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政府参考人(
浜中裕徳君) 中身については、プロンクさんのペーパーというのが大きく
四つに分かれておりますので、その順序で申し上げたいと思います。
まず、ボックスAという最初の部分については、
四つのうちの最初の部分につきましては、途上国問題、いわゆる途上国の支援問題でございます。
これにつきましては、我が国といたしましては、ハーグ会議のときにアンブレラグループのまとめ役を買って出まして、
川口大臣からアンブレラグループの途上国支援案ということで出させていただいた、基本的にはそれにのっとったものでございまして、まず、途上国が地球温暖化の影響に対する適応を進める、その
取り組みを支援する適応基金というものをまず設ける。それからもう
一つは、地球温暖化防止のための
取り組みを支援する、そういうための条約基金を設けるということでございます。その両方の途上国支援の資金の規模でございますが、京都議定書の第一約束期間中五年間にわたりまして約十億ドル、米ドルでございます。
それから、その際には、後発途上国と申しますか、発展のおくれた、特に発展のおくれた途上国、あるいは小島嶼国、こういったところについては特別な配慮を加えるというものでございます。
それから、二番目につきましては、いわゆる京都メカニズムについてでございます。
この点につきましては、例えば排出量取引に量的な制限を設けるかどうかという点については、既にプロンクさんのもともとのペーパーでそういう制限は設けないという方向で、あとは定性的な表現にするということでございましたので、我が国としては特にプロンクさんの御提案について異論はないということで、特段の
意見は申し上げておりません。
それから、クリーン
開発メカニズムについては、事業活動のうちで特定のプロジェクトを制限するかどうかということが問題になっておりましたが、とりわけ原子力施設を利用するかどうか、その点についてプロンクさんのノートでは、クリーン
開発メカニズムにおいて原子力施設を利用することを控える旨宣言するというような案が出ておりましたが、我が国としては、そういった原子力に関する記述を削るべきではないか、これは基本的に事業を実施する途上国の判断によるべきものであるという
考え方からそのようなことを申し上げたわけでございます。
それから、排出量取引を実施する場合に、
先進国は自国に割り当てられた割り当て量の一定割合をいつも留保していくべきではないだろうか、こういうような
考え方がございまして、プロンクさんのノートでは七〇%を保持する、留保するというようなことが出ておりまして、これを我が国としては支持しております。
それから、三番目が吸収源でございます。
これについては、我が国としては今回は特段のコメントを提出しないということでございまして、その理由は、ハーグ会合、先ほど申し上げましたオタワでの会合等におきまして
先進国間で
議論が続けられ、合意には至ってはおりませんけれども、そういった
先進国間の
議論の進展の
状況にかんがみますと、プロンクさんが最初におつくりになったこのペーパーでは、今後の交渉のベースとしてはもはや
先進国間の協議の方が先に進んでいるというふうに考えられるものでございますので、特段のコメントは提出せず、今後、
先進国間などの協議の進展に応じて追加してコメントすることがあり得るというようなことを申し上げたわけでございます。
それから、吸収源に関するクリーン
開発メカニズムにつきましては、新規植林、再植林、それから土壌の管理、あるいは土地劣化、森林破壊の防止といったものを対象にすべきであるというようなことを申し上げております。
最後に、遵守の問題でございますが、これについては、まず遵守できなかった場合にどういうような対応をとるかということで、超過した排出量に対して第一約束期間の次の次期約束期間から差し引くという場合に、同じ量ではなくてある割合を掛けた量を割り増しで差し引くというような
考え方が示されておりますが、これについて我が国としては、罰則的な
意味合いが生ずるような高いレートではなくて、遵守に対するインセンティブを与えるようなレートとすべきであると。具体的には、
日本としては一・一倍ということを言っております。
それから、最後に遵守制度の採択方法でございますが、これについては我が国としては、法的拘束力がある措置を導入しようとしますと議定書の
改正につながるという問題が生じますので、条約締約国会議の決定により採択するという方法をとって、そのことによって議定書の
改正に至らずとも遵守制度が合意でき実施されるようになる、こういうことにすべきだというような
意見を提出したところでございます。