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2001-03-06 第151回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月六日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  二月二十八日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     入澤  肇君      森本 晃司君     益田 洋介君      戸田 邦司君     高橋 令則君  三月一日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     岸  宏一君      筆坂 秀世君     西山登紀子君  三月二日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     三浦 一水君      野沢 太三君     清水嘉与子君  三月五日     辞任         補欠選任      陣内 孝雄君     野沢 太三君      小川 敏夫君     北澤 俊美君      高橋 令則君     戸田 邦司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡野  裕君     理 事                 岩城 光英君                 木村  仁君                 須藤良太郎君                 吉村剛太郎君                 高嶋 良充君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 小池  晃君                 照屋 寛徳君     委 員                 石渡 清元君                 入澤  肇君                 鎌田 要人君                 岸  宏一君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 清水嘉与子君                 常田 享詳君                 野沢 太三君                 南野知惠子君                 日出 英輔君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 江田 五月君                 木俣 佳丈君                 北澤 俊美君                 櫻井  充君                 内藤 正光君                 堀  利和君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 柳田  稔君                 大森 礼子君                 浜田卓二郎君                 益田 洋介君                 大沢 辰美君                 西山登紀子君                 宮本 岳志君                 清水 澄子君                 堂本 暁子君                 戸田 邦司君                 石井 一二君    国務大臣        内閣総理大臣   森  喜朗君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     高村 正彦君        外務大臣     河野 洋平君        財務大臣     宮澤 喜一君        文部科学大臣   町村 信孝君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   谷津 義男君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 伊吹 文明君        国務大臣        (防衛庁長官)  斉藤斗志二君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)  橋本龍太郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    麻生 太郎君        国務大臣        (科学技術政策        担当大臣)    笹川  堯君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   仲村 正治君        内閣府副大臣   村井  仁君        総務大臣    遠藤 和良君        総務大臣    小坂 憲次君        法務副大臣    長勢 甚遠君        外務大臣    荒木 清寛君        財務大臣    若林 正俊君        文部科学大臣  河村 建夫君        厚生労働大臣  増田 敏男君        厚生労働大臣  桝屋 敬悟君        農林水産大臣  田中 直紀君        経済産業大臣  松田 岩夫君        国土交通大臣  高橋 一郎君        国土交通大臣  泉  信也君        環境大臣    沓掛 哲男君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        米田 建三君        総務大臣政務官  景山俊太郎君         ─────        会計検査院長   金子  晃君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   金築 誠志君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        警察庁刑事局長  五十嵐忠行君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        外務大臣官房長  飯村  豊君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十三年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十三年度総予算三案についての理事会決定事項について報告いたします。  本日及び明日は基本的質疑総括質疑方式により行うこととし、質疑割り当て時間は二百七十九分とすること、各会派への割り当て時間は、自由民主党保守党百一分、民主党新緑風会八十一分、公明党三十分、日本共産党三十分、社会民主党護憲連合十六分、無所属の会七分、自由党七分、二院クラブ・自由連合七分とすること、質疑順位、これにつきましてはお手元に配付いたしておりますとおりであります。     ─────────────
  3. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年度総予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年度総予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、そのように決定いたします。     ─────────────
  7. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 平成十三年度一般会計予算平成十三年度特別会計予算平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これから質疑に入ります。北澤俊美君。
  8. 北澤俊美

    北澤俊美君 民主党新緑風会北澤俊美でございます。  参議院にいよいよ予算が入ってまいりまして初めての質問であります。  昨日は内閣不信任案衆議院で提出されて、これが否決されました。否決されて信任されたということでありますが、依然として総理はおやめになるのではないかという記事が紙面に躍っております。  参議院審議を進めるに当たって、冒頭ぶしつけではございますが、改めて確認を申し上げますが、近々おやめになりますか、おやめになりませんか。
  9. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今、北澤議員からお話がございましたように、十三年度の予算案がいよいよきょうから参議院予算委員会皆様の手におゆだねをいたしまして御議論をいただく大事なきょうは日だと思っております。  私は、きのう、青木参議院、我が党の幹事長にも申し上げました。参議院内閣として予算案をお願いする以上、私やまた内閣そろって責任を持って皆様にこの予算案が会期内に一日でも早く成立ができるようにして、そして今、国民が一番関心を持っておられます景気回復に対して大きな役割を果たさせていただきたい、そういう意味で、私どもとしても一生懸命この予算委員会に臨みたい、こういう気持ちでありますということを申し上げました。  野党皆さんによって不信任案が出されましたけれども衆議院におきまして、与党連立三党で否決をしていただきました。いろいろ国民皆様から御批判があること、これ十分私も承知をいたしておりますが、同時に、まず国会国家国民のことを優先に考えて、そして内閣不信任案否決をしていただいたものである、このように私ども受けとめて、誠心誠意参議院におきます予算委員会に対して一生懸命私どもとしては努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  10. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、大意を頭の中でめぐらせましたが、どうやらしっかりお続けになると、こういうことのようであります。  しかし、不思議なことに、今お話しになった、国会国家国民のために意思を表明したと、こういうふうにおっしゃって、それはそのとおり正しいわけでありますが、一方で、党内はもちろんでありますけれども連立パートナー公明党、そしてまた自由党の主要な方々がおやめになるべきだと。(発言する者あり)保守党、大変失礼いたしました。いや、自由党皆さんごめんなさい。いや、この間分かれたばかりだから、つい間違えるんです。  そこで、申し上げますが、国会意思というものはどういうものかということはこれから論じていかなきゃなりませんが、まず、扇党首はきのう、おととい、保守党扇党首は、つい一昨日までは、不信任案否決になっても森さんを信任したんじゃない、私は森さんと連立したわけではない、自由民主党連立したんだと、こういう奇妙なことを言っておられる。しかし、きのう新聞を見ていたら、もちろん森さんを信任しましたと、こういうふうに言われた。どこに真意があるのか、改めてお聞きをいたします。
  11. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私、保守党でございますので、まだ結党して一年たっておりませんけれども、しっかりと保守党を御認識賜りたいと思います。  では、保守党党首としてというお話もございましたけれども、私は、今まで申しておりますように、昨日、御案内のように衆議院森内閣に対する不信任案が提出されましたけれども皆さんの、私ども力強く圧倒的な大差をもって信任されました。少なくとも森内閣に対する私たち連立一員として、保守党森内閣とあるいは自由民主党連立をしております。ですから、保守党はきちんと連立をした保守党として役目を果たしておりますけれども、私個人としては、森総理から国土交通大臣として任命されましたので、少なくとも両方とも、連立をしている与党としても信任され、そして内閣一員としても信任されたということで、きょうから私の属しております参議院予算審議がされることを私は大変重要視して、国民皆さん方の期待にこたえたいと思っております。
  12. 北澤俊美

    北澤俊美君 昔、私が大変尊敬していた政治家でありました方に対する評価で、言語明瞭意味不明、こういう言葉がありましたが、今お聞きしているとまさにそうですな。  要するに、国会森首班を選んだわけです、私たちは反対しましたが。そして、森総理閣僚任命権を持っている、そしてまた罷免権も持っておる。そういう中で、閣内に入っていない人たちがいろいろ言うのはまだいささか政治的な意図があって許せるが、内閣の中に入っている一員が軽々しく総理が不適任だというようなことを言ったら、国民政治信頼するなんということは成り立たない。そして、言うことがころころころころ変わる。それはお着物が毎日かわって立派なことはいいが、言うことまで毎日変わったんじゃこれはたまらない。もう少しはっきりしてくださいよ。
  13. 扇千景

    国務大臣扇千景君) お伺いになる方が、保守党党首としてはどうですかとか閣僚としてはどうですかとおっしゃるので、保守党としては連立を組んでいる私は保守党でございますと申し上げて、閣僚としてはとおっしゃるから、私は森総理に任命された閣僚としては信任されたと申し上げておりますので、くるくる変わってはおりませんし、私は御質問にお答えするとおりお答えしておりますので、北澤先生が御理解できないとおっしゃることは、私はそんなことないと思い、御理解いただけるものと思っております。
  14. 北澤俊美

    北澤俊美君 無意味議論はこの辺で切り上げさせていただいて、政治学上、連立内閣というのはどうなっているかということは、よくこれを見ておる国民皆さん承知をしていただくと。  そこで、国会議決権の権威についてということでお伺いをしていきたいというふうに思いますが、総理総理は今ある意味ではこの議論被害者でありますけれども、しかし国権の最高機関のところの束ねをしておられる。議会議決をしたことは、議決はしたがその中身には従わないと、こう言ったら、議会は立法府でありますよ、総理を選ぶだけの話じゃない、法律も決めていかなきゃいかぬ。議会法律を成立させて、その法律は守りませんよと、こう言ったら国家が成り立ちますか。とんでもない話だと思っておるんですよ。  この議論は、政治のありよう、政治の成り立ちの根本にかかわっていると、こういうふうに思いますので、改めて見解をお聞きしたい。大変おつらい立場だと思いますが、今あなたの党内あるいは連立パートナーたちが言っていることに対してどういうふうにお考えになりますか。
  15. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど申し上げましたように、内閣として信任をいただきましたので、心を新たにいたしまして、この参議院におきます予算案審議また予算関連法、これからまた衆議院から送付されてくるでありましょう内閣としての多くの改革の諸案件、これをぜひ私はリーダーシップを持って実現ができ得るように最大限の努力をしていくことが、これが議会人の務め、また内閣責任者として当然果たすべき役割だと、このように考えております。
  16. 北澤俊美

    北澤俊美君 こういう認識なんでしょうな。  話はこの辺で切り上げますが、結局は、密室で選ばれて、そのことを追及されたら、国会で立派に選んだから正統だと、そういう論理を展開された。今度は不信任案信任をされたら、信任はしたけれどもやがてもうかえるんだよと、こう言っているんですよ、皆さんはね。  そうすると、結局、国会で今度は承認したけれども、つくるときも密室でやって国会議決を利用して正当化したけれども、今度は、国会で正当に信任をされたものを今度はまた密室の中で切りかえていくと、こういうことになるわけです。極めて寂しい話であります。  そこで、少し最近の国会のこと、それから与党政治姿勢等についてお伺いをしてまいりたい、こういうふうに思いますが、二月の十八日のNHKテレビ政治討論に出演した与党三党の国対委員長さんたちが、中でも自民党大島国対委員長が、衆議院予算委員会議論を踏まえて、野党予算委員会スキャンダル疑惑の問題ばかり質問していると言っておられました。  これは、予算委員会が終わってみれば、実質はそういうことではない、事実に間違いがあります。それは御答弁なさった皆さんが十分承知している。しかし、報道はとかくそういうものに比重をかけて報道する。しかし、そういうことはおいてでも、スキャンダル疑惑だけを議論していると、こういうふうに言うけれども、もともとスキャンダル疑惑をつくり上げた人たちが、自分たちのところでみずからそれを解明して国民の前に明らかにする努力をしないで予算委員会に入ってくるからその議論になるのでありまして、もともと疑惑をつくらなきゃ我々も何も追及することはないのであります。  そういう考え方についてどう思われますか、総理は。
  17. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 大島我が党の国対委員長お話は、大島国対委員長としてのお考えあるいは感想を述べられたものだと思いますが、この予算委員会は幅広く国政の全般に対しての議論を闘わせていくこと、また野党皆さんから見れば、もちろん与党もそうですが、政府に対する御疑念や、またわかりにくいところ、そうしたことをただしていかれるということは当然あってしかるべきだと考えております。
  18. 北澤俊美

    北澤俊美君 もう少しまともに、真正面からお答えになった方が議論はかみ合っていくと、こう思います。  そこで、他党のことをいろいろ言ってはいけませんけれどもスキャンダルを起こしたり疑惑をつくったりするそういう中で、やっぱり政治国民の前で躍動してなきゃいかぬわけですが、私は、野党がこういうことを追及することに対して非難めいたことを言う前に、やっぱり自由民主党の中でも若手の皆さん方もそこそこおいでになる、もう少し元気を出した方がいいんではないかと。これは、総裁に上り詰めた森総理が、これから日本の国がやがてきちんとした二大政党制の中で政権を獲得し合う政治ドラマが進んでいくと、こう思います。そういう中で、若い皆さん方にもっとおれのところを攻めろと、こういうぐらいにおっしゃった方がいいんではないかというふうに思います。  私はもう一つちょっと嫌なことを申し上げますが、私は、ここ十年野党をやらさせていただいて、政治に対する新しい見方も勉強しました。しかし、同じ仲間がいつの間にかどんどん自由民主党へ帰っていった。その人たちが言ったことはどういうことかといえば、結局、野党では自分政策が実現できない、しかし帰ろうとしたら自由民主党は旧態依然だと、戻っていって私がまた党内改革をしたいと、こう大見えを切って皆さんお帰りになった。帰ったが最後、それらしき発言や行動は全く聞かれない。こういうことで政治信頼を失っていくということはもうやむを得ないことだ。  そこで、その大きな理由の中で、最近、与党皆さん方野党討論することを避け始めている。ここもう一、二カ月、テレビ討論等でも野党一緒になるということは嫌だと。あれは奇妙な風景でして、与党皆さん討論していて、そこへ途中から野党、また逆の場合もありますが、そうすると入れ違いやるんですね。一緒にやれば話がよくわかるのに、これはおかしな話なんですよね。どうやら、お聞きをすると、与党皆さん方野党テレビ討論するのは嫌だと、こう言っているらしいんですね。  いかがでしょうか。国民の前で議論を避けたら政治にならぬと思うんですけれども総理はどう思いますか。(「そんなことないよ、テレビ自体野党じゃないか」と呼ぶ者あり)
  19. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 北澤議員のおっしゃっておられるのは、最近のNHKなどの放送討論会のことを指しておられるのかなというふうに今伺っておりました。そういうふうになったのは、それなりの双方にやっぱり理由があるのではないかなと思います。実り多い議論が続けられることはやはり討論としては大事なことですが、片側ずつ意見を聞いていくということもまた国民にも理解される方法なのかもしれません。  いずれにしても、これは、私ども国会のこの場でどうこう言うべき問題ではないのであって、それぞれのテーマ、それぞれの手法は当事者、そしてまた主催をされる放送側がお考えになることではないかなというふうに思います。
  20. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、こっちの方でテレビ野党だなんと、こう言いました。ここらの感覚なんでしょうな。やっぱりそれは、メディア、報道、そういうものは権力に対して一定の批判勢力を持たなかったら成り立たない。それが自分たちの思うようなことをやれというような思いを持っていれば政治は成り立たないんですよ。まあ、そんな感覚であるんだろうなと今しみじみ感じたわけでありますが。  しかし、そうはいったって、政治議論の中から、討論の中から合意を形成していかなかったら政治にならぬ。橋本さんが総理をおやりになっていたときになかなかりりしいポスター、剣道の胴着を着て、逃げないと、こういうポスターを張ったんですよ。僕はあれを見たときにいいポスターだと思いましたよ、思った。森さんになったらあのポスターはなくなっちゃっている。そうしたら、どんどんどんどん与党側は逃げていく。  私は、政治議論を避けたらやっぱり国民から信頼を受けないと、こういうふうに思います。与党皆さんだけで仲よく三人でテレビ画面でにこにこしながら野党の悪口を言ったりいろいろ言っている。これじゃ本当に情けない、全く。あれだったら、民放テレビであんなことやらせてるんだったら、コマーシャル料でも取りゃいい。あの姿を見ていると、よく地方へ行って、お祭りで海や山へ向かって大きな声を出してコンテストをやっているでしょう、あれと似ているようなものだ。  コマーシャルの話をすれば、自民党宮城県連コマーシャルで、一部消して放映されました。ピーという音で消しました。そのときに、メールで入ってきた川柳にこういう川柳があった。ピー音でみんな消したい自民党日本人の諧謔精神というのはなかなか健在であるというふうに思いました。  私はこのことを重ねて総理にお伺いします。  政治議論を避けたら国民から絶対に信頼を得られない、私はこのことをもうしばらく議論したいと思うんですけれども、やはり今のこの時点で、政策を論じたりなんかすることも大切ですけれども、その前に、今は何としても政治国民信頼を得なきゃならぬと、こういうふうに思っています。その出発点として、今のような与党側野党議論を避けているということを、端的にお答えいただけませんか。
  21. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 避けているとは私は思ってはおりませんが、討論の仕方にもいろいろあるというふうにお考えいただいたらいかがでしょうか。
  22. 北澤俊美

    北澤俊美君 それじゃ、そういうことが討論に僕はならぬと思うんですよ。討論方法にもいろいろあると。いろいろある中に逃げているのがあって、その逃げていることが顕著だと、こう言っているんですよ。どうですか。
  23. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 逃げているというふうに北澤議員は理解をされるというか、とっておられるわけでしょうけれども、あの討論は、テレビの画面を通じて国民に何を訴えるか、どう理解していただくかということだと思いますから、議論を闘わせながら、国民皆さんにどっちが話していることが正当性があるか、どっちの政策がいいのかということの判断もあるでしょうし、あるいは与党与党だけで話をすることによって理解を得る、野党野党としての政府に対する批判を言う、それに対してまた理解を得るというやり方もありますから、要はこれは手法の問題でありまして、討論を逃げているとかそういうことではないと、私はそう思っております。
  24. 北澤俊美

    北澤俊美君 今の議論をこれは続けても同じことでしょう。しかし、逃げているとかいないとかという話を言葉巧みにそらそうとしても、国民の目の前で、片方がテレビへ出演して、次の野党が来たらその人たちがいなくなるといったら、これは国民は逃げているとしか見ないんですよ。  この問題は、私が何を言おうかとすると、この姿勢が国会の運営に色濃く反映しているんですよ、色濃く。最近の国会の運営の仕方がそういうふうになっておる。総理がなかなか国会へ出てこない。衆議院予算委員会を見てもおわかりのとおりに、今まではほぼ七日ぐらい総括質疑をしておった。しかし、わずか二日、三日でしょう。やはり大事な予算国民のために審議すると盛んに言われるのであれば、しっかり議論をすればいいんです。そしてまた、せっかくつくり上げたクエスチョンタイムについても、あのせいだ、このせいだと言って出てこない。  総理が出たがらないのか、国会運営をする自由民主党を中心とした与党側が出したくないのか、両方あるだろうというふうに思いますが、国会がそういうふうに議論の場をどんどんどんどん狭めていったら、多分、これは私の推測ですが、与党の中は多分、連立をして、連立の三党の中で協議をしているから事終わりだと、こういうふうに思っているんではないかと思う。  しかし、国民が期待するのは、連立与党に対する政治勢力としての野党としっかりと政府議論することを期待しているんですよ。その中から合意の形成も期待するんです。  そういうふうに、今、前段申し上げてきたようなことが国会の運営の中に色濃く定着し始めてきていることに、私は議会制民主主義の行く末に大きな危惧を抱いておる。いかがですか。
  25. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これは異なことをおっしゃるなというのが実は私の気持ちなんです。  北澤議員もいろいろ御経験の深い方でありますが、これは私だから逃げているとか、私だからそうしてくれと言っているんじゃなくて、たまたま私はそういう場面に今遭遇しているわけですが、国会改革というのはかなり長い間これは与野党議論をしてきたことだと思います。  先ほど羽田孜衆議院議員がそこに座っていらっしゃいました。羽田議員なども、まだ自由民主党におられたときには彼は国会改革論者でした。自由党の小沢党首も非常に改革論者のお一人でございました。  それで、もちろん政治改革の一連の中で国会改革という項目はあったんですよ。それはかなり長い間の議論を重ねてきて、そして、これは私がそうだから、嫌だからという意味じゃないんですよ、誤解しないでください、国会総理を含め閣僚が拘束される時間が多いのではないか。こういうグローバル化の時代、国際化の時代の中で、もう少し大臣も自由に少し外国にも行ける、重要な会議には、政務次官、当時ですと政務次官が行ったりいろいろあった。そういうことをできるだけやっぱり除去して、できるだけやっぱり国際社会の中に閣僚も動けるようにしたらどうかとか、それだけじゃありませんよ、一々一言隻句とられると困るんですが、そういういろんな幅広い議論をかなり長い間やってきたんですよ。私はもう随分若いころからやってまいりました。  ですから、そういう中で、大体イギリスなどの国会というものをある程度参考にしながら、当時与野党でいろいろお話を申し上げてきた結果、今の新しい国会の仕組みをつくり、総理の時間はこれぐらいとか、閣僚がもしあれの場合は副大臣でどうかとか、そういうことをいろいろ考えた結果、国会改革のあの合意が成り立って、これは与党だけで一方的にしたわけじゃありませんね。野党皆さんの合意も得てつくり上げたことですね。そして、副大臣制度もつくり政務官もつくって、今の仕組みになったわけでありまして、決して国会を嫌って、国会議論を嫌がって出てこないとか、そういうことじゃないと思います。  例えばきょうも、申し上げていいんだろうと思いますが、キューバの外務大臣がお見えになっておられます。こちらの都合で必ずしもお見えになるわけじゃありません。どうしてもお会いをしたいということですが、現実、私はきょうはお目にかかれません。それで、じゃ国会が終わってでよろしいですかということで、それでもいいということですから、六時ごろから実は外務大臣にお目にかかりますけれども、国際慣行上といいましょうか、儀礼的に夕方のそんな時間にいいかどうかという、これはその国々のまた判断もあると思いますが、そういうことが随分ございます。  ですから、やはりそういう取り決めの中で、総理を少しでも自由にしよう、もっと国際的にもあるいは国内的にもいろんな行事があるから、そういうものにも参加させようという、そういう御配慮を与野党で御相談をいただいて、国会でお決めになったことなんじゃないでしょうか。  もう一つ例を申し上げますと、えひめ丸のこのときも、河野外務大臣でも総理でも行くべきじゃないかという御指摘が衆議院でもございました。しかし、河野外務大臣は、あの衆議院予算委員会の中でのいろんな議題の中から、そう国会を抜けられるような状況じゃなかった。そこで衛藤副大臣を急遽行かせるとか、その前は政務官二人を交代に行かせるとか、そういうことをやっておりますけれども、大事なところで大臣が出た方がいいというケースがあるんですけれども、やっぱり国会優先ということを考えざるを得ないわけですね。  かつて、私もまだまだ若いころにいろんな政府の仕事をしておりましたときも、外務大臣が、この予算委員会に間に合わせなきゃならぬということでお許しをいただいて、あのカーゴという貨物の飛行機に乗ってアメリカへ行って、泊まらないで帰ってこられたこともございました。私も通産大臣のときに、トロントでどうしても会議があるので、これも国会予算委員会上で都合が悪いということでありまして、結局、夜行の飛行機で行って向こうで会議をして、またそのまま夜行の飛行機で帰ってきたということもございました。  そういうことが、外務大臣をなさった方が健康を害していくとか、総理が健康を害していかれるというのも、そういうところがあるというふうにやっぱり言われているわけでありまして、そういういろんなことの反省を含めて与野党皆さんで御相談をされたのが今の国会改革の仕組みじゃなかったんでしょうか。  しかし、おかしなところがあり、足らざるところがあるというなら、これは当然また与野党で話し合って改革していくということが筋ではないかなというふうに思います。
  26. 北澤俊美

    北澤俊美君 総理の答弁を私はほかのテレビなんかでも聞いたりしておりましてどうも違和感を感ずるんですが、きょうわかりました。大局論を議論しようとすると現象論にすりかえてお話しになる。だからかみ合わない。  問題を変えます。  これもまた総理には嫌なことですが、基本的な政治姿勢として、えひめ丸の事故のときにゴルフ場においでになった。ゴルフ場においでになって、いろいろなもう経過は言いません、そこですぐにお帰りにならないでゴルフを続行したと。このことについてと、これはもう総理になってから。もう一つは、総理が十数年間にわたって友人が拠出したお金でお買いになったゴルフ会員権をそのままお使いになっていた。  本来、総理という座に着くときには相当な覚悟を持っておやりになるはずです。きょうはここに宮澤さんも橋本さんも総理大臣を御経験になった方々、いつの日か自分政治に対する抱負経綸を現実のものにあらわしてみたいと、こういうふうに思って研さんをされてきた。  総理の場合は、森総理の場合は小渕総理の突然の御逝去という中で選ばれたわけですが、しかし選ばれてそれをお受けになった瞬間に、お受けになる決意をした瞬間に自分の身の回りをどうするかということをやっぱりお考えにならなかったらいけなかったんではないか。  人間、やはり事に当たっていざというときには、精進潔斎とか斎戒沐浴とかいろいろありますね、世代が一緒だから通ずると思いますけれども、そういう心構えでいざというふうに乗り出してくるんだというふうに思いますが、そういう意味での心構えがスタートの段階でまず足らなかったというふうに思います。  その結果として、ゴルフ場でプレーを続けたということにつながってきたんではないか。そういうことの延長線上で、お仲間の中からもそろそろおやめになった方がいいんではないかという声がいつになっても絶えないというふうに私は思うんですが、いかがでありましょうか。
  27. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 御質問の中に二点あったと思います。  あのときゴルフを続けておったのはよくないと、そういう御批判があることは承知しています。ただ、これは衆議院予算委員会でも随分御質問もあり、クエスチョンタイムでもございましたから、言いわけを申し上げているというふうにおとりになるのも大変残念なんですけれども、この参議院では初めてのことでございますので申し上げますが、第一報が参りましたときには、正直申し上げて詳細はそうわかっていなかったんです。ですから、今そういう状況が入りましたので、一応心構えといいましょうか、そういうことがありますので、直ちにまた連絡入れますと。  私は、そのとき、これはアメリカだなということですから、外務省を中心に情報収集をやること、それから全員の救出を全力を挙げてやるように依頼をすること、そしてそれぞれ、アメリカ・ハワイ沖での事故でありますから、日本ではどういう国内体制がとり得るのか、例えば官邸にそういう対策本部をつくることがいいのか、外務省に何をやるべきことなのか、そういうことだけはきちっとすぐ指示をするようにということを申し上げ、もうちょっと詳細があるまで待ってほしいということでございました。  第二報はそれから十分ほどして参りましたが、それよりもそんなに進んだものではございませんでした。ただし、二十六名ですか、二十五名が今救出をされましたと、直ちに引き続き救出作業をやっておられますと言うから、それじゃその体制はもうできたのかと言ったら、できておりますということでございましたから、もう一遍御連絡申し上げますまでお待ちをいただきたいと、こういうことでございましたので、そこにとどまったということです。かえって動くことが私にとっては連絡が不徹底になってはいけないのではないかということでありました。  それがゴルフ場だからいろんな御批判があったんだと思いますが、これは私はどの場所にあってもやっぱり同じそういう対応をしただろうと思っています。ただ、ゴルフ場にいたということについて御批判があることについては、私は率直に国民皆さんにおわびを申し上げました。しかし、そのときはもう既に帰る準備をしろと、車の用意も、休ませておきましたから、車の用意もしておいてくれ、いつでも出れるようにしておいてくれよということはすぐ指示をいたしたわけです。  その後の連絡で、第三報で、どうも死傷者があるようだということでございますから、そして皆さんの体制はできましたかと、外務省も官邸もすべて連絡体制がとれておりますと言うから、それじゃ私はここを動きましょうということで動いたわけでありまして、これは結果論でありますが、すぐ向かって指示することも、あるいはそこにとどまって指示することも、いわばそれによって指示に支障があったかどうか。その対応がおくれたということの御批判をよくいただくわけですが、私は対応は全くおくれていなかったというふうに思っておりますし、しかるべきそういう指示はすべて私は終えたと、そう思っております。  もう一つの点は、総理としての身辺をきちっとしておくべきではなかったかという、そういう対応のお話だったと思います。  このゴルフ場の会員権を自由に使えるようにしていただいたのは十六年前の話でございまして、私はゴルフの会員権を持つような力も当時ございませんでした。ただ、いつも一緒にやっている友達、仲間たちによく誘われて、その中の社長がたまたま会社で二つ持っておるから、一つは森さんに使えるようにしてあげたらいいじゃないかというのが仲間たちの御意見でありました。  ただし、私は、そういうものを受けたら自分のものになってはいけないと、こう思いましたから、その時点ですぐその社長、友人とは契約を、契約といいましょうか、約定書を交わして、そしてこれは私のものじゃありませんよということをきちっと証明をし、会社の方もそれを会社の資産として届け出ておくということにいたしておりましたので、そのことについてはその都度、いわゆる確定申告等あるいは資産公開するたびごとに私は税理士にも相談をし、問題はありませんということを言われ、これは私のものではない、ただ名門のゴルフ場ですからなかなかフリーには飛び込めませんので、そういうことだけ自由にできるようにさせていただいたということでございます。  しかし、現実にはほとんど使っておりませんし、この間参りましたのも実に七年ぶりに行ったわけで、その間にそれを取り消しておけばよかったのかもしれませんが、まあうかつだったといえばうかつか、まあ余りいい、プレーができる権利を持っているという、そういう実は意識も余り私は忘れておったというのが正直なところでございまして、したがいまして直ちにそれは返上申し上げるように、今、手続をすぐ開始したということでございます。いずれにしても、北澤議員から大変御忠告だというふうに私は受けとめておりますが、そうしたことについてもう少しきちんきちんとやっておけばよかった。  ただし、私は随分そういう点についてはかなり神経を細やかに使っている方でございまして、例えば当選をいたしましたときに、私の義理の兄貴の経営している会社の株主になったりしておりましたが、それも議員になった時点でそれをすぐ取りやめたり、あるいは役員をやめたり、そういうことは全部やっておりますし、できるだけ、でき得る限りそういう、友人などから呼びかけられて役員になってくれないか、顧問になってくれないかということを頼まれることございますが、少なくとも営利に関することに関してはすべて私はお断りしながら三十年やってきたということでございますので、たまたまこの問題について、うっかり私はそのまま手続しておいたことについては、まことに反省しなければならなかった点だと思っております。
  28. 北澤俊美

