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2001-03-27 第151回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     川橋 幸子君  三月二十七日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 谷林 正昭君     委 員                 岩永 浩美君                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 中川 義雄君                 森下 博之君                 川橋 幸子君                 羽田雄一郎君                 和田 洋子君                 風間  昶君                 渡辺 孝男君                 笠井  亮君                 須藤美也子君                 谷本  巍君                 岩本 荘太君    国務大臣        農林水産大臣   谷津 義男君    副大臣        農林水産大臣  田中 直紀君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       国井 正幸君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     素川 富司君        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       小林 芳雄君        農林水産省農村        振興局長     木下 寛之君        農林水産省農村        振興局次長    佐藤  準君        食糧庁長官    石原  葵君        林野庁長官    中須 勇雄君        水産庁長官    渡辺 好明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成十三年度の農林水産行政基本施策に関  する件)     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、小川勝也君が委員辞任され、その補欠として川橋幸子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、同生産局長小林芳雄君、同農村振興局長木下寛之君、同農村振興局次長佐藤準君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官中須勇雄君、水産庁長官渡辺好明君及び文部科学大臣官房審議官素川富司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 農林水産に関する調査のうち、平成十三年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  きょうは大臣所信に対するということでございまして、私、大臣のホームページやら可能な限りで大臣の発言をなさっている雑誌等も読まさせていただきました。特に意を強くしましたのは、環境問題に前々から非常な関心を持っておられまして、そのような取り組みをされてきたというようなことでございます。  それで、ごろ合わせのようで恐縮でございますけれども大臣のお名前谷津大臣ということでございまして、環境の問題にとってその谷津という地形が大変重要なものだというような認識で若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、この谷津田でございますけれども、私は今まで、台地台地のちょうど下がったところの水田というような意味だと思いますけれども、非常に環境の問題を考える上で重要な場所ではないかなという感じがしております。最近、特に小学校等教育におきましても、ビオトープというようなエリアをつくって、そこで教育に対して環境と農業問題を考えさせている。元来、この谷津田というものは、水の管理を主にして、そこに生息をする、生態系のところでいいますと一番始まりの場所食物連鎖関係でいきましてもワシにつながる一番最初のところではないかというような感じがしております。この谷津田がだんだん耕作放棄等によりまして姿を消しつつあるというようなことを非常に憂えておりますけれども大臣の方から御感想を含めてお伺いしたいと思います。
  7. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私の名前谷津ということで、それになぞらえて今御質問いただいたわけでありますが、確かに山のところと畑のところの低湿地帯と言ってはなんですが、それを谷津と申しますし、また海岸の近くで同じような状況にあるような湿地帯谷津というふうに申しておりますから、これは地名と言ってはなんですけれども、そういうのが谷津だというふうに私どもも聞いております。それが私のまた姓にもなっているということなんですが、全国に谷津という名のところが何か千何カ所あるということも聞いております。近くでは上尾市の中心部が実は谷津というのでありますし、千葉県には谷津遊園とか谷津干潟とかというふうにありますが、ああいうようなことでかなり多くのところにあります。  それはいずれも、今お話がありましたように、湿田といいましょうか、あるいは湿地帯といいましょうか、そういうところが言われているわけでありまして、これは谷津田は、ですから非常に狭いといいましょうか、それと形が整っていないというようなところもありますし、また湿田のために生産性が物すごく低いという面もあります。しかし一方では、自然生態系保全などには多面的な機能を有しているということも言われておりまして、そういった面からいきますと、国民的な理解とか関心が最近非常に高くなってきているという話を聞くわけでございます。  そういうわけですから、耕作放棄地も非常に多いんでございまして、この辺につきまして、何と言ったらいいでしょうか、谷津田地域全体の中でも貴重な財産として、むしろ農業の理解のために、教育やあるいは学習の場としても生かしていこうという、そういう考え方も出てまいりまして、どうも自分のことを言っているようで言いづらいんでありますが、簡易な整備をしていく必要があるんではないかなというふうにも考えておりまして、そういう対策も実はやっているところでもあります。  また一方で、この谷津田保全を図ろうとする地域希望も随分出てまいりまして、人材面とかあるいはそういった指導とか支援、こういう保全の活動に必要な施設、こういうものがつくられたり行われているということでありまして、ソフトの面あるいはハードの面から、谷津田保全あるいは利活用の推進を図っていく必要があるだろうというふうに思うわけであります。  実際私も、私のすぐ近くに谷津というのがやっぱりあるもんですから、そこへ行ってみますと、水生動物なんかも相当おりまして、貴重なものもありますし、また一方では、タツツバキなんという植物もありまして、天然記念物に指定されているというのもございまして、非常に大事な地域だなというふうにも考えております。
  8. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  今の大臣からの話がありましたように、大変教育の面でも有効な場所だと思いますし、それと同時に、大変人手がかかるというような場所でございますから耕作放棄地がふえているということもあるんだと思います。  今後、意外と都市部にも近いところにも存在をするということでございますので、例えば学校でビオトープの設置をするのも結構でございますし、地域の方の理解を得て、現存をする谷津田に対して地域方々がかかわっていくような、そういうような施策というものも考えていただきたいと思っております。  例えば、一、二年前にメダカレッドの分類に入ったという話がございましたが、私もそのようなところをちょっと調べさせていただきましたら、どうも日本メダカというのは、そういう谷津田その他で生息をするような訓練といいますか、長い間に、水を張ってある期間中に二、三回子供を産んで成長するというような周期にまで変わってきているんではないかということもございまして、そういう意味で、改めてそのような効用について御理解をいただけるような施策をお願いをしたいと思っております。  次に、外来魚についてお尋ねをしたいと思いますが、報道によりますと、十一月一日に、自民党の水産基本政策小委員会というのがあるそうでありますが、その中で、農水省の方から、いわゆるブラックバスブルーギルコクチバスも含めてかもしれませんけれども、これに対して今いろんな論争が起こっている。一定農水省考えなりが示されたというふうに聞いておりますが、どんな内容だったでしょうか。
  9. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) いわゆるブラックバスブルーギル等について、これを抑制すべしという御意見と、それから一定地域においては既にフィッシングの対象になっているということを踏まえまして、やはり抑制すべきところでは抑制をする、しかしスポーツフィッシング対象とするところではこれを認めていこうではないかという考え方もあり得るのではないかというふうな観点から、いうところのすみ分けという考え方はどうだろうかというふうな議論が行われたことは事実であります。  ただ、その後、その問題につきましては、やはり内水面漁業者、それから釣り人、双方の間に納得のいくことでなければ実効性がないということでございますので、引き続き検討を深めていくということにさせていただきました。
  10. 郡司彰

    郡司彰君 大臣、プライベートのことで恐縮でございますが、釣りはお好きでございましょうか。子供のときからおやりになっていましたでしょうか。
  11. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 結構やっているんです。私のところにも実は沼がありまして、これは多々良沼というんですが、ハクチョウが来る沼なんです。最近ブラックバスが多くなりまして、小魚をみんな食べちゃうものですから、もう本当にブラックバスがふえていて、これはどうしようかという、漁業組合なんかでもそういう話がよく私のところにも来ます。  しかし一方では、スポーツとしての釣りということになるとブラックバスは何かだいご味がいいということで、好んでそれを釣りに来る方もおるわけでありますが、私も釣ってみましたけれども、確かにそういった意味では、スリルもありますし、非常に手ごたえもあるというようなことでありますけれども、一方、本当にメダカだとかあるいは小魚類が、タナゴとか何かみんな食べられちゃってそれがいなくなっているという状況でもありますので、少し憂慮もしているところです。
  12. 郡司彰

    郡司彰君 今、大臣からのお話の中で、釣ったときの手ごたえ、これまでの在来の魚と違って非常に感触があってスポーティーなものだというような話がございました。  私は、そのこと自体は釣る方にとっては非常な楽しみなんだろうと思いますけれども、それとあわせまして、今大臣がおっしゃったタナゴ等も含めまして、古来日本釣りの様式といいますか文化といいますか、日がな一日たもを持ちながらというような、そういうような釣りの形というものがほとんど見られなくなってきた。極めてスポーツに類するような形でもって釣りというものが語られ始めておりまして、特に子供さん方についてはそのような傾向が強くなっているんだと思うんです。  これまで、一九二五年に初めに芦ノ湖に入れられた。それから幾つかの水産試験場等に回された。当初それほどいろんなところでの生息確認されていなかったのが急激にふえてきたというところには、やはり釣りを主催するメーカー側がおもしろさを訴えたというふうなことも非常にあるんだろうと思うんです。  問題は、今、沖縄とか北海道とかというところでは放流をしてはだめだよというようなことになっておりますけれども、これまでの中で密放流という形が大分行われてきたんではないか。そういうような事実としての新聞記事等も出ているわけでありますが、この点に関してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  13. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) じゃ、私の方からお答え申し上げます。  先般、琵琶湖の問題で滋賀県の知事がお出かけいただきまして、琵琶湖状況説明がございました。やはりここ二十年ぐらいの間に大変生態系について破壊をされておるということで、琵琶湖管理のために県自身ブラックバスの捕獲について大変努力をしているけれども繁殖力が大変強いということで追いつかないと。  そういう中で、やはり密放流が行われておるんじゃないかというようなこともじかに現地では見受けられるということでございまして、全国的に大変ここ十年ほどで非常に広く分布が広がってきたということでありますので、先生が御指摘のように、自然発生的というよりはやはりそういう密放流が見受けられるということでございますので、今年度はしっかりと調査を行って、そしてまた、対策を講じなければいけないという都道府県がございましたらしっかりとお手伝いをして自然環境を守っていきたい、そういう対策考えておるところでございます。
  14. 郡司彰

    郡司彰君 先ほどの大臣の話の中に、どうも在来の小魚を相当食べているんではないかというような話がありました。生態系を乱しているんではないかという意見がある一方で、それはずっと昔から積年で考えるとそういう流れとしてかかわらずあったんだと、いわゆる外来魚在来魚を駆逐しているという意見は当てはまらないという二つの意見がございますけれども大臣考えはどのような考えでしょうか。
  15. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私は、自分のところの先ほど申しました多々良沼というかなり大きな沼なんですが、そこは釣り場としても非常に有名なところなんですが、実は私もそこの漁業組合に参加をしておりまして、会員の一人ですが、一緒に魚とりをやるわけです。かつて、そこはゲンゴロウというフナが相当とれました。それからヘラブナもとれたんですが、それからハヤとかそういうものもとれたんですが、最近ほとんどそれがとれなくなってきていることは事実なんですね。コイは幾らかとれるんですが。  そういう面からいくと、ブラックバスが非常にふえてきたのとあわせてそっちの方がずっと減ってきているということを考えると、これは私の推測ですが、かなり食べられているというふうに見て間違いないんじゃないか。そういった面で、沼の中の生態系が大分変わってきちゃったということが言えると思います。
  16. 郡司彰

    郡司彰君 今まで長い間かかって日本の湖沼、河川にすむ魚も含めて、絶妙にその食べる、食べられるという関係バランスとして保ってきたんだろうと思うんですね。ですから、直接バスが小魚を食べるということもあったかもしれない。そのことによって、全体のバランスが崩れることによってレッドゾーンに近づくようなものがふえてきていると、そういうような関係にもなるんではないかというふうに思っております。私どもからすると、そうした生態系影響を及ぼす。日本の国はもともと島国でございまして、外来のものに対して抵抗力というものが弱いといいますか、この島国だけのバランスというものをつくり上げてきたというようなことがあると思うんですね。  そういう意味では、すみ分けという話、しかしながら一方で密放流というものがこれまでも確認をされてきた。富山県におきましては、その違反者を逮捕するなりしたとき、捕まえた警察を爆破するぞというような熱心な釣り愛好者も出てきてというようなことが現実問題としてあるわけでありまして、なかなか一方に断を下すということは難しいという感じはします。私自身は、早い段階で外来のものを駆逐することの方がかえって日本のこれまでの生態系を守る上では有用かなという感じがしております。  それはさておきまして、キャッチアンドリリースというような形がこのごろ主流になっておりまして、これは、魚も命があって、生命を大事にする考えだというような言い方をされております。しかし、古来、私どもの民族も含めてですけれども、魚をとるというときにはそれを食べる、食べることによってその魚の尊厳も一方で守ってきたということがあるんだと思うんですね。  一方で、このキャッチアンドリリースということが、傷をつけて、そこから細菌等繁殖をさせるというようなこともあろうかと思いますが、このキャッチアンドリリースという考え方に対して、農水省大臣はどのようにお考えでしょうか。
  17. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 釣り専門方々キャッチアンドリリースということで、大変そういう大きな魚を釣ることのだいご味というものを味わっておるということは聞いております。  ただ、議員が御指摘のように、結果的にそれを戻しても、何回も釣っているうちに死に至るということになりますと、結果的には湖の水資源にも関係をしてくるということであります。したがいまして、すみ分けを四カ所ぐらい今やってきておりますが、芦ノ湖ブラックバス漁業一つ項目として成り立っておるということで、食用じゃないんじゃないかと、こういうふうに私が指摘をしましたら、いや、ここでは釣って食べさせるところがあるんだと、こういうことでありますから、そういう面では、生態系の中でこういう一つの循環がなされておるということでありますが、その地域地域に合った形をしなきゃいけない。  そしてまた、どうしても排除をしていかないと生態系が成り立たないというところにおいては、今、御存じのとおり、水資源保護法規定に基づいて都道府県知事規定を定めて、そしてブラックバス等移殖を制限するという形をとっておりますけれども、新しい十三年度の事業も開始されるわけでありますので、すみ分けをしたらいいのか、あるいは生態系を守っていくべきなのかというところの判断を、調査をしながら農林水産省としては地域に見合ったお手伝いをしていきたい、そういうふうに私は思っております。
  18. 郡司彰

    郡司彰君 それから、最近、水温が低いところでは生息が難しいと言われていたコクチバス、一九九一年に日本に入ったというふうに言われておりますけれども、これも約もう三十県に近い府県までふえてきたということなんです。  例えば、関東のところで今せめぎ合いというものが行われているそうでありまして、日光の中禅寺湖のあたりでは漁協関係者が毎日夜回りをしながら密放流を防いでいるというようなことが起こっておりますけれども、この新たなコクチバス、これまでのバスに比べてさらにどうもうといいますか、そういうようなことが言われておりますけれども、これを今後ふやさないというような基本姿勢で取り締まっていただくというか、密放流を厳しく禁じていただきたい、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  19. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 今御指摘がありましたコクチバスは、オオクチバスとはちょっと事情が違います。オオクチバスの場合には、先生から御紹介がありましたように、スポーツフィッシングとしてぜひやりたいという熱意を持った方もいらっしゃるわけです。ただ、コクチバスにつきましては、内水面漁業関係者も、また釣り人抑制的にしてもらいたいという希望が強いわけでございますので、御指摘も踏まえまして、これから先、抑制の方向で、とりわけ移殖禁止周知徹底を図りたいと思っております。
  20. 郡司彰

    郡司彰君 いずれにしましても、生態系に多大な影響を及ぼすだろうということは予測をされるわけでありまして、私自身は、生態系観点からすみ分けということよりも、基本的に駆除をするという形でもって臨んでいただきたいと思います。大臣の決意を聞かせていただきます。
  21. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) コクチバスにつきましては、今お話がありましたように冷たいところにいる、特に渓流なんかにもいるというふうに聞いているわけでありますが、それがアユとかそういう渓流釣りをする対象になる魚を食べてしまうという話がありまして、私は本当にこれはもう駆除しなきゃいかぬというふうに思っております。
  22. 郡司彰

    郡司彰君 続いて、家畜伝染病についてお尋ねをしたいと思いますが、口蹄疫がまた英国でもって非常な広がりを見せているというようなことを聞いておりまして、三月二十四日には政府としても、農水省としても新たな対応策を行っているというふうに聞いております。その内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 委員指摘のように、大変ヨーロッパにおいて憂慮すべき事態だというふうに考えております。これまでもイギリスフランスオランダあるいはアイルランド等口蹄疫発生というのが確認をされておりまして、これらの国からは輸入禁止措置をとってきたところでありますけれども、新たにオランダアイルランド等でも発生確認をされた、こういうふうなことで、EU全体に広がっているんではないか、こういうふうに判断をせざるを得ないということでございます。  したがって、我が国としては、デンマークとかドイツとか、さらにはイタリア等、八カ国ほどをEUの中でも清浄国とみなしてきたわけでございますけれども、しかし、そこのところまで広がっているんではないか、そういう懸念を持たざるを得ないというふうなことでございまして、委員指摘のように、三月二十四日から一時的に安全性確認をされるまで輸入を停止する、こういう措置を講じたわけでございます。  さらに、マスコミにおいても、どうもヨーロッパの国々で随分空港等で靴の底を消毒したり、そういうことで伝染を防止する措置がとられているようにテレビなんかで出ているわけでありますが、実際は我が国においてもイギリスや、あるいはフランスオランダ等々の国から直行便で来る旅行者方々につきましては、もう既にこれは今までもやっているわけでありますが、靴底の消毒等々を徹底いたしまして、国内への口蹄疫の侵入を防ぐべく最大限の今努力をしておる、こういう状況でございます。
  24. 郡司彰

