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2001-05-24 第151回国会 参議院 総務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年五月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      富樫 練三君     市田 忠義君  五月十八日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     富樫 練三君  五月二十二日     辞任         補欠選任      八田ひろ子君     筆坂 秀世君  五月二十三日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     八田ひろ子君  五月二十四日     辞任         補欠選任      山本 正和君    日下部禧代子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 入澤  肇君                 岩城 光英君                 海老原義彦君                 浅尾慶一郎君                 宮本 岳志君     委 員                 景山俊太郎君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 世耕 弘成君                 関谷 勝嗣君                 輿石  東君                 高嶋 良充君                 鶴岡  洋君                 富樫 練三君                 八田ひろ子君                 山本 正和君                 松岡滿壽男君                 高橋 令則君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    遠藤 和良君        総務大臣    小坂 憲次君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局行政委託        型公益法人等改        革推進室長    小山  裕君        総務省自治行政        局長       芳山 達郎君        総務省自治行政        局公務員部長   板倉 敏和君        総務省自治財政        局長       香山 充弘君        総務省自治税務        局長       石井 隆一君        総務省総合通信        基盤局長     金澤  薫君        総務省郵政企画        管理局長     松井  浩君        総務省郵政公社        統括官      野村  卓君        郵政事業庁長官  足立盛二郎君        財務省主計局次        長        津田 廣喜君        財務省理財局次        長        牧野 治郎君        厚生労働大臣官        房審議官     鈴木 直和君        農林水産省生産        局畜産部長    永村 武美君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (公益法人の総点検に関する件)  (特殊法人改革財投改革に関する件)  (横浜市の勝馬投票券発売税新設に関する件)  (地方交付税見直しに関する件)  (郵政事業民営化に関する件)  (特定郵便局長に関する件)  (地方公務員の勤務時間に関する件)  (地方税財源の充実に関する件)  (市町村合併に関する件) ○電気通信役務利用放送法案内閣提出)     ─────────────
  2. 溝手顕正

  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 輿石東

    輿石東君 おはようございます。民主党の輿石東です。  先日、十七日に大臣から所信という形でお話がありました。その中身は、小泉内閣で引き続いて総務省担当するというお話から、特に行政改革地方分権IT社会構築等の問題に全力を尽くしていきたい、とりわけ、昨年十二月に決定した行革大綱に基づいて行政改革全力を尽くす、中身特殊法人及び公益法人等改革であり、公務員制度の基本的、抜本的な改革だと、こんな確認をされたわけですけれども、私もさきの国会の中で公益法人について質問をさせていただいたわけでして、きょうはその公益法人特殊法人、それから財投もこの四月から新たに改革されスタートしたわけですから、それへの関連ということで質問をさせていただきたいというふうに思います。  政府は、四月十三日ですか、国所管公益法人についての総点検結果を公表してあるというふうに思いますけれども、私が改めて言うまでもないことですが、この総点検に至った経緯というのは、KSD事件が明るみに出まして、前橋本行革担当相がこの一月、国会が始まった前後に、二度とこういう過ちを起こしてはいけない、それについてこの公益法人の総点検をすると宣言をされて今日に至っているというふうに思います。  全国には二万六千ぐらいの公益法人があるけれども、ここの対象になったのは、当然のことながら、各県の分を除いた国所管公益法人ということで七千ぐらいのものが対象になっているかと思いますけれども、まず大臣に、この十三日に出された総点検結果についてこれをどのように分析され、この結果を今後どのように生かされていくおつもりかということをお尋ねしたいわけです。  きのうから、ちょっとそれに加えて、例のハンセン訴訟控訴断念というのが、きょうはもうマスコミが一斉に報じているわけですけれども、昨晩のテレビあたり患者皆さんの、きょうから、あしたからようやく人間になれたんだ、こういう言葉を聞いて、これまでの政治責任や、我々の新たな大きな責任を私自身も感じているわけですが、このことについてもちょっと御感想でもあったら含めて、まずお尋ねをしたいというふうに思います。
  6. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 輿石委員から今御質問ございましたが、まずハンセン訴訟の問題から申し上げますと、きょうも臨時閣議がございまして、その後に閣僚懇官房長官の方から経緯説明がありました。  もう一部報道されておりますが、昨日、総理と法務大臣厚生労働大臣官房長官で十分な協議をされた結果、控訴しないと、こういう方針を決めたようでございまして、ただ、恐らく事務方としては法律上のいろんな議論があったと思います。それについては、政府声明なり総理の談話で政府立場を明らかにしながら、控訴については、高度の政治判断でこれはしない、断念する、こういうことを決めたという説明がありまして、我々も異議なく全員了承いたしたわけでありまして、こういう結果も、関係者患者皆さんの気持ちを考えると一つの決断ではなかったか、こういうふうに私個人は考えております。  それから公益法人の問題は、御承知のように行政に係る、あるいは行政から委託を受けている公益法人については全般的な見直しをやろうということで、橋本行革担当大臣時代総務省も協力してやる、こういうことでやってまいりましたけれどもKSDその他の問題が国会でも大変取り上げられたものですから、緊急に三月中に総点検をやってみよう、こういうことで、今お話しのように、国所管の七千の公益法人の総点検を各府省責任で行ったわけでありまして、大変短い期間だったと思いますけれども、各府省、精力的に私は取り組んでもらったのではなかろうか、こう思っております。  そこで、各府省ごとに問題がある公益法人がこれだけあるということが出てまいりましたので、それについてどういう措置をとるかということについて現在各府省で検討中でございまして、これもそのうち取りまとめられることになる、こういうふうに思っておりますが、私どもの方は公益法人指導監督管理の調整をやるという立場でございますので、各府省十分連携をとって、その取りまとめの状況を党としてもどういう対応をするか考えてまいりたいと思っておりますし、とりあえず担当橋本大臣の後の石原大臣がやっておりますから、石原大臣の方とも十分連携をとりたい、こういうふうに思っております。
  7. 輿石東

    輿石東君 今、大臣から、短い期間だったけれども、各省庁から出されたものをまとめたり調整するのが総務省の役目だという、そういう御答弁で、私もそのとおりだと思います。  そこで、その短い期間で各省庁ごとに出してきたものをまとめたと、こういう大臣の御答弁を受けて、じゃ、これはいつ、だれが、どこでこういうふうに取りまとめてきたと、大体概略はわかりましたけれども、このことについて、事務局等でも結構ですから、これは取りまとめのあれとして、各省庁から出向した行政改革推進事務局ですか、そういうものを新たにつくって作業してきたと思いますけれども、その辺についてお答えいただけますか。
  8. 小山裕

    政府参考人小山裕君) 事務的なことでございますので、私の方からお答えさせていただきます。  今回の総点検でございますけれども、一月三十日の閣僚懇談会におきまして、当時の橋本行政改革担当大臣が各閣僚に対しまして、それぞれの府省権限に基づきまして、所管法人、全部で約七千でございますけれども、これについて緊急に点検を行い、年度末までに私の、すなわち橋本行革担当大臣の方に提出をしてほしいという要請を行いまして実施したものでございます。  その事務局は私どもが行ったわけでございますけれども各省でやってもらったということでございますが、そもそも、御承知のとおりですが、公益法人設立許可それから指導監督というものは一義的に主務官庁にゆだねられております。したがいまして、今回の総点検につきましては、各府省所管しております公益法人につきましてその権限責任に基づいて点検を行ってもらいたいということでございます。  したがいまして、そのような観点から、極めて短い期間ではございましたけれども、各府省から、作業をしていただきまして、若干おくれたところがございますので、四月に入ってすべて出そろったわけでございますが、出そろったところで私ども行政改革推進事務局取りまとめまして公表をさせていただいたというのが経緯でございます。
  9. 輿石東

    輿石東君 各省庁権限責任においてやってもらったものをまとめた、そう答えられましたね。その結果の数字を出していただけますか。これをまとめるのに四つ基準を設けてやったんじゃないですか。その基準中身やどういう数字が出てきているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  10. 小山裕

    政府参考人小山裕君) 今回の総点検につきましては、一月三十日の閣僚懇談会におきまして橋本大臣の方から四つ観点からのチェックということでおっしゃられたわけでございまして、一つは、公益法人が本来民間企業でもできるような事業をやっていないか、それによって民業圧迫したり、あるいはユーザー利益を害しているようなことはないか。二番目といたしまして、その活動が許可された目的どおりに本当に公益を増進しているのかどうか、十分な情報の開示と主務官庁による厳格な監督がなされているかどうか。三番目といたしまして、役員に対する報酬退職金が高額な場合がないか。それから四番目といたしまして、公益法人からの委託先あるいは発注先が公正に選定をされているかどうかという観点に基づきましてチェックをお願いしたわけでございます。  それで、これに基づきまして、先ほども申し上げましたが、各府省監督権限、まさにその責任においてということでございますので、各府省それぞれにおきまして具体的な判断基準を策定していただきましてそれぞれチェックをしていただいたものでございます。したがいまして、それぞれの基準のいかんによりまして各府省ごとにおいて多少のニュアンスの違いというものが生じているわけでございます。  したがいまして、各府省ごとチェックをして、例えば丸が幾つとかバツが幾つとかというものは出ておりますけれども、全体を通じてそれが幾つかというものは、基準がそれぞれ異なっておりますので、私どもとしてはそれについては公表しておりません。各府省ごと数字というものはもちろん出しております。
  11. 輿石東

    輿石東君 それでは、今言われた四つ観点でと、私は基準というような言葉を使ったけれども観点基準か、こんなことをやっていれば時間が経過しますので省きますが、簡単に言えば、民業圧迫していないかどうか、情報公開はちゃんとやっているか、それから高額な役員報酬というようなものはないのか、そして委託先等は適正に行われているかどうか、この四点ですね。そして、各省庁ごとにそれは権限責任においてまとめてもらった、多少ニュアンスの違いはあるでしょうと、そういう言い方をされました。  この結果は、七千の中で省庁がまとめてきた数字を言ってくださいと言ったけれども、なかなか数字を言わなかった。マスコミ等では、最初の民業圧迫が十八、情報公開が二百二十二、役員への高額な報酬をしているのではないかというのが十六、委託先が適当でない、これが三十九、こういう数字が出ていますね。そして、その中で民業圧迫の例をとれば、十八のうち厚生労働省が十、文部科学省が六、農水が二、それが十八件の内訳。そうすると、それ以外の省庁はゼロということですね。  こういう結果について、ちまたでは正直者ばかを見る図式の典型だと。なぜなれば、これをチェックするのは各省庁自身だ、自分所管する公益法人に対して甘い調査をすればゼロになるし、厳しく正直にやれば数が出てくる、このような点検のやり方で本当に問題になっている公益法人がきちんと出てくるのか、点検の限界があるだろうという批判に対してはどのように考えていますか。
  12. 小山裕

    政府参考人小山裕君) 先ほどお答え申し上げましたように、それぞれの府省において四つ観点それぞれを踏まえまして、どのような基準で各所管公益法人現状を把握するかという点で調査をしたものでございまして、各府省ごとに、例えば民業圧迫として認められるものが幾つかとか、あるいは役員報酬が高額なものは幾つかというものは出ております。それについては公表しておりますけれども、全体、全省庁を押しなべて足し上げると幾つになるかということは、先ほど申し上げましたように、基準がそれぞれで異なっております。  例えば、役員報酬について、事務次官並みの俸給以上が高いというものもありますし、二千万円以上が高いというところもございます。あるいは、類似の業界の水準から考えてとか、さまざまございますので、それぞれの基準物差しが違うものですから、すべてを足し上げて全体で幾つというものは余り意味がないということで私どもとしては公表しなかったわけでございます。  それで、今、先生、正直者ばかを見るというお話でございましたけれども、今回の総点検、それぞれの省庁において独自の考え方と申しますか、それぞれの物差しを通じまして所管する公益法人現状について点検を行ったものでございます。それによりまして、各省ごとによって、もともと公益法人の数というものも随分各省によって異なっているわけでございますけれども、それぞれで出てきた数字でございますので、それについてある省庁と別の省庁を比べて、こちらは正直でこちらは正直でないというのは直ちには言えないのではないかというふうに考えております。  ただ、先生おっしゃいましたように、個別の法人に対しましていろんな御意見がこれまで出されているということも私ども承知しておりますし、今回の総点検におきましても、当然、各府省においてはそういった点も考慮した上で点検を行ったものというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  13. 輿石東

    輿石東君 これ以上事務局の方にお尋ねしても仕方のないことでしょうけれども、今答弁されたように、各省庁でそれぞれの物差しでそれぞれ独自にやった結果だから一概に多いとか少ないとかこの数字の分析はできないという答弁一つのものを調査するのにそれぞれの物差しでそれぞれにやらせるというそのこと自体が問題ではないかと私は指摘しているわけで、これはまた後日いろんな点で議論を深める場所もありましょうから、こういう複雑怪奇な公益法人なり特殊法人の仕組みの中で点検とか調査をするのは大変難しいということだけはお互いに確認し合えたと思います。  だからこそ、独立行政法人等情報公開というような形でこういうものの実態や金の流れを明確にしていこうという法案も用意されておると思いますが、そのことについてはその法案が出てきた時点でまた議論をさせていただきたいと思います。  以上で、公益法人ばかりやっているわけにいきませんので、本日の私が一番やりたい特殊法人の方へ移させていただきます。  私がなぜ特殊法人の問題を取り上げなければいけないと思ったか。一昨日の参議院の予算委員会でこの特殊法人改革について、先ほど片山大臣の方から、石原行革担当相とも連携を密にしてこれはやっていかなきゃならない、まとめ役に回るのが総務省だと、こういうお話もありました。  それとあわせて、小泉首相答弁の中で、この問題、特殊法人改革は、首相のよく主張されています郵政事業とそれから財投財政投融資改革一体なものとして扱わなければこれはできないんだと、こういう答弁もありました。  まず大臣に、その郵政事業財投改革一体としてこの特殊法人改革はやっていかなければならないんだという首相の意図なりねらい、また総務大臣自身はその点についてどう考えられているか、まずお尋ねをしたいと思います。
  14. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 小泉総理の言われることは、もう既に言われていることなんですが、今まで郵貯国民年金義務委託ですね、当時の大蔵省の資金運用部義務委託、七年間。それが資金運用部資金になるので、その資金がかなり潤沢ですから、その資金特殊法人に回って、特殊法人が本来そこまでやらなくてもいいような仕事までやったり、あるいはつくらなくてもいいような場合もあるような特殊法人までできたりと。そこで、それはやっぱり資金供給との間で不可分に結びついている、こういうことなんですね。  そこで、その財投改革が四月から始まりました。今、我々の郵貯は、義務委託はする必要はなくなって自主運用になっているんですよ。ただ、経過的な措置で、やっぱり今、今までの資金運用部が貸しているお金資金繰りがありますから、ある程度財投財投といいますか、郵貯財投債等を引き受けておりますけれども、将来はそこは全くの自主運用になるんですよ。だから、一応切れているんです。  ただ、総理のお考えでは、財投国民年金というお金資金運用部に行って、それが全部特殊法人に流れて、だから全部直すのなら一斉に直さなきゃいかぬと、こういう意見なんですね。  そこで今、郵貯との間は基本的には切れましたから資金運用部に行くわけじゃないんですが、ただ、過渡的にかなりな部分、今の郵貯財投債を引き受けている、こういうことは残っております。だから、それも全くやめてしまうためには民営化すればすっきりすると、これが総理のお考えだろうと私は思っています。
  15. 輿石東

