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2001-01-24 第150回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年一月二十四日(水曜日)    午前十時十分開会     ─────────────    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任         梶原 敬義君     福島 瑞穂君  一月二十三日     辞任         補欠選任         今井  澄君     小山 峰男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 大島 慶久君                 狩野  安君                 佐藤 昭郎君                 月原 茂皓君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君     委 員                 加納 時男君                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 佐々木知子君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 中島 啓雄君                 朝日 俊弘君                 海野  徹君                 小山 峰男君                 櫻井  充君                 松崎 俊久君                 海野 義孝君                 但馬 久美君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 福島 瑞穂君                 岩本 荘太君    国務大臣        財務大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        財務大臣    若林 正俊君         ─────        会計検査院長   金子  晃君         ─────    事務局側        事務総長     堀川 久士君        常任委員会専門        員        島原  勉君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     藤田 教稔君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     片岡  博君    国立国会図書館側        館長       戸張 正雄君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       神田 裕二君        内閣官房内閣参        事官       加藤 利男君        内閣法制局第一        部長       阪田 雅裕君        内閣府政策統括        官        小林 勇造君        内閣府政策統括        官        坂  篤郎君        内閣府政策統括        官        岩田 一政君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        金融庁監督局長  高木 祥吉君        総務省行政評価        局長       塚本 壽雄君        外務大臣官房長  阿部 知之君        財務省主計局次        長        丹呉 泰健君        国税庁課税部長  村上 喜堂君        文部科学省高等        教育局長     工藤 智規君        厚生労働省職業        安定局長     澤田陽太郎君        厚生労働省職業        能力開発局長   酒井 英幸君        環境省自然環境        局長       西尾 哲茂君    説明員        会計検査院事務        総局次長     諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      尾崎  護君        日本銀行総裁   速水  優君        国際協力銀行総        裁        保田  博君        日本政策投資銀        行総裁      小村  武君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成十年度  特別会計歳入歳出決算平成十年度国税収納金  整理資金受払計算書平成十年度政府関係機関  決算書(第百四十七回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十七回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十七回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月一日、梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として福島瑞穂君が選任されました。  また、昨二十三日、今井澄君が委員辞任され、その補欠として小山峰男君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 平成十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国会会計検査院、大蔵省、金融再生委員会金融監督庁国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございます。  本日は、休会中にもかかわりませず、宮澤財務大臣若林大臣、それから柳澤金融担当大臣ほか関係者の皆様にはわざわざ御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。  いよいよ二十一世紀を迎えて日本経済の活力ある発展が期待されるところでございますが、バブル崩壊後の一九九〇年代は失われた十年などと言われて、本年に入っても残念ながらちょっと株安円安が続いておりますけれども、政治の責任としてもあらゆる知恵を絞って経済活性化を図る必要があると思います。  本日は、平成十年度決算に関する審議ということでありますので、十年度以降の経済財政政策について、今後の政策参考にするという意味も含めて、若干の御質問をさせていただきたいと思います。  平成十年という年は、財政金融政策の転換という意味で非常に重要な年であったと思います。平成九年十一月の臨時国会では実は財政構造改革法が成立して、財政構造改革路線に踏み出したわけでございますけれども、平成十年度の当初予算が、緊縮予算が組まれたと。  ところが、既にもう九年の段階で北海道拓殖銀行破綻とか山一証券の廃業といった事態がございまして、平成十年四月には十六兆六千五百億の総合経済対策が樹立されたと。引き続いて、十年十一月には二十三兆九千億円という緊急経済対策平成十一年に入りまして十八兆円の経済新生対策、そして十二年には十一兆円の日本新生のための新発展政策というようなことで、平成十年度以降三年間に約七十兆円というような経済対策がなされております。  補正予算規模としては約二十二兆円と承知をいたしておりますが、経済成長実績を見ますと、平成九年度の名目GDP、これは改定後でございますが、五百二十・二兆円であったのに対しまして、平成十二年度の実績見込みが五百十三・七兆円である。十三年度の見通しでも五百十八・六兆円ということで、いまだ平成九年度のレベルに回復していない。債務残高は、御承知のとおり、十三年度末で国債が三百八十九兆円というような状況でございます。  もし経済対策なかりせば、日本経済はもっとひどい状態に落ち込んでいたということでありましょうけれども、平成十年度以降の経済財政政策を顧みて、その効果についてどのように評価をしておられるか、財務大臣内閣府にお伺いさせていただければと思います。
  9. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 平成十年度以降の四次にわたる経済対策効果につきまして、GDPをどれぐらい引き上げるかにつきまして、それぞれの対策策定時に世界経済モデル第五次版及び短期日本経済マクロ計量モデルを用いて試算をしております。  その試算結果でございますが、まず十年四月二十四日の総合経済対策につきましては、名目GDPを二%程度引き上げる。それから、十年十一月十六日の緊急経済対策につきましては、名目で二・五%程度実質値では二・三%程度。それから、三番目の十一年十一月十一日の経済新生対策につきましては、名目値で一・七%程度実質値で一・六%程度。四番目の昨年十月十九日の日本新生のための新発展政策につきましては、名目値で一・三%程度実質値で一・二%程度と見込んだところでございます。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘平成十年から今日までのことを顧みますと、恐らく長い時間がたちました後、いろんな意味で何が起こってどこを間違えたかというようなことが議論される時期が必ず来るだろうと思って今御質問を伺っておりましたが、平成十年という時期は、たまたまその前の年に東南アジア為替危機が発生をしておるわけでございますが、しかしその同じころ、我が国自身はむしろ財政再建が可能であると考えられたことでございます。  したがいまして、平成十年に入りましたときに、いわゆる九兆円と称される引き上げが税あるいは社会保障の形で行われた。しかし、そのころに、我が国経済実態というものが、突然何と申しますか新しい目で見られるようになりまして、現実に、平成十年の秋には証券会社倒産あるいは大銀行倒産、そして極端な貸し渋り、それからジャパン・プレミアムという海外での銀行に対する不信用等々。したがいまして、政府としては政策のいわば急転回を図らなければならなかったという、その年がまさに御指摘のように平成十年であったわけでございます。  それから後、おっしゃいますように、多額の公的資金減税であれ公共事業であれ、あるいは銀行に対する資金導入であれ、ずっといたしてまいりましたが、今日になって全体としての景気下降は食いとめられ、多少の上昇に転じてはおりますものの、まだおっしゃいますように、自律的に景気がこれから成長軌道に乗って、財政としてはいわば余計なことをしなくてもいいという段階にはまだなり切っていないということであろうかと思いますので、したがいまして、平成十年に政策を転じて埋めようとしましたギャップというものがどのぐらいあったのか、その後に発生しているものもございましょうからいまだに明確でございませんで、恐らくある時間がたちました後にこのことはいろいろに反省されなければならない。  遺憾ながら、まだその反省を脱してもう済んだと申し上げ切れない。努力はいたしておりますし、もうちょっとだという感じはいたしますものの、完全にもう自律経済に任せてよろしゅうございますというところまでなっていないというのが残念ながら実情ではないかと考えております。
  11. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  潜在的な成長力とのギャップがどのくらいあるかというのはなかなか難しい議論であると思いますが、いずれにしても、今後いろんな意味経済対策反省材料にすべきではないかと思います。  平成九年から十年にかけての景気動向を後からたどってみますと、実は平成九年三月が景気の山であったと、こういうことが旧企画庁の暫定的な統計であると思いますが、実際の財政運営は、平成七年度、八年度、GDPプラス三%程度が見込まれたということで、今、財務大臣おっしゃいましたように平成十年度は緊縮予算が組まれた。そういうことで、一般会計平成十年度はプラス〇・四%、一般歳出はマイナス一・三%というようなことであったわけですが、平成九年十一月の段階では既に拓銀、山一など破綻があったということで、平成十年に入って当然景気対策が要請されたわけですが、予算審議中だということでかなり時間がかかりまして、四月に入って緊急対策を打ち出されたというような経緯をたどっておると思います。  景気後退に際しては、平成十年の場合は景気の山から実際に対策効果が発揮されるまでの時間というのが恐らく一年半ないし二年かかったのではないかと思いますが、このように経済政策がタイミングよく効果を発揮できなかったということは、ある意味ではやむを得ない面があるので、景気動向に対する認識のおくれと、それから認識されたとしても対策が立案されるまでの時間がかかる、それから国会審議等の実行に至るまでの時間がずれる、それから対策効果をあらわすまでまた時間がかかるというようないろいろな要因タイムラグがあると、こういうことだと思います。  一部の経済学者は、そのように大体景気の山の実際の時期と景気対策が実効をあらわす時期とは常に逆になるから、もう何もしない方がいいんだというような極端な議論もありますけれども、これはちょっと極端な議論で、やっぱり政府としては補正的な財政政策というのは当然必要なんだろうと思いますが、平成九年から十年にかけて特に景気動向認識がどうしておくれたのか、今後の改善策としてどういうことを考えていかなければならないかといったようなことについて伺わせていただければと思います。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘になられましたいろいろな要素はみんなおっしゃるとおりであったと考えておりますが、私がただいまの仕事を仰せつけられましたのは平成十年七月の終わりでございますが、その段階で、おっしゃいますように減税であるとか公的資金銀行への導入であるとか、あるいは補正予算であるとか、その中で減税補正予算はいずれにしても国会の事項でございますから、すぐに着手できないまま、そういう方針は宣明いたしましたが、しかもそれらを講じましても、この景気がどのぐらいの時間で正常化するか、いわばヘドロの中へコンクリートパイルを打つような感じがいたしておりまして、わからないままにそういう努力を続けてまいったというのが正直のところでございます。  その中にはいろんな外的の要因も含んでおりまして、それは東南アジアのこともございましたが、我が国銀行の対外的な信用の下落というものもございましたし、その中で恐らくもう一つ、そういう全体の中から醸成された国民の自分の経済に対する不信感、あるいは世界から我が国経済に寄せられた不信感、それがまたかなり一つ一つ要素を増大化させたということでは、経済というのが信用関係があるという意味で申し上げても間違いのないことだと考えております。  したがいまして、長い時日が、にち日がたちました後で、一体どういうことが起こって、それに対してどのように適正にあるいは十分適正でなく対処されたかというようなことは、経済財政のみならず、金融と申しますか、金融機関に対する対応と申しますか、それらのものを含めて、やがてレビューレビューと申しますよりは分析され反省されなければならない問題であろうというふうに考えております。
  13. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  ぜひまたレビューについては、よろしくお願いをいたしたいと思います。  タイムラグと並んで、景気対策効果という観点から注目しなければならないのは、財政支出、特に公共投資GDPに及ぼす効果がどのぐらいあるのか、先ほど御説明ありましたけれども、乗数効果という面でどの程度になるのかということだと思います。  公共投資乗数効果という意味で、旧経済企画庁が平成十年に発表された短期日本経済マクロ計量モデルでは、名目GDPで一・三一、実質GDPで一・二二、まあ一・三ぐらいということのようでございますが、過去からのトレンドをたどってみますと、昭和四十九年に公表された、これは昭和三十二年から四十六年までの実績に基づく推計だと思いますが、このときは二・二七だという数字がございます。それから、六十年モデルでは一・四七、平成六年モデルでは一・三二と次第に下がってきたというふうに読み取れるわけでございますが、政府としてそのように考えておられるのか、あるいはそのように考えておられるとすれば、どうして低下をしてしまったのか、その辺の御見解内閣府の方からお聞かせいただければと思います。
  14. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) ただいま御指摘ございましたが、モデルにつきまして、経済白書でありますとかあるいは世界研究所におきましてモデルの分析をいろいろ行っております。  確かに、今御指摘ございましたように、例えば八〇年代と九〇年代というようなものを比べてみますと、八〇年代の乗数と九〇年代の乗数、わずかでありますが、初年度を比べますと、例えば一・三であったのが一・二になる、あるいはもう少し長い目で見ますと、やや乗数の大きさが小さくなっているということが指摘されております。  主な要因はどこにあるかということでございますが、基本的には、例えば九〇年代をとってみますと、限界消費性向の値がやや小さくなっている、あるいは限界輸入性向の値が小さくなっているというようなことがございまして、そうした経済構造変化がある程度その乗数効果に反映しているというふうに考えております。
  15. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  限界消費性向の減少というような問題もあると思いますが、一つはやっぱり公共投資乗数が下がってくるというのはある意味ではむべなるかなということでありまして、経済が成熟化して社会資本が充実すれば、収穫逓減の法則ということで投資効果が若干低下してくると。しかし、それを放置しておいたんではいけないので、社会資本投資に対する効果を高めるためにどういう政策を行っていくかと。そういう意味で、今取り上げられております政策評価というようなものが非常に重要な要素ではないかと思いますが、これは後ほどまた質問をさせていただきたいと思います。  平成八年から九年にかけて財政構造改革法が成立しまして、平成十五年までに赤字GDPの三%以下に抑えるとか、赤字国債発行を十五年度までにゼロにするとか、かなり意欲的な目標が定められたわけでございますが、平成十年の五月には延長、十一月には凍結というようなことになってしまったので、これはまさに異例の時期にあって非常に政府として難しいかじ取りを迫られたわけでございますので、やむを得ざることであったとは思いますが、財革法目標がやや性急に過ぎたのではないかとか、弾力性がもう少しあってもよかったのではないかというような意見もございますが、その辺についてお考えをお聞かせいただければと思います。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの御質問の背景は、先ほどからずっとお述べいただきました具体的なことから見ても明らかでございます。  したがいまして、お答えもそういうことにならざるを得ないと思いますが、そのようなピークから下がり始めたあの当時の日本経済の内外における問題、実態、それについての十分な解明あるいは洞察と申しますか、それはやむを得ないことで、その時点でわかるわけの問題でございませんので、やむを得ないこととは考えますけれども、後になって考えますと、財政再建考えるにいたしましても、その程度、手法等々について別の考えもあり得たかと思いますし、現実の問題といたしましては、客観的な事態がさらに悪くなってしまいましたので、財政再建当初考えました旗は一度再検討せざるを得ないというふうな判断に立ち至ったことは、その間における事情を物語っておるというふうに申し上げるべきかと思います。
  17. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  それでは、今後の財政運営といいますか、何点かお尋ねいたしたいと思います。  年末に十三年度の予算政府原案が決定をされまして、通常国会で当然審議をされるわけでございますが、中身を見ますと相変わらず国債依存度は三四・三%であると。前年度当初予算の三八・四%よりは多少減ったということではございますが、これも金融システム安定化のための交付国債償還財源を計上しないで済んだというような特殊要因がございますから、必ずしも非常に減ったとは言いがたい。十三年度末の国と地方を合わせた長期債務残高は六百六十六兆円というようなことで推定をされておりまして、これもGDPの一二八・五%というようなことでございますから、財政危機改善の方向に向かっているとはなかなか言いがたい状況だと思いますが、現在の財政状況についてどのように考えておられるのか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 中島委員が御指摘なさいましたとおりでございます。  平成十三年度予算につきましては、厳しさを増しています現在の財政状況にかんがみまして、財政効率化質的改善を図って公債発行額をできるだけ縮減するという方針で臨んでいたわけでありまして、平成十三年度の公債発行額は約二十八・三兆円、公債依存度は三四・三%となる見込みでございますし、また十三年度末の公債残高は約三百八十九兆円、国及び地方長期債務残高は六百六十六兆円となる見込みでございまして、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあるわけでございます。  したがいまして、財政構造改革はこれはどうしてもなし遂げなければならない課題であると認識いたしておりますので、今後の我が国経済社会のあるべき姿を展望して歳出、特に社会保障あり方それから税制あり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く視野に入れた議論をしていく必要があると、こんな認識でおります。
  19. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今後の財政運営のあるべき姿ということで社会保障とか税制とか地方と国の関係とか、当然検討すべき課題だと思いますが、一つには、一体、国と地方と合わせて政府の適正な規模というのはどのくらいなのかと。これは非常に難しい問題でございますが、マスグレイブの著名なる財政学の教科書では、財政機能というのは資源配分機能と所得再分配機能経済安定化機能があるというのが定説になっておりますけれども、経済理論的に言えば、民間支出限界効用政府支出限界効用が均等となる点だというような説もあるようでございますが、現実問題としてそこはどこかと具体的に言えば、非常に困難だと。  一般的には大きな政府か、小さな政府かということで、高福祉高負担のかなり大きな政府を目指すのか、あるいは必要最小限のことをやってなるべく自由に任せるという小さな政府なのかということで、近年、なるべく政府の関与は最小限にとどめて民間自由競争を重視すると、小さな政府だと、こういうことでありますけれども、現実問題は、社会保障制度などを比べるとなかなか小さな政府には実際ならないと。  平成八年十月の経済審議会のワーキンググループの試算では、現在の財政構造の、現在といいますのは平成八年現在でございますが、財政構造のまま推移した場合には、二〇二五年における国、地方を合わせた一般政府財政規模GDPの七三・四%になるというような、いわば国民負担率が七三・四%になるというような試算もあるようでございますが、これはとんでもない話で、やはり国民負担率が五〇%を超えるような状態は、民間の活発な活動が期待できる自由主義経済の国とはとても言えないと思いますが、その辺の、私たちはやはり国民負担率のような指標で五〇%、できれば四〇%ぐらいにしたいところでございますが、そういった目標値を定めて今後の長期政策考えるべきではないかというふうに思いますし、一方では経済成長を促進するための政策も必要であると。  現在、わずか一%の成長だとすると所得が二倍になるのに七十年を要する、二%成長なら三十六年だと、三%成長なら二十四年だというようなことで、やはり成長政策というのも非常に重要だと思いますが、今後の適正な財政規模なりあるいは経済成長率というようなことをどのように考えておられますか、その辺の御見解をお伺いさせていただければありがたいと思います。
  20. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 委員がおっしゃいますように、大きい政府、小さい政府、何をもって大きいと言うか小さいと言うかというのは大変難しい選択だと思います。  特定の指標とか基準に従ってこれを一義的に述べるというのは大変困難でありますから、その時々のおっしゃられましたような諸要素、情勢のもとで国民的な選択が行われてその財政規模というのは決まっていくものと、こう考えているわけであります。  ただ、例えば、お話のような国民負担率だとか政府支出規模という点で見ますと、我が国の場合、高齢化等に伴って国民負担率や政府支出規模は趨勢的に上昇してきております。また一方、欧米諸国に比べた場合の国民負担率や政府支出規模は今なお小さいということが言えるのではないかと思います。国民負担率や政府支出規模というのは、今後少子高齢化が進展いたします、長期的にはある程度の上昇は避けられないというふうに見込まれますので、経済社会の活力を損なわないように、また将来世代の負担が過重とならないように、すべての公的支出についてその効率化、合理化によって極力その上昇を抑制していかなきゃいけないものと、こんな考え方でおります。
  21. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、財政赤字の限度をどう考えていくべきかということについて若干お伺いしたいと思いますが、財政法上、建設国債の原則というのがあるわけでございますが、現実には近年もう赤字国債による財政運営が常態になっているということで、特に平成十一年度以降は赤字国債の発行が建設国債の発行額を上回ってしまったというような状況でございます。  赤字国債の、赤字国債というか財政赤字の問題としては、財政が硬直化するとか、後世代負担が増すとか、安易な財政拡大になるとか、民間経済のクラウディングアウトの効果があるとかいろいろございますが、一方では、公債発行によっても負担は将来世代に転嫁されないという等価定理とか中立命題とかいう説もございますし、また俗説では、千三百兆円の個人の金融資産があるんだから六百兆円ぐらいの政府債務は余り問題ないというような俗説もございますけれども、しかし、人が将来の予算制約とか税制を完全に予測して行動しているとはとても考えられませんから、やっぱりこの辺の限度というのはかなり厳しく考えていかなければいけないだろうと。千三百兆円の個人金融資産を持っているから国債償還は大丈夫なんだというようなことを言いますと、分配上は大変な問題になるわけでございまして、やっぱり一般会計予算国債依存度が三〇%を超えるような状態、あるいは政府債務残高GDPの一・三倍を超える状態というのはどう見ても異常ではないかと。  EUの通貨統合基準では、政府財政赤字GDPの三%以内におさめると、それから政府債務残高GDPの六〇%以内ということでありますから、ただいまの状態では日本はEUの通貨統合に入れないと、こういうことになります。  当面の財政再建目標としてプライマリーバランスというようなこともおっしゃっておるようでございますが、財政赤字の限度というのをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  22. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 中島委員おっしゃいますように、諸外国、特にヨーロッパ諸国のこのユーロへの加入の条件といいましょうか、基準という、その水準に比べますと、極端に我が国の水準は悪いですね。  しかし、どの程度財政収支の水準が望ましいのか、また赤字財政の限度はどこかといったようなものについてはなかなか一義的にこれを具体的にお答えすることは困難でございます。しかし、おっしゃるように、我々も、欧米諸国に比べて極端に悪化してきたということは事実であり、これを改善しなきゃならないという認識は持っております。  こういった中で、平成十三年度予算におきましては、財政効率化質的改善を図り、公債発行額を可能な限り縮減するという努力をしているところでありまして、その結果、先ほども申し上げましたけれども、公債発行額は二十八・三兆円に抑え、十二年度当初予算と比べて四・三兆円ほどの減額を図り、公債依存度は三四・三%と、十二年度当初予算に比べて四・一ポイントの減となると見込んでいるところでございます。  しかしながら、財政赤字規模は依然としてなお大きく、また平成十三年度末の公債残高は約三百八十九兆円、国及び地方長期債務残高も約六百六十六兆円と巨額になる見込みでございまして、我が国財政は引き続きなお厳しい状況にあることは事実でございます。したがいまして、財政構造改革は、これは必ずなし遂げなければならない課題でございます。  そのような認識のもとに、我が国経済社会のあるべき姿をどう展望するか、それを描きながら、税制社会保障、さらには中央と地方関係にまで幅広い視野に立って、そういう展望のもとに議論をしていかなければいけない、こんなふうに考えているところでございます。
  23. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今、御答弁で触れていただいたようなものでございますけれども、今後の財政運営についてまとめて、財政再建をどのように進めるというふうにお考えなのか。例えば財政改革法の凍結解除とかあるいは新財革法のようなものを考えておられるのか。その辺、もう一度お聞かせいただければありがたいと思います。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま副大臣から御答弁があったことが背景でございますが、私どもが、国税について申しますと、毎年、予算で歳入の見積もりをいたしますが、過去何年間か見積もったとおりの歳入が確保できませんで、年の途中で減額補正をさせていただいたことがここしばらくの間、景気の落ち込みのために現実にそういう状況でございました。  昨年になりまして初めて、補正予算を組ませていただいたときに歳入見積もりの法人税を中心にした改定、見積もり増の改定をいたしたわけでございます。こういうことになってまいりませんと、財政再建と申しましても自分の税金がどれだけ入るかということすらわからないようでは到底財政再建のめどが立たないという感じでございましたから、ようやくそういう意味では歳入欠陥を生じないような見積もりあるいは経済運営というものが緒につきかかっておるのではないかと。  したがって、第一の条件はだんだんに具備されてきて、そしてそれが持続可能な自律的な経済の運営、つまり何%かの成長が可能になる、そういう見通し、そういうことが基本になろうかと考えておりまして、ただいまのところ、ちょっとまだそこに入りかねているというのが御承知のような現状だと思っております。  そこで、そういうことがしかし確実に見込まれるようになりましたら、先ほども副大臣から御答弁がありましたが、財政再建と申しましても、それはやはり、財政のことでありますのはもちろん、税制のことでございますし、中央、地方の行財政の再配分のことでございますし、さらには何よりも差し迫ったのは社会保障の水準の問題で、先ほどもお尋ねの中にございましたように、高負担高福祉なのか、あるいはそうでないのかといったような国民の選択の問題が入ってまいりますから、それらはやはりマクロモデルをつくってシミュレーションをやらないと、きちんとした議論はできないのではないかというのが先般来の経済財政諮問会議の成り行きでございました。  そういうことには多少時間がかかりますので、恐らくモデルを非常に簡単なものをつくりましてもやはり半年とかいうものはかかるのでございましょうから、それをそういうふうにしながら、他方で経済の回復を待って、そこで今のような問題に取りかかる、こういうのが私は日程ではなかろうか。そんなに遠いことを申し上げておるわけにはまいりませんのですけれども、そこまで回復がはっきりしましたら、できるだけ早く、少なくとも準備は今からでもモデルなどは始めた方がいいのではないかなというような感じをいたしております。
  25. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今、何となく個人消費が盛り上がらないというのは、やはり国民の将来に対する不安感というようなことだろうと思いますので、確かに、モデルで計算をして一つの結論を出すというのももちろんありますけれども、幾つかのシミュレーションで国民に選択を迫っていくというような過程を経て国民のコンセンサスを得るというような方法もあろうかと思いますので、あわせて早目に御検討をいただければと思います。  次に、政策評価についてお伺いをいたします。  中央省庁等改革に伴ってその基本方針として政策評価機能の強化が盛り込まれて、通常国会には政策評価法案を提出するというようなことも検討されておると聞いておりますけれども、国民本位の効率的で質の高い政府を目指すと、国民の税金がどのように使われているのか、この点について政府の説明責任を果たすという意味でも画期的なことだと考えておりますが、財務省としてどう取り組まれておるのか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  26. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) このたびの中央省庁の改革に伴いまして、各省庁に政策評価導入をされることになっておりまして、財務省としても、有効、そして計画的に実施するための準備を進めているところでございます。  昨年七月には政策評価担当組織として政策評価官及び政策評価室を設置しまして、この一月六日の財務省発足の際には、財務省の使命、政策目標及び財務省における政策評価の実施要領といったようなものを策定し、既に公表をしております。現在、この四月からの実施に向けまして、三月末までに十三年度の政策評価の実施計画を策定、公表すべく準備中でございます。  財務省としてこの政策評価を実施するに当たっては、財務省の使命と政策目標政策等を国民に明らかにして、納税者としての国民に対する説明責任を果たすこと。財務省の行政全般について客観的な政策評価の実施を確保することによりまして、常に効率的で質が高い、時代の要請に合った成果重視の行政を目指していくこと。また、財務省の仕事の進め方を改善しまして、職員に意欲が出るように、組織が活性化するように、そんなことを考えていくこと。財務省が財政当局として各府省の政策評価の結果を、これを適切に活用していくというようなことを目標に取り組んでいきたい、こんな考えでおります。
  27. 中島啓雄

