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2001-06-14 第151回国会 参議院 財政金融委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年六月十四日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任         山下 英利君     青木 幹雄君      木庭健太郎君     高野 博師君      大渕 絹子君     梶原 敬義君  六月十三日     辞任         補欠選任         青木 幹雄君     山下 英利君      櫻井  充君     菅川 健二君      高野 博師君     木庭健太郎君      梶原 敬義君     大渕 絹子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 基隆君     理 事                 林  芳正君                 日出 英輔君                 勝木 健司君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君     委 員                 上杉 光弘君                 河本 英典君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 野間  赳君                 星野 朋市君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 久保  亘君                 峰崎 直樹君                 大門実紀史君                 大渕 絹子君    衆議院議員        発議者      塩崎 恭久君        発議者      相沢 英之君        発議者      谷口 隆義君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        内閣府副大臣   村田 吉隆君        総務大臣    遠藤 和良君        財務大臣    若林 正俊君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小林 勇造君        内閣府政策統括        官        岩田 一政君        金融庁総務企画        局長       乾  文男君        財務省主税局長  尾原 榮夫君        中小企業庁長官  中村 利雄君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○短期社債等振替に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○株券等保管及び振替に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○金融機能再生のための緊急措置に関する法律  の一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十三日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として菅川健二君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  短期社債等振替に関する法律案株券等保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の四案の審査のため、本日の委員会内閣府政策統括官小林勇造君、内閣府政策統括官岩田一政君、金融庁総務企画局長乾文男君、財務省主税局長尾原榮夫君及び中小企業庁長官中村利雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  短期社債等振替に関する法律案株券等保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の四案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 短期社債等振替に関する法律案株券等保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の四案を一括して議題といたします。  四案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 星野朋市

    星野朋市君 まず、財務大臣お尋ねをいたしますけれども月例経済報告がきょうの夕方閣議決定される予定でございますけれども、さきに発表された月例経済で一―三月の値が修正になりまして、マイナス〇・二、年率で〇・八マイナスという。多分、今月、四月の数値が出ると思うんですが、それの内容は、いわゆる個人消費は非常に低迷している、それから設備投資も停滞を始めた、それから輸出が急に落ち込んできたので国内生産が下方に転じて在庫率が上がる、多分こういう形の報告がなされると思うんですね。  それで、日本景気現状というのが非常に今悪化の傾向に向かっているというやや憂うべき報告がなされると思うんですが、一―三月がマイナスの〇・二、四―六は私はもっと悪いと思うんですね。そうすると、かねてから政府が描いていた景気状況、秋には回復に向かうというようなシナリオは相当崩れるんじゃないかと思います。  そこで、小泉内閣としては、この景気現状をにらみ合わせて、いわゆる国債発行三十兆という枠にとらわれて当面の景気対策にそごを来すようなことがあってはならないと私は思っておりますが、財務大臣がこれからの経済運営に関してどうお考えになっているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  9. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御質問の中にもございましたように、確かに私たちの予想を上回るような弱含みで推移いたしまして、特に四―六月分については、一―三月分より悪いであろうということも大体私たちも想像がついてまいりました。  そこで、この景気が悪いときにあえて三十兆円の国債を縛りをかけて財政を無理して維持しようとし、それがために将来にわたっての景気回復をおくらすことになりはせぬだろうかと。この御質問は当然でございますし、私たちもそのことについては非常に深い心配を実はしておる者の一人でございます。  そこで、いろいろと検討いたしましたけれども、確かに、景気対策の予測の各項目についてのそれぞれの分野、例えば雇用、住宅、個人消費と見ました場合に、それぞれ微少ではございますが減少しておるけれども、ここが特に悪いという落ち込みというのが見当たってこない。ただ、一番心配しますのは、生産は順調に伸びておるけれども在庫がふえておるがために企業の会計を非常に圧迫しておるということ、ここらが私たちは非常に気になっておるところでございます。  そこで、言われる追加財政の支出はどうだという意見があるのでございますけれども、私たちはそのことは今直ちにとるべきではないと思っております。少しは辛抱して、もうしばらくこのままの推移を見て、それよりもやはり、国が決めました予算、昨年の追加予算なり、あるいはことしの、現在御承認いただきました予算の執行を前倒しに早めることによって刺激をしたいということが一つ。  それからもう一つは、来年度予算につきましての構想として、景気回復に積極的に寄与するであろうと思われる分に対しては、十四年度には思い切ってそちらの方向に予算の配分を誘導することによって、そういう政策的誘導ということによって景気対策を一応講じてみたい、こう思うておりまして、鋭意その勉強もし、概算要求の八月にそれを具体的なものとして出していきたいと思うております。
  10. 星野朋市

    星野朋市君 今、財務大臣のおっしゃる中に、生産は順調に伸びているというお話がございましたけれども生産もかなり下向いているのが昨今の状況だと思います。  それから、多分この二十一日に最終の取りまとめが行われる例の経済財政諮問会議答申案で見ましても、第一に考えられているのはいわゆる不良債権償却、それから日本経済再生、それから最後にいわゆる財政再建の問題という順番でこれが構築されると思うんですが、今おっしゃられた来年度の予算に関して、もう既に巷間マイナスシーリングというふうなことが伝わっておりますけれども、再三申し上げますように、現在の景気状況からして、いわゆる経済の根幹をなす部分が崩壊するような形での対策がとられるということは私は全く納得いきませんので、その点を十分留意されて予算編成に臨んでいただきたいと思いますが、もう一度財務大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。
  11. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御趣旨はよく私たちも了解しております。  ただ、それではございますけれども、無制限に国債に頼っていくということはできない状態になってきておりますので、できるだけ行政の各分野における経費を煮詰めて、そこで有効な予算を編成していきたいと思うておりますので、御理解いただきたいと思います。
  12. 星野朋市

    星野朋市君 それでは、金融庁お尋ねをいたしますけれども緊急経済対策も、第一はいわゆる不良債権償却の問題ということをうたっております。それで、この三月期、二〇〇〇年度の主要十六行の不良債権償却の総額は幾らになりますか。
  13. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 御質問のございました主要十六行におきます平成十三年三月期の不良債権処分損でございますが、約四・三兆円ということでございまして、一年前の三月期の約四・五兆円に対しまして〇・二兆円の減少となっている、こういうわけでございます。
  14. 星野朋市

    星野朋市君 それでは、この三月期に主要十六行のいわゆる不良債権──私は、九八年の金融国会のときに、当時の大蔵省が出した不良債権の問題について、不良債権という言葉は不適当じゃないか、問題債権と言うべきだということを申し上げておりましたけれども、その問題債権ということになると現在は非常に大きな額になりますので、一応不良債権と目されるいわゆる破産更生等負債、それから危険債権、要管理債権、これの合計額幾らになりますか。
  15. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 十二年三月期でございますが、預金取扱金融機関で全体で申しまして、不良債権は四十七・九兆円でございます。
  16. 星野朋市

    星野朋市君 主要十六行について聞いているんです。
  17. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 主要十六行で見ますと、今御指摘の三つの破産更生等債権危険債権、要管理債権を加えたものが十八兆円でございます。
  18. 星野朋市

    星野朋市君 十八兆ですね。それで、今、柳澤大臣が二年間でオフバランス化をするという債権金額、これは幾らになりますか。
  19. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ただいま村田大臣が申し上げましたとおり、十三年三月末、大手十六行ベースでのいわゆる不良債権、要管理債権まで含んだところは十八兆でございますが、私ども今回の緊急経済対策で二営業年度以内に最終処理をしたいということを申させていただいたのは、いわゆる既存の破綻懸念先以下の債権ということでございます。  そういうことにいたしますと、こちらの方は八・三兆円ということに相なるわけでございますけれども先生そこまでお聞きでないかもしれませんが、十二年度に新規に発生したもの、十二年度の下期に新規に発生したもの、これは三事業年度処理すべきものというふうに考えておりますが、その三・四兆円を加えますと、トータルで十一・七兆円と、こういうことに相なります。
  20. 星野朋市

    星野朋市君 十一・七兆円というのは大体認知された金額だと思うんですが、このうち既に銀行引き当てなどを行っている金額はどのぐらいになりますか。
  21. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいま八・三兆円ということを大臣が申されましたけれども、これに該当する引き当て額は私ども把握しておらないわけでございますけれども、それに続けて、今発言されました三・四兆円、この新規発生額三・四兆円を加えたところでの十一・七兆円に対する引き当て額は三・四兆円、こういうことになっております。
  22. 星野朋市

    星野朋市君 引き当ては三・四兆円しかありませんか。そんなことはないと思いますが。
  23. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 失礼いたしました。  今、先生、などとおっしゃられたところは、まさになどでございまして、要するに保全をされている部分をお聞き及びかと思うんですけれども、この点につきましては担保保証、この担保はもちろん物すごく優良な預金担保であるとか国債担保もありますし、それからいわゆる一般担保と申しますか、不動産等担保部分もあるわけでございますが、そういうものを加えますと、都合十・二兆円が保全されておりまして、保全率もついでに申し上げますと八七・一%、こういうことに相なっております。
  24. 星野朋市

    星野朋市君 それで、大体保全されていないのは一・五兆だという、そこら辺は非常にはっきりさせておかないといけないと思うんです。  それで、私は、だから二年の間にこの十一・七兆円をオフバランス化したとしても、これはそんなに難しいことではない。これをやるといかにも大量失業が出るような話がもう町に伝わっておりますけれども、この部分だけについては大したことはない。既に銀行は今まで不良債権の八〇%ぐらいは実際にはオフバランス化してきたと、こういうふうに言っておりますし、この件についても大臣が今おっしゃられたようなことで、不足分は一・五兆ですから、ここら辺は何とかなるだろう。  ただ問題は、いわゆる要管理債権まで含めた十八兆円という金額が、果たして金融庁が発表されたようなことで済むのかどうか。これは恐らく銀行側数字をそのまま載せたようなものじゃないかと推測されるわけでございまして、一説によると、大体民間の推測の方が後になると当たっているんですけれども、この金額がほぼ二十八兆だろうと。ですから、今の銀行の主要十六行の業務純益というのを三兆強と計算しても、とても三年間で整理されるようなものでない、八年ぐらいかかるんじゃないかと。こういう数字はこれからも実は金融庁ははっきりさせていただきたいと思うんです。  私は、この委員会、それからほかの委員会で同じことをしばしば述べておりまして、銀行が期初に今年度どのくらい償却するんだと。予定額をここ三年間、毎年一・五兆と言っている。それで、中間期になるとはるかにそれを超えている。去年の九月は何と言ったかというと、業務純益の範囲内でおさまりましたと、こう言っているんです。そして、柳澤大臣オフバランス化ということを口に出した途端に、UFJを初めとして急速に債権償却をふやしてきた。結果的には、さっきおっしゃられたような四兆を超える、前の年は四兆六千億ですよ。こういうことをやりながら、残高は一向に減らないでふえていくと。この三月期も要管理債権が一兆七千億ふえているんですね。そうすると、それだけを見ると、いつまでたってもこの処理が続くんじゃないかと。  私は、ここの最終をいつだと決めないと一層不信感が増すということをずっと言い続けてきました。ようやく、過去の不良債権は二年で償却して、新たに発生したものは三年で済ますというお話でございますけれども、さっき申し上げたとおり、根本的な不良債権数字に若干の、若干というよりかなりの誤差がございますのでそこら辺は難しいと思いますけれども、ほぼ三年で片をつけるということならば、はっきりそういう形でこの不良債権の問題は片をつけていただきたい。そうしないと、その次の日本経済の展開というのがなかなかできない。いつまで不良債権の問題がおもしになっているかということを私は懸念しております。  ちなみに、九九年一月、柳澤大臣衆議院予算委員会でこうおっしゃっている。「「少なくとも大手行については本年三月期において不良債権問題の処理を基本的に終了することを目指す」ということをうたわせていただきました。」と。大分現状とは違うと思います。  柳澤大臣現状考えてどういうふうに今お考えになっているか、改めてお聞きをいたしたいと思います。
  25. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 不良債権の定義もなかなか人によって異なるような面もあります。のみならず、実は処理ということになりますと、これはもう非常に人によって異なる。あるいは、人が不良債権処理というふうな言葉を聞いたときに何を、どういう状況を想定しているかということは非常に実は異なるわけでございます。  当初の議論金融国会等での議論は何だったかというと、まず不良債権をきちっと把握すること、それをいいかげんにやったりごまかしたりしちゃいかぬ、こういうこと。それから、その次に不良債権処理として必要なものは、そういうふうに認識をした不良債権について損失を見込んで、その損失見込み額にあらかじめ備えをするという意味での保証担保がカバーしていない部分についてはしっかりした引き当てをしなさい、こういうことであったわけでございます。  一部議員の中に、実はそうではなくて、今私が取り組ませていただいております、不良債権バランスシートから落とすことが大事なんだと言う方もいらっしゃらなかったわけではないんですけれども、この問題に取り組んだ当時の与野党ともに、不良債権処理として必要なのは、これは保全されていない部分の十分な引き当てである、こういうことで大体コンセンサスがなっていたということでございます。私どもも当初はそういう考え方で、保全されていない部分についてしっかりした引き当てをする、こういうことで取り組ませていただいたわけでございます。  そういうことを続けてまいったわけですけれども、よく考えてみますと、本当に金融機関にとって必要な例えば自己資本充実、これはもう収益でもって長く着実に積み立てていくしか方法はありません。時に、例えば特別な投資が必要だというときに、この投資に対するお金として増資をするということもありますけれども、基本的には利益を着々と積み立てていくことによって資本充実を図っていくということしか実はないわけでございまして、私は、そういった意味でも、どうしても金融機関収益の力を増強していくことが必要だと。  それには、引き当てがなされているとは言い条、不稼働の資産というものをバランスシートの中にいつまでも大量に持っているということではこの目的は達せられないということを考えまして、私は不良債権最終処理という言葉を、総理がお使いになられて以後そういうふうに言っているんですけれども不良債権バランスシートから落とすということこそ大事だということにいたしておるわけでございまして、その時々の処理意味に応じた表現をさせていただいておるという面もあることを御理解賜りたいと、このように思います。
  26. 星野朋市

    星野朋市君 今回はぜひそのオフバランス化の問題、最終的な処理は三年以内に終わらせるということを実行していただきたい。間もなく発表される経済財政諮問会議の前文の中にもこういうことがうたってあります。「オフバランスシート化進捗状況を定期的に点検し、」と。今までは大体最終処理だけが発表されて、いわゆるフォローというのが比較的おろそかにされていた面があります。これは定期的にオフバランス化の量を発表していただきたい。  それに関連して、例の公的資金注入したときに各行に要請して出させたいわゆる健全化計画、これの進行状況がどうなっているか。これは金融庁にお伺いをいたしたいと思います。
  27. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 資本注入行につきましては、資本注入に当たって、これはもう当然、注入後において一体経営をどのように健全化していくか、そういう計画提出を求めておりまして、この提出については、虚偽の報告をした場合には、これは罰則を科すというようなことを担保にいたしまして、厳格な枠組みの中での健全化計画提出を義務づけておるわけでございます。  この状況でございますけれども、まだ今期と申しますか先期と申しますか、十三年三月期の健全化計画履行状況につきましてはこれから報告を受けることになっておりまして、現在段階のところ、すべてにわたって健全化計画履行状況という形で申し上げることはできないのでございますけれども、そこに掲載される基本的な計数というものについては別途決算短信等で判明しているわけでございますが、それによりますと、業務純益に関して、業務純益と申しますのは金融機関の通常の業務で稼ぎ出している利益でございますけれども、これについてはおおむね健全化計画をむしろ上回っているという状況でございますけれども、そこから次の段階の、特別の損益を計上することを経て算出されるところの経常利益当期利益につきましては、これは不良債権処理等の影響によりまして大半が健全化計画計数を下回っていると、こういう概況でございます。
  28. 星野朋市

    星野朋市君 その面は確かにそうだと思うんですが、そのほかに、いわゆるリストラの状況役員数従業員数等々、それから中小企業向け貸し出し状況、それから役員報酬賞与等、それから外国支店削減等、こういう問題が随分未達なんですね。随分未達だと思うんですよ。これがいつも、結果がこうなりましたという数字しか出てこない。計画に対してどう進んでいるかというのが我々の知りたいところなんですが。  それで、さっき不良債権のところでも私は申し上げましたけれども計画計画なりに十分な理由があってやったはずなんですね。ところが、大臣の一言で急に最終的に三倍にふえてしまうような、そういういいかげんな数字金融界はまだやっているのか。普通の会社がこんなことをやったら経営者はみんな首じゃないか、私はそう思うんです。だからいつも、計画に対してどう実行されているのか、どうまだ達成されていないのか、ここを厳しくやらないと私は金融界はなかなか直らないと思うんですね。これは金融庁、これからも十分気をつけてやっていただきたいと思います。  最後に、時間がございませんが、証券市場のことで若干申し上げたいと思います。  証券市場活性化等、それから、きょう実は審議される例の百万円までの特別控除、ここら辺のことは私たちPTでやっておりましたので直接には触れませんけれども、ちょっとこの中で私が懸念をしておりますのは、この間、EB債の問題でグローバル証券東京三菱証券が摘発されました。証券市場というのはやっぱりまだお行儀の悪いところが随分ありまして、もともとはこの証券市場がもっと信頼性回復しないとだめだと思うんですが、ここ二、三日の株価の状況を見ておりましても、いわゆる日経リンク債についてやや懸念があります。例えば、おととい三百八十六円マイナスになりましたけれども、これが引け一時間ぐらいの間に急転したんですね。きのうも引け間際に急にマイナスになりました。  どうしてもこの日経リンク債に疑問を生じざるを得ないところがありますけれども金融庁は監視委員会を通じてどういうふうにこれを見守っているか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  29. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 証券市場に対しましていろいろな金融商品が出てくる。私ども緊急経済対策の中で、証券市場の活性化、こういうことをうたっておりまして、そういう意味で、個人投資家が自己責任において取引を行っていくという観点からは、一つはディスクロージャーが必要であること、二つ目には公正な取引を保証するルールが必要である、こういうふうに考えておりまして、これまでもいろんな整備をやってきたところでございます。  先生が特に今御指摘なさいましたEB債とかリンク債の問題については、金融庁として、証券取引等監視委員会の検査の結果、そのEB債に関連しました証券会社の法令違反行為に対する行政処分を求める勧告を受けまして、先ごろ複数の証券会社に対し業務停止処分を行いまして、内部管理体制の充実強化、役員の法令遵守の徹底、再発防止策の策定、責任の所在の明確化を求めるとともに、あわせて投資者への適切な対応について検討を指示したところでございます。  今後とも、証券取引等監視委員会の検査等を通じましてこのような法令違反行為が把握された場合には、当庁としても厳正に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  30. 星野朋市

    星野朋市君 終わります。
  31. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 質問峰崎君に申し上げますが、竹中大臣が若干おくれる模様でありまして、事情については委員長が承知しておりますので、そのことを御勘案の上、質問いただきたいと思います。
  32. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎です。  きょう、ちょっと風邪ぎみなものですから、聞き苦しいところが出るかもしれませんが、お許しいただきたいと思うんです。  今、委員長からお話がありました竹中大臣、私は、今回に限らず、ぜひ財政金融委員会の主管大臣になっていただだく必要があるんではないかというふうに思っております。  特に今、骨太方針というのが出ておりますが、竹中大臣言葉によりますと、どうもアメリカの大統領の予算教書に匹敵するものだということで、そうなりますと、財務省も金融庁も、あるいはマクロ経済政策も含めて全体としてこれは論議せざるを得ない課題でございますので、その意味では、これは法改正をしてでもぜひそうしていただきたいなと思っているわけであります。  さて、きょうは日銀総裁にお見えいただきました。たしか、きょうからあしたにかけて政策委員会・決定会合があるということでございます。それでぜひ質問させていただきたいと思いますが、冒頭に、私、五月二十一日に参議院予算委員会がございまして、そのときに総裁をわざわざお呼びをしておきながら質問ができなかったということで、まことにおわびを申し上げたいということを冒頭申し上げたいというふうに思います。  きょうも時間が午前中だけということに限られておりますし、きょうの新聞なども率直にいろんな意見が出ておりますので、私の方から質問させていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、経済財政諮問会議の議事要旨というのがこのところ公表されているわけであります。必ずしもこれは議事録の正確なものではないんだろうと思いますが、私の持っておりますのは五月三十一日付の官邸の大食堂で行われた議事要旨でございます。その中で日銀総裁は次のように発言されているわけであります。「金融とマクロ経済の観点から申し上げたい。第一に、過去数年間に積極的な金融政策をとってきたにもかかわらず、経済活動が活発化しなかったことを踏まえると、産業構造、金融システムの両面での構造改革が必要。第二に、個人金融資産について、株や債券に投資したり、ファンドなどを使ったり、そういうリスクキャピタル、直接金融を増やしていくような税制その他の改革が必要。」、こういう御指摘がされているわけであります。  日銀としては、これは三月十九日の決定、そのときに量的緩和へ踏み切って、消費者物価上昇率がゼロ以上になるまではこの方針を続けますよというメッセージを送られて、これ以上はないんだというメッセージで、ある意味では構造改革に期待をされている、こういう理解をしているんですが、日銀総裁、それでよろしいんでございましょうか。
  33. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  私ども、三月十九日にかなり思い切った政策をとったわけでございます。金融市場ではその後の三月近い間によく政策効果が吸収されて、結果は今のところよく出ているというふうに思っております。短期金利も、ゼロ金利のときよりも低くなっておりますし……
  34. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと聞こえないんですが。
  35. 速水優

    参考人速水優君) 失礼しました。  三月十九日の政策、かなり思い切ってやったわけでございますけれども、その効果は、この三月近い間に市場でかなりうまいぐあいに受け入れてくれて、短期金利はもとよりのこと、中長期、特にCPとか債券とかいった企業が直接借りるお金がかなり低金利で企業に直接入っていくといったような、CPなどは二十兆円と今までになかった記録的な結果を出すようなことになっておりまして、そういう金融市場面での効果は非常に出てきていると思うんです。  しかし、あのときに私どものステートメントにはっきり書きましたように、こうした金融緩和効果がフルに発揮されて日本経済が持続的な成長軌道に復帰するためには、不良債権問題の解決を初めとする構造改革の進展が不可欠な条件である、日本銀行としては、構造改革に向けた国民の明確な意思と政府の強力なリーダーシップのもとで、各方面における抜本的な取り組みが速やかに進展することを強く期待しているというふうに発表いたしまして、その方向で新内閣が進みつつあることを私どもは今喜んでその成り行きを注視している、それとともにアメリカの経済の動きがどういうふうになっていくかを注視しているのが現状でございます。  今ここで多少株価が低迷したりあるいは生産数字が下がったりしておりますことは、四月の時点で十分リスク評価として私ども考えていた範囲の中でございまして、新たにここで政策をさらにつけ加えなければならないというような状況には至っていないと私は考えております。その辺のところはきょうあすの会議委員方の間で討議が行われることだと思っております。  もう一つ申し上げておきたいことは、これも諮問会議でも申し上げたわけですけれども、金融金融と景気が悪くなると言われるわけですが、ここ五年間の実績をとってみますと、いわゆるマネタリーベースという、日本銀行から出す銀行券や日本銀行への預金、これを過去五年間の平均で見ますと、一年で七・九%伸びております。それが民間銀行の預金のベースになりますと、五年間で一年平均三・三%しか伸びておりません。その間、銀行券その他はほかへ流れているということかと思います。まして、銀行の貸し出しは御承知のように過去五年でマイナス〇・四%と減っておるわけです。  一方、実体経済でどうなったかというと、過去五年の平均は、名目GDPで一年でわずかにプラス〇・六、実質でプラス一・三、その間の物価は〇・一とほぼ横ばいと。主として銀行国債を持って、その国債政府がいろいろ公共投資等をなさったわけでございますけれども、実体経済にはプラスになっていない、金融金融と言われるので金融をこれだけ出しておりますけれども、その効果が出ていないというのはこの数字をごらんになったら一目でおわかりになることだというふうに思っております。  そういう状況の中で、これから新しい構造改革その他が行われていくときにどういうことが起こってくるかということ。私どもは、本当にこれは中長期にはなさねばならぬことだということで、そこで起こってくる事態、あるいは海外で思わぬことが起こって、こういうことになった、なりそうだというようなときに、いつでもさらに手が打てるように準備は整えておるつもりでございます。その辺のところは御心配なく、私どもの動きをウオッチしていただければというふうに思っております。
  36. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう三月の段階で、今の景気のある意味では不安定化というか、景気が落ち込むことも織り込み済みだったということで今お話があったわけであります。  そこで、今いろんな方々からいろんなお話があるんですが、今、金融の問題、日本の問題を考えたときに、私はかねてから四つ大きいリスクがあるというふうに見ているんです。一般的な物価下落、すなわちデフレのリスクです。それから地価の下落のリスク。それから株価のいわゆるリスク。それからもう一つは、かねてから金融担当大臣ともお話をさせていただいています、国債を初めとする、地方債、そういったものの債券のリスクです。  そこで、本当に私自身もよく理解できないのは、一般的な物価水準がずっと下落を続けている。いわゆるGDPのデフレーターでいいますと、ここ数年ずっと低下傾向です。消費者物価を見ても、もう二年以上続いているわけです。これはもうずっと日銀総裁が来られるたびに言っているんですが、このいわゆる物価下落を議論するときに、これはよい物価下落であって、海外から輸入するものが安くなってくる、いわゆる生産性の向上に伴って安くなってくる。  私はこのときにいつも思うのは、それはアメリカでも、海外どこでも同じことじゃないか。つまり、社会主義圏と言われていた国々が市場経済へ入ってくる、そうすると入ってくるものは安く入ってくるというのは、これは当然のことだろうと。あるいはアメリカは、きょう竹中大臣と後でまたお話ししたいと思いますが、アメリカはITによって生産性向上を上げていった。そうすると当然価格が下がってまいります。ましてや賃金水準は、価格硬直性が日本よりはないと言われていますから、そうすると、そこでももちろん物価が下がっていく圧力がある。しかし、それにもかかわらず、日本の場合だけがCPI、消費者物価上昇率がプラスにならない。この原因は一体どこにあるのかなということが、私自身がいろんな方々に聞いても、いや、それは中国が近過ぎてあそこから膨大なものがあるから、それは地理的要因もあるんじゃないかというような話もされるんです。  そこら辺、日銀の総裁として、いわゆる物価、通貨に対する、インフレに対する責任に対してはインフレファイターとしてある。今、デフレが問題になっているときのデフレファイターとしての日銀として見たときに、まだ三カ月ですから、それこそ今の総理大臣じゃないですけれども、まだ三カ月ですから先を見るのは早いですよということなのかもしれませんが。  その点、これから大変な構造改革をやられようとするときに、ますますまたデフレ要因が強まるんじゃないかというように言われています。いわゆるデフレ要因といっても、これはきっと悪性の、需要がマイナスになっていくところのデフレなんだろうと思いますが、そのあたり、日銀総裁は、三月十九日決定会合で、消費者物価上昇率が安定的に、CPIがゼロになるまでこれは大丈夫だ、やっていくんだということで自信を持っておられるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  37. 速水優

