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森参考人 お答え申し上げます。
まさに問題意識としては谷口
先生のおっしゃることを共有しておりまして、二十一世紀に向けて、今はおっしゃるとおり
不良債権処理、いわばいろいろなびほう的なことをやっておるわけですけれ
ども、二十一世紀を眺めると、環境変化に即応した
金融システムの姿というのはどうあるべきかということも今から
議論していかなきゃいけない、それが必要なことも事実でございます。そういう意識のもとに、谷口
先生も触れられましたように、
大臣の懇話会、二十一世紀ビジョン懇と通称しておりますけれ
ども、それを開いて有識者に
議論していただいているところでございます。
私
自身といたしましては、二十一世紀の
金融システムのあるべき姿として、やはり日本がいろいろな
意味で間接
金融の国である。戦後の高度成長における
銀行の果たした役割というのは、それはそれなりに
評価すべきだと思うんでございますけれ
ども、その後、いろいろな
金融技術の革新的な進展があって、欧米の
金融機関は、それに乗ってますます投資
銀行的に動いているところとリテール
銀行的に動いているところ、その二つが分化している姿で、投資
銀行とリテール
銀行というものがはっきり分かれて
金融機関の果たす役割が非常に明確になっている。
それに対して、日本は間接
金融がまだまだ残っている。例えば、民間の非
金融法人
企業の資金調達で見ますと、財務省の法人
企業統計年報で見ますと、大
企業の場合、まだ六四%が間接
金融に頼っている。
中小企業が八七%間接
金融に頼っているのはわかるとしても、大
企業が、すなわち大
企業の場合は、
銀行にとっても、資金調達コストと受取利息の
関係でいえば、ほとんど利益が出ない大
企業向け融資というものを持っている。
こういう姿については、今後、大
企業については直接
金融市場へのシフトというものを、CPのペーパーレス化を初めとしていろいろ行政側もやらなきゃいかぬ環境整備はあると思いますけれ
ども、そういうことを環境整備しつつそういうふうに持っていかなきゃいかぬと思いますし、個人
金融資産千四百兆といっても、現金、預金に五三%今たまっております。株式、出資金、投資信託、三つ合わせましても一一%でございます。アメリカとちょうど逆の姿になっております。
やはりそういうところも直接
金融、もっと具体的に言えば証券
市場の構造改革をもっと進めまして、かつまた証券
市場の
信頼性を向上させる、端的に言えば証券会社の信認をもっと高める、そういう業界の
努力と、こちらのそのための施策を図りまして、いずれにしても証券
市場の
信頼性の向上を図っていくことが重要だと思いますし、その上で、
金融機関は、やはり
中小企業を含む健全な貸出先に対する資金供給の一層の円滑化というところにもっと傾斜していくべきだ、そちらの方が、場合によってはミドルリスク・ミドルリターンをとるような
金融機関になっていくということが、また一方において重要なことだというふうに考えております。