○清水澄子君 私は、社会
民主党・
護憲連合を代表して、
平成十二年度
補正予算に対し反対の討論を行うものであります。
ことし四月、
森内閣が急遽発足してから七カ月が経過しましたが、
森総理は就任直後から、天皇を中心とする神の国
発言や教育勅語の賛美など、憲法の執行者としてあるまじき
発言を繰り返し、最近も拉致疑惑者の第三国発見
発言など、
総理として信じがたい失態を繰り返してきました。
その結果、
森内閣の支持率は一〇%台にまで低下しています。与党内部からさえ、主流、反主流を問わず
森総理の退陣要求が公然と出される中で、一昨日の
不信任案、大量の
欠席という事態を迎えたのです。
さきには
金融再生委員長と官房
長官という二人の大臣の更迭もあり、こうした一連のてんまつは、もはや
自民党にはみずから
政治を改革し、
国民の信頼を回復する能力がないことを証明しています。今や
国民の失望は、
森内閣を超えて自公保政権全体に対する退陣要求へとエスカレートしているのです。
我が党は、一刻も早い
森内閣の退陣こそが
国民の声であることを申し上げ、以下、
補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
第一は、今回、かかる大型の
補正予算を編成しなければならない必要性が極めて疑わしい点であります。
経済は、企業
活動面では回復の動きが続いており、ことし四月には
宮澤大蔵大臣自身、景気回復のための
補正予算は必要ないとの
発言を繰り返していました。その後も景気に関する指標は順調で、
経済企画庁
自身、今年度の実質成長率を一・〇%増から一・五%増に上方修正したところです。
一体、なぜこの時期に五兆円近い大型の
補正予算を編成しなければならないのか全く納得できないのであります。
反対の第二の理由は、いわゆる六百四十五兆円の借金を抱えながら、財政再建に取り組む姿勢が全く見られない点であります。
本
補正予算案では、景気の持ち直しによる税収増加も昨年度の純剰余金もすべて注ぎ込み、さらに二兆円もの国債を増発するとしております。
今こそ貴重な自然増収と剰余金は国債発行の削減にこそ充当し、財政再建への方向を打ち出すべきであります。
反対の第三の理由は、雇用対策の実効性が極めて疑わしい点であります。
雇用情勢は依然として厳しく、失業率の高どまり、求人求職のミスマッチなど雇用をめぐる環境が構造的に変化しており、創業、起業を含む総合的な雇用対策の実施こそが何より求められております。
ところが、本
補正予算案の雇用対策は、四百億円と今回の景気対策予算全体のわずか一%にすぎず、また内容的にも小手先の対応が目立ち、現下の厳しい雇用環境を改善することは到底不可能であります。
反対の第四の理由は、本
補正予算は財政法第二十九条に抵触する疑いがある点であります。
財政法は、
補正予算編成の要件として、予算作成後に生じた事由に基づくことを定めております。
しかるに、本
補正予算案に盛り込まれた
IT革命の推進、環境問題への対応などは、いずれも本来当初予算に盛り込むべき経費ばかりであります。シーリングのかからない
補正予算を常態化させ、安易な予算計上を図り、子孫に膨大な負担を残す政府のやり方は断じて認めることができません。
今、何よりも求められるのは、財政破綻、雇用、社会保障などについて
国民が抱いている将来への不安を解消することであります。そのためには、財政支出依存
体質から脱却し、構造改革を推進して景気回復を確実なものにするとともに、我が国
経済の潜在能力を最大限引き出さなければなりません。しかるに、政府の
経済・財政運営は、
経済構造改革に背を向け、選挙目当ての予算のばらまきに終始する財政紊乱そのものであり、今回の
補正予算案は到底容認できないことを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)