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2001-04-02 第151回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年四月二日(月曜日)    午後一時四分開会     ─────────────    委員異動  二月六日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     菅川 健二君  二月七日     辞任         補欠選任      小山 峰男君     今井  澄君  二月二十六日     辞任         補欠選任         世耕 弘成君     仲道 俊哉君  二月二十七日     辞任         補欠選任         鴻池 祥肇君     岸  宏一君      月原 茂皓君     入澤  肇君      仲道 俊哉君     世耕 弘成君  二月二十八日     辞任         補欠選任         入澤  肇君     月原 茂皓君  三月一日     辞任         補欠選任         岸  宏一君     鴻池 祥肇君  三月二日     辞任         補欠選任         清水嘉与子君     野沢 太三君  三月五日     辞任         補欠選任         野沢 太三君     陣内 孝雄君  三月六日     辞任         補欠選任         陣内 孝雄君     野沢 太三君  三月七日     辞任         補欠選任         野沢 太三君     清水嘉与子君  三月八日     辞任         補欠選任         久野 恒一君     佐々木知子君  三月九日     辞任         補欠選任         佐々木知子君     久野 恒一君      月原 茂皓君     入澤  肇君      依田 智治君     南野知惠子君      菅川 健二君     柳田  稔君      魚住裕一郎君     益田 洋介君  三月十二日     辞任         補欠選任         入澤  肇君     月原 茂皓君      南野知惠子君     依田 智治君      柳田  稔君     菅川 健二君      益田 洋介君     魚住裕一郎君  三月十四日     辞任         補欠選任         阿部 幸代君     大沢 辰美君  三月十五日     辞任         補欠選任         緒方 靖夫君     阿部 幸代君      平野 貞夫君     高橋 令則君  三月十六日     辞任         補欠選任         今井  澄君     柳田  稔君      阿部 幸代君     緒方 靖夫君      高橋 令則君     平野 貞夫君  三月十九日     辞任         補欠選任         柳田  稔君     今井  澄君      大沢 辰美君     阿部 幸代君      平野 貞夫君     高橋 令則君  三月二十一日     辞任         補欠選任         高橋 令則君     平野 貞夫君  三月二十三日     辞任         補欠選任         月原 茂皓君     入澤  肇君      中島 啓雄君     中川 義雄君      海野 義孝君     浜田卓二郎君  三月二十六日     辞任         補欠選任         入澤  肇君     月原 茂皓君      中川 義雄君     中島 啓雄君      浜田卓二郎君     海野 義孝君  三月三十日     辞任         補欠選任         魚住裕一郎君     益田 洋介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 大島 慶久君                 加納 時男君                 狩野  安君                 鹿熊 安正君                 川橋 幸子君                 渕上 貞雄君     委 員                 久野 恒一君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 月原 茂皓君                 中島 啓雄君                 今井  澄君                 海野  徹君                 佐藤 泰介君                 佐藤 雄平君                 菅川 健二君                 海野 義孝君                 福本 潤一君                 益田 洋介君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 岩本 荘太君                 平野 貞夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  斉藤斗志二君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)  橋本龍太郎君    副大臣        内閣府副大臣   仲村 正治君        外務大臣    荒木 清寛君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西川 公也君        防衛庁長官政務        官        岩屋  毅君        防衛庁長官政務        官        米田 建三君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        管理部長     小野 正博君        内閣法制局第一        部長       阪田 雅裕君        内閣府政策統括        官        江崎 芳雄君        宮内庁次長    羽毛田信吾君        防衛庁防衛参事        官        中村  薫君        防衛庁運用局長  北原 巖男君        公正取引委員会        事務総長     山田 昭雄君        外務大臣官房長  飯村  豊君        外務大臣官房領        事移住部長    小野 正昭君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     高須 幸雄君        外務省アジア大        洋州局長     槙田 邦彦君        外務省中南米局        長        西田 芳弘君        外務省経済局長  田中  均君        外務省経済協力        局長       西田 恒夫君        国土交通大臣官        房長       岩村  敬君        国土交通省鉄道        局長       安富 正文君        国土交通省自動        車交通局長    高橋 朋敬君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長   八木橋惇夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十年度一般会計歳入歳出決算平成十年度  特別会計歳入歳出決算平成十年度国税収納金  整理資金受払計算書平成十年度政府関係機関  決算書(第百四十七回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十七回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十七回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二月六日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として菅川健二君が選任されました。  また、去る二月七日、小山峰男君が委員辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。  また、去る三月三十日、魚住裕一郎君が委員辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 平成十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費内閣総理府本府、外務省防衛庁沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 加納時男

    加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  本日は、外務省、それもODA一本に絞って質問させていただきたいと思います。  本年の一月二十日に内閣府から外交に関する世論調査概要が発表になりました。その中でODAに関する質問があります。ODAを積極的に推進すべきだという意見は、ひところは四〇%を超えていたんですけれども、今回の世論調査を見ますと、この十年間で激減をしまして二三%に、約半分ぐらいに減っております。また、ODAを縮小すべきだというネガティブな意見は、ひところは一〇%ぐらいだったんですが、これも十年間で倍増して二二%ぐらいにふえております。つまり、ODAについてはふやせというのが減り、減らせというのがふえ、同じような比率、二割ちょっとになって並んでしまった。  ODAは、私は非常に重要な日本のまさに国益にかなうものだと思っているわけでございますけれども、このような現状についてどのようにお考えでしょうか。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  9. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘がございましたように、内閣府が発表いたしました世論調査の結果を見ますと、ただいま議員からお話がございましたように、積極的な支持者というものが減りまして、どちらかというと慎重論者と申しますか、縮小をすべきではないかといったお考えの方がふえているということを我々も承知いたしております。  その理由は一体何かということについて、私どもも大いに関心を持たざるを得ないわけでございますが、私どもが見ておりますところでは、まず非常に端的に申し上げれば、我が国経済財政事情が非常に厳しい、国内でこれだけ厳しい状況にあるのに外国に開発援助を行うということがいかがなものかというお気持ちを持った方がおられる。さらには、ODAがどこにどういうふうに使われているかということについて不透明だ、もう少しそういうことについてはっきりと説明をする必要がある、そういう説明がないためにこれらについて納得をしておられない方がこれまた相当多い。それから、一体、相当な年月、相当な金額援助していて、それが実際どれだけの成果が上がっているかということについて甚だよくわからない。これも二つ目理由と同じようなところでございますが、こういった点が多いというふうに思います。  もう一つ、私は申し上げなければならないことは、ODAについて非常に慎重論が強いのは、やはり対中ODAの問題があると思います。中国に対します経済援助政府開発援助というものが、必ずしも国民の皆様の気持ちの中ですとんと落ちていないと。早い話が、北京へ行ってみる、上海へ行ってみる、随分立派な近代都市ではないかと、そういうところにさらに支援をしていかなければならないのか。さらに一方では軍事予算も相当ふえてきているではないか、そういったことを考えてみるべきではないかというお気持ちがかなりあって、対中ODAに対する慎重論ODA全体の慎重論に非常に大きな影響を与えているというふうに私どもは感じている次第でございます。
  10. 加納時男

    加納時男君 今のお話の中で、国内の厳しい事情があること、それからまたODAが不透明あるいはその成果が必ずしもよく説明されていないこと、それから対中ODA、いろんな例を挙げられました。全部そのとおりだと思います。  あえて言わせていただくと、不透明とおっしゃったんですけれども、やや不適切な例もあったのではないだろうか。例えば、被援助国人権抑圧あるいは独裁、あるいは軍事力の拡大、これは中国なんかでよく例に挙げられるものでございます。例えば、フィリピンのマルコス政権、それからあるいはインドネシアのスハルト政権に対する援助というものが果たして適切であったのか、意味は非常にあったと思いますけれども、不適切なケースもあったといったような批判があったかと思います。  こういったあたりについては、最後にまたODA国益というところで、ぜひ今の延長で議論をさせていただきたいと思っております。  ちょっと具体的な例を一、二挙げてみたいと思うのでございますが、私はODAにはいろんな光もありますし影もあると思います。一つずつ最近の新聞で報じられた事例を取り上げてみたいと思うんですが、一つは、まず影の面であります。  ことしの一月二十四日付の読売新聞で、タイ政府が進めております汚水処理施設をめぐっての地元反対が報じられております。これは、日本ODA、それからADBといいましても日本が主体でございますが、ADBの融資、それに加えてタイ政府の出資で行われているものでありまして、サムットプラカン工業地帯工場排水、これがタイ湾に流れ出るということから、いろいろこれを浄化しようじゃないかと、目的は非常にいい目的なんですけれども環境保全という観点から汚水処理施設をやっていくということであった。非常にいい援助だと私は思っていたんですけれども住民から反対が出ているということでございます。  これの実態はどういうふうになっていらっしゃるのか、おわかりでしたら説明していただきたいと思います。
  11. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) お答えいたします。  御指摘タイにおきますサムットプラカン下水処理事業につきましては、サムットプラカン県の水質汚染対策のため下水処理施設を整備するものでございまして、先生指摘のとおりタイ政府、それに加えましてアジア開発銀行、それから円借款資金によって進められているものでございます。本事業に関しまして委員指摘のような問題が報じられていることは、私たちも承知をいたしているところでございます。  政府といたしましては、これまでも政府ミッションの派遣の機会などをとらえまして、本事業に関し、環境への配慮住民との対話及び実施手続透明性の確保が重要であることをタイ政府側に累次指摘してきたところでございます。  また、現在タイ側におきましても、本事業についての環境への配慮を徹底すべく、環境への影響、それに対する対応、モニタリングの計画などを取りまとめました環境管理計画策定作業中でございます。現在、JBIC及びADB外部専門家を交えましてこの管理計画評価を行っているところでございます。今後、タイ側においてはこの環境管理計画を公表していくという予定であるとも承知をいたしております。このような取り組みによりまして、本事業に関します諸課題につきまして、タイADBJBIC等が連携をいたしまして、地元住民方々にも十分御納得いくような解決策が見出されるよう強く期待しているところでございます。  いずれにしましても、政府としましては、このようなタイ政府内における本事業に対する対応ADBにおける対応等をも注視しまして、本事業実施に対しては今後とも慎重に対処してまいる考えでございます。
  12. 加納時男

    加納時男君 外部専門家知恵も入れて環境管理計画をしっかりやるように日本政府としては申し入れたというふうに今の答弁は伺いました。  私はこれは問題だと思ったのは、このプロジェクト環境アセスをやっていないわけですね。それから、住民説明公聴会もやっていない。これは私は、決して違法じゃなかったと。タイ憲法が一九九七年、今から三年半前ですか、たしか制定になったわけですけれども環境に重大な影響を与える計画環境アセスメントとか公聴会実施することとありますので、この憲法の規定から見ると今回の援助というのは抵触すると思うんですが、実は今回の日本政府援助を決定したときには、そのときのタイ政府閣議決定のときには、まだ憲法実施されていなかった、だから私は、全然合法的であって間違ってはいない。  間違っていると私は言っているのじゃなくて、そういう憲法が変わったといったときに、もう前の憲法のときのことだから関係ないよというのか、この環境重視ODAということが、この数年ODAについては私どもも発言してまいりましたし政府も取り組んできたと思うんですが、そういう中にあって、住民の方に文句を言われてから立ち上がるというのでは何か非常に悔しいわけでございまして、そういう点の反省とか今後の対策というのは、今外部知恵をかりて環境管理計画をつくっているということですから期待したいと思いますけれども反省というのはないんでしょうか、日本政府は少しも間違っていなかったということでしょうか。  私は、間違ってはいないけれども、もうちょっと配慮してほしかったと思います。いかがでしょうか。
  13. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先生指摘のとおり、法技術的には確かに違法なことではなかったということでございますが、御案内のように、もともとODA大綱ができまして以来、特に近年におきましては環境というものについては日本ODA大変重視をしてきておりまして、それを支えるためにJBICであれJICAであれ、いろいろな具体的な努力を積み重ねてきたという傾向にございます。  そのような精神にかんがみますれば、やはり今回につきましても、できることであればそのような対応というものは、もしかしたらば理想的だったのかもしれませんが、結果的にはそうなされませんでしたという事実がございますので、そのような事実も踏まえまして、先ほど御説明しましたように鋭意それについての今現在、調査を行っているというふうにお考えいただければと思います。
  14. 加納時男

    加納時男君 調査はぜひやっていただきたいと。調査で終わることなく、ぜひともこういった地域住民気持ちというものもよく考えながらやって進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  今のはちょっとつらい話ですが、もう一つ、いい例もここで議論してみたいと思います。  これは、平成十二年の十二月二十六日付の読売新聞に載った草の根無償資金協力の話でございます。  中国の西安の南東百七十キロメートルのところにあります白陽関郷というところの例なんですけれども中国日本がやった草の根無償資金協力が非常に住民に喜ばれたということでございますが、まず伺いたいのは、草の根無償というのはどういうことでしょうか。
  15. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 草の根無償資金協力と申しておりますが、開発途上国の多様な援助ニーズにこたえますために、途上国地方政府中央ではなくて地方政府、あるいは教育、医療機関、さらには現地で活動しておりますNGO等実施しております比較的小規模なプロジェクトに対して、当該国の諸事情に精通をしております我が国在外公館大使館とか総領事館でございますが、中心となって支援を行うというスキームでございます。  この制度は、平成元年度に導入されて以来、草の根のレベルに直接裨益するきめ細かい援助として各方面から高い評価をいただいておるところでございます。
  16. 加納時男

    加納時男君 わかりました。  それでは、白陽関郷ではどのようにして今の草の根無償がなされたんでしょうか。
  17. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 今般は、御案内のように中国かなり奥地におきますプロジェクトでございまして、これは大使館の方が直接そこで行っております地方政府とコンタクトをいたしまして非常に良好であるというふうに認められましたので、これを積極的に支援していきたいという結論に至ったものでございます。
  18. 加納時男

    加納時男君 私は、この草の根無償というのは非常に意味があると思うんです。これからのODAの新しい方向一つかなと思って実は質問に取り上げさせていただいたわけでございます。  私の調べた範囲で申し上げますと、白陽関郷というのは物すごく、何というか発展のおくれた、言葉をかえると非常に貧しいところですね、一人当たりの所得が極めてわずかなところでございます。非常に不衛生で、住民は川の水を飲んでいたわけです。これに対して、日本草の根支援で水道を引いた。それから、皆さんがなかなか学校に行かれないところに小学校をつくった。しかも、衛生状態が悪いところで、また病気のあるところで保健所をつくった。こういったことが日本協力でできたんだということを住民の人が肌で感じて喜んでくれたというニュースなんですね。私はこれを非常にうれしく思ったわけでございます。  草の根無償というのは、今、局長の方からお話があったように、極めて現地発の話でございます。地域のまさにNGOも含めまして、草の根方々の提案に基づき、日本中央じゃなくて現地在外公館が、現地の雰囲気を一番知っている在外公館が判断をして、しかも一件当たりたしか一千万円ぐらいだと思いましたけれども、以下ぐらいの比較的安い金額であるけれども、しかしこういう白陽関郷のようなところでいえば一千万円というのは大変巨額なお金でございます。それでいろんな施設ができて住民の方が喜んで、これでまさに日本の顔の見える外交、顔の見えるODAというのが私は成功した非常にいい例だと思います。  予算の方もこの間成立しました。三月二十六日に成立した予算書を早速チェックしてみたんですけれどもODA全体では三%減っています。けれども、その中で草の根無償については、たしか間違っていなければ、私の記憶では八十五億円が百億円へと大幅に一七%ぐらいふえたと思います。これは国会で仲間がみんな認めた予算でございますけれども。こういった方向、まだ日本ODA全体で一兆円の中の百億円というと一%ぐらいではございますけれども、私は新しい芽としてこれをぜひやってほしい。私の言い方、言葉を使わせていただくと、こういう援助現地主義現地でのニーズにこたえて現地で判断するという現地主義二つ目は、予算を全体の枠とは別に、その中でも重点的にこういったところ、草の根無償のようなところに重点を置いていく。  それから、さらにはこういう草の根無償に不可欠なのは人材だと思います。ボランティアの方々日本にもたくさんボランティアをやる方はおられます。こういうボランティアの方あるいは現地に入っているNGOの活用、いろんな面で工夫があると思うんですけれども、この辺についての所感を伺って、この問題を終わりたいと思います。
  19. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先生指摘のとおり、この草の根無償というのは非常に態様が広い、可能性の非常に大きなものというふうに認識をいたしております。  一つには、金額的には必ずしも多くありませんのでいわば小回りがきくということと、御指摘のように現地事情を一番よく知っている者同士が話し合いを通じて案件をつくれるということ、それからそのようなことを通じまして特にNGOの方に活躍の場をさらに提供できると、いろんな形でのメリットを多面的に持っているものと考えております。  他方、御案内のように、予算の規模がそういう意味では非常に先生方の御理解、御支援の結果として著増しておるという状況でございますので、ぜひその点については、実際にそのようなことに当たる人を、我が方においても援助要員の人づくりということも含めて今後さらに努力すべきことがあろうかというふうに考えております。
  20. 加納時男

    加納時男君 実は、後から申し上げるのは失礼かと思ったんですが、私もこういう今の国会議員になる前に企業におりましたし、大学でも国際関係論を教えていたわけです。そんなこともあって、外務省の委託で、第三者評価というんですか、ODAODA専門家じゃない人が、というか外務省じゃない人、学者とかそういう人たちが集まって評価する委員会があって、私も座長をやらせていただいて、現地ODAをつぶさに見てきていろんな苦言も呈したわけでございます。  そのときに一番感じたのは、日本はせっかくお金を出しながら、善意のお金を出しながら顔が見えていない。日本が病院をつくった、すばらしい機材を入れた。働いているのがドイツ人の医師、そしてそこで働いているのはフィリピンから来た看護婦さん。現地の人は、ドイツ人にありがとう、フィリピンの看護婦さんありがとう、だれも日本人にありがとうと言ってくれないと。もう悔しくてたまらなくていろんな苦言を呈したわけでございますが、この中国草の根無償の話は、そういう長年の私のもやもやを何かすっきりさせてくれるようないい話だと思います。  本当に金額は小さいし、大きな箱物をつくるんじゃないので、私の大嫌いな言葉予算の消化という一番嫌いな言葉があるんですけれども予算の消化という面では一番手間がかかると思うんですが、実はこのODAに一番大切なのは、そういった血の通った、肌のぬくもりの感ずる手づくりの援助こそ一番大事なので、これはもう回答は結構ですけれども大臣にもぜひこの点は、大臣の多分お考えと一致すると思いますけれどもODAをぜひこれからもこういう地味な面でもしっかりお願いいたしたいと思います。  さて、話は変わりますけれども、アメリカ政府というのはいろいろびっくりすることを時々発表するんですけれども、地球環境問題についても、何かアメリカの環境庁の長官がCOP3は承認できないというようなことを言ってびっくりしているところですけれども、もうちょっといい方の話もありまして、二月二十一日の産経の夕刊に載っていた記事なんですけれども、アメリカのジェシー・ヘルムズさんという方がおられます。  上院の外交委員長をやっている共和党の論客で、この方が長年アメリカの議会ではODAを減らせと盛んに唱えてきた方で有名な方ですけれども、この方が珍しく条件つきでODAをふやそうということを言われたというのでちょっとびっくりしたわけでございます。条件がついておりまして、民間のスルーといいますか、民間経費、NGO等も活用して、ともかく民間の力を活用するという条件のもとに援助をふやすということを言われたというので、ちょっとこの背景が私はわからないので、外務省でおつかみでしたらどのような、なぜアメリカが今までODAを減らしてきたのか、あるいはこのヘルムズさんが、減らせ減らせと言ってきた方がなぜ方針を変えたのか、アメリカの外交に何か変化があるのか、伺いたいと思います。
  21. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) この件につきましては、一ODAだけのお話ではなくて、必ずしもアメリカの対外関係全体についてのこれまでの共和党、これは議会で多数派でございますが、姿勢というものが大きく影響してきたのではないかと考えます。  一般的におきまして、共和党は、特に保守派は対外関係のためにいろいろな意味での費用を使うということについては極めて慎重であったというのが、特にクリントン政権になって以来のこの八年間ぐらいの動きであったと思います。そのような中で、ODAにつきましてもこれまで以上に慎重な対応をとると。特に、アメリカの国内の経済あるいはビジネスとのバランスの問題において、やはりプラスのものがなければそんなにどんどんと外に対してお金を使うことについては慎重であるべきというのが、ヘルムズ議員を初めとする共和党右派の保守派の考え方であったと思います。  そのような中で、今回、民間経由ならばいいよということにつきましては、このような流れが引き続き続いているという面もあろうかと思います。すなわち、ODAがアメリカの外だけに裨益するものではなくて、アメリカの国内にも裨益するものであるべきであるという主張をいわば形を変えた形で、こういう形で提案したものというふうにも理解できるのではないかと思います。
  22. 加納時男

    加納時男君 私は、これまでアメリカがODAを削減してきたというのは、一つは今、局長が言われたようなことがあると思います。加えて、アメリカは財政赤字でなかなか外まで手が回らなかったということ、それから冷戦が終結しちゃったんで戦略的な外交ということを考えたときにODAのウエートが少し下がったのかな、それはおっしゃったとおり内向き思考があったと思います。  民間を活用していくというのだったら、民間のビジネスを刺激するんだということなんでしょうか。私はそこはよくわからないんですけれども、例えばアメリカの場合には政府政府というよりも実務をよく知っている民間を活用していく、あるいはNGOをスルーしていく、NGOを活用していくことによってより現地ニーズにこたえた援助ができる、こんなようなことがあるのかなと思います。  そこで、私は日本の問題にむしろ振りかえて次の質問に行きたいと思うんですけれども日本の場合には政府政府あるいは国際機関を通してというのが圧倒的で、民間の活用というのは余りないと思うんですけれども、例えば私は民間を活用するということと同時に、今、中国なんかも盛んに言うんですけれども、我々はお助けをいただいているんじゃなくて外国からの投資を歓迎しているんだ、民間投資を歓迎しているんだというので時々中国人の方とも言い合いになっちゃうことがあるんですけれども、外国に対する民間のダイレクトインベストメントといいますか直接投資、こういったようなことと政府ODAと結びつけていくというようなことは、私はもっともっと日本考えていいんじゃないだろうか。  あるところに企業が直接投資をした、だけれどもそこの港湾だとか道路とかいろんな基幹、インフラが不足しているためにせっかくの投資が生きないということがあります。どうせやるならば、日本ODAと民間の直接投資を有機的に連携していくということ、それからアメリカの民間重視、民間スルー重視というものを踏まえて、これからも日本では少し工夫していただきたいと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
  23. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先生指摘のとおりでございまして、先ほどの私のアメリカに関する説明は必ずしも十分でなかったと思います。  加えまして、やはりアメリカのNGOの実績というんでしょうか体力というんでしょうか、そういうものが、やはり非常に大きいものが、七〇年代以降いわば育成されてきたアメリカのNGOが本当に大きな力を持っておりまして、実態としましてもアメリカの援助政策の多くの部分を、政策の立案、実施の両面にわたりましてこれまで指導してきたというような実績もあるということは、先生指摘のとおりだろうと思います。  それから、今の御質問の民間資金、特に投資でございますが、との関連についてより留意すべきであろうという御指摘は全くそのとおりだろうと私たちも思っております。  御案内のように、対LDCに向けて流れておりますいわばリソース、資金でございますが、その中に占めておりますODAの比率は近年極めて低くなっております。換言いたしますれば、民間の投資がLDCに向かっても世界津々浦々にビジネスチャンスをいわば求めて出てきている、こういう実態がございます。  このような実態を踏まえまして、LDCにおける経済の開発、社会の国づくりというものに貢献するためには、より効果的な方法は、民間の資金といかにより工夫をした形で協力できるかということになろうかというふうに思っております。そういう意味では、我が国の場合にも日ごろからそれぞれ、例えば経済界の方々とも意見交換をさせていただくなりという形で工夫をしているつもりでございますが、まだこの点は努力をすべきことが多々あろうかというふうに考えております。
  24. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  それでは、最後になりますけれども、以上の討論を踏まえてODAというのは一体どう考えたらいいのか。ODA大綱にもいろいろ記されております。それからまた、今から三日ほど前ですか、三月三十日に発表されました二〇〇〇年版のODA白書の中でも、冒頭に、軍事手段を有しない日本が国際貢献を果たし、国益を実現していくための重要な手段だというふうにODAを位置づけていると思うんですけれどもODAについてはこれまでもいろんな議論が国会でもなされ、私も議論に参加をさせていただいておりました。原則として平和主義、民主主義、環境優先、いろいろ言われておりますけれども大臣にぜひ伺いたいんですが、これからの日本ODAの基本は、基本理念といいますか、どういう哲学を持ってODAを進めていくのでしょうか。
  25. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ODA考えていく場合には、幾つかの考えるべきポイントがあると思います。例えばタックスペイヤーの皆さんには、今もいろいろ御議論がありましたように、我が国国益を踏まえてどういう意味があるかということについてよく御説明をする必要があると思います。それは御説明だけではなくて、まず考え方の一つの要素だと思います。  それから、国際情勢の中で、いかに現在国際情勢が不安定な部分に貧困の問題が絡んでいるかということについて、やはり十分な目配りが必要だろうというふうに思います。昨年の九州・沖縄サミットの折に開かれましたG8の外相会議で、紛争予防というものが今最も重要なテーマだということで合意をしたわけでございますが、この紛争予防、紛争を予防するということを考えれば、やはり貧困というものが紛争予防の上で極めて重要だということが指摘されたのは私も当然のことだと思います。  それからまた、我が国と相手国との間の二国間関係というものを十分考えていかなければならないと思いますし、さらにはそれがひいては環境の問題、あるいは平和、安全の問題にプラスの影響を与えていくものでなければならぬということなどを我々としては十分配慮する必要があると思います。  と申しますと、とりもなおさず私どもが持っておりますODA四原則におおむね沿った考え方を今申し上げたことに結果としてなるわけでございますが、この四原則を私どもは常に念頭に置きつつ、やはりそれだけではなくて、つまりそれらを踏まえて総合的に判断をする必要があるということをよく考える必要があるというふうに思っております。ODAの重要性というものを国民の皆さんに理解していただくための広報活動というものも十分配慮する必要があるということをつけ加えておきたいと思います。
  26. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  大臣のおっしゃることに賛成でございます。ODA四原則を踏まえながら総合的にやっていく。  私がぜひ申し上げたいのは、日本国益ということをもっともっと前面に出していいんじゃないだろうかということであります。例えば、平和とか民主主義だとか環境保全だとか、それから安全だとか、貧困からの脱却、紛争予防、全部賛成でございますが、いろんな国の安定と環境維持ということが実は日本の利益でもあるという抽象的なことだけではなくて、具体的に日本の安全保障に役に立つということ、それから日本にとっての信頼と友好のきずなになるということ、それからまた日本にとってのビジネスの機会になるということ、こういうことを、例えば日本援助の場合にやたらアンタイドをやるのがきれいな援助だというけれども、アメリカじゃないんですけれども、もっともっとビジネスとの結びつきということも十分に考えてやっていったらいいんじゃないだろうか。安全保障、セキュリティーと日本に対する信頼感の醸成とそれからビジネス機会、こういったようなことも加えて、日本国益ということもぜひお考えいただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 中島啓雄

