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2000-12-06 第150回国会 参議院 国土・環境委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十二月六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任         橋本  敦君     岩佐 恵美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 長谷川道郎君                 松谷蒼一郎君                 福山 哲郎君                 高野 博師君                 緒方 靖夫君     委 員                 末広まきこ君                 田村 公平君                 月原 茂皓君                 橋本 聖子君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 広中和歌子君                 藤井 俊男君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 戸田 邦司君                 島袋 宗康君    国務大臣        国務大臣        (環境庁長官)  川口 順子君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        環境庁企画調整        局環境保健部長  西尾 哲茂君        環境庁自然保護        局長       松本 省藏君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        建設省道路局長  大石 久和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (気候変動に関する国際連合枠組条約第六回締  約国会議に関する件)     ─────────────
  2. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として岩佐恵美君が選任されました。     ─────────────
  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備及び環境保全等に関する調査のため、本日の委員会環境庁企画調整局環境保健部長西尾哲茂君、環境庁自然保護局長松本省藏君、環境庁大気保全局長廣瀬省君及び建設省道路局長大石久和君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 国土整備及び環境保全等に関する調査のうち、気候変動に関する国際連合枠組条約第六回締約国会議に関する件を議題といたします。  川口環境庁長官から報告を聴取いたします。川口環境庁長官
  6. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 気候変動枠組み条約の第六回締約国会議、いわゆるCOP6が、十一月十三日から、会期を一日延長しまして二十五日夕刻までオランダのハーグ市で開催されました。我が国からは、私が代表団長として出席をいたしました。  今回の会合は、京都議定書早期発効を目指して、各国京都議定書を実施するために必要となる事項について合意を得ることを目的として開催されました。  日本政府代表団は、本会議の成功に向けて全力で国際交渉に当たってまいりました。私自身も、閣僚級協議において京都メカニズムに関する分科会議長を務めるとともに、EU各国と、米国を初めとしたアンブレラ諸国間の意見調整を図るなど、議論を集約すべく努力してまいりました。  また、プロンク議長のリーダーシップのもとに、参加した各国閣僚がそれぞれ譲歩と協力を示しましたが、最終的に合意を見るに至らなかったことはまことに残念に思います。  本日は、今回の会議での交渉の結果について、簡潔に御報告申し上げます。  まず初めに、今回の交渉につきましては、各国、各交渉グループ立場から数多くの課題について異なった意見が出され、最終的には、吸収源の取り扱い、排出量取引などの京都メカニズム利用制限遵守制度のあり方が相互に絡み合い一体的なものとして交渉されたことが最大の特徴でした。  その中で、吸収源につきましては、一部の国の森林等による過大な吸収量の獲得をどの程度制限するかが焦点になりました。米国等吸収量を抑えるとの意向が一部の国から示されたものの、我が国吸収量については、これまでの我が国省エネルギー対策の進捗を踏まえ、理解が得られたものと考えております。  また、排出量取引などの京都メカニズム利用制限するかどうかにつきましては、同様に一体的な交渉の一部として、交渉最終局面において先進国間で定量的な上限を設けない方向歩み寄り姿勢が見られました。途上国温暖化対策事業を行うクリーン開発メカニズム対象事業制限するかどうかにつきましては、リスト化による制限は行わないという方向性が出ました。なお、原子力発電吸収源事業については、対象とすべきでないとの意見もありましたが、最終的には意見の一致を見ておりません。  第三に、遵守制度につきましては、同様に一体的な交渉の一部として、不遵守の際に、遵守行動計画を作成し、遵守委員会提出してそのレビューと評価を受けるとの方向歩み寄りが見られました。なお、遵守判断を行う組織の委員の構成について、先進国途上国意見が分かれました。  最後に、途上国問題につきましては、最大焦点である資金問題について、我が国米国カナダオーストラリア等が参加するアンブレラグループ追加的資金を提供する案を提出し、途上国から総論としては歓迎されましたが、資金目的、規模、運営主体等の詳細については合意に達しませんでした。  以上が今回の会議における主要な論点であります。  今般、合意が得られなかったことから、COP6は一時中断して、来年五月末から六月初めを目途に再開する見込みとなりました。我が国としては、今回深められた各国閣僚レベル相互理解を基礎として、政治的機運を失わせることなく、京都議定書の二〇〇二年までの発効に向けて、再開会合において国際的合意が得られるよう、途上国支援策も含め、引き続き最大努力してまいる所存でございます。  同時に、我が国みずからも、他の先進国におくれることなく京都議定書を締結することが可能となるよう、温室効果ガスの六%削減目標を確実に達成するための総合的な国内制度の構築に総力で取り組む必要があります。そのことが同時に日本国際的発言権を一層増すことにつながるものと考えます。  溝手委員長を初め委員各位におかれましても、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  7. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 長官ハーグでは分科会議長として議事進行に当たられて、大変高い評価を得られたという新聞報道がございました。まずもって御苦労さまと申し上げさせていただきます。  ちょっと本件ではありませんが、長官、今回ハーグへいらっしゃるときに、ちょっと国会会期末という点もあって、長官ハーグおいでになれないのではないかというような、いろいろそういう話がございました。九二年のリオのサミットに当時の宮澤総理がテレビ、ビデオで出演されたという、恐らく国際的には大変失笑を買ったことがあったのではないかと思うんですが、今回、幸いにしておいでになられたからよかったわけですが、万が一、国内のいわば国会対策上の問題で長官COP6に出席できないなんということになったら、これはまた国際的には大変な問題だと思うんです。環境庁はここら辺、もう少しアナウンスをしてもよろしかったんではないかなという感じがいたしました。  それでは、質疑に入らせていただきます。  この、環境庁が監修されました「地球使用料を考える」という、これは役所のパンフレットとしてはよくできたパンフレットだと思うんですが、この中で、「この六%がずしりと重くのしかかっているんです。」というくだりがあります。二〇〇二年、ことしのベースでいいますと二二%ぐらいの削減が必要であるということなんですが、これには産業政策排出権の問題、途上国の問題、原子力の問題、まさに気が遠くなるような大変な問題である。  私たちがいい環境で快適な生活を送ろうとしたら、環境を破壊することの上でしか成り立たないというパラドックス、そういうパラドックスの上に成り立っている地球環境問題でありますが、二十一世紀最初の大きな課題として取り組まなければならない問題でございますが、まず第一点、今回のCOP6の評価評価先ほどお話がございましたが、合意に至らなかったその経緯についてお伺いをさせていただきます。  幾つかのグループ協議をされたということでありますが、国際会議というのは、大概ある程度すり合わせをしておいてやるというのが国際会議の通例でございます。きのう長官記者会見ジグソーパズルお話をされています。ジグソーパズルが全部完成はしなかったけれども、まあ大体の姿が見えてきたのではないかという、そういうお話がございましたが、ジグソーパズルを全部完成しようと思うと難しいので、幾つかのフレームに分けてやってもよかったんじゃないかなと思うのでありますが、冒頭申し上げましたように、今回の合意に至らなかった経緯をも含めて、御説明をお願いいたしたいと存じます。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 順序がちょっと後先になってしまいましたけれども、実は、先ほどごあいさつにちょっと上がらせていただきましたけれども、このたび、私、再任をさせていただきまして、またよろしくお願いを申し上げます。  それから、お話COP6の私の出張に当たりましては、多くの方に御支援をいただきまして本当にありがとうございました。  それで、長谷川委員御質問の交渉合意に至らなかった経緯ということでございますけれども交渉最初吸収源ですとか排出量京都メカニズム利用制限の問題ですとか、個別個別の問題でずっと議論をしていきまして、最後段階で、お互いに譲り合うところを組み合わせてパッケージにならないかということでパッケージができたということでございます。  それで、最後段階でできましたパッケージは、これはアメリカロイ国務次官もそれからフランスのボワネ環境大臣もおっしゃいましたけれども吸収源をどれぐらいそれぞれの国に認めるような形をつくるかということ。それから排出量取引などの京都メカニズム、フレキシビリティーメカニズムの使用上限をどういうふうに書くか、定量的に書くか定性的に書くかという問題。それから、遵守できなかったときに、不遵守のときにどういうようなことをするかという問題。その三つと、それから、京都メカニズムの一部でありますクリーン開発メカニズムについて、シンク森林をどうするかということが若干絡んでおりますけれども、それらを一体として考えましょうということでアンブレラグループとそれからEUと話し合いがなされました。  その結果、一時的にはもうほぼ合意に近いところまで行ったというふうに感じられたわけですけれども、最終的には合意に至らなかったということが非常に残念でございます。  それで、プロンク議長の、その後もできるだけ政治的なモメンタムを失わないように各国でやってほしいというお話もございまして、政治的な機運を失うことなく今度の五月、六月のCOP再開会合では国際的な合意が得られますように一生懸命に努力をいたしていきたいと思います。  パッケージがつくれて、そのパッケージについてはほぼそういう形の要素を入れていこうということについて合意が見られたということは大きな成果だったというふうに思っております。
  10. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今お話しになりました幾つかのハードルがあったというお話、そのうちの一つ吸収源の問題でありますが、新聞報道によりますと、EU等から吸収源については科学的に不解明な事項であるから制限を加えるべきだというふうな発言があり、また、日本は苦しい立場に立たされたという新聞報道があったんですが、このとおり、いろいろ難しい問題であることは十分承知をいたしておりますが、日本は苦しい立場に立たされたということはあったんでしょうか。
  11. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 苦しいと思うかどうかというのはいろいろな感じ方があるかと思いますけれども交渉の過程で、二十三日にプロンク議長から吸収源についての含み、紙が提示されたということでございまして、この紙によれば、日本吸収源は非常に低い数字になっていたということで、日本としては到底その数字では合意できることではなかったということは事実でございます。  ただ、プロンク・ペーパーなるものの性格でございますけれども、これは私はたまたま共同議長でございましたので、プロンク・ペーパーが二十三日の夕方みんなに配られる前に、その日の午後二時ごろだったかと思いますけれども共同議長が集められてプロンク・ペーパーを事前に見せてもらいました。それで数時間前に見ることができたわけですけれども、この紙の性格についてそのとき議長は、これは自分責任自分判断で出している紙である。交渉出発点の紙である。ただし、この紙自体プロンク自身としても擁護する気はない、ディフェンドするつもりはない。これをたたき台といいますか材料として相互議論をしてほしい。そのための材料であるというのがプロンクさんのおっしゃり方でした。  私は、既にそれまでに各国と話をしまして、日本省エネルギーの状況ですとか、それからシンク日本にとって持つ意味合いですとか、そういったことをお話をし、それから国内措置で今後大半をやるつもりであるということをお話をいたしておりまして、各国EUアンブレラも、それから途上国の若干の人たちにも理解を得ていましたので、そのプロンク・ペーパーたたき台材料としてこれから交渉をする余地は実は十分にあると思っておりました。  結果的にはその点について十分な理解が得られた形での合意に至りかかったということでございまして、日本が三・七%に固執をして、それが原因になって破れたとかそういう報道も一部ございましたけれども、全くそういうことはございません。
