日本からまた出ていくというようなことのないように、貿管令上も早く措置をしていただきますようよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、へい死牛ですが、これは今BSEの原因究明ということで屠殺場からのものは全頭検査ということでございますけれども、へい死牛の方はレンダリング業者の方に行って、しかも今地域から聞きますと受け取りを拒否されるという事態にもなっているわけです。レンダリング業者がもう手いっぱいなものですから拒否されると、こういう状況になっております。  結局、へい死牛十六万頭、大体年間、これがどういうふうにされるのか。私は、全数やはり検査をすべきじゃないのかと、こう思っておりますが、いかがですか。
  127. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) へい死牛につきましては、農林省といたしましては、BSEの発生を踏まえましてサーベイランス体制をまず強化をすることといたしまして、BSEを疑う症状や中枢神経症状を示します生きた牛、また中枢神経症状を示して死亡した牛、それに加えまして二十四カ月月齢以上の死亡牛のうち年間四千五百頭を対象といたしましたBSE検査を開始したところでありまして、これによりBSEの有効な摘発が可能なものであると考えております。  また、現在、サーベイランス対象牛以外の死亡牛につきましても、直接またはレンダリング処理後に肉骨粉として焼却されることとされており、飼料原料としても出回ることはない体制をとっておるところであります。
  128. 広野ただし

    広野ただし君 その答弁は前の委員会等でも、農林水産委員会等でも聞いておりますけれども、やはり大部分のところはいいんですけれども、不心得者がいていろんなところに出回っていく、そこがやっぱり問題なので、やはりへい死牛対策というものをきちっとやりませんと本当の安心は国民皆さんには来ないんじゃないかと、こう思います。私たちは次の通常国会にBSE緊急対策の法案を出そうと、こう思っておりますけれども、やはりへい死牛の対応ということはきちんとやっていただきたいと、こう思っております。  続いて、総務省の方にお聞きをいたしますけれども、さきの参議院選挙で近畿郵政局の方を中心として選挙違反事件が出て、まことに残念な事態になりました。これは本当に組織ぐるみ選挙というようなことで、近畿郵政局だけではなくて、ほかにもいろいろと見受けられるわけであります。東北郵政局の方で渡切費の中から政治献金が行われていたとか、いろんなことが報道をされているわけであります。  平成十一年度におきましても、渡切費というのはもう一千億円ほどになるわけです。実際、例えば党費四千円というものを、二万局ぐらい特定郵便局はありますから、出しますと、八千万円というような大きなものになるわけであります。一万円ということになれば何億円ということになるわけで、一つ一つは比較的小さいかもしれないけれども、たくさんの特定郵便局があるわけで、この点、渡切費の中から政治献金が出されているんではないかと。この点、総務副大臣、いかがでございますか。
  129. 小坂憲次

    ○副大臣(小坂憲次君) 広野委員にお答えを申し上げます。  ただいま御指摘がありました渡切費制度でございますけれども、小規模官署におきまして常時必要とされる事務経費を簡単な会計手続によって支出できるようにするための制度でございますが、適正支出については従来から繰り返し指導をしてきたところでございます。  ただいま御指摘がありましたように、このような経費が郵政事業の信頼を傷つけるようなことになるということは甚だ遺憾なことでございまして、再発をするようなことがあってはならないという考えのもとに、また同時に、この渡切費が適正に支出されているかどうかにつきまして私どもも調査をいたしておりまして、平成十一年度の会計監査、考査で調べた範囲内におきましては政治献金に不正使用されたような事実はないというふうに聞いております。  先般、報道で渡切費のあり方について御指摘がされ、また大臣の指示もございますので、現在、記事にあるような事実があるかどうかについて郵政事業庁を通じて調査をいたしているところでございます。
  130. 広野ただし

    広野ただし君 別の委員会で片山総務大臣から、渡切費は来年度以降やめるという答弁もいただいておりますが、副大臣からもその再確認をお願いしたいと思います。
  131. 小坂憲次

    ○副大臣(小坂憲次君) ただいま委員がおっしゃいましたとおり、渡切費につきましては平成十五年の公社化とともに廃止する予定でございましたが、今回、諸般の御指摘をいただきまして、片山総務大臣も、これは一年前倒しをして十四年度から廃止すると、このように言明をいたしておりまして、そのように手続を進めておりまして、渡切費の廃止に伴いまして、新しい会計処理につきましてはより透明性のある簡潔な手続によって支出できるような方法を検討しているところでございます。
  132. 広野ただし

    広野ただし君 会計検査院にお聞きいたしますが、平成十一年度、十二年度、あるいはこれからも渡切費につきまして検査を行う予定があるのか、または、その中で政治献金等があった場合、返還をするということを勧告するという気持ちはあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  133. 円谷智彦

    説明員(円谷智彦君) お答えいたします。  本年次の検査におきまして渡切費制度の運用の実態について検査をいたしたところであります。そして、渡切費の支給範囲、帳簿の保存期限等、制度の運用上の問題点、あるいは特推連に対する渡切費の支給の実態等につきまして、先日、内閣へ提出いたしました決算検査報告書にその検査状況を掲記いたしたところであります。  今後、これらの問題点を踏まえまして、渡切費が支給目的に沿って効率的かつ有効に使用されたかどうかにつきまして、引き続き検査を行うこととしております。  なお、ただいま御指摘ありましたような政治資金その他につきましては、今後、個別の渡切費の使途について検査を行う過程で事実関係を調査した上で、適切に対処したいというふうに考えております。  以上です。
  134. 広野ただし

    広野ただし君 次に、KSD、ことしの初め非常に問題になりました中小企業経営者福祉事業団ですか、参議院の村上正邦議員、小山孝雄議員が辞職をされたわけでありますけれども、このKSDの仕組みというのは、ある意味で中小企業の経営者の災害補償ということから非常に大事な事業を展開をしておられるということだとは思うんですが、ただ、いかんせん、物すごくもうかりまして、それで豊明会というところにお金が行って、そしてそれがまた政治家にばらまかれたと、こういう仕組みになっているわけです。  また、ものつくり大学というものも、目的は非常にしっかりしたものだと思いますけれども、そこのところにも一部お金が行っているということもございます。  ことしの年初から厚生労働省が指導をして、この実態も私も聞かせていただきました。おおむね指導はしっかりしているんではないか、こう思っておりますが、このKSDはひところ百八万人の経営者が入って物すごく、二百何十億という収入があり、おおよそ半分ぐらいもうかるというような状況でございました。そういう中でいろいろと政治献金等も豊明会を中心としてなされたわけですが、私は、当分の間このKSDが政治献金は慎む、こういう観点での指導を厚生労働大臣にお願いをしたいと思っております。ほかの指導はそれなりに今おおむねいっているんじゃないかと思っておりますけれども、その点、御答弁をお願いしたいと思います。
  135. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただきましたように、ことしの年当初におきましてはもうKSD、毎日のように御質問がございましたが、久しぶりにきょうは御質問をいただくわけでございますが、今年になりましてからも二度調査をいたしておりまして、五月には文書指導、十一月には立入調査をいたしておりまして、鋭意その中身も厳格に進められているように今指導をしているところでございます。  いわゆる被共済者数というのも、先ほど御指摘になりましたように、多いときには百五万人ぐらいあったわけでございますが、現在六十万を切りまして五十七、八万ぐらいになっているというふうに聞いているわけでございます。だから、そういう状況でございますので、もう余分なことのできる内容ではございません。  したがいまして、二度とこういう過ちを起こさないように厳しくチェックをしているところでございます。政治活動につきましても同様チェックをしているところでございます。
  136. 広野ただし

    広野ただし君 それで、午前中にも山下議員からもお話があったんですが、公益法人あるいは宗教法人の名をかりて収益事業を物すごくやっているケースが見受けられるんですね。しかも、その収益事業に税をかけるということでやってもらいたいんですが、収益事業は法人税法の施行令で三十三業種ということで指定されているだけで、共済事業等の保険事業が省かれているんですね。大いにもうかっているのに税金を取らない。中小企業や中堅企業から物すごい勢いでお金を、税金を取り立てているのに、公益法人の収益事業に手が入らない部分がある。  この点について、主税局長ですか、御説明いただきたいと思います。
  137. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) お答えさせていただきます。  ただいま委員が申されましたとおり、民間企業と競合関係にございます事業については、法人税法の施行令で、物品販売業ですとか不動産販売業ですとか、三十三の業種が定められております。  この収益事業の範囲につきましては、政府税制調査会におきまして、公益法人等が対価を得て行う事業について、むしろ原則課税対象とするということも含めて見直しを行うことが考えられるというふうにされているところでございます。  いずれにいたしましても、公益法人等に対する課税のあり方については、今後、その実態等を十分見きわめた上で幅広く検討していくことが必要だと考えているところでございます。
  138. 広野ただし

    広野ただし君 少なくとも、このKSDの事態をとりますと、共済事業、保険事業で、もう明らかに民間企業でもできるようなものなんですね。これについてぜひ、保険・共済事業といいますか、そういう業種を追加するように検討をいただきたいと思いますが、塩川大臣、いかがでございますか。
  139. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私もかねてからこれは非常に不公平なところがあるなと思っております。私も気にはしておったんですが、指摘されれば、当然だなと思っておりますので、大いにこれから勉強して、そういう不公平のないようにいたします。
  140. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、田中外務大臣お忙しいところ戻ってきていただきまして恐縮でございます。プール金問題でございます。  国民の側からは、当然のことではあるんですけれども、再発防止、内部浄化ということで田中大臣に前向きに本当に検討をいただいて、この点は私どもはやはり称賛、敬意を表したい、こう思っておりますが、テレビ会見におきまして、自分のことながら、国民皆さんに申しわけない、まことにおかしかったということを、官僚サイドとしてトップの人がどうもそういうふうに感じていない応答ぶりであったと、こういうふうに私ども聞くわけであります。  その点、大臣とは別に官僚のトップをお願いしましたところ、またお忙しくて出られない、こういうことでございまして、そのトップの意味を含めて官房長にお話しいただくということでお願いをしましたので、ここで国民皆さんの前で、ひとつどういうふうに考えておられるのか、答弁願いたいと思います。
  141. 小町恭士

    政府参考人(小町恭士君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のプール金の問題でございますけれども、プール金という不適正な行為が行われていたことにつきまして、事務次官以下事務当局一同としてまことに遺憾であると考えております。国民の皆様に心からおわび申し上げます。  外務省といたしましては、この問題は基本的に外務省員の公金の使用、管理に対する認識の甘さが原因であったと反省しております。今後は、職員の研修、調達の一元化と監察機能の整備、さらに予算執行上の手続の運用などの実態の調査及び所要の改善を進めることを通じて、国民の皆様の期待にこたえる役所に再生するための最善の努力を行っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  142. 広野ただし

    広野ただし君 早く再発防止、内部浄化というものをきちんとして、本来の外交大臣初め官僚がしっかりとやってもらいたい、そういう意味で私は申し上げているので、野上事務次官にも早くそういう気持ちで頑張っていただきたい、こう思っております。  一問だけ、ひとつお願いします。  いろいろと渡切費というものが在外公館に対しても行われ、そしてまた特定郵便局にあり、そしてもう一つ法務省にもあるということなんです。三つだけなんです。ここがどうも最終的にいろんな領収証のやりとりが非常にずさんであるということから、全部ではないんですが、スキャンダルの温床になりがちである。こういうことから、外務大臣も在外公館の渡切費についてやめるということもお話ししておられると思います。そして、そのことについて、塩川財務大臣も来年度からもうやめるんだ、こういう御答弁をぜひ前向きにお願いしたいと思います。外務大臣と塩川財務大臣
  143. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 渡切費でございますけれども、これにつきましては十四年度の予算からもうこれは計上しない、やめることにいたしました。ただし、これは中身が光熱費でありますとか文房具とかでありますので、これを使わないというわけにまいりませんから、これは他の科目に組み替えて計上するという方向で事務的に検討を進めていきたいと思いますし、中身ももう一度精査して、在外公館で本当に幾ら必要であったのかということの見直しをするというふうにいたしたく存じております。
  144. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 郵政省とそれから外務省でございますが、十四年度が、要求は来ておりますけれども、これはやめるという方向で検討されております。法務省の方につきましても、これは全部減額するということでやっております。
  145. 広野ただし

