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2000-10-31 第150回国会 参議院 財政・金融委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十月三十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         伊藤 基隆君     理 事         岩井 國臣君     理 事         中島 眞人君     理 事         勝木 健司君     理 事         海野 義孝君     理 事         池田 幹幸君                 片山虎之助君                 河本 英典君                 沓掛 哲男君                 世耕 弘成君                 中島 啓雄君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 星野 朋市君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 笠井  亮君                 三重野栄子君                 椎名 素夫君     ─────────────    委員異動  九月二十一日     辞任         補欠選任         中島 眞人君     狩野  安君      日出 英輔君     西田 吉宏君  九月二十二日     辞任         補欠選任         狩野  安君     野間  赳君      西田 吉宏君     上杉 光弘君  九月二十八日     辞任         補欠選任         中島 啓雄君     井上 吉夫君  十月十九日     辞任         補欠選任         井上 吉夫君     井上  裕君  十月三十日     辞任         補欠選任         笠井  亮君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 基隆君     理 事                 岩井 國臣君                 林  芳正君                 勝木 健司君                 海野 義孝君                 池田 幹幸君     委 員                 上杉 光弘君                 片山虎之助君                 河本 英典君                 沓掛 哲男君                 世耕 弘成君                 野間  赳君                 星野 朋市君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 八田ひろ子君                 三重野栄子君    衆議院議員        大蔵委員長    萩山 教嚴君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    相沢 英之君    政務次官        大蔵政務次官   七条  明君        厚生政務次官   福島  豊君        自治政務次官   荒井 広幸君        金融再生政務次        官        宮本 一三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融庁総務企画        部長       乾  文男君        金融庁監督部長  高木 祥吉君        大蔵省主計局次        長        津田 廣喜君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        日本銀行総裁  山口  泰君        日本銀行理事   黒田  巖君        日本銀行理事   増渕  稔君        日本銀行理事   小池 光一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融調節に関する報告書に関する件  )  (経済物価の将来展望リスク評価に関する  件)  (景気動向補正予算に関する件)  (生命保険会社破綻処理に関する件)  (株式譲渡益課税に関する件) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆議  院提出)     ─────────────
  2. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、この際、一言ごあいさつ申し上げます。  去る八月九日の本会議におきまして財政金融委員長選任されました伊藤基隆でございます。  本委員会財政金融全般にわたる極めて広範な所管事項を取り扱う重要な委員会であり、その委員長を承りまして、重責を痛感しておる次第でございます。  委員会運営に当たりましては、委員皆様方の格別の御指導、御協力をいただきまして、公正かつ円満に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 委員異動について御報告いたします。  昨日までに、平田健二君、谷林正昭君、輿石東君、中島眞人君、日出英輔君、中島啓雄君及び笠井亮君が委員辞任され、その補欠として久保亘君、峰崎直樹君、櫻井充君、上杉光弘君、野間赳君、井上裕君及び八田ひろ子君が選任されました。     ─────────────
  4. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事林芳正君を指名いたします。     ─────────────
  6. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、財政及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) この際、宮澤大蔵大臣及び相沢金融再生委員会委員長から発言を求められておりますので、順次これを許します。宮澤大蔵大臣
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今国会における御審議開始に当たり、一言ごあいさつ申し上げ、委員各位の御理解と御協力お願い申し上げます。  我が国経済は、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態であるものの、緩やかな改善が続いており、企業部門中心自律的回復に向けた動きが続いております。  このような状況のもと、政府といたしましては、景気自律的回復に向けた動き本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、十月十九日に「日本新生のための新発展政策」と題する経済対策を取りまとめたところであります。  本対策におきましては、IT革命の推進、環境問題への対応高齢化対応都市基盤整備の重要四分野に重点を置きつつ、生活基盤充実・防災のための施策や中小企業等金融対策住宅金融対策等を盛り込み、全体として事業規模十一兆円程度事業を早急に実施するとともに、規制改革など法制度整備等を通じて経済構造改革を推進することといたしております。  この経済対策を具体化するための平成十二年度補正予算につきましては、来月上中旬を目途に国会提出いたしたいと考えております。  この補正予算の財源につきましては、国債発行額を極力抑制する観点から、平成十一年度剰余金を全額活用するため、財政法第六条の特例を定める法律案提出を検討いたしております。  また、平成十三年度予算につきましては、今後の編成過程において予算の内容の大胆な見直しを行い、国債発行額をできるだけ圧縮するなど、二十一世紀のスタートにふさわしい予算としてまいりたいと考えております。  今後とも皆様方のお力添えを得て政策運営に万全を尽くしてまいる所存でございますので、伊藤委員長を初め委員各位には何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  10. 伊藤基隆

  11. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 今国会における御審議開始に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。  金融再生委員会では、金融再生法に基づく破綻金融機関の迅速な処理及び早期健全化法に基づく健全な金融機関に対する公的資本増強実施等を通じ、我が国金融システムの安定と再生全力を挙げて取り組んでおります。  破綻金融機関に関しては、去る九月一日、ソフトバンクグループへの株式譲渡により日本債券信用銀行特別公的管理を終了いたしましたほか、九月二十九日には、新潟中央銀行営業譲渡に係る基本合意書の締結により、金融整理管財人による管理に係る第二地銀五行すべてについて譲渡先との基本合意ないし最終契約書が締結されたことになります。  こうした取り組みの結果、我が国金融システムは一時期に比べて安定度を増しておりますが、平成十四年三月末のペイオフ解禁を控え、さらに揺るぎない金融システムを再構築するよう引き続き努力してまいる所存でございます。特に、信用金庫、信用組合等協同組織金融機関につきましては、平成十四年三月末までの間、公的資本増強が可能であることを踏まえ、的確に対応してまいりたいと思います。  金融庁では、経済金融を取り巻く環境の変化を見据え、安定的で活力ある金融システム構築及び金融市場効率性公正性の確保に向け金融制度企画立案に取り組んでおり、金融審議会におきましては、異業種の参入に伴う銀行法等整備銀行他業禁止等に係る規制緩和を初めとする諸課題について検討が行われております。  また、検査監督行政に関しては、厳正な検査監督を通じ金融機関等健全性維持向上に一層の努力を傾注してまいるほか、金融国際化に的確に対応するため、外国金融当局との連携強化等に努めてまいります。  最近、千代田生命保険相互会社及び協栄生命保険株式会社が相次いで会社更生手続開始の申し立てを行いましたが、保険契約者等につきましては保険業法に基づく保護が図られることとなっており、金融監督当局といたしましても更生計画策定過程において適切に対処してまいりたいと思います。  今後とも皆様方の御協力を得て我が国金融システムの再構築を図るため全力を尽くしてまいる所存でありますので、伊藤委員長を初め委員各位には何とぞよろしくお願いを申し上げて、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。     ─────────────
  12. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会金融再生委員会事務局長森昭治君、金融庁総務企画部長乾文男君、金融庁監督部長高木祥吉君、大蔵省主計局次長津田廣喜君、大蔵省主税局長尾原榮夫君、大蔵省理財局長中川雅治君及び郵政省簡易保険局長足立盛二郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君、同副総裁山口泰君、同理事黒田巖君、同理事増渕稔君及び同理事小池光一君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  16. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  17. 星野朋市

    星野朋市君 星野でございます。  本日の委員会は、本来、日本銀行平成十一年度下期の報告書について報告を受け、これについての審議をすることにあると思いますけれども平成十一年度の日本銀行報告書、これについては余り問題がなくて、強いて挙げれば、二〇〇〇年問題と、それから株価が二月に二万円台を回復したということぐらいで、大きな問題は私はなかったと思っております。特に追加して御発言があれば承りたいと思いますけれども、むしろ、日本銀行については平成十二年度について大きな問題が起こりました。  一つは、八月十一日に日銀のゼロ金利解消という問題がございました。これについては、「政府からの議決の延期の求めについて」ということがございまして、日銀では、「本日決定した金融市場調節方針に対しては、大蔵省および経済企画庁からの出席者が、日本銀行法第十九条第二項に基づき、議決を次回金融政策決定会合まで延期することを求めた。政策委員会は、同条第三項に基づいて採決した結果、これを反対多数で否決した。」という記録がございました。異例のことだったと思いますけれども総裁、このゼロ金利解消についての方針決定と、その後三カ月余りたったわけですけれども、ゼロ金利解消の結果についてどう今お考えをお持ちか、お聞かせを願いたいと思います。
  18. 速水優

    参考人速水優君) ゼロ金利政策解除は八月十一日にしたわけでございます。ちょうどここで通貨及び金融調節に関する報告書概要説明をいたしました二日後でございましたので、その間の事情につきまして少し説明させていただきます。  ゼロ金利政策を導入いたしましたのは昨年の二月でございまして、それ以降、日本経済は、マクロ経済政策からの支援に加えまして、金融システム対策、あるいは世界景気回復情報通信分野での技術革新の進展、これらを背景にして大きく改善してきたと思います。  八月の金融政策決定会合では、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢に至ったものと判断されました。経済改善傾向がここまで明確になっているもとでゼロ金利政策のような極端な金融緩和政策を続けてまいりますと、いずれ経済物価情勢の大きな変動をもたらしたり、あるいはより急激な金利調整が必要となるようなリスクがふえてくる可能性があると思います。そのために、経済改善に応じて金融緩和程度を微調整していくということで、長い目で見てこれが健全な経済発展に資する政策ではないかというふうに考えた次第でございます。  こうした判断に基づきまして、八月の金融政策決定会合では、十分慎重な討議を尽くしました上で、ゼロ金利政策解除することが適当であるという結論に至ったものでございます。ただし、日本経済は、ゼロ金利政策という極端な政策はさすがに必要としなくなったとは申せ、なお景気回復テンポは緩やかなものにとどまっております。このために、日本銀行としては、引き続き金融緩和スタンスを継続して景気回復を支援していく方針でおります。  ゼロ金利政策解除をしてからどういうことになったかということでございますが、経済改善に応じて金融緩和程度を微調整するということが、解除後も金融が大幅に緩和され、景気回復を支援する役割を果たすという状況は引き続き維持されているわけでございます。  こうしたもとで企業収益改善とか設備投資の増加が続いておりますし、また、雇用者所得減少傾向にも歯どめがかかっているといったような状況で、全体として景気民間需要主導の緩やかな回復が持続されていると判断しております。  金融市場につきましても、ゼロ金利解除影響評価されたと考えられます。八月中の動きを見ますと、長期金利円相場は総じて安定的に推移しておりますし、株価もかなり上昇いたしました。したがって、ゼロ金利政策解除は総じて冷静に受けとめられたと言っていいのではないかと思っております。  短期金融市場も、あのとき以来、日本銀行当座預金準備預金を上回る大きな預金が預けられておりましたけれども、そういうものが最小限に引き出されて市場で運用されていくというような活性化が、市場活発化が進んできているというふうに考えております。  株価につきまして、九月に入って大きく下落してきておるわけでございますけれども、これにつきましては、市場では、米国ハイテク企業業績下方修正といったようなことを受けた世界的なIT関連株価調整という面が大きいという見方が多いと思います。  先日も、G20、二十カ国の蔵相、総裁が集まってモントリオールでいろいろお話が聞けたわけですけれども、軒並みニューヨークの株価低落をフォローして各地の株価IT中心にして下がっているということを知らされた次第でございます。  我が国企業業績自体はむしろ上方修正されてきておりますし、今後、内外の株価を含めまして、金融為替市場動向とか、これが企業金融機関の経営を通じて経済全体に与えていく影響につきましては、引き続き注意深く見てまいりたいというふうに考えております。
  19. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 速水参考人に申し上げますけれども、もう少し大きな声で御答弁いただきたいと思います。
  20. 星野朋市

    星野朋市君 ゼロ金利解消に伴う最大の懸念長期金利上昇にあると言われておりましたけれども、この長期金利上昇ということは幸いなかった。後で大蔵省理財局国債の関係でこの関連質問をいたしますけれども、幸い長期金利上昇はなかった。  ただ、ゼロ金利解消のもう一つの要因として、デフレスパイラル心配がなくなったという御議論がございましたけれども、ここのところ物価下落、特に消費者物価、東京都の消費者物価下落というのが毎月続いておりまして、九月、十月は、特に十月は速報値でございますけれどもマイナス一%というような状態が続いております。こういうことを考えると少し心配な面がございますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  21. 山口泰

    参考人山口泰君) 私からお答えさせていただきます。  御指摘のとおり、消費者物価指数はこのところ前年比でマイナスになっておりまして、その背景というのは幾つかあろうかと存じます。景気回復が比較的緩やかなものにとどまっているということもあろうかと存じますが、それに加えまして、いわゆる流通革命動きによりましてコストがかなり下がっているというふうに思われますこと、また、過去に生じました円高影響が多少おくれて物価面にあらわれてきておりまして、それによって価格が下がりぎみになるというようなこともあろうかと存じます。  私ども金融政策運営にとりまして特に問題になります物価下落といいますのは、先ほどの先生の御質問にございましたようなデフレスパイラル的な動き、つまり景気の後退と物価下落が悪循環を来すというような、需要の弱さに由来する物価下落ということだと思っております。流通革命とかいわゆるITによる技術革新といったことで物価指数が下がるという場合には、これが全体として企業収益拡大経済活動活発化を伴っているならば、必ずしもデフレ懸念というふうに見る必要はないのじゃないかと思っております。  その点に関連いたしまして、最近の民間需要あるいは企業収益賃金雇用、生産等々の指標を総合的に点検してみますと、需要の弱さに由来する物価の低下の圧力というものはかなり大きく後退しているというふうに考えております。しかし、御指摘のような物価動向がございますので、十分注意して見てまいり、分析してまいりたいと思っております。
  22. 星野朋市

    星野朋市君 総裁、あと私の持ち時間は五十分ほどございますけれども、その間は総裁質問は多分ないと思いますので、席を外されて御休息なさって結構でございます。  それでは、引き続いて日銀にお尋ねをいたします。  今御説明がありましたような状態で、日銀としては、景気の短観はこの間発表されたわけですけれども景気動向をどういうふうに見ておられるか、これについて御説明いただきたい。
  23. 山口泰

    参考人山口泰君) 景気動向についての私どもの現在の判断でございますけれども、緩やかではございますけれども民間設備投資中心にいたしまして景気回復傾向が続いておるというふうに考えております。  今後を展望いたしますと、当然、世界経済情勢でありますとか、あるいは最近世界的に問題になっております原油価格上昇影響でありますとか、幾つかの不確実要素と申しますか、そういうのがあるわけでございますけれども設備投資についてのいわゆる先行指標、例えば機械受注等々の先行指標を見てまいりますとかなり大きくふえておりますので、設備投資の堅調さというのは当面期待をしてよろしいのではないかと思っております。  ただ、もう一方で、企業のリストラがたけなわでございまして、その面からはなかなか賃金個人所得というものが以前に比べましてふえにくいという状況が続いていると存じます。それがひいては、企業設備投資に比べまして個人消費がまだおくれぎみであるということにつながっているのではないかと考えております。  そういう状況でございますから、景気回復テンポは当面は引き続き緩やかなものにとどまるというふうに考えております。
  24. 星野朋市

    星野朋市君 この委員会のメンバーの方々、きょうファクスを多分受け取られたと思うんですが、日本銀行では「経済物価の将来展望リスク評価」と題するペーパーを毎年四月及び十月に公表することとし、その旨を去る十月十三日に明らかにいたしました。そして、本日午前八時五十分、その初回の公表を行いましたので、取り急ぎペーパーをお手元にお届け申し上げますというのが来ております。  この「経済物価の将来展望リスク評価」という命題については、新しく日銀がこういう方針を明らかにしたということで、その第一回目のレポートでございますので、これについての概略の御説明お願いしたいと思います。
  25. 山口泰

    参考人山口泰君) けさ発表いたしました「経済物価の将来展望リスク評価」という四ページ半ほどのペーパーでございますけれども、ごく簡単に説明を申し上げます。  大きく分けまして、標準的な見通しと、それをめぐるリスク評価という二つの部分で構成をしております。あわせまして、末尾に参考計数といたしまして政策委員経済及び物価見通しも載せております。  まず、今年度から来年度にかけての日本経済見通しでございますけれども、最も蓋然性が高いと私どもが思いました標準的な見通しは、物価安定のもとで民間需要主導の緩やかな景気回復が持続する可能性が高いというものでございます。ただし、さまざまな構造調整圧力が残っておりますので景気の力強い拡大はなかなか期待しにくいし、回復のパターンは、先ほど申し上げましたように、いましばらくは企業が先行して家計がそれにおくれてついていくという姿をたどるものと見込まれます。  同時に、金融政策運営上は、こうした標準的なシナリオに対しまして、下振れ、上振れ、両方向のリスクも念頭に置いておく必要がございます。  まず、下振れの方向のリスクとしては、海外要因と国内要因の二つをペーパーにおいて指摘をしております。このうち海外要因につきましては、いわゆるIT関連財の需給の緩和や原油価格上昇影響などによりまして世界経済が大きく減速いたしましたり、また、それに伴いまして金融為替市場が変調を来すリスクというものを指摘しております。また、国内の要因といたしましては、企業金融機関のバランスシート調整が強まる場合の影響などに十分目を配っていく必要があるということを書いてございます。  逆に、上振れ方向の可能性といたしましては、企業の先行きの成長期待、これが仮に大きく上方修正されるというようなことがございますと、それに伴いまして設備投資が大きく伸び始めるということも考えられます。そういう状況のもとで原油価格が一段と上昇するような場合には、物価上昇圧力が強まる可能性もあるというようなことを指摘しております。  以上が概略でございまして、日本銀行といたしましては、申し上げましたような上振れ、下振れ、両方向のリスクに十分目配りをさせていただきながら、引き続き情勢を注意深く点検してまいりたいと思っております。
  26. 星野朋市