  12. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それでは、その三・七%の森林吸収源シンクの問題でありますが、かつて吸収源を認めないという議論もございました。これは正確かどうかわかりませんが、今回、ハーグでは三・五に割り引きをして提案したなどという報道もございましたが、そもそも三・七%、計算はいろいろ林野庁や何かでおやりになったという話なんですが、これは、例えばアメリカカナダと同じような算定方式で算定されているのかどうかについて、まず第一点お伺いしたい。  外国と同じ計算方式でやっているのならそれはそれで国際的な合意になると思うんですが、ところが今回のハーグでは議長裁定で、科学的な不確実さを考慮し八五%をカットするという、そういう提言というか提案もあったようであります。八五%の根拠もわかりませんが、三・七%の計算根拠並びに八五%削除するという見解についてのお考えをいただきたいと思います。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本吸収源による第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年までの吸収量見込みは、基準年、一九九〇年の排出量と比較しまして三・七%という数字でございます。これはほとんど森林でございまして、例えば牧草地とかそういうことではなくて、ほとんどが森林であるということでございます。  これをどういうふうにして出したかといいますと、林野庁森林資源基本計画というのをつくっておりまして、その計画上の森林面積とそれから森林成長量もとに炭素の吸収量を出したということでございまして、データの出し方については、条約の中で補助機関としてできているSBSTAという委員会がありますけれども、そこの決定に基づいて出させていただいたということでございまして、これは八月に条約事務局提出をしたということで、出し方は基本的にほかの国と同じでございます。  それから、八五%という割引率ですけれども会議をやっている中で吸収源について幾つか、例えばその一九九〇年以前の数字をどう見るかとか、それから二酸化炭素の濃度が上昇することによってさらに森林がふえていくといいますか、成長が早くなるということに伴う影響をどう見るかとか、そういうことをどのように計算するかということについてはいろいろ議論がなされました。ただ、データの存在も国によってさまざまでありますし、ある割引率で割り引くというのも一つのやり方ではないだろうかという考え方もございました。  ただ、プロンク議長ペーパーの八五%という数字、おっしゃったように八五%という割引率ですけれども、これの根拠は全くありませんで、プロンク自分責任に応じて出した数字ということで、私どももこの根拠は全くわかっておりませんし、彼も、先ほど申しましたように自分とこのペーパーについて議論をしないでくれということでございますので、自分ペーパーをディフェンドする気はないというふうに自分で言っているものですから、それはそういうことで、彼との議論はいたしておりませんし、八五%の根拠も依然としてわかりません。  それで、結果的には、日本としましては、プロンク議長ペーパーが出た後で、実は前々から検討をしておりました日本アメリカカナダの三カ国の対案を修正案という形で提出をしたということでございます。
  14. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今の話でよくわかりましたが、八五%割り引きという、普通例えばデパートで八五%割り引きなんということはあり得るわけないんで、八五%カットオフするというのであればいっそなしというのと同じじゃないかなというのが素朴な感じでございますが、ぜひひとつ来年の再会議で詰めていただきたいと思うわけであります。  同じく、三・七%の件でございますが、私ども手元によくNGOからファクスが参ります。これは名前を言えばだれでも知っているような有名なNGOファクスでありますが、日本は六%削減のうち三・七%も吸収源から見込んでおり、これをもとにすべての計画が立てられるとしたら、この前提が崩れ、一から計画を立て直さなければならないというのが来てびっくりしたんです。  同じように新聞報道でも、六%のうち三・七%も森林におっかぶせてやるんだから大したことないんじゃないかなんという話がよく出ています。これは実際間違いなわけですが、ちょっとそこら辺の御説明をお願いいたします。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員おっしゃられるとおりでございまして、六%削減目標大半森林吸収源でやろうということでは全くないわけでございます。地球温暖化対策推進法に基づいて閣議決定をされた基本方針で、排出量取引等の活用は補足的なものである、国内対策を中心にしてやるんだということが書いてございます。  それで、エネルギー起源二酸化炭素排出量のうち、ビジネス・アズ・ユージュアルといいますけれども、追加的な温暖化対策をとらなかった場合には、二〇一〇年には一九九〇年に比して二一%の排出増が予想されるということでございます。それで、これに六%、九〇年比で削減するというふうに言っておりますので、この二一%と六%を足して二七%になる。二七%が日本が九〇年比で削減をしなければいけないということになるわけですけれども、これでどういうふうにそれを進めるかということですが、省エネルギーあるいは新エネルギー導入エネルギー需給両面対策を行って二一%の削減をするということになっておりまして、それから革新的な技術開発、それから国民各層のさらなる一層の努力、例えばサマータイム制度導入とか、そういう国民のライフスタイルの変革というようなことが例として考えられているわけですけれども、それによってさらに二・五%の削減を図るということになっております。  それで、こういうことをあわせますと、二七%の削減のうち二一・五%までを吸収源とそれから京都メカニズム利用による部分で行う、済みません、その二一・五%までを国内対策でやるということになりまして、残りのうち五・五%を吸収源と、それから京都メカニズム利用で行うということになっているわけでして、したがって二七%の比較において吸収源の三・七%を考えるべきであるということでして、私も若干、その国際的なNGOの方々とこのことについてお話をさせていただくと、一応その段階では日本国内措置大半をやろうとしているんだということはよくわかったと、その時点ではおっしゃっていただいておりますけれどもハーグに行きましたら必ずしも、いろいろなNGOがいろいろなことをおっしゃっている中で、引き続き六%の大半吸収源でやるというふうに言われているNGOが国際的にはあったということは非常に残念に思っておりました。
  16. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先ほど私が読み上げさせていただいたNGOの文書は、最後に、というような論理性が全く見えない自分勝手なものとしか日本は見られていないなんというふうに結んであるんです。これは全くの誤解に基づくわけでありますが、やや環境庁宣伝不足ではないかなというような感じがいたします。  最後に、COPの問題を離れますが、ディーゼル車規制の問題について長官の御見解を承りたいと思うわけであります。  石原都知事が、御就任以来PETボトルディーゼル車微粒子状物質というんですか、ガス、すすですかね、あれを持ってよく講演をしていらっしゃる。あのPETボトルを見ましたら、だれしも異常であり異様だと思う。私どもも、道路でよくもうもうと黒煙を吐きながら走っているディーゼル車の後ろを車で走っていて、やっぱりちょっとなれっこになっていたといいますか、ちょっと鈍感になっていたと思うのでありますが、よく見れば、よく見なくてもそうなんですが、だれが見ても異常なディーゼル車黒煙だと。  中央環境審議会では、ディーゼル車排気粒子について発がん性が強く示唆されているという記述もございます。首都圏自動車排気ガス測定局幾つかのスポットで基準値をクリアしているのは一つもないという報告もございます。石原都知事提案というか問題提起であったわけですが、本来であればもっと環境庁が率先してお取り上げをいただかなければならない問題ではなかったかと思うわけでありますが、ディーゼル車規制について環境庁、どのようにお取り組みになられますか。ぜひひとつ積極的な御姿勢をお示しいただきたいと思います。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように大都市における大気汚染の問題ということは非常に大きな問題でして、これを改善するためにディーゼル自動車からの排出ガス削減をするということはとても大事なことだと思っております。  環境庁もいろいろな手を打っておりまして、私がことしの七月に就任をして後、あるいはその前からいろいろやっておりますけれども、例えばつけるDPFと言われる装置の技術強化をするとか、さまざまなことをやっております。それから、中央環境審議会でずっと御議論をいただいていまして、今月の十九日にその答申が予定されておりますけれども、次期の通常国会でその答申に基づいて自動車NOx法の改正をぜひ御審議いただきたいというふうに思っております。それによりまして、自動車排出ガスを総合的に手を打たなければいけないと思いますので、その充実と強化を進めていきたいというふうに思っております。  それから、また別な中央環境審議会答申で、ディーゼル車からの排出ガスの規制を、新長期規制と言われている規制を、平成十九年ごろに行う予定でありましたのを平成十七年に二年間前倒しをするということと、それから、やはり日本の軽油には硫黄分が非常に多いという構成になっていまして、これを下げなければいけないので、今の五〇〇ppmから五〇ppmに、十分の一に低減をするということを十六年末までに行うということで規制強化をやっていきたいと思っております。  やらなければいけないことはたくさんありますし、急がなければいけないと思っておりますので、今後このような対策の具体化を強力に推し進めていきたいというふうに思っております。
  18. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、次期国会自動車NOx法提案されるというお話がございました。名古屋地裁の判決をまつまでもなく、今国民の大きな関心事でございます。通常国会冒頭でひとつぜひ積極的なお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  19. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  まずは、川口長官、再任おめでとうございました。きょうの委員会の前に長官がかわられたら、何を聞こうかなと思って非常に悩んでおりまして、長官が再任ということで、きょうの委員会、本当に再任の次の日にお疲れさまでございます。  また、本番のオランダのハーグでも、私も二十二、二十三、二十四日と行かせていただいたんですが、後ろに座っていらっしゃる環境庁の役人の皆さんも本当に徹夜続きで、長官も徹夜続きで、お顔を見ればどれほど大変な作業をされているかというのはさすがに私どもでもわかります。一度だけお目にかからせていただいたんですけれども、一番佳境なときで、本当にお疲れさまでした。御苦労さまでございました。結果はともかく、本当に長官環境庁の皆さんの御努力には心より敬意を表したいというふうに思います。  という状況の中で、今、長谷川委員からの質問の中で一つだけちょっと長官が気になることを言われたので、ちょっと確認をしてから私の質問に移りたいと思います。プロンク・ノートの話、プロンク・ペーパーの話が先ほど長谷川委員から出て、長官は先ほど、根拠はよくわからないけれどもたたき台とする余地はあったと、日本が三・七%に固執したわけではないということをおっしゃられて、その後そのプロンク・ノートが出たので日、米、カナダ修正案を出したというふうにおっしゃられたと今のやりとりで私は承ったんですが、この日米加の修正案というのは十四日に出されたもともとの日米加の吸収源提案ではない、別のものを出されたという理解でよろしいんですね。
