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2000-11-06 第150回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月六日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月一日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     山下 英利君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         角田 義一君     理 事                 鹿熊 安正君                 国井 正幸君                 渡辺 孝男君     委 員                 尾辻 秀久君                 久野 恒一君                 鈴木 政二君                 保坂 三蔵君                 山下 英利君                 山下 善彦君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 藤井 俊男君                 弘友 和夫君                 緒方 靖夫君                 畑野 君枝君                 三重野栄子君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  扇  千景君    政務次官        国土政務次官   蓮実  進君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  板倉 英則君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国会等移転に関する調査     ─────────────
  2. 角田義一

    委員長角田義一君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として山下英利君が選任されました。     ─────────────
  3. 角田義一

    委員長角田義一君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国会等移転に関する調査のため、本日の委員会国土庁大都市圏整備局長国会等移転審議会事務局次長板倉英則君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 角田義一

    委員長角田義一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 角田義一

    委員長角田義一君) この際、扇国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。扇国土庁長官
  6. 扇千景

    国務大臣扇千景君) おはようございます。国土庁長官及び首都機能移転担当大臣扇千景でございます。よろしくお願いを申し上げます。  もともと参議院におかれましても、平成二年十一月の国会等移転に関する決議を初め、平成四年十二月の国会等移転に関する法律制定、さらには平成八年六月の同法の一部改正等、本問題に積極的に取り組まれてこられました。政府といたしましては、このような取り組みに対して深く敬意を表する次第でございます。  政府に設置されました国会等移転審議会は約三年間にわたる調査審議を経まして、昨年の十二月二十日に移転先候補地の選定に係る答申内閣総理大臣に提出しました。同答申は翌日に国会報告をされております。  国土庁といたしましては、国会における審議を尊重し、今後も国会での御論議を活発にしていただき、なお国民の皆様にもよりよく御理解を得られるように努めてまいる所存でございます。  角田委員長を初め各委員の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げて、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとう存じました。     ─────────────
  7. 角田義一

    委員長角田義一君) 国会等移転に関する調査を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党・保守党国井正幸でございます。  そういう中で、保守党の党首である扇長官に御質問をさせていただくわけでありますが、今、扇長官からは、国会等移転審議会答申に基づいて政府としては積極的にこの取り組みをしていくと、こういうふうなことを担当大臣として御発言いただきました。私もそういうことであってほしいし、そうあるべきだと、こう思っておるんですが、実は、九月六日、扇長官外国特派員協会主催報道昼食会首都機能移転には反対する旨、個人としての立場だというお断りはあるわけでありますが、これが大変な物議を醸し出しているんですね。  長官に言わせると賛成の意見もあったということでありますが、私に届く限りの声では極めてけしからぬ発言ではないかと、こういうふうなことがあるわけでございますが、その真意についてちょっと手短にお伺いをしたい、このように思います。
  9. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、国井委員からお話しございましたように、九月六日の外国人特派員昼食会での発言は、一番最後の御質問がございました、私の基調講演の中ではございません。後で新聞記者皆さんからの御質問の中の一つお話がございまして、それは、もともと私が講演しました基本的なことは、二十一世紀日本がいかに国際というものに対応できるか、世界の中の日本国際的にどういう位置づけにあるべきかということの私は講演をいたしました。  それは、御存じのとおり、日本の物流の問題、あるいは国際空港と言われながらも滑走路が一本しかないのを国際という冠が果たして合うのであろうかということとか、また、日本の中で国際都市と言われるものが二十一世紀にはいかにあるべきかと。いわゆるIT等々を含め、光ファイバーも含めて、インターネットも世界十三位に落ちている、それを日本はいかに国際的な地位をどうすれば保ち得るかということの講演をいたしました。  その後の質問でのお答えでございまして、私は首都機能移転問題それだけを取り上げたのではなくて、日本が二十一世紀にいかに国際的にどの部分日本地位を保ち得るかという、そういうことを申し上げたことでございまして、私は首都機能移転をむしろ皆さん方がもっと積極的に御論議いただくべきであろうと。もう既に十年たっておりますので、その中にも日本変化もあり、そういう意味では日本経済が十年前とは変わっておりますので、どの部分日本公共事業も含めて投入すれば二十一世紀国際社会にたえ得るかということの話の一環でございますので、そういう意味で、私はぜひ御論議を活発にしていただきたいということをむしろ提案したというのが本意でございます。
  10. 国井正幸

    国井正幸君 今、長官お話ではむしろ国会での、移転審議会から移転のありようについては衆参両院でお預かりをして今審議をしていると、こういう最中でありまして、むしろそれを積極的に活発にやってほしいと、こういう意味で問題を提起したと、こういうふうな御発言で、そのように受けとめておいてよろしいわけですか。  そういう中で、ただ、九月八日でありますが、私どももすぐに理事会を開催をさせていただきました、当委員会のですね。そこで一枚のペーパーが配られたわけなんですね。首都機能移転に関する扇大臣発言というふうなことで書かれております。  ここの中で、私は立法府の一員として、さらには与党一員として、この中身としてはちょっと大臣、大変恐縮ですが、承服をしかねる文言があるんですね。これは発言をされた全体の部分でありますが、ここの中で、細かい方で言いますと、だから、首都機能移転するよりも森内閣では電子政府電子商取引挙げているというんですね。これは幾らかちょっと文面おかしい感じがしますが、こちらで配られたペーパーでは、森内閣移転よりも電子政府を進める、そうすれば地域格差もなくなる、こういうことなんですね。少なくともこの国会等移転に関する法律については議員立法でありますし、先ほど長官がおっしゃられたように、平成四年に制定をし、平成八年に一部改正を加えて今日に来ている。  そして、この表現ですと、いかにも内閣方針として変わったようにこれでは受けとめるんですね。むしろ長官が御自身の発言というよりは、森内閣としては国会等移転を進めるけれども、私個人としてはそうではないというふうに思うというのならそれは個人としての話になりますが、森内閣としては移転よりも電子政府を進めるなんということは、私も与党一員としてこれは決して承服しかねる、そういう思いでございます。  それについてはいかがですか。
  11. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今の国井先生の御発言の中で、どっちが先かということを私は申し上げたのではなくて、御存じのとおり、今衆議院IT基本法も既に森内閣で提出されております。その中に電子政府も入っております。  それで、私は首都機能移転御存じのとおり委員会で御議論いただいて、昨年答申は出ておりますけれども、二年をかけてということが既に書いてございまして、電子政府は二年をかけてはいられない、それでは世界にますますおくれるということで、私はどっちが先かという話をしたので、当然それは国井委員御存じのとおりで、IT基本法というものを今論議し、その中に電子政府を即やると。  今も朝八時からIT戦略会議をしてまいりましたけれども、それは即しなければ、既に世界の中でおくれているということを私どもは、少なくとも国会議員である者は認識すべきであろうと思いますし、また御認識もあろうと思いますから、政府としてIT戦略の中で電子化電子政府という、しかも私は建設大臣もしておりますので、電子入札もしようということも法律に書いてございますので、そういう意味でどっちが先かということを言われれば、電子政府の方が先であると言わざるを得ないので、これは二年の中で国民皆さんとともに委員会で御審議いただくということになっておりますので、こっちが先だからこっちが後になっては気に入らないということではなくて、基本的にそういう姿勢であるということだけは森内閣一員としても明快に申し上げておきたいと思います。
  12. 国井正幸

    国井正幸君 だれもITが先か首都機能移転が先かなんてそんなことは聞いていない、ここの中で。記者質問のものも持っていますがね。  だから、やっぱり長官、いいんですよ、IT化を進める、あるいは電子政府を進めるというのはこれはいいことだと思いますよ。これはだれも否定していない。そのことと首都機能移転を、だれもこんなものをてんびんにかけるとかどっちを先にやるとか、そんなことをだれも話しているわけではないしね。それは同時並行に進めればいいんですよ、そんなことは。  あわせて、この内閣方針がごとき表現というのは、これはやっぱり日本語というのは、共通に言葉というのは理解をしてもらわなくちゃ困るんであって、やはり森内閣としては、これは内閣としてはそうでしょう、当時の中川官房長官も、政府としては首都機能移転は進めていくんだ、あくまでも長官の御発言個人立場でされたことだと思う、内閣としてはこれまでの方針一つも変わっていませんということは言っておるわけですよ。長官の六日の発言が終わった後ですよ。後でも官房長官はそのような発言もされた。  しかし、こういうことが配られておって森内閣移転よりも電子政府を進めるということになったら、それで長官はもともと個人の御発言として移転は反対だと、今どこにそういう金があるのかというふうなことを言われているんです。そういう一連の話からいけば、移転は凍結をしても電子政府を進めていくんだと。またその後に続くんですよ、これは。そうすれば地域格差もなくなるんだ、移転よりも東京国際ビジネス都市とするための投資が必要だ云々という、こうなるわけですね。  だから、やっぱりこれは私は誤解を与えると思うんですよ。森内閣としては、これまでどおりこの法律に基づいて内閣方針としてはこういうことをやっていきます、しかしその一員であるけれども個人としてはそうは思わない部分もあるんだと言うのならまだしも、森内閣移転よりも電子政府を進めると言ったら、これはだれだって内閣方針がいつ変わったんだと。私も与党一員だが、そんな方針の変更は一回も聞いていない。これはやっぱり誤解を招く発言だと思うので、これは訂正されるべきだと思いますが、いかがですか。
  13. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、国井委員お話を聞いておりましても、私は歴然であろうと思います。  首都機能移転問題よりも電子政府をやるということが先であるということであって、それをしないと一言も言ってありませんので、それよりも先にITの問題で電子政府をやる、電子商取引もやる、電子入札もやるということであって、それは私は内閣方針としてきちんと言っているので、それをやめてこっちをするということではありませんから。  それは私はむしろ言葉のことであって、答申委員会に御報告をし、そして衆参委員会にゆだねているという現状でこういう御論議が活発にされていただきたいということがむしろいいことであって、私はそれに反することではないと思っておりますし、またそういう意味で言ったのではないし、今、皆さん方が御理解いただいたように、順番としては森内閣は少なくともITをやるんだということであって、こっちをやめてこっちをするんですと言っているのではなくて、どっちかといえばこれを先行しますよということの意味でございますから。  また、それで皆さん方も、私のところへもその言葉に対して三候補地予定者皆さん方からもいろんなお話も伺いました。知事さんもいらっしゃいました。でも、私が申し上げましたらそのとおりですと、皆さん方、地元の御理解もこういうふうにいただいて、三つのうちの一つにはいつかなるわけですから、そうしたら三つが全部分散するわけでもありませんので、皆さん方、私がこういう意味ですよと、森内閣はまず今一番しなければいけないことを森内閣で手をつけますということを御理解をいただいております。
  14. 国井正幸

