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2000-11-28 第150回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月二十八日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      八田ひろ子君     筆坂 秀世君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     八田ひろ子君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     世耕 弘成君      齋藤  勁君     藤井 俊男君      八田ひろ子君     筆坂 秀世君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         今泉  昭君     理 事                 景山俊太郎君                 鈴木 政二君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 泉  信也君                 鹿熊 安正君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 中島 啓雄君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 弘友 和夫君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君    国務大臣        内閣総理大臣   森  喜朗君        郵政大臣     平林 鴻三君        国務大臣     堺屋 太一君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    政務次官        総務政務次官   海老原義彦君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       古田  肇君        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       平井 正夫君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      鈴木 孝之君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        上杉 秋則君        総務庁統計局長  井上 達夫君        国税庁課税部長  村上 喜堂君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        文化庁次長    伊勢呂裕史君        厚生大臣官房統        計情報部長    金子  洋君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        杉山 秀二君        通商産業大臣官        房審議官     吉海 正憲君        通商産業省機械        情報産業局長   太田信一郎君        特許庁長官    及川 耕造君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        労働大臣官房政        策調査部長    松崎  朗君        労働省労政局長  澤田陽太郎君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、八田ひろ子君が委員辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。     ─────────────
  3. 今泉昭

  4. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山内俊夫

    山内俊夫君 おはようございます。私は、自民党に所属しております山内俊夫であります。  きょうは、特に堺屋長官にいろいろ御意見を拝聴したいと思っております。  といいますのは、私は戦後生まれでございますので、長官が昔名づけ親であります団塊の世代のちょうどはしりのところでございます。特にそれ以降、先生のいろんな著作物に私自身興味を持ち、また先生の本をいろいろ読ませていただいたんですが、ちょうどそのころ私は青年会議所という団体に所属いたしておりまして、町づくりというものを常に仲間と一緒に考えておりました。  そのとき、先生に実は高松にお越しいただいたときに、私は印象に残っているんですが、高松空港はYS11しか飛んでいない、東京―高松間が約二時間強かかっていた時代です。日本でも一番欠航率の高い空港だったものですから、冒頭に言われたのが、今からはスピードが大事だ、時間が大事なんだということをおっしゃっていただいて、こういうローカル空港はもう早くなくしたらいいねというような御示唆をいただいて、それ以降、我々の運動も一生懸命空港づくりに励んだ結果、何とか今いい空港ができ上がっております。  特に先生の本の中でもいろいろ、「知価革命」だとか「油断」、「千日の変革」、「現代を見る歴史」とかいう大変ためになる本があったんですが、私はちょっと先生の、長官の本の中でも毛色が違った本で非常に印象に残っているのがありまして、それはたしか「陽だまりの雑木林」というような短編小説だったろうと思うんですが、一九七〇年代にやはり日本社会を元気をつけようということで、猛烈社員という会社人間という人たちがおりました、その人たちに対する少し皮肉もあったんだろうと思いますけれども、割かしのんびりと自分の趣味を生かしながら生活をしていく、その男が実はこの日だまりの風景の中で、長官はもう既にそのころから二十年先、三十年先を多分読まれていたんだろうと思いますが、高齢人たち社会にもっともっと参加してもらいたい、社会の一員という位置づけをしたいというような、私そういうような感じをとらさせていただいたんです。  そういったときに、今日高齢社会というものが実は今大変なことが叫ばれておりますが、私は二十一世紀、もう数十年しますと私は逆に人手が足りなくなってくる、そういう時代に必ず転換してくるんではないかなと思っておりますが、長官そのときに、先般私はどこかの会合でお聞きしたんですが、七十歳まで働けるような社会にしていきたいなというような構想も述べられております。私自身も今ちょっと医師会の皆さんと相談しながら一年半かけてプログラムをつくりました。元気で寝込まずぽっくりといこうよという、ニューGNP構想というやつを、ようやくプログラムができ上がりまして今週の二日に早稲田大学で公開シンポジウムを開くというところまで何とかこぎつけたわけですが、やはり高齢社会を、二十一世紀というものをどうとらまえていくかといったときに、実はこのIT革命というのがかなり大きなウエートを占めてくる。  そういった意味から、私はこのIT推進というものについては大いに光を当て加速をさせていく必要があるなと考えておりますが、実は森総理が本年九月、日本新生の最重要の柱という位置づけをいたしまして、五年後には世界の最先端国家に、確実に大きなうねりにしていかなきゃいけないと、リーダーシップを大いに発揮していただいたんです。余りほかではリーダーシップを発揮しているように私は思わないんですが、これについては本当に一生懸命やられておりますけれども、そういったこともあって、また背景に小渕総理がやはりIT推進をやろうということで、昨年、一昨年ぐらいからパソコンなんかの販売台数というのはもう既にテレビ受像機を追い越しております。それと情報関連機器の単年度償却ということも政府が打ち出して、このITAV関係については一気に加速をされておると私は認識をいたしておるわけでございますが、私は大きな二つの柱があるんじゃないかなと思うんです。  といいますのは、その最先端国家にするために今回の法律の中では六つ理念を提唱されております。すべての国民が享受できる社会にしたい。二つ目には国際競争力をもっともっと強化したい。三つ目にはゆとりとか豊かさを実感できる国民生活の実現。四つ目には住民福祉向上五つ目には官民の役割分担、つまり民主導でいきたいということをおっしゃっております。そして六つ目には利用機会格差是正情報に対しての格差是正していくんだと。この大きな六つ理念森総理は唱えられております。  今度、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法制に当たり、私は、長官が一番大事にしたい、これについては絶対引くことはできないし、どんどんこれについては光を当てていこうじゃないかといったところを、ずばりねらいをお聞きしたいんですが、よろしくお願いします。
  7. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 山内委員からいろいろ私の過去の著作についても御紹介いただきまして汗顔の至りでございます。今、委員が仰せられたのは、恐らく「世紀末の風景」という小説の中の「下り坂の芝生」というものだと思いますが、十数年前にこういうゆとりある暮らしというのがやはりサラリーマンといいますか勤労者社会にも重要になってくるだろうと予測したものでございました。  大体、世の中そういう傾向が広まってまいりまして、非常にそういう意味では人々暮らしは豊かで余裕があるようになったのでございますけれども、その反面、やはり高齢者が増加する、あるいはリストラその他労働流動性が激しくなるということになりますと、いわゆる職縁社会職場にさえ属していれば経済的だけではなしに友だち、人脈にも恵まれるし、その都度必要な人々との情報交換ができる、職場中心に生きていればよかったという時代から大分変わりつつあります。  このIT一つの大きな役割は、それぞれの人が情報発信情報受信という能力を持つ。いわば従来の情報というのは鉄道のようなものでございまして、この鉄道会社が動かしている車両に、一定の線路、一定の時間に決められた列車に個人は乗るか乗らないか、乗らなかったら後はてくてく歩くだけと、こういう仕掛けになっていたのが、このインターネット自動車を手に入れたようなもので、いつでもどこでもその個人が好む方向に行ける、そういう社会になってくるだろう。政府として必要なのは、それぞれの人が好み自動車を買い好み方向に行かれるときに、交通信号がしっかりしている、あるいはその自動車欠陥車を売っちゃいけないとか、そういうようなルールを定める、そして公共の施設は、必要なもの、道路、橋、駐車場はつくっていくと、こういうような条件になってくるんだろうと思うんです。  今の六つの原則はいずれも重要でございまして、どれを失ってもいいというものではございません。したがって、ここに書いておるわけでございますが、やはり私といたしましては、国際的な最高水準のものをつくる、この進歩ということがまずございまして、その進歩していく段階格差是正であるとか価格の問題であるとか、あらゆることが出てくる。だから、まず自由競争民主導によって進歩させるということが第一にあるのではないか。その中にいろいろな使い方でいろいろな人々の幸せができて、そしてその欠陥をなくして、ディバイドをなくしていくと、そういうような仕掛けで考えております。  まず事を進める、これが今の日本にとっては一番重要なことではないかと思っております。
  8. 山内俊夫

    山内俊夫君 長官は現状というものを非常に常に分析をされておられますし、長官の過去の本の中にも、常に歴史というものに我々は、現代人は教わると、それから次の展開というものを読んでいかなきゃいけないということもよく言われるわけなんですが、長官が、じゃ二十一世紀、実はこのIT革命IT推進ということは、きのうだったと思うんですが、連合委員会ですかね、その中であくまでもIT技術というのは手段なんだ、道具なんだということをおっしゃっていただきました。私もまさにそのとおりだと思っております。  では、この道具を使って二十一世紀をどういう社会にしたらいいのか、これを大いに活用しながら新しい日本の二十一世紀像というものをどう構築していったらいいのか。このあたり長官の、先ほど言いました読みの深さというんですか、シミュレーションの確かさというものをぜひお聞かせをいただけたらと思うんですが。
  9. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 私は一九八五年に「知価革命」という書物を書きまして、今この二十世紀の最後の二十年間、そして恐らく二十一世紀最初の何年間かに人類は非常に大きな変化、恐らく農業革命、そして産業革命、その次の革命と言えるような大変化を経験するだろう。これは規格大量生産から多様な知恵時代への変化。その二十年、三十年ほどの間の一番のハイライトになるのが今私たちが経験しているこのIT革命、この数年間ではないかという気がしております。これによって、従来の規格大量生産型の工業社会から、多様な時代知恵時代世の中が大きく変わってくる。そうなりますと、一方では国民生活暮らしが変わる。他方では産業経済が変わる、この両方ががらりと変わると思います。  暮らしの面で申し上げますと、何より大きく変わるのは、昔は血縁社会であった、それが地縁社会、村々でそれぞれ地域で固まっていた、そしてその地域産業革命で崩壊いたしまして、そして戦後の日本は見事な職場のえにし、職業職場でまとまるような社会をつくった。それが今度は、インターネットを通じて、情報機関を通じて、広く興味一緒にする者、好みをともにする者あるいは悩みを分かち合う者、そういった者が結びついて、お互いに楽しみ、お互いに助け合うというような、そういった新しい好縁社会好みのえにしのコミュニティーが出てくる。それが一つ大きな変化になるんじゃないかと思っています。  一方、産業経済の方で見ますと、このITが入りまして情報が加わることによって多様な生産が非常に便利にできる、そして今まで隠れていたマーケットと供給力、この両面が発揮されることによりまして新しい供給、そして生産性向上が行われる。その段階でさまざまな問題が生ずることも事実でございますが、全体としては、みんなが本当に好きなもの、好きな人、好きなときを選んで生きられる幸せの高い社会が出てくる、そういうものを目指したいと思っております。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  確かに、このIT革命IT推進していくということは、私はかなり明るい未来が見えてくるんですが、もっともっと光を当てたいなと思っているんですが、当然、光を当てますと影ができてきます。その影の部分について少し長官の御意見もいただきたいなと思っておるんですが、例えば影の部分、実はコンピューターネットワークで生じてくる犯罪というものがかなりふえてくるし、我々の想像しない犯罪というものが、多様化した犯罪がわき上がってくるんだろうと思うんですね。  犯罪というものについて、私はこれは人間がつくったシステムですから、当然人間が意図を持ってその犯罪をやろうと思えばできるわけなんです。それの歯どめをするのがやっぱり法律であり、最終的にはモラルの問題になってくると思うんですけれども、日本社会というものは御承知のとおり非常にペナルティーの甘い社会なんですね。  アメリカというのは非常に厳しい。例えばインサイダー取引をやると一生涯その人間証券業界にはおれないというような厳しさがあります。ライセンスに対するペナルティーは非常に厳しい。ライセンスを剥奪されるということがあります。  日本の場合は、よっぽど破廉恥行為を起こさない限り、その一度いただいたライセンスというのはそう簡単には剥奪されないという非常に犯罪者に対して甘い社会であるなと私は思うんですが、これはやっぱり、世界的な動きの中でもっともっと犯罪というものに対してのペナルティーというのは私は厳しく今後やっていかざるを得ないのかなという気がするんですね。  そういった中で、例えばおもしろい話があるんです。刑務所の中で一番胸を張って上座に座っているのは実は詐欺師なんですね。傷害を起こした人間というのは小さくなっている。そこで、おまえたちはばかだと、犯罪をやるのにそんな効率の悪いことをやるから、おまえたちはそんな不効率なことでこういうところに入れられるんだと。おれは詐欺をやっているんだと。詐欺はうまくいけば数億、数十億ももうけるよと、犯罪ペナルティーは比較的軽いよというふうなことで結構胸を張っているという、ちょっと笑い話みたいな話があるんです。  犯罪を犯す場合、かっとして瞬間的に人を殺したりというこれはもう別にいたしまして、基本的に常に犯罪者というのは計算をしながらやっていると思うんですね。その計算をしていく場合、今度IT技術というものに対して、これは新しいジャンルですから、我々が想像し得ない犯罪というものが今から出てくるんです。  これは最終的にはモラルに頼るしかない。じゃ、そのモラルをどう高めるかということを我々はいろいろ政治の場合も検討していかなきゃいけないし、指導をしていかなきゃいけないんですけれども、やはり最終的には私はペナルティーというものの歯どめがそれなりにこのIT社会を健全に成長させていくんだろうと思うんです。余り影部分を厳しくやるのもどうかと言われるんですが、最低のこれだけは守りましょうよというペナルティーは私は厳しくしていく必要があるんじゃないかなと思うんですが、このあたり長官の考え方というのをお聞かせいただきたいと思います。
  11. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) このIT問題点は幾つかございまして、ほかのものと違って直接人体を傷つけることがないものですから、やっている人に犯罪意識が薄いという問題がございます。例えば、個人情報流出等の問題ですと、別に悪いと思わないでやっているという人が結構いるんですね。それからもう一つは、きのうもテレビニュースに出ておりましたけれども、破廉恥行為、これも自分が見えないものですから何となくおもしろがってやっていて、大したことだと思わないというようなこともございます。  さらに、名誉毀損関係でいいますと、うわさ話をどんどん流して責任をとらないというようなものもございますが、その出していることの影響は大したことはなくても、それを今度取材にして雑誌とかなんとかに載せられますと大変重要な問題になってくる。それで、雑誌の書き方で、と言われているとか、といううわさがあるといったら、ここのホームページに出ていたからそれでおれは無罪だと、こういうような非常に新しいモラルの問題が出てきていると思います。  委員御指摘のように、犯罪ということになりますと、それぞれ犯罪防止法をどんどんつくっておりますが、まだまだ十分ではございません。電磁的記録不正作出供用罪というものも出しました。これは割と強うございまして、私的な記録で五年以下の懲役、公的なものになりますと十年以下の懲役、結構そういうような、あるいは電算機に入っておりますソフト、記録を破損したときには五年以下の懲役とか、あるいは電子計算機を使用して詐欺をしたとき、これも詐欺罪でございますから十年以下の懲役と。それから不正アクセス、これは非常に緩うございまして、一年以下の懲役というようなことになっておりますが、なかなか調査の方も、捜査の方も国際的に飛び回るものですから難しいということがございます。  今、そういった個人情報保護、この法律は準備しているところでございますが、それから名誉毀損関係、あるいは間接的な嫌がらせその他、そういったことの法整備もやらなきゃいけない問題点一つだと思っております。  ただ、こういう新しい機器、新しい操作が出てまいりますと、どんな犯罪、あるいは犯罪に至らない不正不当な行為がどこでどのように起こってくるかということもなかなか見きわめられない。我々も技術を開発いたしますけれども、そういう人たちもどんどん技術を開発しておりまして、いささかイタチごっこのところがございますので、この法案にもございますように安心、安全という点には十分注意して、それに対応した法整備もこれは欠かせないことだと思っております。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かに、安心、安全というものがやはり社会の中で一番大事なことだろうと思いますので、ぜひそのあたり法整備については厳しくやっていただきたいなと。  今からちょっと具体的な質問をさせていただくんですが、それぞれ郵政省さんとか国税庁、いろいろ私きょうお願いをして来ていただいておりますが、まず郵政省の方にお聞きをしたいのは、実はこのIT社会の中で一番最初に動き始めたというのは、民間プロバイダーというのが随分雨後のタケノコのごとくがっと立ち上がってきました。  私の香川県におきましても、平成六年ぐらいからその話がちらほらあったんですが、その当時、三十代の若手人たちが一生懸命、最近インターネットがはやってき出したんだから我々はプロバイダーをやりたいのでぜひ県の方にもいろいろ協力をお願いしてくれということで私もお手伝いをしました。平成七年に民間プロバイダーが初めて立ち上がったんです。それと並行して県のネットワークも立ち上がりまして、瞬間風速ですけれども、平成八年に香川県が人口割合に対するインターネット利用者というのは日本一になったことがあるんです。  そういうような経緯もありまして、その若手プロバイダーは随分経験を積んできておりますけれども、彼らが異口同音に今心配をしておりますのは、プロバイダー責任範囲というものをどうとらまえたらいいのか、どこまでプロバイダー業者として、これについてはあなたはきっちりとやってもらわなきゃいけない、その責任範囲というものが案外今明確じゃないという意見があるんです。それについて、中小のプロバイダーですから大変そういったところを心配いたしておりまして、一つ間違えば小さなプロバイダーですから、せいぜい一万人しか入っていないプロバイダーは一気につぶれてしまう心配があると。  特に、きょうの朝の新聞なんです、これはヤフー・ジャパン捜索、ネットオークション絡みということで、ヤフー・ジャパンぐらいになると随分力がありますから、これでビジネス的な経営困難には至らないと思うんですけれども、一生懸命頑張ってきたまじめなプロバイダーもおります。そういった人たちが一番心配しております今私が申し上げました責任範囲というものについて、郵政省、どのような考え方をされておりますか。大臣、よろしくお願いします。
  13. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 今、委員がおっしゃいましたプロバイダー責任範囲をどのように定めるかというようなことも含めまして、基本ルールを整備する必要というのが急がれるわけでございます。  事業者やあるいは利用者安心してネットワークを活用できるようにするためには基本ルールをきちんとつくらなければいかぬと。先ほど堺屋大臣がおっしゃいましたように、プライバシーの侵害でありますとかあるいは名誉毀損著作権侵害等の違法な情報の流通に関してプロバイダーはどこまで責任を持つべきなのか、そういうことでございます。  また、そのための法的措置のあり方、これも定めなければなりませんので、現在、九月から急いで専門家の検討をお願いいたしております。これは郵政省の中でインターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会というのを設けまして鋭意検討をいただいておる真っ最中でございまして、他方、本年十月に開催されましたIT戦略会議と戦略本部の合同会議におきましてIT担当大臣から、プロバイダー等の責任の明確化など、電子商取引の特質に応じたルールや情報社会の基本ルールについて次期通常国会に向けて必要な法律案の策定作業に関して指示がございました。  さようなことで、現在、この関係事業者、有識者等の御意見を十分に伺いながら、また関係の省庁がございます、通産省、法務省、文部省などと協力して法制化に向けた作業を速やかに進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 大臣、ありがとうございました。  今、大臣の話の中で少し著作権の問題というのが出てきましたので、これは場合によれば文化庁の方にお聞きしなきゃいけないんだろうと思うんですが、日本音楽著作権協会、JASRACというのが本年八月にプロバイダーの音楽不正コピー、これに関して法的責任を明確にしてほしいといって文化庁の方に要望が出されている、陳情されているという問題があります。  特に最近の事例の中では、札幌の十八歳の子供が摘発されたという事例もございます。アメリカでは、ナップスターというソフトを開発した会社が著作関係なしにネット配信をしているという問題が起きて、これは今アメリカの全米レコード協会といろいろ係争中でございます。これはもう世界に今そういった問題が起きてきておりますけれども、ただプロバイダー側にしますと、通信の秘密などを義務づけた電気通信法というものを盾にして、なかなかそれは公開できない、また情報提供できない、またそれを遮断することもできない、我々は何をしたらいいんだろうという意見もあるんですね。  このナップスターの状況まではまだいいんです。これはプロバイダーを経由してやりますからいいんですが、何かもう一つそれよりもすごいソフトが最近出ているというんですね。グヌテラというソフトがあって、これは個人がパソコン、個人個人のパソコン同士を直接結んで、お互いの持っているCDから落とした音楽を仲間に分けたり仲間からもらったり、例えばそういうのも自由にやれるということになってきておりますが、この著作権をどう守っていくかということについて文部省の御見解をちょっとお聞きしたいんですけれども。
  15. 伊勢呂裕史

    政府参考人伊勢呂裕史君) 御説明いたします。  現在、ナップスターなどアメリカで行われております個人間での音楽などの無償交換を可能にしておりますソフトウエアと同種のものは、今後我が国におきましても回線等について技術の進展に伴いまして出現する可能性があると思っております。  著作権法におきましては、権利者に無断で音楽ファイルなどをインターネット上で交換可能にした送信側のユーザー、これは複製権、公衆送信権の侵害によりまして不法行為責任などを問われることになるわけでございます。  なお、音楽ファイル等を受信したユーザーにつきましては、私的使用の目的でダウンロードするということにつきましては、私的複製として自由に行うことが認められておりまして、著作権侵害行為に当たりません。  一方で、サービスプロバイダー等の仲介者につきましては、著作権侵害行為を行っているわけではないわけですが、このようなソフトウエアを配信するなどの著作物の違法な利用を積極的に関与しているという場合には、ユーザーとの不法行為責任を問われることがあり得るというふうに考えております。こういった音楽ファイル交換ソフトを使用するなどによりまして、インターネット上で著作権侵害が行われている場合のサービスプロバイダーの法的責任の明確化につきましては、現在著作権審議会において検討を進めているところでございます。  この問題につきましては、著作権だけの問題ではなくて、先ほど答弁がございましたように、名誉毀損等ネット上の他の権利侵害との均衡にも配慮する必要がございますので、関係省庁とも連携を図りながら本年中に対処方針を取りまとめたいと考えております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 文化庁の対応というものも、先ほどの関連したもので早く対応していくという御意見なんですけれども、今の時代というのは物すごいスピードなんですね。確かに政治にもスピードが求められておりますし、社会経済活動もスピードアップということが常に言われております。ぜひこれ早急に対応していただきたいなと思っておるわけでございます。  次に、通産省に絡んでくるんですが、ネット通販の問題でちょっと質問をさせていただきたいと思います。  このネット通販というのは、どうしても顔が見えないネットの世界でございますので、物を売った場合、いろいろの問題が出てくるんですね。思った物が届かなかったとか、数が私は五個しか注文していないのにワンケースどすっと、何百個来たとか、そういう事例が最近特に起きております。それは、端末をさわりますから、記入したときに違った数字を押すだけで数字が変わってくるわけなんですね。それを注文を受けた側は送ってくる。でも、その世界というのは、顔が見えて対面販売しておりませんから、どこに会社があるかというのは、大体、ネット上ですから番地だけはわかりますけれども、販売責任者がだれかわからない。  そういったときに、訪問販売法という法律が今あるんですけれども、そういったものはどうしても適用できないんですね。だから訪問販売法の適用外になっておるという。クーリングオフという制度も適用できない。いろんなトラブルが今から生じてくるんですが、これについて通産省の方はどのような考え方をされておりますか。
  17. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘ありましたように、電子商取引の進展に伴いまして、消費者トラブルというのも急速に増加をしております。したがいまして、私どもとしては、こういった電子商取引におきます消費者保護策というものについて強化推進しなければいけないという基本的な考え方でございます。  今、先生具体的に例をお挙げになりましたが、例えば注文どおりの品物が来ないというようなトラブルに対しましては、これも御指摘ございましたが、訪問販売法の中の通信販売規制というものの中で従来から、広告の中で、商品をいつ引き渡すか、そういう引き渡しの時期あるいは事業者の連絡先はどこかといったような、そういった重要事項を広告の中に表示をしなければいけないという義務づけがございます。あるいは虚偽あるいは誇大な広告はしてはいけないという禁止の義務がございまして、こういったことによって消費者が事前にどういった取引条件なのかということを十分に確認できるというようなことにしておるわけでございまして、私どもとしてはいろいろ、例えばことしもやりましたけれども、一定の日を決めて、インターネットサーフデーと称していますが、実際にどういった商取引の現状にあるのかということを調査いたしまして、そこで悪質な事業者はこれを取り締まるというようなことをいたしておるわけでございます。  また、例えばクリックミスでございますが、希望と違う物をクリックミスで注文してしまったというようなトラブルも最近急増しております。これに関連をいたしまして、今臨時国会におきまして訪問販売法を改正していただきました。それによりまして、事業者に、誤注文を招かないような申し込み上の画面を、消費者にわかりやすいような画面設定をするということを義務づけておりまして、消費者が申し込み内容を十分確認できる、あるいは最後に誤りに気がつけばちゃんと訂正ができるように画面の設定をしなければいけないというようなことを手当てしたところでございます。こういった規制措置を実効あるものにするために監視活動というものを充実強化していきたいと、それによって法執行の徹底に努めたいというふうに考えているところでございます。  また、若干敷衍いたしますと、非常にスピーディーに技術が進化いたします。そういった意味では、国の規制だけではなくて民間の自主的な取り組みというのも重要だと考えておりまして、例えばことしの六月から日本商工会議所等がやっているわけでございますが、消費者が信頼できるそういうお店を選びましてマークをつけてやるというオンライントラストマーク制度というようなものも運用を開始しているところでございます。  こういった民間の自主的な取り組みに対しましても、私どもとしては必要な支援をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 通産省さん、私は、確かに商工会議所とかそういうところで審査会をつくって、ホームページの角にオンラインマークをつけるという新しい方式、私も知っておりますけれども、このネット通販というのは、一人の個人がいきなり例えばヤフー・ジャパンの検索の中に入れて、自分は今こういう車を持っているんだ、だれか買う人はいませんかと。そうしたら、それこそ人気車種だったら、通常中古でも二百万するやつが、いや実は百万で売りますよと言えば、あっという間にアクセスしてくるんです。これは私もある車屋さんから聞いたんですが、ちょっと安ければあっという間に二百件、三百件の問い合わせが来る。そこに、では振り込みをしてください、品物をこうこうこういうルートでお渡ししますというメールが返ってくる。それで商品が動きますね。動けばいいんです、動かずにお金だけ全部集まってとんずらしてしまうという人も出てくるんです。  これは、先ほど冒頭に私が話をしたように、要するに最低のモラルというものがどうしても求められるわけですが、そうした場合、それでも犯罪を犯した、一つ間違えばあっという間に数億のお金を手にすることができるこの社会、それに対してもっと厳しさとスピードというのは私はもっと要るんじゃないかなと思います。ですから、オンラインマークで果たしてうまくいけるのかどうか。このオンラインマークの具体的なやつを少しお聞かせいただけたらと思うんですが。
  19. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) オンライントラストマーク制度について若干御報告をさせていただきますと、これは日本商工会議所と日本通信販売協会が共同でやっているものでございまして、いわば消費者が信頼できるネット通販のお店を選択するのに情報提供として役立てようという趣旨で、ことしの六月から運営を開始しております。  一定の基準のもとに、例えば法令がちゃんと遵守されているかとか、あるいは申請者がきちっと実在をして事業実績がしっかりしたものがあるかどうかといったような基準で審査をいたしまして、その審査に通った企業を認定してマークをつける。それによって、そのお店ならば消費者が信頼できる蓋然性が高いという情報を提供しようとするものでございます。ことしの六月から運営を開始しておりまして、現在までに約三百七十社がそのマークを取得いたしておるところでございます。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 私は、インターネットの世界というのは、基本的には自分の自己責任というのを大事にしたいなと思うんです。余り何でも規制をかけますと、いやこれはもうそれがないから我々消費者は大損をさせられたんだと、これが今までの日本社会なんです。その矛先は業界に行き、国に来るわけですね、役人のところに。ですからまた厳しいものができ上がってくる。この悪循環が実は経済活動も阻害している。  ですから、消費者もやはり自分で自立をするというか自己防衛するというか、そういう思想を、私はこのオンラインマークを一つの契機に、オンラインマークは絶対安全ですよ、けれどもこれの入っていないネット販売については十分あなた方消費者の皆さんも調査しなさいよ、調査に対する資料は幾らでも提供しますよという社会構造にしていかなければ、全部また役人任せになってしまう。ですから、役人がどんどんふえてしまうという悪循環を私は起こすと思うんです。  ですから、ネット販売については、基本的な精神はやはり自立、自己防衛というベースを私は崩してもらっては困りますけれども、この自覚を消費者にももっとPRしてほしいなと思います。このオンラインマークをもっとうまく活用するようにお願いしたいなと思います。  それでは、あと時間が余りございませんので、特許対応についてちょっとお聞きをしたいと思うんです。  最近、ここ一、二年前からビジネス特許という活字が随分躍ってまいりました。一生懸命今まで個別の特許については侵害しないようにやってきたんですが、IT技術が発達してきますとシステムが特許になるんですね。こういうものをこういうシステムで売るとこれだけ企業としての利益が出るよということでやり始めた。それをまねてやると特許侵害というのが、今度ビジネスモデル特許というものが大きな問題になってきている。これは特に世界、国を越した状況の中でやっておりますから、一つ間違えば数百億利益を上げたけれども、あっという間にビジネス特許に抵触したということで訴えられて、その利益をすぽっと持っていかれる。またアメリカはそれをねらっている人たちがいるというようなことも聞いております。  この場合、日本は、ちょっと私が調べたところによりますと、特許審査官というのは千名ぐらいしかいないんですね。アメリカは今三千名います。そのうち約半数は、ここ数年このIT関連の人たちを千人ぐらいふやしてきております。私がちょっと調べてみますと、IT関連の特許庁の審査官というのは十名しかいないというのですね。これは大変私は寂しい限りじゃないかなと思うんです。これは専門的な分野ですから、かなりの専門家の知恵を集めないとこの審査はできない。アメリカはほぼ一年でいろんな特許審査がおりるというんです。日本は大体二十カ月ぐらいかかる、二年近くかかる。  このスピードも、日本経済というものが世界の動きに追いついていけない部分もあろうかと思うんですが、このあたり審査官の育成とか充実、こういったものについて対応はどのようになされておるのか、ちょっとお聞かせいただけたらと思うんです。
  21. 及川耕造