    参考人速水優君) 御指摘のように、物価の下落というのは世界的な動きであると思います。特に日本の場合は、流通市場の合理化とか自由化とか、特に規制緩和あるいは業界間の申し合わせといったようなことが、私も民間の商社におりましたからそういう動きはよくわかっているつもりですけれども、グローバリゼーションというのが九〇年代になって始まっているのに、日本の方は、規制の緩和、撤廃、あるいは市場化、あるいは自由化というのが非常におくれているんですね。物価の内外価格差という言葉をまだ覚えていらっしゃると思いますけれども、九〇年の初めごろからこのことを財界などでも強く言って、私も同友会にいてそういうことを強く言ってきたわけです。  それは、やっぱり規制緩和ができていないということ、それともう一つは、バブルのはじけがあって、デフレ現象が続いて、民間の生産も伸びないし、経済の伸びがとまって、それによって所得が伸びていないという需要サイドのものもありましたけれども、それに加えて、先ほどおっしゃった、自由化されて外から安いものが入ってくると。しかも、海外の安い労働力を部品の製造や製品の輸入に使って、それが消費者にとってはかなり喜ばしい低物価ということをもたらしておるわけです。  そのことは、消費者には非常に歓迎されていると思いますけれども、一方、それを扱っている企業にとっては、やっぱり物価はめちゃくちゃに下がるのは困るわけで、収益を維持していくためには物価をそんなに下がらないようにしてもらわないと困るということが出てくるのは、これまた自然の流れだと思います。その辺のところを私ども中央銀行の立場で、物価の安定という立場からすべてのものをフェアに見て政策を打っていきたいというふうに考えております。  今の物価がやや下がりぎみであるのが、供給サイドの問題なのか、先ほどの輸入その他の、あるいは規制緩和・撤廃によるもの、それと同時に、技術の革新でコストが下がっているという供給サイドの問題であるのか、所得がなかなかふえない、先行きが見えないということによる、需要が供給についていけないというような事態が主因であるのか、その辺のところはその都度よく詳細に資料を見、議論をして政策を決めてまいりたいというふうに考えております。
  38. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこでまた、もう一点、日銀の最近の動きでお聞きしたいところがあるんですが、それは、札割れ現象を起こしている、つまり短期債を買いオペをして、それが未達である、こういう状況から中期債の方に移っていっていると。もちろん通貨発行量が歯どめになっているんだろうと思いますが、この動きに対して、それは予想された範囲なのか。  実は、けさの新聞を見ますと、これは日銀OBの方がおられる研究所じゃないかと思うんですが、富士総合研究所というところから、日銀が長期国債の大量買い切りに踏み切ると、国債価格は急落して日銀の財務内容が悪化し、ひいては円への信頼を失いかねない、そういう警告するレポートが出ている、こういうことなんです。  今のお話を聞いていて、さあこれから先、物価が安定的に、消費者物価がゼロになっていくのはいつのことやらという感じがするのでありますが、だんだんと短期債から中期債、中期債から長期債、こういう形で買いオペが進んでいき、さらに昨今の中では、もっと量的緩和を広げろとかいろんなものが出てきているわけでありますが、そういった点に対する懸念について日銀総裁はどのように考えておられるのか、この点お聞きしたいと思うんです。
  39. 速水優