    国井正幸君 きょうはマスコミの皆さんも入っておって、やっぱりこれは長官がどう言おうと、それは移転先候補地になった知事が訪れてそういう説明を聞けばそれは理解できる部分はあるかもしれないが、このままの発言ではやっぱり日本語としてはそういうふうに受けないので、だから長官のもとへ行って、私は首都機能移転は積極的にやっていきますと。  その二年をめどにというのは、これは長官誤解があるといけませんが、衆議院特別委員会での議論であって、当参議院の中ではそこまでの議論をまだしていません、二年がいいのか一年がいいのかというのはしていない。これは衆議院委員会での話でありますからね。とにかく可及的速やかに、答申が出たわけでありますから、我々としてはこの議論を活発化していくということが当参議院のこの特別委員会の総意だというふうに思います。  そういう中で、ぜひやっぱり誤解のないように、どうも前段があっただけに水をかけられたみたいな感じがありますから、今の大臣発言を聞いて、電子政府はこれを一刻も早くやっていくが、しかしこの首都機能移転については今議論をしているから若干時間もかかるだろうと、そういう意味での話と、こういうふうに受けとめて、これは私も了解をしていきたいというふうに思います。ぜひそういう立場でこれは取り組んでいただきたいというふうに思います。  それから、もう一つ伺っておきたいと思うんですが、どうも長官発言を聞いておりますと、この首都機能移転というもの、首都機能というか国会等移転ですね、国会等移転です。ちょっと訂正します、首都機能移転というとちょっと誤解があるから。国会等移転に関しては、どうもやっぱり公共事業のウエートを長官は高く見ているのではないかというふうに私は受けとめております。  御案内のとおりでありますが、国会等移転は、一つ東京一極集中是正国土の均衡ある発展ということが第一に挙げられております。それからもう一つは、災害対応力をどのように強化するかという視点があります。  そういう意味からしまして、これは長官災害担当もされておって、鳥取西部地震等においても、あるいは三宅島等の伊豆諸島でも大変な御活躍をされているのは私も承知でありますが、そういう観点から見て、この国会等移転に関する事業についてどういう感想を持っているか、手短にお伺いしたいと思います。
  15. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私、どういいますか、私が就任しましてから本当にいろんな災害が発生いたしまして、心から私は多くの皆さんにお見舞いを申し上げ、そして現場に到着しまして、心から皆さんの苦しみを何とか今の、阪神淡路大震災の反省を経て生活再建支援法等々、国会皆さん方議員立法で新しくできた法案も含めて、私は皆さん方生活再建支援がどういうふうにできるかということに頭を悩ませておりますので、これもまた皆さん方のお知恵もかりたいところでございます。  私がいろんな災害を見てまいりまして、本当に今までの日本の中で多くの災害が起こる、またDISの地図を見ておりましても、日本列島すべて災害列島地震列島と言っても過言ではないくらいな、私はDIS等々の記録を見まして本当に大変だなと思いますので、私は国会をどこへ移転すれば間違いなく地震が起こらないかということは日本じゅうのだれも明言できない、これが今の日本国土のあり方の現状でございます。  ですから私は、多くの災害をどこにあってもいかに未然に防げるか、そういうことの研究国土庁としては最善の努力をしなさいということを申し上げておりますし、鳥取のこの間の地震もまさに断層が今まで言われていない断層のところで起こったというのが現状でございまして、この日本列島中の断層というものは日々、研究者によりますと新たなものが出てくるというのが現状でございます。  ですから、今、国井先生がおっしゃいますように、どこへ持っていったら安全かということは日本じゅう専門家でも言えないというのが現状でございまして、どちらかといえばここよりは、A点よりはB点の方が地盤がかたいよということは私は言えると思います。  ですから、今の鳥取も、マグニチュード七・三にもかかわらず、阪神淡路大震災よりも件数が少なかった、住民集中していなかったということで被害が死者ゼロということになっておりますけれども、どこよりもこちらの方が地盤がかたいということは言い切れるんですけれども、どこが安全かということは今の現状では言い切れないので、どこに移転すればいいということは私の言葉からは申せません。
  16. 国井正幸

    国井正幸君 それは比較対照の問題だというふうに思います。したがって、専門家を含めてこれまで調査会をつくり、そして審議会をつくって一つ答申があったわけでありまして、これはやっぱりあくまでも比較対照の問題であるし、さらにはその過密度の問題、災害は、やっぱりどれだけ過密の度合いがあるかということが災害の大きさと比例する部分はあるというふうに思うんですね。そういう意味で、やっぱり多極分散型を進めるべきだろうというふうに思っています。  時間もないので一つ私も考え方を述べさせていただきたいと思いますが、おかげさまで栃木県にも今、北関東自動車道というのが一部供用開始になりました。その北関東自動車道アクセスをする幾つかの一般地方道も今整備をされてきております。いろいろ建設大臣としても大変な御配慮をいただいていることに感謝を申し上げたいと思いますが、そういう中で、この間、北関東自動車道宇都宮上三川インターチェンジというのができまして、そこから東北自動車道までの間が供用開始になったわけでありますが、そこにアクセスをする瑞穂野バイパスというのができました。  これは長さ二千七百二十メーターでございます。片側二車線往復車線です。中央に、ちょうどその辺は一番地盤が低くていつも洪水に、ちょっと雨が降ると水がのしちゃうということがありまして真ん中に放水路を入れました。したがって、道路の幅で見ると十車線ほどの幅になっています。これが二千七百二十メーター、総工費が四十三億円でございます。  その竣工式に出ていく前日、私はテレビを見ていました。首都高速道路中央環状線、渋谷から池袋ですか、あたりを地下四十五メーターで通すと、こういうふうなことでありますが、この区間が長さ十キロだということですね。それで総工費が何と一兆円だと、こういうお話を聞きました。大変にやはり東京というところは工事費もかかるんだなと。確かに地下にいろいろ地下鉄も通っている、下水も通っている、いろんなことですから、地下四十五メーターで通さざるを得ないんだろうというふうに思いますが、しかし、それにしても大変便利にはなると思いますが、十キロで一兆円、つまり一キロ一千億、一メーター一億円、こういう実態のようでございます。片や、地方に来ると二千七百二十メーターで四十三億円、これは比較にならぬ数字なんですね。  私どももこの参議院国会等移転に関する特別委員会で各候補地を歩きました。そこの中で、岐阜県に行ったときに梶原知事は、東京社会資本整備のために投入をしているお金、それとほかのいわゆる政令指定都市投資をしているお金、これで住民一人当たり五万円違う。東京の人口は一千二百万、それだけでほかの政令指定都市並み投資でこれから整備をしていくと年間六千億違う、十年かければ六兆円だ、こういうことが試算でも出されたのを私は記憶にあります。  そういう意味で、公共事業のとらえ方としても、やっぱり限られた財源でありますから、効率よく投資をしながら、均衡ある国土の計画的な発展というものをぜひこの機会に長官に、特に省庁設置法に基づいて国土庁は一極集中是正国土の均衡ある発展、こういうことが大きな任務でありますので、ぜひそれらについて積極的にお進めをいただくことを要望しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  17. 扇千景