    政府参考人及川耕造君) 御指摘大変ありがとうございます。  おっしゃるとおり、これまで特許と申しますと、どちらかといいますと理工系の技術開発が多うございまして、ビジネス関連発明というのはむしろ金融でございますとか証券、運輸、あるいは商業等にかかわる分野が大変多うございます。したがいまして、先生御指摘のとおり、特許庁の審査官には必ずしもこれに習熟した者が多くないというのは事実でございまして、私ども、つい十月でございますけれども、この分野等についてのパッケージの政策を発表させていただきまして、現在パブリックコメントを求めておりますけれども、その中の一環といたしまして、御案内のとおり審査官の育成、それから外部の方々の知見の活用等々につきまして対策を打ち出させていただいております。  おっしゃるとおり、アメリカ等におきましても、御案内のとおりビジネス関連発明に関する特許付与というのは進んでおりますけれども、我が国におきましても近年急速に申請が増加しております。したがいまして、何よりもまずデータベースの作成等を充実させまして、審査の体制を強化しつつ、その中の一環として御指摘の審査官の充実等も図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 これもスピードをかなり要求される分野だと思います。ですから、すべて特許庁が職員を抱えるという方法もあると思うんですけれども、やっぱり民間の会社でかなり優秀な専門分野がありましたら、そこに外注してでも一緒審査をどんどんやっていく、逆に外国に対するチェックもしていく、これは両方要ると思うんです。申請は上がってきたけれども、その申請を審査するのに時間がかかるということではだめだし、時間がかかるということは当然情報が少ないからということもありますから、そういったところをもっと充実していきたいなと思っております。ぜひよろしくお願いしたいなと。  最後になりました、あと四、五分しかございませんので。これは、先ほどインターネットというのは世界を、地球上をエリアにしたということで動いておりますから、税務の問題はどうなるんだろうなと。  これは非常に素朴な私の考え方なんですが、税金コストの軽減のために、ある専門家は、日本で会社を設立したり日本の国内にあるサーバーにアクセスしたりするというのは、実はこれは税金対策上余りよろしくない、そのために国外に置くんだと。例えば香港あたりに置くとか。そうすることによって非常に税金がある意味では逃れられるといいますか、悪く言えば税金逃れをやる、よく言えば節減だとか節税だとかという言い方をするわけなんです。  つまり、このサイバー空間に税が消えてしまっているという状況が今起きていますね。特にヨーロッパの社会なんか、EUの中ではこの関係の税金がほぼ一兆円ぐらい毎年今消えてなくなっている。本来は税金として取れるやつがなくなっている。特に消費税もかけられないような状況が起きているということです。  日本でもこのサイバー税務署というのはことしの二月に設立されたと聞いておりますけれども、この中身を少し御説明いただけませんでしょうか。
  23. 村上喜堂

    政府参考人村上喜堂君) お答えいたします。  今御指摘のように、電子商取引というのは、通常の商取引と異なりまして、いわばその取引に国境等が存在しないということから、ネットワークを通じて取引が広域化、国際化をいたします。また、納税者の把握であるとか取引状況の把握が困難、そういった事情もございます。  こうした問題に対処するために、従来型の対応ではちょっと不十分だと考えまして、本年二月、国税局に電子商取引専門調査チームというのを編成しておりまして、コンピューターの専門家であるとか海外取引の精通者を配置しているわけであります。このチームで電子商取引の事業者であるとか関連事業者に対する税務調査、あるいは資料、情報の収集を行っております。  同チームは本年二月に発足しましたが、六月までの間、法人、個人合わせて約七十四件の税務調査を行いまして、約二十億円の申告漏れを把握しております。この中に、インターネットを活用しましたクロスボーダー取引も含まれております。  さらに、そもそも電子商取引というのはクロスボーダー取引に特徴がございますので、この点、諸外国の税務当局も同様の認識を持っております。したがいまして、国税庁といたしましては、諸外国の税務当局との間で国際協力の場におきまして情報交換、あるいは租税条約に基づく情報交換というのがございますが、そういった場を通じまして、お互い情報交換であるとかノウハウの蓄積に努めているところであります。  今後とも、そういう取り組みを強化いたしまして、適正な課税に努めてまいりたいと思っております。
  24. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かに、国際化、特にグローバル化しているこの世界で、やはり本来なればそこで落ちる税金が取れなくなってしまうというのは、これは大変な問題なんですね。日本が取れなくてもいいんですよ、日本の国内の人たちに。ところが、外国の人たちにどんどん吸われてしまうという、これは本来なれば日本国内にプールされなきゃいけない資金がすべて外国に吸われてしまう、ストロー現象を起こすとかになってしまっては、これは日本社会も大変な問題でありますから。  当然、諸外国とのいろんな絡みも今後はあると思います。これは本当に早急に詰めて、特にアメリカ、ヨーロッパ、最近では特に中国社会も国際社会の仲間入りしようということで、著作権の問題とかいろんな世界にある程度合わせてこようとしている動きがあります。ぜひこのあたり国税庁あたりも、人的な問題もあろうと思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  25. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 最初堺屋担当大臣にお尋ねいたします。それは、基本法案に言う「ゆとりと豊かさ」というのはどういう状態を言うのかという意味でございます。  IT基本法を拝見しますと、六つの基本理念が掲げられており、その第五条に国民生活の利便性の向上生活様式の多様性の促進などによる「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならない。」、こう書かれているわけでありますけれども、この基本法を読む限り、今我が国がやろうとしていることはITを普及、促進することだなということはよく読み取れるわけであります。  しかしながら、もう一歩踏み込んで、それでは何のためにということを考えてみますと、さまざまな疑問や不安、あるいは未消化の部分が出てくるわけであります。  例えばコンピューターの情報処理のスピードが速くなるということが人間にとって本当に幸せなことなんだろうかという疑問を持つ人もおりますし、むしろ人間関係を希薄にしてしまうのではないかということを懸念する人もおります。また、IT化が進むと仕事が楽になるのかきつくなるのかわからないという人もおりますし、新たな雇用問題が発生しないだろうかという懸念を表明する人がおります。また、アメリカで見ているように所得格差が生じないだろうか、貧富の差が大きくなるのではないか、物金執心の世の中になってしまいやしないか、拝金主義になるのではないか。また、画一的な均一的な対応が求められ、個性とか多様な価値観あるいは文化が否定されることにならないだろうか。また、サイバーテロの攻撃から自分の生命、財産を本当に守れるのだろうかというようなことを心配する人は大勢いらっしゃるわけであります。  しかしながら、人類がITという言ってみればパンドラの箱をあけてしまった以上、それから目を背けて済ませられる問題ではないと思いますし、やはり適切な対応をしていかなければならないと思うわけでありますけれども、ITがもたらす不安とか問題については具体的に後でお尋ねするとして、まず第五条で言う「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活」について、もう少しかみ砕いて御説明いただきたいものだと思っております。  と申しますのは、ゆとりとか豊かさというのはすぐれて個人の感性とか感じ方の問題だろうと思うんです。にもかかわらず、国がゆとり、豊かさということを言う以上は、それを超える何物かがなければ、単なるお題目というんでしょうか、ということに終わってしまうし、政策にはならないのだろうと思うわけであります。  したがって、例えばナショナルミニマムとしてこういう指標を満足させるような施策を講じますよとか、あるいは福祉社会を実現するといった政治目標というんでしょうか、理念を示すとか、あるいは理想的な国家とか人間像というのはこういうものでありますというような目標みたいなものを示すとか、そういったものがなければ、ゆとり、豊かさという言い方というのは、必要条件であっても法案としての十分条件ではないと思うんです。  その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  26. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員の非常に高邁な御質問でございますので、ちょっと二段階で答えさせていただきたいと思います。  まず、官僚的な答弁をしてみますと、本法案が目指す高度情報通信ネットワーク社会において、インターネットを通じたグローバルな情報の交換、共有により、個人好みのえにしでつながる新たな人間関係が形成されていることが予想されます。これは血縁、地縁、そして現在の職業職場のえにしにつながる職縁の社会に次ぐ第四の社会構造と言えるものでございまして、そういう社会が生まれてくる。これが一つの前提条件でございます。  一方、産業経済の面では、ITによる生産流通における生産性向上、あるいは新規事業の創出、企業経営の効率化等を通じ、産業経済の活性化がもたらされると思われます。また、文化の面でも独創的な文化創造や研究活動が行われるなど、さまざまな分野でITの果実が享受され発展されていく多様な知恵時代が生まれてくるだろうと思います。  第五条は、このような高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する基本理念について国民生活の視点から規定したものでございまして、具体的には国民生活の全般にわたる質の高い情報の流通、低廉な料金による多様なサービスの提供により、例えば商品購入や行政手続の手間が省かれる、あるいは在宅勤務やSOHO、スモールオフィス・ホームオフィスの進展による余暇の創出、豊富で楽しいコンテンツによる知的活動、創造活動の活性化など、ライフスタイルが多様化する。消費者がニーズに応じた商品、情報を自由に入手し、最も望ましい商品の選択購入が可能になるなど国民生活の質の飛躍的な向上が期待できる。これはゆうべ私が書いた文章でございまして、このとおりだと私自身自分で書いたのでございますが。  委員御指摘のところは、もう少し立体的に、いいところもあれば悪いところもあるだろう、また進歩に対する不安というのはいつの時代、どんなときにも存在するだろう、そういう面まで含めてどういうように、いいところだけじゃなしに悪い方もどう考えているか、これまた大変難しい問題で、さらに、この法案をつくっていただきまして、インターネットが普及する段階でさまざまに考えていかなきゃいけない問題があろうかと思います。  特に、人間性について申しますと、ITを利用することの便利さ、あるいはそういうことによるバーチャルな世界の気楽さみたいなものがございまして、本当の生身の人間とつき合うとさまざまな気を使うところもあれば傷つくところもあるけれども、バーチャルなつき合いでいる間は非常に楽なんですね。そういうようなことになれてしまうと、本当にリアルな人間とのつき合いの人間性が損なわれるんじゃないか、こういう問題がございます。さらに、インターネットの中で生きていますと、人間的な膨らみとかあるいは人間は常に完全であり得ないものだという本当の理解、人間の理解がなくなるとか、そういうような問題がたくさん出てくると思います。そういったこともやはり社会としてこれをできるだけなくしていく。  その意味では、一方でリアルなコミュニティーを大切にしていく、地域コミュニティーであれ趣味の会であれ、単にインターネットの中で関係するだけじゃなしに、本当にそういう現実の人間の集まりもつくっていく、こういったことが必要だろうと思います。  これに国がどこまで関与すべきか。これはまだ次の大きな問題だと思いますが、例えば今私たちが進めておりますインターネット博覧会でございますと、一方では各道府県、東京都を除きます道府県とか企業とかNPOとか、そういったところが出展していただいて、インターネットの中でバーチャルな行事を行うと同時に、できるだけリアルな行事も行っていく。バーチャルな行事を見ておもしろかった、参加したいという人は、そこへ行くと、同じ、いつもネットでつき合っている生身の人間が会うことができる。  そういうような相互の繰り返し、バーチャルとリアルの世界の相互の繰り返しで、バーチャルな世界のあることによる便利さとそしてリアルな世界にある温かみと、この両方がうまくマッチするとここに書いてある豊かさとゆとりというものが生まれてくるんじゃないかと考えております。
  27. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ありがとうございました。  学校の授業でも同じだと思うんですが、やはりついていかれないということになると決して幸せには思わないだろうと思いますし、登校拒否みたいなことが起こるのかもしれません。したがって、スピードスピードというところだけ目を向けて施策を進めようとすると無理があると思いますので、今、長官がおっしゃられたようなところを十分御配慮いただきたいと思いますし、私も意見を大いに申し上げていきたいと思います。  それでは次に、公正取引委員会にお尋ねします。  自由競争とか市場メカニズムに内在している基本的な問題として、過度の集中とか独占的慣行が生じやすいという問題があると思います。今日のようにIT時代だということになりますと、さらに勝者と敗者の差が歴然とする、あるいはそのスピードが速いということも重なりますから、とりわけ市場において公正な競争条件が保たれるように、そのために従来以上に留意していく、あるいは監視していく必要があるんだろうと思っております。  ところで、先日、戦略会議が草案を発表されました。その中で、反競争的な行為という文言を使っておりますけれども、公正取引委員会はこの戦略会議が言う「反競争的行為」というのはどのような状況を想定したものだと受けとめておられるか、また国はどうした状態が生じたときに介入する必要があると考えておられるのか、その辺について見解を伺いたいと思います。
  28. 鈴木孝之

    政府参考人鈴木孝之君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、昨日、IT戦略会議が決定しましたIT基本戦略におきまして、「支配的事業者の反競争的行為に対する監視機能の強化を図る」旨が言及されております。  一般的に反競争的行為は大きく分けて二種類ございまして、一つはカルテルのように市場の中でお互いに自由な事業活動を制約するものでございまして、もう一つは、市場への参入を阻止する、すなわち新規参入を妨害して競争が活発化することを妨げられることが考えられます。  新規参入を必要とする電気通信事業分野の反競争的行為としては、主として後者のような市場支配的地位にある事業者が行う新規参入妨害行為が問題となるものでございまして、例えば市場支配的事業者がみずから提供するサービスと同種のサービスを新規参入者が提供することを阻止するため、不当に当該サービスの提供に必要不可欠な電柱、管路、局舎スペース等の提供を拒否する、あるいは実質的には拒否と認められる程度長期間の契約交渉を余儀なくさせることによって新規参入者の事業活動を困難にさせる行為や、不当な差別的取り扱い行為などが考えられます。  これらの行為は独占禁止法に違反するおそれのあるものでございますので、公正取引委員会としては、市場支配力に着目した非対称規制の導入の有無にかかわらず、反競争的行為により電気通信事業分野における競争が制限されたり阻害される場合には所要の調査を行い、問題が認められれば独占禁止法に基づき厳正に対処する方針でございます。  また、これに加えて、公正取引委員会としては、政府規制等と競争政策に関する研究会を開催し、電気通信事業分野等、規制緩和が進められている事業分野における公正かつ自由な競争のあり方について報告書を公表するなど、競争政策の観点から政策提言を行ってきたところでございまして、今後ともかかる取り組みを積極的に行っていきたいと存じております。
  29. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 公正取引委員会にもう一つお尋ねしますが、先ごろ、既存の加入電話線を利用して高速インターネット接続ができるDSLの事業をめぐって、NTT東日本が競合相手である日本交信網などの新規参入を妨害した疑いで、独占禁止法違反の疑いというんでしょうか、NTTの調査を開始したということが再三報道されております。この捜査に至った経緯、内容について御説明いただきたいと思います。
  30. 上杉秋則

    政府参考人上杉秋則君) お答えいたします。  ただいまお尋ねのように、DSLのサービス提供業者によりますNTTの既存の電話回線を使用しましてインターネットに接続できるデジタル回線事業を開始するに際しまして、NTT東日本が接続等に当たりまして参入阻害的な行為を行っていた疑いがあるということで、現在、審査を進めていることは事実でございます。  これは現在鋭意審査中の事件についてのお尋ねでございますので、具体的内容に関するお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
  31. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今の問題ですが、いつごろ結論が出る見込みでしょうか。
  32. 上杉秋則

    政府参考人上杉秋則君) 本件につきましては、当事者の数が極めて少ないということでございますので、私どもの審査に当たりましては、多数の事業者にかかわる事案はかなり時間はかけておりますけれども、相当急いで結論を出したいと考えております。
  33. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 郵政大臣にお尋ねいたします。  ただいまの問題に関して、先日発行されました週刊東洋経済にこんな記事が載っておりました。お読みになっているかもしれませんが、日本交信網がNTTのMDF、主配線盤というんでしょうか、と相互接続し、NTT加入者線を借りてサービス事業を行いたいと申し入れたら、NTTは数々の妨害工作を行ってきた疑いがある。郵政省はこの妨害工作の決定的な証拠を握っていると。これは記事ですから、どうか、私は中身知りませんが。それで郵政省は、DSLベンチャーの日本交信網とNTT東日本との相互接続協議が不調に終わったDSLベンチャーから裁定申請があったので、それを受け付けて立入検査をしたと。それを踏まえて、十月二十日に郵政大臣裁定を出したという報道になっております。  その裁定の内容というのは、ちょうだいしておりますけれども、日本交信網等が主張していた言い分がかなり入れられた内容になっているのかなと推察されます。  それでは、NTTは例えば電気通信事業法違反で罰則が適用されるのかということになると、なかなかそうでもないように読めます。なぜなれば、この記事の紹介によると、罰則規定の適用というのは接続約款に反して接続協定を締結したときに適用されるのであって、いまだ接続協定が結ばれていない段階でたとえ妨害工作があったとしても罰則は適用できないんだと、こんな解説になっております。  これが正しいのかどうか、それから大臣裁定を出された経緯、あるいはこの約款問題について、罰則規定が今のままでは適用できないんだということは、つまり事前の妨害工作を容認する、放置するみたいなことになるわけですから、私は改正するべきではないかと思うんですが、その辺の御見解を承りたい。
  34. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) ただいま寺崎委員が御指摘になりました事件でございますが、日本交信網有限会社がDSLサービスを行うためにNTT東日本の設備との接続を請求いたしました際に、日本交信網の設備のNTT局舎内の設置場所及びその設置のための調査費用の負担額につきまして、NTT東日本との間で協議が調わず、電気通信事業法第三十九条第三項の規定に基づいて八月に郵政省へ裁定の申請がなされた、そういう事案でございます。  これを受けて、郵政省で検討いたしました結果、審議会の議を経て、日本交信網の設備の設置場所については、日本交信網が要望するNTT東日本の局舎の地下一階に十分な空き場所があると認められますために、日本交信網有限会社の要望のとおり設置を認めること、また日本交信網有限会社の設備設置のための調査費用を必要最小限に限定すること、結果としてNTT請求額約十一万円を約六万円に裁定いたしました。そういう内容の裁定を十月二十日に行ったところでございます。  御指摘のその雑誌には、本件の裁定に関して、NTT東日本郵政省に対して虚偽の報告を行っても、接続協定を締結する前の段階であれば電気通信事業法等においてこれに対する罰則がないことから、実効性を担保できないという旨の記述がなされております。  実は、この雑誌の記述の趣旨は必ずしも明らかではありませんけれども、接続協定が締結されない時点においては、確かに接続約款違反という、そういう事実関係は生じません。しかし、接続協定の締結に当たってNTT東日本、西日本の適正な対応を求める規定といたしまして、電気通信事業法第三十六条の業務改善命令や、本件のような同法第三十九条第三項以下の裁定の手続が設けられておる、そういうところでありますので、十分に実効措置は確保されているものと認識をされます。  それで、私が考えますのに、本件は、日本交信網の裁定申請に対するNTT側からの意見でございます。郵政省の報告聴取に対する虚偽報告とは考えられません。私はそのように考えております。
  35. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ただいま電気通信事業法の三十六条四の改善命令によって実効性の担保ということをおっしゃられましたけれども、しかしながら、これは裁定申請があったときに動くということではないでしょうか。だとすれば、やはり妨害工作はあってはならぬのだということをあらかじめ法案の中に織り込んでおく必要があるのではないかと思いますが、もう一回その辺をお聞かせください。
  36. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 確かに、おっしゃいますように、NTT側から妨害をするようなことは好ましいことではございませんで、公正競争を確保しながらIT社会を拡大普及していくという考え方におきましては、簡単に申しますと、瑣末なつまらぬ妨害をしたものだなという感じがいたします。したがいまして、先ほど申し上げましたような裁定を下したということでございます。
  37. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 これから、より競争的な社会になるのかもしれません。そうした場合に、公正な競争条件を確保するというのは大変大事な問題だと思いますので、電気通信分野はもちろんですけれども、ぜひ公正な競争条件確保のための条件整備に今まで以上に積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、少なくともこの電気通信事業法については、私はちょっと不備があるのではないかなと思っております。問題指摘にとどめます。  公正取引委員会にもう一つ伺います。  今回、公正取引委員会のNTT調査が注目されているのは、独占禁止法の私的独占の維持規定を武器にして公益事業に競争原理を働かそうとしたこと、つまり、公益事業に関しては、歴史的に見て、独占的な地位だとか、公益維持、公益特権で設備をつくってきたいきさつがあるわけですから、これをどう使うかというのは大事な問題であるわけで、私たちの解釈では、その分野が競争促進の対象になった時点からこれは独禁法を適用してもいいんではないかというように思っているわけでございます。  それで、公取委にお尋ねしたいのは、公益事業における独占禁止法適用の問題について見解を伺いたい。
  38. 鈴木孝之

    政府参考人鈴木孝之君) ただいま御指摘いただきましたように、公益事業分野はそれまで法制度によりまして独占的な企業が存在します。そこへ新たに競争がもたらされるということになります。  私ども、独占禁止法におきましては、違反行為としてこれを処置するためには、具体的な競争制限効果、つまり先ほど御指摘いただきましたように、私的独占であれば、実際に新たな新規参入者が出て競争者となりまして、それに対する妨害行為が行われるというような具体的な行為があって初めて違反行為として独占禁止法が発動できるものでございます。  ただ、競争が導入された時点から、今後その競争市場においてどういうことが行われたら独占禁止法違反となるかということは、ガイドライン等で明らかにしていきたいと存じております。
  39. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 郵政大臣にお尋ねいたします。  先ほども御紹介しました政府IT戦略会議、基本戦略草案の中で、競争政策を確保するためには、監視機能の強化、紛争処理制度の充実、公取委機能の強化というのがうたわれております。いずれももっともな提言だと私は受けとめておりますが、この戦略会議の席で、例えば孫正義ソフトバンク社長から、この問題に関して、通信事業の競争促進には多元的な監督体制が必要だとか、あるいはほかの委員からも、その監視体制を現在の郵政省の中に置くのではなくて、中立的な監視組織をつくるべきだというような意見も出されたと報道されております。森総理は、これに対して、継続して審議をしていくと言うにとどまったと言われているわけであります。  こういうやりとりがあったということですが、この問題に関して、マスコミあるいは情報通と言われている人は、郵政省が実際に腹にあるのは、電気通信政策の立案も業界振興法も監視監督機能も、全部郵政省が握っていたいんだというように見ている人が多いわけであります。  大蔵省がかつて金融行政も監督も一手に握っていて、それがいろんな問題につながったとかいうことを考えますと、規制をしたりあるいは政策立案をする部署が果たして監督までやるべきなのかということについては大いに考えなければいけないと思いますし、例えばアメリカの連邦通信委員会のような独立機関をつくるというのも傾聴に値する案ではないかなと思っておりますが、郵政大臣はこの辺の御認識はどうお持ちなんでしょうか。
  40. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 十一月二十七日にIT戦略会議が取りまとめられましたIT基本戦略というものが既に発表になっておりますが、その中で重点政策分野、これは第二の項目でございますが、重点政策分野の一に「超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策」という項目がございまして、その(3)に「推進すべき方策」という項目がございます。その中の①のアというところで、その一部分でございますけれども、  支配的事業者の反競争的行為に対する監視機能の強化を図るとともに、利用者からの苦情や事業者間紛争、制度・運用上の見直し要求への迅速な対応と裁定スキームの充実を実現するために、早急に専門の機関を設置する必要がある。他方で、競争阻害行為の排除については、独占禁止法の下で公正取引委員会の機能を強化する。 と、そのような戦略が定められました。  また、十一月十六日に……
  41. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 済みません、大臣。監視機能は郵政省の中に持つのが適当と考えられているのか、いわゆる専門機関というのは別の独立の場所に持つべきかという点について。
  42. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) ちょっとそのプロセスを申し上げたいと思いまして、しばらく御辛抱をお願いいたします。  他方、十一月十六日に郵政省の附属機関でございます電気通信審議会IT競争政策特別部会の第一次答申草案というのが発表されております。ここでは「紛争処理機能の拡充」という項目が設けられまして、その一部分を読みますが、  現行の接続等に係る「裁定」に加え、より簡易で迅速な当事者間の合意形成を促進するための「あっせん」「調停」手続を新たに整備する必要がある。   また、これら事業者間の紛争処理を公正・中立的な手続で迅速に行うため、例えば、「事業者間紛争処理委員会(仮称)」の設立など、通常の許認可等を処理する組織とは独立し、法律や会計、技術の専門家により構成された紛争処理機能を専門に担う組織の整備を検討すべきである。 と、こういう電通審の素案ができておりまして、これはただいまパブリックコメントを求めておる最中でございます。  そこで、私の意見といたしましてあえて申し上げれば、非常に変化の著しい情報通信分野におきまして、規制、監視の実施により把握できます市場動向やニーズなどを行政側が迅速、確実に政策立案に反映させていくことが行政目的の達成のために不可欠でありまして、政策立案と規制、監督の情報通信行政全般を一体的、機動的に行っていくことが適当であると私は考えております。  こうした観点から、さきの中央省庁再編の議論におきましては、情報通信分野における行政組織は来年一月から一体的に総務省に再編成されることとして既に整理をされておりますので、私の意見としては、このまま総務省にすんなり移行してしまって一体的な運営をやっていく。ただし、今申しました事業者間の紛争の裁定とか調停とかあっせんとか、そういうものは総務省の中で電通審答申の素案にありますようなシステムを考えられるのが一番いいのではないか、そう思っております。
  43. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 堺屋担当大臣にお尋ねいたします。  今、郵政大臣からるるお考えも示されたわけでありますけれども、大変大事な問題でありまして、先ほどの戦略会議の中で総理は継続して審議するのだということを申されたと報道されておりますけれども、このまますんなり総務省の方に吸収されるのか、それとも、政府で検討するということになれば何か適当な検討機関も必要になるのかなという気がいたします。  これは新たな問題ですからと受けとめてよろしいかと思いますので、担当大臣としてはどういうところで検討し、結論を出すべきだとお考えでしょうか。
  44. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法案の中で戦略本部をつくることになっております。これは、総理大臣の指導のもとに官房長官、担当大臣、通産、郵政が、今は通産、郵政ですが、省が変わって名前が変わりますけれども、そういうところが副本部長、そしてすべての国務大臣と民間有識者が本部員という形になりました本部ができます。そこでこの問題についても検討されると考えております。  そして、ここで申します戦略重点事項でございますが、この重点事項に関しましては、現在答申をいただきましたものをもとといたしまして、それをさらに現実的なタイミングその他を考えて検討していくことになろうと思うんです。したがって、今御指摘の点もそこでまず検討して、そして総理のリーダーシップに基づきまして決断されて、どのような形がいいか、来年一月以降検討されていくことと思います。
  45. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 監視体制のあり方という問題について、例えば戦略会議座長の出井さんは、政府の体制論は戦略会議の議題としてなじまないというような御発言もされているわけですね。  それからもう一つは、先ほども言いましたが、金融行政について、先ほどのように、一体的な金融行政ということを大蔵省も長年にわたって主張されましたけれども、結果からいうとやはり監視機能というのは別にした方がいいだろうということで金融庁ができる、金融監督庁ができるというようないきさつも考えますと、確かに効率的ではあるかもしれませんが、それだけにやや問題も内在しているんではないかと思いますので、十分その辺も念頭に置いて結論を出していただきたいものだと思っております。  ところで、堺屋担当大臣にもう一つお尋ねします。それは、デジタルディバイドと費用対効果の関係をどう見るかという問題でございます。  通常、ITを使いこなせるかどうかで得られる情報だとかサービスに差がつく、その影響が賃金だとか生活にまで及ぶという意味で、デジタルディバイドという言葉が使われているんだと思います。したがって、だれにでも、どこにでも情報格差がないようにという環境整備をすることは大事なことではございますけれども、しかし、それと、その場合にあわせて考えておかなければいけないのは、例えばその費用をだれが負担するのか、どうやって負担するのか、あるいは費用対効果というものをどれだけ織り込むのかということも大事な問題だと思うんです。  もしも、この二つを無視して、デジタルディバイドを理由に全国あまねく例えば光ファイバーを引きますよと、人が一人住んでいるかどうかわからないというような離島まで、今回の法律ではそうなっておりませんが、そういうようなことをやるとすれば、ますますコスト高なものになってしまうんではないか。  よく言われておりますように、ただいまの接続料が高いのは、結局ユニバーサルサービスのコストを上乗せしているからではないかという見方もあるわけであります。離島とか僻地にまで同じようなサービスが必要だというのはわかるんですが、同じ方法でやるとするとまたコストの高い通信料を取らなければいけないというような条件ができるんではないか。あるいはどこの町にでも美術館が必要だとかコンサートホールが必要だというようなことになりかねない。だとすると、単に高い接続料というだけではなくて、財政的な負担もふえるに違いないと思うんです。  したがって、私はデジタルディバイドを解消するためのいろんな施策を講じるというのは大事だと思いますけれども、ぜひ、費用対効果だとか、だれがどうやってその費用を負担するかというのをあらかじめアナウンスメントしておく必要があるんではないかと思いますが、担当大臣、どういうふうにお考えですか。
  46. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) ただいまのユニバーサルサービスの問題は、今郵政省の電気通信審議会におきましてNTTのあり方とか競争政策全般について審議をしていただいております中で、ユニバーサルサービスの範囲というものを一体どういう範囲にするかとか、あるいはそれを確保するためにはどういう方法があるだろうか、システムがあるだろうかというようなことを審議していただいておりまして、今、素案は手元にございませんけれども、相当程度議論が進んでおります。それをもとにいたしまして、今おっしゃいましたような問題点を整理して、新しい制度を考えていってはどうかと私は思っております。
  47. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 堺屋大臣、何か一言ありませんか。
  48. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今、郵政大臣、非常に現実的な方法でお答えいただいたわけでございますけれども、この全国あるいはすべての人にデジタルディバイドをなくするというのは大変高価な費用がかかる。したがって、さまざまな方法、例えば無線をどのように使うかというようなことも必要ですし、そしてその費用の負担、日本は今、有線の電話についてはNTTにかかっておりますけれども、それをアメリカのようなユニバーサルファンドというような仕組みにしていくということもございましょうし、一部には公共事業化するという発想もないわけではないと思います。  これをどうしていくかというのは、それぞれの時代時代たちまして、ITというものが非常に国民生活の基本的な部分になってきたといえばどんどんその範囲は広がってくる。今のところはまだそれほど急に離島、山間部までということではございませんでしょうが、だんだんそういうような条件によって例えば遠隔医療までできるようになれば、それは離島にも必要だということになるでしょうし、そういった技術の進歩、社会の認識、利用方法の発展、それとこの技術進歩や使い方によりますコストの問題、ここはやはり十分見きわめていかなければいけないだろうと思っております。
  49. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 通産省にお尋ねします。お尋ねする内容は、IT生産性向上効果についてでございます。  つい最近までアメリカ経済においては生産性パラドックスだとか情報化パラドックスだというような言われ方もされてきたわけでありますけれども、このところ急速にITが確かに生産性向上に寄与しているという認識が広まってきたように思いますし、それから経済白書十二年度版を見ましても、日本も「九〇年代後半からIT投資の生産性の押し上げ効果が確認できる」というような認識を示されているように思います。  それで、この労働生産性という問題ですけれども、例えば九六年から九九年の間の日米の労働生産性を比較してみますと、これは、日本は二・〇三で、アメリカの場合は非農業部門で二・五七という数字になっております。もちろん、日米ともそれぞれ前提を置いて計算した数字ですから、そのままぶつけてどっちが高い低いということは言いにくい問題だというのは理解しますけれども、総じて労働生産性に関する日米格差についてどう見ているのか。とりわけ、IT産業部門と言っていいんでしょうか、における全要素生産性、つまりトータル・ファクター・プロダクティビティーというんでしょうか、技術革新を通じての寄与度について通産省はどのように認識、把握されているのか伺いたい。
  50. 吉海正憲