    郡司彰君 それから、同じ家畜伝染病の中で狂牛病関係でございますけれども、この関係についても二〇〇一年一月一日から新しい体制に入っているという形で、おおよそこれによって日本の場合には狂牛病に対する対策としてはほぼ万全ではないかというような形で言われておりますけれども、この内容についてもお知らせをいただけますでしょうか。
  25. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 委員指摘のように、我が国においては、牛の海綿状脳症というんでしょうか、BSEということのようでありますが、これの発生というのはこれまでになかったわけでございまして、特にこれにつきましてはイギリス中心発生をしてきたというふうなことでございまして、我が国としてはこの発生国からの反すう動物由来肉骨粉などについても、国際基準を踏まえた加熱処理等の所要の処理をしたもの以外の輸入は認めないというふうなことで、動物検疫の徹底を図ってきた、こういうことでございます。  現在のところ、我が国においては発生ももちろんありませんし、十分な体制はとられてきたというふうに思っておるところでございますけれども、しかしさらに、ことしの一月一日から、EU等から船積みをされる肉骨粉等の動物性の加工たんぱくや牛肉あるいは牛の臓器など、これらの加工品について当分の間輸入禁止措置をとると、このようにしているところでございます。これらについても、プリオンという物質を通じての症状の発生ということで大変な被害を及ぼすわけでございますので、さらに万全の体制をとらせていただきたい、このように考えております。
  26. 郡司彰

    郡司彰君 今、そのような対策をとっていて、日本の場合には大丈夫だろうというふうに言われているわけですけれども、一方で百万人に一人ぐらい、これは牛肉を食べたか食べないかにかかわらず、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病という、そういう症状を出される方がいるということであります。  これは日本にもいらっしゃるわけでありまして、例えばイギリスですと、平成八年の三月二十日ですけれども、このクロイツフェルト・ヤコブ病と牛との関連があるというようなことを発表しましたけれども、この関連について日本政府としては、イギリス政府の発表どおり関連があるという認識でいらっしゃいますでしょうか。
  27. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) そういったイギリスの方の状況なり承知しておりますが、正式にそういった形で科学的に究明されたというところまで私どもとしてしっかり把握しているわけではないと、これはまた厚生労働省の関係にもなりますが、というふうに今認識しております。
  28. 郡司彰

    郡司彰君 いわゆるミート・アンド・ボーンミールとか、そういう形のものでもって、EUを初め大変に今パニック状態にもなっているような話も聞いているわけでありまして、既にこのイギリスなどでは八九年あたりから内臓に関しては食用を禁止するというようなことになっているわけです。  日本の場合には、それに対して直ちにというふうなことにもちろんなる必要もございませんし、問題はこのクロイツフェルト・ヤコブ病という病名の病気があるよ、中身的にはどうも狂牛病と同じような症状になっている。イギリス政府はそういう関連があるという発表をしている。何か日本の食生活においても、本当に大丈夫だろうかというような安全に対する危惧というものが一方で出てくる可能性があると思うんです。  私は、絶対今のところ、そのような本当の因果関係を含めて、日本の場合には起きていませんよというようなものがあるとすればはっきり申し上げて、国民の間に必要以外の不信感というものがあるとすれば払拭をする必要があると思うんですね。その辺について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) この点につきましては厚生労働省の方の問題だろうというふうに思いますが、しかし農水省としましても、これは当然国民に安全な食料の供給という面から見ますれば、最大限に関心を持ってやらなきゃならぬことだろうと思うんです。  実は、今お話がありました因果関係につきまして、一月に私、EUに行ったときにたまたまちょっとその話がEU側から出まして、どうも因果関係があるんではないかという発言がありまして、私どももその話を聞きまして、既に何人か亡くなられている方もあるというふうなことまで言われたものですから、これは大変だというふうなこともありました。  たまたま日本としましては、これは輸入も全部ストップしまして、加工も全部ストップしているところでありますけれども、しかしこの問題については、常に国民の皆さんに安全な食料を供給するという立場からするならば、最大限の関心を持って対処していかなければならぬということでございますので、これからもその辺のところをしっかりとやっていきたいというふうに思っているところであります。
  30. 郡司彰

    郡司彰君 潜伏期間が十年とも二十年とも言われておりまして、その辺のところについては、今回の措置以前のものについて、日本にはそういうものはないんだろうかというようなことを心配されている方がおりますし、また、私が聞いたお医者さんの中に、例えば日本の歯の治療のときに、それからとった関係のものを使っているというような話をされた方がおりまして、どうもこういう話が事実関係をきちんとしないであちらこちらでもし出るとすれば、これまた不見識な形でのものを引き出すと思うんですね。そういうような以前のものについてはどうなんだ、あるいは、今言った医療用としてそのようなものが使われている、そのようなことは、安全といいますか、どのようになっているんでしょうか。
  31. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、私どもにもそういう話が入っております。あるいはまた、ゼラチンが化粧品に使われているというふうな話もございまして、これまた厚生労働省の方で追跡をしているというふうに聞いておるわけでありますが、農水省としてもそれは万全を期してしっかりとその辺のところを追跡して、実際にそれがどうなっているのかということについて今対応しているところであります。
  32. 郡司彰

    郡司彰君 この狂牛病なんですけれども、例えばイギリスからほかの国にうつっていったような形跡が非常に強いわけでありますけれども、同じこのイギリスで見ましても、グレートブリテンというところで十六万五千ぐらいのBSEが出ている。一方の同じ英国の北アイルランドで見ますと千七百ぐらいしか出ていないということで、同じ英国の中でも非常に偏りがある。特に、地域的に、例えば風土病とまでは言えるのかどうかはわかりませんが、そういう関係というのが非常に強いんではないかというような話をされる方がありますが、この点についてはどのような認識でしょうか。
  33. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、その点も私、EUから聞いた話なんですけれども、その話によると、地域によって物すごい偏りがあるという話も出ました。そういうことで、風土的な事情もあるのかという話も実はEU側のフィシュラーという農業委員の方がおっしゃっておったんでありますけれども、私どももそういう話を聞きますと、あるいはというふうな感じもするわけでありますけれども、まだそこのところまでは確たるものがないというふうにも聞いているところでございます。  いずれにしましても、この狂牛病につきましては非常に危険なものでもあるものですから、我が国としましてはもうそこからの輸入は一切、あるいは加工も輸入をストップさせてもらっているところでありますが、これからも最大の注目をしながら、注視をしながらその辺の対処をしなければならぬなというふうに考えているところでもあります。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 一月一日以降の体制についてもかなり厳しくとられていると思いますので、国内において狂牛病を知る対策をきちんと行わなければいけないということとあわせて、国内のものについては今そういう可能性がないんだというようなことをあらかじめ知らしめておくようなことも考えていただきたいと思っております。  どうも映像で、EUではもうハンバーガーも売っていないんだとか、そういう映像を見ますと、一緒くたに日本の場合もそうかと。これらの一連のものが飛び火をしますと、例えば焼き肉その他の日本の食文化にかかわる問題も非常な問題が起きてくると思いますので、対策をきちんと、しかも安全についてはきちんとPRをしていただきたいなというふうに思っております。  それから、中国の農業についてお聞かせをいただきたいと思いますが、昨日来ニュースで、農産物セーフガードに関しまして暫定発動の要請を行っていこうというようなことが相当流されておりますが、これの事実関係についてお聞かせをいただきたいと思います。
  35. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今三点、これはネギと生シイタケとそれから畳表、イグサについて調査をさせてもらいまして、三月二十二日までにそういった資料等が参りまして、その分析を行っているところであります。  その暫定措置ということにつきましては、今説明を私も受けているところでありますけれども、これに加えまして、最近の価格とか需要の動向とか、あるいは経営動向等を十分に踏まえて判断しなければならないということでございまして、そういうことから今資料の分析をさせてもらっているところでございますが、その上で今度は財務省あるいはまた経済産業省の両大臣とも協議をしなければなりませんので、そういった面で農水省としての一つ考え方というのをこれからまとめようというふうな、そういう段階でございます。
  36. 郡司彰

    郡司彰君 今、大臣の最後のころにありましたが、財務省あるいは経済産業省ですね、この辺のところとの十分な意見の調整をしなければいけないということでございますが、この二つの省庁と打ち合わせをするべき意見の一致をしていない部分というのは今どういうところでしょうか。
  37. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) まだ私の方としては直接はやっておりません。まず、当省として今調査をした結果を、分析した結果を聞こうということで、実はきょう、夕方になるかもしれませんが、そこで聞きまして、そして我が省としての態度を決めさせていただいて、それから当たるわけでありますから、そこでいろんなまた出てくるんではないかなというふうには思っております。
  38. 郡司彰

    郡司彰君 ただ、基本的な考え方としては、昨日、松岡副大臣がマスコミに対してお話をした、国際的にも暫定で行うのは当たり前だという考え方ということに理解をしてよろしいですか。
  39. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) いずれにしましても、これは資料を分析しませんと何とも言えない段階でありますが、実は、九項目にわたりましてこれをやらなきゃならぬわけでありまして、私はまだ九項目すべてを聞いているわけではございません。きょう聞くことになっておりますものですから、それをしっかり踏まえて対応したいというふうに考えております。
  40. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) ちょっと昨日の我々の省内の打ち合わせの状況について御説明を申し上げますが、毎週、副大臣そして政務官中心になりまして、まず報告を受けます。その中でいろいろ議論があったわけでありますが、松岡副大臣も一緒でございました。  我々といたしましては、この実情を考えて、暫定のセーフガードの発動に向けて省内一致して、大臣ときょう午後に打ち合わせをするわけでありますけれども、一応スケジュール等もありますので、どういうスケジュールになるかというようなことの中からいろいろと出てきた内容でありまして、これから三省庁で大臣中心になっていろいろと考え方をまとめていただくという前段の話が報道されたわけでございますので、若干先走った報道になり誤解を受けた面もございますが、これから我々の考え方大臣中心としてまとめていくということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  41. 郡司彰

    郡司彰君 次に、この実際の九九%、三品目に対しても輸入をしている中国の農業でございますが、WTOに対する加盟ということが当初の時期的なものよりもおくれているんではないかと思いますが、現状、WTO加盟について中国の今置かれている立場を御説明いただきたいと思います。
  42. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 中国がWTOに加盟するためには、希望する加盟国との間で中国の関税引き下げ等について二国間の交渉を行うと。もう我が国とは既に行っておりますけれども、中国も多くの国と行っております。そのほか、多国間の協議というのもこれまた必要でございまして、この多国間の協議がまだ進んでいないというふうな状況でございます。これから中国がWTOに加盟するに当たっては、この多国間協議を中心に進めてもらうことが必要だと、このように考えております。  特に、この多国間協議の中で大きな議論になるのが、サービス分野での保険とか、それから流通分野での外国資本の参入条件をどのようにするのか、この辺が非常に大きいというふうに一つは聞いています。  それから、農業分野では、いわゆる中国を途上国として扱うか扱わないかという問題ですね。ASEANの国々では、途上国扱いでもいいではないかという意見が大宗を占めているというふうに伺っております。それから、EUども中国を途上国扱いでもいいんではないかと、このように言っていらっしゃるようでありますが、特にアメリカとかオーストラリアとか、いわゆるケアンズ・グループは、いや、中国は途上国扱いすべきではないと、農業分野で、そのような強い主張があるようでございます。  我が国は、これまで二国間交渉を中国等とやってきた中で、一部はやはり途上国扱いしてもよろしいんではないかという思いを秘めつつも、しかしほかの分野を含めて、これは多国間協議の推移というものをもう少し見きわめて最終的な判断をしたらよろしいんではないかと、このように思っておりまして、その辺の調整が時間がかかっておって今日まだ加盟に至っていないと、このように承知をいたしております。
  43. 郡司彰

    郡司彰君 中国の面積、人口、そしてその中における農業の比率というものは、これは日本に比べものにならないほど高いわけですね。ですから、そこの動向をきちんと押さえておくということがないと、これから日本の農業が立ち行かない可能性も出てくると。しかも、私どもからすると、どうもイメージとして、頻繁に訪れている人以外は、中国の農業は日本に比べてはおくれているんではないかというような先入観みたいなもので推しはかることがありますけれども、必ずしもそうではないような話も聞いております。水稲のF1もそうでありますし、最近では別な品種でもって協優九三〇八とか、そういう品種が出てきたりというふうなことも聞いております。  この間の輸出あるいは輸入の伸び等を見ますと、果樹あるいはその他の関係でもって輸出が相当ふえておりますが、この輸入をしている国の大宗というのは日本だというふうに理解をしてよろしいんですか。
  44. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 我が国輸入されている手元に野菜主要品目の動向を持っておりますが、現在セーフガードで政府調査を実施しております三品目、ネギ、生シイタケ、畳表、これはいずれも中国からの我が国への輸出が、中国からの輸入といいますか、中国から見れば輸出でございますが、それが大部分を占めておりますし、中国からの輸出先国としては、当然のことながら日本が第一というふうにも理解しております。  そのほかの品目でも、例えばタマネギにつきましてはアメリカ、ニュージーランド、中国からの我が国への輸入中心になっておりますし、ニンニクは、これは中国は世界に輸出しておりますが、我が国への輸出先国としては中国が第一という状況がございますし、その他ワカメ、あるいはウナギ等の水産製品についても我が国への輸出先国としては中国が一番多くて、過半を超えているという状況になっているというふうに理解をいたしております。
  45. 郡司彰

    郡司彰君 数字から見ますと、例えば昨年の関係で見ますと、貿易黒字の中で野菜の輸出が約二百万トンで一六・八%ぐらい伸びている、金額でいうと十二億八千二百万ドルというような数字。それから、果物の方でいきますと七十九万五千トン、金額で四億五千万ドル、伸び率が三〇%以上というようなことが出ておりますが、その一番のお得意が日本だということになりますと、例えばこれ数量的に、果物で七十九万五千トン、野菜で二百万トン、どのぐらいの量が日本に入ってきているんですか。
  46. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 手元に野菜の数字を持っておりますが、中国からの野菜の輸入動向、これはもちろん生鮮野菜とそれと加工野菜、塩蔵ですとか分けて我々見ておりますけれども、近年の動向を見ますと、昨年一年間、生鮮野菜の輸入量は三十二万トン弱でございます、中国から日本国への輸入量が、対前年比一一二%になっている、一二%増ということでございますが。近年の動向を見ますと、昨年も輸入量が二十九万トン弱で、十年に比べれば二一%増というような状況になっております。ただ、時系列的に見ますと、経過的には平成七年が一つのピークを画しておりまして、八年、九年と減少傾向で推移していたんですが、十年産が、先生御案内のとおり、国内が非常に不作の影響で国内の野菜価格が上昇した、そういう状況の中で輸入が増加し、その後その傾向が継続しているという状況にございます。  一方、野菜加工品の動向を見ますと、これは、例えば冷凍野菜で見ますと、去年一年間の輸入量が三十一万トン強で対前年六%増、あるいは塩蔵野菜は十九万トン弱で、これは対前年一三%程度のマイナスという状況がございまして、加工品の輸入といいますか、中国から見れば輸出動向は、生鮮に比べれば、当然といえば当然でございますが、比較的安定しながら、しかし着実に伸びているという状況にあろうかと。  ただ、先ほど申しましたように、冷凍であるとか塩蔵であるとか乾燥であるとか、いろんな形態がありますので、その形態ごとの状況は時々、区々でございますけれども、やっぱり輸入が増加傾向で推移しているという状況にあろうかというふうに思っております。
  47. 郡司彰

    郡司彰君 一方で、生産コストも相当上がってきているというふうな話を、中国の方の生産コストですね、上がってきているんだろうと。それで、それによって、米、小麦、トウモロコシ、大豆、コウリャン等の穀物の価格、これはもう既に国際価格より一〇%ないし七〇%高くて国際競争力を失っているんだという見方がありますが、これは事実でしょうか。
  48. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 大変恐縮ですが、手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんけれども、中国においても、所得水準の上昇の中で、畜産物等の消費の増加の状況がございます。そのことは、当然のことながら飼料穀物等の需要増大につながっていきます。今後、中国での、現在も大変高い経済成長を継続しておりますけれども、経済成長が継続する中で、我が国もそうでございましたけれども、穀物の直接消費から畜産物なりあるいは油脂なり、あるいは野菜なり果物なりというところへの需要拡大はかなりの勢いで続いていくんだろうというふうに思っております。  中国は、そういう状況の中で、生産国としても世界最大の生産国の一つでございますけれども、国内需要との関係から見たときに、いろんな見方はございますけれども、やはり中国は将来的には食料の純輸入国としていくだろうというふうに見られておる。そういう中で、特に経済成長の中で国内の賃金水準の上昇等が続いていきますと、土地条件といいますか、経営規模的な観点で見ますと、これも具体的な数字ちょっと手元にございませんけれども、アジアの中で日本と極めてよく似たいわば小規模経営という状況でございますので、将来的にはコスト面でもかなりやはり先生指摘のような状況になるんではないかというふうに見ておりますけれども、現時点でそういう競争力を失っていると、あるいはそういう状況にはまだないんではないか。我が国も、大豆にしろトウモロコシにしろ一部輸入している状況にございます。
  49. 郡司彰