    中島啓雄君 ただいまの御説明で、財務省としての細かい取り組みについては御説明があったのでございますが、財務省の非常に重要な使命として、やっぱり予算の配分、予算をどう効率化していくかという問題があると思います。  これについては各府省の政策評価の結果を適切に活用していくんだという御見解のようでございますが、それにとどまらないで、今政策評価そのものが、まず各省が実施をするんだということになっておるのである程度やむを得ない事情はあると思いますけれども、特に公共事業等については、共通した尺度で事業評価を求めて、それを予算に反映していくということが必要ではないかと思います。  特に、今、公共事業について総額が多いんだとかむだが多いとか配分が硬直的だとかいろいろな批判があるわけでございますけれども、公共事業のプロジェクトについては費用便益分析といったような定量的な評価が比較的適用しやすいということもございますから、そういう定量的な評価に基づいて、異種のプロジェクトについても、例えば道路がいいのか鉄道がいいのか圃場整備がいいのかというようなことも、なるべく横並びで比較をしていただいて優先順位を決めていくというような姿勢が必要ではないかと思いますが、その辺についてどんな御見解なのか。  たまたま、十三年度予算の解説のホームページでは北陸新幹線と九州新幹線の新規着工区間の費用便益比率というものが公表されておりまして、それぞれ二・一三とか二・〇五になるというようなことで、残念ながらほかのプロジェクトは余りそういう公表がなかったんですが、これは非常に結構なことだと思いますので、こういうことを予算の大きな項目についてはどんどん公表をしていただいて、横並びで予算の優先順位を決めていくというようなことが必要ではないかと思っておりますので、財務省とあわせて、取りまとめの省庁であります総務省、それから監査のお立場から会計検査院にそれぞれ御見解を伺えればと思います。
  28. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 先ほども申し上げましたけれども、本年一月の中央省庁等の改革に合わせまして、この政策評価を重視するということ、各省庁を通じて全政府的に導入したところでございます。こういう流れの中で、国民への説明責任を果たすというような面からも政策評価が積極的な役割を果たすことが期待されているのは御承知のとおりでありまして、そのような各省庁の政策評価の結果というのは、予算編成にこれを活用していくというのは当然のことと思います。  各省庁が本格的に実施していきます政策評価の進みぐあい、つまり相互のバランスなども、同じような手法で同じような費用効果関係などが把握できるような、そういう工夫もして進めながら、また各国の政策評価の経験なども踏まえまして、それぞれ施策のスクラップ・アンド・ビルドといったような予算措置、あるいはまた効率的に予算を執行するような面で当然活用していくべきものだと考えているわけでございます。  お話しの公共事業につきましては、新規事業の採択時における費用対効果分析への活用、あるいは再評価による継続事業の見直しなどによって、事業の効率性、透明性の向上にこれを積極的に活用する、取り組んでいくという必要がありますので、この分析精度の向上、改善といったようなことをさらに検討を深めて、実効ある政策評価が行われますように努力をしていかなきゃいかぬ、こう考えております。
  29. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) 委員から政策評価の結果が予算配分に適切に活用されるようにという御趣旨でございます。  そのためには、まず、やはり各府省におきまして客観的かつ厳格な評価がされるということがまず重要であろうと考えたし、また類似の事業間におきましては、できる限り評価の実施につきまして、要は足並みがそろっているということも重要であろうと考えておる次第でございます。  このため政府では、先ほどございましたけれども、各府省の政策評価の進め方につきましての指針としての政策評価に関する標準的ガイドラインというものを一月十五日に決定いたしました。このガイドラインでは、評価の際の基本となります評価の観点あるいは一般基準、あるいは標準的な評価の方式というものも明らかにするとともに、客観的な情報、データを用いました合理的な評価手法による評価の実施が必要であること、また評価の質の向上という意味で、評価手法の調査研究の推進も必要であるというような趣旨も盛り込みまして、今申し上げましたように、各府省の政策評価の足並みがそろってまいるようにということで意を用いておるところでございます。  御指摘の各府省におきます評価基準等のあり方でございますけれども、これにつきましても、ガイドラインでは、評価手法の調査研究というものの一環といたしまして、類似事業間における評価指標や評価手法の共通化ということにつきまして調査研究を行うことも重要であるということといたしておるところでございまして、今後の課題として追求していくべきものであるという認識でございます。  今後、各府省におきましては、このガイドラインに沿って速やかに実施要領を定めていただきまして、これに従って政策評価を実施するということでございますけれども、総務省といたしましても、今申し上げました評価手法の調査研究というものも進めてまいりますとともに、各府省におきましてガイドラインに沿った客観的かつ厳格な政策評価が実施されるようにということでその推進を図ってまいりたいと考えております。
  30. 金子晃

    会計検査院長(金子晃君) 評価基準は実施される事務事業の目的、性質、目的実現の手段等に関連するというふうに考えられます。これらの諸条件が同じであれば統一的基準が設定されることが必要だと思いますし、また諸条件の相違があればそれに応じて修正が加えられていくということが必要であろうというふうに思います。そして、今後、各省庁においては、総務省のガイドラインに沿って評価基準の具体化が行われ、それぞれの事務事業の特性に応じて可能な範囲で評価方法、方式の標準化や客観的な指標等の設定が行われていくものと考えております。  会計検査院では、経済性、効率性及び有効性の観点から事務事業の評価を行っておりますけれども、各省庁の行う評価方法が公共事業等の執行の効率化にどのように生かされていくのか、また評価方法及び各省庁における実際の評価の妥当性等についての検査にも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  31. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  次に、金融システム安定化対策についてお伺いをいたしたいと思います。  平成九年十一月に拓銀破綻がございまして、その後、十年に入ると長銀、日債銀といったような問題が発生したわけでございますが、それに伴って預金保険法の改正、金融安定化緊急措置法の成立、あるいは十月になって金融機能再生法、早期健全化法というようなことで次々と対策が打たれて、現在いわゆる公的資金枠では、政府保証枠が五十七兆円、それから交付国債が十三兆円ということで、合計七十兆円ということになっていると承知しておりますが、七十兆円がみんなこれ税金から出ていくかというとそういうわけではないので、現在、一月十日現在で、政府保証の使用額の資料をいただきましたところ、政府保証は十七兆円程度交付国債の償還額累計が七兆八千億円ということで、合計しますと二十五兆円弱が実際に使用されているということであろうかと思います。  今後、大型の破綻が発生しない限りは国民負担はこの程度におさまるのではないかと思いますが、それにしても大変膨大な額であると。特に、長銀、日債銀の二行だけで預金保険機構からの金銭贈与が六兆三千億円であるとか、交付国債の償還額がそれに伴って六兆二千億円に達するというようなことでございますので、今までの金融システム安定化対策、これに公的資金を投入したことによる我が国への経済効果というものをどのように考えておられるか、金融担当大臣からお聞かせいただければと思います。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融危機に際して、我が国金融の安定、それからまた自己資本の充実のために、ただいま先生まさにおっしゃられたとおりの制度のもとで資金的ないろいろな支出が行われたということ、そのとおりであるわけでございます。  これがどのような効果を生んだと考えるかということでございますけれども、私ども、この破綻処理を速めた、迅速な破綻処理に努めたということ、また健全銀行の自己資本比率の向上、それによる資本の充実強化に努めたということで、当時一番問題にされました金融機関我が国金融機関あるいはそれらがつくる一つ我が国金融システムの対外信用というものが、これが回復をしたと。対外信用のメルクマールとして何をとるか、これは人によって異なるかと思うんですけれども、私どもが一番注目をしたいわゆるジャパン・プレミアムというようなものが実態的にほぼ消滅をしておるというようなことで、この面の信用の回復が図られたということがございます。  それからまた、不良債権の処理というものも随分これは進んだわけでございまして、平成九年、十年というあたりは非常な規模の不良債権の処理が必要になり、そのようなことが現実に行われましたけれども、その後の推移を見ますと、ほとんど常に対前年でいうと半分とかというようなことで、急速に不良債権処理の金額というものが縮小をいたしました。こういうようなことで、当時問題になりましたいわゆる貸し渋りというような、クレジットクランチというような事態も随分改善を見ておるということでございます。  そうしたことを考えますと、総じて、まさに緊急異例な措置ではございましたけれども、民間金融機関に対する公的資金の投入というものは大きな成果を上げたということが私は言えようかと、このように考えている次第であります。
  33. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  多大な効果を上げておられるということでございますが、昨年来の株安で、三月期決算でBIS基準を達成できない金融機関も出てくるのではないかというような心配もございますが、今後の金融システム安定化の見通し、金融安定化に対する御決意を承って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融システムの安定化というもののメルクマールというか指標をどこに置くかということはいろいろあろうかと思うんですが、先ほど来申し上げますように、私は、対外信用の回復、それから不良債権の処理、不良債権の残高が平常時に収れんしていくというようなこと、それから自己資本が、今、先生お触れになったようにBIS基準に合致することはもとより、むしろ国際的な優良な銀行と言われるようなものに匹敵するような自己資本を持つということが大事であろう、このように考えるわけであります。  こうした観点から見ますと、対外信用については最近ちょっといろいろな、何と申しますか若干そうしたことについて動きがあるというようなことも言われましたけれども、これも今現在では現実のものとはなっていないというようなことでございます。  それからまた、不良債権の処理についても、残高は率直に言って横ばいということでございますが、この不良債権残高が目立った縮減をしないからといって我が国金融機関の健全性に問題ありというところには直ちには結びついていかないわけでありまして、その不良債権についてしっかりした引き当て等の手当てが行われているかどうかということが実質的な問題だというとらえ方をすれば、これについてもかなり我々は安定化に向けての進捗がある、このようにとらえているわけであります。しかし、望むらくは、この不良債権残高そのものがもっと縮減をするということが必要だと考えているわけでありまして、これらについてもこれからいろいろな方策を通じて努力をしていきたい、このように考えております。  なお、自己資本については、いろんなことが言われるわけでございますけれども、一つはやはり自己資本というものは本当の自己資本であるべきで、その中に公的資金が大きなウエートを占めるというようなことはやはりこれは克服されなきゃならぬ課題だと、このように考えているわけであります。  そうしたことで、前向きの取り組みをするということが必要なのでございますけれども、昨今の株式相場の低迷と申しますか低下によりまして、この株式の含み損というものが平成十三年度からこれが表に出すというか、時価評価のシステムに移るというようなことがございまして、それを控えて、そういった事態になることを控えまして、いろいろと含み損というか評価損というものが資本勘定のマイナス項目に立つので、これが自己資本比率を非常に低めて、そこに問題が生じはしないかというようなことが最近言われておるかと思うのでございます。  しかし、この点については、私ども、そのあたりのことが話題になったころの、最近株価が少し回復しているということもありまして、最近における非常に最も水準の低かったときにも一応のシミュレーションをしてみましたけれども、我が国自己資本比率に与える影響というのは大きな問題になるようなものではなく、むしろ微少な範囲にとどまるということでございまして、これらの面について今直ちに大きく心配をしなければならない理由は全くない、このように考えておりまして、いろいろな機会にそのことについての理解を求めている、こういう次第でございます。
  35. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。終わります。
  36. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 保守党の月原です。  きょうは生命保険等のモラルリスクということと、それから年の暮れに朝銀信組に対していろいろ監督庁等の発表がありましたが、そういうことについて金融庁にお尋ねしたい、こういうふうに思います。  まず最初に、御承知のように、きょうの朝の新聞にも、「保険金受取人が殺害関与」、「元自衛官射殺で認定」、金額は八億だと。これは一九九五年の話ですが、そういうふうなことが出ておるし、平成十年の和歌山カレー事件あるいは平成十一年の本庄保険金殺人事件と。  こういうふうな記事が出るたびに多くの人々は思うんですが、生命保険が犯罪の道具として使われておるんじゃないかなと。要するに、人間というのは金のなる木になると思っておるんじゃないか。これは社会の倫理観に大きな影響を与えている、私はそのように思うわけであります。  そういうことで、金融庁の方もそれに対していろいろ手だてはしておると思いますが、こういうふうな類似の事件の発生を世間が危惧しておるわけでありますから、金融庁は監督官庁としてどのように指導しておるのか、そしてこういう一連の事件があった場合に今までの反省事項としてどういうふうな手だてをしておるのか、そのことを御説明願いたいと思います。もちろん、金額とかあるいは具体的な話については、逆にそれが犯罪の温床になるおそれもありますから、あえて私は基準の金額が幾らだというようなことを聞きませんが、どういう時期にどういう手を打っていったんだということをお尋ねしたいと思います。
  37. 高木祥吉

    政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘の点につきましては、平成十年の和歌山の保険金詐欺事件を一つの契機といたしまして、保険会社の適切な業務運営を確保し、生命保険が犯罪に結びつくといったことを防止する観点から、十一年の四月に保険業法施行規則等を改正いたしております。そこで所要の改善策を講じたということでございます  具体的には、被保険者の同意確認を強化するということで、被保険者の同意を書面等により確認することを義務づけるという手当てをいたしております。  さらに、法人契約を適正化するということで、法人の存在を書類等によって確認することとか、あるいは被保険者が死亡した際にその保険金を原資とした弔慰金等が遺族の方々にきちんと支払われているか等を確認することを求めることといたしております。  また、保険契約に当たりまして、いわゆる替え玉受診と申しますか、健康診査を適正に行うという観点から、医師に対しまして運転免許証等による本人確認を行うことなどを求めることといたしております。  さらに、十二年の五月には、保険契約者等の収入とか資産等に照らしまして保険金額が妥当かどうか、逆に言いますと過大なものとなっていないかどうかを適切に判断あるいは確認するための社内規則、業務運営体制の整備を保険会社に求めることといたしております。  また、このほか、先生ちょっとお触れになりましたけれども、生命保険協会におきまして、一定金額以上の保険契約を登録して、その情報を交換することによりまして多重契約をチェックするといういわゆる契約内容登録制度が実施されているわけでございますが、このチェック機能をさらに強化するために、登録の対象となる保険金額の基準を引き下げるとか、あるいは登録期間を延長するといった措置がなされているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも、保険会社に対する国民の信頼が損なわれることのないように適切な監督に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  38. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、今のお話のように生保協会等も努力されていることは十分わかるし、それに対応していろいろ今お話しのように被保険者の同意確認の方法とか法人契約の問題とか、欠陥があったことについてはさらにそれを詰めていっているということはよくわかりました。  そこで、新聞発表によると、私はほかの穴があったらいかぬと思うんですね。そういう意味で多重契約のチェック制度の強化という中に、当時は監督庁ですが、その新聞発表の中に、「日本損害保険協会は、現行の「人保険事故情報交換システム」に加え、死亡保険金受取人を指定した契約について、契約情報を交換するシステムの開発を検討する。」、こういうふうなことが十年の十二月の新聞発表に出ておるわけですが、これは現在どのように進捗しておるのか、金融庁は把握しておるでしょうか。
  39. 高木祥吉

    政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、十年十二月十八日に、当時の金融監督庁におきまして御指摘のような考え方を記者発表いたしております。その後、これを受けまして、日本損害保険協会におきましては、傷害保険契約等の契約内容を登録してその登録情報を交換するための、仮称でございますが、契約登録制度を創設するということにいたしております。現在の状況でございますが、本年六月の実施を目指しまして、現在システム開発作業を進めているという状況にございます。  当庁といたしましては、こういった制度を含めたモラルリスク対策の実施状況を十分注視いたしたいと思っておりますし、また必要があればその見直しを求めるなど適切な監督に努めたいというふうに考えております。
  40. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 損保協会のことについては今、本年の六月を目指して着実にそれが進んでおるということであります。  さらに、もう一つの穴というか空白のところは何かといったら、要するに隣接業界であるもろもろの共済、そういうものが私はあると思います。そういうモラル対策については、今ここでどういうふうにしておるかということをお尋ねするのはお答えがなかなか困難なようでありますが、政府として十分この問題について配慮して、要するにこれは何のためにあるんだというと、大きな意味でいえば、今お話しのように倫理というものをちゃんとする、そういうことからでありますから、穴がないように隣接業界に対しても私は指導していただきたい、このことを要望しておきます。  次に、朝銀の問題、これはアサギンと言うそうでありますが、その破綻について、昨年暮れ、金融庁として発表がありました。金融再生委員会委員長談話と、そのころはそうなんでしょうが、十二月十六日、それから十二月二十九日、こういうことで委員長談話が発表されたわけでありますが、私はこれはなかなかの英断であったと思っております。  というのは、普通はこれ保険業法によって、保険法によって要するに受け皿があるんだと、そうすると、もう管財人もほうり込まぬと、さっとやるというのが普通の信用組合に対する対策である、対応であるというふうに理解しておるんですが、そこに一つの判断が加わって、それは当然のことであり、私は正しいことだと思うんですが、管財人を設置することになったということであります。  そこで、一つお尋ねしたいのは、平成九年に兵庫とか滋賀とか京都とか和歌山とか奈良とかと、そういうものがあわさって朝銀近畿というのが設立されて、これが受け皿となって、平成十年、朝銀大阪が破綻したときに、これは三千億近い資金援助が行われたわけでありますが、受け皿として機能した。これがまた昨年の暮れ、十二月に破綻した、こういうわけでありますが、ここに管財人が入った場合に、管財人が設置されたわけでありますが、そこで、もし、今申し上げた平成九年にそれぞれの地方の兵庫、滋賀等のものが近畿をつくったわけですが、ここのこのものが申請しておるものと異なって債務超過が仮にあったとした場合には、それの旧経営陣に対する責任ということも問うことができるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  41. 高木祥吉

    政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。  金融整理管財人は、金融再生法に基づきまして破綻に至った経緯等を調査いたします。さらにその調査に基づきまして、民事上の責任があるといった場合にはその責任追及のために提訴を行うとか、あるいは犯罪があると思料するときには告発を行うということが義務づけられております。  こういった枠組みのもとで、金融整理管財人は、御指摘のような点も当然含めまして、法律に基づいて厳正な調査を行うというふうに理解をいたしております。
  42. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 それは、平成十二年四月からこの監督が県から国に移ったと。それで、今申し上げたときにはこれが県の監査のもとでそういうふうに推移していったというようなことからいって、私はもしそこにあった場合に、一般の人が危惧しておるのは、もうそれでチャラになっておるじゃないか、それで、あとはもう今度、近畿としての問題だけだというふうに理解されている人も多いだけに、今のお話ではっきりした態度であることを私は歓迎するわけであります。  そこで次に、これはもう時間がないので要望ということにさせていただきますが、当然管財人の方々はその努力をされることでしょうし、整理回収機構または預金保険機構も将来これに加わって刑事、民事の問題があるかないかということも追及されていくことだと思いますが、特に融資が企業規模に比して合理的範囲内であったのかどうか、そして代金回収が焦げついている先に重ねて取引をしていたのかどうかというような観点も十分頭に置いてされることと思いますが、私としてはその点を強く要望して、私の質問を終わります。
  43. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  本題に入る前に、まず宮澤財務大臣にお伺いしたいことがございます。  普通、予算というのは決算を受けてつくられていくべきものだと私は思っていますけれども、今審議しているのが平成十年度の決算です。十三年度の予算案がもう提出されようとしているわけですけれども、こういう点から考えてきたときに、決算の意義というのはどういうものなのか、その辺についてちょっと教えていただければと思います。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私どもとして承知をいたしておりますことは、国会における決算の御審査というのは、予算の行政府による執行が果たして国会の御期待になるような政策目的を果たしているものであるかどうかにつきまして国会から御審査を受ける、そういうものとして承知をいたしております。  それはもとより、執行に不正があった、間違いがあったということはこれはもう申すまでもないことで、これは会計検査の対象でございますが、同時に、執行そのものが国会の期待しておられるような目的に沿って行われているかどうかにつきましても御審査のあるものというふうに承知をいたしております。
  45. 櫻井充

    ○櫻井充君 執行そのものに問題があったかどうかということを審査する場だというふうに今おっしゃっていただきました。私は、その観点から立てば、まず一つは外務省の報償費について議論しなければいけないだろうと思いますし、もしここでおかしな使われ方がされていたんだとすれば、当然のことですけれども、平成十三年度の予算案は変更しなければいけないんじゃないかと思いますが、その点についてどうお考えでしょうか。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま具体的に外務省の報償費の問題につきまして、私、事実を存じませんので、それにつきましてお答え申し上げることはできませんが、一般的に決算を御審査しておられるときに、そのことが現にこれから御審議をいただくこれからの予算あり方にも関係があるという御判断でありますれば、それは問題は、そういうことはあり得ることでございますけれども、私、ただいま具体的な問題について存じませんので、その点につきましてのお答えは申し上げかねます。
  47. 櫻井充

    ○櫻井充君 御判断であればというのは、それは私が判断するということでしょうか。私は、財務大臣はどう判断されるのかをお伺いさせていただいているんです。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 財務大臣としては、国会に御提出いたします予算は間違いないものを御提出いたしております。
  49. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、少なくとも外務省の調べで元室長が私的に流用していたということがもうわかっています。  つまりは、その分は予算から削除しても何ら構わない私は額だと思いますけれども、それでもなおかつ同じだけまた外務省に報償費をつけなければいけないんでしょうか。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 外務省のことを私は存じませんので、それを前提に御返事を申し上げることはできません。
  51. 櫻井充