    政府参考人吉海正憲君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、ITは全く新しい生産形態を伴っておりますから、その内容については十分な吟味がこれからなお必要かと思いますけれども、私どもといたしましては、ITの効果を経済全体の成長につなげるということが大変重要であると認識しております。そういう意味でも、IT産業における技術革新の実現に関してこれを大いに促進していくべき課題ではないかと考えているところでございます。  そのためには、民間主導、これを原則とした明確な官民の役割分担のもとでIT化を推進すべきと考えておるところでございますが、先ほど申し上げましたように、これは大変広範なかかわりを持っておりますので、総合的な展開というのが大変重要になると思います。  そういう意味で、今後とも、ネットワークインフラに関する競争的環境の整備、あるいはIT化に対応したルール整備、ベンチャー支援など経済社会システムの整備などなどによりましてITの効果を経済全体の成長につなげる、そういう施策を促進するとともに、今後のIT産業技術革新につきましては、先端的、基盤的な分野である電子材料や半導体あるいは光技術等に、今官民の適切な役割分担、連携のもと、取り組んでまいりたいと考えております。
  51. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 お答えをいただいたようには受けとめていないんですけれども。  例えばアメリカの統計なんか見ますと明らかに、全要素生産性を通じたITの寄与は何%、例えば九六年から九九年は〇・四九%あったというようなとらえ方をやっているわけです。つまり、日本では生産性といっても大変漠然としたとらえ方しかされていないのかなということに私は問題を感じます。  やはり、ITを入れるということであれば、どれだけ経済成長を押し上げるとか、そのために何をしたらいいのかという政策につなげるためには、きちんとした物差し、押さえ方が必要なんではないかと思いますので、きょうはこれ以上申し上げても答えが出てこないのかなと思いますからやめますけれども、ぜひ、ITITという言い方だけではなくて、それが経済成長にどんな影響を与えるのかということをきちんと押さえていただきたいと思います。また改めてお伺いいたします。  ところで、労働生産性と雇用問題の関係についてお尋ねします。  先日、政府が発行している雑誌を読んでおりましたら、「IT経済成長につなげるためには」という座談会記事が載っておりました。これには政府の審議官出席されておりまして、一九九〇年代の労働生産性について各国の比較をしながらこんな発言をされております。例えば、日本生産性が低いのは長期雇用に原因がある、雇用をカットした国は生産性が上がり雇用をカットできなかった日本生産性は上がらない、IT投資をしても人手が余った分をカットしない限り生産性向上は難しい、労働市場の流動性がふえないとIT技術を活用して生産性向上に結びつけることは難しいというようなことを繰り返し言われております。  確かに労働生産性というのは、GDPを労働者の数、労働時間で割った値ですから、これを頑張り度掛ける生産効率というふうに置きかえることもできるわけで、この恒等式はわかります。わかりますけれども、こういうとらえ方でITを考えていいんだろうかということに問題を感じるわけでございます。  この座談会記事というのはたまたまなのかもしれませんが、森総理ITが雇用とか労働条件に与える影響について余り詳しく言及されていないんですね。それで、聞いている方からいうと、やっぱり隔靴掻痒というんでしょうか、不安の方が先に、やっぱり首切りをやらないと労働生産性は上がらないのか、ITをやれば首切りはふえるんだろうかというように短絡的にとらえがちだと思うんです。  現にこの座談会記事を私は読んでおりまして、企業が現実の問題として雇用を守りながらいろんな形で支払い総賃金を下げる努力をしているというような姿を本当にわかってもらっているんだろうかと。あるいは、企業が過剰労働を抱えているというようなところもあるわけですが、それを吐き出した場合の社会的なコストというのは考えたことはおありなんだろうかと。さらには、企業年金のようなそういう制度はありながらも横持ちができないというようなことを放置しておいて何で労働流動性なんということを言えるんだろうか、政府の怠慢じゃないか、労働行政の怠慢じゃないかと。またさらには、政府がこれから十年先、二十年先に雇用形態はこうなります、仕事の性質はこう変わりますというようなアナウンスメントをしたことがあるのかと。  少なくとも労働行政というのは、今雇用問題がこういうふうに発生しました、とりあえず企業で抱えておいてもらいたい、だからそれに対して補助金を出しますよとか、不幸にしてほうり出されてしまった場合には雇用保険の適用期間を若干延ばしますよとか、条件を緩和しますよというような後追いはやっております。これも大事なことですけれども、もっと大事なことは、これから先、どういうように雇用形態なり雇用の仕事の内容が変わりますということを見据えて、それに合わせて国全体としての行政を進めていくということではないかなと、私はそんなふうに思うわけですし、それから、ITを入れるというのであれば、IT導入による生産性向上と完全雇用を目指すということをぜひ進めていただきたい、そんなふうに思っているんですけれども、堺屋長官のお考えを。
  52. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘の点、一々ごもっともでございまして、この座談会、私の方の経済議官も出ておりますが、このIT一つの企業の中で見た場合には、その企業が相当成長性がある分野にいるか、もしくは多角化するか、そういうことでない限り、ITを入れたことによって生産性を高めようとしますと、アウトプットが一定でございますとやはり労働力を減少していかなきゃいけない。その方法としては、人の数を減らすこともあれば、残業を整理するようなこともあると思いますが、そういうことになると思います。  日本の場合、現実にどういうことが起こっているかといいますと、やはり一部の既成の大企業では、いわゆるリストラというので、主としては現におられる方をカットするよりも新しい求人をやめる、新規募集をやめるというような形で総従業員を減らすということは確かにかなり進んでいるようであります。それからもう一つは、IT分野など成長分野に非常に目をつけまして、いろんな企業との提携、国際的な提携を進めて生産量、アウトプットの方をふやす、あるいは新しい事業分野を模索するというような形のものも進んでおると思います。  国といたしましては、こういうITが進むことによって生産性向上しそれの恵沢が全国民に及ぶということは、やはり全国民の消費生活生活向上する、それだけ物価が下がり、楽しみがふえるということになってくれなきゃ困ります。  そういう従来の過剰雇用の分野から出てくる人々に対しましては、まず第一に、新しい分野にふさわしい技能を持ってもらう、こういう技能訓練ということで今度の補正予算でも百五十万人分ぐらいITを習っていただくような費用もつけております。それから、リテラシーを全国民に広げることによりまして、こういうITを活用した需要、楽しみが出てくることによって人々生活向上する。  有名な、ちょっと古い話でございますが、自動交換機ができたときに電話交換手という職業がなくなったわけでございますけれども、その電話によって生み出された産業は交換手をおやめになった方の何十倍にもなった。ITもそういう性格のものがあろうかと思いますので、総合的な流動性労働社会をつくりながら、この問題はさらに生産性の高い人材配置、生産性の高い人材養成ということに努めていきたいと思っております。
  53. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 労働組合とか労働者の役割ということで考えますと、労働組合というのは単に賃金、労働条件を上げるというだけではなくて、社会の安全弁というんでしょうか、安定させる機能も果たしていると思いますので、単に生産第一主義みたいなことをおっしゃらずに、やはりこの国の幸せをどうやって守っていくのか、ふやしていくのかという面で労働問題についてもぜひお考えいただきたいと思います。  ところで、労働省に伺いますけれども、最近の統計によりますと、日本の完全失業者は三百万人を上回っているとか、高いときには四・七%の完全失業率というようなことが報じられました。一方では、先ほども少し触れましたが、抱え込み過剰労働というのも依然として現実の問題としてあるんだと思います。経済白書では雇用保蔵というんですか、こういう言葉を使われているようであります。  労働省は、この抱え込み過剰雇用というのは日本にどれぐらいあると見ておられるのか、それから仮に失業率が一%上がったら社会的なコストというのはどれぐらいふえるとお考えなのか、伺いたいと思います。
  54. 松崎朗

    政府参考人松崎朗君) お答え申し上げます。  まずは最初の抱え込み雇用でございますが、いわゆる過剰雇用かと思いますけれども、これの数につきましては、実際に何十万とかという数というのは非常に把握が困難でございます。ただ、私ども労働省では労働経済動向調査というものをやっておりまして、これは企業の雇用過剰感を調査したものでございます。  これはDIという形式でやっておりますけれども、不足の企業の割合から過剰と感ずる企業の割合を引いたものでございまして、それについて見ますと、今回の不況で最も激しかった時期が昨年の五月でございまして、マイナス二〇ポイントということでございましたけれども、本年の八月にはマイナス六ポイントということで、順次着実に改善はしてきております。こういったことで、企業の過剰雇用感というものは少なくなりつつあるというふうに認識をしております。  また、失業率の上昇によるコストでございますけれども、これは昨年の労働白書、労働経済の分析で、いろんな推計の方法があるわけでございますけれども、一応の推計をしておりまして、失業率が一ポイント上昇すればGDPが〇・七%程度減少するといったことはマクロでは試算をしております。そのほかにもいろいろ、失業率が一%上昇した場合に、雇用保険の支給額でございますとか、個人税の収入が減少するとか社会保険の保険料が減少するとか、そういったものも試算しておりますけれども、いずれにしましても、失業率の上昇によりまして社会的ないわゆる全般的なコストというものは高まるということで、この社会的コストが高まらないように対策を講じているということでございます。
  55. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 社会的コストの問題については、前提を置いての数字事になると思いますから、また別の機会に伺わせていただきますけれども、いわゆる過剰労働とか言われている部分がどれぐらいあるかというのは、今おっしゃられた方法だけではなくてやはりもっときちんと押さえる必要があるし、どういう職種がミスマッチやアンマッチになっているのかというのもきちんと押さえ、また将来どういう職業が期待されているのか、需要がふえるのかということを押さえないと本当の労働行政にはならないんじゃないでしょうか。先ほど労働行政というのは後追いじゃないでしょうかということを申し上げましたけれども、もっと先を見て労働行政を考えていただきたいものだ、そのように考えている次第でございます。  そういう中で、例えば五年先の労働需給というのを労働省はどう予想しているんですか。
  56. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 昨年の夏でございますが、経済計画の変更にあわせまして雇用対策基本計画というものも変更いたしました。今後十年程度の労働力需給等々について見通しをしたものでございますが、そのときの基礎資料として、これからの労働需要の見通しというふうな作業も行っております。  経済のグローバル化とか少子高齢化が進む、あるいは情報化とかサービス経済化がますます進む、こういったことの中で労働需要も大きく変化してくるだろうというふうな想定のもとで、例えば産業別にこれを見てみますと、サービス業については従来から増加を続けておりますが、今後とも情報通信あるいは医療・福祉分野を中心にして伸びていくであろうというふうなこと、それから製造業につきましては、一九九〇年で既にピークを迎えておりまして、現在も減少を続けておるわけでありますが、さらにこれが減少していくだろうというふうな見通しをしております。また、職業別に見ましても、専門的、技術的な職業あるいはサービス業等の従事者が増加をし、今後ともこれが増加をする、こういったことを見通しております。  働き方につきましても、先ほども議論にありましたが、SOHOとかあるいは契約労働とか、そういったいわゆる柔軟な労働といいますか、そういったものの占める割合が今後ふえていくのではないかというふうに見ているところでありますが、現実の問題といたしましても、現在、安定所には毎月五十万人くらい新規求人が参りますけれども、そのうちで、情報関係のハード、ソフトあるいは医療・福祉といった分野が三〇%ぐらい前年に比べて求人はふえております。  これがなかなか失業率の改善につながっていないわけですが、やはり先ほど経企庁長官からもお話がありましたように、需給のミスマッチというものがあって、需要は新しい分野で生じているけれども人がなかなか対応できていない、こういったことで、長期見通しにしろ、直近の動向にしろ、やはり産業というものが大きく今動いている、こういったことが言えるかと思っております。
  57. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ぜひ将来の労働需給、それも量だけじゃなくて質も含めて事前事前にアナウンスメントし、なおかつそれを行政の中に取り込んでいく、生かしていく、政策として実行することをもっとアピールしてほしいなと期待しております。  ところで、雇用創出に関して来年度予算では総合研究を行いますというので予算化しておりますね、労働省は。これについてはどういう構想でやろうとされているのか、ちょっとその辺を御説明いただけますか。
  58. 澤田陽太郎

    政府参考人澤田陽太郎君) お答えいたします。  私ども、これまでの先生のいろんな御指摘を踏まえてちょっと一言申し上げますと、IT革命の進展は経済社会のあらゆる面に多大な影響を及ぼしまして、雇用面につきましても、例えばアメリカあるいは北欧、インドでは労働生産性向上と同時に新たな雇用機会をふやしているというふうなことが言われておりますが、最終的にプラスの効果を相当生むにしても、そこに至るプロセスではいろいろな影響が出てくるだろう、こう思っております。  そうした観点で、今回、日本経済新生枠の中でIT革命の雇用への影響と雇用創出に関する総合的研究というものを要求しておりまして、これは日本国内の企業に対しアンケートをする、そして国内企業及び海外の企業にも実際に出向いてヒアリング調査をする、そうしたものをベースにITの諸影響につきまして外国での形、日本での形、その比較をやる。そうした中で、現在のIT革命の影響についての実相をつかんだ上で、将来、日本ではどうなるかということを分析したい、こう思っております。そういうことで、学識経験者を中心としたメンバーを構成し、二年計画でやりたいというふうに考えておるところであります。
  59. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 きょうは所得格差の問題について重点的にやりたいと思ったんですけれども、もう時間がなくなりましたのでまたの機会に譲ります。  最後に、堺屋国務大臣に伺いたいんですが、この本を御存じだと思います。「アメリカの没落」という、大臣が一九九三年の二月に初版を出された翻訳本でございます。中流階級がいかにして没落していったかということを事例を挙げて書かれた本でありますので、大変関心を持って読ませていただきました。  この本の前段に訳者の解説がございまして、大臣は、「一九八〇年代の「アメリカの没落」」、つまり中間層の没落というか、衰退ということですが、「をもたらした主要な原因は「政治」にある。今日のアメリカは、自己利益や選挙対策にばかり熱心で有力団体のロビー活動に動かされやすい政治家によって、経済の破壊と中流階級の没落に手を貸すような税制と外国企業優遇策を採っている、ということになるだろう。」と、こういうふうに解説されておりますが、日本においてもこの所得格差が広がるというように見ておられるのか、あるいはこの本にありますように中間層が没落するという傾向にあると見られているのか、政治の責任ということを含めて大臣の御所見を伺って終わりにしたいと思います。
  60. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘の「アメリカの没落」、原文の方は「アメリカ・ホワット・ウェント・ロング」、アメリカで何が悪くなったかというタイトルで、バーレットとスティールという人が書いたものですが、もとはフィラデルフィア・インクワイアラーという、これは私たち論文を見る者には非常にいい新聞で、長文の討論を書いてくる新聞でございますが、それに載ったものでございまして、大体一九八九年から九一年、アメリカの一番景気が悪くて、八九年に一回底を打って、九一年に二番底を打つわけですが、その時期を対象として書いたものでございます。  その中で、やはり一番注目すべきことは、まだアメリカでもITははやっていませんでしたけれども、知価革命という現象が進むに従いまして中間管理職がどんどん要らなくなる、そして中間管理職が多いような、例えば流通でいいますと百貨店というようなものがどんどん減って、アウトレットのような、どかっと置いてあって、経営者と見張りといいますか、一番技能の必要としない人が多い。宿泊施設でいいますとモーテルのような経営者と掃除する人だけがいるような、そういう形にどんどんなってくる。これがIT革命によってもやはり進んだところでございまして、組織が立体的な木のようなツリー型からネットワークの平らな形になってくるというようなことが指摘されておりますし、そのことは今も続いております。  最近になりましてIT革命が浸透し生産性向上いたしますと、今度は低い方の人々の給与も上がりまして、その結果ジニ係数も上がらなくなりました。一時ぐっとはね上がったんですが、今横ばいになっている。そういうような傾向がございますが、やはり中間管理職に厳しい世の中になったということは否定できないと思います。  それを救いましたのは、一方で創業が非常に多くて、中小零細企業、SOHOというようなものがどんどんできて、そこで中堅といいますか、中程度の所得の方々が生まれたのでございます。したがって、日本でもやはり企業形態、組織形態として階段が少し縮まって、ツリー型からネットまではいかなくても平たい形になってくるだろうということは十分予想されます。  そういう中で、中間的な地位というものは、やはりITを初めとするさまざまな技能を御本人が身につけないと、年功だけでとか従来の業績だけでというのは難しくなってくるだろう。そういう意味でも、ITの技能教育とかあるいは情報関係職業、技能、そういったものを高めていく必要がある。  我々といたしましては、日本人の高齢化に伴って、日本人全体が生産性の高い人材になってほしいと考えておりまして、今委員御指摘のように、労働政策その他においてもそういった教育訓練にますます熱心にならなきゃいけないだろうと考えております。
  61. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ありがとうございました。
  62. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  63. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 森本晃司

    ○森本晃司君 両大臣、午前中に引き続きまして、また先般来この問題に一生懸命取り組んでいただきまして、大変御苦労さまでございます。前回のときも私が質問に立たせていただきましたが、趣旨的に重なる分野もございますが、改めてきょうまたいろいろとお伺いをさせていただきたいと思うところでございます。公明党の森本でございます。  きのう、IT基本戦略が発表されました。我が国は五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指すということが盛り込まれておりまして、そうならなければならないと私も思っているところでございます。  その中でも書いてございましたけれども、我が国はITに関する現状を見ると世界の中で非常におくれているということもこの基本戦略の中に書かれておりました。例えば、インターネットの普及率は主要国の中でも最低レベルと言われておりますし、アジア太平洋地域においても先進国の中には入らないという、そういう意味でおくれを取り戻すための国家戦略でありますが、大きく分けて二つの問題があるのではないだろうかと思っております。  それは、一つは人材の輩出とそして通信料金の低廉化、これが普及を進めていく上で一番大事な問題ではないかなというふうに思っております。IT部門の新分野で必要とされる人材確保をするということは非常に困難を伴うことだとも言われておりますが、特にIT技術者の不足は悩みの種になっている。  シリコンバレーはIとCでもっていると言われますが、これは、IはインドでございましてCはチャイナ、中国というふうに言われております。先般、総理とともにインドのバンガロールを訪問させていただきましたが、さすがゼロを発見した国でもございまして、こういったことについてはやっぱり最先端を行っており、数多くの人材がいるなということを実感しておった次第でございますが、私どものこの国もそういった人材育成について対応せざるを得ない状況が今来ているのではないかと思います。  短期に世界最先端のIT国家を目指す我が国として、国際的な協力関係をやはり築いていく必要性が急務だと思われます。ヨーロッパ各国を見ても、インドからも相当行っておりますし、ビザの問題もいろいろと解決されているという状況でございますが、国際的な協力関係と、そして国内的にどういうふうな対応があるのか。この国内、国際的な人材育成の対応について、堺屋大臣にお伺いしたいと思います。
  65. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 日本は戦後エレクトロニクス産業を発展させまして、テレビやワープロまでは世界最高でございました。だから、何となくこのIT日本は進んでいるんじゃないかという幻想が数年前まで、恐らく二年ぐらい前まであったような気がいたします。  しかし、個々のエレクトロニクスの機器をつくるのとネットワークを張るというのとは全く別でございまして、委員御指摘のとおりネットワークの料金、それからネットワークの人材というのが圧倒的に不足しているというのが現状です。特に、教育課程におきまして日本は工学部、理学部、特に工学部が多かったんですけれども、ITの一番肝心でありますネットワークの教育がおくれているということが大きな問題でございました。  このため、高度の技術者を育成していくためには、国立大学を初めといたしまして情報専門の学科あるいは大学院、専攻の整備や情報教育のための充実した施設、教育方法が必要でございます。そういったことから、まず教育、職業訓練、この両方の面で大いに努力していかなきゃいけないと思っています。  それから、やはり海外からの人材でございます。これは日本にも、昨日からG8という沖縄サミットで海外協力をするという枠組みづくりの会議が東京で行われておりまして、私もちょっとあいさつに伺ったんですが、かなりインドの人あるいは中南米の人、そういった国々からの人も来られておりまして、現在日本にはインドからも少し、あるいは中国からも少し入っている。これはもっと、やっぱりアメリカなんかは何万人、日本ではせいぜい何十人とか百人とかという単位ですが、アメリカなどは何万人の単位で中国やインドから人材を入れ、そしてその人たちがまたバンガロールやハイデラバードへ帰ってIT事務所を開いて、そしてそれが空中でといいますか情報でつながって、アメリカで開発して、きょうここまでやったらすぐインドへ送りますと、ちょうど地球の裏表になりますから、二十四時間開発ができるというような仕掛けまで今できておるわけです。  日本もそういう時間差も利用したネットワークに持ち込む必要が出てくると思いますが、そういう外国から日本に来て日本の風土あるいは日本人の感覚に合ったソフトをつくれる人をたくさん養い、そしてそれがまた世界じゅうに散って日本的なIT社会の発展に貢献する、そういう善循環をつくらなきゃいけない。その意味では、これからこの労働ビザ等の問題についても戦略本部等で検討していく必要があると考えております。
  66. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、長官おっしゃっていただいた中で日本の風土という問題がございますが、インドへ行って思いましたことは、やっぱりインドの人たちは我が国に大変好意的な思いを持ってくださっている。これは圧倒的に強いわけでございます。同時に、人材育成分野の中で日本がどうしても英語社会の中でない日本社会、こういった点もやはり大きな一つの人材の交流あるいは国際関係を築いていく上にも弊害になっている分野もあるんじゃないかなというふうに思いました。  こういった分野も改めてまた今後人材育成の課題として取り組まなければならないのではないかと思っておりますが、語学について、長官、ちょっと私も何も申し上げておりませんでしたのですが、感じておられることをおっしゃってください。
  67. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 日本では中学校、高校、大学と十年以上英語を勉強する人がたくさんいるわけですが、その割に英会話はなかなかできませんで、日本の英語教育の問題というのは非常に痛切だと思います。そういう意味で英語教育、外国語教育に重点を置かなきゃならない、これはグローバル化する世界でますます重要なことであると思いますが、同時にやはり日本語も大切にしてほしいというのが本音でございます。したがいまして、日本語で世界に通用するような情報発信、それから日本語と英語、中国語、韓国語の同時通訳の装置、こういったものを徹底的に研究したい。  ことしの暮れから始まりますインターネット博覧会、インパクでは主要な部分を英語と中国語と韓国語に同時通訳する装置をつけます。今はまだ完璧でございませんで、人間が手を入れなきゃいけないところがあるようでございますが、こういったものが完璧になりますと、大西洋を中心とした英語ネットワークと、それから東アジア、日本、中国、韓国、東南アジアを含めた一つの文化圏といいますか、ネット圏ができてくる、そういう期待もしております。  やはり日本人として正しい美しい日本語を残していく。この情報の中で、特に最近はやっておりますモバイルになりますと、五十字ぐらいのメッセージでございますが、日本には和歌とか俳句とか短くする短縮情報伝統というのがございますので、そういったものも生かして日本の語学における日本語の美しさも世界に知ってもらえるようにしていきたいなと思っております。
  68. 森本晃司

    ○森本晃司君 ぜひ、英語の世界とそれから我が国の持っているもの、これがうまく合わないとそこにまたデジタルディバイドも誕生してきたりするものでございますから、今、長官がおっしゃっていただいた長官のそういう思いをいろんな分野で発展をさせていく必要があると、私も同感でございます。  そこで、これは郵政大臣にお伺いしたいわけでございますが、先般のこの委員会で私もまた取り上げさせていただきました。きょうもまた取り上げさせていただくわけでございますが、所信表明で低廉で高速なアクセス網の普及促進を図ると述べられておりますが、通信料金の高さはIT立国最大の阻害要因となっています。  我が党は、昨年、インターネット料金や携帯電話料金の米国並みへの引き下げを目指して署名運動を展開いたしまして、一千三百五十万人の国民の賛同を得て、当時の小渕総理に提出をさせていただきました。先般も申し上げたかと思いますが。  一方、欧州においても、米国並みの通信料金を実現することを国家戦略として掲げておりますし、EU首脳国ではEヨーロッパ構想を本年七月に採択して、二〇〇二年を実現のための期限と設定しています。  こういうのが今世界の趨勢であると思いますし、IT革命成就のための大きな課題だと思うんですが、この対応についてどのように考えておられるのか、まずお伺いいたします。
  69. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) IT革命推進するためには、料金の低廉化を図るということは、これは一つの重要なポイントであろうと思っております。  郵政省は、十五年前にNTT、公社を株式会社に改組いたしましたときから、十五年間にわたっていわば競争政策をとって、そのために規制緩和も図ってきた、そういう歴史がございます。今後ともその競争促進の方向で規制の見直しを図るということが一つの考え、政策でございます。  それからまた、新規参入のさらなる促進によって料金の低廉化を実現するためには、管路とか電柱等の通信関連施設の開放のためにルールを決めまして、新規参入事業者による線路敷設を円滑化するということが重要であると考えております。  このことは既にIT戦略会議でも決定されておりまして、線路敷設の円滑化という、そういう基本方針に沿いまして、本年度中に公益事業者の所有する電柱や管路などの利用に関するガイドラインを策定いたします。そして、貸与の一般原則とか貸与拒否の事由などを明確化いたしまして、また同時に、この土地には私有地、公有地がございますが、電柱や管路等はそういう公有地を含む土地に定着をいたしておるわけでございますから、その利用に関する協議の認可とか裁定とかそういうことを行うことができるように、電気通信事業法を改正する方針で今後臨みたいと思っておるところでございます。
  70. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、大臣が十五年前にNTTを改組した、そのことからそういったことは非常に進んでいるというお話がございましたが、朝の議論の中にもございましたけれども、NTTが改組になって、もっと早くNTTがいろんな規制等々を取っ払って、あるいはNTTが独占するようなことをできるだけなくしていったならば、日本はこの五年間にこんなおくれをとらなかったのではないだろうかという意見を私はたくさん聞くわけでございます。  先般から公取が云々ということも言われておりますけれども、私は全くこういった問題について、本当に郵政省が料金を下げるということを、そうでないと今からまた世界の国々におくれていくという問題については、もっともっと私は真剣に取り組み、そしてNTTの開放すべき点はもっと早く開放していかなければならないのではないかなと思っているんです。  電柱や地下管路が今決められてこれからされるわけですけれども、世界の流れから振り返ってみましたら、今そのことをむしろ言わなきゃならないこと自身が今日までの我が国のITの普及を、あるいは料金の低廉化を妨げてきたのではないかと思っています。  料金については米国並みあるいは国際基準云々と申し上げると、すぐにまたその話は質がいいとか悪いとか、安くて悪かろうでは困りますので、なかなかそういう問題は民間ですがということがよく郵政の職員の皆さん方からもお話を伺うわけですけれども、まず低廉化をしようという姿勢をやっぱり郵政省が持つべきではないでしょうか。  いろんな周りの解釈、講釈というのは後にして、そこに焦点を当てるんだということでやっていかないと、なかなかその周りに岩盤のようにへばりついている問題を解決していきがたい、またそういった規制も外していかなければ本当の低廉化はできない。低廉化できないと、繰り返して申し上げますが、また次の五年間もおくれてしまうという思いでございます。低廉化に取り組む姿勢、もう一度大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  71. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 森本委員の御指摘は私も同様に同感を持って拝聴いたしました。  今のこのNTTのあり方なり、あるいは競争政策のさらなる促進なりそういうようなことにつきまして、今ちょうど郵政省の電気通信審議会が審議中でございまして、十二月の下旬には第一次答申が出るというそういう段取りで今進めております。中心になりますことはおっしゃるような事項でございますので、その第一次答申を受けまして具体化を早急に図っていきたいと思っております。
  72. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、電子政府の実現に向けてお伺いをさせていただきたいと思いますが、経済産業及び国民生活IT化を促進するために、国及び自治体の行政情報の電子化、インターネット等による情報公開、申請手続等の電子化、ワンストップ行政サービスを積極的に推進することによって、民間部門のIT投資に係るインセンティブを高め、民間部門の情報化を促進することが効果的であります。  このために、我が党はこれまでも電子政府の早期実現を積極的に提唱してきたところでございますが、政府平成十五年までに電子政府を実現することを目標として取り組みを進めておられ、先ごろIT戦略会議は電子政府の実現時期の前倒しを提言されました。  現在、中央省庁等への申請手続は五千種類以上が書面主義に基づいて行われておりまして、それが電子政府実現への阻害ともなっております。したがって、電子政府の早期実現のため、米国における文書削減法、電子情報自由法、あるいは連邦調達合理化法のような行政情報化法制を検討することが必要と思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  73. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) 電子政府の早期実現につきましては、先生御指摘のとおり、従来から政府としても本当に一生懸命努力してきているところでございます。  具体的には、国民政府との間の行政手続について、行政手続、約一万五百何種類というような手続がございますけれども、平成十五年までにそのほとんどと申しますか、もう少し正確に言えば九四%をオンライン化するというようなことも考えております。また行政の内部事務につきましても、平成十四年度までにその大部分についてペーパーレス化をするというような推進をしてきているところでありまして、計画的、着実な取り組みを推進してきておるところでございます。  さて、御指摘の行政情報化の法制化という問題でございますけれども、実は今般御審議いただいておりますIT基本法が成立いたしたならば、この法律に基づきまして、電子政府の実現に向けて政府として取り組むべき重点計画を策定し、行政手続のオンライン化の前倒しなどさらに積極的に取り組んでいくこととしておりまして、今後ともこのような方針に従って一層着実かつ確実な取り組みを進めてまいりたいと考えております次第であります。  したがいまして、この御指摘の米国における文書削減法、電子情報自由法、連邦調達合理化法に相当するものがまさに今御審議いただいているIT基本法であり、それを補うものとして昨年御審議いただきました情報公開法などもあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  74. 森本晃司