    郡司彰君 それから、中国の中で労働力からするとまだ過剰ぎみなんだろうと思うんですね。そういったことも含めてですけれども、例えば、四月からのJAS法、有機の表示の関係で脅威になる可能性もあると。今のところ、このJAS法の関係について日本の認証機関に中国からの問い合わせあるいは認証をしているというようなことの事例はありますでしょうか。
  50. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 四月一日から有機農産物につきましてJAS法に基づく表示を義務づけてお願いするという状況で、間もなく施行を迎えるわけでございますが、たしか登録認定機関が三十八機関登録されていると思います。それはいずれも国内の認定機関でございまして、中国の場合、いわば我が国のJAS法と同等の仕組みについての、同等性の確認をまだいたしていないと思いますので、中国から有機食品が入ってくるということになりますと、日本の登録認定機関が生産現場を確認してそれで認定していくというものが主流になるんではないかというふうに思います。  ただ、中国と各認定機関との間でどの程度そういう具体的な取り決めができているかというところに、相談と申しますか、相談と言うとちょっと語弊ですが、認定の手続なりなんなり要請がどの程度出ているのかというのは今手元にありませんのでちょっとお答えできませんが、中国自体かなりそういう有機食品、有機ということについて関心が高く、いろんな取り組みがあるというふうに聞いております。
  51. 郡司彰

    郡司彰君 所管が違うということでありますが、非常な私どもは脅威感を持っております。日本の認証機関がどの程度今問い合わせがあったりオファーがあったり現地に赴いているかということは、今後の日本の畑作に対する影響が非常に大でありますので、掌握をしながらしていただきたいなと思います。  それから、大臣にこの質問で最後にお尋ねをしたいと思いますが、テレビの報道等を見ますと、いわゆる中国でそういった日本に輸出入をするものの作物に日本のお金というか資本が投入をされている。契約栽培という形がこれまで米でも相当ありましたが、今度は畑作でも相当出てきているわけですね。これは経済活動ですから、一概にそういうことのよしあしという判断をすることを行政の立場としてできるわけではありません。ありませんけれども、私は、やっぱり日本の国の食料は日本の国で最低限賄うという努力をしているわけでありまして、自給率も上げるために今努力をしている。一方で、金に任せてという言い方はおかしいかもしれませんが、日本のお金でもって栽培をされたのが大量に日本に入ることによって日本の農業がつぶれていっている。こういう現状を大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  52. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、先生がおっしゃったのは、開発輸入の話だろうというふうに思うわけであります。  輸入等の農産物につきましては、これは野菜が今非常に多いのでありますけれども日本向けの輸出のために輸出国側が日本の企業からノウハウというんでしょうか、そういう技術的なものを教わって、あるいはまた種を持っていってというようなことで、日本の企業自体が海外でそうした産地を形成されながらやっているという事例があるということは私も承知をしております。  実は、そういうことがあるものですから、私のところへちょっと種に関係している人たちに来てもらいまして、どういう状況にあるんだという話も聞かせてもらいました。その種の関係者の人たちは、自分たちは直接渡したことはないというようなことを言っているわけでありますが、現実には日本でいい種がつくられると三日後には中国へ行っているなんて平気で言うわけでありますから、それはどういうルートで行くんだというのを聞きましたらば、結構商社等を通して行ってしまうんだと。じゃ、商社に出さなきゃいいじゃないか、この種だってすばらしいものであるならば、国家機密じゃないけれども、企業秘密があるように日本にだってそういうのがあってもいいんじゃないかというようなことまでも私は申し上げたわけでありますけれども、そんな話もされておりました。  それからまた、商社の方にも聞いたわけでありますが、現実に中国に行ってそういうのをやっているということを認めている商社もありまして、しかしこれは相手国によってさまざまだということもございます。  そういった面から、今お話がありましたように、個別な企業に対しましてもそれをやってはいかぬぞというふうなことは言えない立場にはありますけれども、少なくとも私ははっきり申し上げておきますれば、商売においても、これまた商売でありますから、哲学と言ってもいいんですが、そういう理念があってもいいはずではないかというようなことを商社の方にも申し上げたところでございまして、そういう中で中国側の話を聞きますと、中国側では合弁会社が実際に輸出をするそういうものをつくっておるんだというようなことも言っているわけでありまして、それに合わないところのものが、日本の企業と言ってはなんですが、そういうところが来てやっているというようなことも言うわけでありまして、そういうのを中国側で注意してくれというようなことを言いましたら、いや日本側でやれというふうなことすら言われているわけでございます。  そういった面で、やっぱり私は理念を持ったそういう商売というのは大事ではなかろうかなというふうに思っているわけでありまして、これからも野菜等につきましても中国等における開発輸入を含めた生産あるいは流通の実態というのを把握しながら、その辺のところもひとつ、何回も申し上げますが、理念のある商売というのをやってもらいたいというようなこともこちら側で、国内において私は注意を喚起していきたいというふうにも思っているところであります。
  53. 郡司彰

    郡司彰君 今、大臣からありましたように、私は、経済の分野だからそれでよしとするよりは、先ほどセーフガードの関係でも経済産業省の例えば思いというものが、消費者に安いものを提供することがどうして悪いんだという理屈があるわけですね。ただ、私は、ほかの産業と違ってこの農産物については、やはりそれぞれの国が食糧宣言に盛られたような持続的な形での農業というものを目指さなければいけない。それは一概に値段の問題だけでやるんじゃないということを国全体の中でやっぱり議論をしてみんなに理解をしてもらう、そういう作業がセーフガードとあわせて同じような中身であると思いますので、よろしくこれからもそういう議論を省庁をまたがっての議論としても十分にやっていただきたいなと思っております。  時間がなくなりました。  二十七日、きょうまで有明の干拓、工事を中断してのその調査ということになるわけであります。あすから一定また再開をされるわけでありますが、予断を持ってというふうなことになりますから、なかなか難しいところだと思います。しかし、私はこの前も言いましたように、韓国の始華の事例を見ましても、私自身は、党の考え方としてもそうでありますけれども、基本的に水門をあけるということによって長らく生態系を取り戻すことができるんではないかというような考えでございます。  時間が参りました。大臣からあれば御答弁をいただくということで、終わりにさせていただきます。
  54. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、有明、特に諫早湾の干拓事業についてのお話がありましたけれども、地元の要望に沿ってこれはやっていることでございますから、農水省といたしましては基本的にはこれを推進するというのが今の姿勢でございます。  しかし、今般、有明海のノリの不作の問題については実はまだ原因がわからないわけでございます。そういうことから、私は最初から予断を持たないで徹底的な調査をしてほしいということを言っているわけでありまして、その調査を行うことが最も重要だと今考えているところです。  きょう第三者委員会が開かれるわけでございまして、その水門の開閉につきましても調査対象にするかどうかということも含めまして、有明海のノリの再生のため、これはノリだけではないんですが、実はタイラギ等、貝の問題もあります。そういった面で、有明海をやっぱりもとに戻すといいましょうか、再生させるという、そういうためにもこの原因の究明を早く進めてもらいたいということが私の意図するところでございまして、きょうの一つの第三者委員会の方向というか、結論といいましょうか、そういうものを最大限尊重していきたいというふうに考えております。
  55. 谷林正昭

    谷林正昭君 引き続きまして、民主党の谷林正昭でございます。  所信に対する御質問をさせていただきます。  前回もちょっと宣言いたしましたが、少し水産で頑張ってみたいということでございまして、水産基本政策大綱に基づきながらきょうは少し御質問させていただきたいなというふうに思います。  四十年前に水産、沿岸漁業のよりどころになります沿岸漁業等振興法というのができました。それから法律が全く変わっていなかったわけでございまして、まさに今取り組まれようとしている施策は本当に画期的なものであり、あるいはまさに漁業に携わる人たちがもう少し早くこれをつくってもらいたかった、あるいは出してもらいたかったと、こういうような思いも今伝わってきておる次第でございます。  そういう中にありまして、この水産基本政策大綱あるいはプログラム、これをもとにしながら法律をつくられるわけでございますけれども、これから出てくる施策を本当に生かすためには幾つか必要不可欠なものがあると思います。その必要なものを何だとお考えになるのか、まず大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  56. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、今回国会に提出しました水産基本法案、これにつきましては農林水産省が一昨年、今期の水産政策の指針として策定をいたしました水産基本政策大綱に沿いまして、関係者意見等も聞きながら法制的な整備をした上でまとめたものでございます。  今、先生がおっしゃいました、それじゃ、それは具体的にどういうようなものがあるのかということでありますが、新たな水産政策の理念に沿った施策の展開のためには、その基本法の制定とあわせまして理念の具体化に必要な個別法を制定する、成立させなければならぬというふうに思っておるわけでございまして、その予算措置等の充実などもこれは不可欠な要素でもあるわけでございます。そういう基本法の理念を具体化するためには、漁業法あるいは海洋生物資源の保存及び管理に関する法律、あるいは漁船法の改正法案を提出しているところでもございます。また一方では、平成十三年度予算におきましても、担い手の育成あるいは水産基盤の整備、あるいは漁業対策等を重点にいたしまして必要な予算措置もしているというところでございます。  いずれにしましても、水産政策は現場に密着した政策課題でございますから、こうした新たな政策の内容につきましては、現場に対する十分な説明あるいは周知等を行いながら水産政策の改革に全力を尽くしていく考えでございますので、ひとつよろしく御指導をお願いいたします。
  57. 谷林正昭

    谷林正昭君 今ほど大臣の方からありました。私は一つ欠落しているんじゃないかなというふうに思います。  それは何かといいましたら、今ほど現場の声とおっしゃいました、私もそのとおりだと思いますし、もう一つは消費者そして国民全体、この合意が大綱を成功させる、あるいは大綱に基づいて法律をつくって、その法律を施行しながらやっていくということに一番大切なのは、やっぱり今は国民の理解、この漁業というものに関しての関心、これが一番大切ではないかなというふうに思いますので、老婆心ながら私の方でつけ加えさせていただきます。──何かありましたらどうぞ。
  58. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私はもう最初からそのことは申し上げているわけでありまして、消費者、これは生産者といいますか漁業者は共生するものだというふうに思っておりますから、消費者の声あるいはまた国民の声というのは、非常に大きなインパクトもございますし、それをしっかりと受けとめながら施策の展開をしなきゃならぬというのは当然のことだというふうに考えております。
  59. 谷林正昭

    谷林正昭君 十六ページにそのとおり、大臣が今おっしゃったことが書いてあります。「国民全体の十分な合意を得ながら、順次、改革が具体化されるよう全力を尽くす」、こういうふうに所信で述べられておいでになります。ぜひその所信を大切にしながら、水産というものをより活性化させていきたいな、私も頑張りたいなというふうに思っております。  そこで、大臣お尋ねするわけでございますが、そういう政策を進めるにいたしましても、現場で働く人たち、海で操業する人たちがおいでになります。私のふるさと魚津でも、実は海難事故で亡くなられた方が長い間にたくさんおいでになりますし、港には犠牲者の碑というのがございまして、年に一回、市長さんを初めとして関係各位がそこで鎮魂のお祈りをするといいますか、そこから船出をしていくという、遠洋漁業に行くときもそこで心を込めてというようなことが実はございます。  そういう意味で、この所信の中には水難事故防止あるいは海難事故防止、操業安全、こういうものが抜けているとは言いませんけれども、気持ちは伝わってくるわけでございますが、もう一度、所信の質問でございますので、大臣のお気持ちを、あるいは考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 漁業は海上で行うものでございますから、この漁業労働の中心がそこにあるだけに、陸上の労働とは比較にならないほど私は危険だというふうにも思っておるものでありまして、そういうことから考えますと、漁労安全対策は重要なこれは政策の課題であるというふうに思っております。  そういうことから、今国会に提出をいたしました水産基本法案についても、基本的な施策の方向といたしまして、漁労安全の確保等々、漁業従事者の労働環境の整備については明確に規定しているところであります。これは何条だったか、二十三条か何かにあると思います。  それから、農林水産省といたしましては、漁労の安全を確保するための事故防止に関する啓発活動や救命胴衣の着用向上等についても、関係省庁とも、あるいは団体とも連携を深めながら必要な対策を講じていきたいところでございまして、今後とも施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
  61. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ安全というものに心を砕きながら、操業しやすい環境づくり、あるいは気象条件なども含めてより的確な情報というものをお願いする次第でございます。  続きまして、この水産大綱の中でこれまでの施策の評価と課題というものが指摘をされております。そういう中にあって、新しい法律をつくっていく、あるいは新しい水産業を活性化させていく、こういうことについて少しお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  その評価と課題ということにつきましては、後日また細かい内容を話させていただきますが、一つは、よく言われるのは、海というのは一番川下に当たります。川下で生産をするということになってくると、川上、山、森、田畑、河川、こういうところの環境整備というものを非常にこれから重要視していかなければならないとよくお話がされるわけでございますけれども、そこらあたりについて農水省考えをお答えいただきたいと思います。
  62. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 議員御指摘の、良好な漁場環境保全のためには、川下でございますけれども、川上の森や山や畑の海との関係が大変重要視されてきておるということでございまして、水産基本法案におきましては第十七条に、「国は、水産動植物の生育環境保全及び改善を図るため、水質の保全、水産動植物の繁殖地の保護及び整備その他必要な施策を講ずるもの」ということを規定をいたしております。  今後もその精神に従いまして予算の配分をしていきたいと思いますし、平成十三年度は漁民の森づくり活動推進事業ということで新規事業を予定をいたしておるところでございますので、実効が上がるように実施をしてまいりたいと思っております。
  63. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ、これからも重要な課題となってくると思いますし、国民の理解というのはこの辺が一番大切ではないかなというふうに思っております。  これは通告してありませんでしたけれども、たまたま環境問題にも造詣が深いということで、大臣、お聞きしまして、今ほど川上から川下ということでございましたが、みそ汁を飲むおわんがありますね、あのおわんのみそ汁一杯を川に流すと魚がすめるようになるまでどれぐらいの水が必要かというようなことをよく子供たちに話がされます、環境の話をするときに。大臣、どうですか。どれぐらいの水が必要だと思いますか。
  64. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私も具体的にはわかりませんが、想像するのに、みそ汁一杯流したものを水で今度は清浄化するということになると、三十倍ぐらい必要じゃないでしょうか。私はそういうふうに思います。
  65. 谷林正昭

    谷林正昭君 私、子供の本で見たんですが、クイズじゃないですけれども、ふろのバス、これに五杯分ぐらいは水が必要だというふうに出ておりました。すごいものだなというふうに思いましたので、ちょっと時間とりまして恐縮でございました。  きょうは文部科学省の方から来ていただいておると思いますが、おいでになりますね、済みません。  実は私、富山県でございますが、富山県の水産試験場へ行きまして、そこにすむ魚あるいは貝類、エビ類、こういう調査というのが非常に苦労しているというのを実はわかりました。  そこで、私の思いつきで恐縮でございますが、文部科学省の管轄の中にしんかい二〇〇〇だとか六五〇〇だとか、あるいは無人探査機だとかこういう非常に精密なものを幾つかお持ちになっておいでになります。そういうものを資源の管理あるいは資源の調査研究、そういうものに何か活用できないかなと。  多分ほかのところで、ずっと深海の方で、まさに二千メーター、三千メーターのところでこれを活用されていると思います。魚というのはそんな深いところにはおりません。何百メーターのところだというふうに思いますけれども、そういうところにこういうものを活用できないかということでちょっときょうお聞かせいただきたくてお呼びしましたので、考え方があればお聞かせいただきたいと思います。
  66. 素川富司

