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2001-02-27 第151回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年二月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月八日     辞任         補欠選任         木俣 佳丈君     齋藤  勁君  二月二十二日     辞任         補欠選任         村上 正邦君     鴻池 祥肇君      矢野 哲朗君     成瀬 守重君  二月二十三日     辞任         補欠選任         成瀬 守重君     矢野 哲朗君  二月二十六日     辞任         補欠選任         吉田 之久君     長谷川 清君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         服部三男雄君     理 事                 佐藤 昭郎君                 鈴木 正孝君                 海野  徹君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 須藤良太郎君                 月原 茂皓君                 森山  裕君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 齋藤  勁君                 長谷川 清君                 広中和歌子君                 高野 博師君                 吉岡 吉典君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  斉藤斗志二君    副大臣        防衛庁長官   石破  茂君        外務大臣    衛藤征士郎君        外務大臣    荒木 清寛君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        岩屋  毅君        防衛庁長官政務        官        米田 建三君        外務大臣政務官  丸谷 佳織君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        警察庁刑事局長  五十嵐忠行君        防衛庁防衛局長  首藤 新悟君        防衛庁運用局長  北原 巖男君        防衛施設庁長官  伊藤 康成君        外務大臣官房長  飯村  豊君        外務省アジア大        洋州局長     槙田 邦彦君        外務省北米局長  藤崎 一郎君        財務省主計局次        長        丹呉 泰健君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (報償費横領疑惑に関する件)  (ハワイ沖練習船衝突事故に関する件)  (対中ODAによる光ファイバー供与に関する  件)  (米軍関係事件事故日米地位協定の見直し  に関する件)  (外務省所管社団法人国際協力会に関する件)     ─────────────
  2. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として齋藤勁君が選任されました。  また、去る二十二日、村上正邦君が委員辞任され、その補欠として鴻池祥肇君が選任されました。  また、昨日、吉田之久君が委員辞任され、その補欠として長谷川清君が選任されました。     ─────────────
  3. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) この際、国務大臣、副大臣、副長官大臣政務官及び長官政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。河野外務大臣
  4. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外務大臣河野洋平でございます。  服部委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  なお、公金横領疑惑及びアメリカ原子力潜水艦えひめ丸衝突事故につきましては、後ほど述べさせていただきます。  先般、外交演説にて申し上げたとおり、我が国近隣諸国との強い信頼関係を築くことが我が国外交の第一の柱と考えております。このためには、まず、我が国外交の基軸である日米関係維持強化に努めていくことが重要であります。私は、先月下旬訪米し、パウエル国務長官ライス大統領補佐官会談を行ってまいりましたが、今後とも日米同盟関係強化に積極的なブッシュ政権との間で、あらゆる問題について十分な政策対話を行っていくことが重要であります。  さらに、沖縄県の方々が背負っておられる多大な御負担を軽減していくため、引き続き誠心誠意努力をしてまいります。このような観点から、私は、一昨日沖縄を訪問し、稲嶺県知事を初め沖縄方々とさまざまな問題について意見交換を行ってまいりました。  二十一世紀の東アジアでますます注目を集めることとなるのは中国と思われます。日中両国相互理解相互信頼を増進し、安定した友好協力関係構築、発展させることは、地域ひいては世界の安定と繁栄のために重要であり、このため我が国としても努力を行ってまいります。  対中経済協力につきましては、両国経済社会状況などの変化を踏まえ、重要課題分野を一層明確にした支援を実施してまいります。  極めて重要な隣国たる韓国との関係については、現在の良好な関係を維持し、さらに強化していくため、政府間の協力強化するとともに、幅広く両国民の交流を促進してまいります。  最近になり国際社会との接触を急速に深めている北朝鮮との関係については、韓米両国と緊密に連携し、北東アジアの平和と安定に資するような形で日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組むことが重要と考えております。日朝間のさまざまな人道問題、安全保障問題については、対話を進める中で解決に向けて全力を傾けてまいります。  ロシアとの関係については、三月二十五日にイルクーツクにて日ロ首脳会談が行われる予定でありますが、引き続きさまざまな分野関係強化しつつ、四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結するとのこれまでの一貫した方針に基づき、平和条約交渉に取り組んでまいります。  同時に、これからの国際社会では各民族、宗教、文明が蓄えてきた英知や遺産を調和させて活用していくことが求められております。私は、異なる文明の間の対話を促進してまいります。  このような外交を展開するに当たり、服部委員長を初め本委員会皆様の御指導と御鞭撻を引き続き賜りたく、委員皆様方の御協力を改めてお願い申し上げ、私のごあいさつとさせていただきます。
  5. 服部三男雄

  6. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) 防衛庁長官斉藤斗志二でございます。  服部委員長を初めとする委員皆様にごあいさつ申し上げるとともに、防衛政策に関し一言申し述べさせていただきたいと思います。  防衛庁自衛隊は、我が国の平和と独立を確保するため不断の努力を重ねてまいりましたが、今後とも、我が国防衛に万全を期すとともに、大規模災害等各種の事態に迅速かつ適切に対応し、より安定した安全保障環境構築に貢献してまいります。  このため昨年末には、情報通信技術革命への対応災害派遣能力充実強化等を柱とする新たな中期防衛力整備計画が策定されたところであります。今後は、この新中期防に基づき、適切な防衛力整備に努めてまいる所存であります。  また、有事法制につきましては、国家国民の安全を確保するために必要なものであり、先日の総理施政方針演説に沿って検討を進めてまいります。  米国においてはブッシュ政権が発足したところでありますが、今後とも日米安保体制信頼性の一層の向上を図るとともに、沖縄県民方々の御負担を軽減すべく、SACO最終報告の着実な実施に全力を挙げて取り組んでまいります。  また、このたびの愛媛県調査実習船米潜水艦事故はまことに遺憾であり、被害に遭われた方々、その関係者方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。  私は、ラムズフェルド米国防長官電話会談を行い、捜索救難事故原因等調査全力で取り組んでほしい、また、船体の引き揚げも実施してほしい旨強く要請したところであります。  今後とも、防衛庁としては、米軍との緊密な関係を生かして最大限の支援を実施してまいりたいと考えております。  最後になりましたが、国の防衛には国民皆様の御理解と御支持が不可欠であります。私は、国民皆様との信頼関係のもとに、これらの施策の実現全力を尽くしてまいります。  委員各位におかれましては、当委員会における御審議を通じ、一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
  7. 服部三男雄

  8. 衛藤征士郎

    ○副大臣衛藤征士郎君) 外務大臣衛藤征士郎でございます。  服部委員長初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  公金横領疑惑や先般の米原子力潜水艦えひめ丸衝突事故を初め外交当局が対処しなければならない課題は山積しております。このような中、私は、河野外務大臣を補佐し、外務大臣としての職務を全うするため、全身全霊で取り組んでまいります。また、公金横領疑惑への対応につきましては後ほど河野外務大臣より詳細に申し上げますが、私自身外務省機能改革会議に常時同席し、会議参加者議論を直接に伺い、外務省機能の抜本的な改革に向けて全力で取り組んでまいります。  服部委員長初め本委員会皆様の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げまして、私の就任あいさつといたします。ありがとうございました。
  9. 服部三男雄

  10. 荒木清寛

    ○副大臣荒木清寛君) 外務大臣荒木清寛でございます。  服部委員長初め委員各位に謹んでごあいさつ申し上げます。  二十一世紀を迎えた国際社会において、世界第二位の経済を有する我が国に期待される役割は引き続き極めて大きいものがあります。このような中、我が国外交の諸課題に取り組むに当たり、私は、河野外務大臣を補佐し、外務大臣としての職責を全うするため全力を尽くしてまいる考えです。  また、後ほど河野外務大臣より申し上げます公金横領疑惑につきましては、私自身外務省調査委員会委員長となる形で同委員会を改組し、調査を継続しており、国民皆様信頼回復するため全力努力をしてまいる考えです。  委員長初め本委員会皆様の御指導と御協力をいただきますようよろしくお願い申し上げ、就任のごあいさつとさせていただきます。
  11. 服部三男雄

  12. 石破茂

    ○副長官石破茂君) 防衛庁長官を拝命いたしました石破でございます。  防衛力整備は脅威に対する最大の抑止力である、このように考えております。そのために必要な法律の整備、装備の充実全身全霊を傾けてまいる所存であります。  委員各位の御指導を心からお願いいたしまして、ごあいさつといたします。
  13. 服部三男雄

  14. 丸谷佳織

    大臣政務官丸谷佳織君) このたび外務大臣政務官を拝命いたしました丸谷佳織と申します。  河野外務大臣指導のもと、この大臣政務官責任を全うすべく全力を尽くしてまいりますので、服部委員長初め本委員会皆様の御指導と御鞭撻を心よりお願い申し上げます。
  15. 服部三男雄

  16. 岩屋毅

    長官政務官岩屋毅君) このたび防衛庁長官政務官の大任を拝命いたしました岩屋毅でございます。  斉藤長官石破長官米田政務官ともどもしっかり支え、防衛政策の推進に全力を尽くしてまいる所存であります。  服部委員長初め委員各位の今後の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
  17. 服部三男雄