    星野朋市君 先ほどちょっと物価の問題について触れましたけれども日銀はこのところ大分物価の安定ということについて御議論を深められていると思いますし、平成十一年度下半期のレポートの中にもこの物価の安定についての考え方とインフレターゲット論についての御記述がございますけれども、この物価の安定の問題とそれからインフレターゲット論について日銀はどうお考えになっているのか、改めてお聞きをしたいと思います。
  27. 山口泰

    参考人山口泰君) 物価の安定ということをどういうふうに定義したらいいのだろうか、あるいはまたそれを数字であらわすということが可能かどうかということにつきましてかなり政策委員会の中で時間をかけて議論をいたしまして、先般、それについての一つの結論をレポートの形で公表させていただきました。  物価の安定ということを概念的に定義いたしますと、それはインフレでもデフレでもない状態でございますけれども企業あるいは家計が、将来の物価の変動ということを余り心配することなく、企業の業務について計画を立てたり、あるいは生活の設計をしたりすることが可能な状態ではなかろうかというふうに考えました。  ただ、それを、幾つかの国がやっておりますように、例えば消費者物価が年何%程度上がる、範囲内にとどまるというような数字であらわすことが可能かどうかということになりますと、これは現在の日本においてはかなり難しいことだという結論に到達いたしました。  その理由は幾つかございますけれども一つには、物価指数そのものにつきまして、必ずしも真の物価を正確にあらわしているとは言い切れない部分があるんじゃないかというようなことが問題として指摘されました。またもう一つには、現在は、日本経済は御案内のとおりさまざまな構造調整圧力をくぐり抜けているところでございまして、例えば先ほども申し上げましたITとかあるいは流通革命によりましてコストが大幅に下がってくるというような場合には、物価が若干下がりましても企業の収益は確保されるというような組み合わせも十分可能ではないかというふうに考えました。そういうことをいろいろ考え合わせますと、物価の安定を厳密な数字であらわすということはなかなか難しいというふうに考えたわけでございます。  それを前提にいたしますと、今度はインフレーションターゲティングの話でございますけれども物価安定を数字できちんと表現するということが難しい以上、適正な物価上昇率というのを目指しまして金融政策を専らそのために運営するということは、現状においては適当ではないというふうに考えた次第でございます。
  28. 星野朋市

    星野朋市君 私のところへ毎月経済企画庁が月例経済報告説明に来るんですけれども、そのとき私はいつも、経済企画庁のあれにかかわりまして、持論として、かなり以前から流通の形態が相当変わっているよと。そして、あそこに出ている特に個人消費の問題なんかは、協会のあるところのデータを主にとっているじゃないか、今伸びているところは、協会なんか必要としない独自でやっているところが多いぞと。  それから、ユニクロ現象という言葉が出るぐらいに、このユニクロの発達によってスーパー業界の衣料品売り場の売り上げというのがすごく減少しているんですね。これはジャスコの岡田さんなんかがこのユニクロの発展をかなり前から気にしておって、スーパーはこれにやられるよと。そのとおりになってしまった。  それから、通販の発達。かつては通販というのは、衣料品なんかはポリエステル一〇〇%のものばかりだったんですけれども、今は相当素材もよくなりまして、ここら辺も価格を相当下げている。例えば紳士服なんかは、御存じの方おられると思いますけれども、生地代というのは、どんないいのとそれから大してよくない物、ほとんど値段は変わらないんですよ。縫製賃なんですね。そうすると、中国で縫製すると、彼らの賃金から、それから彼らの一日の仕上げ料からいくと、一着が五百円ぐらいにしかならない。当然、一万円そこそこで物が売られる、こういう状態になっているんですね。そういうようなことが各所で起こっている。  いい例が、ソニーが発売したアイボというロボット犬がありますね。あれ、去年は二十五万円だったのが、ことし出したやつは十五万円なんですよ。こういうような形。それから、売れ行き好調だというパソコンなんかは値段はどんどん下がっていますね。  こういうことが、いわゆる経済企画庁がとっている統計上の問題からすると、かなり影響を及ぼしていると私は思っているわけですけれども、そこら辺は、物価の安定で、もちろん需要が減退しているわけでないということの一つの半面の証左ではありますけれども、こういう傾向がこれからもしばらく続くものと思われますけれども、そこについては日銀はどういうふうにお考えなのか、お聞かせ願いたい。
  29. 山口泰

    参考人山口泰君) ただいま先生御指摘のとおり、我が国の特に流通面におきまして非常に大きな変化が進行中でございまして、恐らくそのことが価格面にもかなり大きな影響を与えつつあるのではないかというふうに考えております。  政策委員会の議論の中でもその点が非常に重要なポイントとして指摘されました。人によりましては、日本の流通構造の効率の悪さによる価格の高さというものが、国際競争が非常に激しくなる中でだんだん国際的な価格水準にさや寄せされざるを得なくなっているということを指摘する人もおりました。  もしそういうことが進行中であるといたしますならば、国際競争の面から、あるいは我が国経済構造の変化の面から、つまり供給の面から価格をかなり下押す力というのが当分の間はかなり働かざるを得ないのではないかというふうにも考えております。  それが一体どれぐらいなお続きそうかとか、あるいは実際の数字にするとどの程度になりそうかということにつきましては、なお日銀においても勉強を続けてまいりたいと思っております。
  30. 星野朋市

    星野朋市君 日銀については最後の質問になりますけれども、この委員会でも指摘されて、日銀のリストラですね、資産の売却だとかそういうものはかなり進んでいると思いますけれども、これがその最終局面の一つかどうか私にはわかりませんけれども、ここのところで日銀が、小樽の支店とそれから北九州支店ですか、これを閉鎖するという情報が流れました。地元の人たちの反対で今まだ決定には至っていないと思いますけれども、この二支店の廃止について日銀はどういうお考えでこれをなされたのか。多分、これは一つの地域に対する複数店の整理という意味だと私は思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  31. 小池光一

    参考人小池光一君) お答えを申し上げます。  私ども日本銀行法によりまして適正かつ効率的な業務運営を求められておりまして、これまでも組織の見直し、保有資産の整理、給与水準の調整、人員の削減等、さまざまな施策を講じてきたところでございます。今般の支店の廃止につきましても、私どもの支店が地域の金融経済との接点として重要な役割を担っていることを踏まえつつ、一段と適正かつ効率的な業務運営を実現するために行うものでございます。  また、私どもは、平成九年の日銀法改正の際に国会より附帯決議の形で、支店・事務所の統廃合を含むリストラ計画を作成するように求められているところでございます。今般の措置は、私どもとして十分慎重な検討を加えた上での国会の御要請に対するお答えでございまして、広く国民の利益につながるものであるというふうに考えております。  それで、この支店の廃止についての具体的な考え方でございますが、今般の支店廃止の検討に当たりましては、廃止対象となる支店の果たしてきた機能が近隣の私どもの支店によって支障なくカバーされること、そして地元金融機関等利用者の方の利便性が大きく損なわれないこと、この二つをまずもって踏まえたところでございます。  その上で、現に私どもの支店が担っております機能に即しまして、具体的な基準、すなわち支店に対する需要の強さ、大きさ、私どもの支店間の時間距離などの基準を策定しまして、これらに照らして支店存続の要否を判断する、かような方法を採用いたしました。  そうした方法論のもとで検討を行いましたところ、小樽及び北九州の両支店を廃止することが適当であるという結論に至ったものでございます。
  32. 星野朋市

    星野朋市君 それはわかるんですけれども、要するに、地元それから政界を巻き込んで今相当の反対論がありますね。それは、反対論があっても実施するということでよろしいんですか。
  33. 小池光一

    参考人小池光一君) お答え申し上げます。  この小樽、北九州の地元の皆様方から存続を求める声をちょうだいしているのはそのとおりでございます。私どもといたしましては、私ども考え方につきまして今後地元に極力丁寧に御説明申し上げ、できる限り御理解を賜ってまいりたい、かように考えております。
  34. 星野朋市

    星野朋市君 それでは、次に金融庁にお伺いをいたしますけれども、先ほど相沢大臣からもお話がございました。ここに至って千代田生命と協栄生命、ことしに入ってからこれで四つ目ですか、第百、大正、それから千代田、協栄と。千代田、協栄の問題については、この委員会でも私は名前を挙げないけれども危ない生保があるという指摘をしておいたんですけれども、この千代田、協栄について、破綻の最大の原因は何であったのか、改めてこれは御説明願いたいと思います。
  35. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、千代田生命それから協栄生命につきましては、それぞれ十月九日、そして十月二十日というふうに、東京地裁に対しまして会社更生手続開始の申し立てを行いました。そして、十月十三日、さらに十月二十三日にそれぞれ会社更生手続開始の決定がなされたところでございます。  こういった事態に立ち至った理由といたしまして、両社の説明といいますか、申し述べておられることでございますけれども、やはり低金利の継続する中で多額の逆ざやを抱えていたことが大きな原因でありますし、また第二に、このような厳しい状況のもとで新規の契約が伸び悩んでまいりました。また、解約が増加するというような事態が発生してまいったことが挙げられます。また第三に、こうした状況対応して他社との提携等に向けた努力を極力してまいったわけでございますが、その見通しが立たなくなったというような事態が発生いたしました。  そういった経緯から、このまま推移いたしますと会社の財務状況がさらに悪化することになり、保険契約者等の負担も大きくなる心配があるというふうに考えまして、早期の段階で更生手続の開始の申し立てを行ったというふうに承知いたしております。  そういったことがやはり一番大きな原因ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
  36. 星野朋市

    星野朋市君 今の御説明は随分不十分だと思うんですけれども、千代田生命と協栄生命の破綻の原因は少し違うと思うんですね。千代田生命は、もちろん逆ざやの問題のほかに相当不動産の不良債権を抱えておった、これが大きな原因じゃないかと思うんですよ。それで、私は特に、千代田生命についてはことしの三月にソルベンシーマージン率が二六三、それから協栄生命は二一〇。要するに、二〇〇以上あれば安全だと言われていたにもかかわらず、千代田生命の二六三というのは自己査定によるものだから、これは相当問題であるということは前から指摘しておいたんです。  それで、これは相沢大臣も最後随分お怒りになったと思うんですけれども、東海銀行の対処の仕方が私は随分けしからぬと思うんです。千代田生命はぎりぎりまで顧客に対して何と言っていたかというと、東海銀行が何とかしますから大丈夫ですと、こういう言い方をしてきたんですね。それから、協栄生命の方はややかわいそうなところがありまして、千代田生命がぶっ倒れた後、解約が相当激増しちゃったんですよ。逆に、今、だから生保の契約者が日生とか第一へ随分シフトしています。やがて起こるペイオフ寸前の姿がちょっとあらわれているんじゃないかと思うぐらい、今、両巨大生命保険に対するシフトが随分行われているというような状態なんですね。  それだから、私は、千代田と協栄の問題については、まあ、協栄生命の方はプルデンシャルがあとどれだけ肩入れするか、多分公的資金は使わないというようなことが伝えられておりますけれども、千代田の場合、損害額、損失率がふたをあけてみたら非常に大きくなって、この間成立した保護機構の四千億プラス一千億という、これにかなり食い込んでくるんじゃないかと心配されておるんですが、そこら辺についてはどういうふうにお考えですか。
  37. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) 千代田生命の場合と協栄生命の場合で若干事情が違うんじゃないかという御指摘をされておりました。そのとおりだと思います。  千代田生命につきましては、過去に行った企業向けの融資の償却負担、こういった問題が財務内容の悪化の非常に大きな要因になっているぞという先生の御指摘は、確かにそういう面がございます。それに対してあらゆる努力をしてまいった次第でございます。金融機関への協力の要請ということもやってまいった次第でございますが、先ほど申し上げましたような事情で、残念ながらその辺もうまくいかなく、そういう形になったわけでございます。  また、協栄生命の場合は千代田の破綻が影響しているんじゃないかという御指摘もございました。確かに、その破綻の関係もありまして解約が増加したということが大きく影響しているのではないかなというふうに感ずる次第でございます。  いずれにいたしましても、これからしっかりと頑張ってまいらなければいけないというふうに思うわけでございますが、ソルベンシーマージン比率の問題、先生御指摘がございましたような心配は本当に現実となったわけでございますけれども監督する立場といたしましては、全力を持ってそうした問題に対処してまいった次第でございます。  なお、四千億円プラス一千億円というお話もございました。そうした契約者保護機構の問題はそれなりの準備はできておるわけでございますが、協栄生命の場合などについてはプルデンシャルの方での引き受けというふうな形が決まりまして、そうした問題が大きな負担にならないような形で解決されますという見通しも述べておられる次第でございまして、極力そうした負担が機構に大きくならないような形でのスムーズな解決をお願いしたい、あるいは努力したいというふうに考えている次第でございます。
  38. 星野朋市

    星野朋市君 それに関連してですけれども、生保の問題はこの二つが終わるとほとんどないと言っていいと思うんですけれども、問題は、金融機関の問題だと思うんですね。  金融機関の問題についていいますと、不良債権の処理額というのは、主要十七行ですか、これでもって平成九年度が約十兆ですね。それから平成十年度、これが十兆四千億。それから、昨年はどうだったかという、ここが問題なんですよ。  この平成十年度が終わった後で、前々金融再生委員長は峠を越えられたと、大蔵大臣も不良債権の処理はほぼ終わったと、こういう御発言があったと思うんですけれども、これは間違っていたら訂正してください。  平成十一年度は、主要十七行の当初の不良債権の償却額は一兆五千億だという予定をしておったんですね。ところが、昨年の九月の中間期に、これは約二兆八千億だと。そして、ことしの三月に至っても金融庁の人たちは我々に対して二兆八千億を超えることはないと、こういうふうに言っていたんです。ばかを言うなと。中間期で二兆八千億と言っていたらもっと多くなるだろうと。そうしたら、平成十一年度が終わってことしの三月は幾らだったか。四兆五千億ですよ。当初一兆五千億と言っていたのが、結末は四兆五千億。いかに彼ら自身が甘い査定をしておったか。だから、千代田生命がソルベンシーマージン率二六〇と言っていたのも、自分自身の評価でやった数字ですからこんなことが起こるんだと思うんですね。  そして、今年度はどうだったかといいますと、今年度は当初の予定は一兆五千億なんです。ところが、半期済んでことしの九月はどうだったかというと、一兆三千四百億。これだと、今年末まで行くと、そごうの破綻だとかいろいろまだ出てくる問題がありますから、やっぱり倍ぐらいになってしまうんじゃないか、そういう心配があるんですね。  要するに、私の言いたいのは、終わったんじゃなくていつまでもいつまでもだらだらだらだら続いていく、これを非常に恐れるわけなんですが、金融庁はそこら辺をどうお考えで、それから査定そのものをもっと厳しくなさらないといけないんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
  39. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) 確かに御指摘のように、当初十一年の五月に見込み額が発表されたのを見ておりますと、主要行の発表ですが、確かに一兆五千億円程度の見込みだったものが、二兆八千億になり、そして実額では最終的に四兆五千億になったという御指摘は本当にそのとおりでございます。  ただ、主要行におきまして、決算発表に当たりまして、その時々の状況判断に基づきまして、主要行各行の責任におきましてそうした数字を、翌期の業績予想というふうなもの、あるいは不良債権処理の見込み額等というものについて公表したところでございまして、金融庁といたしましては、各行から公表された数字を集計したものでございます。  また、もとより、不良債権の処理額でございますが、その時々の地価の動向あるいは経済状況、さらにまた個別の債務者の業況、こういった状況の変化等によりまして非常に大きく影響されるわけでございます。したがいまして、各行の事前に公表した、あるいは、する不良債権処理額の見込み額というものと実際の実績値がどうしても乖離するということ、これはやはりある意味ではやむを得ない面があるのではないかなというふうに御理解を願いたいと思うわけでございます。  各行では、期中において、個別の事案について、債権の取り立て不能であるとか、あるいは取り立てが遅延してしまう、あるいはそのおそれがある、あるいはまた一定の基準に該当する場合には、当該事実が業績等に及ぼす影響も含めて、適時適切にといいますか、時々の情報開示を行っているところであります。  今後もそういった情報はやっていくわけではございますけれども、この十二年の三月期についても、将来また変わるんじゃないかなという御指摘を先生の方からされたわけでございます。その点、先生御指摘のとおりでございますが、主要行の十二年の三月期においての実績との乖離、この点につきましては確かに大きな乖離がございましたけれども、やはり不良債権処理額の増加ということになっちゃったわけですけれども、これはやはり、債務者の業況の変化、さっきも申しました、あるいは地価の下落に伴う担保価値の減少とか、あるいはバルクセールというふうなことによる最終処理の促進というふうなことによりまして見込みと乖離したわけでございますし、また、来年のことにつきましても、十三年につきましても、これは確かに先生おっしゃるような心配はございますけれども、各主要行としても鋭意そうした作業を行っていただいておるわけでございますので、それを見守っていきたいというふうに思う次第でございます。
  40. 星野朋市

