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2001-03-27 第151回国会 参議院 総務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     脇  雅史君      高橋 千秋君     木俣 佳丈君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 入澤  肇君                 北岡 秀二君                 常田 享詳君                 浅尾慶一郎君                 宮本 岳志君     委 員                 岩城 光英君                 景山俊太郎君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 世耕 弘成君                 関谷 勝嗣君                 脇  雅史君                 木俣 佳丈君                 輿石  東君                 高嶋 良充君                 鶴岡  洋君                 弘友 和夫君                 富樫 練三君                 八田ひろ子君                 山本 正和君                 松岡滿壽男君                 高橋 令則君                 石井 一二君    委員以外の議員        発議者      江田 五月君        発議者      岡崎トミ子君        発議者      大脇 雅子君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    遠藤 和良君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       乾  文男君        総務大臣官房総        括審議官     林  省吾君        総務省自治行政        局長       芳山 達郎君        総務省自治財政        局長       香山 充弘君        総務省自治税務        局長       石井 隆一君        総務省郵政企画        管理局長     松井  浩君        公安調査庁調査        第一部長     水田 竜二君        財務省主計局次        長        津田 廣喜君        財務省理財局次        長        牧野 治郎君        文部科学大臣官        房審議官     田中壮一郎君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       岩田喜美枝君        農林水産省生産        局畜産部長    永村 武美君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    岡澤 和好君        環境省環境管理        局水環境部長   石原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○特定営利活動促進のための地方税法の一部  を改正する法律案江田五月君外九名発議) ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○公害防止に関する事業に係る国の財政上の特  別措置に関する法律の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (地方財政拡充強化に関する決議の件) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 溝手顕正

  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) まず、特定営利活動促進のための地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者岡崎トミ子君から趣旨説明を聴取いたします。発議者岡崎トミ子君。
  5. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) ただいま議題となりました特定営利活動促進のための地方税法の一部を改正する法律案につき、民主党新緑風会日本共産党社会民主党護憲連合及び自由党を代表して、提案趣旨とその要旨説明します。  特定営利活動促進法、いわゆるNPO法は、平成十年三月に成立し、同年十二月から施行されておりますが、同法制定時に両院において、税制等を含めた制度の見直しについて、施行後二年以内に結論を得るとの趣旨附帯決議が付されております。  ところが、政府平成十三年度税制改正案では、NPO支援税制について、国税のみを規定し、地方税について何らの措置も講じていません。まことに不十分です。また、寄附金特例を受けるための認定基準、いわゆるパブリック・サポート・テストが政府案では厳し過ぎる上、活動に一市町村を越える広がりを必要としております。このため、ほとんどのNPO法人がその要件を満たすことができず、支援税制の恩恵を受けることができないと言われています。  二十一世紀はNPO時代です。健全で活力ある経済や社会を構築していくためには、市民NPO法人行政協働は不可欠です。そのためには、市民の自発的な活動税制支援することが何より重要であり、多くのNPO法人国税地方税の両方で支援を受けられるようにしなければなりません。  そこで、重要性が一層増加しているNPO法人活動税制面から支援促進するため、特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案とあわせて、本法律案提出しました。  以下、本法律案の概要について説明します。  第一に、特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律による改正後の所得税法に基づき認定を受けたNPO法人支払いを受ける利子等で、所得税が課されないものについては、道府県民税利子割を課することができないこととしております。  第二に、個人道府県民税及び市区町村民税に関し、条例で定めるところにより、NPO法人等に対する寄附金寄附金控除対象とすることとしております。  以上が本法律案提案趣旨とその要旨であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。
  6. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  7. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) この際、地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案特定営利活動促進のための地方税法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。  地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案の趣旨説明は去る二十二日に聴取しておりますので、これより四案について質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党新緑風会浅尾慶一郎です。  ただいま議題となりました四案について質問をさせていただきますが、まずいわゆるNPOのための地方税法の一部を改正する法律案に対しまして提案者質問をさせていただきたいと思います。  NPO活動といったものが今後日本の中で非常に重要になってくるということはもう申すまでもありませんが、特に地方自治地方分権の推進といったようなことで、NPOにさまざまな期待が寄せられていると思いますが、今回の税制支援意義をそういった観点からどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  9. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 全国で法人格を取得いたしましたNPOは、三月二十三日現在で三千六百六十三団体となっているわけなんですけれども法人格を取得したけれどもその利点のなさというのが壁の一つになっているわけなんです。  実はこのNPO皆さんが御存じのように、地域の力を育てていく主体であります。そして、これまでの行政セクター、そして企業セクターに加えて、市民セクターがいかに生き生きと地域社会をつくっていくのかが大事になっております。地方分権で、それが官官分権ではなくて、市民のところまできちんとその活動がおりてきて、そしてその活動がどういうふうにサポートされていくのかが大変地域自立にとっても大事になっていくわけですけれども、その場合に、企業行政とはパートナーシップでやっていく、自立支援をしていくというのが大変重要になってまいりますけれども、現在は実は大変に収益が少なく、税制上のメリットも大きくないということで、NPO活動が非常にこの利点を、何とか税制支援をしてほしいというところで、その声が大変高まっているわけでございます。  地域の中で結成したNPO地域に認められて、地域とともにいかに発展していくのかがその存在意義となっていくわけですけれども、そういうときに中央が地方をコントロールするのではなくて、自分の力をつけていくためには地域において税制面においてもサポートしていくということが大変重要だというふうに思っております。そして、将来はそういうNPOに向けて、これであればということで若者の就職もNPOにしていこうという希望もわいてくるのではないか。そういう存在意義税制支援というものが必要だというふうに思っております。
  10. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 よくわかりました。  今回の政府税制案には、実はこの地方税の方にはNPOに対する税制支援というのが入っておりません。昨年八月の当時の経済企画庁の要望に基づいて、経済企画庁と大蔵省、当時のですね、それから経済企画庁自治省がそれぞれ協議をしてつくられたのが今回の税制案ということなんだと思いますが、実は八月三十日時点で経済企画庁は、地方税においても個人適格NPO法人寄附した場合の個人住民税における所得控除の創設などのNPO法人に対する地方税支援策が入っていたわけであります。  それがなぜ今回見送りになったのか、その点を総務大臣に伺いたいと思います。
  11. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) NPOにつきましては私もその重要性は十分認識しておりまして、この法案が通るときは私は国対におりましたけれども大変各党皆さん相談をして、中をかなりいいように修正しまして通したわけでございますが、税制については様子を見てと、こういうことで今回税制措置がとられたわけであります。  地方税につきましては、浅尾委員承知のように、法人関係についてはこれは特例措置を見ているわけです。法人住民税法人事業税においては、認定NPO法人に対する法人からの寄附金損金算入ということを認めておりますから、法人住民税事業税も自動的にこれは減税になる。問題は、今言われました個人住民税なんです。  個人住民税というのは、所得税と違うのは、これは大体地域社会会費だと我々は言っておりまして、広く薄くできるだけ負担してもらう、極力政策的な控除はしない。したがって、例えば国だとか、国が認めている特定公益増進法人も実は個人住民税は認めていないんです。認めているのは都道府県というか地方団体と日赤と共同募金会なんです。これはそのままぐるっと回って地方団体が益するからなんです。極めて限定的に認めておりますので、国も認めていないというようなこともありますから、NPO法人については今回は対象としない、税の上では。  ただ、御承知のように、各地方団体NPO奨励育成のためにいろんな措置をとっておりますが、私はそれはそれで各地方団体の御判断でおやりになって結構なことではないか、こういうふうに考えております。
  12. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、大臣から御答弁いただきましたように、地方住民税会費のようなものだというような御答弁があったわけでありますが、私、所得税住民税との間で寄附個人がした場合に基準が違うと。要するに、所得税に関しては寄附金控除対象になるが住民税についてはならないというのがどうも地方分権時代において、それは何もそれぞれの自治体判断すればいい話なので、そういうダブルスタンダードを設けるのはいかがなものかなと思いますが、再度ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  13. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 所得税は相当いろんな控除をしているんです。ただ、個人住民税でしょう、法人住民税減税を御承知のようにしているんだから。個人住民税についてはできるだけ大勢の人から、何度も言いますけれども、広く薄く会費として出してもらおう、こういう趣旨ですから、極めて限定しておって、税として取ってNPO育成奨励のために別の形で支援するということはそれは私は大いに結構だと。税としては、税の性格からいってこれはここで認めているといろんなものがいっぱい控除対象ということで御要請がありますから、なかなかそれはそういう意味では税の性格が不分明になるのではなかろうか、こういう思想なんですよ。  だから、とにかくNPOをどうにかしようなんという気は全くないので、税の性格からそうしてほしい、所得税とはそこが違うんだと、こういうわけであります。
  14. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そこは大臣と私は見解が若干違うのかなと思うんです。  別の観点から聞かせていただきますが、先ほどNPOを御自分支援されているというふうにおっしゃいましたが、それでは、NPOというものが地域社会において今後どういう役割を果たしていくべきだというふうに考えておられますか。
  15. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) NPO法をつくるときに大変な議論をしたんです。大変広いものですから。しかも、あれは認可でなくて認証なんですよね。認証というのはほぼ認めるということなんです。そういう意味で、やっぱりNPOで、ちゃんとしたNPOと、ちゃんとしないNPOはないのかもしれませんけれども、ちゃんと度が違うNPOがあるので、そこのところは全部税をまけていますと、浅尾委員、それは税をまけてもらうためのNPOをつくられる可能性もあるんです、認証だから、認可でないから。  そこで、我々はやっぱり認定という仕組みが要るんではなかろうかと。私ども所管じゃありませんよ、私ども所管じゃないんだけれども、そういう議論があって、あのNPO法を通すときに各党合意でそういうことになったんです。税についても御要請はしっかり承りますけれども、私も税調を長くやってきておるものですから、いいものはどっと認めます、そうでないものはちょっとねと。税というのは国民がみんな出し合って公の需要に充てるものですから、そこのところはもう少し様子を見ましょう、こういうことでこれも各党合意したんです。  そういう意味で、私は、NPOというのは、本来アメリカなんかの例を見ましても、やっぱりコミュニティーや地域社会を支える大変有用な集団だと、こう思いますけれども、その中身はやや千差万別ではなかろうかという感じを私は持っております。今後、これがどういうふうに変わっていくか、あるいはよくなっていくか、こういうことを注目したい、こう思っております。
  16. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が申し上げたいのは、そもそも国税の方について、今度所得税に関して寄附金控除が認められるような法案を用意しておるわけでございますが、そのことが国では認められていて、認められる団体ができたとして、その団体地方地方税対象にならないというのは、少しそこに基準ダブルスタンダードがあるのではないか。しかも、地方分権ということであれば、認められるような枠組みをつくっておいて、そして実際に認めるか認めないかは各自治体判断に従えばいいのではないかなということでございます。  御答弁をお願いしても同じような観点になるかもしれませんが、ちょっと再度簡潔に今のことに関して御答弁いただければと思います。
  17. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 浅尾委員、今もダブルスタンダードなんですよ、所得税個人住民税は。わかるでしょう。免税する範囲が全然違うんだから。同じ考え方に立っておりますので。
  18. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私はそのこともわかっておりますが、申し上げておるのは、そもそも、今のダブルスタンダードということ自体が今後地方分権ということを考えた場合にはおかしいのではないかなと。これは御答弁は要りませんが、こういうふうに思っています。  せっかく提案者がいらっしゃいますので、今の議論を聞いて、もし御意見があればいただきたいと思います。
  19. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 私たちは、やはり国税だけではなくて地方税の中でもきちんと措置をしていくことが大変大事だという観点から今回の法律をつくっておりまして、政府案のことに関して言いますと、非常にハードルが高いわけです。  大臣が今おっしゃられたように、実はいろんなところを認証して、認証しやすくなっていて、割と悪いNPOというのはないんだというような表現なんですけれどもNPOに実際法人格を取った人たちの受け取り方は決してそうではなくて非常にハードルが高くて、これでは私たち税制支援を受けられないというふうな、そういう懸念を持っている状態でございますので、私どものように、国税面だけではなくてやはり地方税の面からも措置をしていくということが大変大事だということを強調しておきたいと思います。
  20. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ありがとうございました。  それでは、NPO税制の話からちょっと移りまして、いわゆる外形標準課税等について議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  まず、先般も質問させていただきましたが、神奈川県の臨時特例企業税そのもの外形標準には若干当たらないかなとも思いますけれども、先般、まず御質問させていただいた中で、国として、総務省相談を受けて基準に合致している場合にはそれを認める、同意をするということになっておるわけでありますが、その状況について御答弁をいただければと思います。
  21. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 神奈川県におきまして、今、委員おっしゃいましたように、臨時企業特例税につきまして、去る三月二十一日、県議会で可決されまして、二十二日に総務省に対して協議書提出されたところでございます。  臨時企業特例税内容は、県の行政サービスを享受し、かつ当該年度において利益が発生していながら、欠損金繰越控除により相応の税負担をしていない資本金五億円以上の大企業対象担税力に見合う税負担を求めるものでございまして、その条例につきましては公布の日から起算して一カ月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する、こういう内容になっておるわけでございます。  現在、地方税法上、この臨時企業特例税総務省として同意できるかどうかということについて地方税法上の検討を今やっている、こういうことでございます。
  22. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、外形標準一般について伺っていきたい、こういうふうに思っております。  旧自治省がつくられました外形標準課税案の中で、中小法人に対する優遇措置というものが入っておりまして、そのこと自体についてはいろんな議論があるんだと思いますが、例えば給与もその外形標準で税を計算する根拠になっておるわけでありますが、支払い給与の総額といったようなものが。それが仮に大企業中小企業との間で税率が違ってくるとなると、大企業は恐らく自社の社員資本金の例えば一千万円以下の有限会社に移してしまえば税金が少し安くなるといったようなこともあるでしょうし、あるいは現在非常に広がっております派遣業界といったような問題も出てくるのかな、派遣社員の方が税制上有利な取り扱いになるといったような問題が出てくるのかなというふうに思いますが、その点は実務上どういうふうに考えておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  23. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 昨年、当時の自治省から法人事業税外形標準課税導入案具体案をお示ししたわけでございますけれども、その中で今給与課税あるいは人材派遣の問題の御質問でございますけれども、例えば派遣労働者給与につきましては人材派遣会社から支給されるものの、その給与の源である派遣契約料というのは派遣を受けた法人において派遣労働者からの労務の提供を受けて生み出された収益から配分されるというふうに位置づけられますので、基本的には派遣労働者給与については派遣を受けた法人課税する仕組みというふうにしております。  そうしますと、今、委員御指摘のように、例えば大企業子会社中小企業に一たん人を移してそこから大企業に出向させるというやり方をとりましても、結局その付加価値といいますか、給与は実質的には当該企業が払ったという計算を前提にしまして課税標準を決めますので、そのことによってどんどん中小企業に、子会社である中小企業に人を追い出すとかそういうふうなことにはならないんじゃないかというふうに考えております。
  24. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の点で別の観点からそれでは伺いますが、仮に生産をする方が中小企業外形中小企業の場合はどのような取り扱いになりますか。すなわち、どこかの、何でもいいですけれども、大企業が要するに生産そのもの有限会社何とかというところに委託をして、そこに派遣社員が大量に行っている場合はどういう取り扱いになりますでしょうか。  申し上げていること、質問趣旨、わかりますでしょうか。別の言い方をしますと、具体的に申し上げた方がいいかもしれません。何でもいいですが、例えば、車のメーカー名を言うと問題があるので、自動車会社有限会社自動車会社Aというのをつくってそこで生産を仮にしたという場合に、そこに派遣されている人は軽減税率の適用になるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  25. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 委員の御趣旨は、関連の例えば子会社に人を派遣してその方がそこで働いた場合に課税標準がどうなるかということだと思いますが、それは派遣先でまさに給与をもらっていらっしゃるのでその派遣された会社課税されると。ですから、そこが中小企業であれば軽減税率対象になる、こういうことになろうかと思います。
  26. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうしますと、やはり税を導入、税は、私が申すまでもありませんが、新規に導入する場合でも経済活動そのものに対してやはり中立でないといけないんではないかなと。それが新たに税を導入することによって生産活動を若干シフトを促進するというのは、政策的にそういうことを求めているということであれば別ですが、そうでないんであればそこは問題ではないかなと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  27. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今、委員が御指摘になったような案件で考えますと、例えば大企業の従業員をできるだけ中小企業に移すと、その場合に確かに中小企業税率企業に対する税率は低いじゃないかという御議論もありますけれども、同時に大企業税負担を考えますと、ほかの条件が一定であれば、子会社に人を派遣するそのことでもし何らかの実質的な給与の歳出といいますか、製品原価が小さくなったとしますと、その分は結局その企業の所得、利潤がふえるということになるわけですね。  今回、私どもが考えております外形標準課税課税標準は、給与支払い利子と地代とそれに利潤を足したものですから、例えば給与を何らかの形で一生懸命減らしますと、他の条件が一定であれば利潤がふえるということになりますので、足したものは結局同じ額になると。  そういう意味で、政府税調の中期答申なんかでも、旧自治省のその具体案は大変この生産手段の選択について中立性が高い案になっているといって高く評価をいただいている、こんなふうに考えている次第でございます。
  28. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 中立性というのは、やはり政策的にあることを税制である方向に誘導するということを除けばやはり必要だと思いますので、引き続きその点を考慮して外形標準について御議論をいただきたいと思います。  その中立性ということを考えた場合に、次の質問に移らさせていただきますが、やはり国がいろいろな、例えば国と地方ということを考えた場合には、地方債を発行するものに関してはこれは元利償還を実質上保証しておる。あるいは特殊法人といったようなものを考えた場合には、その特殊法人の出す財投機関債について政府保証をつける場合もあるんではないかなというふうに思っておりますが、まずその地方債について、これ政府保証を実質上つけているということであればその保証が大体どれぐらいになるかと。  将来的にはこれは地方分権、税源も含めて分権していけば政府保証を外していくことにならざるを得ないだろうし、していくべきだろうなと。その方が各自治体の経営責任というものが明らかになっていくのではないかなというふうに思いますが、過渡的には地方債についても実質的に政府の保証がついているということであれば、その保証料を取っていく、さらにその前段階では幾らぐらいになっているのかという少なくとも管理会計の基準ぐらいのものは持っていた方がいいと思いますが、その点についてどのようにお考えになりますか。
  29. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 地方債の元利償還費に対する保証についてのお尋ねでございますけれども地方債の元利償還金を保証しているというのは、どういう方法をとっているかと申しますと、毎年度地方財政計画で計上いたしました事業費に、これに対応して一定の地方債を発行するということを想定するわけでありますけれども、その事業費は標準的な水準の経費ということで地方財政計画に計上してあるわけでありますから、その地方債の元利償還につきましても、やはりその標準的な水準を賄うための経費ということになりますので、その分を翌年度以降の地方財政計画に計上いたしまして、地方財政全体としてその元利償還費を賄うに足りるだけの財源を確保しておきまして、それを交付税の算定を通じまして各地方団体にお金を配るという行為をやっているわけでありまして、民間の信用保証を受ける場合の保証するというのとは多少意味が違ってまいります。  国としては、いずれにいたしましても、そういうことで地方財政計画の策定あるいは交付税の算定を通じまして地域格差を是正し、あるいは事業の実施を保証すると、そういう国の政策を実現するための手段としてこのような財源措置仕組みをとっているわけであります。そういう意味で申しますと、その見返りとして、それは経済行為として何かの見返りとして何かをするというような経済行為になるわけではありませんので、これに対して地方団体の方から国に対しても保証料を納めると、そういうような仕組みは非常に考えにくいというふうに我々は考えております。
  30. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が申し上げております、現状の仕組みは確かにおっしゃるとおりだと思いますが、ただし、当委員会でもよく議論をさせていただいております地方の税財源の拡充ということを行っていく、あるいは将来的にはその各自治体のそれぞれの経営努力というものが財政に反映されるべきだと私は思うんですが、そういう改革を徐々にではあれ行っていく段階においては、元利償還も国が面倒を見るということになっていきますと、余り経営努力ということにつながらないんではないかなというふうに思います。逆に言えば、税源も含めた地方自治体への移譲ということが行われれば、当然、地方財政計画そのものも金額的には小さくなる。少なくとも、財政計画は小さくならないにしても、交付税そのものは小さくならざるを得ないし、なるべきだというふうに思うわけでありますが、そのことを考えたら、現段階でできるのは、少なくともこれぐらいの負担をしているんだよということを何らかの形の管理指標として持っておかれたらいかがですかということなんですが。
  31. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) おっしゃる趣旨は私どもよくわかっておるつもりでございますけれども、要するに交付税で公共事業等の元利償還費を面倒を見るということにしますと、財政規律の面あるいは経営合理化の努力に対する面でいろいろ問題があるというような御指摘もいただいております。  ただ一方では、公共事業等につきましては、国が全体としての長期計画を掲げ、それに従って必要な事業量を計算し、その目的に従って事業の実施を図っていくという意味でありまして、したがって、私どもの方には別の観点から、公共事業等の実施は完全に財源保証をしてきちっとやれというような御指摘を受けることの方が多うございます。  そういう意味で、地方債の元利償還につきましても交付税に算入するというような形で事業の確実な実施を期しておるわけでございますけれども、一方でそのような形で地方団体財政負担が膨らんでくる、それは将来の交付税にも関係してくるということでございますので、私ども個々の地方団体ごとにその元利償還費がどのような状況になっておるか、それを公債費負担比率でありますとか起債制限比率だとかあるいは経常収支比率だとか、そういうふうな指標を用いまして、分母に一般財源を置きまして、それに見合いの地方債の元利償還費がどうなっておるか、その場合にも、起債制限比率の場合は純粋な一般財源だけで計算をいたしますけれども、公債費負担比率の場合は交付税で元利償還がなされたようなものもカウントしてみるような指標を用いておりまして、そのような形で個々の地方団体でどのくらい過去の借金が将来の歳出を拘束することになるのか、そういうことを見ることができるような対応をとっておるわけでございます。  それを今言ったような形で、保証料というような形の指標に置きかえてもう少しわかりやすくしたらどうかという御指摘につきましては、なお勉強させてだきたいというふうに思います。
  32. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、特殊法人についても、また別の観点から質問させていただきたいと思いますが、同じような問題があるわけでありまして、特殊法人一般ということになるとなかなか総務大臣お答えづらいかもしれませんが、所管の、例えば公営企業公庫等について質問をさせていただきたいと思います。  これが仮に財投機関として財投機関債を出すということになった場合に、そこに政府保証が仮につくとなれば、当然その部分はその債券を市場で売買するときに特別な政府の傘がつけられていると。それはある面、政府による信用供与だということなんで、そのことも将来的には私は政府に対して保証料を支払う、あるいは少なくとも、それを払っていないとするならば、その部分だけコストがかかっているということを認識した上でそれぞれの特殊法人事業を運営していくべきだというふうに思っておりますが、その点大臣の御意見を伺いたいと思います。
  33. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今お話しの公営公庫は、上下水道等の整備に対しまして長期低利の資金を融通する、いわば地方団体の共同資金調達機関です。そこは低利であると、何で低利かというと、やっぱり上水道も下水道等も公共料金ですからできるだけ高くしない方がいい、あるいは地方団体がそれによって財政負担を仮にこうむるようなことがあったらこれもよろしくない、こういうことで、そこで政府保証をつけているんですよ、低利の資金を低コストで調達するために。だから、保証料を払いますとそれだけコストがかかって、今の言うた公益目的に反するものですから。  御意見はよくわかるんですよ、御意見は。今の地方団体に対する話も特殊法人である公営公庫に対する話も、浅尾委員のお考えは私よくわかるんです。一つの筋だと思いますけれども、今の実情はなかなかそうはいっていない。十分地方団体が税財源を持っている、こういう状況になればまた私は話は違ってくるんじゃないかと個人的には思っております。
  34. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 大臣の御答弁もよくわかるんですが、まず現段階でできることとしては、少なくとも政府保証がついていることによって低利の資金が調達できているわけです。そのことは、逆に言えばその公営公庫に対する実質的な財政支援ということなんだと思うんです。  実質的な支援をしているということであれば、少なくとも、保証料を取らないまでも、管理会計としてこれだけ財政支援をしているということを把握しておいた方が、行政評価をする、要するに低利のお金を使って下水道をつくるということの意味合いはよくわかりますから、要するにこれだけの、それ以外に一般財源からもお金が補てんで入っているかもしれませんが、それに加えて、保証料相当分というものを把握しておいた方が行政の透明性にもつながりますし、あるいは行政評価にもつながるのではないかなというふうに思いますので、保証料を取る、取らないという議論とはまた別に、管理上必要かどうかということについてはどのように考えられますか。
  35. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) なるほどね。来年度から、といってもうすぐですけれども、政策評価を始めるわけで、今の御指摘は一つの御意見だと思いますから、政策評価上何らかのあれができるかどうか、ちょっと検討させていただきます。
  36. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ありがとうございます。  それから、もう一つそういう意味でまた議論をしなければいけないなと思っておりますのが、いわゆる郵便貯金であります。郵便貯金については、一般の銀行は、預金を我々が預けますと、たしか〇・〇八四%だったと思いますが、預金保険料というものを我々の預金の中から、事実上、本来支払われるべき利息から、その〇・〇八四%だったと思いますが、保険料というものを銀行が預金保険機構に納めているというのが現状でありますが、郵便貯金については預金保険料相当というものを払っておられないということであります。  そうすると、預金者、私の立場に立てば、これは郵便貯金に預けた方が、ほかの条件が仮に一緒だとすれば、その分だけ得かなという気にもなるわけでありますが、その点について、まず預金保険料相当について、少なくとも管理上はこれすぐわかるわけですけれども、郵便貯金の残高掛けることの当該預金保険料率を掛ければ管理上はすぐわかるんですが、実際上そういったようなものを例えば国庫に納めるようなことを検討される可能性というのはあるんでしょうか。
  37. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御承知のように、預金保険制度は預金者等の保護を図るために、金融機関が破綻する、そういう場合の保険金の支払い等をしっかり、しっかりといって、ペイオフになりますと一千万ですけれども、それをやるという制度でございますが、郵便貯金事業の方は法律で、貯金の払い戻しと利子の支払いは国が保証すると書いてあるんです、何条だったか忘れましたけれども。  それで、基本的に民間の金融機関というのは営利なんです。いろんな信用秩序や大変公的なこともやっているんだけれども、基本的には営利で、郵便貯金の方はいわゆるユニバーサルサービスをやると。もうかろうがもうかるまいが、採算に合わなくても、小口で個人対象に一千万の限度で貯金をちゃんと受け入れる、こういうことですから、そこは、預金保険料払っていないから有利だと、有利かもしれませんが、そのかわり、もうかろうがもうかるまいが、これはユニバーサルサービスをしっかり確保するというのがもう一つ求められているわけで、そこの見合いだと思います。  だから、今の制度では法律でもちゃんとそう書いていますから、預金保険料を払う、あるいは預金保険制度に加わる理由は見当たらない、こういうことになります。
  38. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確かに、今の制度のもとではこれは郵便貯金そのものが国が最終的に元本を保証しているわけでありますから、預金保険に加わる必要性はないんだと思います。  きょうは金融庁の乾総務企画局長にお越しいただいておりますが、不良債権の最終処理とか直接償却とか、いろいろ言われております。言われておりますが、私は銀行が、日本の経済を考えた場合には当然、不良債権の直接償却ということはやっていかなければいけないというふうに思いますが、そのためにはある程度銀行にも収益を上げられるような基盤をつくっていかないと、一遍にはなかなか難しい問題もあるだろうなと。収益を上げる基盤をつくることを考えた場合に、イコールフッティングでの競争ということも考えていかなければいけないのではないかなと。  そうすると、預金を集めるということを考えたときに、片方は預金保険料といういわば税金のようなものがかかっている、片方にはそれがかかっていないということは、少しイコールフッティング、競争の観点からやや疑義があるのではないかなと思いますが、その点について乾局長はどのように思われますか。
  39. 乾文男

    政府参考人(乾文男君) ただいま浅尾先生がおっしゃいました、金融機関にとりまして喫緊の課題はこの収益力の強化ということでございまして、お触れになりました不良債権の処理の問題等を初めといたしまして、今後の国民に対しまして優良な金融サービスを提供していく中で、日本の金融機関に求められているのは収益力の強化ということでございます。  そうした観点から、私ども、金融機関に対しましてどのようにして収益力を強化するか。例えば、融資をするときに必要なリスクをとるわけでございますけれども、そのリスクに見合ったリターンを設けるとか、あるいはいろいろな手数料というものを適正にいただくとか、そのほかいろいろな分野において対応力の強化を求めているわけでございます。  そうした中で、金融機関が預金というものを集めるだけが収益力の強化になるかどうかというのは、これは現在の金融の需要の中では議論の分かれるところでございますけれども、その問題をさておきまして、郵便貯金との関連で申しますと、これは金融庁といたしましては、いわゆる郵便貯金は官業でございますけれども、官業の基本的な考え方と申しますのは、官民の適切な役割分担に立って、あくまでも民業の補完ということで運営されるべきものというふうに考えているところでございます。
  40. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もちろん、確かに今言われるように、預金を集めれば収益が上がるという問題ではないと思います。しかしながら、その預金に、単純に言えば、片方は国の保証がついている、片方は自己責任で保険料でもってみんなでカバーし合いましょうということを考えると、収益機会としてはそこだけを見れば若干不利なのではないかなと思いますが、その点はいかがですか。
  41. 乾文男

    政府参考人(乾文男君) 現実に浅尾先生のような御意見の方も経済界あるいは学界にもいらっしゃることは事実でございます。  私ども、民間金融機関の業務を監督しておりまして、その業務というものを、総合的に収益力の強化というものを求めていくわけでございますけれども、今の預金保険料の問題について、これは相当高い水準にあることは事実でありますけれども、それが直ちに郵貯との関係で民間金融機関を圧迫しているかどうかについて一概に申し上げることは困難であると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、公的な金融機関というのは民業を補完する立場にあるという基本を踏まえまして、適切に運営されるべきものと考えているところでございます。
  42. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もし数字をお持ちであればお答えいただきたいのでありますけれども、この一年間の銀行の預金の推移と、そして、もし総務省側で郵便貯金の増減という数字があれば、これはちょっと私、質問通告しておりませんので、あればお答えいただきたいと思いますが。
  43. 乾文男