  18. 米田建三

    長官政務官米田建三君) 防衛庁長官政務官を拝命いたしました米田でございます。  有事法制整備を初め取り組むべき課題が山積をしておりますが、長官、副長官を補佐させていただきながら、全力を尽くしてまいる決意であります。  委員各位の御指導と御鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。     ─────────────
  19. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会外務大臣官房長飯村豊君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省アジア大洋局長槙田邦彦君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛施設庁長官伊藤康成君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、財務省主計局次長丹呉泰健君を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  21. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、外務大臣から、報償費横領疑惑に関する件について報告聴取いたします。河野外務大臣
  22. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 松尾外務省要人外国訪問支援室長によります公金横領疑惑につき御報告を申し上げます。  まず、今回の事件によりまして、外交を預かる外務省に寄せられた国民信頼を裏切ったことは、何よりも国民皆様に対して申しわけなく、心からおわびを申し上げます。  本件については、一月四日に私の指示によりまして調査委員会が発足し、省内で調査を行った結果、同元室長総理外国訪問に係る公金を横領し、私的目的に使用した明白な疑いがあることが判明したため、同月二十五日に報告書を発表し、同日、松尾室長懲戒免職とするとともに同人を警視庁に告発いたしました。  問題となっております公金の管理を六年近くの長きにわたり一人の人間が行い、組織としてのチェック体制に不備があったため、問題の発生を未然に防げなかったことにつきましては、外務省責任を痛感いたしております。外務省が行いました調査には限界があり、同報告書をもって全容が解明されたとは考えておらず、捜査当局に積極的に今後協力をしてまいります。  さらに、荒木大臣を長とする調査委員会において、総理外国訪問に係る外務省体制上の問題を初め、公金横領疑惑に関連する事実関係などについて、さらに内部調査を行っております。  また、今回の事件再発防止を念頭に置いて、外務省機能を抜本的に改革するための提言を行っていただくべく、民間の有識者の方々により構成される外務省機能改革会議を今月九日に発足させました。同会議には衛藤大臣が常に同席する予定となっており、さきの第一回会合には私自身出席をさせていただきました。  私としては、同会合において、構成員方々外務省の仕事のあり方全般について自由に御議論をいただきたいと考えておりますが、具体的な問題意識としては、一つ、国民信頼回復理解の増進、二つ、組織体制上の課題、三つ、人的体制問題点及び人事運営あり方、四つ、チェック監査体制などの四点を提起させていただきました。今後、構成員方々に三カ月以内をめどに提言をまとめていただく予定となっております。  外務省といたしましては、以上述べましたとおり、事件解明について警察当局による捜査に全面的に協力し、内部調査を継続するとともに、外務省機能抜本的改革を行うことによって、外交に対する国民信頼回復するよう努力してまいりたいと存じます。  本委員会においても、可能な限り本件につき御説明を申し上げ、御理解を得られるよう努力していく考えでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  23. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 次に、外務大臣から、ハワイ沖練習船衝突事故に関する件について報告聴取いたします。河野外務大臣
  24. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日本時間十日午前、ハワイ沖において発生した米原子力潜水艦グリーンビル宇和島水産高等学校練習船えひめ丸衝突事故につきましては、事故発生後二週間以上たった現在においても、いまだ乗員三十五名中九名の方が行方不明のままであります。行方不明者の御家族皆様のお気持ちは察するに余りあります。  政府としては、えひめ丸引き揚げ、徹底的な原因究明などを米国政府に強く求めているところでありますが、この機会に、これまでの政府対応ぶりなどについて御説明を申し上げます。  事故発生後、直ちに私よりフォーリー駐日大使及びファーゴ米太平洋艦隊司令官電話をいたしまして、乗船者の迅速な救出について直接協力要請すると同時に、外務本省及び在ホノルル日本総領事館にそれぞれ対策本部を設置いたしました。また、防衛庁においても、斉藤防衛庁長官指示により、米側に対し、乗船者救出要請をされました。十日夜、私は、桜田外務大臣政務官現地対策本部責任者として派遣するとともに、十二日には、防衛庁協力を得て、米側からの捜索救助活動などの状況聴取を的確に行うため、潜水艦艦長経験を有する海上自衛官派遣いたしました。また、民間サルベージ専門家も同日派遣をいたしております。二十三日からは望月外務大臣政務官現地派遣いたしました。  米側に対しましては、我が国より、森総理ブッシュ大統領、私とパウエル国務長官斉藤防衛庁長官ラムズフェルド国防長官との間を初め、あらゆるチャネルを通じ、遺憾な事故が起きたとして抗議の意を伝えるとともに、捜索引き揚げ原因究明などに全力を挙げるよう要請をしてまいりました。  さらに、十六日には衛藤外務大臣をワシントン及びホノルル派遣いたしました。森総理、私、斉藤防衛庁長官の親書を伝達の上、本件に関して改めて遺憾の意を表明し、捜索引き揚げ原因究明等についての全面的努力要請いたしました。  これに対しまして、米側よりは、ブッシュ大統領を初め、あらゆるレベルにおいて、謝罪の意とともに全力を挙げて捜索に当たる旨の意図表明がございました。さらに、米国政府は、米海軍作戦部次長ファーロン大将謝罪表明のため特使として我が国派遣することを決定いたしております。  えひめ丸引き揚げ森総理も最重要課題と認識しており、これまでも米側に対し、あらゆる手だてを尽くすよう申し入れてきたところであります。  米側は、日本側要請を受けて、無人探査機スコーピオを投入し、その結果、水深約六百メートルに沈没しているえひめ丸を発見いたしました。米側は、引き揚げの決定は技術的実現可能性にのみ基づいて行うとしておりまして、我が国も、二十日に実施した、えひめ丸引き揚げ問題に関する関係省庁連絡会議の結果を受けて、二十二日にえひめ丸引き揚げに関する専門家ミッション現地派遣し、米側との協議を行っているところであります。  また、政府といたしましては、事故原因が一日も早く究明されるよう米側に求めてきております。  米海軍は、衝突事故に関する予備的調査を終え、衝突のすべての側面について調査するため、審問委員会を招集することを決定いたしました。我が国としては、本件事故解明のため積極的に米側協力する観点から、米側の招請に応じ、海上自衛隊の将官をアドバイザーとして派遣いたしました。また、米国家交通安全委員会、NTSBは、安全、事故再発防止観点から事故原因調査を行っております。  今後、政府といたしましては、引き揚げに関する調査を注視し、引き揚げ実現するよう、米側と協議しつつ全力を尽くしていく所存であります。また、引き続き、御家族並びに関係者の御意向を十分踏まえ、全力を挙げて米側と折衝をいたします。  以上、御報告を申し上げます。
  25. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 以上で報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  26. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 自由民主党・保守党を代表いたしまして、理事の鈴木正孝でございますが、若干の御質問をしたいというふうに思います。  ただいま、外務防衛大臣から、言ってみますと、行政運営のそれぞれ所管されております両省庁の基本的な考え方を御披露していただいたわけでございますが、何せ当面の緊急課題が先ほど外務大臣より報告がございました点を含めてございますので、この点に絞って御質問をしたいというふうに思います。  初めに、えひめ丸関係の御質問をしたいと思うわけでございますが、この事故によりまして、本当に水産高校実習生学生さんを含めていまだ九人の行方不明者が出ているというようなこと、大変痛ましいことでございまして、御家族あるいは関係者皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、けがをされた方も一日も早い回復を心からお祈りしたいと、そういう気持ちでいっぱいでございます。特にまた、若い学生さんにつきまして、心のケアを含めて、政府側としても十分これから対応していただきたいと、このように思っているところでございます。  事故は、そういう形で大変不幸なことでございましたけれども、発生をしてしまったということでございますが、新しいアメリカブッシュ政権の誕生、あるいは最近沖縄で起こっておりますいろんな海兵隊員の不祥事など、決して日米間が今波穏やかというようなことではないというふうに私も思っております。こういう事故が、言ってみますと、対応を誤りますと非常に日米間そのものに大変大きなマイナスの影響が出てくるということ、これはもう多くの方が心配もし、懸念もしている。  ですから、その事故原因究明あるいは再発防止、これはもう当然しっかりやっていただかなければいけないわけでございますが、それを踏まえた上で、日米関係にどういうような影響懸念が生ずるおそれがあるのか、その辺を簡単に外務大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今、鈴木議員からお話がありましたように、本件事故発生は極めて遺憾なことでございまして、政府としてもアメリカに対しまして、先ほど御報告申し上げましたようなさまざまなチャネルを通じて抗議の意を表明してまいりました。  他方、アメリカ側は、ブッシュ大統領を初めといたしましてパウエル長官ラムズフェルド国防長官、いずれも遺憾と謝罪の意を表明されました。それと同時に、この問題がぜひ日米関係に悪影響を与えないようにしていきたいという旨の発言もございました。  私どもといたしましては、まずはこの事故に遭われた御家族気持ちを大事にして、御家族方々の要望というものを踏まえて、米側ときちっと、米側主張すべきことは主張をしていかなければいかぬと思っております。と同時に、こうした我が方の主張あるいは御家族気持ち、そういうものをアメリカ側がしっかり受けとめてくれるということが日米関係をよりよく維持していくことになると考えておりますので、その点も私は付言をして、米側にはこの対応はしっかりやってもらいたいということを伝えてきておりまして、現在のところ、アメリカ側は、本日特使日本へ来られるわけでありますが、こうして大統領を初めとしてアメリカ政府として恐らく非常にこの問題を重要視しておられるというふうに考えておりまして、なお一層、我が方として言うべきは言うと、そういう状況の中で日米関係をいい形で維持していきたい。いい形でというのはきちんとした形でと言った方がいいかもわかりませんが、そういう努力をしたいと思っております。
  28. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今、外務大臣からお話しのような線で、ぜひ真摯に言うべきは言い、そしてまたやっていただくことはやっていただく、こういうことで対応をしていただきたいと、このように思っているところでございます。  防衛庁長官、この件につきまして、アメリカの国防総省あるいは米海軍などと、言ってみますと、艦艇運用の専門的な立場でいろいろと海上自衛隊あるいは海上自衛官をそれなりに派遣して、いろいろと積極的に大変タイムリーに迅速に対応していただいているように伺っておりますけれども、その後の状況等、お話しいただければありがたいと思います。  いずれにいたしましても、いろんな意味での原因究明ということが行われて、それに対して有効な再発防止策がとられる、そういうことによって、いささか波乱の海になりかかっているこの太平洋を挟んで、日米両国が友好な関係をさらに緊密に深めることができるように配慮をするということが大変大きな眼目だろうと思いますので、そういう観点で、防衛庁長官として非常にいろいろと対応していただいているわけですが、その辺をちょっとお聞かせいただけますか。
  29. 斉藤斗志二

    国務大臣斉藤斗志二君) まず、本件に関しまして、被害に遭われた御家族関係者に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。また、行方不明の九名、一刻も早く発見できたらなという期待を持っているところでございます。  今、委員から御指摘いただきました防衛庁自衛隊、どのような対応をしているかという中の柱の一つに人的な応援というのがございます。事故発生いたしまして、直ちに米国並びに外務省要請がございまして、専門的な知識等が必要という観点から、潜水艦艦長経験者二名をハワイに派遣いたしました。加えまして、米海軍審問委員会に対しまして、本件事故解明に資するものであるということから、米側要請に応じまして、潜水艦艦長経験を有する海上自衛官をアドバイザーとして派遣したところでございます。  本件の原因につきましては、現在、米当局が鋭意解明に努めているところでございまして、現段階で防衛庁としてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしろ、アメリカ側も精いっぱい事故解明には努めるし、また責任の所在も明らかにするというそういうことで申してございますので、今後アメリカによりまして、米軍によりまして明らかにされていくものだというふうに考えております。
  30. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今、両大臣からお話しございましたように、原因の究明あるいはサポート体制、しっかりやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  御家族あるいは関係者の非常に強い要望がえひめ丸引き揚げということになっているわけでございまして、これについても非常に強く要望を継続するということでぜひお願いをしたいというふうに思っておりますが、技術的に非常に難しいこともあろうかと思います。ですから、途中で失敗があるとかあるいは危険が伴うとか、そういうようなことがあろうかと思うんですけれども、そういう困難とか危険とか、これをアメリカ政府だけではなくて日本政府もそれを共有するという意識、これが日米間の真の友情ということを考えたときにかなり大事な要素になるのではないかというような思いも実はするわけでございまして、その辺を踏まえましてぜひよろしくお願いをしたいというふうに思っております。  また、昨日からの報道ですと、青森県の八戸の水産高校ですか、学生が何か急病でハワイ沖でやはりアメリカの沿岸警備隊のヘリコプターで搬送されたというふうな報道がされておりますけれども、こういうことも非常にありがたいことだというふうに片方で思うわけでございまして、そういうようなことを含めましていろいろと積極的にぜひ対応していただきたい、このように思います。  次に、もう一つの緊急的な課題でございますが、外務省の報償費取り扱いの問題、これにつきまして今、外務大臣から御報告がございました。いろいろとこの経過を私もそれなりに調べ、追って見ているわけでございますが、いろいろと見ますと、松尾室長本人から外務省に対して警視庁の事情聴取を受けたという報告があったのは昨年の十二月の二十日だというふうに承知をしております。それから、外務大臣報告がなされたのが二十四日ですか、そういうような事柄。年末年始があったにせよ、予算編成があったにしましても、先ほど外務大臣からお話のありましたように、一月四日に調査委員会を設けていろいろと事実関係の掌握に努めたというお話でございましたけれども、どうも端緒を得て、その後の外務省対応がいささか、事務的に考えてみましてもちょっと腰が重いといいましょうか腰が引けているといいましょうか、そういう感を否めないと思うんです。  これは外務大臣の、総括的な責任者ですからそれはそれとしましても、やっぱり事務当局が事実をきちっと深刻な事態だというふうに理解をし、それに適切な対応をするということに少し抜かりがあったんじゃないかというような印象を私、実は持っております。一生懸命その後は対応されているということ、これは私もそれなりに理解はしておりますが、例えば先ほどお話のあったような告訴を含めて、あるいは任意で調査をしているわけですから、それは確かに調査の内容というものには限界があるだろう、こういうふうに思っております。  そういうことを見ましても、調査報告松尾室長の個人的な犯罪だというような位置づけをしておるわけですが、どうも六年近くいろいろとチェック漏れがあって云々というようなことを聞いてみますと、組織全体で、意図はしなかったかもしれないけれども、結果的にそのような大変外務省全体の信用を損なう、日本外交の基軸にかかわるような大きなマイナスを生じてしまったということ、この点について、事務当局がもっとやっぱり深刻に思っていただいた方がいいというような思いがしているわけでございます。  それで、きょうちょっと、もう時間の関係もございますので、警察庁刑事局長に来ていただいているわけですが、一月の二十五日にこういう案件があるということで告発をいたしましたですね、外務省は警視庁に対してした。その後の動きを見ておりますと、どうも国民の目から見ると、警察は、これまた法治国家ですから法と証拠に基づいてきちっとやるというのはこれは言わずもがなの話で、当たり前の話なんですが、少しスピードが遅いんではないかというような印象を国民の多くが持っていることも片方の事実なんだろうと思うんです。  ですから、非常に言いにくいことかもしれませんけれども、捜査の進展状況をやはりわかりやすく、一般論で云々というような今までのワンパターンの、事件があるといつもそういう答弁をされるわけですが、そういうことではなくて、やはり政府全体の、日本政府の信用にかかわる問題だということで、もう少しわかりやすくお話を簡単にちょっとしていただけませんか。
  31. 五十嵐忠行

