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2001-03-09 第151回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月九日(金曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  三月八日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     久野 恒一君      小泉 親司君     西山登紀子君  三月九日     辞任         補欠選任      松谷蒼一郎君     山内 俊夫君      西山登紀子君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡野  裕君     理 事                 岩城 光英君                 木村  仁君                 須藤良太郎君                 吉村剛太郎君                 高嶋 良充君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 小池  晃君                 照屋 寛徳君     委 員                 有馬 朗人君                 石渡 清元君                 入澤  肇君                 鎌田 要人君                 亀井 郁夫君                 岸  宏一君                 久野 恒一君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 陣内 孝雄君                 野沢 太三君                 南野知惠子君                 日出 英輔君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 松村 龍二君                 山内 俊夫君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 櫻井  充君                 内藤 正光君                 堀  利和君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 柳田  稔君                 大森 礼子君                 浜田卓二郎君                 益田 洋介君                 大沢 辰美君                 西山登紀子君                 畑野 君枝君                 宮本 岳志君                 清水 澄子君                 松岡滿壽男君                 高橋 令則君                 島袋 宗康君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     高村 正彦君        外務大臣     河野 洋平君        財務大臣     宮澤 喜一君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   谷津 義男君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    麻生 太郎君        国務大臣     橋本龍太郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   坂井 隆憲君        内閣府副大臣   村井  仁君        総務大臣    小坂 憲次君        法務副大臣    長勢 甚遠君        外務大臣    荒木 清寛君        財務大臣    若林 正俊君        文部科学大臣  大野 功統君        文部科学大臣  河村 建夫君        厚生労働大臣  増田 敏男君        厚生労働大臣  桝屋 敬悟君        農林水産大臣  田中 直紀君        経済産業大臣  松田 岩夫君        国土交通大臣  泉  信也君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       今村 雅弘君        国土交通大臣政        務官      吉田左エ門君        環境大臣政務官  熊谷 市雄君         ─────        会計検査院長   金子  晃君         ─────    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       衞藤 英達君        総務省自治財政        局長       香山 充弘君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        文部科学省高等        教育局長     工藤 智規君        厚生労働省医政        局長       伊藤 雅治君        厚生労働省医薬        局長       宮島  彰君        厚生労働省労働        基準局長     日比  徹君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    今田 寛睦君        厚生労働省保険        局長       大塚 義治君        厚生労働省政策        統括官      石本 宏昭君        農林水産省農村        振興局次長    佐藤  準君        経済産業省産業        技術環境局長   日下 一正君        資源エネルギー        庁長官      河野 博文君        国土交通省都市        ・地域整備局下        水道部長     曽小川久貴君        気象庁長官    山本 孝二君        環境大臣官房長  炭谷  茂君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○平成十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会開会いたします。  公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  平成十三年度総予算案審査のため、来る三月十五日午前十時に公聴会開会いたしたいと存じます。御異議はありませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、そのように決定いたします。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、そのように決定をいたします。     ─────────────
  5. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、平成十三年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告を申し上げます。  本日の質疑割り当て時間は百十八分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・保守党二十分、民主党・新緑風会四十二分、公明党十七分、日本共産党十七分、社会民主党・護憲連合十分、無所属の会四分、自由党四分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりであります。     ─────────────
  6. 岡野裕

    委員長岡野裕君) しからば、平成十三年度一般会計予算平成十三年度特別会計予算平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、質疑を行います。岸宏一君。
  7. 岸宏一

    岸宏一君 自由民主党の岸でございます。  気象庁長官、きょうはいらっしゃっていますか。どうも御苦労さまでございます。  どうですか、どうも我々はこの冬は暖冬じゃないかと、暖冬とたしか気象庁予報したというふうに記憶しておりますし、また昨日の扇大臣も本来は暖冬だと私どもも聞いておりましたとおっしゃっていましたので、私の記憶も間違いないかと思うんですが、どうですか、長官
  8. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  気象庁では、十月にことしの冬の寒候期予報というのを発表しました。その段階では全国的に気温高目推移するだろうと予想しておりましたが、ことしはアリューシャン付近北極からの寒気が停滞いたしまして、北日本では暖冬から寒冬気温推移したと。しかしながら、東日本から西日本、沖縄にかけては暖冬傾向、やや平年並みという傾向でございます。
  9. 岸宏一

    岸宏一君 そうしますと、当たらずといえども遠からずと、まずまずの予報だったというふうに思っていらっしゃるわけですか。
  10. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  北日本につきましては、暖冬予報していたところ寒冬推移したわけでございまして、私ども北日本の一、二月の気温は約十五年ぶりの低さで経過したわけでございます。これに伴いまして降雪量も十五年ぶりの記録ということで、気象庁では一月に発表しました一カ月予報で、北日本気温は低目に推移するだろうというふうに予報修正は行わせていただきました。
  11. 岸宏一

    岸宏一君 このごろ、気象予報というのは当たるんじゃないかというふうに私どもも思っておりましたし、これだけ科学技術が発達したわけで、どうも長期予報が当たらないというのは、一般的に国民として見れば奇異の感を持たれるんじゃないかと。何か気象庁としてもそれに対して言い分があるんじゃないかと思いますけれども。  例えば、財務大臣がおりますが、予算をたくさんくれないんだとか、新しい機械を置きたいんだけれども少ないんだとか、こういう言い分か何かはございますか。
  12. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  現在、気象庁ではスーパーコンピューターをこの三月一日に新しい世代に更新させていただきました。また、昨年度からミレニアム・プロジェクトということで、海の状態が非常に気候に与える影響が大きゅうございますので、高度海洋監視システムARGO計画を推進することとしてございます。  いずれにしても、今後は地球全体の大気状態の解析をさらに充実させまして、仮に大気状態推移が予測と異なる可能性が生じた場合にはなるべく早期に適時予報修正等を行いまして、大気状態推移に関する解説を周知させたいと考えております。  現在、予報精度向上に向けて数値予報という新しい手法の開発に取り組んでございますので、今後さらなる長期予報精度向上気象庁としては努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  13. 岸宏一

    岸宏一君 そこでお伺いいたしますが、ことしの気候は私は非常に異常な気象であったと。なぜ異常かと申しますと、これは大雪低温ではなかったかというふうに思いますが、気象庁としてこの雪の状態、それから低温状態、こういったものをどのように分析しておられるか、とらえておられるか。  それともう一つ、わかりやすく言えば何十年ぶりの異常な雪の状態であるとか、例えば川をつくる場合、護岸をする場合ですと、二十五年に一度の災害を想定して二十五分の一だとか三十分の一だとかという表現をしてやっておりますけれども、そういう意味で、何年ぶり大雪だとか何年ぶり低温だとか、こういうことをひとつわかりやすくお聞かせください。
  14. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  ことしは北極寒気団が南下しやすい状態になってございます。これは一九九〇年前後は北極寒気団日本付近に南下しにくい状態ということで、十年間は大変暖冬傾向推移しました。しかし、ことしは先ほど申しました寒気の下がりが大変厳しくて、おおむね北陸から北海道にかけては十五年ぶり寒冬でございましたし、特に青森では十五年ぶり大雪ということで、十五年ぶりの雪並びに低温を今冬は経過したというふうに認識してございます。
  15. 岸宏一

    岸宏一君 私は山形県の豪雪地帯に住んでおりまして、生まれましてもう六十年になりますけれども、どうも十五年に一度の大雪という、そういう実感じゃないんですね。少なくとも三、四十年ぶり大雪じゃないかという、そういう感じがするわけです。  ですから、ぜひこれは、まだきょうも東北、北陸はずっと降っておりますから、今では十五年ぶりでしょうけれども、この後の推移によってはもっと何十年ぶりと、こういうふうになる可能性もあるわけですから、その辺どうでしょうか。
  16. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) 昨日からの寒気の南下に伴う大雪が予測されているわけでございますが、これを仮に足したとしても十五年ぶりくらいではないかと現在のところは考えております。  先生お尋ね山形の場合には、この十五年の中でも五、六年の周期をもって大雪になった年もございますので、山形新庄の方についてはかなり平年的に雪が多かったときもあったということでございます。
  17. 岸宏一

    岸宏一君 こういう話を聞いていると、大したことはないというふうに聞こえますので、多くを語る時間もありませんので、後からパネル皆さんにお配りしますので、ぜひごらんになっていただきたいと思います。  そこで、私は、なぜ十五年ぶりではないのではないかという思いを持っているその理由の一つは、この雪による死者あるいは負傷者、この数が非常に多いのでございますね。これをまとめていらっしゃるのは総務大臣でしょうか、どうぞひとつ。
  18. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 都道府県を通じまして二月二十八日の時点で集計しましたところ、この冬の雪害による死者数は五十五名、負傷者は七百二名でございまして、山形県は死者九名、負傷者百九十八名でございます。
  19. 岸宏一

    岸宏一君 死者五十五名ということですね。これは大変なことだというふうに思うわけです。どうですか、気象庁長官、こういう死者が五十五名も出て、負傷者が七百名ですか、これだけの人数が負傷されておる。十五年ぶりだったとすると、十五年前の大雪のときに五十五人ぐらいは死んでいるはずなんですね、簡単に言えば。  そういうことで、よく地域の雪の状態を、ここではこういうふうなお答えで結構ですから、今後もよく調べられて、もしあなた方の調査に間違いがあったとすれば遠慮しないで正直に、いや、これはやっぱり三十年ぶりだったとか四十年ぶりだったとか、こういうふうにお示しをいただきたい。こういうことをひとつお願いしておいて、もう長官結構でございます。よろしくどうぞ。ありがとうございました。  そこで、死傷者の問題でございますが、私は、どうもこの原因を調べてみますと、新聞などを見てよく皆さんも御承知でしょうが、家の周りの雪を片づけようとして、屋根の上から雪が落ちてきてつぶされて死んじゃったとか、しかもそれは老人世帯皆さんでありますとか、それからひとり世帯でありますとか、そういう方々が結構多いように思うわけでございます。  ところが、私は、十五年ぶりとはいいますが、そもそも今回の大雪というのは自然災害だというふうな認識でとらえておりますので申し上げるわけでございますが、災害だといたしますと、こういう死者に対して弔慰金というものが払われてしかるべきではないかと。ところが、どうもこういう雪の災害の場合にそういう制度が当てはまらないという、そういう非常に矛盾した話を聞いているわけですけれども、この辺についてはこれは厚生労働ですか、ひとつお願いいたします。
  20. 桝屋敬悟

    ○副大臣桝屋敬悟君) お答えを申し上げたいと思います。  初めに、先ほど総務大臣からもお話がありました、ことしの雪害によりまして五十五人というお話を伺いまして、お亡くなりになった方あるいは負傷された方に対してお悔やみとそしてお見舞いを心から申し上げたいと思います。  今お尋ねがございました災害弔慰金等の問題でありますけれども自然災害によって亡くなられたり重度の障害を受けられた方に対しましては、各市町村条例に基づきまして災害弔慰金あるいは災害障害見舞金支給しているわけであります。  今、先生からもお話がありましたけれども雪害自然災害一つでありますから、これは各市町村条例に基づいて対応するということになるわけでありますが、その場合、問題はやはり国の負担国庫負担をどうするかということでありますが、住居の滅失した世帯が五以上でありますとか、一定規模以上の災害につきましては国において災害弔慰金法に基づく国庫負担を行うという仕組みになっているわけであります。残念ながらと申し上げるべきでしょうか、それとも幸いにしてと申し上げるべきでしょうか、ことしの豪雪災害につきましては、今までのところ災害弔慰金法要件を満たすような規模被害報告をされていないわけであります。  なお、先ほど先生お話がありました支給対象状況でありますけれども、もしこれが支給をされるという事態になりますれば、家の倒壊等直接の豪雪被害に限らず、例えばお話がございました雪おろし中に転落をされた方などについても、故意や重過失によるものでない限り対象になるというふうに理解をいたしております。  いずれにいたしましても、今後とも地方公共団体と連携を密にしながら、災害状況把握に努めつつ災害弔慰金制度の適切な運用を図ってまいりたい、このように考えております。
  21. 岸宏一

    岸宏一君 ちょっと今聞き漏らしましたが、雪おろしをして転落をして亡くなられた方はこの法に基づいて支給されるということですか。
  22. 桝屋敬悟

    ○副大臣桝屋敬悟君) 先ほど申し上げましたけれども市町村現場によりましてこの災害弔慰金支給をするという事態になりますれば、今、先生がおっしゃったような雪おろし等の作業で災害に遭われた方も当然対象になるということでございます。
  23. 岸宏一

    岸宏一君 市町村支給すれば国もなると、こういうことですか。
  24. 桝屋敬悟

    ○副大臣桝屋敬悟君) ですから、国の国庫負担をどうするかということについては、先ほど申し上げましたように、災害弔慰金支給等に関する法律に基づきまして、一定規模以上の自然災害に対してということになるわけであります。その点は御理解いただきたいと思います。
  25. 岸宏一

    岸宏一君 一定規模というのにはいろいろな条件というんでしょうか、これがあるんですけれども、五十五名も全国で亡くなったのに、たまたまこの弔慰金支給支給条件に合わなかったということで支給されないということになりますと、何か私は非常に、この法律支給要件というんですか、これに問題があるような気がしてなりません。この点、これはひとつ厚生労働省だけの問題ではなくて、これは実際に住民を抱えている都道府県市町村も重大な関心を持っておる問題だというふうに思うんですね。  この点、ひとつ厚生労働省におきましてよく検討をされて、こういう法律はそういう自然災害に遭った人にできるだけ適用されるようにすべきがこれは法律だと思うんですね。ただ単に一つの条項があるからこれはだめよというだけでは、やっぱり本当の血の通った行政なり法なりとは言えないんじゃないかという、そんな気がいたしますので、ぜひひとつ再度御検討をしていただいて、雪国の皆様の御苦労によく理解のあるそういう行政をやっていただきたいものだというふうに思います。  特に、大体屋根から転落して亡くなった人なんかでは、例えばボランティアで、あるいはボランティアという団体に入っていなくても、たまたま隣近所に住んでいるものだからかわいそうだから雪おろしをしてあげよう、そしてたまたまそういうことで屋根の上に上がっていって落ちて事故になったと、そういう例もかなりあると思うんですね。そういうことこそ私たちは日本の国のコミュニティーのよき姿を守るという意味でも適用させるべきだというふうに私は強くこれを望みたいと思うんですが、どうですか。
  26. 桝屋敬悟

    ○副大臣桝屋敬悟君) 今、先生言われました、まさにコミュニティーのリーダーとしてずっと先生頑張ってこられたわけでありまして、先生の御指摘も踏まえて研究をしたいと思っておりますが、自然災害があるたびに災害弔慰金等あるいは災害救助法適用等も含めて本当に先生指摘のような指摘がよくあるわけであります。  ことしの雪害につきましては、先ほどの議論ありましたように三十年ぶり、四十年ぶりというこうしたものでありますから、よく現場実情というものをもう一度ことしの反省も踏まえてしっかり把握をしながら、本当に先生が御指摘をされたボランティア方等地域の助け合いの活動の中でさまざまに活動しておられる、その中で事故に遭われたというような事例があるやもしれません。そうした実態もしっかり把握をしまして、研究を続けてまいりたいと思っております。
  27. 岸宏一

    岸宏一君 どうもありがとうございました。  それでは、ちょっとこのパネル大臣ごらんになっていただきながらあれしてもらいたいんですけれども、ぜひこの辺ずっとごらんになって。(資料を示す)  今回のこの大雪によって各都道府県市町村では除雪やなんかで大変苦労しておる。それから、農業施設あるいは果樹などに大きな被害がある、こういうことで各市町村では大変苦労をされておるわけであります。  きのうも我々の先輩であります松村先生が御質問なすっておりましたことで大分明らかになった点もあり、また総務大臣国土交通大臣の力強い御答弁があって大分わかってはまいったわけですが、もう少し詳しくお話をお聞きしたいと思いますが、我々の参議院から出られております片山総務大臣総務大臣は自治省の御出身でもあり、各地方実情を本当によく詳しく御存じの方でございます。  そこで、除雪費の問題です。各市町村においては、都道府県もそうでしょうけれども、大変困っておる。山形県の例をとりますと、山形県の尾花沢市という市があるんですが、これは平場にある町でございますけれども、何か税収が十五億ぐらいあるんだそうですけれども除雪費がもう五億円以上かかっている、半分近くになっていると。じゃ、雪がどれくらい降ったのと聞いてみましたら、積雪量ですね、毎日毎日降り積もった雪を全部足しますと十六メーター七十センチだそうです。十六メーターです。皆さん、よくお聞きください。十六メーターの雪が降った。積もっているのは三メートルぐらいだと。平場の町であります。  そういう町、特に人口が密集しているような雪国都市というのは、これは大変な状況なんですよね。しかも、この雪国、これだけの豪雪地帯に住んでいる人口が大体日本だと二千万以上おる。これは世界でも類のないそういうことになっているわけです。それでありますから、非常に多くの雪が降りますと思いがけないぐらいの苦労があるということでございますね。  それで、除雪費は平年では何か千五百四十億ぐらいと。実際、大臣どうでしょう、これ、どれぐらいに膨らむと予想しておりますですか。
  28. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、岸委員のお持ちのパネルを見せていただきましたけれども、大変な豪雪ですね。十五年ぶりじゃないですな、これは。  そこで、地方団体除雪費、排雪費、それにつきましては、きのうも答弁させていただきましたが、直近の二十年の、二十年平均の積雪量で、それに伴う除雪等の経費を普通交付税で措置しているんですよ。それが千五百三十六億円なんです。そこで、それは平年ですから、平年ベースだから、ことしのような豪雪になりますとそんなものじゃ済まない。こういうことになりますと、普通交付税で見た以上のかかった経費については特別交付税で措置するということで、もう特別交付税も近々に、来週早々には発表しなければなりませんけれども、今、各都道府県を通じて、都道府県市町村もこの豪雪、雪害状況も今いろいろ聞いておりますから、普通交付税を超えるものについては特別交付税でしっかり措置いたしたい、こういうふうに思っておりまして、今のお話の市ですか、尾花沢市ですかね、そういうことで実際の財政運営に支障がないように措置しよう、こういうふうに思っておりますが、それじゃどのぐらいになるのかと言われましても、ちょっと全国的な状況をつかんでおりませんので、いずれにせよ、来週早々ぐらいには特別交付税として対応させていただく、こういうことになると思いますが、もう十分、岸委員のいろんな今のお話を聞いて私もしっかり認識しましたので、よく関係の役所の皆さんと相談いたします。
  29. 岸宏一

    岸宏一君 大臣、本当にありがとうございます。大変力強くお聞きいたしました。心強くお聞きいたしました。  さて、扇国土大臣、きょうは何か委員会もあってお忙しい日程を差し繰りいただいてありがとうございます。私は扇大臣のファンでございまして、これからも国民の期待もかなり大きなものがあるというふうにお聞きしております。それは大臣が常日ごろいつもめり張りのきいたお話、御答弁があるからだと思います。  そこでお聞きいたしますが、まず一つは、国の除雪体制、これを思い切って、予算をけちらないで主要国道の除雪は徹底的にやれということをぜひ御指示していただきたい。これはなぜかというと、余りの大雪雪国皆さんは心の中に閉塞感というんでしょうか、何か、例えば私の田舎の方がつくった俳句に、「ぐるりが山冬の出ていくところなし」なんという俳句がある、そういう気持ちなんですね。ですから、主要国道がいつもきれいに除雪されていることが大事だと。  それと、ぜひお願いしたいのは、大臣のツルの一声でひとつ市町村道に対する除雪の補助、これは雪寒法か何かで今まで二度ほど出したことがあると聞いておりますけれども、この辺は思い切ってひとつなさったらいかがですか。どうですか。
  30. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 昨日からも本当に東北地方皆さん方、特に今、気象庁長官が冒頭に申しましたけれども、予測がかなり当たっていない、まあまあだということですけれども、私は外れた理由もいろいろあろう思います。  それは、宇宙では今まで考えられないような変動が起き、あるいは地上でも環境問題で空気が汚染され、地下では地殻変動と。本当に私は、地球規模での大きな、二十一世紀になってから警戒しなければならないことがるるあろうと思いますけれども、特に地域皆さん方にとっては、今度のような豪雪、予測し得ない、また予測していても避けられないことではございますけれども、予測し得ない豪雪であるということは皆さん方が本当に暗いお気持ちになっていらっしゃる、それは本当に私もお察し申し上げますし、今のパネルを拝見しても大変だなと。  これは、私は一つ考えておりましたことは、物ができてそれを運ぶ道路がとても、今おっしゃったように、東北地方は特に九一・五%が道路に頼っているという、品物を運ぶ道路も閉鎖されているけれども、今のパネル見ましたら、品物自体が、ビニールハウスが豪雪でだめになっているという写真も拝見しまして、本当に今、先生がおっしゃいますように、豪雪に対する対策が何がとれるかということで、道路は今おっしゃいましたようなことですけれども山形は降雪が少なくとも今現時点では八百三十九センチ、平均の二倍近くになっているということもるるお話ございまして、パネルも拝見しましたらそのとおりだと思いますけれども、この除雪への援助につきましては、県の除雪補助費の増額、これは実施するということをおっしゃっていますけれども市町村についても補助を特例的に実施するということを私たちは決断する時期が来ているなと思います。  と申しますのも、私ども国土交通省としましても、一月の十九日ですけれども山形には岩井政務官を現地に派遣させていただきましてつぶさに見させていただきました。そういう意味で、私どもはその現状を把握しまして、今、先生がおっしゃいましたように、過去に豪雪時において市町村除雪費の補助に関する臨時特例措置というのをどの程度やってきたのかということで、簡単に申し上げさせていただきますけれども、昭和五十一年度にこれは対象市町村数が五百七十四、そして五十五年には五百六十四市町村、そして五十八年には六百三十二市町村、五十九年には三百八十九市町村、そして一番最近は昭和六十年度の対象市町村六百六十七が最後でございます。  私は、過去のこの五回の豪雪の特例措置というものの考え方が今回は六十年から初めて適用されるのではないか、また適用しなければならないというふうに今実感しておりますけれども、この適用方法については、現地に視察も行きましたので、政務官報告等々も聞きまして、なるべく早い時期に皆さん方に御安心いただけるように、早急に県、市町村への支援対策をとっていきたいと思っておりますので、ぜひ先生も地元からの声をきょうのように大にしていただくと私たちも促進しやすいと思いますので、よろしくどうぞお願いします。
  31. 岸宏一

    岸宏一君 さすがに扇大臣の胸のすっきりするような御答弁でございます。期待をしておりますからよろしくお願いします。  そこで、農林大臣、国土大臣がこのようにすっきりしたお答えをいただいたわけでございますが、農林の被害もかなりでございます。これはまだわからない部分が非常に多いと思います。  しかし、どうもこの制度などを調べてみますと、例えば農林の施設、農業施設とか、それから果樹の木の被害とか、こういうものに対する災害に対する補助とか何とかが余りないんですね。しかし、こういう災害時でございますから、何か特に大臣にやっていただく必要がある。  大臣は、有明の海の問題では即断即決で無利子の融資を出しましょうと、こうおっしゃったわけですから、雪国災害に対しても何かやっぱりあるべしというのが農家の皆さんのお考えでございますが、いかがですか。
  32. 谷津義男

    国務大臣(谷津義男君) 一月上旬からの降雪によりまして、東北、北陸及び関東地方を中心にした被害状況ですけれども、三月七日現在でハウスが約三十三億円、それから果樹等の農作物が三十五億円で、合計で六十八億円になっておりますけれども、そのうち山形県では四十三億円強というようなことで、大変な被害を受けているところであります。また、森林の折損、それから倒木の被害については約十三億円というような被害が発生をしております。  今回の農業被害の対策といたしましては、ハウス及び果樹等について農業共済金等の円滑かつ迅速な支払いが行われるように、今、関係団体に指導しているところでもございます。  また、被災農業者に対しましては、自作農維持資金や農林漁業施設資金、これは災害復旧でありますけれども、等の低利の制度融資の融通を図るほか、個別の経営事情に応じまして、既に貸し付けてあります貸付金の償還猶予等が図られるように関係金融機関を指導するなど、処置を講じているところでもございます。  また、農業生産総合対策事業のメニューの一部として、サクランボ等の果樹の改植等について助成処置がありまして、現在これをよく相談しながら活用していただきたいと考えておるところであります。  それから、林業被害等の対策といたしましては、現地の状況から、この融雪後の対策となるわけでありますけれども被害木の搬出を含めた林内整理、それから被害跡地への造林等による復旧を進めるなどして、被災森林所有者に対する森林国営保険等による円滑な対応を図っていることとしております。  ただいまの先生お話の中にありましたように、無利子というお話がありましたけれども、これについては早急に被災農家の実態を調べさせていただきまして、そして被災された農家の方たちの経営再建に資するようにしたいというふうに思っているわけでありますが、この点等につきましては、県等とも相談しなければならない点も実はあるわけでございまして、早急に対処していきたいというふうに考えております。
  33. 岸宏一

    岸宏一君 さすがに農林大臣、これもまた無利子を早急に対応したいという御答弁、ありがとうございました。  そこで、田中副大臣お尋ねいたしますが、ブドウの棚が雪でかなりやられているわけでございますが、これについてはどのように対処したいと思っていますか。
  34. 田中直紀

    ○副大臣(田中直紀君) お答えを申し上げます。  私も雪国の新潟県ということで御指名をいただいたと思います。  昭和三十八年の三八豪雪以来の大変な降雪だというふうに思っておりますし、山形でも大変被害が大きいということで、心から農家の皆さん方にお見舞いを申し上げたいと思います。  ブドウにつきましても、サクランボに次ぐ山形県では大変な農産物であろうかと思いますし、今、農林水産大臣からお答えを申し上げましたけれども、先ほどの写真を拝見いたしますと全壊しておると、ブドウ棚が。  そういうことでこの秋の収穫が非常に心配されるわけでありますから、そういう意味で農業生産総合対策事業の助成対策をしっかりやらせていただいて、そして改植というんでしょうか、新しく共同でまたやられる方々にはしっかりと国の助成をしていきたいというふうに思っておりますし、また、損傷の激しい状況に応じて国あるいは県の指導のもとにいわゆる樹体損傷等の指導を行っていきたいと思います。  大臣も大変無利子の融資ということで県とも話し合っていこうと、こういうことでございますが、私も努力をしていきたいと思います。  以上です。
  35. 岸宏一

    岸宏一君 副大臣も無利子融資について前向きな御答弁をいただいて、大変心強く思っております。どうぞひとつよろしく雪国の御出身の方としても対応を間違いないようにお願いいたします。  もっとこの農林関係でも御質問申し上げたいんですが、時間も余りなくなりましたので、今までの災害の問題についていろいろ考えてみますというと、我々は雪というものに対してもう少しふだんの研究や何かをもっともっとやっぱりやっておかないといけないんじゃないか。二十一世紀になっても雪害で困ったと言っているような日本ではだめだと思うんですね。  そんな意味で、雪氷を中心とした研究というものをこれからも我々は忘れてはならないというふうに思っておりますが、文部科学大臣、この雪氷と雪国の暮らし、こういった観点での研究についてはどうお考えでおられるか。
  36. 大野功統

    ○副大臣(大野功統君) ことしは十五年ぶりどころじゃない大雪でございますけれども、その大雪が特に東北地方、それから北陸地方日本海側に寄っているようでございます。岸先生のお地元の山形県でも大変な人的被害が起こっている。まず、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。  今、先生まさにおっしゃったとおりで、これは、雪というのは自然現象でありますけれども、ほっておいていいのか、ふだんからもきちっと科学研究をやっておかなきゃいけないじゃないかと。当然のことでございます。  文部科学省には防災科学技術研究所というのがございます。その防災科学技術研究所のもとに、御存じのとおり雪氷防災研究所がございます。全国で二カ所ございます。それで、先生のお地元には新庄研究支所がございますけれども、これは特に世界的に見ても大変優秀な研究所だと我々自負いたしております。  特に、ふだんから気象条件とそれから降雪量の関係、あるいは吹雪、雪崩のシミュレーション、こういうことを通じて研究をいたしているところでございますけれども、特に平成九年に実験棟をつくりました。この実験棟がまさに世界的規模でございまして、この施設を利用して吹雪を、この実験棟ですばらしいのは、その実験棟の中で吹雪が起こせる、いろんな現象が起こせる、そしてそれを見ながら研究をしていく、こういうことでございまして、研究課題として平成十二年だけでも二十八ばかりやっております。地域の大学等との連携もやっております。  特に、平成十三年から、ことしからでございますけれども、文部省の防災科学技術研究所というのが独立行政法人になります。そして、新しい課題として、ほっておくだけじゃない、基礎研究するだけじゃない、やっぱりそういう災害を予知することができれば大変私たちに役立つんじゃないかと。予知の方に力を入れていこう、そしてその情報をどうやってお伝えしていくか、こういう勉強をしていこうということで一生懸命頑張っておりますので、よろしくどうぞお願いします。
  37. 岸宏一

    岸宏一君 副大臣には大変よく御存じのようでうれしく思いますが、ぜひ、新庄市にありますから一度ごらんになっていただいて、そのお話の内容を検証していただきたい。いかがですか。
  38. 大野功統

    ○副大臣(大野功統君) 検証いたします。
  39. 岸宏一

    岸宏一君 はい、ありがとうございます。  それでは、雪害関係は以上にいたしまして、最後に教科書問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは文部科学大臣お尋ねいたしますが、どうも教科書の検定についていろいろ問題があるようでございまして、例えば検定の場合の部外秘である白表紙、その本のコピーが出回ったり、それから修正表の漏えいがあったりして、どうもこれはおかしいんじゃないかと。漏えいルートなどを調査すべきという声が非常に強いんですが、どうですか。
  40. 河村建夫

    ○副大臣(河村建夫君) お答え申し上げます。  岸委員指摘のように、検定途中の申請図書あるいは修正表等の内容が公になるということ、このこと自体は、検定審査に予断を与えるということもありまして、非常に遺憾なことであるというふうに考えておるわけでございます。  これらの検定資料の取り扱いにつきましては、検定側でございます文部科学省の職員あるいは教科用図書検定調査審議会委員、このメンバーにつきましては日ごろから国家公務員としての守秘義務が課せられておるわけでございまして、徹底をさせられておると。したがいまして、検定資料が外部にこの方から出ることはないというふうに考えておるわけでございます。検定申請者側でございますが、検定資料を適切に管理するようにこれまでも再三指導をしてきたところでもございまして、特に新規の検定申請者に対しましては検定資料の管理の徹底を促してきたところでございます。  今回、このような事実というものを文部科学省としても非常に重く受けとめておりまして、この検定者側に対する法的規制といいますか、これはないわけでございますが、検定資料の管理体制の再確認を促していく等、今後、特にこの面については厳重に対処していきたいと、このように考えておるところでございます。
  41. 岸宏一

    岸宏一君 副大臣、時間がありませんので多くは申すことできませんが、ぜひこれしっかりやって、国民から誤解のないように対応していただきたいというふうに思います。  それから、教科書検定をめぐって、どうも外国、特に名前は言わなくともおわかりだと思いますが、外国から不合格にせよと、こういう内政干渉のような、こういうふうな話がよく出てくるんですけれども、これ我々は、こんなことに内政干渉されては困る、それに対して弱腰では困る、こういうことが非常に国民の間に強いんですが、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  42. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員のお尋ねは、近隣諸国と申しますより、中国、韓国がこの問題に大変大きな関心あるいは懸念を表明しているということについてであろうと思います。私どももこうした国が懸念を表明しておられるということは十分承知をいたしております。  例えば、昨日も金鍾泌、韓国の前の前の国務総理が日本にお見えになりました。随分多くの方とお会いをいただいたようでございますし、私もお目にかかりました。私は、お目にかかったときに、何か日本の内政に干渉をされるおつもりでしょうかと、こういうふうに伺いましたら、いや、全くそんなつもりはございませんということでしたから、それならよくお話は伺いましょうということで、十分お話は伺ったところでございます。  いずれにしても、教科書は今、文部科学省の副大臣からもお話がございましたけれども、我が国には我が国のルール、手順というものが定められております。もちろんその中には近隣諸国条項というものもございますけれども、いずれにしても定められたルール、手順に従って教科書というものはつくられるということになっております。こうしたことも十分先方も承知でございますが、改めて御説明を申し上げた次第でございまして、私どもはこのことで内政干渉が行われるというふうには全く思っておりません。
  43. 岸宏一

