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2001-05-24 第151回国会 参議院 財政金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年五月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十八日     辞任         補欠選任         鴻池 祥肇君     森田 次夫君  五月二十一日     辞任         補欠選任         森田 次夫君     鴻池 祥肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 基隆君     理 事                 林  芳正君                 日出 英輔君                 勝木 健司君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君     委 員                 上杉 光弘君                 河本 英典君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 谷川 秀善君                 野間  赳君                 星野 朋市君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 大門実紀史君                 大渕 絹子君                 笹野 貞子君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    若林 正俊君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小林 勇造君        内閣府政策統括        官        坂  篤郎君        厚生労働省職業        安定局次長    青木  功君        中小企業庁次長  羽山 正孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (経済財政構造改革に関する件)  (緊急経済対策に関する件)  (金融機関リスク管理に関する件)  (公的金融の在り方に関する件) ○国有財産法第十三条第一項の規定に基づき、国  会の議決を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会内閣府政策統括官小林勇造君、内閣府政策統括官坂篤郎君、厚生労働省職業安定局次長青木功君及び中小企業庁次長羽山正孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 河本英典

    河本英典君 おはようございます。自由民主党の河本でございます。  きょうは、自民・保守を代表いたしまして、三十分ほどでございますけれども、先般伺いました所信につきまして、財務大臣そして金融担当大臣質問を少しさせていただいて、御意見等伺いたいというふうに思うわけでございます。  四月末に小泉内閣が成立いたしまして、とまっておりました国会がまた連休明けからスタートしたわけでございます。新大臣から所信をお聞きした後の本日の質問でございますけれども、改革断行内閣小泉総理みずから標榜され、今度こそ今日までなかなかできなかった改革をしてくれるのではないかという大きな国民の期待が寄せられております。  そんな意味で、財政金融分野においても、不良債権問題等、かねてよりの課題の解決に向かって両大臣にこれからの御活躍をお願いするものでございます。  所信にもありましたように、塩川財務大臣は、本格的な景気回復構造改革への取り組み、そして緊急経済対策の実行ということをおっしゃったわけでございます。また柳澤金融担当大臣は、金融機関不良債権の処理問題での最終処理、そしてその後、金融機関収益力を増強してさらに産業再生経済全体の再活性化を図るというふうに述べておられるわけでございますけれども、何よりも経済が沈滞しておるということでございますし、一時少し上向いたという話もございました。しかしながら、アメリカの方がちょっとおかしくなったということで、上向きかけたような感じがした景気が若干おかしくなって現在に至っておるわけでございます。  まず両大臣から、現在の経済に対する基本的な御認識というのを簡単でよろしいですので聞かせていただきたいなというふうに思うわけでございます。大臣じゃなくて副大臣でも結構でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 河本さんのお尋ねでございますが、私は今、日本経済状況は、ファンダメンタルズは悪くはないと思うておるんです。しかし、景気はよくないという感じがしております。しかも、景気は非常に深刻な状態にあるような感じがいたしておりまして、それは一つは、大きく期待しておったIT産業、また情報通信機器関係産業が予想よりは伸びが鈍化してきておると。これはアメリカ影響も大きく受けておりますが、そういう状況にあるのではないか。したがって、この面におきますところの回復というものを早急に図っていくべきであろうと思っております。これはヨーロッパの関係もそのようでございまして、最近、EU関係経済もちょっと弱ってきておることも関連してきておるように思っておりまして、我々も一層の努力をいたします。  また、副大臣一つの見識を持って経済を見ておりますので、お聞き取りをいただきたいと思っています。
  7. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 基本的にはただいま塩川大臣の方からお話しございました認識を共有いたしておりますが、やはりファンダメンタルズはしっかりしているわけですから、それぞれが自信を持って積極的に新しい分野に取り組んでいく、そのインセンティブを与えるようにしまして、それぞれの民間活力が発揮できるようにしていくことによりまして立ち直っていけると、このように認識しております。
  8. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 若干の感想を述べさせていただいて御答弁にさせていただきたいと、こう思うんですけれども、今先生がまさにうまく表現されましたように、今の日本経済、やや景気回復軌道に乗って、そのスピードがどうこうという段階であったはずなんですけれども、アメリカ経済が減速し、その幅も割と大きいんじゃないかというようなことで生産活動等が非常に鈍ってきた。にもかかわらず在庫が積み上がってきているというようなことで、なかなか商品あるいは在庫等の移動が活発に行われていないということが見えるんではないかと、こういうことかと思います。そこで、政府はさらに弱含みという判断をしておりまして、私もそんなものかなというふうに思っています。  感想というのは、アメリカ経済影響ということなんですが、実は日本輸出は今GDPの大体一割なんですよね。五百兆円がGDPとすると五十兆円なんですよね。しかも、アメリカに対する輸出のウエートというのは、近時もう非常に低下しておりまして二〇%ちょっとなんですね。ですから、一割の二〇%ということになれば、これは本当に微々たるもの、二%ぐらいというはずなんですね。ところが、なぜこんなにアメリカの減速ということがえらい影響を持つのかということを私は非常に不思議に思っている者なんです。恐らく心理的なものが日本人に強過ぎるんじゃないかなというような感じが実はしておるということでございます。  それから、もう一つの私の感想をこの際言わせていただきますと、消費が非常に鈍っているということを多く言うんですけれども、マクロ的に言うと、この間ようやく私の意見と同じような見方の小論文を日本経済新聞で見ましたんですが、日本人口構成高齢化というものが本当に消費影響がないのかという観点でございます。私は、そういう観点分析が全くないというのが非常に不思議だというふうに思っておりましたが、先般、ようやくある研究者が、日本人口老齢化というものが消費の動向に非常に大きな影響を与えているんではないか、そんなに一人一人の消費が縮こまっているわけではないということではないかと。このあたりのことをもっとよく関心を持って我々は勉強していく必要があるなという感じを私は持っているということです。
  9. 河本英典

    河本英典君 今まさに柳澤大臣がおっしゃったように、一つの新しい感想といいますか分析が示されたわけでございますけれども、経済というのは、財務省なり金融庁方々は長らくかかわってこられて大ベテランの方がたくさんおられるわけでありますけれども、政策という観点マクロ経済という観点経済を見てこられておるということで、いろんな数値が上がった、下がったとか、ふえたとか減ったとかいろんなことをおっしゃるわけでありますけれども、それは一つ分析としては当たっているのもあるわけでありますけれども、こうして時代が変わってきた。例えば、高齢化が進んで人口構成が変わったということで若干違う動きがあるじゃないかという話も今伺ったわけでありますけれども、そんな意味で、未経験のものに対してちょっと弱いんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  デフレであるということがちょっと言われたわけでありますけれども、今まではインフレ政策の中での経済運営が大変得意だった方々が大勢おられる。その中で、デフレに対してどうしたらいいかということを、知識はあるけれども余り知恵がないというところでもたもたしているのかなというような気もするわけであります。  経済というのは、私が思うのは、人の経済生活の集大成でありますから、先ほど言われた心理的な面、消費なんかで特に大きいわけでありますけれども、そういった部分というのは非常にあるんじゃないかと。だから、金で見るとか物で見るということも非常に大事な物差しではありますけれども、その見えない部分の人の心理といいますか、心の部分も非常に大きく影響してくるんだと。その結果がマクロ経済としての大きな動きになってくるんじゃないかなというような気がするわけであります。  私は、最初に経済というのはどんなのかと習った例え話で、ちょうど壊れたラジオみたいなもので、何か鳴らぬようになったら、配線を調べるのもいいけれども、け飛ばしたら鳴り出したと。そんな話があるぐらいで、ショックを与えるということも非常に大事なことでありますし、今されようとしていることは、小泉内閣のおっしゃる、民間という言葉をよく使われるわけでありますけれども、民間にできることは民間でしようじゃないか、民間活力をしっかり経済に生かすようにしていかなきゃいかぬじゃないかなというふうに思うわけでございます。  塩川大臣大阪の選挙区で、大阪の御出身でございますけれども、経済に対する物の考え方というのは東京関西では随分違うような気がいたします。もちろん、近代になってからの経済でございますので明治以降の話になると思うんですけれども、どうしても政府政策中心にやってきた経済東京経済日本経済になるわけでありますけれども、関西経済というのは、堺の自由港とか、そういった自由主義的な活動の中での経済活動があります。今は大企業でありますけれども、もとは中小企業ベンチャー企業が大きくなって大企業になったという土壌を考えますと、新しい商売、ニュービジネスも、それから新しい商品開発も割と関西企業がよくやっているという経緯があるわけでございまして、ここで一度やはり関西的な、もちろんマクロ経済専門にされておる方々にこんなことを言うのは意味ないかもしれませんけれども、ミクロの経済というのも考えてみないかぬなというふうに思うわけでございます。  金融庁金融不良債権問題でいろいろ対処していただいておるわけでありますけれども、主に注入行大手、またその大手お金がたくさん行っている会社というのは大体大きなところでありまして、中小零細企業といいますと、つぶれかけているような会社はだめなんでありますけれども、中小中堅企業というのは結構いい技術力を持っている、いい開発力を持っている、そういったところに実際こういった状況の中できっちりお金が回るような仕組みになっているのかなということを心配するわけでございます。  もちろん、直接融資のためのいろんな施策はしていただいておるわけでありますけれども、やはり何といいましても、一番身近なのは金融機関からの借り入れということが一つ金融基本でありまして、過去のいい会社も、中堅企業も、実は、直接金融をやるより、銀行借り入れによる、金融機関借り入れによる間接金融に頼ってきたわけでございます。  その会社バランスシートを見ますと、言うなら非常に負債が多いと、借り入れが多いですから。その中でもしかし、今までは優良な資産土地中心でありますけれども、株式もそうでありますけれども、そういった資産とのバランスをとりながらきっちりやってきたのでありますけれども、ここへ来まして、いろんな話を聞いていますと、財務体質財務体質と言われると自己資本が充実していないとだめだという話になってきて、金融機関はそうかもしれませんけれども、一般の会社というのは、今まででも結構きっちりバランスをとって堅実にやってきた会社があるわけでありますけれども、その辺がちょっと今困っているんじゃないかなというふうな気がするわけでございます。  ちょっと聞いた話でありますけれども、金融検査が大変厳しくて非常にお金が出にくくなったというふうなことをちょっと聞いたことがあるんで、その辺はどうなのかなということで、一つは、きょうは金融庁に、検査基準というのは一体どういうところでやられているのかということで、一体マニュアルというのはどんなのかなということを聞きたいというのが一つ質問であります。  もう一つは、これからの活力を生み出すための、やっぱり経済国民が、企業がやる気を出して金を稼ごうじゃないかということで、頑張らすという仕組みに一番影響するのは実は税制でありますので、税制というものを今回、緊急経済対策でもちょっと考えていただいているようでありますけれども、これにとどまらず、将来どういうふうに考えたらいいのかというお話をさせていただきたいなということできょう質問に立たせていただいたわけでございます。  まず、検査マニュアル金融機関検査基準というのは一体どんなものかということを概略で結構ですのでお聞かせいただきたいと思います。
  10. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 河本先生から御質問ありましたが、金融検査でございますけれども、金融機関民間企業、私企業でございますから、企業銀行経営自己責任原則というものに基づきまして、金融機関経営健全性確保ということで、その体制を補完する、補強するという形で検査をしているわけであります。  マニュアルでございますけれども、従来は、どういうところに貸しているかとか、当局の指導型という検査から自己責任型への転換を促進するということから、事後監視型のチェックということになっているわけです。それから、従来の資産査定中心検査からリスク管理重視検査への転換を図るという内容になっておりまして、金融検査マニュアルというちゃんとしたものが出ておりまして、それが公表されているわけであります。  金融機関検査中心となる柱は二つありまして、一つリスク管理が適切になされているかどうかという観点。その中には、金融機関が持っているリスク内容によりまして信用リスクとかシステムリスクとかいろいろございますけれども、そういうリスク管理が適切に行われているかどうかという観点が一本の柱でございます。もう一方は、法令等の遵守が的確になされているかどうかというもう一つの柱があるわけであります。  そういう観点から、二本の柱を中心にして、今御質問金融検査マニュアルの中でチェックリストをあらかじめ示しまして、その検査を行うときにチェックポイントを示して検査をする、こういう形になっているわけです。こんな分厚いものがありまして、公表されております。
  11. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 税制あり方についてのお尋ねでございます。  税制につきましては、これまでも経済社会構造変化に対応しながらその全般の見直しを進めてきているところでございますが、御承知のように、我が国の経済社会少子高齢化国際化等がさらに進展しておりまして、新しい世紀におきましても税制として公正で活力のある社会が実現していくためには、そういう変化に適切に対応をして、公平、中立、簡素といった基本原則に従った税制の構築が大事であると、このような認識でございますが、昨年の七月に税制調査会は「わが国税制の現状と課題」という形で取りまとめ、発表しております。「二十一世紀に向けた国民の参加と選択」という総合課題取りまとめをいたしておりまして、将来の税制あり方につきましては、そのような税制調査会におきます中間的な取りまとめの方向に即しながら、さらに具体的に詰めることにいたしてございます。  公的サービスの財源であるという税の基本的な性格を踏まえながら、社会構成員である国民の皆さんが公平に分かち合うという観点に立ちながら、お話しございましたように、新しい投資、新しい生活様式、そういったものがそのことによって進んでいくようなインパクトが与えられるような点も考慮しながら、国民的な議論を得て検討を進めていくというのが基本的な考え方でございます。
  12. 河本英典

    河本英典君 同時に答えていただいたわけでありますけれども、金融検査についてでありますけれども、金融機関は、やはり一番収益性がいいのは貸し金であるということで実は貸したいわけでありますけれども、本当は、貸したいところはお金は要らぬと言うとるわけですね。ちょっと欲しいなというのは、実は元気はあるけれどもちょっと財務体質のよくない先ほど言いました中堅中小企業であるということで、なかなかその辺のマッチングができていないということなんですけれども、金融検査が厳しいということでなかなか出てこないということ。  それで、昔は不動産ということが大きな担保であったわけですけれども、このごろ不動産を持っていてもなかなかだめだと。よっぽど将来性があるところなら別なんですけれども、そんなところはなかなか数が少ないわけでありまして、注入行はそういった意味で若干萎縮しているといいますか、気を使って怖がっておるわけでありますけれども、逆に、注入行でない地銀とか信用金庫なんかの方は、経営者考え方によってかなり思い切って貸してもいいということを明言されているところもたくさんあるわけでございまして、その辺が一つの救いかなと思うわけでありますけれども。  日本金融機関の総貸出量の中で、注入行と注入行でない貸し出しのバランスはどんなものかということをちょっとこの間伺ったんですけれども、それを教えていただけますか。
  13. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 全金融機関ということ、ただ……
  14. 河本英典

    河本英典君 概数で結構です。
  15. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) はい。系統金融は除きまして言いますと、全貸出金に占める資本増強行の占める割合というのは五五%程度と、こういうことでございます。
  16. 河本英典

    河本英典君 わざわざ言ってもらって申しわけないです、聞いていたんですけれども。  私は、実はもっと多いのかなと思っておったんですけれども、そうでないところがたくさんあるということは、まだこれはいろんな意味で余地があるということで、よかったなというふうに感想を持ったわけであります。やはり、そうしたことは非常に大事じゃないかなというふうに思うわけでございます。  金融庁の御関心は、とりあえず公的資金を注入したところをしっかり見るということはもちろん大事でありますし、ほかも見てもらわにゃいかぬわけでありますけれども、しかし、金融機関そのものを見るのが目的じゃなしに、やはり経済そのもの活性化してもらうというのが本来の目的でありますので、そこを間違うと今度は本当に萎縮したような形でおかしくなるなというふうに思うわけでございます。  不良債権の問題もいろいろ言われておるわけでありますけれども、私は一つだけ不思議でかなわぬのは、これは言うと、今はタブー視されておるわけでありますけれども、土地の問題であります。土地も、かなりひどい土地が大変な高い価格で取引されたということで、明らかに不良というものと、昔から持っていてきっちりした不動産というのは本当に価値があるものもあるわけでありますから、とにかく土地イコール悪というような物の考え方は、これは経済再生にとって非常に私はマイナスじゃないかなというふうに思うわけであります。  先ほど税制お話も聞きましたけれども、これは財務省にお願いせにゃいかぬわけでありますけれども、土地税制ということを、ただ単に、持っているところから税金を取るのはいいんだという物の考え方じゃなしに、やはり動くように、価値が生み出せるような土地税制をやっていかないと、結局は経済活性化がうまくいかないんじゃないかというような気がいたすわけであります。  株も、どこまで下がるかわからぬということでずっと来たわけでありますけれども、まあまあちょっと落ち着いたかなということでありますけれども、土地はまだみんなが確信しておりません。もうこれで終わりだなと思ったらちょっと雰囲気が変わると思うんですけれども、この土地について、ぜひとも私は塩川大臣にそのことを頭に入れておいていただきたいなということのお願いでございます。  今までしっかりやってきた中堅中小企業というのはたくさんあるわけでございますので、そこらの力を生かさぬと、全国ブランドそれからワールドブランドの大きな会社基本的に自律回復力を持っておるわけでありますから、やはりその辺をしっかり支えていかにゃいかぬじゃないかなというふうな気がしてならぬわけでございます。  これからの目的経済再生でありますし、この経済活性化がない限り二十一世紀日本というのは運営できないわけでありますので、これは財政再建にもかかってくるわけでありますので、金の卵を殺してしまわないように、金の卵をたくさん産むようにしっかり育成していただきたいなと。政府の今までの政策は、大蔵省がお金を通じてやった、それから通産省がつくる方を支えたとか物流を支えたとか、いろんな面でやってきたわけでありますけれども、もう一度新しい世紀日本経済を支えるような政策をしっかりやっていかにゃいかぬということであります。  最近はどうも数値に走りがちで、お金のことばかり言うておる。これではいかぬわけであります。その辺を、しっかり汗をかいて働いて付加価値を生んで税金の源をつくる、こういった仕組みをもう一度つくり直さないと、何か要領よくもうけたやつが得するような社会の風潮が実はバブルであったわけであります。今バブル後始末をしていただいているわけでありますけれども、これは単なる金融機関バブル後始末でありまして、一番怖いのは、国民の心の中にあるバブルというのはまだ直っていないかもしれません。これから額に汗して頑張って日本をもう一度再建するんだということを訴えていかにゃいかぬなというふうに思うわけでございます。  私はそういうふうに考えておるわけでございますけれども、余り多数意見でございませんで、勝手に言うとるというような感じもあるかもしれませんけれども、そういった考えでお願い申し上げまして、御意見がございましたら伺って終わります。