    星野朋市君 そういう御努力は認めますけれども日銀調査によると、全国の金融機関ですね、百四十三行がこの九年間にどれだけ不良債権を処理したかというと、実に六十二兆も処理しているんですよ。このうち約十兆は回収したと言われておりますけれども。そうすると、日本の金融機関の抱えておった不良債権というのは当初言われた俗説百兆円に近いんじゃないかと。要するに、この問題が片づくまでは日本の経済は本当に立ち直らない、低金利は続けざるを得ない、それによって生保が逆ざやでアウトになる、そういう矛盾した状態がしばらく続くんじゃないかと私は恐れておりますけれども、ここのところを何とか早く解決してもらいたいと思います。  それでは、今度は大蔵省にお尋ねをいたしますけれども、林政務次官のときに私が国のバランスシートの問題について御質問をいたしました。  ことしの十月に第一回目のバランスシートができ上がってまいりましたけれども、このバランスシートの問題について、これは財政事情の説明手法に関する勉強会という形で発表されておりますけれども大蔵省においてオーソライズされておるものなのかどうか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  41. 津田廣喜

    政府参考人津田廣喜君) 今回発表いたしました国の貸借対照表でございますが、まず、貸借対照表にいろんなものを計上する考え方につきましては、学者、これは会計学者、財政学者あるいは公認会計士、それから財政の実務者、そういった識者の方々に集まっていただいて研究会、勉強会をつくりました。考え方はそちらの勉強会の方の考え方として発表されております。その考え方に基づきまして、具体的な数字につきましては大蔵省中心となりまして各省庁の協力を得てつくって発表したということでございます。
  42. 星野朋市

    星野朋市君 これは私の考え違いだったかもしれませんけれども、バランスシートをつくることによって、国の資産はどうあって、それから負債はどうあって、その中に、負債の方でいえば、赤字国債というのはどのくらいあって、それで財政再建についてはどこをどう直していかなくちゃならないのか、資産の方は地方交付金とかそういう形で地方に移転されてしまうものもありますから、この辺は会社の貸借対照表とはかなり違うものだろうと。  ところが、例えば東京都がつくったバランスシート上では明らかに、例えば多摩ニュータウンなんかの失敗というような問題が提起されておる。ところが、今度できた貸借対照表では、第一回ですからやむを得ないといえばやむを得ないんですが、そういうような視点がほとんどないんですね。そして、社会保障費の、今預かっておる金額とそれから政府が補てんすべきもの、それから社会保障費の全額という形で三つの負債が提示されておって、そこだけが大きくクローズアップされてしまったようなことになっておるわけですけれども、その点についてはどうお考えですか。
  43. 津田廣喜

    政府参考人津田廣喜君) お尋ねの負債の件でありますが、負債につきましては、一番研究会でも計上の問題になりましたのは年金のことでございます。  年金につきましては、結局、いろいろ研究会で意見が分かれまして統一した考え方は示されませんでした。細かいことは省略いたしますが、結果的に三つの数字を公的年金については負債あるいは預かり金としてお示しをしているわけであります。  この負債の部で金額が大きいのは、郵便貯金と民間保有公債、それに公的年金の預かり金ないしは負債、それと保険準備金等という四つになっております。これはいずれも百兆円を超える規模が計上されているということで、これをどう見るかということが一つのポイントだろうと思っております。  負債の中身につきましては、資産の部と両建てになっているものも実は多いわけでございまして、そちらの方が十全に回収されれば特に国民負担につながる問題はないだろうと思いますが、国債につきましては見合いの資産のない部分も多いわけでございます。  今委員がおっしゃったように、例えば補助金のような形で地方の資産に計上されている部分もありますので、全く資産がないというわけではない。それから、国の方でも直轄事業などではもちろん資産として現に計上されているわけでありますが、そこのところは一つ一つ中身を見て判断していく必要があるというふうに考えます。
  44. 星野朋市

    星野朋市君 私が問題にしたかったのは、これは平成十年度末ですね、だからまだ国債の残高は三百十五兆ぐらいだと思うんですけれども、そのうち赤字国債は八十八兆と明示されているわけです。  それで、財政再建のための第一歩としてこういうものをつくる、こういうふうな考えを私は持っておったんです。そうすると、まず赤字国債の分をどうやって減らしていくかということに焦点が絞られると思っておったんですが、ここら辺がまだ非常に不明確である。これは毎年これからつくっていくわけでしょう。どうなんですか。
  45. 津田廣喜

    政府参考人津田廣喜君) まず、数字の件でございますが、今回お示しした金額のうち、特例公債ということで一応分類いたしましたのは八十八兆というふうにお示ししておるんですけれども、このほかに減税のために発行した特例公債とかほかの特例公債もありますので、十年度末の公債発行残高約三百十五兆円のうち、特例公債残高は約百十二兆円ということになります。  それから、どのようなインターバルで今後発表していくかということにつきましては、各方面の御意見を幅広く伺った上で検討してまいりたいというふうに考えております。
  46. 星野朋市

    星野朋市君 それでは、しばらく発行がないかもしれませんので、この時点で念のためにお聞きしておきますけれども、この資産の中に自衛隊の装備、施設、それらがあると思うんです。それは概略どのくらいになりますか。
  47. 津田廣喜

    政府参考人津田廣喜君) 今回発表いたしました国の貸借対照表におきます防衛庁所属の有形固定資産価額でございますが、これは、国会報告を申し上げております国有財産増減及び現在額総計算書という資料と、それから物品増減及び現在額総報告という二つの資料をもとに推計しておるわけですが、この価額は約十三兆円となります。これは、今おっしゃったもののほかに、例えば艦船でありますとか施設とか全部入っております。  装備につきましては、三百万円以上のものが国有財産の台帳にありますので、それをもとにした推計となっております。
  48. 星野朋市

    星野朋市君 時間ですけれども、最後に一つだけ。  先ほど日銀についてもお尋ねをいたしましたけれども、ここで金余りの状態があるがゆえに、一説によると、個人の金余り三十三兆、法人二十八兆、約六十兆です。ですから、国債が容易に消化されていくという状態でありますけれども、これはそうなれば一番いいと大蔵大臣は常に言われておりますが、やがて来年の一月から三月にかけて設備投資が本格化してくると、そこら辺かなりきつくなるんじゃないかと思われますけれども理財局はどうお考えですか。
  49. 中川雅治

    政府参考人中川雅治君) 今先生御指摘のような見方もいろいろ報道されたりしておりますし、また来年度は借換債の発行量も増加いたしますし、財投債の発行も開始されるというようなことで、国債の市中発行額の総額がさらに増加することが見込まれております。  このような状況のもとで、国債の発行に当たりましては、今後とも市場のニーズ、動向等を踏まえまして償還年限別の発行額を適切に設定するとともに、毎回の入札に当たりまして市場実勢を反映した発行条件を定めることなどによりまして、円滑かつ確実な消化を図ってまいりたいと考えております。  やはり、市場との対話といいますか、市場のニーズをどのように酌み取っていくかということが大変大きな課題だと考えておりまして、現在、国債市場懇談会といったような場を設けまして、市場関係者と定期的に対話を持つ場を設けておるわけでございますが、今後ともさまざまなチャネルを通じて市場の意向を酌み取り、円滑な発行に努めてまいりたいというように考えております。
  50. 星野朋市

    星野朋市君 終わります。
  51. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは質問をさせていただきたいと思いますが、これは突然の質問でありますのでもしかするとなかなか答えにくいかもしれませんが、宮澤大蔵大臣相沢金融再生委員長に、けさの毎日新聞で森内閣の支持率が二〇%を切って一〇%台、これについてどのようにお考えなのか、まずちょっとお聞きしたいと思います。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一つ二つではにわかなことは申し上げられませんけれども、そのような調査がまずはなされておるかもしれないと思います。恐らく、このしばらくの間の政治の動きについて、経済状況もないとは申しませんが、国民が非常な憂慮をしている、そのことがあらわれておると思います。  私どもとして一生懸命やってまいったつもりですけれども、そのような国民の憂慮をやはり反省しなければなりません。政府としても、また党としても、あるいは与党になっていただいておる方々ともここで一緒に気持ちを引き締めまして、今まで批判を仰いだことについては十分反省をいたしながら、しかし、こういう重大な時期でございますから、力を合わせてこの国民の批判に対応し、またその成果を上げていく必要がある、そういう感想を持っております。
  53. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 私のお答えもほぼ今の宮澤大蔵大臣と同じになると思いますが、確かに、いろいろなことが特に最近ございました。個人的な問題もあったりなんかしたわけでありますが、そのことだけが問題では無論ない。最近における経済情勢、なかなか景気回復をしないというようなことも、国民のこの政権に対する一つの批判の原因にもなっておるかと思っているのでありますが、いずれにいたしましても、我々といたしましては、現下の情勢上、とにかくこの体制を支えて、そして景気回復、私の務めとしましては金融の安定に一層の努力をして、何とか国民の政治に対する、また現内閣に対する信頼を回復するために精いっぱいの努力をしていかなければならない、かように考えているのでございます。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 内閣は二〇%を切ると危険ラインだと言われています。我々としても、さらに森内閣の追及をしながら、本当に国民の信頼を受ける政治を回復するために頑張っていかなきゃいかぬと思っています。  さてきょうは、財政金融委員会でありますから、最初に日銀総裁の方にちょっとお伺いいたします。  先ほど、ゼロ金利解除実施以降、日本経済をどう考えておられるかということがあったんですが、私は最近、八月以降、経済というのは大分悪くなってきているんじゃないかというふうに思っているわけであります。  先ほど、下振れの懸念ということで山口総裁からいろいろと御指摘がありましたけれども、特にアメリカ経済、そして世界的にIT需要というのが、例えば携帯電話でいえば、大体年初予想では七億台と言われていたのが三億八千万台ぐらいに落ち込むのではないか、こういうふうにも言われているわけです。さらに、アメリカが減速すればアジアが減速するということで、本当に日本の経済は大丈夫かなというふうに思っているわけであります。  つい先日、朝日新聞が、あなたは今の景気をどう感じていますかという、これは毎月やっておりますが、七月は、深刻な不況だというのは五〇%、八月が五一%で九月は五〇%、十月二十五日に実施された数字を見ると、深刻な不況だというのは五四%になっております。これは、主要大企業だけじゃなくて、朝日新聞の場合はかなり多くカバーをしている数字です。かなりそういう意味で不況感というのが浸透してきているというふうに見ておりますが、この点はどのように考えているか、簡単で結構ですからちょっと。
  55. 速水優

    参考人速水優君) 私ども判断では、企業収益が非常によくなってきておりますし、それによって設備投資もふえてきております。生産もふえてきております。そういうものがいずれは家計にもつながっていくだろうということ、今、雇用関係なども底を打ったような格好になっておりますから、それが少しずつよくなっていくに違いないというふうに見ております。  不安があるとすれば、やはり海外要因として、今どの国も直面している問題ですが、ITの言ってみれば若干の株価の行き過ぎがあった。それが調整の過程に入って、ニューヨークが下がり、それに追随して各国の株価が下がっている。これと、やはり中東情勢どもまだどういうふうに展開していくかわからないといったような不安もありますし、そのほか、原油価格が上がって、日本の場合には幸いにして、いろいろ準備されたために、七〇年代のオイルショックと違って国内の物価にそう響くようなことはまだ起こっておりませんが、ほかの国では起こっておりますし、そういう国々、特にアジアの石油消費国ではかなりの打撃が出ているところがあるわけで、そういうところに向けた私どもの輸出もこれからは影響を受けてくるに違いないといったようなこととか、さらには、ユーロが非常にここへ来て弱くなってきて、これがどういうふうに展開していくかということが心配になっている。  こういった不安要因がある以外は、この緩やかな景気回復が続いていくというふうに思っております。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その景気の見方についてあれこれ言ってもしようがないんですが、きのうの日経新聞に、「デフレ・スパイラル「下がらぬ賃金」が起因」ということで日銀が分析をされた記事が載っております。  そこで、どなたが書かれた論文かわかりませんが、日銀分析と書いてあるんです。これは後で正確に教えていただきたいと思いますが、その中に、「デフレ・スパイラルのリスクが高まっているかどうかの目安としては①名目国内総生産が減少していないか②企業収益の減少と雇用者所得の減少が同時進行していないか③企業の信用リスクが高まっていないか」、こういったことを指摘されている。  その前に、どうも下がらぬ賃金が原因じゃないかということと並んで、もう一つは実質的な債務負担の増大。これは私、実は八月八日の予算委員会で、こういう時代においては、名目でどんどん下がっていく、そのことが実は借金を、先ほど星野さんの質問にもありましたように、物価が下がるごとに地価が下がる、そうすると、資産がある意味では劣化していますからそれがどんどん大きくなっていく、負担が重くなっていく、だから問題はそこにあるんじゃないですかということを指摘しました。ずっと私も議事録を後で読んでみたんですが、どうも資産デフレに対する見方というのが、総裁発言は非常に弱いんじゃないか。しかも、デフレ懸念が払拭できるということでおっしゃられた日銀の分析によれば、名目と実質でいえば名目が下がるのは問題だと言っている。  そこで、きょう私の手元に持ってきました「経済物価の将来展望リスク評価」という中で、GDPの見通しで、これは名目じゃないんです、実質と書いてある、わざわざ。なぜこれは名目じゃないんでしょうか。そして、名目と実質、両方を明らかにすべきじゃないか。そうでなきゃ、日銀がこういう分析をしていることと合わないじゃないですか。これが第一点です。  それと、なぜ政策委員のメンバー九人を、それぞれの平均値を出すようなことをするんでしょうか。どうして日銀当局がこういう目標にしますよということを責任を持って出されないのか。政策委員会というのは、私も政策委員の現場の皆さん方がどういう作業をやっていらっしゃるかわかりませんが、実際上、作業をされるというのは日銀の事務局から資料やデータを要請されていくわけでしょう。ということは、やはり我々が見たときに、一人一人の日銀のメンバーの平均値を出すんじゃなくて日銀としての目標値、これも実は、見通しじゃなくて目標として出すべきじゃないかというふうに思うんですが、この点はやはり責任を持って出す以上そういうふうに考えるべきじゃないかと思いますが、二点お伺いしたいと思います。
  57. 速水優

    参考人速水優君) 最初の、バランスシートが悪くなっていってそれが破綻につながっていくじゃないかということ、これにつきましては、私どもも直接企業の内容を見ているわけでございませんけれども銀行がそれぞれ取引先の経営内容を見ておりまして必要に応じて、場合によっては償却もし、場合によっては不良資産として引き当ての積立金を積んで構えておるわけでございまして、そういう意味で、かつて起こったような金融機関の自己資本不足による金融システムの不安といったようなことは、余りこの段階では考えることはないというふうに思っております。  したがいまして、もちろん、先般来お話が出ておりますような生命保険とかあるいは建設会社とかそういったものがまだまだ、保険については大体出そろったのかもしれませんが、破綻が起こることがあり得るかもしれませんけれども、私ども心配するのは、やはり競争の世界ですから勝敗というのは必ず起こるわけで、失敗をした者が破綻していくということは資本主義経済の中では、それこそ市場でございますので、そういうことは今後も起こっていくことは十分注意していかなきゃならないと思います。  実質のGDPを見ていてもだめじゃないかという御意見でございますけれども、私どもとしては、物価動きというのは、その背後にある実体経済動きとの関連評価する必要があるわけでございますから、こうした観点から、経済全体についてのイメージを示すために実質GDPの成長率の見通しを示していくということが必要であるというふうに思って、けさ発表いたしました今後の見通しにつきましては、実質GDPを今回は年度中ということで出しておるわけでございます。  それから、もう一つ質問の、政策委員一人一人の見方でなくて、日本銀行として数字を出してはどうかという御質問でございますが、もちろん執行部はそれぞれの立場で検討して数字を出しております。そういうものも政策委員の方々にも十分説明をして、その上で、九人の政策委員の方々の経済の実質成長の見通しと、それと卸売物価及び消費者物価をどういうふうに見るかという見通しを出していただきまして、それを大勢を御報告する、それから上限と下限とを一緒に報告するということをきょうから始めたわけでございます。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総裁、余り答えになっていないんじゃないかと思うんです、ずっと聞いておりまして、率直に申し上げて。ここに書かれているように、なぜ名目を出せないんですかというときに、いや実質は重要だ、実質は重要だと。  ただ、先ほど申し上げているように、負債を抱えているところは、ずんずんデフレが進行して物価は低下する、地価は下がっていく、そのことによってますますそれがおもしになっていくということの、これは不良債権がふえていくとさっき相沢金融再生委員長はおっしゃっていましたよね。  ですから、そういう意味では、名目では我々はどういう目標を立てたいと。これは、実はインフレターゲット論ということで、インフレが高いところを下げることについてはあり得るというふうにおっしゃっていましたけれども、逆に低いことも今問題になっているんだから、その低いところも、実は我々としてはできる限りゼロ成長に持っていくとかデフレをなくすために頑張るとか、そういうことをもう一方でやらない限り、それは答えにならないんじゃないでしょうか。これからも名目はもう目標値としては出さないということですか。
  59. 速水優