    岸宏一君 最後でございます。  答弁は要りませんが、どうぞひとつ、我が国がいつも外国に対して、特定の国に対して弱腰であると、こういう批判をされないように。例えばもう一つ申し上げれば、台湾の李登輝元総統が日本に来たいんだけれどもなかなか来れないという話がある。あんな立派な人をなぜ我々は呼ぶことができないかということは非常に皆さん疑問に思っていると思うんですね。  そういうことも含めて、ひとつ外務大臣、ぜひ堂々たる外交を、正しい外交をこれからなお一層やっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  44. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で岸宏一君の質疑は終了をいたしました。(拍手)     ─────────────
  45. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、櫻井充君の質疑を行います。櫻井充君。
  46. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、まず最初に宮澤財務大臣の方に財投改革についてお伺いさせていただきたいんですけれども、ことしから資金の流れが変わりました、それで財投機関は大きく変わっていくことができるのかどうか、まずその辺についてお伺いさせていただきたいと思います。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる基本的な改革がございましたに従いまして財投のあり方も改めなければならないという課題に面しまして、ちょうどこの機会に、いわば自動的に金が流れてくるという仕組みの中で、財投機関がいわばあぐらをかいておるといったような批判もございますので、この機会に財投機関自身が自分の債券を発行して努力をしなければならないということを要請いたしました。  これは、前国会でいろいろ御議論になったところでございましたが、実際問題といたしまして、新しい機関が債券を出すということは、市場での信認を得なければならないという問題がございますから、口で言うほど容易なことではなかろうとは思っておりました。  しかし、いろいろ努力をしてもらいまして、二十機関で一兆円余りのものが発行できたと。初年度として、もう少し次の年度には多少の改善はできるだろうと思っておりますが、そのねらいは、そういう市場の信認を得られないような運営というものはやはり考えなければならない、それはみずから改めていかなければならないという、そういう自助努力につなげていきたいという、そういう試みでございまして、初年度におきまして、決して十分とは申し上げかねますけれども、幾らかそういう努力が実り、また各機関ともそういう意識で運営を始めておるということでございます。
  48. 櫻井充

    ○櫻井充君 財投機関債が一兆円程度発行されたと。しかし、政府債はどのぐらい発行されているかといいますと、新規で四十三兆円でございます。これもいわば国の国債でして、結果的に借金ということになります。  今後、どの程度財投債を発行する御予定なのか、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 財投機関債自身については、恐らくおのずから限度があるであろうと。そういたしますと、ある程度は財投債がその面倒を見るのはこれはもう当然のことでございますが、先のことについては申し上げかねますけれども、財投債も国債でございますので、国債発行計画全体の中でやはり考えていかなければならないと思います。
  50. 櫻井充

    ○櫻井充君 将来的なビジョンが全然見えてきません。つまり、ことしは新規で国債二十八兆発行したほかに財投債で四十三兆です。このままのペースでいったら毎年五十兆円以上の借金がふえていくことになりますけれども、こんなペースで財投債を発行されるおつもりなんですか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それはおのずから必要な資金需要によるものでありますけれども、確かにおっしゃいますように国の国債の一種でございますから、全体との関係、市場との関係もその年その年で考えていかなければならないと思います。
  52. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、将来のビジョンが見えてこないと思うんですよ。財投改革をそうするといつぐらいまでに、こういう形で、果たしてその資金の流れを変えるだけで変わっていくのかどうかわかりませんが、いつぐらいを目途に改革されようと思っていらっしゃるんですか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 片っ方において財投機関債というものが多少はふえていくだろう。また同時に、しかしそういう努力が成功しない財投機関というものについて本来ならばどうするかという問題がすぐに起こってくるわけですが、おのおのの財投機関がほとんど法律によって設立され運営され、またそれについてはそれなりの使命を国会においても認めておられるという機関が多いものでございますから、そういう意味では、やはりそういう財政的なその制約というものから合理化努力を進めていくということが入り用であろうと思っていまして、将来の財投債がどのぐらいになるかと、どのぐらいでとめるつもりかというようなことを申し上げられるだけの準備がございません。
  54. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、むしろ政治的な判断で必要な財投機関、そして民営化できるものは民営化する、そして地方自治体に渡せるものは地方自治体に渡していく、その政治的な判断で財投機関を整理縮小していくということが必要なんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 財投機関を縮小するということはまず大事なことだと思いますが、それを整理するとか廃止するとかいうことになりますと、口で言うほど簡単でない事情がございます。しかし、そういうことの中で財投機関自身がやはり十分な努力をしていかなければならないということであります。
  56. 櫻井充

    ○櫻井充君 その政治的な判断の必要性について今お伺いしたんです。その点についてどうですか。
  57. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 絶えずそういう政治的な努力は必要だと思います。
  58. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、その観点につきまして、公的金融機関のあり方についてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、今公的金融機関の貸出残高は対GDP比で三四%です。イギリスが一%、ドイツとアメリカが四%台から考えれば、かなり多く公的金融機関が関与しているということがわかります。これが民業を圧迫しているのではないかと私は考えますけれども、その点について柳澤大臣、どうお考えでしょうか。
  59. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 金融の中で公的金融の占めるウエートが諸外国に比べて高いのではないかという御指摘ですけれども、確かに高い。今、私、にわかな質問でございましてデータを持っていませんけれども、私の経験からしても、諸外国に比べて多分高いであろうということについては同じ認識を持っていると存じます。  ただ、高いことが即民間金融への圧迫と解すべきかということについては、やや率直に言って先生と意見が異なるのではないかと思うわけです。特に、この十年間の大経済停滞の中で、政府系の金融機関に対する期待というか、それに依存するということが非常に多かったということもこれ否定できないわけでございまして、残高のシェアが高いということをもって即圧迫ということにはちょっとならないのではないかというふうに考えるわけです。  しかし、将来展望としてどうなのかと言われれば、私は、やっぱり民間金融がもっと頑張って、そして自分たちのリスクというか、そういうものもある程度負担する中で、経済全体の中で金融仲介機能という本来の使命を果たしていくという姿勢がもっともっと強く出てくることが望ましいと、このように考えている次第です。
  60. 櫻井充

    ○櫻井充君 その中で、まず住宅金融公庫、ここが一番貸出残高が多いんですが、その住宅ローンの債権というのは比較的いい債権でして、リスクウエートが五〇%という。私、民間の金融業界にアンケートを送ったところ、住宅ローンをやっていきたいという話をされています。そういう意味でいえば、もう少し住宅金融公庫を整理縮小していくべきではないかと思いますが、柳澤大臣、どうお考えでしょうか。
  61. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 住宅金融というのは消費者金融の一種でございまして、これは、従前は民間金融というのは事業者金融、事業金融でしたので、これを相手にしないというようなことで住宅金融専門会社等がそこで発生してきたというような経緯もございます。  しかし、最近ではリテール重視というような民間金融の方針が強く出されるというようなことの中で、住宅金融に対してこれに熱意を持つ金融機関が多くなっていることは確かでございます。そういう中で、率直に言って私も先生がアンケートで認識されたといったようなことの同じような声を聞いております。  率直に言って聞いておりますんですが、これなかなかまた、そういうこともあろうと思うんですけれども、非常に難しい問題で、例えばある年度に民間金融機関が住宅金融公庫の代理貸しをしておるというようなことの中で、その情報はほとんど民間金融機関が持っているという事態がございました。そういう中で、金利が非常に低くなってきたときに住宅金融公庫の融資から乗りかえを勧めるということの中で大量の巨額の住宅金融の返済が住宅金融公庫に行われるというようなこと、振替でございますが、そういうようなこともあったことを私記憶いたしております。  なかなか住宅金融についての戦線の整理というのは非常に難しい面があるなというのが率直のところでございまして、金利が自分が低く出せるときには大いに頑張りたいと言うけれども、今度金利が恐らく上がってきたら、住宅金融公庫にできるだけ頑張ってもらって私は補完の立場に立ちましょうみたいなことが率直に言ってみられるのではないかなと思ったりするわけです。  しかし、いろいろ申し上げましたけれども、基本的に住宅金融についても住宅金融公庫、政府系の金融機関の融資というのは補完の立場に立つべきである、これはもう疑いのないところだと、このように申し上げたいと思います。
  62. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、大臣から補完の立場だというふうにございました。私もそのとおりだと思います。しかし、今回、住宅金融公庫法の一部改正案が提出されましたけれども、その流れと全く逆行している、そういう法律案が提出されてまいりました。  扇大臣、いかがでございましょうか。
  63. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、櫻井先生が調査をしたとおっしゃいましたので、お手持ちで、調査なすった中でおわかりだろうと思いますけれども日本の場合は、自分で住宅を建てようと思ったときには少なくとも年収の数倍の収入がなければ一軒のうちができないという今の日本の現状から考えますと、今、民間の金融機関の住宅ローン、これは変動制でございますのはもう既に御存じですけれども、住宅ローンの三十五年にわたります長期ということにかんがみますと、私もこれを計算して持ってまいりましたけれども、少なくとも私どもは、住宅金融公庫の必要性というのはどこにあるのかという、今、廃止したらという話もおっしゃいましたけれども、じゃ、民間とどう違っているのかと。  民間の住宅ローンは変動相場制で、少なくとも三年の固定相場では二・二五ですね。ところが、住宅ローンの場合は三十五年の金利を固定しております、変動ではございません。そうしますと、平均をしますと二・六%になるのは御承知のとおりでございます。なおかつ住宅ローンの金融公庫の場合は償還が三十五年ですね、固定でなおかつ三十五年。民間の場合は三十年ぐらいが大体というところでございますけれども、そのかわり、住宅金融公庫の場合は質の保証というものも、これは公団が責任を持ってやっております。  ですから、住宅金融公庫の場合は、それらのことを総合して考えますと、今の住宅ローン制度というものは何としても皆さん方にはまだまだ今後利用していただきたいし、また今、金融担当庁のお話がございましたけれども、今、先生が実態調査をなさいますと、同時にそういう今の現状を考えた場合には、すぐこれを廃止というようなことなのか、あるいは継続して延長するべきなのかというのは、私は多くの皆さん方がおのずと選択眼が出てくる、そういうふうに考えていますので、今、実情を申し上げて、私は今後の融資の選別等々も、これは懸念されておりますので、考えていきたいと思っております。
  64. 櫻井充

    ○櫻井充君 まず、今の話はわかりました。  しかし、その金利差だけの問題だったとすれば減税で措置できるじゃないですか、住宅金融公庫は必要ないんじゃないですか。
  65. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 先ほど申しましたように、やっぱりプラスアルファというものがあるというのも今申しましたとおりで、やっぱり品質保証ということはきちんとしてくれると。それが間違いないことであって、ただ入ればいいというものではなくて、我々はそのバリアフリー化、今度も予算で、昨年の補正も通していただきましたし、今回も法案の中に入っておりますけれども、今できているものでもどういうことを時代に合ってするべきかと。  これは、民主党さんだけじゃなくて皆さんから、バリアフリー化も進めてくれよと、あるいは省エネの住宅もしてくれよという私も御意見も聞いておりますので、そういうことも金融公庫の融資であるからこそそれができる、金利だけではないということも私は皆さんのお声だと思いますので、金利だけで私は物を申したわけではございません。
  66. 櫻井充

    ○櫻井充君 半歩譲って、しかし、一般の住宅ローンはそういうことはないじゃないですか。少なくとも整理縮小していった方がいいと柳澤大臣はおっしゃっているわけであって、その方向からしたら全然違うんじゃないですか。
  67. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 一般の住宅、民間の住宅ローンでは少なくとも、どこに勤めているか、払い切れなくなって会社が倒産した場合もどうかということは一切調べることがございません、民間の場合は。けれども、少なくとも私どもは、きちんと公庫でお貸しする場合には、お貸しする方が、勤務先がどういうことなのか、返済能力があるか御無理でないかということもきちんとしておりますから、そういうところでも今ローンが払い切れなくてどうしようという、民間から借りている人たちでその保証がないために困っている方も大勢いらっしゃいます。けれども、そういう意味では、住宅ローンが公庫の場合にはきちんと私たちは把握させていただいて、そのかわり質の保証をすると。そういうことをやっておりますので、一概に片っ方が悪くて片っ方がいいということではなくて、片っ方の民間のできない部分を公庫はきちんと補完する、それが民間と公庫の違いであると思います。
  68. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、きちんと調査して貸し出ししているそうですけれども、住宅金融公庫が抱えている不良債権の額は幾らですか。
  69. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 細かい数字ですから、もしあれば参考人にお聞きいただいたらいいと思いますけれども、少なくとも私どもは、今日まで……
  70. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、政府の参考人の方で結構です。
  71. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) そうですか。じゃ、参考人にお聞きいただきたい、細かい数字ですから。
  72. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 国土交通省は官、姓名をお名乗りください。──今、国土交通省からは政府参考人の出席がございません。櫻井君はこれをどういう御希望でしょうか。いかがされますか。
  73. 櫻井充

    ○櫻井充君 委員長に一任いたします。
  74. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 細かいあれでなくてもよろしければ私から。  細かいことはまた追って御報告申し上げますけれども、現段階まで、少なくとも私どもは戦後建設された住宅の約三割は融資しているんですけれども、それが千八百十万戸に及んでおりまして、この中で融資残高が五百五十五万件で七十四・五兆円、七十四兆五千億という数字は今残っておりますけれども、それがどの程度どうなったかという、補正後はそれを六十万戸で十二兆二千億円、そしてこの十三年度予算におきましては五十五万戸で十兆六千億円と、こういう数字がございますので、過去の累積に関する細かいことは次の機会に申し上げさせていただきたいと思います。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 貸出債権ではなくて、不良債権の額が幾らかということです。
  76. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 数字はだから……
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 わかりました。はい。
  78. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 政府参考人のお求めが櫻井君からはありません。したがいまして、扇大臣の答弁で……
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 後でいいです、じゃ。
  80. 岡野裕

    委員長岡野裕君) わかりました。  櫻井充君、お続けください。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 少なくとも政府系の金融機関全部合わせて三兆円以上の不良債権があるというふうに言われております。そして、そこの中で、柳澤大臣、それでは、先ほど扇大臣は公庫だからこれだけきちんとやられていると。民間はそういう審査がきちんとされていないんでしょうか。私はされていると思いますが、いかがでしょうか。
  82. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 住宅金融そのものについては私はそれほど詳しく実情を知っているということでは必ずしもありません。  ただ、例えば旧開銀、政策投資銀行の融資の例などを申しますと、民間も当然協調融資をするんですが、開銀の審査がいわばお墨つきになるというような機能を果たしていることはこれ否定できないんです。私の今の所管の立場からするとこれは非常に残念なことなんです、こういうことを申さなきゃいけないというのは。もっと民間の金融機関に頑張って審査能力を高めてもらわなきゃいけないと、こう思うんですけれども。少なくとも従来は、開銀が出ると、これは開銀の審査能力というのは、もうかなり経験も積んで、いろんないきさつはありますけれども、まあ日本では立派なものだとされているわけですが、この開銀の審査を通ったらもうノー文句で協調融資するというようなことが少なくとも最近まで行われていたということは、これは否定できないと私は思っています。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと全然答弁の内容が違うんですが。要するに、個人に対して融資する際に開銀は関係ないんじゃないですか。  それともう一点。であれば、アメリカはどういうシステムをとっているかというと、今モーゲージローンが圧倒的に多くなっています。住宅ローンの五〇%がモーゲージローンであって、政府は信用をつけるだけです。こういうシステムを導入すれば解決する問題じゃないかと思いますが、これは柳澤大臣でも扇大臣でもどちらでも結構でございます。
  84. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) モーゲージローンを入れることによって住宅金融公庫の融資を廃止することができるかという、こういう御質問なんでございましょうか。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 はい。
  86. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、そのこととちょっと、例えば政策的に住宅着工の件数を上げて総需要の補完をしていこうという政策決定があるとした場合に、もちろん先生恐らく私がこう言うと、それじゃ補助金をそれぞれの住宅を建てる人に渡したらどうかとか、あるいは住宅の補助を金融機関に渡したらどうかというようなお話になろうかと思うんですけれども、少なくとも今まではこうしたことを機動的にやるということは、やっぱり住宅金融公庫の融資を通じてやってきたということは否めないと思うんです。そういうようなことが少なくとも今まではあったと。  しかし、これからはこれをできるだけ民間もリテール尊重というようなことで方針を転換してきて、できるだけ消費者というか、個人融資についても、消費金融ですね、これは。そういうようなものについてもできるだけ進出していこうというような機運にありますので、それらを勘案して政府側の補完金融としての融資の態度というか、あるいはそういうものも決めていっていただいたらよろしいんじゃないかと、このようには思います。
  87. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 細かい数字は後で申し上げるとしましても、今、櫻井先生がおっしゃっていらっしゃる中で、私ども今回の国会で大事なことだと思っておりますのは、少なくとも地価の動向というものを、間もなくまた結果が出ますけれども、地価の動向が一応下げどまりに近くなってきたなと思う数字が間もなく出てまいります。それはばらつきはありますよ、商業地がもう上がっているところもありますけれども。そのときに、皆さん方の御要望を踏まえて、何としても皆さん方に自分の家を持っていただくという願望を達していただくためには何かのお手伝いができないかと。  民間ローンも本当に頑張っていらっしゃいます。けれども、今まで一千万円と言っていたのを、私ども少なくともそれを見直して、平成十三年度には予算案に盛り込ませていただいて、これが六月に切れるのではなくて、やっぱり先行き地価の動向が下がっているのであれば購買意欲を出していただこうということで、六月に立ち上がっていないと切れる今の住宅ローン減税の特例措置というものを、その後も地価が下がったから建てようという意欲を促進するという意味でも、これは新たに、一千万円だったけれども八百万円という枠には下がりますけれども、その意欲を持続しようと。六月に立ち上がっていないというのでは何も間に合いませんので、そういう意味で、この法案の改正というものも今回出させていただくということで、その点だけは今国会の大事なことですので、櫻井先生にも御理解いただきたいということだけ申し上げておきます。
  88. 櫻井充

    ○櫻井充君 若干ちょっと御答弁が違っているんですが、済みませんが、じゃ視点を変えてですが、扇大臣、長期的に見ても住宅金融公庫はこのまま必要だと、このままの規模で貸し出しが必要だとお考えですか。
  89. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) それは先ほども申し上げましたけれども、私は、固定の金利相場であって、しかも三十五年という長期を公庫が皆さん方に提供できる。片方の場合は変動相場制である、民間の場合は。変動相場制で、今最低ですから上がるであろうということから考えますと、両々相まって私たちは国民のニーズにこたえていこうと。  そして私は、民間を圧迫しているのではなくて民間の補足をするのがもともと公庫の今の、現状ですよ。スタートは違いますけれども、もっと皆さん方にということで先にスタートしたような姿ですけれども、今は民間の皆さん方が頑張っていらっしゃいますので、足らず、そしてなおかつこれも長期にわたっての計画というのですから、三十五年までということになっていますので、それまでに切ってしまうと皆さん方路頭に迷う方もございますので、今、長期にという御意味がよくわかりませんけれども、いつまでと言われるのは、私も少なくとも今、御契約いただいている方に三十五年間は公庫がなければ行き先がなくなるということになると思います。
  90. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、このままの規模でずっと続いていくという話になります。  先ほど柳澤大臣は、規模は縮小していかなきゃいけないんじゃないかというお話でしたよね。今のお話ですと、規模の縮小に対してお伺いさせていただきましたが、そのことに関して、三十五年間借りている人がいればそのままやめることはできないだろうというお話でした。  柳澤大臣の方針と私若干違うような気がいたしますが、今の扇大臣の答弁を聞いてどうお考えですか。
  91. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 住宅金融の歴史というか、消費者金融の歴史を先生考えてみるとすぐおわかりいただけると思うんです。  昔は、民間金融というのは事業金融だったんですね。事業で返済の計画がきちっと立つということが前提です。消費者金融というのは返済の計画は立ちません、これは。サラリーマンだって消費をされるサラリーの中から返済するということでありますから。  そういうことで、原則として民間金融は消費者金融をしていなかったんです。住宅金融というのが出てきましたけれども、それでも住宅金融専門会社というものを立ててそこでやるというような方式をとったのは、そういういきさつに立っているわけであります。  最近になって、しかしこの大会社、大事業金融というのはむしろ直接金融にどんどんシフトをしている。そういう中で自分たちの生きる道として、消費者に着目してリテール金融をやりましょうという方針を最近になって打ち出してきたというのが率直のところです。したがって、これについてのノウハウの蓄積、あるいは本当にその金融のスキームをどう打ち立てていったらいいかというのも、恐らく開発途上と言っていいんだろうと思います。  そういう中で、政府の住宅金融というものが住宅の需要にこたえるためにずっと前に出てきたということでございましょうけれども、これから先どうなるかということを考えますと、私の立場からは、民間金融がそういうものを早く開発して、それでできるだけいい形の融資を提供できるようにしてもらいたい。そういうことが実現できるのに伴って、それに応ずる形で政府系金融機関が少しずつ後ろに退いていくということが我々として考えるべきことだなと、こう思うんです。  ただ、今、扇大臣がおっしゃっていることは、じゃ民間金融は三十五年の融資ができるか。これはなかなか、相当頑張っても三十五年間固定金利というようなものが本当に我が国民の住宅建設をしようとする人のニーズでありディマンドであり、それでないとというようなことになってくると、なかなかこれは民間金融でこれに応ずるということは難しいかなとも、ちらっと考えます。
  92. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣がおっしゃっていることはよく理解しております。  そして、アメリカもやはり同じような形でして、そこの中でアメリカも住宅金融に関してモーゲージローンというものを開発しました。そして、政府は信用を提供するだけです。民間の銀行が貸し出して、そしてその債権を集めてきて政府が信用をつけて、それで証券化して売り出すと。今、モーゲージローンで約五〇%です、住宅ローンは。そういう形で政府が保証をつけるだけで民間の金融機関に移していけるわけです。  なぜこんなことを言っているかと申しますと、このまま今の銀行の利益率だったりするとまた破綻するところが出てくるんじゃないだろうか、つまりは公的資金の注入が必要になってきたりするんじゃないだろうか、そう思っているから私はこれだけのことを申しているのであって、ぜひ民間の金融機関を圧迫するようなことだけはしないように御努力願いたいと思います。  扇大臣、何か次の委員会があるそうなので、どうぞ。結構でございます。  それでは、外交機密費についてちょっとお伺いさせていただきたいんですが、確定しました五千四百万円について年度ごとの内訳、予算の不正流用の年度ごとの内訳を教えていただきたいんですが。
  93. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外務省が調査をいたしまして、一月二十五日に告発をいたしました数字が五千四百万円でございます。  お尋ねはその五千四百万円の年度ごとの数字ということでございますが、その報告書の中に書いてございますが、平成九年十月から平成十一年三月までの間に五千四百万でございまして、平成九年度中のものが一千百五十万、平成十年度中のものが四千二百五十万円、これはそれぞれその年度に支払ったものの金額でございます。
  94. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、官房長官にお伺いしたいんですが、これ決算書を書きかえなきゃいけないことになりますね。
  95. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま外務大臣から御答弁申し上げたとおり、部分についての被害額は判明したということで、これからの捜査が進展しまして実際の被害額が確定するということがあろうかと思います。また、そうなければいけないわけでありますけれども、その段階で考えさせていただくということにさせていただきたいと思います。
  96. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、だって不正流用はもう決まっているわけですから、決算書は書きかえなきゃいけないんじゃないですか。
  97. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 被害の一部が判明したというように私ども理解しております。
  98. 櫻井充

    ○櫻井充君 全部わかった時点で基本的には決算書を書きかえなきゃいけないんじゃないですか。少なくとも、不正流用であるか、もしくは国から補てんされたとしても使わなかったものなのか、そういう形で決算書は書きかえなきゃいけないと思いますが、いかがでしょう。
  99. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この事案は今刑事事件として捜査中である、こういうことでございます。したがいまして、被害金額が幾らという確定というのはまだなされていないわけですね。これからそういうことが判明してくるということになると思います。
  100. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、一般論でも結構ですが、これは確定すれば当然決算書を書きかえなきゃいけないんじゃないですか。会計検査院、どうですか。
  101. 金子晃

    会計検査院長(金子晃君) 具体的な書きかえの問題ですので、事務局の方からお答えさせていただきます。
  102. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えします。  本件の事態、ただいま検査中でございます。その事態を十分調査いたしまして判断してまいりたいというふうに思っております。
  103. 櫻井充

    ○櫻井充君 それじゃ、一般論でも結構です。こういう何か不正流用があったりした場合には、それが確定した時点では決算書は書きかえなきゃいけないんじゃないですか。
  104. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 決算の数字でございますが、その目的に従って使われたということで整理されておるということでございますので、それで直ちにそれを訂正ということにはならないのではないかと思います。
  105. 櫻井充

    ○櫻井充君 違った場合を聞いているのであって、今回は全然違うことに使われているわけですよね、競走馬とか。そういうことだとすれば書きかえなきゃいけないんじゃないですかとお伺いしているんですよ。
  106. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 支出された後の目的がどういうところであったかということによってその支出の決算額というものが変わるものではないというふうに思っております。
  107. 櫻井充

    ○櫻井充君 少なくとも、だって報償費として使われたものではないんですよ。それは決算に出してくるときには変わってくるんじゃないですか。
  108. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費として支出されたという表示をなされておるものと思います。(発言する者あり)
  109. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 櫻井充君は宮澤財務大臣に質問をなさいますか。
  110. 櫻井充

    ○櫻井充君 はい。  決算書を読むと何に幾ら使ったかという形で必ず記載しますよね、宮澤財務大臣。ですから、報償費は報償費で幾ら支出したという額で使うはずです。しかしながら、今回は報償費以外のものに使っていたということが判明しているわけですから、その報償費として使った額は違うはずですよね。そういう意味で決算書は変わるんじゃないですか。
  111. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 会計検査院はどうされますか。答弁をされますか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 素人が口を挟んで申しわけないんですが、せんだってから申し上げておりますとおり、支出されたところでその支出は終了しているわけでございますね。そして、後は、公金か公金でないかというお尋ねがしばしばあって、それは支出を受けた官吏が公に使うことが当然であるから、そこでその使い込みが成り立つわけですけれども、しかし支出そのものはその人が金を受け取ったときに済んでいると、会計法上そうでございますから、そこまでが会計検査院の言う決算だと、こう言っておられるので、後その金がどう使われたかということは会計検査の問題ではなくてと、こういうことじゃないかと私は聞いているんですが。
  113. 櫻井充

    ○櫻井充君 決算書を見るとこの国の予算がどう使われたかがわかるわけですよね、普通は。そうじゃないんですか。会計検査院でも宮澤財務大臣でも結構です。
  114. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費として支出がなされておるということが決算書上書かれておりまして、そのことが、検査院としても報償費として使われたということを確認しておるということでございます。
  115. 櫻井充

    ○櫻井充君 おかしいと思うんですよ。これは決算書の、例えば決算委員会で決算の審議をしたときに、その平成十年度なら平成十年度で、例えば本来であれば、まあ何でもいいです、社会保障費なら社会保障費で出したはずだったのに、よくよく調べてみたら違う部分に使われていた、公共事業費なら公共事業費に使われたと。そうしたら、これ決算書を書きかえるのは当たり前じゃないですか。
  116. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費として支出されたということが決算書に載っておるわけでございまして、その使い方がよかったかどうかということにつきましては、検査院として検査の結果、対処してまいるということでございます。
  117. 櫻井充

    ○櫻井充君 わかりました。  それではその時点で、決まった時点でもう一度、会計検査院がどうされるのか、その上で判断させていただきたいと思いますが、それで、もう一つ今回の報償費に関して、この間、一月の二十四日の決算委員会の際に会計検査院の方は今回のことを、一連の報道もございましたので事実関係は十分調査してまいりたいという答弁をされております。どの程度まで調査されたのでしょうか。
  118. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今回の事態に関しましては、外務本省につきまして一月末、それから内閣官房につきましては二月下旬にそれぞれ会計実地検査を行ってございます。現在、会計検査の観点から、こういった報償費の管理体制を含めまして報償費の執行状況についての事実関係を調査している段階でございます。  さらに、本件問題の発生原因というものを究明いたしまして、再発防止の方策を検討するということなどで検査を進めているところでございます。
  119. 櫻井充

    ○櫻井充君 どこまで進んだのか、教えていただけないでしょうか。
  120. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 順次検査を進めておるということでございまして、どこまでという具体的なところの話はちょっと申し上げられないところでございますけれども、鋭意検査を進めておるという段階でございます。
  121. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、定期預金に関しても今調べている最中でございますか。
  122. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費として支出されたものが本来目的に使われておるのかどうかということには十分着目して検査しておるところでございます。
  123. 櫻井充

    ○櫻井充君 宮澤財務大臣にお伺いしたいんですが、この間のその決算委員会のときに財務大臣は、予算というのは決算を踏まえてだという答弁をしておられます、私が質問したのに対してです。  つまり、今回の不正支出の場合に、決算書をこれから書き直してくださるのかどうかわかりませんが、もし決算書が変わってきたとすれば、当然のことですが、予算としても予算を変えていかなきゃいけないんじゃないかと、そう思いますが、いかがですか。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたとおり、支出官から金を受け取りましたときに、その何とかいう人が、それで支出は終了をしておるわけでございます。それが決算に出てくると、こう会計検査院は言っておられるわけで、問題は、それを受け取った人は、いわばこれは会計法上の公金ではありませんけれども、公務員でありますから、その金が目的としている用にそれを使わなければならない。それを使わなかったことによって使い込みが生ずるわけでございまして、そこは私は理屈ははっきりしておると思うんです。  したがって、決算はこれで報償費として支出された、そこで支出官としては会計法上は私は終わっていると、こう考えておるわけです。  それからあと、それはしかし、給料をもらったのとは違います。預かっている金ですから、公的に使われなけりゃならないということからその使い込みという話が起こるわけですが、支出官の支出はその前の段階で済んでおると、こういうふうに会計検査院は考えておられて、私はそれは正しいんじゃないかと思います。
  125. 櫻井充

    ○櫻井充君 後から違うということがわかったとしても、それは書きかえる必要がないんでしょうか。  そして、もしくは、書きかえる書きかえないじゃなくてもいいんですが、少なくとも平成十年は四千二百五十万円不正に使われていたわけであって、少なくとも支出は報償費として使われたかもしれません、支出は報償費として扱われたかもしれません。しかし、実際は報償費として使われていないわけですよ。であったとすれば、この額を減額するのは当たり前のことじゃないですか。不必要な額だったということですよね。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 詳しいことを申し上げる能力がないんですけれども、しかし報償費として支出された、そこまではお互いに同意するところです。それがちゃんと報償費に使われたか使われなかったかということは別の問題なんだと、こういうことではございませんか。
  127. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、報償費として使われていなかった、十年度は四千二百五十万円あるわけであって、つまりはその額を除いたとしても報償費として成り立ったわけですよね。その年は何も問題なくその官房機密費の方から出ているわけですから、官房としてはその予算で十分であったということだと思うんです。だとすれば、この額は減らすのは当然じゃないですか。どうでしょう、官房長官
  128. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) そもそも報償費というものは、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するためその都度の判断で機動的に使用する経費である、そしてまた予算額の範囲内で優先度を勘案しつつ最も適当と認められる方法でもって使用するものである、こういうことになっておるわけであります。  報償費は一方、我が国の予算規模とか経済規模、これがかつてなく拡大しておる、そしてまた首脳外交は年々重要性を増すと、こういう中でもってここ十年ほどこの報償費の水準というものはこれは変わっていないんです。そういうようなことも考え合わせまして、この報償費を先ほど申しましたように優先度をつけて使用するというようなこともございますので、特に減額をしなくてもよろしいんじゃないかというふうに思っております。
  129. 櫻井充