    ○森本晃司君 さらにその電子政府を進めていく上において、先般も参考人の皆さん御出席いただきまして、岐阜県の知事さん等々もお見えいただいていろいろ御意見を伺いました。  中央が電子政府化を進めると同時に、国民生活に一番関係のある地方がやはりそれの受け皿となってやっていかなければならない。その場合に、中央がばらばらで、それぞれの様式でそれぞれの形で各地方へ出してしまうと、地方も非常に困る問題が起きてきます。やはり中央で一つのまとまったものとして地方へいろんな形式等々も送っていかなければならない。そうでないと、非常にそのもの自体が使い勝手の悪いものであり、国民や企業にとっても大変また迷惑な話になるかと思います。  中央の役所でトップレベルまでお上りいただきました総括政務次官、それぞれ役所の経験も踏まえまして、ひとつ今はどういう状況なのかお答えいただければと思います。
  75. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) 中央、地方の連携についての御質問でございますけれども、確かにおっしゃることは非常に重要な問題でございます。情報のペーパーレス化を進めてまいります上で中央と地方と情報を相互に疎通するということ。例えば戸籍は中央でございますけれども、例えば住民票一つとるということでもペーパーレス化して中央、地方共通に動くということも必要でございまして、そういったことも視野に入れながら、今後の電子政府の早期実現について十分視野に入れながら推進してまいりたい、こう考えております。
  76. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、学校インターネットの整備促進についてでございますが、お伺いいたします。  高度情報社会の健全な発展を支える人材を育成するという点で、青少年が情報化に主体的に対応できる資質や能力を習得することが不可欠でありますが、学校教育のこれからの最重要課題の一つとなってくるであろうと思われます。  政府は、現在、平成十七年度までに全教室に高速回線を無料で接続することを目標に学校インターネット計画を推進しております。しかし、学校に配備されたパソコンやインターネットが授業に有効に活用される環境を整えることもあわせて進めなければなりませんが、そのためには教師のIT研修の強化等を実施して資質の向上を図ることと、学校インターネットにかかる通信料金、インターネット接続料金の低廉化がこれはもう必要不可欠のことでございます。さらに、IT教育の充実を図るために校外の専門家の知識と経験を有効に活用し、学校の情報インフラ整備や教員の指導、授業への支援を求めることも検討すべきであると思っております。  先般の参考人の中でも岐阜県の知事さんがおっしゃっていましたが、今度、堺屋大臣また郵政大臣が中心になって行っていただきますそれぞれ地域の講習会、五百五十万人の講習会、こういったところへは民間の方々のすごい能力を使うことができるんだと、むしろ子供がその講師にもなって、非常に印象的な言葉だったんですが、先に生まれたから先生じゃなしに、後で生まれた子供たちが今や大人に教えるんだと、こういう発想をも知事さんからお伺いいたしました。  学校インターネット教育の普及のために、きょうは文部省から来ていただいているかと思いますが、どのようなことを考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  77. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 学校における情報教育について何点かお尋ねがございましたので、お答え申し上げたいと思います。  まず、学校のインターネット接続についてでございますが、これは平成十三年度までにすべての公立学校が接続できるような計画的な整備を現在進めているところでございまして、今年の三月現在の公立学校の接続率を全体で見ますると、五七・四%まで整備が進んでいるという状況にございます。  また、通信料金の低料金化についてお尋ねがございましたが、これにつきましては郵政省と連携をいたしましてその実現に努めているところでございまして、その結果、例えばプロバイダー経費につきましては、平成十年十二月から大手プロバイダーを中心に学校向けの特別料金が導入されておりますし、インターネットの通信料金につきましては、NTTにおきましても昨年九月から月額八千五百円の学校向けISDNサービスの定額料金を試験導入していただきまして、本年十月からこれを三千五百円に引き下げて本格導入を開始していただいているところでございます。通信料金の低料金化につきましては、今後とも郵政省と連携を図ってまいりたいと思っております。  また、教員の資質向上についてのお尋ねがございました。御指摘のように、情報教育を充実するためには教員の指導力の向上が極めて重要でございます。このため、文部省といたしましては、平成十三年度までに公立学校の全教員がコンピューターを操作でき、そのうち半分はコンピューターを用いて指導できるようにすることを目標として、現在体系的な研修を実施いたしているところでございまして、引き続き教員の指導力の向上について努力をいたしたいと思ってございます。  また、IT専門家の学校教育についての活用についてのお尋ねがございました。御指摘のように、すぐれた技術や知識を持っている社会人を学校教育において活用することは大変大事なことでございます。このため、文部省では、教員免許状を有しない者を非常勤講師に充てる制度が特別非常勤講師制度としてあるわけでございますので、その活用を推進いたしておりまして、平成十一年度で見ますると、IT関連分野に四百件余りの特別非常勤講師の活用が報告されているところでございますし、さらに、IT関連分野の特別非常勤講師を任用する都道府県等に対する補助を今年度の補正予算に計上していただいておりますし、平成十三年度概算要求におきましても所要の額を計上いたしているところでございます。  今後とも、IT関連分野の専門家を特別非常勤講師などに活用することによりまして、IT教育の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  78. 森本晃司

    ○森本晃司君 時間がもうあと数分となってまいりましたので、私のいろんな述べたいことは別にいたしまして、電子商取引等の促進のための規制緩和についてどのようにお考えになっているのか。緩和はしなければならない、一方はまた消費者保護や犯罪防止などの社会的要請に基づくものもございます。どのような考え方でおられるか、お尋ねいたします。
  79. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) 電子商取引の推進を含めたITに関する規制改革につきましては、規制改革委員会において本年度の重点課題として検討が進められており、さらにIT戦略会議産業新生会議においても積極的な議論が交わされてきたところであります。  きのう、IT戦略会議におきましてIT基本戦略が取りまとめられたところでありまして、電子商取引を阻害する規制の改革など、電子商取引の大幅な普及を促進することが盛り込まれたところであります。今後、産業新生会議のサイドでもその成果が取りまとめられ、さらには年内に予定される規制改革委員会の見解においても、電子商取引推進のための規制改革についての具体的な提言がなされるものと期待しております。  政府といたしましては、本年度の末までに策定を予定しております規制改革推進三カ年計画にこれらの成果等を盛り込み、電子商取引の推進のための規制緩和について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  80. 森本晃司

    ○森本晃司君 ありがとうございました。
  81. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  森総理は所信表明でIPバージョン6ということにお触れになりました。これからのインターネットがやがてその方向へ進んでいくであろうということは私も決して否定をいたしません。  しかし、さきに本委員会で自民党の委員がおっしゃったように、総理がこのIPバージョン6に言及したことをもって世界の指導者の中で最もITに理解があるのは森総理だなどとは全く言えないと私は思っております。  いずれはアドレスが枯渇をするといっても、今それが差し迫った問題となっているわけではありません。情報技術国民のために役立てるという観点で見ればほかにやるべきこと、国家戦略としてはもっと急ぐべき課題はあると思うんです。  長官もさきの本委員会で、いわゆる情報家電、端末あるいは自動車インターネットが接続するためにできるだけ早くバージョン6を入れたいと答弁されたように、この目的は、日本IT社会の内容としていわゆる情報家電路線を国家戦略の重要な目標の一つにすると、こういうことでよろしいですか、長官
  82. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先日、IT戦略会議においてIT基本戦略を取りまとめたところでございますが、情報家電の推進は、直接的には戦略的な目標としては盛り込まれておりません。しかし、今後情報家電が普及し、それらがインターネットに常時接続されるということになりますと新たなサービスが創造されることが予想されるわけでございまして、多様な情報家電に接続し得る十分なアドレス空間を備えた、プライバシーとセキュリティーの保護しやすいIPバージョン6というのを備えたネットワーク網に移行することが必要だという基本戦略が盛り込まれております。  だから、情報家電そのものを取り上げているんじゃなしに、やがて情報家電が出てくるだろう、それに備えて四十三億では足らぬから今から用意した方がいいと、こういう考えでございます。
  83. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それに備えてということであるにしても、情報家電ということが念頭におありになってIPバージョン6という議論が出てきているというのはもう本委員会での議論でも明らかなことだと思うんです。  情報家電というものが仮に今安く普及すれば、それは確かに便利になるでしょうし、それ自身は別に結構なことだと思っております。しかし、堺屋長官は先日の委員会でも私に、IT革命経済産業にとどまらず人間的なつながりが変わってくると、人間社会の構造が変わってくると、こう答弁されたと思うんですね。それが国民にとっての日本IT社会とは何かと、その具体的なビジョン、生活にかかわる日本IT社会のイメージと言うときに、家電をネットにつないで情報家電ということでは、私は余りにも何といいますかお粗末ではないかと、そう思うわけです。  では、世界ではどういう議論になっているかということで、きょうはひとつ世界の指導者の議論をお持ちいたしました。クリントン大統領がことし二月二日に行った演説であります。これは英文テキストですので私の方で訳してみましたけれども、人類の歴史上のどんなものよりも人と人の間の障壁を打ち壊すことに役立っているこの機器が、だれもがそこへアクセスできるわけではないという理由で新たな壁を築く、ビルト・ア・ニュー・ウオールですか、新たな壁を築くのであればそれは悲劇だろう、こう呼びかけて、やはりITというものが、民主主義、一人一人の人間が本当に尊重される、そういう方向で使われなければならないという議論をやっておられるわけですよ。  私は、世界の指導者の中でただ一人IPバージョン6ということをまず口にされたということをもって、これは森総理ITに理解がある、称賛に値するということではなくて、むしろやっぱり中心問題がずれているんじゃないかと、そういうふうに思うんですが、長官、いかがですか。
  84. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 森総理がIPバージョン6と言われたからたちまち世界一ITに詳しいということはない、これは委員御指摘のとおりだと思いますけれども、この四月に森総理が御就任になってから、かなり熱心にITITとおっしゃったことが日本社会全体をITに盛り上げた、それはやはり総理の御熱意があると思うんですね。  問題は、今、委員御指摘のとおり、このITというものは単に一つの機械、一つの商品ができるだけじゃなしに社会全体をどう変えていくのか。特に、クリントンさんの言葉にもございますように人間人間とをつなぐものだ、ここが一番重要なところなんです。したがって、人間関係が変わります、あるいは組織原理も変わる、コミュニティーのあり方も変わる。そうしますと、人間の接する高さといいますか、目線も非常に変わってくるわけです。本当に人間が平等といいますか平らな感じで結ばれてくるだろうと思うんですね。  そういう社会を考えますと、今までは職場というどうしても社長がいて命令系統があるという世界から平らなネットワークになってくるだろう。そうすると、好みでつながる社会も出てくる。そして、親子の関係とか近所の関係とかいった中にもインターネット情報機器が入ってきて、本当に密接な関係でつながってくる。そういう社会ができることが大変重要なこと。その意味でも、皆さんにひとしくあまねくこの恵沢が潤うことが大事だと考えております。
  85. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 なるほど、そういうことが大事だと思うんです。この情報家電という発想の大もとにあるものというのを私はやっぱりしっかり見る必要があると思うんです。  かつての高度成長時代には、国民の利便性の向上経済の発展というのは一体に進んできたわけであります。そのことを象徴する言葉として、例えば三種の神器というものもございました、冷蔵庫、洗濯機、電気掃除機。次には、カー、クーラー、カラーテレビの三C、こういう時代もありました。要するに、便利な家電製品をつくればどんどん売れる、それが経済産業の牽引力であって、電気製品の発展が社会の発展なんだという感覚を持ってきたと思うんですよ。IT革命などという大層な言葉を使うんですけれども、しかしその発想は変わっていない。つまり、新しいITを使った家電をつくれば売れるだろう、そしてそれが売れたら三Cの夢がもう一度よみがえってきて経済産業の牽引力になると。これでは余りにもお粗末な話になるということを私指摘しておきたいと思うんです。  次に、インフラ整備の問題について聞きます。  私は、これからのインフラ整備を進める上で今決定的に政府に不足しているのは、これまでの政策についての総括と反省だと思うんですね。郵政省は、一九九四年五月に出された電気通信審議会答申「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」と称するこの答申で、饋線点までの光ファイバー化を先行的に進めるとの方針をとってまいりました。  そこでまず聞くんですけれども、九五年から九九年まで郵政省が予算措置を講じてNTTに対して行ってきた光ファイバー敷設のための低利融資の実績は、この五年間どうなっておりますか。電気通信局長
  86. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 光ファイバー網整備につきましては、平成七年度より特別融資制度を設けてやってきたわけでございますけれども、この制度に基づきましてNTTに対しましては、平成七年度から平成十一年度までの五年間でございますが、日本政策投資銀行、これは現在はそうですが以前は日本開発銀行になりますが、それを合わせまして合計九百二十四億円の融資を行ってきております。
  87. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 五年間で千億近い低利融資を注いで整備をさせてきたわけです。その結果、饋線点までの光ファイバーの整備水準は都市部のビジネスエリアで既に九三%、それから都市部全体では五六%、全国でも三六%というところまで来ております。この資料にもそう出ております。  そこで、この光ファイバーの利用状況なんです。昨日郵政省からいただいた資料によりますと、電話加入総数五千三百七十一万一千に対して、光ファイバーを用いたサービス、INS一五〇〇が十万九千、百九十二キロの高速デジタル専用線が四万二千七百九十九、ATM専用線が八千四百三十四、合計十六万回線、これは五千三百万に対して十六万というと、加入者でいうとわずか〇・三%となっていると思うんですが、間違いないですか、郵政省
  88. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 今、先生が御指摘の数字は間違いございません。
  89. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、光ファイバーを熱心に引いてきたわけですけれども、実際には、現時点では、これからはどうするかという皆さんの御決意はともかく、〇・三%なんですね。なぜかと、その理由はもうはっきりしております。べらぼうに高い料金にあります。  これも郵政省に聞きますけれども、一般家庭が現時点で光ファイバーによるインターネット接続をしようと思えば月額料金で幾らかかりますか。
  90. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 現在の光ファイバーを用いたサービス料金でございますが、まずINSネット一五〇〇と呼ばれるサービスでございますが、これは基本料月額が三万一千円、通信料金はこれとは別に加入電話と同等の料金、いわゆる三分十円が通信料金として加算されます。  また、高速デジタル伝送サービスと呼ばれる専用線では、これはスピードによって違うんですけれども、例えば一・五メガビットのスピードで距離十五キロメーターまでのものですと、回線料は月額三十一万九千円、さらにこれについて保守を簡素化したデジタルアクセスと呼ばれるサービスでも回線料は月額十五万二千円となっております。これらは、いずれも企業などの大口利用者向けのサービスになっておるわけでございます。  他方、東西NTTでは、もっと低廉な光ファイバーの一般家庭向けサービスも現在検討しておりまして、早ければ年内にも最大で十メガビットの速度で月額一万三千円程度で利用できるインターネット接続サービスの提供を今検討していると聞いております。
  91. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 やっとこれから一万三千円という議論なんですけれども、とりあえず三万一千円、あるいは専用線で引いたらもうべらぼうな額がかかるわけですね。もう六年間整備してきたわけですよ。一方で、ファイバーを引いてもなかなか国民の中に使われていかないということの一つの原因がやっぱり料金の高さにあったと、ほかにももちろん別の原因もあったかと思いますけれども、一つはこの料金の高さにあったということですね。それは堺屋長官、お認めになると思うんですが、いかがですか。
  92. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 全くそのとおりだと思います。  我々、作家しているときにも引いておりましたから、毎月大変高い料金を払っております。
  93. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 堺屋長官もそのとおりとおっしゃいました。  そこで、郵政省に、私、聞きたいんです。我が党はこれまで、光ファイバーの敷設について一辺倒の姿勢はやはり改めるべきだと、こういう主張をしてまいりました。NTTの高収益をもっぱら光ファイバー網の整備にのみ注ぐのではなくて通信料金の引き下げに使わせなさい、そうしないと幾ら光ファイバーを引いたとしても国民には使えないではないかと、このことも強く求めてまいりました。それでも一向に耳をかさずに、こういう利子補給までやって光ファイバー一辺倒で進めてこられたわけです。結果は今見たとおり、光ファイバーは整備先進国だが利用はさっぱりというありさまになっていると思うんですね。第一、一万三千円に引き下げるということ自身がNTT自身、ここにネックがあることがよくわかっているということだと思います。  郵政大臣、そこでお伺いしたいんですけれども、これからのことはともかく、これまでのやってきた政策、光ファイバーを進めてきたけれども利用者の料金の引き下げの方はやっぱり後回しになってきた、このやり方はうまくなかったと、現状認識としてそこはしっかりお持ちいただけるでしょうか。
  94. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 間違っていたかどうかということよりも、IT革命の進行状況がどのようなスピードになってきたかということが関心の対象になるのではないかと私は思っております。  やはり企業向けで光ファイバーが利用されてきた時代から、各家庭とかあらゆる方面にそういう光ファイバー等のインフラが活用される時代に急速に進んでくる、そういう気持ちを私は抱いております。  現に、光ファイバーの整備状況などを見ましても、これは先行して整備しているという感じもいたしますけれども、要するに二〇〇五年までに当初考えておった整備のスケジュールを前倒しするということまで今計画を進めておるようなわけでございまして、後追いをするよりも先に進んで、それでいくということだと私は考えておりますが、料金の問題というのはそれにつきまとうわけでございます。もちろん、ほかのメタルを使ったりあるいは無線を使ったりするシステムもございますけれども、やはりそういうようないろんな方法を使いながら、これから安い料金で各家庭なり個人が利用できるような、そういう社会をつくっていくべきだと思っております。
  95. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 おっしゃるとおり、企業ということがやはりまず先に来たと思うんですよね。家庭というところが視野に入れば、とてもじゃないがこの料金ではということになるんだろうと思います。  それで、平成八年のマルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会報告、この報告書には一般ユーザーの料金水準について負担可能額というものが、一定めどが示されております。負担可能額について月額一万円弱から一万五千円程度とする見通しが多いと。大体これが一般的な状況だと思うんですね。  八月の本委員会での質疑で私、紹介しましたけれども、近年急増している移動体通信、携帯の経費が最近では月額六千円前後にまでふえていると。家計における平均の通信費というのは一万円を超えるようになってきているんですね。その上に、一万三千円というふうにこの光ファイバーを引き下げるんだといっても、なかなか今の通信費の負担に加えてということでは、それはそれでなお大変だと。本当に一般家庭に普及するというのなら、やっぱり企業だけでなく家庭や家計にしっかり目を向けてこの問題を考えていくということを求めておきたいと思います。これはこれで指摘にとどめたいと思うんです。  次に、個人情報の保護の問題です。  この法案欠陥一つは、個人情報の保護や消費者の保護が、条文にはあるんですけれどもその他のものと横並びになっていること、その保護をだれが責任を持って行うのかがあいまいにされてしまっていることだと思います。例えば、個人情報保護は第二十二条にありますけれども、「高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保、個人情報の保護その他」と。つまり、他のものと一緒くたにされてしまっているということなんですね。  IT社会の否定的な側面の一つである個人情報の流出、プライバシーの侵害をどう防ぐかは、高度情報通信ネットワーク社会の形成にとって最重要の課題の一つだと思います。ストーカー被害など殺人にまで発展することも少なくない今日の社会状況のもとで、ネットワークへのアクセスが個人情報流出の危険を冒してまでやるような冒険的な行為になってしまったのでは高度情報通信ネットワーク社会の形成は望めないと思うんです。長官は、インフラとソフトとコンテンツがそろえば進むんだと、そういう御答弁ですが、国民が参加する上での問題というのはむしろこういうところにあるというように思うんですね。  そこで、幾つかこの間起こっている事件にも触れてお伺いをいたします。  NTTでの事件というものも繰り返されてまいりました。郵政省は、繰り返し、電気通信事業者への措置をとっておられます。NTTだけではありません。DDI、Jフォンも個人情報漏えい事件というのが起こっております。電気通信事業者以外にもそういった事件が繰り返されておりますけれども、とりわけ電気通信事業者からの流出というのは非常に通信インフラへの信頼を決定的に損なうものだと思うんですね。  国は、この事業者に対してこの個人情報保護責任をどう守らせようというのか、まずこの点を堺屋長官にお答えいただきたいと思います。
  96. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のとおり、電気通信分野はプライバシー保護が強く要請される分野でございまして、電気通信事業者による個人情報の適切な扱いを確保する必要性は高いものだと思っております。  このため、郵政省においては、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインを策定、告知されましたし、その周知徹底を、事業者に指導を努めておられると聞いております。  現在、IT社会の進展に伴い個人情報保護の要請がより一層高まっていること等を踏まえまして、政府全体といたしましては、分野横断的な個人情報保護に関する基本法制整備に向けて、次の国会にこの個人情報保護法案を出そうというので作業をしております。  さらに、電気通信事業分野は個人情報保護の実効性を確保することが強く要請される分野でございますので、そういう認識に立って、基本法制の内容等を踏まえ、個別法の必要か否か、その内容はどうかということも検討しております。  けさもこういう議論がございまして、個人情報あるいは電気通信を通じまして個人を誹謗するとか、そういうようないろんな問題が起こってくる、これに対する十分な保護を考えないとIT社会の陰の部分が非常に出てくるんじゃないかと私も危惧しております。
  97. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 個人情報が漏えいするのは、電気通信事業者そのものから直接漏えいするだけにとどまらないんですね。例えば下請に出す、外注に出したものがその先から漏えいするということがございます。KDDからの情報流出がこの間報道されました。旧KDDですね。KDDの代理店だった中文産業という会社から顧客情報が流出して営業に使われたということであります。  こういうことが繰り返される背景には、やはり個人情報が金になるという側面があると思うんですね。営業活動の効果を上げるためにターゲットを絞りたいという、そういう事業者が出どころを問わずに名簿を金で買おうとする。しかし、多くの国民は、自分個人情報が勝手に売り買いされたり見知らぬところから突然名指しの電話がかかってくる、これについて非常に人権侵害を感じているわけです。これは市場の原理では解決できない問題なんですね、市場の原理だけでは。  このKDDのケースのように、委託先に問題があって不正に情報流出が引き起こされた場合に、本来の管理責任を負うべきKDDは法に基づく処罰を受けることになっておりますか。郵政省電気通信局。
  98. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 現行法上の扱いでございますが、まず、電気通信事業者の社員が直接個人情報の漏えいを行った場合につきましては、これは処分する規定はございませんが、今御指摘の委託先から不正に情報が流出した場合につきましても、同様に電気通信事業者を処罰することはできません。
  99. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 やっぱり個々に対する対策をきちっととることが大事だと思います。個人情報保護基本法というのをおつくりになるのであれば、そういう点もしっかりと書き込んで対策をとる必要があろうかと思っております。  次に、きょうは厚生省に来ていただいておりますのでお伺いをいたします。  今度は役所から流出した例です。  ことし五月に、厚生省がメイケイという会社にデータ入力作業を委託していた患者情報が千二百八十六人分紛失するという事件がございました。事件の概略を説明していただけますか。
  100. 金子洋

    政府参考人金子洋君) 患者調査調査票が消失した事故の概略についてお答えいたします。  厚生省では、患者調査として、病院及び診療所を利用する患者について傷病及び受療の状況を調査しておりますが、平成十一年十月に実施いたしました調査調査票約二百二十一万枚のうち、契約事業者からの再委託により在宅で入力事務を行った者が千二百八十六枚の調査票を過って家庭ごみとして廃棄処分していたものであります。  厚生省におきましては、入力を行った者の所在地、住所地を担当する清掃事務所により、廃棄当日に当該地域で回収した家庭ごみは全量焼却処分されていることを確認しておりまして、調査票の記載内容は外部に流出していないと考えております。  なお、調査票には個人名は記載されておらず、直接的には個人を特定することはできないものであります。  今回の事故は、契約事業者による不適切な業務の結果招来した事態であり、当該事業者に対して厳正な対応を行ったところであります。  今回の事故を教訓にして、データ入力業務の契約に当たりましては、業務処理体制、調査票等の保護管理体制及び入力作業の品質管理に関する書類等を提出させ、審査を厳格にすることとし、契約後におきましても必要に応じて立入検査を行うなど、再発防止について所要の対策を講じることとしております。
  101. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 患者情報というのは最もデリケートな情報一つで、おかしなところに渡れば本当に深刻な人権侵害が引き起こされるわけであります。そういう極めて重要な個人情報が三次下請に出され、さらに最後はそこにインターネットで仕事を申し込んだ男性の自宅に持ち込まれていた。家庭ごみに出されるということはまさに自宅に持ち込まれていたということでしょう。焼却したと言うけれども、その証拠というのは別にないわけです。また、コピーだってとろうと思えばとれるわけですよね、自宅まで持ち込まれているわけですから。つまり、そういう厳重な情報の管理責任を負っているはずの厚生省が問題の調査票がどこにあるのかさえ後で調べるまでわからなかったということだと思うんですよ。だから、私は、こういう扱いということについてさらに一層厳格な扱いが求められると。  そこで、通産省にお伺いするんですけれども、メイケイというこの事件を起こした会社ですけれども、通産省所管の日本情報処理開発協会からプライバシーマークの使用ができる認証を受けていたということが言われておりますが、このプライバシーマークについてと、そしてこの事業者の扱いがどうなったかを簡単に御説明願います。
  102. 太田信一郎

    政府参考人太田信一郎君) お答えいたします。  委員御質問のプライバシーマーク制度でございますが、これは個人情報保護に関しまして、JIS、日本工業規格ができております。これに基づきまして、個人情報を適正に保護している事業者を第三者機関である財団法人日本情報処理開発協会等が認証する制度でございまして、認証を取得した事業者はパンフレットあるいはホームページ等にプライバシーマークを付することができることになっております。制度は平成十年四月に発足しまして、プライバシーマークの取得事業者は現在百七十七社になっております。  御質問のメイケイでございますが、平成十年九月にプライバシーマークを取得いたしましたが、厚生省から今御説明がありましたように、請け負った個人情報の処理を他の者に請け負わせ、結果的にその者が個人情報をごみとともに廃棄してしまったということが五月に発覚いたしました。こういうことで、協会側は直ちに調査をいたしまして、個人情報の保護に対して不手際があったということで六月二十八日にプライバシーマークを取り消し処分ということにしております。
  103. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、私がこういうことを指摘するのは、この問題が安心して国民ネットワークに参加する上での決定的な問題になっているということなんですね。横並びになっているという指摘もしますけれども、それはただ単に難癖をつけているのではなくて、本当にこの問題の重要性を認識して具体的に手を打つ必要があるということを言いたかったわけです。厚生省発注の仕事で、プライバシーマークを受けていた業者が請け負ってさえこの状況ですから、あくまでこの問題にしっかりと取り組む姿勢が大事だと思うんですね。  これはお伺いしようかと思いましたけれども、もう質問はいたしませんけれども、この間の新聞を見ておりましたら、これは金融審議会の第二部会で、次期通常国会に提案することを予定していた個人信用情報保護の法案の提出が見送りになったという記事に接しました。これは、オブザーバー参加していた金融業界代表らから基本法と業界の自主ルールの二本立ての管理で十分だという声が上がって、制定自体必要かどうかの意見集約もしないまま見送ることを決めたと。これは、きょう金融庁も来ていただいていませんのでこのことをやりとりすることはできませんけれども、やっぱりこういうニュースに接しますと、どうしてもこのことが第一というのではなくて、業界のいろんな御意見とかということが出てきているのかなという不安を持たざるを得ないので、やはりこれはしっかり姿勢としても示すということで、この基本法にそのことをきちっと独立して書き込むべきだ、掲げるべきだというのが私たちの考えであります。  最後に、もう時間がございませんので、情報リテラシーについてだけ一、二問お聞きしたいと思うんです。  まず、事実関係ですが、法案の第十八条に書かれていることは情報リテラシーの普及を重視して取り組むという意味ですか、長官
  104. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この十八条に書かれてあること、これは、近年の著しい情報通信技術の発達に伴い、社会のあらゆる分野で情報化が急速に進んでおります。この高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、すべての国民情報機器の操作ができる、主体的に情報の選択あるいは情報手段の選択ができる、要するに情報リテラシーを身につけるということが重要だという考え方に立っております。  このような状況を踏まえまして、この十八条におきましては、すべての国民情報通信技術を利用することができるようにするための教育及び学習の振興について規定しているところでございまして、御指摘のとおり、これは高度情報通信ネットワーク社会を形成するに当たり、ITリテラシーを重視するということでございます。  今般まとめました日本新生のための新発展政策、そして御審議いただきました補正予算におきましても、この情報リテラシーの向上に向けまして講習会を実施するとか等々、いろんな策を講じておりまして、まさにハードとコンテンツに並んでソフトの充実、これが必要だと考えております。
  105. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは、私、条文を読ませていただいて、情報技術を活用することができるための教育及び学習と、こうなっているわけですね。私は、この情報リテラシーという言葉の持つ中身というのをもっと深くつかんでいただく必要があると思っているんですよ。  情報には玉石混交のものが入りまじっているわけですね。そこから正しい情報を選び取る能力、批判的につかみ取る能力、そして自分の判断をその中で下していく能力、そしてさらにはそれを、みずからの意見というものをさまざまな形で発信していく能力、それを全部ひっくるめてこれはやっぱり情報リテラシーということになるんだろうと思っております。  実は、私は国会の公式の調査で、アメリカのサンフランシスコで行われているインターネットを使った授業の視察をしてまいりました。アメリカでのこういう教育というのは、非常に印象的だったのは、インターネットというものの性質を生かした教育活動をしているんですね。先生が画面のここをクリックしてなどというのではなくて、生徒一人一人にコンピューターを自由に使わせて、そしていろんなサイトを探しながら情報を集める。先生は時々アドバイスするんですね。どんなサイトが信頼できるのか、どんなサイトにはどのような注意をすべきなのか、こういうことを教えて、一人一人が情報にアクセスして主体的に使いこなす能力を培っていっているわけですよ。  それをしようと思えば、やっぱりまず暗記中心の教育課程そのものにも再検討が必要でしょうし、欧米並みの少人数学級にすることも必要でしょうし、十分な教員の配置も必要でしょう。ところが、政府のこの考えを見ていますと、せいぜいITを使った授業、ITを使った教育、つまりITの使い方を教えるということになっているんじゃないかと。これでは本当にリテラシーの教育にならないのではないかということを指摘したいんですが、最後に長官のお考えをお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
  106. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) まことに御指摘のとおりでございまして、これはITに限らず、新聞でもテレビでも、あらゆる情報を主体的に分析するといいますか、いい情報、正しい情報、あるいはちょっといいかげんな情報、大いに間違っている情報、この主体的に自分意見を見る、そしてその情報を分析するということは、このITに限らずあらゆるものに今必要なことだと思うんです。  一連の委員の御質問、大変的を射たところがございまして、確かに料金の問題にしても、あるいは個人情報の保護の問題にしても、ちょっとITの普及の速度に比べて立ちおくれたところがございました。だから、もう光ファイバーも企業用の値段になったし、それから個人情報の保護もそんなに、ばっと流出したら危ないという認識がなかった、今ようやくこういう法律をつくってこのおくれを取り返して日本全体をITに向ける。同時に、おっしゃるように国民が一人一人主体的に動ける教育、これはまたITと別の問題として、さらにもっと大きな問題としてこれは考えていかないかぬ問題だと。日本の文化、社会全体に対するいい御指摘だと思います。
  107. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 終わります。
  108. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上であります。  IT担当大臣と労働省にお伺いをいたします。  この間の審議、それから参考人の御意見をお伺いしてだんだん明らかになってきたのは、いわゆる基本法としてはちょっとなじまないか、もう少し不十分というふうな印象を実は私は持っているところでございまして、特に私の立場でいいますと、雇用不安に対しての対応が極めて不十分ではないかというふうに思います。  さきの審議でも明らかになりましたように、IT技術の導入をして先行しているアメリカのIT分野の産業としては非常に活況を呈しているわけでありますけれども、その裏側で全産業的にリストラが行われているということを考えてみますと、そのリストラの中心がやはり中間管理職の方が多く失職をしているというふうに言われております。とりわけ、先ほど同僚の議員の方からもお話がございましたように、堺屋IT担当大臣が翻訳をされておりました「アメリカの没落」の中でも明らかなように、いわゆる中間管理職と言われる人たちが対象者が大変多くて、特に中高年齢者がその被害に遭っているというのが状況でございまして、非自発的離職者の数が百二万人と、初めて百万人台を実は記録したと報告をしております。これは平成十二年度の労働省の労働白書の中で明らかにされていることであります。  十一月二十四日の西日本新聞において、「働き盛りを不況が追い詰める」と題をいたしました記事が掲載をされました。この記事によれば、九八年度以降、自殺者の数が三万人を超え、そのうち七割が男性で、特に三十代から五十代の働き盛りが増加していることが目立っていると言っております。その背景には、長引く不況に伴うリストラ、仕事やノルマの増加といった仕事絡みのストレスがあると分析をいたしております。  また、警察庁の、一九九九年度の自殺者数は、三万三千四十八人で、うち男性が二万三千五百十二人となっております。三十代から五十代の自殺者はこの三年間で約四千三百人増加をしている。それで、自殺の理由が借金や事業不振といった経済生活問題が二千五百六十八人でトップですけれども、遺書がないために不明とされた人が一万六千六百六十二名に上っていると報告をされております。  したがって、こういう技術革新に伴って出てくる影の部分、やはりこの記事の中でもいろんなことが言われておりましたが、特に目を引いたのは、中学時代、父親が自殺をした、失った大学生がこんなふうに言っているわけですね。「どんなに貧しい生活でも父と共に過ごしたかった。父とお酒を飲みたかった」、こういう言葉が書かれておりました。  そこで、やはりこういう今の経済状況の中におけるリストラ、そして自殺者が多く出ている、なおITだから出てくるということにはならないとも思いますけれども。今この問題で、大臣が翻訳をされました「アメリカの没落」の中でも、中間管理職、中高年者が大変多い、そうするとその自殺のところもそういう方々が多い、こういうふうに言われておるわけでございまして、やはり大臣はどういうふうにこの問題をお考えになっておられるのか、またその実態に対してどのような対策を考えておられるのか。大臣と労働省にお伺いをいたします。
  109. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大変難しく深刻で悲しいお話でございますけれども、時代変化し、世の中、特に経済構造、社会構造が変わるときにさまざまな摩擦が生じる、そのはざまでそういう悲劇が起こるということはまたよくあることでございまして、何としてもこれは下げなきゃいけない。  私がこの職につきました二年四カ月前、大変な不況でございまして、非常に中小企業の経営者などの自殺が多かった。それで、まずこれを防がなきゃいかぬというので、緊急経済対策をとりまして倒産防止をした。しかし一方では、そういう緊急対策をいつまでもやっていると構造が変わらないで、どうしても古いもの、生産性の低いものも温存するという問題も出てまいりますので、ソフトランディングといいますか、ある支えをしながら、できるだけそういう悲劇が起こらないようにしながらやっぱり経済構造も変えていかなきゃいかぬ、こういう難しい状態にあるわけです。それで、二年前にばっと緊急対策をしたものが今徐々に解除しつつある、こういう段階になってきております。  ITにも同じような効果がございまして、やはり構造改革を促すというのは、従来こういうやり方で、ITがなかった時代のやり方ですぐれた人が、これが出てきたために自分の働く場所あるいは自分能力というものが否定されたということになる場合がございます。したがいまして、そういうものができるだけ悲劇につながらないように、一方では皆さんにITをできるだけ学んでもらう、それで補正予算にも百五十万人分の教育等もお願いしておるわけでございます。そして同時にまた、会社の方でも現におられる方をできるだけ活用して、人を入れかえるんじゃなしに、日本的な雇用の中でできるだけ能力が買われるようにしてもらいたい、こう思います。  しかし、全部が全部そうはいかぬこともこれまた事実でございまして、やはり社会の進歩に立ちおくれるといいますか、違った方向に行ってしまう人、こういった人々にも安全ネットの発想で人権と尊厳とは維持していく、何重にもこういう変化の事態に対応していかなきゃいかぬなという気はしておりますが、おっしゃるような悲劇が現にあることは事実でございまして、これは重く受けとめて考えたいと思っております。
  110. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 今、委員おっしゃいました自殺の件数の増加、あるいはその中におきます経済的理由とか勤務上の問題ということを理由にする自殺者が近年大変ふえているということについて、私どもは大変憂慮をしているわけであります。  私どもの労働政策として、従来、例えば雇用調整助成金という制度のように景気の一時的な変動に対応して雇用を維持していただくという制度がありまして、これが昭和五十年ぐらいから制度化されていると思いますが、この制度が我が国の産業転換というようなことについて随分大きい役割を果たしてきたと思っております。  ただ、今、経企庁長官の御答弁がありましたように、これから産業構造が変わっていくというと、やはり雇用をつなぎとめるというだけじゃなくて、これからは新しい時代に対応できるように、例えば能力開発をしっかりする、あるいは職業に関する情報を的確に提供していく、こういったことが大変重要な課題になってくるだろうというふうに思っておりまして、能力開発の予算等も今回の補正でお願いし、今年度と来年度で例えば百四十万人、ITの訓練をしようというふうなことを考えているわけでありまして、やはり雇用対策も時代に応じて変換していく必要があろうというふうに考えておるところであります。
  111. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ひとつ、こういう時代の変わり目ですから、大臣言われましたようにできるだけ悲劇が起こらないように、どうか政策の面で御努力願いたいというふうに思っております。  次に、通産省にお伺いいたしますが、ITによる雇用創出にはどんな事業があるのか、まず教えていただきたい。  政府は、IT革命によって五年後を想定した一つの試算として、いわゆる中抜き現象で失われた労働人口が百六十三万人あるが、ITによって新たな雇用が二百四十九万人発生するとして、五年後には八十六万人の雇用創出になると言われております。  私は、ITでは多くの雇用につながらないのではないかというふうに懸念をしておりますけれども、そこでお伺いをしたいのでありますが、二百四十九万人もの雇用創出につながるIT関連とはどんな事業があるのかお教えいただきたいし、大枠では電子商取引による創出が百五万人、それからIT活用型新製品・サービス事業による創出が六十八万人、情報通信産業による創出が七十六万人とありますが、これは対象を若者としているのか、それともITによって出てくるであろう中抜き、いわゆる中高年者のところにこの雇用の創出の重点を置いておるのか、もう少し具体的にお教えを願いたいと思います。
  112. 太田信一郎

