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2001-04-03 第151回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年四月三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任         今井  澄君     朝日 俊弘君      藁科 滿治君     吉田 之久君  三月三十日     辞任         補欠選任         朝日 俊弘君     今井  澄君  四月二日     辞任         補欠選任         今井  澄君     長谷川 清君  四月三日     辞任         補欠選任         吉田 之久君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         服部三男雄君     理 事                 佐藤 昭郎君                 鈴木 正孝君                 海野  徹君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 須藤良太郎君                 月原 茂皓君                 宮崎 秀樹君                 森山  裕君                 山本 一太君                 依田 智治君                 齋藤  勁君                 櫻井  充君                 長谷川 清君                 高野 博師君                 吉岡 吉典君                 田  英夫君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  斉藤斗志二君    副大臣        防衛庁長官   石破  茂君        外務大臣    荒木 清寛君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       加藤 利男君        内閣官房内閣審        議官       岩橋  修君        防衛庁防衛参事        官        中村  薫君        防衛庁防衛局長  首藤 新悟君        防衛庁運用局長  北原 巖男君        防衛庁人事教育        局長       柳澤 協二君        外務大臣官房長  飯村  豊君        外務省総合外交        政策局長     谷内正太郎君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   宮本 雄二君        外務省北米局長  藤崎 一郎君        外務省欧州局長  東郷 和彦君        外務省条約局長  海老原 紳君        外務省国際情報        局長       今井  正君        文部科学省研究        開発局長     今村  努君        海上保安庁長官  縄野 克彦君        環境省地球環境        局長       浜中 裕徳君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (サイバーセキュリティーに関する件)  (防衛医科大学校に関する件)  (防衛駐在官に関する件)  (米中両国軍機の接触・墜落事故に関する件)  (米原潜の佐世保港無通報入港に関する件)  (地球温暖化防止京都議定書に関する件)  (外務省の諸謝金に関する件)  (在日米軍基地の返還に関する件)  (朝鮮半島情勢に関する件)  (松尾元外務省室長事件に関する件)  (「同盟」に関する件)  (有事法制に関する件)  (憲法第九条に関する件)     ─────────────
  2. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月二十九日、藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として吉田之久君が選任されました。  また、昨日、今井澄君が委員辞任され、その補欠として長谷川清君が選任されました。     ─────────────
  3. 服部三男雄

  4. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 おはようございます。  内閣支持率が大変悪い中で両大臣、両副大臣、本当に一生懸命政務に精励されている姿を見ると、国民がこういう姿を見ると多少支持率も上がるんではないかというふうに思っております。  そこで、先般来の質疑を私伺っておりますと、どうも次元的に下世話的な問題での質疑が大変多かったような感じがしておりますが、きょうはちょっとレベルは上がるといいますか、少し関係ない問題でございますが、まず最初サイバーセキュリティー、それからサイバーテロについての御見解をお伺いしたいと思います。  この問題は、今、森総理IT革命IT革命と言っておりますが、日本は韓国よりもこの方面ではおくれていると、こういうことが言われております。  既にアメリカにおきましては、コロラド州のシャイアンマウンテンというところにこの問題についての施設、地下に四階建てですか、十五棟のこういう施設を持って、世界各国情報収集、そしてテロ対策、さらにはサイバーセキュリティーに取り組んでおるわけであります。特に、米国では大統領のもとにCIWGという重要インフラ作業グループというものを設置して対策を着々と進めております。  特に、核戦争というのが東西の冷戦構造の中で一応今静かになってきたときに、やはり情報戦争ということで、日本がその中でどういう位置づけであるかをこれからお伺いするわけでありますが、どうも日本は立ちおくれているのではないかという危機感を持っておるわけであります。  これは、外務省情報収集、そしてまた防衛庁テロ対策というようなことで、どういうふうに取り組んでいるかという問題が一つであります。御案内のように、核の制御をしているコンピューターに入り込んでそれを攪乱する、また、インフラ、特にライフライン、こういうものも今コンピューター制御で行っておりますから、そこへ入り込んでそして攪乱をしていくというような、非常に一面からいうと物騒な時代が到来しているということでございます。  そこで両大臣に、どういうような対応といいますか、これに対してお考えがあるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  7. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 委員から新しい時代の新しいテーマということで御質問をいただきました。  防衛庁では、従来より、指揮通信システムを初めとする各種のコンピューターシステムを利用しておりますが、サイバー攻撃に対してのシステムの機能を保全し、情報の保護を図ってきているところでございます。基本的には、外部との接続をしないことをまず考えなきゃならない、そのほか、暗号の使用による秘匿化などの所要の措置を講じなきゃならない、こういうことを対策としてやってきているところでございます。  しかしながら、近年のコンピューターネットワーク化進展等にかんがみ、今後、外部との接続の機会が増大するということも考えられるところでございます。したがいまして、外部接続した場合においてもセキュリティーを確保できるよう、昨年度より技術的基盤の確立及び人材の育成等に取り組んでおりまして、本年度予算においても引き続き所要事業経費を計上しているところでございます。  防衛庁としては、今後とも予想されるITの飛躍的な発展が軍事分野に及ぼし得る影響を踏まえ、サイバー攻撃の対処について万全を期すよう努めてまいりたいと思っております。さらに、政府全体の取り組みとしても、可能な限り防衛庁知見を提供するなど、積極的に協力していきたいというふうに考えております。
  8. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) 外務省の保有する機密情報は、外部接続をされているネットワーク上には置いておりません。他方、ネットワーク上に置かれている機密情報以外の情報に関しましては、従来より、ファイアウオール、侵入検知装置等の必要なセキュリティー対策を講じまして、外部から不正なアクセスが起こらないように対策を講じております。  さらに、本年は、情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインに従いまして、外務省におきまして策定したセキュリティーポリシーにのっとりネットワークセキュリティーの強化を図っているところでございます。
  9. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 斉藤長官はかねがね、何年も前からこのITに関して御関心が大変あって、自民党の中のいろんな委員会等先見性を持って御活躍されておりましたが、我が国がそれじゃ世界の中で現在どのようなサイバーに対するレベルにあるか、どうお考えでございましょうか。
  10. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 委員指摘のように、コンピューター化ネットワーク化世界的な規模での地殻変動が起きている中で、日本がどれだけアメリカに近づくかという一つの大きな課題の中でマルチメディアとかいろんな対応がなされてきた。また、政府としても、高度情報化社会建設ということで官邸を中心に対応してきているところでございます。  しかしながら、御指摘のように、まだまだアメリカとの間に差が大きいという認識をいたしておりまして、そういう点では、これからも必死の思いでそれをキャッチアップしなきゃならない。したがいまして、情報発信と同時に、その情報を確保するセキュリティーという分野もおくれてついてきているわけでございますが、まだまだ不十分だというふうに思っております。  ちなみに防衛庁予算を申し上げますと、平成十三年度におきまして、情報セキュリティー確保のための施策として計六十三億計上させていただいておりまして、今、システムの見直し、それから二重三重にサイバーテロの抗戦をしなきゃならない、そういったことに鋭意取り組んでいるところでございます。
  11. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 外務省にお伺いしたいんですが、アメリカでは宇宙軍司令部というのがありまして、それと北米防空軍司令部、これが一緒になって、宇宙衛星を使った中で、電磁波で特定の人がしゃべっていることを全部解析して、そして諜報を集めているという、これはまあ高度な盗聴なんでしょうけれども、非常に進んでやっておるわけですね。  機密費の問題がこの前から云々されていますが、どうもアメリカの方の情報だと、日本機密保持というのが非常に甘いと、だからアメリカとしても日本をそこまで信頼していないんだといううわさも聞きます。こういうことに関して、大臣、どのように対応していかれるか、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  12. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 機密保持は極めて重要な問題だと思います。それは、自分たちだけにとって大事なのではなくて、情報を共有する、あるいは情報をお互いに知らせ合う、そういう立場に立ってみても、その情報機密がきちっと保持されるかどうかということはまことに重大な問題だというふうに思います。  外務省としてもそうした機密保持のための努力はいたしておりますが、ややもすればそうした情報というものの機密保持について問題なしとしないという指摘もあるわけでございまして、私どもとして、さらに一層知恵を働かせて、そうしたシステムを開発するなりしていかなければならないというふうに考えております。
  13. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 この問題は大変重要な問題だと考えますので、どうか鋭意研究、それから努力をして、我が国のためになる、国益のためになるような御努力をお願い申し上げたいと思います。  それでは、危機管理の問題でございますが、これはやはり日本政府として統括的にどういうふうにするのがベストなのか、その辺、御意見がございましたら外務大臣からひとつ。
  14. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 危機管理は、さまざまな場面でさまざまな体験をしながら、危機管理重要性あるいは危機管理体制をさらに充実していかなければならぬということを痛感しながら進んでいるわけでございます。  一つは、総理大臣指揮下情報が集中できるという体制をつくるということをまず考えているわけでございまして、この点は現在努力をいたしまして、これは言ってみれば阪神淡路大震災などがその一つきっかけになったかと思いますけれども、そうしたことをきっかけとしてシステムをつくるという努力をいたしております。  しかし、問題は、システムをつくるということにいたしましても、そこに二十四時間担当者を張りつけるということと同時に、そこにできるだけ可及的速やかに情報が集まってくるという仕組みをつくっていかなければならないわけでございまして、さらには、その集まった情報が的確に判断されるということがあって初めて危機管理というものができていくのだと思います。  こういう危機管理がうまく働くか働かないかということは、なかなか実際問題、そうした場面に遭遇して初めてそれが確認できる。もちろん、訓練というものも重要でございますから、昨年はそのために相当大規模訓練ども行っておりますけれども、そうした訓練を踏まえて対応する準備を整えなければならぬと思います。  そのためには、例えば自衛隊の協力、これはやはり何といってもその情報を集める、あるいはその情報を判断して何か行動をする場合に、自衛隊防衛庁との連絡連携というものは非常に重要だというふうにも思いますし、それからさらに地方自治体との連携というものも非常に重要だと思います。  外務省といたしましては、阪神淡路大震災経験で申し上げれば、あれだけの大きな災害が発生をいたしますと、外国からも一斉に日本に対してさまざまな救急の支援体制を、応援に行こうということを外国から言ってきてくれる。それに対してどういうふうに対応することがいいかということも、またこれなかなかふなれでうまく対応ができないという状況も私はあったと思います。  もちろん、こんなことにそうなれるのもどうか、果たしてそれが幸せであるかどうかわかりませんが、少なくとも、そうした外国からの支援に対してどういうふうに対応するかということについても、ああした経験に照らして外務省としてもいろいろ準備といいますか、そうしたものの知見が重ねられていっているということはあると思います。
  15. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 時間が来ましたので、防衛庁長官は、大体もう言われることはわかりますので、結構でございます。  それでは、次の問題に入ります。  諸外国教科書問題でありますが、諸外国日本に対する記述の誤りというのは結構あるわけでありまして、これの指摘を政治的にやる、政府間でやるということになりますと、これは内政干渉だとかいろいろな問題が惹起されるわけですね。  そこで、昭和三十三年に外務省海外広報課の所管で財団法人国際教育情報センターというのが設立されまして、その後、活躍を地道に今やっております。  そこの最近の状況をまずお示ししますと、中国教科書というのは、これは国定教科書ですね。南京虐殺という従来大変問題になっている件に関しまして、これは驚くべきことが実はあります。一九九四年十月の第一次印刷中国高校歴史教科書における記述内容でございますが、この南京虐殺についてはこういう記述になっているんですね、南京の三十万人以上の軍民が死亡した、こういうことが記載された。ところが、中国日本とのこういう民間レベルのいろいろな歴史学者のディスカッションの中で、一九九八年十月の第四次印刷教科書では、南京被害者は三十万人に及んだと。これ、はっきり及んだということと被害者というふうになっているんですね。片一方は、前は三十万人の軍民が死亡したと断定しているわけです。このように変わってきている。それは、やはり民間レベルがいろいろ努力をして、事実に基づいた実証を挙げた中での話し合いをしているわけですね。  また、今のロシアの高校教科書でありますが、これは今、ゲラ刷りを一生懸命日本語に訳して、そして実はそれの記述を見ると、北方四島に関しまして下田条約というのがありますが、この北方四島は日本の領土であると、そのときのですね、これははっきり書いてある。そういうように、歴史的な事実を着実に認めているわけですね。  こういうことをやっている民間レベルの、公益法人だとかいろいろありますけれども、KSDを初めいろんなのが問題になって、そういうところは言語道断だと思いますが、しかし中にはこうやってまじめにやっているところもあるんです。  だから、私はこういうところに対して、最初大変補助金も出していろいろ育成をしていただいたが、最近はどんどんそれを削ってきているので運営もなかなか大変ということでございますから、外務省としてもこういう問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか、そこら辺をお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  16. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 正しい教科書が使われているかどうかということは大変重要なことだと思います。しかし、世界百数十カ国の教科書を全部毎年チェックするというのもこれまたなかなか難しいことでございまして、そうした仕事国際教育情報センターが担ってやっておられるということを我々は評価しているわけです。  もちろん、外務省としても、世界各地在外公館から教科書を取り寄せるとか情報を入手するというようなこと、外務省としてその情報センターに対してサポートをするということは当然のことでございますが、中には、いつまでたっても日本記述に着物を着てげたを履いている絵がかかれているとか、そうした問題はきちっと直す部分は直してもらう、今はもうそういう状況じゃないんだということをちゃんと言ってもらう。これは外務省が言うということと同時に、そういう情報センターのようなところが言って情報交換をしていただくということは非常に効果的だというふうに思っております。  公益法人に対していろいろ批判のある昨今でございますから公益法人について我々もいろいろ考えなければなりませんが、こういう非常に重要な仕事をしてくださっている、あるいは極めて必要な役割を担っておられるというところとは外務省としてもできるだけ連絡をとって、材料の提供だけではなくて、その他どういうサポートをする必要があるかということについてはよく考えて、この重要な仕事をもしここがやらないとなれば、じゃどこがやるのか、外務省自分で全部できるかというとなかなか難しいというところもあると思いますので、よく相談をしながら、効果的な仕事をしていただくように協議をしてまいりたいというふうに思っております。
  17. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 ぜひそれはお願いしたいと思います。  と申しますのは、世界各国語を翻訳する方を、常時専門員をこの中へ置かれて、そしてお金がないから翻訳料も値切って値切って本当にボランティアでやってもらっている、こういうような実情です。だから、やはりフィードバックをきちっとして、それを生かして政治的なものにうまく吸収していくというようなことで、これを大いに活用していくということで、ぜひこれの育成によろしく力をかしていただきたいというふうに私も思います。  また、すべてがいけないという風潮の中でこういうことをやっているんだということも国民にやはり知ってもらう必要もありますから、何か公益法人は全部悪いと、それは悪いのは結構ありますから、そういうのは是々非々できちっとやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  では、防衛庁にちょっとお伺いしますが、今度は防衛医科大学校のことで御質問申し上げます。  防衛医科大学校のことしの卒業生は何名でございましょうか。
  18. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) お答えします。  平成十二年度の卒業生は五十三名でございます。
  19. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 入学したときは何名ですか。
  20. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) 入学につきましては、平成七年度の入学になりますが、六十四名ございました。
  21. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 任官をこの五十三名が全部されているか、その後どうなっているか、教えていただきたいと思います。
  22. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) 今回の五十三名の卒業生でございますが、うち三十五名が陸上自衛隊、九名が海上自衛隊、八名が航空自衛隊にそれぞれ配属されておりまして、一名がいわゆる任官辞退をしております。
  23. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 任官辞退の方は何かペナルティーとか、そういう一つの条件というのはあるのでございましょうか。
  24. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) 防衛医大の卒業生につきましては、九年間は自衛隊医官として勤務することが義務づけられておりまして、その途中で退職する者につきましては、勤務実績なしにフルで退職の償還金を払いますと、十二年度では五千二十万の償還金を払うということになっております。
  25. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それでは、カリキュラムの中で、防衛医科大学校というのは、特に昔で言う教練みたいな、そういうような義務的なことがあるんですか。
  26. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) 私どもは、医師である幹部自衛官を養成するということでございますので、いわゆる幹部自衛官として本当に基本的なことでございますが、知識、訓練は施すように通常の医学教育のほかにそういうプログラムを入れてございます。
  27. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 入れてありますか。
  28. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) はい。
  29. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それはどのぐらいの時間でございますか。
  30. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) これは六年間でございますけれども、履修時間としては、防衛学とか使命の訓育といったようなところを、基本教練部隊実習を含めまして約五百時間ということでございますが、全体で五千三百時間ぐらいのうちの五百時間でございますから、一割程度をそういう訓練に充てております。
  31. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 現在医師で、卒業して医師国家試験に受かるのはもう八千名を超えているんですね、毎年。私は、防衛医科大学校の意味はもう余りないんじゃないかと思うんですよね。むしろ、一般の医師を採用して、そこにそれだけのものを付加させるというようなことでやれば、これは大分経費も節減できるんじゃないか、そこまでもう来ているんじゃないですかね。わざわざここで養成するには大変な私、費用がかかると思うんです。  それから、今度は研修医の制度が義務づけされます。これは二年間研修させるわけですが、研修病院にしても、恐らく防衛医科大学校附属病院はお産の数が足りないんじゃないかなというふうに思うんですね。  そういうことを考えてくると、そろそろこのあり方についてやはり検討する時期に来ているんじゃないかと思うんですが、これはどうでしょうか。
  32. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  防衛庁におきましては、自衛隊におきます先ほど申しました医師たる自衛官、いわゆる医官、これまで大変これの充足が低かったと。これを抜本的に解消しようということで、恒常的な補充体制を確立しようということで、昭和四十八年に防衛医科大学校を設置いたしまして自衛隊医官の養成に努めてきているところでございます。  そして、現在、そうした努力の中ではございますが、自衛隊医官全体の充足状況というものについて見ますと、逐次向上はしてきております。ただ、十分とはまだ言えない状況でございまして、現時点では充足率は約八七%ということになっております。  それから、先生、今御指摘をいただきましたが、例えば防衛医科大学校の学生以外からの医師たる自衛官、いわゆる自衛隊医官の採用、そういったものにつきましてもやっております。これは公募で実施をいたしております。  ただ、私ども防衛庁といたしましては、その自衛隊医官の要員と申しますのは、先ほど申しましたように、防衛医科大学校の卒業者によりましてこれを確保していこうということを原則としているわけでございますが、先ほど申しました公募といった点につきましては、医官の退職等によりまして各診療科目の適切な要員の確保が難しくなり補充が急務であるといったような場合に、今申しました公募によりまして、当該自衛隊医官の官職に補職する上で必要な診断能力ですとか治療能力、あるいは識見、経験等を総合的に勘案いたしまして採用をしているところでございます。  ちなみに、ちょっと数字を敷衍して申し上げさせていただきますと、過去五年間に、陸上自衛隊では八名、それから海上自衛隊につきましては一名を公募で採用しているところでございます。  原則に戻りますが、私どもといたしましては、医師である自衛官たる医官の公募につきましては、医師の過剰といった状況を踏まえて実施しているものではないわけでございます。  なお、見直し云々というお話がございましたが、防衛医科大学校の医学科の学生の定員でございますが、これは四百八十名とされております。その具体的な採用につきましては、毎年、自衛隊医官の退職率、こういったものなどを勘案いたしまして、また将来の医官の現員が定員を超えることがなく、さらに医官の充足率をあわせて継続的に向上させることが可能と見積もられる数字というものを具体的な採用人数にしているというところでございます。  以上であります。
  33. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 もう時間でございますから、これでやめます。  今お話を聞きましたけれども、九年間でやめる人もいれば、最初からその五千何百万でやめる人もいるんですね。そういうことは非常に問題がありますから、もう全体的にトータルの医師の数でやらないと、おれのところはおれのところだと、こういうセクショナリズムでやる時代じゃないんですよ。日本全国を考えてやらなきゃだめですよ。  だから、そういう意味では、これからひとつ御検討願いたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 保守党の月原です。  まず、冒頭に外務大臣及び防衛庁長官にお尋ねいたします。  先日の南シナ海上空で米軍の偵察機と中国の戦闘機が接触したということでありますが、これは、聞くところによれば嘉手納から出た飛行機であるということであります。日米関係のきずなからいって当然通知があったと思うんですが、どこからどのような通知を受けられたのか、外務大臣及び防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
  35. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 月原議員はもう十分御承知のとおり、日米間では緊密な常に連絡というものがあるわけでございまして、今回の事故につきましても、通報は事故の発表前に我が方に来ております。そうした通報を私ども受けておりますが、先方との関係がございますので、逐一の連絡状況その他は御勘弁をいただきたいと思いますが、米側から連絡が発表前に来ていたということは申し上げたいと思います。
  36. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) ただいまの河野大臣と同じ御返事になるかなと思いますが、本件につきましては米側が公表する前に私ども通報を受けております。ただ、その個別具体的な内容については、相手のこともございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  37. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 それは当然、総理大臣にも外務大臣または防衛庁長官から連絡したということで了解していいですね。──わかりました。  また、防衛庁としても、私が思うのは、そういうことは米国からなくても防衛庁の能力からいって当然そういうことを承知している、そういうふうに信じているわけであります。  あと外務大臣にお尋ねしますが、この問題は、今後我が国と直接関係がある話ではありません、我が国のことではありませんけれども、どういうふうな対応考えられておるのか。
  38. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 現在までのところ、アメリカ側の発表、中国側の発表、それぞれございます。事実関係についての発表がございましたけれども、双方の発表する事実関係というものにも若干の違いがあって、どれが真実であるかということについてはまだもう少し情報をきちんととって精査しなければならぬというふうに考えております。  いずれもかなり抑制のきいた発表ぶりというふうに私どもは思っておりまして、現時点におきましては、私どもとしては、米中関係がこれ以上とげとげしい状況に進んでいってほしくないということを願っておりまして、もう少し慎重に情報を収集したいと思っております。
  39. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 外務大臣のそのような態度でよろしくお願いしたいと思います。特に新しいブッシュ政権が誕生して、強力なアジアに対するシフトが陣営においてしかれておるときだけに注目していただきたい、このように思います。  さて次に、防衛駐在官というのがあるのを御存じだと思いますが、その防衛駐在官に大使館として、これは日本国としてですが、期待するものはどのようなことであるのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  40. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) お答え申し上げます。  防衛駐在官には、現在、防衛駐在官は全世界で四十六人おりますけれども在外公館に勤務して、在外公館長たる大使の指揮監督のもと、任国の防衛当局との交流促進や防衛関係の情報の収集などの業務に従事しておられるわけであり、こういった分野での御活躍を期待している次第でございます。
  41. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、重ねてお尋ねいたしますが、処遇の問題が既に国会でも何回となく取り上げられたと思うんですが、防衛駐在官の処遇というものはどのようになっているのか、その点お尋ねしたいと思います。
  42. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 防衛駐在官の処遇の現状でございますけれども外務公務員Ⅰ種職員並びに国家公務員Ⅰ種職員との採用形態の違い、それから外務省における全体の人事、特に専門職員との処遇の関係を踏まえつつ処遇するということを方針としてきておりまして、具体的には、防衛駐在官の処遇につきましては、昭和五十三年から五十五年にかけて外務省防衛庁の間で協議をいたしまして、それまでと比較いたしまして大幅な改善を行った次第でございます。現在は、外務省専門職員より有利で、かつ外務公務員Ⅰ種職員あるいは国家公務員Ⅰ種職員とさほど違いがない状況になっております。
  43. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、昔の時代、発足時代と変わって非常に待遇がよくなった、こういうお話ですが、発足のころを考えてみると、かつての第二次世界大戦における反省ということから、外交の一元化、これは当然のことです。そして、そう言うといけませんが、昔は武官府というものがあって、みずからそれこそ最近いろいろ話題になっておる機密費を使って国のために活動しておった分野もあるわけですが、今度の場合は、新しい制度のもと、戦後は外務省の大使のもとで、そしてむしろ防衛庁から経費は渡さないというところまでちゃんと縛って行動していると。それだけに、大使館として大使の指揮下において活動しておるということが明確なわけであります。  最初のころは、自衛隊そのものを考えてみたら警察予備隊だと、俸給をどうやってつくったらいいんだといったときに、それはどうも警察官の延長に過ぎぬから公安職を基準にしてちょっと色をつけてみたらどうだと。二十四時間体制だから、向こうは今超勤がつくけれどもと、そんなことで発足したと、大ざっぱに言えばそうなんですね。  ところが、今日のような状態になったときに、やっぱりその分の尾を引いているというところがあるんですよ。それだけに一般の公務員、これから橋本行革大臣のもとでいろいろな案が出てきておるわけですが、将来はそういう形であるにしても、現在の状態で考えたらⅠ種試験であると。今、官房長はⅠ種試験とほとんど変わらないというふうなことでおっしゃっておるわけでありますが、簡単に言うと、Ⅰ種試験の人だと三十三歳で一等書記官になり得るわけですね。ところが、駐在官の場合は出ていくのが四十歳前後だと。  こういうようなことで、もう若い人だとⅠ種試験の合格者は、これは外務省の試験のみならず一般の国家公務員の、今度は一緒の試験制度になったんでしょうけれども、大体三十八歳ぐらいで順調にいっておる人は参事官になっているわけですね。それで、自衛官の方々は、四十歳前後で出ていったときには一等書記官だと、こういうような状態なんですよ。  それで、米国の方のをちょっと聞いてみると、米国は全然体系が違うと思うんですが、大使館勤務のはどうしているんだというと、武官は全部参事官扱いだと、武官補は二等書記官扱いだというようにランクづけしておるんだと、こういうふうに言われておるんですが、私は、そういう意味でこの点を今後考えていただかなければならないんじゃないかと、こう思います。  というのは、今お話しのように、駐在武官に期待しておるものは軍事情報と、また軍事情報というものは我が国の場合もそうでしょうが、他の国においてはそれ以上に政治に大きくかかわっておるだけに、その情報は大切なわけであります。ところが、駐在武官として行く以上は当然自衛隊の中で、駐在武官として養成するのではないにしても、自衛官としての見る目、軍人としての見る目、軍人と言ったらちょっとあれですが、自衛隊員として見る目、そういうものを鍛えるためには、例えば防衛大学校卒業生にしたら四年間防衛大学校で訓練する、その後制服を着ていろいろな経験を踏ませて、そしていろいろな経験の上に立って物を見る目を養ってくる。  こういうふうなことで、ちょうど今言った四十歳前後が、人が旬というか能力を十分発揮できる、国家のお役にも立てるというようなところに来ているわけでありまして、これはそういう意味で出てくるわけであります。ただ、Ⅰ種試験、この人たちは何もそういう試験制度がないわけですが、防衛大学校でも五百三十人、大体四百四、五十人卒業するでしょうが、この人たちはもう日本の国を守るというその軍事的な訓練というようなことだけで成長してきている、いろいろな経験を踏みながらでしょうけれども。  そういうところからいうと、やはりこの人たちの処遇というものを、試験に通っておるとか通っていないとか、今、Ⅰ種試験に非常に近づいておるということはそれは結構なことなんですが、今後、その人たちの経歴を見ながら、全部の人がどうだというふうには言わないにしても、単純な線引きではなくてやはり能力に応じてそういうふうな扱いをして、その人たちが十分国家のために働けるような、そういうようなことを私は検討していただけないかと、こういうふうに思うんです。  人事局長にちょっとお尋ねしたいのは、駐在武官で行くまでに、その駐在武官のためではないけれども、そのくらいの年齢までにどういう訓練を、経験を踏ませているのかということをちょっと教えてください。
  44. 柳澤協二