    北澤俊美君 参議院議論は、予算委員会は片道といいまして、私の立ってしゃべる時間だけが私にとっては非常に大切なんでして、幾ら長広舌をされても私の方には被害はないからいいんですが、ただ、今のお話を聞いておって、私は、遁辞を弄するという言葉がありますね、遁走の遁です。あれは自分責任を逃れるという意味なんですが、何かそんなことを思い出して仕方がない。(「逃げ口上だよ」と呼ぶ者あり)逃げ口上ね。  そこで、私が求めたことは、あのときにゴルフ場だったとかなんとかではなくて、すぐに駆けつけるという姿勢があれば国民信頼は損なわれなかったということ、その一点に尽きるわけです。  それからもう一つは、会員権については、会員権というのは我が日本の社会では一つのステータスシンボル、そしてまた利便性もある。これは、みずからが汗したお金で買ってそういうものを獲得するというのが社会の常識であります。それを人のお金で、自分が使っていたと。そういう人生観を持つ人もいるかもしらぬ。しかし、総理ということになったときに、いや、先ほどのお話のようにきめ細かな配慮をしている人生観があるんならば、そのときにまず、斎戒沐浴ではありませんけれども自分のところをきちんとするという、そういう意識が足らな過ぎたということであります。そのことを申し上げて、次に移ります。  世の中によく何それの七不思議とかいろいろありますが、今度は、政治の中でまことに不可思議なことが三つあると。  まず一つは、外務省の松尾元室長が外務省に告発をされて一カ月がたつけれども、いまだに逮捕をされない。二番目が、額賀大臣があれだけ明快な、明確な疑惑があるにもかかわらず、政倫審でつじつまの合わない一方的な弁明をして事足れりとなりつつあるこの永田町の論理。それからもう一つは、これは今さんざん言いましたが、やめやめろと言う人がたくさんいるのに、そしてまた不支持率が九〇%になっているにもかかわらず、依然として与党はこれを信任していると。  こういう不思議な現象をこれから私はお聞きをしていきたいというふうに思いますが、もう一つは、我が国の国家の存立は三権分立の中で成り立っておる。立法と行政と司法。この三つが今疑惑の渦に巻き込まれておる。この三権分立を権力の乱用を戒めるために主張してきたロックやモンテスキューが、まさか東洋の小さな国でこの三つとも汚辱にまみれているなんということはよもや想像もしなかったと思います。  そこで、立法府のKSD、それから議会の形骸化、さらには司法の福岡地裁の捜査情報の漏えい、さらには行政における官房機密費と外交機密費の横領事件、極めて深刻な話だというふうに思います。こういう政治状況、そしてまた三つの権力の中における疑惑、こういうものをしっかりたださなければ、幾ら立派な政策論議をしても国民政治信頼を寄せないと。  そういう意味からも、この問題をきちんとこれから質問をしてまいりますので、どうか総理、遁辞を弄するなんということを我々に思わせないような明快な御答弁をこれからしていただきたいと思う次第であります。  そこで、総理外務大臣にお尋ねをいたします。支持率が一〇%を切った国の総理大臣と、そしてまたいつおやめになるかわからぬ総理大臣と真剣に話し合おうという、首脳会談を受けたがらない国の大統領や元首というものを私は想像しますと理解できるんですよ。  ロシアとそれから米国との首脳会談についていろいろ報じられておりますが、この二つともまずどういう状況になっているか、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  29. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 日ロの首脳会談におきましては、三月の二十五日に行われることが決定をいたしております。ロシア側からは、三月の二十五日の首脳会談を日本総理大臣のイニシアチブでこの日を選んでくれたことは大変うれしいと、ぜひ三月二十五日にこれを行うということを、つい昨日も先方、話をしておりまして、これはもう決定とお受け取りいただいて結構かと思います。  日米につきましては、目下調整中でございます。御承知のとおり、アメリカ新政権が世界じゅうの首脳との会談を次々と今予定をして実行をしている中でございまして、先方の都合、そして我が方の都合、日程上の都合でございますが、できるだけ合う時期をきちっと選んでこれも決めたいと。これも私は十分そう遠からず日にちが、双方で選んだ日にちが調整のテーブルにのるものと、そう思っております。
  30. 北澤俊美

    北澤俊美君 私は、今やるべきじゃないと、こう思っているんですよ。今やるべきじゃない。それは、外務大臣というお立場からすれば総理が希望されることをセットせざるを得ないと、こう思いますが、しかし同じ内閣の中にあって外交の責任を任されたあなたが今この時期に、これは国内情勢も含めてですよ、進言すべきだと思いますが、どうですか。
  31. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 日ロの首脳会談は昨年、すなわち二〇〇〇年に、クラスノヤルスク合意などがございまして、ぜひ平和条約の締結にこぎつけたいということで双方努力をいたしました。残念ながら合意に達しませんでして、新しい年を迎えてしまいました。  私としては、国民皆様に二〇〇〇年までに努力をしたけれどもできなかったということを御説明すると同時に、さらば二〇〇一年から、新しい年どういう方向でこれから行くかということを両首脳が話し合って、その方向性をきちっと定めて、これまた国民に説明をする、これは重要なことだと考えまして、私はぜひ早いうちに、新しい年早いうちにこれが行われることが望ましいと思って日ロ間で交渉してまいりましたが、一度調整できかけた話がどういうわけか壊れましたが、総理とプーチン大統領との間のいわば信頼感で電話会談の中で三月二十五日が決められたと。私は、これは外交担当者としても大変結構なことだ、重要なことで大事なことだと思っております。
  32. 北澤俊美

    北澤俊美君 時間の配分もありますから少し先へ行きますが、しかし河野外務大臣、あなたもつい先ごろロシアとの交渉の中で嫌な思いをされた。したたかですよ。  私は、総理政治的基盤ががちっとしたときに初めてやるべきであって、今はその時期じゃないと思います。(「野党が足を引っ張るからだ」と呼ぶ者あり)私は、今変なことを言っていますが、かつて日ソ交渉をおやりになった鳩山総理のときは、今ここにおいでになるのは、その鳩山総理の参謀役は河野さんのお父さん、かたき役は麻生さんのおじいさん、そういう中で、議会の中で保守党側が合併ができなくて政治基盤が危ない鳩山さんにだれがしっかりやっていらっしゃいと言ったかというと、私の郷里の大先輩でありますが、羽生三七さんが励ましたんですよ。私はあの本が大好きで、時々読んでいるんですよ。しかし、外交というものは私はそういうものだというふうに思います。  私は、今、野党の立場で、外交交渉に、首脳会談に進むべきではないと、こういうふうに思いますが、総理はどうですか。
  33. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 外務大臣からお答え申し上げましたように、クラスノヤルスク合意というのがございました、御承知のとおり。これは歴代総理外務大臣で御苦労してお話を進めてこられたものでございますが、昨年、私が就任した早々にロシアへ参りました。これは沖縄サミットの御協力をお願いすることが主要な話であったわけですが、そのとき、今回は公的に、公式的にロシアの大統領が日本を訪問される、そういう順番になっておりましたので、ぜひ近いうちに日本においでをいただきたいということをお話をしてまいりました。結果としては、九月に来日をされたわけです。  そのとき二人でいろいろお話をいたしましたが、御自分としては就任した早々でもあるし、このクラスノヤルスク合意というものはとっても大事な日ロ間の合意事項なんだけれども、これを年内までに一つの結論を出すということについてはしばらく時間が欲しいと、こういうお話でございました。その他いろんなお話がございましたが、こうした場所で申し上げるのは控えなければなりません。  そこで、いわゆる二〇〇〇年の十二月三十一日までというそのかたくなな気持ちは私としても当時申し上げて、できるだけ早くもう一度その道筋をどういうふうにしていくのかということのお話をしなきゃならぬでしょうということを申し上げて、そしてプーチン大統領としても、よくそこはわかっておるのでしばらく時間を待ってほしいと。  いずれにしても、できるだけ早い時期にもう一度お目にかかって、そのこれまでの合意をしたことを確認しながら日ロの平和条約締結のためにどういう道筋をつくり得るかということを相談しましょうと、こういうことになっておりますので、この次お目にかかります今決めてあります二十五日というのは、そういうことを中心に、これまでの総括をお互いに確認して、これからの日ロ交渉をどういうふうに進めていくかということをよく取り決める大事な実はお話し合いでございますので、これは北澤先生、行くべきではないとかいろいろ、御忠告は御忠告として受け取りますが、これはこれまでの延長線上にあるもので、新しい二十一世紀につなげる大事な外交課題であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  34. 北澤俊美

    北澤俊美君 重ねて慎重に対応をするように要請をしておきます。  そこで、我が党の安住議員が質問主意書を出されました問題について、北朝鮮へ向けて総理が手書きのファクスをお送りになったと、こういう報道もされました。この件については否定をされておられますけれども、この質問主意書に対する回答はあの回答のとおりというふうに今のこの時点でも承知してよろしいですか、総理
  35. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私が金正日朝鮮労働党総書記に対して昨年八月親書を送った事実はないという点につきましては、既に昨年の質問主意書に対する答弁書でお答えを申し上げているとおりでございまして、御指摘のような新聞報道は事実ではないと、こう申し上げております。
  36. 北澤俊美

    北澤俊美君 これはこれから事実がはっきりしてくるというふうに思いますが、いずれにしても森総理の外交に対する認識がなかなか私たちにはのみ込めない。先ほどのロシア、米国に対する首脳会談についてもそうでありますが、この北朝鮮の問題についてもどうも統一性がないと、こういうふうに思います。  ただ、これは質問通告をしておりませんでしたのでこの程度にして、またこの問題については改めて質問をさせていただきます。  そこで、財政問題に入らせていただきますが、冒頭、恐縮でありますが、衆議院予算委員会ではかなり議論されましたが、数字の確認をこの参議院でさせていただきたいというふうに思いますので、まず宮澤財務大臣に、小渕政権発足時から増加した国債の残高を、大ベテランにお答えいただくのは恐縮でありますが、お願いをいたしたい。さらに、同じく地方債の残高。  それから、麻生経済財政大臣には、小渕政権発足時の日経平均、そしてまた今日ただいまの日経平均をお答えいただきたい。さらに、鉱工業生産の対前月比をお知らせいただきたい。  それから、坂口厚生労働大臣には、小渕政権発足時の失業率と今この時点での失業率をお願いいたしたいと思います。  それぞれ、恐縮でありますが、お答えをいただきたいと思います。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 平成十年度末、これ発足のときの年度末でございますが、普通国債の残高は二百八十五兆円程度、それから十三年度末、この二〇〇一年度末の予算案の見込みは三百八十九兆円程度、これは国債でございます。地方債は、同じく初めが百十九兆円程度、十三年度年度末が百三十二兆円程度でございます。
  38. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 九八年七月三十日、小渕政権発足をいたしておりますけれども、一万六千二百一円であります。最高をつけましたのは四月の十二日の二万八十三円でありますが、北澤先生御存じだと思いますが、四月の二十四日に銘柄の入れかえをやっていますので、これでもう全く継続性という意味からいきますと、これはなかなか比較しにくいところがあるんですけれども、銘柄入れかえをしておりますので、銘柄入れかえをした後に、今御存じのようにその関係の株が一挙に下がってきておりますので、一万二千六百八十一円が三月、一万二千三百二十二円が三月の五日なんですが、じゃ入れかえしなかったらどうだと言われれば一万六千三百三十三円でありまして、その差額は三千六百五十二円、入れかえていなければ今より三千六百五十二円高かったということになります。  鉱工業生産につきましては、九八年以後ずっと今申し上げてきたような数字になってきて、鉱工業生産、減少傾向でずっと推移をしてきておりましたが、九九年以降、パソコンとか携帯電話、IT関連の需要がふえて輸出が増加をいたしております。昨年の秋ごろからアメリカの経済、景気は下がっておりまして、ことし一月に大きく減少いたしております。ピーク時は九七年の一月から三月でありまして、このときに比べて九八年度末が約一〇%減少いたしております。それがボトムということになろうと思いますが、二〇〇〇年末、昨年末に前回ピーク時とほぼ同じ水準まで戻しておりますのは御存じのとおりでして、小渕政権発足時に比べて約九%高い水準で二〇〇〇年十二月末を終わっております。  以上です。
  39. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 平成十年七月の完全失業率は四・一%でございました。一番直近の一月の完全失業率は四・九%でございます。有効求人倍率で申しますと、平成十年の七月には〇・五一でございましたが、最近、一番直近のものは〇・六五になっております。
  40. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、麻生大臣、株価のことについては組みかえのことも含めておっしゃいました。しかし、全般的に極めて厳しい状況でありますが、極めて厳しい状況の中で不良債権の処理、これはちょっと時間配分がありますから、通告はしてありますが、できればこの議論も柳澤大臣としたいと思いますが、これも含めて今の我が国の経済の状況をあなたはどういうふうに、国民に知らせようとすれば、麻生大臣、どういう言葉で語りかけたいと思いますか。
  41. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 二月の十六日に出しました月例経済報告というのにおいて、その前の一月のに比べましてそのテンポがより緩やかになっておると表現をいたしております。その後、御存じのように公表されました、一月は輸出が前月比マイナス五・九%の減、それから生産、生産というのは鉱工業生産のことですけれども、これが同じく三・九%の減ということに大きく減少いたしてきております。傍ら個人消費はほとんど変わらずという、ほぼ一進一退ということなんですが、設備投資等々製造業を中心にまだ増加をいたしておりますが、御存じのように、機械受注が一—三月期見通しで前月比マイナスの六・四%になってきておりますので、これが下がりますと大体六カ月後の設備投資が下がるという傾向値を過去で示しておりますことなどから、先行きにつきましてはさらに鈍化をいたしておるというぐあいに考えております。  このような状況に基づきますと、景気の判断につきましてはいま少し時間をいただかないかぬところかと思いますが、今後、公表されております法人企業統計季報がこの三月八日に出ます。機械受注生産が同じく三月八日に出て、その後三月十二日に国民所得の速報、QEが出ますので、それを受けまして、三月十六日に予定をいたしております三月の月例経済報告において、きちんとしたもの、そのような数字に基づいた上でもう一回きちんと報告をさせていただきたいと思っております。
  42. 北澤俊美

    北澤俊美君 宮澤大臣にお尋ねをしますが、一年前のこの場で大臣がお答えになったことを、ここへ議事録をちょっと持ってきておりますが、総じて言うと、消費がなかなか起きてこないということにはかなりの懸念を示しておりますが、しかし非常に楽観的なことをおっしゃっておる。今この時点であのときの総理の答弁を読みますと、大きく予測が変わったな、狂ったなというふうに思わざるを得ない。  簡単に申し上げますと、次の補正予算で大きなものを組まなくてもいいんじゃないか、そして次のこの十三年度の予算は従来のものとは違う予算を組めるんではないかというようなことをおっしゃっておられた。これに対して、今の状況と、そして今、組まれたこの予算についてどのようにお考えになりますか。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年のちょうど今ごろ、予算審議をいただいておりますときに申し上げましたことは、平成十年から不況克服の努力をいたしてまいりまして、いつの日にか公需が民需にバトンタッチをしていかなければならないと考えておりましたが、恐らくは秋ごろ、昨年の秋ごろでございますね、秋ごろにはそれが可能になるのではないかと、こう考えて答弁を申し上げておりました。実際には、民需のうち企業設備あるいは企業状況はかなり私が思っておりましたより早く回復をいたしまして、秋には十分、昨年の秋でございますが、十分に民間の企業関連の活動は高まってまいりました。  しかし、私が見誤りましたと申しますか、当時、自分の思っておりましたとおりになってまいりませんでしたのは、その企業活動が家計に一向に連係していかない。普通、不況回復時にはまず企業が回復をし家計が回復をするというのが御承知のようにパターンでございますけれども、このたび、家計の消費、いわゆる国民消費というものがそれに次いで一向に盛り上がっていかない。したがいまして、期待しておりましたバトンタッチは、片方だけは完全にいきましたが、片方は思ったように盛り上がっていない。  実はこの点は、今日に至りましても家計の消費は上昇を示していないということでございます。(「なぜだ」と呼ぶ者あり)御承知のように、家計消費はGDPの六二、三%ございますから、これが我が国の期待されておりました経済成長に貢献をしていない。これが通常に貢献いたしますと二%ないし三%のプラスは容易でございますが、そうなっておりません。  今、なぜかというお声がございまして、これは恐らく時間を要することで、しかし大切なことだと私思いますのは、御承知のアラン・グリーンスパンが私にこういうことを言っておるわけです。アメリカではITというものが御承知のように新しい経済になった。しかし、本来ITというのは人間がやっていることを機械がやるという、本質的にそういうことであるからそれだけ失業が出る、そういう性格のものだと。アメリカの場合にはレイオフがございますものですから、その点はレイオフされてしまって、それが幸いにして広い意味での第三次産業に吸収されていったと。それがアメリカの動きの軌跡であるが、動きの跡であるが、恐らく日本の場合にはレイオフというようなことがなかなか難しいんだろうねということを彼は以前から申しておったわけです。ヨーロッパでもそうだろうと言っておりました。  現実に我が国の場合には、レイオフということはもとより行われることでありませんので、いわゆる雇用関係は、非常な苦労をしながら、恐らく次の時代の基幹産業であるそのITに向かって、今までの雇用の慣習であるとか、例えば年功序列であるとか生涯雇用であるとかいったようなものが非常に苦労をしながら、今いわゆるリストラクチャーをしつつあるのであろう。したがって、企業は必ずしも自分の好況というものをすぐに雇用に移すことができませんし、雇用の側もまたそういう問題を抱えているということで、すぐに企業の好況というものが反映できない。  これは、弁解がましく聞こえましたらどうぞお許しください。そうではなくて、恐らくこのたびのリストラクチャリングというのは二十一世紀に向かってそれだけの社会的な変革を伴っているのだろうと思うんです。それに対して政府平成十年からいろいろな雇用対策を最初から考えてまいりましたが、なお十分に今のような状況をまだ消化できていない。  私が申しますのは、これはしかし時間の問題でございますから、必ずそういうふうな新しい状況に日本の雇用慣行が対応するに違いない。そのときには、いわゆるGDPで申せば三分の二の成長があるわけでございますから、要するにそれだけの時間がかかっているというのが現況であろう、それに対して我々はあらゆることをして対応しなければならない、そういうふうに私は考えております。
  44. 北澤俊美

    北澤俊美君 去年も同じことを言ったんですね。去年は、十三年度予算は公債を発行しなくても済むかもしらぬと、ここまで言ったんですよ、答弁で。それが全く違うでしょう。  私はそこで、ちょっと時間の配分もありますからはしょって恐縮ですが、うちの菅幹事長は宮澤さんに対して、これもよく言ったものだと思うが、宮澤さん、あなたは私ほどの能力のある者がやってできないことをほかの人ができるわけがないと思っているんではないですかと、こう言ったが、私はちょっと違うんですね。私は、宮澤さんは今まで、この中であなたほど経験の豊富な者もいないし、あなたほど知識の豊富な方もいないと私は思っておる。そのあなたが経験したことのない強い引き潮みたいなものにたじろいでいるんではないかと思うんですよ。  あなたは、五年、十年のスパンでマクロモデルをつくって財政再建に入っていかなきゃいかぬと、ここまで言っているんですよ。それを言いながら、あくまでこれは私見ですと、こう言い切っちゃっている。そこから踏み出さない。小渕内閣森内閣の中で宮澤大臣国民が期待しているのはそこから先なんですよ。亀井さんに指示をし、森さんに進言をして新しい道を切り開かなかったら、この経済はどうにもならないじゃないですか。国民は宮澤財務大臣にそういうことを期待している。それを、この場でいつでもいいことは言うけれども、私見だと言って逃げてしまっている。宮澤財務大臣がこの内閣にいるその意味をもう一度自覚を込めて言っていただけませんか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、十三年度には国債を発行する必要はないだろうと申し上げたことではなくて、それは北澤委員が、国債はどうしても発行しなきゃならないわけですから、十二年度よりは公債の額を減らすことができる、そう申し上げたそういう意味のお尋ねでございます。それは四兆円ばかり国債を減らすことができたというのが現実であります。  それで、その次のお尋ねは、私は確かにマクロモデル云々と申し上げましたのは、当時まだ行政改革ができませんで、ことしになりまして経済財政諮問会議ができましたので、総理にお願いをいたしまして既にマクロモデルをつくってもらうことを決定いたしました。  私が私見と申しましたのは、そういう機構ができておりませんでしたから申し上げましたが、ことしになりましてマクロモデルをつくることが決定をいたしまして、既に経済企画庁に本来ノウハウがあったわけでございますが、新鋭の所長を得て内閣府の研究所が既にマクロモデルの構築を始めたわけでございます。ですから、これはもう今や私見と申し上げません。そして、その構築は恐らく半年ぐらいかかるのではないか、その上でシミュレーションが可能になる、こう思っております。そのことは既に話の筋に乗っておることでございます。
  46. 北澤俊美

    北澤俊美君 亀井さんや森総理に対するみずからのお立場。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは、私が何を申しましても、非常な不況であるし、そして家計に消費がどうしても盛り上がってこないという現実がございますから、そういう現実の中で単に時間がかかるとばかり申してはなかなか通らないことで、いろいろしなければならないなと思っておるわけです。
  48. 北澤俊美

    北澤俊美君 柳澤大臣にお伺いします。  わずかな時間で恐縮なんですが、直接償却を言われました。十兆円銀行に注入して、銀行がよみがえってきていないんです、今は。よみがえっていない、あなたの見解はどうか知りませんけれども。そこで、その焦りもあっておやりになる。これは本当は健全化法なんかが成立したあの時点でやっておけばよかったと私は思う。あなたにもそういう気持ちはきっと残っているんだろうというふうに思いますが。  そこで、直接償却に対しては極めてリスクが大きい。企業は倒産するかもしらぬ、銀行もまた整理しなきゃならぬ。そこで、一点お尋ねしたいのは、こういうことをやることによってどういうセーフネットを先につくらなきゃならぬかということをまずおっしゃっていただきたい。それから、銀行へは今の状況で直接償却に入っていって税金の再注入はありませんか。そこのところをお尋ねしたい。  それから、続いて国土交通省の扇大臣、直接償却をするとあなたの所管している産業界に大きな影響があると思いますが、そのことに対する対応をどういうふうにお考えか。同じことを平沼大臣にもお聞きをいたしたいと思います。
  49. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっとお時間をいただきますが、日本でバブルが崩壊しまして、日本の金融機関の持っている不良債権をもっとディスクロージャーしなきゃいけないんじゃないかというふうなことが始まったのは平成五年、一九九二年、三年と、こういったような時期であったわけでございます。その後、平成八年の四月でございましたか、ディスクロージャーというか、もっと徹底したディスクロージャーというようなことをやろうということになりまして、そこが不良債権問題についてのもう一つの節目だったというふうにとらえていただきたいわけであります。  その後の推移は先生御承知のとおりでございまして、平成十一年の三月期には再生法、健全化法が発効を見た上での年度末でございまして、そこで大幅な不良債権の処理が進んだということでございます。ちなみに、いきなり数字を言っても全体の中での位置づけはなかなかわかりにくいかもしれませんけれども、十三兆六千三百九億円というような、十三兆円、十三兆六千億の不良債権処理というのは、日本のこの間の推移の中では最高の金額であったわけです。それが可能になったのは再生法、健全化法のおかげであったということが言えようと思います。  そういうことで、その後におきましても、不良債権の処理は十二年三月末で六兆九千億、十二年九月末で二兆三千億と、おおむねの数字でございますけれども一応進んできたわけですが、他方、そういう処分が進みながら、不良債権の残高、これはいろんなメルクマールというか物差しがあるんですが、ここでリスク管理債権残高というようなものではかってみますと、この十三兆六千億の不良債権処理をやった十一年三月期は二十九兆六千億、それからその後十二年三月期は三十兆三千億、それから十二年九月期は三十一兆八千億、ほぼ三十二兆円、三十兆台ではありますけれども、一兆円ぐらいずつちょっとふえかげんというか、そういうような推移を今不良債権の残高がたどっているわけです。そういう数字が一方にある。  他方、日本の経済を見ますと、本当に活力が出ているか、あるいはその中で日本の金融機関は金融仲介機能という本来託されている使命を十分果たしているか、これを私は考えたときに、確かに不良債権の残高があっても、昔のように不良債権でありながらこれをちょっと伏せてしまうというような、そういう自己査定というか評価がまずしっかりできてきつつあるということが一つある。  それからもう一つは、そういう不良債権を認識した上で必要な保全措置、担保をとってあるか、あるいは十分な引き当てがしてあるかというような観点で見ますときには、今、日本の金融機関というのはこれをかなりしっかりやっている、こういう体制ができて、その意味では健全性については日本の金融機関は他から何か言われる必要はない、私はそのように認識をしておるわけであります。  しかし、他方、日本の金融機関がこういう不良債権を片方で、不稼働の資産でございますけれども、大きく抱えていれば、これはやっぱり収益力を圧迫せざるを得ません。そうすると、収益力が弱いとどういうことになるかというと、リスクをある程度とっても有望だなと思った貸付先に対して貸し付けていけない、そういうようなことが起こるのではないか、そういうことが日本経済の活力をやっぱりそいではいないか、こういうことを考えざるを得ません。  そういうことを考えたときに、不良債権そのものの残高を圧縮していく、オフバランス化していく、こういう努力をやっぱり始めなければいけないのではないか、このように考えて昨今そういうことを私は呼びかけさせていただいているわけであります。  そういう中で、今、先生がおっしゃられたセーフティーネットは張ってあるのかというようなことでございますが、この不良債権の直接処理、オフバランス化といっても、何にも手当てがしていないところにいきなりオフバランス化すれば、それはそのオフバランス化に伴う損失というのはがばっと出るということになりますが、かなりの程度引き当てが既に積んであるわけですから、その上に償却をするということになれば、この引き当てに何がしかの損失というものがある程度乗る、マージナルなものだということは、これはもう先生おわかりいただけるかと思うわけであります。  そういうことを考えてみますと、このオフバランス化に伴うマージナルな、限界的に生ずる引当金の上にさらに乗っかる損失というのはそれなりに限定的なものにとどまるだろう、私はそのように考えておりまして、そういう意味で新たなセーフティーネットというようなものが必要になるというようなことは実は考えておりません。  したがって、その後まして資本を大幅に深刻な程度のほどに毀損していって、そのことによって毀損していって再注入が必要になるというようなことは目下私は全く頭にないという状況でございまして、そういう今間接償却をやっていることを、オフバランス化ということに進むことによって新たなセーフティーネットが必要になる、新たな資本注入が必要になるなんというようなことになれば、今の間接処理そのものの信頼性がどれだけあるかということを逆に疑われるような話になってしまうわけでありまして、私はそのようには考えていないのであります。
  50. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 北澤君、引き続き扇大臣でよろしいですか。
  51. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、北澤先生から直接償却した場合の影響はどうかというお話がございましたけれども、私どもが関連しております建設業界、どのように変わってくるかということは、私は大体三つの方法考えられるだろうと思っております。  それで、一番最初、一つ例をとってみますと、少なくとも再建を前提とした債権放棄ということになれば、これは債権放棄相当分の負債が圧縮されるわけですから、これは企業の再建にはプラスに作用するもの、これは単純な計算でございます、いわゆる借金棒引きというような単純な言い方をしますと、わかりやすく言えばそれが一つあると思います。  二つ目には、少なくとも担保つきで不良債権を売却した場合、これは担保つきで売却する場合ですから、負債額が変わるだけではなくて、少なくとも企業の経営改善には直接つながるものとは考えられないわけですね。担保つきでいくんですからこれは直接企業には影響はないと思っていますけれども。  三つ目に、法的な処置というのが最後三つ目に残るわけですけれども、法的に処置した場合はどうかということになりますと、下請企業の関連企業に連鎖倒産などの影響が起こるわけですね、法的な場合は。  ですから、その三つの方法がございますけれども、これらの三つの方法それぞれのケースがございますから、それぞれの立場によって私は今後どういうことが再編に、それによってつながっていくのかということは、個々の企業によってはそれぞれの体系でケース・バイ・ケースに私はなっていくと思います。  ただ、だからといって、私は、会社更生法等々、大部分企業が、次はゼネコンだなんて新聞にも書かれておりますけれども、この建設業界の企業と、そしてその企業の確立のためには基本的には自己責任であり自助努力であろうと、これは私は絶えず思っております。けれども、少なくとも私たちできることといえば、建設産業の再生のためには個々の企業の枠を超えて建設業界の再編への道を私たちは望むところでございます。  国土交通省として、今お尋ねがございましたので、私たちは二月九日に、北澤先生にも御報告できるのは、建設産業の再編の促進についてということで三つの枠を決定いたしました。  それは、少なくとも技術力を重視した入札と契約の促進、これが一つでございます。これはもう先生御専門ですから一番よくおわかりだと思いますけれども、建設業に関してはお詳しいですから。二つ目には、合併と協業化と、そして経営JVの活用などの企業連携の促進、これもおわかりのとおりでございまして、これも促進させていこうと。三つ目には、企業の自主的な経営改善の促進、これはみずから行うことでございますけれども、少なくとも私どもは建設業産業の再編のためにはこの三つを基本にして今後も見守っていきたいと思いますので、連鎖、少なくとも直接償却の場合の三つの例と今の私たち国土交通省の三つの対応の仕方というものを御理解いただきたいと思います。  以上です。
  52. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  不良債権問題というのは大変大きな問題だ、こういうふうに認識しております。ただ、企業の抱える債権の状況を示す債権償還年数は最近、委員も御承知だと思いますけれども、減少をしてきております。産業全体としても過剰債務は解消の方向に向かってきておりまして、具体的には全産業で九八年の十四・五年から九九年の十一・五年になってきています。  そういう意味で、直接償却ということを進めていくと、こういうことでありますと、経済産業省関係には中小企業が非常に多いわけでございまして、やはりこれは痛みを伴う、そういうことでございますので、経済産業省といたしましては、特に中小企業、そこに対しましてはやっぱりセーフティーネットでいろいろこれから対策は講じていかなけりゃいけない。  そういうことで、不良債権処理に関しましては、柳澤金融担当大臣からもお話がありまして、この一月から三度ほど実務者の会議をしまして、そして経済産業省の所管する例えば流通業でございますとか、その他の業種に対してもいろいろデータを出し合って一つのシナリオを書いていこうと。しかし、やっぱり中小企業に今申したように大変大きな問題が発生してはいけないので、今ある保証制度、そういったものを利用しながら私どもはセーフティーネットを考えて対処していこう、こういうふうに思っております。
  53. 北澤俊美