  18. 角田義一

    委員長角田義一君) 要望ですけれども、何かありますか。
  19. 扇千景

    国務大臣扇千景君) いえ、今の御要望に、要望だけでいいですか、いいですか。
  20. 角田義一

    委員長角田義一君) どうぞ、では一言
  21. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今のお話を私伺っておりまして、国井先生お話でなるほどなということもございましたけれども、ことしでしたか、大深度地下法という四十メートル以下は大深度地下を使っていいという法律ができました。私、これも国会の大きな法律であったろうと思います。  ですから、そういう意味ではぜひ私は、この今の東京の金額が高いということは、それはある意味では、美濃部都政によってもっと早くできなければいけなかったものが今日に至ったために物価高等々になったということなんです。  ですから、私は本当に、首都機能移転という最初の出発点も、平成二年の経済高度成長のときと違って今は大変政府も金銭的にも難しい時代になっているという時代変化ということも、今の例えをお出しになりました東京地下鉄工事の高さ、これも私はもっと昔であったら、あのときにできていればというのも私は評価の仕方が違うと思います。そういう意味でも、何もないところへつくるときには当然安いのは当たり前のことでございますけれども、私はそれで果たして二十一世紀国際的にどうなるのかということで、ことし二〇〇〇年が最後でございますから、来年からは国土交通省になるので、日本の均衡ある国土発展という言葉も今回が限りでなくなるということもあえて申し上げておきたいと思います。
  22. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 自民党の保坂でございますが、長官、与えられた時間が往復なものですから、ひとつよろしく御理解のほどをお願いいたします。  今の結構骨太のお話を拝聴して、私も傾聴させていただきましたけれども、その前にお話が出ました伊豆諸島を初めとする噴火、あるいはまた有珠山、そして鳥取西部の大地震お話しのとおり、日本列島災害列島ですね。私は、扇長官がそういう中で非常に頑張った姿、言動ともに私はすばらしいものがあったと評価させていただいております。大きな教訓を得ました。  その一つは、やはり政治というのは国民の目に見えるそういうものでなくてはいけない、また行動でなくてはいけない、そういうことをつくづく教訓として得ました。扇長官は北朝鮮へ行ったオルブライト長官みたいなそんなイメージで私も拝見しまして、もっともあちらの方は政権交代の時期でございますから拙速ぎみでございますけれども、私は非常にそういう点では国民が好感度で見たんではないかと思います。  もう一つ大きな教訓は、お言葉にもございましたが、日本列島地震列島だ、災害列島だ、あるいは噴火列島だ、こういう天変地異がいつ起きてもおかしくない状況下にあるという、この二つの大きな教訓を私は得た思いがするわけでございます。  この首都機能移転の大きな柱の一つに、地震に対する対応、東京圏は危ない、南関東直下の地震が来るんではないかと、こういうことが大きな理由になっているということは承知をしております。しかし、そういうことをすべて含めて、扇長官がうっかり外国人の記者クラブで首都機能移転に対する見解を述べられるとは私は思っていないわけです。  少なくとも、今お話があった時を読む、やはり十年という時節の経過は軽くない、国会も何回も解散しているし、参議院のメンバーもかわっている。そうすると、十年前に決定したことではあるけれども、やはりそれなりの調査の時間も必要であったろうけれども、一本に絞り込んで最終的に十二兆三千億のお金をかけなくちゃならないようなナショナルプロジェクトをやるときには、国民の合意形成が第一である。二番目には、その時点での社会経済情勢の分析が大事である、そして今お話があった大地震等の自然災害に対する対応が大事だ、この三つの柱をクリアしなければ突っ込んでいくわけにはいかないわけですね。  私は、そういう状況ではこの十年間に大きな時の変化があったと思うわけでございますが、このあたりの変化をどう長官は認識されておりますでしょうか。
  23. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、保坂先生のおっしゃったとおりに、私は、一番最初、平成二年十一月の国会等移転に関する決議、このときにはやっぱりそれなりの大きな時代の要請があったと存じます。一極集中、そして東京都に集中し過ぎるとか、あるいは経済的に大変ゆとりがあったとか、平成二年から今日までのこの十年間の日本経済の推移、また日本のあり方、そして東京都のあり方等も、今、保坂先生、東京お話をおっしゃいましたけれども、私は大きな変化があったということを認めざるを得ない。また、現実に国民皆さん方も政治家も、この十年の重さ、空白の十年とマスコミに言われていることもございますけれども、この十年の時代変化日本の国のありようというものの変化に対しては私は感無量のものを持っておりますし、この十年でなくしたものを何とか取り戻さなければ私は二十一世紀日本はあり得ないと。そのように総決算をしなければならないというのも、私は今世紀、今、国会に課せられている大きな課題であろうと思っています。  それともう一つ平成九年六月の財政構造改革の推進についての閣議決定、これがございます。このときには、二〇〇三年度までは原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わないとする、こういうことがございますけれども、そのときには、首都機能移転等の必要なことに関しては検討するという附則はついておりますけれども、二〇〇三年度までは原則として新都市の建設事業に関する財政資金の投入は行わないとするというのも、これは日本経済情勢、この十年間の変化というものも私はよくあらわしているんではないかと、そう思います。  ですから、個々に考え方は違うとしましても、私はこの十年というものの世界の動き、日本の動きも大変革したことであるということだけはお互いに認識を一にするものであろうと思います。
  24. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 私は、御案内のとおり東京出身でございますけれども、たかだか東京と、こうお話がございますが、東京都民は約一千二百万、百キロ圏内で三千万、首都圏は四千万でございます。四千万ということは、国民の三人に一人がこの首都圏で生活をし、頑張っている、こういう立場でございまして、私はけちな東京代表で発言しているつもりはございませんから御了承おきいただきたいと思います。けちなと言っちゃまずいですな。東京出身だけではないということで発言させていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。  今、長官お話があった平成九年の閣議決定、この後に実は伊藤公介国土庁長官は、やはり閣議でこう発言されているんですね。現下の厳しい財政事情のもとで、あらゆる分野で痛みを伴う改革が進められている状況にかんがみ、財政構造改革の推進についての閣議決定の趣旨を踏まえ、財政構造改革期間、これは九八年から二〇〇三年まででございますが、原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わない、これにより今後の国会移転審議に影響が出るのは避けられない、こう言っているわけですね。  今お話があったように、附則的な意見があるとは言われましたけれども現状ではこの閣議決定というのは私は生きていると思うのでございますが、現在も継続された精神として残っているのかどうか、御見解を承りたいと思います。
  25. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、国務大臣である以前に政治家の一人として、少なくとも国民の一人としても、平成九年のこのときよりもなお今の方が経済的には日本は切迫している時代を迎えていると。  そして、今の新しい二十一世紀を迎えるために、今我々が、日本がすべて何を変えていかなければならないかという、そういう意味で私は一つ申し上げますと、公共事業の見直しというものも、すべて国民皆さん、政治家の皆さんにもばらまきだ、むだ遣いだと言われている公共事業の見直しをするということも今の財政状況を考えて必ずしなければならない。少しでもむだなお金は使わないでおこうというこの決意から、今までの公共事業、自画自賛で申しわけないですけれども、建設省としても百二、そして独自で三十四、百三十六というこの公共事業の見直しも俎上にのせたということだけでも、かつての戦後五十五年の国会の中では初めてのことであるということで、私は日本の今の現状をよくあらわしている一つではないかと存じております。
  26. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 先ほど申し上げた三本の柱、これを要諦として今後絞り込みを行っていく。その中で、社会経済情勢の変化経済情勢につきましては財政を含めて長官の御見解のとおりだと思いますが、また一方、社会情勢の中でも、地方分権がこの四月から新たなリニューアルの形で一層前進をされる、こういうトレンドは中央政権から地方政権へ、中央から地方へという流れになってきている。また、IT革命も当然大きな社会的なファクターでございまして、これは十年前にはなかなか考えられにくかったことでございます。  こういうことをもろもろ考えると、この十年の経過の重みというのをつくづく感じるわけですが、今お話があったとおり、閣議決定、実は二〇〇三年までは着工しない、ここが問題なんですね。それで、衆議院は二〇〇三年まで、二〇〇三年以降、すなわち二〇〇四年には着工でき得るという判断のもとからいけば、二年前、すなわち一、二年のうちに一本に絞り込んでおく作業を完了させないと着工できないであろうという見通しがあったと私たちは仄聞しているわけです。ですから、衆議院が決めたことではありますけれども、これは参議院議論はしなかったけれども、当然参議院委員の方々の頭の中にも一両年のうちには絞らなくちゃならないという、そういう関係者も多いことは事実だと思うんですね。  しかし私は、問題は、それでは二〇〇四年に本当に着工できるのかどうかと、二〇〇四年に。二〇〇四年に着工ができるという前提で絞り込みましたと。しかし、一本に絞り込んだところ、これは絞り込めば地価が高騰しますから、抑制する法的な措置も全部とられていくと。しかし、現実、二〇〇四年には着工しませんでしたなどということになりましたら、この拙速は単なる物笑いだけではなくて、国民生活を制限するわけですから、私はそういう拙速は許されるような状況にはないと思うんですね。  したがいまして、一体二〇〇四年着工は本当に可能なのかどうか、この視点が一つと、それから一本に絞り込めば大きなその地域を反対者も含めて、首都移転を誘致するところで反対者もいるんですから、その方々を含めて私生活を制限するような、国民の私生活を制限するようなことが起きてこないかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  27. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、まさにそのことが国会に課せられた大きな役割であろうと思います。  答申を含めて、総理から衆参委員会にこれをおろしたわけでございますから、私は、名委員長がいらっしゃいますので、個人的なことを言うと問題になるかもしれませんけれども参議院改革でフリートーキングをしようというのが参議院改革の大きな課題にこの何年かなっております。そういう意味において、こういう問題こそは参議院でフリートーキングしていただいて参議院の権威というものをより高めていただくということは私は一番ふさわしい、こういう題材ではないかと思いますし、また、今私はそれを理想としていますので、これはもう委員長に失礼ですけれども、私はそういう考えも持っているということはきちんと私は参議院議員としても申し上げておきたいと思います。  それから、今の先生のお話でございましたけれども、私は特に申し上げました。さっきも国井先生お話に申しましたけれども、三候補地になった皆さん方が私のところにいらっしゃいます。それで、私申し上げたんです、数が少なくなればなるほど過当競争が起こる、それは私は厳に慎むべきである。ですから、三候補地皆さん方に、陳情に来られることよりもむしろ地元でどうあるべきかということをきちんと対応していただいて、陳情にいらっしゃる費用自体がもったいないから、ぜひ皆さん方に、私自身に陳情にいらっしゃるよりも、地元でどう対応でき、どういう図面が書けるのか、どれくらいの費用でできるのかということをむしろ具体的に三候補地皆さんが真剣にお考えいただくべきことであろうということを私は三候補地の地元の皆さんに篤と申し上げ、私からも逆に陳情を申し上げました。  また、それによって政府としての財政的な移転に対する費用というものはどのように捻出していくのかと、そういう基本的なことがございますので、これはただでできることではなくて費用がかかることでございますから、私はその三候補地皆さん方は、地元の対応、そして地元の皆さん方の賛同、そして地元の費用がどれくらい対応できるのか、国と地方の費用のバランスはどうあるべきかと、そういう前向きなことをまとめて私のところへ持っていらっしゃるのであれば、また私は参考資料としてぜひ伺いたいというふうに申し上げておりますので、今おっしゃいましたように、何年度に何を着工ということは今全く国会に課せられておりますので、国会で御論議いただくことで、私が何年に着工するというようなことをお答えする役目ではございません。
  28. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 全くそのとおりだと思いますけれども、着工できる見通しがない、あるいは経済情勢に厳しい、そういう点がある中で、一本化をむしろ急ぐことは国民に対してはむだな混乱を起こしてしまう、こういう危惧を私はあえて指摘しておきたいと思います。  それから、公共事業に対する見直し、これはナショナルプロジェクトだから単なる公共事業じゃないという見方もございますが、平成九年の閣議の縛りもありますし、長官の御見解のみならず、政府の基本的な方針として、社会的な投資を行うとき、当然社会情勢あるいは財政情勢を見きわめた費用対効果という便益性を分析しなくちゃならないというとうとうとした流れがある。  しかも、来年度には各省庁に対して費用対効果を明らかにする評価制度がスタートするわけですね。こういう状況の中、しかも大事だと言われた関西空港の二期工事まで場合によったら延期するという、こういう厳しい情勢の中で、しかも厳しい選択肢の中でこれは見ていかなくちゃならないと思うんです。  そうすると、その費用対効果というのは、国が各地方自治体にも事前事後を含めてやりなさいと指導している。ここで初めて東京都が首都機能移転の費用対効果、費用便益分析を行いまして、実際、CBBといいましょうか、コスト・バイ・ベネフィットを計算して出してきたわけですよ。これをどうごらんになるかですね。大きな首都移転に対するマイナス効果というのを具体的な数字で出してきた。  しかし、国は、この費用対効果を現実的には自分でやりなさいと言いながらこの首都移転についてはやっていない。なぜ怠ってきたのか。そして、東京都は、この問題だけではなくて数々の、例えば地震が来たらばバックアップ機能としてもう一つ首都をつくっておけばいいという重都だとか、それから関東圏で大宮新都心に既に機能分散したようにそれぞれ展開していく、あるいは文化庁を奈良に持っていくとか、そういうものを含めた展都とか、非常に具体的な提案をされているんですね。  だから、議員立法で首都移転をやっていくとしたならば、東京都はアンチテーゼを出しているわけですよ。そろそろ国土庁も、事務方としてで結構ですけれどもジンテーゼを出して、あるいは費用対効果の数字も出してこたえていかないと公正に欠けるとはお思いじゃございませんでしょうか。
  29. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、今の首都移転の費用対効果についての東京都の発表、これはこれで東京都としてきちんと都民の皆さん方に明示できたということは一つの大変有効な資料であろうと。私も手元に持っております。  けれども、私もう一つ申し上げたいことは、少なくとも今、保坂先生がおっしゃいました展都なのかあるいは重都なのかと、そういう言葉のからくりといいますか、言葉がいろいろあるものですから、これがさっきおっしゃった日本語の難しいところで、どれを国民はあるいは東京都の人は、重都なのかあるいは展都なのかわからないんですね。  ですから、そういうことを受けて、私はきちんと皆さん方にはっきり言えることは、平成七年十二月、これは国会等移転調査会報告で、国家機能の円滑な発揮を確保するためには、国の中枢機能が一体としてその効用を発揮していく必要がある、これは当然なことだろうと思いますけれども、また、三権の中枢を分離することは適当ではない、はっきり書かれているわけですね。  私は、これは今の重都だとか展都だとか、そういう意味で少なくとも三権の中枢機能を候補地、これは例えですけれども候補地三つあるから三つのところへ三権を持っていけばいいみたいな単純なことではなくて、国家たり得る姿というものを私は明記してあると思うんですね。  それと、今保坂先生がおっしゃいました首都移転の費用と効果、これに関して私一つだけ事例を申し上げておきたいと思いますことは、私はなぜそのことを申し上げたかといいますと、さっき国井先生にも間違いじゃないかと言われましたけれども一つだけ時間が申しわけないので例を挙げますけれども、例えば百キロの荷物を新潟から横浜まで陸路で輸送します。これは、今の費用でいいますと、百キロのものを陸路で輸送したら横浜まで新潟から千四百九十円かかるんです。ところが、横浜から船で北米へ送ったらこれが千円でございます。それは、今の日本の交通体系、都内の高速道路の高さ等々を含めまして、物流というものを、私は少なくともこれを改めなければ日本国際的に立ち行かないという例を申し上げました。  ですから、あえて保坂先生は東京出身でいらっしゃいますから、二十三区をお車でお走りになったらわかりますけれども、三十キロとか制限キロ数が書いてあります、道路に。けれども、制限キロで走れたことがないんです。東京都の平均時速は十七・八、約十八キロ弱でございます、平均時速が。これを標準どおりの三十キロに東京の時速を上げるだけで東京都内だけで一年間に四兆九千億の経済効果が出るんです。  だから、そういうこともきちんと国民皆さんに御理解をいただいて、そして国際都市というのはどうあるべきかということを私は申し上げたのであって、そういうグローバルな話での私はぜひ御論議をしていただきたいと思っておりますので、あえてお答えさせていただきました。
  30. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 委員長のお許しをいただいて一問だけ。  お話、いろいろありがとうございました。出身がどこだという論議をしたくないとあえて申し上げたのは、自分も客観的な立場に立たなくてはこの委員会のメンバーたり得る資格がないと、こう思っておりましたのでお話ししたのでございますけれども最後に、一番重要なのは国民の合意形成なんですね。  本来、平成二年に国会で決議されたときは、国会開設百年の記念事業みたいな形で、そろそろ東京以外に持っていった方がいいだろうという、長く引いてきた首都東京への一極集中というものを背景に国会議決がされたことは私も承知をしているんです。  しかし、そのときは国会等移転でございまして、首都移転ではなかったんですね。私に言わせれば国会移転なんです。そのために必要な主要な行政の機能を持っていくというので首都機能と、こうなったんですが、一体国会移転と首都移転とどう違うのかと。首都移転というものではないと言うならば、東京の今の状態は首都なのか何なんだろうか。首都設置法がない限りにおいては、東京は天皇陛下を仰ぎながら三権を置いているというだけの都市であって何なんだろうかと、こういう議論がございます。  したがって、こういうものを整理していただかないと、国民は合意形成する根拠を失ってしまうわけですね。このあたりをぜひ国土庁はきちんと、首都とは何か、そして国会等移転で新たな一本のところに移っていった場合、東京は何になるのか、一本に絞って法律化するときはこれは首都設置法なのか、このあたりもぜひ整理をしておいていただきたいと思いまして、これは要望でございます。  最後一つだけ、扇長官長官の御議論はまことに私は実のある、時を読んだ御議論だと評価させていただいておりますが、されど国土庁長官というお立場もあろうと思う。しかし、あの発言を思い切ってやられたことは、背景に行政の皆さん方のみならず関係者に対して相当な波紋を起こすことは承知だったと思うんです。  そこで、もう一回お尋ねしますが、国土庁長官を離れて保守党党首として、あるいは一政治家として、首都移転には反対でございましょうか、賛成でございましょうか。
  31. 扇千景

