運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-11-16 第150回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     世耕 弘成君      弘友 和夫君     福本 潤一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         今泉  昭君     理 事                 景山俊太郎君                 鈴木 政二君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 泉  信也君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 中島 啓雄君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 山下八洲夫君                 福本 潤一君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君    国務大臣        郵政大臣     平林 鴻三君        国務大臣     堺屋 太一君    政務次官        郵政政務次官   佐田玄一郎君        郵政政務次官   常田 享詳君        労働政務次官   釜本 邦茂君        総務政務次官   海老原義彦君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        総務庁長官官房        審議官      藤井 昭夫君        経済企画庁国民        生活局長     池田  実君        国税庁課税部長  村上 喜堂君        文部省生涯学習        局長       崎谷 康文君        文部省初等中等        教育局長     御手洗 康君        通商産業大臣官        房審議官     吉海 正憲君        通商産業省生活        産業局長     林  良造君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大井  篤君        郵政大臣官房長  團  宏明君        郵政省通信政策        局長       鍋倉 真一君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        労働大臣官房審        議官       坂本由紀子君        建設大臣官房総        務審議官     林  桂一君        建設省道路局長  大石 久和君        自治大臣官房総        務審議官     林  省吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(  内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十五日、鹿熊安正君及び弘友和夫君が委員を辞任され、その補欠として世耕弘成君及び福本潤一君が選任されました。     ─────────────
  3. 今泉昭

  4. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございます。  本日は、堺屋担当大臣それから平林郵政大臣初め関係皆様方に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  いよいよIT基本法質疑ということになりましたが、まず国家戦略ということをもう少しわかりやすく言うとどういうことだということで御質問をさせていただきたいと思います。  森総理が、今国会冒頭における所信表明演説でも、日本型のIT社会実現のために早急に国家戦略を取りまとめるということを述べられまして、引き続いて、十月十九日に発表された日本新生のための新発展政策では、IT革命飛躍的推進のための施策として、E—ジャパン構想であるとか制度改革あるいは施設整備必要性ということが述べられておりますし、本法案でも、六つの基本理念、あるいは施策の策定にかかわる八つの基本方針を定めるというようなことが述べられております。  一つ一つの項目は極めて適切なものでありまして、推進すべきことばかりでありますが、国家戦略として国は何をしようとしているのか、日本型IT社会というのはどういうイメージなのか、素人わかりという面ではちょっとまだわかりにくい面があると思います。  堺屋大臣におかれましては、著名な文筆家でもいらっしゃいますし、文章の専門家として、わかりやすい表現ということを常に考えておられると思いますので、そういう意味から、私どものようなIT知識の必ずしも深くない議員が、一般の有権者の皆様に要するにIT社会というのはこういうものなんだということを説明するとすればどんなふうに言ったらいいか、大臣から御見解を伺いたいと思います。
  7. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 交通通信分野で長い経験をお持ちであり、また、国際的にも豊富な知識をお持ちの中島委員からそう申されますと汗顔の至りではございますけれども、このIT国家戦略というのを二つの面で申し上げまして、まず一つ産業政策という面で見ますと、これは情報の自由な取り入れによって非常に高度な知的産業知識産業を高めるとともに、あらゆる産業分野情報化することによって効率を高めていく、こういうのが一方にあると思います。  そして、国民生活の方を非常に平易に申し上げますと、まず手間のかからない社会をつくる。例えば、政府手続をするとか、学校入学手続をするとか、病院の手続をするときに非常に手間がかからないようにすることというのが一つ。それからもう一つは、楽しい話、そして同じ仲間をつくりやすくする、いわばさみしくなくする。この煩わしくなくするということと楽しくするという、これが国民生活に重要なところだと思います。  そういう意味で、非常に生産性の高い、効率の高い世の中をつくると同時に、人々の暮らしを便利にし楽しくしていく、これが大体の国家戦略の一番の根本的な目標だと考えております。  そういうようなものにするために、具体的な方法といたしまして、具体的といいますか、それに至る方法といたしまして、まずハードウエアである光ファイバー中心とした高度情報通信網ネットワークをつくるというハードウエア仕事。それから、だれもが使えるようにするというソフトウエア普及利用技術普及。それから、便利で楽しい情報の中身をつくるというコンテンツの創造、この三つを、三本柱を同時につくっていく。そういう仕組みでこの究極的な、さみしくない、煩わしくない、そして効率のいい社会をつくろう、これがこの法律の一番の根底にある発想だと思います。
  8. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  産業効率化は当然の話でありますが、国民生活手間のかからない楽しい社会ということで、ぜひ今後ともよろしくお願いをいたしたいと思います。  現在の我が国におけるIT革命現状といいますか、それについては非常におくれているということが盛んに言われております。今、インターネット普及率が二一・四%というようなことでございますが、一方、日本全体を考えると、モバイル通信分野などではもう携帯電話が六千万台を超えているとか、iモード、その他インターネット、あるいはメール機能を持った携帯電話がもう一千万台を超えてどんどん伸びているとか、そういう状況でございますので、全体としていわゆるIT社会が非常におくれているのかどうか、そういうことを強調するのがいいのかどうかというような感じもいたしております。携帯電話世界では、技術的にもう最先端を行っているのではないかと思います。  そういうことで、私は、おくれているというよりも日本先端技術に誇りを持って、おくれている部門世界最先端に追いついて、本当に世界最先端の楽しいIT社会をつくるというようなことが大切ではないかと思っておりますが、政府としての現状認識はいかがなものか。諸外国と比較してどういう点がおくれて、また、その理由は何かといったことについてお聞かせをいただければと思います。
  9. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいま委員仰せのように、日本が非常にすぐれている部門もございます。もともと日本エレクトロニクス産業分野では世界一の生産量競争力を誇っておりまして、したがって、何となくコンピューターを使うような、小型コンピューターを使うような分野では日本は先を走っているんじゃないかと、こう考えておりました。  また、日本政府といたしましても、平成七年あるいは平成十年に改定いたしました高度情報通信社会推進に向けた基本方針など、いろいろと努力をしてきたことも事実でございます。  ところが、八〇年代の後半になりまして、OSの世界基本ソフト世界があらわれ、それでアメリカのマイクロソフトなどが先行するようになり、そして特に九三年にインターネットというのがあらわれました。インターネットは、パソコンを使うという意味では非常にエレクトロニクス共通性が高いんですが、本来、日本考えていた計算とか書類の整理、選択、あるいは機器の制御というような孤立したパソコン使い方ではございませんで、ネットワークだと。このネットワークをつくるときに、日本電話線という発想が強かった。このために大容量高速通信という点で立ちおくれてしまったというのが一番の現在のポイントだろうと思うんです。それに比べまして、アメリカあたりはCATVが普及していたとかそんなことがございまして、ネットワークの方、まさにITで非常に差をつけられた。  ITに絡んでまたいろんなそれに伴う技術でありますとかコンテンツでありますとかあるいはビジネスでの使い方とか、そういった点がたくさんございます。日本が二〇%少々のときにアメリカあたりが四〇、五〇%とこういきまして、あえて言いますと日本も昔金メダルをとってそれなりに日本記録は更新しているんですが、オリンピック記録の方がうんと急速に上がっちゃったというのがインターネット世界だろうと思うんです。  そういう意味で、日本インターネット、特に光ファイバー等の超高速容量通信の面でこのおくれを取り戻し、それに伴って普及、それからコンテンツをつくらにゃいかぬというのが本法案のねらいでございます。
  10. 中島啓雄

    中島啓雄君 次に、民と官の役割について。あえて民と官と言わせていただきます。  法律の七条には、高度情報ネットワーク社会形成に当たっては、民間主導的役割を担うことを原則とし、国、地方公共団体民間活力が十分に発揮されるための環境整備等を行う、こうあります。  民間活力基本IT社会をつくっていくという考え方はごもっともでございますし、当然そうあるべきだと思います。国、地方の財政の現状から見ても安易に国に頼るというわけにはいかないと思いますが、さて具体論になると、民と官の関係というおのおのの役割分担を明快にするのがなかなか難しいと思います。どうしても、困ってくると民が官に頼る、それが今日の財政的困難を招いた要因にもなっているでしょうし、公共事業が膨らんだというような御批判の要因でもあると思います。  国の役割というのはいろいろ言われておりますけれども、契約その他最小限の制度的な枠組みを整備することと、あと経済学の教科書的に言えばいわゆる市場の失敗に対する対応といいますか、民間に任せたのではうまくいかない公共財供給といったことに限定して、小さな政府を目指すべきではないかという考え方がありますが、そういった考え方も含めて民と官の役割分担、これはもっと一般的な課題として必ずしもインターネットだけに限らない話として、堺屋大臣の哲学を承らせていただければ大変ありがたいと思います。
  11. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) もともと明治以来、日本電気通信と郵便は官がやるということにしてきたわけでございまして、これは古い時代には日本全国普及させるのに非常に役に立ったと思います。しかしながら、この多様な知恵の時代を迎えて、電気通信もますます内容が多様になりどんどんと開発競争が行われているという状態になりまして、世界じゅうできるだけ分割、競争という原理を取り入れるようになりました。日本電電公社をNTTにしたわけでございます。  これからの基本方針から考えますと、主要な部分、この電気通信ネットを張ります主要な部分はやはり民間企業にゆだねる。機器開発原則として民間企業にゆだねる。それに対して国の方は、これができるだけ円滑にいけるような基盤整備をする、これが第一の条件だと思います。例えば、今の電子商取引、これは民間同士でしていただくんですが、そのときの法律整備であるとか個人情報の保護でありますとか、こういうことは法律でやらなきゃいけないからこれは国がやり、その制度を整える。  それから二番目の問題といたしましては、高度技術開発部分はある程度国が入っていかなきゃいけない分野があります。  三番目には、公共施設、例えば学校でございますとか図書館でございますとか、そういうところは国の施設公共団体施設でございますから、国、公共がやらざるを得ない。そしてそれを利用して、さらに機会に恵まれない人々講習会を開くなど、全国民にリテラシーを広げていく、技術を広げていく、そういうことも国の仕事だと思っております。  なお、さらにきっかけをつくるために、例えばコンテンツをつくるといいましても、アメリカあたりのハリウッドその他たくさんあるところならいいんですが、日本ではまだそれが弱いというのでインターネット博覧会などを主催いたしまして、これは主催は国がやって、国も多少パビリオンを出しておりますけれども、日本国じゅう各都道府県の方々からいろんなアイデアを出していただく、それによって人材を発掘する、そういった仕事も国の刺激としてやらねばならない。  あくまでも国はそういう刺激を与え、サポートをし、条件を整え、そして特定の場所、施設、公的な施設、それとデジタルディバイドの解消、そういったことに当たっていくのが正しい道だろうと思っております。
  12. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  公の部分の問題として、現在補正予算が審議される予定になっておりますけれども、十二年度補正予算まで含めますと大体IT関連一般会計支出というのは二兆四千億を上回るのではないかというふうに私として算定をしておりますけれども、これは国民一人当たり約二万円ということになりますので決して小さな額ではない。これが有効な支出であるかどうかということについては、やっぱり政府として国民にきちんと説明する責任、アカウンタビリティーがあると思います。  来年からの省庁再編に伴って、国の事業について政策評価を行うということになっておりますので、IT関連プロジェクトについても当然その対象になると思いますけれども、特に、公共事業的な分野については費用便益分析による定量的な評価をやるとか、それによってプロジェクトごとに横並びで評価をしてそれに伴う優先度を決めていくとか、あるいはそれを一般に公開していくとかいうような手法をとるべきではないかと思いますが、そういった予算に関連して、これからの政策評価といったようなことについてどのようなお考えか、まず堺屋大臣からお聞かせいただければと思います。
  13. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT予算といいましても非常に幅広いものでございますが、特にことしの補正予算、今御審議いただいております十二年度の補正予算ではIT環境高齢化と都市問題を重点事項に置きまして、IT関連に非常に重点を置いております。  今申し上げてきましたように、一つ国家ビジョン日本国民すべてが高度情報通信ネットワークに接し、また、あまねく日本社会がその恵沢に浴するというような社会をつくるのに最善方法といたしまして、ハードウエアソフトウエアコンテンツと同時に形成していく。特に、このたびの補正予算では、デジタルディバイドを解消するという意味で、一般方々に市町村などが講習会を行う等の新しい方法もとっております。地域のイントラネット整備等も含めまして、できるだけ多くの人々にできるだけ早くつけていただくということで、この予算は決してむだなものではございませんし、むしろ遅きに失したんじゃないかというぐらいのつもりで見ております。
  14. 中島啓雄

    中島啓雄君 ぜひアカウンタビリティーということについては常に頭に置いていただきたいと思いますが、戦略推進本部というのが、正確に言うと高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、こういう名前のようでありますが、これが今度設置されるということでございますが、五年後に向かって世界最先端IT国家を目指すということになりますと、単なるいわゆる寄り合い世帯ということでなくて、やっぱり明確な戦略目標を設定して、それに対する進捗状況評価とか公表とか、あるいは時によって迅速な柔軟な改定とか、いろんな意味で強力なリーダーシップが求められると思います。  そういう意味で、どんな規模のものを考えておられ、またどういう仕組みなり工夫で強力なリーダーシップを発揮されようとしているか、その辺についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  15. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 戦略本部でございますけれども、これは総理本部長といたしまして、各国務大臣本部員、そして民間の有識者の方々にも本部員に入っていただくという、総理大臣自身リーダーシップをとる大変強力な組織になろうと思います。  電気通信分野というのは非常に広い範囲に広がってまいりまして、特に、今考えておりますような国家戦略になりますと、供給者側だけじゃなしにユーザー側、例えば学校でございますとか自治体でございますとか、そういうことも入ってまいりますので、そういうすべてを包含してやるということになりますと、やはり総理大臣の強力なリーダーシップのもとに行うのが最善ではないかと。  また、独立行政法人でございますとか地方自治体にも意見を聞き、資料を提出させるというようなこともできるようになっております。したがって、これは国を挙げての戦略にふさわしい仕掛けになっているんじゃないかと思います。  ここで、五年以内に世界最先端ネットワークをつくり上げることを目標にしておるわけですが、今、日本と諸外国、少なくともインターネット世界では相当の差があるわけでございますから、これに追いついて最高になるというのは相当馬力をかけてやらなきゃいけない。国を挙げてこういう政策をとるということで重点戦略を立てまして、総理主導のもとにやっていきたいと思っておる次第です。
  16. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  世界最高水準高度情報通信ネットワークということでございまして、法案の第十六条には、「広く国民が低廉な料金で利用することができる世界最高水準高度情報通信ネットワーク形成を促進するため、事業者間の公正な競争の促進その他の必要な措置が講じられなければならない。」ということで、法律の中に世界最高水準というような表現が使われておるのは非常に珍しいのではないかと思います。  そういう意味でも、森総理初め堺屋大臣平林郵政大臣関係者皆様の熱意が伝わってくるような気がいたしますが、世界最高水準高度情報通信ネットワークというのはどんなイメージなのか、そのねらいはどこか、五年後までにどういうことを実現しようと考えておられるのか、その辺、現段階におけるお考えを聞かせていただければと思います。
  17. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 法案にもございますように、まず広く国民が低廉な料金で利用できる、まずすべての国民がということでございますから、全国ネットが張られている、これは必ずしもユニバーサルサービスということを意味するわけではございませんが、全国どこでも、そしてだれでも使えるぐらいの低廉さ、それからだれでも使えるぐらいの簡単さということも必要だと思います。そして、動画を含めて、どんな情報でも即時に出せる程度の容量、速さ、大きさ、そういったものができる、これがまずその便利さという意味での一方です。  もう一方で、やはり安全性ということを書いておりますけれども、ハッカーの問題、テロの問題、それからさまざまな不良情報が入ってくる可能性がございますが、そういうことからも、安全であって、そしてテロに侵されるようなことのないような分散化、それからガード、そういったものができると。  同時に、これはちょっと先走った言い方かもしれませんが、世界に発信できる、世界から受信できるというグローバル性というのも大変重要でございます。その意味で、今英語世界がずっと世界インターネット中心になっておりますので、日本語英語との間の交換も便利にしなきゃいけないし、また日本語英語中国語韓国語その他、関係の深いところに発信できるような、そういった仕掛けもしていかなきゃいけない。  そして、世界最高というのはとまっているわけではございませんで、世界もどんどん進みますから、常にその最高を行くように研究開発をし、投資をし、人材を養成していく、そういったダイナミックな意味でお考えいただきたいと思っております。
  18. 中島啓雄

    中島啓雄君 それでは、今一番課題となっておりますインフラ整備について、郵政大臣郵政省にお伺いしたいと思いますが、戦略会議出井議長の草案では、五年以内に少なくとも三千万世帯高速インターネットにアクセスできる、一千万世帯が超高速インターネットにアクセスできるようにするということで、これは非常に野心的な計画であると思いますが、ネットワーク整備ということに限らず、いろんな意味で今後のインフラ整備ということについてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。
  19. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) おっしゃいますように、このインフラ整備というのはIT革命を推進する上で非常に大事な要素であると思っておりまして、急速にその整備を図っていかなければならぬと思います。  それで、郵政省といたしましては、従来から民間主導原則でこれを推進してまいっております。そのためには、政府で投資負担を軽減するための各種の支援措置を講じてきております。現在は、各都道府県の間や県内の交換局の間を結ぶ中継系のネットワークにつきましては、ほぼ一〇〇%光ファイバー化が完了いたしております。ほぼと申しますのは、小笠原とか遠いところがございまして、まだちょっとできておりませんが、もう一〇〇%に近いわけでございます。現時点では十分な伝送容量が確保されておるものと光ファイバーの点では思っておりますけれども、今後のことを考えますと、通信需要がどんどん拡大いたしてまいりますと、トラフィックの増大に対応して中継系のネットワーク高速容量化の需要はさらに高まっていくものと思われます。  そこで、こうした今後の需要に対応して、すべての情報伝送装置を光領域で高品質、効率的に行う技術開発をさらにやっていかなきゃいかぬ。そして、既存の光ファイバーの大容量化を可能とする設備、今具体的に申しますと、WDMといいまして、波長分割多重の装置を税制優遇など支援措置を新たに講じて促進を図っていきたい、そういう考えで取り組んでおるところでございます。
  20. 中島啓雄

    中島啓雄君 大臣から中継系のネットワーク中心とするお話を伺いましたが、ユニバーサルサービスという意味ではなかなか問題があるんではないか。すべての国民がゆとりと豊かさを実感できるIT社会ということになりますと、当然、地理的に離れたところにある住民も利用できる、あるいは高齢者とか障害者とか身体的な障害がある方とか、そういうユニバーサルサービスという面を実現していかなければ本当に楽しい社会にはならない。これを競争と市場原理のもとでやればいいと言っておいたのでは、幹線系のインフラ部分については今おっしゃったようにある程度進むと思いますが、今言ったような山間僻地とかあるいは各家庭のアクセス回線とか、そういった部分についてこれからきちっと整備するにはどうしたらよいか。  アクセス網としては、光ファイバーだけでなくて、末端は今DSLとかあるいは光メタル併用のPDSというものもあるようでございますが、そんな技術的な面の開発政策的な支援と両またの政策が必要ではないかと思いますが、その辺についてやや詳細なお話を聞かせていただければと思います。
  21. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 高度な通信サービスが広く末端まで行き渡るためには、委員御指摘のとおりにアクセス系の整備が重要でございます。  アクセス系の整備につきましてはまず光ファイバー整備一つ挙げられますけれども、これにつきましては、現在、民間の投資負担を軽減するために超低利融資制度でもって取り進んでおりまして、十一年度末現在でいわゆる饋線点前の整備率では全国平均で約三六%になっております。これを地域別に見ますと大都市部では非常に整備が進んできているわけでありますが、人口十万未満の都市のようなところですと整備率は一四%にとどまるなど、非常に地域間格差が広がってきているということでございます。  したがいまして、私どもは、この光ファイバー整備につきましては、このような地方と都市部における格差をなくすべく、従来の超低利融資の支援措置に加えましてより強力な民間の支援策を実現したいということで今予算面で取り組んでいるところでございます。さらにまた、光ファイバーのみならず、先生御指摘のように、高速アクセス網回線にはDSLだとか、あるいはCATV、また無線アクセス回線など、こういった多様な高速アクセス回線の普及も非常に重要だというふうに考えております。  郵政省としましても、広帯域加入者網の早期の全国普及に資しますよう、平成十三年度予算要求におきましてこういった広帯域回線に対する財政上あるいは税制上の支援措置も要望しているところでございます。光ファイバーを初めとするさまざまな高速アクセス回線が早期に普及できまして多くの利用者がより低廉で多様な高速通信サービスの便益が共有できるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  22. 中島啓雄

    中島啓雄君 今概括的なお話を伺いましたが、個々のまさにアクセス系を整備するというのはなかなか大変なことだと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、電子商取引に関連する問題について、消費者保護というような観点から若干お伺いをしたいと思いますが、電子商取引はだれでも参加ができて処理がスピーディーで、いろいろ商品なりなんなりの選択の幅が広がる、それから国際取引も極めて簡単にできるということで飛躍的に発展する可能性があると思いますが、同時にその陰の部分として、先ほどもおっしゃいましたが、不正やトラブルが発生しやすいというような問題もございます。  ビジネス対ビジネスの取引というのは自己責任原則でお互いに契約自由でやればいいじゃないかという面も多々あると思いますが、ビジネス対消費者あるいは消費者対消費者間の取引というのはどうしても売り手優位になりますから、必ずしも自己責任原則に任せておけばいいというわけにもいかない。そこで、だれもが安心できる制度的な基盤と市場ルールといったようなことが必要であると思います。  例えば、私の経験でも、PCのソフトを買うと必ず最初から二番目の画面に使用許諾契約というのがぽんと出てきて、同意しますかと。ところが、延々と書いてある画面をまず全部は読まないで、とにかく同意しますとぽんと押してしまう。こういうようなことでございますから、もしそれが消費者に非常に不利なことでも書いてあれば極めて問題であると。国際取引になればなおさらのこと、お国柄によっていろいろ違ってくると思うんですね。私も例のアマゾンというネット書店を試してみたんですが、ドイツの場合はそれに対する返品保証条項というのが一ページ半ぐらいにわたって詳細に書いてあるんですが、イギリス、アメリカは極めてあっさりぽんと書いてあるだけだと。  そういった違いもございますので、国際的な取引の整合性というか、国際的な契約準則の統一といったようなことも含めて、今後そうしたネット取引の契約準則の制定あるいは簡易な紛争処理機構とか、そういったものが必要になるのではないかと思いますが、現在の検討状況など、これは企画庁の方からお答えいただけますでしょうか。
  23. 池田実

    政府参考人池田実君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、電子商取引は消費者の選択の幅を広げるなど消費者の利益を増進させるものであります。しかし、電子商取引の促進に当たっては消費者の信頼の構築が不可欠であり、そのためには電子商取引における消費者保護に取り組むことが重要であると認識しております。  このような認識は世界共通でありまして、昨年、平成十一年十二月に電子商取引上の消費者保護のためのガイドラインというものがOECD理事会勧告として公表されております。それによりますと、消費者保護の施策として、例えば購入意思のあいまいさが残らない確認プロセス、あるいは利用しやすい紛争処理及び救済、それからプライバシーの保護、電子商取引に関する教育及び啓蒙等の項目が挙げられております。  政府としても、ガイドラインに沿った対応に努めているところでありまして、例えば確認プロセスについては、先般成立しました特定商取引に関する法律において、インターネット通販における消費者トラブルに対応した規制が盛り込まれております。それから、プライバシーにつきましては、次期通常国会に向けて個人情報保護基本法案の立案作業が現在進められているところであります。  経済企画庁としましても、紛争処理及び救済については、国民生活センターや各地の消費生活センターを活用した消費者にとって利用しやすい苦情処理を充実させる、あるいは教育及び啓蒙については、消費者に対しトラブルを防止するインターネットの利用の仕方や契約に関する教育、情報提供を行い、電子商取引における消費者保護の推進に努めてまいりたいと思っております。
  24. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。  次に、電子商取引に伴う課税の問題について若干お尋ねしたいと思います。  インターネットで簡単に文字情報だけでなくて映像情報とか音声情報とか、そういったものが取引できる。音楽なんかも極めて高度な高品質のものが取り入れられるということで、そういった取引分野というのはインターネットの最も得意とする分野でありましょうが、なかなか取引実態というのがつかみにくいのではないか。  その場合に、消費税に代表される税務という面から言えば、やっぱり課税の公平という見地からはこれもきちっと捕捉しなければならないと思いますし、特に国際取引の場合には今おおむね着地国主義となっているんでしょうが、音楽や映像のソフトがどこの国に着いたかというのは非常に難しい課題ではないかと思いますが、とりあえず国内のそういった電子商取引に対する課税の問題と国際取引に関する検討状況といいますか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  25. 村上喜堂

    政府参考人村上喜堂君) お答えいたします。  今の御指摘は、制度、執行両面あろうかと思いますが、電子商取引につきましての課税のあり方につきましては、国際的にも既存の商取引と同様に、公平、中立、簡素、こういった租税原則を適用するということにされております。  このような観点を踏まえまして、現在、OECDの場におきまして、例えば恒久的施設に基づく課税原則といった所得課税に係る既存の国際ルールがあるわけでございますが、そういったものを電子商取引にどう適用するかといった問題、あるいは今御指摘のデジタルコンテンツ、そういったデジタルコンテンツのクロスボーダーのオンライン取引、そういったものに対する消費課税をどうするか、こういった問題につきまして、民間専門家も加えまして現在検討がなされているところであります。したがいまして、今後ともそういったOECDの議論に積極的に参加するとともに、国際的な議論あるいは成果を踏まえまして、公平、中立、簡素の租税原則も踏まえ、電子商取引をめぐる課税上の問題について検討していく必要があろうかと思います。  次に、執行面の対応について申し上げたいと思いますが、今御指摘のように、確かに納税者の把握が困難といった通常の商取引と違った電子商取引の難しさがあろうかと思います。  こういった問題に対処するために、国税庁といたしましては、各国税局に電子商取引専門調査チーム、こういうのをつくっております。電子商取引を行っておる事業者あるいは電子商取引の関連事業者、こういった方々に対しまして税務調査あるいは情報収集を行っております。  また、電子商取引はクロスボーダーでございますので、諸外国の税務当局も同様の問題意識を持っておりますので、諸外国の税務当局との意見交換あるいは情報交換を行っておりまして、電子商取引に対する調査資料や情報の共有に努めているところであります。  これらの努力を通じまして、引き続き適正、公平な課税に努めてまいりたいと思います。
  26. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、電子政府についてお伺いをいたします。  豊かなIT社会を実現するという意味で、まず隗より始めよという意味からいいましても、政府の行政事務を紙ベースからITベースにするというのは大変重要な施策であると思いますし、私は、こういう議会の資料などもペーパーレスにして、ここにPC端末を置いて、そこでやっていくというようなことに取り組まれるべきではないかと思っております。  その実現に当たっては、既存の行政事務のプロセス、あるいはこれは政府部内の行政事務だけでなくて、政府民間の消費者とのプロセスということについて、今のプロセスを単にオンライン化するということでなくて、やっぱりIT時代にふさわしい仕事のやり方ということに改めるいわばリエンジニアリングが必要ではないかと思いますが、その辺の御検討状況について承れればありがたいと思います。
  27. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) お答えいたします。  行政事務の電子化に当たってのリエンジニアリングについてのお尋ねでございますが、御指摘の点については政府としても非常に重要なことと認識しておるところでございます。  一つは、国民、企業と行政の間の申請・届け出手続、これは現在一万件ぐらいあるんですが、これを平成十五年ぐらいまでに電子化しようということをことし三月に基本的枠組みというものを策定して推進しているところでございますが、この中におきましても、オンライン化をする場合には、必要に応じて制度、慣行を見直すとか、あるいは国民等の利便性の向上や行政事務の簡素効率化、こういったものを図りながらやるんだとか、あるいは手続に用いられている添付書類についても必要最小限にするんだと、そういったような方針を定めた上で各省庁で推進していただいているところでございます。  また、加えまして国民側から見て、いわばネットワーク上に政府全体、政府を通ずる総合窓口をつくるというようなイメージで、行政手続に関しましても総合行政サービスシステムというものを整備することとしております。これにつきましては、平成十三年度から運用を開始するという予定でございます。  また、行政内部の事務手続についてでございますが、これにつきましても、行政事務のペーパーレス化に関する行動計画、こういうものを昨年末に策定いたしまして全省庁で推進しているところでございますが、この推進に当たっても、単に電子化するということではなくて、現行の業務運営を見直して、その上で事務処理のペーパーレス化を推進するんだとか、あるいは、できるだけ事務事業の簡素化、効率化を推進するという観点から、また別途全省庁を通ずる総合的な文書管理システムというものも今整備しているところでございます。  今後とも、御指摘も踏まえまして、必要に応じて制度、慣行あるいは仕事のやり方、あるいは手続事務の簡素化、そういったものを進めながら電子化を進めていきたいと考えているところでございます。
  28. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、情報リテラシーの向上、あるいはデジタルディバイドの向上といった面から、今後の人材育成についてどうしていったらいいかということについて伺いたいと思います。  ITのメリットをすべての国民が享受するには、理想的にはほぼ一〇〇%の国民情報端末を扱えるというようなリテラシーの向上が求められると思いますが、なかなか国民を十把一からげに、十把一からげと言うとちょっと余りいい言い方ではないかもしれませんが、一くくりにして教育といっても難しいわけであります。例えば高齢者、身障者の方、あるいは経済的、地理的な面からなかなか情報に接しられないというようなデジタルデバイドもなくしていかなければならない。  そうすると、リテラシーがほぼ一〇〇%に達して、デジタルディバイドも解消されると情報伝達のやり方がぐっと変わってきますし、仕事のやり方が変わってくる。極めて効率的でスピーディーな社会ができる、これは先ほど堺屋大臣がおっしゃったとおりでございます。例えて言えば、株主総会の通知をEメールでやれることにしようというような法律改正が検討されていると聞いておりますが、そういったことが実現すると、極端に言えば十円かそこらで何万人もの株主に株主総会の通知ができる、こういうことになると思います。  そのための人材方策というのを少しセグメント別に分けて見ると、高級技術者の養成というのはもちろん必要なわけでありますが、例えば小学生から大学生に至る学生、生徒に対する教育というと、これはむしろパソコンなどのハードウエア整備しておけば、それこそ学校インターネットカフェで自由にさわってどんどん技術的には能力が向上する、むしろ先生の養成の方が大事じゃないかというようなこともございます。ビジネスの世界でも、若い層はどんどん吸収するでしょうが、中高年層とかあるいはリタイアした高齢者、主婦といったような方には、教育をすると同時に、身近に頼れる、ちょっとしたことで、フリーズしたらどうしたらいいんだというようなことをすぐ聞けるようなボランティア的なインストラクターが欲しいとか、いろんな要請があると思うんです。  同時に、そういうインストラクターに高齢者の方のメールの楽しみ方というようなものも教えていただくというのも大事ではないかと思いますが、そういった今後のごく一般国民皆様に対する人材育成方策といったようなことについて、文部省と労働省からお伺いできればありがたいと思います。
  29. 御手洗康