    政府参考人(乾文男君) ちょっと今手元にデータがございませんので、また後ほど御説明させていただきたいと思います。
  44. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ちょっと私の方も、通告がございませんでしたので。
  45. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 済みません。私の方で質問通告をしていなかったものですから、失礼いたしました。  いろんな金融不安というようなことが言われる中で、いろんな経済学者、今おっしゃいました学者の議論で最近よく行われているのは、日本の経済ということを考えた場合には、これは経済学者だけでなくて政府のいろんな諮問会議等でも言われておりますし、あるいは内閣の多分柳澤大臣なんかも言っておられるんだと思いますが、リスクマネーというものの必要性がよく言われております。リスクがないところにどうしてもお金が集まりやすい状況があるわけでありまして、そのことを考えると、本当はリスクとリターンというものは、リスクが多ければ平均のリターンというものも高くなっていく市場が非常に理想的なわけだというふうに思っております。  しかしながら、今の議論でいいますと、一番リスクがないのはどう考えても郵便貯金でありまして、これは国民にとってはありがたいことなんです、そういうリスクがない。ただ、国民一人一人にとってはありがたいことではありますが、逆に国民経済から考えると、そこにばかりそのお金が集まってしまうと、経済がうまく動かなくなってしまうんじゃないかなと。  そういう意味で、少しイコールフッティングということを考えたら、やはりいずれかのタイミングで、少なくとも政府の保証、国の保証というものがあるわけですから、預金保険料相当分を何らかの形で金利から差し引くのか、あるいはそれを国庫に納めるのかといったようなことを考えることも必要なんではないかなと思いますが、総務大臣、いかがでございますか。  また、数字がもし出てきたんであれば数字もお答えいただきたいと思います。
  46. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 金融庁の参考人が答えておりますように、やっぱり官民の適切な分担というのは私は必要だと思っています。  そこで、何度も申し上げますが、私どもの方の郵便貯金は、山間僻地、離島をあまねくユニバーサルサービスを確保する、手間がかかってコストがかかる小口を中心にいく、あるいは個人を中心にいくと。それから、できるだけ持つものは持つというので、例えば例の基礎年金ですね、基礎年金は民間の銀行だと三分の一は国庫負担なんですけれども、郵便貯金の方は全部特別会計で持っているわけですよ。  そういう意味で、私は適切な今分担関係にあるんじゃなかろうかと思いますし、御承知のように、例の定額が集中満期になっておりまして、かなり今、率もシェアも落ちているので、私は現行のシェアというのが集中満期の前のシェアの範囲で、郵便貯金はやっぱり民の補完という立場でいくべきだと、こういうふうに言っておりまして、今のリスクマネーの話もありましたが、今後とも郵便貯金のあり方については長期的な検討を私どもの方でもいたしたい。いずれにしろ、二年後には公社に変わるわけでございますから、そういう中で考えたいと思っております。
  47. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係もありますので、次の質問の方に移らさせていただきたい、こういうふうに思っております。  そこで、公共事業に対する地方財政措置に関して幾つか伺わさせていただきたいと思いますが、かつては、一九七〇年代ぐらいに、全国四十七都道府県を比較しますと、都会の都道府県もあるいは地方も、その県内の総雇用者の中で建設業に従事する人というのは大体六%から八%で余り変わらなかったわけであります。しかしながら、最近はどうもいわゆる地方の、地域の方が建設業に従事する方が都会と比べるとかなり比率的に高くなっているということが言われております、これは統計上そうなっております。  そのことと直接的にどうかかわるのか、ややわかりにくい部分もありますが、例えば大型の公共事業、港湾をつくるですとか大型の公共事業を考えた場合に、それのそういった事業を行う場合に、基準財政需要で見ます裏負担、いわゆる裏負担が港湾の場合はほぼ一〇〇%見てもらえる。ところが、先ほど来出ております下水道、下水道そのものを仮に大型でないというわけでもないんですが、例えば合併浄化槽とかそういったようなものを考えると、そちらの方は住民負担もあることもあって一〇〇%ではなくなっていると。  なぜそうなっているのかということは、もちろんいろんな意見があろうかと思いますが、やっぱり地域経済を考えた場合に、特に建設業に従事される方が多いところの知事さん、市長さんにしてみれば、地域経済の発展を考えれば大型公共事業に対する裏負担を厚くしてくれと、これは別にどこの県をということではなくて、基本的にそういうふうにしてくれという要望が多いんではないかなというふうに思いますが、なかなか当局としては答えにくいかもしれませんが、まず実際にそうなっているのかどうか、お答えいただきたいということが質問の第一であります。
  48. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 御指摘の全就業人口に占める建設従業者の割合等、私どもまだ詳細な数字はチェックできておりませんけれども、一般論で申し上げますと、財政力の弱い地域は経済活動も弱いわけでありまして、その分だけ他の雇用機会は少ないと考えられますから、そういう意味で公共投資等に基づく建設業事業者のウエートが相対的に高くなっておるというようなことはあり得るというふうに私どもも考えております。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 例えば、大型の建設事業に対していわゆる補助金の裏負担を厚くしていて、今申し上げた下水道等についてはそうなっていない理由というのはどういうところにあるんでしょうか。
  50. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 公共事業に係る地財措置というのは、その事業の効果が広域的に及ぶかどうか、あるいは受益者負担があるかどうか、そういった特定財源の状況等を見ながら決めさせていただいたものでありまして、港湾事業の場合は、一般的にはその事業の効果がその団体だけにとどまらずに広域に及ぶことということを主として考えておりまして、地方負担の約七割を交付税で措置するというような考え方をとっております。  一方で、下水道につきましては、これは交付税措置率、地方債に対する元利償還への算入率が五〇%になっておりますけれども、これは下水道の個別の考え方に起因するものでございまして、これは汚水と雨水と同時に処理をする、その汚水部分については実際に利用される住民の方々、受益者の方々に負担をしていただいた方がいいだろうということで、雨水処理経費について公費で負担をするという考え方に立ちまして、この雨水相当分だけ見ますと七〇%算入するという考え方をとっております。ただ、全体として見ますと、両方まぜますと五〇%の算入率になっておるというものでございます。  そういう意味で公共事業の場合は、地域において整備の重要性は極めて高いというようなことを勘案いたしまして、そういう意味でいいますと公費部分につきましてはかなり高い算入率をとらせていただいておるものでございます。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いわゆる交付税とか国庫支出金の一人当たりの金額というようなものについても議論を移させていただきたいというふうに思っておりますが、私の手元にあるので私の方で読み上げてもいいんですけれども、一番多いのが、国庫支出金一人当たりは島根県で、これが二十一万三千百五十六円、同じく地方交付税一人当たりで一番多いのは島根県で、二十八万六千三百四十七円でございます。  ちなみに、国庫支出金が一番少ないのは神奈川県の三万四千八百九十一円で、交付税の方は東京都は不交付団体でありますからゼロ円ということなんです。まず、これなかなか質問してもしようがないことかもしれませんが、例えば島根県というのは、一人当たりの県民所得が全国四十七都道府県の中で一番少ないわけでもありませんし、人口が一番少ないわけでもないわけでありまして、そうすると、当然、いろんな計算の上、法定してこうなったというお答えになりますから質問はしませんけれども、先ほど申し上げました、例えば私がおります神奈川県は、両方の数字、交付税と国庫支出金を足しても大体五万二千円ぐらいなんですね。島根県は両方足すと五十万円ぐらいということになると、これはいかにも、余りにも差が違い過ぎるんではないかなという議論に当然なってくるわけであります。  こちらの方はお答えできるんではないかなというふうに思いますので、衆議院議員の選挙区別の人口の多い選挙区を上位三つ、それから少ない選挙区を上位三つお答えいただけますか。
  52. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 最後がよくわからないんですが。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 人口の少ない選挙区の順に、下位からというのか一番少ないところから三つお答えいただけますか。
  54. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 衆議院の小選挙区で申しますと、人口が多い選挙区は上から順番に神奈川七区、神奈川十四区、愛知六区の順でございます。  少ない方は、少ない順に言いますと、島根三区、高知三区、徳島三区でございます。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今お答えいただきました神奈川七区と島根三区の比率でいうと、二・四九対一なんだと思います。神奈川七区が四十七万六千八百四十三人に対して、島根三区は十九万一千五百三十五人ということでありまして、約二・五倍ぐらいの差がありますねということになってくるわけであります。  そこで、選挙についても所管されております総務大臣に伺いますが、今、参議院についても人口格差は非常に大きくて、これは東京都と鳥取ですか、五・〇四対一になっておりますが、まず衆議院については新聞等では中選挙区に云々という議論も出ておりますが、私はむしろ一票の格差を是正する方が大事なんではないかなと。先ほど申し上げましたように、交付税と国庫支出金を足した金額が、一票の軽いところと重いところで十倍以上の差が出ている、そういう現状等を考えると、あるいはいろんな人の、いろんな方々の政治不信ということも考えると、少なくとも一票の格差を是正していくことが大事ではないかなと思いますが、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  56. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 浅尾委員いろいろ言われましたが、交付税は、もう釈迦に説法なんですが、これは税の多いところ、少ないところを調整する制度なんですよね。だから、税金が少ないところは交付税が多いんですよ。だから、東京都みたいに税金が多いところは不交付団体になる、神奈川県はその次に税金が多いと、こういうことでございますから、税と交付税を足していただいて、一人当たりの一般財源を保障するというのが交付税の一つの目的ですから、財源調整制度で、それは御理解賜りたいと思います。  それから、公共事業中心の国庫支出金、補助金負担金というのは、これは事業にリンクしておりますから、だからそういう意味ではやっぱり、後進県と言ったら怒られますけれども、そういう意味では開発途上的な県の方がどうしてもそういう事業が多くなるし、そのために国庫支出金が多いということになるんじゃなかろうかと思います。  そこで、今の御指摘の人口格差の問題ですが、参議院の場合には、御承知のように、昨年の臨時国会で十人削減をいたしまして、その際の鹿児島県と三重県との逆転現象の解消も行われております。また、昨年末に公表された国勢調査人口によりますと、今、人口格差は四・九一六倍ですね。最高裁は六倍以内と言ったんでしょうかね。参議院の場合には半数改選でもございますし、そういうことを言われておりまして、格差の是正ということは今後とも大きな課題であると、こういうふうに思っております。  それから、衆議院の方は、昨年末の国勢調査人口によりますと、最大格差が二・五七三倍でございまして、格差が二倍を超える選挙区数は九十五となっております。二倍を超えないことが基本であると最高裁は言っておりますから、現在、これも御承知のように、衆議院議員選挙区画定審議会が一年間審議をして小選挙区区割りの見直しの勧告をやると、こういうことで今作業を始めておりまして、ことしの十二月二十二日までに区画見直しの改定案の勧告を行うと、こういうことになっておりますから、それによってまたその格差の是正が私は図られるんではなかろうかと、こういうふうに思っております。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、最高裁がいいと言ったからいいという立場に立ちません。むしろ、やはり一票というものは、我々政治家がその一票の格差を是正していくべきだというふうに考えていくべきなんではないかなというふうに思っております。  今、区割りの話を伺いましたが、別の質問をさせていただきますと、中選挙区の議論が少し新聞等で出ております。中には、都議会議員の選挙区よりも小さいところから選ばれると政治を小さくするというようなことをおっしゃる方もおられるわけでありますが、実はその選挙区から選ばれた方、地域から選ばれた方、その選挙区の方が、そのことをおっしゃった方の選挙区よりも人口が多いということもあるわけでありまして、そうすると、何かそのことをおっしゃった地域の方の方が、人口は少ないんだけれどももっといい人を選んでいるということになると、平均してその地域の方の見識が都会の人よりも高いということになろうかなというふうに思いますが、中選挙区に戻す戻さないという議論について、総務大臣の意見を伺いたいと思います。
  58. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 選挙制度は、基本的には各党各会派で十分御議論いただいて今までも決めてきておりますし、それは中選挙区から小選挙区に移るときに大変な議論と経緯をやって移っておりますので、御議論としては十分あると思いますけれども、各党各会派で十分な御議論を詰めていただきたいと、こういうふうに思います。
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係で最後の質問に移らせていただきます。  先ほど行政評価というようなこと、あるいは政策評価ということが出ました。地方公共団体においても、私、行政評価、政策評価ということが当然今後必要になってくるというふうに思いますが、そのときに自分の身内で行政評価、政策評価をやるということ、もちろん大事だと思いますが、第三者の目によって行政評価、政策評価をやっていくことが必要なんではないかな。そうすると、第三者、民間のNPOでもいいし、コンサルティング会社でもいいんですが、そういったようなところを雇用する、大学の先生でもいいのかもしれませんが、そういう資金を財政需要の中に見ていくことということは考えられるんでしょうか。
  60. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 地方公共団体が行います行政評価を含めまして、行革取り組みに必要な経費につきましては交付税の基準財政需要額に算入させていただいておりまして、明年度は増額をいたしまして、標準団体について申しますと、県の場合は千四百万程度、市町村にあっては百七十万程度を算入する予定にさせていただいております。これらの経費の中には外部に対する委託料といったものも想定をいたしておりまして、これらの財源措置を踏まえていただきまして、各地方団体、必要に応じて外部評価の導入も含めまして、この問題に適切に対応していただけたらというふうに考えておる次第でございます。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  62. 輿石東

    ○輿石東君 民主党の輿石ですが、先日に引き続いて御質問をさせていただきたいと思います。  今、我が会派の浅尾議員と片山大臣のやりとりをお聞きしまして、交付税、何のためにあるのか、各県の税源がアンバランスなのでその調整をやらなければいけないと。それとかかわって、一票の格差をどうするのかという話の中で、私は山梨ですから、浅尾議員のところは神奈川ということで、そういう点では大変人口も格差も違っておると、そんなことを思いながら聞いていました。今、大臣はちょっと後進県というような言葉を使われたわけですが、山梨も後進県かなと思って、ちょっと悲哀を感じながらお聞きをしていました。  きょうは、私は、新しい世紀を迎えたわけですけれども、森首相が年明けに日本新生、教育国会にすると、こういう言い方でスタートして約二カ月たってきたわけですけれども、きょうの朝日新聞にこんな社説が出ています。  「国の金をあてにするな」と。宮澤財務大臣が、国家財政というバケツの底に政治が寄ってたかって穴をあけるのを容認してきたと。税金を使った株価対策を認めるかのような言動は、軽率のそしりを免れないと。今、与党三党が緊急経済対策を提示し、その中心が株式の買い上げだと、こういう政策をまた打ち出しているわけですね。  私は、よく最近、一九九〇年代の失われた十年という言葉をいろいろなところで聞いているわけですけれども、この間、十年なのか十五年なのか、政府が出してきた財政政策や金融政策というものの過ちというか失敗が負の遺産となって、この新しい時代を迎えても、新しい世紀を迎えても、大きく我々にのしかかっているんだろうと。そういう閉塞感が国民全体にはびこっているんで、消費は拡大するどころかどんどん落ちていくと、こういう状況になっていると思うんです。  ちょうど二週間前の三月十三日の日経平均株価は、ついに一万一千八百十九円ですか、きのうあたりは一万三千円にようやく回復したという報道もあるわけですけれども、これを見てみますと、一九九八年の十月に金融システム危機に見舞われた、そのときどころじゃない、もっと、十五年前のバブルの発端となったプラザ合意、一九八五年の九月期よりも落ち込んだということになるわけですから、私は、こういう点からいえば、失われた十年ではなくて、失われた十五年ということも言えるのではないのかなと。もう我が国にとっては政策のすべてにわたって方向転換をしていかなければならない分岐点に来ているんだろうと、こういう認識がまず必要だろう。  そこで、私はきょうは、その分岐点に差しかかっている政策転換の重要性、緊急性という立場の中で、先ほどからも議論になりました、先日も議論をさせていただきました省庁再編とか財投とか、そして郵政三事業とか教育改革を含めて、八項目ぐらいの項目にわたって具体的に質問をさせていただきたいと、こう思っています。  最初に省庁再編についてお伺いしますが、先日の本委員会でも片山大臣は、まず官から民へ、中央から地方へという発想でこの総務省という巨大官庁をリードしていくというお話があったかというふうに思います。  総務省は、郵政局員二十八万人、職員を合わせると三十万人というマンモス官庁、巨大官庁になった。その最高責任者として引っ張っていくわけですから、先日、大臣、大相撲大阪場所で魁皇が優勝した折に、総理大臣にかわって総理大臣賞を持ち上げた。大変重かったと思いますけれども、その重さ以上に大臣の責任とまた期待も大きいだろう、こう思っております。  前回も、この国会では郵便局の問題、郵政三事業の問題、先ほど浅尾理事からもありましたけれども、郵便局で戸籍抄本とか住民票とか、それから納税証明書ですか、そんなものもとれるようになって、それに向けての関連法案もこの国会で予定をされているはずであります。  そうした点からいって、巨大官庁だけれども内実はばらばらではないのかと、こんな批判や指摘もあるわけですけれども、まず最初に、その総務省が中身はばらばらだと言われない、言わせない、そういうものにしていかなければならない責任があると思いますが、今後どのように大きくなった総務省のメリットを生かして取り組まれていくのか、まず大臣の見解を伺いたいと思います。
  63. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、輿石委員からお話がありましたように、一月六日から郵政省、自治省総務庁が統合されまして総務省になったわけであります。  お話しのように大変巨大な役所でございまして、郵便局の職員の方もカウントされますので、職員は三十万四千人余、予算は地方交付税等がありますから一般会計で十八兆五千億円余、それから特別会計がまたいろいろありまして、これはもう言いませんけれども、特に郵貯、簡保の自主運用が始まりますので、これがまた大変な額になる。私は本当に巨大な官庁だと思っておりますが、中央省庁再編で総務省ができましたので、できるだけ三省庁の今までの殻を脱ぎ捨てて、要は結束して一つの省としての連帯意識を持ってぜひ頑張っていただきたい、こういうふうに思っておりまして、顔を合わせていろんなことをやっておりますから、だんだん心が合ってきて、私はそのうちお互い力を合わせることになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  この前も当委員会で申し上げましたように、基本的には二十一世紀の行政は官から民へ、中央から地方へでございまして、私は総務省は、二十一世紀のキーワードでいろいろありますけれども、そのうち国、地方を通じる行政改革、官民を通じるIT革命の推進、さらに地方分権地方税財政基盤の強化、これが私は二十一世紀のキーワードの総務省が担当する三つではなかろうか、こういうふうに思っておりまして、これを積極的に推進してまいりたい。  まず、統合の実を国民の皆さんから現場で見てもらうためには、一番国民の皆さんの第一線におる郵便局と市町村役場が連携をしてもらって、やっぱり便利になったな、福祉の増進につながったなと、こういう感想を持ってもらいたいということで、もうこの国会に郵便局に市町村の行政を委託してやっていただく法案を出しておりますので、ぜひ早急な御審議、あるいは御議決をお願いいたしたいと思っております。  今、輿石委員が言われましたように、例えば住民票、戸籍抄本、謄本、納税証明書、印鑑登録証明書、あるいは外国人登録証明書等の交付を郵便局でワンストップサービスで受けられるようにする。あるいは、外勤の方が十一万四千人おられますから、郵政職員さんには、その方々に郵便を持って回っていただくわけですから、ひとり暮らしの老人等のケアをしていただいて、いろんな代行をできればお願いしていくと。こういうことも考えておりまして、それはそれぞれの郵便局と市町村で御相談いただいて、うちの郵便局はどこまでやると、こういうことを決めていただければと、こういうふうに思っておりまして、割に、私が少なくとも聞く感じでは市町村の方も郵便局の方も大変これは乗り気で、私はいい話になっているなと、こう思っております。  自分の県のことを言っちゃいけませんが、岡山県ではこの前、岡山県知事と郵政の代表の方で協力連携包括協定というのを結びまして、例えばいろんな災害現場の情報、道路損傷の情報、あるいは環境関係のいろんな情報を郵便局の皆さんが県の出先や県に通知をするとか、災害のときに全面的な協力をするとか、あるいはその他の催し等でも協力するとか、こういう包括的な協定を結んだわけでありまして、そういう意味でも、総務省になって地方行政と郵便局がだんだん私は一体協力関係が強くなってきたなと、こういうふうに喜んでいるところでございまして、今後ともその関係をさらに推し進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  64. 輿石東

    ○輿石東君 大臣、今のお話で、まず三省庁が一緒になった、その三省庁の殻を脱ぎ捨ててと、こういうお話もありましたし、官民の協力でIT革命を、さらには役場と郵便局の連携強化をと。  先ほども申し上げましたように、私は山梨で後進県かもしれないけれども、山間僻地が多い。郵便局の果たす役割というのは重要視していかなければならない、そう思いますが、その問題については、二〇〇三年から国営公社に移行するという問題は後ほど触れさせていただきますが、なかなかきちっとやらないと大変障害も問題もあるだろうという認識をしております。  もう一つ加えて、今のお話の中で、きちっと三省で顔合わせをした、その効果が出るようにというお話もありました。我々もよく顔合わせから心合わせ、力合わせと、こう進んでいくんだなという話もあるわけですけれども、本当に力合わせまでできている状況になり得るのかどうか。  そういう点からひとつお伺いをしてまいりたいと思いますが、総務省は今、大臣のお話にもありました郵便貯金と簡易保険、それぞれ二百五十兆、百十兆ですか、合わせれば三百六十兆という巨大な、これはもう世界でも例がないほどの資金運用機関に見方を変えればなってしまったということが言えるのではないかというふうに思うわけであります。特に最近は、先ほど冒頭、朝日新聞の社説を御紹介しましたけれども、株価の下落、不良債権の償却問題とか低金利、相次ぐ企業の倒産、こういうものが続いてありまして、郵貯と民間の金融機関との厳しいせめぎ合いというのも現実になってきていると思うのであります。  先ほど浅尾委員の話にありましたように、リスクのないところに、少ないところに金が集まりやすいと。そういう点で、黙っていても国の保証がある郵貯とか簡保へ金が流れていくという傾向は多いのではないか。その実態は今数字的にどうだというのは先ほどは出されませんでしたけれども。  そうした中で、四月からはこの約二百五十兆円の郵便貯金の全額自主運用という形になってスタートしていくと思います。これは二百五十兆円といえば個人資産、もう千四百兆とかなんとか言われていますけれども、そういう約二〇%に値する個人資産のそれだけの巨大な金の運用が、今まではこの郵貯資金は大蔵省の資金運用部で運用をされていたと思います。これを財投機関や、先ほどお話がありましたように地方公共団体に貸し付けて地方で下水道等の仕事をしているという形になっていると思います。今度はその形がこの四月から変わって、総務省でその判断をすべてできる、そういうふうになったメリットはあると思いますけれども、直接地方公共団体に貸し付けるという形ですから。しかし、今までは地方公共団体が発行する地方債、この許可を旧自治省がやっていた。こういう形から変わってきて、大蔵省がその財源を、資金の大部分を面倒を見ていたという形から変わるわけでして、そこで問題になるのは地方債の発行の許可を行った部局と資金を融通する部局が一つになったともこう言えるというふうに思います。  お互いに同じところへ入ったんだから、郵便貯金や簡保の財布のひもがどんどん緩くなっていくんではないかと、そういう心配も指摘する方々もあるわけですけれども、こういう点についての見解を伺っておきたいというふうに思います。
  65. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) この四月一日から全額自主運用ということになるわけでございますが、これは国民の皆さんから大切にお預かりしている資金でございますから、安全にかつ有利に展開するように心して運用に心がけたいと思います。  その一方で、今ただいまは郵貯と簡保資金の地方公共団体への直接貸し付けのことについて御質問がありました。これは、同じ総務省の中で、貸す方も借りる方も同じだからモラルハザードを起こすのではないかという御懸念のようでございますけれども、実際は、まず出の方ですけれども、貸し付けの方ですが、これは運用計画の一部といたしまして、まず郵政審議会の審議を経なければなりません。また、財投計画の一部といたしまして、財政制度審議会の審議を経るとともに、最終的には特別会計を予算としてこの国会で御承認をいただく、こういう仕組みになっております。  それから、いわゆる入りの部分ですけれども総務省が財務省との協議を経て策定する地方債計画におきまして、地方債資金としての額を明らかにいたしまして、地方債の発行見込み額等を含めた地方財政計画が国会に提出されて、きょうも御審議をいただいているわけでございますが、このように国会でともに出の部分も入りの部分も御審議をいただく、こういうことになっておりまして、チェックがきちっと働くということで透明性が確保されるということですから御懸念はないと、このように思います。
  66. 輿石東

    ○輿石東君 今、お答えの中に、入り口の部分で地方債の計画の段階と審議会、そこでチェックをしていくのでと、こうお話がありました。それではその審議会のメンバー構成はどのようになっていますか。
  67. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) ただいま詳細なメンバーの持ち合わせがございませんので、後ほど資料で補完させていただきたいと思いますけれども、それぞれ有識者あるいは学識経験者によって構成をしていただいておる審議会でございます。
  68. 輿石東

    ○輿石東君 ぜひ御答弁にもありましたモラルハザードという心配のない運営をしていただきたいとこう思います。  そこで、先ほども触れましたけれども、郵政三事業の問題について若干触れさせていただきます。  今回、郵便貯金、郵便それから簡保、このいわゆる郵政三事業総務省の外局である郵政事業庁に移行をしていくという形になったと思います。これがまたあと二年後の二〇〇三年に国営公社という形に形態を変えていくという、移行をされるわけですけれども、その新しい公社は、中央省庁等改革基本法、これにうたっている公社にする理由として、一つは独立採算制のもとで自律的かつ弾力的な経営をしてもらうんだ、そういうものが可能になるんだという規定があって、今までのように法律に縛られたサービスではなくて、利用者の立場に立ったサービスがこのことによって可能になる、こういう目的で移行をするという、いわば官民折衷の経営ということになろうかとこう思うわけです。  これに対して、これが民間的な手法を取り入れれば、郵貯という大きな巨大な資金ですから、ほかの銀行との競り合いというか、そういう競争をあおってしまう、だからといって今までのように国の関与が強過ぎると管理運営とか経営面で破綻をしていく危険はないかと、こういう二つの要素を持っている、そういう課題を残している。  これに対して、全銀協、全国銀行協会ですか、ここでは郵貯の民営化というのを全銀協でも提言をしていると思いますけれども、そのことは承知をされておるでしょうか。
  69. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、お話がございましたように、いわゆる行革基本法では二年後に今回の省庁再編で外局になりました郵政事業庁を国営公社に移行すると。今、輿石委員言われましたように、その基本法での枠組みも書いておりますけれども、独立採算制のもとで自律的かつ弾力的な経営を行う、国の関与は事前管理から事後評価へ転換する、企業会計原則を導入し経営情報の公開を徹底する、ただし職員の身分は国家公務員で民営化しない、これが基本的なフレームなんですね、基本法の。我々はこれを守ってしっかりした国営公社の制度設計をいたしたい、今年中に制度を固めまして来年の通常国会には法案の御審議を国会でお願いいたしたい、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、今郵貯等の話でございますけれども、郵貯、簡保合わせまして、ちょっと今定額貯金の集中満期で解約が相当出ておりますから残留率が五五から六〇ぐらいですね。だから、百兆近くそういうあれがありますから、最終的にはどのくらいになるかわかりませんが、仮に二百三十兆、郵貯が今二百六十兆ですけれども、二百三十兆ぐらいになるのかどうかということでございますけれども、簡保を入れますと、三百四、五十兆、簡保が約百十兆ですね。それで、資金運用部に今までは運用が義務づけられておりましたから、資金運用部がいろいろなところに貸しておりますから、それがまだこれから返ってくるわけで、来年度の自主運用の額は、正確な数字、今ちょっとあれしておりませんけれども、大体四十五兆ぐらいじゃなかろうかとこう思っております。  これは先ほども遠藤副大臣から言いましたように、郵政審議会の議を経て、しかもまたさらに財政制度審議会にも諮ってきっちりした計画をつくって、最終的には特別会計として国会で御審議いただく、御議決いただく、こういうことになろうと思いますが、基本的には有利な安全な運用をするということで、国債、地方債を引き受けたり財投債等を引き受けるということが私は中心になるとこういうふうに思っておりますが、いずれにせよかなり大きな資金でございますから、とりあえずは四十何兆でも、だんだんとこれが、資金運用部からの貸し付けが返ってきますから、だんだん大きくなりますから、しっかりした自主運用のスケジュールや方針をもって臨みたいとこう思っております。  そこで、この金融マーケットとの関係で全銀協の方がいろんな意見を言っておられるのは私も承知いたしておりますが、生のままでの民営化は必ずしも私は全銀協の皆さんは望んでないんじゃなかろうか、こういう巨大な資金集団がだっとマーケットに同じ立場で入ってくるということは、私はそれなりに大変なことではなかろうかと、こう思っておりまして、そういうことには実はならないわけでありますから、国営公社ですから。ただ、かなり、今、輿石委員言われましたように、官民折衷的な、民間的な経営をしていくわけでありまして、そこで、結局、先ほど言いました官民の適切な分担、お互いのすみ分けと、こういうことを基本的な考え方にしていきたいし、シェアをこれ以上ふやすようなことはしないと、こういうことでございまして、何度も言いますけれども、郵貯の方は、全国あまねくユニバーサルサービスを確保して、小口で個人対象にやると、こういうことが中心になると思います。
  70. 輿石東

    ○輿石東君 全銀協の提言の中身も大臣承知だと思いますけれども、改めてお聞きしますと、その提言というのは、公社化の後にこれを五年後に民営化すべきだというものであって、現在一千万までの預入限度額を引き下げていくと、それからもう一つは投資信託の販売も認めると、こんな中身で提言をされているわけですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  71. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私は、全銀協のを承知しておると言いましたが、そんなに正確には実は承知していなくて、銀行関係の方から話を聞いた、答申そのものは読んでおりませんので、これから勉強させていただきますが、全銀協の方が今、輿石委員言われたようなことを、五年後の民営化だとか限度額の撤廃だとか信託だとか、そういうことを言っておられるようですが、しっかり今ここで私余り、無責任ということでもありませんが、個人的な意見を申し上げるのはいかがかと思いますので、しっかりとして受けとめて、国営公社移行の後にどういうことをやるか検討させていただきたいと、こういうふうに思います。
  72. 輿石東

    ○輿石東君 先ほど大臣も言われましたように、今のこの巨大の資金のままで他の銀行とマーケットの中で競い合わせる、これは大変危険な状況だと、それはわかります。しかし、官民折衷の経営が国営公社という形で本当にうまくいくのかどうか、これはやってみなきゃわからぬという話になりましょうけれども、相当慎重にきちんとした計画を立ててやってもらわないとまた大変な課題も残っていくだろうと思いますので、その点は慎重にお願いをしたいというふうに思います。  また、この問題、郵政三事業の問題は、先日の委員会でもちょっと触れさせていただきましたけれども、総裁選とも絡んで、大変、この民営化をしなければ、収益も上げていない特殊法人等への金の流れを断ち切ることもできない、本当の財政構造改革は不可能だと、これを切り込むべきだという主張も強くあるわけでして、それはやっぱり政府をスリム化するのにはこの財投の原資となっている郵政三事業の民営化が欠かせないんだという、そういう主張をずっと続けているわけですけれども、こうした自民党の中にある主張について、大臣はどのようにとらえ、どう認識されているか、お伺いをしたいと思います。
  73. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 党内には、党内と申しますか、自民党内あるいは与党内にいろんな御意見があるということは承知いたしておりますけれども、先ほど申し上げましたが、大変な議論と経緯の中でいわゆる行革基本法を決めて、国会で御承認を賜って、国会で合意していただいたわけでありますから、我々は、基本的にはもう基本法の立場で粛々とやっていくと、こういうことになろうと思いますし、財投そのものがなくなりましたので、資金運用部が、これからは自主運用ということで、財投そのものを自力で資金調達をやるということで財投機関債や財投債の発行を来年度からやるわけでございますから、その点、私は一つの方向づけができたなと、こういうふうに思っております。
  74. 輿石東

    ○輿石東君 じゃ、この問題について最後の質問になりますが、今も決意を聞いたわけですが、こうした郵政三事業の民営化論もある中で新しい公社をどのように描いてどのような決意で臨まれるのか、大臣に再度お伺いします。
  75. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 先ほども申し上げましたが、基本的な制度は行革基本法で御規定をいただいておりますフレームで、先ほども言いましたが、やっていくと。かなり現在よりは弾力的なあるいは自律的な経営ができるのではなかろうかと。国の関与は縮小いたしますし、企業会計原則の導入をいたしますので、単年度の予算にこだわらずに中期的な経営もできるようになりますし、それから独立採算という基本的な線はこれは守っていくということでございますから、私は、さらに経営の自由度が増して、そういう意味では官と民の真ん中のような経営ができるだろうと。ただ、基本的に公社は国営で、従事する職員の方は国家公務員と、これは基本法に書いておりますから、これは堅持していきたいと。そういうことで、しかも民間との関係では、先ほども申し上げましたが、しっかりした機能分担で基本的には民の補完というこういう立場に徹してまいりたいと、こう思っております。
  76. 輿石東

