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仙谷委員 もう少し言いますと、さっきから、
検討会がどうの、顧問
会議がどうのという話が出ていました。私もまたお伺いいたしますけれども、結局、特にこの
司法の世界、
森山大臣は
司法の世界ではお育ちになっていないけれども
法律は相当勉強されたからおわかりになると思いますが、
司法というのは
国民を疎外する本質を持っていると僕は思っているんですね。
なぜならば、そもそも日本の法学
教育というのが大陸法系の法学
教育であったために、大体ヘーゲルから入る法学
教育なんというのはこれは無理なんですよ、ところがそこから入る。この共通言語としてのテクニカルタームが、専門用語が普通の人にはわからない。普通の常識の善意と悪意というのは、
法律用語の善意と悪意と違う。
法律用語の人というのと常識的な人、人でイメージする
言葉は全然違うわけですよ。そこからして
国民は疎外されているわけですよ。遠い存在になっているわけです。別の人種がしゃべっているように聞こえるらしいですよ、法廷で我々がいろいろしゃべっていたら。
それはまだ、法廷に近づいたことがある人がそうなんです。普通の人は、あんな怖いところへは行かない、民事事件であっても
裁判所とかかわるなどということは一家の恥であると。裁判というのはそんなものですよ。ましてや、弁護士さんの扉をたたいて幾ら取られるかわからない、これが庶民のある種の蔓延する常識です。
私はその辺にも同期生がいっぱいおりますけれども、私の年のころは、
司法試験を受けるのはいいけれども裁判官になるんだったら許すという親がおりましたよ。弁護士みたいなやくざな仕事をするんだったらやめろという親もおりましたよ。
ここにまたもう一つの疎外の要素、つまり官尊民卑なんですよ。
司法の世界でも官尊民卑なんです。最高
裁判所はやはり一番偉いんですよ。中身は大したことなくてもそう思わせる何かがあるわけね。そのことが
国民を
司法から遠ざけた。このことは、弁護士も裁判官も検察官も深刻に反省をしなければならないところなんですね。それを制度的にどうするのかということと、それを担う人をどう変えるのか、この二つの両輪で変えていかない限り、幾らきれいごとで、自己
責任原則に基づいて、ルールに基づく
事後チェック型の
社会をつくるなんということを百遍言ったって、そうはならないですよ、これは。それが私の実感なんですよ。
そこで、はっきり僕はこの際だから言っておくけれども、
法務省も
裁判所も、優秀な
司法官僚諸君は、
裁判所まで
裁判所官僚と見た方がいいですからね、特に最高裁におる人は、優秀なとつけてもいいけれども
裁判所官僚なんです。この
人たちは、霞が関よりはるかにまた別の言語を使う集団で、この
意見書を具体化しようとしたら、そんなことできません、そんなことは約束事にありません、そんなことをしたら伝統が壊れますとか、何だかんだ言い出して、できないようにできないようにやってしまう。
森山さんだって労働省にいらっしゃったからよくわかっているでしょう。できない理屈を探してくるのにこれほど上手な人種はないというのが霞が関ですよ。さらにそれに輪をかけて保守的なのがこの
法務官僚、
司法官僚、こう思っていた方がいい。これはもう私の三十年の実感。いや本当に。
だから、
意見書の理念を実現しようとすれば、これは相当腹をくくった政治家が、つまり閣僚ですね、何とか推進
本部は全部閣僚がなると書いてある、それが腹をくくって、この
意見書を百回でも読んで読みこなして、わからぬ文字があったらだれかに聞く、教えてもらう、
審議会の
委員の人に。そのぐらいのことをして自分のものにして、そして官僚が何を言おうと絶対にこうやるんだと、そのぐらいの構えがないとできませんよ。
そこで、若林さんのお話とも
関係するのですが、ぜひお願いをしたいというか、むしろこのことをお約束していただきたいのですが、
検討会とか顧問
会議とかいろいろあるわけでありますが、公開してください、これ。公開。若林さんがおっしゃっているのも、
審議会の手続が、
審議会の中身がなぜこういうふうないいものに結論としてなったか、つまり
森山大臣もお認めになっているようなものになったかというと、これはやはり公開されたことが一つの非常にいい条件だったんだと。つまり、裏取引をなくするとか、あるいは、先生この程度でお願いしますわみたいな話がなくなるという
意味で。だから公開をする、このことをやってください。
特に、
事務局員の役人の方なんかについて名前を出す。出してもすぐいなくなるから、終わったらいなくなるので
責任とらないのかもわかりませんけれども、要するに、この歴史的な
改革をやろうとするのであれば、そのことについて発言をする人は、物申す人は、みずからの名前を出して、存在をかけて物を言ってもらわなきゃ困る。このことを徹底していただきたい。いかがですか。