  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず最初に、福山委員にはハーグまでおいでいただきまして、どうもありがとうございました。アメリカどもかなり多くの国会議員の方がいらしていまして、その中で日本はたまたまそういう政治情勢であって御出席いただけた方が非常に少なかったものですから、大変にありがたく存じました。  それから、ちょっと私、先ほど申し上げ方が悪かったのかもしれませんけれどもプロンク・ペーパー自体について我々がたたき台だと思ったということでは全くありませんで、プロンク自身がその紙の性格について説明をしたときに、これはこれから各国交渉をお互いにするときの交渉材料として使ってくださいということでございまして、たたき台という言葉はちょっと私も使ったような気がしますけれども、そういう意味で申し上げたのではありませんで、したがって自分はこのペーパーをディフェンドするつもりは全くない、擁護するつもりは全くない、自分を相手にこのペーパーをベースに交渉をしてこないでほしい、違う国々の間あるいは交渉グループの間で相互にやってくれ、この紙はそれの材料であると、そういうことを言っておりまして、したがって、そこに書いてあることを交渉の基礎として、そこから話をしていったというわけでは実際はございませんということをちょっと念のために申し上げたいと思います。  それから、日米加の案ですけれども、これは交渉でございますので、実はかなり前から三カ国で議論はいたしておりましたけれども、その後も修正案というのは、したがいまして、そこからまたさらに別に出したというか、それをベースにまた考えて、柔軟に考えていって出したということでもあります。ということで、交渉の過程ですので、いろいろな相手の立場を考えつつ、相手の意見を聞きながら柔軟に対応していくと、そういうことでございます。
  21. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これでまた追っかけていくともう全然段取りが狂いますから、済みません、とにかくもともとから始めたいと思います。  まずは、長官はいろんな場面で、このCOP6に出席をされるに当たりまして、建設的妥協という言葉をよく使われまして、私とその出発される委員会でやったときも、妥協をそれぞれができるようなことが成功だろうと、そういうふうにまとめたいというふうなことを大まかにおっしゃられました。  先ほど、まさにこれも重要なことを言われたんですが、日、米、カナダ吸収源についてはずっと時間をかけてやってきたものを十四日、出されたんだというふうに思いますが、出発前に長官にはどの程度の妥協するポジションを持たれてハーグへ立たれたのか、答弁いただける範囲で結構でございますので。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 答弁できる範囲でとおっしゃっていただきましたので、これは実は、今まだ来年の五月、六月の再開期に向けて交渉が続いているプロセスでございますから、どこまで日本がおりることができるかとか、どこまでが交渉団が持っていった、マンデートという言葉を使いますけれども、その範囲かということをちょっと申し上げますと今後の交渉上問題があるかと思いますので、申しわけございませんけれども御勘弁をいただきたいと思います。  ただ、申し上げられることは、最終的にパッケージでということで交渉がなされたということでして、これは各国がそれまでの、ハーグまでの間、私が来てからでも三回、国際会議があって、あるいはその間、往復でそれぞれの国で話をしたりということもありましたから、話し合いがあった過程で、それぞれの国がどこの点はもう全く譲れない点なのか、あるいはどこの点は柔軟性がありそうかということについては相互に感触を持ちながら、あるときには非常にはっきりそれを言いながら交渉をしていったということでございます。  ということで、このあたりでは、例えば具体的な数字があとどれぐらい変わり得るかというようなことはありませんけれども、ここは妥協しなければこの国は仲間から抜け落ちてしまうというようなことについての感触は各国持っていると思います。
  23. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 交渉中であるから答えにくいということは僕も理解はできるんですが、逆に申し上げますと、COP6までは、日本のポジションについてはやはり交渉がこれからありますからということでなかなかお答えをいただけなかったと。  合意ができなかったという結論になった時点で、国民に対する説明責任は絶対に政府としてあると思っておりますし、そのときに、どういうふうな交渉をするつもりで行ったかどうかということを、それでその結果、合意ができなかったと、それは国民理解してくださいと、もしくは我々国会に対して理解をしてくださいと説明するのは、私はある一定義務があるというふうに思っております。その合意に至らなかった結果責任というのは間違いなく政府には存在しているわけで、その次の交渉でどういうふうなスタンスでいくかはまた別の問題でございますが、そこについては、少しこれから先、続きでいろいろ聞いていきますが、すべてが交渉途上だということになりますと、これから何にも建設的に、国内措置議論も、それから批准に向けてのいろんな具体的なお話し合いも、なかなか国会の場でできなくなりますので、そこは、私の意見ですが、そういうふうなつもりで次からのお答えをいただければと思います。  では、十四日に提出されました日、米、カナダ吸収源提案でございますが、この吸収源提案についてお伺いをします。  先ほど、そこそこ時間をかけて煮詰めていったということになりますが、これは新聞等にも出ておりますので明らかな数字ですが、環境庁の方からあえてお答えをいただきたいんですが、日、米、カナダ提案によると、アメリカカナダ日本、それぞれ吸収量は何%になるのかお答えいただけますか。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日米加三カ国の提案によりますと、吸収量は、アメリカについては七・六%でございまして、これは本来アメリカが持つ吸収量の半分以下ということになっております。それから、カナダについては五%、日本については三・七%、それぞれ一九九〇年の排出量との比の数字でございます。
  25. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先進国全体では幾つになるんでしょうか。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先進国全体では、実はそこまでこの提案に基づいて、この提案は一部オプションを、どちらかを選択するという選択肢を含んでおりまして、その選択肢のどちらをとると、それから片方をとったときにどういうような数字にするというところまで、最終的に議論がそこまで行きませんでしたので、先進国全体でどれぐらいになるという数字は申し上げることができないということでございます。
  27. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 アメリカ京都議定書における温室効果ガス削減の約束のパーセンテージはこれはもう皆さん周知のことだと思いますが、長官幾つでしたか。
  28. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 三億トンでございます。
  29. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何%でしたか。
  30. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは恐らく一七、八%ぐらいになっていたかと思いますが。済みません、ちょっと質問を吸収源の話かと思いましたので。七%がアメリカ数字です。
  31. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 七%ですよね、アメリカが約束したのは。今、長官がおっしゃられました、この提案によるアメリカ吸収量は七・六%とおっしゃいましたね。七%で世界的に京都議定書で約束したと。ところが、日、米、カナダがこの会議の始まる冒頭で提案したものによると、アメリカ吸収源だけ、森林だけで七・六%確保できる数字提案したわけですよね。  日本は確かに六%の削減で三・七%、全部のパーセンテージ、全部の排出量吸収源でやるわけではないけれどもアメリカは七%と京都議定書で約束して、今回、日、米、カナダ提案をしたらアメリカがカウントすれば七・六%になった、つまりアメリカ国内措置を何もしなくても約束を果たせるような提案を日、米、カナダがしたという事実は、これは間違いないわけですね。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういうことではありませんで、先ほど日本について六%の三・七%ではないというふうに申し上げたわけですけれどもアメリカについても七%の七・六%ではありませんで、日本の場合にビジネス・アズ・ユージュアルでいったときに二一%の増加になるということでございますけれども、同じような数字アメリカについていいますと、ちょっとはっきり記憶がありませんが、二五%から三〇%という数字アメリカから聞いておりますので、そのうちの七・六%ということでございまして、削減以上の数字吸収源でやるという提案をしたわけでは全くございません。
  33. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、それは国内の事情としてはよくわかるけれども京都議定書の意思からいうと、この提案はまさに京都議定書の中身を空洞化するという話になりますし、ビジネス・アズ・ユージュアルが二一%という話も、そのビジネス・アズ・ユージュアルの根拠、例えば日本の場合の根拠でいいますと、例えば経済成長率に関しては恐らくそのモデルで計算をしたときよりも経済成長率は落ちているはずですし、原発の予定も長期需給エネルギー見通しも今変更しかけている状況の中でこの二一%を金科玉条のごとく掲げて、そして三・七%を確保するんだと。  もともと会議の冒頭にこの日、米、カナダ提案をしたこと自体で、吸収源についてアンブレラグループ、特に日本カナダアメリカはここから一歩も引かないよというふうに宣言をしたというふうに会議全体では映ったということは、私は別にNGO側にすべて偏る議論をするつもりは毛頭ございませんが、これは否定できない事実で、僕は長官を責めているのではなくて、逆に、長官は政府代表団として行かれました。環境庁だけの意思で行かれたわけではないと。日本政府の代表団として三・七%という吸収源の確保をしなければ批准ができないということを二十一日の会合で、長官はみずから会合の場でもおっしゃいました。つまり、日本は三・七%、それを死守しなければいけないんだと。  僕は冒頭、建設的妥協の幅はあったのかと言ったときに、なかなかそれはお答えにくいとおっしゃいましたけれども、つまり建設的妥協の幅がないからこそ長官は三・七%以外の選択肢がない中で、言葉は悪いですけれども、丸腰で国際会議に出られて、そしてそれを主張せざるを得なかった。僕は、すごい長官は厳しい立場で行かれたんだろうなと思いますし、環境庁も苦しい立場だったろうなと思って、逆に言うともう少し幅を持たせるのが日本国内の、政府としての代表団に対する姿勢だったのではないかなというふうには思っているんですが、そういった点に対して、批判に対して長官はどのようにお考えでしょうか。
  34. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ビジネス・アズ・ユージュアルで二一%の数字というのが本当にそうかどうかということについては、今はそう考えられているということでございまして、現に九八年時点で五%以上ふえているわけでございますので、そこからいっても一一%の削減になりますし、確かに今までのところ景気は想定されていたよりも伸び率、景気が足を引っ張った部分もありますけれども、二〇一〇年でございまして、これから十年あるわけですので、今の段階でどういう進展になるのか、あるいは現実問題として二一%以上にふえてしまうこともないわけではないでしょうし、今は二一%という数字が存在をしているということでございます。  その二一%、この地球温暖化対策推進大綱ということにいろいろなデータと何をやって減らすんだということが書かれているわけでございまして、三・七%シンクというのはその京都議定書、九七年の議論の中から出てきた数字だと私は理解をしております。  それで、これは交渉事でございますので、いろいろな言い方をしていろいろ自分が望むポジションに全体の議論を運ぶ、これをやることは日本にとって国益ですし、政府の代表団がそれをやらなければ代表団ではないということでございますので、それをやるのは仕事でありますし、使命であると思っております。  先ほども申しましたように、ずっとハーグに行く前から日本が今までもう本当に七〇年代からエネルギー使用の効率を高めるために非常な努力をしていること、その成果が現に上がっているということも御説明をいろいろな方にさせていただきましたし、それから省エネ法というのは私の所管ではありませんけれども、産業界に対しての省エネ法の強さといいますか、は各国先進国が持っている省エネ法の中で一番厳しい省エネ法は日本にございます。日本がそれを持っております。それから、地球温暖化防止を目的とした法律を持っているという国も恐らく先進国の中では日本だけだと思います。  というような努力を申し上げ、それから国内対策でほとんどやるつもりであるということを申し上げ、その中で吸収源というのは京都議定書で六%を受け入れた、これはアメリカにとっても全く同じような事情でございますけれども、時に非常に重要な数字であったということも申し上げ、そういう中で議論が、日本についての理解は非常にしていただけたということでございまして、可能な限りその三・七%を達成することが交渉団としては非常に大事な仕事だというふうに思っております。  それから、もう一つ追加をさせていただきますと、国際的にこのシンクの問題のエッセンスというのはアメリカの問題でございます。そういう意味では、アメリカシンクをどれぐらい減らしていくかということはヨーロッパにとっての最大の関心事と言ってもいいと思いますけれども、またその背後の理由にあるのは、アメリカ国内対策をやらないことによってアメリカの産業競争力がヨーロッパの産業の競争力に比べて強いものになるということは望まないということでございまして、そこからいきますと日本シンクの三・七%ということは、国際的にそれが目くじらを立てられる種類の問題では全くなかったということでございます。