    輿石東君 今、この三月までの財投制度による特殊法人への資金源となっているのは、御案内のように、郵貯、簡保のもう三十兆、四十兆という金がじゃぶじゃぶと入っていたと。これを断ち切らないと本当にまともな特殊法人でないものまで生き残らせる、そのために財投改革もあり特殊法人改革もある、そういう点で一体的だと、そのことについては大臣自身総理と同じだと。  そして、今くしくも大臣の方から、財投債という形で、制度財投改革が行われたけれども自主運用になったけれども、過渡的な移行措置として財投へまだ相当の部分が、金が流れていますと、そうお認めになったわけですね。  今度、特殊法人財投改革によってどう変わらなければいけないかという点については、財投債財投機関債というものを新たに、財投機関債を新たに発行して、それで自前で財源を見つけて、市場原理の上に乗って市場評価を受けながら正常に特殊法人はみずから生きていきなさいよというのがその趣旨だろうと。  そういう実態に本当になっているのかどうかというところが問題だとこう思うわけで、その財投改革のねらいに合った形でこの平成十三年度財投債財投との関係と、どういう金の配置になっているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  16. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 制度としては、何度も申し上げますが、現在の郵貯等は、これは特殊法人とのつながりはありません。  そこで、今度の財投改革で、基本的には特殊法人財投機関債を出すと、市場で、マーケットで、そこで資金調達をすると。そこで特殊法人自身評価されて、悪いものは淘汰されるだろうと。自分資金調達をやるんですから、能力のない評価の低い特殊法人というか財投機関については資金調達が無理になるから一種の自然淘汰の現象が起こるだろうと、こういうことなんですが、それを急激に行うということはいかがかなというので、別に財投債という、まとめて政府資金調達する道を残したんですよ、財投債財投機関債と。だから、本来からいうと財投機関債中心であるべきなんですよ。  ところが、これは制度が変わったばかりでそれだけの信用がありませんから、結局、財投機関債は一兆一千億ぐらいしか発行できないんですよ。残りは財投債でやるわけで、その財投債についてある程度今までの郵貯なんかとのつながりがあるんですよね。全部今まで義務預託だった。うち預託は七年ですけれども財投機関といいますか、特殊法人資金運用部が貸しているのは長いもので三十年なんですよ、短いのは五年もありますけれどもね。長いのが三十年で、平均十七、八年。うちは七年で返してもらう。ところが、向こうは二十何年なり三十年貸しますから、資金繰りができなくなるんですよ。そこで、過渡的に本年度は二十四兆ぐらい財投債郵貯が引き受けております。  ただ、これは輿石委員、次第に減らしていきます、資金繰りを見ながら。最終的にはそこは断ち切ります。それを断ち切れば、総理の言うような特殊法人とのつながりが切れますから、今度は特殊法人が自立せにゃいかぬようになる。その場合には、財投機関債を出してもらうなり、どうしても財投機関債が無理なものはまとめた財投債なりになると思いますけれども、それについてはマーケットで、我々がマーケットの状況に応じて、場合によっては財投債なり財投機関債郵貯が引き受けるということはありますけれども、それはもう全くマーケットの原理に従います。今は過渡的にそういう意味で特別に引き受けていると、こう御理解を賜りたいと思います。
  17. 輿石東

    輿石東君 今御説明のとおりだと思います。私もそれを承知しながら、これから本当に今言われた形で大丈夫なのかという点をお尋ねしているわけで、例えば数字大臣も話されましたけれども、この平成十三年度財投機関債対象になるのが三十三機関ぐらいあるんですか、このうちの二十機関で発行していると。その額が今一兆ちょっとと言った、一兆一千五十八億ですか。そして、財投債の方はもう四十三兆八千九百億余り発行しているわけですね。  そうすると、財投機関債は、三十三の対象特殊法人財投機関があるのに二十機関、約六割の機関で発行している。しかし、その発行額は一兆円ちょっとですから、全体の計画の中の三%ですよ、三%。それで、過渡的な措置だから、後、行く行くは全部切っちまうんだと、財投債部分については。それで郵貯や何かの公的資金は断ち切って、特殊法人は自立させますよという趣旨で財投改革も行われたしこの制度も入れたということですけれども、これはなぜこんな状態になっているのか。  また、過渡的な措置として大臣自身が言われた、財投機関債だけではやっていけない特殊法人政府保証債、あるいはそれでもだめなのを財投債で救うよと、こういう三段階でやっていくということですけれども、私は、市場原理市場評価財投機関債は受けるわけですから、裏を返せばその市場評価にたえられないような特殊法人が厳然としてあるんだろうと。これを、過渡的な措置と言いながら、財投債におんぶにだっこでずっと行こうとするような特殊法人も出てくるに違いない。そういうものが出てきた場合の手だてとして、方策としてどんなことを考えられていますか。
  18. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私どもの方は、今までが、ことしの三月末までは郵貯義務預託資金運用部に貸しておったと、こういう経緯から過渡的に財投債を引き受けるということはやりますけれども、これは次第に減らしていきます。それで、最終的にはそういう直接引き受けはゼロにします。後は、マーケットで財投債なり財投機関債を吟味して、うちの方の運用の一環として財投債財投機関債を引き受けることは私はあると思います。  後は、財投債財投機関債をどう振り分けてやるか。その関係は、これは総務省のあれじゃなくて財務省を中心に、きょうは理財局長も来ているようでありますが、向こうの方でお考えになることで、我々の方は、制度としてはもう切れているんですから、何度も言いますけれども、今、過渡的に資金繰りのために財投債を引き受けておりますけれども、これは撤退していきまして、後は自主運用で引き受ける。財投機関債財投債の割り振りなり資金調達は、これは財務省の方でお考えいただく、こういうことであったと思います。
  19. 輿石東

    輿石東君 そこは財務省でお考えいただくところだと言いますから財務省で答えていただくと同時に、今の大臣の、そちらへ聞いてくださいということだから聞きますが、それに加えて、財投債の発行額、発行限度というものもあるんじゃないですか。国債の発行を総理は三十兆円以下に抑えるんだと、こういう提起もしている中で、財投債といえども無制限に発行していくということは許されないと思いますので、その点を含めてお答えいただけますか。
  20. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 幾つか御質問いただいておりますので、まとめて答えさせていただきます。  一つ財投機関債の発行額が少ないという御指摘をいただいております、十三年度につきまして。これについては、債券を発行するというのはやはり非常に大変なことでございまして、財投機関といいましても、今まで債券の発行をしたことがないところがたくさんございまして、そういったところが債券を発行するためにはディスクロージャーをやり、またまさにそういうディスクロージャーをやることが非常に意味のあることでございますから、そういったことをやりながらマーケットで評価を得て発行するということで、財投機関債の発行、初年度でございますから、そういう意味で、一兆一千五十八億というのが少ないという御指摘でございますが、これはもう各機関に相当努力していただき、今でも一生懸命格付をとるためにディスクロージャー等をやっていただいておりますので、その点はぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。  今後どうするかということでございますが、もちろん財投機関債でできるだけ調達していただくということが原則でございますから、今後とも引き続き各機関に努力をしていただく、そういうつもりでおります。  ただ、それでも資金調達ができない場合には、これは財投債で調達して貸し付けをせざるを得ないと思いますが、その場合にも、例えば民業補完の原則がちゃんと貫かれているかとか、それから将来の国民負担を推計した政策コスト分析でその便益がどうかとか、あるいは償還確実性がどうかとか、そういった問題をよく検討いたしまして融資をやっていきたい。  十三年度につきましても、四十三兆の財投債の発行があるというようにおっしゃられました、約四十四兆でございますが。これは、事業費を前年比で比べますと一五%減にしております。ですから、大臣がおっしゃられましたように、これからは義務的に預託があるからそれを貸し付けるという制度ではございませんで、さっき申し上げましたような幾つかの観点で、事業をよく吟味し、絞り、その上で財投機関債で賄えるものは賄っていただき、最大限努力していただき、それでも足らず前があれば財投債を発行するという制度に変えておりますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思っております。  それから、財投債についてその発行の目標を立てたらどうだという御指摘でございますが、財投債はあくまで融資の世界なものですから、財投計画、その事業の規模だけで直接決まるものではございません。例えば、貸付機関であれば貸付機関からの回収金がどう入ってくるかとか、事業機関であればその事業の収入がどのくらいあるかとか、あるいは過去の借入金の返済がどうなるかとか、そういったまさに資金事情そのもので決まるものでございますので、そういう意味で、あらかじめ一定の目標を定めるという一般会計的な手法にはなじみがたいものでございますので、そういうことで、機動的、弾力的に対応できるようにさせていただきたいというように考えております。
  21. 輿石東

    輿石東君 今の答弁の中で、財投債は規模だけでは決まらない、資金事情によって変わるんだと、そう言われましたね。それともう一つ、これはどういう業務をやっているのか、それをきちっと精査して、どこへ金を与えるかということも同時に必要だということも言われました。それにはディスクロージャー、情報公開が最も大事だと言われたわけですね。  そうすると、長い期間やっている事業ほど、その効果があるのかどうか、その間に補助金とか政府から出資金も出ていくでしょう。それを、この特殊法人にはこのままこの事業をやらせても大丈夫かどうかという、そういうものの分析や点検も同時に行っていかなきゃならぬと思うわけであります。そういう意味で財政投融資事業に関する政策コスト分析というのも政府でやっていますね。  その辺について、ディスクロージャーとかかわってそのコスト分析は今、現状どのように行われているのか、どんな状態になっているのか、どんな結果が出ているのか、お尋ねしたいと思います。
  22. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 政策コスト分析、我々、先ほど申し上げたような財投機関事業を分析する上で非常に重要だと考えておりまして、どういうやり方をしているかと申しますと、そういう財政投融資対象事業の実施に伴って事業が終了するまでの間に国の一般会計、特別会計から投入される補助金等の額が一定の前提を置いた場合に幾らになるか、それを現在価値に割り引いて把握しようという、そういう分析を行っております。  これは、こういう分析をやることで将来の国民負担に関する情報がディスクロージャーされますし、そういう分析をやる過程で各機関が自分の業務を見直して、それから財務状況もより的確に把握して、それを改善するのに役立つと。それから、そのコストを把握することで、コストと経済的な便益とを比較することで事業の有効性といいますか正当性といいますか、そういったものを検討できるという意味で非常に意義があるというように考えております。  私ども、この政策コスト分析には平成十一年度から取り組んでおりまして、分析の対象機関は、平成十一年度は五機関でございましたが、十二年度は十四機関となっております。  結果を示せということでございますが、例えば平成年度の分析結果で申しますと、住宅金融公庫の政策コスト、これは分析期間三十二年でございますが、七千八百二十二億という、今後これだけの国費が必要になるという結果が出ております。  また、日本道路公団につきましては、分析期間四十八年でございますが、四兆二千九百六十五億円の国費が必要になるという結果が出ております。  我々はこの政策コスト分析をより充実させていきたいと考えておりまして、平成十三年度におきましても、先般閣議決定されました行政改革大綱におきまして政策コスト分析の充実、公表ということが盛り込まれてもおりますし、そういった点も踏まえまして、今後とも対象機関を拡大し、それから内容も充実するということで一層の充実に努めていきたいというように考えております。
  23. 輿石東

    輿石東君 この問題ももっと議論をしたいわけですが、与えられた時間があと十二分ぐらいになってしまって、天下りの問題など一番大事なところへなかなか入る時間がなさそうですけれども。  今、財務省の方から話があったように、この財投債なりコスト分析なりいろいろやって、その財投債については一五%前年度よりも減らしたんだと、こうお答えがあって、それだけ聞いていると何か前進をしているようですけれども。  では、一例を申し上げますと、補助金についてちょっとお尋ねしますけれども特殊法人に対する平成十三年度の出資金や補助金というのは五兆二千七百四十五億円、前年度比で五百八十億円増加となっているわけであります。そして、先ほどもありましたように、昨年の十二月の行革大綱では、その整理合理化とかだけではなくて、特殊法人事業そのものを見直して、こういう出資金なり補助金というのはだんだん減らしていく、そして財投改革もして財投機関債という形で自前で市場原理の中で生きていけというのが財投改革のねらいであり、特殊法人改革するねらいがそこにあるとすれば、この補助金なり出資金が前年度比五百八十億もふえていくというのはいかなる理由なのか、その点についてお答えいただければと思います。
  24. 津田廣喜

    政府参考人津田廣喜君) 十三年度における特殊法人に対する予算は、法人によりまして、ふえているもの減っているものいろいろございます。合計は、今おっしゃったように五兆二千七百四十五億円で、前年度比五百八十億円の増加となっております。  これは、個々の政策目的に照らして必要なものを措置した結果でございますが、内容的に二、三、例を申し上げますと、一つは、本州四国連絡橋公団に対しまして新たに無利子貸し付けを導入するということで、これが八百億円の増加になっております。この一つで全体の増加額を上回っているわけでございますが、そのほかにも科学技術関係、研究開発の充実というようなことで、日本学術振興会に対しまして百十四億円の増加とか、同じく科学技術振興事業団に百七十一億円の増加であるとか、あるいは情報収集衛星システムの開発をやらせております関係で宇宙開発事業団に百三十一億円の増加といったようなことが主なものでございます。
  25. 輿石東

    輿石東君 今のお話だと、資源のない我が国が科学技術で生きていくとすれば科学技術分野への投資というのは大事だろう、そういう分野でふえていますと言わんばかりの説明ですけれども、それはそれとしてわかりますけれども、全体としてそういうものは補助金や出資金に頼らない。ただ、特殊法人の性格として、そういう政策的に遂行していかなければならないという宿命と、そして市場原理で自前で経営をしていくという、収益事業にも携わっていかなきゃならぬという相反する二つの要素を持っていることはわかっていますけれども、そういう減らすという方向、そういう時の流れに従って厳密な精査を要請しておきたいというふうに思います。  天下り問題については、特殊法人の温床だと、こう言われておりますけれども、そこへ触れる時間がありませんので次回に譲りたいと思います。  あと残された時間で、農水省からも来ていただいていると思いますので、私が前回、もう国と地方で合わせて六百六十六兆円の債務残高、国債残高、借金を抱えている、七百兆円近くなった。地方はそれ以上に苦しくなった、それで分権一括法で課税自主権も認められた、法定外税も認めるようになったと。河口湖の遊漁税が法定外目的税の全国の第一号だと地元では喜んだり自信を持っているわけですが、それと一緒に質問させていただいた横浜の場外馬券場等の新税に向けては総務省は同意をしなかったと、こういう結論ですけれども、そして国の係争委員会にまでかかって、横浜では提訴をしますよという意思表示もしていますけれども、この辺の経緯と同意しなかった理由をまず総務省の方にお尋ねし、それとあわせて、時間もありませんので、農水省はこれに対してどう考えているのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  26. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 法定外税の問題につきましては、総務省といたしましては、基本的には地方団体の課税自主権を尊重して支援してまいりたいと考えているところであります。  しかし、今回の横浜市の場合は、先生御案内のとおり、法律に基づきまして、中央競馬会が畜産振興ですとかあるいは民間社会福祉事業の振興のために財政資金を確保することを目的としまして、わざわざ競馬法で特例として独占的に行う特別の制度を設けているわけでございまして、横浜市の勝馬投票券発売税を認めますと、中央競馬会の国庫納付金への配分ですとか、いろんな点に影響が生ずることとなるわけでございます。  一方、横浜市からは、中央競馬会に特別に負担を求めるべき合理的な課税の理由の説明がなかったものでございますから、地方財政審議会の意見も踏まえまして、地方税法六百七十一条第三号の「国の経済施策に照らして適当でない」場合に該当する、したがいまして同意できないというふうな判断をいたしたところでございます。
  27. 輿石東

    輿石東君 これは、地方税法六百七十一条ですか、ここに、総務省はこの三つの条件を除けば同意しなければならないと、簡単に言えばそういう条項がありますね。その第三番目の「国の経済施策に照らして」というところに該当して、それを理由に総務省は同意しなかったんだと、こういう御説明ですね。だとすると、「国の経済施策に照らして」、国の経済施策に照らせという、国の経済施策という概念で、こういう抽象的な概念で横浜市のその法定外税を認めないと、それだけで納得できるでしょうかね。  再度、その点について触れてください。
  28. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) ちょっと法律論になりますけれども、この規定で三号の「経済施策」というのはもちろん一つございますが、この解釈に当たりまして、一号の特に国との関係での「課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること。」と、それから二号で「物の流通に重大な障害を与えること。」ということを受けまして、その前二号のほか「国の経済施策に照らして適当でないこと。」とありますものですから、当然、一号の国の重要な租税施策ですとか、あるいはこれに準ずるような、国が特別に財政資金を確保するためにその資金をつくって、そして例えば畜産振興等に充てるといったようなものは、このバランス上、三号の「国の経済施策」に含まれるというふうに考えている次第でございます。
  29. 輿石東

    輿石東君 課税標準とか住民に過重な負担をかけないとか、そういうことはわかりますよ。しかし、決め手は国の経済施策に照らしてだめだったんだという結論にしたわけですから。  農水省は、畜産振興とかそういう理由もいろいろあるでしょう。農水省、この点についていかがですか。
  30. 永村武美

    政府参考人永村武美君) 今、総務省の方からお答えがございましたけれども、私ども、やはり国が行っております畜産振興あるいは民間の社会福祉事業の振興のためにどうしても支障が生ずるということで、今、総務省のお答えにありましたように、「国の経済施策に照らして適当でない」ということに当たると。これも私ども地財審でもたびたび申し上げておるところでございまして、今回、総務省も同様の見解をお示しいただき適切な判断をしていただいたと、かように私ども考えております。
  31. 輿石東

    輿石東君 今、地財審という話がありましたね、地方財政審議会等の話もあってという農水省のお答えですが、それなら、その地方財政審議会で農水省は、横浜市にもこの場外馬券場があるために御迷惑をかけている、そういう意味で環境整備交付金というのを出している、それで責任を果たしていると、こういう言い方もあるわけで、ここのところをもう少し、もし税金を取られるのが嫌だったら、この環境整備交付金をふやしたらどうだという話も同時に審議会からも指摘があるんですけれども、農水省はその点についてはどう考えていますか。
  32. 永村武美