  17. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) まさに経済人として大変な実績をお持ちの河本委員からいろいろな御体験に基づく貴重なお話を承りました。  そう別に申し上げたいことがあるわけではないんですが、一、二ちょっと気にかかる御発言もありましたので、それを申させていただきます。  資本注入行が臆病になって貸し出しに消極的になっているんじゃないかということは、もしあるとすれば大変これは間違っておりまして、私はそういうことはないんではないかと、このように認識をいたしております。  それはどういうことかと申しますと、そもそも資本注入行は、リスクを吸収できるリスク吸収基盤としての自己資本というものの増強を公的にやったわけでありまして、ある程度リスクをとれるようにしてやったんだよと。しかし、政府の目が光っている資本なものですから、リスクを吸収していいといってそう大胆になれるかという点はあるにしても、少なくとも財務状況としてはそれが増強されているということですから、実はもっと積極的にリスクがとれるということになっているはずだということが一つあります。  それから、現実問題として、中堅企業というのはまさに、実は大手企業も先ほど先生おっしゃられたとおり非常に大手銀行から大きな貸し出しを得るというようなことには今なっていないわけですね。いろんな手段で社債や何かを発行して直接資金が調達できるというようなことがありまして、ちょっと大手企業というのは銀行よさようなら的なところもないわけではない。もちろん商業資金は別ですけれども、そういう感じがいたすわけでございます。  そういう中で、資本注入行を含めて大手行はどういう考え方をとっているかというと、押しなべて中堅企業に自分たちの収益源を求めて、そこに積極的に貸し出していこうという姿勢をむしろとっておりまして、私の地元なんかで申しますと、今や大手銀行と地域銀行の金融戦争が起こっている。つまり、優良な中堅企業というか中小企業の取りっこが起こっているというようなことが私の地元では起こっているというような状況でございまして、そこのところ先生の御理解がちょっと、もし実体験の方もそんな観点も含めてごらんになっていただくとありがたい、こういうふうに思っております。  それからもう一つ土地の問題がちょっと金融との関係で取り上げられましたけれども、この点については、先ほどから言うように、金融機関というのはリスクをとるのが商売でございます。そのリスクをとるときに、特に長期資金についてのリスクをどうとるかということが金融機関にとって本質的な問題なんでございます。  商業資金というか、そういうことだったら手形をとって、貸出先の商品が売れればそれはもう回収は確実ですから、短期金融というのは担保なんか全く要らないわけでございますけれども、長期資金ということになると、これはまさに利益から償還してもらうというようなことになってリスクもかなり質が高まるわけですね。そのときに、日本金融機関というのは、土地というものが絶対的な価値を持っていたものですから、そのリスクを審査でもってその事業の収益力を徹底的に分析してそこにかけていくという姿勢よりも、安易に絶対の担保をとったというのが土地担保金融が横行した理由でございます。  だから、審査が弱れば土地担保金融土地担保金融がそこでちょっと不安になれば今度は審査を強くしなきゃいけない、これが今、日本金融機関が置かれている状況だろうというふうに考えています。
  18. 河本英典

    河本英典君 終わります。
  19. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 新しい内閣が始まって最初の一般質疑なんですが、前の席にもう一人重要な閣僚が本当はいてほしいなと。それは竹中経済財政担当大臣なんであります。きょうはどうしてもほかの委員会とぶつかっているということなんで、一般質疑として本来であれば財務大臣に対して、新しくなられたわけですから質問をしたいと思ったわけですが、さきの予算委員会柳澤金融担当大臣お話ししました、銀行の国債保有リスクの問題についてきょうは中心的に論議をさせていただきたい。そして、我々が納得いく説明をいただきたいものだと。そして、その議題が終わりましたらまた財務大臣にもお聞きしたいと思います。  そこで、最初に柳澤大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、言ってみれば金融監督行政の基本的哲学という問題。実はさきの予算委員会で私お話をしたわけですけれども、銀行は、資産保有のポートフォリオというものは自由であると。こういったことについて、どういう資産保有にしても自己責任の範囲において経営すべきであって、その限りにおいては、ある意味では個々の金融機関は自由だろう。しかし、金融システムを守るために、健全性の観点から、それぞれのリスクに見合った、リスクに耐えられる自己資本の厚みを持つべきだ。それがなし得ないのであるならば、リスク資産を処分するか、あるいは自己資本の積み増しをするか、そのどちらかの行動をとるしかないと思うわけであります。  当局としては責任を持ってこれを監督している、こういう基本原則という点については間違いないんだろうと思うんですが、その点、改めて柳澤金融担当大臣に御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  20. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先生お尋ねについては、結論的に言えば当然のことでございます。現実に我々の金融検査マニュアルにおきましても、貸し出しに伴う信用リスクの管理というのがこのところずっとえらく不良債権問題ということで脚光を浴びてきているわけですけれども、金融機関が負っておるリスクというのはそれだけではなくて、いろんなポートフォリオの中にある債券の類については、これは市場物でございますので、市場リスクというものも大きな存在としてあって、これについてのもちろん検査もするし、それから広く監視、監督もしておる、こういうことは金融行政として当然のことだというふうに考えているわけでございます。
  21. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その原則は当然のことだということですが、そこで私、前回予算委員会で有価証券全般の保有制限も含めて検討すべきではないかという質問をさせていただいたわけですね。その私の問題提起に対して柳澤大臣は、株式の保有制限からまず検討させてもらいたいという答弁をいただいたわけです。議事録を読んでみるとそういう答弁になっております。しかし、株式保有制限をまずするということだけだと、さらに国債保有の増大というふうにつながって危険じゃないかと。  実は、私が先日二十一日にこの予算委員会質問した当日、これは経済政策フォーラムというんでしょうか、いわゆる竹中大臣のもとにあるところで同じようなことが議論になって、国債のツケ、銀行保有増大に不安だということで、井堀先生がこういう不安だということもおっしゃっているわけですね。そういう意味で、株式の保有制限だけを強行されると、金融機関による国債の持ち過ぎといったことに拍車をかけてしまうのかなと。  最近では、きょうの新聞だったでしょうか、日経新聞を見ると、最近は地方債が何か随分人気があるんだというようなことで、そういう意味で、株式保有制限にとって、これ以上水準がどんどん急増するということについては好ましくないと私どもは考えているんですけれども、この点については柳澤大臣はどのように考えておりますでしょうか。
  22. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今の金融機関、なかなか資金需要という面で、事業資金の需要が少ないというか、そういうことになっておりまして、そこで、じゃそれ以外の運用は何かということの中で、とりあえずというか、勢い国債等にその資金が向かっているということでございまして、その増嵩というものも、先生が御指摘のとおり、ややこのところ目立った状況になっているということでございます。そういう中で、御心配は私も同感でございまして、先般の予算委員会における答弁でも、一般論として申し上げれば、その市場リスクがその意味では多くなっているということを申し上げたつもりでございます。  他面、私はこの間ヘッジのこと等も言いましたけれども、それはマーケットメカニズムが動いているというふうに私は思うんですけれども、ですから、金融機関としてもまず期限の短いものを買う、これは当然そうなりますね。ですから、財務省の方も期限の短いものを出さざるを得なくなっているというのが実情でございまして、その辺はマーケットメカニズムが動くということの中で調整されるという面もあるだろう、このように私は観察をするわけでございます。
  23. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 前回、確かにこれは伸び過ぎているねというお話がありましたけれども、数字で申し上げますと、全国銀行百六十五行ベースなんですが、株式は四十三・〇兆円、国債保有残高は六十九・八兆円、約七十兆ですね、これはたしかことしの二月だと思いますが。やはりこれは非常に高いねと、自己資本の水準に比べてですね。ただでさえ自己資本はかさ上げされているんですよということは申し上げましたけれども、そういう意味からすると、これは相当高いね、持ち過ぎじゃないですかねというふうに思うんですが、まず、その水準に対する理解というものをどういうふうに考えておりますか。
  24. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融機関のポートフォリオの中身というのがどういう状況になるかというのは、もちろん金融機関のポリシーの問題もないわけではないんですけれども、私は、長い間の一国の経済のいろんないきさつというものを反映している面があるんじゃないか、このように思います。  日本の場合、私、直接比較した数字は今ここで持ち合わせておりませんけれども、エクイティーファイナンスとデットファイナンス、事業資金の調達における、いわゆる資本市場で調達するものと負債の形で調達するものとが一体どうあるべきなんだというようなことについて、私も特に最近はいろいろ考えているんですけれども、一番端的に言うのは、半々だと言う人もいるわけですね。例えば百の資金需要があった場合に、資本の形で五十調達しろ、五十借り入れだと。そうしたら五十が、その事業全部失敗してもその借金はちゃんと返せるということですね。非常に本質的な議論でございますが、そういうことを言う人もいる。しかし、世の中、やっぱりレバレッジというのがあるだろう、てこの原理を使わない手はないだろうということで、だんだん資本で調達するものに比べて借り入れで調達するものの比率が高まっている。  金融機関はこれは別でございます。金融機関は預金というものを受け入れるのが仕事でございますから、それはもう資本とデットファイナンスというものの比率は破格にデットファイナンスが多くなるのは当たり前なんですが、一般の事業会社は、そのあたりのレバレッジと自己資本関係というのはその判断でもって決まってくると。  先ほど河本先生が御議論になられたようなところに若干触れるわけですが、そういうようなことがありまして、じゃ、日本でこんなに今までデットファイナンスが多かったのは何かといったら、やっぱり戦後の絶対的な資金不足というのがあったんだろうと思うんですね。我々が役所に入ったころでしたか、オーバーボローイング、オーバーローンというようなことでやってきましたね。そのオーバーローンの、例えば銀行の預貸率が一〇〇%を超えていたんですね、日本の場合は。そういう時代を経ていますから、専ら貸し出しでもってやるというのが日本のある程度の風土になってきたと思うんです。それもある意味で惰性があるわけですが、ここへ来て少しエクイティーでファイナンスしなきゃいけないじゃないかというようなことが出てきているというのが、現在日本が置かれている経済金融機関の対応の状況かなと私は思うわけです。  それが今度こういうふうな格好で変わっているわけでございまして、いろいろな考え方があろうかと思うんですけれども、その過渡期として国債の保有というものが行われているというのが私の率直な、全く個人的な感想なんですけれども、私の観察でございます。
  25. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも私の質問にまともに答えていただいていないのかな。つまり私が聞いているのは、もう七十兆円になんなんとして、恐らく三月末になったらもっと伸びてくると思うんですが、その水準については、大臣、ちょっとこれはやっぱり持ち過ぎなんじゃないんですかと聞いているんです。  それについては歴史的な経緯とかいろいろなことを、私も知っております、オーバーボローイングだった時代も知っているんですが、BIS規制とかその他、国際的にもこれだけ大きくなって自由化の時代。それで、このことについてどう思っていらっしゃるのかということについての答弁がやっぱりどうしても聞こえないんですね。  現状は、いや、大丈夫だ、この程度なら適切なんだ、十分コントロールの範囲内ですよということなんでしょうかね。それとも、もうそろそろ、これはちょっと持ち過ぎているんじゃないのかなと、こういうふうにお思いなんでしょうか。改めてそこを端的にお聞きしたいんですが。
  26. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) なかなかちょっと端的に私の頭がそこまで届いていないんですけれども、もう一つのことは、ISバランスがあると思いますね、ISバランス。  これはどういうことかと。もう先生もつとに御案内のとおりでございまして、最初の時代はどうだったかと。家計と企業とそれから政府、こういうことの部門の、いや、それは大事な私は視点だと思いますよ。家計はもともとあれだったでしょう、貯蓄が盛んにどんなに苦しくても行われていました。それが不足だったんで日銀の信用が利用されたということでございますが、基本的にそうですね。企業はもう徹底的な投資超過ですね。それから、政府はその当時はニュートラルでございました。均衡財政、あるいは場合によっては超均衡をやっていたわけですね。それがもうこのごろはさま変わりになっているわけですね。  それで、企業部門ももう貯蓄超過になっている、家計はもう物すごい貯蓄の超過だと。だれがそれじゃ借りてくれるか、バランスをとるために借りてくれるかといったら、政府しか借りてくれるところがなくて、政府は物すごい今度は投資超過というか、そういう状況になっている。そういうことになれば、その仲介をする金融機関の構造というのはおのずと答えが出てしまうんではないか。  こういうことでございまして、なかなか先生が私に言わせようとする答弁には届かないのでございますが、やっぱり過渡期で、今の持っているのは、一般論として余り市場リスク物を持つべきじゃないということはあれなんですが、絶対的な水準はやっぱり民間企業経営判断だろうというふうに思っていまして、そこにはちゃんとしたマーケットメカニズムも働いているではないかということは御指摘をしたとおりでございます。  なお、加えて、ちょっと御議論の先取りになるのかもしれませんが、株式の価格変動率、これはいろんなはかり方があるでしょうけれども、事務当局がはかってくれたのは、月初と月末の価格変動を、何というんですか、その月初の始まりの値段で、最高値と最低値の差額を始まりの値段で割ったものを見ますと、株価と国債価格の変動率というのはほぼ十倍違いますね。株価の変動率が一〇%という程度に対して、国債の変動率は一%というようなレベルである。そういうこともちょっと御勘案いただければありがたいと思います。
  27. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣、ISバランスとかそういうところに持っていかれるとちょっと話が抽象化してしまうんで、もう端的に聞きますけれども、本当に今、先ほど申し上げたように株式は四十三兆円、国債保有は約七十兆円ですね。今、株のお話をされましたけれども、長期金利が一%、この間は五%という話をしたから、何だ、そんな話はというふうに怒られたんですが、一%上がっただけで、今私は国債の問題だけ言いましたけれども、社債その他を含めて債券保有全体を見ると九十八・五兆だというふうに、これは日銀の金融経済統計月報から調べたんですけれども、一%長期金利が上がると何と実に五兆円、実は評価損のインパクトがある。これを株価変動に直しますと、日経平均が一万四千円から直ちに一万二千三百円まで下がってしまうという、それぐらいの実は変動率なんですよ。  だから、改めて、七十兆円という国債保有、社債その他を含めて、これは本当に銀行の健全性から見て果たしてどうなのかなと。そこをウオッチングしておられる金融行政の最高責任者である柳澤大臣は一体どう見ておられるのかということについては、やはりきちんとしたお答えをいただきたいなというふうに思っておりますので、改めて答弁をお願いしたいと思います。
  28. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) その心配というか、そういうことが起こるとしたら心配だなという、そういう思いが別に違うと言っているわけではないんですね。  ただ、株価の変動が非常にスピードが速く起こるのに対して、やっぱり長期金利の変動というのは連続的に、株価ももちろん連続的ではあるんですが、我々の常識的な意味ではかなり飛躍的に上下しますね。それに対して、長期金利の推移というのは、株価に比べればはるかに連続的に変動していくという面もあろうかと思います。  そういうようなことでございますので、今先生が、そこに危険を感じないのか、感じないのかと言われれば、それはある前提をとれば感じないことはなくて、これはちょっと私、この場にまた復帰する前でございましたけれども、少しそういうことについて研究会を持って研究していたことがあるんですけれども、本当に国債の多額発行、お隣に財務大臣いらっしゃるのに余分なことを言うなと後でしかられるでしょうけれども、多額発行の最大の今のリスクというのは金利変動、それがいろんなところに影響するところである。これはもう私どもいたく感じていたところで、その段階ではですね、それはそういう目で私見ていることは確かなんですが、今すぐこれについて金融行政の中で何か言わなきゃならぬかというほどのものかということについては、ちょっとまだその段階に至っていないと、こういうことでございます。
  29. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 前に研究会をやっておられて、これは危険性ありだなというふうに認識されたんですね。しかし、今はまだそこの段階には行っていないんじゃないかと。今はその段階に行っていないという根拠は何なんでしょうか。
  30. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 根拠はというのは、それは私ども、当然、実際に金融機関がどのようなヘッジをしているか、あるいはどのような期間のものを持っているか等々についてよく総合的に勘案してそういうことを申し上げているということでございます。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、もうヘッジできているんだと今おっしゃいましたよね。要するに、大丈夫だと、こういうことなんですが、私、前回の予算委員会のときに、これはヘッジできますかと。もし、国債保有あるいは債券保有のヘッジができるんだったら、株式の価格変動リスクも同じようにヘッジできるんじゃないんですか。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ヘッジは、何というか、できているという認識でございます。そうであれば株価についてもヘッジできるではないかと、こういうことでございますが、そこまで私詳細な議論というか研究をしたことがないんで申し上げない方がいいのかもしれませんけれども、例えば先物でとってみても、何と申しましょうか、その長期金利の先物、金融市場での先物と資本市場での先物ということになると、果たしてどうかなという感じもございます。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何だか答えにちょっと窮されているような感じがするんですが、ヘッジできているんであれば、モニタリングされていますね。じゃ、そのデータを出してくださいませんか。  つまり、業態別で結構ですから、その金融機関はいわゆる国債保有のリスクをこういう形でヘッジできています、ヘッジは何割できています、このデータをもらわないと、やあうう、ああううと、こう答えられても、それがもう本当に我々納得できないんですよ。  これはよろしゅうございますか。まずそのことだけ答えてください。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ヘッジ等の市場リスクのコントロールのモニタリングはしているわけでございますが、これは何というか、集計に適さない形式をとっているということでございます。各銀行の経営判断にわたるようなことについては、その経営判断を判定するのに一番いい報告様式というのは当然いただかなきゃならぬわけでございまして、それを何でも画一的にすぐ集計可能なようにやってモニタリングしたり、あるいは報告を徴したりということが必ずしもいいというわけではないんで、そういうことを事務当局の方は申しているわけでございます。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本当に大丈夫なら、数値でやっぱり私は示してもらうべきだと思うんですよ。例えば、それは国内行同士でやっているんですか。国内行同士だったら、片方は上がる方へ、片方は下がる方で、必ず相対になるわけですね、スワップですから。そうしたら、そういう先物をやっている国内同士がどのぐらいあるのか、国外との間の比率はどのぐらいあるのか、そのぐらいの数字は出るんじゃないですか。
  36. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そこは、今先生がおっしゃったようなことがすべてで、あるいは非常にウエートが高いということであれば、それはそれでまた一つリスク管理の評価につながってくることは、これは先生の今の問題提起もそうだし、私どもの金融行政の上でもそうなんですが、いろいろな形でリスクのコントロールをしておるということで、それはそれでまた各行の経営判断というか、いろんなノウハウとか、そういうようなものの集積の結果出るということでございます。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のお話よくわかりませんので、委員長にお願いします。  その種のデータをぜひ出してください。そのことをまずお願い申し上げたいと思います。
  38. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 後刻、理事会で検討いたします。