  35. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 目くじらを立てる種類の問題であったかなかったかはそれぞれの皆さんの主観が入りますから、そこはもう水かけ論になりますので、衆議院の委員会でもよく言われておりましたので、もうこれ以上は申し上げません。  少し、事実だけお答えください。短目の答弁で。思ったより時間がたっておりますので、短目の答弁で結構でございます。  二十三日の未明にプロンクから出されたペーパーがあります。この提案に対して、日本代表団は一体評価をどうしたのか。  それから、そのプロンク・ペーパーに対する答え、意見というものを二十四日の夜の十時ぐらいに求められていると思いますが、それに対する意見はどのようなものを出されたのか、具体的にお答えいただけますか。  それともう一点。プロンク・ペーパーによっての吸収量吸収源日本カナダアメリカではどれほどのパーセンテージになるのかをお答えください。もう事実だけで結構でございます。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、プロンク・ペーパー評価ですけれども、私は先ほど申しましたように議長をしておりましたので、事前にそのプロンク・ペーパーを見ました。それで、私が議長をして、それで合意に達したところについて、これは議事録がちゃんとございますので、その議事録に基づいてプロンク・ペーパーのまとめはそれと離れているところがあるということはその場で指摘をいたしております。したがって、プロンク・ペーパー自体、その前に開かれた幾つかのテーマごとの会議の成果を反映していない部分があるということが問題だということです。  それからもう一つは、プロンク・ペーパーのバランスがどちらかといえば途上国寄り、それから先進国の中ではEU寄りになっているということは否めなかったということでございまして、アンブレラグループの中でその後で実は会議をしまして、アンブレラグループとしてのプロンク・ペーパーについての紙を出しております。プロンクあてに手紙を出しておる、議長あてに手紙を出しましたけれども、オーストラリアが中心になって出しましたけれども、その中にもそういうことが書いてあるということで、それがアンブレラグループとしての評価であるということでございます。  それから、二十四日に反論といいますか、日本政府としてのコメントを出しまして、幾つかの部分は、例えばシンクのように日米加三カ国の対案として出しましたし、アンブレラ全体としての対案ということで出した部分もございますし、日本政府だけで出したということもございます。シンクの部分は三カ国の対案ということになっております。  それから、お尋ねの数字のことでございますけれどもプロンク・ペーパーに示された算定方法を用いますと日本は百九十万トン、それからアメリカが四千九百七十万トン、それからカナダが三百十万トン、そういう数字になっております。
  37. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 パーセンテージで。
  38. 川口順子

    国務大臣川口順子君) パーセンテージでいいますと、アメリカは三%、カナダが一・九%、それから日本が〇・六%、そういうことでございます。
  39. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほど、プロンク・ペーパーがちょっと唐突ぎみに出てきて、これまでの議論とは離れたところへ出てきたと言われた長官お話評価というのは、僕はこれはある一定の、そのとおりだと思います。変な話ですけれどもCOP3から三年間かけて一体事務方は何を議論してきたんだというふうに疑問を持つぐらい唐突に出てきて、閣僚会合でも議論していないようなものも出てきたと、そこの印象は確かにぬぐえなくて、議長の、何というか議事の運び方も含めて、それは僕は今後のCOP課題だというふうに感じてはいるんです。  ただ、プロンク・ペーパーから出てきたのが、EU途上国寄りという評価はありますが、日本は〇・六%しか吸収源を算入してくれない。アメリカは三%、カナダは一・九%。先ほどの日米加でいいますと、本当に開きがあるわけです。アメリカは七・六%だったものがプロンク案では三%、日本は三・七%だったのが〇・六%というのが現実でございまして、これだけ開きがあるということは、議長は、ある意味でいうと、まとめたいと、まさか決裂のためにこのプロンク・ペーパーを出したわけではないと思いますので、僕は、国際社会で見たときに、日、米、カナダの案というのは少しやっぱりどちらかというと否定をされた方向ではないかなと、ぎりぎりになって出てきたプロンク提案で、日、米、カナダのあれはちょっとしんどいですよと、そのかわり京都メカニズムについては、排出権取引についてはある程度アメリカの言い分を聞きますよというような状況だったような気がするんですが、そこら辺の長官の御感想はいかがですか。
  40. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほども言いましたように、プロンク・ペーパーはとにかく交渉材料だということでございますので、プロンク・ペーパーとの比で日米加の対案が離れているから国際的にそれが否定される方向であるとは必ずしも言えないというふうに思っております。  現に、その後合意寸前まで行ったEUアンブレラの間の合意の案というのは、そういう意味でいえば、シンクのところについてはプロンクの案とはまた異なった扱いになっておりますので、プロンク・ペーパーはあくまで材料であるというふうにお考えいただきたいと思います。
  41. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこで重要な話なんですが、先ほどからシンクに関しては日米加で共同で対案を交渉のたびにやっていたというふうに長官はずっとおっしゃっておられたんですが、その長官がいつも言われています、明け方、二十五日の早朝まとまりかけたと言われている、EUアンブレラ合意になりかけた案というのは具体的にはどのような数字なのか、教えていただきたいというふうに思います。
  42. 川口順子

    国務大臣川口順子君) パッケージの案ということでございまして、吸収源についてどういう数字にするかということが一つです。それから、京都メカニズム上限をどうするか、これはEUは定量的にということをずっと言っておりまして、アンブレラ側は定性的にということを言っておりまして、これをどちらかといえばEUが歩み寄る形の文章になりかかっていたということでございます。  それから、不遵守が生じたときにどういうような行動をしてもらうかという、どういう措置をとるかということですけれども、これについてもかなりアンブレラEUが歩み寄る形で合意ができかかっていたかなと思います。  それからもう一点、CDM、クリーン開発メカニズムの中におけるシンクの問題。これについては、これはアメリカEUの間で大きな問題であったということですけれども、これについてもその時点では一つ合意がありました。いずれにしても、EUの代表の国々とアンブレラのかなり多くの国との間では、その案について一時的にせよ合意ができたということでございます。  この細かい数字については、今まさにこれから五月、六月に向けて交渉が続いている過程でございますので、ちょっと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  43. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 でも、それはまとまらなかった数字ですよね、長官、結果としては。ということは、この時点で、この状況でまとまらなかったというEUアンブレラ途上国、この場合ではEUアンブレラですが、のポジションについては結果としてそれはまとまらなかったわけですから、その数字については交渉途上とはいえここで御報告いただくことは差し支えないのではないかと私は判断するんですが。
  44. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、一時的に一部の国の間では合意された。しかし、最後に全部の国の中にそれを広げたときに合意しない国があったということでまとまらなかったということでございますけれども、これから後の五月、六月に向けての交渉の過程で、現にかなりの合意のベースとなり得た案ということでございますので、これは引き続きベースになるものだと私どもは思っております。私どものみならずかなりの国がそう思っているということですので、今の段階ではどういう数字かということは申し上げるのは御遠慮させていただきたいということです。
  45. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の御答弁は、委員長、私は納得できないんです。  合意がまとまらなかったと。いろんな議論をしている中でいろんな数字が出るのはよくわかるんですが、その中でまとまらなかったと。一部が反対をしたと。それは今までの交渉の過程と一緒で、日米加も提案を出していますし、プロンクからのペーパー提案も出てきているわけで、そういう状況の中でまとまらなかったものに対して一つの過程として、プロセスの中で国会説明をしていただくのは私は道理だと思うんですが、委員長、御判断をいただけませんでしょうか。
  46. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 中身につきましては、また別途理事会で話させていただきます。これが適当かどうか私は判断する能力がありませんし、できないと思います。
  47. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今の点についてもう一つつけ加えさせていただきますと、これは国際的に話をしている案でございまして、日本だけが持っている案ではないわけでございます。これはほかのどの国からもこの数字はオープンにはされていないわけでございまして、日本としても、この段階数字がこうであったということを申し上げることは、日本のみならずほかの国の交渉の足場を崩すことにつながりかねませんので、ぜひこの点については御了解をいただきたいと思います。
  48. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 理事会で後で協議をいただくということで、次に移りたいと思います。  結局、最終的にこれはまとまらぬという話の中でEUのある国がノーだと言ったということが巷間伝わっておりますが、これはだめだと長官判断されたのはいつの時点でしょうか。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) だめだの意味ですけれども、だめだというその案をベースに議論をしていって合意ができないという判断は、いまだにいたしておりません。
  50. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 しかし、二十五日の朝十時に、長官は、今回の合意は決裂をしたと、だめだったという記者会見をされています。ですから、その会議の中の時点では、十時に記者会見を開くということを長官が政治的な判断をされたというところにおいては、どこかの時点で長官は、この合意はもう無理だと、決裂のまま日本に帰らなければいけないという判断をされたわけで、その時点がいつかをお伺いをしております。
  51. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十時に記者会見をいたしましたのは、それまでも記者の方と記者会見はいたしましたし、実は記者会見をするというお約束をしていて、私が会議でどうしても離れられなくて申しわけないけれどもと言って流させていただいたこともございます。そういう意味で、重要な節目でできるだけ情報を記者の方にはお伝えしたいというふうに思っておりました。  それで、十時の時点で会見をやりましたのは、ずっと徹夜で続いていた、ちょっと十時かどうか私は時間は余りはっきり覚えてないんですけれども、いずれにしても、二十五日の午前中にずっとその前の日から徹夜でやっていた会合が一応終了をいたしまして、その一番最後段階各国といいますか各交渉グループ交渉のエバリュエーションといいますか評価をいたしまして、プロンク議長判断として、これはその後二時に全体会合最後議論をすると。それは、今後の進め方等について議論をするということがございまして、実はその前に一部の交渉グループに対してはもう少しインフォーマルな形でできないかという提案議長はしたんですけれども、一部の交渉グループって、その全体会合の場でしたわけですが、一部の交渉グループがそれを拒否したというようなことがありまして、この段階で、まだオンゴーイングではあるけれども、とりあえず一つの区切りであるという判断もございまして、その状況を新聞記者の方々にお伝えするということでございまして、中断という形の言葉を使わせていただいております。今の時点ではまだ合意ができていないというふうに申し上げました。