    政府参考人永村武美君) 環境整備費につきましては、今、先生御指摘のとおり、私ども独自に今日まで地元の要請に応じまして、道路整備でございますとか交通安全施設でございますとか、あるいはレクリエーション、あるいは下水排水、こういったところに地元の要請に応じてその都度独自に協力をしてきたところでございます。  したがいまして、今後とも地元の要請に応じまして協力する、こういうことにつきましては競馬会を適切に指導してまいりたい、かように考えております。
  33. 輿石東

    輿石東君 もう時間が来ましたので終わりたいと思いますが、最後に大臣お尋ねをしたいわけですが、地方分権一括法が成立をし、地方でも課税自主権を発揮して独自に財源を求めるという道も開かれたわけであります。しかし、河口湖の遊漁税、そして今の横浜市の問題、それぞれに成功する、しないところ、いろいろ国との関係、そして許可制から同意をするというふうに変わってもなかなか地方から見れば中身は変わらないなという、なぜ認めてくれないのだろうという不満もある。だったら国は何をしてくれるという話になるわけで、これは横浜市の場合は何か十億ですか、やってみても、そうすると財源的には大変少ない、少額だと、でも工夫しなければならないという苦悩に立っている。  それを受けて、もう構造的にこの地方の財源は我々民主党が主張しているように、所得税の一部を住民税のようにして財源の一部を回して構造的にもう変えていく、できれば国の予算の形態も。その出口が、お金は一対二、仕事は二対一で出口が決まる、この乖離を縮小して構造的に変えるということ以外に抜本的な策はないというふうにも思うわけですが、その点について最後に大臣にお聞きをして質問を終わります。
  34. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 基本的には私も輿石委員と同じ意見でございますが、この横浜の馬券税につきましては、市長が二回見えまして大変あなたに期待しているようなことを言われるので、私は基本的には課税自主権を認める立場だと、ただ、地方税法という法律があって、この要件をクリアしなければだめだと言っている、それができなければだめですよと。  それは、事務方が内閣法制局とも相談しましたし、それから地財審はもちろんこれは相談しなければなりませんので相談した結果、やっぱり地方税法上は読めないと、こういうことでございましたので、もちろん農水省や財務省の意見もありますよ、それは農水省や財務省の意見で我々は決めたわけでは全くなくて、基本的には地方税法の解釈に基づいて、大変残念ですけれどもということを市の方には申し上げたわけで、それで、市の方でこれを税金で取るのは十億円なんですよ。基本的には、特別の財政需要があるから特別の税金をつくるということでなきゃいかぬので、財政需要との関係ももうひとつ定かでございませんでしたから、この横浜市の税金については私は同意できないと、こういうことを申し上げたんですけれども、できるだけ基本的には課税自主権を認めると。    〔委員長退席、理事海老原義彦君着席〕  それから、今言いましたように、国が一の仕事、地方が二の仕事で、税の方は六対四で交付税を入れて四十五対五十五なので、できるだけ仕事をしているところがそれに見合う税財源を持つということが正しいわけですから、ただ地域的にばらつきがありますから、経済状況が違い、それに基づいて財政状況が違いますからそこはなかなか難しいんですが、基本的には輿石委員が言われるように、地方に対する税財源の移譲ということについて今度新しい委員会もつくることを今検討しておりますから、そこで大いに議論していただこうと、こういうふうに思っております。
  35. 輿石東

    輿石東君 終わります。
  36. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党の高嶋でございます。  まず、総務大臣にお伺いいたしますけれども、先日、五月二十一日の参議院の予算委員会で、小泉総理地方交付税の削減方向を表明されたわけですけれども、この総理答弁に対する総務大臣としての認識を伺いたいと思います。
  37. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは既に一部のマスコミ等で報道されておりますが、二十一日の参議院予算委員会での総理答弁は、国の予算の中で大きいのは社会保障と公共事業と地方への予算だと。この三つをやっぱり国債三十兆以下ということになると見直し対象にせざるを得ないけれども、社会保障は高齢化社会が進みますからなかなか難しいんではなかろうかと。そうなると、公共事業と地方への予算だと、こういう発言をされたんですね。  ところが、次の日の、あるいはその日の夜の新聞、テレビでは地方交付税の削減と、こういう報道が一部にありまして、これは私は大変誤解を生むなと思いましたので、次の日の閣議の後の閣僚懇で訂正の、誤解が皆さんあっちゃいけませんから、発言をさせてもらうと言って総理に、総理地方交付税と言わなかったでしょうと、地方への歳出ないしは地方への予算と言ったでしょうと言ったら、自分はそう言ったと。だから、地方交付税というのは国税の形をしているけれども、これは一種の地方税なんだと、地方固有の財源なんで、こういうものを公共事業と同じように一律カットなんていうのはあり得ないと言ったんです。そんなことはあり得ないと、地方分権の時代に。  ただ、私は、今の国の歳出を削減していく方向はそれはそれで結構だし、それに伴って地方の歳出も減るというのはそれは結構だ、ただ、地方の歳出の七割は国絡みですよと。大きいのは社会保障と公共事業と教育なんで、国絡みですよと。だから、国の歳出をまず削減しないと地方の歳出は削減できませんよと。ただ、地方独自の単独事業も今ちょっと肥大化しているから、私はこれを抑えるべきだと思っていると。その結果、毎年度の地方財政計画で収入と支出をグロスで比べてみたときに、それがゆとりが出るなら結果として地方交付税を削減するということはあり得ると。ただ、今年度でも高嶋委員承知のように入り口では十六兆五千億でしょう、出口は二十兆幾らですから、だからなかなかそういっても地方交付税の削減というのは私は事実上それは難しいと思いますけれども、結果として地方交付税の削減というのはあり得ると。  公共事業と同じように一律のカット、一律の削減はそれはあり得ないと、こういうふうに申し上げたわけでありまして、竹中大臣は、片山さん、よくわかりましたと、言われるとおりですと言いましたし、塩川財務大臣は、ただ片山さん、基準財政需要は見直してくださいよと、それは見直しますと、こういうふうに申し上げたんです。それが皆さんそれぞれ閣僚、閣議後の記者会見でいろんな表現をされたものですから、閣内不統一だとかなんとかという一部報道がありますが、そんなことは全くありませんので、その点はひとつよろしく御理解を賜りたいと思います。
  38. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ということは、私も予算委員のメンバーですから、総理地方交付税というふうに言われたと思うんですが、新聞にもそういうふうに載っているんですが、地方交付税の削減方向ということは、じゃ総務大臣としては言っていない、マスコミにそういうふうに書いているんだったらそれは間違いだと、こういうことでいいわけですね。  それで、じゃ具体的に正確に総理の言われたことを解釈をすると、こういうふうにとらえていいわけですか。  国債発行三十兆円以下に抑えるために補助金等含めて国や地方の歳出を削減しなければならないと、そういう理解でいいんでしょうか。
  39. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 総理の言われる一つは、当面は国債発行を三十兆円以下にしたいと、それから近い将来プライマリーバランスを確保したいと、こういうことでございまして、本年度はともかく、来年度は三十兆以下にするためには相当歳出のカットが必要なんですよ。そこで、大きいものは今言いましたように社会保障と公共事業と地方への予算なんですよ。地方への予算は地方交付税も予算といえば予算ですが、同時に国庫支出金があるんですね。そういうことの中で削減を考えていくと。  こういうことで、地方交付税の削減がないとは言いませんよ、私が言いますように、結果としてはあるんです、結果としてはある。国の歳出を切り、地方の歳出を切っていったときに、例えば十四年度、十五年度の地方財政全体の収入と支出を見たときにゆとりができれば地方交付税を切り込むというのはあり得ます、結果としては。だから、一律の公共事業、例えば一割カットとか二割カットとかいうようなそういう削減はあり得ないと、こういうふうに言っているわけでありまして、経済財政諮問会議で、予算委員会じゃありませんよ、そこで地方交付税見直し論があります。私も見直しますと言った。例えば、算定方法で事業費補正だとか御承知の段階補正だとか密度補正、あれはつくった当時はそれなりの意味がありました。効用もありましたけれども、この時代にいつまでもああいう段階補正や事業費補正をそのまま残すかどうか、私は議論があると思います。  それから、例のいつも問題になる、例えば単独事業や何かの起債の元利償還を一定割合を補てんする、あるいは特に補正でやっています公共事業の裏負担について丸々起債を認めて、その一定割合を交付税で補てんする、こういうことも意味はありましたよ。私は、効用は認めますけれども見直す対象にはしてもいいと。そういうことは経済財政諮問会議で私も申し上げましたし、竹中大臣を初め何人かの大臣やほかの委員もまあ同じような意見でございました。
  40. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、経済財政諮問会議の関係が出ましたけれども、二十二日の閣議後の記者会見で、先ほど総務大臣も言われましたけれども、竹中経済財政担当大臣が交付税削減は既定方針に向かって進むと思うという、そういう記者会見をされているわけですね。  それで、経済財政諮問会議の検討項目の中で、地方が国に財源を頼る地方交付税制度見直しという部分もあるんですが、その検討をしていく中身については、先ほど総務大臣が言われたような見直し考え方だということでいいわけですね。一律カット等を含めた部分ではないということで理解していいわけですか。
  41. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 何度も同じことを申し上げますけれども、今言いましたように、交付税の算定方式やあり方を見直す中で交付税の削減ということは、それはあり得ると思いますので、竹中大臣はそういうことを言われたと思います。  また、その経済財政諮問会議のときに、本間さんという学者の方と牛尾さんという財界の方がペーパーを出しまして、その中には私が言ったのと似たようなことを、もう少し激しい表現が、もうそれはきつい表現でございましたが、そういうことがございましたので、そういうことを踏まえて経済財政担当の竹中大臣は言われたと、こういうふうに思います。基本的には私の認識と変わっておりません。
  42. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この経済財政諮問会議が六月にまとめるということになっているんですけれども、その関係と、それから地方分権推進委員会が最終報告を、とりわけ地方自治体の財政基盤を強化するという、そういう方向でまとめると聞いているんですけれども、その関連と、この間の小泉総理答弁との関連について若干お聞かせをいただきたいと思います。  その前に、ちょっと私の危惧しているところを申し上げておきますと、先ほど総務大臣の方から公共事業の削減との絡みで、地方の補助事業等々に対する、あるいは単独事業に対する起債の元利償還の肩がわりをしてきている部分があるわけですが、それも見直すような考え方を先ほど言われたと思うんですけれども、その辺の正確なことをもう一度お聞かせいただきたいと思います。もしそうなら、国の景気対策として地方の公共事業をふやしてきた、そのかわりに国が元利償還の面倒を見るという、そういう約束でやられてきたと思うんですけれども、それを見直すということになるとこの約束をほごにするということになるのではないかということで地方のかなりの反発が出ると思うんですが、その辺はどうお考えですか。
  43. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 最後の質問からお答え申し上げますと、特に補正で、この何年かは補正で景気対策をやりますね。景気対策をやる。その場合に、公共事業をしっかり消化するために公共事業の裏負担はほとんど丸々一〇〇%地方債を認めて、しかも元利償還を、これは丸々ということもあるし丸々でないこともありますが、かなりな比率で認めてまいりました。それは国の景気対策をやるためにそういう措置を実はとってきたわけでございますけれども、これからは、今の小泉内閣は構造改革なければ景気回復なしという立場ですから、今までと同じような景気対策をとらない、こういうことが一つ前提にありますので、今までとったように公共事業の裏負担の起債の元利償還を補てんするということは、どこまでどうするか私は見直していく必要があると思っております。ただ、全くやめるのか、ある程度残すのか、それはこれからの私は検討課題だと、こういうふうに思っております。  それから、地方分権推進委員会は、五年の任期を一年延ばしてことしの七月二日で任期満了になります。そこで最終的に今までの検討の結果をまとめたいと、こういうことでございまして、地方税財源についてもコメントしたい、こういう諸井委員長以下のお考えでございますから、それはどうぞやっていただきたい、やっていただければ大変ありがたいと、こういうふうに申し上げましたので、これは経済財政諮問会議にとらわれずに独自の立場で、今まで六年間の総決算としての私は最終報告をまとめていただけるものだと、こういうふうに思っております。  それから、経済財政諮問会議が六月中に来年度予算編成の骨太の、骨太という意味も定かではありませんけれども、骨太の編成方針を諮問会議で決めると。今までは大蔵省中心で決めたわけですね、昔の。それを大蔵省じゃなくて経済財政諮問会議で骨太の予算編成方針を決めて、それに基づいて各府省に概算要求をしてもらう、こういうことでございまして、その中で大きいものは考え方を示さないといかぬだろうと。例えば今の公共事業だとか社会保障だとか、あるいは国と地方の関係だとか、あるいはそのほか科学技術の振興もあるのかもしれません、ODAもあるのかもしれません、教育関係もあるのかもしれませんけれども、そういうことで今議論しておりまして、六月中に精力的にまとめると、こういうことでございます。  それから、総理の発言は、経済財政諮問会議の中での検討やあるいはその他でいろんな議論を踏まえての最終的なことをお考えになっての答弁でございますから、私は基本的には経済財政諮問会議等と総理答弁は合っていると、こういうふうに思いますし、もちろん総理答弁については我々との調整もありますから、その間の意思の違いはありません。同じ考え方で答弁いたしております。
  44. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総理との意思の違いはないということで、私は総務大臣が今答弁をされておる方が今までの経緯に照らしてもあるいは将来に向かってもそういう方向がより好ましいというふうに思っているんですが、ただ、私どものとらえ方の総理答弁というのは若干ニュアンスが違っているというふうに思いますから、それはぜひ総務大臣の方から総理によく御説明をしていただいて、総務大臣が今言われておるように、そごのないようにぜひお願いをしたいというふうに思っています。  いずれにしても、これから地方分権が進む中で、今一番おくれている税財源という問題が将来の大きな、将来というか今後の大きな課題になってくるわけです。私はその中で、交付税の改革をしていくということを何も否定をしているわけではありませんでして、それはやっぱり具体的に改革を行っていかなければならないというふうに思っています。  ただ、その場合に、やっぱり地方分権という今までの経緯をきちっととらまえていただいて、その地方分権という趣旨にのっとって国と地方の税財源の配分を抜本的に見直すんだ、その中で交付税はこういうふうに変えるんだと。交付税というよりも、国と地方の財政調整制度そのものをこういう形にするんだという、そういう大所高所に立った議論が必要なんではないかというふうに思っています。  小泉総理は、民間にできるところは民間に任せると、地方にできるところは地方に任せる、ゆだねるんだと、こういう所信表明をされているわけですね。地方に任すのは仕事だけではなしに、任す以上はそれに対する税財源をどうするんだという、そこの部分をやっぱりきちっととらまえてもらうということがなければならない、そう思っています。  その関係で、この七月に終わります地方分権推進委員会ですが、これのポスト地方分権推進委員会と言われる新しい組織をつくる方向で検討いただいているということですけれども、どのような内容になっているんでしょうか。
  45. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この前というかちょっと前ですが、総理官房長官と協議いたしまして、いずれにしろ現在の地方分権推進委員会の後のそういう中立で権威ある機関をつくりたいと、こういう、つくるということでは意見が一致しまして、問題は設置形式をどうするのか、法律によるのかあるいは政令によるのか。法律でやりますと、この国会法案を出さなければいけませんね。そうすると、大変国会がタイトでございましてね、会期、期間が、なかなか法律といったら難しくなる。そうすると、次の例えば臨時国会等を考えますと、大分先になる。そういうことを踏まえて、設置形式をどうするのかというのが一つあります。  それから、それに絡みますけれども、だからスタートの期間をいつにするのか。七月二日に切れますから、即引き続いてやれるようにするのか、あるいは少し期間を置くのか、あるいは今の地方分権推進委員会は五年の任期でやりましたけれども、これを何年間にするのか、あるいはメンバーの構成、あるいは事務局をどこに置くのか。内閣府に置くのが私はベターだと思いますけれども、そういうことについて事務方にまず検討してもらって、その上で総理と最終的な協議をいたしたい、こう思っておりますが、置くという方向については総理官房長官異議がありませんので、そういう方向で今検討をさせていただいております。
  46. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 検討いただいておるということですが、法令設置が無理ということになれば、当然政令設置でやられるのかなというふうに思うんですが、地方分権推進委員会の果たしてきた五年間プラス一年の、六年間のこの方向というのは非常に支持できるし、評価したいというふうに思うんですが、これはやっぱりそれ相応の権限があったから各省庁の抵抗も振り切ってかなり分権が進んできたのかなというふうに思っているんですけれども、そういう観点でいうと、政令設置の場合、諮問機関なのか調査機関なのかちょっとわかりませんけれども、そういう部分も含めて地方分権推進委員会と同等、同様の権限を持てるんですか、どうなんですか。
  47. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 例の規制緩和の委員会が、今回は政令設置の総合規制改革会議になりました。私は、法律の方がいいのかなという感じもいたしますけれども、その設置形式の問題じゃなくて、やっぱりそのメンバーとそこで出す意見政府がどう扱うかの問題だと思いますね。だから、メンバーによろしきを得て、しかも出した勧告や答申をしっかりと政府が受けとめてそれを実現していけば、私は大変権威のあるものになるのではなかろうかと、こう思っておりまして、なお今の高嶋委員の御意見も踏まえながら、協議、検討させていただきます。
  48. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ぜひ前向きに検討いただいて、今まで進んできた地方分権の流れというものが、そういう諮問機関の変更によって後退することがないように、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思っております。  次に、郵政事業関係についてお尋ねをいたしますが、小泉総理になられて突然民営化の検討が浮上してきたわけですけれども、私は二〇〇三年からの郵政公社化を基本的には法律、国会で決めて、まだ郵政公社の制度設計というか具体像も出されていない、当然この法案も出されていないという状況の中で、既に公社化の後の民営化議論されるということについては、これはまさに俗に言う朝令暮改ではないかなというふうに思っているんですけれども所管大臣としてはどう認識しておられるんですか。
  49. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 我々は、今の基本法で平成十五年中に国営公社に移行すると。その国営公社のフレームといいますか、重立った点は基本法の中にも書いておりまして、その限りでは民営化等の措置はとらないと。これも条文の第六項以下に書いておりますので、今我々がやることは、粛々と二年後の公社化を目指しての、今、委員からお話がありましたように、年内ぐらいに制度設計というんでしょうか、法案をまとめて来年の通常国会に出させていただいて、御審議を仰いで、その結果、その次の年の公社化を進めていきたいと。  それから同時に、基本法にも書いておりますが、その際、郵便事業に対する民間参入についての条件も検討すると、こうありますから、どういう民間参入をしてもらうようにするか、これも検討いたしたいと、こう思っておりまして、あの基本法が決めているのはそこまでなんですね。しかし、その後のあり方については、これは何にも法律は言っていないんです。そこで、この前、小泉総理が総裁になったときの与党三党の合意で、移行後のあり方については民営化問題を含めて、民営化じゃないですよ、民営化問題を含めて論議を始めると、こう決まっているんですね。  私は、恐らくあの基本法ができたときの気分は、公社でまあ大議論があって決めたんだから、これで一応の決着だなと、一件落着だなという気分だったと思いますけれども、それは世の中の状況はどんどん変わりますし、国民の意識、反応も変わってくるので、私は議論するのは大いに議論すればいいと思います。その結果、最終的には国民が、国民がということはそれは国会になるかもしれませんが、そこで物を決めていくと。議論を起こして、国民的な議論を起こして、その中で最大公約数で物を決めていくのが正しいと思いますので、そういうことを総理にも申し上げて、総理も全くそこは私と意見が同じでございまして、議論は始めると、こういうことでございますが、その議論の結果が民営化に決まったわけでもないし、国営公社そのままということも決まったわけじゃないし、あるいはそれ以外の方法があるのかもしれませんから、大いに議論をやっていくと。そこで結論が出れば、そういうことに向かっていくと、私はそれは朝令暮改じゃないと思います。  公社までは国民的合意があるんですけれども、その後についてはまだ何にも決まっていないと、こういうふうに私は理解しております。
  50. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 国営公社でやるということは決まっておるわけですよね。その法律の、中央省庁等の改革基本法三十三条の六項、先ほど申されましたけれども民営化などの見直しは行わないというふうに明記をされているわけですよね。その規定と、今、大臣が言われた民営化も含めた検討という、そこの整合性が私にはどうも理解できないんですが、その辺をもう一度御説明いただけませんか。
  51. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私も、三十三の六項、こういうことを何で、法律的には特に意味ないんですから、法律的には、書いたのかなということをいろいろ調べましたら、あのときのいろんな国会議論あるいは与党内の議論で、それは念のために書けと、だから、効果としては私は確認的効果だと思います。こういう国営公社の措置を講ずると、それを講ずることによって民営化等の措置は講じないものとすると、同じことを書いているんですね。国営化の措置を講じるということは、民営化措置は講じないんですよ。だからそれを、あのときの大議論で、与党内や国会議論で、あの基本法はそれを確認的に、念のために書いたと思います。ただ、書いたからといってそれじゃ民営化が一切できないか、そんなことはありません。あれは公社に移行するための確認効果ですから、あとは大いに議論を起こして、新しい法律をつくって、例えば何とかという格好にすると、私はそれは大いに可能だと思います、国会権限ですから。  そこで国民的な合意が、公社移行後に、いつの時点でどういう国民的合意が得られるか、それに基づいてどうするかと、こういうことだと考えております。
  52. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、やっぱり筋道からいえば二〇〇三年から公社化をするということを法律で決めたわけですから、だから、まず公社化の具体像を示して、そしてこういう形で公社化しますよということで、多分来年、法律を出されると思うんですけれども、その法律を審議して公社化に移行をすると。その公社化に移行した後、じゃその後のことをどうするかということを含めて民営化の検討をされるというのであれば、これは一定の理解ができるんだけれども、そういうことが全く示されていない中で、既にもう民営化の検討をするということ自体がちょっと異常じゃないですかというふうに申し上げているわけです。この問題については答弁は結構ですけれども。  そこで、お伺いしますけれども、二〇〇三年から実施する郵政公社化に向けた制度設計というか改革の予定等、スケジュール的なことも含めて御説明いただけませんか。
  53. 小坂憲次

