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2000-11-30 第150回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月三十日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 宮路 和明君    理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君    理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君    理事 筒井 信隆君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今村 雅弘君    岩倉 博文君       金田 英行君    北村 直人君       熊谷 市雄君    小島 敏男君       後藤田正純君   田野瀬良太郎君       浜田 靖一君    福井  照君       森山 眞弓君    安住  淳君       岩國 哲人君    後藤 茂之君       佐藤謙一郎君    津川 祥吾君       永田 寿康君    長浜 博行君       楢崎 欣弥君    三村 申吾君       漆原 良夫君    高橋 嘉信君       山田 正彦君    中林よし子君       矢島 恒夫君    菅野 哲雄君       山口わか子君    金子 恭之君     …………………………………    農林水産大臣       谷  洋一君    外務政務次官       浅野 勝人君    農林水産政務次官     石破  茂君    政府参考人    (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君    政府参考人    (農林水産省経済局長)  石原  葵君    政府参考人    (農林水産省経済局統計情    報部長)         田家 邦明君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産省食品流通局長    )            西藤 久三君    政府参考人    (食糧庁長官)      高木  賢君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (水産庁長官)      中須 勇雄君    政府参考人    (水産庁次長)      川本 省自君    農林水産委員会専門員   和田 一郎君     ————————————— 委員の異動 十一月三十日  辞任         補欠選任   高橋 嘉信君     山田 正彦君   松本 善明君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   山田 正彦君     高橋 嘉信君   矢島 恒夫君     松本 善明君     ————————————— 十一月二十日  遺伝子組換え食品のすべての原料表示義務化等に関する請願中津川博郷紹介)(第一四九四号)  同(石井紘基紹介)(第一五二四号)  同(阿久津幸彦紹介)(第一五四五号)  同(海江田万里紹介)(第一五四六号)  同(鎌田さゆり紹介)(第一五四七号)  同(今野東紹介)(第一五四八号)  同(長妻昭紹介)(第一五四九号)  同(日野市朗紹介)(第一五七八号)  同(松原仁紹介)(第一五七九号)  同(大畠章宏紹介)(第一六六四号)  同(首藤信彦紹介)(第一六六五号)  同(田中慶秋紹介)(第一六六六号)  同(田並胤明君紹介)(第一六六七号)  同(山花郁夫紹介)(第一六六八号)  同(大森猛紹介)(第一六九八号)  同(菅直人紹介)(第一七四八号)  同(阿部知子紹介)(第一八三九号)  同(石毛えい子紹介)(第一八四〇号)  同(大島敦紹介)(第一八四一号)  同(渡辺周紹介)(第一八四二号) 同月二十七日  遺伝子組換え食品のすべての原料表示義務化等に関する請願池田元久紹介)(第二〇〇三号)  同(江崎洋一郎紹介)(第二〇〇四号)  同(永井英慈君紹介)(第二〇〇五号)  同(安住淳紹介)(第二〇九六号)  同(武正公一紹介)(第二〇九七号)  同(原陽子紹介)(第二〇九八号)  同(大出彰紹介)(第二二三四号)  同(近藤昭一紹介)(第二二三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  農林水産業振興に関する件(WTO問題)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 宮路和明

    宮路委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、WTO農業交渉における日本政府提案基本的方向等について政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産政務次官石破茂君。
  3. 石破茂

    石破政務次官 おはようございます。それでは、御説明を申し上げます。  まず、農業交渉状況提案検討経緯につきまして御説明を申し上げます。  WTO農業交渉は、WTO農業委員会特別会合で行うことが合意され、本年は、三月、六月、九月、十一月の四回、この特別会合が開催されました。  三月の特別会合におきまして、各国原則として二〇〇〇年末までに交渉に臨むスタンスを明らかにした交渉提案を提出することとされ、これまでに、米国やEU、その他ケアンズ・グループや複数の途上国グループから提案が出されております。  我が国におきましても、本年末までに提案を提出すべく検討を進めてまいったところでございますが、特に今回の農業提案につきましては、国民的な合意を得つつ取りまとめることが何よりも重要である、このように考えております。  このような認識のもと、本年の春以降、農林水産省ホームページ等を通じました情報提供地方レベルでの御意見を聞く会の開催、そしてEメール、投書などを通じましての意見の募集、そのようなことを行ってまいりまして、農業関係者皆様方のみならず、各界各層の御意見を聴取してきたところでございます。  本日御説明をいたします農業提案基本的方向は、これらを通じて寄せられました御意見や本委員会を初めとする国会での御議論農業団体における検討等を踏まえまして整理をしたものでございます。現在、この基本的方向に基づき、提案取りまとめに向けまして詰めの作業を行っております。  それでは次に、農業提案基本的方向につきまして御説明を申し上げます。  お手元に配付をさせていただきました「農業提案基本的方向」を、どうかごらんいただきたいと存じます。  今回の農業交渉は、単にUR合意の継続としてとらえるのではなく、二十一世紀の世界の農政全体を方向づける極めて重要な交渉と考えております。このような観点から、UR合意後の実施状況等について検証を行い、各国食料政策農業政策上の困難の解決に資する交渉を行うこと、農業多面的機能食料安全保障の追求を我が国のみならず世界的な農政上の課題として認識をすること、それを交渉に際しましての基本的な重要事項とすべき、このように考えておる次第でございます。  その上で、交渉に臨みます基本的姿勢として、多様な農業の共存を基本的な目標といたしまして、農業多面的機能への配慮食料安全保障確保農産物輸出国輸入国に適用されるルールの不均衡の是正、開発途上国への配慮消費者市民社会関心への配慮、以上五点を追求いたすことといたしております。  次に、交渉上の論点ごと基本的方針について御説明を申し上げます。  まず、市場アクセスについてであります。これにつきましては、関税水準アクセス数量について、品目ごと生産消費実情国際需給を踏まえた柔軟性確保して、適切に設定すべきと考えております。  また、セーフガードにつきましては、季節性があり、腐敗しやすい等の特性を持った農産物について、機動的、効果的に発動できるセーフガードの創設を求めていきたいと考えております。  次に、国内支持についてでございます。  まず、国内支持に関する規律につきましては、現行規律基本的枠組みを維持いたしました上で、UR農業合意実施の経験にかんがみ、農業実態に即した農政改革を推進する観点から、削減対象外の緑の政策について必要な見直しを行うべきと考えております。  また、国内支持水準については、農業多面的機能の発現を損なうことのないよう、農政改革進捗状況に合わせた現実的なものとすべきと考えております。  次に、輸出規律のあり方についてでございます。これにつきましては、輸出入国間の権利義務バランスの回復、食料輸入国食料安全保障観点から、輸出補助金等輸出奨励措置に対する規律の強化及び原則輸出税化など、輸出制限措置に対する規律の確立を求めてまいりたいと考えております。  次に、国家貿易についてであります。これについては、市場に対する影響力現行規律内容を踏まえ、輸出国家貿易輸入国家貿易を明確に区別をいたしました上で、輸出国家貿易について、行動の透明性確保政府助成禁止等規律を強化すべきと考えております。  次に、開発途上国への配慮についてであります。  これについては、途上国における飢餓、栄養不足問題の自助努力による解決に資するため、国境措置国内支持輸出規律国家貿易に関する規律水準について柔軟性確保するとともに、二国間や多国間の食糧援助のスキームを補完し、一時的な不足等状況に際して現物の融資を行い得る国際備蓄枠組み検討すべきと考えております。  次に、消費者市民社会関心への対応についてでございます。これについては、消費者団体を初め国民各層から寄せられた御意見を踏まえ、食料の安定的な供給食品安全性確保を第一義とした貿易ルール検討食品に関する消費者の選択を可能とする情報提供WTO農業交渉に関する情報の積極的な開示、提供、そのようなことを提案してまいりたいと考えております。  次に、米に係る検討視点について申し上げます。米につきましては、特に国民各層の御関心も高く、政府といたしましても、米に係る提案内容議論に資するため、お手元に配付しております「コメに係る検討視点」を整理し、検討を進めますとともに、幅広く情報提供説明を行ってきたところであります。  現在、米については、資料の二ページにございますように、高水準枠外税率設定マークアップ売買差益のことでございますが、マークアップの徴収、国家貿易による一元的輸入供給管理という総合的な国境措置輸入管理体制をとっております。輸入米国産米に与える影響を最小限に緩和するために、今後とも、総合的な国境措置輸入管理体制を守ることは極めて重要であると考えております。  したがいまして、米のミニマムアクセスにのみ着目して、具体的に何%という数量を挙げて交渉に臨むのではなく、ミニマムアクセス制度が有する規律枠組み上の数々の問題点指摘していくことが適切であると考えております。  具体的な問題点につきましては、現在、検討を進めておるところでございますが、次のような点があると考えております。  まず、輸出国には輸出する自由、輸出しない自由があるのに対して、輸入国にはそのような自由が認められておらず、一定のアクセス機会提供義務づけられているという、輸出入国間の規律アンバランスがあるということでございます。二点目として、アクセス数量設定について、品目ごと柔軟性がないということでございます。三点目として、国内消費量基準としてアクセス数量設定されておりますが、最新消費動向勘案をされておらないということであります。四点目として、関税化特例措置を講じた場合に適用されるアクセス数量加重という代償的措置につきまして、期限設定をされておらないということでございます。  このような諸点を十分に勘案をいたしまして、米に係る提案内容を取りまとめていきたいと考えております。  政府といたしましては、本日の御論議も踏まえ、早急に提案を取りまとめ、今後、提案の実現に向けて、関係省庁一体となり、まさに国を挙げて取り組んでいく所存でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。     —————————————
  4. 宮路和明