    政府参考人柳澤協二君) 先生御指摘のように、防衛駐在官は大体十七年経過ぐらいで派遣されております。年齢的には四十歳そこそこぐらいが平均でございますが、階級的には二佐の終わりから一佐というところであります。  この間、幹部候補生学校で曹長として一年幹部としての教育を受けた後、陸の場合でいいますと、専門の職種に関する教育を幹部初級課程で受けまして、その後三尉として、基本的には四十人の部下を持つ小隊長として勤務をいたします。さらに、一尉から三佐にかけましては約二百人の部下を持つ中隊長になります。その間、専門の職域の教育訓練を受けたり、あるいは上級司令部の幕僚として勤務したりということを繰り返しながら、三佐を経過して二佐になってまいります。  そういう意味では、私どももできるだけ幅広いいろんな経験を積ませるようにしてきております。ですから、指揮官としては駐在官に出る年代の方であれば大体中隊長、あるいは場合によっては大隊長を経験しているということでございます。幕僚としては、幕僚監部の中堅の幕僚としての勤務を経験しているということだろうと思います。     ─────────────
  45. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉田之久君が委員辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  46. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、いろいろ議論しまして、あえて人事局長にその経歴についてもお話しいただいたんですが、そのお話のように、やはりちゃんとした仕事ができるために、そしてまたそれだけの経験がなかったら駐在武官として他国の駐在武官といろいろ接触しながら、あるいはその任地の国においても評価されないというようなことでそういう年齢になっているわけであります。  その何等書記官とか参事官とかそういうようなことの位置づけについて、過去の防衛庁自衛隊の発足の経緯もいろいろあったわけですから、そういうことを考慮して事務当局に指示していただいて、大臣同士でまた事務当局に指示して、ちゃんとした仕事ができる、自信を持って動けるような、今も悪いと言っておるんじゃないんですが、そういう背景があるだけにいろいろなジレンマを持っておるわけなんで、ひとつ研究を重ねてよりよい状態にしていただきたいということを希望するんですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  47. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 段々お話を伺って、防衛庁が非常に有為な人材を防衛駐在官として推薦をしてくださっているということを感謝したいと思います。  私も時々外地へ参りまして大使館で防衛駐在官の方に会うこともございます。非常に立派な人材だというふうな印象を持っております。これは、これまでのいきさつもございましょうし、全体のバランスのこともございましょうから、事務当局をして、できるだけ今議員からお話しのことを念頭に置いて善処するように指示をいたしますが、防衛駐在官は防衛駐在官として専門的な知識を持っておられるわけで、その専門的な知識が極めて有効に活用されるということは非常に重要だと思うんです。  その専門的な知識が有効に活用されるためには、やはりその地その地の語学の問題もあると思うんです。もちろん、大学で英語は勉強してきたよという方であっても特別な言葉をしゃべらなければならない地域もあるわけでございますから、そうしたことなどについて少し事前に御連絡をいただいて、あるいは防衛庁内で事前の訓練といいますか、それこそ語学を初めとした研修等がさらに、これまでも十分いろいろとやっていただいていると思いますけれども、そうしたものが十分にできるということになりますと、さらに防衛駐在官の行動半径は広くなる。  やはり今の状況は、非常に優秀な人材が来ておられても言葉の問題や何かがあって行動半径が限定されてしまう場合も中にはあるわけでございまして、そうしたことなどもよく御相談をさせていただきながら、優秀な人材が専門的知識を駆使して、効果的な軍事情報の収集を初めとして一般的な情報収集にも当たっていただけるようになれば、大変意義のあることだというふうに考えております。
  48. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 月原委員からも御指摘いただきました。私も、防衛庁長官になりまして最初の大きな仕事が実はハワイのえひめ丸事件、米原子力潜水艦グリーンビルの事件でございまして、外務省さんからの要請もございまして、早速日本の潜水艦艦長経験者二名を派遣いたして、そして現地で非常に大きな役割を果たすことができたというふうに思っております。また、コート・オブ・インクワイアリー、査問委員会にも、これも元潜水艦艦長小澤さんを派遣したところでもございます。  そういう役割がどんどん拡大をしている、また専門性の重要性が認識をされている、さらに、私が仕事をしている中で、国際間における防衛交流とか防衛対話が一段と昔に比べて拡大をしているという中で、駐在武官の役割はさらに重要さを増しているという感がいたしております。  確かに、官房長の方から、二十数年前に改善があって、そして処遇改善の後さほど差がないというお話もいただきましたけれども、さほど差がないというのは多少はまだあるのかなというふうにも聞こえるわけでございます。もちろんこれは採用形態や人事管理の相違がございますので、多少ある程度はという感もいたすわけではありますが、ぜひとも、これからの役割が拡大をいたします防衛駐在官の処遇については、外務省並びに外務大臣の御指導もいただきながら一段と努力していきたいというふうに思っております。
  49. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 両大臣の理解ある発言がありましたので、やはり国家のためにそういう問題をさらに進めていただきたい、このようにお願いいたします。  続きまして、私、昨日の決算委員会で内閣の方にお尋ねしたわけでありますが、情報収集衛星に対する取り組み方、これは、政令が四月一日に施行されました。そして、情報収集衛星そのものは内閣でやるんだが、その他の省庁との連携というようなこともちゃんと所掌事務にも出ておるだけに、それぞれのお役所の立場から違った目でそれぞれを処理して、そしてより質の高い国家の役に立つ情報を集めていく、そしてそれを政治の場で、十分国家のために外交の場でも活用していくというようなことだと思います。  そういうことで、まず外務省の方が情報収集衛星についてどういうふうに取り組まれておるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  50. 今井正

    政府参考人今井正君) お答えいたします。  まず、予算面で申しますと、外務省としても衛星画像解析のための体制整備という予算を計上させていただいておりまして、情報収集衛星から得られることとなります画像を活用するためのデータベースの導入並びにこれらの画像の判読、解析を行う技術を習得するための研修及び商用衛星画像の購入等を行う予算を計上させていただいております。  外務省といたしましては、情報収集衛星につきまして、今般発足されました内閣衛星情報センターへの人的な貢献を含む所要の協力を行っていく所存でございます。また、情報収集衛星から得られることとなる情報我が国の安全の確保のために活用し、もって我が国外交の充実に資すべきものと考えております。  具体的にどのような情報を得るかということにつきましては、その時々の国際情勢などを踏まえて検討する考えでございまして、また、その有効な活用方法につきましても鋭意研究を行っているところでございます。
  51. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 外務省のお話はわかりましたが、防衛庁の方はどのように。
  52. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 委員指摘のように、四月一日には内閣官房に内閣衛星情報センターが新設をされました。そして、平成十四年度をめどに情報収集衛星を導入することを目指しておるわけでございます。この情報収集衛星を通じての安全保障に資する貴重なデータを得ることが期待できますことから、非常に意義あることだというふうに思っております。  防衛庁としては、昭和五十九年以来、商用の地球観測衛星の画像データを用いまして画像情報業務を行ってきております。したがいまして、解析、システム運用、解析要員の育成などに関する各種の知識、経験を有しておるわけでございます。このことから、内閣衛星情報センターに対して当庁職員を派遣するとともに、同センターの職員による当庁関連施設の見学の受け入れなど、政府としての取り組みに積極的に協力していきたいというふうに思っております。
  53. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、外務省からも説明を受けましたが、どうか外務省としての広い見識で画像を読み取って国家のお役に立てていただきたい、こういうふうに思います。  また、防衛庁の方ですが、これは一番先輩なわけですし、私は情報収集衛星というのが物になるのは相当時間はかかるとは思いますが、一番最初に打ち上げたものがそのまま役に立つ、大いに役に立つとは私は思いませんけれども、これは積み重ねだと思います。そういう意味で、防衛庁が兄貴格として内閣情報室、あるいは関連の外務省とかそういうところと連携しながらよりよい状態をつくっていただきたい。  とにかく二千五百億の初動の投資であるし、五年に一回、これは、ちょっと前倒しのものも入れると、大体五年に四基ぐらいずつ平均すると上げていくということになるわけですし、それもまた日進月歩の世界の中で開発を進めていくということですから、国民の負担は非常に大きいだけに、それが十分それだけペイしているんだということは口では言わないけれども、政治、外交に、国家のために役に立っておるんだと国民がわかるように力を入れていただきたい、このように思うわけであります。  それでは、最後に防衛庁にお尋ねしたいんですが、ジェット機の燃料の問題が新聞にもいろいろ出ておるわけですが、まず、ジェット燃料の調達方法というものはどんなものであるかということを簡単に御説明願いたいと思います。
  54. 中村薫

    政府参考人中村薫君) お答えいたします。  ジェット燃料につきましては幾つかの種類がございます。我が国の場合、空自等が使っておりますのはJP4という燃料を使っております。また、海自につきましてはJP5、それから、いわゆる戦闘機ではございませんけれども、例えば政府専用機の燃料等はどちらかといえば民生機に近い燃料等を用いております。
  55. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこでお尋ねしたいんですが、いざとなったときと言ってはちょっといけませんが、緊急的な事態のときに、今は、金さえ出せばすぐ集まる燃料と、金を出したってなかなか集まらない燃料というものがありますが、JP4なんかはその中の一つ、代表的なものでしょうか。JP4を我が国内でほかに使っているところがあるかどうか。
  56. 中村薫

    政府参考人中村薫君) JP4を用いているものは恐らく防衛庁以外にはないと思います。
  57. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そうすると、今の防衛庁の燃料の調達方法、これは一般的なものの範疇でJP4を扱うということは、私は少し防衛を担当するセクションとして、危機管理を担当するセクションとして、同じような方法ではなくてもう少し余裕を持って購入するとか、そういうようなことを考えないといけないと思うんですが、その点は検討されておるか。そして、今現実に行われていないが、どういう案が考えられるのか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  58. 中村薫

    政府参考人中村薫君) これらの燃料は、部隊の訓練、それから活動に必要不可欠なものでございますから、その活動に支障のないように所要の燃料の確保に努めておるところでございます。  調達方法としては、基本的には年に四回、さらに、いわゆる年度末にラーニングのためにある程度の量を確保するという意味で年に五回調達しております。また、委員が御指摘ございましたように、何分特殊な燃料でございますので、燃料タンクは自前のものを中心に保有しておるところでございます。
  59. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、最後のところちょっとわかりかねた。自前のタンクを持っておるということですか。
  60. 中村薫

    政府参考人中村薫君) 当然、各基地には活動に必要な最低限のタンクは持っておりますけれども、何分備蓄という発想を自衛隊の場合しておりませんものですから、タンクがあけばそこに民間の石油会社から納入してもらうというやり方をとっております。
  61. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 すぐに調達できるものとそれから時間がかかるもの、そういうものは分けて、それは何も有事だということではなくて、危機に対応するために存在しておる組織なんですから、私は一般的な油の話じゃなくて、例えばJP4についてだったら特にこういうふうにするというようなポリシーがあるとは思いますが、そういうものを強力に進めていただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  まず最初に、ちょっときょう通告していなくて大変申しわけないんですが、けさの新聞にアメリカの原子力潜水艦が無通報で佐世保に入港したと。国内で初めてであって、それで、新聞だけの確認で大変申しわけないんですけれども外務省は午前中確認したけれども入港は聞いていないとか、そういうような返答であったけれども、後でそうではないことをお認めになったようなんですけれども、この辺の事前通告がなく入ってきたということに関しての外務省の見解と、それからこの辺の連絡の不徹底という点についてどう考えていらっしゃるのか。済みません、通告がないので、詳しいことは後ででも結構でございますが、わかる範囲でお願いいたしたいと思います。
  63. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 昨日の午前十時過ぎにアメリカの原子力潜水艦シカゴが我が国への事前の通報なしに佐世保港内に入港し、十一時過ぎに出港した。外務省より在京アメリカ大使館に対し事実関係の確認を求めたところ、米側より、遺憾ながら、米海軍内の連絡ミスが原因と判明したとの報告を受けたと。これを受けて外務省としては、北米局長よりラフルア在京米臨時代理大使に対しまして遺憾の意と再発防止を申し入れるとともに、水鳥日米地位協定室長を佐世保市に派遣しまして、昨日午後七時過ぎ、地元の光武市長に対し、本件に係る事実関係及び東京におきます申し入れ等について説明をした、こういうことでございます。  事務当局の作業がこういう作業でございまして、外務大臣に昨日の夕刻までのこうした作業について報告がございましたので、私からは、もう一度アメリカに対して申し入れをやり直せと、こういう連絡ミスが原因なんという返答だけでは了承できない、なぜそういうミスが起きたかについてきちんと原因を究明して、はっきりと返事をしてもらいたいということをアメリカに対してもう一度申し入れをするようにという指示を出したところでございます。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 そこでですけれども、潜水艦のスケジュールというのは軍事機密で、他の艦船は自由に入港できるということもあって、アメリカは二十四時間前に通報する制度をやめたい意識が潜在的にあるんじゃないか、そういう指摘もあるんですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
  65. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私はそう思いません。これは、二十四時間前に原潜到着予定時刻及び停泊またはその他のいかりをおろす場所などについて日本政府当局に通報するということは、これはむしろアメリカ側の声明によってそれがはっきりしているわけでございますから、私はそういうふうには理解しておりません。  なお、私としては、アメリカに対して、原因の究明をして、その原因について報告を速やかにしてほしい、その報告が来るまでは原潜の入港について我が方は協力できないということをはっきり言ってこいというふうに事務当局に指示してございます。
  66. 櫻井充

    櫻井充君 放射能漏れのチェックをするなど、そういう準備が必要なわけですから、きちんとした対応をしていただきたいと思います。  それでは、もう一つアメリカなんですけれども、京都議定書離脱、COP3に対してですけれども、これに対して、また新聞のことを取り上げて申しわけないんですが、EUの対応は随分載っているんですけれども日本政府対応というのが余り載っていないような感じがいたしておりますので、少なくとも日本政府の基本的な対応というか、その立場について御答弁願いたいと思います。
  67. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 三月二十八日の記者会見で、アメリカが京都議定書を支持しないという立場を表明されたわけでございます。その後、直ちに我が方といたしましては森総理よりブッシュ大統領に書簡を出しまして、地球温暖化に対してこの京都議定書が持つ意味は非常に大きいので、これは今のアメリカの態度は極めて残念と、そういうことではなくて、アメリカもさらに、地球温暖化問題について一緒に相談をこれからも続けてほしいという意味の書簡を出しております。  それ以外にも、環境大臣は当然のことながら、アメリカの環境関係者と連絡はとっておりますし、けさも実は閣議の後、環境問題、京都議定書の問題に関係のあります閣僚に閣議後残っていただいて、私から各閣僚の意見も聞きまして、日本政府としてはアメリカに対して京都議定書に対する現在の態度を非常に残念な態度だということを言うと同時に、一緒に地球温暖化問題について話し合う、京都議定書の考え方を引き続き一緒に議論をしていくべきだということをアメリカに話をしようという相談をいたしまして、外務省でそうした意見を取りまとめましてアメリカとさらに話し合いたいと思っております。
  68. 櫻井充

    櫻井充君 アメリカ側はこの京都議定書に対して何か不満があってとりあえず離脱を宣言したんだろうと思いますけれども、これは何が不満なのかという分析などはされているんでしょうか。
  69. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 大統領の声明によりますと、一つは途上国が参加しないということはこうした問題を進めていく上で極めて適当でない、途上国の参加がどうしても必要だと。それからさらに、アメリカ経済に大きな影響がある。アメリカ経済が今こういう状況の中でこうしたことをやるということは、アメリカ経済にとっていいことにならないというようなことを言っているというふうに承知をしております。
  70. 櫻井充

    櫻井充君 基本的には、ブッシュは温暖化防止に関しては反対という立場ではないわけですよ。温暖化防止を積極的に進めていこうという意思はあるということですね、アメリカ政府としては。
  71. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は当然アメリカにもあると思います。
  72. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、今回の離脱宣言というのは、今、大臣がおっしゃったようなこの二つのことをクリアできるような条件をつけてくれという、いわば条件闘争みたいなものだというふうな認識なんでしょうか。
  73. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 条件闘争と言ってしまっていいかどうかというのは、軽々しく言ってしまっていいかどうかというのは私にはまだわかりませんが、アメリカは、地球の温暖化対策に対する別のアプローチを自分たち考えたいというふうに言っているわけでございまして、京都議定書それから昨年のハーグ会議を通して各国がそれぞれ知恵を絞り、それから譲歩するところは譲歩をすることによって一つの仕組みをつくりかけている、その仕組みを仮に一遍御破算にして最初からやり直すということになると、これはなかなかそう簡単にすぐにできるという話ではないというふうに私には思えるわけです。  まだ真意をはかりかねておりますけれども、ぜひアメリカには先般の発言を翻して積極的に温暖化対策世界の各国と協力をしてほしいというふうに思います。
  74. 櫻井充