    参考人速水優君) 先月あたりから若干札割れが起こって、国債を買って資金を市場に流すという場合に、こちらが予定しただけの売りが市場から出てこない、これを札割れと言うんでしょうけれども、そういう事態が起こったことは確かでございます。  そういう事態に対応するために、日銀の当座預金五兆円平均でいくという、いわゆるリザーブターゲティングと言っておりますが、金利をめどにするのではなくて、日本銀行の当座預金の残高をめどにして緩めていくというやり方をこの三月にとったわけですけれども、その買いオペの玉が、市場では非常に金利が下がっていますし、余り利益のない、しかもいい玉を放したくないといったような動きも当然出てくるわけで、そういうことがはっきりしてまいりましたので、長期国債というもののほかに二年物、四年物、五年物、六年物といういわゆる中期国債を中に入れて、しかも、金利の区割りを〇・〇一でやめていましたのを〇・〇〇一まで変えていくといったような、より細かい政策を五月にとりました。それ以来、札割れというのは一切起こっておりません。  今後、今のところまだ構造改革も大きく動き出したわけでもございませんし、これから動き出してどういう痛みが起こり、どういうところに資金が必要になってくるか、どういう事態が起こってくるのか、そのことを見ながらこれからの政策はとっていくつもりでございます。  この間の三月十九日の措置には、CPIが安定して前年比ゼロを上回るようになるまで長期国債あるいは今の五兆円の政策というものを続けていくんだと、五兆円とは言っておりませんけれども、この政策でいくんだということを言いましたと同時に、長期国債につきましては、銀行券の発行残高を上回らないように、それを限度として必要に応じて買い増しをしていくというようなことを言っておるわけでございまして、まだそこまでやる必要もないわけですけれども、それに関連した政策を十分考えながら、これからの事態の変遷に適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。私どももそれなりの自信を持っております。  ただ、こういう事態というのはいまだ世界にも余り例のない事態でありますだけに、いろいろよく考えて、議論して決めていきたいというふうに思っております。簡単に世論に動かされるつもりはございません。
  40. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後の発言は聞いていて大変頼もしく思ったわけでございまして、ぜひ頑張っていただきたいと思うんです。  実は、竹中大臣にお見えいただいておりますが、きょうあすの日銀の政策委員会・決定会合に大臣が出られるというふうにお聞きをしております。現職の大臣で、財務大臣とか金融大臣、あるいはかつての経済企画庁長官といいますか、出られるというのはなかなか珍しいのかなというふうに思って注目をされていると思うんですが、いわゆる骨太の、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革の素案を私ども昨日、内閣府からのレクチャーを受けたわけでありますが、その中に、この日銀の金融政策に触れているところがそんなに多くないんですね。  そこは何て書いてあるかというと、「デフレ圧力が生じる調整期間を通じて、金融政策は必要に応じて、機動的な量的緩和政策をとることが期待される。また、景気の状態によっては、セーフティーネットに万全を期するなど、柔軟かつ大胆な政策運営を行う。」と。後ろの方は日銀ではないのかもしれません。  わずかこれだけのことなんですが、そうすると、今、日銀総裁は、三月十九日のあの政策決定で、ほぼ今やろうとされていることも含めてもう手は打ってある、こういうことなんですが、この表現ぶりは、いや、我々は今から構造改革をやろうとしているのだから、デフレ圧力も強まるかもしれない、もっとこの金融政策は必要に応じて機動的な量的緩和政策をとることが期待されると、こうおっしゃっているんですが、その中身はどのようなことを考えておられるのか、竹中大臣にお聞きしたいと思うのであります。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答え申し上げます。  言うまでもありませんが、金融政策は日銀が独立して決定するというところに大変重要なポイントがあるわけであります。当然のことながら、経済財政諮問会議の中で書かれている内容というのは、その意味では日銀の独立性を尊重しながら我々の政策とのハーモナイゼーションを図ってほしいと、そういう範囲でのメッセージということになります。  日銀の政策会合への出席の話。過去、例えば尾身大臣が企画庁長官のときは出席されたというふうに聞いておりますし、決して初めてということではないと存じます。  重要なのは、やはりそのハーモナイゼーションということなんだと思います。経済財政諮問会議の正規の議員として実は速水総裁になっていただいているわけでありますし、そこでの議論も踏まえる、さらに私自身が政府を代表する立場で意見を申し述べる、その日銀の政策決定会合では申し述べる立場にありますので、そういう形でのハーモナイゼーションを図る。  直接のお尋ねの、じゃ、金融政策に対して何をどう考えているのだということでありますけれども、繰り返しますが、日本銀行が独立してそれを決定されるという範囲の中で私たちが今考えていることというのは、日本銀行は既に三月の時点で非常に大胆な金融の量的な緩和について決定しておられるわけです。その範囲で実態を見ながらハーモナイズするような機動的な運営をしていただきたいと、そういう考え方をこの中では申し述べたつもりであります。
  42. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、実態を見ながら機動的に対応してもらいたいということですから、これから先どんなことが予想されるのかわかりませんけれども、十分な連携をとってやる以外にないということなんだろうというふうに思います。恐らく、あす、あさっての会合も議事要録がやがて公開されますので、楽しみにして、それもまた後で検討させていただきたいと思います。  委員長速水総裁は、私の質問はこれで結構でございますので。  ありがとうございました。
  43. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 速水総裁は退席なさって結構でございます。  御苦労さまでした。
  44. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 竹中大臣、ありがとうございました。何か国会法の定めによってこの財政金融委員会の主管大臣ではないということになっているようでありまして、これは私は早急に法律を改正してもらわなきゃいかぬなと。  実は、経済財政運営及び経済社会の構造改革、まだこの中身は変わってくるんだろうと思いますが、この中身について、私、アメリカのことは余り詳しくないものですから教えていただきたいんですが、この資料の性格について、この議事要録の中で「アメリカの大統領が示す予算のガイドラインである予算教書に準じた、一つの尊重されるべき指針であると思います。」と、こう性格づけを語っておられるんですが、アメリカの大統領が示す予算のガイドラインである予算教書というのはアメリカではどんな性格づけを持っているものなのでしょうか。  これは恐らく大統領制と議院内閣制では違うんだろうと思いますけれども、設置法なんかももちろんあるでしょうけれども、いずれにせよ、このいわゆる方針案なるものの性格づけについて、まずお聞きしたいと思います。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) アメリカの大統領制と日本の議院内閣制とその制度が全く違う中で、そういう比較のアナロジーというのは余り慎重な行動ではないというふうにも私は後で思ったのでありますが、私がそこで申し上げたかったのは、大統領のリーダーシップのもとで政策運営されているというそのリーダーシップの部分を、この経済財政諮問会議の役割の中にぜひ強調したいという意味で、限定的な範囲で申し上げたつもりであります。  アメリカの予算編成というのは大変複雑なのだというふうに私も理解しておりますが、基本的には予算編成権はすべて議会に属しています。日本の総理はその意味ではある意味で権限を持っているわけで、内閣予算案を提出するわけでありますけれども、アメリカの大統領はそういう提案をする権限はありません。すべて議会に所属している。  予算教書というのは、大統領から見て、全体の政策を運営していく上でこういうふうなものであってほしいという、一つの大統領としてのメッセージの部分が非常に強いというふうに認識している。ただし、その予算教書等々の中では、経済の姿と財政の姿との整合的なあり方が、今後、単年度ではなくて複数年にわたって示されていて、国民に対するメッセージとか、大統領の経済に対する、リーダーとしての経済運営に対するメッセージが非常に強く込められているというふうに理解しています。  その意味で、そういうリーダーとしてのメッセージ性の高いようなものであるべきだという趣旨でそのような発言をさせていただきました。
  46. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、この素案をきのう私ども初めて見たわけでありますが、この素案の段階から、昨日の内閣府のスタッフの方は、閣議決定しますと。その閣議決定がいつなのか。それから、閣議決定に至るこれからのプロセス。わかる限りでいいんですが、教えていただけませんか。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 予算の編成、予算案の作成は、経済財政諮問会議で枠組みを決めて、予算案の編成は財務省で財務大臣のリーダーシップのもとに行われるわけでありますが、そういうプロセスを実効性のあるものにするためにも閣議決定をしたいというふうには確かに考えております。プロセスから考えましても、逆算しますと、総理が訪米されますので、それ以前にはやはり大変メッセージ性のあるものにしておきたい。ですから、その前には閣議決定をしたいというふうに考えます。  それに向けて今最終の作業に入っていますけれども、プロセスとしましては、来週ぐらいに経済財政諮問会議をもう一度開いて、そこでほぼ最終案に近いようなものにして、閣議決定の直前にそれをそれこそファイナライズするようなものにしていきたいというふうに思っております。  お尋ね趣旨は恐らく、いつ会議を開くかというスケジュールではなくて、いかに意見調整をしていくのかというような御趣旨が含まれているかと思いますが、経済財政諮問会議というのは、その性格上、総理のリーダーシップをサポートするためのそもそも器であって、調査、審議するためのものでありますから、その意味では、各関係のところといわゆるネゴシエーションをして合意するというような性格のものでは基本的にはないわけであります。  しかしながら、私たちとしてもさまざまな御意見をお伺いしたいし、今後の作業をスムーズに進めるためにも、その理解を深めるというプロセスを非常に大切にしたいというふうに思っておりますので、それまでの期間、関係の省庁ないしは、与党、野党を問わず、関係の方々、さらには広く国民の皆さんとの情報交換、意見交換というのをぜひ深めていきたいというふうに思っています。
  48. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、時間の関係もありますから、言ってみれば予算編成のプロセスの問題について、これはこの素案の三十二ページになるんでしょうか、「予算編成プロセスの刷新」というところがございます。これは第五章の「経済財政の中期見通しと政策プロセスの改革」というところに入っています。私、これを読んで大変すごいなと思ったわけであります。  ちょっと読んでみますと、「予算編成に際しては、まず経済財政諮問会議において経済財政政策全般についての横断的な検討を行い、重視すべき分野や政策変更の必要性など政策の基本的方向とともに、その時点での景気動向についての判断」、これはまた後でお聞きしたいと思いますが、「平成十四年度については、本「基本方針」が示され、この方針が各省庁の行う概算要求の準備作業等に反映されることとなる。 また、新規に重要性を増し、かつ各省庁にまたがる分野」、例えばナノテクとかバイオだとか循環型社会とか、こういうところについては「有識者の識見等を活用しつつ、内閣が中心になって、分野ごとの重点等について強力に調整を行い、諮問会議は必要に応じ、こうした作業に方向付けを行う。これを踏まえ、財務省は具体的な予算編成を行う。 さらに、諮問会議は、経済見通し、中期経済財政計画の改定などと並行して、「予算編成の基本方針」を示し、」、諮問会議がですよ、「これに基づいて政府予算最終的なとりまとめが行われることとなる。」。かくして「透明性が高められ」、「メリハリの効いた予算編成が行われるなど予算編成プロセスを刷新する。」。こういう流れがずっと書かれているわけです。  そこで、まずお聞きしたいのは、この予算の編成における予算編成の範囲です。これは一般会計だけなのか。補正予算をどうするのか。特別会計についてはどう扱うのか。財政投融資計画については対象とするのか。あるいは、後できょうは地方財政のことも少しお聞きしたいと思いますが、地方財政計画の扱いはどうするのか。  こういうものが総体として入ってこないと、この予算編成のプロセスを本当の意味で刷新したことにならないんだというふうに思います。この点はいかがでございましょうか。
  49. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まさにことし一月六日から実施されている中央省庁の再編、行財政改革のコアの部分経済財政諮問会議が担っているというふうに自負して、責任等の重さを感じております。  その意味では、内閣府というものがそもそもつくられた目的が、総理のリーダーシップをサポートして、各省庁等よりは一段高い位置から調整を行うということでありますから、全般にわたっての枠組みを示すということが必要であるというふうに考えています。  これは初めての実験でありますので、一種のある意味では壮大な実験をこれからやらざるを得ないということでありますが、基本的な考え方としましては、今、議員が御指摘になった、一般会計だけではなくて、まず経済の枠組み、政策の枠組みを決めて、その予算の枠組みを幅広くあり方を、枠組みを議論するという役割を担っているというふうに理解しています。
  50. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも議事録とかそういうのを見ると、まだ私は先ほど挙げましたような分野全般にわたって詰められていないような気がするわけです。  しかし、それこそ総理大臣のお得意の言葉では、始まったばかりですから、とりあえずは一般会計だけでというふうになるのかもしれませんが、日本財政というのはとにかくわからないんですよ、我々は。一体お金がどう流れているかということは、特別会計まで入ってくるともう伏魔殿みたいなものなんですね。財政投融資がそれぞれの財投にどんなふうに流れているのかわからないというぐらい、大変よくわからないものですから、私どもとしては、こういう全体を改革していかなきゃなかなか難しいなというふうに思っているわけであります。  これは財務大臣にお聞きしたいわけでございますが、これはもしかしたら質問要旨に入っていなかったかもしれませんが、この議事要録で見ると、こういう改革をされることは、旧来のといいますか、昔の大蔵省の予算編成権というのが堂々とあって、それが今度は経済財政諮問会議がそこに入ってきて、予算の大概のことは方向性は全部出てくる。そうすると、あと、主計というのはその計数合わせを各省庁との間でやるだけだと。こういう形へとなっていくような気がするんですが、財務大臣、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  51. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは今回、内閣府設置法の十九条でございますか、それと財務省設置法の三条並びに財政法とそれぞれございまして、その中に非常に難しい言葉で規定しておりますけれども、私たち段階といたしましての解釈は、先ほど竹中大臣がおっしゃいましたように、政府の方で基本方針を調査し審議してそれを決定するということで、そこの段階でございます。  もっと平易に申しますと、要するに経済財政諮問会議というのは総理大臣がやる仕事でございまして、その総理大臣のもとにあって竹中大臣はその総理大臣の権限を担当しておられる。だからスタッフの一番の親玉ですね。ここでまとめて総理大臣がそれをおろしていくということになっていきまして、それは私は、内閣としての予算に取り組むデザイン、一つのデザインと、それから基本設計のようなものを書いて、それで閣議決定して私たちの方へおりてくる。私たちは、それを実施設計して具体的に予算の編成ができるようにきちっとしたいと。  こういうふうに認識して取り組んでおるのでございまして、したがいまして、今回のこの経済財政諮問会議議論されましたことは、それを忠実に私たちはやっぱり予算編成の中に生かしていかなきゃならぬ、こう思うております。
  52. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 忠実に予算編成に生かしていきたいということをおっしゃいましたので、この基本方針を策定されれば恐らくそうだと思うんですが、私ども聞いて、昨日もちょっと実は質問をしたんですよ、この予算編成プロセスというのは非常に大胆だなと。  内閣府のスタッフの方に聞いたのが余りよくなかったのかもしれませんが、閣議決定するということは、省庁はきっと恐らく納得をするということだろうと思いますが、もう一つ、私はあってはいけないと思うんですが、自民党という政党、あるいは、与党ですから他の保守党も、それから公明党もあるのかもしれませんが、その党内の各部会がございます。いろいろな部会がありますね、あるいは調査会もあります、税制調査会とか。そういったところの了承はとるんですかと聞いたら、きのう内閣府のスタッフの方は、いや、それは役所が部会に出向いていって了承をとってまいりますと、こういう話だったんですが、手続的にはそんなふうな形になっちゃうんですかね。私は、何だか妙な、内閣主導だとか政治主導だというふうに言っているんだけれども、どうもそこは余りぱっとしないねという感じがするんです。  それはどなたにお聞きしたらいいのかなと思うんですが、財務大臣が一番政治家ですから、余り事前に通告しておりませんでしたけれども、やはり政治家がそれは責任を持ってやるべきなんで、本来であれば、私が予算委員会のときにも質問したのは、政調会長とか各部会長が、あるいは副大臣や政務官も入って、そしてそれが党内をまとめ上げていくというスタッフにしていかないと、こんな問題はいつも起きるんじゃないでしょうかね。  たしか竹中大臣は、まだ大臣になられる前に、いろんな政策を我々がアドバイスするんだけれども、どうも政調会長、当時は亀井静香さんでしたけれども、亀井さんがねじ曲げちゃってどうにもならないんだと、こうおっしゃっていましたですね。  その意味では、今度は首相のリーダーシップが非常に強まっているがゆえにこの点がまだないのかもしれませんが、私は、この予算編成のプロセスを本当の意味で変えていくということは、そういう党と内閣一体という形に持っていかない限り変わらないんじゃないかという感じがするんですが、これは財務大臣にちょっと、ナンバーツーの大臣でしょうから、その点はどうお考えになっていますでしょうか。
  53. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 峰崎さんがおっしゃるように、そんな截然として、ここまでは党が主導してここからは役所がやっているという、そういうものではなくて、ふだんから役所の方は、要するに各省庁は、何も自民党だけではございませんで、民主党の意見も共産党の意見も皆聞いてそしゃくしておりますし、そこで議論が起こってまいりまして、でございますから、この原案を竹中大臣のところで作成される場合に各省からいろんな意見を承知をしておられます。その中には、それぞれの各党の要望、あるいは各党からの批判というようなものが既に盛り込まれて一つの原案ができてきておるということ、この認識をとっていただきたいと思っております。  でございますから、こういう委員会、あるいは自民党で言いましたら部会で議論されましたことは、必ず各省庁がいつかはそれを持って帰って、いつかはその方向についての検討をちゃんとしておりますので、それはもう、全部そういうようなものをほっておいて、それでこっちの方では勝手に役所だけで政策を組むんだと、それは絶対ございませんで、その点は参酌していただきたいと思っております。  ただ、それを予算に組みます場合に、財務省としては、各省からの要求がございます中に、その要求の中にどれほどの緊急性があるか、どれほどの政治性があるかということは考え予算編成のときにそれは考慮することはございますけれども、このプログラムをつくりますときには、財務省の意見というよりも、むしろ国会とかあるいは政党の意見を中心にして組まれてきた案が盛り込まれておる、このように御認識していただいたらいいと思っております。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 我々は野党でございますから、そういう与党の中のあれこれに今言うことについてはあれかもしれませんけれども、ただ、首相公選制を訴えられているんだけれども、こういう改革をしないで首相公選制だけを取り上げられるというのは、どうも私は小泉さんの発言というのは危うさを感じている一人なんですけれども、ぜひそういった改革は、我々野党の立場ですけれども、やらなきゃいかぬなと思っております。  さてそこで、またこのいわゆる骨太方針と言われているものの性格に戻っていきたいと思うんですが、これを読んで非常にわかりやすいところとわかりにくいところがある。やっぱり竹中大臣は学者出身の大臣かなというような評価も、きのうちょっといろいろな方と話をしたんですが、一つは、竹中大臣、税制問題というのが極めて貧弱というか、前回のこの委員会でもちょっと論議をした、レーガン税制のところでもうちょっと議論をしたかったなと思ったが、時間がなかったのでありますが、十二ページに税制改革というのがあるんです。  これを見ると、税制は、簡素、公平、中立だとかグローバル化だとか、要するにありきたりの平板な中身が書いてあるだけであって、竹中大臣が恐らく最も一番主張したかった多分フラット税制だとか、あるいはやる気を出させる税制としてフラット税制とか、最後はポールタックスといったようなことまで触れられている論文を読んだことがございますが、言ってみれば税制というのはその社会をどう形づくっていくのかということの非常に大きな基本となるような性格がここの中に入っていないんだろうと思うんですよね。  ですから、細々とした租税特別措置に該当するような証券税制だとか、きょうも、百万円まで無税だとかいろんなところを出しておりますけれども、基本となっていく税制をどう構築していくのかということについて、持論がないんなら、あるいは議論がないんなら別ですが、これはどうも私が見ると、その点は何か避けられたんじゃないか。どうもやはり参議院選挙を前に、選挙を前にすると税制の議論というのは、ともすれば政治家というのはやっぱり、いや税の問題は出さない方がいいぞ、税の新しい問題を提起したら必ず選挙でしっぺ返しを食う、こんなような意見があるのかもしれません。  その意味で、今度の素案の中で竹中大臣考え方というか、これは恐らく竹中大臣だけのものじゃないですから諮問会議の全体の問題なんだろうと思うんですが、竹中大臣以外にも民間の方々で税の問題に触れていることを随分私、目にしているものですから、どうしてこんなたかだか二十行ぐらいの抽象的なものに終わっちゃったのかなといった点、非常に気になっているものですから、ぜひ御意見をいただきたいと思います。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今御指摘になったとおり、これは私が一人で書いたものではありませんので、これが学者的であるか、それがいいことか悪いことかというのはちょっとぜひ留保させていただきたいのでありますけれども、私自身、税制はまさに経済政策に関するこの国の形であろうというふうに思っております。  これについて、税制についての記述が物足りないという御指摘かと思いますが、私としては、制度設計そのものは、それは特定財源にしても地方の仕組みにしても、制度設計そのものを議論するというのが実は骨太ではありませんので、具体的な中身そのものに、税制に関しても当然やるというのは骨太の目的とは違っているわけです。  しかし、例えばこのメッセージの中にチャレンジャー支援の税制を含めた検討を行うということを明記したつもりでありますし、その意味では、改革の中の重要な部分として私は税の問題があるというふうに認識しておりますし、そのメッセージというのは、考え方としては、表現の問題はいろいろ御批判もあるかもしれませんけれども、書かせていただいたつもりであります。現実問題として、骨太を受けて、具体的な経済の政策の制度設計では、かなり税の問題というのは重要な問題になってくるだろうというふうに認識しています。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 税の問題は重要だということで、節々に入っていますよということなんですが、読んでみると、そこは確かに、今おっしゃったように挑戦する人にこたえられる税制とか、いろんな抽象的な方向性は出ているんですが、全体的に、例えばフラット化をするとか、そういった所得税のあり方とか法人税のあり方とか、そういった面でここの中の体系化されたものがなかなか見えにくいなと。  なぜそういうことを言ってるかというと、ちょっと次に中身の中で、社会保障のところで、医療や介護、福祉といった社会保障の分野に競争原理が導入をされる、こういう表現ぶりが入っているわけです。我々からすると、社会保障というのは、国民が共同するとか連帯するとかリスクをお互い分け合うとか、そういう分野であるはずだし、そこに競争原理が入ってくるということは、これは社会的な連帯といったものをちょっと破壊してしまうんじゃないかなと。これはもっと言うと、財政の持っている通常の三つの機能のうち、経済安定化機能、これはよく今まで公共事業を中心にしてどんどん需要拡大ということでやられてきた政策ですが、私もこれはもう余り重視する必要はないんじゃないかなというふうに思っているんですが、もう一つの資源配分のところは随分効率化していこうというふうになっている。ところが、所得再配分、そういったところの機能というのが徐々にどうなっていくのかなという危惧がずっと出てくるわけです。  ですから、例えば、そこの社会保障分野に競争原理が入る問題だとか、あるいは、次に社会保障個人会計という表現がございますね。何ページだったか、そういった個人会計というような文言が出てまいります。ここら辺になってくると竹中大臣考え方が非常に出て、竹中大臣のと言ったらおかしいんですが、経済財政諮問会議が何か今回の改革で言うというときに、どうもそこのところあたりが非常にあいまいとしていて、税の問題でもそこが触れられていると、例えば、所得再配分機能が強過ぎる、だからもっとフラットにしなきゃいかぬとか、全体として財政の果たしている役割あるいは税制の果たしている役割というものに対する見方が、少しずつ衣の下によろいは見えるんだけれどもなかなかはっきりしないなという感じがするんですが、そのあたりはどのように考えて、あるいはどんな論議があったのかということを教えていただければと思うんです。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは議員全員が一致した議論ということではありませんけれども議論の流れを通して私が感じている方向性を述べろということでございましたら、次のようなことになるのだと思います。  それは、福祉の中の医療の議論なんかに私は典型的にあらわれているというふうに思うんですが、確かに医療というのは、完全にすべてを市場メカニズムに任せることはできない分野であり、だから供給側に幾つかの政策的な枠組みをはめている。これはどこの国でもある程度はめているんだと思います。しかし、例えば医療に対する需要の側から見ると、これはある意味消費者が、患者が自分の一つの最適な行動として、選択行動として行っているわけですから、そこにはやはり市場における選択の部分というのが入ってくるわけですね。極端な話、医療サービスによって受けられるメリットに比べて負担するものが著しく低ければ、これは当然のことながら過剰な需要を、まさにむだな社会的な需要を生み出してしまうわけですから、社会保障の中には、その意味では福祉的な原理のものと、一方で間違いなく市場的なものというのは、現実にはどこの国でも入っているんだと思います。  この中で、そういう今の例に象徴されますけれども、私たち考えているものというのは、所得再配分が重要だということは十分に認識しています。しかし、小さなパイをいかに配分するかということを議論しても、今後の日本経済の将来的な発展はやっぱり見込めない、パイそのものを大きくする中で新しい配分のあり方を考えようということでありますから、その意味では非常にダイナミックな配分政策を議論させていただいているということなのではないかと思います。  その意味では、資源を効率的に配分する、これはメッセージの一番最初に書かれていますけれども、構造改革の根底にある一つ経済思想というのは、生産性の低い部門から生産性の高い部門に人、金という資源を移動させることであって、かつそれぞれの部門の潜在力をインセンティブを上げてやることによって高めていくことであると。その意味では私は、ここに書かれている理念というのは、割とシンプルにメッセージとしてお伝えすることができるのではないかなというふうには考えております。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そのあたり、恐らくこれは具体論が出てこないと、資源配分でより有効なところへ改革するという、今度、創造的破壊という表現をよく使われておりますけれども、私は、それはそういう改革をしなきゃいけない時期に来ているんだろうと思うんですが、しかしそのことが、ある意味では社会の連帯を阻害してしまうとか破壊してしまうとか、そういう問題になっていくとなかなか大変かなと思っているんです。  そこで、そこはもう打ち切りますが、もう一つ、竹中大臣を初めとして、小泉内閣全体がそうなんだろうと思うんですが、今まで官でやっていたものは、民間でできるものは民間にやりましょう、それから地方自治体にできるものは分権化していきましょうということなんですが、そのときの民というのは、いわゆる市場社会の中における法人、いわゆる営利法人ですね、株式会社といいますか、これももちろん市場ということの中で大いに動いていく分野だと思うんですね。もう一つ我々が注目しているのは、いわゆるNGO、NPO、この団体の果たしている役割というのが大きいんだろうと思うんですね。  私は、そういう意味で、市場と言われているものが機能する分野というのは、そういういわゆる全体としての官、官というか地方自治体も含めた官があって、それからいわゆる民間セクターの中のそういう市民の連帯組織といいますか、そういうものと、それから市場というものがうまくコントロールされる形じゃないかなと。NPOというのは日本においては発達が非常に弱いのかもしれませんが、そういったことに対する支援というか、あるいはそれを大きく評価をしていくというか、そういう努力というものがもう一方で何か要るのではないかという、これを読んだときの印象だったわけですが、NPOセクターといいますか、そういうものに対してはどのようにこの中では議論されておるんでしょうか。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私たち議論したいし、してきたのは、私たちと言うとちょっと語弊があるかもしれませんので、あえて民間の議員と私が議論してきたことは、まさに今議員が御指摘のようなことなのであります。  こういう議論、資源の効率配分とか市場メカニズムの活用とかという議論をしていくと必ず一つの誤解が出てくるのでありますけれども、ちょっと済みません、これは経済財政諮問会議議論したわけではありませんが、メンバーとのプライベートな議論で私たちがよくする議論の仕方として、今の議員のお答えになるかと思いますので参考までに申し上げたいと思うんですが、公私という言葉ですね、日本語の公私という言葉と官民という言葉をやはり厳密に区別しようではないかということなんです。  公私というのは、資源配分のルールに関するものだと思います。私的な財は市場で配分すべきです。しかし、市場だけでは配分できない公的な財というのは間違いなくこの世の中にあるわけです。これは例えば、ハンディキャップを負った方々に対する財の配分、給与というのは、これは私的な市場メカニズムだけではだめだというのはみんなわかっているわけですね。公と私というのは、だから市場における資源配分のルールの問題だと思います。  それに対して、官民というのは、だれがやるかという主体の問題なんです。官というのは政府で、民というのは政府じゃない人ですね。重要なのは、日本は公的な財をことごとく今まで官、政府が独占してきたというところに一つの問題があろうというふうに認識するわけです。だから、例えば環境の運動なんてそうでしょう、公的な財だけれども、それを政府じゃない民間非営利がやっていいじゃないかという考え方は、私たちはこの中にはかなり色濃く書かせていただいているつもりです。  そういったものに対する、最終的に書き方をどうしたかは今すぐ出てきませんけれども、サポートの問題ですよね、NPO、NGOに対するサポートの問題、その仕組みづくりの問題というのは、実は、公的なサービスをこの社会に確保しながら、しかし政府をスリム化して効率化していくという上で大変重要だというふうな認識を持っておりますので、その点は多分、今、議員の御質問と非常に問題意識をシェアしているというふうに申し上げてよいかと思います。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだ抽象的なところでしか議論していませんので、具体的なところで出てくるとまた今の議論も発展するのかなと思いますが、余り竹中大臣とだけやっても、関係大臣がおられておりますし、きょうは財政金融を中心にしながら、特に地方財政のところもぜひ議論したいと思っておりますので、折々また竹中大臣のところには関係するところが出てくると思いますので、触れさせていただきたいと思います。  先ほどの星野議員質問と絡んでまいるんですが、この経済財政諮問会議の骨太の方針の中で恐らく最もアメリカ側が注目するというのは、もしこれを決定した場合に、不良債権問題だろうというふうに思うわけであります。そういう意味で、この不良債権問題について、これは衆議院や参議院も、私ども財政金融委員会を中心にして議論をずっと聞いていて、本当に日本金融機関は大丈夫なのかなと。  大丈夫なのかというのは、今までのルールあるいは査定が甘いんじゃないかとかそういう議論は、これはもう私、繰り返しません。恐らくいろいろ努力をされているし、またそれなりに頑張っているという反論は出てくるだろうと思うんですが、それよりも一番心配なのは、銀行業あるいは金融業が構造不況業種というふうに言われ始めているんじゃないかと。つまり、不良債権が次から次に出てくる。これは物価の下落や地価の下落ももちろんあるんだろうと思いますが、それだけに早くオフバランスしたいという気持ちもわかるんですけれども、しかしいずれにせよ、金融業が自分の業務純益でだんだんと不良債権に対する引き当てができなくなってきたんじゃないかなと。  その意味で、先ほど日銀総裁にも聞きましたけれども、この低金利状態はなかなかそう簡単に終わらないという見通しがある中で、本当にこの銀行業と言われているものの構造をどう変えていくのか。この不良債権問題についてのここの御指摘というのはやはりちょっと弱いのではないかなという感じがするわけでございまして、その点は柳澤金融担当大臣としては、ここに書いてある表現ぶりぐらいで大丈夫なのかという私どもの疑問に対して、いや、これで大丈夫だというもちろんお考えなんでしょうけれども、そういうふうに今もお考えになっているかどうか、お聞きしたいと思うのであります。
  61. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融業が構造不況産業になっているんではないかということでございますけれども、従来型の金融業であれば、先生が今御指摘になられた点もある程度当たっていると存じます。私自身もそういうことをたびたび当委員会を初め関係の委員会で申し上げているところでございまして、これは要するに、今までのようにリスクを全部背負い込んでしまう、多額の資産を持ってそれをすべて、そこに包蔵されるリスクを背負い込んでしまうというようなことについては、なかなかこの体制を持ちこたえることはできない、これはかねて私も言わせていただいている点です。  ある人は、物すごい資産を持ってやっている従来型の銀行業のことは、これはもう間尺に合わないと。要するに、ハイリスク・ローリターン、その上にハイキャピタルを要求される、こういうようなものはなかなか存在し得ないんじゃないか、こういうことをずばり言った方もいらっしゃいまして、私もその言葉にかなりインプレスされたという記憶がございます。  しかし、それはそうなんですけれども銀行業が、ではこれからどういうふうにやっていくんだというようなことについては、これはいろいろな模索が行われているということも他面ございます。はっきりございます。例えば、資産をもっと流動化したらどうか、流動化するようなことでリスクの分散を図っていくということはどうなのか。それからまた、金利等のそうしたものについても、もっとリスクを反映したような、今まではリスクはほとんど担保でカバーされる、しかし、担保というようなもので、特に土地がこういう状況になってくると、土地でリスクをすべてカバーするなどというようなことは、やっぱりこれは不可能であるというようなことで、むしろ金利にリスクを盛り込ませて、そこでリスクの吸収を図っていくというようなこともあってしかるべきじゃないかというようなことで、要は、このリスクというものを銀行の中でどのように吸収し分散させていくか。  ですから、私の若い友人ですけれども銀行業はもう資金の流通ではない、リスクの配分がビジネスであるというようなことを言っている人間もおるわけでありまして、そういうようなことで、リスクに対する敏感さというものはこれからいやが上にも高まってこざるを得ない。そうした中で銀行業をいかに展開していくか、これが銀行業の課題でありまして、その他、フィービジネスの拡大とかというようなことは現に大手銀行ではかなりの伸びを示しているというような報道も、先生もうお目通しいただいているかと思うんですが、そこまで話を広げないまでも、リスクという一点についてだけ申し上げても、従来のバンキングビジネスと、今後具体の銀行が志向すべきものについては大きな問題が横たわっているということは先生御指摘のとおりだということで申し上げさせていただきました。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の発言を聞いていて、後でまたちょっと申し上げたいと思うんですが、銀行が抱えている国債、地方債、そういったものに対するリスクも当然これからはリスクテーキングしていかなきゃいかぬという時期ですよね。ですから、いずれにせよ、そのリスクをどう分散していくのか、あるいはそれをどう見てリターンを図っていくのか、それが恐らく重要なんだろうと思います。  その際にちょっと一点気になるのが、財政投融資の融資機関が、住宅金融公庫にせよあるいは融資機関の金利が、非常に補助金をいただいて、そして低利で抑えられているがゆえになかなかリスクをきちっととれないという、この問題はやはり早く解決をしないと、これは決して銀行の肩を持つつもりはないんですが、正常なリターンが実現できていないという、そこの構造に早く手をつけないと、この不良債権問題の本当の根っこのところの一つは私はやっぱり解決しないんじゃないかなというふうに思えてならないんです。これは答弁をいただきませんので、その点を指摘したいと思うんです。  さて、具体的に、この不良債権処理の方法というのは三つぐらいあると、こういうふうに言われていますね。法的処理、それからいわゆる債権を売買する、それからもう一つは私的整理というあれでございますが、その私的整理というか債権放棄、もっと言えば借金の棒引きというふうに言った方が庶民にはわかりやすいんだろうと思うんですが、なかなか私的整理の基準づくりというのが、たしか私が初めて聞いたころは、この一月ごろに三省庁集まってその基準をつくるんだとかという話から、いや、今度は業界で、民間でやるんだということだったんです。  このいわゆる私的整理に関する作業状況というのは、これはどんなあんばいになっておるんですか。ちょっと最新の状況を教えていただけますか。
  63. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先生が今御指摘になられたように、私的整理につきましては、最初私は、実体経済あるいは現実の産業の側にもこれは相当考えてもらわなきゃならない点があると、こういうように思いまして、特に構造不況業種と言われているような業種を所管する役所に働きかけをいたしました。これはこれで機能をいたしております。  今回、私的整理について、INSOLというようなものを一つの見本とさせていただいて話を進めているときにも、この二省庁というのはそれぞれの役割、立場でもって協力をしていただいているということでございます。  そこで、そうは言い条、これを役所でいろいろ取り仕切ることができるかということを考えていきましたのですけれども、なかなかこの私的整理というのはいろいろ実務的、専門的に微妙な点もあるというようなことがだんだんわかってまいりました。  そもそもこの私的整理の話をする段階で、銀行サイドのいろんな声を聞く中で、こういうことが実はうまくいかない原因ですよ、ああいうことがネックになっているんですよというような話を聞く中で、それではそういう問題を解決するというのは一体何なんだろうかということを議論していく中で、いや、ロンドン・アプローチというのがあるけれども、あれは参考にならないかしらんというようなことで、そのロンドン・アプローチの方をずっと調べてまいってINSOLというのが実はあるんだということもわかって、その関係者からいろいろ講義も受け、指導も受けつつもあるわけですけれども、そういう中でやはりこれは民主導で最終的にはやるべきであるということになってまいりまして、それを呼びかけさせていただいて、現在、民間主導による検討の場が設けられまして、六月七日に初会合が開かれたという段階に至っているということでございます。
  64. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 このガイドラインづくりというのはいつごろをめどにつくられるような状況ですか。これはもちろん民間がつくっているんでしょうけれども、この秋の中間決算ぐらいまでに間に合うんでしょうか。
  65. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これはどこまでも民間主導でございますので、私がこの立場でこういうめどでございますというようなことを言うわけにはいかないわけですが、私どもの期待といたしましては、今先生がおっしゃられたことを考えているという、期待として申し上げておきます。
  66. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣、私は、そんなに政府の立場でというのは言わなくても、まさに銀行資本注入しているわけですから、当然私的整理がされることに対する責任があると思うんですね。  その意味では、この段階においては余りその点は、民間だから民間でということで任せておいたら何にも進まないんだ、この銀行業界というのは。ずっと見ていて、改革改革と言われているけれども、余り進んでいないというふうに見ているんですね。合併なんかしたって、本当に合併して強くなっていく合併なのかと見たら、どうも私が見ると、うまくいかないから合併して新しい銀行になってまた再建計画をつくっていくという、その再建計画の先送りのためにやったんじゃないかと思えるような、そんな事例が私はあるんじゃないかというふうに疑っているような嫌いがありましてですね。  そういう意味では私は、こういった点について、全く純粋に公的資金が入っていないのなら別ですけれども、そこはやはり責任があるのではないかというふうに思いますので、その点はそういう態度でやはりきちっとした方針を出されるのがいいのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、今度はまたこの経済財政諮問会議の中身の問題にちょっと触れていきたいと思うわけでありますが、特定財源の問題についてです。これはもう五月からずっと議論をされてまいりました。  そこで、この中身を見ても、特定財源は見直しますと。総理は、見直すということだけでも大変なものじゃないかというふうにおっしゃっていたんですが、塩川大臣は、いや、これは一般財源化をやるんだよと、こういうふうにおっしゃっていたと思うんですが、これは、一般財源化を目指すというふうに、表現ぶりはこの中に書き込まれる予定なんですか。その点いかがでございますか。
  67. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は一般財源化と書いてもらえると思っておりますけれども、これは会議でございますから、なかなかそのとおり通るかどうかわかりませんが、私は、将来においてですよ、今すぐということではございませんで、将来において特定財源は一般財源化してほしいということは私どもが主張いたしております。しかし、この会議において取り上げられるかどうかは、ちょっとまだ今予断を許さない状態であります。
  68. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何かトーンダウンをしてくるなと思って。まあ六月の月末に、このまとめが総理の出発前だということでございますので、たしか二十七日というふうに聞いたんですが、竹中大臣、大体そのころで間違いないんですか、このいわゆる骨太方針がまとまるのは。閣議決定されるのは。
  69. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 閣議決定の日程はまたちょっと別の問題かもしれませんが、いつ閣議を開けるかということによりますので、そのころをめどに経済財政諮問会議としては最終最終を固めたいというふうに思っております。
  70. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本来なら、その決定をされた後、これは予算委員会等で集中的に議論するべき課題じゃないかな。すぐ恐らく参議院選挙に入ってまいりますから、参議院選挙のある意味では選挙公約の闘いになるのかななんと思ったりもするわけですが、ちょっとそれは別の議論でございますが。  また引き続きちょっと細かい点を確認のためにお聞きしたいんですが、財務大臣は、公共事業の対GNP比率は欧米先進国は大体一%か二%だと。中期的には、やや十年ぐらいはそういうことを目指したいと。これも発言なさっておりますけれども、これも確認してよろしいんでしょうかね。
  71. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私どもがはっきりと申しております。したがいまして、これはぜひ書いてもらいたいと思っております。十年後ということをめどに順次それに近づけていくということでございまして、欧米並みといいますのは、大体二、三%と、こう認識していただいて結構だと思っております。
  72. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 十年で二、三%。大変なものですね、これは半分以下になるわけですね。今六%といいますが、高いときは七、八%あったようにお聞きしますが、いずれにせよ、三分の一ぐらいに下げるということですね。これは私、実際上、地方においての公共事業というのは雇用問題になっていたような気がするんですね。もっと言えば福祉政策に近いのかなと思っていたわけですが、そういう意味で、その与える影響というのは大変大きいものがあるだろうと思います。  さて、もう一つ公共事業関連で。このいわゆる骨太方針の中には、公共事業関連でいいますと、赤字国債、建設国債の区分がございます。長い間これは議論されてまいりました。公共、非公共の区分は何か取っ払いたいということを書いてありました。  ということは、公共、非公共というものの概念を変えるのか。それとも、発行する国債の性格を、いわゆる四条国債とか建設国債、そして特例国債と分けていた、その分け方も変えるんだということは記載をされていないんですが、そのあたりは、財務大臣、どのようにお考えになりますか。
  73. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 御指摘のように、公共事業、非公共事業、その区分を廃止する、そういう問題と、赤字国債、建設国債の区分を廃止する、どういうかかわりの中で、そしてそれを今度の骨太計画の中で表示していくのか、こういうことであろうかと理解をしておりますが、かねて峰崎委員お話しになっております、ここまで特例公債が大きくなってくると、建設公債として縛っておりますその意味合いもなくなってきているので、やはり借金は借金だという意味で、こういう区分というのは見直したらどうなんだという御指摘もあったわけでございます。  その際にも申し上げておりますけれども、この建設公債と特例公債の区分をなくすというのは、やっぱりこれは一つの理念でございますので、どうしても安易な公債発行につながりかねないというようなことから、これは慎重でなければならない。あくまで財政法に規定する原則は公債発行を抑制していくということでありますから、これは現在も妥当なものという考え方でありまして、今度の骨太計画の中でも、そういう意味での仕分けということは、現状でしっかり区分を明確にしておくという考え方でございました。  ただ、公共、非公共の区分のあり方をめぐる議論というのは、これは御承知のように予算配分の問題でございまして、そのことが建設公債と特例公債の区分といった公債制度の問題に結びつく問題ではないと、こう理解をしております。
  74. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 公共、非公共はこれからも分けませんよと。しかし、公共にいわゆる国債がつくんでしょう、建設国債が。非公共で出そうとしたらこれは赤字国債だというふうになってきたんでしょう、今まで。そうしたら、片側だけやってこっちはやりませんというのは、これはつじつまが合わないじゃないですか。もう一回どうぞ。
  75. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 公共事業につきましては、御承知のように、財政法上、建設公債の発行対象というようなことになっています。  ただ、例えば学校の施設でありますとか、施設系のものにつきましては建設公債の対象にはなり得るわけですが、しかし公共事業ではないと。そういう予算配分上の仕分けとして予算上手当てをしておりますから、別に公共事業の対象にしたから予算がとりやすいというようなことではないんですけれども、今まで建設公債の対象にはなり得ても公共事業でないといったような分野もございますから、公共事業全体の執行として、そういう施設系のものについて公共事業の対象にしていく、建設公債の対象にもなっているものを公共事業の対象にする、こういうことでございます。
  76. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこを直さないとこれは変わらないんじゃないですか。財務大臣、どうですか。そこを直さないと、公共、非公共の区分はあるわ、赤字はなくするけれども赤字国債とか建設国債は残しますというのでは、これは何のことやらさっぱりわかりません。どうですか。
  77. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 建設国債とそれから特例公債と、大まかに言いまして、物で残っていってそれが将来国民の共通財産として、しかも償却し得るもの、これがやっぱり建設国債の概念に入ってくる。ですから、道路とか河川とかいうような公共事業と、そのほかに、先ほど副大臣が言っておりました施設も入ってまいりまして、そういうものを入れて建設国債と言っておりまして、それ以外のものを特例公債と。  公債発行の一つのけじめをつける意味においてやったものでございますが、最近は、おっしゃるように特例公債も相当大きくなってまいりましたから、この際に公共事業の全体的な見直しというものをやると同時に、特例公債の考え方というものをもう少し正確に分けていく必要がある。例えば福祉関係の公債はどうするんだというようなことも起こってまいりましょうし、いたしますので、これは検討課題として勉強すべき問題だと思っております。
  78. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この骨太方針の中に社会資本という言葉が出てくるんですよ。その社会資本は、「市場メカニズムが円滑に機能するように「市場の失敗」を是正し、社会の安定を実現するために必要な「資本」である。具体的には、大気、水、」云々から、「道路、交通、水道など社会的インフラストラクチャー、司法、教育など制度資本から成る。」と。  さらに、これは竹中大臣にお聞きした方がいいのかもしれませんが、要するに、今はもうソフト化時代というか、知識社会時代と言われているわけですね。そのときに、九三年の国民所得統計のいわゆる新SNAの中には、そういう知的財産まで含めて、こういうものがいわゆる固定資産として入ってきているんです、もう既に。なのに、五十年前の財政法をつくったときの昭和二十年代前半の日本経済現状を踏まえて、この赤字国債、建設国債というのは、これは将来残るからと言っているけれども、六十年間で払うというのは、何で六十年間なんですか、六十年間本当にもつんですか。  こういうものを含めて、率直に申し上げて、この赤字国債、建設国債の論議というのは僕は破綻しているんだと思うんですよ。だから、公共、非公共を変えようというのはすばらしいあれだなと。それに応じて財政の支出も変えないと、建設国債対象のところの省庁と、そうでない省庁が過去どんなひどい目に遭っているかという格差の実態なんかもいろいろ聞くと、これはやはりもうそろそろその発想を変えてやっていかないと。歯どめはどうするんだというのは別途考えればいいじゃないですか。もう全然これは有効性を失っていますよ。  これは竹中大臣財務大臣にぜひ意見を聞かせてください。
  79. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘の点に関しては、メンバーの中でも結構議論がありました。マクロ経済的なマネジメントを考えると、建設国債でも赤字国債でも基本的には同じだと。それを分けることの意味がどれだけあるのかという議論は以前からあります。  ただ、恐らく、財政を編成する、予算を編成する立場から見ると、さまざまなプレッシャーがある中で一つの歯どめとしてそういうことを区別するという議論があったのだと思います。結局、結論としてここに書かれている考え方は次のような考え方だと私は理解しています。  それは、まず社会インフラそのものをやっぱりトータルで管理しよう。その中には、ここにも書かれていますけれども、ハードのものだけではなくてソフトのものも考えて、まさにインフラストラクチャーとして議論していきましょう。だから、公共、非公共というようなものも含めて、さらにはこの範囲も含めて柔軟にやっぱり考えていくという一つ考え方ははっきりと書かれていると思います。  じゃ、トータルで残った、今度はファイナンスの部分の区別をどうするかということですが、実は、議員がおっしゃるような区別をなくせという考え方は議員の中にもありました。ただ、考えてみると、トータルとして三十兆に抑えるというふうにもう決めているんですよね。トータルでキャップをはめていたら、その中でどのような区別があろうかというのは実態的に議論をする意味が実はなくなってくるわけで、その意味では、トータルとしての議論がある以上、余り掘り下げても、議論としての理論的なコンシステンシーを追求するという意味での議論は残るかもしれないけれども予算編成上、実は議論しなくてもいいんじゃないかという結論に私はなったのだというふうに理解しています。
  80. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私、先ほど申しましたように、建設国債というのはわかっていただきましたですね。大体概念は、もう一度読みますと、公共財産として将来の国民すべてが平等に利用するもの、それ以外のものは特例と言っておりますが、しかし私は、最近の社会経済の伸展に伴って、例えば、特例公債で賄っておるような中の一つとして研究の実験施設とかございますね。一部の施設は建設国債で賄うが、それ以外は一般財源で賄ってと、こうやっていますね。ああいうのは、私は、例えば研究債というような公債とか、あるいは病院なんかでも、私はそういうような施設に出してもいいと思うんです。しかし、これはやっぱり財務省だけで勝手にそう言うわけにいきませんし、国会でどうせ承認してもらわなければいけないんですから、そういうものを先ほど言っていますように検討して、一応成案を得れば皆さん方に相談申し上げる、こう言っておるんですから、どうぞ御理解していただきたい。
  81. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今お話しになったように、大学の建物はあるけれども中にコンピューターとかそういうものはないとか、貧弱だとか、そういう箱物だけがやたら肥大化していっているわけですよね。病院だってそうですよ。中の機器よりも施設だけが大きくなっているんですよ。そういう弊害があちこちで起きているわけですから、この建設国債、赤字国債という概念を、竹中さん本当に表現が上手だからあれですけれども、しかし、今全体下げているんだからその差は余り意味がないよというよりも、やっぱりそれは、建設国債は後に残るからよくて、しかし大蔵省の頭の中には、赤字国債はこれは残らないから悪なんだという、そういう善悪観というのは私はあると思うんですよ。そこはやっぱり考え方を早くなくしていく必要があるんじゃないかなというふうに思えてなりません。  そこで、三十兆で枠を抑えたという話ですから、その三十兆のところをもう一回おさらいをしてみたいと思うんですね。  来年から三十兆、この中にも書いてあります。それで、三十兆に抑えた後、抑えるのも大変なんですけれども、まず最初に、三十兆に抑える範囲なんですが、それと、ことしの補正予算もそうなんですけれども、まさかこれは、先ほど申し上げたように、一般会計だけでございまして、最初の当初予算だけであって、補正予算というものはこの中に含まれておりませんなんという抜け道はないんだろうと思うんですが、そのあたりはどうなんでしょうかね。これは財務大臣にお聞きした方がいいんでしょうかね。
  82. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 平成十三年度は国債の中に少し枠がございましたので、その枠を使って補正予算ということを言っている人もございますが、私たちはそのことは考えておりません、今の段階で。しかし、天変地変、異常な事態が起こるようなことがございましたら、それはやっぱり国民生活の安定のために財政を実際してやらなきゃならぬときもあるかもわかりませんけれども、現在の状況においては補正予算考えておらない。よほど景気が悪くなり、天変地変がある、そういう異常な事態があると認識しましたときには、またこれは補正のことを考え、国会にも御相談申し上げたいと思っております。
  83. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 竹中大臣、ちまたではこの構造改革をめぐって、特に一番最新のQEがマイナス成長だったと、二期連続マイナスだと。このデータも当てにならぬのですけれどもね。もう二、三年たってみたらプラスだったなんてとんでもない議論になるから当てにならない感じがするんですが、それにしても、非常によくないぞということで、ここで構造改革をやったら大変だという、またぞろ、痛みを感じ始めたらモルヒネが欲しくなるといいますか、そういう動きが出始めるとしたら、それはもう絶対大丈夫だ、ことしはもうそういう、今、天変地変というのは、きっと私は金融恐慌とかそういうたぐいのものだろうと思うんですが、そういう意味で補正予算とかそういったことは今のところ全く考えていない、マクロの経済を見ておられる担当大臣としてその理解でよろしゅうございますか。
  84. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のとおり、経済現状は大変厳しいと認識しています。その厳しさに対しては、細心の注意を払ってこれを見ていかなきゃいけないというふうに思っています。  ただ同時に、かといって、じゃすぐ、さっきモルヒネという言葉をお使いになりましたけれども、そういうことをやっていたらその先の痛みはますます大きくなるんだというのが、この構造改革が必要だということのメッセージだと思います。そういうメッセージのもとに、実はこの中にもやはり、ここ二ないし三年の集中調整期間は低い成長率を甘受しましょうと、甘受という言葉を入れております。しかし同時に、天変地異が起こった場合かどうかはともかくとして、必要に応じて柔軟かつ大胆にという表現の、一種のクライシスのマネジメントに対する備えもしていると。それが私たちのやはり基本的な姿勢だと思います。厳しいということを認識しながら、やっぱりこの姿勢は貫かなければいけないというふうに思っています。
  85. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、もう一回その三十兆のところに戻りたいんですが、今お聞きしていると、ことしの補正予算は原則考えていない、来年ももちろんこれは入らない。そうすると、来年度予算を編成されるときに、先ほど申し上げたように、特別会計どうするのか。ここが借金をすることも可能なんです。財政投融資というところからそのお金を引っ張ってくることもできるんだ。それから、地方財政計画の中で、地方債の発行がある意味ではそこはしり抜けになりはしないか、こういったことについて、財務大臣、これは国の財政全体、地方財政は自治省かもしれませんが、自治省についてはまた後でお聞きしますが、そういうことは考えておられませんよね。そこからしり抜けになるということはないでしょうね。
  86. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いろいろな想定はされるのでございますけれども、私たちは一応国の財政というものは三十兆以内におさめるように、いろいろおっしゃいますけれども、私は、個々におきますところの、各分野におきます行政経費をこの際見直していかなきゃならぬだろう。見直していったら、相当の額が私は予算上節約できるものが出てくると信じておりまして、したがいまして、現在のままの行政単価でずっと、そして行政の責任というものも十分果たしていくために、現在の延長線で考えていくと、三十三兆円発行しなければ、国債を発行しなければ賄えないといいますけれども、私は、行政水準をそんなに落とすんじゃなくて、節約をうんとすることによってある程度カバーできると思いますし、また一部については犠牲も忍んでもらわなきゃならぬだろうと、こう思っております。  その犠牲の一つとして、国の方では大体二兆円ぐらいと思っておるんですけれども、これは腰だめのことでございますから、何もこれは決定したものではございませんが、そして地方の方も若干は節約してもらわにゃいかぬと、こういうことを言っておって、三十兆円の枠内にはおさめたい、こう思っております。
  87. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 来年の地方財政計画をつくるときに、これは財務省としては当然、自治省との間でそのあり方については協議をして、そして今の考え方を財務省としては自治省に対して申し入れる、こういう理解でいいですか。
  88. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) もちろん、財務省と総務省と協議いたして決めるということは間違いございません。
  89. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、今度は地方の方に移りたいと思うんですが、三兆三千億、今の中期経済見通しでは出てくる。そうすると、一兆を大体地方で我慢してくださいと、こういう話ですよね。  そうすると、この一兆円は、ずっとこの間、議論を聞いていると、地方交付税で削減するというようなことをおっしゃっているんですが、それは地方交付税で一兆円削減してくださいということなんですか。それとも、補助金も含めて、補助金を幾らやりませんよ、幾らカットしてください、そして交付税は幾らカットしてください、こういうことなんですか、大ざっぱに言えば。財務大臣の真意はどちらに。
  90. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだ確かに一兆円と限定したものではございませんが、私は答弁の方ではほぼ一兆円ということを、ほぼと言っておりますので、一兆円を一銭でも二銭でも切ったらだめなんだ、こう言われたら私は困りますけれども、一応そのめどだということで御理解していただきたいと思っております。  私は、そのときの答弁でも見ていただいたらわかると思うんですけれども、何も交付税については言っておりません。交付税ばかりでそれをやるとは言っておりません。地方財政計画の中で、地方財政全体の中で一兆円ほど節約してもらいたいということを言っておりまして、もちろんその中に交付税が入ることは当然でございますから、そういう意味において、何も交付税だけで一兆円ということは私は言っておりません。
  91. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総務省からお見えになっていると思うんですが、そういう理解をされていますか。
  92. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 一部報道等によりまして、交付税を一律に例えば一兆円削減するというふうな乱暴な報道があったものですから、私は、五月三十一日の経済財政諮問会議にも参りまして、こういうことはまことに暴論であって、地方交付税制度そのものがよくわかっていない人が言っている話だ、皆さんはそんな認識をしていないと思いますけれどもと私が言いましたら、総理も財務大臣も全く同感だとおっしゃっておりました。おっしゃるとおり、地方交付税というものは、基準財政需要額に足らない収入のところが多いわけでございまして、それをどのようにするかということで結果的に地方交付税というものが決まってくるものでございます。  したがいまして、最初に地方交付税を削減するということはあり得ない話でございまして、今も財務大臣が答弁されましたように、地方財政計画、これを総務省と財務省が毎年度、予算編成のときに協議しておりますから、この中で議論をいたしまして、結果として国も地方も歳出削減に協力ができるような形の計画をつくっていきたいと思っておる次第でございます。
  93. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこの問題は非常に大問題だと思うんですよね。  交付税というのは、性格的にはこれは一般財源ですね。依存財源ではあるけれども一般財源だと思います。だけれども、いわゆる補助金を削減するということになると、これは国庫支出金ですから、特定のもう決められたものでございます。  そうすると、論議が非常に紛糾しているなと思うのは、一兆円交付税が減らされる、大変だという意識が地方自治体に広がっていると思うんですね。大臣あるいは総務大臣も、メッセージとしてそうじゃないということは今おっしゃったわけです。  そこで、経済財政諮問会議のこの骨太方針の中に、段階補正と、それからもう一つ事業費補正、これについては総務省も合意されたんですね。この中に記載されていますけれども
  94. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 経済財政諮問会議の話をいたしますと、そのときに段階補正の話が市町村合併の項目の中で入っておったものですから、これはおかしいと。市町村合併というのは自主的に行うというのが政府の方針でございまして、それを着々と進めているわけですが、この段階補正を縮小することによって、むちを当てて市町村合併を進めるというふうに誤解される心配がありますから、これは削除してほしいと、こういうことを申し入れました。  段階補正というのは、小さな市町村に対しては、やっぱり行政経費の単価が高くなるわけですよね。したがいまして、これはある程度必要なことでございまして、極端に、来年度から縮小するとか廃止するとか、そんなことは絶対できないものだと理解をしておるわけでございます。
  95. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何か文言が出ているものですから、これは合意されたのかなと思って今聞くと、どうやらまだ調整されるのかなと思いますが、しかし、事業費補正はやらないということですね。事業費補正というのは、私ちょっと正確でないかもしれませんが、十六ページに、この骨太方針にはこう書いてあるんですよ。「特定の事業について、地方債の発行を許可してその償還費を後年度に交付税措置する仕組み等は、地方が自分で効果的な事業を選択し、効率的に行っていこうという意欲を損なっている面がある。」と、だからそこはもう変えますよと、こう言っているわけです。これはどうやら総務大臣も、モラルハザードを起こしておられる部分だということだから、ここは変えるということですね。これはよろしいですね。
  96. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 特に、事業費補正の中で地方単独事業の部分につきましては、累次の景気対策を行う際に、地方債を発行していただいて、それを事業費補正をして後年度に交付税措置をするということで協力していただきまして、地方も公共事業をやっていただいた、こういうことがございます。  このときに、後できちっと交付税措置をするということが、やっぱりモラルハザードを起こしているのではないかという指摘がございまして、これはそういう部分もございます。実際に行った地方単独事業が、どこの市町村にも同じような箱物の施設ができたり、これはむだな投資ではなかったのかという反省もございますので、その点については今後検討して適正なものにしていきたい、こう思っております。
  97. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、これから地方自治体が起債をしたら、その後は、国はそれを交付税では措置をいたしませんよということになるわけですね。非常に重要な点だろうと思いますが、確認だけですから。
  98. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 事業費補正をどうするかという問題は、全廃するということは考えておらないわけでございまして、それをどのように整理して合理的なものにしていくかということを考えていきたいと思っておるわけです。
  99. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 モラルハザードを起こしているんだったらそれはもうやめようということになるのに、今聞いていると、何となくまだずるずるいくような感じがしてならないので、そこは早く定まった方針を出していただきたいし、これは恐らくこれから調整に入るんだろうと思いますが、さてそうなると、交付税が減ってくるということになれば一般財源が減ってくるんですよね。そうすると、その一般財源が減るのならば、それに対して、税源を地方自治体によこしてくれ、それなら結構だと、いわゆる税源移譲論が出てくると思うんですが、この点は、総務省の副大臣財務大臣、どう考えておられますか。
  100. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 私は、税源移譲が先にあって、結果として地方交付税の削減が考えられるということではないのかと思うんです。  一昨年七月に成立した地方分権一括法の御審議のときにも、「地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と、そういう附則がつけられていますし、こちらの参議院の審議のときには、「地方における歳出規模と地方税収との乖離を縮小する観点から、国・地方を通じる税体系のあり方について抜本的な検討を行うこと。」という附帯決議をいただいているわけでございまして、これは大変重要な問題である、こう思っております。
  101. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 税源を移譲すべきという主張につきましては、税源移譲ということであれば、地方税をその意味で増税する、国税はそれに見合って減税すると、こういう関係になるわけでございますけれども、今、御承知のように、厳しい財政事情のもとで財政改革を進めていく必要に迫られておりますから、移譲ということが国税の減税を意味するというのであるならば、これは適当な表現ではない、こう考えておりまして、国、地方を通ずる税財源のこの問題につきましては、国、地方の役割分担のあり方、地方、国を通じて行財政制度全体のあり方を当然幅広く検討いたしますので、そういう中で、財政状況や税制のあり方も踏まえて、財政構造の論議と一体として検討をしていくというふうに我々は考えております。配分の問題と、こう考えております。
  102. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 若林副大臣、それは自分の言葉で語ってくださいよ。後ろの政府参考人の方々が目を凝らして多分見ているんだろうと思いますが。  そこで、やっぱり僕、拙速な議論というのはやっちゃいけないなと思うのは、地方自治体は今何をやらなきゃいけない時代になっているのか、地方自治体はなぜ赤字がふえてきているのか、分権化と言われているのは何なのかという、そういう議論がないまま、今恐らく総務省は、当然これは分権の時代なんだから、なくなる以上は税源をよこせと、片方は、いやいや、もう国の方が減税になるのは困りますと言っているんです。  私は、そこのところは、いわゆる交付税が減っていくのであれば、これは一般財源ですから、これは国税五税の一定割合が移るわけです。国税五税の一定割合が移るのなら、それは削るというのであれば、税収中立ということを考えたってここを充実させなきゃいけないんじゃないですか。  私は、どちらかというと遠藤さんの意見に近くて、むしろもう今の時代は地方分権の時代なんだから、地方自治体がやるべきところについてはもっと、私自身は、所得税の最低税率をとにかく地方に移した方がいい、しかもフラット税率にした方がいいと思っているあれですが、そういう意味で、そこのあたりをちゃんと議論を出して方向性を出さないと、これは地方自治体の皆さん方からすると、減らせ減らせと言われるけれども、減らした後に税源は来ないというのでは全然話になりまへんわと。これは日経新聞に、アンケートに載っていますよね。塩川大臣、これは大臣答えてください、どういうふうに考えておられるか。
  103. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 峰崎さんがそこまでおっしゃるならば、私も地方財政の問題の根本に触れなきゃならぬと思うんです。  それは何かと言ったら、地方自治体にこれだけまばらがあって、格差があって、例えば東京都は人口一千万、島根県は六十万か、鳥取県は四十何万でしょう、これが同じ自治体の県のレベルで事業を考える。市町村に至っては、百万の都市があれば三千人の村がある。これは一体どうするのかということ、これをしっかりと見定めた、いわゆる現実論に沿った話をしないと、何か知らぬけれども財源移譲、そして分権だと、このような要するにペーパーの議論ばっかりやっておりますから一向に進まない。  ですから、地方分権推進本部というのができましてから、あれはたしか平成六年だったか七年でしたか、できましたですね。法律でできたんです。結論が何だと、結論は何かはっきりしたもの出ていないんです、これ。分権をしろ何をしろということは出ていますけれども、自治体をこういう姿にするとか出ていない。私は、この根本を押さえないで財源問題と権限問題とをやってもだめだと思うので、そこで、その問題とあわせて、やっぱり税源と分権、これをあわせて考えなきゃ議論にならないと私は思っております。
  104. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まさにそうだろうと思うんですよ。そこのところを議論しなきゃいけないんだろうと思うんです。しかし、この間、中央政府はと言っていいんだと思うんですが、地方自治体を自分の手足のようにして、景気対策の道具としてずっと使いまくってきたわけですよ、端的に言えば、自治体からすれば、私の見ている限り。それは行き過ぎているところがあるから必ず出てくるわけですよ。  だから、地方自治体というのはこれからは、介護や医療やあるいは環境や福祉、こういったところにおいては当然これはどんどん充実しているわけですから、まずそこのところに基本的に安心できるシステムを構築していかなきゃいけない時代になっているんじゃないか。それは、規模が大きいから少ないからということを余り、私も確かに行政の単位というのはあると思いますよ。できる限りそれは自主的にやらせるという方向で今まで来た、それがなかなかいかなかった。それで、モラルハザードを起こしているものがあればそれは直そうと、そこまではいいと思うんですよ。だけれども、そこに必要とされている基幹税をきちんと、都道府県の基幹税、それから市町村の基幹税、ここは自分たちの責任において徴税をし、そしてそれはその行政にきちんと役立てていく、受益と負担の関係を強めていく、この関係を強めていかないとだめなので、そのことが書いてあるんじゃないですか、これ。  財務大臣、私も今おっしゃっていることについてはわからないわけじゃないですが、そこをやらないと、私は地方六団体の人の言い分を全部聞いているわけじゃないですが、やはりおっしゃっている主張の中に正しいものがあるというふうに思っているんです。どうお考えですか。
  105. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 確かに、景気対策で地方自治体にそれやれそれやれとやって、そしてまた単独事業もそれやれどんどんとやりました。この気風は私は今改めていかなきゃならぬ、国も地方もですよ、これが前提になります。  そして、国と地方とは何も相克関係にあるものじゃありません、一体のものです。ですから国も、財政が立つように、地方財政計画を持ってきたら、その計画に基づいて財源不足は交付税で補っておる。ですから、平成十三年度でも、国の負担分が七兆ですか、それから地方の負担分が七兆ですか、ちょっと数字はわかりませんが、負担しようと、持ち合うてやっておる、仲ようやっておる。それを何か知らぬけれども、国会へ来ますと、国と地方とわあわあと、こう分けてしまうような話が起こってくるから、私はこれ心外なんですね。  そこで、今度、国債全体を三十兆に抑えるということだったら、来年度、十四年度の話ですが、三兆からのものを、国債発行を抑えなきゃならぬ。そうすると、それだけのものをどこかで、国も負担するけれども、地方も若干負担してくれぬかという話でありまして、何もこれで地方財政をめちゃくちゃにしてしまう、壊してしまう、そんな話と全然違うわけです。  ですから、国もするから地方もそのぐらいのことは節約してくれたらどうだと。それを何か交付税を全部削るんだと、そういう暴論がマスコミに、マスコミだけを信じぬで、私の言葉を信じてください。マスコミを信じて、それで議論されたら私も大変迷惑やと思うておるんです。
  106. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もちろん私は、こういう国会で、正式な場でのやりとりのことが真実だと思っていますから、それに応じてやらなきゃいかぬと思っています。  そういう意味で、交付税も含めて議論するということになると、これは地方自治体にとっての一般財源になってくる、依存財源ではあるけれども。そうすると、それはこれからは全部行かないよと。さっきおっしゃったように、事業費補正もやめるよということになってくるというのは物すごく大きな改革なんですよ。  しかし、そのことは地方自治体にとってみれば、その税源分来ない分は当然税源をくださいと、それならば大丈夫ですと。ここをニュートラルにしておかないことには、私はやはりそこのところは、安直に交付税も少し何とかしてくださいよという議論というのはそう簡単じゃないんだから。  そこで、まだ交付税の中には見直すべきところはあると思うんですよ。例えば、特別交付税を私見ていて、財政力指数が一を超えている団体に大半行っているんではないですか。総務省、わかりますか。
  107. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 特別交付税は、これは災害がありましたり、その時期時期にいろんな財政需要がありますから、それを総合的に検討して、これは交付税総額の六%だったと思いますけれども、総額の範囲できちんと振り分けているところでございます。
  108. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財政力指数が一を超えている団体で、災害がないのに毎年もらっているじゃないですか。具体的にどこの町と言いません。恐らくそれにはそれなりの理由があるんだろうと思うんですが、これは要するに、交付税特会の中で借金をしたものにも〇・六かかっていくわけですから、一兆二千億あるわけですね、二十兆の中の。  それから、特別減税をやりました、国も地方もやりました。その減税分をこれまた交付税で見ました。そうすると、それも景気対策の一環だから全部国が見るということになっていたんですが、そういうものを含めると、どうも地方自治体に対してここのところは我慢してくれよというところが多分に過去あったんではないかなというふうに思えるんですよ。そういうものを洗い出して改革をしていくということが、私は国と地方の関係を見て、そして地方自治体の分権という問題は、これはまた別途税財源の移譲という問題を含めて検討すべきときに来ているんではないかというふうに思えてならないわけです。  午前中の質問は半で終わりますけれども、午後また交付税の問題あるいは地方債の問題を含めて議論させていただきたいということを申し上げて、これはもう結論は恐らくなかなかもらえないでしょうから、申し上げて、午前中の質問を終わらせていただきたいと思います。
  109. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  110. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  短期社債等振替に関する法律案株券等保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の四案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、午後またよろしくお願いしたいと思いますが、今度、地方自治体の借入金の問題、地方債、さらにはそれに絡んだ、銀行なんかの持っている保有に対するリスクの問題とか、そういった点について中心的に質問してみたいと思うわけです。  最初に、実は六月六日の衆議院財務金融委員会で我が党の中川委員が交付税特別会計の借入問題、これは大体四十二兆円にも達するという大変巨大な金額になっているわけでありますが、これについて塩川大臣は、この返済はかつての国鉄のあの赤字問題と同じように法律処理しなければ返済は困難だ、こういう見解が議事録を通じてわかったわけであります。  そこで、その償還方法を、まだちょっと先は長いよなんということじゃなくて、ある意味では地方債の交付税特別会計と言われているもののいわゆる改革を考えたときにも急がなきゃいかぬと思うんです。その償還をじゃ法律処理しなきゃいかぬということなんですが、最初にお聞きしたいのは、国と地方の借入金、これの返済の割合というのは、一応今の国も地方も負担をするということの場合、国が一で地方が二という割合で大体仕分けられているので、こういう比率で責任を分担するというふうに理解しているんですけれども大臣はどうですか、いかがでございましょうか。
  112. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) お話しございましたように、交付税特別会計の借り入れでございます。  御承知のように、四十二兆五千億円の借り入れになっておりますが、お話しありましたように、国負担分の借り入れが十四兆、地方負担の借り入れが二十八・五兆、全体で四十二・五兆となっているわけでありまして、比率は国負担分が一であり、地方負担分が二、こういうふうになっております。その返済は国と地方とそれぞれが行っていくことになりますので、お話しのようにこの比率で負担をする、このように考えているところでございます。
  113. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、地方の負担分は具体的にはどんな形で、大臣は地方に何らかの負担をお願いする、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、その意味でどんなふうに負担をお願いされようとしているのか、この点、御意見があったらお聞かせください。
  114. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 国と地方の行財政の制度を根本的に見直していかねばならない状況になっておりますが、現行の交付税の枠組みを前提とした償還方法でありますとかそのスケジュールも、その過程で当然見直しが必要であるということを念頭に置いて塩川大臣の発言、答弁があったものと理解しております。  この地方負担分の償還のあり方につきましては、国と地方の行財政関係の抜本的な見直しの内容とか、地方負担分の返済財源であります地方交付税の見直しの内容に応じて検討をされることになるわけでございますが、その見直しの際にあわせて検討が必要になる問題であると認識しておりまして、今の段階で具体的に検討を行っているということにはなっておりません。
  115. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと私、耳が最近遠くなったのかなと思ったんですけれども、わかりにくかったんですけれども。  では、具体的に聞いてみます。  通常、国税五税の一定割合が今地方交付税になっているわけですけれども、その税率を引き上げるというのは国家財政ゆゆしき折多分ないと思うんですけれども、そうした場合は、地方分の借入金の返済資金を確保するためには基準財政需要額、先ほど問題になりました、この水準を圧縮して、地方に行くはずだった地方交付税交付金の一部をあらかじめ天引きする、こういう格好で交付税特別会計の負債返済に回していくという方向が本来的には何か筋のような気がするんですね、交付税で返していくというのは。  そういうことについては、大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
  116. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 今の枠組みの中で考えていきますと、基準財政需要額というよりも、御承知のように地方財政計画の中の地方の支出分、その支出分でその収入見込みとの差が交付税という形で仕組まれておりますが、その交付税で返すということであれば、そこに余裕が出るような形の地方財政計画が組み立てられなければならない。  その意味では、地方における、今積み上げで計算しています地方財政の歳出の見込みを確かに節約して削ってもらう、そのことによって交付税の、交付税の方の総額は御承知のように五税の一定の割合で決まっておるわけですから、そこで差を生み出した中で返済していく、こういうことになるわけであります。  基準財政需要額は配分のときの基準になっておりますから、直接、基準財政需要額がその総額を規定しているというような関係にはなっておりませんけれども考え方としては、やはり地方の歳出、財政を節約、合理化していきまして、そこで生み出したもので返していくというのが基本的な今の仕組みの前提でございます。
  117. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、地方自治体はもうみずから自分のところで努力してやれということですね。これは地方自治体にとって相当厳しい中身になってくると思うんですね。今までは地方自治体にどんどんやれやれと、差が出たらいつでも補てんしてやるぞということでやっておられたのに、今度は手のひらを返したように、いや、もうそれはぜひ自治体で冗費を削ってやってくださいねと、こういう趣旨だというふうに聞いておりますが、本当にこれは実際問題そうなるのかなという気がしますが。このことは別にしまして、自治体が相当厳しい状況に置かれるなというふうに思うんです。  もう一方で、今度は地方交付税の償還の交付税措置の問題について、先ほどもちょっとお話をしましたね。この問題で、片山総務大臣は五月三十日の参議院予算委員会で、「裏負担が丸々起債を認める。その起債の元利償還は相当な部分を、場合によっては丸々、交付税で全部見ているんですよ。ということは、その団体は一銭も自分の身を切る金は出さずに仕事ができるということです」と。さらに続いて、「だから、そういうものには一種のモラルハザードを起こすというおそれはある。だから、そういうものは見直さなきゃいけません。それは思い切ってこれから議論をして見直すということ」で、今お見えになっていませんが、「竹中大臣とも一致しています」よと、こういうふうにおっしゃっているんですが、総務大臣、あらかじめこれを確認したいと思いますが、よろしいですね。
  118. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 今の事業費補正の話になるんですけれども、その前に、先ほど特別会計、借入金の償還計画ですけれども、これは法律で既に決まっているわけですね。交付税及び譲与税配付金特別会計法という法律がございまして、地方負担分につきましては、これは平成三十八年度までに法律に基づく年次計画をつくりまして償還していくと。その償還の原資は、基本的に各年度の国税五税の法定率分の交付税原資の一部が充てられる、こうなっているわけですね。それを充てることによって交付税の原資が減少することが考えられますから、その結果、仮に財源不足が生ずるようなことになった場合は、これは地方財政計画の策定を通じ必要な補てんを行っていく、こういう仕組みになっています。  それから、お尋ねの事業費補正の話ですけれども、これは確かにおっしゃるようにモラルハザードを起こすような心配があるということでございますから、これは適正に見直していく。こういう考え方は片山総務大臣がおっしゃったとおりでございます。
  119. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、法律ではやっているけれども、もとへまた戻って交付税でということになっちゃったら、これは何だかぐるぐる回りじゃないですか。何の解決にもなっていないという感じがしますが。これは法律で措定していると言うけれども、全然法律で定まったことの意味がないんじゃないかと思いますが。  さて、財務大臣は、総務大臣と、私ちょっと長々しゃべりましたけれども、同じ認識でよろしゅうございますか。つまり、裏負担が丸々起債を認めて、もう何でもこれはモラルハザードですよという、どうですか、これは大臣から答えていただきたい。
  120. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大体、遠藤副大臣と同じ考えです。
  121. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、これは片山総務大臣がおっしゃったんですから、それと同じでいいですね。はい、確認いたします。  そこで、要するに今の交付税制度というのが入りよりも出が大きくなってしまっているわけですよね。こういう構造がやはり交付税特別会計の赤字を構造的に生み出しているわけで、問題は、返済方法を考えるだけでなくて、どうやったら赤字を生み出さないような構造にするのか、こういう構造改革をしなきゃ意味がないと思うわけでありまして、そういう意味で少なくとも新発債、これについては地方債の償還の後年度措置を是正すると。さっきお話が出ました、国庫補助金も多分見直すんだろうと思います。その結果、基準財政需要の総額も削減され交付税も減少していくという、これはモラルハザードを外すという点で改革の方向性としてはこういうことが必要だと。この点は財務大臣いかがでございますか。
  122. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 今、お話しございました地方財政の改革の方向につきましては、基本的には国の関与の縮小、縮減を通じまして国庫補助金を削減する、縮減すると。自治体が行っております行政水準の見直しなどを通じまして、地方歳出自身を徹底的に見直して交付税の抑制につなげていくということが基本になるものと考えておりますが、お話しございました交付税総額は基準財政需要の算定を通じて配分の手法の見直しになるわけで、直接的に交付税総額が減少するというふうにつながっているものではございませんけれども、事業選択の合理化を通じて投資水準の適正化、ひいては地方歳出の適正化に資するものと、おっしゃるようなものと考えております。
  123. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 正確に聞き取れないんでよくわからないところがあるんですが、しかしいずれにせよ、今申し上げたような形で新しく発行する起債をもしこれから、今、総務大臣と同じ考え方だということですから、補助金をつけた、これは補助裏は全部起債してくださいと、その起債は全部面倒を見ますからと。この仕組みをやめるということは、この仕組みで出した起債については面倒を見ない、政府保証しませんよと。この間ずっと地方債については政府保証するのかと言ったら、法的には保証しません、しかし地方財政計画で約束したものは面倒を見ますよということですから、そうすると、これからは、地方財政計画の中でも今申し上げたような起債については面倒を見ないと、こういう理解でよろしいですね。これは大臣に正確に答えていただきたい。
  124. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 地方債の中でも、全部無条件的に大体起債は地方交付税で半額あるいは四割というふうに裏づけされてきておる、このことの根本を見直さないかぬと思うんですね。しかし、その起債の中でも、例えば義務教育関係に関する起債であるとか、あるいは国が機関委任事務としてやらせておりました事業について、例えば児童相談所とか、そういうものに関する起債の裏づけというものは、これはやっぱり国が責任を持ってやらないと制度が動きません。  しかし、単独事業としてやったものがたくさんございまして、その単独事業においても起債の分は交付税算入されておるものもございまして、そういうものの中では選別して、これはこれから見ないよとか、やっぱりそういうことをして納得させないかぬと思うんですね。その場合、その起債の残債が残っておりますので、この処理を新しい起債にまた切りかえて期限を延長して認めるとか、あるいは高い金利のものは安い金利に切りかえさせて継続さすとか、いろんな方法を講じてやらないと、地方自治体も一遍にそんなだっと整理しろと言われたら困ってしまうと思いますので、そういう措置は私は相談してやっていきたいと思います。
  125. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まさに相談をしながらやっていかなきゃいけないんですが、今お話ししたように、モラルハザードを起こしているような事業費補正のところは、今後は起債として地方財政計画段階で面倒を見ませんよと、このいわゆる精神、考え、方向性としては出てきているということですね。個々に法律で決まっていますよね、義務教育で教員を何名置きなさいとか、設置基準というのがはっきりしているのがありますから。そういう意味では、そういった点について一切もうだめですよと、こういう話ではないということは僕はよくわかるんです。そういった点で、今までそういうものが行き過ぎていたところは直しましょうということで、この点は非常にこれからシビアになりますねと、こういうことですよね。  さて、もう一つ大臣、今交付税の話をやったんですが、三セクの話をちょっとやらせてもらいたいんですよ。  週刊ダイヤモンドの六月九日号に、「金融庁がついに調査開始 急増「三セク破綻」の行方」と、多分金融担当大臣もごらんになっているんだろうと思うんですが、一体全体そこの第三セクターというのはどうなっているんだろうなと思って私ちょっと調べてみたんですよ。  ちょっとこれは古いデータなんで、総務省、もしわかったら教えてほしいんですが、第三セクターと言われているものがたくさんある中で、そのうちの特別法人だけちょっと。特別法人というのは、土地開発公社、住宅供給公社、道路公社、高速道路公社というのもあるそうですが、全国で、一九九七年時点で千六百九十二社、出資は全額自治体ですわね。役員が九百二人中八一%。職員一万一千二百二十六人中四二・二%が自治体のOBまたは出向者だと、こういうふうに言われている。このうち土地開発公社というのが千五百九十三あるんですが、保有土地価格というのが九兆一千億円あるんだそうですね。九七年時点で買ったものに毎年毎年利息を払っていったら、利息分までくっつけて原価は上がっていくんです、これ。  私は、苫東というところ、北海道ですから、苫東の最後、清算するときに、ああそんなことになっておったのかというのがわかったんですが、土地の値段がずんずんずんずん簿価が上がっていって資産がふえたようになっているわけですね、売れない資産が。後で面倒を見たんですけれども、そういう意味でいくと、この九兆一千億円、恐らく今だったらもっと大きいのかもわかりませんが、この含み損というのは一体どのぐらいになっているのかというのはわかりますでしょうか。これは総務省に聞いたらいいのかな。
  126. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) これは簿価しかわからないわけでございますが、簿価で申し上げますと、土地開発公社が持っております、全国で一千五百九十四あるんですけれども平成十二年六月一日現在で。このうち平成十一年度末現在で八兆二千九百四十八億円、これは簿価です。広さが三万二千六百二十ヘクタール、こういうことでございます。
  127. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 地方公社の抱えている含み損というか、これは実際に簿価ですから、これは調べられる必要があるんじゃないですか、総務省として。実際に簿価といわゆる地価がございますでしょうから、その差額は実は不良債権なんでしょう。  ですから、その意味でいうと、今土地開発公社だけのお話を申し上げましたけれども、いわゆる第三セクターと言われているのは、商法法人だとかさまざまな団体があるわけです。聞いてみると、大半はもう赤字ですよと、よく知っている人は。自治省は、いや、商法法人の四割が赤字ですと言っているけれども、自治省というか総務省ですが。ところが、ある民間のリサーチ会社は、いやいや商法法人の八割から九割は赤字ですよと、こう言っているんです。  なぜかというと、要するに実態を見ると、インフラを整備するのは全部自治体がやって、補助金を受けて、税の減免を受けて、NTTの無利子融資を受けて、職員の派遣を受けて、そして業務委託を受けている、それでとんとんだと。こんな状態が圧倒的なんだそうですよ、実態は。  ですから、これ、五〇%を超えなきゃたしか自治体に報告しなきゃいかぬ義務がないとか、あるいは二五%以下の出資は公表しないと、こういうふうになっていますが、この実態を私は早急にやはり開示すべきじゃないだろうか、あるいは調べるべきじゃないだろうかというふうに思うんですが、この点、総務省としてはいかがでございますか。
  128. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 土地開発公社の経営の健全化ということに関連する御質問だと思いますけれども総務省はこのために、昨年の四月にいわゆる営業改善通達ということをいたしまして、昨年の七月には今度は経営健全化通達ということを発しまして、それぞれ経営の健全化を図るようにと、こういうふうなお話をしております。  健全化というお話の中で、今、五〇%というお話があったんですけれども、これは、健全化の対象となる土地開発公社を、簿価総額が標準財政規模の五〇%以上、こういうふうにしている数字を挙げられたんだと思います。  確かに、北海道のところでは五〇%行っていないんですけれども金額がかなり多くなっているところがあるということは承知しております。ただこれは、全国一律の健全化の対象となるものを決めておりまして、この数字を直ちに変えるということはなかなか難しいと思っております。
  129. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、要するに調べてくださいということを言っているんですよ。そして、早く公表してくださいよ。  私、竹中大臣来られたんですが、この骨太の方針の中にも、地方債の位置づけだとかあるいは地方の第三セクターのいわゆる不良債権問題というのは、何かこれ抜けているような気がするんですよ。不良債権と言われているときに、金融機関だけのように見えるんだけれども、実はこれはかなり大きい全国的な問題で、特に地方銀行になるとこれは非常に大きなウエートを持っていると思うんです。  そこで、第三セクターの問題についての塩川大臣お話で、六月六日の同じく財務金融委員会で、第三セクターの破綻にもいろいろあって、欲の皮の突っ張ったのと、それから一生懸命努力したのと二つあって、一生懸命努力したところはまあとにかく面倒見るけれども、欲の皮の突っ張った、表現はよくないんですが、後で直されていますが、それにはちょっと自分たちの力でやってもらわなきゃ困りますねと、こういう話をされておりましたね。これは質問した中川さんに答えているんですけれども、これは実際、本当に両者を区別することができますか。  北海道の芦別市というところに星の降る里ワールド、カナディアンワールドというのがあるんですが、これも、産炭地の人たちからすると、何とか地域に雇用を、観光客を呼び込もうと、本当に必死の思いでつくったんですよね。これは欲の皮が突っ張ったわけじゃないんで、やっぱりそういうテーマパークみたいなのをつくっているところが多いんですよ。  そういう意味で、そういう三セクが破綻をしたときに、自治体財政が非常に困って、もう大変な目に遭っているわけですけれども、これは国はどこまで面倒を見るのか、あるいは見ないのか、どういうふうに考えておられますか。
  130. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大体、三セクは、バブルの波に乗って無制限にどんどんと膨らんでいったことを御存じだと思うております。しかし私は、第三セクターでやらなければならないような事業も多々あったと思うております。  そこで、これは自治省の方針でございますから私がとやかく言えないのでございますけれども、第一、第三セクターがこんなに安易に伸びていったという一つの原因に、一部事務組合制度というものを自治省は非常に抑えたときがございます。したがって、この一部事務組合という手続が面倒だから、第三セクターで行ったら簡単だからそれ行けそれ行けでやっちゃったということがあるんです。ところが、よく見ましたその中で、どうしても住民のために行政が責任を持たなきゃならぬものもあります。例えば、離島との航路の問題がございますし、これは第三セクターでやったってもちません。それから病院でございます。こういうふうなものとか、あるいは地域の共同開発しました牧場、入会権のある牧場とか、こういうふうなものはやっぱり第三セクターで見ていかなきゃならぬと思うております。  じゃ、その区分は何を基準にするかといったら、私は、一つのめどは、一部事務組合として残していこうというものは面倒を見ていく、これは行政の延長だと思って見ていく。しかし、そうでないもの、住民から見てですね、一部事務組合をする必要のないような事業は、それは自治体の責任において収縮していって民間移行への方法をとっていく、こういう基準としたらいいと思います。
  131. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、一部事務組合のような形で残していく部分には面倒を見るよ、それ以外は面倒を見るわけにいきませんと、こうおっしゃったんですね。  では、その面倒を見るか見ないか、ここら辺の問題と、どうやって面倒を見るか、どういう方法で、この点は何らかの考え方はございますか。
  132. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 一般論で申し上げますと、今の地方財政制度の中で考えますと、第三セクターの経営状況が厳しくなる、そしてそれにかかわって自治体が保証している場合も一部ございます。そういう法的に自治体が保証しているというようなものでなければ、これはやっぱり第三セクターの経営はその自己責任で経営しているという形になりますから、直ちに地方自治体がこれをしょうというようなものではないというふうに思われるわけでございます。  最終的に地方自治体がしょうということになったものにつきましては、そしてそのことが結果として地方自治体の財政運営が困難になって立ち行かなくなるというような場合には、制度としては地方財政再建促進特別措置法によりました財政再建計画を立てて、厳しく管理された中で立ち直っていくという道になろうかと思うのでございます。
  133. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに赤字再建団体にしちゃうということですね。それを今おっしゃっているわけですね。  私は、なぜ第三セクターの問題について触れているかというと、金融ビッグバンが起きて、この一、二年物すごい急増しているんです。金融ビッグバンだけではありませんが、もう銀行融資が非常に絞られてきているということで、地方自治体が絡んできた債権は、これは不良債権ではない、これは例のⅠ分類というか、中にもありますねというときに、要するに自治体が保証しているからこれは不良債権じゃない。しかし、それから、いやいやどうも危ないぞということでこれは不良債権になってくる。特に国際会計基準で連結対象が非常にふえてくるとなれば、これは危ないから外さなきゃいかぬ、こういう問題がありますね。それから、オンブズマンがすごいこの問題をずっと、いわゆる情報公開法を使ってやっているんですね。それは重要なことだと思うんです、オンブズマンのやっていることは。  今、赤池町というのが福岡県で赤字再建団体ですが、これは土地開発公社の失敗でしょう。この土地開発公社というのは政府法律でもってつくらせているわけでしょう。これがどんどん広がって、さっき言ったように九兆一千億円と、これは簿価だけれども、それは恐らく実際問題一割にも時価はなっていないかもしれない。そうすると、八兆円近いお金がそこですっ飛ぶかもしれないんでしょう。そうしたら、それがその地方自治体財政を全部ぼんと、ある意味では全部赤字再建団体にするんですかと、こういう感じになっちゃうわけですよね。本当にそういう赤字再建団体というようなやり方で果たしていいんでしょうかねということなんですよね。  私は、当然そうなると、一部事務組合に残せないとなったら、これは地方自治体の住民が全部負担していかなきゃいかぬわけですね。大臣、それはそういうことなんでしょうかね。私は、やはりこの場合に、地方債を引き受けている人たちにも、もうそろそろ自治体への貸し手責任という問題も考えてもらわないと、逆に言えば、冒頭私、きょう、金融担当大臣柳澤さんがリスクに対して今銀行はもっと機敏にならなきゃいけないとおっしゃったわけです。このリスクのことをこの間からずっと私どもは主張してきたわけですよ。  本当に地方自治体の地方債というのは安全だろうかというときに、私も最近新聞をずっと調べていてびっくりするのは、特殊法人の問題で、特殊法人の破産法制をつくらなきゃいかぬという議論がぱっと出た途端に、もうすごいスプレッドが出てくるんですよ、特殊法人債とそれから国債との間の。そして、もう大臣よく御存じの、大阪府債も縁故債は物すごいスプレッドが、たしか四十から五十ベースポイント開いているんですよ。要するに、これは危ないぞと思っているんですよ。そういう意味でいうと、地方債、とりわけ縁故債のところは、二〇〇四年から始まるBIS規制でも一〇〇%のリスクウエートになるわけでしょう、縁故債の場合は、今はゼロだけれども。  こういう問題をはらんでいるときに、今お話し申し上げたような、あちらこちらで次々これは群発してきますよ、土地開発公社を含めた開発公社とかそういう問題を含めて。そういうことに対して、いや、これは欲の皮の突っ張った分だから住民が負担すりゃいいんだよ、もうそれはしようがないんですよと言ったら、ひどいところになったら、住民でも足がある人はいいんですよ、動ける人は。これは住民では足による投票と言いますけれども、これができる人はいいんだけれども、動けないお年寄りで、もう生活保護を受けないといかぬような人たちにとってみると、ますますその人はその自治体の赤字を全部一身に抱えちゃうわけでしょう。これは大変ひどいことだ。その意味で私は、その貸し手の方の側も、いや、それはもう国が全部保証してくれることになっているから、自治体のそういったものについては考えなくていいよというふうになると思いますか。  これは、財務大臣、ぜひ人情あるところで、人情はもちろん重要なんですが、クールヘッドでいってもらわなきゃいけないんですが、そういう意味で、こういうことについての貸し手責任というのは私はやはり問われて当然だと思うんですが、いかがでございましょうか。
  134. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、地方債の引き受けに際しまして、債権者の方にも、貸し手の責任も確かにあると思いますけれども、貸し手の方も、大抵地方銀行でございますが、あるいは農協とかございますが、やっぱり地域のためにやむを得ず出しておるというものもございますので、それは貸し手の責任もある程度とってもらわなきゃならぬことはあります。  例えば、大阪でいいますと、泉佐野の問題が起こりました。六百七十億円かの債務がございまして、臨海工業都市の開発の分でございますが、これは三者、つまり銀行と市とそれから業者と三者で分担して解決したというのがございます。  したがって、商業ベースに乗って最初から仕組まれたそういう第三セクターあるいは特殊法人というものは、それは自治体の責任においてやってもらわなきゃなりませんけれども、先ほどおっしゃいましたお年寄りの施設だとか、あるいはそういう民生の一番重要な部分に関するもの、これはやっぱり何とかして残していかなきゃならぬだろうと思っております。  私がちょうど運輸大臣のときにやりました地方鉄道の赤字ローカル線の廃止がございますが、あれが第三セクターになっております。これの問題で今随分と私も相談に乗っておるのでございますけれども、やっぱりこういうようなものは行政の責任として、経営の主体はいかんであれ、行政の責任としてカバーしていかなきゃならぬだろうと。それならば、私はやっぱり自治体もあるいはその会社自体もそれなりのそういう体制をとってもらわなきゃできないと思っておりまして、そこらを個別の問題として処理していきたいと思っておりまして、法律で一遍にくくってしまおうということはちょっと難しいように思います。
  135. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間がなくなってきたので、またいつかその延長線でずっとやりますが、しかし、市町村合併という方法で救うといっても、フローじゃなくてストックで物すごい負債を抱えているわけです。これがわからないんですよね、今、自治省も総務省もおっしゃってくれません。だから、早く調べてくださいと言うんです。  これ実は、赤字再建団体になりますとか、あるいは合併すればいいじゃないかと言うけれども、合併するといったって、ストックの大変傷んでいるところはもう、いい、いいと。農協の合併を私見ていて、大抵だめになるのは、どっちかが優良でどっちかが不良の場合、不良な人と一緒になりたくないと言うんですよ。結婚するときに、ああいうのはだめだ、あいつはと、こうなるのと同じことなんです。  だから、そういう意味では、ストックの不良化しているのが相当あるわけですから、わからないけれども、これを何らかの形で処理する仕組みをどこかでつくらなければまずいんじゃないのかと。個々に対応するとおっしゃって、一つ一つ出たらやると言うけれども、先ほど申し上げたように、今の地方自治体の財政の赤字の状況というのは、フローでも大変です。赤字再建団体に転落しかねないようなのがたくさんあります。そうじゃなくて、今言ったように、第三セクターを含めて大変なストックにおける傷みを、不良債権を抱えているわけですから、ここはやはり私は、あの特殊法人と同じように破産法制をきちっと準備せざるを得ないんではないのかなと、こういうふうに考えているんです。  この点、また引き続きやりたいと思いますけれども、とりあえず今の段階財務大臣はどのようにお考えになっていますか。いや、副大臣もよければよいですが、財務大臣と副大臣、両方お答え願います。
  136. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御提案ございました。一応お聞きいたしまして、相談もしてみますけれども、なかなか一概にこれは解決の道は難しいと思っております。といいますのは、事案が全部違うわけでございまして、人間の顔が違うごとく全部違いますから、これを一括した法律的な処置ということは難しいと。時間をかけて、個別で解決していかなきゃならぬと思いますが、私は、基本的な問題は、住民の行政ニーズに合ったものをやったものは、これは責任を持つという基本姿勢、それ以外のいわゆる商業ベースあるいは発展的希望といいましょうか、まあ欲張りと言ったら語弊がありますからそうは言いませんけれども、発展的なものを期待してやったものは、そこの自治体の判断でやったんですから、そこはそれなりの責任を持ってもらうというふうなことをして、住民に不安を与えるようなことは絶対したらいかぬと、そう思うております。
  137. 遠藤和良