    宮路委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省経済局長石原葵君、農林水産省経済局統計情報部長田家邦明君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、農林水産省食品流通局長西藤久三君、食糧庁長官高木賢君、林野庁長官伴次雄君、水産庁長官中須勇雄君及び水産庁次長川本省自君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 宮路和明

    宮路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  7. 松下忠洋

    松下委員 WTOの問題でございますが、本題に入る前に一点、森林林業問題についてお伺いいたします。時間も限られておりますので、簡潔明瞭に、短く的確にお答えをお願いいたします。  昭和三十九年の木材自由化から今日まで四十年近くが経過をしております。今や外材が八割を占めるに至っております。調べましたら、一年間に約一兆二千億円相当の原木を初めとした外材が入ってきておりました。うち三割は熱帯雨林地域からの外材でございます。この輸入増加はあるとき急に起こったわけではなくて、長期間にじわじわと増加して、それに歯どめがかけられないことに対して何とも言えないもどかしさと腹立たしさを感じているわけであります。林業現場では危機感が募っておりまして、WTO上のセーフガード措置発動できないのかという声が上がってきております。  前回の委員会では野菜についてお尋ねをいたしまして、既にセーフガード発動に向けて関係省庁との間で調整に入り、調査に入ったということでございますけれども、木材輸入についてセーフガード措置発動ができないのかということについて大臣にお伺いします。セーフガード発動せよという趣旨でございます。お願いします。
  8. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいまお話がございましたように、木材セーフガード発令につきましては、昨日、農林水産省の部内の調整をすべていたしまして、本日、大蔵大臣並びに通産大臣に書類で通告することにしております。発動をいたします。
  9. 松下忠洋

    松下委員 大臣、大変力強い御発言でございます。自由民主党でもこの問題は数年間真剣に議論してまいりました。きちっと制度有効活用、効果のある措置をしていただきたい、瀕死の状態にある日本森林林業をそういうことで救っていただきたい、そのようにお願いいたします。セーフガード発動するという前提で御答弁いただきました。  もう一つお伺いをいたします。  森林については、かねてから木材供給だけでなくて国土保全や水源の涵養、環境保全、最近では地球温暖化の防止に資する役割を持っているということで、国民はその役割に対して大きな期待を寄せております。しかしながら、現場実態は、このような国民期待とは全く裏腹に極めて厳しい状況に置かれております。きのうも森林大会がございましたけれども、四十年手塩にかけて育てた杉の木一本が千円、加工をしても千五百円では林業経営はやっていられないという嘆きの訴えがありました。このような林業採算性の悪化、世代交代による経営意欲の減退、管理不十分な森林増加など、厳しさを数え上げれば切りがありません。  農林水産省は新たな森林林業基本法の策定に向けて総合的な検討を行っていると聞いておりますし、自由民主党でも今真剣にこの問題を二田委員長のもとで議論をしておりますけれども、石破総括政務次官、今後の森林林業行政についてどのような見解をお持ちでございますか。お願いいたします。
  10. 石破茂

    石破政務次官 委員の御指摘のとおりであろうと思っております。私も、きのう大会に行きまして、トラックに積まれた材を拝見して、本当に大変なことだというふうに思いました。  端的に申し上げますが、今回、林政基本的な考え方を、木材生産主体としたものから森林の多様な機能持続的発揮主体としたものに転換をしようということを考えております。木材生産から多面的機能の持続的な発揮ということに林政基本的な考え方を転換したい、このように思っております。  具体的には、そのための森林管理でありますとか、持続的利用を担う林業木材産業の発展でありますとか、山村地域活性化ですとか、そのようなことを考えております。今後どのような手法が考えられるか、そして、御負担をいただく皆様方の御理解を得られるか、国民的な合意を求めるべく全力を傾注してまいりたいと存じます。
  11. 松下忠洋

    松下委員 しっかりと御検討をお願いする次第であります。  WTOについてお尋ねを申します。  我が国農業の基盤は、言うまでもなく米であります。しかしながら、我が国の米は構造的な過剰基調米余りの中で全水田面積の三〇%を超える生産調整を行っております。また、一方で、ウルグアイ・ラウンド農業合意によりまして、毎年ミニマムアクセス米として四十万トンから七十万トンに至る外国米輸入せざるを得ない状況にあります。これまでの経緯はいろいろあろうと思いますけれども、これはやはり農家現場の受けとめ方としてどうしても納得できない、そのように考えるのが自然な感情であります。  七年前に私も国会の前に座り込み、ジュネーブに行ってサザーランドに会って日本実情を訴えてまいった経緯がございます。既に三百七十一万トンの米がこの六年間に入ってくるということになりますと、これは五千万人の人たちが一年間食べる米の量に匹敵する、それだけのミニマムアクセス米が入っているということでございます。  今回のWTO農業交渉において、このミニマムアクセス米の問題について政府はどのように臨む方針であるのか、食糧庁長官、しかとお尋ねいたしますので、お答えをお願いします。
  12. 高木賢