    広野ただし君 どうもありがとうございました。  終わります。
  146. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  休会中にもかかわらず、各大臣、御出席いただきましてありがとうございます。特に財務大臣は朝からずっとおられますから引き続いてお願いいたしたいと思いますし、竹中経済財政政策担当大臣にも私、質問をさせてもらうということでお願いしたわけですが、どうも考えてみますと、私だけのために出てきていただいたようで大変恐縮しているわけでございます。小泉大臣の懐刀という意味もあると思いますし、そういう意味では、本来であれば総理大臣に質問したい事項も多々あったんですが、そういうことがかなわぬということで、その辺についてもひとつお話を聞かせていただきたいと、こう思っている次第でございます。  そういう趣旨なんですが、一つ、大変前のことを蒸し返して恐縮でございますが、たびたび私、この席でいろいろ申し上げたんですけれども、ことしの六月四日の決算委員会で、経済について国民一般にわかりやすくいろいろ説明していただきたいということで、講義を聞くつもりで竹中大臣からいろいろお話を伺った経験がございました。  それは大変感謝しているわけですが、そのときに、私は個人的な、経済の専門家ではございませんけれども、この先の日本経済というのは、人口が減ると国全体の国内総生産というのは余りふえないんじゃないかというような気がしたものですから、その辺でいろいろ議論をやりとりさせていただきましたけれども、この先、国内総生産が余りふえないとすれば税収も余り期待できない、そうすると国債なんか返せなくなるんじゃないか、累積した赤字の国債が返せなくなるんじゃないかというようなことを指摘させてもらったときの答弁の一つに、これは前にも読み上げたことがあるんですけれども、念のため読み上げさせてもらいますけれども、議事録です、そのときの。  もう一つ、ただ委員が御心配になっている、国債を、GDPが余りふえないとすると、しかし国債はずっと人口に関係なく積んだものは残るわけですから、それを返せるかどうかというのは、これは一つの問題になりますね。ただ、これもあえて言えば、国債を返した国なんてほとんどないと思います。国債なんか返せないんです。国債を返そうと思ったら、巨額の黒字を何十年も出し続けなきゃ返せないですから、そんなことは普通の国ではできないわけですね。ただ、何をやるかというと、財政再建というのは、国債を返すことではなくて国債がせいぜいふえないようにする、 云々ということを御答弁いただいたわけで、大臣そのものはいろんな思いがあるとは思いますけれども、この文面からだけいきますと、どっきりするわけですね。  返せない、国債。個人でも持っているわけでございますから、どっきりするんで、私はマスコミ等がいろいろ指摘されるのかなと思ったら、マスコミの方々はそういうことに麻痺されているのか、あるいは竹中大臣の真意を十分酌み取っておられるのか、余り問題にならなかったんですけれども、私は問題意識を多少持たせていただきまして、その後、財務大臣あるいは小泉総理にも、こういうあれがありましたけれども、どうお考えですかという御質問をさせてもらったことがあります、財務大臣、覚えておられると思いますけれども。  そのときに、やはり非常に好意的な御答弁で、これは今すぐではないだろうということで、お二人ともそういう御答弁。私もそうかなと思うんですけれども、この今読みました文面からはそういう意味が全然酌み取れないのは事実でございまして、そういう意味で、皆さんがそう言うのであれば、私も推定すればそんなことかなと思ったんですが、実はこういうことを私はEメールやなんかで選挙民の方々に流しているんですけれども、先日会った一国民の方が、あれが本当なら私はもう国債、売っちゃおうかしらという、こういう発言が出てきたんですね。  それと、最近、新聞なんかでも、個人向け国債ですか、そういうものの発行を検討されているとか、けさの新聞でも、コラムの中で小泉総理が、何か五百六十九万だったですかね、ボーナスが出て、それに対してどうお使いになるんですかと聞いたら、個人向け国債でも買おうかなみたいな談話を出されているんですね。  したがって、これから個人に対しても、そういう投資といいますか、そういうことがあるとすれば、この際、やっぱり前回の財務大臣総理大臣の御答弁だけでなくて、竹中大臣自身の御答弁を、釈明といいますか、解説といいますかは、私は何かもう一つ大臣の気持ちの中に我々に思いの至らない何かがあるかもしらぬという気持ちがあるものですから、ぜひこの辺をお答え願いたいと思います。
  147. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 前回の議論させていただいたときのことをよく記憶しております。改めて今議事録を御指摘いただきまして、私の説明もやはり言葉足らずの面があったかなというふうに思います。  国債は借りたものを返さないなどとそのまま言ってしまったら、確かに国債をお持ちの方は大変不安を持つのかもしれません。そのとき私が指摘させていただいたのは、たしか例えばナポレオン戦争の後のフランスでありますとか第二次世界大戦の後のイギリスでありますとか、膨大な量の国債を発行してしまって、それをじゃ現実に返したかというと、これはどこかでは返していたと考えられなくもないんですが、現実には国債の残高というのはほとんど減らないんですね。国債を返したら、ネットで返したら国債の残高は減ります。でも、国債の残高を減らすということは現実の社会では至難のわざで、これは前回申し上げましたけれども、非常に大きな財政黒字を何十年も、場合によっては百年も出し続けないとそれを返すことはできない。そういうことはやはり現実問題としては困難であって、やらなければいけないのは、まずこの国債の残高をこれ以上ふやさないようにすることである。国債の残高をふやさないようにしていれば、経済は少しずつ、これは毎年二、三%ずつ成長していけば、二%成長すれば三十五年でGDPは二倍になるという計算になりますので、長期的にこの国債の負担を小さくしていくことができる。これがまさにプライマリーバランスを回復させるということの意味であって、これが当面私たちが目指すべき方向ではないのでしょうか。そういうことを申し上げたわけです。  ただし、ここで重視しなければいけないのは、今、委員御指摘のありましたように、国債を持っている人は、償還期限が来ればこれは返す、当然のことながら政府からは返してもらえます。ただし、そのとき政府は、通常の場合は国債の借りかえを行いますので、国債の残高は減らない。個人としては、国債は当然のことながら返してもらえますが、量的に見た残高はそんなに簡単に減らすことは難しい。そういう趣旨で申し上げまして、マクロの問題とミクロの問題を少し混同するような表現であったかもしれない、その点をひとつ御理解賜りたいと思います。
  148. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それはわかります。  そこで、じゃ国債というのは減っていくのかという、これは次の質問に入りたいと思うんですけれども、今、国債三十兆円枠を守ると小泉総理が盛んに頑張っておられる。確かに結構なことだと私は思います。それで、片や、何といいますか、そんなことは景気対策を考えたら守れないというような声、盛んに最近出てきている。何かそれを見ますと、今一つ、三十兆円枠というのが一つの目標みたいな感じに見えてしようがないんです。ことしはそれは目標かもしれませんけれども、この今、竹中大臣が言われた累積する赤字がふえないようにするということからしますと、三十兆円枠は目標じゃないんですね。三十兆円の、例えば三十兆円この先続けていったら、今の六百六十兆がふえちゃうわけですよね。それはもう御存じだと思うんですよね。だから、そういうことからすれば、そこにしっかりとしたこれからの財政の赤字の解消の方法というのは何か示していただかなきゃいけないと思うんですけれども。  まず、余りいろいろお聞きしてもあれですけれども、三十兆円枠をことし堅持されるという、確かに堅持していただきたい、それはそうあってもらいたいんですが、その辺の御覚悟を財務大臣、ひとつここで、あると思うんですけれども、お話を願いたいと思います。
  149. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 岩本さんも県で理事者をして財政を切り回しておられたから、財政と政治という関係は十分に御存じだと思うのでございますが、先ほど三十兆円は目標であると、こうおっしゃっていましたが、私は目標とは思っておらないんです。これは非常に大きい政治の決定だと思っておるんです。でございますから、この政治の決定を動かすのかどうかということが非常に大事なことだと私は思うんです。  それはなぜかといいましたら、この三十兆円という枠を締めましたことによりまして、一つは財政上の効果として、先ほど竹中大臣からお話ございましたが、速やかにプライマリーバランスへ持っていく一つのかんぬきを入れていった、基準をつくっていったということになるということがある。私は、国債発行の残高よりも、プライマリーバランスがかっちりと確保されておるかどうかということが健康な財政かどうかということの基準にしております。こういうことが一つございます。  それからもう一つは、何で三十兆円ということを私は政治としてとらえておるかといいましたら、従来ずっと長年やってまいりました日本の財政というものは、高度経済成長の中においてその前年度、対前年度比の中において組まれてきました。これがために、コストの意識というものは非常に薄れてきております。それと同時に、めり張りといいましょうか、必要度というものに対する、行政効率というものに対する認識が非常に薄いということを、私は、これはだれも肯定するであろうと思っております。  そういう意識を転換しようとするならば、どこかで意識転換のためのそういういわばくさびというものを打っていかなきゃならぬと。そのくさびは、もうこれ以上金出さないんだよという一つのやり方というものでやって、これ以上金出さないということのやり方のためには何が一番いいかといったら、これ以上は国債発行しないで、財政の節度というのはここで切っていますということを示すことが必要だと思っておりまして、私はその二つの意味、つまり財政の健全化ということと同時に、いわゆる公的資金の使い方といいましょうか、それをもっとしっかりと認識してもらいたいという意味におきまして三十兆円ということをあえて申し上げておるということでございます。
  150. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私は、三十兆円を目標だと言ったんでなくて、今、三十兆円が目標かのように見られて政治折衝がされているということを申し上げたんで、私は、だから財政の健全化というのは、それは当然最終の目標であると思っております。  それと、大臣言われた政治というものの、私なりに解釈すれば、これは世の中を動かしていくから我々の常識では考えられない、これが永田町の常識ということに通ずるのかもしれませんけれども、そういうものがあるんだというようなお話かと思いますけれども、私はそれも全面的に否定しないわけでございますけれども、ただ国民に見えなきゃいかぬ。幾ら政治が、これは政治の論理でやっているといっても、国民が、今何やっているんだ、どっちの方向に行くんだということがわからないようなことは許されないんじゃないのかなと思いますのでこのような質問の仕方を言っているわけでございまして、それと、通告とはちょっといろいろ狂いますけれども、例えば来年の予算編成についてなんかも、当然、公債費なんか見られると思うんですけれども、やっぱり一般国民として見た場合は、今これだけ厳しい状況になって国の予算というものは何かと考えたら、だれが考えても、原則は、古い昔からのことでしょうけれども、原則は税金あるいは税外収入、そういうものの範囲でやるというのが大原則だと思うんですね。  それに対して、やはりある程度の投資をして活性化して、それによって国の収入を得る、それがとんとんになるかあるいは経済の活性化になるかと。これが私なりに解釈すれば建設国債だろうと思うんです。それ以外に、どうしてもこの金がなけりゃ首が回らなくて、あしたの生活、きょうの生活ができない、そういうものの解釈が特例国債じゃないかなと、こう思っているんですけれども、そういうことを、政治ですから、全部がだめで全部がいいというわけでなくて、そういうことの組み合わせがやっぱり予算編成の中でないといけないんじゃないのかなと。  したがって、去年、国債が二十八兆ですか三十兆ですか、そういうものを出したからことしもそのぐらいでいいじゃないかと。これは気持ちの上ではわかりますけれども、そういう気持ちだけで国民に今説明し切れない状態になっていると思うんですね。  したがって、今度の予算案についてもその辺を、国債を発行するということについて財務大臣は、国債発行を含めてどのぐらいの予算を、これは観念論で大変申しわけないんですけれども、どういうふうにお考えになっているか、その辺ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  151. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、予算が資金面で非常に窮屈になっておりますので、主計官等に経費の見直しを非常に強く要望しております。  その結果、例えばの話ですが、公共事業につきまして一%削減とお答えしまして、それによってそれじゃ事業量が思いっ切り減ったのかといったら、減っていないんです。つまり、コストがそれだけ見直されてきたということなんです。  私は、日本経済が悪い、これはもう確かに悪いことは悪いという、これは認識しております。悪いのは企業が転換をしつつあるその過程においての悪さであって、ここから抜け切っておらない、まだ抜け切っておらない。でも、個人は蓄積が十分ありますので、そんなに悪くない。けれども、これをこのままでほっておいたら、企業の不況というものがいずれ個人の生活に影響してまいりますから、そのスパイラルが怖いので、ここらで景気を直していきたいと、こう思っております。  そのためには、まず企業が健全な体質に早く戻してくれて、企業が新しく設備投資を始めてくれることだと思っておりますが、これは銀行の関係と、つまり金融と企業の体質改善というものと相関連してもう少し努力していかなきゃならぬだろうと思っておりまして、その体質改善が進めば、必ず日本経済の潜在的供給能力というものと潜在的需要というものが相マッチして活性化してくると、私はそう信じております。
  152. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  財務大臣のお話、大分私が最後に用意した質問に近づいてきた感じがございますので、大変ありがたいと思っているんですが、私も、今、財務大臣が言われるその手法というのは大変結構だと思います。だから、今国民はみんなある程度の痛みに耐えていると思うんですけれども、痛みに耐えてから大分日にちもたっているわけですね。このあたりで、やっぱりどういう方向に行くのか、どういう方向の日本に向かうのか、あるいはどういうふうになったら今の政府は今の日本社会が健全に戻ったというふうに御判断されるのか、その辺のイメージといいますか図式が今国民の前に見えてきていない、これが一つの非常な不安材料でないのかなというような気がするんです。  例えば、一方では、新聞では、経済成長率がマイナスになったとか、失業率が五・何%になったとか、非常に不安な気持ちを駆り立てるような、倒産が幾つあったとか、そういうものばかり出ている。これは恐らく昔の世の中の判断基準の一つではないかなという気がするんですね。  だから、私は、そういう指標でもいい、あるいはそうでない指標でもいい、何か新しい改革された後の日本というのはどういうものだと、例えばこの指標がこうなったらいいのか、こうなることを期待しているのか、そういう一つ前のイメージといいますか見通しをもう出していただいていいのかなと思うんですけれども、したがって、これを僕は小泉総理に質問したかったんですが、そういう機会がございませんので、まず竹中大臣からお答え願いたいと思います。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 痛みを覚悟して改革を進める、財政を含むその構造改革を進めていく、その先に一体どういう日本が見えてくるんだろうかという、委員の御指摘はまさにそういう問題だと思います。  私どももまさにそういう問題意識を持ちまして、今経済財政の中期展望というその中期的な展望をつくるという作業の最終的な段階に差しかかっております。これはまさしく、先ほどからも議論が出ているプライマリーバランスの回復に向けてどのような姿を私たちは描いていけるか。平成十四年度の予算というのは、その第一年度としての、一歩としての重要な意味をしたがって持ってくるわけでありますけれども、財政についてそういう姿を示す。同時に、集中的な調整期間をここ二年と定めて、その後に経済が目に見えた形で潜在力を発揮していくような形に持っていける、そういうようなシナリオをその中でぜひ議論したいというふうに思っております。  同時に、決してこれはマクロの数字の話だけではなくて、今議論されておりますのは、これは諮問会議等々のそれぞれの報告で既に外に出させていただいておりますけれども、人を何よりも重視する国である、人が活躍できる仕組み、人をはぐくむ社会環境、人と自然環境の調和を目指す、そういった意味で、この国に生きることに誇りを持ち、世界の中で魅力ある国をつくっていくんだと、そういう議論をまさに今中期展望の中で行っておりますので、御議論をぜひ深めさせていただきたいと思います。
  154. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういう御検討をされて、やはり景気に対するもろもろの政策も必要でしょうけれども、そういうことを啓蒙する仕事というのもやはり今政治に課せられていることだろうと思います。  財務大臣一つだけ、今のこういうお話は、僕は個人的なお話で結構だと思うんですけれども、財務大臣としての御見識から将来の日本の姿というのはどういうふうに、ぜひとも大臣にも長生きしていただいて一緒にやりたいと思うんですが。
  155. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、まず第一に、旧来の護送船団方式の経済体制を六十年間日本政府はやってきたんです。これをぜひ破壊して、やはり自分で自由な活動をしたい、それがためには規制の緩和です。規制緩和と、政府は民業を抑えたらいかぬと、これの開放をやっていくということがまず大事だと思っております。  それから二番目は、新しい時代を迎えるためには若い人に希望を与える。これは何か。もっともっとしっかりと科学技術の分野に新しい分野を開いていかなきゃなりません。日本は重厚長大時代にそういう基礎的な研究開発を怠っていました。それが今日、中央と東南アジアからおくれをとってきた原因でございますから、この科学技術の金にはうんと国家資金を入れて新しい分野を開いていく。これによって若い子が必ず目を光らせてくれると思っております。  この二つです。
  156. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
  157. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由民主党・保守党の保守党の月原です。  きょうは、農林関係それから文教科学関係と金融関係、このことについて質問させていただきます。  私は、限られた時間ですので端的に質問しますので簡潔にお答え願いたいと、このように思います。  まず農林水産省にお尋ねいたしますが、北朝鮮に対する政府米を利用した食糧支援は合計で百十六・七万トンということでありますが、非常に話題になった十二年度のWFPを通じた五十万トンの支払いはいつ完了したのか、そしてそれはどこの船を使ったのか、このことについてお尋ねしたいと思います。
  158. 石原葵