    櫻井充君 これは、結末がどういうふうになっていくのかちょっとわかりませんけれどもアメリカの場合には基本的に自国の利益というか、それを主に考えてきているところがあるんだろうと思っています。しかし、今、地球全体のことを考えていかなければ共存共栄ができていかないということから考えてくると、果たしてこういう態度を許していいのかどうかという疑問も出てくるところがあります。  なぜこんなことを申すかといいますと、もう一つ全然話題は違うんですけれども日本北方四島は一体どうなっているのかというと、解決の糸口が見えているんでしょうか。外務省の中では見えているのか知りませんけれども、我々のところでは一向に何か進んでいないような感じがいたしております。  果たしてこのままのやり方で北方四島の返還ということが可能なのかどうか、その点について、大変御苦労されている中で、はたから見てきてこういうことを申すのも大変なになんですけれども、その辺の見通しについて教えていただきたいと思います。
  75. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 北方領土の問題は非常に難しい問題です。非常に難しい問題ですけれども、これはやはり私は法と正義にのっとって解決をすべきものだというふうに思います。法と正義にのっとって解決をすべきものだということは、これはプーチン大統領も言っておられるわけで、私は、この日ロ両国の協議によってさまざまな議論をしておりまして、解決策を何とか見つけ出さなければならぬというふうに思っているわけでございます。  なかなかそう簡単には解決に進めないのは、もちろん両国を代表する首脳同士が最終的には決断をしなければなりませんけれども、いずれの決断をするにせよ、いずれかがやはりその国の世論といいますか、国民から厳しい非難を浴びる可能性もあるわけで、そこはなかなかまだ決断をする、国民が納得をする合理的な解決策というものがまだ見えていないという感じでございます。
  76. 櫻井充

    櫻井充君 素人の考えかもしれませんけれども、今まで北方四島返還ということを理由に相当な経済援助などを行ってきたんじゃないだろうかと思っております。そういう意味で、これは本当に暴力的な意見かもしれませんが、ある意味で買い取ってしまったらどうなのか、そうも思うんですけれども。ですから、素人の意見、考えですがということを前置いてですけれども、こういう選択肢というのは全くないものなんでしょうか。
  77. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) それは、領土が二つの主権の間を動くときには、戦争によって動くとか、かつては領土を買った国もないわけじゃありません。ないわけではありませんけれども、我々の主張は、北方四島は本来我々のものなんだということを主張しているわけで、我々のものを我々が買うなんという発想は我々にはないわけでございます。
  78. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、そういう意味でいうと、日本は今まで戦後補償というのをやらされてきた立場にあったわけです。  しかしながら、ロシアに対して、例えば日露不可侵条約でしたか、正式名称ちょっと忘れましたけれども、そういうものを終戦の一週間前にその条約を破って侵攻してきたとか、それからシベリア抑留で六十万人ぐらいの方でしょうか、犠牲になってきているわけであって、これが果たして正当な理由でシベリア抑留されているのかどうかということになってくると、私は決してそうではないんだろうと思うんですね。そういう交渉は果たしてされているのかどうか、まずこの点についてお伺いさせていただきたいと思うんです。
  79. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一九五六年にその当時のソ連ですね、日ソ共同宣言というのを発出して、両国の首脳が署名をして両国の議会がそれを承認した日ソ共同宣言というのがございますが、この日ソ共同宣言によって、戦争状態を終結する、それから戦争等によって起きた賠償問題はこれで一切、ちょっと下世話な言い方ですが、けりをつけるということになったわけです。  あの不正常な状況が続いている日ソの間で、本来は、戦争状態を終結し、賠償問題に片をつけ、領土問題に決着がつけば平和条約が結べたわけです。そこで平和条約が結べなかった理由は、戦争状態は終結させたし、賠償問題は決着をつけたけれども、領土問題の合意ができなかったために平和条約は結べなかった、結ばなかったわけですね。そういうことがあるわけです。  しかし、その領土問題だけが決着をしませんでしたけれども、その他の問題については決着をつけたということになっているわけです。決着をつけて日ソ共同宣言を発出して日ソ関係というものができたわけです。その日ソ共同宣言によって、今、議員がお話しのシベリア抑留の問題でございますとかあるいは賠償の問題については全部双方が合意に達して、日ソ共同宣言の第六項によりまして「戦争の結果として生じた」「すべての請求権を、相互に、放棄する。」ということで合意をして決着をつけた、したがってすべての請求権は相互に放棄をしているということでございます。
  80. 櫻井充

    櫻井充君 まず一つ、見解だけははっきりさせていただきたいんですけれども、このシベリア抑留というのは不当な処置であったというふうな認識なんでしょうか。
  81. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一九九三年にエリツィン大統領が日本に来られたときに、大統領は、ロシア連邦の大統領として、またロシア政府を代表してと言って、我々として、我が国に捕虜として収容された貴国国民の同胞を決して忘れない、その方々に対して醜く不当なことがなされたのだ、その中の多くの人々はロシアの地で亡くなりました、深い哀悼の意を表しますと。こういうことではっきりと、全体主義体制が犯した罪に対して謝罪の意を表しますと、こういうふうにエリツィン大統領は述べておられます。
  82. 櫻井充

    櫻井充君 そこでですけれども、この件に関して賠償金の請求などを今まで日本政府はロシア、当時のソ連でしょうか、ソ連政府になされたことがあるんですか。
  83. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど申し上げました日ソ共同宣言の第六項によりましてすべての請求権を相互に放棄しているわけですから、賠償を請求するようなことはいたしておりません。
  84. 櫻井充

    櫻井充君 その五六年の前になぜやらなかったんですか。
  85. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 言ってみれば、事実上、戦争状態の延長線上にあったわけです。ソ連はサンフランシスコ講和条約には参加しておりません。そういう状況でございますから、日ソ間には極めて不正常な状況が続いていたわけでございます。したがって、この五六年によって初めて日ソ関係というものができたということだと思います。
  86. 櫻井充

    櫻井充君 なぜこんなことを蒸し返しているのかと申しますと、COP3でアメリカ最初どういう言い方をしてきたのかというと、CO2の削減ゼロ%という話を出してきました。EUは何%を出してきたかというと、実は一五%という数字を出してきたわけです。とてもかなうことができないだろうという数字をEU側が出してきたわけですけれども、結果的にはゼロと一五と足して二で割るような形で、あれだけのCO2の削減というものを盛り込んだ京都の議定書ができ上がってきたというふうに聞いております。  そういう意味でいうと、今、北方四島に対して日本側は返還を要求してきています。しかし、じゃ、今までの自国の領土だということのみで主張されていくとすれば、本来であれば戦争が終わった後も、それは戦争が終わっていなかったという判断、五六年まで終わっていなかったという判断なのかもしれませんけれども、しかしその間に日本国民が受けた仕打ちという言葉を使っていいかどうかわかりませんが、そういうことを考えてきたときには、こういう問題をやはりセットにして考えていかないとすべてのものというのは解決しにくいところがあるんじゃないか。  一方的に日本側がここは自国の領土でございといって、何といったらいいか、お願いし続けるというような形の交渉だけではなくて、一方ではこういう不当な仕打ちにも遭っているわけであって、その部分はきちんと清算したのだから、こういう領土の問題にもきちんと決着をつけるべきではないかと、もう少し私からすれば強気に交渉に臨んでもいいような気がするんですが、これは素人判断かもしれません。  外務大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  87. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、北方四島についてはお願いをしているという感じは持っておりません。正当な権利を主張するという態度で交渉に臨んでいるつもりでおります。
  88. 櫻井充

    櫻井充君 ぜひきちんとした決着を早期につけていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  それでは、予算委員会の中で諸謝金について質問させていただきました。外務省の諸謝金問題について幾つかまた質問させていただきたいんですが、ちょっと私気になったのは、三月二十三日の予算委員会の答弁で、私の質問の中で外務大臣は、これはアエラの記事を引用されたものですねというお話がありました。これはどういう根拠でアエラの記事を引用したというふうに思われたんでしょうか。
  89. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 委員の御質問の少し前にアエラが特集を組みました。私もそのアエラの記事を読んでおりましたから、アエラを見て議員とすれば何かのヒントを得たのではないかというふうに感じてああした発言をしたわけでございまして、特に他意があって申し上げたわけではございません。
  90. 櫻井充

    櫻井充君 あのときに諸謝金の話をしていて、アエラの記事の中に諸謝金の諸の字もないんですよ、実際のところは。ですから、何でああいう発言をされたのかちょっと私には理解できなかったんですけれども、あのときにちょっと自信がなかったので質問できなかったんですが、後で読み直してみると諸謝金の諸の字もないということです。  それから、国際交流サービス協会に対して事業発注していると、これは諸謝金からだけではないという話も聞いております。つまり、外務省の方々がどこかに赴任のときとかその旅券を発行される際も、旅券発行のときかどうかわかりませんけれども、ほかの諸謝金以外のところでも事業発注されているというふうにおっしゃっているわけであって、必ずしもあれがイコール諸謝金では私はないと思っています。いかがでございましょうか。
  91. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 委員指摘のとおり、国際交流サービス協会に対しましてはさまざまな委託事業をやっておりまして、これは予算委員会で答弁させていただいている点でございますけれども外国からの賓客の接遇にかかわる便宜供与とか、あるいは我が国外交・領事活動に対する側面的支援、便宜供与とかいうことでございまして、諸謝金以外の事業も委託しております。
  92. 櫻井充

    櫻井充君 ということで、アエラの記事が先行していたということではないということだけ御理解いただきたいと思います。    〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕  というのは、この間も質問したんですけれども、なかなか明確な答えがいただけませんでした。平成十三年度の予算だけで百三十七億円計上されてきています。実は、これが昭和六十三年を見たときに、この諸謝金というのが四十一億であって、平成十三年には百三十七億というふうに三倍以上にふえてきているわけです。これだけ予算が毎年毎年確実にふえてきているものがないものですから、これが一体何の目的に使われてきているのか。  そしてもう一つ、これは大事な点なんですが、なぜ三倍にふえたのかという点についてもう一度きちんとした答弁をお願いしたいのと、これだけの諸謝金というものを用いて外交上何か利益があったのか、これだけの費用対効果が認められたものがあるのかどうか、その点について御説明願いたいと思います。
  93. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 諸謝金につきましては、本省と在外公館で明確に区分して使用しておりますけれども、本省の諸謝金についてまず申し上げさせていただきますと、委員の御指摘のとおり、昭和六十三年から平成十一年までに三倍、すなわち九億円から約二十八億円になっております。  本省の諸謝金につきましては、主要なものは、まず第一点として、新たな外交課題への対応というものがございます。例えば、最近問題になっております中国の遺棄化学兵器環境調査関係経費ということがございますし、あるいは軍縮・不拡散センター活動費あるいは平和友好交流計画、これはかつて日本と戦争の状態にあった国々との友好交流を深めるための計画でございますけれども、そういった関係経費がまずございます。  それから二番目には、北方四島住民との交流対策費や北方領土復帰対策費、こういったもの。あるいは三番目には、外交実施機能の強化のため、例えば外務省の研修所のカリキュラムの関係とか、先般の予算委員会で御説明申し上げましたけれども、専門調査員、在外でそれぞれの専門を生かして調査していただく方々ですが、そういう方々が日本で実習をすると、そういった経費。そういったものが、この昭和六十三年から平成十一年までに三倍となった大きな背景であるというふうに考えております。    〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
  94. 櫻井充

    櫻井充君 この諸謝金というのは、基本的に積み上げ方式で予算が決まっていくものなんでしょうか。
  95. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) そういうふうに理解しております。
  96. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、平成十一年度から平成十二年度にかけて約十億円、その前の年を見てくるとそれほど増額されていません。平成九年が二十五億、平成十年も二十五億七千万、十一年が二十七億だったものが、平成十二年になって急に三十七億となっているわけですけれども、これだけ一気に十億円増額されるというこの理由は何なんですか。
  97. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 平成十一年度から十二年度にかけまして、委員指摘のとおり九億九千二百万円増額をしております。主要なものは、先般、これも予算委員会で御説明させていただきましたけれども、オーストラリア、ニュージーランドとの関係のミナミマグロの裁判の経費でございまして、これは平成十一年度ゼロであったものが三億七千万の増額になっております。そのほか予防外交、予防外交NGOネットワークの構築経費、あるいは我が国で国際会議がふえておりますので国際会議の開催、さらには海外邦人安全対策情報処理機能強化、在外選挙、これも最近在外選挙が行われるようになりましたので増額をしております。そういった結果が大半の理由になっております。
  98. 櫻井充

    櫻井充君 その諸謝金の名目で、例えば今予防外交とか、それから海外での選挙という話になりましたけれども、これは本来諸謝金として拠出するべきものなんでしょうか。
  99. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 予防外交、それから予防外交NGOネットワークの構築関係経費、これは委員指摘のとおり、平成十二年度に新規に計上したものでございますけれども、予防外交重要性が国際的に認識されている中で、世界の国々のNGOは重要な役割を果たしているという認識がございます。  日本におきまして民間のイニシアチブを育てていくことが重要であるということで、民間レベルにおいて予防外交活動を行うため、研究あるいは海外での実地活動あるいは専門家の育成、そういったもののための経費ということでございます。
  100. 櫻井充

    櫻井充君 いや、今の重要性はわかってはいるんですが、こういうものに関して諸謝金という名目で計上しなきゃいけないものなんですか。  というのは、何でこんなことを聞いているかというと、税金の使われ方がやはりはっきりしていないんじゃないかと。いまだに、官房機密費の方なんでしょうか、外交機密費ではなくて官房機密費の方なんでしょうか、そのことに関して国民の皆さんは物すごく怒っていらっしゃいます。そして、こういう名目が、非常にあいまいなものがあいまいに使われているんじゃないかという指摘が随分来ております。  そういう意味で、繰り返しの質問になりますけれども、こういったものを諸謝金という名目で拠出しなければいけないんですか。それとももう少し別なもので、対外戦略的なもので拠出するべきではないのか、もうちょっとはっきりとしたもので、こういう形で使いますというような格好で計上するべきではないのかと思っているんですけれども、その点についていかがですか。
  101. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 私自身、予算の技術的なところを必ずしも十分に掌握しているわけではございませんので、申しわけございませんが、いずれにしても、官房報償費の場合は、あるいは外務省の報償費の場合は、積算という考え方とは別に金額を予算計上いたしましてお願いしているわけでございますけれども、諸謝金の場合はこういった明細を予算要求の段階で御説明申し上げまして、国会で御審議いただいてお認めいただいているということでございまして、そのこと自体、諸謝金でこれをお願いすることをお認めいただいているというふうに理解しております。
  102. 櫻井充

    櫻井充君 もう一つ。きのう外務省の方が来られたときに何とおっしゃったかというと、要するに、どういう形で使われているのか教えてくださいという話をしたら、基本的には非常に細かい額で支出してきているので、その内訳を出すのは非常に大変なんだという話をされていました。しかし、そういうことから考えてくれば、しかも積み上げ方式で予算を決めていらっしゃると。  それで、しかもきのうのお話ですと、細かいもので支出しているからこの支出は大変なんですというお話でしたけれども、今の御説明ですと、十億円も増額されていて、割と漠としたもの、割と大きなものに支出されているような感じでして、きのうの私の部屋に来た外務省の方と若干違っているような感じがするんですけれども、いかがですか。
  103. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 恐らく、昨日、委員の事務所にお伺いして御説明申し上げた者は、非常に技術的な詰め、数字を出すのに時間がかかるということを申し上げているのではないかと思いますけれども、例えば先ほど私申し上げました平成十二年度に新規計上いたしております海洋法に基づく裁判に関する経費、これは三億七千三百万円でございますけれども、この内訳は、例えば弁護人謝金とか仲裁人謝金とかあるいは裁判事務局への人件費とかいうきちっとしたブレークダウンをして予算をちょうだいしているわけでございます。
  104. 櫻井充

    櫻井充君 この間の予算委員会の答弁の中で、諸謝金の使用目的の中に旅費は計上されていないわけですけれども、実際のところ、旅費として使われている部分もあるわけです。なぜその諸謝金の使用目的の中に旅費というものが入っていないんですか。
  105. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) これも先般申し上げさせていただいた点でございますけれども、まず諸謝金は、国の事務事業及び試験研究等を委嘱された者、協力者等に対する報酬及び謝金ということで、調査だとか講演、執筆作業、研究協力等に対する報酬、謝金ということでございますけれども、旅費として使うことがあるかという点につきましては、例えば日本研究機関等に調査を委嘱し諸謝金を支払うような場合は、当該研究機関、その研究機関は国内での準備の経費、あるいは旅費を含めて海外で調査するための経費、その後、国内で報告書をまとめるのに要する経費、こういったものを一括して調査費用として外務省に請求するわけでございます。  したがいまして、調査費用の一部という意味では、諸謝金が旅費に使われることはあるわけでございます。
  106. 櫻井充

    櫻井充君 そして、よく我々がわからないのは、諸謝金の中で旅費を捻出してというんでしょうか、それで行かれる方もあれば、同じような目的で出かけられる方の中で、外務省の全体の中に旅費が計上されていますよね、その旅費を使っている方々もいらっしゃるんですよ、話を聞いてみると。どうもその辺の支出の、どういう場合にどの旅費を使ってということがちょっと明確になっていないような気がするんですが。  ちなみに、外務省全体で旅費が幾らぐらいあって、その旅費というのが、恐らく積み上げ方式で決定されることになるんでしょうけれども、どういう形で決定されていくのか、その辺について教えていただけないですか。
  107. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 平成十三年度予算におきましては、外務省員が国内あるいは海外に出張するための旅費は総額約三十八億三千九百万円でございます。この予算は、従来の実績を踏まえて、これに十三年度に予定されている新たな国際会議、例えばWTOのパネル関係だとかあるいは日・EUの相互承認協定の関係とか、そういったものに要する経費を加えて検討を行って予算要求をさせていただいたものでございます。
  108. 櫻井充

    櫻井充君 これも、この間聞いてちょっとはっきりしていないところがあるので、要するに国際交流サービス協会に大体三十二億円業務委託しているわけですよね。その中で、国際交流サービス協会というのは旅券を発行する、発券できる免許を持っていないわけであって、結果的にはどこにお願いしているかというと、国際サービス・エージェンシーというところに最終的には丸投げしているわけですよ。ですから、何かお金の流れとしても非常に不透明な部分があって、最初から国際サービス・エージェンシーですか、こちらの方に発券を依頼すればよさそうなものなんですが、わざわざ国際交流サービス協会というところを通さなきゃいけない理由というのは特段あるんですか。
  109. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 国際交流サービス協会、これも既に御説明させていただいた点でございますけれども、招待外交あるいは国際会議、そのほか政府の行う国際交流活動、さらには在外公館の行ういろいろな活動に貢献することなどを目的としておりまして、また外交・領事活動を側面的に支援することも目的として一九七〇年に設立された外務省所管の公益法人でございまして、外務省の人員、組織のままでは十分に対応がしにくくなったという点をも踏まえまして、業務の一部を部外に委託することにしております。  私どもとしては、こういった中で国際交流サービス協会が蓄積してきております知見だとかノウハウ、国際会議を開くにもそれ相応のノウハウが必要でございますし、招待外交外国のお客様を迎えるのもノウハウが必要であるということで、この協会に業務を委託している次第でございます。
  110. 櫻井充

    櫻井充君 もう一点、会計検査院にお尋ねしたいんですけれども、これまで外務省の諸謝金の使用の中で特に問題点というのは見出せなかったんでしょうか。
  111. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えします。  外務省所管の諸謝金につきましては、他の経費と同様に書面検査、実地検査を行ってきたところでございます。具体的には、毎年の外務本省に対する実地検査の際には、ODAを主体に検査する一方、今お話しの諸謝金など他の経費につきましても一部の契約を抽出して検査してきたというところでございます。  問題点はなかったのかというお尋ねでございますが、今までの検査では、この諸謝金に関しまして検査報告に掲記するというふうな事態は見受けなかったところでございます。
  112. 櫻井充

    櫻井充君 どうもちょっと話が違っているので、できればですけれども、これは領収書をきちんと、領収書が必要とされているものですので、こういうものが全く問題ないものなんだということを示していただくためには、こちら側が情報公開をお願いするものに対してきちんとその情報を公開していただきたいと思いますが、その点に関していかがでございましょうか。
  113. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 諸謝金につきましては、報償費と違いまして簡易証明等は認められてございません。したがいまして、一般の会計事務の流れの中で処理しております。領収書等公開云々という御要望でございますけれども、その点については検討させていただきたいと思います。
  114. 櫻井充

    櫻井充君 情報公開法も施行されているわけですから、ぜひきちんとした形でお示し願いたい。そうでないと、本当に信用していいのかどうかという声が圧倒的に高いということだけ御承知おき願いたいと思います。  そして、こういう在外公館を検査するというんでしょうか、査察するための査察担当大使というんですか、がいらっしゃるそうですが、現在空席になっているという指摘がございますが、これはなぜ空席になっているんでしょうか。
  115. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) いわゆる常任の査察担当大使のポストにつきましては、昨年の五月十五日付で、今イタリアの大使をやっております林暘大使が転出して以降、適任が見つからず、現在のところ空席になっていることは事実でございます。他方、近々に後任の大使を決定するということで検討中でございます。  他方、一点つけ加えさせていただきますと、査察を行う場合は、担当の大使のポストが空席であっても、外務大臣の御指示、特に在外公館に対する査察が実施されるに当たって、外務公務員法の関連規定に従いまして、外務公務員のうち適当と認める者を査察使として任命をされていまして、平成十二年度におきましても、二十公館に出張駐在官事務所を対象として計六回の査察を実施し、約三百三十名の館員との個別面接、在留邦人との意見交換等を行って査察を実施していることを申し上げさせていただきたいと思います。
  116. 櫻井充

    櫻井充君 そもそも論なんですが、この査察大使というのは本当に必要なんですか。そして、これは年間の給与も含めてです。それから、これは査察大使だけが回っていくわけではなくてほかの何人かの官僚の方も一緒に回られるわけですけれども、その年間の予算というのは一体そのために幾らぐらい使われているのか。これもむだ遣いの一つじゃないかと。空席だったとすれば、必要が果たしてあるのかどうか。  それからもう一点は、この査察大使というのは結局身内ですよね。身内が回っていって、果たしてきちんとしたチェックできるのかどうかというこの点から考えたときに、果たして必要なのかどうかということになるんだろうと思います。その点についていかがお考えでしょう。
  117. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) これは、私ども査察は非常に必要である、重要であるというふうに考えておりまして、むしろその査察を強化していく、いかにチェック機能を高めるのかということが課題であるのではないかと考えております。そういう観点もございまして、現在、外務省機能改革会議、四月の末をめどに提言をいただくことで外部の有識者の方に作業していただいておりますけれども、恐らく外務省のそういったチェック体制の強化というのは一つのテーマではないかと思います。  それから、第二点でございますけれども、確かに空席ではございましたけれども、それは査察の専任の大使が空席であったということでございまして、査察自身は通常のペースで行われてまいりまして、かつ外務省には査察を支える査察室というのがございますけれども、その室長が補佐してきたわけでございます。  第三点目は、身内では意味がないのではないかということでございますけれども、これは外務公務員法の規定では外務公務員が査察を行うということになっておりますけれども、さはさりながら、過去においても工夫をいたしまして、一定期間非常勤の外務公務員のような形に、具体的には参与という形になっていただいて、部外の方に査察に行っていただいている例もございます。この第三者の方々、外部の有識者の方々が査察にもう少し入って、外務省員とは違った目で見ていただくというのは有効な、効率を高めるためにあるいは公正さを確保するために有益なことではないかというふうに考えております。
  118. 櫻井充