    参考人速水優君) 名目について私どもが見ておりますのは、企業収益などは名目で出てくるわけでございますし、雇用者所得といったようなものも名目で出てくるわけでございます。実体経済がどういうふうに動いていくかというのは、やはり実質経済で実質の数字を問題にしていくべきではないか。物価の安定を通じて経済の安定成長を図っていくというのは、日本銀行の目標でございますし、日銀法に示された私ども考え方でなければならないというふうに思っております。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これ以上お話をしても、ちょっとかみ合わないのか、それとも私の質問がどうも的を外れているのかよくわかりませんけれども、ただ、少なくとも、実質で出すことももちろんそうでありますが、名目でも私は出すべきだし、今のお話をずっと聞いていて、物の値段、通貨価値の問題がそうなんでしょうが、やはりあのバブルのときの反省点として、資産のインフレといいますか、資産が高騰していったわけですね。だから、そのことを見なきゃいけないときに、いやいや、通常の物価だけが平穏であればいいんですよということではないわけです。  だから、企業の収益はどうだろうか、賃金水準はどうだろうかというようなことも、一皮むいてみると、企業のいわゆる負債の構図を見ると、当然これは売り上げが減っていく、そのことに伴ってもちろん仕入れも減っていくんでしょうけれども賃金水準が非常に硬直化するとか、あるいは負債が異常にウエートが高まっていくというのは、これは当然あり得ることですから、当然私どもはこれは名目でもきちんとした目標を立てるべきだというふうに、これはむしろ要望をしなきゃいけないのか。  先ほど答えられた以上、そこでもうこれ以上出ないのかもしれませんが、私は、やはり日銀当局としては目標をきちんと立てるということにすべきだろうと思うんですね。それと、見通しというよりも、それの目標ということに対しては、総裁一言だけで結構ですが、そういうふうに変えられることは考えておりませんか。
  61. 速水優

    参考人速水優君) 目標ということにできるほど、今、日本の統計の数字につきましてもいろいろ、殊に構造が変わりつつあるときには統計が後をついていけない面がございますし、その辺のところは、数字が出てきてそれが目標になるということになると非常に難しいことになるというふうに思っております。今の現状では、見通しを出すということで、それを市場への私ども考え方あるいは見方をコミュニケートするということに使ってまいりたいというふうに思っております。  実際の数字を使って目標を立てるかということにつきましては、もちろん一つのやり方であると思いますので、今後も引き続き検討は続けていくつもりでおりますけれども、当面は、きょうから始めましたこの見通しということでやっていくつもりでおります。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 また引き続きこれからも日銀総裁には国会の場等を通じていろいろ御意見をお伺いすることがあるだろうと思います。これ以上言っても水かけ論になるかもしれませんので、後でまた日銀総裁の意見も聞くことはありますのでもう少し座っておいていただきたいと思うんです。  そこで大蔵大臣にお伺いします。  今、日銀総裁には景気見通し経済見通しを聞いたんですが、大蔵大臣としては今、日本の経済状態をどういうふうに見ておられるんでしょうか。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 二年余りにわたりまして峰崎委員と私は時の経済情勢について議論をさせていただいてまいりまして、私自身はその都度思っておりますことをずっと申し上げてまいりましたけれども、しかし同時に、峰崎委員の言われておられますこと、出しておられます疑問は、私は決してお答えできたからいいとだけ簡単に考えていませんで、絶えず注意して、後になっていろいろ考えたりしております。  二年余り考えまして、実はこの段階では企業設備投資回復するだろうということはほぼ予想しましたが、同時に雇用消費もまずまずついてくるだろうと考えておりまして、そこのところが実は必ずしもそうでないということは、普通、不況を回復しましたときには不況前の姿に戻るというのがごくごく常識的な考え方ですが、このたびの場合には、この不況が大きいということはもちろんですけれども、その後に来る経済社会というものが前の経済社会であるかというと、どうもそうではないんではないかという問題意識、これは私が言うばかりでない。持っていらっしゃる方は多いんですが。  したがって、それはよくITとか言われ、あるいは二十一世紀における日本のあり方、これは経済を超えて社会全体の問題でもあるかもしれません、の中で、アメリカではこれがニューエコノミーであるかどうかということは御承知のようにしばしば議論のあるところであるが、先進者であるアメリカを見ていますと、かなり新しいものに我々は変わっていかないといけないということぐらいはお互いにわかってきていると思うんです。  それで、企業回復を見ましても、したがって製造業の回復が早いし、非製造は遅いし、大企業は早いし、中小企業は遅い。そういうことも、恐らく我が国経済の中で、新しいものに早く乗れて、あるいはそれを早く把握していく企業と、どうしても中小となるとそうまいりませんから、殊に製造業でない場合には遅い。そういうところが遅い。  短観を見ていますと、それでも企業はよろしいわけです。何とか景気はよくなってきているということなんですが、雇用ということになると、さて、それがリストラという言葉で一般に言われるが、そのリストラというものは実はふだんのリストラと違って、非常に大きなリストラクチャリングが行われているのではないかというふうに実は考えたりいたします。また、そう考えないと、この不況の後、我々が新しい二十一世紀の日本の経済社会、経済というものを築くことができないのではないかというふうに思います。  したがいまして、お尋ねに返りますけれども、今の経済をどう見ているかとおっしゃいますときに、普通には、おかげさまで企業の方は大体大丈夫です、雇用の方も思ったほど悪くいっていない、消費だけはどうも何ともまだ普通になっていると申し上げかねるがという程度のお答えをしているのですけれども、しかし、本当に消費というものがだんだん戻ってくる順調な過程にあるんだろうかどうだろうかと。そうであることを私は祈っておりますけれども、絶えずそういうことは、やはり経済に関係する者としては考えておかなければならないと思っております。  仮にことしの冬のボーナスはどうだろうかといったようなことでございましても、大変に単純なことだけれども、冬のボーナスが順調にふえるように、夏はどうも、多少はプラスであったという説もありますが、よかったとは決して言えなかったわけですから、ここが、企業の活動が家計につながる端的な部分は例えばそういう問題だろうと思うんですが、注意して見なければならない段階だと。今までのようなパターンであると即断をしないで、絶えず疑問を持ちながら見ていかなければならない段階だと、こういうふうに思っております。
  64. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今おっしゃられたことは、補正予算が必要だということに通じますか。  と申しますのは、今年度の政府経済見通しはたしか一・〇%だったですね。もしこれから十―十二あるいは来年の一―三もマイナス〇・五、〇・五というふうに前期比で伸びても、一・一%になるというふうに言われていますね。  数字が本当に正しいのかどうなのか。何か最近の経済企画庁の統計を見ていると、マイナスだったのがいつの間にかプラスになったり、随分変わったりしてちょっと困っているんですが、そのことは別にしても、そういうふうに考えたときに、ほぼ企業関係は順調に伸びてきたね、ただ雇用だとか消費だとかそういうところは今ちょっとまだいっていませんねと。ジョブレスリカバリーというふうに言っていいんでしょうか。  そういうふうに考えたときに、じゃ補正予算とかは必要ないじゃないかという議論だってあり得るんだろうと思うんですが、そこは補正予算が必要だという判断をされた理由は何なんでしょうか。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その判断をいたしたのは私自身であります。  つまり、ことしの初めに、企業回復してくるという兆候はありました。しかし、どうも消費がどうだろうかと見ていて、やっぱり夏になってもよくない。四―六の数字が出ましたけれども、これはまあ一見格好はよかったんですが、実は余り感心した内容ではなかったという印象を私は持っていまして、それで、もうはっきり補正が要ると考えました。  それは一つは、御承知のように、日本再生のためのいろいろIT中心とする将来に向かっての投資でありますが、一つは、やはり来年の一―三月ごろのIGはどうも弱いなと、こういう感じがいたしましたから、両方の意味で補正をさせていただいておりますのは、実はその消費に関する部分にどうも透明でない問題がある。したがって、多分大きな補正は要らないが、また、大きな補正をしたからそれがすぐにきくかどうかということにも問題があるわけですが、少なくともそれだけのことは補正をしておかなければならない。これは私が自分で判断をいたしたことです。  それで、これから七―九が十二月に出るわけですが、これは済んだ期間でございますのでちょっと申し上げてもいいのかと思いますが、消費関連では余り大きな期待はできないかもしれない。その次が十―十二。一般に一―三まで行けばという感じはございますけれども、どうも昨年のパターンを見ておりますと、最初の二・四半期は上がり、後の二・四半期はそのまま下がったというパターンでございましたから、これは昨年の繰り返しになると考える理由はないが、しかし、消費あるいはひょっとして雇用ももう一つどうだろうかという点では、やっぱり問題は残っている。そういう意味で、もう補正はぜひ必要であったと私は考えていたしました。  ただ、さらにもう一つ申し上げますならば、従来の不況回復時期には、大きな公共事業をやって何となくそこで回復したということでしたが、ここまで来て、もし我が国自身の社会の姿が変わるような時期を我々が通っておるとすれば、ただ大きな土木工事をやったらそれで済むといったようなわけにはいかない状況であると思いますから、その点もやはり具体的に考えて補正の内容をやっていかなければならないのではないか。必要だということは、私は、幸か不幸か、残念ですが間違いないと思っております。
  66. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣はたしか、二〇〇〇年度予算、今の予算ですが、できたときにこれを最後にしたいということをおっしゃっていたわけですよね。そして、経済見通しもある意味では順調にいっているわけです。そうすると、どう見ても、補正予算をここで組まなきゃいかぬというその積極性というものが、いま一つどもにはなかなかぴんとこないというのが率直な実態なんです。  今お聞きしていて、これから七―九あるいは十―十二、それから来年の一―三ですね、それがどう展開するか確かに心配する向きがあるとおっしゃっていますが、冒頭おっしゃったように経済が大きく今転換している時期だなと。そのときに、IT中心としたところに対する財政的な措置というものをとっていきたいということについては私どももよくわかります。あるいは環境だとかあるいは福祉だとか、いろいろやらなきゃいけないところはあると思いますが、もう一つのところ、来年の一―三はどうも公的なものが弱まってしまうんじゃないかと。  構造を変えなきゃいかぬというときに弱まってしまうとおっしゃっているのは、つまり、公共事業と言われているもの、あるいは景気対策予算というものがどうも量的な面で足りないんじゃないかとおっしゃっているような気がして、それは構造の改革というところに結びつかない面は、今度の補正予算、まだ中身を見ておりませんから十分わかりませんけれども、構造を変えようということよりも、従来の経済の、何といいましょうか、惰性と言ったらおかしいんですが、そういうものを引き続きやっていきたいというような意欲に聞こえて、ちょっと宮澤大蔵大臣、構造改革という考え方が弱いのではないかなというふうに思えてならなかったわけですが、この点は後で御意見あったらいただきたいんですが。  そこで、もう余りたくさんの時間はないので、私は九〇年代のジョブレスリカバリーを、九〇年代の前半、たしかアメリカのクリントン政権ができたころはそうだったんだと思うんですが、そのとき大体三つあったと言われているわけです。そのアメリカの九〇年代が回復したというのは、一つ企業のリストラ、もう一つITの推進、もう一つ財政再建をやっているんですよね。  その意味で、財政再建の問題は前回の予算委員会でもお聞きしたわけですが、宮澤大蔵大臣、もうそろそろ、国と地方の関係、社会保障と税の関係、もう何度もお聞きしておるんですよね。もうほぼ二%台の成長に近くなってきているというふうにも、きょうの日銀見通しですと大体そのぐらいのところまで今年度来ているようでありますから、そこにメスを、メスというかきちんとした構造改革案を出して、そのことがやはり将来の自分たちの特に雇用の問題、それから年金といった問題あるいは医療といった問題、こういったものに対する安心感が出てくるとそれこそ個人需要というものが、いやもう貯蓄しなくていい、貯蓄性向を高めないで消費性向を高めていこうと、こういうふうに変わっていかないのはそこを早く出さないからじゃないでしょうかね。そういうふうに考えるんですが、その点どうお考えになりますか。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) たびたびのお言葉なんですが、私はそのことを片時も忘れていませんが、今心配しているのは、どうも雇用が来ないわけです。消費が来ない。むしろ消費が来ないと申し上げたらいいと思うんですが、補正のことをおっしゃいました。いずれ申し上げますが、これはやっぱり両にらみをしているんで、一つ経済、IGそのものが弱くなるという来年の事態を防ぎたいということ、一つITを初めとして新しい世紀に必要な用意をしておきたいということなんです。しかし、その中でちゃんと雇用が戻ってきて消費が戻ってくるかということはこれから見てみないとわからないんで、それがそうでないときに経済全体が弱まってしまうということがあってはいけないわけでございますから、ここはやっぱり補正はしなければならないだろう。  おっしゃるように、数字の上では経済成長率が二に近づくと日銀政策委員がおっしゃっているという。そうかもしれないんですが、しかし、それはやっぱり消費がちゃんと支えるようなものでないと、将来に向かっての財政再建というものににわかに取りかかるわけにはいかないわけですから、片時も忘れてはいませんけれども、もう一つ消費がまずまず回復しつつあるという状況を私としてはどうしてもつくらないと、この社会全体の変化の中でついてきていない部分がかなり国民の中にあるといったことではならないんだというふうに思っております。
  68. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 IGが一―三弱くなる可能性があるとおっしゃっていますね、今。  そこで自治省にお聞きするんですが、私は、弱くなっているというよりも、もう実際上、地方自治体は公共事業の問題でもうほとんどやれないような状況になっているんじゃないかと思うんですが、その点どのように考えておられますか。
  69. 荒井広幸

    政務次官(荒井広幸君) ただいま御指摘がございましたけれども、都道府県の今日までの公共事業の契約、こういったものを見てみますと、例えば平成九年でございますが、ここ四、五年見ますと五六、八月現在で契約遂行でございますが、五六を消化いたしております。平成十年は六五程度、そして昨年が六一程度でございまして、今年度五八・一ということでございますので、そういう意味では平年同様にやっておるというふうに思います。
  70. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いわゆる契約率の話をされておりますが、そうでなくて、公共事業でもう執行できないと。私ども北海道におりますから、地方自治体の関係者に会ったときに、国から景気対策だからといって予算を組まれても、実質上、補助金つけられてもほとんど対応能力がないですよと。そういうことで実は未消化になってしまうものがたまにあると思うんです。  私、契約率のことだけでなくてそういう実態について今お聞きしたんですが、そのこと調べていますか。報告できますか。
  71. 荒井広幸