  39. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、お伺いしたいんですが、先ほどマーケットメカニズムが効いていると、こういうお話でございました。そこで、金融機関は期限の短いものを採用しているんだと、こうおっしゃいましたですね。  そこでお聞きしたいんですが、大手行に関しては、期限の短いもの、二年物とか五年物とかというところにどんどん行っているというふうに聞いておりますが、中小金融機関ですね、地銀とか、そこで大分差が出てきているんじゃないですか。そういう意味で、大手行だけは短いものに変わっているけれども、その数字、どのようになっているのか。それとあわせて、私は聞いている限りでは、大手行だけは何とかそういう短期物にシフトしているけれども、中小行その他についてはやはり長いものを持っていると、こういうふうに伺っているんですが、その点はどのようになっていますか。
  40. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと、まあ先生にそこまで立ち入った御質問をいただくというふうに想定しておりませんで、大変恐縮ですけれども、具体的なデータはございません。今、手持ちにありません。  ただ、モニタリングの全体の印象では、大手行であると地域銀行であるとでそんな大きな開きがあるという認識を持っていないと、こういうことでございます。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 改めてこれも、大手行、それから中小、業態別で結構ですから、その銀行がどのような国債を持っているのか、地方債はどのような地方債を持っているのか、それは何年物が幾ら、そしてそれは残存期間どのぐらいか、利率はどの程度か、これは個別行とは言いませんが、業態別に出していただけませんか。そうしないと、本当にモニタリングされているのか、本当にそういう危険がないのかということはわからないんじゃないんですか。ぜひそれをお願いしたいと思うんです。どうでしょうか。
  42. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 検討はしてみますけれども、しかし、いかがでしょうか、そういうことこそまさに各金融機関のポリシー、知恵の絞り方であって、全体の傾向といえどもそういうことをディスクローズすることが、何か商売の機微を相互に開示させられるというところにつながっていくんじゃないかという懸念がちょっと私にはあるわけでございます。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 柳澤大臣、きょうこの問題、事前に、もちろん細かいところまでは言っていませんでしたが、ずっとお話を聞いていて、大丈夫なんだと、多少伸びがひどいかなと思うけれども大丈夫だと。しかし、大丈夫だとおっしゃることを一つ一つお話を聞いていくと、いや、それは情報開示できないとか。これは、二〇〇四年からはBIS規制の改革問題の中に入ってくるんじゃないですか。国債の格付がAAA、トリプルAからAA格に変わったら、国債の格付も今各国が全部それぞれ検討しているんでしょう。それから、地方債の格付。この間ずっとそのことは私議論しているつもりですよ、あるいは資料請求もずっとしているんですよ、なかなか出てこないんですよ、そのデータが。  そういう意味で、この危険性というのは、株式保有の問題もそうですよ、我々もこれは大変リスクが大きいと。しかし、それ以上に膨れ上がって、なおかつ今どんどんこれは膨れ上がりつつあるんでしょう。  銀行というのは本来、資金仲介機能で、公的資金を入れて、これは企業に貸し出しをするということで、貸し出しが伸びているかといったら、貸し出しはどんどん減っている。その分、国債がどんどん伸びている。これは危険じゃないか、あるいは本来の銀行業の果たしている役割からしたら果たして健全なんだろうか、このことをずっと問題にしているわけですね。  私は、百五十兆の不良債権の問題もようやく民主党が要求して資料を出していただいた、これはもう本当に英断だと思います。今、問題なのは、そういう日本金融機関のいわゆる健全性といいますか、不良債権問題というのは健全性が問題にされているわけですね、国際的に。そのときに、その健全性の中には実はいろんな要素があると。いわゆる不良債権の問題もあるでしょう、持っている資産の中に株式の危険性もあるでしょう、しかし、国債の問題も改めて今議論になっているんじゃないんですか。  たしか、金融制度審議会か何かございますですね。そこで神田秀樹さんもこのことをその審議会の中で指摘されていませんでしたか。つまり、株式の保有も危険だけれども、しかし国債の保有ももっと危険だと、このことにもリスクの問題として目を向けなきゃいけない、識者の皆さんはみんなそうおっしゃっているんじゃないですか。  どうでしょうか、改めてそのディスクロージャーを私は要求したいと思うので、今大臣が、いや、それは出せないというふうにおっしゃったのであれば、私はやはり国政調査権を使って改めて委員長に今の資料を開示していただくことをお願い申し上げたいと思います。
  44. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) その前に、金融担当大臣から見解をお聞きいたします。どうでしょうか。
  45. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 我々、金融検査に行ったときにどういうふうにやるかというと、今は例えばリスク管理の体制がどうであるかということをチェックする、そういうふうになりつつあるわけですね。  余り内容に立ち入って、仮に立ち入ってわかったとしても、おまえはこうすべきじゃないか、ああすべきでないかということは、これは経営判断の問題ですから言えないわけですよね。それは、例えば早期是正措置とかなんとかというところに触れれば言えますよ。我々は、それと同じようなアナロジーをすることがいかがかとも思うんですけれども、そういうことについて金融行政はモニタリングをしているのか、どういうモニタリングをしているのかということをチェックしていただく、もしいただくんだとしたら。  ということが恐らく銀行検査における我々のチェックと同じであって、その事柄の実態、中身までいろいろ全部を開示していくということは、これからますます銀行の数が少なくなってきますから、集計されたものといえども、それぞれの経営判断、それぞれの個性あるいろんな創意工夫というものを漏えいするということにつながらないかということ、私はその懸念が頭をかすめるということでございます。
  46. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 だから、個別行のことを明らかにしてくれと言っていないんです、業態別で結構ですということを私はしきりに申し上げているわけですよね。  それと、今のお話を聞いていても、なぜじゃ株式の保有の制限は加えられて、こちらの方だけは、余り今おっしゃっているような注意が行かないのかということがどうしても理解できないんです。私は今の答弁の内容を聞いていても、先ほど来ずっと、やや伸び過ぎているかなとか、懸念をされていることはおっしゃっているわけですが、いや、そうはいってもモニタリングしていてその中身については大丈夫だと、こうおっしゃっていることの説得力が私はどうしても欠けているというふうに思わざるを得ないんですよ。  改めて、もしその点についての御意見があったらお伺いします。
  47. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 結局、日本は市場経済の国なわけでございます。さはさりながら、金融というものの特殊性からこれに対して監督をしておるし、具体的に言うと検査もし、モニタリングという英語をどういうふうに訳すかですけれども、監視もしていると、こういうことでございます。  監視をしている体制がちゃんとしているということを確認できれば、その監視の結果、各銀行がどういう行動をして具体的などういう結果を招来しているか、あるいはそれをある程度集計したとしても、これは競争している当事者の情報ですから、そこにはやっぱり先生、おのずと、監視といえども、あるいは監督といえども、それをディスクローズするということが、市場経済における各経済主体の経営戦略、あるいはそれをアタックしよう、それをまたテークチャンスしよう、そういうような人たちにいたずらに有利な情報を与える結果になるんじゃないか、ここはかなり慎重でなければならぬのではないか、このように考えているということでございます。
  48. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう私の時間はこれで終わってしまうわけですけれども、冒頭、実は金融監督行政の基本についてお話をしました。  どんなポートフォリオを組もうとそれは銀行の自由判断だと。しかし、健全性という観点から、金融監督行政の責任者として、リスクに耐えられる自己資本の厚みをやっぱり持たなきゃいけないねと、もしそれが持てないんだったらリスク資産を処分するか自己資本を積み増す以外にないですねと、こういう中で実は物事を最初から聞いたわけです。  株式については非常に価格変動リスクがあるねと。改めて国債についても、今リスクがないかと言えば、それはあるねとおっしゃったわけですから、そのことに対するモニタリングは十分ですかということを聞いて、私は今お話を聞いている限りでは、どうもその点ははっきりとした答えをもらっていないように思うんです。我々自身もそれを確かめたいと思うんです。ですからこれは、個別行のいわゆる損得とか、情報が漏れたら個別行同士の競争にひびが入る、こういう代物なら別ですけれども、例えば大手行、それから第一、第二地銀、こういう業態別ごとにそういう中身を明らかにすることについて、私は決してこれはできない話じゃないというふうに思っております。  もうこれ以上聞いてもだめでしょうから、改めて委員長に今私が申し上げました資料の要求をお願い申し上げたいと思います。
  49. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 資料の要求につきましては後日理事会で検討いたしますが、あえてこの間、金融担当大臣峰崎直樹君の間で議論していただきましたのは、事の重要性にかんがみてやったわけでありまして、そのことを受けとめまして、理事会で決定いたします。
  50. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  51. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。  今の峰崎さんと柳澤金融大臣とのやりとりを聞いていて、国会の議論というのはやはり問題意識もきちんとしているし、それから緊迫感のある中で私は議論が行われていると思うんですけれども、大臣、改めてお伺いしますが、私の認識は間違っていますでしょうか。
  52. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) もう先生認識どおりの認識を私も共有しています。
  53. 櫻井充

    ○櫻井充君 私たちはそういう思いでずっとこれまで議論してきたと思います。  九八年の危機的な状況のときも、民主党の当時菅代表がこのことを政局にしないと言ったのは、こんなことで政局にしている余裕がないから国会で何とか議決しようという思いで、あのとき我々はかなりきちんとした議論をしたんだったと思います。しかし残念ながら、金融危機管理委員会委員長の佐々波さんのコメントの中に、長銀問題をめぐる日本での議論は、国会質疑を含めて、日本金融の安定が世界にとって大切であるとの問題意識も緊迫感もなかったのは極めて残念だったと、こういうコメントを残されているわけです。  このコメントをどう受けとめられますか。質問通告がなくて申しわけないんですが。
  54. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 何と申しますか、私、いわゆる佐々波委員会ですね、佐々波委員会の御議論も、あの当時の状況を受けた真剣な御議論であったというふうに存じます。  ただ、佐々波さんの物言いを、私、言葉の方を信ずるか文書の方を信ずるかというのはなかなか難しいなと思って読んだりしておったんですけれども、両方今や印刷されていますから両方読めるわけですけれども、私の印象で言うと、先生が手をとってお書きになられた方は、国際経済学者らしく、海外の国際経済に対して、彼女は専門家ですから、その専門家が持っている情報というか、そういうものの、何というんでしょうか、深みの認識からすると、彼女はそこだけの専門家ですからやや物足りないというお感じを持ったのかなというふうな感じを持ちました。
  55. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、文章と話をされているのとちょっと違うんじゃないかという大臣のコメントがございましたけれども、できれば、そういう大臣お話もあれば、やはりその本意は一体どういうところにあるのかということを知りたくなるというのは、これは至極当然のことなんじゃないかというふうに思っております。  予算委員会の方でも、峰崎さんの方から参考人としての招致の要求がございましたけれども、改めて佐々波さんの参考人の招致をお願いしたいと思います。
  56. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 本委員会ですか。
  57. 櫻井充

    ○櫻井充君 はい。
  58. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 後日、理事会で検討いたします。
  59. 櫻井充

    ○櫻井充君 それからもう一つ、通告なくて大変申しわけないんですけれども、財務大臣にきのうの献金の件でちょっと。財務大臣は献金する側の方が法律知らないのは当たり前じゃないかという話をされていました。私も確かにそれはそうだと思うんですよ。つまり、問題になるのは一体何かというと、受け取る側の方の問題なんだろうと思います。そういう意味で、きのうの答弁というのは私は責任の転嫁ではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  60. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は直接そのお金を受け取っておらなかったんです。したがって、塩心会の事務をやっております人が受け取ってそのまま入金してしまったということでございまして、私もそれは自分でもっと監督すべきであったということは思っております。しかし、寄附した牧野先生、お医者さんでございますが、この人も実はそんなことを知らなくてえらいことしたといって反省しておりますし、受け取った方もそういう法律を私は一般市民として知らなかったと、こう言っております。  したがって、私は直接授受したということのない者でございますからああいう発言をしたのでございまして、したがって私は、率直に私は反省して、返還するものはするとちゃんと申し上げておるわけでございます。了解いただきたいと思います。
  61. 櫻井充

    ○櫻井充君 了解いたしました。  それから、きょうは地域金融について柳澤大臣とちょっと話をさせていただきたいと思っていますが、地域金融を語る際に、民間金融機関だけではなくて、もう一つ公的金融機関に関しても、ある部分、整理統廃合なり、それからその役割というものをこれから恐らく議論していかなければいけない。きょうでなくて結構ですけれども。  ただ、以前、公的金融機関のことに関して柳澤大臣と話をさせていただいた際に、大臣は、金融庁基本的には主管ではないというようなお話でして、結果的にはそれは例えば財務省であったり、それから住宅金融公庫であれば国土交通省であるというようなお話をされていましたけれども、金融庁としてどこまでそのような公的金融機関の指導なり勧告なりをできるというふうに大臣は御認識されているんでしょうか。
  62. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融機関そのものに対して指導をしたり監督したりということは、これは我々の役所の権限を超えていることでございまして、それはできないんだろうと、こう思いますが、ただ、例えば我々が何らかの考えを持っているということであれば、それは財務大臣に申し入れをさせていただくことによって議論を開始するということ、こういうようなことを通じて目的が達し得るんではないかと、このように考えます。
  63. 櫻井充

    ○櫻井充君 意見を述べるというよりも、勧告することができるというふうに設置法には書いてあります。内閣府設置法の中に所掌事務がありますけれども、所掌事務じゃなくて、「特命担当大臣」の十二条のところに、まず、「関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる」と、二のところには、「関係行政機関の長に対し、勧告することができる。」というふうにきちんと記載されています。そして、金融庁の長が何をするのかといえば、金融の円滑化を図るための環境の総合的な整備に関する事項を行うというふうになっておりますから、以前、大臣はこれは所轄ではないんだというお話をされていましたけれども、私はむしろ、金融の円滑化ということに関していけばやはり金融庁中心になっていくべきであると思いますし、このような設置法がきちんとされているということも改めて認識していただきたいと思います。  その点についていかがでございましょうか。
  64. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは私今初めて先生の御議論を聞きまして思うんですけれども、私の金融担当大臣というもの、それは金融庁も担当しているんですが、金融庁の所掌事務をある意味で超えているような部分もあるということなんだろうと思うんです。  その場合に、私は割に文章を書いたりなんかするのを自分でもやりますから、それはそれで、おまえ、全部事務局も兼務してやればいいじゃないかと言われればそれまでなんですが、実は金融庁の仕事では必ずしもなくて金融担当大臣の仕事であるというような分野があった場合に、一体事務局はどこにいるんだという議論があるんですよ。そういう議論の中で、いや、金融担当大臣は独自の事務局を持つべきじゃないかというような議論をしていた前任の大臣もいらっしゃるということを私聞いているんですけれども、これは、今の行政改革後の新しい国家行政組織、これの中で一つのちょっとエアポケットみたいになっちゃった問題の一つかなという感じを持ちました。
  65. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、金融の円滑化さえ図られれば、私はある意味いいと思うんですよ、それはどこが所管するのかということは。  ただし、この間、住宅金融公庫に関してですが、扇大臣は、今までやってきた経緯があってなかなか整理縮小する方向は難しいんだという話をされておりました。しかし一方、小泉大臣は今何とおっしゃっているかといえば、民でできることは官はもうやらないんだというふうにはっきりおっしゃっておりまして、特に、私が民間金融機関方々お話をすると、まず一番先に廃止してほしいのが住宅金融公庫という話になります。  特に、そのリテールに進出していきたいという話もありますし、これから出てまいりますアメリカのCRAなどを適用していった際に、中小企業金融なり、それから住宅ローンなり、そういうふうなものがどんどん拡大することができるというふうに言っているわけですから、あくまで金融というものを考えたときには、民間とそれから官とのバランスというのがとれてこなければいけないわけであって、それをだれがつかさどるのかということになっていくんだろうと思います。  そこの、行司と言えばいいのかもしれません、行司役をだれがやっていくのかということになります。各省庁の利益を守っていく、その省の利益のみを守っていくような方がトップになる。これは大臣の資質にもよりますけれども、行政側の長としてなられていくのか、それとも、国民の代表者として選ばれた国会議員もしくは民間の方が国民の側の代表として行政の長に立つかによって、これは大きく異なってくるんだろうというふうに思います。  そういう意味において、その長の人たちがあくまでその省庁の利益を守るということだけにきゅうきゅうとされれば、行政改革など行われるはずがないわけです。そうすると、金融というものを一番総合的に見ることができるのは私は金融庁だと思っていますから、そういう意味において、これだけの根拠法がありますから、もう少し積極的に関与されても私は問題ないんじゃないかというふうに思います。再度いかがでございましょうか。
  66. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は内閣府の金融担当大臣であって、その一つの仕事として金融庁の仕事にかかわっているということですが、内閣府の中の固有の金融担当大臣としての仕事もあると、先ほど来答弁しているとおりなんです。  先ほど、事務局がないと私ちょっと言っちゃったんですが、あるんだそうでございます。どういう実態かというと、金融庁の職員が兼務を二人していると、こういう状況なんですね。これはもう内閣の審議官と総理府の審議官が兼務しているのと同じで、もう大混乱の組織であったというのが兼務というものの私の経験でもございます。ですから、もちろんこの兼務の二人を駆使しまして、先生のおっしゃられるような内閣府の大臣としての仕事も当然やらなくてはならぬことだということを改めて申し上げたいと思います。
  67. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、ここの根拠法の「所掌事務」の中に、「行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」を行うというふうに書いてありますよ。  つまり、人がいないからできないというのはおかしな話でして、今例えば、本来官僚システムというのは一体どうなっているかというと、スクラップ・アンド・ビルドになるはずだと思っています。そういう意味で、今必要なところに人を配置するというのは当然のことでして、人がいないからできないというのは、これはなかなか理由にならないんじゃないでしょうか。  特に、今度不良債権の直接償却を行っていくということになれば、金融システム、我々民主党と柳澤大臣との考え方は若干違っていますけれども、いろんな意味での危機を招いてくるのではないだろうか。そういう中において、総合調整していくところの人たちが、その手の事務の人間が足りないからやれないということは私は理由にならないと思います。  私はもう一度改めてお伺いさせていただきたいのは、この法律があるわけですから、柳澤大臣が積極的に政府系の金融機関もあわせた上での金融システムということで統廃合されていくのか、それとも、ここの部分は今おっしゃったように事務員が少ないので私は内閣府の業務に従事したいということなのか、まずその点について御確認させていただきたいと思います。
  68. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 何か先生誤解をされたようですが、私は今、二人いる我がスタッフを、兼務でございますけれども、駆使してやらなければいけないということを改めて感じているということを申し上げたのでございます。