    櫻井充君 査察されてどういうことが改善されたんですかということを外務省にお尋ねしたら、二〇〇〇年の三月、グアテマラで緊急事態の対応がとれていないので電話を整備したとか、二〇〇〇年の六月、ジョホールバルというんですか、邦人が多い割に一人の所長だったので一人増員するようにしたとか、こんなの自分たちでできることじゃないですか。こんなことをやるために幾らぐらい、先ほど御答弁ありませんでしたけれども、査察室というところがあるとおっしゃいましたけれども、査察室で幾ら予算使っていらっしゃるんですか。
  119. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 大変に失礼をいたしました。  査察にかかる費用といたしましては、平成十三年度予算におきましては、外務本省の一般行政に必要な経費ということで約二千七百万円が計上をされております。  それから、最初の方の査察の成果といいますか、目的でございますけれども、これは外務公務員法及び査察使に関する省令というのがございまして、幾つかのポイントを挙げております。一つ在外公館の活動及び運営状態、二番目には在外公館の経理状態、三番目には在外公館に勤務する外務公務員の能率、研修及び服務状態について査察を行って外務大臣に報告すると、これにつきまして外務本省は、その査察の結果を踏まえて改善等を行うということにされております。  さらにつけ加えさせていただきますと、一般論として、いかなる組織もこういった査察、チェック機能は必要だと思いますけれども、特に諸外国外務省アメリカの国務省あるいはイギリス、フランスの外務省等も日本に比べてさらに充実した査察部局を持っておりまして、日本以上にきめ細かく査察を行っているということが実態でございます。
  120. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、我々医療の中で言いますと、カルテ開示を求められている中でチェックしているか、ちゃんとカルテ開示しているかどうか医師会でチェックしますと言うと大反対されるわけですよ。身内がやったって、そんなきちんとカルテ開示されないだろうとか、それから治験薬がありまして、新しい治験薬の治験をやる際に、もっと客観的に見なきゃいけないんだということで非常に今厳しい治験の制度になっています。  そのために新しい薬の認可もおくれているという現状もあるわけであって、果たして身内がそれだけのお金をかけて、さっきも申しましたとおり、電話を整備したとか、こんなもの、先ほど外務省の方がおっしゃったような資格なんかなくたって、だれにだってこんなことわかるんじゃないですか。ちなみに、例えば我々みたいな人間を行かしてくれれば、もっと改善することがあるんだと思うんですよ。どうでしょうか。
  121. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 先ほど私申し上げさせていただきましたけれども、第三者の方々、外部有識者の方々をもう少し活用させていただくというか、御参加いただいて査察の効果を高めるあるいは頻度を高めるとか、いろんな形で査察の機能を高めていくことは必要ではないかと思っております。この点につきましても、先ほど申し上げましたように、機能改革会議でも御議論いただいている点だというふうに承知いたします。
  122. 櫻井充

    櫻井充君 くどいんですけれども、その二千七百万使って果たしてそれだけの効果があるのかどうか。我々の認識からすると、ただ単なる大名旅行じゃないか、そういう感じがいたします。  そういうふうに言われないようにきちんとやっていただければと思いますが、あともう一つ在外公館との連絡方法について教えていただきたいんですけれども、本省と在外公館というのはどういう形で連絡とられているんでしょう。
  123. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) これはいろんな形がございますけれども一つはいわゆる公電と私ども言っておりますけれども、電信によるやりとりがございます。それから、文書によるやりとり、公信と言っておりますが、そういったものもございます。あるいはファクス信と言っておりますけれども、ファクス、こういったものもございます。  そのほかに、最近では、秘匿の必要のないものにつきましては、外務省の省内のLANを使いましてやりとりもやっているということでございます。もちろん、一般電話を利用するやりとりもございます。
  124. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。その費用というのは年間幾らぐらいで、これはどの予算に計上されているんでしょうか。
  125. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 費用は多数の科目に含まれておりまして、全体の通信費としての総額を算出するのはちょっと困難といいますか、お時間いただく必要がございますけれども、中核となっております情報通信課、これは官房の中にございますけれども、そこの予算は約百二億円でございます。
  126. 櫻井充

    櫻井充君 これらの電報、電信になるんでしょうか、文書でもありますけれども、こういうものというのは基本的には外務省に保存されているわけですね。
  127. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) これは文書管理規程にのっとって保存しております。今、この種類のものはどのくらいという資料はございませんけれども、例えば会計の関連の文書であれば保存期間は五年とか、そういう文書管理規程に基づいて管理を行っております。
  128. 櫻井充

    櫻井充君 これは情報公開の対象になるんでしょうか。それともう一つは、もしくは国政調査権でこのような文書を見せてくださいという場合には見せていただけることになるんでしょうか。
  129. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) これは情報公開の対象になるかどうかというお尋ねでございますけれども、それぞれの開示請求の内容に従って個別に判断をさせていただくということだと思います。
  130. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 櫻井君、もう時間ですから。
  131. 櫻井充

    櫻井充君 はい、わかりました。  では、あと一点だけ、済みません。  この電報の中に部内連絡、事務連絡、公式電報、こういう三つの区分けがあるという指摘がございますが、それはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  132. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) まず、外務省の大半の電報はいわゆる公電と称しているものでございますけれども、公電を補完するものとして、検討段階の事案等について事務的な連絡を行う、そういったもの、例えば事務連絡等がございます。
  133. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  134. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官加藤利男君、文部科学省研究開発局長今村努君、海上保安庁長官縄野克彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  136. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  137. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 まず一点目に、在日米軍基地の返還問題についてお尋ねさせていただきたいと思います。  在日米軍基地の整理、縮小は我が国の方向、方針としてあると思うんですけれども、これは外務大臣我が国にある在日米軍基地、とりわけこの間は沖縄県にあります在日米軍基地の整理、縮小ということで日米それぞれ努力はされてきているというふうに思うんです。沖縄県のみならず他の圏域にもあるわけですけれども、基本的に、絶えず政府として在日米軍基地の使用状況について見詰め、あるいは見直しも含めて沖縄県のみならず整理、縮小をしていくということ、こういったことで絶えず日米関係あるいは合同委員会等日本側の姿勢として持ち続けている、こういうことでよろしいですか。
  138. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  日米安保条約の地位協定に基づきまして、米軍は、利用していない施設・区域につきまして、これを返還する義務かつこれを随時見直すということになっているわけでございますが、同時に、政府といたしましても、施設・区域の使用状況等についてはこれをフォローしていくべきものと考えております。
  139. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 具体的にお伺いいたします。  神奈川県逗子に米軍池子住宅ということで、住宅建設に当たりまして、大変多年にわたりまして地元住民、自治体含めて、そして国、いろいろ長年この住宅建設にかかわった場所でございます。  既にこれは住宅も建設が終わり、また入居も終わっているわけですけれども、私も何年何月に質問したというような記憶が定かでない部分もあるんですが、かつてこの背後地の問題について、広域避難場所を兼ねた自然公園として緑地を保全していく、公共公益施設用地及び都市施設用地としてということで、とりわけ横浜市域分について返還を求めていくべきであると。  まさか背後地の緑地部分まで住宅は延長しないだろうということで、実際この緑地部分については全く手つかずの状態ですから、このことが基地としての機能ということについては全く考えられないわけでありまして、この池子住宅地区についてはすべて建設も機能も終わっている。言ってみれば、海軍補助施設ということでの住宅区域外の市域分の早期返還、このことについて政府としてどういうふうにとらえられ、そしてアメリカ側にどう働きかけているのか、お尋ねいたします。
  140. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  池子米軍住宅地域につきましては、横浜市及び逗子市にまたがっているわけでございますけれども、この住宅地区及び海軍補助施設につきまして、私どもとしては、地位協定二条一項に基づき我が国が米国に提供している施設及び区域でございまして、現在、米軍が同施設を必要な施設及び区域として使用目的に沿って使用しているというふうに承知しております。
  141. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 局長外務大臣も池子の米軍住宅はごらんになっているのではないかと思うんですね。米軍住宅については、私も視察を一、二度したことがございます。  今、私が質問の対象にしていますのは、いわゆる背後地の問題であり、ここの部分はもう返還しても何も問題ないんではないかというふうにだれもが思うことじゃないかと思うんです。それともあれですか、その背後地についても米軍住宅を建てようなんということで申し入れがあるんですか。
  142. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  現在、背後地について、今委員指摘のような利用についての話があるわけではございません。
  143. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 しからば、基本的に使用されない区域、使用しない区域、場所については、日本側としては絶えず合同委員会等で提起をして返還を求めていく姿勢と相違をすると思うんですね。  この今申し上げている地域というのは、住宅建設の対象区域外であるということ、そして米軍の施設用地として積極的に保持する必要性は低いというふうに地元では考えているわけで、政府としても、この米軍施設用地として積極的に保持する必要性はあるのかないのか、思っているのか思っていないのかと。  必要性が低い、ないということならば、これは返還を求めるのは当然の姿だと思うんですが、いかがですか。
  144. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 本件につきましては、池子住宅地域一体といたしまして米軍が同施設を必要な施設及び区域として使用目的に沿って使用しているというふうに承知しております。
  145. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、この間、横浜市長あるいは地元の住民の方々が代表で、他の富岡倉庫地区あるいは根岸住宅地区も含めてですけれども、早期の返還、市民利用の促進の要望というのを毎年、市長を先頭に、あるいは市議会も超党派で行っているんですが、これらの声に、政府の方は返還を訴えていくという立場に立っていないから米側の方に何も働きかけてはいないというふうに受けとめてよろしいんですか。
  146. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  本件につきまして、池子住宅地区あるいはその他御要望いただいている地区につきましては、これが必要な施設及び区域として使用目的に沿って使用していないということになれば政府として返還を求めることは当然であると考えますが、現在、そのような状況に至っているというふうには承知しておりません。
  147. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういった認識は、日本側の方とアメリカ側との話ですと、今の局長の答弁ですと、端的に言って認識していないということですね。この返還を求めていく立場に今、政府は立っていないということなんですね。
  148. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 繰り返しのお答えになって恐縮でございますが、この池子住宅地区等につきましては、御指摘の横浜市等から御要望いただいていることは事実でございますが、私どもといたしましては、この地域は我が国が米国に地位協定に従いまして提供している地域でございまして、現在、この使用目的に沿って必要な施設及び区域として使用しているというふうに承知しておりまして、返還を求めているものではございません。
  149. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今の答弁ですと、これはずっと返還を求めていかないという姿勢ですよ。  先ほど私は、現場も御存じでしょうという話をしたわけで、これは住宅地の返還を求めているんではないんですよ、横浜市も今の私の質問も。  住宅建設の対象区域外と、この部分について指摘をしているわけなんで、これは納得できないですよ。使っていないんですし、これは。
  150. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  私ども、これは繰り返しになって恐縮でございますが、もしこの池子住宅地区等が必要な施設及び区域として使用していないという実態となるならば、当然政府としてこれの返還を求めるという事態になるということでございまして、今後とも返還を求めることがないということを申していることではございませんが、現時点においてさような状態に至っているというふうには認識しておりません。
  151. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このことでは、合同委員会とかでやりとりはしたことはないんですか。俎上にのせたことはないんですか。
  152. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 現在、これまでの合同委員会の経緯につきまして、私、今ちょっと手元に資料を持っておりませんが、現在の政府の認識は以上申し上げたとおりでございます。
  153. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 返還を求めるのは日本側のスタンスですよね。日本側が返還を求めていくというスタンス、立場に立つわけなので、これは先ほどから言っていますように、どう見ても面積も、そちらの方の資料を私も持っていますけれども、今施設として提供している区域、この背後地の緑地を米軍に提供する区域だということについて、多分これは私どもは、米側に提供している面積であるということはありますが、空から例えば見たときに、図面で見たときに線も何も引いていないときには、一般的にこれが提供施設であるなんというふうに思う人はだれもいないはずなんですよ。これは我々の方から、我が国の方から米側に提案しなければずっとそのままになってしまうことじゃないですか。
  154. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 御指摘の点につきましてお答え申しますと、日米地位協定第二条第三項でございますが、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」と、これは二国間でかかる合意がございますので、米国として必要であるかどうかということを常に検討いたしまして、必要でなくなったときはいつでも日本国に返還するという義務を負っているものでございます。
  155. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこが日米地位協定の問題点になっていくんですが、主体性がないわけですよ、我が国に。今の御答弁ですと、アメリカ側が使わなくなったから返還申し入れをするよということになるので、我が国の主体性があって、これは使わないんではないかということで提起をして俎上にのせるというのが普通である。  この間、戦後、神奈川県、横浜市内のみならずいわゆる接収地域が解除されたのは、そういうことだけでなくて、市民の側から、自治体の方からきちんと申し入れをして、合同委員会で解決をして返還をしているというのが通例なわけです。  先ほど櫻井委員も佐世保の問題を申し上げておりますし、あるいは今、米中問題になっております嘉手納とか横須賀の海軍基地のお話をしているわけじゃないんで、池子住宅が長い間とりあえず一つの方向がついて利用をして、そしてその海軍補助施設の背後地はこれは住宅地として使わないでしょうと。じゃ、森林部分もなぎ倒して何かするんですかと。  実際、米側も何も使っていないのにこれを放置しておくということについては、日本側が整理、縮小していくということについての基本的な姿勢としてそごがあるんではないですかというふうにお話をさせていただいているんです。  たびたびこのようなやりとりをしていますと、横浜市長とか横浜市民、横浜市議会が一体政府って何をやってくれているんですかということになりますよ、これ。私は議事録、すぐ横浜市議会とか横浜市長にこれを説明するようになると思うんですけれども、私個人の質問じゃありませんから。積極性がないですね。大臣、いかがですか、聞いていて。
  156. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 地位協定に規定されておりますところは先ほどお読みしたとおりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、日本政府としても施設の実態につきましてはフォローしていくべきということは当然でございまして、私どももそのように、外務省防衛庁しているわけでございます。  もしこの施設・区域が使用目的に従って使用されていないということであれば、政府として返還を求めることは当然であるというふうに考えておりますが、現在かかる状態にあるわけではないということでございます。これまでも御承知のとおり日米間でいろんな施設につきまして協議を重ねてきたという実態はございます。
  157. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 では、もう一回聞きますよ。利用しているということだから議題に出してないんでしょう、課題出していないんだ。どう利用しているか、利用されていないならば当然議論の俎上にのるでしょうということですから、どういうふうに利用しているんですか、ここは。海軍補助施設
  158. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  先ほど来のお答えの繰り返しになって恐縮でございますが、池子住宅地区及び海軍補助施設につきまして、私どもとしてはこれは一体として米国に提供している施設及び区域でございまして、米軍がこれを安保条約の目的達成のために必要な施設及び区域として使用目的に沿って使用しているというふうに承知しているわけでございます。
  159. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 局長、近々見に行ってきてくださいよ。あそこを利用しているのか利用していないのか、すぐ行けばわかるじゃないですか。行かなくたってわかりますよ。  そういう御答弁をずっと繰り返していて、何年かかってこれを横浜市長、歴代の市長とか地元の協議会の人たちが要望していたのか、腹立たしい限りですよ、これ。大変残念に思いますね。  そうすると、関連してお伺いいたしますが、富岡倉庫地区というのがあるんですね。これは横浜市の金沢区です。ここは私もたびたび通るところですけれども、何にも使っていないただの空き地になっているんですけれども、これはどういう日米関係になっていますか、この地区については。
  160. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 御指摘の富岡倉庫地区は神奈川県横浜市金沢区にございます国有地でございます。  本件につきましては、地位協定に基づきまして我が国が米国に提供している施設・区域でございまして、これにつきましても米国が必要な施設及び区域として使用しているというふうに承知しております。
  161. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 使っていないんですよ。使っていないから返してほしいと言っているだけの話なんで、使っていればこうやって使っているんだなというようになるんですけれども。使っていれば横浜市とか議会は返還してくれなんて言わないですよ。使っていないから言うんであって、さっきの池子の海軍補助施設と同じなんですよ。  これは私たち国民の財産ですから、基本的に共通するのは、米側から使わなくなったとか何かと言うのを待っているという待ちの姿勢ですよ。ですから、私たち市民なり市議会なり自治体の首長、国会議員もそうですけれども、言ってもそんな真剣に受けとめなくて、アメリカから言ってくるのを待っていてということになると、私たちのこの国有財産はどういうふうな立場になるんですかね、不思議でしようがないんですね。
  162. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 本件につきましても、もし施設・区域が米軍により使用目的に沿って使用されていないということとなりますれば、政府としてこれをフォローいたしまして返還を求めるということとなるわけでございますけれども、現在のところ、かかる実態にあるというふうには承知しておりません。
  163. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 絶えず日本側からやはり申し入れをしていかない限り、米側というのは動かないと思いますよ。  それから、そういったやりとりというのを国民の前に明らかにするという姿勢が大切だと思うんですね。そういった努力の跡が全く感じられない。甚だ残念に思います。  もう一点だけ関連してお伺いいたしますが、根岸住宅地区というのがございます。根岸森林公園周辺地区の一部返還等というのを、これを求めておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  164. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 根岸住宅地区につきまして、同様のお答えとなるわけでございますが、これにつきましても、私ども米軍が必要な施設・区域として使用しているものというふうに承知しております。  今、齋藤委員からの御指摘でございますが、私ども政府といたしまして施設・区域の使用についてはフォローいたしまして、またできるだけいろいろな米側との議論についても明らかにしてまいりたいと思いますけれども、本件につきましては今申しましたとおり必要な施設及び区域として私どもは認識しているということでございます。
  165. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 改めて、私は日米地位協定の運用の改善ではなくて見直し、改定をすべきだということでこれまでも国会で指摘をいたしまして、大臣からも総理からも答弁いただいた経緯がございます。  やりとりを聞いていて、この基地の提供に関しまして定期的にやはり見直しをしていくということ、そして基地の所在地の自治体の意見を常に聴取していくということ、それから政府施設・区域の返還を要求したときは、アメリカは積極的に前向きに配慮を払うということ、そういった取り決めを私は行うべきであるというふうに思います。  この部分については、私は地位協定に関しまして、地位協定にそういうふうに書いてありますということで、アメリカ側についてずっと一貫して日本政府が、この間、答弁も含め対応しているということについて大変問題であるというふうに受けとめざるを得ませんが、その点についていかがですか。
  166. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  先ほど来、御答弁させていただいておりますように、施設・区域につきましては、これが使用目的に従って使用されているかどうかという点は御指摘のとおり極めて重要な点でございまして、私どもとしても十分フォローすべきものと考えております。  そしてまた、全く使用されていないという状態が続くというような場合には、当然のことながら私どもとして、そういう問題についてどのような対応をするかということを検討していかなければならない、提起していかなければならないというふうに考えております。  私どもといたしましては、随時、地方自治体からいろいろ御要望をいただく場合にも十分こういうものは検討させていただきつつ、他方、地位協定の義務というもの、これにもかんがみまして、引き続きこの施設・区域というもの、地位協定の運用につきましてはできるだけきちんと対処させていただきたいと考えているところでございます。
  167. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 局長、もうこれで私とりあえず横浜市内の米軍基地については終わりますが、約束してくれますか。横浜市、横浜市議会から、そして私もこうして指摘をさせていただいています。政府の方としては、あしたあさって調査をしてほしいなんということはなかなか難しいと思う。なるべく早く、今の三点の重点要望項目というのは自治体から出されている問題ですから、自治体の声をきちんと、私は市民に対してこたえるということで政府として調査をして、その政府考え方を米側に伝え、そしてその結果がまた自治体あるいは私たちの国会に回答してもらうということで、きょう以降なるべく早く調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
  168. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 先ほど来、御答弁を申し上げているところでございますが、言葉足らずで大変申しわけございません。  私どもといたしましては、これまでも実態を把握した上で、現在はこれらの施設・区域につきましては必要な施設・区域として使用されているというふうに承知しているところでございます。  他方、議会等から御要望をいただいているのも事実でございます。こういう議会からの御要望あるいは地方自治体からの御要望については、引き続ききちんと耳を傾けてまいりたいと思っております。  他方、今、国会でも御指摘があったというお話がございましたけれども、御指摘のとおりでございまして、常に私どもこういう施設・区域の状況についてフォローしてまいりたいと思っておりますが、御指摘施設・区域、今御指摘いただきました三つの施設・区域につきましての私どもの認識はただいま申し上げたとおりでございます。
  169. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 三十分ぐらいかけて局長とやりとりさせていただいたんですが、これじゃ在日米軍基地の整理縮小なんてできないじゃないですか。使っていないところを言っているんですよ、ずっと何年もかけて。そういうのを使っているということを言うんでしょう。だから国民の立場に立っていない政府だということですよ、言ってみれば。私一人が言っているんじゃないですよ、私一人が。横浜市長、横浜市議会が言っている話ですよ、これ。考えられないですよ、そういう答弁するというのは。
  170. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 外務大臣、答弁されたらどうですか。
  171. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 池子の住宅地は、かねてからいろいろないきさつのある場所でございます。私どもも、ごく最近は状況を見たことはないのでございますが、住宅建設が行われておりますころには何度も行って現地を見ております。あの辺一体はもともとは弾薬庫の跡であったわけで、弾薬庫として相当大きな面積を確保していたわけですが、それが現在は、あれはどっち側というんでしょうか、南側というんでしょうか、住宅を建設するという状況になって状況が少しずつ変わってきているということも承知をしております。  北米局長は、アメリカ側との折衝の任に当たっておりますから日本側の立場に立って米側と、この問題だけではなくて日本全国の基地の問題について米側とやりとりをしているわけでございます。この問題についてだけ承知をしているわけではございません。  今、議員からお話がございましたから、議員の御指摘を踏まえて、まず部内で状況の確認をしてみたいと思います。
  172. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 あと残り一、二分のようですが、先ほど午前中、我が会派の櫻井委員が佐世保港への米原潜の無通報入港についての冒頭質疑が一、二点あったというふうに聞いております。事実関係についても答弁があったと思うんですが、外務省としてはアメリカ側に抗議をされたんですか。
  173. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  本件につきましては、原潜が佐世保港外から港内へ錨地を変更するに当たりまして、私ども外務省の方に米海軍内部の連絡の問題によりまして伝達が行われなかったということでございますので、大臣の指示によりまして、私から在京臨時代理大使に対しまして遺憾の意と再発防止ということで抗議をした次第でございます。
  174. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それに対してどういう回答だったんですか。
  175. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 先方よりは、これに対しまして、かかる事態は極めて遺憾であると、こういうことが再び起こらないように努めたいという回答がございました。
  176. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 昨日、外務省の日米地位協定室長が佐世保の方に行っているというふうに報道では書いてあるんですけれども、佐世保市長の方は今度の政府と米側との対応で了承、納得をされているんでしょうか。
  177. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 佐世保市長のお考えについて私どもの方から申し上げる立場にはございませんけれども、佐世保市長に対しましては、私どもの方から地位協定室長が今おっしゃいましたとおり昨日参りまして、この間の経緯について御説明したところでございます。  佐世保市長は、本件の地元市長として、これは大変問題であるということを言っておられたところでございます。
  178. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 質問と答弁とちょっとかみ合わないところも今の市長の関係でございましたけれども、再度確認します。  米側の方は二度とこういったことは、このような無通報で入港することはしないということを日本側に伝えたということでよろしいですか。
  179. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 米側からは、当初、これは連絡のミスであったという返事が参りました。それで、私といたしましては、連絡のミスというのでは納得できないと。これは、こういうことがなぜ起きたのかしっかりと原因について、その理由について説明をしてほしいと。その原因についての、あるいは理由についての説明があるまでは、私としては、米原潜の入港について協力はできないということをアメリカ側に伝えろといって指示をいたしまして、現在それが米側に伝わっているところでございまして、この我が方からの米側に対します申し入れについては、まだ返事はございません。
  180. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 さっき局長、返事があったと言わなかった、今の大臣と違わないですか。
  181. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、その原潜が錨地を変更するに当たりまして、内部の連絡の問題によりまして私どもに伝達がなかったということについて、私から大臣の指示を受けまして遺憾の意と再発防止を申し入れたわけでございます。  これに対しまして、先方より、これは連絡ミスがあったと、強く遺憾であるということと、こういうことが再発しないように努めてまいりたいという説明があったところでございますが、これを大臣に御報告しました際に、大臣より、この原因について改めて説明を求めるようにという指示がございまして、再度私の方から連絡をしたところでございます。
  182. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 時間ですから、終わります。
  183. 益田洋介

