○岩本荘太君 最後の順番でございます。
先ほど来、
土地改良事業あるいは
土地改良区、いろいろ議論がございました。私も長年
土地改良事業と
関係してきた身としまして、大変興味のあるお話、あるいはこうあらなきゃいけないというようなお話もいろいろ伺いまして大変参考になったわけです。
大臣も大変前向きにお
考えになっているようですけれ
ども、私、どうも自分の経験からいきましても、
土地改良事業あるいは
土地改良区というのは物すごく昔と比べて
変化してきた、
事業の内容もそうですし、
改良区
そのものも物すごく
変化してきているという気がいたします。
したがって、今回、
土地改良法の
改正ということになったんでしょうけれ
ども、本当にこれで十分なのかなというような私、気もいたしまして、ただ、そうは思いながら、私
自身、じゃ対案は何かということまでは思いが至らないものですから、今回はその辺まではやらないつもりでございますが、そういう
認識はぜひ農林省の方もお持ちいただきたい、こう思っている次第でございます。
したがいまして、今回、私は
環境との調和を図るという点を中心にして
質問をさせていただきたいと思っております。
先般の
食料・
農業・
農村基本法の中でも、
農業生産基盤の
整備に当たっては、「
環境との調和に配慮しつつ、」となっているわけでございますけれ
ども、
一つ、当然ながらここでお断りしておきたいのは、これは
環境というのは自然
環境ですね。
環境という言葉ですと
社会環境もあるわけで、生活
環境もあるわけで、生活
環境なんというとあるいは自然
環境を破壊する方に進むかもしらぬ話でございますので、ここはひとつ自然
環境ということで理解をさせていただきたいと思っております。
こういううたい文句をされて、
土地改良法の中でもそういう文面を入れる、これは大変結構なことですが、見方を変えますと、何を今さらというような感じがなきにしもあらずでございます。ということは、
農業そのものが、
生産基盤に限らず、
環境と最も近い位置にあった、最も密接な
関係にあったわけですから、当然
環境との調和というのはもう暗黙のうちに
考えておかなければいけない、暗黙のうちに
考えておったことだろうと思っております。
農業生産基盤に限らず、
農業について
考えましても、これは自然
環境を守ってきたという
意味も大変多いわけでございますし、これは
都市化と自然
環境との間の緩衝地帯といいますか、いわゆる開発から守ってきたということもございます。同時に、今、
多面的機能を発揮するというようなことをうたわれておりますけれ
ども、それはまさにそのことを言っているんだと思っております。
また一方で、これは随分破壊もしてきているんですね、
環境に近いわけですから。例えば、これはとっぴな話かもしれませんけれ
ども、
農業そのものが、要するに単作といいますか単品を植えますね。これは
環境破壊、破壊とは言いますけれ
ども、自然
環境とは違うことをやっているんだという見方があるんです。自然の状態であれば、植物が生えている状態であれば、これはいろんな植物が生えている。それを、そのうちに要らないものは外して必要なものだけやるということは、これは自然
環境とはほど遠いんだというような見方もございます。ただ、これは人間が生きていく上で、それを否定してしまえば何も生活できないわけですから、それを強く言うつもりはございませんが。
それ以外に、農薬というのがいろんな生物の生活を脅かして、あるいは絶滅させてきたというような面もございます。これは後ほど関連して述べますけれ
ども、いわゆるメダカがレッドブックに載ったというような、こういうことがそれを象徴していると思いますし、化成肥料を使ったら非常に国土の大事な土壌を劣化させているというようなこともございます。
さらにはもっと、そういう化成肥料を使わなくても、肥料
そのものを多量に使うということは、御存じのとおり、作物が育つのは肥料の三要素、窒素、燐、カリですね、このうちの窒素、燐というのは物すごい富栄養化の原因になっているんです。そういう
意味で、
環境に対しての破壊する犯人になっているということも言えないわけでない。
しかし、かといって
農家に、じゃ、そうでないものでやれ、守るようにやれといっても、逆に今度はそれは割高になってとても
農家の生活が守れないという面がございまして、
環境というのは非常に難しい問題だと思うんです。そういう
環境と調和のとれた
農業、言葉では簡単なんですけれ
ども、大変難しい。
農家の
人たち、私も随分つき合ってまいりましたけれ
ども、大体が自然を愛し
環境を大事にする
人たち。だから、できればそういうことをやりたいと思っているんですが、なかなか実態としてそういうことができないという面もございます。
そんな中で農林省としても施策をやっていかなきゃいけないというのは大変御苦労があると思うんですが、これからもいろんな施策を講じられると思うんですけれ
ども、まず
大臣に、
農業と
環境との
関係についてどんなふうに御
認識されているか、ひとつ御所見を聞かせてください。