    北澤俊美君 先へ進みたいんですが、扇大臣にちょっともう御答弁はいいですから申し上げておきたいのは、一つ大事なことを、建設産業界のことで落ちておるんですよ。  昨年、法律が制定された公共事業の入札適正化について、これは建設業界の中に談合がどれほど、どういう形で存在しているかということについては、それぞれ明らかにはなりませんけれども、あるわけでして、それがあるからこそああいう法律をつくったわけです。委員会での議論でも申し上げましたけれども、それをきちっとやるという覚悟を旧建設省はお示しになった。そうすると、建設産業界というのは大きく変貌していくはずであります。それと、これが二つ重なったときのことをどういうふうに考えるかということはお答えいただけるかと思ったが、これはまた時間がありませんから後へ譲らせていただいて、法務大臣、お尋ねをいたします。  きょうは、私は福岡地検、地裁にかかわる情報の漏えい問題についてお尋ねをしたいということで、これは我が国の国民にとっては極めて深刻な問題ですよ。  ちょっと下世話な言い方をしますが、我々は日常生活をしていく中で、もしかして何かで間違うこともあるかもしらぬと。間違ったときに警察や検察に捕まる。しかし、それは間違いだよと、私はこういうつもりだったといったときに、ある意味でのセーフネットとして裁判所があるわけですよ。いや、裁判所は必ずきちんと裁いてくれると、こう思っているから日常生活をしているわけです。ここのところが裁判官と検察官が癒着をしていた、こういうことになったら、一体この世の中は今までバラ色だったのが真っ暗やみになるのと同じじゃないですか。  そのことを私は、事は極めて単純なことですから、事実関係は、そのことを細かく問うつもりはない。しかし、検察庁の長官と最高裁判所の長官が来て、こういうチャンスにこういう場で国民皆さん方にこのことの問題点やこれからのありようを話していただきたい、こういう意味で答弁者としてお願いをしたが、二人とも来なかった。  その問題と、今私が指摘した問題を含めて御答弁をお願いします。
  54. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 北澤君に申し上げます。  来なかったではありませんで、予算委員会理事会で決定をした件であります。
  55. 北澤俊美

    北澤俊美君 そんな、来ないんじゃないか。それは来ないというんだよ。
  56. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 理事会で決定をしたことであります。
  57. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 検察の公正さとか、あるいは検察と裁判所が癒着しているのではないかとか、そういう疑念を国民に抱かせたということはまさに大変なことでありまして、私としても憂慮しておりますし、検察を所管する大臣として大変申しわけない、こういうふうに思っているわけであります。  最高裁長官についてはこれは私が申し上げることではないと、こう思いますが、検事総長の件につきましては、司法権の独立ということが憲法で規定されておりまして、検察についても司法と密接な関係がある、そういうことから準司法機関などと呼ばれておりまして、検察についてもその独立性が必要だということとされているわけであります。  そして、検事総長みずから国会でいろいろ質問等を受けることにつきましては、検察の独立性にいろいろな悪い影響があるおそれがある、ひいては司法の独立性に悪い影響があるおそれがある、そういうことから、従来から、ここ何十年間か国会に御理解いただいているところだと承知をしております。
  58. 北澤俊美

    北澤俊美君 何十年間もそうだったからというふうに言われましたが、何十年もなかった事案が出たから言っているわけでして、事の本質と、そしてそのときの対応の仕方というのは、やはりそれに合わせてやらなかったらだめなんです。来ない者に聞いても仕方がありません。  そこで、法務大臣にさらにお尋ねをしたいんですが、この問題について、判検交流、そしてまた国民の司法への参加というようなことについて今審議会で協議をしておられますが、特に判検交流については、この事態をとらえて、改めてどういうふうにしようかというようなお考えをお持ちですか。
  59. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 判事、検事、弁護士、いわゆる法曹と言われる者はそれぞれどの立場にあってもそれぞれの立場で公正に活動する、そういうふうに期待されているものでありまして、それぞれが交流するということは決して悪いことではない、私はそういうふうに思っております。  ただ、それぞれの交流の度合いが、判事から検事へというのが非常に多くて、ほかの、弁護士から判事とか、弁護士から検事というのに比べて圧倒的に多い、そのバランスを失しているのではないかということは私もそのように感じておりまして、そういったことについては、今、司法制度改革議会の中で御論議いただいておりますし、まとまった意見が出ればそういったことを尊重してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、国民の司法参加、これについても、司法を国民に身近にする意味でも、それから国民の常識というものを司法、検察の中に入れていくといったそういう意味でも必要なことだ、こういうふうに考えておりますし、これも今、司法制度改革議会の中で御論議いただいているところでございます。
  60. 北澤俊美

    北澤俊美君 総理にお伺いしますが、衆議院でも大分議論されましたけれども、久世さん、久世さんの問題は少し質が違うと思いますが、久世さん自身はあくまでも党費の立てかえをしてもらったと、こう言っています。それから、小山、村上議員の党費立てかえについて、総理も調査させていると、こう言っています。一カ月たった今でも、つい先週の末に我が党も、共産党の志位さんが質問されたあの内容と同じように接触をしてみました。自民党からは何の接触もない、こういうことであります。  それで、総理は、あの党費を請求があれば返還すると、こう言っていますが、党員は自分が党員になったことがわからぬわけですから、請求してくることは未来永劫ないわけですよ、それは。党員が返還請求なんかするはずがないんですから。党員になるつもりも、なった意識もない人が返還を要求してくるはずがないので、ここは事の事態をはっきり掌握して、自由民主党みずからが返還をするという姿勢に転じなきゃならぬというふうに思いますので、そのことをまずお伺いします。
  61. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) KSDによります党費立てかえ疑惑につきましては、KSD豊明会などKSD側がどのような形で党員の取りまとめをされたのかということは実は党本部としては承知し得ないわけであります。党としては、所定の手続を経て党員登録されている以上は、これは正規の党員として認めるしかほかはなかったというのがこれまでの経緯であります。  そこで、今度の問題に関連をいたしまして、本人の意思の確認がないままに入党申込書が提出された方々も含まれているという、そういう御指摘、今もそういう御発言がございましたけれども自民党としては、道義的な立場から、観点から適切な対処が必要だという認識は同じでございまして、これまで申し上げておりますとおり、今、党で調査を行っておるのが現状でございますが、早くしろという御指摘も、衆議院でも随分お尋ねがございましたが、何しろ何十万の方です、一人一人どういう形で調べていくかというのはそんな簡単なものではないわけでありまして、それは集約するのはコンピューターに入っているのかもしれませんが、一つ一つそれを調べていくというのは、それはなかなか大変な作業だということもぜひ御理解をいただきたいと思うんです。党員されていました党員すべてについて入党意思の確認をするということは、時間もかかりますし、限界もおのずからあるわけでありまして、個々の党員に対する今電話調査も行っているわけでございます。  さらに、党内に今調査対策チームをつくったそうでございまして、今後、KSD側の協力も得なければこれはなかなかうまく進みませんので、その協力も得ながら、党費に関する実際の状況がどうだったかということの把握に努めるとともに、党費返還の申し出があった場合は、これは当然返還を含めていくということになりますが、今おっしゃるとおり、登録をしていないんだから返還できないではないかということでありますが、これまでもいろんな形で党員に対しては連絡等も行っているわけでありますから、それに対しての御返事がないケースもございますし、そのときにそういうクレームもなかったわけであります。もちろん、また逆に言えば、していないんだから当然じゃないかということになるかもしれませんが、要は、これを集められた方、どういう形で集めたのかということが問題なんでありまして、そこを今調べているんだということで、ぜひ御理解を賜りたい。我が党としても急ぎたいと考えております。
  62. 北澤俊美

    北澤俊美君 ITを標榜している総理の答弁にしては、だれが書いたか知らぬが、総理に恥かかせるような答弁を書かせない方がいいよ。  これは、何万人がいるからなかなか難しいなんて言いますけれども、党員はだれかの紹介であるんでしょう。例えば、村上なら村上、小山なら小山というところをぽんと押せば全部出るんですよ、そんなものは。マウスを操作できない私だってそのぐらいのことはわかっておる。そんなことはいとも簡単ですよ。  今、自由民主党の党員管理というのはかなり進んでいるとお聞きしている。しかし、これは一般の世界だって簡単な話ですよ。今の答弁は、これはとてもじゃないけれども納得できない。もう一度ちょっと答弁を。
  63. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私はその現場で直接見聞きしているわけではございませんので、党には優秀な組織、また優秀な職員もおりまして、その皆さんが今一生懸命、党の名誉にかけてもやらなければならぬことでありますから、きちっとやっておられるわけでありますので、それは我が党の事情でありますので、ぜひそこは御理解をいただきたいと思います。
  64. 北澤俊美

    北澤俊美君 調査をしているしていると言ってもう既に、衆議院予算委員会や常任委員会の質疑から来てもう一カ月たっているんですよ。やっているやっているとこういう場では言ってほとぼりの冷めるのを待つ戦法も、これ戦術の一つかもしれませんけれども、我々は承知をいたしません。  違う問題でお聞きをいたしますが、御党の政調会長の亀井さんの問題でありますが、法廷で林さんという方が、三千万を亀井さんに許永中が直接渡したということをこの目で見たというふうに証言しております。これは法廷で宣誓をした上で証言をしておるわけでありまして、このことについて亀井事務所は全面否定をしています。  しかし、今、政権与党政策の中心におられる最高責任者がこれだけのことを言われて何も言わない、黙っている。これはやっぱり法的処置をとって明らかにする責任があると思いますが、総裁としてのお考えはどうですか。
  65. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 御指摘のように、亀井氏に対する三千万円の提供が法廷で証言されたということについては、私自身は承知しておりませんが、いずれにしましても亀井氏はそのような事実を全面的に否定されているというふうに私は承知をいたしております。
  66. 北澤俊美

    北澤俊美君 証言したことは知らない、承知していないけれども、否定したことは知っているというのは論理矛盾じゃないですか。
  67. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 証言をされているというその法廷の、そのことは私は知りませんということを申し上げております。ただ、新聞に出されたのでしょうか、亀井議員の方はそういう事実はないというふうにおっしゃって、これも新聞に出ているということを私は承知していると、こう申し上げているわけです。
  68. 北澤俊美

    北澤俊美君 何らかの法的処置をとってこの事実を明らかにするように亀井さんに忠告する、忠告というのかな、そういうことをお勧めになる気はないんですか。
  69. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これはあくまでも亀井氏の御判断によることだと思いますが、今そういう北澤議員からお話があったことはお伝えをいたしておきます。
  70. 北澤俊美

    北澤俊美君 そこで、今、政治政治主導に切りかわろうということでお互い努力をしておりますし、そういう方向に進んでおる。そういう中で、与党政策責任者の職務権限という問題があるというふうに思います。  このことにつきまして、総理には総括的にまたお答えをいただきたいというふうに思いますが、まずもって、政策決定の責任者についての職務権限について、法務大臣とそれから法務省の刑事局長にお尋ねをいたしますが。
  71. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) ただいまのお尋ねは、与党政策責任者の一般的な職務、あるいはどういう権限を持っておられるかということについてのお尋ねのように理解されるわけでございます。しかしながら、その党の活動の中で、一定の組織の中でどういうふうな職務を担われ、どういうふうな権限を持っておられるかということにつきまして、これを私の立場からあれこれ申し上げるということは非常に困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  72. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 法律の専門家である刑事局長が困難なことでありますから、法務大臣としても困難でございます。(発言する者あり)
  73. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  74. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。  法務省古田刑事局長、一般論で結構でありますので、答弁を願います。
  75. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) 私の申し上げたことが必ずしも十分御理解いただけるようにではなかったかもしれません。  私が申し上げたかったことは、一般的に与党政策責任者のいろんなお仕事という問題について、私どもの立場としてはあくまで刑事法の問題を所管している立場でございますので、それと関連なく一般的な職務権限というお尋ねをいただいても、私どもとしてはこれはお答えいたしかねるという趣旨で申し上げたわけでございます。
  76. 北澤俊美

    北澤俊美君 きのうからきょうにかけて、やっぱり奇妙なんですよね。最高裁の長官がここへお出ましをいただきたいとか、検察庁の長官が来るというと、もう役人の皆さんが寄ってたかって、法務大臣が最高の責任者でありますから法務大臣が答弁すればすべてがあれですと、こう言って、何とか頼むと、こう言うんですね。そんなに法務大臣は偉いと本当に思っているのかと言ったら、思っているとか確かに言いましたがね。それで、今度はこういう問題を聞くと、法務大臣は、専門家の刑事局長が言っているからそっちがと言うが、刑事局長の言っていることは一つも答弁にならぬ。  そこで、状況的なことを一つ言いますが、亀井さんはこの間、ものつくり大学で二十億簡単につけて、ああ宿舎が足らない、体育館が足らないとか言って、これは私の考えでつけましたと、こう言う。一方で、ものつくり大学をつくるに当たっての疑惑は極めて明快にたくさん出ている。  そういう中で、政策責任者が我々の税金をぽんとそういうところへつけられるという、そういう実態からすれば、これについて職務権限を研究するぐらいな気持ちがないのかね、刑事局長。
  77. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) 一般論として申し上げまして、ただいまのお尋ねは恐らく、例えば刑法上の贈収賄に関して、そこで言う公務員の職務権限、それに該当するのかどうかというふうなお尋ねであろうかというふうに理解するわけでございます。  そういう観点から申し上げますと、一般論といたしまして申し上げれば、政党の役職員という方は、これはそういう立場では公務員ではないわけでございまして、刑法上の贈収賄のいわゆる公務員の職務に関するという、その職務には役職員としてのいろんな職務というのはこれは該当しないということになると考えております。
  78. 北澤俊美

    北澤俊美君 こんなことを読むつもりはなかったんですが、聞いていてくださいよ。「政党の各種活動とその職務行為性が問題となる、」「政策決定に政党が重要な役割を果たすようになると、議員としての活動と政党の一員としての活動が区別が困難となってくる。このような場合、どこからが議員としての職務権限に属する事項であり、どこまでが政党の活動に属する事項かを認定することが実際上むずかしい。現在の一般的職務権限の理論及び職務密接関連行為の考え方からすれば、このような場合には、職務性を肯定することが論理的帰結」であると、これがあなたの若かりしころの論文だ。  あなた、ここに「大コンメンタール刑法」という懐かしい本があるでしょう。あなた、その第二十五章「涜職ノ罪」のところでこういうふうに書いているんだ。若かりしころの正義感は偉くなるに従って変わってくるのかね。さあ、どうですか。
  79. 古田佑紀

    政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘がありました点につきまして、そこにも、私のいわば学問的な意味でのいろんなものを書いたものでございますので、それにつきましてここでいろいろ申し上げることは差し控えたいと存じますが、先ほど委員からも御指摘がございましたように、政党の役職員の方が議員としての身分も持っておられると、こういう場合に、あるその方の活動がこれが政党の役職員としての活動であるのか、あるいは議員としての活動であるのかということにつきまして、事実認定上これは非常に慎重な検討を要する問題が出てくるということでございます。それはそのとおりでございます。  その場合に、非常に一般論的なことでございますが、それが議員としての法律上行使されるいろんな権限、それともちろんその枠の中で行われた活動、あるいはいわゆる職務密接関連行為と呼ばれるものでございますけれども、それから当然に通常付随するような議員活動の一部として行われるような活動、そういうようなものと事実認定上可能なものについては、これはやはり刑法上の公務員の職務と考えると、そう認めることになるであろう、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  80. 北澤俊美

    北澤俊美君 この議論を今続けるということは時間的に無理でありますから、また別の機会を持ちたいというふうに思いますが、総理、今の論議を聞いておりまして、これから政治は間違いなく政治主導だと、こういうふうに言われておりますし、私たちもそのことを目指しているわけですが、今の論議を聞いてどういうふうにお考えになりましたか。職務権限について。
  81. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 法務大臣もなかなかこの御判断は難しいということをおっしゃっておられますが、やっぱり政党人は、それぞれのポジションにあっても政策を立てて、そして政策をつくり上げていくという、そういう重要な政策議論といいましょうか政策発想といいましょうか、そうしたものができなくなることになっては私はいけないというふうには考えます。
  82. 北澤俊美

    北澤俊美君 要するに、政治の主導で理想的にやっていく、こう言うならば、政治政治家が矜持を持って事に当たらなきゃならぬ、こういうことでしょう。そういう上で今のようなことを我々はあらかじめ整理していく必要がある。そういうことを置き去りにして、何か問題が起きたときにやったのではだめなんですよ。  特に、非難するつもりはありませんが、特異まれな性格をもっていろいろ物議を醸している亀井さんがそこにいるから問題が議論しやすいんですよ。議論しやすいんだ。私は、ああいうふうにずばずば言うことによって政治が何を行っているかということが明らかになってくる。そのときに我々は今のような問題をきちんとしておく必要があると思います。  私の持ち時間が少なくなってまいりましたので、最後に機密費の問題についてお尋ねをいたします。河野大臣にお尋ねをいたします。  河野さんはこの時期に外務大臣になっていて運が悪かったと思っておるかもしれませんね。しかし、私は逆なんですよ。あなたが外務大臣でいるときにこの問題が起きたから、私はこの問題の本質に迫れるのではないかというふうにいささかの期待を持っております。しかし、衆議院での、あるいはまたこの参議院の常任委員会の議論の中での御答弁を聞いておりますと、私が抱いていた河野さんのイメージとはいささか違う答弁をされておる。一生懸命で守って、ディスクロージャーをしないようにというふうに印象として感じられる。あなたが自由民主党を飛び出したときのあの情熱や正義感は一体どこに行っちゃったのかなというふうに思います。  そこで、この機密費を国民の前に明らかにするということが大事なんですが、その後の処理も大事。で、我々野党四党は衆議院で組み替え案を出しました。否決されました。あとの手だてというのは、もうそう残されておらない。要するに、松尾前室長が予算の中の相当な部分のものを使った。全く同じ予算がまた組まれた。しかも、前年度もその前もずっと九九・九%の予算消化率であります。  そうすると、本来の仕事に使われなかった予算が今度も組まれた。当然、庶民感覚からすれば、それは要らなかったはずではないかと。その要らなかったはずであるお金を計上することに固執しているということは一体どういうことなんですか。
  83. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) この問題、御答弁を申し上げる前に、国民皆様に、税金の使途につきましてまことに外務省職員の起こした事件というものは申しわけなく、心からまずおわびを申し上げたいと思います。  そこで、今お尋ねの報償費、機密費といいますか、報償費についてでございますが、大変細かいことを申し上げて恐縮でございますが、今回流用をされたといいますか横領をされたという疑いのあるものは、これは議員御承知のとおり官房報償費でございまして、外務省報償費ではないわけでございます。したがいまして、金額の問題でいえば、外務省報償費がむだに使われたからこれを減らしたらいいではないかという御議論は少し別の議論をしなければならないというふうに思います。  しかし、それはそれとして、私どもは、今回のこうした問題が指摘をされて大変厳しい御批判をいただいているこの時期に、外務省としてもこうした報償費についてはもう一度しっかりと見直す、見直すといいますか、その使い方を考える必要があるというふうには私は問題意識として持っております。  それは、今、議員がお話しになりましたように、私は報償費そのものの必要性、これは恐らく議員もお認めいただけるのだと思いますが、この報償費の必要性をお認めいただいた上で、これがどういう使われ方、つまりどうやって支出をされるか、さらにはそれが支出された後どういうふうにそれが合目的的に使われたかという確認ができるか、それがしかも正しく使われたかどうかということがしっかりと確認できるかどうかということについて、この機会にきちっともう一度見直す必要があるというふうに思っております。  少し長くなって恐縮でございますが、機密費、報償費の性格上、これの透明度を上げるということには私は限界があると思います。限界と申しますか、使い道が明らかにできないもの、それが言いかえれば報償費の性格であるわけでございます。したがいまして、それを支出するときにきちっとそれがチェックできるかどうかというところに最大のポイントを置かなければならぬというふうに思っております。
  84. 北澤俊美

    北澤俊美君 警察庁の刑事局長に聞きますが、松尾元室長は告発されながら依然として身柄が拘束されておりませんけれども、どうなっていますか。
  85. 五十嵐忠行

    政府参考人五十嵐忠行君) 警視庁では、去る一月二十五日、約五千四百万円の業務上横領の事実で外務省からの告発を受理いたしまして、これは極めて重要なことと受けとめまして、証拠に基づいた事案の解明を可能な限り速やかに行うため鋭意捜査を推進中でありますが、事案の解明には御案内のように一つ一つの証拠の積み重ねが必要でありまして、このため関係者からの事情聴取や関係資料の収集等を現在行っているところでございます。  現在捜査中の事案について捜査の具体的状況を申し上げることは今後の捜査に支障がありますので答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても警察は刑事事件として取り上げるべきものがあれば法と証拠に基づき厳正に対処する所存であります。
  86. 北澤俊美

    北澤俊美君 今の答弁を聞いて、告発された外務大臣はどう思いますか。
  87. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私どもは、一月の二十五日に警視庁に告発をいたしまして、願わくば一日も早く事件が解明されるということを願っておりまして、外務省としても、もし捜査当局からの御指示が、既にございますけれども、さらにあれば、外務省としては全面的に御協力を申し上げるつもりでございます。
  88. 北澤俊美

    北澤俊美君 官房長官、きのうの毎日新聞に、ずっと衆議院議論で論じられておりました、外務省の機密費から迂回して官房の機密費か報償費というんですか、そこへ流れていた二十億というものについて、氏名は特定しませんけれども、新聞社の調査で明らかになったという大きな記事が出ましたけれども、これはお認めになりますか。
  89. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) そのようなことは承知いたしておりません。
  90. 北澤俊美

    北澤俊美君 いや、承知していないと。認めるか認めないか。新聞読まないと。
  91. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 新聞はざっと拝見しましたけれども、しかし、その中身についてはないものであるというように承知しております。
  92. 北澤俊美

    北澤俊美君 極めて重大な発言ですよ。ないと言ったんですよ、ないと。いいんですね。もう一回確認します。
  93. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) そのような事実はございません。
  94. 北澤俊美

    北澤俊美君 ここから大きな議論になっていくというふうに思いますが、そこで少し細かいことにはなりますが、その前に外務大臣にもお聞きをしなきゃいかぬ。あの報道を見て、外務省としての御見解を聞かせてください。
  95. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 上納があったかどうかという記事を指しておられると思いますが、これは衆議院予算委員会でも累次にわたって私どももこうした事実はございませんという御答弁を申し上げてまいりました。これは、外務省報償費は外務省の責任において支出をされておるのであって、外務省の報償費が内閣官房に上納されているということはないということを改めて申し上げたいと思います。
  96. 北澤俊美

    北澤俊美君 これはこれからの大きな議論になりますが、私は、そういうやり方があったかなかったかということについては、会計法上の問題も生じてくるとは思いますけれども国家のためによかれと思って便宜を図ってやる、もともと機密費というのはそういう性格ですから、それをはっきり言えば、それはそれで一つの考え方なんですよ。それを隠すからますます問題が難しくなっていくと思う。  そこでもう一つ言われていることは、松尾元室長が、今ちょうど言われたように、建前ばっかり言っていて、実態はもう一緒くたになっているこのお金で、そのすき間をついて彼はああいう事件を起こしたわけですけれども、彼はホテルの差額等を預かっておきながら本人には渡さなかったと言って、そんなことがあったのかと言って今になってほぞをかんでいるお役人さんたちがいるというような報道がきょうありましたが、それは事実ですか。旅費の、ホテル代の補てんを。
  97. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 松尾元室長は、総理外遊に際しまして、見積もりその他を官邸からの指示によってつくって官邸に持ってまいりまして、官邸からそれに見合う金額を受け取ったということでございます。その金額の中には官邸の方々のホテル代の差額、それから規定の旅費、総理に同行する外務省の職員のホテル代の差額、そしてさらにそれ以外の一行のホテル代の差額などを受け取ってきたというふうに言われております。  しかし、私ども外務省といたしまして調査をいたしましたのは、先般報告書に書いて公表いたしましたとおり、その中の松尾元室長から任意に話を聞き、任意に提出を求めて、これを得た第一勧銀の二つの口座についてのみ調査をいたしておりまして、それ以外のものについて確認をしていないというのが現状でございます。
  98. 北澤俊美

    北澤俊美君 官房長官にお尋ねしますが、規定の旅費は、それは出ます。そのほかに官房機密費の中から、今ホテル代の補てんとかというものがありましたが、それ以外には随行員に対する手当はないんですか。
  99. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 宿泊費の、官邸職員の宿泊費の規定分ですね、それとそれ以外……
  100. 北澤俊美

    北澤俊美君 随行員。
  101. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 随行員ですか。随行員については、私どもは随行員にも支払ったということを松尾室長から報告を受けている。しかし、先ほど来いろんなところでの各省の発言を伺っておりますと、どうも払っていないかもしれぬというようなことは私その範囲で承知いたしております。  ただ、実際問題として払ったか払わないかというようなことにつきましては、これは今捜査をしている最中でございまして、まさにそこが犯罪の一つの問題点であるということでございまして……
  102. 北澤俊美

    北澤俊美君 いや、僕が言っているのは松尾じゃないですよ。内閣官房として。
  103. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 随員に対しては払っておるということになっております。
  104. 北澤俊美

    北澤俊美君 それは旅費やあるいはホテル代の補てん以外のものということですか。もしそうだとすれば、何の名目でお払いになっているんですか。
  105. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは旅費の、随員に対しては旅費の差額と、こういうことになっております。
  106. 北澤俊美

    北澤俊美君 旅費の差額。
  107. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) もう少し詳しく申し上げますと、規定の旅費以外の補てん分ですね。それは、御案内のことかと思いますけれども、海外に行きまして、規定の旅費ですと足りない分を補てんをすると。その分が今回の犯罪対象の主たるものであると、こういうことになっております。
  108. 北澤俊美

    北澤俊美君 それじゃお尋ねしますが、今おっしゃったのはこのことかな、ここに総理一行名簿とありまして、総理官邸は総理秘書官から始まって内閣官房長官秘書官、内閣事務官、一人ずつ二十万、さらに警護官一人当たり十万と、こういうふうに出ていますが、総額で七百四十五万、これが今言われたことですか。
  109. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私はもちろん見たことのない資料でございまして、その内容についても当然わかりません。
  110. 北澤俊美

    北澤俊美君 官房長官はなかなかまじめそうな方でありますが、それと突然あの場所へついたということもあって、とにかく知らぬ、知らぬですな。これは参事官、首席参事官がどうやらつくって、引き継ぎにこういうふうにやるんですよというふうに言ったものなんですよ。この前、共産党が出されたあの文書、それと付随しているもののようです、これは。これはお認めになりませんか。
  111. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 繰り返しますけれども、その文書の中身について確認しておけと言われても、ちょっとこれは無理な話でございますので、御容赦願いたいと思います。
  112. 北澤俊美