    政府参考人御手洗康君) お答え申し上げます。  国民情報リテラシーの向上を図り、デジタルディバイドを是正するためには、社会全体としてさまざまな取り組みが必要であろうかと存じますが、学校教育におきましては、まずはコンピューターを使う技能の習得とあわせまして、誤った情報や不要な情報に惑わされることなく、必要な情報をみずから主体的に収集、創造し発信できる能力というものを身につけさせるという観点から、すべての子供たちを対象として情報教育を行うこととしているところでございます。  現在でも、小学校段階からコンピューター教室等のコンピューターを利用いたしまして、各教科等の授業におきまして子供たちが実際にコンピューターを利用するという授業を行っているところでございますが、特に平成十四年度から実施されます新しい学習指導要領におきましては、中学校技術・家庭科におきます情報の体系的な学習、これを現在でもほとんどの子供は履修しておりますけれども、全員必修にいたしますとともに、新たに高等学校におきまして情報に関する普通科の教科を設けまして、全員すべての高校生にこれを共通に必修させるということにしているわけでございます。  このために、条件整備といたしましては、現在、五七%ほどの学校インターネットに接続はしておるわけでございますけれども、これを平成十三年度までにはすべての公立の小中高等学校インターネットに接続できるという計画的な整備を図りますとともに、平成十七年度を目標にすべての教室からインターネットにアクセスすることができる、こういう計画をもちまして、本年度からコンピューターの新たな整備計画を推進するとともに条件整備を図っているところでございます。  また、特にお話がございました公立学校の教員のコンピューターの活用能力につきましては、国におきまして都道府県のリーダーを養成する、そして都道府県は県内の校内研修のリーダーを養成する、こういう計画的な研修計画を各都道府県を中心につくっていただきまして、すべての各都道府県の学校で校内研修を実施するということによりまして、これも平成十三年度までには全教員が少なくともコンピューターの操作はできる、そのうち半数程度はコンピューターを指導に使って各教科の授業が実施できる、こういう教員養成も努力しているところでございます。  また、大学につきましても、平成十年度現在、ちょっと資料は古うございますけれども、約四百校、六七%の大学におきまして、情報処理教育を必修としてすべての大学生に履修させることとしておりますほか、選択科目としてほとんどの大学において情報に関する教育を行っているところでございまして、学生の情報リテラシーの向上にも取り組んでいるところでございます。
  30. 坂本由紀子

    政府参考人坂本由紀子君) お答え申し上げます。  IT化の進展がさまざまな職場に影響を及ぼしておりまして、働く人すべてがパソコン操作から高度な技術に至るまで、さまざまな水準のIT化に対応する能力が求められているものと認識をいたしております。  このような能力取得につきましては、本来、各企業や働く人がそれぞれ自発的にお取り組みをいただくものではありますが、今日のように急速にIT化が進み、また引き続き厳しい雇用情勢の中にありましては、デジタルディバイドですとか、これに伴います雇用不安の発生の防止を図ることが大変重要であると考えております。このため、働く人すべてがIT化に対応する基礎的な職業能力を習得することを支援する施策を緊急に推進していく必要があると考えております。  このため、労働者の能力水準やニーズに的確に対応いたしまして、夜間でありますとか土日を含めて、公共職業能力開発施設での訓練を行うとか、あるいは民間の教育訓練等を活用いたしました委託訓練を実施する等によりまして、ITについての職業訓練コースを大幅に拡充いたしたいと考えております。また、パソコン操作等について労働者がみずから学習することができるような、そのような支援の場を提供いたしたい、そういうさまざまな形での職業能力開発の機会を確保してまいりたいと考えております。  さらに、高度な情報通信の技術者というのがこれからのIT社会の発展を支えるためには大変重要であると考えておりますので、ITについての高度な公共職業訓練の実施でありますとか、あるいは民間の教育訓練機関を活用した教育訓練給付制度等によります働く人の自発的な能力開発の支援、そのほかに先導的な教育訓練コースシステムの開発に努めるというようなことを行いまして、IT社会の発展を担う高度な人材育成を推進してまいりたいと考えております。
  31. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  最後に、郵政大臣に今後の技術開発について伺いたいと思います。  ネットワークの推進という面では若干世界におくれをとっているという評価がございますが、技術面では決しておくれをとっているものではなくて世界最先端もあると思いますし、やっぱりそういった技術の芽を見つけて積極的に育てていくということが大変重要ではないかと思いますので、現在の先端技術現状と今後の推進の方向などについてお聞かせいただければと思います。
  32. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 御承知のように、この分野は非常に技術革新が日進月歩でございますから、今、日本の得意の分野というのを眺めてみますと、携帯電話情報家電、光ネットワーク技術などが得意分野だと思っております。今後もそういう分野世界をリードする研究開発を進めていきたいと考えておるところでありますが、不得手な分野も、また比較的他の国に比べておくれておる分野というのも追いつく努力をしなければなりません。  そこで、例えば次世代のインターネットなどのように社会経済的に重要な分野につきましては、今は若干おくれておるという御指摘が方々からございますが、このおくれを取り戻して先頭に立てるような、ひとつ奮発をしなきゃいかぬだろう、そう思っておるところでございます。  御承知のように、今回御審議をいただいております基本法案には二十二条に規定を設けておりまして、関係省庁、地方公共団体、大学、民間相互の密接な連携を図って、我が国のITに関する研究開発を一層強化していきたい、そのような考え方のもとに施策も立ててまいりたいと思っておるところでございます。
  33. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。終わります。
  34. 世耕弘成

    世耕弘成君 中島委員に引き続きまして、関連で質問をさせていただきます。  中島委員からは、基本的には今回のIT基本法法律の内容にある程度沿った形できちっとカバーして質問していただいたと思いますので、私は、逆に、このIT基本法案を一つのきっかけとしながら政府としてどのようなIT革命を実際に進捗させようとしているのか、その中で政府としてどういう役割を果たしていこうとされているのかといったあたりを中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点、その一番入り口でお伺いをしたいと思っておるのは、去る十一月六日にIT戦略会議の中の起草委員会一つの草案をまとめられました。  日本IT革命へ向けたまさに国家戦略ともいうべきITに関する基本戦略をおまとめになっているわけですけれども、この基本戦略と、今回のIT基本法あるいは基本法の中でうたわれております、策定が義務づけられています重点計画、それとの関連がどのようになっているのか、どういう役割分担になっているのかということについてまずお伺いしたいと思います。
  35. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ITの活用により世界的規模で生じております急激な社会経済構造の変化に対応するために、それによって生じる知識、創造的な社会にふさわしい多様な国民生活活力のある社会経済を実現することが必要であります。  このために、今般、この法律を提出させていただいて審議していただいているわけでございますが、IT戦略会議におきましてはIT国家戦略の策定に向けた検討が行われております。  まず、本法案におきまして、我が国が目指すべき高度情報通信ネットワーク社会と呼んでおりますが、これを定義づけるものとして、基本理念施策基本方針施策推進体制、重点計画など、政府の推進体制を規定しているわけでございます。  このIT国家戦略は、IT革命を進める上での基本的な視点を明確にするとともに、将来の目標を具体的に描くため、現在、IT戦略会議において、我が国が五年以内に世界最先端IT国家になることを目指して、年内に策定される予定のIT国家戦略を踏まえまして、来年一月から発足する予定でございます本部におきまして重点計画を早急に策定し、官民一体となってIT計画への対応に迅速かつ集中的に取り組んでまいるということでございます。  つまり、この法律の中にございます幾つかの要素があるわけですが、その中の重点計画、これに当たる部分をほとんど民間の方を中心としたIT戦略会議で今検討していただいておりまして、今月中にもほぼ答申をいただけるだろうと思っております。それをこの草案として、もととして国家の基本戦略を立てていく、こういう仕組みになっているわけでございます。
  36. 世耕弘成

    世耕弘成君 わかりました。  計画だとか言葉だとかがいろいろ出てきておりまして、私は、言葉という意味では、情報通信業界に長くおりましたものですから、最初はニューメディアに始まりまして、高度情報社会という言葉が出てきて、やがてマルチメディアという言葉が出てきて、そしてITという言葉が出てきて、そして今また高度情報ネットワーク社会という言葉が出てきて、いろんな言葉が出てくるものですから、早くこの言葉を具体的な計画として実行に移していくということが重要で、今回、非常に大きなチャンスだと思いますので、このIT基本法IT国家戦略をうまく有機的に連結をさせながら官民がまさに一体となって進めていく必要があるなという実感を強くしております。  さて、実は私、一つこの基本法でもあるいは国家戦略の中でも気になっていることがあります。基本法でも国家戦略の中でも、特に光ファイバーを軸とした地上系の高速ネットワーク整備については非常に深く前向きに訴えられているんですが、実は電波系というか無線系というか、そういったもののIT化というのが余り踏み込んで書かれていないんじゃないかという思いがしています。  次世代のマルチメディアの中では、もちろん地上系では光ファイバーが非常に重要なファクターになってくるわけですけれども、もう一つやはりモバイルというのが非常に重要になってくると思います。パソコンを持ち歩くというよりは、モバイルの携帯端末を持っていろいろと情報のやりとりをするというのが最終的な究極の姿になるんじゃないかと思っていまして、こちらへ向けたしっかりとした取り組みも忘れてはならないと思うんです。そういう意味では、基本法と国家戦略の中でもう少し踏み込んでもらいたいなという思いがあるんですが、それはあくまでも文章の話でございますから、実態としてやってほしいと思っています。  特に、今iモードという新しい商品というか、もう一千万を超える普及をしているわけですけれども、iモードを含む携帯電話技術、そしてその標準化争いというのが非常に大きな核になってくるんじゃないかと思っています。IT関連では諸外国にいろいろおくれをとっていると、私は必ずしもそうは思いませんけれども、とっていると言われている中で、実はこの携帯電話は一発大逆転ホームランになる可能性を秘めている技術であり、商品ではないかというふうに私は思っております。  この携帯電話のことを考えるに当たっては、余り実はアメリカのことは気にしなくていいんです。問題はやっぱりヨーロッパでございまして、実は今、NTTドコモは次世代の携帯電話、第三世代ですね、我々が今使っています携帯電話は第二世代のデジタル型でございますが、第三世代の携帯電話主導権争いでヨーロッパで非常に激しい戦いを展開しているわけです。  ドコモがiモードをぶら下げてヨーロッパへ行って第三世代の携帯電話主導権を握ろうとすると、逆にヨーロッパ系のメーカーはいきなり第三世代に行かれるとドコモに主導権をとられるから、あえて技術的にレベルを落とした二・五世代ぐらいで主導権をとろうと動いたり、ところが、今度は電波の周波数の入札で値段が上がってしまいまして、二・五世代でつないでいるなんという余裕がなくなったものですからみんなまた第三世代へ流れてきて、またいきなりドコモが有利になってきたりとか、まさに激しい物量戦であり神経戦。当然、自分の技術を植えつけるためにいろんな携帯電話事業者を数千億あるいは兆を超えるお金で買収合戦をしたり、まさに物量戦であり、あるいは技術面では神経戦といった非常に厳しい戦いが展開されているわけです。  まさに私は、この戦いというものにある程度国運がかかっているんじゃないかとまで思っていまして、ここで勝てば日本の特に携帯、モバイルを中心とした技術が非常に優位性を確保することができますし、負けてしまうとまた技術はよかったんだけど国際標準はほかのものですよということになってしまわないか、そう言っても過言ではないと思います。  残念ながら今回、国家戦略基本法の中には明確にうたわれていないんですけれども、国として国家戦略としてこの次世代携帯電話についてどう取り組んでいくのか、あるいはヨーロッパで行われている戦いを見据えて国としてどんな支援ができるとお考えなのかについてお伺いをしたいと思います。
  37. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この分野で大変専門的知識の高い世耕委員にお答えするのには、私の知識はそれほどではございませんので、申しわけないのでございますけれども、今おっしゃいました電気通信に関する規格、国際標準をどうするか。例えば、ハイビジョンのときにも大変高度の戦いがありまして、日本は余りいい成績にはあのときはなりませんでした。携帯電話については日本は一番世界で進んでいるということでございますし、また、日本の文化から見ましても、俳句とか短歌とか非常な短縮文化という、ちょうど携帯に入るぐらいの文字で描かれる文化ができている。今度のインターネット博覧会でも五十字のメッセージという文学賞をつくろうというようなことも考えておりまして、非常に日本に向いたものだし、幸い、ドコモを中心といたしまして技術も進んでおります。  そういうことから、安心しているというわけではございませんけれども、この基本法ではよりおくれているインターネット、地上有線の世界中心になっておりまして、このモバイルについてはそれほど定義しておりませんけれども、あまねく情報はすべての国民に恵沢を与えるという発想でございますから、決して無視しているわけではございません。  次世代携帯電話につきまして、これはIMT二〇〇〇というそうでありますが、世界各国で使用可能なグローバルサービスを実現するものといたしまして、日本アメリカ、ヨーロッパを中心世界的規模での導入に向けて取り組みが行われております。日本としても、世界に先駆けてこれの実用化が最も重要な課題考えています。  国際電気通信連合、ITUにおきましては国際的な標準化につきまして積極的に取り組んでいるところでございますが、ことしの六月にサービスを行います電気通信事業者日本としても決定いたしまして、来年五月から世界に先駆けてIMT二〇〇〇のサービスが開始される予定でございます。もちろん、これは民主導で行うということになっておりまして、現在三社を指定していることは委員御存じのとおりでございます。  他方、我々が目指すべきIT社会の実現のためには、だれもが容易にインターネットを利用でき、その楽しさと有用性を実感できる社会を構築する、その最も重要な課題とするところでございますが、これにもやはり無線、モバイルが非常に強く結びついてきております。  以上のような認識から、IT戦略会議におきましては、IT革命の推進に不可欠であるにもかかわらず普及のおくれているインターネットに焦点を当てておりますが、超高速インターネット網の整備とあわせて、これとも連動した形で、モバイルの問題も常におくれないように、安心しているとまた追い抜かれますから、常におくれないようにするとともに、国際基準についても注意深く対処していきたいと考えております。
  38. 世耕弘成

    世耕弘成君 無視しているわけではないということを伺って安心いたしましたけれども、やはり国内で携帯電話は、日本のマーケットというのは非常に感度の高いいいマーケットですから、国内で早くこの次世代の携帯電話をしっかりと普及させることが私は最大の支援策になってくるんじゃないかなと思います。ですから、そういう意味では、またこれ、実は次世代の携帯電話のためには鉄塔をちょっと新しいのを建てなきゃいけないんですね。ですから、その辺をやはり早期に展開するような面で国としての支援もあり得るのかなというふうに思っております。  もう一つ日本にとって携帯電話に加えての希望は、やはり次世代インターネットであるIPバージョン6、この技術面で研究開発が非常に他国に比べて先行しているということだと思います。森総理は、今回の所信表明演説でこのバージョン6についてかなり何回も言及をされました。私のアメリカの通信業界で働いている友人からなんかも驚きの電子メールが届きまして、今、世界の指導者の中で最もITに理解があるのは森総理じゃないかと。私もパソコンを教えてきて本当によかったなというふうに思っているわけです。ただ、技術で先行しながら実質的な世界標準となり得なかったものというのは日本は結構たくさん持っているんです。  例えば、今の第二世代の携帯電話、これはPDC方式というものですが、これは実は電波の有効利用という点では非常に高い技術なんですけれども、これは残念ながら今のところ使えるのは日本だけ。あるいはISDNでも、昭和六十年より前に、日本日本標準のISDNを開発していたわけですが、結局それは世界標準となれなくて、日本は結局他国の標準を輸入してISDNを展開したり、そういう屈辱的な歴史が繰り返されているわけですけれども、やはり私は、IPバージョン6でもそれを繰り返すことが絶対あってはいけない。過去のやっぱり教訓を生かしていかなきゃいけないと思っています。  特に重要なのはルーターです。バージョン6対応のルーターでデファクトを握るということが非常に重要だと思っております。現行のインターネットのルーターは、実質アメリカのシスコ社というところがほとんど市場の大半を握ってしまっているわけでして、この辺が非常に重要だと思っています。  ただ、今、現実にバージョン6のルーターをつくっても買ってくれる人は余りいません。あるいはユーザー側から見ても、導入してもそんなにメリットはないんです。自分の中のLANはv6でやれても、外へ出るときにわざわざまた古い今のインターネットに翻訳し直して外のネットワークを通してという形をしなきゃいけないということで、余りメリットがない。  そういうメーカーや導入ユーザーに対して何らかの支援、特に税制面なんかで支援があり得るんじゃないかと思うんですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
  39. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のように、今ラスベガスで開かれておりますコムデックス二〇〇〇なんというのを見ますと、ものすごくたくさんの記事にこの番号といいますか、アドレスがついておりまして、今v4ですか、v4で四十三億ぐらいだそうでありますが、これではもうすぐ足らなくなるという話が出ておりますので、いずれIPv6は導入しなきゃいけない。そのときに交換機の事実上の基準、ルーターのデファクトですが、これが外国に押さえられると日本として非常に国家戦略あるいは産業戦略としても差し支えるんじゃないか、その意識は私たちも十分持っております。  そういう意味で、あらゆるいわゆる情報家電、端末あるいは自動車、インターネット、すべてが接続するためにできるだけ早くv6を入れたいということでございまして、IT戦略会議におきましても、IPv6を備えたインターネット網への移行が国家戦略として重要な目標として出されております。  今後、この国家戦略を踏まえまして重点計画が策定されることになるわけですが、その際にも、IPv6の具体的な推進方法について、民間主導原則によりましてこれを遂行していきたいと考えております。
  40. 世耕弘成

    世耕弘成君 ただ、国家戦略というからには相当国も力を入れないと私はだめだと思いますね。特に現行のインターネット関係の例えばTCP/IPの技術だとかルーターの技術だとか、これはもうアメリカは国防の一部として大量のお金を注入した技術国家戦略として民間に開放して今の現状を築いていったわけですね。日本アメリカに追いつけ追い越せというのであれば、やはりこのIPバージョン6でどうしてもその世界のスタンダードをとっていなきゃいけない。そのためには百億、二百億研究で使いますよとか、あるいは若干税制上で少しの援助をしますよという程度では私ははっきり言って不十分じゃないかなと思っています。  私は、一つ日本にとって大きなチャンスは、実はこの間の九州・沖縄サミットで、日本として一つコミットをいたしました。発展途上国に対するIT化の支援、これにはかなりの金額があのとき出ていたと思いますけれども、その中で、やっぱりIPバージョン6なり、あるいは先ほど申し上げた次世代携帯電話なりをしっかりと盛り込んでいく、あるいはむきむきに国家戦略を前へ出して、IPバージョン6と次世代携帯電話を導入することが支援の前提であるというぐらいのことをやって、日本のスタンダードを世界に広めていく必要があるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  41. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のように、さきの九州・沖縄サミットにおきまして、G8首脳で、デジタルディバイドによるITの恩恵にあずかれない人々に対して、発展から取り残されることがないように援助していこうということになりました。  これに関連いたしまして、森総理は、サミットに先立ちまして、五年間で総額百五十億ドルのITに関する包括協力策を表明されまして、現在、政府はASEAN諸国へ政府ミッションを派遣するなどしておりまして、この協力策の具体化に向けて努力しているところでございます。政府としては、こうした努力を今後も続けていきたいと考えております。当然、その中でこうしたIT支援策の具体的な過程で、日本技術が途上国にも取り入れられることは好ましいことだと考えております。  なお、次世代携帯電話やIPv6については、国際標準化の努力が今行われているところでございますので、世界じゅうどこでも使えるグローバルなサービスの実現の観点から、国際標準化された方が途上国にも導入され、利用が進展すると期待しております。できれば日本技術というのが大幅に標準化されることが望ましいと思っております。
  42. 世耕弘成

    世耕弘成君 百五十億ドルですから一兆五千億ぐらいですか。それだけを使うわけですから、当然途上国のために使いつつ、やはり国民の税金から出ていっているわけですから、日本のためにもなるように使っていただきたいなと思います。  それともう一つ、何となく基本法や国家戦略の中で忘れられているような気がするのが地上波放送のデジタル化でございます。これは、来年度の当初予算の概算要求の中でも郵政省はかなりの金額をこの対策費として上げられているわけですけれども、私は地上波デジタル放送もこれは十分ITの一環だと思うんです。全体の日本IT化の進展の中でこの地上波デジタル放送というのをどういうふうに位置づけておられるのかについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  43. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 地上波放送のデジタル化は、将来の高度情報通信ネットワーク形成に関して重要な課題であることは十分認識しておりますが、日本における放送と電話とインターネットの三つの情報インフラのうち、放送ネットワークと電話ネットワークについてはかなり普及しているという認識がございます。  普及しているというのはいろいろ問題がございまして、日本式のキー局システムがどうかという議論が確かにありまして、だんだんデジタル化が進んでいくと東京一極集中になっていくんじゃないかというような、そういった問題もございますが、普及しているという点ではかなり普及しておりますし、技術的にも進んでいる方だと考えております。  他方、我々が目指しておりますIT社会の実現のためには、だれもが容易にインターネットを利用でき、その楽しさと有用性が実感できる社会を構築することが最も重要でございます。  以上のような認識から、IT戦略会議においては、IT革命の推進に不可欠であるにもかかわらず普及がおくれているインターネットに焦点を当てて、高速インターネットというものの整備戦略重点を置いておるわけですが、決して放送を無視しているとか、簡単に考えているわけではございません。  また、放送の方でもコンテンツを初めとして、これがまた大変最近アメリカに偏っているという面がございますので、これも何かの方法考えなくちゃいけないのかなという気がしております。そのコンテンツの面でインターネットと放送とがいかに融合するか、これもインターネット博覧会でNHKさんとか民間放送の協力を得まして今研究しているところでございまして、やがてその面でもひとつおもしろいものが出るんじゃないかと期待しております。
  44. 世耕弘成

    世耕弘成君 おっしゃるとおりだと思います。  ただもう一つは、地上波デジタル放送によって日本の逼迫している周波数帯がかなり有効に使えるようになるということも忘れてはいけないと思います。これがまた次世代携帯電話の発展にもつながっていく話ですから、地上波放送のデジタル化もきっちりと着実に国家としての戦略性を持って進めていくべきではないかというふうに思っています。  ちょっと話を変えますけれども、いろいろ日本IT化で問題点がいっぱい言われていますけれども、やはり事実として問題なのは料金が高いことだと思っています。これを下げるためにいろんな知恵を出し合いながらやっていかなきゃいけないと思うんですが、ことし前半から中盤にかけて、特にアメリカも絡めて相互接続料の値下げということがかなり話題になりました。そして、最終的には日米でも合意を見たわけですけれども、そのときのアメリカの主張で私一つ腑に落ちないのは、日本IT化の促進のために相互接続料を下げなさいという要求をしてきたわけですけれども、果たして接続料を下げれば、もっと言えば、もしもし電話のGC交換機とZC交換機の接続料を下げればIT化が進むのかどうか、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
  45. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 接続料につきましては、委員御指摘のとおり、さきの通常国会で成立いたしました電気通信事業法の一部を改正する法律によりまして導入されました長期増分費用方式によりまして、東西NTTの事業者間接続料の一層の引き下げが見込まれております。この事業者間接続料は電話ネットワークの交換機を含めた従量制の使用料でありますため、その引き下げが、委員御指摘のとおり、直接インターネット向けの低廉な定額制の通信料金につながるものではございません。  しかしながら、接続料の引き下げを契機といたしまして、長距離系の事業者が三分十円以下の料金で市内電話に参入する動きや、あるいは携帯電話料金の引き下げにもつながる動きを見せているところでありまして、この結果、接続料の引き下げによる通信料金の低廉化はIT化のコストを引き下げ、その普及促進にも資するものと期待しているところでございます。
  46. 世耕弘成

    世耕弘成君 そうなんですね。接続料というのはあくまでも従量制の料金でありまして、本当の意味で今国民が、IT化という観点で消費者が望んでいるのは、やはりつなぎ放題で、そして値段が安い、そういうサービスを真の意味で望んでいる。だから、アメリカの言ってきたことは、はっきり言って私はでたらめだというふうに思っております。  ただ一方で、じゃ今度は定額でつなぎ放題で安いサービスということになってくると、今DSLの技術が言われているわけでございます。これは光ファイバー普及すれば当然消えていくサービスではありますけれども、当面、高速なサービスを受けたいという人にとっては非常に有効性の高いサービスだと思います。  このDSLについて、最近、公正取引委員会が、どうもNTTの東日本会社が新規参入の会社に対していろいろと妨害をしているんじゃないかということで調査に入っているという話を聞いています。ただし一方で、DSL事業者の方から伺うと、いや、もう問題は解決していて、今は仲良くしているんだけれども、今ごろ入られて困っちゃったななんという話も聞こえてくるんですけれども、その辺について、郵政省としてどうお考えでしょうか。
  47. 天野定功

    政府参考人天野定功君) NTT東日本がDSLサービスに関連しまして、現在、公正取引委員会の調査に任意に応じているということは承知いたしておりますが、調査の内容等につきましては公正取引委員会では明らかにしておりませんために、郵政省としてはコメントを控えたいと存じますけれども、DSLサービスにつきましては、既存の電話回線を利用して安価に高速インターネットアクセスを実現する有力な手段であると考えております。  郵政省としましては、他事業者が東西NTTの加入者回線を利用してDSL事業を円滑に行い得るよう、この九月に接続ルールの整備のための省令改正を行うなど、推進に取り組んできたところでございまして、今後とも公正な競争条件のもとでDSLの全国普及が図られるよう、必要なさらなる条件整備に努めてまいりたいと考えております。
  48. 世耕弘成

