○鈴木(淑)
委員 今おっしゃったポイントは非常に大事なことだと思います。規制の緩和等のねらいは、やはり発展
産業、なかんずくIT関係の事業機会の拡大だと思いますから、おっしゃるとおりだと思うのですが、ただ、申すまでもないことなんですが、
経済が失われた十年間と言うほど停滞しているこの原因を考えるときに、ぜひ
大臣、短期、中期、長期のこの三つをはっきり頭に置いて考えていただきたいのでございます。
短期というのは、言うまでもなく、
景気循環的な、公共投資をふやせば上がるよみたいな話ですね。中期は、
柳澤大臣が御担当のところであって、バブルの崩壊以降、日本の
企業、
金融機関、そして住宅ローンを組んだ個人も含めて、バランスシートが傷んじゃった、債務はそのままで資産側がきゅっと縮んで
債務超過になった。これが治っていないために、
企業なんかもうけが出ても前向きの投資に回さないで、
不良債権の処理とか、あるいは値下がりした資産の損切り売りとか、あるいは借り入れ過ぎているものの借り入れの返済とか、そういう後ろ向きの方に金を使っている。
とにかくバランスシートが傷んでいる間は、
景気が少し上がって
企業収益が
回復してきても、これが雇用、賃金に回って消費をふやすという好循環が起きないで、後ろ向きの、借金返済とか
不良債権処理とかに使われちゃうという、この中期のところに一つブレーキがかかっているという問題。
それから、あと長期のところがいわゆる
構造改革でございますね。この
構造改革は、今、
塩川大臣がおっしゃったように、いかにして民間のビジネスチャンスをふやしてやるか、あるいは地方自治体に自立的な活動の領域をふやしてやるか、これが結局、規制の撤廃、緩和であり、地方分権であり、目指すのは元気な民間、小さな効率的な
政府を目指す、これがまさに
構造改革の基本のところだと思うのですが、この短期、中期、長期の関係を常にしっかり頭に置いていないと、議論は混乱するし、有効な手は打てないと思うのです。
小泉内閣がしきりと強調しておられるのは、短期の手を打って
回復してきても、中期と長期が片づいていないと、これが邪魔になって持続的な
回復にならないねというところを強調しております。それはそのとおりでございます。
だけれども、ではといって、短期をほうり出して、中期と長期を一生懸命やったら
回復するかといったら、とりあえずは悪化してしまうわけですからね。そうしてこの三者のバランスが物すごく大事なのですね。
今私が最初に申し上げたのは、短期の話をしてみたわけです、短期的に足元はどんどん悪くなっていますよと。それに対してどうしますかとお聞きすると、
小泉内閣から返ってくる返事は、今の
大臣の御返答も含めて、中期の話や長期の話をするわけですね。中期や長期はおっしゃるとおりだ。私どもも
協力して一緒に改革しますよ。あるいは一緒に
不良債権処理を促進しますよ。だけれども、短期の問題として足元が崩れているじゃないか。これはもう少したちますと、失業率が五%台に乗ってくる、消費者マインドも一段と冷える。事実、マインドだけじゃなくて個人所得も、夏に向けてボーナスがふえるどころの話じゃなくなってきます。
しかし、政策としては、補正
予算はもう当然この
国会に出てきません。
緊急経済対策は、来週の終わりごろ出てきますが、あの中身はマクロ
経済政策、つまり短期の政策は入っていないのですね、中期と長期だけの話になります。それで大丈夫なのかという話なのです。
私はやはり、短期、中期、長期の対策はバランスがとれていないと
経済は
回復しないと思っていますので、決して中期の
不良債権処理や長期の
構造改革を軽視するのではない、非常に重視しておりますが、だからといって短期を忘れていると、全体としてはえらいことになってくるというふうに思います。
ですから、
塩川財務大臣におかれましては、本当に聞く耳をお持ちの方でいらっしゃいますので、本音ベースのところで御心配であれば、中期や長期の話とすりかえないで、本音ベースではやはり短期もつけないと危ないのだよということを考えて
対応されないといけないというふうに思います。
私ども自由党は、かねてよりこの十三
年度予算そのものを批判していました。まず、
公共事業の中身を見ても、相変わらず効率の悪いところへ行っているじゃないかと。もっと効率の高い、緊急性の高い大都市圏の投資があるじゃないかというようなこととか、それから、消費に直結するようなところにもっと金を出していかなきゃだめじゃないか、さらに、我々は
減税まで主張しております。
とにかく消費に直結するところを何とか
財政で支えながら中期と長期を片づけていかないと、さっき言いましたように、幾ら短期的に
回復させたって借金返済やなんかで好循環の輪が切れてしまうのですから、それで消費に行かないのですから、これはやはりしばらく消費を支える
財政政策が要るのですね。それが入っていない。ですから、ちょっとぐらい十三
年度予算の執行を急いでみても、私は、夏に向かって
景気は危ないなというふうに思っております。どうぞ油断しないで、よくごらんいただきたいと思います。
御意見ございましたら……。