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2001-03-12 第151回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月十二日(月曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      入澤  肇君     月原 茂皓君      亀井 郁夫君     金田 勝年君      久野 恒一君     佐々木知子君      南野知惠子君     依田 智治君      木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君      堀  利和君     角田 義一君      峰崎 直樹君     竹村 泰子君      柳田  稔君     菅川 健二君      浜田卓二郎君     高野 博師君      益田 洋介君     魚住裕一郎君      照屋 寛徳君     三重野栄子君      高橋 令則君     田村 秀昭君      島袋 宗康君     西川きよし君  三月十二日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     松谷蒼一郎君      浅尾慶一郎君     木俣 佳丈君      畑野 君枝君     山下 芳生君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡野  裕君     理 事                 岩城 光英君                 木村  仁君                 須藤良太郎君                 吉村剛太郎君                 高嶋 良充君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 小池  晃君                 清水 澄子君     委 員                 有馬 朗人君                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 鎌田 要人君                 岸  宏一君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 陣内 孝雄君                 月原 茂皓君                 野沢 太三君                 日出 英輔君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 松村 龍二君                 依田 智治君                 浅尾慶一郎君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 櫻井  充君                 菅川 健二君                 竹村 泰子君                 角田 義一君                 内藤 正光君                 簗瀬  進君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 高野 博師君                 大沢 辰美君                 宮本 岳志君                 山下 芳生君                 三重野栄子君                 松岡滿壽男君                 田村 秀昭君                 西川きよし君    国務大臣        内閣総理大臣   森  喜朗君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     高村 正彦君        外務大臣     河野 洋平君        財務大臣     宮澤 喜一君        文部科学大臣   町村 信孝君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   谷津 義男君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 伊吹 文明君        国務大臣        (防衛庁長官)  斉藤斗志二君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)  橋本龍太郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    麻生 太郎君        国務大臣        (科学技術政策        担当大臣)    笹川  堯君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   坂井 隆憲君        内閣府副大臣   村井  仁君        防衛庁長官   石破  茂君        総務大臣    遠藤 和良君        総務大臣    小坂 憲次君        外務大臣    荒木 清寛君        文部科学大臣  河村 建夫君        厚生労働大臣  増田 敏男君        厚生労働大臣  桝屋 敬悟君        農林水産大臣  田中 直紀君        経済産業大臣  松田 岩夫君        国土交通大臣  高橋 一郎君        国土交通大臣  泉  信也君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西川 公也君        防衛庁長官政務        官        米田 建三君        環境大臣政務官  熊谷 市雄君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣府政策統括        官        岩田 一政君        厚生労働省老健        局長       堤  修三君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたい、かように存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事清水澄子君を指名いたします。     ─────────────
  4. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 平成十三年度総予算三案についての理事会決定事項について報告いたします。  本日の質疑割り当て時間は百三十八分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・保守党四十七分、民主党・新緑風会四十一分、公明党十五分、日本共産党十五分、社会民主党・護憲連合八分、無所属の会四分、自由党四分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりであります。     ─────────────
  5. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 平成十三年度一般会計予算平成十三年度特別会計予算平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、これより質疑を行います。まず、角田義一君。
  6. 角田義一

    角田義一君 おはようございます。  まず、総理お尋ねをいたしますが、十日の夜に自民党五役の方と大変重大な会談を持たれたというふうに報道されてございますが、大変失礼でございますけれども自民党の五役というのはどういう方なんでございましょうか、それからもう一つ、どこで、場所はどんなところで会談がされたか、そのことをまずお伺いします。
  7. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 自由民主党五役と申し上げておりますのは、幹事長総務会長政務調査会長、さらに参議院議員会長参議院幹事長、以上の方々を通称まあ党五役というふうに申し上げております。  なお、党五役においでをいただきまして、私から私の考えお伝えを申し上げました。場所総理公邸でございます。
  8. 角田義一

    角田義一君 そこで非常に重大な総理からの御意思の表明といいましょうか、存念が語られたというふうに新聞では報道されてございます。  初めて国民の前で、そのとき総理がどういう御存念をその五役の方にお伝えをされたのか、国民の前で明らかにしていただければと思います。
  9. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 本日もそうでございますが、今、連日、参議院におきまして、十三年度予算の御審議を熱心にお願いしているところでございまして、経済状況など各般の情勢を考えてみましても、国民皆様方はこの十三年度予算成立を一日も早く願っておられるだろう、私はこういうふうに申し上げました。  そして、政府といたしましては、ぜひこの予算案の一日も早い年度内の成立お願いし、さらには予算関連法成立お願いした。それから、各般にわたります我が国の諸改革を進めていく中で、多くの案件、法律を政府としてはお願いをしなければならない、またお願いもいたしております。したがいまして、今、政府は、まさに内閣一体となってこれらの諸案件成立あるいは政策の実現に向けて努力をしていかなければならぬ大事なときだと私は考えております。そのために、ぜひ党執行部につきましても与党党連携をとりながら、ぜひ内閣につきまして政府与党一体となって進んでいけますようによろしく御協力お願い申し上げたい、このような趣旨をまず申し上げました。  そして、同時に、今我が党に寄せられている批判は大変厳しいものがございます。それはこの委員会等議論をいたしておりますから中身は省きますが、同時にまた、私個人に対しましても厳しい御批判があることも十分承知をいたしております。しかし、先ほど冒頭に申し上げましたように、各般政策責任持ってやっていかなきゃならない大事な時期であるというふうに考えておりまして、十三日に行われます我が党の大会を円満に整々粛々とぜひお進めをいただきたい。そのために、各県連、支部、あるいはまた我が党の中にもさまざまな御意見があることを十分私は踏まえて、自由民主党総裁選挙は、ことしの九月ということが任期でございますのでそのときに行われる予定でありますが、そうした党の皆さんのお考えを十分検討されて早期に、早期といいますか前倒し総裁選挙をやっていただいて結構じゃないでしょうかと、そのことを私は申し上げたいことが一点。  もう一つは、政治倫理を初めとして党の活性化あるいは党の健全なる出直し的なそういう改革について、党内改革について十分議論を進めていただきたいということをお願い申し上げた。  以上が、私が党五役に申し上げたことでございます。
  10. 角田義一

    角田義一君 総理はもちろん自民党総裁であるわけですけれども任期は九月までおありになるわけでございますね。その総裁選挙前倒しをされるというか先におやりになるというか、期日を先にされると。  この理由は、今お聞きいたしておりますと何か十三日の自民党大会を乗り切るための方便としか考えられませんけれども、その真意、なぜその自民党大会を、恐らくそれは総裁選挙だと思いますけれども、その大会前倒しにするのか、されるのか、そこのところをよく私どもにわかるように説明していただけませんか。
  11. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) ただいま申し上げておりますように、我が党の中には、県連等あるいは党内にもさまざまな意見があるということを申し上げました。私に対するそうした批判もあること、あるいは党のいわゆる改革といいましょうか、そうしたことに対する要望も極めて多いということ、したがって、そういうことを踏まえて党はやはり国民の支持、信頼を回復するということが大事なことだと、そのために私は先頭に立ちたいと、こういうふうにもお話の中で申し上げております。  したがって、そういう党に対する党内外の声を十分に吟味をしていけば、やはり総裁選挙をぜひ早めるようにというそういう意見があることも私は十分踏まえなければならぬだろうと、そういう意味で、党の皆様方で御協議をいただいて、必要があるとするならばどうぞ早めていただきたいということを私から総裁として御提案を申し上げておきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。もちろん、党改革についてはふだんから進めていかなきゃならぬことでありますが、特にこのことも党大会で申し上げたい。そして、私のこの考え方につきましては、十三日の党大会で私は全党員、党友に対してその会場で申し上げたいと、こう思っている、御了承を賜りたいと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  12. 角田義一

    角田義一君 党大会前倒しでおやりになるということのようでございますが、その時期は、総裁選ですな、失礼しました、総裁選前倒しでおやりにやる。いつおやりになるのでございますか。
  13. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) いつにするか、あるいはどのような方法でやるかについては、これから後、党の執行部と十分協議してまいりましょうと、このように申し上げてあります。
  14. 角田義一

  15. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これは党の執行部がいろいろ御相談をなさることであろうと思いますし、当然私は総裁でもございますので、党の執行部と私とで相談を申し上げるということになろうかと思いますが、総裁という立場総理という立場もございますので、そうした党の行事と党の日程等については幹事長を初めとして党の執行部が御検討なさるものであろうと、これは従来からそういう形をとっております。
  16. 角田義一

    角田義一君 いずれ、総裁選挙前倒しになるということを総裁として決断をされたということでございますが、森総理自身はその総裁選に再びお出になるのでございましょうか、いかがでしょうか。
  17. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど申し上げましたように、党に対する御批判もあるし、私に対するいろいろ御意見もあることを十分私は踏まえて、そうした党内外総裁選挙をやるべしという声を受けて、そのことを総裁として考えておりますから、どうぞ御遠慮なく党の執行部で御相談くださいという趣旨のことを申し上げたわけでございますね。これはたびたび今ここで申し上げたとおりでございます。  そこで、その時点で私に対してどうかということについては、今の時点で私は申し上げるべきではないと思っております。当然、党内外のそうした声にも耳を傾けていかなければならないし、また、今進めております政策課題をぜひ着実に実行していきたいというその責任と希望は今でも私は持っておる、そのように申し上げておきたいと思います。
  18. 角田義一

    角田義一君 今のお話を聞いておりますと、その前倒し総裁選森総理は再度出馬もあり得べしというふうに理解をしても構いませんな。
  19. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 一人で行動でき得るものでもございませんが、今申し上げましたように、そうした内外の声を、十分私はその声に耳を傾けながら、その時点でまたお薦めある方などもあれば当然考えなければならぬことじゃないでしょうか。
  20. 角田義一

    角田義一君 そうすると、世間様の、今度のあなたのいろいろなお話は、すべて今新聞報道等は、要するに総裁選にはお出にならないんじゃないか、もう辞任を事実上されるんじゃないかと、そういうふうに全部の人がとっておられるんですが、それは新聞国民が勝手に思っていることであって、私は総裁選に出るということもあり得べしと、こういうふうに理解してもよろしいんですな。
  21. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私も、また私と協議をしていただきました党の執行部、いわゆる五役の皆さんのどなたも私が辞意表明したというふうに理解をしている人たちはおりませんし、私自身もそういうことを申し上げた気持ちは毛頭ございません。  ただ、今あえて先生から引用していただきましたように、どうも日本マスコミはそのように既定路線と決めつけてしまっている、あるいはそのようにずっと書き続けてこられた。したがって、ここで違ったことは打ち出せないという面もあるんだろうと思いますが、そういう面からいえば、無理やりこじつけて事実上の何か辞意だというふうに書かざるを得なかったのかなというふうに思っておりますが、私も、党の五役もだれもそのようなことは申し上げておりません。
  22. 角田義一

    角田義一君 論理的にはこういうこと、あるようですね。あなたが総裁選に出る、総裁に選ばれる、当然総理はお続けになる。あるいはあなたがお出にならないということもあり得る。お出にならなくても、総裁ではないかもしれぬけれども総理ではあられるわけですから、総裁自分が出なくても自分総理をお続けになると、こういうことでございますか。  今、事実上の辞意表明ではないというふうにおっしゃっておるところを見ますと、総裁にならなくても私は総理として続けるんだというふうにも聞こえますが、いかがでございますか。聞こえますよ。
  23. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 一般的にはそのような考え方もございます。しかし、私ども政党としては、いわゆる総裁総理分離という、よく意見があるわけでありますが、総・総分離ともよく言いますが、そういう考え方は私どもの党としては今はとっていないということでございます。  しかし、私は責任がありますから、こうして皆さんが御熱心に御議論をいただいているこの予算あるいは関連法、さらにこれから続いてまいります各種の法案、そうした法案内閣としてこれを国民に向けてこうしたことをやりたい、やらせていただきたいということを申し上げているわけでありますから、これらが実行でき得るように最大限の努力をしていくことが、私はこれは政党人としてあるべきことだというふうに考えております。
  24. 角田義一

    角田義一君 そうすると、前倒しされる総裁選森総理が御出馬にならないというときには総理をおやめになると、こういうふうに理解してよろしいですね。
  25. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これからそう遠い将来ではございませんが、極めて重大な時期でございますから、私は軽々にそのことについて今申し上げられる段階ではございません。  ただし、先ほど申し上げましたように、そうした声が国民皆さんからあるかどうか。あるいは、党内から頑張ってやれというお声が今だってありますよ、今だってありますよ。また、特に土曜日、そうしたことを党五役に申し上げて、報道は事実上辞意ということを報道してくださったおかげで、私の家の電話は完全に壊れてしまいました。とにかくいろいろ電話がございます、手紙がございます。みんなしっかり続けろと言うばかりでございまして、よくぞおまえそう言ったなと、すぐやめなさいなんという電話も投書も一通もございませんでした。  私は、それもまた一つの声だろうと思いますから、そういう皆さんの声もやっぱり大事に受けとめていかなければならぬ。しかし、政党政治でありますから、政党の中の我々の、我が党の同志の皆さん方がどのように考えていかれるだろうか、このことも私は極めて大事な判断の材料だというふうに考えております。
  26. 角田義一

    角田義一君 総理国民の前ですからやっぱり率直に語られた方がいいと思いますよ、ここまで来て。総・総分離ということは論理的にはあり得ても、まだ現実には一遍もなかったわけですね。そうすれば、総裁にお出にならない人が総理の座に居直るなんということは考えられないわけですよ。  だから、私、はっきり申し上げますけれども総裁選にお出にならないということになれば、それはもう総理としての地位を去るというふうに理解するのが常識じゃございませんか。これは国民常識ですよ。  そこで、私は、これからいろいろ審議もしていくわけだけれども、あなたが総裁選に出ない、出る。もし出ないならもうやめるんだというようなら、出ないということはやめるんだということを意味するというふうにはっきり言ってもらわにゃどうにもならぬやないですか。
  27. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、角田議員に、そうしたお尋ねに対して丁寧にお答えをしているつもりでございますし、きょうはテレビの中継があるということでございますから、国民皆さんも私は議員とのやりとりを十分注視をされておると思いますので、率直な気持ちで私は角田議員お答えを申し上げると同時に、国民皆さん自分気持ちを申し上げているつもりでございます。  したがいまして、私は先ほどから重ねて申し上げておるようでございますが、そういう総裁選挙が行われるというその事態の中にあって、もし前倒しで行われること、あるいはまた九月かもしれませんけれども、そういう事態にあって、引き続き党内外から立て、やれというお声があれば十分耳を傾けなければならない、こう申し上げているわけでございまして、野党の皆さんはもうやれ、やらないとかおっしゃる、それは御自由だけれども、私は今率直に角田議員に申し上げているわけです。  ですから、そういう状況を踏まえて自分で判断すべきことである、このように申し上げている次第でございます。
  28. 角田義一

    角田義一君 国民は、あるいは世界は、あなたが総裁選前倒しにやるということはこれはもう事実上の辞職表明である、退陣表明である、条件はついていますよ。(「条件なんてついてない」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください。だれだ。やる、やらない。そんな閣僚がやじるとは何事だ。冗談じゃない。何だ、それは。
  29. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  30. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。  きょうの予算委員会質疑質疑者閣僚答弁、一部政府参考人答弁がありますが、その他の発言は、テレビ国民皆さんもごらんになっておられることでありますので、整々粛々と審議が進むよう皆さん、御協力お願いをいたします。  引き続きまして、角田義一君。
  31. 角田義一

    角田義一君 もう一遍お尋ねしますけれども世間様は、内外とも、要するにあなたが総裁選前倒しにするということはもうその時点でおやめになるんだと全部理解していますよ。そうすると、世間は勝手に理解しているんで、私はこれは事実上の辞意表明でも何でもない、断固やるんだ、関係ないんだと、そんなことは、こういうことでございますか。
  32. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これは角田議員と問答を続けているようで恐縮ですけれども、断固やるというようなことも申し上げてもおりませんし、国民は勝手に解釈しているというようなことも私は言ったこともございません。  端的に言えば、マスコミはそのような流れをつくったということは私はある程度理解をしなきゃならぬかな、承知をしなきゃならぬかなと、こう思っておりますが、先ほどから申し上げましたように、前倒しをどうぞお考えくださって結構ですよと、こう党の五役に申し上げたわけでありますね。それは党の中からもあるいは外からも、いろんなお声があることに私自身も謙虚に耳を傾けて、どうぞそういう御準備をなさるならやっていただいて結構ですと、こう私は申し上げたわけでありまして、その時点で、私が引き続きやらなければならぬというそういう環境にある、あるいはそういうお声がある、また党からもそういうお声があれば、それはその時点考えるべきことではないか、こう思っておりますから、この今の時点で私はその先のことについてまで申し上げるということは、これはやっぱり私はこの国会に対しても大変失礼なことになるというふうに思っております。
  33. 角田義一

    角田義一君 総理、あなたが五役を相手に自分存念を述べた。そのことが今もう日本じゅうあるいは世界で、これは事実上の退陣表明だと全部とっているわけです。公明党の神崎代表もそう言っておられるんです。公明新聞にちゃんと書いてあるんです。世間は全部そう思っている。なのにもかかわらず、自分はそうじゃないんだという、この混乱、あなたの最後になってのまだそこでの混乱、政治的な混乱を今の現時点でまだ引き起こしているわけです。これどういうふうに責任をとるんですか、じゃ。それを最後にちょっと聞きたい。
  34. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、これは混乱だとは思えないんですね。私の気持ちはそういう気持ちですと、こう申し上げているわけでありまして、我が国のマスコミは一方的にそういうふうに決めるということで、その流れをつくってそういうふうに持っていくということになったら、マスコミによって総理大臣をつくったりかえたりするということになるんじゃないでしょうか。
  35. 角田義一

    角田義一君 私、後でまたちょっと関連質問があって最後に質問しますけれども、私はあなたに申し上げたいのは、これだけのことが起きた以上は、やはり最終的にはあなたがおっしゃるように日本は神の国じゃないんですよ、民の国なんですよ。民が最終的に決めるんですよ、物事は。それならここで潔くきちっとおやめになって、後はお任せすると言えば政治的な混乱は起きないんです。それだけの見識をあなたはお持ちなのかどうか、ここまで来て、それを聞きたい。
  36. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今おっしゃったように、民の声、国民の声を大事にするから、私は今のこの予算案あるいは関連法案、各種の法案のぜひ審議お願いしたい、責任を持ってやりたい、これはまさに民の声だと、私はそう思っております。
  37. 角田義一

    角田義一君 後で私最後にまたこの問題について総理お尋ねしますから、関連質問を竹村委員お願いします。
  38. 岡野裕

    委員長岡野裕君) わかりました。  関連質疑を許します。竹村泰子君。
  39. 竹村泰子

    竹村泰子君 おはようございます。  今、角田議員がいろいろお尋ねをいたしましたけれども、あなたは大分マスコミがお嫌いのようですが、ぶら下がりはほとんど相手になさらないんですね。それでマスコミのせい、マスコミのせいとおっしゃいますが、マスコミ国民に対して知らしているわけですから、やっぱり国民の声をあなたは無視し、そして不信任案を否決されてそしてやめないと、しかし陰ではしっかりとあなたの退陣が用意されていると。こういうわかりにくいやみの中の政治、本当にもう国民はあきれ果てております。  失礼ながら、やみの中で生まれた内閣がやみの中でまた消えようとしているのかと、私はそう思うわけですけれども、あなたは、今胸中をと角田議員がさんざんお聞きをいたしましたが、胸中を本当に正直にお語りになっていないと思います。国民はみんなそう思っていますが、神の国発言、第三国発見発言、あるいは有権者は、無党派層は寝ていてほしい発言とかさまざまな発言がいろいろとございましたけれども、そして参議院のドンと言われた村上議員、そしてその秘書をしておられた小山議員、辞職をしなければならなかった。  そういう形で今一体どのようにお考えですか、御所見を伺いたいと思います。
  40. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) どうも竹村議員らしくない御質問だななんと思ってね。やみ、やみと、こうおっしゃいますが、この機会ですから、これは竹村さんは御承知だと思いますから一々失礼だと思いますけれども国民皆さんに申し上げなきゃならぬと思います。  党の五役と総裁である私が相談をすることは、これは密室なんでしょうか。(「密室だよ」と呼ぶ者あり)どうしてですか。  それでは、各党の皆さんお尋ねする権利は私ありませんが……(発言する者多し)
  41. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 総理答弁中であります。お聞きください。
  42. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 各党の皆さん執行部、代表等で御協議をされることは全部オープンになっているんでしょうか。あるいは、各党の皆さん方が代表を選んだりあるいは幹事長を選んだり、いろいろ人事をおやりになるのも皆オープンでなさっておられるんだろうか。そんなこと、私はどの新聞を見ても聞いたことも見たこともないですね。しかし、私どもとしては、この党の五役というのは、正式な手続を経て選ばれた党員を代表する、また衆参を代表する立場ですから、そういう皆さんで私と相談することがどうしてやみになるのかなと。  私は、これは国民皆さんにも率直に申し上げておかなきゃならぬ。会社だってそうだと思いますよ。取締役会、役員会、いろいろ執行部会というのがあるわけで、それを全部オープンにして協議をして大事なことを決めている、そんな企業もなければ団体もないと私は思いますよ。  ですから、私は、私が選ばれた過程も何か密室によると、こう言われていますが、これは党の役員が、当時、小渕前総理と小沢自由党党首との会談を終えて、そして自由党の皆さんが離脱をなさるというそういう重要な局面にあって、党の役員がみんな集まって相談をした。その中で小渕さんが倒れられたという情報が入ったということでございまして、当然どういうこの後の、まあ国会もちょうど始まっている最中でもございました、大事な時期でもあります、空白をつくってはいけないなというみんなのそういう気持ちから、私は党の役員から選ばれて、それはそのまま決められたわけじゃありませんので、党の大会にかわる両院議員総会というので選び、地方の県連からも代表者にお出をいただいて、そして党の役員から私が推薦を受けた。しかし、他の立候補者はだめですよということはないのであって、そのときに他の役員方からもし立候補者があれば当然選挙になるわけでありますが、それがなかったから私が選ばれた。これは党の総裁として選ばれたことです。決して私は密室で選ばれたとは思っておりません。  これも何か密室だ密室だと、これも言いにくいことだけれどもマスコミ皆さんがそう決めつけてしまって、私のこの一年間はまさに何かどこかのガードの下から拾われてきた赤ん坊のように言われています。甘んじて私はそれを受けてでも、仕事だけはしっかりやってきたつもりでございます。  どうぞひとつ、竹村先生ともあろう聡明な方が、そういう何かみんなが言っているから密室だ密室だ、やみの中だというような御議論の展開は、私はこの際ぜひ御理解をいただいて、私はきちっとした民主主義のルールによって選ばれた、しかも内閣において、国会において首班指名を受けたということについて私は自負をいたしておりますし、また一方ではその責任も感じているということをぜひ御存じをいただければというふうに思います。
  43. 竹村泰子

    竹村泰子君 あなたは問題のすりかえをいつもなさいます、長々と。大変お上手でいらっしゃると私は思いますけれども、密室と私どもが言っているし、国民はみんな、密室で生まれた、小渕さんが倒れられてそして密室で生まれた内閣だとみんな思っていますよ。その何が密室かというと、国民の知らない間にそれが決められてしまって、そして一国の総理大臣というそういう形になる。また、今私が密室と言ったのは、やめたくないとおっしゃっているのにやめさせられるその密室、そういうことを私たちは、国民は幾ら見ていても聞いていてもわからない。わからないと思っているからお聞きしているんです。
  44. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) やめたくないのにやめさせられるという極めて御同情的なことを言っていただきましたが、私は、党の、党に対する厳しい批判というものを十分受けとめて、そして党は新しい出直しをしなきゃいけませんよと、これが第一義です。そして、党員の中から、端的に言えば県連支部等、また党内の衆参のそうした議員皆さんからも、総裁をしっかりと今度はいわゆるオープンな手続によって選挙で選びなさいというそういう声がありますから、そうした二つの大事な党の改革をぜひ今度はやってくださいと、こう申し上げているんです。  今、私が申し上げたのは、そうだそうだと、別に密室で選んだんじゃないですよ。私は党の両院総会で選ばれているんですよ。何度も申し上げておきますけれども、この際、申し上げておきますが。ですから、そういうこともどうぞ今度おやりになって、必要があるならばそれを早めていただくことも一つ考え方ですから、どうぞ私に御遠慮なくそう進めていただいて結構でございます、ただどういうやり方、いつにするかはまた御相談しましょう、総裁である私はそういう考え方を党員に対して示したということでございます。
  45. 竹村泰子

    竹村泰子君 後ほどまた角田議員が申し上げますけれども、本当に森さんは一体どこを見ておられるのか。これまでのさまざまな失言と言われ、御発言を聞いていても、この人は国民を見ているのかなと、森さんなりには見ておられるのかもしれないけれども、そういう感じがしてならない。  先ほどちょっと御発言がありましたガード下云々というのは、大変不穏当な発言であると思いますので、御訂正願いたいと思います。どうですか。
  46. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) ガード下というのは、不穏当な言葉であるかどうかは一遍ちょっと専門家にお調べいただきたいと思いますが、私どもの時代は、ガード下の何というよく流行歌があったり、美空ひばりさんなんかも歌った歌があって、私たちは好んで歌ったことがございます。  どういう表現をしていいのかわかりませんが、何か密室で好まれていないのに生まれた子供のように、何かそんなふうに見られているといいましょうか、言われているということはとても私は残念で、私のことは私のことでこれは甘んじて受けますけれども、我が党の名誉にかけて、我が党ではきちっとした手続をとって私を選出していただいたということを私は御説明を申し上げたんです。
  47. 竹村泰子

    竹村泰子君 美空ひばりさんとあなたは違うと思いますけれども、お立場がね。あなたは総理大臣ですからやはり発言には責任を持っていただきたい。歌であっても、そういう境遇で生まれざるを得ない子供もいるわけですから、やはりそれは不穏当な、総理としては不穏当な発言であったと思います。もう一度お答えいただけますか。
  48. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) ガード下で拾われたと、こう言われることは不穏当かどうかというのは、これは私は専門家に一遍聞いてみたいと思います。しかし、不快の念をもしあなたが感じられたとしたら、それは私はおわびをしますけれども、私はそういう言葉は必ずしも不穏当だとは思えないんです。
  49. 竹村泰子

    竹村泰子君 だから、あなたの人権感覚が少し違うと思いますね。しかし、この問題をここで予算委員会質疑として延々とやっても仕方がありませんから、私どもは、不穏当な発言であるし、それから子供たちは生まれるところを選べませんので、そういう境遇で生まれてくる子供もいるということを常に考えていなければならない政治家としての立場があると思いますので、御注意申し上げたわけです。  ところで、少し話題を変えますが、先週、三月八日午前、総理は韓国の元首相金鍾泌氏とお会いになりましたね。内容は何だったでしょうか。
  50. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 八日に韓国の金鍾泌元国務総理がお見えになりまして、私とお話をさせていただきました。二〇〇二年に、明年でございますが、ワールドカップがあるということ、それから明年は日韓国民交流年というふうになっております。これは両国政府で合意をいたしておりますので、それについての成功させるようにこれからも緊密な協力をしていくということを確認もいたしました。  同時に、金鍾泌元総理は、韓日議員連盟の会長をしておられます。私もずっと日韓議員連盟の役員もいたしておりましたので長いおつき合いでございますので、そういう韓日あるいは日韓議員連盟の交流のことなど、五月に総会があるということでございましたので、そういうお話どもいたしておりました。  また、そういう中で、加えて昨年九月、日韓首脳会談で、私から大学入試センター試験科目への韓国語導入について言及をいたしまして、これが文部科学省で大変努力をしてくれまして、二〇〇二年の一月の試験、つまり来年の一月の入試センターの試験からこれが実施できるということになったので、そのことを報告申し上げて、金大中大統領にどうぞよろしくお伝えをいただきたいということも申し上げました。先方から、大変日本政府の姿勢を評価するということのお答えもちょうだいをいたしました。  教科書問題につきましてもお話をいたしましたが、先方からは、現在極めて良好な日韓関係に悪い影響が出ないようによろしくお願いをしたいという旨の御発言がございました。  私どもからは、日本の教科書は国定ではないという旨のお話をしました。当然、金鍾泌氏はそのことも御承知でございますが、一応同行された国会議員の方もおられましたので、私は日本の検定制度の概略を御説明申し上げまして、現在、文部科学省におきまして検定基準に従って厳正に検討作業が行われている、そういう旨のことを御説明申し上げた次第であります。
  51. 竹村泰子

    竹村泰子君 金元総理は、来日前に金大中大統領とお会いになっていらっしゃいますね。そして、このたびの訪日は金大中大統領の特使としてお見えになったというふうにお聞きしておりますが、どうですか。
  52. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 金元国務総理の御訪日について、元国務総理が特使として御訪日をされたというふうには私ども承知をいたしておりません。ただ、御訪日前に、議員が今おっしゃいましたように、しばしば大統領との間で意見交換をしておられたということは伺っておりますけれども、そのことと今回の御訪日との関係については私どもはわかりません。  いずれにしても、特使という肩書でおいでになったというふうには私ども外務省は承知しておりません。
  53. 竹村泰子

    竹村泰子君 私がお聞きしたいのは、新しい歴史教科書をつくる会、これが中心になって執筆された中学歴史教科書、大分報道に出ておりますけれども、これに百三十七カ所の修正が入ったということですね。そして、適切な修正であったのかどうか、私たち見ることまだできておりませんので、特に韓国併合あるいは大東亜会議、そして南京事件、これらのことについてどのような内容であって、どのような修正が行われたのか、お聞かせください。
  54. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) お答えを申し上げます。  平成十四年度から使用されます中学校の歴史教科書につきましては、現在検定作業中でございます。今後、教科用図書検定調査審議会の御審議を経まして三月末を目途に検定を終了いたしたい、かように考えておりまして、今、委員御質問の、どこの部分がどうということを、現在、検定の大詰めの段階に来ていることもこれありまして、作業中の途中経過を今この場で御報告を申し上げることはできません。
  55. 竹村泰子

    竹村泰子君 文部科学大臣は先日来からの国会質疑でそのようにお答えになっているわけでありますけれども、三月二日に衆議院予算第四分科会で、民主党の田中甲議員が中学歴史教科書検定の問題を質問しております。  検定は検定調査審議会の審議を経て行われる、合格したものはやっぱりこれは国のお墨つきを得たということになりますよね。文部科学大臣が任命される、任命権を持っておられるわけですから、これは国のお墨つきを得たということになるわけでございまして、教育に対する国の考え方になるわけですよね。  日本が長い間植民地としてきた韓国を初め、中国からも大変大きな関心があるのは当然でありますし、抗議も来ている。こういう教科書で子供たちを教えるのはとんでもないというかなりの抗議が日本に来ていると思いますが、文部科学大臣、いかがですか。
  56. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 歴史教科書の検定というものは、国が特定の歴史認識あるいは歴史的事実を確定するという立場に立って行うものではございません。あくまでも検定の時点におきます客観的な学問的な成果でありますとか、適切な資料に照らして誤った記述とかバランスを欠いたそうした記述などについてその欠陥を指摘して修正を求めるものでございます。まして執筆者の思想性を問うものではございません。それをやると、憲法に決めてございますまさに検閲に当たるわけでありまして、よもや竹村議員が検閲をやれとおっしゃっているとは私は理解をしておりません。  したがって、私ども日本の教科書検定の仕組みは、国定教科書とは異なりまして、検定に合格することが国がその教科書に関しまして歴史認識とか歴史事実を確定するという意味でもし今お墨つきというお言葉があるのであれば、そういうものではございませんし、まして、歴史に対する国の考え方を示すと、そんなようなニュアンスのことを今委員言われましたが、そういう性格のものでない。あくまでも歴史教科書は執筆者の発意、執筆者の考え方に基づいて書かれるものでありまして、それが例えば中学生の児童生徒にとりまして偏っていないかどうか、先ほども申し上げたような基準で、もちろんその中には近隣諸国条項というのも含まれるわけでございますけれども、そうした教科書としての適切性というものをチェックする、それが検定であるということをどうぞ御理解賜りたいと思います。
  57. 竹村泰子

    竹村泰子君 全然お答えになっておりませんね。  私は、国が検定をしろとかそんなことを、検閲をしろなんてことは全然言っておりませんし、そういう意味ではなくて、こういう今の町村文部大臣お答えですと、じゃ何のために検定審議あるんですか、そんなことしなくてもいいじゃありませんか。  それから、私がもう一つ聞きました、アジア諸国からの御批判をどう受けておられますかというお答えをいただいておりません。
  58. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) アジア諸国の、我が国の教科書に関する、あるいは我が国の国民の歴史認識に関するいろいろな御意見を持たれ、そしていろいろなルートで御意見が届いているということは私もよく承知をしております。  ただ、申し上げたい。何のために検定をするのかという今御質問でございましたからもう一度申し上げますけれども、誤った記述であるとかバランスを著しく欠いた記述があるかどうか、そうした点について、あるいは検定基準というのはほかにもいろいろありますが、その中の一つには近隣諸国条項もございます。そうしたものをすべてチェックポイントを設けてチェックをして適切であるかどうかということを判断するのであって、念のために申し上げますが、その執筆者の歴史観、歴史認識、思想、そういったものを問うものでないということは検定の性格上明らかでございます。
  59. 竹村泰子

    竹村泰子君 今、近隣諸国条項とおっしゃいましたが、なぜ近隣諸国条項というようなものが決められなければならなかったのか、教えてください。
  60. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 昭和五十七年であったと記憶をしておりますが、我が国の教科書をめぐるいろいろな議論がございまして、その結果として近隣諸国条項というのが設けられたわけであります。
  61. 竹村泰子