  52. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その時点でアメリカのロイとEUでフランスのデボアさんが交渉をしていた、それは多分インフォーマルな話だと思いますが、交渉していたということは長官御存じだったんでしょうか。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それから後のプロセスで実は私自身交渉をいたしましたし、各国ができるだけ残っている期間、残っている閣僚でそれを有効に使おうということでやっております。ということで、たまたま私がその記者会見をしていたときにアメリカがどこかの国とやっていたかどうかについては情報は私は持っておりませんけれども、その時点、要するに十時、ちょっとはっきり時間今覚えていませんが、から午後のプレナリーといいますか、全体会合までの間を利用して各国いろいろな話し合いをやっているということはございます。
  54. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 しかし、細かいことを申し上げるようですけれども、その記者会見長官はおさまるところにジグソーパズルがおさまらなかったという表現をされておられまして、中断と、オンゴーイングだというふうに今おっしゃられましたけれども、ある一定のレベル、これはもう決裂で帰るんだと、合意ができないんだという判断をされたと思うんです。  もう一度お伺いします。その記者会見でパズルがおさまるところにおさまらなかったとおっしゃられて、もうこれは無理だと判断されたのは一体いつの時点でしょう。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ジグソーパズルという発言は、私は最後の全体会合でいたしまして、それはその全体会合のときに事務レベルで用意してもらった紙を少し変えた発言をしたいと思いましたので、その直前に自分の頭の中でこれは考えた表現でございまして、記者会見のときに、徹夜明けでもうろうとしていましたので、あるいは本当に言わなかったかどうかと詰められると、私は言わなかったという記憶しか今はないので、その時点ではジグソーパズルのことは多分考えてもいなかったというふうに思います。
  56. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それでは具体的にお伺いしますが、長官は政府代表団の団長として行かれたわけです。今回の交渉の過程で、それぞれ官邸なり総理なりと必ず連絡を取り合って、ここでまとめるか、ここでまとめないかという話の中で、これは合意ができないという判断長官一人でやられたのか、それとも官邸なり総理なりときっちりとある程度対応した上で、これは合意しなくて帰るんだというふうに決断をされたのか、その政治プロセスについて具体的にお答えいただきたいと思います。
  57. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 官邸と、それから最後段階で総理はシンガポールにいらっしゃいましたので、私はシンガポールにいらっしゃる総理と二回ほどお話をいたしております。それから、官邸には随時事務的にお話を申し上げておりまして、それが秘書官経由で総理にも伝わっているというふうに思います。  それで、交渉のプロセスといいますかやり方といたしまして、これは日本とどこかの二カ国の会合交渉でございますと、日本がこれでこれをやめるとかあきらめるとか、あるいはもっとやるとか、妥協を日本がおりてやるとか、そういう選択肢があるわけですけれども、これは多国間の会合でございますから、特に日本のポジションが足かせとなって交渉がだめになりそうだということではなかったものですから、全体としてこの会合は、十時か九時か、それぐらいに終わった会合と、それから午後二時ぐらいから開かれた全体会合と、それで終わったということでして、日本がこれをやめるとかやめないとかという、そういうプロセスではございません。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 しかし、先ほど長官が言われましたEUアンブレラ最後最後まで、具体的な数字はお示しをいただけませんでしたが、最後最後まで、朝方まとまりかけた案という状況は、日本もその案には了承をして臨んでいたはずでございます。その案については官邸もしくは総理に了解を得ましたか。
  59. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 交渉団として事前に行く前に、こういう範囲であれば交渉団の判断でという話がございます。それで、それを超えるときには、超えなければいけないような事態が生じましたら、その場合には改めて新たなる訓令を出してもらうということになるわけでございますけれども交渉団の判断としては、それまでに議論されていたことは、これもちょっと申し上げて外国に余り知られたくはありませんけれども、その訓令の範囲だという、要するにマンデートの範囲であったというふうな判断を基本的にはいたしておりましたけれども、その合意案なるものについて一国一国がイエス、ノーということを言って合意に達したということではございませんでしたので、日本としては、日本政府としては正式にこれはこの時点では反対だとかあるいは賛成だとか、そういうことを言う局面ではなかったということでございます。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 聞けば聞くほどわからなくなったんですが、反対だとか賛成だとか言う場面ではなかったけれどもEUアンブレラ交渉して合意が早朝まとまりかけたとおっしゃっているわけで、それが例えばまとまった場合は間違いなく日本はそれをのんでいたわけですよね、反対とか賛成とか言う前に。そうするとそれはある程度、先ほど言われたように、じゃこういうマンデートの範囲の中の合意案だったということですね。そういう受けとめ方で、理解でよろしいですね。
  61. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私はそういう判断をいたしておりました。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 逆に言うと、僕は一番最初に、建設的妥協という言葉を使われたがどういう妥協するポジションを持っていたのかと、冒頭長官に聞きました。今、長官はそこに対して余りはっきり答えられなかったんだけれども、今、こういう範囲であればというマンデートがあったと。これについては今も明らかにはしていただけないんですね、具体的には。どうでしょうか。
  63. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これが表に出ることになりますと、日本のこれからの交渉相手のすべてが日本がどこまでおりられるということを全部知ることになりますので、そういう状況でございますので、今申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 官邸の連絡をずっとやられていた窓口は一体だれで、それはどういう資格の方が官邸の連絡で常に情報をやり合っていたのか、さらには総理と二回ほど話されたというのはいつといつの時点か、お答えください。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 官邸との関係で、だれが窓口で、関係省庁幾つかございますから、どこのだれからそういうところに流れることになっていたかということについては、私ははっきり今ここで申し上げられる情報は持っておりませんが、きちんとそういうふうにルートは、ルートといいますか、どういう状況でどういう上げ方をするということは決まっていたということでございます。  それから、総理にお電話しましたのは、二十五日のお昼過ぎの時間……
  66. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 現地時間ですか、ハーグの時間ですか。
  67. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 済みません、オランダ時間です、ハーグです、の時間と、それから徹夜交渉のさなか、二十四日の、したがいまして二十五日の早朝と申し上げた方がいいと思いますが、夜中でございます。
  68. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 邪推でございますが、二十五日のお昼過ぎというのは会見が終わった後、二十四日の早朝というのは先ほど言ったいろんな合意案がまとまりかけているときの前後ですから、僕はどう見てもそこには官邸に政治的な判断を求めたとしか考えられないのですが、これ以上細かく申し上げてももう時間もありません。  最後に、非常に重要なことなんですが、この六日、七日、オタワで会合が開かれています。今月の末にはノルウェーで閣僚級会合が決まって、COP6の継続的な議論が進むという話になっているんですが、この会議に臨むときに、一体プロンク・ペーパーなのか、まとまりかけた合意案なのか、それとも交渉の途中に出てきた、何百ページにも及ぶ議長から出てきたテキストでスタートするのか。一体、五月に行われるCOP6・5というか、五月に行われることが決まった会合について、日本はどのポジションから交渉がスタートするのか、もしくは国際的にどのポジションから始めようという合意ができているのかということをお答えいただきたいということと、もう一つ申し上げますと、一月十五日にプロンク議長ペーパーに対して条約事務局修正案提出することになっていますが、これに対して日本はどのような修正案を出す用意があるのか。今の二点についてお答えください。
  69. 川口順子

    国務大臣川口順子君) オタワでの会合でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、プロンク議長会合最後段階で、これからできるだけ政治的なモメンタム、動きをとめないように関係の国々の間でいろいろ議論をしてほしいということでございましたので、先進国でどうやったらそういうことができるだろうかということを議論するということで事務レベルで行っております。  それから、閣僚ベースの会合というのは、まだ私の理解では正式に決まっておりませんで、むしろ私の気持ちとしては、そういう閣僚レベル会合が可能になるような事態があれば、モメンタムの維持というのが非常に軌道に乗ってきているという意味で非常にうれしいというふうには思っております。  それから、一月十五日の修正案でございますけれども、何百ページものテキストとおっしゃいましたけれども、実はプロンクペーパーというのは十四ページでございまして、テキストはまた全然別な存在でございます。その十四ページのプロンク・ペーパーについての紙ですけれども、これはこれから相談をいたしまして紙をつくるということになると思いますし、その過程で、ハーグでもアンブレラのほかの国と共同で提案修正案を出しましたし、プロンク議長もできるだけそういうことを勧めているということもございますので、日本だけで出すかどうかというのもまだ検討の余地があると思っております。
  70. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 どの議論から始めるんでしょうか、例えば始めるとすれば。
  71. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これも日本国だけで決める話ではなくて、世界的に合意に達したところで議論を始めるということでございます。
  72. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それはまだ合意ができていないということですね。
  73. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 合意はできておりませんが、我々の希望は持っております。
  74. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その希望はどこでしょうか。
  75. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 時間がたっております。
  76. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アンブレラグループとしては、それから今後の進め方の速さということからいいますと、合意ができかかったペーパーをベースにするというのが望ましいというふうにと思っております。
  77. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 済みません。ありがとうございました。
