○菅川健二君 私は、
民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました
警察法の一部を
改正する
法律案に対し、
質問いたします。
まず、本題に先立ち、
中川前
官房長官の
捜査情報の漏えい疑惑について
お尋ねいたします。
中川前
官房長官は、
総理補佐を務めていた当時、交際相手の女性に、覚せい剤の関係で
警察が動いているので気をつけなさいと電話連絡しており、この会話の中には、警視庁の保安課が動いているとの組織的な具体の名称まで述べ、
警察の方の話はいいかげんな話じゃないともだめ押ししております。これら一連の会話は録音テープにとられ、
中川氏本人も
自分の声であると認めております。実際にこの直後、女性は覚せい剤容疑で警視庁から家宅捜査を受けました。
これら一連の事実関係を見ますと、
中川前
官房長官は、官邸にいて本来秘密であるべき
捜査情報を相手方に漏らしたことが明白であると断ぜざるを得ません。
森
総理は、
さきのクエスチョンタイムで
民主党の鳩山代表に、
中川議員本人が
調査して釈明されると言い逃れておりますが、内閣としても
責任を持って
調査し、適正に対処すべきと
考えます。福田
官房長官、いかがでしょうか。明快なお答えをお願いいたします。
また、
警察情報を漏えいしたことが事実であるとすれば、情報を提供した
警察官は公務員法上、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという守秘義務の違反に問われることになります。
警察庁はこの件について事実関係を十分
調査の上、結果を公表すべきであると
考えます。
国家公安委員長、いかがでしょうか。
警察の信頼回復の上にも重要ですので、速やかな
対応を望みます。
さて、かつて
日本は世界でも最も治安のよい国として国際的にも認知され、また多くの
国民は
我が国の
警察に対して全幅の信頼を寄せてまいりました。ところが、今日は
犯罪の検挙率の低下や
警察官の相次ぐ不祥事により、
我が国の
警察に対する
国民の信頼感が根底から揺らぎ始めており、甚だ危機的な
状況に直面しております。
警察白書における
国民の意識
調査によると、
警察の捜査活動について何らかの不満を持っている人が七三・一%に上り、一九六九年の二八・八%に比べると信頼の低下は深刻です。
警察刷新
会議の氏家座長も、ホームページの開設に当たって、このところ
警察不祥事が頻発し、
国民は不安のどん底におののいています、私はこの
警察をめぐるさまざまな問題の根本には、
日本の
警察が戦後半世紀以上を経過し、
制度疲労を起こしていることがあるのではないかと述べております。
日本の
警察はなぜこのように
国民の信頼を失ったのでしょうか。その
原因と、今後いかにして
国民の信頼を回復するのか、その処方せんについて国家公安委員長の総括的な御所見を伺います。
特に、昨年来、神奈川県警、新潟県警を初め、
警察官の不祥事が相次ぎ、このまま放置すれば
国民の治安の維持に重大な支障を生じるおそれがあり、早急な
警察改革が要請されてきました。
政府も、ようやく
警察刷新
会議の緊急提言を受けて、本法案が提出されたところです。
我が会派としては、
政府の前向きに取り組む
姿勢には一応の敬意を表しつつも、本法案では、
国民の
警察に対する信頼関係を確立する観点から見ると甚だ不十分であり、残念ながら失望を禁じ得ません。
一連の不祥事が
警察官の綱紀のたるみにあることは論をまちません。そして、そのための
警察の内部努力や自己改革は当然であります。しかし、今回の事態では、これだけで不祥事の
背景となった
警察の閉鎖性や甘えの体質、無謬性を打破することができないことが明らかになりました。
国民は、
警察に対する
国民の監視の目を
導入すること、そのために公安委員会の機能強化やさらなる情報公開を求めております。
しかし、本法案ではその視点が極めて弱く、
内容的にも不十分であると言わざるを得ません。
民主党は、
国民的視点から改革を進めるため、
衆議院段階においてあえて対案を提出し、有識者の高い評価を得たところであります。
以下、本法案と我が会派の主張の主な相違点を申し上げ、国家公安委員長の御所見をお聞きいたします。
第一に、
警察に対する監察機能の問題です。
危機管理の専門家であり
警察出身の佐々さんの言葉をかりますと、
警察組織は
日本が余りにも平和で豊かになった八〇年代ごろから腐り始めた、その主な理由としては、敵が存在しなくなり、ピラニアがいなくなった、シラスだけになったことが
警察腐敗の
原因ではないかと指摘されております。いずれの組織も、チェックのない組織は独善に陥り、腐敗し、堕落していくのが通例であります。
今回の一連の
警察不祥事においても、チェック機能が事実上麻痺していたところに大きな
原因があります。したがって、このたびの
警察制度の改革で一番重要なのは、
警察行政に対していかにチェック機能をビルトインするかということであります。
本法案では、監察について、公安委員会が
警察に対して具体的、個別的事項の指示をすることができるとされておりますが、公安委員会が独自の職員を有するわけではなく、実際には
警察の職員が補佐することとされております。監察される側が監察する側を補佐するのでは、十分な監察が
期待できないのは自明の理でございます。これでは
警察を第三者が直接監察する道を封じたことになり、身内に甘い、なれ合いの種を温存したと言わざるを得ません。