    竹村泰子君 いろいろなことがございましてとおっしゃいましたが、どんなことがあったんでしょうか。
  62. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 昭和五十七年六月に発表されました高校教科書の検定結果に関する我が国の報道を契機にいたしまして、中国、韓国から我が国の歴史教科書の記述について批判が寄せられるところとなったわけであります。  政府におきまして検討を重ねた結果、両国より寄せられた我が国の教科書記述についての批判十分耳を傾け、政府責任において是正する旨の官房長官談話を昭和五十七年八月に発表いたしました。  文部省では、官房長官談話を受けまして、教科用図書検定調査審議会への諮問、答申を経まして、教科用図書検定基準を改正して、御指摘のいわゆる近隣諸国条項を五十七年十一月に加えたところでございます。
  63. 竹村泰子

    竹村泰子君 はっきりおっしゃいませんが、要するに侵略を進出と書き直したことによってアジア諸国から猛然と抗議が来たわけですよね。そして近隣諸国条項というものが決められたわけでございます。  お答えになりますか。どうぞ。
  64. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 当初そういう、侵略を進出と書き改めさせられたという報道がございました。しかし、それは、その後のすべての新聞の発表によってそれは誤報であったということが後々判明をいたしまして、現実に侵略を進出と書き改めたそういう教科書はその時点ではなかったということが後刻判明をいたしました。それはすべての新聞に謝罪等々の形で訂正報道がなされたわけでございます。
  65. 竹村泰子

    竹村泰子君 今のような形ではっきり決まらないうちにそういう情報が入って、それで大変な大騒ぎになったんですよね、よもやお忘れではないと思いますけれども。それで近隣諸国条項ができたと思っています。それはもう周知のところでありますから、それを否定なさることはないと思いますが、それで慌てて書き直して教科書には侵略とちゃんと書くようになったということであります。  九八年十月八日、外務大臣にお伺いいたしますが、来日した金大中大統領に小渕前総理がされた日韓共同宣言、我が国が一時期韓国国民に対して植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめという、反省と心からのおわびを述べたと。この日韓共同宣言があって、そして日韓の間は非常にいい条件になった、大変好転したと。国際社会、特にアジア外交、日韓関係に大変にプラスであったというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  66. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 昨今の日韓関係は、一つは一九九五年の村山総理総理談話、それから今お話がありました一九九七年でございますか、の日韓共同宣言、こういったものが双方の国民にとって大変好感を持って迎えられたということがあるというふうに私は認識しております。  失礼しました、九八年でした。ごめんなさい、一年間違えました。
  67. 竹村泰子

    竹村泰子君 九八年十月八日だと思います。  今回のつくる会の教科書の韓国併合事件あるいはそういった一連のものがとりわけ日韓関係にどのように響くと、総理大臣、プラスだとお思いになりますかどうですか、率直にお答えください。
  68. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 平成十四年度から使用されます中学校歴史教科書につきましては、現在、文部科学省におきまして検定作業中であることは今、文部科学大臣からも御答弁申し上げたとおりでございます。  近隣諸国条項を含む教科書検定基準等に基づきまして検定調査審議会の審査を得て厳正に実施されるものであると、このように考えておりまして、こうしたことも、先ほど御質問がございました金鍾泌元国務総理にもこのようなことを申し上げてございます。  いずれにいたしましても、我が国の歴史認識につきましては、今、竹村委員からも御指摘ございましたように、村山総理大臣談話を基本とすることに変化はございません。また、日韓共同宣言において、過去に区切りがつけられたことによって日韓の未来志向的な関係は飛躍的に発展をいたしておりまして、これを維持強化していくことが重要であろうと、このように認識をいたしております。  政府といたしましては、他の関係諸国との間でも信頼関係を一層強化し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進していきたい、このような考えを持っております。
  69. 竹村泰子

    竹村泰子君 日韓の歴史共同研究というのが九七年に開かれております。有識者会議の初会合が開かれております。これはその後どうなったんでしょうか。
  70. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) お尋ねの九七年に日韓の歴史共同研究というものが有識者会議で行われたわけでございます。これまで九八年九月に宮崎県で、また九九年九月に韓国の大田において計二回の日韓歴史フォーラムと五回の運営委員会による会議が開催されまして、歴史研究の促進方策について非常に意義のある意見交換が行われたというふうに承知をいたしております。  同共同委員会は、以上の活動結果を総合しつつ、昨年五月三十一日に最終報告、提言を政府に提出をして活動を終了したというふうに私ども承知をいたしております。
  71. 竹村泰子

    竹村泰子君 終了したというお答えでしたけれども、歴史研究有識者会議、ドイツも敗戦時からポーランドとずっと一緒に教科書づくりをしているとか、やはりかつての加害者と被害者が一緒になって教科書をつくっていくと、こういう姿勢こそが大事なのではないでしょうか。文部科学大臣、どうお考えになりますか。
  72. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 御承知のように、韓国そして中国は国定の歴史の教科書でございます。私どもは検定ということで先ほど来申し上げておりますように国定教科書ではございません。そうした国によっての教科書の作成の方法、またそれにまつわるいろいろな、教科書作成にかかわるいろいろな歴史がございますから、同じ教科書を使うということにはそれはならないんだろうと思います。  ただ、その過程でお互いにお互いの歴史に関する見方、もしかしたらそこに誤解があったりあるいは見方に偏りがあったりということがあってはそれはならないと思いますし、できる限りそれはお互いの共通認識を持てるように学者、研究者の方々が、先ほど委員の御指摘のような会議等を通じてお互いの理解を深め合うということは大変に重要なことだと私は考えております。
  73. 竹村泰子

    竹村泰子君 同じ教科書を両国で使うとかそういう必要はないと思いますが、そういった姿勢こそが大事だということでお尋ねをしたわけでございます。  アジア歴史資料館については、官房長官、どのようになっておりますでしょうか。
  74. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) このアジア歴史資料センター、これは戦後五十年を機に、我々日本人が世代の相違や立場の違いを乗り越えて、近現代史における日本とアジアとの関係を見詰めようとする、そういう姿勢を世界に向かって示すものということで、歴史認識をめぐる対話を深め、来るべき二十一世紀における日本と世界との共生の基盤を構築する上で極めて大事なものであると、こういう認識を持ちまして、今現在その設立に向けて努力をしているところでございます。  平成十一年十一月三十日の閣議決定に基づきまして、平成十三年度に開設するということになっております。現在、年内のセンター開設に向けた具体的な諸準備、すなわち情報提供システムの導入準備、データベース構築のための準備などを行っているところでございます。  また、センターは閣議決定でございますけれども、国立公文書館、外務省の外交史料館、そして防衛庁の防衛研究所などの国の機関が保管するアジア歴史資料を電子情報の形で提供するということになっておりまして、これらの三機関の保管する資料から、漸次画像情報を一般に提供していくと、こういう予定でございます。  なお、その画像の収集量でございますが、平成十二年度で二百二十万こま、電子情報の数でございますけれども、それから十三年度で合計して四百四十万こま、累計ですね。そしてまた、十五年間で約二千七百万こまを収集すると、こういう予定になっております。
  75. 竹村泰子

    竹村泰子君 ありがとうございました。ぜひ、意欲的に進めていただきたいと思います。  さて、一問だけJRの問題につきまして、JR会社法改正が現在の国会に提出されておりますけれども、私も北海道ですが、有珠山の噴火の影響もありましたし、北海道、九州、四国の三島及び貨物会社についても非常に厳しい、これからもますます経営状況は厳しくなっていくというふうに思います。明確に効果のある経営安定化基金の継続あるいは資産税の税制特例措置の継続、あるいは経営安定化基金の創設などについて、扇交通大臣はどのように考えておられますでしょうか。
  76. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、竹村先生がおっしゃいましたように、JR各社、経営努力いたしておりますけれども、特に今おっしゃいました北海道、四国、九州、貨物に至っては大変苦しい状況が続いていることは御存じのとおりでございます。  ちなみに、北海道は十二年度で二百九十三億円の赤字、あるいは四国は十二年度で九十三億円、それから九州が百二十四億円という大変苦しい状況が続いておりますけれども、今回、私どもは、JRの北海道、四国、九州及びJRの貨物につきましては、輸送需要の減によりますそういう収入の減少、低金利の長期化によります経営安定基金の減少等、今、先生がおっしゃいましたようなその経営環境は、厳しい状況、私が今報告したとおりでございますけれども、何としてもこのために、経営基盤の安定に向けまして三つ私たちは申し渡しましたし、努力もしています。  その一つは経営安定基金の運用益の確保、二つ目には固定資産税の減免処置、三つ目には各種の助成制度の活用等の経営支援処置、これを講じることにしておりますので、今、先生がおっしゃいましたような安定基金というものにつきましても、少なくとも私どもは今後とも各社の経営状況を拝見しながら応分の処置をできるように私たちは努力していくということを申し上げておきたいと思います。
  77. 竹村泰子

    竹村泰子君 ありがとうございます。  それでは、次の問題に移りたいと思いますが、私たちの共有の財産の使い道についてであります。  宮澤大臣と私、昨年から、あるいは一昨年から何回もこの問題を議論しておりますけれども、当時宮澤大蔵大臣でいらっしゃいましたが、NTT株の配当金の使い方についてですね。そのときにも、我が党の菅幹事長衆議院予算委員会で質問したときにも、宮澤大臣は、私のような有能な人間がやっているんでもうまくいかないものをほかの人がやってうまくいくはずがないというふうな面持ちで、あちこちそういう透けて見えるような御答弁をしておられます。  私の質問に対してもほとんど満足に答えていただいていないんですけれども、産業投資特別会計が株式保有によって今日までに得てきた配当金の合計は幾らになりますでしょうか。また、その配当金はどのように使われているでしょうか。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 数字がございます。産業投資特別会計が株式保有によって今日まで得てきた配当金の合計は幾らかというお尋ねでございますが、特別会計設立時は昭和二十八年度でありますが、平成十二年度までの合計は五千五百四円であります。
  79. 竹村泰子

    竹村泰子君 ちょっと今、五千五百四円とおっしゃったんですか。──四億円ですね、五千五百四億円。  そして、その使い道はいかがですか。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今、全体の使い道をこの十何年かにわたってちょっと数字を持ち合わせませんが、竹村委員が常に御指摘になっておりますいわゆる基盤技術研究センター等々に関しまして、その出資等に充てておるという部分は平成十二年度では二百六十億円、生研機構が三十二億円、医薬品機構が二十二億円でございまして、かねて御指摘の基盤技術研究センターにつきましては、いろいろお話のような問題が確かにあるということを私ども政府部内で考えまして、このたび法律をお願いいたしまして、そのやり方を改善しなければならないという問題を持っております。
  81. 竹村泰子

    竹村泰子君 基盤技術研究促進センターに対して、平成十二年度末までに三千五十六億円を出資していらっしゃるんですね。そして、この基盤技術促進センターは産投会計から受けた出資金を百十近い企業に出資しているんですね。この出資の総額は二千五百九十一億円、ちゃんとレクしてございますので、大臣、ちゃんとお答えください。それでよろしいですか。
  82. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 産投会計から基盤センターへの産投出資残額は、十一年度末をもって二千八百五十九億円であります。
  83. 竹村泰子

    竹村泰子君 基盤技術研究促進センターから出資を受けた企業のうち、現在も研究者がいて研究活動を続けている企業はどれぐらいありますか。既に解散した企業はどうですか。解散時の資産の回収状況もあわせてお示しください。
  84. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  基盤技術研究促進センターの出資した企業のうち、現在も研究活動を続けているものの数についてのお尋ねでございますけれども、世界的に、委員も御承知のように評価の高い国際電気通信基礎技術研究所、これはATRと言っております、また生物分子工学研究所、これはBERI、こう言っておりますけれども、これを初めとして、本年二月末現在、十八社の研究開発会社等が研究活動を行っております。  また、同センターがこれまで出資してきた研究開発会社のうち、その保有する特許権等が陳腐化した会社については順次解散をしておりまして残余財産を回収してきておりますけれども平成十一年度末までに解散をいたしました研究開発会社数は十五社でございまして、これにより回収された残余財産は七億円、こういうことになっております。
  85. 竹村泰子

    竹村泰子君 政府は、やはり余りにもむだ遣い、九十三社のうち七十五社は休眠状態というふうに私は聞いておりますけれども、これではいけないと思われて廃止法案を提出されたんですね、財務大臣。  解散すると、これまで出資してきた出資金は回収できるんでしょうか。ほとんど回収できないのではないでしょうか。回収見通しを示してください。現在の見通しで幾ら回収できるんでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 基盤センターの出資会社は十一年度末までに十五社解散いたしましたが、この十五社に対する出資金は二百三億円であります。回収金は七億円でありますので、百九十六億円が基盤センターの欠損金となっております。
  87. 竹村泰子

    竹村泰子君 時間がなくなりましたので続きはまたにいたしますが、私の聞いている数字はそんな生易しい数字ではございません。  ですから、このNTT益、国民の共有財産でありますものの使い方については、財務大臣、自信がおありのようですけれども、やはりこれは赤字国債の補てんに回すとかきちんと使い道を改められるべきだと警告をして、終わらせていただきます。
  88. 角田義一

    角田義一君 委員長菅川議員の関連質問をお許しください。
  89. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 同じく関連質疑を許します。菅川健二君。
  90. 菅川健二

    菅川健二君 民主党・新緑風会の菅川健二です。しばらくぶりの予算委員会でございます。ひとつどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  まず、森総理にお聞きいたしたいと思います。  森総理与党からも引きずりおろされるような形で四面楚歌であるわけでございますけれども、川柳の世界では大変人気者になっておるわけでございます。この川柳につきまして、ある新聞では特集まで組んでいろいろ集めておるわけでございますが、二、三紹介させていただきたいと思います。  まず、「いい機会総理の資質考える」、「いい機会総理の資質考える」と。  もう間もなく、総理、退陣されると思うわけでございますが、次の総理の選定に当たっても大変重要な、国民としても知らなければならぬ問題でございます。総理としての資質は何が必要かということについて、森総理の口からお答えいただきたいと思います。
  91. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 御質問に対してお答えをしなきゃならぬのかもしれませんが、資質とはいかなるものかというようなことをなかなか私のような浅学非才の立場で申し上げる、そういう私は学問的な知識を持っておりませんが、私がこれまで、今の立場についてからいろいろこれまで進めてきたことから考えて、やはり国民皆さんにこれからの方向、国の方向、そうした国家像をやっぱり大きく示すということが極めて重要だろうと思いますし、政策の立案に対して国民の幅広い英知を結集していくということ、あるいは政策の選択肢の中から望ましいものを選択をして、その必要性を国民皆さんに御理解を得るようにお話を申し上げること、そしてそれを迅速果敢に実行でき得るような、そういうリーダーシップを発揮していくことが一層大切なことだというふうに痛感をいたしております。  その際は、まず私を捨てて、そして国家国民のことを常に第一に考えること、いつの時代にも共通してリーダーに求められていることだろうというふうに愚考いたしております。  私もそのような努力をして、今後とも引き続きこの政治、政府に対する責任を持って国民皆さんお話を申し上げ、御理解を賜るように努力してまいりたいと、このように考えております。
  92. 菅川健二

    菅川健二君 森総理そのものが反面教師ではないかと言われておるわけでございます。ひとつ退陣に当たって、退陣にけじめをつけるということも総理として大変貴重なる資質ではないかと申し上げておきたいと思います。  もう一つだけ読ませていただきたいと思います。「はよ辞めてゴルフ三昧したらええ」、「はよ辞めてゴルフ三昧したらええ」、これはまことに国民の率直な気持ちを表現しておると思うわけでございます。  私は、今や、今日の日本状況考えますと、経済が危機的な状況にある、あるいは日ロ、日米の大変重要な外交交渉を控えておる、こういうときに死に体の総理では相手国に対しても大変な失礼に当たるわけでございます。むなしい時間だけを過ぎ行く、空白の時間の余裕はないと思うわけでございます。  総理、再度御答弁いただきたいと思います。
  93. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、角田議員の御質問に対しても申し上げておりますように、辞意表明しているわけでもございません。今も一生懸命、この国会におきまして、私ども政府からお願いを申し上げている予算予算関連法、各種案件についてぜひ御協力をいただきますように、そうしたことをお願いしておる、そういう立場でございます。  死に体とおっしゃいましたけれども、ごらんのとおり極めて健康体でございますので、御心配をいただきましてありがとうございます。
  94. 菅川健二

    菅川健二君 世間が、マスコミ含めて皆さんおっしゃっておることでございます。宙ぶらりんな状態で総理を務めるべきではないと思うわけでございまして、早期退陣をぜひ求めていきたいと思うわけでございます。  そこで、十三年度の予算案について二、三お聞きいたしたいと思います。  まず、宮澤財務大臣、この前、財政というのは大変破局に近い状況にあると本音を申されたわけでございます。こんな大変な厳しい財政状況にあって、来年度の予算を見ますと、まさに財政秩序というものは全く破壊されたままでございまして、安易な予算編成が行われておるわけでございます。  この端的な例がまさに昨今問題になっておる機密費の問題ではないかと思うわけでございます。この機密費、官房報償費、外務省報償費が前年度と同額計上されておるということは国民が許しがたいことでございます。国民は、公金という国民の税金、血税というものを自分のポケットマネーのようにして競走馬やマンションを買って、いろいろな私腹を肥やしておるということに怒りを感じておるわけでございます。  まず、外務大臣、一昨日、松尾元室長が官房報償費四千二百万円の詐欺容疑で逮捕されたわけでございますが、それにつきまして、外務大臣の監督者としての責任をどう感じておられるか。また、官房長官、詐欺に遭った官房長官、どう考えておるか、お答えいただきたいと思います。
  95. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 三月十日に元外務省職員が詐欺容疑で逮捕されたわけでございますが、私は国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと存じます。  公務員として国民に奉仕すべき立場の人間が国民皆様方からいただいた税金を私的に流用する、あるいは詐取するというようなことが決してあってはならぬ、これはもう当然のことでございまして、こうした事柄が起こった、しかもそれは一度ならずも何年かにわたってそういうことが起こっておったということを見逃していた外務省の組織、外務省の責任者としての責任は極めて重いというふうに私は痛切にその責任を感じております。  今こういう事態になりまして、私ども外務省といたしましては、引き続き捜査当局に全面的に協力をして全容の解明というものが行われるべく努力をしてまいりますが、と同時に、外務省内におきましても、外務省内の調査委員会を引き続き動かしまして、この外務省内の調査委員会もさらに工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。  他方、再発を防止するために外部の有識者にお集まりをいただいて、今御意見をいただくべく会議を続けていただいておるわけでございまして、この結論を待って再発防止、それは恐らく外務省のさまざまな機能を強化するといいますか、新しくするといいますか、そういったことに取りかからなければならないと思います。  また、今回御審議をいただいております予算の中にございます報償費につきましては、私は、もしこの予算成立をいたしました暁には、今後のことを視野に入れて、まずは年度初めに外務大臣がこの報償費の使用の目的につきまして、国際情勢その他を検討して、こういう方向、こういう目的というものが極めて本年の報償費使用について重要だという方針を立てること、さらにその方針がしっかりと担保されるように、つまり外務省の報償費の使用について政策的にその有効性といいますか順番がつけられるように総合外交政策局長が、これまでの報償費の決裁の手順にさらに総政局長を新たに関与させること、こういったことを考えているわけでございます。  さらには、在外公館に対するチェックをさらに強化する必要がある。これらにつきましては、今その頻度を上げることがいいのか、あるいはその他別の方法を考えるか、こういった点については機能強化委員会の御議論も踏まえて最終的にきちんとしたいというふうに考えているところでございます。  国民の皆様に重ねて心からおわびを申し上げますと同時に、しかし外務省職員が国の外交政策のために世界じゅうあらゆる地域で真剣に努力をしているという仕事についても一方で御理解をぜひいただきたい。そうした人たちがさらに一層国益を考えて仕事に真剣に取り組んでほしいということを私考えておりまして、外務省一丸となって一から出直すつもりで国民の皆様の外交に対する信頼を取り戻したい、こう考えているところでございます。
  96. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 一昨日、松尾元外務省要人外国訪問支援室長が逮捕されましたことは極めて遺憾でございまして、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。  今回の逮捕容疑には、内閣官房報償費から支出をされていた、総理外国訪問の際の宿泊費差額を水増し請求するということなどでございました。内閣官房から金員を詐取した、こういうことでございます。  今後、捜査が進み、そして真相が解明された段階で、内閣官房としての管理責任が的確に果たされていたかどうかを確認し、その上で必要な対応を考えていきたい、このように思っております。またあわせまして、今後、捜査の進展を見ながら、明らかになった被害額について内閣官房として損害賠償を求めていく考えでございます。  実務的なことを申し上げますと、総理の外国訪問の出張というのは、本当に出発間際になって決まるというようなことがございまして、時間的な制約がございます。正確な現地情報に基づいた情報というものが、これはなかなか内閣官房として入手しにくいというようなこともございますので、こういう宿泊費の差額の支払いとか精算事務については現地の実情に精通している外務省にお願いをする、外務省を信頼申し上げてお願いをするというようなことをしてきたわけでございます。しかし、この宿泊費関係につきましては平成十二年度からその制度が変わりましたので、今はそういうことをいたしておりませんので、今後はそのことについての問題は発生しないと、このように考えております。  いずれにしましても、大変重大な問題を起こしたということについて、私どもとしても管理の責任というものを痛感いたしておるわけでございます。
  97. 菅川健二

    菅川健二君 今、お聞きしていますと、松尾元室長の件で一件落着というような感じを受けたわけでございますが、機密費の使用に当たりましては、一個人の犯罪のみならず、官邸や外務省の組織ぐるみの不正が行われておるんじゃないかという疑念も持たれておるわけでございます。松尾元室長にたかっていろいろなことをやった、食事をした等いろいろ判明しておることもあるわけでございますが、外務省の調査でどうなっておりますか、外務大臣
  98. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私は今回の逮捕で一件落着などと全く考えておりません。もしそういうふうにお考えでございましたら、そのお考えはぜひ改めていただきたい。私は、今回の逮捕によってこれから全容解明に向けて捜査は進むだろう、それに全面的に私ども協力すると先ほども申し上げたつもりでございますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、内部の調査についてお尋ねがございましたが、外務省といたしましては内部の調査委員会をその後も存続をしております。荒木副大臣委員長をお務めいただいて、内部の調査に当たっていただいております。これは、主として今回の問題、松尾問題とでも申しましょうか、この松尾問題に付随して起こったと言われる幾つかの問題について、その真偽のほどを明らかにする、そしてもしそれが問題がありとせば厳正な処分をしなければなりません。そうした意味において、調査委員会は引き続き調査をしていただいているところでございます。  先般も六百人を超える幹部職員等に調査を実施いたしまして、若干の松尾元室長との関係について報告をした者がおりますが、それらはいずれも私は問題となるべきものではないという判断をいたしました。引き続き調査は続行いたしますが、現在のところ、今申し上げたとおりでございます。
  99. 菅川健二

    菅川健二君 今、松尾元室長絡みのこともございますけれども、これも氷山の一角ではないかと言われておるわけでございます。また、それに関連しなくても、最近判明したオーストラリアでの公金流用事件とか外務省職員同士の飲み食いとか、いろいろな不正の使用問題がささやかれておるわけでございます。  したがいまして、外務大臣、元室長絡みでなくて、全般的に外務省としてその不正使用問題がなかったかあったか、そういったことをきちっと調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
  100. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 昨今新聞報道されましたオーストラリア大使館に絡む問題、これは実はもう八年前の問題でございまして、この八年前の問題についてどのくらいの調査ができるか、資料その他が完全に整って残っているかどうかという問題はありますが、関係者を直ちに呼び返しまして、関係者から事情を現在聞いております。  私としては、十年前、二十年前の問題まで調査ができるかどうかということについては自信はございませんけれども、少なくとも昨今の問題についてもしこういう問題があるということを具体的に御指摘いただけるならば、その問題についてはきちっと調査をするつもりでございます。  何度も申し上げておりますが、伝聞の伝聞、あるいはよく状況が抽象的でわからないような問題をあれはどうだこれはどうだと言われてもなかなか調査ができないものもございますけれども、ぜひどういう問題だということを具体的におっしゃっていただけば、その御指摘を踏まえて調査をし、調査の結果、厳正な対応をしたいというふうに考えていることだけは申し上げておきます。
  101. 菅川健二

    菅川健二君 これらの調査はいつまでに終えるつもりですか。もうしばらくすると外務大臣もちょっと首が危ないんじゃないかと思うわけでございますが、ひとつ河野外務大臣、いかがですか。
  102. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私は自分自身責任においてやれる限りやりたいと思っております。
  103. 菅川健二

    菅川健二君 公金の不正流用事件につきましては数年前までは地方団体でも頻繁にあったわけでございまして、この状況とその後の措置の方法について、総務大臣状況外務大臣に教えていただきたいと思います。
  104. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員御指摘のように、平成六年、七年のころは公金の横領事件や例の官官接待に絡むいろいろな問題が起きていることは事実であります。その後、当時は自治省ですけれども、自治省の方で事務次官通達を出したり、いろんな会議でとにかく経費支出の適正化と公務員倫理の確保を強く要請しまして地方団体の努力お願いしてきている。  また、平成九年だったと思いますが、地方自治法の一部改正で外部監査制度を地方には導入いたしたわけでありまして、私は、これが今それなりに機能いたしておりますし、地方団体も現今の財政状況その他を考えて、あるいは住民の厳しい批判、監視も考えてしっかりと今やっておりますので、相当件数は減ったと思っておりますが、今数字的に持ち合わせておりませんので、必要であればまたお話しいたします。  以上であります。
  105. 菅川健二

    菅川健二君 私も地方団体におりましたのでいろいろ経験いたしておるわけでございますが、その際大変重要なことは、事後措置をきちっとやったことの中身におきまして、まず処分はもちろんやらなくちゃいかぬわけでございますが、不正使用した額について完全に個人から全部公金に戻したわけです。そういうやり方をやっておるわけでございまして、外務大臣、ひとつ不正使用した額がわかったら、そのわかった額については必ず公金に、国費に返すということを確約していただきたいと思います。
  106. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私、先般、外務省職員、これは在外も入れてでございますが、全職員に対しまして、こうしたことは公務員として当然あってはならないことである、しかし重ねて私から厳重に注意をするという意味の通達と申しますか訓示を全職員に伝えました。  過去にさかのぼってのお尋ねでございますけれども、これは現在のところそうした具体的な例を我々はつかんでおりませんので、今、議員から突然お話をいただいても、過去の具体的な事実というものを現在私ども承知をしていないわけで、それについて仮定のお話を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  107. 菅川健二

    菅川健二君 総務大臣、じゃございません、外務大臣、今回の松尾元室長についてはもう確実にあるわけでございます。それからもう一つ、まだそれははっきりしていないかもわかりませんが、オーストラリアでの公金流用事件、こういった具体的なものが少なくとも二つは今判明しつつあるわけでございますが、この点についてはいかがですか。
  108. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 松尾問題は今捜査当局が捜査をしておりますから、実質的、確定的な被害総額というものは出るということだろうと思います。この問題については官房長官からかねてから、捜査がきちっと終われば何らかの措置をすると、こういう御答弁があるわけでございますから、それはもうそういうことで御理解をいただいていいと思いますが、十年前の話、まあ十年というか八年ですか、前の話にさかのぼってどこまでできるか。これはまだ、先ほど申し上げましたように本人を呼び返して今事情を聞いているところでございますから、もう少しお待ちをいただきたいということを申し上げたわけです。
  109. 菅川健二

    菅川健二君 きょうは国民皆さんが見ておるわけでございますので、公金の不正流用、不正使用があった場合は必ずその使用者、流用者から返還させるということについては、外務大臣、そういうことですね。
  110. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) これは、当然、公金の横領という問題であれば、それはそうした措置をとるということはあると思います。  ただ、今具体的に、八年前、十年前と言われると、しかもそれは、議員は断定的におっしゃいますけれども議員のおっしゃるのは、新聞でそう書いてあるということを引用しておっしゃっておられるのだろうと私は思いますが、それらについては、現実に関係者を呼んでいるわけでございますから、関係者を呼んで事情を聞いた上で判断をすると、こう申し上げているわけです。
  111. 菅川健二

    菅川健二君 額が確定した場合は確実に公金に返還するということですね。
  112. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 明らかに公金が私的に使われたということが確定をすれば、これはそれなりの措置をとるということでございます。  ただ、繰り返して申し上げますが、その八年前、十年前という問題については、もう一度よく事情を聞いて、その上で判断をしたいということを繰り返し申し上げる次第でございます。
  113. 菅川健二

    菅川健二君 どうもはっきりしないわけでございますが、私は基本的な考え方を申し上げておるわけでございまして、それについて反論されるというのはいささかどうかなという感じがいたすわけでございます。  再度確認しますが、額が確定した場合は必ず返還させると、その具体的な、だれのだれべえということは私は申し上げません、そういう原則といいますか、そういう考え方できちっと処理するということを答弁いただきたいと思います。
  114. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 繰り返しお答えをしたとおりでございます。(発言する者多し)
  115. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  116. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。
  117. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 先ほど来、官房長官も御答弁がございましたように、事態が判明をすれば被害を請求をするということは当然のことだという官房長官の御答弁と私も全く同じ認識でございます。
  118. 菅川健二

    菅川健二君 一言申し上げておきますけれども、官房長官は元松尾室長についてだけ話をされたわけでございます。私は、元室長だけではない、不正使用の事実があった場合は、必ずその使用額については個人から国費に返還させるという原則を申し上げたんです。そういうことですね。常識の質問をしておる。
  119. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私は、捜査当局の捜査の結果が、これは時効もございましょうし、いろいろな問題がございましょうから、ここで私がはっきり申し上げることはいかがかと思っていたわけでございますが、捜査その他最終的な結論が出れば、これは私どもとして要求をする、返済を求めるということでございます。
  120. 菅川健二

    菅川健二君 どうも松尾元室長に個人的に、個人に全部限定しようという意図がありありでございまして、私が申し上げておるのはそうではない。  松尾室長のみならず、一般的に言われておるいろいろな不正の事案があるわけでございます。仮にその事案が判明して、公金を不正使用した事実があれば、それをきちっと国費に返還すべきであるということを申し上げたわけでございます。  おわかりいただいたと思いますので、もうこれ以上答弁を求めません。  それで、官房長官に変わりますけれども、旅費の差額については九億六千万余り松尾元室長が受け取っておるわけでございますが、この旅費の差額については平成十二年度からもう要らなくなった、制度改正によって要らなくなったということでございますので、そうしたら、当然それの分については減額、報償費を減額すべきじゃないですか。それはいかがですか。
  121. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 報償費は内政、外交を円滑にかつ効果的に遂行するという、そういうために、その都度の判断で機動的に使用する経費でございます。積み上げ方式で予算を決めているわけではないのでございまして、国政上やっぱり必要不可欠のものである、こういう認識をいたしております。したがいまして、予算額はぜひ維持をしたい、このように思っております。  しかし、今回の事態を踏まえまして、報償費の運用につきましては点検を十分に行いまして、より厳正かつ効果的な運用に努め、国民の御理解を得てまいりたい、このように思っております。
  122. 菅川健二

    菅川健二君 今までの決算において九億六千五百万円が減って、それが別の面に使われても決算として一応適正に執行されておるわけでございます。したがいまして、それはむしろその時点では不用額と扱ってもいいんじゃないでしょうか。そうすれば、来年度予算に計上する必要はないということになりますが。
  123. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま申し上げましたように、この報償費は機動的に使用するという、そういうものでございまして、繰り返しますが、積み上げ方式によってやっているわけじゃないんです。全体の枠もこの十年間ほとんど変わっていないというようなこともございますし、私どもといたしましてはぜひこの予算額を維持したい、そしてそれをその枠の中で有効かつ厳正に利用させていただく、そういうように考えております。
  124. 菅川健二

    菅川健二君 機密費については機動的に使わなくちゃいかぬと。機動的に使った金が不正に使用されておったということでございます。それでもなお一応の適正な機密費の運用がなされておったという実態があるわけでございますので、したがいまして私は当然この件については減額されてしかるべきだと思うわけでございます。特に、一連の事件につきまして反省の意味も込めて謙虚に対応すべきではないですか。いかがですか。
  125. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど九億六千万というお話ございました。これは七年間にわたりましてということで、その中のどのぐらいのものが不正使用されたのかということが今判明しないんです。その中で正当なものが、ちょっと私、数字が頭の中にないんですけれども、約半分、そしてさらに実際に支払われた差額分もあろうかと思います。その上で差額分の不正利用というものがございますので、金額はこれから、今まさに捜査している最中でございます、これから判明するわけでございますので、その判明した段階でもって考えるべきものと思いますけれども先ほど申しましたように、報償費についてはこの十年間ほとんど変わっていないというような事情もございますので、ひとつぜひ御理解をいただきたい、このように思っております。
  126. 菅川健二

    菅川健二君 全く反省の姿勢が見られないわけでございます。  不正の額の確定はできないにしても、おおむね五億ぐらいは個人が使用したんではないかということがほぼ判明しつつあるのではないかと思うわけでございまして、そういった面で、確定しなくてもある程度の額はきちっとけじめをつけるのが当然ではないでしょうか。
  127. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 繰り返しになりますけれども、その額の確定ということもいずれ判明するわけでございますから、そういう段階でもまた考えさせていただくという問題だと思います。
  128. 菅川健二