    ○輿石東君 最後に言われた民の補完と、この辺の視点をぜひ忘れないでほしいというふうに思います。  なお、大臣は、郵便局が全国に二万四千、山間僻地を含めて津々浦々まであるんだと、これを役場とどう連携をさせて活用していくかが最大の課題だと先ほども話されたわけですけれども、私もこの二万四千ある全国に張りめぐらしているオンラインネットワークというものをきちっと活用するということは大事だと思います。それと同時に、今言われた巨大な三百五十兆にも上るこの量的な資金、これを民間とどのように調和させていくかということが最大のこの問題の課題だと、そのバランスの上にどうこの公社を構築していくかということに尽きるんではないかと思いますので、そうした視点できちんとやっていただくことを要望いたしまして、この項は終わりたいと思います。  次に、私の地元の河口湖というのが富士五湖の中に町があるわけですけれども、ずっとこの委員会議論の中で、地方分権は言われてもそれに伴う財源の充実、地方への移譲、これが最大のネックだと、浅尾委員もその辺を強調したわけですけれども、これとかかわって、最近、各町村で大変苦労して、課税自主権も分権一括法で認められたことだからということでそれなりの努力をしている。その一つの試みが河口湖の遊漁税。ブラックバスという魚がいるわけですが、近年、河口湖へそのブラックバスの釣りのお客さんが大変二十万というような数で、年間二十五万から三十万人のお客さんが集まる。この人たちに一回の釣りのお楽しみということから、今現在千円お金をいただいているわけですけれども、それに二百円かさ上げしてこの新税、こういうものを試みているわけですけれども、その遊漁税の条例が既に制定をされたというふうに思います。  この税を考えた隣接する足和田村、勝山村も、それを共同でやったわけですが、この町村長さんたちは、河口湖へお客さんが来てくれるのは結構だけれども、大変迷惑駐車というか、車が混雑する、加えてごみは散乱をする、トイレも不足をしている、こういうものへの資金も何とかしたい、そういうようなことでこのことを考えたと。言ってみれば分権一括法で新しく創設された法定外目的税、この第一号だろうと河口湖の町長さんたちは自負しているわけですけれども。  こういう小さな町がその地域の実情に応じてこういう努力をしているものをどのように評価しているのか。これは総務省との事前協議なり同意を得なければならないという手続もあろうかと思うわけですけれども、今後の見通しや総務省としての取り組み状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
  77. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 法定外税につきましては、今、委員からお話がございましたように、地方団体にとりまして課税の選択の幅を広げるものでありますし、また個々の地域の実情を踏まえまして納税者の理解も得ながら課税自主権の活用を検討すること自体は大変望ましいことであると思っております。  今、お話に出ました河口湖町、それから足和田村、勝山村の遊漁税につきましては、全国でおっしゃるように最初の法定外目的税の協議案件でございまして、内容を拝見しますといろいろと工夫をして持ってきていただいたと思っております。特に、三町村が広域的に連携してこういった新しい税制を仕組まれたという点は評価できるものと考えております。  法定外税につきましては、御承知のように、総務大臣地方税法上一定の要件に該当する場合を除き同意しなければならないと規定されておるわけでございますが、現在、遊漁税がこの要件に該当するかどうかについての検討を行っているところでございまして、できるだけ早期に地方財政審議会の意見もお伺いした上で結論を出してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  78. 輿石東

    ○輿石東君 今協議中という、そういうお話ですね。協議中で、この方向はどうなんですか。
  79. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 地方税法上、先生御承知と思いますけれども、三つの要件がございまして、「国税又は他の地方税課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること。」、それから「地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。」、それから、この二つの要件のほかに、「国の経済施策に照らして適当でないこと。」、このいずれかがあると認める場合を除きまして総務大臣はこれに同意しなければならないとなっているわけでございます。  現在、この三要件について該当するかどうか検討しているわけでございますが、委員承知のように、地方税法上、地方財政審議会の意見もお聞きした上で結論を出すという手続になっておりますので、最終的にどうするかということはなかなか申し上げにくいんですけれども、現在のところ、そう大きな問題はないんじゃないかなと思いながら今検討しているところでございます。
  80. 輿石東

    ○輿石東君 国の地方財政審議会の審議の結果も待たなければと、こういうお話のようですけれども、最近、河口湖だけでなくて全国各地でこういう課税自主権、みずから税を求めていきたいというそういう努力はされていると思います。  例えば、東京都のホテル税、それから神奈川の、先ほど浅尾委員からもありました臨時特例企業税というようもの、それから三重県では産業廃棄物税、鳥取でも森林保全税ですか、産廃リサイクル税とか、いろいろな名前をつけていろいろな検討が進んでいるというふうに思います。一方で、この東京都の港区では、たばこの自動販売機に税金をかけようと、その税も考えようと思ったけれども、これは税の徴収にお金がたくさんかかり予想した割には税収が見込まれないということで断念したというようなニュースも聞いているわけですけれども、私は、こうした地方自治体の積極的な努力というのは高く評価すべきでありますし、地方分権を定着させるという視点からも大事な取り組みだろうと、こう思っています。  ただ、この間、今お話がありましたように、これを総務省でもって認めるかどうかは三要件ある、三つの要件がある、こういうようなお話ですけれども、なるべく、余りかたくなにそういう問題にしゃくし定規にやるんではなくて、こうした努力も認めるべきだということをまず申し上げておきたいと思います。  なお、今回、こういう動きの中で注目すべき点が幾つかあろうと思いますけれども、その一つに、非常に自治体が環境と。これは自治体だけでなくて国を挙げて環境政策というのはうたわれていると思います。その環境に対する視点からの税の取り上げ方というのが各自治体で考えられているというふうに思います。  こうした場合に、地球温暖化対策という、これは地球レベルの政策かもしれません。今あるエネルギー税としては、地方税として位置づけている軽油引取税ですか、これは地方税として今あるというふうに思いますけれども、過去にはこれと同じように電気税とかガス税というのが地方税としてあったという歴史もあるわけでして、そういう視点から、地方税としてこのようなものをもう一度考えるなり、地方で考えた税に対して積極的に支援をしていくという総務省としての態度というか対応というのも必要だろうと思いますけれども、この点について総務省はどのように考えられているか、御見解をいただきたいと思います。
  81. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今お話に出ました環境関連税制につきましては、昨年七月の政府税制調査会の中期答申におきましても、国、地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置づけを踏まえながら、国内外における議論の進展を注視しつつ、引き続き幅広い観点から検討を行うというふうにされておりますけれども、今おっしゃいましたように、環境関連税制には地域の環境問題と地球環境問題と二つの大きく対応が考えられると思います。  前者の、廃棄物でございますとか下水処理といったような住民に身近な環境問題につきましては、これはまさに先生おっしゃるとおり地方税としての環境関連税制になじむということはもちろんですけれども、今御指摘ございましたように、後者の地球温暖化対策の問題につきましても、地方団体におきましては、植林による緑化面積の拡大ですとか公共交通機関の利用促進による交通政策の面ですとか、地球温暖化対策に寄与する政策を現に進めておりますし、また、流通、消費段階で課税される場合には、用途に応じて課税措置を講じやすい、消費者の意識を高めてCO2の削減に向けたインセンティブ効果が大きくなるというような点もあります。また、今、委員御指摘のように、かつては電気・ガス税ですとかそれから現に軽油引取税もあるじゃないかと、地方税、そういうこともございます。  そういった点もございますので、私どもとしては、今御意見いただきましたが、今後、地方団体の役割ですとか取り組み状況ですとか、あるいはこういった税制をつくった場合の効果、経済に与える影響、いろんなことを考えなきゃいけませんが、地方税とすることも含めまして検討していきたいと思っております。
  82. 輿石東

    ○輿石東君 地方税としても検討していきたいと。ぜひその点を、地方財源の充実強化という総務省においては最大の課題だと片山大臣も冒頭に言われたわけですから、こういうのは積極的に取り入れるべきでありますし、もう一つ、地球温暖化対策といっても、まず本当に個々の自治体がその気になって、地方があって国があるわけですから、そして世界があるというそういう尺度で物を見ていけば、一番基礎的な団体である地方自治体がその気にならなければ公共事業にしてもすべてのことが行われない。だからこそ国の財政の入り口と出口の一対二、二対一というそういう乖離した財政構造を変えろというお話もあるわけですから、こういう点で、ぜひ積極的に取り入れていただくことをお願いしておきたいというふうに思います。そうでなければ、自治体の住民の関心がせっかく環境とかこういう問題に、大変な心配もされている状況の中ですから、ある面ではチャンスでもあるというふうに思いますので、その点の御配慮をいただきたい。  こういう新税をつくった場合に、総務省、もう十分御理解いただいていると思いますけれども、住民の理解、合意というものがなければ成立をしない、痛みを分かち合う、住民にも負担をかけるという、直接的にも、間接的かどうかは知らないけれどもそういうことになるわけですから、だからこそ先ほど同意の三要件、三条件もあるのであろうというふうに思います。  そこで、私は昨年来、横浜、もう一つの例を取り上げて、こういう新税に対する問題点について議論を深めてまいりたい。  横浜市ではいわゆる馬券新税というのを試みたということを聞いているわけですけれども、市にある二カ所の場外馬券売場の発売額から、これは一つは馬券を買った人、購入した人に払戻金として七五%、そして国へ一〇%の国庫納付金というのが義務づけられている。あと残った収入部分への運営資金というものにこの新税は五%の税金をかけようという試みのようですけれども、年間そして十億ぐらいの収益を見込んだというのであります。  昨年末の市議会ではこの条例を可決したわけですけれども、先ほど局長から話がありました総務省地方財政審議会において意見を聞いたんだ、それは三月六日だったというようなことがあったわけですけれども、この審議会の中での意見はどんな意見が出されたのか、最初にお尋ねをしたいと思います。
  83. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 先ほども申し上げましたように、地方団体地域住民の意向を踏まえまして、みずからの判断、責任において課税自主権の活用を図ることは、地方分権観点から望ましいものだと考えております。  一方、中央競馬につきましては、国、地方を通じた公営競技の一つとして、畜産振興等を目的として財政資金を確保するために、刑法の特例として日本中央競馬会が独占的に行う特別な制度であるということにも留意する必要があると思っております。  現在、先ほども申し上げました地方税法の規定、三つの要件に該当するかどうかといったような点を検討しておるわけでございますが、あわせまして今お話に出ましたように地方財政審議会にも意見をお聞きすることにしておりまして、地方財政審議会の方でも、今横浜市ですとかあるいは農水省にも来ていただいて御意見を聞いたりしていろいろと御論議をされております。  ただ、まだ地方財政審議会も審議の途中でございますので、ちょっと私の今の総務省の立場として、地方財政審議会はこういう意見になりそうだというようなことはなかなか申し上げにくいのでございまして、現在審議中ということで御理解を賜りたいと思います。ただ、できるだけ早くこれも、近日中に地方財政審議会の御意見も伺った上で結論を出してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  84. 輿石東

    ○輿石東君 お立場で、それ以上踏み込んだお話はできませんと、こういうことでしょう。では、こちらで知り得た情報を提供させていただきたい、こう思っています。  この問題は、中央競馬会、JRAや所管省庁である農水省、ここは横浜市の新税導入で当然ながら国庫納付金が減ってしまう、全体は決まっているわけですから。それから、先ほど三要件といった国の経済政策、それから社会福祉政策に抵触するといったような理由を主張しまして反対だ、こう言っているわけですね、もうはっきりと。  一方、横浜市の方は、国の重要な生産手段、そういうものに課税するわけではないんだと。しかも、その今言われた三つの同意条件というものに抵触はしない、三つ目の経済施策に云々というものには該当しないんだ、こういう理解でこれはあくまでもやりたい、もし関係省庁が同意をしてくれなければ訴訟を起こす、農水省の方もまたJRAの方も裁判も辞さない、こういう対立になっていると。  横浜市の方は、御案内のように、地方分権一括法で、こういう問題が起きたときには国地方係争処理委員会、こういうものがあるからここも使うよという話にまで発展をしているというふうにお聞きしているわけですが、その間へ挟まって総務省は大変苦悩しているという問題でしょうけれども、再度、これに対してどのように対応されていかれるおつもりか。答えにくいと思いますけれども、あえて答えていただきたいと思います。
  85. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この問題はもう御承知のとおりでございまして、横浜市長も二回私のところにお見えになりました。私は、横浜市長には、我々の立場はできるだけ課税自主権を尊重したい、尊重したいけれども地方税法法律事項としてきちっと書いているんで、その要件はクリアしてもらわなければいけない。それから、今お話しのように、関係のあるJRAも農林水産省も反対している。それから、財務省の意見は、これから財務省の意見も聞くことになっておりますから財務省の意見も聞くけれども、恐らくこれは賛成しないだろうと。  それから、地方財政審議会に今かけておりますから、この結論は待ちたい、こう言いましたが、そこで法律に今の三条件、それにもし抵触するようなら、それはそういうわけにはいきませんよ、我々は法律によって行政をやっているんだから、そこは理解してくださいと。ただ、私の気持ちは課税自主権というのはできるだけ尊重するのが我々の立場だ、こういうふうに申し上げておりまして、近々にぜひ一定の方向づけをいたしたい、地方財政審議会の御意見をいただいて、その上で判断をいたしたい、こういうふうに思っております。
  86. 輿石東

    ○輿石東君 この問題については、その所管であります農水省にもお尋ねをしたいと思います。  今の議論をお聞きしていて、もう私の質問したい中身も自然にわかってくるのではないかと思いますが、私は一つここで公営競技のあり方にも、触れる時間はないと思いますが、この制度ができた当時と今は相当、昭和二十九年ですか、設立したものですから、これとは相当時代が違う。そして目的も、農水省は畜産振興、こういうことだ、こういう目的で国にお金も入れてもらうよ、しかし地方へも還元しているんだというお話でしょうから、この辺も含めて農水省としてこの問題をどのように考えていられるのか、どうしようと考えられているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  87. 永村武美

    政府参考人永村武美君) お答えをいたします。  我が国の畜産は、国民生活の高度化あるいは食生活の多様化等によりまして大変な需要の増加を背景といたしまして順調な発展を遂げ、食肉、鶏卵あるいは牛乳・乳製品、この安定供給という基本的な使命を果たしておりますことに加えまして、国内に存在しておりますいろんな粗飼料、いわゆる自給飼料生産を通じました国土の保全など、多様で重要な役割を果たすものという認識を持っております。  委員がお尋ねの中央競馬会法制定当時、昭和二十九年と比較をいたしまして、我が国の畜産の生産量について申し上げますと、牛乳・乳製品で約八倍、牛肉では約四倍というふうに大変大きな増加を示しております。したがいまして、国民の食生活の中でも、畜産物のウエートあるいは重要性というものは従来に増して私ども増加あるいは拡大をしている、こういうふうに考えておるところでございます。  他方、中央競馬会法におきまして、委員御指摘のとおり、国庫納付金の四分の三を畜産の振興に、また四分の一を民間の社会福祉に充てる、こういうことになっておりまして、畜産の振興に加えて社会福祉の向上にも大きく寄与しているところでございます。今後とも、同法に基づきまして中央競馬の売り上げがこれらの公益目的に適切に使用されるよう努めてまいりたいと考えておるところであります。  なお、この場外馬券場が位置しております地元の周辺整備につきましては、地元からの要請に応じまして中央競馬会が環境整備費、すなわち道路整備でございますとか交通安全施設、緑化事業、レクリエーション施設等々の形で独自に協力を今までもやってきたところでございまして、今後とも必要に応じて協力するよう適切に競馬会を指導してまいりたいと、かように考えております。
  88. 輿石東

    ○輿石東君 そこで、今昭和二十九年にできてと、こういう畜産振興で、肉の需要が相当上がっているんだと。私はここで議論する問題じゃないかもしれませんけれども、我が国の食糧問題をどうするか、食糧自給率をどう高めていくかという視点から畜産振興も必要、ますます重要だと、そういう切り口もありましょうけれども、この問題は事が公営競技、競馬という特殊なものであるということもきちっととらまえておかないと、ただ畜産振興というだけでそれが容認できるかどうかという問題になろうかと思います。  時間もないのできょうはこのくらいにしておきますが、一つだけ確認をしておきます。  今、競馬場周辺の整備について、御迷惑もかけるのでそれなりの環境整備としての金も出ていますと、こういうお話ですが、確かに地方公共団体に対して、開催地について、私のところも石和町で場外馬券場もあるわけですが、その環境整備交付金というのが出されているというのも承知をしております。しかし、昭和四十六年当時には競馬開催税、その地域に御迷惑をかけるので競馬開催税というのをこの交付金のかわりに身がわりとしてやろうではないかということも検討をされた、設けられたと、こういう経過もあるように聞いていますが、この経過についてだけ答弁をいただきたいと思います。
  89. 永村武美

    政府参考人永村武美君) 委員御指摘の昭和四十六年当時のお話でございますけれども、当時、場外馬券売り場あるいは競馬場の所在都市が新たな税を新設したいと、こういう御要望があったわけでございますけれども、当時は売り上げの一%としたいというかなり漠とした御要望でございまして、私ども具体性を欠くということで当時お断りをしたという経緯はございます。
  90. 輿石東

    ○輿石東君 いずれにいたしましても、その地域との合意なりトラブルがこれ以上大きくならないように総務省としても中へ入ってきちんと対応していただきたいことをお願いして終わりたいと思います。  次に、一番大事な地方財源の充実ということについて若干の時間をとらせていただきたいと思いますが、このように自治体課税自主権が、いろいろ苦労をしてもこれは限界があると。今、いろんな横浜の例、河口湖の例、この二つの例をとってみても、財政審議会の議を経てとか、三要件もあると。日本の経済政策に抵触するとかしないとかという理由でなかなか前へも進まないし、つくったところで国家予算全体から見れば微々たるものにすぎないと。だとすれば、構造的に大きく変えていく必要があるだろうと。  私は常に、地方分権の本当の真価が問われるのは財源をどう地方へ移譲していくかということに尽きると、こういう主張をたびたびさせていただいてきました。まとめて言えば、地方分権は、権限、財源、人間の三ゲンセットで成立をしている。権限は、大臣もたびたび言われているように、機関委任事務等の廃止ということで若干地方へ移行したかもしれません。しかし、この財源についてはもう全然手をつけていないと、こう言い切れると思います。  そうした中で、この問題は、歳出ベースの割合が国と地方で入り口で一対二、出口になりますと税収総額に占める割合は二対一、こういうふうに逆転をしている。この構造をせめて一対一に、私ども民主党は一対一の比率にすべきだと、この乖離をどれだけ縮小できるかが課題だろうと。その一つの方法として我々は所得税の一部を地方税財源とすること、あるいは今地方税として消費税五%の一%分だけが地方の取り分となっている、この辺にメスを入れない限り本格的な地方税財源の充実強化にはつながらないだろう。こういう視点でたびたび主張をしてきていますけれども、この問題についてどう対応していかれるおつもりか、まずお聞きをしたいというふうに思います。
  91. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるとおり、法定外普通税というのも、大きなそれで税が取れて財源になるということにはなかなかなりませんですね。そういう意味では、抜本的にはやっぱり地方税財源の充実のためには国と地方の税財源のあり方を見直すと、こういうことが私は必要だと思いますし、委員御指摘のように特に収入と支出の乖離をこれをできるだけ少なくしていくと、こういうことが必要だと思います。  今、税は、何度も申し上げましたが、国が六で地方が四で、交付税を入れますと四五対五五で地方がふえて、支出は二対一ですね、六七%ぐらいが地方がやって中央は三三%ですから。税を移した場合に、経済力に差がありますから、東京を初め首都圏なんかは税が伸びますけれども、いわゆる地方はなかなか税が伸びないんで、そこで交付税制度というものがあるわけでありますけれども、しかし基本的には、それはそれとしても、地方税源を充実していくこと、こういうことはぜひ必要だと思います。  税源というのは、大きく分けて、これも申し上げましたが、所得と消費と資産ですよね。それで、一番安定的なのは消費なんですね、正直言いますと。個人消費は伸びておりませんけれども、税としてはこれは減らない税源ですよね。これが、今消費税は四対一で、国が四で地方が一%、地方消費税という形で収入にしておりますけれども、これから消費税全体をどうするかという議論の中で、私はやっぱり地方消費税の比率を高めていきたいと、こういうふうに思いますし、所得税の関係では、地方の場合には住民税になりますから、この住民税の充実を図ってまいりたいと。それから、資産の方では固定資産税が一番大きゅうございますので、これのさらなる充実を図っていきたいと、こういうふうに思っております。  いずれにせよ、景気がこういう状況で国の財政も逼迫しておりますから、私はこれが安定的な自律的回復軌道に景気が乗ったときに、しっかりとした、できれば役所は役所としながら、中立で公正な第三者機関でも御議論をいただいて、地方税財源の充実のための国と地方の関係の見直し、税財源の再配分と、こういうことの議論をしっかりとやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  92. 輿石東

    ○輿石東君 ぜひ大臣にはその点頑張っていただきたいと重ねてお願いを申し上げたいと思います。  もう私に与えられた持ち時間はあと十五分になって、財投改革や財政再建、まだ大きなテーマを三つも残しちゃったわけですが、時間があと教育問題について残してあって、文部省からも来てもらっていますので、そっちの方に入りたいと思います。また財投等は次回の機会に譲らせていただきます。  それでは、あと残された時間、森総理は教育国会とこう言われたわけですが、これがいつの間にかKSD国会という名前に変わったようであります。それはさておきまして、私は、昨日も本会議で野党四党による三十人学級の対案を出させていただいて議論を深めたわけですけれども、きょうは町村文部大臣出席されないので残念ですが、全国一律に三十人以下学級にすることは学級王国につながるのでこれはできませんと町村文部大臣は明言をしたわけであります。大臣、学級王国とは何ぞや、こういう議論からきょうは入りたかったわけですけれども、本人がいらっしゃらないものですからやめておきますけれども。  まず、一昨々年ですか、長野県の小海町で、低学年に三十人以下学級ということで少人数学級を実現したかったと、ところがこれが県教委で認可されなかったという経緯があります。小海町では、県の基準は四十人ということになっていますから、それを下回る措置として町単教員で二人を雇って独自に改善をしていきたいと。ところが、県教委は教育の機会均等、公平性の立場から認めるわけにはいかないということで、これがだめになったと。今回は制度も変わって事前協議制というような形にはなったと思いますけれども、これへの県教委の対応についてまず一つはどう考えられているか。  今度、新たに平成十一年の七月に成立した地方分権一括法で事前協議制になったわけですけれども、今までの形と、認可制と何ら実質的には変わらないのではないかという点が二点目。  なお、これにかかわって、中教審では以前に、こんな問題は届け出制、届けさえすればそれで済むというようにしたらどうかという、そういう経過があったと思います。  この三点について、それぞれどのように文部省は見解を持っているか、お伺いをしたいというふうに思います。
  93. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) まず、長野県小海町の少人数学級についてのお尋ねでございますけれども、いわゆる義務標準法におきましては、都道府県教育委員会が国の定めます一学級の児童生徒の数を標準として学級編制基準を定めまして、現在でいえば各市町村教育委員会はこの基準に従い都道府県教育委員会の同意を得て学級編制を行うこととなっておるところでございます。したがいまして、現行の基準のもとでは、一学年が四十人以下の場合は、近々に転入者が予定されており四十一人以上となることが見込まれておるような場合を除きまして一学級編制となるのが原則でございます。  ただ、地方分権の推進や学校教育をめぐるいろんな状況の変化の中で、学校や地域の実態に即してより弾力的な学級編制の運用が求められておるところでございます。こういう観点から、今回標準法の改正をお願いしておるところでございますけれども、その改正案におきまして、制度の基本は変えておりませんけれども、都道府県教育委員会判断によりまして、児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には国の標準を下回る数を基準として定めることを可能としているところでございます。  したがいまして、この改正が認められれば、学級編制の基準を定める都道府県と実際に学級編制を行う市町村との基本的な関係については変更はございませんけれども、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の意向やあるいは特別な事情を踏まえて特例的な基準を定めることが可能になるものと考えているところでございます。  二点目は、学級編制に関しまして、認可制から事前制にと移ったけれども実態は変わっておらないんではないかということでございますけれども、市町村限りで学級編制を行うことができないということに関しましては、事前協議制になりましても改正前の仕組みと変わらないところでございますけれども認可が事前協議に改められましたことによりまして都道府県と市町村間に対等、協力という新しい関係が構築されたところでございまして、市町村教育委員会の意向がより尊重されることを期待しているものでございます。  それから、中教審では届け出制に改めることも提示されておりましたが、公立義務教育諸学校の学級編制は、それに基づきまして都道府県の教育委員会が必要な教職員を配置いたしましてその給与費を負担するという仕組みと密接に関連しているところでございます。したがいまして、学級編制を行う市町村の教育委員会と都道府県の教育委員会が事前に十分に連携協力することによりまして学級数に応じた教員が確保できるものと考えておるところでございます。  このように、学級編制と教職員配置は密接にかかわっているものでありますことから、県費負担職員の任命権者である都道府県の判断を経ずに市町村限りで学級編制を行うこととなる届け出制ではなくて事前協議制をとらせていただいたところでございます。  以上でございます。
  94. 輿石東

    ○輿石東君 時間がありませんので繰り返しませんけれども、今の答弁の中で、協議制に変わったことによって国と県、県と市町村は対等、平等な立場でできるんだと。これは、言葉では対等、平等と言う。だったら、なぜ中教審の言うように届け出制にしないのか。届け出制ならば対等、平等ということが言える。  これはやめておきます。答えは要りません。そういうふうに認識をしていただきたいということであります。  なお、最後にお答えがあったように、いずれにしても、定数改善、これにかかわって義務標準法が今国会に提出されて審議をするところですね。またそこでやりたいと思いますが、財政的な裏づけのない法律を幾らいじってみても定数増にはつながらない、これが結論だと思います。  そうした意味で、総務省地方分権、教育を大事にするという視点から今の問題をどのようにとらえどのようにしていただけるのか、お答えをいただきたいと思います。
  95. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 委員承知のとおり、小中学校の職員の給与費でございますが、これは義務教育費国庫負担制度によりまして全国的に妥当な規模と内容の義務教育を保障する必要がある、この考え方に立ちまして教職員の配置について標準法が規定されているわけです。そして国庫負担が行われる仕組みになっておりまして、総務省といたしましては、これを受けて地方財政計画に所要額を計上し所要の地方交付税措置を行っている、こういうことでございます。  今回は御指摘のとおり標準法の改正が行われるのでございますけれども、これは各都道府県の判断で国の標準でございます四十人を下回る数で学級編制をすることが可能になるということでございますけれども、これはあくまでも都道府県の自主的な判断によって行うことができるというふうにしてありまして、国庫負担の対象にならないことになっています。  したがいまして、総務省といたしましても、これに対応する地方財政措置を行うことは困難である、このように理解をいたしております。
  96. 輿石東

    ○輿石東君 いろいろ説明をしていただきましたけれども、結論は困難だということですね。しかし、地方分権を推進する、教育を大事にする、国づくり、人づくりなくして国づくり、教育は未来への先行投資、そんな言葉も躍っているわけですけれども、だからこそ、森総理が教育国会と言ったこの国会がいつの間にかKSD国会になってしまったという皮肉な現象。資源のない我が国が知恵と人材で二十一世紀は生きる、世界に伍していくとすれば、教育こそ最重要課題、総務省としても、今後は、困難であるということから検討をしますというぐらいの姿勢に変わってほしいというふうに思います。  最後に、教育の問題の質問の最後になろうかと思いますが、もう一つ、文部省の方に、今子供の活字離れ、IT革命、IT革命の光と影、考えたり、人間と人間との触れ合い、かかわり合いが少なくなっていく、こういう状況の中で図書館の充実というのは再度見直しの段階に来ているだろうと、こう思いますが、いろいろぐたぐたと説明をしますと時間が来てしまいますので端的に御質問をいたします。  今回、図書館関係経費を国庫負担対象から外してしまった、結果的に。これは国の負担金というのは、地財法の十条その二十五号に「学校図書館の設備及び図書の充実に要する経費」、これを削除する、こういう法律も用意をされたと。なお学校図書館法の十三条には国庫負担の規定が、高等学校部分ですけれども、あったと。これも改正をされる。二つ合わせてその国庫補助から図書館の費用はなくなしたという結論になった。  その外した理由は何なのか、それにかわる財源をどうしていくのか、この二点について最後答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 現行の学校図書館法第十三条におきましては、御指摘のとおりに、地方公共団体が高等学校等の学校図書館の設備または図書を政令で定める基準まで高めようとするときには国はその経費の二分の一を負担することとされておるところでございますが、昭和三十六年にこの政令で定めます基準が達成されたということから、昭和三十七年度以降は地方交付税によりその財源の措置がなされてきておるところでございまして、現在では地方公共団体の事務として定着してきているものと考えているところでございます。  また、国庫負担金につきまして、地方分権推進計画や地方分権推進委員会意見等におきまして、地方公共団体の自主性、自律性を高める見地からその整理合理化を進めることとされておりますことを踏まえまして、今回、学校図書館法の国庫負担の規定を削除することといたしているところでございます。  今後の学校図書館関係経費の財源措置の充実についてでございますけれども、まず、義務教育諸学校につきましては、平成五年度から、学校図書館図書整備五カ年計画というものに基づきまして、平成九年度までの五カ年間で総額約五百億円の地方交付税措置が講じられたところでございます。その後、平成十年、十一年度におきましてもそれぞれ約百億円、平成十二年度におきましては約百十億円の地方交付税措置を講じていただいておるところでございます。また、高等学校につきましては、これまでも地方交付税の備品購入費の中で図書の購入に必要な財源が措置されてきておるところでございます。  今後とも、総務省と連携を図りまして、学校図書館図書の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
  98. 輿石東