    政府参考人石原葵君) お答え申し上げます。  WFPを通じました北朝鮮に対する五十万トンの米支援でございますけれども、本年の一月から順次積み出しを開始いたしまして、九月二十七日に最終船の積み出しを完了したところでございます。  また、今回の米の支援につきましては、WFPの方で用船をいたしまして、一船当たり一万トンを船積みしたところでございまして、延べ五十船が用船されたことになりますが、その船籍は、北朝鮮が四十四船、中国が三船、シンガポールが二船、セントビンセントが一船となっております。
  159. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 この国籍の問題ですが、これは日本の国が実質は援助しておるわけですから、私は余りにも船が偏り過ぎておると、こういうふうに思います。それは意見が言えるわけです、我が国が援助しておるわけですから。その点はもっと強く指導していただきたい。今後援助するかどうかは別として、今後の課題としてお願いしたいと思います。  さて、この前の、この前というかおととしの決算委員会で私は、米について北朝鮮と延べ払い輸出をしているものがある。これは御承知のように、平成七年六月に十五万トン、十月に二十万トン、これは延べ払いということで食糧庁とそれから北朝鮮国際貿易促進委員会、その間で約束されておる。契約内容については、据え置きあるいはそのうちの償還という、具体的なことはここで省略いたしますが、これのものは毎年支払うということになっておる。利子据え置きの部分についても、毎年それぞれ五月三十一日あるいは九月三十日、年に一回払えよと、こういう約束になっておる。この支払い状況はどうなっておるのか。そして、この支払い状況で一番最後に督促したのはいつなのかということ。そして、向こうはどのような返事をよこしておるんだと、ナシのつぶてか、その点をお尋ねしたいと思います。
  160. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 平成七年度に北朝鮮に対しまして米の延べ払い輸出をしているわけでございますけれども、その契約では、最初の十年間は利息のみの支払いがなされることになっております。  それで、一年目の利息につきましてはほぼ返済、これは総額で八千四百万円ということでございますけれども、そのうち千五百円だけが未納というふうになっております。この一年目の利息はそのようになっておりますが、二年目以降の利息は支払われていないという状況でございます。  それで、先ほど委員の方からもお話ございましたように、この未納分につきましては契約の相手方でございます北朝鮮国際貿易促進委員会、これに対しまして毎月督促をしているということでございます。これまで総計五十六回にわたりまして督促状を送付しておりまして、直近は本年の十一月九日付ということでございます。これに対しましては、これまで返答がないという状況でございます。
  161. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今の私の質問に対するお答え、私は、この前もしたときに、食糧庁が着実にちゃんと督促をしておる、この態度は大変正しいし、しっかりやってくれということをお願いしたわけでありますが、今言ったような状態であります。  これについて副大臣はどのようにお考えになっておるか、お尋ねしたいと思います。
  162. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) お答えいたします。  延べ払い契約の未納分につきましては、支払い督促状を送付しているほか、昨年の日朝国交正常化交渉第十回本会談におきまして、我が国政府代表団から北朝鮮代表団に対しまして債務の支払いについての督促発言がなされたところであります。  なお、北朝鮮側からは前向きの回答が得られなかったが、今後とも、督促方法の改善を含め、引き続き粘り強く支払いの督促を行ってまいりたいと思っております。
  163. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 副大臣の言われたこと、私は了解いたします。やはり国がちゃんと契約したわけですから、守られないということは国をなめてかかってきておるということです。威信にかけてもちゃんとしたことを処置していただきたい、そういう姿勢を保っていただきたい、そのことをお願いして農林水産省に対する質問を終わります。  次に文部科学省でありますが、この前も私はHⅡロケットのことについて御質問させてもらったわけですが、会計検査院もこの十一年度の報告を見ますといろいろ提案しております。  それについていろいろ私も質問を考えたわけですが、今限られた時間ですので申し上げますが、技術向上のため大学や関係機関の知見導入の仕組みを考えなさいということ、あるいは技術面での蓄積、評価、充実のため、企業を含めて外部専門家への招聘の仕組み、そういうものを考えるべきだ、こういうふうなことを言われておりますが、副大臣、それはどのように扱われておるでしょうか。
  164. 青山丘

    ○副大臣(青山丘君) HⅡ八号機の反省の上に立って会計検査院から指摘をされてきました。それから同時に、宇宙開発委員会からも同様の指摘を受けているところであります。その意味で、HⅡAロケット開発について開発責任をできるだけ集中していく、いわゆるプライム化を図っていくことという取り組みをしてまいりました。  それから、技術基盤の向上についてでありますが、現在、私が座長となって宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所、それから宇宙科学研究所の統合に向けてその準備会議を開いておりますが、その前に既に本年四月の六日から運営本部を設置いたしまして、三機関の知見、経験を集約して特に重点的に推進をしていく、こういう取り組みを行っているところであります。  また、大学の先生、企業の関係者あたりを招いて、外部の専門家の活用によって宇宙開発事業団への外部専門家の招聘を大幅に実はふやしているところでございまして、平成十一年度約二百名が平成十三年度には約三百名に増員をしているところでございまして、研究開発及び評価活動に活用させていただいているところでございます。
  165. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 検査院の指摘、私もたまたまその委員会で同じような指摘をしていたところですが、そういうことを取り上げて副大臣のもとで実施もし、さらに検討を進めておるということは、その方向でお願いしたいと思います。  今後のロケットの打ち上げ計画というものを見せていただくと、平成十四年度に試験二号機を上げると。それから、そのほか平成十四年には三機打ち上げる、また平成十五年には二機打ち上げる、平成十六年には四機を打ち上げると、こういうふうに計画されているわけであります。ということは、ロケットの打ち上げがメジロ押しだということですね。  よくよく考えたら、HⅡは相当延びたですよね。幸いなことに八月二十九日に成功したと。皆拍手喝采したわけであります。しかし、考えてみたら、ヨーロッパの方が載せて打ってくれというのはもう除いて、空打ちという、ちょっとこれは極端な話になりますが、そういう状況だったわけですね。  HⅡAというのはHⅡからさらに進歩というか商業衛星にペイするような、あるいはいろんな工夫をされたわけでありますが、しかし今度、私が今申し上げた試験二号機というのは、これはHⅡA、この間打ち上げたのとまた大分変わるんですね、相当複雑なものになってきておるわけです。ということは、この打ち上げも成功しなければならないし、これが恐らく今後、今私が申し上げたメジロ押しの衛星の打ち上げる母体になるわけですね。そういう意味では、今度のロケットが勝負なんですね。そういう意味で、今、民間との分担というものも考えて、またプライムコントラクターという考えも取り入れたということは、非常に正しい私は方向だと思います。  ここで私が強く希望したいことは、これはどんな高価なものを、この間運輸省訴えられたですよね、宇宙事業団は。おれのところのとらの子を打ち上げてもらったんだけれどもポシャったじゃないかといって、損害賠償で、裁判所までが入って二十数億の問題が出てきておったでしょう。  だから、そういうことを考えると、今度は複雑なロケットだから、このロケットに集中せぬといかぬわけですよ。検査院の指摘にもあるように、何か開発費がちょっと落ちてきておると。恐らく、丸ごと何ぼと渡すと、その中のロケットの力関係によって、まあロケットは大分進んでおるから、おいこっちの頭の方を、要するに衛星の方の中身の方をちょっとやろうじゃないかといって、大体、私も昔携わったことあるんだけれども、そんなものなんですよ。それでロケットの開発費が落ちてきた場合に、これはHⅡAが上がったからといって安心できるんじゃない。HⅡAと同じ形のものを今度打ち上げるんじゃない。二号機は、人によれば実質的には相当違うものだと言われておる、複雑なものなんだと。  そして今、トンチンカン、トンチンカンと、何というか、名人芸でロケットをつくっておった。今後はこのロケット、次に打ち上げるロケットの形は、今申し上げたように我が国にとって非常に大きな役割を果たすいろいろな衛星を打ち上げる母体になっていくわけですから、ここにしっかりした、量産と言ったら言葉は悪いですが、名人芸を脱した本当に生産過程に入っていくような、そういうようなロケットをつくっていかぬといかぬわけです。  だから、私はそういう意味で、もう今、一月だと言っておるから遅いかもしれませんが、とにかく万全を尽くしてこのロケットを打ち上げるということに重点を置いていただきたい。このことを強くお願いしたいと思います。  そこで、このロケットそのものは、大体HⅡは百八十億とか百九十億とか言っておったんですが、今度は八十五、六億にしたいということですが、そういうコストダウンということは実現する見通しなんでしょうか。
  166. 青山丘

    ○副大臣(青山丘君) まず第一に、HⅡAロケットの打ち上げ成功、来年の一月三十一日を予定しておりますが、民生品を宇宙で実用化できるようにという計画を持っておりますが、これの成功に向けて全力を尽くしていきたいと思っております。  それから、八十五億円以下に削減することが可能なのかということでございますが、私どもの見通しでは、八十五億円以下で製作することは実用の段階になれば可能であると思っております。たまたま試験機一号機はいろんな試験機器を載せておりましたから少しオーバーしておりますし、試験機二号機ももっと搭載試験機器を載せておりますから少しオーバーしますが、試験のデータがきちっととれてロケットとして打ち上げ可能な段階は八十五億円以下になるものと考えておりまして、それの成功に向けて宇宙開発事業団をしっかり指導していきたいと考えております。
  167. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 宇宙における最も基本的な話であり、先ほど財務大臣は、夢を持たすために科学技術に金使わぬといかぬと。金を使うことは大切なんですが、やっぱり効率的に、しかも国民から本当によくやったなと思われるようなものにやってもらいたい。今、座長としていろいろやられておるんですが、それが成功することをお祈りして、文部科学に対する質問を終わります。  非常に短い時間で申しわけないんですが、柳澤大臣、わざわざ申しわけありません。  ということは、ペイオフということ、内閣総理大臣は、来年四月、延期するつもりはございませんと。それから、柳澤大臣自身も、既定方針どおり四月からペイオフの凍結を解除すべきである、こういうふうに考えているわけだと国会で答弁もされておる。ところが、もう方々でいろいろな意見が出ておる。与党の中の最大実力者と言われている麻生政調会長までが、これは個人的な意見でしょうが、また言っておる。  これは来年四月から始めるわけですよね。そして、金融庁が非常に努力されて着々と進んでおると私は思うんですよ。そういうときにいろいろな意見がある、またこれを延ばしてくれるのかなと。経済状態等で延ばすのも、それは一つの方法でしょう。しかし、そこらのところをもうはっきりせぬと計画どおり進んでいかぬと思うんですね。  そういう意味で、非常に皆が心配している点は何かというと、ちょっと時間がないので質問を飛ばしますが、大臣からお答えしていただきたいんですが、要するに、ある有力な評論家が言っているのは、大口預金者の逃避の問題が起こってくるんじゃないか、それから中小企業への貸し渋りが起こり地域経済への影響が出てくるんじゃないかと、こういう点が言われておるんですが、その点はどういうふうに手当てを考えられておるんでしょうか。
  168. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 月原委員におかれましては、ペイオフの準備が金融庁として着々と進んでいるというふうに観察するんだけれども、いろんな人がいろんな意見を言っておると。そういう中に、まず第一に大口預金の逃避があるんではないか、こういうようなお話があるけれども、それについてどう考えるかと、こういう御質問をまずいただきました。  私ども、いろいろ預金者の動向を今注意深く見ておるわけでございますけれども、基本的に現在、預金者は大口預金の小口化、分散化というようなものを図っておられるというのが主流でございます。また、業態と私ども申すわけですけれども、例えば都市銀行と信用金庫あるいは地方銀行というような、いろんな業務範囲を基準にした区分があるわけでございますが、そういったようなものについて、ある業態が非常に人気がなくなっちゃって、ほかの業態に預金が大挙して移動しているというようなことも実は認められません。現在までのところ、各業態ともに預金が伸びておるというようなところが観察されておりまして、私ども今御指摘の評論の中で指摘されるようなことは認められないし、また、今後もそういうことはないのではないか、少ないのではないか、このように考えております。  第二は、地域経済であるとか、あるいは貸し渋りというような面への影響はどうなんだろうか、こういうことでございますけれども、御心配の向きはどちらかというと地域の金融機関、これには業態としてはいろいろ地方銀行から第二地銀、あるいは信用金庫、信用組合、こうあるわけでございますが、どちらかというと総じてこのような方々の、預貸率と申しますけれども、預金を受け入れてその現場でお貸しするという貸し金と預金との比率は預金の方が非常に多いというような比率が出ております。そこで、正直申して少々の移動があったとしても、中小企業金融であるとか地場産業への金融というものが何というか困るようなことにはならない、このように考えておる次第です。  大変失礼しました。
  169. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、柳澤大臣からお話があったこと、データなんかを見るとやはりそういう形が出ておると思います。  そこで、問題は周知徹底されておるのかと。大口の方の企業とか法人なんかのを見ると、公金とそれから法人などを見ると、やはり相当こういうことが判断されて動かしておるというのがデータで出ているわけです。  それで、この間「私たちの預金と保護のしくみ」という、私はこれを読んで本当によくわかったんで、こういうパンフレットもつくられておると思いますが、まだまだ、知っておるのかとこう聞いたら、これは御承知だと思うが、よく知っているというのは一けたですよね。まあある程度知っている、聞いたことはあると、ここらを入れると相当の数になるわけですけれども、これをできるだけ狭めていかぬといかぬ。  私はそういうことについて、PRの方法についてはどういうふうにしておるのかということを、最後ですから質問。  それから、これは最後は、政治と、もっといえば柳澤大臣に対して国民がどれだけ信頼するかの議論だと私は思うんです。そういうことで、今度のペイオフについて現在の態度はどういう態度で臨もうとしておるのか、そのことをお伺いして私の質問を終わります。
  170. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) お答え申し上げます。  PRの点につきましては、私はこの年度の割に当初から、これは計画的に着々といろんな手法を使ってやっていかなきゃいけないということを指示を出しております。金融庁のそういうパンフレット類なども、ポスター等もございますけれども、同時に内閣府の政府広報予算、これについてもお願いをしまして、いろんな形でメディアを使いましてPRいたしております。  若干、今先生御引用、御指摘になられた資料は時期的にちょっと古いわけでございましょう。少し低目の数字が出ていたようにお聞きしましたけれども、私どもとしては着々と国民認識は進んでいて広報の成果は上がっておる、このように考えております。  それから決意いかんということでございますけれども、これは同時に余り不安を呼び起こさないようにしなければいけない。正しい知識を持ってもらって適切な対応をしていただくことはちっとも構わないんですけれども、不安を呼び起こすようなことは、これは断固あってはならない。  ですから、PRもそこのあたりを十分配慮してやらせていただいておるつもりでございますけれども、そのように考えておりまして、私どもとしてはペイオフの凍結というのはやはり臨時異例の措置である、こういうものはやはりシステムの危機というようなことが現に起こりそうだというようなとき以外にはこういう措置はやはり撤廃すべきであると、このように考えておりまして、私どもの気持ちとしては四月から予定どおり粛々と解禁をさせていただきたい、またいただくつもりだと、このように申し上げさせていただきます。  ありがとうございました。
  171. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 終わります。  ありがとうございました。
  172. 中原爽