    高木政府参考人 WTO農業交渉における米の取り扱いについてでございます。  現在、米あるいは稲作の重要性にかんがみまして、米の需給価格の安定に支障を及ぼさないように総合的な国境措置あるいは輸入管理体制をとっております。すなわち、一つには、ミニマムアクセスについては国家貿易によります一元的な輸入管理を行い、マークアップを徴収いたしております。また、ミニマムアクセスを超える米の輸入につきましては高水準枠外税率設定しております。こういった現在の総合的な国境措置輸入管理体制を維持することが基本であるというふうにまず考えております。  米のミニマムアクセスにつきましても、このような総合的な枠組みを維持する、そういう目標の達成の一環として取り組むべきものと考えております。  この場合、今お話のありました点はしっかりと受けとめて交渉に臨むべきであるということは言うまでもございません。ただ、この交渉の開始に当たりましては、いきなり数量議論を行うというのは必ずしも得策ではございませんので、まず我が国として受け入れ可能な交渉枠組み確保するという観点から、制度が有する種々の問題点指摘していくことが重要であるというふうに考えております。  ただいまも石破総括政務次官から御説明をいたしましたが、具体的には大きく言って四点があると思います。  ミニマムアクセス制度のそのものが輸入国側に対する義務のみを設定するものである、これは輸出国との間の規律アンバランスがあるという問題が一つ。それから、アクセス数量が、今御指摘のありましたような各国農業の現状とか構造改革の進展などによります品目ごとの相違を考慮しない、一律に定められておって柔軟性がないといった問題点がございます。それから三番目に、国内消費量基準としてアクセス数量設定しておりますので、最新消費動向勘案されていないという問題がございます。それからまた、関税化特例措置を講じた場合に適用されるアクセス数量加重という代償措置について期限設定されていない、つまり、ずっと続くということになっているという問題がございます。こういった点を指摘していく方向で、現在、検討を進めているところであります。  いずれにしても、我が国として受け入れ可能な交渉枠組み確保ということが重要な点であるというふうに思っております。
  13. 松下忠洋

    松下委員 現在のウルグアイ・ラウンド合意は、自由民主党が政権を離れているときに国が受け入れたものでございます。その後七年間、自由民主党でもしっかり勉強して、議員外交をこれからもしっかりと展開しながら、日本農家の米の問題について大きな負担がかからぬような形での解決を望みたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。  もう一つお尋ねいたします。  農業交渉は、ことし三月のWTO農業委員会特別会合から開始されました。各国は、この十二月末までに、交渉に臨むための提案を提出することになっております。現在まで、アメリカケアンズ諸国は既に幾つかの提案を出しているというふうに聞いております。農産物輸出国は、さらなる関税大幅削減補助金見直しを要求して、農産物貿易に対する支配を強めようとする意図があると聞いておりますし、感じております。しかし、ウルグアイ・ラウンド合意後の各国状況はどうでしょうか。きちんと守られているのか、約束事をしっかりと実行しているのかということは甚だ疑問であります。  私は、八月から九月にかけて、ブラジル、アルゼンチン、キューバなど南米諸国を回ってまいりましたし、オランダ、デンマーク、フランス等にも行って各国農業政策をつぶさに勉強し、当国の、それぞれの国の幹部とも意見交換をしてまいりました。恩恵を受けているのは一部の国にすぎず、開発途上国においては食料不足がますます拡大してきております。また、輸出国においても、農業経営価格低下等によって困難に直面しておりまして、あの自由化関税化を進めたアメリカにおいても、農家に対して追加的な補助金を数百億ドルも交付している状況にあります。そのアメリカが、また一方では、一部農産物において輸入増加に対してセーフガード発動するなど対抗措置をとっております。  私は、農業交渉に臨むに当たって、このようなウルグアイ・ラウンド合意実施状況をまず検証して、利益を受けていると言われている輸出国においてすらさまざまな困難を抱えていることを明らかにすべきでありますし、我が国実情もきちっと説明するべきであると考えております。  政府では、このウルグアイ・ラウンド各国実施状況についてどのように検証し、どのように実態を把握しているのか、そこをしっかりとお答えいただきたい。経済局長、お願いします。
  14. 石原葵

    石原政府参考人 お答え申し上げます。  今回の農業交渉に臨むに当たりまして、ウルグアイ・ラウンド合意各国における実施状況等検証を行いまして、各国の抱えます食料政策、それから農業政策上の困難を踏まえまして、その解決に資するような交渉を行うことが重要であると考えております。  ただいま先生の方から御指摘がございましたように、アメリカ等農産物輸出国におきましても、農業経営の直面する困難に対しまして追加的な国内助成を講じたり、特定の農産物輸入増加に対しましてセーフガード措置等輸入歯め措置が講じられたりしているところでございます。  以上のような動向につきましては、今後とも、交渉を進める上で、我が国の立場を理解させる上でも、また相手の弱点をつくという意味でもこれを十分に活用する必要があると考えておりまして、農林水産省におきましては、外務省の協力を得ながら、本年十月から十一月にかけまして、各国ウルグアイ・ラウンド合意実施状況につきまして悉皆的な調査を行ったところでございます。  今後とも、交渉を進める過程で、各国政策動向WTO規律適用状況につきまして継続的に注視し、これを交渉に生かしてまいりたいと考えているところでございます。
  15. 松下忠洋

    松下委員 私の質問の趣旨は、日本はこの七年間ウルグアイ・ラウンド合意を生まじめに実行してきたと考えております。アメリカを初めケアンズ・グループ等のそれぞれの国が、本当に決められたことを実行して胸を張って言えるものかどうか、むしろ、そうでない部分がたくさんあるのではないかということをしっかり検証して戦略を練り、そして、日本の国益に沿うような解決を図ってもらいたいという趣旨でありますから、しっかりとお願いをいたします。議員外交でもしっかりと働いてまいりたいと考えております。  最後に、大臣にお伺いします。  私は、四〇%までに低下した食料自給率、そして農村地域における過疎の進行と高齢化、そういう状況を見ると、現在、日本農業はまさに徳俵に足がかかった状態であるというふうに考えております。二十一世紀を生きる次の世代に活力ある日本農業を引き継いでいくことは、現在を生きている私たちの重大な責務であります。これまで農政に心血を注いでこられた大臣のお考えそのものではないのでしょうか。私は、その意味で、今回の農業交渉は単にこれまでの貿易交渉の延長ではなく、二十一世紀の食料農業、農村のあり方、飢餓や貧困からの脱却、壊れた自然の復元、ひいては人類の生存にもかかわる極めて重要な交渉ととらえるべきであると考えているのであります。  大臣、昨年の十二月、私は大臣と一緒に、当時、大臣自由民主党の総合農政調査会長でありましたけれども、シアトルの交渉に行って、あの一週間大変な苦労をしながら、結果として決裂ということになりましたけれども、シアトルまで一緒に行って苦労してまいりました。その谷大臣に、農業交渉に臨む力強い決意をお聞かせいただきたい。お願いします。
  16. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま松下議員の方から事細かにお話が出ましたが、確かに、七年前にウルグアイ・ラウンド交渉におきまして日本が約束したとおり忠実に実行してまいりました。  しかしながら、今日本の現状を踏まえてみますと、農業は厳しい段階を迎えております。これほど厳しい状態を迎えておる日本農業にとりましては、今度の二十一世紀に向かって、WTOがそれぞれの各国に対しまして、二十一世紀に対応しての新しい考え方、対応の仕方を言えというお話でございまして、きょう石破政務次官の方から詳細にわたってお話ししましたように、政府としての考え方の取りまとめをいたしました。これからの問題につきましては、私は厳しい立場で対応しなきゃならぬと思います。  昨年の十一月の終わりから十二月の初めにかけまして、おっしゃるとおりに、アメリカ・シアトルにおきましてWTOの総会が開かれましたけれども、私もその現場に行ってよく観察いたしましたが、実際のところ、本当にWTOに加盟しておる百数十カ国の国々が日本の立場を理解しておるだろうかということにつきましては、非常に強い疑問を持ちました。そういう関係から、今度の取りまとめに当たりまして、日本の誠意のある立場を、そして日本に対する理解ある立場を各国がとっていただけるためには、相当、日本としての気持ちを率直に申し上げると同時に、またかたい決心が必要だと私は思いました。  そういうことで、きょうまで少なくとも、農林省の各担当者がそれぞれ各国を訪問して日本実情を訴え、また、私にいたしましてもフィリピンやタイに行き、そして八月の終わりのアジア・太平洋の会議にも、十数カ国の農林大臣日本を訪問したときに、懇切な立場で日本の主張をいたしました。積極的に外交を展開してきたわけでございますが、これからのWTOに対するまとめた日本考え方各国に浸透させることが一番大切であると考えておりますし、そのためには、粘り強く日本考え方を皆さんに理解していただきたい、そういう考えを持っております。  先ほど、木材の問題で大蔵省並びに通産省の方に連絡したことを申し上げましたが、これは十分、二省とも連絡をとり、三省で合意をした上に正式な調査をして、WTOに通報するということをしなければなりません。やはり農林水産省が農、林、水、すべての問題についての責任を持っておるわけでございますから、この責任ある立場の農林水産省が毅然とした態度で、通産、大蔵の理解を深め、そして、WTOに対しまして積極的な態勢をとっていくというのが、今後の日本農林水産省のあり方でなければならない、それがあってこそ国民全体の理解を深めることができるのだ、こう思っております。  力いっぱいの努力をすることをお誓い申し上げたいと思います。
  17. 松下忠洋