    ○櫻井充君 今の説明で国民の皆さんは納得されると思いますか。
  130. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 報償費の性格というものが、これが使途を明確に申し上げられないというようなことがありますので非常に説明がしにくい費用であると、こういうふうに思っております。  でございますから、この報償費を使用する立場の者、例えば官房長官はこの最高責任者であるということでありますので、この使用に当たりましても本当に厳正に使用に当たらなければいけない、そういうことを常日ごろ思って実施しておるところでございまして、これはそういう報償費の性格からいってこういうことで御理解をいただくしかないんではなかろうかと、こう思っております。それはもう極力そういうような姿勢を示すということにおいて御理解をいただくということしかないと思っております。
  131. 櫻井充

    ○櫻井充君 何か宮澤大臣、お昼を食べる時間がないそうなのでどうぞ。結構でございます。  それでちょっと、また別でお伺いしたいんですが、三年前にマレーシアの国際会議に出席した際に大使の公邸とそれから総領事の公邸で夕食をごちそうになりました。こういうお金というのは、これは外交機密費から出ているものなんでしょうか。
  132. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一般論で申し上げますが、議員が外国へ来られて外国の方々とお会いになる、あるいはいろいろな施設を見たり制度を勉強されたりするということは大変大事なことでございます。したがって、こうしたことにお手伝いをするというのは在外公館の重要な仕事の一つだと思います。  もう一つ申し上げれば、在外公館といたしましては、議員の方々が日本から来られたときには積極的にお目にかかって、昨今の日本の政治、経済、社会、さまざまな問題についてお話を伺う。こうやって現在の日本状況というものをよく伺っておくということは、在外公館の在外での活動のベースとしては極めて重要なことでございますから、議員の方々がおいでのときにお時間があれば食事をしていただくということは重要なことだと思っております。  そのときに、一体いかなる予算でその会が支払われるかということをお尋ねだと思いますが、これは、その金額、その食事代は報償費から出ておりますということを申し上げるわけにはいかないのでございまして、報償費というのはそういう性格のものだと思います。
  133. 櫻井充

    ○櫻井充君 どういう答弁になるのかと思っておりましたが、しかし、河野大臣がおっしゃるとおり、私もそちらで大使とお話しさせていただきまして、非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。もしこういうのが機密費から出ているんだとすれば、こういうお金は別にオープンにしていいと思うんですよ。  つまり、私は全部が全部報償費をオープンにしろと言っているわけではありませんで、もう少しわかりやすくすればいいんじゃないだろうか。こういうところにお金が支出されていて、何も隠す必要のないものだと私は思います。  そういう意味において、もう少しオープンにするものと、それからオープンにできないものと区分けする必要性があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) どういう御答弁を申し上げればいいかわかりませんが、区分けをしろというお話ですが、区分けが簡単にできればいいんですけれども、なかなかその境目は難しいということもあるだろうと思います。  それからもう一つは、一つの報償費というものがあって、その中でこれはオープンにします、これはオープンにしますと、こう言っていけば、オープンにならない部分はどうなっているかということが透けて見えるということもあるわけです。  私どもは、情報収集でございますとか、あるいは国際会議、あるいは国際的な交渉を行います上で、それを円滑にする、あるいは有利に導く、そういったようなことに努力をしているわけでございますが、例えば情報収集一つとってみましても、だれから情報を収集するか、だれから得た情報であるかということは、これは外には全く出してはならぬものだというふうに私は思っているわけでございまして、その点は我々としては、もしそうした情報を入手した先がこちらからあからさまになるということになれば、二度と情報は収集できなくなる、それどころか、情報を提供した人間が大変不利な立場になるということを考えますと、この部分はできるだけ丁寧に慎重に扱いたい、こう考えておりまして、それが報償費というものの性格なのだということを御理解いただきたいと思っているんです。
  135. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、それは十分理解しているつもりです。ですから、世界の国々を見たときも、報償費の使い道は明かさなくていいという国々が圧倒的に多いわけであって、ですが、果たして正しいものに使われているのかどうか国民の方々みんな今回の問題で疑念の念を抱いているわけであって、そういう意味でいえば、ある部分はきちんと出します、あとそのほかの部分は報償費として私たちを信用してくださいという格好でお伝えするしかないんじゃないかと思うんです。  そういう意味合いにおいて、今までの、報償費として計上してきたものすべてを公開しないんだと、このままの制度でいいのかどうかというのは、私は見直しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) いろいろな考え方があると思います。  今、議員がお話しになりましたように、世界各国、総額だけ発表するものもあれば、あるいは安全保障の分野だけ出さないという国もありますし、あるいはもう総額すら示さないという国もあります。それはそれぞれの国によっていろいろだと思います。  私どもは、日本の国が国際社会の中で生きていく上で、これはやや我田引水でございますけれども外務省といたしましては、国際的な情報をできるだけたくさん、しかも正確な情報をどれだけ収集できるかということが、国がこの急激な変化の状況の中で進むために極めて重要だと、こう考えておりますので、ここはこの情報の価値というものをぜひお考えいただきたいというふうに思うのです。  議員が、おれが飯食ったぐらい公開してもいいじゃないかと仮におっしゃっておられるのだとすれば、それとて見ようによっちゃ非常に重要な情報交換の場であると思う人だっていないわけじゃないわけで、そこは御提案としてはよくわかりますけれども、私は、今にわかに、それじゃそうしましょうと申し上げるわけにはまいりません。
  137. 櫻井充

    ○櫻井充君 まあ、そう言わざるを得ないのかもしれないんですが、ぜひお考えいただきたいと思います。  もう一点つけ加えさせていただきますと、まじめに働いている外務省の方々が実はこの問題で物すごく迷惑をされています。皆同じように見られてしまうからです。つまり、何らかのその改革案を出さないと、外務省は何も変わっていないんだと、そしてその真っ当な方々が非常に御苦労されますので、ぜひ大臣、そこは考えていただきたい、そう思っています。  それでは、総務省の方にお伺いしたいんですが、今回、テレビのデジタル化に伴いましてアナ・アナ変換、アナログからアナログに変換しなければいけない、周波数の整理をするためにやらなければいけない部分がありますけれども、その財源を携帯電話の端末の利用料を使うことになっております。ちょっと整合性がないんじゃないか。つまりはテレビのデジタル化であって、片側は携帯電話の電波利用料であるということからすると、これを財源として使うのは不適切ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  138. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 電波利用料は、電波法に基づきまして、これは電波法の規定ですが、「電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」に充てると、こうなっているんですね。  今、櫻井委員言われましたように、今大変電波事情が逼迫しているんですよ。そのためには、我々はデジタル化しなきゃいかぬと思っています、これはいろいろ議論がありますが。デジタル化をする前に、今のアナログの周波数の整理をしないといかぬのです。それはできない。そこで、アナ・アナ変換でアナログの周波数の整理をする。そうするとデジタル化が進む。デジタル化が進むことによって、電波利用状況の逼迫が緩和されてゆとりが出てくるんです。それによって、特に携帯電話などの移動体通信分野の周波数が非常にいろいろやれることになる。これはどうしても我々も必要だと、国際的な状況から見て。そういうことでまず、それは今私が読みました無線局全体の受益を直接の目的として行うことにつながるので、この電波料から、それを財源にしようと、こういうふうに考えているわけであります。
  139. 櫻井充

    ○櫻井充君 そこが整合性があるかどうかで、ある学者の方が言われていたのは、将来は確かに利益があるのかもしれないけれども、現時点での利用者がそれを払わなきゃいけないのかどうかという議論だ、そうおっしゃっておりました。どうでしょう、その意見に対して。
  140. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御承知のように、我が国は携帯電話が世界で最も進んだ国ですね。それで、この携帯電話がさらに次世代の携帯電話になろうとしているんですよ。私は、爆発的な需要になると思います。これはぜひ進めたいと。そうするためにはどうしてもデジタル化を進めなきゃいかぬと。デジタル化を進めるために今のアナ・アナ対策と。  こういうことで、なるほど委員が言われるように直接そのものではないかもしれぬけれども、ワンクッションあるかもしれぬけれども、全体として私はお互いの、無線局全体の受益につながると、しかも、割に電波料というのは財源がありますから、これを使わせていただこうと、こういうふうに考えているわけであります。
  141. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、一時休憩させていただきます。
  142. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 簡潔に願います。
  143. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、一時休憩させてください。
  144. 岡野裕

    委員長岡野裕君) いいですか。
  145. 櫻井充

    ○櫻井充君 はい。
  146. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  147. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十三年度総予算三案、これを一括して議題とし、質疑を行います。引き続いて、櫻井充君。
  148. 櫻井充

    ○櫻井充君 午前中の審議が途中になりました。  先ほどの、ただし電波利用料の話ですけれども、実は携帯の利用料が全体の八割以上を占めていたかと私は思います。そういう意味で放送局のもう少し負担というものをふやすべきではないかと、そうも思うんですが、いかがでしょうか。
  149. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) アナ・アナ対策のお話だろうと思いますけれども、これはいろんな議論をやりまして、予算折衝のときに。それで、受信側、国民の方にはほとんど負担がなくやろうと。送信側、送信する方は、三大都市圏の基幹局については、東京、大阪ですが、名古屋はあれですけれども、東京、大阪については体力があるから自分の負担でやってもらおうと、それからその他のローカル局については一定の基準でこれは応援していこうと、こういうことにいたしたわけでありまして。というのは、アナ・アナの後のデジタル投資が大変なんですよ、これが。だから、そういうことも勘案しまして、一応当時の大蔵省ともかなり相談してああいうことにしたわけでありまして。  電波利用料を使ったことについては御意見いろいろあると思いますよ。しかし私は、結果としては無線全体の利益になるし、しかも一般財源よりはその方が私は説明ができるし、ゆとりもあるしと、こういうことであります。
  150. 櫻井充

    ○櫻井充君 いやいや、そうじゃなくて、要するに、電波利用料の今の中で八〇%が携帯の使用料、だから、そのテレビ局の、もともとのテレビ局のその電波利用料というのは余りに安過ぎるんじゃないかと。
  151. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これはいろんな議論があって決まってまいっていますから、今後検討いたします。
  152. 櫻井充

    ○櫻井充君 はい。  先ほど、デジタル化をするのにまたお金が大変かかるという話でした。そのデジタル化を本当に進めていかなきゃいけないのか。BSもCSももう先行してデジタルになっています。アメリカはデジタル化されているといい、地上波もデジタル化されているといっても、若干とんざしているところがございます。そういう意味合いにおいて、それからもう一つは、今度はインターネットで、光ファイバーを通せばテレビもインターネットを利用してできるということから考えてくると、地上波を今から無理にデジタル化しなければいけないのか。  もう一つ、国民の皆さんが果たしてデジタル化を知っているかどうかというのはもう一点問題でして、我々子供のときにカラーテレビになりました。白黒のテレビでしたけれども、カラー放送が始まって、カラーは映らないけれども白黒でテレビを見ることができました。しかし、今度デジタル化すると今のアナログのテレビは全く映らなくなるわけです。サイマル放送の時期もありますよ。しかし、二〇一〇年過ぎるとそうなっちゃいます。  そういう意味で、国民の皆さんがまず知っているのか、それからテレビのデジタル化というのは本質的に必要なのかどうか、その辺についてお願いします。
  153. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 櫻井委員もデジタル放送のメリット、放送のデジタル化のメリットは十分御存じだと思いますよ。品質はよくなる、データ放送はできる、通信と融合してですよ、双方向ができる。あるいは話速変換、高齢者や障害者の方も大変聞きやすくなるし、移動体の通信もはっきり見える。  そういう意味では、私は、やっぱりデジタル化はこれは必須だと、こういうふうに思いますが、何で地上波もというんですけれども、地上波はほぼ全世帯が持っているんですよね、地上波は。だから、今のBSやCSやケーブルテレビだけでは私はやっぱり不十分なので、このデジタル化のメリットをひとしく国民が受けるべきではなかろうかと。また、デジタル化をやることによって、先ほども言いましたが、携帯電話がさらに爆発的に伸びていった場合の電波のきちっとした提供ができる、こういうこともありますし、やっぱりこれからは放送と通信がくっついていくわけですから、それもやっぱりデジタル化じゃなきゃできません。  それから、国際的にも、いろんな議論がありながら、大勢としては今デジタルに進んでいますから、二、三年前から、アメリカもヨーロッパも。そういう意味で、私は、二〇一〇年というまだちょっと先の話でございますけれども、やっぱりデジタル化のメリットを国民の皆さんに認識してもらって進めていく方が正しいのではなかろうかと、こういうふうに思っております。
  154. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、テレビ局にやはりそれだけのメリットがある。確かにこれからは、一つの周波数をもらってそれで三チャンネル見れるようになります。チャンネルもふえるわけですが、そういうことが起こってくるとすれば、当然テレビ局にとってもメリットが出てくるわけですから、電波利用料というのはもう一度やっぱり考え直さなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  そしてしかも、既得権益のように認可制でずっと同じテレビ局が果たして持っていていいのかどうか。欧米諸国は今入札制になってきています。そして、この我が国の財政状況を考えたときにも、入札制度にした方がメリットが大きいんじゃないかと思いますが、その辺についてどうお考えでしょうか。
  155. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 櫻井委員が言われる点も私もわからないでもないところはありますが、入札制度は、これはよそでやってみていろんなデメリットが出ているんですね。高く落として、結局はそれを皆さん負担を押しつけるようなことだとか、いろんな弊害が出ておりますから、私は一つの提案だと思いますから検討するにやぶさかじゃありませんが、もう少し時間をかけたらどうだろうかと、こういうふうに思っております。
  156. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、厚生労働大臣がお見えになりました。仙台で起こりました北陵クリニックの事件についてまず質問させていただきたいと思います。  患者さんの体の中に筋弛緩剤が入りまして、そして何人かの方が亡くなったかもしれない。そして、今なお闘病中の方もいらっしゃいます。厚生労働省として、この事件、どのように認識されていらっしゃるでしょうか。
  157. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 少しおくれまして、申しわけありませんでした。  北陵クリニックの件でございますが、ここは大事な点は二つあるだろうというふうに思っております。一つは、いずれにいたしましても、管理者としての管理問題、これがなおざりになっていたという大きな問題がございます。そして、もう一つは、薬剤の管理が不徹底であった。この二つのことが非常に大きな問題として多くの人たちに関心を集めさせたというふうに思っております。  この二点につきまして、私たちも、この北陵クリニックに対しましてはもちろんのことでございますけれども、一般の病院に対しましても徹底を図らなければならないというので今徹底を図っているところでございます。  御承知のとおり、都道府県知事の基本的には権限になっておりますので、立入検査等は地元でおやりをいただいておりますが、国の方も薬剤等のことにつきましては一緒にお邪魔をしたりもしているところでございますけれども、現状につきましては現場からいろいろの報告を今受けているところでございます。
  158. 櫻井充

    ○櫻井充君 坂口大臣もお医者さんですのでおわかりになると思いますが、私、今回の事件でいうと、主治医の責任というのは全く問われていないんじゃないか。あれだけ事故が起こっていたとすれば、あれだけ変な死に方をしてくれば、本来であればもっと早くに気がつくべきではなかったか。そういう意味での主治医の責任というものに関してはどうお考えでございましょうか。
  159. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 衆議院の方におきましても質問がございましたが、当然のことながら、主治医として患者さんを診ておみえになる先生もお見えになったわけでございますから、その先生方も、死亡なすった人があります場合に、それが今までの病気との関係でこれはおかしいということはやはり気づいていただかなければならないと思うわけです。  その辺のところに対しましても、私たちは管理責任、それは院長だけの管理責任ではなくて、やはり携わる医師としての責任というものも当然私はあるだろうと。それが法律的にどうなのかということは、これは法律家にお任せをしなければなりませんけれども、しかし少なくても医学上の責任というのは私はあってしかるべきというふうに思っております。
  160. 櫻井充

    ○櫻井充君 そして、先ほどその薬剤管理という話が出ました。  今、医薬分業が進んできまして、診療所の中に薬局がなくなりました。そのために薬剤師さんが配置されていないような診療所がかなり、しかもベッドを有しているところ、かなりあるように思うんですけれども、もしその数字がおわかりでしたら、なければ後で結構でございます、教えていただけませんか。
  161. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 診療所におきましては、三人以上の常勤の医師がいる場合は一名の薬剤師を置くことになっておりますが、ちょっと今手元に数字がございませんので、後ほどまたお届けしたいと思います。
  162. 櫻井充

    ○櫻井充君 それと、大臣はお述べになりませんでしたけれども、准看護士の問題というのが今回大きくクローズアップされたのではないか。つまりは、看護婦さんと准看護士さんと我々現場で対応するときは全く同じですけれども、実際法律上定めているのは立場が全然異なります。准看護士さんは看護婦さんの指示がなければ動けないと。  それで、日本の医療の質を上げるということから考えたときに、厚生省は准看護婦の制度を廃止する方向で考えられていたかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
  163. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 准看護婦の問題のお尋ねでございますので、御説明をさせていただきます。  准看護婦は、御案内のように昭和二十六年に看護婦不足を補うために創設された制度でございまして、地域医療の発展に重要な役割を果たしてきたと認識しております。  この准看護婦制度につきましては、平成八年十二月に取りまとめられました准看護婦問題調査検討会の報告書におきまして、現行の准看護婦養成課程の内容を看護婦養成課程の内容に達するまでに改善し、二十一世紀初頭の早い段階を目途に看護婦養成制度の統合に努めることが提言されたところでございます。しかしながら、現在四十万人を超える准看護婦が就業している実態及び医療関係者の合意が得られていない状況にかんがみますと、准看護婦制度を直ちに廃止することは困難であると考えております。  なお、准看護婦の資質の向上を図る観点から、厚生労働省といたしましては、平成十一年十二月に、准看護婦の教育カリキュラムの時間数を現行の千五百時間から千八百九十時間に増加させるなど、養成所の指定要件を改正をいたしまして、平成十四年四月から実施することとしております。
  164. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし今、医療従事者の関係の中で看護婦さんは専門学校、そして短大、それから大学を卒業した方とばらばらです。そして、そういうことがいろいろ問題になってきているわけであって、少なくとも養成は、養成することは今中止していくべきではないか、早急に中止すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  165. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) いつから養成を停止するかということにつきましても、先ほど御説明をさせていただきましたように、関係者間の合意、その調整を現在行っているところでございまして、具体的にその点についてめどが立つということが前提ではなかろうかと思います。
  166. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、関係者間の合意というお話が出ました。ここが一番問題でして、実は医師会が反対しております。しかしながら、医師会の意見というのは我々の、医師全体の意見で私はないと思っております。特に、地域の医療の中で私の知り合いのところは、県北の同級生なんかは、もう准看護婦の養成をやめようという動きも出ております。その医師会の反対があって進まないんじゃないんですか。
  167. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 看護職員の需給関係につきましては、平成三年に需給見通しを策定して以来、おおむね順調に推移してきておりますが、現在におきましてもかなり需給のギャップというのが存在していることは事実でございます。  そして、とりわけこれを地域別に見てまいりますと、例えば東北地方の一部でございますとか地域的に需給状況がかなり格差がございまして、一部の地域におきましては現在におきましても准看護婦が重要な役割を果たしているということがございまして、一律に養成停止の時期を決めるということは困難でございます。
  168. 櫻井充

    ○櫻井充君 でも、少なくとも質の向上を図らなければいけないと。そして、今までは医者を頂上とするピラミッド型の医療構造で、これが非常にゆがんでいるところが問題であって、そういう意味でいったら、看護婦さんたちの立場が向上していくためにはやはり養成の方法というのを変えていかなきゃならないかと思います。  そしてもう一つ、先ほど答弁がありませんでしたけれども、医師会からの反対もあるわけですよね。
  169. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘の准看護婦の問題は古くて新しい問題でございます。  今御指摘をいただきましたように、准看護婦さん、それから看護婦さんというふうに、同じ白衣を着ておりましても二種類あるというのは、これはぐあいが悪いではないかと。もうとにかくやはり看護婦さんというふうに一色に一日も早くすべきではないかという御意見だろうというふうに思いますし、ちょっと中期的に見れば私もそうだと実は思っております。  それをどうしていくかということは、今、局長から述べましたように、とにかく准看護婦の学校の水準をどんどんと正看護婦の方に近づけていく、そして実質的には差をなくしていくということが今大事であって、そしてそう遠からぬ日にそれを一本化するという方向に持っていくのが実質的ではないかというふうに私は思っております。
  170. 櫻井充

    ○櫻井充君 医師会のことに関しては。
  171. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 委員長、よろしゅうございますか。済みません。
  172. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 大臣、どうぞ。
  173. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それぞれの団体によりましていろいろの御意見があることも承っております。しかし、いろいろそれぞれのお立場はあるというふうに思いますが、やはり国民の医療ということを一番中心にして考えていかなければなりませんから、その観点に立ってやはり合意をつくっていかなければならないと考えております。
  174. 櫻井充

    ○櫻井充君 私はどうも医師会がゆがめているような気がしています。  もう一点、身体障害者の診断書を書けるのは医者だけでございます、現在の法律では。しかし、そしゃく、嚥下といって、かんだり飲んだりする障害、その患者さんたちの診断、治療は歯医者さんがやっています。しかし、その歯医者さんたちが身体障害者の診断書を書くことができません。  その十五条の改正案を私たちは今参議院に提出していますが、昨年も出しましたが、審議されぬまま廃案になっています。医師会からの圧力があったからです。この現状に対してどう思われますか。
  175. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 昨夜、先生からこの問題が出ましたことをお聞きいたしまして、ずっと実は悩んでいるわけでございます。  悩んでいるのは、どこどこから圧力があって悩むということではございませんで、いわゆるそしゃく機能、そしゃくというのは一体何なのか、もう一遍昨夜から医学書を出しましていろいろ見ているわけでございますが、いろいろのことが書いてありまして、なかなかそしゃくということ一つにつきましても概念が非常に難しいわけでございます。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  ただかみ砕くだけ、あるいは唾液とまぜるだけというだけでございましたら、これは歯科の世界で私はいいんではないかというふうに思うんですが、もう一つ、咽頭の方、飲み込むことというのが書いてあるのがございまして、そしてそしゃくをし、飲み込むということになってまいりますと、これはいろいろの問題が絡んでくるわけでございますので、歯科の皆さん方の範囲にそれがとどまるのか、それともそこを超えているのか、ここが私も実はわからなくなったままここへ立っているわけで、そしゃくできないままでここに立っているわけでございますが。  ここのところを、申しわけありません、先生、私ももう少しそこを整理をさせていただいて、歯科の方でそれはもうそこも含まれているんだということであれば先生の御指示に従わなければならないというふうに思いますし、いやしかしそれは違う、そこまではいっていないということであればお時間をいただかなければならない。  もう少しこの点、そしゃくできるまでの時間をちょうだいできないかというのが私のただいまの心境でございます。
  176. 櫻井充

    ○櫻井充君 不思議なのは、診断も治療もされているんですよ、そしゃく嚥下障害の。診断も治療もされているのに診断書だけ書けないというのがおかしいわけです。どうでしょう、そこのところだけ。
  177. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私は、そこのところを十分に知識がないものですからお答えができなかったわけですが、診断ができているというのであれば、それは当然のことながら診断書は書けるというふうに思います。
  178. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうですね。前向きですね。  大臣、もう一つ言えば、治療ができるというのは診断しているということですよ。
  179. 今田寛睦

    政府参考人(今田寛睦君) 唇顎口蓋裂につきましては、そしゃく障害をもちろん伴うわけでありますが、現在、主に歯科大学の附属病院等でかなりの方々が治療を受けていらっしゃるという状況にございます。  そういった方々が口腔外科的処置をされたりする場合にあっても、現在の診断、治療そのものを歯科の先生方がおやりになっていることを否定するものではございませんが、この身体障害というものを認定し、何級として認定するかという一つの総合的な判断を私ども行政的には求めているつもりでございます。  つまり、唇顎口蓋裂であるかという診断をされているということだけではなくて、その人がどのような障害を担っているか、その程度を判断するためには、先ほど大臣からも御指摘ございましたけれども、かむあるいはまぜる、あるいはのどに送り込む、そして飲み込むといった総合的な判断に基づいて障害の程度を判断したいという観点から、医師の診断書が不可欠であるという判断でこれまで運用している次第であります。
  180. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは歯医者さんを侮辱しているんじゃないですか。歯医者さんの前でそのこと言えますか、本当に。それはひどいでしょう。歯医者が診断できない、そんな……
  181. 今田寛睦

    政府参考人(今田寛睦君) したがって、今の制度におきまして、五十九年に唇顎口蓋裂が身体障害対象となった時点で、歯科の先生方の専門性をお伺いしたいということから、意見書の提出をあわせて求めている次第であります。
  182. 櫻井充

    ○櫻井充君 社会的な判断ができないとおっしゃったじゃないですか、今。歯医者さん、できないんですか、本当に。
  183. 今田寛睦

    政府参考人(今田寛睦君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、かむ、まぜる、そして飲み込むという行為の中にはあご、のど全体の機能の障害の結果としてあらわれるという観点から、歯科医師の御判断にあわせて医師の判断も必要である、このように考えております。
  184. 櫻井充

    ○櫻井充君 そんなこと聞いていませんよ、そんなこと聞いていません。答弁になっていません。社会的判断ができるかできないかと言っているんですよ。
  185. 今田寛睦

    政府参考人(今田寛睦君) 歯科の分野での御診断は十分に可能だと思います。しかし、障害の認定を行う上でもっと幅広く御判断をいただきたいという観点から、総合的な御判断をという意味で医師からも診断書をいただいておる、こういう趣旨であります。
  186. 櫻井充

    ○櫻井充君 時間もないので、それではもう一つゆがんだ構造をお話ししますと、准看護婦さんの養成学校には補助金が出ております。そして、歯科衛生士さんの養成学校には補助金が全く出ていません、運営費。なぜですか、これは。
  187. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 准看護婦につきましては、准看護婦を含めまして看護婦の養成所に対しましては、昭和四十五年から看護職員の慢性的な不足に対応いたしまして、この養成所の運営費の補助制度を始めたわけでございます。その後、平成四年に、看護職員の不足に対応するために、いわゆる人確法と言っておりますが、看護婦等の人材確保の促進に関する法律が制定をされまして、この法律によりますと、「国は、看護婦等の養成、資質の向上及び就業の促進並びに病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善その他看護婦等の確保を促進するために必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」とされております。  したがいまして、看護婦の養成所に対する運営費の補助につきましては、看護婦職員の慢性的な不足に着目した運営費の補助ということでございまして、一方歯科衛生士につきましては、その確保について大きな問題はないというふうに認識をしておりまして、そういう観点から、看護職員に対する運営費の補助というのは特別の制度だというふうに考えていただいて結構だと思います。
  188. 櫻井充

    ○櫻井充君 歯科衛生士さんは足りているということでしょうか。今、全部の歯科診療所に歯科衛生士さんいらっしゃるわけじゃありませんよ。
  189. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) いろいろ医療関係職種がございますが、その中で非常に不足、需給問題が深刻な看護職員に限ってその養成所の運営費の補助を行っているわけでございまして、これは医療関係職種の中で看護婦だけが特別そういう点に、需給関係に着目して行っているということでございます。
  190. 櫻井充

    ○櫻井充君 それともう一つ、じゃなければ、これから予防歯科というのは非常に大事になってきます。そういう意味で、歯科衛生士さんというのは非常に重要な位置を占めてきて、宮城県ではもう歯科衛生士さん三年制にしようと。しかしながら、今のままではなかなか三年制に移行していかない、しかも補助金もつかないということで、これはやはりどう見てもバランスがおかしいんじゃないかと思うんです。その点についていかがでしょう。  せめて、少なくとも三年制を始めるところには運営費の補助金を出して、歯科衛生士を三年制にして質の高い人たちを育てよう、そういうことをやってもいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  191. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 歯科衛生士の修業年限につきましては、平成十一年の五月に取りまとめられました歯科衛生士の資質の向上に関する検討会の意見書におきまして、現行の修業年限二年により業務の多様化等に対応した新たな内容の教育を実施していくことが困難である、したがって、養成施設における修業年限を三年に延長する必要性は十分に理解されている、しかし、環境整備に対する現場の対応を十分考慮する必要がある、こういう意見が述べられているわけでございます。  これを受けまして、厚生労働省といたしましては、今年度から歯科衛生士養成所が修業年限を延長する場合、施設設備に対する費用を補助する制度を創設いたしまして、既存の歯科衛生士養成所が修業年限の延長を円滑に行うことができるように取り計らったところでございます。これによりまして、本年四月一日から、修業年限三年による歯科衛生士の養成を行う養成所に対しましては、先ほど申し上げたような補助を行うこととしているところでございます。
  192. 櫻井充

    ○櫻井充君 看護学校の運営費に、向こうは出ています。じゃ、なぜ歯科衛生士さんは運営費出してもらえないんでしょう。
  193. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 看護職員の場合は、需給関係が非常に逼迫しているという点に着目して行っているわけでございまして、歯科衛生士につきましては、その点について看護職員と違うという判断でございます。
  194. 櫻井充

    ○櫻井充君 おかしいじゃないですか。厚生省は、質の高い歯科衛生士さんが必要で、三年制には移行していかなきゃいけないということを述べられているじゃないですか。
  195. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 質の向上を図るということは当然でございますが、看護職員の養成所の運営費に対する補助というのは、あくまでも需給関係に着目した制度であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  196. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、歯科の先生が気の毒な、御苦労されているのは、補綴で、詰め物で金銀パラジウムというのを詰めているわけですけれども、これが物すごい勢いで高騰しておりまして、治療をするとするだけ損をしている、いわゆる逆ざやの問題があります。今回、四月に保険点数が改正されますが、ほとんどまだ逆ざやは解消しないんじゃないかというぐらいの点数なんです。この問題についてどうお考えですか。
  197. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この問題も、私もいろいろの人からお話を伺っているところでございます。このパラジウム合金というのが非常な乱高下をしているという、非常に高くなってきたといったようなことで、歯科の先生方からも非常に大きな要望がありますこともよく承知をいたしております。  それで、先般の二月の二十八日の中医協におきましてひとつ四月から値上げをするという結論を出していただいたようでございますが、これからまだこれ乱高下するだろうというふうに思います。したがって、高くなることもあれば低くなることもあるだろうという気もするわけです。  ですから、これが何によってこれだけ乱高下しているのかということを私も十分に存じません。しかし、現在そういうふうな状況にありますことは事実でございますので、適正に、できる限りその期間、半年なら半年間の間にどういうふうに変化をしたかを十分にわきまえて、そうしてそれに対して公正な値段になるように私も中医協の方にお願いをしたいと思っているところでございます。
  198. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは次に、農業の問題についてちょっとお伺いさせていただきたいんですが、新規雇用を創出していくという点で、私これから農業は非常に大事なんじゃないかと。それから、食の安全保障ということから考えても自給率を高めていかなければいけない。  その中で、小麦、大豆は一けた、そしてトウモロコシに至っては自給率ゼロという状況でございます。この状況をどうされていこうとお考えなのか、大臣、所見をお願いいたします。
  199. 谷津義男