    北澤俊美君 これは、責任者のあなたがそういうことを言っているんだったらば、首席参事官なり官房副長官、事務方の官房副長官に来ていただいてこれをやる以外にない。  そこで、私はもう持ち時間が終わりました。最後に河野大臣に申し上げますが、政治に税金の使い道を厳しく見きわめる姿勢がなければ、国民が、これから来る、先ほど宮澤大臣も言われた国民の負担増に直結する次なる最大の政治課題である財政再建に理解を得ることはできないんですよ。その入り口で、これは、私はこの機密費問題はその政治が覚悟を示す大きなステージだと思っているんですよ。だから、ここで、予算成立の時期だとか事件を個人の犯罪に矮小化して、予算の修正で議会意思国民に示す努力をもし怠ったとすれば、国民は絶対に次なる政治の問いかけに答えてくれないはずですよ。そういうことの大切な時期の一つの事件ですよ。これをきっかけにして政治国民から信頼をかち取る努力をするために、河野さん、あなたはいいときにいい大臣をしていたと私が冒頭申し上げたのはそういうことだと。明らかにする努力をぜひ続けていただきたい。  それを申し上げて、私は高嶋議員に関連質問をお願いいたします。
  113. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 北澤俊美君の関連質疑を許します。高嶋良充君。
  114. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 関連質問を行います。民主党新緑風会の高嶋良充でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず総理、昨日信任をされましたので、プレゼントになるかどうかわかりませんけれども、プレゼントにならぬかもわかりませんが、総理にお伺いをしたいと思います。  総理は、千葉県市原市にお住まいの山口哲郎さんを御存じですか。山口哲郎さん。
  115. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) いろんな方からお手紙をいただいたり、あるいはいろんな多くの皆さんとお目にかかる機会がございますが、特定して今すぐどういう方かというのはすぐちょっと記憶が出ませんが。
  116. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総理が最初の政治のスタートを切られた愛媛県の今松治郎代議士の秘書をやっておられた方ですけれども、御存じですか。──山口哲郎。
  117. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 私の時代なのでしょうか。そうすると、ちょっとそういう、何人もいらっしゃったのでおられたのかもしれませんが、そういう深い余りおつき合いをしていないのかなと思っていますが、ちょっとすぐに今印象に出てこないんです。ただ、一人だけ山口さんというのは、そういえば若い方でいらっしゃったような記憶もいたしております。
  118. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 覚えておられないというのは残念ですけれども、その山口さんがつい先日投稿をされておりました。プレゼントがわりにその一文を御紹介申し上げたいと思います。  昔、遊説途中に、ガソリン代の足しにでもと封筒を渡されました。今松代議士は、お志をありがたくちょうだいいたしましたと言って丁重にお返しするようにと指示されました。政治家を目指していた森総理、あなたは今松氏から何を学び取られたのですか。故人となられた今松氏に、また宇和島のえひめ丸関係者に対して、口先だけの反省は不要。潔く謝罪し、さらに政治家であるならば芝生の上ではなく、不況にあえぐ町の路上にしっかりと両足で立って、あなたの心で人々の声を聞いてください。  総理、当時の同僚秘書、山口さんは今七十一歳ですけれども、叱咤激励だというふうに思いますが、この言葉に対してコメントがございますか。
  119. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 七十一歳というとちょっと私より十歳ぐらいお年上になりますが、私が秘書をいたしておりましたときには、少なくとも国会の事務所にはそういう方がおられませんでしたので記憶がございませんが、どういう場面でどういう関係でおられたのかわかりません。  私も、今松先生というのは非常に清貧に甘んじた方でございましたから、大変いろんな意味で勉強になりました。今引用されましたように、このえひめ丸、しかも宇和島というのは今御指摘の今松先生の知れたる根拠地、選挙区の根拠地でございましただけに、私も大変この問題については、深刻でもございましたし、その後も愛媛県の皆様とのおつき合いをいたしておりますから、そういう意味では、今回の問題についていろいろとお話も特別に伺ったりいたしております。  対応につきましても、その後のいわゆる引き揚げ、捜査、あるいはアメリカ政府に対して、もちろん個人の感情を入れるべきではないけれども、そういう思いで私はアメリカ側にもまた具体的にいろんな意味で強い要求もしてきたというふうに考えております。
  120. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総理が仕えられた今松議員は、ガソリン代を差し出されてもそれをお受け取りにならなかった、立派な方だというふうに私は思います。でも総理総理は四千万円もするゴルフ会員権を業者から贈られた、そして事もあろうに、そのゴルフ場で、故今松さんの地元の宇和島水産高校の生徒が生死にさらされているときに、いやそのことを知りながらゴルフを続行されたわけです。政治家として、いや人間として恥ずかしいと思われませんか。  先ほども弁解がありましたけれども、本当の総理の人の心に響く謝罪の気持ちを述べていただけないでしょうか。
  121. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 衆議院予算委員会等でもたびたび申し上げたし、先ほど北澤議員の御質問の際にも申し上げましたように、そうした場所で判断をしたということについて御批判があるということについては、私は率直におわびをいたしました。ただ、そのことによって対応がおくれたとか不適切な処置をしたとか、そういうことだけは私は断じてなかったというふうに申し上げておきたいと思います。
  122. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 次に、KSDの問題に移らせていただきます。  総理、村上議員が逮捕されました。KSDが九八年参院選での架空党員集めや党費の肩がわりをしていたことが明らかになってきておるわけでありますけれども、そのことがちまたでは、KSDは議席を金で買った、自民党は議席をKSDに金で売ったのではないか、そう言われても弁解の余地がないのではありませんか。
  123. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 村上前議員とそしてKSDのかかわり合いについては、今それぞれ司直の手でも捜査の解明をいたしておられるところでございます。  今、大変失礼でございますが、こうしたシステム、こうしたいわゆる党員を募集しそして党勢の拡大をするということは、仕組みとしては私は間違っていなかったというふうに思います。要はそのことを、どういうふうにして集められるのか、また集めたものをどう受けとめていくのか、それはやはりそれぞれの組織、あるいは組織に団体等で支持をされているその議員の私はまた良識の中で判断していくべきものであろうというふうに考えます。  したがって、村上議員の問題についてはもう少し解明をしなければならぬ問題がございますが、今、議員からのお話によると、そういうシステムで自民党の議席を金で買っておるのではないかというそういうお問いかけに対しては、私は、そうしたことではないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  124. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 当時、自民党総裁でありました橋本大臣、いかがお考えですか、今のことに対して。
  125. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現時点においてということでありますならば、私どもの不明を恥じなければならないと率直に思います。  ただ、その当時において、KSDという仕事を持っておられるグループ、そして中小企業者のためにということで努力をしておられたグループに対し、私どもは、今提起をされているようなさまざまな問題を内蔵しているとは存じませんでした。ですから、その当時に立ち返り、今知り得るだけのことを知っていたとすれば状況は異なっておったと思います。
  126. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 資料をお配りさせていただいております。パネルもございますけれども。(資料を示す)KSDがこの十年間に村上、小山議員を当選させるために肩がわりをした党費は民主党の調べでは十七億円に上っているわけであります。  いずれにしても、この十七億円の党費が自民党に入ったことは事実ですね。総理、いかがでしょうか。
  127. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) この表どおりすべてそのとおりかというふうにはなかなか今私がここで認めるというわけにはいきませんが、適切にきちんと党の支部で取りまとめをされて、そして県連、都道府県連支部を通じて党本部に届け出が出されるということであれば、それが適切な形で党本部に入ればその分の党費としては当然受け取るということになるわけであります。
  128. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、架空党員であるかないかは別にして十七億円は基本的に党費として自民党に入ったと、そういうふうに理解させていただいてよろしいですね。
  129. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) これは、党には内部のいろいろ規定がございまして、四千円の党費、さらに家族党員というのが二千円ということだったと思いますが、そういうふうになっていると思いますが、それを精査しなければなりませんし、それから、党費は支部と県連と、都道府県連と、それから党本部というふうにこれを分けることになっておりまして、その比率も決められているわけでございます。  ただ、県連と市町村支部といいましょうかあるいはそういう団体の支部との配分についてはそれなりの県連で決めておられるというふうに承知をしておりますが、党本部に入る分については、おおよそ三分の一相当というふうに私は伺っております。──ちょっと、党本部に幾ら入るかというのは、私の承知では三分の一ぐらいだったというふうに承知をしております。
  130. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 架空党員については調査中だということで認めておられないわけですけれども、党費については認められました。  ここで委員長にお願いがございますが、架空党員の関係については明確に答弁をいただいておりませんので、私どもとしては、豊政連の、この問題を取り扱った豊政連の中村勝彦、既に逮捕されておりますけれども、事務総長の証人喚問を早急にしていただきたいということで要求を申し上げます。
  131. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 高嶋君の証人要求につきましては、後刻理事会で協議をすることといたします。  引き続いてどうぞ。
  132. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総理、党費十七億円を肩がわりを業者がするということは、当然業界側がその見返りを求めてくるというふうに思うのが自然だというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  133. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 組織とか団体とかは、やはりその議員に国政に参加をしてもらって大いに活躍をしてもらいたい、国家国民のために働いてもらいたい、そういう意味で推薦をし、応援をしていただいているものだと私は思います。  今、村上議員の問題あるいは小山議員の問題等については、これは司直の手で解明をされているところでございますから、そこについて私は今発言はできるだけ控えたいと思っていますが、我が党にも多くのそうした比例代表の諸先生方がおられまして、一生懸命そうした推薦を受けた方々やそうした組織の方々の代表として胸を張って堂々とした政治活動をしておられるわけでありまして、そういう組織からバックアップしてもらった、団体から推してもらったからその利益のために働いているというようなことの私は議員の断定的なお話には残念ながらくみすることができません。  そういうことを申し上げられると、何も自由民主党だけではなくて、各党皆そういうことにもなっていくわけだと思いますよ。それは、少なくとも応援をされておる、あるいは労働組合でありますとかいろんな組織、団体から出ておられる方は、やはりそういう皆さんの応援を得て、国家国民のために頑張ってくださいということで応援を得られているわけであって、その団体のために何かしようと、そういう思いで私は出ておられる方というのは与党にも野党にもおられないと、そう私は信じたいと思います。
  134. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私が申し上げているのは、一般の国民皆さん方政治活動に対して協力をしようということで、みずからの意思で党に入られてみずからの浄財で党費を払われているという、そのことによって政治活動がよくなっていくという、そういう部分でのことを言っているのではございませんでして、業界が十七億円もの党費の立てかえを、あるいは肩がわりをしている、そのことは当然、見返りを求めていて当然ではないですかという、そういうことを尋ねているんですが、もう一度お答えください。一般論ではなしに、KSDは見返りを求めていたかどうか、そのことについてお聞きをしたい。
  135. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) KSDは求めていたかどうか、あるいは村上議員がそれを期待したかどうかということは、これはやっぱり司直のこれからの解明によって明確になっていくことじゃないんでしょうか。
  136. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ申し上げますが、私は、今回の事件の構図というのは、KSDが党費を肩がわりをする、そういう名目で自民党に十七億円の献金ということになるんではないか。そして、自民党が旧労働省に圧力をかけて、国民の血税から八十五億円のものつくりに対する補助金を引き出させた。まさにこれが政官業癒着の典型じゃありませんか。どう思われますか。
  137. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) KSDに関係をいたしましたこの事例については、先ほどから申し上げておりますように、今この私のところで議員の推論といいますか、そういう議員のお考えになっていることについて、私は、そのままそれがそのとおりだとかそうではないと言うことも私はやっぱり遠慮しなければならぬと思っています。そういう疑惑、そういうことが起きたから逮捕されているわけでありますから、これからそのことが解明されていくんじゃないでしょうか。  また、ものつくり大学云々とおっしゃいましたが、ものつくり大学をつくりたいからKSDがお金を集めて村上議員を応援をしたということだと、私はそういうふうに理解はいたしておりません。
  138. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 それでは、推論だというふうに言われましたから、これから具体的な例を挙げてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、まず橋本大臣、九六年一月二十五日の参議院本会議における村上議員の職人大学の設立の提案に対して、当時の橋本総理は、興味を持って勉強させていただくというふうに非常に前向きな答弁を行われました。  村上議員が質問をされて橋本総理が答弁をされた件で村上議員が受託収賄容疑で逮捕されましたけれども橋本大臣の現在の心境はいかがですか。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、大変に今その意味では情けない思いをしております。同時に、ものつくり大学あるいは職人大学と言われるものが汚名を着ながらスタートをすることになったことを大変残念に思っています。  私は従来から、徳川時代における寺子屋教育と職人教育というものが明治維新後、新しい西欧の技術を受け入れるときにそれを容易にしたと考えておりました。そして、それをあちこちでもお話をしてきました。そして、敗戦後の日本が立ち上がるときにもその職人のわざというものが新たな機械を受け入れる、産業を興していく上でも大きな役割を果たしてきたと信じてまいりました。今もそう信じております。  そして今、少子化の中あるいは高学歴化の中で職人のわざの伝習が切れることを非常に私は従来から問題意識として持っておりました。今も持っております。それだけに、私は、こうした構想は興味を持って勉強すると確かに申し上げたと思いますし、事実、今もこれは大切な仕事だと思っております。
  140. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この答弁書はどういう経過でつくられたのか、所管官庁の坂口大臣伺いたいと思います。
  141. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 参議院の本会議におきます村上前議員のものつくり大学に関する代表質問につきましては、他の代表質問と同じように、これは当時の内閣参事官室から労働省にいわゆる技能者の育成確保のための施策いかんということで問い合わせがあったことは事実でございます。これを受けまして旧労働省において答弁メモを作成したという経緯があるようでございます。  この答弁メモの中には、当時、ものつくり大学というよりも職人大学ということでございましたが、職人大学についての直接の言及はしていないところでありますが、橋本総理の御答弁は当時の労働省の考え方と異なるものではなかったというふうに考えております。
  142. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 それなら官房でもこの問題、答弁書の関係については精査をされていると思いますが、官房長官、いかがですか。
  143. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 内容を承知しておりません。
  144. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 村上議員の直接の逮捕の原因になっているんですよ。  総理答弁というのは官房をきちっと通っているわけでしょう。それを調べているのは当然のことじゃないですか。
  145. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 昔のことを私に問われても実は困るのでありますが、私もそのことについては全く承知しておりませんので、必要とあらば、また私の方で調べてお答えするということになるかと思います。
  146. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  147. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。
  148. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 行政の継続性というのはきちっとあるわけでして、私もレクのときに違う問題で当時の職業能力開発局長に出てほしいと言ったら、それは今の人で十分対応するんですというのが労働省の考え方だったんですよ、厚生労働省の。同じことですね。前の官房長官の時代だから答弁できないということではないと思うんです。きちっと調べて、現官房長官、答えてください。
  149. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私は万能でもないし辞書でもないし、一々そういう過去のことについて頭の中に入っているわけではないので、調べろと言うのであれば調べてお答えをいたします。
  150. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 内閣官房長官に申し上げます。  後刻お調べをいただきまして、改めて機会を見て御答弁願います。
  151. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほどの官房長官の答弁はちょっと問題ですよ。こんな、こういう問題については調べていなかったと言うけれども、先ほど言っているように一番大きな問題でしょう。村上さんが逮捕されたきっかけですよ。官房で調べてないこと自身がおかしいんじゃないですか。職務怠慢ですよ。(発言する者あり)
  152. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  153. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速記を起こしてください。  本件高嶋君の質問につきましては、午後改めて官房長官から答弁をさせることにいたします。  引き続き、高嶋良充君。
  154. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 橋本実力大臣にこういう細かいことまで聞く予定はなかったんですが、午後の答弁と、こういうことになりましたから、橋本大臣、今の件で、答弁書の経緯についてわかっておられる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  155. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その答弁書と言われるのは答弁資料のことでございますか。
  156. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 原稿。
  157. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 原稿。だから答弁資料。答弁資料、確かに各省から事前に御通告をいただきましたものについて用意をされてまいります。ですから、恐らく議員が問題とされます質問の際にもその答弁資料は出てきていたと思います。  その上で、私はできるだけ、今もそうしておりますけれども自分の言葉でお答えをするようにしてまいりました。そして、答弁資料を棒読みをすることは避けてきたと思います。  ですから、答弁資料に書いてある言葉のとおりに私が発言したかどうかと言われますなら記憶はございません。しかし、その趣旨と大きく食い違ったことは答えていないと思います。
  158. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 坂口大臣、労働省から答弁資料として出されたときに村上議員からの働きかけはありましたか。
  159. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それはなかったと聞いております。
  160. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 官房は午後聞かせていただきます。  橋本大臣、興味を持って勉強されてから、先ほども若干言われましたけれども、大学はやっぱり必要だと、そういうふうに思われたわけですね。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、先ほどお答えをしたつもりですが、お聞きをいただけば、今も、むしろスタートをした大学がこうした事件の影響を受けてものつくりの伝承に影響を与えないことを願っております。
  162. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 坂口大臣橋本総理の答弁後、ものつくり大学が一気呵成に進行したというふうに私どもの資料ではなっているんですけれども、労働省の調査ではどうですか。
  163. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 全体の経緯につきましては私も勉強をいたしておりますが、全体の流れを見ますと、平成八年当時、いろいろの議論があります中で、ものつくり大学につきましての考え方がまとまっていた年というふうに思っております。そして、平成九年になりまして、そこでその財源について決定された年であるというふうに思っております。小山議員からの質問がありましたのも平成八年でございました。  その当時、自社さ政権でございましたし、そのときの労働大臣は永井労働大臣でございまして、社会党出身の永井大臣でございましたが、永井大臣も、これは大変大事な問題であり、積極的にこれは推進をしたい、こういう御趣旨の御発言をしておみえになるところでございますし、私はそのときの連立政権の一つの意思として、考え方として固まっていた年であると認識をいたしております。
  164. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 九六年の八月、夏ごろだというふうに言われておりますけれども、労働省内に職人大学の検討会が設けられているということは事実ですか。
  165. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 十月に勉強会をつくったことは間違いないようでございます。
  166. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ、第一回の欧州視察の後につくられたと、そういうふうに理解してよろしいですか。
  167. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 前後関係、余り頭の中に入っておりませんが、今聞きましたところ、後だということでございます。
  168. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 坂口大臣、労働省は、今ものつくり大学と政治家の関与、それからKSDと官僚の疑惑といいますか関連、これについて調査をされていますね。これは徹底的に調査をして国民に公表していただきたいと思っておりますが、公表されるおつもりですか。
  169. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 現在、御指摘をいただきますように、調査をいたしております。  それで、今二つのことを言われましたが、いわゆるKSDに関します政治家と、そしていわゆる行政の場におります者との関係、あるいはKSDそのものと役人との間の関係等について調査をしているところでございますが、もう一つ、ものつくり大学につきましても今整理をいたしておりますけれども、このものつくり大学につきましては、先ほど私が申しましたとおり、その当時の連立政権の一つの意思になる、一つの考え方になってきていたということでございますから、これは個々のいわゆる議員との問題というよりも、その当時の内閣の一つの意思になっていたわけでございますから、私は、そのこととこのKSDとの問題とは若干内容を異にすると思っております。
  170. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  171. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十三年度総予算三案、これを一括して議題とし、質疑を行います。高嶋良充君。  午前のあなたの質問につきまして、改めて答弁を求めてください。
  172. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 午前中の質問に引き続いて質問をいたしたいと思います。民主党新緑風会の高嶋良充でございます。  官房長官、午前中の質問についてよろしくお願いします。
  173. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 午前中の審議で高嶋委員から調査の要請がございました件について至急調べました。報告申し上げます。  平成八年当時の本件に係る答弁メモなどの資料は、内閣官房では残っておりません。総理答弁の作成過程は、午前中に厚生労働大臣が答弁したとおり、旧労働省で答弁メモが作成され、このメモの中では職人大学についての直接の言及はないとのことであります。  このことは橋本大臣が午前中の審議でお答えしているとおりでございまして、御自身の言葉でわかりやすく御答弁されたものと承知いたしております。  なお、橋本総理の御答弁は、当時の労働省の考え方と異なるものではないと承知いたしております。
  174. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 坂口大臣、KSDのものつくり大学に政府は幾ら補助金を出されているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  175. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 雇用勘定の方からものつくり大学の設立に対しまして予算を組みましたのが平成十年、十一年、十二年の三年間でございます。合計いたしまして八十五億になるわけでございますが、各年幾らというのも必要でございましょうか。  平成十年は一億四千万、それから二年、三年、ちょっと数字を明確に記憶しておりませんので、もしも必要ならば今もう一度お答えしますが、合計では八十五億でございます。  よろしゅうございますか。
  176. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 では、もうちょっと詳しく言ってください。
  177. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 十年度が一億四千万、それから十一年度が十二億三千万、そして十二年度が七十一億三千万、合計いたしまして約八十五億円でございます。
  178. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 当初に決められた補助金の額は幾らですか。
  179. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 最初に予定いたしましたのは約六十五億というふうに記憶いたしております。(「ちょっと違うよ、今の答弁」と呼ぶ者あり)  恐れ入ります。ちょっと間違えまして、六十億でございます。済みません。失礼しました。
  180. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 九九年に二十億増額をされているわけですけれども、六十五億から最終的には八十五億になっているわけですが、この二十億の増額について自民党の大学推進議連から働きかけがございましたか。
  181. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その当時は、何人かの皆さん方から、このものつくり大学についてのお話はあったというふうに思っております。もちろん、議連ができたわけでございますから、議連の皆さん方からもお話があっただろうというふうに思います。それはそのとおりというふうに思いますが、先ほども申しましたとおり、全体としての一つの意思決定がされていた、連立内閣の中でその問題は前進をしていったというふうに思っております。
  182. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 坂口大臣衆議院予算委員会で答弁をされておりますけれども、その中で、九九年の十一月の二十九日の議連の集まりで労働省の幹部が呼ばれて要請を受けているというふうに答弁されていますが、事実ですか。
  183. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そのとおりでございます。十一年の十一月と記憶をいたしておりますが、そういう御要請があったことは事実でございます。
  184. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 村上、小山さんがそのときにおられて、幹部に要請をしたというふうにも伺っているんですが、そのとおりでございますか。
  185. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) このときの会合は政治家皆さん方の会合でございまして、政治家皆さん方が何人かお見えになったということでございまして、このときにKSDの皆さん方がお見えになったかどうかということは聞いておりません。
  186. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今の、ちょっと時計をとめておいてください。聞いておる意味と違うじゃないですか。
  187. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 時計をとめてください。
  188. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 そのときの政治家がどういう方かということです。
  189. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 申しわけありません。  村上前参議院議員、小山前参議院議員ほか、このときに一時亀井政調会長も席に着かれたということでございます。
  190. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、ほかのことも調査をされているわけですが、そういう政治家のお名前も含めて調査結果を公表されるおつもりですか。
  191. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今、我々が調べておりますのは旧労働省内におきます職員のかかわりでございまして、政治家はその中に含まれておりません。  職員の問題につきましては、どういうところに依頼があり、そこに出てお話をしたか、それはどういうことであったかというようなことを今たどっているわけでございますが、何にいたしましてもかなり前にさかのぼる話でございますので、人数もかなり多くなっておりまして四十数名に達しておりますので、その皆さん方のいろいろの記憶の中にもいろいろ違いがございましたりいたしまして、それらのことを今きちっと整理をしているところでございます。  政治家皆さん方お話は、それは含まれておりません。
  192. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 三月一日の近藤事務次官の記者会見では、ものつくり大学についての政治家の関与についても調査をしている、こういう記者会見がされていますが、この記者会見はうそですか。
  193. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そこは私が認識しておりますことと、もしそういう記者会見があったとすれば若干認識が違うように思います。  私が知っておりますのは、それは……(「もっとはっきり調査してもらわなければ困るよ」と呼ぶ者あり)いやいや、待ってください。私が認識しておりますのは、それは職員がどういうときに政治家から呼びかけがあったか、それからKSDから呼びかけがあったか、そこに行ったのか行かなかったのか、そのときにどういうことであったかという職員を中心の話でありまして、政治家がどうしたこうしたということを中心に調べているわけではない、こういうことを申し上げているわけであります。
  194. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 おかしいじゃないですか。職員の調査をするのであれば当然政治家の関与を通じて職員の調査をするわけですから、近藤次官が記者会見をされておる方が正しいんじゃないですか。議員連盟などから働きかけがあったのは確かだと、当然、政治家の影響はあると、政治家がどのようにかかわり、働きかけたなどについて具体的な報告書を今月中にまとめたい、そういうふうに記者会見をされておるんですよ。事務方いたら説明してください。
  195. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ですから、そんなに違ったことを申し上げているわけではないと思うんですけれども。私の言っておりますのは、職員の側から見て、職員の側が政治家からどういうお誘いがあったのかということを言っておるわけですから、同じことを政治家から見てではなくて職員から見てどうかということを我々の方は調べなきゃならないわけでございますから、だから別に違ったことを言っているわけではないというふうに思います。
  196. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 職員側から調べられて、政治家の関与があるいはあれば調査結果を公表されるということですね。
  197. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それは、全体としまして、職員がどういうところにどういうお話があって出かけていったか、あるいはそのときにどうであったかというようなことを全体で今調べているわけでございますから、トータルとしましてはそれは公表をさせていただきますし、きちっとするつもりでおります。  衆議院の方ではいつまでにするのかというお話もございました。これは早く、できるだけ早くと言っておりましたが、今申しましたとおり、四十数名にも及び、それはその職についていた人たちに、あるなしにかかわらず全部聞いているものですから、既におやめになった皆さんもありますし、海外に行っておみえになる皆さんもあるといったようなことで、それはなかなか急にはできないわけでございますけれども、いつまでかこれを引き延ばすということも、これは皆さん方に対して不信を抱くことにもなりますから、一応三月十五日までという期限を切って、そしてその中でもう結論を出してほしいと、こう事務方に言っているところでございまして、その日は間もなく来るわけでございますから、一日も早く公表したいと思っております。
  198. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほどの御答弁で、亀井政調会長からも、その場におられてと、こういうことですが、具体的な働きかけはありましたか。
  199. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その会合に出席をされました亀井政調会長からは、特色ある大学づくりであり、学生にとって魅力ある大学にする必要がある、体育館と学生寮は必要であり、その要望は正当である、これは予算上措置すべきという党として、政調会長としての要請である、こういうお話があったと聞いております。
  200. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 二十億円の補助金増額を労働省として決められたのはいつですか。
  201. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 十二年の予算のことでございますから、十一年の十二月初旬というふうに聞いております。
  202. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 亀井さんや村上さんからの要請のあった会合が九九年の十一月二十九日、そして労働省が二十億円の増額を決められたのが十二月の初め、時期的にはぴったり一致をしますね。ということは、亀井政調会長や村上、小山議員の圧力で二十億円が増額されたということで理解してよろしいですね。
  203. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それは少し違うんじゃないかというふうに思いますね。全体の流れをきょうお昼までにも申し上げたとおりでありまして、平成八年には政策決定というものが大体固められた、そして九年になりましてはその財源をどうするかということでその話し合いが進んでいった。そして、足らないところが出たらそこをどうするか。それまでに本当はこの民間の企業の皆さん方からも資金を集めていただこうということでございましたけれども、そこが集まらなかった。六十億集めていただくというのがなかなか集まらなかった。それではその足らない分をどうするか。話はかなり進んできているし、そこをどうまずは埋めるかということが、そのとき、当時の内閣において話し合いがされたものというふうに思います。  そして、その結論として、もう平成十一年の十二月、翌、もう明けますと予算を出さなければならない、末には固めなければならないというときでございますから、そこで当時の大蔵省との話し合いが進められた、こういうふうに理解をいたしております。
  204. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、この問題は最終的には司直の手で解明されるというふうに私どもは期待をしておりますけれども、しかし国会としても解明しなければならない問題ですから、さらに関係者の証人喚問を要求しながら、解明に努めてまいりたいと思っています。  当時自民党幹事長でありました森総理、亀井政調会長は党の政策として要求したと公言をされていますけれども、二十億円の増額要求は党で決定されたんですか。
  205. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど橋本行革担当大臣からも御答弁ありましたように、我が党といたしましては、かねてから、もう数年前、いやもう十数年と申し上げていいと思いますが、いわゆるこうした技術系の方々を養成していく高等教育機関が必要だということは我が党にはもう長い間の懸案でもございました。ですから、こういう形で具体的に盛り上がったということについては我々も大変歓迎をいたしておりました。  どの省からどういうふうにしてどう出すかということは、これはいわゆる政府予算の交渉の中で行われることでございまして、党としてはできる限りその資金が捻出されるといいましょうか、組まれるようにしてほしいと願うのは当然なことであろうと思います。当然政策責任者である亀井政調会長が御尽力をされたものだと、このように認識しております。  党で幾らどうするかこうするかというようなことは、そういうことは党としては決める、決めたという、少なくとも私が入った会議ではそうしたものは決めたという記憶はございません。
  206. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 正式に党の決定ではないということですね。政調会とかあるいは総務会というところでも了承していなかったと、そういうふうに受け取ってよろしいですか。
  207. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 政調会としては、政府がつくった予算でありますから、それについて党がオーソライズするということは当然のことでありますから、当然それを報告され決定をする、了承するということですよ。
  208. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほどの答弁と食い違っているんじゃないですか。予算の関係を含めて政府政策の決定というのは政調でやっているということであれば、党の決定ということになるんじゃないですか。もしやっておればですよ。
  209. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほど最初の質問幹事長としてそれを云々ということ、どうされましたかと言うからそう申し上げたのであって、これはやはり政府予算を計上するわけですから、いわゆる財政当局と交渉して決めることでありますから、その考え方について当然党としては最終的には政調、総務会等で了承するのは当然のことでないでしょうか。
  210. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 どうもよくわからないんですが、政調、総務会も了承していたというふうに受け取ってよろしいですか。
  211. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 当然最終的には党が了承するということになると思います。
  212. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、亀井、村上さんらの働きで九九年に二十億円の補助金が増額されたことは事実なんですね。  先ほどのこの資料も見ていただきたいんですが、(資料を示す)自民党の場合は参議院の選挙が済むといつも党員はその後はゼロになっているんですが、この九九年だけは七万六千八百人、そして党費は三億七百万円入っているという私どもの調べなんですけれども、これは関連ありませんか、今の二十億円の増額との関係で。
  213. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 直接私がその作業をしておりませんからわかりませんが、関係はありません。
  214. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 直接関係していない、関与していないのに関係ありませんというのもまた信頼のない答弁でございますけれども、いずれにしても、これはきちっと次の機会に集中審議等を開いていただいて、解明をさせていただきたいというふうに思っております。  次に、機密費問題に移ります。  外務大臣、機密費の横領事件は外務省の組織ぐるみではないかというふうに言われているんですが、どうお考えですか。
  215. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) これまでの調査の結果、総理大臣の外国訪問に際しまして、その宿泊費の見積もりでございますとか支払いでございますとか、精算までの事務を上司の決裁を得ることなくすべて一人で取りまとめていたということが判明しております。  こうしたことから、私といたしましては、この事件は個人の犯罪によるものというふうに考えております。
  216. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私の考えでは、この問題の起こった発端というのは、まず第一に領収書が要らない、第二は使い道を明らかにしなくてもいい、そして第三は一切公表されない、当然そういうことですから、第四は会計検査院の目もなかなか届きにくい、こういう機密費のシステムが不正の温床になったんではありませんか。
  217. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 今、私が御説明をした問題をもう少し細かく申し上げますと、総理大臣の外国訪問に際しましては見積もりを、総理が外国出張されます地域の見積もり、あるいはアクセスその他ロジスティックなものについて精査をいたしまして、そしてその見積もりを官邸にお届けして、そして官邸からその見積もりに見合った金額を預かってきてそれの支払いを行ってきたということでございまして、そこには今、議員がお話しになりましたように領収書もない、何にもないということではないというふうに私は考えております。
  218. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 外務省の官房長にお尋ねします。  ことしの初めに省内通達が出されて、五年以前の機密費を含めた会計資料すべてを廃棄処分するように指示されたのは事実ですか。
  219. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 外務省におきましては、従来より適正な文書管理を行うという観点から当省の定める指針に基づいて書類整理を行い、不要文書や保存期間を過ぎた文書を廃棄するということを励行してきております。特に、ことしの四月の情報公開法の施行に備えまして、行政文書と個人文書を峻別するとともに、保存期間を過ぎた行政文書を廃棄する、こういうことから現有の行政文書から成るファイルの適正なファイルを行っている次第でございます。  会計文書につきましては、当省の文書管理規程等におきまして五年保存とされておりまして、平成六年度以前の文書は廃棄の対象となっておりますが、平成七年度以降の文書は保存されております。  お尋ねの件でございますけれども、以上のような作業は、適正な文書管理を推進するため従来から行っている作業の一環でございまして、今回の事件とは一切関係ございません。  また、松尾元室長の室長在任中の総理の外国訪問に関する文書につきましては、松尾事件にかかわる調査開始以降、文書整理の作業を停止して、全容解明のため捜査当局に積極的に協力しておりまして、外務省が組織ぐるみで証拠隠しをしているということは全くございません。
  220. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 問われたものだけに答弁してくださいね。  整理整とんをしろ、こういう指示文書に極秘という判を押さなければならないんですか。
  221. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 今、整理整とんの文書と委員が御指摘の文書につきましては、私どの文書についてか承知しておりませんので、お答えを差し控えたいと思います。
  222. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほど出した省内通達に極秘の文書押していないんですかと聞いているんです。
  223. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) お答え申し上げます。  省内通達というのはどの省内通達か、私ちょっと必ずしも理解できませんでして。
  224. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 何にも聞いていないじゃない。委員長、ちょっと注意してください。先ほどの文書のことを言っているんですから。
  225. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 官房長、答弁を補足してください。
  226. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) もう一回繰り返しになって恐縮でございますけれども外務省の不要文書の廃棄に当たりまして、作業の効率化を図るために一定の作業手順をつくるということはございますけれども、文書管理作業との関連で極秘の通達文書を出すということはございません。
  227. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほど聞きました廃棄処分をするようにという指示した文書の第四番目の二項で、報償費を含む資料を廃棄処分にせよと、そういう添え書きをされた覚えはありますか。
  228. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 今、委員が御指摘のその通達文書そのものを私十分に理解しておりませんけれども、一般論として申し上げますれば、会計文書は保存期間を過ぎたものにつきましては通例文書廃棄を行っております。これは会計文書ということでございますので、報償費にかかわるものも同様でございます。
  229. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 どうも質問をはぐらかされているようで困るんですけれども、いずれにしても、官房長は衆議院予算委員会では、松尾事件の調査にかかる以前に、すべてそのような保存書類について五年前の分については廃棄されたために九五年以降の分にとどまった、こういうふうに言っておられるわけですけれども、それは正しいですか。
  230. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 松尾事件が発覚いたしまして、私ども外務省として、全容解明のための調査を始める前に、平成六年度以前、これは文書管理の規則上廃棄するということになっておりますけれども、それについてはその以前に廃棄しております。
  231. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 実際はそうじゃないんでしょう。実際には、機密費の問題が国会で問題にされる、あるいは警視庁の捜査がこれから進むことがわかっている段階で、ことしの一月にこのような廃棄処分をされたということではないんですか。
  232. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) お答え申し上げます。  そのような報道がなされていることは承知しておりますけれども、実際問題として、松尾事件が発覚する前に平成六年度以前の会計文書は廃棄しておりますが、一部、本件が、疑惑が発覚いたしましたので作業を停止いたしております。
  233. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総務大臣、文書の保存の関係ですけれども、何でも保存期間が過ぎれば捨ててもいいという、そういうことでは私はないと思うんですが、保存期間が過ぎても仕事上必要なもの、あるいはそういう可能性があるものについては、すべて捨てるのは不適切ではありませんか。
  234. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 各省庁の持つ文書については、それぞれの省庁の、訓令ですけれども、文書管理規則で適正に管理する、こういうふうな建前ですね。  情報公開法がこの四月から施行になるものですから、情報公開法の中では、私の方が所管ですけれども、保存期間が満了になっても職務上の必要があれば延ばせと、こういう規定は確かにあります。ただ、その職務上の必要かどうかの判断は各省庁が自分でされる、こういうことであります。
  235. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 外務大臣どうですか、今のを聞かれて。
  236. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 今、総務大臣御答弁のとおりでございます。  私どもとしては、五年を経過したものにつきましては廃棄処分をすると。それによって管理している文書を整理するということはやっております。  ただ、先ほど官房長から御答弁を申し上げましたように、今回の事件が起きまして一月に私は調査委員会をスタートさせました。その時点で、松尾問題に絡みます文書についての廃棄の作業あるいは整理の作業はこれを停止しろという指示を出しておりますので、それ以後は仮にそれが五年を過ぎたものがあったとしてもそれは停止していると思います。
  237. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 法務大臣にお尋ねします。  今のような問題で、国会で機密費の問題が問題にされる、あるいは警視庁の捜査がこれから進むことがわかっている段階で、もし文書が廃棄処分されたということになれば証拠隠滅ということになるのではないでしょうか。どうでしょう。
  238. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 犯罪の成否というのは証拠により認定された事実に基づいて判断されるべきことでありますので、お答えを差し控えたいと思います。
  239. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は証拠隠滅になるというふうに思いますよ。  荒木副大臣、おられますか、済みません。  外務省の調査委員長のようですけれども、この問題についても調査をされますか。
  240. 荒木清寛