    政府参考人素川富司君) お答え申し上げます。  海洋科学技術センターにおきましては、昭和五十七年の潜水調査船しんかい二〇〇〇の運航開始以来、海洋資源等の調査関係いたします共同研究を水産庁や都道府県の水産試験場、今先生指摘の富山県の水産試験場も入っておるわけでございますけれども、共同研究を実施してまいっております、実は。  平成十二年度におきましては、しんかい二〇〇〇の調査潜航の五五%は水産の関連であるということでございますし、例えば平成元年にはズワイガニの貴重な生態を観察、撮影するというような成果も上げてまいっているところでございまして、現在ではその潜水調査船のしんかい二〇〇〇のほかにしんかい六五〇〇、無人探査機の「かいこう」などを用いました公募研究なども行っておるところでございまして、今後とも海洋資源等の調査研究の分野につきまして、その課題の科学的な評価を踏まえまして積極的に採択して調査研究を行ってまいりたいと考えている所存でございます。
  67. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。  ということは、私も大変認識不足でございまして、そういう話を聞きますと、この後も水産庁との連携というふうになろうかと思います。ぜひ御協力をいただきたいと思いますし、水産庁といたしましてもぜひ活用していくべきだというふうに思います。ありがとうございました。  そういう意味では、調査研究というのはこれから必要になってくると同時に、充実をしていかなければならないというふうに考えておりますし、当然だというふうに思っております。  そこで、農水省としての調査研究機関の充実、これまで各県にある水産試験場あるいは国の持っているそういうもの、調査研究機関あろうかと思いますが、その具体的な充実策をこれからどんどんとるべきだというふうに思いますし、予算も大幅につけるべきだ、水産庁長官はどう思われるかわかりませんが、大幅につけるべきだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  68. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 委員指摘のように、やっぱりこれから二百海里時代ということでございまして、こういう状況のもとでとにかく水産資源を有効に活用していくと、こういうことになりますれば、現在の状況がどうなっているのかということを適切にやっぱり調査研究をするというのがこれは一番もとになるというふうに思っております。  そういう中で、今国会に提出をさせていただいておりまして、これから御論議をいただく水産基本法の中にも明記をさせていただいているわけでありますけれども、水産資源の適切な保存管理のための調査研究の施策の推進というのが今度の水産基本法の中でも位置づけられておるわけでありまして、さらには海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部改正法案等においても、従来の漁獲可能量というんでしょうか、これに加えていわゆる漁獲努力可能量ということで、何というんですか、魚をとるという絶対的な量に加えて作業日数とか船の数とか、そういうことでやはり適切な資源の管理をしていくということもまたこれ必要だろうというふうなことで、そういう考えも入れさせていただいております。  特に、いわゆる研究機関の問題でありますが、これまで七つのそれぞれの海区ごとに水産庁として持っておったものを、あるいは養殖研究所、水産工学研究所というものを一つに統合して、今度の行政改革の一環でありますが、独立行政法人として水産総合研究センターというものを配置をして総合的、一体的にこれを進めていきたいということでございます。  なお、各県のいわゆる水産試験場等々との連携についても、ここの水産総合研究センターを中心にしまして、予算の有効活用というんでしょうか、その配分等についても適切に合目的的に効率のいい執行をしていきたいと、このように考えているところでございます。
  69. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひお願いしたいと思います。  なぜこういうことを言うかといいましたら、休業するにも休船するにもやっぱり的確なデータというものを示して理解をしてもらうということが基本になろうかというふうに思っております。  先日、テレビを見ておりましたら、北海道にニシンが帰ってきた、ちょっと言葉は忘れましたけれども、その湾がニシンの精子で真っ白になる、こういうことはもう何十年ぶりだという漁師さんもおいでになりました。そういうことを見たときに非常にうれしくなるわけでございますが、水産庁としまして、どうしてこのニシンの群れが帰ってきたのか、そういうことを少し、研究を多分しなきゃならぬというふうに思いますので、お考えがあればお答えいただきたいと思います。
  70. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 実情をお話しした方がよろしいと思うんです。  ニシンは明治から昭和の初期までは恐らく北海道の日本海、オホーツクを中心に数十万トンのオーダーでとれておりました。ただ、北海道の日本海、オホーツクのニシンの系群は四種類あります。これは、たくさんとれていたときの主力はサハリン系の系群でありました。今とれておりますのは、これは石狩湾系群という四つの系群のうちの一つでございます。  確かに、この石狩湾系群は一年間に数十トンから数百トンのオーダーで増加が見られるということで私たちも期待をしているところでありますけれども、かつての主力のサハリン系ではないものですから、そんなにたくさんふえるかどうかなということはやや危ぶんでいるところでございます。近年、水温がこの地域で低いということでニシンに適していたということが一つの原因かと思われますけれども、北海道ではニシンの放流というのもやっておりますので、いろいろなことが相まって石狩湾系群が今増加の傾向にあるというふうに承知をいたしております。
  71. 谷林正昭

    谷林正昭君 放流という今お話がございました。いろんな条件が重なりながら少しずつニシンが戻ってきたという、そういうまさに戻ってきたという気持ちが北海道の漁師さんにはあるんではないか。あるいは一方では、日本全国でそういう思いを、昔はこういう魚がいたんだけれども今はいなくなったというところがたくさんありますし、それに向けていろんな、放流をしたり稚魚を育てたりやっている、そういう栽培漁業について少しお尋ねをしたいというふうに思っております。  ふ化をさせ稚魚を育てながらそれを放流する、栽培漁業というふうに聞いておりますが、こういう漁業をこれからやっていくとしたら、今度はその周辺、それはずっと回遊する魚とその辺で育つ魚といろいろあろうかというふうに思います。富山水産試験場で聞きましたら、ブリの腹に電波を発信するそういうものを入れて、ブリの回遊の生態を調べるためにやっているというようなことなども聞きました。  そういうことではなくて、小さな魚を放流して大きくして漁獲するというこの栽培漁業について、大学の先生がちょっと心配なことをおっしゃいました、だれとは言いませんけれども。百九十円ぐらいかけて稚魚を育てて放流をする。ところが、それが網にかかってどんどんとれてしまう。そのとれた魚が六十五円でしか売れない、一匹。百九十円かけて六十五円でしか売れないそういうような栽培漁業を仮にこのまま放置をするということになってくると非常に問題である、こういう話もされました。  そういうことを考えたときに、この栽培漁業というのは非常にいいようで難しいのではないかなというふうに思いますので、御見解があれば聞かせていただきたいと思います。
  72. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 適切な資源の保存管理とそれから増養殖というのは、これからの漁業の二本の柱だと思います。  現在、八十種類ほどのものについていわゆる栽培漁業の対象にしているわけですが、レベルが随分違います。サケ、マス、ホタテというふうなものは既に相当経済効率がよくなっておりますので、今御指摘のような御心配はないわけでございます。それから、マダイのように割と近いところを回るような、例えば湾内というふうな魚につきましてもある程度実態がわかっておりますので、これから先の希望もあるかなというふうに思うんですが、それ以外のものについては、確かにおっしゃるような、まだ放流とそれから漁獲の間のコスト関係が十分成り立つような状況になっておりませんから、そういうところは国としても力を入れて体系が整うようにしたいと思っております。  と同時に、先ほどマダイのお話をしましたけれども、マダイでも漁業者がとる分よりもむしろ非漁業者がとる分の方が多いというふうなことも出ておりますし、おっしゃられたように体長の小さいものをとってしまうというふうなこともありますから、自主的なそういう規制も必要ですし、漁業調整規則で体長制限をする、時期の制限をするというふうなことも必要です。同時に、非漁業者による漁獲というものについて一定程度制度化をするという方向がこれから検討されてしかるべきだというふうに思います。
  73. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ、栽培漁業がこれからの沿岸漁業の切り札になるというような気持ちも一方では持っておりますので、やっぱり考えていかなければならないんではないかなというふうに思います。  水産をやると言いながら、一点だけ農産物の消費税について少し勉強させていただきたいなというふうに思います。  先日、私の家へ連絡が来まして、ファクシミリが入りまして、農産物の消費税というのは一体どうなっているんだと、そういうふうに聞かれました。何かおれたち、手出しだけしているんではないかと。米には消費税、おれ農協へ持っていったときには消費税はもらっていないんじゃないかなと、こういうような話がありまして、少し勉強させていただきました。  そうしたら、私の考えが間違っていれば指摘してください、勉強しがけなものですから。まず競りにかかるもの、農林水産物、競りにかかるものについては競り値、落とされた値段に消費税をプラスして生産者に渡すと。要は、消費税を預けるということですね。そして今度は、免税者とそうでない方がおいでになると思いますが、第三種業種ということになって、農業、水産というのは七〇%をみなしで経費として見て、三〇%に消費税分を納税する、こういうシステムになっているということがわかってまいりました。違っていたら指摘してください。  そういうことになってきますと、米を生産した農家と、今、大規模農業法人、こういうものがこれからふえていくというふうに思いますし、そういうところは当然消費税を納めるということになってきます。そうしたら、農家が納める米とそういうところが納める米ということについては、入るお金は一緒です。そのときに、本当に消費税が上乗せになって生産者に渡っているかどうかということが非常に大きなポイントになってくると私は思いました。  その辺の、これは農業だけではなくて水産あるいは花、果物、競りにかかるものはすべてそういう条件になっている、システムになっているというふうに理解をしておりますので、これはとりあえず米についてお尋ねし、お答えをいただきたいと思いますが、今どういうようなやり方で指導されているのか、そして消費税というのは本当にしっかり受け渡しがされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  74. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 生鮮食料品についての消費税の取り扱いのお話が今、先生からございました。  卸売市場で取引をされる取引形態は、今先生おっしゃったような競りの形態もあれば相対での形態もございます。実情を申しますと、競りと相対大体同じぐらいの量で取引されております。私ども平成元年に消費税が導入されたときから一貫して関係者について周知徹底を図ってきておりますことは、競りにしろ相対にしろ、形成される価格は税抜き価格で決めてくださいと。だから競りで決まる値段は税抜き価格であると。それに最終精算をするときは五%を乗じた額で生産者に対応するということで、平成九年の消費税の改定のときもあわせて周知徹底を図り、現実にそういう運用がされてきているというふうに理解をいたしております。  一方、米のお話のところでございますが、米のところにつきまして、政府買い入れをしているお米、これは備蓄に充当されるお米でございますが、それにつきましては、当然のことながら、実績を見ながらやっておりますから、仕入れに係るところはその中に算入されてきていると思うんですが、いわば販売に係る部分についてのところの取り扱いについては、いわば当該者が納税をしているという状況での証明があったときにかつては追加支払いをしていたように私、記憶しておりますが、突然の御質問でございますので、現状、その米のところの状況がどうなっているかについては、私もちょっと詳細は承知いたしておりません。
  75. 谷林正昭

    谷林正昭君 済みません、これは通告してありますから。きのう、通告しておきました。よく調べて答弁してくださいと、こういうふうに言っておいたつもりでございます。  今ほど局長がおっしゃいましたように、政府に売り渡すものも消費税もらっていないと、じゃないんですか、出していないんじゃないんですか、国が。そこだけはっきりしてくださいよ。
  76. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 通告をいただいていて、私、了知していなくて大変申しわけございません。  米を直接あれしておりませんけれども、消費税相当額という形で政府買い入れについて直接もし当該者に支払いがされていないとすれば、当該者が免税業者であるという、ですから、先ほども申しましたように、納税証明がある場合、当該者に支払いをしているという状況にあるんではないかと思いますが、これは間違っておれば後ほど調べて訂正させていただきたいと思います。
  77. 谷林正昭

    谷林正昭君 済みません、時間が来ておりますが、システムどおりやられているかどうかということを私は聞きたかったので、証明書を見せなかったら払わないというのは、それは違うんですよ。それは納税するから、それを預かるんですから、それだけはしっかり、ちょっと調べてください、どうなっているか。後で聞かせてください。  終わります。
  78. 須藤美也子

    須藤美也子君 まず、所信の最初にWTO問題と米問題についてお尋ねします。  アメリカが、市場開放促進、自由貿易徹底を掲げる共和党のブッシュ政権になりました。そして、今月の初め、ブッシュ大統領は、二〇〇一年度通商政策課題を盛り込んだ年次報告書を議会に提出いたしました。  食糧庁長官お尋ねします。米についてはどのようなことが述べられているのでしょうか。    〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
  79. 石原葵

    政府参考人石原葵君) お答え申し上げます。  米国の通商年次報告、これは正式名称は二〇〇一年通商政策課題及び二〇〇〇年次報告というものでございますけれども、この年次報告では、日本の米につきまして、一つには一九九九年に我が国が米の関税化を実施したこと、それから二つには食糧庁による透明性のある輸入制度の運営が重要であること、それから三つ目には日本の米輸入を注意深くモニターし続けること、それから四番目にはWTO農業交渉において、米に関する約束を含めすべての市場アクセス約束のさらなる自由化を求めていくこと等が記載されているところでございます。  しかしながら、過去の報告におきましては圧力をかける等の表現があったわけでございますので、こういうものに比べますと、今回の報告ではそういう表現はなく、基本的には今申し上げましたような記述は、これまでの経緯やアメリカ側の関心が記載されているにすぎないものと考えているところでございます。
  80. 須藤美也子

    須藤美也子君 アメリカは圧力ではなくて監視をしていくというような点では違うと、こうおっしゃいましたけれども、要求してくればそれを拒否する、こういうことでしょうか。
  81. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 要求してくれば、理不尽な要求については断固拒否するということでございます。
  82. 須藤美也子

    須藤美也子君 WTO交渉は一定の期間かかると思います。その間のミニマムアクセス米の量は二〇〇〇年の水準が続くわけですね。それ以上は絶対認めないということでよろしゅうございますか、大臣
  83. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ただいま先生指摘のように、交渉の段階においては、交渉がずっと続いてもその時点のものがずっと続くということでありますから、その間にふえていくというようなことはないし、もしそんなことがあったら、また今度は断然拒否するのは当然のことです。
  84. 須藤美也子

    須藤美也子君 それ以上認めないとしても、交渉が決着するまでは現在の七十七万トン、これは続くわけですね。そういう点では我が国の農業にとって非常に打撃を与えるものだと思います。私も全国各地を見まして、米どころの県は大変な状況であります。  例えば、この間秋田に行ったときには、秋田の米の、東北では第一の米どころなんですけれども平成六年度百七十六万円、販売農家一戸当たりの農業所得が現在、十一年度で八十六万円と約半分に減っております。副大臣のいらっしゃる新潟も米どころであります。平成六年には百六十八万、一戸当たり、それが現在八十九万と、このように落ち込んでいるわけです。そういう点で、非常にミニマムアクセス米の七十七万トンというのは国内の米生産に大変な打撃を与えているということは事実だと思います。  私どもは、削減やあるいは援助米に回すようにこれまでも主張をしてまいりました。そういう点で、打撃を与えないようにすべきだと思うんです。  今度の米の基本計画で初めてSBS米、これが二万トン減らすと、十二万トンから十万トンになるわけですね。その理由なんですけれども、これは、農業者のこういったいろいろな要望とか思いとか、そういうものが背景にあって減らしたのか、その点、大臣お尋ねいたします。
  85. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいま御質問のありましたSBSの輸入数量でございます。これは御案内のとおり、毎年度基本計画で定めております。この基本計画は三月三十一日までに策定するということになっておりまして、本年も先週の金曜日、三月二十三日に策定したところでございます。  今回の基本計画におきましては、十三年度SBSの輸入数量、これにつきまして十万トンとしているところでございます。これは昨年度より二万トン減少しているということでございます。  これは、ただいま先生の方からも御指摘ございましたように、農業団体から枠の削減について強い要請があったわけでございますけれども、この十二年度のSBSの競争率、これは入札と応札の比率でございますけれども、それを比べますと、十二年度は前年に比べて低下しております。これをとらえまして、SBS輸入米に対するニーズの低下が見られたということで、我々削減を行ったものでございます。  それから、先ほど来お話ありましたように、SBSの輸入によりましていろいろ国内の需給に影響を及ぼしているではないかという御指摘がございましたけれども、この点につきましては、我々、SBSを中心にミニマムアクセス米が主食用に供給された場合には、それに見合う数量以上の政府国産米を主食用以外の用途に振り向けるということをいたしておりまして、これらによりまして国産米の需給及び価格に影響を与えないよう措置しているというところでございます。
  86. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、今度の措置は、これまでのいろいろな経過からして、SBS米は悪影響を及ぼす、こういう点で農水省自身がこれを認めたということなんでしょうか。
  87. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 我々は、SBSにつきましては、先ほど申し上げましたように、国内の需給及び価格に影響ないよう措置しているわけでございますけれども、我々、SBSの数量につきましては、毎年基本計画でその当時の需給事情、そういうのを踏まえて決定しているということでございまして、先ほど申し上げましたように、平成十二年度のSBSの競争率が非常に低くなったということ、これをとらえまして、我々、その需給事情に変化があったというふうにとらえまして、この枠を二万トン削減したということでございます。
  88. 須藤美也子

