○内藤正光君 私は、民主党・新緑風会を代表し、
政府提出の
平成十三年度
一般会計予算案外二案に反対、また民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び自由党
提出の
修正案に賛成する立場から討論を行います。
森
内閣の発足から一年近くが
経過しようとしております。この間、我が国の政治はもとより、
国民生活に直結する経済や財政は一段と混迷の度を深めています。
森総理は就任以来、神の国
発言など数々の暴言や失言などを繰り返し、その都度言葉だけの釈明でお茶を濁し、その救いがたい軽さは、一国のリーダーとしての
総理の地位を筆舌に尽くしがたいほどおとしめてまいりました。
さらに年明けには、えひめ丸事故の第一報を受けたにもかかわらず、そのままゴルフを続け、
国民世論の厳しい批判に対しては反省の弁もそこそこに、あれは事故であって危機管理の問題ではないなどと強弁するなど、一国の指導者としてあるまじき言動を繰り返すばかりでした。
また、
外務省元
職員の逮捕にまで発展した報償費流用事件は、数億円にも上る税金が元
職員らの飲食費やマンション購入費、さらには競走馬の購入代金にまで流用されたと言われていることに、
国民はあいた口がふさがらないのであります。
そもそも、何にでも使うことができ、しかも領収書も不要という
予算が何十億円も計上されていること自体、
国民の目には異常です。たとえ行政の円滑な遂行のための報償費といえ
ども、おのずとその使い方には制約があり、飲食費やせんべつ、ましてや与党の選挙
対策費として使われることなど断じて許されるものではありません。
一方、我々野党三会派が
提出した
修正案は、
国民の強い要望にこたえ、
内閣所管及び
外務省所管の報償費を減額しようとするもので、大いに賛意を表するものであります。
国民から負託を受けた国会の責務として、修正の実現を強く訴えます。
最近の景気悪化と底の見えない株安は、こうした森
内閣の無為無策と政治の空白に対する
国民の失望感を何よりも端的に物語っています。十三年度
予算についても、今すぐやるべき改革はすべて先送りされ、将来展望ゼロの旧態依然とした
予算のばらまきに終始し、到底
認めることなどできません。
以下、本
予算案に反対する主な理由を具体的に申し述べます。
反対の第一の理由は、我が国の財政赤字に拍車をかけ、財政再建に逆行した内容となっている点であります。
政府は、本
予算において国債発行額を前年度より減額したと説明しています。しかし、これは前年度に計上された金融安定化のための預金保険機構の交付国債償還財源四・五兆円の計上が不要になったためであり、この特殊要因を除けば十三年度の国債発行額は〇・七%の増加、金額にして二千億円程度増加しており、借金依存の構造から脱却するめどは全く立ってはおりません。
反対の第二の理由は、本
予算が旧来型の公共事業を偏重し、構造改革への取り組みを完全に放棄している点であります。
本
予算における公共事業
関係費の事業費別シェアを見ると、
政府の思い切った見直しを行ったとの説明とは裏腹に、そのシェアの変動は最大でもわずか〇・四%にとどまり、
省庁再編に伴って当然あるべき大幅な歳出削減もほとんど実行されてはおりません。
しかも、本四公団を初め、財政法第二十八条に基づく
資料に示されただけでも、十二兆四千億円もの累積欠損金を抱える特殊法人に対して相も変わらず巨額な補助金を支出することになっています。これは非効率な公共事業を温存、拡大し、財政赤字をさらに悪化させるだけの無定見、無節操な
予算と言わざるを得ません。
反対の第三の理由は、
予算のばらまきを助長する公共事業等予備費三千億円が計上されている点であります。
憲法第八十七条及び財政法第二十四条は、予備費の目的を「予見し難い
予算の不足に充てるため、」と規定しています。しかし、
平成十一年度、十二年度公共事業等予備費の支出内容たるや、整備新幹線や高規格幹線
道路など「予見し難い
予算の不足」とは到底
認められないものへの支出が目立ちます。この予備費なるものが与党による単なる
予算の分捕りに使われ、財政紊乱を招いていることは火を見るよりも明らかであります。
最後に一言申し上げます。
森総理は、
自民党五役との
会談や党大会において事実上の辞意表明を行っておきながら、外に向かっては、あれは辞意表明ではないと強弁するのは完全な二枚舌であり、これほど国会と
国民を愚弄した話はありません。
森
内閣はもはや死に体同然であり、これ以上の政治空白は政治不信をますます増幅し、景気を一段と後退させ、我が国の国益を損なう以外の何物でもありません。直ちに総辞職し、改めて民意を問うことこそ憲政の常道であることを強く主張し、私の討論を終えます。(拍手)