    世耕弘成君 その方向で頑張っていただきたいと思います。  特に、光がなかなか引けるかどうかわからない過疎の地域において、このDSLでとりあえずつないでいくというのは非常に重要な作戦だと思いますので、しっかりとADSL、きょうも日経新聞に、もっと値下げを迫る、接続料の下げを迫るという記事もございましたけれども、そこはしっかりと郵政省としても取り組んでいただきたいと思います。  さて今回、基本法を我々はつくろうとしているわけですけれども、アメリカのアプローチは若干違いました。アメリカは、クリントン政権下で一九九六年に通信法という法律を一発で改正しまして、その中で長距離と地域通信の垣根を取り払い、あるいはケーブルテレビと通信の垣根を取り払って、そして一気に実はIT化を進めていったわけです。  ただ一方、日本は今回、その前に基本法というものをつくるということから始めることになっているわけです。これは私は、言ってみれば、日本の縦割り行政というこの現実を見詰めれば、こういう基本法をつくってから進むというのは非常に正しい判断だと思っております。  しかし、最終的には、やはり実際に電気通信そのものをいろいろと規制したりしております電気通信事業法と日本電信電話株式会社法、ここの改正まで踏み込んでいかないと、実体的な業界に対する効果は入ってこないんじゃないかと思っています。  実際に、今後電気通信事業法とNTT法を見ていくときに、やはり根本的な哲学は競争を促進する、それによって市場を活性化して、ユーザーが使いやすくて安いサービスが出てくるということ、これが基本の哲学としてあるべきだと思っております。  聞くところによりますと、本日とあしたですね、電気通信審議会の方から二つの答申が出て、日本の通信業界における競争政策に関する極めて重要な提言が出ると聞いておりますけれども、その内容については過去に一部もうかなり明らかになったということで、十一月十一日ぐらいの新聞にはたくさん内容も出ておりますので、そういったことも踏まえてちょっと御質問をしていきたいと思いますけれども、何となく、今回電気通信審議会が出してこようとしている一つの方向性は、どうしても大きい事業者をまず規制して抑えておきましょうという、そこが先に思想として先行しているような気がするんです。  例えば、今、電気通信事業法の中に支配的事業者を規制するという概念がございます。特に地域の電話については、ある一定のシェア以上を持っている事業者に対していろいろな規制をかける。例えば、料金は約款で一律で定めなさいよとか、接続をしてほしいという要求が来たら、ちゃんとその接続約款を定めて接続をしてあげなきゃいけないとか、いろんな条件が支配的事業者と認定されるとかかってくる。現在、電話の世界ではNTTに対してその制限が、支配的事業者という認定がかかっているわけですけれども、これを電話以外の市場に広げるべきだという議論が今出ているようなんですね。  例えば、長距離国際通信だとかあるいは携帯電話だとか、そういうところに広げるべきだという話が出ているわけですけれども、一体どの範囲まで郵政省としては広げていくお考えでいらっしゃるのか。その場合、当然、市場支配力というのを見なきゃいけませんから、シェアというのはどういう観点で見られるのか、契約者の数で見られるのか、あるいはトラフィックで見られるのか、その辺についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  49. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 世耕委員のおっしゃいました競争促進政策でございますが、これはもう十五年前にNTTを民営に、株式会社にいたしましたときから郵政省としては引き続き取り組んでおる問題でございます。NTTも昨年、システムを改めて、東西会社をつくるとか持ち株会社に移行するとか、いろんなことをやったわけでございますが、今日の世の中の変化というのはさらに競争促進をどう取り扱っていくかということが大きな問題になってきておりまして、この七月に電気通信審議会に競争政策のあり方をNTTの今後のあり方も含めまして御審議をお願いしたといういきさつでございます。  そして、きょう実は、おっしゃいますように、この審議会の特別部会が一応の今日までの議論を集約した結果を発表するということになっておりまして、今後、それに基づいてまたパブリックコメントを求めるなどのことをいたしまして、十二月の下旬に答申をちょうだいしたいと、こういうことで今進めておる最中でございます。  そして、御指摘の支配的事業者に対する規制、それから支配的事業者にあらざる非支配的事業者に対する規制緩和というような、いわゆる非対称規制、対称的でない規制をどういう導入の仕方をするかという議論が今闘わされておる最中でございます。  その際の市場のとらえ方につきましても、既に支配的事業者制度を導入しております欧米の事例なども参考にいたしまして御検討を願っております。例えばヨーロッパにおきましては、固定電話、専用線及び移動体通信の三事業において支配的事業者を認定しておると、そういうヨーロッパの実態がございます。  それで、きょう発表するものでございますから、まだどのような結果になりますか私どもも申し上げかねますけれども、郵政省といたしましても、その支配的事業者制度は公正かつ有効な競争を促進する上で重要な制度だと考えておりますので、この審議会の答申を踏まえながら、法律の改正を含めて近々所要の措置を講じてまいりたいと思っておるところであります。
  50. 世耕弘成

    世耕弘成君 きょう答申が出る話ですので、ちょっとお答えになりにくいことを聞いて申しわけないんですけれども、私は、やはりその支配的事業者の認定というのは、例えば携帯電話だから、長距離だからという、そのマーケットを適当に広げていくとか、あるいはシェアを持っているから自動的に認定していくとか、私はその考え方からはやはり離れる必要があるんじゃないか。  支配的事業者を認定するに当たって一番重要なのは、他の事業者の邪魔になっているかどうか、その人たちがそのネットワークを持っていることによって、一定のシェアを持っていることによってほかの事業者の参入機会を奪っているとか、あるいはほかの事業者がそこへ接続させてくださいと言ったら意地悪をされて困っているとか、そういうことがあるのであれば支配的事業者として制限をしていくべきであって、シェアが何%を超えたから自動的に支配的事業者ですよという考え方では私は、逆に事業者が頑張っていい商品をつくってシェアを獲得していくインセンティブを失わせてしまうんじゃないかという危惧を持ちます。  ですから、NTTの地域会社が持っている電話網、これは完全にもう支配的だと思います。もともと独占だったわけですし、それをつながないとサービスができないということがたくさんあるわけですからこれは支配的だと思いますけれども、ほかのことについてはボトルネックとなっているかどうか、ほかの事業者にとって邪魔になっているかどうかということを真剣に検証する必要があります。  例えば、NTTドコモは今非常にシェアを上げています。きょう、KDDIの決算が出ていますが、KDDI系の携帯電話であるauは販売目標の三分の一も行かなかった、そういう結果が出ています。これは何もNTTドコモが支配的だからというわけじゃないんです。やはりNTTドコモは経営判断をしたわけです。CDMAという技術があるわけですけれども、一番手近なCDMAには飛びつかないで、今のままの携帯電話で辛抱して次のW—CDMAまで待つという経営判断をした。さらに、その間のつなぎとしてiモードという商品を開発した。さらに、iモードでは、今パソコンのホームページと親和性がいいようにコンパクトHTMLという、今ホームページをつくれる人だったらiモードのホームページも自動的につくれますと、そういう言語を採用した。その辺の経営判断と、そして一方でKDDIのauの経営判断というのは、やはりcdmaOneは音質がいい、外国へ行っても使えるということで、一番近いcdmaOneに飛びついた。その上で、EZwebというインターネットサービスは、これはWAPという今のパソコン上のインターネットのホームページとはまた違う言語を採用された。これはこれでまたメリットがあったわけです。その経営判断の結果として現在の売れ行きというのが出てきているわけですから、そういうところを大切にしないと、自動的にシェア何%を超えたら規制しますよでは事業者のやる気をそいでしまうんではないかということをちょっと一言意見として申し上げさせていただきたいと思います。  それともう一つ今話題に上っておりますのは、では光ファイバーのインフラをどう見るか。これは、実は今の電気通信事業法上極めてあいまいでございまして、基本的にはNTTの地域会社が持っている設備の中に当然光が入ってくるわけで、それは一部電話にも使っているわけですから、そういう意味で、光ファイバーはあくまでもその指定電気通信設備として規制を受けるべきだという考え方もあるわけですけれども、私は光ファイバーはやはり規制の対象に入れるべきではない、支配的事業あるいは指定電気通信設備として見るべきではないと思います。  というのは、光ファイバーの敷設が始まったのは、これは用意ドンでみんな一斉に同じ条件でほとんど始めたわけです。もう一つ、今現実に敷設の距離ベースでいけば、NTTが持っている光ファイバーというのは全体の三〇%ぐらいしか持っていません。電力系の会社もあれば、いろんな会社、事業体が光ファイバーをいっぱい引いていまして、NTTが必ずしもボトルネックにはなっていません。NTTがつなぎにくかったら、ほかの事業者を使える選択肢が十分にあるわけです。ですから、そういうことを考えると、やっぱり光インフラはユニバーサルサービスではないんじゃないかなという気がします。  光インフラにおいてどういう形で支配的事業者である、指定電気通信設備であるという判断をどういう基準でされるのか。私は今のところ、光ファイバーのサービスについて判断すべき基準はほとんど存在しないと思うんです。というのは、マーケットがまだ未成熟な状態で一部の企業が使っているだけの限られた市場ですから、そういう中で何か判定基準となるような市場とかシェアというのもないと思うんです。  逆に、万が一NTTが光ファイバーのインフラでこれは指定電気通信設備だと認定されてしまうと、光ファイバーを用いたサービスに関して全国一律の料金を設定したりあるいは接続約款をつくらなきゃいけないということになりますから、だったら地方でローカルでの光ファイバーの展開はちょっとやめておこうかななんという経営判断も出てきかねないと思うんです。  その辺を踏まえて、この光ファイバーのインフラを用いたサービスに対する規制についてはどのようにお考えでしょうか。
  51. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 今、委員御指摘の光ファイバーサービスでございますけれども、論点が二つございまして、切り分けて御説明したいと思います。  一つは、光ファイバーを用いたサービスが支配的事業者の概念とはどういう関係になるかというのが一つございます。それからもう一つは、光ファイバーの敷設につきまして、その敷設された設備が指定電気通信設備として該当するのかどうか。この二点はちょっと違った問題でございますので、分けて考える必要があろうかと思います。  いずれもこれは審議会で今議論が行われているところでございまして、郵政省として確定的なことは申しませんが、議論の状況を申し上げますと、まず支配的事業者の概念では、先ほど大臣からも答弁がございましたように、支配的事業者の認定の単位としての市場は、例えば固定通信市場とか移動通信市場といったような一定の広がりを持った市場単位に認定するわけでございまして、光ファイバーを用いたサービスというのは個別具体的なサービス単位で認定するわけではございません。そういったような状況で議論は今進められているという状況でございます。  それから、指定電気通信設備にするのかどうかということにつきましても活発な議論が続いているわけでございますけれども、これにつきましては、多くの議論は、確かに光ファイバーの設備につきましては新規参入事業者と設備の敷設について競争しているところではございますが、これからファイバー・ツー・ザ・ホームといいまして、大口の利用者のみならず、広く一般の家庭まで光ファイバーが広がっていく市場を想定しますと、これはやはりメタル設備の敷設のときに利用された電柱やあるいは管路等をたくさん所有している東西NTTがやはり線路を張りかえるに当たっては圧倒的に有利な立場にある、そういった事情も加味して判断しなきゃいけないのじゃないかというのが大方の議論になっております。
  52. 世耕弘成

    世耕弘成君 わかりました。  それともう一つ、審議会で問題になっているのが、やはりNTTのあり方だと思います。先ほど時事通信のiモードのニュースを見ますと、完全分離分割も視野に入れるというようなニュースも流れておりました。NTTコムとNTTドコモに対するNTTの持ち株会社の出資比率を下げさせて支配力を落とそうという答申になるような話を聞いております。  しかし、これは実は去年の七月にまだ今のNTTの体制というのは固まったばかりでして、そのときには基本的には持ち株会社による一体経営によって国際競争力を保持するんだということが高らかにうたわれていたと思うんです。それをもし見直すとすれば、明らかに競争上の問題があるということがはっきりしていないと私は見直すべきではないと思っています。今現実に、NTTとの資本関係があるがゆえに、NTTコムやNTTドコモが何かそれぞれの市場で競争を阻害するようなことが起こり得るのかどうか。  例えば、NTTドコモというのはNTTの市内電話と今は競合状態です。公衆電話の前で携帯電話をかけている人と公衆電話をかける人、これはNTTとNTTドコモでお客さんをとり合っているわけですけれども、もしNTTドコモがNTT持ち株会社からの指示で、余り値下げし過ぎると地域電話会社に影響が出るから値下げのスピードを落とせなんということをもし万が一やったとしたら、それはNTTドコモはセルラー、いわゆるauさんに全部市場をとられちゃうわけです。  そういう意味では、株を持っているからといって移動体市場や長距離市場で何か競争が阻害されるようなことは発生し得ないと思うんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  53. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これも今電気通信審議会で審議をしておる最中でございますので、私どもの判断を申し上げるということはいささか出過ぎたことになろうかと思って遠慮をいたしております。そこの点の御理解をいただきたいのでありますけれども、やはりNTTグループの各社間で相互に競争することが我が国の電気通信市場全体の活性化や国際競争力の強化に大きく寄与するであろう、そういうことは郵政省は以前から期待をしておったということは申し上げてもよかろうと思います。  昨年七月の再編後に、そういうグループ各社間の競争がうまく社会的に機能しておるかということについてはこれはちょっと疑問符がつく状況だろうと思いまして、そこらのところが今度の電気通信審議会でもいろんな御議論が立てられておるということにつながっておるのではないかと推測をいたしております。  現在、利害関係者から審議会の方でヒアリングを実施しながら、ドコモやあるいはコムに対する持ち株会社の出資比率の引き下げの必要性も含めまして、このあり方について御審議をいただいておるという状況でございます。審議会から答申が出されましたら、それを踏まえて必要な措置を講じたいと思っておる。  この程度のお答えでひとつお許しをいただきたいと思います。
  54. 世耕弘成

    世耕弘成君 いずれにしても、答申が出てからまたゆっくり議論をしていただきたいと思います。  持ち株会社、今国民でNTT株、株主になっている人は持ち株会社の株主なんですね。持ち株会社がドコモや長距離会社の出資比率を下げるということは、持ち株会社は実は配当が唯一の収入源ですから、これを下げると今の株主に対して配当ができないという問題も出てくるんだということを理解しておいていただきたい。あるいはまた経営判断で、今例えば一千万円分ドコモの株を持っていて、それを売って別のものを買うというと百人がいたら百人ちゅうちょすると思いますね、今ドコモは非常に値打ちのある株ですから。それをNTT持ち株会社が売るということに当たってはやはり経営判断で行われるべきだということも申し上げておきたいと思います。万が一の場合、株主から責任を追及されたときにどうなるのかという問題も残っていると思います。  こういう形で、今電通審の報道されている答申内容を見ていますと、今KDDIのマラソンの一位と二位のコマーシャルがありますけれども、一位の走るのをちょっと邪魔をして二位を追いつかせようというのがどうも基本的なデザインのような気がして、私は二位にはぜひ頑張っていただきたいので、逆に二位がもっと頑張れるように給水ポイントにちょっとスタミナのつくドリンクを置いておいてあげるとか、やっぱりそういう施策でいくべきだと思っています。  そのための切り札は、線路敷設権の開放だと思っております。今までNTTしか引けなかったアクセスケーブルをだれでも引けるようにするということで、これを開放していくということが非常に重要です。ところが、一方で、電力会社の意見なんかを聞いていますと、非常に今難色を示されています。これをどうするか。最終的には電気通信事業法上郵政大臣に裁定の権限が置かれているわけですけれども、郵政大臣として、今後この権限をフルに御活用になる決意があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  55. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 電力会社等が有しておる電柱とか、あるいは道路の管理者がやっております道路の下に管路をつくるとかいろんなことにつきまして、十一月六日にIT戦略会議におきまして、電柱、管路の開放を含めて、線路敷設の円滑化のために電気通信事業法の裁定制度の運用基準になりますガイドラインの策定をする、あるいは公有地上の電柱、管路の扱いに関する電気通信事業法の改正などの措置を講ずるということが戦略会議で決められました。  したがいまして、今後、関係省庁と郵政省が協議をしながら、今申し上げましたような措置を講ずることによりまして、電力会社の電柱、管路の利用をめぐる認可とか裁定の申請があれば、法の手続にのっとって適切に対処してまいりたいと考えております。  正直な話、今までのいきさつから申しますと、余り容易にこのことがどんどんと進行するというわけにはいくまいと思いますが、できるだけ努力をいたしまして、さような方法がとれるようにやってまいりたいと思っております。
  56. 世耕弘成

    世耕弘成君 IT革命の促進に向けて、与えられた権限はフルに活用していただきたいと思います。  通産省にお伺いいたします。  電力会社が今、難色を示していますね。審議会に対してもそういう意見を述べておりますけれども、通産省として電力会社に対して、今、日本の電柱のほとんどは電力会社が持っているわけですが、どういう指導をされていくのか、お伺いをしたいと思います。
  57. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、電力の安定供給に支障を及ぼさないということが大前提になるわけでございますが、電力会社に対しましては、IT社会を支える光ファイバー線路の円滑な敷設に努めていくよう、今後とも働きかけてまいる所存でございます。
  58. 世耕弘成

    世耕弘成君 光ファイバーを横に引いても私は電力の安定供給にはそんなに影響はないと思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  資源エネルギー庁はもうここで結構でございます。  建設省に今度はお伺いをしたいと思います。  電柱を開放しながら、もう一方で、いろいろ国の予算を使ってこれから張りめぐらされていく光ファイバー、あるいは光ファイバー関連設備を有効的に開放していくことが非常に重要だと思っています。  今、建設省では、情報BOXを設置されたり、あるいは下水道に光ファイバーを敷設するというようなことを進められているわけですけれども、現実に今、どういう設置状況になっているんでしょうか。あるいは、それを現実に、今電気通信事業者がどの程度使っているんでしょうか。あるいは、どの程度引き合いが来ているんでしょうか。教えていただきたいと思います。
  59. 大石久和

    政府参考人大石久和君) お答え申し上げます。  道路における光ファイバーの敷設につきましては、情報BOXという名称で直轄管理の国道におきまして先行的に整備を進めております。平成十二年度末までに一万六千キロの情報BOXを整備する予定でございます。おおむね青森から鹿児島まで幹線が概成する見込みでございます。  この情報BOXの利用状況でございますが、一万六千キロメートルに対しまして第一種電気通信事業者やケーブルテレビ会社等から三倍以上に当たる延べ五万キロメートルを超える利用意向が寄せられております。  現在、第一種通信事業者等からは、一定区間、情報BOXが整備されたところから順に光ファイバーの敷設がなされておりまして、平成十二年度の末には全国で延べ六千キロの民間光ファイバーが敷設される見込みでございます。この秋から民間側からの利用が本格化するものと考えております。
  60. 世耕弘成

    世耕弘成君 もっとびっくりするような少ない数字が出るかと思ったら、意外と大きかったので安心をいたしました。  これからもやはり事業者のニーズに合った形で、道路にしろ下水道にしろ光化のために使っていかなきゃいけないと思いますし、一方的に国の都合で引くのではなくて、やっぱり事業者がこの辺使いたいなと思っているところに優先的に敷設をしてあげることによって促進をしていただきたいと思います。  それともう一つ重要なのは、やはり電子政府の推進です。  今回、基本法の中では教育とか電子商取引が先に来て、行政のIT化とか公共分野におけるIT化というのは割と後の方に来ているということ、私はこれが非常に不満なんですけれども、やはり政府としてまず第一にやるべきは電子政府の推進ではないかと思っております。その中で、特に一般国民が触れるのは市町村の役場でございます。幾ら霞が関がIT化しても一般国民には余り関係ないんですね。市町村のIT化を積極的に進めていくべきだと思います。  そういう意味で、昨年度の補正予算の中で地域インターネット導入促進事業というのが行われまして、全国で三百市町村ですか、インターネットの設備が役場に導入をされました。非常にいいことだと思います。これをぜひ今後とも拡大して、さらにスピーディーに、できれば数年内に全国の市町村には少なくともインターネットのサーバーとLANはありますよという状況を実現すべきではないかと思うんですが、今後の取り組み状況はいかがでございましょうか。
  61. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、昨年度の補正予算から地域インターネット導入促進事業を行っておりまして、昨年度の補正予算で七十二億円、三百八十五市町村に交付決定をいたしております。ニーズも非常に大きいものですから、そういったことを踏まえまして、平成十二年度の補正予算と十三年度の当初予算合わせまして五十六億円、二百六十市町村を対象にやりたいというふうに思っております。  このインターネット導入促進事業以外にイントラネット関係事業もございますので、それを合わせましてできるだけ早く全市町村にインターネットが導入されるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  62. 世耕弘成

    世耕弘成君 ぜひこの枠をもう少しふやしてほしいなという思いがあります。逆に、こういう補助金があると、補助金に当たらないところはもうちょっと来年まで待とうかなということになりますので、もう少し枠をふやしてほしいなと思います。  また、今、行政系のICカードがかなり開発されていると思うんですけれども、この開発状況についてはどうなっておりますでしょうか。
  63. 吉海正憲

    政府参考人吉海正憲君) お答え申し上げます。  行政系のICカードの開発につきましては、既に技術的な問題はほぼ解決いたしておりまして、現在数万枚規模の実証試験を北海道、岐阜県等において実施済み、あるいは現在実施中でございます。また、民間系につきましては、近く数百万枚規模での導入が鉄道あるいは金融機関等で計画されております。  通産省といたしましては、数百万枚規模の実証試験を実施するため、今回の補正予算案に百七十億円を計上させていただいております。その実証を踏まえながら、各省と連携いたしまして、できる限り早期に行政系のICカードの仕様を定めたいというふうに考えておるところでございます。
  64. 世耕弘成

    世耕弘成君 この行政系ICカードの中でやはり一番重要なのは、先ほど少し答弁の中にも出ていましたが、省庁間調整でございまして、せっかくICカードが入っても、ポケットがざくざくカードでいっぱいになるような状況では困る、やはり国が行う、あるいは地方自治体が行うサービスも含めて、一枚のカードに統合していただくようにしっかりと取り組んでいただきたいということを、これは意見として申し上げます。  実はもう一つ省庁間の連携で非常に重要なのは、私は企業のデータベースだと思っております。  これからは電子商取引と言われていますけれども、電子商取引というのは要するに顔を見ない相手と取引をするわけですから、その会社がどんな会社なのか、信用がおけるのか、何を扱っているのか、そういう情報が瞬時にとれるインフラを整備しておかないと、電子商取引といっても私は絵そらごとになってしまう。わざわざ会いに行って信用できる人かどうか見なきゃいけないとか、そういうことになってしまうと思っております。  そういう意味では、私は、日本ではトヨタとか松下からそこら辺の個人事業主の皆さんも含めた通しのデータベース管理が非常に重要だと思いますが、それはまだなかなかできていないようでございます。  その中で、今SOHO関係だけでもデータベース化しようという動きがありますが、実はこれ、郵政省と通産省と二つのプロジェクトが今並行して走っていまして、ほとんど中身というかねらうところは同じではないかと思うんですが、なぜこれは二つばらばらなのか、一緒にやることができないのか、お伺いをしたいと思います。どちらでも結構です。
  65. 林良造

    政府参考人(林良造君) お答えいたします。  まさにSOHOというのは、IT革命なりあるいはアウトソーシングの流れを受けまして非常に今後伸びていくと思っております。それから、我々としまして発注企業から見ましたときに、そのSOHO事業者そのものもさることながら、その間に立つエージェントとの関係でしっかりとした、安心して投資ができるということが大事だと思っております。  そういった意味で、エージェントの持つべき機能なり、あるいはエージェントと発注企業との間の電子的な取引がしっかりできていくということが大事かと思って、我々はそこのところの情報システムを含めてやっているところでございます。  他方、郵政省さんの方とは、鍋倉さんのところとは今密接に勉強会その他一緒にやってきております。SOHOの事業者そのもの、あるいはエージェントとSOHOの事業者との関係につきましては郵政省の方で考えられている事業と、この二つが両方相まちましてこのSOHO事業全体がうまくいくようなシステムに持っていきたいということで連携をしているところでございます。
  66. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 今、林局長の方から御説明のあったとおりなんですけれども、先生から見ますとやはり密接に関係し過ぎていて、一体でやったらどうかという御意見だろうと思います。  私どもも、これは本当に密接に関連した事業でございますので、繰り返しになりますけれども、従来から通産省と話し合いながらおのおの役割分担を決めて一つの方向に持っていくということで連携をしておりますので、何とぞ御理解のほどお願いをしたいと思います。
  67. 世耕弘成

    世耕弘成君 ぜひ、連携をしてしっかりとしたものをつくっていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  68. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。百分という大変長い時間をいただきまして、これからIT基本法に限らず、IT、幅広くいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  まず、最初の質問の柱でございますが、ITの推進体制ということでいろいろ何点か質問させていただきたいと思います。  午前中あれだけ高度な質問の後、それに比べると大変素朴な疑問から始めさせていただきたいと思うんですが、当初はこのIT基本法の担当は中川前官房長官だったと思うんですが、それが今、堺屋経企庁長官ということで担当されております。私は、それはそれですばらしいとは思うんですが、ただ、急遽なぜ本法案の担当大臣になられたのか。本来であるならば福田現官房長官がIT担当大臣を兼務されて担当されてしかるべきだと思うんですが、どうなっているんでしょうか。
  71. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 国務大臣の中からIT担当大臣を選ぶのは総理大臣の御権限でございまして、私がなりたいと申したわけでもございません。  思うに、最初この問題が出てきたときに、非常に幅広い問題であるので官房長官が適任だ、そして担当するのも、内閣の内政室の中にこの本部事務局をつくるというような仕組みでございましたので官房長官が適任だということで、この準備の段階からでございましたから、中川前官房長官が御担当になったんだと思います。  ところが、諸般の事情で官房長官が急遽おかわりになりました。その間、私も新千年紀担当大臣としてIT関係する仕事をしておりましたし、またこの新政策日本新生のための新発展政策などITに深く関係のある仕事をしておりました。福田新官房長官はこれまでのいきさつに関係が余りございませんでした、役職についておられませんでしたので、ございませんでした。そういうところから森総理が判断されて、過去の経緯あるいはこれまでのさまざまな情報をよりよく知っている堺屋が適任ではないかとお考えいただいて御用命いただいたものだと心得ております。
  72. 内藤正光

    ○内藤正光君 形式的なことを申し上げるならば、もし新しい福田官房長官が今まで携わっていないというんだったら、それはそれとして認めなきゃいけないんでしょうけれども、本来だったら、副本部長である郵政大臣かあるいは通産大臣がその任に当たられるべきだと考えるんですが、まず長官の方から、ちょっとお答えいただければと思いますが。
  73. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 郵政大臣も通産大臣ももちろん適任、極めて能力の高い方でございますから適任だとは思いますけれども、森総理仕事の全体の配置、バランス、その他をお考えになった上で、官房長官と担当大臣郵政大臣、通産大臣という四人体制で副本部長を務めるのがいいと。大変重点政策でございますので、従来は担当大臣と官房長官が一人でございましたから三人体制だったのをこの際四人体制に強化する方が適当だと御判断になったんだと思います。
  74. 内藤正光

    ○内藤正光君 郵政大臣にお尋ねをさせていただきますが、そういうことであるならば私がやりますとかいうふうな気概をお示しになられるべきだと思うんですが、そういうことはされなかったんですか。
  75. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私は控え目な性格なものでございますから、御命令があれば従いますが、御命令のないものにこちらから手を挙げるというような性質ではございませんので、どうかそういう性分の男だと思ってひとつ御了解を願いたいと思います。
  76. 内藤正光

    ○内藤正光君 そのお人柄ゆえなんでしょうけれども、うがった見方をすれば、通産大臣あるいは郵政大臣どちらが担当しても都合が悪い、だから産業界全般にも明るい、中立的な堺屋長官がこの担当をやればすべてが丸くおさまるんじゃないかというような要素も多分にあったんじゃないかというふうに見てしまうんです。  そこで、ちょっとまたしつこいようで恐縮ですが、長官にお尋ねしたいんですが、じゃ、堺屋長官が今回のIT担当となられたということは、森総理が任命されたということなんですが、言ってみれば長官がITも含めて幅広く知っている、今まで携わってきたという属人的な理由ということで御理解してよろしいでしょうか。
  77. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 必ずしも属人的とは思いませんが、国務大臣の中で、ことしの七月初めに森総理大臣から日本新生のための新政策をと申されたときから、いろいろとITは新政策重点事項だということで勉強してまいりました。だから、私でなくても新政策を十分勉強している大臣郵政大臣、通産大臣、官房長官のほかにいれば、森大臣は任命されたのではないかと推測いたします。別に森大臣からいろいろと、お前をこういう理由で選ぶと詳しく御説明を伺ったわけではございませんが、多分そういうことだろうと思っております。
  78. 内藤正光

    ○内藤正光君 仮定の話なんですが、いずれ内閣改造はあるでしょうけれども、そのときに長官がもし退官をされるという場合、どうなるんでしょうか。
  79. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) かなり仮定の話でございますのでお答えいたしかねますが、時の総理大臣がお決めになることだと思っております。
  80. 内藤正光

    ○内藤正光君 しつこくこの辺でこの質問するなとお思いでしょうが、私がここで申し上げたいのは、責任が不明確なまま我が国のITの推進が本当にできるのだろうかということなんです。いかがですか。
  81. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 全く責任が不明確だとは思っておりません。  本部長総理大臣がおられて、その総理大臣が適当と思う信任する者をIT担当大臣に据えられて、そしてその本部の副本部を形成し、副本部長形成し、本部員形成する。総理大臣が全責任を持っておられるということでございますから、これは全く無責任なことでもございません。  また、もし万一内閣がかわるとか内閣改造とかで担当者がかわるようなことがありますれば、それはあらゆる職場も同じでございますから、あらゆる大臣同じでございますから、IT大臣だけのことではございませんから、特にこれが無責任とは日本の政治体制から申せないと思っております。
  82. 内藤正光

    ○内藤正光君 だれもが認めるように、ITというのは今後二十一世紀の日本の浮沈を左右する大切なものでございます。ですから、ITというのは強力に国を挙げて、専任の担当大臣を設けて進めるべきだというふうに我が民主党・新緑風会も訴えているわけなんですが、実際はどうかといえば、IT専任の担当大臣がいるわけではない、官房長官が兼務だという状態です。  そういうことに対して、先ほど堺屋長官もおっしゃったように、責任は不明確じゃない、もう国を挙げて一丸となって取り組むんだ、すべての人が国務大臣としてその責任に当たるんだということをおっしゃるんですが、実際は責任がふわっと何か雲散霧消してしまって、結局、実質的なところは何にも進まないというのが私は予想される、大変心配なんですが、そういうことはないというふうに言い切れるんですね。
  83. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) やっと基本法を御審議していただいている段階でございますので、何も進まないと仮定されても困るのでございますけれども、比較的短期間に基本法も御審議いただけるようになりましたし、またさきに決めました日本新生のための新発展政策でも重点項目に定めまして、今までなかったリテラシー、利用技術講習会など新しい予算も組みました。また一方で、戦略会議も開いておりまして、近く戦略会議から答申をいただいて、これを来年の戦略本部重点政策に入れていくという体制も進めております。  出発点で多少、多少といいますか、かなりITに関しては北欧やアメリカやアジアの一部の国におくれましたけれども、今この段階で、去年あたりからの取り返しといいますかはかなり熱心にやっておりますし、これは通産、郵政両省、その他関係官庁を挙げて進んでおることでございます。  文部省の教育にいたしましても、自治体の取り組みにいたしましても非常に進んでおりますので、何も進まなかったということはめったにないと考えております。
  84. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、この基本法の中身に一つずつ入っていきたいと思うんですが、今回の基本法案の柱の一つに、新たに高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というものが内閣に設置をされるということがございます。それはそれで国を挙げて推進していこうという、そういう熱意はうかがえるんです。しかし、考えてみますと、平成六年でしたか、既に高度情報通信社会推進本部というのが設置をされ、その後IT戦略本部というのがあるわけなんですね。それでずっと来たと。よくよく見てみますと、基本方針だとか重点計画というのは何一つ変わらない、基本的にはそのまま継承していくわけなんですね。  そこでお伺いしたいのは、このIT基本法で設置をされる予定の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部と従来の高度情報通信社会推進本部は一体何が違うのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  85. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 高度情報通信社会推進本部、IT戦略本部というのは、閣議決定で設置された機関でございました。したがって、法的根拠としては閣議決定ということ以外になかったのでございますが、今度つくろうとしております高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部は、この基本法に基づいて、法律に基づいてつくられるという根拠がまず第一に非常に違います。そして、この本部長総理大臣法律で定めておりまして、そして全閣僚を本部員とし、また民間からも本部員を採るというようなことが法律で定められております。この法定されているというのと閣議決定でやっていたというところに非常に大きな違いがございます。  そして、全閣僚が入っておりますし、民間委員も入っておりますし、また独立行政法人地方自治体に対しまして資料の提供や説明を求めることもできるというようなところで、全政府を統括する非常に強力な調整能力、推進能力があります。  特に、来年一月になりますと省庁が変わりまして、総理大臣の発議権というのも出てまいりますが、そういったところからも強力な総理リーダーシップが発揮できる。その意味で、従来の閣議決定だけの調整機関、話し合い機関とは全く違ったものになると考えております。
  86. 内藤正光