    中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。加納委員に続いて若干御質問をさせていただきます。  まず、外務省に報償費の関係について伺いたいと思いますが、報償費なり官房機密費の問題は非常に予算委員会その他で議論が続けられてまいりましたので細かい議論は省略をさせていただきますが、二十九日の新聞でも、残念ながら後任も水増しがあったのではないかというようなこともございます。  二月二十一日から省内に有識者をメンバーにした外務省機能改革会議というのが設置されて議論が進められておると伺っておりますが、最近の議論に的を絞ってポイントをお聞かせいただければと思います。
  28. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外務省職員によります不祥事件が発生をいたしまして、官房報償費の使途につきまして甚だ不適切な事態が発生をいたしましたことを心からおわび申し上げます。  そうした事件にかんがみまして、私どもとしては外務省内に再発を防止するためにさまざまな措置を講じておりますけれども、その中の一つとして、外部の有識者から御意見を伺って対処したい、対処方針についてお知恵をいただきたいと考え外務省機能改革会議をスタートさせたわけでございます。  もう既に六回の会合が行われておりまして、私といたしましては今月末までには提言を取りまとめていただければ大変ありがたいというふうに思っておる次第でございますが、その会合におきましては、メンバーの方々の御要望もございまして、外務省側からは発言を一切しない、メンバーの方からのお問い合わせがあればそれに対する御答弁を申し上げるということにいたしております。さらに、メンバーの方々外務省の一般職員の中から意見も聞きたいというお話どもありまして、一般職員からのヒアリングも行われているということをまず申し上げておきます。  大変会議は活発な議論が行われております。議論はその都度、全部オープン、公開、その場は公開いたしませんけれども、終わった直後にできるだけ詳細なブリーフィングを行って公開するというやり方をとっておりまして、それらの御議論の中から、外務省に対して国民が言っている真意は一体何だと、あるいは外交実施体制の現状について、これは外務省にお問い合わせがありまして外務省からお答えをしております。その他自由討議などが行われて今日まで来ている、こういう状況でございます。
  29. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  具体的な防止策の一つとして、松尾室長の問題で、室長がすべてのことを自分一人でやっていたというような感じの御議論がございました。会計法上は、例えば支出負担行為については確認それから登録をしなければならないとか、あるいは支出官と出納事務官は兼職をしてはいけないとか、そういう相互牽制システムができているんですが、恐らく報償費の場合は資金前渡ということでキャッシュが渡ってしまうと、その後のチェックが甘かったのではないか。コーポレートカードがないということで個人のクレジットカードで処理をしていたというようなことで、私も実は海外の特殊法人に勤務したことがございまして、経理関係、確かに少人数でやるのは大変面倒くさいんですが、やはりむしろ実態に合わせてコーポレートカードなどはつくって、資金専用の口座を設けるといったようなことで今後の不正の防止というようなことを図っていったらいかがかと思いますが、その辺の具体策について何かコメントがあればお知らせいただきたいと思います。
  30. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) お答えを申し上げます。  外務省調査の結果、念のためでございますけれども、今般の横領の疑義が明白になりましたのは外務省報償費ではなくて内閣官房の報償費であるということをまず申し上げさせていただきます。  外務省の報償費につきましては、会計法令にのっとりまして適正な手続を経て支出されております。具体的には、本省におきましては、各事案ごとに担当する局部課室において使用目的金額等を記載した文書が起案されまして、取扱責任者、これは局部長以上でございますが、取扱責任者、会計課長、官房長の、あるいは事案によりまして次官以上に上がりますけれども、決裁を経ることとなっている次第でございます。  最近、外務省報償費につきましてさまざまの御意見があることを踏まえまして、今後、外交機能を抜本的に改革していく中で二重三重のチェックの仕組みを設けるなど、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いていく考えでおります。  これは既に外務大臣より御報告申し上げている点でございますけれども、毎年度初めに外務大臣みずからが報償費使用の基本的考え方を決定することといたしまして、またこれまで官房長の決裁で支出されていたものを今後は外交政策の相互調整を行う総合外交政策局長が省内での決裁過程に加わって、報償費使用に当たっての外交政策上の配慮を一層担保していくという考えでおります。  最後に、今、委員指摘のクレジットカードの問題でございますけれども、松尾元室長は上司からの指示ないし了解というものを得るという手続を踏むことなく公金支払いのために同人名義のクレジットカードによる決済方法を開始していた次第でございますけれども、今般の事件の反省に立ちまして、公金の決済という重要な問題につきましては、いろいろと検討する中で外務省としては既にクレジットカードを使用しての公金の決済を取りやめておりまして、新しい合理的な決済方法というものを検討するということを考えておりまして、再発の防止のためさらなる抜本的改善策を早急に講じていきたい、かように考えております。
  31. 中島啓雄

    中島啓雄君 今の御答弁で、確かに支出負担行為の決済についてはいろいろ上の方は厳しい相互チェックシステムということなんだろうと思いますが、やっぱりキャッシュ化された後の始末といいますか、その辺が、私はむしろコーポレートカードなどは積極的にやるべきではないかと思うんですが、そんなこともあわせて実態に合わせた御検討をお願いしたいと思います。これは要望でございます。  次に、国連分担金の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  国連の通常予算の分担金の日本側の分担率というのは、九一年当時は全体の一一・三八%だったと。それが、二〇〇〇年にはだんだん上がってまいりまして二〇・五七三となって、交渉の結果二〇〇一年には一九・六二九になったと、こういうふうに伺っております。アメリカは、二〇〇〇年が二五%であったのを二二%にしたというようなことを伺っております。  国連分担金の決め方というのは、支払い能力とかGDPとか人口によって決まると、こういうことでありますが、アメリカに比較しても、あるいはヨーロッパ諸国、ドイツあたりは九・八五七ですが、イギリスは五・〇七六、こういうようなことでかなり日本のウエートというのは高いのではないかということで、その辺の御感想を伺いたいということと、世界の平和と繁栄を維持するという意味では当然コストがかかるわけですから、今の分担金を削れと申しているわけではございませんけれども、やっぱり負担に応じた日本の国際的な地位の向上あるいは日本国益に資するということが大変重要だと思いますので、常任理事国入り問題も含めて、日本国益を維持するためにどういうような主張を今後していかれるのか、分担金問題との関連でお伺いをいたしたいと思います。
  32. 高須幸雄

    政府参考人(高須幸雄君) まず、私の方から具体的な国連の分担金についての現状を申し上げたいと思います。  国連の分担金につきましては、お話のとおり加盟国の支払い能力、具体的には経済規模その他の要因に基づきまして負担の比率が決定されるということで、我が国の経済が伸びているときには分担率が上がってきたということはおっしゃるとおりでございます。  現在、我が国の分担率は、加盟国の中でアメリカに次いで第二位ということでございます。昨年末の交渉で決まりましたことしの分担率は一九・六二九%ということで、昨年に比べますと一%ぐらい下がったということでございます。金額にいたしますと、国連の通常分担金につきまして、日本は約二百十七億円という義務を負っておるところでございます。  これに加えまして、我が国は国連関係の機関に対しまして任意拠出を行わせていただいております。こういう機関に対します拠出というものは、一位のこともありますけれども、場合によっては六位ということで、拠出割合は七%から一五%というのが現状でございます。
  33. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 安保理に日本が常任理事国として席を得るということについて、私どもといたしましてはこう考えております。  二十一世紀におきましても、世界の平和とか安全というものを考える上で国連の安保理が果たす役割は極めて大きいと、こういう安保理に、今、議員がお話しになりましたように、これだけ国連に対する貢献度の高い国が席を占めないのはおかしいではないかという議論は私どもも国連の場でいたしておりますが、しかし、国連におきまして安保理改革というものが今議論をされておりまして、もう国連の安保理を改革しようという議論が始まって七年たつわけです。毎年毎年、安保理改革、安保理改革と議論はいたしますけれども、現実の問題としてなかなか話が進んでまいりません。  そして、安保理の改革を行いますときには、ただ単に経済的な貢献度が高いということだけではなくて、日本が安保理に参加をするときには、例えば軍縮とか不拡散とか、あるいは開発とか人間の安全保障とか、そういった問題について我々が果たす役割というものが多くの国際社会に認められる必要があるということであろうと思います。  私は、個人的にはこれはかなり多くの国々に認められていると、認められつつあるというふうに思いますが、もちろん安保理の改革をいたしますときに、日本だけが入るか入らないかという議論をするのではなくて、ほかの国々が、どういう国が入るか入らないか、あるいは安保理改革を行う場合に何カ国程度の安保理常任理事国を考えるか、あるいは既存の常任理事国の拒否権というものを存続させるのかさせないのか等々さまざまな議論がございまして、改革しなければならぬという総論はもうおおむね合意に近づいておりますけれども、各論になると、なかなかそれが進まないというのが現状でございまして、私どもとしても、一日も早く安保理というものが改革をされて、そして国際社会の中で実力を持った常任理事国が世界の平和とか安全について十分な発言をできるようにするということのために引き続き努力をしてまいりたい、こう考えております。
  34. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。安保理問題だけでなくて、ぜひ我が国の地位向上のために御検討をいただきたいと思います。  次に、最近の国際情勢からロシア機の領空侵犯等の問題をお尋ねしたいと思います。  昨日も米国機が中国機と接触して緊急着陸をするというようなことで、米中関係の不安定さを示す事件が起こっておりますが、実は二月十四日にもこれに似たような事件が起こっている。  これは、ロシアのツポレフ22型バックファイアという飛行機が礼文島北の日本領空を二回にわたって領空侵犯をしたと。このニュースが、実は二月十五日に、例のハワイでえひめ丸と米原潜との衝突があったものですから極めて小さくしか取り上げられていなかったんですが、一九九五年以来の六年ぶりの領空侵犯であるというようなことで、むしろ外国の新聞のザ・タイムズとか、あるいはドイツの第二ドイツ・テレビ、ZDFというのがございますが、そういうところでむしろ大きく取り上げられて、ノルウェーとか英国もスクランブルをしたというような情報が載っておりまして、アメリカのミサイル防衛構想に対抗したかなり大規模な軍事演習ではないかというような情報もございました。  これに対して外務省は、駐日ロシア大使に抗議をされたということで、原因究明と再発防止の措置を強く求めたということでありますから、この辺は適切に対応されたんだと思いますが、日ロ会談の直前でもありましたので甘い対応をしていたのではいけないと、こう思いまして、ロシア側の説明なり回答はどんなものであったか、お聞かせいただければと思います。
  35. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員御指摘のように、ロシア機の領空侵犯が生じましたのは二月の十四日でございます。  外務省東郷欧州局長がパノフ在日ロシア大使に対しまして厳重に抗議をするとともに、ロシア政府として、今お話がありましたように、原因の究明、かかる領空侵犯の再発を防止するための措置を講ずるよう強く要請を行いました。これに対しまして先方は、調査の上回答したいと、こう述べたわけでございます。  この我が方の申し入れに対しまして、三月七日、ロシア側から、ロシア軍機による日本国の領空を侵犯した事実は確認できないという回答がございました。これに対して日本側としては、領空侵犯の事実をこちらは把握しているということを言いまして反論をしたところでございます。
  36. 中島啓雄

    中島啓雄君 ロシア側としては確認できないということですから、それ以上の追及は難しいのかもしれませんが、今申し上げましたように、むしろこのニュースというのは外国の方で大きく取り上げられていて、日本のマスコミは一紙を除いてほんの小さな扱いであったということなんですが、これがロシアの軍事力誇示の一環であるとか、あるいはロシア側として、パトロール行動によって日本の防空能力なり、あるいは日ロ首脳会談を踏まえて政府なり世論の対応を見きわめるというような意図があったとすればこれはかなり高等戦術だと思いますが、そういう意味も含めてやっぱりプレスに対してもう少し懇切にレクチャーをし、かつ日本のマスコミとしても、これはやっぱり国防、国益に関するかなり大きな問題であると思いますので、きちっとPRをしていくべきだと思いますが、お考えを聞かせていただければと思います。
  37. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  ただいま先生から大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  今回の事案につきまして、防衛庁におきましては、ロシア空軍機による領空侵犯の発生を受けまして、事実確認の後、同日、速やかに本件の領空侵犯を行った航空機の国籍あるいは機種、さらに機数、時間、場所など、その領空侵犯の概要につきまして報道機関に公表いたしたところでございます。そしてまた、防衛庁長官から、今回の領空侵犯はまことに遺憾である、外務省を通じ厳重に抗議し、再発の防止を強く申し入れる、そういったことを内容とする防衛庁長官コメント、これを発表いたしました。このコメントにつきましても、私ども速やかに報道機関に配付をさせていただいたところでございます。  なお、先ほど領空侵犯の概要につきまして公表ということを申し上げましたが、その際には、私ども担当部局から報道機関の皆様に対しましてブリーフィングなどを行うとともに、領空侵犯機の航跡図、あるいは対領空侵犯措置実施時に私どもの自衛隊機が撮影いたしました、先ほど先生おっしゃいましたツポレフ22バックファイア、これの写真などにつきましても、広く国民の皆様に対します報道の用に供していただくといった観点から報道機関に提供をさせていただいたところでございます。  またさらに、二日後になりますが、二月十六日には、私どもの航空幕僚長の定例記者会見におきまして、本件領空侵犯につきまして外務省を通じて厳重な抗議がなされましたこと、また再発防止について強く申し入れられた旨を報告いたしております。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、事柄の重要性にかんがみまして、また先ほど先生からの御指摘にも深い思いをいたしまして、今後ともこういった事案が再起してはならないわけでございますが、万々一この種の事案が発生するといったようなことがありました場合には、報道機関の皆様に対しまして、先生先ほどおっしゃいますように懇切にレクチャーするとか、そういった適時適切に発表あるいは説明を行う等、一層努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  38. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。ぜひそのようにお願いいたします。  それから、ごく最近のニュースとして、二十九日にアメリカが例のCOP3、地球温暖化防止条約京都議定書から離脱をするという発表がございました。この問題については、ブッシュ大統領も、米国経済にとって利益にならない、米国の経済それから雇用も傷つけるというようなことで京都議定書についてはノーインタレストである、こういうような相当強い口調で述べているようでございますが、これは恐らくアメリカ産業界の圧力が背景にあるんだろうと思いますが、このアメリカの態度というのは、まさに今後の人類にとって有害なる見解表明ではないかと思いますし、日本を含めEUもこれに対して激しく反応をしております。  日本としては、今まで京都議定書の問題につきましては、いわゆるアンブレラグループと称して、アメリカなどとある程度同一歩調をとりつつEU諸国と交渉をしてきたというような経緯があるようでございますけれども、この際やっぱりEU諸国とむしろ提携をして、米国に強力に翻意を促すべきではないかというふうに思っております。  それなりに二十九日段階で外務大臣あるいは環境大臣も見解を表明しておられますが、その辺についてここでお聞かせをいただければと思います。
  39. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、ブッシュ政権がスタートをいたしまして、コリン・パウエル国務長官が新たに国務長官のポストにつかれました直後、一月の終わりでございますけれども、ワシントンでいわば外相会談を行ったわけでございます。その外相会談の折には、日米二国間の問題についても十分話をいたしましたけれども、後半に私はアメリカにマルチの部分についてもっとアメリカはよく考えてもらいたいということを申しました。  私は、特にその折に地球温暖化、COP6の問題あるいはCTBTの問題、さらにはユネスコの問題、これらについてアメリカはもっと積極的に国際社会と協力をする、そういう姿勢をとってもらいたいということを言ったわけでございます。これに対してパウエル長官は、十分耳を傾けてはおられましたけれども、必ずしも合意だとは言われなかったわけです。とりわけCTBTなどについては、自分たちとは少し意見が違うというふうな状況でございました。  今御指摘のCOP6の問題についても、私はこれほど早い時期に大統領からこの京都議定書からいわば離脱するといいますか、これに賛成をして前向きに進むということは自分たちはしないのだということをはっきり言われるということは、私はこんなに早く言われるとは実は思っておりませんで、むしろこの問題については国際社会の議論をじっくり聞いて判断をされるあるいはリードをされる立場に立たれるべきではないかと思っておったんですが、こういう発言を聞いて大変残念であると同時に、地球の将来ということを考えても大きな懸念を持たざるを得ないというのが私ども気持ちでございます。  したがいまして、川口環境大臣からも私からも先方カウンターパートに対しましてそれぞれ懸念の表明をいたしました上で、森総理大臣からブッシュ大統領に書簡を送って、こうしたことについてはよく考えてもらいたいということを申し上げているところでございます。  EUは非常に強く反発をしておりまして、このEUの反発は、アメリカとEUとの会談、協議が行われるわけでございますが、この会談を我々は注視しなければならないと思いますし、EUは何人かのメンバーを日本にも派遣すると言っておりますので、このEUのメンバーとも我々は協議をしたいと思っております。  その前に、あすにでも私はこの問題に関係のある閣僚の皆さんにお集まりをいただいて、少し日本の態度、それからこの問題にどういう対処をするかということなどについて御意見を伺って、環境大臣とともに対応の仕方等を十分話し合いたいというふうに思っておるところでございます。
  40. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  ぜひ積極的に対応をしていただければと思います。  あと、防衛庁の調達問題をお伺いする予定でございましたが、時間も迫ってまいりましたのでスキップさせていただいて、沖縄振興の問題について若干お尋ねしたいと思います。  沖縄については、戦後二十年間米国軍政にあったわけでございまして、昭和四十七年以来約七兆円ぐらいの国費を費やして振興政策をやってきたと伺っております。現在、第三次振興開発計画という十三年度末までの計画実施中であるわけですが、残念ながら、一人当たり県民所得とかその他いろいろな指標を見ても、全国レベルに比べて沖縄の地位が非常に上がったというところまではなかなかいっていないのではないか。そういう意味で、今までの三次振興の成果と、それを踏まえて今度ポスト三次といいますか、四次の振興計画についてどういうお考えで臨まれるのか。  これからの地域振興というのは、どの県も同じように重厚長大型の工業開発ということではなくて、それぞれ特色ある振興計画を練っていく。例えばITであるとか、あるいは沖縄のような自然環境を生かすとか、あるいは長寿の沖縄県という特色で高齢者に優しい県にするとか、いろいろお考えがあろうと思いますが、その辺の今までの成果と今後の考え方についてお聞かせいただければと思います。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 沖縄が本土に復帰をいたしましてから、議員御指摘のように三次にわたる沖縄振興開発計画を講じてまいりました。そして、施設面、整備面を初めとして、本土との格差が縮小してまいったといったような点から着実にその成果は上がっております。  しかし、御指摘のように、全国の約七割で推移をいたしております一人当たりの所得水準あるいは全国の約二倍の失業率、こうした点に端的に示されておりますように、産業振興という点では必ずしもその効果は発揮されたとは申せません。そうして、今、これから先を考えました場合に、沖縄の振興という中で産業の振興と同時に雇用の問題が極めて大事でありますし、特にその産業振興によりまして活力のある自立型の経済を構築するということに重点を置いて考えるべきであると思っております。  こうした点からまいりますと、沖縄におきましては、観光リゾート産業がリーディング産業としての地位を確立しておりますし、情報通信産業もリーディング産業として発展を期待される状況となってきておりますので、今後これらの産業の振興をさらに図ってまいる必要があると考えております。  多少の時間をちょうだいできますならば、例えば観光リゾートと申しましても、現在、沖縄観光の柱というのは、夏場を中心とした亜熱帯の海洋性リゾートというものにある程度絞り込まれております。これに対して、沖縄の特性であります長寿という点、あるいは食文化などを生かした総合的な保養の場の形成、あるいは世界遺産にも登録されました首里城に代表される琉球王国などの歴史や文化を活用する、また自然を利用したエコツーリズム、こうした沖縄の特性や優位性を生かした産業の振興など、地域の特色を生かした振興が図れますように、現在、ポスト三次振計に向けての検討を進めてまいっております。
  42. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。  次に、沖縄振興と関係するわけでございますが、沖縄の路線バスの合併にかかわる問題について、国土交通省に主にお伺いをいたしたいと思います。  二月の二十八日に、現在沖縄では四社路線バスの事業者がありまして、それぞれ競合する路線が錯綜をしておる。ところが、御承知のとおりのマイカーの発達によってバスの乗車人員というのはどんどん減っておりまして、私が調べたところでは、平成五年から平成十一年まで、沖縄県のバスの乗車人員というのは三割ぐらい減っておる。全国レベルでは二〇%ぐらいですから、全国レベルより減りが激しいというようなことで、四つのバス会社の労使が合意をいたしまして、乗り合い部門を統合しようと、こういうことになったわけであります。その背景には輸送人員の減少だけでなくてモノレールの建設というようなこともあるわけでございますが、そこに至るまでに統合可能性に関する報告書というような調査をやりまして、その中で、四社の現在までの累積欠損の解消であるとか、あるいは退職金の支払いで百七十億円ぐらいの公的支援が欲しい、もちろん自助努力として給与のカットとかいろんなことをやりますと、こういう話でありますが、確かに沖縄の特殊事情考えた場合に公的支援というのも検討していただかなくちゃならないのかなと。  例えば本四の架橋の場合には、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法というようなことで、従来、本四間の定期航路事業をやっていた事業者に対して補償金のようなものが出ておるわけでございますので、そういったことも含めて、今、地方バスについては生活路線維持費補助というようなのがございますけれども、そういった考えを上回って何らかの支援措置を御検討いただけないかということでございますので、御見解をお聞かせいただければと思います。
  43. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  沖縄におきますバス四社の乗り合い部門の統合の問題につきましては、今、先生指摘がございましたように、近年輸送需要が減少しまして経営状況が悪化しているといったこと、それから路線の競合率が高いということ、それから平成十五年のモノレールの開業によりまして影響を受けるというふうにも見込まれること、こういったことを踏まえまして、乗り合いバス事業の将来をかけた問題として四社及び地元関係者において検討されてきたということを承知しております。また、統合に向けた関係者のこれまでの御努力も十分承知しております。  地元から四社統合に関する公的支援の要請というのがあるわけなんですが、四社統合による新会社の設立に当たりましては、資金面や雇用面等まだまだ解決すべき問題が多いのではないかと認識しております。したがいまして、いろいろとお考えはあろうかと思いますが、今後関係者におきまして具体策の検討の進展を進めていただくことを見守りながら、また地元の自治体ともよく連携をとりながら、国としての適切な対応を検討してまいりたいと思っております。
  44. 中島啓雄

    中島啓雄君 ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。  マイカーの発達によって公共交通機関がだんだん輸送人員が少なくなっていくというのは、バスだけではなくて鉄道も同じようなものでございますが、特にバスについては、やっぱり自動車諸税の財源等を回すといったようなことも含めて今後御検討をお願いいたしたいと思いますということを要望として申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  45. 月原茂皓