    政府参考人五十嵐忠行君) 警視庁では、去る一月二十五日、外務省からの告発を受けまして、これを極めて重要なものと受けとめ、証拠に基づいた事案の解明をできる限り速やかに行うため鋭意捜査を推進中でございますが、事案の解明には一つ一つの証拠の積み重ねが必要でありまして、このため関係者からの事情聴取関係資料の収集等を鋭意現在行っているところでございます。  現在捜査中の事案について捜査の具体的状況を申し上げることは今後の捜査に支障を生じるおそれがありますので、お尋ねの点につきましては答弁を差し控えさせていただきます。  しかし、いずれにいたしましても、警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて厳正に対処する所存でございます。
  32. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 いつもそういうような答弁ぶりになって、やむを得ないかなというようなことで大体終わるわけでございますが、法と証拠に基づいてもちろん捜査は厳正、粛々とやっていただくということでございますが、世の中では、どうもこれで警察は一見、うやむやにしちゃうんじゃないかというような、官房の報償費、そういうような性格、あるいは外交機密費、報償費というような性格上、そういうことが行われるのではないかというような疑惑の目でまた見ているということも片方の事実なんだろうと思いますので、その辺はよく踏まえた上でやっていただきたい、このように思います。  それから、ちょっと時間の関係もございますから、財務省の丹呉さん、外務省から聞きますと、この松尾さんというのは、言ってみますとどうも会計職員ではない。現金を内閣官房のどなたかから受け取ったときに、会計上の何らかの責任、権限のある職員ではないという話なんですね。こういうことが、宿泊費の差額ということであったにせよ、会計法上問題がないのか。受け取ってしまえば公金としての性格が消えるわけでは必ずしもないと思うんですよね、公的性格というのは。全く私的な資金ということではないわけですから。ですから、その辺どのようにお考えになっているのか、あるいは手続的に適正妥当であるというふうに判断をしているのか、その辺のお考えを聞かせていただけませんか。
  33. 丹呉泰健

    政府参考人丹呉泰健君) お答え申し上げます。  報償費は、国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じまして、その都度の判断で最も適当と認められた方法により機動的に使用する経費でございまして、取扱責任者に資金を交付した段階で会計法上は歳出として支出が終了したものとされております。したがいまして、一たん取扱責任者に支出された後の報償費の管理、使用、例えば今御指摘の本件について申し上げますと、内閣官房から外務省職員に宿泊費の差額の現金を渡すことは会計法令に規律されるところではございません。  ただ、会計法上の問題がないとはいえ、御指摘のように公金としての性格を有するために、当該資金の管理を当該費用の使途に照らして最も妥当と認められる方法により行う必要があると考えております。
  34. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 もう時間もございませんのであれなんですが、私は、この種の報償費、内閣官房あるいは外務省の持っておる費用というものは、予算というものは非常に大事な、必要性をこれは全く無視できないものだと思うんです。ですから、その取り扱いについてはやはり適法、適正妥当なやり方でやるというのがこれは国民が期待しているところでもございますので、今の財務省のお話でも、妥当性についてはいささか問題があるんではないかという趣旨のお話かと、こういうふうに思うんですけれども、やはり法律上漏れのないように、少し会計法規の改正等を含めましてやはり対応していただくことが大事ではないかというふうに思います。  いろんな機会にまたちょっと質問をする機会があろうかと思います。会計職員というのは本来責任と権限というものがかなり明確になっているわけですから、おかしなことがあれば弁償するということもあるわけです。それだけの重いことなんですよね。ですから、松尾さんが全然会計上の立場がないままにこの九億六千五百万というような巨額の現金を扱ったということ、そのこと自身、やはりチェック漏れだというような言葉では外務省事務当局は片づけられないと思うんです。これは国民の本当に大事な大事な税金で賄われていることでございますので、本当にその辺は深刻に受けとめていただいて、猛省をしていただき対策を講じていただきたい、このように思います。  以上で終わります。
  35. 海野徹

    ○海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹です。  本日は、松尾元要人外国訪問支援室長、彼の機密費の横領疑惑について中心的に質問させていただきたいと思います。  かなり多岐にわたって通告させていただいておりますが、多分すべてにわたって御質問できないかと思います。それはまた別の機会に述べさせていただくということで、まずもってお許しいただきたいなと思いますが、今、鈴木委員からも数々質問がありました。国民の税金ですから、極めて多額なお金が一人の人間のところへ集中して、多年にわたってあたかも自由気ままに裁量権は彼がすべて有するがごとく使っていっている。そのチェックが非常に甘かったということ、これは真剣に考えていただきたい。やはりこれは組織ぐるみと指摘されてもやむを得ない結果を生んでいるのではないか。それによって、これは省益だけじゃなくて大変国益が損なわれている。そういうような認識を私は持っていまして、非常に残念に思いますし、愕然とした思いであります。  そういう思いで質問させていただきますが、まず外務大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども、ある新聞の世論調査によりますと、機密費、これは必ず必要なんだ、外交上必要だろうと言われています。しかし、透明性も求めるべきだ、高いのが望ましい、それが四分の三、七五%を超える人が、必要だけれども透明性を高めてほしいということを言っています。  この高い機密費に対する支持、透明性をあわせてということですが、支持があるこの機密費ということに対して、なぜこのような高い支持を国民は持っておられるのか、外務大臣として御感想をお聞かせいただきたい。
  36. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 国民皆様にこの機密費について御理解をいただけていることは大変ありがたいことだと思っております。  正直申し上げて、なかなかわかりにくい性格のものでございますだけに、御理解をいただくことはなかなか困難ではないかという気持ちを持っておりましたが、お話しのように、新聞の調査その他を見ますと、機密費というものはあってもいいというふうに考えておられる方の比率が非常に高いわけでございます。これらは、やはり国政あるいは外交政策を推進いたしますために必要な部分を担っているということについての漠然とした理解があるということだろうと思います。  確かに、外交政策を推進いたします上で我々にとってまず一番重要なことは情報収集でございます。的確な情報の収集がなければ外交政策を組み立てる、あるいは外交政策を適切なタイミングで進めるということは必ずしも安心できない部分があるわけでございます。もちろんすべてがそうした情報活動によって支えられているわけではありませんけれども、しかしそうした情報が必要であるということは私も実感を持って感じております。  そうしたことは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そういった先進国がそれぞれ情報活動というものに非常に積極的で、そうした国との情報の、何といいますかお互いに情報を交換し合うということも物によってあるだろうと思いますし、とりわけ日本のように軍事力で国を守るということでない以上、かつて言われましたように、耳の長い性格を国として持つ必要があるということについての理解が相当あるのだというふうに私は思っております。
  37. 海野徹

    ○海野徹君 情報収集、日本の置かれている今の現況を考えた場合、大臣のお考え、非常に私どもも一致するわけなんですが、とにかく機密費をなぜ使っていいかというのは、要するに国の命運を決するとき、あるいは運命が左右されるようなとき、非常に速やかに有効的に活用してほしい、それは必ずあるんだ、外交というのは国益のために体を張って、命を張ってやってほしい、そのための費用だったらそれを負担してもいいよということだと思うんですね。  しかしながら、そうどんぶり勘定で使ってもらっちゃ困る、やはり透明性が欲しいということなんですが、外務省外交機密費については、ふだんどういうような取り扱いをしていらっしゃるのか、決裁権はだれが持って、どのような管理をしていらっしゃるのか、その点についてお伺いします。
  38. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) お答え申し上げます。  外務省報償費の執行体制につきましては、外務省の本省においては、各事案、案件ごとに担当する各局部が、使用目的、金額等を記載した文書を起案しております。局部長以上の取扱責任者、会計課長、官房長、場合によっては次官以上の決裁を経ることになっております。この決裁手続の終了後、外務省官署支出官、これは具体的には会計課長でございますが、支出決定を行い、当該支出決定に基づきまして財務省センター支出官から取扱責任者に対して支出が行われ、その後、取扱責任者から役務提供者に対する支払いが行われているというのが実態でございます。  最後でございますけれども、在外公館におきましては、取扱責任者である公館長の決裁を経た上で、所定の手続を経て支出しております。
  39. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、松尾室長の決裁に関する上司、今のシステムからいうと、彼の上司はどういうような方がこの六年間にどのように関与してこられたんですか。
  40. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 松尾室長の場合は、彼が扱っておりましたのは外務省の報償費ではございませんで、内閣官房の報償費でございました。  それで、松尾室長の直接の上司は官房の総務課長でございますけれども、この官房の総務課長自身は、松尾自身がこの官房報償費につきましてみずから一人で見積もりを立て、支払いを行い、精算を行ったということを承知していなかったというのが実態でございまして、ここにチェック体制の不備があったというふうに考えております。
  41. 海野徹

    ○海野徹君 官房機密費だから外務省は一切知らなかったと、そういうことなんですか。  松尾室長の預かっていた現金というのは六年間で約九億六千万ということを言われていますね。それは報償費とか宿泊費用と。しかし、内閣官房職員分というのは四億二千万だと。あとは随行員、これは外務省からの派遣の随行員分が五億四千五百万と言われているんです。外務省のお金が入っているんですよ。それで知らなかったということはないんじゃないですか。  しかも、内閣官房職員分の方は領収書がきちっとあるんですよ。外務省の方の領収書は彼がつくった領収書なんですね。こういう対応というのは非常に不自然だと思うんですが、そういうチェック外務省としてはできなかったんですか。
  42. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) お答え申し上げます。  松尾室長就任する以前におきましては、これは外務省の地域局が総理の外遊につきまして所管いたしておりまして、その時点におきましては、その上司、各局の課長でございますけれども、松尾室長が内閣官房より差額の補てんを受けていた、旅費の差額の補てんを受けていたということは承知していたというのが私どもの関係者の事情聴取でわかっております。もちろん、会計文書が既に残っていない時点でございますので完全には掌握できませんけれども、私どもの事情聴取からはそういうことが判明しております。  他方、松尾室長室長就任いたしましてから、この内閣官房から旅費の差額の補てんを受けるようになったということでございますけれども、それについては、松尾室長は直接の上司、総務課長に報告をしておりませんで、この点からチェック体制が不備になり始めたというふうに私どもは認識しております。
  43. 海野徹