    国務大臣(谷津義男君) 食糧の自給率の向上のために、食料・農業・農村基本計画において、小麦それから大豆及びトウモロコシを含めた主要作物などの品目について生産性の向上あるいは品質の向上等の課題を明確にした上で、これらの課題の解決のために実現可能な水準をこれは生産努力目標といたしまして掲げているところであります。  このために、この生産努力目標の実現に向けた農業者等の取り組みを促進するために、優良農地の確保等流動化を促進する、それから生産基盤の整備等を通じた生産性の向上やあるいは技術の開発普及による単収や品質の向上を図るほか、消費者や食品加工業者のニーズに即応した生産の推進を進めていくことが大事であるというふうに考えているところでございます。
  200. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、最後になります。  今回の産業投資会計で基盤センターの改革が進められるんだそうです。これまで多額のお金が投資されて、二十五億円しか戻ってこないと。このお金の使われ方について、少し説明していただきたいと思います。
  201. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  基盤技術研究促進センター、これは昭和六十年代に米国等から基盤技術ただ乗り論と、こういうことで基盤技術研究円滑化法が制定されて、同法に基づき設立をされました。  民間の基盤技術研究に対してこれまで百九件に対して総額二千七百二十億円を出資すると、こういうことでやってきまして、こうした出資事業という形で相当成果は上がってきているわけですけれども、特許料が収得できてそれでもって充てると、こういうことになってまいりましたけれども、なかなかその特許料収入が上がらないと、こういう実情がございまして、今御指摘のような形で、非常に思ったように収入が上がらないためにそういう結果になっているわけであります。
  202. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは何年間でこのお金なのかわかりませんが、産投出資実績二千八百五十九億円、それで結局特許収入の実績が二十五億円。二千八百億円ぐらい全くむだに使われている。基盤センターで、人件費なのか運営費なのかわかりませんが、そこで百三十億円以上のお金が使われているわけです。これはどういう、単純に言えばここは官僚の方の天下りのためにつくられた機関ではないだろうか、そう考えたくもなりますが、いかがでしょう。
  203. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 今、委員から天下りのためと、こういう御指摘でございますけれども、今申し上げたように、百九件の基盤技術研究に対して総額二千七百二十億円を出資しました。  ちょっと先ほども申しましたけれども、こうした事業を通じて、国際電気通信基礎技術研究所、ATRと言っています、また生物分子工学研究所、BERI、こういうふうに言っておりますけれども、世界的に大変評価の高い研究所を輩出したことを初めとして、約二千二百件の登録特許や約二万件の論文等を通じた知的資産の形成、また、研究に携わった研究者により七社のベンチャー企業が創設された等のさまざまな成果を上げてきたことは事実であります。  そしてまた、同センターの出資制度が、先ほども言いましたように、特許料収入等により資金回収を期待する前提となっていることや、企業会計基準の変更等により、近年その継続が困難となってきました。  しかし、そういった形で、我々としては、そういう成果も上がってきたわけでございまして、決して天下りという形でそれをやっていたわけでございませんので、そういったやっぱり成果も上がってまいりましたし、それから、ほかの特殊法人に比べても天下りというのは、今の人数では、若干数字を申し上げますと、今、基盤センターの役員における官庁出身者は役員八名中四名でございます。約五割でございまして、そういう意味ではほかのそういう特殊法人に比べて特に高いということは言えません。例えば日本貿易振興会というようなものも四六%と、こういうふうなことになっております。  そういうことで、今御指摘のように天下り先ということは我々は認識をしておりませんので、同センターの基盤技術研究の推進という業務の性格に照らしてたまたまそういう形で、知見を有している者がそういう形で入っている、こういうふうに我々は認識をしております。
  204. 櫻井充

    ○櫻井充君 少なくとも最初の構想とは違っていたと思います。また今度この点については委員会で質問させていただきたいと思います。  終わります。
  205. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) 関連質疑を許します。木俣佳丈君。
  206. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会、木俣佳丈でございます。  冒頭、官房長官にお伺いしたいんですが、きょう新聞記事が幾つか出ておりますが、森総理は辞意表明を党大会の前に出すんですか。
  207. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) そういう予定は全くありません。
  208. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 再度聞きたいと思います。全くありませんか。絶対にありませんか。
  209. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ありません。
  210. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私、いろいろな国内の話もさることながら、やはり外交日程が詰まっている中で、例えば今月の二十五日にはロシアに行く、これ何しに行くのかなという感じがするんですが、外務大臣、何をされに行くんですか。
  211. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日ロ首脳会談は、二月十三日に森・プーチン電話会談というのがございまして、そこで日程が三月二十五日、場所はイルクーツクで会おう、こういうことが決まったわけでございます。  このイルクーツクにおきます日ロ首脳会談は、極めて私ども大事な会談だと思っております。  その一つは、二〇〇〇年までに合意をというクラスノヤルスク合意でございますが、このクラスノヤルスク合意を何としても実行しようということで両国が努力をしてまいりましたが、まことに申しわけないことですが、二〇〇〇年末までに合意ができませんでした。  ということになりますと、今もう二〇〇一年になってしまったわけで、ここで両国首脳は、二〇〇〇年までに行った交渉がどういう交渉であったか、どういうことが二〇〇〇年までの間にあったかということを両国首脳は一遍明らかにされる必要があるのではないか。  あわせて、二〇〇一年から、何といったらいいんでしょうか、仕切り直しとでも言うんでしょうか、二〇〇一年から日ロ首脳会談に改めて臨むことについて双方首脳はそれなりの決意といいますか、考え方といいますか、そういうものを話し合う。すなわち、二〇〇〇年までの問題についての合意、それから二〇〇一年以降の進め方についての考え方の合意、こういったようなものが、本来はもっと二〇〇一年になって早々にやらなければならなかったわけでございますが、少しおくれましたけれども、三月二十五日という日が設定をされましたので、ここでそうした合意が行われて、両首脳による署名ができればいいなというふうに私どもは考えておるわけです。
  212. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 イルクーツクには、伺うに森総理のお父さんのお墓があるというふうにも伺いながら、プーチン首相が御配慮いただいたというんですが、本当ですか。
  213. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 森総理の父上の、何といいますか、遺骨が分骨されてイルクーツクにあるということは首脳会談の食事の席でしたか何の席でしたか話が出まして、それにプーチン大統領は非常に関心を持たれて、ぜひ今度はじゃイルクーツクでやりましょうねという話が昨年の夏以降あって、それが先般のブルネイの首脳会談のときにプーチン大統領は覚えておられて、今度やるときはイルクーツクですねというようなことがあったというふうに私記憶をしております。
  214. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 イルクーツクの周りにはエネルギー資源も豊富で、ガス田がありますが、こういった話し合いはされるんでしょうか。
  215. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 首脳二人が会われて一定の時間二人で話をされるわけですから、それはいろいろな話はなさるかと思います。まだその話、そのエネルギーの問題が両国首脳の会談のテーマとして考えられているというふうには承知しておりません。
  216. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 コビクタというガス田があり、我が国にとっても戦略物資としてこれから非常に大事なガス田だと私は昔から思っております。  そういった日ロの会談、電話連絡でされたというんですが、先般、総理、首相の周辺からも、スターリンの四島接収というのはこれは間違いだったと、こういうことが漏れておりますが、これは事実ですか。
  217. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 新聞報道でそういうのがあったことは私は記憶いたしておりますけれども、そういう事実はございません。
  218. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 北方領土の問題について、官房長官、それではどのようにお考えですか。
  219. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 領土問題は日ロ両国間にあります最大の課題でございます。この四島の帰属を解決して平和条約を結ぼうというのが日本の我々の基本的な考え方でございます。
  220. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 森総理になってから幾つかそういったいわゆる失言というか、変なリークというか、こういったものが噴出しておりまして、これは北朝鮮の拉致の疑惑もそうですが、非常に国家の存立というのか威信にかかわるようなことが漏れていくということについて、外務大臣はどのようにお考えですか。
  221. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 漏れているとは思いません。それぞれが憶測で記事をお書きになっていることはあるかもしれませんが、漏れているというふうには考えておりません。
  222. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ということは、プーチンさんはそのようには言わなかったと断言できますか、外務大臣。──いや、スターリンの四島接収、間違いだったと。
  223. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) それは先ほど官房長官が御答弁になられたとおりでございます。
  224. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これはそんな、小さく見出しで出ましたので余り大きな問題にならなかったかもしれませんが、重大なやはり問題であるというふうに思うんですね。  やはり、今これだけセンシティブになっていて、三月の末に首脳会談を行われるならば、そんなことが漏れていくこと自体がおかしいし、これは事実でなければしっかりだから反論したらどうですか、官房長官
  225. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、こちらも先ほど申しましたように、そういうことはないということを申し上げましたし、ロシアの外務当局もそういう事実はないというふうに言っているという報道を拝見しました。
  226. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いずれにしましても、要はマスコミの方々を初めとして、国民の皆さんが森首相は早晩退陣だと、こういう中で国会が行われていく、この何か異常さというのを身にしみて感じながら質問をさせていただきたいと思うんですが、やはり国内だけでなく、外に向かって私は恥であるというふうに思うのでございますが。  この例えば外交日程、三月二十五日、そしてまた日米首脳会談は十九日が延期、延期になるのではないかと言われておりますけれども、こういった事態について、かつての総理で、そしてまた総裁であったお二人の大臣財務大臣、そしてまた橋本大臣から御意見を伺いたいんですが。
  227. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) どうも意見とおっしゃっても、何を申し上げたらいいんでしょうか。つまり、総理大臣のお立場からいえば、国政というのは一刻もゆるがせにできないわけですから、そういう観点からやはり非常にこういう状況については憂慮しておられるのではないかと私は思います。
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 宮澤先生みたいにうまい表現ができないんですが、私自身、参議院選敗北の責任をとって総辞職を宣言した、正式に記者会見をいたしました後にロシアのキリエンコ首相をお迎えして会談を行ったこともあります。  まさに、一刻の停滞も許されないという中ででき得る限りのことをしていくということに尽きるのではないだろうかと思います。
  229. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いろんな言い方はあると思うんです。しかしながら、やはりちょっとソ連に行って話し、例えばきのうもマスコミ報道で、ワシントン発のものでもございますが、日米首脳会議の前に韓国の大統領にお会いになっている。もちろんそれが悪いということではありませんが、やはり第一に大事にしたいと日本のことを言われているブッシュ大統領がお会いにならないというのを、では橋本大臣、どのようにお考えになりますか。
  230. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私の担当は沖縄北方対策でありまして、米国対策は入っておりません。
  231. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いずれにしても、全国民挙げて、森退陣要求というのが自民党の中からも起きていると。そしてまた、例えば全会一致でこういったものを決議したり、そして我がふるさとの町でも自民党という名前を会派から削除しております。  こういった事態の中であるわけでございますが、とにかくKSDの中小企業のこの問題、私は、削除したい、例えば名前を削除したい人は削除できるかもしれないが、しかし、もうこの隠れ党員、幽霊党員というんでしょうか、それからもみ殻党員なんという言葉も使われている。こういった方々は本当に、私も電話で何人かとお話をしましたけれども、何でこんなことになるんだ、一体どうなっているんだ、こういう怒り心頭に発しているというのが現在の状況ではないかと思います。  そこで、総務大臣に伺いたいんですが、何度も聞いておりますが、自民党豊明支部、四県ございますが、九一年から九九年度までのこの党員数、延べ数と、そしてまた党費について合計をお答えください。
  232. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 自由民主党東京都豊明支部でございますが、設立されたのは平成六年—平成十一年まででございます。それから、自由民主党埼玉県豊明支部、同じく自由民主党千葉県豊明支部、同じく神奈川県豊明支部については設立された平成三年から平成十一年までにおける収支報告書の要旨に係る公報告示または収支報告書の記載について四都県の選挙管理委員会に確認しましたところ、党費の金額及びこれを納入した者の数の総計は、党費三億九千四百四十二万二百五十円、納入者数三十八万六千百五十八人であります。
  233. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 党費は十三分の四十で、つまり四千円払った中で千三百円がこれ残り、そのほかを党に、自民党本部に上げられるということでありますから、私どもの集計では四十万を超える、そしてまた十七億円を超える党費と言われるものが自民党の方に納入された計算になりますが、この返還請求が、本日の新聞にもありますようにKSDの理事長から求められておりますが、坂口大臣、所管の大臣として、この行為というのは正当なものかどうか、つまり自民党は返すべきかどうか、所管の大臣としてお答えいただけますか。
  234. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) きょうの新聞を拝見いたしまして、新しくKSDの理事長になった方が返還要求をしておみえになるという記事が出たわけでございますが、一方、役所の方にはそういうことを言っていないという電話が入ったりいたしまして、事実が一体どうなったのかということが正直なところよくわかりません。それが一つ。  それからもう一つは、この新理事長がどういう手続と申しますか内部において調査をされた上での話なのかということをももう一つはっきりしない。そこを私、はっきり一遍調べたいというふうに思っておりますが、それは、いろいろの書類は全部捜査のために持っていかれまして、今ないわけなんです。  そういたしますと、そのいろいろの書類を見てこうだああだということを判断されることは現在難しい状況にある。そうした中で新しい理事長がそういうふうに判断をされたというのは、その職員の中に、いや、そういうことだと、こういうことですということをより明確に言った人がいるのかどうか。我々旧労働省が調査をしたときにはそこはわからなかったわけですけれども、その辺のところを明らかに言っているのかどうかということが問題、知らなければならないというふうに思っております。  もし仮に中でそういうことを言い、もしもそれが、きょう出ているようなことが事実であるということになれば、これは組織ぐるみの話でございますから、これは重大な問題だというふうに思うわけでありまして、ただしかし、現在のところそこまで把握ができておりません。だから、そこを我々は至急把握したいと思っているところでございます。
  235. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 この返還について、大臣は再度新理事長の意思を調査されようと思いますか、どうですか。
  236. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 近々お会いをさせていただいて、そしてどういう調査を内部でされて、何をどういうふうに把握されて発言になったのか、その発言の真意があるいは本当に伝わっているのかいないのかといったようなことも含めてお聞きをしたいというふうに思っております。
  237. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 このKSD問題ですね、衆目の注目するところでございまして、いずれにしましても、我々民主党・新緑風会として、新理事長の中井宗夫氏を参考人としてこの委員会に来ていただくように要求したいと思います。よろしゅうございますか。
  238. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) この取り扱いについては後で理事会で協議いたします。
  239. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 何人かの方々にヒアリングをして、要するに知らないうちに党員になっていた、こういう事実を私もこの耳で聞かせていただいたんですが、これを新聞報道でも党費と書いてあるんですが、総務大臣、これは党費ということでよろしゅうございますか。
  240. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この問題につきましては、もう既に何度も御答弁させていただきましたが、個別具体の事案は事実に即して判断しなければならない。いろんな経緯、そういう今までのいろんな関係を踏まえて総合的に勘案されるべきものだと考えますけれども、仮に、今、木俣委員お話しのように、本人と全く意思疎通もなく、全く本人が知らないまま党員の申し込みを行い、その党費相当額を政党に支払ったというような場合におきましては、その党費の支払いは党費の支払いとは言いがたい、そうしますと寄附になる、こういうことであります。
  241. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そのとおりだと思うんです。要するに、党費というのは構成員が負担するもので、人が負担したのは今言われたように寄附になる。ところが、この豊明支部の収支報告、これに記載されておるのは党費として書いてあるんですが、これ訂正されましたか。
  242. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) それはしておりません。
  243. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは規正法違反にはなりませんか、そうしたら。
  244. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これも何度も申し上げましたように、事実認定に基づいてどういう判断をするかということでございますから、一方的にそれが虚偽だとか間違いだとかということになっていないわけでありますから、その訂正云々ということは直ちには出てこないと、こう思っております。
  245. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これはおかしなことをおっしゃいますね。私は十人ぐらいの方々に問いを出して、知らないうちに総裁選の案内が来た、このように言っているんですよね。ですから、少なくともこの中で、自民党で調べられて早々にこれを改善しなければ、これは規正法違反ですよね。もう一度御答弁お願いします。
  246. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは衆議院でも参議院でも総裁である総理が何度もお答えになっておりますけれども、現在実態を党で調査中でございまして、私どもの方は、これも何度も申し上げますが、実質的な審査権があるわけじゃありませんで、いろんな報告を受け取って公表するというのが我々の仕事でありまして、あとは公表の結果を社会的に監視、批判をしていただく、こういうことでございますので、御了解を賜りたいと思います。
  247. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それでは、総務大臣として自民党豊明支部に対して、早々にだからこれを調べて収支報告を改善せよというふうに命令をしてください。よろしいですか。
  248. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 何度もこれもお答えしておりますが、そういう権限は総務大臣にも選挙管理委員会にもないわけであります。
  249. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それから、政治資金規正法の二十二条の六の第三項を、総務大臣、ちょっと読んでみていただけますか。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
  250. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 第三項だけでよろしゅうございますね。
  251. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 第四項も。
  252. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 四項も読みますか。  政治資金規正法の第二十二条の六第三項、「何人も、第一項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。」、第四項、「第一項の寄附に係る金銭又は物品の提供があつたときは、当該金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。」。  以上であります。
  253. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 現在、オンブズマンの方々を中心に、こういういわゆる架空党員づくりについて訴訟を起こすように、そしてまた起こすような行動が今とられておりまして、今読まれましたように、これが全く偽名で支払われたものであれば、大臣がおっしゃるように国庫に帰属するという理解でよろしゅうございますか。
  254. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この規定は本人以外の、本人名義以外の名義または匿名による寄附でありますが、そういうことを知らずに収受した場合は適用がありません、知らずに。本人名義以外の名義や匿名であることを知って受け取った場合には、これは寄附として受けたわけでありまして、罰則の適用があり、没収、追徴になると。そういう本人名義以外の名義または匿名である寄附であることを知って保管した場合には、今私が読みましたように国庫納付の手続があると、ただし罰則はなしと、こういうことになっております。
  255. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 後でわかった場合はどのようになりますか。
  256. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 後に、後日になって判明した場合は適用はないというふうに解釈されております。
  257. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それでは、その場合にはどこに帰属するんでしょうか。
  258. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) その場合にはそのままだという解釈であります。
  259. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それじゃ本当に泥棒というものじゃないですか、それは本当に。  それじゃ、だれかわからない名義のものを、寄附をもう自民党というのはどれだけでも受けるということですか。だから、要するにもらい得だと、こういうことですか、総務大臣
  260. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私が言っているのは知らずに受け取った場合でありますよ、知らずに受け取った場合。知った場合には適用はあるんですから。知らずに受け取った場合でございまして、それは最終的には、何度も言いますけれども、事実認定の議論になりまして、現在、この問題はまさに司法の場で、司直の手で解明されつつある、その結果を待たなければならないと思います。
  261. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは何度も総理自身が、総裁自身が調べてということですから、ですから司直の手のみならず、これは自民党挙げてやっぱりやるべき問題だと思います。別に大臣に答えていただくことではないかもしれませんが。  後にわかったらどうでもいいというこの法律自体がおかしいと思いませんか。わからないんだ、これが。
  262. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) そのあたりはいろんな御議論がありますが、私は最終的には立法政策の問題だろうと。そういうことは余り想定していないんですよ、法律そのものが。立法政策の問題だろうと思います。
  263. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、この問題というのは、抜け殻党員の問題というのは、単にKSDだけの問題ではないというふうにやっぱり言われておりまして、早々にこの対応を総務大臣にはしていただきたいんですが。
  264. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 政治資金規正法や公職選挙法を所管する大臣として、木俣委員の今の発言は受けとめさせていただきます。
  265. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だれが寄附したかわからないお金を勝手に、例えば党費とかということで入れてしまって、そしてそのまま消費してしまう、これはまさに横領罪というような気がいたしますが、法務大臣、どのようにお考えになりますか。
  266. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 犯罪の成否についてお尋ねになったんだと思いますが、犯罪の成否につきましては、証拠によって認定された事実に基づいて判断されるべきものでありますので、今私が申し上げることは差し控えさせていただきます。
  267. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 多分、質疑が余り進まないので気分を変えまして、中小企業がやはりこのKSDの一番の被害に遭った方々だと思います。午前中の質疑の中でも財務大臣から、中小企業や非製造業の成長が滞っている、このような発言もありました。私もそう思います。  ところで、ここ数年、小渕前総理、そしてまた森総理になってからの一番最新の経済計画、これをお答えいただきたいんです、麻生大臣
  268. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成十一年七月に、小渕内閣のときに、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」というものが発表をされております。数値につきましては、二〇一〇年ごろまでの経済の姿をわかりやすく示すために参考として作成されたものがあります。  私の知っているのはそこまでです。
  269. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今いみじくも言われましたけれども、この法案の性質というのは大体十年の目安を考えられているということですが、成長率または開業率ですね、こういったものについてどんな数値を見込んでいらっしゃいますか。
  270. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 経済成長率につきましては年二%程度の成長、平均です。名目成長率につきましては年三%台半ばと見込まれております。  開業率ですか、もう一個。開業率につきましては、今御存じのように日本では開業率というのが極めて低い数字になっておりますので、創業、起業というものを活発にさせていくために、現在の日本の四%程度のものを、アメリカの一四、イギリスの一三等々の数字がありますので、なるべくそういったものに近づけたいという数字が挙げられていると承知しております。
  271. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは、麻生大臣、そしてまた財務大臣にも伺いたいんですが、これは本気でこの数値を達成したいと、このように思われますか。
  272. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 達成をしたいと思ってつくられたと理解をしております、その点に関しましては。  では、達成できるのかというところだと思いますが、この中で、既に御存じかと思いますが、現在では、昔は実質成長率と名目成長率は名目成長率が高く数字が出るのはもう経団連にいらっしゃったんで御存じだと思いますが、そういった流れで来ておりますが、現実問題としては平成十二年、今年度一・二%の経済成長率と言われておりますが、実質成長率は〇・〇です。  したがって、実質成長率の方が名目成長率より高く出るという実態に今なっておりますので、そういった意味からいきますと、この成長率は三%台半ばの名目成長率を見込んでおられますので、そういった意味では実質二%というのと名目成長率三%台半ばでは、その時点で既に今の状況の名目成長率というか、消費者価格は下がっております、この二年間の数字を見ますと。その数字から既にもう今の段階で狂ってきておるという状態にはなっておりますが、ただ十年間終わった段階でどうなっているかというのはまたなかなか今の段階では申し上げられないところだと思っております。
  273. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この計画は、作業をやったんですが、世の中がああいうことになってしまって、これ数値を表へ出すのはもともともう無理だ、バックデータとしても問題があるというようなことでございましたんですね、あのときの実情というものは。ですから、その後、その後というのはおかしいので、その後は、今の時代はまだカバーされているんでしょうが、今現実に日本の中期内の、あるいは長期はもとよりですが、計画というものは実質上ないのが今だと私は思っているんですが、実質的には。そんなものだとこれは私は思っています。
  274. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、目標はないということでよろしゅうございますか、財務大臣、全く。
  275. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いや、ないと申しますと今のがあるのでですね。これは何と平成……
  276. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それがしっかりした目標になっているんですかということです。
  277. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その前に、その平成十一年から二十二年度、十一カ年間ということでございますから、麻生さんのように十年先はまたわからないというのはおもしろいお答えですが、今実際これで何かのベースにこれを使おうというのは、実際は無理でございますね。
  278. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 きょうも与党三党が緊急経済対策を、これはもちろんこの計画とは違いますが、出されるんですよね。与党で合意されると聞きますが、そういったもの自体が何か水泡に帰すという感じがするんですよね。これだけ、要は小渕前総理のころから百兆以上国債がふえて債務がふえているのにもかかわらず、全くその目標にならないと、それはちょっと無責任だと思いませんか。
  279. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは私の、自分の経験からいえば、今の日本の経済状態というのは実際一種の非常に異常な事態でございますから、かつてお互いが、あるいは我々がいろいろ経済計画をやって、ある程度予見できるということとはいろんなことが違っておりますものですから、そういう意味で、計画があって、実際はこれに基礎を置いてといったような議論をすると、そうですかということではあるけれども、実際にはそれはそんな信憑性のあることは言えないというのが今ではないか。
  280. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今の財務大臣の答弁に対して、麻生大臣はどのようにお考えですか。(「予算なんというのはやっぱりその日暮らしのことだろう」と呼ぶ者あり)
  281. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) それは一つの発想ですか、あなたの、同じ意見、聞いておかないと危なくてしようがないからね。  木俣議員の御質問ですけれども、基本的には今まで、御存じのように、戦後やってきたある程度の物価成長率が何%かあるという前提でシステムというのはすべてでき上がってきておりました戦後五十年間に比べまして、この二年間の間ぐらいは間違いなくマイナス成長になってきておるという実態というのはいまだかつて一回もありませんから、こういうことは。  そういった意味では、非常に大きな条件が、幾つかの問題が変わってきております。経済構造も随分いろんな意味で変わり、そういった意味では今立っておりますものがなかなかさようなわけにいかない。しかも、アメリカは行くと思ったら行かなくなったり、いろんなものが予測不可能な事態になっておるというのが実態だと思います、現実問題として。  したがって、今、立ったものが、ある程度名目成長率が実質成長率を上回っていた時代ではなくて逆になるなどというのは、これはもう全く予想していなかったことが起きたりしておりますので……
  282. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今までありますよ。
  283. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いや、それはひっくり返っていて、二年間続いて上がったなんてことはないですから、これで三年目になろうとしているんですから、それはなかなかそんなことはないんです、今まで。少なくとも今まで過去、経済成長率というものがある程度読めたものがなかなか読みにくくなってきておるというのが実態だと思っております。それはもう事実、現状としてそうだと思います。  また、民主導というのがよく言われるようになってくると、官が全部経済成長はこれですと決めるのがかつてほどの力を持っているとも思えませんし、また、そういったものの民主導というものが出てくれば、いろんなそれはそれなりで結構なことだと思う。私どもはそうは思いますよ、ある意味では。だから、そういった意味ではいろんなものが今出てきている状況にありますので、ここの状況の中で立てておりますものが全く意味をなさないとは思いませんけれども、こういった「あるべき姿」と書いておるというのが私どもの正直なところであって、これは目標とは書いていないんで、これは「あるべき姿」と書いてあると思いますが。
  284. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 麻生大臣に伺いたいんですが、初めて経済計画ができた昭和三十年、鳩山内閣、経済自立五カ年計画以来、数値が閣議決定されないのは一度でもありますか。
  285. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 私の記憶ではありません。
  286. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 この十一年の数値はいかがですか。閣議決定されていますか。
  287. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この「あるべき姿」の中では数値は決定をされていないと理解しております。
  288. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、先ほどから申しますように、この計画というのはでたらめなんですよね、結局。数値は閣議決定されていない。昭和三十年から初めて、初めてですよ。計画経済を五カ年計画、七カ年計画、三カ年計画、いろいろやってきて、これは宮澤財務大臣よく御存じのとおり、数値が閣議決定されない目標なんというのはなかったんです、今まで。初めての経験なんですよ。お手上げなんじゃないですか、財務大臣
  289. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) たしか私の記憶では、このときに、平成十一年の七月でございますか、この「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」というのが題でございますけれども、において示されている数値は参考値と、こういう了解をしたと思うんです。  参考値という意味はバックデータでもない。この状況の中で、これは私は閣内にたしかいたと思うんですが、いかにも数字で言うのは無理だと、わからないことを数字で言うくらいならそれは言わない方が私は罪は軽いと思いましたから、数字を閣議決定すると、そんなことはだれも言えないじゃないのということで参考値ということにたしかしたんだと思うんです。  確かに、鳩山内閣以来私はこういうことはなかったんだと思いますが、そのぐらい我が国の経済は読めなくなってきていたということだと思います。
  290. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いみじくもまさに日本の経済を見ていらっしゃった宮澤財務大臣が言われましたように、要は日本の経済計画というのはもう立たなくなっている、もう政権としては目標を持てなくなっている、こういうふうに読みかえしても私はいいと思うんで、ぜひ政権交代をお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  291. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 小渕さんは亡くなられましたので……
  292. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 継続していますよ、亡くなっても、小渕さん。
  293. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) しかし、何ですか、これから後も、もうこういうことはしない方がいいとおっしゃるか。やっぱり、私は、読めるようになったらできるだけのことは内閣研究所がやった方がいいようなふうに思いますですが。
  294. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 我々の政党、民主党では、先が読めないからこそ安心できる社会をつくろう、明確な目標を持とうと、このように思っておりますので、政権の移譲をお願いしたいというふうに思いますが、財務大臣、いかがですか。(発言する者あり)
  295. 岡野裕