    ○副大臣(遠藤和良君) 地方自治体の破綻法制については、アメリカにその例があるということは聞いているんですけれども、これは地方自治体の債権放棄を前提にした法制という話だと思うんですね。これは慎重に考えなければいけないと思っておりまして、財務大臣ともよく相談をさせていただきたいと思っております。
  138. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 次回、またこれは引き続きやらせていただきますが、問題はリスクが残っているわけですね。そのリスクをどういう形で分担するのか、あるいはリスクはだれがとるのかという形で、今はどんどん自治体の借金がたまっていますが、必ずこれはだれかが後で面倒を見なきゃいかぬわけですね。それを実は住民だけに背負わせるわけにいかないんじゃないんですか。貸し手の方の側も責任があるんじゃないんですか。そのことをきちっとした市場規律でもって地方自治体の財政再建というものを、あるいは財政を変えていくというところを追っかけていったらどうだろうな、実はこういう提言を私どもしたいわけですよ。  またこれは次回やらせていただくということで、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  139. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は最初に、基本方針の素案を読ませていただきましたので、峰崎議員と続いての質疑になりますけれども、この点について二、三お伺いをしてみたいと思います。  まず、基本的に大変精力的によく問題を掘り起こしてカバーしていらっしゃるというふうに読ませていただきました。若干、議論の途中で報じられた内容よりも後退しているような点もうかがえるわけでありまして、例えば、私が期待しておりましたのは、地方自治体の合併についてもう少し踏み込んだ言い方が出てくるのかなと実は期待をいたしておりました。  私の長年の主張なんですけれども、身近に、例えばつい先般さいたま市という市が誕生いたしましたけれども、地方自治体の自主性にゆだねていった場合の合併の難しさというのは、これはもうみんながよくよくわかっていることでありまして、かけ声はいつもあるわけですけれども、具体的に合併をどう進めていくかという点については非常に難しいわけであります。  私の持論だけ申し上げますと、強制力を持った合併法をつくる以外にないんじゃないかと。例えば十年というような期間を設定して、ガイドラインをつくって、いろいろな手法を講じつつ、最終的には合併しなければならないというところまで持っていかないと、これはもう百年河清を待っても無理だというような気がしてなりません。  特に、午前中の議論でも、地方自治体の財政と国の財政現状のままでどんなにいろいろな議論を重ねていっても、地方自治体の実態をよく見れば、それはもう財務大臣のおっしゃるように簡単なことではないわけで、器の整備というのがこれからの地方、中央通じての大きな課題であると思います。  特に私は、行政改革ということで、幾ら税金が節約できるか、幾ら保険料が節約できるかというのを基準にして判断せよということをずっと申し上げてきましたけれども、地方自治体の合併ほどそういう意味で税の節減効果、あるいはまた社会福祉というのはこれはもう経営ですから、幾ら保険料を適切に使うかというのもやはり自治体のあり方にかかるわけですから、そういう意味でも、行政改革という点でも最大の課題だなというふうに思っております。そういう面で、この素案を読ませていただきまして、途中、三百とか威勢のいい数字なんかが出てきておりましたのでちょっとがっかりいたしましたが、そのほかについては私は評価をさせていただいております。  特に、冒頭のところで、今後二、三年を日本経済の集中調整期間と位置づけて、その間は景気が悪くても我慢せよという言い方が出ております。これは私、閣議決定をされるというところまで考えておりませんでしたけれども、こういう文言を入れながら閣議決定をされるということであれば、これは画期的だろうと思います。つまり、それだけ国民の皆さんに負担をお願いしつつ方針を打ち出すという、これは内閣の姿勢としては私は大いに評価できるというふうに思っております。  ただ、なぜ二、三年なのかというのがちょっとわからないわけでありまして、この記述の中で後で、不良債権処理の中に同じような記述が出てくるわけでありまして、不良債権処理に二、三年かかる、だから二、三年我慢せよと、こう文脈的には続くわけですね。ということは、別の言い方をすれば、不良債権処理ができれば景気回復をする、そういうふうに御判断されておられるのか、この点についてお話を伺いたいと思います。
  140. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理不良債権問題の解決というのが大変重要であるという認識は大変強く持っておりますが、同時に、これさえあればすべてうまくいくというようには、これはもうそういうふうには考えておりません。  よく、こういう改革には、受け身のもの、つまり守りのものと攻めのものがあるという言い方をさせていただきますが、今ある不良債権は、これはもう償却していくしかないわけでありますから、これは守りの部分、受け身の部分だと思います。しかし同時に、攻めの部分がある。これはこの七つの改革プログラムの中に書かれていますが、この新しい時代にどのようにチャレンジしていけるのか、市場の活力を活用するためのプライバタイゼーションを入れていくのかということでありますので、その意味では、やはり非常に包括的な改革をしない限り日本経済は立ち直らない。その受け身の部分不良債権処理をするためにも実は前向きの改革というのは大変重要でありますので、これはもうワンパッケージでやらなければいけないということは非常に強く認識しております。  その意味では、不良債権、十二兆ぐらいの今金額がまないたの上に上がっているわけですけれども、それを業務純益等々を考えて、何とか二、三年で今の問題については片をつけたいと。二、三年というのは、そういうところから、以前から語られている数字だというふうに認識しておりますけれども、それと同時に、不良債権処理を進めるためにも前向きの改革をこの二、三年で集中的に進めて、そのぐらいの期間の間に日本経済を本来の潜在的な成長軌道に戻していきたいというのが我々なりのシナリオであります。
  141. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 実は、御承知のように、景気についてはもう随分長い間低迷が続いているわけであります。ですから、橋本内閣経済政策というのを小渕さんが大転換をされた、そしてそれがもう一息というところに来ていたのかどうか、大体の判断はそうだったわけですが、その段階で森内閣にかわって経済政策の基調が少し変わったんですね。それでまた今回は大きく変わるわけです。  ですから、国民の立場からすれば、早く景気がよくなれと思いながら、もう少しもう少しで延びてきているんですね。これはもう現場というか、中小企業を含めた本当に苦しんで経営をしている人たちにとってみて、いつ景気がよくなるんだ、まだなのか、もうくたびれたというのが実は私どもが日々感ずることなんですね。その上にまだこれから我慢せよと言うんですから、私は、我慢せよと言う以上、相当やっぱり確信を持って言ってもらわなきゃ困るんだなと思うんですね。  私は、景気対策というのは何も総需要政策だけでなくていろいろあると思うんですよ。例えば、明確な展望を国民の皆さんに持っていただける、もうしばらく我慢すれば本当に明るくなるということであれば、それもある意味では心理的に消費を拡大する方に働いたり、あるいは投資を促進したりするわけですから、要は、迷いの中にある、まだ迷っていかなきゃいけないという話は、これはもう私は限界に来ているなという気がいたします。そこに小泉さんが、これだけやってこれだけ変わるぞというのを明確に打ち出そうとしているから、実は支持率も上がるし、そこに唯一の期待感が生まれているというふうに思うんですね。  くどくて恐縮でありますけれども、ここの冒頭に二、三年と書かれた。それは二、三年でよくしたい、単なる願望だとおっしゃるのか。あるいは、不良債権処理も含めてここに含まれている内容は、すぐできる構造改革と、そうでなくて大変長くかかる構造改革も含まれているわけですから、これとこれとこれをというふうに詳細なメニューは言えなくとも、発表するまでにもう少し、こういうことを当面やっていけば日本経済の活性化は可能だということをもう少し具体的に出せないものか、その点について伺いたいと思います。
  142. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 人々は景気回復に待ち疲れているというのは大変重要な御指摘だと思います。私もやはりそういうことなんだろうなというふうに認識しています。  ただ、ちょっと理屈っぽい説明になるかもしれませんが、私は、やはり景気という意味遣いが実は変わってきているというふうに解釈すべきなんだと思います。  小渕総理のときに景気が大変だと。景気というのは、その場合は、まさに今、浜田委員おっしゃったように、目の前の総需要が収縮していたわけですよね。その総需要をある程度支えることが景気という意味だったんだと思います。  しかし、その後、いわゆる危機的な状況から脱した後、人々が景気と言う場合は、目の前の総需要がもう大変なことになるということではなくて、景気景気と言う場合には、経済が持続的に発展していってくれないと、いわゆる自律的な回復軌道ということになると思いますが、自律的な経済の発展をもって人々は景気というふうに考えるようになったんだと思うんですね。  ただ、当然のことながら、そういうディメンジョンでは、やはり求められる政策が私は変わってきたのだと思います。持続的な経済の発展のためには、やはり経済の効率性を高める供給側の政策をきっちりとやっていかなきゃいけないというのが、実はまさに今回の基本方針の骨太の中の骨太の部分になっているんだと思います。  決してこれは願望ではない、自信を持ってそういうイメージを示すべきだという御指摘は、まさにそのとおりだと思っておりまして、ここの部分は実はまだ、お読みいただいたらわかりますように、第六章の部分とか、未完成でございます。このシナリオの部分をしっかりと書いて最終報告に間に合わせなければいけないというのが今の段階での私たちの最も重要な仕事の一つだというふうに考えておりまして、ただし、数字とかシナリオとかということになりますと、既にある経済見通し、閣議決定されたものとの関係をどのように位置づけるかという問題もありますので、最終的にこの方針の中に書く方がよいのか、よく経済計画のように、付録として、参考的なビジョンとして書く方がいいのか、そういう扱い方はいろいろ今ちょっと考えておりますが、いずれにしても、やはりそういう国民に伝わるメッセージ、シナリオに関するメッセージはしっかりと伝えていきたいというふうに思います。
  143. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 これからここに盛られたことも含めた改革を阻むものというのは何かといいますと、一つは当然、既成事実とか既得権益とか言われる話ですね、それぞれに長い歴史を持っておりますから。これは容易ならざることだろうと思います。もう一つ景気だと思うんですね。やっぱりどこまで我慢できるかということだろうと思いますよ。  ですから私は、今、もう少し具体的に詰める余地があるというお話もございましたから、ぜひ閣議決定されるまでにはもう少し具体的な面というものも詰められて、そしてぜひこれは、もし私が総理のアドバイザーだったら申し上げたいなと思うことを竹中大臣に申し上げておきますけれども、この発表の仕方ですよね。総理は大変説得力あるお話をされますから、これを単に発表するだけではなくて、談話をつけて、これだけの改革をやっていく、だからしばらくは、ここはもう少し具体的に言わなければいけないと私は思いますけれども、一緒に我慢して乗り越えていこうというような、そういう決意を添えてお出しになるということを私はぜひお勧めをしたいなと思っております。  竹中大臣への質問は以上です。  次に、財務大臣にお伺いをいたします。  今回、百万円の少額所得についての非課税措置が創設されるわけですね。これは緊急経済対策と銘打ってなされるわけですけれども、これによってどれだけの効果がおありと思っていらっしゃいますか。
  144. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 株の実際の売買高あるいはダウ平均株価等にどのように及ぼすかというその想定は、ちょっと私は難しくてわかりません。しかし、従来からの株の取引状態等を見まして、税金のベースで見まして大体年間八百億から九百億ぐらいの減収になるのではないかと思っておりまして、その分は利用されることだと思っております。  ですから、平年度ベースでそうでございますから、十三年度だけとってみますと、大体四百億ぐらいかなと思っております。
  145. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 これは株価対策ではないわけですけれども緊急経済対策として出てきた話は、一つは株価の動向というか、あのときの経済状況がございましたね。ですから、今回たったこれだけしか出てこないということで、本当にこれが緊急経済対策の名に値する措置なのかなという疑問が基本にあるものですからそういう質問を申し上げたわけですが、株価はきょうはどうなっておりますか、しばらく低迷が続いておりますね。そういう状況について、財務大臣の見方をちょっとお話しいただきたいと思います。
  146. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 株価は先週来少し弱含みでずっと落ち込んでまいりまして、もう私も毎日のように心配しておるのでございますけれども、何が原因ということははっきりつかみようがないと思うのでございますけれども、もう外人の売りも一巡したということも聞いておりますし、そうすると何か思惑の投機筋が走っているかといったら、これも実態がつかみにくいような状態でございまして、また政府は次に緊急対策として何かいい手を打ってくれるかいなという願望もあるような、その願望待ちというか、そういう感じもしたり、何かいろんなふくそうした原因を考えておりますけれども、何が原因かということは私どもちょっとつかみにくい状態でございます。
  147. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 柳澤大臣にお伺いします。  CPのペーパーレス化の法律が出ておりますが、これは当然もっと早くなされてもよかった措置だろうと思っております。CPによる資金調達というのは、しかし日本の金融マーケットでは余り大きなウエートを占めておりませんですね。ペーパーレス化がされていなかったということも一つの原因だとお考えになっていらっしゃいますか。
  148. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ここに資料がございまして、日米における非金融法人企業の資金調達割合比較というのがございまして、その資料を見ますと、やっぱり日本には間接金融という形での資金調達が多い、アメリカの方は直接金融形式が多い、こういうことでございます。しかし、全体に占めます借り入れの中のCPと間接金融、借り入れですね、それとの比較を見ますと、間接金融といいますか、借り入れとCPとの比較を見る限り、日本はそれでもCPの割合が非常に低いという形になっておりますから、一つは、日本の資金調達の方法が間接金融に非常に偏在しているということ、それからもう一個は、やっぱりペーパーレスでなくて、約束手形形式、そういう法形式をとってCPが券面が必要だという、そういうことが多少ブレーキになってきたのかな、そういう認識を私どもは持っているわけであります。  今回、CPを短期社債というふうに位置づけましてペーパーレス化を図るという意味は、この資金調達の意味でもCPの活用というのは促進されるということのほかに、我が国の金融・資本市場の国際化の問題点は、ペーパーレス化ですから資金の調達が非常に早いとか、そういうことの効果をねらって国際競争力も増すと、こういうことも一面にありまして、この制度の導入によりまして、もっともっとこのCPが活用されるということを心から期待しているわけであります。
  149. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 きょうは預金保険機構の松田参考人もお見えいただいておりますが、整理回収機構の、あれは株式会社ですね、買い取り期間延長、これは正常に経営されている金融機関からの買い取り分についての改正ということでありますが、それを含めてなんですけれども、回収機構の今までの買い取り実績と、それをどの程度最終処分ができているのか、状況をちょっとお聞きしたいと思います。
  150. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  本年四月末までの概算でございますけれども、整理回収機構が破綻金融機関と健全行から買い取りました債権は、買い取り金額で申しまして三兆九千億円に上ります。そのうち、本年四月末までの回収実績、これは累計でございますけれども、およそ二兆円、回収率は五〇・二%と、こういう成績になっております。特に昨年の十二年度につきましては一兆二千億円、これは住専勘定も含めてですが、回収いたしまして、これは史上最大の回収となったということでございます。  しかし、回収自体はこれからいよいよ正念場に入りますので、預金保険機構としても一層指導助言に力を入れていきたい、このように思っております。
  151. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 柳澤大臣のあの帳簿から消す話ですね、それで全部けりがついているかというと、実際は回収機構に移して、こっちにそのまま残っている。これが、今のお話ですとまだ二兆円ぐらいはあるわけですね。これから直接償却が進めば進むほどそういうものがふえていくであろう。  私は、本当に不良債権最終処理というのは、金融機関の帳簿からきれいに消えたからできたということなのかなということもちょっと思うわけでありまして、やっぱり抵当物件その他が山になって積み上がっている状況が回収機構やそちらの方に残っている段階というのは、いろんな意味で副作用があると思うんですね。例えば不動産の価格形成なんかも、たたいて損切りで買えば幾らでも安くなると。実際はそうでなくても、そういうビヘービアがありますよね。だから私は、価格形成その他の面において、この不良債権処理が終わっていないということがいろいろな影響を与えていると思うわけでありまして、整理回収機構、よくやっているという今の参考人お話だろうというふうに思いますけれども、大いにこの処理が進むようによろしく御指導といいますか、お願いをしたいと思います。  少し時間が早いんですけれども、私はこれで質問を終わらせていただきます。
  152. 大門実紀史