    ○海野徹君 では、この質問はまた後ほど細かくさせていただきますが、外交機密費について内規がある、情報収集の名目で、飲食費用として局長級が年間六百万とか、あるいは課長級で五十万、あるいは外務大臣、事務次官、外務審議官ですか、そういうのは無制限だというような内規があるということなんですが、先ほど外務大臣、情報収集をするというのは外交政策上必ず必要なんだ、外交戦略上これは要するに基本なんだというお話がありました。  しかし、飲食費用にこういうものの枠がある、仮にあるとしたら、それによって情報収集があればいいんですけれども、だけれども、これがそうじゃない形で使われているとしたら大変これは国民にとって、先ほど機密費は何なのか、なぜ期待しているのかということとは全くかけ離れた状況になってしまうと思うんですが、その辺の実態はどうなんでしょうか。
  44. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 情報を収集する方法についてはいろいろな方法があると思います。それは相手によっても違いますし、それから国情によっても異なってくると思います。必ずしも一つのパターンで情報収集ができるというわけではございません。それは御承知のとおりでございます。  一般的に、情報提供者と申しますか、情報を持っている人間から話を聞き出そう、あるいは話を聞こう、あるいはさまざまな状況について話し合おうというときには、食事に誘うあるいは食事をしながらというのが、日本人も大体そういう気分があるのと同じように、国情によってでございますけれども、他国にもそういう感じは多くあるんだろうと思います。  私は、いろいろな情報収集の方法、手段というものは、それぞれの在外公館、もちろん本省でもそうですけれども、在外公館はそれなりに工夫をし、先方の趣味を考えて、調べて、趣味に合ったものでやるということもありましょう。しかしいずれにしても、そうしたときに一つの、何といいますか、目安のようなものは考えるということはあっても不思議ではないというふうに思っているわけです。  もちろん、金額が幾ら幾ら、これ以下ならよろしい、これ以上ならだめとかという、そういったことがあるというふうには私は思っておりませんけれども、いずれにしても、一つの、議員がおっしゃいますように貴重な国費を使わせていただいている以上は、そうした目安というものはあっても不思議ではないというふうには思います。
  45. 海野徹

    ○海野徹君 目安というのは確かに必要だと思うんですが、それが、目安が常態化すると、それを使い切るということが、要するに使い切ることが目的化しちゃうんですよね。それが一番恐ろしいんですよ。予算編成のときよくシーリングをやりますが、シーリングをずっと続けていきますと、そのシーリング内だったら何でもやってもいいんじゃないかということで財政規律が非常に弛緩していくというようなことと同じで、その目安があって割り振りがあったとしたら、それは本来収集すべき情報じゃないところへ使う、本来戦略的に情報収集すべきところに使えないということにもつながっていくんじゃないかなと。私はその辺、極めて有効じゃないし機動的じゃないと、そんなふうに思うんです。  だから、不用額というのは非常にふえるんじゃないですか。何百円、何千円の不用額しかないということは、我々も決算をずっと、私も市会、県議会、ずっとやってきたんですが、あり得ない話なんですね。不用額が何百万あったり何千万あるということもあったり、あるいはだからそのために明許繰り越しもあるんでしょうけれども。だけれども、何百円単位でしか不用額がないというこの実態というのは、じゃ大臣、どう思っていらっしゃるんですか。  それともう一つ、情報収集、確かにいろんな飲食を伴いながら、あるいは相手の状況に合わせながら、国情に合わせながらやる、これはもう当然その積み重ねがいろんな戦略的な国際的な外交メッセージを伝えることになると思うんですが、例えば、今度イラクに空爆がありましたよね、米英軍の。ああいうことも事前にはそういう情報収集としてはあったわけですか。  そして、あるいはペルーの大使館が襲撃された、あれもそれのためには機動的にこの機密費というのは使われたんですね。  その辺、三点ほど具体的な例を含めてお答えいただきたいと思います。
  46. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これは、もう議員の御指摘は一々ごもっともで、私としてはそれについてあれこれ申し上げる言葉が実はないわけでございます。  私は、最も反省をいたしておりますのは、やはり外務省職員の意識、それ自体が変わらなければこの問題は完全に解決しないだろうというふうに思っているわけです。もちろん、こうした問題が起きましたのは、先ほど官房長からも申し上げましたように、一人の人間が長くその場にあった、あるいはチェック体制が極めて不十分、不十分といいますか、チェックがなかったという状況が我々わかってきたわけですから、そうした点は直していかなきゃなりません。制度的にそうした問題は直していきますけれども、しかしそれと同時に、やはり外務省の人間の意識が変わる、もっと変わってこなければだめだという感じを私自身しているわけでございまして、この意識改革というものが外務大臣としてどうしてもやらなければならない大事な仕事だというふうに思っております。  今、後段お話がありましたように、米英によりますイラクに対する攻撃あるいはペルー事件、これら具体的に議員例示を挙げられましたけれども、その一つ一つの例示について私どもがどういう情報を持っていたか、あるいは持っていなかったかということを含めて、これはなかなか申し上げることは難しいので御理解をいただきたいと思いますが、私どもとしては世界各国にございます在外公館を使いまして相当さまざまな情報を入手いたしております。もちろん、そういうことがなければ、例えば旅行者の安全を確保すること一つとってみても、必ずしも安心して国民皆様に情報は出せないわけでございますから、これらを含めて細かい情報からあるいは大きな戦争の予知なんということに至るまで情報というものは重要であるということはここで申し上げていいかと存じます。  問題は、どれだけ情報収集能力が今あるのかというふうにお尋ねがありますと、私としてこれはなかなか計量的に申し上げられないのでございますが、やはりかつて我が方が得ていた情報によって、その情報の正しさゆえに相当同盟国の中で高い評価を得たということも聞いておりますし、それらは一つ一つの努力の積み重ねであって、何かあるから急いで情報収集をしようといっても、それはなかなかできることではない。日常、日ごろの情報収集活動というものが積み重ねられて初めてできるものだというふうに思っております。
  47. 海野徹

    ○海野徹君 今、大臣が、要するに意識の改革が必要だという話がありました。それはまさに私、守るべきものは精神であって、変えるべきものは制度だろうと。必ず制度というものは制度疲労を起こしますから、ある意味ではそれをつくったのは人間でありますから、その意識が変わっていけばある意味では制度は変えなくてもいいかもしれません。  そういった意味での意識改革というのは、内発的な、要するに自己改革というのは外務省に今求められているのじゃないかなと、これは全職員に。それは全くそう思います。それだけに、この不用額が少ない、あるいは予算規模がほぼ一定しているということは、いま一度御検討していただいて、外交戦略として中長期的に、どの地域にどういうような外交戦略を持っていくかと、その辺のことを基本的に考えていただかないと抜本的なメスを入れるということはできないんじゃないですか。その点はどうなんでしょうか。
  48. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外交戦略と申しますか、大きな外交政策を立案するといいますか、見ていくために、外務省の中には総政局という局があるわけです。この総政局を私はもう少ししっかりと活用するということも一つの方法ではないかというふうに思ったりいたしておりまして、どこかで、今議員がおっしゃるように、一体どういう地域に今一番情報が必要であるかということはやっぱり見ていく必要がある。  ただし、これも繰り返しになりまして恐縮でございますが、やはり平時、情報収集というものが積み重ねられていくということも大事で、ここはもう今は安定しているから情報は要らないというわけにはいかないわけでございますから、それはきちっとした上でアクセント、ニュアンスを考えるということは、私考えたいと思っております。  それから、予算を使い切ることについては、もう少しちゃんと目を光らせておけという御注意は御注意として伺っておきます。ただいずれにしても、仮に目安というものがあって決めたとしても、その範囲内で予算を執行いたしますにつきましては、先ほど官房長から申し上げましたように、それぞれ起案をして、決裁をして、一つ一つの支出についてやっているわけでございますから、そこのところもぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  49. 海野徹

    ○海野徹君 官房長にお伺いしますが、要するに必要な経費であれば堂々と費目を立てて計上していけばいい話なんですよね。別に報償費というのは法的には機密じゃないですから、非公開ということにはなっていないんですね。法的根拠はないんですよね。だから、どの程度でどのぐらいのものが、要するにこういう形で使いますよということがわかる部分がたくさんあるはずなんです。それで公開もできるはずなんです。  どうなんですか。費目を立てて予算編成をしていくということについては、お考えはどうなんですか。
  50. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 御質問の趣旨、私必ずしもきちっと把握していなかったかもしれませんけれども、外務省では、例えば交際費とかそういった別途儀礼的に使うための予算はございます。他方、報償費につきましては、機動的に、かつ外交交渉あるいは外交関係を有利に導くために機動的にその都度の判断で使うという予算でございますから、その報償費そのものについて内容的に今、委員がおっしゃられたように区分けをして使うあるいは予算を立てるということは難しいかなという気がいたします。
  51. 海野徹

    ○海野徹君 この議論は後でまたしたいと思いますけれども、実際、ある程度目安があってそれぞれ使われているということである。それで、宿泊費あるいは旅費とか、要するに公開してもいいようなものがあるわけですよ。だから、それは峻別しなさいと、できるんじゃないですかという話なんですよ。  では、その次の質問、もう時間がありませんから入らせていただきたいと思いますが、今回の事件、告訴ではなくて告発をしていますね。告訴ではなくて告発をしている。第三者としての立場で告発したということで、外務省というのはある意味では、いや私のところは関係ありませんと、非常に彼個人でやったことだということで、どうも責任逃れしているんじゃないかなというようなニュアンスを告発ということから受けるんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  52. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) 告訴につきましては、委員御承知のとおり、被害者等の告訴権者から捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示でございまして、他方、告発は、犯人及び告訴権者以外からの犯罪事実を申告して、その捜査及び訴追を求める意思表示であるというふうに理解しております。  先般の外務省調査の結果、松尾室長の横領の対象は、外務省報償費ではなくて内閣官房所管の報償費であることが判明した次第でございます。したがいまして、外務省といたしましては告訴するという立場にはないため、関係法令に基づきまして警視庁に対して告発をした次第でございます。
  53. 海野徹

    ○海野徹君 いろいろな口座の数が、要するに松尾室長の口座、彼の名義の口座が幾つか言われていますね。新聞報道でも、二十四とか三十とか、あるいは多い人では四十とかという指摘があるわけなんですが、実際外務省調査したのはそのうちの第一勧業銀行虎ノ門支店の二口座だけですよね。  なぜ二つだけに絞ったんですか。その結果として告発になったんでしょう。違いますか。ほかの口座をすべて調べてみれば、告発ではなくて告訴ということもあり得たんじゃないですか。  その辺の理由は、ちょっとお聞かせください。
  54. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) お答え申し上げます。  まず御理解をいただきたいと思いますのは、私どもが行いました調査は、強制的な捜査権を持たない中で松尾室長から任意の事情聴取をし、任意の資料提供を受けて行ったわけでございます。その中で、松尾室長自身からここに公金を入金していたという説明があって、提供されましたのが第一勧業銀行の二口座でございます。その二口座を洗いました結果、一定の期間に五千四百万円の公金の横領が行われたということが判明したわけでございます。したがいまして、この公金というのは内閣官房の報償費であるという認識に基づいて告発したわけでございまして、全体としてそういう外務省のある種の限界の中で調査を行ったということを御理解いただきたく、現在この告発に基づいて警察当局がお調べいただいているわけでございますので、その捜査に対しては私どもとしては全面的に協力していきたいというふうに考えている次第でございます。
  55. 海野徹

    ○海野徹君 時間がありませんから、最後に指摘だけさせていただきますが、私はどうしても、松尾氏からの流用ということで外務省としては距離を置こうとしている、非常に責任逃れのようなことを、意図的なものを感じるんですよね。  先ほどペルーの事件を言いました。ペルーの大使館の襲撃事件で機密費が大量にそのとき松尾氏の口座に入っているんです。そのときから口座の数が極端にふえているんです。そういう事実があるということを指摘して、また次回に質問させていただきます。  ありがとうございました。
  56. 益田洋介