    松下委員 日本の国益を考えて、そしてまた困難に立ち至っている日本農業の展望を開くためにも、だめなものはだめ、そういうことでぴしっと、戦略を練って頑張ってもらいたいというふうに思います。  終わります。
  18. 宮路和明

    宮路委員長 次に、三村申吾君。
  19. 三村申吾

    ○三村委員 おはようございます。無所属クラブの三村申吾でございます。  四面海、そして瑞穂の国に生まれまして、まだこの国の魚とこの国の野菜の漬物とで、この国の白い御飯を腹いっぱい食べられる今に感謝しながら御質問を申し上げる次第でございます。  水産物の生産は、我が国の内水面、沿岸、沖合さらには遠洋と、すべての水域で行われてきましたが、近年は、円高や食生活の多様化により輸入が急増しております。我が国魚介類消費量の四割を占めるようになり、その額も一兆七千億に上っておるわけでございますが、輸入ということには、相手国の、輸出による外貨の獲得が目的の無秩序な漁獲や、供給過剰による国内産魚介類の価格の低迷からくる第一次産業の低迷等多くの問題があり、ルールづくりが重要であると考えております。  このような観点から、我が国では、水産物の輸入に一定の関税を課すとともに、沿岸、沖合漁業の主要魚種をIQ制度の対象とする措置がとられており、これらの施策に対しては敬意を表するものであります。  しかしながら、米国、オーストラリア等の水産物輸出国は、我が国を初めとする水産物輸入国に対し、輸入関税の撤廃等、水産物貿易の一層の自由化の動きを強めております。我が国民の生活様式や、食文化における漁業あるいは漁村の果たしている役割、存在意義を十分御配慮の上、引き続きこれら諸外国に対し、我が国の漁業者を守る施策、つまり、秩序ある輸入対策を講じていただきたい、そう考えるのでございます。  また、近年、我が国周辺水域には多くの、韓国や中国漁船が進出してきたため、我が国の漁船は、これら外国漁船との漁場の競合あるいは無秩序な操業により、漁業経営が圧迫される状況に至っております。我が国の排他的経済水域においては、水産資源の持続的利用を目指した資源管理型漁業を推進する、そのように大臣は常々申しておりますが、その中における韓国、中国漁船の入漁許可隻数を極力削減するとともに、安全操業を確立し、我が国の水産物の自給率の向上というものを図るべきと考えるのでございます。  そこで、二点一括でお尋ねいたします。  イカ類の例を挙げますが、私ども青森は、水揚げが全国の四二%のシェアを占めております。イワシ、サバ等の回遊魚が減少した今、イカ類の水揚げが生産者から消費者に及ぼす影響役割は、今までとは比較にならないほど重要となっております。  しかし最近は、イカ類の調製品と総称しまして、ボイルイカや総菜物など、イカの形を変えた簡易加工品の形での輸入量がふえていることから、魚価が非常に低迷し、生産者は大変に苦しんでおります。よって、IQ枠を堅持するとともに、IQ枠の中にイカ調製品も含めることが重要と考えますが、農林水産省の御意見を伺います。  一括して二点目も伺います。  本年六月一日に発効した新日中漁業協定に基づき、我が国の北太平洋排他的経済水域の一部において、中国のイカ釣り漁船三百二十二隻の操業を許可し、五万三千トンを上限としてイカの漁獲をさせておりますが、これらの漁船が漁獲したイカを我が国輸入しているとすれば、何のための外国船の割り当てなのかと考えざるを得ません。三百二十二隻の減船とあわせて、外国漁船が我が国の排他的経済水域において漁獲した水産物の輸入は認めるべきでないと考えますが、この二点につきましての農林水産省のお考えを伺わせていただきます。
  20. 中須勇雄

    中須政府参考人 第一点目のお尋ねの件でございますが、先生御指摘のとおり、我が国では、無秩序な輸入というものが国内の漁業生産あるいは需給に悪影響を及ぼさないようにということで、イカを初めとする沖合、沿岸の主要資源についてIQ制度をしいている、輸入の許可制という形、割り当て制ということになっているわけであります。そしてまた、この割り当て制度というのは、単に需給問題だけではなくて、私ども今、二百海里体制のもとで我が国周辺水域の資源を適切に管理していく、そういう意味においても補完的な重要な役割を果たしているのではないか、こういうふうに認識をしております。  ただ、問題は、主要国ではこのようなIQ制度をしいておりますのは我が国のみという状況でございます。したがいまして、次期WTO交渉が開始されるということになりました場合には、当然のことながら、多くの諸外国からこの制度を問題視されるということは避けられないと思っております。我々、しかし、現実にこの制度が果たしている役割ということを十分踏まえて、その役割機能というものが守られるよう最大限努力していかなければならない、こういうふうに考えております。  こういった状況でございまして、今お尋ねの、調製品をも制度の対象にするべきだ、一つのお考えとしては十分わかるわけでありますが、国際的な状況を考えますと、私ども、まず、そのイカ本体についての制度を、機能をしっかり守っていく、それが今一番重要なのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから二点目の、北太平洋での中国漁船によるイカの操業ということでございます。これも、本年、新しい日中漁業協定に基づいて、我が国の三陸沖、いわゆる大型イカ釣り規制ラインの外側の一定の水域で操業を認めるということにいたしました。ちょうど漁期が、九月二十五日から十一月三十日、きょうまでということでございまして、きょうをもって中国の漁船の太平洋での操業は打ち切られることになるわけでございます。まだ数字はもちろん確定しておりませんが、漁獲割り当て量は五万三千トンでございますが、漁獲量自体は一万トンにいくかいかないか、こういうような水準ではないかと思っております。  これについて、一つは、輸入面でどう扱うかというお尋ねでございます。これは大変難しい問題でございまして、率直に言って、中国から輸入されるイカあるいはイカの調製品というものの、一体どこでとれたものかということを特定することは事実上大変難しいわけであります。そういう意味におきまして、私ども、冒頭申しましたようなIQ制度ということで総量をコントロールする、国内の需給とかに悪影響を及ぼさないようにする、こうやって管理をしていくということに尽きるのではないか、こういうふうに思っております。  また、それと同時に、隻数あるいは漁獲割り当て量についてもっと削減すべきであるというお尋ねもございました。これも我が国の漁民の皆様から強い要請を受けておりますし、資源状態を勘案しながら、毎年の交渉の中で少しずつでも実現していかなければならない、こういうふうに考えております。  ただ、率直に申しまして、中国側も、イカ、既に来年の漁期の操業については相当議論を重ねてきておりますが、大変強い態度でございます。それとまた同時に、御承知のとおり、我が国の漁船が中国水域に入って操業するということとの兼ね合いもあります。その辺を踏まえて、なかなか予断を許さない厳しい状況でありますが、なお年末に向けて協議の中で努力をしていきたい、こう思っております。
  21. 三村申吾