    政府参考人太田信一郎君) お答えいたします。  今、委員御指摘の調査でございますが、私どもとアンダーセンコンサルティングというのが共同で調査をした結果でございますが、数字は今先生言われたとおりでございます。中抜き等によって今後五年間で百六十三万人失われる、片や創出される雇用が二百四十九万人ということでネット八十六万人増ということが期待される。  今、三つのジャンルを言われましたが、まさにそのとおりでございまして、一つは今もう絶好調でございますが、パソコンとか半導体、液晶、集積回路、ソフトウエア開発等のいわゆる情報通信産業が今後ネットワーク化の進展に伴いさらに伸びていくということが期待されるわけです。  それからもう一つは、既存の産業でも、例えば書籍をネットで売るとか、将来的には自動車なんかもそういうことになっていくかと思いますが、そういう電子商取引を利用することによる、例えばウェブサイトを設計する、管理する、こういうところもかなり人手を食う話でございます。そういうことで、電子商取引の拡大に伴って雇用増というものも期待できる。  さらには、高度道路交通システム、いわゆるITSと言っておりますが、それの関連の新製品、車に関してはこれこそ情報武装すると言われておりますが、その関係でのいろんな新製品が出てくるかと思います。サービスも出てきます。それから、SOHOと言われるようにスモールオフィス・ホームオフィス等の事業者向けのアウトソーシングサービス業も出てくるということで、こういうIT活用をした製品・サービス事業の拡大等々によって先ほど申しましたような増が期待される。  その上での御質問でございますが、残念ながら我々の調査では、その雇用が若者に対してのものなのか中高年の者に対してなのかという区別はしておりません。今後の課題かと思いますが、いずれにしてもこういう分野で働くことになるとすれば、やっぱりそれなりの知識、技能というものが必要であるということは間違いないわけでございまして、先ほど堺屋大臣御答弁されましたように、各企業とも社内教育を一生懸命今やっております。  それから、私ども政府としても、労働省の方からも御答弁ありましたが、通産省としても人材育成等、社会人の再教育等々に今後とも一生懸命取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  113. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 なお一層、新しい新規分野の技術開発等を通じて産業拡大を願っておきたいというふうに思っておるところです。  次に、労働省にお伺いいたしますが、IT技能の習得とはどのようなものか、お伺いをいたします。IT革命によって失職すると思われる百六十三万人への対応について具体的にお伺いをいたします。  この間の審議の中でも、また答弁の中でも明らかになりましたように、失業者の多くは例えば新たな職についたとしてもこれまでの所得水準というものを維持していくということは大変困難ではないか。現実の実態がそう言わせていると私は思うのでありますけれども、これではIT革命によってゆとり、豊かさを実感することができるかどうか甚だ疑問でありまして、その犠牲になっているのではないかとも思われるわけであります。  したがって、政府は今回の補正予算で百五十万人程度がIT技術を持って再就職できるような方法を考えられたようでありますが、一体どのような技能を習得させようとしておるのか、その点についてお伺いをしますし、中高年齢者を即戦力として企業が採用することのできる技能習得というものはどのようなものなのか、お伺いをします。  また、この間の生活保障、それからさらには雇用保険、社会保険等の保障についてどのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
  114. 日比徹

    政府参考人日比徹君) ただいまお尋ねの点でございますが、まず今回補正予算で講じようとしておりますこと、あるいはそのほかにも今年度予算なり今後に向けて考えておりますこと、あわせて申し上げたいと思いますが、百数十万人という数につきましては実はいろんな内容を含んでおります。  一つは高度なもの、これはかねてから求められておるということでやってまいっておりますが、今般考えておりますのは、一つIT関係といいましてもいろんな多様なニーズがございます。これを個別のいわば求人企業と十分連携を密にして、具体的にどういうIT関係能力を求めておるのか、そしてその能力に見合った訓練機会そのものをつくり出していこう。ただ、これは従来の公共の施設だけではもちろん対応できることではございませんので、民間の教育訓練機関、ここに今既にちょっと働きかけを始めておりますが、ここの力を最大限活用させていただきたいと思っております。  それから、かいつまんで申し上げますが、実は数の多い部分は高度な部分だけではないと思っております。中間クラスももちろん必要でございますが、そのほかに、先ほど来お話が出ておりますように、このIT化というものはいろんな職場にいろんな形で出てまいっておると思っております。もちろん、パソコンというものをある程度使えなければどういう職場でも仕事ができないということにはなっておりませんけれども、ただ逆に、パソコンというものをある程度使えないとなかなか勤まらないという職場が急速にふえつつあるのも事実だと思っております。  ところが、中高年の方々の場合、パソコンがはやり出したのはそんなに大昔からではございませんので、当然のことながらほとんどこれを扱えないという人たちも現におられます。私どもは、本来基礎的な職業能力というのは個人なりのある程度努力分というものがベースになるだろうと思っておりますが、現在厳しい雇用情勢等をかんがみた場合には、緊急にある程度基礎的な能力を習得してもらう、そういう機会を大幅に御提供申し上げるべきだろうということで、基礎的な能力習得のための、ある程度期間は短くなりますが、それを大幅に提供したいというようなことを考えております。  なお、中高年の方々の場合いろんな技能を求められるときに、本来の知識等あるいは経験等をお持ちでございますので、パソコンをある程度訓練する場合にも、経理なら経理面のもとの御知識はお持ちですので、それと組み合わせた格好のパソコン操作技能を加えることによりましてかなりの就職可能性が出てくるものと思っております。  なお、この間の金銭的な面その他ございましたけれども、離職されておられる方々につきましてこういう訓練を受けられる場合、従来からある金銭的給付のほかに、これまた従来特例的に一部やっておりますが、雇用保険が受けられない方についても一定の所得保障というものを考えておりますし、実施したいと思っております。
  115. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうか労働行政としても、雇用行政に対してはひとつ積極的な取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、同じく労働省にお伺いをいたしますが、雇用不安解消のためのセーフティーネットをやはりしくべきではないかと思うんです。IT革命産業構造の転換をもたらすとともに、先ほども申し上げましたように、中間管理職の失業や従来の特定産業の急速な後退などの事態が懸念をされるわけであります。そういう意味において、産業構造の転換に対応したセーフティーネットの機能を準備する必要があるのではないかというふうに思います。  これはやはり政府責任としてしっかりとセーフティーネットを張るべきだと思うのでありますが、また同時にそれを用意すべきであろうというふうに考えております。  労働省のお考えをお伺いいたします。
  116. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) ただいま御指摘のように、産業構造が今大変大きく変わっておりますし、またそういう中で少子高齢化というような現象が進んでいるわけでありまして、今雇用についてもなかなか難しい課題を抱えているかというふうに思っております。  労働行政としましては、今まで、できるだけ雇用を安定させるということで、先ほど申しました雇用調整助成金の制度、あるいは中高年齢者については採用していただいたときの賃金助成をするというふうな手法を用いて今日までいろいろと対策もやってきたわけでありますが、やはりこれからは労働者は成長する産業で雇用していただくということが基本であろうかと思いますし、そのために、そこで対応できる能力を身につけるということが大変肝要なことであろうかと思います。  今、需要と供給が結びつかない大変大きい原因の中には、例えば年齢の問題もあるわけですが、事業が必要とする能力がないというふうなことで採用されないケースが大変多いわけであります。そういったことから見ましても、能力の開発あるいは再開発ということが喫緊の課題であろうかというふうに思います。  そういったことで、先ほど来御議論ありますように、能力開発を徹底的にやるということが必要であろうかと思いますし、それはただITだけじゃなくて、例えば成長産業には医療とか福祉とか、今求人が大変ふえている部門もあるわけであります。そういった産業にも労働力が移動できるというふうな対策が必要かというふうに思っております。  今、そういった方策について関係審議会で真剣に議論いただいているところでありまして、従来の雇用の安定という面も尊重しつつ、加味しつつ、それに対して労働移動というものをいかに円滑にしていくかというふうな観点から、助成金の見直しも今検討しているところであります。  そういったことで、次期通常国会にはぜひこの成果を取りまとめて、また御検討をお願いしたいと考えております。
  117. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後のことになりますが、これまで私はIT問題にかかわる特に雇用問題についてお伺いをいたしました。  IT後に来るものは必ずしもバラ色ではないのではないか。雇用問題を考えただけでもちょっとそら恐ろしさを私は感じているところでありますけれども、やはり私たち情報通信技術の活用を開く新しい世界の可能性には注目をして、とりわけその普及を積極的に進めていかなくてはならないと思っています。  したがって、大臣が言われるように、幅広く一般国民に理解をしていただく、そうするためには、私は適切な社会制度の整備というものが必要だろうというふうに思います。  特にこれは要望しておきたいと思うんですが、こういうIT技術についての教育をやるということは補正予算でも明らかになっておりますね。逆に今度は、使い始めてわからないということになると、どこに相談をすればいいかと。ですから、当分の間とは言いませんけれども、これはずっと続けなきゃならないことなのか、当分の間でいいのかどうかわかりませんけれども、やはり相談センターみたいなものを設置すべきじゃないかというふうに私思います。  それは国の段階でどういうふうにするのか、県の段階でするのか、市町村の段階でするのかはわかりませんけれども、やはりそういう相談センター、窓口を私は要望しておきたいというふうに思います。  もし、お考えがあればお伺いをしておきたいと思うんですが、私の質問はこれで終わります。
  118. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大変いい御指摘をいただいたと思います。  機器のメーカーも関係いたしますし、民間の教育機関、あるいは職場の同僚、あるいは趣味の人たちが教え合うという、そういう意味でNPOなども含めまして、メーカー、地域社会、それからNPO、こういうものをしっかりと考えていきたいと思います。  韓国や台湾で発達したときには、やはり家族社会、おじさんに教わったとか、いとこに教わったというのが結構多いんですね。日本はそれが余りございませんから、御指摘のような点に関して、重複しても多様な形で、NPOなども大いに活用していきたいと考えております。  ありがとうございました。
  119. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  先般も質問に立たせていただきまして、基本的な問題として、この基本法がなぜ必要なのかということを盛んにお聞きしたんですが、その後ずっといろんなほかの方の御質疑を聞いていましても、まだいまだにわからないんですが、きょうはそのことにはあえてさわりませんで、これはできれば、後で総理も見えることですから、総理のお考えも聞こうかなというような気持ちは持っておるわけでございます。  したがいまして、今回、身の回りの現実、自分自身で体験した現実に即したといいますか、その視点からちょっと質問させていただきたいと思っております。  特にこれはデジタルディバイドに関係するのかと思いますけれども、デジタルディバイドの解消とかいろいろなお話が出ておりますけれども、もうこれは何か簡単に一言の表現で言えるようなものでなくて、いろいろな複雑な面があるんだと思います。その辺について、私の体験も含めてちょっと御質問させていただくわけですが、体験といいますか、私自身のことなんですけれども。  私自身、家にもパソコンを持っておりまして、これもうインターネットにつないでおります、皆さんも同じかと思いますが。それで時々、ワープロで使用というのがほとんどでございますけれども、たまにはEメール等の授受をやっているわけですが。  先日、私のところに来たEメール、これを一太郎の方に転記しようと思っていじっていましたら、わからないままに、ソフトといいますか、それが壊れちゃったんですね。ということは、フリーズしたとかということじゃなくて、こう言えばわかると思いますけれども、一太郎のところをぽんと押しても、アクセスしないという表示が出てきて、これはよく聞いたら、これはもう壊れたんだろう、入れかえなきゃいけないと。  入れかえることは可能なんでありますが、そこで私は、Eメールをするなりワープロを打つなり、こういうことはできるつもりでおりますけれども、いざ壊れた段階になりまして、これをどうしたらいいかということは全くわからないわけでございまして、解説書はついておりますから解説書を見ましたら、そういう状況の説明はありましたけれども、中には片仮名で書いた言葉とか英語で書いた言葉で、そっちの方がまたわからなくなって、そっちを調べる間にもう嫌になってきたというような感じがございまして。  かといって、ああいうパソコンを、技術者にすぐ来ていただくというわけにもなかなかいきませんし、自分から持っていくには配線が後でうまくいくかという心配もございますし、そんなことで、結局は最後は、自分で携帯電話を耳に当てまして、しかるべく知っている人間に一々画面を知らせて、それで直したという、こういう体験を持っておるんですが。  そういうことを考えますと、私が技術的に劣っているということで片づけられるのかもしれませんけれども、この先、まあ私よりも標準、少しは以下かもしれませんけれども、それほど低くはないと思う、そういう人たちも、これからIT社会に入り込むというときに、じゃどのぐらいのレベル、日本人としてどのぐらいのレベルの技術といいますか技能といいますか、そういうものを設定しておくべきかという疑問に差し当たったわけでございます。  ただ、コンピューターそのものを見ましても、昔の何といいますか、ALGOLとかFORTRANとかそういう言葉で接触していた、そういう時代から、だんだん空間が埋まってきたという過程を通って、さらにこれからもそういう研究がされて、まだ迫るのかもしれませんけれども、逆に言ったら、何か余計複雑になって余計できなくなるんじゃないかなという心配もちょっとしているわけでございます。  よくパソコンなんか自動車の発達と比較されるわけですけれども、自動車、確かに皆さん、もうほとんど国民全員が免許を持っているというような状況だと思います。そういう意味で、パソコンもそうなるんだろうとは思うんですけれども、ただパソコンの場合、自動車と比べて、自動車はただ機械をいじるだけですけれども、パソコンにしても機械をいじるだけでしょうけれども、そこに関連するソフトといいますか、例えば電子商取引があったりそのほかの情報があったり、あるいはインターネットでいろんな情報をとることがあったり、非常に複雑だと思うんですね。  そういうことで、その辺をどうお考えになっているのかということを今回の質問にさせていただきたいと思うんですが、まず、それで大変恐縮なんですけれども、私は今申し上げたような実力しかないんですが、こういう例えば今回この基本法をおつくりになった、大臣までお聞きするのはちょっとあれですけれども、たまたま審議官お二人見えておられますので、審議官の方がパソコンとの接点といいますか、大体例えばどのぐらいパソコンと向かい合っているのか、その中でパソコンを使用される場合に、当然ワープロとしてのあれもあるでしょうし、あるいはEメールあるいはインターネット、あるいはゲームというのもあると思うんですけれども、どんなふうなお使い方をされているのか、まずその辺を審議官、大臣はまだそこまで言うとあれですけれども、審議官の方からまずその辺を後の質問の参考にちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  120. 平井正夫

    政府参考人平井正夫君) お答え申し上げます。  我々、九月四日からこのIT基本法の作業を各省から十四人集まってさせていただいております。この部屋の三分の一ぐらいの部屋に十四人が入っておりまして、それぞれの机の上にノートブック型のパソコンが一台ずつ置かれております。私自身は、朝出勤しますと、それをあけてどういうメールが入っているのかなというふうなことを見るというようなことをやります。それから十四人皆さんあけて、大体同じような作業をいたします。  例えば昨日、きょうの委員会のために質問をたくさんいただいておりますので、我々は先生に質問をいただいて、それを問いを起こしまして質疑の答案書をつくるわけでございますけれども、これについては、各自がそれぞれパソコンに、LANにつながっておりまして、一つのファクシミリ兼プリンターがございます。それで、各自がそれぞれの問いを分担してこういうふうにこれをつくりまして、それをプリンターで打ち出しまして、それを我々は見せてもらって、ちょっとこれ、こう直した方がいいんじゃないかという議論をして、また元へ戻しますと、それをまたパソコンで打ってやるような作業を実は延々ときょうに至るまで、きょうの朝までやっておった次第でございます。  私個人といたしましては、そういう先生がおっしゃるようにメールを少しやるぐらいと、何というんですか、特にニュースがいろいろありますとインターネットでニュースを引くぐらい。それから、家では買い物を、めったにやりませんけれども、一月に一回とか、ちょっと欲しいものがあったりすると、要するにEコマースというんですか、インターネットを使って買い物をやる、そのぐらいでございますので、一日に直しますと一時間か二時間程度使っているのかなという状況でございます。
  121. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  私、ちょっと今質問を一つ忘れまして、例えば先ほど私が御紹介した故障したようなときの対応というのが、もしよろしければどんなような段階でしょうか。
  122. 平井正夫