    ○益田洋介君 外務大臣にお伺いしたいと思います。  今月十六日、突如としてアメリカとイギリスの空軍がイラクを空爆いたしました。爆撃の対象になった地点というのは、バグダッドの防空拠点を中心にしました五カ所にわたる司令・通信施設、それからまた管制センターでございました。  二十日、アメリカの上院外交委員会が発表したところによりますと、このときの五カ所のミサイル基地爆撃の目的は何だったのか、直接的にはこの五カ所の拠点、ミサイル基地を地中で結ぶ光ファイバーケーブルの敷設をしていた工事を中断させ、また破壊させるためだったという発表を行っております。  問題は、この外交委員会は、中国がこの資材を、また技術提供をイラクに対して行った、それが国連で定める対イラク禁輸に違反する可能性が強い、濃厚であると、そういうことで追及するんだという発表をしたのに加えて、中国にそれでは光ファイバーの技術と資金供与をしたのは日本の対中国ODAではないか、その点についてもこれからきっちり調査をしたいと、こういう発表をしている。  何回かこの委員会においても私は外務大臣と、対中国ODAへの我が国の姿勢、検査体制、それから実際にそういうものは必要であるのかどうかという事前の検討、そういうものを日本はしっかりこれから進めていくべきであると繰り返し申し上げてきたわけですけれども、またここに来てこういう問題が起きている。  最初にこのODAの供与が行われた、このプロジェクトに対する日本から中国に対する資金提供とそれから技術供与については、一九九六年、広州でのルート約四千キロに邦貨にして五十四億円を拠出している。これは資金提供だけでございまして、そのほかに材料費ですとかそれから人材を派遣してまたその技術指導をするという費用は含まれていない。  私は外務大臣お願いしたいんですが、米国もこういう調査に入ったわけでございます。我が国政府としてもぜひともこれは調査していただきたい。仮に上院の外交委員会の言うように、我が国政府が供与したODAを中国がイラクに対して、国連で禁止している対イラク禁輸に対する規則に違反するといったようなことを我が国政府が根っこになってもし行われていたとしたら、これは非常にゆゆしき問題で、とりあえず、最初に供与が行われた九六年から今日に至るまでの年次ごとの供与額、総額、そしてそれはその資金の額だけではなくて全体のコスト、要するに技術供与も含めて材料費、そういうものの一覧表を当委員会に提出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  57. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) ただいま委員の御質問の点でございますけれども、一部の報道の中で言及のございました中国に対するODA援助、これは御指摘のとおり九六年に供与を決定いたしました円借款案件、広州―昆明―成都光ケーブル建設事業であると考えられます。  この事業は、光ファイバーそれから伝送機器等、完成した資機材を購入するためのものでございまして、我が国の高度な技術移転を伴うものではございません。加えて、中国における長距離光ファイバー伝送路の建設は、中国自身も八〇年代後半から努力してきておりまして、円借款を供与する前の九五年末の時点で中国国内では既に約十万キロの光ファイバー伝送路がつくられていたと承知しております。したがいまして、我が国ODAによりまして中国が光ファイバー通信にかかわる技術、設備を開発したとは考えておりません。  この点につきましては、中国の関係当局にも確認いたしまして、中国当局の方は、円借款で建設、開発した施設がイラク輸出に使われた、こういうことはないということを言っております。  他方、今委員の御指摘のございました、このとき以降の毎年の実績等については、追って提出をさせていただきます。
  58. 益田洋介

    ○益田洋介君 これだけ嫌疑をかけられていて、しかも対中国ODAの使われ方について問題が生じたのはこれは初めてではないわけでございまして、外務大臣、どうか精査をしていただいて、その精査結果も提出していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  59. 高野博師

    ○高野博師君 今、同僚議員から中国の問題がありましたので、私も一つだけ教科書問題についてお伺いをしたいと思います。  今、教科書検定問題で中国、韓国からいろんな意見が出されているわけですが、歴史的な事実を改ざんするというのはこれは許されることではないと思いますが、教科書検定基準に近隣諸国条項というふうなものが入っているという、この点についても若干いかがかなと私は思っているんです。  最近読んだ本に、実は領土問題を含めまして沖縄とか樺太は中国の領土だと中国の教科書に書いてあるんだと、こういう本をちらっと読んだものですから、これは本当に事実だとすると大変なことだなと。  そこで、日本側の教科書はいろいろ言われていますが、中国側の教科書がどういう歴史記述をしているのか、あるいは中国の領土、地理の教科書にはどういうふうに書いてあるのか、これは外務省は御存じなんでしょうか。
  60. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員が御指摘になりましたように、中国、韓国は我が国の隣国でございますし、歴史的にも極めて密接な関係がございます。御承知のとおりでございます。  そういう中で、今御指摘の地理の教科書の問題でございますけれども、私どもが承知をいたしておりますところでは、中国の最も代表的な中学高校用地理教科書を見る限り、沖縄とサハリンについては特筆すべき記述は見当たりません。ただし、尖閣諸島についてはいわゆる台湾省の一部という記述がございます。
  61. 高野博師

    ○高野博師君 わかりました。  私が読んだ本は「敵は中国なり」という本なんですが、そこの部分にそういう記述がありまして、私は驚いたんですが、そういう事実がないということであればそれは結構でありますが、それが若干あるのかなと、あるいはもっと古い教科書には書いてあったのかなという気がするんです。これはぜひ外務省でもう一度調べていただきたいと思います。
  62. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘がございましたので、よく調べてみます。
  63. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、日米地位協定に関連して御質問をいたします。  河野大臣も橋本大臣も、先般はこの地位協定については、放火事件とかあるいは在沖縄米軍トップの中傷メール事件とかいろんな事件が起きている。そしてまた、最近はえひめ丸と原潜の衝突事故があった。日米同盟関係強化したいというブッシュ政権の強い意向の中でいろんな事件が起きているわけですが、私は日本側の対米感情が悪化することはないのだろうかという、そういう懸念を持っておりますが、今の日米関係のいろんな現状の中で大臣はどういう御認識をお持ちでしょうか。
  64. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私、一昨日沖縄に行ってまいりましたけれども、やはり沖縄におきましてはアメリカに対する感情は決して今いいとは言えないと思いました。もちろん、これはすべての人がそうというわけではございません。  私は沖縄でとりわけ知事を初めとする市町村の首長さんに多くお目にかかりましたけれども、そうした方々は私に対して、自分たちは安保条約の存在というものは認めている、しかしながらそれに伴う基地周辺に起きる事件事故というものは自分たちとして到底我慢ができない問題があると。こうした問題については何とか、事件事故の再発を防止するなり、あるいはこれは県議会あるいは幾つかの自治体の議会の決議などにございますけれども、兵力の削減などの決議がございます、そうしたことをよく考えてほしいと。これらは外務省といいますか、外務大臣に自分たちは要請する、外務省あるいは外務大臣アメリカに対してしっかりとこうしたことを交渉してもらいたいという、首長さんたちはそういう御議論でございましたけれども、新聞、メディアを拝見する限り、やはりここ一、二カ月続発をいたしております事件事故については、沖縄の県民の皆さんの感情は決していい方向には行っていないというふうに私は感じております。
  65. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、日米地位協定の改正について、大臣発言は先般よりも若干後退した、要するに改正、改定ではなくて運用の改善で対処したいという、そういう発言が報道されているんです。今までいろんな事件が起きるたびにこの改定問題が出ているわけですが、私は、これはもうドイツと同じように国内法優先という、こういう原則に基づいて日米地位協定の改定に踏み込むべきではないか、それが日米の同盟関係強化にかえって私はプラスになる、つながる、信頼性強化すると、そういう認識をしているのでありますが、この改定について、日本国民のあるいは沖縄の県民の感情も踏まえてぜひ交渉を行っていただきたいと思っております。  それで、ちょっと時間がありませんので、若干地元の問題で恐縮なんですが、私は所沢に住んでおりまして、所沢には米軍の通信施設、基地があります。これは九十七ヘクタールという膨大な土地でありまして、所沢市が三十三万の人口を擁している、その住宅地のまさにど真ん中にあります。これは過去にも二回ほど一部返還がされております。  しかし、今はこの通信基地があるために周辺の交通渋滞が物すごい、特に夕方はほとんど動かない状況になっておりまして、私も時々そこを通るんですが、そしてこの渋滞によって、またアイドリングによっての環境汚染も相当なものだと。そこで、地元の所沢市としてもあるいは県としても、何度も政府に要望を出しておるんですが、私ども先般、二月の二十一日に東京防衛施設局長、佐治局長の方に要望をいたしました。    〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕  そこで、この通信基地に、真ん中に東西を結ぶ連絡道路をつくれば相当の渋滞の解消になることは間違いない。今通信基地には米軍は住んでおりませんので、米軍との関係での問題は何も起きておりません。ただ、住民の不満は相当高まりつつあるということは間違いない事実なものですから、東西連絡道路をつくるという点での一部返還を米軍側と交渉していただきたいということで、ぜひ大臣防衛庁長官お願いしたいと思っておりますが、まず大臣、いかがでしょうか。
  66. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これは防衛施設庁からもあるいは御発言があるかと思いますけれども、私は、米軍の施設がどういうふうに使われているかということも十分把握をしなければ責任のある御答弁はいたしかねますけれども、しかし今、私は、一般論で申し上げますが、例えば交通渋滞で住民が非常に困難な状況にある、とりわけ環境の悪化というような問題でその周辺に住んでおられる方々にとって非常に難しい状況にあるというような場合には、米軍に対しても協力を求めるということは当然だと私は思っています。  ただ、それによってどれだけその環境の悪化が解消するのかどうかといったこともよく調べなければなりません。ショートカットの道路をつくった結果、その先にまたさらに渋滞が起こるということもないわけではございませんから、そうした道路建設上の、設計上の問題等もよく確かめなければならないと思いますけれども、一般的に申し上げて、米軍に対してこうした問題についてはきちっと要請をするということが重要だと私は認識しておりますから、もし施設庁を初め関係者方々が、ここにこういう道路が必要である、あるいはこういうやり方によっては問題が随分と軽減されるということがわかり、米側のこの使用の態様というようなものが我々にとっても理解できるということであれば、私は米側に対して申し入れをするべきだと思います。
  67. 伊藤康成

    政府参考人伊藤康成君) 先生も今御指摘のとおり、この所沢の通信施設と申しますのは、もとは所沢の補給廠ということで、たしか三百ヘクタールぐらいの大変広い敷地だったわけでございます。それが、昭和四十年代から五十年代にかけましてでございますが、通信施設に変わるとともに、約二百七ヘクタールでございますか、七〇%近い土地が返還をされまして、その跡地が今いろいろと公共施設等になっておるところでございます。その返還の時点から、あるいはこの平成になってからもそうでございますが、地元の方からは、今先生御指摘のようなその東西道路というお話はたびたび伺っているところでございます。  私どもといたしましても、東京防衛施設局から管理をしております米軍の方には当然その要望をお伝えしておるところでございますが、確かに、人はともかくといたしまして、アンテナが二十数基でございますか、ございます。そして、大変大事な通信施設であるということが一つ。それから、御指摘の東西道路というのがちょうどその通信施設の局舎のところにかかるというような事情がございまして、米側からは大変この道路を通すことは運用上の支障が大きいということで応じられないという回答を今までずっと受けているところでございます。  しかしながら、今先生からのお話もございます、周辺の事情というものもこの三十年間でいろいろ変わっておることは私どもも理解できるところでございます。この市の方ともよく御相談をいたしまして、今、外務大臣もお話しでございますが、何か工夫をすることができないか、そういうことも改めて市とよく相談しながら米軍側とも今後協議をしてまいりたいというふうに思っております。
  68. 高野博師

    ○高野博師君 外務大臣防衛施設庁長官から前向きな御答弁をいただきましたので、ぜひ米軍側との交渉に御尽力をお願いしたいとお願いしまして、終わります。
  69. 小泉親司