    須藤美也子君 ところで、SBS米はウルグアイ・ラウンド合意ではせいぜいアクセスの一〇%程度と農水省で出しておりますね。九三年十二月十六日、ウルグアイ・ラウンド合意に伴う米及び麦の対応方向について、食糧庁で出しております。この中で、「アクセス数量の一〇%相当量」と、こういうふうに出しているにもかかわらず、昨年、七十二万トンに対して十二万トンのSBS米が輸入されております。さらに、一昨年は六十八万トンに対して十二万トンのSBS米が入っている。これは、一〇%を大幅に上回ってSBSを輸入していたのではないでしょうか。また、今回も、全体が七十七万トンですから、本来十万トンでなくてせいぜい七、八万トンでいいと思うんですね、食糧庁のこの考え方からいえば。それがなぜ二万トン減らして十万トン入ってくるんでしょうか。
  89. 石原葵

    政府参考人石原葵君) SBS方式による輸入量、これにつきましては、ただいま委員からお話しありましたように、これにつきましては一〇%相当量という考えもございます。これは、制度の導入当初からこの予定数量につきましては順次拡大を行いまして、第六年度、それが二〇〇〇年度に当たるわけでございますけれども、この第六年度におきましては「アクセス数量の一〇%相当量」とすること、これを基礎にするということで書いてございます。あくまでこれは基礎といいますか目安でございまして、我々がそのときにつくった資料もよくごらんいただきたいと思いますけれども、あくまでもそれを「基礎として、弾力的に設定する。」という言い方をしております。我々は、そういう考え方から制度導入当初から来ているところでございます。  これは、「弾力的に設定」ということからわかりますように、毎年の数量を決して拘束するものではない、あくまでも実際の輸入数量は毎年の基本計画におきまして、先ほども申し上げましたように、国内における現実の需要実態、こういうものを踏まえて決定するということでございまして、先ほど申し上げましたように、SBSの輸入米に対するニーズの低下が見られたという事情がありましたものですから、今回二万トン削減したということでございます。
  90. 須藤美也子

    須藤美也子君 本当に日本の米の生産地のことを考えるならば、弾力性を持ってやるとおっしゃいますけれども、低く下げるならいいですよ、弾力を持って。ところが、一〇%よりも多いものを輸入する、それは弾力性といっても、これはちょっと私の方では解せない問題です。そこで、交渉結論が出るまで七十七万トンの輸入が続くわけですよ。大きな打撃を受けるわけですから、この削減、そして援助用に回す、こういう努力をもっと行うことを要求したいと思います。  そこで、大臣お尋ねいたします。ミニマムアクセス米に関して日本の提案は、アクセス数量の提案、ここにあります。「輸出国には輸出する自由、輸出しない自由が存在する一方で、輸入国には輸入する自由、輸入しない自由を認めず、一定量のアクセス機会の提供を義務付けている現在のシステムは、」基本的に問題があると。これ、提案のアクセス数量のポイントですね。それから、「交渉に際しての基本的重要事項」、この中に、多様な農業の共存、これをうたっております。こういうことであるならば、単に数量の改善にとどまらずに制度そのものの廃止を目指すべきだと私は思うんです。提案はそのことも含めて視野に入っているのかどうか、大臣、どうでしょうか。
  91. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ミニマムアクセス制度そのものが、これは輸入国側に対する義務のみを設定するものであって、今先生お話、その文書の中にもあるんですけれども、そういうことで輸出入国間のバランスがもう全く崩れているということでありまして、輸出する側は一方の通知でとめることができるけれども輸入側は義務づけられているということにつきましては、私どもとしては納得ができないということから、枠組みの問題ですから、それを提案しているということです。  また、もう一つどもが納得できないのがあるんです。それは当時、一九八六年から八八年のときの基準でミニマムアクセス米の量が決められたんですね。あのときは千六十三万トンだったですか、ちょっと数字が違うかもしれませんが、いずれにしても千六十万トン前後なんです。そういうもので来ましたが、現在国内で消費されているのはその当時から見ると百万トンぐらい減っておるわけです。にもかかわらず、そのときのままで来ておりますから、そういうようなのはこの制度上問題がありやしないかというようなことがございまして、そういうことでこの提案の中に入れてもらったわけでありますけれども、そういうことで今各国に理解を求めているところでもございます。  しかし、先生お話がございましたもう一点の方でありますけれども、ミニマムアクセスは、従来輸入がほとんどなかったものに対しまして、その品目に対しまして最低限度の市場参加機会を与える観点から全加盟国の合意のもとに設定されたものでございます。このようなことから、ミニマムアクセス制度自体の廃止を主張するということになりますと、ウルグアイ・ラウンド合意の基本的な考え方を根底的に覆すものであって、これに異議を唱えることによりまして、輸出国はもとより、EU等の連携国からも支持を受けるのがちょっと厳しいというか、困難ではないかということから、EU等との連携をしながら交渉を行っていくことが我が国にとって交渉戦略上非常によいと考えておりますから、そこに悪影響を及ぼす可能性のあることが考えられます。  それから、もう一つは、ミニマムアクセスの撤廃を主張する場合には、今度は全部が関税割り当て枠ということになりまして、日本のやっております国家貿易に対する管理を放棄して、関税のみの国境措置になるということにもなるわけでありますから、この辺のところは十分に注意をしていかなければならぬというふうに思っているところでございまして、総合的な国境措置あるいは輸入管理体制の維持のために交渉を行うことが非常に困難になってきますから、そうなりますと。今みたいに国家貿易できちっと決めておりますけれども、今度はそれをなくすということになると、すべてが関税ということになりますので、その辺のところを十分に考えますと、決して我が国にとって有利なものではないんではないかというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、ミニマムアクセスにつきましては、昨年末に決定しました日本提案においては、まず我が国としての受け入れ可能な枠組みを確保する、最初に申し上げました前段の話でありますが、これが大事であるという観点から、この制度の有するさまざまな問題点を今指摘したものでございまして、この件につきまして、ミニマムアクセス数量の前提となるような消費量の基準年の見直しとか、それから関税化のおくれによって代償措置の改善を主張しているところでありまして、この辺のところは前段で話した分が非常に枠組みとして私どもは大事な要素だということで今提案をしているんだということを御理解いただきたいと思います。
  92. 須藤美也子

    須藤美也子君 これまでもそうですけれども、我が党は国民の主食である米はすべて輸入をやめなさいと言っているんじゃないんです。主食である米は貿易自由化から外すようにと、こういうことを言ってまいりました。さらに、全国を歩きますと、もう農民は生産意欲を失っている、投資意欲さえも失っている。減反をしながらなぜ米を輸入するのかと、こういう不満がいっぱいふえているわけです。そういうことも視野に入れながら、日本農業再生のために大臣からWTO農業交渉に向けてきちんとやっていただきたい、こういうことを強く申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次は、価格・所得対策についてであります。  農水予算は三兆四千億円ですね。そのうち公共事業が五一%、一兆七千四百億円、与党三党で見直しをしたと、こういうことをおっしゃっておりますが、予算はほんのわずかしか減っておりません。これに対して価格・所得関係予算は、年金や災害を入れて七千二百十億円にしかすぎません。半分以下であります。しかも、むだをなくしてこの予算を価格・所得に回す、これが今農家を守るためには極めて重要な問題だと思います。  そういう点で、私の地元でも公共事業のむだが非常に目につきます。農業土木で、最上地方では今回公正取引委員会も入って談合問題までも起きる。こういうような問題も含めて、特に目立つのは広域営農団地農道整備事業であります。つまり広域農道であります。この広域農道で特に問題なのは三点あります。  一つは、農業利用が少なくて国道、県道のバイパスになっている例がある。二つ目は、農地の少ない山間地を通る路線が多くなって事業費の高騰の原因になっている。三つ目は、完成後に市町村に移管して維持管理を行っているけれども、市町村にとってこの負担金、維持管理費が大きな負担になっている。  例えば、山形県の場合は豪雪地帯、こういうところの山間部に広域農道をつくる。冬場はストップなんです、交通ストップ。さらにトンネルがあります。そのトンネルの維持管理に二千万円も年間かかるんです、トンネルだけで。それに、だれも農業者が利用しない。これは何のために必要なのか。さらに、広域営農団地であれば、営農計画がなければ農道というのは要らないと思うんです。ところが営農計画もなしに広域農道だけがつくられている。こういう問題を多くの方々、県民の方々指摘しています。  そういうむだな、農業振興に関係のない、活力も生み出さない無理な公共事業は見直すべきだと思うんです。それを価格や所得補償に回す、そういう点が非常に重要だと思いますが、その点で大臣、どうでしょうか。
  93. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 農林水産省の実施する公共事業について今御批判があったわけでありますけれども、御案内のとおり、農林水産省のそういった公共事業は、地元の要望、要請によってなされているものでございます。そういった面から、要望に従って実施をしているところでありますが、なお、この件につきましては、今度、農水省は一年早めまして事前評価をする、そして五年ごとに評価をする。そして、また事後評価というのをやるわけでありますけれども、そういう中で、費用対効果の問題とかいろんな評価の一面もありますけれども、少なくとも農林省のやる公共事業につきましては地元の要望が第一でございまして、そういう中で実施をしているわけでございます。  今、先生指摘のあった面につきましても、御案内かと思いますが、私も政調会長代理のときに公共事業の見直しをやりまして、かなり一つ一つ細かく点検をさせてもらったものでありますが、そういう中で、どうも問題があるというふうなものについては中止を勧告したことも実はございまして、そういった面も今後も十分にその評価というものをしながらやっていかなきゃならぬというふうに思っているところでございますので、先生の意のあるところも酌み取りながら実施をしていきたいというふうに思っているところであります。  それから、農業の持つ持続的な発展を図るためには、その主たる従事者が他産業並みの所得が得られるような、そういう水準を生涯所得として確保していきたいというのが考え方にありまして、それには効率的な、そして安定的な農業経営というのを育成することが大事であるというふうに考えているところであります。そういうことから、農業生産の相当部分を担う農業構造の実現をしていくことが必要であるというふうに思っているところでございます。  そういう観点から、効率的かつ安定的な農業経営を育成していく点で、育成すべき農業経営に対しまして諸施策を重点的に、それから集中的に今講じているところでございまして、これらの諸施策の見直しや再編の検討を行うことを今やっているところでもございます。  そうした一環といたしまして、育成すべき農業経営の経営全体をとらえまして、農産物の価格の変動に伴う農業収入、あるいはまた所得の変動等を緩和する仕組み等についても、我が国の品目別の価格政策の見直しや経営安定対策の実施の状況、そしてまた、これは災害補償制度との関係もございますから、そういった面を勘案しながら検討を進めているところでございまして、そういう中から予算措置もしていきたいというふうに考えているところであります。
  94. 須藤美也子

    須藤美也子君 次に質問しようと思っていた育成すべき農業経営の問題がもう答弁されたようですが、そこでちょっと一つだけ確認したいんですが、今最も必要なのは価格・所得対策だと思うんです。この公共事業の見直し、つまり、公共事業費を聖域にしないでこれを見直して価格・所得に回す、こういうことも選択の中に入っているわけですね、今の答弁ですと。
  95. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今お話がありました面については、今、所得政策も含めまして、そういう価格政策も考えておるところでありまして、そういうふうな中から、場合によっては農林水産省そのものの予算を根本的に変えるということも私は視野の中に入れて検討していくというつもりであります。
  96. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、育成すべき農業経営に対して、所信でも述べられておりますので、この点についてちょっとお聞きしたいんですが、新農業基本法で、専ら農業を営む者への農業経営の展開とか、望ましい農業構造の確立と、こうあるわけです。今の主業農家、五十万戸ぐらいに絞り、農業構造の展望で明らかにした家族農業経営三十三万から三十七万、そして法人三万から四万ですね。約四十万経営に絞ろうとしていると思うんですけれども、この育成すべき農業経営というのは、そういう一部の人に絞っていくという施策なんでしょうか。
  97. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) これは、農業の持続的な発展を図るためには、先生も御案内かと思いますが、その主たる従事者が、先ほども申し上げましたとおり、他産業と同じぐらいの生涯所得を得るということが私は大事な要件だろうと思うんです。今、二億二千万から二億七千万ぐらい、その中には老齢年金等も含めて考えているわけでありますけれども、そういう農業構造を実現していくことが大事ではないかなというふうに思っているんです。  このために、このような農業構造を担うことが期待される育成すべき農業経営の主体的な経営努力を助長する観点から、これらの方たちに対しまして諸施策が重点的にかつ集中的に講じられるようにすることが大事ではないかというふうに思っているわけでありまして、育成すべき農業経営以外の農業経営者等に対する施策のあり方も含めまして、関連施策全体の見直し、あるいは再編を行いまして経営政策大綱を策定することが大事であるというふうに今考えているところであります。  なお、基本法三十条の二項におきまして、経営安定を図ることとされております「育成すべき農業経営」とは、一般的には経営の規模拡大あるいは資本装備の近代化等を通しまして、経営改善の意欲を持ち、そしてまた効率的かつ安定的な農業経営に発展する可能性の高い農業経営者などをとらえた考え方でございますので、先生も今御指摘ありましたときに、弱小というんでしょうか、そういう人たちを切り捨てるのかというようなお話がありましたが、決してそういうことではありませんで、体質的に一元的に定められたものではないのでありまして、今後、地域における農業経営の実態等を十分に踏まえながら検討する必要があるというふうに考えておるわけでありまして、最初から何万、何十万戸とかなんかというんじゃなくて、おのずとその中から出てくるんだというふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  98. 須藤美也子

    須藤美也子君 農業構造の展望、この資料を見ますと、さっき申し上げましたように大体五十万と。五十万戸というのは、販売農家は今現在で二百三十四万、これのうちの約二割にすぎないんですね。ですから、その以下の人たちは、それ以外の大多数の家族農業者の人方の問題はどうするのかというのはまだ見えてこないんですよね。  そこで、この五十万、つまり育成すべき主業農家、この人たちの占めるシェアというのはどのくらいになるのか。通告では官房長ですか。
  99. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) 現在のところ、主業農家と言われている方々のシェア、農家戸数にいたしますと、大体全体の二割近くではないかと思います。物によりまして、こういった主業農家と言われる方々の占めている割合が高い作目、経営種目、それから低い種目あろうかと思います。端的に申し上げますと、水稲等はこの主業農家の割合がかなり低い、あるいは酪農等になってまいりますとかなり高いという問題があろうかと思います。  いずれにいたしましても、先ほど来、大臣からたびたびお答え申し上げているとおり、この経営政策の対象ということで考えていきます場合は、あくまでもやはり育成すべき農業経営、こういったところに主眼を当てまして、農業で主たる所得を上げていくという方々、こういった方々を支援していくということが基本ではないか。    〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕  他方、御指摘のように、確かに我が国の農業の実態からいきますと、例えば兼業収入依存度が高い農家でございますとか、生きがい的に農業をやっておられます農家ですとか、あるいは自給的な農家、いろいろございますけれども、そういった農家に対しましては、あるいは補助労働力の提供ですとか地域資源の維持管理、こういった役割分担を担うという観点から、別の観点からの政策の検討、こういったことも必要ではないかと考えている次第でございます。
  100. 須藤美也子

    須藤美也子君 いろいろ言っていることはわかるんですけれども、全体としては中小あるいは小規模の農家も含めて、主業農家も含めて、全体が力を合わせて生産に活動しなければ、自給率は上がらないし、生産は拡大できないと思うんです。そういう点で、私は、悪い言葉で言えば選別的な、こういうような一部の農家を育成するような、そういうようなやり方は決して成功しないのではないかと、こう言わざるを得ません。  特に価格、市場原理にどんどん入っていく、輸入が増大していく、そういう点から、幾らその人たちに価格の変動を緩和させるとかなんとかそういう対策をとっても、これは今の米の稲作経営安定対策の例を見てもわかるように、どんどん下がっているわけですから、そういう点では農家全体を視野にした手厚い価格・所得対策を立てるべきだと思うんです。  そういう点で、ぜひこの点も、何か研究会を立ち上げたようですので、そのところにきつく反映していただきたいと思うんですが、いいですか。
  101. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先ほど、育成すべき農業経営ということでいたしまして、創意工夫を生かした農業経営を支援するということが、それを重点的に集中的にやることが大事だというふうに申したわけでありますけれども地域におきましては兼業収入の依存度の高い農家もございます。それからまた、生きがい農業を行う高齢農業というんでしょうか、そういう方もいらっしゃいます。それから、自給的な農家もございます。  こういう広範に存在するところでございますから、こうした農業者につきましては、育成すべき農業経営との間で補助労働力の提供、あるいは地域資源の維持管理等の面での役割分担といいましょうか、そういった面も、相互に協力していく関係を構築していくことも重要だというふうに考えておりますものですから、その施策のあり方については、今、研究会を立ち上げたとおっしゃいましたが、まさにそういうことで別途検討していく考えでございます。
  102. 須藤美也子