    ○副大臣(小坂憲次君) ただいま大臣答弁されましたけれども郵政事業の公社化については、中央省庁改革基本法の第三十三条に規定されている基本的な枠組み、すなわち独立採算制のもとに自律的かつ弾力的な経営を行うとか、あるいは事前管理から事後評価に転換をしていく、あるいは企業会計原則の導入をする、経営情報の公開の徹底をしていく、あるいは職員の身分は国家公務員というふうに位置づける、こういった枠組みを維持しながら、その中において、この夏以降に総務大臣の研究会を開催いたしまして、広く国民の皆さん意見も聞きながら本年中に公社制度の骨格をまとめまして、平成十四年、すなわち二〇〇二年の通常国会に所要の法律案を提出するようなスケジュールを組んで進めてまいりたい、このように考えております。
  54. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 これから総務大臣のもとの検討機関で検討されて、それで具体的な考え方というのは秋ごろに多分出されるんでしょう。そして、それが法案になって国会で審議されるのは来年の通常国会だ、そういう御答弁でございます。  じゃ、公社化の検討の過程で、小泉総理改革改善が必要だというのであれば、その中にどう民営的な手法を取り入れるかという、そういうことも含めてやっぱりきちっと検討していくということが私は必要なのではないかと思うんですね。だから、小泉総理自身も、基本的にそういう形で国会の意思として決まってきている法律がきちっとあるわけですから、じゃ郵政事業改革が必要だというのであれば、郵政公社の制度設計の中で自分考えている改革改善の方途というものがきちっとその制度設計の中に組み込まれるような努力をしていくというのが私は政府責任ではないかというふうに思っているんですよ。    〔理事海老原義彦君退席、委員長着席〕  具体的に言えば、小泉総理が総裁選で、民営化されれば国に税金が入ってくる、こういうふうに言っておられますけれども、私は公社化の制度設計の過程で、じゃ法人税、税金を公社からもらう方法なり、あるいは金融機関が言っていますけれども、預金保険料の負担を義務づけるなり、そういうことの設立過程で改革改善をしていくということが不可能ではないと思っていまして、そういうことの議論というのはやっぱりこの検討の中でやられるわけですか。
  55. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私は当然やらなければならないと思いますが、なるほど、今の郵便局は税金は納めておりませんよね、国の機関だから当たり前の話で。それから、預金保険料も納めておりませんよね。そのかわりユニバーサルサービス確保ということで、本来民間の金融機関なら置かないような、それは郵便局もあちこちに置かなきゃいけませんし、それから皆さんよく御承知の限度額、預け入れの限度額を一千万円にしておりますから、これは民間の金融機関に比べて、ペイオフの一千万と並んでいるのかもしれませんが、大変不利なんですけれども、そういうことを今度の公社化について私は十分検討していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。  そこで、今、高嶋委員からもお話がありましたが、今の公社というのはほとんど民間に近いんですよ。例えば、独立採算、企業会計、それから国会の承認、国の承認はほとんどなくす、独自で物が決められる、経営目標をつくって勝手にやれる、それから予算の流用、移用、繰り越し、全部できる、そのかわり情報公開をやる、事後評価をやると。ただ、問題は国の公社というところと、郵便局の職員の皆さんが国家公務員と、ここなんですね。あとはもうほとんど民間的手法でやるというのが今回の公社の私はポイントだ、こういうふうに思っておりますが、当然制度設計もそれを、基本法に書いてあるフレームを盛り込んだ制度設計をしてもらいたい、こう思っております。
  56. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、公社でやるというメリットもあるし、今言われたように、民営的な手法が若干甘くなるのではないかというデメリットもあるというふうに思うんです。それで、公社化のまずメリットをやっぱり最大限生かす必要があるだろうと。  これは民主党の政策でも言っていますけれども、地域密着型のユニバーサルサービスができるということが一つ大きなメリットだろうし、二つ目には、民間にはとれないリスクを当然とるわけですから、消費者に安全有利な商品が提供できるのではないかという、そういう部分からいえばそのメリットがあるわけですね。そこを最大限生かしながら、今、小泉総理が言っている部分とか、あるいは国民が若干疑問視しているデメリットの部分についてどう公社の設立過程の中でそれを払拭していくかということが必要だというふうに思うんです。  そういう面に立って二、三具体的な質問をしたいんですが、国営公社であるために経営合理化は難しいというふうに言われている部分もありまして、あるいはそのことがコストが高くなるために料金値上げや消費者のサービスが低下するのではないかという指摘があるんですけれども、これについてはどうお考えですか。
  57. 小坂憲次

    ○副大臣(小坂憲次君) ただいま大臣が御答弁申し上げまして、また高嶋委員自身もおっしゃいましたように、この公社化は大変に民間的な手法を取り入れてやってまいりますので、そういう意味では大変効率のいいものになっていくというふうに考えておるわけでございます。  繰り返しになりますけれども、新公社の制度設計に当たりましては、中間的な目標管理とかあるいは業績評価等の民間的手法を取り入れまして、また予算、決算につきましては企業会計原則に基づいて処理する、そして予算について毎年度国会議決を要しないものとするなど、国の関与を必要最小限のものとして効率的な経営を実現することとしたいとしておりまして、そういう方向に従って、さらに皆さんの大きな幅広い知識を吸収させていただいて実現に向かっていきたい、こういうことで実現を目指していく。こういうことで、委員とは考え方が非常に一致しておる、こう考えております。
  58. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 四月二十一日の日経新聞に、「郵便事業改革待ったなし」という部分で、ヤマト運輸の専務と郵政企画管理局長松井さんの対談が載っていますけれども、興味深く読ませていただいたんですが、ここでヤマト専務の越島さんが、民営化よりも業務開放だという、こういう主張をされているんですよね。  そういう観点で、郵政事業の民間参入という部分についても改革基本法の中で検討するんだと、こういうことに法律で決められているんですけれども、その状況についてはどういうふうになっておりますか。
  59. 小坂憲次