    ○三村委員 懇切な御答弁、ありがたく思いますが、まさしく資源管理という観点におきまして、何とぞ、IQ枠堅持につきましては御尽力いただきたいと思うわけでございます。そしてまた、EEZ、せっかくの排他的水域がいわば消費者のための制度とならないように、何とぞ漁民のための制度となるように、先ほどお話をいただきました方向につきまして、努力していただきたいと思う次第でございます。  それでは次に、十一月二十五日の日本農業新聞でございますが、谷大臣そして農水省の皆様方、よくぞセーフガード頑張るぞというお気持ちをいただいたことにうれしく思うわけでございます。  ところで、独自基準を設け、これを満たしたネギ等六品目について要請するという記事が中にあるわけでございますが、先般、中国と韓国の間でニンニク戦争というものがございました。なかなかの経済衝突でございましたが、実は、自分自身青森におりまして、減反政策へ協力するということで、ニンニクの最大作付面積は二千三百二十ヘクタールございました。現在、中国の攻勢のもと、千五百二十ヘクタールに減少しているという現実がございます。それでも、ニンニクの国内シェアの八割近くを私どもが占めているわけでございますが、常に中国から二万六千トン前後が輸入されておりまして、中国産の品質も最近なかなか向上いたしております。ますます厳しい状況に遭っているわけでございます。  そこでお尋ねをいたしたいのでございますが、政府調査を開始した四品目の中にニンニクという項目が含まれておりませんが、どのような独自基準というものでこれを選択したのか、お知らせ願いたいと思います。
  22. 西藤久三

    西藤政府参考人 お答えいたします。  野菜、ニンニクのセーフガード調査要請の件でございますけれども、私ども、最近の国内農林水産業及び農林水産物の輸入をめぐる状況にかんがみまして、野菜につきましては、タマネギ、トマト、ネギ、ピーマンの四品目について、政府としてのセーフガード発動に向けた調査を開始するよう十一月二十四日に大臣から大蔵大臣、通商産業大臣に対し要請を行ったところでございます。  その要請をするに当たりましては、省内で、平成七年から平成十二年九月までの輸入量、輸入品の国内市場占拠率、いわゆるシェアでございますが、粗収入額、あるいは作付面積等の各項目につきまして、その間の増加率なり減少率等に関する暫定基準を設けまして、この基準に照らし、先ほど申しました四品目の野菜につきまして政府調査の開始を要請したものでございます。  ニンニクにつきましては、先生からお話がありましたように、青森県が日本の主産地であり、状況も私ども承知しているつもりでございますが、今回の検討時点では、対前年の輸入増加率がセーフガード検討開始暫定基準を満たしていなかったなどの状況で、要請の対象とはいたしませんでした。  いずれにせよ、今後ともそれぞれの輸入動向なり国内生産動向につきましては、私ども注視体制といいますか監視体制の整備もあわせて行うこととしておりますので、十分動向を注視してまいりたいというふうに思っております。
  23. 三村申吾

    ○三村委員 では、ニンニクにつきましても、事態の推移によって御検討よろしくお願いいたします。  続きまして、セーフガードの要件についてでございます。発動の要件に、輸入増加により国内産業に重大な損害またそのおそれが生じている場合、その因果関係の客観的な証拠に基づく場合というものがあるわけでございますが、どういうことかとお尋ねしましたところ、五〇%の損害であるとか操業度、雇用への影響の立証という、どちらかといえば工業製品のような感じの概念があるようでございます。  さて、次期WTO農業交渉においては、農産物の特殊性に応じ、機動的、効果的に発動できる新たな農産物セーフガードの仕組みを、まさしく農産物にふさわしい仕組みを提案すべきと考えますが、見解を求める次第でございます。
  24. 石原葵

    石原政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、現在のセーフガード発動の要件といいますか、これは非常に厳しゅうございます。鉱工業品と農産物につきまして区別はしていないということで、要件が非常に厳しゅうございます。  また、特別セーフガードというものがございますけれども、特別セーフガードは具体的な基準が明らかでございます。それと違いまして、一般セーフガードはその具体的な基準も明らかになっていないということで、農産物のような季節性があり腐敗しやすい、こういう特性を有しているものにつきましては、現行セーフガードを迅速に発動することにつきましては問題があると認識しているところでございます。  このため、これらの特性を持ちました農産物につきまして、輸入急増等の事態に機動的そして効果的に発動できるよう、運用の透明性を高めましたセーフガード措置WTO農業交渉における提案の一部としたいと考えているところでございます。
  25. 三村申吾

    ○三村委員 ありがとうございます。  続きまして、昨日の読売新聞の記事でございますが、よし、よう言ってくれるという気持ちになりました。MA米のうちSBS米は主として業務用として流通しているわけでございますが、その値段のキロ二百十八円から二百九十二円というのは、米づくりに極めて努力を要します北海道や私の青森、そういった地帯での価格帯と重なっておりまして、このままMA米がふえ続けていくことは大きな恐怖であったわけでございます。記事は、五%、五十三万トンに戻す要求をするとの報道でございますが、事実関係はいかがでございましょうか、また大蔵、通産省等との協力の体制はいかがでありましょうか。
  26. 高木賢

    高木政府参考人 米の輸入体制につきましては、現在ミニマムアクセスについては国家貿易による一元的な輸入管理、あるいはミニマムアクセスを超える米の輸入につきましては高水準枠外税率設定という総合的な国境措置輸入管理体制をしいているわけでございます。これを維持することをまず基本というふうに考えております。  その中で、米のミニマムアクセスにつきましても、この総合的な枠組みを維持する目標の一環として取り組むべきというふうに考えております。ただ、現段階、交渉の段階とかそのほかの分野の進行状況あるいは各国提案状況というものを考えますと、現在、数量提案をするのは適当でないというふうに考えております。  そういう意味では、今の報道で具体的に触れているというのは、今、私どもが検討しているものと必ずしも一致していないということでございます。現在は、まず我が国として受け入れ可能な交渉枠組み確保するという観点から制度の有する種々の問題点指摘していく、こういう基本的考えで今、検討を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、問題点として四点検討しているわけでございます。ミニマムアクセス制度輸入国側に対する義務のみを定めているもので、輸出国輸入国との間のバランスがとれていないということ。それから、アクセス数量につきましては、各国農業の現状とか構造改革の進展などによる品目ごとの相違が考慮されていない、柔軟性がないというのが二つ目。三つ目は、国内消費量基準としてアクセス数量設定されておりますが、最新消費動向勘案されていないということ。それから四つ目に、関税化特例措置を講じた場合に適用されるアクセス数量加重。現在、途中で関税化いたしまして、七・二%という数量でございますが、この代償措置について、特例措置をやめてもそのまま続く、こういうことになっておる。  こういう問題点指摘していくという方向で、現在検討を進めているところでございます。
  27. 三村申吾