    ○櫻井充君 財務大臣というのは査定する権限があるはずです。では、外務省から上がってきたものをただ判こを押して、それで出すだけですか。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府といたしましては、財務大臣といたしましては、適正と考えている予算を御提出いたしておるわけです。
  53. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、ではお伺いしたいんですけれども、今外務省は、転用していると、外務省から内閣官房に転用されているものをその元室長が流用していたというふうに、これはきょうの新聞にも載っているわけです。これは外務省がお調べになってそういうふうになっていると。だとすると、繰り入れという形が認められているわけですから、予算要求したのは外務省であっても、繰り入れされて使ったところは本来であれば内閣官房であるはずです。  ここ三年、平成八年、平成九年、平成十年の予算とそれから決算を調べさせていただきましたけれども、結果的には、転用されているという事実はその予算決算からは出てまいりません。このような決算の方法というのは私はおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどから申し上げておりますように、そのような事実を存じませんので、仮定に基づいてお答えをすることはできません。
  55. 櫻井充

    ○櫻井充君 外務省の方にお伺いします。  この転用があったという、まず、じゃ少なくとも、お伺いしたいのは、転用した事実はあるわけですか。
  56. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 外務省の報償費というのは、外務大臣が執行の責任を有するものでございまして、情報収集及び諸外国との外交交渉あるいは外交関係を有利に展開するために外務省の判断と責任において使用されているものでございます。したがって、外務省のコントロールを離れて報償費の支出が行われるということはございません。
  57. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、そうするとこの新聞報道が間違っているんでしょうか。官房に転用していると。たしか赤旗だったと思いますけれども、赤旗にもそういうことが以前載っていたかと思いますけれども、それは間違いなんですか。
  58. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 繰り返しになりますが、外務省のコントロールを離れて報償費の支出が行われるということは、外務省の報償費についてはございません。
  59. 櫻井充

    ○櫻井充君 確かに外務省のコントロールを離れていないんですよ。それはなぜかというと、元室長は外務省の籍を持っていながら実は官房の役職を兼務していたからです。ですから、外務省のコントロールは確かに離れていないんだろうと思います。  しかし、外務省では他省庁に出向する際は兼務になるということはよくあることですけれども、外務省の中に勤務しながら長期にわたって他官庁の役職を兼務するということはなかったというか、ほとんどないはずなんです。その方がなぜそういう立場におられたんですか。
  60. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 問題になっております職員が内閣官房の関係あるいは総理府の関係の兼務をいたしておりました時期は、問題となっております要人外国訪問支援室長の時期とは重なっておりません。
  61. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、済みません、具体的には元室長はいつからいつまで兼務されていたんですか。
  62. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) ちょっと手元に資料を持ってきておりませんので、大変恐縮なんでございますが、彼が兼務をしておりましたのは経済局の関係で勤務していたときでございます。
  63. 櫻井充

    ○櫻井充君 なぜきちんとした資料がなくて兼務していませんと言えるんですか。
  64. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 要人外国支援室長の時期には兼務していなかったということを申し上げた次第でございます。
  65. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、この報償費が、報償費の使われ方が、少なくとも外務省自体の中の報償費ではなくて、官房に転用されたものが使われている、そういう事実が報道されているわけですけれども、これは間違いないんですか、では。それは外務省が調べたんだというふうに載っているんですけれども、いかがでしょう。
  66. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 現在、この問題については調査を行っているところでございまして、調査結果の報告についてはできるだけ早い時期に行いたいと思っておりますが、それまでの間、途中経過として申し上げることは避けていきたいと思っております。
  67. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、会計検査院にお伺いします。  会計検査院はこのことに全く気がつかなかったんですか。チェックされていなかったんでしょうか。
  68. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えします。  報償費につきましては、その経費の性質上、支払い先についての情報を厳重に管理する必要があるということから、領収証書等の証拠書類を証明責任者の手元に保管するということにしております。この取り扱いにつきましては、各省庁の申し出に基づき、検査院においてその内容を検討して認めてきているものでございます。  検査に当たりましては、まず在庁時におきまして、計算証明の書類として提出されてきます支出決議書、取扱責任者の領収証書並びに領収証書にかえて提出されます支払い明細書の書類について書面検査を行って、支出状況というものを把握してきている状況でございます。  また、実地検査のときにおきまして、証明責任者の手元に保管されております領収証書等の証拠書類の提示を受けまして、また説明を聴取したりいたしまして、支出目的に従って適正に使用されているかどうかという心証を得られるまで検査してきているという状況でございます。
  69. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、ではもう一つ会計検査院は報償費を毎年毎年きちんとチェックされているんですか、されていないんですか。
  70. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 外務省の場合で申し上げますと、外務本省の会計実地検査を年二回程度行っております。その中でお話しの報償費についても検査を行ってきておるという状況でございます。
  71. 櫻井充

    ○櫻井充君 会計検査院の方がチェックしても、会計検査院は気がつかなかったということですか。
  72. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 現在、一連の報道がなされておるということは十分承知しておりますが、それにつきましての事実関係というものにつきましては、現在のところ検査院として十分に把握しているという状況にはございませんので、今後検査してまいりたいというふうには思っております。
  73. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一度。検査はされたんですね。検査はしたけれども気がつかなかったんですか、これまでは。
  74. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 検査の過程で今報道のような事実があったという認識は、現在までの検査では持っておりません。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、今どうのというのじゃなくていいんです。平成八年でも平成七年でもいいんですよ。もう検査が終わっているもので結構です。今、平成十年に関してももうお調べになっているはずですよね。そういうことを調べたときには、今までは全く気がつかなかったんですか、それとも調べられないんですか。そこを教えてください。
  76. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 先ほど申し上げましたように、支出目的に従って適正に使用されているかどうかという心証を得るまで十分な検査をしてきておるつもりでございます。その過程で、現在までのところ特に検査報告に掲記するというふうなことで指摘したようなものはございません。
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、大変申しわけないんですが、会計検査院は一応はチェックした、チェックしたけれども会計検査院として気がつかなかったということで、私の判断はそれでよろしゅうございますか。
  78. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お話しのとおり、検査は厳正に行ってきたところでございます。したがいまして、ただ、今までのところ検査報告という形で御提示しているものはないということでございます。
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは、国民の皆さん、みんな怒っていますよ。今、みんな節約して、そしてあした仕事があるかどうかもわからないような感じで皆さん苦労されていますよ。何億円という金を一人で流用していたことに本当にチェックして気がつかないんだったら、大変申しわけないけれども、会計検査院の役目は何も果たしていないじゃないですか。そう思いませんか。これが国民の声だと思いますよ。
  80. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 報償費につきましてはいろいろ従来からも御議論のあったところでございますので、検査院としましても重要な検査対象であるというふうに認識しまして、厳正な検査をしてきたところでございます。  ただ、一連の報道もございますので、その辺の事実関係は十分調査してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 そしてもう一つ、計算証明規則というのがあります、会計検査院規則第三号ですけれども。その十一条に、「特別の事情がある場合には、会計検査院の指定により、又はその承認を経て、この規則の規定と異なる取扱をすることができる。」というふうに定めてあります。  お伺いしたいんですが、特別の事情、今回の件に関するこの特別の事情に当たる部分というのは一体どうしてまず特別な事情に当たるのか。そして、会計検査院がこれは承認しているわけですけれども、今後こういう事件が起こってもこの先承認なされるおつもりですか。
  82. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 本件に沿いますといいますか、個別の事態につきましては、その個々の報償費の使途あるいは内容等の具体的な中身にかかわってくる問題も出てこようかと思いますので答弁は差し控えたいと思います。  ただ、一般的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、支払い先についての情報というものをなるべく多くの者の目に触れないようにと、いわばそういう情報を厳重に管理する必要があるというものにつきましては、お話しの証拠書類等の証拠書類を証明責任者の手元に保管させるという取り扱いを従来認めてきているものでございます。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、官房の方にお伺いしたいんですけれども、毎年二十億円ぐらいずつ、二十億なのかちょっと額ははっきりしませんけれども、転用されていたわけですが、その事実は官房の方は御存じなんですか。先ほど外務省は知らないという話でした。
  84. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 今の御質問でございますが、内閣官房にも内閣官房として報償費が設けられております。この内閣官房に設けられております報償費は、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じてその都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費でございます。  外務省の公金流用疑惑問題については、現在外務省において鋭意調査中でございまして、現段階では事実関係を私どもとしても承知をしておりません。そういう状況であります。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 そんなこと聞いていませんよ。転用した事実があるのを認識されているのか。毎年毎年二十億入っていると書いてありますよ。それは本当なのかどうかとお伺いしているんです。だれもそんな官房機密費の話なんか聞いていませんよ。
  86. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 外務省の報償費は外務省において適正に管理をされているというふうに考えております。
  87. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、そうすると、これらの新聞報道は皆うそなんですね。そう認識していいんですか、我々は。
  88. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 新聞報道等でなされているというお話でございますが、私どもとしては、現在外務省において今回の事案について鋭意調査中であるということだと認識しておりまして、現段階では事実関係承知していないということでございます。
  89. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、とにかく今の答弁は、転用されたことは知らないということですね。毎年こういうふうな事実があるんだと新聞に載っていますけれども、それはないんだということですね。それとも知らないということですか。
  90. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、外務省の報償費は外務省において適正に管理しているというふうに私ども考えておりまして、今回の事案については、先ほど申し上げましたように、現在外務省において鋭意調査中でございますので、現段階では事実関係承知していないと、こういうことでございます。
  91. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと理解に苦しむ答弁なのでもう少し単純に言っていただきたいんですが、転用されたという事実をあなたは御存じないんですか、まず。あなたは御存じないんですか。そのことだけで結構です。あなたは知らないんですか。
  92. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 外務省の、先ほど来申し上げておりますように……
  93. 櫻井充

    ○櫻井充君 だから、知っているか知らないかだけですよ。答弁になっていない。
  94. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 外務省の報償費の使途にかかわるものでございますので、お答えすべき事柄ではないというふうに考えております。
  95. 櫻井充

    ○櫻井充君 それはおかしいでしょう。だって、億の金が移っているか移っていないかという、それも何も、じゃ知らぬ存ぜぬですか。要するに、これは全部外務省だけの問題にしたいんですか。  では、もう一つ。外務省の心ある方はもっときちんとやってくれと言っているわけです。これはフォーサイトに載っていますけれども、フォーサイトの記事で、三悪人がいるんだ、一人だけじゃないんだ、そう書いてあります。後でお読みになっていただきたいと思います。具体的に挙げても構いませんけれども、三悪人と呼ばれていて、本省内局の課長補佐、在外公館の一等書記官、この二人が同じようなことをやっているとフォーサイトに書いてあります。  このことも外務省にお願いしておきたい。きちんと調べていただけますか。そうでなければ、最後のところに書いてあるんですけれども、これは大事なことなんですよ。「外務省の腐敗体質は構造的なものだ。一般の真面目な外務省職員からも捜査当局のメスに期待する声が出ている。」と。まじめに一生懸命やっている人たちがえらいいい迷惑をこうむるわけですよ、一部の人たちのために。この際ですからきちんと調査していただきたい。そして、このフォーサイトに載っているこの二人もきちんと調べていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
  96. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 報道であれ何であれ、外務省員について重大な問題があり得るという情報がある場合、そしてそれが相当の信頼性がある場合には、私どもはそこはきちんと調べるようにしているところでございます。
  97. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、別な話題に移りたいんですが、施政方針演説のでき方というんでしょうか、つくられ方を教えていただきたいんです。つまり、各省庁から恐らくこういうことを施政方針演説の中に盛り込んでくださいという要望が来るんだろうと思いますけれども、そしてそれをどなたかが取りまとめをされる、もしくは総理御自身が全部やられるのかもわかりませんけれども、そしてそういう形で施政方針演説ができ上がっていくんだろうと思いますが、私のこの認識でよろしゅうございましょうか。
  98. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 施政方針演説につきましては、通常、各省庁において演説に盛り込むべき事項を、その希望します重要施策というものを提出していただきまして、それを整理した上で、総理を中心に官邸内のスタッフで検討を重ねるという手続をとりますのが通例でございます。最終的にはその案を閣議で検討いたしまして、演説当日に閣議決定されるという手続が通例でございます。
  99. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、厚生労働省と文部省にお伺いしたいんですが、ものつくり大学のことに関して、平成十二年度の施政方針演説の中にものつくり大学の構想に関して盛り込んでくださいという要望はされたんですか。厚生労働省と文部省の方にお伺いしたいと思います。
  100. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 結論的に申し上げますと、施政方針演説中に盛り込むべきことの中には、ものつくり大学については加えておりません。
  101. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 私ども文部省の方でも、参考案といいましょうか、所管事項についての御要望事項といたしまして、ものつくり大学の件については申し上げてございません。
  102. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、各省庁から上がってきていないわけです。  どなたがものつくり大学の構想を盛り込もうと御提案されたんでしょうか。
  103. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 先ほども申し上げましたように、施政方針演説は総理のもとで検討を重ねた結果として最終原稿ができ上がるというものでございます。それぞれの施策について具体的にだれがどのような主張をしたかということにつきましては、記録に残すべきものでもございませんので、承知しておりません。
  104. 櫻井充

    ○櫻井充君 でも、少なくとも各省庁から上がってはいないわけですから、内閣の中なんでしょうか、それとも原稿作成チームがあるのかわかりませんけれども、その方々の中でこういうものつくり大学を施政方針演説の中に盛り込もうと、そういうことをお決めになったと我々考えてよろしゅうございますか。
  105. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 先ほど他省庁から御答弁ありましたように、演説に盛り込むべき事項ということで提出はなかったということは承知いたしておりますけれども、その後の最終原稿に向けましての調整というものはさまざまな形で行われるものでございますので、正確なやりとりの有無ということを確認するというのは困難でございます。
  106. 櫻井充

    ○櫻井充君 さまざまなやりとりというのはどういうことですか。もう少し具体的に教えてください。
  107. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 原案の作成過程におきましては、文書のやりとりもございますし電話等のやりとりもございますので、すべてをこれを逐一記録するというものではございませんので、どういう形でそれが入ったのかという逐一の事実関係を確認するということが困難ということでございます。
  108. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、そこに参加でき得る役職の方々はどういう方でございましょうか。
  109. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 検討の過程というのはさまざまな過程がございますので、いろんな形で参画をされるということでありますので、特定の人間だけに限られるということではございません。
  110. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、私も入れますか。私も入れていただけますか。
  111. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 先ほど申し上げましたように、各省庁から演説に盛り込むことを希望すべき事項というものをいただいた上で、それにつきまして総理を中心に、官邸のスタッフを中心に検討が行われるということでございます。
  112. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、もう一つ別な観点からお伺いしたいんですが、要するには、ものつくり大学というのはあの当時まだ認可もされていなかったんです。認可もされていないような私立の大学を取り上げるということ自体、非常に私は異常なことだと思いますけれども、これまでの歴代の総理の方が施政方針演説を述べられて、このような認可もされていない私立の大学を取り上げられたことがあるのかどうか、教えていただきたいと思います。
  113. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) そもそも施政方針演説は、予算等に関連しまして国の重要施策の方針ですとか基本的方向を述べるというものでございますので、重要施策であれば構想段階のものであっても盛り込まれるというものだと考えております。  ものつくり大学につきましても、物つくりの重要性が再認識されて、総理のもとでものづくり懇談会が設置をされていたということですとか、既に大学の構想も具体化され、十二年度の予算に所要の経費が計上されていたということから演説に盛り込まれたものというふうに考えております。
  114. 櫻井充

    ○櫻井充君 私はそういうことを聞いているんじゃないんです。今までそういうことがありましたかと聞いているんです。去年のことじゃないんですよ。今まで、かつてそういうことがあったかということをお尋ねしているんです。
  115. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 過去にさかのぼった限り御指摘のような例はないということですが、要は、私立大学として認可されていたかどうかという問題ではなくて、施策としての重要性という問題であるというふうに考えております。
  116. 櫻井充

    ○櫻井充君 施策としての重要性はお認めいたします。しかし、個別の大学を挙げること自体はおかしくないですか。
  117. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) そもそも、ものつくり大学というものが、我が国経済の基盤であります製造業等の重要性という観点から物つくりを担う人材を育成するという点においては重要なものであるというふうに考えております。
  118. 櫻井充

    ○櫻井充君 だから、施策はわかっていますが、個別の大学名が挙がることはおかしくないかと言っているんです。  では、ついでに言っておきますと、要するに一千五百万で売られたことだろうと思いますけれども、ものつくり大学のホームページをダウンロードしていただいてみればわかりますけれども、「小渕前首相の言葉」としてものつくり大学のホームページにきちんと載せてあります。「小渕前首相は二〇〇〇年の施政方針演説で「ものつくり大学」の設立を取りあげられました。こうしてこれからの日本発展にとって、科学技術の進歩やものづくりの大切さを再確認されました。 「わが国の経済を支えてきた「ものづくり」の大切さを深く認識し、「ものつくり大学」の設立を始め、その基盤強化を進めていきます。」」と。「小渕前首相の言葉」としてこういう形でホームページに取り上げています。  私は、このために恐らくは政界工作をやったんじゃないだろうか、こういう形で使っていきたかったんじゃないだろうか、うがった見方かもしれませんけれども。結果的に我々国会議員が委員会で質問したり、そして演説したりすることをお金で売っているから問題なんです。だから、みんな怒っているんです。私利私欲のために政治を使っているから怒っているんですよ。  我々だってこんなことばかりやりたくないんです。本当は私は、後で時間があれば柳澤金融大臣と不良債権の問題なんかについて話をしたいと思っていますけれども。こういうことだけやっているから政治不信を招いていっているわけですよ。だから、我々はこういうことを追及せざるを得なくなっているんです。  もう一度お伺いしたいんですが、そういう演説をされている、そういうことっておかしいと思いませんか。私はおかしいと思っています。くどいようですけれども、認可もされていない私立の大学が施政方針演説で取り上げられるということは私はおかしいと思いますが、おかしいとは思いませんか。
  119. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 当時の状況から申しますと、鉄道トンネルにおけるコンクリートの落下事故ですとか、茨城県の東海村での核燃料物質加工施設における事故などが続いておりまして、物つくりの重要性というものが再認識されまして、十一年の暮れに先ほど申しましたものづくり懇談会が設置されております。そして、施政方針演説が検討されているころにちょうどその懇談会の場で複数の委員からものつくり大学について重要な取り組みとして発言があったということがございますので、そのような背景の中で演説に盛り込まれたものというふうに理解しております。
  120. 櫻井充

    ○櫻井充君 通告してなくて大変申しわけないんですけれども、宮澤財務大臣にお伺いさせていただきたい。  総理の経験者として、施政方針演説にこういう内容のものが盛り込まれるということ、許されることなんでしょうか。大変申しわけございません。質問通告していないので大変申しわけございませんが、感想で結構でございます。
  121. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど施政方針演説がどういうプロセスでできるのかというお尋ねがありまして、参考人からいろいろお答えがあって、最終段階は総理を中心にいろいろ議論があって決まると、そういうことだと思いますね。  私の場合も私なりのやり方でやりました。別にルールはないわけでございますので、したがって、それを申し上げても別段参考になりません。  ほかの総理大臣はほかの総理大臣が是とする方法でやられたというふうに考えるしかございませんので、恐らく小渕総理大臣は今のことは、物つくりが非常に、今、参考人が言われましたが、大事だと考えられる段階で、それについて具体的に述べることが国のために大事だと御判断をされたのだろうと推測をいたしますが、これは総理大臣おのおのの考えでいたしますことでございますので、正確にはお尋ねにはお答えできません。
  122. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、もう一つ特殊なことを挙げますと、実はものつくり大学に対しての補助金が、平成十二年度ですけれども、当初の予定が四十六億ぐらいだったと思いますが、最終的には七十一億まで膨れ上がりました。これは概算要求の時点では五十億程度でしたけれども、変更要求をされて七十一億まで上がったという経緯がございます。この変更要求をした、まず理由を労働省の方に教えていただきたいと思います。
  123. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) ものつくり大学につきましては、平成十年秋の十一年度予算編成の過程におきまして、国の補助金は約六十億というようなことで全体的な計画をイメージしたわけでございます。  しかし、その際に、民間からも寄附をいただくというようなことであったわけでございますが、十一年の三月からの寄附の募集が見込み以上に低調であったと。他方で、十三年の四月に開学を円滑に行わなければならないといったようなことがございまして、今、先生がおっしゃいましたように、平成十二年度要求分について申し上げますれば、五十億八千万円の要求を行ったものであるわけでございますが、さらに当時、この十二年度の要求をした後におきましても、ものつくり大学の総長あるいは学長になられる梅原先生あるいは野村先生といった先生方から、大学の設備の充実について引き続きもっと充実してくれという要望が続きまして、それにつきましての正式の要望も出ておったと。  ただいま申し上げましたような民間からの寄附が少額にとどまったこと等を勘案いたしまして、円滑にしかも魅力のある大学としてスタートさせるためには一定の施設の追加助成が必要であるというようなことで二十億五千万円を追加要求いたして、今御指摘がありましたように約七十一億三千万円を計上した、そういう経緯でございます。
  124. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  125. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十年度決算外二件を議題とし、質疑を行います。
  126. 櫻井充

    ○櫻井充君 午前中の続きをさせていただきます。  変更要求の件なんですが、年間に何回もあるような、そういうものではない、そういう性質のものではないんだろうと思います。それで、これまで労働省でそのような変更要求をされたことがあるのかどうか、まずその点について教えていただきたいと思います。
  127. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 先生、労働省関係、ちょっと全体のこれまでのことはわからないのでございますけれども、ものつくり大学に関しましては本件の変え要求だけであったということでございます。
  128. 櫻井充

    ○櫻井充君 そのように、要するに変え要求というのはかなり特別な場合に行われるんですね。変更要求ですか、ごめんなさい。これは財政法の十八条に財務大臣の調整過程において各省庁の長から行われる要求をいうということで、そのときの状況によってやむを得ない場合にはある程度において若干の例外的取り扱いをすることを認めない趣旨ではないと解されるというようなことです。つまりは、そのときの状況によってやむを得ない場合にはとございます。  このやむを得ない場合に当たるという判断は、どういう根拠から判断されたんでしょうか。
  129. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 午前中にも申し上げましたわけでございますが、私どもは先ほど申し上げましたように五十億八千万円を要求したわけでございますけれども、開学に向けて、やはり新しいこの形の大学に対して全国から学生を集めて魅力のある大学にするためにはいま一段の施設の充実を希望する声が梅原先生あるいは野村先生初め大学の準備財団の関係者の方から上がりまして、ぜひとも開学までに学生寮、体育館等を整備してほしい旨の正式の要望書も出てきてまいったところでございまして、私どもといたしましては、この大学の設置の趣旨にかんがみまして、これらの要望を踏まえて何とか魅力のあるものにしなければというような強い思いでそのような追加要求を行ったということでございます。
  130. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、その当時はまだ認可されていなかったんじゃないですか。認可されていなかったのに対して、なぜそこのデッドラインを決めてやらなきゃいけなかったんでしょうか。
  131. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) これは、先生がおっしゃるような見方も一方には可能かと思いますが、私が今申し上げましたように、やはりまず大学の最初のスタートの段階でどういう内容のものであるかということが肝心であると。この物づくりの分野におけるところの一つの魅力のある、新しい提案ということでございますので、何とかそういう方向に、そういう方向を出すために私どもとしてはこういう先ほどから申し上げておりますような内容の追加をすべきものであるという判断をさせていただいたということでございます。
  132. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、労働省は最初にこのものつくり大学をこういう形でつくろうという計画をされていたのではなかったように思います。つまり、労働省所管の別な専門学校だったか短大だったか忘れましたが、そちらを昇格させてはどうなのかという提案を御提示されていたはずであって、何が何でもこれを積極的にやらなければいけないというのは労働省の判断ではなかったと思います。いかがですか。
  133. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 労働省におきましても、実は従来から技能検定の制度であるとか各種の技能の振興と技能者の社会的地位の向上を図ってまいっておりますし、またそういう分野に力を入れなければならないという立場がございます。  平成六、七年ころからいろいろ円高に伴う製造業の空洞化といったようなことが言われたり、そういう中で物づくりを担う人材の確保、育成基盤を強化していかなければならないという一般的なお考えが世の中に強まってきておったわけでございまして、労働省におきましても平成八年度から技能振興に取り組みます市町村を支援する事業を行ったり、九年度においても行っておったところでございます。  今、先生おっしゃった大学校といったものもやっておるわけでございますけれども、このものつくり大学につきましては、ぜひひとつこういう物づくりに携わる人々の核として、社会的地位の向上を図るという意味で学士号を得ることができるような形の、つまりは大学という形のものにしていくということを当時、国際技能振興財団が構想しておったわけでございまして、労働省といたしましては、ただいま言いましたようなこと、それから平成九年におきましては、職業能力開発行政につきましてもできるだけ民活型、民間活力を積極的に活用していくという方向でいくべきであるという風潮といいますか、考え方が強まっておった状況でございまして、そこで大学であって私立大学といった形のこういうプランに対して労働省として支援をしていくべきであるというふうな決断をしていったわけでございます。
  134. 櫻井充