    国務大臣扇千景君) あえて個人的なという御意味であろうと思いますけれども、私は今、国会衆参で御議論いただいておりますことをむしろみずからやろうということで、保守党の中でこの問題に対する委員会をつくって今専門家からいろいろ保守党の中で御論議をいただいて、専門家の御意見を拝聴して、これをどういうふうに持っていくかということを保守党としては今検討中でございまして、少なくとも今国会中には保守党としての姿勢がきちんと出てまいると思います。  そういう意味では、私は、保守党の中でこういう問題を委員会をつくって専門家の御意見を聞いていただいているということは、国土庁長官としても、与党三党の一党でそういう論議を真剣にするということが私は特に必要であって、またそれが国民の目に映ることが必要だと思うので、国民の多くの皆さんは、ああ、それは無理だろうなとか、いや、そんなお金どこにあるんだろうかとか、国民自身がまだ理解できていないという現状も、少なくとも国会議員として私も責任を感じておりますので、私の言ったことに対してこういう御論議が活発になれば、国民の意識もそして認識も、そして地元の皆さんも改めてこの問題を喚起するということに対しては、私は時期としては今世紀最後のいい時期に御論議いただけると思って御期待申し上げております。
  32. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございました。
  33. 平田健二

    ○平田健二君 民主党・新緑風会の平田です。  扇長官、今お答えになった部分でちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  これは九月二十七日の参議院会議の議事録ですが、保守党を代表された方が「保守党は、首都機能移転について一たん白紙に戻すことを決めました。」、こうおっしゃられておるんですが、今の長官の御発言とは少し内容が違うようですけれども、御説明いただきたいと思います。
  34. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、保守党の党首として今議論の内容までは、毎回出ているわけではございませんのでわかりませんけれども、野田毅幹事長が委員長になって委員会を運営しております。ですから、白紙に戻してというのはゼロからの論議であると。移転を必ずするとか、そういう縛りをかけた論議でないという意味の白紙であろうと思います。
  35. 平田健二

    ○平田健二君 また国井議員の繰り返しになりますが、九月六日の講演後の記者会見の発言内容が、私、ずっと今、国井議員と扇長官とのやりとりを聞いておりまして、どうも理解できない。扇長官発言されている内容は、長官が今説明をされたこととちょっと内容が違う。議事録がおかしいのか長官がおっしゃっておるのが正しいのかわかりません、私は。  長官新聞記者会見でのやりとりの中では明らかに、移転に伴うお金東京につぎ込むことによって、国際都市東京にふさわしい都市整備を改めて考える時期に来ていると思う、首都機能移転するよりというふうにおっしゃっていますが、事実関係についてもう一度御説明をいただきたいと思います。
  36. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私、今手元に議事録がございませんし、私は外国人記者クラブで講演をいたしまして、しかもその発言講演が済んだ後の質疑でございますから、私は何も記録がありません。それはきっと外国人記者クラブで記録をおとりになったんであろうと思いますけれども、私は今手元に記録がございませんから、どういう言葉遣いをしたかまでは、私自身の口で申し上げたことですけれども、議事録どおりの言葉を使えるかどうかは今定かではございませんけれども、私は確かにそのとおりのこと、事実でございますから、そのとおりの発言をしたと存じております。
  37. 平田健二

    ○平田健二君 先ほど来の説明によりますと、この発言内容が今長官が言われたとおりだとしますと、個人的意見なんて断る必要ないんじゃないですか。むしろ長官は積極的に議論をすべきだという趣旨で話をした。それならば、一々個人的な見解なんてつける必要はないんですよね。何かそこに意図があったから個人的見解と最初におつけになったんじゃないですか。
  38. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、衆参特別委員会ができていることを、参議院議員でございますからよく存じております。私は国会軽視をするつもりはありません。  記者クラブの発言というのは、世の中にそのことを喚起するという意味も含めた記者クラブの一時間の講演でございますから、一時間講演した後の質疑でございますから、私は、そういう意味で、国会を軽視するものではないということをあえてその頭でも言ってあります。
  39. 平田健二

    ○平田健二君 国務大臣の職責といいますか、非常に私は重いものがあると思いますが、扇長官国務大臣の責任と権能ということについてどのように認識されておりますか。
  40. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、国務大臣の重みというのを当然よくわかっているつもりでございますし、また、それがあればこそ、衆参委員会の御論議をということをあえてつけ加えてございます。  それとともに、私は担当大臣であるがゆえに、今の公共事業の見直し等々、今までの行政の中でも、これは変えなければいけないということには果敢に挑戦することが大臣の権能であって、今まで何代も続いたことを変えてはいけないということでは、私はむしろ大臣としての職責はあってなきがごときであろうと存じております。
  41. 平田健二

    ○平田健二君 保坂先生が最後質問されました。長官首都機能移転国会等移転について、長官個人的には賛成ですか、反対ですか。
  42. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、今までの国会の中でいろいろ言われたように、今の日本の情勢、日本の財政等々のあり方で果たしてこれが適しているか適していないかは、国会皆さんの御論議で、私の言ったことでなおかつ活発な御論議がいただければこんなうれしいことはないと思っていますので、きょうのような御論議をもっと重ねていただいて、私も拝聴させていただき、勉強させていただくことが私は理想であると思っています。
  43. 平田健二

    ○平田健二君 長官国会等移転審議会答申が出されましたね。国会に対して、これをもとに議論をしてくださいという閣議決定をして国会へ出されたわけですね。議論をしてくださいとみずから言っておきながら、個人的な意見と断ったにしても、首都機能移転よりも今東京お金を突っ込んだ方がいいというような発言をされることは、私は不見識だと思いますよ。みずから国会国会等移転審議会答申案を議論してくださいと出しておいて、出した先から、首都機能移転に金を使うよりも東京を再生した方がいいというような発言をされることは、私は不見識だと思います。  ここに官報がありますが、扇長官は、「首都機能移転の具体化に向けた検討を推進するため行政各部の所管する事務の調整を担当させる」、いわゆる「国土庁長官を命ずる」、「建設大臣を命ずる」、あわせて特命ですよ、首都機能移転の具体化に向けた作業をする、それを所管事項として調整しなさい、担当大臣ですよ。その担当大臣そのものが、個人的な意見と断りをつけたかもしれませんが、あたかも否定するような発言をされることは、私は不見識だと思います。いかがですか、撤回するか訂正することを考えておられませんか。
  44. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、撤回するとか訂正するとかということではなくて、世の中の皆さん方がこのことに関してもっと注目していただいて、先ほどからも御論議ございましたように、国民皆さんがまだ認識していただいていない方がたくさんいらっしゃいます。  ですから、三候補に残ったお地元の皆さん方は今必死になっていらっしゃいますけれども、その三圏の中でも、私に、来るとは思わないよということもおっしゃいますし、今さらねというお手紙もいただきます。私は公平な御論議を公平に論ずることこそが国会のありようであって、これは二度と言っちゃいけないとか、これを言うべきではないとかということではなくて、私は国会を尊重するということを申し上げてあるんですから、そのための委員会の設置でございますから、こういうふうに御論議いただくことが、まさにそれが是か非か、あるいは今の時代に即しているか即していないか、平成二年のことも含めて私はぜひ御論議いただくということがいいのであって、先ほどからお答え申し上げているとおりでございます。
  45. 平田健二