    ○三村委員 国際交渉でございましょうから、最初から数字ということは難しいと思いますが、何とぞ新聞記事どおり進展すればうれしく思います。  最後に、大臣お尋ねいたしたいと思っております。  さて、減反という方向性、百万という数字を超えたダメージの大きさ、地元でいろいろ話を聞きましても、もう農業どうしようか、だめかなというようなことを話している、そのショックの大きさに驚いているわけでございますが、実は、大臣も町長の経験がおありだと伺っております。自分自身もそうでございます。おやじもそうでございました。減反に協力するということで、国策を信じ、国策を頼りとしてきました冷涼なやませ地帯に私どもはあるわけでございますが、野菜をつくろう、花をつくろう、イチゴをつくろう、農業で頑張っていこう、そのように農家の方々を鼓舞してまいりました。  しかしながら、昨今来、実は、中国におきまして、一九九〇年の緑色食品生産振興宣言のもとに、九二年には緑色食品発展センターを設立するなど、非常に野菜生産の品質向上と圧倒的物量による輸出攻勢も近いのではないか、そういうことを伺っておる次第でございます。  減反政策も、私どもももう限界だと思っていますし、その減反のかわりに、野菜、頑張ってくれ、つくってくれというふうに勧めてきた経緯がございます。ここで大きな野菜の輸出攻勢というものが参りますと、本当に、今まで信じてついてきた農家の方々に、何を頑張って、次は何をやらせていいか、そのことに大きく悩むわけでございます。  したがって、農業を守るために、先日も農地法が成立いたしました。WTOセーフガードに対します野菜輸入急増の中で、大臣WTOセーフガードに対してどのような御決意を持って臨むか、最後にお聞かせいただければ、ありがたく存じます。
  28. 谷洋一

    谷国務大臣 セーフガードに対する考え方についての御質問でございますが、ただいま御質問にもございましたように、現在、米作農家というのは三割から五割の減反をお願いしております。減反はけしからぬとおっしゃいましても、昭和三十七年に百十八キロだった一人当たりの消費量が、今や六十キロ、六十五キロと半減しておるわけであります。そういうことを考えますと、やはり減反には皆さん方が快く応じてもらわなきゃならないと私は思うんです。  しかしながら、一方では、輸入米をなぜ七十五万トン以上もしなきゃならぬのか、こういうことに対する米作農家の不満は大きいものがあることは間違いないんです。我々は、七年前に我々が野党だったから、そういうことを申し上げようとは思いません。政府としてやったんですから、我々はやはり理解を深めることが必要だと思います。  しかしながら、先ほど食糧庁長官が事細かにお話ししましたように、ああいう状態があるわけでございますから、我々としては、このWTOの、きょう政務次官が説明しましたように、何としてでも我が日本の国益を守るために、そして農家の理解を深めるためにも、また国民全体の理解を深めるためにも、強い立場で折衝に向かわなきゃならない、政府を挙げて強い立場で折衝をすることが当然必要だと思っております。  そういうことでございますから、受け入れ数量はどの程度かということについては、私は今、政府方針としては示しておりません。それはでき得る限り少なくというのが当然な我々の立場でございます。しかしながら、国際的な問題を考えてみると、そう簡単にはいかないだろうという気もいたします。  そこで、数量は示しておりませんけれども、強い立場で検討をして、積極的に取り組むということだけははっきり申し上げることができると思います。
  29. 三村申吾

    ○三村委員 大臣、大変ありがとうございました。  野菜農家を守るためにも、またいろいろな意味でWTO交渉を頑張ってください。お世話になりました。
  30. 宮路和明

    宮路委員長 次に、岩國哲人君。
  31. 岩國哲人

    ○岩國委員 おはようございます。民主党を代表して質問をさせていただきます。  質問の前に、委員長にお願いがあります。  この農林水産委員会の構造でありますけれども、野党の筆頭理事の席から大臣のお顔が見えない。大臣がいらっしゃるんだか、聞いていらっしゃるんだか、表情がさっぱり見えないという構造は、情報が伝わらない。そして、そういう情報はブロックされている。逆に、大臣の方からも、野党の筆頭理事出席しているんだか出席していないんだかよくわからないような構造というのは、私は大変まずいのではないかと思うんです。  我々から見ましても、委員長の巨大な机ばかりが目立って、まるで強行採決のときのブロックをするような、そういう威圧感でこの委員会の部屋が構成されているということは、まずこれを改めていただきたい。  野党の筆頭理事からも、再三、たび重なる抗議が既にあっているとは思いますけれども、委員長みずからのイニシアチブで、こういう構造改革にまず手をつけていただきたいということをお願いして、質問に入らせていただきます。  まず、中海干拓の中止につきまして、谷大臣石破政務次官の政治的な御判断、そして英断に感謝し、お礼を申し上げたいと思います。  この委員室におられるたくさんの委員の方も、中海・宍道湖を守る超党派の国会議員の会の中心となって努力していただきましたし、また、先般の総選挙で勇退された石橋大吉前委員を初め多くの前委員の方も、この点については努力してこられた方であります。しかし、それ以上に、地元を中心に、全国各地の、山陰を愛し、海を愛する人たちの御努力もありました。そういう人たちから、ぜひこの席をかりて、谷大臣そして石破政務次官にお礼を申し上げていただきたいというお言づけでございました。山陰を代表されるお二人の政治家にそういう勇断をしていただくことがなければ、この長い長い努力も実を結ばなかったことだと思いますし、また、中海の命は大変危なかったと思います。  私もその関係者の一人ではありますけれども、なぜこれからの農政を論ずるこの席であえて中海に触れるかと申しますと、この中海干拓事業は、残念ながら、むだな公共事業のまるでシンボルであるかのように全国各地の新聞で取り扱われてまいりました。私はそれは大変痛ましいことだと思っておりました。公共事業はすべて悪である、公共事業はすべてばらまきであり、ばらまきはすべて建設大臣、農水大臣の腹巻きに入っている、こういうふうな短絡的な意見も聞かれる。その公共事業反対のシンボルとして中海がいつも使われてきたことに対して、私は大変残念に思ってまいりました。これからの農業予算のあり方を論ずるときに、中海干拓の事例だけが印象的に影を引いていてはならないと思っておりました。  二十一世紀の夜明けを前にして、自民党がまいた種を自民党が摘み取っただけではないかという声も聞かれますけれども、しかし、これは、全国民的な立場から、中海の事業、結論を先延ばししないで、この二十世紀の終わりにきちんと結論を出していただいたことを私は大変よかったことだと思いますし、また、そうした後顧の憂いもなく、これから前向きに、建設的な農政への取り組みを議論することができることになったことをうれしく思っております。  谷大臣に、この点、御感想があれば、まずお伺いしたいと思います。
  32. 谷洋一

    谷国務大臣 この中海問題につきましては、私も批判されるばかりでございまして、今、議員が御指摘のようなことで理解していただくことは非常に少ないわけです。本当にきょうはありがとうございます。  私も山陰出身の一人の議員でございますけれども、私は山陰のためにしたのでなくて、条件不利地域のところはこういう境遇に遭うこともあり得るんです、実際のところ。  そういうことを考えますと、決して中海の開発が、また開拓しようと思ったことが無理をしたわけでも何でもない、いわゆる条件不利地域は、こういうことに遭遇したことも、私は、やむを得なかったのではなかろうか。三十数年前に事を起こしたときには、これが唯一の仕事だと思って、農業政策だと思ってやってこられた。そこにまた時代の流れというのが余りにも急速に進み過ぎて、苦しい立場に追い込まれた。だから、政府としての責任もあると思いまして、私、石破政務次官ともどもにそういう気持ちを含めてやったわけでございまして、山陰出身には違いないわけでございますけれども、山陰出身だからやったのでないということも全委員の皆さん方に御理解をいただきたいと思います。  そういうことでございまして、鳥取西部大地震が起きまして、中海にも大きい被害を受けております。私が最初に足を踏み込んだのは中海のあの状態、それから境港の港湾、漁港施設、水産加工施設、それが一番ひどかったのではないかと思っております。そういうことでございますので、一日も早く復興していただく、中海の問題を、整理をきちっといたしまして、そして昔のことを思い起こさずに、これからの新しい島根、鳥取の農業振興をお願いしたいと思っております。
  33. 岩國哲人