    ○小泉親司君 きょうの委員会えひめ丸と米原潜の衝突事件の問題、それから外務省の機密費の問題、この問題の集中的な質疑ということで、私、この二つの点について質問させていただきたいと思います。  初めに、原潜によるえひめ丸衝突事件の問題についてであります。  私、日本共産党の調査団としまして、先週一週間ホノルルに行ってまいりました。アメリカの沿岸警備隊の第九管区司令官に対しましては、捜索活動の継続を要求してまいりました。国家運輸安全委員会、いわゆるNTSBに対しましては事故原因の究明を強く求めてまいりました。そして、アメリカの海軍、主に太平洋軍に対しましてもこの事故原因の徹底的な究明ということ、それから家族の方が望んでおられる船体の引き揚げという問題についても要望してまいりました。同時に、家族の方にもお会いをいたしましていろんな要望を聞いてまいりました。  私、外務省から二十四日に外務大臣アメリカ政府に対しまして出された書簡を今、十分ぐらい前にいただきまして、これを読んだ範囲では、外務省としましても、船体の引き揚げという家族の方の第一の大変大事な要望については、アメリカ政府に強く要望されているというふうに書いてありまするけれども、この船体の引き揚げ問題で家族方々が一番望んでいる問題というのは、やっぱり責任ある海軍が、そして責任あるアメリカ政府がこの船体の引き揚げを確約することだと、ここが最も大事なところだというふうに主張されておられる点であります。  私、先ほど河野外務大臣報告をお聞きしましても、アメリカ側は、引き揚げの決定は技術的実現可能性にのみ基づいて行うとしており、というふうな表現にされておりまして、つまりアメリカ海軍やアメリカ政府はまだこの船体の引き揚げということについて確約していない、ここに家族の方の大変大きな怒りが私、集中しているんじゃないかというふうに思います。  例えば、フォーリー駐日大使は、二月二十三日の講演などでは、米国では海で亡くなった人には特別な尊厳を与えるが、日本では遺体回収が大事、日本では謝罪が大事だが、米国では法律的過程が終わるまで謝らない、罪が重いほどそうだ、説明するのが難しいといった、いわばちょっと文化的な問題の違いということでそういう発言もなされる。私、一番今、日本政府がこの家族の方の気持ちを体して、船体の引き揚げという問題をやはりきちんとアメリカ政府、海軍に確約させることが大事だというふうに思います。  アメリカ政府特使が本日、来日するということでありまするけれども、外務大臣としてはこの家族の要望である船体引き揚げを確約させるべきだというふうに思いますが、まず外務大臣の御所見をお伺いします。
  70. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 前段お話しになりましたように、日本アメリカのいわば文化の違いといいますか、考え方の違いというものがあるということはこれは私どもも認めざるを得ないと思いますが、にもかかわらず、アメリカ側は自分たちの考え方、文化的背景を押しつけようとしているとは思いません。考え方に違いはあるけれども、もちろん日本側関係者の御要望というものが一番大事ですよということは繰り返し言っておられるわけで、そこは我々もきちんと聞かなければならないところだと思います。  引き揚げの確約につきましては、我々としてもあらゆる手段で引き揚げについて努力をしてもらいたいということを言っているわけです。アメリカ側は技術的な問題のみを、引き揚げについての結論は、技術的に引き揚げられるかどうかということだけが引き揚げ決定の唯一の条件だと、条件といいますか、前提だということを言っているわけです。つまり、それ以外のことは自分たちは考えていない、技術的に引き揚げられるかどうかということだというふうにアメリカは言っていると我々は解釈しています。  これは、私は、ある意味で引き揚げについての現時点におけるアメリカ側の言ってみれば非常に大きなコミットメントだというふうに思っているわけで、これは技術的に可能でないものに引き揚げろということを言うというのは、という約束を今からするということはむしろ、何といいますか、誠実でないというか、それは余り意味がないことではないかと。つまり、アメリカは技術的に引き揚げられるなら引き揚げますということを言っているわけで、我が方もそのために日本の持つ知見のすべて、最も高いレベルの知見を現地に出して、アメリカ側から技術的な相談があればもちろん我々の知見を提供しますと、あるいはもう少し踏み込んで、我々の知見をもって協力をしますというところまで言っているわけで、アメリカアメリカ自身の技術だけではなくて世界的な技術というものをもってこの問題の結論を出そうとしていると、現時点では、今の時点では、そういうふうに私は理解しております。
  71. 小泉親司

    ○小泉親司君 家族の方の願いが大変強いと、河野外務大臣はお会いになっているからおわかりになっていると思いますが、なぜかと。これはアメリカ海軍がさまざまな情報を家族の方にほとんど伝えていない。だから、そこに怒りがある。  私、お会いしまして直接お話をお聞きしました。例えば、スコーピオⅡが船体引き揚げの前提としていろんな写真を写した。これは実際は約十八時間にわたってスコーピオが写した。しかし、公開されたのは三十五分のいわゆる編集された映像だった。家族の方は、何だと、全体を見せるべきだと、こういうことを要求して今度はそれが十八時間、確かに見せられました。しかし、家族の方が要求しないと自主的には海軍はすべてそういうものを見せない、こういうところに今家族の方が非常な不信感を抱いているわけなんです。  だから、その意味では、さまざまな技術的な問題もあるでしょう。しかし、やはりアメリカ政府と海軍がこの引き揚げという問題をまず基本に置いて、その上でさまざまな技術的な問題というのをいろんな形で調査をしましょうということをきちんとやはり家族の方に伝えるかどうかということが私、大変大事な問題だというふうに思います。  それと同時に、私、家族の会の方がアメリカ合衆国への要望というのを提出されているというのは外務大臣も聞いておられるかと思います。これは三十一項目あるんですが、大体どのくらいこれが実現されたというふうに外務大臣理解されておられますか。
  72. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 十八時間のフィルムを三十五分に編集したものを見せて、それで事足れりということでは結果としてなかったと。十八時間、どうぞ全部見てくださいということになったということは今、もちろんこれは家族の方の御要望もあってそういうことになったわけですけれども、余すところなく見ていただくということになったというふうに私は承知をいたしております。  それからまた、三十一項目すべてを私ここで、今持ってきておりませんけれども、それらは幾つかに集約をされて、例えば先般、森総理と御家族方々との会談の折にも大きく分けて三つに集約をして、これはアメリカに必ず伝えてくださいということを言っているわけで、その中でも例えばブッシュ大統領に直接会いたいというような御要望についてはこれは私からも既に伝えてありますけれども、まだこれが実現をするという返事はもらっておりません。  しかし、船体の引き揚げについて最大限の努力をしてほしいということについては、森総理からもこれが御家族の御要望の最も大事な、一番強い要望ですということでアメリカ側には伝わっておりますし、それから事故の原因の徹底した調査、それからできるだけ早い結果の公表あるいは通報、そういったことについても米側には伝えているところでございます。
  73. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、家族の会の代表の方とお話ししましたら、三十一項目のうち、先週の金曜日の時点で実現されたのはわずか三項目だということであります。いや、首を振っておられまするけれども、私、お話を聞いた話ですから、今、外務大臣が詳細を知らないとおっしゃっていますけれども、例えばまず第一、家族の会の方の要望、日本フォーリー駐日大使が、ここでは、つまり日本では何もわからない、ハワイに行けば家族質問に答えられる準備がある、アメリカ海軍はできる限り最優先で回答すると約束しているが、約束が守られていないようなので御確認願いたい、これが第一なんですよ。いや、首を振っておられるけれども、これは家族の方の要望なんですよ。
  74. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) わかっています。
  75. 小泉親司

    ○小泉親司君 だから、大臣が、引き続き御家族並びに関係者の御意向を十分に踏まえ全力を挙げて米側と折衝いたしますと先ほどお話しになったのであれば、こういう問題について、やはりつぶさに大臣自体がきちんとこの家族の方の要望を伝えて実現方に全力を挙げるべきだというふうに思います。    〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕  その点で、私、調査団でアメリカ太平洋軍のシングレー広報部長という方にお会いしました。その方は何と言っていたかというと、家族の方に対する要望の回答はほぼでき上がっている、総領事館を通じて伝えると言っておられました。これは、やはり早くこの要望についての、事故原因の問題も含んでおりますので、この点、やはりきちんと今度のもので求めるべきだと思いますが、いかがですか。
  76. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 現地に行っておられた小泉先生のお話でございますからもう現地の事情はよく御存じのことで、私から重ねて申し上げることはどうかと思いますけれども、現地ではつまり海軍による調査とNTSBによる調査と二つがあって、NTSBの調査についてはこれは毎日のようにブリーフがあるわけですね。それらについてはできるだけ詳細に毎日のようにお伝えすることが可能でありました。  しかし、一方、海軍の調査の方は、例の査問委員会というんですか審問委員会というんですか、これがいつ開かれるかということとの関連でなかなか情報が、一定の情報が管理されて外に出てこないというもどかしさがあるわけです。これは我々にとっても、ホノルルの総領事館に置いております我々のこの問題の担当をしております、今、政務官が行っておりますけれども、この政務官の話を聞いてもそこの部分についてはもうまことにもどかしいものがあると。しかし、先方には先方のそこはやはり、何といいますか、ルールといいますか考え方といいますか、そういうものがあってそこは出てこないと。これを引き出すということは実はなかなか難しいと。  その審問委員会というものが開かれればこれは公開、数は限られておりますけれども傍聴人も入りますし、そこで行われた議論というものは詳細ブリーフがあるということになっておりますから、そこでわかってくるということだろうと思います。
  77. 小泉親司

    ○小泉親司君 今、外務大臣が述べられたとおりで、つまりNTSBの報告は絶えず記者会見をやって発表されている。米海軍は全くそのことが秘匿されている。総領事館からいただいた資料でも、海軍はプレリミナリーなレポート、つまり予備調査については完了したと、こう言っているわけです。
  78. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) いや、わかっています。
  79. 小泉親司

    ○小泉親司君 完了したと言っているんです。だから、その予備報告が出ているということはこれは資料でも明確にされておるわけで、それをなぜ求めないのか。  私、この予備報告の問題については、時間がありませんからまとめて申し上げますと、私、現地で、八一年に起きた日昇丸の、ジョージ・ワシントンというアメリカ原潜の、ミサイル原潜との衝突事故が八一年にあったんです。そのときに、当時は鈴木善幸内閣でありました。この当時の外務大臣は伊東外務大臣。この伊東外務大臣は、さまざまなコマンドヒストリーという司令部史を見て実際にいろんな会談が行われたのを見ますと、この原潜の事故のときには、四月九日に事故が起きている。その一週間後の四月十八日には伊東・マンスフィールド・アメリカ大使との会談が行われて、その席上、伊東外務大臣は、いわゆるプレリミナリーな報告、予備報告についてこれを、日米首脳会談が当時、五月七日に予定されていたんですが、この五月七日の首脳会談前までに提出するようにということを強く要求したんです。つまり、四項目について要望いたしました。  その一つは、どのように衝突発生したのか、いかなる救助活動がなされたのか、なぜ日本政府に対する通報があれほど遅延したのか、いかなる種類の補償措置が期待できるかと。これをいわゆる期限を切って、いわば一カ月以内に中間報告を、予備報告日本政府に提出せよということを伊東外務大臣が強く要求したんですよ。その結果、五月七日にアメリカ政府は、事故から約三週間後に予備報告政府に提出しているんです。  この予備報告は極めて不十分で、私たち、当時はこれは非常に事故を隠ぺいするものだということで強く批判しましたけれども、当時の内閣でさえそういうことをやっているんですよ。何で今回はこれを外務大臣として期限を切って、この米海軍が完了しているという予備報告、中間報告の公開、日本政府への提出、こういうことをなぜ求めないんですか、外務大臣としては。今これから来られる特使に対してこの点を私は強く求めるべきだと思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
  80. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 十日に事故発生をいたしまして……
  81. 小泉親司