    ○副大臣(小坂憲次君) 郵政事業への民間事業者の参入につきましては、平成十五年中に予定されております郵政公社化にあわせて実現する旨の行政改革大綱、平成十二年十二月の閣議決定でございますが、の決定を踏まえまして、来年の通常国会法案提出したい、このスケジュールで進めておるわけでございまして、この問題につきましては、総理の方針であります、民間でできることは民間にゆだねる、この原則を勘案するとともに、ユニバーサルサービスの重要性を踏まえまして、国民の利益が最大限実現されるように検討することが要諦であろうと思っております。  いずれにいたしましても、今後、総務大臣のもとに設置されます研究会によりまして、民間事業者の皆さん意見も吸収し、また国民の皆さんの幅広い御意見を伺いまして、予断を持たずに検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  60. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 とりわけ郵便事業の民間参入という部分は、やっぱりユニバーサルサービスと、それから全国を視野に置く郵政事業という部分と、民間参入の場合は、どうしても当然のこととしてもうかるところということになりますから、過疎地等についてはなかなか配達が難しくなるとか料金が上がるという部分、とりわけJRでも東海だけがもうかるというような状況があるわけですけれども、そういうところにだけ民間が目を向けるというような状況が出てくる可能性もありますから、民間参入という部分についてはその辺のこともきちっとやっぱり把握をしながら対処いただけたらいいかなと思っています。  時間が参りましたので、最後に、先ほど総務大臣が国家公務員という部分の身分が一番問題なんだと、こういう言い方をされました。その意味がちょっとわからないんですが、この国会総務省の方から地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律を提出されておるわけで、まだ審議に入っておりませんが、この法律は住民票とか戸籍を郵便局でも取れるようにする、こういうことですね。当然そこには守秘義務、とりわけ戸籍なんかは守秘義務が要求されますから地方公務員か国家公務員でないと取り扱えないという部分ですよね。じゃ、その身分云々ということまで議論されてくると、この法律はもう審議もしなくて取り下げてもらわなきゃいかぬ、こういうことになるわけでして、その辺のことについては先ほどの国家公務員という部分との関係でどうなんでしょうか。
  61. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今回の公社化の一つの性格は、従事される郵政公社の職員の皆さんが国家公務員の身分、資格を持つと、これは法律に書いております。したがいまして、我々は公社に移行することをある程度念頭に置きながら今回の法律を出したわけでありまして、この法律は通ればもう直ちにやってもらおうと。もしこの通常国会で通していただければ七月からやっていただこう、契約を結んで、こういうふうに考えておりますから、その点は公社に移行するわけですから、いずれにせよ平成十五年以降は。それはそれで大変法律の効用があると思いますけれども、仮に今、委員が言われるようにその後の経営形態が変わるとすれば、私は法的な手当てをすれば済む話だと、今の守秘義務を含めて、そういうふうに考えておりまして、そういうことも視野に入れながらいろんな検討をしてまいります。
  62. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 時間が来ました。終わります。
  63. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  小泉政権が発足をいたしました。きょうは郵政事業の問題について改めて片山大臣議論をしたいと思います。  去る三月二十二日の本委員会で、私は小泉純一郎氏の「郵政民営化論」というこの本の中身を紹介いたしました。資料一を見ていただきたいと思います。二百十一ページをつけておきました。こう言っております。  「選挙のとき、郵政省の約三十万人の職員はどの役所よりも選挙運動を一所懸命やってくれる。特定郵便局長は国家公務員ですが、それでもやっている。税務署職員が「この候補者を支援しなかったら調査に入るぞ」などと言って選挙運動をやったらきっと大問題になると思いますが、なぜか郵政省の職員だけはこれだけ選挙運動をやっても批判が起こらないんですね。」、「自民党に対しては特定郵便局長会というのが約二万くらいあって、これが票を集める。」、はっきり書いてあります。  私の質問大臣は、どうぞお聞きになるなら小泉さんにお聞きくださいと、こう答弁されました。前回はあのような答弁も、見識がある答弁かどうかは別としてあり得ただろうと思います。しかし、今はその小泉さんはあなたの任命権者ですから、あなたは今ではよもや小泉総理がいいかげんなことを言ったり書いたりする人だとは言えないと思うんです。  改めて大臣にはっきりお答えいただきたい。小泉総理がこの本に書いてあるような事実はあるのかないのか、いかがですか。
  64. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私は、小泉総理総理になられる前にこういうことを言われたわけでございますので、それは小泉総理のお考えとして言われたことで、それはそれで尊重いたしますけれども、私は、この事実は確認したわけでも何でもございませんので、特にそれは詳しいことは私ではわからない、そういう意味で小泉総理にお聞きくださいと申し上げたわけでありまして、その考えは今も変わっておりません。私自身はこの事実をいささかも確認しておりません。
  65. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは重大な問題なんですよ。郵政民営化について小泉さんの御意見、また大臣の御意見、さまざま意見に違いがある、それはそうでしょう。しかし、これは事実の問題なんですよ。事実こういうことがやられているとこの本に書いているんです。総理大臣になる前にやられていたものが総理大臣になったらやられていないということはないんですよ。事実は一つなんですよ。そして、小泉さんがこのことに改革の必要を論じているわけですから、これは当然閣内が一致しなければなりません。  改めて、この事実、あるかないかはっきりとお答えいただけますか。
  66. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) それは今申し上げたように、私自身はここに書かれているような事実を確認しておりませんので、確認しておりませんから、正しいか正しくないか申し上げようがない。答弁は以上であります。
  67. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 じゃ、ここに書いてあるようなことは間違いだと。間違ったことを書いていると大臣はお考えなんですね。いかがですか。
  68. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) そんなことはいささかも申し上げていないんで、私自身が確認できないから正しいか正しくないかは申し上げられないと、こう言っているわけであります。
  69. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 小泉総理郵政事業改革というのを改革の目玉にされているわけです。私ども郵政民営化には反対ですけれども改革の必要性は小泉さん以上に感じております。そして、どこを改革すべきかといえば、まさにこういった実態がある、だから改革しなさい、やめなさいということを私たちは言ってきた。この事実問題をはっきりさせるというのは、まさにこの改革の前提問題だと思うんです。  それで、事実問題が最後まで事実がわかるわからぬという話で前へ進みませんから、じゃ、私が前回指摘した兵庫県の問題、近畿特定局長会の問題、調査しましたか、事実を。
  70. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 前回もお答えしたと思いますけれども、宮本委員も御記憶だと思いますけれども特定郵便局長会というのは、これは御承知のように任意団体ですね。その活動内容について当方として調査する立場にもありませんし、またその権限もないというふうにお答え申し上げたと思います。
  71. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 前回も指摘しましたけれども、国家公務員が選挙運動をぐるみでやっている、あるいは自民党の党員集めをやっているということを私、指摘したんです。これは違法だと。大臣もお認めになったじゃないですか。それでも調べる必要はないとおっしゃるんですか。
  72. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これも前回答弁しましたが、国家公務員が今、委員の言われるようなことをやるのは、それは公務員法違反ですよね。だから、そういう具体的な、この公務員についてこういう事実があるとすれば、それは御指摘賜れば調査をすることもやぶさかではありません。
  73. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 少なくとも兵庫県の例、近畿の例を事実を挙げて御指摘したわけですから、私、調査するのは当然だと思うんですよ。農水省は、土地改良区の問題であのとき私、指摘しましたよ。調査するんですよ、農水省はと。なぜ総務省はできないのか。農水省はこの五月十六日に実態調査結果を公表していますよ。  それで、これだけ指摘をしても調査をやらないということになれば、それこそ予算委員会議論になった機密費じゃないですけれども、小泉改革というのは一体何なのか、本当に改革するつもりがあるのかということが問われると思うんですが、どうですか。今後もこれは調査するつもりはないんですか、大臣
  74. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) だから、今私が申し上げたように、国家公務員の具体の個人についての御指摘があれば、それは調査するにやぶさかではありませんが、特定郵便局長会というのは任意団体なんですから、会がどうだとかこうだとか言われても、当方がそれについてどうこうする立場にないということを申し上げているわけであります。
  75. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 じゃ、聞きましょう。  特定郵便局長会に国家公務員でない者が入っておりますか。
  76. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私は局長会そのものは詳しくありませんが、ほとんどが国家公務員ではなかろうかとは思っております。
  77. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 特定局長会は国家公務員ばかりでつくっておる、当たり前じゃないですか、そんなことは。そこまで事実の問題でお認めにならないというんでしたら、新たな事実を示して別の角度から議論をしたいと思います。  事業庁長官にお伺いしたい。  特定局長の任用について、三月の議論で、足立長官は「決して情実にわたって採用するということはいたしておりません」と断言をいたしました。しかし、そのための面接試験や作文試験の実施については個別に口頭で受験者に伝えているというふうにお答えになっております。個々の局の欠員が生じた都度に、そしてその地域の信望が基準で、欠員が生じた局ごとに受験の対象者を選んで通知すると。そして、三月も指摘しましたけれども、近畿郵政局の例では、例えば筆記試験、作文試験の合格率は九割なんですよ。これは試験を実施する時点で合格者はほぼ決まっている、こういうことじゃないですか、長官。
  78. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) そのときにも御説明させていただきましたけれども、この特定郵便局長の任用につきましては、いわゆる競争試験ではない、しかし選考試験であると。しかし、選考試験であっても、やはり特定局長というものの職務の性格にかんがみまして、教養試験、作文試験、人物試験等を行っているわけであります。  そこで、具体的にもう少しお話しいたしますと、例えば部内者から登用する場合でありますが、部内者から登用する場合には人事ローテーションの一環という面もございますので、毎年職員の希望状況を聴取しております。また、本人の能力とか適性など、そういったことにつきましても広く情報を収集して選考を行っているわけでありまして、いわば試験といいますのは選考過程における最終的な関門といったことでありますので、合格率が高くなるというのはある意味で当然であると思います。  また、部外の方から採用する場合でありましても、日ごろからその地域におきまして適任と思われる者の情報収集を行っておりますので、その中からいわば試験をして選考しているわけであります。ですから、部内者ほどではありませんけれども、合格率はそれなりに高くなるという面があります。  ですから、合格率が高いということがすなわち何か厳正な選考をしていないということではなくて、いわば特定郵便局長といいますのは、その地域に長くいて、地域のために貢献するということが第一の職務でありますだけに、それにふさわしい選考方法を行っているというふうに御理解賜りたいと思います。
  79. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 面接だけではないと、筆記試験や作文試験もやっているという答弁ですね。その中身一体どういうものなのかということを私、皆さんにお知らせしたいと思うんですよ。  資料二、これは小泉純一郎氏が経営評論家の方と一緒に出した「郵政省解体論」という、この著書の六十一ページをつけてございます。「なぜ、国家公務員が世襲できるのか」と、こう論じまして、この前も私申し上げたような、特定局長任用規程、二つの基準、二十五歳以上、相当の学識才幹、こういうことが挙げられております。  六十二ページ、それではその相当の学識才幹をどうはかるのかというと、「なんと履歴書を毛筆の縦書きで書いて提出させるのである。この毛筆履歴書によって、最低限の読み書きの能力はわかるというのである。」と書かれてあります。これは本当に私も驚いたんですけれども、これは長官、事実ですか。
  80. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 今、この本を初めて見ましたけれども、実際の特定郵便局長の選考に伴いまして行います試験といいますのは、一般教養試験、それからいわば適性能力を見る適性検査、それからいわゆる面接、そして将来その局務の管理者として能力があるかどうかといったことなどを総合的に見るための作文試験、そういったことをやっておりますので、履歴書を提出してどうと、何かこう、試験を終えるといったようなことは全くありません。
  81. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それなら、私、ひとつその近畿郵政局でいいですから、これまでやられた特定郵便局長任用選考での筆記試験問題、作文試験問題、これは問題でいいですよ。何もその答えとか点数とかそんなことは要らないわけですから、どのような問題が出題されたか、いつのでもいいです、ひとつ私に提出できますか。
  82. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 試験問題を見せていただきたいということでありますけれども、前回も御説明しましたけれども、例えば近畿郵政局管内で申し上げますと、年に十五回、いわば特定局長の面接試験、教養試験等を行っているわけであります。これは、言ってみますと、その郵便局におきまして欠員が生じた都度適任者を選考するということでありまして、したがいまして、いわば試験問題等につきまして年十五回行うものを全く中身を全部変えるということではございません。ある内容を少しずつ変えて使っているわけでありまして、何か一時的とはいえその問題を対外的に明らかにするということはできませんので、御理解を賜りたいと思います。
  83. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 試験問題を変えずに一部を変えてやっておられる。そんなの、じゃ前回受けた人に聞けば大体その試験はどういう出題をされるかわかるんですか。
  84. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 一般教養試験問題、それから適性試験問題、それから作文につきまして課題を出しまして作文を書いてもらう、また面接につきましても面接試験官というものを指名いたしまして、面接調書というものを作成いたしまして、きちんと選考をやっておるところであります。
  85. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 面接はその都度違うでしょう。しかし、試験問題は変わらなかったら試験にならないじゃないですか。出せないというのは大体おかしいですよ。  大臣、私、幾ら役所が否定しても、世襲公務員だということになっているというのはもう世間の常識ですよ。  資料三を見ていただきたいんです。これも先ほどの小泉総理の「郵政省解体論」の百九十二ページから百九十三ページをつけておきました。対談相手が「私には特定郵便局長が世襲できる国家公務員だというのが理解できない」、「この事実はおそらく国民の大部分は知らないと思いますね。」、知ったらまさか納得しないでしょうと、こう述べているのに対して、小泉さん、否定しないんですね、「そういう危機感があったから、政治に頼ったのかもしれませんね。自民党政権に協力して、そういう批判が出てこないように、」と。そして、その後続けて、特定局長になったらほとんどが自民党員になると小泉さんは言っておられます。  これも事実問題として、行政を進める上での中心問題ですよ。しかも、まさに閣内不一致と言われかねない問題です。  はっきり答えてほしいんですが、大臣は、こういう特定局長が事実上の世襲になっていると、この事実はお認めになりますか。
  86. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、足立郵政事業庁長官がるる委員の御質問にお答えしましたけれども、私は、教養試験、作文試験、人物試験等の能力実証を総合的に試験をやりまして、その評定の結果で任用している、こういうふうに思っております。  ただ、私も地元の特定郵便局長さんを見て、やっぱり地元で信望があって事に通じているというと、世襲をされる場合があってもそれは一つも構わないと、こういうふうに思いますよ。議員さんでもそうでしょう。やっぱりそういう意味で、私は世襲だから全くだめだと、こういうことはないんで、ちゃんとした手続、評定の上での世襲ならそれはあっても構わない、こう思っておりますけれども
  87. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 国家公務員の試験に通れば別に世襲であろうが何であろうがそれは構わないんですけれども、幾ら地域に長じて、たけていても、そういうやっぱり本来国家公務員として必要な水準というものがいいかげんでいいというふうにはならないと思うんです。  次に資料四に、私、逓信新報という業界紙の五月二十一日付をつけておきました。去る四月に開かれた特定郵便局長会、いわゆる全特の北海道地方会の総会が大きく報じられております。  その中で富居会長が、「これまでややもすると業務に精通した人材を局長に登用してきた傾向にあるが、今後は地域に根差した人材の後継者育成を図りたい」と述べております。業務に精通することより優先するような地域に根差した人材の育成というのは一体何のことか。また、北海道の郵政局ではそのような任用方針をとっているのか。事業庁長官、いかがですか。
  88. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) ちょっとこの新聞記事がどのような意味で言われたのか、私つまびらかにわかりませんが、やはり業務を遂行する、業務管理能力があるということがまず求められますし、一方で、その地域に密着したサービスを提供いたしますことから、やはり地域に信望のある人物を選ぶといいますか、そういうことが必要であり、またそういう人材を特定局長として育成するということでございます。
  89. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今紹介したのは北海道地区会の会長の富居氏の発言なんですよ。これはまた後でも指摘しますけれども、この総会の内容からして、地域に根差したとか社会的影響力の発揮と言っているのは、自民党への票集めを指していると私は思うんです。  大体、自分特定郵便局長立場のこの富居という人が、数百人を前にして局長の任用方針を語ること自体が実に普通でない事態ではないかと私は読みました。  改めて聞きますけれども郵政事業庁は特定局長という国家公務員の任用方針を、任意団体であり、大臣が関知しないような特定局長会に決めさせているんですか。
  90. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 特定局長の任用方針といいますのは、やはり任命権者がきちんと決めることであります。  ただ、この特定郵便局長会といいますのは、特定郵便局長たちが集まって、みずからの労働条件あるいは社会的な貢献、そういったことを議論しておる団体であるというふうに聞いておりますので、いわば自分たちの今後のそういった進むべき方向等について議論しているということであるならば、それはそれなりにそういうことなのかなという感じでございます。
  91. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 資料五を見ていただきたいと思うんです。資料五に、特定郵便局長業務推進連絡会議、いわゆる特推連と全国特定郵便局長会、いわゆる全特の役員名簿をつけておきました。これは二つの団体全く一致をしている。全く一体だということは一目瞭然だと思います。この名簿にはちゃんと富居さんがおられます。  私がこの間、特定局長問題を取り上げていることを知って、さまざまな内部告発が私のところへ寄せられております。ある特定局の中心的な職員によりますと、選挙が近づくと特推連の会議が目に見えてふえる。議題は理事会報告とか防犯とかになっているが、職員には会議の内容が報告されない。選挙の話をしているとしか思えないなどという声が届いてくるわけですね。  そこで、先ほどの資料四の逓信新報をもう一度見てほしいんです。この北海道総会では総合政策というものが分科会の共通テーマになっております。  事業庁、この総合政策というのは何ですか。
  92. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 私、よく承知しておりません。
  93. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この場には、私、多分北海道の郵政局長郵政監察局長も総合通信局長もそろって出ていたと思いますが、事実ですね。
  94. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 先生からそのようなお尋ねが事前にありましたので、北海道郵政局、監察局、通信局に確認いたしましたところ、四月二十八日の土曜日、総会があって出席をしたということでございます。
  95. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 郵政局長も監察局長も、また総合通信局長も出た会でこういう議論がされた。この総合政策というのはどういうものか、私、指摘をしたい。  これは、中をずっと読んでいきますと、今しなければ次回にやり直しはきかないようなものだそうであります。竹内全特副会長、今度の会長予定者ですけれども、「風の吹き方が問題だが、国民生活と郵政事業、それに自分たちの生活を守り切れるかの取り組みになる」と述べています。結論部分、「会員一人ひとりの意識高揚を図りながらラストスパートに向けた取り組みを真しに討議した。」と。次回にやり直しがきかず、風の吹き方が問題で、いよいよラストスパートに向かうものといえば参議院選挙しかないじゃないですか。  それで私は、前回本委員会提出した資料で、近畿特定局長会の選挙総括文書というのをお出しいたしました。あの選挙総括資料の中に実は総合政策というのが出てくるんですよ。OBも総合政策にかかわりたくない思いがあり云々と。総合政策という言葉が出ております。  郵政用語で総合政策あるいは第四事業といえば、選挙のことではありませんか、長官。
  96. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) そのようなことは私承知しておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。
  97. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ここまで私、事実を挙げて指摘をしている。そして、総合政策というようなことが本当にこうして文面にまで出てきているということをぜひ受けとめて、これはぜひとも調査すべきだと思うんですね。  大臣、これはやっぱり調査すべきですよ、こういうことは。本当にそういうことがやられていないのかどうか。いかがですか、大臣
  98. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 総合政策というのは私も初めて今御質問で知りまして、こういう言い方はなるほどと思っておりますが、いずれにせよ、国家公務員が選挙運動をやるということはこれは公務員法に違反することでございますので、いずれにせよ六月に入りましたら早々に私の方の人事・恩給局が中心で、国家公務員に注意をさらに喚起いたします。