    須藤美也子君 じゃ、この前も諫早ノリ不作の問題で質問しましたが、この問題について若干質問したいと思います。  先ほどお話しありましたように、きょう、第三回検討委員会で有明海の調査計画、水門の開閉調査も含めて提言があると、こういうことですね。大臣はその結果を最大限尊重する、この前このようにおっしゃいましたので、本日の結果を注目していきたいと、こういうふうに思います。  ところで、三月二十三日に、日本海洋学会海洋環境問題委員会が、原因究明と環境回復のための提言を発表しております。この提言は、有明海の環境悪化には諫早湾閉め切りと干拓の影響が大きいと、こう指摘し、閉め切りと干拓の影響調査環境修復の検討が重点課題であると、こう言っております。ぜひ、こうした提言も生かして調査をしていくことをお願いしたい。期待しているわけです。  それで、失われようとしている干潟の役割、重要性をどうとらえていくのか、これをお聞きしたいと思うんです。  水産庁は、漁業白書、また水産基本政策検討会に出した資料の中で、干潟の魚類生育場として、水質浄化機能についてどのように述べられているのか、簡単に、述べられている全部あると思うので、述べていただきたいと思います。
  103. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 干潟の役割に関しまして、十一年度の漁業白書のエッセンスでありますけれども、「藻場・干潟は、重要な漁場であるばかりではなく、水産生物の産卵、幼稚魚の成育等の資源生産の場としての機能や、有機物の分解、窒素・りん等栄養塩の取り込みによる水質の浄化等のさまざまな機能を有しており、特に、近年、その重要性が見直されている。」と述べております。  それから、水産基本政策大綱では、そういったくだりがあった後、「資源の生息繁殖の場としての藻場・干潟の再生、造成等の水産基盤整備の推進」等を図るというふうに書いてございます。
  104. 須藤美也子

    須藤美也子君 その数字をそのまま諫早干潟に使えば、環境への機能として三十カ所の下水道処理場の能力に匹敵する、この水産基本政策検討会で出している数値を見ればこのようになるんではないですか、こういうふうに思います。  そこで、大臣、干潟の重要性、機能についての認識を伺いたいと思います。
  105. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 干潟は、アサリなどの魚介類の重要な漁場として利用されているだけではなくして、有機質といいましょうか、有機物の分解機能が高い等の多様な生物が生息をしておりまして、水質浄化機能等の観点から見ますと高い機能を有しているというふうに考えております。  このように、干潟は水産生物の生息あるいは育成の場としての重要なものであるというふうに考えておりまして、農林水産省としましても、この藻場あるいは干潟の再生、造成等の水産基盤整備を推進しているところでもございます。
  106. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういう点では私も一致するんです。ここで、水産基本法案の第十七条には、「国は、水産動植物の生育環境保全及び改善を図るため、水質の保全、水産動植物の繁殖地の保護」等を図る、こう書いてあります。  そこで、諫早干拓の問題に入るわけですけれども、一方ではこういう法案を出しながら、しかも大臣も哲学的には干潟は大変重要なものだと、こうおっしゃっているのに、なぜこの一方で三千ヘクタールもの干潟をつぶしていくのか。  この辺の矛盾を大臣自身どのように考えているんでしょうか。
  107. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 干拓のことを今おっしゃっているんだろうというふうに思いますけれども、干拓事業で干潟をつぶしていっているんではないかということでございますけれども、干拓事業は御案内かと思いますけれども、五十ヘクタールを超えるものについてはアセスメント、環境影響評価法に基づきましてこの環境評価を行ったわけであります。  実は、諫早につきましてもこれは長崎県のあれによりまして環境評価を行っておるところでありまして、私もその中身というのをよく見させていただきました。そういう中から、水質保全や水産動植物等の生息環境を含む環境への評価についても十分私は評価を行ったというふうに思っておりますし、また今後やる面についても、実施する面においてはそういうことを十分に評価を得た上で実施することになっているわけであります。  ですから、現在実施しております諫早湾干拓事業は、昭和六十一年でありましたですが、当時の今申し上げました長崎県の指導要綱に基づきまして水産動植物の育成環境を含めた自然環境から社会環境に至る幅広い項目を、環境について影響を予測、そしてまた評価をしておりまして、その上で工事が実施されておるわけであります。  しかも、工事中にも環境モニタリングはやっておるわけでございまして、環境の変化を注意深く監視しながら今実施しているということでございますので、御理解をいただきたいと思うわけであります。
  108. 須藤美也子

    須藤美也子君 きょうまで中断して、あしたから再開するわけですね、工事が。違いますか。
  109. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) これは、きょうまで中断しているというのは、調整池の中の水質あるいは浮泥といいますが、そういうふうなものを調査するために一時中断をしているということでありまして、これは第三者委員会の中からこの資料がないではないか、足らないではないかということから資料を提出するがための今調査をしているということであります。  今後につきましては、第三者委員会の結論といいましょうか、そういう方向を十分に尊重しながらやらなきゃいかぬというふうに思っているわけであります。
  110. 須藤美也子

    須藤美也子君 九月に中間報告が出て、二〇〇三年になるかどうかわかりませんが、それに最終結論が出ると、こういう経過になっているわけですね、今度の第三者委員会は。  そうしますと、今度、前回も申し上げましたけれども、内側の堤防をつくるその工事をしますと、例えばその結論で干潟は大切だ、漁業のためになくてはならない干潟を再生しなさいという結論が出たときに、内側堤防がもうでき上がってしまえばそれを再生するのにはもう間に合わないわけですね、もうつくられてしまうわけですから。ですから、その結果がわかるまで、ノリの被害とかあるいは漁業、漁場の被害とか、そういうものがわかるまでこれは工事をやっぱり中止すべきだと思うんですよ。そうでなければ干潟は取り返しのつかない状況になってしまう、こういうふうに思うんです。  干潟の存在が本当に漁業にとって大切なものであると、こう先ほど大臣がおっしゃったわけですから、そういうものを再生するためにもこの内側堤防をつくるのを中止してその結論を待つべきだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  111. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 何度も申し上げておりますけれども、何が原因かということは全く今わかっていないわけであります。ですから、総合的に徹底的に調査をしてほしいということで今第三者委員会にお願いをしているわけであります。  と同時に、この件については二年後の、おっしゃいましたけれども、実は十月に網入れがあるわけですから、その前に中間取りまとめもして、そして安心して網入れができるような方法も考えなきゃいかぬということからかなり急いでこの調査にも入っているわけでありまして、現時点でまだ何が影響しているか、あるいは何が原因であるかということがわからないうちから私どもは次のことに対して中止するの何だのということは申し上げることができません。  そういうことで、総合的に、例えば私は、あそこの水門が影響しているのだというのも予断だと申し上げました。また、していないというのも予断だと。だから、予断なく調査をしてほしい、そしてできるだけ早く調査の結果を出してほしいというふうにお願いしているところでございますので、その辺のところをひとつ御理解いただきたいと思います。
  112. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほど来、私申し上げましたように、干潟が大事だと。干拓が原因になっている、こういう結論が出た場合、干潟の再生がなるようにそういうものを残しておくというのが私は大事だと思うんです。ですから、その干潟がまたもとどおりに戻るようにそういう手は打つべきだと思うんですよ、政治として。ですから、そういう点では私は、これからまた工事をどんどんどんどん推進するというのでなくて、そういう意見も受けながらきちんと、私の考えでは、工事ははっきりするまで中止をして、それを受けて、十分尊重した上でこの干拓をやるというならやるというようなことになるかもしれませんけれども、私は、干潟の再生を残す道を残しておく、こういう点を申し上げたいと思うんですが、最後に大臣の答弁をお願いします。
  113. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 調査委員会先生方はその道のみんな専門のすばらしい先生方が委員をなさっております。その調査委員会が、どういうふうな原因で、あるいはどういうふうに今後すべきであるかというふうな結論も出ないうちに、私どもが先走ってそういうふうな主張をするのもどうかと思いますので、とにかく私は調査委員会を最大限尊重していきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  114. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  115. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、川橋幸子さんが委員辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  116. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、平成十三年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 谷本巍

    ○谷本巍君 米の問題について伺いたいと存じます。  初めに、備蓄のあり方について大臣に伺いたいのであります。  去年、米が過剰になって、その処理をめぐってこの委員会でもいろいろ議論がありました。その際も私申し上げたんですが、備蓄のあり方が全量回転備蓄ということにしておるわけでありますから、それを前提としますと、百五十万トンプラスマイナス五十万トンという備蓄の数量のあり方というのには無理があるのではないかということを申し上げてまいりました。なぜなら、回転可能な数量が百二十万トンでありますから、そこへ基準数量が百五十万トンということになりますというと、計算上は年々三十万トンの繰り越し米が生ずるということになってまいります。  こんな無理なことをおやりになったのは、実はこの制度をつくるときでありました。二年続きの凶作の後を受けて、二年続きの凶作があっても耐えられるような備蓄制度にしようというような議論から百五十という数字が出てきたという経過がございました。ところが、その後、二年続きの凶作というのはありませんでした。  こういう状況からしますと、天候条件の方がまずもう変わってきておるわけでありますから、百五十万トンプラスマイナス五十万トンの数量について再検討を必要とする時期に来たのではないかと思うのだが、いかがでありましょうか。
  118. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 政府による備蓄については、これまで平均的な不作が二年連続して、先生指摘のとおり不安のない水準ということで、百五十万トンを基本としましてその上下五十万トンの幅をもって適正な備蓄水準としているところであります。  高い水準の政府米在庫は米価の主要な低下要因にもなりますことから、平成十二年緊急総合米対策によりまして在庫水準の縮減に努めているところでありますが、今後さらに適正な備蓄運営のあり方を検討することが必要であるというふうに、今そういう状況になっているというふうに思っているわけであります。  そして、今先生から御指摘がございました備蓄運営の面についての実は研究会を設置したところでございまして、これまで二回開催をしてまいりましたが、その中身は、備蓄の運営のあり方、そして適正備蓄水準のあり方、さらには米の計画流通制度のあり方等について論議がなされておりまして、この夏を目途に結論を得ていきたいというふうに考えているところであります。
  119. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、今の大臣のお答えですと、百五十万トンプラスマイナス五十万トンの備蓄水準、これは下げるということを含みにしながらの問題提起をしておるというぐあいに承っておってよろしいでしょうか。
  120. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) そういうことも含めて今議論をしているところであります。
  121. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、ちょっとこれは事前通告しておりませんけれども、長官にお願いをしておきたいんですけれども、備蓄問題と、もう一つはいわゆる保有米のとり方問題について考えていただきたいということであります。  需給計画をつくるとき、古くから議論がありましたのは、農家保有米のとり方についてでありました。農家保有米は、生産量からたしか集荷量を差し引いた残りというようなことで計算しておった記憶が私にはあります。中身で申し上げますと、実消費量とそれから種子と、それから縁故米その他という内訳になっております。こういうあり方が許容されたのは、米価それ自身が需給価格ではなくて生産費方式に基づいていたというような時代でありました。それだけに、農家の手元の保有米を膨らますことによって少々の不作には耐えることができるようにしていこうというようなことでやってきておる経過があります。  現在はまさしく需給価格そのものになってきておるわけでありますから、そうした保有米のあり方問題も含めたひとつ検討をしていただきたいということをお願いしておきたいんだが、いかがでありましょうか。
  122. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 先ほど大臣がお答えしたとおりでございますけれども、この備蓄運営研究会、昨年設置いたしまして今二回議論をしたわけでございますけれども、ここでは幅広く備蓄に係る問題を御議論いただこうというふうに考えております。その中で、今、先ほど大臣が米の計画流通制度のあり方についても一つの大きな議論の柱ということを申し上げましたけれども、その中では、今、集荷率が五割になっております。そのようなもとで、計画流通米というのをどう考えるべきかという議論が当然中心になりますので、今先生がおっしゃいましたような農家の保有米、これも一体実態はどうなのかと、そういうのも含めて当然議論されるものと思っているところでございます。
  123. 谷本巍

    ○谷本巍君 それからまた、長官に伺いたいのは、過剰米処理に当たっての民間負担についてであります。  昨年行われた過剰米処理に当たっての四百億円は、国と生産者が九十億円ずつ負担をする、残りの二百億円については生産者の共同計算で処理をするといった経過であったように記憶をしております。また、二十四万トンの持ち越し在庫は六十キロ当たり三百円の生産者負担で百二十億円が捻出されたというような計算であったように記憶をしております。  さて、これによって計画流通米は一俵当たりどの程度の負担となっているか、いかがでしょう。
  124. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 農家の負担でございますけれども、まず十一年産の生産オーバー分の主食用以外への処理、これ十七万トンやっておりますけれども、これは主食用計画流通米全体でプール精算ということでございますけれども、一俵当たりの負担額は三百円程度というふうに試算しているところでございます。このほかに、ただいま先生の方からお話ありましたように、政府として九十億円負担している、あるいは基金からまた九十億円出しているということでございます。また、特別調整保管の産地負担、これにつきましても一俵当たり三百円程度と試算しているところでございます。
  125. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、六十キロ当たり合計六百円ということですか。
  126. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 六百円となります。
  127. 谷本巍

    ○谷本巍君 六百円ということになりますと、農家の手元に残るものが米代金のうち約半分だとしますと、大体一〇%の事実上の米価値下げのような感じになってきますね。そうした状況というのが続いていきますというと、どうしても計画流通外の方へ流れる米の量が大きくなってきやしないか。  御存じのように、現行制度は、米の流通の大宗といいますか、基本というのは計画流通に置いているわけでありますから、ですから制度の精神からしますというと、計画米への負担は、生産調整の拡大ともあわせ考えますというと、どうも制度運営上はそろそろ限界に来たのかなという感じがするのでありますが、その点どう受けとめておられますか。
  128. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 今、制度が限界という御指摘がございましたけれども、我々はその制度が限界というふうな認識はしておりません。ただ、計画流通米の方に負担がかかり過ぎるというか、かかってきているということは事実でございます。我々は、そういうことで、計画流通米への負担、何といいましても、この米の需給と価格の安定を図るためには需要に応じた計画的な生産、これを行うことが第一でございます。  そういうこともございまして、最終的な計画流通米への負担を未然に防ぐということで、昨年決定いたしました平成十二年緊急総合米対策、この中でも、収穫米の調整手法といたしまして、需給調整水田の制度を設けて需給調整手法の多様化を行ったということでございます。  我々、こういうふうな努力をしておるわけでございますけれども、やはり計画流通米の方に負担がどうしてもかかるということで、この辺の問題につきましては、できるだけ計画外も含めて負担していただくということから、生産オーバー分の処理に係る生産者負担につきまして水稲作付面積に応じた拠出を求めたり、それから平成十二年産から計画外流通米につきましても稲経の対象にいたしておりますけれども、その場合に生産調整の実施を条件とする、こういうふうないわば負担の公平化といいますか、そういう努力もしているところでございます。  何といいましても、私たちは、この計画流通米の制度、これを維持することが重要であると考えておりますので、先般も農業団体の方にも申し上げたのでございますけれども、現在、我々試算いたしますと、計画流通米と計画外流通米、これの農家の手取りを比べますと、稲経による補てんを考えますとそれほど遜色ないと、現在の数字では稲経の補てん後の自主流通米の方がむしろ農家の手取りは大きいという試算になっております。我々、こういう点を農業団体の皆様方に農家に十分説明してほしいと、そしてやはりこの米の制度を守るためには計画流通米という制度が重要でございますので、やはりどちらが得かをよく理解してもらって、何としても計画外に流れることのないよう生産者団体としても努力してほしいということを申し上げたところでございますので、引き続きそのような我々努力をしていきたいと考えているところでございます。
  129. 谷本巍

