○阿部
委員 いつもありがとうございます。
では、引き続いて、心置きなく次の
確定拠出型年金の
法案の審議に入らせていただきます。
きょう、私より何人か前に、
民主党の釘宮議員が幼児虐待のことをここで御
質問でございました。
委員は、本来の
確定拠出型年金とは少しかかわりのないテーマであるがというふうに前振りなさいましたが、私は、今の幼児虐待という現象は、非常に、社会の不安定、それから今の社会のあり方ということを強く反映しているように思います。
私は小児科の医者でもございますが、実は、幼児虐待をめぐっては、働くお母さんも専業主婦もどちらにもふえております。その大きな原因は何かというと、きょうもキーワードになっておりますところの、
自己責任という言葉が非常にひとり歩きしております。実は、育児をめぐっても、育児をしているお母さん、あなたの
責任ですよということは、これはある
意味で当然なのですが、そのお母さんが育児の
責任を全うできるような社会のセーフティーネットがないと、
自己責任は機能しないのでございます。
そういう
意味でいえば、今回の
拠出型の
年金の
法案審議の中で、何もこの
法案自身が悪いと申しているのではなくて、この
法案の趣旨を生かすべく、まずセーフティーネットをもっと確実にしなさいということが各
委員の共通した認識であろうかと思います。
それに対していただきます辻局長初め
皆さんのお答えは、何でこんなにいいものをつくったのにだめなんだろうというところで大きくすれ違っているように私には見受けられます。どんな法律もそうですが、やはり順番と時期をたがえては、いい法律でもその時節に合わないで期待した効果が上げられないということがあると私は思います。
私自身のこの
法案への認識を申しませば、これ以前になすべき
三つの事柄がまずあると思います。
一番目は、昨日のこの
質問でも伺わせていただきましたが、
公的年金にかかわる部分の
充実でございます。この部分について
国民が
安心感を持たないと、その次は進めません。これが、育児におけるお母さん方の
自己責任と社会が持つべきセーフティーネットのかかわりと同じ図式を持っております。今盛んに
自己責任と言われましても、本当にそのことがさまざまな社会混乱や
老後の不安を生むようであっては、
自己責任という言葉の
意味が生きてまいりません。この
意味で、私は、きょう第一点目は、
公的年金の
充実ということを先回の
質問の聞き残し分も含めて聞かせていただきます。
それから二点目は、いわゆる
確定給付型をめぐっての論議のときにも問題になりましたが、
企業年金基本法と称されるような、
企業年金、職域
年金についてのきちんとした給付を保障するような法律をまず大前提でつくるべきでございます。このことも各
委員が御
指摘ありましたし、給付型の討議のときにも幾つも上がっておりましたが、この部分について明確なお答えが辻局長初めとして
皆さんの側から提起されないということが、また論議をすれ違わせております。
三つ目は、このような
金融市場が不安定な時期に、何でこの時期かという認識でございます。だれも今の
株価がいい動きをしているとは思っておりません。だれも、だれ一人、どの方も思っておりません。なのに今、こうした直接
金融ということが組み入れられたこの
法案をこの時期に
提出することの
意味でございます。私は、こんな時間があるなら、そもそも一番目の
公的年金の論議をもっともっとしっかりして、
国民にわかりやすく
提示すべきであると思います。順番が本当に違うと思います。
そうはいっても、設定された
委員会ですので、順次
質問に入らせていただきます。
まず、一番目でございます。
公的年金の現状の認識にかかわる部分でございます。
きのうの私の
質問に対していただきましたお答えが、要約いたしませば、七千万人の
国民年金の
加入者のうちでたかだか五%内外が未納という状態であるので、そのことは数値的には大きくはないというふうなまとめの御発言をいただきましたが、これは現状認識としてはやはり違うのではないか。何が違うのかといえば、
国民年金が置かれている
状況に危機を感じるか、それともそこそこの妥当なものであると感じるか、いや、
安心なものであると感じるかというところで違ってまいるという
指摘をしました。
では、再度お伺いいたしますが、平成十一年度の
国民年金被
保険者
実態調査から明らかになった
国民年金の現状について、幾つかの特徴があると思いますが、その認識、特徴について担当部署からお答えください。