  69. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、勘違いだったかもしれません。よろしくお願いいたします。  それでは、まず、我々民主党の中で地域金融の円滑化に関する法律案というものを一応つくっております。今、金融システムが安定しているのかというと、決してそうではない。地域においての貸し渋り、貸しはがしがまだ続いているということ。それから、貸し手と借り手の立場の優位差が余りに大き過ぎるというようないろいろな問題があるだろうということで、我々としては地域金融というのはまだ円滑ではないというふうに考えております。  そういう意味で、もともと参考にいたしましたのがアメリカのCRA、地域再投資法でございます。この地域再投資法というのは、もともとマイノリティーのための施策としてつくられたということになってはおりますけれども、クリントン政権で何回か法改正が行われまして、地域の金融に関して、地域経済の発展に対してかなり寄与したというふうに我々は認識しておりますけれども、その点について金融庁はどうお考えなのか、まずその点について御説明願いたいと思います。
  70. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) アメリカのCRA法について、その評価はいかがか、それについて金融庁はどういうふうに認識をしているかという御質問だったというふうに思います。  財務省等のレポートを見る限り、この法律がそういった低所得層地域への融資が増加したかしないかということに対して明確な関連性があるかどうかということについての評価ははっきりなされていない、こういうふうに承知しております。それから、FRBのレポートによれば、CRA関連の融資は収益性等が低いとする金融機関が相対的に多い、こういうことでありまして、そういう意味で銀行の判断というものがそれに影響している、こういうことかなというふうに考えております。
  71. 櫻井充

    ○櫻井充君 収益性はありと答えているところはかなりあると思いますし、それは分野ごとによって違っているんじゃないでしょうか。つまり、確かに相対評価でどうかというと今おっしゃったようなことなのかもしれませんけれども、しかしながら必ずしもそうではないんじゃないでしょうか。  例えば、少なくとも中小企業向けなんかに関していえば、ある程度評価はされているように私は認識しておりますけれども、いかがでしょうか。
  72. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 速記をとめます。    〔速記中止〕
  73. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 速記を起こします。
  74. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) これはアンケートだそうでございますが、これは二〇〇一年五月の「信用金庫」という雑誌なんでしょう。そこに「CRA貸出調査の概要」という欄がありまして、そこで中小企業貸し出しについて書いてありますが、これは損失割合でございますけれども、CRAの融資関連が中小企業に対してそんなに収益が高いという、そういう記述はこの欄では見受けられないということだと思います。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、そこの中に書いてあるかと思いますけれども、結果的に新たなビジネスチャンスが生まれるなど、肯定的な部分も書かれているんじゃないでしょうか。
  76. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今、委員がおっしゃるように、この文章の一部ではそういうことも書いてある記述もございます、確かに。
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは一部でなくて、僕は総括だと思っておりますけれども。その総括の中に、中小企業向けでは八一%。つまり何かというと、新たなビジネスチャンスが生まれてくるとかそういうふうなことがあって、それから例えば新規顧客や預金の増加、市場占有率の拡大など、こういったメリットもあるんだというふうな評価も出ているはずです。  その意味で、なぜ今なのかといいますと、日本の今の経済の足を引っ張っているというのは、やはり十分な貸し出しが行われていないからではないか、もしくは貸し出しが行えないような企業の収益状況なのかというところの議論は別れるところではありますけれども、やはり企業側からしてみれば、きちんとした貸し出しを受けていない、そういうような印象を受けている人たちがかなり多くいらっしゃるわけです。  もう一つお伺いしたいのは、それではその銀行法に定めている公共性とは一体何なのか、まずその点について金融庁の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  78. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 選手が入れかわりで申しわけないんですけれども、公共性というのは、機能の方から、逆に、機能を集約する形で公共性ありというふうに認定されているのだろうと思います。  一つは、決済システムの担い手であるということ、それから第二番目には、広く一般国民から預金を受け入れているということ、それから第三番目に、資金の仲介機能を通じて経済活動全体に大きな意義を有していること、こういう金融機関が持っている機能を集約すると、その公共性というものが高いなと、こういう認識だろうと私は思っています。
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、その認識に立ったとして、今の金融機関というのは、今の大臣認識である公共性に照らし合わせてみると、公共性は十分担保されているというふうにお考えですか。
  80. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) この公共性がすべて一つの方向を向いておって、その機能を果たし得るということにも必ずしもならないというところに難しさがあるということだろうと思うんです。  要すれば、信用というか健全性ということが決済システムの場合にはなかんずく大事なんですけれども、決済システム及び預金の受け入れという観点からすると非常に重要なんですが、それを余りにも重視したら、さあ仲介機能はどうなんだというような話になるということで、要するに、二つですけれども、やや二律背反というか、そういうようなものを包蔵した公共性ということになっていますと、こういうことでしょうね。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃっていることはそのとおりなんだろうと思います。ただそこの中で、これまで日本の中には、銀行法の一条に公共性というふうにうたってありますけれども、その公共性を担保するような法律がなかった。もしくは、今まで逆に言えば金融庁がその公共性を担保するような指導をしてきたのかどうか。これからその指導をする金融がいいとは私は決して思っていませんけれども、そういうような法律がなかったということが一つは大きな問題なのではないかというふうに思っております。いかがでございましょうか。
  82. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 銀行法というものでそれをカバーするのか、日本の場合には、先ほどちょっと御議論になられた政府関係金融機関というものがそういう役目を果たすというか、そういうことが事実問題としてあったんだろうと、このように思います。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですからそういう意味で、今、政府金融機関の話が出ましたけれども、今や民間の足を引っ張っているんだという話になっています。ここはいろいろ議論のあるところかもしれませんけれども。  例えば住宅ローンなんかにしてみれば、もうとてもじゃないけれどもあの金利で競争することはできない。つまり、このこと一つとっても、民間金融機関の足を引っ張っていて利益率を落としている原因だと思います。低利で貸し出すために四千四百億円を投入し、なおかつ抵当権は第一位であるということであれば、最初から民間金融機関と公的金融機関というのは競争できないようなシステムになっているわけですよ。そういう中で、地域金融に関して、あとは貸し出しだけをふやしていけというふうなことを指導したとしても、これは民間金融機関というのは何もできないんじゃないかと私は思っているわけです。  そういう意味において、私は金融庁が行司役になってそこら辺の整理統廃合というのをやっていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。いかがですか。
  84. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) それは金融庁の問題というよりも金融担当大臣の問題なんですね、先ほどの話で。そういうことだろうとまず思います。  住宅金融公庫の問題を取り上げられましたけれども、これについては私はかねてから申しておるんです。特に地方の地域金融機関中心として、住宅金融公庫の融資ボリュームというものが大き過ぎるのではないかという、そういう声も私のところにも届いていますよということはかねて申し上げているところでございます。  しかし、また同時に、割に政府系の金融機関の金利が高どまっていて、民間でそれに競争的な金利が提供できるときは、代理貸しをしていますから債務者の状況も非常によくわかるということで、債務者に対して借りかえを物すごく誘引しまして、多分一年度で十兆円返ったことがあると思いますけれども、住宅金融公庫にそのぐらい巨額の資金が返還された、こういうことがありますね。  何と申しますか、公平な立場に立って、金利状況で非常にたくさん民間がやりたいと言ってみたり、今度は金利状況でもう本当に収縮したいと言ってみるような、そういうたぐいの分野について、じゃ、住宅を建てたいという人たちの最終の資金の需要者、この人たちの立場は、そういう金融機関というか仲介機関だけを見て議論をするというのは、ちょっとへんぱな議論になるのではないかということだろうと思うんですね。  やっぱり、国民全般に住宅建設に対する需要がある、これにどういう形で資金を提供していくのがいいか。恐らくまた先生、直接補助金でやればいいじゃないかというようなお話があろうかと思うんですけれども、直接補助金というものの事務の手間、それもまた補助金適正化法の書類を考えてみますと、これはなかなか言うべくして大変なことだろうと、こう思うわけでございます。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 直接補助金だけじゃなくたって、別に減税したっていいわけであって、手段は幾らでもあると思っていますし、それからアメリカのように信用保証だけをつけるというやり方もあると思います。それはさまざまなやり方があって、これから議論するべきことなんだろうと思います。  それでは、地域金融の現状に関して、金融システムとして円滑に行われていると考えられているのかどうか、その点についてまずお伺いさせていただきたいと思います。
  86. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) お答えをいたしたいと思います。  地方銀行、第二地方銀行、それから信用金庫、信用組合の融資動向についてでございますが、日銀の公表数字によれば貸出残高は若干減っていくという状況にありますけれども、これは借り手である企業の資金需要が低迷しているということも一因ではないかというふうに考えておりまして、貸出残高という絶対額が減っているということをもって直ちに、貸し渋りが起こっている、こういう状況ではない、こういうふうに考えたいと思っております。  それから、中小企業庁の借り手側の意識に関する調査を見ますと、これも地域金融機関の借り手のみを対象としたものではありませんけれども、民間金融機関の貸し出し態度は、平成十年十月以降、基本的には改善の傾向が続いている、そういうふうな認識でおります。  貸し渋り問題でございますけれども、金融庁の方でも、三月十三日に開催した民間金融機関政府金融機関のトップとの意見交換の場など、さまざまな機会を通じまして円滑な資金供給に向けた要請を行う等、いろいろ努力をしているということでございます。
  87. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは政府の特別信用保証があってから変わったというだけの話であって、根本的には変わっていないんじゃないでしょうか。  それから、私が聞いている範囲では皆さん決してそういう印象を持たれておりませんし、もう一つ言えば、BIS規制がかなりきつくて、果たして信金、信組まであれだけ厳しい規制をかけられなければいけないのかという話もありまして、そのためになかなか貸し出しすることもできないんだというような私は話を聞いていますが、そういうことはお伺いになっておりませんか。
  88. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私のところには届いておりません。
  89. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、お互いの現状認識の差なんだろうと思います。  もう一点ですけれども、我々今つくっている法律は、金融機関に情報公開を求めていって、そしてそれで借り手側が銀行を選んでいけるような、そういう制度にしていこうというものなんですが、現在の銀行の情報公開というのは十分行われているというふうにお考えでしょうか。
  90. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 情報公開、ディスクロージャーの問題について、先ほど峰崎先生大臣との議論の延長にもありますけれども、私どもとしては、結論を言えば、基本的に金融機関の情報公開は格段に改善されてきていると、こういうふうに考えております。  基本的には、ディスクロ誌というものを発行すること、これが義務づけられているわけでありまして、その中に、その銀行の判断で、預金者その他の顧客が当該銀行及びその子会社等の業務及び財産の状況等を知るために参考となるべき事項についても開示に努めなければいけないというふうに定められているということとか、あるいは証券取引所に上場されている銀行については、取引所の規則により公表した決算予想に一定の差異が生ずることとなった場合にはその内容について適時明らかにしなきゃいけない、そういう定めになっておりまして、基本的には開示は、情報公開は改善されてきている、こういうふうに考えております。
  91. 櫻井充

    ○櫻井充君 改善されてきているかもしれませんけれども、これで十分とお考えですか。これはちょっと古いんですが、ある銀行のディスクロージャー誌がございます。これは見ていただければわかりますけれども、素人にとてもわかるような代物じゃありませんよ。しかも、取締役の一覧とかどうでもいいようなことがいっぱい書いてありまして、本来必要なものというのが全然書いていないわけですよ。  企業の方からすれば何が欲しいのかといえば、なぜ我々が借りることができないのか、つまりは融資条件がどういうふうになっているのかとか。それから、僕らは今どういう情報公開を求めようとしているのかといえば、この地域にどれだけ貸し出しているのかとか、それから低所得者の方々にどの程度貸し出しているのかとか、それから中小企業なら中小企業の中で売上高によってどれだけその貸し出しをしてきているのか、産業別でその差別がないのかどうかとか、それから貸し渋りなり貸しはがしがあった際にきちんとしたその説明をしているのかどうかとか、それからもう一つは、大事な点なんですが、担保を取ってどれだけ貸し出しをしているのかどうかとか、そういうことについてすべて金融機関に公表してもらおうと。そして、その金融機関に公表してもらうための委員会金融庁の中につくって、それで財務局が調べて公表してもらおうというような法律案をつくってきています。  つまりは、我々いろんな方々お話をしましたが、企業の方にしてみればこういう情報が欲しいわけであって、金融機関がただ単純にここまで公開してもいいものと、実際その企業方々が情報を提供してほしいという内容が全然違っているわけです。私は金融の素人でよくわからないところもありますけれども、しかしながら貸し手と借り手の中で相当大きな開きがあるということは、これは紛れもない事実なんだろうと思います。  その辺のところを、今の法案に対しての感想と、それから今後、貸し手、借り手の立場をどのように変えていこうというふうに金融庁としてお考えなのか、その点について御説明願いたいと思います。
  92. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいま櫻井議員がいろいろな項目について挙げられましたけれども、今の銀行のディスクロージャーについては、銀行の自己規律を高めまして、業務、財産の健全性の確保を通じて銀行の経営の健全性を促す、こういう観点から基本的に進められているものでありまして、その中で、先ほどの大臣峰崎先生の論争がありましたけれども、企業、銀行の経営戦略にかかわるものとか、あるいは個人の情報にかかわるものとか、そういうものにつきましては開示できない、あるいは公表できないということになっているんだろうと思います。  しかし、そういった基本的態度に立ちまして、銀行が投資家のために、あるいはお客さんのために公表できるというものは、銀行の判断によってディスクローズすべきではないかというふうに考えます。
  93. 櫻井充

    ○櫻井充君 銀行の判断でディスクロージャーできないから問題があるんだろうと私たちは思っています。  例えば、私は医者で、カルテ開示の話をして、十分カルテ開示がされているかどうか医師会で調べましょうと言うと、患者の皆さんは何とおっしゃるか。身内の人たちがちゃんと調べられるはずがないという話をされるわけであって、今までの金融機関の信頼という点からいうと、金融機関が公表してごらんなさいというと、この手のものしか出てこないわけですから、ですから信用することができないわけであって、ある程度の決まり、ルールを法律で定めていくということが私は非常に大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 情報開示というものの根拠は一体何なんだということだろうと思うんですね。こういう民間経済活動というのはすべからく市場原理に任せておくのが最も効率的で、また、主として効率的というんでしょうか、そういう形で国民経済あるいは国民生活の向上に最も役に立つ、こういうまず基本があるわけです。  では、情報開示というのはどういうときに義務化をするかということになれば、例えば金融機関でいえば、健全性というものについては、これは投資家の立場あるいは広く預金者の立場からいって、これは義務的に開示をしてもらわなきゃ困りますよ、こういうことで今の開示の義務的な事項は決まっている、こういうように思うんですね。  今度は、借り手が情報開示を求めるべきかどうか、これはまさに競争にゆだねておく分野ではないか。その人たちに自分たちはこういうところに力点を置いている営業方針をとっていますよということであれば、そういう戦略をとっているところがむしろ積極的な顧客獲得の手段としてそういうものを開示していくということになるだろうし、そうでない人たちは、それは別に触れないディスクロ誌をつくるということになるんだろうというふうに思います。  ですから、義務的な開示なのか、自主的な開示にゆだねるべきことなのかということは、市場経済考え方の中でやはり一定の分界を画していくのが正しいだろうと、私どもはこのように考えております。
  95. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは、おっしゃることはもっともなところもあると思います。  ただ、今大臣の話がありましたけれども、市場経済だから、市場原理だから市場に任せておけばいいと。それが果たしてそうでしょうか。つまりは、ルールというものは少なくとも設定しなければいけないものもあるはずです。ルールと規制緩和、それからルールがあって初めて市場というふうなものが成り立ってくるわけであって、そのルールをどうつくっていくのかということが問題なんだろうと思います。  アメリカは市場経済だ、市場原理だと言いますけれども、アメリカは、一九三〇年の大恐慌があった際に、相当な金融機関に関しての規制をしているはずです。日本よりもはるかにきつい規制をして監督しているはずです。ですから、そのアメリカのそういうルールがあるということが一体何なのか、つまり、このことが果たして市場経済をだめにしているものなのかどうかという議論が私は一つ必要なんだろうと思うんです。  そういう意味で、FRBの方から出てきた中で、少なくとも新規顧客や預金の増加など、こういうようなものも生まれてきていると。つまりは評価される部分もあるんだとすれば、今、果たして民間金融機関リスクをとって貸し出しているかというと、決してそういう状況にはないわけです。そのところを何らかの形で促していくような手だてというのも必要なんではないか。  私は、大臣のおっしゃるとおり、民間金融機関が積極的に私はこういうふうにしていますとやっていくことであれば、それは全然問題ないんだと思うんです。そして、地域の金融システムが安定しているのであれば、円滑であれば全く問題ないんだと思うんですよ。金融庁の先ほどの認識は、全く問題ないんだという話ですが、私が地場で話を聞いている分には決してそういうことはないわけですよ。もちろん、これから構造改革が行われて、ある部分、つぶれるべき企業はつぶれなきゃいけないかもしれないけれども、しかしながら金融が円滑でないがために、本来であったら健全でもっとこれから産業が発展していくような分野も、融資されないがゆえに倒産していくようなことになっては私は困るんだろうと思うんです。ですからそのために、健全度は健全度で求めなければいけないかもしれないけれども、ある意味で公共性は公共性で担保するような法律というのは、これは車の両輪で私は必要なんじゃないかと。  そしてもう一つは、情報公開というと、日本の場合には何でも今まで隠し続けましたから、隠し続けてきたものを全部出すということがさも悪いイメージでありますけれども、むしろ情報公開というのはそうではなくて、私はコマーシャルだと思っています。自分たちがこういうことをやっているんだということを本当は積極的に出すべきですけれども、そうなってこないところに問題があるわけであって、むしろ私は、こういうことを一回法律でつくって、こういうことをコマーシャルすることによってどれだけ融資の枠がふえていくのかということをまず金融機関に教えてあげるということも一つの手なんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  96. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 時間が過ぎておりますので、答弁は気をつけてください。