    ○櫻井充君 だらだらで全然よくわかっていないんですが、私立大学の設立に基本的にまず国が補助金を出す必要はないと思うんです。今、私立のとおっしゃいましたけれども、これは、憲法の八十九条だったかと思いますけれども、憲法の八十九条に、公金その他の公の財産は公の支配に属しない教育もしくはと、こういうところに支出しちゃいけないということがあるわけであって、もともと私立大学だというところに国が補助金を入れて事業を行うということ、そのこと自体まず憲法に触れることなのではないですか。  きょうは法制局も来ていますので、法制局のまず見解をお伺いしたいと思います。
  135. 阪田雅裕

    政府参考人(阪田雅裕君) 今、先生御指摘ありましたように、憲法八十九条は、公の支配に属しない教育の事業に対して公金を支出してはならないと書いております。  ただ、この点につきましては、現に多くの私立大学に対して運営費等の助成が国等からなされているわけでありますけれども、これは、その助成が行われた場合に、私立学校振興助成法等に定める私立学校を設置する学校法人に対して所轄庁、すなわち文部省でありますけれども、が人事、会計等々について特別の監督を行うという仕組みを設けておりまして、このことによって公の支配に属させているという理解のもとに戦後一貫して運用してきているわけで、憲法上、私立学校に対する助成が問題があるというふうには考えておりません。
  136. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、建物に対してもですか。運営費はそういう判断なのかもしれないけれども、建造物に関してもそういう判断ですか。
  137. 阪田雅裕

    政府参考人(阪田雅裕君) ちょっとものつくり大学、今御議論になっております大学の構想につきまして事実関係の詳細を承知しているわけではないので一般的な法律論としてお答えさせていただきたいわけでありますけれども、お尋ねは、その教育事業を行う学校法人あるいは大学そのものに対する国の助成ということではないというふうに承知をしております。  これは、新しくつくられる大学のために、その開設に備えて用地取得や施設整備等を行うことを存立の目的とする公益法人、民法法人に対する助成であったかと思いますので、ちょっと学校に対する助成というのとは話が違うのかなというふうに理解しておりますが。
  138. 櫻井充

    ○櫻井充君 どうも説明がよくわからないんですが、解釈が悪いんでしょうか。  もう一つ。では、先ほど私立のとおっしゃいましたけれども、私立大学の設立に国が補助金を出すことがなくて、そして、さまざまな事情を受けて補助金を出すことがあって二つに分かれるというんです。今回のものつくり大学というのは地域のニーズによるものなのか、それとも国のニーズによってつくられようと、そこで補助金を出そうとされているんですか。
  139. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 結論的に言いますと、地域ということではなく、幅広く、国といいますか、幅広い視点からのものであるというところに着目しているところでございます。
  140. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一度お伺いしたいんですが、国のニーズというのは労働省の考えということですか、当時の。労働省の考えとして、そういうものの必要があったということでしょうか。
  141. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 基本的にこのお考えを進められた民間の各位がいらっしゃるわけでございまして、一般論で、私ども能力開発行政をやっておるわけでございますので、そういう行政の中でいいものについて支援をするということで、契機は民間がお考えになったもの、それに対して我々がよしとして、あるいは適当として支援をしていると、そういう関係でございます。
  142. 櫻井充

    ○櫻井充君 今回の補助金は、実は労働保険特別会計から出されているわけです。この労働保険特別会計から出されたまず根拠を教えていただけますか。
  143. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) これは、雇用保険法第六十三条の能力開発事業に当たるということで支出されているところでございます。
  144. 櫻井充

    ○櫻井充君 そして、ここの職業能力開発局の平成十一年度の予算額が約四十億です。平成十二年度の予算額は、このものつくり大学設立に対する支援経費だけで七十一億円計上してきています。随分異例なことだと思うんですけれども、なぜこれだけ突出した予算をつけなきゃいけなかったんですか。
  145. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) これはたびたび、若干重複になろうかと思いますけれども、大学づくりが先ほど来申し上げましたように大詰めといいますか非常に重要な段階になっておって、そういう段階において設備の内容等について総長等の皆さんから非常に強い要望があった、それを私どもとして受けとめたと、そんな経緯でございます。
  146. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、いろんな人から要望があったと言われました。いろんな人ってだれですか。
  147. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 例えば、梅原先生とかその他学長さんであるとか、あるいは大学設立準備財団を支えておりますところの国際技能振興財団の皆さん、そういうつもりで申し上げました。
  148. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、その財団の理事の中に古関さんもいらっしゃったわけですけれども、古関さんからもそういう要求がございましたか。
  149. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 古関さん個人からあったというようなことは聞いておりません。財団の団体としての要望、そういうものが団体として出てきている、その根っこに梅原総長あるいは学長さんの御意向、そういうものがある、そういう意味でございます。
  150. 櫻井充

    ○櫻井充君 何やら梅原さんのせいだけにおっしゃっているような気が私はしてなりませんけれども。  はっきりお伺いしたいことがございますが、政治家からもそういう要求はございましたか。
  151. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 政治家の方でも検討されておったのかもしれないのでございますけれども、直接このことにつきましては十一年の十一月末に亀井自民党政調会長からも御指摘を受けたということがございます。
  152. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうですか。そうすると、概算要求、まずここが大事なことなんですが、その変更要求が行われているのがそこのちょうど前後なんですね。その後と言った方がいいんでしょう。それで、まず予算の概算要求に当たっての基本的な方針というのは、これは閣議了承されているものがございますけれども、これを見ますと、概算要求に当たっては、積算を適正に行うとともに、八月末日の期限を厳守するものであると。そしてもう一つは、特別の事情により、この期限後に追加要求を提出せざるを得ない場合にあっても、上記に従って算出される額の範囲内とすると、こういう取り決めがございます。  七十一億円に膨れ上がった場合、結果的にはほかの予算を削らなければいけなかったはずなんですが、ほかの予算、どの予算を削られたんでしょうか。
  153. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) ちょっと細かいことでございますけれども、就職支援能力開発事業の関係、それから能力開発支援センターの関係、それから職業能力開発短期大学校の関係、そういったところの予算につきまして、一部その前に行われました補正予算でいわば盛り込んでいただいたために、何といいますか、余裕が出たという意味ではございませんけれども、そういう意味でこれは十二年度要求に要求をしていく必要はなくなった、片づいたと、こういうものがございますし、その他あと二つにつきましては、ぎりぎりのいわば予算の優先順位の決断をして、それらを素材にして先ほどから御指摘の金額を出すよう努力をしたということでございます。
  154. 櫻井充

    ○櫻井充君 確認です。  一番最初におっしゃったのは就職支援ですね。その対策費を削られたんですね。
  155. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 就職支援能力開発事業というものでございます。
  156. 櫻井充

    ○櫻井充君 その当時、失業率は何%ですか。失業者の数はどのぐらいですか。
  157. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 中身は民間で行っておられる事業の支援でございまして、それを前倒しして補正で対応していただいた、そういうことでございます。
  158. 櫻井充

    ○櫻井充君 聞いていないんじゃないか。全然違うぞ。
  159. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 的外れな答えはしてもらわぬようにしてくださいね。
  160. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 平成十一年度の失業率でございます。年間で四・七%でございます。
  161. 櫻井充

    ○櫻井充君 就職支援というのは非常に大事なことじゃないですか。ものつくり大学が一年延長されるのと、雇用が、雇用というか就職を支援する、どちらが大事なことですか。
  162. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 先ほどもちょっと申し上げたのでございますけれども、ちょっと舌足らずだったかもしれませんが、就職支援能力開発事業につきましては、今、先生がおっしゃった意味でもあるのでございますが、前倒しで補正予算で措置をした、こういうことでございまして、そういうことが念頭にあって、この部分は大学の関係の財源といいますか材料に使える、そういうことを申し上げたわけでございます。
  163. 櫻井充

    ○櫻井充君 前倒しをしてやったと。それで十分な効果があったとお考えですか。その予算で十分だったとお考えですか。二十何億も増額しなきゃいけなかったんですか。どちらが大事だと思いますか。
  164. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) 基本的に申し上げますと、いずれも大事ではございますけれども、私どもとして、予算でございますので、有限な予算の中のぎりぎりの判断をさせていただいた、その結果であるということでございます。
  165. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、変更要求が行われた事例というのを幾つか教えていただきましたけれども、例えばPKOでゴラン高原に行って、その期間が延長されたから予算を変更しますとか、それから例えば外務省など、財務省の場合には、為替レートが変わったから変更要求されたりとか、とにもかくにも今すぐ何かしなければいけないようなときにこういう変更要求が行われるわけです。私はとても今すぐやらなきゃいけないようなことだとは思いませんけれども。一年おくれたって別に構わないことじゃないですか。何回も言いますけれども、認可されていないんですよ。おかしいと思いませんか。
  166. 酒井英幸

    政府参考人(酒井英幸君) ものつくり大学につきましても、これは平成十三年の四月開校ということを目指して諸準備を進めておったわけでございますので、これもかなり重大な局面であったというふうに考えております。
  167. 櫻井充

    ○櫻井充君 これ以上話をしてもらちが明きませんが、これは価値観の違いなんでしょう、私にはとてもじゃないけれどもこちらの方が大事などとはとても思えません。  もう一点つけ加えておきますけれども、やはり亀井さんから今お話があったということもございました。結果的にいろんな方から要望があったから先ほど変更要求を行ったんだという御答弁がございました。そこの中で亀井さんからもあったということで、我々の認識としては、やはりそういう方から要求があったからこの予算を、概算要求から変更要求が行われたんではないだろうか、そう思いたくなります。あとはこれは衆議院の予算委員会等でまたやっていただければいいんだろうと思います。  もう一つ、KSDに関しての会員集めに信用組合などが関係していたんではないかということが取りざたされまして、昨年の十一月の臨時国会でも幾つか取り上げられました。これは調査しますという金融庁からの答弁でございました。その結果について教えていただきたいと思います。
  168. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、先生御指摘のように、信用組合、信用金庫等の金融機関がKSDの会員を勧誘していたのではないかということにつきましての調査でございますけれども、昨年十一月下旬に、信用金庫、信用組合のみならず、銀行も対象にいたしまして悉皆的な、この段階、任意の実態調査を行いました。  その結果は現在取りまとめ中でございますけれども、その過程におきまして一部に必ずしも適切でないと考えられる事案が存在するということが判明いたしましたので、この点については迅速に調査を進めるべきと、このように考えまして、さらに踏み込んだ実態解明のための調査、これは法令に基づく調査ということで、さきの任意の調査よりも一定の枠組みに従った調査でございますけれども、これに取り組んでいるところでございます。  しかし、前の任意の実態調査につきましては、現在取りまとめ中ということで、できるだけ早く結果をお示しいたしたい、このように考えております。
  169. 櫻井充

    ○櫻井充君 一つは遅いと思っているんですけれども、もう一つは、これは金融庁御自身がお調べになっているんですか、それとも信用金庫などの組合の長にお任せになっているんですか。
  170. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、前の任意の実態調査につきましても、我が方の財務局、これは我が方の出先という立場も持っておるわけですけれども、そういうところを通じまして今申したような金融機関に悉皆的な調査を行っているということでございます。
  171. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、財務局が直接聞いているわけですね。  ただ私、先週、ある信用組合の支店長さんと話をさせていただきましたけれども、そういう調査は入っていないとおっしゃっていました。全部調べられているんですか。
  172. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは今申したとおりでございまして、もしそういうことを先生におっしゃる向きの理事者がいらっしゃるとしたら、何かお考え違いではないか、このように申し上げたいと思います。
  173. 櫻井充

    ○櫻井充君 違うのかもしれませんが、その方もはっきり言っておりました、私たちはノルマがあって、そのノルマを果たすように一生懸命やっていましたと。  もう一つ、KSDの方から、会員の方を獲得すると会員の方のためにといってCDが送られてきたと。御本人も二十枚ほどそのおかげでCDを持っています、そういうこともお話しされていました。あと私の地元でも、私の支持者の方が、KSDの会員だった方ですけれども、信用金庫からおつき合いで入ってくださいということを言われている。うちの民主党の議員の方にお伺いしても、大概の地元の方でそういう声があると、そういうことがやられていたということがわかっています。  もう一つ言えば、期限を区切ってそういう検査をすればもっと早くにわかるんじゃないんですか。もっと早くにできることではないんでしょうか。私たちにとってはすごく遅いような気がいたします。取りまとめはいつまでにできるのか、それについてまずきちんとお話しいただきたいと思います。
  174. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いずれにいたしましても、私どもこの取りまとめの作業ももう本当に最終の段階だというふうに認識しておりまして、いずれにせよ近々、来週の初めごろにはお示しできるというふうにお答え申し上げたいと思います。
  175. 櫻井充

    ○櫻井充君 それから、先ほど中島委員質問に対して柳澤大臣金融システム、安定化したんだというような御答弁だったように私はお伺いいたしました。本当に現在の状況金融システムが安定されたとお考えでしょうか。
  176. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) あの当時問題になったこと、つまり不良債権が非常に増嵩している、実質的に増嵩している。それにもかかわらず、それが必ずしもディスクローズされていないんではないか。またディスクローズに伴って所要の引き当て等が行われていないんではないか。それがゆえに、国際的な市場におきましても日本金融機関が必ずしも十分に信頼されないというような事態があらわれているんではないかと。  このような緊急の事態、こういうものを目前にして、これは与野党共同の作業のような形で金融二法が制定されたわけですけれども、そのようないわば緊急の事態金融システムの動揺、不安定というようなことについてはひとまずこれは峠を越したというか、そういうことであるということは、これは御認識いただけるんじゃないかと思います。その後のジャパン・プレミアムの推移あるいは銀行株を初めとする株式市場等の推移、こういうようなものを見まして、そういうことは言えようと、このように申し上げた次第であります。
  177. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは最低と比べれば少しはましになったのはお認めいたします。  しかし、あの当時、早期健全化法案が成立したときに、ことしの三月までに不良債権をきちんと処理して、金融システムの中枢である銀行の体力をきちんとつけるといいますか、銀行自体の、銀行公的資金など本当は注入しなくても大丈夫なような状況にするという話であったかと思います。しかし、不良債権は平成十一年度の三月末と平成十二年度三月末を見たときに実はふえていますよね。これはその当時、健全化法案が通ったときの予定と僕は大分違ってきているんじゃないか、不良債権の処理はかなりおくれているんじゃないかと思います。  大臣、そう認識されていないんでしょうか。
  178. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先生御指摘のようなことはあります。ありますが、問題は、この不良債権の処理が進むということの意味です。不良債権の処理が進むというのは、確かにオフバランス化ということもあるわけですけれども、一方オンバランスにおいてそして所要の引き当てが行われている、これもまた処理が進んでいるというふうな概念で、不良債権処分損という形で我々はこの数字を公表させていただいておるわけでございます。  したがって、そうした意味合いにおいて、処分損で手当てが行われるということが必ずしも不良債権残高の減少というところにストレートにはつながっていないということがございます。そのことをちょっと御理解していただいてこの状況をどう判断するかというのが不良債権の問題についての私どもとるべき評価の仕方だろうと、このように考えるということでございます。
  179. 櫻井充

    ○櫻井充君 大手行で結構ですが、つまりは今、公的資金が入っています。もしこの公的資金を全部引いてしまったとする、もしくは不良債権の処理を全額行った、引当金がちゃんと積んであって行われたとして、それでもなおかつ自己資本率八%以上になりますか。
  180. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと質問意味がわからないのでありますけれども、公的資金が入っているところで不良債権を全部処理してしまう、不良債権を処理という意味合い、今も不良債権を処理してあるわけでございます、先生、大変恐縮ですけれども。
  181. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、なぜこんなことを言っているかといいますと、要するに公的資金を入れても二次破綻を起こしてきている銀行が随分出てまいっております。例えばみどり銀行、幸福銀行、なみはや銀行のほか幾つかあるわけです。  そして、大事な点は、柳澤大臣大臣になられてから公的資金を入れたところもございます。なみはや銀行に三千十八億円、それから京都共栄銀行に千十九億円、埼玉商銀でしょうか、これに四百五十億と、こういう形で公的資金を注入しています。あのときに何とおっしゃっていたかというと、こういう形で救済しなければ国民負担が増大するからだということをおっしゃっていたはずです。そして、それを認可されたのは大臣です。そして、財政財政的にお認めになったのは宮澤大蔵大臣です。  しかし、またこうやって破綻すれば、また同じことを繰り返しているわけです。今度はまた受け皿銀行を探していますけれども、そうしなければ国民負担はふえるからだという形で、どんどん問題の先送りをされている。ですから私は質問させていただいているんです。しかももう一つは、早期健全化法案は三月で切れます。本当に三月までにきちんとしなくて大丈夫なんですかという思いで、こちら側は質問させていただいております。
  182. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) なみはや、幸福等については、先生御指摘のような事態に立ち至っているわけでございます。  そのことについて、今、柳澤大臣の任期中にというような御指摘もありましたが、これは必ずしも正確でないと言わざるを得ないんですが、それは行政の継続性の観点からも申し上げないことにいたしまして、これはすべて我々この立場に立った者は我々の役所のやったことについては責任を有しますので、そのような意味合いで、そういう立場で、以下申し上げたいと思います。  これらにつきましては、実は最終的にはこれ大変遺憾なことだと考えてはおるんですけれども、実際は、これらの銀行あるいは信用組合のそもそも不良資産あるいは財務状況といったようなものの最終判断をするに当たっては、本当は資産側と債務側の双方についてしっかりした検査が行われるということが前提なんですけれども、当時はそういう検査の手法がとられていなかった。これはよく長期信用銀行の御審議の際にも問題になったことですけれども、そういうことでありまして、このような二次破綻が決していいことでないのみならず、遺憾きわまることでありますけれども、そういういわば制約された制度的枠組みのもとでの判断であったということでございます。  翻って、それでは現在の我々がやっていることについてはどうかと言われますと、これは御案内のとおり、金融検査が、十年四月でございましたか、早期是正措置のくだりを法令を改正して導入させていただいた。それ以降は、資産側、債務側、双方ともに検査の対象になるということにおいて、その基礎の上にいろいろな措置がとられたということでございますので、先生の御心配は大変ありがたいのでございますけれども、これから先は、このような二次破綻が起こったものとは違う基礎の上、違う枠組みの上でいろんな措置が行われてきたものである、こういうことをぜひ今御理解賜りたいと、このように思います。  確かに、健全化法は大手行についてはこの三月末で期限が切れるわけでございますけれども、これにつきましては、私ども、これが問題になった、十分な自己資本が確保されているかということが話題になりましたのは、主として株価の低下ということを受けての御議論でございます。  そういうような関連で、我々もここに大きな関心を持っていろいろシミュレーションをしておるわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど中島委員にお答え申し上げましたとおり、この影響は、当時問題になった大体一万三千五百円ぐらいの日経平均を前提にいたしますと、そのような、我々が自己資本比率の低下を懸念し、さらに再度資本注入を公的資金によって行わなきゃならないというような事態では全くないということを申し上げたという次第でございます。
  183. 櫻井充

    ○櫻井充君 今の御答弁は、要するに、その当時の検査の方法が不十分であったからきちんとした判断ができなかったということですか。そう理解してよろしいんですか。
  184. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そのような御理解をお願いしたいと思いまして御答弁申し上げた次第です。
  185. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一点は、そうであったとすれば、これらの破綻銀行に対して今受け皿銀行を一生懸命探しておられますけれども、必ずしもその受け皿銀行に譲渡しなくても私はいいんだと思っています。つまりは、分割譲渡するなり、新潟中央銀行のように、あのような形をとってもいいんじゃないかというふうに思っています。  それはなぜかというと、新生銀行がああいう形で、国有化されて不良債権の処理がある程度されてから新生銀行に変わりました。新生銀行の資本に対する利益率というのはかなり高いんですよね。たしか東京三菱ともう同じぐらいの利益率だったんじゃないかと思いますけれども、そういうことを考えてくると、やはりきちんとした処理をすればそれなりの収益が上がってくるんだろうと思います。  しかし、そうはいっても、今の日本銀行というのは資本に対しての利益率というのは欧米の銀行から比べるとはるかにまだまだ低い水準にあります。ですから、本当にその体力が回復して大丈夫なのか。くどいようですけれども、新生銀行のようにある程度きちんとしてやると、不良債権が減ってくるとそれなりの収益が上がるわけですから、私はやはりもっときちんと不良債権を処理すべきなんだと思うんですよ。早期にやることは決してマイナスではないんじゃないか、そう思っていますが、いかがでしょうか。
  186. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 先生のおっしゃること、私も同感というか同意するところが多いわけでございますけれども、新生銀行の場合のようにかなりドラスチックな貸出先の処理というものをいたしますとあのようなことにもなるということでございますけれども、他の生きている、今資本注入等を受けて活動している銀行について同じようなことをやれるかということになりますと、これはなかなか貸出先との関係と申しますか、それから何といっても実際に貸出先を破綻してそれで清算価値にしてしまうということになりますと、これは価値というものがもう激減をしてしまう、それがゆえに大変な損失補てんを、大変な額の損失補てんをしなければならなかったということであるわけですけれども、そういうことを考えますと、今、日本経済において、何と申しましょうか、金融機関の側から見て不満足な成績を上げているしかないようなそういう貸出先についてすべて清算をしてしまうというようなことは、やはり国民経済的に言って余りにも負担が大きいということにならざるを得ないと思います。  先般、去年の四月からですか、民事再生法というようなものを国会で成立させていただいているわけですけれども、そういう民事再生法というような法律でもって現在のいろいろな問題を処理していこうというのは、やはり清算価値ではなくて、できるだけ再建型の倒産処理というか整理をしていこうというのがやっぱり国家国民の意思ということでああいう法律も成立しているんだろうと、このように考えるわけでございまして、やはり我々はバイアブルな、つまりまだ生育、存在していくことが可能な部分というものはできるだけ生かしながら悪い部分を切り捨てていく、こういう形の不良債権の処理をしていくということが我々に求められているのではないかというのが私の、目下悩みながら仕事をさせていただいている私の考え方でございます。
  187. 櫻井充

