○佐藤公治君
自由党佐藤公治でございます。
私は、
自由党を代表して、ただいま
議題となりました
確定給付企業年金法案につきまして、質問いたします。(
拍手)
現在、
日本は、歴史上かつてない速さで、
少子高齢化、人口構造の
変化が進んでおります。そればかりではなく、現在の
社会保障
制度を支えていた
雇用・経済構造も激変しています。今までの
経済社会構造の問題を抱える中で、それを前提とする
社会保障の基盤が危機に瀕していることは、だれの目から見ても明らかであり、
国民は、将来の
生活をどのように設計しようか、不安に陥っているのであります。
第一に、合計特殊出生率は下降線をたどり続け、
平成十一年では一・三四という水準となり、少子化に歯どめがかかっておりません。
特に見過ごすことのできない重要問題は、
政府の楽観的な予想とは裏腹に、常に合計特殊出生率は中位推計を下回っているということにあります。
少子高齢化が進行する中で、従来から
修正積立方式の名のもとに事実上の賦課方式をとり続けている
公的年金制度が、このままでは破綻してしまうことは明らかであります。
第二に、
社会経済構造が大きく
変化していく中で、右肩上がりで成長していく経済を前提としている
社会保険方式で将来を先読みすることも難しくなっています。
このような
社会経済構造の急激な
変化の中で
社会保険
制度を維持しようとすれば、極端に保険料を上げて
いかなければならなくなります。しかし、それができないということになれば、つじつま合わせに
給付水準を引き下げるしか
方法がありません。
このように、
少子高齢化と経済構造の変動が進む中で、
給付を確定した
年金制度が今後も成り立つものなのか、疑問を持たざるを得ません。この点について、
厚生労働大臣の御見解をまずお伺いいたします。
大切なことは、目先の均衡に終始する保険料
負担増や
給付水準引き下げを行うことではなく、
社会保障のビジョンを明確に示し、
国民全体の安心と安定を確保して、人生設計を描きやすくすることであります。すなわち、基礎的
社会保障を安定させることは、
国民の安心を確保する
社会政策であり、安心だからこそ活発にチャレンジする意欲が出せる経済政策でもあるのです。
私たち
自由党は、消費税を福祉目的税化し、その使途を基礎
年金、高齢者医療、
介護の財源に限定すること、つまり、消費税を
国民全体で支える基礎的
社会保障の保険料がわりとすることで、基礎的な
社会保障の財政基盤を強化し、
負担の公平化を図るべきであると
考えます。
先月三十日、
政府・与党は、
社会保障改革協議会において、
社会保障改革大綱を決定いたしました。この中で、「経済・財政と均衡のとれた持続可能な
社会保障
制度を再構築し、後代に継承していくことが我々に課せられた重要な
課題となっている。」と
指摘しています。
すなわち、これは現在の
社会保険方式をこれからも存続していくことが前提となっておりますが、
年金制度において、自助と公助のあり方、すみ分けについて、
政府はどのように
考えておられるのでしょうか。基礎
年金制度を初めとする
年金制度の全体的な枠組みのあり方を含めて、
厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、
企業年金のあり方についてお聞きいたします。
労働省のアンケート
調査では、
従業員の多くが、終身
雇用は崩れているとの意識を持っており、派遣
労働者を中心とする会社や、
企業においては
退職金の前払い
制度の
導入を始めるなど、労働市場の流動化が進んでいます。
現在の労働市場の流動化についてどのように認識し、
企業年金制度を再設計するつもりなのか、その理念についてお伺いいたします。
特に、
雇用・労働環境が流動化する中で、転職時の
企業年金の取り扱いが
課題の
一つとして取り上げられます。
厚生年金基金においては、
基金間の
年金原資の移換は
厚生年金基金連合会を通じて可能となっていますが、新
企業年金においては、転職に伴う
企業年金の移動について
いかにお
考えでしょうか。
また、
確定拠出年金においては、
拠出可能な対象者が限定されています。例えば、女性が
一定期間勤務をし、その間、
確定拠出年金に
拠出していたとして、結婚をして専業主婦になると、
拠出ができなくなるということとなり、将来の
年金原資として十分であるとは言えなくなります。
拠出型も
給付型も含め、将来設計の選択肢として、現在示されている
法案で十分にこたえられるものであるとお
考えか、
厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、
厚生年金基金の
代行部分の
返上に関連してお聞きいたします。
法案では、
企業年金の新たな形態として、
規約型、
基金型の新
企業年金を設け、
厚生年金の
代行部分を含む既存の
厚生年金基金については、
代行部分を
返上し、新
企業年金に移すことが可能としております。また、
返上の際には、有価証券など現物による返還を認めています。
しかし、保有株式の中で低落傾向が続くような銘柄に偏って
返上されることがあるとすれば、予想以上の
運用リスクを
厚生年金が負うことにならないでしょうか。また、
厚生年金全体に占める株式
運用比率が高まることにより、
厚生年金本体の
積立金の
運用に対してどのような影響を与えるとお
考えでしょうか。
代行部分の
返上について、どのようなルールや基準をもって行うこととするのか、
厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、
適格退職年金から
企業年金への
移行についてお聞きいたします。
適格退職年金については、十年以内に
企業年金制度等へ
移行することとしております。
適格退職年金は、既存の
厚生年金基金とは異なり、
年金給付に必要な
積立金を保有しているかどうかという財政検証が義務づけられていません。近年相次ぐ
適格退職年金の解散においても、
積み立て不足があらわれる例が見られます。新
制度に
移行することで、財政検証や
掛金の増加などのリスク
負担を回避するために、適格
年金を廃止したまま新
企業年金制度には移らないことが
考えられます。
従業員の
退職後の人生設計も、いや応なしに変更を余儀なくされます。
適格退職年金の
制度移動に当たって、
企業、
従業員双方についてどのような配慮がなされているのか、
厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、
受給権保護のための
措置についてお聞きいたします。
本
法案では、
受給権保護のための
措置として、
積み立て義務、
企業年金の管理運営にかかわる者の責任や
行為準則の明確化、財務情報などについての
加入者への開示を行うこととしております。
確定給付にしても
確定拠出にしても、どちらにおいても重要なことは、情報の適切な提供や
説明責任、そして、運営に係る約束事と責任を十分に果たすことであると
考えます。適切な運営
方法が行われているか、つまり、運営するに当たって役割を果たすべき担当者、責任者が
従業員、受給権者の利益に反する
意思決定を行っていな
いか、そのような不正はな
いかをチェックするというところにあると
考えます。
今までの
企業年金では、運営
方法をめぐって、どのように監視し、対応が行われてきたのか、今後、管理運営責任をどのように明確にするつもりか、具体的にお聞かせください。また、仮に不当不正な運営を行った場合、どのような
措置をとるおつもりか。さらに、財政破綻した場合、対処するためのスキームをどのように
整備しているのでしょうか。以上の点につきまして、お伺いいたします。
最後に申し上げます。
急激な人口構造、経済・
雇用構造の
変化の中で、求められているのは、中長期的な国家の基本戦略であります。その中でも、どんなことがあっても国が保障するセーフティーネットは何か、その上で個人の自由な将来設計の一助となる選択肢は何かを示すことにあります。将来不安を払拭する
社会保障政策を明確にしなければなりません。
公的年金、
私的年金それぞれのあり方、
税制のあり方等、
一つ一つを検証し、将来に向け、安定し、安心できる
年金制度の未来を描いて
いかなければならないと
考えています。
この点につきまして、
厚生労働大臣の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣坂口力君
登壇〕