    ○平田健二君 長官、どうも違うんですな。  じゃお尋ねしますが、先日、参議院の選挙法が改正されましたね、参議院の選挙法が。議論が尽くされていないと私どもは主張しました。長い時間かけて与党の方は議論をしてきたと。しかし一般的には、国民皆さんは選挙法の改正について理解をされていないと私は思います。片一方では、選挙法を変えるときには議論が進んだと言いながら、今回のこれは議論が進んでいない。同じじゃないですか。
  46. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、申しわけないけれども全然違うと思います。選挙法というのは、選ぶ方は国民でございます。国民の側に立って、目に見える選択をするというのが選挙法です。これは国が主導して、国がお金を出さないとできないことなんです。三つ候補地皆さん方が独自でできることではないんです。国のお金の支出を伴うものです。  ですから、選挙法とこれと例えることは全然違いますし、少なくとも私は、一九七七年、全国区で出た経験がございます。そして、私は二度目の選挙のときには初めて比例代表に変わりました。そのときに、泣いて叫んでやっぱり許せないとおっしゃった方もあります。民主主義がこれで壊れるとおっしゃった方も、同じでございますがありました。けれども、あのときには、二度比例代表をして非拘束をやって見直すということが国会で決められているんです。ところが、二回やって見直しましたか。それも国会で決めたことでありながら、あれから見直されなかったということも含めて、私は今、申しわけないけれども委員がおっしゃる選挙制度と、そしてこれは、二回やったときに既に国会の中で、参議院の中ではどの選挙法がいいかというのは延々と議題になったことでございますから。私は、これを決めて、国民皆さんにこうするんですよ、こういう選挙法でございます、皆さん方が顔の見える選挙をしてくださいよということと、予算を伴って国と地方自治体が一体になって主導することとは全然違うということだけ申し上げます。
  47. 平田健二

    ○平田健二君 私が申し上げたいのは、国民に周知徹底するということでありまして、そのことだけです。  国土庁にちょっとお尋ねいたします。  これは九月十六日の新聞ですが、いわゆる首都機能移転問題について自民党の幹部が九月十五日までの間に所管する国土庁に凍結の検討を指示したという報道がされていますけれども、事実でしょうか。
  48. 板倉英則

    政府参考人板倉英則君) 事実関係だけ申し上げます。  結論から申しまして、いかなる公の党から私たち国土庁に対しまして、事務方も含めまして、そういった連絡は全くございません。
  49. 平田健二

    ○平田健二君 国土庁長官、いわゆる国会等移転をする事務作業をする事務方の最高責任者の長官が、首都機能移転、いわゆる国会移転等について否定的な発言をされておるわけですよね。個人的にと言いながら否定的な発言をされたわけです。国土庁の事務方は大変私は面食らっておると思いますよ、そういう意味では。新聞で相当騒がれて国土庁の諸君も、大変動揺しておると言うと語弊がありますが、どうなっているんだろう、うちの長官が、最高責任者が、事務作業をずっと進めてきたけれども否定的な発言をしておる、果たしてこの長官のもとでこういった作業が今後進められていくんだろうかどうだろうかと。  私は、個人的にとは言いながらああいう発言をされた以上は、少なくとも担当から外させてくださいと。外れるべきだと思いますが、いかがですか。
  50. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何か勘違いしていらっしゃるんではないかと思うんです。今おっしゃったように私は責任者で、皆さん方の仕事を邪魔したつもりもありませんし、なお論議をして、行政として間違いなきを期するということが国会の御論議をまつということですから。私は、それによって行政の皆さん方が右往左往することもありませんし、迷惑だと言われたこともございませんし、私は、皆さん方国会で、正論を皆さん方で御論議いただいて、それを行政としてまとめていく、国土庁というのはそういう意味でのまとめの役の官庁でございますから。国土庁担当しておりますけれども、私、国土庁だけではなく筑波も担当しておりまして、そういう意味では、国土庁というのは調整官庁の最たるものでございます。  私は、そういう意味で、来年は国土交通省に移管するこの大事な時期でございますから、ぜひ国会の中でも何度もこういうことで御論議いただけるということが行政としての、今までの行政も間違いがある場合は改めるというのが行政の大きなことであって、今の公共事業、先ほど私、例を挙げましたけれども、進めてきた公共事業も、国民皆さんのためにもっと簡素化し、もっと重点を置こうということで見直したわけでございますから、そういうことで一度も国土庁の職員が動揺をしているということではございません。
  51. 平田健二

    ○平田健二君 先ほども質問がありましたけれども政府の統一した見解といいますか、この国会等移転についての統一した見解をお聞かせください。
  52. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何年のを申し上げればよろしいですか。
  53. 平田健二

    ○平田健二君 今。
  54. 角田義一

    委員長角田義一君) 現時点ということのようですよ。
  55. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 首都機能移転の検討に関して今おっしゃいましたけれども政府の見解についてお尋ねがございました。これ、政府見解ですから読ませていただきます。  一、首都機能移転に関しては、昨年十二月二十日に国会等移転審議会から内閣総理大臣答申が出され、翌二十一日に内閣総理大臣から衆参両院の議長に答申報告されたところです。  二、今後は、国会等移転に関する法律に基づき、国会において大局的な観点から検討をいただくものと考えております。  三、政府としては、法に定める移転の具体化に向けた検討責務に基づき、国会における審議が円滑に進められるよう積極的に努力していくとともに、首都機能移転について、国民に幅広く議論を喚起していく所存です。  以上です。
  56. 平田健二

    ○平田健二君 それでは、首都機能移転担当大臣として、移転をどのように推進されるのか、御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 推進する、しないことではなくて、私はきょう冒頭にごあいさつを申し上げました。衆参委員会においてこの国会政府の見解で申し上げましたとおり、少なくとも首都機能移転について国民に幅広く議論を喚起するという意味においても、私は衆参委員会論議というものが大変重要視されると、そういうことを私はこの間もきちんと申し上げてありますので、こういう委員会で賛否もあり反対論もあるというのが国会の常でございますから、いろんな反対論、賛成論で御論議いただくということが私は国民の意識を喚起することに最上の委員会であろうと思っております。
  58. 平田健二

    ○平田健二君 先日の衆議院特別委員会で特別委員長長官発言に対して特別な声明を発せられました。御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  59. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何でしょう。
  60. 角田義一

    委員長角田義一君) 衆議院の特別委員長が特別声明を出したことについての御感想だそうです。
  61. 扇千景

    国務大臣扇千景君) わかりました。  今、委員会とおっしゃったので、委員会ではなくて委員長でございますので、委員会で何があったかなと思いましたけれども衆議院特別委員会の肥田委員長が声明を発せられました。そのことに関しまして、私はこれをもって肥田委員長とお会いいたしまして、このことに関して私は、なるべく早く委員会をお開きいただきたい、そしてそのことに関しても特別委員会できちんと御論議いただきたい、また私にもそういう機会を与えていただきたいということを肥田委員長に申し上げまして、肥田委員長もそれが一番いいということで、私はあえて参議院角田委員長がきょう御開催いただいたことに敬意を表している次第でございます。
  62. 平田健二

    ○平田健二君 審議会答申内容についてお尋ねをいたしますが、長官はこの記者会見の席上での話の中で、経済と政治が一体でなければ都市とは言えないと思う、こうはっきりおっしゃっておられます。しかし、この答申の中にはその逆でして、政治と経済の中枢を分離することによって、政、官、民の新たな関係が始まりと、こうなっておりますね。この考え方を否定されますか。
  63. 扇千景

    国務大臣扇千景君) これこそが私は少なくとも今の時代を読み取るということであろうと思います。私は、先ほど申しましたように、この首都機能移転に関しては財政を伴うということは御存じのとおりでございます。ですから、今申し上げましたように、世界の情勢では、この平成二年のときと違って経済と政治、政経一体であるというのが世界の常識になっております。そういう意味では、政治と経済が一体、あるいは先ほど申しましたように三つの機能、これを私は三権分離といいますけれども、三権が同じところになければならないということも、認識としては現在の情勢を踏まえた上で、少なくとも私は政治家としてはそう判断するというのが正しい方法であろうと思っております。
  64. 平田健二

    ○平田健二君 この審議会答申は、少なくとも閣議で答申案を国会へ提出するということの閣議決定をしましたですね。内容については、閣議ではこれは賛成、反対だと、そういった内容は議論があったんでしょうか。
  65. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 済みません、私そのとき閣僚でないものですから、閣議でどういう御論議があったかは記録を見なければ私にはわかりません。
  66. 平田健二

    ○平田健二君 少なくとも、この答申というのは今長官がおっしゃったことと違うんですよね、経済と政治が一体でなければ都市と言えないと思うと。答申は、政治も経済も分離しなさいと答申内容が書いてあります。それから、一極集中是正についても長官とどうも考え方が違う。この内容を再検討する必要があるんじゃないですか、閣議で政府として。
  67. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私、閣議ではなくて、審議会というのは幾つあるか御存じのとおりでございまして、審議会答申をいただいて、その答申に基づいて国会論議をするというのがあらゆる審議会答申でございます。  ですから私は、それを先ほど申しましたように、閣議で決定をしてすぐ衆参特別委員会にお渡ししたということですから、まさにその内容がそのとおりでなければいけないのであれば、国会は要りません、答申どおりということであれば。少なくとも答申というものを出していただいて、専門家の意見が書いてあるわけですから、その答申内容についてまさにこの国会で御論議いただくというのが私は国会の機能であろうと思いますから、答申どおりでないといけないとおっしゃるのであれば、私は国会軽視そのものであろうと思いますので、それと意見が私は違うと思います。  国会でこういうふうに答申に対しての今の現状認識等々で御論議いただくことが一番いいことだと思って内閣で決めて、衆参特別委員会にお渡ししたというのが現状です。
  68. 平田健二