    ○益田洋介君 藤崎局長、事実関係は大体、佐世保無通報入港問題はわかりましたので、結構でございます。  外務大臣、私は、一九六四年の八月にアメリカは声明を出して、二十四時間前に通報すると。非常に反対が多かったものですから、原潜の入港について、市全体が、市民全員が反対するというような現状だったので、アメリカは良心的にそういうことを声明文を出したわけでございます。  なぜこの二十四時間前の通報が必要かといえば、放射能のモニタリングポスト、これを稼働させるために必要なわけでございまして、物理的にも科学的にも必要なことでございます。それと同時に、やはり市民の安全の面からこれはどうしてもやってもらわなきゃいけないことなので、入港に際してごく基本的なことですから、ぜひ励行させていただきたいことをお願いしておきます。  それから、一説には、えひめ丸の衝突事故を見てもわかると思いますが、やっぱりアメリカの海軍の規律の乱れがそこここに見られるんじゃないか、外交とか防衛の専門家にそういう意見を言う方がいらっしゃいます。さらには、今回、通信が傍受されると、二十四時間前に通告をすると。特に中国側に傍受をされるんじゃないかということをアメリカは非常に懸念していて、そのために、もうこうした通報制度をやめたいという気持ちになっている部分があるんではないか、そのあらわれではないかと。  六四年以来、佐世保港には千隻を超える原子力潜水艦が入っているわけでございます。今後、やはり両国間でいかに二十四時間前の通告が必要であって、市民の信頼を回復するためにぜひともこれはアメリカに強く私は申し入れていただきたい、そのようにお願いしておきますが、いかがでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。
  184. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 二十四時間前の通報の必要性というものは、今、議員が御指摘になったと同じような認識を私は持っております。したがいまして、米側に対してこの二十四時間前の通報については、これをしっかりと求めていかなければならぬというふうに思っているわけです。  えひめ丸事件で、原潜が日本の水産高校の船との間にああした事故を起こしたということもあって、国民感情からいって、米原潜の安全に対する取り組み方というものは極めて強い注視をしているところでございますから、私は、あの事件に、えひめ丸事件にかんがみて訪日をされたファロン特使に対して、日本の港に入る米艦船の安全航行については十二分の安全確認をやってもらいたいということを申しました。先方からは、十分よくわかりましたと、上から下までその考え方を徹底させますという返事を特使から、特使との間の話で私は聞いているわけでございまして、安全というのが今回の場合には私は非常に、環境面における安全という点からも十分注意しなければならぬと思います。  いずれにせよ、こうした無通報で入港するというようなことは納得ができないというのが私の気持ちでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、北米局長を通してアメリカ側にその旨を伝えているところでございます。アメリカ側が早急に原因もしくは理由について説明をされることを求めたいと思います。
  185. 益田洋介

    ○益田洋介君 昨年五月、やはり原子力潜水艦が、このときは十七時間前の通報で入ってきている。結局、原子力の観測艦、それから原子力の測定器、そうしたものをセットするのに十分な時間がなかったということはわかっているわけです。そういう経験があるわけです、既に、昨年の五月。古い昔の三十六年前の話をしているんじゃないんです。そして、えひめ丸の事件が起こった直後の話じゃないですか、これは。  相当これは強い姿勢で我が国政府としてはアメリカに通達していただきたい、謝罪もお願いしたい、外務大臣。これは佐世保の市民はきのうは不満と不安とそして激怒で大変だったそうです。よろしゅうございますか。局長は結構です。よろしゅうございますね。
  186. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私としては、まずとにかく最初に原因の説明というものを求めたいというふうに思っております。その原因の説明を得ました後に、どういう対応をとるかを考えたいと思っています。
  187. 益田洋介

    ○益田洋介君 局長、何かおっしゃりたいですか。
  188. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) どうもありがとうございます。  ちょっと一言、事実関係でございますが、今、委員指摘平成十二年五月の入港通告のおくれということにつきましては、急病人の搬送ということで二十四時間という時間以内の通報があったわけでございます。たとえこういう理由があったにせよ、今後、入港通告のおくれがないようにということを繰り返しその後指摘をしておりまして、その観点からも、今回のような通告のミスがあった、通告の漏れがあったということにつきましては、私ども極めて遺憾というふうに考えているところでございます。
  189. 益田洋介

    ○益田洋介君 同じ原子力の問題ですが、五年間で二百五十四億円に上る裏金づくりが明らかになった核燃料サイクル開発機構。文部科学省、来ていますか。  これは非常にゆゆしき問題ですよ。中に二重の帳簿の操作があったということが発覚した。国に提出する認可予算書と別に社内調整費を盛り込んだ極秘の実施予算書が存在してたんだ。二重帳簿です。その社内調整費というのは、本来は「ふげん」ですとか「もんじゅ」だとかの最先端技術の研究開発に使わなきゃいけないところなんです。社内調整費という名目で、現実には職員の給与やパソコンの費用、社宅や食堂の修理などに充てていたと、こういう事実が発覚している。九六年度が八億二千万、九七年度が十三億、九八、九九、〇〇年度はそれぞれ八億五千万。  これは一体どういうことなんですか。説明してください。
  190. 今村努

    政府参考人(今村努君) 御説明申し上げます。  今、お話しのありました新聞の報道については私どもも十分承知いたしているところでございますが、サイクル機構につきましては、毎年の事業実施に際しまして実施予算書というものを作成いたしております。この実施予算書はサイクル機構の会計規程に基づきまして、サイクル機構は、毎事業年度、国の認可を受けた予算に基づいてその実施計画を定め、業務の合理的かつ能率的運営を図ることという規程がございます。この規程に基づいて実施計画ということで実施予算書というものを策定しているものでございまして、これは私どもとしては二重帳簿というような性格のものではないというふうに考えております。  また、この報道の記事の中で、事業費からいろいろな管理共通費等のための経費を計上していると、それを内々で行っているという趣旨の報道がございますが、この当該実施予算の中で事業費から管理共通費のための経費を計上しているということにつきましては、そもそも国の認可予算の中で、やはりプロジェクト予算につきましては、プロジェクト予算の中に共通管理的な経費というものは認めているところでございます。  また、その報道ではいわゆる給与の水増しというような表現もございますが、サイクル機構からは職員の給与、これはもう当然でございますが、給与規程に基づき適正に支給されているというふうに聞いております。  なお、定数というものは、予算は定数と標準単価をベースに認可予算が定められるわけでございますが、やはり職員の高齢化ということに対応いたしまして、一人当たりの給与費が増大するといったようなことについて、必ずしも補助金に基づく給与費との間に、給与費として認められる平均給与単価が必ずしも実態に沿わないということがございますので、この認められた予算定数の中でむしろ実数を抑えている、実員を減らしている、やりくりしているというようなことはあるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、サイクル機構は特殊法人といたしまして……
  191. 益田洋介

    ○益田洋介君 きょう町村文部科学大臣は記者会見しているんだ、この問題で。しっかり調査して報告すると言っているんだ。そんなにぐだぐだと言ってないで、実際に二重帳簿があるのかないのか調べて、当委員会に報告してくださいよ。
  192. 今村努

    政府参考人(今村努君) 今、御指摘のとおりでございまして、けさほどの記者会見でも町村大臣が申し上げましたが……
  193. 益田洋介

    ○益田洋介君 調査して報告するのかどうか。
  194. 今村努

    政府参考人(今村努君) 本件につきましては、サイクル機構が国民の信頼を得て業務を進めていけるように、文部科学省としても二週間程度をめどとして、本件につき厳格に調査するよう指示いたしたところでございまして、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
  195. 益田洋介

    ○益田洋介君 町村大臣は二週間と言ったけれども、僕はこんなゆゆしき問題で信頼回復なんて言葉、よく使えると思う。できるだけ早くお願いしたい、可及的速やかに。大臣は二週間と言ったけれども、当委員会には十日で持ってきてもらいたい。よろしいですか。
  196. 今村努

    政府参考人(今村努君) 今のお話を承りまして、できるだけ早く調査が完了するように努力いたしたいと思います。
  197. 益田洋介

    ○益田洋介君 帰って二週間じゃ長過ぎるって僕が言っていたって、そう言ってくださいよ、大臣に。よろしいですか。よろしいかどうか返事させてください。
  198. 今村努

    政府参考人(今村努君) 帰りまして、伝えます。
  199. 益田洋介

    ○益田洋介君 外務大臣にお尋ねしたいと思います。  本来であれば三日、本日からソウルで開催を予定されていました第四回の南北朝鮮赤十字会議が開催不可能になった。それから、これに先立って先月予定されていた南北閣僚級会議も、これも一方的に北朝鮮によって延期をされた。さらに加えて、世界卓球選手権で南北統一チームを編成する予定だったのが解消された。この三つはすべて北朝鮮側が南北交流を拒否したものだというとらえ方がされております。  その背景には、ワシントンにおける米韓首脳会談で、ブッシュ大統領が金大中大統領に対して、対北朝鮮に対する強硬姿勢を鮮明に打ち出したからだということが言われています。  金大中大統領は、引き続き辛抱強く交渉を続けていくというふうに伝えられております。その証左として、先月末に行われた韓国における内閣改造のときには、比較的金正日総書記に近いとされる韓国の林東源氏、それから朴智元氏というお二方が重要ポストに起用され、これは一部には金大中大統領の北朝鮮に対する重要なメッセージとしてとらえられている、そういうふうに伝えられております。  これは他山の石の問題ではございませんので、私はこの際、ブッシュ政権にかわってから北朝鮮対策というのは随分論議されてきておるわけでございますが、外務大臣として現在朝鮮半島の情勢に関する認識、そして我が国政府のこの半島問題に対する対応、そうした方針をお教え願いたいと思います。
  200. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 朝鮮半島をめぐります動きは、私の感じとしては四、五カ月前とは随分違う感じを受けております。三、四カ月前まで、つまりクリントン政権の時代には、オルブライト国務長官までピョンヤンに行って北朝鮮の幹部とさまざまな話し合いをし、相談が調えば大統領の訪朝もあるという状況であったわけですが、今それに比べれば、新政権の大統領が訪朝するというようなことは、少なくとも今の時点では考えられないということを見ても相当な違いがあるというふうに思います。  ただ、しかしそのことは、ブッシュ政権は何といっても新しい政権で、累次にわたって御説明をいたしておりますが、依然としてアジア問題を担当する人間もまだ正式に全部決まっているわけではないという状況でありますから、つい先日開かれましたTCOG、日米韓三カ国によります北朝鮮政策の調整会議でも依然としてクリントン時代の人物がアメリカを代表して出てきているという状況ですから、まだブッシュ政権が北に対してどういう姿勢をとるかということについては定かではないというのが正直なところでございます。  しかし、その発言はかなりところどころに大変厳しい口調の発言があるということになると、それに対抗してといいますか、そこに触れて北側の最近の報道も大変厳しい報道になってきた、それはひところの報道ぶりとはいささか違うように私どもは感じております。こういう状況は決して望ましい状況ではないのじゃないかというふうに韓国は考えておられて、日本側に対しても、日韓は従来どおり話し合ってアメリカを、何といいますか、説得をしてと申しますか、アメリカの合意も得て対北朝鮮政策を進めていこう、こういう気持ちが韓国は非常に強い、とりわけ金大中大統領にはその気持ちが非常に強いというふうに私どもは見ております。  我々日本は、では一体どうするかということでございますけれども、我々は何といっても日朝国交正常化交渉というものを持って日朝関係の正常化、そして人権問題というもの、人道問題というものを解決しなくてはならぬという役割を担っているわけですから、そうした方向で対応したいというふうに思っています。  ただ、昨今の北の状況は、アメリカに対して非常に厳しく、また日本に対してもかなり厳しい。他方、ヨーロッパに対しては窓をあけて、ヨーロッパの国々との間の国交の正常化といいますかあるいは外交関係の樹立といいますか、そういうことにはかなり熱心で、ヨーロッパからもまた外交団などが北に行く、EUからもたしか、ヨーロッパの代表団ですか、が行くというような状況が続いているわけで、かなり変化の中に今あると思っています。  しかし、この状況も必ずしもいつまでもその変化、揺れが続いているというふうに私ども思っておりませんで、やがてこの揺れはおさまってくる、そしてまた国交正常化のための交渉などができる状況がやってくるというふうに思っているところでございます。
  201. 益田洋介

    ○益田洋介君 外務省の元職員、松尾支援室長が三十日起訴されました。  私は、昨日、別の委員会で福田官房長官に、内閣官房が被害者、一見この詐欺罪の被害者に見えるけれども、実際は公金が流用されたわけなので、国民の財産がこれは流用された、横領されたという図式になるわけですから、内閣官房としても全力を挙げてこれを回収するように、そのためにはまず資産の保全をしなきゃいけない。損害賠償訴訟を将来起こしたとしても、資産の保全が不十分であったならば意味をなさないわけでございます。官房長官は、きのう、現在共同所有のマンションを仮差し押さえしたと、そのように言っています。  きょうは、内閣官房加藤参事官、お見えですか。  さらに、今回の起訴事実というのは、四千二百四十四万円の水増し架空請求ということなわけです。これだけじゃない。私は、そのゴルフの会員権だとか、競走馬は処分したと言われているけれども、これも事実関係をもう一回確認していただきたい。  それから、有価証券、定期預金などの金融資産、これの仮差し押さえを早急にすべきだと。一説では、この金融資産については二億円を超すと言われている。この点について迅速な対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  202. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) お答えいたします。  昨日の決算委員会において官房長官から答弁させていただいたとおり、昨日、松尾元室長の起訴の対象となっている三件の総理外国訪問について損害賠償請求権の執行を保全するため、松尾元室長の財産に対する仮差し押さえの手続が完了したところであります。具体的には、先生御指摘のとおり、仮差し押さえの目的物は松尾元室長名義のマンションでございまして、請求額は約三千万ということになっております。  今後のことでございますが、今後とも捜査の進展等を踏まえながら、明らかになった被害額については法務省、外務省と緊密な連絡をとりながら、適切な法的措置を鋭意講じていきたいというふうに考えております。その適切な法的措置を講じていく上で資産の実態をできる限り御指摘ございましたように把握することが必要だというふうに考えておりまして、内閣官房といたしましても関係機関と協力しながら引き続き努力をしていきたいというふうに考えてございます。
  203. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  同じ松尾元職員について、今度は副大臣にお伺いしたいと思いますが、九九年六月のケルン・サミットの際に、政府専用機を使ってドイツの高級ワイン、フランケンだとか羽毛布団というのを、私物だとされておりますが、運搬したという疑惑が報じられております。もし、これは調査結果が出ていれば、そういう事実があったのかどうか、あった場合は、それぞれワインと羽毛の布団の数量、それから使用目的、使途についてお答え願いたいと思います。
  204. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) 調査委員会におきまして当時の関係者から聴取をしましたところ、当時この在ドイツ大使館の関係者が松尾元室長の依頼を受けましてワインと羽毛布団をあらかじめ購入し、政府専用機に積み込んでいたということが判明をいたしました。  他方、これらの物品の購入に要した費用につきましては、大使館が松尾元室長より現金で受け取ったということでありまして、大使館の公金で購入をしたものではありませんでした。いずれにしましても、常識を超える私物の運搬が専用機によって行われた模様でありまして、不適切であったというふうに考えます。  数量は、この報道にたしかありましたが、ワイン十ダース、羽毛布団六組、おおむねそのとおりであるというふうに認識をしております。  使途につきましては、この同室長は在ドイツ大使館の関係者に、羽毛布団は個人の使用に供するため、またワインについては公用のためというふうに述べていたようであります。ただ、その正確な使途につきましては、現時点では松尾本人には確認ができませんし、また外務省内にはこれを確認できる記録も残っておりません。  以上でございます。
  205. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  防衛庁長官、申しわけございません。ちょっと時間がなくなりましたので、終わります。
  206. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカの京都議定書離脱の問題についてお伺いいたします。  まず外務大臣に、これをどのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。
  207. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) アメリカは三月二十八日の記者会見におきまして京都議定書を支持しないとの立場を表明いたしました。アメリカは地球温暖化政策をまだ見直し中であって、その結果は現時点では予断はできませんが、我が国としては、こうしたアメリカの動きが気候変動交渉に与える影響を大変懸念しているところでございます。  アメリカは従来より、途上国が温室効果ガスの削減義務を負っていないこと及び京都議定書がアメリカ経済に深刻な影響を与え得ることを問題視しておりまして、先般の記者会見におきましてもこの二点を京都議定書に反対する理由として挙げております。  現在アメリカは地球温暖化を含む環境政策を見直し中でありまして、その結果は現時点では予断ができません。ブッシュ大統領は、友好国、同盟国と協力しつつ国際的なプロセスを通じて気候変動を解決するための技術や市場に基づくインセンティブその他の創造的なアプローチを開発することができると考えている、こういうふうに表明をいたしております。
  208. 高野博師

    ○高野博師君 この離脱については、事前の通報なりあるいは打診なりがあったんでしょうか。
  209. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちょっと環境省に確認をしないと、私……。
  210. 浜中裕徳

    政府参考人浜中裕徳君) 事前に連絡があったかというお尋ねでございますが、この点については、私どもとしては事前に御説明をいただいたというふうには考えておりません。特にそういうことはなかったというふうに理解しております。
  211. 高野博師

    ○高野博師君 京都議定書をまとめるのに日本が議長国として大変な努力をされた。しかもアメリカをその中に取り込むというか、そのためにも大変な努力をしたわけです。  同盟関係にあるアメリカが一方的にこの離脱ということをやったわけですが、経済的な利益を損なうとか、今アメリカが景気後退とかあるいは電力危機があるとかいろんな事情がある、しかし途上国もきちんと削減をすべきではないか、そういう理由を言っていますが、もうちょっとこれは背景には、やっぱりブッシュ大統領が石油、特にテキサスの石油資本といいますか、そこの業界との関係が極めて緊密なものですから、そこが最大の理由なんではないかと、深いところでは。私はそう見ているのですが、そこは大臣はどうお考えでしょうか。
  212. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) さまざまな批評があったり推測があったりいたしますけれども、私の立場からアメリカ大統領のそうした考え方についてコメントをするのは御容赦をいただきたいと思います。
  213. 高野博師

    ○高野博師君 私はそういうふうに見ておりまして、国益とかいろいろ言っておりますが、やはり業界の圧力が相当あって、それに沿った方向で離脱という線を打ち出したのではないか。  そこで、アメリカの環境政策、この基本的な考え方というのはどういうものなのか、環境省にお伺いします。
  214. 浜中裕徳

    政府参考人浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  先生御案内のとおり、アメリカにおきましては、政権交代をいたしますとその政権ごとに政策の基本的考え方はかなり異なっているわけでございまして、先ほど外務大臣からおっしゃられましたように、現在米国は環境政策全般、それからもちろん気候変動政策についてもでございますが、包括的なレビューをしている最中でございます。したがって、ブッシュ政権がどのような考え方で政策を進めていかれるか、これは現状において言及することはなかなか困難ではございます。  ただ、先ほど外務大臣もおっしゃられましたように、ブッシュ大統領の書簡ないし記者会見などからは重視しておられる点が幾つか出ておりまして、それは、例えば技術開発でございますとか市場を基盤とした誘導的な措置その他の創造的な手法を開発したい、こういうことを言っておられるわけでございます。今後とも私どもとしては、このブッシュ政権が実際の政策スタッフを任命する途上にございますが、そうした人事あるいは政策等を注視いたしまして環境政策の把握に努めてまいりたいと、このように考えております。
  215. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカが先進国の中では全体の三分の一、あるいは世界全体で見ると四分の一のCO2を排出している、そういう現状の中でこの京都議定書から離脱するということは、世界の超大国、リーダーとしてその責任あるいは自覚に欠けるんではないかと思うんですが、地球環境問題については人類益よりも国益優先という、そこがアメリカの政策の基本的な考え方なんではないかと。したがって、環境よりも経済を優先させるということなのかなと思うんですが、このアメリカが離脱しても議定書の発効を目指すということ、あるいは日本国内の排出削減政策を進めるという、そこのところについてはこれまでと変わりないのかどうか、環境省に確認します。
  216. 浜中裕徳