    政務次官(荒井広幸君) さまざまなそうした御意見も一部にあるように思いますが、大臣からお話がございましたように、やはり新しい時代の対応、そしてまた、病人に例えればやっぱり体力をつけるという意味と、そして新しい時代に対応していく体力をまたつける、そういった意味では、やるべきことはやらなければならないというような意識で地方自治団体もあろうと思いますが、厳しい財政状況にあるということは御指摘のとおりだろうと思います。
  72. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その意味で、日本の財政の、地方自治体まで含めた財政対応能力がもうなくなり始めているのに、なおかつ今この補正予算というものをまた出されてきているんではないかなというふうに思えてならないわけです。交付税の起債制限比率を突破している団体はもうたしか二千団体近くになっているんじゃないでしょうか。その意味で、もう起債すらほとんどできなくなっているということですから、この点は今後のやはり分権改革というところに私は非常に大きな課題が残っているだろうと思いますし、それをやらないともう地方自治体自身が対応能力がないというふうに思っております。  これは、もう時間がありませんから自治省の皆さんに聞くのは外したいと思います。  そこで、もう一つ大蔵大臣にお聞きします。  最近、経済戦略会議が、たしか去年の二月だったでしょうか、竹中平蔵さんとかですね、経済戦略会議で出されました。これは閣議決定するほどのものではなかったというふうに聞いていますが、八〇年代のあのレーガン税制を中心としたいわゆる改革ですね、税制改革。これが非常に今日のアメリカの経済の活況をもたらしたというふうに経済戦略会議の答申では出てきているんですが、大臣、そう思われますか。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) プラスITと、それからレイオフがありまして、そう思います。
  74. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、ある大阪大学の先生がレーガン税制の改革をずっと丹念に追っかけてみると、レーガン税制のときにあれだけ税率を下げていってじゃ景気回復したのかというと、むしろ財政赤字をふやしただけになっている。所得税の税率が一四と二八だったでしょうか、二段階になったこのレーガンの改革がブッシュのときに一回上がります。これは与野党合意して。それから、クリントンのときに三六にして、付加税で三・六ですから三九・六になっているんです。五段階になって、もう日本よりもはるかに所得税の税率では高いわけです。  とすると、我々九〇年代のアメリカを見ていると、不良債権問題の処理が依然として私は残っていると思うしこれは大変危険だと思うんですが、そのことを別にしても、ある意味ではアメリカの今日の経済の、いわゆる財政再建を含めた経済の発展をもたらしたというのは、そういう財政再建、とりわけ税制改革では、レーガンの時代とは違う、いわゆるサプライサイドの考えとは違う考え方で経済を発展させてきたんじゃないかと思うんです。そういうふうに考える必要があるんではないかと思うんです。  その点で、今度の新経済政策の最後に、株式のいわゆるキャピタルゲイン課税について今度の補正予算に絡めて、これまで約束したことを、約束してというか国会で決めたことですね。御存じのように、申告分離と源泉分離があって、これは申告分離に一本化しますよ、有取税はそのかわり廃止しますよと。有取税の廃止だけは先に終わっちゃったわけです。申告分離のところに一本化しようとしたら、いや実はそれはどうも、新聞どれ見ても、もうこれはもとへ戻すんだ、こういう論調なんですよね。私ども一九九〇年代日本の税制改革をずっと見ていると、要するにフラット化をして最高税率を下げる、いわゆる供給サイドの税率を低めれば景気はよくなるだろうというふうに言われてきていながら、不良債権問題もあるんだろうけれども、一向にそれは経済回復に結びついていないわけですね。  そういうことから考えたときに、いわゆる株式のキャピタルゲイン課税に対する一回決めたものをもう一回もとへ戻すということについて、一体今大蔵省として、大蔵大臣としてはどのように考えられているのか。もう決まったものなんだというふうに新聞なんかは書いていますけれども、その点はどのようにお考えになっているでしょうか。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきましては、前からもお尋ねがございましたが、私は、世論にもいろいろな議論があり、党、与党の税調の方々の考え方、政府税調もあるかもしれません、そういう方々のこれからのお考えをいろいろ注意して伺っていこうと。自分の立場を一言も今まで申し上げたことはありません。ただいまもそうでございますが、ただ、これを今議論しておられる方々の中には、こういう状況でありますから、少しでも国民負担というのは減らす方向、そういうことができればそうしたいということと、経済活動にはできるだけ刺激を与えた方がいいということと、そういうことからお考えであるのかもしれない。  税制そのものの本来の姿から言えば、多分、峰崎委員のおっしゃいますように、これは今一遍決まった姿の方が税制としては恐らくフェアである、イコールであるということでありましょうけれども、今の状況において特にと言っていらっしゃる方々の議論がございますので、私としてはしばらくそれを承ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  76. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 承っておきたいということは、その論議の経過は静かに見守っているということで、大蔵大臣としては、一度決まったこと、これを我々としては実行してもらいたいという主体的な考え方というのはないんですか。
  77. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申しましたように、税制の基本的な常識が今一遍決まっていることであると思いますけれども、今はそういう時代でない、この際それはやるべきことではないという議論は、これはそれなりの御主張がありますから、私はそれをもう少し承ってみたいというふうに思っておるわけです。
  78. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 金融再生委員長はどう考えておられますか。
  79. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 株の譲渡益課税の問題については、経緯を十分に御承知だろうと思いますが、一昨年の税制改正の案をつくる際にこのことは議論になったわけでございます。これは、有取税の廃止との関連がございましたことは御案内のとおりだと思います。有取税を廃止いたします際に、この譲渡益課税に対して源泉分離、申告分離の両方の選択制についても……
  80. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 結論だけでいいですから。経緯はわかっていますから。
  81. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) そうですか。  議論がありましたが、結局その選択制を廃止するということになったわけですね、御承知のとおり。  その後いろいろ議論がありましたが、私といたしましては、その後における株価の推移を見、また同時に、個人の投資家の市場離れというようなことも見られておりますし、いろいろな情勢判断いたしますと、やはりこの際は譲渡益課税に対する選択制は継続すべしというのが私の意見でございます。これは、党の金融問題調査会長をいたしておりましたときからこのことは明らかに申し上げておるのであります。  ただし、単純にこれを延長するのか、また延長するにしてもその内容について調整を加えるのか等の問題は残されているかと思いますけれども、基本的に選択制を残し、延長する、ぜひそのようにしたいというふうに考えております。
  82. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は、どうも大蔵大臣とはちょっとニュアンスが違って、これについては金融庁としては反対だと、要するにもとへ戻せということなんだろうと思うんですが、私はその際、こういうことについてはどういうふうに考えたらいいのかなというのを自分なりにまた疑問に思っている点があるんです。  それは、預貯金の金利と、それからそういうキャピタルゲイン、それから株のいわゆる配当。これは今までは、預貯金の金利、まあ配当の場合はちょっとまた性格が別ですが、これについては毎年毎年利息が上がってくるということで所得の確定というのがもうある程度決まっているけれども、キャピタルゲインは自分でそれは選択できるという点で、ある意味では預貯金の金利とは違うんだと、こういう理解があったんですが、ペイオフが再開されるというか、ペイオフの実施が決まりましたね。恐らくもうこれ以上延びるということはないと思うんですが、そうなったときに、リスクのある商品という意味では、このいわゆる金利がついている預貯金の金利も、それから株式の問題も、金融所得といいますか、資産性所得といいますか、そういうものについての考え方というのは従来とはやっぱり考え方を変える必要があるのかどうなのか、この点は大蔵大臣、課税当局としてはどんなふうに考えておりますか。
  83. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのことは考えなければならないことであるのですけれども、同時に、国民の資産保有というものが著しく預貯金に偏っているという我が国の現状というのは、やはり私は少し長い時間をかけて直していく方が本当だろうと。エクイティーキャピタルの方に動いていく、多少そういう兆しがありますけれども、そういうこともあわせて考えるべきじゃないかと思います。
  84. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 間接金融が優位な日本がなかなかこの直接金融に向かっていかない、金融税制がもしその障害になっているとすれば、私どもはやはりそこのところを変えなきゃいかぬのかなというふうに思っているんです。  これは一度決まったことですから、決まったことを変えるということについて、最近ではもうなれっこになっちゃいましてね。決まったものといえば、例の介護保険料を四月一日から徴収しますよといっても半年延ばすとか、ペイオフの延期だとか、もう本当になれっこになっちゃって、政治の力というのは本当に落ちてきているなというふうに痛感するので、そういう意味では私どもはこれはやはりきちっとやるべきじゃないかなというふうに思えてならないんですが、これはまた今後、資産性所得の問題についての議論というのは進めさせていただきたいと思っているんです。  実は、今の国債を発行してこれから補正予算も組まれる。もちろん国債は建設国債だということで、私どもは建設国債、赤字国債の差をつけるべきでないと思ってはいるんですが、日本の経済を見たときに、これだけ大量に発行していながら国債金利が実は一・七%ぐらいで今のところとまっていますが、一・八%くらいになっていますね。これがやがて長期金利が上がるんじゃないかという心配があるので、また来年恐らく何十兆かの新発債が出てくるのでしょう、新規のやつですね。もう借りかえもふえれば百兆、さらには財投債も恐らくこれは出されるわけですね。財投債も実質は国債と同じだというふうに言われているんです。そうして、きっとそれは恐らく言ってみれば国債長期金利上昇するんではないかという大変な心配を持っているわけですが、どうもなかなかそうならないという。  ならないのはなぜかなと思うと、金融機関で郵貯だとかあるいは預貯金だとか、そういうところから直接金融にシフトしないと、銀行だとかあるいは郵便貯金というのは、あるいは保険会社もそうですが、みんなリスクが非常にないということで国債を買っていくわけですよね、BIS規制への構えだと。最近、国際決済銀行の中で、格付の低い国債については、これはやっぱりリスクがゼロというのじゃなくてある程度リスクをとらにゃいかぬのじゃないかというような改革が行われているやに聞いているんです。そうなってくると、これは相当やはり深刻な問題が起きるんではないかという感じがするんですが、このあたり、これはどちらの大臣にお聞きしたらいいんだろうか。国債発行という点では当然大蔵大臣大蔵省の方かもしれないし、BIS規制だとかということになると金融再生委員長に答えてもらうのがいいのか、あるいは日銀もたしかBISに人を派遣していますが、そこら辺はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
  85. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず私から申し上げますが、補正予算の結果としてほぼ二兆円の国債の発行をさせていただきたいと思っておりますが、これはもう既にほぼある意味で織り込み済みのことでございますから、市場との今年度分の話は余り心配がないと思います。来年度はおっしゃいますような要因がいろいろございますから、これはよほど注意しないといけませんので、来年度の国債発行につきましては十分注意をいたします。  他面で、民間の資金需要が出てきてそんなにやすやす国債が発行できなくなるというような経済の転換は、それ自身では望ましいことと思いつつ、来年度の発行につきましては十分注意をいたさなければならないと思っています。
  86. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほど言ったBIS、国際決済銀行ではどんな論議をされているか、これわかりますでしょうか。事務当局でいいですから、もしわかれば。
  87. 乾文男

    政府参考人(乾文男君) お答えいたします。  御案内のように、バーゼルの委員会でこの自己資本の問題についての議論が続けられているところでございますけれども、これにつきましては、大きく分けまして、一定のやり方を定める標準方式と、それから金融機関が自分自身でリスク管理を行う内部格付方式というもの、その二つに絞っての議論がリスク管理という面では行われているところでございます。  私ども、そうした観点金融庁といたしましても積極的に参加しているところでございますけれども、その案につきましては来年早々にもまとめられ、その後、パブリックコメントを求めていくものと承知をしているところでございます。  いずれにいたしましても、私ども金融機関がそうしたいろいろな原則を踏まえまして今後とも、その自己の保有する貸付債権あるいは有価証券につきまして適切なリスク管理を行うことを引き続き求めていきたいというふうに考えているところでございます。
  88. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 わかりました。そのパブリックコメントも恐らく求めて、きっとそれはそういう方向で決まるのかもしれません。  そうすると、金融再生委員会にちょっとお聞きするんですが、生命保険会社、まあ機関投資家と言われているわけですね。それと銀行、これが今国債をどのくらい保有しているのですか、日本の国債を。
  89. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 平成十二年三月末現在におきまして各業界が保有する国債残高は、銀行業界におきましては四十三兆三千二十八億円でありまして、生保業界におきましては二十九兆六千二百四十五億円でございます。
  90. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 合わせて七十二兆ですか。大変な国債を保有しているわけですね。かつては何か日本は土地本位制と言われて、土地を担保にして、そこが経済を動かしている。今これを見ると、どうも何か国債を担保にして、国債を発行して、それを銀行リスクフリーだから持って、そして政府のやっている公共事業を含めてそれを支えていくという、そんな危うい関係になっていて、長期金利がもし上昇し始めると、恐らく相当のまたこれ不良債権になっていくんじゃないか。  そういう意味で、先ほど相沢委員長がおっしゃられましたように、日本の金融の不良債権問題というのは、これは潜在的な問題を含めると、きょう余り時間がないので後であれしようと思ったのですが、財投の問題なんかを含めて財投機関がどんな状態になっているのかということを考えたりすると、もっともっとこの不良債権的なものが膨らんでくるのかもしれないですね。そう考えたときに、日本はまだそういう不良債権問題から完全に脱却したとは、先ほどから不良債権はもう峠を越しましたよとおっしゃっているんですが、私はどうもそうでないんじゃないかというふうに思えてならないんですが、この点は、これは金融再生委員長あるいは日銀総裁も、今の状況について、本当にもう時間がなくなりましたので簡潔にお答えいただきたいと思います。
  91. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 時間もございませんので簡単に申し上げますと、私どもは、これを感じを申し上げるようなことになって恐縮なんですが、これからの日本の経済がどのような姿になっていくかという、そういう大きな見通しとも当然関連すると思うのであります。私は、ただいま完全に景気が底をついてこれから上昇過程に入っていくかどうかということについては議論があるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、もうこれ以上悪くなるということはないんじゃないかというふうに思っているのであります。日銀総裁も答弁されると思うのでありますけれども、そういう前提において物を考えた場合に、今のような国債の問題等々についてもおのずから余り悲観的な見方をしなくてもいいんじゃないかと、このように思っております。大変漠然としたお答えで恐縮でありますけれども、そのように思っております。
  92. 速水優

    参考人速水優君) ただいままでのところ、国債市場がかなり順調に吸収をしてくれておりまして、ごらんのように一・八%、この十一月からまた発行額がふえるんですけれども、一・八%ぐらいでいけそうだと。これは、内外の株価下落していることに加えまして、基本的には民間の資金需要が引き続き低迷しているところへ、投資の対象がないということで、国債なら大丈夫だということで入ってきているんだと思います。  ただ、こういうものも、長期金利というのは景気がよくなっていけば上がっていくものだと思いますし、そうかといって余りめちゃくちゃに出した場合には、今度はこれは内外から信認を失っていくことになろうかというふうに思います。その前者の場合であればいいけれども、後者の場合にならないように私ども国債市場にうまく消化させていくということをお手伝いしていきたいというふうに思っております。  それにはやはり、日本の間接金融というものがもう少し直接金融の方向へ移っていく。各国と比較しましても、日本の国債の保有者のうちで個人はわずか二、三%、それから非居住者が六、七%、この辺が諸外国と非常に違うところでございますので、こういうものにもう少し直接に投資をしてもらうというか、自分の国の国債を買っていただくように持っていきたい。それから外国からも買ってもらうようにして、それが円の国際化につながっていくと思っております。
  93. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 日銀総裁日銀は幾ら国債を持っていらっしゃるのか。いわゆる買い切りをやっていますよね、オペをやっていますので、それは後で教えていただきたいと思うんですが、それは数字ですから事務当局でも結構です。  もう時間も余りなくなったんで、相沢金融再生委員長の方に。相次ぐ生保破綻が行っておりますね。先ほど来ずっといろんな話を聞いているんですが、どうも債務超過額を聞いているとそんなに大きくないんですよね。だけれども、十月二十三日に日野長官が会見されて、最近の新規契約や解約の状況についての報告を求める意向を表明されていますね。こういうものの結果を報告していただきたいんですが。  どうも協栄生命の社長さんの話を聞いていると、千代田生命の破綻の後、保険の解約が倍増して、新規が半分になっていったというふうにおっしゃっています。そうすると、契約を解消されるということは、返さなきゃいけませんね、現金を。その都度現金を返すということは、片方の資産を売却しているんです。そうすると、売れるうちはいいけれども、恐らくこういうところの保険会社は、最後は売れにくいところあるいは不良なものがずんずん残っちゃって、実際上債務超過と言っているけれども、これは先ほど来星野先生のお話にあったように自分で自己査定しているわけですから、一度徹底的にこの生保関係の中身について調べてみないと、本当に債務超過はこれで終わったのかということはわからないんじゃないですか。再生委員長、一体今のそういう状況についてはどのように把握をされているんですか。
  94. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 千代田生命に続きましてまた協栄生命が破綻するというふうなことになりまして、私どもとしては大変残念に思っているのでございます。  これは、先ほど来お話ございましたように、生保の破綻が相次ぎましたことの結果を見まして、言うなれば生保に対する一般国民の信頼が非常に薄れてきているということが大きな原因だと思いますが、新規契約がなかなかとれないというよりも、既契約の解除が進んでくる、契約残高が減ってくる、こういうような情勢のもとに、もう保険としてはもたなくなってきている。しかも、基本的には金利の逆ざやという現象が拡大をしている、ないしは継続をしているという状況でありまして、これが大きく生保の経理を脅かしているわけであります。  そのようなことがありまして、持ちこたえられなくなった千代田生命、協栄生命が破綻をしたわけでありますが、私は、今のほかの生保に関しては、これは金融庁が直接検査もし監督もしているわけでありますが、今のところはこれについて心配されるようなものはないというふうに思っているのであります。  生保の保護機構につきましても、先ほど答弁ございましたように、まだ資金的な余裕も持っておりますから、万一のことがあれば十分これに対応することができますし、しかも、千代田生命や協栄生命に関しても、この保護機構の資金に頼るということがほとんどないか、あるいは極めて少ないというような予想をされているのでありますので、ひとつ生保に対しましての信頼を回復することができますように、生保の現状についての認識をさらに深めるような努力を当然私どもとしてもしていかなきゃならない、業界においてもその努力をお願いしたい、このように考えております。
  95. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう意味では、破綻した生保会社のおっしゃっておられる数字は信用していいということなんですか。  どうもずっとお話を聞いていると、いや大したことないんだというふうに見えるんですが、破綻をしたときに、最初はわずか千億ですと言ったのが、ふたをあけてみると、いや二千億でした、三千億でしたと言って、時には十倍になったりすることがありましたね。そういう意味で、再生委員長、責任持てますか、その程度ですと。これが九千六百億、あの例の枠のセーフティーネットの中におさまるということを保証できますか。そして今、日本生命ですら一年間に三千九百億の利差が、要するに逆ざやが出ているというんです。トータルとして一兆円超している。毎年毎年それだけいったら体力落ちていきますよね。  ですから、そういう意味で本当に今ここで何か手をしっかり打たないと大丈夫かなと。いや、もちろん今は九千六百億の中におさまっているから大丈夫だというけれども、しかしそういう意味で、そういった点について先送り先送りというのは、どうもこれまでやはり問題を大きくしてきた原因になっているんじゃないかと思うんですが、その点本当に責任持てますか。
  96. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 経済は生き物でございますし、そしてまた情勢というものは刻々変化をいたしますから、今後の情勢についてこのような状態のもとに的確な責任を持って答弁をしろとおっしゃっても、私が一人で動かしているわけじゃありませんのでその辺は問題なんですけれども、しかし私は、今までの情勢判断としては、先ほど申し上げましたように生保の保護機構としてはまだ半分ほど資金の枠も残っておりますし、そしてまた、目下のところ他に破綻の危険を持っているところのものはないというふうに判断をしておりますから、その点については、ひとつそのようなことが起きないような努力をしていきたい、このように考えております。
  97. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 金融再生委員長として、答弁される以上は責任持って、これはもう今の段階においてはありませんということの判断をされるのが当たり前で、経済は生き物だからどうなるかわからないと言ったら、今までの発言全部おかしな話になってしまいますので、それは本当に失礼な答弁だと私は思います。それはもう本当に変えていただきたいと思いますが、時間もありませんのでもう何点かお聞きしたいと思うんです。  長銀、日債銀が破綻をして、今、新生銀行だとか新しい銀行に移っておりますが、今までそのセーフティーネット、いわゆる金融再生勘定だとかあるいは早期健全化勘定だとか、そういう形でセーフティーネットをつけましたけれども、どのぐらい支出されているんですか。それで、あとどのぐらい残っているんでしょうか、いわゆる枠の中は。
  98. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 今まで破綻の処理に用いられました政府保証つき借入金残高の合計額と交付国債の使用額はそれぞれ、政府保証による借入金の残高が九・八兆円、交付国債の使用額が七・八兆円でございます。政府保証借り入れの内訳は、一般勘定が一兆三千二百七十八億、特例業務勘定が三兆三千六百十九億、金融再生勘定が五兆六百九億円ということになっております。  なお、交付国債の償還額には、本年二月二十八日に実行されました日本長期信用銀行に対する資金援助、これは交付国債の償還額三兆二千二百四十四億、及び本年八月三十一日に実施されました日本債券信用銀行に対する資金援助、交付国債償還額二兆九千七百二十億円、これを含んでいるのでございます。
  99. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、その中には、例えば日債銀の新しい銀行だとかそういうところには例のある程度引当金を積んで渡しているわけですね。そしてまた瑕疵担保条項がついていますね。これはまた蒸し返しになるんですが、瑕疵担保条項がついていて、しかもなおかつ引当金をつけていっていると。そうすると、瑕疵担保で二割下がったからというんでまた買い戻すという問題になると、それはそれで損しないけれども、しかし、担保をつけてこれがうまく転がっていけば、そうするとこれは実際上は持参金になって丸々その企業に入っていくという形になります。それも全部先ほど言った再生勘定の中に含まれている、こういう理解でいいですね。
  100. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) それはそのように見てよろしいと思います。
  101. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私どもは、かねてからこれは問題だということを追及し続けているわけです。これは、金融特別委員会等もございますから、そちらでまたやりたいと思いますが。  もう時間がありませんから最後になるかと思いますが、先日、信用金庫あるいは信用組合の検査のあり方について、これ新聞でしかちょっと私どもにはないんですが、例によって柔軟にというか機敏にというんですか、表現が正確でないんですが、全国の財務局の検査官を集めて会議をやられたようですが、そのときに信金、信組については何か特別の検査方針を出されたんですか。
  102. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 金融検査に関しましては、この間から各業界の方々にお集まりいただきまして、特に幹部の方からいろいろ御注文もお聞きしたのであります。  その際に、特に協同組織の金融機関、信用金庫あるいは信用組合等から、いわゆる金融検査マニュアルによりますところの検査が非常に厳しいものがあると。特に、ことしの四月まで都道府県の知事の管轄下にございました信用組合に関しては七月から一斉に検査が始まったわけでありますが、この信用組合の検査におきましてそのような声を耳にいたしておったのでございます。  もちろん、金融検査マニュアルにおきましては、各所にわたりまして、そういう貸し付けの実態に即して、単に担保だけを重視するのではなく、その企業としての将来性、どういう人がその企業運営しているか、あるいは見通しがどうか、保証がどうか、あるいはパテント等によるところの将来性、その他いろいろな現実の状況を、実質的なその企業状況判断して、そして検査をしなければならないということになっておるのであります。  ただ、そう申すとなんでありますけれども金融庁検査官もかなり増員が行われ、中には新しい方もおります。そのようなことがありますので、マニュアルの画一的な適用ということによるところの問題があるいは起きているのじゃないか、十分そのマニュアルに示しておるところの考慮すべき条項が守られていないのじゃないかというような懸念もございましたので、金融庁において、金融検査官についてそのような考え方の趣旨を徹底するような会合を開いたのでございます。  特に中小の金融機関検査を厳しくすることは、また貸し渋りを誘発する、それが中小金融機関の経営に大きく響いていくということのないような配慮をしていかなきゃならない、そういう思いでこれからも取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  103. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間が来たので終わりますが、本当に弱めたのか、裁量的になったのかどうなのか、そこを聞きたいわけでありまして、要領よく答えていただかないと時間ばかり浪費します。  一応終わります。
  104. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  105. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 最初に、日銀総裁に一問だけお伺いしたいと思います。  私は、当委員会では、たしか昨年三月の初めの委員会だったと思いますが、一日も早く低金利政策を離脱すべきであるという趣旨の議論をさせていただきました。当委員会のみならず、私は低金利政策そのものは必要だと思ってはおりますけれども、ゼロ金利というのは極端ではないか、そこまで金利を下げてしまったら、もうそれ以上下げる余地がないわけですから、金融政策の一番大きな部分のいわば選択肢をなくしてしまうということにもなりますし、それにとどまらずいろいろな分野にひずみをもたらしていく、それが極めて深刻である、そう指摘をしてまいりました。後で質疑をさせていただきますが、生保の破綻の根本原因にもこの長く続き過ぎたゼロ金利政策という問題が横たわっている、そう思いますし、機会をとらえて早く離脱すべきだということを言ってきたわけであります。  経済政策の論理からいえば、なかなか上げづらいというのはそのとおりだと思うんですけれども、またこういう議論もあるわけでありまして、一番今日本の経済が活気づかない原因というのは、消費回復をしない。これは午前中の宮澤大蔵大臣の御答弁にもあったわけですが、この消費という面から見ると、千数百兆と言われる個人金融資産、その中の預貯金、六百兆とか七百兆とか言われておりますけれども、これにほとんど金利がついていないという問題はかなり大きな要因になっていると私は思いますし、そういうことを経済界の中で実際の経済運営にかかわっている皆さんからも指摘を何度か聞いたこともございます。  そういう意味合いからしても、私は、速水総裁が非常に難しい場面でゼロ金利離脱に踏み切られたことは英断だと思って、ひそかにエールを送っておった一人であります。あれからしばらく時間がたって、午前中の質疑でも出まして、繰り返しになると思いますけれども、離脱をした後の今日までの状況を踏まえて、離脱についての日銀総裁としての評価、それから今後のこの金利動向についての展望、そういう面についてお聞かせをいただきたいと思います。
  107. 速水優