  97. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) やはり私は、先生お話にいろいろ耳を傾けさせていただいたんですが、それこそまさに、もしリテールで有望なところがあれば、それを見つけて融資していくというのは金融機関の本来の仕事だろうと、このように思います。社会的な規制をなすべき分野ではなかろうと、このように思います。
  98. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私の時間は三十分でありますし、皆さんもおなかがすいていると思いますから、できるだけお互いに簡潔にやりたいと思います。四問用意しておりますので、時間をはかって、余り長い答弁にならないようにお願いいたします。  第一問ですが、私も先般の予算委員会で目の前で聞いておりましたけれども、小泉総理は、道路特定財源の見直しは必ずやりますと断言をされました。そしてまた財務大臣も、新聞等で読ませていただきますと、それは自分の持論でもあり、前向きにといいますか、ぜひやろうとおっしゃっているように伺っておりますが、具体的に内容を詰めて実現をしていかれるのは財務大臣だと思いますので、具体的な中身、段取り、御決意、今の段階でお答えになれることをおっしゃっていただきたいと思います。
  99. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 個々の事項につきましては、まだそこまで煮詰まっておりません。しかし、私は何遍も申しておるのでございますけれども、特定財源の期限が十四年じゅうはまだ五カ年計画で法律として作動しておりますので、この枠内においてできるだけ多方面に拡張することをやっていきたいと思っておりまして、そして十五年以降は、その五カ年計画が切れまして新しく立法しなければ成立してまいりません。けれども、特定財源にいろいろ項目ございますものは税法上は生きてきておるわけでございまして、その兼ね合いにおいて、使い方はまさに十五年以降は考えられるべき問題だと思っております。  したがって、早急に、十四年度分についてどのように多目的に使っていくかということは、これから精査して関係省庁と交渉してみたいと思うております。
  100. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 改革断行内閣なんですね。財務大臣はいわばその大黒柱の閣僚でいらっしゃる。小泉さんの後見人でもいらっしゃると、そういう話も伺いますけれども。  そこで申し上げたいんですけれども、改革断行というその延長線上で道路特定財源の見直し、聖域なき見直しという話になりますと、特定財源をとりあえず十四年度は道路関係の説明ができる範囲の公共事業に少し振り向けて格好をつけようというような話は改革じゃないんですよね。  実は、大体二兆八千億円前後で安定的に道路財源というのは推移していますね。公共事業費の中の道路というのも大体その程度で、シェアも三〇%程度で非常に安定的に推移しています。ところが、安定的に推移しているのは道路だけじゃないわけで、御承知のようにあらゆる項目が、私もかつて公共事業費の査定をやっておりましたけれども、私自身の経験でも、このシェアを変えるなんてとんでもないことだと、そういう思いをしたことがございます。  ですから、国民の皆さんがこのやりますという言葉で期待していることは、少しつけかえるだけじゃないんですよ。これは、一般財源化はもちろんのこと、それを突破口にして公共事業費の配分の弾力化ということにある、私はそう思っております。そこまで踏み込んでいく御決意があるかどうか、伺いたいと思います。
  101. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、概算要求の基準は近く示さなければなりませんが、その中の方針といたしまして、今、浜田さんがまさにおっしゃるように、かつてのシェアとかシーリングというものにはこだわらないようにしてくれと。といって、シーリングがないからといって野方図に要望をされても困ることで、ですから一応のめどというものは、前年度要求額以上のことは受け付けられないけれども、一応シェアとシーリングはないんだよというその覚悟でそれぞれ要求してもらいたいということを言っております。  そして同時に、濃淡をつけるということも私は大事なことだと思っておりまして、そのことの濃淡につきましては、ただ財務省だけで判断できるものじゃございませんで、もちろん交渉をつけなければなりませんが、しかし私は、思い切った濃淡はつけていくべきだと、こう思っております。  それともう一つは、国債三十兆円という限界がございますので、これは私たちが設定した目標でございますので、その枠内に合うようにしようと思いましたならば相当行政コストを切り込んでいかなきゃならぬと思っておりまして、その点とあわせてやっていきたいと思っております。
  102. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 十四年度において一般財源化というのを実現しないとすれば、総理が参議院選前も含めて具体的に見直しを進めるということにはならないというふうに私は思っているんですけれども、この一般財源化はどういうふうにお考えですか。
  103. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 総理は十四年度中に一般財源化ということは言っていないと思うんです。私たちも、先ほども説明いたしましたように、一般財源化をするという目標はちゃんと立てておりまして、そのためには、やっぱり法律的な縛りもございますから、十四年度においてはとりあえず拡張で風穴をあけて、そして十五年度の道路計画の策定をする段階においてこの特定財源の使途を新しく一般財源化も導入できるように持っていきたい、こういうことであります。
  104. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 そうすると、一般財源化は早くても十五年度以降ということですね。  それでは、次に移ります。  また、地方交付税についても聖域としません、削減をしますとおっしゃっておられますし、財務大臣もその意向であるというふうに伺っておりますが、この具体的な内容、段取りについて、今の段階でお答えになれることをおっしゃってください。
  105. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 地方行政と国の財政とは非常に絡んでおりまして、これはいつの時点か整理しなきゃならぬと思うております。  根本的には地方分権とおっしゃっていますけれども、我々の立場から申しますならば、地方分権ができる環境をつくってもらわなければ幾ら議論したってしようがないじゃないかと思うんです。その環境の一番大事なものは何か。個々にございますところの市町村の行政能力をある程度平準化したものにしてもらわなきゃならぬ。そのためには、やっぱり市町村の合併によってある必要単位の能力を持った自治体に編成する必要がある。これが私は一番根本の問題だろうと思っております。それはぜひ進めてもらいたい。  そして、次の問題として、シビルミニマムとナショナルミニマムをきちっと見直してもらいたい。これは財務省だけでできるものじゃございませんで、政府全体を挙げてやってもらわなきゃならぬ。これはまさに、地方分権推進協議会とか委員会がございますが、私はそこの決定を待ちたいと思っておりまして、その二つを前提としていただく、それによりまして基準財政需要額というものがきちっとしてまいります。今のように基準財政需要額がいわゆるシビルミニマムということによってどんどんどんどんとふえていきましたならば、これは全部交付税で措置しなきゃならぬ。このことはいつかは行き当たりが来てしまうと思いますので、今は早期にいわゆる準備段階に入って措置をしてもらうようにしてほしい、こう思っております。
  106. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 財務大臣の問題意識で大いに結構だと思うんですね。  まさに国と地方の関係というのは複雑過ぎまして、かつての大蔵省と自治省で絶えずやり合ってきた経過を私も耳に挟みながら参りましたけれども、地方財政というのは一種の伏魔殿みたいな感じになっておりますね。ですから、私はこれに手をつけるということは大変なことだと思うし、本当にやるんなら画期的なことだと思うんですよ。  例えば交付税率の問題だって、これは過去いろいろ変わってきております。現在、法人税に対する掛け目だけが三五%を超えていますけれども、ほかは三二%になっている。これが本来の地方自治のあり方でいいのかどうか。これは地方の自主財源との関係はもちろんあるわけです。だから、これもやはり私は十分検討していかなきゃいけないと思いますし、また、いわゆる補助金でやっている公共事業の中身を見ましても、実質上交付税で補てんして補助率は全く変わっているわけです。  事務方から御説明いただきましたけれども、例えばダム等の治水事業とか農業土木事業とか港湾事業、こういうのは国の補助率というのは二分の一、つまり五〇%税金で、国税で補てんするわけです。あるいは国債で補てんするわけです。ところが、交付税による実質補てんがいろんな名目で行われておりまして、地方の実質負担は七%だと。七%でダムができちゃうんです。七%で岸壁ができちゃう。  他方、集会所とかコンサートホールとかそういう箱物、これは単独事業になっているはずなんです。ところが、これもいろいろ実質的な交付税による足し増しがあって、地方負担は五六%程度だということになっている。これは、箱物をつくれば単独事業じゃなくて国が半分以上は出してくれるということなんですね。もう一つ、下水道ですと、これはダムとかそういうものよりも補てん率が低いようで、下水道をつくると地方は実質二〇%負担。  ですから、結果として、ダムはできるけれども下水道はできない、岸壁はできるけれども下水道はできない、そういうことが起こり得る。あるいは、自己負担がありませんから選挙が近ければやっちゃうとか、あるいは箱物でも半分以上は国が持ってくれるからやっちゃうとか、そういう話が交付税の仕組みの中に実はビルトインされちゃっているということはあるわけです。  それから、今の交付税等の中身を見ましても、地方によって配分の仕方が、これは地方財政計画でおやりになるわけですけれども、住民一人当たりの配分の比率がどうだとか、そういう非常に奥深いといいますか、根の深い問題がたくさん含まれているわけでありますから、私は、改革断行内閣が交付税にもしっかり手をつけますと言う以上は、ここまで切り込んだ地方と国のあり方、あるいはもっと進めば、地方の自主財源を含めた自主的な地方自治の運営のあり方、自治体の運営のあり方、そういうところまで切り込んでいかなければ、私は改革断行という名には値しないと。  十四年度は大したことをやらないなという感じを受けましたけれども、例えば、ほっておけばふえる分が三兆円近くあるわけでしょう、地方交付税でも。その中の大きな要因が、何か交付税特会で財投借り入れをして補てんしていたものを一般会計の国債発行に切りかえた分がかなり影響を持っているという説明ですよ。そうすると、知恵のある人は今度は逆にそれをまた特別会計に戻しちゃって、字面の地方交付税額は減らしましたなどという小細工は全く意味がないわけですから、まさかそういうことで十四年度はお茶を濁して、少なくとも、改革はある程度やったよなんということはないでしょうね。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 中身を全部知っている先生には答えにくい話ですけれども、今指摘されたことがまさに一番改革の問題なんです。そのためには、えらい口幅ったいことを申して恐縮でございますけれども、やはり政治家全体がその気になってもらわなきゃとてもできるものじゃありません。これはやっぱり民主主義の選挙と非常に関係しておりまして、地方財政で大きい穴があいている、交付税で大きい今まで借金を背負っておるといいましても、決してこれはむだに使ったものじゃなくて、住民のために還元されておるものだ。還元の効果がなかったかあったかということが問題になってくると私は思うんです。  そういたしますと、それを有効に利用しようといたしました場合には、住民というか国民全般の方がその意識になってもらって、負担と受益の関係ということできっちり見てもらわなきゃいけないだろうと、こう思っております。  仰せのように、地方交付税が非常に拡大、膨張いたしましたのは、昭和四十五、六年ごろから公害問題の解決が国の最大のテーマになったとき、あのときに交付税の基準が地域開発から生活環境の改善ということでぐっと伸びました。そのときに交付税、基準財政需要額が一遍に伸びた。これがずっと現在まで来ておるところでございまして、私は、シビルミニマムの見直しというのを今言っておりますのも、そういうところを一度見直してもらいたいと思っておるところであります。  したがって、これからの抜本改正をやるといたしました場合に、私は、地方財政の負担というものと住民の受けるサービスの関係、これはやっぱり十分に理解してもらうように我々もPRにこれ努めていかなきゃならぬと思っておりまして、その上に立っての交付税の改定を講じたいと思っております。  しかしながら、とりあえず交付税の改善をしなきゃなりませんので、先ほどおっしゃいました段階補正であるとか種地補正というようなものは一回総務省と話し合って見直してもらって、その間算定率を下げていきたいと、こう思っております。
  108. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は政党には所属しておりません。ただ、会派を通じて連立の仲間の一人だと思っておりますので、そういう立場であえて申し上げるんですが、人気が今出るのは当たり前だと思うんですね。目の前で、難しいというのはみんなわかっている話を、必ずやりますと断言なさるんだから人気は上がりますよ。だけれども、その人気はなぜ出てくるか。期待感ですよね。だから、お茶を濁しちゃだめなんですよ。お茶を濁したらもっと大きな幻滅が来ますよ。総理大臣が必ずやりますと言った一言の重さというのは、これは私ども、総理大臣になるということの意味というのは非常に特別な意味だと思っておりますから、それが軽くなって簡単に裏切られたら、これは一小泉内閣の支持率が云々という話よりも、日本の政治そのものの信頼性というのは物すごい打撃を受けますよ。だから、ピークにあるということは、逆に言えば非常におっかないという気がするわけですね。  私は、あえて今自分の立場を申し上げたのは、心配するから申し上げるわけでありまして、大臣は小泉さんの後見人というふうに私ども思っていますよ。言葉が走らないように、総理がおっしゃったことの重さというのが現実の改革の中で実現されていかなければならない。ぜひそういう御決意でお取り組みをいただきたい。生意気なことを申し上げて恐縮ですけれども、申し上げるわけです。
  109. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) どうも応援していただいてありがとうございました。私たちは必ずその方向に向かってやってまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
  110. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 次に、経済について一つだけ伺いたいんです。  竹中大臣はほかの委員会関係で御出席ができないということであります。私は、衆議院時代は大蔵委員会には入っておりませんでしたからよくわからないところがあるんですけれども、財政政策金融政策を論じるというのは、やっぱり景気全体も一緒に論じられなければ何か不十分な気がするんですね。だから、竹中大臣が出られないのはしようがないんですけれども、この委員会景気あるいは経済状況というのをまともに議論するというのは私は必要だと思いますので、そこは、所管とかいろいろありますけれども、この委員会の機能として今後はぜひ考えていただきたいなと、委員長に向けても申し上げるわけでありますが。  一問だけです。構造改革というのははやり言葉ですよね。構造改革で本当に経済はよくなるんですか。だから私は、構造改革というのは勢いよく、しかも竹中さんみたいな、専門家みたいなお顔をした方がテレビでおっしゃると皆安心するんですよ。だけれども、景気は本当に大丈夫かね、景気も含めて経済はどうなるのかねと、そこのところをきちっと説明してもらわないと私は安心できない。橋本さんの失敗も、あれも何か当時は財政構造改革とか、構造改革だったんですよ。それで増税した、そして保険制度も変えた、だからああいう結果になった。  今、三月期決算まではどうやら法人も好調のようですし、製造業は特にいい結果になっているようです。でも、地元の金融機関が埼玉県下でサンプル調査をした、そうしたら次の期の見通しというのはもう極端に落ちていますよ。機械受注なんというのは五〇%ぐらい落ちている、つまり前期に比べてですね、見通しが。これはあくまで見通しですけれども、景況感というのは、私は地方を含めて急速に悪化しつつあると思うんですよ。そこを構造改革だけで乗り切るということですか、そこがよくわからない。総需要政策というのはどうするのか。  そこのところを、余り時間がないから、統括官の御答弁、簡単でいいですから、余り答えは期待していないわけだから、よろしくお願いします。
  111. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 今月の月例経済報告で、景気はさらに弱含んでいるという判断をいたしております。  今、先生からも御指摘がありましたように、私ども、こういう日本経済景気の脆弱性の背景にやはりさまざまな構造問題が存在しているんだと、そして経済再生のためには各般にわたる構造改革がやはり不可欠なんだと、そういう考え方をとっております。  具体的な経済財政構造改革としては、第一に、やはり不良債権最終処理を行うんだと。これにより、金融部門の資金仲介機能が回復して、有望な企業や新規市場に円滑な資金供給が行われるだろうと。第二に、二十一世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムを構築しまして、このために、徹底的な規制改革の推進等を行うことによって新規産業や雇用の創出を促進するなど、日本経済本来の発展力を高める必要があると考えております。第三に、やはり財政構造改革でございまして、本格的財政再建と徹底した歳出構造の見直しにより、簡素で効率的な政府を構築するというようなことを考えておりまして、現在、これらの構造改革の道筋につきまして経済財政諮問会議において御議論をいただいておりまして、六月を目途に骨太の方針を策定して明らかにしてまいりたいという考えでございます。
  112. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 骨太で結構なんです。その議論はもうずっとみんなやってきたんですね。だから、それをやるという決断は、決意というか言葉は私は評価しますよ、さっきと同じように。あなたに言っているんじゃない、総理大臣と竹中さんに言っているんだけれどもね。だけれども、例えば、柳澤さんのところでやる不良債権処理は二、三年と言っているんでしょう。不良債権処理そのものは非常にリスキーな面もあるわけですよ。雇用のマイナス影響もあるし、倒産を通じたいろいろな波及もある。  だから、項目は全部結構だけれども、それが具体的にどういうタイムスケジュールで日本経済影響を与えていって、どうなるんだと。マイナス成長もいいんだと、何か選挙中にはそういう議論もあったようです。そこも覚悟してやるんだ、だからみんな覚悟せよという宣言だと受けとめていいのか、そうじゃなくて、やる手は打ちながら行きますよという話なのか、そこのところは大きな違いですから、ひとつ大臣には、そういうきっちりきっちりした構造改革のスケジュールといいますか、それと現在の経済に与えるもろもろのインパクト、そういうものを見きわめながら、構造改革という名前だけでこの時期を過ごしていいのか、そこはよく申し上げておいていただきたいと思います。  大臣、一言でいいですけれども、補正予算も含めた今後の経済政策、これは竹中さんだけがおやりになるのじゃなくて、お二人の大臣がおやりになる要素が大きいわけですから、ひとつ代表して一言だけ、財務大臣から今の議論で御感想を聞かせてください。
  113. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 補正予算の問題につきましては、今全く予見をいたしておりません。  しかし、まずやりたいことは、現在の予算の執行を急激に前倒しでやっていきたいということでございまして、必要があるとするならば、秋以降において補正予算も必要になるかもわかりませんが、現在のところはまだ具体的なことは全然考えておらないというところであります。
  114. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 最後に柳澤大臣に、生保問題です。  実は、相沢金融再生委員長のころですけれども、この場で生保の予定利回りを、これはタブーみたいな話になってきたわけですけれども、私も危険を冒して発言したんですよ。  やっぱり現実に起きていることというのは、予定利回りを途中で変えられない、そのために一兆数千億もの赤字を、みんな身を削っているわけです。その状況を放置していいのか。つぶれないのならいいですよ。しかし、現実につぶれているわけでしょう。しかも、予定利回りを下げないままつぶれる。つぶれたら今度下げられますから、下げたところを外資が買うじゃないですか。私は、別に外資であろうと内資であろうと全然こだわりませんけれども、おかしいですよね。つまり、倒産まで待って、利回りを下げて買うわけでしょう。倒産させないで継続した方が被保険者にとってはいいケースがいっぱいあるはずですよ。  だとすれば、憲法問題とかいろいろありますから、言われてきましたから、こういう発言をするのはリスキーなんです。現実に、ああいう質問をした後、批判も受けました。でも、相沢さんは非常に前向きに取り組もうという意欲をお示しになった、そういう経過がございます。  その後、このごろ新聞を見ると若干前に進んだような報道もなされておりますけれども、大臣のお考え方と、それから今の経過、それだけお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  115. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 浜田先生がおっしゃるとおり、今の低金利の状況のもとで、当初契約のときに予定した利回りがこれを下回るというような事態が起こっていることは、起こりがちなことも含めて確かであります。しかし、それだから赤字かといえば、それは必ずしもそうではないので、ほかからの利益源がございますので、したがって全体として生命保険会社の収益は黒字の基調を維持している、こういうことでございます。  予定利回りの引き下げということはどうなんだ、こういうことなんですが、引き下げれば健全な財務状況になって、したがってすべて万々歳だといかないところに悩みがあるわけです。解約という恐ろしい動きというものを想定しなきゃいけない。実は、この前の破綻に追い込まれた生命保険会社の場合には、むしろ解約が引き金になっているんです。別に予定利回りの逆ざや傾向が引き金になったということではないということなんです。  そういうことでございますので、私どもとして、どういう経営形態が一番いいんだということを、これは総合的に包括的に検討をしないといけない。こういうことで今金融審議会に投げかけておりまして、その審議が着々と進んでおるわけでございますけれども、今言ったように非常に難しい問題ということを背景にして、まだ議論の集約に至っていないということでございます。とにかく保険会社経営全般についてどういう改善点があるんだというアプローチを私どもはとらせていただいておるということでございまして、これも、いつまでもいつまでもやっていていいというわけじゃありませんので、私どもとしては遅くも七月には結論をいただきたいな、このように考えているというのが状況でございます。