    ○内藤正光君 正直言いまして、従来からある高度情報通信社会推進本部というのは、当初の目的は、IT政策を一元的に大胆に進めていこうということで閣議決定の上に設置をされたと。しかしその後、予算とかそういったものを見てみますと、依然いろんな省庁からIT関連予算で幾つも出てきて、結局は省庁の縦割りを破ることができなかったんじゃないのかというふうに正直見てとれるわけなんです。  堺屋長官の先ほどの答弁によれば、そういったことをなくしていくためにも、これからも首相の強力なリーダーシップのもと一元的に進めていこうということなんでしょうけれども、総理リーダーシップリーダーシップとおっしゃるんですが、基本的な構造としては総理を筆頭に全閣僚が居並ぶという、その構造自体というか中身というのは私はどう考えても違いがあるようには見えないんです。  そこで、具体的に説得力ある説明でお願いしたいんですが、今度新しく設置されるネットワーク本部が、今までと違って各省庁の利害調整に終わることなく、首相のリーダーシップのもと、強力にIT政策というものを推進していけるんですよという具体的な仕組みを改めてちょっとお答えいただけますか。
  87. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これは事実をもって申し上げた方がいいと思うんですけれども、既にこういう法律を用意し、こういう仕組みを準備いたしまして、このたびの、今度国会で御審議いただきます補正予算案の場合でも、総理がみずから予算を、各省にこういうことをやったらどうかという提言をなさいました。  この本部ができますと、さらにその本部長として、そしてその本部の下の事務局等を使いまして、また民間委員のお知恵もおかりいたしまして、総理の側から各省に、こういうことをやったらどうか、出てきたものを査定するとかいうだけではなしに、強力に推進していくことができると思います。  例えば、今回の例でいいますと、学校光ファイバーを入れたらどうか。これは従来の計画をかなり前倒しに、従来の数の何倍か引くことになりました。また、自治体で研修会をやろう、これに対して交付金を出して基金を積もうというような案も加わりました。これも総理自身が発案され、そしてその具体的なやり方、こうやったらできる、こうやったらやりやすいということは、本部事務局の方でくみ上げてやりました。まだできる前でそういうような情熱が上がってきておりますから、これができますれば、さらに多くの人々の知恵をもかり、また本部事務局の方もいろいろと充実されてくるでしょうから、これが本当に力のある推進機関になっていく、調整機関から推進機関になっていくと信じております。
  88. 内藤正光

    ○内藤正光君 先ほど、長官の口から何度も本部事務局、本部事務局という言葉が出ました。そこでお尋ねしますが、事務局体制はどうなるんですか。
  89. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 現在の事務局は、総理大臣がおられまして、IT担当大臣がおられまして、IT担当室、総勢三十六名おります。その中で兼務をしている人と、ほとんどこれを専門にやっている人とがございます。専門にやっている人が現在のところは三十一人ほどおりまして、この基本法を担当する者と、それから重点事項、今の戦略会議の担当する者などという形に分かれております。いずれも総理大臣の直接のリーダーシップのもとに、各省縦割り行政の障壁を取り除いて一元的にやっておる次第であります。  事務局体制につきましても同様に各省の縦割り障壁を排しまして、一元的に一つの部屋に集まりまして、集まってというか事務局を設けまして、官房副長官補、今は内政審議室長でございますが、将来は官房副長官補のもとにIT施策の推進を各省と連携協力しながら強力に推進する体制になると思います。
  90. 内藤正光

    ○内藤正光君 その事務局が三十六名、うち三十一名が専門に携わっているということなんですが、ちょっと細かい話で恐縮です、これはもしわかったら教えてください。三十一名、どのあたりから来ているんですか。
  91. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) いろんなところから来ていますね。郵政省も通産省も大蔵省も総務庁も文部省も来ていますし、それから民間企業から御出勤の方もおります。東京電力、トヨタ自動車、それから岐阜県のような自治体から来ておられる方もございます。
  92. 内藤正光

    ○内藤正光君 私自身、この三十一名という事務局体制そのものも、果たしてこれから大胆にIT政策を推進していく上で本当に十分な体制なんだろうかと疑問を持っていますし、また各省庁から出向という形で来ても、結局はそれは戻るわけですよ。  いろいろ漏れ伝え聞くところによれば、結局その内政審議室というのは、とりあえずの場所というような印象を持っていらっしゃるんじゃないかなというふうな思いもするんですよ。結局、だから派遣された理由は何なのかといえば、やっぱり派遣された先の各省庁の利権をしっかりと守るようにという思いで来ているんだと思ってしまうんですが、違いますか。
  93. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) それはさまざまでございまして、私の所掌しております経済企画庁にも各省から大勢の方が来ております。数十人、約三分の一は各省からの方が来ておられます。けれども、それで、それぞれの人が出向元の代弁者であるとか、あるいは出向元の利益を図って現在の仕事に専任できない、あるいは専任していてもその中に利害が入ってくるというようなことは、絶対にないとは言いません、ある場合もございますし、ある人もありますが、ほとんど大部分の人はやはりその職場で専任していただいています。  また、古いことでございますけれども、もっとアドホックな機関で申しますと、万国博覧会協会というのを私どもやりました。これは全員出向者でございまして、万国博覧会協会に民間からも官庁からも自治体からも来られましたけれども、この三年か四年いた人がいまだに同窓会があるぐらい結束がかたくできました。それは、問題の所在と組織の雰囲気でございます。  今、ITのような非常に脚光を浴びているそういう機関に来た人は、現にこの後ろにも控えていてくれますけれども、皆さんITをやはり日本重点項目だ、自分は選ばれてそこへ行ったんだという意識を持って昼夜を徹してやっていただいておりまして、決して各出向者の出向元の顔を見ているということはないと断言できると思います。
  94. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、それはもう本当に信じるしかないし、そこで働いていらっしゃる方々日本の二十一世紀のために本当に昼夜を問わず働いていただくようお願いするしかないんですが、それにしても余りにも三十一名という体制は少な過ぎると。これをどのような規模に近い将来ふやしていくか、そういう計画はあるんでしょうか。
  95. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいまのところ、特に人数については、制限が何人と決まっているわけじゃないようでございますので、必要に応じて出向を求めて数をふやすことができるようであります。
  96. 内藤正光

    ○内藤正光君 もうこの項目の質問はこれで終わりにしますが、いずれにしても日本の二十一世紀のために一丸となってIT政策を遂行できるように取り組んでいただけるような具体的な体制づくりも含めてやっていただきたいと思います。  次に、目指す社会像について何点かにわたって御質問させていただきたいと思います。  このIT基本法、よく言われているのが、どんな社会を目指すのかとか、目指す社会ビジョンが全然描かれていないんじゃないかというような批判も受けているんじゃないかなと思うんですが、その関連で、私たちもこうやって議論しているわけですから、国を挙げて今IT革命に取り組んでいるわけなんですが、じゃ国民こぞってIT革命かというふうに見渡してみると、決してそうはなっていない。  何で国会ではこれだけ一生懸命、IT革命IT革命と言っていると。そして、一部のビジネスの世界でもIT革命IT革命と言っていると。その割にはなぜ国民全体にIT革命という雰囲気が浸透しないんだとお考えでしょうか。
  97. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御質問のあった点に絞ってお答えいたしますと、現在このIT、特にインターネット中心とする世界は急速に発展しております。そのことは、書店の雑誌の本棚を見ていただきますと一見してわかりますように、各本棚の中で一番たくさん本の出ている、雑誌の出ているのはこのIT関係、特にインターネット中心とするIT関係の本が恐らく四十種類ぐらい、普通の本屋で、そんなに大きな本屋でなくて、ちまたの普通の本屋で出ております。それだけ読者層がおり、また広告もつき、販売されるということでございまして、恐らくジャンル別でいいますと一番今多いんじゃないかというぐらいに広がっています。  ただ、先生御指摘のように、一番問題は、そのインターネットをやっている人とやっていない人、やっていない人は全くこれなしの世界なんですね。我々が青年時代に自動車が普及したときに、自動車の運転できる人と運転できない人といましたけれども、運転できない人でもタクシーに乗るとか、もう目の前を走っていますからわかったんですけれども、今ITをやっていない方々は全くこのITの存在というのはないのと同じなんですね。非常に熱心にやっておられる方々、それから職場で仕方がない、仕方がないと言うと申しわけありませんので、職場でやらねばならない方、それから全然やらない方、この格差が非常に大きいんですね。私たちも、IT社会をつくるにつれて、一番問題なのはこの点だと思っています。  それで、韓国や台湾や香港があっという間に日本まで抜いた、日本を抜いて普及いたしました。そのときに、あなた方の国ではどういう人が教えたのかというので、いろいろとアンケートというほどではありませんが知り合いに聞いてみると、比較的多いのが兄弟であるとかおじさんであるとかいとこであるとか、家族社会でつながっている。日本は今核家族でございますから、職場でITに接しないような、あるいは学校で接しないような年齢層、職業層の方はずっとだれからも習わないという、この非常な格差があるわけです。  私どもが今度の日本新生のための経済発展政策で、市町村で研修会をやろうというようなことを考えましたのも、そういう普通の状態では接しにくい人々にできるだけ接してもらいたい、そうしますと、同じ職業、同じように農業をしておられる方とか食堂で働いておられる方の中からまた出てくるとその職場に広がっていくだろうと、こういうことを考えたのでございまして、委員おっしゃるように、非常に格差といいますか、熱心な人と、やっている人と、全然関係のない人と、新聞などを見ている人は余りやっていないというか、新聞の世界で生きている人が多いものですから、特にそれが入ってきていないというようなところもございます。そういったところをどうやって全国民的に広げていくのか、これ一つ、これ自体がやはり大きな問題だと考えております。
  98. 内藤正光

    ○内藤正光君 そこで、この法案の第二条の定義のところをちょっと読ませていただきますと、高度情報通信ネットワーク社会とはどんな社会なのかということが書いてあるわけなんですが、読ませていただきます。「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会」、これが高度情報通信ネットワーク社会だというふうにこの法案では定義しているんです。  これは間違ってはなく正しいんでしょうが、しかし余りにも国民の生活実感とはかけ離れ過ぎてはしないのか。私は、理解できない方が悪いんだというのじゃなくて、仮にも総理を初めこれを国民運動として位置づけようとされているわけですから、これはわかりやすい言葉で説明する責務は総理なり長官なりにあるんだと思います。  そこで、どんなIT社会を目指そうとするのか、しているのか。わかりやすい言葉で、それこそ長官流の本当にわかりやすい言葉で説明していただけないでしょうか。
  99. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 午前中にも申し上げましたけれども、まず生産供給側と生活需要側と二つ、人間には両面あるわけですが、生産供給側でいいますと、IT普及することによって非常に便利になり、むだが省け、そして生産性が非常に向上すると思います。アメリカあたりの計算によると、五年間で四・二%経済成長率が高まったというような説もありますが、とにかく中間的なむだが省け、また多様なものがつくられるというような利点がございます。一人一人の人が欲しいと思うものをすぐ注文できるという意味で多様なものがつくられるという利点があります。  生活者の側から見ますと、買い物にしても通院にしても、あるいは政府関係手続等にいたしましても就職を探すのにいたしましても面倒なことが非常に省ける。座ったままでITを通じて買い物をし、銀行と接触し、また買い物の中でもいろんな種類の中から自分の好きなものを買うことができる。そういう面倒が省ける。  そして二番目は、楽しい自分の好きなもの、好きな話をする相手を見つけられる。我々でもいろいろと、自分の好きで余り一般的に話し相手がない、職場でも近所でもすぐ見つかるような趣味でないものをあえてこれでやると、その同好の士が出てきていろいろと話ができるという楽しみがあります。  それからもう一つ重要なことは、これからの少子高齢化社会に、情報でつながることによって寂しくない、常にだれか知った人と連絡がとれ、話し合いができ、悩みを語り合い、喜びをともにすることができる友人が持てる、そういうような世の中が出てくると思うんです。そのことによりまして今、日本という国は、昔は血縁社会でした。それから地縁社会になりまして、各村、町内でまとまっていた。そして、戦後になりましてみんな職場でまとまるようになった。ところが、職場、職業でまとまるという社会が今、労働の流動性、産業の変化によってどんどん崩れてまいります。その上、長寿化が進むことによって職場に属さない年齢層、高齢層というのが非常に長生きになっている。  そういう職縁社会が崩れた後に、そういった趣味でつながる、知り合いでつながる、同じ好みでつながる、そのことによって寂しくない社会、お互いに知り合いの持てる社会、そういったものが出てくる。これがいわゆるノリッジベースド、知識をもとにした好縁社会になるだろう。そういう生活の潤いが出てくる、こういったことをここでこういう文章で書いているとお考えいただけたら幸いかと思います。
  100. 内藤正光

    ○内藤正光君 この委員会委員は皆さんパソコンを日ごろ使っていらっしゃるでしょうからああなるほどと理解されるかもしれないんですが、そうなりますと、パソコンを日ごろ使っていないような人、持ってもいないような人、あるいはまた普通に生活している商店街の方々あるいは町工場で働いている方々、全員が全員使っていないとは言いませんが、パソコンとは余り縁のないような人たち、そういう人たちは余りITによる恩恵が受けられないんじゃないかというふうにちょっと解釈してしまうんですが、そういうことですか。
  101. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) やはり文明の利器の恩恵は利器を使うことから始まるので、これは自動車でもテレビでも、テレビを全然持っていない人はテレビの影響がないじゃないかと言われたらそういうことはあると思うんですが、ここにあまねく恵沢がと書いてございますが、これはその人自身がパソコンを持って線を引いていなくても、今随分インターネット喫茶もはやってまいりましたし、また公衆拠点という、公衆電話に当たるようなどなたでも行ってできるような設備もつくる。そして、そういうところにはインストラクターといいますか、お手伝いするような人もおりまして、特に上達しなくても、まずできるようにしていく。  それから、全体の社会がそういう雰囲気になってまいりますと、その人自身だけではなしに、御家族であるとか友人であるとかいうところからさまざまな情報が入ってくる。そういったことでの恩恵といいますか利点もございます。社会全体がちょうど自動車を持っていない人も自動車社会ということで荷物が運ばれ郊外が広がっていったことで恩恵を受けたように、直接でない人もあまねく恵沢が受けられる。  もちろん政府として目指すのは、すべての国民が利用する、これに接するというのが目的でございますが、万一そうでない人が残ったとしても、あまねく恩恵が、恵沢が恵まれる、こういった状況になってくる。社会全体の雰囲気といいますか、ありようが変わるということだと思っています。
  102. 内藤正光

    ○内藤正光君 堺屋長官に本当になるほどなと思うことをおっしゃっていただいているんですが、ただ聞いていますと、どうしてもパソコンとかそういったものから何か離れていないような気がするんですね。  私は、あくまでITというのは手段であって目的そのものではないと。それこそ、余談ではございますが、会社が何年も前に、情報化を進めるに当たって決済文書の流れに従ってラインを引いて、なかなか情報化しても生産性が上がらないなと嘆いていた。それは当然なんです。ITというのはあくまで手段ですから、やらなきゃいけないのは、従来の仕事のあり方そのものをまず抜本的に見直して、そして効率を上げるというのが目的ですから、そのためにITをどう使うというのを考えるのが普通なんです。  何か今の国がやっているIT化というと、どうしても手段という領域から逃れていないんじゃないかと。何かいかにもパソコンを使えば幸せがもたらされるとかそういうような論調ですべておっしゃっているような気がするんです、政府全体が。違いますか。  それで、私はIT化というのは、例えば地方分権というものを強力に推し進める一つの原動力じゃないかなと思うんですが、その点いかがでしょうか。私は、地方分権を進めることも実はIT政策一つにあっていいものだと思うんですが。
  103. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) まさにその点が重大な問題だと思っています。日本はさまざまな交通・通信機関が発達し、そのたびに、いつも期待は、これができたら地方分権が進むだろうという期待を持ちながら、結果として見ると東京一極集中が進んだという結果になっています。戦後、自由主義先進国で経済と文化に占める首都圏の比重が高まったのは、後にも先にも日本だけでございまして、外国はことごとく首都圏の比重が下がっております。アメリカでいいますと東部、ワシントン、ニューヨーク、フィラデルフィア、あの辺の比重はずっと下がりまして、カリフォルニアやテキサスが上がった。ローマの比重が下がって、北イタリアが上がった。フランスのパリでも同様でございますが、日本だけ上がってきた。  新幹線ができるときも飛行機ができるときも高速道路ができるときも、あるいはファクスができたときも電話が直通になったときもみんなそう言ったんです。私たちの仲間でいいますと、物書きが昔は割と全国にいたんですね。それがだんだん電話が直通になり新幹線が出てくると関東地方に集中してまいりまして、ファクスができたときに鎌倉に住んでいられなくなって、最近は世田谷でも遠いなどと言っているという変な話が実際あるんですね。IT関係者も渋谷を中心とするかなり狭いところに集まっているという現象があります。  それで、私どもといたしましては、全国に発信機能ができる、これがITの一番いいところであり、すべての国民が発信機能を持ち、全国からコンテンツができるということが大事なことだと思っています。  それで、政府が主催しておりますインターネット博覧会では、東京都を除く全道府県が出展をしていただいておりますし、主要な都市も出展をしていただいております。それで、それぞれの地域のテーマを選んで、それぞれの地域で人材を養成し、全国に発信する習慣と組織をつくってもらおう、これがねらいなんですね。アメリカでもドイツでも随分インターネットというのが出てきて地方分散が進んで、地方から新しい文化、新しい流行が出てきている。だから、日本もぜひそうなっていただきたいと思っているんです。  だから、地方分権、分権というよりも地方分散といいますか、もっと民の水準で地方全体に情報発信機能があり、東京を経由しないで地方地方情報交換が行われ、そこにまた似た問題、似た楽しみが生まれる、そういった形のものができてくると期待しておりますし、そのように政策もとっていきたいと思っています。
  104. 内藤正光

    ○内藤正光君 そのように政策をとっていきたいとおっしゃったわけなんですが、その関連でまた質問させていただきたいと思います。  ある調査によりますとこんな結果があるんです。これは会社という組織の中での話なんですが、分権化が進んでいる組織ほどIT導入の効果が大きい。ITを幾ら導入すれど、分権というものが進んでいない組織においてはITの効果というものはなかなか目に見えてこない。ITの本質が何なのかというのを考えたら、これは当然納得できる結果でございます。つまり、それだけ分権とITというのは相性がいいというのか、一体不可分のものと言っても私は言い過ぎではないんじゃないかなと思うんです。  そこで、IT基本法で十九条に行政の情報化というのが書かれているんですが、先ほど午前中の自民党の世耕さんの質問でもあったように、二〇〇三年に情報化を進めると言っているのはあくまで霞が関の情報化であって、結局、霞が関の情報化を幾らしたって、私は、言ってしまえば余り住民サービスには関係のない話なんだと思います。絶対やらなきゃいけないことなんだけれども、やっぱり本当にやるべきことはその次のステップ、地方情報化、つまり行政サービスを実際に提供している地方自治体の情報化をやらなければ絶対に地域住民はそのメリットを受けられるものではないと思うんです。分権なきままに情報化を進めるといっても、結局、地方でやれることといったら単に電子告知板程度に終わってしまうんだろうと思います。  そこで、この分権というものもキーワードに入れながら長官にお答えいただきたいんですが、特に地方地方レベルでの情報化を進めるに当たって具体的にまず何をやらなきゃいけないのか。単に線を引くだとかホームページをつくるとか、そんなレベルの話ではなくて、もっと行政のあり方そのものも見直していかなきゃいけないと思うんですが、長官のお考えをお伺いさせていただきます。
  105. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法案の五条、六条にも地方の問題は明記されておりまして、決して忘れているわけでもございません。重要なことだと思っております。  行政の情報化でございますけれども、どんなことを情報化すればいいか。これは単に、委員仰せのとおり、窓口から出るところだけ情報化するんじゃなしに、やはり組織そのもの、考え方そのものが情報化していかなきゃいけない問題だろうと思っております。  例えば、住民との接触も紙でなしにパソコンインターネットでできる。そうすると、情報量そのものもやっぱりふやしていくということが必要だろうと思いますし、また、紙をそのままパソコンの上へ載せるんじゃなしに、もっと興味深く理解されるような演出の方法、そういったものも考えていく必要があろうかと思います。  いろいろと計画は進んでおりまして、地方公共団体の電子化についていろんなアクションプラン、地域IT推進のためのアクションプランを年内に策定するというようなことも書かれておりますけれども、言葉だけじゃなしに、そのアクションプランの中にいかに住民に説得的でまたおもしろく便利に見られるかという、そういったコンテンツのつくり方、そういう演出方法といいますか、そういったものも考えていく必要があるだろうと思います。
  106. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、余りパソコンだとかそういったものに縛られずに進めていただきたいと思うんです。  そこで参考になるのが、アメリカのペーパーレス法、書類削減法なんですが、私はつい最近まで、書類削減法というのはIT化の流れの中で政府がやったのかなと思ったら、その歴史というのは一九八〇年から既に始まっているんですね。もう一九八〇年の時点でアメリカ政府の方では書類削減法というのを通して、ペーパーレスに向けてどんどん動いている。つまり、IT化ありきじゃないんです。まず行政のあり方を見直そう、紙に埋もれるような今のやり方はまずいということでまず行政ペーパーレス化を進めた、その後IT化の波が来た。私は大事なのはそういう、コンピューターが、あるいはまたラインが何でもかんでも問題を片づけてくれるというような、そんな安易な発想はどうしても避けなきゃいけない。確かに、見やすいコンテンツ、それも大事なのかもしれませんが、まず国が考えることはそんなことじゃないんじゃないか。まずその前に、行政のあり方そのもの、今の仕事の仕方そのものを抜本的に見直さなきゃ私はIT化なんというのはしょせん形式的なものに終わってしまうんじゃないかと思うんです。  そういった意味で私はお尋ねしたんです。何をまずやらなきゃいけないのか、教えてください。
  107. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) それは大変難しいことでございますけれども、一人一人の職員自身がやはり今までの習慣にとらわれないで、組織の平準化、そして住民と役所との間の平準化、そういった思想を持たなきゃならないと思います。  民間企業もそうでございますが、特に官庁、大きな官庁になりますと、必ず情報がヒエラルキーに上がっていくようになっています。その結果、稟議書が、紙が回っていく、そして五人の係長が一人の課長に、五人の課長が一人の部長に、そして重役にと、こういう上がり方をするものですから、時間的にも非常に手間がかかるし、また形式もなかなか変わらない。これがもっと、係長から市長さんに、助役さんにすぐに行くようになるというような形、住民の訴えもまたすぐに行くような形になる、そのためには一人一人の人々のやはり習慣と発想が変わっていく必要があろうかと思います。  そのために、ただ精神的な説教をしていただけではできないのでございまして、やはりあるアクションプランをつくって、こういうぐあいにまず形をつくってみたらどうだねということも必要と。形の上とそれからやり方の習慣の上と、この両方から改革していく必要があろうかと考えております。
  108. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、その長官の思いを具体的に実現するとなると、例えばどういうプロセスを経るわけですか。
  109. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) だんだん難しい問題になりましたけれども、結局、そのためには従来の役所の権威主義みたいなもの、その権威主義と、それから役所の中でのまた分権ですね。全部が局長さんに聞かないと動けない、大臣の判がないと動けないというような形じゃなしに、やはり役所の中での形、やり方自身に変化を来していかなきゃいけないと思うんです。  ということは、とりもなおさず、もっと住民と密着した地方自治、中央をにらんだ地方自治じゃなしに住民をにらんだ地方自治、住民を見詰めた地方自治ということが市長さん以下すべての方々に浸透していくことが必要だと思います。そして、そのことがやっぱり自助の精神の延長としての地方自治をつくり上げる道だと思っております。  そうなりますまでには、ITだけではなしに、IT一つの起爆剤でございますけれども、日本全体の社会の状態が今日のような規格大量生産社会発想から多様な個性を認める時代になっていく、そういう全社会的な変化が必要であろうし、またその可能性ITによって一段と進められていくのではないかと思っています。
  110. 内藤正光

    ○内藤正光君 言葉じりをとらえるようで大変恐縮なんですが、進んでいくのではないかと思われるんじゃなくて、私は、長官というのはその当事者ですから、進めていくように具体的な法案策定なり諸施策なりをがんがん打ち出していかなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。そうあらねばならないと思うんです。  先ほど長官がおっしゃったことは私は本当に賛成なんですが、それは今度新しく設置されるネットワーク推進戦略本部ですか、その中で強力に推し進めていくんだというふうに理解してよろしいんですね。
  111. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) それは国の立場としてぜひ推進したいと思いますし、また地方方々にも御理解いただけるように説得したいと思います。
  112. 内藤正光

    ○内藤正光君 これは国の問題というよりも地方自治体の問題になるのかもしれませんが、あるアンケートによると、地方行政が電子化、情報化を進める際に一番のネックになっているのが、理解不足によるのか、予算が全然確保できないという問題があるんですが、これは単に地方の問題として切って捨てていいのか、あるいはまた国として何らかの手当てができるのか、長官のお考えをお伺いさせていただきます。
  113. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 本質的にはお金の問題は地方が賄えるようにする、そういう地方財源を強化するということは基本だと思います。  しかし、部分をとりますと、例えば今、経済企画庁がやっております消費者センターというのがあるんですが、消費者生活センターなどにコンピューターを入れるということになりますとある程度、補助といいますか援助といいますか、そういうようなこともしております。だから、行政の手段によってそれぞれ違うと思うんですけれども、やはりお金の問題は本質的には市長さんが御理解いただいて推進していただかないと、なかなか国からつけただけでは、市の中に、その役所の中に理解がないと決められた部分にしか使われないという効率の悪さが残ります。  だから、そういう意味では、できるだけこういうような使い方がある、こういうような模範の方法があるというようなことも情報を流しながら、市民ができるだけ情報化しろというような、その方が選挙でも有利だというような体制になっていくと市長さんも熱心にやってくれるんじゃないかと思っています。
  114. 内藤正光

    ○内藤正光君 それはそうだと思うんですが、とはいってもなかなか地方において情報化が進まないんですね。  そこで、地方情報化を進めるためのインセンティブというのはあるんでしょうか、長官自身、何かいいアイデアがあったらちょっとお示しいただきたいんですが。
  115. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 最近は、幾つかの県で非常に情報化の熱心な知事さんあるいは職員の方がおられまして、模範県みたいなものが出てまいりました。そういうのがよく新聞に載りますと、すぐお隣の県でこういうことができるんだなというような傾向もあります。  それから、今やっておりますインターネット博覧会は、東京都を除く全県出ておりますから、お互い情報を交換すると、あの県はどうだこの県はどうだ、あの県の出展は人気があるというのはすぐわかってまいりますので、かなり知事さんの評価にもつながるので急にここへ来て熱心になりました。  いろいろそういう比較とか競争とか模範とか、そういったことがやはり自治体を勇気づけていく、エンカレッジする道だろうと思っております。
  116. 内藤正光

    ○内藤正光君 これまたプロジェクトの勉強会で聞いた話なんですが、地方行政の情報化を進めるにはいろいろな各メーカーが持っているノウハウがあると。それを何かただで情報化を進めてもらって、ちょっと私もよく理解しているわけじゃないんですが、それで収益、収益というんですか、いろいろな料金徴収や何かの徴収率が上がるとその何%かを会社がもらうという何か仕組みがあるんだそうです。それによって意外と安く情報化がどんどん地方行政で進んでいくんだという話もあるんですが、これは私自身もそんなしっかり理解しているわけではないので、質問はいたしません。  では、次の重要な質問に入っていきたいと思います。次の柱なんですが、IT化の推進がもたらす社会構造の変革についてということで、特に雇用面についてお話をさせていただきたいと思います。  きょうは政務次官にいらっしゃっていただいておりますが、まずお考えをお尋ねしますが、IT化の推進が特に雇用の面でどんな変革をもたらすとお考えなのか、お答えいただけますか。
  117. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) IT化の推進が雇用の分野に及ぼす影響としましては、業務の効率化に伴う雇用の削減や電子商取引によるいわゆる流通業の中抜き現象などの懸念も指摘される一方で、IT関連産業の成長により情報通信にかかわるサービス提供等の分野において新たな雇用が生み出されることが期待されます。  以上でございます。
  118. 内藤正光

