○山口(わ)
委員 私が心配しているのは、赤字になった理由と黒字になった理由が、本当に
地域の中で、介護サービスを受ける人たちが
自分たちの要望どおりに介護が受けられた結果、赤字になったとか黒字になったというのならいいんですけれ
ども、もう既に出発時点で、基盤整備ができていない、在宅サービスを受けたくても受けるような状態になっていない、あるいは施設入所をせざるを得ない、こういう現象が結果的に赤字を生み出したというふうに思うのです。
ですから、本来、介護保険というのは、一人一人介護を受ける
皆さんが、自分が介護サービスを選べる、そして、
自立して
地域社会の中で暮らしていけるというのが原則だというふうに思うんですね。でも、現実にはなかなかそうなっていないということを厚生労働省としてどう受けていらっしゃるのか。あるいは、では、これから
皆さんの要望どおりに、例えば基盤整備をどういうふうにしていかれるのかということが、私は、これから介護保険
制度をきちっと運営していくためにとても大事なことではないかというふうに思っているのです。
今は単純に赤字とか黒字というふうに私の方から申し上げましたけれ
ども、例えば、介護保険
制度が実施されてどんな問題が起こっているかということになるわけですけれ
ども、当初は在宅サービスの充実を図るということが目標だったと思うのですが、この在宅サービスが不十分なために、家族の要望で施設入所に変更した例というのはたくさんあると思うのです。これは、本人の要望ではなくて、家族がそういうことを申し入れた例というのはたくさんあるわけですね。
その理由というのはどんな理由があるかといいますと、例えば、在宅サービスが高齢者単独世帯というような場合に、サービスの介護度が違いますと、当然サービスの内容が違ってくるわけですね。ところが、二人でほかに家族がいない場合に、一人がデイサービスに行って一人が家庭にいるということは、なかなか難しいわけです。どうしても、二人の介護度が違っても、セットでサービスを受けなきゃいけない
状況にあるにもかかわらず、そういうふうに介護度によってサービスを決められてしまうということで、受ける側の要望とか、そういうものが全然入ってこないという問題が出てきます。
それから、家庭の
状況あるいは道路の
状況、交通の
状況によってもこの介護サービスというのは随分変わってくると思うのですが、なかなかそういう
状況が加味されないという問題が出てきます。
それから、例えば痴呆がある場合に、予定どおりサービスを行っていましても、痴呆というのは大体夜徘回するんですね、夜中に。そうすると、夜中に徘回されてしまいますと、家族は大変な
状況になるわけです。夜まできちっと介護サービスが入るわけではない
状況ですから、とてもとても、家族が悲鳴を上げてしまって、大混乱を起こしてしまうということがあるわけです。今、仮に本当に在宅で介護をしていく場合に、介護サービスを要望どおりやったら、それこそ限度額を超えてしまうわけですから、それだけのことができないという問題があります。
そして、山間僻地など交通不便地では、なかなか、交通費を使ってまで訪問サービスをする事業者というのはほとんどいないわけです。ですから、当然山間僻地では、うちで我慢をするか、あるいは施設サービスを望むかということになってくると思うのです。
こういう問題がたくさん起こっている中で、私は、やはり介護保険のキーワードというのは
自立支援だと思うのです。
自立支援というのはどういうことかというと、
自立をするために、その
自立をするためのお手伝いをするのが介護保険、介護サービスだというふうに思っていますが、現実にはなかなかそうなっていない。
かなりいろいろな問題が出ていますが、こういうことについて、厚生労働省としてもつかんでいらっしゃると思うんですけれ
ども、こういう全国のさまざまな問題についてどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、実態をどう把握していらっしゃるのか、把握してきた中で今後どういうふうにしていかれるのか、お聞きをしたいというふうに思うんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、もう少し申し上げたいと思うのです。
今は介護サービスを受ける
部分についてですけれ
ども、もう一つは、非常にこの介護報酬が安いために、
かなりいろいろな問題が起こっています。例えば、措置前と介護保険サービスになってからは、ホームヘルパーの賃金というのは非常にカットされ、労働条件も悪くなっていますし、ケアマネジャーに至っては、本当に朝から晩まで一生懸命お金の
計算をするだけで、ほかの、ケアプランを立てて、本当にお年寄りと向かって相談をするなんという場面はほとんどできないという現状になっているというふうに聞いています。
そして、訪問看護が介護に入ったという理由が私にはよくわからないんですが、本来、訪問看護というのは医療の一環ではないかというふうに思うのです。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、訪問看護というのは非常に報酬単価が高いですから、仮に、看護をしなければいけない
皆さんが、看護だけで限度額を超えてしまう。当然この介護、いわゆる介護ができなくなってしまうという問題が出ています。
具体的に申し上げるとちょっと長くなってしまうんですけれ
ども、今、機器をつけて自宅に在宅していらっしゃる方がたくさんいるわけですね。それから、例えば糖尿病のような場合には、腎不全があれば自宅で人工透析をやらなきゃいけないという患者さんもいて、そういう
皆さんの看護に手がかかる
部分だけ介護報酬がそっちへ取られてしまうという問題がありまして、私は、看護というのは、むしろ医療とセットで
地域保健の中でやるべきではないかというふうに思っているのですが、これも介護報酬として介護保険の中に入れられたという問題が、非常に介護を圧迫しているように思うのです。その辺について御
説明をいただきたいと思います。
済みません、全部最後まで言っちゃいますから。
もう一つ、私が心配なのは、実は、この介護保険
制度が始まって、本来、今までやってきた
地域保健が非常にないがしろにされてしまったという
部分があるのではないかというふうに思っているのです。本来、
地域保健がきちっと推奨され、各地区で
地域保健が充実していれば、寝たきりも少なくなりますし、健康な人で元気で暮らしている、そういう社会がつくられてくるというふうに思うんですけれ
ども、今、
地域保健よりは介護保険にみんな行っちゃっているわけですね。
例えば、厚生労働省はどうでしょうか。昔、
地域保健課というのがあったような気がするのですが、今どこを探しても、名簿を見ても、
地域保健課というのはないですね。どこかへ消えてなくなっちゃっているわけです。それほどに
地域保健をないがしろにしているんじゃないかという思いが強いわけです。
長野県の例を挙げますと、長野県は、非常に昔から
地域医療と
地域保健が充実してまいりました。ですから、その結果、医療費は全国一安いですし、もちろん保険税の滞納も少ない。そして元気で、昔は高血圧や脳卒中が多かったんですが、それも低くなったというふうに、やはり
地域の中に、家庭の中に医師や保健婦が入ってきちっとお手伝いをすることが一番私は大切だと思うのです。
すべて寝たきりにしてしまって、ぐあいを悪くしてしまってから、介護サービスをしましょう、あるいは福祉の中で介護予防をしましょうというのでは私は遅いと思うんですね。むしろ、国の責任として
地域医療や
地域保健の充実を図っていく必要があるかと思うのですが、国の方も恐らくこの
地域保健というのをだんだん減らしていってしまったということが私は非常に心配になりますので、済みません、時間がなくて、まとめてお答えいただきたいと思います。