    大門実紀史君 竹中大臣、来られていますか。
  153. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ちょっと速記をとめます。    〔速記中止〕
  154. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 速記を起こしてください。
  155. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。  竹中大臣をお待ちしていますけれども一つ二つ質問させてもらいたいと思いますが、自賠責保険の問題で三月に私質問をさせていただきまして、柳澤大臣からも、村井前副大臣からも、後遺障害者の今後のヒアリング等を含めた問題で積極的な答弁をいただきました。それで被害者の方々は非常に喜ばれまして、金融庁の姿勢が物すごく期待できるということだったんですが、ただ、この五月に、金融庁に実態を聞いてほしいということで申し入れをされましたら、一般の陳情と同じような、三十分でしろ、人数も制限しろと、係長しか対応できないというふうな対応をされたということで、国土交通に比べて金融庁は姿勢がいいというふうに最初評価されたんですけれども、何だということで、かなりがっくりされているんです。  そういう点では、前回、三月のときに丁寧なヒアリングをしていくという副大臣からの答弁もあったわけですが、どういうふうに具体的に丁寧にヒアリングを今後されていくのか、それだけお聞かせいただきたいと思います。
  156. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私の前任者の村井副大臣先生に対して三月にお答えを申し上げまして、その内容も議事録を私も拝見させていただきました。  実は、私は自民党の方のその問題の担当者でかつてございまして、一番やっぱり問題になったのは、政府への再保険を廃止していく、これは規制緩和の観点から望ましいことでありますけれども、その中で一番心配になったのは被害者の救済ということで、これに影響があってはならないということでございまして、その点につきましては六月に出された答申にもしっかり書いてありまして、それから、たまたま五月のそのヒアリングに立ち会うことができなかったわけですけれども、私もその気持ちでおりますので、被害者救済が自賠責制度の根幹をなすという認識は私において変わりませんので、お答えを申し上げたいと思います。
  157. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  それでは竹中大臣に、あと二十分ぐらいしかおられないんですか、きょうはじっくり率直にお聞きしたいと思ってたくさん質問を用意したんですけれども、じゃ、簡潔に幾つか要点だけお聞きしたいと思います。  先ほど浜田議員からもありましたけれども、私もこの間、中小企業団体とか保証協会の役員の皆さんとか、あるいは労働組合の皆さんとお会いして、率直に言ってこの不良債権最終処理、つまり、不良債権というのはない方がいいというのはだれでもわかるわけですけれども、一気にやってしまうというところで倒産、失業が出るというところの不安がやっぱり物すごく今広がっているというふうに思うんです。  そういう中で、構造改革なくして景気回復なしというふうなスローガンは何となくわかるんですけれども、例えば労働者の皆さんも、連合総研のアンケート調査によりますと、一年後に四人に一人は失業するんじゃないかという不安を抱いているとか、中小企業も今かなり大変な状況ですけれども、そういう人たちに向けて、どうやってこれをやれば景気がよくなるといいますか、日本経済が立ち直るんだというメカニズムといいますか、さっきシナリオとおっしゃいましたけれども、こうしてこうやってこうやれば皆さんよくなるんだよというところをわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  158. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理経済活性化にもたらすメカニズムということでよろしゅうございますか。──大変重要な問題を聞いてくださったと思います。確かにわかりにくい面があると思いますし、これは正確に議論すればするほど余計ややこしくなるんですけれども、わかりやすくということでありますので、若干正確性は欠ける部分ができるかもしれませんが、あえて二つ、こういうメカニズムが不良債権の最大のマイナス点であるということを申し上げたいと思います。  一つ説明の仕方は、例えば銀行が十億なら十億というお金をどこかに貸しているとします。しかし、不良債権という意味はこの十億のもう価値がないわけですね。向こうに貸している、しかし貸した先で土地に運用されていて、その土地がもう例えば一億しかないということになると、もう一億の価値しかないわけですね。しかし十億がいわばきちっと使われないで塩漬けになっているわけですね。これは当たり前の話ですけれども、大切な資源をこれはむだに使っている。具体的に言うと、収益を生まないようなお金に使っているわけですから、これは社会全体の生産性が著しく低くなりますね。  結局、経済というのは何かというと、私たちが生み出す、人間と資本が生み出す付加価値が所得なんですよね。人間と資本がそんなに変わらないのに、それが生み出す生産性が著しく低くなっていったら何が起こるかというと、私たちの生活水準が下がるということになるわけですね。それでGDPが下がる、生み出せなくなっているんだから、非効率に資源が使われているということによって、私たちの社会全体が物すごく大きな、得べかりし利益というか、大きなロスを生じているということなんです。これがやっぱり私は最大の問題だと思います。  もう一つ、これを別の見方から、銀行からいうと、銀行は例えば、本当は一億の価値しかない資産をバランスシートで十億というふうに持っているわけです、見かけ上。つまり資産が水膨れしているわけですね。水膨れしていたら何が起こるかというと、今度は、資産に対する自己資本が見かけ上物すごく小さくなっていくわけですね。見かけ上じゃないです、本当は小さいわけですね。小さくなっていく。そうすると、金融機関の不健全性に対するマーケットの圧力が物すごく高まってきて、それによって、例えば九八年ぐらいに本当に起きたように、銀行の株が売り浴びせられて、それによって銀行が、つまり大変重要な金融の仲介機能がこの社会の中で果たせなくなるという可能性があるわけです。そうならないようにこの不良な部分を一刻も早く損出ししてしまう。  単に損出しということだけではなくて、これは銀行考えていただきたいんですが、今、十億がむだに運用されているというふうに言いました、塩漬けされているというふうに言いました。  これ、不良債権処理したら、例えば十億貸していたものが一億円しか返ってきません、九億損を出します。銀行利益も減って、大変は大変です。これは銀行にとっても痛みです。しかし、一億円返ってくるんです。そうするとその一億円は、新たなベンチャー企業でも、新たな可能性を持ったところに再び融資していけて、それが社会全体の価値を生み出す。これが、私は不良債権処理しなければいけないということのやっぱりひとつの御説明なのではないかと思います。  だから、結局、やはり私たちの持っている資産というのは本当に有限なんだと思うんですね。それを有効に使うための大変重要なステップだというふうに思います。
  159. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしますと、一つは仲介機能とおっしゃいましたけれども、お金の流れが、銀行不良債権を抱えていると、民間の中小企業の皆さんの立場で見ると、回るべきお金が回っていないとか、あるいは中小企業をどう見るかというのがありますけれども生産性の低いところに、公共事業も含めてそういう評価はありましたけれども、お金が行っていて、生産性の高いところにお金が行っていないというふうな、何といいますか、そういうマネーのフローの問題と、どの分野にお金が行っているかというふうなことをおっしゃっているのかなというふうに思いますけれども、それはこの基本方針、素案にもそういう位置づけで書いてあるんですが、実際そうなのかなというふうに思うんですよね。  例えば、銀行が今本当に、確かに不良債権はありますけれども、貸し出しする力がない、不良債権のために外に貸し出しする余裕がないというふうには、数字からいって、いろんな統計からいって、なっていないというふうに思うんです、時間の関係でその辺は省略しますけれども。  そういう中で、何度も言うようですけれども不良債権はない方がいいのはわかっていますけれども、何で一気に今処理しなきゃいけないのかと、しかも今この最悪の不況と言われるときに。これによって生まれるさらなるデフレ圧力とかそういうことを考えても、やるべきだという理由が私もう一つわからないんです。その点を。
  160. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 一点だけ。前半でおっしゃった貸し出し能力がないという面と、もう一つは、やはり経済全体が今の状況に対して不安を持っているので、借り手も十分にまだ資金需要が出てこないと、これは両面あります。  これは両面ということをぜひ申し上げた上で、なぜ今やらなきゃいけないのかということなんですけれども、本当はもっと早くやっていればよかったんだとやっぱり私は思います。今、最悪の時期だというふうにおっしゃいましたけれども、恐らく後にしたら状況はもっと悪くなると私は思います。  短期的に、予想よりアメリカの経済が今悪くなっているから、もうちょっとアメリカの経済がよくなってくれる方がいいねとかという、半年、一年ぐらいの、そういうタイミングの問題はひょっとしたらあるのかもしれません。でも、今やっぱり経済が厳しいから、三年待ったらどうなるでしょうか。だって、銀行財務内容ももっと悪化するかもしれないし、資産の非効率な運用を続けたら、海外に比べて日本の競争力はもっと弱くなっていて、経済はもっと弱くなっている可能性があって、もっと状況が悪くなっている可能性がある。私は、やっぱりその可能性が高いんだと思います。  その意味では、もちろん、何か急に原油の価格が四倍にぽんと上がるとか、アメリカ経済の株がクラッシュするとか、これは天変地異と言うかどうかは知りませんが、そういうことが起こったらこれは話は別ですよ。しかし、今確かに苦しいかもしれないけれども、それを二年、三年待ったら多分もっと苦しくなる。私は、これが一般的な考え方なんだと思います。
  161. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、冒頭に申し上げましたとおり、中小企業とか普通に働いている人たちの立場からしますと、その人たちから見た説明をしてほしいんですけれども銀行が苦しくなるとか何かじゃなくて、この二、三年で処理してかなりの倒産、かなりの失業が出ると言われていますけれども、その人たちにとってはどういうことなんですか、そうしたら。何がよくなるんですか、この二、三年で一遍に処理したことによって。
  162. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと二点ぜひ申し上げたいと思うんですけれども、中小企業が被害を受けるという言い方は、私はやっぱりちょっと一面的なんだと思います。  内容のよくない企業がやはり整理の対象になるわけで、日本じゅうの中小企業で世界に冠たるところ、いや、世界に冠たるところまでいかなくたって、健全な収益を上げて頑張っているところというのはたくさんあるわけです。もっと極端に言うと、今本当に資産を塩漬けしているのは、私は一部の業界の一部の大企業だと思います。こういう言い方はちょっと誤解があるかもしれませんが、私はその方が実態に近いと思っています。だから、やっぱりそこにどのように切り込んでいけるかというのがこの問題の最大のポイントなのではないでしょうか。  私は業界の実態を把握する立場にありませんから、もし微妙なニュアンスの違いがあれば、これは柳澤担当大臣にぜひ御修正いただく必要があるかと思いますが、一般的な見方は私はそういうことなんだと思います。  それで、本当にもはや整理の対象になるような中小企業はあるかもしれません、じゃ今それをやることの意味はどうかというと、もうやっていけないとわかっていてあと二、三年先に延ばすのと、やっていけないんだったら早く準備をするのと、どっちがいいだろうかという、多分そういう基準になるんだと思うんですね。  その際のセーフティーネットは、これは重要だと思います。やっぱり次の就業機会に対して、働く人間、生身の人間ですから準備も要るだろうし、それをサポートするような社会全体の仕組みも要ると。これは実は大変難しいわけだけれども、やはりこの中で、チャレンジャーの支援のような幾つかのチャレンジャーのプログラムも、できるだけ海外の例なんかも参考にしながら準備したいというふうに実は考えているわけです。  つまり、ある宿題をやらなきゃいけないとして、二日後にやる方がいいのか、今やる方がいいのかということになると、やっぱり今宿題をしてしまって次の段階に行く方がいいというふうに考えるべきなんじゃないでしょうか。
  163. 大門実紀史