    委員長岡野裕君) お静かに願います。  木俣君はだれに答弁を求める今の御質問ですか。
  296. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 宮澤大臣です。
  297. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 宮澤大臣お答えになりますか。
  298. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の真意とされるところは、とにかく経済の状況が読めないようなことではいけないと、したがって我々の政権になるべきだと、こうおっしゃっていらっしゃるので。確かに状況を読めないというのは私は事実だと思うので、どうでしょう、読めるようにでもなってからではどうでしょうね。  なかなか現実にだれがやってもちょっと読みにくいというのが今ではないかと思っているので、少したちますと多分国民消費というものが戻ってきますので、それで経済の自律成長というものの軌道に入る。そうすると、やはりこういうものが要るんじゃないかというふうに思っておりますんですが。
  299. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 絶句しますけれども、目標がない経済、要は迷走しているということで理解はよろしゅうございますか、財務大臣
  300. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それで、しばしば申し上げておりますように、マイナス成長というようなこともございましたし、四半期ごとのQEもなかなか落ちつかないということから、とにかくプラス成長というところへやっぱり来てからでないとなかなかきちんとした見通しのある計画が立ちにくいと思っておりますから、だんだんプラス成長の方に私は落ちついてきた、そういう軌道に入ろうとしていると私は見ておるわけであります。  しかし、過去三年ぐらいはそうでなかったことはもう御承知のとおりでございます。
  301. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 長いこと経済成長率何%というのを日本はずっと戦後、計画経済のごとくやってきておりますが、御存じかと思いますが、イギリスにもアメリカにも、ついにフランスにもそのような経済成長率を示しているものはございませんので。御参考までによろしくお願い申し上げます。
  302. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そんなことは全く参考になりません。  これから、エネルギーの御質問をさせていただきますけれども、例えばエネルギーの自由化、これで価格がどれだけ下がるかというのは、私この耳ではっきりイギリスで、例えば一〇%下げるんだとか、二五%下げるんだということを聞いておりますし、クリントン前大統領にしても、例えばオイルの値段まで、二十ドル前半ぐらいがいいんじゃないかと。  貿易の話まで目標値を掲げて、ここまで持っていくというのが政治の主導ということじゃないんですか、大臣。もう一度ちょっと御答弁お願いします。麻生大臣
  303. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 日本で計画経済と今申し上げましたけれども、これほど精緻をきわめてやってきたという例は他国にはなかったという点は重ねて御答弁を申し上げます。  また、今のオイルの値段につきまして、今、日本でオイルの価格を調整するほどの力はありません。
  304. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、そういうことを言っているんじゃなくて、目標がそれだけ大事でしょうと、そういう目標を掲げながら国民を安心させることが大事ではないかと私は思うんですが、大臣、どうですか。
  305. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 目標を掲げるのは極めて大事だと思います、私どもも。人が働く意味で、ことしは売上高をどれくらいにしたいとか、その目標を掲げるのは極めて大事だということに関しては全く異議はありません。ただし、今の状態は極めて、戦後初めてのような状態が、価格の話が一番わかりやすいと思いますが、消費者価格が下落する、その中でGDPを上に上げるということはこれはずっとやってきておりますけれども、これはなかなか今までのことでなかったようなことが起きてきておりますので、そういった意味では、計画を出しても実際なかなかさようなわけにいかなくなってきているというような状況が続くということの方がむしろ問題なのであって、私どもとしてはあるべき姿としてはこんなものだと思いますけれども、それを数値で毎年こういうようになっていくということにはなかなか難しくなってきて、そういったものがかえって不安を招いたり、何となく政府は頼りないんじゃないかという話になっていくと、私どもはそう思っております。
  306. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 川口環境大臣に伺いますけれども、温暖化対策で温室効果ガス、目標何%削減ですか。
  307. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 日本についてお聞きでいらっしゃると思いますが、これは国によって違いますけれども日本の場合は、一九九〇年と比較しまして、二〇〇八年から二〇一二年の期間において六%削減ということになっております。
  308. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 数値目標を聞かれて、麻生大臣、再度御答弁をお願いします。どのようにお考えになりますか。
  309. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 数値目標が立てられるというところはそれなりに結構なことだと思います。私どもとしては結構なことだと正直なところ思います。  私どもは、経済成長率は一・二%と申し上げております。経済成長率一・二%、今年度。来年度につきましては一・七%という経済成長率を立てております。
  310. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 平沼大臣、今の川口大臣の御答弁がありましたが、数値目標がなくて産業界の方は、数値目標があるから物すごい努力をしながら、大変な努力をしながらしておりますよね。この目標が要するに達成されるためにも、とにかくやっぱり計画経済的な経済計画というものをしっかりさせなければならないと私は思うんですが、そうされなければマクロモデルができないわけですから、将来を見通して二〇一〇年マイナス六%なんということはできないと思うんですが、いかがですか、御意見は。
  311. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 私どもといたしましては、COP3、COP6、そういう中で六%削減、こういうことでございますから、その目標に向かって今いろいろシミュレーションをやっているところでございます。ですから、そういう目標の中でいかにするかということで今一生懸命努力をしようと思っております。
  312. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そういう努力をしている大臣と努力をしていない大臣といるように思えるんですが、再度、麻生大臣、どのようにお考えになりますか。
  313. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、個別の分野を担当されるところと全体を担当するところとはおのずと少し違ってくるのは御理解いただけるところだと思いますが、基本的には私どもの経済成長率は今年度一・二%、ほぼそれは達成できるものと思っておりますけれども、事実、株式会社というか、いわゆる企業の経常利益は、今月、前年同月比で三一・九%のプラスで経常利益が出てきておるということであります。そういういい数値もたくさん出てきておりますが、それが残念ながら過去ですと、それだけ企業が利益が出ればそれが黙って企業としては雇用につながったり賃金のアップにつながったり設備投資につながっていくというのは過去の例なんですが、今は残念ながらそうならぬわけです。そこのところが私どもとしては、なかなか企業は読めないので非常に話が込み入ってきておるというのが私どもの今の分析です。  だから、そういった意味では、数値目標を私どもとしてはきちんとやりたいけれども、そのような反応になってこないものですから、もうしばらくやらにゃ仕方ないというような感じが、今現実問題として出てきているんだと思っております。
  314. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、ですから無責任だと言っているんです。  例えば、先ほど宮澤大臣が言われたように、中小企業のいわば経済の回復、活性化というのが進んでいない。例えば不用額というのを平沼大臣、暦年で平成七年から幾らぐらいになるのか、そしてまた全体の総予算の中で何%になるのか、お答えください。
  315. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 官、姓名をお名乗りください。
  316. 河野博文

    政府参考人河野博文君) 資源エネルギー庁の河野でございます。  先生、今お尋ねの点は石油特別会計の剰余金でよろしいのでございますか。
  317. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 中小企業。
  318. 河野博文

    政府参考人河野博文君) 中小企業でございますか。  じゃ、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  319. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 不用額の御質問でございます。  この不用額というものに関しましては、今、中小企業を取り巻く現下の情勢は厳しいものがあります。政府といたしましては、IT革命の対応や創業、経営革新の促進、中小企業金融対策など必要な中小企業対策を講じているところでございますけれども平成九年度以降は毎年度の当初予算に加えて補正予算において相当額の予算を確保している中、予算の重点的、効率的配分と効率的な執行に最善を尽くしておりますけれども、他の主要経費と比較して不用率が高いということは事実として御指摘のとおりだと思います。  例えば、平成九年度は一千五百三十五億円の予算額に対して不用額は八十五億円でございました。十年度は五千八百五十二億円、これは当初予算と補正予算を足したものでございますけれども、不用額は二百五十八億円でございました。十一年度まで統計がございますけれども、四千二百七十九億円に対して不用額は百九十八億円でございました。  これは、いろいろ見てみますと、特殊法人及び認可法人向けではコンピューター二〇〇〇年問題の事後対応に備えて準備した予算の不用、これが二十八億円出たとか、共済事業の加入件数が想定を下回ったことによる不用九億円など、八十二億円もある。こういったことで、地方公共団体だとかそういったところにもいろいろ不用が出ておりますけれども、中小企業の業況が厳しい中、当初見込んでいた事業量を下回ることが不用発生の一因となっておりまして、各事業の予算額についてはこのような予算の執行状況を勘案して翌年度以降の予算編成に反映するように努力をしているところでございますけれども、そういった確かに御指摘の不用があるということは事実でございます。
  320. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 パーセンテージで言うと大体五%、六%になると思うんですが、財務大臣に伺いますが、全体予算の不用額の平成十一年の平均を教えてください。
  321. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私のもらいました数字で平成七年度から平成十一年度の不用総額の五カ年の平均は五千九百十五億円、これは平均でございますが、予算現額に対する不用割合は〇・七%、中小企業の場合には先ほどお話しのように五カ年平均は予算現額に対して二・七%と聞いております。
  322. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 二・七というのは、一般会計だけだと思うんです。だから、全体でいうともう少し多いと思うんですが、いずれにしても適切なものが適切に使われていないという事実があり、そして先ほどのように目標があいまいであるから要するにそういった政策が失敗する、こういうふうに結論づけたいと思うんです。  いずれにしましても、この低成長の中、そしてまた大不況の中で中小企業は大変な思いを持っておりまして、特に独禁法の特別法として下請代金遅延等防止法、こういうものがございますが、これについて下請に対する面当てというのか、非常に冷たい風が吹いておりますが、この法案について、大臣、改正等含めまして何かございますか、今考えていらっしゃる政策は。
  323. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 中小企業が公正かつ自由な取引環境のもとで健全な発展が遂げられるよう適切に対応していく必要があることは御指摘のとおりだと思います。  経済産業省としては、不当な代金減額や支払い遅延など下請代金法に違反するトラブルについて、従来から同法に基づき親事業者に対する改善指導等を行ってきております。下請事業者と親事業者との問題の解決に大きな役割は私どもは果たしてきたと考えております。  ただし、下請代金法の適用対象となっている製造委託と修理委託においては親事業者と下請事業者の垂直的な分業構造が成立するのに対して、サービス業等においては、役務委託取引は水平的分業が広く見られる結果、構造的にいわゆる親企業、下請企業といった関係が製造業に比しても余り見られません。  また、下請代金法では親事業者に対し発注書面の交付を義務づけておるところでありますけれども、役務の委託取引の場合は定型的、反復的に繰り返される取引が少なく、取引条件の具体的内容をあらかじめ書面で明らかにすることが難しいものもあり、価格等の発注内容の書面交付を義務づけることは取引の円滑化を損なうおそれがあります。さらに、役務の委託取引と一言で申し上げてもさまざまな業種にわたっており、小規模事業者から大規模事業者への発注も行われるなど、その取引の規模もさまざまであります。  御指摘の中で、そういった中でいろいろ不備があるから少し新しい法的な措置も必要かと、こういうことでございますけれども、現行の中で、確かにサービスという面ではいろいろ問題がありますけれども、今申し上げたような背景でやりにくい、そういう面もございます。そういう意味で、現行の中で厳密に対処していけばいい、こういう認識でございます。
  324. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今お答えの中にあったかと思いますが、つまりサービス業、例えば製造業は入っているけれども、要はその製造業にかかわる運輸業の方とか、こういった方は入っていませんね。お答えください。
  325. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 製造委託というような形では入っておりますけれども、サービスというのは今申し上げたような背景で入っていない、こういうことでございます。
  326. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 経済の実態として、第三次産業、サービス業が六割を超える状況でございますから、これから入れていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  327. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) よくそういった面も、これからそういう不備の点、そういうことを検討しながら私どもはこれから進めていきたいというふうに思っております。
  328. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございました。  いずれにしましても、私、実情をいろいろな業種、サービス業の方から聞いております。大手が元請したものをファクス一本で指示して、そのときに金額の提示を口頭ではしているけれども契約をしていない。後にこの金額ですねと、こう言ったら、いやいや、働きが悪いから減額だよと、二割、これで終わりなんですね。  こういったことが続く限り、経済または人々の不安はよくならない、このように思いますので、再度、我々もこの遅延法の改正案を出したいと思いますので御協力をいただきたいんですが、いかがですか。
  329. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、力関係の問題がありまして、そういった事例も私は事実あると思います。独禁法上の優越的地位の乱用行為に該当する、そういう場合も考えられますから、そういうケースに対しては必要に応じて公正取引委員会への措置請求を行うなど厳正な対処を私は行っていく必要があると思いますし、またそういうことに関して立法される、こういう今御計画のようでございますけれども、その内容もよく検討させていただきたい、こういうふうに思っています。
  330. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 再度平沼大臣に伺いたいんですが、この夏めどにエネルギー長期計画というのが策定されようとしておりますが、調子はいかがですか。
  331. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) エネルギーに関しましては、例えば長期計画の中で、先ほどお話がありましたいわゆるCOP3に基づく二酸化炭素の排出量の削減、こういうような問題があります。  したがいまして、基本方針としましては、やはりエネルギーというのは安定的な供給ということが一番大切でございますので、私どもといたしましては、幅広い選択の中で長期のエネルギー計画を立てていかなければならない、こう思っております。  そういう中でこの二十一世紀を見通したときには、やはり安定的に、また二酸化炭素の排出量の少ないという、もちろん安全性を担保しなければいけませんけれども、原子力発電というものも私どもは主要な地位を占める、こういうふうに思っておりますし、また新エネルギーというような問題で、これはなかなかコストあるいは気象条件に左右される、こういうような問題でまだ全体の一%、一次エネルギーの一%と、こういうようなことがございますけれども、こういったものをやはり高めて三%ぐらいには先行きしていこうというようなそういう計画も立てておりますし、またさらには天然ガス、そういったエネルギーもクリーン化にとっては必要でございますし、バイオマス、そういったものも含めて、最終的に私どもは国民の皆様方が安心して安定的な供給が受けられる、そういう総合的なエネルギー戦略を立てていこうと。  なかなか大変難しい命題ですけれども、しかし新エネルギーにも力点を置いて我々は全力でやっていこう、こういうふうに思っています。
  332. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今の御答弁の中で原子力は主なところを占めるということなのでございますが、これは自由化と絡めますと、いわゆる経費がかかる原子力は非常に難しいと思うんですが、当初の計画と現在の計画、何基ぐらいの目標を何基ぐらいに直しましたか。
  333. 河野博文

    政府参考人河野博文君) 一九九八年に私どもが長期エネルギー需給見通しというものをつくりましたときには、二〇一〇年までの間に新たに十六基ないし二十基の原子力発電所の運開を想定したわけでございます。しかし、昨年三月末に各電力会社から出てまいりました供給計画によりますと、現在では十三基の新しい原子力発電所の稼働が想定されているという状況でございます。
  334. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 二年で三基も減ったりするんですか。そしてまた、十三基は間違いなくできますか。
  335. 河野博文

    政府参考人河野博文君) 御承知のとおり、この九八年の需給見通しの制定後、いわゆるジェー・シー・オーの事故どもございましたわけでございまして、原子力発電所の立地が長期化しているというのは現実の問題でございます。昨年の三月に電力会社からそういった報告を受けております。また、ことしの三月にも同様の報告が毎年のことでございますので出てまいるというふうに思っておりますけれども、現時点で私どもはこの十三基については現実性のあるものだというふうに思っております。
  336. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いずれにしましても、政府の計画というものがあいまいであるというふうに私は言いたいと思います。  原子力発電つくるのにも大変な苦労をされる。そしてまた、今欧州では脱原発という流れもあり、電力会社としても戦々恐々としているところもあるんですね。片や、我々民主党も新エネルギーを進めなきゃいけない、そしてまた自由化も進めなけりゃいけない。自由化の中で、大臣、何%ぐらい電力料金を下げたいと思いますか。
  337. 岡野裕

  338. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大臣
  339. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 一応手が挙がりましたから。──改めます。平沼経済産業大臣
  340. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 電気事業の自由化を進めることの目的はコスト削減化、即コストを削減する、電力自由化はグローバリゼーションの中で一つの流れだと私ども思っています。自由化による競争の導入は電気事業の効率性の向上を図る有力な手段との認識のもとに、既に電気事業について制度改正が進められてきているところであります。  具体的には、昨年の三月の改正電気事業法の施行を受けまして、現時点までに七社が新規参入の届け出を行っております。また、官公庁等の電力購入入札が実施され、従前に比べて、委員御承知のように、数%から一〇%程度の料金引き下げが実現をしたことは事実であります。さらに、一般家庭を含めた自由化されていない部門につきましても、昨年十月より電力会社十社平均で五・四二%の料金引き下げが実施されました。  政府といたしましては、こういった一つの実態を踏まえながら、事業者のさらなる効率化努力を期待して、そして下げるようにしていきたいと、こういうふうに思っています。
  341. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今言われたのは一般家庭も入っていまして、一般家庭の料金も要は五%ぐらい減ったということなんですが、ここを自由化していくときにどのぐらいの目標を持たれるかというのを伺いたいと思います。
  342. 河野博文

    政府参考人河野博文君) 今、大臣の方から実績について御紹介申し上げたわけでございますけれども、将来にわたって、自由化に伴いまして具体的に何割電力料金やあるいは電灯料金が下がるかという具体的な数値目標を現在私どもは持ち合わせておるわけではございません。
  343. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これもやはり私がイギリスに行きましたときに、これはDTIの方からも聞いておりますが、明確な、一〇%は削減したいんだと、こういう目標を持っているんですよね。  そういった目標がない中でどこが、要するに例えば政府が悪かったか、それとも電力会社が悪かったのかわかりませんが、コストが下がらないから自由化するわけですよね。コストが下がらないというポイントを大臣は考えていらっしゃいますか。
  344. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、電気料金というのを国際比較しますと、日本の電気料金というものの水準はまだ高いことは事実であります。  そういったことで、やはり今自由化のお話を出されましたけれども、改正電気事業法によって一部自由化をしたということでインセンティブがあって、そういう形で電気料金が下がったことは事実であります。私は、世界の一つの大きな流れとして、電力の自由化というのは一つの流れの先にあると思います。  しかし、一方においては、アメリカのカリフォルニアでございましたような電力危機というようなことで、非常に安定的な供給を欠いたと、こういう問題もありますから、私は電力の自由化、それによって電力料金が下がる、こういったことは達成していかなきゃならないと思いますけれども、同時に、電力、エネルギー供給というのは、安定性そして安全性と、こういうことをやはり同時に重要な問題として位置づけてやっていかなければなりません。  そういう面で、やはり自由化ということが非常に大きなインセンティブを与えることになると思いますけれども、その辺の兼ね合いの中ででき得る限り下げていきたい。国際比較としても、日本は家庭用、事業用、まだ三割あるいは四割高いと、こういうデータもございますから、そういう中で、少なくとも欧米並みにしていくように私どもとしてはやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  345. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今のお話だと、要は価格が高いのは電力会社のせいですか、それとも総括原価主義で許可制でこの価格をやっていますので経済産業省にこれは責任があると思いますか。どちらですか。
  346. 松田岩夫

    ○副大臣(松田岩夫君) 木俣委員の御質問でございますが、従来は御案内のようにこの総括原価主義ということでやってまいったわけであります。能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものであるということをしっかりチェックいたしまして、それに従って料金を認可してまいったわけであります。  大変努力をしてまいりまして、公正な料金認可になるようにということで頑張ってきたわけでありますけれども、先ほどからお話がありますように、現在の日本の電力料金のレベルというものは諸外国に比べて結果としてはいかがなものかという状況になっておることは先ほど大臣からお話しのとおりであります。  そういう考え方の中から、御案内のように、この総括原価方式というものを基本とした料金制度を運用していくだけではなくて、一層の合理化を進めるために競争原理と市場原理というものを導入していってはどうかということで、現在まさに第一段階の自由化を実施いたし、さらにその成果を見ながら、御案内だと思いますけれども、今からいえば二年後になりますか、それを目途にしっかりとしたあり方をまた考えていこうという状況にあるわけであります。
  347. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 もう一度、どちらに責任が比重としたらあると思いますか。
  348. 松田岩夫

    ○副大臣(松田岩夫君) 結果として高いレベルの料金体系になっておるということは事実でございます。国民皆頑張って、それぞれの立場で頑張ってきたことだと存じます。政府は政府として先ほどから出ておりますように一生懸命頑張ってきたと、こう思っております。
  349. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 時間が来ましたが、いずれにいたしましても、まとめとして、政府は無責任な計画を立て、いや、計画と言いながら計画ではないと言い、そしてまた意思も表明しない、世界の潮流と言っては自由化をしていく、それではやりきれないということだけをつけ加えて、質問を終わります。
  350. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で櫻井充君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  351. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、弘友和夫君の質疑を行います。弘友和夫君。
  352. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  私は、まず文部科学省にお伺いしたいと思うんですけれども、受験シーズンも終盤に近づきまして、それぞれ受験生の進路がほとんど決まってきつつあるわけですけれども、この春を迎える前にある受験生にとって悪夢のような出来事が起こったと。これは私の地元であります福岡で高校の教員が生徒から預かった願書を出し忘れたと、こういう驚くべきことが起こったんですけれども、この事件の経過について、まず文部科学省から経緯を伺いたいと思います。
  353. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 官、姓名をお名乗りください。
  354. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 文部科学省の高等教育局長でございます。  今、委員お話にあったとおりでございまして、福岡県内の高校の受験生が残念ながら大学入試センター試験を、願書を出したにもかかわらず受験機会が得られなかったものでございます。  時系列的に御説明申し上げますと、高等学校卒業見込み者が大学入試センター試験を受験しようとする場合には、いろいろ志願票に誤記等間違いがないかチェックいただくために在籍の高等学校を経由してお出しいただくことにしてございます。今回の案件は、試験の出願書類を預かった教諭が、当該高等学校の責任者からの再三にわたる注意喚起にもかかわらず、出願漏れがないかという注意喚起にもかかわらず手続を失念したまま放置しておりまして、ある時点で気づいたようでございますけれども、そのまま放置して、センター試験の試験日が一月の二十日、二十一日だったわけでございますけれども、その間際になって、一月十七日に初めて発覚したものでございます。  事件が発覚した翌日の十八日に、県の教育委員会及び当該高等学校から、試験の実施機関でございます大学入試センターに対しまして出願の受け付けができないかどうかの御相談がございました。しかしながら、何分試験直前のお話でございますので、受験票の交付でございますとか、あるいは試験会場の設営等の混乱を考慮いたしまして対応ができないという判断をされたものでございます。  まことに残念な事件でございますが、このようなことで受験機会を得ることができなかったものでございまして、なお、この教諭につきましては本年二月二十六日に停職一カ月の懲戒処分を受けたと承知してございます。
  355. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の御答弁では、先生が願書を忘れていたと。しかし、もう直前になってどうしようもなくてそれを白状して、今のあれでは二日前、まだ試験の行われる前にこれはわかった。教育委員会から入試センターに、こういう事情だからと。今の直前だからという理由だけでは私は納得できないんですけれども、どういう理由で受けられなかったのかということをもう一度お答えいただきたい。
  356. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 大学入試センター試験は、全国約六十万人の受験生に公平に受験の機会を与える仕組みでございまして、このため、関係者は相当気を使いながら、しかも限られたタイムスケジュールでいろんな準備をしているところでございます。  その準備の内容としましては、例えばいろんな間違いがないかのチェックをしたり、あるいは試験問題の管理に万全を期したり、それから受験生が混乱せずに安心して受験できるように会場の設営に気を配ったり等々あるわけでございます。  今回、何分二日前のお申し出でございまして、改めての受験票の交付でございますとか試験会場の設営でございますとか、あるいは以前一部の大学等でありましたように替え玉受験を防止するようなチェックシステムでございますとか、安心して受験できる公平な実施のためにいろんな役割分担をしながら行っているわけでございますけれども、何分間際のことで、例えて言えば全体の歯車が狂うことを心配いたしまして、そういう全体の混乱を考えながら対処が不可能だと判断したものでございます。まことに私ども残念なことと思っておりまして、もっと早く気づいていればと思っているわけでございます。  実施に当たります大学入試センターも、出願を受けてそのまま放置ということではございませんで、十月二十四日までの出願受け付けでございますが、それを受け付けて、さらにチェックして受験生等に確認のはがきを出したり、あるいは十二月の二十一日までに受験票が届かなければ再発行をしたりということもしているのでございますが、残念な結果になりまして……
  357. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 答弁は簡潔にお願いをいたします。
  358. 弘友和夫

    弘友和夫君 私が聞いているのは、二日前に教育委員会から、こういう事情だから何とか受けられないかというふうに言ったわけであります。全体の歯車がどうとかこうとかいう話じゃないでしょう。その生徒は受けられなかった。一年間浪人しないといけないんです。  もう一回答えてください。
  359. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 先ほど申しましたように、全体、万全を期して公平な試験を行うためにいろんな役割分担をしながら、タイムスケジュールで各担当者が万全を期しているわけでございますが、二日前のお話でございまして、その変更による全体の混乱を危惧したものと承知してございます。まことに申しわけございません。
  360. 弘友和夫

    弘友和夫君 これはだれが聞いても、その子供が受けられなかった。一年間浪人しないと。私は、先生も処分される、それは悪いと思いますよ。だけど、忘れたこともある。これは大変なことをしたんだと、こう思っているわけね。だけど、その二日前に、私は、その先生以上に、二日前に受けさせなかったという文部科学省、入試センター、これはとんでもないことだと思うんです。追加でですね、災害その他の事由により、傷病、負傷等やむない事情により大学入試センター受験できない入学者を対象として全国二カ所で追試験も行われるわけです。  何でじゃそれにも受けさせないんですか。
  361. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 今回の件は全く想定していなかった件でございまして、そもそも願書の受け付けがございませんでしたものですから、その後の追試験につきましても願書をお出しするのができなかったということでございます。(「町村大臣どこ行ったんだ」「大臣がいないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  362. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、あれがなかった、申し込みがなかった。だけど、この制度では学校の先生を通して、学校を通してしかセンターに行かれないことになっているんですよ。だから、学校の先生に、学校に願書を提出したら、当然もうそれは手続は終えたということじゃないんですか、どうですか。
  363. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 残念ながら、センターは郵送あるいは持参等で受理した時点で受験の願書の整理をしておるものでございますから、教諭の机の上にとどまっているままでは、残念ながら受け付けができなかったということなんでございます。
  364. 弘友和夫

    弘友和夫君 きょうは大臣がほかの委員会で都合でということで、副大臣来られているでしょう。(「大臣どうした」「大臣何で来ない」「予算委員会、ここしかやってないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  365. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 予算委員会理事会で決めました。
  366. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、副大臣、これは生徒に全く責任はないわけですから、ないでしょう、それを救済できなくて、幾ら基本法を変えたりなんとかとか、今、教育、森内閣、教育国会にしようと、こう言っているわけです。だけど、もともとの一人の人を救おうという、何とかしたいと、そういう思いがないで文部行政はできないと思うんですけれども、ぜひこれは、またそういう仕組みになっていないと言われましたけれども、こういうことも起こり得るんですけれども、はっきりと答えていただきたいと思います。
  367. 河村建夫

    ○副大臣(河村建夫君) 信頼をしている先生が受験票を出し忘れておったと。それも、それをもっと早くやれば確認の方法いろいろあったのに、直前になって受験票がないということで発覚をしたというような、まことに遺憾なことでございまして、私は、生徒のショックというのは並大抵のものでないだろうと、こう思っているわけであります。  ただ、現時点では入学試験今終わっておるわけでございまして、これからの対応をどうするかという問題でありますが、国立大学の場合にはもう既に入学試験は終わっております。このようなことを、もっと生徒中心の配慮ができなかったかと私も残念に思うわけでございますが、今後このようなことが二度とあってはならぬことでございまして、このことについてきちっとした対応を徹底していかなきゃいかぬだろうと、そのように今思っておるわけであります。
  368. 弘友和夫

    弘友和夫君 きちっとした対応というのはどういう対応なのか。そういう仕組みをつくるのか。まず、その生徒を救済する何らかの方法はないのかどうか、考えられないのかどうか。  それともう一つ、今後そういう……(発言する者あり)
  369. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 不規則発言はお慎みください。
  370. 弘友和夫

    弘友和夫君 本人の責任じゃないわけですから。それを例えば、パスポートを忘れた、大臣のあれで入国ができるとかいろいろありますでしょう。そういうやっぱり救済の仕組みがないとこのセンター試験というのはおかしいんじゃないかと思いますけれども。  はっきりと、どうするんだという、また救済できるのかどうかという答弁、お願いします。
  371. 河村建夫

    ○副大臣(河村建夫君) 現時点での私は、救済の仕組みというのは今現時点ではないわけでありますが、これはあの期間、相当確認する期間もあったのにそれができなかったということが非常に大きな問題なんであります。  今後、このシステムのあり方等、システムのあり方、学校をどうすべきなのか、個人でやるべきなのか。大学受験のときは、これはもう全員自分で手続を全部とっておるわけであります。今回、一律の試験だからということで学校を通すことにしておりますが、このようなことがまず起きないようにする、しかも、今おっしゃったように、事前であればこれは救済できる措置をつくる、こういうシステムの方法については考えていかなきゃいかぬだろう、このように思います。きちっとした仕組みをつくって、救済できる仕組みをつくらなきゃいかぬだろうと、私はそう思います。
  372. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の御答弁では納得できないんですけれども。  要するに、そういうものに対応できる仕組みをはっきりとつくるということが一つ。まあ本人の救済については今御答弁ができませんでしょうけれども、後でそれは考えていただこうということで、もう一度はっきりとそういう、今後二度とこういう起こらないような、起こった場合にそれが救済できるような仕組みをつくるということを明確に答弁いただきたいと思います。
  373. 河村建夫

    ○副大臣(河村建夫君) 御指摘のとおり、現時点、試験が終わっておるわけでありますから、救済の方法については非常に私は難しいと思いますが、どういうことが考えられるか部内で検討をさせたいと思いますし、今おっしゃったような、御指摘をいただいたような、再びこういうこと、場合についての救済ができる仕組みというものをきちっとつくりたい、つくってまいります。
  374. 弘友和夫

    弘友和夫君 それでは次に、私は、下水道事業のあり方というか、下水道事業についてはもう今まで大変な環境等に貢献をしてきたということはよくわかるんですけれども、今やはり下水道事業を大きく転換をする私は時期に来ているというふうに考えておりまして、まずその汚水処理、下水道だけじゃなくてほかの事業もあります。その汚水処理の施設整備の状況について、それぞれどういう状況になっているのか、そして今までどれだけのお金を投入してきたのか等について、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  375. 曽小川久貴

    政府参考人曽小川久貴君) まず初めに、下水道の実態について御説明いたします。  まず、下水道の都市規模別の整備状況でございますけれども、下水道につきましては、生活環境の改善また浸水の防除、公共用水の水質保全に欠かせない施設でありまして、その整備を図ることは非常に重要であるということで、現在第八次の下水道整備七カ年計画におきまして、平成十四年度末を目標に下水道処理人口普及率六六%を目指して事業推進しているところでございます。  お尋ねございました現在の整備状況でございますが、平成十一年度末の全国の下水道処理人口普及率は六〇%でございまして、都市規模別に御説明いたしますと、政令指定都市では九八%、また一般都市では五〇%、このうち一般都市の中の人口五万人未満の市町村では二四%となっておるところでございます。特に、人口五万人未満の市町村では全国の平均に比べまして非常に整備水準が低いということで、第八次計画におきまして下水道の整備がおくれておりますこれら中小市町村の整備に重点を置きながら整備を進めておるということでございます。  また、投資額についてお尋ねがございましたけれども、下水道につきましては、昭和三十八年度以降、第一次五カ年計画に基づきまして整備を進めてきております。これまで、今申し上げましたように第一次から第八次までということになってございますが、昭和三十八年から三十八年間で地方単独事業を含めましておおむね六十五兆円の投資を行っておるところでございます。
  376. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 官、姓名をお名乗りください。
  377. 佐藤準

    政府参考人佐藤準君) 農林水産省の振興局次長佐藤でございます。  集落排水事業の整備状況についてお答えいたしたいと思います。  農業集落排水事業による汚水処理施設整備済み人口といたしましては、平成十一年度末で約二百二十一万人でございます。総人口約一億二千六百万人に対します割合は一・八%という形になっております。  また、投資の事業費でございますけれども、昭和五十八年度の事業創設以来、平成十二年度までの累計事業費は約三兆三千三百億円となっております。
  378. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) 環境省が所管いたしておりますのは合併処理浄化槽でございます。これの現在の整備の状況は、約八百七十万人が合併処理浄化槽によって汚水を処理いたしております。これは八百七十万人でございます。整備率は六・九%ということになります。また、コミュニティープラントというものも所管しておりますが、これが四十万人でございます。  また、これまでの補助事業の投資実績は、合併処理浄化槽の整備につきましては昭和六十二年に国庫補助制度が創設されているわけですけれども、これまでの間、十二年度までの十四年間で事業費は約四千三百億円、約百四十万基でございます。それから、コミュニティープラントにつきましては昭和四十一年に国庫補助制度を創設いたしておりますけれども平成元年から平成十二年度までの整備事業費を合計いたしますと千四百億円、十一年度末現在約四百基でございます。
  379. 弘友和夫

    弘友和夫君 何で三省庁答弁していただいたかというと、私も北九州なものですから、要するに家庭排水、し尿を処理するのは下水道だと、このように思っておって、また世間でも合併浄化槽等を知らない方もたくさんいらっしゃるんじゃないか。  ところが、下水道、合併浄化槽も、今のお話のように百四十万基もできた。今まで六十五兆つぎ込んで、人口は百万、五十万、十万ぐらいだとほとんどやってきました。今からが五万人以下の市町村、これは下水道整備率二四%なんですね。先ほどは、それでもって五万人以下に力を入れていくと、このように言われておりましたけれども、今からこれが五万人以下、下水道事業をどんどんやっていったら、地方財政はもう大変なことになるという状態なんです。ですから、私は今からの五万人以下、特にこれは方向を転換して合併浄化槽等でやるべきだと、このように私は思うんですけれども。  ここで扇大臣にお聞きしたいんですが、観点ちょっと変わりますが、一昨日でしたか、森総理は、公共事業シェアの見直し、これやっていかんといかぬと、百年の計で、この十年が大事だと。今まで建設省が七割、運輸省一割と、八割ぐらいの公共事業、その中でこの下水道事業というのは大変なシェアを占めているわけです。  まず大臣の、この公共事業のシェアを大きく変えるようなお気持ちがあるかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  380. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、弘友先生お話がございましたように、下水道に限らず、日本の社会資本整備というものはまだまだ欧米先進国に比べてまだ途上国の域を出ないというくらい未整備である部分がたくさんございます。  そういう意味で私は、公共工事というものの中で、社会資本整備でも特に下水道も重要視しておりますけれども、ある地方自治体、今、弘友先生おっしゃいましたように財政上の観点から、名前は言いませんけれども、これはできませんからと予算をおつけしたのにお返しになる県があるんですね。そういう意味で、私は本当に残念だなと思いますし、また今おっしゃいましたように、世界の比率からいいましても、世界の中では落ちておりますけれども、全国平均でしても六〇%だと。まだまだ私たちは今後、社会資本整備の中での下水道の整備というものをしていかなきゃいけない。  特に今、先生が取り上げられました五万人以下というところがやっぱり一番問題が多うございまして、そういう中では、必要欠くべからざる公共工事というものは、まだまだ視点を集中的にここが足りないというところへ私は目を向けていくべきであろうと思いますので、そういう意味では、この人口五万人以下の平均が二四%であるということからもってしても、全国平均は六〇%ですから、せめてそれを二四から四〇にまで上げるぐらいのことは私はしていくべきだと思いますけれども、そういう意味で、今、先生がちらっとお言葉の中にございましたように、今後さらに全国の三十五カ所、下水道施設におきまして私たちは合併処理浄化槽というものをぜひ重視しながら配分していきたいと思っております。
  381. 弘友和夫