    ○内藤正光君 ほかのお二人の大臣の方にはそれぞれお考えをお聞かせいただければと思うんですが、IT化の推進が雇用面にどんな変化をもたらすとお考えなのか、お願いします。
  119. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT化の推進が雇用関係に与える影響は随分大きいと思います。  まず第一に、組織の中で何が起こるかということと組織の外、産業構造的に何が起こるかということ、それから同じ雇用されている人の立場にどういう変化が起こるか、三つの問題があると思うんです。  まず、よく言われていることは、ピラミッド型の組織、ヒエラルキーの組織が平面にぺしゃんこになるということが言われているんですね。要するに、中間管理職の立場といいますか、それが減りまして、係員も係長も同じように情報を持っている、そしてそれが社長に、重役に直結していく。五人の係長が一人の課長に上げて、五人の課長が一人の部長に上げて、五人の部長が一人の取締役、常務に上げるというような仕掛けじゃなしに、係長の情報がすぐ直結していく、そういう形になりまして非常に判断が早くなる。その反面で、組織がだんだんと分割をされ、分社化のような傾向が生まれてくるだろうと。そういう意味では、いわゆる中間管理職が減って上と下とに分かれてくるんじゃないかという一種危惧も抱かれております。それが効率を高めることにもなるわけですが、そういった組織の中での変化、いわゆるフィルハーモニー型の組織からジャズバンド型の組織と言われるんですけれども、そんな変化が起こってくるでしょう。それで同時に、ジャズバンドになりますとどんどんと流動性が出てくる。その意味で、終身雇用が崩れてかなり流動市場、労働市場の流動化ということも起こってまいります。  また、場合によっては高度の技術を持った人、あるいは高額の給与を取れるような特殊技能を持った人の方が流動化する。現にパソコンコンピューター技術者でありますとかデザイナーでありますとか、そういった人は流動化がかなり進んでまいりました。銀行でも外資系なんかにどんどんと流動するような、そういういろんな意味での流動化が起こってくるんじゃないか。  そういたしますと、今度は職員の方でも自分の属している職場に対する帰属意識というのがかなり薄れてきて、この会社に一生定年まで勤めるんだ、いや定年の後も勤めているつもりというようなのはなくなってきて、人間の社会のきずなというのは職場から好みに変わってくる。そういういろんな影響が出てくると思います。  これに対応して新しい職場がどんどん出てくると思うんです。それで、これは単にITを利用した職場というだけじゃなしに、IT情報が流れることによって今までつくられなかったようなものがつくられる。今まで売れなかったようなもの、例えば日本国じゅうで一万個しか売れなかったようなものはつくられなかったんですが、ITで注文を受けたらつくられるようになるとか、あるいは個人サービス、ベビーシッターでございますとかガーデニングでございますとか、そういうものも隣近所の一定の地域のインターネットで職業ができる。  アメリカなんかを見ていますと、最近どんどんと新しい会社といいますか事業所ができてまいりまして、その率が一三%から一五%までという、日本の四、五倍というような盛んな創業が行われておりますが、その中には、ITを使ったハイテク産業もございますけれども、同時に個人サービス業というのが非常に多いんです。そういうような職業も生まれてくる。そういう意味では中小零細企業の創業はふえる。いろんな意味で雇用はこれから変わってくるんじゃないかと思っております。
  120. 内藤正光

    ○内藤正光君 労働政務次官にお尋ねしたいんですが、長官が先ほど雇用の流動化が増すとおっしゃいました。特に特殊技能を持った人たちの間で雇用の流動化が増すということでございます。  そこでお尋ねしたいのは、そういった雇用の流動化の増大に対して我が国の今の税制だとか社会保障制度だとかあるいはまた法律等々、十分対応しているとお考えでしょうか。
  121. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 今お話がございましたように、中抜き現象、流通の中の中抜き現象などが懸念されるわけでございますけれども、そういった中で、また新たな経済取引を活性化する中で労働市場といたしましては新たな業務を担う人材が必要となってくるわけでございます。  なお、このIT化の進展の中で仮に現行制度で労働者にとって不利な面が生じる場合には、労働省としましては必要に応じて問題提起をしたいというように考えております。
  122. 内藤正光

    ○内藤正光君 必要に応じて問題提起をしていくと言うんですが、もう問題が出てくることは予想されているわけなんです。  雇用の流動化によってどういう問題が出てくるのかというと、例えば松下あたりがもう既に退職金をやめて月々の給与に上乗せして支払うと。そうなると、これは雇用の流動化に対応した一つの方策なんですが、今の日本社会制度というのは終身雇用というものを前提としてすべてつくられている。平たく言えば、退職金を優遇するために税金は余りかけられないとか。しかし、この分が月々の給与に割り振られたら、税金は高くなるわ社会保険料は高くなるわで総体として損になるわけなんです。だから、そういった問題もやっぱり対処しなきゃいけないんです。  特に、これは税の問題だから大蔵省というのじゃなくて、これは雇用者側の立場に立った労働省が積極的にこういう問題提起を行っていかないとだめなことじゃないんですか、政務次官
  123. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 具体的な影響を現時点では把握できないという状況の中で、今後のIT化の状況の推移を見ながら問題を解決していきたいと、かように考えております。
  124. 内藤正光

    ○内藤正光君 もう一つ言います。  このIT化の推進によって、先ほどおっしゃられましたように終身雇用がだんだん崩れていくだろう、そのかわりに非正規雇用すなわちパートがふえていくだろうと思います。パートがどんどん比重を増していく。そういったときに今の日本法律等は十分対応し得るかどうか。つまり、平たく言えば、パートは今の法律で十分守られるんだろうか、守られているんだろうか。どのようにお考えですか。
  125. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 今、経済・雇用構造の変化や価値観の多様化を反映して、パートタイム労働等、多様な働き方を選択される方が非常に増加しているという中で、IT革命により経済構造の変化が一層推進するならばこうした動きがさらに進むことが見込まれております。このような中で、労働者が多様でかつ柔軟な働き方を選択でき、それぞれの働き方に応じた適正な処遇、労働条件が確保されるよう施策を展開していくことが重要であろうというように考えております。  特に、今御指摘のパートタイム労働者について、パートタイム労働法において、事業主は通常の労働者との均衡等を考慮して、パートタイム労働者の適正な労働条件の確保等を図るために必要な措置を講ずることとされており、今後とも、同法に基づき事業主に対する指導等に努めてまいりたいというように考えております。
  126. 内藤正光

    ○内藤正光君 パート労働に関して言うならば、例えば、先日新聞に書いてあったんですが、オランダではパート労働者といえども最低限の時給が法律でちゃんと保障されたりだとか、あるいはまた企業年金等の社会保障制度もしっかりと用意されていたりとか、あるいはまたパート労働者というのはどうしても弱い立場にある、本当は午前中だけ働きたいと言って申し込んだんだけれども、雇い主の方がだったらいいよということで結局やむなく自分の希望がかなえられなかったり、そういった場合に対して、極力、被雇用者のこの辺の希望はかなえるべきだ、尊重すべきだというような、幾つかのパート労働という就労形態を保護するような仕組みがオランダではあるんだそうです。  そういった方向で私は今のうちから労働省としても積極的に対応していかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、そこで、長官は今までもこの点いろいろな書籍でお書きになられているでしょうけれども、こういったIT化の推進によってもたらされる社会変革によっていろいろな分野で新たな課題が生じてくる。私たち国民に一番身近なことではやっぱり雇用なんだろうと思うんですが、雇用の点で生じてくるそういったような、問題とは言いません、新たな課題と言います、新たな課題に対して具体的にどう対処すべきだというふうにお考えでしょうか。
  127. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 明らかに法律問題として解決しなきゃいけない問題があると思います。例えば、年金のポータビリティー、こういった問題は制度として解決しなきゃいけない問題だと。それからもう一つは、雇用者と被雇用者との間の話し合いを自由にして、例えば、高齢者が週に三回だけ働きたいと言えばそれも探し得るというような状態をつくる、そういう話し合いの世界も存在しなきゃいけないと思うんですね。一方で、余りに強い保護を与えてしまいますと、そういう週に三回だけ働きたいとか、あるいは午前中だけとかという人が勤め先を見つけにくくなるという問題もございます。その両面がございますので、それぞれに対応した対策が必要だろうと思います。  特に、これからの高齢時代あるいは男女共同参画の時代考えますと、SOHOで自宅勤務をといったようなことにどのような保護あるいは対策をとっていくか。自宅勤務の人の退職金とかいうような問題とか、あるいは労働時間の問題とかいうようなことになりますと、新しい観点でつくり直した発想が必要で、少し研究をさせていただいて、多くの意見を聞きながら実態に即してつくっていかなきゃいけない。これは大きな問題だと思っています。
  128. 内藤正光

    ○内藤正光君 まだ雇用の問題を何点かさせていただきたいと思うんですが、正直言って、このIT基本法というのは、バラ色の世界、バラ色の未来ばかりを描いているように思うんですね。やっぱり政府としては、もうちょっと冷静になって、IT化の推進によってもたらされるであろうそういった雇用面への対応、負の側面への配慮といいますか、こういったものにももうちょっと力を入れていくべきではないかと思うんです。  そこで、釜本政務次官にお尋ねしますが、IT化の推進によって失業率は大体どれぐらい上がるというふうにお考えでしょうか。
  129. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 今、IT化の推進によりまして余剰人員が生ずる可能性がある一方で、IT関連ビジネスの成長で新たな雇用が生み出されるということでございます。そういう意味での何%かというその試算は、どうも申し上げられぬといいましょうか、計算にはまだ入れていないというところでございます。
  130. 内藤正光

    ○内藤正光君 まあIT化によって削減される一方で新たな雇用が生み出されてくるというのはあるんでしょうけれども、まずちょっとそのところは置いておいて、どれぐらいの人が吐き出されてしまうのかといえば、もう通産省が依頼したアンダーセンコンサルティングの資料があるわけですから、それをごらんになっていればわかるはずなんですが、向こう五年間で、一九九九年の時点ですからことしとあと向こう四年間で、何と二百七十一万人の過剰雇用が出てくると。特に、流通業に限って言うならば、そのうち百四十万人だということなんですね。  これがぴんとこないんですが、もうちょっと言いますと、このまま二百七十一万人をぱあんと路頭に迷わせたらどうなるか。失業率は何と八・七%に上がるんですね、この二百七十一万人の雇用を吐き出してしまったら。国民がもろ手を挙げてIT革命とかITの推進というのを喜べないのは実はこういったところにもあるんじゃないかなと思うんです。  そこで、これはもう本当にどなたでも結構なんですが、これを避けることができない産みの苦しみと見るのかどうなのか、お尋ねします。
  131. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) アンダーセンの報告もございますが、経済白書でも同じことを研究しておりまして、こちらは、どちらかというとふえる方が多いという答えが出てまいります。  いろいろとふえるところ減るところが出てくる。どちらが多いかということの前に、そういうミスマッチの問題というのが大変なんですね。おやめになる職業の人と、それから新たに出てくる職業とが必ずしも一致していない。  私どもといたしましても、今度の日本新生のための経済新発展計画におきましても、やはり労働省の方にかなり二百十八億円かなんかつけまして、百五十万人の人を新たにIT技術の雇用に即するようにしたい、しようという計画も立てております。そういったミスマッチをまず解消するということが第一だと思うんです。  もう一つは、この春改正いたしました中小企業基本法で、創業を育てるということで、新しい産業を育てていく。そういう全体的な経済政策、さらには都市政策や労働政策などを全体を挙げてやっていく。そして最後には、やはりどうしてもそういう新しい転換に失敗する人が出ますから、セーフティーネットを丈夫につくり上げていく、そういう段階が必要だろうと思います。  私は、外国の場合は、技術が変わった、人をかえるというのが普通でございますけれども、従来から日本では、技術が変わっても今いる職員に新しい技術を教えて会社が使う。例えば、フリクションの時計からクオーツになったときに、スイスでは人を入れかえてクオーツの技師にしたんですが、日本では同じ職員の方に研修をしていただいてクオーツの時計をつくったというような形がございますから、日本ではそれほど、欧米ほど極端ではございませんけれども、やはりそういうミスマッチの問題には万全を期していきたいと思っています。
  132. 内藤正光

    ○内藤正光君 ミスマッチの解消、これは大切なことだと思うんです。政府は、でも、私が先ほどしたような質問に対して、ミスマッチを解消すればすぐ問題は解決するという、ある意味では楽観的なお答えをよくされるんです。  しかし、ちょっとこのアンダーセンコンサルティングの資料をもう一回見てみますと、アメリカ状況も書いてあるんです。つまり、確かに九〇年代初頭、九〇年に比べて九一年は百十五万人も削減をされたと、一年間で。ところが、九三年にはこれがプラスに転じて、九〇年に比べて百三十一万人雇用の受け皿がふえているんです。三年間という大変短い期間で、このミスマッチングが解消されたというのか、古い業態の産業から吐き出された人たちが新しい産業へと移っていったと。  翻って、我が国はどうかと見れば、この十年以上続くこの不景気。これを何かアメリカと同じような事象が起きているのかというと、私は起きていないんじゃないかと。というのは、やはりアメリカがやったようにやるべきことをやっていないんです。つまり規制緩和なんだろうと思います。長官が先ほどから何度も何度もおっしゃっているように、規制緩和をやっていないからこういうふうにだらだらと不景気の状態が続く、人がどんどんどんどん吐き出されていって、そうして吐き出されていった人たちが新たな受け皿へ行かなきゃいけないのにその受け皿がなかなか生まれない。  これはひとえに、ばらまき政治ばかりやっているから、ばらまき公共事業ばかりやっているからなんです。本来やるべき規制緩和をやらないからこういうふうにミスマッチングが解消されないというんですか、何ていうんですか、古い業態から新しい業態へと人が移動していかないんだろうと思うんです。  そこで、私は、本当にこのIT基本法に対して言いたいんですが、このまま規制緩和もしないまま、いろいろなやるべき規制緩和もしないまま、やるべきこともやらないまま、IT化、IT化といって推進していったら、失業率はふえるわ新たな受け皿は生まれないわで、とんでもないことに日本はなってしまうんです。IT化の推進というからには、もう一方でちゃんと受け皿をつくるようにしっかりとやらなきゃいけない。そして、先ほど長官が労働省がいろいろな施策を出しているとおっしゃったんですが、昨年来で出してきた数々の施策がほとんど機能しなかったというのはもう多くの方々から指摘されているところなんです。やっぱりちょっと、こういう言い方は失礼かもしれませんが、求めているものとちょっとずれていた政策だったんだろうと思うんです。  そこで、私が申し上げたいのは、このIT基本法にそういった視点がほとんどないんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
  133. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 雇用の問題は非常に重要なことだというので、この衆議院の修正におきまして、第九条に特に雇用の問題が書き込まれました。私も、それは当然といいますか、しかるべきことだと思って同意させていただいたわけでございます。  今、委員御指摘でございますけれども、アメリカに比べてあるいは欧米諸国に比べましても日本は失業率がずっと低く来ました。それが去年、おととし、この不況で高くなりまして、四・九%まで上がりまして、今四・七ぐらいになっておりますけれども、その一方で求人がふえているんですね。割と失業率は高どまりしておりますけれども、求人倍率がふえておりまして、かなり日本でもそういう雇用の流動化の芽が、まだ芽と申しますけれども、そういう芽が生まれているんじゃないか。  これは、ミスマッチの問題あるいは労働市場の問題、紹介方法の問題、この辺もかなり今検討しているところでございますけれども、事務所のないITだけでの労働紹介なども入れようというようなことも考えておりますけれども、そういった中で、まだ日本では緒についたところでございますけれども、IT社会に対応した雇用流動性をつけたことができてくると私は思っておりますし、ぜひそれは早期に実現しなきゃいかぬ問題だと思っております。
  134. 内藤正光

    ○内藤正光君 労働省に対して申し上げたいんですが、長官おっしゃったように、この基本法、民主党の主張に基づいて雇用の面への配慮というか、生じる課題に対して積極的に対処するという修正案が盛り込まれたわけでございます。本来ならば、労働省もIT戦略本部に入っているわけですから、大臣も本来雇用の立場から積極的にこういった面に対して配慮すべしということで意見を提言していかなきゃいけない。にもかかわらずそうしなかった。  きのうも、労働省に対して質問しますよと言うと、ITとどういう関係があるんですかというような正直、でも実はITというのはいろいろな方面に対して多大な影響を及ぼすんです。雇用というのは私たちの生活に密着している一番大切なことなんです。ですから、そういった意味でも、労働省さんは予想される雇用の面への影響を的確に判断して、もう私たちが指摘する前に一歩も二歩も先に対応すべきじゃないんですか。その決意を伺いたいと思うんですが。
  135. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 今、委員御指摘のとおり、ITにかかわる多様な職業能力の習得機会というものを確保、提供することによりまして、施策の効果的な実施に全力で取り組んでまいりたい、かように考えております。
  136. 内藤正光

    ○内藤正光君 何度も言って恐縮なんですが、ITというのは何もコンピューターを設置することでもない、線を引くことでもない、いろいろもっと本当に奥の深い、深みのあることなんです。私たちの生活が、今まで当然と思っていたような生活が百八十度ひっくり返るような、そんなことなんです。  ですから、特に雇用というのは私たちの生活に密着した、関係の深い、かかわりの深い、これによって自殺者がふえることもあるわけですから、十分この辺、雇用という観点から労働省さんもしっかりとこのIT化というものの流れを見守っていただきたい、そして対処をしていただきたい、このことを申し上げさせていただきます。その点について、長官、何かもしあれば。
  137. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT情報産業の現場でお働きになった内藤委員の御説、非常に身にしみてよくわかります。  また、時代が変わるとき、私たちが青年だったころ、農業がどんどん減って人々が新しい産業に来た。このときは成長していたからよかったんですけれども、成長が余り期待できない、人口が高齢化する中でこれを円滑にやっていくためには、このITというものの利用を一〇〇%生かしながら、大変これは重要な問題で、まさにIT本部、政府を挙げて対応すべき問題だと考えております。ぜひお説のとおり、人間にとって経済は手段でございますけれども、生活は人間の目標でございますから、これをぜひ重点政策として取り上げていきたいと思います。
  138. 内藤正光

    ○内藤正光君 私たちの生活に関係の深い、雇用だけじゃありませんが、いろいろな面があります、この辺もしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。  そこで、先ほど規制緩和という話が出ましたので一つ二つ質問させていただきたいと思うんですが、これから電子商取引がますます発展していくんだろうと思われるんですが、電子商取引の売り手側のメリット、また買い手側のメリットは何かといえば、売り手側にしてみればいろいろな面でコストを削減できるから物を安く提供できるとかいうのがあるんです。逆にこれは裏返しとして、買い手側としては物を安く買える、そして二十四時間、場所と時間を気にせずに買えるといういろいろなメリットがあるわけなんです。  そこで、ちょっとこれは長官にお尋ねしたいんですが、そんな中で、これから電子商取引が発展していくだろうというこの流れの中で、例えば対面販売だとかあるいはまた再販制度、これについてもう一度しっかりと見直しをしなきゃいけないと思うんです。  先ほどおっしゃった職業紹介の話も大事だと思うんです。ホームページ上でできるようにならなければならないということと、もう一つ、五百人の求職者に対して一人の紹介責任者を置かなきゃいけないという、そういう規則もあるわけですね。こういったもののあり方についてもしっかりと見直しをしていかなきゃいけない。  そのほかにもたくさんあろうかと思うんですが、とりあえず、対面販売だとか再販制度あるいはまた職業紹介制度に対してどうあるべきか、お考えあるいは方向性をお示しいただけますか。
  139. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 電子商取引関係の文案はこの法律の中でも幾つかに分かれて書かれております。十九条にもそのことが明記されておりまして、単にコンピューターを入れてやるだけじゃなしに、その仕組みそのものを変えなきゃいけない。  特に、御指摘の対面販売というのは、コストもかかりますし場所も特定されます。それから、再販制度、書籍などはその最たるものなのでございますけれども、こういったものもコンピューターを通じて、ITを通じて買う、アマゾン・ドット・コムのような商売もどんどん出てくるでしょう。そうなりますと、これはどうして見直すべきか、それぞれに問題点の指摘がございます。化粧品は化粧品、書籍は書籍、それぞれ問題点が指摘されておりますけれども、そういったことを全体として規制緩和を推進し、対面販売の制限をできるだけ減らしていくことが大事だと思います。  しかし、全部すぐに減らせられるかというと、これまたそうはまいりませんので、それぞれの分野について専門家方々も含めて慎重に検討しなきゃいけないと思います。ただ、専門家というのは今までの経験があり過ぎましてなかなか変えようとしないということもございますから、両面から、ITの新しい発想と過去の経験と両面からこれは詰めていって、仕事の仕方そのものが、流通のみならず説明方法とか、あるいはこういうパックに書かれる文字の内容に至るまで変わっていくべきことかと思いますけれども、そういった大きな変化をやはりこれから考えていかなきゃいけないと思います。
  140. 内藤正光

    ○内藤正光君 私の残された時間はあと十分でございます。IT基本法、最後は郵政大臣に締めていただきたいということで何点か質問させていただきたいと思います。  本日、電通審答申の素案が出るということで、電気通信産業競争促進策について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  地域通信市場、ラストワンマイルという言い方もしておりますが、その地域通信市場における競争促進の観点から線路敷設の円滑化の議論が今まで電通審の方でなされてきたというふうに聞いておりますが、この具体的な内容あるいは方向性についてできる限り詳しく教えていただけますでしょうか。
  141. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) いわゆるラストワンマイルの問題でございますけれども、やはりIT政策を推進する上では非常に大事な課題だと思っております。  線路とか管路とかいうようなものを円滑に敷設をしていくということが一番のポイントでございますが、せんだってこの戦略会議で決定が行われまして、電柱とかあるいは道路とか、そういうものの利用に関しては速やかに円滑に敷設、施設ができるように改革をしていくという趣旨の決定が行われました。それに沿いまして、これから法制化すべきものは立案をしてまいりたいと思いますし、あるいは実際の運用で関係者に協力をお願いすべきものはどんどんとやってまいりたいと考えております。  要するに、今までの制度では、新たに線路、管路をつくろうという側にとってはあちこちに、その所管の官庁の方にお願いをして、そして一定の条件のもとにやっていかなきゃいかぬ。そういうお願いをしてやるということはこれは変わりないと思いますけれども、条件を余り難しくしないでできるだけ御協力を願うという方向に持っていく、法制的にもそういう方向で処理をしていくべきものだと思っております。
  142. 内藤正光

    ○内藤正光君 ちょっと明確でないところがあったんですが、ということは義務化はしないということ、ガイドライン程度で済ますということですか、どういうことでしょうか。
  143. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 要するに、NTTや電力会社など公益事業者が保有する電柱、管路等の提供に関する貸与申し込み手続や拒否事由等を定めたガイドラインを早急に策定するということにいたしたいと思いますが、やはり土地等の使用に関する協議、認可、裁定制度が公有地上の電柱、管路の使用についても適用されることを明確化するために、電気通信事業法の改正案を次の通常国会に提出するよう検討いたしたいと考えております。
  144. 内藤正光

    ○内藤正光君 きょうの電通審答申の素案もそんな方向で出るということなんでしょうか。
  145. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) ちょっと、私、その点つまびらかにしておりませんが、競争政策を有効にするためにいろんなことを今審議をお願いしておるわけでございますので、規制改革を含めて、かようなことは前向きの態度で審議会は審議しておられるものと思います。
  146. 内藤正光

    ○内藤正光君 次は、ユニバーサルサービスのあり方についてお伺いをしますが、今、ユニバーサルサービスはひとえにNTTの責務とされているわけでございますが、競争を促進する上でこれは見直していかなければならないだろうということで、基金の創設もその一つの手段ではないかと思いますが、競争下におけるユニバーサルサービス確保について基本的な視点なり具体策をお示しいただけますでしょうか。
  147. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これも実は現在電通審で議論をいただいておることでございますので、私からいわば勝手にこうしましょうと申し上げるのは差し控えなければならない現在の立場でございます。  さようなことをひとつ御了解の上でお聞きを願いたいわけでございますが、御承知のように、現在はNTT法におきましてNTT三社、持ち株とそれから東西、この三社に対してユニバーサルサービスとして電話サービスの全国あまねく提供を義務づけております。  この全国あまねく提供の電話サービスは、これまでは東西NTT各社の内部で採算のとれる地域から不採算の地域への費用補てんという形で賄われてきたわけでございますが、今後その採算地域を中心事業者間の競争が一層進展していくと。そういう中で、東西NTTのみにユニバーサルサービスのコストを負担させるのが適当かどうかという問題が出てまいります。例えばユニバーサルサービス基金のように、必要に応じてほかの事業者も応分のコストを負担する制度が、方法があり得るのではないかと、みんなクエスチョンマークつきでございますけれども、そういった議論が現在されております。こうしたユニバーサルサービス確保のあり方につきましては、競争政策のあり方と一体として電通審で御審議をいただいておると、そういう状況でございます。したがって、今申しましたような基金の創設等新たな仕組みも検討の対象になっておるというぐあいに私どもは理解をいたしております。  きょう、特別部会の一応の取りまとめが発表されるわけでございますが、これから後、さらにパブリックコメントなども求めてまいって、十二月の下旬に正式に御答申をいただく、そういう段取りをいたしておりますので、ちょっと奥歯に物がひっかかったような答弁で恐縮でございますけれども、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  148. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣の答弁、十分わかりました。  最後になりますが、大臣並びに長官にちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思うんですが、ここに日刊工業新聞、電気通信に関しての新聞があるんですが、表題に「国際競争力 国内活性化と二律背反」という、こういう見出しがついているんですが、この内容をかいつまんで言うとこうなんです。  今、電通審でいろいろなことが論議をされていると。例えばドミナント規制だとか、あるいはNTTのグループ一体経営にメスを入れるだとか、そういったことが今電通審の中でいろいろ議論されていると。それに対して、この新聞はこう言っているんですが、「NTTのグループ経営力の減退が、買収合戦を繰り広げるグローバル通信競争時代にかなう施策なのか、ある種の二律背反ともいえる構図が横たわる。」ということなんです。  これはどういうことかといいますと、アメリカで、一九九六年、電気通信法というものが制定されて以降どういう現象が起きたかというと、もう相次ぐMアンドA、MアンドAに次ぐMアンドAということで、超大型のMアンドAがもう立て続けに起こった。そして、メガキャリアというものが次から次へと誕生を果たしていったわけです。  そして、なぜそういう方向に流れていったかといえば、大きな理由は四つあると言われています。  一つは、インターネットや移動体通信を含むフルサービス、もう何から何までサービス提供をしようとするその提供にたえ得る企業体力をつけることが一つ。そしてもう一つは、さまざまなリソースを手っ取り早くMアンドAで集めてしまって、それでフルサービスを提供できるようにしましょうと、これが二つ。三つ目が顧客ベースを拡大するだとか、そして四つ目がMアンドAの逆に標的とならないような企業規模を確立すると。この一応の目安が一千億ドルだと言われているんです。日本円に直して言えば十一兆円ですか、十一兆円以下だと簡単にMアンドAの標的になってしまう。だから、地域電話会社同士が次から次へと吸収合併、合併を繰り返していったということなんです。つまり通信産業というのは、既に小さなコップの中でいかに競争を演出しようかなんという、そういう時代はもうとうに過ぎたということです。  こういった現実を踏まえて、国際競争力の観点から通信業界の競争政策とはどうあるべきなのか、郵政大臣並びに長官からお考えをお伺いさせていただきます。
  149. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 我々としては、国内の通信関係の各企業に公正な競争でもって国民に有効なサービスを提供してもらう、安い値段で頑張ってもらう、そういうようなことを主眼に考えておるわけでございますけれども、その間におきましては、いわゆるドミナント規制とか、今ユニバーサルサービスのお話が出ましたけれども、さような問題を的確な方法で解決をして、そして競争促進をいわばきれいな形でしてもらいたい、そういう政策をできるだけ採用していく努力をしてまいりたいと思っております。  そうしませんと、国際競争力との関係において、いわば過当競争共倒れということになればこれは元も子もない話でございますから、そこら辺のことは十分に考えて対処をいたさなければいかぬ。電気通信審議会の委員各位もそういうことはもちろん御認識の上で議論が願えているものと思っております。
  150. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この電気通信分野というのは、ネットワークでございますから収穫逓増でございまして、大きくなった方が得だというような意識があるものですから、どんどん合併されるという傾向は確かにございます。そういう意味で申しますと、競争政策と国際競争力の問題とは相反するということでございますが、逆に一定以上に大きくなるとまた落ちてくるという現象もございます。  そういうことからいいますと、国内の諸活動、民間の諸活動を最大限に引き出す規制緩和の状況はどの辺か、これがその都度見きわめていかなきゃいけないところだと思います。ある程度優位の企業に対しましては片務的な拘束をかけることも必要でございましょうし、新しい業者を振興することも必要でございましょうし、またあるところでは大きな業者、国際的に負けない業者をつくっていくことも必要だろうと思います。それはこれからの展開によって、今一概に言えないことでございますが、常に大胆な規制緩和と国際競争とをにらみ合わせたダイナミックな政策が必要だろうと思います。
  151. 内藤正光

