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福島委員 それでは引き続きまして、雇用対策についてお伺いしたいと思います。
私
ども公明党は、九八年の
金融危機を経まして、九九年に連立政権に参加をいたしました。これは、
日本が抱えている現在の危機を克服していくためには
政治の安定こそが大切である、そのように判断したからにほかなりません。小渕
内閣、そしてまた森
内閣、そして引き続く小泉
内閣におきましても、この
改革の道筋というのはまだ途上にある、私はそのように思っております。二十一
世紀の
日本の安定した土台を築くためには、引き続き
改革というものを全力で推し進めていかなければならない、私はそのように思っております。
現在取り組まなければならないことは何か。私は三つあると思っております。
一つは、緊急
経済対策にも盛り込まれておりますけれ
ども、不良債権の処理。この不良債権の存在というものが、
日本経済の
自律的な回復を阻害する大変大きな要因になっている。これを一定期間のうちに処理をしなければいけない、清算をしなければいけない、そのことがあろうかと思います。
そしてまた、二十一
世紀型の
日本経済に構造転換をしなければいけない。IT、
グローバル化に対応する競争力のある
経済というものを再構築していく必要がある、そう思っております。
そしてまた三つ目は、
財政の問題でございますけれ
ども、二十
世紀型の
予算構造と申したらいいかと思いますが、その
予算構造から二十一
世紀型の
予算へと転換をしていく必要がある。
どれをとりましても大変大きな課題でございます。とりわけ不良債権の処理については、先般も民間の研究所が報告を出しておりましたけれ
ども、それによって五十万人から百三十万人の失業者が発生する見込みがある、このように書かれておりました。
現下の雇用情勢というものも大変厳しい情勢でございます。それに加えて、五十万人から百三十万人の失業者が発生するかもしれない。となれば、
改革を断行するに当たって大切なことは、雇用に対しての万全のセーフティーネットを確立するということであろうかというふうに思っております。
現下の雇用情勢について、若干御説明いたしたいと思います。
そこで、図を用意いたしました。これが完全失業率と有効求人倍率の推移でございます。
平成十一年、四・七%という高い数字を示しました。平成十二年も四・七%でございました。そして十三年に入りましてから、一月には四・九%という高い水準になり、現在も四・七%で推移をいたしております。これは、かつての
日本の完全失業率の状態から比べれば、極めて高い水準であると言っても過言ではありません。そして、この四・七%という数字は全国平均でございますから、地域によってはもっと高いところがあるわけでございます。北海道では六・三%、そしてまた、近畿では六・一%という水準でございます。
この失業率の問題、そしてまた、先般、
総務省からの御報告がございましたけれ
ども、その中で、一年以上の失業者、一年以上失業状態が継続している者が八十三万人おる、これは過去最高であるということも述べられておりました。極めて厳しい雇用情勢であるということは論をまちません。
私
ども公明党はホームページを開いておりますけれ
ども、そのホームページに対してもさまざまな
意見が寄せられております。具体的に一、二例御
紹介いたしたいと思います。
こんなメールがございました。私の取引先で四十八歳で三年前に失業した人から、今の職につくまで一年半以上かかり、失業保険が切れた後は電気代も払えなくなり、家族に非常事態を宣言してろうそくで夜を過ごさざるを得なかったことを聞きました。また、このようなメールもあります。私は、一昨年にリス
トラで会社をやめることになり、再就職でかなり苦労しました。IT系の会社に再就職したのですが、軌道に乗らずまた失業してしまいました。現在も就職難で苦しんでおります。先日も、失業をきっかけに一家心中をしたというような大変痛ましい事例も報道されておりました。
現在、
国民の中にある不安、さまざまな不安がありますけれ
ども、その最も大きなものは雇用に対しての不安であると言っても過言ではないのではないかと思います。
なぜ、このように失業率が高いまま改善をしないのか。景気が悪い、そういう答え方もございますけれ
ども、そこのところはもう少し詳しく見る必要があると思います。
それでは、次の図をお示しいたします。
これは、
日本の欠員率及び雇用失業率の推移というものを示したグラフでございます。欠員率というものは、企業においてどれだけ欠員があるかということを示したものでございます。こちら側が失業率でございます。
注目すべき点はここのところでございまして、九九年の第一期、そして、これは二〇〇〇年の四半期、第四・四半期になりますけれ
ども、そこのところは失業率は変わらないけれ
ども、欠員率が上がっていっているという現象があるわけでございます。
これは何を
意味しているかといえば、雇用におけるミスマッチというものが拡大をしているということにほかなりません。実際にはさまざまな形で雇用、求人というものが生まれてきているにもかかわらず、そこにうまく労働力が移動していっていない。これを全体的な推移で示したのが次の図でございます。
これは完全失業率に対して構造的、摩擦的失業率、これがミスマッチによる失業率。そして、需要不足失業率、これは景気による失業率ということでございますが、それの推移を示したものでございまして、この構造的、摩擦的失業率の比率というものが一貫して上昇いたしております。
先ほど、現在の完全失業率が四・七%であるということを指摘いたしましたが、そのうち、三・七%がミスマッチによる、八割がミスマッチによるものであるというふうに指摘をされているわけでございます。雇用をどうしていくのかということを考えていくに当たりまして、このミスマッチが大変大きな役割を果たしているというところに力点を置いてこれからの施策を考えていかなければならないというふうに思っております。
先般、公明党は、緊急提言といたしまして、百万人の雇用創出をという
政策提言を行わせていただきました。その
政策提言、四月七日に行いましたけれ
ども、三つ柱がございます。
一つは、もちろん雇用のパイというものをふやさなければいけません。百万人の雇用の創出をしよう、これが
一つ目の柱でございます。
そしてまた、二つ目の柱は、まさにこのミスマッチの問題でございまして、失業の長期化を防ぐために教育訓練をもっと拡充しなきゃいけない。そしてまた、雇用に関しての情報提供というものももっと広げていかなきゃいけない。これは、いろいろな
規制緩和も必要でございますけれ
ども、そういうものを同時に進めていこうと。
そして三つ目には、生活の安定ということが必要でございますから、失業保険、雇用保険というものに対して、その充実を図っていくということをこの中に盛り込ませていただきました。
こうした施策を一体として行っていく、
改革を
小泉総理が前進させていく、その過程にあって、この雇用の問題については万全を尽くしていただきたいと思っております。
この点につきましては、三党の
政策協議の中でも私
どもは強く主張させていただき、そしてそれを反映する形で、先週の十一日でございますけれ
ども、産業
構造改革・雇用対策本部が設置をされ、産業の
構造改革と新規雇用の創出、そして能力開発支援等による雇用対策を一体的に進めるということが決定をされたわけでございます。この本部の本部長は
総理大臣に御就任をいただいたわけでございまして、
小泉総理の本部長としての御決意というものをお聞かせいただきたいと思います。