    月原茂皓君 保守党の月原です。  質問を最初に防衛庁にするつもりだったんですが、後にさせていただきまして、先に内閣の方に情報収集衛星についてお尋ねいたします。  情報収集衛星は、御承知のように平成十年度の補正予算から計上されてきたわけでありますが、当初計画されていたペーパーを見ると、衛星の開発、打ち上げに千五百億円、地上局システムに五百億円、総額二千億円と、こういうことでありますが、その後のデータを見ると、開発費約二千億円、その他五百億円、要するに今は二千五百億円のペースで走っているわけであります。  また、それなりに最初の計上したものがその他のものが入っていなかったのかもしれませんが、これらのことについて、予算について、その衛星本体のもの、それからロケット開発のもの、その他地上局のもの、そういうものに分けて予算説明をしていただきたいと思います。
  46. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 今、委員指摘の点について御説明申し上げたいと思います。  衛星につきましては、開発費につきましては約二千億円ということで従来から申し上げているところでございまして、この点については変わってございません。  そのほかに、衛星の開発のほかに、地上施設である中央センターや副センター、南北の受信局の施設の整備等にかかる経費、要員の教育訓練にかかる経費等がございまして、これが約五百億円と当初から見積もっているところでございます。ですから、第一世代衛星につきましては合計で約二千五百億円の経費がかかるものというふうに予想して進めておりまして、現在でもこれについては変わりはございません。  その後、平成十四年度を目途に第一世代衛星を打ち上げようと考えておりますけれども我が国の安全確保というこの衛星の目的にかんがみまして、衛星の打ち上げが例えば失敗をした場合どうするかとか、それから成功いたしましても軌道上で十分な機能を発揮できない、機能を喪失してしまう場合があるのではないか、そういう場合の対応をどうすべきかということの御議論をいただいておったところでございます。  そういうことを踏まえまして、本来であれば、十四年度目途でありますと、次期の衛星というのは十九年度ぐらいに打ち上げることを目標にすればよろしいんですが、そのうちの二基を前倒しさせていただきまして平成十七年度ごろに、これは第一世代衛星の打ち上げの成功の状況等も勘案しましてまた検討いたさなければなりませんが、実際の打ち上げ時期については検討いたさなければならぬと思いますが、平成十七年度を目途に打ち上げることを検討する衛星ということで次期衛星をさらに二基、平成十七年度ごろに打ち上げようということを計画いたしまして、平成十三年度から研究を始めることとしております。
  47. 月原茂皓

    月原茂皓君 そうすると、これは多くの人に誤解を招くかもしれませんが、私がこだわるのは、今のお話の部分で、平成十二年八月、内閣情報調査室の資料がある。そしてその中に、所要経費、打ち上げまでの試算として衛星の開発、打ち上げ約千五百億円、地上局等のシステム五百億円と、こういうふうに載っておるわけです。だから、今のお話だとこれで二千億なわけですが、その他五百億というのは、今のお話だと、多くの人には要員の養成あるいは中央の情報とか地上局のシステム等の中に入っておるんじゃないか、こういうふうに思われると思うんです。  だから、今はその二千五百億円で走っておるのはそれはそれでよろしいですよ。そこのところはやっぱりちゃんと説明できるようでないといかぬ。開発物だと、急いでおるんだということで、何ぼ積んだっていいんだと丸い数字で走っておったのでは、これは管理ができないと私は思うんです。そういうことで、あえて私はお尋ねしたわけであります。それについて何かお話があったら。
  48. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 私どものつくりました資料に不十分な点がありましたのであれば、その点については申しわけないことと思います。  もう一度正確に申し上げますが、開発費については約二千億円でございますが、そのうち衛星システムにつきまして、衛星の開発関係が約一千四百億円程度でございます。また、地上のシステム開発にかかる経費は約三百五十億円ぐらいかかります。  これは具体的には地上施設全部というのではありませんで、例えばアンテナを設置するとか、それからソフトウエアをつくるというようなもの等が入っているものでございます。そのほかに五百億円が施設整備、例えば用地の取得とか施設の建設とか、さらに今、委員の方からお話のありました教育訓練の経費であるとか、そういうものが五百億円ということになっております。  以上でございます。
  49. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、この中に、ロケットの経費、打ち上げの、これはロケット本体の経費というものを、衛星そのものはわかりましたよ、そこで打ち上げるロケットにはやっぱりロケット代がかかりますね。それから、ロケットを打ち上げるための経費も要りますね。だから、ロケットをつくること、打ち上げること、そういう経費というものはこの中にどのくらい入っておるのか。
  50. 小野正博

    政府参考人小野正博君) ロケットの打ち上げにかかる経費は二千億円のうちの数字でございまして、ロケットそのもの、それから打ち上げにかかる経費を含めまして約二百五十億円強ぐらいでございます。
  51. 月原茂皓

    月原茂皓君 そうすると、このロケットを何基打ち上げる予定なんですか。
  52. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 平成十四年度を目途に打ち上げを検討しておりますのは、衛星を四基打ち上げる予定でございますが、この衛星四基につきましてロケット二本で打ち上げようと考えております。すなわち、一つのロケットに衛星を二基乗せて、光学衛星とそれから合成開口レーダーを積んだ衛星二基を一つのロケットで打ち上げるダブルローンチという方式を考えております。
  53. 月原茂皓

    月原茂皓君 よく開発のときに丸く金を積むと、今おっしゃったようにロケット代がありますね、それから衛星そのものの金がありますね。そうすると、宇宙開発事業団、今は何と言うんですか、名前変わったのか知らぬけれども、そこがずっとNASDAとか言っておったんですが、そういうところは、今ロケット二回失敗しておりますが、失敗しておることをとやかく言うわけではありませんが、これはコストを下げるために百数十億円かかるものを百億円、八十億円とかそういうものに下げようというふうに考えているわけですね。  ですから、ここの、今お話しの二百五十億なら二百五十億の中のロケットの経費というのはどれだけかということを的確に押さえておかなければ、百数十億で今まで一発打ち上げておった金が八十億ぐらいにしなけりゃ世間で通用しない。世界の競争力に負けるから、今一生懸命いろいろやっておる。だから、それと同じような経費でロケット代を計算して積んでおかなければ、私の言うのは、ロケット開発そのものが非常にルーズになる、私はそのように思うから、あえてこの予算というものは分けてちゃんと計上して管理していくべきだと思いますが、いかがですか。
  54. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 今、委員指摘のとおり、ロケットそのものの代金につきましては、HⅡAロケットを予想しておりますので約八十億円程度のロケットであるということを前提に積算をいたしております。そのほかに、射場の経費でありますとか、運搬経費でありますとか等々かかりますので、先ほど申し上げたような数字になってまいるということで御理解いただきたいと思います。
  55. 月原茂皓

    月原茂皓君 先ほどのお話の中に、次に五年の事業だから十四年度にしたら十九年度だと、そうすると二発前倒しにするのだというお話。  それはそれで結構な話なんですが、それは予備のためだとか、万一研究開発のいろんな場合を想定してというふうにお考えでしょうが、私はそういう理論のほかにもっとしっかりしたこういう理論も、私が個人的に思うのは、こういう理論を構築しなければならないというのは、ぽんと十四年に打ちました、それから十九年に打ちましたというようなことでは、これはやっぱり衛星そのものは五年ごとに交代していかなきゃいかぬ、本来なら、機能的に言えば。  それを、これは研究開発物ですよ、はっきり言って。完成品をつくるのでない、できるだけ安定したものをつくっていく。そうすると、生産設備というものも安定させないといけない、人間も散らさないようにしながら走らせていくということにすれば、そういうような考えに立てば、要するに生産基盤というものを安定させるという立場に立てば、私はやはりその二つぐらいを真ん中に置いて、二、二と置いた方が生産する方にもいいし研究する方にもいいんだと。  それは世間から言うたら、どうもそれは会社のために前倒しするんじゃないかなと、こう言われたら困るから理屈つけて言っておるんでしょうが、逆に言ったら、こういう難しいものを開発し、また打ち上げていくもののコンスタントな研究基盤というものを持つためには、そのためには十四年に打ち上げた二年後に、十七年ですか今のお話、これは具体的にはいつどうなるのかわからぬけれども、十九年度まで遊ばせておくんじゃなくて、その間にそういうものを置いていく方がそういう効果があるんだというふうに私は思うんですよ。  私の理論が間違っておるなら別として、一部でも正しいと思われるのならば、役所の方が、その担当者の方はむしろ積極的にそういうふうに説明しないといかぬのであって、万一の場合、うまいこと上がったらどうするんだと、いや、またちょっと違うところがある、そんなちょろちょろ直したものばかり打ち上げるなと、こう言われますよ。だから、考え方として、基本的にもっと強気、強気というか正しいことは正しいと、正しい根拠に立って理論を展開すべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  56. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 今、委員の御見解、大変興味深く承ったところでございますが、私ども考え方は、十七年度に前倒しをして二基を持ってきたという考え方は、やはり我が国の安全を確保するための情報収集という大変重要な目的のための衛星でございますので、この衛星の打ち上げの時期や、また打ち上げてからでも太陽の黒点の活動等で例えば機能が喪失するという可能性は全くないわけではございません。そういうことを考えますと、そういうときにダウンして次の手だてが全く講じられていないということは国の安全にかかわることで、それでは不十分ではないかという、そういう御指摘も踏まえた上で、やはり次の備えを持っていることが大事であろうという考え方で、十九年度ごろに上げるべきもののうち前倒しを二基図ったという考え方に立っているところでございますが、御理解をいただきたいと思います。
  57. 月原茂皓

    月原茂皓君 私の考え方をとらないというようでありますが、私はこれはもっと冷静に、そうしたら極端に言ったら、この四発が上がってうまいこといっておったら、太陽の黒点も何も影響なかったら打ち上げないのかという議論になりますよ。だから、私は言われておる理屈もわかるんです。だけれども、私が言った理屈というものも一理屈ですよ。ですから、そういうところを外からのつまらない批判、つまらないというか間違った批判に対しては堂々とこたえていって、そしてこういう体制でやっていくんだということを説明した方が私はいいと思う。これはいろいろ論争になりますから、私はこの程度でやめておきます。  そこで、竹山議員がかつて科学技術庁長官をされておったときに、この収集衛星の話が出て議論したときに、その当時の議論は、ALOSというものがあるんだ、これを十四年度には打ち上げますと。私は、そのALOS、今飛んでいるのは大体たしか光学だったら十メーターぐらいだったと思うんですが、それを一メートルに日本に持ってくるというのはこれは相当の技術が要るぞというふうにお話ししまして、そこで、じゃ次に打ち上げますから、十四年度に打ち上げますから、その技術というものを十分組み込んでやっていきますよと。ロケットの方じゃなくて、十メートルのやつを一メートルに持っていくわけですからね。そういうふうなことを科学技術庁が予算委員会で大臣初め答えられたことを記憶しておるんですよ。  ところが、今度、線表を見せてもらいますと、情報収集衛星を先に打つことになっておる。ALOSは後の年度に変わっている。私は、それはそれでいいと思うんだけれども、やっぱり国家として同じようなものを研究しておるときにはお互いの技術というものを一つ一つ積み重ねていく必要があると思うんですね。  だから、内閣調査室が、内閣がそういうものを担当されておる以上、かつてのALOSの考え方と、ALOSと情報収集衛星の研究の時系列が変わったことをどのように踏まえられておるのか、その点を御説明願いたいと思います。
  58. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 今、委員指摘のとおり、ALOSは分解能二・五メートルというふうに聞いておりますけれども、本来は十四年度に打ち上げようということで、情報収集衛星よりも前に打ち上げる予定でございました。  私ども、この情報収集衛星の実は今設計等をやっておるわけでございますが、その中におきましては、ALOSの方で培った技術といいましょうか、試験の中で培った技術等を実は活用させていただいて情報収集衛星の研究に役立てているところでございますし、今後もそのつもりでございます。  ただ、ALOSの方につきましては、先生お詳しいと思いますが、そのポインティングに係る部分等についての技術にやや難があるということで、ALOSの方はそこを変更しなきゃいかぬという技術上の問題が生じたようでございまして、私ども直接の所管でございませんので不十分であるかもしれませんが、そういう問題があり、情報収集衛星の打ち上げの時期よりもおくれてしまうという結果になったということでございます。ただ、そこで従来から培ってきた技術の試験等の成果を踏まえまして情報収集衛星には生かしているということも御理解いただきたいというふうに思います。  以上です。
  59. 月原茂皓

    月原茂皓君 今の御説明でわかりましたけれども、ALOSは今お話しのように二・五メーターを目指しておるわけですね。ポインティングの問題とか、そんなものは考えとしては情報収集衛星の方が難しいということはだれでもわかっておるんですよ。その易しいやつを後ろに打つんですよ、ALOSの方を。だから、私はちょっと、もっと研究せぬといかぬぞと。そこらのところを十分国家的見地から見て、ばらばらでなしに、今のお話、十分研究開発のものを手を入れながらやっていくんだと。  今度の場合は、むしろ情報収集で得られた技術というものをALOSに積極的に入れていくと、逆に。最初は逆だったんですよ、言っていたのは。科学技術庁竹山大臣はそう言っておったんですけれども、こういう状態になったのなら、むしろこっちの情報収集衛星のポインティングの問題だって、それから分解能にしたって、こっちの方が難しいのはわかっているんですよ。だから、その後の方が、いや二・五メートルのやつをやりますという話ですから、そこらのところは十分技術をお互いに交流し、国民の税金が効率的に行くように、そういうふうにお願いしたいと私は思います。
  60. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 実は今御指摘のとおりでございまして、もともと技術体系の違うものをALOSで考えておりまして、私どもはそれよりより安定的なものを使おうということで、別の技術体系のものをそのポインティングについて使おうと考えておりました。  ALOSの方はそれを検討して別の体系で考えていたんですが、検討した結果やや問題点があるということで、実は情報収集衛星で検討しているものをALOSの方も使おうということで考えるように至ったというふうに聞いておりますので、今まさに委員指摘のとおり、お互いに情報の面でも交流をし、技術の面でより効率的にやるという観点で対応できているものというふうに理解をしております。
  61. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、情報収集衛星というものを平成十年度の補正予算から始めたと。非常に緊急だと、急いでおるんだと、力を入れるんだと、米国との協力も得られるんだというふうなことで着々と進められておることはわかりますが、片やロケットの方は、これも将来うまくいくことを希望しておるんですが、打ち上げを今年度の冬にやるよというのをちょっとおくらせてきたとか、ロケットの方ですよ、HⅡAの方はそういうふうにおくれてきておるんです。  仮にの話、衛星は十四年に上げて、そして我が国の情報体制というものを確立するんだという考えに立ったら、ロケットがもし日本国内の、私は外国のロケットを使ったらいいという話をしておるんじゃないんですが、十四年に衛星を打ち上げるということならば、万一ロケットが悪い場合も、これはどんな方法でも打ち上げるつもりなのか、いや、やっぱり日本のロケットに合わせて打ち上げる時期が変わってきますというのか、今からちょっと想定するのは難しいんでしょうけれども、どうお考えですか。
  62. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 仮定の問題であり、大変お答えが困難な面がございますが、私ども、この情報収集衛星の打ち上げを検討する中において、HⅡAロケット、我が国国産のより高性能のロケットを使って打ち上げようということで考えておりまして、その方向で方針も出しているところでございます。  ただ、打ち上げの失敗、ロケットの問題点の場合どうかという御指摘でございますが、これにつきましては、例えば海外のロケットにつきましても調査はいたしております。しかし、海外のロケットを使うということに関しましてはなかなかいろいろまた困難な問題がございます。例えば、注文をしてからロケットを、やはりこれは注文生産の品でございますので相当の期間がかかる。また、現在開発中の衛星はHⅡAを前提にして設計をいたしておりますので、インターフェース等が海外のロケットでは直ちに合わないという問題が出てきますので、設計の見直し等の期間がやはり相当かかるというような問題がございます。また、打ち上げの場合の射場の安全ということで、いろいろな機密にわたるような事項も外国に開示をせないかぬというような問題も出てまいります。  したがって、まだ結論を出しているわけではございませんし、今後も調査をする必要はあると思いますが、海外のロケットを使うということは非常に困難な問題点があるということもあわせて御理解をいただきたいと思います。
  63. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、もう一つ難しい問題かもわからぬですが、レーダーの衛星を上げるんだと、二基。それから光学のを二基上げるんだと。これは研究開発物ですよ。大変難しい話ですよ。  そうすると、どちらかのがやっぱり予定どおりできたと、どうも研究しよったらうまいこといかぬと、片一方の方は。そうなった場合はどうするんですか。十四年度に打ち上げるということを一つの大きな目標としておったら、どちらかのがうまくいったときには先にそれでも打ち上げると、いや待ってから一緒にやるんだと、これはどうなんですか。
  64. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 光学衛星と合成開口レーダーを乗せる衛星というのは、実はバス部分は共通でございます。バスというのはセンサー以外の本体部分は共通のものを使っておりますので、開発については同時並行的に進めております。今のところ、どちらかがおくれるというような状況にはなっていないということは御理解いただきたいと思います。  その上で、例えば打ち上げや軌道上でまた機能が喪失したということをも踏まえまして、先ほど申し上げました十七年度においてもレーダー衛星と光学衛星を一基ずつ打ち上げることを検討しておりまして、それによって補完していこうというふうに考えておる次第でございます。
  65. 月原茂皓

    月原茂皓君 なかなか難しい問題で、答えられませんでしょうから飛ばします。  次に、要員の養成というのが大変難しいと思うんですね。これは米国等の協力を得なければならないと思うんですが、順調にどういう人員を今消化して、消化というか訓練に投入して、いつごろその人たちが配置につけるような計画で進んでおるのか、当然打ち上げたときに動くようになっておるとは思いますが、あえてそれをお尋ねしたいと思います。
  66. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 実は、この四月一日付で内閣星情報センターという形で組織が発足をさせていただいております。本日は式典をしたところでございますが、現在のところ約二百人弱の体制を既にとっているところでございます。  そのうち、特に解析、判読をやるチームにつきましては、日本では余りこれまでそういう経験の蓄積がございませんので、このチームにつきましては、外国の教育機関における訓練等も含めまして、約二年から三年ぐらいの長期にわたりまして訓練計画考えており、既に平成十二年度の当初から訓練を始めている、全員ではございませんが、相当の者については始めているという状況でございます。  また一方で、管制でありますとか受信でありますとか、そういう技術に関するものに関しましては、これはなかなか公務員の世界ではそういうことをできる人材がほとんどいないというのが現状でございまして、先ほどの宇宙開発事業団でありますとか民間企業等も含めまして、実は民間から人をリクルートいたしまして、公務員にする形によって人を集めておる。さらに、それについても、この衛星が四つの衛星を同時に周回している衛星でございますので、管制においても、これまでの管制と比べましても大変難しい問題があるだろうと考えております。  その意味で、既にNASDAと連携をとるなりして訓練をさせていただいているところでございます。今後もさらに訓練の強化をいたしまして、十四年度を目途に打ち上げるときにはほぼ十分な対応ができるように、もちろんその時期においてまたNASDA等の支援もいただかないかぬと思いますけれども、体制をとるように今努力をしているところでございます。
  67. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、NASDAというお話ありましたが、技術的なものは一部NASDAだと思いますが、情報そのものを分析していく、そして蓄積、これはまさにそんなものじゃない、次元が違う話ですよ。そこらは十分わかっておると思いますが、あえて質問はしません、それ以上。  そこで次に、新しくきょう式典されたというんで、これは政令もでき上がって動いておるわけですが、ここの政令のうち、「情報収集衛星以外の人工衛星の利用その他の手段により得られる画像情報の収集及び分析その他の調査に関すること。」と、こういうことをあえて入れられておるわけですね。要するに、多くの人が思うのは、内閣星情報センターというのは、今度情報収集衛星上げるぞと、それでとれたものを分析するんだと、こう思っておったら、その第三に書いておることがこういうことでありますが、これはどういう意味なんでしょうか。
  68. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 内閣星情報センターの所掌事務につきましては、先般閣議決定されました内閣官房組織令の一部を改正する政令において規定されております。  その四条の二の二項三号に、今、委員指摘の「情報収集衛星以外の人工衛星の利用その他の手段により得られる画像情報の収集及び分析その他の調査に関すること。」というのも情報収集衛星に関すること等とあわせて規定させていただいているところでございます。  これは、実際にセンターにおいて分析していく中で、情報収集衛星の画像だけで足りるものではないということはもう委員もよく御理解いただけるところだろうと思います。いろいろな情報を総合していく必要がございますし、画像につきましても、情報収集衛星で不十分なものについては、いろいろな衛星の画像、また場合によりましては航空機の画像等も活用して適切な分析をし、官邸にも上げていくという必要があるだろうと思います。  そういう意味で、所掌事務といたしまして、情報収集衛星に関する業務を補完するために、また官邸や各省庁からの要望に的確に対応するためにも、情報収集衛星の画像以外の画像も活用するということを明定させていただいたものでございます。
  69. 月原茂皓

    月原茂皓君 いろいろ努力されていることもわかります。  きょうをもってスタートしたわけでありますから、成功を祈って、私のこの情報収集衛星に関する質問は終わりますが、最後に、これはやはり各省庁との連携が大切だと。どこの写真を撮ったらいいかというのはわからぬですよ、なかなか。いろいろな情報に基づいてここの写真を撮らなきゃいかぬというようなことを考えるのも大変なことだと私は思います。  それとともに、米国の反省事項で、例えばインドの核実験がわからなかったとか、あるいはベオグラードの中国大使館の問題なんかの反省に基づくのは何かというと、情報機関が、余りにも一本のところだけが力を持ち過ぎて、切磋琢磨することを忘れたところに原因があるわけです。そういうところも、一方、もう金のない日本ですから、一本化せぬといかぬことはわかる。しかし、その中でどういう形でそれぞれが切磋琢磨をしていくか、情報機構が。そういう点も十分頭に置いて運営していただきたい。これは相当先の話でしょうが、お願いして、私は内閣に対する質問を終わらせていただきます。  時間が非常に限られておるので、最後に防衛庁にお尋ねいたしますが、石油の値段が急に上がったというようなことで予算のやりくりで困ったという記事が先日新聞にも載っておりました。  そこで、防衛庁は石油製品の高騰で所要の確保に苦労しているようですが、年五回今お話を聞くと調達しておるというところですが、素人的に言ったら、安いときにちょっと二回分ぐらいまとめて買ったらどうだ、こういうふうな考え方、これはまた余りにも投機に走ったら困るわけですが、そういう考え方もあると思うのですが、防衛庁の方としてはどういうふうに考えられておるんでしょうか。
  70. 中村薫

    政府参考人(中村薫君) 委員指摘のありました石油製品につきましては、近年、石油製品が非常に暴騰しております。  ただ、石油製品市況につきましては、国際的な原油価格の変動、為替の変動、国内需要の変動によって大きく左右されるために、将来の石油製品の予測を役人がすることというのは非常に難しく、いつの時点で調達するのが最も安価であるかということはなかなか見きわめすることが困難でございます。  このために、御指摘の、委員が言われるように安いときにまとめて買ったらどうかという調達方法では、発注者であります防衛庁にとっては外れたときのリスクもありますので、なかなかとりがたい道でございます。また、石油会社にこういう長期のもののリスクを負わせるということになりますと、交渉も難航することが予想されます。  このために、まとめ買いを実施することは難しい面がございますけれども防衛庁としては、今後とも自衛隊の活動に支障のないよう、所要の燃料の確保に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  71. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、国民多くの人が株に興味を持って、リスク管理なんというのは皆興味を持ってき出しておるわけですね。しかし、石油は今お話しのように非常に政治的混乱の影響を受けやすい、また値動きが非常に激しい市況でありますが、しかし、そういうリスク管理に最近国民が目を向けてくると、防衛庁は何も全然そんなことを考えぬと五回ちゃんと、上がったときも低いときもあるのか知らぬけれども、ちゃんちゃんと考えて、きちっと頭を働かせたらどうだと、こういうふうな声も私は聞くものですから、あえて質問したわけであります。  以上をもって私の質問を終わります。
  72. 海野徹

    海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。  まず、外務大臣に御質問させていただきますが、ODAのことで質問をさせていただきます。  非常にこれはいろんなところでいろんな角度から批判を含めて議論がある問題であります。外交戦略上の要するにある意味では手段として、道具として非常に有用に使うべきだな、機動的に使うべきだな、効果的に使うべきだなという思いがあるわけなんでありますが、外務大臣として、日本外交政策上、ODAというものが今日的にどのような意味を持っているのか、それを総括して御答弁いただければ大変ありがたいのです。  というのは、もともとこのODAというのはアメリカが東西冷戦の産物として、産物というのはおかしいのですが、対外援助経済援助から始まったかと思います。自分たちの仲間内を、要するに経済振興する中で国力を高めていく、そういうことで始まったのではないか。それが日本の復興とともに、経済力の増加とともに肩がわりを求めてきたのではないか。ある意味では、先ほども言いましたように東西冷戦構造下の産物だろうという思いがするんですが、そういう発想だけで今日的に二十一世紀を迎えたわけなんですが、いいかどうか。これは、今まで多額の経済援助をしながらODAというものを、要するに外交のある意味では経済的な平和のために使っていたということの経過を含めて御所見をお伺いしたいと思います。
  73. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 我が国外交政策の中で、ODAをどういうふうに使うか、もっと言えばODAをどう見るかというのは極めて重要な政策決定だと思います。  私自身、ODAの問題についていろいろな専門家の話などをずっと聞いておりますけれども、今日的に見てみますと、ODAつまり政府開発援助と、こう言うんですが、ODAを開発のために使うか貧困のために使うかという考え方が一つあるのだろうと思います。  つまり、開発のために使うというのは、やや大規模なインフラなどに協力をして、道路をつくる、港湾をつくる、あるいは火力発電所をつくる、こういったことをやって、その結果、その国で経済的な自立を促す、あるいはその国の産業の発展を促していくという政策と、しかし一方で、幾らそうしたインフラをやってみても、結局その国にはそのインフラを十分に使い切るだけのポテンシャリティーがない、例えば産業がないというようなこともある。その場合には、むしろ基本的に貧困の撲滅、貧困の解決のために日本からの援助というものが求められているという問題と、どうも二つあるのだというふうに私は最近思っております。  そして、非常に残念なことは、貧困の解決というところに一番紛争予防という問題があって、貧困からくる紛争というものは極めて多いということを考えると、インフラのための開発援助を行う以前に、まずは貧困の解決をやるための援助というものを考えていかなければならない。これは、これまで以上にそうしたことを考えないと、例えばアフリカに対する援助とかアジアの幾つかの国に対する援助というものは、そういうことを結果考えていかないと、道路をつくった、港湾をつくったというだけではどうもその国が経済的な自立に向かって果たしていけるだろうかという不安があるわけです。  他方、こうした経済援助を行うことによってその国の経済が発展する、その国の社会が安定して民生のレベルが上がってくるということが、現実にそういう状況になってくれば、そことの間の日本経済というものあるいは貿易というものは非常に進んでいくという可能性も一方であると思います。  私は、対中ODAというものについてさまざまな議論がありますけれども、結果として、中国に対する我が国からの援助というものが中国の民生の安定といいますか民生のレベルアップということにつながって、そして日本中国との間の貿易、経済というものは著しく発展をしたという状況にあるという現実も我々はやはり否定できないと思います。  さらには、幾つかの国が積極的に民主化に進む、あるいは市場経済化に進む。そういう政策をとり始めた国に対してこれをバックアップすることによって民主化が進んでいく、あるいは市場経済化が進んでいく。それはやはり経済の自立につながっていくということであれば、これらに対して支援をしていくということもまた重要だろうと思っています。  ただ、そうした問題についてもう一つ考えなければなりませんのは、常に我々はやはり顔の見える援助というものを求められます。これは納税者の方から強く求められると思います。自分たちの税金を使うんだから、それが日本からの援助だということがはっきりしてほしい、これは当然の要請だと思います。  しかし、昨今の国際社会の中における援助というものは、必ずしも一国だけで援助を行うということにならない。幾つかの国が一緒になって援助を行うというケースも少なくない。その場合に、一国だけが旗印を高く掲げるということになかなかならない場合もある。そういったときにどうするかということもよく考えなければならぬ。  私は、ODAの問題は、先生から何度も御質問をいただいて議論をさせていただいておりますけれども、このことだけが正しいという、答えが一つしかないということにどうもならないのではないかということで、引き続き議論は続けさせていただきたいというふうに思っているわけです。
  74. 海野徹