    ○小泉親司君 九日です。
  82. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日本時間の十日。きょうは日本時間の二十七日でございます。  この間に我々が行った作業というものは、量的にも質的にも相当な作業を我々はいたしております。現に、大統領総理との間の電話による会談、あるいは国務長官と私との間の話し合い、さらには防衛庁長官ラムズフェルド国防長官との話し合いもございました。また、衛藤大臣をワシントンに派遣いたしまして米側とも相当濃密な話し合いをいたしております。私自身ホノルルにおられるブレア司令官とも何回も電話で話をし、今お話しのような幾つかの日本側の関心事、例えば民間人の関与の問題について我々は大きな関心を持っている、この問題についてはっきりとした報告をしてもらいたい、あるいは事故の原因の報告についてもできるだけ早急な報告が欲しいということを言っているわけです。  もし審問委員会が当初の予定どおり二十二日に開かれていれば、当然もう既に我々は相当な資料を入手しております。それが仮に延びても二十六日だと言われていた。それであってもきょう恐らく入手ができていたと思うんです。しかし、それらが先方のさまざまな問題によって延びてきてしまって来月五日になったということが我々がそうした資料を手にできない一つの理由でありまして、議員からいろいろ御批判は御批判としていただきますけれども、我々は我々として最善の作業を日米間でやっているということだけは、私は自信を持って申し上げられます。
  83. 小泉親司

    ○小泉親司君 審問委員会というのはいわゆる海軍の手続の問題なんですね。査問会議及び軍法会議に係る問題なんです。この点については、先ほど御紹介しましたように、八一年の日昇丸の当て逃げ事件のときにもこういう問題があった。つまり、艦長の個人の人権の問題で公表できないということがあった。しかし、伊東外務大臣は必死でこの予備報告については日米首脳会談の前、つまり約三週間近くでこれを提出せよということを強く要求したんですよ。  私、この点では、その日昇丸の事件と今回の事件とは全く違う問題で、今度の問題というのは、大変混雑した海域で突然緊急浮上をやって、原潜がやって引き起こした事故だという点では、日本政府がやはりこういう問題についてきちんとアメリカ政府に要求するかどうか。私は、でも日米同盟が大事だ大事だと、こういうことばかり言うんじゃなくて、こういう期限を切った予備報告の提出、こういうものをやはりちゃんと、今度特使が来られるんですから、私は求めるのが、これは日本政府として当然の筋であるというふうに思いますが、最後に外務大臣の答弁を承っておきたいと思います。
  84. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 伊東外務大臣は私の最も尊敬する先輩外務大臣でございました。伊東外務大臣がこういうことをしたぞ、おまえはなぜしないのかと、こういう御質問で、私はお答えするのに若干のちゅうちょをいたしましたけれども。  私は、この予備調査予備的調査を提出しろということをもう既に何回も言っているんです。何回も既にアメリカ側に求めているんです。そういうことを、私は先ほど来、私は自信を持ってアメリカと交渉しているということの中にそういうことも含めてやっているということを、まあこれは余り私が言うことがいいかどうかと思っておりましたけれども、余りに議員から、昔はやったぞ、今はやらないのかやらないのかとおっしゃるからあえて申し上げますけれども、私どもはワシントンでもホノルルでも予備的調査の提出について既に要求をしているんです。ただ、先ほど来申し上げたように、その審問委員会の開会というものがおくれていると。それに先立ってこれを出せということは、これは幾ら何でもなかなか難しいだろうというふうに私は思うんです。それは、一九八一年の問題とことしの問題を同じように扱っていくというわけにいかない部分もあると思うんです。ですから、そこは御理解をいただかなければならぬというふうに思います。
  85. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 質疑時間は終わりました。
  86. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間が参りましたので終わります。
  87. 田英夫

    ○田英夫君 大変短い持ち時間なので、この二つの問題について、私は主として私の意見を申し上げて大臣の御感想を伺いたいと思いますが、今回の潜水艦の衝突沈没事件というのはもう明らかにアメリカの潜水艦に責任がある、過ちがあると、これはもう現在までの状況で明らかであります。だからこそある意味ではアメリカ側謝罪をしているわけですけれども、しかもその原因は今までのわかっているところだけでも全く、私も海軍の経験がありますけれども、世界最強を誇るアメリカの海軍の中では想像つかないような、これはミスじゃなくてまさにたるんでいるという、そういうことが原因になっていると言わざるを得ない。民間人の問題もそうですが、しかも民間人に操縦をさせるというようなことは想像を絶しますね。  そういうことに対して、行方不明者家族の皆さんはもちろん、国民感情というものは今極めて厳しい状況にあるということ、政府は当然その日本国民感情を踏まえてアメリカに対処しなければならないと思うんですが、率直に申し上げて、今の外務大臣のお答えなども聞いていて、やはり私は、それは違う、国民の感情と乖離していると。アメリカに対する甘さがあるというか、日米基軸ということを余りにも優先させておられるんじゃないかなと。私などは、鬼畜米英と言われて教育されて育った部分もありますからね。しかし、私は今、アメリカ人並びにアメリカは親しい友人だと思っておりますし、事実友人もおります。しかし、それにしてもひどい、このことがまず第一だと思います。  同時に、対応の中でアメリカ側日本側との間の文化の差ということがさっきから出ている、私も全く同感ですね。実際日本人は、いわば家族主義といいますか、それを非常に大切にする。アジアと言ってもいいかもしれない。アメリカは個人主義ですから、家族が亡くなっても、それは個人主義の立場から見れば、残念に、悲しいには違いないけれども、日本とは違うと。  実は、オーストリアでスキーに行った日本の若者がケーブルカーで十人亡くなりましたね。あのときに一番多かったのは当然地元のオーストリアの人たちの犠牲なんですが、次にドイツ、日本は十人でした。ところが、現地を訪れた家族日本は三十数名、最も多かった。こういうところにオーストリアの人は大変驚いたようですが、日本家族を大切にするという気持ちがあらわれている。  今度のアメリカの場合も同じだと思いますよ。そのことを、遠慮じゃなくて、もう日本人はこういうふうに考えているんだということをきちんと説明して、アメリカのしかるべき人たちに理解させる絶好のある意味では機会ですよ。アメリカ人は、自分たちは世界ナンバーワンだとあらゆる面で思い込んでいる。しかし、そうじゃないんだと、アメリカ民主主義なり、アメリカの、アメリカ人の文化というのは世界一か、そうじゃないということを教えてやる必要があるんじゃないでしょうか。  ベトナム戦争のときに私は北ベトナムに行きました。そうしたら、ベトナムの人は、アメリカはたかだか二百年の歴史しかないじゃないか、我々は三千年の歴史があるんだ、負けるわけがない。事実勝ったんですよ。あれは、ベトナム戦争はアメリカが負けた戦争だということは今や明らかですよ。そういうことをもっとずばずばとアメリカ人に教えてあげるというのが本当の親しい友人だ。  今度の事件はそういう確信を持って、もっと政府アメリカ政府に対してきちんと要求をし、抗議をするという態度が必要だと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  88. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まことに今回の事件事故といいますか事件といいますか、その後の対応については、アメリカ日本とは感覚の違いがあります。  ただ、先ほど小泉議員にもお答えしたように、違いはありますけれども、アメリカはここは、日本の精神文化といいますか、日本人の気持ちというものを当然のことながら大事にして問題に対応しなけりゃいかぬということをアメリカ考えていることは、私は間違いないと思っています。とりわけフォーリー大使のこの問題に対する心遣いというものは、私は、もう随分長く日本で大使をお務めになって、今月いっぱいで任期を終えて帰られるという直前にこうした問題が起こって、大使も、自分はもうしばらく帰らない、日本に残ってこの問題の対応に当たるというふうに言っておられまして、もちろんアメリカ人の中にもそういう日本理解する人もいる、あるいは理解のできない部分もあるだろうと思いますけれども、しかしそこは理解させる努力をするということは必要だと思います。
  89. 田英夫

    ○田英夫君 もう時間が余りありませんが、外務省報償費の問題ですが、これも松尾という人物のやったことはもう論外でありますが、同時に、先ほどの外務大臣の御説明を伺っていると、外務省の枠の中でだけ物を言っておられるように思うんですね。しかし、官房長のお答えでもありましたけれども、この松尾なる人物が受け取った金というのは内閣官房の金を受け取っているというところが今回のこの問題の一番の焦点であって、外務省の枠の中だけで、外務省の人たちの姿勢を変えるとか機構を変えるとか、チェック機能をやるとか改めるとかいうことでこの問題が解決するとは思わないんです。  財政法違反の問題にひっかかるということを恐れておられるかもしれませんけれども、やったことは明らかなんですから、そこはきちんと、やはり外務省の事務官である松尾何がしが内閣官房の金を受け取ってその間で横領をしたということだと思うんですよ、僕は。そこをもっと明快に国民の前にさらして、政府全体としてその対応考えるということにならなければいけないんじゃないでしょうか。外務省調査をされたから外務省の中だけということになっていてはいけないと。  私ども社民党もこの問題の特別委員会をつくって対応をやっておりますけれども、きちんと村山内閣時代の対応まで調べつつあります。そういう形で政府全体として正すということをお願いをして、御答弁は結構です、終わります。  ありがとうございました。
  90. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務省にお尋ねいたします。  官僚機構がもう肥大化して、いろいろ外務大臣も述べておられますが、こういう問題を未然に防げなかったということについて外務省責任を痛感されていますが、大体肥大化し過ぎちゃっているのではないかと思いますね。  それで、外務省にお尋ねしますが、外務省の関連の公益法人というのは全部で幾つあるんですか。時間がないから簡単に答えてください。
  91. 飯村豊

    政府参考人飯村豊君) お答え申し上げます。  外務省所管の公益法人の数は、本日二月二十七日現在、社団法人百一、財団法人百三十八の計二百三十九法人でございます。
  92. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 物すごくたくさんあると思うんですが、何をしているんだかわからないけれども、国民の税金をむだに使わないようにお願いしたいと思いますが、その中に社団法人国際協力会というのがありますね。これは何をするところで、だれが会長で、外務省からは何人ぐらい天下りしているんですか。
  93. 槙田邦彦

    政府参考人槙田邦彦君) お尋ねの社団法人国際協力会は、我が国外交経済、文化政策に即しまして、関係諸国、アジア諸国が多いんですが、との友好と相互理解を促進する、こういうことを目的としてさまざまな事業を行っていると承知しております。  この会長は櫻内義雄元衆議院議長でありまして、外務省からは、国際協力事業団の総裁である斉藤邦彦外務次官が理事として役員を務めております。
  94. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 事業の目的とかそういうのは非常に立派なんですけれども、事業の内容を見てみますと、いろいろあるんですが、関係諸国の経済、文化、政治に関する懇談会及び講演会を開催するなんていうのがある。去年は何回ぐらいやったんですか。活性的に一生懸命やっておられるんですか、休眠状態なんですか、どっちですか。
  95. 槙田邦彦

    政府参考人槙田邦彦君) 回数につきましてはそれほど多くはございませんけれども……
  96. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 やっているんですか、大体。
  97. 槙田邦彦

    政府参考人槙田邦彦君) はい。これは事業といたしましては、対象である国の一つを選んで調査対象国といたしまして、現地調査をやるであるとか、あるいは広報の運営協議会を開催するであるとか、さらには会報、資料等を刊行し配布するとか、あるいは各国の駐日大使を囲む懇親会を開くとか、そのようなことがさまざまな形で行われておりますけれども、それぞれ、日本と個別の国との間の協会というものをその傘下におさめておりますものですから、その傘下にある協会におきましてもさまざまの事業をしているというふうに理解しております。
  98. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私の聞いているのは、さまざまなことをやっているというような大まかなことを聞いているんじゃないんですよ。講演会は何回したのかと、ことし、三月三十一日までの今年度。答えてください。
  99. 槙田邦彦