    大門実紀史君 竹中大臣、本当に中小企業の実態とか、例えば要注意先になっていたり、要管理先債権に区分され直したり、何が起こっているかを本当に見てもらいたいんですよ、紙の上で何か線を引くんじゃなくて。  例えば、今一生懸命頑張っている中小企業というのは、景気さえよくなればちゃんとやっていけるところが多いわけですよ。ちゃんとやっていける。それが今不況で販売不振で、今倒産の一番の理由も販売不振ですけれども、そうやって頑張っている人たちに、どうせ二、三年後にはつぶれるんだから今つぶれても同じだと言うのは、これは学者の評論家の方が言うのならいいですよ、大臣として言うべきことじゃないと思いますよ。
  164. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私は、わかりやすく言えと言われたからわかりやすく言っただけで、それ以上の説明の仕方はないのだと思います。  ちなみに、私の両親は、典型的な中小企業、いや零細企業を五十何年営んできました。私は父親を大変尊敬しておりますし、その中でやっぱり大変厳しい状況を何回もくぐり抜けてきた。私は、紙の上だけで、大学で勉強しただけでそんなことを言っているつもりはありません。  一つ申し上げたいことは、結局のところ、苦しいことはあると思うんですけれども、改革を拒む二つの要因、先ほど浜田委員が、一つは既得権益である、一つ景気であるというふうにおっしゃいましたけれども、私も同感なんですけれども、別の言い方をすれば、一つは既得権益であり、もう一つはやはり不安だけをあおる議論なんだと思うんですね。不安はだれにだってありますけれども、しかしその不安を乗り越えてきたのが今までの日本経済であったと思いますし、その中で活路を見出してきたのが私は日本の中小企業のたくましさだったのだと思います。  その意味では、ここから先は若干水かけ論になるのかもしれませんけれども、本当に頑張れる、中小企業が頑張れるような状況にするためにも、先ほど申し上げたように、やはり一部の業界の一部の企業についての踏み込んだ整理が今後私は個人的には必要になってくるというふうに考えますし、また、一般的に企業の大小の問題ではなくて、やはり資産を効率的に配分するような仕組みをいかにしてつくっていくかということを考えないと、この改革が一年おくれれば、それだけ私たちの痛みは大きくなるのではないかと思います。
  165. 大門実紀史