    政府参考人浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ブッシュ大統領の今回の意向表明に際しまして川口環境大臣からも三月二十九日談話を発表させていただいておりますけれども、私どもといたしましては、京都議定書の二〇〇二年発効を目指して全力で取り組んでいくという方針には変わりはないわけでありまして、また、そうした主張を我が国みずから履行していけるように、国内的にはその京都議定書で定められました六%削減目標の達成に向けて必要な政策を十分に用意していくということで、そのための取り組みに全力で取り組んでまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  217. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカに対しては全力で説得をして、この離脱というか、議定書を批准すべく日本としては最大限努力をすべきだと思うんですが、環境大臣が訪米して説得に当たるということは考えておりますか。
  218. 浜中裕徳

    政府参考人浜中裕徳君) 既に川口環境大臣は三月十五日にホイットマン環境保護庁長官に対して、米国政府内でCOP6再開会合の成功に向けて前向きの取り組みをしていただくよう政府内でイニシアチブを発揮していただく、そのようなことを要請する書簡を出しております。  国会のお許しが得られれば、川口大臣としては、四月に国連の持続可能な開発委員会に合わせて開催されます気候変動に関する非公式閣僚会合、この際にも訪米をいたしまして、川口大臣みずから働きかけを行っていきたいと、このような意向を表明しておられるところでございます。
  219. 高野博師

    ○高野博師君 ぜひ直接訪米をして説得をしていただきたいと思いますが、今回のこの京都議定書離脱というのはブッシュ政権の外交の本質の一端を示しているんではないかというふうに私は見ているんですが、すなわち、自国益を最優先にする、あるいは国益に反する場合は国際約束もほごにするというようなことが十分あり得るんではないかと。かなり保守的な傾向が出つつあると私は見ていますが、ブッシュさん自身はかなり冷戦型の思考を持った人なのかなという感じもいたします。これから米中関係あるいはロシアとの関係を含めて、かなり予想外の発言なり行動が出てくるのではないかと私は若干懸念をしております。  そこで、日米関係、日米同盟、これについてはこれまでと違ったとらえ方、それが必要なんではないかと思います。ブッシュ政権が成立しまして、すぐ日米同盟の強化と、こういうことをうたったわけですが、これはもう明らかに対中関係をにらんでの日本の役割あるいは関与を大きくしたいという考えだと思うんです。したがって、日本に対しては相当のといいますか、応分の負担を要求してくるだろうということは当然予想されるわけですが、このアメリカ側に依存し過ぎた防衛なり安全保障というあり方は果たして大丈夫なのかなという気がいたします。  というのは、何らかの安全保障上の問題が起きたときに、それがアメリカの国益に合致するときだけアメリカは行動を起こす、あるいは日本を助ける、アジア太平洋の米国の権益が侵されるときにだけアメリカが何らかの行動をとるという、当然そういうことになるんではないか。したがって、日米同盟、特に防衛関係での同盟関係というのは、そういう点も十分理解し認識した上でとらえる必要があるんではないかと思うんですが、外務大臣はどうお考えでしょうか。
  220. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私、一月末にアメリカへ参りまして、ブッシュ政権の国務長官になられたコーリン・パウエル氏と話をいたしました。そのときに私は、非常に率直に私の気持ちを申し上げるがと言ってパウエルさんに申し上げたのは、アメリカはやはり何といっても二国間の交渉というものを重視する、バイの関係を重視すると、しかし、もっとマルチの関係というものを大事にしてほしいと。アメリカはマルチの会議を持つ、あるいはマルチで問題をまとめていくということについて熱心でないというか、上手でないというか、なかなかそれがうまくいかないということを私は非常に残念に思っていますと。  例えば、アメリカがマルチでもっと踏み込んでもらいたいものの一つにCTBTがあるし、それからWTOがあるし、それからCOP6があるし、こういったものがあると思うんですね。そうしたことにアメリカはもっと踏み込んでもらいたいと。それは世界のリーダーとみずから任ずるならば、やはりそういうマルチの問題に踏み込んでリーダーとしての役割を果たす、それはとりもなおさず、どれだけ自分が譲歩するかということが非常に重要なんじゃないかと思うんだけれどもということをパウエルさんに申し上げた。  パウエルさんは、CTBTについては非常に厳しい反応を示されましたけれども、そのときはまだCOP6やWTOについてはそんな反応はございませんでした。  しかし、これはブッシュ政権になってからというのは、あるいは議員がおっしゃるように特にそういう感じが強くなったのかもしれませんけれども、私は、かねてからアメリカの体質それ自身がバイで問題を解決をしようとする、二国間で問題を解決しようとするということの方が非常に熱心で、マルチで問題を解決しようということは余り熱心でないと。したがって、例えば国連に対する評価が低いとか、あるいはユネスコからはもう籍を離脱してしまうとか、そういう今のアメリカのやり方というものはいかがなものかということを、私、率直にパウエルさんに話をしてきたばかりなんです。  確かにアメリカ政府アメリカの国益というものを大事にする、それゆえにアメリカ国民から直接的に支持されるところも多いと思いますけれども、それでは少なくとも地球の温暖化とか全地球的な、あるいは相当未来を考えた政策はできないというふうに私は思うものですから、これから先も日本としては、アメリカに対してこの京都議定書問題などについては、できるだけアメリカにも、そういう発言を翻して一緒になって地球の温暖化問題について考えようということを言わなければいけないというふうに思っているんです。
  221. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、ロシア関係についてお伺いいたしますが、ちょっとこれは質問通告をしていなかったんですが、ゆうべのニュースを見ていましたら、プーチン大統領と森総理の会談の中で、歯舞、色丹の二島の返還をするという意思を初めて表明した、歴代の首脳の中で。もう一期やれるならばこれはもう完全に返すというような、そういう表明があったというニュースだったんですが、その辺はいかがなんでしょうか。そういう事実があったんでしょうか。
  222. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私も今御指摘の報道はテレビで見ました。ああした報道があったことは承知しておりますけれども、先般の日ロ首脳会談における具体的なやりとりについて申し上げるのは、今こういう日ロ関係でいろいろやりとりが続いている状況の中でございます、差し控えさせていただきたいと思うのですが、いずれにせよ政府としては、先般の首脳会談の際に署名されているイルクーツク声明を踏まえまして、今後とも四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するべく頑張る、精力的に交渉を進めるという基本方針に変更はないということだけ申し上げておきます。
  223. 高野博師

    ○高野博師君 前回の委員会でも、ロシア側が新しい戦略を出してきて、二島だけで最終決着をねらい出したのではないかということをちょっとこの間も言及しましたが、どうもそういう気配というか感じがいたしますので、これはもう十分注意をして四島の一括、四島返還ということに最大の努力をしていただきたいと思います。  最後にもう一つ、去る三月二十八日にアメリカの上院の公聴会の中で、ハワード・ベーカー次期駐日大使がロシアの核解体支援について意見を述べまして、その中で、その次の日もブッシュ大統領は対ロ核解体支援を見直すというような発言をしているようでありますが、このベーカー氏は、日本とEUとカナダがもっとロシアの核解体あるいは廃絶の費用の負担をすべきだと、こういう発言をしているんです。  これから八年から十年ぐらいで三百億ドルも必要だということでありますが、ロシアからの要請があってそれに応じるというのはわかるんですが、アメリカがそういうことまで言っているということについて私は若干おもしろくないのでありますが、日本は現在ロシアに対してこの核兵器なり核廃絶に関して何らかの協力はしているんでしょうか。
  224. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 我が国の対ロ非核化支援につきまして、その概要につきましては、我が国はまずロシアへの非核化支援として総額約二百億円の支援を行うこととしております。これは日ロ間で九三年に八十一億九千万、九九年に百二十二億円をプレッジしております。  次に、支援の具体的内訳でございますが、液体放射性廃棄物処理施設の建設、退役原子力潜水艦の解体処理、本件については、現在三プロジェクトの実施につきロシア側と調整中でございます。それから、余剰兵器プルトニウムの管理、処分、緊急事態対処機材の供与、それから国際科学技術センターへの支援、こういったようなことが我が国の対ロ非核化支援の内容でございます。
  225. 高野博師

    ○高野博師君 それではもう終わりますが、ロシアに対する支援の見直しということも含めて、ブッシュ政権は、やはり自国の経済優先という、そういう考え方をとり出しているんではないかなという私は気がいたします。米中のあの軍用機の接触事故、こういう問題、ちょっときょうは時間がないので触れませんが、もしあれが空中戦でも行われたとすれば、これは周辺事態というふうなこともあり得るわけで……
  226. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 高野君、質問中ですが、質問時間が二分経過しております。
  227. 高野博師

    ○高野博師君 これでやめますが、これは次の機会に聞きたいと思います。  終わります。
  228. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 二十一世紀の初年度であることしは、平和条約、日米安保条約が調印されてから五十年の年でもあります。  私は、もう三十五、六年前ですかね、この両条約の日本側の実質上の交渉当事者であった西村熊雄さんに聞いたことがあります。当時盛んにお書きになっていた本をもとにしてお伺いしたら、結論的に、西村さんは、いろいろな問題がありました、よかれと思ってやりましたが、その評価は歴史の判断に任せるのみですと、こうおっしゃったことが私は今も非常に印象深く頭の中に残っております。  それは、西村氏自身が、アメリカ側の第一次草案は一読不快なものだったとお書きになっていることを、それからまた、ぎりぎりのところで極東条項が織り込まれたことを念頭に置いての感想であり、そういうことをめぐっていろいろ議論もあったから後日の判断に任すということをおっしゃっているのだと私は思って聞きました。  調印から五十年たちましたから、我々は歴史的な一つの判断を下す時期に来ているし、またそういういろいろな面からの検討も必要ではないかと思っております。  この安保条約で日米同盟が固められ、日本政府もあらゆる機会に、例えばこの間の森・ブッシュ共同声明でも日米同盟関係ということを強調しています。そこで、まず第一問ですが、日本にとって同盟国というのはどことどこなのか、またその同盟というのはどういう概念でとらえておられるか、お答え願います。簡潔にお願いします。
  229. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) それでは簡潔にお答えいたします。  同盟という言葉の意味でございますけれども、これは国際法上の定義が確立しているわけではございませんけれども、一般的には、共通の目的のために互いに行動をともにするというような関係ということを意味するものとして用いられております。そして、その内容につきましても、必ずしも軍事的な関係に限られるわけではございませんで、広く種々の共通の利益を有する複数国家間の緊密な協力関係という意味で用いられることが多いというふうに考えております。  それから、我が国と同盟関係にある国ということでございますけれども外務省といたしましては、米国につきまして同盟関係という言葉を使用しておりますけれども、その他の国につきまして我が国と同盟関係にあるというような表現は用いておりません。
  230. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 米国だけという意味ですか、そうすると。
  231. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、米国以外の国につきまして我が国と同盟関係にあるというような表現は用いてございません。
  232. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、いよいよ私ははっきりしたと思います。  同盟についての今の説明というのは、国際政治学者、国際法学者がひとしく指摘していることと違った解釈ですね。これは、国際法辞典を見ましてもいろいろな国際法学者が書いたものを見ても、同盟というのは、これはかつては攻撃同盟あり、また防衛同盟があったけれども、今は共同防衛、つまり軍事同盟のことを言うんだというのが一般的な解釈になっていると私は多くの本を読んでそうとっております。  日本にとって同盟国がアメリカだけというのは、我々は軍事条約だと言っていますが、日米安保条約を結んでいる国はアメリカだけだ、だからこういうふうな一国だけだということだと思います。  私が国際問題調査会にいるときに、元外務省の幹部であった岡崎久彦さんがやってまいりまして、そこで、簡単に言えば、同盟ということは言っても言わなくても仮想敵国を持って共同防衛するところの、つまり軍事同盟のことなんだという趣旨のことを極めて端的におっしゃいました。岡崎さんは、これは外務省を代表しての発言ではありませんけれども、実際はそういうことじゃないんですか。大臣、どうですか。
  233. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほども御答弁いたしましたけれども、同盟という言葉に特に国際法上確立した定義はございません。いろいろな意味において使用されていると思います。歴史的には、例えば神聖同盟などというのもございましたけれども、あれは政治的な同盟でございまして軍事的な要素はないということでございます。  また、今、先生、日米安保条約は軍事同盟ではないかというようなお話がございましたけれども、軍事同盟という言葉が何を意味するのか必ずしも明らかではございませんけれども、一般に軍事同盟というふうに申しますと、相手国が武力攻撃を受けた場合は相互に助け合うというような印象を持って用いられる用語というふうに考えておりまして、御案内のとおり安保条約は、日本が攻撃されたときに米国が共同行動をとることのみを取り決めておりまして、軍事同盟という言葉で日米安保条約をあらわすのは誤解を生みやすいというふうに考えております。
  234. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 時間がありませんから、同盟論議をここでやろうと思いませんけれども、例えば今おっしゃった神聖同盟、これも国際法学会の出した国際法辞典では、神聖同盟というのは固有の同盟ではない、政治同盟であってと、そう書かれております。それから、岡崎さんは一覧表までつくってこの国際問題調査会で、同盟というのは典型的には日英同盟、日米同盟、NATOだと、こういうふうに説明されました。議論しようとは思いません。  それで、防衛庁長官、お伺いします。  私が取材していたころ防衛天皇だと言われていた海原さん、彼は「私の国防白書」という本の中で、日米安保条約というのはもちろん軍事同盟だということを前提にして、同盟を結ぶということは、これは生死をともにすることだと、こういうふうに書いておりますね。生死をともにする、そういう考え、これは防衛庁も大体日米安保条約というのはそういうふうにお考えになっておりますか。
  235. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 先生御指摘でございますが、同盟のあり方についてはさまざまな形態があるというふうに思います。したがって、一概に答えるのは困難でございますが、日米同盟関係について言えば、民主主義及び自由という両国が共有する価値の上に置かれた総合的な日米間の関係をとらえている表現だというふうに私は理解をいたしております。このような総合的な関係の中には、政治もあるし経済もあるし文化等の関係も含まれる、さらに安全保障関係がその中核的要素であることは当然だというふうに思っております。  御指摘いただきましたけれども、先般の日米首脳会談においても、両首脳は日米同盟関係の一層の強化にともに取り組むことを約束いたしたところでございます。防衛庁としても、日米防衛協力の拡大と一層の深まりを通じまして、同盟関係の一層の強化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  236. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 民主主義と自由の価値観をともにするということになったら、そうするとなぜ同盟国がアメリカだけなのかと、アメリカ一国か。日本世界じゅうでつき合っている国の中に民主主義と自由の価値を共有する国は一国しかないのかという問題にもなるのでね。  私は、政治同盟とかいろんな要素があることを否定するわけじゃありません。それはあるけれども、しかし、同盟というのは今で言えばNATO、かつては日英同盟型の攻守同盟、今は共同防衛同盟を言うというのが国際的常識ですよね。  海原さんにしても岡崎さんにしても、元防衛庁の大幹部であったし、岡崎さんも外務省の幹部の一人ですけれども、そういう人が現職を去ると本音を語っている、それで現職にあるときには違ったことを言っている。こういうことになると、私は今の答弁も、あなた方答弁した人が現職でなくなると恐らく違ったことを言い出すんじゃないかというふうに考えざるを得ない、そういう気になるんです。ですから、やはりこういう問題は国際的な学会でも常識になっている考え方に沿って論議した方がいいと私は思います。  私は、特に今同盟を象徴するものというのは軍事基地、外国軍隊の駐留だと、こう思っております。今、外国軍隊の駐留というのが一体どういう意味を持つものなのかということを、私は二十一世紀の冒頭に当たってこれもまた考える必要がある問題だと思います。  日本について言いますと、ちょうど百年前、一九〇一年に北清事変に関する議定書で日本中国に駐兵権を認めさせました。そして、終戦に至るまで日本軍は中国にいた。この軍隊が盧溝橋事件を引き起こし、日中戦争から日米戦争へと発展していった。これは歴史の事実で、議論の問題ではないと思います。戦前は日本外国に軍隊を置いていた。  で、この二十世紀の後半、これは五十年以上にわたって米軍が駐留し、米軍の基地が置かれている。この基地が置かれ、外国軍隊がいるということは、沖縄の同僚議員がしばしば予算委員会その他でも強調していますが、人権侵害、殺人、傷害、強盗、強姦、放火等々、犯罪の歴史もあるし、日本の本土でも騒音とか、国民の間でいろいろな問題が出ておりますし、今、先ほどここでも基地の問題も論議になったわけですね。  最近、財界のリーダーがある会合の中で、二十一世紀を迎えるに当たって、外国軍隊が駐留しているということはどういうことかということを考える必要があるということを強調しておられる印刷物を見せてもらい、これは財界のリーダーの中からもそういう人が生まれたのかと私は思って読みました。  そこでお伺いしたいんですが、一体こういう基地をこの二十一世紀もずっと、未来永劫とまでは言いませんけれども、しかしいつまで持つ気なのか、どういうことなのか。二十一世紀の冒頭に財界のリーダーからもこういう議論が生まれているときでありますので、私はこれを河野外務大臣にお伺いします。
  237. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まず最初に、この米軍の基地について申し上げたいと思うんですが、米軍が日本におりますのは日米安保条約第六条の規定に基づいて我が国において施設・区域を使用することを許されていて、これらの施設・区域は安保条約の目的達成のため使用されているわけであります。こうした施設・区域に駐留している米軍を含めて日米同盟関係の中核をなす日米安保条約に基づく我が国における米軍のプレゼンスというものは、これまでも我が国及びアジア太平洋地域の平和及び安定に寄与してきていると申し上げていいと思います。  先般行われた日米首脳会談におきましても両国首脳は、日米同盟関係がアジア太平洋地域の平和と安定の礎であることに留意するとともに、米国のプレゼンスが地域の安全にとって引き続き不可欠であることで意見が一致をしております。  これがまず基地についての基本的な認識でございますが、今、議員がお話しになりました、長い期間にわたって外国の軍隊が駐留し続けるということは正常なことなのかどうなのかというお尋ねでありましたが、これは正常か正常でないかということよりも、必要か必要でないかということなんだと私は思うんです。必要でもないのにずっとそういうものがあるということは、これは正常ではないというふうに思います。しかし、そのことが必要だという状況であるならば、これは、今申し上げた米軍の部隊が日本にいるということは必要なことだというふうに考える以外にないだろうと思います。
  238. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は大臣が必要悪だぐらいはおっしゃるかなと思って質問したんですけれども、必要悪とさえも言わないで、必要だということで、これは国民的な感覚とちょっと離れ、財界のリーダーもやっぱり長い歴史的視野で見たときに外国の軍隊がいることをどう考えるかということを提起しているのに、相当離れておられるんじゃないかと思います。  それで、私は、安保体制からきょう、あす、すぐ離脱して、基地が一週間以内でないようにせよなどということができないことぐらいは知っておりますから、そんなことを言うわけじゃないです。もうちょっとやっぱり長い視野で歴史を振り返り、五十年単位で同盟というものも見、どうやったら日本世界の平和と安全が確保できるかという大構想を練るべき今時期だと思うからそういうふうに言ったわけです。  私どもは、やっぱり今基地を縮小し、なくしていく方向を選択すべきであり、今沖縄でも本土でも起こっている基地をめぐるいろいろの問題を解決すべきだと思いますけれども、きょうはまあ同盟を中心にお伺いしたいので。  もう一点、これまた古い話を持ち出して申しわけないんですが、私が記者だった時代外務省に私はしばしば外交安全保障問題を勉強に行って、一番あなた方が責任持って推薦する安全保障の本を紹介してくれといって、これを繰り返し繰り返し読みなさいといって紹介されたのが神谷龍男さんの「国際連合の安全保障」、これ、私大変まじめな記者でしたから何回も何回も言われるまま読んでまいりました。もう今でも繰り返し読んでいる。これはその後出た増補版ですけれども。古いのからずっと読んできました。  そうすると、神谷さんおっしゃっているのは、端的に言えば、相対抗する同盟対同盟の関係というのは、結局は第一次世界大戦になったんだと。だから、そういう同盟対同盟という安全保障工作というのは、これは不完全なもので、これは発展させなきゃいかぬと。そして生まれたのが集団安全保障の構想であり、その第一の機関が国際連盟だったということをここで書かれており、それが発展して国際連合になったと、こういうことだと思います。  今の外務省は、かつては私にこういう本を読めと言ったけれども、今も同じ考えでいるのかどうなのか。これもやっぱり大臣ですね。
  239. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今やもう吉岡議員にお読みいただくような本を推薦するのは大変御無礼でございますから、もう御推薦は申し上げません。むしろ、先生がお書きになった本をひとつ私に一冊いただきたいものだと思います。
  240. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そういう皮肉みたいなことを言われては困るわけで、やっぱりこれからの安全をどう本当に考えるかということで言っているわけです。  私は、それじゃもう一つ言いますけれども日本国内には、国連憲章の言うところの集団安全保障というのは見果てぬ夢だということを堂々と言っている人、また書いている人もいるわけです。私は外務省の議論をいろいろ聞いてかつて質問をしたこともありますけれども、国連憲章の言うところの集団安全保障体制というのは、日本外務省としては何とかして実現したいという目標なのか、それとも、もう日米安保条約堅持だけが日本外務省の関心であって、そういう集団安全保障体制というふうなものはもうこれは見果てぬ夢で追求課題でもないんだと、こういう考え方なのかどうなのか。これはちょっとお伺いしておきたい。これは大臣ですよ。
  241. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 条約局長に答弁させます。
  242. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今のお尋ねは、安保条約と国連の集団安全保障との関係ということでございますけれども、日米安保条約は我が国及び極東の平和と安全の維持を目的といたしまして、同条約に基づきます米国の抑止力は引き続き日本の安全保障のよりどころでございます。また、我が国といたしましては、国際の平和と安全を維持することを目的といたします国連の諸活動に対しましても積極的に寄与する考えでございまして、これは今までも積極的に行っているところでございます。したがいまして、我が国といたしましては、集団安全保障を含む国連の活動も日米安保条約も、その二つとも相まって我が国の平和と安全の確保に寄与するというふうに考えております。  なお、安保条約自体におきましても、第一条におきまして、締約国は国連憲章に定めるところに従うというふうに規定しておりまして、安保条約は国連憲章と排他的な関係にあるということではございません。
  243. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 排他的関係にあるなんということは、僕も言ってもいませんし考えてもおりません。  安保条約は、第十条でこう規定しております、前段で。「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」と。つまり、日米安保条約というのは、これは国連による安全保障体制が確立するまでの間の暫定的、過渡的な安全保障条約なんだと、こう言っているわけですね。  ですから、この十条からいっても、我々が基本的に目指すべきは、国連憲章が言っているところの、同盟対同盟の対抗というのは第一次世界大戦になったんだと、その歴史的教訓から国際連盟が生まれ国際連合が生まれた、二十世紀の二つの世界大戦の悲惨な体験から教訓を学んで生まれたその集団安全保障を目指そうと。しかし、それがまだできていないから、とりあえずのところ日米安保体制でいくんだということになっているわけですよね。  だから、本来目指すべき国連の集団安全保障体制日本も目指すのか目指さないのか。そのための努力は、私ら安保条約の評価は違いますけれども、安保条約を仮に今続けていたとしても、やはりそうでなく、こういう軍事同盟でなく、集団安全保障体制が実現できる方向への努力は続けるかどうか。これを私は、同盟に入って五十年の歴史を経て二十一世紀を迎えた今、二十世紀の二つの世界大戦の教訓も考えながら考えるべきときではないかと思っているわけです。  そういう点で、その時期にたまたま財界のリーダーまでそういうことを言い出したのを見て、財界のリーダーは、二つの教訓を学ぼう、一つ外国に軍隊がいることがどんなことかを考える、もう一つアメリカ日本を守ると言ってもアメリカの国益になるときしか守らない、このことを日本人は考えるべきだと。この二つの教訓をある会合で講演をやっております。  大臣、最後に一言感想をお伺いして……。
  244. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外国の軍隊が駐留をするということが、例えばその地域の住民にとって大変な負担になるという現実は今我々が目の前で見ているわけであります。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕  したがって、そうしたさまざまな負担あるいは文明の違いなどからくる違和感、そういったものがいつ乗り越えられるかという問題も一つあると思いますし、他方、そうした努力をするよりも、外交的手段によって安全とか安定とかそういうものが我々の手に入る、その結果としてそうした問題が解決をされるということを目指すかということであるとすれば、私は外交努力によって安全あるいは安定、そういったものを手にする努力をいたしたいというふうに思います。
  245. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  246. 小泉親司