    海野徹君 後ほど御質問させていただこうかなという部分までお答えいただいたわけなんですが、ある意味では開発、貧困という二つの項目があると。自立を促して経済的な発展を求めていく、ある程度インフラが整備されて経済的な発展ができた。特に中国なんというのは日本に対する貿易黒字が相当なものを持っていますね。それをもって自立している、あるいは経済的発展もしているというような評価もされてくるんではないかと思うんですが、にもかかわらず、ずっと中国における世界からの経済援助の九割が日本なんですね。これは日本のビジネスとの関連もあるなんという話もあるわけなんですが、非常に突出している。  その一方では、先ほど大臣お話しになっていましたが、とにかく未曾有の財政赤字で景気が悪くてにっちもさっちもいかない。特に、中小企業の経営者というのはもう非常に大変な状況になっている。ちょっと、例えば別な話なんですが、外形標準課税の導入なんという話をしたらとてもじゃないけれどももう全員が猛烈に反対をする。そのぐらいの状況の中で何でそんな巨額なものを中国にやるんだというような話もあるわけなんですね。我々だけ割を食っているんじゃないかと。  だから、要するに世論が、もうやめるべきじゃないか、慎重にやるべきじゃないかというのがふえているんじゃないかなと思うんですが、この間世論調査をしたわけなんですが、その点からも、いま一度大臣に、そういう世論が示している、要するに納税者が示しているODAに対する率直な印象というのは、ある意味では政府側できちっと説明してこなかったという理由もあるかもしれないですし、ある意味ではわかりやすい説明をできなかったということもあるかもしれませんが、そういう調査結果が出ているということに対して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  75. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほども質問にお答えをしたわけでございますが、確かに本日のODAに関する先生方の御質問は我々として十分心しなければならないポイントだというふうに考えております。  私、ちょっと言葉を落としましたけれども我が国ODAの中にはまさに、例えば資源の問題ですね、こういったものについて考えていかなきゃならぬ、あるいはエネルギーの問題について考えていかなければならぬ、あるいは食糧の問題について考えていかなければならぬ、そういったようなことも頭に置いて戦略的なODAを実行するということもまた必要だというふうに思っておることをつけ加えさせていただきます。  ただ、今、議員が問題点をお述べになりましたように、中国の場合にはやっぱり幾つかの問題があると思います。正直、率直に申し上げてこの軍事費の透明度がいかにも、もっと高めてもらいたいという声は強いと思いますし、あるいは中国からのまさに今セーフガードを発動させようかというような、ネギでありますとかシイタケでありますとか、そういったものの日本への対日輸出攻勢と申しますか、対日輸出の量的な拡大というようなものも考えてみれば、一体そういう状況下でさらに対中経済援助をやっていくのかねという御指摘はあると思うんです。  それにもかかわらず、私どもは先般も二〇〇〇年の対中ODAについて意思決定をさせていただきまして、二十一世紀に向けた対中経済協力についても目下検討中でございますが、それは一体どういう必然性といいますか必要性といいますかがあるかということなどについて、先般有識者の方々にお集まりをいただいて、懇談会で御議論をいただきました。  今、その詳細を申し上げるのは少し時間が、よければ申し上げますが、詳細を申し上げることは控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、二十一世紀におきます中国というものを我が国として考えれば、何といっても中国という国が二十一世紀、我が国の間近に存在する巨大な国として、この国とどういうつき合い方をしていくか、この国がどういうふうに進んでいくことが我が国にとって好ましいかというようなことまで考えて対中ODAについて議論をする必要があるというのが私ども考え方でございます。
  76. 海野徹

    海野徹君 対中政策を考えて、中長期的なことを考えてというようなお話が最後にありましたが、そのことはまた後ほど質問させていただきますが、やはりどう考えても中国というのはもう既に大幅な貿易黒字、外貨保有高も世界のトップクラスなんですね。日本の貿易黒字が三千六百億円ほどあるはずなんです。  セーフガードに見られるように、ネギとかシイタケ、特に私なんか中山間地に住んでいまして、シイタケ栽培を私どもの産地でしているものですから、余計そういうのを感ずるわけなんですが、もう数年前から感じていたわけなんです。これも日本の商社が行って開発輸入のような形もとっているものですから、にもかかわらず十二億から十三億円程度の農業援助しているんですね。だけれども中国なんというのはもう農業大国で、かなりの農産物輸出をしているはずなんですよ。それにもかかわらず、そういうものを続ける必要があるのかなという思いがあるわけなんですが、軍事費の伸びが非常に激しい、十三年連続伸びていると。  中国は、二〇〇〇年の国防白書、これは昨年の十月十六日発表ですと、アメリカの国防費の五%とか日本の国防費の三〇%にすぎないというようなことを言っているわけなんですが、アメリカの国務省の発表ですと中国の軍事費は七百四十九億一千万ドルで、アメリカの軍事費の三割弱あるいは日本の軍事費の二倍近くに達しているというような報告もあるんですよ。これはアメリカの国防省が昨年八月二十一日に発表したんですが、こうやって十三年連続二けたの伸びをしている。一体経済援助日本から、世界からの経済援助の九〇%を日本から受けていながらこういう伸びをする余裕がどこにあるんだろうか、非常に不思議でしようがない。その辺について、大臣、どうお考えなんですか。  特に、一九九〇年代の半ばから、軍の解放軍報なんかでは日本は仮想敵国だと。情報戦争をしながら、日本を要するにある意味では仮想敵国としてとらえて、いろんな要するに軍事力を増大するんだというようなのが解放軍報なんかに載っているんですよね。そういう国に要するにODAを出し続ける、巨額のODAを出し続けるということに、これは両国の関係にとってプラスであったのかどうか。  それを、防衛庁長官ですか、防衛庁長官には、だからそういった意味中国軍事力がどの程度の問題なのかということはお聞きしたいなと思いますが、大臣にも、そういうことでも出し続けることの意味が両国関係にあるのかということもあわせて御質問したいと思います。
  77. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 今、海野委員から中国軍事力についてのお尋ねがございました。  中国軍事力については、私どもは、量から質への転換を図っている、また近代戦に対応できる正規戦主体の体制への移行をしつつあるというふうに見ております。このような基本方針に従いまして、陸軍を中心とした兵員の削減がある一方、弾道ミサイル、核戦力や海空軍を中心とした全軍の近代化が行われておりまして、ハイテク条件下での作戦能力の向上を図っていると考えております。  また、中国は運用面におきましても、近代化を図るなどを目的として、陸海空軍間の共同演習、また上陸演習などを含む大規模な演習を実施しております。  さらに近年、海洋における活動を拡大する動きを見せておりまして、我が国近海において中国艦艇の活動が活発化しているほか、南アフリカ等への艦艇の訪問も行っております。防衛庁としては、中国の弾道ミサイル、核戦力や海空軍力の近代化の推進、さらに海洋における活動範囲の拡大などの動向について、今後とも注意していく必要があると考えております。  御指摘予算面でございますが、もう委員数字を挙げられましたが、中国の国防費は本年度は一千四百十億四百万元とされておりまして、これを一元十三円で換算をいたしますと、日本円で一兆八千八百三十億円、二兆円弱の金額になります。  中国の公表国防費の推移を見ますと、八九年以来十三年連続で対前年度比一〇%以上のかなりの伸びを示しております。また、本年の、ことしの伸びにつきましては、この数年では最高の前年度比一七・〇%となっておるところでございます。  いずれにしろ、防衛庁としては、我が国を取り巻く安全保障環境のいかなる変化にも対応して、我が国の安全と平和が確保できるよう、自衛隊の体制や日米安保体制の信頼性の向上等の面で万全を期していきたいと思っております。  一方、アジア太平洋地域において大きな影響力を有する中国でございますので、中国との間で防衛分野での相互理解を深め、また信頼関係を増進することは両国間の安全保障のみならず、この地域の平和と安定に有益であると思っておりまして、かかる観点から防衛庁としては日中間の安全保障及び防衛分野における交流、対話を推進強化し、そうした交流、対話の中で中国に対して軍事力や国防政策について一層透明性を向上させるよう、働きを強めていきたいと考えております。
  78. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど来から申し上げておりますように、二十一世紀、我々が中国に望むといいますか、中国にこうなっていってほしいなということ、何を考えているかといいますと、やはり中国がより一層開かれた社会になってほしい、そして中国がもっと国際社会に関与して、経済的にも社会的にもよき国際社会のパートナーになるということが我々にとって一番中国に対する期待でございます。そのことは、つまり我が国の安全とか繁栄とかいうことにつながってくるであろうと思うからでございます。  対中ODAの引き続き我々が考えていかなければなりませんことが幾つかありますのは、一つ環境の問題があります。中国環境問題は、やや直接的に日本環境問題に影響をもたらすと考えていいと思います。あるいはまた、中国の内陸部の経済社会の安定というものは、あの臨海部、沿岸部の近代的な町づくりとは打って変わった状況になっているという報告を我々はしばしば聞いております。時あたかも中国は内陸部の地域の開発に取り組むといった計画を持っているようでございまして、これらが進みますときには、我々としては、その開発について環境的な分野あるいは民生の安定という分野というものに考え方を集中させて、我々の援助ができるかどうかという判断をしていかなければならないというふうに思っております。
  79. 海野徹

    海野徹君 質問の順番をちょっと別にしますと、それじゃ今内陸部の開発に集中的にという話がありました。環境対策にも援助をするということになる。  これは、環境情報センターというのがありますね。そこと各地域の、各省にセンターがある、それをつなぐシステム、コンピューターシステムが、一方本部の方はこれはアメリカ製で、それで周辺が全部日本製で、その逆だったかな、ちょっとあれなんですが、それを全部今度は日本の仕様に合わせるために変えていくというような、そんなことも日本が負担するんだという話も聞いたことがあるんですが、それと大連とか重慶に対して、環境モデル都市ですか、そのための支援もするんだという話があるんですが、そういう問題は中国全土に広げていくということになりますか、それでは。そういったものを全部広げていくということになるんですか。  それともう一つ、西部開発という構想がありますね。あれも百兆円ぐらい事業費がかかるだろう。だけれども、中身も全く、要するに予算の中身がないと。五十兆円は日本からのを当てにしているというような、そういうようなことも聞こえてくるわけなんですが、今の大臣の答弁だと、そういう問題について集中してODAをやっていくんだということのお考えを今示されたということですか。
  80. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちょっと詳細は参考人から御説明を申し上げますが、私どもが聞いておりますのは、内陸部といいますか西部地域の開発について中国側からアイデアが出てまいりましたときに、私どもは、そうした考え方はむしろ民間の直接的な投資によって行われるということがふさわしいということを言っているわけでございます。もちろん、ODAが果たすべき役割、例えば今、議員がおっしゃいました環境の問題を初めとして、ODAが果たすべき分野、部分もあると思いますけれども、実際問題として、民間の直接的な投資あるいは民間のジョイントベンチャー、そういったものがそこに関心を持ち、入っていくかどうか。もしそういうものが関心を持ち、入っていかないような計画であれば、これは幾らやってもなかなか成功することにはならないだろうというふうに私は実は腹の中で考えているものですから、民間の投資が極めて重要だということを申したことがございます。  今前段お尋ねの部分については、ちょっと政府参考人から御答弁をさせていただきます。
  81. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 今、大臣から御説明をいたしましたように、環境分野に対する協力というのは、センターを中心としまして、これまで鋭意重点的な分野として進めてきたところでございます。  それにつきまして基本的な考え方は、いわゆる酸性雨の原因ともなります大気汚染の状況をモニタリングするというようなシステムを構築するという考え一つでございまして、これについては、今、先生が御指摘のように、まずはセンターを中心とする主要なところから始まって、できれば将来より広い中国全体をも覆うようなモニタリングに発展することも視野に入れつつ協力をまずは進めていこうというものでございます。  他方、モデル都市につきましては、現在三つの都市を中心にして協力が始まっておりますが、これはむしろ先生指摘のように、あのような広大な国に対してその全体を他の国が援助するというようなことはもともと物理的にも可能なことではございませんし、政治的にもこれは不適切だと思っておりますので、いわば重点的なところ、幾つかのモデルを選びまして、そこでどのような協力ができるかということを進めて中国側の自助努力を喚起したいという考えに基づいております。
  82. 海野徹

    海野徹君 あくまで環境開発モデル都市構想ですから、大連、重慶、貴陽ということで今御答弁いただきましたから、これがあくまでモデル都市で、あとは自立的に彼らがやっていくんだと。大臣も民間の資金を導入してそれを活用してということで、ODAということじゃないというようなお話ですから、西部経済開発に百兆円というのも、これも五十兆円を日本がやるんだということじゃないということで理解させていただきたいんですが。  先ほどの軍事的な問題にもう一度戻らせていただき、防衛庁長官にちょっと御答弁をお願いしたいんですが、先日、米英の両国軍がイラク爆撃、空爆をしました。その爆撃対象となったというのは、防空ミサイル網が、中国の軍事要員らによる光ファイバー通信、これが建設中だった、その強化中だったということが明らかにされているんですね。中国の光ファイバー通信は日本ODAだと、その資金と技術で大幅に発展した経緯があると。だから、日本ODAが間接的にイラクの軍事力の強化に寄与してしまっているんじゃないかというような報道がされているわけなんです。そういうことになりますと、なるほど、我々が自立のために、経済発展のためによかれと思ってやったものがそういうところにどんどん使われていってしまっている。  しかも、これはきのうですか、南シナ海の海上でアメリカの偵察機と中国の戦闘機が接触して一機墜落したというような非常にショッキングなニュースが飛び込んできたわけなんですが、これはクリントン時代にはパートナーシップということで、建設的なパートナーということで余り、ある意味ではおざなりな情報収集を偵察機でしていた。ブッシュ政権になってからかなり際どい収集をする、低空飛行で情報収集をするようなふうに変わったと、そこで起きた事件だというような解説もあるんですね。  それほど中国がミサイル開発、特に台湾を視野に入れたミサイル開発をしているというようなことがあるわけなんですが、これほどまでに軍事が伸びているということ、やはりこれは台湾問題を含めて日本に対して大変な脅威が今もたらされているんではないかなという印象を持つわけなんですが、私どもの印象が正しいのか、いや、そんな大したことないよというのか、その辺、防衛庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  83. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、特に本年度の予算の内容につきまして、中国の財政部部長から次のようなコメントがございますので御報告申し上げたいというふうに思います。それは、大幅に伸ばした理由は、主として将校、軍隊所属の文民、兵士と職員の給与の引き上げの需要、これが一つございます。及び世界軍事分野における深刻な変革に適応し、現代技術等、特にハイテク条件下における防衛作戦に備える需要のためであるというコメントが出されております。  そんなことを考えますと、最近の例でございますが、中国における装備近代化の例として、海軍においてはロシアからの駆逐艦、潜水艦も導入されておられますし、また、空軍においてはロシアからの戦闘機も導入をされている。そういう意味では、かなりの近代化に鋭意努力しているということがよくわかるという感がいたすところでございます。
  84. 海野徹

    海野徹君 引き続き対中のODAについてお伺いいたしますが、今世界には地雷が一億個以上埋められている、それがメード・イン・チャイナの地雷だろうと、そういうようなデータがあるわけなんですが、その処理にまた日本の要するにお金が使われていると。だから、メード・イン・チャイナの地雷をつくるために日本ODAが使われて、またその処理をするにもまたODAが使われていると。踏んだりけったりのような状況かなというふうに我々は思うわけなんですが、そういう問題。  そしてもう一つ、これは外務大臣、多分折衝に行かれたかと思うんですが、国有のいろんな公共施設が、北京空港も含めて、あるいは鉄道を含めて、日本ODAを使って建設したもの、それも全く一言の通告もなしに民営化されて株式会社化されて上場されている。しかも、それに対して、ちょっと趣旨が違いますよというようなことを言ったら、内政干渉じゃないかというぐらいに逆抗議を受けたというような話も聞くわけなんですが、民間の中国で商売をやっている方々にお伺いすると、とにかく徹底的にけんかを初めにしないとだめなんだと、中国は。やり始めてからけんかをしたってもう遅いと。議論の限りを尽くして、徹底的にけんか腰でやって、それで落ち着いたところでプロジェクトを進める、商売を進めないと、中国人相手にはとてもじゃないけれども日本人にはかなわないよというような話がある。となると、まさにそういうことの要するに証左みたいな出来事が起こっているのかなということなんですね。  これから次から次へと民営化されていくと。商業用資産、商業投資に要するにODAが使われているという、本来のODAの使われ方と違うんじゃないかと思うんですが、その点大臣、いろいろ向こうに話が違うよという話をされたと思うんですね。いいですか、それをされたと思うんですが、それに対して向こうの対処の方針は、本当にそういう逆抗議、内政干渉だというようなことがあったんですか。その辺をちょっとお聞かせください。
  85. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) ODA協力をしました、これはもちろんGGベースでございますから相手は政府でございますが、向こうの方の社会体制が変わっていく中で一部民営化されていくというような動きは、中国のみならず他の国においても時々起こってきている状況でございまして、このような状況に対して日本としてはどういうふうに考えるかということについていろいろ検討を進めておりますが、基本的には先方に対して、もともと協力の趣旨は次々のようなものであったということを改めて説明して先方の注意喚起をすると同時に、少なくともそのような動きあるいは考えがあるときには日本側に従前に連絡をするようにという対応をとってきているところでございます。  そのような話し合いの中で、一部の被援助国の方から、そのような日本側の考え方について必ずしも理解が十分でないというような対応があったことは事実だと思います。
  86. 海野徹

    海野徹君 それでは次に行きますけれども中国がかなり経済発展をしてきました。日本に対する貿易黒字もあるというような国になったものですから、中国自体が対外援助をかなりやっています。これは、一九九九年から二〇〇〇年に向けて、ボツワナに鉄道建設の援助を二百十四キロを対象にやっているとか、バングラデシュにも無償五千万、カンボジアにも無償で十五億二千万と、ずっとかなりやっているわけなんですが、それで過日、ミャンマーの話を聞きましたら、ユーゴスラビアから来たと。そのユーゴスラビアから来たのが、これが要するに中国からユーゴスラビアへ無償と有償を合わせて六百十億、これは一九九九年から二〇〇〇年にやっているわけなんです。それが日本からのODAじゃないかというような話もあるんですよね。このぐらい対外援助中国自体がやっているということを考えると、どうもやはり対中ODAというのはもう抜本的に見直す必要があるんではないかなと。一括援助方式から、長期一括方式から単年度に変えたということもあるんですが、中身をもっと精査して大人のつき合いをするときが来たんじゃないかなと思いますが、その点どうでしょう。
  87. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今、国際社会ではさまざまな組み合わせによる援助支援というものが行われております。よく言われます南南援助なんというのはその一つでございますが、必ずしもそう豊かではない国であっても、やはり歴史的な経緯あるいは地理的な状況その他を考えて、その国が最も効果的な援助ができるという場合には、その地域のそうした国が幾つか集まってより貧しい国を援助するということは最近は議員も御承知のとおりございます。  それから、日本としても、一国による援助ではなくて、どこかの国と協力をして援助をするというやり方をとっている部分もございます。例えば、東ティモールに対します援助は、日本がただ直接的に資金援助するのではなくて、例えばシンガポールと組んで援助をする、人材育成などについては日本が金を出しシンガポールが教育をするといったような、複数の国が協力して援助をするというケースもあるわけでございまして、そうした南南援助というものはかなり世界各地で行われておるわけでございます。  ただ、今、議員がおっしゃいましたように、ユーゴスラビアの金を使ってミャンマーの支援をしたんじゃないかというのは、一部報道に出たことで私も承知をいたしておりますが、外務省できちっとその点は確認をいたしましたが、その金が日本から出ていったものが回り回ってそうなったのではないか、判こが押してあるわけじゃないからどこの金を使ったかわからないではないかという御指摘もございましたので、よくその点も調査をいたしましたが、それは途中のお金の源流をたどりますと、途中は民間の銀行からのファイナンスということでございまして、必ずしも公的な金がそこで使われているというのではないということもはっきりいたしましたし、それぞれ関係国からそうした事実はないという返事はもらっております。
  88. 海野徹

    海野徹君 最後に、中国の問題で外務大臣に対中政策の基本的な方向性をお伺いしたいなと思っているわけなんですが、それは中国をどう見るかということにもつながっていくわけなんですけれども中国というのは大変うまいなと思うんですが、これはやはりアメリカと中国、将来的に私は連携するだろうと、いろんな歴史的な経緯を見てそうするだろうなと。これが二十一世紀の半ばなのか二十年後なのか五十年後なのか、それはわかりませんが、多分するだろうなという思いをするんです、私は。  それで、なぜそんな思いをするかというと、百人委員会というのが、アメリカに華僑とか学者を中心としたグループがあるんだそうですね。彼らがアメリカの政府にもアクセスが非常に早い、影響力もある、当然本国ともあるということで、彼らが中華思想を背景とした愛国心でアメリカと中国の仲を取り持っているんだというような話があるわけなんです。私は、中国というのは二十一世紀の半ばには先進国、トータルではこのまま日本が行っちゃったら日本が追い抜かれるかもしれない、今の言うレベルの先進国に行くかどうかわかりませんが、少なくともそれ並みには行くだろうと思いますし、今の政治体制がそのまま続くかというと、上部構造、下部構造とよく言うんですが、やはり下部構造が上部構造を変えていくんではないか、あの国は看板と中身が平気で変わっていくことを許すぐらいの国だと思いますからね。社会主義の初期段階においては資本主義的な施策とか政策があってもしかるべきじゃないかと毛沢東はかつて述べていたわけですから、そういうのは平気でやっていくだろうなと思うんですよね。  要するにそういう国柄であるだけに、我々はどういうような対中政策をすべきなのか、外務大臣の御所見あるいはお考えをお伺いしたいなと思います。
  89. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 中国は、経済的な改革というものは進んでいくのではないかというふうに思います。ただし、あれだけの広い国、おっしゃいますようにさまざまな階層があり、さまざまな地域、非常に困難な生活を強いられている地域もあるわけでございまして、一概には言えないと思いますけれども、私はやはり中国は経済開放に向かって進んでいくだろうというふうに思います。そう遠からずといいますか、WTOへの加盟というようなことになってまいりますと、さらに国際社会で、貿易、経済の分野で大きなかかわりができてくるという状況から見ましても、世界の自由貿易体制の中に入ってくるということになるわけでございます。  そうした経済的な改革というものが進む、そうした上で政治的な民主化というものがどういう形で進んでいくか、これはなかなか私どもにも予測しにくいところでございます。十億を超え、あれだけの大きな国土の中で民主化がどういう形で進んでいくか。もちろんIT時代なんということになると、これまでとても想像できなかったものが実現するということがあるいはあるかもしれません。  しかし、それにしても、今の段階で私は、一体どういう状況になると民主化へだっと変わっていくのだろうかということが実はなかなかイメージとしてわいてこないのでございます。アメリカの私のかつてのカウンターパートだった何人かの人と中国の民主化について話をしたことがございます。一体中国が民主主義国家になるというのはどういう状況にそのときなるのか僕にはイメージがわかないんだがと、こう言いましたら、私の友人も、しばらくちょっと間を置いた後で、まあしかしインドだって立派な民主主義国家だからね、ああいうことも一つのヒントになるかもしれないよと、こう言いました。  しかし、どうもそこはそう簡単ではないのではないかとちょっと私は思ったりいたしまして、中国のこれから先の動きぐあいというものはまだまだ私どもには、恐らく自由化に向かって、経済の自由化が進み、やがては政治の民主化が進んでいき、そしてその民主化が進むということは、ある意味で抑制のきいた社会というものが徐々にできてくるということを期待したいわけでございます。ただ、そのためには、まだまだ台湾の問題がどういうふうに円満裏にといいますか平和裏に解決をしていくかとか、さまざまな問題が、克服しなければならない問題があるだろうと思っております。  今、議員がお話しになりましたように、アメリカと中国が一体どういうことになっていくだろうかということも我々にとっては大いに関心を持たなければならない問題だというふうに思います。ブッシュ政権という新しい政権ができましてまだ日が浅く、アジアの政策についてはっきりとしたアメリカの政策というものが我々の目に見えてまいりませんけれども、やがてこれらは、米中の話し合いが回を重ねるごとにさまざまな知恵が出てくるに違いない。  先般の銭其シン副総理の訪米の折にも、アメリカは当初メディアが予測していたよりも温かい対応といいますか十分話し合うという姿勢を見せておられて、これからアメリカが中国とどういう対応をとるかはまだもう少し見なければならぬ、そんな感じを持っております。
  90. 海野徹