    ○輿石東君 終わります。
  99. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  100. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案特定営利活動促進のための地方税法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党八田ひろ子でございます。  私は、まず最初にNPO支援促進のための地方税法の一部を改正する法律案について発議者質問をさせていただきます。  午前中の説明にもありましたように、NPO支援というのは今や待ったなし、総務大臣もそのようにお考えのようであります。私ども日本共産党も、租税特別措置法の改正を野党の皆さんとともに提出もし、その実現を目指しておるところでありますが、この問題は全会派で活発な議論を尽くしてよりよいものに早急につくっていく、これを願うものであります。  そこで、一つだけ伺いたいんですが、地方税における減税措置をとること、これはNPO法人活動促進するために大変有意義だと私は考えまして、とりわけ、午前中の論議にもありましたが、地方での雇用の拡大、文化や暮らしの多くの場面で充実、発展をする、これは地方自治体の発展、日本社会の進歩にとっても健全で積極的な意味があるというふうに思います。  今後、地方自治体における減税措置の実情を見ながら、地方自治体を支援する立場で地方財政上の措置の検討というのも当然課題になってくるというふうに思いますけれども提案者の見解を伺います。
  102. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 八田議員のおっしゃるとおりに減税措置は大変有意義だと思います。さらに、税制措置を超えてさまざまな方策を各自治体が創意工夫を凝らして支援をしていくということが期待されております。  最近の財政地方財政を考えますと大変厳しいものがありますので、各自治体、なかなか新しい施策に関して展開しにくいという事情がありますけれども、その面からも地方税制の充実ということは検討課題になるというふうに当然思っております。  加えて申し上げますと、NPO活動促進は、自分たち地域自分たちで担っていくという、市民のみんなの力で地方分権を推し進めていくということにもつながる意義がありますので、税源、財源を思い切って地方に移していって、そして地方財源が豊富なものになる、その中から優先順位をきちんと自治体が決めていく、そして一層NPO活動促進されていくように分権社会が充実していく、高循環をつくっていくように推進することが大変有効だと考えております。
  103. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当におっしゃるとおりで、一刻も早くこの法案を採択していただくことが望まれると思います。  次に、地方交付税に関してでありますけれども、児童虐待対策について伺いたいと思います。  児童虐待の現状というのは極めて深刻で重大な社会問題にもなっております。先週、NHKの番組でも放送をされたんですけれども、ことしになってからだけでも十四件もの児童虐待死があるということが番組の中で取り上げられていまして、児童虐待はその原因とか態様が極めて複雑多岐で、総合的な対策が緊急に求められる、こんなふうに訴えられていました。  昨年、児童の虐待の防止に関する法律がつくられ、施行されておりますけれども、その第四条では、国及び地方公共団体の責務として、児童虐待の防止等のための必要な体制の整備に努めると明記され、児童相談所等関係機関の職員の人材の確保などの措置を講ずること、こんなふうになっておりますが、今最も急がれておりますのは法的権限を持っている児童相談所の充実、中でもその運営の中心となる児童福祉司の増員というのが不可欠だと思います。  この問題で、まず総務大臣に、どんな交付税上の措置をとられたのか、伺いたいと思います。
  104. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 近年、児童虐待の児童相談所への相談件数が増加しているところでございます。  このために、厚生労働省からも強い要望がございまして、あるいはまた地方団体における児童福祉司の配置実態を勘案いたしまして、平成十二年度には地方交付税におきまして、標準団体、人口百七十万人当たりの児童福祉司を十六名から十七名に増員したところでございます。また、それを平成十三年度の地方交付税法案におきましては、児童福祉司をさらに二人増加いたしまして十九名としているところでございます。こうした児童福祉司の人員増を図っている、こういう努力をしたところでございます。
  105. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 普通交付税の積算基礎において、昨年度一人ふやして十六人を十七人、そして来年度また二人ふやして十九人ということで、本当に必要なことだと思いますが、きょうは厚生労働省からも来ていただいておりますので厚生労働省に伺いたいんですが、児童虐待防止法ができて国民の関心も高まり、また法の施行によりまして、保健所とか警察、学校や病院とか、いわゆるそういう公的な機関からの通報というのも大変高まっていると伺っておりますが、児童相談所に寄せられる虐待に関する相談処理件数の最近の推移、それから十年前と比べてこれはどういう伸び率なのか、また一時保護所の入所についてもお示しをいただいて、児童福祉司の増員の必要性について厚生労働省としてはどのようなお考えで、今後の見通しというんですか、そういうものを含めてお答えいただきたいと思います。
  106. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 児童相談所におきます児童虐待の関係の相談件数でございますが、統計をとり始めましたのが平成二年度でございまして、そのときには約一千百件でございました。そして、直近の平成十一年度ではこれが一万一千六百件程度に増加しておりますので、この間約十倍に急増しているということでございます。  また、児童相談所に一時保護所が併設されておりますが、一時保護所に入所しました虐待を受けた児童数でございますが、平成九年度からこれは統計をとり始めておりまして、その年度には千四百人でありましたのが平成十一年度には約三千五百人と、これまた大変大幅に増加をいたしております。  昨年、児童虐待法が施行されたということも一つの契機になりまして、相談件数は今後ともしばらくはふえるんではないかというふうに思っておりますのと、まさに先生おっしゃいましたように、一件一件の対応が大変専門性を要する仕事である、あるいは関係行政機関との連携を要する仕事であるということで、児童相談所の体制強化というのは大変重要な喫緊な課題であるというふうに思っております。
  107. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 喫緊の課題であるというのは本当にそのとおりだと思うんですね。ただ、私ちょっと伺いたいのは、児童福祉法の施行令第七条でこの児童福祉司の担当区域の人口を決めております。これ、おおむね十万から十三万人までを標準と定めるということで、この基準は昭和三十二年以来今日まで変わっていないというふうに聞いております。  それで、私、きょう、資料をつくりましたので、皆さんのお手元に、A判の方の資料ですね、中に入っております資料をちょっと見ていただきたいというふうに思います。  これ見ますと、二枚目の資料なんですけれども、実態はどうなっているかといいますと、児童福祉司一人当たり十万人未満となっているのは四十七都道府県中二十六道府県ですね。実際にこの基準に満たないところというのは四つしかないわけです。十二政令指定都市のうちではこの十万人未満というのは七五%ですね。ですから、国の基準をはるかに上回った現状になっているわけです、実際問題として。  私、愛知県で幾つかの児童相談所の児童福祉司の皆さん方とお話をする機会がありました。ある方は、平成十一年にその方一人で三十数件の相談を受け持ったんだけれども、昨年の十二月一カ月だけで九十件受け持つことになったというんですね。ここはマスコミでも大きく取り上げられた事件が起こったところなんですが、ほかのところでも、土、日に出勤をしてもまだ片づかないとか。  たまたま私がお会いする約束をしていた方は、土曜日だったんですけれども、当然お休みで当番ではなかったんですが、自分の仕事のために児童相談所に出勤して仕事をしていたら、警察からの通報があってすぐに子供さんを一時保護所へ連れていかなくちゃいけない。愛知の場合一カ所で二十人の定員だものですから、一時間以上かかって行って、二時間ぐらいして帰ってきて、またその後深夜まで仕事というので、今、児童相談所というのは虐待だけではないわけですが、相談から実際にいろいろな指導をいろんな機関と連携とりながらするまで相当時間がかかるんですね。  ですから、今、厚生省のこの基準、そのままにしますとかえって増員の足を引っ張るというふうに私は思いまして、直ちにこの基準を見直して現状に合うようにしていただきたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) ただいま先生が御指摘になりました児童福祉法施行令に定める児童福祉司の配置の基準でございますが、この基準は児童相談所長が児童福祉司の担当区域を定める際のおおむねの基準として政令で定められているものでございます。そういう性格もございますので、今回の増員によって直ちに自動的に改正する必要性が生ずるというものではないというふうに考えております。  今後、例えば児童虐待の相談件数が実際にどういう形でふえていくのか、またそれによる増員の必要性がどのくらい高まっていくのかという問題ですとか、それから本年度そして十三年度の地方財政措置を踏まえて自治体が実際にどのように具体的に取り組まれるのか、あるいは児童相談所の福祉司以外のさまざまな専門職がございますが、そういった職員の配置の状況など、実際に児童相談所の相談体制がどういう形で強化をされていくのか、そのあたりも見ながら、また総務省の方とも御相談しながら考えてまいりたいというふうに思っております。  ですから、直ちに今すぐということではございませんで、これからの状況を見ながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  109. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 厚生労働省としては大変残念なお答えですが、総務省とも相談をしながら努力をされるということで、先ほどのお答えでも実際の相談処理件数というのは十倍になっています。厚生省の方の基準は変わっていないわけです。御存じのように、相談処理件数というのはきちんと相談をして処理したケースで、電話が入って相談を受けたとか、そういうものは必ずしもこの数字に入っていない部分もございますし、また一件が長引く問題というのは大変あるわけですよね。しかも、これからまだ、御答弁の中でありましたようにふえる可能性があるということで、十倍以上なのに厚生省の基準は全く変わらないというのは、私はおかしいというふうに思うんです。  そこで、総務大臣にこの問題についてちょっとお考えを聞きたいと思いますが、交付税措置をしていただいてふえたものですから、この表の一枚目、これは私が都道府県、政令指定都市に伺って調査をした中身であります。これを見ていただいても、まだ不十分な表ではございますけれども、大都市部を中心にかなり増員を図られているんです。これは財政措置があるからで、判明しただけでも今年度の交付税措置で想定される増員分八十三人を大きく上回った効果が出て、九十三人の増員ですね、これはまだ年度末ですから実際にはもっとふえるということが考えられるんですね。ですから、交付税措置によって国の姿勢を明確に示されたことが効果を上げたということなんです。  ですから、今、私ちょっと実例もお話ししましたが、この程度ではとても足りないというのが現場からの悲鳴でありまして、児童福祉司さんだけをふやせばいいという問題では無論ございませんが、児童福祉司が児童相談所の中心的な役割を担っておりますので、そういった意味でも、引き続き交付税措置の増員、あるいはほかのところですね、今年度でも、実際には都道府県の社会福祉士、経常経費の単位費用を六千五百十円から六千八百七十円と五・五%引き上げていただいたんですが、そういった措置を今後もぜひ図ることが必要だというふうに思いますけれども総務大臣の決意を伺います。
  110. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、いろいろやりとりをお聞きしておりまして、本当に児童虐待の相談件数、処理件数が大変にふえているなと、改めて認識をいたしたわけでありますが、いずれにせよ、厚生労働省所管ですから、実態を勘案しながら厚生労働省ともよく相談をして、本当に地方が必要な経費なら交付税に入れることはやぶさかでありませんので、よく相談いたします。
  111. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にぜひそうしていただきたいと強く要望をしておきます。  次は、下水道の問題で質問をしたいというふうに思います。  皆さんのお手元に、旧自治省がお出しになった、今もファクスニュースは総務省でお出しになっていますが、第三十六号「FAXニュース トップ・ツー・トップ」というのをお届けいたしました。ここでも、下水の問題について集合処理方式と個別処理方式のおのおのの特色を併記されておりますが、下水道事業というのは、合併浄化槽の性能改良や法の改善などもございまして、今、公共下水道一筋でなく選択の時代になっている、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  112. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 確かに、単独浄化槽でなくなりましたからすべて合併処理浄化槽になったわけですが、こうした個別処理ということは大変有効な方法だと思うんですね。特に、財政規模の小さな市町村におきましては、そうした観点というものをよく配慮していただきたいと思います。  一方また、集合処理と申しますか、大規模で処理するという事業も今後継続してやっていかなければいけないわけでございますが、これはかなり長期な展望を必要とするわけでございますから、財政の出動を要する事業でございますから、両者選択ということを各自治体判断をしていただきたい、このように考えてございます。
  113. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 各自治体判断ということで、実は私、この「トップ・ツー・トップ」をよく読んでみると、公共下水道事業の経営の実情ですね、こういうのをリアルに見ますと、汚水処理は公共下水道、大きなものでという方向だけでは、小さな市、町では財政が立ち行かなくなるところが出てくるんだなということを痛感するわけなんです。  そこで、ちょっと技術的なことでお伺いするんですけれども、現在の下水道経営において使用料金の適正化、こういうふうにされておりますけれども、これは汚水処理原価までの使用料金の引き上げが必要というお考えなんでしょうか。
  114. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 下水道事業におきましては、雨水の処理は公費負担で、汚水の処理は使用料で賄うというのを基準にいたしておりまして、そういう意味で、私ども下水道の経営を見ます場合には、汚水処理経費に対して使用料は幾ら取れているか、使用料回収率というものをよく目安として使わせていただいております。参考までに申し上げますと、現在、全国平均で見ますと、使用料回収率は六〇%弱というふうになっておるところでございます。そういうこともありまして、私ども、下水道の基盤強化というようなことについて助言等をさせていただく場合には使用料及び受益者負担の適正化というのを要請させていただいておるところでございます。
  115. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 汚水処理原価まで使用料金を引き上げるというのはとんでもない大変なお金になるというのが今の説明の中でもおわかりだと思うんですが、この「トップ・ツー・トップ」を見ますと、右側のグラフのところですけれども、人口一万人未満の場合は四百四十一町村で処理原価に対して四〇%未満の使用料収入。一生懸命高くしてもそれだけ。全国的には六〇%弱とおっしゃいました、五十何%ですけれども、少ないわけですね。処理人口一万人未満の事業体というのは五百四十ですので、こういうところ、使用料を倍にしてもさっきおっしゃった適正でないことになるわけですよね。だから、こういう引き上げというのが推進されるべきじゃないと思うんですが、どうでしょうか。
  116. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 実は、この「トップ・ツー・トップ」は、まさしくそういう問題がございますので、わざわざグラフまで添えて地方団体に対しても注意を喚起させていただいたというところがございます。  私ども、公営企業の基盤強化につきましていろいろ指導させていただく場合には、使用料の回収率が低い団体に対しまして使用料の適正化を行うことということ、もちろん指導させていただいておりますけれども、それに加えまして、民間委託の推進あるいは下水汚泥の共同処理等によりまして処理原価を下げるように指導をさせていただいております。  ただ、使用料の回収率が低い団体を個別に見てまいりますと、一部には、供用開始後の間がなくて末端の下水管が普及しないために利用者が少ないため、そういう意味で使用料で原価を回収するに至っていないと。ただ、これは末端環境の整備が進みますと、当然処理原価も下がりまして回収率が回復するという団体もございますけれども、もともと計画上処理人口が少ないとか人口密度が低いとかいうことで、採算にももともと無理があるというような団体も率直に言ってございます。  このような団体にありましては、処理原価を下げるといっても限界がございますので、私ども現在、下水道事業の着手の時点で、とにかく地域コストあるいは特性を勘案して、委員今御指摘がありましたように、地域ごとに最適な処理方法の選択に努めること、また、それでもあえてつくるという場合に、使用料水準はどのくらいになるか、その点をあらかじめ十分住民に説明した上で事業に着手すること、そのようなことについて指導の必要性があると考えておりまして、このような「トップ・ツー・トップ」も出させていただいたということでございます。
  117. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ちょっと大臣に伺いたいと思うんですけれども、下水道財政モデル研究会の報告というのがあるんですけれども標準的な建設計画で、処理人口五千人、一万人、三万人、五万人というふうに分けているんですけれども、このモデル計算で、使用料単価の全国平均が八十八・三円のときに百二十円として三年ごとに五%ずつ上がっていくという、そういう仮定なんですよね。これだけどんどん上がっていくとしても、単年度収支の赤字というのは、五千人、一万人の規模ですと三十六年ずっと赤字です。それから三万人、五万人、ちょっと大きくなったところ、これでも三十年ですよね。独立採算制だといって、三十年、三十六年も単年度赤字が想定される事業、今まであるんですけれども、こういうのはいかがでしょうか。
  118. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 下水道事業というのは金もかかりますし、息の長い事業なんですよね、御承知のように。それから、どうしても、最初は将来の人口増加を見て事業規模を決めるのでやや過大になるんですよ、本当に、私見ていまして。  したがって、今の採算分岐点が、人口の少ないところは三十年と言われましたよね、三十七年と言われたかな、人口が一万か何かのところは三十年。こういうことで大変息の長い事業だと思いますけれども、今は、基本的に雨水処理は公費で、汚水処理は原因者負担と、こういうことで今やっておりますから、人口密度によっては大変均衡するのに時間がかかるわけでありますけれども、これはモデルですからね。  現実的には、委員が言われましたように、私は地域の実情に合った下水処理の方式を選択すればいいと思うんですよ。合併浄化槽だっていいんですよ、よそが公共下水道だからうちもなんということは考える必要はないんで。それから、農業集落排水というのも、私は割にそれなりに小規模ないい制度だと思いますから。まず、事業を選択するときにちゃんと考えてもらうと。  そういうことで、後、運営をしてみて、使用料をどんどん上げていくというのも私はいかがかと思いますので、そういうことを含めて、全体のあり方を少し議論させていただこうかと、こういうふうに思っております。
  119. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にそうだと思います。  私、今、二枚目の、この「トップ・ツー・トップ」のもう一つの大きな、数字ばっかり書いてある資料を持ってまいりました。これ、ちょっと字が見にくくて、これ以上大きくするとかさばるものですから、申しわけないんですけれども。  一九九七年に愛知県の日光川下流の流域下水道計画、これまだ実施はされておりませんし、これから計画するんですけれども、ここ甚目寺町という町で、これ幾つかの町の流域下水道なんですけれども、九七年、全員協議会で出された資料です。  これよく見ていただきますと、町で作成された下水道基本構想にある「使用料収入額、下水道管理費および一般会計繰出金算定表」というものだそうなんですけれども、私驚いたんですね。この甚目寺という町は人口が三万三千。で、事業開始後十年目に、この一番左側の10と書いてあるところ、上の方ですね、十年目に供用開始をして、二十年で事業が完成する予定になっています。使用料は百十円で、五年ごとに一〇%、さっきの水準より大分高いんですけれども値上げしていくんです。  こういう前提で、要するに、使用料を高くしても、事業開始後、ずっと一番下見ていただくとこれ八十年間あるんです、八十年たっても単年度収支プラスにならないということなんです。一方、一般会計繰出金というのが真ん中ぐらいにあります、流域案と書いてあるところの下ですけれども。これを見ていただきますと大変なんですよね、十二年目に十億円を超すんです。二十年目に二十億円を超すんです。三十一年目には三十億円を超すんです。ここの町というのは、九六年に地方税収入というのは四十億円しかない町なんですね。ですから、この甚目寺町の資料は非常に大変な資料であります。  こういうものを流域の各市町がつくっているかというと、こういう詳しい資料を出しているのはこの町だけなんですね。ほかのところはグラフとか、大体大丈夫だよという、多分同じ基礎でやっていると思うんですけれども。  これを見て、果たしてこれでいいのかどうかというのは、先ほどから言われるように、住民に相談をしてということでありますが、「トップ・ツー・トップ」でもそういうふうに、「事業の着手にあたっては、住民に対して十分な説明を行い、住民の意見をよく聴く必要があります。」と。そのよく聞くときに、こういった年度別の計画を含めた全体を示してこういうふうになるということが、私はこれを見て、本当に重要だと思うんですけれども、そういう面ではどうでしょうか。
  120. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 私どもも基本的に委員の御意見に同感でございまして、要するに、一回つくりますともう後ほかすということができないような膨大なコストを要する事業でありますから、その将来の使用料負担、さらに一般財政の持ち出し、こういったことも含めたデータによりまして、住民に対して十分な説明を行う。一般会計で負担をしてでもやろうというふうに住民が選択するのなら、それはそれで地方団体の自主的な判断によっての事業を進められるということになるんだろうと思います。  なお、御指摘いただいた資料で一点だけ補足させていただきますと、真ん中辺にあります一般会計繰出金の額というのは、これは生の繰出額でありまして、これに対して、雨水処理に要する経費は交付税措置というのがなされますから、純持ち出しといいますか、それはその右の欄の実質繰出金になり、これでも十分過ぎるぐらい大きな額だと思いますけれども、参考までにそういう数字ではあろうということを申し上げておきたいと思います。
  121. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当に、今、大臣も副大臣もうなずいておられたので、こういうことをきちんと知らせながら、適正な下水はどうあるべきかということがこれから必要だと思うんですね。  先ほど大臣がおっしゃった合併浄化槽でいいますと、例えば五人槽ですと今八十八万ぐらいだということだそうなんですね。ですから、ここの全世帯、約一万基つけたとしても総事業費が八十八億円なんですよね。だから、交付税措置とかいろいろございますが、市町村の借金の規模というのはけた違いなんですね。  合併浄化槽を設置、促進総務省も個別排水処理施設の整備事業とか、それから厚生労働省では特定地域の生活排水処理事業、いずれも市町村負担は三割で受益者負担が一割程度なんですけれども、こういうものを私は本当にきちんと進める、区域の対象というのをもっと広げることができるような一層の拡充が必要だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  122. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 合併処理浄化槽の事業は、一番最初は厚生省ですね、当時厚生省が本当に大変努力をして補助金をつけたところから小さな一歩が始まったわけでございますが、今は、合併処理浄化槽は大変大切な、小回りのきく、そして小さな市町村には非常にフィットしやすい下水道事業だと思います。国の方もこれについて全力を挙げていくということでございまして、厚生労働省が中心になりますけれども、私ども地方の目から見ましても、こうした事業はさらに拡大するような方向というのは大変大切なことだと思います。
  123. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私いろんな資料をこの間見させていただいて、今、副大臣がおっしゃったこともそうですけれども、香川県に寒川町というのがございまして、その資料を見たんですけれども、何て書いてあるかといいますと、近年、土地基盤整備事業が進み、土水路がコンクリートライニングの水路になっているので恵みの雨も瞬時にして瀬戸内海まで流れ出てしまい、地下水位が年々下がる傾向があると。きれいになった水質で排出すれば地下水位にもいい影響があるし、農業用水のどぶ臭さがなくなってボウフラやウジ虫の発生源が断たれ、蚊やハエが消えて、かわりにメダカや蛍がよみがえる、美しい町づくりを目指せるということで合併浄化槽の設置を進めていまして、私はびっくりしたのは、排水溝のところ、排水が流れているところに、カワニナがすんでいるんです、これはすごくびっくりしたんですが。  ここの町は八七年から九七年の十一年間に九百八十一基をつくって、処理人口四千三百六十四人、人口比では七一・六%なんですね。総事業費、ここは十億円で済んでいます。これもそうですけれども、全体の下水、汚水の処理施設整備というのは小さな市、町が低くなっていますね。これは自然条件にあるのではなくてやっぱり施策をどういうふうに選択するかだと思うんですね。ですから、市町村の一層の意欲を引き出すということと、それからこういう支援措置があるんだということをきちんと知らせるということ。  「トップ・ツー・トップ」も無論そうですけれども、私はこの日光川の流域の皆さんに御相談を受けたときに、自分のところはこんなに大変な借金になりそうで、しかも二十年か三十年後じゃないと下水が通らないんだけれども、そうでない町もあって愕然としたというお話を聞いたんですね。借金だけじゃなくて自然環境もそういうことがあるんですが、自治省として、こういうふうに簡単にはお書きいただいていますけれども、きちんと市、町にもそういうことを、今度法律も変わったことですので、知らせるということはいかがでしょうか。
  124. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) きょうは主に財政面からのお話があったわけでございますが、そうした観点ばかりではなくて、例えば水のリサイクルだとか、そうした観点からも合併処理浄化槽は大変有益な話だと思うんですね。各戸にその浄化槽をつけまして、それを自分のうちできれいな水にして、それを例えばおふろに使うとか洗濯に使うということもできるわけですね。そうすると再循環をされるわけでございますから、大変環境問題からいっても重要な施策だと思っております。それを総務省の中で、どのような形で都道府県の皆さんあるいは市町村の皆さんに広報できるか、よく考えて対処してみたいと思います。
  125. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ぜひそうしていただきたいんですが、実際にはなかなかそういうふうになっていかない部分があるんですね。今つくっちゃっているところは、私は、それをやめてまでとか壊してまでというのはそれはもう全然違う話だと思うんですけれども、先ほど御紹介をしました日光川下流のこれからやるというところがなかなかやめられないよと。甚目寺はこういうのを出しているけれども、ほかのところはこういう数字も出さずに、いや、もう流域下水道で大きいことはいいことだと、大きいことは安くなるというふうに口ではおっしゃるんですけれども、数字はこれなんですけれどもね。なぜかといいますと、やっぱり全体計画というのが実は、これは無論、都道府県がつくって国でまとめるわけですけれども、これではないかと。  今、公共下水道事業の全体計画面積というのは二百九万ヘクタールです。現在の処理区域面積というのは百一万ヘクタールで、処理区域面積としては四八%の到達ということだそうです。これまで下水道事業は一九六三年から八次にわたってこの長期計画をやってまいりました。投入したお金が六十八兆九千億円以上ということですね。半分も到達をしていないんです、実は。こういう全体計画があるから、これは大きいことはいいことだという時代にできた全体計画なんです。  先ほどからお三人がおっしゃっているように、それぞれの自治体がこれからつくる場合は選んで一番いいのにするんだ、これは財政的な面でもあるいは自然環境の面でもというふうにおっしゃるんですが、上からというんですか、皆さんは下から積み上げたものだと言うんですけれども、そういう全体計画があるので、これからつくるのに抜けられないよみたいな話になってくるとこれは大きな問題だと思いますので、こういったものはきちんと見直して、きちんと下から積み上げたもの、住民の声を、数字を示して選択をしたもの、そういうものに見直しをするとか、そういうことを国土交通省とも協議をしていただくということが大事ではないかなと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  126. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 公共投資の長期計画というのをいろんな分野について今までつくってきましたが、これはがんじがらめにする計画じゃないんですよね。大体のガイドライン的な計画であるべきで、いろんな予算の基礎にはなりますよ。ただ、こういう地方分権時代ですから、国の全体計画がこうだからどうしても下水道だとか、どうしてもこれだということは私はないと思うので、やっぱりその地域が情報公開をして住民の皆さんの意向を聞いて、これで行きたいと、こう言ったら、それでやればいいんですよ、全体の計画から外れても。そういう意味で我々はそういう市町村を応援しますし、必要があれば国土交通省には物を申します。もう時代が変わっているんですよ。
  127. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変力強い御答弁をいただいて、本当にありがとうございます。  合併浄化槽設置の後で公共下水道につなげとか、接続義務だとか、そういうのもあって、新築のところは計画があっても合併浄化槽をつくらにゃいかぬと、こういうのがあるものですから、ぜひそのお言葉どおりにお願いしたいと思います。  次に、消費税の還付の問題で、これは下水道とかあるいは簡易水道建設に当たって、公営企業税制上有利な消費税の還付制度を知らずに還付金を受け損なっている市町村を対象に、平成十一年度に限って特別交付税で補てんする、その総額が三十四億円と。新聞報道なんかによりますと、消費税導入の八九年度から十一年間分の還付金をもらい損ねた町とか、これは十一年度に限ってというふうに、トータルしても四十六都道府県ですね。これはどうしてこういうことが起こったのか。それから、今後もし同様のことが繰り返される可能性があったらどうするのか。  総務省としての対策をお聞かせいただきたいと思います。
  128. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 御指摘の点は消費税の制度に関係するわけでありますけれども課税売上高が三千万円以下の公営企業につきましては、これは民間の事業者と全く同じでございますけれども、免税事業者を選択することができるという仕掛けになっておるわけです。免税事業者になりますと、自分の売り上げに対して税金はかかりませんけれども、同時に自分が仕入れをした場合にかかっておった消費税額の還付を受けることができないということになりますので、売り上げと仕入れの関係によりますとこれは損する場合が起こり得るということであります。  それからまた、一度納税義務者を選択すると、二年間は納税義務が生ずるというような問題もありまして、各公営企業事業者がこれらの点を踏まえて、売り上げ、仕入れの見通しを考えながら納税義務者となるか否かを選択したわけでありますけれども、ある場合には見込み違いによって選択を誤って、納税義務者でない方を選択したんだけれども損をしたという場合がありますし、中には、率直に申し上げまして制度の理解が足りなくて、軽い気持ちで納税義務者を選択しなかった、しかし結果的にえらい損をしたというような公営事業者が存在することも事実でございました。  このような事例を受けまして、昨年十月、私どもの方にそういう声が寄せられ始めましたので、消費税の取り扱いにつきまして、改めて今言ったような問題があるということを各事業者が対処するように助言を行っております。  なお、問題が私どもの方に大きな形で参りましたのは平成十二年度でございましたので、十二年度の特別交付税の配分に当たりましては、還付を受けなかったことによってそういう意味で失った経費の一部につきまして特別交付税で財源措置をいたしました。これは、その団体が納税義務者を選択したであろうというふうに仮定をいたしますと、交付税の原資になります消費税額が国としてもふえておったという事情が、そういう因果関係が出てくるわけでございますので、そういう点も勘案いたしまして、還付を受けられなかった額の一部につきまして特別交付税で措置することにいたしまして、それぞれの公営企業におきまして、赤字の解消あるいは料金の見直し等の適切な対応をしていただくように措置をいたした次第でございます。
  129. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今、御説明はいただいたんですけれども、四十七都道府県のうち四十六都道府県が対象ということで特交でされたと思うんですね。無論、何らかの救済をされないと、とりわけ財政事情の小さいところが多いということもありますので何らかの財政措置は必要だと私も思います。しかし、そうしないためにも、先ほどからお話をしているように、合併浄化槽のような小さいものをやるときは別ですけれども、下水道ですと一定の規模がありますので、結局きちんと申請をしておいた方がいい例の方が多いわけですよね。だから、そういうことが地方公共団体に徹底されてなかったということが一つあると思うんです。消費税の構造そのものが非常に複雑で、当たるものと三角とペケとなっていまして、それぞれの市、町は大変で、一般会計は結局非課税ですから、当然そういうふうに何もしなくてもいいと思っているという部分も否めないんですよね。だから、そういったきめ細かな指導というのがきちんとされること。  これはある意味ではわかり切っていてこういうふうになっているというんですかね、きちんと申請した方がいいのがわかり切っているのに申請してないということだものですから、やっぱりそこに手薄があると思いますし、私なんかは、交付税は地方の財源だものですから、お国の消費税のために地方の財源をまた取られちゃうのかなと、使われちゃうというのも少しちょっとせつなく思う部分があるんですね。  消費税そのものがこういう複雑なもので地方にも迷惑をかけているということで、消費税そのものをなくすということが一番いいと私は思うんですけれども、そういった意味でもきちんとした指導、技術的な助言というんですか、こういうときほど技術的な助言をしていただきたいということを要望して、私からの質問を終わります。
  130. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  先日、二十二日の当委員会だったと思いますけれども、二〇〇一年度から三年間、もしも同じぐらいの地方の財源不足が生じた場合には赤字地方債の総額が三年間で概算七兆二千億円という答弁がございました。地方の借金は新年度末には百八十八兆円。これが地方財政を一層圧迫しているわけですけれども、今でも公債費の負担比率が一五%を超える警戒ライン、これを超えている地方自治体が六二・一%、三千二百二十九団体のうち二千五団体になっている、こういう状況であります。さらに地方債を三年間で七兆円も発行するということでは、地方財政は破綻をするのではないかというふうに思います。  そこで、きょうの午前中の答弁の中で、大臣が税財源の再配分を検討していきたいという趣旨の御発言がございました。これは大変大事なことだというふうに思います。私は、抜本的な地方財政再建の対策を持つべきだというふうに思います。毎年のようにさまざまな形での借り入れやら地方債やらやっているわけですけれども、抜本対策は見通しがなかなか出てこない。  大臣に伺いますけれども、抜本的な財政再建対策、いつごろどのようにお考えなのか、もしそういうものがございましたら概略御報告いただければと思います。
  131. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この地方税財源の充実強化の問題は大変重要な問題だと認識いたしております。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  我々も、既に御答弁申し上げましたが、昨年の四月から地方分権一括推進法が施行されまして、国の関与の縮小だとか、機関委任事務の廃止だとか、ある程度の権限事務の移譲だとかは一応行われたとこう思っておりまして、次の段階でさらなる事務権限の移譲というのがあるのかなと思いますけれども、とりあえずはそれでやや安定的なあれかなと。問題は、やっぱり委員も言われるように私も税財源の見直しだと思います、国と地方の。  ただ、御承知のような景気の中で、国の財政は四百兆に近い御承知のような累積債務で、当方が百八十八兆で、合わせて六百六十六兆ですからね。そこで、国の方は幾らでも赤字国債を出せ、地方の方だけは赤字地方債を出さずにきれいにいくよと、これはなかなかできないですね、公の経済で。  私は、国と地方はある意味では運命共同体だと思っておりますから、景気が落ちついて安定して、民需が出てきて自律回復軌道に乗れば、その段階で抜本的な見直しをしてもらう必要があるんではなかろうかと、このように思っております。それじゃいつかと言われるとなかなか難しいんですが、できれば来年度、安定的なプラス成長になって、再来年度にしっかりそれが定着するようなそういうことになれば、そういう段階で私は、しっかりとした議論の上で見直しを図って、できれば税財源の移譲ということの具体的な議論、検討に着手してもらいたい、こう思っておりますが、これは社会保障制度をどうするかとか、社会資本といいますか公共事業をどうするかとか、そういうところと不可分に絡んでおりますから、これも御答弁申し上げましたが、経済財政諮問会議では長期的なマクロモデルをつくってシミュレーションしてみようじゃないか、いろんな仮定をはめてと、こういうことも一方で考えておりますから、そういう準備を今から私は始める必要があるんではなかろうかと。その上で、何度も言いますけれども、景気回復が安定的になればしっかりと議論して結論を出すと、こういう必要があると思っております。
  132. 富樫練三

    ○富樫練三君 景気が回復すればという話は大分前から何度も伺っているわけですけれども、たしか四年前に、桜が咲けばと、桜の咲くころはと、三年前にもそういう話を聞いたんですね。二年前にも聞きました。この調子で行ったんじゃ、なかなかこれは大臣のおっしゃるような時期が来ないのではないかというふうに思います。  私は、抜本的な改革、再建策が必要だというのと同時に、ただ景気がよくなったらと言っているうちに、地方財政の方はそれまでもつかどうか。借金だけはどんどん膨らむかもしれない。こういう時点にもありますので、当面できることはやっぱりやるべきではないでしょうかというふうに思うんです。  そこで一つ、前の自治省の資料なんですけれども、これは各年度税制改正による事項別増減収見込みという資料が出されております。これによりますと、九八年度から三年間の大企業に対する減税などで、景気後退分を除いたいわゆる制度減税分だけで、法人事業税税率の引き下げ、これで五千九百億円、国の税制改正に伴う地方への影響分が、法人事業税法人住民税、この減税分で七千七百億円、合計しますと一兆三千六百億円、地方の税収が減っているわけなんですね。これをもとに戻すだけでも一兆三千六百億円の地方の財源が確保できるわけなんです。  ですから、二〇〇一年度に新たに発行しようという赤字地方債はたしか一兆四千四百億ぐらいだったと思うんですね。そうすると、一〇〇%にはならないけれども、ほぼ来年度、新年度発行する赤字地方債に匹敵するぐらいの財源は確保できるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  133. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 平成十一年度からの法人関係税の減税ですけれども、これは政府の税調でもあるいは与党の税調でも大議論しまして、やっぱり欧米並みの負担、あるいは今の景気の状況から見てさらに企業に活力を持ってもらうためには設備投資の促進その他も要る、こういう議論で、いわばグローバルなスタンダードにということでやったわけです。その減税をやったことに伴う減収については、御承知のように、法人税の地方交付税率の引き上げを行ったり、たばこ税の一定割合の地方への移譲をやったり、あるいは不交付団体には地方特例交付金制度をつくったりして補てんしたわけです。  今回の一兆四千億というこの赤字地方債は、今回は恒久的減税による減収を外しても十兆以上のこれは経常収支の不足が出るわけで、その中で二カ年にわたって交付税特会の借り入れをやめて、来年度は半分は残すんですよ、残りについては国の一般会計の加算と赤字地方債でいくと、こういうことにしているわけですから、数字は何となく似ていますけれども、よって立つところは全然違うわけでございますから、それはひとつ誤解のないようによろしくお願いいたしたいと思います。
  134. 富樫練三