    ○副大臣(荒木清寛君) 私が委員長を務めております調査委員会では、総理の外国訪問に係る外務省の体制上の問題を初め、今回の事件に関連する事実関係について調査をしております。  端的に言いますと、こうした大それた犯行がなぜ可能になったのか、あるいはだれか手をかした者がいるのかいないのか、そしてさらには報道されておるような彼からの供応接待の有無というようなことについて鋭意調査をしているところでございます。  今提起のありました問題につきましては、必ずしも我々の調査委員会の調査事項ではないわけでありますが、しかし省内のしかるべき部署で御指摘があれば調査が行われるものと思っております。
  241. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 松尾事件での調査をしているんでしょう。ということは、松尾さんは九三年から出張をやられているんですよ。そして、九五年からしか文書がなかったから調査できなかった、こういう報告が出たわけですから、九三年から九五年のやつが焼却処分されておれば、だれがそういう焼却処分を指示して焼却したのかということを調べるのは当然じゃないですか。
  242. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 先ほど総務大臣から御答弁がございましたように、五年を経過したものは、だれが特別に指示をするというのではなくて、そういうものを整理していくということになっているわけでございますから、それはそのルールに従って整理がなされているわけでございまして、先ほど私申し上げたように、私が松尾問題について調査を開始しろという指示を出しまして以後の資料につきましては、これはさわってはならぬということで廃棄の作業を停止しております。これらにつきましては捜査当局が御関心があるものであれば捜査当局にすべてお渡しをするというふうに考えております。
  243. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 外務大臣が調査をしろというふうに指示された後でこのような廃棄処分が行われているという、そういう情報があるわけです。だから、当然のこととして、どういう状況になっておるのかというのを調査するのは当然じゃないですか。
  244. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 整理して申し上げさせていただきたいと思いますけれども、松尾元室長が属しておりました要人訪問支援室でございますけれども、要人訪問支援室関連文書につきましては、先ほど申し上げましたように、本件疑惑発覚後、廃棄処分をとめております。さらに、会計課保管の総理外国訪問関連文書につきましては、昨年末に会計検査院報告が出た後、一部廃棄作業を行いましたけれども、本件疑惑発覚後、その作業は停止しております。  なお、松尾元室長在任中の総理外国訪問関連文書につきましては、現在、本省在外より本省の大臣官房に集中し管理することとしておりまして、その中には平成六年以前の文書も当然含まれております。  いずれにいたしましても、外務省としましては全容解明のために捜査当局の御捜査に積極的に協力しておりまして、この点について特段の問題は生じていないものと承知しております。
  245. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 衆議院予算委員会の終了のときに予算委員長が、異例なことですけれども、注文をつけられた。この機密費について透明性を確保すべきだと。そして、外務省としては外務省の機能改革会議、有識者を含めてつくっておられるわけですけれども、これらの問題について透明性の確保等々についてきちっとやられる決意を外相、お聞かせください。
  246. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 外部の有識者の御意見を伺いたいと考えまして、七人の有識者にお集まりをいただいて、現在、自由に御討議をいただいております。いろいろと御批判、御注意がその中から出ていることは事実でございます。  私といたしましては、願わくはゴールデンウイーク前までぐらいをめどに提言をおまとめいただけるということを期待しておりまして、その御提言が出れば、その御提言に従ってでき得る限りそうした問題の改善に取り組みたいと思っております。
  247. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 官房の二十億円の上納問題も含めて、どうも国民皆さん方が思っておられるのは、この機密費に対して、組織ぐるみで隠ぺい工作をしているのではないか。それが政治の不信にもつながっているし、行政に対する不信にもつながっているというふうに思いますので、ぜひきちっと透明性を確保して、きっちりとした調査をやって国民に公表できるようにしていただきたいと思いますが、再度お願いします。
  248. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 報償費と申しますか機密費と申しますか、この問題につきましては、その目的に従ってこの機密費が正しく使われるということが何より大事だと考えております。これにつきましては、支出に当たって厳正なチェックが行われるということが何より大事、さらには事後におきましてそれが会計検査院の検査に十分たえ得るものでなければならないことは当然のことだと考えております。
  249. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 行革担当の橋本大臣にお伺いをいたします。  政官業癒着の原因に、先ほども若干申し上げましたけれども、官僚の天下りというのがあるのではないかというふうに思っているんですが、このKSDでも常勤役員十三人中七人が天下りだと。そして、これは労働省が調べられたわけですけれども、この十年に労働省から延べ六十一人もKSDに天下っていた。このことは非常に政官業癒着の今回の事件の問題になったんではないかと思うんですが、この際、全面的に天下りを禁止されるおつもりはございませんか。
  250. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年の十二月に行政改革大綱を閣議決定いたしましたが、その中で、出身省庁の権限を背景としたいわゆる押しつけ型の天下り、これについては完全に禁止をしよう、しかし公務員として培ってきた能力や経験を広く民間などで生かすようないわば能力活用型の再就職というものについては認めることが必要ではないか、そうした方針でその行政改革大綱をまとめました。同時に、その再就職を認める場合、非常に必要なことは、再就職後の行為規制というものをきちんとしておかなければならない、その行為規制について有効な対策を講じることなどが必要だと私ども考えております。  ただ、今、公務員制度の改革という大きな目標で私たちは論議を部内で行っているわけでありますけれども、そうした中で私たちが目指したい公務員の姿というものは、厳しい御批判が今あるわけですから、その厳しい御批判に対してこたえることは当然でありますけれども、同時に、強い使命感を持った、そしてそれぞれの公務員が持てる力を最大限に発揮するような、そうした制度設計をしていきたいと考えておりますし、それとあわせて、私どもは押しつけ型の公務員の天下りというものは、これはその公務員制度の改革に当たってもきちんと厳しく禁止をしていく、同時に、能力活用型の再就職の場合も、行為の規制というもの、行為規制というものについてはきちんとしたルールをつくる必要がある、有効な対策を講じる必要があると、今そう考えています。
  251. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 能力活用型は天下りオーケーした、ただ法規制というのははめられるようですけれども、押しつけ型はだめだと、こういうことですが、ということは、天下りを規制するというふうに理解してよろしいんですか。
  252. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 行政庁の公務員が自分の出身の行政庁の権威あるいは権限、こうしたものを背景として天下りをする、これは厳に規制をいたしたいと思います。ただ、例えば私の知っているケースでも、大学の先生になったケースとかいろんなケースがあります。世間ではそれも天下りと一括をいたしますけれども、私は能力を買われての再就職だと思っています。そういうものまで私は規制すべきだとは思いません。  ですから、天下りという言葉をどう解釈するかなんですけれども、やっぱり自分のいた役所の権限だとか予算だとか、そうしたものを背景に行くのが天下り。例えば、今ちょっと例に引きかけましたように、私立の大学の先生になっていくとか、そういうのは天下りと私は実は思っておりません。能力の活用という言葉を使いましたのもそういう意味でありまして、今、行政庁の権限を背景に天下るというものを天下りと限定させていただけるならば、こうしたものは厳しく規制をしたいと思っております。
  253. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 橋本大臣は公務員制度改革の中で信賞必罰ということを重視されているというふうに聞いているんですが、この信賞必罰以前に恣意的な人事運用をなくしていくとかあるいはキャリア優遇の人事制度というのを見直していくということが必要なんではないか、そういうふうに思っているんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  254. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、信賞必罰という言葉をはしなくも採用していただきましたけれども、今公務員に浴びせられている世間の風というもの、これは大変厳しいものがあることは議員御承知のとおりです。  同時に、その職員たちに、公務員の人たちに、若い人たちを中心にして意見を聞いてみますと、やはりそこに信賞必罰を求める声というものは、自分たちの人生設計の中でも出てまいります。そして、昇進のシステムといったものでも、何となく同期は同じようなスピードで上がっていき給与も変わらないという仕組みに対する反発もあります。  そうしたことを考えていきますと、公務員制度を設計する場合に、やはり努力をした方がそれだけ報いられるという、正当な、公正な評価を得られるような仕組みをつくるということは大事なことだと思っておりますし、その中には信賞必罰ということも当然含まれると私は考えております。  その上で、今、議員から、恣意的にそれが動いてはいけない、その御指摘は私どももそう思います。ですから、民間の経験等も今ずっと拝聴しておりますけれども、そうしたものを取り入れて、どうやったら公平な人事評価というものが制度的にできるのか、これも我々の実は検討課題の一つです。また、たまたま今キャリアという言葉をお用いになりましたけれども、専門職として採用され、その道一筋という仕事の中にも私は大きく評価すべきものがないと決して思っておりません。  それだけに、新たに本当に白地から設計をしていく公務員制度というものの中には、当然ながら、努力をした方がそれだけ報いられるという仕組みと、それが恣意的に流れないようにという、そうした視点はいずれも必要なものだと思います。
  255. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この間、橋本大臣が指示されて実施されたようですけれども、若手官僚の意識調査、ここで、公務員がやる気を失わせている大きな原因は、誤った政治主導と恒常的な残業と、そして残業手当の不払いがあるというふうに結果として出たようですけれども、当然承知されていますよね。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員が要約されたのと多少私なりに要約しますとニュアンスの差が出るかもしれません。しかし、私自身も何人かの諸君の意見を実際に聞かせていただきましたけれども、超過勤務が続く中で、長時間労働、その結果として、政策をじっくり考えたり勉強する時間が確保できないといった声は確かにございましたし、政と官という関係の中で、自分たちの範囲というもの、これに対して悩みを持っておる職員があったことも間違いありません。  私は、超過勤務の問題というのは実は内部の工夫だけで対応できるというものばかりでは必ずしもありませんし、むしろ、一方では公務員の定員削減を強く求められている中で、逆に職員に一人一人に割り振っていけば仕事の量は当然、改善、仕事のやり方を変えなかったらふえる一方であることは間違いないわけでして、そうした点も含めて、私たちが工夫していくべきこと、それは公務員制度改革の取り組みの中で職場環境というものも視野に入れなければならないということは、私は議員の御指摘で異論はありません。
  257. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この問題は長年の懸案です。ちょうど実力大臣と言われる行革担当に橋本大臣がなられたわけですから、ぜひ任期中に解決を、方向を見出していただきたい。これは要望申し上げておきます。  もう一点、人事管理の関係で、各省庁あるいは大臣に自由度を拡大しようという考え方があるようですけれども、これは高級官僚のお手盛りになるというような心配もございますが、どうお考えですか。
  258. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年十二月、先ほど申し上げました行革大綱を閣議決定したわけですが、その中において、各主任大臣が労務管理も含め管理責任を負う、各行政機関ごとに総人件費、総定員の枠内で各主任大臣が組織や人事制度を設計、運用するシステムをつくる、そういった方針が示されております。私は、こうした考え方を実行していくことは、実態に即した人事管理の徹底あるいは責任の明確化といった観点から必要なものだと考えます。  その上で、今、議員がちょっと触れられましたように、人事が情実に流れたり、あるいは行政の公平、公正、中立性というものが失われるようなことがあっちゃならない。それは間違いのないことでありまして、この点は制度設計を検討していきます上で非常に十分な配慮を要するポイントだと考えております。
  259. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 公務員というのは国民の全体の奉仕者だというふうに言われているわけですから、大臣の裁量一つで人事権が左右される、こういうことになると、一部の政治家の顔色を見て仕事をするというようなことになる可能性もございますので、先ほど公平公正という、そういう立場で大臣が言われました。  ぜひそういう方向も含めて、民間ではこの種の問題は経営参加といいますか、従業員参加というのが今や流行というか、もう全体的にそうなっているわけですから、公務員の関係も職員参加あるいは職員団体との協議というようなことも含めて十分に配慮をいただきたいというふうに思います。
  260. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 答弁を必要としますか。
  261. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 はい。
  262. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、民間企業の方々のお話伺いながら、やはり公務員と民間企業の方々との違いというものを一方では感じました。  それは、今まさに議員がお触れになりましたように、国家国民全体の奉仕者、公の責任、こうした点がありますことは、それぞれの私企業、私の目的を持って勤務されている方々との間の差だと思います。ですから、それなりに私は公務員と民間の働く方々との間には差はあって、その職業柄も必要性というものはあって不思議はないと思います。  そして、それは必ずしも民間企業労働者と同等の行動を公務員に保障するということとは必ずしも一致しないと思いますが、その上で、現時点においても、例えば公務員の団結権にかわるものとして人事院制度が担保されているといったように、さまざまな仕組みが工夫され、公平公正を維持する仕組みが用意されているわけでありますから、議員が御指摘になりましたような角度だけではなく、いかにすれば正すべきものを正した上で将来に向けての夢を持って働けるような公務員制度というものを設計し得るか、その中において公務員の勤務体制あるいはその責任の大きさというものにかわりどのような仕組みが考えられるか、十分に検討させていただきます。
  263. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 橋本大臣の生の答弁を聞きたくて、大変、質問通告しない部分だったんですけれども、お答えをいただいてありがとうございます。  次に、市町村合併について総務大臣伺います。  政府は、市町村合併、平成の大合併だというふうに鳴り物入りで推進をされておるようでありますけれども、市町村合併というのはあくまで自主的合併でいくべきものと考えますけれども、いかがお考えですか。
  264. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 地方分権一括推進法が去年の七月から施行されまして、私は、地方分権は一歩進んだと、こういうふうに思います。  その場合に、地方分権というのは、やっぱり私は、市町村が一番身近な自治体ですから主役になるべきで、そのためにはもっともっと市町村に事務や権限を与え、税財源を与えなきゃいけません。しかし、今の市町村の規模、能力でそれにこたえ得るかどうか、分権の受け皿として、そういう観点で合併ということが出てきたわけでありますが、昭和の大合併はある程度新制中学校を維持できにゃいかぬということでかなり一律的にやりましたが、今回の合併は自主的な合併を我々は応援すると。ただ、いろんな議論がありますから、啓蒙はさせていただきます。強制はいたしません。
  265. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 強制はしないということですが、三千の市町村を千にした場合に、合併特例債が総額幾らぐらい発行されるんですか。
  266. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 合併推進のために合併特例債という仕組みをつくりましたが、これは幾つ合併して人口がどうなるか、中心の例えば市なら市に加わる人口がどうなるか、そういう複雑な算式をつくっておりますから、恣意的にならないように。だから、どういう合併が進むかという見通しがなければ総額は出ないことになっておりますので、またそういうことをやると画一的に強制だと、こう言われるおそれがありますので、やっておりません。
  267. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 算定方法もまだ決められていないということですか。
  268. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 基本的には今言いましたのは上限なんですよ、上限。そこで、あとはその合併する市町村が幾ら要るかと言ってきていただいたときに御相談して認めると、こういうことがございますから、今私が言いましたいろんなあれは上限を決めているんです、一応。
  269. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この合併特例債というのは当然自治体が返済責任を負うわけですね。そのことは自治体にきちっと説明されていますか。
  270. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 事業に対する起債を幾ら充てるかを充当率と言いますけれども、充当率は九五%にしまして、そのうちの元利償還の七〇%は将来の交付税の基準財政需要に入れようと、こうしております。
  271. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 済みません、市町村に説明されていますか、そのことを。
  272. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 県を通じまして市町村には十分説明しております。市町村は大体わかっていると思います。
  273. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 政府が鳴り物入りで特例債を出すと言えば、自治体はみんな国費で面倒見てくれると思っているところが多いんですよ。だから、自治体の借金ですよということをきちっと説明されていますかと、こう聞いているんです。
  274. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 説明は、いろんな説明を都道府県がしていると思いますけれども、基本の今の仕組みはしっかりと都道府県の関係の方にわかってもらって、そういうふうに市町村に徹底してほしいと言っていますから、七割は基準財政需要に入れますけれども、三割は入れませんので、それは徹底いたします、今後とも。
  275. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 最後に、総理に決意表明をいただきたいんですが、先ほど申し上げましたように、政官業の癒着構造を、最後の質問というそういう意味です、政官業癒着構造を克服するためには、やっぱり地方分権というのは一番大事だというふうに思うんですね。そのためには、税財源の移譲も含めて一刻も早い国と地方の、役割分担はある程度決まってきますけれども、税財源の役割分担というか、税財源の分担を決めなければならないというふうに思っているんですけれども、ぜひ森総理に、そのことの実現に向けて精一杯頑張っていくという決意表明をお願いします。
  276. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 先ほどから議員と橋本担当大臣議論を伺っておりまして、中央省庁の再編がスタートをいたしました、この一月六日から。これから行政改革大綱をもとに、いわゆる公務員のあり方、さらには公益法人、特殊法人、こうしたもののあり方、あるいはこれらの大きな改革、これらをしっかりやって、そして本当に行政改革に魂を入れていくのはこれからの作業だというふうに私は考えておりまして、そういう意味で、橋本担当大臣にこうしてお願いを私は申し上げたわけです。  そして、さらに行政改革を本当に行き届いたものにするためには、中央省庁と地方自治体の再編ということが次に来る段階であろうと、このように考えております。  当然、その中にあって、財務大臣もお答えになっておられたと思いますが、今度新たに経済財政諮問会議ができました。ここでこれからの日本の財政構造のあり方というものを議論をいたしますが、絶えずこの委員会でも御答弁をそれぞれ閣僚が申し上げておったと思いますけれども、これにはいわゆる税とそして社会福祉・保障、いわゆるそういう国民負担、そして地方と国の財源のあり方、そうしたものを十分に協議をして、トータルで新しい財政構造の一つの枠組みといいましょうか、そういう道筋をつけていかなきゃならぬ。この作業に入っているわけでありまして、今御指摘ございましたように、本当に心のこもった行政改革ができるように、さらに我々としては内閣を挙げて努力してまいりたいと、このように考えております。
  277. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 終わります。
  278. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で北澤俊美君並びにその関連質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  279. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、清水嘉与子君の質疑を行います。清水嘉与子君。
  280. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 自由民主党の清水嘉与子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  質問に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。  先月の十日、ハワイ沖でアメリカの原子力潜水艦の衝突事故に遭われましたえひめ丸の関係者の皆様方に心からお見舞い申し上げますとともに、まだ行方不明の方々がおられます。一日も早く消息が知れますように心からお祈り申し上げる次第でございます。  また、去る三月一日、KSDの事件に絡みまして村上正邦前議員が逮捕されるという大変ショックな事件がございました。小山前議員、村上前議員と同様に比例代表の選挙を戦っております私といたしまして、多くの方々に御支援をいただきながらこの国会に出させていただいておりますけれども、こうした事件を契機にこの比例代表そのものの選挙に大変批判が集まっていることに対して、大変残念に思っている次第でございます。  そうはいいながら、私を支持してくださっていた方々からも、この事件に関して大変な怒りの声が寄せられております。  何といいましても、大きな政治不信を起こしましたこの事件、私どものこの参議院で、しかも自由民主党の中で起きた事件でございます。私は、きょう、こうして代表質問の機会をいただきましたのを機に、国民皆様方に本当に心からおわびを申し上げたいと存じます。  それでは、質問に入りたいと存じます。  森総理におかれましては、連日こうした厳しい政治環境の中で、もう日夜大変な御心痛でいらっしゃるというふうに思っております。特に、昨日は野党の方から不信任案が提出されるという緊迫した日でございました。もう当然のことでございますけれども、圧倒的多数をもって森内閣が支持されたわけでございます。  総理、改めて、この日本のリーダーとして政権をまた担われることになったことにつきましての御感想、そしてこれからの御決意等、御覚悟と言っていいのでしょうか、お聞かせいただきたいと存じます。
  281. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 今ほど清水委員から御指摘、また清水議員から国民皆さんにこの委員会を通じておわびをされました。私も衆議院予算委員会等でも申し上げたわけでありますが、我が党の、しかも党の責任ある立場で活躍された前議員である村上さん、そしてまた小山さんが逮捕されるという事態、本当に私も残念でありますし、また当然驚きでもあるわけでありますが、公党の責任者という立場からも、私は心から国民皆様におわびを申し上げなければならないと思っております。  同時にまた、そういう厳しい環境の中で、この七月を目指して参議院の選挙の改選期に、これに立ち向かっている議員の皆様方もどんなに苦労なさっておられるだろうか、本当に心からそのことを拝察を申し上げて、逆境にまさに立ち向かって、本当に心から信念をそれぞれの支持される皆様方にどうぞお訴えをいただいて、しっかり頑張っていただきたいということを心から願うものでございます。  また、私といたしましても、党も改革を行い、そして国民皆さんから、与党としての責任をしっかり果たし得るように我々もまた反省し、また新しいスタートをしていきたいと、こういう気持ちでおりますこともどうぞ御理解を賜りたいと思う次第でございます。  先ほどお話がございましたように、また北澤議員のときにもお答えを申し上げましたように、まさに十三年度の予算案が今、きょうから参議院で御審議をいただいているわけでございます。幸い、昨日、野党から提出されました不信任案に対して連立与党三党でこれを否決をしていただきました。これは、多くのさまざまな御批判がある、また私に対する御批判、そうしたものを超えて、国会がやはり正しく国家国民のためにしっかりやれという、そういう皆様の御判断であったと、このように受けとめて、この参議院予算委員会を誠心誠意しっかりと政府として対応してまいりたい。そして、一日も早くこの十三年度予算が成立できますように、どうぞ与野党を通じ委員各位の御協力を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
  282. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 森内閣は私たちが二十一世紀の幕あけを託した内閣でございます。どうぞ本日からの参議院の舞台で、しっかりと森総理の思いを、そしてまた政治姿勢を御開陳いただきたいと存じます。  私は、本日の質問の機会を与えられたのを機会に、改めて世紀の変わり目に国政を担当されます総理の施政方針演説を読ませていただきました。森内閣で本当に取り組もうとしております政策課題、たくさんございますし、また重要なものばかりでございます。しかし、夢と希望であふれたその輝かしい新世紀のスタート、そうなるはずでしたのに、この施政方針演説の最初、冒頭が、KSDの事件でありますとか、あるいは外交機密費のことから始まらなければならない、本当に残念でたまりません。  政治家と金にまつわる事件、何度も繰り返されます。そして、優秀なはずでございます官僚もいろんな不正の事件に巻き込まれてくる。そして警察官も判事も、そして大学の先生方も。バブルの崩壊で銀行、金融機関がつぶれる、そして一流企業のトップの方々がテレビの前でおわびをされている、こういう姿を見ていて、一体若い人たちが本当に夢を持てるでしょうか。本当に勤勉でまじめで正直で、そんな先輩たちが築いてくれた日本人のイメージ、一体どこに行ったんでしょうかという思いでいっぱいでございます。この景気が低迷しているこういう中で、今、日本人がみんな自信をなくして、余計この世の中が不景気になって暗い感じになってしまっているのではないかというふうに思うわけでございます。  しかし、どんな逆境にありましても、つらいときでも、政治というのはやはり国民皆様方に夢や希望を与える、そうした使命があるというふうに思っております。こういうときこそ政治のリーダーシップが必要だというふうに考えるわけでございます。  二十一世紀のイメージというのを調べた世論調査がございます。二十一世紀、よい方向に向かうだろうか。よい方向に向かう、あるいは、どちらかというとよい方向に向かうと答えた方が約六〇%おられます。科学技術の進歩によって実現できるものはどんなものができるだろうか。ごみをすべて資源として再利用できる、がんやエイズ、こういった病気が治療法ができる、あるいは電力を太陽光エネルギーですべて賄える、あるいは地震の予知が完璧にできる、痴呆症がすべて克服できる、平均寿命が百歳を超えると、こういったようなたくさんの夢が語られております。みんな明るい展望を望んでいるわけでございます。  総理からはぜひ、何となくこの閉塞感の充満しました現状から早く何とか抜け出して、この世紀を希望にあふれた世紀にするためにどうしたらいいんでしょうか、森総理のこの難局を乗り切る御決意といいましょうか、伺いたいと思います。
  283. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 清水議員から多くの御指摘がございました。  この二十世紀後半、特に失われた十年というふうによく評されるわけでありますが、いわゆる順調に歩んできた我が国でありますが、世界全体に大きくやっぱり経済構造が変わったということでありましょう、我が国もいわゆるバブルの崩壊という、そういう大きな事態を迎えた。同時にまた、アジア全体の経済も大変疲弊をしてきた。  そういう中から、特に我が国はいわゆる三つの過剰という時代を迎えた。設備、それから雇用、そして債務であったと思います。これらを歴代内閣で大変努力をされて、一つ一つ解決をし、そして二十一世紀への希望の持てる、そういう新しい時代を迎えるようにそれぞれ努力をしてこられたと思います。  午前中の質疑の中で財務大臣からもお話がございましたように、若干いわゆる設備の問題が順調に進み、あるいは雇用の問題が少し、労働のミスマッチといいましょうか、いわゆる職業、いわゆる産業の構造改善によって、いわゆる有効求人倍率があっても、伸びてきてもなかなか仕事にすぐ携われないという、そういう時期がしばらく続く、またしばらく続くのではないかと、こう思いますが、そういうこともございました。それから、やっぱり債務の過剰、ここが大変やっぱり厳しい。これも先ほど、柳澤大臣北澤議員の中でいろいろと御議論がございました。  そういうことを乗り越えて、その間、我が国としては、国民皆さんのいわゆる所得といいましょうか、あるいは国民皆さんの生活がマイナスにならないようにいろんな努力をしてきた。それが税制の改正であり、あるいはまた財政の出動であったと、思い切った財政の出動であったと思います。  その財政の出動をめぐって、いわゆる財政再建論、財政構造改革論が出ているわけでありますが、これはまたこれから着実に進めていかなければならぬことは言うまでもありませんが、同時にやっぱり体力をしっかりさせるということだろうと思う。今いろいろお話ございましたが、先々に夢がもしないとしたら、やはり今の経済を本格的な回復基調にすることが大事。そういう意味で、政府といたしましては、皆さんのお力をかりながら引き続き景気回復への軸足を置いているというのはそういうところでございまして、まずはいわゆる公需から民需へと、そして本格的な回復基調に乗るように最大限、今あと一歩というところでありますから、そこも今努力をしていきたいと、こう考えているわけです。  そして、新たな二十一世紀のこの十年というのは、私は百年の十年を律すると、このように施政方針でも申し上げましたけれども、百年の世紀、これを希望の世紀、人間の世紀、そしてさらにはまた地球の世紀、あるいは信頼の世紀という、そういう新しい二十一世紀社会というものをみんなで努力して、その目標に向けて歩んでいくということが大事ではないか、そのようなことを施政方針で申し上げた次第でございます。
  284. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございます。  ぜひ、日本人は底力はあると思いますので、ぜひ今のおっしゃいましたことを踏まえて、元気を出していきたいというふうに考えます。  次に、株価の下落の点につきまして、一、二御質問をさせていただきたいと存じます。  株価の下落が歯どめがかかりません。そして、低迷状況がもう本当に長期化しております。ここ一年ほどの株価の動向を振り返ってみますと、昨年三月末の日経平均株価が二万円台をキープしていたところ、ことしになりまして一万三千円台、あるいは最近では一万二千円台に落ち込んでしまったと、こういう状況でございます。  この間の日本の景気、回復の力こそそれほど強くはないわけでございますけれども、そこそこの回復過程をたどってきたと言われまして、同時に企業業績も改善してまいりました。政府では、今年度の経済成長率の見通しを一・二%、また来年度に関しましても一・七%の成長が確保できると言われているわけでございます。また、今年度の企業の経常利益も、日銀短観を初め多くの調査では増益、増収の予想になっているわけでございます。株価は、ところがこういったマクロの景気とか企業業績を全く反映していないわけでございます。  株安の主な原因を挙げてみますれば、三月の年度末まで相場を引っ張ってまいりましたハイテク株が行き過ぎの反動で大きく売り込まれたこと、あるいはアメリカの株価が昨年夏場以降、原油高でありますとか金融引き締めの影響で企業業績が下方修正されて、そして低迷したことのこういった影響を受けたこと、そしてまた内外投資家の間で持ち合い株の解消が進んだこと、大手生命保険会社の経営破綻などが挙げられると思います。  また、最近の株価の下落には、実は政治の低迷がかなり影響していると言われているわけでございまして、こういった指摘に対しましては、私たち政治家が真摯に耳を傾け、襟を正し、そして国民政治不信を招かないような最大の努力をしなければならないというふうに考えるわけでございます。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  内閣府におきまして、この株安の要因、原因をどのように判断されておられるんでしょうか。投資家の行動を見ますと、とりわけ昨年は外人の売りが大量に出て、そして相場の足を引っ張ったと言われておりますけれども、こうした投資家行動も含めまして、株安の要因、経済財政担当大臣にお伺いしたいと思います。
  285. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先ほど言われました二万円との比較の点につきましては、先ほど北澤先生の御質問にもお答えしましたように、昨年の四月二十四日で対象銘柄の組みかえをいたしておりますので、その対象銘柄の組みかえが前のとおりであれば、今の株価の状況であると一万六千三百三十三円ということになりますので、現状の銘柄組みかえ以後との株との差は三千六百円あるというのがまず第一点で、単純にちょっと比較はできないという点はぜひ御認識をいただきたいところであります。  また、株安の原因につきましていろいろありましたので、これはもう先生、基本的には企業経営者の側からいえば、自分の会社の収益がもしくは会社のバランスシートがよくなったのを評価されて、それによって自分の会社の株が上がる下がるというのが一種の成績表としては大事なところであって、その他の要因で上がったり下がったり、ちょっと何かでぱっと上がったりするのは経営者の側からいえば甚だ第三者的な話ですので、その種のことで影響されるのはよしとはされないんですが、いわゆる投機的なものが関係いたしますので、いろいろな要件がかかわってくると思っております。  外国人売りが多かったというのは、やっぱり九〇年代を通して、外国人売りは日本の株式で取引されております中の大体一〇%前後と言われて、まあ少し切ったりしておるんですが、大した額じゃないじゃないかとお思いかもしれませんが、問題は過去十年間ぐらいの間で見ますと、売り越したり買い越したりしている部分でいきますと、売り越しの部分の約五〇%ぐらいが外国人、買い越しているうちの部分が五〇%は外国人というところが非常に大きな影響を与えておると思いますので、少なくとも昨年から円安に振れたところが、外国人にしてみれば、円高というのは日本の株を買っても円高によってさらにドルで計算すればプラスになりますので、そういった意味では、いろんな意味日本の株を買っていた大きな理由が、円安に振れたというところが外人売りを誘っている一つの大きな理由だったと分析は成り立つと思っております。  ただ、会社の収益だけを純粋に見ますれば、おととしに比べて昨年の会社の収益はいずれも上がっておりますので、ことし三月期も収益は間違いなく上がっておりますから、そういった意味では株の評価というのは少々著しく低過ぎるのではないかという御意見が多くあるところだというのも私ども理解をしておりますが、立場上、ちょっとこれが幾らとかなんとかなかなか言えないところでもありますので、その点の評価なり発言は控えさせていただきたいと思っております。  ただ、この株につきましては、なかなか最近は、株というのは何となく扱ったらいかがわしいものかのごとき雰囲気になりまして、議員はすべからく株を扱っちゃいかぬことになっておりますので、株は何か自分は持っていないとなかなか株式欄も見られなくなります方も多いので、株式というものについては、今、清水先生のように御認識を多くの方々に持っていただくというのは大変大事なことでして、株というものはいろんな意味で社会の一つのシグナルとしてはいい指標になるという意味では、ぜひこれは、怪しげなものではなくて正しく評価されるべきものだ、もっと啓蒙されてしかるべきものだと、私どもはそう思っております。  いずれにしても、株というものが今後とも、間接ではなくて直接に企業にとっては資金を集められるという意味では、株式の評価というものは直接金融にとって非常に大きな要素を占めますものですから、そういった意味では、今後ともこの株価の動向というのは非常に大事なものだと思っておりますので、私どもとしては、この株式の内容がどのような形で下がっておるかということの一つに、税制の問題とか、海外先進諸国に比べて株について持っていた方が得とか損とか、いろいろなルールが国際比較をすると少し違ってくるところもあると思っておりますので、こういうものを含めて検討されるべきだと思っております。
  286. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今、詳しくお話をいただきました。私自身、政治家が株を買えないということもありまして余り関心が持てていないのですけれども、こういった機会にいろいろ勉強させていただきまして、多くの方々が株に関心を持ち、そしてその動向を非常に見ているということを実感しているわけでございます。ただ、その株価の下落の影響というのは非常に深刻でございまして、個人や機関投資家の資産価値が目減りすることによりまして、消費・投資活動などが抑制されます。  また、民間の研究機関などが試算したところによりますと、日経平均が千円下落すると一年間の実質GDPの成長率が〇・一%ほど下がるというふうに言われているわけだそうでございまして、この一年間で日経平均が二万円から一万二千円、先ほど御訂正もございましたけれども、一万二千円と八千円台下落してきたわけでございますので、単純に計算すれば〇・八%実質GDPが低下することになる、こういう計算になるわけでございますよね。そうしますと、潜在成長率が二%程度、そして平成十三年度の経済見通しが一・七%と言われる中で、〇・八%、非常に大きなインパクトがあるものというふうに言えると思います。  株価が下がりますと、金融機関が持っております株の含み益が減ります。含み損の拡大につながるわけでございまして、大手行、九二年から九九年までに四十五兆円にも及ぶ不良債権の直接償却と貸倒引当金によります処理を進めてまいりましたけれども、今後もある程度の処理を進めなくてはならないわけでございます。しかし、このような状態のままでございますと、不良債権の償却が進まないということになりまして、銀行の財務体質の改善がおくれるということでございますし、またひいては日本の企業の体質改善が進まないことにもなります。  こうしたさまざまな影響が予想されるわけでございますけれども、経済財政担当大臣のところにおきましても、この株価下落の影響を分析されているというふうに思うわけですね。それを御説明いただけたらありがたいわけでございます。  また、行政といたしまして、証券市場に対して何らかの対策の必要性を認識されておられるかどうか。もしそういうことをしておられるとすれば、どんなことになりましょうか、わかる範囲で教えていただけたらというふうに思います。
  287. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、株式の価格の低落によってというお話がいろいろあっておりましたけれども、これはやっぱり、銀行が持っております株というものは、その株式の評価が下がることによって自己資本というものに影響いたしますので、そういった意味では株というものの評価が下がる上がるというのは非常に大きなものだと思っております。  そういった意味では、銀行にとりましては、ある程度預金が減っても、預金が株に、株式市場に回る、預金市場から株式市場に回ることによって、預金が減っても株価が上がればその方がという計算もこれは成り立つわけでして、いろんなことをやっぱり考えられて企業の方でもいろいろ対策を考えておられると、私どももさように理解をいたしております。  それに当たりまして、私どもとしては、やっぱり株の対策というものはどうしてもこれは、いろいろ今景気対策の一環としてこの株の問題というのを大いに検討せにゃいかぬところだと思って、いろいろ検討を開始しつつあるというのは確かでして、ちょっと今はそれがどれとなかなか言いにくいところなものですからその点は御容赦をいただくとして、今は株式の対策を考えねばならぬと、私どもの方でもさように理解をしております。
  288. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひ有効な対策を考えていただきたいと存じます。  それでは、次に教育問題に入りたいと存じます。  総理は、御就任以来、教育改革、これを森内閣の主要課題に掲げてきているわけでございまして、特に今国会、教育改革国会というふうに名づけていらっしゃるわけでございます。そして、直ちに取り組むべき課題については今国会に一連の教育改革関連法を提出するというところと伺っております。  そこで、教育問題でございますけれども、我が国の教育現場を見ますと、これまでもいじめだとか不登校あるいは学級崩壊、さまざまな問題が提起されておりましたけれども、マスコミ報道を見ますと最近ではその混乱が一層深刻化しているように思われます。さらに、家庭でありますとか地域社会での教育機能が低下しておりますし、また大学生の学力も低下している、あるいは犯罪者の年齢が低くなっているというふうに、もう教育の問題というのが教育の現場だけでなくて社会全体に広がってきているというふうに思います。こうした状況を考えますと、戦後五十年以上本質が変わらず、知識の詰め込みあるいは偏差値競争をずっとやってきた、そういったところに偏ってきた日本の教育のひずみをどうしても考えざるを得ないわけでございます。  戦後、長らく続きました経済の高度成長期には組織の一員として、そして歯車の一つとして働くステレオタイプの労働者、これを大量に教育しなきゃならなかったという、そういう要求もあったと思います。そして、そういう方向で教育行政も運営せざるを得なかったという状況だというふうに思います。  しかし、九〇年以降、やはり様相がずっと変わってきたのではないかというふうに思います。経済も低成長が恒常化しております。人、金、物のグローバルな交流も進みました。そして、社会が求める人材というのは、もう全体に流されないで、そして独創的な発想ができ、そして自分の信念に基づいて行動ができる人たち、そしてグローバルな交流もできる人たちといったような人間像に変わってきているんじゃないかというふうに思います。残念ながら、戦後の我が国の教育というのはこういう面で少しむとんちゃくだったかなというふうに感ずるわけでございます。  そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、戦後、総理も文部大臣もなさったわけでございますけれども、これまでの教育行政をどう総括しておられるでしょうか。そして、これから社会が求める人材の育成、あるいは日本人として国際的に評価される望ましい人づくりという観点からどうお考えでしょうか。ぜひ、その総括の上に立って、これからどういう教育改革を進めようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  289. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今、清水委員から各般にわたり戦後の教育のあり方につきまして御指摘をいただきました。それぞれ大変ごもっともな御指摘をいただいたかなと、こう思っております。  学校の現場を見ますと、今御指摘のような学級崩壊等々の大変難しい問題が起きております。なぜそうなるのかなと、いろんな原因があろうかと思いますけれども、やっぱり戦前の社会のあり方から戦後の社会というものにある意味では急激に針が振れて、振り子が振れて、戦前の言うならば揺り戻しとでもいいましょうか、個人の尊重ということを言ってきた。それはそれでいいと思いますが、余りにも国民が、あるいは教育の現場で公というものを軽視してきた、そうした問題もあったかと思います。あるいは平等がいい、これはこれでいいことなんですけれども、機会の平等から結果の平等へと、平等が行き過ぎると悪平等になる。そのことがまた教育現場をゆがめてきた、子育てというものをゆがめてきて、子供の個性とかあるいは特色を伸ばすという点に欠けてきたんじゃないんだろうか。そんな反省に立ち、さらに今御指摘のあったようなグローバル化とか科学技術の進歩でありますとか、そうした社会の変化に教育というものが必ずしも適切に対応できてこなかった。  そうした意味で、私は、今の教育というものが学校のみならず家庭教育も社会教育も危機的な状況にあるという、そういう認識に立って、先般、教育改革国民会議の最終報告が出され、それを受けた形で文部科学省といたしましても、一月に入ってから二十一世紀教育新生プランというものをつくり、総理の御指導のもとでしっかりとこれを推進していきたい。  この国会でも、予算の中に数々の中身が盛り込まれておりますし、また六本の法律を今回この国会で出させていただきたい、御審議を賜りたいと、かように思っておりまして、全力で取り組んでいく決意でございます。
  290. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 私は総理に御答弁いただきたいと思ったわけでございますけれども、今、大臣お話しくださいました中で、この教育改革国民会議の問題、最終報告が出されまして、それはもう総理がリーダーシップをとってつくられたというふうに思っております。昨年に、「教育を変える十七の提案」ということで報告を出されたわけでございまして、これによって総理がこれから進められる教育改革の方向というのがある程度明らかになってきたんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  総理は、施政方針演説の中でも、教育改革国民会議の最終報告では、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたる御提言をいただきました。この国会において、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいります、という決意表明をされているわけでございます。  一言総理に、この国会においてどのような教育改革をなさるお考えなのか、総理の頭の中にある教育改革のイメージといったものがございましたら、ぜひお答えいただきたいと思います。
  291. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 清水議員からも御指摘がございましたように、戦後、やはり世界に目を開いてみて日本が何がおくれていたのか、そうしたことの反省の中からやはり欧米に追いつけ追い越せということ、これが一つの国の方向だったと思います。それが、ある意味では経済優先、産業優先という、そういう国の流れにやっぱりなっていったと。  そして、本当に人づくり、人間性というものをもっともっと大事にしていくという、そういう教育が、本来なら初等中等教育、あるいはもっとそれに、前からいえば幼児教育も含めてでしょうが、中等教育、高等教育と、こう年齢に応じてそういう学問というのが幅広く進められていかなければならなかったんだけれども、どうしてもそういう産業優先という、経済というものが前に出たために、結局大学に入るための高等学校、高等学校に入るための中学校、小学校、あるいは幼児教育、さらには家庭教師、塾通いということになっていってしまって、学校の教師もそうだろうし、家庭の親たちも、人間教育、全人教育というそういうことよりも、できる限り上級のいい学校にいい進学ができるように、それができ得る先生はいい先生だというそういう評価というのは、やっぱり私は否定できない社会の戦後の流れだったのではないかなというふうに思います。  今日の社会のいろんな病理現象がございます。きのうもちょっとテレビの、夜、ニュースを見ておりまして、どうしてこんなに若いお母さんが自分のおなかを痛めた子を虐待するんだろうか、どうしてもわからないんですね。  先日も日曜日、私の、母になった娘が、こんなことは昔もあったんじゃないんですかと、そのことが外に出なかったんじゃないでしょうかと、こう娘が言うから、違うだろうなと、恐らくそれは地域社会全体でやっぱりかばい合っていたり、あるいは三世代、四世代という家族の中で、みんなで子供たちを慈しんできたのじゃないのかなと。  最近は、そういう意味で本当に、お母さんになることは簡単になれても、お母さんであるということの難しさというものがどうもわからないままに大人になっていくという面もある。これも、やっぱり私は日本の教育の一つの反省でなければならぬのではないかなというふうに感じました。  たしか、きのうのテレビを見ておりましたら、そういう虐待するお母さん方が、何か東海大学の教授、助教授のもとに集まって意見交換をする、そういう何か会があるというんです。子供を虐待すること、殴ること、もう血を出すぐらい殴ることを、顔は隠されていましたけれども、堂々とそんなことを語り合う時代というのは、これは大事なんでしょうけれども、我々からはちょっと考えられないことがこの社会の中にいろいろ起きているということなども考えてみますと、本当にもう少し原点に立ち返って、人間が人間を教えるんだよと、家庭も社会も学校も人間が人間を育てることによって人間になるんだという、この原点を私はやっぱり日本の教育の大事な柱にしなきゃいけないんじゃないだろうか。  そういう考え方を基調にして教育国民会議に御答申をいただいて、そしてその中でできるだけやり得るものは、学校教育法等そういうものはこの国会でお願いができるように町村文部大臣にお願いをいたしておりますし、もう少しこのバックボーンである精神的なもの、そういうものの支柱から考えると教育基本法などももう一遍反省の中から考えてみる必要があるのではないか、そういう御答申もいただいておりますので、いわゆる中教審でもう少し、どういう新しい教育基本法がいいのか皆さんでひとつ知恵を出し合っていただきたいということを今、文部大臣からその中教審にお願いをしているところでございます。
  292. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。総理の教育にかける熱意、伝わってきたというふうに思います。  そこで、今の教育改革国民会議の報告を受けまして文部科学省では二十一世紀教育新生プランというのをお立てになって、そして具体的に作業を進めるというふうに伺っております。そこで幾つかのポイントになることをお伺いしたいというふうに思っております。  一つが、まず奉仕活動の問題でございます。  これ、大変注目を集めているわけでございまして、最近の子供たちの状況を見ますと社会性だとか思いやりの心などが十分育っていないという指摘がなされているわけでございまして、このような中でこれから我が国の二十一世紀をしょって立つ子供たちの健全な育成を図るために、どうしてもこの奉仕活動を促進するということは極めて重要なことであるというふうに私も認識しているところでございます。  具体的に、小中学校では二週間、高等学校では一カ月間、共同生活などによる奉仕活動を行うということが提言されています。加えて将来は、満十八歳後の青年すべてに一定期間、環境の保全だとか農作業だとか高齢者の介護など、こういった分野におきましての奉仕活動を行うことを検討し、そのための社会的な仕組みをつくるということも提言されているわけでございます。こういった奉仕活動を通じまして、若者が社会に奉仕することの喜び、あるいは共同作業をみんなでなし得る達成感、こういったことを実感することの教育効果というのは非常に大きいというふうに思っております。  先行的に、兵庫県がこういったことをやっていらっしゃるというふうに伺っております。奉仕活動に参加した生徒の登校拒否が治ったというような効果もあったというふうに伺っております。私自身も兵庫県に伺いましたときに、病院に学生、子供たちがやってきて、そこで残した感想文などを見ますと本当にもう生き生きと、初めてお年寄りを見てお年寄りをさわったというようなことが書かれておりまして、大きな感銘を受けたんだろうなというふうに感じました。  しかし、一方におきまして、この奉仕活動というのは強制するものじゃないんじゃないかと、一人一人の自発的な意識によって行われるものであってという消極的な意見も一方にあることも事実でございます。  そこで大臣には、この奉仕活動を小中高で教育する、あるいは青少年教育の一環として取り入れるということに対して御意見をちょうだいしたいと思います。
  293. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 小中高等学校の学生がいろいろな社会奉仕活動あるいは体験学習といったようなことで学校の外に出ていって、例えば特別養護老人ホームに行くあるいは保育園に行く、あるいは地域の皆さん一緒になって清掃活動をする、その一番いい例が先ほどお触れになった兵庫県のトライやる・ウイークというのがあるわけでありますが、そういった活動をすることの意義というのは、私は大変大きいと思っております。  今、委員御指摘のように、これは強制するとかしないとか、ボランティアと言うに反するとか、言葉の定義をいろいろ皆さんやっておられますが、私はそんな言葉の定義の問題ではないと思っておるんです。学校活動の一環でやるときはこれはもう、強制でもあるとかないとか言うまでもなく、学級全員でやることでありますから、それは行けば必ず成果が上がる。今、委員御指摘のように、行ってみると明らかに子供たちが変わるんですね。やはり優しい心、相手を思いやる気持ち、そういったものが自然に身についてくる。そういう活動は大いに活発にやりたいと、こう思っておりまして、平成十三年度予算の中にも、そうした青少年の社会性をはぐくむための体験活動総合推進事業であるとか、保育や介護に関する体験活動や職場体験などを推進する学校教育における体験活動等総合推進事業などなど、重要な予算が盛り込まれているところでございます。こうした活動をさらに活発にできるようにやっていきたい。  なお、十八歳後の青少年のこの奉仕活動のあり方、これにつきましてはいろいろな議論があろうかと思います。どういう形でこれを進めていったらいいのか幾つかのモデルを考えてもらいたいということで、これから中央教育審議会に少しく専門家のお知恵もかりて、例えばこういうやり方もあります、こういうやり方もありますというようなのを示して、それで国民皆さんにもう一度お考えをいただき、できるものからまた実行していく、そんな形で十八歳後の方々への奉仕活動というものについてはもうちょっとお時間をいただいて、しかし煮詰めていきたいなと、かように思っております。
  294. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。  次には、教員の問題でございます。  この新生プランに教員に関しましては「教える「プロ」としての教師の育成」というふうな表現がございまして、珍しい方向かなというふうに思っております。確かにそうだと思いますが、まず教員にどういうふうにいい人を確保するかという問題でございます。  このプランの中には、不適格な教員に対する人事管理システムでありますとか、教員の社会体験の研修でありますとか、免許更新制の検討などによりまして、広くいい教員を育成するんだ、創造を進めるんだという方針が出されているところでございます。  私は、やはり教育の本質というのは人と人との人格的な触れ合いにあるというふうに考えているわけでございまして、特に学校教育の直接の担い手であります教員には、児童生徒との人格的な触れ合いを通じまして、個性、能力に応じて適切な指導を行うことが求められるわけでございます。そのため、教員としてふさわしい資質、能力を備えた人材を確保するということは、もう当然学校教育の成否を左右する大きな課題だというふうに思っております。これからの教員には、確かに教科に対する専門性が必要だということはもちろんでございますけれども、これまで以上にやっぱり人間的に幅広い方が必要ではないかと、そして児童生徒に対する深い理解が必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  しかし、こうした資質、教員に求められる資質というのは、今のように学力を重視したような教員の採用方法ではとても見ることはできないんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。教員に求められる資質、能力の変化に対応して、教員の採用方式といいましょうか、こういったものも少し考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。  しかも、これからは人が採用される枠がすごく狭くなってくるような状況でございますので、ぜひ、いかに優秀な、優秀というのはつまり成績だけが優秀という意味じゃなくて、本当に適任な教員を採用するのかということが必要だと思うんですが、その辺についての御意見をちょうだいしたいと思います。
  295. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 先ほど総理からもお答えがあったように、人が人を教えることの大切さ、また逆に言うと難しさというものがまさに教師という職業にあろうかと思います。今、委員御指摘のように、教員養成から教員を採用し、そして採用後研修をする、やっぱりそれぞれの段階でいろいろな工夫が要るんだろうと、こう思っております。  教員養成につきましては、平成十年に法律改正をいたしまして、例えばすべての教員にカウンセリングマインドを持ってもらう、そのためのカリキュラムの改革等もやっております。  また、教員の採用については、従来はどちらかというと御指摘のように成績重視といいましょうか、という形が多かったようでありますが、今ではすべての都道府県あるいは政令市などの採用で面接というものをより重視する。成績は一定の水準に達しているかどうかというのを見て、その上であとは面接あるいは実技、あるいは社会人としての経験、青年協力隊に海外で貴重な経験をしているかどうかと、そうした面を幅広く見て面接を重視していこうということで採用を今進めているところであります。  ただ、この面接重視というのは、とかくまた逆の意味から、何か縁故採用、情実採用ではないかというようなあらぬ批判も出たりしますが、私は、そんな批判は気にすることなく、思い切って面接で情熱とまた子供を引きつける魅力のある人を採用できるようにしていきたい、こう思っております。  また、研修については、特に十三年度からは長期の教員の社会人体験といったようなものも取り入れてやっていきたい。  このようなことで、さらに新しい施策として、不適格な教員、もう子供に対して、子供の顔を見るとしゃべれなくなるような先生もいるんですよね。そういう方はやっぱり教壇からお引き取りをいただいて事務系の仕事に移ってもらうといったようなことなどをできるように今回は法律改正も考えているという意味で、各般の政策によりプロとしてのいい先生がしっかりと働けるように努力をしていきたいと思っております。
  296. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。大いに期待をしたいと存じます。  次に、飛び級でございますね、十八歳で大学に行くという形を変えてきた、この問題でございます。  教育改革の方向の一つとして、これから先行き不透明な社会の変化に的確に対応できるような個性豊かで創造性に富む人材を育成しなきゃいけないと、これはもう皆さんの共通課題でございます。このため、子供たちの個性をかけがえのないものとして尊重し、その能力や適性に応じた多様な柔軟な教育を目指して、教育システムの一層の柔軟、弾力性を図るということが不可欠だというふうに言われております。  特に大学の入学でございます。これは我が国だけでなくて世界の将来も担う、こういった人材を育成するということを考えますと、もう本当に個性に応じたすばらしい方々を育成しなきゃいけない、そういうチャンスをつくらなきゃいけないというふうに思うわけでございますけれども日本では従来から十八歳でなければ大学に入れなかったと。しかし、もしすぐれた能力があればそれを少し緩めて早く大学に入学させてもいいんじゃないかということで、一人一人の能力を伸ばしていくための方策がとられているわけでございまして、この平成九年から、高等学校から大学への飛び入学制度というのが取り入れられたというふうに聞いておりますけれども、何人かの人が入っているわけですが、ただ、その対象が数学と物理というふうに限られているというふうに伺っております。  今後、この方針によりますと、もういろいろな分野で教育年齢の多様化が進められていくのかというふうに思うのですけれども、ただ一方におきまして、例えばアメリカなどでこういうことがかなり行われているわけですけれども、例えば精神年齢あるいは体力、こういった差があるために、若い子供たち、子供たちというより若い年齢の人たちが大学の教育の中でちょっと疎外されるというような問題が出ているというふうにも伺っているわけでございます。当然のことながら、受験競争への影響なども十分配慮しながらこういう制度を取り入れなければならないというふうに思うんですけれども、それをどんなふうにお考えでしょうか。
  297. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 私は一般論で申し上げますと、年齢が一つとると学年が一つ上がるというのは、一見当たり前のようでいて、そんなに当たり前であってはいけないんではないかと思っているんです。  やっぱりその子供の理解の度合い、生育の度合いに応じて上がっていったり、もう一度留年をしたり、あるいは飛んだり、私はいろいろあっていいと思うんですが、どうもこれは先ほど申し上げましたまさに悪平等、結果の平等の行き過ぎということで、とにかく何歳の子供は何学年でなければならないというのを全部横で決めているわけですね。大部分の生徒はそれでもいいかもしれないけれども、ゆっくり進んだ方がいい子にはゆっくり進めるように、また早く進んだ方がいい子には早く進めるように、もっといろいろな選択肢を持っていた方がいいと、私はそういう一般論でそう考えております。しかし、戦後の余りにも平等平等という観念が行き過ぎている社会の中でこれを言うと、えらい過激なことを言うというふうに言われるかもしれないが、私はその子供の幸せを考えればそれが一番いいと思っております。  という前提に立って、今飛び入学のお尋ねがございました。今までは、高校二年から物理、数学で特にすぐれたという限定があったのでありますが、今回、法律改正いたしまして、分野を限定せずに、本当は私は高校一年でもいいと思っておりますが、とりあえずは高校二年からということで、高校に二年以上在学した者で特にすぐれた者については大学に進んでもいい。ただ、これは念のために申し上げておきますが、早く進むことが、決してそれだけがいいことだということを言うつもりはございません。何度もやり直しがきいたり、ゆっくりやるのがいい人、早くやる方がいい人、それぞれあっていいという中での飛び入学だと、こんなふうに御理解をいただければと思っております。
  298. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございます。  それでは、青少年を取り巻く有害環境の浄化、これも指摘されているところでございます。  犯罪の低年齢化だとか青少年犯罪の凶悪化あるいは頻発化、本当に近年そういうことが目立ってきております。これには多くの要因が作用しているわけでございますけれども、一部、青少年をめぐる環境の悪化、具体的に言いますと、青少年への情報だとか商品、サービスの提供が、売らんかなというような商業主義に乗りまして、全く無節操、無秩序に行われてきたというようなことも影響しているんじゃないだろうかという指摘がございます。  こうした問題意識というのは国民の多くの共感を得るところではないかというふうに思っているわけでございますけれども、この教育改革国民会議の報告におきましても、「国は、子どもを有害情報等から守るための」「取組を支援するとともに、そのための法整備を進める。」というふうに主張されているわけでございます。しかしただ、業者の方からいいますと、情報とか商品とかサービスの提供を規制するというのは、これはもう憲法に違反するんじゃないだろうかというような反対意見もあるわけでございます。  大臣、これからの青少年の健全な育成を図るために一体どういうふうに進めていらっしゃるお考えなのか、そしてまた憲法問題との整合性をどう考えていらっしゃるのか、お伺いしたいのです。  また、もう一つ、我々参議院自民党におきましてこの問題をかなり前から取り上げておりまして、ぜひ青少年を有害環境から守る、そして健全に育成できる環境をつくるために必要な法律をつくろうということで、取りまとめ作業をかなり進めているところでございます。今できるだけ早く国会で御審議いただきたいと思っているわけでございますけれども、そういったものについてもちょっと御感想をいただけたらありがたいと思います。
  299. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 青少年を取り巻く有害環境というものが年々ひどくなっているということを私も大変憂慮しておりまして、大臣就任直後から、映画、ビデオ関係者とかあるいはコンビニの関係者とか、あるいは放送関係者等々の代表の方とお目にかかりまして、とにかく彼らは今自主規制をやると言っているんですから、それならばもっと徹底してしっかりやってくださいというお願いを既にしたところでございます。ただ、それで十分かどうかということについていえば、まだまだだなという気がいたします。お金もうけのためなら何でもやるという今の御時世、私はやっぱり大人の社会の大きな問題がこういうところにあるなと、かように思っております。  二十一世紀教育新生プランの中でも、有害情報から子供を守ることということで項目を掲げておりまして、そのために各般の努力をしていきたいと、かように思っているところでありますが、特に今、委員御指摘の自由民主党の中で青少年社会環境対策基本法案ですか、こうした御検討をいただいているということもよく承知をしておりまして、別に表現の自由等を縛ろうというそういう発想ではなくて、子供のよりよい教育環境をつくろうというそういう積極的な御提言だと、そのための検討が進んでいると、こういうことでございますから、政府といたしましても、これは文部科学省だけの問題でもございませんので、関係省庁と協力をしながら政府全体として取り組んでいきたいなと、かように思っているところであります。
  300. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。  私たちも所期の目的が達成できるようないい法律をつくりたいと思っておりますので、その節はよろしくお願い申し上げます。  もう一つ、青少年を有害環境から守ることの一環といたしまして、青少年とたばこの問題について少しお伺いしたいと思っております。  ちょうどこの一月に、公明党の元議員でいらした渡部先生からのお呼びかけをいただきまして、若者、特に若い女性の間でふえております喫煙の問題に警鐘を鳴らそうということで少し運動を始めました。発起人として医師会の坪井先生も入っていらっしゃるんですけれども、医師会におきましても、四月からは禁煙キャンペーンを実施するというふうな動きが出されておりまして、大変結構なことではないかというふうに思っております。  たばこと健康影響、これはかなり疫学的なデータもそろっているわけでございまして、WHOでもかなり前から警鐘を鳴らしているわけでございます。日本でも年々喫煙率は下がってきております。下がってきてはいるんですけれども、若年者が減らないということでございまして、特に妊婦の喫煙と流産だとか、あるいは早産、死産、低体重児、先天異常、新生児死亡といったリスク、これとの関係が高まっていることが、これは喫煙によって、そういうことがわかっておりますので、日本はちょっと過大なたばこの広告でありますとか、町じゅうにあふれておりますたばこの自販機、非常に若者が誘惑に負けやすい環境がそろっているんじゃないかというふうに思うわけです。  先般、厚生労働省が健康日本21、そしてたばこの削減目標を掲げようとしたけれども反対に遭ってできなかったというようなことも報道されるくらいに、日本はちょっとたばこに甘過ぎるんじゃないかという指摘もあるところでございます。  ちょうど数日前の新聞でございます、EUのたばこの箱の警告文を強化する方向で一致したというのが出ておりましたけれども、恐らくこれは、WHOでこれからしようとしていますたばこ規制の枠組み条約の中身とすり合わせをしているようなものではないかなというふうに思っているわけでございます。  日本の場合は財務大臣の所管でございまして、製造たばこに係る広告を行う際の指針、こういった告示によって、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」というのがたばこに書かれているわけなんですね。国内はそうです、それでいいんですね。ところが、外国に出すときにはこれじゃだめだと。外国の規制を受けますので、かなり厳しいことが書いてあります。  そこで、私はぜひ、今はこのたばこ事業法の、たばこを売る方の業界でこういう規制をしているわけでございますので、規制というかそういう所管を財務省でしておられるわけですのでこうなるのかもしれませんけれども、たばこの警告文、このあたりはもう厚生労働省と一緒に、厚生労働省の知恵もかりて警告文なりをもう少しきちんとした方がいいんじゃないかというふうに思っているわけなんです。  それについて、まず財務大臣、御意見をいただきたいと思います。
  301. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) たばこ事業法というものがございまして、三十九条でただいま言われましたようなことについて文言を表示しなければならないということを言っております。現行の注意文言は、あなたの健康を損なうおそれがありますので吸い過ぎないように注意しましょうということになっております。  その他、行政といたしましても、基本的には業界団体への指示としては、未成年者に人気のあるタレント等を製品の広告に用いない、あるいは未成年者向けの新聞、雑誌には広告を行わない、小中高校の周辺の屋外看板広告には製品の広告を行わない、それから、たしか自動販売機の設置場所等々についてもいろいろ指示をいたしておりまして、財務省としてもたばこ産業を監督する立場でありますが、青少年の喫煙防止に向けて国の方針としての努力をまたたばこ会社にもするように指示をしておるという基本的な立場でございます。
  302. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 厚生労働大臣にお伺いいたします。  今、財務大臣のおっしゃるように、かなり業界の自主規制をやってくださっているということは伺っておりますし、確かにそうであろうと思いますけれども、しかし、まだまだ日本のたばこ業者というか厚生労働省の立場からいけばちょっと甘いのではないかと。  これはWHOが今たばこ規制枠組み条約をつくろうということで協議しているようですけれども、そこで見ますと、草案なんですけれども、例えば十八歳未満の青少年が利用できそうな場所へのたばこ自販機の設置を禁止するとか、十八歳未満の青少年を対象とするあらゆるたばこ広告の禁止でありますとか、ライトとかウルトラライトとかマイルドといったような特定の種類のたばこが他のたばこよりも害が少ないかのような印象を与えるような商品名を禁止というようなことが出ているわけで、これからどういうふうに協議されるのかわかりませんけれども、かなりWHOの方での指導も引き続きなされるというふうに思います。  先進国の中でやはり日本がまだまだそういう意味ではおくれているという印象を持つわけでございますけれども、これから特に健康日本21の中でも多少のこと、ちょっとこれ緩やか過ぎるかなと思うんですけれども、これをどうやって健康影響とたばこの問題を進めていらっしゃるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  303. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今、清水先生御指摘をいただきましたとおり、若年者の喫煙というのは大変大きな問題でございまして、平成八年とちょっとデータは古うございますけれども、未成年者の喫煙行動に関する全国調査というのがございますが、これを見ましても、高校三年生で毎日吸っているというのが二五%あるわけで、それで月に一遍でもというのを含めますと三六%ぐらいになるわけでございます。それぞれの生徒さんに書いてもらって、きちっと封をして、もう先生にはわからないようにして出してもらっている。厳重にやっていただいてこういう結果が出ておるわけでございまして、何とかこの未成年者の喫煙というものを減らしていかないと、いわゆる成人後のさまざまな疾病にも関係をしてくるということでございますから、そのPRも十分にしていかなければならないというふうに思っております。  それで、青少年の喫煙防止対策について平成七年三月に公衆衛生審議会におきまして取りまとめましたたばこ行動計画におきまして、未成年者の喫煙防止の徹底というのを大きな柱の一つにしているわけでございます。  それで、先ほど御指摘になりました健康日本21におきましても、この中で、平成二十二年、したがいまして二〇一〇年ですね、二〇一〇年までに未成年者の喫煙をなくすと。これはなかなか難しい話だというふうに思いますけれども、そこまで踏み込んで書いてあるわけでございまして、これはこれに沿って本格的にやるということになれば、大分かぶとの緒を締め直してやらないといけないというふうに私も感じております一人でございます。  また、財務省の方からも、大臣の方からも御説明ございましたが、たばこ販売業界に対しましては、未成年者の喫煙防止のための対面販売を心がけていただく、防止のための対面販売を心がけていただくとか、そうしたことを今始めているところでございます。  いずれにいたしましても、喫煙が及ぼします健康影響についての調査をいたしましても、肺がんになるというようなことにつきましてはかなりの方が御存じでございますが、心臓病でありますとか、歯周病といいますか、歯槽膿漏みたいなものに大変悪い影響を与えるというようなことについては非常に御存じの方が少ないといったようなこともございまして、もう少しこのPRにもきちっとしないといけないというふうに思っております。  WHOの話がございましたけれども、WHOにおきます健康被害を減少させることを目的とした決議、いわゆる一九七〇年以降十六回にわたって採択いたしまして、加盟国にも勧告をしているところでございます。  たばこ対策のための枠組み条約、先ほども出ましたが、この検討を促進する決議を採択しておりまして、平成十五年五月を目途に条約の採決をすることとしているわけでございます。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕  二〇〇三年でございます。したがいまして、あと二年ということになります。健康日本21の取り組みとあわせまして、このWHOの枠組み条約の取り組みへの積極的な参画を図っていきたいと思っております。  税制でございますとか、たばこ事業、広範な分野に及ぶ問題でございますし、外務省あるいはまた財務省、農林水産省、そうした省庁とも大変関係の深いところでございますから、関係の省庁とよく連絡をとりながらこれを進めていきたいと思っております。
  304. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。  今のお話でございますけれども、WHOのたばこの枠組み条約がこの五月にまた行われるわけですね。どうも今までの厚生省、日本から出てくる代表の様子が、一応それをすることは賛成だけれども、どうも後ろ向きの発言が多いんじゃないかというような批判も出ているわけでございます。ぜひこれはきちんとしていただきたいというふうに思います。  それから、さっきたばこの警告のところでちょっと触れませんでしたが、もうEUがかなりきつい改正をするわけですよね。二〇〇一年、また大きな改正をすると。今でも、例えばアメリカは、煙はがん、心臓病、肺気腫、妊娠障害などの原因になる、今禁煙をすればあなたの健康の重大なリスクを大幅に低減するとか、妊婦の喫煙は胎児障害、未熟児、低体重児出産を引き起こすおそれがある、この表現が今実はアメリカに行くたばこには書かれるわけですね。英語で書かれる、こういうふうに書かれている。妊婦の喫煙は胎児障害、未熟児、低体重児出産を引き起こすということがはっきり書いてある。日本ではたばこの吸い過ぎに注意しましょうだけなんですけれども、そこの、そういう違いがあります。  カナダでも、喫煙は死に至る可能性がある、妊娠中の喫煙はあなたの赤ん坊に有害である、シガレットは心臓発作や心臓病の原因となる。EUも、今でもたばこは、喫煙は吸う人を殺す、妊娠中の喫煙はあなたの子供に有害であると、とにかく具体的にかなり書いてある。  そうすると、今度もしこれが通りますと、日本の中では相変わらずああいう表現をしているけれども、外国に行くときには、外国に出すたばこは変えなきゃいけないということになるわけでして、これはちょっとやはりおかしいのではないかと。やはり日本の中でも注意すべきものは注意する。  吸いたい方にやめろと言うわけじゃないんですよ、吸いたい方はどうぞお吸いくださってもいいんですけれども、若い子供たち、特にそういう誘惑に負けそうな子供たちにきちんと教育するということは大事なことだと思いますので、財務省が持っておられますこの告示の中身について、ぜひ改正するというふうにしていただきたいというふうに思いますけれども厚生労働大臣、いかがでしょうか、協議していただけないでしょうか。
  305. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今御指摘になりましたように、そこのところは財務省の方とよく協議をさせていただきまして、できるだけ御期待にこたえられるようにしたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、喫煙全体を問題にいたしますとかなり影響も大きいと思うんですね。ここにおきましても、先生と私と吸わない者同士でございますと、それ行けどんどんの話になりますが、しかしこの中でもお吸いになる方もお見えでございまして、その皆さん方からは冷ややかな目で見られておるというふうに思いながら私も答弁をしているところでございまして、しかし未成年者に対してはというところは、ここだけは全会一致でこれは御支援をいただかなければならないわけでございまして、そのためにはやはりあらゆる方面に影響することでございますから、それぞれの影響するところにつきましては影響が緩和されるようなことも考えながら、トータルでこれはやっていかなければならないことでございますから、トータルでそういうことも考えながら、そして未成年者の喫煙につきましては毅然たる態度でいく、こういうことにしたいというふうに思っております。
  306. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。未来の子供たちのために今しなければならないことを一つでも解決できたら私はうれしいと思っております。  次に、社会保障の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。  子供の将来に対する不安、国民の将来に対する不安というのは、景気だとか雇用だとか、あるいは社会全体の構造変化の方向などさまざまでございますけれども、やっぱり一番心配しているのが高齢社会におきます年金とか医療、介護といった社会保障のあり方であることは間違いございません。世界一長生きできるような社会をつくり上げた我が国でございます。もう人生百年、人生百年を支える社会保障制度をつくり上げて、そして国民の生活基盤を安定させ、不安を取り除くことが政治に課せられた使命であると言っても過言ではないと思います。  日本国民皆保険、皆年金、達成されましてから四十年でございます。この間、とりわけ後半には、だれもが予想できなかった勢いでこんなに高齢化が進んできてしまって、また少子化も進んできてしまったわけでございますけれども、当初はとにかく社会保障制度は拡充の方向だけ進めばよかったわけですけれども、これからは充実とともに合理化というあたり、両方にらみながら改革していかなければならないというふうに思います。年金制度の一元化、あるいは医療保険制度の抜本改革、介護保険制度の着実な進展等、それぞれの分野で検討はされているわけでございますけれども、経済低成長の中で必要なサービスと負担を世代間でどう支え合うのか、社会保障全体の改革の方向が示されなきゃいけないのではないかというふうに思っております。  総理も、施政方針演説の中で社会保障の総合的な改革を主張されておられます。社会保障は、老齢期を迎え、また、疾病、失業などの人生の困難に直面したときに、社会全体で支え合う仕組みとして、国民の安心や社会経済の安定に欠かせないものになっている。今世紀、我が国は世界でも類を見ない急速な少子高齢化に直面し、経済の伸びを大きく上回って社会保障の給付と負担が増大することが見込まれているけれども、このような中にあっても、持続可能な社会保障制度を構築し、後代に継承していくことは、我々に課せられた重要な務めであるというふうに述べられているわけでございます。まさに、総理として社会保障改革の方向を示されたというふうに私も理解をしているわけでございます。  総理に、社会保障改革の大まかな内容、方向について御見解をお伺いしたいと存じます。
  307. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 新しい二十一世紀が開かれまして、経済社会改革は積極的に進めていかなければならぬということを先ほど申し上げましたが、その中でも特に国民の最大の関心は、いわゆる社会保障制度をどう改革していくかということだろうと思っております。  国民の安心、それから社会経済の安定にとってはこの社会保障制度は欠かせないものでありまして、特に急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、制度相互の整合性、それから連携等を図りつつ、持続的、安定的で効率的な年金、医療、介護などの制度を構築していくことが必要であろうと考えます。このため、だれもが意欲に応じて働き、健康で自立した活動をできる、いわゆる健康寿命を延ばすことによって社会保障のいわゆる支え手をふやす、それから給付を受ける者と負担する者の公平の視点に立って、経済、財政と均衡のとれた持続可能な社会保障制度を再構築するなどの理念や基本的な考え方に基づいて改革を進めることが重要であると考えております。  このような中で、先般、関連する諸制度の検討を含めまして総合的、包括的な改革に取り組むため、政府与党社会保障制度改革議会を発足させたところでございまして、国民的な議論のもとで着実な改革を進めてまいりたい、このように考えております。
  308. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今、社会保障の構造改革についての有識者会議の問題でありますとか、そこで、与党の協議会の後お話伺いました。ぜひいい結果が出てくることを望んでいるわけでございますけれども。  しかし、全般的に見ますと、有識者会議の報告にいたしましても、具体策としてはやっぱり高齢者を一律に弱者とするという考えを転換しよう、そして高齢者にも応分の負担を求めよう、高額所得者への年金給付のあり方等を検討するといったようなことが出されているわけでございまして、ちょっと見ますと、この報告書に対して、高齢者の負担が強調され過ぎているというような批判もあるわけでございますけれども、要するに、これは将来にわたる高齢者観の変化をどう認識するかという一点にかかってくるのではないかというふうに思っているわけでございます。  まず、総理にもお伺いしたいんですけれども総理御自身、高齢者観、どんなふうに考えていらっしゃるでしょうか、これからの高齢者観、お伺いしたいと思います。
  309. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 高齢者というのはどこで線を引くかというのはまたいろいろそれぞれによって違うわけですが、私も六十を過ぎて三年になりましたから高齢者の方に入るのかもしれません。  二十一世紀におきましては、人口構成上大きな割合を占める高齢者がその豊かな知識と経験を生かして社会において積極的な役割を果たしていくということがまず何よりも重要だろうと思います。  実際には、高齢者の多くは元気で社会的にも十分活躍できる、そういう方であって、年齢にかかわりなく意欲と能力に応じて働ける社会の実現を目指す、できる限り多くの高齢者が健康で就労や社会参加ができるような施策を進めていくということがまず何よりも大事だと考えております。  また、高齢者といいましても、その経済状況は、今も清水さんのお話もございましたように多様でありまして、全体としては現役世代より大きな資産を有するという状況にもあることから、所得、資産状況に応じてきめ細やかな配慮をすることは当然でありますが、その上で能力に応じて負担を分かち合っていただくことも必要ではないかというふうに考えております。
  310. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございます。  おっしゃるように、高齢者といっても元気なお年寄りの方がずっと多いわけだということで、その方々が、ずっと働きたい方が働けるように、いろんなことができるように、そういう明るい社会をつくっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  介護保険について少しお伺いしたいんですけれども厚生労働大臣にお伺いいたします。  いよいよこの介護保険制度が始まって約一年近くなってまいりました。いろいろの資料によりますと、やはりこのサービスの利用者が増加しているというデータが出てきております。とてもよかったんじゃないかというふうに思います。  しかし、先日の朝日新聞のデータによりますと、市町村の七割が用意していた予算よりも下回ったと。つまり、それだけ需要がなかったというようなことを書かれておりますけれども、これは恐らくこれから広がっていくのではないかなという期待もあります。  厚生労働大臣がこれまでの介護保険の実施状況をどう評価されているかということを伺いたいのと同時に、少し時間がなくなってまいりましたので、次に、この中でも特に私関心を持っておりますターミナルケアのことをあわせて御質問させていただきたいと思うんです。  先日、双子の御姉妹でありましたぎんさんが百八歳で亡くなられるということがございました。御冥福をお祈りしたいと思いますけれども、家族に見守られ、そして畳の上での大往生というお話伺いました。本当にきんさん、ぎんさんほど私たちに高齢社会の夢というのを見せてくれたお二人はいなかったんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  平均年齢が八十歳を超え、そして今後仮に百歳までいったにしても、私たち人間というのは死亡率一〇〇%の動物でございます。  平成十年に約九十四万人の方が亡くなっておりますけれども、この方々がどこで亡くなっているのかというのを見ますと、七九%は病院とか診療所という医療機関でございます。そして、自宅が一五・九%、だんだん減ってきているわけでございます。そして、今実際に在宅ケアを受けている方々でも七〇%はできるだけうちにいたい、それから施設に入っている方でも三〇%はできるだけうちに帰りたいと言っている方々がいるわけでございます。  ところが、今はとてもそれができないというのが状況でございます。介護保険が始まって当然在宅ケアが進むんだろうというふうに思っておりましたけれども、どうも必ずしもそうでもない、むしろ施設に入ってしまうというような状況を聞いているわけでございます。恐らくこれは本人がそこに入りたいというよりも家族が入れたいになっちゃっているんだろうと思いますけれども、これでいいんだろうかという問題でございます。  最近では、最期をみとるというようなことで、ターミナルケアの考え方が次第に理解されるようになってまいりました。そして、そういうところに医師とか看護婦の挑戦も始まってまいりました。  そういう中で、たまたまここで在宅ケア、在宅看護を実践している看護婦からいろいろデータも寄せられておりますけれども、例えばかなり、在宅の酸素療法でありますとか中心静脈栄養なんかをつけていながらでも最期を送った方々がいらっしゃいます。  そういう方々を見ますと、家族がどうしても最期の看護を見てほしいというふうに言われたのが亡くなる三週間くらいの間、そして一患者の平均の看護の費用が約八十万円、看護にかかった総時間は百八十時間、一日平均六時間の看護を受けていながら、そして看護にかかわった看護婦の数は平均総人数が二十六・五人というようなデータが出ております。家族としても、こうした在宅看護を受けたことによって、確かに例えば夜間のケアに不安があるとか、ケアがつらかったとか、患者にもっとしてあげたいことがあったとかいろいろありますけれども、しかし、うちでみとったことをもう九〇%以上の方はよかったというふうに言っておられます。こういう仕組みをどうやって普及していくのかという問題でございます。なかなかこれは大変なことだと思いますけれども、今の状況ではとても進まないというふうに思います。  今、医療保険でも訪問看護、ホスピスができますけれども、一回九十分しかできないとかいろんな制約があって、かなり御本人の負担が大きくなっているわけでございます。こういうところに働く看護婦、医師の努力も相当必要だと思いますけれども、こういうことについて、ぜひこれからもっとそれが進む、もういろんな例が、幾つか持っていると思いますので、そういうところから実態を聞いていただきながらぜひこの方向を進めていただくようなこともお考えいただきたい。そうしませんと、それができませんと施設にみんな入ってしまうのはちっとも変わらないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひそのことをお願いしたいというふうに思います。
  311. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 時間が迫っておるようでございますから、二つまとめてお答えをさせていただきたいというふうに思いますが、ただいま御指摘いただきました介護の問題にいたしましても、それからターミナルケアの問題にいたしましても、御指摘のようなことがありますことは私もよく存じ上げております。  介護はスタートいたしましてから一年でございますし、総論で、大枠で見ますと順調にスタートをさせていただいたというふうに思っております。ただし、具体的な問題につきましてはいろいろの御指摘もございますから、そこは一つ一つ丁寧に見直しを行いながら進めていくべきだというふうに思っておりますが、やはり在宅介護というものを中心にしてスタートしたわけでございますけれども、なかなかやはり在宅介護というよりも施設でという思いというもの、それが社会には非常に強いということも私は紛れもない事実だというふうに思います。御本人はどうしても在宅介護でという思いがございましても、やはりその家庭環境というものがその方向に向かわないといけないわけでございまして、ここがなかなか受け入れられないという難しい面がございます。  ターミナルケアの問題も同じでございまして、おうちでやはり生涯を終わりたいという皆さん方は多いわけでございますし、またその方向に進めようという御意見の方も多いわけでございますが、しかしこれもまたなかなかそうなりにくい環境があることも事実でございます。  これは住宅環境その他の問題もあるというふうに思いますが、この辺のところは、日本の若い人たちを含めました意識改革、ここをやはりどうしても進めないといけない問題ではないかというふうに思いますし、しかしそれを可能にするようなシステムづくりというのはこれがなければできないわけでございますから、そのシステムというものを、皆さん方がそういうふうに思っていただければ、ターミナルケアを実現したいというふうに思っていただければ、それが実現できるようなシステムというものをもっともっとやはりつくり上げていかないといけないというふうに思っておりまして、これから具体的に、積極的に今後も進めさせていただきたいと思っております。
  312. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。  たくさんの質問を用意いたしましたのに、時間の配分が悪くて、たくさん通告いたしました閣僚の方々、申しわけございませんでした。また改めてさせていただきたいと思います。申しわけありません。  三浦議員にかわります。
  313. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 関連質疑を許します。三浦一水君。
  314. 三浦一水