    海野徹君 私は個人的には、とにかく軍事大国化することは決してあってはならないということで強烈なメッセージを送るべきだなと思うんです。そのために、先ほど大臣も軍事費の透明化を要求していくという話がありましたが、まさにそれをやることによって軍事大国には決してならない。そのかわり、日本中国とのある意味では、これは私の提案なんですが、永久にもう戦争はしませんというようなぐらいの宣言というか約束をすることが必要じゃないかなと、むしろこちら側から話しかけて。  何となくアメリカと中国との関係をずっと見ていますと、将来一緒になるだろう、提携をしていくだろうなと私が言ったのは、一国二制度というのは何だろうなということを考えると、それがそのまま連邦制に移行していくんではないか。そんなことも平気でもう中国人は考えていくんではないかなと思うものですから、そのことを私なんかは想定しながら、中国と要するに二十年、三十年、五十年先を考えていかなくちゃいけないかな、しかしながら、やはりもう一度原点に戻ってODAというのは見なくちゃいけないなというふうに思っております。  次の質問に入らせていただきますが、在外公館、いろいろ新設したり廃止したりしておりますね。この十年間でかなり、データをもらったわけなんですが、新設、廃止をしております。新設しているには当然理由はあるし、廃止するには当然理由はあるんですね。標準的な問題でいいですから、新設の理由と廃止の理由。  では、廃止した場合、在外公館が担ってきた役割とか機能とか、それ以後はどういうふうに変わってきているのか、あるいは全くゼロであるから廃止したのか、その辺を含めて御答弁をお伺いします。
  91. 飯村豊

    政府参考人(飯村豊君) 過去十年間におきます在外公館の廃止は、平成四年度のウィニペグの総領事館及び平成五年度のナホトカの総領事館の二件でございます。  他方、過去十年における在外公館の新設は総計十七件ございまして、これを一々申し上げるお時間はないかと思いますけれども、例えばベトナムのホーチミンの総領事館だとか、あるいはロシアにおきましてはウラジオストクやハバロフスクの総領事館等々を設けておりまして、平成十三年度には、来年度予算でスロバキアの大使館をお願いしたわけでございます。  それで、例示的にどうして新設しどうして廃止するかということでございますけれども、例えば先ほど申し上げましたホーチミンの総領事館は、ベトナムが統一されまして、ハノイとともにホーチミン市というのは中心の都市であり、かつ非常に産業が盛んで、日本の企業も進出し始めているということでホーチミンの総領事館を設けたわけでございます。  他方、ナホトカにつきましては、これも例示でございますけれども、ナホトカに隣接いたしまして、これまで外国人に対して閉鎖されておりました極東最大の都市ウラジオストクが一九九二年一月に開放されるということで、日本との海上交通の要所としてウラジオストクに日本の総領事館を開設するということで、それに伴いまして隣接地のナホトカ総領事館を存続させる重要性がなくなったと、こういう配慮に基づくものでございます。  一般論として申し上げますれば、非常に限られました予算、定員の効率的な運用を図ると、こういう観点から三点特に考えるべき点があるかと思いますけれども、政治、経済、文化等のいろんな分野におけるその国とあるいはその地域我が国との関係の緊密度、あるいはその国あるいはその地域の政治的、経済的重要性、第三点目には在留邦人や日本の企業の進出状況、これらを総合的に勘案しながら新設あるいは廃止を検討している次第でございます。
  92. 海野徹

    海野徹君 今、在外公館の機能の問題、お話をいただいたわけなんですが、そうやって要するに日本の企業あるいは邦人のために役に立ってもらうと、いろいろ働いてもらうと。にもかかわらず、アメリカで邦人の企業が非常にずっとこのところ訴訟の対象になっていますね。いろんなところで訴えられている。また、それと戦後補償の問題までいろんな、これは拡大解釈じゃないかなと思われるようなものまで含めて、訴訟問題とか補償問題が非常に特にアメリカにおいて出てきている。こういう動きというのは、情報収集、当然あってしかるべきですし、それに対する対策は当然打ってきたと思うんですが、余りにも連続しているんじゃないかなと。  そこで、在外公館の機能に非常に疑問を持ってしまうわけなんですね。あるいは、それを超えた何か背景がこの数年来あるのかなと思うんですが、その辺の背景の分析やら、あるいは自分たちが要するに外務省として在外公館が取り組んできた中で見落としていた部分があったのか。それで、結果として邦人の企業があのような訴訟の連続に遭ってしまったのか。その点についてお答えをいただきたいんですが。
  93. 田中均

    政府参考人(田中均君) 今、先生が御指摘になりました在外公館の機能としての企業の支援、保護というのは、私ども大変大事な機能、課題であるというふうに考えておりまして、実はこの観点で三点申し上げたいというふうに思います。  第一の点は、今、先生言われましたように、常日ごろから情報の分析あるいは情報の交換をしておかなければいけないということがございまして、近年それぞれの公館に日本企業支援窓口というものを設置いたしました。これは、それぞれの公館において特定の担当者を指名して、常にそういう問題について支援の窓口になると、こういうことでございます。  それから、御指摘のとおり、特に米国においていろんな訴訟がふえているということも事実でございまして、この辺のところは、毎年一回米国の公館長、総領事館あるいは大使館と民間との間で日米経済検討フォーラムというものを設けておりまして、この中での情報交換も進めていると、こういうことでございます。  それから二番目に、まさに訴訟の根拠になる法律あるいは規制というものが非常に米国の場合に過度になる場合がある。特に、製造物責任法と申しまして、それぞれの企業に大変多くの負担を強いているというものがございます。こういう規制の問題については、日米の規制緩和対話という枠組みがございまして、この中で米国にその緩和を申し入れているということでございます。  それから三番目に、今、委員指摘の点でもございましたけれども、過去の問題にかかわって、例えば日本企業による強制労働、こういう問題についての訴訟がございます。こういうことにつきましては、米国法に基づく米国法人に対する訴訟ということで、直接の関与というのはなかなか難しいことでございますけれども、さはさりながら、政府としてやはり立場の表明ということはしなければならない場合がある。この問題につきましても、サンフランシスコ平和条約で解決済みであるという立場を米国の政府に対してしておりまして、その結果、多くの場合において訴訟が却下されたという事例が多々あるということでございます。  いずれにいたしましても、こういう形でいろんな形の訴訟に巻き込まれるケースというのがふえておりますので、私どもとしては在外公館の機能として最大限の努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  94. 海野徹

    海野徹君 戦後の補償の問題なんですが、これはやはり中国でもまたそういうような動き、中国との連携という動きがありませんか。そういう懸念は持たれたことはありませんか。
  95. 田中均

    政府参考人(田中均君) これはあくまで米国の中の訴訟でございまして、米国の中には日系の人もおられれば、あるいは中国系の人もおられるということで、一つの市民運動として米国の中でそういう動きが出てきているというふうには承知をいたしております。
  96. 海野徹

    海野徹君 それでは、その辺の問題については後日また外交防衛委員会で質問させていただきますが、次にジュビリー二〇〇〇のことでお伺いしたいと思います。  この背景にはどういうものがあるのか。日本は最大の債権国だと思います。ほとんど債権を持たない国が非常に熱心で、しかもそれが旧宗主国であるというような実態があるんですよね。その最貧国と日本との経済関係よりも、旧宗主国の経済関係、しかも武器に関する関与の仕方が非常に強い、しかも債権を持っていない。日本はそういった武器を売っているわけじゃありませんし、非常に先ほど外務大臣が貧困のために対策として支援をしているという、ある意味では極めて高い善意でやっている、そういう債権が棒引きされていくということになると何かあるんではないかなと私ども考えざるを得ないんですが、歴史的なものを含めて背景をお話しいただきたいなと思います。
  97. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) ジュビリー二〇〇〇の立ち上げにつきましては、先生案内のように、そもそも最貧国の債務帳消しを求めて活動していましたいわゆる国際NGOでございますが、同組織自身の資料によりますれば、一九九〇年、アフリカキリスト教協議会が二〇〇〇年までに最貧国の債務帳消しを求めたことに始まりまして、我が国を含めた約七十カ国で活動を行ってきたものと承知をしております。  九州・沖縄サミットに向けまして、ジュビリー二〇〇〇は、二国間の公的債権の一〇〇%の帳消し、九州・沖縄サミットでの債務問題の提起などをサミット議長国でございました我が国に対して要望をしてまいりました。サミットの際には、ジュビリー二〇〇〇を含むNGO代表の総理表敬をも踏まえまして、債務問題について熱心な議論を行われまして、ケルン・サミットで合意されました拡大HIPCsイニシアチブの迅速、さらには効果的な実施に向けた取り組みを強化するということで合意をした次第でございます。  政府としましては、債務問題について同サミットは大きな成果を打ち出したものと考えておりまして、結果的には二〇〇〇年末までにサミットで目標を掲げておりました二十カ国を上回る二十二カ国というものが債務救済を受けることとなってきております。
  98. 海野徹

    海野徹君 そもそもジュビリーというのは、旧約聖書のヨベルの年というのが語源らしいんですよね。この年には、失った土地がもとの持ち主に返されて、奴隷も解放されて、耕作用の土地さえも休ませるといった社会正義の実現された年だ、それがヨベルの年だ、それがこのジュビリーの語源だというんですが、余りにも日本が突出して債権を持っている、一生懸命支援している。旧宗主国はほとんどない。しかしながら、武器なんかを売っている。日本なんかの支援に対して返済を迫ってくると、当然武器に対する代金は未納になる。それと、HIVに関係してかなりの移民が流入してくる、旧宗主国に。そういうものをストップするんだと。そういうような思惑が非常にあってこういう発言がされてきたんではないかなという指摘があります。  それを裏づけるような、イギリスの高官なんかがODAを、いろいろな制度的にひずみがあるからある程度公的機関で預かってそれを公正に割り振ればいいんじゃないか、そのために日本は出資しろというような発言もしたやに聞いているんですが、そういう背景のさらに背景をそうやって読んでいく必要があるんではないかなと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
  99. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先生指摘のとおりに、最近のODAの世界におきましては、アフリカという問題に非常に大きく焦点が当たってきたということは事実でございまして、今回の債務問題につきましても、このような大きないわば援助国間の中における流れの一つの反映であろうと思います。  なぜアフリカに焦点が当たってきたのかということについては、当然多様な背景があろうかと思いますし、それぞれの国にとってはそれぞれの考えあるいは思惑というものがあることは間違いがないことだと思いますが、基本的には、アフリカが現在の、特に冷戦構造が終わりましてからの世界の経済社会の発展から完全に取り残されつつあるという極めて深刻な認識がございまして、このアフリカを見捨ててもいいのかという意見というものが非常に強くなってきたということが一つ。  それから、先生自身御指摘のように、アフリカで本来起きたいろんな問題が欧米の国に対して直接間接にいわば悪影響を及ぼしてくる懸念が強まってきたというような問題も、特に欧州を中心としてアフリカ問題というものに対して積極的に取り組んできた背景にあることは間違いはないというふうに思います。  さらに加えまして、このいわゆる債務の話につきましては、現在のところでは、余りにも債務が大きいことによって、将来的にとても自助努力のみにおいては経済あるいは社会の自立に至ることは不可能であるという国に対してどのような手段があり得るかという議論の中から出てきたものでございます。  御指摘のように、確かにそのようなことを強く主張してきましたイギリス等々欧米の多くの国は、欧米の中でもフランスでございますが、我が国に比べれば実際に持っている債権は極めて少ないという現実がありますので、そのような中で負担をいかに公平にやっていけるかという問題が我が国にとっても非常に大きな課題となったわけでございます。そのような点も踏まえて、先回のサミットにおいては議論をしてきたものというふうに考えております。
  100. 海野徹

    海野徹君 最貧国に対する支援を私もすべきだと思っておりますが、いろんな外交交渉の中で、ほかの国はそれぞれやっぱり思惑、意図があってやっていると思うんですね。その辺の意図もきちっと分析した上で対応していく必要があるんではないかなと思いますから、それは要望しておきます。  それから、もう時間がございませんものですから、フジモリ大統領のことでお伺いさせていただきたいなと思います。  大変ペルーというのは日本と深い関係があるし、日系のフジモリ大統領が大統領として活躍されたということは我々にとって大変ありがたい、うれしいことであります。これは、ペルーと日本とのいろんな関係、条約というかいろんな取り決めが未整備だということはあるんですが、フジモリ大統領が今ペルー国内で、あるいはペルーの日系人社会の中でどういうような位置におられるのか、そして、もし帰ったときどういうようなことが予想されるのか、お答えができる範囲内でお答えいただきたいと思います。
  101. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちょっと微妙な問題でもございますので、お許しをいただきたいと思いますが、少なくともこれまでペルーの日系社会全体として何らかの意見表明がなされたということは我々は承知しておりません。また、他の南米諸国、周辺国ですね、南米諸国からも、これまで我が国に対して意見が寄せられたという事実はないと承知をいたしております。  御承知のとおり、フジモリ前大統領の扱いについては、政府としては我が国国内法令に従って対応する、これは当然のことだと考えております。  それから、なお、もう一点申し上げれば、我が国の対ペルー政策につきましては基本的に変更はなく、ペルーの民主化及び経済社会開発の促進を引き続き支援していくという考えをとっておりまして、ペルー内部の考え方、動き、そういったものを注意深く見ております。
  102. 海野徹

    海野徹君 ペルーの国会でフジモリ氏の今後の十年間の大統領、国会議員などの立候補を禁止する処分が可決されておりますし、検察当局が憲法違反容疑を刑事訴追することもでき、あるいは有罪だったら最高で禁錮二年、これとは別に不正蓄財、横領、使い込みの容疑で刑事訴追する準備も進めていると。だから、帰国すれば身柄を拘束される可能性が強い。ピノチェト元チリ大統領と同じような例になるんではないかというようなことも言われているんですよね。それだけに非常に微妙な問題かと思うんですが、これはある意味ではペルーだけの問題じゃなくて、南米諸国が日本をどう見るかという問題にもつながっていくと思うんですね。  私は、南米の社会というのは基本的に白人社会だと理解しておりますが、そういった意味日本の南米政策は変わらない、しかしながら相手側から日本を見る目は変わるんではないかなと。変わるとしたらどういう点が変わるのか、予測されるのか、それに対してどういう対応をされようとされているのか、これもお答えできる範囲内で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
  103. 西田芳弘

    政府参考人西田芳弘君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、現時点におきまして、特段他の南米諸国から我が国に対して、我が国の方針につきまして意見等が寄せられてきているということはございません。  一般に申し上げまして、我が国が中南米諸国の民主化あるいは経済社会の開発のためこれを支援するという方針につきましては、中南米の多くの国から理解が得られているところでございます。
  104. 海野徹

    海野徹君 理解が得られているということなんですが、ペルー政府日本へ特使の派遣を含む外交攻勢をかけて身柄の引き渡しを求め続ける方針であるというような話が報道されたり、あるいはカルロス・フェドロ・ペルー国会副議長は、二国間交渉では何も得られない、彼らが民主主義の敵であることを中南米諸国などに理解してもらい支援を得るしかないと語り、フジモリ氏をかばう日本政府との交渉には期待できないと明言していると、こういうような報道もあったり、あるいはペルー政府司法当局が日本に対して捜査共助要請を行っていたというような報道もされているわけなんですね。  だから、そう私どもが楽観視できないような状況が今あるのではないかと考えているんですが、再度御質問をさせていただきます。
  105. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ペルーは今、大統領選挙に向けて国内でさまざまな議論が起きているわけでございます。こうした選挙前の議論でございますだけに、私どもは注意深くそれらの議論を聞かなければならぬというふうに思っております。  しかしながら、基本的にはフジモリ前大統領の扱いにつきましては、先ほど来申し上げましたように、我が国国内法令に従って対応するというこの基本的な考え方は我々の考え方として変わることはないというふうに私は承知しております。
  106. 海野徹

    海野徹君 これは南米政策について最後の質問をさせていただきますが、南米諸国にも大使館が幾つかありますね。かなりあるはずなんです。  そこで、この問題について相当な量も質も、量が多くて質の高い情報収集がされてきていると思うんです。そして、それは外務大臣を中心に分析もされていると思うんです。今うなずいていらっしゃるから実際にやられていると思うんですが、それは誤った中南米政策あるいは対処の仕方にならないということで理解してよろしいんでしょうね。実際、されているんですか。
  107. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 情報収集の問題については、今ここでどういうところで何があったという具体的なことを申し上げるのは御容赦をいただきたいと思いますが、当然、私どもといたしましては、例のペルーの人質事件等がございましたあの当時以来、相当な情報の収集その他には気を使っているところでございまして、邦人の保護を初めとして我々がやらなければならないことはたくさんございます。  残念ながら、現在でも邦人保護については具体的な問題が起きているわけでございまして、その他麻薬の問題を初めとして、我々が緊密な連絡をとりつつ何らかの援助をし、あるいはこの問題を解決するために具体的な行動をとらなければならないことがございますので、私どもとしてできるだけ情報収集のための努力を続けなければならぬと思っております。
  108. 海野徹

    海野徹君 それでは、北朝鮮政策についてお伺いさせていただきますが、非常に中国との連携強化というか、中国が北朝鮮に対していろんな形で関与をしているというのが今まで以上に見受けられます。これは金正日総書記の動きを見ても非常に明らかになってくるわけなんですが、北朝鮮の現在の動きというのは、中国と北朝鮮、中朝連携の動き、中朝連携が基本にあるのではないかと理解します。  その背景にやはり米中の関係もある、あるいは米ロの関係もあるというふうに理解を私はしているわけなんですが、その点について、外務大臣、どうでしょうか。
  109. 槙田邦彦

    政府参考人(槙田邦彦君) 今、委員の御提起なさった点は非常に難しいところでございまして、今、委員がおっしゃったようなほど鮮明にかつ明確にそのように断定できるかどうかというところについてはいささか慎重に考えておるところでございます。  ただ、北朝鮮と中国との間には、御承知のように朝鮮戦争における血であがなった同盟関係というふうなものがあるわけでございますから、そういう意味において中国と北朝鮮との関係は歴史的にもかなり密接な関係があるであろうとは思います。しかし、同時にまた漢民族と朝鮮族という民族間のいろんな微妙な関係というものも歴史的にあるわけでございますから、この二つの間に完全な信頼関係というふうなものがあるのかどうか、私は必ずしも常にそうであったというふうには考えていないわけでございます。  そういう中で、今後、中国と北朝鮮との間にどのような関係ができていくのかということですが、もちろん中国とアメリカ、あるいは北朝鮮とアメリカとの関係との対比におきまして中国と北朝鮮との関係が近寄るとかさらに密接になるとか、そういうこともいろいろある可能性はあると思います。  そういう中で、私どもとしましてはこの動きをよく慎重に見きわめながら北との関係考えていかなければならないと、こういうふうに考えております。
  110. 海野徹

    海野徹君 一方では、中国外交というのはやはり金大中政権ともかなり親密な関係を持っているんではないか。  だから、非常にそういった意味で韓半島に何かがあっては困るということを含めて韓国も中国寄りにしようと、中国寄りのスタンスに変えていこうというような中国政府の動きがあるのではないかと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  111. 槙田邦彦

    政府参考人(槙田邦彦君) 韓国を中国寄りにしようというそういう政策、方針を中国が持っているかどうかについて、私、論評をするのにちゅうちょを感ずるわけでございますが、申し上げられることは、要するに中国にとりまして北東アジアにおいて最も重要なことの一つは、朝鮮半島が平和で安定していること、そうすることによって中国への脅威が朝鮮半島からは来ないようにすると、そのための手だてをまたいろいろと中国としては考えているであろうと、こういうことでございます。
  112. 海野徹

    海野徹君 専門家の話によりますと、南北首脳会談以降、韓国の政権内部の一部には、中朝韓、中国と北朝鮮と韓国の三国間の間に将来のアメリカの在韓米軍の削減の方向で暗黙の一致をしたんだと、そういうふうなことを示唆していただける方が結構いるんですが、その点については何か御感想ありますか。
  113. 槙田邦彦

    政府参考人(槙田邦彦君) それはそういうことを、そういう主張をする人がいるといううわさをまた流している人もいるのかもしれないという程度の反応しか実はできないのでございますが、少なくとも、金大中大統領が太陽政策あるいは包容政策というものを打ち出して、北朝鮮との関係において行く行くは南北が統一するべく和解への道をとにかく図れるようにやっていこうとしておられる、そういう政策の中に今のアメリカその他との対抗において中朝韓で連携をしていこうというお考えがあるというふうにはちょっと思えないということでございます。
  114. 海野徹

    海野徹君 これは懸念であればいいわけなんですが、今後、日朝交渉に臨んで中朝韓対日本というような形になっていくんではないかなと、そんな気がするんですね、今の話を聞きますと。だから、要するに日米のブロックをきちっと維持するということがこれは大事になっていくのではないかなと思います。  中朝韓対日本ということは考えの、頭の隅にも置かないということなんでしょうか。それとも、やはりそれは必ずそういうことを念頭に置きながら日朝交渉は進めるべきだと考えるんでしょうか。どちらなんでしょうか。
  115. 槙田邦彦

    政府参考人(槙田邦彦君) 北朝鮮との交渉を進めるに当たりまして特定の、何といいましょうか、予断を持って交渉を進めるということは必ずしも適切でない、いろいろな要素、いろいろな可能性というものを念頭に置きながら進めていくべきであるというふうに考えております。  そういう意味では、委員のおっしゃるような、今おっしゃったような姿というものも決して頭の中から排除するつもりはないのでございますけれども、ただ、今の状況において中朝韓が一体となって日本に当たるというような、そういう姿というものは必ずしも私の目の前には見えていないと、こういうことを申し上げたいわけでございます。
  116. 海野徹

    海野徹君 ブッシュ政権がスタートして二カ月余りたちましたけれども、ブッシュ政権が北朝鮮政策、非常に強硬なものを表現しております。そういうことを受けて、外務大臣、これからの日朝交渉に臨む姿勢、外務大臣、いろいろ今までお話をお伺いしてきましたが、その姿勢に変化がないのか、あるいはブッシュ政権の北朝鮮政策の変化によって、要するに日本外交姿勢が若干の軌道修正をしていくのか、その点について最後に御質問させていただいて、終わります。
  117. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほども一度御答弁を申し上げましたけれども、まだブッシュ政権のアジア政策というものははっきりと我々に見えてこない部分がございます。これは、担当者もいまだに未定、上の方は決まりましたけれども直接の担当者ということになるとまだ決まらない。ついせんだって行われた日米韓の対北朝鮮政策の政策調整の会合などでも、まだアメリカから出てきている人はクリントン政権時代の人が引き継ぎという意味もあって出てきておられるわけですから、こういう状況では新しいブッシュ政権の味のようなものはまだ感じ取ることはできない状況でございます。  ただ、かなりグレーの部分をはっきりさせるという感じがブッシュ政権にはあるものですから、あるいは非常にきつく当たるんではないかとか、あるいははっきりさせるために何か変わったことがあるんではないかという推測をするのが限度でございまして、それとてまだはっきりとそうしたことまでわからないという状況でございます。  しかし、これはいつまでもわからない、わからないというわけにはまいりません。我々としても、日米韓のこうした協議を積み重ねて、できるだけ早くきちんとした日米韓の政策調整に基づく対北朝鮮政策というものをやはり確認するなり、新たに今、議員がおっしゃるように微調整と申しますか、調整すべきものがあれば調整をして対応していかなければならないだろうというふうに思っております。  北朝鮮の側でも恐らく、なかなかアメリカとは厳しく、北朝鮮側の報道などを見ると大変厳しいトーンで報道をいたしておりますし、これはアメリカに対しても、恐らく日本に対してもそういう感情があるいはあるかもしれません。現時点では、韓国との関係をどういうふうに持つか、その間合いをはかっているところだと思いますが、そういう中で、現在は北朝鮮はどちらかというとヨーロッパ側の窓をあけて、ヨーロッパ側との接触を図るというような情報がしきりにございます。  ただ、これは情報の交換といいますか、そういった程度であって、そことの間に非常にはっきりとした、例えば経済的支援を初めとするものがどんと北に入っていって、それで北がもう十分だというような改革といいますか、あるいは北の経済の修正になるという状況では私はないと思いますので、いずれにせよ我々がきっちりと北との日朝交渉を行う意思を示していけば、北側は必ず日本との間に日朝の国交正常化交渉に臨んでくる可能性というものは私はあり得るというふうに思っております。
  118. 益田洋介