    ○富樫練三君 いや、よって立つところはそんなに違わないんです。地方の財源不足というのは通常で約十兆円ですね。減税分で約四兆円近くあるわけです。ですから、合わせれば十四兆円で、そういう意味では、お札には名前が書いていないわけですから、それだけのお金が足りないということは事実なわけなんです。  確かに、減税した分を特例交付金とかあるいは減税補てん債であるとかたばこ税であるとか穴埋めしていると、したがって、国としては責任果たしているんですよと、こういうことだと思うんですね。ただ、それは減税したから必要になったんですよ。減税をしなければ、例えば減税対策債とかあるいは特例交付金とかはこれは要らないわけなんです。そうすれば、大臣がおっしゃるように約十兆円前後のそれはまだ残りますよ。残るけれども、しかし赤字地方債を発行しなければならないという事態は避けられるのではないかというふうに思うんですね。  確かに、欧米並みの負担増が必要だとか、設備投資が必要だとか、これは景気対策としてということをおっしゃっているんだと思うんです。ただ、日本法人税の場合は必ずしも、欧米に比べて非常に高いと、安くしなければならないという状況ではないんです。それは、例えば今は不況がずっと続いています。ところが、大企業の利益というのはかなり伸びているわけなんです。  一番新しい情報というか資料で、政府が発行しております、これは内閣府ですけれども、三月十六日付の月例経済報告、これによれば、企業収益平成十二年半ば以降は大幅な改善が続いている、こういう報告をしています。法人企業統計季報、これによりますと、経常利益で十—十二月期、これは昨年ですね、これは前年同期比で三一・九%増、こう報告されているんです。これは大企業なんですね。  これは国税庁の調査でもはっきりしているわけなんですけれども、全国の企業数総数の〇・六%を占めている数で、大法人が、利益全体の黒字法人を見た場合、利益全体の六三%を占めているんです。〇・六%の企業が六三%の利益を占めているわけなんです。これは国税庁の資料です。ですから、大企業担税力というのは十分あるんです。  だから、地方財源のために当面こういうことはやれば可能であると。そうすれば、少なくとも一兆三千六百億円の地方の財源を生み出すことはできるというふうに思いますので、この点についていかがですか。
  135. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 確かに、企業収益は回復しておりますよ。ところが、これがなかなかプラスの方に行かないのは、今までの借入金の返済だとか不良債権の償却だとかそういうことに向いているわけですよ。抱え込んでいる企業のやっぱりいろいろなものの整理に向かっているわけで、しかもそれがアメリカ経済の減速で少しおかしくなってきておりますから、なるほど委員が言われるのは確かにそういう一面がありますが、これがどこまでどう続くかということなんです。我々が法人税や所得税減税しましたのは、何度も言いますけれども、これだけ国際交流の時代になるとやっぱり税負担というのも足並みをそろえた方がいいんではないか、こういう議論なんですよ。それは法人だけじゃありませんよ、所得税も相当な減税をやってきたわけでありますから。  そういうことの成果がこういう企業収益のアップにもつながっているわけで、そこはプラスとマイナスを考えていただかなければいけないと、こういうふうに思っております。
  136. 富樫練三

    ○富樫練三君 地方財政の問題を中心にやっていますので、日本の経済全体のことについてはこれは改めてやりたいと思うんですけれども、今やっぱり大企業はそういう意味では利益がずっと上向きというかふえているんですね。原因はリストラやいろいろなところにあるということだと思うんですけれども。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  そこで、地方財政を確保していく上で改めて地方財政を圧迫している要因の一つ、それを一つ一つ解決する必要があると思うんですけれども、例えば河川改修や道路建設などの国の直轄事業、この直轄事業に伴う地方の負担金というのがあるんですね。これは二〇〇一年の新しい国の直轄事業計画を見ると、全体の直轄事業事業費総額が約三兆七千億円ですね。これに対する地方の負担分が一兆一千億円。ですから、国の直轄事業だと言いながら、三分の一ぐらいは地方が実は負担をしているわけなんです。  例えば、地方自治体がやる事業に対して三分の一国庫補助があるというのはたくさんありますね。ただ、国がやる事業に対して三分の一都道府県補助があると、こういうのは余り聞いたことはないですね、その逆というのは。  それで、直轄事業なのにどうして地方が負担金を出さなけりゃならないのか、こういう制度があるということについて、まず大臣の認識を伺っておきたいと思います。
  137. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) もうこれも既に御答弁したかもしれませんが、ある一つの事業があって、国と地方に関係あるものは国と地方がそれは負担を持ち寄るんですよ、お互い出し合うんですよ、国と地方に関係のある事業は。  ただ、その場合に、大規模で技術的に高度な事業で国しかできないようなものは直轄事業でやる、地方もできるものは地方事業を実施する。その場合に、地方のやる場合には国が一定の割合で補助金を出す、国がやる場合には地方がそれについて一定の割合で負担金を出す。これはまたその事業によって恩恵を受けるところがそれだけの割り前を出すということは私は公平だと、こういうふうに思っております。だから、直ちに直轄事業だから全部国でやるべきだとは必ずしも思っていない。  それは一番わかりやすいのは、直轄事業は全部国でやれと、補助事業は全部地方に移せと、こういう議論も確かにあるんですけれども、それは私は現実的でないと、またいろんな観点から。そういうふうに思っております。
  138. 富樫練三

    ○富樫練三君 地方がやるのには国が補助金を出したり、国がやるのに地方が補助金を出すというかお互いに出し合うというか、そういうやり方なんだということのようなんですが、これは、税源が国も地方も同じようにあるという前提があれば、私はその議論は成り立つと思うんです。  ただ、今現実はどうかというと、税収全体を見れば国には約三分の二ぐらい入りますよね、入り口のところでは。それで地方には約三分の一。ところが、実際の事業については国が三分の一で地方が三分の二ぐらいと、大ざっぱに言ってですね。地方のその分の三分の一足りない部分は、それこそ国庫補助金であるとか地方交付税であるとか負担金であるとか、そういう形で地方にお金が流れる、こういうことになっているわけなんですね。それでやっとバランスがとれると、こういうことだと思うんです。  ですから、お互いに国も地方も出し合うということであれば、それはまずは税収のところでお互いにそれぞれの事業に見合った形の税収をきちんと保障する。そういう意味でいえば、国の税財源を地方に移譲するということがやっぱり根本的な問題だというふうに思います。  そこで、この負担金についてもう一点、大ざっぱに言うと、これは事業といっても建設関係、建設事業という、物をつくるという意味で、それとつくった物を維持管理すると、こういうふうに大きく二つに分けられると思うんですね。  そこで伺いますが、地方が例えば建物をつくった場合に、その建物をつくるときは国からの補助金がある。しかし、できた後の維持管理、これについても国からの補助制度というものはあるものなのかどうか。あわせて、維持管理費、国の直轄事業でつくられたものについての維持管理費も実は地方の負担があると。こういう制度について、これはどうも不合理なのではないかというふうに私率直に思うんですけれども大臣いかがですか。
  139. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員いろいろ言われましたが、国税地方税は六対四ですよね、何度も申し上げますけれども。それで、地方交付税は一般財源なんですよ。ただ、これは地方税にしてもいいんだけれども地方税にするとばらつきがひどくなるから、国税という形で取って一定のルールで地方に配分しているので、これまで加えますと、地方の取り分が全体の中では五五%なんですよ。国が四五%ですよ。ただ、実行上からいうと二対一ですから地方が足りないと。そういうことの理屈は私はあるのではなかろうかと思いますけれども。  そこで、今直轄事業の負担金まで含めて、何度も言いますけれども地方財政計画を毎年度つくって国会で御審議いただいているわけですね。それで、地方財政計画で直轄事業の負担金も全部入れているんですよ。それでもし足りなければ地方交付税できっちり地方財政計画に基づいて措置すると、こういう建前ですから、それは必ずしも税源の移譲とパラレルである必要はないんです、今のやり方は。いろんなものを全部、地方にかかる経費を全部地方財政計画上に入れて、これは標準的な行政ということの一つの前提がありますけれども、そこで措置している、こういうふうにぜひお考えいただきたいと思います。  そこで、直轄事業の負担金で、建設と維持管理と両方あるではないかと。私は、建設は今言ったように割り前というのか割り勘というのか、国と地方に関係ある事業を国にやってもらうんだから、地方は、その受益を受ける者は応分の負担をすると。地方がやる場合には国も応分の負担をしてもらうと、補助という形で。これはこれでいいと思うんですが、なるほど、維持管理はやっぱりその施設の管理者が負担すべきですよね。そういう意味で、維持管理については、これは長い経緯があるので、なるほど地方が負担しておりますけれども、これはできるだけ縮小してもらう、将来やめてもらう方が正しいと思います。
  140. 富樫練三

    ○富樫練三君 私もそう思います、維持管理費については。建設費の負担金も私は不合理だと思っているんですけれども、少なくとも維持管理の負担金はこれは廃止すべきだというふうに思いますし、そういう角度から大いに頑張っていただきたいと思うんですが。  先ほど大臣の方から、そこの地域人たちは恩恵を受けるんだと、確かに例えば河川改修すれば水害がなくなるという恩恵を受けるだろうというふうに私は思います。これは受益者負担という考え方だろうというふうに思いますね。  ただ、考えてみれば、国民は、受益を受ける、利益を受ける人たちはそこに住んでいる人たちですよ、県民であるか都民であるか。この人たちは国にも税金を払って地方にも税金を払っているんですよ。というわけですから、本来ならばそういうことで、その範囲の中でちゃんとそれぞれが責任を負うべきものだろうというふうに思います。  例えば、国の直轄事業というのは、河川改修でも国の管理する河川を改修するわけですよね。それから、道路事業で言えば国が管理する道路を改修したりあるいは新たにつくったりと、こういうことになるわけですね。  それで、その管理が十分じゃなかったために水害が起こった。その結果、そこの地域の住民は被害を受けた、あるいは県も被害を受ける、こういうふうになった場合、その河川を改修して水害がなくなったから利益を受けたんだからお金を負担するのは当然だという考えは、私は成り立たないというふうに思っているんですね。むしろ、その人たちは利益を受けたというよりは被害を受けた被害者なんですよ。被害者から税金も納めさせておきながら、同時に被害者から受益者負担金だといって都道府県からお金を負担してもらうのがこれは果たして当然のことなのだろうかという点は改めて考え直してみる必要があるのではないかというふうに思っているんです。  今、大臣から、維持管理費についてはぜひなくしたいと、こういう御発言がございましたので、次の問題に移りたいと思いますが、地方財政を考えていく場合に、日本の国の中には自衛隊や米軍の基地がたくさんあります。この基地を抱えている地方自治体としては、その基地交付金というのは財源としても大変貴重なものなんですね。  それで、この基地交付金というのは、一言で言うとどういう性格のものであるか、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  141. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは一言というのもなかなかあれなんですが、基地交付金は、固定資産税の代替的な性格を基本としながら、基地が所在することによる市町村の財政需要に対処するための財政補給金的性格を有するものだと、これが伝統的な我が省の今までの解釈でございまして、米軍や自衛隊の施設は市町村の区域内に広大な面積を占めておりますし、またこれらの施設があることによって財政需要もかかるわけですから、そういう一面があるので、それは固定資産税は取れませんから、固定資産税の身がわりであり、またその財政需要に対応すると、こういうことでございます。
  142. 富樫練三

    ○富樫練三君 固定資産税のかわりというか、そういうことだと思うんですが。  私の地元は埼玉県なんですけれども、埼玉県内にも自衛隊の基地や米軍基地があります。  それで、県知事が会長をしております埼玉県基地対策協議会というのがあります。十四の自治体でこれは構成されているんですけれども、そこから恐らく毎年のように要望書が出されていると思うんです。この要望書の中には「少なくとも固定資産税相当額を交付されるよう基地交付金予算の大幅な増額を図られたい。」、こういうふうに書いてあるんですね。これは十三年度の予算の要求のときにも同じ文章で出ております。  実態を見ますと、埼玉県の場合は、県全体でその基地に関連する固定資産相当額は約三十五億円なんです。これに対して、国から交付されているのがちょうど十億円ぐらいですね。それで、固定資産税相当額のこれは二九・六%、これが平成七年度です。平成八年から平成十一年度までは三〇%台なんですね。それ以上はふえておりません、残念ながら。  それで、その埼玉県の中の基地の一つですけれども、入間基地というところがあります。二百七十二万平方メートルあります。市当局が試算した固定資産税の仮試算相当額は二十億七千七百四万九千円なんです。これに対して、実際に交付された金額は五億三千六百四十三万九千円です。その差額が何と十五億円あるんですよ。  このほかにも、例えば所沢の米軍基地の場合には、これは名称が若干違いますけれども、市の固定資産税の評価額で言うと、これから計算すると三億七千万、これに対して交付されているのが一億八千万です。差が約二億円。自衛隊の朝霞駐屯地がある朝霞市と和光市の場合は、両市の合計で固定資産相当額が五億一千万ぐらいです。これに対して交付金は一億六百万、三億円以上の差があります。  もしもその基地の土地が民間の土地であればそれだけの固定資産税が入っているはずなのに、国の施設だからといって低く抑えられていいものだろうかという疑問は、これは市長さん初め県知事も皆さんそういうふうに思っているわけなんです。同じことは全国的にも言えるということなんです。  ですから、大臣総務省としてこういう実態で果たしていいものだろうかと、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  143. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この基地交付金というのは大変な経緯の上でできて、また増額してきたものでございまして、かつては据え置きだったんです、ずっと。幾ら何でもそれはひどいじゃないかということで、固定資産税は三年で一回の評価がえですから、評価がえのときにそれじゃふやそうと当時の大蔵省と、今財務省ですけれども、大議論をやって、それじゃ評価がえのときに十億ふやすということで今日まで来ているんです。  私も、予算編成のときには関係の方からいろいろ陳情や要請を聞きますからよくわかりますよ。ただ、後ほど詳しい数字の説明は税務局長からしてもらいますけれども、今の固定資産税も必ずしも一・四%の評価どおりには徴収されていないんです。いろいろ政策的な配慮でまけておりますから。そういう意味ではそれほど私は差がない、こういうふうに思っておりますが、関係の皆さんの御要請はよくわかりますので、財務省との間で昨年の十二月にも大分話をいたしましたが、なおその点については話を進めていきたいとは思っておりますが、数字のことは税務局長から御答弁します。
  144. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 基地交付金についての基本的な考え方はただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、委員、先ほど埼玉の例をとって御説明になりましたが、確かに例えば平成七年は、私どもも県からいただいている資料で見ますと、固定資産税相当額が三十五億余に対して基地交付金は十億四千万ほどであると。したがって、その固定資産相当額に比べますと二九・六%だというお話もございました。  ただ、その後の話はちょっと省略されましたけれども、その後、御承知のように土地の下落とかいったようなこともございまして、実際に固定資産税相当額をはじきますと、例えば平成七年で三十五億台だったものは十一年度で言いますと二十九億ぐらいに落ちておるわけでございます。したがいまして、固定資産税相当額に対する基地交付金の割合も二九・六%が例えば三六、七%ぐらいの比率にはなっておるわけでございます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、確かに固定資産税相当額、これの代替的性格という面はもちろんあるんですけれども、さまざまな事情で設けられた交付金でございます。私どもは一方で、確かに固定資産税相当額とは少し差がございますけれども、一方で苦しい国の財政事情の中でできるだけ確保に努めてきておりまして、例えば最近のように地価の下落があり固定資産税も相当落ちている中でも、三年に一度は十億円ずつ増額するといったような努力もしているわけでございまして、何分よろしく御理解を賜りたいと思っております。
  145. 富樫練三

    ○富樫練三君 今、局長説明されたのは、平成七年に三十五億の固定資産税相当額だったのが平成十一年には二十九億に下がっている、土地が下落しているからと、こういうことですね。それはそうなんです。ただ、二十九億だったらそのくらい出ているのかと。下がった分に見合ってでもいいから出ているのかというと、実際に出ているのは十億でしょう。ですから、平成七年のときに比率からいえば二九%だったのが三六・一%に上がった。それは確かに上がりましたよ。上がったけれども、一〇〇%ではなくてまだ三分の一ではないか、こういう問題なんです。ですから、それを一〇〇%に接近させる努力が必要だ、こういうことだと思うんです。  それで、評価額は三年に一回固定資産税の場合変更されるわけですけれども、その都度十億円ずつふやすというふうに今答弁がございました。平成十三年度の予算編成に当たって、財務省に対して総務省から、あるいは当時はまだ自治省であったかもしれません、幾らの増額要求をして幾らの金額が実現したのかということと、あわせて、全国の基地交付金の総額、これは幾らで、それは全国の基地に関連する固定資産税相当額の何%になるのか。先ほどの三六%というのは、これは埼玉県の例なんです。全国的にはどのぐらいの比率になっているか。その点について局長の方からお知らせいただきたいと思います。
  146. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 平成十三年度の予算要求におきましては、概算要求につきましての閣議了解の趣旨等、それからまた基地所在市町村の実情等にかんがみまして、十二年度の予算額に対しておおむね三・五%増の二百三十九億五千万円を要求するということでございます。  委員がおっしゃいますのは、基礎となる対象資産について、固定資産税相当額を出したらどうなるんだ、それとの比較ではどうかということだと思いますけれども、仮に固定資産税相当額をはじきますと約五百八十九億ほどになります。したがいまして、二百三十九億円というのは非常に比率が低いではないかという御議論があると思いますけれども、この基地交付金の基本的な性格、固定資産税の身がわりという面もありますけれども、もともと法律上は非課税ということで、国有財産でございますから、非課税のものを市町村の財政事情に配慮して交付金という形で交付している性格のものでございますので、全体の国の財政事情あるいは概算要求についての閣議了解の趣旨、そういったものの大枠の中で懸命に努力をして増額要求をしている、その結果として十三年度の場合は概算要求どおり八億円、調整交付金と合わせますと十億円の増額が確保できた、こういうことでございます。
  147. 富樫練三

    ○富樫練三君 三年ごとに毎年増額ということのようですから、そういう点では本来税金がかからないものに地方財政の状況を踏まえてお金を出していただいているんだという立場ではなくて、当然のことながらそれはその自治体にさまざまな形で財政需要を強いているわけですから、固定資産税分については一〇〇%出すようにこれからぜひ努力をしていただきたいというふうに思うんです。現実にそのお金が来ないために財政が逼迫しているのは地方自治体なんですよね。ですから、そういう自治体の立場を十分踏まえて今後ふやしていただきたいというふうに思います。  さて、もう一点、今度の地方税法改正に伴う問題で、グリーン化税制による問題です。  今度の地方税法改正法案の中にグリーン化税制ということで、環境対策として低公害車には減税する、一方で環境負荷の大きい古い車には一〇%増税する。増減とも約二百二十億円で、いわゆる税制中立、プラス・マイナス・ゼロ、こういうのが出されております。  税が軽減される低公害車の場合は、いわゆる二〇〇〇年の規制の四分の一以下という三つ星の車両、三つの星がつく、これは十万台で四十億円の減税、それから二つ星車は二〇〇〇年規制の二分の一以下で三十五万台で約七十億円、一つ星車は規制の四分の三以下で百十五万台で百十億円、合計百六十万台で二百二十億円の減税になります。一方の新車登録から十一年を超えるディーゼル車の場合は三百七十万台で八十億円、十三年を超えるガソリン車は三百八十万台で百四十億円の増税ということになって、合計七百五十万台が増税対象になって増税分が二百二十億円、こういう予測が既に発表されております。  環境改善のために低公害車に対する優遇措置、これは必要だと思います。しかしながら、新車を買いかえられない庶民や中小零細事業者に対する増税、これは環境対策としての効果に疑問があるんですね。すなわち、買いかえができない場合は環境対策はそのままで増税だけが残ると、こういうことになるわけですよ。この点については、大臣、どうお考えでしょうか。
  148. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今回の自動車税のグリーン化につきましては、窒素酸化物の問題ですとか粒子状物質の問題ですとか、こういった地域環境汚染対策が大変重要だと、緊急に対策が必要だということ、一方で大変地方財政が厳しい状況にあると、この二つの事情を考慮しまして、税制面で最大限の工夫をした上で税収中立の形で創設するということにしたわけでございます。  今、例えば重課の幅では必ずしもそういう環境に汚染量の負荷の大きい車を買わないというだけの抑止効果はない、しかし重税というのだけ残るというお話がございましたけれども、やはり車を新たにお買いになる場合に環境に優しい車については税を軽課する、それから環境負荷の大きい車については重課するという仕組みをつくって、全体としては税収ニュートラルですよということがおかげさまで大変国民の皆さんにもかなり広く伝わってきていると思いますし、やっぱりこれを機会に、それじゃできるだけ買いかえる場合に環境にいい車の方を選ぼうではないかというインセンティブ効果は結構あるんじゃないかと思っていますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。
  149. 富樫練三

    ○富樫練三君 買いかえる場合は低公害車にするというのは、これは大体国民の世論だと思いますよ、大体どなたでも。わざわざ低公害車を避けて公害をまき散らす車を新車で買うなんという人はまずいないですよ。問題なのは、庶民ユーザーやあるいは中小零細事業者で、買いかえしたいんだけれどもなかなかできない場合どうなるんだと。その場合は環境をクリアするということにならない、一方で増税だけは残ると、こういうことになるんじゃないですかということを私は聞いているんですけれども、どうもいまいちかみ合っていないようですので、もしその点で大臣の方から答弁があれば、この質問の後でお願いしたいと思います。  今度のこの税制改正について各界が、確かに局長がおっしゃるように国民に大分伝わってきたと。大変伝わっているんです、皆さんよく知っていますよ、これ。ですから、反応もいろいろ出ているんですよ、伝わった結果として。  例えば日刊工業新聞はこういうふうに言っているんです。七百万台程度の買いかえ促進税と、こう言っているんですよ。それから、朝日新聞は、グリーン化とは言えぬと、こう報道しているんですね。JAFという、社団法人ですが、日本自動車連盟というのがあります。ここの神奈川県支部が自動車ユーザーを対象にしてアンケート調査を行いました。七万一千人の回答者のうち六万九千九百人、九七・七%がこの超過課税には反対だと、こういう回答を出しているんですね。あるいは国土交通省の調査によれば、トラック運送事業者五万二千社のうち九九・八%が中小零細事業者であって、その五〇%が赤字事業者だと、こういうふうに国が発表しているんです。あるいは社団法人日本トラック協会、この幹部の方は、赤字中小企業がほとんどの中で、トラックの平均車齢、車の年齢が十一年、まだ買いかえ条件がない中で一〇%もの増税は困る、こういうふうに言っているわけなんですね。十一年というとディーゼル車の場合はちょうど税金が上がるところですよ。こういう格好になるわけですね。あるいは全日本建設交通一般労働組合の幹部、車齢十一年以上のディーゼル車への従価税は赤字中小トラック業者の経営を圧迫し、労働者にもしわ寄せされ、事故がふえる、こういう発言もあるんですね。  挙げれば切りがないわけですけれども、そもそもがやっぱりどうも違っているんじゃないかと思うんですね。環境をきれいにしようというわけでしょう。環境をきれいにしようというんだったら、きれいになるようにすればいいんです。ところが、今度の税金の発想というのはプラス・マイナス・ゼロにしようというところが大前提なわけですよ。だから、一方で減税したら一方で増税しなくちゃいかぬと、こういう発想になっているわけね。だから、これは環境をクリーンにするということではなくて、どうやって車の買いかえを促進しようか、日刊工業新聞が言っているとおりだと思うんですね。これは、私は減税する方には賛成なんですよ。だけど、その車の買いかえがなかなかできないという人たちにまで増税を一緒に持ってくると、こういうやり方は環境対策にはならないのではないかというふうに私は思うんですけれども大臣、いかがですか。
  150. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この税制は環境対策に資するためにつくった税制ですよ。しかし、同時に、大変委員にも御心配いただいております、地方財政厳しいものですから、地方財政に影響を及ぼさないようにということで税制中立にしたんですよ。だから、両方の要請にこたえるというのはこういう結果なんですよ。  我々は必ずしもこの減税に賛成ではなかったんだけれども、関係のところはぜひやってくれと、関係者が熱望しておりますというから、それじゃ税収中立でということで中央関係のいろんな皆さんも説得してこの税制をとったわけでありまして、いろいろ言われるけれども、買いかえ促進のためにやるんですよ、当たり前なんですよ。環境をよくするために買いかえてもらうんですよ、十年以上の車は。そのかわり新しい、いい車は安くするんですよ。買いかえ促進なんですよ。買いかえが進まなきゃ意味がない、この環境対策は。そういう点から十分な御理解を賜りたいと、こういうふうに思います。
  151. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣、大分はっきりおっしゃいましたけれども、両方の要望にこたえるんだと、その結果税制中立になったんだと、こういう話ですね。  伺いますけれども、増税を要望したのは一体どこなのかということなんですね。減税を要望したところは私わかるんです。税金を一〇%上乗せしてくれと、こういうふうに要望したところはどこなのかということですね。  私は、国土交通省から説明を伺いましたら、自動車が我が国全体のCO2の一九%を排出しているんですね。NOxでいえば四一%を出していると。この対策として必要なのは、一つは排出基準を厳しくすること。そのためには、自動車メーカーに製造段階での厳しい排出基準を義務づけること、そして新しい基準をクリアできない車両についてはメーカーの責任で排ガス浄化装置、DPFといいますけれども、これの義務化、こういうことを行う、これが大事だと思うんですね。  きょうの新聞を見ていましたら、東京都議会で自民党の議員さんが、メーカーにも負担を求めるべきだと、こういう記事が載っておりました。庶民ユーザーや赤字中小零細事業者に対する負担増を環境対策の一つだと、こういうふうにするのは、これは大いに疑問があるというふうに思いますので、この点一つと、あと一分しか時間ありませんので、もう一点だけ伺っておきます。  もう一つは自動車の走行の総量規制を行うという問題です。そのために、例えば全国のバス協会、キャンペーンをやっています。公共交通機関への誘導策、これが効果的なんだと。例えばエネルギー比較でいうと、一人を一キロ運ぶのに、バスの場合は百九十キロカロリー、乗用車の場合は六百四十キロカロリーが必要なんですね。三・四倍違うんですよ。ですから、特に大都市圏での駐車場確保の困難さとか高齢化の中で公共交通機関の充実の要望が高まっております。環境対策としての政策のあり方が私は今問われているんだと思うんですね。  だから、そういう点で、大臣も今度の方法が一番いい方法だというふうには思わないとおっしゃっておりますけれども、やはり環境対策を基準にした税制のあり方、これを見直すべき、考え直すべきだというふうに思いますので、大臣の考え方を、局長は結構です、もう時間がありませんので、大臣の考え方を伺いたいと思います。
  152. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員以外の午前中からの議論でありましたように、環境について、環境対策のために税制をどう使うかという議論は今世界的な議論なんですよね。そういう中で、我々もしっかり勉強したいと思いますし、私は立場がこういう立場ですから、地方税の方が私は向いていると思うんですよ。これは、今回のグリーン税制を含めて、しっかり環境に対する税制のあり方については検討したいと思いますし、具体的なあれは簡単に答えます。はい、局長
  153. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) ただいま委員質疑の中で、どの役所から要求があったかというお話ですけれども、当時の運輸省、それから環境庁、それから通産省、三省の共同の要望で出てきたわけでございます。大臣が御答弁されましたように、当時の私ども自治省としては必ずしもこれに賛成ということではなかったんですけれども、三省庁初め各方面から大変熱心な御要請がございまして、こういうことにしております。  なお、重課の点も、さっきちょっと手元に数字がございませんでしたけれども、一トン超から二トン以下の貨物車で一万一千五百円が一万二千六百円になるというようなことでありますので、この程度の負担増は、やっぱり一方で委員も御心配のように地方財政も大変厳しいわけですので、やはり環境をよくするため、一方で地方財政もしっかり守っていくために、ぜひ御負担をお願いしたいと、こんなふうに考えております。  なお、この制度は二年間の制度でございますので、二年この実績を見まして、今、委員からもいろいろ御意見ございました、いろんな各方面の御意見を伺いまして、もっとさらに改善すべき点等ございましたらしっかり取り組んでいきたいと思っております。
  154. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  155. 山本正和

    ○山本正和君 大分お疲れになったかと思いますが、私も久しぶりに四十分という時間をいただいたもので、ちょっと質問の前に少し今の地方税国税、国の財政の問題を含めて見解を申し上げて、もしよろしければ大臣からも見解を承りたいと思います。  一九八〇年代のしまいごろから九〇年代にかけて、我が国の財政は、毎年決算をやると、初めは三兆ぐらい黒字だったんですね。これが五兆黒字、多いときは七兆を超える黒字になった。そこで、宮澤さんが当時大蔵大臣をしておって、私が質問したら、何%まではいいけれどもと言っていたけれども、その何%をはるかに超える黒字になった。これはもう日本の国は金が余って余って仕方ない。当時、アメリカはもう破産するぞと言われておった。その大変豊かな財政のときに、実は一銭も残さずきれいに使ったんですよ、毎年ね、補正予算で我が国は。それは、本当からいえば野党がしっかりしておれば何じゃといってとめたかもしれぬけれども、野党も調子に乗って、少々は、これ使えあれ使えと言ったかもしれないですね。そういうことで、八〇年代の暮れから九〇年代の初めにかけて、我が国が財政というものをしっかり展望していなかった。  また、あわせてそのときは地方財政の方も、私は当時割合に三重県の知事ともいろんなことがあったものですから、財政相談を受けたり、意見も言いよったものですからね。割合地方も当時は財政調整基金なんかも積んで、それで大分いろんなことがやれる余力はあったと思うんですね。  それがどんどこどんどこおかしくなっていったんですが、そのおかしくなっていった原因の一つは、私は、率直に言ってアメリカを大分助けたと思うんですよ、これは、我が国がね。いろんな要素がありますけれどもね、助けた。今、アメリカは全然助けてくれていないけれどもね。その当時、我が国は非常におおようにアメリカを助けたと私は思うんですよ。だから、たしか中東戦争のときには小沢さんが幹事長だったですかね、百何十億ドルという金をぼんと気前よく出したり、随分豊かなものだった。  しかし、そのときになぜみんなが本当に日本の国の財政を考えなかったんだろうかと。だれも考えなかった人はないと思う、実際は。で、大蔵省の役人がその後ぼろくそに言われましたけれども、私は当時の役所の諸君をよく知っていますけれども個人的に私の教え子の同級生がおったりしたものですから、いろいろ話をしよった。本当にまじめに考えておったですよ、いろんなことをね。一体なぜこうなってしまったんだろうと、みんな考えながら。  そうしたら、あれは宮澤さんが大蔵大臣、それから竹下さんが総理大臣になってふるさと創生というやつで一億ずつ金を配りましたよね、ずっとね、元気よく。そうして、その後、リゾート法というのをやったですね。このリゾート法でまた各県ともとり合いをしたんですよ。当時は宮崎から上杉さんと、私が年が一緒で出ておったんですけれども、上杉さんは宮崎リゾートに必死ですよね。私は三重県リゾートのやっぱり、超党派でとり合いをした。どっちもとったんですが、めでたし、めでたしで。ところが、そのリゾートも今どうなっているかといったら、大変な状況ですよね。  だから、私は今ここで思うのに、我が国の財政地方財政を含めてどうしなきゃいけないかという処方せんは、本当はみんな持っている、やれないだけの話、長い反省の中でね。恐らく自民党の中の財政についていろいろ議論される政策担当の皆さんも処方せんは持っている。書いてもなかなかできない。野党もいろいろ持っているけれども、なかなかそれができないという状況じゃないかというのが私の財政問題についての考え方なんです。  だけれども、このままではどうにもならぬですから直さなきゃいけない、これをどうしても。大変な決断を持ってやらざるを得ないと。これには相当な政治的な実行力というか、場合によってはもう次の選挙で現職の議員は皆落ちるかもしれぬというぐらいの気持ちでやらなければこの国はどうにもならぬというふうなのが私の実感なんだけれども、その辺、大臣はどうお考えですか。
  156. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、山本委員からいろいろお話がございました。  確かに、バブルの前からバブルの絶頂にかけては私は日本じゅうがちょっと浮かれているようなところがあったと思いますね。それで、確かにあのころ大変財政の調子がよろしゅうございましたが、それを将来のためにという議論じゃなくて、必要な財政需要がいろいろあったものですから、全部それは蓄えずに使ったようなところもありますし、地方財政も、単独事業を大いに奨励しまして、それがまあインフラの整備にも向かいましたけれども、箱物だとかテーマパークだとかリゾートだとか、そういうことに回った傾向は確かにあると思います。  しかし、その過去を振り返って今どうこうということよりも、これからどうやってこの国、地方を通じる財政危機を乗り越えていくかと、こういうことでございますけれども、既に私が答弁しましたように、基本的には景気の回復ということにしっかり軸足を置きながら、私は財政構造改革にもそろそろ取り組むべきときで、そういう意味では一兎を追うんじゃなくて二兎を追う構えをはっきりすることが必要ではなかろうかと、こういうふうに思っておりますし、やっぱり財政そのものの効率化ということも本気で考える、一方では規制緩和を思い切ってやると、こういうことを組み合わせていくべきではなかろうかと、こう思っておりまして、今これも答弁させていただいたと思いますけれども、経済財政諮問会議を中心に今後の財政をどうやるか、経済対策を含めて今議論している最中でございますので、今、山本委員の御意見を参考にしながら、しっかりと検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  157. 山本正和