    弘友和夫君 扇大臣に余りそこを張り切っていただいたら困るわけでございまして、人口五万人以下のところは下水道事業じゃなくて私は合併処理浄化槽にした方がいいんじゃないかと、こう言っている。今お話があったように地方財政、大変厳しい。  時間がありませんのではしょっていきますけれども総務大臣お尋ねしますけれども、企業債の現在高は五十七兆三千億、そのうち下水道事業が三十兆、要するに五三%を超えているわけですね。この十三年度の見込みというのはどうなるのか、また償還をどうしていくんだろうかというように思うんですけれども、ちょっとお尋ねします。
  382. 香山充弘

    政府参考人(香山充弘君) お答え申し上げます。  企業債の十三年度末における残高でございますけれども、六十一兆円、うち下水道事業に係るものは三十兆円程度と見込んでおります。  御承知のとおり、下水道の汚水処理経費等につきましては原則として使用料で回収する、また雨水処理経費につきましては公費を投入して回収するという原則に基づきまして、各地方団体、特別会計を設けていただきまして、その中で経理をしていただき、計画的な償還をお願いしておるということでございます。
  383. 弘友和夫

    弘友和夫君 下水道事業というのは、基本的には市町村の住民から料金収入をいただいて公営企業としてやっているわけですね。この経費回収率は現在五九・三%、残りの四割は一般会計から補てんしている、毎年。一兆九千九百三十四億円、昨年度は。一般会計から繰り入れられるというのは、地方財政法第六条ただし書きで「災害その他特別の事由がある場合」と。特別な事由がある場合だけ一般会計から繰り入れられると、こうなっている。  この毎年二兆円ものお金を一般会計から繰り入れておる、これは特別な事由ということになるのかどうか。大臣お答えいただきたいと思います。
  384. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御承知のように、下水道はいろいろなことをやっておりますけれども、汚水処理は原則使用料ですね。雨水処理は原因者、責任者わかりませんから、これは公費でもいいとこういうことなんですが、今、弘友委員言われましたように、その汚水処理のうちもう六割しか使用料が取れない。四割は一般会計から入れているんですね。だから、これは本来のあれからいうとおかしいんですよ。  ただ、地方財政法六条の特別の場合というのは、想定しているのは雨水処理ですよ。それから、下水道をやったときに、当初は設備投資に見合うだけの利用者がいない場合がある、早い時期には、だんだんふえてくるんですけれども。先行というのか過大というのか、将来のことを考えてそういう投資をやる場合がある。そういう場合には一般会計から入れてもよろしいと、こういう解釈なんですが、実際は今の四割はそうじゃないですね。  ただ、この特別の場合というものの解釈権は当該地方団体にあると我々は考えておりまして、今やや本来からいうとちょっと拡大、拡張ぎみなんですよね。拡張解釈ぎみなんですが、本来あるべき方に次第に私は解していくべきだと、こういうふうに思っております。
  385. 弘友和夫

    弘友和夫君 今言われたように、雨水の場合はそれはそういうことがあるかもしれない。だけれども、常態化して、二兆円のうちの半分ぐらいは。今から特に五万人未満をやっていきましたら雨水になるわけで、今からもう合流式はないわけですから、そうなってくると大変なことになるということで、訴訟も起こりいろいろやっています。現実に合併処理浄化槽にすべてかえたところ、町はいっぱいありますよ。でも、もうここで披露する時間はありませんけれども、大変な節約になっているわけです。  そういう意味で、じゃなぜ地方市町村が下水道を入れたいか。それは市民の皆さん、町民の皆さんに下水道が必要かどうかといったら、必要だと丸をするんです。合併浄化槽等を知らない。合併浄化槽は下水道が来る前の、前の段階だとこう思っているわけです。  現実には、扇大臣にお聞きしますけれども、下水道の処理をした排水の基準、これは何ppmになっていますか。  それから環境省、環境大臣、合併浄化槽、今どれぐらいの性能になっていますか。それから、一人当たりの処理費用はどれぐらいと考えておられますか。
  386. 曽小川久貴

    政府参考人曽小川久貴君) 下水道の終末処理場からの放流水質についてお尋ねでございますが、今一般的に行われております活性汚泥法という方法でいきますと、上限二〇ppm、BODで二〇ppmということになっておりますが、現実的に、管理を適正に行っておりまして、それよりかかなり低い一〇ppm程度で処理放流されているというのが実態でございます。  さらに、下水道の場合には、これらのいわゆる活性汚泥法等の二次処理といわれるレベルから、さらに閉鎖性水域また水道水源等におきましては高度処理ということでBODをさらに下げる、または閉鎖性水域等では窒素なり燐なりをさらに下げるといった処理法もあわせて実施をし、水質保全に寄与しているところでございます。
  387. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) 合併処理浄化槽のまず基準でございますけれども、BODの除去率が九〇%以上でございまして、約二〇ppm以下というふうになっております。設置費用は、これは五人槽の場合、九十万円程度でございます。  ただ、先ほど申しました処理の状況は大体これ以下、相当下回った状況で処理されているというふうに考えております。
  388. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、環境省は国土交通省におもんぱかってはっきり言わなかったんじゃないかと思うんですけれども、要するに下水道は基準は二〇ppmなんですね。現実には、一〇ppmぐらいになっていると言っておりますけれども、できないときは川の水を引いてきて薄めて流すんですよ。そうしたら、二倍薄めれば一〇ppmになる計算になるんですね。しかし、二〇ppmは到達している。だけれども、合併浄化槽は大体今できているのは一から三ppmなんです。ちょっとあれしても五ppm。性能のいいのは〇・二ppmですよ。二〇ppmと〇・二ppmは百倍違うんですよ。それだけいい水に処理をされて、安上がりになる。私が聞いている範囲では、一人当たり合併浄化槽十八万だ、下水道八十万だと。私は八十万では終わらないと思う、今からはもっと終わらないと思うんですけれども、それだけの差がある。今までの事業の展開はそれぞれの省庁の事業で展開しているわけですね。私はこの三者が話し合って、本当に適したことをやるべきじゃないかと思うんですけれども。  それで、財政面からお聞きしておりますので、情報公開ガイドラインというのを総務庁まとめられました。私は、今はあれをとっていないわけですから、とっていない、処理するものをね、下水道はとっていない。だから、それをきっちりとればどれぐらいになるのかと。極端な場合、毎月一万円払わないとできないんですよ。そういうことをまず計画に入れる前に市民の皆さんに示して、それでいいのかどうかというのを判断してもらわないといけないと思うんですけれども総務大臣にお願いします。
  389. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 弘友委員言われますように、地域実情に応じて一番効率的で安上がりで合理的なものを選べばいいんですよ。だから、五万以下でも人口が割にコンパクトに固まっているようなところは私は公共下水道の方がいいと思いますよ。しかし、これがかなり密度薄く、散漫にと言ってはいけませんが、広がっているようなところは合併浄化槽の方が私は効率的だと思います。そこは当該団体市町村長さんや議会や住民の皆さんがよく議論して選択すればいいので、一律でないというのが地方自治なんですから、多様なというのが。ぜひそういうことは我々も指導してまいりたい、こういうふうに思っております。  今のお話は情報公開のお話で、なるほど、下水道事業の着手の場合に十分な情報を市民の皆さん負担を含めてお知らせする、それから事業着手後においても類似の団体なんかとのいろんな数字を皆さんに見せて大いに議論してもらうということは私も必要だ、こういうふうに思っております。
  390. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、着手の前に地方自治、それぞれの自治行政があるというのはわかります。だけれども、情報をきっちりそこの市民、町民の皆さんにお示ししてするべきだ。それには下水道を引いたらこれぐらい負担してもらわないといけませんよということを、計画に入れる、決断をする前にこれはみんな情報公開するというはっきりしたものをつくるべきだと思うんですけれども、いかがですか。
  391. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 確かに一つのお考えで、そういうことできっちり事業着手のときにいろいろ議論して私は方向づけをした方がいいと思います。それぞれ、いろんな国土交通省なり、あるいは農業集落排水は農林水産省でございますし、環境省もありますし、その辺と十分相談しながら合理的な事業展開ができるように市町村においてよく協議してもらいたい、こう思います。
  392. 弘友和夫

    弘友和夫君 谷津大臣、せっかくお見えでございまして、済みません。  大臣も新幹線大変苦労されて、あれだけばらまきだとかなんとか言われた新幹線でも、公共事業に占めるのは〇・八%なんですよ。この下水道は一一・八七ですから本当に開きがあるんですね。だから、やはり下水道、予算がつけばそれを進めていこう、このように思うわけですけれども、所感をちょっとお聞きしたいと思います。
  393. 谷津義男

    国務大臣(谷津義男君) 農林水産省では集落排水をやっているわけであります。先生御案内かと思いますが、この集落排水というのは合併浄化槽を重ね合わせたようなものだというふうに理解されてもらうとよろしいんですが、経費を落とすために、実は今、国土交通省にも、一緒になりまして終末処理を公共下水につながせていただきまして、それで経費を落とすというやり方、それから工事費を落とすというふうなやり方で今やらせてもらっているわけでありまして、そういった面でこの事業費をかなり削減できるという状況になってきているところであります。
  394. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、弘友先生がおっしゃいますように、ますます今後、私は、予算の適正な配分ということから考えれば必ず必要なことであろうと思っておりますけれども、今、答弁をお聞きいただきましたように、今後少なくとも、総合的な整備計画というものがございまして、その総合的な整備計画というのは各都道府県構想というものでこれを策定していく、これが四十七都道府県すべてでこれを策定するということになっておりますので、今お答えいただきましたとおり、各省ばらばらのように聞こえますけれども、少なくとも下水道の合併処理浄化槽、あるいはそれについて下水道の部局だけではなくて環境部局あるいは農林水産部局等々と連帯して、総合的な整備計画を四十七都道府県で策定すると。  また一方、汚水処理の事業間の連携といたしましても、これも全国三十五カ所で、これは下水道の施設で合併処理浄化槽や農業集落、今おっしゃいました排水槽、これは発生する汚泥の共同処理等を実施するということに決まっておりますので、一見、お答えしておりますとばらばらなようではございますけれども、これは総合して、私は、今申しましたような総合的な整備計画とあるいは汚水処理の事業間の連携というものを図って、二十一世紀型に有効な予算の活用をしてまいりたいと思っております。
  395. 弘友和夫

    弘友和夫君 都道府県構想も確かにやっておられる。だけれども、それは今までのやっぱり延長線上で、三省がその費用対効果だとかそういうことをきっちり考えた上でできていない部分がたくさんあるわけですよ、きょう時間がありませんのでやめますけれども。  環境大臣、せっかく環境省というのができたわけですよ。だから、今までのいろいろな枠組みにとらわれずに、今回、合併浄化槽は環境省になっているわけですから、それはきっちり、いや、こういうものですよということを示すべきだと。それが余りいろいろ各省遠慮してとかいうことになると、何のために環境省になったんだと、こういうふうに言いたくなるわけでございますので、大臣、ちょっと。
  396. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 合併浄化槽は、私は一月に成田に参りまして現場を見せていただきました。それで、先ほどその処理の能力の御質問がございましたけれども、普通の水と比べてもほとんど遜色のないような色まできれいになっておりました。  先ほど来御答弁ありましたように、下水道ですとか、それから農業集落排水施設ですとか、合併処理施設ですとか、それぞれそういった性格の違いですとか、あるいはそれが設置される地域の違いというのがございますので、そういう特性を考えて関係の省庁で連携を保って整備をしていく必要があるというふうに思っております。  それで、委員指摘なさっていらっしゃいますように、今後の汚水処理の施設の整備の中心が人口が少ないところに行くということでございますから、家と家の間の距離も離れていますし、そういう意味では、パイプラインの施設の必要がないという意味で合併処理浄化槽の役割が今まで以上に重要になってくるのではないかというふうには認識しております。  それで、情報の公開も含めて事業の意義を市町村に徹底することによって、積極的にその整備普及に努めてまいる所存でございまして、環境省といえども、決して他省庁に遠慮をして仕事しているということは全くありません。
  397. 弘友和夫

    弘友和夫君 総務大臣にまた。  企業経営を徹底するために、今下水道というのは非法的化というか、適用されていないのがほとんどなんですよね。法的化というのを推進していくべきじゃないかなと。そうしたらこれは見えてくるわけ、赤字になっているのかならなかったのか。そこら辺を推進されたらどうですか。
  398. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今のお話の点はそのとおりでございまして、現在義務づけていないですね。任意選択になっておりますが、我が省ではできるだけ法律の適用をしなさいと、こういう指導をしておりますので、さらにそれを進めたいと思いますし、独立行政法人に今度は中期経営目標みたいなものが入りますから、そういうこともきっちりした何かの仕組みができればいいなと、研究会つくっておりますが、それもあわせてやりたいと。それは状況が進めば義務づけるということも将来は私はあり得るのかなと、こういうふうに思っております。
  399. 弘友和夫

    弘友和夫君 橋本行革担当大臣に。  今こう議論を聞いていただいて、よく御存じだと思いますけれども、あるいは私は、下水道なり今まで公共事業というのはやはり予算がついてシェアが全く変わらないということでずっと来られた。今まではその事業はどうなのかと。だけれども、それにかわり得るもっと安くてもっといいものが出てきたときに、省庁が違えばそれを採用できないというか、何かそういうものがあるんじゃないか。それはやはりこの行革といいますか、そういう部分で何か統一的に、水なら水の問題を統一的に考えるというような仕組みにすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  400. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ある意味では私は随分長い間この分野の行政、片隅におりました。そして、先ほど来の御議論の中、いろいろ考えさせられることが多かったことも事実です。そして、過去には確かにそれぞれの事業がバッティングいたしましたり、気がついてみますと二つの事業の谷間を残しましたり、いろんなこともあったことを私も存じております。  しかし、先ほど来各閣僚がお答えになっておりますように、下水道にいたしましても農業集落排水施設にいたしましても合併処理浄化槽にいたしましても、それぞれの特色がございます。また経済性もあります。こうしたものを総合的に考えながらその地域に一番合うものを採用していただけばいいということにこれは尽きるでしょう。  そして、今回の中央省庁改革の中におきましても、先ほど来お話が出ておりますように、既に下水道部局あるいは農林部局、環境部局で汚水処理施設に係る総合的な整備計画を調整する、策定する、こうした方向にあるわけですから、環境省の機能を設計いたしますときに、浄化槽によるし尿などの処理を旧厚生省から移管する、同時に下水道その他の施設による排水の処理に関しましても環境省への共管化を行いました。  こうしたことを考えますと、汚水処理行政につきましては、むしろ今後は一層今まで以上に関係機関の連携は図られていく、その中においてより適切な対応が進められていくということになるだろう、私はそのように期待をいたしております。
  401. 弘友和夫

    弘友和夫君 ぜひ、それぞれ特色のあると、こう言われる、それを評価する仕組みというか、それぞれ、自分たちだけじゃなくて、評価する仕組みをつくっていただきたい。  最後にちょっと、時間になりました。  財務大臣、公共事業のシェアだとか、今のをお聞きになっていただいて、今までなかなかこういうのは変えられなかったんだけれども、ぜひ変えていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いして終わりたいと思います。
  402. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのいわゆる汚水処理施設あるいは下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽等々のいわゆる合併的な御構想というのは、私ども予算をやっておりまして非常に強く感じておりまして、最近、下水道と農業排水とを管路でつなぐということもできるようになりましたが、もっともっとやっていただきたいと思います。  確かに、公共事業の中身を入れかえるということはこの何年努力をいたしております。中ではこの下水処理等々がまあまあうまくいっている方でございますけれども、やはり何と申しますのでしょうか、予算というものは毎年毎年継続して行われているものですから、根っこの部分というのは簡単になかなか変えられないということを痛感いたします。この十三年度の予算で公共事業で本当にいわば入れかえができたというのは千数百億ぐらいだと言われておりまして、それは九兆円から申しますと一・何%というものですが、しかしこれだけやってもそれだけということはよほど努力をしなければならないということであるというふうに痛感しております。
  403. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  404. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で弘友和夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  405. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  406. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  KSDの疑惑、これは深まるばかりであります。村上、小山前議員の受託収賄、そして幽霊党員の問題、これらのお金はKSDから流れて、言ってみれば中小企業の汗水垂らして納めた掛金が流れている。行政の責任は極めて重大であります。  まず最初に厚生労働大臣にお聞きをしたいと思うんですけれども、村上や小山などの政治家から、あるいは古関などのKSD関係者から、ものつくり大学、アイム・ジャパンの問題等々で厚生労働省に対して働きかけや接待があった、このことは事実として認めていただけますね。
  407. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ただいまお尋ねの件でございますが、これはまさしく今省内で取りまとめをしているところでございまして、衆議院の方でも三月の十五日までにはまとめて発表させていただきますということをお約束申し上げましたので、もう間もなくでございますが、最後の調整を、調整と申しますか、最後の調べを行っているところでございます。そこで議員やあるいはまたこのKSDそのものから何らかの働きかけがあったかどうかということを整理したいというふうに思っております。  かなりさかのぼってやっておりますし、そのポジションに、いわゆる担当したポジションの人というのも四十数名に及んでいるものですから、既におやめになった方もかなりお見えでございますしいたしますので、なかなか難航いたしましたけれども、大体最終段階を迎えているというふうに聞いております。
  408. 小池晃

    ○小池晃君 私は、どういう事実があったかと聞いているんじゃないんです。そういう事実があったかどうか、そのことを単純に聞いている。近藤事務次官もKSD側や議員からの働きかけはあったようだ、記者会見でそう言っているんです。議員連盟などから働きかけがあったのは確かだ。当然政治家の影響はある。どういう事実があったかではないんです。そういう事実があったかどうかということについて、事実としてあったということはお認めになれるんじゃないですか、どうですか。
  409. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) あった可能性があるから調べているわけでございまして、したがいまして、その結論が間もなく出るということを申し上げているわけでございます。
  410. 小池晃

    ○小池晃君 これは重大問題。徹底的に調査すべきだと思いますが、今調査しているとおっしゃいましたけれども、どういう調査を行っているのか御説明願いたいと思います。
  411. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 調査の内容まで今申し上げるわけにはまいりませんが、もう二、三日お待ちいただきたいと思います。
  412. 小池晃

    ○小池晃君 方法です、調査方法を聞いております。
  413. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 調査方法というのは、もうそれぞれの方にお会いをして聞く以外にありませんし、また海外にお見えの方もございますので、その人にはお電話で聞く以外にない。中には、古い問題もあるものでございますから、同じ会合に出席した人の間でも意見を異にすることもあり得る。そうしたときにはKSD側にもお聞きをしまして、クロスチェックもやっているということでございます。
  414. 小池晃

    ○小池晃君 聞き取り調査だと。  これは、九八年の大蔵省の接待疑惑のとき、これはどういう調査をやったか。大蔵省の官房に監察官室を置いたと。その直接かかわった金融関連の部局以外の職員で監察官として調査をしたんだと。これ、十分だとは言えない、不十分だと思うんですが、こういう体制をとってやったんです。徹底的に調べるのであれば、身内による聞き取り調査、こういうことでは結局かばい合いになるんではないかと疑いを持たれてもしようがないんじゃないかと思うんです。  これはやはり、こういう聞き取り調査、一般的な聞き取り調査では全く不十分だと思うんですが、いかがですか。
  415. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) さりとて他の省の人にお聞きをいただくわけにもいきません。これはやっぱり省内でわかっているところが聞く以外にないわけでありまして、その人たちを信頼する以外にないというふうに思っておりますし、また、みんな聞いたところどうだと言いましたら、皆正直に言ってくれておりますということでありますから、私はそれを信頼いたしております。
  416. 小池晃

    ○小池晃君 不十分な調査報告書が出るようでは疑惑はますます深まる。そういうことも言っておきたいと思うんです。  さらに、KSDと政治家とのかかわり方を議論したいと思うんですが、我々の調査で驚くべきことが明らかになっております。それは、古関前KSD理事長が小山議員の私設秘書として本院に登録をされていたということであります。古関忠男、大正十年三月三十一日生まれ、小山孝雄の私設秘書として平成十年八月二十六日に採用されております。参議院の出入り記章「甲」、これが貸与されている、そういう確かな事実を我々はつかんでおります。  総務省おいでになっていますか。お聞きしたいと思うんですが、KSD、公益法人でありますけれども、公益法人の目的として不適当とされているのは一体どういう要件になるでしょうか。
  417. 衞藤英達

    政府参考人衞藤英達君) お答えします。  平成八年九月の閣議決定におきまして、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」が決定されております。「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、」、したがいまして、例えば「同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの」、あるいは「特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの」、あるいは「後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの」、これらは公益法人として適当ではないと規定しております。
  418. 小池晃

    ○小池晃君 公益法人というのは、特定の個人、それも政治家の精神的、経済的支援を目的とする、公益法人として全く不適当であるということは明らかだと思うんです。ところが、KSDはまさに特定の政治家のための活動を行ってきた。公益法人の理事長が自民党議員の秘書として動いていた。秘書バッジをつけて国会内や議員会館を堂々と濶歩していたというわけであります。とんでもない話じゃないでしょうか。  厚生労働大臣、どう思われますか。公益法人のあり方としてこれ極めて異常であると思われませんか。
  419. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そういう事実を我々は今まで知りませんし、現在ただいま初めてお聞きをしたわけでございます。  事実であったかどうかということを一遍確かめさせていただきたいと思います。
  420. 小池晃

    ○小池晃君 これ確かな、私たちがつかんだ確かな情報であります。これ事実であるとすれば、これは極めて異常であるというふうに思われませんか。
  421. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは事実確認が先だというふうに思いますから、事実をきちっと把握させていただきます。
  422. 小池晃

    ○小池晃君 これ大変な話だと思うんです、私。一般論で済ませられる話じゃないですよ。  私たちは、先ほど採用年月日も含めてかなり克明に情報を申し上げたはずです。確かな情報として我々つかんでいる。こういったことを聞いて何とも思われないんですか、大臣は。公益法人の監督の責任者として、こういう事実を聞いて、もし事実であれば異常だと、そのぐらいやはり国民の前で言うべきじゃないですか、どうですか。
  423. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ですから、私はその事実関係を一遍把握しなければならないということを言っているわけで、事実であればそれは異常なことかもしれません。しかし、それは事実であるかどうかを確かめる前に言うわけにはまいりません。
  424. 小池晃

    ○小池晃君 これ本当に大変なことだと思います。大変極めて異常な事態だと思います。これは厚生労働大臣、責任を持って調査して、この結果を報告していただきたい。これ事実であれば異常だということも認められましたし、直ちに調査に取りかかっていただきたいというふうに思います。  さらに、KSDから豊明会に流れたお金の問題、資金の問題について次に議論したい。  厚生労働大臣、あなたは二月九日の衆議院予算委員会で、我が党の志位委員長の質問に対して、KSDからの補助金が政治献金などに使われていないと今までそういうふうに厚生労働省は説明をされていたわけですが、こういう今までのKSDの説明には無理があると答弁されました。それからほかの質疑でも、会費負担金収入の額が事業支出に一致しているから政治献金に充てる余地はないんだと旧労働省が説明を受けていたその内容はもう一度検討し直さなければならない、大臣、こういうふうにお述べになったと思う。  それから約一カ月、ちょうど一カ月なわけですけれども、十分に調査検討する時間あったと思うんですが、その結果を報告していただきたい。
  425. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘のとおり、今まで旧労働省としましては固有の財源で行ってきたというふうに、KSDがそういうふうに主張をしているということを委員会で述べてきたわけでございます。しかし、いろいろのそれ以後、特に私が就任をしましてからいろいろ新しく入ってまいりますデータ等を見ました場合に、そう言い切ることは非常に難しいと。KSD豊明会の事業の内訳を示す資料を見ますと、豊明会の政治献金について会員負担、いわゆる会員負担金等の自前財源から行われているものとのKSDの説明については疑いを持たざるを得ないという結論になりましたので、衆議院予算委員会においてそう御説明を申し上げたわけでございます。  ただ、そうは申しますものの、現在捜査当局によりましてすべてが捜査当局に資料は行っているわけでございますから、内容を我々がそれを調査するということはできないわけでございます。KSDにもう一度我々が例えば調査に入って、そこでわかるというものであるならば、それは我々も検査をいたしますけれども、行きましても何らそこにもう資料はないわけでございますので、我々が得ましたその資料から推察するに、それは無理があるということを申し上げたわけでありまして、それ以上のところを今調べる手だては存在しないというのが現状でございます。
  426. 小池晃

    ○小池晃君 全く無責任な発言だと思いますね、私。司直の解明にまつというのは全く責任逃れですよ。だって、KSD豊明会にKSDから補助金が流れているとすれば、主管の官庁である厚生省は責任を持って、司直の解明とはまた別の意味で公益法人への指導として徹底的に解明しなくちゃいけない問題ですよ。それを何もやっていないんだと。  帳簿がないからできないんだと言うんだけれども、例えば豊明会の収支決算報告書なんて私も持っていますよ。もうこれは広く出ているわけです。こういったものを見れば明らかに、疑いがあるではなくて、会費収入だけでは政治献金出てこないと。だれが見たってこれは明らかなんですよ。そんなこともわからないんですか。そのくらいのこともまだ言えないんですか。まだ疑いがあると、その程度のことしか言えないんでしょうか。これは明らかに補助金が政治献金に使われたと断定して当然じゃないですか。どうですか。
  427. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 疑いがあるというふうに言っておりますのは、それは今まで言ってきたことがなかなかつじつまが合わないと、それでは。だから、その政治献金というのを別枠で出しているということを説明ができないではないかと、この資料ではということを言っているわけでありますから、それはすべてを物語っているというふうに思います。
  428. 小池晃

    ○小池晃君 あなた方はずっと国会では、KSD資金とは関係ないんだと、豊明会に流れたお金はKSD資金ではないと言い続けてきた。ところが、これはやはり無理があると。結託してかばってきたわけだけれども、この答弁は通用しなくなったということで、無理があるんだというふうに言ってきたけれども、さらにそれから先はなかなか調べようとしない。  私、こんな答弁じゃ国民は絶対納得しないと思いますよ。これは直ちに調査して当委員会に報告をしていただきたい。  さらに、今回の事件で最も巨額なお金が動いている部分は何かというと、これは幽霊党員の部分です、党費の立てかえ。これは自民党としてこの問題の解明を進める責任がある、これは当然でありますけれども。同時に、こういう幽霊党員づくりを行っていた側の責任、それを監督していた厚生労働省行政の責任も重大であります。そういう角度から議論したい。  一昨日の当委員会で我が党の筆坂委員の質問に対して、総理は、KSDの党費立てかえ疑惑は、KSD豊明会そしてKSD側がどのような形で党員を取りまとめていたかというのは私どもとしては承知していないというふうに答えられました。どのようにやっていたかはわからないけれども、KSDが架空党員を取りまとめていたという疑いがあるということははっきり言っているわけです。  当然監督官庁である厚生労働省はこの疑惑を解明する独自の責任があると思いますが、今までどういう調査をされてきたんでしょうか。
  429. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今まで旧労働省が調査をしてきました段階におきましては、いわゆる正規に届けられております政治献金、それがどこから出ているかということは見てまいりましたけれども、それ以外の多額の、十五億とか十七億というような金が、事実それが、そういうことが出ていたのかどうかということについてまでは、なかなかそこは調査はできておりません。  それは、調査ができていないというよりも、現在ですからそういうことがわかってきたといいますか、いろいろなことが言われるようになりましたけれども、去年の十月段階あるいは十一月段階のところではそこまではわからなかったわけでありまして、旧労働省としましては、そのいわゆるきちっと届けられております政治献金につきましての問題、そこをなぜ、それは自前でそれができているというふうに言っていたけれども、そこはできていないではないかと、これは説明がつかないではないかということを資料の中から我々は言っているわけでありまして、だからそれ以上の大きな額がどこから出ているかということについては、我々は、本当に出たのかどうかもわかりませんし、もし出ているとしてもそれはどこから出たのかということを把握はできません。
  430. 小池晃

    ○小池晃君 結局、何もわかっていないということなんですよ。この問題についてもまともに調査もできていないと。  先ほど、議論の中で、新理事長に会って調べたいんだというお話もされましたけれども、これ私、今さら何を言っているかという気持ちがいたします。自民党の党費はKSDが組織として支払っていたと、このことは明白なんですよ。だれだってそう思っているんです。それを今まで一体何をやってきたんだろうかと。  我々の調査、また紹介したいと思うんですが、これ元KSD本部の経理部長の青柳忠良さんという方に直接会ってお話を聞きました。八九年からKSD経理部に勤務されていた方です。この人は、立てかえ党費の出所は豊明会本部の事務局費だと、億単位の大きなお金を動かせる項目はそれしかないというふうにおっしゃっている。KSD豊明会本部の事務局費、これどういうお金かというとKSD資金であります。つまり、中小企業の掛金だと。  この収支決算書を見ると、事務局費は、九五年度八億円、九六年度六億二千五百万円、九七年度七億四千万円、九八年度九億四千万円。通常、事務局費というとほとんどが人件費なんです。ところが、豊明会の本部の職員の給与というのは全部これKSDから出ているんですね。これにはいきさつがあって、以前は別建てで出していた。ところが、若い職員が入って、自分はKSDに就職したつもりなのに豊明会からお金が出ている、おかしいじゃないかというクレームがついたそうです。青柳さんが経理部にいたときに、これはすべての職員の給与をKSDから出す、身分もKSD職員というふうにしたんだと。バッジも身分証明書も全部KSDだそうです。すなわち、豊明会本部、七億、九億という事務局費使っているけれども、本当に必要なのはコピー代とか消耗品ぐらいなんです。七億も九億も全然必要ないんだというふうにおっしゃる。この経理部長の青柳さんは、ここから政治資金が出ている、党費立てかえが行われている、明らかじゃないか、そういうふうに言っているんですね。(「機密費じゃないか、それだったら」と呼ぶ者あり)機密費と同じなんですよ、本当に。  これは私たちの調査でこういうことが明らかになっております。厚生労働省、私たち野党で努力すればこれだけの事実出てくるんですから、直ちに調査すべきじゃないですか。
  431. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) だから、そこは警察によって今調べられているわけでありまして、そこのところはそれはゆだねる以外にないというふうに思っております。  我々は、政治的な立場で、行政の立場でどうかかわってきたのか、そこに問題を絞って我々は調査をしているわけでありまして、その問題につきましては既に司直の手にゆだねられていると思っております。
  432. 小池晃