  78. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 先ほどから話がありますように、気候変動枠組み条約第六回締約国会議COP6は合意できませんでした。その原因は、日本政府が森林吸収による二酸化炭素吸収量最大限カウントの主張に固執したことにある、NGOやメディアなどはそう厳しく指摘をしています。    〔委員長退席、理事松谷蒼一郎君着席〕  私は、十一月九日の当委員会で、地球温暖化問題解決、これは待ったなしの課題であるということと、日本政府は森林吸収などの抜け穴を主張するのではなくて、国内努力で炭酸ガスの排出そのものを減らす、そういう当たり前のことをきちんと取り組むべきだと申しました。長官は、国内対策を中心にやっていくことが政府の方針だと、そういう答弁がありました。  でも実際は、日本は既存の天然林も含めて科学的な根拠が明確ではない森林吸収分を算定すべきだという主張をして大きな国際的批判を浴びたということで、日本の各新聞はこんなふうに言っています。  例えば、朝日新聞の社説では、「本来の温暖化対策国内ガス排出を減らすことであり、森に多くを求めるのは逃げでしかない。これに固執してきた方針を根本的に改める必要がある。」、あるいは読売新聞も、「今後の会議では、日本森林吸収分についての同様の主張は、もはや通らないだろう。政府はまず、この問題から見直し、国内での本来の削減努力を進めるべきである。それがハーグ会議の教訓だ。」と、こう言っています。森林吸収に逃げ道を日本政府は求めるべきではない、そういう主張をしているわけです。  環境庁は、来年五月末から六月の初めと言われるCOP6再開の会議の成功に向けて最大限の努力を行うと言っていますけれども、その科学的に不確実な森林吸収に固執をしているという態度をとればとるほど京都議定書そのものを葬ることになると思います。再開COP6を成功させるためには、森林吸収だとか京都メカニズム、そういうものに頼るのではなくて、国内対策そのものによって目標を達成する、そういう真剣な努力が今求められていると思います。そのために環境庁、来年から環境省になるわけですけれども環境省としてどう取り組まれるのか、その決意を伺いたいと思います。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本地球温暖化対策推進法に基づいて閣議決定された基本方針国内措置を中心として削減を行うというふうになっておりまして、そのとおりやるつもりでありますということは今までも申し上げたとおりでございまして、今後ともその方針に変わりはございませんし、そのことはそういう形でほかの国々にも理解をされているというふうに思っております。ということで、それは一生懸命にやるつもりでおります。  それから、先ほど来御議論をさせていただきましたけれども日本削減というのは京都で約束をした六%のうちの三・七%が吸収源ということではありませんで、全体で七%減らさなければいけないうちの三・七%ということでございますから、数字の上からも実際に減らそうとしている大半国内措置であるということがおわかりいただけると思いますし、御指摘になられました新聞紙上で一部違う意見が、おっしゃったような意見が出ていたことは事実でございますけれども、私どもも御理解をいただくための努力をかなりさせていただきまして、この間ある新聞にかなりそういう方向の記事も出ておりましたけれども、新聞その他についても今、新しい理解をしていただいているというふうに私は思っております。    〔理事松谷蒼一郎君退席、委員長着席〕
  80. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 国内対策をきちっとやっていくということで進められることが今本当に求められているわけですから、そういうことに期待をしたいと思います。  まず、国内の炭酸ガス排出量では、工場等の産業部門、これが四億七千五百万トンと四〇%を占めています。他の部門に比べて圧倒的に多いわけですね。それで、九八年度の実績を見ると、九〇年度より三・二%減っているということですけれどもパンフレットにも、環境庁が出したパンフにもありますけれども、九七年度までは九〇年度を上回っているわけですね。本当に削減対策による効果なのか、それとも景気が余り振るわない、そういうもとでの一時的なものなのか、疑問が出されています。二〇〇〇年六月に出た中央環境審議会地球温暖化対策検討チームの報告書でも、その点をきちんと分析する必要がある、そういう意見があったと記されています。  私は、今後の対策をきちんとする上でもその分析が必要だと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃられますように、九八年度の日本温室効果ガスの総排出量が前年度比で三・五%減少したというふうになっていまして、これは温室効果ガス排出の全体の九割が二酸化炭素ということでございまして、この排出量が前年度比で三・八%減ったということが大きく寄与してこういう結果になったわけでございます。  ちなみに二酸化炭素で、九〇年比で全体五・六%、九八年でふえているわけですけれども、産業部門で三・二%減ったのに対しまして、運輸部門で二一%増、民生の家庭部門で九・三%増、それから民生の業務部門で一六・一%増、そういうことになっております。  それで、先ほどの二酸化炭素排出量が前年度比で三・八%減ったのが何によるかということですけれども、景気の停滞で鉄鋼あるいはセメントといったエネルギー多消費の部分の産業の活動が停滞をしたということも一つの大きな要因だというふうに思っております。それから、その産業部門で、先ほど数字を申しましたように産業部門のみが減少を九〇年比しているということでございますので、この数字からもわかりますように、省エネルギー対策を産業部門を中心としてしている、それから家電等につきましてもエネルギーの効率が高まっているといったようなことが排出量が減っている要因とも考えられております。  おっしゃった分析でございますけれども環境庁ではいろいろな手法を科学的に分析するために検討中でございまして、景気の動きというものもありますし、それから部門ごとの要因別のエネルギー消費の増減といったことがどれぐらい関与しているかということもございますし、分析手法を検討中でございますので、その手法を得まして分析をしていきまして、それを対策に反映させていくことを考えたいと思っております。
  82. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 九九年度についてはまたふえているとかそういうこともあるようですので、ぜひきっちりと何がどういうふうに動いているのかというのは分析をしていっていただきたい、そして具体的な対策に反映させていただきたいというふうに思います。  環境NGOの気候ネットワーク、CASAなどは、国内対策について具体的にシミュレーションをして、六%の削減目標は達成できる、こういう案を発表しているわけです。産業部門で九〇年度比一三%削減が可能という提起もしているわけですね。環境庁としてこれらの団体とよく話し合っていただきたいということをこの間申し上げて、話し合いをされるという回答があり、その後何か話し合いもしておられるということでした。ぜひその際に、具体的に対策はどうするのとか、あるいは数字をどうするのとかいうところまで、あれこれ細かい点についても私は民間の皆さんの知恵というのを大いに活用していただいたらいいのではないかというふうに思います。その点、簡単にお答えいただきたいと思います。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この間申し上げましたように、私実は、あしただったと思いますがNGOの方とお会い、きょうでしたか、きょうですね、ごめんなさい、きょうこの後お会いすることにまたなっていますけれども、いろいろなグループあるいは市民団体の方々がどうやって温暖化対策ができるかということについて案を出していただいて、その案をめぐってお互いに議論をし合うということは非常にいいことだと思っております。やはり温暖化対策というのは一人一人の人間が行動をとっていくことによって初めて可能になるものですから、それをやっていくということが大事だというふうに思っています。  CASAの提案、拝見いたしましたけれども、例えば、今、石炭火力というのは電力発電量の一六、七%、実はあるわけですけれども、それを二〇一〇年にはもう全く使わないというようなことも仮定に入っていまして、それでは一六、七%をどうやって、電力の、多分そのころにはもっとふえていると思いますので、賄うのかというような点で、整合性を持った考え方になっていませんと、実際に政策レベルでやることは難しいということだと思っています。  そういうことも含めてできるだけ、環境庁NGOグループの間ということだけではなくて、むしろそれはもう余りなくてもいいのかもしれません、NGOグループの間同士で、あるいはほかの産業界ですとかそういったグループとの間で議論が行われて、環境庁はその触媒の働きをするというようなことで議論が広がっていくということが望ましいと思っております。
  84. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 触媒もいいんですけれども、積極的にあらゆる皆さんのそういう、本当に真剣に今各立場人たちが取り組んでいかなきゃいけないときですので、積極的にそういうテーマに取り組んでいただきたいと思います。  シェアは少ないんですけれども、いつも私が気になっているのは、廃棄物の焼却によるCO2の排出量なんです。増加率が九〇年度比八八%と非常に急増しています。これは大きな問題だと思います。  政府の廃棄物減量化目標では、九六年度の廃棄物の焼却量五千八百万トン、これを二〇一〇年度までに四千八百万トンと、十四年間で一七%減らすということになっています。でも、この程度ではごみ焼却による炭酸ガス排出量の増加を抑えるということはできないと思います。温暖化防止の点からもごみの思い切った排出削減もとで減らすということによって、ごみの焼却量の減量目標のさらなる見直し等を含めて積極的な取り組みが必要だというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。  それで、御指摘のその八八%、九八年度が九〇年度と比べてふえたというのは廃プラスチックの焼却量の増加であるというふうに考えていまして、この点については九九年にダイオキシン対策の関係の閣僚会議で廃棄物の減量化の目標量ということで二〇一〇年に、九六年度比ですけれども一五%削減をする、これは一廃、一般廃棄物ですけれども、それから産業廃棄物については二二%削減をするという目標ができております。  それで、こういうことをどういう手法で減らしていくかということですけれども、鉄鋼生産で廃プラスチックを高炉で還元剤として使用するということもございますし、それからそもそも廃棄物の発生抑制ということも大事ですし、それからリユースをできるだけしていくということも大事だと思っておりますので、これは取り組みたいと思っております。
  86. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 その点についてはもう何度も容リ法の改正も含めて対策が必要だということでこの委員会でも質疑をしてきたところですので、また別の機会にきちんとお話をさせていただきたいと思います。  もう一つ、きょうは炭酸ガス排出の増加率が高い運輸部門、量的にも産業部門に次いで二億五千七百万トンで二一・七%のシェアを占めている、しかも増加率が二一%です。この自動車排ガスの問題というのは、温暖化だけじゃなくて公害対策としてもゆるがせにできない重要問題です。  名古屋の南部の大気汚染公害訴訟についての十一月二十七日の名古屋地裁判決は、国道二十三号線の自動車排ガスの浮遊粒子状物質、SPMと気管支ぜんそくとの因果関係を認めて、場合によっては死の転帰を迎える危険性もある気管支ぜんそくの発病増をもたらしたと国に公害被害者への賠償を命じました。そして、被害の内容は生命、身体にかかわるもので回復困難と指摘をしています。一月の神戸地裁尼崎公害訴訟判決同様、排出差しとめを命令しています。  その後、国は尼崎公害訴訟では和解に合意しました。その中で、ディーゼル排気微粒子、いわゆるDEPによる人への健康影響の可能性を無視できないと述べていて、SPM、DEPと健康被害との因果関係、これを否定するこれまでの国の主張というのは司法の場では通らなくなってきているというふうに思います。  道路公害というのはもはや一刻も猶予できないという司法の厳しい判断が相次いでいるわけですから、一月の尼崎の判決、そして今度の名古屋の地裁の判決、そして今度の尼崎の和解と、次々とことしに入ってから本当に相次いでいるわけですから、そういう点で長官はこの事態をどう受けとめられて今後どう対応されるのか、ちょっと時間も押していますので、済みませんが手短にお願いしたいと思います。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 環境庁としましては、大気汚染の、これは自動車の排出ガスによる大気汚染対策というのは非常に大事な問題だというふうに思っておりますので、これは訴訟への対応のいかんにかかわらず一生懸命に努力をしていきたいというふうに思っております。
  88. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 建設省は、渋滞を減らして大気汚染を改善するためということで高速道路や幹線道路の整備を次々と進めているわけですけれども、名古屋地裁の判決は、単なる生活被害を超える生命、身体への危害という極めて重大な権利侵害を受忍限度の範囲内とするほど道路に高度の公共性があるとは言えないというふうに批判をして、一立米当たり〇・一五九ミリグラム以上のSPMの排出差しとめを命令しました。  実は九八年度の測定で一立米当たり〇・一五ミリグラムを超える自排局は、埼玉で十四カ所、東京で三十五、千葉十九、神奈川十七と、首都圏だけで八十五カ所もあります。こういうところは二十三号線と同様極めて重大な権利侵害の地域となっているわけです。直ちに私は対策を講ずべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。長官に聞いています。建設省はその次の次です。