    大門実紀史君 別に、中小企業が弱者だから救済すべきとか、そういう意味で言っているんじゃなくて、やっぱり日本経済の基盤を支えているんですよね。それが今、四苦八苦してやっと融資でつないだりしてやっているわけですよ。  ところが、この不良債権処理で、後で、竹中さんが引き揚げられた後になると思いますが、詳しく今の実態を述べますけれども、その不良債権処理というのは非常に現場では厳密にやられていないところがありまして、例えば生産性が高い中小企業でも、資金繰りに困って要注意先になっているケースだってあるわけですよね。  ですから、おっしゃっていること、私は混同されているんじゃないかと思うんですよ。いわゆる生産性の高い分野に資金を移動するとか、資源を移動するというのは経済論では当たり前の話で、そうなればいいですよ。不良債権もなくなった方がいいですよ。それは当たり前の話で、それは今の実態を見ながらやるか、それとも何か描いた理屈を実態で試そうとしているような、私は非常に危険性を感じるんですね。  なぜかといいますと、この諮問会議の資料を見ていて、私、非常に危ない話を堂々と書いておられるなと思ったんですけれども、素案の中に、七ページですか、「不良債権問題の抜本的解決―日本経済再生の第一歩」と書いてあるところがあるんですけれども、よくここまで書くなというふうに思うんです。書いてあることを全部読みませんが、要するに、今不良債権扱いされているような企業はイコール低生産性部門なんだと。低収益の構造にあるそういう部門なんだから、不良債権最終処理を行うことによってそういうところが整理されて、成長性の高いところにお金が流れることになると。つまり、不良債権処理を今思い切ってやっちゃえと。そうしたらちょうど生産性の低いところの業種なりそういうものも整理されるんだと、一石二鳥みたいなことが書いてあるんですよ。  これは実態を本当に踏まえていないなと。確かにあると思いますよ、生産性の低いところ。やっぱり生産性を高くしなきゃいけないというのはわかりますよ。その話と不良債権処理を一気にやろうみたいなことまで書かれるというのは、本当に実態を御存じないんじゃないかというふうに私は思うんですね。  言われている意味はわかりますよ、低成長分野から高い成長の分野に資源移動と、いわゆる規制改革とかを含めておっしゃっていますね。その柱と不良債権処理の柱と私は別個のものだと思うんですね、本来。別個のものを今一遍にわずか二、三年でやろうとするところでいろんな無理が起きているというふうに私は思うんですが、いかがですか。
  166. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 実態を御存じないというふうに言われたら、私も一生懸命実態を把握しているつもりですというふうに申し上げざるを得ないのでありますけれども、基本的には、例えば逆の発想をして、じゃこれをおくらせたらよくなるのかという議論なんですね。それはやっぱりどう考えても私には説得的ではないわけです。今、不況のどん底なんだからというふうに言われたけれども、例えば今GDPがマイナス一〇%のような状況にあって、その中でそうすると悪い企業が出てきて、これは経済がよくなれば何とかなるはずだと、こういう議論というのは私は説得的だと思うんですよ。  しかし、昨年度の経済成長率、予想より低かったけれども、〇・九%なんですね。経済はさらに大きくなっているんですね。平均的に見れば売り上げはふえている、日本全体で見れば。例えば、将来利子が返せない、金利が負担できない、そういう状況下であるところが、経済全体がよくなればよくなるはずだというのは、私はやっぱりちょっと議論としては成り立たないような気がするんですね。  繰り返します。マイナス一〇%とかそういう状況であるならば、こういう議論をやっぱり私はするべきじゃないと思うんです。本来だったら日本は二%成長ぐらいだと思うんですね。それが、二%成長が一%成長ぐらいになって、その状況下でこの時期を後にずらす方がよくなるという議論は、私にはその意味ではよく理解できないのであります。
  167. 大門実紀史

    大門実紀史君 何度も言うようですけれども、後にずらせとか、ずっと先でいいんだとか、ほっておくべきだとか言っているわけじゃなくて、この一―三のGDPも出てこんな状況で、さらにみんな景況感は今後悪くなると思っている中で、なぜ今なのかということを何度もお聞きしているわけで、ほっといていいとか言っているわけじゃないですし、どうもその辺をおっしゃるときに、私、精神論的に聞こえるんですね。不良債権処理なくしてあしたなしみたいな、とにかく何か精神論みたいに聞こえるんですよ。説明がよくわからないんですね。何度もお聞きしていますけれども、なぜ一番どん底的なときにやらなきゃいけないのか、そうしたら先に延ばすよりはいいからだと、これしかお話がないんですね。  この今最悪のときにやった後のデフレ圧力といいますか、御存じですよね、失業者は転職と簡単に竹中大臣は言いかえられていますけれども、失業したら当然、次にもし勤められても賃金は減っていますね、七割、五割、三割ぐらいに。七五三と言われているんですよね、次の賃金というのは。そういう実態があって、かなり所得も低下しますよ。また個人消費だって、回復するのに相当時間がかかると思うんですよね。  ところが先日も、小泉さんも一年の我慢だとか、竹中大臣も二、三年の我慢とか言われますけれども、大量に失業者とか倒産が生まれるのに、何で二、三年後にすぐよくなるのか。その辺も、非常に精神的なアドバルーンといいますか、とりあえず安心させるメッセージを出しているだけにしか私には聞こえないんですよ。何でそんなに短期間でよくなるんですか、そうしたら景気が、経済が、これだけのことをやろうとして。
  168. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 精神論的だというふうにおっしゃいましたけれども、私自身は極めて社会科学的に議論しているつもりであります。  これは別の機会にお話ししたことがありますけれども不良債権問題の本質というのは、いわゆるデッド・ハング・オーバーという考え方で、これは一九九〇年代の半ばぐらいからアメリカのエコノミストたちが研究された結果に基づいて、いわゆる債務を過度に引きずっている、過剰な債務を引きずっている状況ではリスクがとれないから投資ができない。投資ができない状況では、経済発展の原動力はリスクを負って将来に向かって投資する源泉であるわけですから、それが最大の問題である。ないしは、ディスオーガニゼーションというマイクロエコノミストの考え方を応用した、産業組織が不良債権を持っている一種の不確実性があることによって、この産業組織が破壊されるわけですね。だから、きのうまで世界一だと思っていたある産業が、この産業組織が破壊されることによって著しく生産性が停滞して、ひょっとしたらつぶれるんじゃないかというような状況にまでなってきた。そういう議論を私は踏まえてそのような議論を展開させていただいているつもりであります。  大変難しい問題は、議員最後に聞かれた、本当に二、三年で一体どういうふうな形になっているのかというのは、これは実はそんなにだれもが自信を持ってモデルで予測できるような性格の問題ではありません。世の中の仕組みをこれから変えていこうというわけですから、その点については確かに、こういうふうにしたいという一つのシナリオといいますか、厳密な分析ではない部分というのは当然のことながら私は入ってくると思います。  あえて言えば、その意味で私は学者ではなくて政治家であるというふうに申し上げたいんだと思いますが、済みません、これはだからメッセージをやっぱり送らなきゃいけないと思う。  ただ一つ言えることは、確かに労働の移動には時間がかかるし、新しい雇用機会を使うにも時間がかかるけれども、私は、同時に日本経済というのは、ある一つの方向性が見えてきたときに、それに対してそれを前倒しして反応するすさまじいダイナミズムを持っているというふうに思っているんです。  だから、一つの期待、エクスペクテーションが何か確認できたら、やはり経済に好循環が生まれ始める。私は、それが二ないし三年という一つ不良債権処理とあわせて前向きの改革を進めることによって、新しい歯車が動き出したりすることができるのではないかなというふうに実は考えているわけです。そのように御理解いただきたいと思います。
  169. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、産業論をおっしゃいましたけれども、私この間、竹中大臣の御本だとか幾つか読んでいて非常に疑問なんですけれども、例えば、ランプが電灯にかわるとか、エネルギーでいえば石炭から石油にかわるとか、あるいは諮問委員の中の吉川先生なんかは、馬車が列車に取ってかわられるとか、何か本当に物すごく産業革命でも起こるような話をされているんですね。新規産業、新規産業とおっしゃいますけれども、何がそんなにあるんですか。わからないんですね。
  170. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは吉川議員なんかもいろんなところで発言しておられると思いますけれども、例えば繊維産業の後に鉄鋼が来て、その後自動車が来るというような、そういうようなイメージでの産業というのは私はやはりないのだと思います。  しかし同時に、例えば一つの例で言いますけれども、私はIT担当大臣も今兼任させていただいていますが、やっぱり非常にデジタルな新しい技術というのは間違いなく今あるわけですよね。私は、だから今デジタル革命だと思っています。  話をし出したら長くなりますけれども、例えば製造業がデジタルなものを入れることによってやっぱり物すごく生まれ変わることができているし、中小企業、特にサービス業がそのデジタルな技術を入れることによって非常に全く新しい産業になりつつあるし、私は、やっぱりその意味ではこれは革命的だと思っています。何が起こるかわからないから革命だというふうな面がありますけれども、その中で一つの例として、やはりアメリカなんかがその端緒を私は見せているんだと思うんですね。日本の資源や技術力という点からいうと、やっぱりチャレンジに非常に値する私は時期なんだと考えています。かつてのような産業構造ビジョンで示されるような明快な何とか産業何とか産業という段階ではなくて、一人一人がまさにフロンティアに立って、そのデジタルな可能性を自分のビジネス、生活の中に取り込んでいけるようなやはりチャレンジをしなきゃいけないときではないかと考えています。
  171. 大門実紀史

    大門実紀史君 後で五百三十万人雇用の問題、雇用創出と出されている問題を細かく検証させていただきますけれども、何が起こるかわからないような話ばかりなんですよね。ところが、失業者はどんどんふえ始めていますし、中小企業が今資金回収だとか新規融資のストップでつぶれ始めていますし、その人たちにとっては、痛みを我慢しろと言われているから我慢しようかと思っているけれども、結局何だかわからないけれどもやるんだみたいな、そんなことしか今ないんですよね。きょうお聞きした分でいくと何も具体的なものはない、はっきり言って。  もし、お時間がよろしければ最後までいてもらいたいですけれども、五百三十万人雇用なんかもそうですけれども、そういう人たちのセーフティーネットとおっしゃいましたけれども、受け皿になるものは何もないんじゃないですか。何か具体的なものはあるんですか。例えば、ITと言われましたけれども、ITは情報化投資で雇用が減る部分もありますでしょう、実際そんなにふえていないじゃないですか。何があるんですか、具体的に、セーフティーネットとして新規雇用というのは。
  172. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 三時までという事前の約束がありますので、一言だけ。
  173. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、仕組みそのものが大きく変わる中で、特に市場経済の中でこれが受け皿でございますというものを計画経済のように求められても、これは残念だけれども、私自身は、そういうものは用意することはできないのだと思います。その意味では、この雇用計画というのは一つの可能性を示しているものというふうに理解していただかざるを得ないんだと思います。  ただ、ITは雇用を減らしているというお話がありましたけれども、そうです。ITというのはいわゆるトランザクションコスト、取引費用を徹底的に減らすことによって中抜き、いわゆる中抜きといいますが、これを減らすわけですね。アメリカも減りました。日本も減りました。  でも、これは例えばアメリカの商務省の推計ですけれども、アメリカの場合は、減ったのと、減った金額のちょうど二倍ぐらいの新しい雇用がそこで創出されているんですね。ITを中心とした産業で創出されているんですね。日本の場合は、ITで減った分とITでふえた分が大体同じぐらいなんです。だから、失業を改善するのにはそんなに貢献していないんです。私たちが政策として検討すべきなのは、そこがなぜアメリカの二倍出てこないのだろうかということなんだと認識しています。  そこでやっぱり出てくるのは、結局基本方針に返っていくんですけれども、実は非常に小さな規制とか慣行の硬直性があって、それが新規のビジネスチャンスを阻害していると。だからこそ前向きの改革をやっていこうというのが私たちの結論でございます。  大きな答えとしては、物事の性格上、そんなに正確な受け皿議論というのはやはり技術的に難しいということはぜひ御理解いただいた上で、五百三十万人の可能性の趣旨のようなものをぜひ正当に御理解をいただきたいと思います。
  174. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣、ありがとうございました。  ちょっと順番があれですが、話の流れで、今、竹中大臣がおっしゃいました五百三十万人雇用といいますか、雇用対策の話を少しお聞きしたいと思いますが、ちょっと大臣行ってしまわれましたけれども、これは内閣府の方で御存じだと思いますが、大臣が、不良債権処理をすると一兆円当たり数千人から一万人失業者がふえるだろうと発言されておりますけれども、国会でも発言されておりますが、この根拠となる数字は何でしょうか。
  175. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) それではお答えいたします。  この不良債権処理に伴ってどのくらい失業が出るかということにつきましては、さまざまな試算が行われておりますが、私ども考えておりますのは、倒産した企業の負債の金額と、それから倒産に伴いましてどのくらい失業した人が出たかという、その関係を時系列的にも、あるいはいろいろな業種別にもいろいろ検討いたしましたが、大まかに言いますと、一兆円の負債があった企業だとしますと、平均すると一万人ぐらいの失業者が出ているということであります。  最終処理の形態にはいろいろな方法がございまして、法的な処理もございますし私的な整理もあるということで、例えば債権放棄なんかの場合には、一万人ということではなくてむしろ四千人ぐらい、これはもちろん平均でございますが、そういうような数字が得られております。  そういうことで、仮に十二・七兆というのを最終処理すると……
  176. 大門実紀史

    大門実紀史君 聞いていない。
  177. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) よろしいですか。じゃ、以上です。
  178. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしましたら、今ちょうど岩田さんが出てこられましたけれども、四月の十日に私同じ資料で質問したんですが、諮問会議に出された資料ですよね。その中で、グラフを岩田さんが説明された中で、どうも説明が違うなというふうに思うのがあるんです。  これは資料のページは入っていませんけれども、要するに、九七年と二〇〇〇年度と比べて、九七年から二〇〇〇年度までに二十二兆円オフバランス化をしたと、差し引きするとそういう計算になるんですね。二十二兆円不良債権処理をしたら、同じく下の方に、これは皆さんの資料ですから、非自発的失業者が五十四万から百二万人にふえている。つまり、二十二兆処理して五十万人ふえているという資料を出されているんですね。岩田さんはこれについて説明されているわけですね、これに基づいて。つまり、それだと一兆円当たり二万何千人となると思うんですよね。そのとおりですよね。
  179. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) 今の御質問にございましたように、経済財政諮問会議でそうした資料を配付して御説明したことがございます。  ただ、そのときの御説明は、基本的には、九三年から二〇〇〇年までにかけて直接償却オフバランス化した数字が四十五・三兆円あって、その間に失業者、非自発的な失業者が約六十万人ふえているというお話をいたしました。それですと、一・二万人とかそういうオーダーになります。  ただ、私補足しまして、最近の時点の、特に九七年以降をとると今おっしゃったような少し大きい数字になるけれども、これはそのときの、九七、八年ですね、信用不安がこのとき非常に高まりまして、実質GDPもマイナスが続くというようなやや異例な事態がありましたので、その点を考えれば、平均した数字をむしろ考えるべきではないかというような御説明をいたしました。
  180. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、申し上げたいのは、この話はもう何度も我が党も質問させてもらっていますから、民間のシンクタンクはもっと大きな数字を言ったり、率直に言ってわかりませんよね。わからないのが事実だと思うんですが、皆さん自身が出された資料よりも小さ目に言うことはないだろうと思うんですよね、今の時点で数千人だとか一万人だとか。そういうことはもうやめた方がいい。率直にこの問題をどう考えるかというようなことにした方がいいという点だけ指摘させてもらいます。  五百三十万人雇用の問題ですけれども、基本方針素案に書いてあります五百三十万人雇用というのは、これは要するに五月十一日の、サービス部門における雇用拡大専門調査会の牛尾さんの緊急報告ですよね、もとになるのは。これについてちょっとお伺いしますけれども、これも計算がちょっとよくわからないんですが、要するに五百三十万人新規雇用をふやして五年後に失業率が四%ということは、これ結局、失業者はその間にどれぐらいふえて、あるいは失業者と呼ばないとしますよね、例えば一次、二次産業から三次産業へ移動するという考え方かもわかりませんが、いずれにせよ、移動か失業か転職かは別として、そういうものは何万人の計算になるんですか。
  181. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) ただいま先生から御指摘のありましたこの報告書におきましては、これからの社会における雇用として、特にアメリカの一九九〇年代の経験から……
  182. 大門実紀史

    大門実紀史君 数字だけ答えてください。聞いた数字だけ。
  183. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) いや、つまり私どもこの報告書では、期待される雇用の数ということをあくまで試算したものでございまして、これによって現実の失業率がどうなるとか、そういう計算はいたしておりません。
  184. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしますと、いろんな委員の方あるいは各大臣の方が、この不良債権処理で雇用不安、失業者がふえる、だから、平沼大臣もそうですけれども新規雇用を創出しなきゃいけないんだ、その具体的なプランをつくるんだと。こういうものが出ているということでいろいろ使われていますから、結局これは、その受け皿としてこういうことを考えていますよと使われているんじゃないんですか。それともただ、こんなこともありますよと、さっきの話と同じなんですか。受け皿、セーフティーネットじゃないんですか、これは。
  185. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 厳密な意味でこれが受け皿だという形で試算されたわけではございませんが、いずれにしろ、日本経済にはそれだけの潜在的な力があるはずだという形でこの専門調査会で御検討されて、報告を受けたという形になっております。
  186. 大門実紀史

    大門実紀史君 よくわからないんですが、中身もよくわからないんですね。一番これで雇用を創出されるのは、個人向け、家庭向けサービスで百九十五万人ふえるんだと、五年後にふえるんだと。  コンシェルジェサービスというのは何ですか。具体的に説明してもらえますか。
  187. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) コンシェルジェと申しますのは、フランスでアパート等の管理をする方であります。管理人サービスというように申し上げた方がいいかと思いますが、例えば、アパートに住んでおられる高齢者の方が薬だけとりに病院に行かなくちゃいけない、そのとき普通はなかなか頼めないわけですね。そういう身の回りの家庭サービスを、手となり足となって働いてくださるような、そういう方々のサービス、いろんなサービスが考えられるわけですけれども、家庭内のサービスをいわば外部化するといいますか、そういった姿を描いております。
  188. 大門実紀史

    大門実紀史君 コンシェルジェというのは、訳すと執事ですよね。お屋敷にいる執事さん、執事という意味ですよね。本当に何かばかにしたようなことを平気で書かれているなと思うんですよね。  そうしたら、ライフ・モビリティーサービスというのは何ですか。ライフ・モビリティーサービスというのは。
  189. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 島田先生報告書のバック資料によりますと、高齢者の外出の障害を取り除くことによる増加を仮定した推計ということでございますので、そういうコンセプトかと思います。
  190. 大門実紀史

    大門実紀史君 コンセプトじゃなくて、職種は何ですかと聞いているんですよ。高齢者タクシーだとか、そんなものなんですか。何でこんなところだけで百九十五万人もふえるんですか。お年寄り、こんなに頼めるほどお金持ちなんですか。五年後にこんなに高額所得の、自分専用の人間を雇えるようなお年寄りがふえるということなんですか。
  191. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) これはあくまで専門調査会でさまざまな仮定を置いて、特に、例えばそのための雇用創出型の構造改革ということで、規制の緩和だとかあるいは情報公開だとか、さまざまな政策的な支援というものを前提にいたしまして、そして欧米先進国のサービスの水準だとか、あるいは我が国の特殊事情だとか、それからさらには我が国における各分野別の過去の市場規模とか雇用者数のトレンドだとか、そういうものを仮定計算として置いて、そして推計されたというふうに伺っております。
  192. 大門実紀史

    大門実紀史君 私もこれだれがつくったんですかと聞いたら、何か三、四人の学者の方々が、これはどうだあれはどうだといって思いつきで入れたと。数字は適当な話で、アメリカでやったらこうだったとか、こんなもんですよ。五百三十万人雇用と新聞に書かれて、それだけ見たら、失業がふえるかもしれないけれども自分は大丈夫かもしれないと思うわけですよ。実態はこんなものじゃないですか。さっきも竹中大臣はセーフティーネットでもないというふうなことを言われましたけれども、これははっきりしてください。これはセーフティーネットでもなきゃ受け皿でもないわけですね。はっきりしてください。
  193. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 先ほども申しましたように、日本の潜在成長力を活用すればこういうことが期待できるんじゃないかということの御報告を受けたわけですが、ただ、これまでのサービス部門を中心とする動きでございますが、我が国におきましても、一九八〇年から二〇〇〇年までの間、サービス産業におきまして十年間で約五百万人の就業の増加が既に現実に見られているわけでございます。また、欧米先進諸国におきますサービス産業の比率というのが我が国よりも約一〇%高いという現実がございます。したがいまして、今後五年間の構造改革の推進等によりまして、我が国でもこれぐらいの、五年間で五百万人というぐらいの雇用増は十分期待できるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  194. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしますと、こんなものをわざわざ出さなくたって、需要と供給の関係があれば新しい仕事は生まれますよ。お年寄りにそういう需要が強ければ、そういう仕事をやろうという人が生まれますよ。わざわざ政府がこんな発表をしなくたって、今までだってそれだけふえたということは、これからだって自分で考えて起業する人がいるわけじゃないですか。そうでしょう。何もこんなものを出す必要ないじゃないですか。ほっておいたってこれぐらい移動するじゃないですか、いろいろなところに。そうですね。うなずいておられますけれども、そういうことでしょう。
  195. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 実は今、数字としまして十年間で五百万人というのがこれまでの趨勢だったわけでございます。ところが、さまざまな規制緩和等政策支援を行いまして、このスピードをアップしまして、五年間で五百万人ふやそうということを期待しているということでございます。
  196. 大門実紀史

    大門実紀史君 皆さん専門家だから御存じだと思いますけれども、こういうサービス産業というのは、アメリカがサービス産業が伸びましたね、サービス産業の雇用を伸ばしましたよね。あれは個人消費が伸びたからなんですね、あの時期に。日本個人消費が伸びていないわけでしょう。何でこんなに個人消費に対応するサービス部門が伸びるんですか。全然根拠がないんですよ。何もないんです。規制緩和したって個人消費が伸びなきゃこんな部門の仕事がふえるわけないじゃないですか。こういう人を雇える人がふえなければ、所得がふえなければ、こういう仕事がふえるわけないじゃないですか。だからおかしいんですよ、おっしゃっていることは、ずっと。いいかげんなんですよ。とにかくもうばかばかしくて、本当にセーフティーネット論とか受け皿論というのが何なのかと、一生懸命大の大人がいろいろ出してきて。本当に笑われますよ。  塩川大臣にお伺いしたいんですけれども、これはいつですかね、今いろいろ申し上げました五年間で五百万人雇用が出されたときに、塩川議員提出資料ということで、これは要するに財務省からの御意見だと思うんですけれども、この五年間で五百万人というところに線を引いた資料を出されておりますけれども、これはなぜ財務省としてここに線を引かれたんですか。余りにもばかばかしかったんですか。
  197. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私が言いましたのは、五月の三十一日であったかと思いますが、そのときにはこの分類が、先ほど私聞きましてなるほどなとわかったんですけれども、その時分はまだ出ておりませんでしたので、何か具体的なものがあったら知らせてくれと、それまでは保留すると、こういうことでございました。
  198. 大門実紀史

    大門実紀史君 いずれにせよ、そういう本当に笑われるようなことしか今政府はセーフティーネットについてやっていないと思うんですよね。雇用については特にそうですけれども。  じゃ、失業保険はどうするんですか。これからかなり生まれると思われている失業保険に対して、きょうは厚生労働省いらっしゃいませんけれども財務省の立場でそこに手当てをするお考えはあるんですか。給付日数の延長を含めて、直接の受け皿として失業保険の部分のセーフティーネットというのは特別の対策をとられるお考えはあるんですか。
  199. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 失業保険については、システムとしてそのような制度を組み立てているわけでありますから、失業が現に発生し、あるいは発生することが確実に予測される場合にはそれに対応した保険給付の手当てをしていくということになるわけでございますが、態様によって給付の期間も延長するなどの諸措置もあわせて検討していくということになると思います。
  200. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一度確認しますけれども財務省としてはこの不良債権処理に伴う失業者の増大に対応して給付日数の延長とか具体的なものを考えておられるというふうに考えてよろしいんですか。
  201. 若林正俊

    ○副大臣(若林正俊君) 緊急経済対策におきまして、雇用面におけるセーフティーネットの整備というものを定めております。その中で、雇用保険法の円滑な施行ということも重要な施策として取り上げておるわけでありますが、中高年齢層を中心とした倒産とか解雇などによる離職者に対しては、一般の離職者と比べて手厚い給付日数を確保するというようなことを内容とした雇用保険法の改正法、この円滑な施行を図ってまいりたいと思っております。
  202. 大門実紀史