    ○谷本巍君 長官、計画流通量は、平成六年の場合には六一%、平成九年の場合は五五%、そして十二年の場合には五一%と下がってきております。もう計画流通を基本にするという流通のあり方からしますというと、後には下がれないぎりぎりのところに来ているんですね。ぎりぎりのところに来ているから、それは、計画流通米に余り負担はかけられないし、だから、今長官が言ったように、計画外米に対して生産調整を条件に稲経の対象にするといったような政策等々がとられてきていたわけでしょう。  そういうふうに見てみると、やっぱり生産調整の拡大というのは一つありますけれども、もう一つの問題は計画米の農家負担、これがやっぱりかなりの圧力になっているなというぐあいに私は認識すべきだろうと思うんだが、そこはどう認識されておりますか。
  130. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 先ほど、自主流通米とそれから計画外流通米の負担、負担といいますか、最終的な農家の手取り、それほど差がないと申し上げました。これは、以前はもちろん計画外流通米の方が非常に手取りが多かったというのは事実であろうかと思っております。それが、現在は稲経による補てん等が行われまして、我々の試算ではほぼすべての銘柄におきまして自主流通米の方が手取りが大きいという数字になっております。にもかかわらず、計画外流通米をなぜ農家の皆さんがそれを選好されるのかということでございますけれども、計画外流通米はやはり現金がすぐ入る、それから農家の庭先まで集荷に来てくれるとか、あるいは消費者との結びつきがあるという、この辺の理由が挙げられております。我々としましては、なかなか計画外の有利な理由として我々が取り戻すことが難しいような理由づけもありますけれども、基本的にはやっぱり農家はきちっとどちらが得かということで考えてもらいたいと、我々はそう思っております。  そういうことからしますと、先ほど申し上げましたように、自主流通米の方が今は非常に有利ですので、なかなか自主流通米の場合は、稲経の補てんがありますけれども、それを直接稲経で、あなた、これだけ来ましたというのはわからないわけですね。どうしても、プール計算といいますか、農家の口座の中にまとめて入る、そこからまた肥料代とか引かれているということで、なかなか農家はどちらが得なのかについて本当の計算といいますか、それをされていないような状況があります。そういうこともありまして、先ほど申し上げましたように、農協の皆様方にはっきりと計画流通米の方が有利ですよ、今ではもう計画流通米の方が有利なんですと言ってもらいたいのが一つ。  それともう一つ、先ほど申し上げませんでしたが、何といいましても、さらに有利にするには流通経費、我々、これはあくまで二千円ということで流通経費を一律に計算しておりますけれども、これをさらに農業団体に削減するように努力していただく。できれば、例えば北海道でも地場でとにかく消費してもらう。そうしますと、流通経費が少なくなるものですから自主流通米による農家の手取りがさらにふえるということになりますので、そういう努力をしていただきながら、その有利さを農家によく訴えていただく、それが必要であろうかと思っております。
  131. 谷本巍

    ○谷本巍君 それからいっても、やっぱり農家負担がちょっと過大になり過ぎていますね。  次に伺いたいのは、昨年秋、過剰米対策が行われた際、年を越せば米価回復も期待できるのではないかという声がありました。しかし、結果は期待どおりにはまいりませんでした。  なぜそうなったのかということでありますが、原因はいろいろありますけれども、最も大きな問題は、在庫があるというだけで市場圧力になってしまっていたという点があったのではないでしょうか。ということは、一定量の棚上げを伴わないと、在庫があるというだけで価格は回復しないということを示したものではないかと私は思います。  そうだとしますというと、今回の備蓄制度の検討と関連して、これからは価格回復のためには棚上げ措置ということを一定程度考えながらやらないと制度がうまくいかないのじゃないかと思うんだが、その点いかがでしょう。できるだけ簡潔にお答えください。
  132. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 政府米の備蓄につきましては、何といいましても備蓄に要するコスト、これを適切に配慮しなければならぬと考えております。例えば平成六年産の米穀の場合に、二百十万トンの買い入れを行っておりますけれども、その販売には五年間かかっております。また、五百億円程度の金利、保管料を必要としたということでございます。  それで、先生指摘の棚上げ方式でございますけれども、これは、一定期間備蓄した後に主食用以外、例えば飼料用等に振り向けるということでございますので、我々は、多大な財政負担を伴うことになる、そういうことからしますと、これは適切ではないのではないかと考えているところでございます。
  133. 谷本巍

    ○谷本巍君 財政上の立場からすると今のような答えになるのは私もよくわかるんですけれども、ところが、現実問題として申し上げますと、これまで大きな過剰が発生したたびごとに事実上の棚上げというようなことをやっているんですよ。つまり、超古米を主食用じゃなくて別な用途で処分をしていくということを何度もやってきているんですよ。だから、棚上げ方式は一切とりませんといいながら、事実上とってきているんですよ。  そういう事実経過からしますと、どういう場合についてはそれをやるかという研究、検討ぐらい私はしてしかるべきだと思うんだが、そこはどうでしょう。
  134. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 御指摘のような面がございます。結果として、やっていることは棚上げと同じことをやっているのではないかという御指摘は、確かにそのとおりでございます。  我々は、そういう問題はありますけれども、何といいましても、財政負担ということを考えまして、そのような先ほど考えを申し上げたわけでございます。  いずれにしましても、この問題につきましては、先ほど大臣がお答えしました備蓄運営研究会、この場で幅広く有識者の御意見をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  135. 谷本巍

    ○谷本巍君 その点、長官、お願いをしておきたいと思います。  次に、大臣、精米表示の問題について伺いたいのです。  一時期、一部の量販店が精米を牛乳のような目玉商品として扱おうではないかという検討がされたという話を伺いました。米も水より安い牛乳と似たような状態になったときにどんな変化が起こってくるか。センターでもって入札で価格をやっておりますけれども、川下の方から安い値が決められてくるという、そういう関係が起こってきやしないかということをこの委員会でも申し上げたことがございます。  したがいまして、公正な価格形成に向けて、一つは精米の表示をきちんと徹底するということと、それからもう一つは抜き打ち鑑定、その種のことができないのかどうか、それからまた巡回指導ですね。ここを徹底していきますというと量販店もきちっとしたものを扱ってくれるようになっていくであろう。そうなりますというと公正な価格形成がしやすくなってくるんじゃないだろうかということで、この席でも前の大臣にお願いしたことがございましたけれども大臣、その点今どうなっておるでしょうか。
  136. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘のとおり、精米の表示を偽って販売することは、私は、消費者に対して利益を損なうだけではなくして、米の生産あるいは流通そしてまた消費に係る秩序を乱すということで、極めて悪質であるというふうに考えておるわけでありまして、このような不適正な表示については販売業者に対して厳正に対処する必要があるというふうに考えているところであります。  このために、本年の二月から三月にかけまして、販売価格に着目した表示の実態調査を全国一斉に実施いたしました。そして、不適正な表示を行っている業者に対しては立入検査を行っているところであります。これは、五百八十四件それがわかりましたものですから、それをやっております。  それから、四月以降は、JAS法に基づきまして表示制度が適用された後に、こうした取り組みを反復そして継続してやっていきたいというふうに考えておりまして、店頭で販売されておりますところの袋詰め精米を相当量買い上げまして、先ほどお話があったDNAの分析等もやらせていただきまして取り締まりを行っていきたいというふうに思っております。  これらの措置を通しまして、不適正な表示を行っている業者に対しましては指示、指示というのは指図ですね、指示をする、あるいは業者名の公表等も精米表示の適正化に向けて厳正に対処していきたいというふうに思っているところであります。
  137. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。  それからまた、もう一つ大臣にお願いしたいことがございます。  これもこの委員会で何度かお願いをしてまいりましたが、ホールクロップサイレージ、稲作の転作の、何といいましょうか、もう少し量を全体としてふやしていくための努力をお願いしたいということであります。  せんだって農林中央金庫の総合研究所がまとめたリポートによりますと、ホールクロップサイレージについての、多収品種それから省力技術の開発でもって輸入乾燥草の生産コストを下回るような状況が生まれてきたといった報告が出ておりました。したがって、転作奨励金を上乗せすれば農家の利益は十分確保できるであろうということをその報告は述べております。  私、この飼料稲に非常に固執をしますのは、一つはやっぱり水田を維持しなきゃならぬという問題があります。それから、同時に、水田を維持しながら、飼料米の方で自給率を上げながら、米が足りないときには今度はそれを主食用に回していくということをやるとすれば、これは非常にいい食料安全保障措置になっていくのではないかといった意味合いがあってのことであります。  そうした点も含めて、飼料米のことについての大臣のひとつ積極的なる御所見を承りたいのだが、いかがでしょうか。
  138. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生御案内のとおり、平成十二年度から実施しております水田農業経営確立対策においては、需要に応じました米の計画生産と、米の作付を行わない水田を有効に利用した麦あるいは大豆そしてまた飼料作物等の本格的な生産を推進しているところでございます。  そういった中で、今お話がありましたホールクロップサイレージについては、稲発酵粗飼料ですね、この点については、水田地帯のように畑作物への転換が困難なそういう地域等におきましては、先生の今お話しになりましたことは非常に有効な転作作物であると考えておりまして、有畜農家等需要者のニーズも踏まえないと、これは使ってくれるところがないとだめですから、そういったニーズ等も踏まえながら推進をしていきたいというふうに思っておるところでございます。  それでは、具体的にどういうふうにやっているんだということでございますけれども、全国段階とそれからまた都道府県段階に稲発酵粗飼料推進協議会を設置させてもらいました。そして、市町村段階においては稲作農家と畜産農家とを結びつける体制、これは仲人役というんでしょうか、そういう整備を進めているところでありますし、また生産、それから給与マニュアル、パンフレット等を作成、配布をしております。そして、畜産農家の給与面での不安解消のための給与実証事業等を実施しておりまして、またさらに大家畜の多い十四県において重点的な推進活動を実施しているところでもございます。  なお、生産調整の助成金としてこの稲発酵粗飼料については十アール当たり最高額で七万三千円を交付しておりますが、十三年度はこれに加えまして、米の生産調整の緊急拡大に伴いまして、生産調整の確実な達成を前提といたしまして、十アール当たり二万円の追加助成を実施しているところであります。
  139. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、食糧庁長官に伺います。  米作農家の皆さんから、第一の不満と不安は何ですかと言いますと、やっぱり価格問題が出てまいります。それ以外は何ですかと言うと、大体決まって出てくるのは三つあります。一番最初に出てくるのはMA米の問題であります。二番目に出てくるのは稲経がややこしくてわかりにくいという声であります。そして、三つ目には、特に中山間地域の皆さんから、今の検査制度が維持してもらえるのかどうかといったような声が出てまいります。  そこで、初めに伺いたいと思いますのは、MA米の問題については午前中質問がありましたので、モチ米とSBSの関係について若干伺っておきたいと思います。  平成十二年度で見てみますというと、モチ米の供給量が二十万一千トンでありました。販売量が十六万一千トンでありました。四万トンが残るという計算になります。そこへSBS米が一万一千トン入っております。数量は一万一千トンで少ないんですが、四万トン残るもとでの一万一千トンというのはこれはでかいです。これは、国産モチ米が受ける打撃は非常に大きいと言わなければなりません。  午前中の質問の中でも、SBS米について、需給と価格、これに影響がない限りでということで扱っているという話でありますが、モチ米の部分はもう既にそれが出ているわけですよ。しかも、モチ米の場合は輸入物と国産物と品質格差が余りない。それだけに、この点については政府がきちんと手を打ってほしいと思うのだが、いかがでしょうか。
  140. 石原葵

    政府参考人石原葵君) モチ米でございますけれども、これにつきましては、SBSで約一万トンの輸入が行われておりますのは御指摘のとおりでございます。  これは確かに一万トン行われておりますけれども、全生産量から比べますと我々はそれほどの大きな輸入率ではないんではないかと考えておるところでございますけれども、昨今非常にモチ米の需給が緩和している、価格が低落しているということにつきましては十分認識しているつもりでございます。これはひとえに、国産の生産が非常にモチ米につきましてはウルチに比べまして仮渡金が多かったとか、非常に生産刺激的なことが行われてきたという理由がございます。  そういうこともありまして、何といいましても生産抑制していただくことが重要であろうかと思っております。それを団体がやっていただきますれば、我々としましても所要の対応は考えていきたいと考えているところでございます。
  141. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうすると、そのあたりについては、自主流通法人とその対応をきちっと検討されるということですね。
  142. 石原葵