    ○内藤正光君 これで終わりますが、一言だけ言わせてください。  今本当に問われているのは、電話の発想に基づく縦割りの事業規制そのものが今問われているんです。  世界というのは、先ほど申し上げましたように、よりグローバルでシームレスに、そしてよりブロードバンドという方向で競争が激化している。それが結果として、国内ではユーザーに対してより安価でより速い、そしてより安心できる通信サービスを提供することにつながるし、また国際競争力の強化というところへつながっていくわけなんです。  最後に私は申し上げたいのは、もしこのままコップの中の競争をいかに演出するかということばかりに執着していると、一体だれがほくそ笑むのか、このことをしっかり考え競争政策のあり方というものを考えていただきたい、このことを申し上げて終わります。
  152. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 御意見は十分に私どもも体しまして、今後に対処してまいりたいと存じます。
  153. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今回、高度情報ネットワーク社会形成基本法につきましてさまざまな専門家方々が熱心に御討議されて、私も啓発、啓蒙されて、質問もかなり重なっているところを避けながらさせていただこうと思います。  公明党は、昨年十一月与党に入りまして、基本政策を掲げて与党化いたしました。そのときに三ゼロ社会ということで、エゴゼロ、むだゼロ、ごみゼロということで、ごみゼロの循環型社会形成推進基本法、二十一世紀における大量生産、大量消費、大量廃棄という世の中を現実に循環型社会に変えていくという社会システムの構造変革の法案を無事通させていただいております。さらに、これは私独自に五ゼロ社会ということで距離ゼロ、病ゼロと言っておりますけれども、その距離ゼロの中に、IT社会という、二十一世紀に向けて新しい世界を、社会システムの基盤を変える構造体としての世の中づくりをしなければいけないという思いが現実にございます。  そこで、今回大きな国家戦略として政府全体で取り組まれると。特に二〇〇五年までには欧米また情報通信先進国によりまさる形の社会システム構造をつくるという中で今回の法案が出てきたわけでございます。  今後進むのかというお話も民主党の方からありましたけれども、むしろなぜ今まで、長年日本は光ケーブル、西沢潤一先生がおられましたし、大学の情報処理センター、大型計算機センターでも早い段階でネットワークシステムというのは入っておったわけですね。ですから、私らも十年前にはもう既にインターネット的なものは全部使って現実に運用しておりましたし、これが今大統領候補になっておるゴアさん、日本の中でさまざまな勉強をした成果を取り入れて情報ネットワーク構想というのを進めていった。  ただ、日本の方が逆に若干そういう戦略で取り組むというものに関してはおくれていた。むしろ現場また学者の中でのネットワーク構想というのはかなり進んでいたにもかかわらず、これが政治家また政治の世界の中で強力に推進する主体が弱かったのではなかろうか。  循環型社会法のときにも思いましたけれども、一つの新しいシステムに変換するときにはきっかけ、兆しというものを見詰めて、これはそういう世の中になるな、またしなければいけないという思いがあるときに政治家が取り組むというのが一つの新しい時代をつかむ形になると思いますし、環境問題ですと未然防止とか予防という形で進む必要があるにもかかわらず、この情報に関しましてもきっかけはかなり早い段階で日本人は気づいていたと思うんです。  これを新しい段階で、世の中の兆しとしてゴアさんの情報ハイウエー構想のようなものを日本でやれなかったというのが逆にどういうところにあるのかなということを、堺屋長官、さまざま世の中を見詰めて、私も堺屋長官の書物はほとんど読ませていただいておりますけれども、一度そこの、なぜ日本社会でそういった形の新しい動きを、世の中を変える変換、システムを変える変換として取り組んでいく形に進まなかったのかという背景をちょっとお伺わせいただければと思います。
  154. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) さまざまな問題があろうと思います。日本エレクトロニクス産業世界一の生産力と競争力を誇った。そのとき日本人が考えたのはやはり孤立したパソコンでありワープロであり、一つ一つのものであった。これをロボットと結びつけて制御に使うとか設計事務所で計算に使うとか書類の検索に使うという点では非常にすぐれていたんです。ところが、日本人の発想はあくまでもコンピューターを電子計算機と訳したように計算する機械だと。ネットだという発想がなかったんです。したがって、OSが出てまいりまして基本ソフトが出てくるときに出おくれたんですけれども。  その次に、一九九三年にゴアさんのインターネット構想が出てきた。そのときにこれをネットでつなぐというのは、単純な通信という発想電話線に置こう、電話線に置けば十分だという、容量に対する考え方、速さに対する考え方が非常に欠落していたと思うんです。  平成六年に本部をつくりまして、日本でもそれなりに進歩しようということでさまざまなことを考えました。高度情報通信社会促進に向けた基本方針平成七年、そして十年に改定しておるんでございますけれども、これもやはり電話線の上に乗っける、いわば既存の施設制度というのにこだわったというところがあったと思うんです。そのこだわったもとは、別に利権とかそういうことではなくして、これがどんなものであるかということの発想が違ったんですね。  インターネットというのはコンピューターを使いますけれども、パソコンを使いますけれども、本質的に人と人との間のネットであるという発想がおくれたものですから、ちまたにありますパソコン教室でも学校の教育でも、ことごとく一つパソコンを運転する技術なんですね。パソコン操作を教えているのであって、ネットを教えていない。そういうところに、このパソコンというものの考え方自体がちょっと違った。  その間に、アメリカの方はこれはネットだということをだっと進め、そして人口の過疎的なああいう北欧の諸国などは英語パソコンでつないでいかなきゃいかぬという意識があったものですから、猛烈な勢いでこれをやったんですね。アジアの国々も、アメリカ帰りの人々が取り入れて非常に進んだ。その中で、日本だけが高速ネットという概念がなかった。今度、それを深く反省いたしまして、平成十年以降、このネットの中で大容量、超高速ということで取り返さなきゃいかぬ。  そうして見てみますと、従来考えていたのと非常に違った、例えば電子政府でありますとか、あるいは電子コマースでありますとか、そういったものがわっと生まれてきていたと。ちょっと、日本は平泳ぎの練習をしているときに外国の方はバタフライを研究しておったというような違いが出たんじゃないかという気がいたします。
  155. 福本潤一

    福本潤一君 今言われたような流れと同時に、十年前にもCアンドCといいまして、コンピューター・アンド・コミュニケーションということでコンピューターを単独で扱わずにネットで使おうという発想はありましたし、日本は割と早い段階でパソコン通信というのは推進されておりましたし、そういう意味ではネットワークという意識はかなり強烈にあったと思うんですね。  私の質問以外のところでお答えになった、社会のシステムがヒエラルキーになっている。ヒエラルキーになっているがゆえに、それがぺしゃんこになって、一つの新しい組織構造になるということも現実にございましたけれども。ネットワークを使っているときに私も感じたのは、縦社会を横社会に変えるという形の動きは確実に起こるだろうなというふうな思いがむしろありました。ですから、大学教授と相手は小学生みたいな形の人間のネットワークができたり、さまざまな形で今までの社会のヒエラルキーを壊すような動きというのは兆しとしてはあったと思うんですね。  ですから、堺屋長官が早目に政界の中で大臣なんかになっておると、もっと早くIT社会推進が政治の世界でも起こっていたのかなというふうに思いますし、大学の世界でかなり進んでいたものが、五年前に私も政治家になりましたけれども、余りにも議員会館にも、ああ、これはLANもないという不思議さを感じて、むしろ推進するように議院運営委員会でもいたしましたけれども、これは一つの新しいきっかけ、兆しみたいなものを強力に推進する動きがないといつまでたってもこれは進まないだろうというときに、この基本政策基本法ができたというのは、私は大いなる前進だと思います。  その法律の中で、今後進めていく中に、官と民の役割、NTTの関係する立場の御質問もかなりあったようでございますけれども、どういう形で位置づけて推進していかれようとしているか。これが一番、政治が大いに二〇〇五年に向けて強力に推進していこうというところでは大きいと思いますので、その立場の役割、どういうふうに法律で規制し、また推進母体としてはしようとしているのか、これを大局的なところをお伺いさせていただければと思います。
  156. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT革命の推進に当たっては、民間による自由かつ創造的な取り組みが基本的に重要であり、政府役割民間の知恵と活力を最大限に引き出すための環境整備を行うことにあるという考え方が、この基本法のもとでございます。  また、七条においては、国及び地方自治体と民間役割の分担について理念の規定をしておりまして、「国及び地方公共団体は、公正な競争の促進、規制の見直し等高度情報通信ネットワーク社会形成を阻害する要因の解消その他の民間活力が十分に発揮されるための環境整備等中心とした施策を行う」、こういうことを書いているんですが、要するに主体は民間だ、そして民間競争が公正にいくようにその基盤づくりを、条件づくりをやるんだ。いわば自動車を走らせるのは民間だ、交通信号は官がやるんだ、こういう発想なんです。  ただ、その中で官がやらなきゃいけないことがまたそれ以外にも幾つかございます。例えば高度な技術開発、あるいは公共施設に対する光ファイバーその他の導入、それからデジタルデバイドの解消、そういったことは国が大いにやりまして、このITが公平かつ自由に、そして安価に普及するようにやっていく、こういう精神でこの法律はつくられております。
  157. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では、新しい世の中の仕組み、システムを変えていこうという法案ですので、ちょうど我々が取り組んだ循環型社会形成推進基本法というものと若干アナロジー、同じようなところがありますのでお伺いしたいんです。  あのとき容器包装リサイクル法、また家電リサイクル法が先行して行われた。廃棄物処理法も先行していっていた。その中で、基本法に基づいて五個の個別法をつくっていったわけですね。これは縦割りの省庁で、食品リサイクルとか建築関係のリサイクル等々も進めていったわけですけれども、今回、この基本法を進めていって、一つ国家戦略という意味では、電気通信事業法等とかいろいろあるようでございますが、改正も含めて、さらにこの次には法律の改正も出てくるんだろうと思いますので、その新しい改正の動きというものはどういうものを考えておられるか。  基本法が通っていない段階で聞かせていただくというのも、一つ戦略意味では私ども国民によく理解できる仕組みとしてはいいのではないかと思いますので、あればお教えいただければと思います。
  158. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) たくさん必要な法律がございます。  例えば今既にやっておりますのでは不正アクセス防止法、これが平成十一年八月に公布されまして、ことしの七月から施行されておりますし、それから電子署名と認証、印鑑のかわりになるものでございますが、これがことし成立いたしまして、来年の四月から施行いたします。  それから、書面一括法というんですが、要するに書面を交付しなきゃいかぬと法律で決まっているものを、五十ぐらいだったと思いますが、法律でやめることに、交付しなくてもいいということにします。これをしないことには、ITを使った値打ちというか、効率がないということで、五十カ所ぐらい法律を変えます。そういうのを今国会、今やっているところです。  それから次に用意されているのでは、やはり個人情報の保護という問題、これも大きな問題でございまして、個人情報保護に関する基本法というのがございます。それから、商取引に関係いたしまして新たなルールをつくるとか、そういうような商取引関係整備、これも次の国会でお願いしております。  さらに、これは商法の改正が間に合わないのでこれだけ特別にやるようでございますけれども、株主総会の招集通知あるいは議決権行使などの商法関係の改正、この部分だけ先にやらせてもらうというようなことがございます。  そのほか、行政関係でも、これは法律事項ではないのが多いんですが、規則とか省令とか布告とかいうようなものでかなりいろんなところを変えていかなきゃいけないだろうと思っております。
  159. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では大きなシステムの体系になっていくんだろうと思います。その中で、これは、それがそうであるがゆえにでしょうけれども、成立後に基本計画、重点計画等々をつくられていく。これは基本計画をまず大きく打ち出した上でつくっていくということでやむを得ない面もあると思います。と同時に、これがどうなるかということによってこの基本法が現実にどれだけ深く根づくかというところにかかわってくるだろうと思いますので、この基本計画、重点計画を、中身をすべてというわけにはいきませんし、先ほどの個別法、さまざまな形で審議、議論の中に入ってくるとは思いますけれども、この計画をつくる主体、先ほど若干事務方の話もありました、民間の人がどの程度ここに参画、参与して、その主体、まあ閣議の方はありますけれども、でき得るのかという、その推進計画をつくる主体、これをお教えいただければと思います。
  160. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 本部そのものは本部長総理大臣をいただいて、全閣僚が本部員になる。そのほかに民間の有識者を加えることになっておりますが、この数はどれぐらいになるのかまだ決定しておりません。  それから、事務局の方は、先ほどちょっと説明させていただきましたけれども、専任の人が三十九人でございますが、そこにも民間からの出向者も来ていただいております。これは将来かなり民間の方の御協力がふえてくるんじゃないかという気がしております。  したがって、本部自体の本部員にも民間が入り、事務局にも民間が入るという形になろうかと思います。
  161. 福本潤一

    福本潤一君 これは国家的事業という形で考えますと、あの当時、十年前ぐらいからかなり通信というものを日本社会で先進的にやっている人、関係しておられるときには極めて熱心な方々がたくさんおられたわけですね。そういう意味で、一つの新しい時代を先取りするような形での計画という形になりますと民間の方も大いにこれは入れていただいて、特に草創のときはハードの面で先進的な取り組みをしておる方が多かったわけですけれども、今はむしろ文科系またはソフトの面でやっておられる方がこの計画づくりに参画される必要が大いにある局面になってきたというふうに思いますので、検討も含めてお願いしたいと思います。  と同時に、先ほどからさまざまな質問がありましたけれども、デジタルディバイドということで、その対策をさまざまやっていこうということがございました。所得、年齢、地域、障害等々の有無にかかわらず、その条件によって差別されないような形で進めていく必要があるということで、公明党も全国五百五十万人が講習を受けられるようなシステムでもしないと進みませんよということを提案したことがございます。  これは、昔と違って、極めてコンピューターパソコン自体簡単になっていますよね。もう小学生でも本当に気楽に使えますし、習うよりなれろという時代になっていますので、少しきっかけさえありさえすればどの人でもすぐもう水が高きより低きに流れるごとく身につけていかれるものだと思いますし、また障害のある人とかお年寄りにとってむしろ便利な面がございますので、こういう格差をなくするための方策、私ども提案させていただいていますけれども、長官の方でお考えありましたら、それをお伺わせいただければと思います。
  162. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ITというのはこれから新しい時代の読み書きのような本当に必需品になる、これを職業として使うだけではなくして、生活者として重要になってくると思いますので、できるだけ全国民、この法案にも「すべての国民」ということを強調しておりますけれども、すべての人にお使いいただけるようなものにしなきゃいけない。そうなりますと、やはり操作が簡単だということも非常に重要です。  五百五十万人の人にこのたび予算をとりまして講習することになります。これがさらにその人たちから次に広がる、あるいはこの間に学校等で習っていただく方も含めまして、恐らく十三年度の末には五千万人ぐらいの人がITができるようになってくるんじゃないかと思っております。  同時に、簡単な器具というのも必要でございまして、やはり一定の年齢以上の方はキーボードに対する嫌悪感がございます。それで、テレビのリモコンでございますとどなたもやっておられますので、一からゼロまでの数値で動かせるようなもの、あるいは「あいうえお」のタッチ盤、最近、今開催しておりますラスベガスの大展覧会ではやはり大学ノートぐらいで手書きを入れるようなものも世界じゅうからたくさん出ておるようでございますが、そういった各種の使いやすい器具の開発ということも重要だと思います。さらに、体にハンディのある方のためにいろんな器具もつくっていかなきゃいけない。  あらゆる面でデジタルディバイドを早期に解消したいと思っておりますが、もちろん生活者としてのレベルでは全員に使えるように、そして、仕事で使うという人はさらに高度なものがありますから、それは労働省その他で教えていただく、そういう二段構えの施策を今度の新発展政策ではとらせていただいております。
  163. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では、五千万人の方がということになりますと、一億三千万のうちの五千万人ということで、成人、ある程度赤ん坊を除くとかなりの人がほとんど使えるという形のシステムをつくろうとされているということがよくわかります。  それに向けての講習、五百五十万人の予算規模はどの程度になるのかということと、これは官の方の対応も含めて対応されるわけですけれども、もう一つ、通信料金を安くというのもかなり我が党は推進してまいりました。  全国で署名をしたところ、千三百五十万人が通信料金を安くしていく必要があると。「速く、安く、早く」と。「はやく」を二つ使って進めた運動体としてやったことがありますけれども、「速く」は三メガbps、「安く」は月額三千円でおさまるぐらい、「早く」というのは三年後にはそれぐらいの料金にという、この十一月四日に公明党党大会をやったときの基本政策でも打ち出させていただいて、まさにIT立国を推進する必要があると。E—ヨーロッパとかそういう構想に負けず、E—ジャパン構想を進めていきたいというふうに思っておりますので、先ほどの予算規模とこの千三百五十万人がぜひとも安くと。  というのは、当初スタートした段階、パソコン通信のときに、一人一人が高額の料金を払っては今の電話回線のままで使って、時には一月八万円とか十万円とかそういうのをかけながら今の時代ができ上がってきておるわけでございますので、これは大いに進めていただく必要があるというふうに思いますので、その点についてもお伺わせいただければと思います。
  164. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この五百五十万人の人々に対する予算といたしましては、五百四十五億円でしょうか、大体それぐらいの予算を用意しております。そのほかに百五十万人、これは労働省さんの方で職業として使える程度の高度の研修をする、これが二百十八億でございましたか、そのぐらい用意させていただいております。  次に、料金の問題でございますが、通信料金の引き下げにより経済産業システムのグローバル化を進めていく上で大変重要な問題でございまして、この基本法にも、「広く国民が低廉な料金で利用することができる世界最高水準高度情報通信ネットワーク形成を促進する」と、この中に低廉な料金でというのを目的の中に示しております。先生のおっしゃるように三千円になるかどうかちょっと保証いたしかねますし、三メガ三千円というのはかなりまだ開きがあるように思いますけれども、可能な限りこれは使いっ放しというかつなぎっ放しで使えるような状況にしたい。これは今定量制、時間制でございますので、学校なんかでも百時間を超えると値段が上がるというので先生が二重にかぎをかけたりしているそうでございますけれども、なるべくそういうつなぎっ放しで使えるようなものをつくって、料金の引き下げも、全国民に所得格差にかかわらず使っていただくためには重要な仕事だと思っております。
  165. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では前向きに取り組んでいただけるということでございます。  通信網というものが、日本ではNTT電話回線網、もう日本じゅうくまなく普及しておった段階から、むしろ例えば中国等々は大陸ですから、あそこに光ケーブル網をやると大変な料金がかかる。ただ、おくれていたところの方が逆に追い越して前に進むということがこの通信網に関してはあるわけですね。衛星中継でやれば、今まで全然なかったところは先にそれを取り入れますから、旧来のものがあってそれに固執し過ぎるとまた固執するがゆえにおくれる。ラジオとかテレビとか通信テレビやなんかございますけれども、ラジオがなかったところは、今の段階で例えばアフリカ等々でそういう味わっていないところへ行くときはもう最先端高速デジタルテレビ、それで回線も通信網を使ってやるというような形で進むわけですね。  ですから、おくれておろうと、それを前進して逆にもっと前に進めるということも可能だと思いますので、その点、民と官、もともとは電電公社でございましたけれども、NTTを含めて規制緩和、また後で質問させていただきますけれども、進めていただくところは進めていただくというふうに考えております。また、通信料金に関しても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  デジタルディバイド対策に文部省も取り組んでいく、学校にもさまざまこれから普及していくんだろうと思います。ですので、具体的にどれだけの件数をいつまでに学校教育で進めていくか、これを文部省の方から具体的な話としてお伺いさせていただければと思います。
  166. 御手洗康

    政府参考人御手洗康君) 学校教育におきまして、ハード面の整備でございますけれども、これにつきましては、平成十三年度までにすべての公立の小中高等学校インターネットに接続できるようにする。さらには、平成十七年度を目標に、すべての教室からインターネットにアクセスすることができ、すべての授業でインターネットを活用できるような体制をつくりたいと。こういう観点から、コンピューター整備並びに校内LANの整備につきましても本年度から新たな整備計画を推進しているところでございます。  現在、一台当たり児童生徒十三人という水準でございまして、これは大体イギリス、フランス並みでございますが、二〇〇五年、平成十七年度までには一台当たり五・四人ということで、アメリカの現在の六人、カナダの七人、これに追いつきたいということで計画的に整備をいたしております。  また、指導者の養成でございますけれども、これも当面、平成十三年度までに九十万人のすべての公立学校教員がコンピューターを操作でき、それから、このうち半数は各教科等の授業の中で指導が、インターネットも含めましてコンピューターで授業が指導できるということを目標にいたしまして、各都道府県と協力して体系的な研修を実施いたしているところでございますが、平成十二年三月末現在では、六六%の教員がコンピューターで教材づくり等ができる、そのうちの半分の三二%は各教科等の授業でコンピューターインターネットを使って授業が展開できるということにしてあるところでございます。  また、文部省といたしまして、このために五千人の各都道府県でのこういった研修会のリーダーになる方々を直接研修いたしておりますけれども、各都道府県におきましてはまたこの方々を使いまして、平成十三年度までに四万人の校内リーダーを養成する計画を立て、この校内リーダーが中心となりまして各校内で研修を実施するということで教員の指導力の向上に努めているところでございまして、この教員の研修に当たりましては、民間の企業等の情報処理技術者あるいは緊急雇用対策におきます民間方々の御援助、あるいは特別非常勤講師というような形で文部省独自の補助金等も使いまして、子供たちの指導とあわせましてこういった教員の研修の講師等々としても利用しているところでございまして、今後とも着実に進めてまいりたいと考えております。
  167. 福本潤一

    福本潤一君 五・四人に一台、アメリカの六人に一台を凌駕するということでございます。と同時に、アメリカもさらに推進していくでございましょうし、今後、教員の側の方がなかなか大変な状況が起こりかねないわけでございます。分野によってはともに学ぶというぐらいの形で進んでもこれはいい分野ではないかと私の方は思いますし、別に、そこまでやっているのというので、教師の方も一緒に仲間に入って学んでいくという姿勢があったときにこれは進むかなという気がしておりますので、その点も含めて情報教育という面でも進めていっていただければと思います。  ホームページのときに、我々は昔農業情報ネットワーク大会というのを、毎年のように全国大会をやって、私も実行委員長をやったりして進めていったことがございますけれども、情報ネットワークというのは、上に分野をつけるとすべての分野が進むという段階に今入っていますし、教育をつければ教育情報ネットワーク環境をつければ環境情報ネットワーク、福祉をつければ福祉情報ネットワークというので、手段ですから、手段に対応して目的がすべて生きていくというのが今回一つIT社会をつくるときの姿になっていくだろうと思いますので、これは頼もしい長官がついていただいておりますので、ぜひとも強力に推進していただければと思います。  と同時に、光の部分ばかり申し上げてまいりましたけれども、かなり影の部分というのも生まれてくると思います。雇用問題、熱心に先ほど討議していただきましたので、むしろこれは情報セキュリティーの方の問題、これからいろいろなことで問題が起こってくると思います。こういうIT社会になっていない段階でも、銀行のホームバンキング、ファームバンキングというような段階から、ゼロが一個ふえると一千万が一億に変わるぐらいの形のシステムのところにいかに侵入するか、潜入するかというのが今度は経済問題として発展しかねないことまで起こり得るわけでございますので、情報のセキュリティーに関してひとつ聞かせていただきたいと思います。  というのは、個別案件、一般論としてはさまざまお伺いできるんですけれども、インターネット社会、これは日本単一の、国内だけの問題ではございませんで、国際的な問題になる。文教・科学の方で今著作権の問題、今回のIT社会化に応じてさまざま議論、審議しておりますけれども、電子出版とか、今度は音楽を放送として具体的にやると。そうすると、放送番組の中で音楽業界を、さまざまな形でレコード会社とか圧迫をしかねないような状況が現実に起こっているというので、私も一回陳情を受けたことがございますけれども、日本国内で放送する、そうするとそれは放送なんだけれどもデジタル化した形で聞いた人たちは録音して、なおかつそれが日本国内でおさまればいいんですけれども、例えば海外に行って海外の一つの海賊版に近い形でやっている。ただ、それが現実に逆輸入されて日本で出版するよりもっと安い値段で買えるというような具体的な問題で困っておられる業界がございます。  こういう通信と放送、この境界の問題が、ここの委員会でもそのことが議論されているのかもわかりませんけれども、安全性の面と同時に今後の音楽著作権をどういうふうに運用していくかという問題として出てくるだろうと思われますので、その点に関してどういうふうな対処また善後策があり得るかということを含めてお伺いさせていただければと思います。
  168. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 政府といたしまして、安全で信頼できるネットワーク社会の基盤をつくるため、情報セキュリティー対策を推進しているところでございますが、情報通信技術戦略本部に有識者から成る情報セキュリティ部会及び全省庁から成る情報セキュリティ対策推進会議を設けているほか、これらの取りまとめ機関として内閣官房に情報セキュリティ対策推進室を設け、官民一体となってセキュリティーに当たっています。  以上は公式的な文書でございますけれども、実際セキュリティーの問題というのは大きな問題でございまして、なかなか技術者も不足しております。それに世界じゅうからやってくるものですからなかなか相手が手ごわい。どんなことをやるかわからない。守る方はいろんなことを想定して守るんですけれども、突破する方は一点突破で来るものですからしばしば破られており、去年もことしもそういう例がございました。  それで、沖縄でもG8でもこの問題は取り上げることになっておりました。国内的には今申したような体制でございますけれども、国際協調のもとに大きなテロあるいはハッカーなんかがないようにやっていきたいと思っています。
  169. 福本潤一