    参考人速水優君) 浜田先生にお答えいたします前に、午前中に峰崎先生から日銀保有の国債残高の御質問がございましたので、そのことだけちょっと答えさせていただきます。  これまで買いオペで購入してまいりました長期国債の保有残高は、本年九月末で四十四兆八百三十四億円でございます。それだけ私から報告させていただきます。  浜田先生からいろいろ御心配いただきましてありがとうございました。ゼロ金利政策解除は、経済改善に応じて金融緩和程度を微調整するということでございまして、解除後も金融が大幅に緩和され、景気回復を支援する役割を果たすという状況は維持されております。こうしたもとで企業収益改善設備投資の増加が続いているということ、また雇用者所得減少傾向にも歯どめがかかったということでございます。全体として景気民間需要主導の緩やかな回復が続いていると判断いたしております。  今後、ゼロ金利政策解除金融市場に対する影響でございますが、これまでのところは、八月中の動き長期金利円相場も総じて安定的で、株価もかなり上昇したわけでございます。したがって、ゼロ金利政策解除は総じて冷静に受けとめられたというふうに思っております。  株価につきましては、九月以降非常に大きく下落しました。これにつきましては、市場では、米国のハイテク企業の業績の下方修正といったようなことを受けた世界的なIT関連株価調整という面が大きいと思っております。今年、我が国の業績自体むしろ上方修正されておりますので、内外の株価を含めて、金融市場動向とか、これが金融機関の経営を通じて企業全体に与える影響につきましては、引き続き注視してまいりたいと思っております。  先ほどちょっとお触れになりました預貯金、千三百八十兆という日本の家計の金融資産というものは、このうち四百兆ぐらいは個人借り入れがあるわけでしょうけれども、そういうものが、今回の利上げによって銀行預金金利が直ちに引き上げられて、彼らにとって、いつまで大きな元本を低い利回りで我慢しなきゃならないかと思っておったのが底をついたような感じになって、非常に喜んだお手紙やら声が私のところへ参りました。このことだけはお伝えしておきます。
  108. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 次に、生保の破綻問題で幾つか伺っていきたいと思います。  今申し上げた昨年三月のこの委員会でいわゆる生保の逆ざや問題について触れさせていただきました。低金利、ゼロ金利が長く続く中で予定利回りを実際の運用利回りがかなり下回るという状況が恒常的に続いておる、それによって大きな逆ざやによる経営体質の悪化という問題が大変深刻にあの当時も議論をされておったわけでありまして、政府委員の方に御質問し、御答弁いただきましたけれども、経営は大丈夫かという質問に対して、最近の傾向を見ますと、利差益以外の費差益と死差益が総じてプラス傾向で推移しており、保険収支全体で見ると、利差部分の逆ざやのみで今直ちに経営上の問題があるとは言えないという御答弁であります。  政策当局として問題ありとはなかなか言えないわけでありまして、ある意味では当然の答弁だとは思うんです。しかし、あれから八カ月で相次ぐ破綻、しかも協栄生命という大型破綻にまで直面したわけでありまして、私は、振り返ってみるといささか危機意識に乏しい答弁ではなかったかというふうに思います。と同時に、先ほど午前中の質疑で宮本政務次官から全力を挙げて対応してきましたという御答弁もあったわけでありますが、では具体的に昨年の三月から今日の破綻に至るまでの間に何に全力を挙げて取り組んでこられたのか、そういう点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  109. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) 確かに、今先生御指摘のように経営の状況は非常に好ましくないわけでございますし、逆ざやだけの問題にとどまらず、リストラの問題その他いろんな努力が必要なわけでございます。  昨年三月末からいろんな努力をやってきたというふうに申したわけでございますが、具体的にその中身について触れさせていただきますと、まず、昨年の四月でございますが、問題のある保険会社を早期に発見いたしましてその是正を促すという観点から、早期是正措置制度の導入をいたしまして、また本年二月には、その中心的な発動基準でありまするソルベンシーマージン基準、これの見直しを行った点が一つございます。  また第二に、本年二月でございますが、保険会社の財務の健全性を確保するという観点から、標準予定利率算定方式の適正化、ルール化ということを行ってまいりまして、余り高くない予定利率ということをルール化するということの措置をとってまいったわけでございます。  また第三に、先般の保険業法改正におきまして、保険会社に対し、将来収支分析というのを行った上で、将来債務超過になるおそれがあるような場合には事業継続困難の申し出を義務づけまして、将来収支分析を踏まえた非常に早期の対応を促すということとしたところであります。この制度は今年度決算から適用すべく現在具体的な詰めの作業も行っているというようなところでございます。  さらにまた、先般の更生特例法の改正によりまして、保険事業の継続が困難であるけれども更生の見込みがあるような保険会社については、司法手続のもとで、既契約者に対する予定利率の引き下げ等契約条件の変更を可能にするということにしたわけでございまして、いろいろな努力を、鋭意努力を重ねているような次第でございます。  ひとつ御理解をお願いしたいと思います。
  110. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 今ちょっと聞き逃して恐縮ですが、予定利率の変更を可能にした措置をとられたとお答えになりましたか。
  111. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) 予定利率の変更可能というのは、司法手続によりまして、つまり更生特例法の改正ということで、これの適用の場合という話でございます。
  112. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 今お答えになった中で、ソルベンシーマージンについては今いろいろ議論が出ておりますね。早期是正措置が導入されても、これはまだ一度も発動はされてないわけで、今回の相次ぐ破綻の場合でもこの是正措置には至っていない。それには、ソルベンシーマージンが二〇〇というんですか、それを割ったということがなかったわけですから発動に至ってない。御努力はされたけれども、効果的な手法ではなかったということになるんでしょうか。  あるいはまた、標準予定利率算定の適正化の問題も、これからの予定利率の問題であって、逆ざやの根本原因というのは、過去の既契約分の予定利回りが非常に高い、それが現実の運用利回りを大きく上回るということですから、ここには何の解決にもならないわけでありますし、最後に確認させていただきました更生特例法の適用問題も、これはもう破綻をした、いわば破綻の定義にもよりますけれども、要するに最終局面に至っての話でありまして、途中の努力とかあるいは途中の改善ということにはなってないわけですね。ですから私は、それしか答弁の仕方がないというよりも、行政としての対応がそれ以上なかなか難しいんだろうということだと思います。  特に、今回の協栄生命の破綻については、これはもういろいろな分析が新聞や雑誌でもされておりますけれども、千代田生命の場合のように、むちゃな不動産投資をやったとか、いわばバブルのときのツケを払わされる形での破綻ではない。その経営にはいろいろ問題はあるでしょうけれども、総じて言えば、ごく健全な生保経営に取り組んできて、そのあげくの破綻だと。そこに私は深刻さをお互いに感じなきゃいけないと思うんですね。  実は今、きょう発売で読んでおりませんけれども、新聞の広告で、週刊朝日が何か危ない生保の特集みたいなのをやっているとか、あるいは幾つかの週刊誌も同じようなセンセーショナルなタイトルでこの問題を取り上げております。その中で出てくることは、逆ざやはこれからも続いていくだろうと。これはむしろ構造的な問題になっちゃっているわけで、今、ゼロ金利から離脱したといっても金利水準は低く誘導されておりますし、現実に低いわけですからこの逆ざやという構造は変わってないわけで、言ってみれば優良な生保も含めてみんないわば血を流し続けているという状況です。  だから、その逆ざや額で資産額を割り返したのが、ある週刊誌によればその余命だと言うんです。あと何年生きられるかという余命計算までされているわけでありまして、金融再生委員長はほかは大丈夫だとおっしゃったけれども、俗説でしょうけれども、余命計算を見ればまだまだ危ういと言われそうな生命保険会社もあるわけで、それをセンセーショナルにジャーナリズムが書き立てているという状況なんですね。  私は、これは放置していいことなのかどうか、つまり何ら改善策というものを考えなくていいのかどうか、そこを一つ考えるべきときだと思うんですね。  先ほど更生特例法の話をされました。更生特例法というのは、これは普通に考えれば破綻なんですね。破産した会社に適用する手続なわけでしょう。ところが、予定利回りというのはこの更生特例法の適用がなければ変更できないわけですよ。たしか平成八年でございましたか、保険業法の改正がありましたよね。私、当時国会におりませんで、そのときの議論は承知しておりませんけれども、この平成八年の保険業法の改正によって予定利回りの途中変更というのができない制度にしてしまったというふうに聞いておりますが、これはどういう考えなんでしょうか。  つまり、私の聞きたいことは、長期的に低利回りが続いていく、そして既契約分についての予定利回りが高過ぎる、それは変更できない。そうすると、その逆ざやという形で体力の低下というのがみすみす続いていかざるを得ない。直しようがない。それを直すとしたら更生手続まで行かなきゃいけないというのは、いかにも経営の選択肢のない話になっちゃうなと。  平成八年の改正の意図と、今日この問題について政策当局としてどうお考えになっているのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  113. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 予定利率と実際の運用利回りとが大きく乖離をしているということが結局保険会社の経理を大きく圧迫していることはおっしゃるとおりで、かつては運用利回りが一〇%を超えるようなこともあり、当時予定利率は四%というようなことがありましたから、逆にそこで大きな利益を生んでいたわけでありますけれども、おっしゃるとおりに平成八年の四月一日から、その前の法律改正ですけれども、そういうことで、その後における利率の変更はいいけれども、従前の既契約の分についての利率の改定はできないということになってしまったんですね。それまではできたわけなんです。  その理由は、結局、私が聞いておりますところでは、法制局等の見解によって、さかのぼって不利益な処分をするということは、これは憲法上問題があるという解釈であったろうというふうに思うのであります。  いずれにしましても、みすみすこの状態が継続するとすれば、その逆ざやは解消しにくいような状態にある。もちろん、それまでにもいろいろと保険会社としても、また金融庁としても努力はしてきたわけでありますけれども、なかなか基本的にその点は解消されないと。  ならば、もう一度法律を改正して、そういう既契約の分についても予定利回りを改定することができるかどうかということになりますと、これはやはり法制局等と相談をしませんと、そういう経緯がありますだけになかなか容易なことではないというふうに思っておるのであります。  したがって、基本的には今後の、先ほどもちょっと申し上げましたけれども景気情勢の好転ということもございましょうし、また、運用利回りがそれに従って向上することも可能でありましょうし、また、少し話がさかのぼりますけれども、ソルベンシーマージン比率の計算等においても、劣後債務の算入限度額を厳格化したり、あるいは生損保間のダブルギアリングを否認するとか、あるいはデリバティブを用いた意図的なソルベンシーマージン比率のかさ上げの否認、そういうようなことで、先ほどお話ございましたソルベンシーマージン比率が二〇〇以上あるのにこういうことになるのはどうかということに対する答えになるかどうか知りませんが、しかしいずれにしても、ソルベンシーマージン比率の見方についても厳格にやっていくということをあわせて行っていかなきゃならないというふうに思っているのでございます。  過去において破綻した生保の中には、通常の保険会社よりも非常に高い予定利回りの保険商品を売り出すとか、それからまた、資金の運用においても不動産等に対する投資を広げたというような事例もあったわけでありますけれども、今私どもの見るところでは、そういうようなことで危険性を内蔵しているという保険もまずないというふうに思っておるのであります。  先ほど、どうも少し私の答弁に問題があったような気もしてみずからも考えておったんですけれども、そういうことで、何とか情勢の転換と相まちつつ、一般の方の保険に対する信頼を回復する努力を続けていかなきゃならないというふうに思っているのでございます。
  114. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 今回、どうやら協栄生命の更生特例法適用後の会社を引き受けるのはプルデンシャル生命というふうに言われておりますね。それはそうなのかどうかということもありますが、このプルデンシャル生命というのは、協栄生命と資本提携をして経営を助けるかどうかさんざん協議してきた相手だそうでありますが、私はこう勘ぐりたくなるんですよ。  更生特例法の適用を受ければ、その時点で今までの予定利回りというのは引き下げることが可能になるわけでしょう。だから、破綻させないでそのまま資本提携したら、逆ざやで血を流し続ける協栄生命を、これは表現悪いですけれども、丸抱えにしなきゃいけない。それじゃやっていけないよと。むしろ更生特例法を適用させちゃって、つまり破綻させた後を買い取るというか、引き受けた方が得だよと。そろばんのできる人ならそう考えますよね。  つまり、日本のマーケットに対する影響とか、あるいは被保険者に対する被害とか、そういうことを度外視して商売だけで考えれば実はそうなるわけですよ。私は、これは何か最悪のケースのような気がしてならないんですね。  しかも、協栄生命さんというのは、団体というかグループ保険とかそういうのが得意だそうで、例えば老人会ぐるみが老後の生活のための契約をしているとか、自衛隊もそうだそうですけれども、だから、そこで影響を受ける人たち、まあこれはどれだけ確保されるかという問題はありますけれども、そういう人たちのことを考え、かつまた、この破綻がドミノ現象さえ起こしかねないという指摘もありますけれども、マーケットに対する影響が甚大だというときに、もしそろばん勘定で破綻させた方が得だよという、そういう話になる制度というのは、これは私は最悪だなというふうに思わざるを得ないですね。  だから、法制局がいろいろ言うんでしょうけれども、よく考えてみますと、これから新規に保険契約をする人は今の予定利回りでしか契約できないわけですね。二%ぐらいで保険計算した商品しか買えないわけです。だから、確かに既得権の侵害というものはあるのかもしれないけれども、しかしその結果破綻をさせちゃって、破綻をさせることによってある種の減額とかいろいろな被害を受けるわけですから、既得権の侵害という単純な理屈だけじゃなくて、この経営を存続させる。そして、被保険者も年とるわけですから、つぶれちゃったらほかのところと契約すればいいといったって、もう契約できないかもしれない。病気が進行しているかもしれない。これはもうすさまじい、そういう意味では既得権が損なわれる話であって、比較しなければいけない問題だと思うんですね。  ぜひ私は、生保会社の経営の選択肢というものを広げる意味でも、あるいは更生特例法を仮に予定利回りを引き下げるための手段として使うというような乱暴な話にならないためにも、私は今、制度改革を考えるべきであると。何だったらこの臨時国会にも緊急の提案をしてくだされば、私はこの委員会はちゃんと応ずると思いますよ。それぐらい実は深刻に考えてもらいたい。  先ほどの繰り返しになりますけれども、昨年の三月に同じ問題を私はここで提起している。それはもう皆さんもそう思っていた。それに対する答えが、全く芸がないわけですね。芸がない答えしかできない、そういう制度環境にしておくのは、やはりこれは行政、政治も含めた責任だと思うんですけれども、そういうことを含めて、もう時間ですから、この制度を変える決意をおっしゃっていただければと思いますが。
  115. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) おっしゃるように、現在の生保の言うなれば危機的な状態の一番の大きな原因が逆ざや現象にあるということは明らかであります。したがいまして、千代田生命あるいは協栄生命に関してもそれが一つの破綻の大きな原因になっておりますし、今あなたがおっしゃるように、今後においても急速に例えば運用利回りが上がるというようなことにならないと、つまり予定利回りとの差が小さくならないと、またその危険性というものが起きるということは容易に考えられるところであります。ただ、現状においては、今それほどの、そうおっしゃるような破局的な状態を予想される保険会社はないというふうに確信をしております。  ただ、おっしゃることの意味は我々もよく理解できますが、もともとこの保険業法改正の際にこの条項が落とされたことは、先ほど申し上げましたとおり法制局の見解等にもよるものでありますから、その辺につきましてはまたよく相談をさせていただきたいと、このように思っております。
  116. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 終わります。
  117. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  私は、午前中論議がありました株式譲渡益課税の問題について伺いたいと思います。  十月十九日に経済対策閣僚会議は、日本新生のための新発展政策、これを決議されました。その中で税制について六行あるんですが、そのうちの半分を使って株式譲渡益課税について述べているんです。  ここでは、「株式譲渡益課税について、これまでの経緯を踏まえ、株式市場の役割や株式市場への影響、一般投資家の参加、公平な課税等の見地から、検討し、年度改正の中で早急に結論を得る。」と、こう書いてあります。  大蔵大臣に伺いたいんですが、午前中の論議を伺っておりますと、この意味するところは、四月に廃止することになっております株式譲渡益課税の源泉分離課税制度、これを廃止することをやめようということではないんだということだと思うんですが、お答えください。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどもお尋ねがございましたが、こういう制度を今回をもって取りやめるということが従来定められておったわけでございますけれども、ことしになりましてから、これについてはいろいろ各方面から疑問あるいは議論が提起せられておりまして、せんだっても、今、池田委員の言われましたような議論が行われたわけでございます。  私としましては、これから起こるであろう各党の税調等々での御議論、あるいはまたいろいろな場合でいろいろ御議論がさらに進むのだと思いますが、もう少しその帰趨を承知していたい、こう考えまして、今年になりましてからこれにつきましてはずっとそういう同じお答えを続けてまいっておるわけでございます。  本来の税制からいえば、これについては実は何十年といういきさつのある問題でございますけれども、一応そういうことで収束をするということであったわけですけれども、そして税制としてはいわばきちんとしておきたいということであるのだろうと思いますし、税の公平といったようなことからいっても、従来のような制度は必ずしもそれに適しないのではないかというようなこと、いろいろございましたが、ただ、今こういう経済から見れば非常に異常なときでありますし、また、やや短期的に見ても、株式の市場というものは、いわゆる大衆といいますか一般投資家が、十分自分のものとしてそこへ入っていこうという空気を欠いておりますし、また、人によりましては、けさほども申し上げましたが、日本の個人の投資というものが銀行預金に非常に過度に集中をしておって、外国なんかと違いまして、エクイティーキャピタルというものにほとんど向いていないということは本来問題があるという、そういう問題がまたございますものですから、それも兼ねて、この際この制度をここで収束をする、終結をするということについての疑問が寄せられていると。こういったようなことは池田委員の御承知のとおりでございますので、そういう議論がさらにどういうところに推移をしてまいりますかもう少し見てまいりたいと、こう思っておるということを午前中も申し上げたわけでございます。
  119. 池田幹幸