    政府参考人石原葵君) はい、そのようにさせていただきます。
  143. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に一つ、稲経のことを伺いたかったのでありますが、時間がもうなくなってしまいましたので、米の検査制度について伺っておきたいと存じます。  現在は中山間地域でも低い料金で検査が受けられる。皆さんが不安がっているのは、過疎化が進んだら現在のような検査は受けられなくなっていくんじゃないのかという声が多くなっておるのであります。この法案をつくるときに本委員会でも、その点は心配はないという意味の答弁はいただいておるのでありますが、この場でさらに確認をしておきたいのだが、いかがでありましょうか。
  144. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 先生から、この検査手数料、いろいろ御心配いただいております。我々、中山間地域におきましても、先生の御心配がないようにしかるべく対応していきたいと思っております。  具体的には、検査場所の集約化、あるいは検査実施地域の広域化、こういうこともあわせて行いまして、現行の手数料水準に、民間検査に移りましてもそれに収れんするような対応を考えていきたいと考えているところでございます。
  145. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。
  146. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  大臣の所信に対します質疑、二日間の長丁場でございましたが、私が最後でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思っております。  私の最初の質問でございますが、先日の予算の委嘱審査の際に積み残した案件でございますが、まず中山間地問題、これは今回のいろいろな質疑の中でもたくさんの方から御指摘がございましたし、今、谷本先生の方からもいろんな面で御指摘があったわけですが、私もちょっと角度を変えてこれについて取り上げてみたい、こう思っている次第でございます。  前回の委員会でもちょっと申し上げたんですが、私は、地方行政といいますか、地方行政ばかりでない、地方におることが多かったものですからどうしても中山間地域を目の当たりにいたしておりまして、そういう意味から、何といいますか、日本人の郷愁というのもあるのかもしれませんが、日本の国土の一部としてこれをどうにかしていかなきゃいけないというような思いをずっと持って関心を深めてきたわけでございますが、農水委員として御指名いただいたのは今回が初めてですので、ほかのところではいろいろ質問させていただいたんですけれども、いわゆる中山間地域の本丸といいますか、そこでいろいろ質問させていただくことを非常に感謝しているわけでございます。  中山間地域、これは非常に皆さん、もうここはどうにかしていかなきゃいけないという思いでおると思いますし、大体中山間地域というこの言葉自体、これは数年といいますか二、三年前は言ってもわからない人が多かったんであろうと思うんですが、今ではもうどなたが言ってもおわかりになると。大変、日本人として関心の深い問題になってきたのではないのかな、こういう認識でございます。  ところが、現実問題を見ますと、どんどんどんどん過疎化が進んでいる、見放されているというのが現状でございまして、これはいわゆる経済効率主義といいますか、そういう物の考えであれば、これは効率が悪いに決まっていますから、絶対寂れていくのはわかり切っているわけでございますけれども、それでいいのかというのが大きな問題でございまして、これはいろんな施策をやられる面からもそういう中山間地をどう認識するか、その辺が一つ大きな問題ではないのかなと。そういう認識と、さらには、今どうなっているかということをきっちりとそれを認識していただいて、さらに進んでいただくというのが一つ重要な大切な方向ではないのかなと思っているわけでございます。  そういう意味で私は、中山間地問題というのは、これは所得補償等いろいろございますけれども、そこの中山間に住んでいる人の問題でもありますけれども、それが第一義的な問題ではないというふうに認識しておりまして、そこに住んでいる人たちは、例えばそこに好きで住んでいる、あるいは昔から生まれたところだから住んでいるという人もおるかもしれませんが、変わろうと思えばいつでも変われるんですね。事実、そういう人たちがどんどん変わっているから過疎化が進んでいるわけでございまして、問題の本質というのは、要するにそうなっていいのかどうかということであるのではないのかなというふうに考える次第でございまして、そういう意味ではよく、資源の涵養の地であるとか、したがって同じことかもしれませんけれども洪水を防御するとか、あるいは私は中山間地は大事だなと思う一つとして、現実の問題として何か、私が地方行政に携わっていたときに、どんどん都会の商人といいますか都会の人が土地を買いに来ているというニュースがありまして、その土地はじゃ何にするのかというと、産廃の用地としてあてがうというようなお話を聞きまして、そういうところで産廃を処理するのは、それは結構なことですけれども、えてしてそういうところから環境破壊が起こることがあるというような気がするわけです。人間ですから、人の目から離れると何をするかわからぬというようなこともございまして、そういう意味からでもこの中山間地というのは守らなきゃいけない。  あるいは、日本は人口が大変多いわけですし、山岳部も多いわけですから、そういう住めるところをどんどん捨てて都会に集中してくるというのは本当に国土の健全な使い方かどうかという疑問もあるわけでございまして、そういう意味では農林省の方でいろいろと施策をやっていただくというのは大変結構なんですけれども、問題意識としては農林省を飛び越えたもっと大きな日本の国の問題だというふうに私は考える次第でございますが、その辺のお考えについて、大臣と、それから地域も変わるといろいろと見方も違うと思いますので、田中大臣からもひとつお話を伺いたいと思います。
  147. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 中山間地については、今先生、お仕事の関係もあって非常に思いが深いというふうに拝察したわけでありますけれども、その中山間地等は農業生産活動による国土の保全、あるいはまた水資源の涵養等、そういった面では公益的な機能が非常に大きなところであります。特に、都会等に水を供給する本当の源と言っても過言ではないというふうに思いますし、そういった面では、この中山間地の果たしている公益的な機能というのは私は大変なものがあるだろうというふうに思うわけであります。  そういうことから、全国民の生活基盤を守る重要な役割をしているわけでありまして、私も、中山間地のそういう場所は時によってはだめになっているんではないか、あるいは防波堤の役割をしているんじゃないか、そういうふうにも考えているわけでございまして、そういう中山間地に対しまして、また一方では多様な食料やあるいは林産物、そしてまた豊かな伝統的な文化あるいは自然の生態系を保存しながら、先ほど申し上げましたとおり、都市にも本当にいろいろな面で水の供給を初め貢献している、あるいはまた都市の人たちに対しましても健康の休養の場を提供するなど本当に多様な機能を持っておりまして、私は非常に重要な役割をしているというふうに認識をしているわけであります。  こういう点から考えまして、食料・農業・農村基本法において、中山間地域等の振興を農村の振興に関する重要な施策一つとして位置づけているのでございまして、今先生一つ一つ指摘をなされました件につきましても十分に配慮しながらやっていかなきゃならぬというふうに考えているところであります。
  148. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 御指名でございますので、若干述べさせていただきたいと思います。  先生も石川県ということで日本海側でございますが、私ももう墓守りする年でありますので、新潟県にお世話になっておるものでございます。  中山間地域はやはり、全国的に見れば七割を占めているわけでありますが、何といっても面積が広いわけでありますから、我が国が経済で発展をしてまいりましたけれども、国民の生活あっての経済発展でありますから、そういう意味で可能性を考えた場合に、人材もある、あるいは技術もあると、こういうことでありますが、国土を何といっても有効に活用していくということが第一だというふうに思っておりますし、広い広いというふうに言われる新潟県でありますけれども、しかしまだまだ、新幹線や高速道路ができ上がりましたけれども、不便さも感じ地域もございます。  その中で、農業関係では中山間地域対策をスタートしたというのは大変画期的なことだと思いますし、そこに定住しておる方々がやはり、この制度は五年ということになっておりますが、私は就任当時から、中山間地域の皆さん方に、後継者の皆さん方がそこに住んでいただくと、そのためには十年ぐらいはまずいい制度なんで続けるべきではないか、こういうふうに主張をいたしております。  そしてまた、今回は林業基本法もできますけれども、多面的な機能ということで、やはり周辺に住んでおる方々が、当然保養の問題あるいは伝統文化、景観というようなことを一時期楽しんでもらうというのみならず、やはり一次産業を中心として何といっても日本の文化の中心でありますから、そういうところに私は職能教育といいますか、ぜひ、なかなか、教育の中にしっかりと位置づけていくというところまで努力をしていかなきゃいけないわけでありますが、日本人として日本の生活を守っていくというのは、やはりこの中山間地域の文化というものをきっちりと維持していく、そういう中から将来の展望が開けていくんじゃないかと、そんな思いでございます。  つけ加えさせていただきますと、最近は都市対策と、こういうふうに言っておりますけれども、しかし過密過疎の解消をする絶好の機会でございますし、いよいよそういう全国的に体制になってきたので、やはり地方の対策というのがさらなる強化をしていく時代ではないか、そういうふうな認識を持っております。
  149. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございます。  繰り返すようですが、いわゆる中山間地域対策というのは、要するにむしろ川下の人、都市住民のためであるという認識を私はしておりますし、そういうふうに思っていただきたいと思っている次第でございまして、そういうことによって、その一部の地域のためだけに予算をとってやるんだということでなくて、日本国全体のためにやる、むしろ都会の人のためにやっているんだということで進めていきたい、こういうふうに思う次第でございます。  それと、そうはいいながら、現実にいい、いいと、何かやらなきゃいけないというふうな思いを持っても、総論はわかっても各論はなかなかできない、あるいは最近の日本人の価値観というのがどうしてもそういう経済効率主義といいますか、そういうものに偏ってしまうということで、現実はなかなか整備、やっていただいているんですけれども、なかなかうまくいかないというのが現実、実情だと思います。  その辺をよろしくこれからも対応していただきたいんですが、それには私は、農林省だけじゃなくてほかの省との連携も必要で、私、実は先ほど言いましたように農水委員は初めてでございますけれども、この前におったときに、これは小渕総理にも一度質問したことがございますが、小渕さんも群馬県の中山間におられて大変思いが深い、深い思いを披露していただきまして、亡くなられましたのでその志半ばで終わってしまいましたが、そういう思いはあったと思います。  例えば文部省なんかも、要するに中山間地、過疎化すれば過疎化したことによって、何といいますか、こんなことを言っちゃ悪いんですが、教育環境、あるいは行く先生を、ちょっとああいうところへ行くから我慢してくれというような感じで送り込むようでは、それは過疎地は、中山間地は廃るだけであると。むしろ中山間地というのは、今、三十人学級、四十人学級の問題ありますけれども、現実にもうそういうスタイルになっておりますし、教育する面からも非常にいい環境になっている。それをむしろプラスに取り上げてやってもらえないかと。それが中山間地を解消することだということで申し上げまして、一応の賛成のお言葉をいただいたんです。事実、私の県なんかでもそういう取り組みもしているところがございます。  そういうことで、申し上げたいのは、そういうよその省、日本国全体としての取り組みがぜひ必要である、こういうことで進んでもらいたいと思うんですが、その辺について、大臣、もし何かございましたら、一言。
  150. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 中山間地を含む国土の均衡ある発展というのは、国民生活の向上を図る上からも非常に大事なことであるというふうに思っているんです。  先生今御指摘のありましたように、中山間地というのは都会のためにあるというふうに私も考えているんです。それは、水資源の涵養問題を初めいろいろありますが、また一方では、私は、中山間地というのは、日本の美しい国土の中において情緒教育といいましょうか、そういった面においても非常に大きな効果を出すところではないのかなというふうに思います。自然に触れながら、あるいは農業という一つの、これは環境にも寄与しておりますし国土保全にも寄与しているんですが、もう一つは食料というふうなもののつくり方等の勉強をしながら、そういう中で育てられる子供たちも、あるいは我々大人も、自然の中で、気持ちの広いと言ってはなんですが、そういう非常に情緒的な教育をする場としても私はすばらしい環境ではないかなというふうに思っているわけでありまして、そういった面ではいろいろと、これは農林省だけではなくしてほかの府省とも連携をしていかなければならない点が多々あるわけであります。  そういう中で、特に今申し上げました単に農業の振興だけではないと。そういう中には交通の問題もある、あるいは情報のこともある、あるいは通信、衛生、今申し上げました教育そして文化、そういうものの環境整備もしなきゃならぬということ、その他また福祉の向上も図っていかなきゃならない。いわゆる総合的な進展を図らなきゃならないというふうに考えるわけであります。そういうことを考え合わせますと、単に農林水産省だけではなくして、関係の府省とも連携を密にしまして、その辺しっかりと対応していきたいと思いますので、御指摘のとおりだろうというふうに思うわけであります。
  151. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ひとつそういう方向で、これは末永い問題だと思いますので、要するに短兵急ということでなくて、じっくりと取り組んでいただきたいと思うわけです。  それで、今農林省の方で所得補償といいますかデカップリングといいますか、新しい制度を去年からやられているわけですが、集落協定という日本的な手法、私はこれ反対ではないんですが、そういうことで取り組んでおられるんです。  ここで具体的な問題に入りまして、実は集落協定スタートしたころ、ちょっとそういうところに住んでいる方のお話を聞きますと、集落協定というのは、ある一つの条件があって、何人かでグループをつくり、あるいは面積をどのぐらい持ってというようなことを決める単純なことのようですが、実は中山間という、これは山間と中間に分かれるわけなんでしょうけれども、中間地はまだ元気のある人がおると。ところが、山間地になるとそんな簡単なものでも、高齢化によるんですかね、そういう取りまとめる人がおらないで困るんじゃないかと。そういうことによって中間地と山間地がさらにその格差が広がっていくんじゃないかというような指摘を受けまして、これは前回たしか決算委員会で質問通告させてもらったんですが、時間がなくてそのままになっているんですが、したがって農林省の方でもそういうことをちょっと調べておられるかもしれませんので、ここで質問をさせていただきたい。  きょう、たまたま農村振興局次長さん、そういう経験も深いし、そういう立場でもずっとおられたと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  152. 佐藤準

    政府参考人佐藤準君) この中山間地域の直接支払い制度の集落協定、これは先生おっしゃいましたようにいわゆる日本的なと申しますか、地域で新しいことを起こしていくというような意味で非常にいい手法だろうと思っております。特に中山間地域の営農というのは非常に農用地そのものも小さいですし、それから水の利用なんかもかけ流しをするとか、そういうような意味でなかなか個々の農家だけで対応ができない。やはり集団として対応していかなければいけないと、そういうような実情にあろうかと思っております。こういうような地域耕作放棄地の連鎖的な拡大を防いでいくというようなことから考えますと、やはり集落協定方式というのを我々としても推し進めていきたいというふうに思っております。  この集落協定を結ぶに当たりましては、まさに先生がおっしゃいましたように、その集落の中での取りまとめのリーダーというような方がどうしても大切になってまいりまして、実際に集落協定を結んでおります、十二年度やった実例を見ましても、そういうリーダーのおられるようなところが非常に協定を結んで実際に動いていくというような形になっているかと思っております。  ただ、この集落協定そのものにつきましても、事業発足の当初から非常に難しい形じゃだめだというようなことで、様式等につきましては非常に簡便なものを採用するというようなこともやっているところでございます。  また、先生おっしゃいましたようなリーダーがやはり御高齢の方ばかりでなかなかおられないようなところ、こういうようなところも実際に現実にあるわけで、そういうようなところではさらにもう少し広域的な地域でのサポートというようなものを考えておりまして、例えば関係団体、農協それから行政、こういうような支援を受けながら広い範囲で集落協定を締結する、こういうようなことも可能でございまして、また、こういう取り組みを実際に起こして協定を結び、直接支払いを受けているというようなところも多数ございます。  山間地域それから中間地域、どちらがそういうのが進んでいるかというようなデータもございますけれども、県によって山間地域の方が予定面積よりもしっかり集落協定を結んで直接支払いを受けているようなところもございますし、また一方で、やっぱり山間地域の方がなかなか協定が結べにくかったというような県もあるということでございます。  平成十三年度に向けましては、そういうようないろいろクリアしなければいけない地域の事情、こういうようなものも行政として取り込みまして、さらに支払いの予定地というようなところで協定を結び、直接支払いが可能となるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  153. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  要は、先ほどから言っておりますとおり、中山間地域を残すというのは日本の国の問題であると。したがって、制度を守らなきゃいけないからやるということじゃなくて、常に、いろんな状況がありますから、その辺をしっかりと把握されて、その目的に向かってやっていただきたい、こういうことでございます。  どうも時間の配分が悪くて、ほかに質問もありますので、次に移らせていただきます。  私も食料自給率についてちょっとお話を伺いたいと思うんですが、食料自給率を向上させるということは大変重要なことであると思っておりますし、そうしなきゃいけない。しかし、向上させるということをよくよく考えますと、二つの点があるんだと思うんです、大きく分けまして。  一つは、どのぐらいの目標を設定したらいいのか。ということは、どういう状況のもとに何を何のために向上させておかなきゃいけないのか。先進国は幾らでも、ほとんどがもう自給率達しているんでしょうけれどもイギリスはまだなんでしょうが。だから、本当は一〇〇%がいいんでしょうけれども、なかなかそうはいかない。いかないけれども、じゃ、いかないはいかないなりにどの辺にしたらいいのか、どういう考えでいったらいいのか。  計画では二十二年に四五%ですか、この数字は僕はよくわかりませんけれども、要するに、やっぱりそういう何のためにこうしなきゃいけないんだということによって初めて、生産する人も消費する人も協力して、自給率の向上にお互いに頑張るんだというふうに私は思っているわけです。  そうしたときに、一番際どいといいますか、こんなことはないんでしょうけれども、例えば戦時体制になってよそから入ってこないということもあるでしょうし、そのほかいろんなことが考えられると思うんです。たまたま日本の国が不作になったとき、これは自給率の問題と余り直接には関係ないですけれども、どう食料を確保したらいいかということもあるでしょうし、あるいは外国に依存していたがために、外国で不作になったとき、果たして外国は自分の国で食べないで日本に出してくれるかというような問題もあるでしょう。  さらには、もう一つは、今の日本人の食生活というのは言うなれば飽食なんですね。いわゆるえさとして買ってきた穀物とか何か、たしか私、何か物の本で読んだんですけれども、今、日本人のカロリーは二千六百ですか、二千六百カロリーと言っておりますけれども、そういう例えばえさ米の穀物の状態なんかまで全部計算すると五千に近いんじゃないかという、カロリー計算しますと、そのぐらい飽食になっているわけですね。だから、そういうものを維持するための自給率なのか、その辺、一つこれでいくんだということは決まらないかもしれませんが、いろんな要素を考えた上で初めてこの目標というのが決まってくるんじゃないのかなと、こう思うんですが、この辺について、大臣、もし御所見ございましたら。
  154. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今の先生指摘のとおり、自給率をなぜ上げていかなきゃならないのかというのは、やっぱりきちっとした哲学がないといけないと思うんですね。  今、地球の人口が六十億人を超えました。そして、毎年毎年八千万人ずつふえていると言われていますが、私は、七十億人に達するのはもう目の前だというふうに思うわけであります。それに対しまして、地球上で生産されるところの食料というのが、果たしてそれまで賄うだけのものがあるであろうかということになってまいりますと、近い将来に食料不足が起こるのではないかということを、FAOでもそういうことを指摘しておりますし、我が農林省におきましても、いろいろ分析をした結果、そういうふうな状況が起こるんではないかというふうに見ているわけであります。  これは先生も御存じのことを申し上げるわけでありますけれども、自給率というのは、そういった面から見ると、国民の食べるいわゆる消費が国産でどの程度賄われるかというのが、これを示すのが自給率ということになるわけでありますけれども、これは一方では国民の皆さんが食べる食べ方によって自給率が相当動くということも事実でございます。  そういうことから、食料自給率の目標は国民参加型の農業生産と、それから食料の消費、こういう両面にわたる取り組みが大事ではないかというふうに思うわけでありまして、平成十二年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、食料自給率の向上に向けた関係者の取り組みを通しまして、我が国の食料供給力の向上が図られることの重要性や、あるいは我が国の食料自給率が年々低下をしてきておる中で、国民の多くが我が国の食料事情に不安を抱いているという面もございますものですから、基本的には食料として国民に供給される熱量の、私は、五〇%以上を国内生産で賄うことを目指すことが適当ではないかなというふうに考えているわけであります。  しかし、平成二十二年度における食料自給率目標については、実現可能性のあるものとして、関係者の取り組みあるいは施策の推進への影響を考慮して定める必要があるということから、平成二十二年度ということに四五%としたわけでありますけれども、これまた先ほど申し上げました消費面でも考えなきゃならない。そうしますと、今先生のちょっとお話の中にありましたけれども、栄養のバランスの改善あるいは食べ残しあるいは捨てるというか、廃棄のこういう減少も図らなきゃならない。ましてや、最近非常に脂質が多いために決して健康のためにいいものではないというふうに思っておりますから、そういった面では、望ましい食べ方といいましょうか、そういう指針も出しておるわけでございます。  また、生産面では、国内農業の生産性の向上やあるいは品質の向上等、そういった課題をやっぱり解決していかなきゃならないということから、生産者と食品産業の事業者あるいは消費者とが一体となってこれはやらなきゃならない、取り組んでいかなきゃならないというふうに思っているわけでありまして、そういうことから実現可能な水準ということで四五%の自給率が設定されているということでございます。  政府といたしましても、この目標達成に向けまして、これから生産、消費、両面にわたりまして、この施策を着実に実行していくことが大事ではないかというふうに考えているところであります。
  155. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。  実現可能な目標に向かわれるのは結構なことでございますけれども、そういうような考え方だと、えてして少しぐらいいいじゃないかというようなことにもなりますので、先ほど大臣、五〇%と言われましたけれども、そういうような目標があったらぜひそれに向かうというような態度で進んでいただきたいと思います。  それと、私、次に用意した質問、今大臣に大分答えていただきましたけれども、要するに、自給率を上げる方策というのは、やっぱり国内産品と外国産品、外国産品に国内産品は勝たなきゃいかぬだろうと思うんですね。勝つというのは、価格で勝つか品質で勝つかしかないんですね。麦や大豆を幾ら増産させようといったって、増産したはいいけれども、それを日本の国が消化しなかったら全然上がらないわけですから、だから歴然とした価格と品質という面でとらえないと僕はいかぬと思うんです。価格はわかりやすいんですけれども、品質ですと、先日も大臣日本人の健康に日本食はいいんじゃないかというようなことをお話しされておりました。  これはよく最近、韓国なんかで言われているんですか、身土不二という言葉に象徴されるようなことだろうと思うんですけれども、その辺を取り組んでいただきたいと、これを質問したかったんですが、大臣、概略していただきましたので、またこれは、突っ込んでの質問はまたおいおいやらせていただきますが、実はあと林野庁の方に質問通告しておったんですが、もう時間参りましたので、今回はこれでやめさせていただきます。また、次の機会にぜひともよろしくお願いいたします。  きょうはどうもありがとうございました。
  156. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十六分散会