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北川参考人 最初の項目の政官民が透明度の高いという話と最後の御質問とは、考え方といいますか、少し似通っておりますので、あわせて考え方を申し上げたいと
思います。
世の中がリーズナブルにといいますか、理論、理屈で動くことが最も重要なことであると私も考えておりますが、
政治の
世界はなかなかそうはいかないものだと思うんです。例えば、第二次
世界大戦を経験したからこそ戦後の
政治は形成され、国民性も形成されていったという
ようなことを
思いますときに、ショックとかいろいろな大事件とか、そういったことが
決定的な要因になる場合が多いと
思います。
理論、理屈だけでは動かずにということが多いと
思いますが、そういった中で、例えば形から変わるということは、理論、理屈以上に大きな要素になる場合があるのではないか、その
ように考えています。
例えば徳川幕府の末期に、井伊大老以下、一八五三年にペリーが来航、あの前後から数十年かけまして、徳川の閣僚と言われる人たちが全力を挙げて変え
ようという努力をされましたが、結果、何ら変わらずに、薩長土肥の若い志士たちが出て、そして
京都に政権的な中心が移り、そして初めて
明治維新という万機公論に決すべしという
ようなことが行われたということは、実はそこに、場所の
移転、権力の移行が起こったからこそ大きく変わることができたんだ、それは理論、理屈よりは、むしろ形が変わったからだ、その
ように私は思うところでございます。
例えば、簡単な例ですが、カジュアルウエアの日を県庁に設け、夏は環境のサマーエコタイムということで、四県の
知事さんや近畿の
知事さんなんかと御一緒に三カ月間ほど私どもは、県庁がオール、ネクタイを外し、半そでで来ます。そうしますと、百の理屈よりも、環境適温二十八度だねという
ようなことが一気に広がるということは、実は形から変わるとても重要な要素ではないか。
その
決定的なことが、権力が
集中し、今までの二十
世紀までのパラダイムをつくり上げてきたこの地において本当に変えることができるかといえば、答えはノーに近いと
思います。それを変えるぐらいの情熱とか馬力とか勇気とか志がこの国に欠如していたのではないか。見事なパラダイムシフトで右肩上がりで動き始めてまいりますと、まさに
国家目標が失われて、それの中での利害調整が主な
役割になっていったという
ようなところが今日
閉塞感を生んでいるんだと私には思えてならないんです。
したがいまして、本当の
意味で、この国の今までのあり
よう、形というものを、全部
東京を経由しなければ、交通も
政治も
経済も
文化も情報も全部通らなければというこのパラダイムを変えない限りは、なかなか難しいのではないか。あるいは、もう少し言い方をえんきょくにいたしますと、この
地域から離れた方がはるかに変わりやすいのではないかということを実はずっと申し上げてきたところでございます。
そして、政官財が御一緒に護送船団でというのは、もはや五百兆を超えるGDPができ上がったときに、五十兆円内外の
国家予算でそれを管理、統制というのは、物理的にももう無理であろうということも思わせていただいているところですから、新しいパラダイムをつくり上げていく。
例えば、新たに起きる、ごみの問題、住環境の問題、CO2の問題等々、まさに大実験で、こういったことを本当に解決できるんだということは、今の技術をして、あるいは新しい概念、新しい感覚であれば必ずできる、私はこう考えておりまして、そういったことを全
世界にアピールすることこそがとても重要なことだ、その
ように考えているところでございます。
長野県の田中
知事とは若干いろいろな面で考え方において違うことは、この際申し上げておきたいとは
思いますが、私は、物理的に
移転しなくてもよいのではないかというのは、その
ような理由から、やはりこの際は、
移転をする勇気ぐらいは持っていただいて、そして世の中をゼロからつくり直す、過去の延長線上ではなしに、全く新しい価値をつくり出していくというゼロからのスタートということからすれば、
移転するべきである、その
ように考えているところでございます。
一極集中は大きな問題にはならないというのが慎重派の御
意見だといいますが、
集中が
集中を呼び、本当に
東京で環状線ができると皆さんが思っていらっしゃるかどうか、
費用対
効果をお考えいただきたいと
思います。いわんや
首都高速の渋滞を本当に直すことができるかどうか、この密集
地域で本当にどれだけの予算、
費用がかかるか、大深度という新しい工法はとても重要な要素であろうと
思いますが、それの汚れた排気ガス、空気は一体どこへ抜いてくるか、それが、環境の意識が進んだところで果たしてできるかどうか、そういった
議論こそを本当に
国会でしていただくことこそが
国会の役目だ、そして
地方のさまざまな問題についてはぜひ
地方にお任せをいただきたい、その
ように私は思っておりますので、この際、私は、
移転をした方が、よりさまざまな点で、新しいパラダイムがつくりやすいし、この国の形を、成熟した
社会の中で、あるいは
世界がボーダーレスになった中で、
日本のアイデンティティーを見事に証明でき、情報発信できる、そういうことになろうと
思いますので、
移転した方がはるかにいい、その
ように考えています。