  89. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、NOx法の改正を今度の通常国会提出させていただきたいというふうに思っておりますし、それから新長期規制の二年の前倒しあるいは軽油中の硫黄分を十分の一に減らす、五〇〇ppmから五〇ppmに減らすということをこれも平成十六年度末ぐらいまでに行うといったさまざまな今対応策を、中環審でも御議論いただきましたし、考えておりますので、これを強力に推進していきたいというふうに思っております。
  90. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 名古屋の地裁判決では、国の公害防止対策について、沿道の排出ガスの継続的な濃度測定など被害防止対策の前提となる調査すら怠ったとして、国の対応を厳しく批判をしています。  一月の尼崎公害判決でもやはり当該道路の自動車排ガス測定局ではSPMの測定をしていない、測定されているところでも公表されていないという問題が指摘をされているわけで、全国的にそういう状況だとすると、私は大問題だというふうに思います。本当にひどい状況だと思います。  住民が自動車排ガス公害を訴えている地点についてはすぐに測定装置を設置すべきだと思います。また、全国の幹線道路沿道の排ガス測定器の設置状況について総点検を行って、測定器のないところには設置をすべきだと思いますが、環境庁、いかがでしょうか。
  91. 廣瀬省

    政府参考人廣瀬省君) 大気汚染防止法に基づいて大気環境の常時監視ということを行っております。都道府県等によって整備も進めておりますが、平成十一年度末で、現在四百十五局が設置されております。  そして、自動車排出ガス測定局の適正配置を促進する観点から、沿道の狭い用地でも測定局が設置できるよう、平成十一年に小型ユニット測定局の維持管理マニュアルを取りまとめるとともに、測定局の小型化も前提としたより具体的な測定局の適正配置のあり方について現在検討を進めており、今年度中を目途に取りまとめて地方公共団体に示すつもりでおります。  また、地方公共団体における監視体制の整備に関し、測定機器の整備にかかわる経費についての補助を行っているところであり、今後ともその充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  92. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 尼崎公害訴訟の和解では、ロードプライシングを実施する、大型特殊車両に道路法の許可制度を厳格に適用する、交通量の大規模な調査を行い大型車両規制の方策を検討することなどの大型車の交通規制対策を掲げています。  交通量を減らすことが必要であることを認めざるを得なくなったわけですが、全国調査を実施して、SPMが〇・一五ミリグラムを超えるというところについては、裁判の有無にかかわらず同様の対策を私はとるべきだと思いますが、建設省、環境庁、それぞれいかがでしょうか。
  93. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 委員御指摘のとおり、例えば浮遊粒子状物質では全国規模で、それから二酸化窒素につきましては大都市圏を中心に大変厳しい沿道の大気汚染状況がございます。したがいまして、訴訟のあるなしにかかわらず、沿道環境の改善に向けてとり得る施策を最大限に講じてきたところでございます。  そのためには、何よりも自動車交通の分散や円滑な交通の確保を図ることが極めて重要であると認識しておりまして、例えば都市の中心部に通過交通を侵入させないための構造的対策として環状道路等の整備、それから具体の渋滞箇所を解消するための交差点の立体化などのボトルネック対策を重点的に実施してきているところでございます。全国の主要幹線道路におきまして、幹線の環境状況が非常に厳しいところにつきましては、沿道環境改善プログラムを全国的に展開していくことといたしております。  走行速度が上がることによりまして、SPM、NOx、CO2のそれぞれの対策に期するというところから、以上のような考え方で鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
  94. 廣瀬省

    政府参考人廣瀬省君) 今、建設省からも話されたとおり、関係五省庁で本年六月に全国的な対策についても考え方が取りまとめられております。そういう意味で、環境庁としては、関係省庁及び関係地方公共団体等とも緊密な連携のもとでこの取りまとめの具体化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  95. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 建設省の今の説明でちょっと気になったのは、道路をつくっていけば、交通を流していけば何とかなるということで今まで道路をつくってきてもこういう状態になっているわけですから、そういう考え方を本当に切りかえて、被害を受けている人々、その地域の人たちだとかそういう皆さんともよく話し合って、今後検討をしていっていただきたいというふうに思います。  そもそも、道路公害による大気汚染が悪化をして被害者が大都市部でふえ続け深刻な事態に陥っている原因というのは、私は一九七八年の二酸化窒素の環境基準の緩和に始まっていると思います。SPMについていえばもっと環境基準を厳しく改めるべきですし、特にDEPに含まれる微小粒子PM二・五、これはもう前に九八年九月二十四日のこの委員会で取り上げましたけれども環境基準の設定を早急にして、そして対策をきちんととっていくべきだというふうに思いますけれども、その点について、環境庁、いかがですか。
  96. 廣瀬省

    政府参考人廣瀬省君) SPMの環境基準について甘いのではないかという御指摘でございますが、SPMの健康影響については国内外の文献を調査しておりまして、絶えず監視を続けているという態度をとっております。  それから、SPMというのは十ミクロン以下の粒子でございまして、その粒子の中の性質がございます。一つは、自然由来のものが粒子の大きい方のところの層になっております。それから、人為的由来のものが粒子の細かいところの層ができております。と申しますと、今問題にされております人為的な粒子をどうとらえるかということになりますと、先生が御指摘のように、特にSPMの環境基準を考えることではなくて、PM二・五を測定する中で、そこの原因を追求し対策を立てるということが現在求められている対策というふうに思っております。  それで、SPMの中で粒径の小さい微小粒子PM二・五でございますが、これの健康影響にかかわって平成十一年度から学識経験者による検討会を設置しております。そして、疫学調査や動物実験を行って微小粒子状物質の暴露影響調査研究を実施して知見の収集と充実を進めており、今後、この研究成果や諸外国の知見動向を踏まえつつ、微小粒子状物質についての環境基準の設定に関して検討してまいるつもりでおります。
  97. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 最後の質問ですが、一九八八年に公害病の指定地域の全面解除がされました。それで新規公害患者が打ち切られたわけですが、東京都の十八歳未満の大気汚染医療費助成認定患者数は、八八年の一万八千八百二十二人から九九年度で五万一千三十八人と、二・七倍にふえています。公害健康被害補償法について、自動車排ガスのNO2、SPM、DEPを汚染指標とした公害指定地域の私は再指定をすべきだと思いますし、また公害病患者の再認定をすべきだというふうに思っているんです。  今度の裁判でも一次訴訟の提訴から十一年八カ月を見ているわけですが、三次訴訟まで合わせて二百九十二人の原告のうち、百人近い方々が亡くなっているわけです。こういう事態を一日も早くなくすために、ぜひ根本的な対策をとっていただきたい。最後長官に、時間も押していますので、済みませんがお願いいたします。
  98. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 長官、簡潔に答弁願います。
  99. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ぜんそく等の疾病の原因というのは、大気汚染だけではなくてさまざまな原因で発症するということだと思っております。  それで、昭和六十一年に中央公害対策審議会の答申で一部の幹線道路、沿岸等も含めて現行指定地域のすべてを解除することが相当であるというふうに言われたということでございまして、今の大気汚染の状況とそのときの大気汚染の状況とは基本的に変わりがないというふうに思っておりますので、第一種地域の再指定が必要というふうには考えておりません。  それからなお、亡くなられた方に対しましては心から御冥福をお祈り申し上げます。
  100. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 時間ですので終わりたいと思いますが、この問題についてはまた後ほど、引き続き議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。  まず最初に、川口長官、再任されまして初代の環境大臣ということに相なるかと思いますが、大変御苦労さまです。  先ほど来、COP6の会議の状況など、お話をお伺いしておりました。福山委員、非常に専門的な立場で質問しておられ、また会議の状況など、そのタイムスケジュールを追っての様子など聞かせていただきました。  まず最初にお伺いしたいと思うんですが、私、この地球温暖化関係につきましていろんな学者とお話しする機会が多いんです。それで、気候変動につきまして、温暖化の進行状況などを見ておりますと、COP3のあそこで決められたことが一〇〇%実行されたとしても地球の温暖化はとまらない。温暖化のスピードを遅くすることはできるけれども、温暖化を防ぐことなどできないのだというのが大体その道の専門家の回答なんです。  私自身、いろいろな現象を見ますとそういう方向ではないかと思っておりますが、その点については長官はどのような御認識でおられるか、お願いしたいと思います。
  102. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、温暖化は温室効果ガスの大気中の濃度に係ることでございまして、濃度が非常に産業革命以降ふえてきているということでございまして、排出量を九〇年比、仮に五・何%削減をするということがあったといたしましても、濃度が前の水準に戻るまでにはまだかなりの時間がかかるという種類の問題でございますので、委員おっしゃられるように、この措置を可能な限り早く各国が実施したとしましても、その濃度のレベルをもとに戻すためにはいましばし時間がかかるという問題だというふうに承知をしております。  IPCCという温暖化問題についての専門家の方々の会合がございますけれども、その会合でも今まで三回見通しについて報告書を、三回目はこれから来年の春に出すということになっておりまして、出ておりまして、レポートごとに実はその温暖化の影響というのは大きく見られているということが現状でございます。  したがいまして、できるだけ早く京都議定書発効させて、それでその温室効果ガス削減し、濃度を最終的にはもっと減らす方向に持っていってこの問題に対応する必要があるというふうに思っております。
  103. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私自身COP3の条約、これが達成された場合でも温暖化の進行はとまらない、こういう認識をしております。これはいろんな説がありますから一概には言えないかもしれませんが、大方そういうことではないかと私自身は思っております。  それから、今度のCOP6の会議のことにつきまして、私は細かいことを申し上げるつもりはありません。確かに、これから五月あたりまでに大方の合意を得るというようなことでフォーマルな、あるいはインフォーマルな交渉が続けられると、そういうふうに理解しておりますが、その途上でやはり日本政府のやりとりといいますか、それを全部明らかにすることはできないだろうとも思います。  福山委員からの御指摘もあるわけですが、これからの交渉の上で、長官、せっかく民間から閣内に参加していただいている。そういうようなお立場ですから、やはり交渉事を積極的にまとめていくような、そういうような働きをぜひ期待したいと思っております。その場合に、やはりそれなりの柔軟度といいますか、交渉の幅といいますか、そういったものを長官自身がお持ちにならないとなかなかマンデートを離れてまとめ役に回るということは不可能ではないかと思っております。  そういった点から、長官自身が閣内でそういうようなポジションが得られるように主張され、また閣内でそういう了解が得られる、そういうふうに皆さんにお願いする、そういうようなことが今後のこの問題の対応上非常に重要な点ではないかと思っておりますが、その点について長官の御見解をお伺いして、質問は終わりにしたいと思います。