  116. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  117. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  財政及び金融等に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  小泉総理は、自民党を変える、日本を変えると公約しておられます。自民党を変えるということは、とりもなおさず自民党政治を変えるということでしょうし、少なくとも国民はそういうふうに受け取っておるわけですね。そういうところで国民は、自民党が変わるのならこれ以上悪くはならないだろうということで、変わるというだけで大いに八〇%の支持率を小泉さんに与えたんじゃないかと私は考えておるわけなんです。  それで、塩川財務大臣がこの間のあいさつで、「構造改革なくして景気回復なしとの考えのもと、経済財政構造改革を断行してまいります。」とおっしゃいました。そうしますと、変えるべき経済財政の構造、つまり、景気回復を妨げている構造、これをどういうふうに認識するかということが大事だと思うんです。  そのことについてまず質問したいと思うんですけれども、既に政府が発表しております緊急経済対策、これは四月に出たんですけれども、ここではこう言っているんです。昨年四月以来、生産・企業収益が回復してきたと、そういったことを認識しまして、その上に立って、「企業部門のこのような復調は、本来ならば家計部門の回復をもたらし、自律的景気回復に向けた好循環の端緒となるはずであった。しかし、企業部門の復調にもかかわらず、所得・雇用環境の改善は遅れ、個人消費回復は見られていない」というふうに分析して、それに基づく緊急経済対策ということになっているわけですね。そういう点では、塩川財務大臣、この認識については当然同じ認識だと思いますけれども、確認したいと思います。
  119. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃるように、最近は経済が昨年末ごろから順次下降線をたどってまいりまして、現在におきましては相当厳しい状態になっておるということは事実でございます。そういう認識の上に立って、新しい需要を喚起するべく努力いたしたいと思っております。
  120. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 緊急経済対策にも書いております認識、つまり個人消費の落ち込みが景気の足を引っ張っているという状況ですね。これは、通常の景気循環の中でたまたま個人消費回復がおくれておる、こういうことではないと私は思うんですね。これはやっぱり日本経済構造変化、それのあらわれだというふうに思います。  また、政府自身もこの二年来そういう分析をしてきているわけですね。御承知と思いますけれども、九八年十二月の「平成十年経済の回顧と課題」では、「九七年度の景気回復の腰折れは、消費先行型であった。」というふうに言っております。しかも、「消費の減少の背景には一連の負担増もさることながら、」、一連の負担増というのは例の消費税の増税と医療改悪、九兆円の負担増のことですけれども、「一連の負担増もさることながら、より中長期的な二つの要因が大きく影を落としている。二十一世紀が目前に迫り高齢社会への不安が現実味を増したこと」、それから「雇用の安定に対する信頼が揺らいだことである。」、九八年十二月時点でこれを言っています。そして翌年の「十一年経済の回顧と課題」では、GDPの各項目の波及効果を分析しております。これきょう資料としてお配りしたんですけれども、この九九年十二月の「回顧と課題」の中に出されておる各項目間の因果関係ということで、波及関係を示しております。これをこのように分析しています。  高度成長期、五八年から七三年ですけれども、ここでは、民間設備投資からGDPあるいは民間消費支出への因果性が強いが、安定成長期では逆の流れが強まっている。つまり、民間最終消費支出からGDP、あるいは民間設備投資への因果性が強くなっているというふうに分析しております。  これは、この表を見ますと確かにわかります。特に、三番目の民間設備投資から民間最終消費支出への流れというのは、波及というのはこの安定成長期ではおっこちて、逆に民間最終消費支出から民間設備投資というこの波及が非常に大きくなっているというふうに分析してきたわけですね。政府がこれを分析してこられたわけです。ここまで経済構造の変化認識されたわけですから、私は、そうなりますと、これに基づく景気対策というのはこれに対応したものでなけりゃならなかったと思うんですね。しかし、どうもそうではなかった。しかし、今の時点に立ってここまではっきり分析する以上は、消費を直接的に刺激するような景気対策がまず中心にならぬといかぬ。それが構造改革を同時に進める景気回復策じゃないのかと私は思うんですけれども、塩川財務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  121. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 非常に専門的な認識でございまして、これはまさに竹中大臣に来ていただいてお話ししていただくのがいいだろうと思うんです。  私は、その間に、重厚長大産業からのこの転換というものが、日本でそのスピードが非常に鈍って転換されてきておる。諸外国はこの転換が速かったと思っておりまして、その分があらゆる統計面において出てきておる、こう思っておりまして、現在では、それがやや列国並みに取り返しつつあるような状況であろうと。今、ちょうどその転換期の一番底のところからやっとはい上がってきたような状態のところではないかと思っております。
  122. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大臣の今のお話、確かに今の表でも、財貨・サービスの輸出からGDPへの波及という形が大きく変化したということであらわれておりますし、それはそれで一つ認識だろうと思うんですが、私の申し上げたのは、個人消費から民間設備投資への波及という方が、昔と逆転したんだと。つまり、ダム論というのがありますね。企業がもうけたら給料が上がって所得がふえて消費がふえるという考え方、確かにその流れというのは高度成長期にあらわれています。しかし、安定成長と書いてありますけれども、今の時点で、この九〇年代不況の中で大きく変化してきた、逆になってきたんだと。これが構造の変化ですから、それに着目した構造改革景気回復対策というのがなされなければならないんじゃないかというふうに私は考えているんですね。  そこで、企業利益は改善したけれども、個人消費回復しないというこの現状なんですけれども、何でこうなったのかということをやっぱりつかむ必要があると思うんです。これは何回も論議してきました、この財金でも。  宮澤財務大臣はそれについて、家計消費支出が伸びない、マイナスを続けておるということについては、その原因について、所得がふえていない、実質可処分所得がふえていないということが第一で、二番目、三番目に、社会保障不安、それからリストラなどによる雇用不安という三点を挙げておられるんですね。私、それも正しいと思います。同じ認識しているんですけれども、塩川大臣、いかがお考えでしょう。
  123. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 消費が伸びないということ、私も実は非常に痛感しておりまして、なぜ消費がもうひとつ伸びないんだろうかというその原因をいろいろ探求してみましたら、流通システムが変わってきたということも一つはあるだろうと思っております。  それと同時に、高齢化が進んでまいりまして、要するに消費の力というものが十数年前よりは落ちてきておるように思っておりまして、全体としての国民消費力が停滞しておる、そこに原因があるように思っております。  したがって、消費の増嵩を図るためには、新しい消費意欲をつくっていかなきゃならぬだろうと思っておりまして、そのためには、一つは、私は住宅の改造なんというのが一番大きい消費増嵩の一つの要因になるんではないかなと思ったりしております。
  124. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 午前中、柳澤大臣がおっしゃっていた高齢社会、これが一つ消費変化にあらわれているんじゃないかという、そういう見方もあることは私も承知していますし、塩川大臣もそのことについておっしゃったんだろうと思うんですが、しかし、八年間にわたって実質可処分所得が減っておるし、家計消費支出が同じように八年間にわたって減っているということは、これは高齢化の問題よりも、まさに構造が変化してきたことの大きなあらわれだと思うんですね。  実際、国民がどう考えているかということが非常に大きな要素だと思うんですけれども、これについても日銀が調査をしていますね。毎年、生活意識に関するアンケート調査を続けておられるわけですけれども、これを見ましてもやっぱり非常に大きな特徴があらわれているんです。  昨年とことし、昨年は九月の調査、ことしは三月の調査なんですけれども、それを見ますと、どちらも同じような傾向をあらわしているんですけれども、どの項目が実現したら支出をふやしますかという問いに対して、トップが雇用や収入の不安の解消、これが四五・九%、前回が。ことしは四六・七と少し上がっています。二番目が消費税率の引き下げなんです。これが四二・六%からちょっと減って四〇・一%。三番目が、年金改革財政赤字などに対する指針を示し、国民負担の将来像を明確にする、これが三五・〇から四〇・二に大きくふえています。このように、トップ三つがそれで、それに続くのが一層の所得税減税、こうくるわけですけれども、かなり数字が減っています。  これを見ますと明らかに、可処分所得がふえれば消費がふえる、私は消費しますと、こう答えているわけでしょう。これははっきりあらわれているし、それから社会保障不安、雇用不安がなくなれば消費がふえると自分たちは思うというふうに明確に答えている。これは政府自身が分析してきたことと私は符合していると思うんです、国民の意識と。そうすると、まさにそれに見合った対策というのが今とられるべきじゃないのか。私たちは、何といいましても、素直にこれに対応した対策を出すべきだと思います。  三月に私たちは緊急経済提言というのを行いました。ここでは三本の柱を立てました。一つは、消費税を緊急に三%に引き下げる、国民の購買力を直接応援しよう、これが第一番目です。第二番目が、社会保障の連続改悪、これを凍結して将来不安をなくそう。これは、今年度予算、医療、年金、介護全部合わせますと大体三兆円の負担増になります。これを凍結しようじゃないか。それから第三番目が、リストラを抑え、中小企業を支援していこう、これでもって雇用の危機を打開していこうじゃないかという提案をしたわけですが、この点は全く、構造の変化、それから国民の願い、これに沿ったストレートな対策だと思うんです。  ともかく、企業がもうかれば雇用もふえるだろう、それから所得もふえるだろうといういわゆるダム論に基づくやり方というのはもう改めなければいかぬときに来ているんだということを思うんです。再度、塩川大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  125. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 一般論として申せることは、今、池田さんがおっしゃったように、消費税を下げろという要望はやっぱり国民の中にもあるだろうと思います。思いますけれども、しかし、私たちとして、また国民全般の考え方としては、国の財政の支柱と位置づけされてきました消費税を安易に引き下げるということは、国の財政に大きく影響してくるということが一つ当然ございますし、また、これを下げることによって直接消費がさらに拡大するかということは、確かに、下げるにこしたことはないであろうけれども、それだけの消費増嵩の効果というものも予測しがたいようなことに私は思われます。したがって、消費税の引き下げということは、これは現在のところ財政上あるいはまた景気対策上から見ても考えられない政策であるというので、我々はこのことに対しましては反対しておるわけであります。  それから、社会保障の充実、これはもう私たちも同じ考えでございますから、充実には懸命の努力をしていかなきゃならぬと思っておりまして、それには、財政状況もこういう状況でございますから、給付と負担の関係バランスをとりながら進めていかなきゃならぬということと、同時に、多少は社会保障の中でも、社会保障の施策を受けなくても自立していける方々に対しては辛抱していただいて、しかもなお手厚い福祉行政をしなければならぬ層に対しては重点的にこれを厚くしていくという、そういう一種のめり張りをつけたいということを思っておるところでございます。  それから、リストラを抑制して中小企業対策というお話、これも私たちにとりましては同じような考えでおりますけれども、その中身とやり方については池田さんのおっしゃっているのとちょっと違うところがあろうと思いますけれども、方向としては我々もそのようなことはやっぱりでき得れば努力したいと思っておるところであります。
  126. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 消費税の減税が景気回復にも余り役立たぬだろうし財政を危うくするんだとおっしゃるんですが、少なくとも景気についていえば、所得税の減税ではある程度貯蓄に回って消費に回らないということもあるでしょうけれども、消費税の減税は、これは消費しなければ減税にならないわけですから、消費税の減税額というのは必ず消費に結びついているわけですね。そういう点で、三%に戻せば五兆円の減税効果があるわけだし消費拡大効果があるわけですから、この点では少しお考えはおかしいんじゃないかなと私は思います。  社会保障につきましても、一般論としてはそれは言えても、今、社会保障が少なくとも九七年以来引き下げられてきているというところに問題がある。だからこそ国民社会保障の将来に不安を抱いている。将来不安を持っているというところで景気にマイナスに働いているということなんですから、一般論としてそういうことを論ずるのは今適当でないと私は思います。  そのことはそれぐらいにしておきまして、今、消費税の問題と財政構造問題ということでおっしゃいましたので、そのことにちょっと移りたいと思うんです。  ついこの間まで宮澤前財務大臣は、マクロモデルをつくってシミュレーションをやる、六、七月ごろにはそれができるだろうと。シミュレーションをやると、今、塩川財務大臣がおっしゃったような、給付はこれからちょっと引き下げなけりゃならぬし、負担はふえるというふうなことになるんじゃないか、そうなると消費税増税ということが課題に上がってくるという、えらいまた先回りのお話をしておられたわけですが、何でそんなことになるのか私はわかりません。  ただ、六、七月ごろにシミュレーションが大体できているというふうな、そういう方針については財務省として変更はないんでしょうか。
  127. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 池田委員お話しのように、当初、六、七月ごろにはマクロモデルの結果が得られるようにして、そういうフレームの中で十四年度予算も含めまして今後の経済対策を考えようということでございました。  ただ、このモデルの作成は、経済財政諮問会議の方の経済社会総合研究所にいわばお願いをしてつくっていただくということでございまして、鋭意努力をいただいておりますけれども、ちょっと六、七月ごろに数字をはめ込んだ形のモデルをつくるのは難しいなという状況になっておりまして、九月過ぎといいますか、秋ごろまで、できるだけ早く私どもは出してもらいたいというお願いをしている、そんな状況でございます。
  128. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 小泉内閣は、来年度の新規国債発行額を三十兆円以内に抑えるという方針を出されたわけですね。しかも、さらに引き続いて、プライマリーバランスの均衡達成を目指すとしておられるわけです。これを実現しようとすれば、歳出歳入にわたって大きな改革を進めていかなければできません。  それで、塩川財務大臣は二十日のフジテレビで、プライマリーバランスの均衡を達成するためには消費税の問題が最大のテーマになるとおっしゃったわけです。これはもちろん覚えておられると思うんですが、これは今のシミュレーションを念頭に置いて言われたのかなと私は思っておったんですけれども、どうもそうでないわけですね。そうしますと、消費税の問題が最大のテーマになるというのは、どういったお考えで、何を基礎にしておっしゃったんでしょうか。
  129. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) プライマリーバランスというのは、私たちは直ちにこれの始動に入るということはちょっと難しいと思うております。といいますのは、御承知のように、中期財政展望におきまして一応は平成十五年度まで正確な数字を予測しておりますが、この状態を見まして、十四年度におきましては三十三兆三千億円足りません。三十三兆三千億円足らない、国債発行しなきゃならぬという数字が出ております。十五年におきましては、三十五兆の国債を発行しなきゃならぬ、だから三兆五千億円の国債を増発しなきゃならぬという数字が出ております。  そこで、まずとりあえずは、国債増発のスピードを落としていくために、平成十四年度から出口を締めていこうということに着手するということにいたしまして、一応三十兆円で限界をとる、一、二年はこのペースで国債発行を抑え、将来を見越した段階においてプライマリーバランスをとっていく、数年計画でとっていきたい、こう願っておるわけでございまして、そのときにはやはり財政上の構造として税の増収を図っていかなきゃなりませんし、その分についての増収分については消費税が大きい財源になってくると思っております。
  130. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 プライマリーバランス、ゼロに持っていくだけでも相当年数がかかる、そのためには税の増収も図らなければいかぬし、歳出の削減もしなければならぬと、それはそのとおりだと思うんですね。増収を図るのに何で消費税かと。所得税、直接税もあるじゃないかと。特に、学説によりますと、景気回復して直接増収につながるのは消費税よりも直接税だ、法人税、所得税だという説もあります。私はその説の方が正しいだろうと思う者なんですけれども。  しかし、今おっしゃったのを考えますと、ここ一、二年で、まず増税するんじゃなしに歳出削減で考えていきたいと。一、二年では増税しないということなんですけれども、将来、プライマリーバランスに持っていくためには増収が必要で、それが消費税だ、それが最大のテーマだとなりますと、この一、二年、来年、再来年にもし消費税を増税しようと思えば今法案を出さないかぬですよね。当然そんなことはできません。  三年後以降プライマリーバランスを図る方向で持っていこうということになるのであれば、もう来年か再来年には消費税増税のテーマというのを持ち出さなければいかぬというふうに、そうならざるを得ないというふうに考えておられるんですか。
  131. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そう単刀直入には私はできないだろうと思っておりまして、一応は、一、二年の間は現在の国債増発を抑え込んでいくということに全力を挙げていきまして、景気回復と非常にこれは重要な因果関係がございます。  経済をとにかくよくする、景気回復する、それによって財政構造、いわゆる税収も図っていく、それを見ながら三年後ぐらいからプライマリーバランスの計画の中に入り込んでいくのがいいんではないか、私はそういう見通しをしておりますけれども、といって、景気がそれだけの力をつけてこなければ、平成十六年度からそれじゃプライマリーバランスの始動に入るか、なかなかそうはいかないだろうと。  でございますから、そのような状況を、そういう環境をつくるために全力を挙げて一、二年頑張っていきたい、こういうことを申しておるわけでございます。