    ○山本正和君 ひとつ与党内でもかなり厳しい御論議をしていただきますように。  きょうは、きょう出されております法案の中でそれに触れていろいろと問題を聞いていきたいんですが、まず自治体がいろんな意味でどんどん仕事の量がふえてきていると。また、住民の要求も大変大きいと。そして、正直言いまして、今までは県あるいは都がいろんな役割を持ってやってきたんですが、今度はさらに市町村の方で大変ないろんな住民要求の中で苦労していると。それに伴って恐らく今度の交付税の基準財政需要額の算定基礎、こんなものを変えるというふうなことをおっしゃったんだろうと思うんですが、文書にはそう書いてあるんですけれども、ちょっと具体的に少し説明していただけないかと。  要するに、基準財政需要額の算定方法の改正ということですね。それを、新たな発展基盤の整備、住民が主体となって行う地域づくりの推進、地域の活力創出等に措置すると、こういう言葉が出ている。非常にいい言葉なんですよね。これは具体的には例えばどういう事業、どういう計画をしようとしているのか、この辺をちょっと説明していただきたい。
  158. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) ただいま三点につきましてお話がございましたが、これを詳しく申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  まず、一番最初の「新たな発展基盤の整備」ということでございますが、これは、IT革命の推進、そして科学技術振興のために新たに日本新生緊急基盤整備事業を創設したということでございまして、約三千五百八十億円程度です。このうちハードが三千億円程度でございまして、ソフトの方は五百八十億円程度でございます。これが第一項目めでございます。  それから二つ目は、「住民が主体となって行う地域づくりの推進」ということでございますが、これは、住民による話し合いの場づくりやその結果を受けた取り組みを推進するためにわがまちづくり支援事業というものを創設いたしまして、これは約七百五十億円程度見ております。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  それから三番目でございますけれども、「地域の活力創出」といたしまして、地域経済の振興や人づくりに必要な事業に対して約七千五百億円程度。これはハードの部分が六千億円程度、ソフトの部分が千五百億円程度でございますが、その財源措置を講ずることにした、こういうことでございます。
  159. 山本正和

    ○山本正和君 ひとつ地方との十分な協議の中で今の点は進めていただきたいと思うんですけれども基準財政需要額というものが示されておるのが一つの地方自治体としては財政の指針になっているわけですけれども、これ、新しいものを出しましたよと、その出した意味はこういう意味ですから、皆さんこういうことについてはどんどん考えてくださいよという、その辺がちょっと下まで行っていないような気が若干するものだから、あえて聞いたわけなんですね。ですから、それはぜひお取り組み願いたいと思います。  そこで、私、実はきょう、自治体が今大変苦労している中で、特に廃棄物の問題で大変苦労しておるんですね。いわゆる一般廃棄物と産業廃棄物とありますが、それぞれ一体どういうふうに国としては、また旧自治省、今度は総務省ですけれども、としてはどういうふうなお考えを持っておられるのか、その二つの点について説明をしていただきたいと思います。
  160. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お尋ねの一般廃棄物及び産業廃棄物の処理に関しての地方団体の対応あるいは役割についての点でございますが、廃棄物処理に関する地方公共団体の役割につきましては、御案内のように、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において定められておりまして、特に一般廃棄物につきましては、その法律の第六条の二の規定によりまして市町村の責務とされております。市町村は、その区域内の一般廃棄物につきまして、生活環境の保全上支障が生じないように収集、運搬、処分しなければならないと、こういうことにされております。  また、産業廃棄物につきましては、同法の第十一条の第一項の規定にその責任が定められておるわけでありますが、事業者がその産業廃棄物をみずから処理しなければならないという原則がうたわれておりますが、同法の二項及び三項の規定におきましては、都道府県及び市町村につきましても一定の場合に産業廃棄物の処理をその事務として行うことができることとされておりまして、この同法の規定に基づきまして、現在、それぞれ県及び市町村が対応いたしているものと考えております。
  161. 山本正和

    ○山本正和君 これ、お金がどれぐらい自治体はかかっているかと、これはちょっと質問の通知をしていなかったかね。──なかったら大ざっぱでいいんですけれども、大体自治体に対して、この廃棄物処理についてどれぐらいの費用がかかってくるか、もしその辺ちょっとあれば。
  162. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 突然のお尋ねでございますのでちょっと的確なお答えにならないかもしれませんけれども、決算統計でいいまして、目的別にいいまして清掃費というのがその経費に当たるんではなかろうかと思われますので、その支出額を便宜御答弁させていただきまして、後ほどまた訂正の必要がある場合には訂正をさせていただきたいと思います。  決算統計でいいますと、地方団体の経費の中で衛生費というのがその経費の一番大きな骨格になろうと思いますけれども、市町村でいいますと四兆八千億円ほどに上っておりまして、この大半が清掃とそれから衛生関係の経費ということに相なるんじゃなかろうかというふうに思っております。  それからさらに、細かい分類でいいますと、その中で清掃費という分類がありまして、市町村の経費で申し上げますと二・五兆円ほどに上っております。
  163. 山本正和

    ○山本正和君 一般廃棄物はちょっとおいて、産業廃棄物については、これは建前としては本来国が扱うと、しかしそれを地方自治体に委託する格好でやっているわけだけれども、これは外国等の例を見ると、例えばアメリカでは大分厳しいものについては国がやると。ドイツも同様な感じ。それから、州に任せるもの、国が持つものと、こういうふうに産業廃棄物についてはいろいろと分けてやっておるようですね。  しかし、国がやるということでいくと、どうしてもこれは我が日本国でいうと環境省の所管になると思うんですけれども、国としてはこの種の問題についてどういうふうな構えで今取り組んでいるのか、ちょっとそこを今から議論するのに必要なのでお聞かせ願いたい。
  164. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 産廃行政に対するお尋ねでございますけれども、今御指摘のように、産廃行政は都道府県知事の法定受託事務になってございます。これは、都道府県知事が地域の実情に精通していることから、最も都道府県知事がその事務を執行するのが適切であろうということからそういうふうにしているわけでございます。  また、国の役割でございますけれども、現行制度におきましては、国は廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を策定することになっておるわけでございまして、また施設整備に対する財政支援などのことを行っております。  また、今、外国の例についてちょっと御言及されましたけれども、私ども承知している限りでは、制度の設計あるいは基準の設定というものにつきましてはこれは当然国が行うわけですが、実際の規制業務につきましては、例えばアメリカの場合で見ますと、一般の産業廃棄物につきましては州政府がこれを管理する、有害な産業廃棄物については連邦政府がこれを管理するような事務を行っております。また、ドイツ、イギリス、フランスでは、基本的に産廃行政の事務については州政府がとり行っているというふうに承知しております。
  165. 山本正和

    ○山本正和君 国が廃棄物の減量その他、適正な処理についての計画を推進すると、こうなっているというのは、それは今どこまで、そしてその自治体との連携はどういうふうな格好でやっているのか、その辺ちょっと教えてくれませんか。
  166. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 産業廃棄物につきましては、県が産業廃棄物の処理計画を策定することになっておりまして、そうしたものに対する指導、助言というものを国がする立場になっております。  また、昨年、廃棄物処理法を改正いたしまして、産業廃棄物も含め、一般廃棄物も含めてでございますけれども、国が廃棄物処理の基本方針を定めるというふうな枠組みをつくっておりますので、新しい廃棄物処理法のもとでは国が方針を定め都道府県が計画を定めるというふうなことになるかと思います。
  167. 山本正和

    ○山本正和君 環境省としても技術的、財政的な支援を行うという構えを持っているわけでしょう。  そこで、何か千七百億とかいう数字も出ているんだけれども、もうちょっとその辺、具体的に説明してくれませんか。ちょっと、どうも環境省がどこまでタッチしておって、それで都道府県がどういうふうになっているかという部分がわかりにくいものだから。
  168. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 財政支援のことだと思いますけれども、これは、昨年度から、都道府県が関与する廃棄物処理センター、都道府県と民間企業とが共同で設立するものでございますけれども、この廃棄物処理センターが設置いたします産業廃棄物処理施設の整備に当たっては、産業廃棄物処理施設整備費として国が補助するという仕組みが導入されております。これは金額的には産業廃棄物施設分を特定しておりませんで、全体として、今年度予算は千七百億円の施設整備費がございますけれども、その中の内数として補助することができるというふうになっております。  ただ、これは十二年度からスタートした制度でございますので、まだそれほど活用されているという状況ではございません。
  169. 山本正和

    ○山本正和君 というふうなことなので、そこで総務省に私はお願いしたいんですけれども、正直言って、市町村は今この問題で、ちょっと私が聞いた話ですが、五百件ぐらいの、五百カ所ぐらいですか、この問題でトラブルが起こっているのは、全国の市町村で。そして、恐らくトラブルが起こっていないように見える市町村でも、いわゆる一般廃棄物、産業廃棄物の問題でいろんな議論をしていると思うんですね。それが、ともども市町村の一番最低必要な行政になってしまっていると、今や。また、この国は、美しい緑の国としての日本を保つということからいっても、これは自治体がどうしてもやらざるを得ない仕事であると思うんですね。  そういうことについて、これはやっぱり今のその基準財政需要額の中にもっと大きく位置づけて取り組んでもらうということが必要なんじゃないかとこう思うもので、それであえて今環境省から聞いたんですけれども。環境省の方も、国がやれる部分というのはどうしても他の国等のいろいろな状況等を見て国はここまではやれると。実際の話、みんな知っているのは、自治体でしか実情はわからないということから自治体にいろんなものをゆだねざるを得ないと、こういうふうになっているわけですから。  その辺のことで、総務省としてはこれについては、今後、環境省とも連絡とりながら、ひとつ市町村行政の中にきちっと位置づけるということについてどういうお考えを持っておられるのか承りたいんです。
  170. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 一般廃棄物の処理につきましては、私ども市町村の最も基本的な行政の一つだと考えておりまして、その収集、処理、あるいはリサイクル等にかかる経費も含めまして、所要の経費を普通交付税の基準財政需要額に参入させていただいております。また、処理施設の整備につきましても、ごみ焼却施設の例で申し上げますと、国庫負担がある部分を除きました残りの九五%に地方債を充てまして、その元利償還費を交付税に参入するという仕組みをとっております。  それからまた、産業廃棄物につきましては、排出事業者がみずから負担するというのは原則でありますけれども、これは放置できない問題になってきておるということで、先ほど環境省の方からもお答えがございましたが、公的関与の道を開くということで四分の一の国庫補助制度が創設されておりまして、地方団体が直営で産業廃棄物処理施設を整備する場合、あるいは第三セクターであるところの廃棄物処理センターで整備する場合と二つの道がありますが、その場合も、いずれも地方負担につきましては、これは料金という形で事業者から回収する必要がありますので交付税措置は行っておりませんけれども地方負担に対する地方措置、あるいは廃棄物処理センターに対する出資に対しまして地方債を措置するというような形を行いまして、地方団体がこの一般廃棄物、産業廃棄物問題にきちんと対応できるように財源措置を講じさせていただいているところでございます。
  171. 山本正和

    ○山本正和君 形としては、いわゆるルールというか、仕組みとしては一応体裁は整っているんですよね、確かに。ところが、現実問題としてはなかなかそうはいかない。特に、産廃の場合は、これは業者がどんなに頑張っても今の利益を上げようとしたらきちっとした価格にならないんですよね。  これは例の瀬戸内海で大変な騒動にまで持ち上がった島の問題まで取り上げませんが、三重県でも、伊勢市というのは、これは皇大神宮のあるところで大変山も緑の美しいところなんですけれども、その伊勢市の矢持というところへ産廃業者がいつの間にやらその土地の人と契約して、本当にきれいな山の中なんですよね、こんなことを言ったら、神様の国だ、おまえはと、またしかられるかもしれぬけれども、私は伊勢の神宮は神の国と思っているので、その神様を汚すようなむちゃくちゃな、地域に、そこへぼんとほうり込もうとしている。これは大変だというので地元の人たちもいろんな形で騒動になって、どうやら知事の段階ではある程度の判断をしたようなんですけれども、これは、環境省はこのことは聞いてもらっておると思うんですけれども、この辺の判断はどういうふうにしておられますか。
  172. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 三重県伊勢市の矢持に産業廃棄物の管理型最終処分場を設置しようとする計画がございまして、これは平成十一年の三月に三重県知事に対して許可申請を行っております。これに対しまして三重県知事は、十一年の十一月にこれ不許可とするという処分を出しておるわけでございます。ところが、この不許可処分に対しまして事業者は不服ということで、平成十二年の一月に行政不服審査法に基づく審査請求を国に提起しておりまして、現在私どものところでこれを審査中でございます。  この審査請求は、環境大臣事業者、直接の利害関係者というのは事業者と都道府県知事になるわけですけれども、それとは異なる第三者的な立場に立って法律的な立場で判断を下すというものでございまして、現在鋭意審査を行っておりますが、今時点ではまだこの結論を得るには至っておりません。
  173. 山本正和

    ○山本正和君 最後は環境省が判断をすることになるんだろうと思うんですが、今、そういう状況を含めて十分慎重に対応していただきたいと、こうお願いしておきます。  そこで、実は、そんなことも含めて県内でいろいろ議論がありまして、三重県の知事は、何といいましょうか、石原さんのまねじゃないんですけれども、今度の新しい税制改正に伴ってひとつ新しい県税をつくろうかというふうな、産業廃棄物に対する、税の問題を持ち込もうとしているんですけれども、ちょっとまだ若干議論が詰まっていませんけれども、これはどうなんでしょうね、そういう種類の税をつくるということについては、自治省としては今度の税法改正観点からいってどういうふうにお考えになっておられますか。
  174. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今、委員お話しの廃棄物の問題ですとか、あるいは下水の処理の問題ですとか、住民に身近な地域環境問題に対しまして税制面で対応する場合は、一般的には地方の独自課税になじむ分野ではないかと考えております。  御承知のように、昨年四月の分権一括法で地方税法改正もございまして、法定外目的税の制度もできたわけですけれども、今お話しのように、三重県さんの方ではその法定外目的税を検討されているというふうに伺っておりますけれども、まだ具体的な協議書提出などはございません。個々の地方団体で、地域の事情に即しましてこの課税自主権の活用をすること自体は大変望ましいと思っておりますが、条例の制定などの具体化に当たりましては、やはり税制の公平、中立などの原則ですとか、あるいは地方税法上の三つの要件等がございますので、十分三重県の方で、納税者の理解も得ながら、議会等で十分議論していただいて判断していただきたいと基本的には思っております。  今後、三重県の産廃関係の法定外目的税も含めまして、三重県、あるいはその他の地方団体から総務省にこういった問題について個別に相談等がございましたら、法律に定める要件も踏まえまして、できるだけ情報提供なり助言なり必要な支援を積極的に行っていきたいと、こんなふうに考えている次第でございます。
  175. 山本正和

    ○山本正和君 いろいろ議論が出ている理由には、今もちょっと局長の方からお話があったけれども、さまざまなやっぱりいろんな影響といいましょうか、各方面に与えるあれがあるもので、なかなか結論は出にくいんですけれども、やっぱり本来から言ったら、この産業廃棄物の問題は何とかならぬのかしらんと。環境省とかあるいは総務省とかいうことを超えて、これは我が国の一番、これからの二十一世紀の中でのどうしてもこれ超えていかなきゃいけない課題だろうと思うんですよね。  ところが、業者に言わせると、私どもは頼まれて引き受けて処理せざるを得ないと。処理するについては、法律に基づいてこうやって、ちゃんと土地を確保したんだからどこが悪いんですかと、こういう話になるんでしょう。ところが、そこからそれじゃ出てきたところのさまざまな影響を受けるのは住民だと。そうすると、もうトラブルが起こったら、今度は市町村何じゃ、県何じゃと、こうなってくる。それが国へ響いてくるわけでしょう。それを今のままの制度で置いておいていいかしらんというのが、私はどうも気になって仕方がないんですよね。  そこで、これは別にアメリカのことに学べというんじゃないんだけれども、預託金制度をアメリカが持ってきて、そして業者から保険金みたいなものを全部取って、それで何とかいう名前だったですね、ややこしい名前つけて、スーパーファンド法というのをアメリカではつくっていると。そして、このスーパーファンド法というやつでもって業者から金を取っておいて、そして何も問題なかったら返しますよ、問題があったらその金で返します、こんなことを言っているんですけれどもね。  何か要するに、これはもう一地方自治体の問題でなくなったらこういうものが必要じゃないかというふうに思うんですよね。その辺のことについて、これはアメリカのスーパーファンド法についても一遍検討してほしいということを要請しておいたんですけれども、ちょっと見解がありましたら、環境省と総務省両方からお願いします。
  176. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) スーパーファンド法の件でございますけれども、スーパーファンド法は、アメリカにおきまして一九七八年にラブカナル事件という土壌汚染事件を契機として制定されたものです。そういう意味では、有害物質に係る土壌汚染に対処するための法律としてつくられております。  一九八〇年に包括的環境対処・補償・責任法ということで、通称スーパーファンド法と言われております。先生のおっしゃいましたように、基金としまして、石油税ですとか化学原料物税とか環境法人所得税等を原資としてファンドをつくっております。そういうファンドを用いまして、これは土壌汚染問題ですけれども、土壌汚染問題への対策を進めてきているという状況にございます。  ただ、一方で処理対策の責任分担をめぐっての訴訟なり、あるいは対策そのものに長期間なりそれから本当に多額の費用ということで、コストパフォーマンスとしていいのかという問題も指摘されておるような状況でございます。  以上でございます。
  177. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) スーパーファンド法について若干説明がありましたけれども、土壌汚染がありまして、それが原状回復が大変困難であるといった場合に、いわゆる産業廃棄物はPPPの原則で排出事業者がそれをきちっともとに返すというのが原則なんですが、それがなかなかできない場合に地方自治体等がそのかわりに代執行して原状に回復する、その費用についてファンドからそのお金を徴収する、こういう仕組みだと思います。  それがアメリカではもう二十数年前からできているということでございまして、今後の参考になるのではないか、こう思っております。
  178. 山本正和

    ○山本正和君 実は、三重県の超党派の県会議員団がこのことを大分勉強しまして、矢持のことから端を発したもんですから矢持研究会という名前で産業廃棄物の処理だとかなんとか、いろいろと超党派の議員団が勉強して、私のところにもいろいろと言ってきているんですけれども、どう言ったらいいんでしょうかね、何でもかんでも国の税金で処理せよというのもおかしいんだけれども、そうかといって、現状ほっといたらどうにもならぬということがあるわけですよね。そういう中で、やっぱりどうしても早いこといろんなことを考えなきゃいけない。そうすると、スーパーファンドまで行かぬにしても、例えば預託金制度というふうなものが簡単な格好でできないだろうかというふうな議論もしているんですね。  そんなことを含めて、一遍ぜひ環境省あるいは総務省、両方の関係する方でこの問題を今後ひとつ研究していこうというぐらいのことを私としてはお願いしたいんですが、この辺は大臣いかがですか。
  179. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 産廃の問題は本当に全国的に深刻な問題で、私の地元でももうしょっちゅう問題になっているんですよ。場合によったら、住民投票なんかをやりますともう圧倒的に皆嫌だと言うんですね、それはやっぱり当たり前の話なんですね。一種の産廃の処理施設なんというのは迷惑施設ですから。  しかし、このままほうっておくと何をどうやるのかという議論で、不法投棄なんかの議論が生ずるんで、私は、そういう意味ではやっぱり一次的には事業者ですよね、二次的には都道府県だと思っておりますけれども、やっぱり国の役割の明確化というんでしょうかね、責任の強化というのは私も必要だと思うんですよ。環境省そのためにつくったんですからね。ぜひ環境省の関係の幹部に奮起してもらいたいと思いますし、総務省ができることは応援してまいりたいと。  いや本当に困っているんですよ、市町村。県も困っていますし、そういう意味では今、山本委員から御提言がありましたので、環境大臣ともよく相談してまいりたいと思います。
  180. 山本正和

    ○山本正和君 私は、いろんな昔の人を顔も思い出すんだけれども、昔の人と言ったらしかられるか、滋賀の知事をして、さきがけをつくった武村さんが、八日市の市長をしてそれから滋賀の知事になって、彼は自治省の出身ですよね、今の大臣もそうだけれども。昔の自治省の若い人は地方へ行ってどんどん新しいものにぶつかって、国の制度と背反することがあっても、何をと頑張ったんですね。琵琶湖条例なんかそうですよね、国との関係相当難しかったけれども、やり切った。  そういうことでいくと、総務省というのは、これは名前がどうも私は、気に食わぬと言ったらしかられますけれども、どうもやっぱり自治省がなくなったらこの国は困るんじゃないかと私は思っているんですよね。だから、総務省がやっぱりそこのところの役割をきちっとして、そしてひとつ地方自治体は国との問題で少々ぶつかっても構わぬからどんどん元気でやれ、この国をよくせよというふうな立場で頑張っていただき、また本当から言えば、片山大臣もひょっとしたら大分前にもう岡山の知事になった人かもしれぬし。  だから、とにかく地方自治体というのを元気づけぬことにはだめなんで、その本元が総務省であるということで、ひとつぜひ頑張っていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。
  181. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど来、山本議員のお話を聞かしていただいておったんですけれども、今の我が国の状況は、確かに政治もそうですけれども、外交とか行政ですね、官僚の方の問題、それから社会全般もそうですし、金融経済、あらゆる分野がもうぎくしゃくときしんできている、いろんな面で不協和音が出てきて非常に難しい時代に入ってきている。  予算委員会で森総理と失われた十年ということでちょっとお話ししたんですけれども、何しろ私に与えられた時間は二分とか三分とか四分とか、信じられないような短い時間ですから十分にお話ができなかったんですが、きょうは珍しく四十分も時間を与えていただいていますので、若干その問題も触れながら、まさに最後に山本先生おっしゃったことは私も大賛成でありますから、地方自治体に頑張ってもらわにゃいかぬという立場から質疑をいたしたいと思うんです。  ただ、先ほどのお話の中で、確かに処方せんを変えて薬を飲んだらという話でした。ブッシュ大統領も森さんに、苦い薬は早いうちに飲んだ方が効くんじゃないかと言われたということですけれども、私は、もう薬なんて飲んでいるときじゃないと思うんですね。やっぱり大手術をしないとどうもだめなところに来ているんじゃないかと。  明治維新が黒船から始まって、それから戦後がアメリカの占領という形からスタートしておるわけですけれども、結局、戦後のいわゆるいろんな分野でのソフトというのは、意外に私はうまくいったんだと思うんですね。ソフトがうまく機能した、十年ぐらい前まで。だから、何やかんや言いながらうまくいったんだけれども、その惰性で来ているけれども、ここらでばっさり全部切らなきゃいかぬと。  私は三つぐらいあると思うんですけれどもね、手術する部分が。  まず一つは、やっぱり政治が劣化して機能していない。だから、やはり政策とか理念で政党というものはできなきゃいかぬのだけれども、みんなばらばらな人が権力闘争の中で集まっちゃっているということ。これをやっぱり一つすっきりさせる。それで、政治がメスを持てるような状況にならなきゃいかぬ。いわゆる政界再編ですよ。だから今、無党派がふえて、長野県知事、栃木県知事に続いて千葉県知事がああいう形で誕生したというのは、やっぱり国民の政治に対する不満というものがああいう形であらわれていっている。新聞、マスコミの世論調査でも九割を超す人が政治に不満を持っている。だから、これにやっぱり我々政治家はどうこたえるかというのが一つと思いますね。  二つ目は、せんだってもここで片山大臣とお話ししましたけれども、国の形と地方の形をどうするんだと。私は、最終的にはやっぱり道州制の問題、それから中央省庁がもう四省庁ぐらいになっていくんだろうと思いますが、受け皿をやはり、とりあえず千と言っておられるけれども、三百ぐらいの受け皿へ私はなっていくんじゃないか。スリムで効率的な仕組みをどうやってつくっていくのかと、日本全体の知恵で。だから、それだと思いますね。  それと、三つ目は規制の撤廃といいましょうか、グローバリゼーションの波でだあっと洗われちゃって世界じゅうが一つになってくる。最終的に日本の個性というのは、文化とか精神的な面では残り得るかもわからぬけれども、産業経済の分野では全部洗われちゃうと思いますよ。だから、日本独自のシステムというのは、今非常に商社が苦労していますよ。三菱とか三井とか、かつて世界に冠たる仕組みだけれども、世界にないんですから、ああいう仕組みは、日本しか。それが一体どうやってなっていくのかという問題が私は一つあると思うし、先ほど来、郵貯の議論もありましたけれども、そういう日本だけのシステムというのは私は残れなくなっていくんだろうと思うんですね。それをどうしていくんだというところだと思うんです。  さて、予算委員会の欲求不満の演説はこのぐらいにしまして、地方の単独事業、これも政府の景気回復策の犠牲になって、犠牲といったらあれですけれども、一生懸命やってきたんだけれども、もうもたなくなっちゃっているんですよね、御存じのように。それで、自治体がもうそっぽを向き出しているということですよ。だから、この景気対策もやっと、二兎を追うということを大臣言われたけれども、早くから私どもは予算委員会なんかで去年も言い続けてきているわけですよ。ところが、きょうの読売か朝日の世論調査を見たら、国民の方がわかっているんですよ。何をやってほしいかと、トップがやっぱり財政再建です。それで二番目が景気対策です。だから、それを早くとっているのが地域の国民と一緒に住んでいるやっぱり自治体ですよ。だから、もう軸足を移してきているんですね、財政再建の方に。  こういう状況で、いろいろと地方債の発行やその返済の一部を交付税で手当てするなど後押しをしてきたけれども、もう百八十何兆円という、これはもうたまらぬと。それで、首長の場合は、もう最後は何だ赤字つくったと、今度の改正で全部ガラス張りになっちゃっているんですから、そうしたらもう全部市町村長の選挙のときにやられちゃうわけですよ。だから、それは当然、しり込みするのは当たり前ですよ。  この問題についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  182. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 景気の回復ということがここ十年来の大きな、国も地方も挙げてこの問題に取り組んできたわけでございます。その結果、大きな借金が残ってしまったと。国は六百六十六兆、地方が百八十八兆という借入金の残高が残ったということでございます。  これからどうするかということでございますが、私は、片山大臣が先ほどおっしゃったように、やはりそろそろ一兎を追うだけではなくて二兎を追う構えを見せなければいけないのではないかという認識は共通のものでございます。ただ、当面、やはりもう少し景気の回復を、足取りを強くしていかなければならないということは喫緊の課題だと思うんですね。  したがいまして、十三年度の地方財政計画におきましては、地方単独事業の水準を決算ベースよりはやや高めに設定させていただきまして、各地方におきまして地方の単独事業を積極的に展開をしていただく。地方の単独事業というのは地域に密着した事業が多いわけですね。そして、喫緊の課題である事業も多いわけでございまして、その地域の経済効果というものも大変期待できる事業が多いわけでございますから、大変厳しい財政事情ではあるけれども地方単独事業にも頑張っていただいて、さらに景気の回復を確かなものにしていきたいと。  その上で、実際にどのような借金というものがあるのかというものをかなり透明にするという意味で、今度、交付税特会からの借入金で地方交付税を措置するというだけではなくて、地方の赤字特例の地方債も発行していただくと。自己責任というものも今度の、今御審議をいただいております地方税法改正案に盛り込ませていただいたと。こういう両面を持っているというふうに理解をしているところでございます。
  183. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今回の地方交付税法のポイントは、今、遠藤副大臣答弁のとおりだと思うんですけれども、結局今度は、今までと違って自治体自身のもう借金になっちゃうんですよ。それで、もろにそれ見えるわけでしょう。だから、このやり方というのは、むしろ後押しする形じゃなくて、地方にとっては非常に困る形に私はなると思うんですよ。もろに、例えば合併問題のときに私も首長の判断の問題について言及しましたが、まさにこれはそれぞれの首長の立場から見たら全部見えるわけですから、ガラス張りで。それで、もろに借金してきたという形になると前に進む足が出なくなると思うんです。  これは後押しにならないでしょう。後ろに引っ張り戻す形になりはせぬかと私は思うんですが、どうなんでしょうかね、その点、もう一度。
  184. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 国の方も同じように交付税特会から借り入れているというものは少し見えない形であったわけですけれども、それはきちっと国債発行していただいて、一般会計で地方に回していただくと、こういうふうにいたしたわけですね。ですから、やはり、見えないから無責任になると私は思うわけでございまして、はっきり借金は幾らあるということを透明にした上で、どのように景気回復を行うか、あるいは地方財政の再建を行うか、それをもう責任を持って行っていく。ここに初めて決断も生まれるし、未来への展望も生まれるのではないか、こう思います。
  185. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それが本当の地方自治ですからね、責任を持たせるということはいいことですが、ある面では今までずっと、さっきの議論があったように、国と地方が適当にもたれ合って実際来ておったわけでしょう。首長の方から見たら、補助金をもらうということは、結果的に失敗すれば、いや国から押しつけられたのだと言えば済んでおったわけでしょう、早い話が。今度は全部責任を持たなきゃいかぬ。しかし、それはこれからの方向としては私は正しいと思っている。大事なことです。大事なことだけれども、景気対策という形でやる以上はやっぱりある程度国が責任を持つべきだし、逆にしり込みしますよ、自治体は。だからそれはうまくいかないと私は思うんですよ。  余りこの議論ばっかりしておってもあれですけれども、ただ、さっき六百六十六兆とおっしゃったけれども、あれは地方も含めてじゃないですか。別々におっしゃったから、あれ百八十何兆上積みしたら大変な額になりますから。  そういう点で見ると、今度の問題は、景気が回復すればすればという議論ばっかりでしょう。おととしだって尾身さんが秋になったらと言ったんですよ。去年だって堺屋さんが秋になったらと言ったんですよ。両大臣とも秋の前にやめたじゃないですか。──桜だったかな。今度も大臣の御答弁も、いや景気回復さえすればと、景気回復は私はないと思いますよ。国民の世論調査でもないと見ていますよ。  だから、その前提が変わったときに、じゃ当面どうするんだという点について、それは今は予算を出したばっかりだしなかなか難しいところでしょうけれども、私はその辺の認識が甘いと思っているんです。だから、そういうことばっかり言ってずるずる来たのが失われた十年ですからね、何の手も打たずに。これはちょっと私がある程度理解できるような御答弁を願いたいと思いますがね。
  186. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 松岡委員言われるように、それじゃ景気の回復はどうかと、こういうことなんですが、しかしそれは、バブルの崩壊の後で相当な苦労をしてプラスに持ってきていることは事実なんです、いろいろなことをやって。  そこで、今言われているのは四番バッターである個人消費がなかなか打たない、火がつかない、これをどうやってということでございまして、ここに今みんなで知恵を出しているわけでありますが、もうかつてのような高度成長は私もないと思います。もう二%ぐらいなら御の字だということで、すべてのいろいろなシステムを組み直さなければならないのではなかろうか、こういうふうに思っております。ただしかし、少なくともプラスにする、少なくともですよ。二%ぐらいにする努力はどうしてもしないと、私はこの大きな国の経済はもたないんじゃないかと、別の意味で大変心配しておりますから、今財政出動を初めとして懸命な努力をしているということをぜひ御理解を賜りたいと思います。
  187. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣の御答弁としてはそうだろうというふうに思いますが。  じゃ、先に進みまして、公害財特法の改正についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、この事業重要性を考えたら、ごみ処理施設に係る特例補助率を二分の一に固定して十年間単純延長するという選択肢も私はあったんだろうと思うんですけれども、だけれども、今回の改正案は単純延長ではなくて五年後に見直しをするというふうにしていますが、これはどういう理由でこういう対応をされたんでしょうか。
  188. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) お答え申し上げます。  ごみ処理施設の補助率につきましては、いわゆる廃掃法の規定に基づきまして原則は四分の一とされておるわけでありますけれども、ダイオキシン対策の緊急性等にかんがみまして、平成十四年度までの間に限り三分の一に引き上げがなされております。したがいまして、ダイオキシン対策のための緊急的な措置が終了した場合には、この根っこの方の補助率でございますが、平成十五年度以降について廃棄物処理施設の全体の補助率の体系というものを見直そうというふうになっておるわけでございます。  また一方で、地方分権推進計画におきまして、補助率が大変低いもの、三分の一未満でございますけれども、これは廃止するというような対象に加えて見直しをすべきだというような提言も出ております。  これらの点を勘案いたしまして、今回、公害財特法の対象事業につきましての特例補助率をどうするかということになりまして、一応二分の一までの引き上げをすることにしたんだけれども、その期間は五年間にとどめておいて、今申し上げました根っこの方の一般的な補助率体系の見直しの検討を踏まえて公害財特法のかさ上げの方も改めて議論しようと。ただ、余り短くてもどうかということなので、五年間引き上げをするということに決めておこうということにしたのが今回の法律改正内容でございます。
  189. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今度、地方税法改正案の中のグリーン化税制、先ほど来やりとりがありましたが、大臣はバランスをとってというようなことですが、そういう理解でよろしいんですか、これは。
  190. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは先ほども答弁させていただきましたが、一つは環境対策に資する、もう一つは税制中立で入りと出をバランスをとる、こういうことでございまして、二つの要請をマッチさせてできた税制でありまして、むしろ当方の税務当局としては実は余り乗り気ではなかったんです。ただ、今言いましたように、当時の環境庁だとか通産省だとか運輸省だとかの強い要請がありまして、それじゃ税制中立でということで、政府税調、党税調の了承も得てこういう仕組みにいたしたわけであります。
  191. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今後の地方環境税、地方における、これの導入についてのお考えがあれば伺っておきたいと思います。
  192. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) さらに専門的なことは税務局長から答えてもらいますけれども、今、COP6ですか、この間オランダでありましたよね、ああいうところでの議論でも、本当に環境対策を進めるためには何らかの税負担的なものを組み合わせるべきではないかという意見が確かにあるんです。  そういうことで、今、我が国でも関係のところで省庁を含めましてこの問題の研究会があちこちで開かれておりまして、我々も、我々と言ったらいけません、少なくとも私は、将来環境税的なものは要るのではないかと私は思っています。その場合に、国税地方税かという議論があるんです。これはまた大変な議論なんですが、いろんな意味で環境対策の実効性を担保するためには地方税の方がベターではないか、私個人はそう思っておりまして、そういうことで私どもの方の税務当局にも十分な検討をしてもらいたい、こういうことを言っているわけであります。
  193. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 地方環境税につきましては今、大臣から御答弁がございましたが、若干補足させていただきますと、大きく二つの分野があると思っておりまして、廃棄物でございますとか下水の処理とか、住民に身近な地域環境問題につきましては、これは地方の独自課税になじむ。現在の法定外目的税等の活用について多くの地方団体でさまざまな検討がなされておりますが、そういう方向ではないかと思っております。  また、もう一方の地球環境問題、温暖化対策の問題ですけれども地方自治体の方も植林によります緑化面積の拡大ですとか公共交通機関の利用促進等の交通政策など、地球温暖化対策に寄与する施策をみずからやっているということもございますし、それから流通、消費段階で課税される場合に用途に応じた課税措置をしやすく、消費者意識を高める点で、例えば消費者にCO2削減に向けたインセンティブ効果が期待できるといったような点で、今、大臣もおっしゃいましたが、もちろん国税とすべきだというお考えもあると思いますけれども地方税とすることも含めて検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
  194. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ちょっとよく聞き取れなかったんですけれども、結局、地球温暖化関係のやつは国税でやって、その他は地方税という考え方なんでしょうか。
  195. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 廃棄物ですとか下水の処理とか、住民に身近な地域環境の問題についてはこれは地方税になじむと。それから地球温暖化対策、CO2対策のような地球環境問題についても地球的な規模の問題だから国税でいいんじゃないかというお考えはもちろんあると思いますが、一方で、地方自身が植林事業をやっておりましたり、それから公共交通機関の利用促進などでCO2抑制の施策を現にやっておったりします。また、消費、流通段階で課税しますと、今も軽油引取税なんかは地方税なんですけれども、用途に応じた課税措置をしやすくて、消費者意識を高める面でメリットがあるといったようなことがありますので、温暖化対策についても地方税として位置づけるという考え方もあるんじゃないかと考えておりまして、こういう点から勉強をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  196. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それでは、地方公営企業関係の経営状態ですね。  相変わらず交通と病院を中心に厳しい状況のようですけれども、赤字公営企業の現状と今後はどうなっていくんだろうかと、行方がよくわからないんですけれども。こういう問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  197. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 公営企業の経営状況、十一年度の決算で申し上げますと、全体としては三百九十六億円の赤字となっております。この赤字額は前年度と比べますとやや減少しておりますし、黒字事業数もやや増加いたしておりますけれども、全体の約一割以上の事業で赤字、特に病院や交通事業がよくないわけでありますが、の赤字が生じておるような状況でありまして、厳しい状況であろうというふうに考えております。  このため、私ども平成十年の一月に各地方団体に対しまして公営企業の総点検を行うに当たっての留意事項というものを指針として示しまして、広域化あるいは給与や定員の適正化、財務の適正化などの対応を強く要請してきているところでございます。  また、先般も行政改革大綱が閣議決定されましたけれども、経営の効率化、健全化といったものの具体的な内容を含んだ中期長期の計画を策定するよう地方団体要請することにいたしておりますし、また住民の皆さんへの説明といいますか、アカウンタビリティーを向上させるために公営企業の経営の効率性を物語るような指標、そういったものを検討いたしましてその方面への注意も喚起するというふうにされておるところでございます。  公営企業の経営は、地域によってまた事業内容によって左右される、いろいろ対応が異なりますので一概に見通しを論ずることはできませんけれども、住民の皆さんにとって大変不可欠なサービスを提供しておるわけでありますから、各公営企業に工夫を凝らしていただいて経営のしっかりとした立て直しを行っていただくように、今後とも要請、助言を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  198. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それでは、公安調査庁お越しでございますか。  十日ぐらい前に例のオウムの地下鉄サリン事件、六周年もうたったわけですね。ちょうど衆議院の予算委員会で当時、住専問題でやっている最中の事件なんですけれども、あれからもう六年たったかなという思いがするんですが、各地でやはりいろんな問題が出ていますね。  それで、オウム真理教の状況について団体規制法に基づいて公安調査庁で調査をしておられるはずですけれども、その結果についてお答えをいただきたいと思います。
  199. 水田竜二