    ○平田健二君 内閣不一致じゃないですか、それこそ。そうじゃありませんか、今おっしゃったようなことは。  いや、これは少なくとも閣議で議論をし、そして全体で了解をして国会へ提出したわけですね。内閣に責任があるんですよ、これ、提出するということは。私は出すことは問題ないけれども、内容については反対だと。いいんですか、それで。
  69. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 内容について反対とか閣議でどういう御意見があったかは私、今存じませんと申しました。私はまだ閣僚でございませんでしたから。けれども、私は閣僚としてそれを、これは前回の小渕内閣のときの閣議でございますから閣議の内容までは、どういう審議をしたのか、答申をそのままオーケーなすったか、それは私は今知るすべもありませんし、調べろとおっしゃればまた調べる方法はあろうと思いますけれども、そのことを追認することと、この中で、これはやっぱり答申だけれども、閣議としては賛成したけれども個人的にはこの部分についてもっと国会で御論議いただきたいというのは私は当然あって、閣議の不一致でも何でもなくて、答申の中に対して委員会で御審議いただくための問題であれば、私は一番ありがたいと思っています。
  70. 平田健二

    ○平田健二君 まさにそのとおりでして、国会のこの場でこの内容について議論をし合うことについては私は何ら問題ないと思いますよ。でも、全然関係ない、記者クラブとか全く関係ないところで否定するような発言をされるから、こんなことを私は余り言いたくないことですけれども、言いたいんですね。  国会の場で議論をするんなら、私は長官のおっしゃるとおりだと思いますよ、国会の場で。しかし、国会の場じゃなかったじゃないですか。だからこんな波紋を広げておるんですよ。
  71. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 波紋を広げたこと、もし波紋が広がったのであれば、私は大いによかったなと思っています。それは国民皆さんが関心を持ってくださるのであって、まして外国人の特派員の記者クラブは、外国人の記者の人たちは首都移転なんて何のことか知らない方がほとんどでございまして、今、大使館の皆さん方も、首都機能移転したら、そうしたら大使館もかわるんですかとか、あるいは、じゃ官邸を建てているのは何ですかとか、いろんな御質問がその後来るんですね。省庁を再編して、省庁も建設大臣で署名して新しい省庁を建てるなんて言っているのも、首都機能移転するんだったらむだじゃないですかと新聞記者が私に聞きに来るのもいるんですね。  ですから、私が講演したのが外国人特派員記者クラブということで、この問題を特に初めて聞く外国人記者もいましたので、そういうことで波紋が広がったのであればいい波紋であるので、これからぜひもっと波紋を広げていただいて御論議いただきたいというふうに考えております。
  72. 平田健二