    ○中原爽君 自民・保守党の中原爽でございます。  本日は、平成十一年度決算の報告にかかわります全般的質疑ということでございますので、最初に総論的な事項といたしまして、会計検査院における平成十一年度決算の報告につきまして、その特徴並びに検査業務に対する今後の体制、つけ加えて、この体制強化についての会計検査院としての対応をお聞きしたいと思います。  決算の審査にかかわります観点は次のようなことであるとされておりまして、一番として予算執行状況の正確な確認をすること、二番として予算執行にかかわる適法処理、適法に処理されているかという確認、三番目として予算事業の経済性の確認、むだ遣い、それから四番として予算関係の事業の目的が達成されているか、達成度を確認すると、それからあとはいわゆる会計上の必要事項を確認すると、こういうふうに言われているところであります。  以前、私は、この決算予算、国の問題につきまして、「会計検査研究」といういわば学術雑誌に載っております論文のことをお話し申し上げたことがありまして、大変難しい表現の論文でありますけれども、九州大学経済学部伊東弘文と言われる教授の方の論文であります。  大変難しい表現なので少し要約をしてみますと、この論文によりますと、予算決算は別のものとしてあるのではなく、編成や審議の過程にある予算、すなわち決算過程にある予算が本来の予算であるにもかかわらずそのように国会サイドではみなされていない、こういうような表現をされております。本来、予算はその予算執行過程で予算項目が実質化され、最後の執行過程で事後統制としての決算段階で決算は完結すると、こんな表現であります。大変難しい表現でありますけれども。したがって、決算過程にあるものが予算であると言われるけれども、憲法九十条が定めております国会へ提出を要求している規定は収入支出の決算の報告であるのに対し、一方、憲法八十六条が国会へ提出要求をしている予算にかかわる議決というのは単に予算ということだけであって、収入支出の予算に限定されていないということなので結果として予算決算が表裏一体のものとして理解されていない、こんな趣旨が論文の趣旨でございました。会計上の観念では、決算の結果というのは予算編成にフィードバックするというのが必要でありまして、予算から決算への過程が政策にかかわる事業執行を反映するべきものだということであります。  これらの概念から考えますと、会計検査院の検査における状況については、国の施策、それから事業に対する政策評価というところまで踏み込んで会計の検査をされるべきだという表現といいますか、そういう御意見があるわけであります。  一方、審査にかかわる観点から、国の施策に対応した当該年度ごとの検査報告というのが行われるわけでありますけれども、国の基本的な予算の枠組みというのはそう大幅に変わるわけではありませんけれども、しかし、その年度ごとに特徴的な結果が出るということも事実であります。したがって、先ほど申し上げたように、十一年度決算報告の特徴というものについて御意見、検査関係の特徴的なことをお尋ねするという趣旨でございます。  それから、省庁再編が進んできたわけでありますけれども、行政改革の動向にこれから会計検査院として適切に対応されるためには、やはり検査を進めていく物理的なタイムリミットというものがあるわけでありまして、それ以上は検査の時期を早めるということは不可能という時点があります。したがって、それに対応するのには、検査要員を増員するとか、あるいはIT化を進めるとか、そういうことが必要でありまして、この意味で充実強化をどういうふうに考えておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  173. 金子晃

    会計検査院長(金子晃君) 委員のただいまの御意見のとおり、会計検査院でもそのように考え、検査を実施してまいりました。会計検査院は検査に当たりまして基本方針を定め、そしてその基本方針に基づいて各検査の現場において計画を立ててもらい、そしてその計画に従って検査をするという形で検査を進めております。  今、問題になっております検査報告についての検査に当たりましては、まず少子高齢化の進展、グローバル化などに見られるような我が国の社会経済の動向や財政の現状を十分踏まえた検査を行っていくということを第一の柱に掲げました。また、第二の柱として、不正不当な事態に対する検査を行うことはもとより、さらに事務・事業の業績の評価、先生今おっしゃる政策評価を指向した検査を行い、必要な場合には制度そのものの存否も視野に入れて検査を行っていくこと、これを二番目の柱にいたしました。そして、これらを基本方針とし、これに従った検査に努めてきたところであります。  その結果でございますけれども、まず社会経済の変化の動向に対応した検査をした結果、どのような結果を出すことができたかを言いますと、国民年金の第三号被保険者がその資格要件を欠いた場合の種別変更の届け出と保険料の納付が適正に行われるよう改善の意見を表示したものがございます。また、金融機関の貸し渋り対策として創設されました中小企業金融安定化特別保証制度の実施状況とその効果を検査した状況も掲記をいたしました。さらに、学校給食施設の規模が児童生徒数の減少に対応したものとなっていなかったために、それに対応するものになるように補助制度を見直す措置を要求するということもいたしました。  また、厳しい財政の現状を背景に行政改革が強く求められている中で、事務・事業や施策の経済性、効率性、特に有効性の観点から事務・事業について検査をした結果といたしまして、東京湾アクアラインや地方空港において実績が需要予測を下回り収支状況が悪化している事態を検査、分析したものを掲記いたしました。また、水田麦、大豆の生産振興のための補助事業について、事業を効果的に行うよう改善の措置を要求したものなどを掲記しております。  このように、検査方針に従った検査の結果というものを出すことができたというふうに考えております。  次に、会計検査院の検査体制の充実、今後についての質問でございますけれども、平成十三年一月に中央省庁の再編が行われましたが、それに対応するという形で組織の再編を行っております。また、社会経済の動向に対応した検査を実施していくというために、検査組織の見直しも行いました。また、委員御指摘のIT化に対応した検査もしていこうと、それに対応するような組織の変更も行ってまいりました。  会計検査院といたしましても、国家機関の一つでありますので、予算や人員にそれなりの制約があるということを認識した上で、人員の漸増を図りながら検査方法の見直し等を行いつつ、より効率的、効果的な検査が行えるよう、引き続き適時適切な組織体制の見直し及びIT化への対応、検査要員の研修の充実強化等に努めて、検査能力の向上等に努めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  174. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  次にお尋ねしようと思っております質問でございますけれども、きょうお手元に配付をされております通告表、私のところの通告の二番の問題でありますが、今、会計検査院長からのお答えの中にもございましたけれども、年金制度上、第三号被保険者に係る問題の根本的な改善ということでお尋ねをしようと思っておりましたけれども、先ほど同僚議員の田嶋陽子委員から、この三号被保険者に係る問題については大変適切な御質問が出ておりまして、十分な質疑がなされたということであろうと思いますので、私が重複をいたしまして第三号被保険者に係る問題をお尋ねするということは、今回割愛をさせていただこうというふうに思います  しかし、お答えの中で、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会、既に十六回の検討会が行われておりまして、間もなく報告書も出るということのお答えもございましたので、この点については将来とも年金制度上やはり問題点でございますので、これからもこの問題について考えていきたいというふうに思っております。  それで、次でございますが、会計検査院のこの十一年度決算報告書は、国民健康保険に対します療養の給付の補助金、それから療養給付費の負担金、それから財政調整交付金、この交付につきましてそれぞれ不当事項が指摘をされているところであります、金額的な問題ということではございませんけれども。国民健康保険につきましては種々の国庫助成が行われているわけでありまして、この国庫助成の種類の概要と、それから国民健康保険制度上の構造的な問題として、こういった不当事項の御指摘が将来も引き続いて起こるという可能性があるわけでありますので、この問題につきまして厚生労働省から御説明をいただこうと思います。  しかし、先般、政府与党社会保障改革協議会は医療制度の改革大綱をお出しになりました。その中で国民健康保険について、「国民健康保険については、保険者の規模の拡大を図るため、市町村合併推進の取組みと併せて、広域化等のための支援措置を講じる。」と、こういうふうに言っておられまして、いずれこの国民健康保険の状態につきましては改善をするということでありますけれども、当面はやはり支援措置を講ずるということであります。それと、また厚生労働省の方におかれましても医療制度の改革試案を出しておられまして、国民健康保険のあり方についても、国民皆保険の礎となっている国民健康保険は、早急な高齢化の進展や産業・就業構造の変化に伴い、中高年齢層に偏在するなど運営の基盤が大きく変わってきている、このことについて財政の支援をするという趣旨のことも述べておられます。  したがいまして、今後の制度と構造的な課題の改革が必要でありますけれども、制度改革が進捗する間は、当面、財政措置のための支援措置が必要であります。したがって、今回御指摘になっております不当事項につきまして、国保組合に対する療養給付金の補助金、一般被保険者に係る医療費の国庫負担金の交付、国保の財政力の不均等を、不均一を調整するための財政措置の交付金とこの支援措置の概略を、不当事項の概略とともに、その原因、概要を御説明いただきたいと思います。
  175. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 国民健康保険に対する国庫の助成措置の概要と、今回、平成十一年度の決算報告書において御指摘を受けました国庫補助関連の概要についての御質問でございますので、御報告を、御説明を申し上げます。  まず、国民健康保険に対する国の補助あるいは負担の制度でございますけれども、国民健康保険は、市町村が保険者になっております市町村国保、それから国保組合が保険者になっております国保組合に対する助成、大きく分けますとこの二つになるわけでございますが、圧倒的に市町村に対する負担金、補助金が多いわけで、金額的には圧倒的でございます。  市町村の国民健康保険に対する負担金といたしましては、原則的にはまず給付費の四割を定率で負担を国がいたします。そのほか、給付費の一〇%相当に当たりますものを、財政力に応じまして交付いたします財政調整交付金として交付いたしておるわけでございます。国保組合につきましても、規模は違うわけでございますが、基本的には類似の考え方によって助成をいたしております。  ちなみに、これらを合わせました平成十三年度の当初予算額でございますけれども、国民健康保険に対しますさまざまな助成措置、合計いたしまして三兆六千百十億円余りという金額でございます。  こうした助成を行っておるわけでございますけれども、先般の会計検査院の十一年度決算報告におきまして合計四十二保険者、延べ四十六保険者でございますけれども、の交付あるいは国庫負担に対しまして約八億九千万円の過大な交付があるという御指摘がございました。  その原因といいましょうか、指摘事項の内容はさまざまでございますけれども、件数、金額ともに大きなものは、財政調整交付金の交付に当たりまして、全市町村、それぞれの市町村の財政力というのを見ることになっております。その財政力は、いわばその市町村の総所得金額の合計、これが基本になるわけでございます。この総所得金額の算定に誤りがありまして、いわば過小の申告がございました。これに対して、それをベースに交付した点につきまして過大交付となったという御指摘が件数、金額とも一番多いわけでございます。  もちろん、これらの不当な支出につきましてはすべて返還をお願いし、それは措置済みでございますけれども、厚生労働省といたしましても、検査院からの御指摘を踏まえまして、保険者の事務の厳正な実施ができるように引き続き指導を進め、今後とも適正な交付事務ができるように努力してまいりたいと考えております。
  176. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  何でこのようなことをお聞きするかということでありますが、繰り返してでございますけれども、政府与党も、この国民健康保険あるいは医療保険全体につきましてやはり医療制度改革大綱に基づいてこれからいろいろな手直しをしていくということであります。しかし、そのためには、どのような制度になっておりましても、この国民健康保険そのものの構造的な問題をどのように解決するかということが図られませんと、こういった財政支援措置というのはいつもついて回るわけでありまして、こういった措置ができるだけ少なくなるということも一つ考え方ということでありますので、お尋ねをいたしました。  それでは、次の問題でありますけれども、介護保険が施行になりました後、老人保健制度にかかわる長期入院、いわゆる社会的入院の問題でありますけれども、これがけさの朝刊各紙に載っておりましたが、社会保障審議会の介護給付費分科会でこういった長期療養病院の一部をリハビリ中心の老人保健施設に転換する方針を表明されたということであります。実は私は、平成十一年の決算委員会におきまして、当時、平成八年、九年の決算外二件にかかわる全般的質疑でございましたが、そこの質疑で、老人医療費等公費負担医療に関する行政監察結果に基づく勧告の重複受診者と社会的入院者について質問をいたしました。これに対する当時の厚生省老人保健福祉局の御説明は次のようなものでございました。  一般病床に六カ月以上入院している長期、いわゆる社会的入院患者について、新ゴールドプランに基づく在宅サービスの充実、介護体制の整備、長期入院に対する診療報酬上の適正評価などの結果、当時の時点で長期入院患者は約七万人と推計をし、平成七年の推計値の約十万人から減少していると、こういうふうなお答えでございました。そして、この主な長期入院患者は介護を理由としており、患者本人の処遇の面から適切でないと述べておられまして、さらに、平成十二年度の介護保険制度の創設により適切なサービスを一元的に供給できるようにして社会的入院の解消に努めると、こういうお答えでございました。  いずれにしても、介護保険が間もなく出発するということで、社会的入院ということについては解消されるという方向だと、そういうお答えでございました。  なお、この七万人の長期入院患者につきましては、老人保健制度の対象者で平成四年から八年の間の医療機関から請求があった六カ月以上の老人入院管理料から割り出しまして、この間の減少傾向を勘案して平成十二年度時点の請求件数を推計したということで、大変複雑な操作をおやりいただいた結果、約七万人という数字を出しておられるわけであります。  しかし、現在、既に介護保険が出発をしておるわけでありまして、平成十二年度の医療保険医療費の動向推計を見てみますと、平成十一年度から十二年度の間の老人医療費というのは〇・八兆円、前年度対比で七%の減少がありまして、医療保険医療費につきまして全体についても〇・六兆円、前年度対比で二・一%の減少と推計をされております。したがって、介護保険の方に移行した部分があるんだと、こういう見方になろうかと思います。  また、先般の厚生労働省の医療制度改革試案によりますと、「高齢者の心身の特性に応じた報酬体系等の見直し」といたしまして、「療養病床については、医療保険適用病床と介護保険適用病床の機能をより明確化し、これに応じた報酬体系の見直しを行うことにより機能分化を促進するとともに、これとあわせて、長期入院に係る医療保険の給付の在り方を見直す。」と、こういうふうに表現をされております。  この長期入院、すなわち社会的入院の問題というのは、平成十二年四月の介護保険制度導入後は療養病床における長期入院患者の社会的入院の問題が今話題になっている面もございまして、その実態、私が以前に御質問申し上げた状況と違ってきているわけでございます。しかし、相変わらず社会的入院があるんじゃないかと、こういうお尋ねも多いわけでありますので、現状の実態について御説明をいただきたいというふうに思います。
  177. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) ただいまお話の中にございましたように、かつていわゆる社会的入院というのが大きな論議の対象となりました際に、当時の論議の中心は、いわゆる一般病床に御入院されておるお年寄りの中で在宅あるいは他の施設に移ることが可能という方が相当数おられるというあたりが論議の中心でございました。これも今お話の中に出てまいりましたけれども、その後、療養病床群という医療制度上の区分もでき、定着し、さらには介護保険の導入という大きな変化がございまして、私どもも当時のいわゆる社会的入院、すなわち一般病院における長期療養の方々の問題といいますのは大きく激減をしてきているという認識に立っております。  その一方で、これもお話にございましたように、療養病床の中で、例えば民間調査などによりますと、長期の入院をされておる方のうち例えば四割強に当たる方々が、容体急変の可能性も低いし、さまざまな社会的な条件整備が可能であれば福祉施設あるいは在宅で必要なサービスを受けることができるという調査結果もございます。また、療養型病床群は介護型、医療型と二つに分かれておりまして、その相互の関係も、施行後いろいろな課題も生じてきておるわけでございます。そういう意味では、一つの主要な論点が変化をしてきているということは言ってよろしいのかと思っております。  そこで、療養病床につきまして、医療保険と介護保険との役割あるいは機能分担をもう少しはっきりさせていく、明確化していくという観点、それは、その背景には当然のことながらそれぞれのお年寄りに対して最も適切なサービスが提供されるような体制に持っていかなければならない、こういう考え方ではございますけれども、その機能分担の明確化ということをもう少し突き詰めてみようというような観点から、診療報酬のあり方に関連いたしまして、現在、関連の審議会で御審議をいただいているところでございますし、また長期の入院患者につきましての保険給付のあり方、これもあわせて見直すということで御論議をいただいているところでございます。  もとより、全体といたしまして介護施設の整備でありますとか、在宅医療あるいは在宅サービス、在宅介護サービスの充実といったような一種の基盤整備も当然必要でございますから、それはそれで進めていく必要がある、こんなふうに考えているところでございます。
  178. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  今、御説明のありましたように、医療保険適用の病床、それから介護保険適用の病床、こういった機能分担についてより一層明確にしていただきまして、一般病床に長期入院をされておられますけれども退院をした場合に行き先がないという状況で、こういう問題が相変わらず起こっているということであろうかと思います。ぜひこの対応をお願い申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたように、質問を一つ割愛いたしましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  179. 佐々木知子