    福本潤一君 こういう問題、先ほど言われた個別法の中で、個人情報保護また商取引ルール等々今後さらに進めていく形になるんだろうと思います。これは、電気通信事業法等々で第一種、第二種というような問題、さらにはNTTまたそれ以外の通信事業者の問題等々も含めて、今後IT社会にふさわしい形の個別法、ルールづくりを進めていっていただければということを要望させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  170. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本です。  我が党は、衆議院で本法案に反対をいたしましたけれども、IT基本法をつくること自体に反対をしているわけではございません。ましてや、IT化への対応に基本戦略がなくてよいと考えているわけではございません。IT技術の発展を民主主義の発展の中に位置づけて、これを本当に余さずすべての国民のために役立てるという立場からの総合的で腰を据えた対応が必要だと考えているわけであります。  ところが、今回政府が提出した本法案は、はっきり申し上げてIT推進戦略本部設置法とでも名づけた方がよいと私は思うんです。基本法にしては余りにもお粗末ではないかと。我が党は衆議院で修正案を出しましたけれども、これは我が党として、基本法というからには最低限必要な基本的な観点を示したものであります。参議院でも同じ趣旨の修正案を提出したいと考えております。  そこで、まず基本的な観点を議論したいと思うんです。いわゆるIT革命、これについて堺屋長官は衆議院の答弁で、文化、文明の変化というふうにも述べられておりますけれども、いわゆるIT革命というのはただ単に経済的、産業的な変化というだけにとどまらない本当に根本的な変化だということだと思うんです。そのことをまず確認したいと思います。
  171. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT革命、大きく言うと規格大量生産の時代から知への時代へこの何十年かの間に時代は歴史的な発展段階が変わっていくだろうと思うんです。  まず、このIT革命が推進しますと、もちろん生産面、流通面で効率が上がるということがございますけれども、それ以上に人間的なつながりが変わってくるんじゃないかと思います。もともとは地縁社会、血縁社会という中で生きてきた人間が、産業革命によりまして地縁、血縁が緩みまして、家族は核家族になり、住んでいるところと勤めているところが変わり、また勤め先の地域もどんどん移動する。その結果、昔は不名誉なことをする人がいれば、親類の恥さらしと言い村の恥と言ったんですけれども、最近では団地の恥なんていう言葉はなくなりまして、専ら職場に御迷惑をかけましたというような時代になって、職縁社会になってくる。  これがさらに流動化しグローバル化し自由化することによって、職場のえにしというのが永続的でなくなってくる。そういうときに、このIT社会というのは情報を通じてお互いが知り合う、それによって助け合い、また語り合い、悩みをともにする者が結束をして生きていくというような社会が、それだけではありませんが、そういうものも生まれてくるだろう。そういう意味で、全体的な人間社会の構造が変わってくるだろう、そんなことを考えております。
  172. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そのとおりだと思うんですね。  そもそも情報技術の進歩と民主主義の発展は密接なかかわりを持ってまいりました。ルネサンスでの印刷技術の発展がフランス革命に代表されるその後の民主主義の形成に大きな力となった、こういう歴史もございます。新聞や放送などの情報技術開発普及国民情報入手と発信の手段を広げた、そして言論による民主主義の前進に大きく寄与してきた、これも歴史の事実であります。だからこそ、急速に発展している新しいITという技術をどう民主主義に実らせるのか、民主主義の実現に役立てるのかということが問われていると思うんです。  ここをこの間こだわって私たちは質問してきたわけですけれども、そういう観点の上に立ってまず確認をいただきたいと思うんですが、総理所信表明演説の中で日本型IT社会実現のために早急にIT国家戦略を取りまとめる、こう述べておられます。  第五回IT戦略会議IT戦略本部合同会議では基本戦略草案というものが出されております。これが総理がおっしゃる国家戦略の草案、たたき台、原案と、こう理解してよろしいですか。
  173. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員御指摘のとおり、第五回IT戦略会議IT戦略本部合同会議で提出されました基本戦略草案は、総理所信表明演説で述べられましたIT国家戦略の草案に該当するものだと思っております。もちろんそのままではございません。まだ草案でございますが、このIT国家戦略IT革命を進める上での基本的な視点を明確にするとともに、将来の目標を具体的に描くためのものでございまして、現在、年内中に策定することを目標といたしましてIT戦略会議において精力的に検討していただいております。  このIT国家戦略を踏まえて、本法案によって設けられております高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において、政府が迅速かつ重点的に実施する具体的な施策を定める重点計画を策定していきたいと思っております。
  174. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 冒頭、長官は、IT革命は経済産業政策にとどまらないというふうに述べられました。衆議院の議論でも、三条があります、五条があります、あるいは八条がありますと、こういう議論でやってきたわけですよ。ところが、IT基本戦略草案を見ると、私は全然違う方向を向いているのではないかと非常に危惧をしているわけです。  この草案の「基本理念」の二番目です、ここで「各国のIT革命への取り組みと日本の遅れ」というふうになっていて、こう書いてあります。「変化の速度が極めて速い中で、現在の遅れが将来取り返しのつかない競争力格差を生み出すことにつながることを我々は認識する必要がある。」と。政府がおくれということをおっしゃるわけですけれども、つまり、声高に対応のおくれと言っている意味は、取り返しのつかない競争力格差ということでいいんですか。
  175. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この競争力というのは、経済あるいは貿易競争力ということだけではなしに、人間と全体としての力というような意味で後にも出てまいります。  それで、ここで書いておりますのは、「人と人との関係、人と組織との関係、人と社会との関係を一変させる。」というように書きまして、そしてその末に競争力の問題という発想をしておりまして、競争力というのはまさに最先端の接触面であらわれるんですけれども、その差はその根底にある社会、人間、科学、構造全体がおくれているから出てくるんですね。これは産業革命、ここで例を引いておりますけれども、産業革命のときに競争力に格差ができたというのは、単に物をつくるのがうまかったとか鉄砲を撃つのがうまかったとかいうことだけじゃなしに、やはり近代科学というものが根底にあった、そういう意味でここには書いてあります。
  176. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 なかなか苦しい御答弁だと思うんです。  これは、はっきり申し上げて、衆議院の答弁で堺屋大臣戦略会議出井議長の危機感について、出井さんがこのままでは日本情報通信が外国に大幅におくれるという危機感を持たれたのは不思議ではない、私も同じような危機感を持っておりまして、それでこういう政策をつくらねばならないと考えたと、こう述べておりますし、それから経済企画庁、堺屋大臣の役所がまとめた「日本新生のための新発展政策」ですね、これは一層露骨といいますかはっきり書いてありまして、我が国が、二十一世紀においても、世界経済の主要プレーヤーとして、人類の繁栄と平和に貢献するためにはIT革命を先取りしなければならないと。つまり、世界経済の主要プレーヤーとして二十一世紀に我が国がそういう立場を確保するためのIT革命、こういう議論になってしまっているんじゃないですか、はっきり言って。
  177. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) もちろん経済企画庁でございますから経済的側面から書くのは当然でございますけれども、やはり経済の主要なプレーヤーでいるためには文化的にも社会的にも一流の国でなければ、経済だけが突出するというわけにはなかなかまいりません。そういう意味で、経済企画庁の立場として言いますとそういう表現になると思います。
  178. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 しかし、経済的な競争力の確保ということに続けて、この戦略会議のつくった「基本戦略(草案)」が述べていることというのは恐るべきことだと私は受けとめました。こう言っているんですよ。二ページです。「しかしながら、革命の常として、工業社会から知識創発社会への変化は不連続であり、その過程では将来の繁栄を実現するために耐えなければならない痛みも覚悟しなければならない。」。我々国民一人一人は、「社会構造の大変革を自ら素早く実行することが求められている」と。  私どもは痛みが革命につきものなどとは考えませんけれども、いわゆるIT革命をめぐって国民一人一人に痛みを覚悟せよという議論は私は初めて聞いたんです。大臣、この痛みというのは一体何なのですか。それから国民は何を覚悟しなければならないんですか。
  179. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 革命、ロシア革命でも文化革命でも大分痛みはあったというようなことはございましたけれども、ここで言っているのは、やはり産業構造が変わる、あるいは就業構造が変わる、生活態度が変わる、それから人間のつき合いが変わると。そうしますと、やはりある人々、一人一人の方は後でございますから、ある人々にとっては職場を変わらなきゃいけない、あるいはふなれなITを習わなきゃいけない、そういうような痛みは必ず伴うと思うんです。  構造変化というのはどこかにそういう乗り越えなきゃいけない垣根がある。それに対して、乗り越えられる人には教育をし、技能をつけ、やっていただく。そして、やはりそれができない人というのは出てまいりますから、これに対してはセーフティーネットを引いていく。そういう仕掛けをして世の中の変化を円滑にしていくことが大事だと。  一人として痛みを伴わないで世の中が進歩すればそれにこしたことはないんですけれども、現実問題としてはやはり職場を変わる人、所得の下がる人、ふなれなことを強いられる人、最後には新しい職場に入りかねる人というのは大なり小なり出てくる。これをできるだけ少なくして、そして人権と尊厳は完全に守られるような安全ネットをつけていく。これがやっぱり基本だと考えております。
  180. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 最後にはセーフティーネットとおっしゃるんですけれども、この草案は一見して、そんなところに目的意識はないんですよ。「目標」と書いて、確かに目標の中には社会参加等々出てまいります。  しかし、四ページ、「四つの重点政策分野」というのが掲げられているんですよ。いろいろ掲げるけれども、結局四つのことを重点的に進めるんだと。一つ、「超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策」。二つ、「電子商取引と新たな環境整備」。三つ、「電子政府の実現」。四つ、「人材育成の強化」。  セーフティーネットとかデジタルディバイドの解消とかという精神はここに出てこないじゃないですか。いかがですか。
  181. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) それは、法律の方にデジタルディバイドの解消、それから安全なネットワークということはきちんと出ておりまして、すべての国民にあまねく恵沢を及ぼすと明記しております。  ここはいわば重点分野、アクションプログラムでございまして、こういうことを重点的にやっていくんだということでこの四つの分野を挙げておるわけでございます。ここに挙げていないから全然考えていないんじゃなしに、ちゃんと法律にそれは書いてございますので、御安心ください。
  182. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ではお伺いしますけれども、デジタルディバイドの解消とか格差の解消は国家的な戦略じゃないんですか。おかしいじゃないですか。
  183. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) なかなか上手におっしゃるのですぐ引っかかるから。  「目標」とございますね。この目標の中に、「第一に、すべての国民ITリテラシーを備え、地理的、身体的、経済的制約にとらわれず、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を送ることができる。」と。これが目標なんです。そういう目標で、そしてだんだんとアクションプログラム的に絞ってきたのが重点計画。  だから、段階的に見ますと、法律があって目標があって重点政策分野と、こうなっておるわけでございます。
  184. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、そこなんですよ。法案だってそうじゃないですか。理念の真っ先に、第三条、すべての国民があまねく享受でしょう。なるほど順位は高いんですよ、法案も。この目標も、おっしゃるとおり一番に掲げているんですよ。  ところが、法案も、迅速かつ重点的に取り組む、つまり推進戦略本部を置き、重点計画を置いてやっていく。基本方針になってくるとそういう理念というものは出てこないんです。最後の基本方針のところには出てこないんですよ。この国家戦略なるものも一番には掲げてくれるんですけれども、重点政策分野になると出てこないんです。  つまり、看板だけはあるんですよ。しかし、実際にやる具体論になってくると抜け落ちる。だから、国家戦略に欠けているんじゃないですかということを言っているわけですよ、いかがですか。
  185. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 第八条に、情報格差の是正は、十五条以下に規定されている施策基本方針のそれぞれにおいて横断的に推進されるべきものとして基本理念として盛り込まれているわけです。  つまり、重点政策あるいはその基本方針がございますけれども、すべてにこの第八条にございます情報格差の是正ということが入っている、その上でこう書かれておる、そういう仕掛けでございまして、いかなる場合にもこの情報格差の是正ということが大前提になっているという仕掛けでございます。
  186. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 やっぱりこの精神というものは戦略にもあるいは具体的な重点計画にも反映するんですね。  それで、例えばこの戦略草案あるでしょう、人材育成と出てくるんですよ。なるほど、人材育成の中で私もここだけは目についたんですが、十ページ、「学生、一般市民、障害者のすべてについて、情報リテラシーの向上を図る。」と、こうなっているんですね。障害者と出てくるんですよ。  ところが、この目標は「基本考え方」というのが頭についているでしょう。これを読むとどう言っているか。「IT革命が進展する中で日本産業競争力の強化と国民生活の利便性の向上を実現し、世界で確固たる地位を確立するには、人材という基盤が強固でなくてはならない。」と、これが長官のおっしゃったような人材論なんですよ。  競争力というのは、競争力だけじゃなくて、人材、能力も入っているというような意味なんですよ。しかし、あくまで日本世界で確固たる地位を確立するためには、日本の労働者にあるいは日本国民にこういうものを使いこなし、それを使って労働する能力がなくてはならないという発想なんですよ。  つまり、日本のためにそういうリテラシーを育成するという話であって、障害者が本来持っているアクセス権を保障するためにその人の権利を守っていくという観点になっていないんですね。だから、私は、こういう立場で進めると、全部に入っていると言うんですよ、確かに、精神は入っていると言うんだけれども、結局、国民の立場に立った推進にならないんじゃないかと。  一つだけ聞きたいんですけれども、重点計画が最終的に決められるんですね。重点計画は国会承認事項になっていますか。
  187. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 重点計画は政府が定めまして、国会承認事項にはなっておりません。これは、各基本法を見ましても、国会承認になっているのは四つぐらいございますけれども、ほとんどなっていない方が多うございますから、別に変わったことでもございません。  国会承認になっているのは一つもありません。国会報告になっているのが四点だけございます。それは、ものづくり基本法とか食料・農業・農村基本法とか循環型社会とかいうようなものでございまして、国会承認になっているのは今のところ全くございません。したがって、別に変わったことではございません。  それから、今おっしゃった話も、「IT革命が進展する中で日本産業競争力の強化」と、もう一つ国民生活の利便性」、この国民という中にはすべての国民を含んでおりますから、「国民生活の利便性の向上を実現し、」と、これがまずあって、そして「世界で確固たる地位」を占めると。国民が格差なく利便な生活をするということが前提で初めて世界に確固たる地位が確立できるのでございまして、やはり国民の中で貧しい人がたくさんいて偉い人がちょっとだけというのでは、我々の考え方としては世界に確固たる地位を占めることにならないと思っております。
  188. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それじゃ、改めてそういった問題にも踏み込んで議論したいと思うんです。  この草案はこう述べております。「産業革命に対する各国の対応が、その後の国家経済の繁栄を左右したが、同様のことがIT革命においてもいえる。即ち、知識創発のための環境整備をいかに行うかが、二十一世紀の世界の比較優位構造を決定付けることになる。」、こう述べているわけです。比較優位構造という言葉が出てまいります。そして、米国、欧州、アジアの国々がIT基盤の構築を集中的に進めようとしているのはそのためなんだと。それに対して我が国の取り組みは大きな遅れをとっていると。  これは大臣、同じ認識ですか。
  189. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員のおっしゃることを先取りするようでございますが、この比較優位構造というのは、しばしば経済学の競争力における比較優位というふうに言われておりますけれども、これは必ずしも経済力だけではございません。そういう意味で、世界から尊敬される国家というような意味での比較優位ということを決定づけると。これは恐らくアメリカも欧州もアジアの国々も、単に経済的あるいは軍事的優位だけではなくして、世界から尊敬されるような優位という意味でやっているんだろうと考えております。  我々も、やはり世界に対して、経済の点だけではなしに、文化的にも道徳的にも優位として尊敬される国でありたいと思っています。
  190. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 せっかく郵政省に来ていただいていますので、二〇〇〇年の通信白書の十三ページ、「世界インターネット利用人口」が掲載されております。図表二に掲げてある「地域別割合」をパーセントで報告してください。
  191. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  世界インターネットの利用人口でございます。通信白書に紹介しておりますが、地域別に申しますと、全世界的に二億七千五百万人超でございますけれども、地域別にパーセンテージで申しますと、米国・カナダが四九・四%、ヨーロッパが二六・一%、アジア・太平洋が一九・九%、南アメリカが三・二%、アフリカが〇・九%、中東が〇・五%、こういう状況と把握しています。
  192. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 圧倒的にアメリカが多いわけですね。それから、ヨーロッパ、東アジアと。逆に言うと、それ以外の地域でははるかに低い普及率。アフリカ、中東というのはもうほぼゼロなんですよ。  日本の十三位というのが世界第二位の経済大国と言われることに照らして低いかどうかという議論はあると思うんですけれども、世界的なデジタルディバイドの原因、これははっきりしていると思うんです。つまり、経済的にこれらの国々が貧しい。現に世界には飢餓に瀕している国々が多数あります。そうした人々にとっては、高速ネットワークよりも電気や水の方がはるかに切実な問題にその国々にとってはなっているわけですね。  結局、私思うんですけれども、ことしの沖縄サミットではこの問題についてのIT憲章というものも出されていますね。国際的なデジタルディバイドというのは、これは解消すべきだということも言われているわけです。一方で、アメリカに追いつき追い越せという議論、世界最高水準IT化、世界並みじゃなくて世界最高水準、しかも追いついてこられた場合のことを考えて、追いついてこられたらさらにその先を行くと、こういう競争に乗り出して二十一世紀の日本の比較優位を確保しようというのでしょう。  デジタルディバイドは、世界的に解消すべきだとお考えなのか拡大すべきだとお考えなのか、いかがですか。
  193. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私も、時々国際会議がございまして、先般は東京でアジア太平洋地域の情報社会サミットというのを開催いたしましたが、そのときも各国の話を聞いておりますと、情報関係の人ばかりが集まっておったせいでございましょうが、このデジタルディバイドの解消ということを非常に強くおっしゃる方がたくさんございました。そして、これには技術供与といいますか、先進国から技術をもらいたいという意見、あるいは財政、経済的な援助をほしいという御意見、さまざまございましたけれども、やはりそういう開発途上国においてもデジタルディバイドをできるだけ解消して、国民の生活なり経済活動にプラスになるように努力をしたいという気持ちがありありと見えておりまして、先般の沖縄で森総理が宣言の中にもおっしゃっておりますし、また日本が五年間で百五十億ドルの支援をする用意があるということをおっしゃっておるというのは、そういう世界開発途上国その他、まだIT技術がおくれておるところが非常に追いつきたいという希望を持っておる、そのことを反映した我が国政府の態度であると、そのように御理解がいただければと思っております。
  194. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 だから、私は何も日本ITがおくれた方がいいという議論をするつもりはないんです。だから、比較優位とか普及のパーセンテージを競うということではなくて、やっぱりすべての国民があまねくアクセスできるようにその人権を保障する、こういうやっぱり我が国としての、我が国自身の足元を見据えた取り組みが大事だと思うからであります。  同時に、こういう議論をするのは、それは国内でも同じ問題だからです。つまり、堺屋長官もインターネット普及率は所得とかなり強い関係性があると衆議院でも答弁されておりますけれども、一つとっぴな質問のようですけれども、堺屋大臣は、例えば今のホームレスの方というのは本人が働く意思も意欲もある方でリストラなどによってさまざまな事情からそういう状況にあるという人もいらっしゃるわけですけれども、こういう方がインターネットにアクセスするには何が欠けているのかということを考えてみたことがおありですか、長官。
  195. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 実は大阪でインターネットを使っているホームレスがおりまして、カラオケもやっておりますんですが、携帯電話につないでやっているんです。  それで、どういうことをインターネットでお調べというかごらんになっているかということを見ますと、一番多いのはやっぱりチャットというおしゃべりなんです。だから、先ほども申しましたけれども、ああいう方々でも同じ趣味の方とつながって楽しみがある、ホームレスになられたのは気の毒でございますけれども、そういうところも、今そういう機械を自分で修理して、拾ってきて修理すればできるわけでございまして、かなり日本では普及しているという感じがして大変感激しております。
  196. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 拾ってきて修理するという話ですが、私、ここに読売新聞取材班が出した「覇権大国アメリカ」という本を持ってまいりました。この本の中のワシントン支局からのレポート、「サイバービジネス」というのを読んで非常に驚いたんです。  これは、ロサンゼルスの公共図書館には千台のパソコンがあり、だれもが無料で使うことができる。昨年の五月にホームレスのある男性が初めてパソコンに触れたというんです。七月ごろ一人の少年に声をかけられて、その少年からパソコンの基礎を教えられて、とうとう自分のホームページを開設した。そのホームページでパソコンやEコマースについての情報を流していると仲間のホームレスからいろいろ教えてほしいという話になって、五ドルの技術料でEメールの使い方を教えるようになった。そして、昨年末にはこの男性は結婚して、ラスベガスに移ってアパート暮らしを始めているという話なんです。  公立図書館でパソコン千台、無料で使える、いかがですか、大臣、こういうことこそ考えるべきじゃないですか。
  197. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 公立のところで公衆端末を広げまして無料にできるかどうかというのは、今の料金体系と、それから特定の人が占有するということがございまして、ある県では三十分ぐらいはできるところができているところもございます。そういう公衆端末を広げるとか、図書館とか市役所のロビーとかにこういうものを敷設するということも今回の中で各県がそれぞれ独自に考えていただきたいと申し上げておりまして、一部できているようでございます。  一番の問題は、特定の人がずっと使われるというのをどうやって皆さんに公平にというところが問題であるようでございますけれども、日本でも、少数でございますけれども、千台なんというものじゃございません、数台でございますけれども、そういう例はあるようです。
  198. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 だから、講習という策も持っておられるわけですけれども、先ほどもきっかけさえあればだれでも使えるようにどんどん改良もされてきていると、むしろそれはやっぱりパソコンに触れられないという現状があるわけですから、こういう貧しい方々にとって、大いにこういうことを進めることが大事だというふうに思っております。  もう一つ別の角度から、もう時間も迫っていますので、お伺いしたい。  東京新聞の十月十三日付に、「障害者置き去り 声なきIT」という見出しの記事が掲載されました。中央省庁や国会関係のホームページが視覚障害者のための音声変換ソフトに対応するものになっていない、そのため行政情報にアクセスしようとする視覚障害者にとってせっかくのホームページが使えないものになっている、こういう記事であります。  これは情報アクセスの公平という意味で民主主義の問題であると同時に、主権者として行政情報を知る権利という点で極めて重大な問題だと私は受けとめました。これは改善されておりますでしょうか。
  199. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 技術はどんどん開発を今やっておる最中でございます。音声を文字に変換するとか、文字を音声に変換するとか、その他非常に使いやすい、障害のある人のために簡単に使えるような技術を今どんどん開発している最中でございますので、いずれ普及段階にどんどん広がっていくと思います。
  200. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それは違うんです。もともと別に一般的にある音声変換のソフトになっていなかったという、いまだに大蔵省などはそれが不可能な、音声化できない方法でホームページがつくられていると、これは障害者団体の方から随分辛らつな御意見が出ております。そもそも役所がホームページをつくるときに、要はハンディを持った受け手がいることを考えてつくったかどうかが問われている、こういう声もあります。あるいは、官公庁のホームページもアクセスできたりできなかったり、つくり方がばらばらで国に一貫したポリシーがあるように見えないと、だから、戦略というけれども、こんなところで戦略がないじゃないかという声も東京新聞には紹介されておりました。  私、改めて各省庁に問い合わせてみました。そうしたら、こういう答えです。参議院は記事が出たらすぐその日の午前中にすべて改良した、これは参議院のホームページです。二つ目、経済企画庁、対応については検討中、省庁再編し、ホームページをつくるときに字幕変換ソフト対応にする計画、これは省庁再編時だということです。国土庁、今のところ改良の予定はない、あと二カ月もすると省庁再編なのでそのときに。労働省、十三年一月の厚生労働省ホームページ開設に当たり対応できるように作業を行う。自治省、特に改良するという話はない、政府が改良すると発表したと新聞には載っていたようだが、各省には話がおりてきていないようだ。こう述べておられる。もうばらばらなんです、これはまだ。  まだ、つい最近のことで対応におくれをとっているということかもしれませんけれども、そもそもIT戦略本部戦略会議というのは七月七日の閣議決定で置かれたわけですよ。しかも、それから四カ月、もう五回の会合を開いて随分さまざまな議論をやっていて、その一方でこういうことが見過ごされてきている、あなた方の役所の足元で。ここにやっぱりどっちを向いて議論をしているかということが如実にあらわれているんじゃないですか。  私はこういう点からも、こういう検討の場に障害者の方を入れないとだめだ、当事者の方が入ってそういうテーマ、そういうことについてしっかりとチェックができる。今度推進戦略本部というのをつくるわけですから、この人選について障害者の代表の参加などを御検討いただけますか。
  201. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今御指摘のあったことは大変重要なポイントでございまして、去る十一月六日のIT戦略会議において報告がございまして、来年一月六日でございますからもうすぐでございますので、それまでに各省とも検討をしたいと思っております。  各省のホームページを音声変換ソフトに対応したものとするとともに、各省庁から地方自治体や所管の特殊法人に対しても国に準じて音声変換ソフト、フリーソフトを入れようというようなことも考えております。  また、十月十九日の日本新生のための新発展政策において、高齢者や障害者が自由に使いこなせるIT機器、システム、サービスを開発、提供するとともに、IT製品の開発に資する高齢者のIT利用特性データベースの構築を考えることになっております。ちょっと宮本先生から言うとおくればせと言われるかもしれませんが、そういうようなことを考えております。  そして、人選でございますが、一般からより大勢の人から意見を聞くために、インターネットその他でソーシャルコメントを受け付ける。これは非常に大勢の人から御意見を伺いたい、そういう意味で特定の委員ではなしに、そういうソーシャルコメントを同時に広げていきたいと考えております。
  202. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この人選も国会承認じゃないわけですね。  つまり、私が言いたいのは、いろいろもちろんこの法律には基本理念その他書いてあります。しかし、具体的に何が出てきているかというと、重点計画のもとになる国家戦略は四つの重点政策分野という形で出てきているわけですよ。あるいは人選で見ても、これは今の時点では経済界の人が多いわけですよね。それはどうなるのかと聞いたら、まだ決まっていないので答えられないという答えが返ってくる。しかし、それなら国会承認にすべきですよ。  つまり、今ここで、そういうものを本部長が選んだり、あるいは推進戦略本部が決めることを国会が先に認める、あとは政府が人選もするし重点計画も書き込んでいく、これでは担保されないと思うんですよ。そういう点で、このままだと私は、国民あまねく享受できるなどという看板だけを掲げて、結局は、財界、大企業、家電業界などに推進戦略本部を丸ごと明け渡す、羊頭を掲げて狗肉を売るという結果になるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
  203. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党は、情報技術の活用と普及によって市民生活の利便性が向上してより豊かなものになっていくことを期待いたしております。  既にインターネットが新しい通信手段として普及をし、私たちの社会に不可欠の要素として組み込まれつつあります。いわゆるIT革命産業構造を一変させ、新しい経済社会を形づくる決定的な役割を果たす可能性を秘めています。それだけに、私たちが情報通信技術をどのように活用し、発展させ、整備をしていくのか、その戦略が極めて重要だと考えます。その意味からも、IT活用を戦略と定める基本法、いうところの高度情報通信ネットワーク社会形成基本法は重要な法律であると認識をいたしております。ですから、このような立場から幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず第一に、法理念の具体化と計画策定段階での国会審議についてでありますが、本法案では、高度情報通信ネットワーク社会形成重点的に推進するために、総理本部長とする高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置し、重点計画を作成することが定められております。しかし、基本法は基本理念を定めているのみで、具体的な施策についてはすべて重点計画にゆだねられているために、現状では基本法そのものの是非の判断をつけることがなかなか難しい。  このような抽象的な基本法の理念をどのように具体化していくのかお教えを願いたいし、また重点計画の内容があらかじめ示されないのであれば、計画策定の段階で改めて国会審議にゆだねるということをやはり義務づける必要があるのではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  204. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法案は、基本理念基本方針、推進体制、重点計画、そして定義と、こういう基本法としては非常にオーソドックスな形をとっております。したがいまして、基本理念基本方針をお認めいただきまして、そして総理大臣本部長とする体制によって重点計画を推進していくというのは他の基本法と同様でございますので、決して特別に変わったことをやっているわけではございません。十分基本理念基本方針を、法に基づきましてその計画は立てていきたいと思っております。
  205. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では次に、インフラコンテンツ、ハードより情報リテラシーの向上の問題でございますけれども、社民党は、ITの活用やインターネット普及が既存社会の上下関係や集団への帰属を超えた水平的な人間関係をつくり出す可能性を秘めており、自立的な個人が結び合う新しい型の組織、そうした個人を基礎とした民主主義社会を実現する推進力となるものとして注目をしてまいりました。その際重要なのは、やはり情報通信ネットワークから流れ出る情報の質を高めること、さらにその情報をすべての人が分け隔てなく活用できる条件整備することにあると考えております。  政府発想は、IT革命パソコン普及程度にしか認識していないのではないかという節もあります。また、高度情報通信ネットワーク社会も、高速通信網などインフラ整備のみに目が向いているのではないかと思われますし、本当に必要なのはやはりインフラによるコンテンツであり、ハードの進歩より市民の情報リテラシーの向上なのだと考えております。  IT革命光ファイバー網の構築などハード面に軸足を置いた公共事業発想の延長として考えるのではなくて、国民一人一人にまなざしを向けた暮らしの安心と安全の回復、そのための手段としてITの力を使うべきではないかと思っているわけですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  206. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 全く同感でございます。  私たちもIT普及については、光ファイバー普及などハードの面と、そしてみんなが使えるようにリテラシーを普及する、利用技術を教えるソフトの面と、そしてそれを使えば便利で楽しくなるコンテンツの面、この三本柱が成り立たなきゃならない、こう考えております。  そして現実にも、例えば今度の新発展政策におきましても、線を引くと同時に、講習会を開くあるいは労働省の教育をやっていただく、そういうことも進めておりますし、また、電子政府、商取引、そしてインターネット博覧会というようなコンテンツづくりもやって、その三つで全体としての国民生活を高めていきたい。  そして、同時にそのことが先生御指摘のように国民生活の安心と安全につながる、ここが大事なところだと思っておりまして、情報でつながっているから人々も寂しさもなく安心である、そしてまた安全な社会ができる、そういうことを目指してやっていきたい、まさに先生の御指摘と同感でございます。
  207. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この点については郵政大臣にも質問を通告しておりました。申しわけない。
  208. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 今、IT担当の経済企画庁長官からおっしゃったようなことで、郵政省も各方面で、各分野コンテンツの充実等のことにつきまして努力をいたしておるところでございます。  例えば、デジタル技術を活用したコンテンツ政策等に資するシステムの開発、それから、ちょっと変わったことでありますけれども、盗作やら剽窃やらを見抜くための電子透かしという著作権保護技術でございます。そのようなコンテンツ政策環境の高度化、流通の円滑化に資する技術開発、あるいは奨励策として、すぐれたコンテンツの制作者に対する表彰などさまざまな開発なり応援の措置をいたしておるところでございます。  情報リテラシーの向上につきましては、これは既にやっておりますけれども、郵便局の施設等を利用しまして地域の高齢者等を対象とする無料のパソコン教室を実施する、学校等におけるインターネットの教育利用を推進する情報通信技術開発などをやっておるところであります。  平成十三年度の予算におきましては、人材研修事業を実施する第三セクター等に対して助成金を交付する制度をつくろうということで要求をいたしております。今後さらに努力をいたす所存であります。
  209. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 失礼をいたしました。  今度は長官だけに質問させてもらいますが、雇用不安のセーフティーネットをつくるべきではないか。先ほども議論があっておりましたけれども、再度質問させていただきますが、基本法の第四条には、高度情報通信ネットワーク社会形成が新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらすものとしておりますし、確かにIT関連の業界では就業の機会が増大すると考えられます。  IT化は旧来のシステムを一変させて、IT関連以外の分野の就業を減少させる可能性が一方で大きいと考えられます。IT技術の導入で先行しているアメリカでは、IT分野の活況が好景気を支える裏で全産業にリストラが進み、とりわけ中間管理職の多くが失職の危機にさらされていると言われておりますし、全体としては雇用の流動化、不安定化によって、中間層といいましょうか、高年齢者層といいましょうか、そこのところが先細りをしているという状況があるようでございますので、ITによって富裕化する層と、それからはじき出される層に二極化していく、そういう可能性があるのではないかと思われます。  特に、雇用の面では十分なやはりセーフティーネットを用意しなければならないと考えますし、やはり職業選択を片一方できちっとできるような保障も考えていかなくてはならないのではないかというふうに思っているところですが、長官の見解はいかがでございましょうか。
  210. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先生御指摘のとおり、アメリカでもIT普及いたしました九〇年代の前半に中間管理職がどんどんと減った、そして減った人たちのほとんどは下の方へ行って所得格差が広がりジニ係数が拡大したというようなことが報告されておりまして、私もその関係の著作を「アメリカの没落」という名前で翻訳出版したことがございました。そのときは、なるほどこんなものかと思ったんですけれども、その後、ここ両三年、かなり雇用がふえてくるとともに賃金も上昇してまいりまして、その問題もやや解決しているようでございますけれども、やはり中間管理職が減るという現象は見られるようでございます。  日本の場合も同様のことが予想されますので、これに対しまして、まず第一は、できるだけその企業でITを教育して外へ出さないで使ってもらうように、これは日本の伝統といたしまして、アメリカほど技術が変わったから人を入れかえるというんじゃなしに、現にいる職員、社員を教育して使うという習慣がございますから、アメリカほど極端にはならないと思います。しかしそれは出ると思いますので、そういった人々を再教育して、雇用能力を高めまして再教育をしていくというようなことも必要だし、またそういう人々に合った、ミスマッチのないような情報を伝え合うということも必要だと思います。  あわせて、かなり経験のある人でございますと、創業支援というような、中小企業法を改正していただきまして、創業支援というようなことも考えていかなければならないだろうと。社内で教育していただくことと、それから社外で教育してアビリティーを高めることと、そして創業支援をしていくことと、そういったことでできるだけ大勢の人々に現在に劣らない職場、場合によっては現在以上にいい職場についていただきたいと思っています。  そして、それでもやはり落ちこぼれるといいますか、漏れる部分がございますので、セーフティーネットの保護はきちんとつくらなければならないだろうと思っております。
  211. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうかひとつ、そういう方々に対する不安のないような社会をつくり出すことこそがこういう技術革新に対する一方の安心を与えることになりますから、御努力をいただきたいと思います。  次に、両大臣にお伺いいたしますが、先ほども議論になっておりましたデジタルディバイドの解消の問題でありますが、既にインターネットへの接続環境のある者とない者による格差が目立ち始めておりますし、あわせて所得格差や家庭環境の差、それから教育格差がアクセス環境の格差と密接に結びついております。  IT革命の促進は、インターネットになじみやすい若い世代と高齢者、それからネット環境の整った富裕者と貧困者、それからネットを酷使して大きな所得を得る人とその利便性から阻害された人々など、社会の分化を進める危険性が実は指摘をされておりまして、IT革命社会的な格差や貧富の差を拡大する役割を果たすのであれば、単純にIT革命を称賛することは私はできないと思います。  十分な対策を前提にする必要があると思いますが、基本法の第三条には、すべての国民情報通信技術の恵沢を享受できる社会というふうにうたわれておりますが、デジタルディバイドの解消のための具体的な施策が極めて重要であると思いますが、見解をお伺いいたします。
  212. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) いわゆるデジタルディバイドというのは、委員がおっしゃいますように、地域的な格差とか、あるいは高齢者と若い人との間の格差とか障害者と健常者の間の格差とかさまざまございまして、それぞれに対応した総合的な技術開発なりあるいは普及なり、そういうものを図っていかなければならぬと思ってやっておるところでございます。  先ほどちょっと申しましたが、郵便局の施設の中で高齢者の方々に集まってもらってインターネット使い方などを指導してさしあげるというようなことは既にあちこちで行っておりますし、これから十二年度の補正なり平成十三年度の予算、概算要求中でございますけれども、例えば地理的要因によるデジタルディバイドの解消に関しては、地域イントラネット基盤整備事業と申しまして、学校へのネットワーク整備、あるいは公共施設等へのインターネット接続可能端末の整備等を推進する事業があります。また、地域インターネット導入促進事業と申しまして、過疎地域等の市町村の公共施設へのインターネット導入を支援する事業もございます。  さらに、携帯電話等の移動通信サービスが利用できない地域や民放のテレビ放送が良好に受信できない地域等をできるだけ少なくしますために、市町村等が行います鉄塔や中継施設整備を支援する移動通信用鉄塔施設整備事業、民放テレビ放送難視聴解消事業等の施策にさらに取り組んでまいりたいと考えております。  また、年齢や障害面に関しましては、だれもが情報通信の利便を享受できるいわゆる情報バリアフリー環境整備に向けまして、身体障害者向けの通信放送サービスの提供に対する新たな助成制度を設けるとか、あるいは一人一人の利用者のさまざまな障害に対応した音声読み上げや、あるいは小さな文字を大きく拡大して見られるようにする方法など、パソコンインターネットを使いやすくする機能が自動的に提供されるシステムを研究開発しようとしております。  さようなことで、いわゆるデジタルオポチュニティーの享受できる社会ということを目指してまいりたいと考えております。
  213. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今、郵政大臣から地域あるいは身体の問題について主としてお話がございました。  現代におきましてはもう一つ、年齢あるいは職業等によりまして余りITに接しない人々がなかなかリテラシー、利用技術を得ないという問題がございます。  その方面の解消のために、先ほども申しましたが、五百数十億円の予算をつけまして、各自治体で講習会を開いていただく、それから公共施設、公開の公衆施設等をつくりましてこれを皆さんにできるだけ興味を持って見ていただく、あるいは学校等の関連施設光ファイバーを通すところをふやしまして、講習会を広げるとか生徒さんに習ってもらうとかというようなことをやっていきたいと思っています。そのほか、公共放送その他も通じましてできるだけこういう講習を広げていくというように考えています。  また、インターネット博覧会等で簡単な機器で参加していただく、例えばiモードぐらいからまず入っていただくというようなので、和歌、短歌のようなものをいろいろとつくっていただこうというような形でさまざまな関心を持っていただく。そういう形で、今やっておられない方にも普及したいと思っております。
  214. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ハンディキャップの対策について御質問申し上げます。  IT技術は、適切に活用をすればハンディキャップを持つ人たちが社会参加をするためには大きな役割を果たすと考えられますし、逆にそうした視点が欠落をいたしますと格差を広げ社会的弱者が繁栄から実は置き去りにされる、こういうことにもなりかねません。ハンディキャップを持つ人への配慮というのは、やはり政府が責任を持つべきであろうと考えます。このことを基本法に明らかにすべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  215. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 身体的な問題による格差をなくするということで、この八条に、地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差がないようにするということが明記されております。これはまさに、委員御指摘のように、そういうハンディキャップをお持ちの方の格差をなくす、それで、具体的にはさまざまな機器開発あるいはそれの活用等を考えております。また、障害者基本法という法律でも電気通信事業者等は障害者の利用の便宜を図らねばならないと、こちらの方からもそういうことを決めておりまして、二重に、身体に障害がある方にこれを利用していただくように考えております。現に、例えば慶応大学などには全盲の研究者がこれを使っておられる例もございまして、かなりそういう意味では役に立っているのではないかと思っております。
  216. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 さらに一層御努力をいただきたいと思います。  では次に、NPOの育成と活用について御質問を申し上げます。  基本法第十七条には、すべての国民に対して情報通信技術を活用できるための教育及び学習の振興が定められておりますが、アメリカでは七〇年代からパソコン技術普及したり社会的弱者がパソコンを利用して社会参加を進めることをサポートする市民の活動が活発に存在をし、こうした広範なNPOの活動がパソコン技術社会的底辺に広げ、IT革命を支える役割を果たしてきております。  IT技術の利便性を市民一人一人が実感しその利益を享受できるような革命とするためには、市民の自発的活動を促進することがぜひとも必要だと考えます。税制優遇など、NPO法人への支援施策が議論となっておりますけれども、IT革命を進めるためにNPOの活動などを積極的にサポートし育成することが喫緊の課題だと考えます。総理が音頭をとるIT国民運動が行政や関連産業を通した上からの運動であるならば、決して十分な成果は生み出すことはないのではないかと考えますが、NPOの育成と活用について御見解をお伺いいたします。
  217. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 本法案におきましても高度情報通信ネットワーク社会の姿について、すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有しと規定しておりますが、特にNPOの活躍は非常に重要な意義を持っていると思います。  東北、北関東を中心に高齢者が高齢者を教えるという、ネズミ講と言っちゃ悪いんですが、だんだん子が孫を産むように教えていくようなNPOも既にできておりまして、そういうNPOが担い手として大変意義あるものだと思っております。  NPO法人に対する税制上の措置につきましては、今後、平成十三年度の税制改正に向けた議論の中で政府あるいは国会の税制調査会、各党の税制調査会の場において御審議いただきたいと考えております。
  218. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますが、両大臣に質問いたします。それは、通信秘密の確保と自由な情報通信の発展のためについてであります。  高度情報通信ネットワーク社会形成のためには、通信の秘密や自由な情報通信が保障されることが前提でありまして、この八月から施行されておるいわゆる盗聴法、通信傍受法はこれを制限し抑圧するだけでなく、通信事業者のプロバイダー事業者に対する物理的負担も大きく、IT革命に明らかに逆行するのではないかと思われます。  IT革命を進めようとするならば、盗聴法などは廃止をして通信の秘密が守られるようにすべきだと考えますが、御見解をお伺いいたします。
  219. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) いわゆる通信傍受法の実施の問題でございますが、御承知のように、これはもう薬物犯罪、銃器犯罪、集団密航、組織的殺人というようなとんでもないことをやる人を何とかして犯罪防止をしようと、そういう考え方のもとに、言ってみればやむを得ずつくった法律であると私は解しております。  通信傍受につきまして、郵政省としては、電気通信の利用者の通信の秘密を不当に侵害しないこと、電気通信役務の円滑な提供を阻害しないことなどの確保が重要であると認識をいたしております。通信傍受法は、令状発付の要件の厳格性、傍受の範囲の必要最小限度性といった点におきまして通信の秘密の保護に必要な配慮がなされますとともに、電気通信役務の円滑な提供についても配慮されているものと考えます。  また、通信傍受法が規定しております通信事業者の協力義務や通信事業者に対する立ち会いの規定も通信事業者等に対して過度の負担を強いるものではなく、この点については、この法律が適切に運用されるため、これまでにも傍受の実施方法等につきまして捜査機関と通信事業者との間で必要な協議が行われてきております。  以上のようなことでございまして、通信事業者、捜査機関との間の協議の場が円滑に持たれるように取り計らうなど、引き続いて適切に対処してまいる所存でございます。
  220. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ほぼ郵政大臣の御答弁で完全だと思いますが、通信傍受法はあくまでも裁判官の令状をとりまして組織的犯罪を防止するという極めて限られた条件のものでございまして、一般的な通信の秘密あるいは自由ということを損なうものではございません。極めて厳格な状況で運用されておりまして、各国の法律に比べてもその点では厳格だと考えております。  もう一つ、通信事業者の負担でございますけれども、これはできるだけ軽減しなきゃいけないことでございますが、この厳格性を守るためにある程度やはり負担をかけているのは事実だと思います。その点、通信事業者によく御理解いただく必要があろうかと思っております。
  221. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。本日、六時間コースの長丁場、最後でございますが、ひとつしっかりとおつき合いを願いたいなと思っております。  私、パソコンは時々使うんですが、大体がワープロで使うのがほとんどでございまして、たまにEメールを使うというような程度でございまして、その程度のレベルのIT国民であると認識しております。そういうことから御質問させていただきますが、難しい片仮名語とか横文字が入りますと途端にわからなくなりますので、この程度の者の質問としてわかりやすい御答弁をひとつお願いしたいと思っております。  まさにIT社会、朝からいろいろ議論されておりました。これは私が言うまでもなく、いわゆる第三の波がこれだけ具体化されてきたんだな、本当の第三の波になったんだなという気がいたすわけでございます。したがって、これはIT革命と革命という表現は使われておりますけれども、私は、これは波なんだと、自然発生的に世の中がこっちに向いてきた波なんであって、決して革命というような過激なとらえ方をするものではないんじゃないかなというような感じがいたしているわけです。  だからといって、こういうことを法律でいろいろ規定するのがいけないと言うつもりはないんですけれども、けさからの議論もいろいろお聞きしているんですが、なぜ基本法が必要なのかというところがちょっと理解できないところがございまして、IT社会はこうなんだと、ほかの委員の方への御答弁で私がお聞きしている限りでは、堺屋大臣のお答えでは、いわゆる生産供給サイドについては生産力が相当向上する、生産物の多様化が図れる、あるいは生活者の方にすれば面倒が省ける、好きな相手と交信ができる、接触ができる、そういうようなお話でございます。  そういうIT社会というのは、これはそういうものにIT基本法といいますか、IT基本法とあえて言わせてもらいますけれども、こういうものがそういう社会に持っていくというふうに受けとめるのか。あるいはいわゆるIT産業は新しい産業として非常に有望である、これは私も有望であると思います。そういうものを振興するためにこういう基本法をつくるのか。あるいは世界最高水準高度情報通信ネットワーク形成を目指しておられる、最高水準というのはどういう意味かわかりませんが、いわゆる学術分野でそういうものを振興して、それで特許もたくさんとって世界に冠たる日本をつくろうとされているのか。あるいは先ほどから出ている、IT社会になりますといろんな面が出てくる、社会秩序というものも再構築しなくちゃいけない、そういうものに対してやろうとしているのか。そういうことに対してのルールづけを図ろうとしているのか。あるいはすべてなのか。  それがどうも方向性がわからないものですから、その辺についてひとつ御答弁をお願いいたします。
  222. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法律は、ITの活用により世界的に生じております急激にして大幅な社会経済構造の変革に的確に対応し、知識型の多様な知恵の時代にふさわしい経済社会をつくろうとするものでございまして、決して特定の産業を振興しようとか、そういったものではございません。  この法案は、今後予定されております一連のIT関連の法改正あるいは政策の展開の基本的な枠組みとなり、これをリードしていく役割を果たしていくものと思います。  具体的には、今国会に民間同士の書面交付等を義務づけている法律を一括して改正する法案を提出しておりますほか、次の通常国会におきましては、個人情報の保護に関する基本法、あるいは電子商取引の特質に応じた新たなルールなど、情報社会基本ルールの整備のための法律案などの提出を予定しております。また、電子政府の実現やセキュリティー対策などの施策を講じていくことにもなっています。  御指摘のとおり、こういうことに当たりまして、特にインフラ整備等に当たっては民間による自由な創造的な取り組みが基本的に重要でございますけれども、そのような認識のもとで、こういうさまざまなものが必要でございますので、それの基本的な方向として本案を御審議願っているわけです。
  223. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 特殊産業の振興でない、その辺はわかったんですが、じゃ、どれかというのはもう一つちょっと私理解しかねるんですが、別の角度から言わせてもらいますと、IT社会というのは今白紙の状態じゃないわけです。これからつくるということでなくて、もう進んでいるもの。これはきょうの議論にもありましたけれども、世界的に民主導でどんどん進んでいる。  そんな中で、したがってこの流れはずっと続くわけです。それに従って、民にしろ官にしろ、新しい事業の展開とかそういうものは例えばIT基本法がなくても出てくる可能性があると私は見ているんですけれども、そのときに、ここで官が割り込んでいくと言ったら表現が悪いかもしれませんけれども、基本法をどう機能させるかということ、その辺がちょっともう一つわからないところがあります。これは大変失礼な言い方なんですけれども、赤字国債を組んで補正予算を組む理由づけにしたんじゃないのかなという勘ぐりまで出てきたような感じがいたしまして、私はその辺が気になるんですが、その辺、基本法がどう機能するのか、先ほども御答弁にちょっとあったかと思いますけれども、もう一度よろしくお願いします。
  224. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) まず、基本法によりましてIT社会という基本概念、それから基本方針、こういうものを定めまして、それに必要な諸法令をこれからどんどん整備していく。それから推進体制として戦略本部を位置づけまして、そして重点項目をつくる。こういうこれからのIT産業IT社会を推進していくための枠組みをまず定めて、そして、こういう形で日本IT社会をつくっていくんだよというのを概念、方針、組織、重点項目、こういう段階で示しているわけです。  したがって、民間企業の方もあるいは一般国民の方もこれからの日本の方向が非常によくわかるし、また各省の人たちも、例えば個人情報の保護はせないかぬとか、そういうようなことが一つ一つ位置づけられてくる。こういう枠組みを示すことによりまして過不足なくそういう条件整備ができるというものがこの基本法の本質だと思っております。
  225. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先ほどのお話で新しい社会秩序といいますか、そういうものに対応されるというのが一つ大きな目的であるというふうに理解いたしました。それは大変大切なことだと思いますけれども、今のお話でちょっと心配するのは、今まで民が主導であったものを、たとえ民間の方も入れるとしてもそういう戦略会議なり官が主導になっていくんじゃないのか、その弊害があるんじゃないかというようなことをちょっと心配いたします。法律は条文だけ読んで云々するものでもないし、実際動き出せばそれをどう運用するかということが一番大事だと思いますので、この点についてはもうこれ以上質問いたしません。  次に、私、この交通情報通信委員会委員としてもう二年ぐらいになりますが、かねてから大臣がおかわりになった時々に高度情報社会に対するマイナス面、きょうもいろいろ出ました、雇用の面あるいは情報セキュリティーの面等出たんですが、私はそれともう一つどうしても心配なのが、いわゆるITといいますか、インターネットにしても、見ることと聞くこと、先ほどハンディキャップのある方のお話がありましたけれども、そういう方にしても、いわゆる健常者が見る、聞くというそれの延長線の話だと思うんです。したがって、見るということと聞くということによっての社会になる。コミュニケーションから考えますと、やはり人間というのは見る、聞く、視覚、聴覚だけじゃなくて、ほかの三覚、触覚とか味覚とかそういうものがあって初めて人間らしいコミュニケーションができるんじゃないか。  これで、平林大臣は当然ですけれども、前の野田大臣あるいは八代大臣等にも質問させていただきまして、私の理解では大体そういうことに対する心配というのは御同意を得ているような感じがするんですが、堺屋大臣は初めてですので、その辺の御見解をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  226. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 確かにその問題は重要なんです。ITが進み過ぎますと、機械とばかり対話して人間と接触しない人間が生まれる、機械語を話す人々というのがふえてくるというようなことが一つございます。  それからもう一つは、我々世代は、ずっと対面情報、顔を見ながら情報を交換する。したがって、そのときの表情とかそのときの言い方とか、あるいは顔で笑って腹で泣くとか、いろんなテクニックを身につけてきたわけでございますけれども、機械を通しますと、腹で泣いてイエスと打ったらイエスとしか出なかったということになりますから、その辺、今度は本当の人間に接触したときにどうなるかという問題も確かにあります。  そういう意味では、コミュニティーあるいは学校教育、そういった中で対人関係の教育はより重要になると思うんです。しかし、大体において、通信が発達いたしますと、通信だけで終わらないで、また余計会うと。今、携帯電話が出ましたので、何に使っているかというと、あした会おうねとかいうのに物すごく使っておるわけです。だから、情報が発達することによって人間的接触もまたふえるんじゃないか、そういう本当に自分の好きな人、同好の人を探して会える機会がふえるから、決して人間は情報だけで孤立する、孤独になるということではないと思うんです。  ただ、そういう情報ばかりやっている人も出てくるということがございますから、その点は教育なりコミュニティーなりそういった中で、社会全体として考えていかなきゃいけない問題を含んでいる、これは委員御指摘のとおりだと思います。
  227. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣の言われるプラスの面もわかるんですが、私は、自動車社会になぞらえて考えますと、自動車社会にしてもこのITと同じぐらいの変革であったと思うんです。そうしたときに、確かに自動車社会というのは便利でよかったわけですが、あれによって交通事故という今までなかったものが起こりますし、私は、これは私だけの解釈かもしれませんけれども、いわゆる人間疎外というような、一生に一回しか会わないような人でもどんどん会える、そういう面が今の社会の底流に何か悪影響を与えているんじゃないのかなというような感じがしてならないわけでございます。  それで、今御質問する前に、これちょっと参考に読ませていただければよかったんですが、私そういう思いで、こういう思いは皆さん思っているけれども、どのぐらいの方が思っているのかなとある意味じゃ心配したんですが、これは日経新聞の先日の十一月十二日の「春秋」という、一面の下にありますね。全部読むのは時間がかかりますので、一部分だけ読みますけれども、  ある雑誌にテクノ依存症という記事が載っていた。   子供のころからテレビゲームに熱中したような人が依存症にかかりやすいという。初期症状は、コンピューターから離れると不安になり、人との付き合いも機械的になるという。確かにのべつ携帯をいじっている若者は多い。体がぶつかっても謝らない人が目立つし、電車でドアの前に立って平気で乗降の邪魔をする人も多くなった気がする。 と。中略しますが、  これがテクノ依存症という病気なら、親や学校のしつけだとか、道徳教育といったことだけでは解決できないかもしれない。官民を挙げてITITと浮かれている。確かに、ITが次の発展の原動力になることは間違いないだろう。しかし、副作用があることを十分に認識し、対策を練ることも大切だ。 と、こういうことが書かれているわけです。そのとおりだと思うんですね。コミュニケーションばかりでない、こういうほかの要因が出てくると思うんです。  それで、そういうことを大臣も御心配いただくなら、それと同時に私これ、じゃどうしてくれるんだということを言っても、私自身もじゃどうしたらいいかという対策もない。あるいは各省別に見ますとなかなか対策もない。当面はないかもしれませんけれども、これからのIT社会考えるこれも一つ基本じゃないかなという、こういうものに対策がないとしても、基本精神としてこういうことを入れておくのが本当の基本法じゃないのかなという感じを持つんですが、大臣の御所見をひとつ。
  228. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この基本法というのはそれぞれの食料・農業・農村基本法とか中小企業基本法とかいうような形にできておりまして、社会に起こる全部を書くものじゃない。ここには特に、機械に接し過ぎる人にどうするということは書いていないのでございますけれども、やはりそれは教育なり社会生活なりの間で十分に気をつけていかないかぬところだと思います。  先ほどNPOの話がございましたけれども、ITが仲間を集めることに非常に活用されましてNPO活動が盛んになっている、あるいは趣味の会のような会合が盛んになっているというような利点もございます。社会のいろんな活動をそういう面で推進していって、むしろ私は、これが人と人との好みのエナジーをつないで、高齢化してもひとり者になっても仲間ができるといういい方に使われるように、そういう世の中の文化的な運動、これも国民運動の一つだと思いますが、そういう形にしていきたいと思っております。
  229. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 全体を網羅するべきでないというお話でございますが、ITがあるからこういう問題が起こってくる。人と人との、先ほど読んだような社会現象ですね。  それと先ほど、この基本法にはあれですか、雇用問題に対する負の面、あるいは情報セキュリティーに対する面、こういうものはお考えになっているとすれば、こういう精神的な面もITによって起こってくるわけですから、そういうものはきちんと対応すべきではないかなというふうに私は思っておるんですが、いかがでしょうか。
  230. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この新しい方で第九条、「社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における各般の新たな課題」、この各般の中でそういう含意がございまして、何かというと青少年の問題であるとかあるいは人間性のゆがみの問題であるとか、そういう雇用以外の各般の問題をここで的確かつ積極的に対応しなきゃならない、こういう表現になっております。
  231. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 きのうもいろいろレクをしておりまして、そのときにそういうようなお話がございました。私はそれで読めるのかなと思ったんですが、大臣が前向きにそういうこともやっていただけるというのであれば、これからやはり重点方針ですか、そういうものでお考えになるときにこういうものも十分私は考えていただきたい。法律が、もう文面ができちゃったからどうのこうのじゃなくて、やっぱり問題があれば考えていただかなきゃいけない問題だなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それで、今、大臣も言われた教育面からのアプローチというのが非常に大事だと、私も確かにそう思っております。それで、きょうは文部省からも来ていただきましたので、具体的に教育面で文部省の方はどのような対応をされているのか。ITを使った教育といいますか、先ほど何か、何人に一台かのコンピューターがこれから五人に一台になるとか、そういう御答弁がございました。指導者も教育するとかとありましたけれども、その辺は私お聞きしましたのでわかるんですが、いわゆるITと教育の関係、単純に言うとITを使える、ITというか、インターネットならインターネットでもいいんですけれども、そういうものを使える人間を教育面でつくるのか、あるいはもっとほかのことを考えているのか、その辺の、IT教育といいますか、ITと教育との関連の現状をお知らせ願いたいと思います。
  232. 崎谷康文