    ○岩國委員 大臣は、理屈で考えてもこれは無理があるというふうにおっしゃいましたけれども、確かにそういう考え方も十分あったと思います。しかし、大臣は言いわけされますけれども、やはり山陰人の心がなければこういう決断はしていただけなかったと私は思っております。そういう点で、中海という海は運のいい海だったと私は思っております。山陰の大臣がおられ、山陰の政務次官がおられる。そのときに、しっかりと中海を残すという決断を二十一世紀のためにしていただいたことを重ねてお礼を申し上げます。  同時に、今、中海の農業振興ということについてお触れいただきましたけれども、私は、中海については、農業ということもさることながら、むしろ漁業の大変な宝庫として、これから枯渇していくことが心配されております漁業資源を、もっとしっかりと守っていく日本の何カ所かの拠点として中海をぜひ振興していただきたい、そのようにお願いして、次の質問に移らせていただきます。  海の質問の次に、今度は森をどうするかという問題であります。  森こそ集落農業の父であり、そして豊かな海をつくる母であるということはよく言われます。我が国の例を引くまでもなく、エジプト文明、ギリシャ文明、メソポタミア文明、インド文明、中国文明、すべて森が川をつくり、そして平野をつくり、海をつくり、その森林が消えていくと、それぞれの地域で文明が消えていったわけであります。我が国も、森林面積が日本の国土の三分の二もある、七〇%もあるということだけで安心することなしに、もっときれいな森林を守るために努力すべきではないかと私は思います。  日本文化の中心、その中心は文字の文化でありますけれども、日月火水木金土と一口に言いますけれども、その七つの字の中で、日本の中で一番使われている字は、日でもなければ月でもない、水でもなくて、木という字です。木という字が単体で、複合体で、いろいろなへんで使われている。それは、断トツで木という字が一番たくさん日本の文字の中に使われている。そのことからしても、日本の文化は、まさに「きづかい」の文化ということが言えるのじゃないかと思います。  もっと木を大切にすべきだ。私は前から持論としておりますけれども、また、歴代内閣の名前を見ましても、農村とか森林に関係の深い総理大臣の名前がずらっと並んでおります。竹下、宇野、海部、羽田、村山、小渕、森。特に森内閣に至っては、木という字を三つも使っております。  そして、そういう歴代の内閣が、森林に、農業に関係の深い、農村に関係の深い名前をずっと体しながら、その間に日本の農村は栄えたか、農業は栄えたか。全く逆ではありませんか。歴代内閣は次々と続いて、そして今は森内閣。それに至る間に、農家の数はどんどん減り、減反面積はどんどんふえて、そして、農村の小学校の数はどんどん減って、耕作放棄地面積はふえるばかり、これが日本の農村、農業の現状であります。  もう少し、森林の育成とか保全に、せめて森という名前の内閣がある間に、しっかりと、次の予算では、森林の保全、育成にこれだけの予算をかけてこういう事業をやりたいのだという抱負はありませんでしょうか。短く御答弁をお願いします。
  34. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいまの御質問でございますが、農業基本法を昨年つくり、水産基本法を次の国会ではまとめていただきたい、こう思っております。また、林業基本法もかっちりとまとめまして、できれば次の国会でまとめていただきたい、こう思っております。  それは、何といっても、今の山林というのが資産価値を失ったというふうな考え方が強うございます。それは、山を持っていらっしゃる方々がみんな抱いておる感情であります。しかしながら、今、国土の保全のためにも、また水資源の涵養のためにも、空気の清浄化のためにも、山の持つ意義、緑の持つ意味というものが非常に大きいわけでございますから、何としてでも林業基本法をまとめていただいて、そして、山を持っていらっしゃる方々に活力を与える、山で働いていらっしゃる方々に本当に喜びを感じて職業意識を持っていただくというふうなことを常日ごろお願いしたいと思っておりますので、ぜひとも委員の皆さん方にも、この林業基本法のまとめに対しましてはよろしくお願いしたいと思います。
  35. 岩國哲人

    ○岩國委員 森内閣の間に、谷大臣がいらっしゃる間に、こういった森林の育成、保全についてはしっかりと目に見える形で、これは目先の、お金に換算して幾らというような経済的価値だけのものではなくて、日本国民の財産としてこうやって守っていく、これだけのお金をかけていくのだというビジョンをしっかりとわかりやすい形で、ぜひ次の予算では打ち出していただきたい、そのようにお願いしておきます。  そうした農業の大切さということについて、もう釈迦に説法ですから申し上げることもありませんけれども、例えば、今の森総理大臣は、第百五十回国会の開会に当たって所信表明をされました。その中で、いろいろな施策について重点的に紹介されましたけれども、例えばITとかインターネット、合わせて三十五回、この言葉が使われたんです。谷大臣農業という言葉は所信表明の中に何回あらわれてきましたか。覚えていらっしゃいますか。
  36. 谷洋一

    谷国務大臣 今、岩國委員は回数でおっしゃいますけれども、私は、その気持ちを強い気持ちでおっしゃっていただきたいということを総理に申し上げておきました。回数が少なくとも、農業は国のもとだという、日本の昔からの伝統の気持ちを受け継いでもらいたいということを言っておったわけでございますので、回数のことは余りおっしゃらないで、やはり、その力強さを感じていただきたいと思います。
  37. 岩國哲人

    ○岩國委員 回数は問題ではないとおっしゃいますけれども、数は力なり、すべて国会の中は数で決まるんです。そして、大事かどうかということは予算の金額で決まるわけですから、数ではありません、そういった答弁は私は適切ではないと思います。  森総理大臣の所信表明の中に、農業という言葉はたった一回出てきただけです。わずか一行です。これが、これからWTOに臨んで二十一世紀の農業を大切にしていこうという内閣の扱い方ですか。まるで内閣の中に農水大臣はいないかのごとき扱いではありませんか。たった一行、農業を大切にいたします、それぐらいの話。これから何兆円という予算を使う内閣として、この所信表明の中に、農林水産業と農山漁村の新たな発展について引き続き力を注いでまいります、たったこれだけです。  私は、これについてはしっかりと閣議その他のところで抗議していただきたいと思います。我々農水委員会を何と心得ているのか。この臨時国会の中で一番たくさん時間をかけて議論しているのはこの委員会ではありませんか。そういったことに対して、もう一度大臣の御発言をお願いいたします。
  38. 谷洋一

    谷国務大臣 確かに、回数はどうでもいいという意味で言ったのではないので、私自身が、農業のことは必ず入れてもらわなきゃいかぬ、第一次産業である農、林、水は必ず入れてもらわなきゃだめだということを強く言いまして、入っておることを確認したわけでございます。  私は、やはり回数ということを、もう一言加えますと、予算は何としてでも十二分の予算をもらわなきゃ第一次産業というのはなかなか動きがとれないのだ、国土保全と簡単に言いますけれども、やはりこれは予算でございますから、その意味においては予算をしっかりいただきたいというつもりで閣議でも申し上げたことを今も覚えております。
  39. 岩國哲人