    菅川健二君 我々はあくまでも来年度予算で減額すべきであるということをはっきり申し上げたいと思います。  次に、公共事業予算についてでございますけれども、諫早湾の干拓事業とかダムの建設費とか、公共事業の制度疲労というのは各地でいろいろな問題を起こしておるわけでございます。  しかしながら、来年度の予算を見ますとやはり旧態依然たる公共事業が大半でございまして、非効率な予算措置が行われておるわけでございます。その中で、とりわけ新幹線の建設費が突出いたしております。前年度よりも倍額以上、七百五十億計上されております。その理由はいかがですか。
  129. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今おっしゃいましたように、昨年の四月以降、政府与党整備新幹線検討委員会及びワーキンググループというのができておりまして、先生も御存じのとおり、与党におきましても投資効果あるいは収支の採算性等、十分に検討が行われましたけれども、十二月のワーキンググループにおいてとり行われました結果、私どもとしては、既に着工している区間の工期を短縮することといたしております。短縮することによって開業効果をできる限り早期に発揮できるようにしたいというのが第一の目標でございます。  二つ目としまして、少なくとも新しい区間の着工につきましても、既に着工しております区間と同時に開業することが経済的にも望ましいであろう、経済効果としても上がるであろう、そういうことで、これらも投資効果が期待されるそのものに限定して私どもは決定をしたということでございますので、今の七百五十億については御理解賜りたいと存じます。
  130. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 残余の質疑はこれを午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  131. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十三年度総予算三案、これを一括して議題とし、質疑を行います。菅川健二君。
  132. 菅川健二

    菅川健二君 整備新幹線に関連しまして、特に森総理の地元に近い北陸新幹線はどんと予算がついておるわけでございますが、それについては我田引鉄ではないかという批判もあるわけでございます。それにつきまして、総理、いかがお考えですか。
  133. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど担当の扇国土交通大臣からお話があったとおりでございまして、これには長い経緯がございます。これは与野党の問題の別ではなくて、すべて超党派でこの問題を取り組んできたと思いますし、私も長い間、議員連盟の会長も続けてきたという経緯がございます。  林大臣からお答えがあったように、着手をした以上はできるだけやっぱり早く完成をさせて供用を開始した方がこれは実利があるわけだと思います。現に、これまで続けてきた、進めてきて現実供用開始している新幹線なども黒字収益を上げて我が国の税収に対しても大変より効果を上げている面もございます。あるいは、山形県であるとか秋田でやるいわゆるミニ新幹線なども、そのことによって大変大きく実はJRの収入をふやしているということも、やはり高速鉄道というものが見直されてきているということが言えると思います。  特に、我が国はやっぱり国土が狭隘でありますから、飛行機だけに頼るという時代であってはいけないし、いわゆる航空管制の面から見てもかなり集中的に、この間のようなニアミス等のようなことがあってはならないわけでありますけれども、やはりでき得る限り、航空、鉄道、幅広く、やはり広域的ないろんな意味での幅広い高速鉄道あるいは航空体制、そうした高速交通機関というものを再検討して見ていく大事な段階に私は来ているというふうに思っています。  御指摘がございましたように、たまたまずっと進めてきたのが、昨年、一昨年になりますか、この政府与党協議では、当時、福井県の南越まで進めるという、そういう計画が進めてあって、十三年度予算には、昨年もう一度政府与党協議をした結果、そうしたいろんな御意見予算上の問題もあって、当面、富山までというふうに決定をいたしたと思っております。  決して一人の政治家がどうこうするというものではなくて、みんなで協議し、政府与党と十分、また民間のそうした調査機関の資料等もあわせながら検討して決定したというふうに私は承知をいたしております。
  134. 菅川健二

    菅川健二君 要するに、この問題は費用対効果の問題あるいは将来的な採算性の問題だろうと思うわけでございまして、新幹線とあわせて在来線の問題もいろいろある。総合的にそういった費用効果や分析をした上で十分成り立つということであれば、それは推進するのにやぶさかではないと思うのですが、それにつきまして、扇国土交通大臣、いかがですか。
  135. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、総理からもお話ございましたように、少なくともこの間は十数回にわたって論議されていることでございまして、ただ費用対効果も、少なくとも私どもは、採算性というものを皆さん方で御協議いただきましたから、北陸新幹線、上越から糸魚川及び新黒部から富山間、開業後十年経過した時点で約六十五億円、二十年間経過した時点で約七十五億円、まあ九州のことをお尋ねでございませんでしたからあえて申しませんけれども、時間がおありなんでしょうけれども、それぞれ効果というものを、利便性もそして経済性も、そして地元の経済効果もすべて私たちは論議した上での決定でございます。  先ほど菅川先生から我田引鉄というお言葉がありまして、私は、総理は富山県出身ではなくて石川県出身でございまして、石川まで来ていたら我田引鉄かもしれませんけれども、富山でとまっておりますので我田引近かと思いますけれども、よく検討しております。
  136. 菅川健二

    菅川健二君 間もなく石川に行くというのは恐らく間違いないんだろうと思うわけでございますが、いずれにしても在来線を含めまして将来に禍根を残さないようにきちっと政策効果を明確に固めた上で実施していただきたいと思うわけでございます。  鉄道事業に関連いたしまして、JR三社の完全民営化に伴いまして、地域住民の足のローカル線の問題がいろいろ心配されておるわけでございます。その歯どめ策はどういう形でこの法案に盛り込まれるのか、その辺の方針を交通大臣にお聞きいたしたいと思います。
  137. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 私は、時間が先ほどございませんでしたので、あらゆる面について全部経済効果等々、どうあるべきかという計算をして出しておりますけれども、全部言っては悪いと思いまして御遠慮申し上げましたけれども、私は少なくとも、新幹線等々あらゆる皆さん方に公表しておりますのは、将来はこうなりますよという原案をお示し申し上げております。  私は、基本的に担当大臣といたしまして、少なくともばらばらで、よく歯抜けという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、ここまでの区間、その次は飛んでまたこっちの区間ということでは、継続性とその地域の経済効果というものは統一されて出てこないと思います。できれば、私は、例えば九州なら九州をことしはどんと三年かけてやってしまうとか、次は北海道ですよとか、国民の中に皆さん方の御理解をいただきながら、なるべくもっと計算をして、お互いに国土のあり方の基本ということから考えれば、私は、もっと継続性を持って、しかもお互いに譲り合って、全国民理解できるような新幹線のでき上がった効果と経済効果と、そしてより一極集中してすることによって、速くすればコストダウンも図れると、私はそういうことをぜひグランドデザインとして出していきたいということを考えておりますので、今、菅川先生がおっしゃいました地域のというお言葉ございましたけれども、一地域だけではなくて、日本全土の国土の中からここはこうあるべきであろうということを、ぜひ私は、与党とか野党ではなくて国民全部で考えて、公共工事のむだのない振興をしていきたいと思っております。
  138. 菅川健二

    菅川健二君 答弁漏れ。
  139. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 菅川健二君、何ですか。──扇大臣
  140. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、お尋ねございましたJR三社のことでございますけれども、これは、少なくとも路線の廃止に当たりましては、私はJR三社の社長皆さんお集まりをいただきまして、三社でございます、JRにつきましては、国鉄改革時に当時の不採算の路線を含めて事業全体で採算が確保できるようにという事業用の資産の継承等を行ってきたという経緯を踏まえまして、国鉄改革後の輸送需要の動向について十分説明と、そして責任を果たすようにということを私は申し上げました。  そのときにも私も申し上げたんですけれども、民間になったから不採算性のところは切り捨てよというようなことは絶対にしないでください、もともと公共であったということを忘れないでいただきたいということを三社の社長にもきっちりと申し上げました。  でなければ、採算性がとれなければ全部切っちゃっていいのかということになると、私はそういうことでは申しわけないと思いましたので、そのことに関しましても、私は皆さん方にも、今国会に提出を予定しておりますJR会社の会社法の一部を改正する法律案につきましては、私が、国土交通大臣が国鉄改革の経緯を踏まえた事業経緯を、少なくとも経営を確保するための指針を定めて、これに基づいた指導、助言等を行う仕組みというものをこの法案の中に加味してございますので、この法案の出ましたときにもぜひ御論議を賜りたいと思いますし、少なくとも国民皆さん方に御不便をおかけするようなことではなくて、健全な三社の今後の民営化としての発展を私たちはできる限りサポートし、なおかつ指導してまいりたいと思っておりますので、ぜひそういうことも含めて御論議賜りたいと存じます。
  141. 菅川健二

    菅川健二君 地元におきましても可部線の問題が起こっておるわけでございまして、官民一体になって今利用促進の運動を展開しておるわけでございます。地元の地域おこしにとりまして大変重要な路線についての存続につきまして、ぜひ扇大臣の前向きの御答弁お願いいたしたいと思います。
  142. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 予算委員会テレビが放映されておりますときに一地域のことを、先ほど自身からおっしゃいました我田引鉄になってはいけないと思って御答弁もどうかと思いますけれども、どこの皆さん方でも住んでいるところがどうなるだろうという国民の御不安にこたえるというのが私は大事なことであろうと思いますから、あえて今、先生が御質問ございましたことに関しましても、私は可部線を存続してもらいたいというそのお気持ちを受けて私は御答弁申し上げたいと思います。  JR西日本可部線の一部、可部—三段峡の区間の四十六キロですね、四十六・二キロ、バスに転換する意向を平成十年の九月に表明いたしましたので、このために地元の自治体とJR西日本協議が行われて、需要状況を見きわめる目的から、昨年の十一月に三カ月にわたって増便等の試行の運行を実施しました。先月終了したのは先生も御存じのとおりでございます。  今後、JR西日本が利用状況の結果につきまして地元へ説明することといたしておると聞いておりますけれども国土交通省としましては、まずJR西日本協議のあり方というものを、地元の皆さんとの協議をまず見守っていきたいというのが私の立場でございますけれども、JRが完全民営化した後におきましても、先ほど私が申しましたように、JR会社会社法の一部を改正する法律案に基づく指針を踏まえて、私は地元と十分に協議をして適切な処置をし、地元の皆さんの不安を解消するべく努力してまいりたいと思っております。
  143. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 補足答弁を許します。森内閣総理大臣
  144. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今、ローカル線という特定の場所をお示しをいただいたわけですけれども、北朝鮮と韓国、あるいはロシアと北朝鮮さらに韓国、世界的には鉄道のいわゆる見直し論といいましょうか、鉄道再利用というのは非常に私は世界的な傾向だと思うんです。  国内でも、秋田にいたしましても山形にいたしましても、なぜ新幹線に人気が出たかといえば、狭軌の鉄道を広幅にした、広軌にして新幹線と接続できたということが大きなメリットだったと思うんです。そのことが大変経済効果も生んでいるわけです。  そういう意味で、やはり今お話しになったようなローカル線を、かつて明治の政府は狭軌で日本だけは進めてきたわけですが、これを広幅に、広軌にしていけば新幹線と接続できるんですね。例えば、鳥取や島根のような地域に新幹線をつくるということはこれは非常に難しい問題だと思うんです。しかし、逆に言えば、それを横断的にやって山陽に結んで、そしてそれが広軌で技術的にでき得るものならば、在来の今の新幹線に結びつけることによって、中国地方の皆さん、特に日本海側の皆さんにとっては大変私はすばらしいプランになっていくんだろうと思うんです。  そういうことを全体として私は鉄道の見直しをしていくべきではないかと思っているんです。そういう研究も今我が党では進めております。  そして、一方では、JRも恐らく、政府といいましょうか、国土交通省、旧運輸省も、いわゆるフリーゲージ、レールを広げるのではなくて車両の車輪を狭軌の場合には縮めるということが今や技術的に進んで、日本で試験的にでき得たものを今たしかアメリカで実験をやっていると思います。これらができれば、レールを広げなくても、逆に車輪を狭めるということで新幹線と結ぶことも可能だと。  狭い日本でありますから、すべてを飛行機で短縮するよりは、そうした鉄道をもう一遍よくみんなで見直して、鉄道をむしろ伸ばしていくことが、いわゆる自動車道ばかり整備することも一つの方法でしょうが、環境の面から考えてみても、私は、より自動車よりも鉄道の方が、これから二十一世紀における交通機関としてはむしろその方が国民に好まれるんではないかな、このように考えております。
  145. 菅川健二

    菅川健二君 地域交通における鉄道の役割をぜひきちっと位置づけていただきたいと思うわけでございます。  最後に、地方分権推進委員会がこの七月に任期切れになるわけでございますが、その後の地方分権の推進体制はどのようになるか、総務大臣、ひとつお答えいただきたいと思います。
  146. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御承知のように、地方分権推進委員会は、去年の六月末でおしまいというものをいろんな議論、経緯の中で一年延長しまして、ことしの六月末まででございますが、現在、地方分権推進委員会は、地方分権推進計画のフォローアップと、それから地方税財源の移譲ということも視野に入れながらの議論をしてもらっているわけでありますが、私は、去年から一年延長しましたので、ここは一区切りして新たに、今の地方分権推進計画の監視をどうするとか、地方税財源の移譲をどうするかとかは新しい委員会をつくるということもあり得るな、こういうふうに考えておりまして、内閣府あるいは関係のいろんな省庁と十分議論して結論を出したいと。何らかの機関は私は要るのじゃなかろうか、こう個人的には思っております。
  147. 菅川健二

    菅川健二君 ぜひ分権の推進体制を整えていただきたいと要望いたしたいと思います。  それでは、角田委員にお時間をお返しいたしたいと思います。
  148. 岡野裕

    委員長岡野裕君) この際、主たる質疑者に戻します。角田義一君。
  149. 角田義一

    角田義一君 総理に進退問題について最後お尋ねをいたしますが、先ほどの午前中の御答弁によりますと、自民党総裁選前倒ししてもよろしいというふうに決断をなされたということでございます。その総裁選に出るか出ないかについては、いろいろな国民お話もあるし、今決断すべきときではないというふうなことをおっしゃいました。しかし、総裁選には出るか出ないかの二つに一つ、どちらかしかございません、選択は。しかも、あなた自身がお決めになることであります。出る場合は、私は何も申し上げません。もし、前倒し総裁選に立候補なされないという決断をしたときには、それはすなわち総理をおやめになると、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  150. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 午前中にも申し上げましたように、我が党に対する厳しい御批判、そしてまた私個人に対する御叱正もございます。そういうことを踏まえて党の改革を進めていかなければならない、こういう考え方から、土曜日の夜、党の五役においでをいただいて、そして総裁選挙をできれば早めてやったらどうかという、そういう意見があることに十分耳を傾けて、私自身はそういう方法で、前倒しと、いわゆる前倒しというふうに言われますが、そういう形でおやりいただいても結構でございますということを、同時にまた党の改革もございます、そういうものを含めておやりいただいて結構ですということを総裁として党の五役に申し上げたわけでございます。  しかし、これもたびたび申し上げておりますように、今は大事な国会のこの場面でございますし、ぜひ内閣といたしましては、協力一致をして予算案あるいは関連法案、そしてこれからの多くの諸問題についてはぜひこれらが成案を得るように引き続き努力していくことが当面の最大の私の大事な心構えだと、このように考えているわけでございまして、いずれにいたしましても総裁選挙がどのような形で行われるかについてはまだ決定をいたしておりませんし、いつ行われるかもわかっておりません。その時点で私としてはやはり党内の空気、多くの皆さん意見を聞きながら考えるべきであって、今の段階は今当面しているこの課題にしっかり取り組むこと、また多くのいわゆる国際問題といいましょうか、そうした外交案件にも全精力を傾けていくべきだと、このような考え方で今臨んでいるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  151. 角田義一

    角田義一君 ここは非常に大事なことでね、私の質問のある意味ではきょうは本質論ですよ、これは。  あなたは総裁なんですから、出馬するかしないかは御自身で決断をされることなんです。だれもほかの者が言うことはできないんです。出馬するなら出馬するで私は構わないと思うんです。先ほど言ったように、あり得ると言うんですから、それは結構です、それはそれでいいでしょう。だけれども出馬しないと決断されたときには総理の座はおりると、こういうふうに理解せざるを得ないでしょう。そこを聞いているんですよ。
  152. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) しないとも私は申し上げておりません。しないということを申し上げておりません。出馬しないということは申し上げておりません。  総裁選挙が行われる時点において判断すべきことであって、やはり出処進退というものは自分で判断することだ、これは角田議員のおっしゃるとおりだと思います。ですから、今の時点で、ただいまの時点でそのことを申し上げるそういう段階ではないというふうに申し上げているわけです。
  153. 角田義一

    角田義一君 よろしいですか、もうすべての新聞、国際世論、全部……(発言する者あり)
  154. 岡野裕

    委員長岡野裕君) お静かにしてください。
  155. 角田義一

    角田義一君 全部事実上の辞意といって書いているんですよ。  じゃ、これは、まず一つ、事実上の辞意ではないということだね。それともう一つは、もう一遍聞きます、総裁選に出ないと言ったときにはもうあなたは総理大臣をおやめになるのかどうか。もう一遍聞きますよ。
  156. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 辞意表明というのは新聞マスコミ皆さんがお書きになり報道されていることだと申し上げているはずです。  私は、ここ数日間、たびたびいろんな報道関係者に尋ねられても、私は一切辞意表明はありませんよと、むしろ、大変御無礼でしたが、ぶら下がりの記者に、辞意表明と書いたら恥かきますよと、私はそこまで申し上げたことを覚えております。ですから、辞意表明ではございません。  そして、総裁選挙云々は、そのことが決定をいたしました段階で決定をすることであって、私は当面、今の国政に対して全責任を負うて最大限の努力をしていくというのが今の私の心境でございます。
  157. 角田義一

    角田義一君 だめです。これはね、総裁選前倒しすることは自分でまず決めた、出ないことも出ることも決められる、出ないときには総理やめるのかやめないのかと私は聞いているんです。だめです。(発言する者あり)
  158. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  159. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。  森内閣総理大臣、どうぞ。
  160. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 自由民主党総裁選挙前倒しであろうが予定どおりの九月でありましょうが、総裁選出馬するしないはその時点で決めることであって、そのときを先取りして発言することはあってはならないと思いますし、今はその適当なときではないと、このように考えております。
  161. 角田義一

    角田義一君 これは重大な食言ですよ。あなたは午前中から、いいですか、総裁選前倒ししていいと言ったんだ、言っているんですよ。これ、今のは何なんだ、九月になるか前倒しになるかどっちにしろと。それはまずいんです。まず前倒しですよ、それはさておき。何を言っているんだ。
  162. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は土曜日に党の五役に対して、前倒しをしていただいてもいいですよという私の提案を申し上げたのであって、九月に予定どおりおやりになるのか前倒しでなさるのかは、これは党が決められることですから、どうぞ御相談をしてお決めくださいと、こう申し上げたわけです。それについて、お出になるのですか、出ないんですか、出るんですかとお尋ねになったから、それは今申し上げるときではないと、こう申し上げたわけです。決して食言ではないと私は思います。
  163. 角田義一

    角田義一君 やってられません。きょうの午前中……(「何がやってられないだよ」と呼ぶ者あり)やってられっこないだろう。  いいですか、九月、前倒ししていいとあなた、午前中はっきり言ったんです。総裁として前倒しをしていいと言ったのに、九月にやるか前倒ししていいかわからぬというような、そんなでたらめな答弁では納得できませんよ。だめだ、だめだよ。冗談じゃない。
  164. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  165. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。
  166. 角田義一

    角田義一君 総理ね、もう少し率直に本当のことを言ったらよろしいよ。前倒しをするということをあなた総裁としてやってもいいと言ったんでしょう。一貫して言ってきているんですよ、午前中から。それを今度九月でもいいなんということで、いいですか、そんなことで、九月でもいいですなんということで国民が納得すると思いますか。  前倒しをしようと言ったのは私の意向である、前倒しをするんだとはっきり言ってください、じゃ。
  167. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は九月でいいとは言っていないんです。九月は決められている総裁の今の任期なんです。ですから、私は、私個人として、総裁として、党の執行部に対して、前倒しをなさったらどうでしょうか、私は構いませんよ、御検討くださいと、こう申し上げたわけです。
  168. 角田義一

    角田義一君 もうあきれて、私はもうこれ以上質問できない。  ただ、一言申し上げておく。いいですか、一言、質問を最後にします。  あなたは、今一番あなたが選ぶべきものは、私は即刻の辞職だと思います、辞任だと思います。そして、それを言うことによって混乱をするというふうに自民党の諸君は言っておるけれども、窮鳥懐に入れば猟師もこれを撃たず。あなたがやめるという決断をしたときに、後はちゃんと我々が責任を持って国政に協力しますよ。予算どうするか、重要法案どうするか、ちゃんと後やるから、安心しておやめになるということをここで言ったらどうですか。  これが最後の質問です。(発言する者あり)
  169. 岡野裕

    委員長岡野裕君) お静かにお願いをいたします。
  170. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) たびたび申し上げておりますが、今御審議をいただいておりますこの十三年度予算、いわゆる予算関連法、さらに引き続き諸改革お願いいたします大事な法案、これらのことを国会に上程しているその責任を私はしっかり果たしてまいりたい、このように考えております。
  171. 角田義一

    角田義一君 終わります。
  172. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で角田義一君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  173. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、依田智治君の質疑を行います。依田智治君。
  174. 依田智治

    依田智治君 自由民主党依田智治でございます。  自民党・保守党を代表しまして、当面する諸課題のうち、私は主として安全保障、防衛政策についてお伺いしたいと思います。  ただ、その前に一点、総理にお伺いします。  先ほど来、我が党総裁選前倒しというか繰り上げ実施という問題が議論されておりました。私は、内閣責任というものは大きく分けて二つあるんじゃないか。一つは、国民の信頼を得て、そして力強く国民に将来の姿を示し、そして政治を実践していく。あと一つは、やっぱりその中身ですね。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  今の日本の低迷する景気の状況、これは大変な状況です。これを何とか軌道に乗せるためには、来年度予算案早期成立、さらに関連する法案成立、さらに足らないならば緊急的な対策も考慮せざるを得ない。また、総理は日米首脳会談等にも取り組む決意を示しておりますが、やはりこういう当面する内政、外交の課題に国民立場に立ってこれを力強く実践する、こういうことも私は内閣の重大な責任だと思います。  第一の部分については、総理が我が党等に対するいろんな国民の厳しい批判というものを真摯に受けとめ、自民党が開かれた政党としてしっかりと再生するように党改革を実践しよう、そのためには私は総裁選を多少繰り上げてやっていただいても結構だという決意を表明したわけでございまして、きょうも地方の代表者の会合が党内でありますし、あすは党大会がある、そういう現状を踏まえまして、総裁としてしっかりと国民の目線を置いた、開かれた党改革というものを実践していただく。具体的時期、方法等はこれから議論いただくわけですので、この点については強く総裁に要望しておきたい。  あと一つの問題が極めて私は重要じゃないかと思います。  そういうことで、総理の、当面する内政、外交の諸課題に対して現在どのように取り組む決意を持っておるのか、その点を特にお伺いしておきたいと思います。
  175. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今、御指摘がございましたように、またたびたび午前中からも、他党の議員の御質問でも申し上げておりますようにKSD事件での不祥事など、損なわれましたこうした信頼を回復するためには、自民党改革、そして自民党の刷新を急がなければならない、こう考えております。こうした考え方に立って、私は党の総裁という立場で、政治倫理の確立、開かれた政党を目指して党改革に全力を挙げること、そして今秋に予定されております党総裁選挙を繰り上げて実施すること、この二点について党執行部に私は率直に要請を申し上げたところでございます。  他方、改めて申すまでもなく、内外には今、議員から御指摘のように諸課題が山積しております現在、国政にはいっときの停滞も空白も許されない、そういう状況であろうというのは議員御指摘のとおりであります。  先日、内閣不信任案の否決を受けまして、私としては、まずは現在参議院で御審議お願いいたしておりますこの平成十三年度予算案、その関連法案、一番今そのことを国民皆さんがかたずをのんでこの参議院審議に期待を持っていただいておるだろうと、そう思います。そしてさらには、各般改革を実施していかなければならない、そういう意味でその重要法案早期成立に全力を尽くすことが国民に対して果たすべき責任であると、このように私は考えております。  また、これも御指摘ございましたけれども、今、米国経済の減速など新たな懸念材料もあります中で、いわゆる踊り場的な状況にある経済の動向を見ながら対応に万全を期していかなければなりません。さらに、月内には予定されております米国あるいはロシアの首脳会談、当面の課題も多くございまして、これらにつきましても全精力を傾けてまいりたい、このように考えております。  私といたしましては、目下、これら諸課題に全力を挙げて取り組むことによって内閣としての責任を果たしてまいりたい、このように考えておりますので、ぜひ御理解を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
  176. 依田智治

    依田智治君 総理、ひとつこの政治への不信、深刻な状況を本当に真摯に受けとめて党改革を実践するとともに、諸課題の解決に本当に命がけで取り組むという決意で邁進していただきたい、この点をお願いしておきます。  次に、二十一世紀を迎えての我が国の安全保障、防衛政策、これの諸課題。  一つは、やはり何としても安全保障を、防衛を担う役所がいまだに庁であるという点、それからブッシュ政権ができてこれから二十一世紀の日米同盟関係というものは極めて重要だ。それから、総理も施政方針演説で述べられましたが、危機管理や有事法制を含む緊急事態法制、これも極めて重要です。また、ローマは一日にして成らずですが、やはり一朝一夕に防衛というものはできませんし、それを支える自衛隊、自衛官というものも本当にしっかりとその処遇等も改善していっていただけないか。これらの点について質問したいと思いますが、きょうはテレビ放映の関係で私の時間が夕方に一時間、もう間もなく終わるということでございますので、省昇格問題だけお伺いします。  防衛庁長官、まず現在どのようにこの問題について主管の大臣として考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  177. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) お答えいたします。  防衛庁の省への移行につきましては、本院の自由民主党等の議員連盟におかれましても、防衛省設置法案を作成されるなど真剣に取り組まれていることや、また民間においても各種の団体が大変な数の署名を集めているなど御努力されていることは十分承知いたしているところでございます。  近年、阪神・淡路大震災のような大規模な災害や不審船事案の発生等が相次ぐ中で、国民の生命、財産の保護のために自衛隊の活動が以前にも増して必要とされてまいっております。また、冷戦後の不透明、不確実な要素をはらむ国際情勢の中で、我が国のPKOや国際緊急援助活動等の面で世界平和への貢献も求められているのは委員承知のとおりでございます。  このように、国政におきまして防衛の重要性が増大している中、諸外国のように国防を担当する行政機関として一つの省を設けることは、国防並びに安全保障についての国家の基本的な姿勢や国家の意思を内外に明らかにしていくことになり、重要であると私どもも認識しております。  また、御指摘のように、法律的な面から申し上げれば、国民の安全確保や国の危機管理のために、例えば自衛隊を運用すること、法律の制定、さらに人事などにつきまして、現在は防衛庁長官名で閣議を求めることができません。また、予算の要求や執行を財務大臣に求めることもできない状況でございます。このような点を改善するためにも、私といたしましても一日も早く、ぜひとも省への移行をお願いしたいと考えております。  また、依田委員参議院の防衛省設置推進国会議員連盟の事務局長もされていらっしゃるということをお聞きいたしております。先生の御支援も私どもの方からもお願い申し上げたいと思います。
  178. 依田智治

    依田智治君 この問題については、国民の中でも署名運動がありまして、もう既に七十万にも達するという状況にあります。  御承知のように、三年数カ月前の行革会議最終答申におきましては、こういう重要な問題は政治の場で議論すると言ってからもう三年以上たっているわけで、私ども再々本委員会でも意見を述べましたし、党でも法案骨子まで決定していると。我々の参議院議員連盟でも既に法案もつくっております。こういう現状を考えますと、やはり国の仕事の最たるものは防衛じゃないかという点を考えますと、ぜひともこれは実現していただきたい。  防衛副長官にお伺いします。  外国の例とか、どんなぐあいになっているか、それからそうすることによって何か最高指揮官としての総理の権限が変わるようになるのか、そのあたりの点をちょっと。
  179. 石破茂

    ○副長官(石破茂君) お答えを申し上げます。  国連に加盟しておる国が百八十八ぐらいあるというふうに承知をいたしております。私どもで調べました限りにおいて、その中でエージェンシー、庁という名前を使っておるところは一カ国もございません。これは一つもございません。これは、アメリカの場合には例えば国防省の一つの機関としてエージェンシーがある。そしてまた、イギリスなどの場合には独立行政法人みたいなイメージとしてエージェンシーというものがある、そういうふうに聞いておりますが、国防をエージェンシーとして取り扱っております国は、私が調べました限りでは一カ国もございません。  そしてまた、今、委員御指摘のように、それではシビリアンコントロールとの関係はどうなるのかということでございます。  自衛隊法に内閣総理大臣というのが出てくるわけでございますが、それは当然、これが省になり大臣ということ、国防大臣もしくは防衛大臣というふうになりました場合にも、それは今、大臣からお答えをいたしましたようなことになるわけでございますが、例えて申し上げれば、自衛隊の最高の指揮監督権、これは自衛隊法七条でございます。防衛出動の下令七十六条、治安出動の下令七十八条、八十一条、また海警行動に係る承認、これは八十二条かと存じますが、そのようなものは内閣の長たる内閣総理大臣が保有する権限でございまして、そういうものは変更されることはなかろうというふうに考えております。  したがいまして、一部の方が御懸念になるような内閣総理大臣の権限を弱めることになるというようなことは、毫も起こらないものと考えておる次第でございます。
  180. 依田智治

    依田智治君 総理、以上の見解を踏まえまして、やはり党の総裁として、また内閣、行政の最高責任者としてそろそろ実現に向けて努力すべき時期だと思いますが、総理の御見解をお伺いしたい。
  181. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今、議員から防衛、国防、極めて重大な問題である、このような指摘がございまして、国民自分の国は自分で守るという、こういう気概を持って、国として適切な防衛の体制をとることは、国家存立の基本であると、このように私は認識をいたしております。  防衛庁の省への移行につきましては、今、議員からも御指摘がありましたように、行革会議の最終報告におきましては政治の場で議論をすべき課題だと、このようにされているわけでありますが、今、石破副長官からも御答弁申し上げたように、主要な諸外国の中で国防を担当する組織がエージェンシーという形をとっている国はないということも十分承知をいたしております。  また、私はかつて総務会長を党でいたしておりましたときも、この行政改革再編をめぐりまして、この議論が実に長時間といいましょうか、議論が随分出ましたことを私は承知いたしております。そうした考え方が次第次第に広まっていくことになる、つまりそのことは国民の皆様に理解を広めていくということになるだろうと、こう考えております。  どうぞそういうふうに考えまして、国民に十分な議論が得られるような形で、これからなお一層皆さんにも御努力していただきたいし、国会での論議あるいはまた国民の多くの皆さんにもそうした議論理解されるような、そういう努力をみんなで続けていくことも私は極めて大事なことではないか、このように考えております。
  182. 依田智治

    依田智治君 私ども努力してまいりますが、総理総裁としてこの問題に真剣に取り組んでいただきたいと思います。  私の残余の質問は夕方に譲ることになりまして、関連質疑をお許し願いたいと思います。
  183. 須藤良太郎

    理事須藤良太郎君) 関連質疑を許します。金田勝年君。
  184. 金田勝年

    金田勝年君 自由民主党金田勝年でございます。依田委員の関連で質問をさせていただきます。  このところの政治状況には厳しいものがありますけれども、一方で日本経済の景気の現状にも極めて厳しいものがあるわけで、一刻の猶予も許されない状況にあると思うわけであります。  政治は政局のためにあるのではなくて、国民のために、政策のためにあるんだということを踏まえまして、景気の回復が最優先課題であることからも十三年度予算予算関連法案の早期成立が必要不可欠であると考えるわけであります。  そこで、まず初めに経済財政担当の麻生大臣にお伺いをしたいと、このように思うわけであります。  内閣府が発表しております景気ウオッチャー調査によれば、景気の現状判断、先行き判断ともに徐々に悪化しているということでございますけれども、現下の景気の現状をどう見ておられるのか、そしてまたどう対応していくおつもりなのか、伺いたいと思います。
  185. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 景気ウオッチャー、御存じのように街角景気と言われる、お役所の調べるものとまた違って、タクシーの運転手さんとか床屋さんとかいろいろ商売をしておられる方々にお願いをして、景気についての御意見を拝聴させていただくのを景気ウオッチャー調査と私ども呼んでおるんですが、一月の現状判断、いわゆるディフュージョンインデックス、DIの方につきましては四一・五と、半年、六カ月間連続で五〇を割っております。そういった状況でありますので、三カ月前と比較をいたしまして景気は引き続き余りいい状況ではないというのはそちらの数字からもはっきりいたしておると思います。個人消費の一月統計を見ましても、全世帯の実質消費支出というのは前月に比べてマイナスになっております。  ただ一方、小売販売業者の売上数値とか、またコンビニエンスストア、チェーンストアの売上高は、前月と比べてマイナスではありませんけれども、ほぼ横ばいということになっておりますので、そういった意味では設備投資等々は増加をいたしておりますし、おととい発表になりました企業の十—十二の経常利益を見ましても、前年同期比三一・九%のプラスと出ておりますので、そういった意味では、企業の内容が一年前に比べては大変よくなってきておるにもかかわらず、消費には結びついていないというところが今一番の問題点であって、企業は、その出てきた利益を設備投資とか雇用とかいわゆる賃金に充てることなく、そういう借入金の返済に充てておられるというのが多分今の現状であろうと思っておりますので、そういう意味では、この状況を今しばらく、どういう状況かを、ある程度続けないと、多分企業は、いわゆる財務諸表、バランスシートがプラス、少なくともマイナスでないという状況にならない限りはなかなか設備投資とかそういったものに金を回してこないだろうというような感じもいたしておりますので、そういった意味では、今後とも景気対策というものについては十分に注意を払っておかないと、何となく景気が、企業の収益がよくなってきたからそのうちいくだろうというだけでいけるかどうかというところは、極めて判断の難しいところだと思っております。
  186. 金田勝年