    益田洋介君 まず、外務大臣にお伺いしたいと思います。  三十日、えひめ丸の事故に対する対応のために帰国をおくらせておりましたフォーリー前駐日アメリカ大使が、二十八日、ある新聞社に対して単独インタビューをいたしまして、その席で幾つか、非常に私は、えひめ丸のこの事故の対応については誠意を示して、しかも機敏な行動をとっていただいたフォーリー大使、何回か在任中にお会いしたこともございますが、意見交換したこともございますが、ちょっと衝撃的な発言を言い残して帰ってしまったという印象を実は受けているわけでございます。  その第一は、兵力削減について、私は前回、別の委員会で外務大臣と議論を交わしたわけでございますが、特に海兵隊、二万人必要ないんじゃないか、五千人程度でいいんじゃないかというふうな話をしたわけですが、前大使は在日米軍基地そのものを移転する計画は全くないと。これが第一点。第二点につきましては、沖縄が今強く主張しております、要求しております日米地位協定の見直し、これには全く応ずる用意がないと。そういった二つ、これは沖縄に関してでございますが、重大な発言をして去られたわけでございます。  一方で、二十五日、ブッシュ大統領は、次期の駐日アメリカ大使としてハワード・ベーカー氏、これは八七年、八八年、当時、レーガン政権のときの首席大統領補佐官を務めて、非常にベテランであって、議会においても発言力が強い、共和党の院内総務をずっと続けてこられた方。  私は、外務大臣、この二つのフォーリー大使が残した沖縄に関する問題について、できるだけ早目に、まだ上院の承認が得られていないので、人事の、しかし障害は何もないだろうということのようですので、早ければ五月の初旬にはこちらに来られるということですが、その前に電話ででも結構ですから、ちょっと話し合いの糸口をつけておいていただけないかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
  119. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ハワード・ベーカー氏が駐日大使になられるであろうということは、我々もその実現が極めて強いと認識をしております。問題はその時期がいつになるかということだと思いますけれども、ベーカー氏がそう遠からずアメリカで認証を受けて日本に着任をされることになるのだろうというふうに、私はその時期については正確にわかりませんが、恐らくベーカー氏が来られるということは間違いのないことだというふうに思います。  そこで、今、議員が御指摘のように、ベーカー氏と何らかのコンタクトをとったらどうかという御意見でございますが、もちろんベーカー氏は日本にたくさんの知己を持っておられまして随分と長いおつき合いをしておられる方もおられますが、しかし大使という立場に立って日本に何か物を言うという状況にはないとまだ思いますし、もちろん今の議員の御指摘は、こちらから日本状況を知らせておいた方がいいと、そういう御指摘だろうと思いますが、これらについては恐らくフォーリー大使も十分にベーカー氏に対する引き継ぎをするということになると思いますので、それより早く我々の考え方を伝えるということが可能かどうか、これは私、少し研究させていただきたいと思います。  恐らく、ワシントンにおります柳井大使はベーカー氏と既に接触をしておられるというふうにも思いますし、接触していなければそうした努力をしてもらうべく私も柳井大使と相談をしてみたいと思います。
  120. 益田洋介

    益田洋介君 ぜひお願いしたいと思います。  この離日前のインタビューの内容をもし沖縄の方が知ったら、これは大変な騒ぎになると思いますし、そういうふうに潜在的な考え方を駐日米大使が持っておられたということ自体が私は驚きでございますので、ぜひ前向きな検討を外務大臣にお願いしたいと思います。  さらに、フォーリー大使が今度は対中問題について、新政権は、今までの米中関係が戦略的パートナーシップであったのをブッシュ政権は戦略的競争相手だと、ストラテジックコンペティターになったと、こういうふうにはっきり言っている。対中政策も相当厳しいものになるのではないかという予測を既にフォーリー前大使はこの時点で持っておられた。だからこそ、こういう発言になったのだと思うわけでございます。  クリントン政権のときは、私たちの認識というのは、日米両国は対中政策は一致したものであると。それは、例えば一つ中国を望んで、両国とも、台湾問題は対話を通じて平和的な解決をすべきだと、こういう認識で日米間で一致していたような気がしますが、このストラテジックコンペティターというような発言をされると、どうもこういった基本的な私たちの考え方にひびが入る、亀裂が入るんじゃないか、こんな気がしています。特に、人権や台湾問題において、中国はアメリカの懸念を晴らすべきだということまでフォーリーさんは述べて帰られたわけです。  この点、いかがでしょうか。
  121. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) フォーリー大使のインタビューの記事を私も拝見いたしましたが、今御指摘がございましたのでもう一度読み返しているところですが、ここでフォーリー大使は、まず前段、今のところ在日米軍基地をほかに移す計画はありませんということを言っておられるという点に議員は懸念を持っていらっしゃると思いますが、これらについても、その質問者の質問が、恐らく在日米軍基地を沖縄以外の、あるいはもっと言えば日本以外の場所に移す計画はあるかという意味の趣旨を持って質問されたのではないかというふうに私には感ぜられます。そこで大使は、日本以外の場所に移すという計画はないというふうに答えておられるのではないか。これはもちろん御本人に確認をしなければ、私がここでフォーリー大使の言葉説明をするあれはございませんが。  さらに、地位協定の問題について申し上げれば、在日米軍の地位を定める重要な協定ですから簡単には変えられませんと、こういうふうに言っておられるわけですが、これらもその後段において、特別の状況に合わせて解釈をしています。これは恐らく、明らかに運用の改善について大使の頭の中にあるのだと思いますが、現在、私といたしましては、かねてから申し上げておりますように運用の改善についてさらに踏み込んで、運用の改善というものが明示的にどういう状況下でどうするかということをはっきりさせるべく日米合同委員会で協議をしてもらっているわけで、その協議が極めて難航すれば、相手のあることで大変難しいことではありますけれども、地位協定の改定を視野に入れなければいかぬということを私は繰り返し申し上げているわけでございまして、この点はフォーリー大使のインタビューの御答弁と私の考え方は、もし必ずしも一致しない場合であったとしても、日本外務大臣としてかねてから申し上げているような考え方で日米合同委員会では協議をしたいと思っております。  米中関係については、これもフォーリー大使は米中関係を悪化させる意図はありませんということも前段で言われて、しかし同時に人権や台湾問題など云々と、こういうことを言っておられるわけでございまして、フォーリー大使御自身、三年三カ月、日本に勤務をされて、十分日本の問題についてはよく理解をしていただいている、日本及び日本周辺の問題については理解をしていただいているものというふうに私は考えているわけでございます。  しかし、議員の今の御懸念というものも私はよく注意深く伺いましたので、これらについて私としてもさらに十分分析を、このインタビューは分析をさせていただきたいと思っています。
  122. 益田洋介

    益田洋介君 一点目は、外務大臣指摘されるように、例えばグアム島あるいはその周辺の諸島に順次移転をすべきだという意見が、これはリチャード・アーミテージ国務次官補なんかも日ごろから言っておられることで、多分私もそういった内容の質問であったと、それに対する返答であったとは思います。  ただ、米中問題につきましては間違いなくもう言葉遣いを変えているわけですから、パートナーからコンペティターに変えている。基本的なブッシュ政権の対中政策というものをやはり転換させようとしている、そういう意図がうかがえるために懸念を申し上げたわけでございます。  次に、アメリカの高官OBでつくっております民間シンクタンクですけれども外交問題評議会、これは先々週、ブッシュ大統領に対して外交政策の提言を行ったわけですが、それを二十六日発表いたしました。その中で、九四年の米朝枠組み合意について見直す必要が生じてきたのではないかということを言っております。  その中で三つの大きな点がございましたが、検証査察体制の確立ですとか、韓国の金大中政権に対する支援を強化しなきゃいけないということとか。  私が気になりますのは、三番目に言っている日米韓の協調路線の維持ということについて、特に今話題になっています、懸案になっています北朝鮮への二基の軽水炉の提供でございますが、工費、工期ともにかかる現在の計画から、軽水炉二基のうちの一基を工期が早くて工費も削減できる石炭型の火力発電にするか、または韓国から既に発電した電力を送電してもらってその代金をアメリカと日本が負担したらどうかというような案も提案されていますが、これは当然日本と韓国の同意がなければ先には進められない議論だと思います。韓国は、主の契約電力会社を韓国の業者が抱えているわけですから、簡単には今までの計画を変えることはできない。いろいろな影響が出てくる。  我が国としては、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  123. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員の御指摘はKEDOの問題と理解をいたしますが、このKEDOの問題につきましては、日米韓で大変な協議をいたした結果、こうした結論を出したものでございまして、基本的に申し上げれば、我が国としてその結論を簡単に変えるという意思はございません。  例えば、これは私の記憶が少し正確ではないかと思いますが、二基の軽水炉を一基にしたらどうかという提案は、たしかあの当時の議論としては、軽水炉というのは二基あることが大事なんだと、つまり一基ではそのコストが非常に高くついてしまうといったような議論もあったやに私は記憶をいたしておりまして、一つを軽水炉のまま、もう一つを火力発電型でやるというような考え方は、私はとてもとれないというふうに考えております。  もちろん、アメリカが現在この重油を負担するということが大変な苦痛になってきて、何かほかの方法はないかと考えているという実態は私もよく承知をしておりますが、それはそう簡単に、これはなかなか大変だからほかのでいこうというほど簡単なものではないと。まさに議員がおっしゃいましたように、日本、韓国が了承をしなければこの計画は変えられませんし、さらに北側の了承というものも当然必要になってくるだろうというふうに思います。
  124. 益田洋介

    益田洋介君 十九日、日米首脳会談が行われまして、我が国のほとんどのメディアの、報道の方向性というのは、総理は一体何をしに行ったんだと、大変失礼な言い方をしている報道が目立ちました。  ところが、おもしろいことに二十日のイギリスのファイナンシャル・タイムズでは、森総理はよくアメリカ経済が、減速しているアメリカ経済をいかに回復させるか、具体的な手を打つべきだというような圧力をかけたという全く逆のトーンの報道をしているわけでございます。これはやはり、ちょっと先入観を日本のメディアは総理に対して持ち過ぎたためじゃないかと思っております。  一方で、ブッシュ大統領のキャラクターがこの対談でもよく出ていたというのは、褒めるような各国のメディアもあります。さらには、逆に言うとポイントレスサミットなんということを言っていたところもある。ですから、これは総合的に判断しないと実際に森政権が対談を通じてどのように評価されたかわからないというのが私の偽らざる実感です。  外交政策については、オニール財務長官は、新しい対日アプローチをとっていくんだ、今までのように、クリントン政権のように苦言を呈して日本に圧力をかけるようなことはしないと、あるいはパウエル国務長官は、経済的に日本に説教して圧力をかけるというようなことはしないと。こういったことで、じゃなぜ、いろいろな日本について心配してくれるというか憶測があって、なぜ経済改革を断行できないんだと、構造改革あるいは債権処理というものを。  それに対して、これまたイギリスのタイムズが二十二日付で、平成になってから十三年間で十人も総理がかわった、これではやはり政治家の強いリーダーシップというのがないために日本の経済が失速しているし問題を先延ばしにしているんじゃないか、こういう見方があります。  外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  125. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日米首脳会談は、図らずも日米両国の株価の下落という目に見える状況の真っただ中で会談を行うということになったわけでございます。したがいまして、この日米首脳会談の大きなテーマが経済問題になるだろうという予測は十分可能であったわけであります。  ただし、議員も今お話しになりましたが、こうした経済状況についてアメリカが日本に圧力をかけると、日本に何らかの政策的な圧力、こういう政策をとれという圧力をかけるということではなくて、当日の議論を、ブリーフを見てみますと、日本側は日本側でこういう状況に今、日本はあって、こういう政策をこれからとろうとしているんですという説明をして、アメリカ側はアメリカ側でやはり現在のアメリカはこういう状況だということを言って、つまり両国の首脳、日本の場合には首脳と麻生大臣が同席をしたわけで、こもごも二人で日本の経済政策について積極的にこういうことを自分たちはやろうとしているんだということをアメリカ側に説明をしたと、こういう状況であったというふうに私は聞いております。  これは明らかにアメリカ側が、それまで私に対してパウエル国務長官が申しましたり、あるいはそれ以外にも幾つかの発言を今、議員が御紹介になりましたが、日米の経済政策は外圧によって政策を変えさせる、外圧によって何かをやらせるということよりは、お互いに協力をし合うということが重要だということをしきりに私どもは話し合ったわけでございまして、まさにそういう状況になったというふうに思っております。  タイムズの記事については、私はちょっとどういう記事が出たのか承知をしておりませんので今のお話に御答弁ができかねるわけでございますけれども、いずれにしても我が国の経済構造改革につきまして、金融システムの安定化対策、あるいは企業法制の整備、情報通信分野の規制改革、あるいは規制緩和、規制改革三カ年計画、次々と森内閣のもとで改革はその方向性をはっきりさせて実行に移されつつあるわけでございまして、私はその成果は必ず上がってくるものというふうに認識をしているところでございます。
  126. 益田洋介

    益田洋介君 先ほど外務大臣は、まだ国務省のあるいはブッシュ政権そのものの、大きな幹の部分の人事はできたけれども、実際手足となって動く枝葉の部分が完了していないからということを言っておりました。  国務省の南アジア担当国務次官補の候補に挙がっているジョージタウン大学のジェームス・クラッド教授というのがおもしろい提言をまたブッシュ政権に提出している。それは、インドを南アジアという枠内に今まで押し込んできたわけですが、そうでなしに、もうアメリカの世界戦略それからアジア政策を補強する存在となるべきである、そういう時期が来たんだと、こういうことを言っています。それからさらには、これまた対中政策、ブッシュ政権を支える対中政策の一つの証左になると思いますが、アメリカの新政権がアジアで中国の動向に対する懸念を共有する国としてインドを明確に認識すべきであると。これは抑止力になってくれる国じゃないかという期待があるんじゃないかと思いますが、この意見についてはどう思われますか。
  127. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日本外交評論家の中にも、対インド政策というものは対中政策の牽制の意味でも非常に意味があるということを指摘する意見がございます。ございますが、我が国としてはそうした観点ではなくて、インド政策と申しますか、インドとの関係を進めるということの重要性を私ども考えておりまして、昨年の森総理のインド訪問などはその一つでございますが、インドとの協力関係をさらに進めようというふうに考えているわけでございます。  ただ、インドの場合には核実験等がございまして、我々としても考え込むところも大いにあるわけでございまして、こうした問題についてインドに対してはCTBTの署名その他について強く要請をしているわけでございますが、インドはなかなか国内世論がそう簡単ではないと。もちろん、パキスタンの問題やら中国の問題やら、インドを取り巻くさまざまな国際情勢ということなども考えておられるのだとは思いますが、この問題についてそう簡単にクリアができないという状況にあるわけです。しかし、そういう状況でもなおかつ我が国としては、対インドとの関係をよく分析し、これについては関係を進めるということを前提にこの政策を今模索しております。  それと全く同じようにといいますか、あるいはそれよりも一歩進んで対中政策というものを我々も持っているわけで、二者択一といいますか、どちらの政策を進めるためにどちらをとるということでは現在のところございません。
  128. 益田洋介

    益田洋介君 荒木副大臣、御苦労さまでございました。何か飛行機の中で休まれた方がホテルで宿泊されたよりも多かったというふうに伺っていますが。  ところで、副大臣がお留守の間に、二十九日ある新聞が、二十八日に警視庁の捜査二課が、松尾元室長の後任者の方がやはり同じような報償費の流用をしていた、こういった記事が出ました。九九年八月からことし一月末、支援室が閉鎖されるまで約一年半の間に、金額としては五百万円になる。九九年九月の小渕総理のニュージーランド訪問やことし一月の森総理のスイスの訪問など計十四回の首相の外国訪問でホテル代の支払いなどから水増しをした、搾取したと。当然のことながら立件を視野に入れて取り調べをしていると。  これは副大臣外務省調査委員会で調査をされたわけですね、この方に対しても。それで何も出てこなかったというふうな御説明、報告だったような気がいたしますが、調査して何も出てこなかった方がこういう今状況に置かれているというのは、調査委員長、いかがなんでしょう、調査は十分であったんでしょうか。
  129. 荒木清寛

    ○副大臣(荒木清寛君) 調査はいたしました。これは、外務省調査委員会といたしまして、その御指摘の後任者名義の口座の出入金記録を入手しまして、本人から事情を聞きながら調査をしたところであります。これまでに調査した限りでは、この後任者が公金を私的目的に使用したことはないというふうに承知をしております。  もちろん、私たちとして知り得た点につきましては、捜査当局に提供をしてございます。
  130. 益田洋介

    益田洋介君 ありがとうございました。  では、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  三十日、東京地裁は、国が東洋通信機に対して、これは防衛装備品の納入代金の水増し請求の話でございますが、東洋通信機に対して四十億円の返還を求めた訴訟の中で判決を下しました。内容は二十九億円の返還命令。ただ、四十億請求しながら二十九億に判決が下ったというか命令が下ったということは、十一億これは国の請求に差額が生じた。理由として裁判所は、過失相殺を適用ができる、したがって国の返還額を減額せざるを得ない、こういうことだった。もちろん東洋通信機の水増し請求は不法であると認めた上です。  これは長官、この差額の十一億円というのは、これはやはり国費です。このままほっておいたら欠損するわけです。どういうふうな措置をお考えですか。上野被告に対して、これは釈放されたと言っていますが、三千七百万保証金を積んで。上野被告に対して返還請求を国としてなさるおつもりなのかどうか。この差額の十一億円、どのような対応をされるんですか。
  131. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 御指摘ございましたが、現在、判決文を検討中でございます。国側の主張がおおむね認められたものと理解しておりますが、一方、国の損害賠償請求の一部しか認められなかったことについては、裁判所の十分な理解が得られず、御指摘のように遺憾でございます。  今後の取り扱いにつきましては、判決の内容を慎重に検討いたしたいと思っておりますし、関係機関とも調整の上、控訴をするしないを含め、そういった問題を含め適切に対応していきたいというふうに思っております。  なお、判決にございますように、調本本部長等が本件東洋通信機の返還額を不正に減額したことについては、防衛庁として深く反省をいたしております。防衛庁としては、このような事案が二度と起きないよう、歴代長官のもと、過去に過払い事案がなかったか調査を行い、過大請求を行った企業には厳正に対処するとともに、企業側提出資料の信頼性確保のための施策を行う等、調達改革を推進しており、今後とも不断の努力を行っていきたい、そんな所存でございます。
  132. 益田洋介

    益田洋介君 先週二十九日の外交防衛委員会でお願いをしておきました、外務省の事務次官の通達が、具体的に言うと秘密保全体制の見直し、それから秘密漏えい防止のための取り扱い環境の整備、この通達が有料で、ある野党の衆議院議員の元秘書、元秘書といいましても政策秘書としまして昨年の末まで勤めていたわけで、現在でも実質的には秘書の業務を行っていると、の手によって有料で販売されていた。この事件について調査をお願いしておきましたが、いかがでしょう。
  133. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 防衛庁といたしましては、国会議員から国会における審議のために必要な資料の要求があった場合には、これを可能な限り協力をすべきものと考えております。御指摘ございました金田議員からの要求に対しまして、各種の資料を提供いたしたのは事実でございます。  具体的には、昨年十月以降の防衛庁本庁に対する資料要求については全体で約二百六十件ございまして、そのうちの約四十件が金田議員からのものであると報道されておりますが、右事実関係はそのとおりでございます。また、質問主意書につきましては、本国会において提出されているもののうち防衛庁が主管となっているものの九件のうち、同議員提出のものは四件となっております。  防衛庁としては、各議員が提出資料を国会審議等の目的に沿って利用していただいているものと考えておりますが、各議員が具体的にどのような資料を使用されるのか承知する立場にないということは御理解願いたいと思います。
  134. 益田洋介

    益田洋介君 よくわかりました。  私たちも資料要求なんかはよくいたしますが、こういうことにならないよう我が党は気をつけていきたいと、そういうふうに考えております。  官房長官、お時間いただきましてありがとうございます。三十日に松尾元室長がついに起訴されました。  外務省は、何回かこれは外務大臣ともお話ししていますが、有識者による機能改革会議を設けて再発防止策の検討を今進めている、四月末までにはまとまると。加えて、独自の省としての運用改善策、この効用については会議のメンバーからも若干疑問の声が出ているようでございますが、残念ながら。まあとにかく外務省はこうした努力を積み重ねて国会の場に、つまり国民の前に示している。そういう努力がある。  内閣官房は全くそういうことがない。その使途の、要するに官房機密費に関しては改革の機運が見られない。一言も官房長官の口から伺ったことはありません。どのようにお考えか。外務省外務省内閣官房は官房で対応の仕方が違っても構わないというお考えですか。
  135. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の事件は本当に残念なことでございました。我々も、この事件の原資が内閣官房の報償費であったということが判明いたしまして、愕然とすると同時に、これはまことに国民に対して申しわけないことを起こしたと、こういうように反省をいたしておるところでございます。  今回の詐欺事件の対象となりました総理外国訪問の際に生じます宿泊費差額につきましては、在外公館を擁します現地の実情に精通している外務省内閣官房とが役割分担するシステムのもとで、内閣官房の報償費から支出していたものでございます。長年続けられてきたこのシステムのもとで、結果的には元室長の不正を許してしまったということでございます。今後、内閣官房として、総理の外国訪問を円滑に進めるための内閣官房と外務省との適切な役割分担を再構築しまして、再発防止に万全を期する考えであります。また、これらの捜査の進展を見ながら、明らかになった被害額については、内閣官房として損害賠償を求めていく考えでございます。  なお、さらに申し上げれば、内閣官房の報償費は、これは内政、外交を円滑かつ効果的に推進するためにその取扱責任者のその都度の判断で機動的に使用する経費でございまして、国政の運営上不可欠なものでございます。この際、点検を十分に行った上で、より厳正かつ効果的な運用に努め、国民の御理解を得たいと考えております。  いずれにせよ、報償費という具体的に使途を明らかにするということはできないものでございますので、それだけに責任者である官房長官の責任は重いと考えており、報償費の厳正な使用には今後一層十分に意を用いてまいりたい、このように思っております。  具体的には、今現在も協議いたしておりますけれども、首脳外交のときに外務省と、そして内閣官房とがどういう役割分担をしていくか、このことは、内閣官房は正直申しましてそういうような首脳外交の外国におけるさまざまな交渉また事務の取り扱い等については、なれている者はおりません。でございますので、そういうようなスタッフを用意すべきかどうか、こういうことも含めて、今、外務省とも協議をさせていただいております。  いずれにしても、我々としては、この問題は極めて深刻な問題であるというように受けとめておりまして、改善策を早急につくろうということで今鋭意努力をしている最中でございます。
  136. 益田洋介