  99. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、調査をしないと、そんな一方的な注意なんか幾らでもやっているんですよ。通達だって何遍も出しているじゃないですか。そんなの平気でやっているんですからね。  じゃ、郵政監察局が出てきたところで、もう一つ新たな事実を提起いたしましょう。  私は、ある報道機関へ匿名で送られてきた内部告発を入手いたしました。資料六がそれであります。内容は、郵政監察局で職員一人当たり数十名の後援会員獲得が課せられている。一緒に送られてきた資料を見ると、支店総務長という用語でカムフラージュしてありますけれども、注意書きの対話のひな形、これは六の三に出てきますけれども、この注意書きの対話のひな形に「こうそ憲治後援会に入っていただきありがとうございました。」と、こう書かれていることですね。それからその上には「万が一何処に情報やコピーが流れても、現役が関与していることが分からないようにするため。」という言葉からも、郵政監察局の現職職員がこのような活動をやっていることを示すものです。  大臣、このような事実を把握しておりますか。
  100. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 全く承知しておりません。
  101. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私、この文書を見たときに、これは信憑性が高いと確信したんです。  と申しますのは、昨年の十月三十一日に我が党あてに直接、ある郵政監察局職員から内部告発がございました。きょうはそれも七の一、二につけてありますけれども、この郵政監察局職員の内部告発に添付されていた資料、七の二を見ますと、やはり同じように「各支店総務長が責任を持ってコピーしてください。」と、各支店総務長という言葉が出てまいります。これは、郵政監察で選挙活動をやる場合に、つまり公務員がかかわっていることがばれるとまずい場合に、この支店総務長という用語をカムフラージュに使っているということをうかがわせるものであります。  これはもう相当そういう意味では大々的にやられていると。これが我が党に寄せられたのは昨年の十月ですし、マスコミを通じて私どもに来たのは四月の話ですから、少し時期的にはずれるわけですけれども、一貫してこの自民党の候補者の選挙活動を郵政の監察の職場でもやられているという事実を示していると思うんですが、大臣、これ本当にその可能性は否定できないとお認めになりますか、可能性は否定できないということは。いかがですか。
  102. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御指摘の職員を初め、私、郵政職員につきましては平素から国家公務員法に基づく服務規律に違反することのないようにという強い指導をしておりまして、そういうことは行われていないものと、こう信じておりますので、御了解を賜りたいと思います。
  103. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 事実を突きつけたって、調査しない、そして信じていると。そんなことで行政責任を果たせますか。  大体、こういう事実がさまざまなところから指摘されているわけですから、少なくとも調査すると。一貫して調査しないという立場じゃないですか、大臣は。調査もしないとなったら、本当に、まともに郵政事業をよりよいものに改革するつもりはないというのと一緒ですよ。調査ぐらい約束すべきじゃないですか。いかがですか。
  104. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) さらに、御指摘の点を踏まえて指導を徹底してまいりたいと思います。
  105. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 小泉改革というのは、マスコミでも議論になっていますけれども、私は、小泉改革の底は割れたと。小泉内閣のもとでやっている大臣がまさにそのありさまですよ。本当にうみを出して、今指摘される、国民から非難されるべき点は全部しっかり解明する、そういう立場にないということですから。私は、小泉内閣改革内閣の名に値しないということを指摘申し上げたいと思います。  我が党は郵政事業民営化には反対です。しかし、三事業改革は絶対に必要だと考えております。それは、郵便法や郵貯法に明記された、あまねく公平なサービスを国民に提供するという郵政事業の責務を本当に果たしていくためには、一部の特権的な官僚とかあるいは特定局長会などによる事業の私物化を排除して、職場を民主的で職員の働きがいのある場所へと変えていく必要がある。そして、それこそ真の事業の効率化につながるからなんです。総合政策とか第四事業とか支店総務長とか、こんな隠語までつくって自民党の選挙にうつつを抜かす、そんなことでは国民の納得は絶対に得られないということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。
  106. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  107. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、山本正和君が委員辞任され、その補欠として日下部禧代子君が選任されました。     ─────────────
  108. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  きょうはまず最初に、NTTの六万人人員削減の問題について大臣に伺いたいと思います。  五月八日、あるいはその後もそうですが、新聞報道がいろいろと出ております。「NTT六万人削減」「小泉「構造改革」路線で浮上」、五十一歳以上は賃金削減大幅と。あるいは、これは読売ですが、「NTT東西人員半減」「子会社へ六万人」「給料二〇—三〇%減」。また、九日付の日経新聞では、これは記事の内容でございますが、「NTTが中期経営計画を発表した直後に、総務省は「競争促進策が不十分」と反発。八日には片山虎之助総務相が」「自主計画の早期提出を求めるとともに、合理化が不十分な場合は」と、大臣のお名前も載っておりますが、これらは当初三万人規模の削減でありましたが、総務省の意向で六万人規模に倍増したというふうにも読み取れます。また読売新聞では、グループ全体の人件費を圧縮したいねらいがあるんだと、こういうふうに報道されておりますが、こういうことは事実でしょうか。
  110. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、八田委員からお話しありましたが、NTTが、四月十六日に持ち株会社が発表しました三カ年経営計画という、これは毎回つくっているものなんですよ、みずからの経営計画。それから、私が五月八日に求めました自主的な開放計画ですね、実施計画。これとは別なんですね。ただ、別だけれどもつながりはあるんです。  それで、三カ年計画の方は、これはやっぱり経営の効率化をやる、接続料の引き下げやなんかも考えたい、そこでアウトソーシングを中心に人員の削減をいたしたいと、こういう話は私聞きました。ただ、何万人どうするかというのは、これは労使の交渉事項だからこれは自分の方でちゃんと考えてやりますと、こういうお話でございまして、それはよろしく、皆さんの計画ですからと。  こういうことで、私の方は例の、御承知のように規制改革三カ年計画や、それから例のe—Japanのアクションプラン等でNTTに絡む競争政策の促進ということが大きなテーマですから、そこでNTTさんにインセンティブ型の開放政策をやると。我々、今までここでも説明してきたと思いますけれども、自主的にどういう開放政策がやれて競争促進になるかの計画を出してください、一つは地域通信網の開放ですよ、もう一つはドコモやコミュニケーションズに対する出資率の引き下げですよ、それからもう一つは経営の効率化ですよと、ここはつながるんですけれども。  そういうことで、自主的な計画をおつくりいただいて当方にお示しください、それによって我々は競争政策がどのくらい進んだかを判断して、その後の対応を考えさせていただきますと。  だから、新聞が、総務省が上積みを求めたとか、六万人を強要したとかという事実はありません。ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  111. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 その後の報道では、NTTグループ全体ではそれが十万人になっている、こういう新聞報道もありまして、今私パネルを持ってきたんですけれども、(図表掲示)これは、上はNTT東西の労働者数ですね。NTTは御承知のように八五年に民営化になりまして、そのときには三十一万四千人ですね、東西ですけれども。そして、九五年、民営化十年というところで十九万六千人になりまして、その次にがくんと下がったのが九九年、再編成時、十二万八千人。現在のところが十一万三千人ということですね。この四年をめどに五万から六万人と、今御説明になった中身ですね。  東西だけ見ましてもこのように非常に人数が少なくなってきて、さっき私が新聞報道でお示ししたNTT全体、グループ全体で十万人規模の削減というのもありまして、NTTグループはどうかといいますと、下の段が内部留保金なんですけれども、九五年は五千四百八十九、これをずっと見ていただきまして、二〇〇〇年、これは二〇〇〇年ですけれども、二〇〇二年にはまた経常利益だけでも一兆円になるという、要するに大変もうかっている企業が大変人を減らしているという中身がこの数字だけでもわかるわけですね。  NTTグループの内部留保、一番右側なんですけれども、前年より六千九百二十五億円上積みをしまして、ごらんのように八兆を超える三千五十二億円ですね。これはフィリピンの国内総生産に匹敵をする大変な内部留保金です。  こういうように、日本一の優良企業で、ITは雇用を創出する部門だというふうに言われている企業で大規模な人員の削減が行われる、あるいは賃金が二割から三割も減ると。こういう問題では、今の日本で大きな問題になっております雇用不安、生活不安に与える影響は甚大で、こういう問題を政府が主導で、要請をされたと先ほど大臣は言われましたけれども、そういうのが本当に景気回復をし国民に責任を持てるやり方なのかと。私は大変反対ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、基本的にはNTTは民営化でございまして、その勤務条件、労働条件は労使が基本的には協議をして決めると。それで、恐らく経営側としては国際競争力を強化する、通信料金が高い高いと言われていますからね。これを引き下げるためにはある程度のリストラはやむを得ない、こういう考えだと思いますね。しかも、それは結局アウトソーシング、関連会社、子会社をつくっていろんなものを分けていくというこういう方策をお考えのようですから、私どもが口を出すことではなくて、NTTグループでよく考えていただくことではなかろうかと。  NTT全体のグループで、八田委員言われますけれども、調子がいいのはドコモだけですよ。全体はそれほどでもないんですよ。ドコモは調子がよろしい、これは御承知のとおりでございましてね。  そういう意味で、私はNTTグループ自体の経営努力、その努力はこれは見守りたいと思いますし、同時に、御承知のように、一方では、先ほども言いましたが、アクションプランや規制緩和の計画との絡みもありますから、いろんなものの開放をやってもらって競争をさらに活力の一つにしていくということは必要だと、こう思っておりますし、NTTがこういう努力をすることが私は全体としては、日本のそういうIT化を進めて、全体としては雇用創出につながっていくんではなかろうかと。時間はかかりますよ。そういうふうに考えております。
  113. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 人員削減を競い合って国民へのサービスが向上できるかというと、それは現実に違いまして、NTTで言いますと、営業窓口は昨年末一千五十二カ所あったんですけれども、それを集約化だといって二百カ所になって、一一六番なんというのは本当に、電話がかかってきても、本来十一秒以内に受けるというんですけれども、この受け率、応答率が八五%から二〇%に低下したと。非常に顧客との関係でもサービスが低下していますし、私は労働問題でお聞きしたんじゃないんですよね。今の給料を二割も三割も減らされて家計やっていけるかしらとか、この先どうなるんだろうというのが社員の皆さんの切実な声なんです。  私、もう一つ、これは新聞でお読みになったと思いますけれども、その後出ました一こま漫画なんですね。(図表掲示)先ほどドコモ、確かに経常利益は六千八百六十九億円で、日本でも有数の大もうけ、左うちわとこう書いてありますけれども、それで皆さんはどうかというと、衣食削ってメール代で、通信料は今どんどんとふえていますよね。しかし、先日発表されました厚生労働省の統計によりますと、労働時間は長くなったけれども所得の減り率というのは最悪だということですね。ニュースとしてはこれだけ左うちわがあって、NTT社員半減、六万人削減と。これも十万人という報道もありますけれども。国民に理解をされるということが私は大事で、NTTは二年間新規採用もないわけですね。  だから、日本一の大企業の社会的責任というのは、公共性のそれ以上に高い企業でありますので、民間だから知らない、でも、さっき最初の質問にはちゃんとさらなる合理化を要請したというふうにおっしゃっていますので、やっぱり国民へのサービスが低下をして雇用不安を政府みずからが要請するという、何度も構造改革なくして景気回復なしとおっしゃいますが、こういった構造改革では景気も回復しませんし、国民が希望を持てないじゃないですか。ですから、この問題はまた法律の審議の中でゆっくりとさせていただきたいと思いまして、次に移ります。  次の問題は地方公務員の問題であります。  地方公務員は、時間短縮、サービス残業を根絶するという問題でありますけれども、四月の六日に厚生労働省が労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について、こういう通達を出し、ガイドラインを示されました。  私どもサービス残業を根絶するために法案も今国会にも提出をさせていただいておりますが、大変こういったガイドラインをつくっていただいて通知をしていただくというのは大事で、総務省におかれても、この基準に基づいて適切に対応されるよう都道府県にも通知を出され、都道府県から各市町村にもこの通達の送付と周知の徹底をされまして、地方公務員の職場におきましてもいわゆるサービス残業を根絶するという、そういう姿勢を強くお示しになったと思いますが、大臣、それでよろしいでしょうか。
  114. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 地方公務員の勤務時間につきましては、各地方公共団体におきまして適切に把握して管理すべきものでございます。正規の勤務時間を超えて勤務を必要とする場合は当然時間外勤務命令によるべきものでありまして、その場合は時間外勤務手当を支給されるべきものである、こういうふうに基本的に考えております。
  115. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が伺ったのは、この通知という点ですばらしいと思って、その御決意を大臣にお聞かせいただきたかったんですが、また後でもいいです。  そこで、今おっしゃるように当然時間外手当は支払うべきということなんですが、総務省が通知を出されましたのは私は非常に適切だと思ったのは、実はなかなか、それが当然なんですが、思い違いをされている、こういうところも職場においてはあるわけですね。  私はここに、きょう、和歌山県の県議会の議事録を持ってまいりました。これを見ますと、これはここはことし三月に子ども障害者相談センター、医科大学附属病院、精神保健福祉センターに労働基準監督署から時間外労働についての是正勧告が出されたところであります。これは勧告の出される前の十二月の県議会でありますけれども、超過勤務手当の予算額を実際必要となる超過勤務手当で割った率をここでは充足率と呼んでおりまして、要するに八割から八割八分、これだけしか超過勤務手当を払っていないということで残業の未払いがあるんじゃないか、こういう質問に対して総務部長の稲山さんとおっしゃる方が、予算の制約のある中で、充足率を用いて超過勤務手当を支給する方法は職員の意思を代表する職員組合と合意の上で実施してきたという経過がある、だから個々の職員の請求権がどうなるのかはこれは吟味しなければならない問題で、過去にさかのぼって支給義務はない、こういうふうにお答えになっているんです。  私はこれを読んでほおうと。さっき副大臣がおっしゃったのとちょっと違うんですが、地方公務員というのは組合と合意しますと超過勤務手当を支払わなくてもいいという、こういう何か特約とか特例があるんでしょうか。
  116. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) お答え申し上げます。  正規の勤務時間を超えて時間外勤務命令を発して勤務をさせた場合におきましては、時間外勤務手当を支給すべきものでございます。時間外勤務手当を支給しなくてもよいというような協定を認める規定は存在しておりません。
  117. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そうですね。私も法と条例に基づいてきちんと払うべきだと思いまして、サービス残業の賃金不払いというのはれっきとした犯罪でありまして、通達でも定額制、不払いはだめだよと、こういうふうにあります。  私、今名前を読み上げましたが、この和歌山県の総務部長さんというのは実は旧自治省から出向されている方です。「日経地域情報」を見ましたら、四十七都道府県の総務部長さんに中央省庁からは二十六名いらっしゃるんです。いわゆるサービス残業は違法ですから、使用者の側からありますよという報告はやりづらいんですが、昨年の自治労連の組合員へのアンケート調査も見せていただいたんですが、二五%の組合員が不払い残業があると。ですから、一層総務省がお出しになった通知に基づいて適切な対応が私は必要だなということで最初に大臣にお聞きしたんです。  大臣、こういった不払い残業、この通達では長時間労働になるからいかぬ、無論不払い残業は犯罪ですからいかぬに決まっているんですけれども、そのために私は一千八百時間の労働時間の実現、第九次雇用対策にも閣議決定にもありますが、公務員の職場、地方公務員では当然労働基準法の適用がありますから、一千八百時間を目指すということが大事だと思いますが、大臣どうでしょうか。
  118. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるように一千八百時間というのを法律でもちゃんと根拠を与えているわけでありますから、私はそれを守るべきだと思いますし、基本的には地方公務員の場合にもできるだけ残業をしないということです。正規の勤務時間の中で効率を上げる、こういうことがまず第一で、残業を少なくする、残業をしないということ。したらそれは払うというのは、今、遠藤副大臣や公務員部長のは当たり前の話なので、そこはさらに徹底してまいります。
  119. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にそのとおりで、千八百時間を目指していただきたい。  総務省も今、大臣がおっしゃったように目指そうということで毎年通達を出していただく、もうすばらしいなと思うんですが、この通達によって時間外勤務がどれだけ縮減されたのか、年次有給休暇の使用の促進はどれぐらい進んだのか、過去五年間で結構ですので数字でお答えください。
  120. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 地方公務員の時間外勤務の実態でございますけれども、定期的な調査は行っておりません。ただ、平成六年に地方公務員の勤務時間短縮方策に関する研究会というところの報告書の中でアンケート調査を実施しておりまして、その回答のあった二十九団体の都道府県知事部局の平均の時間外勤務時間が一カ月当たり十四・五時間であったという調査結果の報告がございました。ちょっとそれ以外には数字がございません。  また、地方公務員の年次有給休暇の取得状況につきましては、これは毎年調査をいたしております。平均でございますが、平成七年、十一・九日、平成八年、十一・六日、平成九年、十一・五日、平成十年は十一・六日、平成十一年は十一・四日というふうになっておりまして、最近の状況はおおむね十一日半、十一・五日の前後で推移をしているというふうに理解をしております。  なお、国家公務員の年次休暇の取得状況ですけれども平成十一年の調査では十一・四日、また民間でございますが、平成十一年の労働省の賃金労働時間制度調査によりますと九日、こういうふうになっておるようでございます。  今後とも、私どもといたしましては、時間外勤務の縮減や、年次有給休暇の計画的な取得を促進するための方策につきまして情報提供等をやってまいりたいと考えております。
  121. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私の聞き違いでなければ、横ばいというよりも平成七年に十一・九日の有給休暇の取得で、平成十一年は十一・四ですから、これは平均なものですから、有給休暇の取得がとりにくくなっている、とれなくなっている、とっていないというふうに聞こえるわけですね。  時間外勤務、これは調査をしていないということで平成五年の例を出されましたが、私もそれを見ました。これを見ますと、平成五年の六月一カ月だけお調べになっているんですが、時間外勤務が五十時間以上の方が三九・七%。これは研究会報告書に載っておりますけれども、すごいなというふうに思いました。  入るときは公務員の方も、一分おくれても出勤簿がなくなるからだめですけれども、帰りはどうもきちんとなっていない。総務省が出されたこの通知にもありますように、労働時間管理をきちんとして長時間労働にならないようにすべきなんですね。  この同じ調査の中で、五十時間以上の方に、手当がもらえても嫌だと、こういう方が半分以上です。手当がつくなら構わないという方が五%、やむを得ない人は五%なんですよ。だから、そういった意味でも、これ六年も前ですから、きちんと、今総務省としても通知を出されているんですから、時間外勤務の縮減のためにも実態をお調べになる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  122. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 地方公務員の時間外勤務の実態調査せよと、こういうことでございます。  この場合、年次有給休暇の取得状況の調査とは異なりまして、毎月の各個人のデータから年間の時間外勤務の時間数を計算する、それを全員についても集計をするという必要がございます。職員の数を考えますと膨大な調査になるということでございまして、各地方公共団体に対して相当な負担になるだろうというふうに考えます。そういうことでこれまで全数調査というものはやってこなかったと、こういうことでございます。
  123. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 これまではそうですが、今総務省としても通知も出されていて、先ほど大臣のお答えもありましたが、千八百時間を目指してやっていこうというこういうときですので、調査しないという、実態も調べないで、地方公務員というのは例えば交付税の算定基準ではどれだけの仕事とやっているわけでしょう、実態が全然わからないのに算定基準で定数を決めているなんというのは非常におかしいと思うんですね。  そこで、私、厚生労働省に伺いますが、この千八百時間という状態ですが、厚生労働省のモデルケースはどういうふうになるんでしょうか。
  124. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 千八百時間のモデルケース、千八百時間になるようなパターンというのはいろいろあろうかと思います。ただ、昭和六十三年に経済審議会の国民生活部会の報告、この中で、我が国の総実労働時間の千八百時間、このモデルケースを当時の経済企画庁が試算をしております。  これによりますと、所定内労働時間が千六百五十四時間、所定外労働時間が百四十七時間、週休日が百四日、それから週休日以外の休日、祝日等になりますが、これが十五日、年休が二十日というような前提で計算されております。なお、この所定内労働時間、これは六十二年の毎月勤労統計調査の平均の七時間二十五分、これに出勤日数を掛けたものでございます。  モデルケースとしては、公表されているものとしてはこういったものがございます。
  125. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ありがとうございました。  私は、それを地方公務員皆さんで計算をしてきました。(図表掲示)ちょっと遠くから見にくいかもしれませんが、左にありますのが今労働省がおっしゃった千八百時間のモデルケースですね。一年三百六十五日で、土日、祝日、年末年始は百十九日、勤務すべき日数と一日の労働時間、これ、違いますのは、公務員の場合は一日八時間、さっきの労働省のケースは一日七時間二十五分に残業が四十分という計算です。そうしますと、当然時間数が違いますね。公務員の場合ですと八時間で、残業も何にもなくて一千九百六十八時間になるんですよ。さっき労働省からお示しいただいたように、じゃ有給休暇二十日全部とったらどうかと。これは百六十時間ですから、これを引きましてもやっぱり千八百八時間で、千八百にならないから、欠勤とか何かでもう一日休まないと全部で千八百時間にならないんです。ちなみに、労働省のモデルケースというのは千八百一時間になるんですね。  私、これ計算をして大変驚いたんですが、有給休暇を全部とって残業を一時間もやらなくてやっと千八百時間に到達ができるわけであります。先ほど、有給休暇をなかなか今とる日数が少なくなっているとか、残業のことを伺っているのは、こういった総務大臣がおっしゃった千八百時間を目指しておられる実態がこういう中身だということなんですけれども、こういうふうにすれば、家庭的責任や社会的、また健康の面でもいいなということで、公務員もやっぱりこういうふうに目指していると理解しても、片山大臣、よろしゅうございますよね。