    佐々木知子君 関連して質問申し上げます。  まず、国家公安委員長にお伺いしたいと思います。  最近、治安の悪化が深刻な問題になっております。検挙率は史上最低、三件に一件検挙されるか否かという事態になっております。これを受けて警察官が増員されるということは非常に喜ばしいことだというふうに思いますけれども、やはり量よりも質なのではないか。  と申しますのは、九九年九月以降に神奈川県警の一連の不祥事を初めとする警察の不祥事が明るみになっております。そして、昨年の三月に警察刷新会議が発足して、公安委員会、警察をめぐる問題全般についてさまざまな議論を重ねた結果、四カ月後、公安委員会に対しまして警察刷新に関する緊急提言というものが提出されております。ですが、それ以後も変わらず警察不祥事というのは頻発しているやに見受けられます。  私はもと検察庁に勤めていた関係で、なぜ警察不祥事がこれだけ起きるのか、どういうふうにしたら警察不祥事は防ぐことができるのかという取材を受けることが間々ありますが、実はこれに対して答えが非常に出にくい。これを国家公安委員長にきょう答えていただきたいということでございます。  警察不祥事の動向というものをどのように把握されておられるか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
  180. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 大変この世界にお詳しい佐々木委員の御指摘でございます。  確かに、警察不祥事が依然として新聞紙上をにぎわす、非常に私も残念なことだと思っておりますが、一つは、今まで身内のこととして何となくかばっていたといいましょうか、何となく中でもみ消していたような案件、これがいわゆる刷新会議の御提言を受けて公安委員会できちんとこれを表に出すというようなことにしました結果、その点は私は一般論として言えば、表ざたになってきた、透明性が増してきた、これは非常にいいことではないか、こんなふうに思っているところであります。  それから、確かに件数はあるわけでございますけれども、もう一つ特徴的に言えますことは、過去の事案でございますね、これが今になって表に出てきた。これはやはり表に出てくるということが中にいる人間にとりましても怖くないというようなことから、例えば投書ですとか告発ですとか、いろんな形で表に出てくる。そういう意味では、ある意味ではみそぎをしている時期なのではないだろうか、そんなふうに私自身はとらえております。  いずれにいたしましても、こういうことをきっかけにいたしまして、さらに警察の内部の、そういう意味での何といいましょうか正常化を図るように努力しなけりゃならない、こんなふうに感じているところでございます。
  181. 佐々木知子

    佐々木知子君 さて、国家公安委員会ですけれども、実はどういうふうな活動をしているのか余り知っている人はいないのではないか。スタッフはいない、警察庁の職員を使っている。警察庁の職員を使いながら警察庁をどのように監督するのかということは、あの当時も言われたわけですが、実はその後もやはりスタッフは警察庁のそのままを使っている。  それで、公安委員会の委員のメンバーを見てみますと、委員長はもちろん国務大臣でございますけれども、あとの委員の五人のメンバーは学者、弁護士、外交官、マスコミ関係者それから実業界と。大体この方々が定年に達したら、次は回り持って同じ方々をどうやら採用しているのではないかというような感じが見受けられるわけですが、週一回定例に国家公安委員会を開催しているということなんですが、実際どのように活動しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  182. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 定例会議は、確かに国家公安委員会規則によりまして週一回木曜日ということになっておりますが、現実の活動でございますけれども、これは実際、毎日出てきていただきまして、それでいろいろ警察の職員からのそれぞれの御関心に基づくヒアリングなどをいろいろな形でしていただいている、これがございます。  それからさらには、地方の公安委員とのいろいろな御協議、これもいろんな形で活発にやっていただいておりまして、例えば地方、何県かをずっと出張されまして、各都道府県の公安委員との意見交換をしていただき、あわせて警察のそれぞれの施設を御視察いただくなど、そういうことで警察の実情に御認識を深めていただく、そんなような活動はこれは非常に著しいところだと思っております。  私自身、四月に国家公安委員長を拝命いたしましてからずっと諸先生方のいろいろな御意見というのを拝聴しておりまして、議論は非常に活発でございますし、それから非常に厳しい御質問などもしばしばというより非常にございまして、一種の緊張関係というものは警察と国家公安委員会との間にあるということを私自身も感じております。  先般、警察官のけん銃使用規範の改定というのをいたしましたけれども、これなども、たまたま一つのきっかけは、警察官の殉職事案に際しまして私が若干の発言をしたことが一つのきっかけになりましたが、その後、国家公安委員会におかれてそれぞれの委員からいろいろな御意見があり、そして、ある意味では国家公安委員会が発議して、それに引っ張られて警察庁としてもさらなる詰めをしたというような展開をたどっておりまして、私はそういう意味では非常によく機能しているのではないか、こういう感じがいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、警察の民主的管理それから政治的中立というような立場からできた制度でありますことは委員も十分御案内のとおりでありますけれども、そういう意味では、今御指摘になられましたような財界それから学界それから言論界、官界等々のある種のバラエティーのある人選、これもこれで一つの政策選択なのではなかろうか、私はそんなような感じがして今御一緒に仕事をさせていただいているつもりでございますけれども、とりわけて現在、委員の御発言が公表されるという形になっておりますだけに、委員の方々、非常に緊張感を持って取り組んでおられることは、私も日ごろ御一緒にいろいろな議論をしておりまして、これはもちろん単に公開の委員会だけ、公開といいますか公式の委員会のみならず非公式ないろいろなトーキング、いろいろな勉強会、こういったところを通じても日ごろ感じているところでございます。  それから、大変制度的な問題で恐縮でございますけれども、定例委員会のほかに臨時の委員会も、例えば今般のアメリカの同時多発テロに際しましては臨時委員会を開催するなど、これはもう当然でございますがやっております。それからもう一つは、内閣総理大臣が警察法に基づく緊急事態を布告する、それから自衛隊法に基づきまして治安出動を命ずる、あるいは今般、自衛隊法の改正によりまして追加されました警護出動を命ずるというような国家治安にかかわる緊急かつ重大な事態の対応の場合には、必ず国家公安委員会の意見を徴するあるいは国家公安委員会の意見を聞くというような手続が前置されるということは御案内のとおりでございまして、こういった意味では、その国家公安委員一人一人の行動というものも非常に拘束される、こんなようなところから国家公安委員の職務というものの重要性を御認識いただけるのではなかろうかと思っております。
  183. 佐々木知子

    佐々木知子君 職務が重要なことはよく存じ上げております。  あの当時に、国家公安委員会の委員が年収二千数百万円をもらっているということで非常に話題になったことがございます。まさかあのままではありますまいというふうに取材を受けるわけですけれども、その後改正されたということを私は承知していないので、きっとそのままであるというふうに思っておりますが、恐らくほかの委員会との横並びで二千数百万円ということ、この高い報酬が保障されているんだろうと思いますけれども、聖域なき構造改革ということで私たち国会議員も一割カット、減ということ、報酬の一割カットということも言われております。こういうある意味では特権階級的な役職を設けていることは、雇用問題も非常に深刻化している中で私はいかがなものかというふうに思いますので、これは私はぜひ見直していただきたいものだというふうに考えております。  次に、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。  先ほども申し上げましたけれども、雇用問題は非常に深刻化しております。十二月六日には青木建設が経営破綻し、民事再生法を申請いたしました。これは、この夏あたりから出回っているいわゆる三十社リストという中の一つの会社でございましたけれども、市場関係者の間では、これが終わりの始まりではないかということを言われておるようでございます。  周りを見回しても、リストラ、経営破綻、それから失業率は史上最悪五・三%、それから自殺者は三万人、殊に三十代、四十代の男性に広がっている、それから賃金カット等、新聞それからテレビを見ても本当にいいニュースが聞かれないというような状況でございます。短期的に見れば景気が悪化しているということはございますでしょう。それから、不良債権処理は中期的な問題かもしれません。そして、恐らく長期的に見れば私は構造的な問題があるのではないかというふうに思っております。  御案内のように、殊に製造業はアジア、中国に追いつかれて、人件費一対二十あるいは一対三十という背景のもとに、工場は軒並みアジアなどに移転して、日本では工場を閉鎖している。そして、産業の空洞化というようなことも言われております。  こういうような状況にありまして、大臣は雇用情勢というものをどのように分析されておられるのか、それについて御見解をお伺いしたいと思います。
  184. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御質問いただきましたように、十月には完全失業率が五・四まで上がってまいりました。しかも、その中で男性は五・八、女性が四・八とばらつきはできましたけれども、男性の場合には非常に高くなってきたところでございます。  また、その中身を見ました場合に、この五・四の中でいわゆるミスマッチによります部分と構造的な部分とがどれだけかということを分けて見てみました場合に、ことしの一月におきましては、構造的、摩擦的な失業者というのが三・九、そして需要不足による失業者が一・〇でございましたけれども、これが十月におきましては、構造的な失業者が四・〇、そして需要不足失業者が一・四、こうなってまいりまして、どちらかと申しますと、やはり需要不足によりますところの方が上がりぎみになってまいりました。ここが一・四になったということは最近なかったわけでございまして、徐々に徐々にここが上がってきているという感じを持っております。  したがいまして、今御指摘になりましたように、経済そのものが非常に停滞をしているわけでございますが、なかんずく海外への企業の輸出と申しますか、企業そのものが転出をいたしている、大きい企業だけではなくて、その関連下請のところまでが中国その他のところに出ていっているというこの現状がやはり大きく影響をしてきていると私も思っております。  これらの問題を今後どうしていくかということにつきまして、最大限この雇用対策というものをやっていかなければならないというふうに思いますが、雇用対策もかなりきめ細かくいろいろなことをやっているわけでありまして、量的な拡大の問題はありますけれども、質的にはこれ以上レベルアップをすることもなかなか難しいというような状況にございまして、経済全体として今後どうしていくかということのお取り組みをいただきたいということを閣議等でも申し上げているところでございます。
  185. 佐々木知子

