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平沼国務大臣 電子消費者契約及び
電子承諾通知に関する
民法の
特例に関する
法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
近年のITの進展に伴い、パソコンのマウスやキーボードを用いるのみで契約を締結する機会が増加してきております。しかしながら、このように電子的な
方法を用いた契約は、単純な操作で容易に成立をしてしまうことから、特に操作になれていない一般
消費者と
事業者との契約においては、操作ミスによって意図しない契約の申し込みを行ってしまった場合の契約の効力をめぐってのトラブルが増加しております。
また、隔地者間の契約は、現行の
民法では意思表示の通知が到達するまでに相当の時間を必要とする郵便等を前提としているため、契約の申し込みに対する承諾の通知が発信された時点で契約が成立することとされております。しかしながら、電子的な
方法を用いた契約の場合には、意思表示の通知を契約の相手方に瞬時に到達させることが可能である一方、不到達のリスクがあるため、契約の申し込みに対する承諾の通知の発信時点での契約を成立させると、申込者にとって契約の成立が不明確になるという不都合が生じております。
このような状況を踏まえ、電子的な
方法を用いる契約の特徴を十分に踏まえた取引ルールを策定するため、今般、本
法律案を提出した次第であります。
次に、本
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、電子的な
方法を用いた場合の
消費者の操作ミスに関する
民法第九十五条の
特例措置を講じます。
これは、ウエブサイト等を活用する電子的な
方法を用いる契約において、
消費者が操作ミスにより契約の申し込みまたはその承諾をしてしまった場合には、
事業者がその意思の有無について確認を求める
措置を講じた場合等を除き、
消費者の意思表示の無効主張に対し、
事業者が
消費者に重過失があった旨の反論ができないようにするものであります。
第二に、隔地者間の契約において電子的な
方法を用いた場合の契約の成立時期について
民法第五百二十六条等の
特例措置を講じます。
これは、隔地者間の契約において、瞬時に意思表示の通知を契約の相手方に到達させることが可能な電子的な
方法を用いた契約の場合においては、申し込みの承諾の通知が到達した時点を契約の成立時期とするものであります。
以上が、本
法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
続きまして、
不正競争防止法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
近年のITの進展に伴い、インターネット上の住所であるドメイン名は、
消費者を特定のウエブサイトに引き寄せる上で重要な機能を果たしております。しかしながら、ドメイン名が実質的な
審査もなく先着順に取得できることを
利用して、他人の商標等と同一または類似のドメイン名を取得し、商標権者等に対して不当に高い額での転売を図ったり、商標権者等の信用を傷つけるようなウエブサイトを開設する等の不正な
行為が、
我が国でも問題となっております。
また、本法では、
平成十一年に発効した、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の確実な実施を図るため、外国公務員等への贈賄を禁止しておりますが、国際的な法
整備の進展を踏まえ、この条約のより効果的な実施を図るため、禁止
行為の要件を国際的に一層整合的なものとする必要があります。
このような要請に対応するため、今般、本
法律案を提出した次第であります。
次に、本
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、不正の利益を得る目的で、または他人に損害を加える目的で、他人の商標等と同一または類似のドメイン名を取得する等の
行為を、本法における不正競争
行為と位置づけ、差しとめ請求等の対象といたします。
第二に、外国公務員等への贈賄に関して、贈賄側の
事業者と収賄側の外国公務員等の属する国が同一である場合には本法の適用除外としていた規定の削除等を行うことといたします。
以上が、この
法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。