    金田勝年君 そういう景気認識は大体みんな一致してきておるところだと思うんですね。ですから、注意を払いながら経済政策の運営をしっかりとやっていかなければいけない、こういう状況にまさに直面しておるわけであります。  かつて小渕前総理は、昨年一月の施政方針演説で、安心への挑戦に取り組むということを言われたのを記憶しておるわけであります。また、森総理は昨年四月の就任時の所信表明演説で、安心して夢を持って暮らせる国家を目指すということを言われたわけであります。  私は、今やこの安心、暮らしの安心ともいうべき安心と景気との関係は極めて密接だという考えを持っておるわけであります。  今、社会全体が不安に覆われているとよく言われるわけですけれども、株価は下がりバブルが終わってからの最安値をつける、あるいは米国経済もアジア経済も後退している、社会保障制度、年金とか医療とか、そういったものの先行きが見えてこない、金融面でも、不良債権の直接償却と言われるけれども金融機関の貸し渋りが心配だ、また企業の倒産や厳しいリストラの続発で家族を抱えて路頭に迷うんではないか等々、国民は毎朝毎晩新聞テレビを見て、そのたびにどんどん不安になっているというふうな状況にあるように思うわけであります。だから消費も伸びない。そして、デフレスパイラルに陥ってはこれは大変なわけであります。  そういう中で、政治が、政府がやるべきことは、株式市場再生にしても金融システム再生にしても、あるいは産業の構造改革や再編にしましても、雇用のセーフティーネットにしましても、縦割りでばらばらに行われるんではなくて、言われるんではなくて、全体的な対応と安全網の整備、それがなされるんだということをメッセージとして国民に強く伝えていくことが重要だというふうに考えるわけであります。  財政再建の議論にしてもしかり。財政改革を念頭に置きつつも、今は景気回復最優先、景気の拡大、経済の拡大の中で財政再建を考えていくんだというスタンスを明確にとっていかないといけない、このように考えるものであります。  そこで、総理にお聞きしたいと思います。  麻生大臣の担当されております経済財政諮問会議でございますが、これはまさに総理直属の機関であります。一月六日の省庁再編の目玉でございますし、内閣機能の強化のかなめでもあります。いろいろと政策課題があるときにさまざまなポリシーミックスをとりながらその整合性を図って全体的な方針を示す、これには経済財政諮問会議がきっちりとその機能を果たさなければならないと考えるんですけれども、いかがでございましょうか。  また、去る九日、先週でございますが、与党から出されました緊急経済対策実施の段取りも含めてお答えお願いしたいと思います。
  187. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 経済状況につきましては、今、麻生担当大臣からお話を申し上げたとおりでございます。  まさに金田議員から御指摘いただきましたように、今日政治に求められておりますことは、政治が責任を持って政策決定をリードしていくこと、そして国民に明確なメッセージを伝えて的確な政策運営を通じて国民の期待にこたえていくということであろう、こう思います。  この新しい省庁再編によりまして経済財政諮問会議というのができました。鋭意今、その会議を開きながら、民間の企業経営に実績のある方々、さらには学問的立場で、専門的なお立場で御意見をいただく方、そうした方を踏まえながら今協議をいたしておるところでございます。  この経済財政諮問会議におきましては、有識者議員の方々には、そうした現場感覚、あるいは経済に関する深い洞察力に基づいた的確な景気判断、あるいは政策形成に役立つ知恵を出していただきながら財政を含む我が国の経済社会全体の構造計画に取り組んでいる、そういう諸課題について実質的にまた包括的に検討を行って、国民皆さんに安心をしていただける、あるいは希望を持っていただける、そういう処方せんを示したい、このように考えて取り組んでいるところでございます。  具体的には、例えばこれも今、議員からすべて御指摘ございましたけれども、経済財政に関する基本的な考え方、さらには社会保障の制度、そして社会資本の整備、さらには国、地方の役割分担及び経済の活性化、これらについて精力的に検討を進めまして、私自身のリーダーシップのもとに骨太の方針をぜひ決定をしていきたい、このように考え、麻生担当大臣にその調整を今お願いをしているところでございます。  加えて、経済財政諮問会議におきましては、景気を着実な自律回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、現下の経済情勢を反映した諸課題、例えば株式市場の活性化、さらにはサービス部門における雇用拡大について専門調査会等において早急に検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  188. 金田勝年

    金田勝年君 しっかり対応していただきたいんですが、中長期的な課題を議論していくのはもちろんなんですけれども、今そこにある危機に対しましても、急を要するときには随時緊急招集でもして政府としての取り組みを示すぐらいの意気込みでやっていただきたいものだ、こういうふうに考える次第であります。  ところで、財務大臣一つ確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。  大臣は、平成十一年の私の質問に対しまして、GDPの成長率二%程度の成長軌道が安定的に実現できた段階で財政再建の改革をするんだと答弁されております。エコノミストの中にはさまざまな意見があるようですけれども、景気回復と財政再建は二者択一のものとして論じられるのではなくて、景気がよくなれば税収もふえるわけであります。財政再建にも貢献できるという側面を大切にしなければならないわけでありまして、当面は財政による下支えも含めた政策総動員で景気対策、景気回復をやらなければいけないんだと考えますが、いかがでございましょうか。
  189. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年から財政再建について、これは財政ばかりでなく、税制、中央、地方、社会保障、いろんな問題を含みますので、どうしてもマクロモデルをつくらないと答えが出しにくいということを申し上げておりましたが、ことしの一月から中央省庁の再編成がございまして、先ほどお話しになりました経済財政諮問会議が発足いたしました。その諮問会議で既にこのマクロモデルをつくることを決定してもらいまして、専門当局が、研究所がそのモデルの制作に入りました。大体半年ぐらいかかるということでございますが、これができますと、これでシミュレーションができることになります。  そこで、その時期でよろしいかということでございますが、確かに二%ぐらいな成長軌道にと前から申し上げておりまして、けさ十—十二のQEが出まして、プラスでございましたので、まずこれでこの今年度の一・二%という経済成長率は恐らくそれを少しオーバーして達成するんではないかと今私なりに思っておりますが、そして税収は初めてこの平成十二年度で当初の見通し、見積もりを二兆円、もう少しオーバーするかと思いますが、まあまあシミュレーションを始める状況が来ておると。  それがまた、金田委員の言われますように、いろいろな国民の持っておられる不安の中に、とめどもなく財政が疲弊していくんではないかと、借金がふえてということがございますから、そういう作業を始めることもまた積極的な意味があるのではないかと。まだ経済財政諮問会議にお諮りはしてございませんが、その準備を始めることには皆さん御同意でございましたので、そういうことになればよろしいがなと思っておるわけでございます。
  190. 金田勝年

    金田勝年君 単年度だけで見るんではなくて、動態的分析を用いて、中長期的にどのような、そういういろんな効果があるのかも含めて考えていくと。いろんな角度からのそういう検討もしながら、景気回復をしっかりと最優先にやっていただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思う次第であります。  次に、橋本大臣にお聞きをしたいと思います。  かつて橋本内閣の、平成九年度、行革会議の議長をされておられました。その際に経済財政諮問会議を設けた生みの親であります。発足から三カ月たちました。この組織のあり方を見て、どのように評価をされているものでありましょうか。また、これを含めまして、中央省庁改革の今後にどのように魂を入れていくべきとお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  191. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど総理になりましてしばらくして、一つ一つの施策についての提言ではなく全体を横に通して知りたいと考えまして、当時の財政審あるいは政府税調、社会保障制度審議会、経済審といいました主要委員会の会長さん方にお集まりをいただいて議論をしてみましたときに、実は私は愕然といたしました。  これらは、いずれも国全体を横に縫ってもらわなければならない総合的な施策の体系の中にあるべきものばかりであります。ところが、それぞれの審議会が全く別個に動いておりまして、この間に意思の疎通を欠いている。この状況に気づきましたときに、このままではいけないという思いを持ちました。同時に、そうした個別審議会がいろいろと提言をしてくださることがバッティングしてしまって、結局うまく使えないというようなことにも気づきました。  そうした中から、内閣総理大臣のリーダーシップをより発揮し得るような形を考えていく中に、経済財政諮問会議というものがどうしても必要だということを考え、今挙げましたような機能というものを求めながらこの組織を考えたわけであります。そして、でき得るならば、ここが本当の意味での予算編成の中心になるぐらいの権威を持った仕事をしていただきたい、そういう願いを込めながらこうした図面を描いてまいりました。  ややもすると、私自身、社会保障負担と税負担両方合わせた国民負担率がどうかという問いかけを国民に問いかけてもなかなかお答えがいただけなかった苦しみがあります。しかし、それはばらばらに国民に今までお願いをしていたことですから、これを一度に答えろという私の方が無理だったのかもしれません。経済財政諮問会議というのは、その意味では、私自身のそのような反省の上に立ち、内閣機能をより強化するという方向で考えたものであります。これから先、なおより活動の幅を広げていただき、総合戦略の中心として内閣総理大臣のリーダーシップを支える役割をしていただきたいと思います。  同時に、中央省庁改革につきましては、これができました時点で、私は、初めの終わりだということをよく申し上げてまいりました。すなわち、器の部分はできたけれども、公務員一人一人の心の中までの切りかえを一挙にすることができないとすれば、これは公務員制度改革を思い切って今までとは違う白地から組み立てていくことによって、正すべきものはもちろん正します。しかし同時に、信賞必罰の仕組みの中で伸び伸びと仕事のできる体制をつくりたい。同時に、特殊法人、公益法人等々を見直し、国民から信頼を置いていただけるものにしていきたい。さまざまな思いを込めて、今そちらの方は作業を始めておりますけれども、これを待つまでもなく、少なくとも大ぐくりされました中で幾つかのプラスは出てきている、私自身はそのように感じております。
  192. 金田勝年

    金田勝年君 せっかくの中央省庁改革、そして内閣機能の強化を図ったわけでありますから、これらを十分に生かしながらリーダーシップを発揮されて景気の回復に努め、それを実現していただきたい、心からお願いを申し上げる次第であります。  次に、地方の景気を考えた場合の安心について幾つか意見を言わせていただきたいと思います。  申し上げるまでもなく、食糧も水も自然も電力などのエネルギーも労働力も、地方がつくって都市に供給しているという認識が必要だと思います。地方の農山村があって都市がある、ふるさとの支えがあって都市の発展があるんだという国の形を考えますと、地方の安心というものが揺らいではいけないんだということを強く感ずるわけであります。  そこで、地方の景気、地方の安心という観点から、公共事業、農林業、地方財政の三点について、それぞれ大臣お尋ねをしたいというふうに存じます。  まず、国土交通大臣、このところ公共事業につきましてはさまざまな批判がありますが、私は次の二つの点でなお重要性が、必要性があると思うわけですね。  一つには、公共工事は、雇用効果といいますか、地方の景気の下支え効果を持っているということであります。もう一つには、生産基盤にしろ生活環境基盤にしろ、必要な社会資本を次の世代にしっかりと残していく、そういう二点であります。  例えば下水道を例にとりましても、十一年の数字でありますが、普及率は関東では七三%でございますが、私の出身地である東北では四二%にすぎないのであります。パリでは、何と赤穂浪士の討ち入りがあった江戸時代の中期に環状大下水道が完成しているんだそうであります。我が国の下水道整備の歴史は極めて浅いんであります。順番を待って、いよいよ整備が地方に行き渡るというときに、道路でも同じことなんですけれども、もうだめだと言われるのはやはり問題なんであります。  地方の安心のために公共事業はぜひとも必要なんだということを、この点について国土交通大臣の御見解を伺いたいと思います。
  193. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、金田先生から国の基本を支えているものはというお話がございましたけれども、まさに我々は戦後、今日まで、あの敗戦国の苦しい中から先進国の仲間入りをするようになりましたのも、公共工事の多くの力によるところがあって、世界に伍していける先進国の仲間入りができる日本になったという基本を、公共工事の必要性があったということに関しては、私は皆さん理解いただけるところだろうと思います。  けれども、その公共工事については、るるお考えがあって、むだ遣いだばらまきだと公共工事を一方的に悪く言われることが多くなりましたので、それらを悪く言うだけではなくて、昨年の臨時国会において公共工事の入札と契約に関する適正化法という、みんなで、丸投げや談合ができないような法案を全会一致でお通しいただいたことは、私は二十一世紀の幕開けに間に合った、本当によかったなと心から感謝しているところでございますし、今、金田先生がおっしゃいました公共工事、地方においては、多くの効果があるとおっしゃいましたけれども、私はストック効果とフロー効果と両方あろうと思います。  今、金田先生がおっしゃいましたストック効果におきましては、大きな問題としましては、今ストック効果については交通インフラの整備をするということによって燃料のコストが安くなる、これは減少できる、あるいは少なくとも移動時間が短縮できると、まして、遠隔地から生鮮食品の入荷をやりやすくする、あるいは宅急便のサービスの向上も時間短縮ができたと。そういうことに関しては、私はストック効果が大いにあったと思います。  また、今、先生がおっしゃいましたフロー効果の一つについては、あるいは都道府県別のGDPの占める、公的な資本の投下によりまして二割程度を占める大きな地方がございました。ちなみに、各県別の公的の固定資本の形成の対GDP比、どうなりましたかといいましても、少なくとも島根が二二・一%、宮崎が一八・一、高知が一八・〇で秋田は一六・五%でございます。先生の御出身地でございます。  そのように、この景気効果があったということで、全国平均は七・九なんですから、そういう意味では、秋田がまだ下水道とおっしゃいましたけれども、かなりそれは皆さん方努力をしていただく、私は大きな問題であろうと思います。  そしてまた、各県別の建設業者、今、先生がおっしゃいましたフロー効果の大きな雇用問題、これにつきましても、各県の建設業従事者の全労働者の数に占める割合を見ましても、新潟が一二・二%、大分が一一・八%、秋田は一一・三%でございます。全国平均は七・一%でございますから、これも、秋田も大変公共工事に負うところが多いという今の先生のお話のとおりでございます。  私は、けれども、なおかつその結果、今、先生が下水道等々の整備をとおっしゃいましたけれども、十三年度予算におきましてもふるさと下水道の緊急整備、今年度の予算に入っておりますけれども、国費で一千五百四億円をこれは皆さん方に明示してございます。これは前年度比の一・〇二倍でございます。また、先生おっしゃいましたように水害とか土砂災害の防止対策、この推進もしようということで、これも十三度予算には重点化をいたしまして、国費で一千九十三億円を導入させていただいております。これも対前年度比一・〇五倍でございます。  このように、私は、少なくとも今年度予算皆さん方に御審議いただく中におきまして、私は多くの皆さん方に、その所管の補助事業あるいは直轄事業につきましても、地方債の割り当て等の引き上げ、その他元利償還金にかかわる交付税の措置等、あるいは地方財源措置に、私たちは多くの措置を行ってまいりたいと思っていますので、地方も元気、国も元気という二十一世紀にしたいと思っております。
  194. 金田勝年

    金田勝年君 力強い御答弁ありがとうございます。国も元気、地方も元気、本当に大事なことであります。しっかりよろしくお願いしたいと思います。  そして、次に農林水産大臣お願いしたいと思います。  昨今の農産物、林産物の価格の下落というのは農家や林家の経営をまさに直撃しておるところでありまして、その不安を解消することも非常に大切な課題であります。中でも慢性的な米価下落は直接に稲作農家に影響がはね返っております。全国の水田の四割近くの面積が生産調整の対象となっておるのであります。我が地元、米どころ秋田県では、昨年、何とまた約四千ヘクタールの生産調整の追加の上乗せが配分されたのであります。農家は涙をのんで米をつくらない決断を受け入れているのでありますよ。農林業は日本人の財産であり心であり、そして哲学であり、国の大もとである、都市住民も含めた国民全体のコンセンサスづくりが今こそ重要なんだ。  今、WTOの農業交渉や新たな経営安定対策が検討されていますけれども、国全体として、国策として農林業を守っていかなければならないという一致した認識を早急に形成すべきと思いますけれども、いかがでございますか。
  195. 谷津義男

    国務大臣(谷津義男君) 日ごろ金田先生には農林水産業に対しまして大変な御指導、御示唆をいただいておりまして、心から感謝を申し上げます。  まず、先生が今、農は国のもとというようなお話を伺いまして、私もそう思っているところでありますけれども、特にこのことにつきましてはまず考えられるのは、私は所得政策が非常に大事かなというふうに考えておるところであります。そこで、この所得安定対策の今後の検討を今行っているところでありますが、この点をまず御説明を申し上げたいと思うわけであります。  農業の持続的な発展を図るためには、その主たる従事者、いわゆる農業者が地域におけるほかの産業の従事者と遜色のない水準の所得を得る、確保することは非常に大事なことだと私は思っているわけであります。そういうことから、効率的あるいは安定的な農業経営を育成することであると。それから、これらの方々が農業生産の相当部分を担う、そういう農業構造を実現することが最も大事なことではないかと考えているところであります。  このために、効率的かつ安定的な農業経営を育成していく、そういう観点から、育成すべき農業経営に対しましてはこの諸施策を重点的に集中的に講じる必要があるというふうに考えておるところでございまして、この諸施策の見直しあるいは再編の検討を行うことが大事ではないかというふうに思っているところであります。そういうことを今検討しているところであります。  また、その一環といたしまして、育成すべき農業経営の経営全体をとらえまして、農産物価格の変動に伴う農業収入、または所得の変動を緩和する仕組み等につきましても、我が国の品目別の価格政策の見直しや経営安定対策の実施の状況、農業災害補償制度との関係等を勘案しながら検討を進めたいと思っているところでありまして、いずれにしましても、農業をやっている方たちが他産業並みの所得を得られるような、そういうふうな対策をしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  196. 金田勝年

    金田勝年君 どうかしっかりとした対策を講じていただきますように、よろしくお願いいたします。  この点につきましては、総理にも政府全体として御認識をいただきたい問題であると。やはり全体としての中できっちりと認識をしていただきたい、こういうふうに思いますので、総理、よろしくお願いいたします。  それから、続きまして、地方財政の観点から総務大臣お尋ねをしたいと思います。  ここ数年、税収が落ち込む中で、十三年度末における地方の借入金残高は約百八十八兆円。地方の不安というものも大きくて、単独事業や補助事業を手控えようとする動きも見られると聞いておりますけれども、個人消費や民間経済が伸び悩む中では、やはり公共セクターが頑張っていかなければという気持ちを持って、地方財政の再建という点にも配慮はするんですけれども、景気回復まであと一歩、あと一踏ん張り、そういう意識で地方単独事業も積極的に推進して、そして地域経済を盛り上げていくことが重要ではないかというふうに思うわけでございますけれども総務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  197. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 金田委員御指摘のように、現下の地方財政は大変窮迫いたしております。国の財政もそうですけれども、地方の財政も大変悪化している。借入金もお話しのように百八十八兆円の累積でございますし、来年度だけとると、恒久的減税の補てん分まで入れると十四兆円の穴があくと、こういうわけでございまして、早急に、国の財政もそうですが、地方財政も立て直しを図ると。その立て直しの前提は、いろんな議論があっても、まず景気の回復でございます。  景気の回復をやるためには、やっぱり公共事業と並んで地方単独事業を有効、適切に施行すると、こういうことがどうしても必要なんですね。ただ、今まで地方単独事業、相当頑張ってきましたので少々地方団体も息が切れているところが確かにありますが、ここで息を切らしていただいちゃいかぬわけでありまして、来年度の地方財政計画では十七兆五千億、地方単独事業を組ませていただいております。  地方単独事業というのは、公共事業と並んで、今、扇大臣、ストック効果とフロー効果があると言いましたが、まさにそうで、しかも公共事業よりはずっと小回りがきくんですよ。だから、住民に喜ばれる。また同時に、地方単独事業は地域経済を下支えする、雇用その他で。そういう意味で、私は、こういう状況で財政はよろしくありませんけれども、ぜひ地方単独事業を大いに推進してほしいと。  そのために、来年度の地方財政計画でも、国の事業と並びまして、日本新生緊急基盤整備事業というのを約三千億円。これは起債の充当率を九五にしまして、交付税の補てんを五〇%にしております。それから、従前からやっているものが臨時経済対策事業でございまして、これは八千億円。これは起債の充当率を一〇〇パーにしまして、交付税の補てんを四五パーにしておりまして、こういうものを大いに活用して地方単独事業をさらに推進して、これが景気の回復、国、地方の財政の立て直しにつながることを強く期待しているわけであります。
  198. 金田勝年

    金田勝年君 国と地方は車の両輪であります。政策のミスマッチがあってはいけないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  以上、限られた時間の中で欲張りをしまして、たくさんの質問をさせていただきました。我々政治家は、いかなる状況にありましても、一刻の空白も許されるわけではありません。今は景気を最優先課題としまして、政策を総動員して、手段とタイミングを国民に明確に示しながら現在と将来の安心のメッセージをしっかりと伝えていく、それが重要であります。明治維新を乗り越え、戦後の焦土の中から今日をつくり上げた先人の汗と涙を無にすることのないように、我々政治家は一瞬一瞬に命をかけて緊張感を持って取り組んでまいりたい、こういう決意を持ちまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございます。
  199. 須藤良太郎

    理事須藤良太郎君) 関連質疑を許します。月原茂皓君。
  200. 月原茂皓

    月原茂皓君 保守党の月原です。  まず、防衛庁の省昇格問題については既に防衛庁長官あるいは副長官お答えになっておる、そういうその前提に立ってでありますが、私も簡潔にお尋ねしたいんですが、隊員が三十万人、そして予算が五兆円、これだけの規模の、そして内外ともに安全保障、危機管理、その重要性が増しておる、その中枢の機構である防衛庁がなぜまだエージェンシーでないといかぬのか、これはもう国民みんながおかしく思ってきておるわけであります。戦後間もなくのころの発足のときとその形態を同じくしたのでは話にならぬわけであります。  まして、新しく生まれたブッシュ政権の陣容を見たら、英国と日本、この二つを軸にしてお互いに力を合わせて世界にいろいろ貢献しようという軸をしいておる。その最も大切に思われておる日本、こういうことを考えたときに、もう決断しなければいけないときに来ておると、こう思うわけであります。  総理から簡単にそのことについて心を込めてお考えを伺うとともに、次にその後で、危機管理あるいは安全保障、この問題については党の中で一番重要な位置づけをしておる保守党党首としての扇党首に答弁願いたいと思います。
  201. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど依田議員にもお答えを申し上げましたが、防衛庁の省への移行につきましては、行革会議の最終報告におきまして「政治の場で議論すべき課題」というふうにされたわけであります。  たびたび繰り返して恐縮でございますが、この橋本行革というのは、当時大変熱心な論議を党内でも行ったわけでありますが、私は総務会長をいたしておりましたので、総務会でも非常に長い論議をいたしましたが、この国防、いわゆる防衛庁の省移行の問題が一番議論の時間としては長かったというふうに私は記憶しておりますし、また大変御熱心な御議論がございました。  しかし、最終的には、党議全体としてはそこまで結論を出ないということになったわけでございまして、さらにその後、いろんな形で議論も成熟していく方向にあるであろう、また、月原さんを初め多くの熱心な議員皆様方のそうした御活動というのも多くの国民理解をされ得るようなそういう方向にも歩んでいるのではないかと、こういうふうに考えておりますが、なお一層国会での議論、さらにまた国民との間の議論、あるいはまた政党間の議論、そうしたものもぜひお進めをいただきまして、月原議員がおっしゃるように、本当に自分の国を自分で守るというそういう気概を、国民皆さんがみんながそういうふうな思いをしっかり合意をされて、そして適切な防衛体制をとるという意味でのそうした考え方が成熟してまいりますように、私も期待を込めて月原議員お答えをしておきたいと思います。
  202. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、森総理からもお話がございましたけれども、私は、本当に国民の生命、財産を守るということは、もう既に六年前になりましたけれども、あの阪神・淡路大震災、私、神戸出身なものですから私のところもつぶれましたけれども、少なくともあのときに、我々は危機管理というものはどうあるべきかと、またそのときに、諸外国からあの国境を越えた援助をもらったときに、私たちは自国を守るだけではなくて、何かあったときには国を挙げて他国にもお互いに助け合うという、この地球上の人類にとっての安全保障ということも、私はあの阪神・淡路大震災のときに本当にありがたいと思いましたし、私はあの警察の災害の救助犬という、犬がばっと出てきたときに、これで私は生き埋めになった人も助かるんではないかと本当にありがたい気持ちになりました。  そのためにも私は、まず、自分の国を自分たちで守るというこの気概がなければ私は貢献はできないと思いますし、まず我々政治家としては、憲法のもとにも自分たちの生命、財産を守るという、国会議員としても私は大きな国の基本を私たちは論議しなければいけないし、またそれを実行するのが我々国会議員の役目であろうと思っております。けれども、残念ながら、今、月原先生がおっしゃいました三十万人の防衛庁の職員たちが元気が出るようなことをどうしてしないんだと。しかも、私たちは、御存じのとおり、自衛隊という認識を民間でアンケートをとりましたら、自衛隊イコール災害救助隊といまだに思っている人がいると。私は、これでは皆さん方の士気が上がらなくなると思います。  そういう意味でも、少なくとも我々は、保守党としましても、御存じのとおり二十一世紀、新たな国づくりの目標の一つといたしまして、私たちは危機管理に強い政府ということも考えております。  ただ、これは何かのときに守るということだけではなくて、私は、先ほどからお話を伺っておりまして、森総理が誕生したときに内閣としての危機管理も官邸の危機管理もできていなかったことが大きな私は原因の一つだと思います。私は、阪神・淡路大震災のとき、村山総理のときにも危機管理がなかったので、大きな阪神・淡路大震災の皆さんのクエスチョンマークも残ったんです。けれども、今、森総理総理に就任されたときも、官邸の中にもしものことがあったときにはという順番ができていなかったと。アメリカでは大統領が何かあったときには十五番まで決まっています。日本はゼロだったんです。けれども、それを反省して、森総理はきちんと御就任後、何かがあった、災害のときにも出られないことがあるというときには五番まできちんとお決めになっています。  ですから、そういう意味でも、一つずつ私たちは反省をしながら国民に安心と安全を確保していく、こういう原点が私は大事であろうと思いますので、今、先生が御質問になりました危機管理については、私は保守党としても、今申しました表題で私どもは二十一世紀の危機管理体制というものを万全を期していきたい。また、そのためには、我が党だけではなくて、これは与野党を超えた日本の国の安全というもの、そして国民の生命、財産を守るということは、森内閣を挙げては当然でございますけれども、与野党超えて、この我々の保守党の政策にも御理解をいただき、全員で協力していくというのが私たち今バッジをつけている人間の二十一世紀の扉を開いたときの大事な課題の一つであろうと存じております。
  203. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、総理大臣からもあるいは扇保守党党首からも、この危機管理の重要性、そしてその中枢である防衛庁が省として十分その機能を果たせるような組織にする、そういうことの答弁があったので、我々議員の方も一生懸命やっていきたいと思うので御協力お願いしたい、このように思います。  要するに、国民一人一人の意見を聞かなければならないことはもちろんでありますが、国会というのは国民の代表者として来ておるわけでありますから、国会議員が、多数の人間がその判断をすればそれは国民意見である。それをとれなかったら民主主義、この代表制民主主義は成立しないわけでありますから、そういうことを我々は心にして行動していきたいと、こういうふうに思っています。  さて、次に防災公園というふうな関係からお尋ねしたいんですが、防衛庁の旧跡地、六本木にありますが、七ヘクタールとも八ヘクタールとも、こう言われておるわけでありますが、これは私は今、都市の再開発が非常にまたあの周辺は進んでおる。そうすると、防災拠点としては今、立川が考えられておりますが、前進基地として、ヘリコプターが離発着する、そして多くの人がそこに集まる、そして救難物資を積む、そういうような基地として私はこの空き地を利用できないだろうか。しかも、ここには中央指揮所というものが、そういうシステムがまだ残っておるわけでありますから、私はそういうことも利用できる、そして普通のときには防災公園として活用する、こういうふうな考え方が必要ではないかと、このように思うわけでありますが、伊吹防災担当大臣、そして扇国土交通大臣にその考え方について御意見をお伺いしたいと思います。
  204. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 先生の今の御提案は一つの御見識だと思います。  御承知のように、これは大変大切な国民の財産でございますので、財務大臣の御所管でございますが、関東財務局の国有財産審議会がお地元の人たち意見をも聞きながら多様な開発に着手してもらいたいということになっておりまして、現在、関東財務局、つまり国民の代表である財産の保持者としての関東財務局、それから今、先生がお話しになったような観点から物事を考えていかなければいけない東京都、それから地元の住民の代表である港区、この三者が集まって都市の計画をつくっております。  多様な使い方を土地の価格を前提に考えたいということでございますので、これを私の立場から言うと完全な防災基地として使っていただくということはもう大変ありがたいことなんでございますけれども、地域にはいろいろなお考えがあるようでございますので、少なくとも、オープンスペースその他、防災に配慮をした都市計画をつくっていただきたいということはお願いをしてございます。
  205. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、月原先生から御指摘のございました防衛庁の跡地でございますけれども、少なくとも防衛庁の跡地が七・八ヘクタール、そして檜町公園が一・四ヘクタール、その他〇・九ヘクタールで、あの地域でまとめますと約十・一ヘクタールになるんです。最後に東京都内に残された、しかも中心地の本当に大きな、これだけのものはもう二度とございません。そういう意味で私は、今おっしゃった再開発の地区計画、これは本当に都市計画というものを基本的に考えなければ大変なことになると。最後に残された私は財産だと思っておりますので、これを何としても有効に利用しなければならない。  私は、総理にも申し上げてありますけれども日本の都市基盤整備というものにかんがみましても、少なくとも国際都市のあるべき姿というものを、日本に幾つつくるかということも大事なれば、まず、首都でございます東京都のこの十・一ヘクタールというものをどう活用して、そして二十一世紀型の都市開発に持っていけるか、これは私は大変大事なことだと思っております。  現在、都市計画の決定スケジュールといたしましては、三月の下旬に東京都都市計画審議会にかかることになっております。そして、四月の下旬予定でございますけれども、これで都市計画を決定して告示するということに予定としてはなっておりますけれども、その跡地利用に関しましては、再開発地区計画ということで、昭和六十三年に創設されたこの開発の再開発地区計画の中には、転換後の土地利用に応じまして、用途あるいは容積率等を緩和するというのがこの中に入っておりますので、私は、ぜひそういう意味では、この重点的な用途あるいは容積率等を緩和ということを考えながら本格的な、皆さんに、二十一世紀、あのときにああしておいたから本当によかったねと言われるようなものにしていきたいと考えております。
  206. 月原茂皓

    月原茂皓君 今お話を伺いましたが、最後に残された地域であるということ、そして、考えてみればヘリコプター等の前進基地としてこれ以外にはない、しかもあそこは、ここの国会の方も含めまして政経中枢の最も大事な空き地である、こういうふうな観点から強くこの問題も推していただきたいと、このように思うわけであります。  そこで、次に外務大臣お尋ねいたしますが、一九九五年、沖縄で非常に不幸な出来事があった。そして地位協定の改定について、地位協定十七条五項(c)に関して合意されたわけでありますが、その内容はどういうものであったかお尋ねしたいと思います。
  207. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 一九九五年に、沖縄におきまして少女の暴行事件というものが発生をいたしまして、この被疑者の身柄の引き渡しにつきまして日米間でいろいろとやりとりがございました。  御承知のとおり、ただいまおっしゃいました日米地位協定の十七条五項の(c)、失礼、日米地位協定におきまして、身柄の引き渡しは、起訴された場合に身柄は引き渡す、こういうことになっておったわけでございますが、その身柄がなかなか引き渡されない、起訴がだんだんおくれまして身柄が引き渡されないということもあって、沖縄の方々の感情問題も非常に高まる。もちろん、こうした問題について、私どもとしてもできるだけ早く解決をしなきゃいけないということで、その後、この地位協定の運用の改善というものをもって、こうした問題が次に起きましたときには速やかに解決するようにということで日米間の合意をしたということがございます。
  208. 月原茂皓