    佐々木知子君 政府ができることというのは、企業の再編をスムーズにする規制や税制の改革、そして雇用対策だというふうに考えるわけですけれども、まず規制緩和の必要性といたしまして、人材派遣や職業紹介、有期雇用など、今おっしゃったみたいな産業構造の転換が進むにつれてミスマッチということで失業がふえることから、労働市場の機能を高めることは不可欠だというふうに考えておるものであります。  臨時国会最後の日に成立いたしました緊急雇用対策法は、四十五歳以上を対象に人材派遣の期間を最長三年に延長するということは承知しておりますけれども、全体的にもう少し規制を緩和する必要があるのではないか、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  186. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 現在、政府として行っておりますことは大きく分けて三つございます。  一つは、現在はまだお勤めになっておりますけれども近い将来職をかわられる、あるいはかわらなければならなくなった人に対する職業指導でありますとか、あるいは円滑な労働移動をどうするかという問題でございます。  それからもう一つは、既にもうかわられた皆さん方、現在もう失業しておみえになります皆さん方に対しましてどうするか。これは雇用保険の延長の問題でございますとか、その他の問題、これは企業に対する支援の問題等々で対応をしているところでございます。  それからもう一つ大事なことは、新しい産業をどう育成するかという、そこにもう一つあるわけでございますが、三者構成でできているというふうに思っております。  その中で、労働移動を円滑にしていくということを考えますと、やはり働き方というものも今までの終身雇用制というものばかりに執着をしているというわけにもいかない状況にあるわけでございますから、終身雇用かそれともパートタイムかという二者選択ではなくて、もう少しここは選択肢をふやしていく必要もある。そうした意味で、派遣業なるものを少し拡大するということがございますし、もう一つは、有期雇用につきまして、今までよりももう少しできる職業の範囲を拡大をするといったようなこともあろうかというふうに思っております。  こうしたことを念頭に置きながら、今進めさせていただいているところでございます。
  187. 佐々木知子

    佐々木知子君 ワークシェアリングという言葉が最近よく聞かれるようになりました。オランダでは八二年から始めているということで、非常に成功している。ドイツなど欧米ではあまねく行われているということなんですが、日本では非常になじみがなかった。ですが、人をカットするよりは賃金をカットしようということで、日本でも最近は公務所それから一般の企業でもこういうことが行われているというふうに聞いているわけですけれども、このワークシェアリングの推進ということについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  188. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ワークシェアリング、非常に関心を持ちまして、ことしの春ぐらいから労使の皆さん方にもいろいろ御意見を申し上げてきたところでございますが、春時点におきましてはなかなか労使ともに、総論としてはいいけれども、しかしなかなか具体的に歩み寄るというところまでは行っていなかったわけでございます。  経営者の皆さん方にしますと、ワークシェアリングはいいけれども、しかし時間を短縮すればそれに見合った賃金の短縮を伴うのは当然であると、こういうふうにおっしゃいますし、労働界の皆さん方の方は、時間の短縮は認めるとしても賃金の短縮は認めがたいというふうにおっしゃるものですから、それ以上なかなか歩み寄りが見られなかったわけでございますけれども、最近、この十月になりまして労使双方でお話し合いをされましたときに、日経連と連合がお話し合いをされましたときに、ひとつ共同してこの問題に取り組もうということが合意したというお話をお伺いいたしました。それならば、ひとつぜひ国の方も御一緒にその中に入らせていただいて、そして話を進めさせていただこうということになったわけでございます。  小泉総理にも御報告を申し上げましたところ、ぜひそれじゃそれを進めてほしいということになりまして、先日、政労使の会議がありましたときに、ぜひ厚生労働省が中心になってひとつ双方の御意見を聞きながらまとめてほしいと。今月中にそのお話し合いの第一回を持ちたいというふうに思っておりますが、その後、余り長くかかってもいけないから、来年の三月ぐらいまでにぜひ話をひとつまとめてほしいということが言われておりまして、それまでに、大枠のところは三月までにぜひ決めるような段階まで行きたいというふうに思っているところでございます。
  189. 佐々木知子

    佐々木知子君 今回成立した緊急雇用対策法は、主に中高年でリストラされたような方を支援するというような法律だったというふうに承知しておりますけれども、最近、再就職支援ビジネスという言葉がよく聞かれるようになりました。  これの実態というようなものについては、これからどのように発展していくかというようなことにつきまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  190. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 民間の再就職支援サービスというものはもっと発展をしていくだろうというふうに思っています。  ただ、現在はまだでき上がりましてから間がないものでございますから、どこまで内容が充実をしているかということはなかなか見えにくい部分もございます。中には、ハローワークよりもいろいろの紹介による成功率が高いというようなニュースが流れたりいたしまして、総理も、もうハローワークは要らないんじゃないか、民間に任せたらどうだというような御意見も出てくるわけでございますが、内容をよくよく拝見いたしますと、民間のサービス業のところにお話しに行っておみえになるような方はハローワークにもお見えになっており、両方大体お見えになっているわけであります。成功した人につきましては両方ともカウントしておるわけでありまして、それがどちらが中心でどうなったかということはなかなか判別しがたいような状況にあると私は思っております。  民間の場合には、非常に大きい企業の、そしてそれを紹介することによって経営的に非常に大きくプラスになるようなところについては非常に積極的でございますけれども、しかしそうでないところについては余り積極的でないというマイナス面もあるというふうに私は思っております。そうしたところはハローワークの方で熱心にやらないといけないのではないかというような気がいたしておりまして、その辺のすみ分けもあるだろうというふうに思いますが、将来的にはもう少しやはりこの分野で、これが伸びることがいいことか悪いことかは別にいたしまして、現状を考えますと、もう少しやはり質、量ともにふえていただくことが国としてもいいのではないかというふうに思っている次第でございます。
  191. 佐々木知子

    佐々木知子君 最後に、農水副大臣にお伺いしたいと思います。  食の安全性に対する国民の信頼というのも、今やもう地に落ちているとか、深刻な問題になっております。日本で狂牛病と認定された三頭というのは、どうやら皆九六年の春に生まれたホルスタインの雌ということであるようでございます。ただ、英国製の肉骨粉は飼料として使用されていなかったというふうに報道もされておりまして、ただ、代替乳ということで飼料として使用されたものの、成分として米国製の豚の血漿たんぱくあるいは国内産の牛の油脂が使われていたというふうにも報道されております。  狂牛病の原因というのはたんぱく質プリオンだというふうには言われているわけですが、狂牛病の発生するメカニズムというのは、それはまだ特定されていないというふうに考えるべきなのでしょうか、もう既に特定されたというふうに考えてよろしいのでしょうか。もうかなりいろんなところでお答えになっていることだろうと思いますけれども、お伺いしたいと思います。
  192. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) 佐々木委員にお答えを申し上げます。  BSEの感染源、感染経路の調査に当たりましては、発生農家を起点といたします調査と輸入肉骨粉を起点といたします調査、双方から実施をいたしてきたところであります。これまでのところ原因は特定をされておりませんが、十一月三十日には一頭目の患畜を中心といたしまして、それまでにも収集をいたしてまいりましたデータに基づきまして、分析検討結果を中間的な取りまとめという形で報告をさせていただいたところであります。  発生農家を起点といたします調査につきましては、配合飼料工場への立入検査の結果、原料として肉骨粉を使用されていなかったものの、製造段階におきまして肉骨粉の混入を完全に否定するには至っておりません。これまでの調査では、配合飼料工場で使われていました肉骨粉は国産またはBSE非発生国でありますオーストラリア、ニュージーランド産であるとされておりますが、さらに調査を進めていきたいと考えております。  一方、輸入を起点とします調査につきましては、BSE発生国からの肉骨粉の対日輸出、アジア諸国におきます肉骨粉の輸出入の実態を調査したところであります。  なお、イタリアから一九九八年六月以前に輸入をされた肉骨粉は加熱処理基準を満たしていなかった可能性が考えられるため、引き続きその具体的な加熱処理方法等につきまして調査を進めることといたしております。  さらに、今般、三頭目の発生が確認をされましたことを踏まえまして、共通いたします事項に重点を置きまして調査を進めるとともに、別々の感染源により感染した可能性もありますことから、予断を持たず、可能性のあるものにつきましてすべて調査を行うことといたしております。
  193. 佐々木知子

    佐々木知子君 これはもう随分、野党の方からも責任問題だということで言われていることだというふうに思いますけれども、九六年の三月に英国からの肉骨粉の輸入の禁止、それから牛への肉骨粉の給与の禁止ということを農林省の方でこれは行政指導をしたということで、法律では禁止をしなかったということの責任についてはどのように考えているのか。  というのは、専門家がもう五年前に、そのころに牛のえさに肉骨粉などを使うことを禁止してはどうかということを警鐘を鳴らしたということは、これは報道でも明らかになっておりまして、こうなりますと、ただ本当にわからなかったからとか、そういうことではちょっと済まされないのではないか。事はやはり食の安全それから人体の安全にかかわってくることですから、やはりこれは、言葉はきついかもわかりませんが、責任ということをちょっと私は使わざるを得ないのではないかというふうに考えるわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  194. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) 九六年四月に行われましたWHO専門家会議の勧告、すなわち反すう動物の組織を用いた飼料原料につきましては反すう動物に給与すべきでないという勧告を受けまして、同年四月十六日付でその旨の指導通知を出したところであります。なお、この指導通知を出すに際しましては、BSE及び羊のスクレイピーに係る専門家等を構成員といたします海綿状脳症に関する検討会の意見を踏まえたところであります。  この指導通知を徹底するため、飼料工場に対して肥飼料検査所が飼料安全法に基づく立入検査を実施しますとともに、九六年度から流通飼料対策事業の一環といたしまして、都道府県による地区講習会の開催を通じた啓発指導や畜産農家への巡回指導を実施いたしまして、飼料の製造、農家段階での使用の適正化に努めてまいりました。  その後、今般の事態を踏まえまして、飼養農家の全戸調査を行いました結果、飼料の不適正使用の事例は全国で百六十五戸、五千百二十九頭であることが確認をされましたが、これは全農家数の〇・一二%でありまして、また全飼養頭数の〇・一一%という、相当するものであります。  結果といたしまして、不正、不適正使用の事例が確認されましたことはまことに残念なことでありますが、この五千百二十九頭は我が国のBSE防疫を進める上での知見を得るため、すべて生産者の同意を得て屠殺し、消費者の食卓に回ることのないよう阻止することといたしております。  いずれにいたしましても、今般、厚生労働大臣農林水産大臣の私的機関といたしましてBSE問題に関する調査検討委員会を設置しまして、BSEに関するこれまでの行政対応上の問題の検証と今後の畜産・食品衛生行政のあり方につきまして調査検討を行うことといたしておりまして、この中でこれまでの規制のあり方等についても議論をされるものと思っております。  以上でございます。
  195. 佐々木知子

    佐々木知子君 余り明快なお答えを得たとは思わないんですけれども。  ことしの六月に欧州委員会から、日本でも狂牛病感染の可能性ありというステータス評価が出ているわけですけれども、それを農林省は拒否したということもこれはもう周知のことでございます。全般的にわたって早目の段階で安全宣言をしてしまったということを、私は裏目にも出たと思いますし、これによって畜産業者それから飲食業界、もうありとあらゆるところに被害が出ておりまして、これも景気の悪化に大きな要因となっているということを考えますと、やはり政府の責任というのは重大だというふうに考えておるものでございます。  今後は、狂牛病が本当に出ないように食の安全というのに精いっぱい努めていっていただきたいというふうに思います。  これをもって私の質問を終わります。
  196. 藤井基之