  132. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今、もちろんこんなことは、消費税増税すれば九七年度の悪夢がまたよみがえってくるわけですから、そんなことは当然ないだろうと私も思います。ただ、プライマリーバランスという形で、そのために消費税増税といいますと、これはもう国民としては、そうなかなか将来不安はなくならないというところにつながっていくんじゃないかなというふうに思います。  ともかく、今おっしゃったのは、何となしにまたもとへ戻ったような形で、財政改革のために景気回復を図っていくような話にもちょっと聞こえたんですけれども、しかし財政改革景気回復を同時に進めなければ景気回復はないというのが今の小泉内閣の立場なんでしょうから、そういった点からすると注意して発言していただきたいなというふうに思いますが、もし本当に経済構造改革をしていくということであれば、同時に景気回復を図りながらですよ、そういうことであれば、私は、さっき言いましたように、消費税の減税という方向こそが今正しいんだというふうに思います。  特に、これは前財務大臣ですけれども、シミュレーションをすると、給付は引き下げなければならぬし負担は引き上げなければならぬ、消費税増税の公算が高くなると発言があったんですけれども、シミュレーションの前からそういった発言をするということは、これはよくない。こういった立場ではなしに、きちんとした形で本当の構造改革を図っていくというのであれば、こういった考え方は改めていただきたいなというふうに思っておるところです。  続きまして、歳出の方の問題に移りたいと思うんですが、歳出削減ですね。  これは当然のことながら、三十兆円以下に抑えるために、今話がありましたように、歳出で見ていくとなります。そのときに、聖域なしに歳出削減を図ると言われました。しかし、聖域なしということになりますと、社会保障も対象になるというふうなことも当然私たちは頭に浮かぶんですが、今やらなければいかぬのは、そうではなしに、一番の財政赤字の原因になっております公共事業の削減、これを中心にしなければならないというふうに思うんですね。  そこで、公共事業の削減のことなんですけれども、気になりますのは、財務大臣が二十一日の予算委員会で、国の公共事業予算を減らすけれども公共事業の総量は減らさない、公社公団などで対応が可能だとも言われたわけですね。これは、国債は発行を減らします、しかし財投債はふやしますということに聞こえるんですね、私。国債も財投債も同じですよ。それではこれは歳出削減につながっていかないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  133. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そう短絡的に考えていただいたらちょっと御迷惑でございまして、もう少し柔軟に考えていただきたいと思うんですが、私が申し上げておりますのは、公共事業を減らさなきゃならぬ、これはもう同じような考えでございます。  しかし、この公共事業を減らすについて、やはり順序、順序というか選択がございまして、今必要なのは、やっぱり景気の下支えをするためには公共事業も大いに活用しなきゃならぬと、これはもう御理解していただけると思うんです。そうすると、景気の下支えに向くような、それに効果のあるような公共事業にはやっぱり重点的に配分していかなきゃならぬし、また、不急不要とは申しませんけれども、実施計画を年次を延ばすことによって資源を節約できる大型の公共事業もあろう、そういうようなものについては多少はブレーキをかけていくという、そういうめり張りをつけていかなきゃならぬと、これがまた一つ考え方であります。  そして、私はもう一つ考えておりますことは、公共事業の量を減らさないで、そして実際は公共事業に使う国費を節約したいということでございまして、国費を節約することと公共事業の全量を減らすということとはちょっと事情が違うと思います。  それじゃ、どういう手法でやるのかということでございますけれども、まず公共事業に占めますところの国費並びに地方負担の、生の負担がございますが、それなんかはある程度削減いたしたい。そのためには、まず第一に公共事業に使っております経費の見直しをいたしたいと。  これは池田さんも大体賛成していただけると思うんですけれども、現在、十年前から比べまして、公共事業に要する建設経費でございますが、いろんな面見ましたならば、相当価格は下がってきております。これらを的確に公共事業の算出に使っていくならば、公共事業の経費は相当下げられるんではないかと。具体的に何%とはわかりません、わかりませんけれども、下げられることは事実だと思うんです。その分を国費と地方の負担の分に充てたいと、こう思っておるんです。  そうすると、その一つの事業量は下がってまいりますから、他の方に転用できる分が出てくる。その分につきましては、何も公社公団といって私はそればっかり言っておるんじゃございませんで、PFI、いわゆる民間資本の使うものであるとか、あるいは公社公団の中でも都市基盤整備公団なんてございまして、住宅の改造でございますが、用地は既にあって、事業さえ起こせば、工事さえ起こせば活用できる事業というものがたくさんまだございますし、また、下水道も随分とおくれておりますので、下水道を推進することによって地域の面開発にも資するということでございますので、そういう方面の公社公団を活用したいということが一つでございます。  なお、一般の営繕関係等におきましても、信託を利用するとか、レンタルあるいはそういうものを導入して、公共事業の総量は減らしたくない、けれども、それに要する、使うところの国費と地方負担は実質上減らしていきたいと、こういうことを申し上げております。
  134. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 言われたことでいえば、単価の引き下げですね、公共工事の単価の引き下げとPFIということで大体やっていこうということのようですが、それでもって総量を減らさないということであれば、これはとてもじゃないけれども、私は財政再建の方向には向かわないだろうと思うんです。  というのは、国と地方合わせて六百六十六兆円の借金を抱え込むことになる状況のもとで、年間五十兆円規模の公共事業を年々続けていこうというわけです。それを続けていこうと思えば、国からの公共事業の発注は九兆円ぐらいしかない、で、税収は大体五十兆円でしょう、そういう中でやりくりしていこう、こういうことのわけですから、とてもそんな悠長なことは私は言っておられないんじゃないかと思うんですね。  総量を減らすことが中小企業への発注が大きく落ち込むとか、そういったことについては配慮しなければいけないし、十分配慮できると考えます。それは大事なことですけれども、それが塩川大臣の言われる景気に悪影響を与えないやり方ということだと思うんですが、それはそれで大事です。しかし、総量を減らさない以上この財政再建には結びついていかないだろうというふうに思うんです。  第一、年間五十兆円規模で今の公共事業を続けていく必要がありますか。日本の公共事業というのは大体GDPの六%から七%占めていますけれども、諸外国にそんな国ありませんよ。何でこんなに大型の公共事業を中心に進めていかなければいかぬのかと。しかも、さっきおっしゃったように、単価の引き下げだけじゃなしに、むだな公共事業多いんですよ。政府も見直すということをやってこられたけれども、その見直しの内容を見れば、もう既に中止になっておるような、そういうふうなものに限られておる。こういうことでは私、だめだと思います。  いろいろ質問を準備したんですけれども、私、結論だけ申し上げたいと思うんですけれども、今の公共事業は、九〇年にアメリカに公約した四百三十兆円の公共投資、それから九四年にそれを六百三十兆円という形に拡大しました。その後、法改正があって、十年間六百三十兆円を十二年間で六百三十兆円ということにしたものですから、二〇〇七年度まで大体年間五十兆円規模の公共事業を続けるということが対米公約になっています。その総量を減らさないということの中には、対米公約とそれに基づく公共投資基本計画、これが大臣の頭の中に私はあるんじゃないかと思うんですね。このベースがある限り、自民党政府では公共事業の総量は減らさないと私思いますよ。まさにそこに私はネックがあるということを一つ指摘しておきたいと思うんです。このことについては、これは前もやってきましたけれども、今後引き続き論議していきたいというふうに思います。  最後に一つだけ、不良債権処理問題について伺っておきたいと思うんです。  これにつきましては、財務大臣も竹中経済担当大臣も同じようなことをおっしゃっているんですけれども、早期に不良債権処理を進めるために、必要があれば金融機関への公的資金の再注入を実施すべきだと。これは財務大臣、五月一日の日経新聞のインタビューで答えておられます。それから竹中経済財政担当大臣も、場合によっては再注入もあり得ると、こう言っておられるんですね。どうも担当外の大臣がいろいろ言っておられるんで柳澤大臣もやりにくいかなというふうに思うんですけれども、柳澤大臣に伺う前に財務大臣に伺いたいんですけれども、必要があれば再注入と言われるんですが、必要があればって、どういう必要なんですかね。どんな場合なんですか、想定しておられるのは。
  135. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 済みません、ちょっと発言させていただきます。  先ほど、公共事業を抑制できないという中でアメリカとの関係をおっしゃっていましたが、私たちは、先ほど申しましたように、生活に関連した細かい公共事業、住宅だとか下水だとか、あるいは公害だとかというのをやっておりますが、それは雇用対策でございますので、雇用を拡大したい、それによって経済の下支えをしたいということでございますので、誤解のないようにひとつお願いいたしたいと思います。
  136. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それで、今の質問、必要があればという財務大臣のお考え。  財務大臣経済担当大臣が必要があれば再注入と言っておられるんですけれども、これはちょっと現行法を御理解しないで言っておられるんじゃないかなと私は思うんですね。  ですからこれは柳澤金融担当大臣に伺いますけれども、現行法のもとで再注入できるとすればどういった場合ですか。
  137. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 早期健全化法、これによる資本注入というのは既に効力を失効していますから、これに基づいての注入ということは現行法制下では不可能ということでございます。  したがって、あと残りますのは、金融危機対応という形の改正預保法のもとでの話ということになるわけでございまして、これには金融危機、システム危機が起こるということに備えて必要な措置がとれるということでございますから、多分その中には資本注入も含まれるであろうと、こういうことだろうと思います。
  138. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その必要な措置というのはまさに万々々が一の危機が生じたときだと、これは何度も、宮澤大蔵大臣のときから答えられたし、柳澤大臣は、そのときは金融担当大臣はお休みしておられたんですけれども、聞かされてきました。そういう形で法改正された。ですから、今の状態でとてもとてもそんな状態考えられないわけでしょう。  銀行自身が公的資金が再注入必要になるような状況じゃないと言っているわけですよ。それを盛んに再注入再注入といって外野から、外野といっても財務大臣とか経済財政担当大臣がこれ言うわけですから、これは本当に何か変な気持ちになります。じゃ、その法改正考えているのかと。そういうことまでも考えておられない。悪いけれども今伺ったら、余り重要性感じておられないから、私が伺った質問についてもちょっとすぐにはお答えになれなかったんだと思うんですね。そういうことでは困ります。ともかく今私たちは公的資金の注入などということは反対なんですけれども、政府自身がつくってきた法律に基づいてもそんなことできる状況じゃないんですよ。もし本当にそれをやろうと思うのであれば、今の経済情勢をきちんと説明して、そこまでの危機的状況にあるんだということを国民に説明なさるべきでしょう。私はそういう状況にないと思いますがね。  非常に安易なそういった発言というのは慎まれるべきだということを要求しまして、終わります。
  139. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 社民党の大渕絹子でございます。塩川財務大臣には初めて質問をさせていただきますが、よろしくお願いを申し上げます。  小泉内閣は、構造改革なくして景気回復なしということで、構造改革に積極的に取り組む姿勢を示しておられますし、財務大臣所信の中で財政改革をやっていかなければならないという旨も申しておりますので、そのことは一定程度私たちも理解をしながら評価をしていきたいというふうに思いますけれども、しかし、構造改革を進めれば進めるほど国民の側への痛みというのは大きくなってくるのではないかなということがございまして、そのことでちょっとお聞きをいたしたいというふうに思います。  竹中平蔵経済財政担当相は、二十二日の参議院予算委員会の中で、不良債権最終処理をめぐる失業者の増加の見通しについて、一兆円の処理で数千人から一万人、数十兆円の処理では数万人から数十万人が職をかえなければならないという見解を示されています。  そしてまた日経連の奥田会長さんは、構造改革に伴う失業の増大について雇用対策を考えなければならないということで、十七日、提言をされています。その提言の中には、不良債権最終処理影響を検証し、時間軸を調整して対策が必要である、二、三年で不良債権処理を進めると新規雇用創出が間に合わない、失業給付の拡大が必要である、職業能力の再開発の充実、あるいは勤務地のミスマッチ軽減、転居に伴う費用や家族負担への助成を検討する必要があるだろう、失業対策事業的な公共事業継続はいけないと、こう言っているんですね。それから、時限的に公的な雇用をつくる施策も否定すべきではないと、ここはちょっと逃げをしていますけれども、若年層雇用の拡大が必要、公的雇用では、不足している警察官、教員、看護婦、税務署員など、必要分野で検討すべきである、健全な企業の便乗解雇は許されないというようなことが雇用創出提言の中で盛り込まれています。  政府も恐らく、構造改革を進めていくに当たり、こうした雇用不安の解消に対して既に具体的な話し合いがなされ始めているというふうに思いますけれども、この点、国民の不安にこたえていくという観点からどういうふうにお考えになっているのか、まずお聞きをしたいと思います。
  140. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃるように、現在、厚生労働省を中心といたしましてそれの試案づくり等をいたしております。  私、仄聞するところによりますと、経済諮問会議の事務当局の方に仄聞いたしますと、世上で言われておるほど多くの失業は出ないのではないか、しかし、かなりなものが出るということは覚悟しなきゃならぬということは聞いておりまして、それに対するものはやはり政府としては措置しなきゃならぬだろうと。  おっしゃるように、職業訓練というものも一つの対策でございますけれども、やはり当面は失業給付というものを重点にした対策をしなければならぬのではないかと思っております。
  141. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 失業給付は、今は退職による失業給付の場合は三百三十日、そして自己退職の場合は三百日というようなことになっているんですけれども、そこらをもう少し充実するということですか、今、失業給付についてということ、特に大臣がそれを取り上げておっしゃるということは。
  142. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は方向として申し上げたので、中身についてはまだ私は承知しておりませんし、そこらは今詰めておるところだろうと思っております。
  143. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 二十二日の日に、構造改革に伴う雇用不安を解消する本格的な雇用対策の検討項目をまとめるようにというふうに、小泉さんを本部長とする雇用対策本部がつくられて、そして話し合いがなされ始めたということを報道で知っておりますし、具体的な検討は恐らくこれから先になるんだろうというふうに思いますけれども、さまざまな分野から意見を聞きながら、より実効性のあるものをつくり上げていただきたいということを御要望しておきたいと思います。  それから、財政改革の中で国債発行を三十兆円以下に抑えることを目標に挙げておられます。その具体的な手だての中で、公共事業費で二兆円、それから地方交付税交付金あるいは補助金等の削減で一兆円規模、そこで三十兆円に抑えることができるというふうに塩川大臣はおっしゃるわけでございますけれども、公共事業費についての削減の問題は、私も、大臣がおっしゃるように、物価が下落している中で公共事業の積算単価などは大幅に見直していけばよろしいでしょうし、不要不急な事業については抜本的に切っていけばいいだろうし、そういうことで公共事業による削減については大いにやっていただいていいというふうに思うのですけれども、地方交付税交付金とか補助金について一兆円規模の削減ということになりますと、これは地方にとっては極めて重要な問題になってくるのではないかというふうに思うのでございます。  例えば国からの事業を地方が公共事業として請け負うときに、地方の負担について国から交付税措置がなされるというようなことがあったり、補助金で出されてその補てんをするというようなことが今まであって、それで何とか地方はバランスをとってきたわけですけれども、ここを切り込まれていかれるというようなことになりますと極めて地方からの反発の声が高くなってくるのではないかと思いますが、それにかわる代替財源を地方に独自に与えるようなことができるのかどうかということなんですけれども、ここはいかがでしょうか。
  144. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 三兆三千億円を予定でいきますと削減しなきゃならぬことになりますね、国債発行で。その約三兆円の内訳は、私は、一般歳出の方で二兆円、そして地方財政計画の中で約一兆円ぐらいと、そういう枠を申したのでして、まだ中身について言っておりませんから。ですから、二兆円全部公共事業ということではございませんで、一般歳出で二兆円、地方財政で一兆円と、こういう枠のことを申しております。  それじゃ地方は生活できないじゃないかというお話でございますけれども、地方もやはり財政は非常に苦しい状態ではございましょうけれども、国の財政にあわせて、やはりそれだけの縮減策をとっていただいて、効用を高めていただくようにしてもらわなきゃいかぬと思っております。  地方の一兆円というのは全額地方交付税でと、そういうことはございませんが、しかし補助金もしくは負担金等をまぜまして、もちろん交付税もですが、まぜて約一兆円ぐらいの調整はしてもらわなきゃならぬだろうと思っております。
  145. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 長期計画の中でまだ実施されていない部分で削減をしていくということは可能だろうと思いますけれども、過去に行ってきた事業に対して交付税措置をしたり補助金で出したりということを削っていくことは、私は極めて難しいだろうと思うんですよね。国ができない事業について地方にやるように、単独事業などで大幅に地方にやらせてきたんですよね、今まで。そして地方の財源を圧迫してきているんですよね。その上でさらに今度は交付税措置をカットするということは、極めて地方にとっては痛みが伴う措置だというふうに思うので、ここは十分に考えてやっていただかなければならないというふうに思います。  このことをとらえて、地方と都市の対立が始まったというようなことを、小泉内閣が都市型政治になってきて、地方を切り捨て、それで地方と都市が対立になるというようなことが新聞紙上でも言われ始めているわけですが、その件に関しては大臣はどうお考えになりますか。
  146. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は対立関係なんというようなことを全く考えておりませんし、均衡ある国土の発展という趣旨からいって地方の行政も非常に大事なことでございまして、都会の整備ということも同様、国民でございますから、皆平等に扱わなきゃならぬと思っております。  一例を言いまして、地方の県ですが、県名を言うのははばかられるので申しませんけれども、そこの県民一人当たりの行政経費は三十九万円。都市におきますところの、この都市も言いませんけれども、まあ東京大阪と思っていただいたら結構でございますが、そこの一人当たりの行政経費が十二万円。そういたしますと、十二万円と三十八、九万円という差はあるわけでございまして、それはある程度均衡をとらなきゃいけないだろうと。一遍にそんなのはできませんし、また居住環境が違いますからそう一概に申せませんけれども、この行政経費の大きい開きというものはある程度近似値に縮めなきゃいかぬだろうと、こう思います。
  147. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 塩川財務大臣がそういう考えの方だというのを今初めて知りました。  そもそも税金を取って再交付をしていく中には、地方と都会との生活格差が存在をしていると思いますけれども、そこをできるだけ縮めていくために税の執行というのが行われてくると私は思っておりまして、人口密度の低いところ、過疎地域において一人当たりの税執行が膨らんでくるのは、生活格差の是正という観点からすればごく当たり前のことなんですよ。  そこが、一人は同じ、十万都市も地方も同じ税負担が公平なんだという考え方は、それは私は違うのではないかというふうに思います。もしそれならば政治そのものはそんなに深く要らないわけでございまして、税の執行に当たってはそうした、もちろん具体的な公平という観点は必要だと思いますけれども、日本国内に住んでいる人たちがいかに生活格差のないところで、同じような境遇の中で暮らせるかという観点というのは極めて重要だと思うんですよね。  そういう観点の中で交付税制度というのが今までとられてきているんだろうというふうに思っておりますけれども、今の大臣の御発言だと、そういうことではない、否定をされる発言というふうにとらえておりまして、これは重要なことだなというふうに思っております。これからの総務委員会でしょうか、地方税制などを扱っているところの委員会等の議論も見ながらまた話を進めていかなければならないというふうに思っております。  いっぱい用意をしてしまいましたけれども、余りできません。  道路特定財源の見直しについては、先ほど浜田委員の方からも御質疑がございましたけれども、抜本的な法改正が必要ですが、抜本的な法改正によらないで拡大解釈でやるということになりますと、これから先、省庁間の抵抗や自民党族議員の抵抗に遭ったときに、法改正がなされていないということでまたもとに戻ってくる、内閣がかわった途端にまたもとに戻ってくるというようなことになりはしないかというふうに私は懸念をいたしますが、その点と、道路財源ということではなく、環境に負荷を与えるものに対して税金を課していくんだというような形で、思い切って環境税というようなことに変えていったらどうなのかということを含めて、あわせてお答えいただきたいと思います。
  148. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは浜田先生の問いに対しましてお答えしたことと同じでございますけれども、私たちは、道路財源を抜本的に変えたいと。変えるための環境をやっぱりつくっていかなけりゃなりませんし、あしたからようかんをかみそりで切ったようにここからこっちを変えるんだと、そんな単純なことではできない。したがって、それの環境づくりの一つとして、現にまだ道路整備五カ年計画が現在進行中でございまして、これが平成十四年まで続いておるわけでございまして、それは既に財源の裏づけもしてあって、やっぱり事業の進行に合わせて予定もされております。  ですから、その中から期限の延ばせるものを抽出して、それで財源をつくり出して道路に関係する以外の事業に拡大して使う、それが一般財源化への一つのステップとしてやはり必要なんだということを申しておるのでございまして、あしたから特定財源を廃止して一般財源だと、こんなむちゃなことはできません。  だから、私たちは十五年以降においてそれをやっていこうと、こう言っておるんでございますので、その点の理解はひとつぜひしていただきたいと思います。
