○池田
幹幸君 まことに頼りない感じがするんですよね。
今言いましたように、危険物品にしても社会悪物品にしても、物すごい勢いで数がふえてきているわけです。それを相手国に頼る形で、それは国際ルールからいえばそうですよ、変なものを送っちゃいけないことになっているのに送る方が悪いといえば悪いんだけれ
ども、それは税関としては、
日本国民の安全あるいは職員の安全を守るためにはこちら側でやっぱり対応を立てないといけないですね。
ところが今、残念なことに、その点では非常に危うい状態、むしろ悪くなっていきつつあるというふうに思うんです。というのは、
努力しないと言っているんじゃないですよ。さっきおっしゃったEMSというんですか、国際スピード郵便ですか、これが物すごい勢いでふえているんですよね。普通の郵便物、いわゆる国際郵便貨物ですか、それも非常にふえているんですよね。これを見ると、十年間で約一・四倍ふえています。その一・四倍というのも、基礎の数字が八千四百六十七万からですから、一億二千七十六万という形で、絶対数にすれば物すごいふえ方をしております。また、EMSという国際スピード郵便の急増はこれよりもっとすごいんですね。九〇年から二〇〇〇年の十年間で検査呈示個数四・九倍、物すごいふえ方です。これは事実ですよね、いただいた数字ですからそのとおりだと思うんです。
もちろん税関は、こういうふうな業務だけじゃなしに、一番中心は課税することですから、その仕事が非常に大事なんですよね。課税通知書の発給ももちろん当然のことながら物すごい勢いでふえています。だから、仕事量が物すごくふえているんですよ。ところが残念なことに、職員、ふえてはいるけれ
ども、ふえ方はとても微々たるもので、この荷物のふえ方には到底追いつかないというのが現状なんですね。
これは非常に大事なところで、私、この
質問をするに当たって、今週月曜日に東京外郵出張所を見せていただきました。そこでやっぱり感じました。話を伺うと、三十人で一万三千個、これを午前中に仕分けするということなんです。仕分けというのは、税関職員の方々が、これはもうそのまま配達に回してよろしいよ、課税しませんと、これは課税します、これはあけて検査をしましょうという大体三つに分ける。
ところが、その作業のやり方たるや、物すごくうずたかく積まれた荷物をまず真ん中に運んできて置いて、それをいろいろ仕分けしてそれぞれのケースに入れる、こういう作業なんですが、さっき一キロ以上の物品がふえているというふうにおっしゃったけれ
ども、それどころじゃないんですね。制度改正で、郵便物が今まで二十キロだったのが三十キロまで認められたんですよ。実際、重たい荷物はあるんです。そういうのも税関の方が運んで一々
判断するわけでしょう。これは大変な重労働であるだけじゃなしに、物すごい神経を使う仕事なんですね。
私もついうっかりして、後で税関の方に話を聞いたときに、どっちみち検査をするのは持って感触を確かめたりするんだからと言ったら、そんなことじゃない、持って物を運ぶのと、この荷物の書いてある中身が正しいかどうかというふうな形で持って検査するのとは
意味が違うんだと言われて、ああなるほどなと思ったんですけれ
ども、肉体的な労働に加わって精神的な労働は本当に大変なものになっているんですね。そこへもってきて、どんどん数がふえるばかりということになっておる。午前中にこれだけ片づけて、午後は課税業務ということになるわけですよ。
これを毎日やっておられるわけですけれ
ども、これを助ける設備がまたまことにお粗末なんですね。課税業務の方はパソコンがあります。これでもって仕事はどんどん早くなっている。それはそうだろうと思うんですが、じゃ検査の方はどうかというと、今言いましたように荷物を
一つずつ手作業で運んでいるんですよ。あと設備として私が取り上げるのは、エックス線の装置と、これは設備と言えるかどうかわかりませんが、荷物を運ぶ車、台車というんですか、これぐらいですよ。こんな
経済大国
日本の、それも表玄関東京の外郵がこんな状態にあるんですね。これはもっときちんとすればちゃんとしたことができるなというふうに思うんです。
例えばエックス線の検査機にしても、一万三千個検査するのに二台しかないんです。午前中にもし全部やるとすれば、六千五百ぐらい一台でやらなきゃこれは不可能です。だからやっていません。少なくともエックス線検査ぐらいはすべてのものを通してやれば、起こる事故も少ないだろうと思うんですけれ
ども、それはやっていないですね。やれないです、実際。人は少ないし、設備が少ないわけですから、やろうにもやれない、やる意思はあってもやれない、これが実情だと思うんですね。
これは、関税
局長よりも
財務大臣は当然こういった実情も御存じだと思うんですけれ
ども、いかがお
考えでしょう。