    ○藤井基之君 本日、最後の質疑になります。朝からもう皆さんお疲れかもしれませんけれども、もう少しおつき合いをいただきたいと存じます。  平成十一年度の一般会計歳出決算額がこの委員会にも報告をされましたが、それによりますと、社会保障関係費が十九兆円を超えると。構成比としては二一・四%である。国債費に次いで大きさを占めるようになったと。これは急増する高齢者人口の問題、そのような理由から、対前年度比の伸びを見ても二一%以上伸びてきておると、こういった状況でございまして、これから先二十一世紀、日本社会保障関係経費をどのようにしていくかということは大きな問題であろうと思います。  この社会保障関係費の中、年金とか福祉というものも非常に大きなウエートを持っているわけでございますが、医療費の問題もこれまた大きな問題だと指摘せざるを得ません。  平成十一年度から三年間さかのぼりますと、国民医療費の動向は次のようになっております。平成九年度の国民医療費は二十九兆円を超えました。平成十年度は二十九兆八千億円、それを超えた。そうして十一年度は三十兆九千億円と過去最高の数字になりました。しかも、毎年八千億円から一兆円も増加する状況になってきています。  政府管掌健康保険の決算だけを見ましても、平成十一年度の単年度収支は三千百六十三億円の赤字。実はこの数字は、引き続きます平成十二年度の決算におきましても一千五百六十九億円の赤字だということでございまして、平成五年以降八年連続して赤字が続いている、そういう状況でございます。  これは、何も政管健保だけじゃありません。健保組合も国保も、財政的に見て非常に大きな大変厳しい状況に陥っていると言われております。医療費のこの増加要因としましては、高齢化の進展でありますとかあるいは医療技術の高度化等が指摘されておるわけでございます。  医療制度改革の議論におきましても、この医療費の増加要因についての解析が行われております。真に効果的な制度改革を考えていく上で、この増加要因というものをやはり正確に把握することはもう極めて重要なことだろうと考えております。  この医療費の増加要因として幾つかの指摘があるわけでございますが、その一つとしまして、医療制度改革の議論におきまして、医療費における内訳の中で使用されたお薬のコスト、薬剤費がこの増加要因の一つではないかと、そういう取り上げられ方をしておりまして、薬価基準の見直しということが大きな改革ターゲットの柱とされております。  それで、まずお尋ねさせていただきたいんですが、この数年の医療費に占めます薬剤費の比率の割合なんでございます。これは徐々に低下しつつあり、かつて薬漬けとこう称されていた状況は改善されつつあるんだと、そして、現在は欧米の薬剤比率とそんなに変わらないんじゃないかと、そういうふうな報告を受けた記憶があるんですが、昨今の薬剤比率につきまして、特に欧米等先進国との比較においてその数字を説明いただきたいと思います。
  197. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 藤井議員の御質問にお答えいたします。  我が国の医療費に占めます薬剤費の比率についてでございます。藤井先生の方から平成九年度の国民医療費のお話がございましたが、少しさかのぼらせていただきまして平成三年度で申し上げますと、二十一兆円でございました。その中で、薬剤費は六兆四千四百億円ということで、国民医療費に占めます薬剤の比率は約三〇%、正確に申し上げますと二九・五%でございました。これが平成十一年度には三十兆の国民医療費の中で六兆七百億ということで、一九・六%ということで、二〇%を切っております。この十年間で約一〇%薬剤比率が低下しているということでございます。  諸外国との比較ということでございますので、OECDの統計を申し上げますと、OECDの統計によりますと、我が国に占めます外来の薬剤費、外国は外来の薬剤費しかございませんので、統計が、我が国の外来の薬剤比率は一六・八%でございまして、これはフランスの二一・九%より低く、イギリスの一六・三%並みというふうなことでございますので、我が国の薬剤比率、欧米並みの水準まで下がってきていると、こういうふうに認識している次第でございます。
  198. 藤井基之

    ○藤井基之君 今、医療費に占める薬剤比率につきまして、医薬品を使用する側の、需要側からのデータをお示しいただいたわけでございます。これは一方、生産供給側からのデータ、医薬品の生産額の方から見たらどのような状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。
  199. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 平成十二年度の医薬品の生産金額は約六兆二千億円でございまして、ここ最近十年間、先ほどの答弁にもありましたように、医療費が増大しているにもかかわらず、この生産金額そのものは伸び悩んでいるというような状況でございます。
  200. 藤井基之

    ○藤井基之君 今、政府委員からお示しいただいたように、薬剤比率の動向それから生産額等から見て、国民医療費というのは毎年大きな伸びを示しているのに対しまして、薬剤費の総額というのはむしろどちらかというと減る傾向にある、こういう状況が示されているんだろうと思います。そして、これらの数字で見る限りにおいては、少なくとも最近において薬剤費が国民医療費をふやしているという、そういう要因指摘というのは必ずしも適切ではないのではないかと、そのように思われますけれども、厚生労働大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  201. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘のように、最近五年間の薬代を見ましたときに一兆円近く減少いたしておりまして、平成十一年には六兆円になっているところでございます。全体として見ました場合には、やはり薬剤費が最も大きな医療費の押し上げ要因になっているということではないというふうに私も認識をいたしております。  しかしながら、今後、医療費全体の改革を進めていかなければならないわけでございますので、この薬剤費も含めまして、そして高齢者医療に対して医療費が増大しないようにどのように取り組んでいくか、総合的な判断を迫られるというふうに思っている次第でございます。
  202. 藤井基之

    ○藤井基之君 次に、最近の医薬分業というものについてお尋ねをいたしたいと思います。  御案内のように、医薬分業というのは、お医者さんが患者さんを診断されまして、お薬が必要だと、お薬を投薬する場合には処方せんを交付される、そしてそれを受けて薬剤師さんが調剤をして患者さんにお薬をお渡しするという、こういう医師と薬剤師の専門職能を活用することによって薬物療法の安全性を向上させる仕組み、ヨーロッパで十三世紀から活用されている仕組み、これが我が国においても導入がされておりまして、現在その分業が進展していると、そういう状況だというふうに伺っておりますけれども、最近の分業動向等について御説明いただきたいと思います。
  203. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 御質問の最近におきます医薬分業の状況でございますけれども、特に近年におきましては医薬分業の進展が大変著しく、平成十二年度で見ますと、処方せん発行枚数は五億枚、分業率は三九・五%、対前年度比四・七%増という状況までなってきております。  しかしながら、医薬分業の進展状況には地域により大きな格差がございまして、分業が進んでいる県におきましては分業率が六〇%に達するところもありますけれども、他方、低い県におきましてはまだ一〇%台というふうに大きな格差が見られるところであります。  したがいまして、地域の実情に応じた計画的な推進が図られることが必要であるというふうに考えておりまして、医薬品の備蓄、休日、夜間等の調剤等を行う医薬分業推進支援センターの整備を進めますとともに、都道府県が地域の実情に応じ、医師会、薬剤師会との協力のもとに計画を策定し、実施することを支援するというような各種の施策を講じてきているところでございます。  今後とも、質の高い医薬分業が全国的に一層進展し、地域医療に貢献できるように、都道府県とともに努めてまいりたいというふうに思っております。
  204. 藤井基之

    ○藤井基之君 今御説明ありましたように、分業が進展するということそれ自体は非常に結構なことで、政策的にも頑張っていただきたいと思っておるわけですが、当然それに伴ってコストもかかるんだろうと思うんですね。分業の関係でいいますと、これは診療報酬ではなくて調剤報酬でカウントされると思うんです。  それでお尋ねしたいんですけれども、この分業の進展に伴って調剤報酬がどのような状況になっているか、この調剤報酬につきましてはその内訳も含めて御説明をいただきたいと思います。
  205. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  まず、平成十二年度の医療費でございますが、全体で二十九兆四千億ございます。その中で医科の医療費が二十四兆円、歯科の医療費が二兆六千億でございますが、今、先生からお尋ねのありました保険薬局、調剤の医療費でございますが、平成十二年度で二兆八千億ということでございます。十一年度が二兆四千億でございましたので、対前年比一五・八%と、先ほど答弁がありましたように医薬分業が進展しておりますので、前年度比一五・八%という高い伸びを示しております。  調剤報酬、今申し上げました二兆八千億円の内訳でございますが、平成八年、九年、十年、十一年、十二年と各年とってみますと、大体六六%から六八%が薬剤そのもののコストでございまして、約三分の二が薬代と、こういうことになっております。残りの三分の一が指導管理料でございますとか調剤する料金などいわゆる調剤技術料でございまして、先ほど申し上げましたように、ここ五年ほどこの割合は変化いたしておりません。
  206. 藤井基之

    ○藤井基之君 ということになりますと、調剤報酬が非常に大きな割合でふえている。先ほどのお話で、十二年度は対前年度一五・八%もふえておると、こういう二けたの伸びをしているというか、その内訳を言うと、その三分の二はお薬の代金だということなんですね。といいますと、じゃお薬の代金というのは今までどこでカウントしていたかというと、これはいわゆる診療報酬でカウントされていたものが、今回分業になったために、保険薬局でもらったために調剤報酬に単に移しかわっただけだと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  207. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) そのとおりでございまして、例えば病院や診療所の方が分業されますと、それまで保険医療機関、病院や診療所の方でカウントされておりました診療報酬の方から調剤報酬の方に移るということでありますので、そこでシフトが起こっているということは、薬剤費については言えると思います。
  208. 藤井基之

    ○藤井基之君 わかりました。  今、医薬品以外に約三分の一ぐらい調剤の技術料というものがカウントされるんだというお話もございました。この調剤技術料というのは、御案内のとおり、処方せんに書かれているお薬を調製して患者さんにお渡しするだけではなくて、その薬剤師が患者さんに対して服薬の指導をなさるとか、患者に対する医薬品情報の文書を提供するとか、患者さんの過去の使われたお薬の履歴書といいましょうか薬歴を管理させてもらって、そしてそれによって患者さんを指導するなど、そういった技術料、これが調剤技術料として認められていると、このように理解しておるわけでございます。  そこで、厚生労働省が中央社会保険医療協議会、中医協に提出された資料を参考にさせていただきますと、この数年の傾向として、院内で投薬された薬剤費、それと医薬分業によって薬局で調剤された薬剤費、それに薬局で認められている調剤技術料を合算した額が実際トータルとしてどのような変動をしているのかと。これは、厚生省のデータによるとこの額は実はふえていないんだということが示されております。  医薬分業の目的の一つとして、薬剤使用の適正化ということが言われているわけでございますが、保険者団体の一つであります全国総合健康保険組合協議会が平成十年六月にまとめた院内処方による場合の薬剤の使用状況と処方せんが切られた場合の院外処方の場合の薬剤の使用状況を比較した資料によると、次のようになっているわけです。  これは厚生省も御案内と思いますけれども、この院内の場合と院外の場合とを比較した調査によりますと、レセプト、いわゆる報酬明細書、レセプト一件当たり処方されている平均薬剤数で見ますと、院内処方の場合ですと二・二剤処方されている、これが分業による院外の処方になると一・八剤に減っているんだと。また、平均薬剤費については、レセプト一件当たり処方されている薬剤費は、院内処方の場合の点数は八百九・六、これが分業の院外処方の点数になると七百二十七・一、約一割ぐらい低いと。いずれにしましても、分業という仕組みによって薬剤数も下がっておるし薬剤費も低くなる傾向になっていると、このようにこのレポートは報告をしているわけでございます。  これは支払い側の団体が調べた数値でございますが、厚生労働省として、このように医薬分業を進めることによって実際に薬剤費の適正化に対して行政的に見て効果があったのかどうか、このような調査を行ったことがありますか。あればその内容を紹介していただきたいと思います。
  209. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 今、先生から御紹介がありました全国総合健康保険組合協議会の調査については、私どもも拝見いたしておりますし、そのような結果が出ているというのは先生の御指摘のとおりでございます。  旧厚生省といたしましては、やや古うございますが、平成三年度に全国四カ所、具体的には東京都の大田区、長野県の上田市、北九州市それから静岡県の榛原郡、この四カ所で、院内投薬を行っている医療機関群とそれから医薬分業を行っている医療機関群の投薬内容を患者一人当たり一カ月の薬剤点数で比較すると、こういう調査を行ったことがございます。  その結果で申し上げますと、医薬分業を行っている医療機関群の方が平均六%低いという結果が得られておりまして、私どもとしても、その調査結果では先ほどの全国総合健康保険組合協議会の調査結果と同じような傾向が出ているというふうに認識いたしております。
  210. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。今、いわゆる薬剤費の適正化に対して分業もポジティブな効果を持っているということをお示しいただいたわけでございます。  先ほど申し上げましたように、分業というのは、お医者さんの専門職能と薬剤師の専門職能を使って薬物療法の安全性を向上させるんだと、そういうところに本来目的を持っているわけでございます。  そのため、厚生省はこの分業に際して、いろいろと薬剤師の業務として、服薬の指導をしろとか、先ほど申し上げました患者さんの個々人の薬物を使った薬歴といいましょうか使用歴、例えば、ある薬を使ったときはアレルギーを起こしたとか、ある薬を飲んだとき副作用を起こしたとか、そういった記録をとって患者さんの管理をしてあげると、そういった業務に対して、いろいろな分業における患者さんに対するメリットといいましょうか、そういったものを付与するような、そういった分業を進めている、そういった分業を指導しているというふうに伺っておりますが、服薬指導とか薬歴管理のこの状況につきまして、厚生省の把握している状況を説明いただきたいと思います。
  211. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ただいま先生からお尋ねのありました保険薬局におきます患者さんのいわば服用歴の管理、指導についてでございますが、医療保険制度のもとにおきましては、調剤報酬におきまして薬剤服用歴管理指導料という点数を設けまして、こういう患者さんに対する御指導、サービスと説明ということを促進するようにいたしております。  具体的には、処方せんを受け付ける一回ごとに、一回につきまして点数をつけておりまして、どういうことをした場合に点数が算定できるかと申しますと、患者さんごとに薬剤服用歴の記録というものを作成していただきまして、薬剤師さんが、処方されましたお薬につきまして重複投薬がないかどうか、それからお薬相互作用がどうか、それから患者さんの薬物アレルギー等を確認すると、こういったことを行い、投与される薬剤の服用、それから飲み方でございますね、それから保管、取り扱い上の注意、こういったことの基本的な説明、指導を患者さんに対して行った場合にこの点数がとれると、こういう制度になっております。  私どもの調査によりますと、これは大変徹底しておりまして、平成十二年度の調剤報酬レセプト調査によりますと、この指導を行っていらっしゃる調剤薬局、九六・五%ということでございますので、ほぼすべての患者さんに服薬指導や薬剤管理が行われているものというふうに考えております。
  212. 藤井基之