    ○小池晃君 何を言うんですか。豊明会本部の事務局費というのはこれはどこから出ているか。これはKSDの補助金なんですよ。中小企業の皆さんが納めた掛金から出ているんです。司直による解明はこれは当然必要ですよ。でも、これは中小企業から集めた掛金を公益法人が流していた、そのお金が事務局費という形で政治献金に使われていたという明白な疑惑があるわけですから、これを解明することは公益法人を監督する厚生省としての独自のこれは責任じゃないですか。どうですか。
  433. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 厚生労働省として所轄をしております業務その他のことにつきましては、それは厚生労働省がこれは把握をし、やはりそこを調査もしなければなりません。しかし、その公益法人そのものがいろいろなことを行うさまざまなことに対して、すべてそれじゃ厚生労働省が調べられるかといえば、それはそうではないというふうに思います。それぞれの分野でそれはお調べをいただく以外にないわけで、今それが調べに既に入っているわけでありますから、そのことについてまた我々が調査の二番せんじ、物まねみたいなことをしても何にもならない。そこはきちっとお調べをいただく以外にないと思っているわけであります。
  434. 小池晃

    ○小池晃君 重大な答弁だと思いますよ、私。これ、すべてを調べるというんじゃないんです。公益法人の本当に問われるところなんですよ。政治家に金を流していた、あるいは党費を立てかえていた。事実とすれば大変なことでしょう。それを、厚生省として調べる責任がないかのような言い方ですよ、今のは。到底認められない。これは厚生省として当然調査すべきものだ。司直の解明とは別に、行政の責任としてあなたやるべきことですよ。明確に答えていただきたい。
  435. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ですから、今まで過去におきましてもいろいろの調べをしてきました。しかし、その調べが十分でなかったことは我々も反省をしているわけであります。しかし、現段階でそれをやろうと思いましても、それは限界があるということでありますし、そこは司直の手にゆだねられているわけでありますから、そこはお願いをする以外にないというのが我々の立場であります。何らそこに問題はないというふうに思っております。  我々も、今までうわさされているようないろいろのことが行われているということがあれば、それは大変なことだというふうに認識はしているわけでありますが、だからといって、それを我々が警察と同じようなことができるかといえば、それはできないということを申し上げているわけであります。
  436. 小池晃

    ○小池晃君 まるで人ごとなんですよ。今まで厚生労働省の主管のもとにやってきてさまざまな疑惑を生んできた。厚生労働省の責任なんですよ、こういう事態が起きてきているのは。それを何か、今の言い方で、まるで人ごとのように、材料がないから捜査できない、捜査機関がやることであると。全く責任逃れだと私思います。  さらに、きょう配付した資料をちょっとごらんいただきたいと思うんですが、この自民党の支部と豊政連、豊明会のつながり。  これを見ていただくと、九七年、九八年、自民党の各豊明支部、会計事務の河野道明という名前が並んでおります。そして、この河野道明さんという人は豊明会の経理部長であります。当然、KSDの職員でもある。自民党豊明会の四つの支部の会計事務をやり、そして豊明会本部の経理部長をやり、そして豊政連の会計責任者をやっている、KSDの職員だと。その人が豊明会本部事務局費の管理をしていたそうです。  逮捕された中村勝彦、これもKSD職員ですけれども、豊政連の事務総長で豊政連の会計責任者。そして、埼玉、千葉の自民党豊明支部の会計事務だと。  これは一目瞭然じゃないですか。KSD、KSD豊明会、豊政連、自民党豊明支部、全部一体に、一人の会計責任者がお金を動かしていたんですよ。そして、その人が本部事務局費、七億とも九億とも言われるお金を管理していた。もう簡単に右から左にお金を動かすことができたわけであります。まさに一体だと思いませんか。どうですか。
  437. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 自民党の支部のことまで聞かれましてもそれはわからないわけでありまして……
  438. 小池晃

    ○小池晃君 事実です、これは。
  439. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) いや、事実かどうかも私にはわからないし……
  440. 小池晃

    ○小池晃君 政治資金収支報告書が出ているんですよ。
  441. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) だから、それは我々にはそこまではわからない。ただ、KSDのことにつきましては我々も責任があるわけでありますから、それは今までも調査をしてきましたけれども、そこが不十分であったということを私はお断りをしておるわけで、だから、今それじゃ何ができるかということになるわけでありますけれども、現在はやろうとしましてもすべての書類はもう持っていかれているわけでありますから、だからそこはもう調べるにいたしましても調べようがないし、そこはもう司直の手が入ったんですから、それはお任せをする以外にないということを申し上げているわけであります。
  442. 小池晃

    ○小池晃君 全く無責任であります。  これね、あなた公明党の出身ですね。疑惑解明に全力を挙げるとおっしゃっている。ところが、事実わからない、司直の手が入っているから資料もない、調べようともしない。これじゃ疑惑にふたと言われても仕方ないと思いますよ。  委員長、私、当委員会に、ここに名前の出ている河野道明、中村勝彦両名、証人喚問を改めて求めたいと思います。
  443. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 小池晃君からの証人喚問につきましては、改めて理事会協議といたします。  小池君、どうぞ。
  444. 小池晃

    ○小池晃君 政治資金規正法によれば、法人、団体による党費は寄附とみなされる、先ほど議論がありました。それを本人の意思と無関係に立てかえた党費はやみ献金そのものであります。これが請託への見返りであれば、やみ献金どころか、わいろということになるわけです。  法務省にお聞きしたいと思うんですが、刑法百九十七条の二に第三者供賄罪というのがあります。どういうものか説明をしていただきたいと思います。
  445. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねの刑法百九十七条の二の第三者供賄罪の構成要件を御説明いたしますと、「公務員又は仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をした」こととされております。
  446. 小池晃

    ○小池晃君 つまり、わいろを請託を受けた本人が受け取るんじゃなくて、第三者に受け取らせる、こういう場合であります。  ここで言う第三者というのは、これは法律解釈になりますけれども、自然人だけではなく、法人や政党も含まれるということは間違いないでしょうか。
  447. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) いわゆる第三者供賄罪に言います第三者とは自然人に限りません。法人、団体も含みます。ただいま申し上げた法人団体の中には、これは政党組織というようなものももちろん入ってくることになると思います。
  448. 小池晃

    ○小池晃君 そこでお聞きしたい。  例えば、この「大コンメンタール刑法」、ここでは第三者供賄罪について、「政党の議員が、所属の政党に賄賂を供与させた場合、」当然第三者供賄罪が成立すると。「請託を受けて、委員会で質問する場合等が考えられる。政治資金名目であっても、実質が賄賂である限り本罪の成立を妨げない。」、こう書いてありますが、この解釈は間違いありませんか。
  449. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) 一般論として申し上げれば、その第三者に提供させたものがわいろということになれば、これは当然第三者供賄罪に当たることになります。
  450. 小池晃

    ○小池晃君 私は、一般論を聞いているんじゃないんです。今ここに書かれている見解、解釈、これは最高検察庁の公判部長を務められた河上和雄さんが書かれておりますが、今、私が読み上げたこの法解釈は間違いがないですかというふうにお聞きしているんです。  お答えいただきたいと思います。
  451. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) ただいま引用の御論文はあくまで個人的な立場で書かれたものと思われますので、その点について、その論文を前提にしてお答えを申し上げることは、これは適当ではないと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、第三者供賄罪と申しますのは、請託を受けて、そして第三者にわいろに当たる利益を提供させるということによって成立するというものでございますから、実際にそれが第三者供賄罪の構成要件に該当するかどうかというのは、ただいま申し上げたことを前提として事実関係によって判断をされるものと考えております。
  452. 小池晃

    ○小池晃君 それでは、事実関係によって判断されることは、それは間違いないと思いますけれども、政党の議員が所属の政党にわいろを供与させた場合、これは当然第三者供賄罪が一般論としては成立をするんだということは間違いないですね。
  453. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) 繰り返しのお答えになって恐縮でございますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、その第三者に提供させたものが、それがわいろと評価される事実関係にあるものであれば、請託を受けて提供をさせればそれは第三者供賄罪が成立する場合があるということでございます。
  454. 小池晃

    ○小池晃君 そういう今言ったような要件に合致すればそうなるんだと、成立するんだということであります。  法務大臣にお伺いをしたいと思うんですが、KSD事件に大きな国民の怒りが高まっております。現在、村上、小山両容疑者の捜査の対象となっているこの受託収賄事件でありますけれども、これは、もちろんKSD事件の全容を徹底的に解明して刑事責任のすべてを厳しく捜査、究明すべきであるというふうに考えますが、大臣の基本的姿勢を伺いたいと思います。
  455. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 検察当局は、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処、今までもしてまいりましたし、これからもしていくだろうと、こういうふうに思っております。
  456. 小池晃

    ○小池晃君 KSD事件というのは、まさにこの第三者供賄の疑いが濃厚であります。  村上、小山両前議員とともに、古関理事長から請託を受けて国会質問をしたりいろんな便宜を図った自民党の政治家はたくさんいる。それに対して自民党に対して巨額の党費の立てかえということがやられたわけです。これ、森総理は、道義的な責任だ、問題だというふうに言いましたが、それにとどまらない、この第三者供賄罪にも該当する疑いがある重大問題だと思うんです。  私、先ほど厚生労働大臣と議論しましたが、最後に一問お聞きしたいんですが、厚生労働大臣は、限界がいろいろあるんだ、今何ができるか、その範囲でというふうにおっしゃいましたが、小山副理事長、それから河野道明さん、こういう人たちは現在のKSDのメンバーです。ですから、厚生労働省の監督下にある人たち。すぐに聞けばわかると思うんですが、それぐらい調べろというふうに私は言いたいと思うんですが、どうですか。それぐらい調べるというふうに言っていただきたい。
  457. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 申しわけありません、もう一度お名前を言っていただけますか。
  458. 小池晃

    ○小池晃君 小山副理事長と河野道明氏、KSDの現職員です。
  459. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 現職員。  小山氏は、小山というのも職員ですか。
  460. 小池晃

    ○小池晃君 副理事長です。
  461. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ああ、副理事長。  それは聞くことができますから、我々は、どうであったかということは、今までも聞いておりますし、これからも確認をいたします。
  462. 小池晃

    ○小池晃君 徹底的な解明を求めたいと思います。  終わります。
  463. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  464. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
  465. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会民主党の清水です。  昨日、本委員会で宮澤財務大臣は、この日本の財政は破局に近い状況にあると、このようなことを述べられて、それで市場は直ちに反応しました。  私は、それをそこの席でお聞きしていて非常に危機感を持ちました。それはまるで評論家のような答弁の仕方だと思います。今本当にみんな、一体日本の財政、経済はどうなるのか物すごい心配をしているわけです。そういう意味で、大臣の政治感覚といいますか、責任の希薄さに私は非常に危機を感じたわけです。  財政の方については、私、また次の機会に伺いたいんですが、ここでちょっとお尋ねしておきたいんですが、そういうきのうの答弁から見ましても、現在の経済状況は、この十三年度予算が編成された昨年の編成のときの政府の経済見通しとは非常にやはり違ってきているんじゃないか。そういう意味でも、一・七%成長はそのまま大丈夫だというお話でございますけれども、やはり昨年、景気が回復をしてきているという、そういうことを基調として編成されたこの予算案ですね、これが現在の状況と全く、それに向かって本当によくこの予算案が正しい方向に引っ張っていけるという、そういう予算案であるということを確信を持って今ここでお答えになれるでしょうか。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  もう一度御見解を伺いたいと思います。
  466. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) さように思っております。
  467. 清水澄子

    ○清水澄子君 それはまた次、そういう開き直りでよろしいんですか。そういう破局に近い状況であるという、これは本当に破局じゃないかとみんな感じているわけですよ。それを、今の予算は破局を、じゃ予想してつくられたんですか。
  468. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨朝でしたか、いろいろお尋ねがございまして、そういうベースでお答えをしておりましたから、破局という言葉がもし清水委員のおとりになるような意味でありましたら不適当な表現であったかもしれません。  つまり、これだけの大きな債務を抱えておる、しかも非常な低い成長、プラス成長の底をはっているというふうなことはやはりなかなか大変なことでございますから、将来に向かって容易なことでないということを申し上げたとおとりくださいませんでしょうか。  それで、しかしこれは、これもまたしばしば申し上げておりますが、日本人というものの力からいえば、これはこういう状況を将来に向かって打開することは決して難しいことではないと私は信じておりますということも同時に申し上げております。
  469. 清水澄子

    ○清水澄子君 きょうはちょっと社会保障関係を伺いたいものですから、そちらに質問いたします。  私は、景気対策の本来の目的というのはやはり雇用の安定にあると思うんです。しかし、今後も失業率は五%を超えるということも予測をされているわけですけれども、それに対して厚生労働省は、今回の予算の中で雇用のミスマッチ解消には重点が置かれているわけですけれども、今日の失業というのがミスマッチの対応のみでいいのか、むしろそういう判断はどこかやっぱり間違っていないかという、やはりここにも不安を覚えます。  産業経済構造再編に伴うリストラという、そういう問題がたくさん出てきておりますから、やはりもっと従来の手法とは違った政策が必要になってきているんじゃないかと思いますが、大臣の御見解、御認識を伺いたいと思います。
  470. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 昨日もここで御答弁を申し上げたところでございますが、現在の雇用情勢、四%台後半の高どまりということになっておりまして、非常に我々も心配をしているわけでございますが、しかし一方におきまして、有効求人倍率の方は、昨年一月から十二月へとこれはよくなってまいっております。〇・五一が昨年の一月でございましたけれども、去年の十二月は〇・六六まで回復をいたしました。そういう、一方におきましてはこの完全失業率があり、しかし新規の求人を含めますところの有効求人倍率はよくなってきている。この差が何によって起こっているのかということを我々もここを間違ってはいけないというふうに思っております。  先生が御指摘になりますように、確かに構造改革が今行われているわけでありますから、その構造改革に対する対応として、一つは旧労働省が今まで言ってまいりましたやはりミスマッチというのもあるだろうと思うんです。それは地域における差、あるいは年齢による差、技術による差、そうしたものがあるだろうというふうに思っておりますが、しかしそれだけではなかなか説明しにくいところがございます。  それで、しっかりとそこを見てみますと、やはり有効求人倍率が高くなって、そしてそこで新しく職を求めていく人たちもかなりたくさん出てきていることも事実なんです。  ところが、失業率の中でもその他の部分というのがございまして、その他の部分というのは何かというと、今まで労働市場に参画をしていなかった人が新しく参画をしてくるという、そういう部門でございまして、ここがこの五カ月ぐらい毎月毎月徐々に徐々に高まってきております。ですから、新しく職を求める方もかなりありますけれども、しかし、その求めた後を埋めるようにして新しいまた雇用を求める人たちが生まれてきているという事実。  それで、そこの部分を、どういう層の人かということを我々も一生懸命追跡をしているわけでございますが、現在までのところ出てきておりますのは、女性が多い、しかも若い女性が多い、二十歳代の女性が多いといったような数字が出てきておりまして、だからそうしたことに対して、皆さんが本当に働こうと、これはやっぱり働かなければいけないというふうに思っておみえになるというこの現状を認識して、現在、企業からの失業、いわゆる非自発的失業という部分だけではなくて、やっぱりもっともっと幅広く雇用対策というのを考えていく必要があるのではないかというふうに思っているわけでございます。  ですから、今までのように、何か失業が起こりますと経済が悪くなる、産業が悪くなるといったようなときに起こってまいります雇用対策だけではなくて、やはり新しく雇用を生み出していくようなひとつ雇用対策というものをぜひここで織りまぜてやっていかないといけないのではないかというふうに現在考えているということを、きょうは御報告を申し上げたいと思うわけでございます。
  471. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会保障を安定させていくというためにはいろんな政策が要るでしょうけれども、やはり社会保障財源を負担する勤労人口の雇用安定というのはやっぱり不可欠だと思うわけです。ただ単なる失業対策という意味だけじゃなくて、それと同時に、また社会保障制度や福祉の充実というのは非常に国民生活のニーズに沿った新しい雇用を創出していくという、そういう側面も持っている。  この両面から私は政策をつくり出すべきだと思うんですけれども、この点については大臣はどのようなお考えでしょうか。
  472. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それはもう御主張のとおりというふうに私も思います。  これは、これから先だんだん、今は景気が悪いですから失業者も多いわけでございますし、そして働く人たちが余っている状況でございますが、これで少し景気がよくなってくるということになれば、これから先、働く人口、労働人口はだんだんと少なくなってくるわけでございますから、そこをやはり、社会保障をそれを支えていく人たちということになれば、女性の皆さん方にもっと働いていただけるような環境をつくらなければならないのが一つ。もう一つは、中高年の皆さん方にも働いていただけるようなやはり環境をつくらなければならないということが一つ。その二つがひとつ大きな役割を果たしていただけるのではないかというふうに思っております。  だから、当面の失業対策あるいは雇用対策というものと、あわせて中長期的な、将来の人口構成はもうわかっているわけでありますから、それに合った雇用対策というものもとっていかなければならない、両方をやっていかなければならないというふうに思っております。
  473. 清水澄子

    ○清水澄子君 ところで、社会保障改革について、政府のつくった閣僚会議とそれから与党の協議会とがあるわけですが、昨日、改革協議会の内容が発表されておりましたけれども、これはどちらが主導といいますか、二つの関係というのはどういうことになっていて、どちらが主導を持っているのか。それから、現在どのような議論が行われてきて、これがまとめられているんですが、これは大枠だけですよね、年金や医療などはどのように今後具体的にやっていくのかについてお尋ねします。
  474. 石本宏昭

    政府参考人(石本宏昭君) まず、社会保障関係閣僚会議とそれから政府・与党の協議会の関係でございますが、御案内のとおり、社会保障構造の在り方について考える有識者会議の報告書を受けまして、関連する諸制度検討を含め総合的、包括的な改革に取り組むために、昨年十一月に閣僚会議が設置されました。しかしながら、国民生活に密接にかかわる社会保障の改革に取り組むためには政府・与党が一体となって議論を行うことが不可欠であるといった観点から、ことし一月に政府・与党社会保障改革協議会が設置されたところでございます。  今後の両会議の進め方につきましては、関係閣僚や与党によって決定されるものでございますが、当面は政府・与党の社会保障改革協議会が主体となりまして改革の検討が行われるものと理解をしております。  それから、二点目の現在の議論の状況はどうかといったところでございますが、一月の発足以来、この政府・与党の改革協議会は三回開催されておりまして、大変に御熱心な御議論をいただいております。昨日開催されました三回会合におきましては、先ほど清水先生指摘のとおり、たたき台を中心にさまざまな意見が出ました。次回は今月末を目途に大綱を取りまとめるといった予定になっておりまして、さらにいろいろと御議論をいただいた上で大綱が取りまとめられていくというふうに考えております。  なお、その三月末までにまとめる大綱にどんなものが盛り込まれているのかという御指摘でございますが、これまでの三回にわたります御審議の中で事務局として受けた印象でございますが、主に三点ございまして、年齢や性別あるいは障害の有無にかかわらないで、個人がその能力を十分に発揮できる社会とする。二つ目は、将来にわたって負担が過重とならず、経済、財政と均衡のとれた持続可能な社会保障制度を再構築していく。三点目は、増加してまいります社会保障の費用を利用者負担、保険料負担、公費負担の適切な組み合わせによって確実かつ安定的に賄うといった理念あるいは考え方が各委員から示されております。  私どもとしましては、このような内容が今後大綱案に盛り込まれていくのではないかというふうに思いますが、さらに御議論を重ねていただくことにしておるところでございます。
  475. 清水澄子

    ○清水澄子君 非常に抽象的な理念、内容なんですよね。だから、これが今後どう具体化していくのか。この中の具体化しなきゃならない問題は全部来年の議会には出さなきゃならないもの、もう秋以降の予算には組まなきゃならないものが非常に多いと思うわけですけれども、今後の具体化するスケジュール、それをどのように進めていかれるのか、これを坂口大臣。  そして、さらに財務大臣にも、この財源確保を一緒に議論しなければ、税制とか行政改革の関係とか、非常に社会保障、本当に今言われたように、それぞれの個人のニーズに沿った新しい社会保障制度をつくるのであれば、やはりそれらが国民に見えるものが必要だと思いますけれども、それらについてどのように各省の連携をとりながら、どういう作業をいつごろまでにどうされるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  476. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これからのスケジュールでございますが、これから先、大枠で申しますと、来年の今ごろ、この国会に法案を、特に医療に関する、とりわけ高齢者医療をどうするかといったその法案を提出させていただかなければならないわけでございまして、それをやろうと思いますと、御指摘いただきましたように、ことしの秋ごろにはその大綱をまとめなければならない、大枠をまとめなければならないというふうに思っております。ですから、時間はあるようでそんなにあるわけではないというふうに思います。  これからプロジェクトチームをそれぞれつくりまして、これからの具体的な問題をやっていくというふうに決まっておりますが、今までも審議会等でも何度か御議論をいただいてまいりまして、議論は既に出尽くしているのではないかというふうに思います。あとは選択の問題、どれを選択するかということに絞られてきているというふうに思いますので、皆さん方のまた御意見もお聞かせをいただきながら、最終の絞り込みに入らせていただかなければならないというふうに思っております。
  477. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今、坂口大臣がおっしゃったとおりでございますが、それで、これからはまだきちんとした道行きを決めていないと思いますけれども、私が見ておりますと、今のワーキンググループみたいなものができまして、恐らく当面、医療が急ぎますので、そういうことについての作業が進んでいくのかと思いますが、他方で、全体の問題としては、私は恐らく政府の経済財政諮問会議が取り上げることになるのではないか。まだはっきりそういうことをきちんとだれも決めていないわけですけれども、しかしあそこでマクロモデルができてきますので、そうしますと、この一つのシミュレーションの大きな項目は社会保障でございますので、そして他方で国民の負担と給付という問題もまた、日本国民がどれだけの負担をすべきかという負担の限界のような議論でございますね、これもしなければなりませんから、結局経済財政諮問会議が後を取り上げていくことになるんではないかと、そう決めておりませんけれども、そういうふうな感じではないかと私は思っております。
  478. 清水澄子

    ○清水澄子君 これはやはり来年度の予算編成にもかかわってまいるわけですから、やはり早急に手順を示されて、そしてやはりこれは非常にプロセスを国民に透明にして、国民とやはり私はこれは一緒に論議していくような、いわゆる国民参加のそういう私は保障をしていく、そういう私はやり方が必要じゃないかと思います。  それで、医師会の坪井さんがこれまでの社会保障構造の在り方について考える有識者会議はほとんど厚生省の枠の中で厚生省が書いたものだと言われていますけれども、ほとんどいつもこういう審議会とか有識者会議というのはやっぱりそういうどこか一つの省で誘導される。これらも、今度は特に財務省との関係というのは非常にこれは大きくなってくるでしょう、財源問題が大きいですから。ですから、そういう点ではみんな、消費税やらいろんな問題で負担の方が大きくなるんじゃないかと大変心配をしておりますから、どうぞ、そういう意味では国民が議論に参加できるといいますか、一緒に考えられるような、そういう方法をぜひ保障していただきたい。私は、坂口大臣、ひとつ御決意を願いたいと思います。
  479. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) できるだけオープンにお話をしていただきたいというふうに思いますし、そして、これはもう政治家が決断をしなければならないことでございますから、各委員会等で活発な御議論をいただいて、そうした中で一つ一つが練り上がっていくと申しますか、つくり上げられていくのではないかというふうに思います。できる限り私たちもそうしたことを心がけていきたいというふうに思っております。  それをやっていきますためには、先ほど財務大臣からも御答弁ございましたけれども、財政問題等が大変絡んでまいりますから、皆さんの、財政上の問題等につきましても御議論をいただかなければならないというふうに思います。  それから、坪井会長のお話が出ましたけれども、なかなか来年の国会では済まないんではないか、あと二、三年かかるんではないかというような御発言であったというふうにお聞きをいたしておりますが、しかしこの骨格は決めなければならない。その中の具体的な問題につきましては、中には時間をかけてやらなければならないものもそれはあるんだろうというふうに思いますが、すべてが二年先、三年先というふうに延ばすわけにはいかない。もう骨格を決めて、そしてスケジュールを決めて、そして一歩一歩進んでいくという意味であるならば、それは中にはそういうものもあるだろうというふうに私は理解をいたしております。
  480. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、基礎年金の国庫負担二分の一実現についてなんですけれども、これは二〇〇四年の次期再計算までに実現するということを法律に明記しているわけです。  これは最近の新聞報道ですけれども、それらを政府は十年かけて引き上げるとか検討しているとかというものが出ておりましたけれども、これでは余りにも、法律違反どころか国民への約束をほごにするものですが、これは事実かどうかということをお聞かせください。
  481. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その記事、私も見せていただきましたが、それは我々のところで、厚生労働省でそういう議論は決していたしておりません。我々のところから出たものではございません。それだけは明確にお答えをさせていただきます。
  482. 清水澄子

    ○清水澄子君 ということは、こんなに具体的に出ているということは、これはじゃ財務省なんですか。
  483. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私は全く知りません。そういうことは私の方もないと思います。
  484. 清水澄子

    ○清水澄子君 これは、じゃ、ないと確認してよろしいですね。  ところで、厚生労働大臣は昨年末に、この二分の一の達成というのは二〇〇二年ぐらいには実現できるように進めなければならないという決意を述べておられることを私は拝見したわけですけれども、その御決意に変化はないでしょうか。
  485. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 社会保障の中で、やはり何と申しましても年金が柱であるというふうに思っております。そういう意味で、年金の中の基礎年金というものをやはり早く安定させなければならない。そうした意味で私は一日も早くということを申し上げたわけでございまして、その気持ちに変わりはございません。  ただしかし、この三分の一から二分の一に上げるにいたしましても二兆四千億の財源が必要でございますから、そのことをどうするかという見通しなしにやるわけにはいきません。その見通しを立てながらやっていくという難しい作業に入らなければならないというふうに思っております。
  486. 清水澄子

    ○清水澄子君 私はやはり、年金に対する不信感とか消費が高まらないとかそういう今の現状の中で、年金への信頼を回復するとか消費を刺激するという意味においても、今、年金積立金百四十兆円あるわけですから、それを一時的に取り崩しても、二兆幾らですから、これをぜひ私は達成すべきだと思いますが、そういう方法は全くお考えにならないでしょうか。
  487. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 前々の厚生大臣でありました丹羽厚生大臣がそういう案を一度発表されたことがございます。ただし、しかしそれはお借りをするわけでありますから利息をつけて将来お返しをしなければならないということをおっしゃいました。私もそれはそのとおりというふうに思うわけでございまして、お借りをしたとしてもそれは返さなければならないし、利息をつけて返さなければならないものであろうというふうに思いますから、そういうことに入り込んでいくのではなくて、やはりもう少し全体の御議論をいただいてその中でどうするかということを決めていく、もう少し幅広い中でいろいろと御議論をいただく方がよろしいのではないかというふうに私は思っている次第でございます。
  488. 清水澄子