  104. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際交渉、特にこの温暖化の交渉をまとめるために日本が積極的な役割を果たすということは大変に重要なことだと思っておりまして、私も今回の交渉に行く前、実は就任を七月にいたしまして以来、いろいろな国の方とお会いしてお話をしながら、日本としてどのように積極的に貢献できるだろうかということをずっと考えてまいりました。  それで、一つは、プロンク議長お話をしまして、それ以降ずっと、この会合を進めるためにぜひ日本EU米国を結びつける調整の役割をしてほしいということを私、個人的にも頼まれまして、そのための努力はずっとしてきたつもりでございます。  具体的には、途上国支援というのが、これは条約上の先進国の義務でございますけれども支援というのは途上国京都議定書に対して前向きにさせ、先進国同士、義務を負う国々が京都議定書議論をする際に足を引っ張らないで議論をうまくまとめることができるような行動をとってくれるということのために支援を行う、そのために条約上の義務を先進国が果たすということも非常に大事だと思いまして、日本としても会議の前にワシントンで会議を開きまして、どういうような支援策がまとまるかということを議論いたしました。  その時点でその議論は全部最終的にはまとまらなかったわけですけれどもハーグに行きまして、アンブレラEUとが、主要国があるところで集まった際に、そういうことを進めようではないかということを私からも提案させていただきましたし、それからその後、京都メカニズム上限をどうやって決めるかという議論のときにも、EUアンブレラの国々の間を取り持ちまして、実は深夜、日本政府の代表の部屋で夜中から会議を開いた、その調整をやらせていただいたということもございます。それから、議長をやらせていただいたということもそうでございました。そういう意味で、いろんなことをやって前向きにするということでは努力をしてきたつもりでございます。  それで、柔軟な態度を持つということは重要なことではありますけれども国際会議を成功にまとめるためにはそういう今申し上げたような前向きの提案をまとめる形でできるということが非常に大事なことでございまして、そういう意味では、それを日本国全体としてもこれからさらにやらせていただきたいというふうに思っております。その中で日本について主張すべきことは主張して国益を守っていくということが大事だというふうに思っております。  長くなりまして失礼しました。
  105. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 終わります。
  106. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 島袋宗康でございます。  まずは、川口環境庁長官、再任おめでとうございます。  二十一世紀に向けて環境問題というのは非常にすぐれて世界的な問題になって、大変重要な課題を抱えていると思います。そういうことで非常に大切な省でありますから頑張っていただきたいというふうに思っております。  そこで、愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授であります田辺信介先生が、全体としての地球環境の先行きには悲観的だなと、地球温暖化でもオゾン層破壊でも悪化のスピードは遅くなっても今よりよくなると思えないというようなことを言われておりますけれども、本当にこの経済社会の構造変革を進めて地球の生態系を守るという政治的決意があるならば、やっぱりいたずらに時間を空費している余裕はないと思います。したがって、今回のCOP6では日本米国カナダ温室効果ガス削減義務を緩和するような提案に固執し、そして欧州連合、EU諸国がこれをはねのけた、交渉は決裂したとの見方があります。  果敢に温暖化対策を進める欧州と腰が定まらない日米の大きな違いは環境保全をめぐる政治指導力の差だと指摘されておりますけれども、この点について、重複はしませんが、環境庁長官としてはどのような見解を持っておられますか。
  107. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、おっしゃられるように、この問題をできるだけ早く合意に導いて、これは各国協力して合意に導きまして、その上で京都議定書の二〇〇二年までの発効を可能にするということはとても大事なことだというふうに思っておりますし、かなり多くの国がそういうふうに思って交渉に前向きに向かっております。  それから、交渉の状況でございますけれども吸収源だけが交渉のポイントではありませんで、最後パッケージにするというお話も申し上げましたけれども、例えばプロンク議長はこの交渉の中で六つ非常に合意が難しい点があるだろうということを言っておりまして、吸収源はその六つのうちの一つでございます、一つでしかありません。ということで、それぞれの、ほかのところにはほかの地域、EUも含めいろいろ自分たちの国益を守るポジションを持っておりますので、吸収源だけが原因でそれについてEUの主張が非常に環境的に意味があってアンブレラの主張がそうではないと、そういう構図ではないということを申し上げさせていただきたいと思います。
  108. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それで、経団連が一九九七年に加盟業界からの二〇一〇年の排出量を一九九〇年レベルに抑制するというふうなことを環境自主行動計画に決めておられるようであります。政府もこれにお墨つきを与えていることであると思いますけれども、経団連によると九九年度の産業界からの排出量は九〇年度比で〇・一%減にとどまっているとのことであります。これは、各業界の努力で本来四・三%減るという計算が生産拡大で四・二%分が帳消しにされたというふうな計算になるというふうに思っております。この数字成長と排出削減の両立の難しさを示しており、自然体でいけば二〇一〇年の排出量は一九九〇年度比九・四%増になると試算しているわけであります。このことは京都議定書日本に与えられた六%の削減目標の達成がいかに至難のわざであるかということを物語っていると思います。  しかし、人間の生存に適した地球環境を守っていくことも我々が子孫のために負っている責務であります。政府は率先垂範、この目標達成のために努力すべきであると思いますけれども、その対応についてお伺いいたします。
  109. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本地球温暖化に対して既に地球温暖化対策推進大綱というのを平成十年に定めておりまして、それに基づきまして必要な施策を現在進めているところでございます。それから、中央環境審議会におきましてもそれから総合エネルギー調査会におきましても、さまざまな施策を総合的に組み合わせて対応していくことが必要でございますので、今御審議をいただいておりまして、まさにそういったさまざまな政策を今後組み合わせて実施していくということが大変重要だと思っております。
  110. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大変努力はしておると思いますので、頑張っていただきたいと思います。  そこで三番目に、世界自然保護会議は、その第二回の会議日本政府と米国政府に対して数項目の要請決議をしております。  その中に、ジュゴン生息域やその周辺における軍事施設の建設に関する自発的環境影響アセスメントを可能な限り早急に完遂すること、ジュゴンの個体群のさらなる減少を阻止し、その数の回復を図るための保全対策を可能な限り速やかに実行することとの項目があります。  環境庁は、日本政府の環境行政の衝に当たる立場から、これらの要請に対してどのようにお答えされるおつもりか、伺いたいと思います。
  111. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) 御質問にございましたように、先般IUCNの総会がございまして、沖縄のジュゴン等の保護、保全についての勧告が採択されたわけでございます。さらに具体的に申しますと、日本国政府に対しては四項目、日米両国政府に対して二項目の勧告でございました。  今御質問がございましたのは、その中で特にジュゴンの関係であろうかと思います。勧告のうちジュゴンの保護に関しましては、まず普天間飛行場代替施設の建設に当たりまして、防衛施設庁において環境影響評価を実施するということは既に閣議決定されております。そしてまた、現在、これとは別にジュゴンの生息状況にかかわる予備的調査を実施しているというところでございます。また、文化財保護法あるいは水産資源保護法によりましてジュゴンの捕獲等が規制されているわけでありますけれども、さらにいかなる対応が必要かについては今後関係省庁間でよく検討もしていく必要があろうかと考えております。  以上であります。
  112. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、前のこの委員会で前清水環境庁長官に対して、その問題、ジュゴンの調査、取り組みについてどうお考えですかということを質問したんですけれども、そのときは資料収集をしてその対策を考えていきたいというふうなことでありましたけれども、その資料収集というのはどの辺まで進んでいるのか、その辺について御説明願いたいと思います。
  113. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) お答えをいたします。  御承知のとおり、ジュゴンに関しては全体的に大変知見が少のうございます。環境庁は、かねてよりジュゴンに関する知見の蓄積を図るというスタンスで、いろいろな分野の文献あるいはマスコミ報道まで含めまして資料収集を重ねてきているというところでございます。  その知見の具体的な中身につきましては、それを御報告するだけで大変膨大な量になってしまうと思いますが、例えば生態的な特徴その他で申しますと、ジュゴンの形態は、体長が最大で約三メートル、体重四百二十キロ。寿命は推定で七十歳。分布はオーストラリア、東南アジア、インド、アフリカ東海岸、スエズ湾などの熱帯あるいは亜熱帯海域に分布しておる。繁殖については、性成熟年齢はメス、オスとも九歳ないし十歳ぐらいではないか。妊娠期間は一年、出産間隔は三年ないし七年。食物の関係では主食はアマモ等の海草類。そして行動については、潜水深度は約十一メートルないし十二メートルと推定されます。遊泳速度は通常三キロメートル毎時でございます。最高ですと毎時二十二キロぐらいのこともあると。  例えば生態に関して言いますとそういうようなことがわかっておりますし、その他いろいろな項目について可能な限り知見の蓄積に努めているところということでございます。
  114. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今説明がありましたように、非常に、このジュゴンそのものが沖縄地域においてしか生存していないということがあります。この七年間の間に五体のジュゴンが定置網にかかって死亡したり、また沿岸に死亡して押し上げられたというふうな経緯もありますから、やはり沖縄だけにすむジュゴンに対しては環境庁としてもしっかりした調査をしていただいて、そしてその種の保存についてぜひ何らかの形で早めに取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、もう一度その辺、御説明願いたいと思います。
  115. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) ジュゴンにかかわるもろもろの情報といいますか、ジュゴンに関する知識とかそういう情報でございます、それを知見と申しているわけでございますが、引き続きその蓄積に努めてまいりたいと思いますが、当面、普天間基地の移設に伴います代替施設の建設の関係で、名護市の辺野古沖で防衛施設庁が予備的な調査ということでジュゴンの生息状況の調査、それはさらに藻場とかあるいはサンゴ礁の状況も含めてでございますけれども調査を実施いたしております。それに対して環境庁として、環境庁が現在有しておりますできる限りの知見をもとに助言をして応援をしていきたい、こういうふうに考えております。
  116. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今防衛施設庁で、説明がありますように、ジュゴンの調査あるいは藻場あるいはその他の問題について調査を実施しているようでありますけれども、やはりこれは環境庁としても大事なことですので、ぜひ、テスト結果あるいは調査の結果、その辺のことを踏まえて、防衛施設庁、どういうふうな対応をして、ジュゴン、もし仮に個体が発見されたならばどういうような取り組みでなさるのか。その辺は非常にしっかりした対策をとっていただきたいというふうに思いますけれども、その辺について御説明願いたいと思います。
  117. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) 先ほども少しお答えをさせていただいたかと思いますけれども、防衛施設庁がやっております予備的な調査、ジュゴンの生息状況調査、その結果がいずれ出てまいると思います。その結果なども踏まえまして、また一般的にジュゴンの保護に関しても関係省庁とよく相談をしながら、現行の文化財保護法あるいは水産資源保護法で保護がなされている以外の手だてはどういうようなものがあるのか、よく検討していきたいと思っております。
  118. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  119. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会