    ○小泉親司君 有事立法問題について幾つかお伺いいたします。  森首相は有事立法について、施政方針演説で、「昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始してまいります。」というふうに述べられた。続いて日米首脳会談では、法制化を視野に入れて検討するというふうに国会での訪米報告の議論で答えられておる。一体この有事法制研究というのはどういうことをやるのか。  私は、九九年の六月三十日に防衛庁が発表された文書を持っておるんですが、そこの中で、一般論として、「①自衛隊の行動にかかわる法制、②米軍の行動にかかわる法制、③自衛隊及び米軍の行動に直接にはかかわらないが国民の生命・財産保護などのための法制の三つが考えられるところ」「政府がこれまで行ってきている有事法制研究は、このうち上記①の自衛隊の行動にかかわる法制についての研究」というふうに言われている。  ということは、今度政府を挙げてやるのはいわゆる米軍の行動にかかわる法制及び国民の生命、財産保護などのための法制、こういう研究をやられるんですか。内閣府がお答えください。
  247. 岩橋修

    政府参考人岩橋修君) お答え申し上げます。  国民の生命、財産を守ることは政治の崇高な使命でありまして、政府としては、我が国危機管理体制を一層強固なものとし、遺漏なきを期すため、これまで種々の対応を行ってきたところでございます。  かかる観点から、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであることは従来から申し上げてきたところでございます。また、昨年、与党から政府に対し法制化を目指した検討を開始するよう要請がなされたところでございます。かかる経緯を踏まえまして、今般、政府として検討を開始していくこととしたところでございます。  したがって、与党の考え方を尊重しつつ、今後、これまで実施してきた有事法制研究の成果も踏まえ、国家国民の安全を確保していくためどのような法制が必要か、またどのような枠組みで取り組むべきかなどにつきまして所要の検討を進めていくこととしております。  なお、昨年の与党から政府に対してなされました要請におきましては、第一分類、第二分類を中心に新しい事態を含めた緊急事態法制として法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請することとされているところでございます。
  248. 小泉親司

    ○小泉親司君 私の質問は、米軍の行動にかかわる法制、国民の生命、財産保護などの法制をやるのかと。余計なことは結構ですから、質問にだけお答えいただきたいと思います。
  249. 岩橋修

    政府参考人岩橋修君) 現時点では、申しわけありませんが、どの範囲を検討するかということにつきましてはまだお答えできるところまで検討が進んでおりません。
  250. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、そういう答弁はおかしいと思うんですよ。なぜおかしいか、予算委員会河野外務大臣は、「そこで、有事法制でございますが、有事法制の検討を行うに際しましては、これはもう議員が今お話しのように、米軍の行動にかかわる法制でございますから、外務省として、非常に我々が対応しなければならない問題だというふうに考えております。」、こう言っておられる。それは外務大臣が言っておられるとおりで、どういう米軍の行動にかかわる法制の研究をされるんですか。
  251. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外務省としては、有事法制の検討を行うに際しましては、米軍の行動にかかわる法制、すなわち日米安保体制の円滑かつ効果的運用を図るとの観点から、この米軍の行動にかかわる法制というものは重要な課題だと認識しております。
  252. 小泉親司

    ○小泉親司君 それは予算委員会外務大臣が答弁をされていることですから、そのことを別に否定しないわけで、私は、どういう米軍の法制について検討されるのか、外務大臣がわざわざ非常に我々が対応しなきゃならないと言っておられるので、それで聞いておるわけで、そこはどうなんですか。
  253. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 我が国に対する武力攻撃に際し必要と考えられる法制といたしましては、一般論としてですが、自衛隊の行動にかかわる法制、米軍の行動にかかわる法制、自衛隊及び米軍の行動に直接にはかかわらないが国民の生命、財産保護などのための法制が考えられるわけであります。  いずれにしても、有事法制についての具体的な検討内容、スケジュールなどにつきましては、内閣官房が中心に関係省庁で十分検討していくことになっておりますが、いわゆる有事法制における米軍の行動にかかわる法制について申し上げると、我が国に対する武力行使に際し、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図るとの観点から検討していくことが必要だということを申し上げております。
  254. 小泉親司

    ○小泉親司君 今、御答弁になったのはほぼ私が冒頭お話ししたとおりの話なんですが、自衛隊にかかわる法制については基本的に終わっている、これはさまざまな議論がありますが、基本的に終わっていると。となってきたら、米軍にかかわる法制だと。  例えば、これまで米軍に関する新規定を検討すると。例えば日本国内で自衛隊と共同行動をとるための新規定の制定、それからその新規定においては自衛隊向けの国内法制の米軍への適用、国内で活動する米軍を後方支援する仕組みの導入、こういう点も検討される計画なんですか。
  255. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、具体的な検討内容やスケジュールにつきましては、先ほど内閣官房からも御答弁がございましたとおり、内閣官房を中心に関係省庁で検討していくことになっているわけであります。
  256. 小泉親司

    ○小泉親司君 伝えられるところでは、三十日の午前の閣議で有事法制に対する答弁書を決定されて、その中で、合理的な範囲内において法律で国民の権利を制限し、国民に特定の義務を課すことも憲法上許されるという見解を出されたというふうに聞いております。その点については、例えばこれは、自衛隊の行動にかかわる点についての有事法制の中間報告、私もしっかり読ませていただいておりますけれども、この中にも国民の若干権利にかかわるものも入っているわけですね。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕  今度の新たな米軍にかかわる法制や、国民の生命、財産にかかわる法制においても、いわゆる合理的な範囲において法律で国民の権利を制限すること、これも当然考えられるというふうな見解をお持ちなんでしょうか。外務大臣防衛庁長官、いかがでございますか。
  257. 岩橋修

    政府参考人岩橋修君) 一般論として申し上げますと、我が国外部から武力攻撃を受けた場合、国家国民の安全を守ることは公共の福祉を確保することにほかならないことでありますから、そのために必要がありますときには、合理的な範囲において法律で国民の権利を制限し、もしくは特定の義務を課すことも憲法上許されるものと考えております。もっとも、そのような場合におきましても可能な限り国民の権利を尊重すべきことは言うまでもございません。  このような考え方につきましては、政府は従来から一貫して明らかにしているところでございます。
  258. 小泉親司

    ○小泉親司君 米軍の法制を検討する場合、米軍の行動にかかわる問題については検討するということはもう防衛庁の資料でも明らかなんですが、そういう場合でもいわゆる日本国民の権利を米軍が規制するということもあり得ると、当然だという見解なんですか。
  259. 岩橋修

    政府参考人岩橋修君) 現時点でそのようなところまで具体的に検討を進めておりませんので、申しわけありませんが答弁は控えさせていただきます。
  260. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、今度の問題というのはいろいろと新聞に次々と出て、どなたがリークされているのかわからないけれども、次々と出ている割には答弁はこれから、これからだと。  私は、森総理が勝手に自分で日米首脳会談で法制化を視野に入れて検討なんて言ってきた、その結果、こういうふうなことを招いている。私はやはり有事法制研究というのは、そういう意味じゃ先ほども答弁されたように、公共の福祉と国民の権利義務、つまり基本的人権の制限、こういう問題というのはもういろいろ論争がある問題で、議論がある問題で、単にそれですぐ国民の権利や基本的人権、そういう権利を制限していいかどうかというのは非常に重大な問題だと思うんですね。そういう点で、この有事立法研究というのは、こういう有事研究国民の権利を制限することはすべきじゃないということ、その点では今回の政府を挙げての作業については私たちはやるべきじゃないということを強く要求しておきたいというふうに思います。  時間がなくなってしまったんで先に行きます。わざわざパネルを用意してきているのでその質問をさせていただきますが、先ほど同僚議員も質問されました横浜市の米軍の遊休基地の問題について質問をいたします。  この横浜市というのは、先ほど同僚議員も述べられましたが、大変基地の多い市で、何でこんな日本の中心都市というようなところに、外務大臣もお住みにはなっていないけれども近くのところが、何でこんなにたくさんの米軍基地があるのか、多くの方々が不思議に考えられている。  例えば富岡倉庫地区、先ほど議論がありましたけれども、こういう地図なんですね。(資料を示す)  これは、ここにシーサイドラインというモノレールが通っている。全然これは空き地で草ぼうぼうであります。これが正確に言いますと、ベトナム侵略戦争以降ほとんど使われなかった。ただし一回だけ使われた。それは、九二年にフィリピンの基地が撤去されたときにここに資材置き場ができた。それが九二年三月であります。ですから、九年間この状態なんです。今、九九年から、ちょうど近くに南部の市場がありまして、その市場の駐車場として時々利用されているというようなところなんですね。それがなぜ、私が政府に質問主意書を出しましたときにも、政府の認識は、依然として使われている。実際に調べてみれば、使われていないというのは同僚議員の質問でも明白だというふうに思います。  もう一つ挙げますと、先ほど挙げていない部分なんですが、上瀬谷基地。(資料を示す)  私の質問に対して、フェンス外も通信基地として使用されているという認識だと、政府の認識は、フェンスに囲った以外も全部通信基地として使われている。一時期、確かに上瀬谷というのは非常に多くの通信基地がございました。しかし、現況はこうなっておりまして、上瀬谷基地はこの黒い枠の中なんです。フェンスに囲まれているのはこの赤いものだけ。あと緑は全部畑であります、野菜が育っております。実際にこの白いところは空き地であります。このフェンス以外もすべて通信基地なんだと。通信基地じゃなくて畑です、これは。政府の答弁書としては甚だお粗末で、何の調査もしないでフェンス以外は通信基地。私ね、それは幾ら何でも話は全然実態を反映してないと。  先ほど、富岡倉庫地区については外務大臣は確認するというようなニュアンスのことをおっしゃいましたけれども、この富岡倉庫地区、それからこの上瀬谷の通信基地……
  261. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) さっき言ったのは池子。
  262. 小泉親司

    ○小泉親司君 この二つ、それでは。この二つについて、果たして政府の認識としてなぜこれが使われていると言うんですか。このことを見ましても、私、言葉で言うと多分、今さっきも北米局長言ったように、ぐるぐるわけのわからない話で繰り返されるから、皆さん方によくおわかりのようにわざわざ写真とパネルをつくってきたんです。  その点について本当に調査する必要があると思いますが、外務大臣、いかがでございますか。外務大臣
  263. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) お答え申し上げます。  ただいま富岡倉庫地区及び上瀬谷の通信施設についての御質問がございました。  私ども、これらの米軍施設及び区域につきまして小泉委員指摘のとおり質問主意書をいただきまして、これにつきまして御答弁申し上げておりますが、安保条約の目的達成のために必要な物資の荷揚げ場、資材置き場等として使用しているというふうに承知しております。これは富岡倉庫地区でございます。上瀬谷につきましては、通信施設として使用しているというふうに承知しております。  本件につきまして、ただいま御指摘ございましたように前にも国会で御質問をいただきまして、答弁を申し上げておるところでございますけれども、これにつきまして、九九年の十二月の本委員会で上瀬谷通信施設について「引き続き通信施設として使用されているというふうに承知しております。」と、こういうふうに御答弁申し上げているところでございます。
  264. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、上瀬谷通信基地について言えば、通信基地で利用されてないなんて一言も言ってないんです。この赤い区域が通信基地として利用されてフェンスがあるんだと。フェンス以外はどうなんだという私の質問主意書に対して、フェンス以外も通信基地だと。  幾ら何でも、行ってみればわかりますけれども、全部畑ですよ。全部野菜が埋まっております。実際にそういうところが通信基地なんですか。政府はそういう認識なんですか。どうですか、外務大臣
  265. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 通信施設につきましては、一定の周辺の規模というものが必要という認識もございまして、私ども、一体といたしまして現在も御指摘のございましたフェンス内部及びその周辺を通信施設として利用しているというふうに認識しているところでございます。
  266. 小泉親司

    ○小泉親司君 北米局長、知らないと思って余り余計なことを言いますとだんだんこんがらかってくるんですが、通信基地としてもともとあったんだけれども、この通信基地、全部もともと使われていたんじゃないんですよ。イーズメントエリアといいまして、局長が言っているように一体として通信基地として利用される区域として指定されていたわけです。しかし、そのイーズメントエリアというのも実際にはもう解除されているんですよ。それはもう御存じなんでしょう。それで、あるのはこの赤い区間のフェンスに囲まれた部分だけなんだから、少なくともこれ以外のものについては返還を要求して当然なんじゃないですか。  その点で政府調査をして、その返還を日米合同委員会でしっかり求めるべきだと。富岡倉庫地区と上瀬谷地区、これは外務大臣、最後に、もう一分しかありませんから、お答えをいただきたいと思います。
  267. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 調査をいたします。
  268. 小泉親司

    ○小泉親司君 ありがとうございました。
  269. 田英夫

    ○田英夫君 先ほどから同僚委員が既に触れておられますので、通告をしておきましたけれどもアメリカの原潜の突然の寄港の問題その他、大変アメリカにかかわる残念な問題が頻発をしていると思います。  まず第一に、ほかは触れないとしても、アメリカ中国の軍用機の衝突、墜落事件といいましょうか、この問題は触れないわけにはいかない。これも内容については申し上げませんけれども、何かブッシュ政権になって特に目立つわけですけれどもアメリカ政府というのはまるで世界のやんちゃ坊主のような印象を受ける。  地球温暖化防止のための京都議定書に対する態度もしかり、今度の海南島付近のあの空軍機の問題も、いわば中国からすればといいましょうか、客観的に見ると、他人の庭先に来てのぞき込んで家の中がどんなになっているんだと見られれば、その住民は嫌な気持ちになるのは当たり前で、何の必要があってそういう軍事行動をとるのか。一方で、地球温暖化の問題については、国益優先主義をとる。軍事的な問題とかあるいは人権の問題などだと自分の物差しではかって、それに合わないものは干渉する。アメリカという国はそういう国ではないかと思われても仕方がない。一方で、もちろん一人一人のアメリカ人はまことにいい人たちだと私も思います。  防衛庁長官がおいでですから、ちょうどカウンターパートになるラムズフェルド国防長官、お父さんの方のブッシュさんのときの大統領補佐官、安全保障問題の補佐官、そして国防長官という時代にお会いしたことがありますけれども、実に切れ味のいい、まさにいい人だと思いますが、その人が加わった今度のアメリカ政府というのは、非常に危険だという印象を持たざるを得ない。  小さな新聞の切り抜きを、新聞を読んでいたら、アメリカについての世論調査というか、調査の結果が出ていて、ロイター通信が伝えたものですが、アメリカの男子高校生のうち五人に一人は過去一年間に学校に武器を持っていったことがあるという結果が出ていると。全米の十代の少年少女一万五千人を対象にした調査ですが、男子高校生の二一%、男子中学生の一五%が銃やナイフなどを持ってこの一年間のうちに学校へ行ったことがあると。  アメリカ攻撃をするつもりはありませんけれども、もう御存じのとおり、アメリカには銃器を禁止してはならないという憲法がありますね。これはまた西部劇じゃありませんけれどもアメリカの歴史を見ればそういう憲法があることもうなずける。自分の身は自分で守れ、こういうことだと思いますが、それを世界に向かって広げられてはかなわない。こういうことをまず申し上げておきたいんです。  きょう、私が取り上げたいのは、そういうアメリカというものとまさに軍事同盟という日米安保条約を結んでいる。このままでいいのかということを、今、吉岡さんも言われたけれども、ちょうど五十年というこの節目で、二十一世紀の初めに考える必要があるんじゃないか、冷静に考える必要があるんじゃないかと思うんですね。  まず第一に、国の安全を守るための安全保障ということについて、日米安保条約のような、二国間軍事同盟というとまた先ほどからの議論が出てきますが、まさに二国間の軍事同盟というこういうものでいいのか。そこから考えるべきじゃないか。世界の趨勢は、集団安全保障機構をつくっている、つくりつつあるとこう思いますよ。そして、それが国連の手によってできたら、これも吉岡さんがいろいろ言われたように、安保条約十条の規定のとおりになってくるわけですから安保条約は要らないと、こういうことになってくるので、むしろ国連のそういうものをみんなで目指すべきだと。  一つ今、アジアで見るとARFというのがありますね。既にこれは非常にいい機能をしている。一方で、ASEANプラス3というのが出てきた。これはアメリカが入っていないわけですけれども、この間、外務大臣もこれを非常に評価されていたと思います。  ことしの一月に社民党の代表団が中国を訪問したときに、帰途、まさに今問題の海南島へ行きました。そのときに中国側は、ここをASEANプラス3の中心にしてもらえないだろうか、事務局をここに置いたらどうだろうかという提案をしております。そういう動きも一つの集団総合安全保障の考え方だろうと思います。  実は、あの周辺は非常に、今度もああいう事件が起きましたが、きな臭いところですね。南沙諸島があったりあるいは資源があったりして非常にきな臭いところであるだけに、そういう集団安全保障の場にしたらいいというのは注目すべきことだと思うんです。  まず伺いたいのは、その日米安保条約、二国間条約というものでいいんだと、日本政府は、基本的にもう今後もそれでいいと思っておられるんですか。
  270. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 未来永劫こういう形が続いていくかどうかは別として、二十一世紀の、少なくとも我々が想像できる、想定し得る場面中国の存在というものは極めて大きなものであろうということは想像できると思うんです。  その中国が一体どっちに向かって動くか、どういうことを考えるかということは、これはまだなかなか想像しにくいところがある。なぜなら、中国は非常に透明度が低い。したがって、中国の指導者が中国をどういう方向に向けようとするかということが外からなかなかわからない。我々、今中国を見ても、その将来について想像することはなかなか難しいという状況があると思うんです。  一方、非常に間近に北朝鮮の存在というものがあって、ここはやっぱりテポドン、ノドンというものが彼らの中に、彼らが所持をしているということを考えれば、日本が、先ほどは必要悪ではないかと話をされましたけれども、我々が今我々自身を守るために一体どういう選択肢があるかといえば、少なくとも今我々が考えていくべきは、まずは外交努力によって周辺地域を安定的に安全な地域とする、こういう外交努力がまず必要だと思います。それから、節度のある防衛力といいますか、こういうものも当然必要になってくるでしょう。と同時に、日米安保条約というものも、安保体制というものも、少なくとも現状を考えて、現実の問題としてこれも私はやっぱり必要だということを言わざるを得ないと思いますね。  そうしたことを考えずに何か理想に走れば、それは無責任だと、あるいは自国の安全、防衛にとってどういう責任をとるかということになるというふうに私は思います。
  271. 田英夫

    ○田英夫君 そういう状態で次のステップを考え、またそれに向かっていろいろと手を打っていくといいましょうか、議論をしていくという、そういうことなしに日米安保条約の上にあぐらをかいていていいかということは言えると思うんですよ。現実に、安保条約の第五条というものは、非常に幸いにしてこれが発動されるという状況ではなくなってきていると。そして、ほとんど今安保条約は第六条というところに乗っかって、アメリカが、まさに嘉手納基地から飛び立ったEP3が海南島近辺で事故を起こしているという、そういうことになっている。これは日本は無関係じゃないと言えるんですね。  そうではなくて、私どもが提案しているのは、北東アジア総合安全保障機構を構築しようじゃないかというのが社民党の提案です。それで、国も八カ国と、こう明らかにしておりますが、それは日本と南北朝鮮とモンゴルと、この四つで非核地帯条約をつくり、またそれに加えてアメリカ中国とロシアとカナダと、こういうことまで明らかにしております。  総合安全保障機構をつくるということを一つの提案として出しておりますが、その先はまだ言っておりませんけれども、これは私は、党の決定ではありませんけれども、頭の中にあるのはまさに国連なんですよ。ARFという、つまりASEAN地域フォーラムというのがある。そうしたら、北東アジア地域フォーラムというものに名前は統一したらどうか。北東アジア総合安全保障機構というのは北東アジアにも、既にASEANにはできている、北東アジアにつくる、南太平洋にできる、それを全部総括してアジア太平洋総合安全保障機構と、それは国連のもとでつくる。  そうすると、既にヨーロッパはできておりますが、アフリカ、アメリカ大陸というふうに国連の手によって世界じゅうに幾つかの総合安全保障機構ができて、それを国連が統括するという姿になったときに、世界は国連の理想どおりの姿になってくる。これは二十一世紀中にというぐらい大きな夢のような一つの理想郷でしょうけれども、それを目指すべきじゃないだろうか。そういう方向をまず前提に考えると。  そこで、日本はまずどうしたらいいのかということになってきます。そうすると、今一番大事なことは、私ども日本国憲法第九条をどう考えたらいいのかということだと。  今現実には、与党の皆さんあるいは野党の一部も含めてこれを改めて、そして自衛隊を軍隊にしようという声がかなり声高に叫ばれている。鳩山さんもそのことを言っておられる。こういうことでいいのかと、憲法九条というものをそう簡単に変えていいのかと、私のような戦争体験者は思いますよ。本当にあの戦争で死んでいった私どもの仲間は、国を守るために喜んで死んだとは全く思わない。無念の思いで死んでいったんですよ。その結晶が憲法九条だと思う。もう絶対に戦争はしないと。  そして、世界も第一次世界大戦のあの悲惨な、それまでの戦争は軍人が死んでいた、多数。しかし、第一次世界大戦から民間人の方がたくさん死んだ。第二次世界大戦はもっとその比率が大きくなった。こういうことで、第一次世界大戦直後に世界は不戦ということが急速に盛り上がっていく。一九二八年のハーグの不戦条約というものがその結晶でしょう。そして国際連盟ができた。  しかし、これをぶち壊したのは何と日本ですよ。昭和の初め、世界不況の中で、ちょうど今と同じような経済状況の中で、そして汚職がはびこり、政官財の汚職、これに血気盛んな青年たちが怒った。それが右寄りに走っていって、五・一五、二・二六になっていった。そして、日中戦争へ広がっていくと。  第二次世界大戦直後にやはり戦争の悲惨な体験からできたのが国連憲章だと。その前文を読めばこれは御存じのとおりですよ。そして、そのエッセンスが日本国憲法の前文になっている。これをぶち壊したのはアメリカですよ。四五年に第二次世界大戦が終わって、わずか五年後に朝鮮戦争を始めた。  こういう歴史を見たときに、今度は二十一世紀こそ本当に不戦ということを実らせなくちゃいけない。特に日本はそれを先頭に立ってやらなくちゃいけないと私どもは思うんです。いろんなやり方があると思いますが、日本のやり方は非常に特異であることは間違いない。戦争をしないということですから、軍隊を持たないということですから。  例えば、永世中立というやり方をとっている、これも一つの安全保障政策です。スイスとかオーストリアとかありますね。これは、欧州局長がおられるけれども、この二つの国は実は同じ永世中立を唱えていてもやり方が違うと思いますが、ちょっと説明をしていただけますか。
  272. 東郷和彦

