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国務大臣(
坂口力君) 大脇議員にお答えをいたします前に、先ほど井上議員の
質問いただきました中で、最低保障
年金制度につきまして御
質問いただきましたのを少し、
一つ落としておりまして、おわびをいたしまして、つけ加えさせていただきたいと存じます。
最低保障
年金制度を導入すべしという点につきましては、現行の
年金制度におきましては、低
所得の方には保険料が免除されますとともに、国庫負担部分に相当する
給付が保障されております。さらに、最低保障
年金制度としては、保険料
拠出と無
関係に
一定の保障を行うことは、
社会保険方式の根幹に触れる基本的な問題があるとも
考えますので、これらの点から今私たちがとっております
制度が成り立っているということを御理解いただきたいと存じます。
大脇先生からいただきました問題、八問ございました。
自立できる年金を支給できる
社会保障全体の財政の確立に関する
お尋ねがございました。
公的年金につきましては、高齢者の
生活の基本部分を終身にわたり確実に支えることをその役割として、現行
制度におきましては、老後
生活の基礎的消費支出を賄う基礎年金を全
国民共通の
給付として保障いたしますとともに、サラリーマンに対しましては、退職後に収入が大きく減少することに配慮いたしまして、いわゆる報酬比例部分の年金を保障いたしております。両者合わせまして、現役世代の手取りのおおむね六割を保障しているところでございます。
今後、
少子高齢化が進展をいたします中で、
公的年金がこのような
国民の老後を支える役割を将来にわたって果たしていくことができるように、世代間の
給付と負担の均衡を図りまして、お互いが支え合う持続可能な
制度を再構築しますとともに、その費用について、保険料や公費を適正に組み合わせて確実に賄っていくことが必要であるというふうに
考えております。
最初に大きな前提のもとでのお話がございましたが、やはり
社会保障の中におきましても、この
年金制度は一番その中心に位置するものであることは御指摘のとおりであるというふうに私も思っております。そして、この年金を中心といたしました
社会保障
制度のその
考え方は、やはりその他の
政策全般の中にも大きくやはり
影響をさせていかなければならないと私は思っております一人でございます。
基礎年金の充実と国庫負担割合の引き上げに関する
お尋ねがございました。
基礎年金につきましては、老後
生活の基礎的な消費支出を賄うという
考え方に基づきまして、全
国民共通の
給付として保障するという役割を担っております。長期的に世代間の
給付と負担の均衡を図りながら、この役割を将来にわたって果たしていくことができるように努力をしてまいりたいと
考えているところでございます。
また、国庫負担割合の引き上げについてでございますが、昨年三月に成立をいたしました年金改正法におきまして、
給付水準及び財政方式を含めてそのあり方を幅広く
検討して、
平成十六年までの間に二分の一への引き上げを図るものとする、こういうふうに規定を設けたところでございます。先般決定されました
社会保障
改革大綱におきましても、この規定をどのように具体化していくかにつきまして、安定した財源
確保の具体的方策と一体として鋭意
検討するというふうにされているところでございます。
しかし、かなりもう二〇〇四年も近づいてまいりましたから、さらにまたどうするかという、もう一段あるいはもう二段おりた議論をしなければならないときを迎えているというふうに思っておりまして、そうした議論を皆さん方ともさせていただきたいと
考えているところでございます。
第三号被
保険者の問題についての
お尋ねがございました。
この問題につきましては、現在、各
分野の専門家から成る
女性のライフスタイルの
変化等に対応した年金の在り方に関する
検討会におきまして御議論をいただいているところでございます。
年金制度の
個人単位化の問題につきましても、この
検討会で御議論いただいているところでございます。それを踏まえまして
改革に今取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
それから、
年金制度の
見直しに当たっての既裁定年金部分の取り扱いについての
お尋ねがございました。
前回改正におきまして、既裁定の年金を含めて六十五歳以降は物価スライドだけを
実施するよう年
金額の改定方式を改めることにより、将来に向かって
給付の伸びを調整することとしたところでございます。既裁定年金部分にも年金の
給付と負担の均衡を図るための仕組みは盛り込まれております。
さらに、既裁定年金部分を引き下げて世代間の
給付と負担の格差を是正することにつきましては、現に年金によって暮らしておみえになります皆さん方の
生活にも重大な
影響を与えるものでございますし、これはなかなかとり得ない選択肢であると
考えているところでございます。
確定拠出年金は企業が担うべき
責任を希薄化するおそれがあるのではないかとの御指摘がございました。
確定拠出年金は、
加入者みずからの
運用結果によって
給付額が決定される年金でありますが、現行の企業年金と比較をいたしまして中小零細企業などにも普及しやすいとか、転職の際のポータビリティーが
確保されやすいといったようなプラス面がありますが、しかし、注意をしないとマイナス面の生ずることもあることは御指摘のとおりでありまして、そうした点につきましては十分な配慮をしていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。企業の
責任をやはり十分に果たしてもらうようにしなければならないというふうに思っておる次第でございます。
個々の企業における
確定拠出年金の導入は、あくまでも
労使合意に基づいて行われるものでなければならないと
考えております。
確定拠出年金と雇用の流動化との
関係についての
お尋ねがございました。
政府の役割といたしましては、雇用形態の
変化に企業年金としても対応できるように
制度を整備していくことでありまして、個々の企業における雇用についてはあくまでも企業が
判断をしていくものであると
考えております。
米国のERISA法のような企業年金基本法がない中では、受給権保護と受託者
責任の
観点から問題はないかとの御指摘がございました。
受給権保護や受託者
責任を図るための
措置は、確定
給付型と確定
拠出型とではおのずと異なっておりますが、
確定拠出年金法案では、受託者
責任につきましては、米国のERISA法と同様に運営管理
機関に対しまして忠実義務などを課しておりますし、また忠実義務などに違反した場合には、我が国では
行政処分などを科すことといたしているところでございます。
最後に、
確定拠出年金は、国内の金融
機関を救うものであり、また日本の金融
資産が国外流出し、日本経済の脆弱化が予想されるとの御指摘がございましたが、
確定拠出年金は、雇用の流動化など、経済や時代の
変化の中で
国民の老後の
所得確保の一層の充実が図られるように新たな選択肢として導入するものであり、金融
機関の不良債権処理とは
関係がないものでございます。
また、国内あるいは海外いずれの金融
機関の
運用商品が選ばれるかは、労使の話し合いでありますとか個々人の
加入者の選択によるものでありますが、重要なことは、
加入者が適切な
運用商品を選択し、利益が得られるようにすることであります。
先ほども申しましたとおり、そのためには十分な
情報公開、そして、国の方もそれに対して十分なやはり
情報の提供というものをしなければならないというふうに思っている次第でございます。このため、
法案では、個別の
運用商品の
内容などの
情報をやはり
加入者に提供するなどの
措置を講ずるところでありまして、内外を問わず金融
機関の適正な競争が行われることを期待いたしているところでございます。
以上、簡単でございますが、御答弁を申し上げます。(
拍手)
〔
国務大臣塩川正十郎君
登壇、
拍手〕