私どもは、公安委員会に独自の事務局を置き、重大な不祥事については独自の監察機能を持たせることとしております。このような第三者による監察機能を公安委員会に持たせることにより、初めて
警察に対するチェック機能が全うできるのではないでしょうか。いかがですか。
第二に、
警察に対する苦情
処理の問題です。
いわゆる桶川
事件や栃木の石橋署
事件など一連の不祥事において、苦情を聞いてもらえなかったとか文書を改ざんされ悲惨な結末となった事例も少なからずありました。もとより
警察に対する苦情は、第一次的には
警察署の窓口で受理し、誠実に
対応し、解決されるべきものでありますが、これまでの事例から見て、これだけでは限界があります。
本法案では、
警察の窓口の相談を充実しながら、文書に限って公安委員会が受理することとなっております。しかし、公安委員会といっても独自の事務局はなく、結局
警察の窓口で苦情を受け付けることになり、実態は従来とほとんど変わらないのではないでしょうか。
我々は、公安委員会に事務局を持った苦情
処理委員会を置き、苦情を言いたい
国民の気持ちに即した
処理を行うこととしております。
苦情
処理の
あり方について御所見をお伺いいたします。
第三に、
警察情報の公開の問題です。
警察情報が、プライバシーや捜査秘密にかかわるものなど公開すべきでない情報があることは事実でありますが、
警察官の不祥事にかかわる情報などは、秘匿すればするほど
国民の
警察不信を招くものです。そうした観点から、特に
警察は積極的に
警察情報の公開に努めることを明示する必要があると
考えますが、いかがでしょうか。
また、
警察情報の公開は、来年四月に施行される情報公開法において国家公安委員会と
警察庁も対象となっており、同法では、地方公共団体もこの
法律にのっとり情報公開に関して必要な施策を策定しなければならないとされております。
これを受けて、自治体も、
警察を公開対象に加える条例
改正を進めておりますが、現在のところ、
改正済みの都府県は十七にとどまっております。他の道府県においても速やかに
改正を行うよう
政府としても指導すべきであると
考えますが、自治
大臣としての御所見をお伺いいたします。
宮城県では、情報公開条例の
改正に当たって、県警本部長の第一次判断権を尊重する
規定を明記しない知事の原案に対して、明記すべきであるとする
警察本部との間に対立がありますが、県警の裁量権を広げれば、捜査上の秘密に名をかりて公表すべき情報まで隠されかねないとする知事の主張の方が正当性があると
考えます。いかがお
考えでしょうか。
第四に、本法案の
警察署協議会については、
地域住民と
警察との信頼関係を醸成する上で極めて重要な組織であると
考えますが、この人選、運営次第によっては
警察の御用機関になるなど形骸化するおそれが十分にあります。したがって、協議会の委員は、特定分野に偏ることなく、民意を十分に反映されるような人選をすること、議事は公開とするなどの
配慮が必要であると
考えますが、いかがでしょうか。
次に、
警察の組織、人員について
お尋ねいたします。
戦後、
我が国の混乱期においては、
警察は警備、公安部門を中心として充実強化が図られてきました。その後、国情が安定してきた現在、
国民生活に
家庭内暴力、凶悪な
少年犯罪、ストーカー
事件等いろいろの問題が生じております。また、情報化、国際化等時代の変化に応じてサイバーテロ、国際
犯罪等新たな問題も生じております。
このような
社会経済情勢の変化に
対応して、管理部門や全国に一万人いる機動隊の人員の運用の
あり方を含めて、警備、公安部門の人員を
国民の身近な安全を守る
地域の現場部門にシフトする等、組織の見直しと人員の再配置を図ることが重要ではないでしょうか、
お尋ねいたします。
警察庁は、来年度予算で地方
警察官二千七百七十五名の増員を要求しておりますが、焼け太りではないかとの
批判があります。人員の再配置と徹底的な合理化が進められることを前提に、
警察官の増員は必要最小限にとどめるべきであると
考えますが、いかがでしょうか。
最後に、
教育は人なりと言われますが、
警察もまた人なりであります。
警察刷新
会議の緊急提言の結びに、「一連の不祥事を見るにつけ、
国民に顔を向けず、組織の「上」ばかり見ている
警察幹部が増えつつあるのではないかとの危惧を抱かずにはいられない。全
警察職員は
国民に奉仕するとの原点に立ち戻ってほしい。」と呼びかけております。反面、私は、きょうもなお第一線で多くの
警察官が
国民生活の安全のために黙々と職務に精励している姿を拝見しております。
焦点となっているキャリア
警察官については、現場重視の経験と
自覚を促すとともに、従来のように
警察本部長には最低昇進させるという安易な登用は排除し、厳格な選別を行うとともに、いわゆるノンキャリアの登用を積極的に行うべきであると
考えますが、いかがでしょうか。
一般の
警察官の人事、
教育については、
国民に奉仕するとの
自覚の向上を図るとともに、信賞必罰を徹底し、意欲ある者が報いられる待遇や昇進システムを構築することにより、
警察官が誇りと使命感を持って仕事ができるような
環境を整えることが重要であると
考えます。
国民に信頼される
警察職員の
あり方について、国家公安委員長の決意をお聞きいたします。
我々
民主党は、
警察に対する
国民の信頼の回復を図るため、本法案の持つ多くの欠陥を指摘し、より実効性が上がる方策を提示してまいりました。
本法案の抜本的な修正を強く求め、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣西田司君
登壇、
拍手〕