    月原茂皓君 その地位協定の合意事項として、「殺人又は強姦という」、そういうふうなものは「好意的考慮を払う。」、そこまではいいんですが、その後、特に、特別に「合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。」、こういう規定になっておる。そしてまた、日本国は同じような問題を提起することができる、こういうふうになっておるわけでありますが、この間の放火事件、私は、これは最初からこの合同委員会を開いて、そうするのが本当であって、沖縄県警がすぐ米軍に身柄をよこせと言うのは、これだけ事件を通じてお互いに話し合ったルールがあるわけです。この場合には、合同委員会を開くということが、これがルールなんですね。それを飛ばして要求した。そこにも一つの問題がある。そういうことを考えていくと、これは日米関係、感情的になってしまった、これ。この後ろのことを飛ばしてしまって、おい、言ったら身柄をよこさぬじゃないかと、こういうふうになった。  やはりこういうルールがある以上、まずこのルールで話をして、これがだめならばこうするんだと、こういうふうなステップが欲しかったと私は思うんですが、外務大臣、いかがお考えですか。
  209. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 確かに、この身柄の引き渡しの問題というものは極めて重要な問題であると思います。  私自身、一九九五年当時に外務大臣を務めておりました経験にかんがみまして、ぜひ身柄を一日も早く引き渡してもらう必要がある、こう考えまして、事件が発覚いたしました直後からパウエル国務長官あるいはフォーリー当時の大使、在京米大使に私といたしまして身柄の引き渡し等について申し入れをいたしますと同時に、一日も早くこの問題が日米両国で合意の上解決をするように御努力願いたいということを申し入れたことがございます。結果、そうしたこともございまして、先方も非常に私どもの申し入れについて理解を示されました。さらに現地の捜査当局と米側との話し合いも進みまして、そして所要の捜査も迅速に進んだ結果、身柄の引き渡しは極めてスムーズにいったということがございます。  ただ、その点につきましては、月原議員がおっしゃいますように、この間はあれでよかったかもわからぬが、やはりルールをつくった以上はそのルールどおりやったらよかったではないかという御指摘も一つの確かに御指摘であろうかと思います。  私は、あのときの判断として、こうしたやり方がより早く問題を解決すると、こう判断をしたものでございますから、直接アメリカと話をして、身柄の早期の引き渡しを実現したわけでございますが、これからこうしたケースがございますときに、その都度今のようなやり方でできるとは思いません。  したがいまして、運用の改善、せっかく両国で合意しております運用の改善というルールに従って身柄の引き渡しを求めるということがベターだということはもうおっしゃるとおりだと思います。  ただ、今もこの合意を議員読み上げられましたが、この合意に書いてございますように、この運用の改善には、「殺人又は強姦」ということは明示的に書いてございますが、その殺人、強姦以外は「その他の特定の場合について」云々と、こういう文言になっておりまして、犯罪容疑についての具体的な明示がないものですから、恐らくこの特定の場合をめぐって議論が行われて時間が、一定の時間かかってしまう可能性があるというふうに私考えまして、先般事務当局には、この特定の場合というものをもうちょっとはっきりさせて、この特定の場合について両国の合意が速やかにできるようにするべきだ、これをアメリカ側に申し入れをしろと、こういう指示をいたしました。  今、事務当局で八日の日の日米合同委員会で申し入れをいたしまして、協議会をつくって、そこでこの特定の場合云々を含めて双方の認識の一致をさせるべく努力を今させているところでございます。
  210. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、外務大臣お答え、わかりました。ルールができたらちゃんとルールに従ってまずやっていくと、こういう姿勢、法治国家でありますから、その点は大事だと思います。  そこで、次にKSDと官房報償費の問題ですが、それぞれの外務あるいは厚生労働大臣お尋ねする予定だったんですが、ちょっと時間がなくなってきましたので、総理大臣お尋ねいたしますが、総理大臣はもう閣僚としてもあらゆる重要な閣僚のポストをやられておる、そして党においても重要なポストを全部歴任されておる。そういうところからいって、捜査当局に、今捜査が行われておるわけですが、そういうものを離れて、政治的にこういうふうに問題を解決せぬといかぬという私は判断があってしかるべきだし、そういう判断ができるだけのキャリアを持っておられると思うんですが、総理国民にこのテレビを通じて、こういうこの二つの問題についてはこういうふうに取り組んでいくんだということを示していただきたい、このように思います。
  211. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 党や内閣のいろんな立場になりましたからといって、捜査当局の考え方と、方針とは違うことを行うというわけにはなかなかいかないわけでありますが、でき得ることはしっかり早急にきちきちっと党として対応していくことが大事だと、このように考え党執行部にはそのことも指示をいたしております。  KSDをめぐりますこうした一連の事件は、国民の政治への信頼を損なうというものでございまして、私たちも大変深刻に受けとめております。また、本件につきましては既に二人もの逮捕者が出ております。そして、このことは、我が党の所属の議員であり、また極めて党にとっても重要なお立場になられた方でもございます。  あるいは、報償費、機密費にいたしましても、これもまた政府とはいうものの、当然我々にとっても大変ショッキングなことでもございましたし、また反省をしなければならぬ点もたくさん出てきているわけでございます。  いずれにしても、司法当局が今捜査をやっておりますことでありますし、いずれも逮捕を容疑者はされているわけでありますので、その徹底的な真相究明が行われる、そして国民の前にその真相が明らかにされていくということが大事だと考えております。  しかし、先ほど申し上げましたように、KSD問題は我が党の組織に関与することでございますので、これにつきましては真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓といたしまして、党内の仕組みについても見直すべきものは率先して見直していくように指示をいたしておるところでございます。入党手続等にとりましても、あるいは比例代表の登載基準のあり方につきましても、これらにつきましては思い切って撤廃をする、あるいはチェックシステムにつきましても具体的な今検討に入っているところでございまして、さらに政治倫理を厳然と確立すべく党内政治倫理審査会というものを早急に立ち上げるなどいたしまして、思い切った党改革をしてまいりたい、このように考えております。
  212. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、総理お答えになった方向を了解いたしましたが、私が思うのは、捜査は捜査として、それは細かい話になってくるわけです。大きな政治的に今国民が何を求めておるんだと、この問題についてどういう問題点を感じておるんだと、そして改革するにはこうしなければならないんだということを私はむしろ打って出て、先にそういうものを示していく、こういうことが私は大事だと思うので、あえてお尋ねしたわけであります。  そこで、最後に、総理は今度日米会談に臨まれるわけであります。これは初めての、向こうの政権にとっては初めてのことであります。総理一つの思いを持って行かれると思いますが、総理はどういうテーマを強調してくると、こういうふうに決意されておるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  213. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、ブッシュ大統領との電話会談を行いまして、既に日米同盟関係の強化に向けて協力していくということで意見の一致を見ておるわけでございます。  十九日に予定されております日米首脳会談を通じまして、同盟国として率直かつ忌憚のない対話を深めまして、国際社会が直面する問題への対応におけるおのおのの適切な役割のあり方を含む政策協調を緊密に行うことで日米間の同盟関係をより強固なものにしていきたいと、このように考えております。  日米首脳会談の議題につきましては、現在米側と調整中でございます。えひめ丸衝突事故につきましても、幅広い日米協力の議題のもとで取り上げられることになるであろうと考えております。  また、我が国といたしましては、米国との間で朝鮮半島情勢を含めましたアジア太平洋情勢に関する対話も強化をしたい、この地域の平和と繁栄を支える努力を米国とともに継続したい。さらに、この地域の平和と安定を確保すべく、日米安保体制の信頼性の向上に引き続き努めていくとともに、経済分野におきます日米間の協力についても、摩擦ではなくて協調の精神に基づく日米経済関係というものを探求していきたい、このように考えておるところでございます。
  214. 月原茂皓

    月原茂皓君 当面の課題について総理からまとめてお話がありまして、そういう問題、米国自身もそういう問題についての検討を望んでいることと、このように思います。日本国を代表して、向こうの政権の発足のときです、初めが大事だと思うので、ちゃんとしたことを、意見を言ってお互いに固めていただきたい、このように思います。  最後に申し上げたいんですが、与党三党が緊急経済政策総理に提出したわけであります。そこで、総理はこういう、この問題をどういうふうな組織を通じてこなしていくつもりなのか、このシステムについてどういうこなし方をするつもりか、そのことをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  215. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 現在の経済状況などにつきまして、刻々変化をいたしておるわけでありまして、与党三党側におかれましては、大変短期間の間に極めて重要な事柄の御審議をいただいた。そして、先週金曜日に私どもの方にお持ちをいただいたことを、私どもとしては、それを政府としてしっかり受けとめてまいりたいと考えております。  ただ、早急にでき得るものと、あるいは法改正が必要になるものでありますとかいろいろございますので、これについてまず一度、政府として内閣府で受けとめさせていただきまして、そしてこのことを仕分けをいたしまして、どういうプライオリティーをつけて進めていくかということを今事務方の方に十分協議をさせているところでございます。  皆さんの御努力日本の経済に対する大きなやはり支えになりますように、政府としてもこの問題を大事に受けとめさせて、実行でき得るべきところから実行してまいりたい、このように考えております。
  216. 月原茂皓

    月原茂皓君 以上をもって終わりますが、総理、経済財政諮問会議等も活用して、今のお話、進めていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  217. 須藤良太郎

    理事須藤良太郎君) 依田智治君の前半の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  218. 須藤良太郎

    理事須藤良太郎君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
  219. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  早速、質問に入らせていただきたいと思います。  昨年の六月二十六日に三宅島の火山情報が出まして、それ以来、伊豆諸島そして特に三宅島の問題につきまして大変な状況で、全島避難になってちょうど先週が半年になるわけでございますが、テレビでもあるいはニュース番組でも特集、また新聞でも大きく取り上げられていたところでございます。また、ちょうどそのときに総理みずからが三宅島を視察されまして、長谷川村長、また青山副知事とごらんになったということで、大きくまたマスコミにも取り上げられました。この間、三宅島の避難の方とお会いしたときに、半年になりますとだんだんマスコミの扱いが小さくなっていくということがございまして、それ自体が物すごく不安があるということを言っておりまして、時宜を得た視察、敬意を表するものでございます。  さて、いろんな話を三宅島の方々とお話をしておりますと、生活の問題、またなりわいの問題というものが出てまいります。国または東京都と諮りまして、中小企業の対応の融資制度等もつくっていただいたところでございますが、例えば限度額一千万円までというような額の中で無利子という形で実現できているわけでありますが、ただ、元本返済はいいんだけれども、利子についてもう支払うこと自体が大変なんだ、そういうようなお話もございまして、この点につきまして、避難、被災されている方の特別な中小企業向けの融資のあり方につきましてさらなる配慮ができないものなのか。有利子のものを無利子にできないかということまで含めて、経済産業大臣いかがでしょうか。
  220. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  三宅島の被災中小企業者に対する政府系金融機関の無利子となる融資の制度は、事業に係る資金を対象として、既往債務の返済資金は対象に含めずに御承知のように創設をされました。仮に既往の有利子の債務から当該融資への借りかえを認めますと、貸し出しの責任は貸し出し時点で当初の貸し手が負うという原則があいまいになる、こういう可能性もございまして、このため御指摘のような借りかえを認める措置はとっていないところでございます。  三宅島の被災中小企業の既往債務の返済負担の問題には、政府系金融機関や信用保証協会に対して返済の猶予などの条件変更に十分対応するように指示をすることにより対処してまいってきております。三月二日までには、政府系金融機関において八十三件、信用保証協会において二十四件の債務の返済条件の変更が行われているところでございます。これによりまして実質的な負担軽減を図っているわけであります。  三宅島の全島避難の長期化に伴い、今、委員御指摘のように、既往債務の返済負担の問題は一番重要になると私どもとしても考えておりまして、東京都ともよく協議の上、実質的な負担軽減ができますような、そのあり方について適切に対処してまいりたい、このように思っております。
  221. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ぜひお願いをしたいと思っております。払う意思はあるんだけれども、実際には営業何もできていませんから利子も払えないというのが実態でございまして、御配慮をよろしくお願いしたいと思っております。  さて、そのほか、避難をされている方々、もう半年になりますと、例えば雇用保険も期限切れの方が二月は十四名ですか、三月十六名とか、どんどんふえてまいりまして、生活再建支援金もいただいているところでございますが、義援金ももらっても、将来不安等含めて、もう一年以上多分戻れないだろうという前提のもとで、どうしたら生活の安定化を考えたらいいだろうか、そういうことにつきまして御相談も多いわけでありますが、この点につきまして総理はどのようにお考えでしょうか。
  222. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 三宅島の噴火災害につきましては、今お話がございましたように、活動を開始してから八カ月、全島避難以来半年が経過をいたしておりまして、長期にわたり不安を抱え不自由な生活を余儀なくされておる皆様方に対して心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  依然として活発な火山活動が継続しておりまして、火山ガスの放出は今後も続くと考えられる状況にありまして、私も三月三日に三宅島に渡りまして、主に都道周辺のいわゆる泥流の被害の実態等などを見てまいりました。想像以上にひどい被害でございましたし、噴火活動が続いておりますし、雨が降りますたびにこの被害が拡大するという、そういう深刻な状況にありますが、それでも一生懸命そういう道路等のインフラが使えるようにということでそうした泥流の除去をされておられますが、その後から後から雨が降るとまたこう広まってくるという、表現はよくありませんけれども追い駆けっこになっているんですね。  私が参りましたときには割と気象条件よろしかったんですけれども、気象条件が悪いときはガスが下へおりてしまいますとマスクをしないと全く作業ができないということで、その努力を島、皆さん努力を、国の関係皆さん努力しておられますが、せいぜい五時間働くことが精いっぱいだと、こういうふうに言っておられました。それも、島にステイできないわけですから、近くの神津島からやってくるということで、その往復も三時間もかかるということで本当に苦労されています。  そういう中で、これをこれからどういう形で除去していくかについては、大変なやっぱり私は努力をしなければならぬことだろうなということも非常に印象深く見てまいりました。  ただ、そういう泥の中に覆われながら、自然の植物はやっぱり強いものでありまして、花が咲いたり、特にタミノキという木がありまして、黄色いちょっと芽が、花がちょっと顔を出していまして、それを村長と一緒に見ておりますと、島の皆さんこの花を見たいだろうなと、そういうふうに思うと本当に涙が出てきました。  お宅に入ってまいりますと、洗濯物がもう廊下やあちらこちらに置いたままなんです。どうして片づけていかなかったんでしょうかねと、こう村長さんに伺ったら、二、三日で帰ってくるおつもりのようだったですよということで、今では半年間ずっと洗濯物がそのまま下がっているという状況を見ますと、本当に早く島民の皆さんが帰島ができるように、そして火山活動が一日も早くおさまってほしい、そういう思いで実は帰ってきたわけでございます。  ちょっと長々したことを申し上げて恐縮でございますが、そういう島の状況もぜひこの委員会を通じ委員皆様方にも御承知おきを願えればなと、こう思ったからでございます。  長期にわたります避難を余儀なくされている被災者の方々があすへの希望を持って毎日を生活できるような対策を講じることが今最も重要であるというふうに政府としても認識をいたしておりまして、被災者の方々の生活安定化のための支援として、現在も都営住宅等の無償提供、あるいは生活必需品などの給付、被災者生活再建支援金の支給などの対策を講じるとともに、主要対策として、雇用相談窓口における就職先の紹介や事業者に対する低利融資の実施、電話相談、訪問指導等による心のケアや保健所等におきます健康診断、健康相談の実施を行っているところでございます。  今後、事態の長期化を踏まえまして、被災者の方々や三宅村に対して国としてさらにどのような支援が可能かについて、東京都、三宅村と緊密な連携を図りながら検討いたしまして、政府一丸となってでき得る限りの対策を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  223. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 さらにきめの細かい、例えば就職等につきましても、いろいろ景気よくないわけでありますが、年齢によってあなたは就職できませんみたいなことがあって、島の方々も大変苦労しているというふうに聞いておりますので、ぜひきめ細かい政策、施策というものをお願いをしたいと思っております。  さて、そのときに長谷川村長の方から、例えば特別立法のようなものを考えてはいただけないかという御要望があったと思うんですね。三宅島は緑の島であり、また鳥の島、ただ、現在行ったらもう灰色の島になっているというのが実感だと思っております。例えば、小笠原の特別立法があったような、そういうようなことも考えられないかどうか。将来の話になりますが、この点はいかがでしょうか。
  224. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、特別立法も考えなけりゃいけないのかなということを青山副知事あるいは長谷川村長さんとお話をしていたわけですが、先ほどちょっと御説明申し上げました泥流対策、これを進めていくのは本当に何か技術的に難しい、しかも極めて予算上大きな経費が要るだろうと。島全体が泥土で完全にかさ上げされてしまっているということになっていますから、一斉にこれを除去するというのはかなりの経費がかかるのかなと。  そこで、村長さんから、やっぱり阪神・淡路のときにもそういう特別立法があったんですね、お考えいただけないでしょうかというお話がございまして、私も専門的にそこまで深く理解をいたしておりませんが、そういう状況を見て、あるいは泥流の対策等を考えますと、やはり何かを考えておく必要があるのではないかということで検討してみたいと、こう申し上げて、このことにつきまして伊吹防災担当大臣にもお伝えを申し上げております。  先ほども御答弁申し上げましたように、東京都、三宅村、密接な連携を図りながら、万全な対応がとり得るように政府としても努力をしてまいりたいと考えております。
  225. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私もずっとこの三宅島のことを考えてきたんですが、長期的な被災という問題と、あるいは地域限定型の特別な立法、あるいは長期型の場合また今まで法的な枠組みがないものですから、二方向で特別に考えていく必要があるなということでありますので、またさらに議論を深めさせていただきたいというふうに考えております。  次に、緊急経済対策でございますが、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、三党で議論をいたしまして、種々の思い切った施策をやろうということで、先般、総理のところにお持ちをして提出をしたところでございます。七方面にわたって、多岐にわたって、金融再生と産業再生の実現から消費マインドの高揚等まで含めて、株の、証券市場の活性化策、あるいは土地の流動化策、さらに都市再生の実現ということで、東京都等含めて都市再生本部をつくって、東京都等にエコタウン構想もしっかりやろうという、そんなことまで提案をさせていただいたところでございます。  この中で、土地等の流動化対策なんですが、国土交通大臣、容積率あるいは建ぺい率などの規制改革を初め云々ということがございますが、この用途規制等についてはどのように考えておられるのか。もちろん乱開発は避けねばなりませんが、流動化策としてやはりその点も考えていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  226. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 魚住先生おっしゃいましたように、与党三党において景気浮揚のために特別に皆さん方が知恵を出し合っていただきまして、私どもも、森総理がどういう今後御下命があるか、これも私たちは内閣一体となってそれをしていかなきゃいけないと思っておりますけれども、今、御質問がございました都心部における土地の容積率の緩和、これも私は、経済効果としては、また国民が希望が持てる都市づくりということの大きな要因の一つであろうと思っておりますけれども、町づくりを考えるために当たりましては、少なくとも地域の望ましい将来像を踏まえて容積率及び建ぺい率の用途の規制などを総合的に考える必要があることは御承知のとおりでございますけれども、従来よりも都心の居住の推進その他望ましい町づくりを目指すということに関しましては、私は、優良なプロジェクトあるいは民間の活力等々も含めまして、その内容に応じて容積率を緩和する制度の充実に努めてきたところでございますし、また今後特にそうしなければならないと思っております。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕  そういう意味でも、今後、地域にふさわしい用途の建築物を誘導するために、地域の実情に応じた都市計画の適時適切な見直しをしたいと思いますけれども、私は、魚住先生のせっかくでございますので、ちょっと皆さん方、きょうはごらんになっていてよくわからない部分もあろうと思いますので、ちょっと一、二例を挙げさせていただきたいと思いますけれども、どういうものがどうなるんだということでございます。  例えば、一番最近のものでいいますと、個人のビルの名前を挙げて失礼ですけれども、一番わかりやすいのは、例えば東京のこの間の銀座の資生堂ビルでございますね。あれも本来であれば容積率が八〇〇%でございますけれども、それを今回は一〇五八%にこれを緩和してできたものがあれでございます。  また二つ目には、日本橋に明治座というものがございますけれども、あの皆さんがいらっしゃいます明治座も本来の容積率は六七六%の容積率でございましたけれども、これを八六五%にしたということであれが建ったわけでございます。  また最後には、御存じのとおりこの近くでございますけれども、アークヒルズというものがございます。これも本来は容積率が六三〇%でございましたけれども、七三八%に緩和したということでございます。  私は、今後、皆さん方がぜひこの容積率緩和等々で、少なくとも第一種においては居住地区ということで高さも制限されております。例えば十メートルの電柱が、十メートルですけれども、あの高さまで、要するに三階までしかできないというのも、これは容積率緩和とか高さ制限緩和しますと、今までは一世帯で住んでいたものが緩和されて上に伸びれば二世帯同居もできるじゃないかというような私は大きな変換時期に来ていると思っておりますので、こういう意味では、与党三党でお出しになったものだけではなくて、国土交通省本来の独自の二十一世紀の政策として、私は、新しい都市づくり、あるいは国際都市にふさわしい都市づくりの基本というものを先ほど申しましたようにお示ししていきたいと思っておりますので、ぜひ全党挙げて皆さんの御協力を得て、東京都を初め日本の主要都市の考え方も、私は、狭いけれども有効活用するという基本的なことに立ち向かっていきたいと思っています。
  227. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。  財務大臣、緊急の経済対策を議論している中で、財政は今破局に近いというような言葉が出ました。本会議等でも質問になって、その真意はという形で御答弁されておりましたが、外国の新聞でもこれがトップ記事になっていて、フィナンシャル・タイムズやヘラルド・トリビューンですか、政局物よりもはるかに大きな扱いになっているということがございまして、きょうはテレビで中継になっているわけでございまして、これの真意というものをもう一度よく教えていただきたいと思います。
  228. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先般、本委員会におきまして、たしか松村委員の御質問であったと思いますが、三月八日でございます。我が国の財政について御質問がありまして、私のお答えの中で、我が国の財政は、今おっしゃいますように異常なやや破局に近い状況でございますという意味のことを申し上げました。根本的な財政再建をしなければなりません。このことは、私は仮に、平常、記者会見等々で使っておりました表現をいたしましたつもりでしたが、たまたまワイヤサービスの人たちがこれを拾いまして、決して悪意でもなくて、言葉をそのまま翻訳したようでございまして、それで今のような反響がございましたので、私はそれは私の本意ではないのでということを訂正いたしたような経緯がございます。  我が国の財政の状況はもう皆様御存じでございますので、私が多少言葉を、外に出るかもしれないということを考えますと、うかつに使った嫌いがございまして、私のミスであったと思っていますが、私の実は申したいことは、大きな債務が累積しているということはもとよりでございますが、昨年の秋ごろには、設備投資が回復するとともに民間の消費が回復してくるだろうということを実は考えておりました。それが、長くなりますので省略いたしますが、理由はいろいろございますけれども、回復をいたしていない。  きょう、ちょうど十—十二月のQEが出たところでございますけれども、これは幸いにして答えとしてはプラス〇・八というプラスになりましたが、ほとんどの項目が全部かなりプラスで、殊に企業設備は六・八%というようなかなり強いプラスでございますが、民間消費だけがマイナス〇・六、これだけが際立って落ちておりまして、全体をプラスではあるが〇・八というようなことに、年率で三%ぐらいでございます。  この部分が回復してきませんと、いつも財政がそのカバーをしなければならないという感じになってまいります。十三年度予算は、私は実はもうそろそろ民需が、家計消費が正常になるだろうということ、しかし、多少心配があって公共事業予備費を計上したりいたしておるのでございますが、これが戻ってまいりませんと財政の負担がなかなか切れないという状況でございます。  不況は確かにもう脱出基調にあると思いますが、このGDPの六割を占める部分が戻ってきませんと、なかなか財政の負担というものが減っていかない。そのことがございまして、そういう意味で、先般松村議員お答えをいたしたところでございます。  方法としては、もうこうやって御審議いただいている予算案、あるいはこの十—十二にも出ておりますが、補正予算等々を地道に執行してまいりまして、そして今ぼつぼつ春闘の時期でもございますが、これについて政府が何か申すべきものではございませんが、そういうものを経ながら、だんだんこの大きなリストラがやはり定着していって、そしてこれだけ企業がもうけておるわけでございますから、それが賃金に行かないのは、一つは麻生さんの言われましたように古い債務を返しておるという点がございますけれども、それでもしかしやがて家計に移るべきものだというふうに思っておりますが、それを心配いたしまして申したわけでございます。
  229. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 問題を変えまして、次にKSDに関連してちょっとお聞きをしたいわけでありますが、いろいろ議論されてきました。このKSDの問題、いろんな本質というか、言われてきておりますが、一つには比例の選挙制度の順位を要するに党員を集めることによって金で買ったのではないかというような言われ方がしてきたものであります。  参議院の選挙制度、昨年比例区の方は変えたところであります。今までのいわゆる拘束名簿式から非拘束名簿式というふうに変えたわけでありまして、私も提案者の一人として議論に参加させていただきまして、やはりそのようなことがないように断ち切って、直に有権者の皆様と接して選挙をしていただく、それが一番民主主義にかなった制度のあり方ではないか、そんなふうに答弁をし、また議論をしてきたわけでございますが、一部マスコミ等では、KSDの問題というのは政治家と癒着の問題だと、この非拘束名簿式というのはさらにこの癒着を強めるのではないか、そういうような議論もあるようでございますが、筆頭の提案者といたしまして、総務大臣、この点いかがでしょうか。
  230. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 昨年の臨時国会で参議院の選挙制度、特に全国比例は拘束式から非拘束式に直したわけでありますが、魚住委員と一緒に提案者として大変悪戦苦闘もありましたし、とにかく皆さんの御協力を得て法案の改正をすることができたことを大変うれしく思っております。  今、御承知のように、拘束から非拘束に直すポイントは、やっぱり拘束式の問題点の一つは順位づけを党がやるということですね、名簿提出者が。やっぱりそこでいろんな議論が実はあるわけでありまして、そこを透明にする、順位は国民、有権者に選んでもらうというところが私はポイントだったと思いますね。それはいろんな見方がありましょうけれども、私は正しかったと。やっぱり顔の見える、参議院の場合には衆議院よりも党より人というところがありますから、そういうことではよかったなと、こういうふうに思います。  基本的に、全国比例はというと職域代表を選ぶということですね。我々都道府県選挙区から出ている者は地域代表、全国比例は職域代表。したがいまして、特定の職域、職能の分野から私は応援をいただくことはやむを得ないと思います。やむを得ないと思う。ただ、その応援の仕方がやっぱり法律の範囲内でしっかりした節度を持ってやるべきだと、こういうふうに思っておりますから、そこのところは守っていかにゃいかぬと。  そこで、よりその結びつきが強くなるのではなかろうかと。私は、今の時代にそんな妙な応援をしたらかえってその候補のマイナスになりますから、特定の名前を書くことによってむしろしっかりした対応を各職域、職能団体がやってくれるのではなかろうかと考えております。
  231. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。  関連をお願いします。
  232. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 関連質疑を許します。高野博師君。
  233. 高野博師

    高野博師君 私は、危機管理問題について最初に総理お尋ねをいたします。  先ほど大臣が、危機管理に強い内閣をつくるということでこの危機管理の担当の責任者が五番まで決まっているということでありますが、それは必要ではあると思いますが、十分ではないのではないかと思います。  これまでも、今回の原潜の衝突事故以前にもたくさんの事故がありました。事件がありました。阪神大震災、あるいは日本海の重油流出事件、あるいは地下鉄サリン事件、そしてペルーの大使館の人質事件、さまざまな事件がありましたけれども政府はこれらの事件から何を教訓として学んだんでしょうか。
  234. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 総理のお立場から後ほどお話があると思いますが、まず、先生御指摘のようにいろいろな教訓がございました。特に阪神・淡路大震災を例にとって申し上げるのがいいと思いますが、あのときは情報が各省に縦割りに入ってきておりまして、国として一体的に動かすべき内閣には情報が集中しておりません。これがまず第一の反省でございました。それから、率直に申しまして、その情報を受けて対応すべき受け皿であるスタッフというものが置いてなかったということでございます。  その後、いろいろな反省がございまして、内閣に情報集約センターというものをつくりました。これは内閣官房の情報官のもとにある組織でございますが、ここに二十四時間、四人体制であらゆる情報が入ってまいります。その中から、緊急事態情報というものがございますが、これについて安全保障・危機管理室のスタッフが、これは通常の情報、それから重大な事故、事件の情報、そしてもう一つは国家の秩序が揺らぐとかあるいは主権が侵されるとか内閣法十五条に言っております大規模に日本国民の生命、財産が侵される場合の危機、国家的危機であるという情報の実は今仕分けをして、そしてそれをおのおの総理、官房長官、危機管理大臣その他に発信するという体制がとれるようになってきております。  今回のえひめ丸の大変残念な事故についても後ほどお尋ねがあれば時系列的にお答えいたしたいと思いますが、そのような体制が実はできているということでございます。
  235. 高野博師

    高野博師君 それでは、その制度がうまく機能していたのかどうかということでありますが、衝突事故が起きたときに、その第一報を聞いて総理がゴルフを続けてしまった、それは適切ではなかったということであります。しかし、森総理でない人が同じ立場にあったときに、適切な行動ができたという保証がそもそもあるのかということであります。つまり、総理に事の重大さを認識せしめるためのシステムが働いていたのかどうかということであります。  そこで、伊吹大臣総理にどういう報告をしたんでしょうか。
  236. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 先生御指摘のように、情報が集中的に入ってこないのを情報集約センターに集約するということをとった反面、その中のどれが一番重大な情報であるのか、どれが危機管理でありどれが重大事故の情報であるかという仕分け、振り分けですね、これの機能が率直に言うと必ずしも十分機能していなかったかなという反省を私はいたしております。おりますが、しかし今回のえひめ丸の事件についていえば、情報が入った時点で危機管理担当の審議官が各大臣の秘書官を通じて、十時十五分に情報が、まず第一報、情報集約センターに入ってまいりまして、それからその情報集約センターから安全保障・危機管理室の審議官に連絡が行って、十時三十分から情報の伝達を始めております。そして、私のところにも四十分過ぎに参りました。  私は、これは内閣法十五条による国家危機か、それとも外交・安全保障上の重大な事件なのか事故なのかということは実は迷いましたが、人間の生命が、行方不明者がいるという状況でございましたので、防衛機密という形で米軍に抱え込まれるなよと、そのためにまず防衛庁を通じて太平洋軍司令部にお願いをしろと、それから同時に、外務省のルートを通じて連絡しろと。  そして、私がそれを申しましたら、もう折り返し総理から人命救助第一で措置をするようにという御指示が来ておりましたので、私の指示とあわせて伝達をしたということを私は確認しておりますので、今回の事件に限っては、少なくとも情報の伝達と事件に対する処理ですね、これについては、私は、阪神・淡路大震災等の過去の教訓は十分生かされた対応ができておったと思っております。
  237. 高野博師

    高野博師君 その伝達の僕は中身が問題ではないかと思うんです。  例えば、総理に、原潜とえひめ丸の衝突の事故というのは米国海軍の原潜によって間違って撃沈されたと同じぐらい重大なこれは事件ですよと、そういう評価が入って伝達が行っていれば、総理はゴルフを続けなかったんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  238. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私に入りました第一報は、今、議員お話ありましたように、そこまで具体的なものではございませんでした。ホノルル沖二十キロの地点で日本の実習船がアメリカの、米潜水艦に触れたようだということで、今、緊急にその情報収集に当たっておりますということでございました。ですから私は、今、伊吹担当大臣お話しのように、これは日本の国内ではない、米国の領海で行われていることであるし、また、相手もアメリカのいわゆる潜水艦であるということから、まずはアメリカ側の情報の収集をできる限りやるように、同時に救命を、捜索、救命ですね、それをまず第一に考えること、そのことを外務省を通じて米国側に十分連絡をすること、そして外務省あるいは文部省、防衛庁、それぞれ連絡をしっかりとれるような体制をとるようにしてほしいということを指示いたしました。  したがいまして、もう少し詳細について、まだすべて把握をしておりませんからもう少しそちらでお待ちくださいということで、私は動かないでいいと判断をしたわけでございまして、そういう意味では、的確な対応をしたかということについて、私は的確な対応を政府全体としてもいたし、私自身もそういう指示をしたと思っております。  ただ、私がいたその場所について大変御批判があるわけでございますから、その場所にいたことについてはこれは私個人の問題でございますから、そうした御批判は十分に私は甘受していかなければならぬだろうと、またそのことについてはおわびを申し上げるということを衆議院あるいは参議院委員会を通じて申し上げてきたわけです。  ただ、たびたび申し上げますが、対応については的確に指示でき得たと、そういうふうに思っております。
  239. 高野博師

    高野博師君 危機に際しての第一報をどういうふうに分析して、そして評価をして、そして判断するのか、そのまさに中身のシステムの問題だと私は思います。そういう意味では、トップの総理に正確な情報あるいは評価が入らないと、これは的確な判断ができないと思います。その点については私は若干不備があったんではないかなと、そういうふうに見ております。  トップのリーダーの対応としまして、危機に際して、その最初に発する言葉あるいは行動というのは極めて重要だと思います。総理の最初の言葉が国民を安心させ、あるいは冷静に行動させるものなのか、それともその言葉が国民をパニックに駆り立てる、あるいは不安と怒りを呼ぶものなのか、そう分かれると思います。これはまさにトップのリーダーの資質の問題ではないかと思いますが、国民のために本当に命をかけるという、そういう決意がなければ、私は本当の危機管理というのは難しいんではないか。その点についてどうお考えでしょうか。
  240. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) その判断は極めて大事だと思っております。したがって、軽々な判断を指示するということはやはり避けなければならない。  おっしゃるとおり、私が就任いたしましてからも、六月二十六日の三宅島噴火、七月一日、神津島近海地震、九日にも神津島近海、七月十五日も神津島近海、七月三十日、三宅島近海、いずれも地震、八月十八日、式根島近海地震、あるいは九月十二日、秋雨前線豪雨災害、十月六日、平成十二年鳥取県西部地震、十一月四日、ギリシャにおきますバスジャック事件、二月十日、オアフ島沖の今御議論をいただいている点、さらに二月十七日、米国のイラク空爆等々、もう本当に絶え間なくこうした事故が起きておりまして、その都度、その内容、その場所によって判断をするということは、指示するということは、同じ考え方でやっぱりやるべきではないだろうと、こう思っております。  そういう意味では、危機担当大臣、伊吹担当大臣と十分相談をしながら進めるということも極めて大事だというふうに思っております。
  241. 高野博師

    高野博師君 危機管理の責任者は五番まで決まっているということでありますが、例えば万一総理官邸がテロリストに占拠されたと、こういう事態は想定できないことはない。そういう場合には、例えば防衛庁長官もその中にいた、あるいは伊吹大臣もいた、だれがこれを指揮するんでしょうか。
  242. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 先生が御指摘のような事態は生じては困るわけですけれども、しかし、そういう事態が皆無とは言えないわけですが、少なくとも、政治家が最終的に責任をとらなければならないという意味では、閣僚が全員とらわれたというのか拉致された場合には、これはもう副大臣初め皆さんがとりあえずの対応はなさらねばならないわけですが、テロリストということからいきますと、テロリストの取り締まりは一時的には警察がやりますし、また安全保障の問題については安全保障担当の部屋がございます。それから、危機管理監というものを、先ほど御指摘があったような阪神・淡路大震災のときの教訓から官邸の受け皿としてつくっておりますので、いろいろ先生が御心配いただくような事態考えますとまことになるほどなと思うこともございますけれども、少なくとも政治責任の所在がどこかと言われると確かに御指摘のようなことはございますが、事務的にテロリストを制圧するとかどうだとかということは、完璧なマニュアルというか、順序はできあがっているということです。
  243. 高野博師