  126. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今の超過勤務、時間外勤務のお話もありましたし、年休も今二十日で、繰り越しが二十日だったですかね、が十一・五というのも余り改善されていませんね、そういう意味では。  ただ一方では、大変失業率がこういう状況ですし、私はそういう意味では、昔からワークシェアリングという言葉もありますし、やっぱり法律なりいろんなことで決められた目標というものはそれはしっかり守っていく方が正しいと思いますが、地方団体の場合にはそれぞれの団体の事情がありますし職員構成の問題もありますから一概には言えませんが、基本的には委員が言われるように年次休暇を消化する、時間外勤務はできるだけ少なくすると、こういうことだろうと思います。
  127. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当に一致しますね、大臣とね。  やっぱり私、三月に児童相談所の児童福祉司のことで交付税算定を見直していただいてというお話もしましたけれども、病院の医師や看護婦とか児童相談所の福祉の関係の方、もう日常的に超勤が非常に多いんですよね。だから、配置人員の交付税措置見直しというのも財政的裏づけを持ったものが必要だと思うんです。だから、私はきちんと調査を、全調査じゃなくても抽出でもいいですから、きちんと調査をしていただきたいというふうに思います。  最後に、もう一問大臣に伺いたいんですが、五月二十一日に人事院が女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針というのを出していただきました。私、これ四月にも大臣に大変いい答弁をいただきましたのですけれども、こういった指針の趣旨を地方公務員においても取り組むべきでありますので、私は、ぜひ先ほどのサービス残業根絶の指針と同じように各地方に出していただいて、徹底をして、男女共同参画社会が公が先頭に立ってやっていただける、こういうふうにお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  128. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この小泉内閣も女性閣僚が五人もいて大変華やかで活発でございまして、大変内閣自身の支持率を高める一つの要因になっていると思いますが、五月二十一日に指針ができたばかりでございますから、その取り扱いは十分関係皆さんと相談して、できるだけ委員の御趣旨に沿うような対応を考えて検討してまいります。
  129. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ありがとうございました。
  130. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 小泉内閣総務大臣として再任をされたわけですけれども改革断行内閣ということでありますが、再任に当たって小泉総理から所管の事項について、これをこういうふうにしたらどうかというような指示はあったんでしょうか。
  131. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今度の組閣に当たりましては、総理から、ほかの大臣もそうだったと思いますけれども、私は簡単なペーパーをいただきまして、それに要点を書いておりまして、私の場合には今の行政改革、それは広い意味での行政改革、それと地方分権、それからIT革命、これが大体うちの大きな三本柱ですけれども、これを引き続いて強力にというお話と、それからこれはペーパーにはありませんが、郵政事業の取り扱いについてのお話がありまして、しっかりやりますと、こういうふうにお答えいたしました。
  132. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 全く珍しいことで、通常国会の中で二回も所信表明を、しかも同じ大臣がやりまして、伺ったんですが。  この前の森内閣のときの所信と今回を比較してみますと、確かに改革断行内閣という言葉はありますけれども、何か具体的なものが感じられないんですね。これはお役所で書かれたやつだろうとは思うんですけれども。  国会議論の中で、あれだけ小泉さんが、政権交代があったと思ってもらってもいいんだとか、中央から地方へとか、あるいは官から民へとか、私たちが日ごろ言っているようなことを公式の場で言っておられるわけですよ。だから、やはり総務大臣としてのお立場から見ると、中央から地方へとかあるいは官から民へというと、すべて総務大臣所管の中にまたがる骨太な改革部分ですよね。  こういう短い所信表明の中ですべてをあらわすことができないのはよくわかるんですけれども、新しい内閣で、特に国民が今までの閉塞感の中から新しい日本の姿を求めてこれだけの支持があるわけですから、改革断行内閣の中枢にある総務大臣として、具体的な改革についてのお考えがあれば伺いたいというふうに思います。
  133. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この内閣は、総理みずから言われておりますように改革断行内閣でございまして、そういうふれ込みでございまして、今まで改革というのはすべての内閣で言ってきたことでございますが、その改革に断行がついている、しかも断行を表に打ち出している、そしてそれをやるんだと。こういう意欲をはっきり示されたところに小泉内閣の私は特徴があるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。  そこで、まず一番の問題は景気回復と構造改革との絡みでございまして、今までは二兎を追う者は一兎をも得ずで、景気回復という一兎のウサギを追いかけていったんだけれども、それはそうじゃないんだと。実は二匹だと思ったけれども一匹だった、構造改革と景気回復が一体だと。こういうことで、構造改革をやるんだということで、まず予算ですよね。  そういう意味では、国債を三十兆円以下に抑える、近い将来プライマリーバランスをしっかりと確保する、こういうことを打ち出されておりまして、その中で今の歳出をどういうふうにやるか、国と地方の関係をどう見直すか。それは森内閣でも同じだったと思います。しかし、それは大変速いスピードで、しかもやるということを前提に事が進んできているというのは、やっぱり改革断行内閣と大きくうたってスタートしただけのあれがあるんではなかろうかと。  私自身も見ていまして、やっぱり永田町や霞が関の空気も幾らか変わってきましたね。今までは、難しいことはちょっと待とうかとか、そういうあれが今回は思い切ってそれは正面からとらえてやろう、そういう雰囲気が出てきたことは大変私は前進ではなかろうか、こう思っております。  うち関係では、例えば大変苦労してまとめました規制改革三カ年計画やe—Japanのアクションプランやそういうものがかなり具体化してくる、こういうふうに思いますし、郵政事業につきましても、いろんな観点から物を見て、本来の郵政事業についての議論を成熟させていこうと。こういうことは、私はそれはそれで一つの前進ではないか、こういうふうに思っておりますから、公社移行の問題も民間参入の問題も、これは我々としてはいろんな方の御意見を聞いて、場合によったら事業者の方の御意見も聞いてどうあるかをきちっと考えていこう、こういうふうに思っております。  これは、私は前進であり変化であり、やっぱり断行ということにウエートが大変かかっている、こういうふうに思っております。
  134. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今まで、どちらかというと失われた十年といいますか、改革をしなきゃいかぬことはわかっているんだけれども、どうも気が重いから先送りをしてきた、そういうことに対するやはり国民のうっせきした気持ち、そういうものが今回ある面では爆発しているんだろうというふうに私は思うんです。それには非常に鋭敏に今こたえつつある。  過去五十数年にわたって、政官業のトライアングルと言われるけれども、政と官と業がそれぞれの分野であるいはよく競合しながら共存しながら頑張ってきた姿の中で、業の方は非常にグローバリゼーションの中で厳しい戦いを強いられて、リストラにあえぎながら一生懸命自己改革してきているわけですよ。ところが、やっぱり政と官は聖域でずっとそのままで来ているということに対する国民のうつぼつとした気持ちがずっとあったんですよ。  しかし、今回は聖域なき改革をやる、タブーを排すると。きのうのハンセン氏病訴訟に対する対応もまことに見事です。しかし、これは国民から見ると、逆にこれは三権分立をある面では侵すわけでしょう。政治の決断でしょう。そうすると、こうなってくると政治が決断すれば何でもできるんだと、こう国民は思うと思いますよ、ある面で。だから、今までのツケがどっと出てくる、これをどうするか。  世界じゅうから日本は口先だけで、約束したって一つも守らぬというのがずっとあったわけでしょう。国民の方も、ああは言ったってなかなかやらぬだろうと半分あきらめておったわけです。我々国民だけ、民だけが苦しんでいると。しかし、その中でこれはひょっとしたらできるぞということになると、これは物すごいいろんな意見が出てくると私は思うんです。  鉄は熱いうちにたたけというわけですから、骨太の改革を今後やるとしたら、私はやはり一つは道州制の導入と規制の撤廃と、当然この二つでしょう。そうすると、官の役割と政の役割とこれを一体どうしていくか。この骨太な部分がやはり総務大臣所管の中に深く実はかかわってくると思うんです。  先ほど来の議論も聞いておりまして、確かに税は上げないよと、しかし社会福祉はこれは余りさわれないよと。そうすると、地方に対する歳出、それから公共事業、この二つをどうするかという議論をこの前から予算委員会その他で小泉総理はしておられるわけですね。これは当然地方交付税一体どうなるんだという問題になるわけです。  けさほども、よく総理がおっしゃる経済財政諮問会議、これによって決断していく、断行していくんだということでありますけれども、これで見ると地方交付税交付金制度の実質廃止を含めた大幅なスリム化を提言すると。これははっきり出ていますね。  これに対して所管大臣としてはこの諮問が出たという前提でこれをどのように受けとめて、どう対処なさるのか、それを伺いたいと思います。
  135. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 地方交付税制度というのはもともと、本当は地方税で与えればいいんだけれども、地域的に経済力が違うんで、当然それによる税収入がアンバランス、でこぼこになっているから、税源を与えても、例えば所得という税源を与えても東京や大阪や神奈川や愛知県ばかりふえて、申しわけないのですけれども、鳥取県や島根県、そういうところは税収入は余りふえない、差が開くだけになると。そこで国税という形で一定のものを取って、それを均てんするように配分しようというのが地方交付税なんです。それと同時に、全国のいわゆるナショナルミニマムを確保できるだけの財源は与えてやろうと。  だから、ここでも何度も申し上げましたが、地方交付税というのはもともとは地方財政平衡交付金制度だったんですよ。地方全部の足りない金を補てんするという制度で毎年決まっておったんです。そうしたら、毎年は大騒動で大変だというので、昭和二十九年に今の地方交付税制度のはしりができて以降、今日に来ているんです。だから、最初は国税の二〇%か何かから始まって、三税の、次第にこうふえていって、こういうことなんですね。だから、あれ自身財源調整と財源保障なんですね。  ところが、今考えてみますと、例えば都道府県四十七ありまして、不交付団体は東京都だけなんですよ。東京都以外は全部交付税もらっているんですよ。それで、市町村が三千二百二十四ありますけれども、私、正確な数字知りませんけれども、恐らく百五十ぐらいじゃないでしょうか、不交付団体は。残りの大多数はみんな交付税もらっているんですよ。これはいかにも私は地方財政制度のあり方としてはおかしいんで、やっぱり基本的には地方税の充実ですね。  だから、そこで工夫が要るんですよね。例えば、所得なんというのを与えるとこんなアンバランスになりますからね。だから、そこは所得と消費と資産のバランスのとれた形で税源を与えていって、なるべく偏在がないように安定的なようにまず地方税を与えていく。しかし、地方税では限界がありますから、財政力に差があるから、経済力に差があるから、そこは地方交付税で補おうと。そして、その他はどうしてもというものだけ国が補助金を出すと。こういう制度にした方が一番わかりやすいと、こう思っているんですよ。  ところが、今はそうなっていないんで、それからもう何度も言うように、歳出全体を見ると、公の歳出全体を見ると、国が三分の一で地方が三分の二ですよね。ところが、税は国が六割で地方が四割。だから、実際使うところがそれだけの収入を得ていないんで、それは国からもらってくるという形ですね、税が四割ですから、実際は六七%やっているんだから。その二七%は交付税と国庫支出金でもらってきているんですよ。したがって、そこで、負担と給付の、サービスと負担の関係があいまいになって、いい首長さんは国からたくさん金を持ってくる、補助金を取ってくる、交付税を持ってくる首長さんが偉い首長さんで、それを応援する議会が大変いい議会だと、こういうふうになっているんですね。  だから、そこはなるべくサービスと負担というものが均衡するようなことをやると、そこに一種の何といいますか抑制効果が生まれて、今はやっぱり離れているから、モラルハザードでもないんだけれども、やっぱりそういう感じがあるんで、そこは今後直していかなきゃいかぬと私は基本的に思っておりますが、交付税制度はなくなりません。また、なくしたら困ります、地方財政が。  そういう意味で、経済財政諮問会議でも十分そこは認識しているんですよ。ただ、今のままでいいのかなと。できるだけ地方税中心でいこうというのと、それから交付税がいろんなことをちょっとやり過ぎているじゃないかと。何度も言いますけれども、裏負担の起債の元利償還もほとんど見たり、単独事業もかなり見たりでしょう、起債の。だから、そこまで交付税がやるのはいかがかなと。歴史的な意味は全部あったんだけれども、それをもう一遍整理してみようと。  こういうことで、交付税制度見直しということを経済財政諮問会議では私も言っていまして、ほかの方も言っていますからね。ぜひこの議論をいろいろとやっていきたいと、こういうふうに思っておりますし、私はもう何度も国会でも答弁しておりますが、地方税を充実すること、それによって地方交付税を縮減する、国庫支出金はもっと縮減する。特に、補助金は、負担金は別ですけれども、補助金は私はもう全部一般財源に振りかえてもらった方がずっといいと思っています。負担金は別ですよ、負担金は。  だから、この辺は大いに今後の国と地方のあり方、あるいはいろいろな分担ですね、そういうことを踏まえて、もう一遍しっかり、二十一世紀ですから考え直す必要があるんではなかろうかと。  それから、水膨れの地方歳出は私はカットすればいいと思っているんです。単独事業は二十兆だとか二十二兆だとか、本年度も十七兆五千億ですよ。公共事業は九兆四千億ですよ。これが私はいいのかなと本当に思っているんで、この辺は役所の皆さんとは意見が違うところかもしれませんけれども、大いに調整をしていきたいと思っておりますので、御指導、御支援を賜りますようにお願いいたします。
  136. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今の御意見は私も賛成ですが、大臣自身もスリム化に努められるということですから、より一層今までの見直しをして、確かに余分な部分が随分数十年の慣習でつき過ぎているんですよね。  だから、やっぱり原点に立ち返るということが大事だし、そのときに忘れてならないのは、もう一つ、きのう何か経済財政諮問会議で、これ新聞が違うと全然取り上げ方が違うんですけれども、さっきのは毎日の方で、この朝日の方は、同じきのうの会議の中身で、市町村四年で三百から千にと、合併促す方針固まる。これは表裏の関係だろうと私も思うんですが、これを見ると、大臣は千ぐらいにしたいと、こう述べられたと、片山大臣は。そして、塩川財務大臣は、行政能力から考え、合併後の地方自治体数は三百ぐらい、人口は三十万ぐらいがよいのではないかということをおっしゃったというのが記事に出ていますね。  仮に三百というと、もう今から三十年前ですか、いわゆる広域市町村圏を私も市長時代、ちょうど昭和四十七年からですか、それで広域消防、広域医療保険、広域福祉という形で大分それぞれなれ親しんできているのがありますね。これ三百数十ですよ。それで明治維新の前が三百諸侯ですから、ちょうど三百ぐらいの殿様がいたわけですね。そうなってくると、四十七都道府県要るのかなと。やっぱり道州制という問題が私は当然出てくる話だと思うんですね。日本全体を経済、行政政治、社会、あらゆる面でスリムで効率的な仕組みに変えていかなきゃいかぬということになるわけですから。  この問題について、塩川さんがそういうふうにおっしゃっておられますが、大臣は千と言っておられる。えらい数も違うし、どうしてこれだけ数が違うのかなということと、今私が申し上げたその仕組みですね、日本全体の仕組み、これは将来どうあるべきというふうに考えて、やはりこの経済財政諮問会議の答申に基づいて日本を変えていくということをなさらなきゃいかぬと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
  137. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私が申し上げました市町村合併の千という目標は、昨年十二月に決めました行政改革大綱の中で、与党三党が千という数字を出していますから、それを踏まえてと。だから、それが一つの私は目標になるのかなと。できるだけそれに近づけるように合併特例法が切れる平成十七年の三月までに努力いたしますと。そのとき、塩川さんは、もう片山さん、ちょっと千じゃ多過ぎるんで、三十万ぐらいがどうかなと言っていましたよ。ただ、余り強いあれじゃなかったですけれどもね、一つの案で。それを三百、三十万なら、なるほど一億二千万ですからね、三百か四百になるんで。  今、松岡委員いみじくも言われましたように、明治は廃藩置県、今度は廃県置藩にしろというような議論が昔からありましてね、広域市町村圏をつくるときに、三百か四百にしてもう県をなくしてしまえと、こういう議論が確かにあって、私もやっぱり地方の時代というのは基礎的な自治体である市町村を強くする時代だと、こういうふうに思っています。だから、仮に千なり千以下の市町村に再編成されるのならば、もう一遍、都道府県制度考え直さなきゃいけません。ところが、今の地方自治法では都道府県制度は何にも書いていないんですよ。だから、新しい法律をつくらなきゃいかぬですね。  そこでどういうことをやるのか。いわゆる道州制なのか府県合併なのか、あるいは広域連合というのが今市町村にありますけれども、広域連合なのか府県連合なのか。そういうことは大いにこれまた国民的議論で、私は国民の皆さんに選択してもらう必要がある。ただ、恐らく松岡委員がお考えになっている道州制というのはブロックぐらいの大きさで、首長さんは公選でしょうから、議会はもちろんあるんでしょうから。しかし、そうなると、私は前から言っているんですが、限りなく連邦制に近づくと。九州州、中・四国州、近畿州、連邦をやるんなら連邦でいいんですよ。中央政府はもう州ができないことだけやればいいんで、外交や防衛や通貨政策や、いや本当に。残りはもう全部やると、アメリカみたいに、州が州兵を持って、裁判所も持ったりね。  しかし、そこまで徹底できるのかなという個人的な私は気がしておりますので、これは今後の大きな議論だと思いますけれども、とりあえずは市町村合併をしっかりやっていくことによって、その後に府県制度をどうするか。これを大いに、憲法問題とあるいは絡むかもしれませんけれどもね、議論していったらどうだろうかと、こういうふうに思っております。
  138. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 百年後に六千万人になるということを想定すれば、かなり思い切ったデザイン、デッサンをしておかぬといかぬと思いますね。そうなると、大臣がさっきおっしゃったように、中央省庁は外交、防衛ぐらいで、四省庁ぐらいで、あとはやはり道州制を導入した場合の知事は官選にするのかあるいは民選にするのか、いろんな議論もあるだろうと思うんですけれども、そういうことを想定しなきゃいかぬと思うんです。  私、郵政関係をちょっとやろうと思ったんですけれども、時間がもう来ておりますので申しわけありませんが、これで質問を終わりたいというふうに思います。非常に内閣のかなめともいうべきお仕事ですから、どうか突進していただきたいとお願いをいたしまして、質問を終わります。
  139. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  片山大臣には長年お世話になっておりまして、いろんな意味であれですけれども、本当にお喜びを申し上げます。    〔委員長退席、理事海老原義彦君着席〕  実は、大臣の発言を見ていまして、実は私が考えていることは松岡さんとぴったり合っちゃってこれはダブっちゃったんです。  お聞きしたかったのは、小泉さんはおっしゃるように改革断行内閣と言われたわけです。それを引っ張って大臣もおっしゃった。しかし、大臣はそうはいったって森さんのときの大臣じゃないのかな、それで本当にうまくミックスしてやれるのかね、本当でしょうかねという気持ちがちょっとありまして、それで大臣の認識とあれをお聞きしたいと思ったんですけれども、それはダブりますからやめます。  私は、ただ一つだけ大臣からお聞かせいただきたいんですけれども、これまでいろんな改革があるんです。中身は余り差はないんですね。問題はやっぱり実効性の問題であり、もう少し言えばスピードの問題だと思うんです。この改革についての取り組みが非常に、我が国は国民性というべきか何というべきか、牢固としたあれがあるんです。これをよほど、何というんですか、努力というべきか何というべきか、それをやらなければもうできないのではないかなと私は思うんです。  ですから、今まで歴史的に大きな改革と言われた大化の改新とかそれから明治維新とか、それから私は実質的には、織田信長がやった戦国時代のあれがあるわけですけれども、それぐらいだと思うんです。ところが、全部そのときはもう血が流れているわけです。今、何もないわけです。みんな食べられるこの世の中ですから、こういう中で改革というのは非常に難しいなと。総論賛成、中身も賛成、しかし実行はしない、時間はどんどん経過する。そのうちに、百年後がどうなるかわかりませんけれども、失われた十年が失われた百年になるかもしれないなと思って、最近は私は年のせいもありますけれども、少し絶望的な気持ちもあるんです。  非常に漠とした話になったんですけれども改革の取り組みについての大臣考え方についてお聞かせをいただきたいと思うんです。
  140. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 松岡委員答弁ともダブるかもしれませんが、言われるように、森内閣と物すごく違ったと、政策選択が。そういうことは私はないと思います。    〔理事海老原義彦君退席、委員長着席〕  ただ、例えば森内閣は景気回復が最優先課題です。ところが小泉内閣は、景気回復はもちろん念頭にありますけれども、構造改革がどちらかというと並立ないしは優先で、しかもその構造改革と景気回復は一体だと。二匹のウサギでない、一匹のウサギだと。こういうことは今までとは明らかに違うと思います。  それから中身も、例えば、小泉総理になってから大きな提言をされているのは、一つ首相公選制です。これは憲法改正まで行く話ですけれども、それから郵政民営化で、これは、これからの国民的議論の中でどうなるか決めていくということでございますが、こういう新しい提案がある。それから、今の構造改革に絡んでは、国債を三十兆円で抑える、プライマリーバランスをしかるべきときに回復する。  こういうことが大きな違いですけれども、これは、今いみじくも高橋委員が言われましたように、断行する意欲とスピードですよね。やるということと、それからそれをできるだけ早くやると、こういうことが私は大分違うんじゃなかろうかと。  それと、森内閣と違うのは、やっぱり支持率が圧倒的に高いということでしょう。これが恐らく大変な私は追い風になっていると思いますね、小泉総理自身あるいは小泉内閣の。これだけ国民が支持するなら、この機会にやらなければ、これはいつ追い風が向かい風になるかわかりませんので、それはやらなきゃいかぬと、これだけ期待が高ければ断じてやるんだと。  こういうことが大変強い推進力に私はなっていると思うので、今いろんなことを議論して中を固めていっておりますし、特に予算の関係は何度も言いますが、経済財政諮問会議で六月中に決めると言っていますから、そういうことが次第に具体化してやっぱり実行と、私はこういうことになっていくと思いますね。また、そうでなければいけない、私も内閣の一員としてそうでなければいけないと、両副大臣もそういう決意でございますので、引き続いての御指導を本当によろしくお願いをいたしたいと思います。
  141. 高橋令則