    ○櫻井充君 よくわからないんですが、申しわけないんですが、二年前の柳澤大臣の立場と若干違ってきているようなそういう印象を受けるんですが、それは勘違いなんでしょうか。  僕はもう少し、だめな銀行は全部整理、淘汰しなければいけないんだと、あの当時柳澤大臣はあと幾つかは国有化しなきゃいけないんだという話をされていたように私は記憶しています。それは私の記憶違いかもしれませんけれども。そのぐらい思い切った改革が必要だとおっしゃって、そしておやめになりました。その後どうなったかというと、今の状況があるわけです。  私は、今回柳澤さんが大臣になられて、私の発行しているメールマガジンに期待できるのは柳澤さんだとはっきり書かせていただきました。読んでいただきたいと思いますけれども。大きな構造改革を私は図っていただけるものだと思っています。しかし、今のお話では大きな構造改革はできないんじゃないでしょうか。  韓国は今どういうことをやっているかというと、構造改革に着手しています。日本では余りに大きくてこういうことを、つぶせないんではないかと思うようなところもつぶしてきています。そして、そのかわりちゃんと受け皿さえ、受け皿といいますか、私は失業保険などきちんと手当てしなければいけないと思いますが、セーフティーネットをきちんと張った上で構造改革を今こそ行わなければいけないはずだと私は思います。いかがでございましょうか。
  188. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 同感です。同感なんですが、その手法なんですね、問題は。手法です。  私も、不良債権の残高が目立って減少しないという事態については別の観点から、つまり、だからといって日本金融機関が不健全だという考え方は私は否定させていただいています。  しかし、別の観点から、だからといってそういうものをいつまでも抱えていることが本当にいいことなのかといえば、やっぱり今、先ほど先生が御指摘したような、収益率の足を引っ張られるとかというようなことで、必ずマイナスの影響を銀行経営にも、またもっといえば貸出先の企業についても私は招来しているだろうと、こういうように考えておりまして、何とかこの不良債権残高というものの減少、これを図る方法を考えなきゃいけないじゃないかということで、私はそれには、銀行サイドからもうこの貸出先については、あなたのところはもうそろそろ、もうちょっとバイアブルなところとバイアブルでないところ、生育、今後とも存続が可能なところ、もっと元気が出せるところとそうでないところを分けてはっきりさせたらどうですか、再建計画をつくってはっきりさせたらどうですかということをもっと働きかけていきたい。  それにはやっぱり、この業種を所管しているような役所の考え方、あるいはいろいろなこの業界の今後の将来の姿はどういうふうに考えられるんですかといったようなことについてやっぱりそういう役所の意見も聞きたい、そういう情報交換の中でこの不良債権の対象になっている貸出先の整理をもっと進めてもらわなくちゃいけない。  我々には、特に公的資金でもって資本増強した先の銀行につきましては、私ども四半期ごとにフォローアップの作業もできるわけでございますから、そういった機会に銀行側に、別に強制の権限はないわけですけれども、やはり我々の考え方としてそういうものを促進させていくようなそういう呼びかけ、働きかけ、これをしていくということができないだろうか、そういうようなことで、今、目下そういった問題に取り組もうとしているというわけでございます。  ただ、そういうことをもっと目に見える形でやるにしては、やはり今の株価の状況というのは残念な状況だなというようなことを他方で思いつつ、そうしたことを今心がけて具体化させようとしているんだということをぜひ御理解賜りたいと思います。
  189. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、今株価の話が出ました。株価がなぜ上がってこないのか。宮澤さんは、この間、一万三千円を割りそうになったときに、これは日本企業をあらわしているものではないんだとおっしゃっていました。私もまさしく同感です。あの株価が日本の企業の力ではないと私は思います。  しかしです。しかし一方で、なぜあれだけ下がってくるのかといえば、結果的には円も売られる中で、日本には期待できないんだ、申しわけないけれども今の政権では難しいんじゃないかというあらわれだと思っています。そして、もう一つ言えば、構造改革が大きく進まないから私は逆に言えば株価が上がってこないんだろうと思います。  典型的な例が、昨年の十一月の二十日の加藤さんの乱で終わったあのことが私は一番よくあらわしているんだと思います。翌日、内閣の不信任案が否決されて株価が百二十円ぐらい下がりました。本来、政権が安定したということになれば株価が上がってよかったはずです。しかし、あの時点で上がってこなかったというのは、これで日本もまた先に、これから先、大きな構造改革ができないからだというようなメッセージだったろうと私は思います。ですから、今、柳澤大臣がおっしゃっていましたけれども、私はむしろ逆であって、構造改革を進めていけばむしろ株価は上がっていくんではないだろうかと思います。  もう時間がないので私なりの考えをあと少し述べさせていただきたいことがありますけれども、私は、セーフティーネットをもう一回張りかえ直さなきゃいけないと思っています。例えば、今の失業保険が大体三百日程度ですけれども、もっと、終身雇用制度が崩壊しつつある今、ドイツ並みに三年程度までまず延長すること、そしてイギリスは失業者対策のために、半年ぐらい手に職をつけるために学校に行く場合、これ全部国費で面倒を見てきています。  こうやって手に職をつけても今の日本の企業というのは雇用に年齢制限をつけていますから、アメリカのように年齢制限を撤廃するなどというような形のものをとってくれば雇用の流動化というのは図られてくるんだろうと思います。  そういうことをやった上で構造改革をやれば、構造改革をやれば間違いなく失業者の数はふえますけれども、しかしながらそういうセーフティーネットを張ることによって痛みはそれほど大きくならないんだろうと思います。今、私は、構造改革だけ進めろと、そうは言えないと思います。それは、今言ったようにセーフティーネットが十分張られていなければ失業者の数がふえるのは当たり前であって、社会の混乱を招くからです。  しかし、もう一方、構造改革を進めなければこの国が立ち行かなくなるのは、これはここにいらっしゃる皆さん同じ認識なんではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  190. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私にお尋ねでございましたでしょうか。  今、櫻井委員のおっしゃっていらっしゃることを伺いながら、柳澤大臣のお答えも伺っていまして、両方とも真理について語っておられると思うんですが、アメリカのグリーンスパンが私にもうこの一、二年言うことは、アメリカのこのたびのいわゆる新しい経済と申しますか、こういう大きな生産性が一%から四%、五%まで向上した基本の理由は、確かにインフォメーションテクノロジーであるのだが、しかしそれを受け入れた労働側の流動性、一言で言えばレイオフ、これができたからだということをグリーンスパンは言います。そのことは、同じことはあなたの国に起こるとは思わないしヨーロッパもそれはやれない、それがやれていることがアメリカのこれだけ早い生産性の向上であった。彼もそれがいいと言っているんではありませんが、違いを言っておるんだと思うんで。  それで、先ほど柳澤大臣が言われたように、この銀行をもう一つ思い切ってきれいにしようとすればあちこちの貸出先にいろんな影響が及ぶ。それもしかし時間がたてば、早くすっきりしちゃった方がいいじゃないかと櫻井委員がおっしゃっていらっしゃるんだと思いますけれども、なかなか、我々の社会はこういう社会でございますから、いわゆる労働の雇用の習慣にしても、今までなら終身雇用でありましたし、またシニオリティーシステムでもあった。それは変わっていくでございましょうけれども、一晩で変えることはできないわけでございますから、この間の大きな危機をこういう手法で乗り切った後少しずつ、まだまだおっしゃるようにいろいろあるじゃないかと、この残っている不良債権を、不良債務を全部退治してしまえば、いっときはつらいことがあっても後は早いよとおっしゃることは、私は決して間違いだと申し上げようとは思わないんですが、現実の我々の社会でそういうことがいいことなのか、失業等々を考えますと。  やはりレイオフをしない社会というのは、多少のその間に時間がかかったり、その苦労があったりするというのが現実ではないか。それで、恐らくその結果として、企業活動はこれだけいいのですが、消費が上がってこないということの中にやっぱりそういう部分がきっとあるのであって、それはしかし、できるだけいろんなことをしながらやはり全体が壊れないような、そういう新しい体制への進行を時間をかけなきゃならないというのが我が国現実ではないかというふうに、今お二人のお話を伺っておりまして、私はそういう感想を持っております。
  191. 櫻井充

    ○櫻井充君 政治三流、経済一流と言われて、政治が働かなくてもと言ったら怒られるかもしれませんけれども、右肩上がりの成長を遂げてまいりました。しかし、経済を支えてきた二本柱があったかと思います。それは、世界に誇る技術力と、そしてもう一つは安い労働力です。  IT革命の、ITの中で見るまでもなく、インドや韓国やそういうアジアのほかの国々から見ても技術力が落ちてきている。安い労働力はアジアの各国に行けば求められるようになってきた。ある意味で言うと、私は経済で行き詰まりを見せてきている今こそ政治の力が試されようとしているときなんだろうと思います。そういう意味で政治主導だと、政治家主導の政治を行っていかなければいけないんだと、そういうことになっているんじゃ、そういう時代になってきているんじゃないかと思います。  ですから、ある意味で、宮澤財務大臣がおっしゃるとおり、そう簡単にレイオフできないかもしれないけれども、今のまま、じゃ、進むことが果たしてできるのか。それは私は違うと思っています。その痛みをどういう形でか補うように、先ほどから言っていますとおりセーフティーネットをきちんと張るということが、これがまた我々のやる仕事であって、今、政治家が政治主導でこの国を引っ張っていかなければいけないんじゃないだろうか、そう思っています。  最後に、そういう思いでやはり政治家が襟を正して、その政治というものに対しての信頼を得ていかなければいけないはずなんです。しかし、どうでしょうか。外務省の問題にしてもKSDの問題にしても、今、政治に対しての信頼感がますます失われていっています。ですから、ああいうことに関して本来追及するのではなくて、私はこういう話をしたいんです。ですが、政治に対しての信頼を取り戻すためには、我々野党は追及していかなければいけないということもまた御理解いただきたいと思います。  これをもちまして、時間が来ましたので私の質問を終わります。
  192. 海野義孝

    海野義孝君 まず、宮澤大臣に少しお聞きしたいと思いますけれども、時間が限られておりますからいろいろなことは申しませんが、率直なところ、大臣は現下の経済動向につきましてどのような御所見といいますかお考えをお持ちか、やや先まで含めて、十三年度まで含めてどのような経済動向についての御所見をお持ちか、まずお聞きしたいと思います。
  193. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 海野委員とは前にもこういうことについて何度かこういう会話をさせていただいておりますのでごく重複を避けて申し上げることができると思いますが、私は、昨年の秋ごろにはもう設備投資は必ず大丈夫だと、そしてきっと家計の方にもそれが消費の増大となってあらわれていくだろうということを実は期待をしておりました。企業活動の方は御承知のように設備投資もいいし利益も二、三〇%はふえてきておるわけですから、これは思ったよりもやっていってもらえる、ところが家計にそれが連動してこないということが私は今の問題だと思っていまして、今申し上げかけましたが、ひょっとすると、これは日本の雇用慣行がやっぱり時間をかけて変わっていく、そのことを家計が知っているものですから慎重になっておるのではないかと。  他方で、車は売れたり家庭電気関連のものが売れたり旅行はふやしたり、そういうところはいいわけですから、全部とは申せないんですが、家計が慎重なのは、やっぱりひょっとしたら労働慣行が変わっていく、つまり大きなリストラクチャリングというものが、新しい世紀になって日本も雇用というものが変わっていくのじゃないか。それかなということを疑っておりまして、したがって今お尋ねの十三年度予算にも、公共事業予備費をよほどどうしようかと思いましたが、まあ三千億ほどは積んでおいた方が、家計、御承知のようにこれがGDPの六割一、二分でございますから、ここにもしはかばかしくいかないときにはもう一遍公共予備費を置いておいた方がいいという感じがいたしたわけでございます。  そこで、昨年の暮れからここのところのボーナスが、でもやっぱりそうは申しましても一%はふえていないのではないかなと思います。これから春闘、夏ごろの間にもし家計がようやく普通になってくれれば、これで大体企業の方は、アメリカのことはありましても企業活動の方は当分大丈夫だと思いますので、それをこいねがっておると申しますか、それによって初めて民需への転換というものができたと。したがって、財政への負担も異常なものはこれ以上必要がないというところへ行けるか行けないか、今そのところにあるのではないかと。  いつぞやも申し上げたかもしれませんが、IMFは我が国の完全失業が二〇〇一年になって五%を超えるという余り人が考えないようなことを言っておるわけでございます。それを私は信じようとは思いませんけれども、やはり雇用の問題というのに非常に大事な部分がある、こういう見方をいたしております。
  194. 海野義孝

    海野義孝君 午前中からの御答弁などを聞いておりましても、大臣は大変財政問題等につきましても慎重なお話をなさっていたように思うんです。決して現下の状況について楽観してない、厳しいんだというお考え、これ、私もそのように受けとめます。  最近のアメリカの経済、かなり減速の兆しが出てきているということになりますれば、これは我が国GDP構成比の中での純輸出という面に対してもやっぱり影響なしとしないというような環境の変化も、私はちょっと考えなくちゃいけないんじゃないかと思うんですけれども。  ですから、そういったことを含めて、日本の雇用慣行の問題、これが家計にあるいは消費行動にという面で期待を持ちたいけれどもなかなか開けてこないというような点のところ、そういう環境の変化の面も私はちょっと重視するというか考えているんですけれども、これはどうですか。例えば、アメリカの経済がうまくソフトランディングできるかどうかというような問題、向こうでも大変当局も努力をされておるようですけれども、その点についての御所見はいかがですか。
  195. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一月の初め、我が国で申しますと四日でございましたが、アメリカで三日にグリーンスパンが意外なときに意外な利下げをやったということは、今、海野委員の言われますように、ひょっとするとこれはハードランディングをみんなが思い始めるのではないかといって先手をとったのではないかと思っております。今月の末にもう一遍あるかないかでございますが、恐らくここに来まして、いろんな考えがあるとしても、上半期はちょっとやっぱり問題かな、しかし下半期はどうだねということで、仮に年間のアメリカの成長率が二%か三%というところに落ちたといたしまして、政府のエコノミストの人たちは、その場合には我が国GDPに及ぼす影響は〇・四ぐらいではないかという、そういう試算をしておられるわけですから、影響なしとはいたしませんけれども、そのぐらいのことであろうか。  したがって、東南アジアの関連もあって我が国の輸出はその影響を受けると思いますが、これもエコノミストたちの計算によりますと、円相場が百円に近い方でなく百二十円の方に近いようなあたりであったとすれば、それによってかなりクッションが生まれるだろうと。これは全く仮定の計算をしているわけでございますが。  そういうことを大きな絵で考えまして、しかし私が最後に申すのは、アメリカの経済はこれから十年間上がり続けて下がるわけでございますから、我が国は何年も下がり続けてこれから上がるはずのところでございますので、同じには考えられない。仮に消費というものが普通になってくれさえすれば、これは我が国にとって二、三%の成長はそんなに難しくない、企業はちゃんとやっておりますから。私は基本的にはそういうふうに反論しております。
  196. 海野義孝

    海野義孝君 今の最後の部分の御所見についてはいろいろと議論の分かれるところかと思いますけれども、その点については後日機会があればまた突っ込んだお話を承りたいと思います。  そこで、財政の問題、御担当の件でございますけれども、午前中も大変詳しい御答弁もありましたが、私は、この平成十三年度の予算、昨年の暮れに政府予算案も決まりましたけれども、十年、十一年度あたりの財政状況等から見るとちょっと変わり目に来たなという感じがします。これはもちろん、この十三年度の公債の発行等が当初の二十八兆何がしぐらいというところでおさまればということにもなりますけれども、従来は、十年度、十一年度にかけまして、あるいは十二年度も多少補正予算で四兆円超をやりましたけれども、ちょっと上向きに変わるというか、財政がやや先行きの方向に向かって動き出したというような気がするんですが、この点は大臣、どうですか、そのようにとってよろしいんですか。どうやら一番厳しいところはどうも過ぎたよということ、それから、今おっしゃったような経済の見通し等からいえば、税収も今年度は久方ぶりで当初の見通しでもふえるぞと、こういうようなこと等も踏まえてどんなようなお考えをお持ちですか、財政運営については。
  197. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私もむしろ私自身がそこらのところをとつおいつ思っているまさにその点でございますが、アメリカの景気が少し落ち始める、その間に我が国の消費が普通のところまで限界消費性向も落ちずに行ってくれれば、これはもうQEには非常に楽になると思いますし、したがって、三千億もとってはございますが、使う必要があるかないかということにまでなってくれば、これで税収も、今税収がいいのは法人税だけと言っては語弊がございますけれども、でございますから、個人所得税はまだそういうふうにいっておりません。そういうことであれば、まあまあおっしゃいますように税収も上向いてまいりましたから少し楽になるな、ただ消費が本当にどうも一向に動かないということになりますと、これはやっぱり気になることだなという、そこらのところでございます。
  198. 海野義孝

    海野義孝君 そこで、かねてから大臣からはもう幾度となくお聞きしておりますが、財政再建の構想でございますね。これはやはり状況の変化とともに大臣のお考えも少しずつ腹の中では固まってきているんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、つまり、いろいろそれはこれだけやればいいということじゃなくて、総合的なそういうプランを立てて、それをやはり進めていかなくちゃならぬというようなことはもうかねてからおっしゃっているわけで、それは社会保障の問題、これは年金、医療、介護等も含めまして、そういった問題から、あるいはまた財政自体の要するに赤字の解消のための歳入歳出の問題であるとか総合的な問題で、一つやって片がつくような簡単なものじゃないということをかねてからおっしゃっているので、私も、大臣はそういう意味でそういうまさに財政の再建のそういったところまでもう既にかなり構想はおできになっているんじゃないか。私は、現下の我が国経済についての先行きについて何か漠とした不透明感というか不安感というものが確かに蔓延しているというか、ややまだ閉塞感的なものが払拭できないでいるというものをやはりこの際明らかにするというか、断ち切っていくためにもそういった財政再建のそういう構想についてやはり私は早くお出しになると。それはこういう計画で何年ぐらいの形でこういう手順でやっていくような考えがあるんだと。私見でも結構なんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  199. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 新しい制度になりまして、経済財政会議ができました。まだ二、三回しか会合はございませんが、そこで決めましたことは、今お話しのことと関連をいたしまして、我が国のこれからの経済問題を考えると、それは財政問題を含んででございますが、財政改革、税制、中央、地方の行財政の再編成、それから社会保障、それらの問題、しょせん直面しなければならないので、おのおのばらばらの答えを出すことができませんので、マクロモデルをつくって、シミュレーションを可能にして、そして高福祉なのか、あるいは高負担なのか、あるいはそうでないのか等々を含めまして、全部やっぱりモデルで一遍議論をしてみようではないかということをほぼこの会議が決定をいたしました。  したがいまして、新しい研究所がそのモデルの仕事を始めてくれることになろうと思いますが、恐らくモデルをつくるだけでも半年以上はかかるだろうと考えております。その間にもし我が国経済が回復の軌道に入ってきているという兆しが明らかになりましたら、少しモデルでいろんなことを考えてみたらどうだということが来るかもしれませんが、しかしそれより先に、モデルができるのにまだ半年やそこらはかかるのかと思います。  それからもう一つの問題は、社会保障につきまして関係閣僚会議を先般政府が設定いたしました。これは、二年間でございましたか民間の方々が検討をされたある意味でのリコメンデーションについて、具体的にいよいよどうするかという決心をする場になってまいろうと思います。ただ、もとよりそれが具体的に給付をどうする、負担をどうするというところまでいけないにいたしましても、何かのあの答申につきましての一般的な政府の受けとめる受けとめ方の姿勢ぐらいは、やはり二、三カ月と申しましょうか、そのぐらいまでに姿勢ぐらいは出さないといかぬのではないかということを、個人的にとおっしゃいましたから、個人的に実は思っております。その辺から財政再建についてのあれこれの足がかりができてくるようにいたしたいと思っておるわけでございます。
  200. 海野義孝

    海野義孝君 政府におかれて広く国民の意見を問うというようなそういうキャンペーンをお張りになったらどうなんですか。「日曜討論」とか何か民間の放送でいろんなことをやっていますけれども、私は政府が積極的に、財政再建の問題等の中には御指摘社会保障の問題等、行革の問題等を含めてありますから、私はそういう問題は国民政府との間で話し合うという機会が全くない、だから報道をそのまま受けてしまうと、国民は。これは私は残念なことというか問題がある、やはり政府が積極的に国民に意見を問うべきだ、あるいは政府考え方というものを国民に訴えるべきだと、そういうことを私は思うんですけれども、その点いかがですか。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうことはあの政府の中でも広く、あるいは党におきましても考えられ始めていると思いますのは、やはりある程度は真実を話をして国民に理解してもらうということがどうも大事なことではないかという、今の社会保障云々のこともそういうことで申し上げようとしたわけなんですが、そういうことは大事に考えないといけないと思っております。  今までやってきた手法が必ずしも成功しているようにも思えません。やはりもう少し国民に直接いろんなことをわかってもらうことの方がかえっていいのではないかということは私も同感いたします。
  202. 海野義孝

    海野義孝君 もうちょっとこれは古いことで恐縮ですけれども、昨年十月に国のバランスシートを御発表になりましたね。これについてはもうその当時いろいろな新聞、雑誌等あるいはいろいろな委員会等でのあれで御答弁がありましたから承知はしておりますけれども、なぜあのバランスシートというものを昨年十月につくったか。たしか宮澤大臣は、あれは試作品である、ベストのものではないんだ、しかしまずは国民に広く国のそういった資産、とかあるいは負債とかそういう状況をやはりわかっていただくその手始めとしてあれを公表したんだというお話がありました。  それに対してのいろいろな意見等は、私も物を読んだり話を聞いたりで承知しておりますけれども、大臣として、あるいは財務省としてはいかがでございますか。いかに財政を再建していくかというような中で、この国のバランスシートの問題、これから先、例えば継続的にやるとかあるいは法制化するとか、いろいろ問題はあろうかと思うんですが、その点について一言だけで結構ですが、今後これの先をどういうふうに考えていらっしゃるか、その点ちょっと教えてください。
  203. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 先ほど来委員がおっしゃっておられます国民の皆さん方に国の財政状況、あるいは資産、負債の状況、現状をよく理解していただく、その理解していただく中でいろんな御意見を広く承った上で政策の決定をしていくのは大事なことだという大臣のお考えございまして、今回の貸借対照表の公表というのは、御承知のように一般会計とすべての特別会計、それらを対象として、資産と負債を網羅的に把握することによって国のストックの財政事情というものの全体図を示していくということが一つあります。  それから、減価償却後の資産評価額の計上、退職給与引当金等の計上など、企業会計の手法を考慮した資産・負債情報というものを国の財政情報として、財政事情を明らかにする新たな情報を提供していくというようなことを意図しておりまして、そういうものを通じて国が国民に対して説明責任を果たして、できるだけ透明性を高めていくということだと理解をいたしておりまして、今後の取り組みについては、今、委員おっしゃられましたが、その優位性、有効性、これをさらに検討して評価改善を重ねていかなきゃならぬのじゃないかと、試みとしていたしました。各般の御意見を十分承りながら改善を加えていくということではないかと思っております。
  204. 海野義孝