    政府参考人水田竜二君) オウム真理教でございますが、同教団は現在もなお麻原彰晃こと松本智津夫を崇拝するなどその影響を大きく受けており、依然として本質的な危険性を内包している上、その閉鎖的かつ欺瞞的な性格はいささかの変化も認められないものと考えております。  組織面におきましては、全国十三都府県に二十九施設を保有し、出家信徒約六百五十人、在家信徒千人以上を擁しております。  また、活動面におきましても、一連の事件被害者に対する補償を名目にパソコン関連事業を展開するとともに、信徒の指導を強化するなど組織存続に向けた動きを活発化させております。  同じく、教団は東京都内に九拠点施設を保有しており、とりわけ世田谷区南烏山に所在する施設には上祐史浩ら幹部が居住し、同施設は教団の組織活動の中心拠点として使用されておる状況でございます。  以上でございます。
  200. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 松本サリンとか地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教が、結局、今の公安調査庁のお話だと実態的には変わっていないと、その当時から、という調査の結果を御報告されたわけですけれども、その後、公安調査庁としては、その実態を把握された後何らかの形での対応とか報告とかしておられるわけですか、関係箇所に。
  201. 水田竜二

    政府参考人水田竜二君) 現在、観察処分をやっておりまして、立ち入り等も必要に応じてやっておる状況でございます。  その結果等につきましては、関係自治体等にその都度御要望に応じましてお知らせしておる、こういう状況でございます。
  202. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 特に、都内では杉並区と世田谷区、せんだって区長会、議長会で、いつでしたか、一、二週間前に官房長官のところにこの問題についての申し入れをしておるんですよね。結局、いわゆる住民票を受理するかしないかという問題について非常に、今の御報告のとおりであるわけですから、住民の中に物すごい不安が広がっているわけですよ。  その中で、区役所としてはどう対応したらいいかということで非常に戸惑っているわけですよね。住民は住民で監視体制をつくったりいろいろ自衛上努力をしている。それを今度は追い出してしまうと受け入れる方がまた困っているという状態がずっと続いておって、まあ根本的な解決に全然なっていないわけですよね。だから、この問題を一体どういうふうに対応したらいいのか。片方では、日弁連あたりが人権問題だ、憲法問題だという形で迫ってくる。どこにも持っていきようがないので皆さんが官房長官のところに行ったけれども、結果的にはどうにもならぬという状況なんです。  不受理を非とするんであるならば、国は今の公安調査庁の調査や住民不安に配慮して至急何らかの抜本的対策をとるべきというふうに思うんですけれども、この辺どのように考えておられるんでしょうか。
  203. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) お答えいたします。  住民基本台帳法上は、転入届があった場合は市町村がこれを審査しまして、住所があるかないかの客観的な事実の確認または審査を行って、その結果に基づいて受理不受理を決定するというぐあいに相なっております。  お尋ねありました今回のオウム真理教関係者に係る転入届の不受理につきましては、一連の事件を踏まえまして、関係地方公共団体において、地域住民の不安でありますとか地域の平和と平穏、または住民の生命と安全を守るため等の理由によりまして、大変な苦渋の中における結果としてそういう態度表明がなされたというぐあいに認識をしております。  これらオウム真理教に係る問題につきましては、これまで内閣に設置されておりますオウム真理教対策関係省庁連絡会議の場を中心に、総務省もその一員となりまして、関係省庁との連携を密にしながらいろいろの課題、検討、対策について取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。  また、今お尋ねありました点でございますが、いわゆる団体規制法に基づきます公安調査庁の定期報告ないしは公安調査官の立入検査等が現在行われておるわけでございまして、これらによりまして関係住民並びに関係地方公共団体の不安の解消を図っていくことが大切であるというぐあいに認識しております。そういうことがまたこの問題についての解決につながるというぐあいに期待をし、思っております。
  204. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 結局、その住民とか区に対する国の窓口というのはどこになるんでしょうか。
  205. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 先ほども申し上げましたように、十一年五月に内閣官房にオウム真理教対策関係省庁連絡会議というのが発足をしてございます。その中でそれぞれの課題についてそれぞれの省庁で担当してございますが、窓口は内閣官房と認識をしてございます。
  206. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 転入届の不受理とか公的施設の使用不許可とか、そういうのはやっぱり総務省じゃないんですか、窓口は。
  207. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御指摘のとおりでございまして、住民票、住民基本台帳の関係については総務省の、我々の方で所管をしてございます。
  208. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 だから、今のお話を聞いてみると、いや官房が中心になって、私たちもその一員でございますというような話だけれども、今私が言っているのは、当面困っている区長、それから住民の問題ですよ。そうすると、それはやっぱり総務省がぴしっと受けとめて対応すべき問題ではないでしょうかね。
  209. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 繰り返しになりますけれども、今回の住民票の受理の問題また転入届の問題につきましては、法律の建前の中で地方団体としては非常に苦渋の選択をされておるというぐあいに思っておりまして、先ほど公安調査庁から御答弁ありましたように、これにつきましてはいわゆる団体規制法に基づくその立入調査の結果、ないしはそれが法律の三十二条に基づいて地方公共団体が請求すればそれを結果として報告するということで、関係住民なり地方団体のその不安が解消されていくと。そういう中からこの問題も望ましい解決が図られるのではないかというぐあいに我々も思っておりまして、そういう中で努力をしてまいりたいと思っております。
  210. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ちょっと、財政問題についての宮澤財務大臣みたいな答弁されちゃ困りますよ、これ。  やっぱりたらい回しをして、実際にこれだけ公安調査庁は前と変わらないと言っているわけでしょう、調査の結果。その中で住民は非常に不安に思っているわけですよ。ところが、いやいやそれは窓口は官房ですよと言って、そういう評論家的な話を今ここでされては、非常に総務省を信頼している自治体から見ると一体何やっているんだと。これは一番今国民が嫌がっている話でしょう、たらい回しして責任をなすりつけ合う。やはりちゃんと受けとめて、正面からきちっと対応する姿勢を出されるべきじゃないでしょうかね。国民のそういう不安を解消するのはやっぱり大事な仕事じゃないですか、自治体の窓口として。  大臣、ちょっとどうですかこれ、おかしいですよ。
  211. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この問題は松岡委員が予算委員会でも質問されましてお答え申し上げたんですが、市町村長さんにとってみれば、住所ということが確認できれば受理しなきゃいかぬのですよね、恐らく。ただ、住民の皆さんが大変な不安を持ってお騒ぎになるので、そこでなかなか板挟みと、こういうことはよくわかりますし、この前も予算委員会答弁しましたが、茨城県の関係の市町村長さん大勢来られまして新法をつくってくれと言うんですよ、新しい法律を、拒否できる。だから、それは、承っておきますけれどもとは申し上げておきましたけれどもね。  いずれにせよ、内閣官房中心の関係省庁連絡会議ができておりますから、そこで議論を持ち上げて、そこで対応をどうするかしっかりと議論をさせていただきたいと思いますし、少なくとも住民票の扱いは総務省所管ですから、個別の自治体の事情を聞きながら相談にはしっかり応じていきます。
  212. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今の大臣の御答弁を聞いてほっとしたんですけれども、やっぱり受けとめてやらないとこれは、私も市長をやっておりましたけれども、こんな問題が出てきたときにどうしようもないからやっぱりいろいろ御相談しているわけですし、ここは、新しい事件が本当に、公安調査庁がおっしゃるんだから本当だろうと思うんですけれども、そういう実態が変わらないところで事件がまた起きたときに、これは恐らく責任をかなり厳しく国民から追及されることになると私は思います。しっかり対応していただきたいというふうに思います。  それをお願いして、次の質問に進みたいと思うんですけれども総務省は大変大きな世帯になって、今度はお金を集める立場とお金を使う立場と両方やられるわけですからこれは大変だろうと思うんですけれども、これで公正なチェック機能が働くんだろうかというのが非常に素朴に疑問に思うんですけれども、どのようなバランスのもとにこのチェック機能を働かせていかれるのか、御所見を賜りたいというふうに思います。
  213. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 先ほどもお答えを申し上げたんですけれども、要するに郵貯と簡保の資金の運用でございますけれども、これを具体的に直接地方公共団体に貸し付けるという制度ができるわけですね。そうすると、総務省の中で、片や郵貯、簡保を監督する郵政事業庁、これも総務省の中の組織でございますし、あるいは地方公共団体に対して貸し付けをするというのも地方財政計画を練るのもこれは総務省の中でございますから、中で不透明な形でやるのではないかというふうな外部からの御心配をいただいているわけでございますが、そういうことはまず全くないということでございます。  どういう仕組みになっているかと申しますと、まず貸し付けの、要するにお金の出の方でございますけれども、こちらの部分は運用計画の一部として郵政審議会がきちっとチェックをする、それから財投計画の一部といたしまして財政制度審議会の審議を経る。これは審議会はともに有識者で構成されているものでございまして、こういう方々の審議をきちっといただく。その上で、最終的にはこれは特別会計予算といたしまして国会の御承認をいただくと、こういう形になります。  それから、入りの部分でございますけれども、これは総務省と財務省が協議をいたしまして策定をいたします地方債計画におきまして地方債資金としての額を明らかにいたします。それからまた、地方債の発行見込み額を含む地方財政計画を国会に提出いたしまして、きょうも今審議をいただいているんですけれども、御審議をしていただいてきちっとこれも明らかにしていくということでございまして、郵貯、簡保資金の地方団体向けの運用については多くのチェックが働く仕組みになっておりまして、その透明性、公正性といいますか、それは十分に確保される、このように理解をいたしております。
  214. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ほかにも質疑通告をさせていただいておったんですけれども、時間が参りましたので、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  215. 高橋令則

    高橋令則君 片山大臣、あえて質問することを第一問として申し上げたいんですけれども、それはこの予算絡みの問題なんですけれども、予算委員会に私も入っておりまして、よくわかっています。よくわかっていますが、この委員会によって地方財政が決まっていくわけですから、あえて申し上げるのは、大臣の認識として、これだけ経済が変わってきているわけですね。そしてまた予算についても、大臣は御承知のとおりいろんな問題がありますね。  私は、政府の見通しでいいとは思わないんです。それからまた、全体として見るとともかくとして、個別にはやっぱり国の予算もそんなに適切とは言えないと私は思っているんです。  そういう中で大臣地方財政を指導してやっていかれるわけですけれども、この指導の基本的な考え方からして、この国の経済見通し、そして予算の認識は、大臣はどのように考えておられますか。
  216. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 高橋委員からのお話もあるんですが、私は、今の状況の中ではそれなりに一生懸命努力した予算だと、こういうふうに思っております。  ただ、このところ実は当初予算を組みながらかなり大型の補正予算をずっとやってきたんですね。私は、予算というのは年間総合予算であるべきで、補正予算というのはよっぽどの事情がなければ本来はつくるべきでないんですけれども、景気がこういう状況ですから、ある意味では緩やかな回復軌道にありますけれども、やや一進一退ですよね。そういう中で各年度補正予算というのを組んできたんですけれども、本来は年間総合予算であるべきではなかろうかと、こういうふうにまず一つ思っております。  それから、地方財政については、何度も申し上げますけれども、それは地方財政の立場はあるんですよ。ありますけれども、やっぱり国の財政地方財政は車の両輪で、私は運命共同体だと思っているんで、国の財政がもうどんどん赤字を出して累積もたまっていく、地方はもう一切赤字を出さない、交付税特会の借入金はあるけれども、ひとり清しということは私はなかなかそうはいかないんで、全体がよくならないと地方もよくならないんで、そういう意味では国と地方が責任を共有していく、分担していくということはやむを得ないなと、こういうふうに思っております。  今回の地方交付税法上の措置も、先生方いろんな御意見が委員さん方にあることは十分承知いたしておりますが、これまた今のお話じゃありませんが、私どもにとっては苦渋の選択でああいう仕組みを採用いたしたわけでありまして、ぜひしかしこれはあるべき方向に今後とも私は努力いたしたい、こういうふうに思っております。  お答えは必ずしも的確になっていないかと思いますけれども、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  217. 高橋令則

    高橋令則君 大臣はよくわかっていらっしゃるので、おっしゃったんですけれども、私もそう思っているんですけれども、なおかつ私が申し上げたいのは、今までのやり方では地方財政は困るではないか。特に地方分権、新しい法律もできました、一括法が通りました。その中で、基本的なやり方は変わってないんですね。フィフティー・フィフティーのやり方、その考え方は、この地方分権推進法が通る前の自治省を中心に大変御努力なさったその車の両輪の考え方は、私はそのときはよかったと思っているんです。今でも決して悪いこととは思っていません。しかし、地方分権推進法が通って、そして国と地方の関係がいろんな意味で変化していかなきゃならない、そういう時代なんですね。そういう中で、見える形での変化がないということは、これでいいのかなと私は思うんですね。  副大臣にもちょっとお願いしたいんですけれども、お聞きしたいんですけれども地方財政対策をやりますね。それと同じような仕組みが大体できているんですけれども、それでは、十三年度、新機軸というものが、この地方財源不足対策で果たしてどういうものがありましたかということをお尋ねしたいんですが、どうですか。
  218. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) まず、地方財源不足対策をどうするかというのが地方財政計画の主要なテーマでございます。これを今年度、十二年度までは足らないところは、いわゆる財源対策債等を除いた部分ですけれども、これは国と地方が折半をいたしまして、ともに交付税特会から借り入れをいたしまして地方交付税として措置をする、こういう仕組みをとったわけでございますが、これは言ってみると、地方交付税特会から借り入れでございますから、よく見えない部分になってしまうわけでございますね。特に、地方から見れば、国も地方も借り入れて、そこを地方交付税できちっと来るわけでございますから、これはあと自分たちの借金であるという認識が残らない部分がございます。  しかし、そういうことがありまして、今回は地方特別交付税特会から借り入れることをやめまして、国の部分につきましては国債を発行していただいて一般会計からいただくと。それから地方の方は特例地方債を発行していただいて、そしてそれを財源にする。こういう仕組みにこれからしていただく。  ただ、十三年度はそうはいっても半分ずつは地方交付税特会からの借り入れを残すわけでございますけれども、十四年度以降からは全く地方交付税特会の借り入れをなくす、こういう仕組みになっているわけでございます。  このことによりましてどういう効果を期待しているかと申しますと、やはり個々の地方団体に交付税という形で交付されるためにと。今までのやり方だとみずからの借金であるという認識がなかった、薄かったということでございまして、今回からはそれをはっきりさせていただく、こういうことでございます。  ただ、これはやはり地方交付税法ですね、地方の特例交付債の発行で、いわゆる国の責任を免れているのではないかということではいけませんものですから、六条三の二項の制度改正ということをきちっと制度上担保する必要があるということで法律に明文をさせていただきまして、国の責任を果たす形にさせていただいておる。こういうことでございまして、このことによって大変苦渋の決断ですけれども地方交付税法上も全く問題がなく、かつ地方皆さんにもはっきりとみずからの借金を認識していただく、こういうことでございます。  そして、交付税措置もきちっと法律上、後ほどでございますけれども、出したり、特例交付地方債については法律で担保いたしまして、後で交付税措置をする、こういうことを保障したものでございます。
  219. 高橋令則

    高橋令則君 今回のお話があった仕組みについては、基本的にやむを得ざる仕組みというふうに考えますか、それとも地方分権推進に資する積極的な考え方だというふうに考えられますか、どちらですか。
  220. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私は、先ほど御答弁申し上げましたように、本来の地方交付税法の条文の規定からいうとやむを得ざる措置であります。本来、交付税率を上げるとか、ほかのしっかりした制度にする方がベターだと思いますけれども、そういう意味ではやむを得ざる措置ですが、結果として今の交付税特会の一括借り入れよりは明らかに両方の分担が明らかになり、責任が明らかになるという意味では私はこれはプラスじゃなかろうか。  それから、高橋委員言われました折半というのはこれは一つはこういう考え方なんですね。税の方は六、四ですけれども、交付税まで入れますと五五対四五でしょう、取り分が、簡単に言うと。簡単に言うと全体の取り分が、国、地方の税収を通じる取り分が五五対四五になるものですから、そこで折半でやろうと。今までもそういう、かつて五〇年代にそういうやり方、高橋委員、大変お詳しゅうございますからね、地方財政は、そういうことをやりましたし、この八年度から十年度までも同じことをやったんですね。だから、今回も議論があったんですが、私は、今の一般財源の取り分が五五対四五で、地方が五五だということを踏まえれば、やっぱり折半を踏襲する必要があるのではなかろうかと、これが宮澤財務大臣との、当時の大蔵大臣との合意でございまして、そこは御理解賜りたいと思います。  ただ、地方分権一括推進法が通りましたし、施行されましたし、新たな時代ですから、委員が言われるように、いつまでも昔と同じ考え方でいくのがいいのかどうかということは私は確かにあると思います。だから、そこで何度も申し上げておりますように、国と地方の関係を見直して、地方税財源の移譲というのか、再配分をしてもらうと。そのためには、いつまでも景気回復を待つのではなくて、私が言っているのは、財政構造改革も、二兎を追う構えをしなさいと、財政構造改革の一環としてその議論を始めようではないかと、こういうことを私は言っているわけであります。
  221. 高橋令則

    高橋令則君 そういう大臣の御決意をぜひ推進するようにお願いを申し上げたいと思います。  また、一言私は申し上げたいんですけれども、やっぱり地方分権というのは地方団体自立だと思うんですね。自立は、いつまでも国に依存ということでは困るわけでして、自立して、そしてもうかる部分もあるし、変な話ですけれども借金もある、しかし自立でやるというふうにやらなければだめでありまして、したがって国は国として、やっぱり国としてやるべき部分については一〇〇%きちんとやってもらいたいし、地方地方としていつまでもおんぶにだっこということではだめなんでありまして、したがってこれが自立に通ずる道だというのであれば、私はその範囲で賛成するんですけれども、そういう意味でございます。  あと、質問なんですけれども、国の予算絡みの話になるんですけれども、予算委員会の中でいろいろ議論もありましたし、また現に予算委員会の中でも議論がありましたが、例の与党三党の緊急対策の議論がありますね。与党だけではなくて政府も入られているわけですね。そして、これを見てみますと、地方財政に関係のある部分があるんですね。特に税制関係については若干あるような、若干じゃなく、中身をわからない前に言うのは変ですけれども、少なくとも地方財政関係についてはあるというふうに私は認識をしているわけです。したがって、この中身と今後の取り組みをお聞かせください。
  222. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 与党三党が御承知のように緊急経済対策を出しましたが、あれは政府は入ってないんですよ、政府は。それで、実はきょうの閣議で総理が、今度は政府としての緊急経済対策を、現下の経済情勢を見て、これをまとめてほしいということを麻生経済財政対策担当大臣に命じまして、関係各省庁で近々に、恐らく来月までもちろんかかると思いますけれども政府としての緊急経済対策をまとめようと、こういうことになったわけでありまして、まだ政府としては、白紙と言っては語弊がありますが、与党の緊急経済対策をいただいたと、こういう段階であります。  それで、与党の緊急経済対策のうちには、地方税に関する主なものとしては、例のキャピタルゲイン、証券関連税制の問題と、もう一つ割に大きなのは不動産取得税の軽減の問題がございますので、これはいずれも地方財政にとっては痛い話で、正直言いまして。そこで我々は十分、慎重にというわけじゃありませんが、十分な検討をさせていただこうと、こう思っております。
  223. 高橋令則

    高橋令則君 今までの緊急対策とかいろんなことでやってきた中で、地方税制関係は意外と負担感が大きいんですよね。むしろ、政府というよりも地方の方が大きいということもあるんですね。そういうことではやっぱり困るわけでありまして、これは議論はそれぞれありますから、それは個別に申し上げませんけれども、結果的に地方に負担が多くなるというふうなことのないように十分取り組んでいただきたいというふうに、これは要望であります。  次に、私もグリーン税制について若干質問したいんですけれども、税務局長。  グリーン化税制については基本的には今まで二年ぐらい前から議論がありまして、私も経過をある程度お聞きしているわけです。その経過をずっと見ていますと、それなりに工夫された中身だと私は思っています。また、環境対策としても、これは一つの流れとしてはやむを得ないというか、推進すべき内容かなというふうに私は思っています。だけれども、これでいいのかなとなると、やっぱり議論がまだ多々あるんじゃないかと思っているんですね。見ていると、東京都で取り組んでおられるというふうにも聞いておりますし、それが地方団体ばらばらというのも果たしてどうなのかなという気持ちもあります。  一点は、いずれ国内的にそういう問題についての地方団体のばらばらの取り組みは今後あり得るのかないのか。  それからもう一つは、国税もありますね、車関係については。今はたしか地方だけでしょう。したがって、国税はどうなのかなと。  それからもう一つは、比較の問題ですけれども、国際的に推進できるような環境というのはあるのかどうか、それは税務局長にお聞きします。
  224. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) グリーン化税制につきましては、先ほども議論になりましたけれども、窒素酸化物、粒子状物質によります環境汚染の社会問題化あるいは環境に係る自動車の寄与度が大変汚染の面で大きいといったようなことがございまして、環境に優しい自動車の普及を図るために創設することにしたわけでございます。内容は御存じかと思いますので繰り返しませんけれども、今回、大変地方財政が厳しい中で、しかし環境の負荷の小さい車は軽課する、それから環境負荷の大きい車は重課するということで、税収ニュートラルで取り組ませていただきました。  先ほど、東京都等の自治体の動きについてもお話がございましたけれども、東京都さんもかねて、例えば十年を超えました自動車ですとかあるいは十三年を超えたバスでございますとか、そういうものに当初一〇%重課するとか、あるいは他方で、低公害車については、物によりますけれども、三〇%あるいは五〇%軽減するとかいったような構想を打ち出しておられたんですけれども、今回、政府として全国共通のグリーン税制を打ち出しましたので、この動きを踏まえて、東京都さんの方も従来の独自の構想をどうするかもう一遍見直しをしようというふうな動きになっているやに聞いております。  今後、そういった点の地方団体の動きも見ていきたいと思いますけれども、自動車税については、現行法上、地方自治体は自分の権限で不均一課税といったこともできるようになっておりますので、これは一々私ども総務省がいい悪いと言うようなものではない面もありますし、それから分野によっては、法定外目的税みたいなものが出てくればこれは協議にあずかるという、こういう立場になるわけでございますが、いずれにしても、環境問題は非常に大事でございます。これに税制でどう対応していくかというのはこれからの大きなテーマだと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。  それから、国税関係について御質問がございましたけれども、これはもちろん国税では例えば自動車重量税とかいろいろございます。  ことしの場合は、窒素酸化物でございますとかあるいは粒子状物質対策というような地域の環境問題と、これに焦点を当てた税制ということで、運輸省とか通産省とか環境庁の方で三省共同の要望が出てまいりましたので、私ども、先ほど大臣からも御答弁ございました、いろいろ論議はしましたが、地方税で対応するのになじむ分野じゃないかということで今のグリーン税制にいたしたわけです。  ただ、今後、例えば地球環境問題、特にCO2の削減ですとか温暖化対策に絡んで出てまいりますと、これは地方税だけで対応するというよりは、やっぱり国税も通じて全体として考えていくということにあるいはなるんではなかろうかと思っておりまして、これは環境問題の性質に応じて税制面でしっかり対応していきたい、その際にはもちろん財務省ともよく議論してまいりたい、こういうふうに思っております。
  225. 高橋令則

    高橋令則君 一点、国際的な比較はどうなんですか、税制に対する手当て。この問題については、環境関係ですけれども、どうですか。
  226. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 手元にちょっと詳細な国際比較の数字を持ち合わせておりませんが、例えば地球温暖化対策で申しますと、いわゆる炭素税というものにつきましては、委員もよく御存じかと思いますが、北欧の諸国から始まりまして、現在、西ヨーロッパ諸国でもその導入について検討したり導入の準備をしたりといった動きになっております。  先ほど大臣もCOP6の話もされました。やっぱり地球温暖化対策の問題、これは全地球的な規模で考えていかなきゃいかぬことでございますので、こういった問題についても、これはどちらかというと、環境問題はもちろん環境省が中心でしょうし、税制ということになりますと私どもと財務省が関与してくることになるんですけれども、これは少しお時間をいただいてじっくり取り組んでいきたいと思っております。
  227. 高橋令則

