○畑野君枝君
日本共産党の畑野君枝でございます。
国立学校設置法の一部を
改正する
法律案についてでございますが、今回の
法案の一にありますように、徳島
大学及び長崎
大学に併設の
医療技術短期大学部三年制
看護学科を廃止し同
大学医学部保健学科四年制を新設する、この点につきましては、
医療技術の進展に見合った
教育水準の改善を図る点でも賛成でございます。また、
法案の二につきまして、各
国立大学が自主的に
講座、学科目を編制できるようにするという点では、
大学がみずからの
大学像を主体的に設計することを可能にする
条件整備に道を開くものという点で賛成でございます。
さて、特に
医療の問題にかかわって、私は三つの点について伺いたいと思います。
まず第一に、
国立大学病院における
医療過誤、
医療事故の防止と看護婦、看護職員などの増員についてでございます。
既に
国立大学医学部附属病院長
会議常置委員会作業部会では、ここにございます「
医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて」という提言を出されております。その中では、「
医療行政への要望」ということで、
我が国の
医療機関における
医療従事者の人員体制は先進諸国の中でも格段に手薄であり、このような状況において安全管理に対して国際的な水準に照らした十全の配慮を行うことは容易ではない、
国立大学病院においても、望まれる
医療体制の整備には遠い状況にありというふうに
指摘をされております。
この点では、その中で「(参考)主要国の一患者当たり職員数・看護職数」ということで、米国が職員数五・五〇人、
イギリスが四・四〇人に対して
日本が一・一五人、あるいは看護職数が米国が二・三九人、
イギリスが一・七八人に対して
日本が〇・五三人。注意書きとして、
日本の看護婦数は保健婦(士)、看護業務補助者を含まないので、含む場合は〇・六七と、このように提言の中で示されております。
また、
医療事故問題に関係いたしまして、
日本看護協会は「
組織でとりくむ
医療事故防止 看護管理者のためのリスクマネジメントガイドライン」というのを出されております。私も伺って勉強させていただきましたけれども、その中では、
医療の
現場は
診断・治療
技術の進歩により複雑かつ
高度化している、夜間も日中と同様の治療が継続するなど業務密度が高くなっている、こういう点でチーム
医療になっているということを触れておられます。
また、その
日本看護協会からいただいた「
医療事故の防止への取り組みについて」の中では、例えば「看護業務の特性と事故について」ということで、東海
大学医学部付属病院内服薬誤注入事故外部評価
委員会報告書からということで、いかにいろいろな対応をしなくちゃいけないかというのが深夜勤の看護婦さんの図式も含めて載せられておりますし、それから「看護業務から見た
医療事故の防止対策」という特別発言では、看護職は最終ランナーみたいなものですから、それまでのエラーの積み重ねを看護職によってチェックされないと、そのまま患者さんに提供されることになりますというふうに
指摘をされております。
既に
アメリカなどでは、これは「
アメリカ医療の光と影
医療過誤防止からマネジドケアまで」という本でございますけれども、やはり隠ぺいではなくて、なぜ起こったかという原因を追求することが防止の上で大事だというふうに言われてまいりました。
特に私はかねてから、
国立循環器病センター名誉総長の川島康生先生がもう既に一九九九年二月十六日の朝日新聞「論壇」で「
医療事故招く病院の職員不足」というふうに
指摘されてきたことは大変重要だというふうに思っているんですね。
この中で、横浜市立
大学附属病院で心臓手術患者と肺手術患者が取り違えられ、要らざる手術がなされてしまった。前代未聞の出来事が起きた原因が
検討される中で、反省とともに
関係者からも第三者からも
意見が述べられている。しかし、長年この種の外科治療を手がけ、また
医療体制の責任者として働いてきた者として、これらの議論には最も大切な部分が欠落していると言いたい。それはなぜ一人の看護婦が二人の患者を手術室に運んだかという点である。なぜ一人の看護婦が一人の患者を運ぶ体制にできないのか。人手不足が原因であると。いろいろ書かれて、例えば今回の事故のような心臓や肺の手術患者が術後に入る集中治療室(ICU)では患者一人を看護婦一人が担当するのが欧米では普通である。術後の状態がやや落ちついてからも、一人で二人の患者を見るのが最低の水準である。ところが、
我が国の
大学病院でこれが守られているところはむしろ少ない。一人の看護婦が複数の患者を見るのは普通であり、今日でもなお人手不足のために十分なICU病床を開設できない
大学も多い。なぜ
医療従事者が少ないのか。心臓外科や肺外科などの先進
医療がなかった
時代の定員枠を大幅な増員のないままに踏襲してきたからであるなどと言われております。
もちろん、横浜市立
大学の例がこの文書の中で出されておりましたが、昨年十月二十七日には「横浜市立
大学医学部附属病院の
医療安全管理の取り組み」ということでいろいろな
提案もされているということなんですね。
それで、
医療現場、特に看護職員の実態ですけれども、最近、ことし二〇〇一年五月九日に、
日本医療労働組合連合会、医労連の看護
現場実態
調査というのが出されました。その中では、事故が続発している原因は何かということに対して、
医療の
現場の忙しさが八五・〇%、次いで交代制勤務による疲労の蓄積が四一・五%というふうにもなっております。
これは、
国立大学病院に直接かかわる
全国大学高専教職員組合(全大教)病院協議会の
国立大学病院看護職員アンケートの
調査結果報告で、ことし二〇〇一年に出されて、テレビやマスコミでも報道されてまいりました。ここでは、この
役割の大きさというのが特に言われているわけです。
国立大学病院は特定機能病院として位置づけられて、医学
研究・
教育に従事するとともに高度先進
医療を提供している。一般の病院では治療の困難な難症度の高い患者を引き受けており、国公
私立大学病院を比較しても、
国立大学病院の患者の難症度が最も高くなっている。高度
医療は質の高い看護
活動を前提として初めて実現し得るものなのに、入院患者百人当たり公立大の八十四・六人、
私立大の八十・九人に対して
国立大学病院は五十九・八人。現行の診療報酬上最高の看護体制である患者二人に対して看護職員一人の配置をほかが実現しているのに、
国立大学病院では大多数が患者二・五人に対して看護職員一人の配置に取り残されていると。こういうアンケートが出ております。
私も、この間、九州
大学や
東京大学の附属病院に伺ってまいりました。私たちの党も大阪
大学や京都
大学を初め七つの
医学部附属病院に伺ってまいりまして、やはり看護婦などをふやしていくことが必要だということを申し上げてきたところでございます。
そこで、まず伺いたいんですが、この間、一定の改善、例えば非常勤ですが看護婦をふやすということなどもされてまいりましたけれども、本来の特定機能病院の
役割を果たす上ではまだまだ足りない、そういう点でさらに増員を含めて改善をする必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。