    三浦一水君 自由民主党三浦一水でございます。清水嘉与子先生の関連の質疑をやらせていただきたいと思います。  まず冒頭、大変残念な事故でございましたが、えひめ丸の事故につきまして森総理にお尋ねを申し上げたいと思います。  先月、宇和島水産高校の漁業練習船えひめ丸が米国の原子力潜水艦グリーンビルに衝突をされました。えひめ丸は沈没後、乗組員二十六名は救助をされたところでありますが、大変残念ながらいまだ九名の方が行方不明となっている状況であります。  既にえひめ丸は発見をされておりまして、現在引き揚げについての検討が行われております。また、我が国からも引き揚げに関して米側と協議するための専門家ミッションが派遣されています。行方不明の家族を初め、日本側の関係者は一刻も早いえひめ丸の引き揚げを望んでおります。  私は消防団員として水難事故の捜索に立ち会ったことがございます。その際に、本当に水の中にいらっしゃるだろうという五歳の子供さんの捜索をしたわけでありますが、一昼夜かかりました。一番の気持ちは、なるべく早く水の中から救出してあげたい、そして毛布の一枚でもかけてあげたい、それは親御さんの気持ちばかりじゃなく消防団員すべての気持ちであったということを思い出します。  米国に対するこの引き揚げに対します要請、これを中心としまして、今後の政府の対応をまず森総理にお伺いを申し上げたいと思います。
  315. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 詳細また必要があれば外務大臣からもお答えを申し上げていただきますが、米国側も誠心誠意、この問題はまず米国側に責任すべてありという、そういう姿勢のまず対応をとられました。それは日本におられますフォーリー大使を初めとしての大使館の動き、あるいはブッシュ大統領からのお電話、そして我が方も外務政務官を派遣するなど、日本側の政府としては強い姿勢を、アメリカ側のそうした謝罪は謝罪として、しっかりと捜索をすること、それから沈没をした船をまず捜索し引き揚げるということ、さらにはその責任の所在、さらには究明、そしてこの後出てくるでありましょう補償の問題、そうした問題を政府としてはあらゆるチャネルを通じてこれまでアメリカ側に申し上げてまいりました。  宇和島の方々、つまりえひめ丸の犠牲者の御家族の皆さんも、お帰りになられて官邸で私はお目にかかりましたときも、一番やっぱりおっしゃっておられたことは、アメリカの国民性といいますか物の考え方と日本人の物の考え方、つまり文化の違い、あるいは価値観の違いとでもいうのでしょうか、そういういわゆる国の、国民性の違いといいましょうか、そういうものをやっぱり非常に感ずるということもおっしゃっていました。  私どもも当初からやっぱりそのことに非常に重きを実は置いておりました。ですから、今の査問委員会でも、我が国の防衛庁の専門家がこの査問委員会に立ち会うということにしたのも強い日本政府からの申し入れからきたものでありまして、やはり一方的な判断をされてはいけないということもございました。  あるいは、御家族も九名、しかもこれは同時通訳を備えていただいてこれを傍聴でき得るというようにいたしましたのも、日本側からの強い要望でございます。  あるいは、アメリカ側からいえば、深海にある船を捜索して引き揚げるということについては若干の私は当初やっぱりためらいがあったのではないか。また、そういう考え方であってはならないということで、我々は、場合によれば日本の深海探査船までアメリカに送ろうということも早い時期で申し入れたわけでありまして、そういうことが、アメリカ側がむしろ積極的にいわゆる深海の捜査を始めたということなどもございまして、いずれにいたしましても、まさにアメリカと一体になって、特に日本側の強い政府の申し入れ、強い御家族の皆さんの気持ちを体してアメリカ側に申し入れた形で、今日までの捜索あるいはそうした深海の調査、また沈没したえひめ丸の状況の把握などが行われているというふうに私どもは感じておりまして、そういう意味では、対応その他交渉等、政府として御家族の皆さんの御意見を体しつつアメリカ側と十二分に今日まで話し合いを進めてきたと、このように考えているところでございます。  これからそうしたいわゆる真相といいましょうか、原因の追求、そしてアメリカ側のその原因者たるビル号の人たち責任上の問題、さらにはこれから補償という問題に入っていくと思いますが、さらに政府のあらゆるチャネルを通じて、そうしたことに対して私どもとしましても強く日本側の主張を求めてまいりたい、このように考えております。
  316. 三浦一水