    高野博師君 内閣が機能しない場合には、国によっては憲法によって上院議長とかあるいは下院議長が指揮をとると、国の全体の判断をすると、そういう規定もある国もあるわけですが、今、冷戦後は、国際的なテロリストとか、こういう事件が活発になっている。あるいはロシアの宇宙ステーション・ミールが億万分の一の可能性として落ちる、これはロシアは二億円の保険を掛けているとかいうことがありますから、こういうことも含めて危機管理は相当万全の体制をとってもらいたいと、そう思っております。  それでは、外務省の機密費流用の問題について若干質問をいたします。  機密費、報償費ですが、私も若干使ったことのある者として、今回の流用事件は大変残念であると、そう思っております。外交は国益にとって極めて重要でありまして、外交で失敗をして転んだという国は歴史上数多くある。国民の信頼を失った外務省が、もう解省的な改革を私はやる必要があるのではないかと思っております。逮捕された元室長を含め、関係者の厳正な処罰と、そして責任者の明確化が必要ではないか。徹底的にうみを出して、そういう腐敗の温床があるとすれば、土壌があるとすれば、刷新する必要があろうと思います。外務省の名誉と尊厳にかけてこれは行ってもらいたいと、そう思っております。  この事件の背景に、職員のモラルの低下あるいは士気の低下があると言わざるを得ません。そこで、小さな悪をも意図的に見逃すとか大目に見るとか、あるいはふたをするという、そういう体質がこの事件の下地にあるとするならばこれは重大なことでありまして、根本的な意識の改革あるいは制度の改革が必要ではないか。  国際社会の中ではあらゆる分野で情報戦、これが重要でありますから、そういう情報を持たない国は力を発揮できない、国益を守ることができない。そして、その重要な情報をとることによって、例えば在外にいる場合には邦人の保護がある。そしてその隣国のまた政治、経済、社会、さまざまな情報をとる必要がある。しかし、なかなかただで情報をくれる人も多いとは言えない。そういう意味で、機密費を使うということについてはこれはもう一般的な常識になっていると思います。  そこで、私もかつていましたので、例えば報償費を使って親しくなった政治家が、今、あるいは私の知っている人間は大統領にもなっております。そこの国のトップのリーダーにもなっている。そういう意味での機密費の使い方というのはこれは国益にかなっていると私は思っておりますが、大使館の中には自腹を切って人脈をつくっているという人もたくさんいます。こういう一部の悪い人間によって外務省全体が不信の目を持って見られるということについては私はもう大変残念でありますが、この事件を外務省は矮小化してはならないと思います。正面からこの問題に取り組む必要があろうと思いますが、そこでこの機密費の運用の問題についてどういう改善策をしているのか、具体的にお答えをいただいて、質問を終わります。
  244. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 重ねて申し上げますが、この報償費、その性格上、その目的にかなった使用方法というものがきちっとなされるということが何より前提でありまして、そういう意味では決裁の方法について従来もきちんとその決裁にかかわる人間というものは決められていたわけでございますけれども、今後はさらにその決裁方法について十分強化していかなければならないと思っております。  例えて申し上げますと、報償費を使いますに当たりましては、年度初めに外務大臣が、ことしの報償費というものは一体国際情勢にかんがみてどういうことを重点的にマークしていくかということなども、きちんとその方針を明示するということが何より大事だと思います。  次に、従来決裁にかかわってきた人間にプラスして総合外交政策局、いわゆる総政局の総政局長がこの決裁には必ずかかわるということにしたいというふうに私は実は考えております。総政局長がこの決裁にかかわるということは、すなわち報償費が日本の外交政策を進める上で何が一番効果的であるか、優先順位は一体何かということを担保する意味で重要だというふうに考えているからでございます。  さらに、精算に当たってもきちっとした精算が当然なされなければなりません。報償費の使い方一つをとってみましても、私としては、今回のこの事件と申しますかこうした事態を踏まえて、改善をしっかりとやっていかなければならぬ。もちろん、一方で有識者の方々に集まっていただいての作業も並行して進んでおりますから、この有識者の方々の御議論も四月中には提言をまとめていただくようお願いをいたしております。  そうしたことを両々相にらみまして、改善策をしっかりとつくっていきたいと思っております。
  245. 高野博師

    高野博師君 それでは、最後に査察の制度ですが、これは内部でやっぱり査察をやっているだけでは十分ではないだろう、ぜひこの在外公館の査察については外部の有識者を入れた査察チームをつくるべきじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  246. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) ちょっと申し落としまして申しわけありませんでした。  私どもも、外務省の中だけでこの問題の解決策を考えるということではならぬというふうに思いまして、在外公館の査察についても外部の方々の参加を考えたいと思っております。と同時に、内部の調査、荒木委員会の調査にも外部の方のアドバイスをいただきたいと、こう考えて、今、荒木副大臣のもとで作業をしているところでございます。
  247. 高野博師

    高野博師君 終わります。
  248. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。
  249. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で魚住裕一郎君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  250. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。
  251. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党山下芳生です。  私は、一国の総理の出処進退という問題は国民にとって大変重い問題だというふうに思います。総理は、一昨日の自民党五役への表明総裁選前倒しも検討をと言っただけだ、こう説明をされています。しかも、きょうの答弁では総裁選に出てくれという声があればまた出るという趣旨のことも述べられました。では、何でわざわざ党の五役にああいう意見表明を行ったのか。何も変わらないじゃありませんか。
  252. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 午前中の当委員会でもたびたび申し上げて繰り返すようなことになって大変恐縮でございますが、私は今、この国会におきます十三年度予算、そしてまた関連法案、それから、これから改革すべき諸法案、これらの問題を国会にお願いする政府責任者として全力を挙げてこれらの推進に努力を払っていきたい、こういう気持ちをまず申し上げております。  私は、党の五役に申し上げたということは、これは党の内部の話でございまして、私の任期といいますか、任期ということよりも、自由民主党総裁の次の公選を行う月が九月ということになっております。したがいまして、党内には、今新たに総裁を選んで、総裁選を少しでも繰り上げて、そして参議院選挙に対応すべきではないかという声もございます。地方の県連からもそういう声も来ておりますし、党の中の衆参議員の中からもそういう御意見もある。そういうことを踏まえまして、私は、明日行われます我が党の大会で、私自身の個人の判断として、総裁選挙を繰り上げて実施されてもいいですよ、そのかわり、そして当然、党のすべての改革も進めなければならない、そういうことをしっかりと私は党大会で申し上げたい、そのことについて事前に党の五役にもそのことを申し上げておく必要があるということで、土曜日の夜、党の五役の皆さんに公邸においでをいただいて、私のそういう気持ちお伝えしたわけです。  私が出馬するしないという問題は何も私から切り出したことではなくて、議員から、質問者からどうされるのかと問いがあったから、私は、今の時点ではそのようなことを申し上げる段階ではございませんと、こう申し上げたので、今の山下議員のように、だれかがやれと言えばやるよという随分……
  253. 山下芳生

    山下芳生君 そう言っていますよ。
  254. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) いや、だから、新聞はそういうふうにとるでしょうけれども……
  255. 山下芳生

    山下芳生君 いやいや、そう言っていました。
  256. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私はそういうふうに申し上げているので、私の方から言ったわけではないでしょう。委員の質問があったから、どうするのかとお尋ねがあったから、私は、今の段階でそういうことを申し上げるそういう段階ではない、ただし、その時点になって内外からそういう声があったり、やれという声があれば考えなければならないかもしれないと、こう申し上げたわけですよ。
  257. 山下芳生

    山下芳生君 結局、お薦めの声があれば考えるということを午前中おっしゃっていたんですよね。だったら、何も変わらないということなんですよ。何で総裁選前倒しをわざわざ党の五役に総理表明しなければならないのかよくわからない、何遍説明を聞いてもですね。  しかし、これは国民は、マスコミも全部事実上の辞意表明だと、こう受けとめ、こう書きました。マスコミだけではありませんよ。与党の公明党の神崎代表は、あなたからの電話で報告を受けて、その後記者会見をして、事実上の辞意表明だと受けとめると、こういう会見をされました。これは、あなたからの電話を聞いた神崎代表が辞意表明だという会見をした。神崎さんがあなたの電話に対して早とちりをしたとでも言うんですか。
  258. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 党の執行部とそういう御相談を申し上げて、これは私は自由民主党総裁、党首という立場でありますから、連立与党を組んでおります公明党さんと保守党さんには党の総裁からお伝えをいただいた方がいいでしょう、幹事長には我が党の古賀幹事長から御連絡を申し上げましょうということで、その場から神崎代表に御連絡を申し上げ、なおかつ扇党首にも御連絡を申し上げたわけでございます。  何も変わらないじゃないかというのは、あなたは変えようと思われるからそういう期待感で言われるけれども、私は何も変えようとは言っていないわけでありまして、ただし、党の中からそういう声があるから九月にこだわらないで前倒しをしてやっていただいても私はいいですよ、私はそういうつもりでおりますよと、こう申し上げておったんで、これはあくまでも党の内部の話でございまして、あなたから言われる筋はないと私は思いますよ。
  259. 山下芳生

    山下芳生君 公明党、与党の代表が、辞意表明だと、こうおっしゃっていることについて、あなたからの電話を聞いてそう言ったと言っているんですからね。  一体どんな電話をしたんですか、では。
  260. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 一々その神崎代表との電話の中身を申し上げる必要はないと思いますが、しかし、先ほどからずっと答弁しておりますことは一貫しておりますから、そうしたことを私は申し上げたと思います。  神崎さんがどのように理解をされたかは神崎さんにお尋ねになってください。
  261. 山下芳生

    山下芳生君 これは大変重要な発言なんです。連立与党の代表が、事実上、総理辞意表明をしたと。きのうの公明新聞にもちゃんと書いてありますよ、一面大見出しで。これは、じゃ総理辞意表明はしていないとおっしゃるんだったら、あなた、神崎さんに連絡をして、私の連絡は辞意表明じゃありませんよ、間違っていますよと言って訂正をあなたは求めましたか。
  262. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 各党の党首あるいはそれぞれお立場にある方が、どのような御判断をなされて、どのような御発言があるかについて、私から一々注文をつけたり注意をしたりする、私はそういう必要はないと思っていますが、(発言する者あり)我が党の中のそれぞれしかるべき人たちは、それなりに連立を組んだ政党に対して、理解を求めるような御説明がなされているものだと思っております。
  263. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 委員長から一言お話を申し上げます。  本委員会の審議の中で私が一番関心を持っておりますのは、質疑者の質問の核心は何か、答弁者がこれに的確に答えているか否かであります。この判断が困難になるおそれのあるような不規則発言はお慎みいただきたいと存じます。
  264. 山下芳生

    山下芳生君 私は、これは本当に重大な問題だと思うんですね。国会では、国会の私たち野党の質問に対して辞意表明などはしていないと、こう言いながら、一方で、連立与党の代表が事実上の辞意だと受けとめる、新聞にもそう書いてある、それを訂正もしない、これは一体どういうことかということなんですよ。これは、与党政府が完全に二枚舌を使い分けていると言われても仕方がないじゃありませんか。事は一国の総理の出処進退にかかわる問題ですよ。与党向けには事実上の退陣表明だ、外向けにはこれは続投ポーズだ。こんなことが許されるはずがない。私は、国権の最高機関である国会を愚弄するものだと思いますよ。仮に、仮に公明党の神崎代表がおっしゃっていることが事実だとしたら、これは私たちはこの国会でだれに審議をすればいいのかということになりますよ。自民党にはもみ殻党員というのがあるというふうに村上さんおっしゃったけれども、もみ殻総理に質問なんかできないということにもなるんですよ。そのぐらいの重要なこれは問題なんだということを指摘したいと思いますよ。二枚舌……(発言する者あり)
  265. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 質疑者質疑中であります。お静かに願います。
  266. 山下芳生

    山下芳生君 これは大変な批判が起こっているということを私は指摘したいと思います。  今、この与党政府による使い分けに対して国民から大きな批判の声が出ております。  私どもの党本部にこういう御意見がありました。  十日夜から十一日朝のテレビ、ラジオ、新聞報道では、森首相はやめることになったそうです。森首相本人は悪かったともやめるとも一言も言っていないのに、多くの国民同様、与党皆さんやめてもらいたかったんですね、森さんに。それなら三月五日に出された森内閣不信任案に賛成するのが一番早かったと思うのですが、やめてもらいたい、だがやめてくださいという決議案には反対する、よくわかりませんよと。こういう声であります。  今、国民皆さんはこういう気持ちになっているということを指摘したいと思います。  それから、私は事実として、一国の総理の発言が与党でも辞意表明と受けとめられた。このことの重みというのは大変であります。仮に、総理が全くその意思がないのにそう受け取られたというんだったら、これまであなたは数々の失言をされてきましたけれども、その中でも最大級の失言だったということになりますよ。  あなたはこれから日米、そして日ロ首脳会談などを、外交日程もこなそうとされておりますけれども、外国で今度の件がどのように報じられているか、御存じですか。
  267. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまの山下君の発言の中に不適切と認められる部分があるとの指摘がございました。  委員長といたしましては、後刻速記録を調査の上、適当な措置をとることといたします。
  268. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) たびたび同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、私の出処進退等について党の五役に申し上げたこともございませんし、党の五役から、おやめなさいとかやめていただきたいというような、そんな発言も全くございません。  私は、今の我が党に寄せられている厳しい状況について、党改革をやって進めていかないと、これは国民理解も得られないし、党員の皆さんの御心配についての対応にもならない、そういう意味で、みんなで深刻にこの状況を踏まえて党の改革を進めてほしいと。  幸い、党政治制度改革本部におきましていろいろと今具体的な案を詰めておられるわけでありますから、そうしたことをできるだけ早急に詰めていただきたいし、同時にまた、総裁選挙についての意見もいろいろあるようでありますから、私は総裁として、その任期を仮に前倒しにしておやりになるということについても、党員の総意であれば結構でございますから、党の執行部皆さんでもお考えくださいと、こう申し上げたわけでありまして、辞意表明だとか辞意表明をしたとかということは、これはマスコミ皆さんがそういうふうにお書きになったのであって、私はどなたにも辞意表明と言っておりませんし、我が党のこれを受けた党執行部の五名の方もだれ一人としてその後のいわゆる記者団等の御質問に対しても、そうしたことは全く考えていないし、そういう発言はなかったということをおっしゃっておられるわけであります。  神崎さんがそうおっしゃったかどうかは、これは神崎さんにお尋ねになっていただきたいのであって、どういうふうに解釈されるかは、これはマスコミ皆さんと同じような考え方で解釈されたのかもしれませんが、私からそのようなことを全く申し上げていないということを、これは何度お尋ねになっても私はそのことを正直に申し上げているしか方法がないわけで、言わないことを言えといったってこれは無理な話だと私は思いますね。  それから、もみ殻もみ殻とおっしゃいますけれども、もみ殻も大事な農業のお百姓さんの成果でありますから、余りもみ殻ということを悪くおっしゃらない方が私はいいと思う。私も農業を子供のころからやっておりましたから、もみ殻は大変後から大事なものに、いろんな役割があるんですよ。そんなことはあなたは御存じないでしょう。お百姓さんが努力をされて、もみ殻ができるまでの努力というのは大変なものです。私も農作業をやっていますからよく知っておりますからね。  余計なことかもしれませんが、余りもみ殻総理なんておっしゃいますから、私が御批判をいただくことは甘受いたしますが、日本じゅうの農業をやっておられるお百姓さんには大変失礼な言葉だということだけはこの際申し上げておきたいと思います。
  269. 山下芳生

    山下芳生君 もみ殻という表現は私が言ったんじゃないんです。この間逮捕された村上正邦前参議院議員がおっしゃったんですよ。そのことを指摘しておきます。  私の聞いたことについて総理お答えになっていない。事実上辞意表明をされたという受けとめは世界じゅう駆け回っているんですよ。それは御存じですか。
  270. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 日本報道関係にそういう報道をされれば、それは世界に、またこの日本にも東京にも世界じゅうの報道関係がおりますから、そういう報道をなさるのかもしれません。そのことを知っているかといえば、知っていますよ。  しかし、私はそう申し上げていないわけでありますし、私は、これから大事な外交課題をしっかりやっていくことが国益にかなうことだと思うからしっかりとやり遂げてまいりたい、こう思っております。
  271. 山下芳生

    山下芳生君 それは、そういう受けとめは本当に事の重大性をわかっていないと思いますよ。  私、世界じゅうでどんな報道がこの問題でされているか、いろいろ資料を集めました。例えばイギリスのフィナンシャル・タイムズ、こう言っております。一面の見出しは、日本の首相退陣決意で後継者選び。日本の不人気な首相森喜朗氏はこの間の退陣圧力に屈し辞任の意思を表明、不人気とスキャンダルによって特徴づけられた十一カ月続いた同政権は終えんを迎えることになる。それから四面は、これは森総理の大きな顔写真が載っております。失敗続き傾向の元ラグビー選手はいかに日本を失望させたか。そういうおやめになるということの記事なんですよ。  それからフランスのAFP通信。土曜日に近く退陣することを表明した森喜朗首相は、失言癖と経済を立て直す上での無能力、一連の大スキャンダルによって日本の最も不人気な首相の一人となった、これも近く退陣することを表明報道されております。それからAP通信。森喜朗首相が与党指導者に対し、辞任すると約束し、戦後最も不人気な政権の一つに幕を引くことを示唆したのを受け、日本の有権者は日曜日、安堵の気持ち表明した、こういうことが報道されているんですよ。  世界にあなたの辞意表明が流れて、しかも国民からその辞意表明は歓迎されていると、そういうニュースがずっと世界で報じられている、そんな首相が国を代表して外交を行うなどということは、これは私は国益を損なうものだと思いますよ。どうですか、そのことについて。
  272. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 外国の報道がどのようにとらえるかは、日本のいろんな仕組みをよく存じ上げていない方もあるんだろうと思いますが、日本報道関係がそういうふうに報道するんですから外国の皆さんもそれを参考になさったんだろうと思います。  党五役に申し上げた私の考え方については、今、外交ルートを通じましてそれぞれの国々に連絡をいたしておるというふうなことも外務省から報告を受けております。  いずれにいたしましても、先ほども申し上げたように、この国会審議もそうでありますし、それから外交の課題もそうでありますし、一生懸命これをやり遂げることが私に与えられた責任だと、こう考えております。  いろいろと、日本じゅうの皆さんがお喜びになったということだそうですが、さっきも申し上げたんですが、私の家には、残念だ、しっかり頑張れという電話とファクスの方が大変多いということも申し上げておきたいと思います。
  273. 山下芳生

    山下芳生君 あなたがこの場でどう言い繕っても、世界は辞意表明と受け取っているんですよ。この事実が重要なんです。そんな首相と儀礼的に会うことは会ったとしても、やっぱり真剣に今後の世界や日本のことを議論するわけないと私は思います。  最後にもう一つだけ、ドイツの南ドイツ新聞を紹介します。社説です。タイトルは、分割払いの辞職。森氏自身は、三月十九日にブッシュ米大統領と、三月二十五日にはプーチン・ロシア大統領と会うことを希望している。これらの会談は、自尊心を傷つけられたこの政治家にとって花道となり得るかもしれない。しかし、この重要な会談は後継者にゆだねる方がずっと意味があるだろう、こう書かれておりますよ。ほとんど意味のない会談と見られているわけですね。  森総理のみならず、私はこういう体制をずっと国民を欺きながらとり続ける連立与党責任も重いと思うんですよ。国益よりも党利党略を優先する、そんな批判も免れないということを私は指摘しておきたいと思います。  あなたがいろいろ言いわけをし、言い繕って居座っても、国民の声は極めて冷厳であります。どの世論調査を見ても、国民の九割は森内閣を不信任しております。支持しておりません。  この一年を振り返ってみても、あなたのやってきた特徴というのは、どんな失言、どんな失政をやっても真剣な反省を全くやらないということであります。  例えば、原子力潜水艦の事件。ゴルフを続けたことへのあれだけの批判が沸き起こったのに、ついに反省の弁はありませんでした。あったのは、ゴルフ場にいた、場所が悪かったということだけで結局は終始している。KSD事件。私たちがもう一カ月も何カ月も前から国会で指摘をしているのに、いまだに幽霊党員の実態も調べようとしていない。それから、機密費の問題です。私たちも動かぬ証拠を衆議院参議院で提出しましたけれども、これもただただ隠して逃げ回っているだけですよ。こういういろんな失政に対して、まるで真剣な反省がない。国民が見放すのは当たり前だと思います。  それだけじゃありません。あなたの失政は、今、国民が大変な苦難に陥っている経済、景気問題でも大変重大な失政をしているということを次に私は指摘したいと思うんです。  あなたは、ことし一月二十七日、ダボス会議に出席をし、こう演説をされました。「日本経済は間もなく本格的な再生を終え、再び世界経済の最先端に立って、貢献できる」、「日本は、バブルの負の遺産を解消し、完全に復活する体制を整えつつある」、日本は、国民の生活水準を下げることなく、バランスシート調整を進め、いよいよ最終段階に入ったと認識しています。総理、今でもこの認識に変わりはありませんか。
  274. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 山下議員から、山下議員のお考え、共産党さんとしてのお考えで一方的に決めつけておられますから一々私から申し上げるわけにいきませんが、私は前段のお話の中でこれだけ明快に私どもの党のあり方について申し上げているわけでありまして、少なくともあなたの政党のように、どういう形で委員長を選んだのか、どういう形で書記長を選んだのか……(「党大会で選んだんです」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)形は大会で選んでいるんでしょうけれども、候補者をどのような形で選んだのかということは……(発言する者多し)
  275. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 総理答弁中であります。お静かに。
  276. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) そういうことについては明らかになっていないじゃないですか。そういう仕組みの違う政党と一緒にされてもらっては困る。私は、この際、我が党の名誉にかけて総裁として申し上げておきたいと思います。  ダボス会議は、世界じゅうの政治、経済、そして学界の指導者が一堂に会されて世界経済の情勢や課題についてざっくばらんな意見交換を行う、そういう場所であります。  たまたま、毎年行われているわけでありますが、いつも我が国はちょうど国会の重要な開会時期あるいは予算委員会審議等にぶつかりますので、これまで日本閣僚総理は一度も出席をしていなかった。そのことについてたびたび、いろんな関係を通じまして、日本側の総理あるいは閣僚に出てほしいという、そういう声は毎年ございました。  たまたま本年は国会の召集がおくれておりましたので、遅い時期でございましたので、大変難しい日程でございましたけれども、これに出かけることによって、我が国に対するいろんな多くの国の皆さんの見方、そうしたものについて、もちろん日本の経済界や学者の皆さんは出席をしておっしゃっていますし、また議員皆さんも出席をされていろんなお話をされておられますが、一応政府側としてこの会議に臨んで今日日本が進めていることについて申し上げたい、こう思ってスピーチをいたしました。  幸い、私の時間、一時間ほどとってくださいましたので、全体会議をつくってくださいましたので、その中で私は演説いたしましたが、「日本と地球の将来を形作る」という、こういう演題で、日本経済の再生、それから日本の経済社会構造の変化、それからグローバルな課題に対する日本の貢献という三つの柱のお話を申し上げたわけでございます。  その中で、今の御質問は、経済についての見方についての御質問であったというふうに私は今受けとめているわけでございますが、今日の日本の経済、ここ近年ずっと振り返ってみまして三つの段階があったと考えておりますが、一つはやっぱり危機的状況というのがあった。そして、今度は不良資産等を解決しなければならない、いわゆる私は守りの再構築と、このように申し上げておりますが、そういう時期があった。そして、これからは攻めの再構築で行って新しい日本の経済新生を求めて開いていかなければならぬだろうと、こういう考え方を私はダボス会議で御説明申し上げたわけであります。
  277. 岡野裕

  278. 山下芳生

    山下芳生君 求めてませんよ。
  279. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 補足答弁があります。
  280. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、山下先生から連立の話をなさいましたので、連立を組んでおります与党としても、少なくとも私は申し上げたいと思います。  なぜ皆さん方の不信任案に我々が反対したかというのは、少なくとも連立与党の一人として、党首としても私は、皆さん方がお出しになった不信任案というものは、じゃ不信任案が通った後、皆さん方の野党ではだれを総理にするのか、どんな政策をして政府をつくるのかを国民に示さない不信任案というものは国民に対して私は無責任だと思います。きちんと、不信任案が通った後、我々はこういう内閣をつくるというものも示さないで、ただ倒せばいいという不信任案には、国民の混乱を招くだけだということで私たちは不信任案に反対したわけでございますから、連立の責任ということを今、山下先生おっしゃいましたから、私たちはきちんと連立をして国を引っ張っていくという意味で皆さん方の不信任案に反対したということだけは国民皆さんにわかっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  281. 山下芳生

    山下芳生君 私は、委員長の今の指名については一言抗議をしておきます。私は全然聞いておりませんからね。  それから、総理先ほど我が党に対して事実ではないこともお言いになりましたから、私たちは三年に一回ちゃんと党大会を開いて、地方党組織からちゃんと代議員を選出して、党大会で中央委員会を選挙で選出するということをやっておりますので、念のためにこれは紹介をしておきます。  それから、総理が今ダボス会議で何を言ってきたのかということをお言いになったけれども、今でもその認識は変わらないのか、その評価が当たっているのか、日本経済の現状はどうなのかということについてはお答えがありませんでした。  そこで聞きたいんですけれども、あなたが首相に就任した昨年四月五日の日経平均株価、これは二万四百六十二円でした。それが今では一万二千百七十一円、四割下がっているわけですね。これで完全に復活する体制を整えつつあると言えるんですか。
  282. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほどから申し上げておりますように、着実に日本経済の本格的な回復を目指して努力しておるということを申し上げてきたわけでございます。若干、現状におきましてはアメリカの経済の低下等々緩やかな成長というふうに変化はいたしておりますけれども、私どもとしては、本格的な景気の回復軌道に乗せるため、さらなる努力を今いたしております。  そういう意味からいっても、この十三年度の予算をぜひでき得る限り早く成立をさせていただきたい、こう願っているわけであります。
  283. 山下芳生

    山下芳生君 私は本当に気楽な方だと思いましたよ。この間の不況で国民の暮らしは極めて困難をきわめているのに、国民の生活水準を下げることなくとはよくも言えたものだと思います。  私は、あなた方が景気対策優先と言ってきたこの三年で日本の経済と財政、国民の暮らしがどうなったのかをパネルにしてまいりました。(図表掲示)  予定どおりだったのは、三年前よりも国と地方の借金、これが百兆円以上ふえた、破局的な財政になった、これが財政の危機はもう手放して景気対策に取り組むんだと言ったあなた方が当たった唯一の指標であります。  それとは対照的に、国民の暮らしの実態を示す数字はどうでしょうか。失業率は三年前の四・一%から最悪の四・九%にはね上がっております。失業者がふえれば所得が減るのは当然でして、消費税五%増税の九七年と比べますと、そのときを一〇〇とすると、可処分所得は九五・九にまで落ち込んでおります。一世帯当たり月二万円も可処分所得が減った。一生懸命働いて、所得がふえるならわかるけれども、ずっと減り続けております。これは深刻ですよ。所得が減れば消費が減るのは当然でして、同じようにこれは三年前の九五・八に落ち込んだ。月一万三千円家計の所得が、消費が減ったことになります。  このどこがあなた順調なんですか。これに責任を、この国民の暮らしの実態にあなた責任を感じないんですか。総理、どうぞ。
  284. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今この指標をいただいておりますけれども、この指標自体が間違っているというわけではありませんが、物価も下がっております点もある程度御勘案いただけないと、なかなか実体経済とは名目経済は違いますからね。そこのところは入れていただかないと一方的な話になりますので。  基本的には今言われておるような数字が、それを全部否定するつもりはありませんが、いい数字も幾つか挙がっていることも確かだと思いますね。前に比べて各企業におけます経常利益というのは三一・九%、十—十二でも上がっておりますし、そういった意味では明らかに企業というものの内容がよくなってきているというのは私どもとしては評価されるべきところだと思うんです。そこのところは、リストラかどうかというようなことに関しましては、ちょっとこちらに責任を問われても困りますのでね。  大きな声を出されるというのは問題があるという御発言でしたから、いい話ばかりでもないのははっきりしておりますけれども、悪い話ばかりでもないのであって、そういった意味では、景気というものの中でというのは、いろいろ私どもとしては、企業というものが、従来であれば内容がよくなればそれなりにその部分が、簡単なことを言えば、あちらこちらの雇用にふえてみたり、設備投資に回ってみたり、また賃金増に回ってみたりするのが従来そういうもので、よくダム論と言われるので、あなたが御指摘になっておられるこの中のダム論にも書いてありましたので、そこのところが従来とはなかなかさようなわけにいっていないというところが今一番の問題だと、私どもはさように理解しております。
  285. 山下芳生

    山下芳生君 今いろいろおっしゃいましたけれども、悪い話ばかりじゃない、いい話もあるというけれども国民生活でいい話はないんですよ。  企業の収益は確かに上がっています。しかし、経済企画庁の白書を見ても、企業収益の向上が所得の向上、消費の向上に結びつかない、そういうことを分析しているんですよね。何でそうなっているか。ミニ白書では企業部門のリストラがその原因だというふうにはっきり書いてありますよ。  ですから、あなた方のやっている景気対策というのは、一番今苦しんでいる、温めなければならない家計消費、個人消費をいかに温めるのかという対策が全くなかった、これまでですよ。GDPの六割を占める個人消費を温めるのじゃなくて、失業が最悪のときに失業保険給付をこれから六千億円減らして大変なことになろうとしている。年金、介護、老人医療などで約二兆円の負担増と給付のカットを行おうとしている。全く逆立ちでありますよ。ますます個人消費は冷える。  私は、経済でもあなた方のやってきたこと、やろうとしていることは大失政というのは明白であって、ダボス会議で演説をされた、最終段階に入ったのは日本経済の浮上ではなくて、まさに森自公保政権の命運だということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  286. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で山下芳生君の質疑はこれを終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  287. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
  288. 清水澄子

    清水澄子君 総理に伺います。  前倒しでもよいということは、総裁としての、または首相としての任期を放棄しますということではないでしょうか。
  289. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 放棄しますというようなことではございませんで、党がやはり改革的な刷新といいましょうか、そうしたことをすることが今我が党に寄せられている大きな激励でもあるし、また叱正でもあるかもしれない、私はこのように受けとめております。  その中で、党内論議の中で、総裁選前倒ししてやるべきではないかという党内意見がございます。これはむしろ党外よりも党内意見であります。総裁として党内改革をしていく一つとして、象徴的なものとしてそれに取り組まれたらどうでしょうかと、私自身、そのことについて踏み込まれたとしてもよろしゅうございますよということを申し上げたのであって、決して放棄しているということではございません。
  290. 清水澄子

    清水澄子君 じゃ、総裁はおやめになっても総理は続けられるはずなんですけれども、それらはやはりはっきりされないと非常に無責任だと思います。  やっぱり、きょうずっと一日、質問がありましたように、私ども総理に質問をしたい。そして、この予算案総理が提案しているわけですから、ぜひこの予算を通す間なんていうことでは非常に無責任だと思います。  その点で、はっきり姿勢を正していただきたいと思います。総理、もう一度。
  291. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は予算成立したらなんというようなことも言ったこともございません。  これも日本報道関係がいろいろとお書きになっていることでありまして、これはもう朝から何度も申し上げておりますように、予算あるいは予算関連法、さらには多くの諸改革の法律をお願いいたしております。これらの問題についてぜひ成立ができますように、私は内閣の先頭に立って努力してまいりますと、こう申し上げているわけでございます。
  292. 清水澄子

    清水澄子君 非常にきょうのお答えを聞いてもだれも私は納得しないと思う。もっとやはり自分の信念をどこで貫かれるのか、明確にしていただきたい。  次に、私は、現在、台湾とか中国や韓国が歴史認識をめぐって懸念を示しております教科書の検定問題について質問したいと思います。  教科書問題は過去二十年間繰り返し問題になってきたわけですけれども、今回は新しい歴史教科書をつくる会の編集による中学校の歴史教科書が問題になっております。検定基準には近隣条項というものが定められておりますけれども、この教科書が百三十七カ所の検定意見を受け入れればそれは近隣条項をクリアしたものと判断されますでしょうか。これはどうぞ文部大臣
  293. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 平成十四年度から使用されます中学校の歴史教科書につきましては、現在、文部科学省におきまして検定作業中でございまして、どういう箇所にどのような検定意見を付しているかについて検定終了までは一切お答えすることができません。
  294. 清水澄子

    清水澄子君 この新しい歴史教科書をつくる会の中身は皇国史観の歴史観に立脚した教科書であるわけです。それを政府が認定するということになれば、それは日本国家の大きな基本線を変える問題になると思いますが、これはきょう論争ができませんけれども、このことを私は指摘をしておきたいと思います。  そこで、近隣条項が検定基準に定められた経緯、そしてその内容はどういうことでございましょうか。お答えください。
  295. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 先ほど委員から皇国史観云々というお話がありました。特定の歴史観、思想、信条を私ども検定の中で見るわけではございません。それをやったら、まさに先生が多分一番お嫌いな検定を国がやれとおっしゃっているのに等しいわけでありまして、私どもは、御案内ですが、検閲をやる気はございませんので、念のためにあらかじめ申し上げておきます。それでもなおかつ検閲をやれとおっしゃるのならば、何か別途新法を用意していただかざるを得ません。  お問い合わせの近隣諸国条項が昭和五十七年に入った経緯というお尋ねでございました。  昭和五十七年六月に発表されました高校教科書の検定結果に関する日本報道を契機といたしまして、中国、韓国から我が国の歴史教科書の記述について批判が寄せられるところになったわけであります。政府におきまして検討を重ねた結果、両国より寄せられた我が国の教科書記述についての批判十分耳を傾けまして、政府責任において是正する旨の官房長官談話を昭和五十七年八月に発表いたしました。  文部省では官房長官談話を受けて教科用図書検定調査審議会への諮問、答申を経て教科用図書検定基準を改正いたしまして、今御指摘のあったいわゆる近隣諸国条項を昭和五十七年十一月に加えたところでございます。
  296. 清水澄子