    政府参考人東郷和彦君) お答え申し上げます。  スイスにつきましては、一八一五年三月のウィーン会議、ここで締結されました議定書、それから同じ年の十一月にパリで採択されましたいわゆるパリ宣言、こういう国際的な枠組みのもとにスイスの永世中立というものが承認されました。その枠組みに参加した国がその永世中立を保障すると、こういう形になりました。  オーストリアにつきましては、一九五五年、自国の連邦憲法規定によりましてみずから永世中立を宣言いたしまして、これを諸国に通知して承認を求め、諸国がこれに明示もしくは黙示の承認を与えるということにより、永世中立という制度が成立いたしました。  以上でございます。
  273. 田英夫

    ○田英夫君 私は、その二つの国のやり方、特にオーストリアのやり方というのは非常に示唆に富んでいると思っているんです。  もう一つ、一九九八年にモンゴルが国連によって非核国家の地位というのを承認された。この手続について説明をしていただけますか。
  274. 宮本雄二

    政府参考人宮本雄二君) お答えいたします。  モンゴルの非核地帯というものにつきましては、九八年それから昨年二〇〇〇年の国連総会におきまして、モンゴルの国際安全保障と一国非核兵器地帯の地位と題します決議案をモンゴルが提出いたしました。この決議は全会一致で採択されておりまして、国連加盟国はモンゴルの非核地帯としての地位を尊重するという状況になっております。  これは、一九九二年にロシア軍がモンゴルから撤退した後、モンゴルの大統領が国連総会においてそういうふうな非核地帯としての意向を表明したものを踏まえ、九八年国連決議という形で結実したものでございます。
  275. 田英夫

    ○田英夫君 実は、モンゴルについては昨年九月に行きましたので、今、与党の人民革命党の総理大臣以下、外務大臣外務省担当者あるいは野党の社会民主党の人たちとも話しました。  この問題については、本当に与野党一致して、今言われたように九二年にまず自分たちが宣言をして、そして六年後に、いろいろ工作をした結果、各国の了承を得て九八年に国連総会で全会一致で承認をされた。大変な努力をしているんですね、このモンゴルは国を挙げて。中国とロシアの間にはさまって、自分たちの安全を守るために非常な努力をしている。そういうことを聞くと、日本はこれでいいのかとつくづく思いました。  そこで、一つの提案ですけれども、例えば本当に永世中立とか、今の核の問題とか、あるいはコスタリカは憲法でやはり日本と同じように非武装を決めていて、そしてその後大統領になられたアリアスさんが非常な努力世界にそれを認めさせたという、それでノーベル平和賞をもらっているわけです。こういうことを考えると、日本はただ憲法第九条はありますと、いやしかしそれは変えようというのが今かなり大きな勢いで出てきていると。本当にこれでいいのかと思わざるを得ないんですけれども。  そこで、私の提案は、どうやって第九条、特に第一項を世界に認知してもらうか。知る人ぞ知るでしょうけれども、世論調査によるとアメリカ人なんかはほどんど知らない、日本に憲法九条というものがあるということを。戦争をしない、軍隊を持たないということが知られていないという状況ですよ。  そこで、今のオーストリアの永世中立を国際的に認知させた問題、モンゴルの非核ということを国連で承認してもらったというこのやり方、これを一つのサジェスチョンとして、憲法九条の第一項の戦争をしないということを、私どもはそれを不戦と呼びたいんですね、不戦憲法と呼びたいんですが、不戦国家宣言とでも言うべきものを日本政府世界に向かって発信する。もちろん、その前にこの国会で衆参両院で全会一致でそのことを決めていただきたい。そして、それを受けて日本政府世界に向かって不戦国家宣言を発する、それを国連総会の場で全会一致で承認をしてもらう、これを目指すべきではないかと思います。  そうなれば、例えばどうしてPKOのときに軍隊を派遣して武器を持って戦うことができる、そういうやり方をとらないのかというような声や、あるいはアメリカ人は血を流しているのになぜ日本人は血を流さないのかというような声に惑わされることなく、日本は戦争をしない国だと決心をしたんだということを世界の人たちに認めさせる、国連の場で認めさせるということを目指すべきだと。  そして同時に、先ほど申し上げたように、世界じゅうが集団安全保障機構によってお互いに安全、総合的なですね、軍事的なことだけではなくて、お互いに環境を守ったり、あるいは人権を守ったり、さまざまな問題で、食糧が不足ならその域内ではお互いにやりくりをしようじゃないかと。大きな事業をするときにはお互いに助け合おうじゃないかというようなことをやっていくのが一つ世界の理想郷になるんじゃないか、こういうことを考えているということを申し上げて、最後に両大臣の御感想をいただいて終わりたいと思います。
  276. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 昨夜、私は国連の総会議長にお目にかかりました。ホルケリさんというフィンランドの方でありますが、国連の総会議長はきのう東京におられてきょうは広島に行くということでございましたから、私はぜひ広島へ行って広島をよく見てきてくださいということを申し上げました。  我々が国連で常任理事国に入りたいという希望を持っているのは、それは何もいろいろ言われるようなことではなくて、軍縮、不拡散という我々の主張、それから人間の安全保障という我々の哲学といいますか考え方、そういうものを持って常任理事国になろうとしているんですよと。そういったことが、なぜ我々日本がそういうことを主張しているかということが広島へ行ってこられるとよくおわかりいただけると思うので、広島をよく見てきてくださいということを総会議長に申し上げたところでございます。総会議長も、自分自分の記憶の中に広島という言葉は強く残っていると、あした必ず広島をゆっくり見てきますと言って帰られました。  私は、国際社会が日本に対して日本の態度というものをそんなに知らないとは思わないんです。かなり国連でもたびたび我々は演説をしていますし、国際社会が日本の態度というものを理解している部分が相当多いというふうに私は考えております。
  277. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) ことしは、御案内のように日米安保五十周年、サンフランシスコ条約五十周年という大きな一つの区切りで、評価がなされなきゃならない年だというふうに思っております。ただ、日本は随分繁栄してきた国だなという私なりの感想もございます。  一方、田先生、大変な幅広い見地からいろんなことをごらんになっていらっしゃるし、また大正、戦前、戦後、平成の歴史の語り部のような感がいたして聞いておったわけでありますが、二十一世紀に入って、これからの国家百年の計をおっしゃられた。しかし、これは世界百年の計のお話かなと聞いておりました。ただ、私、十分思いがいかないものですから、条件とか環境整備とかそういうのはどういうふうになっていくんだろうかなと。  そういう意味では、大変これからしっかり勉強せよという意味で激励をいただいたと思って、一生懸命勉強いたします。
  278. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  279. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほど同僚議員の発言の中で、当委員会はこれまで、ややもすると下世話なことあるいは低次元なことに関係し過ぎたのではないかという御発言がありました。何をもって下世話と言い、何をもって低次元と言うのかよくわかりませんけれども、多分一連の森総理の言動、この委員会でも随分議論されましたが、あの辺が下世話と、それから外務省の一連の不祥事、これが低次元と、こういう意味だろうかと思います。しかし、考えてみますると、政治も行政もその基盤は道義、倫理なんですね。道義、倫理を除いて空理空論的なことあるいは立派なことを言ってみても始まらない。まずもって倫理ありき、道義ありきと、こう言ってもいい。  しかし、永田町の長老議員の中には、倫理倫理でスズムシじゃあるまいし、飯が食えるかと、こういうことを言った方もおります。また、大変問題だと思うんですけれども、政治家に倫理は要らない、仕事がすべてだと、こういうことを言われた本当に立派な、大勲位までいただいた方もおるわけでありますけれども、こういう感覚がこの世界にある限り、この永田町から汚職事件がなくなることはまずあるまいと、率直に言ってそう思います。  大抵大体二、三年おきに汚職事件が起きまして、今もKSDでやられておりますけれども、何人かの同僚議員が逮捕されていく。これで終わりか、決してそんなことはない。やっぱりどこかに倫理なんというのはつまらぬと、どれだけ仕事をするか、それが大事なんだということが国会議員の中にあるからこんなことはなくならないんだろうし、また行政の方の一連の不祥事もそうだと思います。  外務省の不祥事、あれは不祥事を通り越してもう口で言うも恥ずかしいような大変な事件だと思いますけれども、あれについても同じようなことがあるのかと、こういう気もしないわけではない。そこで、ああいう事件がなぜ起きて、原因がどこにあるのか、これを徹底して解明しない限り、また何年かたつとどこかの省でああいうことが起きるということも大いにあり得る話だと思います。  そこで、この場で、一つの参考資料なんですけれども、これをちょっと読み上げてみます。外務省の機能改革会議の第一回会合の議事要旨、この中で川島外務事務次官が状況説明しております。これの二枚目の四から五にかけての部分で、松尾室長の就任以前は、「経理の話はそれぞれの地域局がきちんと処理していた。すなわち、上司の決裁を得て見積りを官邸に提出し、また、現金の授受も複数名で当たり、チェック体制が働いていた。」と。これは当たり前のことなんです、大金を動かすわけですから。役所の会計というのは本当に厳しい上にも厳しいわけで、一人が大金を持ち歩くなんということはまず考えられないことですし、それから、いろんな書類をつくって上司の決裁を求める。上司も一人二人じゃありませんよ。  役所の書類というのは判こだらけといってもいいぐらい、もう判こがべたべたつく。そのたびに上司一人一人が、これは大丈夫か、この点はどうだと。特に会計関係の書類とかそういうことになりますと、より厳重なんですよ。おまえ一人で勝手にやれなんということは絶対ない話なんですが、この五の方に行きますと、大変おかしいんですけれども、松尾室長の時代になったら彼がすべてをやるようになった、一人でやっていたと、自分の口座に公金を入れてクレジットカードで決済もするようになったと、こんなことは想像できないことなんですよ。  そして、この川島という人は、次官か何か知りませんけれども、大変おかしいことに、淡々とこれを機械的に述べているだけで、なぜ従前のきちっとした決裁体制がなくなってしまって松尾が一人で処理するようになったのか、その説明が全くなされていないんですね。こんなのは子供の報告と同じことです。やっぱり次官たる者は、どうしてこういうことになったんだと、根源にさかのぼって、みんなの意見を聞いて、そしてこの委員会の前できちっと報告をすべきです。この報告に対して、この委員、何か元検事総長も入っている大変格の高い委員会みたいなんですけれども、恐らくだれも質問しないで、はあはあそうかそうかと、こういうのは日当の不当な取得じゃないかという気もしないわけじゃないんですけれども。  これは外務大臣も私と同じように、この文章を見ておやおやと、これは何だと、こう思われたことは間違いない。ですから、すぐ報告者の川島次官を呼んで、これは一体どうしてこんなことになったんですかと、だれが考えてもおかしいでしょうと、こう質問をしたでしょう。その質問の結果、どういう回答が来たんでしょうか、それをお教え願いたい。当たり前ですよ。
  280. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 川島次官もそうですし、私も同じでございますけれども、その松尾元室長がどういうふうに室長として仕事をしていたかを説明しろと言われて説明をすることは、本当に恥ずかしいことです。本当にきまりの悪いことなんです。私は、普通の顔でしゃべっていますけれども、これは事実ですからこの事実を説明することは、私にとっては本当にきまりが悪い、恥ずかしい、つらいことです。恐らく川島君もここへ呼ばれて行って、説明をせよと言われて説明をした彼の心中は、もう本当につらい思いをしてこの話をしたに違いない。しかし、逃げるわけにはいかない、事実ですから。事実をきちっと説明して、そしてこの改革会議の方々の御意見をいただかなきゃいけないわけですから、彼は自分をコントロールしてこういう話を恐らく淡々としたに違いないというふうに私は思っています。
  281. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大臣のきまりの悪さをお伺いしているわけじゃないのでありまして、なぜこういう完璧な決裁体制、複数で現金も受け取りに行っているそういう体制が、なぜこの松尾一人の問題になってしまったのか、一体何なんだということをだれだって聞きたくなる、調べるでしょう、当然でありましょう。  あなたはそれを、だから私聞いているのは、調べなかったんですか、川島次官に当たって。もし彼が知らないと言えば、すぐ調べなさいと、それが次官の仕事ではないのかと、叱咤激励してすぐやらせるべきでしょう、やらせたんでしょう、多分。そういうことをやらせない大臣がいるとは思えませんからね。
  282. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まことに残念ながら、私はこうした事実を私自身も既に承知をしておりまして、こうした事実、こうした状況だったからああした問題が起きたという認識が私にはございます。  したがって、問題は、何としても再発を防止するためにはこうした仕組みを変えなければいけない。それは変えるといったってそんなに難しいことじゃない、当たり前の形に戻せばいい、あるいは当たり前の形をきちんとつくればいいということだというふうに思っております。  しかし、それにしても、このことによって外務省に対する信頼を失墜した、あるいは報償費というものに対する疑惑、疑念というものをもたらしたという事実はなかなかもとには戻らない。そこを我々としては苦悩をし、どう解決をするかということで考え込んでいるわけです。
  283. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほども言いましたけれども、あなた自身がこれを読んでおかしいと思わなかったんですか。しようがないじゃないか、もう何年もこういうことでやってきたんだからと、こう思って、さてと、こう言っただけなんですか。なぜこんな体制ができたのか、立派な体制があったのを崩してこんないいかげんなことになったのか、だれだってすぐそこを聞くでしょう、自分で知りたいと思うでしょう。こういうことになったについてはどこに原因があったのか、それが何よりの再発防止にもつながる道だということを考えるのが政治家の務めでありましょう。はて、どうしようかと悩みました、そんなこと、子供みたいなことを聞いているんじゃないんですよ。  副大臣、あなたにお伺いします。  あなたは法律資格もお持ちですから、今私の言っていることはよくおわかりと思います。あなたもこれを読まれておかしいとすぐ思ったでしょう、思わなかった。
  284. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) この議事録を読んでおかしいと思ったかどうかということではなくて……
  285. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 聞かれたことだけ答えなさいよ。
  286. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) いえいえ、そうではなくて、まさに今、調査委員会調査を命じられているところの大きなポイントがそこだと思うんです。  ですから、従前の、少なくともそれが完全であったかどうかはわかりませんが、複数による、他者によるチェックがなされていた体制がどうして彼一人の判断でできるようなことに変わったのかと、まさにその点を私たち調査委員会で解明をし、報告をしなければならないところでありまして、そうした作業を今しているところであります。
  287. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 その作業を始めてもう二十日以上、一月近くたっているんじゃないでしょうか。こんな簡単なことは駆け出しの検事だってすぐ調べますよ、こういうことは。なぜ半月もたってまだわかっていないんでしょうか。大体の見当はついているでしょう。その見当でもいいから、こういうことでこうなったらしいですよというぐらいでもいいから、正直に答えてください。
  288. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) ちょっと待ってください。  佐藤委員、質問の仕方をもうちょっと考えて質問していただきたいと思います。再質問してください。正直に答えろとか、そういうのは、この委員会にふさわしくない発言はやめてもらいたいです。  再質問してください。質問し直してください。
  289. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 あなたがいろんな疑問を抱いて今までやってきたでしょう。そのうちの所懐の一端でも調べの一端でもいいから、大体こうなっておりますよというぐらいのお返事をしていただければというふうに思うわけで、以上、丁重にお聞きしました。
  290. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) しかし、それほど簡単に調査委員会としての見解を示せる事態では私はなかったと思います。たくさんの方から私は事情を聞きました。  所感の一端でもということをおっしゃるのであれば、非常にもうずさんきわまりない体制であったということだけは確かであるというふうに思います。
  291. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 役所ですから、特に金の関係については完璧な決裁体制をしいて、何人もが決裁に当たって一人二人の判断じゃ右から左に行かないようになっている。外務省だって同じことです。どこの省庁だってそうやっているんです。この一人が何億という金を年間動かすなんということは、まず絶対に考えられないシステムなんですけれども。  初めてこれをやってみたというならまだわからぬでもないんだけれども最初は完璧な体制があった、それをやめて一人にやらせることにしたと。これだけの組織の変更になりましたら、もう役所の内部で大議論がありまして、恐らく事務次官クラスにまで今度はこういうことでやらせることにいたしましたと話が上がっていくわけですよ。松尾が一人おれがやるわという、そんなことじゃ何の意味もないわけですからね。  部長、局長、審議官、次官と、みんなで議論をして、じゃこの方が合理的だ、この方が便利だ、そうやらせるかと、あれは絶対間違いのない男だからそれでいいだろうというふうなことになってやらせるようになりましたとか、そういう合理的な説明がつくわけなんですけれども、普通の場合は。  当然、あなた方もそういうことで質問をし調査をなさったと思うので、それをお聞きしようと思う。これが今回の事件のすべてだと言っていいわけですよ。一人がやったからこんなことになっちゃったわけで、これは五人、十人でやらせておけば、絶対不正なんか起こり得ないわけですよ。  再発防止の一番の決め手は先ほど原因の究明だと、こう言ったでしょう。原因の究明をおろそかにして幾ら再発防止を論じてみたって、世の中はよくならない。外務省もまた同じことで、あちこちで同じような問題が起きて、同じことの繰り返しとしか思えない。なぜそれをすっきり解明しないんでしょうか。不思議としか言いようがない。
  292. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) どういう順序でお答えをしていいかわかりませんが、事件の真相を解明するということも重要だと思うんです。事件の真相を解明するために今捜査当局にお願いをして捜査はしていただいているわけです。その捜査当局の捜査によって、事件の真実といいますか真相といいますかが解明をされるということがやはり重要であろうと一つは思います。  もう一つ考え方は、私もここが一番問題だと思って、ここについては私自身も相当自分の疑問を解消するために努力をいたしました。それまでなかった要人外国訪問支援室なんという室をつくったというところから問題の発端が出てきたという感じもするんです。もちろん松尾室長の前任者は、室長ではありましたけれどもそうしたことはなかった。しかし、松尾室長になって、少なくともその室というものが上司、責任者との間にひどく直接的な指揮、命令、監督を受ける状況になくなった、そこが一番の問題だと思いますけれども。  それは合理的に仕事をしようという考え方、あるいはそういう考え方を利用されたかもしれない。そうした結果、支援室の室長が一人で仕事をするようになってしまった、しかもそれが何年も続いてしまったということについては、今、副大臣からも御答弁申し上げましたけれども、極めて組織として、ずさんと申しますか無責任と申しますか、そういう状況であったというふうに私自身も思っております。
  293. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 役所や役人というのは、そういうずさんなことをするようなことは絶対あり得ないんですよ。室長になったから、偉くなったから、あいつに全部やらせろ、そんなことを言い出す、考えつく役人すらいないはずですけれども、現にそういうことをやっているわけなんですよね。  そこで、私、本当に不思議でしようがない。外務省というのは役所の体をなしていないのかと、そこまでも言いたくなるわけで、室長は室長として、その上に決裁官というのがおって厳重に監督をしていると、これは当たり前のことなんですよ。そういうことが一切合財なくなっちゃった。今にしてみて、どうしてそうなったかもよくわからないと。こんな役所が一体この日本にあるのかとすら言いたくなるくらいでありまして、そんなひどいことはちょっと言いたくないんですけれども、でも答弁がはっきりしないからそう言わざるを得ない。  これはいつぐらいになったら、きちっとあなたの手で調査をして、そしてこの国会に報告していただけるでありましょうか。なるべく早くお願いしたい。
  294. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 松尾元室長自身の問題については、先ほど申し上げましたように、捜査当局に捜査をお願いしておりますが、松尾室長に付随するといいますか、その周辺で起こった問題については、今、荒木大臣調査委員長になっていただいて調査をいたしております。  今、こうした状況になぜなったかということにつきましては、私ども、繰り返し繰り返し調査をいたしておりますけれども、その我々の調査の中では、もう本当に信頼と申しますか、信用と申しますか、そういったもので、あいつがやるだろう、あいつがチェックするだろうという、お互いがあいつがチェックするはずだという感じで、ちょうどその真ん中に球がぽつっと落ちたというふうにしか思えない状況に今なっております。
  295. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に。  いつぐらいまでに調査の結果を御報告いただけるかと、こうお尋ねしたわけでありまして、その刑事事件の方はもちろん警察、検察がやっているわけですから、システムがこういうふうに変わったのは一体どういう理由で変わったんだと。これ、行政のことを尋ねているわけですから、警察がどうだこうだとかいう問題では一切ありませんから、どうか日付だけは、あと半月とか、何かそういうことだけははっきり言ってくださいよ。
  296. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 半月とか一カ月とかという日付を申し上げることはなかなか難しいと思います。  我々としても、全力を挙げて調査をいたします。
  297. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 では、終わります。
  298. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後三時五十一分散会