    政府参考人平井正夫君) 私も実はなかなかよくわかりませんで、若い人がおりまして、当委員会の御質疑の中でもございましたけれども、大体一番若い方の方が一番よく御存じのようでございますので、ちょっとこれ見てくれという話を言いまして、見てもらって、いやこれは左の指じゃなくて右の指でクリックするんだというようなことを教えていただいて、それをまた、一回やりますと覚えますから、わからないとすぐ聞く、そういうことをやっております。
  123. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  まあ、かなり進んでいるな、高度な技術を持っておられるなという感じが私からはするわけでございますけれども。ただ、要するに故障の例をとりましても、遊び半分と言っちゃ失礼ですけれども、そういう段階でやって故障なんかあれば、時間的な余裕もあるわけですけれども、本当にこれからITによって電子商取引をするなり、もっと現実的な問題にじかに入っていった場合、そんなただ打てるとかそういうものでは済まなくなるんじゃないのかなという思いがするんです。  それで、今のお話で、そういうIT社会で生きておられる方、それと、地方なんかで、特に高齢者なんかというのは、全く見たこともない、見たこともないというのはひどいかもしれません、さわったこともないという方は随分おると思うんですね。だから、このままでいきますと、要するに日本の国は二層社会になっちゃう、一般庶民が置き去りになっちゃうというような心配もあるわけですけれども、それで今回、IT関連特別対策費ですか、それでこういうITの基礎技術の講習を実施される、五百万人が対象だと、こういうお話でございますが、まず、どのようなことを目指すかという前に、この五百五十万人というのは、前に質問が出たかもしれませんけれども、大体どういう哲学でといいますか、どういうことからこの五百五十万人ということを算出されたか、それを教えていただきたいと思います。
  124. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これは、まず交付金で基金をつくりまして、都道府県、そして場合によっては都道府県からまた市町村に補助金が出るというような格好になっておりますけれども、それで、現にやっているところ、現にこういう活動をやっておられるような市町村もございまして、そういうところの例を見て、そして学校でこれぐらい、郵便局でこれぐらい、あるいは公民館や図書館でこれぐらい講習会ができるだろうと、それに参加比率が大体まあ六割とか七割とかいうような数字を掛けまして、大体五百五十万人ぐらい教えるだろうという、キャパシティーの方から出したというのが正直なところでございます。
  125. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうしますと、本当はもっと多くの人にやりたかったと、こういうことになるわけでございますか。
  126. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 本当は私は一年間に一千万人ぐらいの人に学んでもらいたいと思ったんです。  そして、ここで申しておりますのは、岩本委員おっしゃるように、いろんな段階がございますけれども、社会生活として必要な部面、職業あるいは職場で使うほどでなくても、社会生活としてIT社会という中で生活するのに不自由がない、そういう最小限の技能を身につけようと。簡単に言いますと、Eメールとインターネットと、それから多少の作品ぐらいはできるようにと、そこまでやっておきますと、家族の間、東京へ行っているお子さんと連絡しているとか、あるいは御近所と話しているうちにだんだんと上達して不自由ない程度にはなるだろう、そんな発想で考えております。
  127. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 わからないでもないんですが、非常に緩やかな感じで、そういうような状況で格差が生じないかな、また別の意味のデジタルディバイドが起こらないかなという心配があるんですけれども、まさにそういう意味で、大臣は今、社会生活で必要な最小限、これはEメール、インターネットと言われましたけれども、私が最初に指摘させていただいたように、それを完全なままで、横に技術者がおって自分は何しろ打てばいい、教わったとおりにやればいいという段階と、それから自分でもある程度機械がちょっとおかしくなったときにやっていけると、その辺の国民全体のレベルというのはどの辺に置かれておるかということです。
  128. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これは自動車の場合と一緒でございまして、自分で運転できるのと修理できるのと差がございます。途中で自動車が故障したらすぐ保険屋さんに来てもらわないといけないという人も結構多いと思うんです。私自身も、例えば電源が切れたときなど、あと修復することができませんで、電話をかけて呼んだというようなこともございます。  だから、社会生活としてできるということは、消費者として利用できるということでございますから、やはりそういうメーカーなりなんなりのバックアップの体制は必要だと思うんです。だから、自動車や飛行機などと違いまして、運転できなかったら事故を起こす、生命にかかわるというようなことは余りそれほど一般の社会生活ではございませんから、やはり停止していただいて、しかるべき修理屋さんが来るか、あるいは御近所のボランティアで、NPOなどでそういうことが上手な人が直してくれるというような、そんな社会を考えております。
  129. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういう社会をつくるといいますか、そういう社会のムードをつくるというのはこれはやっぱり我々の役目でもあり政府の役目であると思いますので、その辺ここにおられる方はかなりのレベルの技術を持っておられると思いますけれども、日本全体を見回せばまだまだという人がおりますし、片や一方でどんどんIT化されていくという現実で、どうも私は二層社会ができるような懸念を持ちますので、その辺はこれからどうやっていくかということに尽きると思いますので、その辺ひとつこれからもよく注視していただきたいと思っております。  それともう一つ、前回私は、IT教育といいますか、ITが発達した場合にどこに一番問題があるか、これはやっぱり教育、子供の問題だろうということで、文部省の方に来ていただきまして質問をさせてもらったんですが、どうも御答弁が、私が聞く能力が不足しているのか、よくわからなかったものですから、きょうは同じようなことで、矢野局長においでいただいておりまして、私、前からよく存じ上げております頭脳明晰な方でありますので、前のと繰り返しになりますけれども、明確に御答弁をいただきたいと思っております。  まず、先ほど森本委員の御質問にもちょっと出たんですけれども、いわゆるパソコンといいますか、インターネットを来年までに全部すべての公立学校に備えるというようなお話で、これは大変いいことだと思います。したがって、学校にはパソコンが相当普及してくるわけでございますが、パソコンを使って何を教えようとしているのか。いわゆるITというか、こういう理論を教えようとしているのか、こんなことはないかもしれませんけれども、あるいは実技を身につけることなのか、あるいは両方含めてIT技術者を養成しようとしているのか、その辺の文部省の御方針というのはどんなところか、まず御答弁をお願いします。
  130. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 子供たちがコンピューターを活用して情報社会に主体的に対応できる情報活用能力を育成することは大変学校教育における重要な課題であるわけでございます。  そういう意味で、まず教育の内容といたしましては、平成十四年度から新しい学習指導要領が実施されることになっておりまして、そこでは、中学校、高等学校におきまして情報に関する教科内容を必修といたしております。またそれと同時に、小中高等学校各段階を通じまして、それぞれの教科等や総合的な学習の時間におきまして、コンピューターやインターネットの積極的な活用を図ることといたしておるところでございます。  そこで、お尋ねの点でございますけれども、私どもといたしましては、こうした情報教育を通じまして、コンピューターを使う技能の習得ということが一つの目標でございます。同時に、誤った情報やあるいは不要な情報に惑わされることなく、必要な情報を主体的に収集し、そして判断、創造し、みずからの情報として発信できる能力、いわゆる情報活用能力でございますが、こうした能力を育成することを情報教育の主なねらいとしているところでございます。
  131. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のお話ですと、要するに例えばEメールなりインターネットなり、自分でこれを使える能力を身につけさせる、こういうふうに理解してよろしいわけですか。──よろしいわけですね。答弁がないと議事録に残りませんから。
  132. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 一つ能力としてコンピューターを活用できる能力というのが一つの目標でございます。
  133. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よくわかりました。  それともう一点、これも先ほど出たと思うんですが、要するにそういう生徒を教える先生の面ですが、これも先ほど何か体系的な研修をこれからされるというお話ですけれども、確かに体系的な研修によって教える側の能力も上がると思うんですけれども、これは言うなればあなた任せといいますか、先生そのものの心構えの問題になってしまうと思うんですけれども、そういう場合に、しっかりとその先生が実力をつけたかどうかを判断するといいますか、資格を与えるというところまで必要はないかと思いますけれども、その辺の厳しい縛りといいますか、そういうことはやられるおつもりはないんですか。
  134. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 子供たち情報活用能力向上するという観点では、先ほど御指摘ございましたように、指導者である教員の情報リテラシーの向上ということが大変必要であるわけでございます。  このため、これも先ほど御答弁申し上げましたけれども、改めて申し上げますと、平成十四年度から新しい学習指導要領がスタートいたします。その前の年でございます平成十三年度までに、公立学校の全教員がコンピューターを操作でき、そのうち半分の教員はコンピューターを用いて指導できるようにするということを大きな目標としているわけでございまして、そういう目標のもとに現在体系的な研修を実施するなど研修事業の充実を図っているところでございまして、現段階で、今、委員御指摘のような資格といったようなことは考えておりません。
  135. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私の考え方が余り先生を信用しないというふうにとられると困るわけですけれども、やっぱり教えるからにはある程度かなりしっかりした技術を身につけた先生がおられないと無理だというような気が私はいたしますので、その点はしっかりと文部省の方も考えていただきたいなと思っております。  以上で、一応質問の切りもいいようですので、二分ばかり残しましたが、これで私の質問を終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  136. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  137. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 速記を起こしてください。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  138. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。  IT基本法の審議もいよいよ大詰めを迎えまして、本日は総理にわざわざ御出席をいただきまして大変ありがとうございました。  森総理の主唱のもとに、七月にIT戦略会議、それからIT戦略本部が設置をされまして、その間非常に精力的に審議を重ねられて、昨日、基本戦略を決定されました。その間、出井議長を初めとする委員各位、それから総理、堺屋大臣、郵政大臣初め政府関係者の御労苦に心から敬意を表するものでございます。  その内容と申しますと、「首相官邸」というホームページをクリックいたしましたらたちまち出てまいりまして、基本戦略ということでポイントがわかる、こういう仕組みになっております。  恐らく、今から五年前を振り返ると、インターネットそのものはやっとあることはありましたけれども、速度も遅かったし、いろんな資料がすぐ手に入るというところまではいかなかったのではないかと思います。そういう意味で、今度は、五年後を展望した場合にはすばらしいIT社会が到来するというか到来させなければならない、こういうことだと思います。  基本戦略としては、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家を目指すということで、ネットワークインフラの整備と競争政策、それから電子商取引ルールと新たな環境整備、それから電子政府の実現、人材の養成といった四つの重点政策を掲げておられますが、戦略を受けて、これを実行に移されるのがまさにこれからの政府役割であると思いますので、総理として今後どういうふうに取り組まれるか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  139. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今、中島委員からも御指摘ございましたが、IT基本法につきましては、御熱心に御協議、御討議をいただいておりますことをまずもって厚くお礼を申し上げる次第でございます。  昨日、今お話がございましたように、IT戦略会議におきまして、IT革命の飛躍的な推進を目指すIT基本戦略を取りまとめていただいたわけでありますが、これは今後の我が国のIT政策の基本的な道筋を示すものであると考えております。  本基本戦略におきましては、「我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す。」と。そういう意味で、今御指摘ございました超高速ネットワークインフラの整備、電子商取引のルールの確立、電子政府の実現、そして人材育成を行うというこの四つの分野を重点政策として挙げているわけでございます。  我が国がIT革命推進するためには、ハード、ソフト、コンテンツを同時に並行的かつ飛躍的に発展させていくことが重要でありまして、超高速ネットワークインフラと人材育成はIT革命推進には不可欠な基盤となるものでありまして、またこうした基盤の上におけるITを活用したコンテンツの充実のためには、電子商取引の促進と電子政府の実現を図る必要があります。まさに、IT基本戦略に盛り込まれました四分野が重点を置くべき政策分野であると、このように考えているわけでございます。  政府といたしましては、恐らくここに両大臣おられますのでお話があったかと思いますが、本法案をぜひ成立させていただきましたならば、これを施行いたしますと、本法律に基づいて設置されます高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、この設置をいたしまして、この議論を踏まえながら早急に、今お話がございました重点計画を定めまして、四つの重点政策分野を中心にしながらIT革命を積極的に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
  140. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  IT革命産業革命に匹敵するということを戦略会議の中でも述べられておりますが、まことにそのとおりでございまして、人間の手足の補完の役目を果たしたのが産業革命であるとすれば、今度は人間の頭脳の補完をするのがまさにIT革命ではないかというふうに思います。  森総理におかれましては、いち早くそういう動きをキャッチされて、IT革命を国家戦略として推進する決意を固められて、沖縄サミットにおいてはグローバルな情報社会に関する沖縄憲章という画期的な憲章の採択に結びつけられたというふうに拝察をいたしております。  そこで、ITを国家戦略と発想され、世界に向かってIT森総理と、こういうふうなイメージを発信されるに至りました経緯など、御説明をいただければありがたいと思います。
  141. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今、お話がございましたように、IT革命はまさに産業革命に比すものであろうと思います。恐らく、蒸気機関が発明をされて、これがすべての社会産業の中枢になるとは発明された当時はわからなかった。しかし、そのことは日本のみならず世界全体を大きく変えていったわけでありまして、そういう意味からいいますと、これは手足よりもむしろ今御指摘のように知恵という、頭脳だということになれば、もっともっと多面的な、そしてもっともっとスピード感ある変化をしていくであろうというふうに私も想像はできるわけです。余り専門家じゃありませんので詳しいことはわかりませんが、いろんなことが想像できるわけであります。  そういう意味で、さらにこのことがアメリカのここ数年の経済の動向などを見てまいりましても、恐らくこれが新生経済の起爆剤になっていくであろうなと、そしてまた同時に社会生活というものそのものを大きく変える、このように我々としては受けとめているわけです。しかも、今申し上げたように、そのことは非常に短期的にどんどん進められていくのではないか、こういう認識をいたしたわけです。  私は、こうしたIT革命という歴史的な機会、これと正面から取り組んでいこう、そしてIT革命推進を国家戦略として打ち立てていく、すべて国民の皆さんにこのことに大いに関心を持っていただく、政府としてはできるだけバックアップ体制をしいていくということが大事であろうというふうに考えたわけでございます。  さきの沖縄サミットにおきまして、ITが二十一世紀の繁栄をもたらすかぎであるのではないか、このように考えて、IT革命を主要な議題というふうに位置づけまして、そしてG8首脳国の皆さんに御議論をいただいたわけであります。最終的にはIT憲章として、ITが提供する機会、これの活用や情報格差の解消を世界に向けて呼びかけるということにいたしたものでございます。  また、日本新生のための新発展政策におきましては、我が国におけるIT革命の飛躍的推進を早急に図るという、そういう見地から、その基本戦略といたしまして、ハードウエアである施設、ソフトウエアである技能、情報の中身でありますコンテンツ、この三本柱を同時並行的に飛躍的な拡大発展をさせることを目指したものであるわけです。  IT革命は二十一世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するためのかぎである、このように考えまして、今や世界規模の課題である、このように私どもも受けとめておりまして、今後とも私は新生経済の起爆剤となり得るようにIT革命に全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
  142. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  IT革命が二十一世紀の繁栄をもたらすかぎであるというお言葉でございますが、まことにそのとおりかと思います。  IT革命によって国民生活が豊かになり、公正な競争が促進され、そして一部の人がその豊かさから取り残されるといったようなことのない、デジタルディバイドといったことのない社会をつくらなければならないと思いますが、四つの重点政策を実行することによって、ほとんどの国民ITリテラシーを備えてITにアクセスできる社会になるというとどういうような効果が出てくるのか。ITと結びついた構造改革によって経済成長がどの程度促進されるのか。  アメリカの場合、現在の好況はIT革命経済成長に非常に大きく貢献しているということが言われておりますが、我が国の二十一世紀に向けてのIT革命経済発展なり構造改革に及ぼす影響と効果などについて、総理の御見解をお聞かせいただければと思います。
  143. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) きのうおまとめをいただきましたITの戦略会議、ここで決定をされました基本戦略というのは、我が国は五年後に世界の情報通信の最先端国家になろうと、こういうことを目指しながら今後の我が国のIT革命推進に向けての道筋をお示しいただいたものでございます。  したがって、これをどう実行するかにかかっているわけでございまして、そういう意味で、この基本法をお通しいただいて、そしてこれから、これらの戦略会議でおまとめいただいたものについて、国民の多くの皆さんのお力をかりながら政府としてできるだけのバックアップ体制をとっていきたいと。事によっては、逆にまたイニシアチブをとっていかなければならぬ面もあるのではないかというふうに思います。例えば、電子政府もそうでありましょうし、地方の、いわゆる自治体の電子化の促進などはむしろ政府が積極的にイニシアチブをとっていくことが重要でないかなというふうに考えております。  こうした戦略に基づきましてIT革命を着実に推進することによって、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を実現するとともに、我が国の競争力の強化を図ることができると考えております。  米国経済の今日の発展はITの導入による産業生産性向上によるところが大きいと、こういうふうに言われているわけでありますが、我が国においてもIT戦略の実現は、IT関連の産業のみならず産業全般にわたりまして、電子商取引の促進でありますとか生産性効率化をもたらすとか、あるいは中小企業者を含む事業者の経営効率生産性向上、そして新たな事業の創出と就業機会の増大をもたらすことができるのではないか。現にそういう方向に今進みつつあるというふうに我々も理解をいたしているわけでありまして、こうしたことによって日本産業の大きな起爆剤になっていくものであろうということを期待いたしているわけであります。
  144. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  今、総理からるる効果についてお述べいただきましたが、定性的にはおっしゃるとおりであろうと思いますが、今後、IT関連の投資その他、財政資金を使う場合にはやっぱり定量的な効果もぜひ把握するような方向で御検討いただければ大変ありがたいと思います。  ところで、総理におかれましては、大変お忙しい政務の間を縫って中学校の情報教育の現場を視察されたり、あるいはIT関連のメーカーを訪問される、あるいはパソコン専門店を訪問されるというようなことで精力的に視察をなさっておられますが、そこで、その民間活力の現状と今後の振興策などについてどんな感想をお持ちになったのか。特に、民間活力をこれから引き出していくという意味でお感じになったことなどをお聞かせいただければありがたいと思います。
  145. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほど申し上げたように、私は余り専門的じゃなくて、堺屋大臣や郵政大臣も大変な御専門家でもあるわけです。  私は、やはり国民の皆さんがこのITというものをどういうふうに受けとめておられるのか、また特に御商売、事業にとってこれをどういうふうに、むしろ政府や行政がやるよりももっと先にいろんなものを進めているんじゃないかというそういう興味を持ちまして、随分いろんなものを見させていただきました。限られた時間ですからそう長い時間で説明できませんが。  一番やっぱり感じましたのは、例えば工作見本市を見に行ったんですけれども、我々が考えておった昔の切削工具ですか、こういう切削工具、工作機械がほとんどITを使っているんです。驚くべきもので、我々の想像を超えていました。こんなに民間というのはすさまじい、何といいますか、知恵を使いながら、端的に言えば、森工作機械という会社がいろんな会社に、世界じゅうの工場に納入をすると、それを日本で全部、社長の家から全部見えるわけで、掌握できるわけですね。どこが故障したのかということまでもが家に座っていてわかるというんですね。実に驚きました。そこまでもうどんどん進んでいるということであると、これは御意見が出たんだと思いますが、むしろ政治家や政府がやることの方がおくれているのかもしれない。  しかし、民間がどんどん進めていくということについて、やはり法律も必要だろうし、それからいろんなことで規制がかぶっているところはやっぱり緩和してあげなきゃならぬだろうし、それが躍動的に民間が主体になってこのIT時代をつくり上げていくということになるんだなということをいろんなものを見ながら、特にやっぱり感心しましたのは、三鷹だったと思いましたけれども、高齢者のおじいさんたちが何か第三セクターで通産省でつくったビルに入っておられまして、皆さんそこで集められて、七十四、五のおじいさんがアメリカの方とパソコンで碁を打っていらっしゃる。相手を御存じなんですかと言ったら、知りませんと。私にちょうど適した人でしたと言って、もう画面を見ながら一生懸命に碁を打っていらっしゃる。ここまで、いわゆる老後のお楽しみの中にまでパソコンが入っているんだなということを感じました。  私もちなみに、ちょっと試しに自分の家の孫にパソコンで通信をさせまして話してみると、ああ、これなら孫子がアメリカに行っていようと遠く北海道に行っていようとそう寂しくないな、むしろお年寄りの皆さんもどんどんパソコンなどになじまれていくといいんだなという、そんなことを思いました。  余計なことを申し上げましたけれども、そういうものを拝見しながらそんなことをいろいろと実感として感じたわけでありまして、民間の技術力とか商品開発力の高さというものを実感しまして、IT分野における急速な技術革新という新潮流に速やかに対応するためには民間主体の自由な競争が不可欠であるということを実感いたしましたし、そういう認識に基づいて政府としては、民間主導の原則のもとに公正な競争ができるようにすること、そして規制の見直しといった高度情報通信ネットワーク社会の形成を阻害する要因の解消等を初め、民間活力が十分に発揮されるための環境整備を図ることが必要であるというふうな、そういう感想といいましょうか、そういうことを痛感いたしました。  これによりまして、二十一世紀に向けてすべての国民情報通信技術の恩恵を享受しながら、ゆとりと豊かさの実感できる国民生活が実現できればなと、このように感じた次第であります。
  146. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 大変実態に即した楽しいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すということの具体的な目標の一つがやっぱりインフラの整備であると思いますが、その整備も、今おっしゃいましたように、民間が主導的な役割を担うんだ、政府はそのための環境整備を行うんだということであると思いますが、基幹回線については確かに競争の促進と規制の緩和とあるいは管路の開放といったような手段で民間主導で整備が進むと思いますが、ラストワンマイルと申しますか、加入者の戸口まで高速回線を整備するとか、あるいは離島や過疎地の問題とか、バリアフリーという意味でも身障者の対応をどうするかとか、そういった領域についてはなかなか企業採算に乗らない問題もあろうかと思います。  IT革命を民間主導で進めるといっても、やっぱりユニバーサルサービスを確保してデジタルディバイドをなくしていくということについては政府の支援も必要になってくるんだと思いますので、その辺の今後の民間と政府役割についてどういうふうにお考えになっておられるか、御見解をお聞かせいただければと思います。
  147. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) インフラ整備の関係でございますので、私からお答えを申し上げます。  情報通信インフラの整備につきましては、申し上げておりますように、民間が主導的役割を担うということを原則といたしまして、政府は公正な競争の促進など民間の知恵と活力が十分に生かされるような環境整備を中心にしまして施策を講ずべきだと考えております。  他方で、政府としましては、すべての国民が高度情報通信ネットワークの利用を通じて情報通信技術の恵沢をあまねく享受できますように、このITの基本法にもさような規定を設けておりますが、ユニバーサルサービスの確保を含めて、情報通信社会における格差是正のあり方に関して官民の役割分担を踏まえて新たな枠組みや支援策について、現在、郵政省の附属機関でございます電気通信審議会において検討を願っておるというところでございます。十二月には第一次答申が出される見込みでございますので、こうした検討結果を踏まえまして適切に対処いたしてまいりたいと考えております。
  148. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、APEC、ASEANについてお伺いをさせていただきたいと思います。  去る十一月十五、十六日には森総理がブルネイでAPEC首脳会議出席された、それから二十六日にはASEANの首脳会議に出られたというようなことで、APECではIT革命を通じて新たな機会を創出するという首脳宣言が盛り込まれておりますし、ASEANではデジタルディバイドの解消に向かって百五十億ドルの支援資金を用意するというようなことを言われておられます。  そういったことで、アジア諸国のIT革命促進のために大活躍をされておられますが、両会議ITに関する成果などについてお聞かせいただければと思います。
  149. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) APECの首脳会議にいたしましても、あるいはまたこのたび行われましたASEANの会議にいたしましても、最大の関心事はやっぱりグローバル化ということが首脳の皆さんにとっては大変な関心事です。もう一つはやはりWTOということでしょう。  いずれにしても、そういう流れが国際的にずっと加速しているということに対して、それぞれの国の首脳は大変大きな心配もされておられる。そしてまた、取り残されてはいけないという、そういうお気持ちも皆さん持っておられたようであります。  私は、ことしのこの首脳会議では、実は今、中島委員から御指摘がありました五年間で我が国が百五十億ドルをめどとした情報格差解消のための包括協力策を御紹介申し上げたのは、これは七月の沖縄サミットで、G8主要国会議で、我が国としてはこのデジタルディバイドの対策の経費といいましょうか費用としてこういうことを考えておるということを我が国が議長国として表明をいたしたわけでございます。私は、これらの対策はできる限りAPECの域内あるいはASEANの域内で活用するということがやっぱり大事ではないかということを発言もいたし、それぞれの首脳からも大変歓迎もされたわけであります。  特に、ASEANプラス3首脳会議では、東アジア地域におきます情報通信技術協力推進のために東アジア産官学合同会議を私からも提案をいたしました。これも各国の首脳の皆さんから大変高い評価、関心を得ました。さきの包括的協力策を特に日本とASEAN協力のために重点的に用いたいという考え方も私は表明をいたしまして、ASEAN各国からも大変歓迎されまして、こうしたイニシアチブにつきまして、ゴー・チョクトン首相の提案で、これは私がつけたのではないので恐縮ですが、森eアクションというふうにこの会議で名づけていただいたわけでありますが、これは我が国がこれから世界の国々、とりわけASEANの国々に対してできる限りの御協力をしていくという、そういう我が国の姿勢をこれらの国々に理解をしていただけたのではないかと。  こうした開発途上国にとっては、確かにITも大事だけれども、それより自分たちのところの道路や橋や下水道や、むしろそういうものに対する関心の方がまだ強いんですということは率直におっしゃっていました。  しかし、そうはいいながら、一方ではIT化がどんどん進んでいく、そのことについて、これはやっぱりおくれてはならない、そういう思いもあるので、インフラの整備もあるいはまたそういう人々の教育などについてもできる限りのバックアップ体制をしいてほしいという率直な皆さんのお気持ちについて、我々としても、できるだけいろんなプロジェクトを一緒に考えながら、お互いに努力し合っていきましょうということを申し上げてきた次第であります。
  150. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  総理におかれましては、今後、国際貢献も含めてIT革命推進にぜひ御尽力をいただきたいと思います。  時間が参りましたので、終わります。
  151. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  総理、御苦労さまでございます。  しばらく前まではクエスチョンタイムの方に総理は出られるのかななんという、そんな予測もあったものですから、クエスチョンタイムではなくて当委員会に来ていただきまして、委員会の一メンバーとしてはありがたい思いもしているところ、今会期もあとわずかという中でクエスチョンタイムにも出てほしかったなというそんな気持ちも錯綜しておりますけれども、せっかくの総理とお話しできる機会でございますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、また二十日はいろいろ大変な、総理にとりましても我が国の政局でも大きな出来事がございまして、日々ある意味では緊張する思いではないかというふうに思いますが、そのような話は本来クエスチョンタイム等の分野でございますので、このIT基本法を中心にしながら幾つかお話しさせていただきますが、今も国際会議のお話が出ました。  さて、それで国際会議でございますが、同時期にCOP6、気候変動枠組み条約第六回締約国会議がオランダのハーグで行われました。環境庁長官出席をされておりますが、これを先にちょっと、総理のお考えをお尋ねしたいなというふうに思います。  この会議は、三年前の過ぐるCOP3の京都会議、このときに私たち、先進国に対して温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書、これを実現するために、今度のCOP6というのはある意味では国際ルールを決めるための位置づけとしての大変重要な会議であったというふうに、これは皆さん方も御一致するところじゃないかと思います。結果的には、新聞でも見出しで決裂とかまとまらずとか、同じことですけれども、中断をして、来年五月にボンでこの会議も再開されると聞いております。  そこで、総理にお尋ねするのは、この決裂に至ったことに対し、これから我が国政府としてどう、とりわけ具体的に言えば森林吸収分の算入の問題があるんですけれども、この後の我が国の温暖化対策、どういうふうな方針、施策をとられるのか、冒頭、お伺いしたいというふうに思います。
  152. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 御指摘ございましたように、ちょうど私どもの会議と同時並行的にハーグでのCOP6の会議が続けられておりまして、途中二度ばかり川口長官からもお電話をいただきながら状況なども報告を受け、そしてまた大いに激励も申し上げていたわけでございます。  一九九七年のいわゆる京都会議、COP3の議長国であった我が国といたしましては、この京都の議定書を二〇〇二年までにはぜひ発効させる、そういうことを目指しながら、今回のこのCOP6を成功に導くように精力的に交渉を重ねたわけでございます。今回の会議では、今御指摘ございましたように、最終的には合意を見るに至らなかったわけでありまして、私は大変残念であったというふうに率直に申し上げておきたいと思います。  今後、我が国といたしましては、関係国によります議定書締結を可能なものにするために、来年の五月、六月に開催される可能性の高いCOP6の再開会合がございますので、それに向けましてさらに国際交渉に積極的に臨んでまいりたい。そして、京都議定書の二〇〇二年までの発効に向けた国際的な熱意が失われないように努力しなければならぬと思います。  国際交渉の進捗状況も踏まえながら、国民の皆さんの理解と協力を得て、そして締結に必要な国内の制度に総力を挙げてもう一度しっかりと取り組んでいきたい、このように決意をいたしておるところでございます。
  153. 齋藤勁

    齋藤勁君 もう一度お伺いしたいんですけれども、今の最後の総理の御答弁ですと、国内のさまざまな取り組みというのは、今度の会議の決裂は、いわば我が国、あるいはアメリカもそうですけれども、森林吸収分について、これについて受け入れられなかった、我が国は主張したけれども受け入れられなかったと。これも国内政策として改めないと、もう会議そのものは何回やっても同じような状況になるのではないか。  今、総理の御答弁は、日本の森林吸収分についての主張はもはや通らないだろうという前提で国内の検討に入ると、こういう受けとめ方でよろしいでしょうか。
  154. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 日本の考え方が受け入れられなかったとか、あるいはEUなどとの意見の違いであったということだけではないわけでありまして、他の国々もいろんな問題点でやはり整合性といいましょうか調整がつかなかったということでございます。  今、お話が齋藤先生からありましたとおり、我が国は森林の吸収源という問題を私どもとしては提案したわけでありますが、やはり国によって森林吸収源といいましてもそれぞれ形態も違うわけでございますし、すべてが理解を得られるという状況ではなかったわけですが、森林吸収源の問題についてはEUと日本とアメリカとカナダなどのそれぞれの立場が違うわけでありまして、最終的にそういう面で合意に至らなかったわけでありますので、引き続きもう少し詳細にわたりまして、その再開会合が開かれるまでにもう少し、個々のそれぞれの国の立場、また国のありよう、形態、いろいろございますので、そうしたことをしっかり理解がお互いにできるように詰めていくことが大事ではないかというふうに考えております。
  155. 齋藤勁

    齋藤勁君 このことの委員会ではございませんのでこれ以上なかなか難しいなと思いますけれども、私も報道なり、それから環境庁長官が帰られていろいろ記者会見をした報道を見ている限り、従来の日本の姿勢はもはや通用しないということで、そのことをやはり今回のハーグ会議の教訓であるというふうに語っているのが多々私も見受けられましたので、総理も検証するということですが、そう時間がないのではないかというふうに思いますね。ぜひ私は、この会議の決裂から我が国として何を学んで、国内対策ということ、そして国際的対応というのをきちんと立てるべきではないかというふうに思っております。  さてそこで、先ほど中島委員からもASEANの内容について御照会がございまして、御答弁がございました。  さきに、同じ時期にシンガポールで、総理はこのASEANの首脳会議の席上で、いわゆるODAのことですけれども、我が国の今の厳しい経済・財政状況の中ではODA予算も聖域ではないということで、これは見直しを示唆するということで聞いているんですが、こういった効率的な運用が必要だと、見直しを示唆するこういう御発言はこの首脳会議の中でされておりますか、お尋ねいたします。
  156. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 直接、政府方向である、あるいは方針であるということではなくて、我が党の政調会長からODAについてはよく見直さなければならぬという御発言がありました。そのことについて、各首脳から、そういうニュースをごらんになって、私にそれが真実なのかどうか、政府もそういう方針なのかどうかということをお尋ねになられたから、それに対しまして、それは非公式の場面もございましたし、二国間で立ち話でもありましたし、公式な会議の中でもそういう御発言がありました。  こういうASEANの国々にとりましては、我が国のこうしたODAを初めとしての援助を受けるという立場から見れば、国が発展をしていくためには極めて重要なことであるということでは大変関心がありまして、この亀井政調会長の報道がそれぞれの国にも流されたようでありまして、大変そのことについて皆さんは心配をされていました。  私としては、政府としてはまだそういうことを決めておるわけではないが、日本も御承知のように大変厳しい財政状況になっておるので、いずれ年末には予算編成に入るわけだけれども、一応今のところは政府の方針としては、予算には聖域はないんだ、まずそれは原則ですと。しかし、個々にいろんなケースで議論をしていかなきゃならぬし、特に我が国の中には、我が国の援助を受けていながら軍備を強化されたり海外にいろんな兵器を売ったり、そういう国があるということは我が国の国民から見ればなかなか理解できない面でもありますよと、そういうことも、特定にどこどこということは私は申し上げておりませんが、そういう国民的な感情があるということもよく皆さんに御理解をいただきたいというようなことを私から申し上げたわけであります。
  157. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は、ODAについては聖域ではないと、我が国の経済・財政事情等もございますが、この見直しをするということについては基本的には賛成をします。言ってみれば、従来型はどうもばらまき型ではないかという、こういう批判もありましたし、また中身についてもいろいろ吟味をしているわけであります。  そこで、森eアクション、シンガポール首相が森eアクションと、こういうことで、このASEANの首脳会議で総理が百五十億ドルに及ぶ情報技術支援をASEAN側に重点配分すると表明をされた。そのときに、シンガポールの首相がこれを森eアクションと名づけるように提案をし、各首脳が賛同したと先ほど総理の御答弁がございましたけれども、それはそういうふうに各国の首脳も賛同されたということなんですか。
  158. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 別に諮られたわけじゃないんですけれども、ゴー・チョクトン議長が最後の締めの言葉の中で幾つかいろいろ申し述べられまして、そして日本のこうしたいわゆるデジタルディバイドに対する国際的な協力、これは我々の国にとっても大変評価したいと。これまで日本の側からいろんな施策があるたびに、例えば福田ドクトリンというのもありましたね、あるいは宮澤イニシアチブというのもありました、あるいは小渕プランという、そういうのもありました、こうしたすばらしい包括協力策について我々は森eアクションと申し上げたいと思いますが皆さんいかがでしょうかと言ったら、皆さんが拍手をしていただいたということでありまして、私はすぐお答えをいたしました。ネーミングではありません、これは本当に皆さんの国にとってすばらしい実効が上がる方法でどういうことができるかという、そういう実行をすることが大事だというふうに受けとめておきますと、このように申し上げて、最後にごあいさつを申し上げてきました。
  159. 齋藤勁

    齋藤勁君 各国首脳が森eアクションとおつけになる、それはそれで別に私もそうなのかなというふうに受けとめるしかないんですが。  そこで、百五十億ドル、先ほどの御論議、私たちも経過は、九州・沖縄サミットで決まっていたということで、百五十億ドルIT支援というのはそれなりに念頭にあるところでございますが、総理はシンガポールで、このIT支援百五十億ドルというのは実際の財政負担額、真水でどのくらいですかという、こういう記者の質問に対して、いや、これは真水というのは全部なんだという、こういうやりとりがあって、私は新聞報道をそのまま読ませていただきますと、記者が使い切れるんでしょうかと、各国の事情を聞いてこれから事業を考える、五年間かけて出すんだということを総理として答えられているんですが、これは事実でございますか。
  160. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) これは別に、正式な会見の後のそういう質問ではなかったんです。終わりましてから道を歩いておりましたときに、どこかの記者だったか、たくさんおられまして、それはみんな真水ですかと、こういうふうに言われまして、外国の方でしたけれども、外国にも日本の真水が常用語になっているのかと思ってちょっと驚いたわけですが、歩きながらの声にこたえて言ったので、これはそれぞれの国にいろんな計画があるわけですから、その計画に合わせてこちらがどう協力ができるかということじゃないでしょうかというふうに申し上げておきました。  そのためには、これからやはりそれぞれの国がいろんなプランをお立てになるでしょうし、何を支援を求めていくのかということも当然国によってみんな違うんだろうと思いますから、そういう具体的なプロジェクトを伺って、そのためには私どもの方から、もう既にこの十月末から十一月初めにフィリピン、タイ、カンボジアにミッションを実は政府は派遣をいたしておりまして、今後それぞれ他の国々にもそうしたミッションを派遣して、それぞれの国が何を一番求めておられるか、そういうものをしっかり伺って、それはODA対象になる、あるいは非ODAになるのか、あるいは国際協力銀行などによる輸出金融ということになるのか、これはもうケースによっていろいろと私は異なってくるというふうに思っております。
  161. 齋藤勁

    齋藤勁君 外国の記者さんかもわからないんですが、これは日本の新聞なんですね。日本の新聞で、真水、いわゆる実際の財政負担額は幾らですか、こういう言い方をしていますよね。真水は幾らなんですかという多分言い方をしていると思うんですが、それで、総理も今言われたように、全部だと。過日、可決をされました補正予算もそうですが、この真水、実際これはいろいろ融資とか保証とか何かも膨らむわけですよね。同行の役所の方が、全額真水という首相の言葉に、随行の官僚は、首相はわかっているのだろうかと首をかしげて、通産省などからは、百五十億ドル全部が真水ならばらまきになりかねないと、同行のお役人さん、官僚の方が言っている報道があるんですね。  これははっきりされた方がよろしいんじゃないですか。真水、百五十億ドルなら約一兆六千億ぐらいになるんですか、日本円に換算して。これからいわゆる融資とか保証とか、いろいろ含まれているからもっと膨らみますよということをASEANで言われたのか。いや、これはまだ、ぱっと言われて、質問されたらぱっと答えちゃったんで、これから各国のいろいろな事情とか何かを聞いて、そこはそうならないんだというなら訂正をされるなり、大きい記事でございますので、改めてお尋ねいたします。
  162. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、これからそれぞれの国がどういうプログラム、どういう援助の方式を求めるか、これは話し合ってみなきゃならぬことでありますし、それぞれ日本政府もそれに対応した仕組みがあるんだろうと、こう思っております。  したがって、私の申し上げたことは、本件のこの包括的協力策というのは、ODAもありますし、非ODAもありますし、あるいは公的な資金を通ずる新規の協力策というような、そういう趣旨で申し上げたわけでありまして、経済協力ということの中に真水という定義はないわけでありますから、私は、歩きながら記者団に聞かれたので、おやっと思ってびっくりしたので、日本としてはできるだけのことをして協力したいんですよという姿勢を見せることが大事だと思って、実際あけてみたら余り期待ができるものではなかったというふうになってもいけないなというふうに思ったので、そういうことを申し上げたわけです。  同行の官僚がどういうふうに言っていたかは私は直接耳にいたしておりませんが、私としては、でき得ることはできるだけの御協力をしてあげることが一番国際協力として大事なことだろうという、そんな思いで申し上げたわけであります。
  163. 齋藤勁

    齋藤勁君 しつこいようなんですけれども、こうして私ども国会内で一つ委員会でやりとりするというのは、何でそんなことを、くどくどやっているじゃないかと、こうなると思うんですが、こういうこと一つ一つが大切だと思うんですね。とりわけ、国内もそうですし、我が国においてはこれは財政支出をしていくわけですから、この辺をきちんきちんとしていくということが我が国の信頼をこれは強固にしていくということであり、そのことがやっぱり私は、森eアクション、そのことが裏づけされることではないかと思います。  今の御答弁ですと、どうも、真水と言われた、全部だよというふうに答弁したけれども、まだ確たるものではない。真水というのは、今、私ども野党でございますが、とりわけ与党の皆さんは、政調会長まで含めて、補正予算では真水で幾ら真水で幾らとよく言われていますから、これはもうある意味では常識的な話ですから、そこはきちんと、これは国民が見ていますから、国際社会も見ていますから、総理自身がきちんとお答えいただくということがこれから国際的にも必要だと思いますので、ちょっと何かわかるような気はするんですけれども、御答弁でわかるような気はするんですけれども、それじゃ、こうやってもうある意味ではひとり歩きしていますから、通らないのではないかというふうに思いますので、上野官房副長官も御同行だったと思いますから、総理の御答弁の後に官僚が、上野副長官、こういうふうに言っていたとか言っていないだとか、そんなお話をいただいても結構なんですが、改めて総理からお願いいたします。
  164. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) たびたび申し上げて恐縮ですが、どなたが質問されたのか、人が確定もできません。たくさんおられた中で、ある種のやじのようにして飛んだということでございますから、その場で、ケース・バイ・ケースでどうあるべきだよなんということを説明できるわけでもありませんし、また皆さんが期待をしておられるわけですから、基本的にはできる限りのことをしたいという気持ちで申し上げたわけですが、ただ、それぞれの国の計画、プログラム、そういうものがあるでしょうから、それによってしっかりおこたえをしていきたいということだけは、そこで皆さんに立ちどまって申し上げておきました。  そういうふうにマスコミでは言葉だけとらえていろいろ流されていくわけで、私などはその犠牲者の最たるものでありますが、そういう意味では、こうした委員会齋藤委員から、本当に御親切に聞いてくださることは本当にありがたいことだと思います。  そういう趣旨で申し上げたということでありまして、お答え申し上げた以上でも以下でもございません。要は、そうした国々の皆さんにとっては、先ほど言いましたように、道路だとか、むしろほかの方のインフラ整備がまだまだ足りないんだという中で、一方でこういうITの問題がどんどん進んでいく。そのことに対して大変な不安感を持っておられるわけですね。ですから、そういうことに対して、日本がそこで、そのことによって経済的な利益を上げようとかそういう思いではなくて、そういう皆さんの生活向上のために資するようにしていくということが大事だという、そういう思いで私は申し上げたわけでありますので、御理解を賜りたいと思います。
  165. 齋藤勁