    ○高橋令則君 改革は恐らくだれも同じだと思うんですね。そういう意味で、私は野党の立場ですけれども大臣がそういう意味でもこの断行内閣のまさに一員としてしっかりやっていただきたいと私は思います。  その一つですけれども市町村合併、これも何遍も申し上げたんですけれども、これも松岡先生が触れられたんですけれども、実は新進党時代なり、それからその前のあれでもさんざん議論した中で、やはり市町村合併が最初だと。あの都道府県の改正もいろいろ考えたんですよ。なかなか難しいと。やっぱりまず市町村を、基礎的な自治体ですから、それをまずやらなければならない。そして、基礎的自治体が当時の新進党時代は三百でやったんですね。それで、自自連立のときに妥協として千、途中でやったんですけれども。  それはそれとして、そうすることによって、基礎的な自治体は市町村で、それが全部行政というか地方行政はほとんどやっていくということで、その上は余り中身はなくなるんじゃないかと。そうすると、場合によっては道州制もそれは必要かもしれないけれども、その場合はもう自治体でなくてもいいのじゃないかという議論もあったりしまして、そこまでやるといろいろ議論があるので、そこを上げてしまえということで、実はそれで棚の上にしちゃったんですよ、当時は。  余計なことを言ったかもしれませんけれども、いずれ市町村合併がもう今後の改革のもう一つの極めて大事な大事なことなんですね。何か内閣で本部をおつくりになったというふうにもお聞きしているわけですけれども、そういうふうな認識というか、このことについての議論と、それから今後の取り組みについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 市町村合併に対して内閣で一体して、各省を挙げて支援をしていこうと支援本部をつくりました。これは、三月二十七日に閣議決定しまして、翌二十八日に第一回の会議をいたしたわけでございますが、メンバーは、総務大臣が本部長で、私と小坂さん、それから政務担当の官房副長官が副本部長、あと副大臣が全員本部員で入っています。今度、近く第二回のこの会議をやろうと思っておりまして、ここには小泉総理出席を願うと。こうして小泉総理を中心にいたしまして、各省を挙げて市町村の合併に対して強力なサポートができるような体制をつくりまして、その中で市町村合併支援プランというものをつくって、それを推進していきたい、このように考えております。  都道府県知事さんに御尽力願いまして市町村の合併のモデルをつくっていただいたんですが、それによりますと、大体、現在三千二百二十四あるんですけれども、プランではその市町村の数が三分の一から五分の一になります。五分の一が最大減るというところでございますが、これができれば平成十七年三月の特例法の期限までに実現ができるように政府挙げて支援をしていきたい、このように思っております。
  143. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございました。相当の覚悟がないと推進できないと思います。  私は、実は我が党の中で憲法問題をいろいろやっているんですけれども、その中で市町村合併なり道州制なんかは、これは今の法律では恐らくできないのではないかと。やっぱり憲法をやらなきゃだめじゃないかと。実は憲法九十二条を見ると、御承知のとおり、本旨だけでわからないわけですよね。本来からすれば、憲法の中で組織の基本的な考え方なんか書くべきなんですよ。それがなぜ書いていないか。佐藤当時の法制局の大先生から言わせると、ほかの国から比べるとこれでもいい方だという話もあるんだけれども、実際にはこれが明確じゃない原因じゃないかと私は思っているわけであります。したがって、長期的にはやっぱり憲法改正を頭に置いて、あるべき地方自治体ということを考えていかなければならないというふうに私は思います。  もう一つは実は郵政事業の問題でございますが、一般的な問題でありますけれども、実は一カ月ぐらい前に大臣とちょっと話をさせていただきまして、三事業トータルということは難しいかもしれないけれども、特に貯金と保険の問題についてはグローバルな問題として、民営かどうかは別にして、やっぱり今の公的な金融の膨大な処理というのは変ですけれども、それを役人でやっていくというのはやっぱりおかしいじゃないか、謙虚に研究すべきそういう時期があるのではないか、そういう認識はありませんかという話を大臣に申し上げて、大臣はそのとおりだというふうにおっしゃったんですけれども、小泉さんがこうなって、これだけ進捗するとは私は思わなかったんです。そのときはだれも別にそういう話もなさらなかったものですからあれですけれども、私としてはある程度踏み込んだつもりで物を言ったわけであります。  私はそういう意味で、ある意味で何といいますか戸惑っていますけれども、改めて考えれば極めて大事な問題なわけですね。小泉さんが言われることもよくわかりますし、それからその前に郵政省からもらったいろんなこんな膨大なパンフレットもあるんですよ。それも見たんですよ。それぞれ議論があります。ありますけれども、やっぱり改革というような中ではそれを乗り越えた何といいますか暴的な、いやまあ暴というのは行き過ぎですけれども、思い切った取り組みをしないと出てこないのではないかと思うんですね。非常に漠とした話になりますけれども、これを取り組んでいく大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  144. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この郵政事業の問題は何度も御答弁させていただいておりますように当面はこのままで公社に、ただ中身は大変民間的な経営体質を持つ公社に変えていく。それから、郵便事業が今信書その他独占ですから、これに民間の参入を認めていく、こういうことでございますが、その後かなり長期的にどうあるか。例えば、民営化にするという議論一つあるかもしれません。国営公社のままでいくにいたしましても、今高橋議員お話しのように二百六十兆も持つような金融機関ですよね、郵貯の方は。簡保でも百十兆ですから、百十兆からもうちょっとで。シェアからしてみましても大体一八%ですからね、郵貯は全体の。それから、簡保が一〇パーぐらいでしょうかね、一〇パーから一一パー。だから、それは国営公社論者の中にも地域的に分割したらどうかという意見があるんですよ。仮に民営化ということにもなかなかいろんな障害があると思いますが、民営化した場合、こんな巨大な金融機関ができたら普通の民間金融機関はもちませんよ。だから、そこでどうするのか。それは、郵貯にある意味では対極にある銀行協会なんかもいろんな案を銀行協会として検討されていまして、部分的な中間的な御提案もあるので。  そこで、私はやっぱりこれだけ大きな国民の資産ですから、郵便局二万四千七百と二十九万を超える職員さんとこれだけの資金は。これは本気で私は考えなきゃいかぬ、どうあろうが。どうあろうがというのは、例えば公社に移行後、公社を存続しようが、あるいは民営化その他の道をとろうが、本気で私はこの国の将来とあわせて考えるべき大きなテーマだ、こういうふうに認識しております。  いずれにせよ、来年とりあえず公社、民間参入やりますから。そのための研究会を立ち上げて大いに議論していこうと思いますし、国会でも各党各会派で大きな議論をやっていただいて、国民的合意の中でそのあり方を私は模索していくことは正しい、こういうふうに思っております。それは総理にもそう申し上げて、総理もそのとおりだ、こうおっしゃるわけですから、総理はもう有名なる民営化論者ですから、民営化論として大いに議論してもらい、それは別の意見があれば別の意見も大いに議論して、そういう中で集約していくということが、時間はかかっても私は必要じゃなかろうか、こう思っております。
  145. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございました。  もう一つは、ちょっと戻るかもしれませんけれども、地方財政の問題です。今の交付税の問題、それから出ていませんけれども例の特定財源の問題です。私はそれぞれ問題があると思っています。大臣もおっしゃいました。私も認識は同じです。  しかし、こういうことはずっと言われてきたんです。もう地方調査会なんかではずっとやられているんです。外形課税なんというのはもうくたびれるぐらいやったわけです。ところが全然進まない。理由は何か。これは大蔵との関係もありますけれども、要するに国と県の仕組みが、国と地方の関係がしっかりしないからなんです、仕組みというか担当が。だから、大臣がどこかで、ちょっと申しわけないですが、今六、四の関係方をフィフティー・フィフティーぐらいにして考えたらどうかということを言われたというふうに私は見て、ああいいなと思ったんです。私も大体過程ではその程度をまずやって、マクロ的にそこを押さえて、それで持っていくという考え方、これも非常に乱暴な言い方かもしれませんけれども、マクロ的に押さえて、それに合わせていくというふうな考え方にしないと、とてもではないが、一つ一つをやって、そして外形課税がこの部分は今度はといったらなかなかできないのではないかと思うのです。もう少し大きな観点でやっていただきたいなと思うわけであります。  その中に必要なのは、私は例の年金、医療、福祉の問題、この問題の量、負担も含んで、そして議論をしていただきたい、それを取り組んでいただきたいというふうに申し上げます。  私は、これは意見ですからもう時間になりましたので終わります。
  146. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  147. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、電気通信役務利用放送法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣
  148. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 電気通信役務利用放送法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の通信・放送分野における技術革新等による電気通信回線の広帯域化の進展にかんがみ、通信と放送の伝送路の共用に係る規制の合理化を図るため、電気通信役務を利用して行う放送を制度化し、電気通信役務利用放送の受信者の利益を保護するとともに、その健全な発達を図る観点から提案した次第であります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、「電気通信役務利用放送」とは、「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信であって、その全部又は一部を電気通信事業を営む者が提供する電気通信役務を利用して行うもの」と定義する規定を設けております。  第二に、電気通信役務利用放送の業務を行おうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならないこととし、その登録に関する欠格事由、登録を受けた者の地位の承継等に関する規定を設けております。  第三に、総務大臣の登録を受けた電気通信役務利用放送事業者は、有料の電気通信役務利用放送の役務を提供するときは、契約約款を定め、総務大臣に届け出なければならないこととし、また、放送番組に関し、放送法を準用する等電気通信役務利用放送事業者の業務に関する規定を設けております。  以上のほか、電気通信役務利用放送の業務を行おうとする者が総務大臣の登録を受けなかった場合等についての罰則を規定するほか、必要な規定を整備することとしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  以上であります。
  149. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会