    海野義孝君 今の問題につきましてもう一つだけ。  これは私の方の要望というか、今後生かしていただきたいんですが、今回の国のバランスシートを見ますと、要するに数字中心であるということなんですね。政策の分析がない。三つの公的年金負債という問題についても上げているけれども、これも見る人にとっては大変難解なことでして、その辺の区別がわからない。どれが一番いいのかということもわからないというような点があると思うんです。ですから、政策の分析がないために、資産が効率的に運用されているかどうかということはこれだけではわからない。  アメリカあたりではやっぱりそういった点を中心にして、個別政策ごとに債務の膨らんだ部分については分析するとか、そういったところへ踏み込んだことをやっていますね。日本の場合もそれはこのバランスシートに関係なくやってはいらっしゃるわけですけれども、今度はせっかくこういうバランスシートをおつくりになったんだから、さらにこれの継続的に、大変な作業ですけれども、継続的におやりになる中においての問題点を分析したものをさらに政策として立案していくとか、そういうことをぜひともやっていただきたい。これは私のお願いでありますから、御答弁は結構でございます。  それから、日銀の総裁は──済みません、大変お待たせして済みません。私も速水総裁にきょうお出ましいただくことについては大変悩みまして、大変御多忙ですからと思いましたけれども、この時期にやはり一度、総裁の御意見を承っておきたいと思ったものですからおいでいただきましたので、一問だけ簡単にお願いしたいんですが、終わりになりましたら御退席していただいて結構でございます。  先週末でしたか、日銀政策委員会、それから金融政策決定会合におきまして、総裁から要するに御指示があったというように承っております。  けさの新聞を見ましたら、昨日は記者会見をなさって、総裁のお考えを大変詳しくお述べになっているので大変よく理解できますけれども、実は昨年の八月に私はある委員会で総裁に御質問をしました。そのときは二十分ぐらい総裁だけにお話を承って、たしかそのときに宮澤当時大蔵大臣もおそばにいらっしゃったと思いましたけれども、そのときにお聞きしたのは、ゼロ金利の解除の問題についてお聞きしたわけですけれども、そうしたらそれから数日後にゼロ金利解禁というか解除になったということでございましたが、もうあれから既に五、六カ月経過しておりますから、状況は大変変わっております。株式市場もやっぱり変わっております。アメリカの経済についてもとやかく言われるようになったのも、やはりそのころとはまた全然違う状況にもなってきた。経済は生き物ですから刻々と変わっているわけです。  そういった中で、総裁、今巷間言われているのは、金融システムの問題等につきましても、あるとするならば、やはりこの三月の決算、ここのところをどう乗り切るかということがやはり私も大変注目しておるし、ここをうまくいけば、先ほどから柳澤大臣もおっしゃっているように、金融システムについては大体固まってきたということが言えると思うんです。  最後に、厄介な部分が当面この三月、毎年大体年度末というのはそうなんですけれども、今回はこの点についてを含めて総裁の御所見と、それから金融政策等でどのような対応をなさっているかという点についてお答えできる範囲でお願いしたいと思います。
  205. 速水優

    参考人(速水優君) 先週の金曜日に政策決定会合がございまして、最近の情勢及び年度末を控えての私どもの政策あり方について議論が行われました。  そのときの私どもの判断を簡単にまとめてみますと、景気は緩やかな回復という私どもの基調的な判断は変わっていないと同時に、海外経済が減速していく影響、内外の資本市場、特に株式市場の動きといったようなものは下振れして動いていくリスクを注視していく必要があると。また、この年度末を控えているという時期的な要因もありまして、金融市場にはやや落ちつきのない動きがあるように見られておるわけです。  こうした中で、金融市場の円滑な機能の維持と安定性の確保に努めていくことは中央銀行として当然の責務であると思います。日本銀行は、現在、コールレート〇・二五%という非常に低い金利で金利水準を維持することによって金融面からの景気回復を支援しているわけであります。金融市場の安定性を確保していくことは現在の政策の持つ金融緩和効果を最大限発揮する上でも重要であると思います。  こうした検討や考え方に立って、私から執行部に対して市場の円滑な機能の維持と安定性の確保に万全を期すために、流動性供給方法の面で改善を図り得る余地がないかどうか検討をしてほしい、それを次回の決定会合までに報告するように指示を行った次第であります。  日銀法も新しく施行されてから三年近くなります。この機会に私どもがこれまでやってきた金融調整のやり方で十分なのかどうかということを第一線の意見も入れながら調べて報告してくれということを依頼したわけでございます。  なお、先生のお尋ねになりました三月末は大丈夫なのかという御質問に対しましては、確かに期末にいろいろ企業の資金需要があることは私ども十分承知しております。それに備えて十分な資金を期末越えの資金供給を行っておりますが、金融システムの不安が起こるということが一時盛んにちまたで言われ、また心配されたように思いますけれども、この点につきましてはちょっと誤解があるんじゃないかというふうに思っております。  金融機関の方は確かにまだ不良資産を随分持っておりますけれども、かなりの不良資産の償却をここ数年でやってきております。この上期にも二兆三千億ぐらいの償却をやりましたし、今年度末にもやろうとしております。こういうものを持ったままで大丈夫なのかという御心配もあるかと思いますけれども、一遍にかなり減ってきておりますし、その資本金も、自己資本も充実してきておるわけで、今の状態でいけば株価が下がった場合にも、現在の規則でいきますと本年度内でなくて明年度でいいわけでございますので、大体の銀行は、都市銀行、信託等は九月のときに時価会計を適用することになります。したがいまして、三月末に株価がどれぐらいになっているかというようなことをそれほど気にする必要もございませんし、今の状況で三月、年度末に金融システムの不安が生ずるということは心配する必要はないと申し上げていいと思っております。
  206. 海野義孝

    海野義孝君 どうも総裁、ありがとうございました。  時間の関係で、もう一問だけ柳澤大臣にお願いしたいと思います。  先ほどから金融システムの問題等々についてもお話がありましたけれども、確かにジャパン・プレミアムの状況を見ますと、最近若干出てきたという感じはありましたけれども、私もこれは大したことではないと思っています。  実は、今言われていることは、やっぱり資本市場、株式市場の反応というか問題が、構造的な問題での持ち合いの問題解消の動き。来年度から時価会計方式になるとか、持ち合い株についても時価評価をするとかいうような方向へ変わっていくということですから、従来的な金融機関は多分に、企業もそうですけれども、株式依存的なそういう部分がこれまで経営上もあったんですけれども、これを直していくということになりますと、その面では、一方ではやはりセーフティーネットをやっていかないと、ただそれをやれやれと言うだけでは混乱が起きると。せっかく金融システムがこのように大分固まってきた中で再び揺さぶられるということはこれは決して好ましいことじゃないということで、私は早期健全化に絡んで、今年度末をもって例の公的資金の注入等についての施策は一応終わると、得して云々というような問題は来年度にもあるんですけれども。  私は、日本のそういった金融についてはやっぱり日本で守っていくという面からすると、やはり金融市場を安定させるというか、企業も健全な方向に向かって今努力しておりますから、私が思うのは、企業の健全化、健全な経営の方向に果たして今どこまで来ているかという点については多分に疑問であるし、あるいは経営者とか株主の責任というものは十分に求める必要はあると思いますけれども、年度末をもって終わるということでなくて、やはりそういった公的資金の注入等は必要に応じては来年度もやるというような考え方というのは私はあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、最後にその辺についての、大変これ複雑、重要な問題ですから私はあえて言っているわけですけれども、その辺については大臣、どんなような見方をされるんですか。お考えというか、それをお願いします。
  207. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 二つ申し上げたいと思うのでございます。  一つは、確かに金融機能早期健全化法はこの年度末をもって廃止ということに、失効するということになっているわけですが、もし仮に先般起こったような金融システムの動揺というような事態が起こった場合は、これについてはもうこの国会におきまして金融危機対応の勘定等も置かれておりまして、いろいろな必要な措置がとれるということに既になっているわけでございます。しかし、その制度を活用するというようなことが現在の状況の延長線上で考えられるかといえば、それは私はそうじゃないということをここで申し上げておきたいと、こういうように思います。これが第一点でございます。  第二点は、この現在の状況の延長線上で何か資本注入が再び必要になるというようなこともあって、その現状の制度を存置しておくべきではないかということに対しましては、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしてはバランスシート上の資本勘定が何か外部要因等で大きに揺さぶられるというようなことは当面考えられないと、考えなくてよろしいというように考えているわけでございます。  あえてこういうことを申し上げるのはいかがかという気もしつつ申し上げるんですが、金融機関民間金融機関でございまして、その民間金融機関公的資金によって資本を増強するというようなことは、これはもう本来臨時異例の例外的な措置だというふうに位置づけるべきものだと私どもは思っているわけでございます。現に外国等の我が国金融機関の資本の状況についてのもろもろの分析におきましても、このような公的資金によって支えられているということについては、もちろんプラス評価もあるわけですが、やっぱり若干留保するような評価もあるわけでございまして、そういうようなこともいろいろ考えながらこの問題には対処していくべきものであろうと、このように考えておる次第でございます。
  208. 海野義孝

    海野義孝君 これで終わります。  ありがとうございました。
  209. 阿部幸代

    阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  初めに、外務省大臣官房の幹部によるいわゆる外交機密費の流用疑惑に関連して会計検査院に伺います。  具体的にお聞きします。報償費について会計検査院はどのような検査をしているかということです。つまり、領収書をきちっと提出させて、きちっとした検査をしているのか、あるいは報償費については特別扱いをしているのかということですが、この件についてまず伺います。
  210. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しの外務省の報償費につきましては、その経費の性質上、支払い先についての情報を厳重に管理する必要があるということから、領収証書等の証拠書類は、これは証明責任者の手元に保管させるということにしております。この取り扱いは、外務省初め各省庁のお申し出に基づき本院においてその内容を検討して認めているものでございます。  ただ、検査に当たりましては、在庁時におきましては計算証明書類として提出されてまいります支出決議書、取扱責任者の領収証書あるいは並びに領収証書にかえて提出される取扱責任者の支払い明細書といった書類につきまして書面検査を行って、その支出状況というものを把握しておるところでございます。  また、実地検査におきましては、証明責任者の手元に保管されております領収証書等の証拠書類の提示を受けまして、また説明を聴取いたしたりしまして、支出目的に沿って適正に使用されているかという心証が得られるまで検査しているという状況にございます。
  211. 阿部幸代

    阿部幸代君 まずは特別扱いがされているということですね。  それで、実地検査ということを今おっしゃいましたけれども、報償費すべてについて実地検査をしているのかどうかです。報償費のうち実地検査をしているのはどのくらいなのか、過去三年の検査実績について明らかにしていただけますか。
  212. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 外務本省につきましては年二回、内閣官房につきましては年一回の会計実地検査を実施しております。この実地検査の際に、今御質問がございました報償費につきましても検査を実施してきております。  ただ、御理解いただきたいのは、実地検査の際にはどの範囲のものを検査したかというような、常時その記録をとるというふうなことを行っているわけではございませんので、どの程度の件数、金額を検査したかということについては把握し得る状況にないということでございます。
  213. 阿部幸代

    阿部幸代君 実地検査について、実地検査のときにいろいろ記録しているわけではないからどの程度検査しているかわからないということなんですが、私がまず知りたいのは、報償費すべてについて実地検査をしているのかどうかということなんです。これは記録があろうとなかろうとわかりますね。
  214. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 当然、報償費といいましてもかなり件数の多いものでございますから、やはりその中からの抽出しての検査ということになろうかと思います。
  215. 阿部幸代

    阿部幸代君 報償費のすべてではなくて抽出だと、そしてそれがどのくらいなのかということは記録がないからわからないと、そういうことですね。  それで、次に移りますが、実地検査をする際、領収書は必ず提示させているのかどうか。保管はさせているとおっしゃいましたけれども、必ず提示させているのかどうか。領収書のないものもあるのではないかと思われるんですね。だとしたら、その割合はどれぐらいなのか、過去三年間の検査実績で明らかにしていただけますか。
  216. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 検査の過程で領収証書のあるものにつきましては当然提示を受けてございます。ただ、どの程度あって、ないものがどの程度あるのかという今の御質問でございますが、これにつきましても実地検査の際に特に常時記録をとるというふうなことを行っておりませんので、その割合についても把握する状況にないということでございます。
  217. 阿部幸代

    阿部幸代君 報償費について領収書は外務省に保管をさせておくとおっしゃいましたけれども、実際にはないものもあるということですね。
  218. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 証拠書類として領収書があるかと言われますと、必ずあるということではないと思いますが、それにかわる支払いを証拠立てるものということでは、関係の書類を保管させているということでございます。
  219. 阿部幸代

    阿部幸代君 でも、検査というのは、領収書がなかったら相手を信用するしかなくなって厳密な検査はできないのは、もうこれは常識ですね。  外交機密費、いわゆる報償費というのは、国民の前にはその使途が明らかにされていない、いわば公認の使途不明金ですね。こういう性格のお金だからこそ、会計検査院にはやはり最も厳しい厳密な検査が求められているというふうに私は思います。行政から独立した機関のそれは任務です。国民にとっては血税が本当に不明朗な扱い方をされないか、また私的に流用されないか、それをチェックする最後のいわばとりでが会計検査院です。その検査がこんないいかげんなようでは、本当に私、許せないです。そもそも、決算委員会に対する説明責任も果たせないようなそういう検査だということですね。  私は、少なくとも、この報償費についての実地検査の割合、領収書のない件数の割合についてこの委員会に報告していただきたいと思います。それを要望します。  さらに厳しい検査を過去にさかのぼってするべきだと思うんですけれども、院長の意見を述べていただきたい。
  220. 金子晃

    会計検査院長(金子晃君) ただいま御質問ありましたけれども、会計検査院では証拠書類という形で取り扱っております。もちろん、領収書は証拠書類の主要なものということになるわけです。  会計検査院では、この証拠書類を報償費につきましては手元保管という形にしている。これは先ほど局長から説明がありましたように、この報償費という性格上これを多くの人の目に触れさせるものではないということで、その目的から手元保管を認めている。そのかわり、先ほど局長が説明しましたように、決議書その他書類を会計検査院に提出をさせる。これにつきまして、会計検査院では提出を受けたものについて書類検査をし、そしてその概要を把握した上で、今度は実地検査の際に先ほど申し上げました証拠書類を提示させ、そして本来の目的に従って適正に支出されたかどうかということを納得いくまで説明を受けて検査をしているという形になるわけでございます。  その意味で、会計検査院が手ぬるい検査をしているということではありませんで、会計検査院の年間の検査計画に応じてそれに従った検査をしてきているということであるわけで、今後とも会計検査院としては報償費についても厳正な検査をしていきたい、そういうふうに考えております。
  221. 阿部幸代

    阿部幸代君 会計検査院の、またその担当者の資質次第で左右されるとかそういうことではなくて、仕組みが私は問題だというふうに思うんですね。行政から独立した第三者機関ですから、その第三者機関が検査をするときに聖域があってはならないと思うんです。そういう意味で厳正な検査をしていただきたい。また、会計検査院すら聖域扱いをせざるを得ないようなこういう公認の使途不明金などはもう必要ない、この際廃止をするべきだというふうに私は考えます。これは主張として、次の質問に移ります。  両神山の登山道の閉鎖問題について、環境省それから財務省に質問いたします。  秩父多摩甲斐国立公園の中に両神山という山がございます。埼玉県の大滝村とそれから両神村に位置している標高千七百二十四メートルの山で、日本百名山の一つに数えられています。私も晩秋に山小屋に泊まって登ったことのある山で、年間二万人ぐらいの登山者が訪れると言われているんですが、この山の登山道の一つの白井差コースが昨年、地主さんによって閉鎖されてしまいました。  これを契機に、国立公園の中にも私有地がある、二四・数%の私有地があり、こうした両神山の登山道閉鎖のようなことがほかでも起こり得るんだという事実を知ったのは驚きだったんですが、このことを考えながら大変重要な問題に私は思い至りまして、私のような登山者も含めて登山者が安心して登山ができるのは、山を守り登山者を守る人がいるからだというこのことに気がついたんですね。それは山小屋の人であったり、あるいは山の土地の所有者であったりすると思うんですが、この登山道を閉鎖した方もその一人ですね。  それで、環境省にお聞きしたいんですけれども、この両神山白井差コースを閉鎖した、山の土地所有者でしたが、この方が今日まで果たしてきた役割をどのように認識しておられますか。
  222. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) お答えいたします。  近年、中高年層を中心に登山利用が増加する傾向にありまして、そうしますと国立公園内の登山道の公益機能というのが増大しておりますし、その清掃や施設の補修とか安全確保といった維持管理はますます重要になっておると思っております。  この登山道の維持管理といった仕事につきましては、原則としてはその設置者、この両神山の場合は埼玉県でございますが、が行うものでございますけれども、実際、現状では地元自治体を初め、山小屋の事業者の方々あるいは土地所有者の方々など多くの関係者の方々に御協力いただいて行われているというふうに認識しています。  今、御質問にありました土地所有者の方もその一人でございまして、これまでこの白井差の登山道を中心に維持管理業務に携わられておられますし、またみずから森林伐採を控えるとか、あるいは自然公園の指導員として登山者のマナーの向上に指導をされるとかいうふうに山の自然環境の保全に大変大きな貢献をされてきたというふうに認識しております。
  223. 阿部幸代

    阿部幸代君 私も登山についていろいろ勉強しまして、尾瀬沼を守った長蔵小屋三代の記録とか、それから今北アルプスで三俣山荘の撤去命令が出ていて、それは不当だというそういう人たちの記録だとかいろいろ読んでみました。それで改めて知ったんですけれども、日本の登山文化というのがボランティアによって支えられているというその特徴、それをよく知ることができたんですが。  先日、雪の日に両神山にまた私訪れまして、地主さんから直接話を聞きましたけれども、今まで四十人からの人、遭難した人を救出しているんですね。そんな話を聞いて驚きましたし、それからヤシオツツジというツツジの季節になると一日五百人ぐらいの登山者が来るんだそうですね。そうすると当然往復でトイレを使用すればどういうことになるか想像できると思うんですけれども、すぐにいっぱいになってしまうトイレのくみ取りなどの手配もこの人がやっているとか、本当に公共的な役目を果たしてきた人だというふうに思いました。  ですから、私は環境省にはこういう方たちとの誠実な話し合いの努力をぜひしていただきたいと思うんです。この白井差コースは埼玉県によって廃止の措置がとられましたけれども、地元の両神村では、打診を受けたときにやむを得ないとしつつも話し合いによってやっぱり解決していただきたいと、つまり新たに白井差コースにかわる登山道をつくったんですね。でも、それはしょせん代替機能を果たさないそうですよ。今まで日帰りコースで多くの人に利用されていたこの白井差コースのかわりにはなり得ないということで再開を願っているんですね。  ぜひ環境省には土地所有者と誠実な話し合いを続けていただいて白井差コース再開に向けた問題解決を図っていただきたいのですが、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
  224. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 先生御指摘のように、登山の環境というのは山の関係の方々あるいは自然を愛するたくさんの方々によって支えられているのは御指摘のとおりだと思います。  この白井差からの今閉鎖された登山道につきましては、両神登山におきまして古くから長年の間多くの利用者に親しまれてきたルートであったわけでございますので、そういう見地から、環境省といたしましては、埼玉県、両神村とともに土地所有者との話し合いというのはこれからも継続をしていくということで、登山道再開に向けて理解が得られないかということにつきましては懸命に努力してまいりたいというふうに思っております。
  225. 阿部幸代