    ○平田健二君 私は首都機能を、いわゆる国会移転をしなきゃならぬとかどうだとか、こういう議論じゃないんですね。長官、少なくとも国会議論をしておる、長い年月をかけて調査会審議会、いろんな会合をやってきた。そういった議論の積み重ねの結果として、国会移転するかしないかを議論するのは私は当然だと思いますが、その議論の前に、議論する前に担当である国土庁長官が否定的な発言をされるということが問題だと言っておるだけでして、そのことだけ私は申し上げて、質問を終わります。
  73. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  本年の九月六日の日本外国特派員協会においての講演の後の質問に答える形で、扇国土庁長官は、個人的な発言と断った上ではありますけれども首都機能移転に疑問を呈する旨の発言をされまして、国民の間にさまざまな論議を巻き起こしたわけであります。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  そこで、きょうは、扇長官発言の真意を伺うために数問質問をさせていただきたいと思います。  前回のこの特別委員会におきまして、私は森亘国会等移転審議会会長に、もし国会等東京から移転した場合に東京は首都でなくなるのかどうか、その点について質問をしたわけでございますけれども、森亘審議会会長は、国会等東京から移っても東京が首都であることには変わりはないというような発言をされました。この点、扇国土庁長官はどのように考えておられるのか、質問をしたいと思います。
  74. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、渡辺委員が森会長にお聞きになりましたということがございましたけれども、私は、森会長がはっきりと、首都機能移転国会等移転に関する法律の一条の国会等移転と同義語であって、少なくとも同法の第一条によれば、国会、その活動に関連する行政に関する機能のうちの中枢的なもの及び司法に関する機能のうちの中枢的なもの、それを東京圏外に移転すると、こう書いてあるのは御存じのとおりでございます。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  ですから私は、首都の機能の移転であって、首都移転と同義語ではない、私はそのように、この点につきましては、御存じのとおり八年六月ですか、衆議院国会移転に関する特別委員会で当時の橋本総理が、私は首都移転というつもりはありませんと、総理が当時きちんとお答えになっておりますので、私はそのとおりであろうと思いますし、今、森会長にお聞きになったことにも私はそのとおりであると思っております。
  75. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 では、もう一つ確認しておきたいと思います。  長官東京国際都市でなくなることを心配されておられるようでありますけれども東京から国会等移転しても東京国際都市として、より具体的に述べますと、国際ビジネス都市として再活性化することは可能ではないかというふうに私は考えるわけですが、なぜこれが両立しないのか、長官の考え方をお聞きしたいと思います。
  76. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先ほどちらっと私お答えしたんですけれども、今の東京、私東京だけのことを言ったんじゃないというのは先ほど申しました。外国人特派員記者クラブでございますので国際レベルの話をいたしまして、私は、大変僣越ですけれども、私たち国会議員、いろんな全国、世界じゅうに行きますけれども滑走路が一本しかない国際空港って行ったことないんですね。それは小さなところは別ですよ。ですけれども、先進国の中で国際空港に、私たち国会で視察に行っており立って、一本しか滑走路のない国際空港というのは先進国の中ではどこにもないんですね。  ですから私は、二十一世紀日本国際という看板を、冠をかけ得るものは何かということのために、今世紀と来世紀の二十一世紀を迎えるに当たって、我々は、日本が二十一世紀国際都市たり得るものは何が欠けているのか、何がおくれているのか、何を今しなければならないかということを私は外国人特派員記者クラブで申し上げました。  その中の一つとして、今お話のございましたように、国会移転しても東京は少なくとも国際ビジネス都市として成り立ち得るのではないかという渡辺先生のお話でございますけれども、私は多くの皆さん方に聞きました。そして、なぜ私が今しなければ東京国際都市たり得ないかということの例を、大変失礼ですけれども今例えば一つだけ挙げさせていただきますけれども、あらゆるところに今東京にビジネスビルが建っています。まして新しい都市機能開発ということで、今までの小さなところを地域で、例えば六本木、六百軒に全部合意で立ち退いていただいてあそこに新都市をつくろう、町づくりですね、新しい国際都市、町づくりをやっています。けれども、例えばあそこにビルが建ちますけれども、そこに、光ファイバーがそのビルに入らなければビルが建ち上がっても国際的なビジネスマンは一軒も入ってきません。それが今日本がおくれている一番最大の原因なんですね。  ですから、例えば今の東京が新しいビルを建てても、あるいは世界的なビジネスマンに入っていただこうと思っても、IT整備ができていないところには国際企業は全然入りません。そして、私はそのことを少なくとも考えなければ東京国際都市たり得ませんよということを申し上げましたので、少なくとも国会移転しただけで東京国際ビジネス都市たり得るかということは、そうではなくて、国会移転しようが移転しまいが、東京国際都市、ビジネス都市たり得るかというと、今手を入れなければいけないということで、国会移転東京の活性化とは全然私は切り離してもう考えるべきだと思っております。
  77. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も、国会等移転東京の再活性化というのは直に、二律背反のものではない、両方当然していかなければならないということで今確認をさせていただいたわけでございます。  あと、先ほども平田委員の方から質問がございました。政治と経済は分離しない方がいいというように長官発言されておりまして、逆に私なんかが考えますと、これからIT革命等いろんな技術が進んでいきますと、多少距離は離れておっても政治と経済が機能的に分離をしていない状況になるんではないかなというような予測もしているわけでございますけれども、こういう意味で、政治と経済が分離しない方がよいというふうにお考えになられることについてもう少しお話をお聞きできればと思います。
  78. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 少なくとも、ニューヨーク、ワシントンの例を頭に置いての御質問になろうかと思いますけれども、私はそれと今回の場合は全く違うと思うんですね。  私は、そういう意味において、国会移転調査報告におきましても、我が国における政治、行政、経済の緊密な関係は、我が国が明治以来近代化、経済発展を遂げる中で重要な役割を担ってきた反面、企業や国民の政治、行政への過度の依存心を生み出すとともに、公平性、透明性に欠けた政治、行政に陥りやすいといった社会的弊害も惹起することとなり、今日、こうした弊害の除去が必要となっているという指摘がなされております。これが今おっしゃった経済と政治の分離ということにつながるという御発言であろうと思います。  けれども私は、ただし一方で、少なくとも政経を人為的に分離すれば東京の活力は低下して国際競争力を失うという、そういう懸念する声もあることは事実でございます。  また、今現実に東京のありよう、あるいは国際経済のありよう、例えば日本の証券取引所というものが少なくとも二十四時間オープンしなければ先進国に追いつかない。そういう意味では、お隣の中国でもあるいはシンガポールでも、証券取引所を二十四時間オープンする、それが今の情勢である、世界情勢であると、そういうふうに認識している国際家も大勢いらっしゃいます。それ一つとってみても、日本国際化におくれている、そう言わざるを得ない状況にある。  またしかも、今皆さん方がおっしゃいますけれども日本の株の現在値、あるいは円の今は幾ら、国際基準が幾ら、一ドル幾らということも、毎日これは日本の国の国威と今の日本経済のあり方が株価に反映され、円の価値にも反映されるというような状況で、政治のあり方というものもこれは本来は左右されてはいけないことで、政治がもっとスタンスをきちんとすれば私はもっと株価も上がると思うんですけれども、そのようにお互いに政治と経済というものがリンクし合っている。また、世界情勢を考えなければ、世界経済情勢を考えなければ政治の判断も誤るという今のグローバルな世界情勢下においては、私は、現段階で政経分離ということは今の国際化の中では日本はとり得るものではないということ自体は、政治家の皆さんは既に御承知であろうと思います。
  79. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私は、まだまだちょっと政経分離、例えば東京に両者が物理的な距離的に一致していなければならないということは、これからいろいろ論議していくべき問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それと関連しますけれども扇長官政府の進めるIT化のことで発言をされておりますが、電子政府あるいは電子自治体の事業の推進とこの国会等移転というものが矛盾するものでないというふうに私は思うわけでありますけれども、一緒に行う方が逆に効果的、効率的になる場合もあるのではないか、新しいものをつくる場合。そういうふうにも考えるわけでございますけれども、この点は、単に国が投資するそういう資金をどちらを早く優先的にするかというような観点だけなんでしょうか、それ以外にも観点がございますでしょうか。
  80. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、せっかくの渡辺先生の御意見ですけれども、それは要注意だと思います。  それはなぜかと申しますと、国会首都機能移転問題というのはまだこれから、少なくとも何年先になるかわかりません。そのときにITだけがそれと一緒に移動すればいいというのは、もう完全にこれはIT後進国になることは間違いありません。現段階でも、インターネットの普及率等々を見ても、日本世界じゅうで少なくとも十三位まで落ちているんです。しかも、隣の韓国だとかシンガポールの方がはるかに上に行ってしまった。  そして、今私たちがIT革命といって、IT戦略会議もけさも開きましたけれどもIT基本法をなぜ今国会中にと言ったのかというと、二十一世紀日本世界ITに取り残されて、アメリカの好景気、IT産業ができて、IT産業で雇用もよくなり景気もよくなったのがアメリカでございます。ところが、日本はそれが世界十三位まで下落しているということで、日本世界じゅうのITから取り残されていく。御存じのとおり、ITは、世界じゅうネットを広げて瞬時に世界の情報をとり得るというのがITでございますから、そのネットを国会移転のときに同時にすればいいという先の遠くなるような話をしていたのでは、今十三位が世界の最低国に私は落ちるだろうと思います。  そうではなくて、私が先ほど申しましたように、これを切り離す、当然ITは今手をつけなければ間に合わないと言ったのはそういう意味でございまして、日本が今ITの中で一番アジアに誇り得るものは光通信、光ファイバーでございます。これは世界で二位でございます。一位がアメリカですけれども日本は二位です。二位ということはアジアの一位ということですから、十三位におくれたIT全体を今押し上げなきゃいけないというのは当然ですけれども世界にまだ二位であるものは早急に手を入れて、私はネットワークをつくるということによって世界の中の日本の位置を保ち得るというふうに考えておりますので、先端技術の中で私は日本が後進国になってはならない。  ですから、IT国会移転とをそのときにやればいいなんということは、私は今の世界情勢を余りにも無視した発言であろうと思いますので、私はそういう考えを持っておりません。
  81. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私の質問をちょっと誤解されている面もありますので、もちろん今のIT化はどんどん進めていくと、それに伴ってまたいろんな技術というのが進歩してまいると思います。国会等移転のときにはまた新たなそういう都市づくりの中にITの技術を応用した都市づくりあるいは国会等移転もあり得るということで、当然並行しながらやっていく、国会等移転を妨げるものではないのではないかということで質問をさせていただいたわけでございます。  私も東北におりまして、扇長官発言国会等移転候補地にとりましては非常に大きな物議を醸しているということでございまして、私としましては、やはり担当長官はいろんな予見を交えずに、国会等審議を活発化させるためだという御発言はありましたけれども、まあ予見を交えずに国会等審議を受け入れていただければなと、そのように思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  82. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、きょうの議論を大変興味深く伺っておりました。  九月六日の外国特派員協会での御講演質疑応答、私全文読ませていただきました。これも大変興味深いもので、それは最後に、質問者が特に首都移転についての質問をされているわけではないんだけれども大臣東京の羽田等々に絡んでその見解を述べられている。そして、ここで個人の意見として聞いてほしいということで展開されたわけですね。私は、先ほど大臣が言われた、ここで問題提起をする、そしてこうしたことについて議論を活発にする、そういう立場でこのことを行われたんだろうと思います。  これまでの国土庁長官は、首都移転推進、このことをずっと掲げてまいりました。しかし、長官はそういう立場を述べられなかった。その点で、私は政治家としてこうした問題提起をされたということについては正論を述べられたと思いますし、また同時に勇気を持った発言だった、そういうふうに私は感じております。  その点で、もちろん大臣はこの発言がどういう反響を及ぼすか、すべて織り込み済みでこういう問題提起をされたと思います。したがいまして、九月六日の問題提起以来今日まで、みずからの発言について、そしてまた問題提起されたことについてどういう波紋をつくり、またどういう問題、また状況をつくられているのかということについて自己分析のそういう見解についてお伺いしたいと思います。
  83. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 自己分析のような大げさなものは私持っておりませんけれども皆さんの御意見を聞くというのが私の立場でございますので、私が担当大臣として先ほど申しましたように、三候補地知事さんお三人とかお二人とかそろっていらっしゃいますし、いろんなことで御陳情にもいらっしゃいますけれども、私先ほど申しましたように、絞られれば絞られるほど過度の競争というのはもう当然のことなんですね。  ですから、私は少なくとも三つ候補地の地元の皆さん方がそろって来られるというのはもうなるべくやめた方がいいと。そして、過度の期待を候補地皆さんに与えることも私は一つの大きな問題だろうと思いますので、それよりももっと行政的な理論に立った論議を進めるべきであって、過度に、こっちへ来るかもしれない、こっちの水が甘いぞみたいなことで私は論議するべきこととは違うと。もっと神聖なものであるし、もっと国の本体を、国全体のことを考えた判断を私はするべきであろうと思いますから、そういう意味では私のところへ過度の御陳情に見えたりすることは私は慎んでいただきたい。  それから、個人的にファクスあるいはお手紙等々でいろんなことを言っていただきます。そういう御議論が私のところへ、割合からいえば賛成と言ってくださる方が大勢いらっしゃいますけれども、中には何だと言う方もなくはないですよ。けれども、そういう意味で御論議があるということ自体が私は大変ありがたいことで、わざわざ八十円使って御意見寄せてくださるんですから。しかも、僕のところは候補地のここだけれども、こういうことは今まで議論になったことないよとかという大変率直な御意見もいただいたり、そういう意味では、私はこういう委員会で賛否両論の御意見が出るということ自体が本当に私のところにお寄せいただく御意見と同様に大変いいことであるし、特に国会首都機能移転なんていうそれはもう国家的な大公共事業です、はっきり言って。それを国民がみんな理解しないということの方がむしろ国としては残念ですので、ぜひ御論議をしていただきたいというのは、あえて私のところへ寄せられた御希望の投書等々ともに私は見守っているところです。
  84. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、国土庁長官としての所信表明のときに、この問題については広報活動を強化すると述べられていた、それにとどまっていたということに非常に最初から注目しておりました。ああ今までと違うなと思いました。  そこで問題なのは、やはりこの問題、大事業ですから、やるとしたら国民の合意形成、これが非常に大事なわけですけれども、私はこれは非常に低調であると。しかも、この委員会でもいろんな視察を行いましたけれども移転地の中心ほどいろんな反対が強い、これが非常に特徴的な傾向なんですね。世論調査でもそれはあらわれております。  ですから、その点で合意形成、これが大問題だというふうに思いますけれども、その点で大臣の御見解はどういうものでしょうか。先ほど述べられたように簡潔にお願いいたします。
  85. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、今おっしゃったように、この問題がいかに重要であるかということにかんがみて、もっと国会首都機能移転の問題というものが論議をされるべきであるし、また話題になるべきであるし、私は特別委員会がもっと頻繁に行われてもいいと。先ほど申しましたように、フリートーキングを含めてかんかんがくがくの論議がされて、それを国民に認識していただくということが、私は一番国民の合意を得られる、あるいは国民の合意形成をつくるという上では大事なことだと認識しております。
  86. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私も、当委員会でその是非論、それをやることが必要だということをずっと主張してまいりました。その点では、大臣の問題提起と私の考えていることは一致する、そのように感じております。  それで、一つ思うのは、やはり首都とは何か、これが大事なんですね。  私、実は非常に見逃している問題があると思うんですけれども、これは皇居は移さないわけですよね。皇居を移すという議論は一切ありません。したがって、天皇の国事行為、これを考えたときに、天皇は年間におよそ千三百件の署名を行われる、あるいは親任・認証式が五十から七十回ある、あるいは外国の方との会見あるいは食事、それが百五十回前後ある。そういう中で、やはり非常に大きな不合理が生まれるに違いない、このことを痛感しておりましたけれども、皇居と首都の関係についてどのようにお考えでしょうか。
  87. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、本来であれば、日本の今までの歴史を考えてみますときに、すべからく天皇陛下のおわしますところが都であるというのが過去の今までの例でございます。ですから、京都から都が移ったということも含めて、少なくとも天皇のいらっしゃるところが首都であるという考えは、私は国民すべからく思いは同じであろうというふうに認識しております。
  88. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 首都移転の幾つかの理由、論拠、これまでいろいろありました。これがくるくる変わっていることが大きな問題だと思います。  東京の一極集中、これについては、この問題について詳しい下河辺氏が効果はないということを断言しております。私もそのとおりだと思うんですね。それから、不況対策がありました。防災もありました。地方分権、これもありました。そういう中で、今の話に関連いたしますと、人心一新論というのがあったんですね。  これは本当に私はあきれるんですけれども日本の歴史を振り返ると、四百年ごとに遷都してきた、ちょうど西暦二〇〇〇年がそれに当たると。だから遷都して人心を一新しようというそういう理屈ですね。これが何と堺屋太一氏が中心になって主張してまいりました。恐らく今もそうお考えだと思います。しかし、閣僚に入っているのでそのことは言われないと思います。私も、この委員会で参考人質疑でやったことがあります。やっぱりこういう問題について、不景気だからここいらでぱあっとお金を使って、そしてそういう夢を与える、夢であってもいいじゃないかということを堺屋氏は答弁された。  私は、いろんな理由がある中でこの人心一新論、これは本当に噴き出すような話であると考えておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  89. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、人心一新はもっと違ったところに使うべきであろうと思いますし、少なくとも戦後五十五年、今世紀の終わりを迎えて、あらゆる社会、経済界も、企業も政治もすべて世代交代が行われる時期に来ているというのは、私は皆さん感じていることだろうと思います。  ですから、人心一新という言葉は、私はそういうことをしなくても各企業もみんな世代交代が行われておりますし、政治家の皆さん方もこのごろ若い方が、もう立候補ぎりぎりの年代の若武者が国会に来て二十一世紀の政治家として育ちつつあります。そういう意味では、人心一新のための首都機能移転ではなくて、私は人心一新というのは世の中が自然に人心一新の時期を迎えているというふうに感じております。
  90. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、当委員会に五年余りずっといて、ずっと議論をフォローしてまいりました。その中で、行政改革、地方分権、これが移転とともに車の両輪だということが盛んに言われました。  その中で、審議会報告の中で今でも思い出す、噴き出す話があるんですけれども、それは今の政治が悪いのは国会議員の事務所、議員会館が狭いことに理由があって、重苦しい議事堂から透明感あふれるそういう議事堂をつくって、そのために移転が必要だというわけですけれども、そうすればまさに政治改革ができる。それですべてと言っているんじゃないと思います、論者は。しかし、こういう議論があるわけですね。  これも、今の議論と非常に似たようなものではないかと私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  91. 扇千景