    三浦一水君 米海軍側では既に、今、総理からもお話がございましたように、ワドル前艦長を中心に、対象にして査問委員会が始まっている様子でございます。今、総理からもお話がございましたが、今回の事故原因として、原子力潜水艦への民間人の乗船、あるいはデモンストレーションの緊急浮上などが影響しているというふうに伝えられております。  米国の国家運輸安全委員会、NTSBの中間報告によりますと、えひめ丸を七十分前に探知をしておきながら民間人で込み合っていたため海図に書き込むことができなかったと伝えられております。また、ソナー監視の画面も故障をしており、さらに民間人が潜水艦を操作するレバーを握っていたことも明らかになっております。  我が国としてこのような事態はまことに遺憾である、何とも言いようのない怒りを覚えるわけであります。今、総理からもお話がございましたが、まずはこの米国側の事故原因の徹底究明を図ってもらいたい、これは当事者ならず国民の切なる願いじゃなかろうかと思います。  さらに、今、先にお答えをいただきましたが、補償の問題については本当に強く私は求めていくべきだろうというふうに思っております。その点、補償につきましてもう一度総理の御決意を聞かせていただければと思います。
  317. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 現在、えひめ丸に関します問題は、今、議員がお話しになりましたように、ハワイにおきましては審問委員会がきょう開かれておりますし、ワシントンにおきましては、日本側から政府ミッションが行っておりまして、技術的な問題についての先方との交渉が行われております。これは、つまり船体引き揚げ等についてもそこで議論をされることになると思います。  そして、今、議員がお尋ねになりました補償の問題でございますが、この補償の問題は、事故原因の究明が行われて、これがはっきりしないことにはなかなか補償の問題まで行かないわけでございまして、まずは事故原因の究明というものができるだけ早く行われるということが重要かと思います。それが行われますれば、その後にさまざまな角度で補償の問題について議論がなされなければならないと思います。  補償の問題は、日本の個人対アメリカの政府といいますか軍、海軍というような形になるかとも思いますが、その場合には政府としてしかるべきサポートをきちんとしなければいけないということも考えております。
  318. 三浦一水

    三浦一水君 次に、外務省幹部によります公金横領事件について、森総理、福田官房長官そして河野外務大臣にお伺いをしたいと思います。  この問題は、本当に腹立たしい思いで与党議員としても聞かざるを得ない問題でございまして、今回の松尾克俊元要人外国訪問支援室長による官房機密費の横領事件は、外務省の調査で判明した金額だけでも五千四百万円と伺っております。報道等ではこれをさらに大きく上回る大金が私的に消費をされ、国民の貴重な税金が政府の幹部によって横領されたという意味で極めて重大かつ悪質な事件であると考えております。  何かと非難の多い政治家から見ても、本当にこれはもうけしからぬという思いがするわけであります。競走馬が出てきます。あるいはゴルフ会員権の取得が出てまいります。まさしく言語道断と言うべきだろうと考えております。  さらには、こうした公金横領を見過ごした内閣官房外務省の予算執行の体制、あるいは公金の支出管理に対するずさんな体質は、これは国民の大変な不信と怒りを買っているところであります。  先般、ある会合で女性の方々と農業の話をしました。そうしたら、帰りにしっかり手を握られた反面で、三浦さん、この外交機密費の問題だけはもうどうにもけしからぬよ、予算ば削減しなっせと熊本弁で言われた婦人の方がいらっしゃったんです。これも本当に私も気持ちはわからないわけじゃないという気もいたします。しかし、そのことは後ほど私自身が私見としてまた述べさせていただきたいと思います。  いずれにしても、その意味で、今後このような事件が起こらないようにさらに国民の納得のいく事件解明のための調査を実施して、あわせて適切な再発防止策を講じることが国民信頼を回復するためにまず重要だと考えております。御認識を伺わせていただきたいと思います。
  319. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 三浦議員から御指摘がございました報償費につきましては、国民信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾でございまして、この事態を厳粛に受けとめますと同時に、政府責任ある立場といたしましても心から国民皆様にもおわびを申し上げたいと思います。  政府といたしましては、これは外務省として告発を今いたしておりますので、その捜査の進展も見ながら、原因の解明と、そして外務省自体、再発の防止に万全を期していくための指示を、いろいろとした検討を今いたしておるところでございます。その際、報償費の運用について点検を行った上で、より厳正かつ効果的な運用に努めて国民皆様に御理解を得たい、このように考えております。
  320. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま総理からも答弁なさいましたけれども、今回の不祥事、これは外務省の要人支援室長という人の起こした不祥事であると、こういうことでもあるんですけれども、そのもとが内閣官房の報償費だったということでありまして、内閣官房としてもこれはもう十分管理責任を感じているわけでございまして、このことについていかにこれからしたらよろしいかということも考えておるところでございます。まずは、この不祥事に対して申しわけないというように思っております。  今後、捜査当局、今調べておる最中でございますけれども、この真相解明に全面的に我々も協力いたします。そして、その進展を見ながら、原因の解明とそれから再発防止に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。  この際、報償費の点検ということもいたしておりますけれども、いかなる制度でもそうなんですけれども、運用する人によるものということで、これは運用する人の責任というのは非常に大きいわけでありますし、またその運用の仕方ですね、そういうことにもよるのでありますけれども、とりわけ、使途を公開しないというこの報償費については、これはもうこれを預かる者の責任は極めて重いというように思っております。こういうようなことに思いをいたしまして、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいりたいと、こう思っております。  付言いたしますと、昨年の四月から、平成十二年度からは旅費法が変わりました。今までのような宿泊旅費差額というものを支払うということはしなくなりました。したがいまして、従来やっておりました、そしてそれが事件のもとにもなったこの問題につきましては、今現在は解消していると。今後ももちろんそうでありますけれども、そういう状況になっているということは申し添えておきたいと思っております。
  321. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 総理からお話がございましたように、まことに外務省職員の不祥事ということで国民皆様方に心からおわびを申し上げる次第でございます。  今回のこの問題につきまして、外務省としては全力を挙げて事態の把握に努めたわけでございますが、何せ、御承知のとおり、外務省は強制的な捜査権限があるわけではございません。外務省として、省内の人間を呼びまして、任意の聞き取りあるいは任意の証拠書類あるいは証拠品の提出を求めたわけでございまして、その中から五千四百万円という金額を特定して、横領の疑いが極めて明白だということを確認いたしまして、一月二十五日に告発をした次第でございます。  先ほど議員もおっしゃいましたように、この五千四百万円という数字が今回の事件の全容では決してございませんで、これからなお捜査当局の捜査によって全体像が明らかになることになれば、まことに申しわけないことでございますが、この数字はふえるということになるというふうに考えております。  こうしたことを踏まえまして、私どもとしては再発の防止のために外務省の意識改革、そしてまた制度的に、あるいは新たなシステムの導入、そういったようなことを考えて、こうしたことの二度と起こらないように改善策を現在検討中でございます。
  322. 三浦一水