    齋藤勁君 行かれたですよね、副長官も、そうでしょう。だって、新聞でこんなに、実際、「通産省などからは「百五十億ドル全部が真水なら、バラマキになりかねない」との声もでている。」と。役所の名前も書いているんだから、だれが言ったかわかっているんじゃないんですか。
  166. 上野公成

    内閣官房長官(上野公成君) この件につきましては、これは総理がテレビの前で会見をしまして、それから帰る途中に大勢がいろんなことを言った中ででしたので、よく正確に聞こえなかったというのが、総理にも恐らくしっかりとは聞こえなかったんじゃないかと思います。  真水ですかどうですかということですけれども、それに総理がきちっと答えたわけじゃありませんので、そういう本当にざわざわとした中で、もうそれは番記者が何か言うよりももっとうるさい、騒然とした中でございますので、しっかりとしたそういう質問に対するお答えじゃありませんので、そのことだけきちっと申し上げておきたいと思います。
  167. 齋藤勁

    齋藤勁君 「IT支援の百五十億ドル」と書いてあるものですから、これは今IT基本法で、デジタルディバイド、情報格差をこれは解消していかなきゃならないということの、そういう意味では国内もそうだし国際社会もということで、あえてしつこく聞かさせていただいています。  どうも、やりとりですと、「森首相「すべて真水で」」と見出しにありますけれども、そうじゃないですね、これはね。すべて真水じゃないんだと。これは要は百五十億と総額を決めたと。しかしこれは、今の答弁だと、各国の事情を聞いてこれから考えるんだと、こういう私の受けとめ方でよろしいですか。そういうことでこのことは終わりたいんですけれども。
  168. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) もう一つ私は、これは歩きながらどなたに対してお答えという印象はないんですが、五年間でやることですよと。それから、国によってそれぞれのお考えがあることですから、それぞれの当事国と十分御相談をさせていただきますと、こういうふうに申し上げたんです。
  169. 齋藤勁

    齋藤勁君 近々、内閣改造があるということでなかなか時期については、出られないということですが、このIT戦略本部ですね、本部長は総理。そしてまた、今度の新しい省庁再編の中で閣僚の数も少なくなるということで、これはIT推進の特命相を、総理としては特命相を置くと、こういう考え方で私ども受けとめてよろしいですか。
  170. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今御審議をいただいているこの基本法を成立させていただいて、先ほど申し上げましたように、政府に戦略本部を置いてこれから進めていかなきゃなりませんので、内閣にはできれば専任の担当の大臣がある方が、いろんな意味政府の姿勢にもなりますし、また政策を進めていく上においても極めて大事なことではないかというふうに思っています。  しかし、今、齋藤委員からお話しのとおり、これからは閣僚数が十四ということになります。そして、あと三名がいわゆる担当、それぞれ無任所担当という形で置けるということになっているわけでありますが、やはり行政改革という大きな姿勢からいっても、できる限り大臣の数は少ないということの方が国民の皆さんにも御理解をいただけるのではないかと思っております。  そういう中で、まだ今、まずこの法案を国会で通していただくことにもう胸がいっぱいでありますので、今御指摘があったようなことまでは全く考える余裕は私にはございません。
  171. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理は記者の方ともそういうふうにお話をするんじゃないかと思いますね。  でも、また別な記事を見ますと、野中さんとそして亀井さんが決まって、何日ごろに三党首をやって、いろいろこうだというのが出ますから、いろいろ使い分けというんでしょうか、また予定が決まっていなければできないことですからこれは仕方がないと思うんですが、これはぜひ担当大臣をきちんと置いていただいて推進をしていただきたいと思います。  さてそこで、過日、この法案が私ども参議院の方に趣旨説明をされたときに、我が会派の高橋議員が多くの点で質疑をされました。それで一、二点、総理の答弁もございますので、補強をしてお尋ねしたい点がございます。  一つは、労働・雇用問題に関連をしまして、NPOの活用等による雇用の創出、ベンチャー支援による新事業の創造、NPOの活用を行って雇用の創出、ベンチャー支援による新事業の創造などに重点を置くべきだということを、高橋議員は、IT社会の将来像の中で、労働・雇用問題の中での質疑をしております。  この雇用の問題も、時間の関係で後ほどまたあればお尋ねするつもりでございますが、答弁では、このNPOに関しまして、「地方公共団体による交付金を活用したNPOへの事業委託を進めることによって、幅広い分野における雇用創出に努めてまいります。」と、こう総理がこの部分については答弁をされております。  さてそこで、NPOですけれども、こうして位置づけをいただくことはある意味では私はいいことだと思うんですけれども、問題は、NPOに対する支援の税制問題がずっとこれはデッドロックに乗ったまま、私もさまざまなNPOの方々からこの税制問題について解決してほしいということを言われておりますが、野党の方はほぼ一致しているんですが、与党の皆さん方は、一部の会派が、一部の党かもわかりませんが、与党の皆さん方からはこのNPOの税制問題については前向きなお考えがない。しかし、総理のこのNPOの事業委託、こうやって具体的に出てきますと、これはやっぱり総合的に税制問題についてはきちんとしなきゃいけないのではないかという、そういう裏づけがあっての答弁かなというふうにもあるので、このNPOの税制問題、いかがでしょうか。総理の御答弁をいただきたいと思います。
  172. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) NPO法人は、二十一世紀に向けての活力ある経済社会を構築していく上で、今後その役割を果たしていくことが期待をされているわけでありまして、これは齋藤委員の御指摘と私もやはり同様の考えを持っております。  こうした点も世界的な傾向でもあるというふうにも考えておりますので、こうした点を踏まえまして、NPO法人にかかわる税制上の措置につきましては平成十三年度の税制改正におきまして政府及び与党の税制調査会の場において御審議をいただきながら検討していくことになる、こう考えております。  これから、党の方の税調も始めたばかりだというようでございますし、当然この問題も大きな議題になるだろう、こう思っています。今そういう審議が始まる中で私の方からこういう方向にまとめてくれと言うことはやはりこれは控えなければなりませんが、具体的には公の関与からなるべく自由を確保するという、そういう意味でのNPO法人制度の趣旨、それからさまざまなNPO法人が認証を受けているという実態を踏まえて、公益性をしっかりと担保するそういう基準やそれを確保するための仕組みをどのようにするかということなどを、少し広範な検討を始めながら、今その検討を行っているところであると、このように御理解をいただければと思います。
  173. 齋藤勁

    齋藤勁君 私もたしか自民党さんの党内の中でこのことを検討を始めたという何かちょっと報道を見たことがあるので、従来と変わって喜ばしいことだなというふうに思いながらも、今、総理から、それをもう想定して、あるいは受けて、政府としても検討されている、大変従来にない答弁だと思います。  ただ、NPOはさまざまな事業をしておりまして、こういう事業をしているからいいので、こういう事業をしていないからと、何かセレクトを余りするとまたNPOの生き生きとした活動が阻害されると思いますので、ぜひ幅広い税制面についての検討を要望しておきたいと思います。  今、十三年度予算のお話が出ました。電子政府、そして改めてまた電子市役所や電子自治体、この自治体の、いわゆる市でいえば市役所になるんですが、たまたま私は神奈川県の横浜市民なんですけれども、この横浜市は十三年度に政府に対して電子市役所実現のための基盤整備、ソフト、ハード両面にわたります事業の財政援助というのを要望しております。  これまでも、この法案質疑で、きょうも堺屋長官あるいは郵政大臣からもこの電子市役所についての政府としての全面的な支援ということを繰り返し繰り返し答弁をされていますが、非常に膨大な費用がかかります。しかしながら、これはまた急がなきゃならないということでありまして、具体的には、横浜市でいえば市庁舎内のLANを全庁的に整備する、あるいはデータ入力端末装置を整備していく、市民利用の端末設置をしていくと。また同時に、国の方の自治体に対する指針にもありますが、法制度の整備も住民基本台帳の改正だとかあるいは建築基準法の改正だとかそういうことを求めていますが、この電子市役所に対して積極的に政府として新年度予算の上でも反映をしていく、あるいは法改正につきましても通常国会で法改正に向けて提案をしていくという、そういう姿勢でよろしいかどうか、お尋ねしたいと思います。
  174. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 堺屋長官からお話があったと思いますが、我々といたしましては二〇〇三年、電子政府実現という一つの目標を定めておるわけでありまして、これが実現するということにはやはり全国の多くの自治体の協力がなくてはこれは可能ではないわけであります。そういう意味では、市町村レベルあるいは県レベル、積極的なIT化への対応にぜひ取り組んでいただきたいということを私どもとしては心から期待をしているわけであります。  すべての国民ITの恩恵を受けるためには、住民に身近な市町村における取り組みが極めて重要であるという認識をいたしております。  IT戦略会議におきましても、電子自治体の推進が最重要課題の一つ位置づけられておりまして、行政サービスの向上等を図る観点から、地方公共団体が自治事務等として行う申請、届け出など、これのオンライン化に関する政府の取り組み方針を年内に策定をいたしますとともに、電子自治体実現のための各種の基盤整備等につきましても、技術的、財政的な支援を行うことによって電子自治体の早期実現への取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。
  175. 齋藤勁

    齋藤勁君 ありがとうございます。  残りもう時間がないので、ちょっと総理、さっきもASEANのわあわあとしたそういう同行の記者のお話を伺いましたけれども、きょう、こういうことを随行の記者とやりとりがございましたが、二十五日間の登院停止になりました衆議院の松浪議員のことです。  総理は、きょう午前中、松浪議員のこの行為に対して、投げたくなる気持ちもわからぬでもないということで同情を示す発言をされたと。コップの水は飲むものでかけるものじゃないね、もったいないねと冗談まじりに応じられていたけれども、みずからも野党議員のやじに対する不満がたまっていたのか、同情を示す姿勢に転換。最後にはやじはやじらしくと言ったらなんだけれども、まあひどいやじを、まあひどいと。やじを全部収録して国民に公開するといい、国会議員として議場で吐くのにはふさわしいか、責任の一端は、これは院が違いますけれども、野党にあると言わんばかりと、こういうようなどうも随行の記者団とやりとりしたようですが、これは極めて私は、もう既に懲罰委員会で決まった、院の違う衆議院の出来事でございますが、同情を示す発言をしたとなると、これは総理大臣としてゆゆしきことではないかと思いますが、ぜひこのことについて、院が違いますが、国会議員として国会の場にいる者として、総理の所感を伺いたいと思います。
  176. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) これも歩きながらの話ですので、最初の質問は、松浪議員が懲罰委員会で云々となったが、重いと思われますかという質問だったと思います。ですから、国会の委員会でお決めになったことを私から重いとか軽いとは言えないんじゃないでしょうか、政府の立場で。ですから私は、そのことについては直接的な表現をしないで、議場にある水というのは飲むもので、のどを潤すためのものであって人にかけるものではないよと、私は率直にそういうことをまず申し上げたのが最初だったと思います。  後からもう一遍出てきまして、またお尋ねがございましたので、そのとき私はみずから進んで、記者の皆さんは御存じないかもしれないが、演壇の水というのは、人がかわる、質問者、答弁者がかわるたびにあのコップの水を一々入れかえて職員さんが置かれるんですよ、知っていますか、こう聞いたら、記者さんは皆知りませんと言うから、それくらい水は大事なものなんで、そういう意味で投げるものではないよ、飲むものなんだよということを私は強めて言いたかったわけでありまして、ただ、政府責任ある立場で、委員会で決められたものが重いとか軽いとか、それは私はそれこそ軽々しく言うことではないというふうに思ったから、そういうふうに、逃げたというわけじゃありません、かわしたつもりでございます。  ただ、その理由はともかくとして、やっぱりやじも、昔からいえば、昔に比べてと言ったと思いますが、痛烈な非常にユニークなやじもあるが、最近はみんなでわっとやられるので、私も答弁する立場でやられる立場だから、やっぱりそういう気持ちもわからぬでもないなと、もう少しやじはきちっとしたやじならいいのになという、そういう思いで申し上げたわけでありまして、別に松浪議員をかばったわけではない。罪を憎んで人を憎まずといいましょうか、そういうつもりであくまでも軽いとか重いかという質問に対して私は答えない方がいいというふうに思ったわけです。黙っているとまたいろいろ言われますし、難しいんですね。歩きながらそういう会話を続けるしかないのが今の私の宿命だと、こう思っております。  もしかばったというふうにおとりになって、そして国会の意思に対して総理はけしからぬじゃないかということであれば、そういうお話であれば、私はそのことについてはやっぱりそういう反省もしなければならぬなと、今御質問をいただいて改めてそのように感じました。
  177. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  総理、この委員会に御出席いただき、総理のITに対して取り組む意欲が私も感じられるところでございます。  九月二十一日の臨時国会冒頭の所信表明演説で、総理はIT戦略を日本新生の最も重要な柱と位置づけられましたし、さらに沖縄サミットで、今やITは世界規模での課題、我が国も産業社会構造の変革に向け迅速な対応をしていかなければならないと真っ先に取り組む問題としてIT基本法の制定を掲げてこられました。二十一世紀を前にして、我が国の取り組むべき一番大事な問題に総理が取り組まれたことに私は大変敬意を表しているものでございます。  いよいよこの基本法も本日、本委員会で採択を得るわけでございますが、臨時国会の中でこれほど重きものが進んできていよいよ法案の成立を見るということになったことについては、総理の一方ならぬ努力及び両大臣の御尽力があったかと思います。ちょっと途中でこれも飛んでしまうのかなというふうな危ういところもございましたけれども、無事におさまりましてきょうの日を迎えることは、これまた感慨深いものが総理にはあるのではないかなと思っております。  質問に入ります前に、実は私は、総理がインド、南西アジアを御訪問される際に私も一緒に同行させていただきました。バングラデシュ、パキスタンからインドへ入るということで、私は、総理が十年ぶりの訪問ですからやっぱりデリーへ一番最初に行かれるのかなと、こういうふうに頭の中で思っておりましたら、何と一挙に夜のバンガロールへお入りになった。ここに総理のこの問題に取り組まれるすごい姿勢があるなということを私は思ったんです。夜に着きましたけれども、バンガロールの人たちも大変な歓迎ぶりでございまして、総理も大感激をされたように私もお見受けしておりました。  翌日、工場見学に御一緒に寄せていただきましたけれども、総理がおっしゃっていましたけれども、まるでサッカー場かラグビー場へ来たごとく、その工場には数千人の人たちが集まって迎えてくれたのではないかなと思っています。同時にまた、日本とインドから総理と直接テレビで対話されるという場面もございました。  いよいよ帰る段階になりまして、向こうの会社の方がゴルフのショートホールの準備をわざわざしてくれていたというので、車に乗りかけていた総理がまたわざわざそこへ戻って、そして見事なるショットをお決めになりまして、多くの観客が一斉に歓声を上げたのは私はいまだ記憶に残っているところでございます。  この話を申し上げるのは、私は、総理のそういったことに対する熱意がインドの人に通じたなという気がしたんです。インドと日本関係は、これはもう古い古い、仏教、お釈迦さんの時代からずっと伝わってきて、日本もその大いなる恩恵を受けている。インドの人たちも、向こうで話をしましたら、世界のどこの国よりも日本に一番友好的な感じを持っている、アメリカよりもむしろ日本だということでございました。  しかし、戦後の歴史の中にも日米があり、日中があり、インドというところとなかなかうまく友好関係が結べなかった。  そこで、今新しい時代に入って、そういった流れの中で総理がバンガロールへITの問題で入っていかれたということ、核実験の問題がありましてなかなか非常に厳しいところでありましたけれども、総理がそれを乗り越えてIT関係をもって日本とインドとの新しい関係を築こうとされたこと、これは私は大変すごいことだったと思いますし、総理が見事にティーショットを決められてグリーンの上にゴルフのボールが飛んでいったときに、後で聞いた話でございますけれども、総理が打たれたその姿を見て、日本とインドの新しいティーオフが始まったんだという話があったようにも私は伺っております。そういったITに取り組む総理の姿勢と、日本とインドの新しい関係を総理はつくられた、貴重な、これは二十一世紀を前にして、大変なお仕事であったなと私は思っています。  ただ同時に、インドへ行かれまして、日本はおくれているなということも私も実感いたしましたし、総理も実感されましたが、バンガロールを訪問された総理のお気持ち、ちょっとこれは当初質問の中にはなかったわけでございますけれども、総理のお顔を拝しているうちに、その辺の心境をお尋ねしたい、日本がおくれているなということについてもお尋ねしたいと思った次第でございます。
  178. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 森本議員にも御同行いただいて、もちろん野党の皆様にもお呼びかけすればいいんでしょうけれども、なかなか政府と御一緒にということにはならぬと思いますので、与党三党の代表者においでをいただいたわけですが、このIT戦略といいましょうか、IT革命政府としてこれだけ一生懸命取り組んでいるのはなぜなのかということを国際的な立場でも政党の皆さんに見ていただくことが大事だろう、そう思って森本さんにも御同行いただいたわけでございます。  もう十分御承知のことですけれども、私はやっぱり一番感銘深かったのは、今でも八月六日と九日になりますとインドの国会は国会議員が全部立って黙祷するんだそうです。それはなぜなのかと言ったら、広島と長崎の原爆に対して抗議の意味を含めて国会で毎年黙祷されるというのを聞きました。まだ幾つもありますが、それぐらいインドというのは日本に対する大変大きな愛着というんでしょうか、信頼感といいましょうか、長い歴史の中における二国間のそういう深い友情のようなものがあるなということをその一事をもっても、恐らく今、日本国民が、テレビででもラジオでもやらなければ国民が、広島や長崎、当事県はともかくとして、みんなが立ちどまって黙祷するということはなかなかないだろうと思うんですが、そういう国があるということを聞いて、大変私は感動深くそういうお話を聞いたわけです。  たまたまバンガロールに参りましたのは、ここがインドのいわゆるITのソフトの工場群でありまして、その隣に実はハイデラバードというところがありまして、私が参りました一月ほど前だったと思いますが、アメリカのクリントン大統領がそこへ入ったというニュースを聞いたものですから、ちょっと対抗しまして、よし、それならおれはバンガロールだ、こう思って、実はバンガロールに入ったということであります。  確かにおくれている面は、今、森本議員がおっしゃいましたように、あるんですけれども、しかしインドの皆さんはソフトの面が物すごく進んでいるわけです。ですから、アメリカとも大変な交流を深めておって、アメリカのいろんな意味でのソフト面は全部インドが引き受けているという、そういう関係にあることがよくわかりました。  インドの皆さんは、むしろ日本がハード面で物すごく進んでいるわけだから、その進んでいる日本のハードと我々のソフトと組めば本当はいいんだということをインドの皆さんが、政府の要人もそうですし、特に経済関係、商工会議所の皆さんなどにお会いしてもやっぱりそのことを強くおっしゃいまして、そういう意味お互いに補完的役割を果たしていく上においては、非常に私はインドと日本との関係を深める、そしてまた説明の要らないそういう親近感という、歴史的な長い親近感というのを持っておるんだなということを非常に感じました。  これまで若干、先ほどからもいろんな議論になっておりますように、日本はこのITに取り組む基本的な姿勢がおくれておったことは事実だと思います。その分だけアメリカが非常に早かったと。ですから、アメリカにどんどん留学をして、そして彼らが帰国してアメリカとの関係を守っているということがアメリカとインドとの関係が非常に進んでいるということの原因だろうということもよくわかりました。  そういう意味で、改めていろんな施策を通じながらインドとの交流を深めながら、私が参りましてからインドからいろんなグループが日本に物すごく来ています。それから、日本の方も、今井経団連会長を中心にしまして、それぞれの企業がインドへ渡りまして、具体的な話を進めておりまして、そういう意味では私はインドと日本の新しい関係がこれから構築されていくなというふうに思っております。  また、余計なことかもしれませんが、年が明けましていろいろな時間がありましたら、この委員会の皆さん方もそうした国々にも御視察をいただいて、そういう国の中で大いに激励をしていただくと恐らく大変皆さんが喜ばれるのではないかなというふうに思いました。  余計なことでございますが、森本委員にお答えいたしました。
  179. 森本晃司

    ○森本晃司君 きのう発表になりましたIT戦略会議でも、インターネットの普及は主要国でも最低レベル、アジア太平洋地域でも先進国と言えないと日本のおくれを指摘しています。また、そのおくれの原因は地域通信市場における通信事業の事実上の独占による高い通信料金と数多くの規制や煩雑な手続だと、こういったことがIT戦略会議の議論の中でも発表されております。  それで、「推進すべき方策」としてこの中にも書き込まれているのは、「事前規制を透明なルールに基づく事後チェック型行政に改める。」と、こういうことが書かれておりますが、私もちなみに通信放送関係の規制を数え上げたら、実に優に三百を超えている規制があります。公取も六月には第一種、二種の規制について撤廃すべきという報告も出しています。  私は、IT革命のおくれはそのまま国力のおくれになりますし、まずその要因が料金と規制であるならば、料金の低廉化が公正な競争の結果としてもたらされるのであれば規制緩和をやるべきではないかなと。これはいろいろ抵抗がございます。  総理にお尋ね申し上げますが、ここ数日間も、あるいは森内閣をめぐる一連のいろいろもやもやもございましたけれども、どうぞそれを晴らす意味でも、そのIT革命強力推進のかぎとなる思い切った規制緩和を断行すべきだと考えるんですが、三百もあるものを場合によっては半分あるいは百ぐらいに減らすんだと、それぐらいの思いで取り組んでいただいたならば、目の覚めるような政策を断行したなということになるんですが、総理の取り組み方のいかんをお伺いしたいと思います。
  180. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) IT革命推進するに当たりましては、民間による自由かつ創造的な取り組みが基本的には重要である、森本議員の御指摘どおりであります。政府役割は、民間の知恵と活力を最大限に引き出す、そのための環境整備等の施策を行うことが極めて重要であるというふうに認識をいたしております。  IT革命を強力に推進するためには、通信分野におきまして思い切った規制緩和を断行することが不可欠だという点は森本議員の御指摘のとおりでありまして、政府としても情報通信産業分野にかかわる諸規制の改革を大胆に推進し、公正かつ有効な競争条件の整備等を図ってまいりたい、このように考えております。
  181. 森本晃司

    ○森本晃司君 そこで、その通信分野でやはり公平な競争をしていかなければならないということを考えましたときに、私は通信分野における独禁法、これの強化と、今度、公取がガイドラインをつくるということを発表いたしましたけれども、私は一日も早くそのガイドラインを示すことが極めて必要ではないかと。その体制と独禁法の強化という問題。  それからもう一つは、今度、総務省の中に公取が設置されることになっておりますけれども、今、行政改革が新たにスタートをするところでございますから、その中でスタートをされるのはやむを得ないかなとは思うんですけれども、設置された後は私ども公明党はそれを内閣府に置くべきだということを主張しております。  こういった点も見て独立性を担保するための具体的な方策を示すべきではないかと思っておりますが、そのことをお尋ねいたしまして、私の質問にさせていただきます。
  182. 平林鴻三