    阿部幸代君 次に、財務省に伺いたいんですが、時間の関係でまとめて質問することになりますが、実はこの登山道閉鎖のきっかけになったのは相続税問題だったんですね。まず、こうした国立公園のような公共性の高い、したがって規制も当然加えられている土地の相続税はどのように算定されてどのように減免が行われるのか。具体的に、この閉鎖された白井差コースの土地のような第二種特別地域と普通地域から成っていて、しかも水源涵養保安林に指定されているような場合にはどのような算定、減免が行われるのかお聞きしたいと思うんですね。  それから、大臣にお聞きしたいんですけれども、私は以前、三百年前の循環農業を今に伝える三富新田の保全策についてぜひ考えていただきたいということをこの決算委員会で取り上げたことがあるんですけれども、つまり納税猶予の問題なんですね、林地の。この場合も、両神山の地主さんの場合も、五十年間も切らずに守ってきたのになぜ相続税をかけるのか、売って所得があったら払う、こうおっしゃるんですが、私は、この言葉は国立公園保全のために努力と協力をしている言葉として受けとめたいんですね。売ってよいのだから売ればよいと言わんばかりの徴税の側の対応というのは、国立公園保全の姿勢を疑わせるものだから納得がなかなか得られないんですね。  二十一世紀は環境の世紀とも言われています。国立公園の保全は環境保全の重要部分です。この立場に立った発想の転換で相続税の納税猶予なり新しい対応策が必要なのではないでしょうか。これは私の何かわがまま勝手な個人的な意見であるんじゃなくて、埼玉県も強く要望しています。  以上、三つになると思うんですが、お願いいたします。
  226. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) 最初に、評価のことについて私からお答えいたします。  御案内のとおり、相続税の財産の価額は、相続税法第二十二条におきまして、財産の取得の時における時価によるとされております。したがいまして、今御指摘の国立公園内につきましても、山林、立木の価額につきましても一応適正な時価で評価するということになっております。  ただ、森林法であるとか自然公園法に伐採制限がございます。そういった場合には伐採制限の内容に応じて相当のしんしゃく率を加える、こういう評価の仕方になっております。  具体的には、森林法上の保安林制度による伐採制限、その伐採の制限の程度に応じましてしんしゃく率がございますし、次に自然公園法、これも伐採制限がございますので、禁伐、一切切ってはならない禁伐に相当する特別保護地区は八〇%を控除いたします。それで、第一種特別地域は七〇%、それから択伐あるいは一部皆伐に相当する第二種特別地域は五〇%から三〇%を控除いたします。  御質問の所有地でございますが、これは自然公園法上の第二種特別地域かつ森林法上の水源涵養保安林になっておりますので五〇%か、場所によって違いますが、五〇%から、か三〇%になります。  ただ、所有地が自然公園法上、普通地域に当たっている場合もございます。普通地域は通常、評価、控除できないんでありますが、その土地がたまたま水源涵養保安林に該当している場合には三〇%控除して評価しております。  以上でございます。
  227. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) ただいま御説明いたしましたように、国立公園内におきましてそれなりの規制が加わっておりますそれぞれ地域については財産利用上の制約が加わっておるわけですから、それに応じて評価の面で相応の対応をするということにいたしております。  相続税は、御承知のように、財産価値に着目して課税をするものでありますから、いろいろな財産の存置状況ございますけれども、財産の持つ価値、価値の評価の面で調整をした上で、それだけの価値があるというものについてはやはり平等に課税するというのが課税の公平の原則だと、このように考えておるところでございます。  いろいろお話がございました国立公園内についてもいろんな規制がございます。山林、立木について、それを保全するという趣旨で相続税その他の措置に当たって特別の措置を講ずべきであるというそういう考え方があれば、自然環境の保全、自然公園の保全という角度から、環境政策の点でそういう規制を講ずべきかどうか、そのようなことを判断して、財産的な価値に見合った課税をしていくというのが筋だと思います。税制だけが先行して、税制で何か特別の措置を講ずるということは適当でないように思います。  御承知のように、農地について相続税の課税の猶予制度がございます。これはいろいろな経過の中で農業政策上の観点から設けられた措置でありますけれども、農地については、その利用、あるいは農地以外のものに転用をする転用、それから譲渡について、法律上厳格な制限を受けているということを踏まえた上で、異例の措置として農地についてそのような措置を講じております。ですから、財産の使用収益処分について、環境保全、自然公園内の管理の観点から、必要であれば環境政策の面からそのような規制をまず考えていかなきゃいけない、そうでなければ公平が確保できない、このように考えております。
  228. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、納税者と税務行政のあり方について、特に税務調査について質問したいと思います。  ことしも納税申告が始まろうとしております。税務当局は、自主申告を原則として奨励しておりますけれども、それに反して納税者の信頼を損なう実態が少なくありません。公正さを旨とする税務行政で、これまでにも驚くべき逸脱行為が見られました。  例えば、税務署の職員による申告書の偽造事件、こんなものがありました。このケース、申告書の偽造事件、これまで何件ぐらいありましたか。
  229. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) 先生から質問主意書を出していただきましたので答弁書を提出させていただいておりますが、過去六件把握しております。
  230. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 回答が確かに六件でした。これは刑法百六十七条「私印偽造及び不正使用等」の罪などなど、そうした犯罪に当たる可能性のある事案なんですね。もちろん当該職員は懲戒処分を受けております。  絶対にあってはならないことなんですけれども、国税庁を監督する財務大臣、こういう事態が起きていることについて、どのような反省といいますか所感をお持ちですか。
  231. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわば言語道断のことでありますので、どういうという推測ができないことですが、こういうことはもう厳しく税務行政として取り締まらなければなりません。
  232. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公文書の偽造まで職員がするという税務署の今のあり方、したがって何が起きても不思議ではない、そうしたことが言われております。したがって、起こり得る、いろんなことが起こり得るという目で改めて実態をよく見ていただきたい、そのことが肝心だと思うんですね。  きょうは、私は大臣にその実態の一端、なかなかこういうことを国会でも、それからまた現場に行かれるということも限られていると思いますので、リアルにこうした問題について提起しながら、そうして公正な税務行政が行われるような、そういう立場でちょっと問題提起をさせていただきたいと思います。  私がこれから述べる事案というのは、一つのケースではありますけれども、しかし、ごくごく氷山の一角の問題。そして、最近起こった出来事についてちょっと述べてみたいと思うんです。  最近私の方に、東京北区のペットショップを経営しているTさん、この方は女性なんですけれども、昨年十一月に王子税務署の調査官O氏による自主申告に反する税務調査を受けたという、そういう訴えがありました。私も御本人と会ってよく話を伺いました。そして、営業内容等々も聞く中で、善良な納税者であるということを確信したんですね。  その方の訴えですけれども、調査の過程ではいっぱいいろんな問題があるんですけれども、最初に結論的に言うと、調査官はTさんに顔を近づけて、男性の調査官が女性の業者にですよ、三十センチぐらいまで顔を近づけて、おれは税金のプロだ、おれの計算は間違っていない、言うとおりにしろとやくざまがいの言葉を吐いたというんですね。言うとおりにすれば金額を百万円から八十万円に下げてやる、これを手で示した、手で、指を折って示した。そして、署長が納得しないからと言って調査官言いなりの申述書、ここにそのコピーがありますけれども、書かせて署名捺印させた、こういう事案です。  昨年来、この件について、全容について国税庁に調査を求めておりますけれども、その調査結果についてはいかがですか。
  233. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) まず最初に一般論を申し上げたいと思いますが、税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量におきまして社会通念上相当と認められる範囲で納税者の理解と協力を得て行われておると考えております。  本件は個別の事案でございますので、守秘義務がございますので個別について詳しく申し上げることはできませんが、当方で調査しましたところ、少なくとも人権を侵害するような税務調査は行われていないと、こういう報告を受けております。
  234. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 人権を侵害するような事態は起こっていないというのが国税庁の調査という、そういう答弁だと思います。  ここに申述書がある。そして、これは自分の意思で書いたものではないという本人の証言がある。本人は非常に怒っております。そして、すごんだ言葉について聞いている証人もいる。私が国税庁に問題提起した後、その調査官が、済んだはずの調査をもう一度最初からやり直す、そう言ってきているんですね。ということは、この調査がいかにいいかげんかということもまた同時に裏書きしていると思います。  まず、その調査官は、Tさんが店舗から自宅へ行くのを嫌がっている、それにもかかわらず、嫌がるのは家に男でもいるんだろう、そういう言葉を吐いて、調査官がタクシーを呼んで、嫌がるTさんをつかんで無理やり押し込んで乗せていった、そういう経過があると言っております。  税務調査では納税者の承諾を得て行う、今一般論として言われましたけれども、それは当然の原則ですよね。このことについては確かめていますか、事実。
  235. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) これは非常に個別の調査事案でございますから個々についてちょっと答弁を差し控えさせていただきたいんですが、今、先生御指摘の個々の事実についても調べさせていただきましたが、必ずしも我々はそういう事実が一〇〇%あるというふうな報告は受けておりません。
  236. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 必ずしもそういう報告は受けていないと。  しかし、個別の事案でも、例えば私がさっき言った申告書の偽造事件、まさに個別の事件ですよね。これについて当時の小渕総理が責任を持って内閣の責任で答えている。ですから、個別の事案だということで言い逃れはできないはずですよ。そして、これ自身、今述べたことは自主申告の原則に反することだけれども、さらに刑法の強要罪に当たる可能性があるわけですよ。  次に、もう一つ大きな問題がある。  調査官は午前十時から午後五時まで休憩なしで一日じゅう調査を行った。食事をしたいというTさんのたびたびの申し出に、おれは昼食を食べない主義だと言ってTさんに食事をとらせなかった。どうなっていますか。
  237. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) 確かに昼食時まで調査を続行していたのは事実でございますが、それは納税者の御理解を得て、御了解を得て実施したものと聞いております。
  238. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 昼食をとらせなかったことは認められた、しかし理解を得たと。しかし、このTさんはたびたび食事をしたいということを申し出て、しかも食事をしなかったということについては、そのとき立ち会った税務署の職員、その方がはっきりと書面で認めている。事実なんですよ。十時から五時まで昼食をとらせずにそういう調査をする。  大臣、ちょっと今途中ですけれども、こういうことについて、十時から五時まで税務調査、食事をしたいと言っているのにとらせない、これ自身普通ですか。──いや、大臣にお尋ねしたんです。
  239. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) ちょっともう一度説明させてください。
  240. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 あなたはいい、ちょっと時間ないから。
  241. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) 確かに昼間の時間まで調査をするのはやや行き過ぎの面があると思いますが、その調査終了時に、先ほど申しましたように了解はもちろんとらせていただきましたし、済んだ後に納税者に陳謝していると聞いております。
  242. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 陳謝したというのは初めて伺った話ですね。  そして、さらにもう一つ大きな問題。  それは、Tさんが拒否しているにもかかわらず自宅に上がり込んだ、勝手に。そして、たんすの引き出しをソファーのところに全部出させる。そして、それだけじゃない。そこで勝手にたんすからとった通帳をめくったということはあるけれども、さらに、私きょう持ってまいりましたけれども、これTさんのハンドバッグ、わかりやすいでしょう、ハンドバッグ。(資料を示す)これを全部あけろと言って、きょうはそのままのものを再現してもらいましたけれども、これを全部こうやってあけさせて、いろんなものが出てきますよ。いいですか、こうやってあけさせて、これについて本人に開かせて、あとは自分が全部中身を引き出して調べた。それから、この中にある透明のこのもの、(資料を示す)これを今度は本人が手にとって自分であけて、そしてここに幾らある、お金が入っていますけれども、幾らあると調査官が数えた。そしてさらに、ここにある袋の中から家族の写真を取り出して、全部調査に関係ないものを出した。言えば切りがなくあります。こういうことをやる。私は、まさに何でこんなことを一体やるのか、極めて重大だと思うんですね。  ですから、こういうやり方の問題、まさに人権侵害だと私は思うんですけれども、こうした事態についてはどう調査なさっていますか。
  243. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) ただいま我々の用語では現況調査と申し上げておりますが、税務調査を行う場合、帳簿調査を行うのが基本でありますが、必ずしも帳簿調査だけでは正確な事実を把握できない場合は現物に確認させていただくことはございます。  ただ、その現物確認を行う場合には必ず納税者の了解を得るように指導しておりますし、またものに直接さわらない、納税者の方に見せていただく、そういう指導をいたしておりますし、本件もそういうふうに行ったものと聞いております。
  244. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ものにさわらないどころじゃなくて、金を数えたんですよ。金を数えた。そしてまた、自分でこういうチャックをあけてものを調べた、それが実態なんですよ。これは見ている人もいる。ですから、あなたの調査がいかに、国税庁の調査がいかに不完全かということをよく示しているわけですよね。  さらに、Tさんと調査官のO氏との間で交わされた一月十五日の電話の録音テープがあります。起こしたものがここにあります。(資料を示す)テープも聞きました。すると、この会話の中で調査官はTさんに対して威圧的な態度をとって、ハンドバッグの中から現金と税務調査に関係のない写真まで一つ一つ手にとったということを認めているんです、本人が。いいですか、本人が認めているんですよ。  ですから、こうしたことを考えてみても、また現金調査といっても勝手にさわることは許されない。同意を得て初めて成り立つ任意調査を定めている所得税法第二百三十四条、これに違反するんじゃありませんか。
  245. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) 必ずしも直接本人がさわったからすぐ法律に違反すると思いませんが、それはいろいろ誤解を招くことがございますので、そういう現金にさわるということは、必ず納税者の方に数えてもらうという指導をいたしております。
  246. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その指導に反したことが行われたケースですよね。  大臣、国税庁にはもうよく御存じのことですけれども税務運営方針というのがあります。そこには、納税者の主張には十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう細心の注意を払わなきゃならないという決まり、これがあるわけですよ。ですから、私は、まさに今起こっている事態、この取り決めにも反している。  国税庁の長官がおられないので宮澤大臣にお尋ねするわけですけれども、こうした今私が述べたこと、詳しく述べればもっと長くなる話ですけれども、こういうことが、一つのケースではありますけれども、こうしたことは公正な税務調査とお考えですか、大臣。──いや、大臣にお尋ねしているから。
  247. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税務調査、なかなか難しいものでございまして、私も若いときにやったことがありますけれども、とかく職務熱心に過ぎるようなこともございますので、よくよく注意をいたさせます。
  248. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国にもこうした問題で、私が述べた同様のケースで幾つか裁判で敗訴しているケースがあるわけです。  国税庁は、こういういわゆる人権侵害の税務調査、それについてなかなかお認めにならないけれども、しかしこれが数々行われている。どれだけの比率かと言うことは難しいけれども、少なくなく行われている、こういう実態があるわけです。  昨年十一月に、総務庁の税務行政監察結果に基づく勧告が行われました。そこでは、国税庁の情報公開を進める、それからとりわけ納税者にわかりやすい自主申告を進める、このことはうたわれておりますけれども、これがまさにそうした問題が目につくほどあるということの裏書きだと思うんですね。  総務省、この点について、この勧告、何が一番主眼か端的に述べてください。
  249. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) 御指摘の監察でございますけれども、申告納税制度のもとにおきます国の税務行政につきまして、その公正性、効率性を確保する観点から、実施状況を見まして何が必要であるかということを述べたものでございます。
  250. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、やはり公正な税務行政という点でも、行政監察から勧告を受けるような事態がある。私は一つの例を述べましたけれども、こうした事例がたくさんある。  したがって、大臣から先ほどこういうことを繰り返さないようにということで御答弁ありましたけれども、それは非常に大事な言葉だと思いますけれども、私は、国税庁長官がおられないから大臣にお願いするしかないわけですけれども、こうした問題について、やはり大臣が直接指示して、そして大臣の責任で、こういう形で国会で取り上げたわけですから、やはりきちっとした形でその事実を把握する調査をするよう進めていただきたい。このことを大臣にお願いしたいと思います。
  251. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わかりました。
  252. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう一つ、こうした問題が起きる背景として、税務行政の手続、これが整備されていない。税のデュープロセス、よく言われることですね。そして、納税者の権利憲章が、宣言ができていないところにあると思います。  日本共産党は、租税法律主義、憲法に基づいた適正手段の保障の立場から納税者の権利を保障する納税者憲章の確立を提案しております。主要先進国の中で納税者の権利が明確にされていないのは日本だけ、これはもう大臣がよく御存じのことですよね。  ですから、大臣、こうした納税者の権利を守っていく、そういうものをやはり法制化も含めてその仕組みをつくっていく、ぜひそのためにさまざまな形で所管大臣として仕事をしていただきたい、このことを要望したいと思いますが、いかがですか。
  253. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わかりました。  ただ、今おっしゃったことの中には、過去にはそうでなかったようなことも記憶します。
  254. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 意味がよくわかりませんけれども、今これからやるということについて言われたことについて改めて要望しておきたいと思います。  私は、最後になりますけれども、こうしたことを重視するのは、一つは人権無視の、また違法まがいの税務調査がこの間ずっと繰り返されてきた、そのことにあるし、それからまた国税庁はこの間の国の敗訴の判決、これを謙虚に受けとめるべきだと思いますけれども、それもなかなか足りないという、そういう気持ちがあるからです。  したがって、私は憲法に沿っての公正な税務行政、これがきちっとやられること、このことを心から願いまして、時間になりましたので質問を終わります。
  255. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  外務省の役人のお金の流出、流用についてお聞きします。官房機密費、外務省機密費についてお聞きをいたします。  この人は外務省機密費を使っていたのか、官房機密費を使っていたのでしょうか。内閣官房、どうですか。
  256. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 今着席したものですから。申しわけありません。
  257. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 この人は外務省機密費を使っていたのですか、官房機密費を使っていたのですか。
  258. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 今回の事案に関しましては、外務省で現在鋭意調査中でございまして、現段階では事実関係承知いたしておりません。
  259. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 報告書が二十五日にも出ると言われているのですが、今の段階でわかっていないんですか。
  260. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 現在、引き続き鋭意調査中でございます。できるだけ早く報告を出したいということで作業は急いでおりますが、現在の段階でまだ申し上げられる状況には至っておりません。
  261. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 問題になりまして報道もたくさんされております。今の段階国会に対して、官房機密費から支払われていたのか外務省の機密費から支払われていたのか、それさえも明らかにできないのでしょうか。
  262. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 全体の構図がきっちり見えるまで、部分部分の話を申し上げますとかえって全体の誤解を招くこともあろうかと思いますので、一区切りきちっとした形で結果を言える状況になるまで、途中の段階でのお話は差し控えさせていただきたいと思います。
  263. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ちょっと冗談じゃないと思うんですね。お金がどこから使われてきたのかそれすらも今の段階で、当初は報告書は既に出る、あるいは二十五日に出ると言われていて、今の段階でわかっていないんですか。どっちかさえ今の段階で言えないんですか。再度お尋ねします。
  264. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) お答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  報告書をできるだけ早く出し、その中できちんとした形のお話を申し上げたいと思っております。
  265. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 では、質問を変えます。  本件は、外務省機密費から首相官邸の官房機密費に転用されていたものを官邸から現金で受け取っていた、そういう報道がありますが、これは事実ですか。
  266. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) その点も含めて現在調査中でございます。
  267. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 報告書は当初もう既に出ている時期で、二十五日にも発表と言われております。国会に対してすら何も明らかにしないと。先ほどからも声が上がっておりますが、全く事実を明らかにされないということそのものが実は官房機密費、外務省機密費の問題ではないでしょうか。  では、次にお聞きします。  これは一般論です。官房機密費を外務省幹部が使うような形で官房機密費が他省庁のために支出されることはありますか。内閣官房、外務省、どうですか。
  268. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 内閣官房の報償費につきましては、その目的に従い使われておるところでございまして、目的の範囲を超えて使われるということはございません。その目的の範囲を超えて他省庁のために使われるということはございません。
  269. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 では、目的の範囲内かどうかについてお聞きします。  もう一度質問を繰り返します。官房機密費を外務省幹部が使うような形で官房機密費を使うことは目的の範囲内ですか。
  270. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 内閣官房の報償費につきましては、その所定の会計手続にのっとって厳正にやっておるわけでございますが、その具体的な使途にかかわることにつきましては、公開すると行政の円滑な遂行に重大な支障を生じますので、その答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  271. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 具体的にどう使ったかを聞いているのではありません。一般論としてお聞きをしております。先ほど目的の範囲内で使うとおっしゃいました。ですからお聞きしております。  官房機密費を外務省幹部が使うような形で支出をすることは目的の範囲内ですか。
  272. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。  内閣官房の報償費は、先生も御案内のとおり、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費でございます。  例えば、一国の総理として内政、外交の円滑な推進を図る上において、これに関し功労、協力及び努力のあった者等に対し、その労苦に報い、さらにそのような寄与を奨励することが望ましいと思われる場合において、その状況に応じて最も適当な方法で支出しているというものでございます。
  273. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ということは、官房機密費を外務省の幹部が使うということは否定はされないということでよろしいですか。
  274. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、ただいま申し上げました内閣官房の報償費の性格に即してその経費を支出しているところでございまして、その目的を超えて使われることはございません。
  275. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私はわからないので聞いているのです。  そうしたら、お答えいただけないのでこちらで断定します。官房機密費を外務省の幹部が使うということは目的の範囲内であると私は理解しますが、それでよろしいですか。
  276. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 今も、ただいま申し上げましたが……
  277. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、いいです。イエスかノーかで答えてください。
  278. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) それは、ただいま申し上げましたが、目的の範囲を超えて他省庁のために使われることはないということでございます。
  279. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、私は官房にしろ外務省にしろ目的の範囲をどう考えているかをお聞きしているのに、全くその点についてお答えしていただいておりません。ただ、重要なことは、国政の円滑な運用のために必要であれば使われると私が何度も何度も聞いていることに否定をされないということをこの決算委員会で確認したというふうに私は理解をいたします。  以前、私はこの決算委員会で夏、質問をしました。ほかの委員会でも何度も質問をしました。官房機密費の使い道などについて質問をしました。  私が入手したメモの中には、例えば官房機密費がサミット随行員の外務省の役人に対して四十万、三十万など使われているという細かい内訳、評論家に払われている、あるいは政界工作費として使われている、だれに使われたということがメモとして詳細に出ておりました。私は、今回の疑惑が報道されたときに、言っていたとおりだというふうに思いました。  報道されている中には、外務省の機密費が一たん内閣官房の方に流れ込み、それがもう一回転用されたという報道もありますが、結局両方がどこかで一緒になってそれで使われている、官房機密費から外務省の役人に対してお金が渡っているという実際のメモをもらいましたので、それとこの件の事件は全く符合するというふうに理解をしております。  この段に及んできちっとした答弁が国会の中でなされないと、決算委員会を本当に冒涜しているというふうに私は思います。  では、次に具体的にお聞きをいたします。  官房機密費の支出の責任者はだれですか。
  280. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 官房の報償費の支出に当たりましては、会計法令に基づき他の予算科目と同様に所要の手続を経て適正に支出しておりますが、今お話がございました具体的な手続のとり方でございますが、まず内閣官房の報償費の支出に当たりましては、ただいまも申し上げましたように、会計法等の法令に基づきまして支出負担行為担当官が支出負担行為をし、支出官が支出の決定及び国庫金振替書の交付を行い、これを受けて出納官吏により支払いがなされているということでございます。
  281. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 官房機密費の支出の責任者は官房長官である、取扱責任者は官房長官であるということでよろしいですか。
  282. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 取扱責任者につきましては、ただいまお話がありましたように、内閣官房長官でございます。
  283. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 具体的にどんな感じでお金が払われるかがわからないので、ちょっと教えてください。  具体的に、すべてというか、最終的にはすべて官房長官の決裁ということになるわけですか。
  284. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 前段で先ほども申し上げましたように、会計手続をとりました後、出納官吏により支払いがなされるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、出納官吏から取扱責任者である内閣官房長官に支払いがなされているということでございます。
  285. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 官房の首相官邸に金庫があって現金でお金が埋まっているという話もありますが、そういう形で保管されているんですか。
  286. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) そのようなことは私、承知いたしておりません。
  287. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 そうしますと、官房機密費の口座があってそこから随時まとまってお金をおろしていると、こういう理解でよろしいのですか。
  288. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 先ほど来申し上げておりますように、内閣官房の報償費の使途については……
  289. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 使途じゃないですよ。使途ではないです。使途なんて聞いていません。
  290. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) はい。  具体的な使途にかかわることにつきましてはと申し上げた方がいいかもわかりませんが、具体的な使途にかかわることについては、公開すると行政の円滑な遂行に重大な支障が生ずるということで、公表すべき性格のものではないというふうに考えております。
  291. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 使途の具体的な中身、項目ですら決算委員会に全く明らかにされないということには強い怒りを感じておりますが、私は使途について聞いているのではありません。具体的にどういう形で手続が行われているのかということをお聞きしているんです。  官房機密費という具体的な口座があって、その都度おろしているんですか。
  292. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 会計手続上は、今申し上げたように、先ほど申し上げましたが、会計法等の法令に基づいて支出負担行為担当官が支出負担行為を行う、それで支出官が支出の決定及び国庫金振替書の交付を行い、これを受けて出納官吏より支払いが行われるということでございまして、それに尽きているというふうに御理解を賜りたいと思います。
  293. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 具体的によくわからないのでお聞きをしているのです。その都度おろしているんですか。
  294. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 報償費の取扱責任者がその都度の判断により適切な使途について最も適当と認められる方法で支出をしている、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  295. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 非常にベールに包まれているので余計聞きたいという、そういうことで具体的にお聞きをしているのですが、では、ここで押し問答しても時間がもったいないので、この問題になっている前室長は内閣官房職員も兼ねていたというのは事実ですか。
  296. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 内閣事務官と総理府事務官を兼任していた時期があるのは事実でございますが、それを兼ねておりました時期は昭和五十七年から平成元年まで、すなわち当該人物が外務省の経済局に所属していたときでございまして、現在問題になっております要人外国訪問支援室長を務めておりますときは兼任はいたしておりません。
  297. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 内閣官房にまた引き続き手続についてお聞きします。  具体的に決裁が一件一件とられているのでしょうか。領収書はすべて添付するのでしょうか。
  298. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) これも同じお答えになって恐縮なのでございますが、先ほど言いましたように、会計法等の手続、会計法上の手続については、先ほど来お答えしたとおりでございます。  それで、その上で、その報償費の取扱責任者でございます内閣官房長官がその都度の判断により適切な使途について最も適当と認められる方法で支出をしているということでございます。
  299. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 問いに対して答えていただけないのが極めて残念です。私の質問をよく聞いてください。  一件一件決裁がされているということで今の答弁はよろしいんでしょうか。それから、すべてについて領収書がついているという答弁でしょうか。
  300. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 報償費が必要な場合には取扱責任者は支出官に請求を行いまして、請求を受けて、先ほど来申し上げております手続を経て支払いを行っているということでございます。  それと、その書類といいますか証拠書類の整備ということのお尋ねかと思いますけれども、この報償費の執行につきましても当然のことながら毎年度会計検査を受けておりまして、書面検査と実地検査とを受けておるというところでございます。
  301. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 後で外務省に具体的に手続をお聞きするので、それとの対比で内閣官房の方にお聞きしているのです。  一枚一枚紙で申請をするのですか。すべてに領収書を添付しているのですか。それの決裁に当たる担当者は具体的にだれですか。
  302. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) まず、先ほども申し上げましたが、内閣官房の報償費の支出は所定の会計手続にのっとって……
  303. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 それは紙なのかどうなのかということ。
  304. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) はい。領収書等の証拠書類を整備して、適正に行っております。
  305. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 すべてに領収書がついているんですか。それから、紙は一枚一枚つくるんですか。
  306. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 名前を言ってくださいよ。指名せずに発言をしてもらっては困ります。
  307. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。ごめんなさい。
  308. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) それでは、福島瑞穂君。
  309. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 一枚一枚決裁書をつくっているのですか。領収書はすべてについて、ついているのですか。
  310. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 重ねてのお答えになるわけでございますが、報償費が必要なときには、取扱責任者は支出官に請求を行いまして、その上で会計法令に基づいて手続を行って支払いを行っているということでございます。
  311. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 抽象的に会計法の手続というのはわかるのですが、質問に答えてくださらないですね。  口頭で官房機密費百万円くれと言えばもらえるのか、それとも一々一々書面を書いて稟議書をやって、役所ですから、決裁を受けないとお金は出ないのか、そこを聞いているんです。
  312. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 今申し上げましたが、支出官に請求を行うというのは請求書が参るわけでございます。
  313. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 請求書はある。
  314. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) はい。
  315. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 全部ある。全部領収書は、これはついておりますか。
  316. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 取扱責任者に報償費を会計法令に基づいて交付をした際の受領書はいただいておる、当然ございますという意味でございます。
  317. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 そうしますと、この前室長が官房機密費を流用したのか、外務省の機密費を流用したのかは、すべて紙があり領収書が添付されているわけですから、どういうふうに報告がされたのか、どういう領収書がついているのか、全部わかるわけですね。
  318. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) 繰り返しになって恐縮ですが、報償費の支出については、先ほど来申し上げていますように、報償費が必要なときに取扱責任者からの支出官に対する請求があるわけでございます。それを会計法令に基づいて手続を行って支出した際、そのときに受領書といいますか領収書をいただいている、こういう手続になっております。
  319. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 次に、外務省についてお聞きいたします。  外務省のいわゆる外務省機密費の取り扱いについて教えてください。
  320. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 外務省の報償費の支出というものも特段ほかの予算科目と異なることはございませんで、所定の支出手続により支出をし、領収書等を徴収して処理をするという形でございます。  若干、具体的に申し上げますれば、何か報償費を使用して行う支出が適当であるということが出てまいりました場合には、担当部局において使用目的、金額等を記載した文書を起案いたします。取扱責任者というのは局部長以上ということになっておりますので、局部長の決裁をとった後、会計課長、官房長、場合によっては次官等々の決裁を経て支出を決定する、その上で支出手続を図る、そういう形になっております。
  321. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 報償費の支出については、一件一件に決裁書がつくられ、それに基本的に領収書をつけたものがつくられるということでよろしいですか。
  322. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 基本的な形はそういうことで御理解いただいて差し支えないかと存じます。  ただ、報償費の性格上、場合によって相手方から領収書を徴し得ない場合がございます。その場合は、取扱責任者の支払い証明書をもって領収書にかえているということでございます。
  323. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 外務省の機密費の支出で権限と責任を有しているのは局部長以上だということで、ただ問題になっている室長は局部長よりも下の、下という言い方は変ですが、方です。としますと、彼が申告をしたものについては、もし外務省の機密費から支払われていたのであれば、決裁をだれがしていたのか、どんな稟議書になっていたのか、何人が関与していたのか、教えてください。
  324. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 報償費であるとかないとかいうことは全く別にいたしまして、当該人物が外務省の予算を使って何かをする、出張に行くということもございますでしょうし、あるいは何かの通信連絡のための通信費が要るとかいうことがあるかと思います。そういったときは、その人間が決裁の原案をつくりまして、報償費の場合であれば、それが担当の局部長、具体的に申し上げればこれは私自身の方になってくるわけですが、官房長のラインまでの決裁をとって支出の了解を得て支出をする、そういう形になるわけでございます。
  325. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 機密費に関しては四年前から雑誌などに書かれたり、国会の中でも、この決算委員会の中でも何度も取り上げられてきたと思います。何度も警告が発せられ、おかしいんじゃないかと言われてきました。今回の事件の発覚です。どうして四年前あるいは議論になっていたときに調査ができなかったのでしょうか。
  326. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 午前中の質疑のときにも若干のことを申し上げたかと存じますが、報道であれ何であれ、重大な問題があるのではないかということがある場合には私どもは調査を行うことをためらうものではございません。いろいろな報道の中で幾つかのものについては我々もいろいろな形で調査をしてみたものでございますが、少なくともこれまでの話の中については結果的には大きな問題はなかったというのが一般的な結論であったということでございます。  他方、今回の問題につきましては、事はもう一段深刻であるという認識のもとで、若干専属的な調査チームをつくって調査を行っているという状況でございます。
  327. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 では、なぜ発覚、あるいはなぜこの問題をきちっと調査できなかったんですか。
  328. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) まさにそれが今調査している事柄の核心の一つであるというふうに認識しております。
  329. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 外務省はこの件については被害者だというふうに思っていらっしゃるかもしれないんですが、私は加担者だと思います。彼個人が問題があったのではなくて、彼個人が何十億、二億とも十五億とも言われていますが、彼のみが使ったのではないと。彼の決裁書に関与した人間はたくさんいるわけですし、関与した人たちの名前もいろいろ挙がっております。外務省は被害者ではなくて加担者ではなかったのか、加害者では、加害者という言い方はちょっと失礼かもしれませんが、やはりある意味で加担をしてきたのではないかというふうに思っております。  彼個人の問題でこの問題があるのではないとずっと言われてきた機密費。全くブラックボックスで、国民の前にあるいは国会の前に項目すら明らかにされない。いろいろうわさをされても全く明らかにされてこなかった全くの聖域です。そのお金が機密費だけで全部で七十六億ぐらいあるということに本当に国民は納得をしないというふうに思っております。この点についてどうですか。
  330. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) この点についてどうですかという感じで、ちょっとどの点に焦点を絞ってお答えしたらいいのかよくわからないんですが、加担者であるとか被害者面をするなとかいう点について申し上げれば、その点をまさに解明しなければならないこと、あるいははっきりわかってくるであろう事実からどう判断するかと、まさにそういうことであろうと思って、率直に申し上げて虚心坦懐に調べなければいけないというふうに思っているところでございます。
  331. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 全然反省をされていないようで、実はこの件が問題ではなくて、機密費が抱えている問題点自身がこの人のケースを通して明らかになったというふうに理解をしております。そういう意味では政治の問題であり行政の問題であり、こういうことを私たちがいつまで許すのか。二十一世紀にもなって、戦前の機密費のようなものを引きずってまだ私たちは政治をやるのかということが問われていると。そのことがちょっとわかっていらっしゃらないのではないかというふうに思います。  次に、会計検査院にお聞きをいたします。  会計検査院の検査システムとして反省すべき点はありますか。
  332. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 先ほど来お話が出ていますように、報償費につきましては、その経費の性質上、支払い先についての情報を厳重に管理するという必要があるということで領収書等の証拠書類を証明責任者の手元に保管させるということにしております。これは各省庁の申し出に基づき本院においてその内容を検討して認めているものでございます。  ただし、これは計算証明の取り扱いということでございまして、検査におきましては、在庁時にはその計算証明書類として提出されてくるものをもとに書面検査を行っておりますし、実地検査におきましては、証明責任者の手元に保管されております証拠書類の提示を受けた上でさらに説明も十分徴しまして、支出目的に従って適正に使用されているという心証を得るまで検査してきているという状況にございます。
  333. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 適正に行使をしていたという回答ではだめだと思うんですね。なぜ、これは業務上横領かどうかわかりませんが、こういうケースを見逃してしまったのか。会計検査院はどうお考えですか。
  334. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今般報道されております点につきましては、現在本院として事実関係を十分に把握している状況にはございません。したがいまして、現段階でどうというふうにお答えする段階にはないと考えております。  ただ、従来から報償費につきましてはやはりその性質に十分な注意を払って厳正な検査をしてきたつもりでございますけれども、ただいま外務省等で調査も行われているというふうなこともございますので、その結果の報告を求めるなどしました上で今後の検査に当たっていきたいというふうに考えております。
  335. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 適正にやってきましたという中身の答弁ですと、ほかにも同じようなひどいことがあるのではないかと、それを会計検査院がどうやって全くほかのケースはないというふうに言えるのかというふうに思います。  本当に、申し上げたいんですが、機密費の問題点が本当にこの件で出てきたと、使途は明らかにできないというふうに言いますが、項目すら明らかにされていないわけです。私は、国会議員接待費幾らと出たってそれはいいと思うんですよ、それは仕事でやっているのであれば。  このような機密費は最終的には減縮の方向にあるべきであると考えますが、いかがですか。外務省官房、いかがですか。
  336. 阿部知之