    三浦一水君 引き続き河野外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回の事件では、松尾元室長が総理外遊時の費用につきまして、巨額の官房機密費を個人名義の口座に入金をして、さらに個人カードで支払っていたということが巨額流用を招いた一つの温床になったものではないかと思われております。外務省の報告書では、公費支払いのためのクレジットカードの使用を開始するため、上司の指示ないし了解を得る手続を踏んだという形跡はないわけでございます。  問題は、今回のこの横領事件が発覚するまでこのようないいかげんとも言える支払い方法が野放しにされていたことであると思います。当然、松尾元室長が個人カードで決済していたことは周囲の外務省職員にも私は知られていたんではなかろうか、そう思います。松尾元室長から三代目の室長に業務が引き継がれた時点においてでもさらに問題視されるべきではなかったのかと思います。  外務省では、公金の支出に個人カードを利用することが常態化している、そんなふうには思いません。しかしながら、こうしたずさんな公金の支出体制が事件発覚まで引き継がれたという事実は非常に重たいものがあるんではないかと思います。  管理体制がきちっとしかれていなかったことに対する河野外務大臣の御説明をお願い申し上げたいと思いますし、この点につきましてはいかなる内部調査を行ってこられたのか、あわせて説明もいただきたいと思います。
  323. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、今回の問題は、ただ一度の不祥事ではなくて、それが数年にわたって、松尾元室長在任中およそ六年間にわたって問題が続いていたというところに私どもとしては大変大きなショックを受けると同時にまことに申しわけないと思っているわけでございます。  幾つか申し上げなければなりませんが、議員がおっしゃいましたクレジットカードの問題にいたしましても、先ほど来官房長官からもお話がありましたように、官邸から相当巨額の金額を預かって総理の外国出張、外国訪問に随行をしているわけでございまして、その巨額な金額をキャッシュのまま持って歩くということが果たしていいかどうかということもあるいはあったかもしれません。そこで、そうしたものをキャッシュで持ち歩かずに一度口座に入れてそれをクレジットカードで支払うということは、見方によってはやや合理性があるという見方もあるかもしれません。  しかし、これは決定的な間違いが二つございまして、一つは、クレジットカードを使用するということについて上司の決裁を全く受けていなかったこと、もう一つは、これはもう全く論外でございますけれども、その公金を私的な金の入っていた口座に一緒に混交して入れてしまったということ、この二つはもう決定的、致命的に間違いであったと思います。どんなにクレジットカードの利用が現金を持ち歩くよりも安全であり、また支払った後にも記録が残るということがあったとしても、それはもう今申し上げた二つの問題で致命的、決定的に間違っていたと言わざるを得ないと思います。  さらに、今申し上げましたように、この人物を六年間もその場所に置いたということも本当に大きな間違いであったというふうに思います。  さらにもう一つ申し上げれば、組織的に要人外国訪問支援室は官房総務課のもとに、組織図では官房総務課の下にあるわけでございますけれども、実際の仕事は、それぞれ総理が訪問をされます国、ヨーロッパであるとかアメリカであるとか、あるいはその他の地域に総理が行かれるごとに、ヨーロッパに行かれるときには西欧一課の指揮のもとにその支援室が動いていくと。したがって、その支援室を指揮する、支援室に命令をするのは、西欧一課が主として支援室と話し合ってホテルの予約をし、アクセスについての作業をやるということになって、本来の組織図で上司である総務課、総務課長の指示を受けるよりも、そうでない地域局、地域課との話し合いが仕事の主たる相談相手になっていってしまう。そういうことから、お互いの本来管理すべき者がお互いに見合って、向こうがチェックしているだろう、こっちがチェックしているであろうというような見合いの中でこうした本当に大ぽかが出現してしまったというふうに私どもの調査ではわかってきているわけです。  しかし、それにしても、それを六年も続けたということが私にとっては何とも残念のきわみでございまして、こういうばかな組織をそのまま続けたということについては、まことに国民皆さんに申しわけない、心からおわびを申し上げる次第でございます。
  324. 三浦一水

    三浦一水君 大量の現金を持ち歩くよりはカードの方が安全であるという判断もあったということでありますが、これは大臣の意図はそれを肯定するものではないと私はもちろん受けとめております。  この方は、五千四百万は少なくともわかっている、さらに多くのものを流用した疑いを持たれている方であります。カード使用については、それはそういう善意の中での過失ではなくて故意だということは明確でありますから、そこは今後も毅然とした姿勢の中で対応をしていっていただきたいと思います。  今後の管理体制についてお伺いをしたいと思いますけれども、今回の横領事件と類似の問題が再発しないように、今後、内閣官房及び外務省において機密費の支出管理についてはより厳正、厳格な実施が行われなければなりません。言うまでもないことであります。  外務省におきましては、二月の二十一日には、再発防止策を検討するための有識者から成る外務省機能改革会議が発足したところであります。早急に同会議の検討結果を踏まえた改革が実施されなければなりません。新聞報道では、クレジットカードによる決済が始まった経過は把握できないなど、外務省側の説明には納得のできない点も多く、今その点については大臣も詳しくはお触れがなかったと思っております。その機能改革の実効性を上げていくには、これはまだまだ疑問であるという声も多く聞かれるわけであります。今後、外務省におきまして引き続き内部調査を進めて、国民の理解を得られるような改革が行われなければなりません。  また、内閣官房においても反省すべき点は、官房長官の御指摘どおり、多いわけであります。今後、より具体的に支出管理の面においていかなる方策を、是正措置を講ずるおつもりか、官房長官にもあわせてお尋ねを申し上げたいと思います。
  325. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 本件が明らかに、疑惑が明らかになりました直後から、まず私は要人外国支援室を廃止いたしました。そうして、その仕事は官房総務課に直結をいたしまして、官房総務課長のもちろん直属ということにいたしまして、支援室というものは廃止をいたしました。さらに、クレジットカードによる支払いなどというものは全く外務省はオーソリティーを与えていなかったわけでございますけれども、改めてクレジットカードによる支払い等は一切これを禁止するという措置をいたしたところでございます。また、先ほど来申し上げておりますように、人事につきましてももう一度しっかり考えなければならないと思っております。  そうしたことをまずとりあえずの措置としていたしまして、今御指摘がございましたように有識者によります機能強化のための会議を開いておりまして、これはゴールデンウイーク前までに願わくば御提言をいただきたいということをお願いしているわけでございまして、今大変精力的に御議論をいただいておりますので、この御議論の後、提言が出ますれば、その提言をできるだけ生かして改善策をつくり上げたいというふうに思っております。  一方、引き続き省内におきましては調査委員会を存続させまして、これは荒木副大臣にお願いをして、省内の問題についてさらに詳細な調査をいたしております。これは新聞、雑誌などで外務省の問題についていろいろ御指摘もございますので、その御指摘を踏まえて、その御指摘に具体性があればその指摘をきちっと関係者も呼び調査をする、確認をするという作業をし、もしそれが事実であれば厳正に処分するということを考えて指示をしたところでございます。
  326. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今現在、捜査をしている最中であるということで、この結果も見なければいけないというようには思っております。  しかし、今回問題になりました総理の外国訪問、このことにつきまして外務本省、在外公館が一体となった支援を受けることがこれからも必要であるというように考えておりますので、総理の外国訪問を円滑に進めるための内閣官房外務省の役割分担、この分担のあり方を含めて再発防止の観点に立って適切な体制を検討してまいりたい、このように思っております。  なお、報償費全体につきましても、その取り扱いについてさらに検討を進めていくつもりでございます。
  327. 三浦一水

    三浦一水君 先ほど御婦人の怒りの弁にありましたように、今回の事件を契機に野党側からも内閣官房機密費と外交機密費、正確には報償費の減額要求が取りざたをされているようであります。  ただ、私が冷静でありたいと思うのは、世界のどの主権国家においても、国の安全保障そして国民の生命と財産を守るためには少なからずこうした機密費の制度は存在をするわけであります。実は、それがその御婦人にも私が申しました答えであるわけでもあります。  問題は、この機密費が制度本来の趣旨に沿って国家国民の安全を守るために外交工作やあるいは情報収集のために使われているか否かが問題でありまして、またこうした使途の性格からいって、公開すべきものでないがゆえにこそ一層内部の厳正な管理監督が求められるという点であろうかと思います。  今回、機密費が単なる宿泊費の差額に使用されていたこと、また外務省幹部の私的な使用に流用されていたことなどが機密費に対する国民の不信を招き、さらには外交活動全体に対する信頼を損なうという結果になるならばそれは重ねて残念な結果であり、最悪の結果であると私も認識をいたします。  今回の事件を契機に、あるいは糧としながら、内閣官房及び外務省においては制度本来の趣旨に沿った機密費の使途のあり方について徹底的な反省を重ねてお願い申し上げたいと思います。一層厳正なチェック体制の整備を早急に国民の目の前に提示し、その信頼を回復すべきと考えておりますが、総理、河野外務大臣、お考えがありましたら、さらにお聞かせをいただきたいと思います。
  328. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま三浦委員からお話ありましたとおり、こういう報償費という制度は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費であるというようなことでございまして、また報償費の使途等について、そういう観点から公開しないということでございます。  おっしゃるとおり、そういうことであるからに非常にこの使用については責任が重いんだと、こう思っております。ですから、その責任を思いながらこの使用に当たらなければいけないということはもう申すまでもないことでございます。  こういう制度は我が国だけの特殊事情ではなく、先進諸国においてもしかるべきものがございまして、また、その内容についても公表しない、国によりましては会計検査も必要ない、こういうようなことが認められている、こういう性格のものでございますので、その辺はまたよく御理解をいただかなければいけない、こんなふうにも思っております。  いずれにしましても、厳正なる使用に十分注意してまいりたい、こう思っております。
  329. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 官房長官が御答弁になったとおりでございます。しかるがゆえに報償費の使用についてはその目的に合った支出でなくてはならないというふうに考えまして、その支出のチェックをいかに厳しく厳正にやるかということについて、さらに一層私どもとしては改善をしてまいりたいというふうに思っております。  そしてまた、会計検査院の検査も外務省の報償費は受けているわけでございまして、この検査にも、当然のことでございますけれども十分たえ得るものでなければならぬというふうに思っておりまして、私としては、こうした御批判をいただくこと自体まことに残念至極、申しわけなく思っておりますが、一日も早く信頼を回復して、日本外交が国民皆様とともに国益を求めてしっかりと前進できるようにしたいというふうにただただ考えております。
  330. 三浦一水

    三浦一水君 次の質問に入ります前に、今、同僚議員からメッセージが一つ届きました。私もそうかなと思いながら総理の答弁を伺っていたわけでございますが、えひめ丸の問題であります。  捜査も調査もこれからのことでありますが、過失という点では、これは調査の結果も待たなきゃならないとはいうものの、私どもはやはり一〇〇%過失はえひめ丸にはないという気がするわけでございます。その点では、やはりこの補償の問題は今から私は強く求めていくことができることではないだろうか。少なくともその姿勢は日本政府として示していくべきではなかろうかと思いますが、その点、もう一回お考えをいただければと思います。
  331. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 補償の問題については、今、三浦議員からのお話のとおりだろうと思います。  先般、ファロン特使もお見えになりまして、海軍大将でありますが、お目にかかりました際も、補償問題に関しましては米側としても今後しっかり詳細に詰めて適切な時期に取り決めたいと、このように述べておられます。補償につきましては今後本格的に議論をされることになろうが、まずはアメリカ側の誠意ある対応を示すことが重要でありまして、政府としては引き続き米国政府に強く働きかけてまいりたい、こう考えております。
  332. 三浦一水

    三浦一水君 有事法制について総理にお尋ねを申し上げたいと思います。  総理は、今国会の施政方針演説で有事法制について、昨年の与党考え方を十分に受けとめ、検討を開始してまいりたいと述べられております。国民の生命、財産を守ることは政府の最重要課題であります。そういう観点から、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するためには必要なものであり、平時において十分議論をして制定すべきものと私も考えるところであります。  有事法制の検討開始について、具体的にはどんな機関で、そしてどんなスケジュールで検討をされようとしているのか、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  333. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 有事法制につきましては、今、三浦議員のお話しのとおり、まさに国民の生命、財産を守るということについて、これは政治の崇高な使命でありますから、政府としては、我が国の危機管理体制を一層強固なものとし、遺漏なきを期すため、これまでも種々の対応を行ってきたわけであります。こういう観点から、まさに今お話しのとおり、文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、またそれは平時においてこそ備えておくべきものであると、このように私も述べてきた次第でございます。  今お話、御質問がございましたように、どのような法制が必要か、それからまたどのような枠組みで取り組むべきか等についてはこれから所要の検討を進めてまいりたいと、こう考えておりますが、多数の省庁にかかわっていることでもございますし、検討内容も多岐にわたる重要な課題でもあります。  お尋ねの具体的な機関あるいはスケジュールについては今お示しができる段階ではございませんが、この検討につきましては遅滞があってはならないと、このように考えておりまして、内閣官房を中心に関係省庁で鋭意検討していくことになろうと、このように考えております。
  334. 三浦一水

    三浦一水君 さらに続いて、総理にお尋ねを申し上げたいと思います。防衛庁の国防省昇格問題についてであります。  防衛庁を国防省に昇格させる問題につきましては、平成九年十二月の行政改革会議の最終報告で「別途、」「政治の場で議論すべき課題である。」とされておりまして、政治の判断にゆだねられました。しかし、本年一月の省庁再編には残念ながら間に合わなかったということであります。  私は、憲法を改正し、そして自衛権、自衛隊の位置づけを明確にした上で国防省に昇格をさせる方が本来の姿であると考えておりますが、国防省昇格の問題を先行させることも次善の策としては許容できるものではないかと考えております。  自由民主党は、昨年三月、防衛庁の国防省への昇格のための法案の骨子を了承いたしました。それには、まず第一番目に、国家の重要な役割である国防を担う組織について、国の基本的な事務を分担する省としての位置づけを与えるため、防衛庁を国防省とし、その長を国防大臣とするという点であります。二番目は、閣議請議や予算関係の権限を各省大臣と同様に国防大臣にも与えるというものであります。第三番目には、内閣の長たる総理の権限には一切変更を加えず、防衛出動の下令、治安出動の下令、海上警備行動に係る承認等は引き続き総理の権限とするというものであります。  これまでこの問題について反対を唱えている側の意見は、近隣諸国の感情的な反発を招くとか、内閣によるシビリアンコントロールが弱まるというものでありました。どの国も省と呼んでいるものをなぜ我が国が省と呼ぶことができないか、なぜ近隣諸国にそのことが感情的反発を招くのか、全く私も理解しがたいところであります。むしろ、我が国のその主体性に敬意が寄せられるものではないかと考える次第であります。  また、内閣のシビリアンコントロールが弱まるとの批判につきましては、内閣府の長としての権限はなくなりますが、武器使用にかかわる防衛出動、治安出動等については内閣の長としての総理の権限は残るわけで、シビリアンコントロール上も問題となるとは思えないわけであります。  主要国の中央組織においては、国防は外務、財政、法務と並ぶ位置づけをされております。我が国だけがなぜ庁、英語で言うとエージェンシーと言われるようでありますが、エージェンシーという形でそのまま放置されなければならないのか。エージェンシーは民営化された機関、附属機関を指す言葉であります。私は、今日の状況を考えるなら、速やかに省に移行することが肝心であると考えますが、総理の御見解をお願い申し上げたいと思います。
  335. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 国民自分の国は自分で守るという気概を持って国として適切な防衛の体制をとるということは国家存立の基本であると、このように認識をいたしております。  防衛庁の省への移行につきましては、行革会議の最終報告におきましては政治の場で議論すべき課題というふうにされていると、これも今、三浦議員からも御指摘がございました。私といたしましても、主要な諸外国の中で国防を担当する組織がエージェンシーという形をとっている国はないことは十分に承知をいたしております。したがって、この問題につきましては、引き続きこのような点も踏まえて国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くされていくことが重要であろうと考えております。  いわゆる中央省庁再編の際にも、党の中でもこの問題は随分議論をいたしました。私も当時総務会長をいたしておりましたので、総務会の中にも多くの意見がございましたが、最終的には党としての意見を集約するには至らなかったというふうに私は記憶をいたしております。  極めて大事な点でございますが、さらに引き続き党内外においても議論を深め、そしてまた国民に十分な理解を得るように最大限のこれから努力を続けていくべきことであろうと、このように考えます。
  336. 三浦一水

    三浦一水君 次に、経済対策について若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  第一番目に、十三年度予算につきまして、森総理と麻生経済財政担当大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。  予算は経済が元気になる血液であります。その良質な血液がたくましい骨やあるいは筋肉を形づくっていくものだと考えます。十三年度予算は、日本新生のための新発展政策を決定した上で、IT革命の推進、高齢化対策あるいは環境問題への対応、さらに金融システムの安定化、都市基盤整備等を中心とした日本再生プラン、さらに中小企業対策等の産業新生施策等々、景気に非常に配慮をした予算となっており、現下の状況で新世紀のスタートとしてもふさわしいものとして高く評価をするところであります。  しかし、一方では、若干おくれがちと言われるIT革命、あるいはのっぴきならぬ少子高齢化と福祉政策批判も多いODA予算のあり方、さらに税制改革あるいは財政再建の道筋をつけていくこと、問題も一方で山積をしているわけでございますから、総理予算編成時に当たります御苦労も非常に多かったものと拝察をする次第であります。  総理としては、予算作成に当たりましてどのように問題の整理をされて、そしてどこに総理として力点を置きながら指導力を発揮していただいたのか、まずお尋ねをしたいと思います。  あわせて、麻生大臣に、この十三年度予算日本経済に対してどの程度の経済効果を与えるものとして期待ができるものか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  337. 森喜朗

    内閣総理大臣森喜朗君) 平成十三年度予算は、引き続き景気に軸足を置いて経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せる、こういう観点から、公共事業関係費につきましては、十一年度、十二年度当初予算と同水準を確保するということにいたしました。さらに、景気回復に万全を期すため、また経済も非常にさまざまな原因で変動し、また大きく変わるということも十分予想されるわけでありまして、そうした意味で三千億円の公共事業等予備費を計上するなど公共事業に十分な対応を行っております。  同時に、総額七千億円の日本新生特別枠を初めといたしまして、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の日本新生プランの重要四分野など二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分することとしているほか、新産業の創出、さらに教育改革を通じた人的資源の強化など、いわゆるサプライサイドの政策の推進に思い切って意を用いたということでございまして、そうした意味で時代を先取りした経済構造改革に重点を置いたと、このように御理解をいただければと思います。  景気を自律的な回復軌道に確実に乗せて我が国経済を新たなる発展へと飛躍させるためには、ぜひこの十三年度予算の一日も早い成立が不可欠でございまして、ぜひとも御理解、御協力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  338. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この平成十三年度の予算案日本の経済にどのような影響を与えるかということを定量的に数字で示すというのはちょっとなかなか難しいところだと思っておりますが、いずれにいたしましても、今回の予算案というものの流れというのは、今、総理の方からも御説明があっておりましたように、基本的には今民需の方はなかなか出てこないという、民間需要が出てこないというところを自律的回復という、いろんな表現がありますけれども、そういうものに一日も早く行かにゃいかぬと言えるように、方向としてはそちらの方に行く、いわゆる民需回復というものを、景気の自律的回復というものを中心に置いたものだというのがまず第一点だと思っております。  また、今、総理からも重ねてお話がありましたように、経済構造というものを改革するという方針、方向というものは、これは一番大事なところでして、これは外国から見ましても、経済構造の改革、いわゆる規制の緩和とか許認可とかいろんな表現がありますけれども、こういった方向に行くようなものというのは随分いろんな各省御協力をいただいておるところでもありますので、その方向ははっきりさせていくというのは大変大事なところだと思っております。  また、公共事業につきましても、基本的にはほとんどほぼ同じものの額だけいっておりますので、いろんな意味に下支えの部分にはかなり役立っておると思いますし、傍ら公債発行につきましては、前年に比べて四兆円強のものが削減をされておることにもなっておりますので、いろんな意味で今の時代に景気回復に軸足を置いた経済を考えての予算編成ということが言えるのだと思っておりますが、これが定量的にどういう数字が出てくるかと言われると、ちょっとそこまでは説明のなかなかいたしかねるところです。
  339. 三浦一水

    三浦一水君 定量的なものはともかくとして、大いに御期待を申し上げたいと思います。  金融政策について速水日銀総裁にお尋ねをしたいと思います。いらっしゃいますですね。  日銀の金融政策については、二月九日の金融政策決定会合によりまして、公定歩合を〇・一五%下げて〇・三五%とすることを中心とする金融緩和政策をとることを決定いただきました。  しかしながら、そもそも日本銀行は昨年八月にゼロ金利政策を解除されまして、短期金利の水準をゼロ近辺から〇・二五%近辺へと高目に誘導をされたわけであります。その時点では景気の回復にかなりの確信を持たれていたからであったと思います。  しかし、その後は景気は残念ながら先行き不透明感が増し、株価も今日まで下落を続けてまいりました。今回の金融緩和政策、その状況変化に対応するための私自身は政策判断であったと考えておりますが、国民の間では、今回の金融緩和政策に関しまして、何をねらいとしたのか、そしてどれだけの効果が期待できるのか等につきましてそれほど理解が進んでいるとは思えないわけであります。  そこで速水総裁にお尋ねをしたいわけでありますが、政策決定会合の場においてどういった景気・金融状況に対する議論が行われてきたのかが一点であります。  もう一点は、日銀として景気・金融情勢の現状と先行きに関しましてどのような判断を下していらっしゃるのか、御紹介を賜りたいと思います。
  340. 速水優

    参考人速水優君) お答え申し上げます。  最近公表されました経済指標などを見ますと、次のような三点が注目すべき点だと思います。  一つは輸出の減少傾向。これはアメリカの経済の減速から始まるものでございますけれども、この減少傾向がはっきりしてくる中で日本の生産が足踏み状態になってきているということ。それから二つ目には、それと関連もございますが、設備投資の先行きにつきましてもやや懸念される材料が出始めてきているということ。それから三つ目は、この金融・資本市場の動きを見ますと、株価は低迷した状態が続いております。  昨年の八月、ゼロ金利を解除したころに比べますと、以上のように、海外経済の減速、それから株価の下落、この二つの影響から景気の回復テンポが鈍化してきているように思い、先行きの不透明感も強まってきているというふうに判断しております。この間、物価は弱含みでございまして、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力というものが再び強まってくる懸念もあるということに留意する必要があるというのが私どもの景況判断でございます。
  341. 三浦一水

    三浦一水君 今回の金融緩和は、そういう状況の中で一部では消極的だという評価があります。さらに、日銀の長期国債の買い入れなど量的な緩和に積極的に乗り出すべきだという意見も出されております。  速水総裁におかれましては、今後の金融政策運営に当たって、このようなことを踏まえどのような心構えで臨まれるのか、その点もお聞かせをいただきたいと思います。
  342. 速水優

    参考人速水優君) 今申し上げましたような景況判断のもとで、私ども日本銀行では二月九日と二十八日の金融政策決定会合におきまして連続して金融緩和措置を実施した次第でございます。日本銀行としては、今後とも経済・物価情勢を入念に点検しながら、機動的、弾力的に政策運営を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、これ以上の緩和策としてどのような方策が考えられるのかという御質問でございますが、政策委員会では金融政策運営上のさまざまな選択肢につきましては真摯に検討を行っております。これまで得られました結論は、例えばゼロ金利政策とか国債買いオペの増額といった政策につきましては効果や副作用について十分慎重な検討が必要であり、そうした政策に踏み込むべきかどうかということは、つまるところ経済や物価の情勢判断の問題に帰着していくんではないかというふうに思います。日本銀行としましては、その時々の経済・金融情勢を踏まえまして、中央銀行としてとり得るさまざまな選択肢の中から最も適切な政策運営を行っていく考えでございます。  ただし、日本経済の持続的な回復を確実なものとするためには、金融システム面や経済、産業面での構造改革が不可欠の条件であると思います。日本銀行としましては、各方面におきます構造改革に向けた取り組みが一層速やかに進展していくことを強く期待しております。
  343. 三浦一水

    三浦一水君 速水総裁にはありがとうございました。  委員長、もし御所用があるならば、私の方はもう質問速水総裁には終わっております。
  344. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 速水総裁、御苦労さまでございました。お帰りをいただいて結構でございます。
  345. 三浦一水

    三浦一水君 通告外の質問でまことに恐縮でございますが、一問質問をさせていただきたいと思います。アフガンの件であります。  アフガンにおける仏像破壊の問題が世界的な大問題になっております。日本においても、ユネスコ親善大使であり著名な日本画家でもあります平山郁夫先生を中心に、仏像破壊の即時阻止を求めて署名運動も展開をされていることは御承知のとおりであります。  本来なら河野外務大臣にアフガンに早速行っていただきたいところでありますが、国会中でもあり、日本政府の意を体した与党三党の代表団を至急派遣すべきであると考えております。大臣の御見解を賜りたいと思います。
  346. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) アフガニスタンにおきます文化財が危機にさらされているというニュースは、私どもにとりましてもまことに心配なニュースでございます。日本から日本人として選ばれているユネスコの松浦事務局長もこの件を大変心配いたしておりますし、平山郁夫画伯もこの問題について大変心を痛めている、そして署名を集めるなど積極的に活動しているわけでございます。  日本政府といたしましても、国際社会と協力をしながら何とかして有効な働きかけをしたい、こう考えておるわけでございまして、ただ御案内のとおり、現在のアフガンはタリバーンの勢力下にあるということもございまして、有効かつ効果的な行動がなかなかとれないという問題もございます。  三与党からはぜひ一日も早く現地に行くべきだという御指示もいただいておりますが、現在国会がこういう状況でございますから私自身が行くというわけにはなかなかいかないと思いますが、与党三党の代表団が行かれるというふうにも伺っておりまして、その折に何ができるか、政府としてこの与党からのアフガン訪問の方々に協力をしたいというふうに思っております。  なお、松浪健四郎議員はかねてからアフガンとは大変近い関係にある、近い関係というのは変な言い方ですが、アフガンに大変多くの知識を持っておられる、あるいは大学で教えていたということもあって、松浪議員はいち早くアフガンに向かって出発をするというふうにも聞いておりまして、これはやはり、国際社会においても、また我々といたしましても、この文化財を守ると同時に、現在のアフガンの状況というものが平和裏に終息するようにでき得る限りの努力をしたい、こう考えております。
  347. 三浦一水

    三浦一水君 私は、二十年前に中華人民共和国で勉強をしておりました。ちょうど文化大革命が終わった後でございました。そのときに、いわゆる遺跡という遺跡が造反有理といういわゆる紅衛兵の考え方で壊されておりました。そのことは本当に中国の方々としても悔いても悔い得ないといったことを、状況を見たわけでございます。  ぜひ日本政府としてもできるだけの対応をこの際にお願い申し上げておきたいと思います。  次に、産業新生についてお尋ねをしたいと思います。  まず、規制緩和につきまして、橋本行革担当大臣にお尋ねをいたします。  我が国の経済構造改革への効果という観点からも、引き続き規制改革への大胆な取り組みが必要であります。特に、IT革命の進展などを受けました新たな世紀にふさわしい社会システムの活性化を図るためにも、そのさらなる実施が急がれていると認識をいたしております。  昨年の十二月に、政府の規制改革委員会が、NTTの持ち株会社の廃止等を盛り込んだ二百八十六項目から成る「規制改革についての見解」を決定しております。基本的には、早期にこれらの改革を着実に実行に移していくべきであると考えます。  昨年十二月に決定されました行革の大綱には今年末までに来年度を初年度とする新三カ年計画の策定等が盛り込まれており、また、内閣府に新たな規制改革審議機関を置くという方針も伺っております。  今後、政府として規制改革にどのように取り組んでいかれるのか、その方針を伺いたいと思います。
  348. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 規制改革につきまして、今、議員が御指摘になられましたように、いろいろな提言が出てまいりました。そして、行政改革大綱の中で、本年度末、すなわちもう三月いっぱいということになるわけですけれども、本年度末までに平成十三年度を初年度とする新たな規制改革推進三カ年計画を策定するとされておりまして、現在その策定作業を進めているさなかでございます。  その内容として申し上げられること、今、議員から御指摘のありました昨年十二月の規制改革委員会の見解を最大限盛り込むだけではなく、経済構造の変革と創造のための行動計画、あるいはe—Japan戦略、また内外からの御意見、御要望等を踏まえながら、IT革命の推進など、今進みつつある社会情勢の変化というものに対応することを重視しながら、医療・福祉、雇用・労働、教育など、社会システムの活性化に資するものを初めとして、各分野の規制改革の推進に取り組む、そうした考え方でこれは今作業が進められております。そして、市場機能をより発揮するために競争政策を積極的に展開する、図っていく、こうしたことも盛られております。  同時に、今後の規制改革の推進体制、これは行政改革大綱の中で、新たな規制改革推進三カ年計画の実施状況を監視するとともに、経済社会の構造改革の視点も含めて幅広く規制改革を推進していくため、新たな審議機関を内閣府に置くこと、それを検討するように、そして十二年度末までに具体的成案を得るようにとされておりますので、内閣府でこれを中心に検討を進めております。内閣府の中に将来こうしたものを設けていくことになろうかと考えております。
  349. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。  規制緩和を特に地方において見ておりますときに、やはり両面性というか、やっぱり是々非々で臨む面も必要であるなということを痛感をいたします。  大店法の改正をして、そして地方にもたらされたものは大変な中小商店に対します圧迫でありました。今、日本国じゅうで空き店舗が非常にふえているという状況は、その左証の一つであろうかと考えております。  広義に考えますと、世界におけるいわゆる規制緩和、貿易の自由化ということもまた日本にさまざまな影響を与えるわけであります。その点、私はやはり個々の局面を見ながら是々非々での取り組みが必要と考えておりますが、その点橋本大臣、どのような所感をお持ちでしょうか。
  350. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 規制改革というものの中に、議員が述べられましたような問題が全くないと私は申し上げるつもりはありません。  しかし同時に、今私たちは、新しい産業がどうやって育っていくのか、新しい産業を立ち上げられるような白地の場所をどれだけふやせるのか、これを将来の経済発展とつなぎ合わせて考えております。  今日まで、むしろ日本は規制が先行する社会でありました。そのために、欧米における、特にアメリカにおける新しい産業が育つ、そうした分野が規制によってがんじがらめにされていて身動きがつかなかったということが反省材料としてあることも、議員御承知のとおりであります。  今、幾つかの分野を例示をいたしながら、システムまで見直す必要があるだろう、その上で規制というものを考える必要があるだろうということを申し上げましたのも、できるだけ白地の区域をふやし、そこに新しい産業の立地のスペースをつくり、それを育てていく、将来そうした考え方で我々はこの国を支えていかなきゃならないんじゃないかと、そんな思いから申し上げておることでありまして、一面気をつけなければならない点があることは、私は御指摘をそのとおりに受けますけれども、規制改革というものはあくまでも進めていかなければならない我々の将来への一つの大きな課題であると、私はそう考えております。
  351. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時四十三分散会