    池田幹幸君 この問題は、基本はやっぱり税の公平性の問題で考えるべき問題だろうと思うんですね。そういう方向でずっと論議もされてきて、やっと昨年、来年四月で廃止するということを決めた問題なんです。  今、閣僚会議の決定も宮澤大蔵大臣おっしゃったようなことであるとすれば、もう少し検討していこうということですね。廃止するということを決めたわけじゃないんだ、存続することを決めたわけじゃないんだということです。  そうすると、私、質問通告をしていなかったんですが、再生委員長は午前中の答弁で、自分は存続を主張しているんだということがありました。八月の段階で既に金融庁は、概算要求の文書の中で正式に源泉分離選択制度を維持するということを決めてやっているわけです。  しかし、考えてみますと、経済対策閣僚会議でこれを決めて、今も結論を出しているわけじゃないとすれば、大蔵大臣がおっしゃったように、再生委員長、これは慎重な態度をとるべきじゃないかと私は思うんです。  質問通告をしなかったから質問するつもりはなかったんですけれども、言われっ放しじゃ問題だろうと思うので、再生委員長、どうぞお答えください。
  120. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 御承知のとおり、一昨年の税制改正におきまして、有取税の廃止と裏腹に、源泉分離と申告分離の選択制を廃止して一本化することにしたわけでありますが、しかし、この間の経済閣僚会議の決定は、もしそれを予定どおりにやるとすれば、何のこともこれに触れる必要はなかったのであります。  ただ、問題がありましただけに、その問題については、あの文章はちょっとはっきりいたしませんので解釈がいろいろあると思いますけれども、少なくともこれは問題として検討するんだという意味におきまして、一本化を予定どおりするということも決めていないし、また選択制を継続するということも決めていないと、このように理解をしているのであります。  ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、金融庁が概算要求において示しておりますとおりに、この源泉分離と申告分離の選択制は継続をしてもらいたいと。ただし、単なる継続ではなくて、申告分離課税についても、例えば税率を二六%から二〇%に引き下げる、あるいは譲渡損の繰り越し制度を認める、あるいは長期保有株式の特別控除を認めるとか、こういうような点もあわせて、これは言うなれば予算の要求として出しているところでありますので、これは政府税調、党税調等々におきまして検討をしてその結論を見出していただきたいと。いずれにいたしましても、私どもとしてはそのことを要請しているのであります。
  121. 池田幹幸

    池田幹幸君 それは昨年決めたところですから、何の問題もなければ確かに閣僚会議でこのようなことを決めるはずないので、まさに大臣の中で決めたことをひっくり返そうということを主張する人がいるからこういう形の問題になったんだろうと私も思いますが。  今、有取税とのセットで廃止したんだとおっしゃいました。まさにそのとおりなんですけれども、そうしますと、大蔵大臣に伺いたいんですけれども、何でこれを有取税の廃止とセットにしてしなければならなかったのか、どのようにお考えでしょうか。
  122. 尾原榮夫

    政府参考人(尾原榮夫君) 平成十一年度税制改正の経緯でございますが、今の源泉分離選択課税制度についてはかねて適正化の指摘政府税調でもたびたび受けてきたところでございます。また、金融システム改革あるいは金融の自由化ということを考えますと、有価証券取引税のあり方についてもいろんな議論がございました。  税制につきましては、やはり取引課税やあるいは譲渡時の所得課税をどうやって適切に組み合わせていくかということが大切な観点考えておりまして、有価証券取引税が廃止されましたのが平成十一年度税制改正でございますが、あわせて、所得課税でございます株式譲渡益の源泉分離課税制度についても平成十三年の四月一日から廃止し申告分離課税に一本化する、こういう法律改正がなされたわけでございます。
  123. 池田幹幸

    池田幹幸君 有取税については、九八年の段階で税率を半分にしましたね。九九年に源泉分離課税の廃止と一緒にセットで決められたわけなんですけれども、結局、有取税の廃止だけ先行してやっちゃったんじゃ余りに大資産家、大口投資家に優遇過ぎるということで、セットになっていよいよ実施しようということにしたんだと私は思うんです。  政府自身の説明でもこのことははっきりしておりまして、株式譲渡益課税の適正化が不可欠で、申告分離への一本化が必要だとして、したがって、源泉分離課税制度を存続させるということは株式譲渡益課税の適正化をやめるということにつながっていくというふうなことになってしまう、だからこそやったんじゃないかというふうに私は善意で解釈しておったんですけれども、なかなか複雑な答弁があって、問題あるなというふうに思っているんです。  単純に考えまして、私ども日本共産党は、こういった株式譲渡益課税は、給与とか利子、配当、そういったものと合わせて総合課税にすべきだというふうに考えているんですけれども、申告分離方式に一本化したとしてもまだ相当の優遇だと思うんです。これは国と地方を合わせて税率二六%になりますね。そうしますと、総合課税にしますと、所得課税の最高は五〇%ですから、これははるかに申告分離に一本化したとしても優遇されているわけです。  そういったことがありまして、政府としてもせめて申告分離への一本化ということをやったんだというふうに考えておるんですけれども、大体、この源泉分離課税制度、いわゆるみなし課税ですよね、こんなのは諸外国に例がないんじゃないですか。
  124. 尾原榮夫

    政府参考人(尾原榮夫君) 課税方式につきましてG5諸国で申し上げますと、アメリカ、イギリス、ドイツは総合課税になっております。ただ、アメリカとイギリスは長期保有について軽減措置があるようでございます。それから、ドイツにつきましては投機的な売買あるいは大口保有についての総合課税となっております。それから、フランスは申告分離課税でございまして、いずれにいたしましても、今我が国のような税制をとっている先進国はないというふうに承知しております。
  125. 池田幹幸

    池田幹幸君 例がないわけですよね、先進国では。結局、その例がないぐらい資産家、大口投資家優遇の制度になっているわけなんですが、だからこそこれをもうやめようということになったんだと思うんです。ただ、すっきりやめたわけじゃなしに、他方で有取税の廃止という大口投資家にとっては大変なごちそうをしてやったわけですけれども、それとのセットで廃止することにしたわけですね。  これ考えてみますと、私は、政府はグローバルスタンダードということを盛んに使われるわけだけれども、この問題に関して言う限り、有価証券取引税、これを廃止したことだってグローバルスタンダードに反するものじゃないかと思うんですね。この有取税がないというのは当時アメリカだけだったというのは、これは九七年当時、政府税調の加藤会長がそう言っておられます。実質的に有取税がないのはアメリカだけだが、方向としては日本も米国並みにしていくんだということをおっしゃって、その後こういう動きが推進されてきたわけなんですけれども、グローバルスタンダードと言うのなら、むしろ有価証券取引税を続けているべきだったろうと私は思うんですけれども、しかしそれを廃止した。  これだけごちそうしてもらったんだけれども、証券業界はなお満足しない。源泉分離課税制度も、これも存続せいということでこんなパンフレットまで出して、皆さんのところにも来ていると思いますけれども、盛んに宣伝しているわけです。これはずうずうしいというか、いわば有取税廃止という食い逃げをして、政府はそれをまた今度もし源泉分離課税制度の存続ということにするのであれば、食い逃げを許してやろう、許した上にさらにごちそうをやろうと、そういうふうなことだろうというふうに思うんですけれども、これじゃ税制の公平性という点からいっても全く道理がない、去年決めたことをまたすぐさま変えようという点でも道理がないと思うんですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 有価証券取引税のときのいきさつまでさかのぼりますと、またいろいろな議論がそのときもあったわけでございますから、それは一応おきまして、けさほども申し上げましたが、税制としてはまあこれで今までの制度はおしまいにしようというのが、恐らく税の公平等々から見ましても穏当な処置であろうというふうに思いますので、でございますからそういうことが決まっておったのだと思いますけれども、ここに来まして、いろいろな経済状態であるとか、あるいは証券市場の問題もあるかもしれません。それから、しかし日本の個人投資家がもっとエクイティーキャピタルへの投資というものに親しんでほしい、今のように資産の運用はもう一方的に銀行預金だというようなことそのものはやはり問題があるだろうという議論には一つのメリットがございますから、そういうことがまた入ってきましたりして池田委員の今言われましたような主張が生まれていると、こういうことであろうと思いますので、もう少しいろいろな御議論が出てくるのを待ちまして、いろいろな調査会等々でもどういうふうにするかについてお考えになるだろう、それまで私としてはしばらく沈黙を守っていたいと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  127. 池田幹幸

    池田幹幸君 先ほど言いました証券業協会がいろいろパンフレットを出しているんです。これ、今大蔵大臣が言われた個人投資家がこういった株式市場に親しんでいくという方向は今後伸ばしていくべきだというお考えがあるわけでしょう。  証券業界はまさにそこにつけ込んでおりまして、アンケートをやったと言うんです。どういうアンケートかというと、投資家にアンケートをとりまして、源泉分離課税の廃止に対する意見を聞かせてくれと。それをやったところが、源泉分離課税を廃止したらもう株式取引やらないという人が六五%も出てきたと。株式投資をやめると思うが二五・六、そのものをやめることはないけれども縮小しようというのが六五・三%あるというんですね。そういったことで、源泉分離課税の廃止反対が九割を占めていると、こういうアンケートなんですよ。  これは投資家に聞けば当たり前の話で、自分のもうけが少なくなることに賛成する人はいないわけだからこういう結果が出るのは当たり前だと思うんですけれども、これはある面では、株式市場をもっと活性化しようという人にとってはいわばおどしですね。皆さん逃げていってしまいますよ、源泉分離課税を廃止したらというふうなことでこれをやられておるわけで、とんでもない話だと思うんですよ。ともかく、もしこのアンケートを投資家以外の人にすれば、私は、そんな有利な課税、申告分離にしたって有利なんだから当たり前じゃないかといって、ほぼ一〇〇%の人がその源泉分離課税廃止には賛成するだろうというふうに思うんです。  もうけが減るから株式取引をやめるという人があるというんですけれども、私はそんなことになるとは思えないんですが、実際こういうことに詳しい宮島東大教授もこう言っておられるんです。源泉分離がなくなると個人投資家が株式取引から手を引くとの懸念があるようだが、しかし、特例的な株式税制によって政治的な目標が達成されたケースはほとんど聞いたことがない、制度改正の影響をきちんと評価する必要があるというふうに言っておられるんですが、まさに私はそうだと思うんですね。時間がありませんのでその点については質問をすることは控えますけれども。  さらに、つい最近までは証券業界は、源泉分離課税制度を廃止したら投資家が減って株価が下がるんだというふうなことまで主張していたんです。最近は株価が下がるというのはちょっと控えておるようですけれども、そういうことを主張していました。この主張に至っては、どこまでずうずうしいんだというふうに私は思います。要するに、もし税制に株価対策を盛り込むというふうなことになれば、これはもう税制の基本を完全にねじ曲げるものになるわけですから、もう絶対にこういったことは許せないと私は思います。  本来、課税の適正化ということでいえば、先ほど申し上げましたように総合課税にすることだというふうに考えるわけですけれども、これから見ましても、源泉分離の廃止で申告分離への一本化というのは、まあ不満はありますけれども一歩前進だと思っておるんです。それがやっと去年実現したら、もう実施もしない段階でやめちゃう、これはとんでもないことで、源泉分離課税制度の存続の方針がもしあるとすれば、それはもう撤回すべきだろうし、これから論議するのであれば、この存続などということはもう否定していただきたいというふうに考えるわけです。  税制としては総合課税制度の方に向かうべきだと考えるわけですけれども大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどから申しましたようないろいろな要素がございますので、なおしばらく、検討を皆さんがなさるのをもう少し待っていたいと思っております。
  129. 池田幹幸