    ○清水澄子君 もう時間が来ましたので、厚生省は今度「医療制度改革の課題と視点」という、こういうパンフレットを公表されたわけですけれども、やはり一体このねらいは何を誘導しようとされているのか。いつもこういう問題がお金の計算から全部入っているわけですね。しかし、その中身は非常にまるで議論を起こさせるようであって、中身はもう大体余り変化のないこれまで出されていた四つの類型が出されているだけです。ですから、やはりその中で、特にこの高齢者医療制度の創設というのは急がなければ本当にこれは大変な問題になります。  特に、これは二〇〇二年度には必ず実施するということもこれまでの委員会の中で決議をしてきているわけですので、厚生労働省はこれをどのようなスケジュールでいつまでにどういうまとめをしていくのか、そしてこのパンフの四つの案にとらわれることのない地域医療のあり方とか患者本位の医療の実現とか、そういうことの新しい政策を実現していただきたいと思いますが、そのことを伺って終わりたいと思います。
  489. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 決して何かを誘導しようというような思いはございません。議論をしていただきます一つの土台として提示をさせていただいたわけでございますので、これからもまたいろいろのデータが出てくるというふうに思いますし、また、厚生労働省が出しましたものに反論するようなデータも出てくるであろうというふうに思います。  それらを総合的に見ながら、この秋に向けましての制度改革に向けて走りたい、そんなふうに思っている次第でございます。
  490. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) 以上で清水澄子君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  491. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  492. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。  昨年の八月に、経済企画庁経済研究所で「財政赤字の経済分析・中長期的視点からの考察」という冊子がつくられたわけです。これ私、実は月刊現代の十二月号を見るまで気がつかなかったんですね。この中を見ますと、先ほど来議論があります、国家財政が破綻しているという議論があるんですけれども、この小冊子については麻生大臣は御存じでございますか。
  493. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 知っております。これと同じものだと思いますが、そちらの方がよく読んでおられて大分手あかがついているような感じですけれども、私の方はまだ一回しか目を通したぐらいのものなので大変恐縮ですけれども、週刊現代が出ます前には、サンデー毎日だったかな、何とかに一回この話が出ておると思いまして、この話が出て、それは知っております、内容につきましても。
  494. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 この中を見ますと、国家財政の破綻を初めて認めたということであって、財政破綻を免れようとすれば二〇〇三年には消費税を二六%にしなきゃならぬ、最高で二〇二七年には四五%にする必要性があるということが指摘されておるわけですね。それで、堺屋長官はこれは自分と考えが違うということでストップされたと、それで一、二カ月。最終的には、この冊子を記者クラブへの説明も一切なく投げ込みという形をとったというんですね。  しかし、これはやっぱり東大の井堀教授を初め六人の方に経済企画庁が委託をしているわけですから、どうしてこういう失礼な扱いにしたのかということをまずお聞きいたしたいと思います。
  495. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 私ども、そのとき今の役職におりませんので、おまえそのころいなかったじゃないかと言われるとちょっと私も立場がないんですが、基本的には、これは私ども理解では中間報告、最終報告じゃありませんので、中間報告という形をとっておられますので、この種の話は、中間報告の場合は記者クラブへの投げ込みと、毎回この種のことにはそういうことに過去にもなっております。それが一点でございます。  それから、堺屋前長官と意見が違ったということもあるのかもしれませんが、このことに関しましては、経済社会総合研究所の井堀さんという東大の先生を初め、御依頼をしている井堀先生を初め五人の先生方でこれを研究しておられるんですが、これは基本的には、この先生方に研究所として依頼してこれをやれとかいうような話でしたのではなくて、いわゆる御自分たちで研究なさった経過としてやっておられますので、直接研究所が依頼をしてこれしてあれしてということをやった種類の話ではないものですから、そこで今言われたような扱いになっておるというぐあいに理解を私どもはいたしております。  この種の話につきましては、最終報告書が出た場合につきましては記者説明を行った上で公表するという、そういうルールになっておると知っております。
  496. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 これは宮澤大臣はお目通しじゃなかったですか。
  497. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その成果は今初めて聞きました。
  498. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 これが耳に残っておられて、財政が破局だとかそれに近いというお話がきのう来、またきょう本会議でもそういう質疑がございましたね。非常に国民はその点どうなるんだろうかという不安を持っていると思うんですよ。  それで、尾身さんはおととしの秋までには何とか景気回復するんだと言っておられた。堺屋さんは去年の秋までと。お二人とも秋が近くなるとおられなくなったということですが、堺屋さんはそういうことでありますけれども、麻生大臣は実体経済を経験しておられるわけですから、私自身も小さな会社をずっと経営しておって、お二人のおっしゃることはどうもぴんとこないなという感じでおったんですが、かなり深刻な事態に今経済は私はなっていると思うんです。それについてどのようにお考えでございますか。
  499. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ここに出されております数字というのは、国会が始まります前に、財務省というか、昔から大蔵省が中期展望を出すのと基本的に同じコンセプトでして、勉強せずにこのまま行けば落第するよとか、そういうあれで、体が悪いのにこのまま何もしないでほうっておけば糖尿病で死ぬよとかいう感じのものがあって、これは努力目標は何も書いてありません。努力すればとか、こういうことをすればということ、一切そういった政策はしないで、このままほうっておけばだめよということが書いてあるんだと思います。そういうように理解をしております。  したがいまして、今いろいろな考え方をやらねばいかぬところだと思っておりますが、今私どもの、私、前に経企庁長官をしたときは一番経済成長率のよかったときに長官をさせていただきましたので、私の終わった後の方がえらい目に遭われた、尾身先生を初め。一番運がよかったとよくおちょくられるところですけれども、あの鑑定からいきましても、私どもは、一番やっぱり今の状況皆さん読み間違えられておられるし、私どももなかなか……。  というのは、先ほど申し上げましたように、会社でいう経常利益の部分でいきますと、十—十二は三一・九%という、すごく前年同期比三一・九%の経常利益が伸びておるという状況なんですね。それはなかなか出てくる数字じゃないぐらいなものが物すごく感じが出ておるという状況というのは、やっぱり今までに比べれば倍、前年同期に比べてそれだけ伸びてくるわけですから、それは二年前に比べたらほぼ倍ぐらいな、倍は行きませんけれども、それくらい近くのものが伸びてきておるという状況になりますと、今までですと確実にそれは消費に回り、その前にまず賃金が上がり、雇用につながり、設備投資につながりというふうにずっと広がっていくものだったんですが、今回は簡単に言えば合成の誤謬ということなんでしょうけれども、みんな借金返済に回っている。全社借金の返済に回っておられますから、返される方は、銀行の方は、預貯金は相変わらずずっと八%か九%ぐらいみんな貯金をされる。その貯金は銀行に入ってくる。傍ら、貸し付ける先の企業は全部借金返済に回られると、銀行は貸出先がなくなってきておりますので、これはえらいことになるという状況が、今までとは全然違っておるというのが、多分なかなか今までの延長線上で物を考えていた方は全部外れてきたんだと、私どもはそう思っております。  そうすると、じゃどうなんだということだと思いますけれども、僕はこれはなかなか御意見の分かれるところだと思いますけれども、これはもうどう考えても、だれかがお金を借りなかったらもっとすさまじいデフレになるということを意味しますので、そういった意味では、ここはいろいろ考え方はあろうかとは思いますけれども、今の状況というのは、景気がよくなるまで、いわゆる自律的に回復するまで、もしくは企業が少なくとも借金を返し終わって、いわゆるバランスシート、企業のバランスシートがよしということになって、企業が設備投資の方に、もしくは拡大の方に向かうという心理が起きますまでの間は、これはだれかが下支えしない限りは、これは行ったらまたやめといって、このとき、九七年のときに、先ほど言われましたように、いきなり増税をばあんとやってくしゃんといったあのときと同じようなことになりかねませんので、四年前、五年前のあのときだけは繰り返しちゃいかぬなというのが率直な実感で、今どれぐらいにと言われると、この企業家の心理が今まで全くない心理状態になってきておると思いますので、この点のあれには、ちょっと今すぐに、来年というか、またことしなんて、そんな簡単にいくかなと、アメリカの景気は今度またどおんと来ておりますので。  その意味も含めてことしの秋にいきたいと基本的に私どもはそう思っておりますし、GDPも何となくそれがいきそうだなという感じはしないわけでもありませんし、一・二%につきましてはまず間違いなく、一—三月が少々悪くても間違いなく、平成十二年度の経済成長率一・二%という数字は間違いなく達成するということになりますので、その後の一・七%の方がさらに問題だということに多分なると思いますが、その点につきましては、アメリカ経済等々なかなか見通せない部分がありますので、私どもとしては自律的経済回復成長に乗せたいと思って予算を組んでおりますけれども、それ以後アメリカのあの急激な落ち込みというのは想像をはるかに超えた落ち込みになってきておるような感じがしますので、ちょっと今すぐと言われるに関しましては、桜の咲くころとかなんとかというような、そんなことをちょっと言えるような心境にはありません。
  500. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣が慎重になられるのはよくわかりますし、企業は利益を出したと言うけれども、実際はリストラとか土地の売却とかそういう形で出しているわけですよ。だから、今、賃金交渉が行われているわけですけれども、非常に経営者側は慎重ですよね。しかし、労働団体から見たらやっぱり大変な犠牲を払っているということですから、利益を出せば少しは還元してくれということでありますけれども、それがうまくいっていないということですね。  働く皆さん方も三十代、四十代の貯蓄率が非常に伸びてきているんですよ、逆に。だから、個人消費に回らない。そういう悪い状態の中でぎくしゃくしている、政治、経済、社会全般にわたって不協和音が奏でられているという状況だと思うんですね。だから、古い、要するに五十年間やってきたソフトが、森さんの好きなITでいえば、基本ソフトというものがもう機能しなくなってきている。全部入れかえなきゃいかぬ。そこにまだ行けないという状態にあると思うんですけれども、その点はどのようにお感じでございますか。
  501. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 宮澤財務大臣お答えの中にもありましたように、グリーンスパンの話だったと記憶しますけれども、アメリカの場合はITというものを、情報技術の進歩によって中間管理職を飛ばしていきなり末端と社長が直接つながってみたり、企業が卸売、卸通さぬでいきなりつながってみたりというのが全部情報技術のすさまじい進歩によって成功した。じゃ、その間の企業はどうなったかというと、間にいた中間管理職を全部レイオフということをやって、企業は一挙にどんと人件費を少なくしておいて利益を出してきたというのが、アメリカの企業でいった場合はそれが成功したんだと思っております。  したがって、一時期は猛烈な勢いで悪くなって、一九九四年四月の十九日だったと覚えていますが、七十九円九十五銭までドルは下がった。それはむちゃくちゃな勢いでドルは八十円を切った。瞬間風速で切りましたので、終わり値が八十円ちょうどだったと思いますが、それほどアメリカはむちゃくちゃになった。それから、過去五年間ばっと上がってきたという数字なので、こんな感じで上がったんだと思いますけれども、あのレイオフを我々、長い間の労働慣行を前提にして、あれほど冷酷、冷酷ですな、かなりドラスチックな人員解雇ができるだろうかといえば、私はその点はちょっとなかなかさようなわけにいかないだろうという点に関しましては私も宮澤大臣と同じ見解です。  そういう意味では、すぐさまどうにかということになるとは思いませんけれども、ただ現実問題としては、技術を応用して、実に幅広くいろいろなことが今行われつつあるところだというのは企業の中でもいろいろ出ておられるところなんで、それはコストを下げるということだけは間違いないことだと思っておりますので、そういったものがどのような形で響いてきて、余った人員を、少なくともさらに次の他の産業にいかにうまくスムーズに、ミスマッチとかいろいろな表現ありますけれども、そういったところに移っていけるかというところが今後の経済運営において非常に大事なところになるのではないかと思って、経済諮問会議でも雇用の問題につきましては非常に大きな関心が今払われて、その対策がいろいろ考えられているというのが今の現状であります。
  502. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 片山大臣、去年この予算委員会で、いわゆる各種諮問会議とか審議会、これはある面では議会軽視じゃないですかということを小渕さんともやりとりを実はしたわけですね。というのは、やはり国会で総理大臣というのは選ばれているわけですから、知事や市町村長とはこれは違うわけです。やたらいろんなことで出されると。  きのうも質問したんですけれども、警察刷新会議で我々が国会で議論をしたのと唯一違うのは増員の問題ですよね。それだけぱっと飛びついてやっちゃう。これはやっぱりいかぬのじゃないかと。しかも、去年資料出していただいたら四百ぐらいあるんですよね、いろんな。中には、例えば民生委員とか非常に大事な部分はありますよ。それはむしろ上げていいと思うんだけれども、そういうのは少し整理して、議会での議論を真摯にやっぱり行政が受けとめて、それをきちっとやるということがまず基本じゃないかということを申し上げたんですが、半分ぐらいには減らしたいという意向が去年ありました。  今度の省庁再編でそういう実態がどうなっているか、御報告をいただきたいと思います。
  503. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 松岡委員指摘のように、今の審議会等はかなり多いことは多いですよね。隠れみのと言われたり、隠れみのにしているんじゃないかとか縦割りの応援団だとかね。  そこで、今度の中央省庁の再編にあわせまして審議会も減らそうということになりまして、恐らく前の続総務庁長官のところに松岡委員は御質問になったんじゃないかと思いますけれども、あのときは二百十一だったんですよ。それを九十にしたんです、九十に。そこまで減らしたんですが、ただ独立行政法人なんかをつくりますから、その評価委員会をつくれと、こういうことにしましたので、その関係等を含めまして十六新しいものができまして百六になりました。  だから、二百十一が百六になったという意味では私はそれは進歩だと思いますけれども、ただ審議会によってはいろんなものを集めて分科会をつくったりしておりますから、今回、本当のスリム化、本当の審議会の縮小、縮減ということを考えていかなきゃいかぬと思いますし、各省ともよく相談して進めてまいりたいと思います。
  504. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  505. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  506. 須藤良太郎

    ○理事(須藤良太郎君) 次に、高橋令則君の質疑を行います。高橋令則君。
  507. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  まず、経済担当大臣にお伺いをしたいと思います。  連年、るる本会議そしてまたこの場でお話をお聞きしているんですけれども、もう暗い気持ちでいっぱいです。きのうですか、きのうの発表された一月の機械受注などはかなり下がっているんですね。その先を考えても、設備投資、先も難しいんじゃないかなというふうに思っているわけです。いろんな意味でいい資料がないというふうに私は思っております。  そういう意味で、先にまず大臣に今後の見通しというんですか、経済の見通しについて改めてお聞きしたいわけです。
  508. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、御指摘ありましたように、機械受注という面でいきますと、これがマイナスに出ると約六カ月おくれで設備投資もマイナスになるというのが、過去はそういう数字が出ておりますので、その意味では将来につきまして厳しいものがある。設備投資というのはずっと引っ張ってきたものの一つでございますので、それは厳しい。  また、消費に、先ほど企業収益というものがこれだけよくなっているにもかかわらず消費に回っていっていない。いわゆる自律的な回復というのでいけば、六〇%を占めます、このGDPの六〇%を占める消費に結びついていないというところもなかなか、今までではちょっと考えにくいような状況が起きておりますので、厳しいものがあるというのに加えて、アメリカの景気がどおんと落ちてきておりますので、アメリカがくしゃみすると日本が肺炎になるという時代とは違いますけれども、それでも一%下がりますと〇・二%ぐらい日本のGDPを押し下げる要素になるという数字が最近の数字でありますので、五%下がれば一%ということになりますので、そういった状況は見ておりますと幾つも問題があるということは確かです。  ただ、傍ら、企業の方としては、過去十年間ぐらいずっと見ていますと、猛烈な勢いで借金をばっと返し始めておりますので、そういうものからいきますと、企業のバランスシートというものが、十年前とかいう、これはバブル崩壊以後、貸し渋りもあったでしょうし企業が努力されたこともあって非常にバランスシートが確実によくなってきておりますので、このバランスシートがある一定の限度を超えますと企業としてはいわゆる健全と言えるものになりますので、今、電力会社初め多くの黒字の会社でも、今までの借金を減らして利益は借入金の返済に充てておられるという状況はなかなか、暗いものではありますけれども、現実に皆いいことをしておられることはそれなりに認めにゃいかぬところだと思いますので、そこらのところが少しタイムラグ、時間差が出てきていると思います。  そういったものからいきますと、決して暗いばっかりの話ではないんで、もうしばらくするとこれが転化すると思っているんですが、普通ですと、今までですと、これだけ企業収益が上がればもうついてもいいんじゃないのかというのが、宮澤先生等々、皆経験のおありになる方はそう思いますし、私もそういう感じはするんですけれども、なかなかここのところはそういうことになってきておりませんので、決して悪いわけではないと思っておりますけれども、今申し上げたようなことが続いておりますので、何となく今、気分的にというところだと思っております。  特に、やっぱり売り上げというのでいきますと、消費者物価というのが下がってきております。戦後、消費者物価が極端にどおんと下がったという例は、ドッジ・ラインのときに、千九百四十何年かに一回、どおんとマイナス一〇%とか、一年だけ消費者物価が下がったという例は過去にもございますけれども、二年連続、一%か〇・五%とはいえ二年連続下がったというのは今度が初めての経験でありますので、これはデフレ、デフレーション、定義はいろいろあるんですけれども、このように二年連続続いてくるという状況は、これはやっぱりデフレと呼ぶべき状況ではないかなと思って、そういう意味では戦後初めての状況になってきておりますので、高橋是清内閣以来少なくとも何十年ぶりかで、昭和二年か、ですからかれこれ、七十年ぶりとは言いませんけれども、それぐらいぶりでデフレーションということをやっておりますので、今までとはもう全然雰囲気が違ってきて、何となく緩やかなインフレはちょっと景気がよくなった気持ちがしますけれども、同じものを売っても前より値段が下がったりする。もちろん仕入れも下がりますでしょうから、利益はそこなりに出ますけれども、気分としてはなかなか上がってこないというところだとは思いますけれども、世界じゅうで日本だけがそうなってきておりますので、そういった意味では、時間の問題とは思いますけれども、ここは辛抱せにゃしようがないかなという感じはしないでもありませんけれども、今の状況としては、企業全体の収益が確実に上がってきたというのは、二年前の九八年程度とはもう全く状況が違ってきていることだけは間違いありませんというのが私どもの見方で、これが、じゃ、おまえ、いつ火がつくんだと言われると、そこのところがちょっとなかなか今までと違って、私どもとしてもなかなか判断ができかねるというのが率直なところです。
  509. 高橋令則

    ○高橋令則君 今お聞きしたんですけれども、余りどうもよく私もわからないんですが、予算を編成する前に見通しを決めるわけですね。そして、それを見ると、成長率が一・七でしたね。私も、宮澤大臣に申し上げるのは恐縮なんですけれども地方でもやっぱり編成するんですよ。そのときにやっぱり国の見通しを見て、それでやるわけですね。それがずれてきますと、本当は予算もできないわけですよ、本当はですね。しかし、今はやってきている。  ただ、しかし、もう予算が出てくるかなという直前の中で、これだけ深刻な、何といいますか成長率が下がるということについては、やっぱり異例なことじゃないかと。やっぱりこれまず予算の前に見通しを改定するなり何かするなり、いずれ手当てが必要じゃないかなと、いわゆる対策を考えるべきじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。
  510. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 麻生さん、大体私も同じようなことを申し上げてまいりました。私自身は、今までのパターンと確かに違うわけですけれども、まあ時間の問題だろうと、こうどっちかといえば思いますし、麻生さんは、いや、あるいはそうでないかもしれないと。そこの見方が、いずれにしてもよくわからぬことでございますけれども、ただ予算との関連で申しますならば、この年度の一・二%というのは私はできると思っている意味では麻生さんとそこは一緒でございます。  この次の一・七でございますが、それは結局、機械受注等から見て、私は余り、しかしここでまたおしゃべりするのはよくないのかもしれませんが、つまり設備投資等々が夏ぐらいにはやっぱり少しピークを打つというようなことと消費が回復してくるということとがどういう関連に立つのかと、こういうことになると思いますので、私は一・七という見通しはそれでいいと思っておりますし、予算としては用心に三千億も公共事業予備費を持っておりますし、そういう準備は片方でしておるわけでございますから、まあまあ予算との関連はよかろうと。ただ、麻生さんの言うように、非常にそれが長くかかってきたときはという問題はまたあるかもしれませんが、私はまあそこはしかし、といっても企業と雇用との関係は、企業は大分もう豊かになっておりますから、少しずつはやっぱりというふうに私は実は考える方でございます。  予算との関連はそういうことでございますから、これでそういうことになりましても一応の逆櫓はつけておるということではございます。
  511. 高橋令則

    ○高橋令則君 麻生大臣にお伺いしたいんですけれども、宮澤大臣は一・七%ですか、これは大丈夫だというふうにおっしゃるんですけれども、麻生大臣お話が、経済の実態からすると難しいんじゃないかなと私は聞いたんですけれども、いかがですか。一・七%、自信がおありですか。
  512. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 前経済企画庁でやってみましたところで、なかなか景気と実態と当たらぬじゃないかといつも言われて、別に予想をやっているわけじゃないので、いろいろあるべき姿を言わないかぬ立場にある役所ではありますけれども、少なくとも93SNA、システム・オブ・ナショナル・アカウントというやつですけれども、あのSNAでいきますと、少なくとも前の数字でいきますと、この二年間でいきますと、少なくとも〇・五、ことし一・二と申し上げておるんですが、これはいずれも、〇・五も一・二もほぼまず達成できる。あっちは終わりましたけれども、この今の93SNAで見ましても、いわゆる制度によりまして、今のやり方で見ましても、この一・二は間違いなく、この一—三月で達成することは間違いありませんので、この一—三月の数字が、三月十六日に月例経済報告が出ますので、その数字がどういう数字か見ていただければ、大体ああこれ行くなという感じになられると思いますけれども、この一・二は平成十二年度につきましてはまず間違いないと思っております。  平成十三年度の一・七がどうかという御質問ですけれども、これは先ほど申し上げたように、何にもしなきゃということはある、いろいろ御意見のあるところでしょうが、いろいろこれは対策を打たにゃいかぬところもきっと出てくる、後半になりゃこれはもっとやらにゃいかぬとかいうことはあり得るとは思いますけれども、私も、宮澤大臣と同じで、それはもう絶対不可能かと言われると、私はそんなにむちゃくちゃな不可能だとは思っておりません。  アメリカの景気がかなり影響することも認めますけれども、アメリカの景気はグリーンスパンが言うほど簡単にことし後半からばあんとV字型に行くかねと言われると、ちょっとそこのところはアメリカの過去の例から見て本当に行くかねと思わないわけではありませんけれども、しかしそれでも、私どもとしてきちんと対策をやり、いろいろな意味で今の企業収益が今のような状況が続いていくのであれば、一・七%というのは決して不可能という数字ではないと思っております。
  513. 高橋令則

    ○高橋令則君 日銀総裁にちょっとお伺いしたいんですけれども、今の経済の実態から見て、日銀が一定の手当てをおやりになりましたですね。それについては、今の実態から見て必要十分だと思われますか。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕  もう一つ、もし必要がないとすれば、今後の対策があるとすれば、そういう幅がありますか。それをお聞かせいただきたいと思います。
  514. 速水優

    参考人(速水優君) 今御指摘のように、日本銀行では、二月中に開かれました二回の政策決定会合におきまして連続して金融緩和措置をとりました。新しい貸し出しの制度としてロンバート型貸出制度というものを、市中銀行の方でどうしても借りたいといって担保を持ってきたときにはいつでも貸すという制度でございますが、これと同時に公定歩合の引き下げをいたしました。  これはいずれも金融緩和措置でございまして、これがどれぐらいの効果を発揮できるかということは、株式市場ではまだ株価の低迷が続いておりまして、著しく株価に、株式にいい影響を与えたとは思っておりませんが、短期金融市場の方で、債券市場で、オーバーナイト金利はもちろんのことですが、ターム物という中期の三カ月物などを見ますと、去年の暮れでは〇・六%ぐらいだったのが、今は〇・三%ぐらい下がっております。長期金利でも、十年物国債一・一七%、これも二月の初めは一・四から一・五ぐらいでございましたから、〇・三ぐらい下がっております。  こういうふうに市場金利が大きく低下してきておるということは金融緩和措置の効果であると思いますし、一方で、短期国債の買い切りオペを積極的にやるということで、二月中だけで二回、三千億ぐらいの買いオペをやりました。そういうようなことがかなり金融を緩和し、企業の資金繰りも豊かにしていくというふうに思っております。  こういうことで、民需主導の自律的な景気回復に貢献していけるんじゃないかというふうに期待しております。今後とも、適切な金融政策運営に努めて、景気回復を支援していく方針でございます。  しかし同時に、経済の本格的な回復を実現していくためには、やはり民需主導の経済構造改革、これは金融システムを含めてですけれども、経済、産業両面で構造改革は不可欠な条件であるということをここに来て強調させていただいております。日本銀行としましては、各方面における構造改革に向けた取り組みが一層速やかに進展することを強く期待しております。
  515. 高橋令則

    ○高橋令則君 一点だけまた総裁にお伺いしたいんですけれども、インフレ目標を導入すべきだという議論がありますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。
  516. 速水優

    参考人(速水優君) インフレターゲティングにつきましては、私どもも随分検討もいたしました。しかし、先ほど申し上げましたように、今まさに構造改革の真っ最中でございまして、構造が大きく変わるときに物価指数というものも必ずしも信頼できないような動き方をするものですから、ここで例えば二%のインフレターゲットをつくるといっても、なかなかそれはどこをどういうふうに合わせていくかというのは非常に難しいと思いますし、金融政策面でもそれに合わせるようにやっていくというのはちょっと適当でないように思っております。もちろん、もう少し落ちついてきて、インフレターゲティングを日本もほかの国もやっているように採用したらどうかという情勢になりますれば考えないわけではございません。今のところはむしろ無理だというふうに思っております。
  517. 高橋令則

    ○高橋令則君 総裁、ありがとうございました。  財務大臣にちょっとお伺いしたいんですが、財務大臣にお願いしたいんですけれども、最後ですけれども、私が見るところ、この前の十年、十一年、それから十一年、十二年の予算のトータルは、今比較すると多いわけですね、十一年、十年の方が。トータルとしては五億、六億ぐらいだったと思うんですけれども、これだけ十三年度だけでは足りないと私は思うんですけれどもね。これで一・七の成長は大丈夫なんですかね。
  518. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) まず、公共事業で申しますと、三年、九兆四千億というのは同じ数字で崩さずにやっております。ただ、公共事業予備費を今度は三千億円にしてございますけれども、公共事業そのものは九兆四千億円というのは同じ水準でございますので、そこは減っていない。他方で減りましたのは、一番減りましたのは金融機関への資金導入の部分が、これが国債の減に直接つながりましたが、四兆円余り、六兆と申し上げた方がいいのかもしれませんが、これはもう要らなくなりましたので減りました。  そして、総体で申しますと、十三年度予算は前のように景気刺激的ではございませんが、公共事業は同額を維持していることと、なお予備費を持っておるということでは、まさに民需へのバトンタッチができている部分だけ少し景気刺激部分が減っておりますけれども、民需へのバトンタッチが全部できていないことは、予算の方でもいざというときを見ましてその部分の備えをしておると。申しますと、つまり徹底的に景気刺激的でありました前二年度に比べましたら、それは少しずつ平常に近づこうとしている。
  519. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。  ありがとうございました。
  520. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で高橋令則君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  521. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  522. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は日米地位協定の問題について二、三お伺いしたいと思います。  昨日の日米合同委員会において、政府は米側に対して、日米地位協定の運用の改善を正式に提案するとの報道がなされておりますけれども、その結果について外務大臣から御報告をお願いしたいと思います。
  523. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御承知のとおり、先般来、私は沖縄に参りましたときにも申し上げてまいりましたが、地位協定の中で運用の改善によって問題を解決すべく例の十七条の部分についてこれまでやってきたわけですが、なかなかその「特定の場合」というところで心配があるということもございまして、私はその「特定の場合」というところを特定できるかどうかということについて日米間でしっかり議論をした方がいい、こういうことを沖縄でも申し上げてまいりまして、私、事務当局に指示をいたしまして、日米合同委員会でこの問題について議論をするように指示をいたしました。合同委員会はそれを受けまして、本件を刑事裁判手続に関する特別専門家委員会で取り上げるということで我が方からの米側に対する問題提起をアメリカ側が受けまして、協議を開催することにつき一致をいたしました。  したがいまして、今後、日米双方の準備が整い次第、可及的速やかに同委員会で日米間の協議を開始するということになっております。
  524. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 問題はいわゆるどういうふうな改定、改善といいますか、そういうふうな改定まで踏み込むかどうかというふうなことが県民の大きな今願いであるわけですね。そういったふうなことでやはり国民の生命、財産、人権というものをどう保護していくかということが私は今回の大きな課題だと思いますけれども、その辺についてもう一度御見解をお願いします。
  525. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御承知のとおり、先般、放火事件がございまして、私はかなりこれは重大な放火事件、こう考えておりまして、この放火事件の容疑者の身柄の問題で少し心配があったと。結果は、起訴後はできましたので、速やかに身柄は今回はうまく移ったと思いますけれども、しかし、こうした問題について、先ほど申し上げた「特定の場合」というところに、例えば現在そこに人が住んでいる住居に対する放火などの悪質なものについてはこの特定の場合に入るんだということを明示的に書けるかどうか、あるいはそうしたことを双方で合意ができるかどうかということについて、私は事務当局にアメリカ側としっかり協議をせいという指示をしたわけでございます。  もちろん、それ以外にも、ではこれはどうだ、これはどうだといろいろな問題がございます。それをずっと明示的に書けるかどうかということになると、これはまだ協議をしてみなければ何とも言えないわけでございまして、それを明示的に書くことがいいのか、あるいは別の方法でそれとわかる、あるいは問題を解決するほかの方法があるならそれも協議をし合意ができるなら、それも一つの方法だと思います。  私は、こういうことで具体的な問題が解決できるなら、双方の協議を真剣にかつ積極的にやって、可及的速やかに協議に入って作業を始めたらいいという指示をしているところでございます。
  526. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 実はこの米軍関係の事件、事故というものは本当に後を絶たないんです。そこで、それはもう御承知のように、婦女暴行、わいせつ事件、そして強盗、窃盗、放火などの事件、事故が起きるたびごとに米軍側はその謝罪と綱紀粛正、再発防止ということを繰り返し今日までやってきておりますが、私が県議会のときでも六回、この米軍人のいわゆる事件、事故に対しての抗議議決を六回も開いてやっているんですね。そういうふうな、県議会の中で六回も臨時議会を開いて米軍当局に対しての抗議、要請、そういったものを繰り返しやっているんですけれども、一向にらちが明かない。  そこで、やはりこの五十六年間米軍占領下にあって、占領下というよりは五十六年米軍がおりますけれども、在沖米軍の最高司令官でさえいわゆるさきの、知事や自治体に対して頭の悪い弱虫呼ばわりした。これは非常におかしな話ですけれども、そういう軍隊の問題というのは、やはり基地の存在の具体的な本質そのものがそういうふうな米軍関係にあるのではないかというふうなことで、これは去る一月十九日、沖縄県議会で初めて海兵隊の削減を求めた抗議決議を全会一致で可決したと。その他、県内の多数の市町村議会においても同様な議決が行われている。そして、米軍基地が集中している実は北谷町議会では、去る二月十五日に、初めて海兵隊撤退の抗議決議が全会一致で可決されております。さらに、昨日は、きょうの新聞報道によりますと、嘉手納町長が嘉手納飛行場の全面返還を要求すると議会で表明しておるという報道であります。この一連の動きは沖縄県民の我慢の限界を超えた私はあらわれだと思っております。  この点について、外務大臣はどういう御認識をされているか、お伺いいたしたいと思います。
  527. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先般、ワシントンに参りまして、パウエル新国務長官とお目にかかりましたときにも、沖縄県民の気持ちを私としては十分伝えたつもりでございます。パウエル長官からは、沖縄県民の生活を困難にするようなことは最小限に抑えなければいかぬということをパウエル長官は言っておられて、ぜひひとつそういう方向で二人で話し合っていきましょうと言って帰ってきて、もう本当に間もなく沖縄では次から次へとまた事件、事故が基地周辺で発生をするということでございまして、私としても、これはもう本当に私自身がこんなことではいかぬというふうに強く思ったわけでございます。  そこで、私、沖縄に参りまして、基地周辺の方々にお目にかかっていろいろお話をいたしましたけれども、どうやってこうした事件、事故を根絶するか、あるいは根絶できないまでもそれを最小限に減らすことができるかということについて御意見を伺い、お知恵を拝借したいということで参りました。  今、議員もよく御承知のとおり、沖縄では例のワーキングチームができて、このワーキングチーム、つまり沖縄の地元の皆さんと米側とが一緒になって、事件の発生をどうやって阻止するかということで大変真剣に議論もされると同時に、具体的行動もしておられる。そうした私はワーキングチームの作業がこの事件、事故を減らす、今当面考え得る一つの方法だというふうに思いまして、これにつきましては、米側に対して、私、参りましたとき、ちょうどヘイルストン四軍調整官はおりませんで、ウイリアムズ准将が代理で私のところへ参りましたけれども、ウイリアムズ准将には、ワーキングチームの作業というものは極めて重要で、これを、我が方の大使が野村大使から橋本大使にちょうどかわった日でございましたから、大使がかわったからといってこのワーキングチームの作業をやめるとか軽視するということがあっては困る、このワーキングチームの作業こそ今当面やり得る非常に重要な作業だと思っているので、これをしっかりやってもらいたいということを言いまして、先方ももう十分わかっているというふうに言っておりました。これが当面やり得る一つの、仕事としては小さい仕事であるかもしれませんけれども、当面やり得る一つの事件、事故を防ぐ方法だと思います。  今考えておりますのは、地位協定にせよ運用の改善にせよ、つまり何か問題を起こした者の身柄を日本側に早くよこせと、よこすというルールをきちんとしようということが、アメリカ側の事故を起こす人間にとってそれが何らかの抑止力になるのかどうなのか、歯どめになるのかどうなのか、あるいは容疑者の身柄をとるということが抑止力になるような意味を持っていると言ったんじゃ、向こうはなかなかうんと言わないということもございましょう。しかし、私どもとしては、今考え得るさまざまなことをひとつ頭に入れて、とにかくこの事故の防止といいますか、事件の防止というものに全力を挙げたいというふうに思っているところでございます。
  528. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いろいろあると思いますけれども、私は、運用の改善では間に合わない、今こそ日本外交の主体性を発揮して、日米地位協定の条項の改定が必要な時期であるというふうに申し上げておきたいと思います。  それから最後に、現在、知事や名護市長が移設条件としている十五年使用期限の問題について、日本政府は、アメリカに対して沖縄側はこういう要求をしていると伝えるだけでなくして、きっちりと確かな答えを求めるべきではないかというふうに考えますけれども外務大臣、米側はこのことについてどういうふうな答えを示しておりますか。
  529. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほども申し上げましたように、パウエル長官とお目にかかりましたとき、パウエルさんは何しろ初めてでございますから、とにかく沖縄の県民の感情というものをできるだけきちんと説明をしておきたい、伝えておきたいというふうに思いまして、沖縄県議会の決議でありますとか、あるいは知事さん、市長さんのお申し出でございますとか、そういうものは全部まず説明をいたしました。取り上げておきました。そして、この問題は非常に重いものだと政府は考えていますということもよく申し上げておいた次第でございます。  ただ、海兵隊の削減とかという問題については、これは繰り返し申し上げるようでございますけれども、国際情勢を考えずにただ兵力の削減ということを要求するとか、あるいは主張するということは、これは自分としてはなかなか難しいと思いますと、したがって、まず国際情勢がどういうふうになっているかということをよく日米で相談をするということが重要だということは、それは私も承知しておりますが、沖縄県民の気持ち、それから十五年という期限についてはパウエル会談において取り上げてきちんと説明をしてまいりました。  まだまだそれから先の話は、何せせんだって初めてお目にかかりまして、アメリカのブッシュ体制というのはまだほとんど人間は指名、決定されていない時期でございましたから、国務長官だけが指名、承認されているという状況でございますから、国務長官にはまずそれだけ伝えてきた次第でございます。
  530. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので終わります。
  531. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で島袋宗康君の質疑はこれを終了いたしました。  本日はこれにて散会といたします。    午後六時八分散会