    政府参考人崎谷康文君) お答えを申し上げます。  ITに関する教育につきましては、子供から高齢者まで発達段階ございますが、それに応じてのリテラシーの向上というのが非常に大事でございまして、学校教育においてもこれからのIT社会を担う創造的な人材を育成するという観点から、またITを使いますと学校の教育等が効率的になり、よりわかりやすく効果的になるということもございますので、そういう活用も図って、よい事業をやっていくということを中心にさまざまな施策を進めているところでございます。  あわせて、御指摘のようにITを推進していくことに伴いまして、いわゆる負の部分と呼ばれますけれども、個人が孤立化をするとか人間関係が希薄化する、自然体験や社会体験が不足をしていく、あるいは有害情報が多く見られるような問題、ネットワーク上のモラル、ルールなどに関する問題等が生じてきておるというふうに認識をしております。  情報教育につきまして、学校情報活用能力を身につけさせていくためにこれから充実をさせていきたいと考えておりますけれども、その中では特に社会生活の中の情報情報技術役割あるいは影響を十分理解して、情報のモラルの必要性、あるいは責任について考えて、主体的に情報社会に参画していく態度を育成しようということをねらっております。  さらに、学校教育におきまして、道徳教育などにつきましても体験活動を生かして心の教育の充実を図っていくことを進めておりますし、特に平成十四年度から学校完全週五日制になりますので、それに向けて親と子が体験活動を活発に豊富にできるように、全国子どもプランも進めております。さらに、来年度の予算の要求でもさまざまな体験活動を進めることによって、青少年の社会性をはぐくむための施策も新たに予定をしているところでございます。  情報の教育につきましては、このように負の部分ということにつきましても十分配慮をしつつ、教育の情報化に積極的に対応していく考えでございます。
  233. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、次に質問しようと思ったことを今お答えになったんですけれども、今のお話でも余りよくわからないところがございまして、時間も余りありませんから申し上げませんけれども。  私、実は地方行政をやっているときに、小学校間の電話会議というのをNTTが試験的にやって、これは一つのイベントだったものですからあいさつに来いというので行ったことがあるんです。したがって、子供さん方がITとか、ITといいますかそういうテレビ会議なんかやる、そういうものに触れたときの態度というものを知っているんです。非常に喜々として喜んでおりました。  恐らく、大臣言われるように、あれによって友達ができるんだと思うんです。思いますけれども、同時に目に見えるだけというのがいかにも将来何か障害になるんじゃないのかなと、そういう思いがいたしたものですから、今文部省の方に御質問したわけでございます。  よくわかりませんでしたけれども、要は考えていただけるんだなと、そういうように理解してよろしいわけですね。そういうコミュニケーションの不備を教育面でも直して、注目していろいろとやっていただけるというふうに理解してよろしいわけですね。
  234. 崎谷康文

    政府参考人崎谷康文君) ITだけで、人間として孤立化をしてきちんとした人間関係が結べない、コミュニケーションができないということになっては、まさに教育の目的である人格を完成して国家社会の一員としての資質が育成できませんので、学校教育全体、言語の教育から道徳教育からさまざまな体験活動までを含めて総合的に対応していく考えでございます。
  235. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 申しわけないんですけれども、くどいんですけれども、どういうような方針で教育されるのかはわかるんですけれども、今申し上げた何といいますか、二覚といいますか二感によるコミュニケーションというのはこのIT社会の中についてくる。そういうものに対しての文部省の認識というのはどうなんですか。これはやむを得ない、こういうものに対して子供のうちからある程度そういうものを解消できるように何か働きかけようというつもりなのかどうか、そこだけ教えてください。
  236. 崎谷康文

    政府参考人崎谷康文君) 確かに視覚と聴覚だけというのは人間としての能力を適正に発揮していないということでございますので、文部省としても、まさに乳幼児期の家庭教育から親子の交流等も含めて、話し、聞く、あるいは触れ合う、そういうような人間の感覚すべてを使って成長をしていくということが非常に大事であるという観点で教育を進めてまいりたいと思っております。
  237. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  時間がありませんが、自治省からも来ていただいておりますので、今度の補正予算で、これ一つの目玉だと思うんですが、いわゆるIT関連特別対策費九百六十四億円ですか、その中で、これも目玉なんでしょうけれども、学校、公民館、図書館等を活用したIT基礎技能講習の実施というのがありますね。これは上からの決定かどうかわかりませんけれども、降ってわいたような話でしょうけれども、これが本当にうまく機能するのかどうか。実態、どういうようなやり方でどういうことをして、地元の、地元というか現場の声がどう反映されているのか、その辺を時間がありませんが教えてください。
  238. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  お尋ねをいただきましたのは今回の補正予算で御審議いただくことになっております情報通信技術講習推進特例交付金のことでございますが、予算額としては五百四十五億四千九百万円をお願いしているところでございます。  この講習は、最近IT化をめぐります社会の急激な変化に対応いたしまして、住民の方々IT基礎技能の早期普及を図る必要があるのではないかという考え方でお願いしているものでございます。現在地方団体におきましては、かなりの県と市町村におきましてそういう趣旨からパソコン講座であるとかIT講座であるとか、こういう講習の場を単独事業としてやっておられまして、なかなか人気が出ているともお聞きしているわけでありますが、私どもは最近の地方団体をめぐるそういう状況も頭に置きました上で、IT基礎技能の早期普及をできるだけ多くの方々に機会をお与えしたいということから、地方団体とも御相談の上で、現在地方団体が自主的に開催されておりますそういう講習の機会の拡大を支援したい、こういう考え方で都道府県に対して交付金を交付しようというものでございます。  御存じだろうと思いますが、これによりまして大体受講可能人員は約五百五十万人程度を考えておるわけでございますが、現在その講習の機会が十分に提供できるよう関係省庁とも御協議申し上げておりますが、この中で特に主なものは小中高等学校等の教育委員会関係施設で、ぜひ御協力をしたい、こういうお申し出も文部省の方からいただいておりまして、この約五百五十万人程度のうちの八割程度はそういう施設で講習機会が提供できるものと私ども考えているところでございます。
  239. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 もう少し五百五十万人の根拠等を聞こうと思ったんですが、時間が参りましたので、それはまた別の機会にでも教えていただきたいと思います。  私の質問は以上で終わります。どうもありがとうございました。
  240. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  241. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案の審査のため、来る二十一日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は、来る二十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会