    清水澄子君 文部大臣、それは大変すりかえの議論をおっしゃっています。検閲をしろとか、それから私どもは検定だって問題だと思っています。そして、国定教科書、そういうふうなものが、それは何のために検定をすることになったか、その経緯を見ればおわかりだと思います。そのことは、私はそういう形で反論なさるんじゃなくて、今何が問題になっているかをお考えになるべきだと思います。  そういう意味でも、この宮澤元官房長官政府見解としてアジア近隣諸国との友好親善を進める上でこれらの批判に十分に耳を傾けて政府責任で是正すると、政府が官邸主導でこの問題に決着をされたということは私は大変賢明なことであったと思います。  そこで、同じときにやはりこの国会で、当時中曽根首相でありました。この中曽根首相が国会での質問、この歴史教科書についての質問についてこう答弁しております。「歴史教科書につきましては、その記述が、広く受け入れられている学説あるいは研究成果に基づいて、客観的で、公正かつ適切な教育的配慮が施されておるものでなければならないと思っております。また、近隣諸国との友好関係保持につきましても慎重な配慮を行う必要がある、このように考えております。」と述べておるわけですけれども総理、この考えは現在も総理もそのようにお考えになるでしょうか。
  297. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 御指摘のとおりでございます。
  298. 清水澄子

    清水澄子君 そこで、そういう中曽根見解が尊重されておれば、その後こういう問題は起きないはずだと思うんです。しかしまた、一九八六年には日本を守る国民会議による高校日本史が検定を受けて、そしてこれがまた日本協力したタイやそういう国々からも、アジア諸国全体から批判を受けました。そのときには、文部省は、検定合格後、異例の修正を出版社に求めたわけですけれども、この経過について説明いただきたいと思います。
  299. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 御指摘の教科書は昭和六十年に検定申請をされました原書房発行の高等学校教科書「新編日本史」ということを指しておられるのだろうと思いますが、当該教科書につきましては、検定の過程で中国、韓国から強い関心の表明があったのは事実でございます。  文部省におきましては、今、委員検定合格後とおっしゃいましたが、それは不正確でございまして、検定過程にあった当該教科書につきまして種々検討を行いまして、さらに適切なものとするための修正を図りまして検定決定を行ったところでございます。
  300. 清水澄子

    清水澄子君 この経緯を見ますと、近隣条項による文部省の判断のみならず、中曽根首相、後藤田元官房長官、そして海部文部大臣の政治責任によってこれらが解決されてきたと思います。  にもかかわらず、また今回の三度目の問題が起きているわけですけれども、私は、先ほどおっしゃったように、教科書は一般の読み物とは違います。日本自身考え方、将来への方針に基づいて作成されているものであって、とりわけ歴史認識については政府責任があると思います。  総理は、過去の植民地支配や侵略戦争の反省に立って、今後の友好とか協力関係、平和の意思を表明してきました日中共同声明とか村山談話とか日韓共同宣言で約束したその内容、精神というのをそのまま尊重されますか、変わらないでしょうか。総理お答えください。
  301. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 政府考え方は、一九九五年、ただいま清水委員からも御指摘ございました村山内閣総理大臣談話を基本といたしまして、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものでございます。  政府としましては、このような考え方を踏まえまして、関係諸国との信頼関係を一層強化していくとともに、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて平和の理念と民主主義を推進していくという立場でございます。
  302. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 本筋、本旨は今、総理の御答弁したとおりでございますが、委員の方から、教科書の検定によって国が一定の歴史認識を示すとか国が何か、午前中もちょっとそういう議論があったわけですが、国がお墨つきを与えるような、何かその種の、ちょっと正確ではないかもしれませんが、御発言がございましたが、それはそうではございませんで、あくまでもこれは国定教科書ではございません。検定に合格することが、国がその教科書に関して歴史認識とか歴史事実を確定するという意味で検定をしているということではなくて、あくまでも歴史教科書の検定は国が特定の歴史認識とか歴史事実を確定するという立場に立って行うものではなくて、あくまでも検定の時点におきます客観的な学問的成果や適切な資料に照らして誤った記述がありやなしやとか、バランスを著しく欠く記述がありやなしやという点をチェックして、その欠陥を指摘して修正を求めるという性格であるということをぜひ御理解賜りたいと思います。
  303. 清水澄子

    清水澄子君 それは何か別の意味で反論していらっしゃいますけれども、文部大臣が教科書として適切か否かを審査していく、これに合格したものを教科書として使用するわけですから、それは国定でないためにそういう制度ができているんだと思いますから、その意味で、ましてや過去の歴史に対する認識についてはこれは国の基本方針の問題ですから、そこは十分に慎重にやっていただきたいということを申し上げております。  そこで、私は次に、日本の現代史、近代史が、それらの認識について繰り返しこういう教科書問題が引き起こされるということは、私は近隣諸国の信頼を著しく傷つけていく、損なわれていくと思う。これは決して国益としてもいいことではないと思います。また、日本の子供たちの歴史認識についても絶えずそれらが混乱を起こしていくということでは、これも教育としても問題があると思います。  総理は、今後、こういう近隣諸国との友好関係を維持発展させていく、そして相互の歴史認識について大きな乖離があるわけですけれども、これらをどのように克服して再発を防止していこうと考えられるか、その決意を伺って、次、三重野議員に譲りたいと思います。
  304. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 政府といたしましては、先ほど申し上げたとおりの考え方に立って教科書があるべきものであろうと、このような考え方をいたしております。  ただ、あくまでも検定制度でありますから、検定制度の仕組み、またその経緯は先ほどから文部大臣がるる御説明をなされていることでありまして、こうしたものについての考え方は人々によってそれぞれ異なるんだろうと思いますが、あくまでも客観的な見方がきちっとでき得るように、また子供たちにとってはやっぱり発達あるいは就学年齢、そうした、就学といいましょうか、学年によりまして判断の基準といいましょうか能力というのは違うわけでありますから、そういう意味でもやはりそういうことも十分念頭に入れて検定をすべきだろうというふうに私は考えております。
  305. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 関連質疑を許します。三重野栄子君。
  306. 三重野栄子

    三重野栄子君 三重野栄子でございます。  教科書に関連して質問いたします。  扶桑社発行の中学校歴史教科書の執筆者西尾幹二氏は、本年二月十九日、大阪府藤井寺市民会館の別館ホールにおきまして、他社の中学校歴史教科書やあるいは挿絵、写真なども加えまして誹謗中傷した資料を配付し、他社の歴史教科書を誹謗中傷する講演を行われました。主催者は社団法人藤井寺青年会議所、後援は産経新聞社、扶桑社、新しい歴史教科書をつくる会、藤井寺市などでございます。  会場で配付されました資料のうち、今お手元にも差し上げておりますけれども、特に入会の御案内というリーフレットによりますと、これらの事業を産経新聞社、扶桑社と協力しつつ進めていることが明記されています。これら事業は教科書の発行を業とする者の行為を禁じた公正取引委員会告示第五号三に違反する行為であり、また公正取引委員会編の教育教科書における特殊構造の解説というのがございますが、これにも違反していると私どもは思っているんですけれども、これらに関しまして公正取引委員会は早急に調査し判断すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  307. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) せっかくの御質問でございますが、私ども何ともお答えできない案件でございますので、御了承願いたいと思います。
  308. 三重野栄子

    三重野栄子君 事前に連絡してありますから、そういうことはないと思います。調査をお願いします。  また、文部科学大臣お願いしますが、このような検定中の教科書の執筆が、科書の事前販売活動を行うことに関しまして、平成十一年の文部省通知で指示されました指導内容に反すると考えますが、いかがでしょうか。
  309. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 具体の事例を私は承知しておりません。
  310. 三重野栄子

    三重野栄子君 ちゃんと通知がしてありますので、大変不親切なきょうは答弁であったと思います。  大変残念ですけれども、終わります。
  311. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で清水澄子君及びその関連質疑は終了いたしました。     ─────────────
  312. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  313. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男でございます。  せんだっての予算委員会答弁の中で総理は失われた十年ということをおっしゃいましたが、振り返ってみますと、この十年間で総理大臣が十人かわっているということになるわけでありまして、各分野がグローバリゼーションの波に洗われている中で、世界と比較してもかなり突出した数字になるんですけれども、これについてのお考え、どうしてこうなっているのか、お考えがありましたらお述べいただきたいと思います。
  314. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 突然のお尋ねでございますので、私、今のお尋ねに対してすぐお答えをできるというのは、非常にこれは政党間、微妙な問題がございますが、一つは、この十年を私なりに今、議員から言われ考えてみますと、やはり東西の対立というのは壊れたといいましょうか、イデオロギーの闘争というのが、片方はアメリカ、片方はソビエトというものが代表的だったと思いますが、そういう主義主張の議論というのが終わった、終えんをしたというのが一つあるのかなと。そのことが日本の政治にもやはり反映をしてきた。したがって、これまで自由主義社会あるいは社会主義社会というようなことで議論をしておりました。具体的に政党を申し上げることは控えますが、我が党の政治もまたそういう議論の対峙であったと思いますが、そのことが自然な形でやはり変わってきたということだと思います。そういうことを言うとしかられるかもしれませんが、共産党さんを除いては、大体考え方のベースとしてはそんなに違いがないのではないかなというふうに思います。  それからもう一つは、やはり政治改革議論というのが当時あって、小選挙区制を中心としての政治改革議論、特にリクルート事件等もございました。そういうものを踏まえて政党の離合集散といいましょうか、この十年間随分いろんな政党ができたり、また吸収されたり合併をしたり、そういう連立の時代に入ったということが日本の政治的な大きな動揺といいましょうか、変化があって、それに伴って日本総理大臣も随分交代をするというようなこともやっぱりあったというふうに考え、そういう意味ではまだこの連立というのは、いろいろ御意見はありますが、それぞれの政党はほとんど、共産党さんを除いては必ず恐らく連立に加わっておられるわけですね。与党であれ、まあ与党でなければ連立内閣はありませんが、何らかの形で加わっておられる。その結果、連立の時代にこれから入っていくのか、また当初政治改革の中で議論をされた二大政党への方向に行くのか、まだこれはしばらく時間的な私は経緯が必要なのかなと思っています。  小選挙区制というものを取り入れたとき二大政党というものを目指したのは、お互いに各党皆そういう考え方であったと思いますが、現実はそうなっていないことは事実。むしろ多党化の方向になってきている。そうであれば、連立というこの仕組みが、連立の政治というのがなかなか国民皆さん理解が得られない、そういうこともまた政治がいろんな意味で混沌としているということに私はなっているのではないか。突然そういうお尋ねがございましたので、自分の経験を踏まえながら、そんな私は考え方を申し述べておきたいと思います。
  315. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 総理おっしゃったように、冷戦構造が崩れ、それからバブルが崩壊し、それからグローバリゼーションの波がずっと押し寄せてくる。それと同時に、それにこたえられない、政治がやはり劣化しているという問題があると思うんですね。だから、政治とか外交、行政、それから社会全般もそうですし、金融、経済もそうですが、みんなそれぞれの機能がうまくいかない。ぎくしゃくして不協和音を出している。何とかしてくれという国民の悲鳴が聞こえるような思いがするんですね。  きょうも一日この国会の議論をしても、結局過去のいろんなしがらみがあるわけですよ。すべて先輩がやってきたからそのままやっているとか、あるいは一党支配のときにこうやっていたと。連立時代になったら組み方を変えなきゃいかぬ、いろんな考え方を。外務省の機密費の問題もそうだと私は思うんですね。そういうものに対して、やはり国民はやり切れない気持ちでおると思うんですよ。  今、世論調査で九割の方が政治に対して不満を持っていますね。不満を持っている。正月にそれですから、恐らく今回のいきさつを見て一〇〇%近い方々がもう何とかしてくれよと。国民皆さん方が乗っている船とやっぱり永田町、国会、政治家が乗っている船が違うんじゃないかという思いが皆していると思うんですね。国民の声が届かない。そういうものに対してこたえ切れないで、十年間に十人かわっている。そういうことだと私は思うんですが、その点について、国民の声がどうも国会の議論の中にうまく届いていないということについてどのようにお感じでございますか。
  316. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 国民の声が国会に届いていないという、そういうお考えも一面、松岡議員としてもそういう考えをお持ちかもしれませんが、私は必ずしもそうとも言い切れないんではないかなというふうに思います。  確かに、政党の指導性といいましょうか、政党の信頼性というんでしょうか、そうしたものが少し希薄になっていることは事実だと思います。それはやはり、どうしても本来持っておりました政党、例えば細川内閣もそうだったと思いますし、村山内閣もそうでありますし、今の私ども、小渕内閣から引き続いた私の内閣もそうでありますが、やはり連立というものを組めばそれぞれ政党考え方というものを国民皆さんに訴えると同時に、やはり今の立場で言えば三党が合意するいわゆる政策合意というものを結ばざるを得ない。それは端的に言えば我が党を支持している皆さんの中にはやはりそれについての異論もあるだろうし、あるいは公明党、保守党の支持をなさっている皆さんから見れば自民党政策というものについてやっぱり異論のある方もあるだろうし。  しかし、現実問題としては、やっぱり政治が安定をしなきゃならぬことだけは、これは間違いないことだと思うんです。政治が安定することによって国民が安心をするということであれば、これは今の連立政権というもの、連立政治というものをみんなでやっぱりこれは認めて、そしてそれなりの努力をしていく。そのことについて、できる限り今、松岡議員の御心配をされているような点がないように国民にしっかりとした説明をしていき、協力を求める、支持を求めるということの努力政党としてしていかなければならぬ大事なことではないかというふうに愚考いたしております。
  317. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今の我が国の社会とか経済の閉塞感というのは、やっぱり私は政治が機能しなくなってきているというところにあると思うんですね。本来、政党というのは、今も総理おっしゃったように、やっぱり理念とか政策で集まるべきですよ。ところが、権力闘争になっちゃっているんですね。とにかく政権をとるためにはどうしたらいいか、次の選挙をどう勝ち残るかということしかない。  だから、今はもう森さんさえかえれば次の選挙はという感じでしょう。そういうことがやっぱり国民から見ておかしいなと。一番最初に国家国民のことを政治家は心配すべきだと、政党はそうだと思っていたわけでしょう。ところが、どうもそうじゃないなという感じになってきている。そこは、総理、どういうふうにお考えでございますか。
  318. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これは、きょうは参議院場所でございますから余り適切な例示じゃないんでしょうけれども衆議院の方は小選挙区に変わりました。これはかなり大きな、いろんな意味で各党に衝撃がやっぱりあったんじゃないでしょうか。  ですから、中選挙区制と小選挙区制の違いというのは大変大きいわけでありまして、特に小選挙区になりますと、もうとにかく一人しか当選しないわけでありますから、そして絶えず選挙というものを意識せざるを得ないということになります。本来持っておりますことと、これは他の政党はそんなことないよとおっしゃるかもしれませんが、本来自分の持っている信念、理念、哲学ということもさることながら、政党考え方、必ずしも自分はくみしない面もあると思う、政策でいえば。  例えば、地方でいえば農業政策などはかなりやっぱり本人の思っていること、政党がやろうとしていることとの、そこに考え方のそごが私はあるだろうと思う。公共事業のあり方もやっぱり同じだろうと思います。都心を、大都会を背景にしておられる政治家と、やはり公共事業というものを大きな生活の基盤として考えざるを得ない、そういう立場の地域の政治家と、これは必ずしも一体となった考え方が私はとれないだろうと思うんですね、個人の考えと党の考え方。  しかし、現実は小選挙区制でありますから、党の政策を訴えざるを得ない、しかし自分のことはこうだよ。従来の中選挙区制でありますと、松岡議員も山口県のことをよく御存じですから、どちらかといったら個人の考え方を主張しておれば選挙は大体勝てた。しかし、今はそうではない。こういうことも国民から見ると非常にわかりにくくなってきている。逆に言えば、政治家と国民、有権者との間に逆に乖離が出てきているということにもなるんでしょう。  しかし、このまま放置していっていいものではありませんし、やっぱりどこかでそういうことに対して理解を求めていくようにしていかないと、本当に政治に対し無関心が多くの人たちから出てきたのでは政治が軽べつされてしまう。政治が軽べつされるということは、国家、社会そのものが軽べつされるような社会になってしまうということをやっぱり私は恐れなければならないというふうに考えております。
  319. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 総理、憲法六十七条、これはよく御存じだと思いますが。
  320. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) はい、承知いたしております。
  321. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 御存じのように、総理大臣は国会議員の中から議会において議決し、これを指名するとありますですね。    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕  この十一カ月の間に森総理は三回も国会で信任をされたわけです。ところが、五日に信任されて十日におやめになると。いろんな議論があるでしょう、いやニュースが出ました、十日に。そういうことで、きょうは一般紙は休みですけれども、スポーツ紙にも大きく載っていますよ。次はだれがなるだろうかという、競馬の予想のような形で載ってしまっているんですよ。  それで、これはやはり大変ゆゆしきことだと思うんですね。憲法を軽んじて国会を軽視した形になると私は思うんですね。しかも、憲法六十八条には、総理大臣国務大臣を任命するわけでしょう。罷免もできるわけですよ。身内からやめろという大合唱でしょう。いや、大臣の名前は申し上げませんけれども、それは罷免すべきだと私は思うんだけれども、そういう後ろから鉄砲を撃たれるという形がまかり通るということでは、法治国家としてはまことに情けないことだと私は思うんです。  やっぱりその辺について、憲法の条文についてどのように総理は受けとめておられるか、それから現実についてどのように考えておられるか、最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  322. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私は、今御指摘ありました憲法、大事だと思っておりますから、私が自分辞任を意図するようなことは私は全く申し上げておりません。何度も申し上げておりますように、与えられた責任を十二分に果たしていきたい、こう申し上げているわけであります。  不信任が三回も出たというのは希有なことでございますが、不信任という(「二回」と呼ぶ者あり)二回ですか、不信任というのをやっぱりどうも多用され過ぎているのではないかなというふうにも思います。
  323. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 終わります。
  324. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  325. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 次に、田村秀昭君の質疑を行います。田村秀昭君。
  326. 田村秀昭

    田村秀昭君 三月五日に衆議院で圧倒的多数で信任された総理が、なぜ四月に総裁選前倒しするというふうに(「四月とは言っていない」と呼ぶ者あり)まあ四月、前倒しするというふうに言われたのか、その理由がよくわからないわけです。ラグビー部の名選手がこれからやるぞという話なのに、どうしてそういうことになるのか、国民にわかりやすく御説明を賜りたい。
  327. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これもたびたび申し上げておりますので、真実に間違いはないわけでありますから同じような答弁しかないんですが、別に四月にやると決められたわけでもございません。これも言いにくいことですが、マスコミ報道がそのようにお書きになっているということで、これはある意味では推測、予想ということなんだろうと思います。  なぜそんなことを言ったのかということについては、先ほど申し上げましたように、我が党に寄せられている批判、不祥事等に対する反省、そうしたものを十分踏まえて、党の改革をやらなきゃならぬ、刷新をやらなきゃならぬだろう、これにぜひ取り組んでいただきたいとして、党の総裁という立場で党の執行部お願いをしたということでございます。  同時に、明日、党大会がございますので、党員の皆様にそのことをしっかり私からも申し上げたい。それには具体的にはやはり党員の中からもあるいは党の支部からも総裁選挙を早めたらどうかという、そういう意見がある、その意見について、もし執行部の皆様でよろしければ、私はそうこだわっておりませんから、総裁選挙を早めておやりになることは結構ですからお考えくださいと、こう申し上げたわけでございまして、その後も、その前後も常に私の辞意ということを申し上げたのではないと、こういうふうに申し上げ、党執行部もそのように理解されて随所でそのようにお話をされていると、私はこのように理解をいたしております。  もう一点は、ああこれは田村さんじゃなかったかな、閣僚から云々とあったのは田村さんじゃなかったですね。  以上のような考え方で、党執行部に党の改革をしようということを私は申し上げたことの一環として、わかりやすくそうした意見を十分考えてみたらどうかということを申し上げたのです。
  328. 田村秀昭

    田村秀昭君 総理のおっしゃっていることはよくわかりにくいんですが、私は非常に理解できない。信任された方が総裁選を早めると。何でそんなことになるのか、今の御答弁では全くわかりません。  次に、一月の六日、省庁再編がございまして、防衛庁だけが残されて省にならない。それは、自衛隊の最高指揮官としての森総理大臣はそのことをどういうふうに、なぜならないのか、なぜしないのか、全く私はよくわからない。安全保障をきちっとしないで経済がよくなるわけない。経済も軍事も文化も社会もみんな円満でないとだめなんだ、バランスとれていないとだめなんだというふうに思いますが、なぜ防衛庁を省にしないのか、総理の御見解を伺います。
  329. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) この御質問もきょうは三度目でございまして、たびたび申し上げておりますように、国民自分の国は自分で守るというこの気概を持っていただくこと、そして国としては適切な防衛体制をとるということは、これは国家国民の安全、さらに国の存立、これの基本であるというふうに私はもちろん認識をいたしております。  防衛庁の省への移行につきましては、多くの皆さんから意見があることも承知していますし、我が党初め多くの政党からもそういう御意見があることも事実でありますが、それについてはやはり異を唱える方々も多くいらっしゃるということだと思います。  このことについて、余りまだ成熟した与野党間、特に与野党間もそうだろうと思いますが、議論をしてまいりませんと、かえって防衛庁、自衛隊の職員に対する、また士気に別の意味で私は影響を与えてはいけないのではないか。こういうことは、先ほどからも議論が出ておりますように、世界の国々のほとんどというかすべてが、日本を除いたほとんどの国はいわゆる省として、日本のようなエージェンシーという形をとっている国はないということも、これも私も承知しておりますし、ほとんどの皆さんもそのことを承知をしておられると思うんです。  しかし、そういう意味では、この議論がなかなか成熟をしなかったということもこれまでの経過でございまして、これもたびたび申し上げておりますが、中央省庁再編の際は一つのチャンスといいましょうか、省への昇格ということの一つのこれはいい機会ではないかということで、かなりこの議論が我が党の中でも多く出されました。  しかし、長い議論をいたしましたが、結果としては党内にもまだこのまとまりはなかったというのが当時としては事実でございまして、そうした中でもう少し国民的な議論が深まっていくということをやはり期待することがまず第一ではないかなとこう思っておりますし、国会でこうした議論がたびたび出ることも非常に大事、そして多くの国民皆さんにもできるだけの理解を得られるように、そういう議論が尽くされていくように、ぜひ、私もそのことは重要であると考えておりますので、そういう方向に一歩でも二歩でも前進するように、政府としても、また私としても努力をしていきたい、こう思っております。
  330. 田村秀昭

    田村秀昭君 総理の最高指揮官としての御決心をお聞きしたんであって、政治の場で議論するとか、そういう話を私はしているんではありません。総理の政治理念としての御決心はどうなのかということをお聞きしているので、もう一度お答え願いたいと思います。
  331. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 個人的な見解を述べるということは差し控えたいと思いますが、憲法議論をいたしまして、党首会談で小沢党首に随分皮肉られたことも承知いたしておりますが、そういう意味では、やはり私は、田村議員からのそうした御質問でございますが、そうした議論が成熟をしていってほしいなという、そういう私は気持ちを持っておるということでございます。  しかし、自衛隊に対する私の思いは、大変な激務の中で我が国の国民の生命、財産を守ってくださっていること、また緊急的な災害等にあれば我が身を犠牲にして努力してくださっていること、常に私は感謝を申し上げておりますし、最高司令官という立場でも、絶えずそういう皆さんと接触をして機会あるごとに激励を申し上げております。  田村議員御存じかもしれませんが、私は恐らく今の閣僚の中でも、また歴代総理の中でも、この約一年近い間に、最も自衛隊の今の市ケ谷の本庁を訪問しているのは私が一番だろうと思います。恐らくここにいらっしゃる我が党の議員皆さんよりも多いんじゃないか。恐らくかれこれもう八回ぐらい訪問いたして、その都度いろいろな方々に私は激励を申し上げ、感謝を申し上げているという、そういう私の姿勢、気持ちもぜひお酌み取りをいただきたいと思います。
  332. 田村秀昭

    田村秀昭君 総理が市ケ谷の自衛隊に何回も御訪問されていることは私も十分よく承知しておりますし、今、総理のおっしゃった、私は一番問題なのは、この五十年間、自民党政権は命をかけて国を守る自衛官に対して誇りと名誉と地位を与えてこなかったんです。ほかの省庁に比べるともう雲泥の差なんです。そういうことで将来国のために殉ずる人が出てくるとお考えなのか。  私は三十四年間自衛隊に奉職しておりまして、自衛官出身の国会議員ただ一人であります。私が申し上げているのは、今のままでは将来国難のあったときに国のために殉ずる人は一人も出てこない、そういうことで日本の独立と平和を守れるのかということについて、なぜ自衛官に対して誇りと名誉と地位を与えないのか、それをお答え願いたいと思います。
  333. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 防衛庁を防衛省なり国防省なりという省に昇格させるということは、確かに具体的には自衛隊の皆さんの名誉というもの、あるいは誇りというものを私は付加していくことであろうということはよくわかります。しかし、我が国には、私もやはりこの戦後の五十年というものを見てまいりますと、歴史的な今日までの経過、あるいは我が国が世界に例のない平和憲法というものを持っておる国であるということ、もちろん憲法の議論については衆議院参議院で御議論をいただいておる段階に入っておりますけれども、そうした経緯等を考えて、まだまだ国民の中には庁を省にすることによってどういうことがあるのかという、そういうおそれは私は何もないと思いますけれども、こうしたことは、やっぱり国民感情というものもあるんだろうと思います。そういう中で、私は、いたずらに政治的な論議の中にもまれてしまうということはかえって自衛隊の皆さんの士気に影響することになるんではないかと。  先ほどからたびたび申し上げておりますように、だんだん成熟した議論が進められていく中で、私は国民皆さんの総意で省への昇格ということが一日も早く近づいていくことを私どもとしても期待をしたいし、また私どもとしてもそういう議論をぜひお進めをいただきたいというふうに思っております。  自衛隊の隊員諸君、また将来我が国の自衛隊に入られて日本国民の生命、財産、国家の平和を守っていくという、そういう多くの若者たちが輩出していくということはまた別の問題点として考えていかなければならぬ問題だろうというふうに思います。
  334. 田村秀昭

    田村秀昭君 公共のために尽くすという精神が今のままではだんだんと薄れていく。  自衛隊はF15を持ち、エイジス艦を持ち、九〇式戦車を持って、装備面では東南アジアでも東アジアでも有数な装備を持っている。しかし、それを自衛隊の位置づけを明確にしていないから、自衛隊の位置づけを明確にしないからトラだか猫だかわからない。だから、近隣の諸国から一体どういうことなのかと。自衛隊の位置づけを明確にしないで、そういう表向きには軍隊ではない、そういうことを言い続けているので、自民党政権ですよ、近隣諸国から非常に不信感を持たれると私は思っておりますが、自衛隊の位置づけを明確にぜひ総理在任中にしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  総理の御見解を伺いたいと思います。
  335. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 省、庁の呼称について田村議員が大変御心配をされているということはよく私はわかります。
  336. 田村秀昭

    田村秀昭君 いや、省だけじゃないです。
  337. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) ですから、これはまた別の意味で、例えば私どもは今教育改革議論をいたしております、自衛隊だけではありません。人のために尽くす、国のために汗を流す、地域社会のために努力するということが子供たちの教育の中にやはり私はしっかりと指導ができ得るようにしなければならぬと思っています。  そういう意味では、価値観が多様化しておりますし、いろんな意味で子供たちの迷い、また指導される先生方の迷いもあるんだろうと思いますが、そういう中で公共に奉仕をする、わかりやすく言えば世のため人のために尽くすんだという教育の理念、哲学はしっかりとやっぱり教えていくことが、これは大人のいかなる主義主張が違おうとも、これは私は大人の子供たちに対する責任だというふうに考えております。  御指摘ございましたように、近隣諸国から自衛隊が果たしてどういう評価をされるかということは、これはいろんな見方があるし、田村議員は専門家でありますからその点は厳しくいろんな面でとらえておられると思います。しかし、ゴラン高原等に参りました自衛隊もこの間帰ってまいりました。そうしたPKOのいろいろ努力協力をされている方々も、世界の国々から日本の自衛隊に対する評価は私は極めて高いというふうに報告を受けて喜んでおる一人でもございます。
  338. 田村秀昭

    田村秀昭君 終わります。
  339. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 以上で田村秀昭君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  340. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
  341. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、総理にお伺いを申し上げます。  ことしの夏は参議院選挙でございます。総理はことしのこの参議院選挙、どういう役割を担っていこうとお考えでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
  342. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 参議院選挙は、私どもの党から申し上げれば、三党連立政権、その枠組みのもとでの景気の本格的な回復やあるいは各種改革に向けて一連の取り組みをしてまいりました。そのことを評価をしていただく大事な私は場所であると、このように認識をいたしております。  これまでの連立政権下での景気に軸足を置いた経済財政政策によって一時はデフレスパイラルに陥る危機にまで直面した我が国経済は危機を何とか脱して、そして回復を続けてきたわけであります。もちろん、米国経済の減速など新たな懸念材料もある中で、いわゆる踊り場的というふうに、そのように表現をいたしておりますが、そのような状況にある経済の動向を注意しながら引き続き対応に万全を期す、景気に軸足を置いた政策を引き続き進めていく、これは私は連立政権の政策は全く誤ったものではなかったと、このように考えております。  そういう意味で、二十一世紀の日本の経済あるいは社会改革を私はやはり精力的に進めていかなきゃならぬと。そういう意味で、そういう幾つかの改革、時間を余りとっては恐縮でございますから、十分御承知をいただいていると思いますが、そうした改革国民にしっかり訴えて、そしてぜひ引き続きこうした連立政権に対する御支援を求めるようにお願いを申し上げていきたいというふうに思っております。  先ほども松岡議員との議論にもございましたように、現実問題として今は連立をせざるを得ないんです。よく民主党の菅さんや鳩山さんは、もう民主党にかえなさい、かわりなさいと、こうおっしゃいますけれども、民主党だって単独で内閣をやっていけないんです。どこと組まれてどういうふうにやっていかれるのかということは全然明らかにされていないんですね。院内共闘ということで共産党さんともお組みになっておられますが、そういう枠組みの中で本当に政治が動かされるのか、国民皆さんがそのようなことを認められるのか。  私は、そういう意味からいっても、我が党は三党の連立、そして我が党の政策というもの、三党の政策合意というものをしっかり国民に見せながら、連立の時代の中で三党がしっかり国民理解と信頼を得て、さらにダイナミックに日本の政治を運営していきたい、責任を持っていきたい、このようなことを訴えていきたいと、こう考えております。
  343. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  私ももう初登院以来十五年になりますが、最初は本当にどきどきしておりました、右も左もわからなくて。最初に声をかけていただいたのは橋本行政改革大臣、そして森首相でございました。人情的には本当に頑張ってもらいたいんですが、この国会というところは本当に難しいところでございます。  そこで、ここ数年、投票率の低下問題が大変に深刻な状況となっております。確かに、これまで投票時間の延長でありますとか不在者投票制度の見直し、環境面での整備を初め、もっともっと大切な政治に対する信頼あるいは政治家に対する信頼というものを、残念ながら今回の一連のこの不祥事というものでもっともっと信用をなくしてしまったのではないかなと。  一人でも多くの方に投票していただく、そして投票したいと思っていただくために、総理として、一人の政治家としてどのようにしていかれるのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  344. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 投票率というのは民意が政治に反映されているかどうかということをはかる一つのバロメーターであるというふうに考えられまして、近年、今御指摘がありましたように、投票率の低下というのは私としても大変深刻なことだというふうに受けとめております。  この背景にはさまざまな理由があるんだろうと思いますが、やはり政治不信あるいは政治に関する無関心ということが一つの原因になっているということは御指摘のとおりだと思います。また、これは地域によってもやはり違うんですね。西川議員のように大阪の皆さんがどういうふうに選挙というものを見ておられるか、政治というものを見ておられるか、私のような郷里でどういうふうに見ておられるか、これはやっぱり違うところもございます。しかし、基本的には政治不信というもの、これをやっぱりなくするということが大事だというふうに私は考えます。  そういう観点から、今回のKSDをめぐる事件など国民の政治や政治家に対する信頼が損なわれたということについては私も大変遺憾でありますし、このことについては重く受けとめております。  このような政治家と金をめぐる事件というのが絶無にならない中で、改めて政治倫理の確立に取り組む決意を私は新たにし、先ほどからの議論がございましたように、土曜日、党執行部に対して、こういうことを踏まえた党の改革刷新にぜひ努力しようということをお互いに約束したわけであります。  まずは我々政治家一人一人が原点に立ち返って、みずからはみずからを厳しく律すべきことは当然でございますが、所属議員から逮捕者を出した自民党責任も重いものがあると私は考えておりまして、私としては、自民党内の仕組みについても今回の反省の上に立って見直すべきものはきちっと見直していくということは、これはできるだけ早く着手をし、思い切った改革をやっていくべきだろうと、このように考えております。  先ほど申し上げましたような景気回復にしっかりと取り組むことや、また西川議員の政治的な大きなテーマになっております社会福祉、社会保障の制度あるいは教育改革、そうしたことにもしっかり取り組んで、国民皆さん日本の将来について、不安感を除去し、みんなで協力して明るい展望が開けていくよと、日本の将来に対してどうだ君たちも参加しないかと言って若者たちにも呼びかけていけるような、そういう私は政治体制というものをしいていかなければならぬだろうと、こういうふうに思っているわけでございます。
  345. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  一人でも多くの皆さんに投票していただけるように、政治の信頼回復のためにも我々も一丸となって取り組んでいかなければならないと、こういうふうに思っております。  しかし、そうした中で、当然の権利であります選挙権が行使できない、投票したくても投票できないという方々がたくさんいらっしゃいます。これは絶対に忘れてはいけません、こういう方々のことを。例えば在宅でお住まいの寝たきりのお年寄りあるいは難病の患者さんなど、現実に投票したくても投票できない環境にいらっしゃる方がたくさん全国にはいらっしゃいます。  こうした現状について、政府といたしましてどのような御認識をお持ちであるのか、ぜひ片山総務大臣に御答弁をいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
  346. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 日ごろ西川委員には、この問題について大変な御関心を持って御指導いただいておりますことにまず敬意を表したいと、こう思います。  今言われましたように、ちょっと今数字を事務方に聞いておりますが、寝たきり老人、難病患者の方、二百三十万人ぐらいでしょうか、そういう方々が現行の制度ではなかなか投票が困難だと、こういう──済みません、百七十万だそうであります。──百二十万、だんだん減るね。済みません、今の数字、私、今百二十万……
  347. 西川きよし