    池田幹幸君 日銀総裁に伺いたいと思いますが、午前中の審議でもありましたが、きょう、「経済物価の将来展望リスク評価」というのを発表されました。これを発表するに当たって、先日、「「物価の安定」についての考え方」、これもまとめられたわけです。  それを読ませていただいて考えたんですけれども、もう一つよくわからないのが物価の安定についての定義ですけれども、これは数値で示すのは難しいということを言われたんですね。難しいということは、それはそれで難しいだろうと納得がいくんですけれども、そう言いながら別のところでは何と言っているかといいますと、デフレスパイラルを回避するといった理由から、長期的な政策運営の目安としては、物価指数の変化率で見てゼロではなく若干のプラスの上昇率を目指すべきとの見解がある、こうした考え方は検討に値するというふうに肯定しているわけですね。そうしますと、これをつづめて言うと、物価の安定とは、若干のプラスの上昇率を目指す、こういうことになってしまうわけですよ。こういうふうに定義したことに等しいんじゃないかなと私は思います。  そうしますと、若干のプラス上昇率とはどの程度のことを指すか。若干ですからわかりませんけれども、例えば物価上昇率が一〇%という大変なインフレのときに、その上昇率二%ぐらいのところで見た場合は確かに抑制効果があるけれども、今のような超不況のときに二%を設定すれば、これは明らかに物価上昇させていこうということになるわけで、言ってみれば、今の日本経済の現状に立ち返って考えますと、これは盛んに昨年来から言われてきておりました調整インフレ論、これと何ら違わないことになってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども総裁のお考えを伺いたいと思います。
  130. 速水優

    参考人速水優君) 今、池田先生の御質問、私どもも今回のこの決定に当たりましていろいろ議論したところでございます。金融政策運営上、若干のプラスインフレ率を目指す、これは学界や海外の中央銀行でもしばしば取り上げているところでもございます。しかし、これはいわゆる調整インフレというのとは全く違うのでございます。すなわち、若干のプラスインフレ率を目指す、スモール・バット・ポジティブといったような言葉を使っていますけれども、こういう考え方はやっぱり次のような点に配慮したものだと思うんです。  まず、物価指数につきましては、たとえ真の物価上昇率がゼロでも、さまざまな測定上の問題から統計上の物価上昇率は若干のプラスになる可能性がある、上方バイアスと言っておりますが、そういうことがあると思います。それからもう一つは、一たんデフレスパイラル、すなわち、逆に物価下落経済活動の落ち込みを通じてさらなる物価下落を招くといったような事態に陥りますと、金融政策による対応が難しくなるという考え方がございます。こういった事態を避けますために、中長期的には物価の安定から逸脱しない程度の若干のプラスのインフレ率を目指しておいた方がよいということがあるわけです。  一方、調整インフレ論というのは、高目のインフレ率を目標として人為的にインフレを起こそうとする政策でありまして、物価の安定から明らかに外れる政策でございます。日本銀行はそうした調整インフレ論には反対でございまして、このことは常々強調しております。  このように、若干のプラスのインフレ率を目指すという考え方、これはあくまで物価の安定を目指した金融政策運営に関する一つの現実的な指針と位置づけられるべきものであって、調整インフレとは全く違うものです。  私どもの内部でも議論がありまして、そういう意見を持っておる方もおられます。これからも議論を続けていきたいと思いますけれども、日本のように、先ほども浜田先生からありましたように千三百八十兆も持っている家計の預貯金というものが、やっぱり元本が減価するということになりますと、これはそれだけでかなり大きなマイナス要因になりますから、そういうことを考えますと、この考え方というのは私自身は余り乗り気になれない、おっしゃるように調整インフレなどと間違えられると困りますので、そういう感じを私自身は持っております。しかしこれからは、経済を伸ばしていくためにはこういう議論も含めて検討していきたいというふうに思っております。
  131. 池田幹幸

    池田幹幸君 調整インフレ論には反対するんだという総裁の御意見は昨年来ずっと伺ってきておってよく知っているんです。それだけに、これは注意をせないかぬなということで読ませていただいて、さらに少し確かめておきたいんです。  この報告では、最近の物価変動は需要サイドの要因より供給サイドの要因が働いているというふうに分析しているんですね。その分析そのものに私は若干の異論はあるんですけれども、そうだとして考えてみるんですけれども、大体、物価の安定のどの部分が供給サイドによるもので、どの部分が需要の変動によるものだというふうに区分できるのかと疑問があります。これは日銀の方に昨日伺いました。それは、区別はなかなか難しい、難しいけれども大体の判断だと、こう言うので余計わからなくなったわけですけれども、区別できないだろうと。  区別できないとすれば、区別できないまま、今物価が安定しているわけですけれども、こういった状態の中で、それがたとえ供給サイド、中でもこの報告の中で強調しておる技術革新によるところが大きいというふうに仮定したとしても、若干のプラスの物価上昇率を目指すということになりますと、これは結局、未来永劫プラスの幅が供給サイドか需要サイドかわからぬわけだから、えいやで数字を決めれば大きな数字にならざるを得ない可能性もあるわけですね。若干が、コンマ以下というふうに決めたわけではないんでしょうから、一%、二%、三%というふうなことだって若干ということになり得ないとは限らない。そうすると、こういう論を立てること自身が、インフレ政策の合理化、これにつながっていくんじゃないかと私は考えるんです。  本当にもう私の時間はこれであと一分しかないんですが、最後に再度総裁のお考えを伺いたいと思うんです。
  132. 速水優

    参考人速水優君) 御指摘心配は私自身も持っておりますので、十分その点を考慮に入れて今後検討してまいりたいと思っております。
  133. 池田幹幸

    池田幹幸君 終わります。
  134. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  早速でございますが、日銀関連いたしまして質問をさせていただきます。  日本銀行の支店の廃止につきましてですけれども、今月上旬、日本銀行の北九州と小樽にある支店を廃止するための方針が発表されました。こうした方針に対しまして北九州市では官民挙げて反対運動が展開されております。小樽は私は調べておりませんけれども、私の地元でございますので、その点でまずこれを中心にお伺いしたいと思います。  この方針がわかりますと、北九州市長を本部長といたしまして日本銀行支店存続対策本部が設置をされました。私を含めまして地元選出の超党派の国会議員が日本銀行北九州支店廃止方針の撤回を求める議員連盟というものを結成したところでございまして、十七日には直接速水総裁のもとに日本銀行北九州支店廃止方針の撤回を求める決議書を提出させていただいたところでございます。さらに、市民の皆さんあるいは企業に対しましても支店の存続を求める署名活動が現在も続けられているところでございます。  現在、北九州市は、一個の独立した経済圏を形成するとともに、アジアに向けた交通拠点都市として、平成十七年、新北九州空港の開港を予定しておりますし、また学術研究都市の開発など地域の自律的な発展の機運が盛り上がっているところでございます。また、午前中、星野議員の中にもございましたけれども、やや景気回復しているという状態にありますけれども、支店廃止はこうした機運に水を差すものと私どもは思っています。  日銀総裁は、支店廃止の方針に当たりまして地域経済に及ぼす影響をどのようにお考えか、まずお伺い申し上げます。
  135. 速水優

    参考人速水優君) 日本銀行は、日銀法により適正かつ効率的な業務運営を求められております。これまでも、組織の見直しとか保有資産の整理とか給与水準の調整、人員の削減、いろいろなことをやってきました。今般、支店を廃止するということも、支店が金融経済との接点として重要な役割を担っていることを踏まえながら、一段と適正かつ効率的な業務運営を実現するということをねらったものでございます。  北九州市にどれだけの影響を及ぼすか。これは、日本銀行の支店が地元で果たします役割というのは、銀行券、国庫金の受け払い、それから金融機関のモニタリング、経済調査、広報、こういったものでございまして、今回支店を廃止したとしても、こうした支店の機能というのは近隣店で十分カバーができるというふうに考えております。これによって地元にマイナス影響が及ぶとは考えておりません。  また、地元経済への直接的な影響について考えますと、廃止対象の支店の規模というのはさほど大きくないということや、それから職員の雇用が維持されるということなども踏まえますと、この面でのインパクトも限定されたものにとどまるというふうに考えております。  さらに、間接的な影響につきましても、例えば企業の投資行動一つ取り上げましても、営利を目的とする民間企業日本銀行とでは判断基準や行動原理が異なっておりまして、私どもの支店を廃止するからといって、企業投資が滞るといったような事態は考えがたいというふうに思います。  いずれにしましても、今回の支店を廃止する主な理由が地理的な重複感の解消等であるという点を地元関係の方々に丁寧に御説明して御理解をいただきたいというふうに思っております。  なお、この店舗網を見直すということは、新日銀法ができましたときに、衆議院でも参議院でも附帯条項として義務づけられておりますので、そのことを私ども考えるべき段階だと考えて計画をつくっておる次第でございます。どうぞよろしく御理解ください。
  136. 三重野栄子

    三重野栄子君 お言葉を返して恐縮ですけれども、今の御主張に対してさらにお伺いしたいと思います。  こうした行政機関の統廃合というものにつきましては、影響を受ける地元についていろいろ今御説明いただきましたけれども、理解が得られるように時間をかけて説明をしていただく、そういう努力と配慮がされるべきだというふうに思うわけです。しかし、今回の動きを見てみますと、関係者への事前説明がなされないまま報道発表されるなど、私ども本当にびっくりしましたわけですけれども、手続の面においても性急に過ぎると思われるわけでございます。  本朝、実はファクスが参りましたんです。それで、この点を地元はどのように切実に感じているかということをおわかりいただきたいと思いまして、ちょっとありますけれども読ませていただきたいと思います。  実は、苅田町というのは北九州に隣接しておりまして、日産とかトヨタとかそういう大企業があるところでございますけれども、そこの町議会が昨日緊急に臨時議会を開きまして意見書を採択しています。その内容は、   本年十月五日、日本銀行が全国三十三支店のうち北九州支店と小樽支店の二店舗を平成十三年度を目途に廃止する方針であることが、新聞報道等を通じて明らかになりました。   北九州支店廃止の主な理由として、交通網の発達により、下関支店との時間距離が短縮されていることに加え、同一県内に福岡支店が存在していることが挙げられています。   北九州経済圏は、福岡、広島経済圏と並んで西日本有数の独立した経済圏を形成しています。   その工業生産額は一兆九千億円、外国貿易額は一兆一千億円に上がり、いずれも福岡、広島経済圏を凌駕するなど我が国経済活動において重要な地位を占めており、金融の要である日本銀行の支店は、独立した経済圏に着目して設置すべきであります。   また、北九州支店の業務区域は北九州、京築二市二郡であり、金融行政の要の役割を果たしており、日本銀行券の受払規模は二兆一千億円、取引先金融機関は三十六行で、全支店中いずれも中位となっています。   さらに、今回の支店廃止の方針は、行政区単位を前提に、事務量などを定量的に検討したようですが、最も顧慮されるべき指標である事務量も全支店の中で中位となっており、また、有事においても、福岡とは約七十キロメートル、下関とは海峡を隔てているなかでどのように対応できるのか甚だ疑問が残ります。   よって、本町議会は、政府に対し、北九州支店の重要性を十分考慮し、地域経済状況を正確に把握する使命を担う北九州支店を、引き続き存続させるよう強く要請します。 以上、地方自治法九十九条云々ということで、大蔵大臣金融庁長官に対する意見書でございますが、その内容を今申し上げたわけですけれども総裁としてはもう一度検討をしていただきたいというお願いでございます。  先ほど国会における附帯決議ということでございましたけれども、附帯決議は、平成九年の五月二十二日が衆議院、それから参議院が平成九年の六月十一日でございまして、今すぐ決議があったからということではなかったと思うんです。ですから、今のような状況の中でこの問題が提起されたということに対して、市議会も経済界も、それから市民も大変心配をしておりますので、この方針の撤回、あるいは支店の存続への方針ということで再検討いただきたいということでお願いします。
  137. 速水優

    参考人速水優君) 日本銀行の支店をこれだけ高く見ていただいていることは大変ありがたいと思っております。ただし、日本経済全体がリストラをやる、構造改革をやるといっているときに、私どももリストラをやって少しでも経費を少なくしていこうという努力をしておるわけでございまして、やるべきことをやってきて今ここまで来ているというのが現状でございます。  私ども考え方を御連絡するのが少し失礼があったのかもしれません。その辺はおわび申し上げますけれども、私どもとしても、よく現地と話し合って現地の御理解を得た上でやるつもりでおりますので、今後ともひとつ御協力いただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
  138. 三重野栄子

    三重野栄子君 地元にも、二十日ですか、副総裁もお見えになっていろいろお話をいただいておりますけれども、何せ突然でございましたことがもう大変びっくりの状況でございますが、リストラに反対しているわけではないけれども、しかし、十分その経済状況、地元のこともわかってできるような方策をぜひともお願いしたいわけでございまして、幸いにここに大蔵大臣並びに金融庁監督部長もおいででございますが、今の意見書につきまして一言何かございますでしょうか。実は、私ども十二日に大蔵省金融庁には超党派の議員でお願いに行ったと思いますが。
  139. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日本銀行の方からこの事情につきまして現地にも丁寧に御説明をして御理解をいただきたいという、そういうふうに考えておられるようでありますし、国会でもかつてそういう御決議があったということも総裁も言っていらっしゃるようでございます。しかし三重野委員は、そういう決議があったけれども、なおそれでもやっぱり問題なんだと、こうおっしゃるんですが、その決議をどういうふうに読みますか、難しいところだと思います。  願わくば、もう少しいろいろ日本銀行と現地とでお話をくださって、大蔵大臣への認可事項ではあるのでございましょうけれども、本来こういう認可というのは、ある意味で実体的なイエス、ノーを決定するということでない方が普通であろうと思いますので、そういうふうに推移していくことを私ども希望をいたしております。
  140. 三重野栄子

    三重野栄子君 金融庁監督部長はおいでですか。──そうですか。それじゃ、今、大蔵大臣から伺いましたから。済みません。  それでは次に、もうあと時間が少ししかありませんから、総裁にもお伺いしようと思いましたけれども大蔵大臣の方に財投機関債の問題につきましてお伺いしたいと思います。  平成十三年度の財投計画要求を見ますと、財投機関債を発行する機関は十五機関、発行総額は八千六百六十五億円となっておりますが、この数字につきましては、これでは財投の抜本改革にならない、つながらないと厳しい評価が大勢を占めているのでございますけれども、十五機関、八千六百六十五億円という数字に対する大蔵大臣の率直な御意見、御感想をいただきたいと存じます。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 以前にこの案件を御審議いただきましたときに、財投機関債というものを考えましたゆえんについては申し上げまして、一つの合理化努力ということを申し上げたわけでございますけれども、その折にもいろいろ御議論がございましたように、果たして財投機関債といったようなものがどれだけ市場に受け入れられるだろうかという、まさに、いわばこれは格付をもらって出るわけでございますので、財投機関そのものは随分本日まで努力をしておるようでございます。努力をした結果、ともかくこの十五機関が何とか買ってもらえないかといったようなことになっておるようでございます。それは、その結果は、努力は認めますけれども、まだ多少時間もございますので、もう少し努力を続けてもらう余地はないだろうかと思っております。  あのときに御審議がございまして、なかなかこれは容易なことではないことに、恐らく最終的にだめで財投債に戻るとなれば、財投債の方が恐らく条件としては多少有利だということがございますから、なおさらこれは難しいことで、ただ、私どもは、機関に対しては、いやしくも今まで一生懸命やってきて市場からそういう認知をされないのかなというようなことで、大分一生懸命やってもらっておりますけれども、もう少し努力をしてもらえないかと。  ただいまのところはおっしゃったような数字になっております。
  142. 三重野栄子

    三重野栄子君 一点だけ、すぐ終わりますから聞かせてください。  簡保の方の現在の、民間生保いろいろ大変でございますが、事業経営全般について一言、簡易保険の方からお伺いしたいと思います。
  143. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 簡易保険の経営につきまして簡単に御説明させていただきます。  景気回復のおくれによりまして、家計のリストラとかあるいは低金利の長期化が続いておりまして、そういう中で、新契約が伸び悩むとともに、運用利回りの低下によりまして運用収入が減少しているところでございます。  しかしながら、平成八年と十一年と最近二回、お客様に約束しております予定利率を引き下げ、極力逆ざやが大きくならないように努めましたこと。またこの間、死亡率が安定しておりますし、また事業費の効率化が図られておりますので、運用利回りの低下の影響をカバーいたしまして、平成十一年度では一千八百九億円の剰余金を発生しております。平成十二年度につきましては、現在のところでございますが、新契約の件数も回復してきておりますので一千三百億円程度剰余金を見込んでおるところでございます。  今後のことでございますが、一つは、営業面におきましては、特定養老保険といったような、新しい潜在的なニーズを掘り起こすようなサービスも提供していくこと。また資金運用面におきましては、財投改革がスタートすることも踏まえまして、ポートフォリオ管理リスク管理を一層徹底すること。また事業運営面におきましては、オンライン化あるいは集金事務の効率化に一層努めることなど具体的な経営努力を着実に実行していきまして、ALM、資産負債の総合管理を徹底して健全な事業経営を維持していく考えでございます。
  144. 三重野栄子

    三重野栄子君 ありがとうございました。
  145. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  146. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院大蔵委員長萩山教嚴君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長萩山教嚴君
  147. 萩山教嚴

    衆議院議員(萩山教嚴君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  本案は、去る十月二十四日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものでありまして、個人のする政治活動に関する寄附を引き続き促進するため、個人が政治活動に関する寄附を行った場合の寄附金控除の特例または所得税額の特別控除の期限を平成十六年十二月三十一日まで延長するものであります。  なお、本案による国税の減収額は、平年度において約五十六億円と見込まれますので、本案の提出を決定するに際しましては、内閣の意見を聴取いたしました。  以上が本案の提案の趣旨とその概要であります。  何とぞ速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げる次第であります。
  148. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会