○阿久津
分科員 おっしゃることはよくわかるのですけれども、いずれも、人というか人の健康というものが、精神的な部分も含めて基準になっているのだと思うのです。それはそれで結構なんですけれども、もう一歩踏み込んでいただきまして、動植物や
自然環境そのものに与える
影響を考慮した、より厳しい
環境基準の体系を検討すべきではないかというふうに私は
考えております。これは感想程度なんですけれども、今後、より厳しい
環境基準を、いろいろな
バランスを
考えながらぜひつくっていっていただきたいというふうに
考えております。
それで、そろそろ時間が迫ってきましたので、圏央道の建設の問題について、直接の問題について
お話を伺いたいと思うのです。
先ほども申しましたが、高尾山のトンネル工事により、
大気汚染や地下水系の破壊による
生態系の変化が懸念されております。現在、高尾山の隣にある八王子城跡のトンネル工事が進められていますが、この工事が行われるようになってから、八王子城跡にある古井戸の水がれが起きるようになったと聞いております。同じように、高尾山にトンネルを掘ることによって地下水位が下がり、植物に悪
影響を与えるおそれがあるわけでございます。
もちろん、工事に当たっては、国は事前に調査を行い、作業も
環境に十分配慮して行っていると信じますが、しかし、自然は我々が
考える以上に複雑なメカニズムを持っていますし、大変ナイーブなものだと思っております。
かつて、私は石原慎太郎代議士の秘書をしておりました。そのとき、長良川河口堰の問題で当時の建設省からいわゆるレクがございまして、私は秘書としてそのレクを聞いたのです。もう十年以上前の話ですけれども、そのとき建設省のレクを聞いている限りでは、こんなに
環境に配慮した優しい河口堰はない、
お金もすごく使っている、絶対に動植物に被害は与えないんだ、魚も十分に上っていくことができる、そういう
説明を受けたものですから、私は、そのような内容だから大丈夫だろうというふうに
考えて、そのような報告を当時の私のボスでありました石原慎太郎代議士に上げたのです。
私は、十年以上経て、衆議院議員に当選をさせていただいて、長良川河口堰を見に行ったのですね。実際に話を聞いてみると、やはり全然違うのです。実際に話を聞いてみると、あるいは見てみると、当時建設省が言っていた話とは全く異なって、私が見た限りでは、もうアユはこのくらい、十センチ未満にしか育っていなかったし、河口堰ができたことによってよどみができてしまって、やはり
生態系を破壊してしまったのだと思うのですけれども、大きなサクラマスがもうとれなくなってしまった。当時の
環境アセスとか配慮の中で、よどみについての配慮みたいなものはなかったと思うのですね。これは、私にとっては、実体験としてある
意味ですごく恐ろしい部分の、
環境に対してはよほど配慮しなくちゃいけないんだなという
一つの経験になっているのです。
先ほど申し上げました諫早湾の問題についても、山下さん、もう亡くなられた、反対をずっとされていた方ですけれども、山下さんはもう口が酸っぱくなるくらい、干拓が進んでしまえば干潟が失われて、海水を浄化する微生物が死んでしまう、大きな
環境変化が起こる、これは大変恐ろしいことで何が起こるかわからないよと、再三
農林水産省に忠告をしていたそうです。そして、大丈夫だといってやってみたら、ノリが壊滅的な被害を受けることになった。これはまだ
一つの問題だと思うのですね。
こういう経験を踏まえて、高尾山のトンネル工事についても、
環境破壊の懸念を取り除くために国は万全の策を講じるべきだと思うのです。
環境省としてとるべき具体的
対策の内容、及び
大臣としてそれに取り組む決意を伺いたいと思います。