    国務大臣(平林鴻三君) 電気通信分野におきます競争を促進するためには、独占禁止法違反行為に対して積極的かつ厳正に対処していくとともに、違反行為の未然防止を図る観点から独占禁止法の適用に関するガイドラインを作成、公表することが重要であるという認識でございまして、この点は森本議員と同様でございます。現在、公取におきましても、伺うところによりますと、このガイドラインをできるだけ早期に作成、公表すべく検討しておるというぐあいに伺っております。  この委員会におきまして、郵政省側におきます対策につきましては既に若干説明を申し上げておりますのでここでは省略をいたしますが、私どもは、今申し上げましたようなことで、公正競争促進ということを主眼にして今後の対処をしてまいりたいと思っておるところでございます。  この公正取引委員会の組織の所属につきましては、これは私の考えでは、既に決定をされて一月から実施に移される各省庁の統廃合でございますので、この各省庁の統廃合がスムーズにいきますように、現在決まっておりますルールで進行させていただきたいと思っております。
  183. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 郵政大臣のお話のとおりでございますが、私にも御質問がございましたので。  公正取引委員会は中央省庁再編後もいわゆる独立の行政委員会として置かれることとされておりまして、その独立性と中立性は法律上からも担保されております。  すなわち、公正取引委員会については、委員長及び委員の職権行使の独立性や身分保障が独占禁止法で明定され、また委員長及び委員の任命は両議院の同意を得て内閣総理大臣が行うこととされております。したがいまして、中央省庁再編後、公正取引委員会は総務省の外局とされておりましても、その特性にふさわしく独立的に機能を発揮し、競争政策の積極的展開を図っていくものと考えております。
  184. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  185. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  まず、総理の基本的認識をお伺いしたいと思います。  我が党は、IT基本法案をつくるからには、新しい技術社会全体が有効に活用できるようにするための本格的な方策が必要だ、民主主義の発展にこれを役立てるという観点が何よりも必要だという立場であります。本法案には修正が必要だと考えております。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕  先日、参考人としてお招きした東京工科大学の清原慶子教授も情報保障はIT時代の基本的人権であるとの御主張でございました。また、アメリカのクリントン大統領もことし二月の演説で、IT化によって新しい壁、デジタルディバイドがつくり出されるとすれば悲劇だと、こう演説をされております。  そこで、総理にお伺いするんですが、情報アクセスがすべての国民にとってIT時代の基本的人権だというこの考えについて総理も同意していただけますでしょうか。
  186. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 高度情報通信ネットワーク社会の実現は二十一世紀という時代にふさわしい豊かな国民生活の実現のかぎとなるものであると、このように考えております。  本法案におきましても、高度情報通信ネットワーク社会形成の基本理念といたしまして、第三条において、すべての国民インターネット等を容易にかつ主体的に利用する機会を有し、情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会と、このように規定をいたしております。国民情報アクセスの重要性については十分認識をいたしているところであります。  政府としては、この第三条を含む本法案の基本理念及び施策の基本方針にのっとりまして、各般の施策を遂行していくことによって高度情報通信ネットワーク社会の実現に全力を傾注してまいりたい、このように考えております。
  187. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、現実には年齢や所得、教育レベル、地理的要因、身体的制約要因などによって生ずる情報格差、いわゆるデジタルディバイド、これが重大な問題になっております。これは決して国内だけの問題ではありません。国際的にも大問題になってまいりました。それで、総理が議長を務めた九州・沖縄サミットでのグローバルな情報社会に関する沖縄憲章、ここでもそれに触れて、その解消がうたわれております。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕  ところが、総理は、先日行われたAPECの首脳会合で、電気がないところでも携帯電話があると発言したという驚くべきニュースが伝えられております。朝日十一月十七日付によりますと、   「パンをよこせ」とベルサイユ宮殿に押し寄せる群衆を見て、王妃マリー・アントワネットは「パンがなければケーキを食べればいい」と語り、民衆の怒りに火をつけた。   「電気もないところに情報技術は普及しない」と訴える途上国に対し、森喜朗首相は「電気がなくても携帯電話がある。インフラがなくてもITに否定的になってはいけない」と語り、ひんしゅくをかった。 と報じられました。  総理、途上国に向かって本当にこういうことをおっしゃったんですか。
  188. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) それを書かれた新聞記者はその会議を見ておられるわけじゃございません。また、話が時間をとっちゃいけませんけれども、グローバル化であるとかIT化という話でかなり発展の進みぐあいによってはそれぞれ国の首脳の考え方が違うわけです。さっきも齋藤議員の御質問に申し上げたと思いますが、我々はITよりもむしろ道路だとか下水ですよというのも率直な首脳の気持ちなんですね。そういう中で、端的に申し上げると、グローバル化でどんどんIT化を進めていこうという首脳と、そんなものはまだまだ先だよ、おれたちはまだ発電所も欲しいよとか、そういう首脳もおられるんです。  そういうはざまに立った議論の中で、私の発言の順番が来たので、その双方をよくとらなきゃいけないと。したがって、そういう中から、いつまでも枠内において規制をしている時代は過ぎますよと。日本にある携帯電話などはもう国や企業や家庭を越えてしまってどんどん進んでいますよと。直接クリントン大統領に電話をかける時代になっているんですよ。Eメールもやる時代ですよ。ですから、あと二、三年たったら今我々が持っている日本のiモードなどは移動するパソコンになるんですと。だから、いずれ皆さんの国もそういうことになりますから、いつまでも枠の中に規制しておっちゃいけないんじゃないでしょうか。そのときに、ただし電線がなくても何がなくても充電もしなきゃならぬ、そういうアクセスのインフラが必要ですよと。そういうものをやれば電線を引かなくても個人がみんな個と個の時代になって国境を越えて議論を始めていく、そういう時代になるんですよということを私は実はその場で申し上げたわけでありまして、その話がどうも伝わっていったわけで、幾ら無知な私も充電をしない携帯電話がつながるとは思っておりません。  ただ、二年も三年もたつともっともっと技術が進んじゃって、ここでグローバル化だとかそういうことに反対をしておられる首脳はもう時代おくれになっちゃいますよということをむしろ私は申し上げたかった、そういう趣旨の発言なんです。
  189. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この発言は首脳会議での発言ですから、ざわざわした中や歩きながらの発言ではないと思うんですけれども、各紙がそのことを報じております。  私は、この問題で総理に申し上げたいのは、別に携帯電話が電気がなくて使えるかどうかという問題じゃなくて、まさにこの首脳たちが訴えている経済的な格差というのがどれほど深刻な問題としてこのデジタルディバイドの背景にあるのかと、そこを本当につかんでいただきたいと思ったからです。  二十日、ジュネーブ発の時事通信によりますと、WHOとユニセフがまとめた環境衛生に関する報告書、これによりますと、世界の総人口の四割が満足なトイレを使えず、二割近い人が安全な水を飲むことさえできないでいると、こう指摘をいたしました。国連開発計画、UNDPの報告書、これはことしの分ですが、これの昨年の報告書では、所得と生活水準の世界的な不平等はグロテスクなまでに膨らんだと述べております。こういう事例を報告しているんです。世界の億万長者の中で最富裕者三人の資産は、四十八カ国の後発開発途上国のすべてとそこに住む六億人の全GNP合計よりも多い。たった三人の最富裕者の資産合計が六億人の国々のGNPよりも多いということを指摘しているわけなんですね。  こういう現実に直面している各国の首脳が、あなたの携帯電話云々という話をどのような気持ちで聞いたのかと、このことを私は思うわけですよ。こういうことに対する総理の姿勢というのはどうなのかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  190. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) ですから、今、宮本議員が指摘されたようなことの方がまず第一、優先の政治課題ですよという国がたくさんありますということをよくその場で聞きました。  しかし、だからといって、いつまでも枠を抑え込んで、そしてそういう国際社会、あるいはグローバル化という言葉は余り好きじゃありませんけれども、IT革命にやはり乗りおくれてはいけないという皆さんの心配もあるわけですから、そういう点はできる限り、経済的に優位に立っているといいましょうか、発展をしている日本などはできるだけの協力をしてあげることが大事だと、こう思いました。  ですから、そういう意味で、どんどん技術が進んでしまって、そして国がどういう規制を行おうとも、みんながそれぞれが個人で携帯電話を持ってしまうと直接よその国との電話ができるし、いずれ携帯電話の中にテレビの画面が出るのももう一年か二年の後ですよと、そういうものを見られればよその国が全部見られるようになってしまう、そういうことに対してちゅうちょすべき時代ではないということを私は指摘したわけです。  ですから、宮本議員のおっしゃるのは非常によくわかります。私は、沖縄サミットの前に、太平洋の島々の首脳を集めた島サミットというのを宮崎でやりましたけれども、その太平洋の島々の首相や大統領の皆さんのおっしゃったのは、ITも大事ですけれども、我々の国は温暖化によってあと一メートル水深が上がると島が皆沈んでしまうんですと、その方がむしろ大事ですよということまでおっしゃいました。  だから、そういう国々のいろんな違い、いろんな思いをやっぱり我々はしっかりと受けとめて、そしてこういう新しい時代に対応していくということが非常に大事でありまして、宮本議員もおっしゃいましたけれども、数字を挙げられましたが、そういうことなども十分踏まえて国際協力をやっていくことが日本に与えられた大事な私は政治課題だろうというふうに考えております。
  191. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ぜひそういう点をしっかり考えていただかないと、例えばその朝日の記事でいいますと、そういう流れの中で、五年間で百五十億ドルという支援についても、やっぱり途上国の中には、百五十億ドルは多過ぎる、問題は金額ではないと語る首脳もいたと。そういう途上国のIT化に必要なのはまず人材を育てることだと、次が国内の法制度だと、知的インフラを築くことだと、いきなり立派な設備をつくっても宝の持ちぐされになると、そういう声も出されたということも報じられているわけですから、やっぱりそういう国々に求められる支援ということでないとだめだと思うんです。  まあ、この問題はここでおきたいと思うんですけれども、同時に、私は、今度のこの法案ほど森内閣によって本当にぼろぼろにされた法案はないと思っているんですよ。  つまり、この法案を内閣で閣議決定して国会に提出した担当大臣は中川前官房長官でありました。既にその方があなたの内閣におられないことは御承知のとおりであります。  総理は、九日に衆議院の内閣委員会で、中川前長官を担当大臣にした理由を、政府全体で取り組む、そして各省庁にすべてが関係するからだとお答えになりました。  そうであるならば、なぜ後任に福田官房長官を任命されなかったんですか。
  192. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 中川前官房長官、これは中川個人ではなくて、やはり政府全体にかかわる問題でありますので官房長官にお取りまとめをいただいた方がいいという私の判断で、当時、中川官房長官IT担当の取りまとめのお願いをいたしたわけです。  その後、御承知のような経緯がございまして、中川さんがみずから大臣を辞任なさいました。しかし、法案は既にまとまって、国会に出ております。そしてまた、補正予算の編成もいたしておるところでもございました。  そういう意味から、中川前官房長官辞任を受けて、堺屋長官にお願いをいたしましたのは、堺屋長官には、このIT基本法をつくるための法案審議の作業をずっと一緒にやっていただきましたので、そういう意味からいえば継続性があるわけですし、さらにそれを補完するという意味で、いわゆる日本新生のための新発展政策、そして補正予算も堺屋さんを中心にしておつくりをいただいておりましたので、そういうことからいえば、この政府の進めるIT関連政策をさまざまの面で支えていくという意味においても、ITに関しても極めて高い見識をお持ちでございますので、政策の継続性という意味で、堺屋長官に担当をお願いしたというのが経緯でございます。
  193. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 御説明は、IT戦略会議なり戦略本部というところにかかわってこられたということもあるんでしょう。そういう形で、しかし主管の大臣がかわられたことは事実なんですね。  では、この法律が成立をして、施行されて、実施していくと。これは一月六日を予定していると思いますけれども、それを本当に推進するかなめたる推進戦略本部の本部長というのはこれはもう総理だと思うんですが、それでよろしいですね。
  194. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) そのように考えております。
  195. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 では、推進戦略本部長たる総理大臣はどうかということであります。  私はあなたにこれを言うのは本当に残念ですけれども、先日の衆議院での不信任案の採決ですね、確かに否決をされました。しかし、反対票を投じた議員は議員総数の半分に届かなかったわけであります。  国民の支持率はどの世論調査を見ても十数%、一番近い例では一〇%を切ったというものも報じられております。国民の意思があなたの退陣にあることは私は明白だと思います。野中自民党幹事長さえ、内閣不信任案が否決されても森首相が信任されたわけではないと発言されました。  私は、ここまで国民から離れてしまった森内閣、潔く総理が身を引かれて、新たな内閣によってこの法案を出し直すと、これが筋だと思うんですが、いかがですか。
  196. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先般、野党から不信任案を出されましたが、私はこれを与党三党の皆さんの御努力によって不信任案を否決していただきました。それは一にも二にも一番大事な時期でございました、先週のちょうど月曜日でございます。補正予算も国会へ出されたときで、国民の皆さんはそれをかたずをのんで見ておられると。  もちろん、それは景気を支えていかなきゃならぬものもございましたけれども、三宅島を初めとしてのそうした災害対策もありました。そして、まだITのこうした産業にも乗っていかないような中小企業の皆さんは、やはり中小企業対策に本当に、まさにそれこそ神に祈るような気持ちで待っておられる方々もありました。そういう補正予算を出したときでもございました。  それからもう一つは、先ほどから議論に出ておりますように、一月六日、これは各党によっては賛否いろいろあったかもしれませんが、国会の総意として一月六日に、まさに新しい日本の新生、日本政府がスタートする。その一月六日から逆算をしていくと、予算編成のこと、いろいろございます。  そう考えると、恐らくいっときも空白を、政治的な停滞というものをつくるべきではないというふうに私は思っておりました。私の身のことやそんなことは別問題だと思いました。  ですから、何とかしてそういう空白を招かないようにこの不信任案を否決していただければという思いでございましたが、国会をまず第一に考えていただく、国民生活のことを第一義に考えていただく、そういう国会の意思があのとき出て不信任を否決していただいたというふうに私は受けとめて、国会として大変適切な御判断をいただいたものだと思って私は感謝を申し上げておりました。  結果的には私は信任されることになるわけでありますけれども、しかしこれまでの経緯、今さまざまなことを宮本議員からもお話がございました。それを私は謙虚に受けとめて、そして与えられた私どものこの力によって、国民の皆さんにとって、こういう課題、いろんな課題、期待されていることをしっかりやり遂げることが内閣の責任ある立場のとるべきことではないかと、私はこのように判断をいたしました。  したがいまして、この法案も皆様のおかげで、きょうこれから、皆さんの御判断によるわけでありましょうけれども、成立をし、新しい二十一世紀への道を開いていく重要な法案でありますだけに、これを今取り下げて出直したらどうかとか新しい内閣をつくれとかということとは、私は本筋としては、私はそういう考え方には同調するわけにはいかないわけでありまして、責任を持ってこの法案を提出している以上は、ぜひ皆様方の御理解をいただいて、御審議をいただき、御採決をいただきたいということを心から私は願っておるというふうに申し上げて、お答えとしておきます。
  197. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 終わります。
  198. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 IT基本法、IT革命、このIT問題が産業構造を大きく変える、同時にあわせて社会も変わる。そのITを、国民全体引っ張っていこうと森総理、その森総理の政治姿勢について、基本法とは若干離れますけれども、お尋ねをしたいと思っております。  相変わらず森総理の支持率は二〇%台を下回っている。国民の心はもう既に森総理から離れているのではないか。私どもは、先ほどもお話しありましたが、不信任案を提出いたしました。にもかかわらず、総理答弁のとおりになったわけでございますけれども、その過程の中で、自民党内における権力争いといいましょうか、そういうものがあらわれてくる。本当にあの約十日間にわたる与党内、とりわけ自民党内の動きというものは国民にさまざまな思いを残したと思いますね。結果として、国民と国会との間の乖離というものが甚だ大きいということがわかったのではないかと思います。  総理は、国民のそういう声や批判を謙虚に受けとめる姿勢があるのかどうか。私は、直ちに退陣を勧めておきたいと思います。  総理は、それらの国民の批判をまずどのように受けとめられておるのか。自民党の中からも出ている批判に対してどうお考えなのか。そして、何が問題なのか。このような批判が生じていることについてどのように考えているのか、お考え方を示していただきたいと思います。  私どもはもはや森総理は退陣の道しか残されていないのではないか、総理は国民の批判に対してどうお考えになっておるのか、御質問いたします。
  199. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) たびたび申し上げておりますが、内閣の支持率あるいは不支持率というのはいろいろ厳しい結果が出ておりますことは、世論の動きを示すという意味で、私は一つの指標としていつも謙虚に受けとめております。  また、こうしたことを反映して、自民党の中にも野党が提出された内閣不信任案に欠席されるという、そういう事態があったことも事実でございますが、最近のいろいろの新聞等を読んでおりますと、野党が出したからそれに同調したのか、与党の一部が出せと言ったから呼応したのか、どうもなかなか真実はわかりませんけれども、しかしそういうことが起きたことが事実だということは、私は謙虚に受けとめております。  しかし、先ほど申し上げましたように、宮本議員の御質問にお答えをしたように、そういうことがあっても、今のこの国会、大事な新しい世紀が始まるその前年の大事な時期にそういう政治的な空白をつくってはいけないと。補正予算もしっかりやろう、このIT基本法もやろう、多くの法案がいっぱいあった。幸い成立いたしましたけれども、少年法もございました。警察法もございました。多くの国民の皆さんはそのことに一番心をここ数年痛めておられたわけであります。  したがって、そうした法案一つ一つしっかり成立をさせて国民の期待にこたえる。そのためにはいっときの空白も許されないという、そういう思いで否決をしていただいたと、そう思って私は本当に感謝をいたしておるところでございます。  したがいまして、そういう事態を受けて、そしてこういうときこそ、厳しいこういう状況にあるときこそ基本に立ち返って、国家国民のために何が必要かということを常に第一に考えていくことが大切であると、このように考えておりまして、したがいまして、景気につきましてもまさにあと一押しというところまで来ているわけでございますし、IT革命も今ここで基本法の御審議をいただいているわけでありますし、さらに教育改革にいたしましても社会保障の改革にいたしましても、そうした政策を一つ一つしっかり積み上げて、そして国民の求めている政策を着実に実行し、おこたえをしていくことが私に与えられた大きなこれは使命だと、私はそう思って臨んでいるわけでありますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
  200. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の問題で最大の問題は何かといえば、私はやはり自民党の派閥が公然と復活をしてきたと、そういう印象を非常に強く今回の問題は国民に与えたと思うのでありまして、とりわけ派閥の領袖が密室で協議を行うことによって政治がとり行われている、そういう印象を与えていますよ。したがって、自民党は派閥解消というふうに言われたわけです。今の政治を悪くしている、国民が多く不信を抱く、こういうもとに派閥の政治があるのではないかと思うんですが、派閥解消に向けて総理はどうお考えですか。  もうこの委員会これが最後になると思いますし、総理が出てくる質問もなかなかできない質問ですから、このことをお伺いします。
  201. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) かつて渕上委員一緒政府お互いに支えていたという立場もございまして、また大変難しい幹事長役をしていらっしゃるわけで、お互いに励まし合ったり慰め合ったり、お互いに人には言えない自分の党の愚痴も述べ合ったことがあることは委員もよく御承知のとおりでございます。  しかし、我が党はやはり大きな政党であって、たくさんの衆参の議員がいらっしゃいます。一堂に集めて、小学校のクラスのように全部集めて物事を伝達していくということは非常にまた難しい。政府にも入っている人たちも多い。そういう中で物事の伝達をしていったりあるいは応援体制をしいていったりするにはどうしてもやっぱりそういうグループ化というのはこれは避けられないことでありまして、私も野党時代からの幹事長をやっておりまして、この派閥の解消というのは随分やってみました。これはもう本当に昔から、私も三十年国会におりますので、もうずっと昔からいろんなことをやっておりました。しかし、本当になかなか難しいもので、人間というのは好き嫌いというものがありますし、考え方によって、恐らく社民党の中にも民主党の中にもやっぱりあると思うんですね。ですから、そういうものが非常に顕在化して大きくなるので、与党でありますから当然批判を受ける面が大きいということは十分承知をいたしております。  しかし、従来の、昔と違ったいわゆる派閥というそういう、私は派閥と言わないんですけれども、グループと言っていますが、グループ化は随分変わってきました。昔は党よりもグループが優先をしていた。そして、派閥が中選挙区制で人を出して選挙体制をしいて結果的に自民党が勝つというような形をとっていたことは事実でございます。今はもうそういうことができなくなりました。まさに小選挙区制の一つのまたいい意味でのメリットなのかもしれません。そういう意味では、従来のようなそういうグループ化、派閥化ということではない、あくまでも物事の伝達的な機能の役割を果たしていくというふうに、私どもはそういう傾向になりつつあるなというふうに見ております。  まだ少し、今私は変革の過程の中にあると思っておりますから、いずれそういう方向にだんだん動いて、そういうグループ化、派閥化というものはだんだん薄らいでいくというふうに私は考えておりますので、渕上委員の激励というふうに私は受けとめて、我が党が近代的な方向に進むようになお一層努力してまいりたいと、こう思っております。
  202. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 自民党と派閥の問題ばかりをやっておっちゃいかぬでしょうから、一つだけ最後に。  総理のIT問題にかかわる決意でありますけれども、情報技術をどのように活用して発展をさせて制御していくか、まさにこの戦略が極めて私は重要だと思いますし、技術を使う人間の問題でもあろうというふうに思っているところです。  社民党としては、やはり情報技術の活用によって市民生活がより豊かになっていく、発展させていく、このことは望むところでございますし、そのことをまた期待いたしております。  総理のIT問題にかかわる決意を聞いて、質問を終わります。
  203. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今、渕上委員からお話をいただきましたことは、やはり国民一人一人皆心配をされている面だろうというふうに、こう思っています。  高度情報通信ネットワーク社会というものを形成していくに当たりまして、民間による自由かつ創造的な取り組みということが基本的なことである、このように私は考えておりまして、基本的には民間の力を引き出していくために政府はどういうことがなし得るのかということを考えていくことが大事だというふうに思っております。  しかし、公正な競争の促進をしたり規制の見直し等、IT分野におきます民間の知恵と活力を最大限に引き出すための環境整備を行わなければならぬ、あるいは高度情報通信ネットワーク社会への対応を加速する上での急務であります電子政府の実現に向けた取り組みを推進するということは、これはやはり政府あるいはまた政治といいましょうか、そういう力で進めていかなければならぬというふうに思っております。  そういう意味で、今御指摘ございました国民の皆さんのそういう不安感を除去しながら、また国民の皆さんのそういう力をできる限り加速させて、バックアップ体制をとりながら、こうした方向に向けて全力を挙げて努力してまいりたい、このように考えております。
  204. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  この法案の審議もいよいよ大詰めでございまして、先ほど森本委員は何か感慨深いものがあるというお話をされましたが、私は、それと同時に、同じ県の出身の総理にこのような形で質問できることが何かある意味で非常に感慨深いものがあるということを申し述べさせていただきたいと思います。  そんな感慨にふけってもおられない、私の持ち時間は十分でございますので、端的なことだけ質問させていただきます。  この質問を私は何回かさせてもらっているんですけれども、このIT基本法、これが何を目指しているかたびたび質問しているんですけれども、その辺がどうももう一つはっきりしない。そういう意味で、最後にもう一度その点に戻って基本的に総理のお考えを聞きたいなと思っておるわけでございます。  かねがね言っているんですけれども、これIT革命革命というのはこれは恐らく制度とか体制が急にがらっと変わるようなイメージがあるわけでございますけれども、いわゆるこのIT革命といいますか、これはもう社会一つの流れだと認識しておるわけでございまして、農業革命とか産業革命とかに擬せられて議論されておりますけれども、農業革命にしろ産業革命にしろ、物の本によりますと、こういう言葉が出てきたのは後なんですね。農業革命なんという言葉はずっと後から出てきた。産業革命についても、先ほど総理が言われました蒸気エンジンですか、そういうものが出てきたころ、そういう一つの流れがずっとこう来ている。今のIT社会もそういう流れが来ている、流れの一段階だと思うんです。そして、その流れというのは、民主導、これも基本法に書いてございますけれども、民主導ということでずっと進んできている。  この時点になって、そういう段階でなぜ官がこの基本法というもので入り込まなきゃいけないのか、入り込む必要性がどこにあるのかというふうな感じを抱くわけでございまして、先ほど来議論になっておりますこのIT基本戦略ですか、戦略会議のこのきのうの報告書を見ましても、このように非常に立派なものが書いてございますし、むしろこういうものがあれば日本IT社会を先導していけるような感じがするわけでございまして、とすれば、こういうものをオーソライズするために基本法が必要なのかなというような気もいたしますし、さらにはまた別の視点からいきますと、IT社会として非常におくれている、世界から見ておくれていると。それを挽回するために学術振興をするのか、産業振興をするのか、あるいはいろいろな面で社会が大きく変わる、社会秩序が大きく変わる、そういうものに対して国がどういう責任を持ってやっていくのか、あるいはそういうもののすべてなのか、その辺がどうもよく私にはわからないんですが、この最後の段階になって、総理大臣からひとつその辺の御決心といいますか、御解釈といいますか、その辺をお聞かせ願えたらと思います。
  205. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 私は、前の、参議院のたしか予算委員会だったと思いましたが、簗瀬議員だったと思いますが、ちょっと議論いたしたことがございましたが、必ずしも、今、岩本さんがおっしゃいますように、IT革命という言葉がいいのかどうか、あるいはそれが革命であるかどうかということは、むしろもっと後世に判断していくべきことなのかもしれません。  私は、ITはある意味ではツールだ、道具だというふうにも思っております。ですから、基本的な気持ちからいえば、IT革命というのはIT社会をつくり上げていくということだろうというふうに、私はそういうふうに実は理解をしている点があるわけです。だから、高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たって、私は民間による自由かつ創造的な取り組みが基本的にはまず重要であるというふうに考えております。岩本委員はそこのところを私は強くメンションしたかったんだろうというふうに理解をします。  政府役割というのは、IT分野における民間の知恵と活力を最大限に引き出すことにありまして、そのための環境整備を行うことであると考えており、その旨を本基本法にも規定をしているところでもあります。  具体的な施策としましては、民間主導の原則のもとに、超高速のインターネットの整備を図るとともにインターネットサービスの低廉化や利便性向上を促進することを初め、規制改革等の諸制度の見直し、電子商取引の特質に応じた新たなルールや情報社会の基本ルールの整備、公正かつ有効な競争条件の整備、基礎的、先端的な研究開発の推進などが政府の取り組むべき課題であると考えております。  また、自治体を含めまして、電子政府の実現が高度情報通信ネットワーク社会への対応を加速する意味では急務であるということは言うまでもありませんが、この分野におきましては、これは民間にだけゆだねているというわけには私はなかなかいかないのではないかというふうに、こう考えております。  そういう意味で、失礼でありますが、委員もかつて石川県の副知事をされて、行政を進めていく上においては県民の力を大いに啓蒙していくことだけれども、県庁としてリーディングといいましょうか、牽引をしていくということがやっぱり大事だということを恐らく身をもって体験しておられるわけでありますから、政府がそういう方向にできるだけ短い期間において実現をしていくように、国民の皆さんにもそういう意識を持ってもらえるようにしていくためには、私はこのIT基本法は極めて大事だというふうに思っております。
  206. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私はIT社会を否定するわけでもないし、それを推進するために国が関与すべきでないという気持ちもないわけでございまして、要するに、今回のこの法律そのものを見たときに、やっぱり法律を出すからには何かの目的といいますか、はっきりしたものがなきゃいけないんじゃないかなということでこういう質問をさせていただきましたのですが、時間もございませんので、もうこの件についてはこれでやめます。  ただ残念なのは、森総理、大変御熱心に御関心を持ってITに関して推進されておりますけれども、このことをもっと早く知っていれば、私、国会議員になる前に森先生には非常にいろんなことで御指導をいただきましたので、そのときに教えてもらえたらなと、今大変残念に思っているところでございます。  それと、ちょっと時間もありませんから、もう一つだけ基本的なことでお聞きしたいんですが、これはかねて高度情報社会ということで郵政大臣等おかわりになったときにいろいろお聞きしているんですけれども、やはりいわゆるこのITにしてもプラスの面ばかりじゃない、マイナスの面がある、こういう議論はいろいろされております。特に雇用の問題とか情報セキュリティーの問題等があるわけですけれども、もう一つ、私、かねがね情報伝達の手段として人間本来五感でやるべきところを二感しか使っていない、見ることと聞くことだけでやろうとしている、これが将来の日本社会の情操面といいますか、そういうものにある程度悪影響があるんじゃないかと。そういうことはどうしたらいいかということはなかなかわからないわけですけれども、そういうことをきちっと認識しておかないといけないなという思いを持っているわけでございます。  この際、森総理も、このITというのは完全じゃないというふうなお話を伺ったこともありますから、同じようなお考えを持っていると思うんですけれども、森総理の御所見をひとつお聞かせ願いたいと思っております。
  207. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 私も、このIT化ということについて常にやはり心の中に戒めといいましょうか、懸念というものを感じておかなきゃならぬのは、やはり人間関係、これがだんだん薄れていく、人と人との直接のコミュニケーションというのが希薄化していくことになるというふうに思っております。  例えば、今教育改革の議論をしていただいていますが、完全にパソコンだけ、インターネットだけに頼っていたら学校は要らないということになってしまうんですね。ですから、それじゃ学校というのは何なんだろうということをもっと考えなければならぬわけです。情報が必要であれば、アメリカであろうとフランスであろうと、直接個と個でとれるわけですから。  私は、家庭に帰っても最近時々寂しい思いをするのは、私が久しぶりに帰ってきているのに家内はパソコンに向かって一生懸命黙々やっている、子供たちはテレビゲームをやっている、そんな家庭を想像していると、本当にやっぱりこれでいいんだろうかという思いはします。  しかし、一方においては、これは加速化しているわけですから、こういうことを進めていくと同時に、家庭とは何なのか、企業とは何なのか、社会というのは何なのか、国家とは何なのか、人間人間関係は何なのかということをさらに強めた別の政策をやっぱり進めていくことが私は極めて大事だというふうに思っておりますから、これは岩本議員のそういう御心配を政府に対してしっかりとそのことを忘れないでやりなさいよという、そういう御注意だというふうに受けとめて、我々も各関係閣僚にはそうしたことをしっかり心にとめながらこのIT化を進めるようにということを私は指導していきたいというふうに考えております。
  208. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 一言だけ。政府にやっていただくのは結構ですけれども、政府だけでなく我々の使命でもあろうとこう思っておりまして、これは具体的な施策というのはすぐに出ないかもしれませんけれども、なるべくそういうものを出すような格好でこれからやっていきたい、そういうことを私自身の決意も含めてお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  209. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  210. 今泉昭

    委員長今泉昭君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、齋藤勁君委員辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。  また、野沢太三君が委員辞任され、その補欠として世耕弘成君が選任されました。     ─────────────
  211. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 本案の修正について宮本君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮本岳志君。
  212. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対し、修正の動議を提出し、提案理由と概要を申し上げます。  今日、情報通信技術の急速な発展が、人類の文化、技術の発展の中でも画期的な一段階を開きつつあります。特にインターネットは、既に国民の二割以上が利用し、多様な情報を入手し発信する新しいコミュニケーションの手段となっています。  今、政府に求められているのは、この新しい技術の成果を、国民のすべてが受けられるようにし、これを民主主義の発展に役立てるために、腰を据えた対策を講ずることであります。そのため、一連の否定的な諸問題に的確に対応することも不可欠な課題となっています。  本修正案は、こうした観点に立って、IT基本法と呼び得るものをつくるために最低限求められる見地を示しているものであります。  以下、その主な内容を御説明いたします。  修正の第一は、すべての国民がひとしく安心して高度情報通信ネットワーク社会の恵沢を享受することができるよう基本理念及び基本方針を定めることを明記するとともに、目的に我が国の民主主義と文化の発展及び国民生活向上並びに公共の福祉の増進に資することを加えるものであります。  第二は、高度情報通信ネットワークへのアクセスを国民の権利とし、それを保障することを国の責務として、具体的な内容を明記したことであります。さらに、その具体化のための重点計画を策定することを義務づけています。所得、地理的制約、年齢、身体的制約などに対して、具体的な対策を推進し、現実に国民ネットワークへのアクセスを保障するものとなっています。  第三に、高度情報通信ネットワーク国民安心して利用するための不可欠の要件である個人情報の保護並びに消費者保護を徹底するために、政府が行うべき施策の内容を重点計画で定めるとしたことであります。  第四に、実際に施策の策定、推進を行う高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部に、国民各層からの意見を反映させるために、教育、文化、科学及び産業の各分野からすぐれた識見を有する者から本部員を任命することを明らかにしております。  以上が修正案の提案理由と概要であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  213. 今泉昭

    委員長今泉昭君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  214. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、高度情報ネットワーク社会形成基本法案に対して反対、日本共産党提出の修正案に賛成の立場で討論を行います。  そもそも情報技術は民主主義と密接なかかわりを持っているものであります。ルネッサンスでの印刷技術の発展が、フランス革命に代表されるその後の民主主義の形成に大きな力となったのを初め、新聞、放送など情報技術の開発とその普及が国民情報入手と発信の手段を広げ、言論による民主主義の前進に大きく寄与してきました。  また、近年の情報通信技術の進展は、経済の分野だけでなく、国民社会生活や文化をも大きく変化させつつあります。インターネットの普及は、生活水準や利便性の向上のみならず、民主主義の発展にも文化の向上にも大きな寄与をすることができる一方で、新たな社会格差を拡大する可能性も持っています。だからこそ、新しい技術国民全体のものにし、民主主義の発展と国民生活と福祉の向上、さらには文化の発展に役立てるための本格的な取り組みが求められているのです。  この見地を欠落させているがゆえに本法案は、基本法の名に値しない高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部設置法とでも呼ぶしかないものとなっています。  本法案に反対する理由の第一は、基本法として最も重要な民主主義の立場が欠落していることです。本法案には、情報技術の発展や高度なネットワークの形成を、多くの国民情報を入手し発信できる言論の自由の新しい段階につなげるという基本的観点が見られません。目的や理念に民主主義の発展に資するという文言さえ欠いている本法案では、国民が望むような高度情報通信ネットワーク社会の形成は保証されないのであります。  本委員会の審議でも、条文上での言葉を飾った理念とは裏腹に、本法案に基づいて推進される内容が、国際的な競争力を確保するための人材育成や世界最高水準の通信インフラ整備に目を奪われた、極めて一面的なものとならざるを得ないことが明らかになりました。  反対理由の第二は、高度情報通信ネットワークへのアクセスが国民の権利として明記されておらず、国がそれを保障するという明確な理念も、全国民へのネットワーク接続を実現していく基本方針も欠けていることです。本法案は、高度情報通信ネットワーク社会の形成を民間の競争にゆだねることで、地域、年齢、所得、身体的制約などによる新たな情報格差を拡大するものと言わなければなりません。  第三は、個人情報保護及び消費者の保護の徹底が国の責務であることが明確にされていないことであります。個人情報保護と消費者保護の徹底がなければ、ネットワークが本当にすべての人々のものになり得ないのは明らかです。法案は電子商取引の推進をうたっていますが、国民の間に電子商取引を普及させる現実的な要件さえも欠いたものとなっているのです。  最後に、衆議院で行われた本法案への修正は、以上述べた本法案の性格を何ら変えるものでないことを指摘して、私の討論といたします。
  215. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案について採決に入ります。  まず、宮本君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  216. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 少数と認めます。よって、宮本君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  217. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  218. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決すべきものと決定いたしました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。  一、すべての国民が、地理的、身体的、経済的な条件その他の要因に制約されることなく、インターネット等を通じて自由かつ安全に多様な情報や知識を受発信することにより、多様な生き方や価値観を尊重しあうことができる社会の実現に努めること。その際、インターネット等の情報伝達手段としての特性にも十分配慮すること。  二、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し地方公共団体が講じる施策について、その実施を阻害する要因を解消し及びその実施を促進するため、必要な支援措置を講じること。  三、高度情報通信ネットワーク社会に関する統計等の資料の作成・公表に当たっては、世界最高水準の高度情報通信ネットワーク社会を構成する諸要素に係る指標についても資料を作成し、インターネット等により随時公表すること。  四、所得等によってデジタル・デバイドを発生させることのないよう、広く国民IT革命の果実を享受できるようにするために、高速インターネットサービス市場への新規参入の促進等の競争促進策により、通信料金の国際的に遜色のない水準への一層の低廉化を図ること。  五、電子商取引等の促進を図るために必要な措置を講じるに当たっては、消費者の保護に十分配意すること。  六、インターネット等を活用することにより、すべての国民が、行政に対する適確な理解の下に主体的に意見を表明する等の活動が可能となり、もって公正な行政の実現に資するよう、行政の情報化を一層推進すること。  七、高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性を確保するため、ネットワークの脆弱性の解消、不正アクセスの防止、個人情報の保護等の情報セキュリティ対策を一層強化すること。  八、ベンチャー企業などの新規参入を促進し、事業者の自由な経営判断を確保するため、IT分野の規制改革を進めるに当たっては、国際的潮流に劣後することのないよう大幅に見直すとともに、「透明性のあるルール型行政」の確立を図ること。  九、IT分野における公正有効な競争を確保するため、引き続き必要な措置を講じること。  十、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の策定及びその実施に当たっては、縦割りや硬直的な対応ではなく、政府として統一的、一体的な取組を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  219. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  220. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堺屋国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堺屋国務大臣
  221. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法につきましては、本委員会において御熱心な御審議の上ただいま議決を賜り、深く感謝申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。  ありがとうございました。
  222. 今泉昭

    委員長今泉昭君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会