    益田洋介君 これは、外務省は告発したときは要するに業務上の横領罪で告発しましたが、検察はそういうふうな立場をとらないで、警察も検察も詐欺罪であると。そうなると、直接の被害者は内閣官房なんです。だから、これは賠償のことに今お触れになりましたけれども、やはり被害者というのは内閣官房である以前に国民なわけですから、きちっとした形で結論を出していただきたい、そのようにお願いいたします。  ありがとうございました。
  137. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) それでいいですね。
  138. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ちょっと委員長。今御指摘ありましたことについて。  実は本日、松尾元室長の起訴の対象となっている三件の総理外国訪問について、損害賠償請求権の執行を保全するため、松尾元室長の不動産に対する仮差し押さえの手続が完了いたしました。今後とも捜査の進展等を踏まえつつ、明らかになった被害額については、法務省、外務省と緊密に連絡をとりながら適切な法的処置を講じてまいりたいと思います。  仮差し押さえの目的対象物は、今回の対象物は松尾元室長名義のマンションでございます。そして、請求債権額は約三千万円でございます。この金額は、現在、現段階において入手可能な証拠に基づいて請求した金額でございまして、捜査の進展等を踏まえつつ、明らかになった被害額については、法務省、外務省と緊密に連絡をとりながらさらに適切な法的処置を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。
  139. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は障害者施策、とりわけ移動の自由と安全確保について伺いたいと思います。  障害者基本法や、あるいは関連の大臣のいろいろな会議が開かれ、施策が決定をされておりますけれども、まず国土交通省に伺いたいと思います。  私、先日、名古屋にあります金山駅というところにいろいろな障害を持った皆さんと一緒に調査をさせていただくのに同行しました。この金山駅というのは、JRと私鉄と市バスのターミナルと地下鉄がある複合駅で、それぞれ独立をしているわけでありますけれども、JRはホームのところも含めてエスカレーターがありませんので車いすではちょっと行けなかったわけなんですけれども、地下鉄に入るところでは大変長いエスカレーターがありまして、ここはその三つともエレベーターはございませんのでエスカレーターで車いすを私、介助したんです。それから、車いすに乗られた方は一度も金山駅は利用したことがないという方だったんですけれども、断崖絶壁に立ったような形で非常に恐怖があって、私自身もすごく怖かったんですけれども、そういう意味でもエレベーターの設置というのが大事じゃないかなと痛感をしてまいりました。  今、JRではエレベーターの設置は五・五%で、私鉄は一五・四%、地下鉄は五五・三%ということであるそうですが、二〇一〇年までの設置計画ではどうなっているんでしょうか。また、交通バリアフリー法では五千人以上の駅のみの十カ年計画となっておりますが、必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている既設の駅、私が利用しました金山などですけれども、そういうところはどういうふうになっているのかお答えください。
  140. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 駅のバリアフリー化についてのお尋ねでございますが、昨年十一月に施行されました交通バリアフリー法に基づきまして現在推進しているところでございます。  この基本方針の中で、我々としては、一日当たりの利用者数が五千人以上の駅につきましては、原則としてすべての駅を平成二十二年度までにバリアフリー化するということを目標として現在進めているところでございます。  それから、先ほど先生の方から話がございましたように、エスカレーター、エレベーター、このバリアフリーをこれから推進していくわけでございますが、交通バリアフリー法に基づきます移動円滑化基準の中では、床面に段差がある場合、傾斜路またはエレベーターを設置することということに基準の中で書いてございます。それで、構造上の理由により設置できない場合は、エスカレーターをもってこれにかえることができるとしておりますので、したがいまして平成二十二年度までの目標についても、この基準によりエレベーターを中心とした整備を図っていきたいということで考えております。
  141. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 エレベーターを中心として法で指導されるというのは、私はそうしていただきたいんですが、実際にはこれは三つの駅、バスターミナルも入れると四つなんですけれども、どこもエレベーターの計画はないんですね。そういう意味でも、実際に障害を持った皆さん方が使い勝手が悪いどころか使えないんだなというのを感じてきました。  JRのここの駅でも、最近ホームの転落事故で大きな社会問題になっておりまして、ここは名鉄もJRも地下鉄も島型のホームになっているものですから、聞きましたら、JRだけは緊急警報装置も転落マットも何もつけないということで、点字板だけなんです。落ちたらどうするんですかと言いましたら、どこかに逃げていただきますと。じゃ、全盲の方はどこに逃げたらいいかわからないのでどうしたらいいんですかと言ったら、いや、困りましたねということで、まるで打つ手を考えておいでにならなかったんです。見ている人は助けるんですかと言ったら、いや、新大久保駅みたいになるから助けないでくださいと。じゃ、どうしたらいいんですかと言ったら、着ているものか何か脱いで振ってくださいとかと、そういう全く無責任な、これは駅長がお答えになったんですけれども、実際には落ちないようにするということも大事ですけれども、落ちた人に対してどうなのかと。同じところに私鉄もあるんですけれども、私鉄は駅に、ホームに駅員さんを配置してあるんですけれども、JRはそういうこともありません。  そういうのを見ていますと、ホームさくとかホームゲートというのも今度の法律にはあるんですけれども、落ちないことをもっと真剣に考えていただきたいと思うんですが、そういうものの計画や目標というのはあるでしょうか。
  142. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 先ほど新大久保駅を契機としましたホームの転落防止対策についてのお話がございましたけれども、我々としてもこのホームの転落防止のために、現在事業者に対しまして停止ボタンであるとかあるいは退避スペースの確保といったようなことでいろいろ指導をしているところでございます。  お尋ねのホームドアや可動式ホームさく、これは当然落ちること自体を防止するわけでございますから身障者の方も含めて非常に効果があるわけでございますが、現在既に、例えばワンマン運転とか無人運転の新交通システムでは一部導入されているところがございます。  ただ、既設の駅にこれを整備するとなりますと、旅客流動上の問題あるいは扉の開閉に一定の時間を要するといったような問題で、特に通勤客の多い混雑した路線ではいろいろまだ検討すべき課題があるかと思っております。それから、既設の駅に大規模な工事をやる場合に、果たして現実問題として物理的にできるかどうかといったような問題もございまして、幾つかの課題があるというふうに考えております。  ただ、我々としても先般の新大久保駅のプラットホームからの転落事故を契機としまして、この安全対策について二月十九日に通達を出したところでございますが、各事業者にも、具体的にホームさく等の設置につきましてプラットホーム上の私鉄の配置の状況であるとか、あるいは旅客の混雑、流動状況等を勘案しまして、その検討状況、それからまた今後の対応策といったことについて検討していただきまして、我々としても報告をもらうということになっております。  今後、この点につきましていろんな角度から検討していきたいというふうに考えております。
  143. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 旅客利用の九八%というのはJRと大手私鉄、地下鉄だというふうに聞いておりまして、圧倒的多数が使うところというのはこういう大手なんですよね。ですから、そういうところが全く何も考えないというふうに平気でおっしゃるような事態というのは、視覚障害の方は、三人に二人は転落の経験があるという今重大な問題で、新聞とかテレビに出なくても毎日のようにホームから落ちていらっしゃる方が実際にあるんですよね。だから、そういった面ではもう少し目標やきちんとした施策になるようにしていただきたいと思うんです。  こういう問題なんかも私は障害者などの利用者の声を聞くようなシステムがきちんとできてないからだというふうに思うんですね。  駅の外にあります点字ブロックなんかですと自転車なんかがよく置いてありますので、今障害者団体がおっしゃっているのは、この点字ブロックに物を置かないでほしいというPRシールなんかをきちんと張っていただくものを設置するとか、あるいは手すりも私、実際に一緒に足をちょっとからげて歩いてみたんですけれども、ガイドラインでは階段の前後、終わるところに六十センチ以上はというふうになっているんですが、階段で終わっちゃっているという手すりは結構あるんです。  新しいところはそういうふうにつくられるかもしれませんが、もう今まであるところで手すりがあるよといっても、実際には障害者とかたまたま足を悪くされた方が手すりにつかまろうと思っても、最後のところ、落ちちゃって怖くて使えないというのが実際にありますし、また点字ブロックなんかも黄色を中心にというふうにガイドラインではあるんですけれども、実際にはベージュとか、美観だといって何のための点字ブロックかわからないようなのもあります。  だから、そういったのなんかがどうなのかと思いますし、弱視の方なんかは駅の案内板が見えないんですね。料金表だとか、あるいはどこへ行ったらホームだとか、改札口だとかというのが上の方にあったりしますと全然見えません。こういった細かいけれども切実で絶対に必要なことは利用者に聞かないとわからない。  欧米では、こういうのをきちんと国の基本計画やいろいろな実施計画、整備基準では恒常的に利用者、障害者の皆さんの声を聞いているんですけれども、そういうシステム、参加の場はどうなんでしょうか。
  144. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 今、先生の方から点字ブロックのいろんな表示の仕方、さらには手すり、階段のところからホームに行くところの手すりの長さ、それからそういう従来の身障者に対するいろんな施設上の基準、これにつきまして省令上の基準は現在設けておりますけれども、さらに細かいガイドラインというのをつくって現在進めております。  このガイドラインについては、我々としても適時適切に見直していきたいというふうに考えておりまして、その際にはぜひそういう形で、利用者さらには身障者の方々を含めまして、いろんな現実に使う方の意見を取り入れながらこのガイドラインというものを作成し、この作成したガイドラインに従って今後鉄道事業者を指導していきたいというふうに考えております。
  145. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ガイドラインは今もあるんですけれども、実際にできないものですから、実際にそういうところを整備したりするときに障害者等の利用者の声をきちんと聞けるようなシステムというのをつくっていただきたいということなんですね。  そういうのを実際にやるということで、次は内閣府に伺うんですけれども、基本法によります市町村障害者計画の策定状況というのが昨年三月まででは六三・五%ということですが、こういう到達点についてはどう御評価をされているんでしょうか。
  146. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 御指摘のとおり、平成十二年三月末現在の策定状況は、市町村の数で見ますと六三・五%、おっしゃるとおりでございますけれども、これは人口で見ますと全市町村の人口の約八七%をカバーしていることになります。全体としますと、大体着実に策定が進んでいるというように考えております。  ちなみに、この策定に関する指針が出ました平成七年、これは九%でございました。平成十年、三三%。十一年が四九・四%、もうほぼ五〇%。それから、十二年が今の六三・五ということでございますので、ほぼ順調にいっているのではないかなと、こう思っております。  決してそれで満足しているというわけではございませんので、できる限り早期にすべての市町村において計画が策定されるように考えて、努力を続けているところでございます。
  147. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 官房長官はほぼいいんではないかとおっしゃるんですが、これは自治体の数でいいますと千もまだできてないんですね、市町村でいいますと。  それで私は、先ほど例に挙げた金山駅というのは大きな駅で、何十万と毎日利用される駅なんですが、そこへ来る人、そこから行く人というのはそれぞれの市、町なんです。ですから、それぞれの市、町がこういった計画の中でバリアフリーを位置づけてないと利用できないということで、私、もう六年たっていてまだ六割というのはちょっと大変なんじゃないかなと。住みなれた土地に障害を持っても暮らし続けるためにはやはりこの基本計画がきちんと策定をされること、これが大事だと思います。  最後に、官房長官に伺いたいんですけれども、先ほど国土交通省が交通バリアフリー法をおっしゃったんですが、これは高齢者、身体障害者等とあるんですね。しかし、知的障害者や精神障害者は無論のこと、今は障害者に見えないような方たち、すべての国民にとって移動の自由と安全確保が基本的な権利だと私は考えますし、バリアフリーそのものはバリアからのフリーですから、そういうバリアをなくすことですからね。  そういう欧米で言っているような移動は国民の基本的権利という立場でこういう基本計画もつくっていただきたいし、実際にそれぞれの省庁を調整するという形でもあるものですから、官房長官の方でそういう基本理念というんですか、そういうのをお示しいただいて頑張ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  148. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 最初の小規模な市町村において立ちおくれが見られると。これは、人口規模が小さいために保健、医療、福祉などの障害者の多様なニーズにこたえるための効率的なサービスの提供体系の構築がなかなか難しいという事情はありますので、それはそれで対応する方法を考えていかなきゃいかぬと、こういうことがございます。また、計画策定に関するノウハウが不足しているということもございますので、こういう市町村に対して有識者を派遣するという事業を今年度も行うということで考えておりまして、予算も計上いたしております。  それから、バリアフリー社会の実現というのは、これは障害者だけでなく、特に日本の場合には高齢社会と、こういう問題がございますので、そういう方に対する当然バリアフリー化というものを推進するということは、政府としても非常に重要な課題であるというように認識いたしております。  こうした認識に基づいて、ハード、ソフト両面を含めたバリアフリー化を効果的かつ総合的に推進したいと考えております。  バリアフリーに関する関係閣僚会議というものがございます。そしてまた、このたびの省庁再編を機に新たに閣僚を構成員として設置されました障害者施策推進本部、高齢社会対策会議などがございますので、そういうところでバリアフリー化をより一層推進してまいりたいというように考えております。  なお、このたび成立いたしました平成十三年度予算日本新生特別枠においても、バリアフリー化の推進については積極的に取り入れておるところでございます。
  149. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 移動は国民の基本的権利と、こういうふうに、今のお答えの中でそういう基本で各閣僚会議をやっていると、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  150. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 基本的にはそういうことです。必要な人に対してそういうものが提供されるということと解釈してよろしいわけです。そう思っております。
  151. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ありがとうございました。
  152. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  中期防衛力整備計画に関連して質問したいと思います。  防衛庁では、訓令に基づいて統幕議長が作成する統合長期防衛見積もりなどの諸計画のほかに、陸上自衛隊では訓令に基づかない通称陸長と呼ばれる長期防衛見積もりがつくられていると聞いておりますけれども、それは事実でしょうか。
  153. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) お答えいたします。  防衛諸計画の作成等に関する訓令においては、この訓令の実施に関して必要な事項について各幕僚長が定めることといたしております。  御質問ございましたが、このため、例えば陸上自衛隊においては、陸上幕僚長が定める達において、統合長期防衛見積もり作成の資とする等の趣旨で陸上自衛隊長期防衛見積もりを作成しているものでございます。
  154. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 略称陸長というものがあるというふうに大臣は答弁されました。  そうすると、お尋ねしたいのですが、その詳細はどのようなものか、作成される根拠は何なのか、何年ごとに更新されるのか、大臣にお尋ねしたいと思います。
  155. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) お答えいたします。  例えば、陸上自衛隊で作成している陸上自衛隊長期防衛見積もりにおいては、一つは内外の諸情勢、また軍事科学技術の動向を見積もり、さらに各種情勢に応ずる陸上防衛戦略を考察するとともに、陸上防衛力の長期的な整備の方向を明らかにするものであります。  しかし、具体的内容の公表については、我が国防衛の手のうちを明らかにすることとなるので、従来から差し控えさせていただいているところでございます。
  156. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 差し控えたいということなんですが、大臣国会でこういう場で最低限公表するということはできないんでしょうか。再答弁を求めたいと思います。
  157. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 今御指摘いただいた件については、五年に一遍作成をしているところでございますが、その根拠は陸上自衛隊の防衛諸計画の作成等に関する達というものでございまして、その内容、目的につきましては、作成年度の九年後以降の十年間を主対象としておるわけでございます。
  158. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 漠としてよくわからないんですけれども大臣、それではお尋ねしたいんですが、大臣はこの陸長の内容については把握されているんでしょうか。
  159. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 御質問でございますが、そのまとめたものが統合の見積もりでございまして、それを目にしております。
  160. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 目にしておりますと言われましたか。
  161. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 委員、ちょっと指名するまで。
  162. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 済みません。最後が聞こえなかったので、確認いたします。
  163. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 統合計画として報告を受けております。
  164. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 統合計画は当たり前なんですよ。  私の聞いているのは、陸長について大臣が御存じかと伺っているんです。
  165. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) その計画は幕僚長限りの計画でございます。
  166. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうすると、大臣承知していないということだと思います。  確かにそのとおりなんですよね。私、過去の議事録をずっとくくってみましたら、九一年二月七日、衆議院の予算委員会でこの議論が行われている。そして、当時の畠山防衛局長が陸長について問われた際にこう答えているんですね、それ自体は長官の目に触れることはございません、はっきりとこう答弁しているので、今、大臣が言われたとおりだと思うんですね。したがって、大臣は陸長の内容については直接報告を受ける立場にない、このことは過去の答弁からも、また今も大臣の言われた点からもはっきりしたと思います。  陸長は陸上自衛隊の長期的な防衛構想を検討したものです。今、大臣が言われたとおりですよね。その内容は実に驚くべきことだと思います。  私、実はその内容を示す資料を入手いたしました。この資料というのは、平成二十二年の目標編成を基準に陸上幕僚監部が策定した対人戦闘の在り方研究構想と題するものです。資料には、平成九年度からつくられた〇九陸長における対人戦闘の作戦ドクトリンが着上陸侵攻、単独離島侵攻、単独ゲリラ・コマンドーの事態ごとに詳しく書かれているわけですね、このように。  さらに、〇九陸長の事態区分を示した一覧表には、これらを含む敵の侵攻要領を九つの事態に区分して、その主たる侵攻企図について、A事態の在日米軍の確実な牽制、抑留からB7事態のかいらい政権の樹立に至るまで、事細かく書かれているわけですよ。平成九年といえば、ちょうどガイドラインが改定され、ゲリラ攻撃に対する自衛隊の対応が新たに盛り込まれた年です。  大臣は、こうした具体的な内容、そういう内容まで御存じなのか、それとも御存じでないのか、その点をお伺いいたします。
  167. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 御案内のように、昨年十二月に安全保障会議におきまして中期防衛力整備計画を策定させていただきました。その中で、新たな脅威としてゲリラとか特殊部隊とか、そういったものの攻撃等々について触れられてございまして、そういう点では認識しているところでございます。
  168. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私も中期防を読ませていただきまして、そのことは触れられております、きちんと。  私が今申し上げましたのは、この資料、要するに陸自がつくっている資料で、報告はされていないということですから御存じないのかもしれませんけれども、こうした事柄について、大臣に知識としてそういうことが報告されているのかどうか、御存じなのかどうか、それについて重ねてお伺いしたいと思います。
  169. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 先ほども御答弁申し上げましたが、昨年末に新中期防衛力整備計画を策定させていただきました。それよりさかのぼりまして、昨年十一月三十日に開催されました安全保障会議の審議におきまして、防衛庁の方から、防空作戦、海外防衛作戦、着上陸侵攻対処のほか、災害救援、ゲリラや特殊部隊による攻撃対処、また離島侵攻対処など、多様な事態における自衛隊の能力の現状及び課題について説明いたしたところでございまして、いろんな事態を認識、想定しながら対応しているということでございます。
  170. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうすると、大臣はこうした内容、それを実際上報告を受けているということを今言われたと思います。確かに、中期防の中のものを読む、あるいは防衛庁から伺うことを見ますと、そうした事柄が事細かに、今言われた言葉遣いも同じように書かれているわけですね。同じなんですよ、この陸長で書かれている資料とですね。  それで、私、その中で注目したことは、陸長における対人戦闘の作戦ドクトリンが事態ごとに詳しく書かれているわけですが、その問題の前提として明記されている各事態における敵の侵攻要領の内容なんですね。資料では、中国をX、ロシアをZと想定して、中国については、東シナ海の内海化を目的に、侵攻地域として九州北部、先島諸島においては宮古島、石垣島、与那国島の三島を挙げています。また、ロシアについては、米軍の吸引を目的に、侵攻地域として北海道の道北、道央、道東、利尻、礼文、青函が挙げられております。  大臣は、これまで政府は、仮想敵国は設けない、特定の国を想定しないと繰り返し答弁されてきました。歴代の大臣もずっとそういう態度を貫いてまいりましたけれども、しかし実際には、今、大臣が認められたように、ここで書かれていることが実際に政府の方針となって中期防としてあらわれている。そうした問題の中で、この資料がそのとおり推移しているというもとで、ここに仮想敵国のそうした記述がある。  私はその点で、実際には仮想敵国が想定され、シミュレーションとして行われている、このことが問題だと思うんですけれども、こうした事態について大臣は是とされるのかどうかお伺いしたいんです。
  171. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 今、委員から御指摘をいただいたわけでございますが、私どもは、統長、統中、中能、このいろんな計画のもとに対応させていただいているわけでございますが、これらの見積もりの内容を公表するということは、相手の出方、これに対する我が国の戦術、戦法、また我が国の防衛体制の弱点など、いわば我が国防衛の手のうちを明らかにするようなこととなるということがございますので、従来から差し控えさせていただいているところでございます。
  172. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣、重ねてお伺いしますけれども、要するに日本政府として仮想敵国を、そういうことを考えているのか考えていないのか、その点をお伺いしています。
  173. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 考えてございません。
  174. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういう事実はないと、今、大臣はそういうふうにおっしゃられましたけれども、陸上自衛隊の防衛力の整備状況を見ますと、すべてが資料どおりにいっているんです、平成九年につくられたもの。大臣が今答弁されたように、昨年末に実際に政府が決定したこと、文言まで類似してこのように実行に移されている。  資料には、平成十三年度から対人戦闘のあり方における整備体系が強化されるとありますけれども、事実、今年度予算では、資料に中国による侵攻地域とされた九州、沖縄の島嶼部へのゲリラ対処のために西部方面普通科連隊の新編が盛り込まれました。また、昨年の防衛庁設置法の改正で、陸上自衛隊にゲリラやNBC攻撃に対処するための研究本部が設置されました。これらについての資料は、将来の陸上装備として平成十三年度から実施されることが書かれております。  このことは、中期防を初めとする防衛力の整備が、中国、ロシアという特定の国を想定して具体化されている、このことを何よりも裏づけているんじゃありませんか。
  175. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 御指摘いただきましたけれども我が国日本は、従来から体制を異にする諸国をも含めまして、世界各国、各地域との関係及び相互理解を増進することを基本方針といたしておりまして、特定の国または地域を仮想敵国と考えるようなことはしていないということでございます。
  176. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣、その基本方針は大変結構なことなんですよね、私も賛成です。ただ、実際問題として、実際ほぼこのとおり実行に移されていると見られる、こういう資料の中で仮想敵国として中国やロシアが実際に挙げられて、そのシミュレーションがつくられている。このことが私、問題だと思うんですね。  ですから、そういうことを考えたときに、大臣はこのことについてきちっと御存じないと言われた、報告を受けていないと言われた。そうです、そのとおりなんですよ、そういう仕組みになっていないんだから。そして、もし実際にここに挙げられているように、制服組が幕僚長の責任で、それまでの責任でこういう計画をつくっているとしたならば、私は、まさに今起こっている事態というのは、大臣が御存じないところでこうした事態が、今否定されたように、仮想敵国を持っちゃいけないと言われているのに、これが実際に明記されている。ならば、シビリアンコントロールに反すると思うんですね。  ですから、私は、この問題について、大臣がしっかりとその問題を手にとって、きちっとした形でこれが一体どうなっているかという、このことを確かめていただきたい。要求いたします。
  177. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) ただいま御答弁申し上げましたように、仮想敵国というようなことは想定していないわけでございまして、また我が国の基本的な防衛の考え方の中で専守防衛で対応させていただいているということでございます。
  178. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私の申し上げているのは、大臣、やっぱりこういう陸長の文書等々で実際に仮想敵国が書かれているわけですよ。私、これ、もしあれだったらお渡ししますけれどもね。ですから、そういうもとで、大臣が御存じない、この国会で否定されてきた、今も否定されたそうした事柄が制服組によって行われていたならば、それはシビリアンコントロールに反するじゃないかという話なんですよ。  ですから、その点で、やはり大臣が一体どうなのかということについて確かめていただく、調べていただく、これは当然のことじゃありませんか。
  179. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 私は、防衛庁長官を拝命させていただきまして組織図をよく見させていただきました。その中で私はその幕僚の上に位置しておりまして、私は制服組ではなくて文人、背広組でございます。したがいまして、シビリアンコントロールのもとで私の対応で判断をさせていただくという組織になっているということでございます。
  180. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは、大臣、大変情けないと思いますね。それだったら、もしかしたら裸の王様になっているかもしれない、そういう事態だと思います。  ですから、その点で私は仮想敵国の問題でも、実際には中国、ロシアを仮想敵国とする、そういう事態が公表された文書の中にもあると思うんですね。例えば防衛大綱の中での考え方、実際上はそれを規定している、私はそのように読み取るわけですけれども、そうした諸問題、私はこれは非常に大きな問題だと思います。その点で、防衛庁の訓令に定められていない検討が実際上、今明らかになったように国会への報告もなく秘密裏に進められている、そういう事態があるとしたならば、私はあると思いますけれども、看過できないと思うんですよ。それについて、やはり大臣がきちっとした形で手のひらに乗せる、このことが私は求められていると思います。  そこで、私、こうした問題について、陸海空の自衛隊による長期防衛見積もり、陸長とか空長とか海長とかそう言われる見積もり、それを作成を指示した幕僚長の通達及びその見積もりの提出、これを要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
  181. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 今、緒方委員からいろいろ御指摘をいただきました。緒方委員と私どもでちょっと立場が違うのかなというふうにお伺いしておったわけでございますが、御質問の件については、例えば陸上自衛隊で作成している陸上自衛隊長期防衛見積もりにおきましては、内外の諸情勢、軍事科学技術の動向等を見積もりまして、また各種情勢に応ずる陸上防衛戦略を考察するとともに、陸上防衛力の長期的な整備の方向を明らかにするものであるということでございますが、具体的内容の公表については、先ほども申し上げましたけれども我が国防衛の手のうちを明らかにしてしまうということもございますので、従来から差し控えさせていただいているということでございます。
  182. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣、私も、防衛上のそうした機密、これはよく理解いたします。しかし、少なくとも、多少なりとも国会でこうした問題について公表できるものは公表する、これがやはり求められていると思います。  委員長、もう時間がありませんので要望したいと思いますけれども、今私が述べました幕僚長名の通達及び見積もりの提出、これを当委員会に提出いただく、このことをぜひ検討していただきたいと思います。
  183. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 後刻理事会で相談をいたします。
  184. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 終わります。
  185. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  公務員制度改革の進め方についてお伺いをいたします。  中立公正で国民から信頼される質の高い効率的な行政の実現を目標といたしまして、去る三月二十七日に公務員制度改革の大枠というものを決定されました。その策定をされた過程を見ますと、大臣と行革推進事務局の皆さんだけでつくられているという経過が明らかになっています。  しかしその内容は、職員の人事、給与、身分、労働条件などにかかわる重大な内容を含んでいるわけです。これらは当然、団体交渉事項と言えると考えます。やはりこれらの労働契約にかかわる問題については明らかに団体交渉で決定をすべき事柄だろうと私は思っていますので、橋本大臣みずから、やはり職員団体と十分に協議をなされて、これから先の新しい公務員制度改革を実施していくべきではないかと思いますが、まずは当面、職員団体との間できちっと十分協議すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  186. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この中央省庁の再編を考えましたとき、世の中から、果たしてそんなものができるかという随分御批判を浴びました。おかげさまで、本年の一月六日、一府十二省という新たな体制をスタートさせることができました。そして、そのことをもって行革というものが終わりではなく、いわば始まりの終わりだということを私は申し上げてまいりました。  そして、行政改革を担当する特命大臣を拝命しましたとき、その器の中に盛り込む公務員制度そのものが改革されなければならないということを世の中にも申し上げてまいりました。そして、白地から公務員制度改革の大枠をつくるということを申し上げてまいりまして、その間に、いろいろな方々のお申し出を受け、労働団体も含めまして御意見も伺い、私の考え方も申し上げてまいりました。  今回取りまとめた大枠、これは、給与制度、任用制度、人事評価システムなど、公務員制度につきまして、国家公務員法などの見直しを含めた広範で抜本的な改革の基本的方向を示しておるものであります。このために、今、委員からも御指摘がございましたけれども、この大枠に従って今後改革を実現していくために、幅広く関係者から御意見を伺いながら目指すべき公務員制度の具体的な設計を進めていく必要がある、そう私も考えております。そして、その大枠に示された目標に向かって全力を尽くすつもりであり、関係の職員団体の皆さんに対しましても必要に応じて御意見を承ろうと考えております。
  187. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり改革をやっていくときというのは大変決意が重要なことだと思うんで、まずはそういう国としての方向性を明らかに示していくわけですから、やはり質の高い行政サービスというものを国民は望んでいると思います。  したがって、そういう質の高い行政サービスを望むに当たって、今、大臣言われたように、国民の各層からの御意見は聞きたい、そして実行していきたいというふうに言われましたけれども、同時に、組合の職員の方々からもお話は聞きたいというふうに言われました。  私は、やはり真っ先にそこの労働組合の方々と交渉をして決めて、ある程度国の方向というものを明確にしていくことが大事なことであり、お互いが決めて、そこに働いている職員の方々大臣の方針も一緒になって責任を持って行政改革を実行していくことが大事だし、そのことを国民が大いに期待していると思うのでありますし、そこの組合の方々とどうかひとつ十分話し合いをしていただきたい。もちろん国民の意見も大事なことだけれども、まずはやはりそこときちっと話をしていくべきではないかと思うんですが、再度大臣の御答弁をお願いいたします。
  188. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今の御意見は甘受したいと思います。  その上で、私が就任いたしました段階から、ホームページあるいは手紙等で随分たくさんの国民からの御意見をいただきました。また、公務員として奉職しておられる方からもいただきました。その中で共通して言えることは、ここしばらくの間に起きました官僚の不祥事に対し、世間の目が極めて厳しいこと、また、その目を感じて公務員が委縮していること、同時に、若い公務員の中にはむしろ前途に希望を失ってほかの職に転じていく人々のふえつつあること、そして、そういう空気をも含めて、世間から公務員に対して極めて厳しい風が吹き続けていること、そんなことをいや応なしに感じさせられました。  そして、私は正すべきものは正さなければならないと思います。しかし、その上でこの国の将来を考えて、若い公務員諸君が自信と誇りを持って奉職できないような制度であったなら、これはこの国の将来のためになりません。  そして、ある意味では多少自分でも乱暴だと思いながら、大枠を三月いっぱいまでに考える、その中において多少バッティングするものがあってもよろしい、目指すべき姿をつくり上げろということで行革事務局の諸君に苦労してもらいました。その間に若い諸君の意見は随分聞かせていただきました。私自身が聞いたこともございます。また、民間の方々意見も聞かせていただきました。さらに、公務員に人生を託しながら直近に去っていった諸君の考え方も聞かせていただきました。そうしたものを踏まえて、いわば過去にとらわれず、将来を目指す諸君の意見を中心にこの大枠は考えてまいりました。  その上で、私はもちろん、今後この大枠を基本的なものにまとめていきます中で、職員団体も含めて御意見を伺うと申し上げております。そして何よりも、しかし私は国民の声を踏まえる必要があると思っております。  今、先日まで総理官邸のホームページの一角を拝借して御意見をいただいておりましたが、行革会議事務局のホームページを新たにきちんと開かせていただきました。こうしたところをも通じて、できるだけ多く、広く国民の声をちょうだいしたい、それを参考にさせていただきたいと今考えております。
  189. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうかひとつ若い人たちが自信を持って、誇りを持ち、そして安心して暮らせるといいましょうか、安心して働くことができる、そういう制度をつくっていただきますよう、各界との協議、とりわけ労働組合との協議をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、沖縄における公共交通の体系についてお伺いをいたします。  我が国で唯一公的交通機関がないのは沖縄県でございまして、戦後から今日まで民間バス事業者がその役割を果たしてきました。間もなく都市モノレールが開業しようとしております。しかし、これも御多分に漏れずモータリゼーションの進展が交通手段の多様化をさせて公共交通の衰退に拍車をかけていることは事実でございまして、公共交通の県内における役割としては、もう既に御案内のとおり、沖縄県における産業経済、通勤通学など、県民生活にとって非常に重要な役割を果たしてきていますし、同時に、あわせて非常に重要な課題だと考えております。  沖縄担当大臣として、沖縄における公共交通体系をどのように考えているか、お伺いをいたします。
  190. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員は公共交通という言葉をお使いになりましたけれども、もし例えば国営あるいは都道府県営といったものを前提に置かれるのでありますと、非常にお答えはしにくくなります。その点はどうぞお許しをいただきたいと存じます。  その上で、沖縄は島嶼部から形成される県でありますために、陸上交通が専ら道路に依存している。そのために、道路の整備が県民生活また産業活動に非常に大きな影響を与える特性があると考えております。  今日まで主要幹線道路として、高規格幹線道路の那覇空港自動車道、あるいは地域高規格道路の沖縄西海岸道路、名護東道路等の整備を進めてまいりました。  御指摘がありました沖縄都市モノレール、定時定速性のある公共交通機関として那覇都市圏における交通渋滞の緩和などに資することを目的として今導入が進められているところでございます。  しかし、こうした線路及び道路のネットワークの整備、いわばハードの面だけで沖縄における交通渋滞が解消するとは我々として考えられません。沖縄総合事務局を中心に沖縄地方渋滞対策推進協議会を設置いたしまして、時差通勤やパーク・アンド・ライドの推進など、ソフトの面の施策にも取り組んでおります。そうした中で、バスレーンの設置とともに、特定の時間と場所に限定してではありますけれども、一部の道路においてマイカーの乗り入れ規制なども行っております。  今後におきましても、やはり交通渋滞の緩和に向けてこうした総合的な施策を進めていくということが私は沖縄県内における交通体系に対する陸上部の対応としては方針になろうかと考えております。
  191. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大変失礼いたしました。公共交通、公共交通と常に言っているものですから、公的交通でございまして、御指摘をいただきまして反省をしたいと思います。  沖縄における乗り合いバスの事業の健全化の問題についてお伺いをしておきますけれども、やはり沖縄におけるバスが大変危機的な状況でございまして、一体このバス事業、これから先どうしていくのかといったときに都市モノレールが建設をされる。そこに働いている人たち、同時にあわせて企業四社の合併問題、それから雇用問題など出てきているわけでございますけれども、ここのところはやはり沖縄が返還をされる、そして法律が変わる、左ハンドルから右ハンドルに変わっていく、例えば七八年の七・三〇の問題など、かなり民間的に設備投資を多く支出していることなどが、従来ずっと沖縄の民間のバスに対する経営の圧迫になっているわけですね。  それをずっと引きずっているわけでございまして、そういう意味では、今回もまたこういう新しい交通体系が出てくると同時に、あわせてそこにおける経営の問題、そこに働いている雇用の問題等大変大きな問題になっているわけでございまして、政府による公的な財政支援というものをやはりやっていかないと、沖縄の場合はなかなかできにくいのではないかというふうに考えておりますし、とりわけ沖縄県における雇用の失業率の高さというのは全国的な平均の約倍近い失業率でございますから、そこらあたりの対策をぜひひとつお願い申し上げると同時に、公的な支援というものをお願いしておきたい、こういうふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  192. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員からの御指摘がございましたように、沖縄本島の乗り合いバス四社、これは互いに競合する路線を運行しておられることに加えまして、道路交通混雑の激化などによりまして乗客数が減少をした、そして各社ともに厳しい経営を強いられているということから、かねてからその統合が課題となっていたと報告を受けております。  一方、そうした中において、規制改革の中で平成十四年二月から需給調整規則が廃止をされる、また十五年に沖縄都市モノレールの開業も控えているというようなことから、乗り合い部門の統合について本格的な検討が開始されたということでありました。  先ほど、他の委員から国土交通省に対して御質問がありましたものを伺っておりましても、四社及び地元関係者においてその検討をし、統合に向けた御努力を関係者がしておられるというのは所管省である国土交通省もよく存じておりました。  しかし、この新会社の設立に当たりまして、まだ資金面あるいは雇用面など解決されるべき課題は多いと認識をいたしておりますけれども、今後、地元における具体策の検討の進展を見ながら、関係省庁、地元自治体とも連携をいたしながら可能な方策を検討してまいりたいと思います。
  193. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  194. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。  いわゆる報償費について質問をさせていただきたいと思います。  といいますのは、昨今、地元に帰りますと、非常にこの報償費の問題、地元の方が何でこんなことになっているのかと、不信な気持ちをずっと募らせておりまして、どうもよく考えますと、きょうの質問なんかも私はもっと報償費の問題が出るのかなと思ったんですが、何かちょっと下火になったような感じですが、逆に言いますと、地方といいますか国民のサイドになりますと、逆にこの永田町とか国会からちょっとおくれて反応してくると、まさに今が非常に関心の高いときだと私は理解しておりまして、このまま行きますと、もっとさらにその不信が募るんじゃないか、何とかしなきゃいけないというような感じがいたします。  報償費の問題になりますと、これは野党が政権とったときもあったじゃないかとかいうようなお話もございますけれども、そういうレベルの低い話じゃなくて、政治に対する不信を国民が持っているような印象も私は持つものですから、この辺でしっかりと対応しなければいけないなというふうに思っているわけでございます。  そういう意味で、いわゆる県民、国民のレベルで知りたいということで御質問いたしたいと。私のところは別に独自の調査ルートがあるわけではございませんので、いわゆる新聞報道とかあるいはこの議論の中からで、国民の人がどう思っているかということから質問させていただきたいと、こう思っている次第でございます。  ということで、まず一点なんですが、いわゆるレクといいますか、質問をするに当たって担当省の方に来ていただきまして、この予算というのは積算根拠があるのか、あるいは歳出についてその明細があるのかというような質問をさせてもらいましたところ、余り芳しい答えが返ってまいりませんで、恐らくないんじゃないのかなというような感じがするんです。  ただ、予算的には外務省の方は平成四年以来同額なんだそうですね、五十五億七千万ですか。それから内閣府は平成九年からずっと同額で、十六億二千四百万。別にこの額をどうこう言うわけじゃないんですけれども、これだけ額があって予算を組んでいてそれで支出をしているわけですから、やはり納税者の立場としてしっかり使っておられるのかなどうかなと、そういうことは知らなきゃいけない、知る権利があるんだと思うんです。これはいわゆる一般で言う知る権利という意味じゃなくて、ごく標準的な意味で国民にはそういうことを知らしめなきゃいけないんじゃないかと、そういうふうな感じを持つんですが、この辺は、こういう今のこの報償費について、国民に対してその支出の妥当性というのはどういうように知らしめるというふうにお考えになっているか、御答弁をお願いしたいと思います。
  195. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員が御指摘のとおり、この報償費というのはこれ説明するのはなかなか難しいものでございます。まず、使途を言えないということなんですね。それですから、いろいろ疑惑があると、どうなんだと、こういうふうに詰められてもそれを個々に説明ができない、こういうことであります。今回、このような事件が起こりまして、我々も言ってはいけないことも必要上一部お話をするというようなことをいたしておりますけれども、本来そういうことは言うべきでないことなのだろうというふうに私は思います。  ただ、その問題が、正直申しまして何でこんなくだらぬ事件を起こしたのかということでございます。また、そういう管理面においてどうしてそれが十分な管理ができなかったのか、どうしてこれを防ぐことができなかったのかと、こんなような問題になるんだろうというふうに思います。そこで、その部分については、十分でありませんけれども、かくかくしかじかでこういう事件が起こりましたという説明は申し上げているのであります。ただ、捜査上のことなどがございまして細かい数字を申し上げるということはできないのでありますけれども、しかしそれ以外について説明ができない、ここのところでございまして、そんなことに使っているんだったらほかのものは一体何に使っているんだと、こういうことになりますと、これが説明ができない。  そういうことで、私どもも、本当に説明できることならこんな簡単なことでいいなということは常々こうやって答弁をしながら思っているところでございますけれども、その点は御理解をいただかなければいけない。こういう性格のものは、国家の運営上、また内政、外交を進めるという上においてどうしても必要な経費なのであるという、こういうことで御理解をいただくしかないのでございます。  じゃ、それをどんな方向で使うのかと。それは、もう内政、外交を円滑に進めるために機動的に使う経費なんですと、こういうことで、それ以上のことを申し上げるわけにいかないというところでございまして、その辺、御理解をまずいただきたいと思っております。
  196. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 官房長官御答弁のとおりでございますが、私から若干の補足をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、外務省といたしまして、他の主要国が我が国と同様、報償費というものを持っているか持っていないか、使っているか使っていないか、使っているとすればどのぐらい持っているかというようなことをちょっと調査いたしましたことがございますので、御参考までに申し上げておきたいと思います。  ただ、今、官房長官が御答弁になりましたように、報償費というものはこの使途についても公表しないということをどこの国も原則にしているものですから、アメリカに対してもどこに対しても、報償費がありますかというと、それ自体をなかなか答えてくれないということがございます。しかし、若干、数年古い資料を見ますというと、アメリカにおきましては我が国の報償費に相当する制度の内容、額などは不明でありますが、情報関連活動費はその全体について安全保障上問題がないと判断された場合にのみ総額が公表されるということになっていまして、直近では一九九八年度に二兆八千億程度だというものが公表されております。  それから、英国につきましては、三つの情報機関につきまして人件費などを除くその他の経費が約四百六十一億円、ドイツにおいてもフランスにおいてもそれぞれ相当額、ドイツにおいては三百八十六億円など、それぞれの相当額の報償費が予算化されているということがわかっております。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  大変御丁寧な御説明でありがたく思いますが、実は私自身在外公館の経験がございまして、いわゆる報償費というものがあるなということは知っているつもりでございます。ただ、私はそういうものと関係したことはございませんで、すなわちそれは私と関係するようなものではないというふうに理解しておったわけでございます。  ということで、この報償費、別に私はそういうものはあってもいいとは思うんですよ。思うんですけれども、これはいろんな目的、いわゆる国政をうまく進めるためにと。これは、国政をうまく進めるために政治的な判断で使うんだろうと思うんですね。だから、その省の政治的なトップの方、そういう方が使うということについては国民の皆さんは何とも思わないと思うんですね。そういうものが、そういう国家公務員といいますか、そういうところに恣意的に使われるというところに非常に疑問を持っている。  また、こう言いますと、皆さんは指示をして、いろいろこうせいということは指示は政治的にする、それを事務的にやるんだと言われるかもしれませんが、もしそうであっても、その事務的にやる人の責任を全部指示する人が持たなきゃいけない。いわゆる一般予算の専決とは違うんですね。幾らだれに使うのか。細かく言えば、だれに使うのか、幾らぐらいまで使うのか、何をどういうふうに使うのかということを政治的判断をする人がしなきゃ、国民は僕は納得しないというふうに思うんです。  いろいろ検討されているからそういうように使われるんだと思いますけれども、そのようなお考えに対する意見としてもう一つ、私は五十八分までで時間がございませんのでもう一つお答え願ってからと思ったんですが、それと、今みたいなものに使うとすれば、それは使うときは確かにこれをオープンにできなかったと。しかし、オープンにできる時期が来るんだと思うんですね。永久にやみの中というものではない。ある時期が来て、いや実はあのときの大臣はこううまく使ってくれたと国民みんなが知ってそれぞれ喜びを分かち合うといいますか、そういうものである性格の僕は金じゃないかなと。  したがって、御検討されていると思いますけれども、そういう時期が来たら、これはいつとは言いません、早ければ早いほどいいんですけれども、時期が来たら公表する性格のものであるというようなことをひとつお考え願いたいと思うんですが、この辺、もしよろしければ両大臣から御回答をお願いしたいと思うんです。
  198. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) まさに内閣官房の報償費が、これは何度も繰り返しているんですけれども、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するために使用する経費であると。その取り扱い責任者は官房長官なのであります。官房長官の判断と責任において機動的に使用するということでございます。したがいまして、内閣官房の報償費を管理する立場にあります官房長官としては、これはもう極めて大きな責任があるんだというように思っております。  そういう意味において、その使用及び管理について厳正な対応をしなければいけないということは当然のことでございます。内政、外交における必要度、必要性というものが、これがあるときにその価値観とか倫理観とか、また公私の峻別とかいったようなものを考えあわせ持ちながら対応するという性格のものだろうというふうに思っておりますので、そういうことで今後とも厳正な使用に心がけていきたい。過去においても、そのような気持ちでもってやっていただいたものだろうというふうには思っておりますけれども、そういうふうに思っております。
  199. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) この報償費は、一番大きな使途は情報収集だと思います。  情報収集は、もう議員も御承知のとおり、だれかからか情報を聞き出す、集める、こういうことになるわけで、いつかは公表できるだろうという先ほど後段のお尋ねでございますが、それはいつかは公表できる状況になるかもしれません。しかし、それを十年たったら公表できるとか、あるいは二十年たったら公表できるとか、あるいは五十年たったら公表できるということをはっきり決められる性質のものではない。つまり、御本人が、三十年たったらば相手の国の大統領になっていたとか、あるいは相手の国のしかるべき立場に立っていた、それを公表するというわけにはいかないということもあると思うんです。  したがって、何年たてば公表できるということを決めるということが難しいということを御理解いただきたいというふうに思います。  それから、前段は今、官房長官が御答弁になったとおりだと思います。
  200. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 外務大臣が言われるように、確かに永久にできないものもあるかもしれませんけれども、今どうも何か漏れ聞くところによると、公表もできそうなものも随分あるのではないか、だからそういう姿勢で、姿勢といいますか、そういうことで検討していただきたいなと思うんです。  私の質問時間はもうございませんし、また後で、決算委員会の最後にも質問時間をいただけると思いますので、そこでまた再度できたら質問をさせていただきたいと思うんですけれども、私の思いはそういうもう少しオープンなスタイルでやってもらいたい。  以上で質問を終わらせていただきます。
  201. 平野貞夫