    大門実紀史君 それはまた具体化されたところで御議論したいと思います。  次に、中小企業の関係ですけれども、ちょっと時間が少なくなってきましたので、かいつまんで私がいろいろお話を伺った実態をお話ししますと、この不良債権処理というのは、銀行の現場では決して区分がきれいに行われているわけではありませんで、この前の三菱の、リスクの高いところには高い金利を要求したというのがありましたけれども、いろんなことが行われております。これはやっぱり金融庁として、それが本来の趣旨じゃないと思いますので、手を打っていただきたいと思うんですけれども。  私の部屋に直接相談があったケースでも、名前は出しませんけれども銀行で、長い取引をしてきたんですけれども、やっぱり不況で、返済条件を変えてほしいと。ちょっとそれは変えられないというので、少し延滞をしただけでもう担保物件を売れと。とうとうそれの話がこじれて競売にかけるまで行っちゃって、これは金融庁にも御連絡をして、何とかそういうことをしないようにということで、また条件変更をしてもらって今何とかやっているんですけれども。  とにかく、大銀行だけじゃないと思うんですが、金融機関はこの不良債権処理をやれと言われている中で、これから危ないところとか不況業種とか構造不況業種は、特に今のところ分類は破綻懸念先とかにしていなくても、何の理由も言わずに新規融資を、今回は貸せませんとか、いろんなことが今起きているんですね、現場で。これはもうひとたまりもないんですよね。  私は竹中大臣と意見が合いませんけれども、やっぱり今頑張っている中小企業を支えて正常債権にしていくというのが政治の役割だと私は思いますから。もちろん、もうどうしようもないところもあると思うんですよ、市場経済ですからつぶれていくところもあると思うんですが。そんなところまで巻き添えにされるような事態が今大変起きていまして、この前、保証協会の役員の方にもお会いしたんですけれども、周辺被害と言ったらなんですけれども、そういうものが現場で起きていると。細かいデータありますけれども、ちょっと時間の関係で結論だけ言いますけれども、そういうことに対してやっぱり金融庁として、個別の丁寧な対応をされるという答弁、柳澤大臣も今までされていると思いますので、もう起こり始めていることについてどういうふうにきめ細やかな、つぶさなくていいところはつぶさない、生かしていくべきところは生かすというようなきめ細やかな対応をどうされていくのか、柳澤大臣に聞かせてもらえればと思います。
  203. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先ほど来、大門委員質問という形をとった御発言を聞かせていただきましたけれども、若干、大門委員がカテゴリーの問題でちょっと誤解をしている面があるようにお聞きしました。  それは第一に、私ども今度、不良債権最終処理をしようというのは破綻懸念先以下だということで、これはもう先生つとに御案内のとおりなんですが、話の中では、例えば赤字が続いている、赤字が続いているだけですと要注意というような、これは原則の問題ですけれども、そういう区分にさせていただいております。そして、先ほどまさにお触れになられたように、条件を変更するというような貸し出し条件変更先の債権については、これは要管理先ということでありまして、これでもなお私どもはいわば最終処理の対象としてそれを見ていないということでございます。  そういうことで、先ほど来、竹中大臣との応酬における先生の御発言も注意深く聞かせていただきましたが、やや先生がカテゴリーの問題では少し誤解の上に立った御質問、御発言があったなという感じがいたしておりますので、そのことを申し上げたいと思います。  まだ私どもこれを最終的にどうするかということを決めておりませんが、現段階では仮に破綻懸念先であっても、余り画一的なということではなくて、よく債務者の事情に配慮したことをやるということを、実は緊急経済対策の中にはそういうことをうたっているわけでございます。  ただ、このあたりのことについては、もう少し今、今度の骨太の方針との関係で若干検討をさせていただくということでございますけれども、いずれにせよ、中小企業というのは、どっちかというと店と奥という、これは税務における言葉を、概念を使って恐縮なんですが、店と奥とが、つまり法人成りをしていても、実はオーナー社長である奥の方との関係で法人をバックアップするというようなこともありますので、法人だけを見てどんどん事を運ぶというようなことはよく考えるようにということは、これは一貫して私ども注意をさせていただいている点でございます。
  204. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が申し上げたいのは、カテゴリーを超えたことが現場では起きていると。金融庁は、この部分と言われているのはもちろんよくわかるんですが、カテゴリーを超えたことがこの間いろいろ起きているということを申し上げたいんです。  例えば一つだけ例を申し上げますと、先ほどおっしゃいましたけれども、条件変更。例えば要注意先の中で条件変更すると要管理先になりますよね。そうすると引き当て率が高まるんですよね、銀行。そうすると、銀行にとっては今引き当て率を高めたくないんですよ。そうすると条件変更そのものに応じないということが起きて、で、中小企業が今一生懸命四苦八苦しているところで条件変更に応じてもらえないと、それでつぶれるところもあれば、それが回って回って倒産の原因になるということも生じているんですよね。  ですから、そういうカテゴリーを超えた大変な事態が起きているということを、もちろん金融庁にも御相談は来ていると思いますけれども、ぜひつかんで、前向きなといいますか、そういうことの起こらないような対応をお願いしたいというふうに思います。  最後に、本当は最初に聞こうと思ったんですが、順番が変わってしまったんですけれども、この緊急経済対策そのものの歴史的な位置づけと言うとオーバーですけれども、今回、財務省の方の塩川議員提出資料の中に財政構造部会の報告書がございましたですね、六月十一日の会議でしたかね。  要するに申し上げたいのは、その中で、過去の十一回の経済対策について評価が今までとかなりがらっと変わったんじゃないかと。つまり、簡単に言えば的を射てなかったと。それはなぜかというと、需要拡大ばかりに目を向けて、不良債権という問題を過小評価したと。それでも財政出動を続けたと。結果的に景気は余り回復しなかったというふうな十一回のについて評価して、だから今回はということに多分つながるような総括をされていると思うんですけれども。  そうすると、我が党はもうかねてからああいう経済対策は間違いだということを指摘してきましたけれども、今までの十一回、百三十兆使って、公共事業にそのうちの七十数兆使ったあの経済対策は何だったのかと。あれをそのまま、塩川議員提出資料となっていますから、塩川大臣としてお認めになるということは、過去の経済対策緊急経済対策とか名前はいろいろですけれども、間違いだったということをお認めになるというふうなことなんでしょうか。
  205. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうは私言っておりませんで、今までの経済対策から方向を変えなけりゃいかぬと、こう言っておるんです。  百三十兆とおっしゃいましたけれども、これはこういうことじゃないかと思うんですけれども、一九九二年の宮澤内閣そして細川内閣、村山内閣、橋本内閣、小渕内閣、森内閣、全部を通じまして百三十一兆円の景気対策を講じておる、これは事実でございます。しかし、これはこれなりに大きい意味があったと思っております。  それはなぜかといいますと、一九九〇年に入りましてからバブルが崩壊するという状態が起こってまいりまして、そのバブルの崩壊が起こってくる根本原因は何があったかといったら、仮需要が多くなってしまった。それを生み出した最大の原因は、重厚長大産業が行き過ぎてしまいまして、右肩上がりがとことんまで上がってしまって天井へ来てしまった。だから、ここで転換しなきゃならぬ。その時代が一九九〇年でございましたが、それでも依然として一遍に転換できなかった。それはもう国の状況、世界もそうでございました。  したがって、政府がとりましたのは、その重厚長大産業の構造を漸次変えていかなきゃならぬ。その間には、やはり需要創出といいましょうか、需要追加型の予算を組んで、その中でだんだんとそういう産業構造の転換を図る。旧来の生産設備を償却して転換させていく。そのために、相当な資金を注ぎ込んで、公共事業を中心とした産業助成対策を講じてきた。それは私は、平成十年、十一年ごろまでずっと続いてまいりまして、効果があったと思っております。したがって、下支えをしながら、そして緩やかに着陸するというんでしょうか、転換をしてきた。  しかしながら、平成九年、十年ごろになりましてから、そういうことではなくして、新しいいわゆるデジタル産業に転換、どんどんと切りかえていきました。そうしますと、これからの景気対策というものは、そういう新しくできてくる産業を増大し拡大していく、そういう投資に対して積極的な対策を講じなけりゃならぬ、こういうことでございましょう。  また同時に、重厚長大産業から起こってまいりました競争力の弱い企業、国際競争力の弱い企業に対しまして、これは失業者が増大いたしましたので、その失業者救済をやらなきゃなりません。その意味においても、失業者救済のためにも公共事業の増大を図らなきゃならぬ。  そこで、公共事業のあり方も変えなけりゃなりませんのは当然でございまして、それはどこを変えるかといったら、例えば道路財源等を見直しまして、大型の、どんどんと山の奥のてっぺんまで高速道路をつくる、そういう公共事業じゃなくて、もっと身近で足元に必要な対策、公共事業、こういうものをやってもらう。それが公共事業の転換、それを私たちは言っておるわけでございまして、どうぞそういう意味で、今までの政府がやってまいりました対策は決してむだじゃなかった、非常に有効に働いたからこそ産業構造が転換できたんだ、こういうことを見ていただいたら結構だと思います。
  206. 大渕絹子

    大渕絹子君 きょうは、緊急経済対策ということで四つの法案が出されておりますけれども金融機能再生のための緊急措置に関する法律の改正案に絞って質問をしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  平成八年七月に住宅金融債権管理機構として設立をされて、そして平成十一年四月に株式会社整理回収銀行を吸収合併して現在の整理回収機構が発足をしました。今日まで、貸付金債権の買い取りあるいは回収業務、旧住専や金融機関等の破綻原因に関与した経営者等の民事、刑事上の責任追及、あるいは金融機関自己資本充実のために、金融機関が発行する優先株式等の引き受けや、あるいは劣後ローンの買い付け、譲渡、処分に至るまで、金融システムの安定回復のために努力が続けられていることは十分に承知をしています。平成十一年六月には民間サービサーの資格も取り、営業許可の資格も取られたということでございます。  この改正案の中身に入りますけれども、本年三月三十一日でこの法案は期限切れですよね、健全銀行からの不良債権の買い取りというのは。三年間さらに延長するということが今になって出されてきたわけですが、提案者に聞きますけれども、この健全銀行からの不良債権の買い取りというのは民間サービサーで対応ができるのではないか、この法案は不要なんじゃないかと私は思っているわけなんですけれども、いかがでございますか。
  207. 塩崎恭久

    衆議院議員(塩崎恭久君) 今、先生から御指摘ございましたように、これは住管機構とそれから整理回収銀行が一緒になったということででき上がったものでありますが、九八年の金融国会の際に、その年の頭ぐらいから、いわゆる不良債権銀行バランスシートから落とさなければいけないというときに、まだ日本には不良債権の流通市場もない。そして、共同債権買取機構というのがございましたけれども、これは実質的に自分のバランスシートから本当に落ちているものでもない。そして、証券化というものもバルクセールなどで行われるようになり始めたところであったわけでありますが、非常に安値でたたかれるというようなこともございました。もちろん、サービサーは金融国会でやっとできたものでございまして、御指摘のとおり、その当時にはなかったからやったという部分ももちろん一部あるわけでございます。  金融国会でできた、一般銀行、まあ健全銀行と言っていますが、不良債権を買い取るというのは、今申し上げたように、当時は余り選択肢はなかった。だから、一般銀行からも不良債権を売れるようにしようということであったわけでありますが、その後、確かにサービサーはできました。しかしながら、今回、これを引き続きあと三年間買い取りを続けてもらおうということにしたのは、いまだにやっぱりサービサーも十分その機能が完全になっておるわけでもない。例えば格付もまだできていないというようなこともございますし、それから実は整理回収機構というのは銀行法上の銀行でもございまして、そういう議論も実は私どもの党の中でもあって、不良債権処理というのはいわば金融再生と産業再生と両方だと。そのときの手だての一つとして、やっぱりこれを引き続き残そうじゃないかということが我々の中でずっと議論をされておりました。  それで今回、三月三十一日で終わるところでございましたが、実際、法律的には終わったわけでありますけれども緊急経済対策ということで四月六日に正式に決定をされて、他にも、信託業務をどうするかとか、整理回収機構の扱いの問題も含めていろいろとまだできることがあるんではないかということで、今回、これを不良債権処理の手だての一つとして残そうということで、こういうことにしたということでございます。
  208. 大渕絹子

    大渕絹子君 この五十三条の規定は、平成十年の法律制定時には原案にはなかったんですよね。その原案になかったことを与野党の協議で緊急に、破綻している銀行がある、銀行には莫大な不良債権がある、ここをやらないことにはどうにもならないということで、本当に緊急時限的措置として盛り込まれたと思うんですよね。その当時でも、いわゆる不良債権の買い取りという形を通じて金融機関を救うためにお金が流れるのではないか、あるいは銀行経営者に対するモラルハザードなどが助長されるんじゃないかという懸念が指摘をされて、緊急的な措置として三年間ということで盛り込まれたと私は承知をしているんですね。  ですから、延長は予定されていなかった。本来なら、予定されていて、本当に政府が必要だとするならば、期限切れのところでもう切れてしまって、今こうして新たにまた改正案として出てくるなんてことはあり得ないわけでございますよね。そこらは提案者はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  209. 塩崎恭久

    衆議院議員(塩崎恭久君) 今、先生からモラルハザードのお話も出ましたが、モラルハザードがもし仮にあるとすれば、それは、市場で売却する価格よりも優位な価格であったりする場合には当然そういうことが想定されると思うんです。  しかし、我々は、いわゆるデューデリジェンスという、言ってみれば本当に市場の価格で買い取るということでこれを始めてもらったわけでありまして、当時は確かに、三年ぐらいのうちに不良債権の問題が片づけばと、こういうことで私ども議論して、実際私も交渉の最前線でやらせていただいたわけでありますが、それが実際三年たった今日に至っても、まさに今、日本経済再生にとって不良債権処理が一番の大きな課題であるということは、竹中大臣がおまとめになっているあのペーパーにも書いてあるとおりであって、そうなると、あらゆる手だてを使いながらこの不良債権問題を片づけなければいけないということで、これを残そうということになったわけであります。  それで、これはもともと議員立法であります。そして、それを延ばす延ばさないもやっぱり議員が決めてしかるべきだったと思いますが、今回、与党の案として決まったのも三月九日でございますし、政府の案として正式に閣議決定されたのも四月に入ってからということで、期限が切れた後に、今度は申し込み期限を十六年三月三十一日まで延ばすということで、その辺は確かに御指摘の点ごもっともなところもございますが、やはりもう一つ手だてとして残していくということも大事ではないかと思ったわけでございます。
  210. 大渕絹子

    大渕絹子君 一般銀行から不良債権を買い取る資金はだれが出すんですか。どこから出るんですか。
  211. 塩崎恭久

    衆議院議員(塩崎恭久君) いわゆる公的資金ということになるわけでありますが、今申し上げましたように、どういう価格で買うのかということが一番大事であって、損を出さないような価格で買わなければいけないという縛りをかけた上でこれを買っていることになりますので、回収によってロスが出ないようにという価格が設定されているはずでございます。
  212. 大渕絹子

    大渕絹子君 当然、株式会社という名前になっているわけですからそういうことだろうというふうに思います。しかし、預金保険機構で公金を出して整理回収機構を運営するということは、預金者保護ということが前面に出ていて、そのために公金が投入されるということはあってもいいと思いますけれども、そのことと、健全銀行を救済するために不良債権を買い取るために公金が使われるということは全く違うことだというふうに思うんですよ。  銀行経営者として利益を追求しながらやっているんですから、そこはみずからの責任において自己処理をすべきであって、民間サービサーもあるわけですから、あえて整理回収機構はこの分野にとどまっている必要性というのはないと思いますけれども、いかがですか。
  213. 塩崎恭久

    衆議院議員(塩崎恭久君) 先生御案内のように、この整理回収機構、その前身から考えてみれば大分長い間いろいろノウハウを蓄積してまいりました。回収の実績もかなり上げてきて、もちろんまだまだ足りないところがあって、新たなこともお願いしなきゃいけないなという議論を我々は今しているわけでありますけれども。  そんな中で、例えば、預金保険機構の方に罰則つきの特別調査権というのがございまして、回収の実を上げるために預金保険機構にこういうものが付与されて、それで一体となってこの整理回収機構が回収を図れるということができるわけでありまして、そういう意味で、銀行にとっては今や選択肢は、もちろんみずから不良債権の回収を図る、これがまず基本だろうと思います。それから、市場で売っ払うというのも一つの手であります。その際にはまたサービサーに売るというのも一つの手でありましょうけれども、もう一つの手だてとしてこの整理回収機構の回収にゆだねるということも、今申し上げたように他のところにはないできることがございますので、これを残そうというのは、それなりに理のあることであると我々は判断をして決めさせていただいたということでございます。
  214. 大渕絹子

    大渕絹子君 ありがとうございました。  民間サービサーを育てていこうという方針は、政府としてもそうだと思いますね。今国会でも民間サービサーの育成のための法律が出されておるということも承知をしておるわけですけれども。  松田事長にきょうはおいでをいただいておりまして、ありがとうございます。  理事長お尋ねをいたしますけれども、整理回収機構と債権管理回収業、いわゆる民間サービサーとの違いはどこにありますか。
  215. 松田昇

    参考人松田昇君) 一般のサービサーとしてRCCも登録をして開業いたしておりますので、現在の整理回収機構は、一般のサービサー、民間サービサーとしての立場と、それから各種の法令によって、基本的に言えば、例えば破綻銀行からのもの、あるいは健全銀行からのもの、あるいは預金保険機構が申し込みを受けまして、価格を設定して当局の承認を受けて、その上で実務をRCCに委託している、こういうような形のものがございます。  したがいまして、公的な意味でのサービサー、回収業者としての場合は、一つは、資金は預金保険機構が例えば市中から政府保証つきで集めて、それをお貸しして、その監視、監督を続けながら回収を督励していくという形のものが一つございます。それから、損失補てんという問題も一つそこにかかってまいります。と同時に、先ほど塩崎先生からお話がございましたように、預金保険機構が持っております、悪質な債務者の隠匿資産を発見していくという財産調査権、特別調査権を持っていますので、そういうものが公的サービサーにはついているわけでございます。  ところが、一般の民間のサービサーにはそういうものは一切ございませんで、例えば、RCCとしても一般サービサーでやるときには、自己の資金のリスクから、回収のリスクから、損失補てんがありませんから、そういうリスクも全部しょった上で一般の民間業者と競争していかなきゃいけない、こういう立場にあると、このようなことだと思います。
  216. 大渕絹子

    大渕絹子君 重ねて松田事長お尋ねします。  平成十一年三月の金融再生委員会告示で枠をはめられていてやりにくいのかもしれませんけれども、今後、政府金融機関からの不良債権の買い取りについてどうされていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  217. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  今の政府金融機関からの買い取りというのは、現行の法制のもとでは、整理回収機構としては、一般の民間サービサーとして買い取る範囲を広げようという意欲といいますか、努力目標ということで理解をいたしております。
  218. 大渕絹子

    大渕絹子君 そこは少しおかしいと思うんですね。政府が資金を出してつくっている公的なサービサーだからこそ、政府金融機関からの不良債権処理に乗り出してもまあ何とか納得されるのではないかというふうに思うんです。  柳澤金融大臣、このRCCが、政府金融機関不良債権、もうこれは本来ならば不良債権なんかあっちゃならないんですよ。その不良債権処理に乗り出すことについてどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。済みません、通告してありませんで。
  219. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、松田事長がおっしゃったことを単に繰り返すことになるんですけれども、要するに今、整理回収機構は特別な立場。つまり、破綻金融機関から不良債権を、新しい譲渡先が引き取ってくれないものを引き取るという立場、それから、本当に破綻した金融機関をついに引き取り手がないときには丸ごと引き取るというような立場、こういう特殊な立場があるわけでございますが、それと同時に、普通のサービサーとしての立場もあるわけでございまして、現在のところでは、政府金融機関不良債権を譲り受けるというか、引き取るということについて特別の法制の枠は存在しません。  したがって、政府金融機関不良債権を持ってサービサーに引き取ってもらいたいと思うときには、民間のサービサーなどと同じように見て、自分が有利だと思えばこの整理回収機構にそれを譲渡する、そういう形にならざるを得ないというのが現在の制度でございます。
  220. 大渕絹子

    大渕絹子君 ですから、いわゆる整理回収機構の役割と民間サービサーの役割というのを明快に分ける必要はないのかもしれないけれども、その育ってきた環境からすれば当然分けざるを得ないというふうに思いますよね。そこをきちっと使い分けをしながら不良債権処理がこれから先進んでいかなきゃならないというふうに思うわけですよ。  松田事長に尋ねますけれども、それでは、十一年からこの法律にのっとって一般健全銀行から買い取った資産、不良債権はお幾らで、幾ら回収されていて、回収率は幾らでございますか。
  221. 松田昇

    参考人松田昇君) いわゆる五十三条買い取りという健全行からの資産の買い取りでございますが、十一年度と十二年度合わせまして、元本の総額で九千七百三十二億円、約一兆円弱ということになりましょうか。そして、その買い取り価格は三百四十三億円でございました。  現在、それの完遂を目指しましてその回収を行っているわけでございますが、現在のところの平成十三年四月末現在で二百二十六億円を回収している、六五%ぐらい回収している、こういうことでございます。
  222. 大渕絹子

    大渕絹子君 損益計算書や貸借対照表を見せていただきましたけれども利益が上がっていますよね。一般健全銀行からの回収業務も、六五%の回収率ということになれば、これは何も公的な機関の整理回収機構が乗り出さなくても、一般の民間サービサーでも恐らくかなりの回収率を上げることができるというふうに、先ほどの財務調査ですか、調査権を使っての回収でここまでようやくいったんだということなのかもしれませんですけれども数字的に見ると、買い取り価格がわずか元本の三・五%ぐらいの本当に低い価格で買い取るわけですよね。その回収率が六五%に上がっているという現状は、これはもう民間でも十分にやれる数字ではないかなというふうに思っています。  もう一点聞かせてください。RCC、整理回収機構が自身の債権放棄をされたことなどがあるのでしょうか。私はそれはちょっと信じられなかったんですけれども債権放棄の実績と現状を教えてください。
  223. 松田昇

    参考人松田昇君) そのお答えの前に、先ほど先生が触れられた点なんですけれども、私どもが現実に扱っておりますのは、権利関係が複雑で、利害関係人が多くて回収に非常に困難を伴う事案、あるいは暴力団絡みの事案、あるいは遠隔地に担保が点在している場合、あるいはバルクセールでは漏れてしまったような案件、そういうものを主として引き取っているわけでございますので、価格が低いというのはそういうところに背景がございます。  今お尋ね債権放棄の問題でございますが、整理回収機構におきましては、債権放棄を行うために三つの条件を考えておりまして、一つは、債務者が弁済に関して誠意ある姿勢を示しているということ、二番目として、債務者がみずからの資産内容につきまして誠実にすべてを開示してくれるということ、三つ目に、例えば債権放棄を行わない場合あるいは法的整理に直ちに回ってきた場合に比べて迅速かつ確実に回収の極大が図られるケース、こういう場合に限って例外的に運用しているところでございます。  その実績でございますが、平成十一年四月の整理回収機構発足から本年三月末までの間に、件数で百二十件、金額で七百四十六億円の債権放棄を実施しておりますが、社会的弱者等にも十分配慮した運用をしている、そういうことでございます。
  224. 大渕絹子

    大渕絹子君 この債権放棄の実施状況の中で、いわゆる初代の社長さんでありました中坊公平さんが、血も涙もある回収ということをよく国会の参考人で来られたときにもおっしゃいましたけれども、そういうことで債権放棄をせざるを得ないというものも数あるということで了解をしなきゃならないなというふうに思います。  担保でとられた不動産とかあるいは不良債権の証券化の問題についてお尋ねしたいと思います。  長銀ビルが証券化によって売り出されるというニュースを見て少し前進をしたかなというふうに思っておりまして、これから先も銀行による最終処理や直接償却などの促進をするためにもこの証券化というのは避けて通れないことだろうというふうに思いますけれども、この問題についてこれから先どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
  225. 松田昇

    参考人松田昇君) 御指摘の旧長銀本店ビルの売却の問題は、我々は、我々と申しますか、整理回収機構の立場は債権者でございまして、その債務者でその建物を所有されている方の委託を受けて証券化の作業を行いました。その結果、証券化が成功したわけでございますが、その間、若干時間がかかりまして今日に至ったわけでございますが、なお引き続きそれにかなうような物権を現在設定いたしておりまして、やれる範囲でとにかく進めていく、こういうつもりでおります。
  226. 大渕絹子

    大渕絹子君 さっきのところをもう一問、済みません。  五十三条に基づく一般金融機関からの資産買い取り状況はさっき言っていただきましたけれども、この買い取りの基準というようなものはどういうふうになっておるんでしょうか、教えてください。
  227. 松田昇

    参考人松田昇君) 私ども、法令に従って公的な立場で買い取り及び回収をいたしておりますので、それは先生御案内のとおりでございましょうが、金融再生法の五十三条と五十九条でしたか、そこに規定がございまして、資産買い取り基準というものがさらに告示で、当時の金融再生委員会の告示で認められておりまして、そこに書いてある要件に従ったものを買い取っているということでございます。
  228. 大渕絹子

    大渕絹子君 その基準に従って今年度の三月期に大手銀行の決算が発表されました。先ほどから議論になっているわけですけれども、十一兆六千八百億、十一兆七千億ぐらいの不良債権の計上がなされていますけれども、この一般銀行不良債権のうち、RCCでなければならない分野というのは一体どのぐらいあると推計できますでしょうか。
  229. 松田昇

    参考人松田昇君) 大変難しい御質問で直ちにお答えできないんですが、ただ先生、先ほどちょっと申し上げましたように、買い取りました債権元本が約一兆円でございますよね、この二年間で。一兆円をオフバランス化したということでございますので、さらにそれが上積みになるように頑張りたいと思っております。ぜひ延長させてください。
  230. 大渕絹子

    大渕絹子君 最後に、大臣に伺わさせていただきます。  この法案は本当に大臣の立場からしても欠くべからざるもので、これがなければならないものであったかどうかということを聞かなければなりません。  私は、国会で法案をつくっている立場からして、ほかの法案をきちっと整合性を合わせていくと、これはなくても当然RCCで一般銀行からの不良債権の買い取りはできるわけでございまして、景気対策と銘打ってこういう法案を出されてくること自体、本当に情けないな、私たちはそれを見抜けない立場にあるんだなということを思いながらきょうはこの問題に集中して質疑をさせていただいたわけでございますが、大臣、いかがでございますか、明快に答えてください。
  231. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大渕委員から大変おしかりを伴った御質疑をいただいたわけでございますが、もちろん政府もこの問題の所在には気がついていたわけでございます。忘れていたとか無視したとかということではございません。  私の気持ちは、先ほど来大渕委員がおっしゃっていらっしゃったとおり、むしろ民間のサービサーと競争をした方がいいかもしれない、いい面もあるんじゃないか。と申しますのは、私どもは、もちろん国民の負担も物すごく大事なんですが、民間の金融機関のこうむる損失もできるだけちっちゃくしたい、これは両方は一遍に成り立たないんですが、そこはもう本当の均衡点を見出したいという気持ちがどうしてもあるわけでございます。そういうことで、もうちょっと欲を言うと、整理回収機構が高く買ってくれないかな、それにはむしろ普通のサービサーと競争した方がいいかもしらぬなという気持ちも率直に言って頭をよぎりました。もう一つは、先ほど来触れております特別調査権つきのサービサーの役目でなければならない事案というのは大体もう終わっているんじゃないかなという気持ちというか、そういう評価もございました。そういうようなことで、情けないと言われちゃって私も本当に面目がないのでございますけれども、ここは期限を経過してもいいんじゃないかという率直な気持ちがございました。  ところが、党の方で、特に塩崎議員なんというのはこういったことについてのエキスパートでございますので、やっぱり延長すべきだと。これは単純にただ延長するということではなくて、今後の金融行政が直面する問題の状況というものを考えると、いろいろもうちょっと応用動作をきかせるということも展望されるかもしれない、こういうことをエキスパートの塩崎先生などはお考えになっておられて、私も、そういうことを政府の立場からあながち否定しなくていい、すべきではなかろうという判断をまた新たにいたしまして、塩崎さんの今回の御提案というものを大変結構でありがたいということで、何と申しますか、是認する立場に立っているということでございます。  ですから、単純に今までの延長だけだということであれば、私なんかも、それはまあむしろ民間サービサーと、先ほど来委員が御指摘になられているように、サービサーと競争すればいいじゃないかというような立場なんですが、今後金融行政が直面するいろんな問題を考えて、ここは延長しておくべきだということをおっしゃられるそういう党の立場も、我々として、いやそんな必要はありませんよという気持ちはないということで今回のことを受け入れているということでございます。
  232. 大渕絹子

    大渕絹子君 今、党の立場というのが出てきましたので納得しました。選挙ですものね。金融機関、救済しなきゃなりませんものね。もうそういうことに尽きるというふうに思いまして、終わります。
  233. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 四案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三分散会