    西川きよし君 今、二百三十万とおっしゃったんですけれども、それはもう……
  348. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) はい、百二十万ぐらいでございます。いろんな計算の仕方があるようでございますが、これで見ますと百二十万、こういうことでございまして、そこで、こういう人々に投票権を与えるというのは大変重要な問題なんです。  しかし同時に、選挙の公平公正を確保することも重要なものですから、例えば寝たきりや難病の方でもどういう程度までを対象にするか、公的な認定をどうやるか、そして全国うまく平等にやれるか、こういう問題がしっかりクリアできないとなかなか、とにかく何でも与えますよ、こういうわけにはいかないんですね。そこで、その接点を、基本的な、これは何といいますか国政参加の権利ですから、これはできるだけ尊重したい。しかし同時に、投票の今言いましたような公平公正をどうやって確保するかで大変私どもの方の選挙部は頭を痛めているんです。  できるだけ、介護保険も御承知のように施行されまして、これがだんだんいろんなことを積み重ねていきますから、その進展の状況を見ながら何らかのいい知恵を我々も探したい、こう思っておりますので、もう少しお待ち賜りたいと思います。
  349. 西川きよし

    西川きよし君 大臣の地元の方にも僕も寄せていただきまして、瀬戸内の離島をいろいろ船で回るというのも、視察もさせていただいて勉強もさせていただいたんですが、例えば自宅で寝たきり状態にある難病の患者さんの場合、確かに郵便投票が認められているわけですけれども、しかしこれは自分で書くことが条件とされていますし、手を動かすことができない方は実際にこれは利用はできません。じゃ、投票所まで来れば代理投票ができるじゃないか、来ればいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、中には人工呼吸器をつけている方もいらっしゃいます。そうした方にも投票所に行くことを求めるんでしょうかということが大変問題になるわけですけれども、やはりこのような方々には郵便による代理投票ができるようにする必要があると思います。  また、点字による郵便投票が認められておりませんが、これも当然のこととして視覚に障害のある方に対しては点字による郵便投票を認めるべきだと思いますが、ほかにも選挙公報の問題等々改善すべき点がたくさんあると思います。  もう一度、総務大臣にこの問題の御答弁と、それからこの問題に対して大変御理解をいただいております、公明党の方から入閣をされておられます厚生労働大臣にもぜひ御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  350. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今お話しのように、郵便による不在者投票というのは昭和二十五年にやりまして、その際は代理投票を認めたんですよ。そうしたら、とにかく不正というんでしょうか、本人以外の者が、無断な場合を含めて、投票するなどの不正が横行しまして大議論になりまして、昭和二十七年に廃止したんですよ、その代理投票を。  現在は、今、西川委員御指摘のように、まずいろんな請求、投票用紙を請求するところも自分で書けと、投票はもちろん自分で書く、それを送り返すのも自分でと、本人が自署するということを義務づけているんですね。  したがって、点字はあれは点字器でやりますから自署できませんよね。だから、そういう視覚障害の方は投票できない、こういうふうになっていまして、これを今、同じようなことを申しますけれども、選挙の公正確保との観点でそういうことになっているので、この辺を今後どうしていくか。仮に代理投票復活することになりますと、いろんなチェックをしなきゃいけませんね、立会人だとか。これがまた大変な手間とお金がかかるので、そういうことの見合いの中で、西川委員の熱意は私も痛いようにわかりますから、私の方まで来ていただきましていろいろお調べいただいて大変感謝いたしておりますので、ぜひこの点も、いい知恵が出るかどうかさらに検討を深めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  351. 西川きよし

    西川きよし君 大臣ね、その一九五一年の……(発言する者あり)  済みません。つい興奮しまして、失礼しました。
  352. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先生に立派ないい質問をしていただいたのに五時までのテレビに入らなくて大変残念だったと思っておりますが、この問題、何度か取り上げていただいていることを私も承知をいたしております。  それで、今、片山大臣からもお話ございましたけれども、やはりこれは、これだけノーマライゼーションの時代でございますから、障害者の皆さん方も同じように権利を行使していただけるようにやはりしなきゃいけないというふうに思いますので、いつまでか検討しておってもいけませんから、片山大臣のところと積極的にお話し合いを進めさせていただいて、一日も早く、一歩でも二歩でも前進するように努力したいということをお誓いを申し上げて、御答弁といたします。
  353. 西川きよし

    西川きよし君 どうもありがとうございました。  ちょっと力が入って焦り過ぎまして、ただ、一九五一年の先ほど総務大臣の件がありましたけれども、違反が随分あったんですけれども、それは障害者自身がやったわけではありませんし、周囲の方々の違反が大変多かったということでございます。  私も初登院以来、本当に何回も何回も何回もやらせていただいたんですけれども、こうして質問をさせていただく、そして御答弁をいただく。全く答弁に前進がないということで、きょう、もう一回やらせていただこうということで総務大臣にも厚生大臣にもきょうは質問をさせていただきました。  そういうわけで、最後に、この問題放置するわけではなしに、将来は電子投票というようなシステムも実現になろうかなという話も出ておりますが、障害者対策推進本部長として森総理大臣に最後に御答弁をいただいて、ある程度期限を切っていただくというようなお答えをいただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
  354. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今、西川議員からお話しのように、総務大臣もまた厚生労働大臣も御専門家でございまして、そのお二人も大変西川議員に対して申しわけないということをお話ししながら、もう少し時間、もう少し待ってほしいと、こういうことでございます。両大臣お話に対し、私は、それよりも先にもうちょっと進めようというようなことを申し上げることもまた必ずしも責任ある発言でもないだろうと、こう思いますが、両大臣お話を申し上げたとおり、何とかできないだろうかというそういう問題意識を持って、できることからこつこつという、そういう思いで対処したい。  先ほど電子投票のお話もございましたけれども、私は、電子投票システムを進めて、今、総理でございますので一応やめておりますが、その議員の研究会の会長をずっといたしておりました。恐らく、電子投票化もいずれそう私は遠い将来ではないだろうというふうに思いますが、いわゆるそういう意味でのIT化というので何かいい方法が得られないものだろうかなと、今、西川議員の御発言を聞きながら、そんなこともちょっと思いめぐらせていたところでございます。  十分片山大臣あるいは坂口大臣とも御相談を申し上げてまいりたい、このように考えております。
  355. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。もう外国ではやっておられるところもありますので、ぜひよろしく御検討いただきたいと思います。  ありがとうございました。
  356. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 以上で西川きよし君の質問は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  357. 吉村剛太郎

    理事吉村剛太郎君) 次に、依田智治君の残余の質疑を行います。依田智治君。
  358. 依田智治

    依田智治君 依田智治でございます。午後のしょっぱな、省昇格問題というのをやらせていただきました。  これは、二十一世紀にいよいよ我が国が安全保障等で国際的にもいろいろ各国と協力してやっていくような場合に、また自衛隊の平時における任務が非常に広範多岐にわたってきておるという状況の中で、それを責任を持って遂行する役所が一つだけエージェンシーになっているというのは、いかんせんおかしいぞということで指摘させていただいたわけでございまして、また同僚議員その他いろいろ再三発言がありましたが、私どもも、なぜ防衛庁だけなっているんですかという説明がつきません。このあたりはひとつ重ねて総理に認識していただいて、我々も努力しますが、政治の責任者として、行政の責任者として、ひとつしっかりと頭に入れてお力添えを賜ればありがたいと思います。  あと、私、やはり二十一世紀の安全保障を考えた場合に、アメリカとの同盟関係というのは極めて重要だと。総理も十九日には日米首脳会談をやられるということでございます。  それで、これを考える場合に、外務大臣にまずお伺いしますが、やはり今ブッシュ政権になって、本当にアメリカのホワイトハウスは日本通の方々が大分席を占められておる。こういう体制のときに本当にしっかりした日米関係を構築していくということは極めて重要である。  私も国防部会というので、今そういう新しい時代に対処する我が国の安全保障のあり方というのを毎週朝飯会で勉強しております。ある講師は、日本人ほど親しい友人をがっかりさせるのに名人はないというようなことを言っていました。私は、まさに安全保障面で大変な期待がある中で、今後我々として的確な体制をとっていくということが極めて重要じゃないかと。  それで、あらかじめ質問にも出しておきましたが、昨年十月、ブッシュ政権になるかゴアさんになるかはっきりわからないまだ十月の時点でしたが、アメリカの国防大学国家戦略研究所、INSSで、今、国務副長官になったアーミテージさんなんかが中心に共和党、民主党の支持者十六人が集まって、いわゆるアーミテージ・レポートと言われていますが、「米国と日本─成熟したパートナーシップに向けて」という論文を書かれた。  これはもう私読んでみました。それで、外交上、政治、安全保障、沖縄、情報活動、経済関係、外交関係にわたって、あるべき姿というようなものが非常にしっかりと書かれておると。日本もこのあたりをしっかりしてもらうと、さらに一層まだ依然として混沌としているアジア情勢の中でしっかりできるんだがなというラブコールもある。しかし、これは日本考えることだと、こういう形になっておりますが。  外務大臣、まずこのあたりの、本当に日米同盟を今後考えていく場合に、こういう本音の議論というのは極めて重要だと私は思っておるんですが、このあたりをどう受けとめて、外交を主管する外務大臣としてこれにどう対処していくお考えか、その点をお伺いしたい。
  359. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 御指摘のアーミテージ・ナイレポートといいますか、報告書が出ております。  お話しのように、極めて日本のことをよく知っておられるアーミテージさんがその中核になっておられるということもありまして、私どももこのレポートは非常に関心を持ってきたわけでございます。  今お話しのように、このアーミテージ氏は、今回ブッシュ政権の国務省の副長官ということで極めて重要なポストにつかれたということもございまして、ますますアーミテージさんの考え方というものが反映される可能性が出てきたというふうに私も思っております。  ただ、問題は、このレポートは日米関係について書かれたレポートでございます。このレポートについて今政府としてコメントする立場ではございませんけれども、恐らく国務省の中核のポストに座られれば、世界全体のバランスを考えるとか、さまざまなまた角度でいろいろなお考えも必要になってくるということもあるかもしれません。  しかし、いずれにしても、新しいブッシュ政権が同盟関係というものを重視するということを非常にはっきり述べられて、今度は総理がブッシュ大統領との間に会談をされますが、恐らくそこでもブッシュ大統領は日米同盟というものについて相当はっきりと期待を述べられるのではないかというふうに私も思っているわけでございます。私も、パウエル長官とお目にかかりましたときにも、この同盟関係自分としては重視するということを言われました。つまり、先方が重視するということはそれに日本もこたえてくれと、こういう気持ちも恐らくそれには込められているものというふうに私ども考えております。  日米両国が協力、どこが協力できる場面であるか、どういう協力が最もいい効果的な協力であるかということをよく考えて、外交政策の基軸たる日米関係を進めていかなければならぬと思っています。
  360. 依田智治

    依田智治君 防衛庁長官に同じ件で、我が国は、後ほど、法制局長官も来ていただいていますが、集団的自衛権という問題もちょっと御意見総理にも伺わなきゃならぬと思っていますが、やはりこの日米防衛協力という中でこれから本当にガイドラインのフォローアップをどうしていくのか、さらに共同訓練等についても年々本当に密度の濃い訓練ができるようになってきた、そういう意味では同盟国としての信頼というものが高まってきている。また、PKOや人道的援助というような面でも、そのレポートではしっかりとした協力をやっていきましょう。さらに、情報協力、またミサイル防衛協力、防衛技術協力とか、広範にわたって本当に同盟国としてしっかり協力し合っていこうじゃありませんか。そういう形が本当に述べられている。  それで、私は、アプローチとして、例えば憲法というものがあるから、上からこの考え方を変えてがっとおりてくる方式と、やはり今の中でしっかりできることを積み上げていく、それでこんなことはできないのはおかしいなという形で下からむしろ積み上げていくという努力というものも大変重要じゃないか。こういうことで、防衛庁長官に、このあたりをどう受けとめて、今後防衛庁として日米防衛協力という面でどのように防衛庁長官は指揮していく考えか、その点をお伺いしたいと思います。
  361. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 依田委員には大変重要な御質問をいただいたというふうに思っております。  ただいま河野外務大臣からも御答弁ございましたけれども、このアーミテージ・レポートは大変重みのあるレポートだと思っております。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕  簡潔にこの内容を申し上げますと、先生御案内のように、一つは日米ガイドラインの誠実な実行について書かれてございますし、また効果的な日米共同訓練の実施も触れられておりますし、さらにPKOにおける協力などに多くのことが提言されております。  防衛庁としては、これまでも運用面並びに訓練面等で日米防衛協力のための指針の実効性の確保に努めてきたところでございますが、今後とも日米安保体制の信頼性を向上させるために、これらの分野での日米協力をさらに深めていきたいと考えております。  また、このレポートにおきましては、新たに情報交換、新たな脅威、例えば大量破壊兵器の拡散、テロ、または情報戦等、こういったものへの対応、さらに人道的支援、災害協力支援等、いわゆる戦闘以外の活動の分野における日米協力の強化についても言及されているところでございます。  防衛庁としては、これらの提言を一つの参考にしながらも、具体的にいかなる分野でどのような協力が可能性があるかについて、今後我が国としての主体的立場に立って米新政権との間で緊密な協議を行っていきたいと考えておるところでございます。  集団的自衛権の件についても御質問をいただきましたけれども、それに抵触しない範囲での日米防衛協力も多分にあるというふうにも考えてございます。この点につきましては、現在、依田先生を中心に自民党では国防部会において勉強していただいているというふうに伺っているところでございますので、今後ともよろしく御指導、御鞭撻をいただきたいと思っております。
  362. 依田智治

    依田智治君 総理にはこの件のまとめのときにちょっと総括して御報告、御意見を伺いたいと思いますが、やはりこれからの日米防衛協力、日米協力、同盟関係というものを考えていく場合に、やはりこの集団的自衛権という問題は十分これは考えていかなきゃならぬ問題です。何か集団的自衛権というと、非常に異質な、何か特別なもののような印象を持っておる方多いかと思うんですが、自衛権というのは、やはり国際連合憲章でも五十一条で、国家固有の自衛権として自分が攻められた場合の個別的自衛権、同盟国等が攻められた場合に共同して当たる集団的自衛権というものはあるわけですね。  そこで、きょうは法制局長官に来ていただいておりますが、我が国は自衛権は持っているというのは憲法上のずっと一貫した解釈でございますが、その自衛権という中には、いわゆる国際法上、我が国が国連憲章でも固有の権利として認められている個別的自衛権、集団的自衛権というものは、我が国が持っているという自衛権の中には入っているのか、その点をまずお伺いしたい。
  363. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) お答えいたします。  先生は防衛問題の専門家でいらっしゃいますから簡単に答弁させていただきますが、御承知のとおり、国際法上、我が国が集団的自衛権を持っておるというのは主権国家として当然であるというのが従来からの考えでございます。  ただ、しかしながら、政府といたしましては、従来から憲法九条のもとにおきまして許容されている自衛権の行使といいますのは、これは我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまらなきゃいけないという考え方でありまして、他国に加えられました武力攻撃を阻止することをその内容といたします集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法上許されないという立場で一貫しているわけでございます。  そして、我が国がこのように憲法上、集団的自衛権を全く行使できないという以上は、これを持っているかどうかというのはいわば観念的な議論でございまして、また集団的自衛権の保有それ自体につきましては、憲法上明確に言及しているわけでもございません。  そこで、従来から、集団的自衛権につきましては憲法上行使できないと、その意味におきましては保有していないと言っても結論的には同じであるというふうに説明してきているところでございます。
  364. 依田智治

    依田智治君 じゃ、ここのところは実際上、憲法上行使できないから持っていないと同じだという議論というのは私は、質問は、自衛権の中にはそれは入っているのかと、入っておるとすればあるんだなと。しかし、我が国は憲法上、必要最小限の武力の行使しか認められていない。したがって、集団的自衛権というものを行使することは憲法上認められないんだというような理屈ならば理路整然ですが、今の法制局長官の話を聞きますと、一応同じだとはいうものの、じゃ、あるということですよね。憲法上も自衛権はある、集団的自衛権はある。しかし、憲法上行使できない以上、あるという議論を言ったところで使えないんだから意味がないと、こういうような解釈にとってよろしいんですか。その点、もう一回。
  365. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) 今、先生がおっしゃったように、憲法上あるとかないとかいう議論をいろいろ従来からしておりまして、ただ、憲法上あると言ったところで集団的自衛権の行使ができない以上は、それは結論的には、何といいますか、保有していないということと同じであろうというような答弁を従来から言っているわけでございまして、その点は先生が先ほどお述べになったことと変わりないと存じます。
  366. 依田智治

    依田智治君 きょうは時間の関係でさらに議論するのはやめますが、しかし憲法上やはり行使はできない、この理屈も、実はどういう条件に基づいて行使できないのか。そもそも自衛権というものを発動するのには自衛権発動三原則がある。それで、急迫不正の侵害に対して我が国を防衛するために他に適当な手段がない場合に必要最小限にやる、こういう解釈になっていて、したがって集団的自衛権というものはそれを超える、こういうことになるんだろうと思うんですがね。そのあたりは、私は、この必要最小限というようなものも時代とともに変わってきていると思うんですね。  そういう点で、やはりこれからの国際社会に我が国も安全保障面でいろいろ話し合いしていく場合でも、やはり武装した部隊を戦闘目的を持って他国に送るというような集団的自衛権は我が国の憲法上認められないというのは私も当然だと思いますが、ここからここまでは持っていったらいいが、そこから先は武力行使と一体だというような全くわからない議論になっておるわけでして、それも集団的自衛権の延長上の問題として我が国では論じられている。  そういう点考えますと、情報活動でも、一般情報の協力ならいいけれども、どこかを爆撃するために個別の情報をとった協力はいかぬとか、ちょっとそういうような点から見ると、全体的に我が国としてこういう問題についてしっかりとやはりこれから議論しなきゃならぬ問題じゃないか。  ただ、きょうの法制局長官答弁で、持っていると、使えないんだから持っている議論をしても意味ないということは、潜在的には持っているという答弁があったと私は考えますが、以後、この問題はまた十分我が党内でも議論し、今後我が国のあるべき姿を検討する場合に真剣に対処していく問題だ、こう考えております。  そこで総理、一言、日米関係。  これからアメリカに行ってきます、そういう場合に、総理として、二十一世紀の日米関係の中でこういう日米同盟の関係というのは非常に私は重要な問題だと思っていますので、総理としてどのように一般的に考えておられるのか。集団的自衛権の個別的な解釈等は結構ですから、一般的な、これからアメリカにも行き対米交渉等に臨む総理の基本的考え方お話しいただければありがたい。
  367. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほども御答弁を申し上げましたが、既にブッシュ大統領とも電話会談をいたしておりまして、日米同盟関係の強化に向けて協力していこう、こういうことで電話会談ではございましたが意見の一致を見ておりますけれども、十九日には改めて日米首脳会談におきまして同盟国として率直かつ忌憚のない対話を深めまして、国際社会が直面する問題への対応におけるおのおのの適切な役割のあり方を含み、政策協調を緊密に行うことで日米間の同盟関係をより強固なものにいたしたい、このように考えております。  その中で、我が国といたしましては、米国との間でアジア太平洋情勢に関する対話を強化し、この地域の平和と繁栄を支える努力を米国とともに継続していきたい、また地域の平和と安定を確保すべく日米安保体制の信頼性の向上に引き続き努めていくとともに、経済分野の問題でもございますが、これには日米間の協力について、従来摩擦という形でよく議論をしてきたわけでありますが、そうしたことではなくて、協調の精神でお互いに日米関係を探求して世界平和、世界経済に対しても両国間で十分な寄与ができ得るようなお話し合いをしていきたいというふうに思っております。  もう一つ、日米会談では日米同盟関係の維持強化というそういう極めて重要な外交課題についても話し合う考え方でございますが、私の政治的な立場云々ということではなくて、同会談を成功させるように全力を尽くすことが日本国の総理大臣としてのこれは使命でございまして、それが我が国の国益にかなうものであると、このように考えております。  その他、私といたしましては、内外の諸課題につきまして、また日本が、この予算委員会等で議論をいたしておりますように、いわゆる経済問題も中心に、また我が国が構造改革を進めていくというそうした道筋につきましても率直な意見の交換をしてまいりたいと、このように考えております。
  368. 依田智治

    依田智治君 日米関係、これから二十一世紀、我が国がいろいろ国際的に活動をしていく上での基本でございますので、しっかりと対応をよろしくお願いしたいと思います。  あと、危機管理と緊急事態法制についてお伺いします。  防衛庁長官、有事法制は、本当にもう防衛庁が自衛隊の出動に関する法律を研究してから、昭和五十年代ということですよね、それからまだ第三分類、米軍の行動にかかわる行動というようなものも全く検討されていないと、こういう状況でございまして、やはりガイドラインで周辺事態に対してある程度の範囲での法律ができたと。しかし、国家有事に関する法律、日米同盟関係の面でもやはり重要な米軍の行動にかかわる法制、まだ研究の着手もしていない、こういう状況は極めて遺憾であると、こう思うわけですが、防衛庁長官としてはこの点についてどう考えられるか、簡潔で結構ですから。
  369. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 依田委員から大変重要な御質問を賜りました。  まず、有事法制の必要性は、御指摘のように、国民の生命、安全を守るという、こういった問題が一つございますし、また自衛隊の任務遂行を全うするという観点からも、さらにかかる防衛体制を整備するということが我が国に対する武力攻撃の抑止に資するという観点から必須のものであると従来申し上げてきたところでございますし、加えまして、このような法制を平時において十分に検討の上備えていくことこそが国民の権利を最も擁護することにつながるというふうに考えております。  そこで、本件につきまして、先般、森首相から施政方針演説におきまして述べられたとおり、政府として踏み込んで法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請するとのこれは昨年からの与党考え方を十分に受けとめてということの中で検討を開始していくことをしたわけでございます。  これを受けまして、今後の具体的な検討内容並びにスケジュール等について内閣官房を中心に関係省庁検討していくこととなりますが、防衛庁といたしましても、これまでの実施してきました有事法制研究を踏まえまして、政府全体の検討内容、スケジュール等を整合を図りつつ鋭意検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  370. 依田智治

    依田智治君 今、防衛庁長官からもお話がございました。私が内閣安全保障室長のときに防衛庁から第一分類、第二分類預かっていた。さらに第三分類の研究等を内々手がけてきまして、総理、当時海部さんでしたが、もうやっぱりこれ研究はしておきましょうと、だから総理から研究しなさいと言っていただけばやりますからと言ったんだけれども、なかなか総理からは研究しなさいという声がかかりませんで今日に至っているというのが実態でございまして、この間総理が施政方針演説の中で検討をするということを言われたということは、私は大変な画期的なことだと思うわけです。  それで、総理、あそこでは言われましたが、やはり法制化について研究する、そして、まだ検討すらできていないものについて研究するということは全く問題ないけれども、むしろ研究していないこと自体が国民の安全を確保する行政の責任として怠慢であるぐらいに思うんですが、具体的に総理はこの研究を今後どのように指示して進められる考えなのか、簡単に簡潔で結構ですが、御報告いただきたいと思います。
  371. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 専門家の依田議員に私から申し上げることもかえって御無礼かと思いますが、今、斉藤長官から御答弁申し上げましたように、昨年、依田議員たちも中心になられたと思いますが、その与党考え方を十分に政府として受けとめて検討を開始したい、こういう考え方でございまして、国家国民の安全を確保していくためにはどのような法制が必要なんだろうか、あるいはまた、どのような枠組みで取り組むべきことであるか等についての所要の検討を進めてまいりたい、こう考えております。多数の省庁にこれはかかわることでございますし、検討内容も極めて多岐にわたる重要なそうした課題であろうというふうに認識をいたしております。  お尋ねの具体的な期間あるいはスケジュールについて、まだお示しができる段階ではございませんが、この検討には遅滞があってはならない、こう考えておりまして、そういう意味で内閣官房を中心に関係省庁で鋭意検討を進めていきたい、このように考え、指示をいたしているところでございます。
  372. 依田智治

    依田智治君 ありがとうございました。  総理からそういう具体的な答弁をいただいたのは初めてでございまして、今後しっかりとこれを国民のために検討を進めていくことが重要じゃないか。  あと、この点に関係して、やはり有事法制というよりも平時における緊急事態が起こったような場合、自衛隊等が行動するいわゆる領域警備法制、そういうような問題がやはり不備であるという点が我が国の安全保障、危機管理上非常に欠陥じゃないか、こう考えておるんですが、党内においてもこの道の研究をしております石破副長官、ちょっと現状を簡単に御説明をお願いしたい。
  373. 石破茂

    ○副長官(石破茂君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、不備な部分があるのではないかという御指摘をいただいております。  これは、一昨年の六月に、先生も中心になって議論をしていただきました自由民主党の危機管理に対するプロジェクトチーム、そこにおきまして、法制化も含めて検討すべき旨の提言がなされております。また、昨年の、平成十二年の三月でございますが、自民、公明、保守三党の合意事項として、現行法制度のもとで対応を強化するとともに法整備を図る、そういう合意がなされておるところでございます。  私どもそれを受けまして、具体的に今検討をしておるところでございますが、端的に申し上げれば、海上警備行動が下令をされまして海上自衛隊が全力を挙げて工作船を追尾いたしましたが、取り逃がしました。だとすれば、海上警備行動下令時における武器の使用のあり方はどうなのであろうかということ。また、工作員等が入ってきましたときに、自衛隊法九十条は武器使用につきまして「多衆集合して」と、こういうふうな規定を設けております。それでは、二人とか三人とかそういう場合が「多衆集合して」と言えるのだろうかということがあります。  また、先生御案内の例の下甑島の場合には、警察力がそこにないという場合にどうしましょうかということがございます。また、そういう場合に警戒監視したときに、本当に何も持たずに行っていいんですかと、そういうような問題もあろうかと思います。これは警察との協定を改めたところでございまして、暴動等の部分に加えまして工作員のようなもの、そういうような形で協定を見直したところでもございますが、なお不十分なところがあろうかと思っておりまして、現在鋭意検討中でございます。  与党三党、また自由民主党、その提案を踏まえまして、法制化も含めまして現在鋭意検討を行っておるところでございます。どうか御指導を賜りますようにお願いを申し上げます。
  374. 依田智治

    依田智治君 これらの問題は平時における備えという面で極めて重要ですので、私どもとしても検討を進め、できるだけ早期に法制化等を検討すべき問題である、このように考えております。  最後に、いわゆるいろいろ外交交渉をするにしても何にしても、やはり国の守りというのは自衛隊があり、それを支える自衛官があるわけでございますので、着実な防衛力整備というもの、それと自衛官の処遇の改善というような面、これを最後に、これは二つに分けていましたが、時間もあれですので私が問題点を述べますので、防衛庁長官、まず一括して御答弁をいただいた上に、最高指揮官としての総理お話を伺いたい、このように思います。  一つの着実な防衛力整備という問題でございますが、湾岸戦争のときを思い出してください。本当に少数な犠牲で物すごいピンポイント爆撃、それには空からの監視、そして巡航ミサイル等による攻撃とか、そういう科学的な形で犠牲を少なくやってきている。今アメリカ等でも軍事における革命というものが大変なやっぱり重要性を増してきている。かてて加えてIT、軍事の面でも情報化という問題、これは極めてもう情報が勝負というくらいな時代になってきておるわけです。そういう点で、ドッグイヤーと言いますが、七年、一年おくれれば七年というぐらい、そういう中でその技術をどうやって維持していくか。防衛というのは、やはり輸入だけすればいいという問題じゃない。まさに我が国の防衛産業技術基盤、それをしっかりと維持しつつそれを支えていっていただく必要がある。  そういうことで、私は、防衛力、我が国の場合はGNP一%足らずということでございますが、やはり装備の近代化努力、それから老朽装備の更新、それに訓練というのも日常の非常に任務がふえてきていて自衛隊の諸君非常に苦労しています。そういうことで先般中期防衛力整備計画もつくっていただきましたが、このあたりの着実な防衛力整備ということが国の守りとして極めて重要だ。この点を防衛庁長官、主管の大臣としてまずお答えいただきたい。  そして、こういう防衛力をいかに整備しても、それを運用するのは自衛官でございます。先ほど田村議員からも話ありましたが、我が国の場合にはやはりまだ武力組織というもの、国、国家の存立のためにはそういう武力組織というものが実力組織として必要である。そうすると、やっぱり一般公務員と違うんですね。PKOで行けば日本の軍人はすばらしいと、こうなっているわけですが、日本では軍人ではない、特別公務員と、何というかあいまいな状態になっております。  そういう点も考えますと、私はしっかりと日本の国としてもこの自衛隊というものを、本来は憲法上しっかり位置づけるか国家安全保障基本法というようなものをしっかりつくってそのあたりを位置づけて、いざというときは命を捨てて国のために奉仕する集団というもの、例えば勲章の制度なんというのも、今、上の方しかもらえませんが、一部下の方という程度でございます。何か特別な制度を、もともと軍人に対する制度として勲章というのは始まったんじゃないか、こう思うわけでございますが、それらの点を含めますと、年々いろいろ努力いただきまして、隊舎、宿舎、装備等は非常に向上してきていますが、こういう点の努力というものを我々としてしっかりやっていくことが物的、人的という面でしっかりと国を守る、そういうもとになるんじゃないか、こう思います。  そこで、以上の点につきまして防衛庁長官、そして締めくくりで総理お話を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  375. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 依田委員より防衛における最先端のお話をいただきました。RMAというお言葉をいただいたわけですが、レボリューション・イン・ミリタリー・アフェアーズ、最先端のお話でございますし、IT革命にも触れていただきました。こういうものを包括いたしまして、昨年十二月、中期防衛力整備計画を策定させていただきました。また、装備品等のことにつきましても十分な御支援をいただきつつあるところでございます。  しかしながら、一番大事なのは人でございまして、組織の基盤は人であると、御指摘のとおりでございます。隊員一人一人が誇りを持って士気の高いそのような活動ができるように私ども鋭意努力しているところでございますが、平成十三年度予算におきましても、依田先生を初めとする先生方の御支援をいただきまして、例えば隊員の隊舎、これは冷暖房をまだ兼ね備えているところもないということもございまして、その整備率を九〇%にいたしたいという施策も盛り込んだところでございます。  引き続き、隊員の福利厚生や栄典の充実を含む処遇改善施策を先生の御協力もいただきまして、しっかり頑張っていきたいと思います。
  376. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 依田議員から極めて高度な立場で御指導をいただいたと思っております。  情報通信技術が急速に進歩をいたし、また普及をいたしておりますので、この点につきましては十分これをやはり勘案しながら今後防衛力の整備というものについて進めていくべきであろうと、これは依田議員と私、同じ考え方でございます。  この計画の基本方針におきましては、IT革命への対応等に特に留意をしながら必要な機能の充実と防衛力の質的向上を図る、高度なネットワーク環境の整備あるいは各種指揮通信システムの整備、情報セキュリティーの確保などの諸施策を重点的に推進することといたしております。  ただいま防衛庁長官から申し上げたことにすべて尽きているわけでありますが、先ほど田村議員の御指摘にもございましたように、自衛隊の皆さんが本当に国民の生命、財産の保護という重大な任務を帯びておられて、各隊員が日夜厳しい任務に精励していることにかんがみて、隊員の福利厚生あるいは栄典の充実、公舎、処遇改善等の施策を幅広く実施していかなければなりませんし、また、これらについても充実をしていくようにしたい。特に私自身は今、自衛隊の最高指揮官というそういう立場にございますので、いろんな機会をとらえて、そして隊員の士気高揚に努めていきたいと、こう思っております。  私は、生まれた自分の郷里が自衛隊小松基地から車でわずか五分ぐらいのところでございますし、今住んでおります小松市の私の自宅も実は三分ばかりのところでございまして、日常、常に自衛隊の皆さんと接している機会がこれまでも非常に多かったし、先ほど申し上げたように、機会あるたびに市ケ谷の、新しい庁舎が立派だから行っているわけじゃございません。六本木も随分参りましたけれども、これまでも今調べてみましたら七回お訪ねをいたしまして、いろんな皆さんにお目にかかって激励を申し上げておるところでございます。  さらに今後とも、そうした隊員の士気高揚について十分配慮をしながら進めてまいりたいと、このように考えております。
  377. 依田智治

    依田智治君 ありがとうございました。  終わります。
  378. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上できょうの依田智治君及びその関連質疑はすべてこれを終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会