    国務大臣扇千景君) このことを申し上げるとまた問題だとおっしゃられるかもしれませんけれども、今のお話と同じように、緒方先生がおっしゃいましたけれども、もっと国会議員の事務所が広くて、そしてもっと応接間もある、国際的にも恥ずかしくないようなスペースがなければ国会議員の活動としておかしいじゃないかという御議論審議会の一委員からも出たというお話の御披露がございました。  けれども私は、今、少なくともこの国会議員皆さん方の事務所の狭さは当然世界レベルからいえば恥ずかしいです。けれども、少なくとも私は、今の国会議員の会館、衆議院の第一、第二、参議院、この三つ並んだ会館を今度建て直そうという話まで出ております。そして、その建て直しの案が出ている中で、何と情けないなと思ったのは、その三棟とも国会議事堂よりも高いものを建てようという。これでは、私は本当に国会議員の一人としてぜひこれは記録に載せていただきたいのは、今、国会を見学に来る人たちが記念写真を撮るときに、国会を正面にして記念写真を撮るときに、今少し右へ振らないと左側の高い建物が邪魔になるんです、絵に入るんです。  それにもかかわらず、今度第一、第二、参議院を今よりも高い、国会議事堂よりも高い建物にしてしまおうということになれば、もっと振らないと国会議事堂正面では記念撮影が撮れないような状況が論議されているということだけは、私は国会議員としては少なくとも、どういう理由にしろもっと考えて、今、国会移転の話がある中に国会の会館を建て直そうというのであれば、少なくとも議事堂より高いものを建てるというのは国会議員としては私はもっと慎むべきであろうというふうに今思いますから、国会移転国会議員の会館の移転とは全く別問題で、移転の話とは別に会館の建て直しまで話になっているという事実だけは、私は一緒になるのはおかしいと思っています。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 同じように、首相官邸をつくる、人事院ビルをつくる、そういうことと共通した問題だと思います。  それで、私はこの委員会で今でも覚えておりますけれども国土庁が事務局になって首都移転の新都市のイメージ図というのが示されたことがありました。そこには大使館街がずらっと並んでいる、そしてまた政党本部も並んでいるという、そういう説明がありました。私も、外国の人に聞いてみますと、大使館は移すつもりがない、イタリアもそうだったし、幾つも国を挙げればそういうことで移るわけないと思いますね。  それから、政党本部についてどうか。移転に賛成する方も、政党本部まで移るということを勝手に言われちゃ困る、そういうことを言う方もおりました、議論の中で。保守党について、これから移転が検討される間、随分時間があるかもしれません。そのときに保守党がどうなっているかということについて私よくわかりませんけれども、しかし党首の立場として保守党の党本部を、決まった暁には新都市に移すというおつもりはあるのかどうか、それについてはお伺いしておきたいと思います。
  93. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先ほど申しましたように、保守党の中に首都機能移転問題を考える会という委員会をつくりまして、今専門家の先生方と全部御意見をいただいております。  というのは、保守党としては、移転ということ自体というよりも、私が冒頭に申しましたように、日本の国の中で国際都市たり得るものはどういう機能を果たさなきゃいけないのか、また、国際都市というのはどういうものであるかという原点に立った考え方を勉強しているのでございまして、国際都市たり得る姿というものは私は本年中に保守党としては結論が出るものだと思って、注目して見守っているところでございます。
  94. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう時間になりましたので終わりますけれども、私はこの問題については、これは大臣に答弁を求める筋ではありませんけれども移転については凍結していく、そして十年前に決めたこと、これについては見直していく、根本から議論をする、これがまさに重要になっているということを痛感しております。大臣はお立場上、そういうことについてどうこう言われる立場でないということは十も承知ですけれども、そのことを述べておきますし、また同時に、やっぱりこの是非論、そもそも根本論ですね、それについて議論をここでやらなければならない、このことを述べておきたいと思います。  きょうは大臣と非常に珍しく、与党と野党の立場でありますけれども、大変興味深い議論ができたと思っております。  ありがとうございました。
  95. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  いろいろと今も申されましたけれども、各方面からたくさんの長官の御意見を伺いまして、どういう表現をしていいかわかりませんけれども、大変親しみを持ってこの問題についてお話が伺えるような気がいたしております。  九月六日の御発言のときに、移転の問題について特に個人的な意見というふうにわざわざお断りをなさって御発言なさった、その真意についてお伺いしたいと思います。
  96. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、あくまでも自分の立場、そして国会を尊重するということだけは意識の中にございましたので、本来であれば、ひとつ私が申し上げたかった底辺にありますものは、もっと国会論議を活発にしてほしいという、そういう願いもあって、答申が出ても延々と委員会が開かれないという状況が続いておりまして、これはほかの諸般の事情、予算があったりいろんなことで委員会が開かれなかったんですけれども、私は答申があってすぐ委員会でもっと議論が活発に行われるべきであったろうと思います。その辺が大変残念に思いましたけれども、今回こうして委員長のお計らいで委員会が開けたことを心から私は喜んでおりますので、もっとこの委員会で活発に御議論いただきたいということで、私はあえて申し上げた次第でございます。
  97. 三重野栄子

    三重野栄子君 特に長官のように非常に地位が高いというか、全体を指揮していらっしゃる立場の方が個人的見解というふうにわざわざおっしゃいますと、みんな個人的見解があるのかということでいろいろ意見が広まったんだというふうに思いますけれども、今後とも課題について積極的に議論してもらいたいという御趣旨であったということを理解させていただきたいと思います。  ところで、何といいましてもやっぱり首都機能移転の問題でございますので、首都機能移転の決議が平成二年にございましたが、それについての所見、それから今日までの経過について、担当ではなかったと思いますけれども国会に御参加でございましたから、その点も含めて御感想をいただければと思います。
  98. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 経緯につきましては一々時間があれですから省略させていただいて、先生も御存じのとおりで、少なくとも平成二年の衆参両院において国会等移転に関する決議という、それ以来の論議でございますから途中の経緯は省略させていただきますけれども、少なくとも平成二年からの今日までの長い年月の間に御論議された。しかも審議会も設けられて、しかもその審議会答申、しかもまたそれを昨年の十二月二十日、内閣で受け取って、それを衆参委員会に下げたということで今御論議が行われているわけでございますけれども、少なくとも私は、国会で大局的な見地から御議論をいただくということのためにあえて申し上げたのであって、そういう意味においては、この国会等移転に関する決議、決議があるからといってその決議だけで終わってしまったのでは、いつか米の決議も何度もいたしましたけれども、決議だけで終わったのでは意味ないので、こういう委員会でということが私は本当にいいことであると思って、心から感謝申し上げております。
  99. 三重野栄子

    三重野栄子君 現在の問題について、国会等移転あるいは首都機能移転といろいろ言われるわけでございますけれども、それを細かく言うと議論もあろうかと思います。長官世界あちこちおいででございますけれども経済の都市、それから国会の都市、それから行政の都市、もう何十キロ離れているところでも置かれている国がございますけれども、今後、これからの日本の中での首都といいますか、首都と言うと語弊がありますね、どういうふうに言ったらいいでしょうか、首都機能があるところを首都というのか、さっき、天皇がおいでのところを首都というのかと、いろいろあろうと思いますけれども、これからの日本の国の中心にあるべきところはどういうふうな構成をお考えか、お伺いします。
  100. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大変根本的な、三重野先生の大きなグローバルな問題ですので、大変おこがましいとは思いますけれども、私は少なくとも今の世界情勢から考えれば日本が大変危険水域にいる、私はその認識は持っております。ですから、この危険水域にいる日本をどうすれば二十一世紀国際水準に負けないように世界に伍していけるのか、その基本のグランドデザインが私は政府に課せられた大きな課題であろうと思うんです。そのうちの一つITの基本法であり、あるいは今衆議院で御審議いただきます、今までやってきた公共事業も見直そうというための公共工事の入札と契約に関する適正化法、これもかつて戦後五十五年間なかったことでございます。  特に、外国を見れば、イギリス、フランス、イタリーにもある、それが日本は、むだ遣いだ、ばらまきだと言われながら、その公共事業の基本法すら一つなかったということも含めても、戦後五十五年、これだけ頑張って世界の先進国になった我々の先人の与えてくれた日本の今の現状をいかに子供や孫に、今バッジをつけている我々が何をし、そして不足しているところは何かということをきちんと定義をして改革していかなければ将来の日本はないと言っても過言ではない。そのような責任の重さが、今の内閣にも、我々国会議員、バッジをつけている人間にも、私は重大な責任を持っていると認識しております。
  101. 三重野栄子

    三重野栄子君 そういう課題を決めていくに当たりましても、広く国民の意見を大事にしたいというかよく聞きたいということを先ほどから何度も伺っておりますけれども、具体的にはどのような方法がいいとお思いでしょうか。例えば国民投票をするとか、そういう問題についてお考えになるのか。もしお考えがございましたら伺いたいと思います。
  102. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、物事にはそれぞれあろうと思います。少なくとも国が、政府が、国会がリーダーシップを持ってこうしていくんだというものを見せる、それが私は今大きな境目にきていると思います。  少なくとも私は、国民皆さんは十人十色、百人百色、もうそれぞれ皆さん方の御意見が違うのは当然でございます。ですから、世界に伍していく日本をつくるためには、今日本が、少なくとも我々内閣国会が一体になって二十一世紀日本のグランドデザインというもの、経済はこうする、政治はこうする、保険はどうする、福祉はこうする、そういうきちんとしたあらゆることに対するグランドデザインというものを国会国民皆さんに示して、特に来年参議院選挙でございますから、そういうところで国民皆さんが何を選択し得るのかというそのメニューも出さないで私は国民の真意はわからないと思いますので、私は、政治と社会、政治家あるいは内閣としてもあらゆるメニューを国民の前に示し得る、そのための行政であろうと思います。  それを立法の皆さん方にあるいは法律として出していただくとか、そういうことがもともと三権分立の大きな役目の一つでございますから、私は、政府としては二十一世紀日本のあるべき姿、国際に伍していくための日本はこうあるべきだという指針を示すということが欠けているのではないかと。  それに対する国民の反応はるるあろうと思いますけれども、現段階で、二十一世紀を迎えるに当たって国民皆さんの御意見を全部吸い上げてという猶予は、今の世界のスピードについていけないことになっているので、もっとリーダーシップをとるべきだという考えを持っております。
  103. 三重野栄子

    三重野栄子君 ありがとうございました。  終わります。
  104. 角田義一

    委員長角田義一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時一分散会