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佐藤道夫君
長官は、部下を信頼しなかった
長官として
防衛庁の歴史の上にさん然と名が残るんじゃないかと
思いますよ。一体、刑をこれだけ引き上げたのはだれだ、あのときのあの
長官だ、我々を全然信用していなかったんだなと。
事件があったとおっしゃいますけれども、長い間にたった一件だけでしょう、秘密を漏らしたなんというのはね。あれを手がかりにして、じゃ五倍に引き上げ
よう、そう決断したのはあの
長官だと。そういえば我々をいつも疑わしい目でこうやって見ていた、本当に情けない限りだと、こう言うんじゃないですか、
職員や一般隊員は。
あのね、法は法なきを期するという言葉、御存じでしょう。刑罰の目的は
最終的には刑罰のない社会をつくろう、そこにあるんだと。やたらに刑罰をつくって人を
処罰すれば、
国民を
処罰すればいいと思っているのは本当にいいかげんな独裁国家のことなのでありまして、
国民を信頼して、こういう刑罰がなくても
国民はもうきちっとやっていける、特に
防衛庁、みんな優秀な
人たちの集まりなんだから、こんな刑罰がなくたってきちっと秩序は守っていけるはずだと。なぜそういうことを、当たり前のことなんですけれども、部下を信頼しておれば私が言った
ようなことを言うと
思いますよ。
ただ、信頼できないのは政治家なんですよ。よく収賄
事件引き起こすでしょう。そしてそのたびに収賄の刑を引き上げていくんですよ。ロッキード
事件なんかそうなんですよ。あれだって、じゃ政治家だけの収賄を引き上げればいい、まあそうはいかぬということで一般公務員の刑も、収賄の刑も引き上げられていく。情けない
思い、皆公務員はしていますよ。世間の人はもう役人と見れば、おまえも収賄しているのかと、そういう目で見る。いや、そんなことはない。だって刑を引き上げているじゃないかと、こういうことも言う。大変情けないことなんで、もう少し毅然たる態度で部下を信頼して行政というものをやっていただきたい。それが
長官のまた、私、基本的な任務でもあろうかと思うのであります。
回答は結構でございます。よく
考えていただければと
思います。
そこで、御退屈な
ようですけれども、
外務大臣にお尋ねいたします。
二、三日前の
新聞に、小泉首相が、何といいましたっけ、タウンミーティングで発言をした、それが大きく翌日の
新聞に報道されておりまして、そこで
外務大臣のことをとらえて総理は何と言ったかというと、嫌いな人をも全部味方と思え、そういう
気持ちでやってほしいと。入室拒否ということをやっている
ようだが、そんなことはしないで広く門戸を開放して
職員の意見によく耳を傾けてほしいものだと。それから、権力だけで人を動かそうなどとはゆめ
考えないで、人を、部下を信頼して話をよく聞いてほしい、こういうふうに
考えていますよということを小泉首相がおっしゃっておって、それが
新聞で報道されておりました。
これはあなたの言葉なら、あなたはすぐそんなことは言っていないということではね飛ばしておしまいになるんですけれども、小泉首相の言葉ですから。小泉さんがこの
新聞に
抗議をしたとも出ていませんから、おっしゃったことは事実なんでしょう。
上司が部下についてこういうことを言うというのはもう大変な問題ですよ。部下をまるっきり信頼していない、目を離すと何をやるかわからぬと。総理と
大臣の
関係だって同じですよ。こんな
子供にでも言いそうなことを、うちの
大臣がこうだから
しようがないなという
思いでこれ言ったんですね。普通ならこんなことを総理が言うわけはない。まず
最初にあなたにきちっと時間をとって話し合いをして、こういうことをあなたは反省してもらいたいと、何回も言っているけれども、反省しなければ僕はもう公の場でこれは言わざるを得ないと。
だれだってそうです、役所の上司というものは。あるいは民間
会社の
社長さんだって同じです。副
社長がおれの言うことを聞かない、人を人とも思わない、好き嫌いが激しい、そういうことだったら、すぐ呼んで時間をかけて話し合って、君、本当に反省してもらいたいと、部下の意見にもよく耳を傾ける
ようにしてもらいたいと言って、融和を図っていって
会社経営をしていく。
役所だって全く同じことなんですよね。上司と部下が心を開いて話し合う、議論をする。時間がかかることもあります。また、聞きたくない意見を部下が言うこともあります。しかし、そういう意見に耳を傾けて、なるほどねと、こういうのも
大臣の務めで、私、法務省におって何代もの
大臣に仕えてきましたけれども、腹が立ってわあわあどなるなんという、そんな
大臣見たことございませんよ。永田町
時代は大分悪い評判があったんですけれども、さすが役所に来ると落ちついて我々
職員の意見を聞いてくれる。中にはしかし一人、二人、大声を出して、何やってんだなんてどなる
大臣もいましたけれども、それは即座にあいつはだめだと、民主主義、ここは何だと思っていると、同じ国家公務員ではないのかと、公務員の分際で同じ公務員をどなりつける、何事だということでだれも相手にしない、お茶くみの女性だってもうぱっとお茶なんか出しておしまいにしてしまうと、そういうのが
日本の役所なんですよ。
いずれにいたしましても、小泉首相のこの発言についてどういう感想をお持ちでしたか。