    高橋令則君 財政局長にお尋ねしたいんですけれども、統合補助金というのがありますね。これはつくる過程でいろいろ議論がありまして、何といいますか、関係省庁、特に建設省、それから農水省、当時の二省を呼んでいろんな議論をしました、つくる過程では。最初は大変私もいいなと思ったんですけれども、だんだんに、何というんですか、意欲がちょっと薄れたんですけれども、それはそれとして、地方分権の立場からやっぱりそれなりの進歩かなと思って賛成をしたんですけれども、今、大体四千億ぐらいですかね。そしてまた十三年は千億ぐらい拡大されているようですけれども、その経過をちょっとお聞かせいただきたいし、それから、私もつくる過程の議論の中はよくわかっていますけれども、その基本的な考え方。  それから、なぜ私が後でちょっと薄れたというようなことを申し上げたかというと、最後に結局報告書なんかをきちっと出さなきゃいけないんですね。チェックされるんですよ。したがって、私なんかもっと、ルーズというのは変ですけれども、自由にやってもらっていいんじゃないかという気持ちがあったものですから、結果的には普通の補助金と余り違わないじゃないかという感覚があったんですよ。それはありませんか。
  228. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 先生よく御存じのとおり、統合補助金というのは国が箇所づけをしないということが基本になっておるということでありまして、議論の過程ではいろんな分野を合わせたような包括補助金というようなところから議論が進みましたけれども、現実に、妥協の産物と言うと語弊がありますけれども、分野別に箇所づけだけはしないような補助金をつくろうというのでスタートしたものでありまして、そういう意味では補助金の目的を弾力化するものの第一歩と考えるべきものだというふうに私ども思っております。  平成十二年度に、二級河川、公営住宅、公共下水道、町づくり等の分野で創設されました。それから十三年度においては、さらに一級河川、農業集落排水等の分野で新たに統合補助金が創設されることとされておりまして、金額的には平成十二年度は六千百二十億でございまして、ことしはそれに千億ほど上積みをされまして七千二百六十二億円というふうに相なっております。  使い勝手がどうかとか、そういう御質問でございますが、制度のスタートの年でもあるということで、地方団体がそういうものだと受けとめておるのか、まだ実績報告のところまでシビアな話が行っていないのかわかりませんが、私どもの方には目下のところは格別な苦情といったものは寄せられておりません。  ただ、この補助金が地方団体の自主性、自律性を高める一方で、国の分野別の施設整備に対する責任を果たそうと、そういう二つの目的をねらった制度でありますので、その趣旨が生かされるように、運用の実態等につきましても今後とも我々注意を払っていきたいと考えておるところでございます。
  229. 高橋令則

    高橋令則君 わかりました。  これはそれぞれの省の所管でありますけれども、その統合補助金をつくる過程では、相当当時の自治省の担当からの意見も聞いて、そしてそれなりにやったんですよ。したがって、それを見てくださいね。フォローして、少なくとも戻るような話ではなくて、やっぱり私どもは当時は統合補助金ということでお願いしたいということで議論したわけです。したがって、そういう考え方がありますので、ぜひとも推進できるように、促進できるようなそういう取り組みでやっていただきたいというふうに思います。  それから次に、財政局長、もう二点ありますが、新しく財投制度が変わったわけですね。それで、地方団体のいわゆる融資というか、起債の問題ですけれども、これが直接、郵貯とそれから簡保になるんですか。直接間接に出てくるような形になるんだろうと私は思っていますが、今までの財投の際の地方の資金に影響がないのかどうか、量的な問題と条件の問題をお聞かせいただきたいと思います。
  230. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 御指摘のとおり、財政投融資制度は変わりましたけれども地方団体地方債資金としては引き続き長期低利の公的資金を確保する必要があるということで、これは財務当局の方も理解をいただきまして、国の新しい特別会計の方で国債を発行いたしまして資金を調達する、いわゆる財政融資資金ということになりますが、この資金を確保していただくことになりました。  また、郵貯と簡保につきましては、これまでもたびたびお答え申し上げておりますように、市場運用の例外として地方団体に直接融資をするという道を開きました。また、公営企業金融公庫、これは普通会計債も一部受け持っておりますけれども、これにつきましても所要額を確保いたしまして、この三者を合わせましたものを私ども公的資金と呼んでおりますけれども、総額の六割、金額でいきますと、計画総額九兆七千億強の中で七・八兆円ぐらい、それから公庫資金では一・九兆円だけの資金を確保いたしておりまして、量的には従前と変わっておりません。年金資金分がなくなりますけれども、その部分もこの三種類の資金によってカバーされたという形になっております。  この貸し付け条件でございますけれども、これは財政融資資金、それから郵貯、簡保の三資金につきまして同一の条件にいたしまして、県も市町村も同じ条件で融資するということにいたしております。ただ、その金利だけは、やっぱり財投見直しの趣旨を踏まえまして、一応市場原理に即して金利を設定しようという考え方から、国債の市中利回りというのを基準といたしまして、その中で資金コスト等も考えまして、地方団体にとりましてたえられる低利の資金にするということで行うように条件を設定させていただいておりまして、そういう意味では、地方団体にとりまして資金面での不都合は生じないというふうに考えております。
  231. 高橋令則

    高橋令則君 財政局長、もう一点ですけれども、実は私のところに競馬があるんですよ。そして、岩手競馬の場合は地方競馬の中ではいい方なんです。なぜかというと、全体的に私は承知しているものですから、ほかの方をどうこうということは大変失礼なんだけれども、この財政白書を見ていますと、この中で競馬関係の収支を見るとこれは厳しいですね。この実態と対策はいかがですか。
  232. 香山充弘

    政府参考人香山充弘君) 御指摘がありました競馬も踏まえまして、公営競技は極めて深刻な状況にありまして、平成三年度をピークにいたしまして売り上げが大幅に減少いたしております。平成十一年度の売上額は約三・七兆円で、平成三年度の三分の二程度、それから収益として一般会計に繰り出しをできる額は七百六十億円、平成三年度の二割にとどまっておりまして、私ども容易ならざる事態というふうに思っております。  そういうことで、こういう厳しい経営環境を踏まえまして、総務省といたしましては、公営競技を実施する団体に対しまして経営改善計画の策定を求めておりまして、その中で、施設改善、ファンサービスの向上、そういうことによりまして売り上げの増加を図るとともに、開催経費の節減等により経営の合理化を図るように指導を行っておるところであります。幾つかの団体では、退職者の不補充でありますとか従業員配置を機械化あるいは電算化するとか、あるいは手当等の見直しをする、それからさらには、ファン層を拡大するために女性教室を開くとかiモードを使った情報提供システムを採用するとかいろんな工夫をしていただいておりまして、それなりに努力はいたしておりますが、経営状況が厳しいというのは変わりません。  そういう意味で、総務省では、特に収益率の著しく低下しておるような団体につきましてはヒアリングを実施させていただいておりまして、さらに合理化努力をお願いいたしておるところであります。  ただ一方で、残念ながら、競輪等にありましては売り上げの落ち込み等が厳しいために、結果的に公営競技からは撤退するような施行者も出ておるところでございまして、私どもはこの辺について率直に申し上げまして苦慮しているという状況でございます。
  233. 高橋令則

    高橋令則君 ある程度私も承知をしておりますが、しかし事業を撤退するというのは非常に大変なことなんです、人があるものですから。一番困るのは人なんですけれども、いろんな意味で、これを撤退するということは大変なことだというふうに思います。  しかし、収益事業ですから、収益できないのであればこれはもう事業の価値がないわけですね。したがって、いろんな意味で厳しい事業ですから、きちんと見て指導して、そして少なくとも一般財源を投入せざるを得ないというふうなことのないように御努力をいただきたいと思います。  終わります。     ─────────────
  234. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、北岡秀二君及び高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として脇雅史君及び木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  235. 石井一二

    石井一二君 石井一二でございます。  最後の質問者でございまして、大臣もさぞお疲れと思いますが、どうかよろしくお願いをいたします。  通告としては、今我々が審議しております法案関係二件と行政全般に関する関連の事項二件、計四件御提出いたしておりますが、委員の数もほぼそろい、採決に対しても準備完了のようでございますので、答弁内容を聞きながら若干省略をするかもわかりませんが、よろしくお願いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  まず最初は、この法案は後ほど審議されて、また我々も審議する機会がありますが、三月二十日の新聞にちょっと大きく出た関係で、地方自治法二百四十二条二項関係の住民訴訟に対して、今度ハードルが高くなったと、訴訟がしにくくなったと。これに対して、どういう考えでこういうことをするのかというような不満の声が国民の間から出ておるようにも感じられますので、一体、昭和二十三年以来ずっと続いておったこの法案に対して、この段階でこのような提出法案が出かかっておるというねらいはどこにあるのかお聞きしたい。住民訴訟に関する改正案について、若干そのねらいをお聞きしたいと思います。
  236. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今回、地方自治法等の一部改正をお願いしようと思っておりますが、その中の住民訴訟制度改正は、昨年十月の地方制度調査会第二十六次の答申を踏まえて制度改正をしようというものでございまして、住民訴訟制度というのはアメリカ型の訴訟制度を入れたんですね。それで、特に四号の代位訴訟というのは長そのものの個人に着目して訴訟するような仕組みなんですね、長だとか職員に。これはなかなか大変なことなんですね、例の株主代表訴訟と同じでございまして。そこで、それは長は個人じゃなくて機関の長として行い、職員は機関の職員として行うわけですからね。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  そこで、大変訴訟がこのところ頻発しておりまして、長の皆さんや職員の皆さんが萎縮している、こういうこともありますので、いろんなこの訴訟にかかる負担を個人じゃなくて機関が担う、こういう本来の姿に返したわけでありまして、それによって訴えられる方の権利が縮小したとか支障が出たとかということでは全くありません。ねらいはむしろ、今の個人に着目した長や職員さんの訴訟制度を機関に変えると、こういうことでございますので、ぜひそこは御理解賜りたいと思いますし、一部の報道は必ずしも正確ではないと私は思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  237. 石井一二

    石井一二君 本来の姿に変えたという御発言がありましたが、これは昭和二十三年から続いておるので、本来の姿が今までの姿であったのではないかと思います。  また、頻発しておるということの原因が、必ずしも住民がわがままになったとかいうことじゃなしに、今、日本じゅうから非難を受けていますように、お役所の行政姿勢にもいろいろ問題があり、民主主義もいい形で発展してきたといういろんな要素があると思うんです。だから、法律改正されるためにあるとも言われておりますので、出されること自体は別に異議はございませんが、要はその中身でございます。  例えば、今四号で個人がターゲットになっておると、こう言われましたけれども、今までは地方自治体と職員である個人とはやや対立関係的な立場でこういう訴訟事件を扱っておったんですが、これでは即ニコイチの協力者になっちゃって、共同作戦がやっていけるような格好になると思うんですが、その四号訴訟の今の御発言に関連して、今言った視点からどのようにお考えでしょうか。
  238. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) こういうことなんですね。具体的には住民訴訟の前置の手続である住民監査制度というのが一つあるわけでありますけれども、長や職員を個人として被告にするということでございまして、そこで長等の機関を被告として機関が敗訴した場合に、長や職員個人の責任を地方公共団体が追及できると、内部関係で。今までは個人に着目している、今度はこれは機関が代位して、内部関係で機関が長や個人にその責任を追及できる、こういうふうに改めたわけであります。  この点が、私はやっぱり先ほども言いましたが、長や職員というのは機関の一員である、こういうことが今の制度では必ずしも定かではございませんで、訴訟が今、石井委員言われていましたように、いろんな意味で住民の意識が高まっているということもあるいはあるかもしれませんけれども、ねらい撃ちをされるという訴訟の現状を見て、やっぱりそれは機関の仕事としての一環で訴訟の対象になるわけでありますから、そこは制度を組みかえた方がいいんではなかろうかと。  そもそもタックスペイヤーズスーというのはアメリカに大変ある制度でございまして、この制度は必ずしも私は日本の場合にはなじまないのじゃないかという感じで、今回地方制度調査会の答申もありましたから、改正することにいたした次第でございます。
  239. 石井一二

    石井一二君 これは私の私見ですが、調査会の答申というのはどうも役所の隠れみの的なところがありまして、役所の意向に沿わない委員はどんどんかえていくと。そのメンバーは自分の都合のいいようなメンバーを選ぶとかいうことがありますので、必ずしも信用できないと思うんです。  それから、先ほど大臣はちょっと監査委員がどうのこうの言われましたけれども、この法律をいろいろ見ておりますと、代表監査委員自治体を代表するような仕組みになっておるわけですけれども、私も兵庫県の監査委員をやっておりましたけれども、監査委員の選び方とか実際監査する時間的な問題とか監査のやれる、中へ入れる度合いとかいろんなことから見て、この監査委員が、代表的で訴訟を、自治体の長としての実際上の扱いとして受けて立つのには実態からかけ離れたものがあると思うんですね。  こういった面でも、必ずしも今の大臣の御答弁は私はすべてを了とするというような気持ちにもなれないわけなんですけれども、ぜひこの面は考えてもいただきたいと思います。  それともう一つ大事なことは、違法な公金支出などの仮処分をする場合に、これがなかなか保全処置ができないようになっていますよね、これ見ていたら。だから、その辺について訴訟の基本的なものを否定しておる制度じゃないかと思うんですが、仮処分の保全処置ができなくなっておるこの実態についてどのようにお考えでしょうか。
  240. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 私、法律の専門家ではないのでございますけれども、今、国と地方仕組みが変わっているところは御承知のとおりでございますが、国の場合は国の国家賠償責任ということを追及されるわけでございますが、地方の場合は団体ではなくて個人、長あるいは職員というのを直接今お話しの現行四号代位訴訟という仕組みでやっているわけですね。これではなくて、今回は住民が直接団体の長に対してこの新四号履行請求訴訟を行うと。そして、その結果、職員とか長が瑕疵があってこの訴訟にその団体が敗れたということになりますと、今度は逆に団体の方がその長あるいは職員に対して訴訟告知をする、あるいは賠償命令等をかけると、こういうふうな仕組みになっているわけです。ですから、訴訟されるのが長とか個人ではなくて、まず団体が受けると。その結果に従って、今度は団体の方が個人あるいは長に対して告知をする、訴訟をする、あるいは賠償命令をかける、こういうふうな仕組みに変えるという趣旨でございます。
  241. 石井一二

    石井一二君 いや、副大臣は手を挙げていただくのはいいですけれども、私は仮の保全処置の話をしているときに、あなた全然違うことを言っているんですよね。あなたの御努力の姿も評価をいたしますけれども、そこはよろしくお願いをいたします。  それからもう一つ大事なことは、だれかが公金を違法に支出したと。本来なら知事なり自治体の長がそれを返しなさいと、こう言えるんですが、これ見てますと、判決が出てからじゃないとそれは言えないんですよね。だから、そういう面でこれは非常に大きな欠陥法だと思いますが、今私が申したことに対して何か御意見があれば、お伺いしたいと思います。
  242. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 石井委員、必ずしも通告が、手違いがあったかもしれませんが十分でございませんで、かなり専門的なことですから我々も慎重に答弁しないとと、解釈の問題ですから。そこで、本当は詳しい参考人でもおればよかったんですが、それも、そういうあれもありませんので、また次回そこはしっかりと我々も勉強というのか、ふぐあいをあれして御答弁いたしたいと思いますが、今の差しとめのところは、これは地方団体の公の仕事ですから、公共の福祉との関係で一遍に差しとめるというのはこれは適当かどうかという議論があるようです、判例や学説で。そこで、今回それを明確化したというのが法の趣旨のようでございます。
  243. 石井一二

    石井一二君 大臣は何、私の通告が不十分じゃないか、そういうことを聞くなとおっしゃっておるんですか。そういうことですか。
  244. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 通告が、そんなに細かい通告を聞いていないわけでございます。
  245. 石井一二

    石井一二君 学芸会のやりとりでもありませんし、その一々細かなところまで通告するとなると、今度は答弁の通告をいただいてそれに対してまた通告しないと、私が何か言ってあなたが答弁されたからその中の言葉から私は派生して言っているわけですよ。その辺どうですか。
  246. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) いやいや、それは石井委員に釈迦に説法ですが、我々は委員会のやりとりで、しかもその法律の細かい話ですから、それについてはきちっとした通告を私はいただくべきだと、こういうふうに思っております。
  247. 石井一二

    石井一二君 じゃ、ほかの質疑はやめて、ちょっと一点だけほかのことを言わせていただいて、質問をやめたいと思います。  私が珍しく片山大臣が前向きな答弁をしていただいたなと思って喜んだことがあるんです。それは、あなたが選挙に関する議員立法の一発議者であったときに、私が小党に対して……(発言する者あり)
  248. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御静粛にお願いします。
  249. 石井一二

    石井一二君 小党に対してもうちょっと配慮をしてもらえぬかということを三点に対して言ったときに、あなたはこういうぐあいにおっしゃっているんですね。検討の余地は私もあると思うというように言っていただいたんで、あのときはたかだかと言うと悪いですが、一発議者だったですけれども、今は大臣ですから、閣法でも出せますので、この三点について御一考いただけないかというような気持ちがありますので、ここでもう一回申し上げて議事録にとどめておきたいと思います。  選挙の際に、私は小政党が非常に不利だということをあのとき申し上げたんです。  一つは、例えば参議院の比例名簿を出した場合に、十名の立候補者が党として認められようと思うと要ると。この十名で出した場合は、供託金だけでも六千万かかりますよね。だから、一人だけ比例で出してあとは選挙区の候補者にしたら、供託金は比例の場合は六百万だけれども、選挙区の場合は三百万ですから、三千三百万円と減ると。だから、非常に彼らこれ苦しい立場だと思うので、この点を改良の余地がないかということが一つ目ですよね。  二つ目は、供託金を積んだ場合の没収ですが、十人出しておって一人しか通らなかったら、二人目までは堪忍して返ってくるけれども、あとの八人分は没収されると。だから、その辺もちょっときついんじゃないかということを第二点目として私は申しました。  それで三番目に、選挙に対する広告料等ですが、あけてみて一%に票が満たないと、そういう公費で負担すると言っていたものが負担されないわけですよね。だから、それも結局広告会社等から先払いで現金で払ってくれと、そうじゃないと広告載せないと実際言われているようなんです。  だから、そこらを考えていただけないかというのが私のあなたに対するそのときの論議ですけれども、あのときのお気持ちでこれは検討に値する余地があると思われたら、大臣の間に、あとどれぐらいやられるか知りませんけれども、一遍考えていただきたいと。  こう申すと、皆さんは、私が自分のところの政党、自由連合という小政党のために申しておると思われますが、我が政党は百万票いつもとっていますのでこれには該当しないんですよ。もっと小さな新しい政党が、今無党派の方々がいろいろ努力されていますけれども、やっぱりチャレンジャーとしてどんどん選挙をやれるような形をつくることが民主主義としてより重要だと、そう思いますので、ひとつその点を大臣のお気持ちを聞かせていただきたい思います。
  250. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 確かに、前の臨時国会での御質問で今、委員が言われたようなことのおただしがあって、私が答弁したことは覚えております。  この供託金制度、没収の制度は、十分御承知のように、泡沫立候補の防止と、そういう方には選挙公営費用の一部を負担してもらうと、こういうことがその制度趣旨であることは御理解賜っていると思いますけれども、それじゃどこで線を引くか、これが大変な議論なんですね。  そこで私は、前回石井委員が御質問いただきましたときは、少数政党への配慮の観点から検討の余地あると確かに御答弁申し上げました。ただ、この問題は長い経緯があるのと、いずれにせよこういう選挙にかかわる問題は各党各会派で御議論いただいて結論を出していただくと、こういうことになっておりますから、そういう御議論の展開を待ちたいと思いますけれども、私個人は前回答弁したのと気持ちは変わっておりません。  そういうことでございますので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
  251. 石井一二

    石井一二君 また言葉じりとらえておしかりを受けるのかもしれませんが、各党各会派から意見を出してとなると、やっぱり既存政党だけということになるので、今言っているのはそういうところへ意見を出せない連中のことを言っているわけですから、そういうことは大臣のリーダーシップでもってよろしくお願いをいたしたいと思います。  先ほど、質問通告の話が出ましたが、ちなみに私が出した質問通告の該当個所を読んでおきます。  「問、三月二十日の全国紙に住民訴訟に関する地方自治改正案の提出に関する報道がなされたが、その狙いはどこにあるのか。住民訴訟制度を骨抜きにするものだとの懸念が持たれているが、如何か。」というのが私の通告なんです。  私は、答弁に出た言葉の中で、ああおっしゃったけれどもこうかということで関連的に聞いておるわけで、こういうことは私は許されるべきであって、そうじゃなければ、答弁ももらっておかないと次聞けませんので、そういう面できょうは私はもうこれで質問をやめたいと思います。  今後ともよろしくお願いします。
  252. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 今に対する答弁はいいですか。
  253. 石井一二

    石井一二君 要りません。結構です。きょうは終わり。
  254. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 他に御発言もないようですから、地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案の質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  255. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、民主党新緑風会を代表いたしまして、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案に反対、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。  地方自治体の財政危機を打開するためには、国会が今の仕組み地方財政は大丈夫なのかという根本的な命題に正面から取り組むことが不可欠であります。しかし、政府提案は、対症療法、問題先送りの内容であり、社会地方自治体のそれぞれの要請にこたえているとは到底考えられません。このような観点から、以下に個別の法案についてその理由を申し上げます。  第一に、交付税法改正案でありますが、現在の交付税制度は、受益と負担の関係があいまいであり、また実質的に補助金化した結果、特別会計に巨額な借金を抱えていますが、今回の法案ではこれらの改善にほとんど効果がありません。確かに特会による安易な借り入れを抑制しようという姿勢は評価できますが、この制度改正によって発行が予定される特例地方債、いわゆる赤字地方債の元利償還を一〇〇%後年度地方交付税で措置するというように、やはり問題の先送りでしかありません。毎年度巨額の不足額を発生する交付税制度を根本から見直すことが喫緊の課題であると考えます。  次に、地方税法等改正案です。  地方分権という時代の必然、危機的な地方財政の状況を正面からとらえれば、地方への税源移譲が最優先課題でなければなりません。しかし、政府は経済状況を理由に問題の先送りを繰り返しています。本法案には、グリーン化税制の創設や軽油引取税の課税適正化など、民主党の方針に合致した内容も含んでいますが、その根本的な問題を回避した先送り法案に賛成することはできません。また、これも政府・与党の問題先送りの一環である株式等譲渡益課税の申告分離課税への一本化の延期についても、明確に反対の意を表明しておきたいと考えます。  また、政府は、国税においてNPO支援税制を今国会に提出していますが、地方税については何ら措置をしていません。NPO地域に密着した活動を行っていることなどを考えますと、地方税においても何らかの措置が必要であるにもかかわらず、その点が欠落している意味においてもやはり今回の地方税改正案には賛成することはできません。  なお、いわゆる公害財特法については、必要な改正であることから賛成の意を表明いたします。  現在の危機的な地方財政の状況を改善するためには、国と地方財政におけるあいまいな関係を整理し、補助金の一括交付化や税源の移譲を通じて地方の一般財源を拡充した上で、地方財政上の自立能力、責任能力を向上させることが不可欠であることを申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
  256. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の三案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。  まず、地方税法等の一部を改正する法律案は、いわゆるグリーン化税制の一環として、自動車の環境に及ぼす影響に応じた自動車税の特別措置を創設しようとするものであります。また、被災住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の特別措置を創設するとともに、軽油引取税について、滞納等を防止し、課税の適正化を図るため、一定の者に関する輸入軽油に係る課税時期の見直しを行う等の措置の整理合理化を行おうとするものであります。  これらの改正は、最近における社会経済情勢、地域環境の保全、住民負担の現状等から見て、いずれも適切かつ妥当な措置と認めるものであります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、これまでの交付税特別会計における借り入れ方式を見直し、国負担分については一般会計加算により、地方負担分については特例地方債の発行によりそれぞれ対処するとの考え方のもとに、平成十三年度分の地方交付税について総額を確保するための措置を講じようとするものであります。  また、地方団体が行う各種事業の財源を措置するための単位費用の改正を行うほか、国庫負担金、国庫補助金の区分の明確化、公営企業金融公庫の資金の調達手段の多様化等を図るため関係法律改正しようとするものであります。  これらの措置は、現在の国、地方の引き続き厳しい財政状況等から見て、地方財政の円滑な運営にとりまして事宜を得た的確な措置であるとともに、地方分権の推進に資するものであると考えます。  最後に、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案は、平成十三年度以降も引き続き公害防止対策事業促進を図るため、法律の有効期限を十年間延長する等の改正を行おうとするものであります。これらの改正は、関係地域の実情にかんがみ、適切かつ当を得たものと考えます。  政府におかれましては、地方分権改革の定着と一層の進展を図るとともに、地方団体がより自主的、自立的な行財政運営を行うことができるよう、地方税財源の充実確保に努めることを強く希望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  257. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案に反対、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案については賛成の立場から討論を行います。  現在、地方の公債費負担比率が警戒ラインである一五%以上の自治体が六〇%を超えるという地方財政危機の中、二〇〇一年度には地方自治体全体で十兆六千億円という史上最高の通常収支財源不足が見込まれています。これに恒久減税の影響分を加えると、財源不足は十四兆円にもなります。地方自治体の借金残高も二〇〇一年度末で百八十八兆円と見込まれています。多額の地方財源不足が続く中で、二〇〇一年度の地方財政計画は、破綻寸前の地方財政を再建する展望が求められているにもかかわらず、その見通しを示しているとは言えません。  まず、地方税法改正案についてであります。  過去三年間の相次ぐ大企業減税の結果、約一兆三千億円も地方税収が低下しましたが、政府は、担税力の豊かな大企業への負担拡大を求めることもせず、全国の自治体が求める地方への税源移譲にも背を向けています。こうした中で、株式譲渡益課税の申告分離一本化の二年延期、会社分割制度企業組織再編のための優遇措置創設、確定給付型企業年金への優遇措置、特別土地保有税の徴収猶予制度拡大など、大企業奉仕のための税制改悪や各種産業政策的減税を実行することは、地方税制のあり方をゆがめるばかりでなく、地方財政をさらに圧迫することになります。よって、政府案を到底認めることはできません。  環境対策、排気ガス抑制のための新型低公害車を減税するグリーン化税制には賛成できますが、七百五十万台に上る車齢十一年以上などの車に制裁的に一〇%増税することは、ユーザー、消費者にとっては年間二百二十億円の増税となるもので、認められません。  次に、地方交付税法等改正についてであります。  政府案内容は、通常収支不足分対策として、国、地方折半ルールによる地方分の交付税特別会計借り入れ方式を変更し、赤字地方債を地方に発行させ、後年度、元利償還金を交付税で一〇〇%見るという方式に変えようとするものです。それは、赤字地方債を禁じた地方財政法五条の精神に反するのはもちろん、交付税法六条の三第二項に言うように、国が交付税総額に責任を負うという立場を放棄するものです。  総務省自治財政局の答弁によると、二〇〇一年度並みの財源不足ならば、三年間で約七兆二千億円と言われる赤字地方債が地方自治体に積み増しされます。これは、地方自治体の財政危機を深刻化させ、住民サービス切り捨ての促進につながるものであり、容認できません。少なくとも政府は、当面の地方自治体の財源不足に対処するため、地方交付税率の引き上げを含む制度改正を行うべきです。  最後に、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律改正案については賛成であることを申し添えて、討論を終わります。(拍手)
  258. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、地方税法等の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  浅尾君から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾慶一郎君。
  260. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、ただいま可決されました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党新緑風会、公明党、社会民主党護憲連合、無所属の会、自由党、二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方団体行政需要の増大、引き続く厳しい地方財政の状況等にかんがみ、左記の事項についてその実現に努めるべきである。  一、地方税地方団体の重要な自主財源であることにかんがみ、地方分権の進展に応じ、地方団体がより自主的かつ自立的な行財政運営を行えるよう、地方における歳出規模と地方税収入との乖離を縮小する観点から、課税自主権を尊重しつつ、国と地方の税源配分の在り方を見直し、地方税源の充実確保を図ること。  二、源泉分離課税を選択した株式等譲渡益に対しては、個人住民税課税されていないことにかんがみ、課税の公平・適正化及び地方税源の確保の観点から、平成十五年度以降においては、申告分離課税への一本化を図ること。  三、税制の簡素化、税負担の公平化を図るため、非課税特別措置について引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等を推進すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  261. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいま浅尾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  262. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 全会一致と認めます。よって、浅尾君提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣
  263. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  264. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  265. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  266. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  268. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査議題といたします。  浅尾君から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾慶一郎君。
  269. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、自由民主党・保守党、民主党新緑風会、公明党、社会民主党護憲連合、無所属の会、自由党、二院クラブ・自由連合の各派共同提案による地方財政拡充強化に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方財政拡充強化に関する決議(案)   現下の極めて厳しい地方財政の状況及び実行の段階を迎えた地方分権改革の一層の推進に資するよう、地方財政の中長期的な安定と発展を図り、地方団体の自主的・主体的な諸施策を着実に実行できるよう、政府は左記の事項について措置すべきである。  一 累増する巨額の借入金残高の償還が、地方団体の将来の財政運営を圧迫することが強く懸念されることにかんがみ、地方の一般財源の拡充強化に努め、その財政体質の健全化を図ること。    分権改革の一層の推進を図り、地方団体財政面における自主性・自立性を高めるため、国から地方への税源移譲を含め税源配分の見直しを検討するとともに、課税自主権を尊重しつつ、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を早急に構築し、地方税の充実強化を図ること。  二 地方財政が引き続き大幅な財源不足のため、平成八年度以降連続して地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する状況にあることにかんがみ、地方交付税の中長期的な安定確保を図る見地から、今後とも通常収支不足を解消する抜本的な方策を講ずること。また、国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から、直接、交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度を検討すること。  三 交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金残高が平成十三年度末に四十兆円を超えることにかんがみ、その償還及び今後の特別会計借入れの在り方について、引き続き十分検討すること。  四 臨時財政対策債の元利償還については、将来において地方公共団体財政運営に支障が生ずることのないよう万全の措置を講ずること。また、公債費負担に苦慮している地方公共団体財政の状況にかんがみ、適切な負担軽減措置を講ずるよう、今後とも努めること。  五 地方団体の自主的・自立的な行政運営の実現に資するため、国庫補助負担金の整理合理化に当たっては、事務事業の廃止又は縮減を基本とすること。なお、国庫補助負担金を整理する一方で、同一ないし類似の目的を有する新たな国庫補助負担金を創設すること等を厳に抑制すること。国庫補助負担金の一般財源化に当たっては、国の責任を明確にするとともに、その内容、規模等を考慮しつつ必要な一般財源の確保を図ること。  六 地方分権推進法が本年七月に失効することにかんがみ、地方税財源の充実強化等地方分権の更なる進展を図るため、その体制整備について検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  270. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまの浅尾君提出決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  271. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣
  272. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。     ─────────────
  273. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣
  274. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、普通恩給及び扶助料の最低保障額の一部の引き上げ等を行うことにより、恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、傷病者遺族特別年金、実在職年六年未満の者に係る普通恩給及び普通扶助料の最低保障額の増額であります。  これは、低額恩給の改善を図るため、平成十三年四月分から、傷病者遺族特別年金については二千五百円増額して四十万二千円に、また、実在職年六年未満の者に係る普通恩給及び普通扶助料の最低保障額については各千円増額して、それぞれ五十六万七千四百円、三十九万九千円に引き上げようとするものであります。  第二点は、遺族加算の年額の増額であります。  これは、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、遺族加算の年額について、平成十三年四月分から、公務関係扶助料に係るものにあっては三千円増額して十四万五千二百円に、傷病者遺族特別年金に係るものにあっては二千四百円増額して九万六千三百十円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  第三点は、扶養加給の増額であります。  これは、平成十二年度における公務員給与の扶養手当の改善に準じ、傷病恩給及び公務関係扶助料を受ける者に、未成年の子、父母等の扶養家族または扶養遺族があるとき、二人までは一人につき六千円増額して七万二千円に、三人目以降については一人につき一万二千円増額して三万六千円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  275. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会