    政府参考人槙田邦彦君) ことしに入りましてからは……
  100. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ことしというのは今年度ですからね。この一年間、もうあと三月で終わるでしょう。その間に講演会を開催したのなら何回されましたかと聞いているんですよ。
  101. 槙田邦彦

    政府参考人槙田邦彦君) 講演会につきましては、ことしにつきましては、実はまだ申しわけありませんが報告を受けていないそうであります。
  102. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 結局何にもしていないんですよ。僕は、そういうのが二百三十九もあるというのは大変なことだと。だから、この松尾さんの、松尾さんと言っちゃだめだね、松尾室長のこれは、そういうことの全体の中でこういうことが当然出てくるんですよ。  だから、もう一回きちっと、これは外務大臣に最後にお尋ねいたしますけれども、もう肥大化しちゃっているから、だから大臣のところまでそれは入ってこないと僕は思うんですよ。だから、相当ひどいと考えていいんじゃないか。本当にそれで日本外交を任せられるのかなと私は非常に思っておりますので、そのことだけを強く申し上げて、二百三十幾つもあるけれども、本当に活力ある活動をしているのか、事業の内容は非常に高邁でいい、だけれども実際は全然そんなことじゃないということを外務大臣によくわかっていただいて、指導していただきたいなというふうに思う次第でございますので、大臣に一言。
  103. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御注意をいただきましてありがとうございました。  公益法人の数は御指摘のように大変多うございます。これはまあしかし、日本全体、各省庁いずれも多数の公益法人を抱えているんだろうと思いますが、しかし人のことは人のことで、外務省にとってこの公益法人が効果的な活動をしているかどうかということを私もよく調べてみたいと思っております。
  104. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 終わります。
  105. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最初に、私、この委員会で数年間一緒に問題をいろいろと議論してまいりました村上正邦氏の姿が見えないのは遺憾のきわみであるということをお断りしておきたいと思います。  そこで、外務大臣にお尋ねいたします。  最初に、原潜とえひめ丸衝突事故でありますけれども、このことを私、第一報を聞いてすぐ思ったのは、ありとあらゆる精密機械を積み込んでいる最新鋭の近代的な潜水艦が頭上を通過するえひめ丸のような大型船舶に気がつかなかったと、こんなばかなことがあるのかと。ボートやヨットならばあり得る話かもしれませんけれども、あれだけの船を見逃しましたと、そんなばかげたことがあろうはずがなかろうという感じなんです。当然のことだろうと思います。  そして、アメリカ調査結果がぼつぼつ発表されているようでありますけれども、その中でソナーの解析技術官の言葉がありまして、一・八キロメーター前方にえひめ丸の接近中を認めたと。ところが艦長は、潜望鏡では見当たらないというので、ソナーの故障かあるいは自分の間違いかというので勝手に一・八キロを八キロというふうに訂正してしまったと。こんなことが技術の世界であるわけは絶対にないんですよ。事務屋の世界ならば、ワンマン社長がおまえ、こう思えと言えば、はい、わかりましたと言って、勝手なことでも思うかもしれませんけれども、ワンマン社長が一足す一は三だぞと、技術屋は、社長、申しわけないけれども一足す一は二ですよと、これが技術の世界なんですよ。  ですから、この解析技術官というのはうそを言っているとしか思えない。やっぱり一・八キロまでえひめ丸が接近してきたことは間違いないと思うんですよ。それを八キロというふうに、何かソナーの故障だとか何だとか、そういうことを申し立てているようですけれども、そんなことはあり得ない話だと思う。  それから、副艦長なる者が、これもおかしいんですけれども、えひめ丸の接近中に緊急浮上の指令を出すことはちょっと問題だと思って艦長に忠告をしようと思ったが、大勢の民間人の前で艦長に恥をかかせるわけにはいかぬということを言っていますけれども、これは、やくざの親分に対して子分どもが親分に恥をかかせるわけにはいかぬと言うことはわかるんだけれども、これまたうっかり当たりどころによっては自分の潜水艦だって沈む可能性があるわけでしょう。それを、艦長が勝手なことをやって何だと当然忠告するわけですけれども、それをやらなかったこと自身は、この副艦長もうそを言っていることは間違いない。  やっぱり、えひめ丸が接近してくることを知りつつ緊急浮上をした。これは、言葉は悪いけれども、ジャップをおどかしてやろうと。接近して緊急浮上をして、みんな本当に腰を抜かさんばかりに驚くでしょう、そして乗っている民間人たちは、いや、さすがだ、大したもんだ、これでこそアメリカの海軍なんだと、本当にそういう発想でこれをやったとしか思えないんですよ、常識的に考えまして。技術屋さんたちに聞いても、そうですよと、みんな割り切ってそういうことを言っていますよ。  そこで、これから査問会議その他が開かれると。真相の解明がどれだけ行われるのか知りませんけれども、どうか外務大臣、今私が言ったこと、私は当たり前の常識を言っているつもりですから、これを受けとめてアメリカにきちっと伝えて、そういう線でひとつ査問会議にも臨んでもらいたいと。日本人の大多数は私が言っているような考えを持っていますよ。この二十一世紀の時代にこんなばかげた海難事故が起こるわけないんですよ。何かやろうとして最後には間違ったんでしょう。  変な言い方ですけれども、やっぱり悪いことをやると結果もろくなことがない、こういうことなんで、日本人としては大変な問題ですけれども。ということで、まずこの点、いかがでしょうか。  ちょっと時間の関係もありますので。
  106. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) どういうふうにお答えをしていいかちょっとすぐにいい答えが思い浮かばないんですが、私は原因の究明というものはやはり科学的にきちっとなされるだろうと思っております。事故の原因を徹底的に究明するということから考えなければいけないのであって、もちろん人間は感情の動物ですから、いろいろな感情が働いてその感情がまた手先にも働くんだろうとは思いますけれども、しかし、今余り感情論で想定をする、推定をするということは、私はちょっと控えさせていただきたいと思います。
  107. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 感情論じゃございません、まことの当然の理屈を私は言っているわけですから。  多分、外務大臣も同じような考えを持っているんでしょう、あんなところであんなばかげた事故が起こるわけはない、何かあったに違いない、それはそういうことなんだろうと。ということだと思いますので、そういう線でもう一度検討してみてください。そして、しかるべき対応お願いいたしたいと思います。  それから、次は機密費の横領問題ですけれども、先ほど外務省の事務当局が、告発した理由は、外務省は被害者ではないと、法律を知らない人が勝手なことを余り言わないようにしてくださいよ。松尾室長が私人として、個人として友人や知人からお金を預かる、それを使い込む、これは外務省は一切関係のない話ですから被害者は預けた人と、こういうことになるんですけれども、この金は松尾室長外務省の職員として行動をしているその一環として内閣から預かってくるわけですから。全部外務省負担しているわけでしょう、彼の月給は。別に内閣が出しているわけでも何でもありません。それを保管しているのは外務省の仕事なんですよ。当然のことです、これは。  ですから、それを使い込めば外務省責任が行くんですよ。当たり前のことです。指導監督が不十分だったと。預かっている人様の金に、人様に損害を与えたと。預けた人が損害賠償請求訴訟を起こせば外務省は当然払わねばなりませんよ。被害者は外務省なんですよ。こんなことは当たり前のことなんで、百人の法律家に聞けば皆私と同じことを言うと思いますけれども。  それはおいておきまして、大変不思議なのは、告訴、告発をして一カ月余り松尾なる者は今どこで何をしているのかさっぱりわからない。どうしたんでしょうか、逮捕されてしかるべしだと。このごろタクシーに乗っても、タクシーの運転手も同じことを言いますよ、何やっているんでしょうか、警察や外務省はと。国民すべてが不思議に思っていると言ってもいいと思いますよ。  先ほど警察庁の刑事局長なる者が、何しろ数が多くてどうだこうだということを言っておりましたけれども、しかし外務省の、いいかげんと言っては大変失礼ですけれども、おざなりの調査でも五千四百万円ですか、そしてこれははっきりとこの前の報告書で、平成九年十月一日から十一年三月十一日までの間に四頭の競走馬を購入して、この五千四百万を引き出してその支払いに充てているということを認めたと。外務省ですらはっきりこういうことを言っているのにかかわらず、警察は一体何をやっているのか。  普通、警察のやるのは、こういう事件をやるときは、固まった事実でまず身柄を押さえて、外部との交通を遮断して、そして余罪追及ということをやっていくわけですよ。当たり前のことなんです、これ。ところが、それがさっぱり行われていない。何か人に言わせると、これは警察と外務省が密談を、話し合いで決めているんだと、強制捜査はしないと。松尾が居直って、おれを捕まえてみろ、何でも一切合財ばらしてやるぞ、歴代の総理大臣が、あるいは外務大臣が、これは河野大臣も入るんですけれども、外遊に行ってどれだけこの機密費をじゃぶじゃぶと使ったか、そういうことをおれは全部知っているんだ、それをばらしてやるぞと、そういうことも言っておるので、警察は怖くて、これは警察庁の長官あたりも外遊の際に面倒を見てもらっている、それで警察はなかなか手も出ないんだと。こんなことを国民の一部か大多数かはもう言い出している時期ですから、どうか毅然たる態度で。  まずもって、一般の人が事件を告訴、告発をして、警察がさっぱりやることをやってくれないと思った場合には弁護士さんなんかを連れて警察に乗り込んでいくんです。最近のはいっぱいそういうケースがあるでしょう、埼玉県あたりでもですね。そして、一体何をやっているんですかと、マスコミにもそういうことを言って、マスコミも警察は何をやっているんだということを言う。  告訴、告発をしているのは外務省ですから、外務省としては当然のことと。警察に対して、警察は何をやっているんですか、早く逮捕してください、もし万一、松尾が自殺をする、あるいは殺されでもしたらえらいことになりますよと。当然そういうことをやっていると思いますけれども、やっておりますか。いかがなんでしょうか、大臣
  108. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) この道の大家である佐藤議員からのさまざまな御意見でございますから私ども十分お伺いをいたしますが、しかし、捜査の問題について、もちろん我々として協力をするべきものは全面的に協力をするということは繰り返し申し上げておりますし、捜査当局全力を挙げて捜査をしてくださっているものと私は思っております。  ただ、佐藤議員にお願いをいたしますけれども、世間でどう言っている、こう言っているということは我々にも聞こえてまいりますけれども、余り根拠のないことをこうした委員会でおっしゃるのはひとつぜひ十分御注意をお願いしたいと。  これは佐藤議員が発言をされると、それだけでかなりまた世間は、佐藤議員はこう言っておるんだからそうに決まっているというふうにとられて、それが次から次へと雪だるま式になっていくことを私は非常に残念に思っているわけです。根拠のあることであれば我々もいかようにもお伺いをいたしますけれども、余り根拠のない御発言については、ぜひひとつお考えをいただきたいと。
  109. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に。  大変失礼な言い方だと思います。根拠がない……
  110. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 佐藤議員、時間です。
  111. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私は法律家ですから、町の人たちの意見、国民の意見を聞いて、それを分析して、なるほど国民がそう考えるのは当然だと思ってここで発言しているわけでありまして、むしろ何の理由もなしに……
  112. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 佐藤議員、質疑時間は終わっていますから、終わってください。
  113. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 警察に事情聴取をしているかというと、いや、問い合わせもしていないと。そちらの方こそ根拠がないんじゃないかと。  どうか、帰られましたら警察にすぐ電話でもして、あるいは事務次官を派遣するなりして……
  114. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 佐藤議員、委員長指示に従ってください。
  115. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 なぜ捜査が進行しないんですかということを問い合わせてください。よろしくお願いいたします。  以上でございます。
  116. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十二分散会