    ○藤井基之君 薬剤師法の第二十四条という条文がございます。この条文によりますと、薬剤師は、処方せんを調剤する際に、もしその処方せんの内容に疑わしい点がある場合、疑義があった場合とよく言いますが、それを処方せんを交付した医師に照会をして、その内容を確認した後でなければ調剤してはならないと、こういうふうに法律で規定をされております。  そこで、この疑義照会と言われている薬剤師法の二十四条の施行状況について平成十年に日本大学の薬学部が調査、解析を行って、その結果を論文として報告しております。  それによりますと、調査対象になりました分業による院外処方せん約百五十万枚について、その約二%に対して薬剤師はお医者さんに対して疑義の照会を行っていると、その数が約三万三千六百九十七枚ということで、そしてそのうちの三分の二、二万三千三百五十五枚、この処方せんにつきましては、その後お医者さんとの御相談あるいはお医者さんの判断によって処方の内容が変更されている、ある意味で処方内容が改善されたと、そのように報告されております。  この年の平成十年度は全国で約四億枚、分業によって院外処方せんが発行されたという数字が厚生省の統計で明らかになっているわけですが、先ほどの日本大学の調査結果をそのまま敷衍するとしますと、これは全国で約六百万枚の処方せんが処方変更されたり改善されていると、そういったことにもなるわけです。もちろん、この数字がそのとおり敷衍できるとは言いませんけれども、このような薬物療法のチェックが可能になる、そういったことが実証されているというふうに考えます。  医薬分業に要する費用、先ほど言いました技術料が若干高くなるという問題がございますが、これはこのような薬物の適正な使用とか安全性確保のための費用、そういうふうに見ることができます。医薬分業によって薬剤の適正な使用が推進されて、また安全性が確保されることによって副作用事故等の低減につながって、そしてひいては薬剤費の適正化とか医療費の節減にも寄与すると考えるわけです。  これはアメリカの例で、「人は誰でも間違える」と邦訳されていますが、アメリカの「より安全な医療システムを目指して」というそういったレポートによると、医療エラーによる場合の医療費というものは膨大なものがある。それはコストもそうですし、人的な被害も大きいんだと。だから、医療においては安全対策を重視することが回り道でもトータルとしての医療費を減少することにつながるんだと、そういうことを指摘しているわけでございます。  厚生労働省として、今後、患者に対する服薬指導とか情報提供、疑義照会の状況、薬剤処方に対する影響など、医薬分業によって薬剤使用の適正化、薬剤費の適正化にどのような行政的効果というものが得られているか、これをきちんと調査して把握して、そしてその成果を踏まえて、よりこれから先望ましい積極的な分業の実施策というものを推進していただきたいと考えますが、厚生大臣、いかがお考えでございましょうか。
  213. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘いただきましたように、薬剤師さんの役割というのは非常に私も大きいというふうに思っております。とりわけチェック機能が非常にきいているわけでありまして、医師が処方いたしますときに、それは間違わないと思って一生懸命やっていることは事実でございますけれども、人間というのは一生懸命やっておりましても時として間違うこともそれは当然あるわけでございますので、そうしたときに専門家の目でチェックをしていただくということが一番大きいというふうに思います。それが一つ。  それから、診療の現場におきましては、非常に忙しいものですから、出しますお薬につきましての、それがどういう作用で、どういうふうなあるいは副作用があるかといったようなことについてのなかなか指導というものが徹底されない。また、患者の側からいたしますと、ほかの医療機関でもらっている薬等があります場合に、それをあわせて飲んだときに飲み合わせがどうなるかといったようなことについての指導、そうしたことにつきましても、これは専門家の皆さん方の御意見があって初めてわかるわけでございますので、そうした意味でこの医薬分業というものはこれからも進めていくべきだと思っている一人でございます。
  214. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。ぜひお願いしたいと存じます。  少し話を変えますが、この医療保険制度改革の議論におきましてよく出てくる議論があります。どうも製薬会社だけがひとり勝ちしているんじゃないかと、こういった話を聞かれることがあります。確かに、製薬企業の決算状況を見ますと、二〇〇二年の三月期の中間決算というものがつい先日から発表されておりますが、国内の製薬企業の上位の会社の状況を見ますと、結構この不況の時期に増収であったり増益であると、そういった内容が示されております。  ただ、先ほども申し上げましたように、医療費の内容を見ると、ここ数年、薬剤費は特に国内で高騰しているわけでもないと、逆に薬剤費というのはどっちかというと下がっているんだ、そういうような政府委員からの御説明もありましたし、もしもそうだとしたら、この製薬企業の、特に製薬企業上位の上場企業、これらの企業群の決算が非常に好調だというのはどのような要因というふうに厚生省は考えられているんでしょうか。
  215. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 今、先生おっしゃいましたが、海外の売上高を公表しております大手製薬企業十五社の平成十三年度中間期の売り上げで見ますと、十五社の平均でございますが、前年同期と比べて全体で六・八%伸びております。  その内訳でございますが、実は国内での売り上げはマイナス〇・七%でございます。それに対して、海外での売上高の伸びが三一・六%ということでございます。このように、最近の製薬企業の業績を見ますと、開発した新薬の海外での販売に力を入れている、そういう動きが反映されているのではないかと考えております。
  216. 藤井基之

    ○藤井基之君 大手の国内企業が開発した日本発の新薬が海外で評価され、そして世界の患者さんに活用されていること、これは非常に私は日本国民の一員としてもうれしいことだと思っておりますし、これから先もぜひ日本の優秀なお薬が世界で利用されていくようになってもらいたいと思います。  ただ、国内開発の医薬品が海外で評価され、企業の優秀な実績というのは新薬が外国で売れている企業がいいんだと、こういう話なんです。ところが、ここのところ、やはり国内においてはその製造コストがだんだん高くなってくる。そういったことから日本の製薬工場が海外移転をすると、そういった動きもあるやに聞いております。また、国内で研究開発をするよりも外国で研究開発をした方が効率的だ、だから研究開発についても海外先行型にシフトしているんだと、そういったようなことが言われております。そして加えて、最近は、外資系の製薬メーカーによります海外で開発された医薬品、これの日本市場への進出が多くなってきている、このように言われておりまして、国内の企業についてはある意味では厳しい市場環境になっているのではないかと思います。  これに関係しまして、最近の海外の開発品と国内で開発された医薬品と、実際に製造の認可の段階である方向性があるのかどうか、それについて御説明いただきたいと思います。
  217. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 最近の数字で見てみますと、平成十二年に承認されました新有効成分を含みます医薬品、いわゆる新薬と言われるものでありますけれども、これにつきましては、国内製造医薬品は十成分、それから輸入医薬品が二十九成分でございました。過去三年ほどさかのぼってみますと、平成十年から十二年の三年間ですけれども、国内製造医薬品が計三十成分、輸入医薬品が計七十一成分という状況でございました。
  218. 藤井基之

    ○藤井基之君 とすると、我が国に導入されているお薬というものは、逆な意味で、国内の患者さんは世界の優秀な薬を使えるという非常に恵まれた環境にあるとも言えますけれども、どうも外国の開発におんぶにだっことは言いませんけれども、少し外国偏重が多いのではないか。今の数でいいますと、三十対七十一というような数字になっているということです。  これは私の方で調べましたら、保険で使われる収載の医薬品の状況を見ますと、平成七年に中央社会保険医療協議会、中医協の建議が実施されて以来、本年の六月一日までに薬価基準に収載されて医家向けのお薬として医療に使われる新薬の内訳を見ますと、総成分数が百九十ある。だが、そのうちの九十成分というのは外国で開発されて外国から輸入した薬だと。また、それ以外の四十成分は外国で開発されて国内に導入して国産化したものだと。国内オリジンで国内で製品化したものというのは六十成分のみだと。三割ぐらいしかないと。先ほどの政府委員が答弁されたようないわゆる承認の状況と非常に似た状況になっている。医薬品産業のグローバル化が進んで、このままでは新薬開発の欧米からの立ちおくれ、生産の国内空洞化が起こる、こういった懸念が強いものになってくる。  また、きょうの朝、新聞でかなりセンセーショナルに報道されている記事があるんですね。何かというと、我が国の研究開発の大手の企業が集まっている団体であります日本製薬工業協会という団体があります。そこの会長会社というのは中外製薬という会社です。この会社がスイス系の製薬会社のロシュという会社に買収されたという、そういう記事が大きく載っているんです。  また、医薬品の流通を担当する卸業の状況を見てみますと、営業利益も経常益も薬価の引き下げなどによりまして年々縮小してきておる。十年前の平成三年度にこの卸の方々の集まり、団体である日本医薬品卸業連合会の加盟卸社数というものは本社数で三百五十一社あったそうです。それが平成十二年度には半分の百八十までに減少していると。また、平成六年度、これら卸の各社に七万八千人雇用されている職員の方がいらしたそうですけれども、平成十二年度にはこの数が六万人にまで減っていると。  医薬品というのは、御案内のとおり、言うまでもなく患者さんに福音を与える、そういった生命関連商品であり、公共財であるわけです。そうしてまた、産業というもので考えた場合、医薬品産業というのは、今後、ゲノム医学であるとかゲノム創薬などと、そういった学問の進歩を背景にして、これからの医療とか国民保健というものを大きく前進させていく付加価値の高い重要な産業分野だと考えるんです。IT産業についてはいろいろな分野から言われております。バイオというものも言われる。ただ、もう少しバイオの分野で具体的に製品に直結する産業群といったら何か、二十一世紀を支えるような付加価値の高い商品が構成できる産業は何かといったら、まさにこの医薬品産業ではないかと思うんです。  この医薬品産業に対して例えば基盤の強化、これはある意味で政府としても施策的なてこ入れが必要なんではないかと考えますけれども、厚生労働大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  219. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 製薬企業の間にも、ようやく国際化が来たという感じを持っております。今まで、どちらかと申しますとほかの企業が国際化が進みます中で製薬関係のところはおくれていた、国内における販売が中心になっておりましたが、先ほどから御指摘がありますように、むしろ伸びているのは外国で伸びているという、こういう数字を見ますと、日本の企業もようやく一人前にと申しますか、世界に羽ばたくようになってきたなという感じを持つわけでございます。  私はむしろ好ましい現象だというふうに思いますが、しかし、その中でやはり優秀な新薬というものの開発というのもしていただかなければならないわけでございます。どうも日本の製薬会社の中では、新しいのがいろいろできてくるけれども、これといった目ぼしいものがこの最近ないということが言われておりまして、目ぼしいものはこの数年の間に一つか二つではないかというようなことが言われたりもするわけでございますから、新薬の開発、その中でもすぐれた開発をどう進めていくかということが近々の課題であるというふうに思っております。  そのことに対しましては、国としてもやはり新しい研究の開発等につきましては支援するところは十分に支援をしながら、そして日本の中で優秀な薬の開発が生まれて、そしてそれが世界に羽ばたくようになっていけばこれにこしたことはないと思っている次第でございます。
  220. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。  今、大臣がお答えいただきましたように、確かに簡単に画期的なお薬ができるとはどなたも思っていないです。今、大臣が御答弁いただきましたように、数年に一個か二個しかないじゃないかと。ただ、その一個か二個を出すためにどのくらいの苦労が要るかということについては、やはりそれについて個々の最終的な努力は企業なり研究者がするわけでございますけれども、それの研究基盤を整備するというのは、これは国の仕事だろうと私は考えておりまして、ぜひそういった面から支援といいましょうか、そういったサイドからの行政的なアプローチもお願いいたしたいと思います。  それから、今、大臣のお答えございました新規品が少ないという話について、今議論が行われております中央社会保険医療協議会におきまして、やはりそういったものに対するある意味でのインセンティブというものを与えたらいかがかと、こういった議論がなされているというふうに伺っておりまして、こういった場合、ある意味で薬価がそれによってもうけ過ぎているとなったら、これはやっぱり社会保障制度の中のお薬ですからそれなりに価格についても配慮しなきゃいけないし、切り下げもしなければいけない。ただ、それによってインセンティブを与えるべきものについては与えるという、そういった施策的なこれからの展開が必要だと思います。大臣はプロでございますから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  最後に、残された時間で一つだけこれは御要望させていただきたいと思います。  何かと申しますと、診療報酬の見直しにおいて、昨今、疾病構造が変遷してきたことによりまして、かつての出来高払いの弊害から、いわゆるフラットサムといいますか、包括化を進めていく方向というものが積極的に取り込まれてきております。この包括化のメリットというのは、反対的な立場になるところの出来高払いの弊害を除去する、そういったことによって、医療の質とともに、いわゆる医療費の適正化といいましょうか、そういった方向が期待されているということで、幅広く導入が検討されているわけでございます。  私は、今の生活習慣病がふえてくる状況、高齢者がふえる状況においてこの方向というものはぜひ積極的に進めていただきたいと考えておりますが、ただ、この包括化を進めることによって本当に医療費の適正化に直結しているのかどうか、あるいは包括化によって、ともすれば診療の内容が不透明ではないかという疑念さえ持つ人もいるわけでございまして、ぜひこの包括化の推進に対しましては、そういった医療の質が落ちない、そしてコスト的な問題については医療費適正化に寄与するんだと、そういった方向でこの包括化が推進されるような施策展開をお願いいたしたいと思うんです。  そして、これに関係しては、この包括化というものが導入されてまだ日が浅いと思いますけれども、ぜひこの包括化による行政効果というものを厚生労働省として検証していただきたいと思うんです。これについて、これはもしも答弁が難しかったら要望だけでとめさせていただきたいと存じますが、何か御答弁がありましたら御答弁願いたいと思います。
  221. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 包括化という問題でございますが、基本的には診療報酬のあり方がどうであるかという問題の一つであると思っております。  医療保険制度から医療機関に対しまして、そのサービスに対しましてお支払いをする診療報酬制度につきましては、患者さんの立場に立ったあるべき医療の姿と、こういう姿を踏まえまして基本的なあり方について見直しをしてまいりたいというふうに考えているところでございますが、特に包括払いと出来高払いの問題につきましては、かねてから我が国の診療報酬はどちらかというと出来高払い中心でございますので、包括払いを拡大し出来高払いの欠点を是正していこうと、こういうことでここ十年以上やってまいっているところでございます。  例えば、一例を申し上げますと、平成元年に入院料で包括払いをされていました病床数は五千六百でございますけれども、その後、平成二年、平成五年等々と、老人医療を中心に入院料の包括を推進してまいっておりまして、今日では五千六百床が三十六万四千床というふうに大幅に増加していることも確かでございます。  藤井先生から御指摘ありましたように、そういったものが医療費の効率化にどれだけ寄与しているのか、また医療の質の向上にどういうふうに寄与をしているのか、この検証は当然必要だと思っておりますので、先ほど申し上げました診療報酬体系の抜本的な見直しということ、それから十四年にも診療報酬改定が予定されているところでございますので、そういった中で、具体的に十四年の診療報酬改定の中でどれだけそういったことに取り組んでいくか、そういうことについて心して進めてまいりたいと考えております。
  222. 藤井基之

    ○藤井基之君 五時を過ぎましたので、きょう朝十時から審議を行っておりますので、終わります。  ありがとうございました。
  223. 岩井國臣

    委員長岩井國臣君) 本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会