    政府参考人阿部知之君) 報償費そのものの問題として考えれば、私どもとしては、これは外交活動を実施し、特に情報収集その他を行っていく上で必要不可欠な経費であるという認識を持っております。  特に、在外公館の数でも二百近くあるわけでございますし、それらの公館がそれぞれ自在に活動し必要な情報を集めるというためにはそれなりの経費が必要であるということはおわかりいただけるものと信じておりますが、その際、やはり情報というようなもの、外交工作というようなものにはそれぞれ特別な要素がございますので、その経費の処理についてまたそれなりの配慮があるような形になるのも当然ではなかろうかというふうに思っております。基本的には、この点について軽々に減らすとかそういうことは私どもとしてはとるべき道ではないのではないかというふうに思っております。
  337. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 時間がないので、ちょっと私は最後に話したいと思います。  そんなことばっかり言っているので、馬を買おうが、マンションを買おうが、飲み食いをしようが、人におごろうが、ポケットに入れようが、人に配ろうが、部下に配ろうが、政党の中で回そうが、国会の政界工作費に使おうが、全く手つかずのブラックボックスであったと。よってこの事件が出てきたということをどう踏まえるかということがやっぱり基本的に理解されていらっしゃらないというふうに思っております。  この点についてはずっと追及していきますし、ほかの政党の人たちもそうだと思います。私たちは国会の中から、政治の中からうみを出すいいチャンスだというふうに思っております。  以上で質問を終わります。
  338. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 本日最後であります無所属の会の岩本荘太でございます。  私は、財政問題等について質問をさせていただきます。  最後の番でございますので、既にこの問題については当初に中島委員あるいは海野委員等が御質問されておりますので、多少ダブるかもしれませんが、私なりの切り口で質問させていただきたい。と同時に、私自身、財政の専門家でもございませんし経済の専門家でもございませんが、一国民として、財政あるいは経済の面を見た目という感覚的な面が多分にあるかと思います。専門家でない面で、間違った点もあるかもしれませんが、その点は御指摘をいただきたいと思っております。  いわゆる財政赤字問題、これは私、二年半前に参議院議員にさせていただきまして、それ以来国会に出てきてずっと質問させていただきました。それは国会議員になる前の経験からいいましても、どうも財政再建というのは、今まで過去に随分叫ばれてきましたけれども、叫ばれるたびに何かそれがアクセルになったような感じ赤字国債がどんどん膨らんでくるというような感じを持ってしようがなくて、じゃ実際どうなるのか、日本の国の財政はどうなるのかと。要するに、赤字国債を幾ら積んでもいいんならいいんだというような感じであるわけですが、その辺でそういう面からもしっかりと把握しなきゃいけないということで心配をしてきたわけでございますが、端的に言いまして、二年間たってそれほど何か改善されたというか、景気対策景気対策ということはございますでしょうけれども、変化がないような感じがいたしているわけでございまして、そういう意味で項目としては陳腐かもしれませんが、質問をさせていただきたいというふうに考えております。  この二年間を振り返りますと、確かに前回の参議院選挙のときでも国民の最大の関心は景気対策でございました。そういう意味で、私も議員になりまして景気対策をぜひやってもらいたい、私も最初の補正予算はたしか賛成の手を挙げたつもりでございます。そういうことをやっておるんですが、どうもその先の方がなかなか見えない。国民にしてみても、借金が悪いわけじゃないけれども、要するにどうなるのかということがはっきりわからないという、不安でしようがないという、それがある意味では消費を冷やしているというところがあるのかもしれませんが、そういう気持ちであったわけでございますけれども、今思い出しますと、そのたびにやっぱり二兎を追う者は一兎をも得ないと、こういうような御答弁で、そういうお話だけで赤字が随分累積されてきたわけでございます。  そんな中で私は、大蔵省が予算を出すたびに、中期財政試算ですか、こういうものを出されておりまして、これは一つのこれからの将来像かなということで質問をさせていただきましたが、宮澤大臣はあれはあくまでも仮定の話だというようなお話で、余り参考にならないというようなことでございました。としますと、じゃ何を当てにしていいのかなというようなことで非常に心配になる。あるいは大臣がおっしゃるとおりに、本当は今のままでいいんじゃないのかというふうな気もしたわけでございますが、一方で、前回、これは九月だったですか決算委員会の全体的質疑のときに、いわゆる今の財政状況というのはこれは異常と御判断されるかどうかということをたしか質問させていただきました。これは前に亡くなられた小渕さんにも質問させていただいたんですが、宮澤大臣は、小渕さん以上に明確に異常だというようなお答えを私はいただいた記憶をしているわけです。  と同時に、そのときの決算委員会、私の質問ばかりじゃなく、ほかの方の質問に対しても大臣は大変そういう財政赤字に対する危惧を表明されまして、早いうちにそういうものから脱却しなければいけないようなふうに私は感じたわけですが、そういう御答弁をいただきまして、大いに期待をいたしたわけでございますが、そういう点で平成十三年度予算を見ても、私の判断が当たっているのかどうかわかりませんが、それほどこの問題については改善の方向が見えないということでございます。  そういう中で、宮澤大臣はまた担当大臣として御就任されたということで、これはどういうお考えで、何か新しい決意があってなられたのかな、あるいは、あるいはといいますか、国民は何かがあって大臣はそうなられたんじゃないかというような期待を持っているわけですが、そういう意味でこれが大臣の所信表明というのか施政方針といいますか、そういうことになるのかもしれませんが、国民がそういう意味大臣が今度も担当大臣としてつかれたと。こういう御覚悟を、いわゆる評論的な面でなくて、大臣御自身の御決意といいますか、どうやったらどうなる、先ほどから議論を聞いておりますと、大変失礼なんですけれども、どういうことをやったらどうなる、だからどうするというようなことの感じを受けてならないわけで、むしろどうやってどうするという、そういう御決意をひとつお聞かせ願えたらなと思っております。ひとつよろしくお願いいたします。
  339. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御当選になられましたころにちょうど私もこの仕事を仰せつけられまして、今お話しになりましたが、実際先の見えないまま一生懸命やってまいっております。  ここに来まして、少し先は見えるかなという思いぐらいはいたしますけれども、昨年の秋ごろに、設備投資もうまくいくだろうし家庭の消費も少しはふえるかな、そうすればバトンタッチができるかなと思っていましたが、設備投資の方、企業活動の方はこれは大変思ったよりうまくいっているように思いますが、一向家計の消費が増大しない。その理由は先ほどもお話し申し上げましたので、私の理由と感ずる一つのことはもう繰り返しません。  ただ、昨年、お尋ねがあったときだと思いますが、平成十三年度は国債発行額だけは少し減らせるのではないか、こういうことは申し上げました。それは、一つは設備投資が起こってきたこと、したがって税収が多少ふえる傾向にあること。それから、十二年度に組み込みました、これはいっとき限りのいろいろ金融関連のことであるとかいうものがもう二度と要らない、こういうことから十三年度は国債は幾らか減らせるかと思いますと、この程度のことを申し上げております。  したがって、おまえはいつになったらこうなるんだということを一向に言わないではないかとおっしゃいますのはそのとおりでありまして、いつになったら本当に完全に財政が手を離せるかということはまだ申し上げかねる。よくなってきたことだけは確かで、できれば消費が普通になりましたらこれで、GDPで申しますと六割何分でございますから、それでまあまあ成長のサイクルに余り財政がもう後押しをせずに入れると。いつかなということを一生懸命注意しながら努力をしておるというのがただいまのところでございます。
  340. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、実は先ほど申しました昨年の九月の全体的質疑のときにお聞きした大臣のお話を私なりに解釈すれば、もっと積極的に財政再建に向けて今回向かうのかなというような感じがちょっとしたものですからこういう質問をさせていただいたわけですが、ぜひその辺は、今所信を伺っただけで、どうせいという立場に私はございませんので、できれば景気財政の健全な、これは一番難しいんでしょうけれども、財政にしても国民が納得する方向で開始をするんだという、国民と一緒にあるという、政府だけでない、今の国民というのは我々が、我々も国民ですけれども、我々以上に自分で責任感というのがあるんだろうと思いますので、その辺をしっかり政府としてもおつかみになって、先ほどももっと国民に問いかけたらいいじゃないかという御質問がございましたけれども、私もそのとおりだと思います。一緒に痛みを分かち合うという方向がいいんじゃないのかなというふうに思っております。  それと、その将来見通しがなかなか出てこないんですが、一つ、これはちょっと単純な御質問、単純というかブレークダウンした御質問かもしれませんが、今の国債額が減少は少しはするというお話がございました。それで、毎年毎年これは予算を組むときにやはり国債赤字国債にしろ国債をどのぐらいにしたらいいかというのはやっぱりお考えになるんだと思うんですね。予算の原則というのは、私などが言ってどうかと思いますけれども、やはり入ってきたものの範囲内でやるというのが大原則だと思うんです。それが赤字国債を出せるということになればもう何でもできる、どこまで行ってもいいということになりかねないと思うんです。  したがって、赤字国債を出すにしても、何らかの格好で、何といいますか、いわゆる財政再建の、景気はさることながら、歳出面で景気を見るとしても、何らかの格好で財政面をどういうふうに持っていくかという見通しが立っての話だろうと思うんです。そうでないと、本当に幾ら持ってもいいということに、幾ら赤字国債を出してもいいということになっちゃうんだと思うんですが、例えば平成十年のケースでもいいんですけれども、ことし十三年のケースにしても、その辺のお考え方、ちょっとこれ質問通告したのとちょっと違うかもしれませんが、何らかの格好で予算を組んでいく中でどのようなお考え財政あり方といいますか、財政再建を念頭にどういうふうに置いておられるか、その辺、もしお答えいただければと思っております。
  341. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 言えるときと言えないときとあると思いますけれども、平成十三年度の場合には、私は予算編成に際して十二年度よりは国債発行額を少なくしてもらいたい、それだけは作業目標として事務当局にそういう指示をいたしました。それは事実問題として一応達成されたと考えています。
  342. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それはマイナスにされた面は評価させていただきますけれども、やはり問題は赤字体質といいますか累積する赤字といいますか、そちらがどうなるかということの関心といいますか、その辺が国民がどういうふうに受けとめられるかということが大事だというふうに私は考えますので、その辺も今後ぜひともそういうことを示せるような方向に持っていっていただきたい、こう思っている次第でございます。  それと、やはりこれはそうやって財政の健全化は、これはまあ私、素人考えでいえば、要するに税収といいますか税金がどんどん入ってくればこんなことはないわけでございますから、その税金が入ってこない、それから税金が入ってこないか、あるいは支出を削減するかですね。税金をどんどん入れるということは、やはり増税するか経済成長するかだろうというふうに考えるんですけれども、その経済成長について、これも前に経企庁、堺屋大臣にお聞きして、きょうはわざわざ坂審議官、おいでいただいたんですけれども、私はこうやって財政再建をするのに経済成長を期待しているというのがどうも方向違いじゃないかというような感じがするんです。  ということは、経企庁も去年の夏でしたか、いわゆる少子高齢化社会での経済成長はどうあるかというのを内部で検討されたというふうに伺っておりますし、その後九月ですか、「財政赤字経済分析 中長期的視点からの考察」、これは経済成長についてのことではないかもしれませんが、そういうものをお出しになっているわけですが、その中でやはりこれからの少子高齢化社会では人口が減るとマイナス効果が非常に大きいというようなことが記載されていたように私は思っておるんです。  それに対して、ITとかいろいろなもので回復するんだということが書かれてあるわけですけれども、景気といいますか経済成長といいますか、大臣も先ほどちょっと言っておられたと思うんですけれども、やはり消費者の需要動向ですか、それが非常に大きいんじゃないかなと私は思うんです。ということは、要するにずっと生活レベルの低い段階であればどんどんどんどん買う意欲が出てくるでしょうけれども、日本の今のような状態で、本当にこれ以上もっといろいろ買うのかなと。これは、失業して生活が困っている方は別としまして、多くの人が一応ある程度需要を賄っている。少なくともこれ以上、少し需要が上がるとしてもそれほど大きく上がらない。一方で、人口が減ってきたら、したがって消費者は、要するに母数掛ける成長率とした場合に、全体としてはやっぱり減ってきちゃうんじゃないのかなという危惧がしてならないんですね。そういう意味で、もしそういうことになれば、これ財政再建なんというのはちょっと大変じゃないのかなということがあるわけでございまして、要するに生産に幾ら力を入れても、消費の方も拡大しない限り経済成長は上がらないわけですよね。  そういうような気がするんですが、こういう面について堺屋大臣には前お聞きしたら、必ずしもそうでもない、十分な御回答をいただいたと思っていないものですから、きょうは坂さんお見えになりましたので、前からの、財政再建のころからもいろいろ御指導いただいていますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  343. 坂篤郎

    政府参考人(坂篤郎君) まず、今、先生が御指摘になりました研究のことでございますが、経済企画庁の時代に、昨年六月に、人口減少下の経済に関する研究会という、いわばやや私的な研究会でございますが、大学の先生方にお集まりいただいて研究したものがございます。  これは、大体二〇四〇年ぐらいあるいは五〇年ごろまでを視野に入れまして、人口減少が経済に与えるさまざまな影響、今、先生おっしゃいましたように、単純に言えば、とりあえずは人口減少するということは当然経済のサイズも縮んでくる可能性があるわけでございますが、そういったこと、あるいは、そういう効果をまた緩和するのにはどうしたらいいか、どういうことがあればどういうふうになるのかといったことを定量的、つまりモデルなんかを使いまして定量的な分析をしたわけでございます。  かいつまんで申しますと、まず人口減少をする、特に日本の場合は人口減少の過程で高齢化ということが起きるわけでございます。そうしますと、今のままの、何と申しますか高齢者のある年代の方がどれくらい就業しておられるかというのがそのまま二十年後、三十年後も同じだというふうに仮定いたしますと、人口が減少するだけではなくて、さらにその中で働いている方の比率というのが下がるということになります、高齢者の方がふえるということになりますから。そういうことは当然成長率を下げるということになりまして、他方で、一人当たりの成長率というか、経済というのは労働力という数の問題と、それからもう一つはその人たち一人一人がどれくらい資本装備しているかという問題とがございます。  実は、働いている方の数が減るということは、一人当たりの資本装備率は上がって、いわば一人当たりの生産性は上がるというふうになる可能性が高いわけでございますが、そういったものを両方考え合わせますと、人口減少のもとでは、約二〇二〇年ぐらいまでの期間を計算したんですが、GDPが恐らく六・七%ぐらい小さくなるんではなかろうかという、一つ試算でございますけれども、そういった試算結果が研究会として示されております。  では、それに対してどういうことがあればよろしいのかということでございますが、これは先生が先ほどおっしゃいましたように、例えばIT革命といったことがアメリカの例なんかを見てもかなり生産性を上げる、あるいは生産性を上げるというのも、今までと同じ商品あるいはサービスがより効率的にできるというだけでなくて、新しい商品とかサービスとか、今までなかったようなものができるということも当然あるわけでございまして、そういったことによって生産性の上昇あるいは経済の活力が増すということもございますし、それからあるいは高齢者の方、高齢者の方といっても、今と例えば昔と比べましても、同じ年齢の方でも長生きになっているということは実は元気な期間も長いということだろうと思います。  そうすると、高齢者といっても実は年齢の感覚というのが違うということもございまして、そうすると同じ年齢の階層別に考えると、就業しておられる方がふえるということも当然考えられるわけです。あるいはまた女性の方の就業率が今よりもまたさらに上がるというようなことを仮定して計算をいたしますと、それによって目いっぱい計算いたしますと約八・四%ぐらいGDPがふえると。これもまた試算でございますので、絶対そうだというわけではございませんが、そういうことがございました。  あるいは、先ほど申し上げましたIT革命といったようなこと。これは約五年間ぐらいの試算というのをしたことがあるのでございますけれども……
  344. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 簡単にやってください。時間です。
  345. 坂篤郎

    政府参考人(坂篤郎君) 済みません。  これでいたしますと五年間で約四・二%ぐらい生産性が上がる、GDPがふえるといったようなことがございまして、そういったいろいろなことを考慮していくべきだろうという研究会の報告でございます。  済みません、長くなりまして。
  346. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私もまだあるんですが、時間が参りましたので次回に回させていただきます。どうもしり切れトンボで申しわけございません。  どうもありがとうございました。
  347. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に発言もないようですから、国会会計検査院、大蔵省、金融再生委員会金融監督庁国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会