  149. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 御質問の中に、思い切って環境税という考え方があるんじゃないかというお話がございました。  これは一般論でございますけれども、環境問題に対する税制あり方については、もう委員御承知のとおり、昨年七月の政府税制調査会の中間答申の中で広範な御議論をいただいておりまして、広く国民に負担を求めるという問題だけに、国民の理解と協力が得られる体制をつくっていく、不可欠だと。また、環境全体の中で税制の具体的位置づけを踏まえて、国内外の論議を注目しながら、環境負荷の原因者に対して負担を求めるべきという汚染者負担の原則に立って検討を行うべきだという基本的な考え方はお示しをいただいております。  このような基本的な考え方を踏まえまして、今後の税制あり方を検討する中で幅広い視点から検討をすべきものと、このように受けとめております。
  150. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 幅広く検討するのはいいんですけれども、道路特定財源の中でそれを一般に使うならば税率を下げろというような議論が自民党内にあるということが報道されておりますので、そこを切り返す手段としては、環境に負荷を与えるという意味では、道路使用者はそれはきちっと認識をしておいてもらわなければならないという観点なんですよね。  ですから、一般財源化を図って幅広く使っていける、財務省としてはその方がずっとやりやすくなるというふうに思うわけでございまして、ぜひそこらも積極的に検討していって、幅広じゃなく、集中的に検討していっていただきたいなというふうに思っています。  それからもう一点は、今回、緊急経済対策の中で株式譲渡益について、一年間保有した株式については百万円まで非課税にするというようなことが盛り込まれて、株式投資あるいは債券市場に個人の資産が少し流れる環境づくりに乗り出したかなというふうには思いますけれども、その一方で、株式譲渡益の分離課税を決めた法律を二〇〇四年まで凍結するというような形で、非常に一貫性がないように思えるんですけれども、この点に関して大臣はどうお考えになっておられますでしょうか。
  151. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、今、暫定措置として二年間両立になっております、申告制と源泉制となっております。これは税法上もう確定したことでございますので、二年間はその併用でいきたいと思っております。  しかしながら、しょせんは、二年後においては申告課税に一本化したいと、こう思っておりまして、源泉分はできるだけ申告制に移してもらいたい、そのためには、今からインセンティブを与えて、できる限り現在源泉制をとっておられる方々に有利なようにして申告制へ移っていただくような準備として、百万円を特別控除として認めてもらうということをしたようなことでございます。
  152. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 柳澤金融大臣に最後にお伺いをいたしたいと思います。  債権放棄に当たって、債権放棄のガイドラインを民主導でつくらなければならないというようなことで、官側も何らかのお手伝いをしたいというような発言をされておりましたけれども、その官側のガイドライン策定状況はどういうふうになっておりますでしょうか。
  153. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先生、今、債権放棄に関するガイドラインと、一口にマスコミ等でもそういう言い方をされているんですけれども、債権放棄が伴うということが多いかとも思いますが、そういうことが前面に出るのではなくて、私的整理をするということで、私的整理に関するガイドラインというふうにぜひ御理解を賜りたいと、まずその点を申させていただきます。  そうして、これは総理の所信表明演説でも書かれておりましたとおり、「政府の働きかけのもとに」、こういう一句が実はございますが、これは、これまでの私的整理を見ていると、いろいろ信頼がひょっとして欠けているようなことはないのか、私的整理の対象になった企業の株価等のその後の推移を見ても、もうちょっと私的整理をしたのならしたらしくぴんとはね上がるというようなことがないと、せっかくやってやったのにというようなことが国民世論の中にもあるわけでございますので、もうちょっとそこに信頼がされるような仕組みというものをつくったらどうだろうかという問題提起をさせていただきまして、そして、そういう意味の働きかけをさせていただいて、民主導でつくっていただくようにということを、お願いというか、呼びかけさせていただいているわけです。  なぜ民主導なんだと申しますと、結局、私的整理というのはどこまでいっても民間金融機関とその貸出先である民間企業の間でございますから、仮に政府がつくってやったって、それを使われなきゃ何にもならないわけでございます。ですから、使われるようなものにするためには民主導の方がいいでしょう、こういうことであります。それからまた、実は債権放棄というのは非常に実務的な専門的なものなものでございますから、そういう意味でも、取引というか御商売の機微が十分わかった方々がそれを踏まえてつくられるのがいいでしょう、こういうことを我々考えて、内容等についてはぜひ民同士で、お話し合いのもとでそれが練り上げられるのがいいんじゃないですかと。  ただし、民でもうやりなさいよというようなことに、そうやっちゃうというのは、やっぱり政府としても少し引っ込み過ぎだというようなこともありますので、その御相談の場には、オブザーバー的という言葉がいいかどうかはともかくとして、見守り役みたいな格好で政府も参加をする、こういうようなことで今進めようということをしているわけでございまして、それらのことについて、現在、民のいわば代表と言っていいかどうか、一応全銀協と経団連さんの間でいろいろと鋭意準備が進められている、こういう状況でございます。
  154. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  155. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 無所属の笹野貞子と申します。  私は男性に余りお世辞を言わないので非常に嫌われるんですが、しかし両大臣に対しまして、心より御就任のお祝いを申し上げたいというふうに思います。  さて、私はこの委員会に初めて出させていただきまして、今御議論を聞いておりますと、非常におもしろく、興味があります。やっぱり女性というのは家計を預かっておりまして、一カ月の収入と支出というものに対して非常に興味を持っておりますから、家計の収入支出と国の収入支出というのは、大きいか小さいかの問題で、私にも素人だけれどもわかるのかなと、そんな心臓強い思いで質問をさせていただくことにいたしております。  いずれにいたしましても、私は経済とか財政の面では大変な素人ですので、全く今までの経緯も把握しておりませんし、また専門用語にも精通しておりませんので、非常に乱暴な御質問になるというふうに思いますけれども、その点、どうぞ御容赦いただきたいというふうに思っております。  しかし、バブル崩壊後、日本金融経済はモラルハザードなどという言葉が横行いたしまして、そういう点では私は非常に憂うべき現象が今日本の国にあるんではないかというふうに思っております。そういう意味で、私はこの委員会のいろいろな今までのルールがあると思うんですが、ルールハザードでまいりますことも改めて御容赦いただきたいというふうに思います。  まず、両大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、小泉政権が誕生いたしまして、今まで何度もの御質問にありますが、構造改革なくして景気回復なしとか、聖域なき構造改革、あるいは改革断行政府などという非常に格好いい言葉が続きまして、国民はそれに対して大いなる賛同の意をあらわして、支持率が驚異的に高くなっているんだろうというふうに思います。  しかし、私がきょうお聞きいたすのは、その格好いい部分改革という言葉は、今やっていることが非常にいいことだからそれをもっと大きく改革するという意味と、今までやってきたことが非常によくないことがあったから、それを反省して改革するという二つの意味があると思うんですが、私はまず最初に、両大臣、どちらの意味改革なのかをお聞きします。
  156. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いい悪いという判断には私たちは基準を置いておりませんで、これからの新しい時代のニーズにこたえていくために改革、改善するということでございます。  したがって、その基準は何か。右肩上がり時代にできた制度が、右肩下がりの制度に合わないものが随分出てまいりましたことが一つ。それから、経済はグローバリゼーションの世界に入ってまいりまして、世界の水準に合わせた改革をしなきゃならぬということがございます。そういうことを中心にした改革を考えておるんで、よしあしの改革ではないということを見ていただきたいと。
  157. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ただいまの笹野委員の御質問、私なりの考えを申させていただきますと、私は、率直に言って改革が始まって既に何がしかの時間がたっているというふうに思います。ですから、どの時点に立ってですが、日本の場合は一九九五年、つまり九〇年代の後半から改革が始まったというふうに考えていいかと思うんですけれども、その時点での改革が今回はさらにもうちょっと際立って進捗するというふうに思うわけでございます。  じゃ、九〇年代後半の時点での改革はどういう現状認識での改革であったかというと、アンシャンレジームという言葉を使う方もありましたけれども、やっぱり今の制度はまずい、こういう価値判断に立ってそれを改革するんだというものであったというふうに考えております。
  158. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 柳澤大臣のお答えは非常にわかりやすかったんですが、塩川大臣はちょっと私わかりづらいところがありますので再度御質問させていただきますが、いい悪いではない、これはニーズに合わないからだとおっしゃったんですが、じゃニーズに合わなかった部分をちょっと内容的にお知らせいただけますか。
  159. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) やっぱりいろんな規制ですね、規制で縛ってきた。個々には今申し上げるべきじゃないと思うんですが、それは笹野先生一番御存じだと思うんですよね。いろんな規制がありました。その規制は、やっぱり新しい時代にあって解除していかなければならないだろうと思っております。  また、一方において競争が激しくなって、弱者救済の面における規制もつくらなきゃなりませんし、そういうことはやっぱり改革の中の一つの問題だと思っております。
  160. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 改革という言葉は大変格好がいいんですけれども、しかし、今まで何度も改革改革と言って改革できなかった事実があります。例えば、橋本内閣のときには行政改革初めいろんな改革を唱えたんですが、途中でとんざしたこともあります。私は何を言いたいかといいますと、改革をするときには、今までやってきたいろんな歴史、過程、制度というものに対して反省をしっかり持って改革をしなければ、私はやっぱりそれは国民は納得しない改革になるだろうというふうに思います。  そういう意味で、どこがニーズに合わなかったのか、つまり、規制というのがむだな規制であり不必要な規制であったのか、あるいは国際的にどこが間違っていたのかということを、しっかりとした反省点に立っていただかなければ改革はあり得ないという私の考え方ですので、その点はどうぞ私の考え方も御理解いただきたいというふうに思います。  例えば、塩川大臣は道路の問題に一番先に切り込みましたけれども、私も地元へ行きますと、休耕田が非常に目立つ中で、急に大きな立派な道路が田んぼの真ん中に、飛行場でも建つかというぐらい立派な道路ができたり、自然がいっぱいあるにもかかわらず、道路の縁にたくさん公園をつくって、非常にデラックスなアーチをつくったりいすをつくったりして、これが公園だと言われたりすると、そんなところのベンチにいまだかつて一人も座っている人を見たことないのがいっぱいありまして、何てむだなことをするんだろうかということですが、今度塩川大臣がそういうところに切り込んだということは、そういうむだなことに反省したのかなというふうに思いまして、塩川大臣はすばらしい方だと思ったんですが、その点はどうぞしっかりと、今までやってきたことに対する改革という意味を間違わないでいただきたい、そういうふうに思います。  続きまして、次の質問にさせていただきますが、通産省白書がこの間公表されました。これを読みますと、中国の台頭によって、東アジアでは日本が主導する雁行型の発展形態が崩れ、言いかえれば日本が先行する国際的な分業体制が崩れ始めており、今後は各国が一団となってしのぎを削る大競争時代が到来している、日本は成功体験に安住し、自己改革努力を怠ってきたため競争力が低下してしまったという分析が載っておりましたが、これを私は読みまして、こんな分析では物すごく甘いんじゃないかというふうに思いました。  それはどうしてかといいますと、私は、今度は中小企業、零細の企業を非常に多く回ってびっくりした事実がありました。特に電子関係でしたけれども、こういうところを回っておりますと、部品が全部労働力の安いアジア、中国、もうこのごろは中国ではなくてアジアの方にどんどん移動してしまって、要するに空洞化現象というのが起きているわけですね。この空洞化というのがもう現実となって起きていて、中小零細というのは大体大企業の下請、部品の下請ですから、あるときには半分になったり、ことしなどはもうゼロになっている中小がいっぱいあるんですね。これはつまり、海外に移動しちゃって空洞化現象で、つまり職業がなくなってしまっているという現象なんです。  先ほど大臣は、公共事業というのは雇用対策でやっているというふうにおっしゃいましたけれども、片や公共事業で雇用対策にお金を使い、片や空洞化が起きて収入がなくなる労働者がいっぱい出てきてしまって、その収入がない労働者が雇用保険で来ているのか、とにかく失業しているという、こういう現象が今の現象ですね。  私は大臣にお聞きしたいんですが、収入がなくなるということは税収が少なくなるということと同じことなので、片や税金を雇用の方に使い、片や税金のない現象をそのまま放置しておくというのはいかにも何かおかしいんですけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
  161. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も笹野さんと同じ悩みを持っておりまして、私ちょっと歴史書を読みましたら、ちょうど十九世紀末から二十世紀のかかりにかけての英国と同じ状況が今日本に起こっておりますね。  あの当時、英国は植民地がどっとふえて安い賃金、そちらへ英国の重要な産業がどんどんと出ていって、そして逆輸入していって英国の産業が廃れたと、私はそのような現象が今日本の国内で何かしんしんとして起こってきておるような感じがしてならぬのです。その点で、今質問されておることは、私は非常に的確なところをついておられると。  その意味において、これをカバーするのは何かといったら、やはり生産性の高いというか、付加価値の高いより高度な技術を開発して産業を興していく、それに対抗していくということをやっていかざるを得ないんじゃないかと。グローバリゼーションが進めば進むほど先ほどおっしゃったような傾向が進むので、私たちはその方向でやっている。その意味において、きょう科学技術会議、政府でやりました。もう全く同じような、時代を先行する技術開発をやって日本経済活性化を図ろうということで一致しまして、その方向に努力してまいります。
  162. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 先端技術をつくる、つまり企業を開発すると申しましても、これは研究が非常に重大なわけですから、研究費の方に公的な資金をどんどんつぎ込んでいかなければ産業活性化も雇用の活性化もあり得ない、これは当たり前のことで当たり前の発想なんですが、それが今までなかったということは、これも私は反省の材料になるんじゃないかというふうに思いますので、その点は財務大臣としてはしっかりとお考えいただきたいというふうに思います。  さて、時間が非常に少ないものですから、柳澤大臣にお聞きいたしますが、大臣は今不良債権のことを一生懸命力説していらっしゃいまして、実にわかりやすい四つの不良債権の仕方というのを御提言なさっていますが、私は、不良債権というと確かに銀行と企業の間ということなんですが、国家と銀行との間、国家と企業との間ということも不良債権という概念に入らないのかなというふうに思いまして。  私が一番記憶に残っております、平成九年だったでしょうか、私たちが国会が終わって帰ろうとするときに足どめを食って、塩川大臣関西ですと御存じですが、福徳銀行に対する合併の法律をつくるのでとめられた記憶がありまして、大変興味もありますので、そこでお聞きしたいんですが、この福徳銀行となにわ銀行、言葉はどう表現していいのかわかりませんが、国がつぎ込んだお金というのは幾らなんでしょうか。
  163. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 福徳銀行となにわ銀行の特定合併。先生御苦労いただいた法律によりまして、弱者連合という言葉がよく言われたケースでございますけれども、そのときに国が関与した資金と申しますのは、資産の買い取りという形で行われました。  そのときに、簿価三千七百二十五億円の資産を当初三千十八億円で購入いたしたわけでございますけれども、いわばそれだけの価値がないものを当時そうした評価で買い取らされたということで、その契約条項にございました瑕疵担保責任を追及するという権利を持っておりましたのでそれを行使いたしまして、この三千十八億円はかなりの程度その後減額されることになったわけでございます。
  164. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 続きまして、大和銀行と近畿大阪銀行に対する資金投与と、なみはや銀行からの資産の買い取りの金額は幾らなんですか。
  165. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) こうして福徳銀行、なにわ銀行の特定合併でつくられましたなみはや銀行という銀行は、その後、平成十三年二月十三日に大和銀行と近畿大阪銀行へそれぞれ一部ずつ営業譲渡をされたわけでございますが、このときに国が関与した金額と申しますのは、金銭贈与といって、損失の穴埋めに使ったお金が六千五百二十六億円、それから資産の買い取りに使ったお金が千八百九十五億円でございますが、先ほどの瑕疵担保や何かがごたごたございますので、それをネットで、全部この二つのケースを足して重複したところを除いて申し上げますと、金銭贈与は六千五百二十六億円、資産買い取りの分が三千四百六十八億円ということになります。で、この資産の買い取りは、片方で、資産を売却すればその分が回収されてくるということになるわけでございます。
  166. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 簡単に言いますと、両方合わせて約一兆円がつぎ込まれたわけですね。それで、資産を売却すると戻ってきますと言いますけれども、私の調べたところでは余り戻っていないんじゃないかというふうに思います。そうすると、一兆円が消えてなくなったわけですね。
  167. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金銭贈与六千五百二十六億円のうち二千七百八十二億円は、金融機関があらかじめ納めている保険料でもって補てんをされますから、その分は国民負担にならないわけでございます。  他方、資産買い取りについては、私、どのくらい資産の売却で回収ができているかということはちょっと今つまびらかにできませんけれども、大体において整理回収機構というのはかなり安値で買っておりますので、多分、大部分は回収可能であるというふうに考えております。
  168. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 あと一分ですのでお聞きしますけれども、いろいろな言い方はありますけれども、結果的に六千億円ぐらいはなくなったというふうに受け取ってもいいわけですね。消えてなくなったわけですね。  私は、これはどう言ったらいいんでしょうか、こういうどうしようもない経営をやっているところにお金をつぎ込んで、それが消えてなくなるということは、国家そのものがやっぱり、監視体制とか銀行に対するいろんなアドバイスというのが的確に行っていなかったことになるんではないかというふうに思います。  私がちょっと試算いたしますと、六千億円というお金はどんなお金かということを、全く庶民の感覚でいいますと、二千万円のマンションを買うんだったら五万戸、そして小学校、五百人規模のものだったら六百五十校消えてなくなったということになるんで、二千万円のマンションを五万戸買うということは、三人の家族がいると十五万人の都市が消えてなくなったことと同じ勘定になると思うんです。  やっぱり、こういうむだなところにむだ遣いをするというところに非常に国民は不安感というんでしょうか、政府に対する信頼度がなくなるというふうに思いますので、そういう点はどうぞ反省の上に立った改革を断行していただきたい、そういう思いで私の質問を終わらせていただきます。
  169. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  170. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 次に、国有財産法第十三条第一項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。塩川財務大臣
  171. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま議題となりました国有財産法第十三条第一項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  本件は、公園である公共用財産を公用財産にすることにつきまして、国有財産法第十三条第一項の規定に基づき、国会の議決を求めるものであります。  以下、この議決案の内容について御説明申し上げます。  本件は、環境省が公共用財産として所管する公園であります京都御苑の一部に京都迎賓館、これは仮称でございますが、を整備するため、同予定地を内閣府所管の公用財産にするものであります。  以上が、本議決案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  172. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会