    平野貞夫君 私は、岩本先生に引き続きまして、報償費の問題を十五分間聞かせていただきたいと思います。  私も、報償費は要らないという意見じゃございません。必要だと思っております。それから、報償費の全部を説明せよ、公開せよという意見でもございません。問題は、報償費の使い方というのはその国のデモクラシーの成熟度に直接かかわる問題であります。したがって、報償費について説明しなくてもいいということで国民のコンセンサスがあるということは、やはりその政府に対して信頼があるからそういうことが発生すると思っております。  そこで、基礎的なことをお聞きしたいんですが、官房長官が先ほど来、使途は言えない、説明できない性格の問題だと、こういうことをお話しになっていますが、その法的根拠というのは何でございましょうか。
  202. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 国家機関がその任務を遂行していくという上でもって、公の利益の保護の観点からある事柄を公表しないということは許されていると、このように考えております。
  203. 平野貞夫

    平野貞夫君 何法の何条によって許されているんですか。
  204. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この内閣官房の報償費につきまして、その経費の性質上、予算に計上されて以来、その使途等を公表しない取り扱いを受けております。また、毎年度、会計検査院による検査を受けているものであります。
  205. 平野貞夫

    平野貞夫君 内閣法制局にお聞きしますが、現憲法上、報償費が会計検査の対象ですね。それだけ確認したいことと、それから今、官房長官がおっしゃった予算編成上、恐らく明治の二十三年ごろからだと思いますが、そういう扱いを受けているということはこれは慣例ということが言えると思いますが、そういう特別な扱いを現憲法上はしているんですか。ちょっと憲法上の解釈をお聞きしたいんです。
  206. 阪田雅裕

    政府参考人(阪田雅裕君) まず、官房の報償費が会計検査の対象であるかというお尋ねでありますけれども、御案内のように憲法九十条一項は「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」云々と、国の一切の収入支出の決算が毎年必ず会計検査院により検査されるべきことを定めております。  そして、これを受けまして現行の会計検査院法も、大日本帝国憲法下の旧会計検査院法、これは御案内のように政府の機密費を会計検査の対象から除外しておったわけでありますけれども、現行の会計検査院法はこのように特定の歳出を検査対象の例外とするというような規定を設けておりません。  したがいまして、内閣官房の報償費につきましては会計検査院が検査権限を有しているということは憲法上は明らかであろうかと思います。
  207. 平野貞夫

    平野貞夫君 ここのところ非常に大事なところでございまして、立派な評論家もそれから新聞記者も、もう初めから報償費というのは検査の対象でないと、場合によっては憲法上排除されているというような先入観を持って書いているんですね。ですから、今法制局の一部長お話しになったように、憲法上、会計検査院法上も検査の対象になっておるということをこの決算委員会では確認をしておかにゃいかぬことだと思います。  さて、まだ時間ありますね、会計検査院にお聞きしますが、にもかかわらず特別な扱いとして報償費を検査院では扱っている。官房長官の方はそれは受ける方ですからしようがありませんが、そういう話は。具体的に今どういう検査をしているんですか、ちょっと教えていただけませんか。
  208. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費につきましても他の経費と同様に会計検査の対象としてございまして、具体的には計算証明で出されてまいります書面をもとにする書面検査。それから、実地に各省庁に赴きまして行う実地検査ということの両面で行ってきております。  今回の事態につきましては、現在、会計検査の観点からその報償費の管理体制を含め、報償費の執行状況について事実関係を十分調査しているという段階でございます。  この中で、本件問題の発生原因を究明し、さらには再発防止のためにどういった方策が必要かということを検討を続けているところでございまして、この過程で今お話しの会計検査のあり方ということも明らかになってくるものと考えておりまして、今後この点を十分踏まえまして検査を行ってまいりたいと考えております。
  209. 平野貞夫

    平野貞夫君 私、松尾事件のことを言っておるんじゃないんです。一般的に報償費の会計検査の問題についてお尋ねしているところなんです。  私が調べたところによりますと、総括表を提出させること、すなわち詳細な資料を省略して、領収証とか請求書とかそういったもの一切、そういうんじゃなくて、総括表を提出することによって報償費は検査がされているというふうに聞いておりますが、そうでございましょうか。
  210. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) ちょっと違ったことを答弁しまして失礼いたしました。  今お話しの報償費の検査、一般的にということでございますが、今お話しの総括表と申されますのは、書面検査の段階で個々の領収証書等の書類にかえて出される内訳表のことかと思いますが、それをもって書面検査を実施しております。  それで、実地検査に赴いた際には、手元に保管されております領収証等の関係の書類の提示を受けまして、適切に使用されているか否かということで検査をしている状況でございます。
  211. 平野貞夫

    平野貞夫君 そうしますと、必要に応じて詳細な検査をしているということですね、報償費についても。
  212. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 実地検査におきましては、今申し上げたとおりで、必要と認めたところについてはその説明を受ける、あるいは存在します関係の書類の提示を受けるということで検査をしておるところでございます。
  213. 平野貞夫

    平野貞夫君 そうしますと、官房長官、あなたが説明できない、使途を言えない、官房長官の立場からしたらそうでしょうけれども、会計検査を受けたものについてはこれは別ですね、内閣官房じゃございませんから。会計検査院からいろいろ出してもらうということについては。
  214. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) あれですか、委員は、会計検査院に説明しているんだからここでも説明できるのではないかと、こういう意味ですか。
  215. 平野貞夫

    平野貞夫君 内閣官房から説明しにくい、説明できないということはわかります。しかし、検査した会計検査院からだと、これは国会なら国会説明できる性格のものでございますね。
  216. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは内閣官房の報償費の使途を公開するということになりますね。これは報償費の運用や内政、外交の円滑な遂行に重大な支障を来すので困難と考えておりまして、できないということです。
  217. 平野貞夫

    平野貞夫君 会計検査院のやることはあなたができるとかできないとかということは言えないと思うんです。  それでは、ちょっとこの問題はまた改めて議論したいと思いますが、たしか平成九年に国会法が改正されて、百五条で、「各議院又は各議院の委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる。」という法律が平成九年に改正されたと思いますが、報償費の使途についても、これも非常に問題になっているような場合、使途についてもこの百五条というのは適用できますね、会計検査院の方。
  218. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お話しのとおり、法律上は国会からの検査要請に従って検査を行うことができるという規定になっていると思います。  本件自体につきましては、今まさに鋭意検査中ということを御理解いただきたいというふうに思います。ということで、まさに問題になっているという事態だろうと思いますので、十分な検査をしてまいりたいというふうに思っております。
  219. 平野貞夫

    平野貞夫君 私も報償費の重要性というのは結構若いころから聞かされていまして、実は私、若いころ、政治の理想に走り過ぎていたころ、衆議院議長や副総理をやられた林譲治先生から、政治というのはこんなに現実的なものだ、余り理想に走るなといってお説教されたときに、昭和二十年の米よこせデモが官邸を取り巻いて皇居前いっぱい大騒ぎになったときに、これは帝国議会のころでございますけれども、第一次吉田内閣ですが、そのときにどうしようもなくなって、当時の労働運動の指導者であった松岡駒吉さんを官邸の裏口に呼んで、二千円、内閣の報償費を渡してデモをおさめてもらったという話、政治というのは常にそういう君らが言うように理屈だけで進むものじゃないんだと、そういうものとの裏腹でやっておるんだという話を私は昭和三十四年の秋に聞かされた記憶がございます。  それ以来、私は、政治にかかわる金というのはやっぱり非常に微妙なものだなと。私はそのことは別に批判するつもりはございませんが、先ほど来官房長官がおっしゃっているように、私、官房長官の政治的な倫理性あるいは理念、腹一つでこの経費というのはどうにでもなる性格のものだと思います。したがって、岩本先生からもお話がありましたように、全部とは言いませんが、ある部分はある工夫をして、一定のやはり十年なら十年、二十年なら二十年の後に国民に情報開示することによって、使った官房長官の一つの精神というのが生かされるものだと思っております。  したがって、今後、決算委員会等の場でそういう報償費の制度の検査とか、あるいはそういったものの見直しはやっぱりしていかなきゃならない問題だと思います。  それから最後に、平成十三年度予算内閣報償費、外務省の報償費を中心とする減額修正案を民主党、社民党、自由党で参議院で提出しまして、それが、共産党は賛成していただきましたけれども、否決されたということは非常に私は残念なことだと思っております。それから、現時点でも衆参両院の議論の中で報償費のあり方の見直しについて明確な政府からの返事がないという、回答がないということは、非常に国民がやっぱり政治不信を募らせている私は原因じゃないかと思います。  どうかひとつ福田官房長官、あなたのお父さんはこういうことに対しては非常に律儀な立派な方でございましたので、いろいろ森内閣、仮に退陣するとすれば、最後にそういうのを残していただきたいことをお願いして、終わります。
  220. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 答弁はよろしゅうございますね。
  221. 平野貞夫

    平野貞夫君 はい。
  222. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御発言もないようですから、皇室費内閣総理府本府、外務省防衛庁沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会