    ○岩國委員 そうした目に見える形で森林の育成をと先ほどお願いいたしましたけれども、その一つの方法として、木や森を守るために樹木医制度というのを政府はお始めになりました。これは手前みそになりますけれども、出雲市が樹医制度を平成元年に始めて、そして農水省、林野庁がそれを取り上げて、今全国で約七百人の樹木医さんがいらっしゃると思います。  これは世界のどの国にも例を見ない、そして、命のあるものにはすべてお医者さんがいるのだ、人間にはお医者さん、動物には獣医さん、木には樹医さんがいる、子供たちにわかりやすい形でこれが全国に広まりつつあることを大変うれしく思いますけれども、樹木医制度についてどれだけの予算をかけて、この七百人をもっとふやしていこうというお考えはおありなのかどうか。  さらに、日本の中だけではなくて、アジアの森林を守る、それは、それぞれの国の責任というだけではなくて、アジアの森林に大きく依存する日本の国として、アジア諸国にも樹医制度を広めていこうというお考えはおありなのかどうか。  三点目。ASEAN会議等で森総理がいろいろな国際貢献、アジアへの貢献をおっしゃっていますけれども、こうしたアジアの環境を守り、森林を守る樹医制度というものについて意欲的なお話をそういうところでしておられるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  40. 谷洋一

    谷国務大臣 樹木医の問題につきましては、私も樹木医の総会に何回か出まして、ごあいさつしたこともあります。そのごあいさつのときに申し上げたことは、今後、樹木医の使命というのは大変大きいものがある、今の時代の脚光を浴びる職業だと思うので、熱心に取り組んでもらいたいというふうなことを申し上げたことを思い浮かべるわけであります。  岩國委員におかれましても、市長当時に熱心に取り組まれたということを聞いておりまして、これは樹木医の皆さんからもそういうお話を聞いて、本当にうれしく思っておりました。  しかし、予算上のことを申し上げますと、まことに微々たるものでございまして、申し上げるのも恥ずかしいようなことでございます。やはり林野庁自身が、巨木に対する昔からの神々の、神社に行きましたら巨木がある、その巨木に対する昔からのいわれ、伝説というふうなものが伝わっておる、そういうことを考えましても、日本の神社、仏閣には大きな木がございますが、それは一つのその地域の象徴かもしれません。私は、そういう意味におきまして、もっと大切にしなきゃならない。  また、近代的な点からいいますと、阪神・淡路大震災が起きたときに、樹木医の皆さん方が丹念に巨木を訪ねて回って、地震との関係を調査していかれました。その記録を読みましても、家に大きな木があることは、やはり地震にも影響しておる、地震を防ぐ意味においては大きな役目を果たしておるというふうなことが書かれておりました。  そういうことを考えてみましても、古来から古い木があるのだというだけでなくて、今の地震の多い日本にとりましても、巨木、巨樹があることが大変大切なことだと思っておりまして、予算のことを申し上げると本当にお恥ずかしいことでございますから、今後の予算の獲得のためには何としてでも、私が大臣という立場にある、ないにかかわらず、努力したいと思っております。  そして、樹木医の数を、たしか今七、八百人と思っておりますけれども、千人を超え、二千人になるような、そういう研修を深めることも大切でございますし、さらに、例えて言うと、公園を一つやるときに、あるいは工場用地とか学校のときに、巨木があった場合にはそれをどういうことで残しておくということを言ってみたり、そういう樹木医の役目というのも大変大切だと思います。  そういう意味では、私は、大いに樹木医を活用しながら、また海外にも、その制度を十分見守っていくようにしていただきたいと思っております。日本樹木医会の皆さん方は、海外にも要請があって行ったと聞いておりますが、それぞれ、ASEANならASEANの国々の林業のお気持ち、あるいは木を大切にする気持ちについても相当差があるようでございますけれども、いずれにしても、私は、樹木医の方々が奮発していただいて、海外にも十分持てる力を、持てる知識を応用していただければ大変ありがたい、こう思っております。
  41. 岩國哲人

    ○岩國委員 そうした樹医制度の普及、そして当初の念願であります、庭の木、それから道端の木にも命があるということを、小さな子供たちにもわからせるように、ぜひ樹医さんの数がふえるように、県別に適切な指導をどんどんする、そのような方向でやっていただきたいと思います。予算が少ないということでありますけれども、予算ばかり、お金ばかり使ってろくな仕事をしないよりは、小さな予算でも、いい仕事をやっていただければ、私はその方がいいと思います。  木を育てるという観点から幾つか質問させていただきましたけれども、また、木の利用についても、農水省、林野庁、もっと真剣に取り組んでいただきたい。  例えば、静岡大学の農学部が昨年発表いたしました、木の建物の効用について、動物を使った実験で、これは昨年の林業白書にも紹介されておりますから繰り返しませんけれども、コンクリートや金属の建物に比べて、木の建物の中で住んだ動物は、生殖率、内臓の発達率、生存率、ずば抜けて高く、金属の箱の中ではその半分、コンクリートの建物では十分の一、これぐらいはっきりとした差が出ております。これからの少子化問題が大きな政治問題になっているときに、若い人ほど木づくりの、あるいは木のたくさん使われた建物の中で勉強させる、住まわせる、動物扱いするわけではありませんけれども、やはり日本人の体にそういう影響がはっきり出てくるわけですから、木の建物を推進する、木の校舎を推進する。  島根県出雲市では、小学校、中学校、幼稚園は全部木づくり、私は、二期六年間市長をしておりましたけれども、木の建物以外に判こを押したことはありませんでした。私は建設委員会でもそういう質問をしたことがありますけれども、建物のことは建設委員会に任せればいい、建設省に任せればいいというのではなくて、私は、農水省の方がもっと真剣にこうした木の建物を推進する、木の効用というものをもっと普及する、それは建設省の役割ではなくて、むしろ農水省の役割ではないか、そのように思います。  農政のあり方については、農家の方が強い期待と同時に不安も持っておられます。私は、また、市長時代の話で申しわけありませんけれども、いろいろな部長がかわって答弁することを許しませんでした。農業の問題だけは市長が全部答えてきました。それは、農家の人がそれだけ真剣に心配しておられたからです。  中にはおもしろい質問もあります。「市長さんは世界じゅうのおいしいものをいっぱい食べてこられたげなけれども、ウルグアイの米というのはそんなにうまいもんですか」、ウルグアイ、ウルグアイと新聞で毎日毎日書かれていますから、出雲の人たちはウルグアイのお米が世界で一番おいしいお米だと思った、そんな質問を受けたこともありました。私も百姓をしておりましたけれども、出雲市では百姓ということを名刺にきちんと刷り込んで、堂々と胸を張って、誇りを持って仕事をしている、私はそれもうれしく思いました。  農業というのは、大地と水と気象、そして、その背景にある多種多様な生命体と自然のリズムに支えられた産業でありますから、工業などが持っているような、より速く、より多くというリズムとは全く合いません。それだけにより長期的な取り組みが必要だと思います。  その長期的な取り組みを支えるのは農業集落だと思います。残念ながら、日本の各地で農業集落は今崩壊しつつあります。一つのわかりやすい例を見れば、小学校の数がどんどん農村地帯から消えているということです。この二十年間に約一千の小学校がいわゆる農業集落地帯から消えています。小学校が消える、子供が消える、だから親が消える、高齢者も消える、そして、畑が荒れ地になっていく。  私は農業基本法が新しく制定されてその中で一番画期的だと思いましたのは、今までの農業基本法は農業だけのこと、新しい農業基本法は農村のあり方についてまで踏み込んでおります。そうした農業を支える農村、地域社会のあり方にまで農政の視野が広がっていったということは大変いいことであると同時に、今までの農水省のお役人の人たちがしっかりと視野を広げて、そういう問題意識を持ってそれに挑戦できるかどうか、そこに不安もあります。  そうした農村集落のあり方について、イギリスでもフランスでも、これは日本と似たような農業国です。そして、その国の隅々にまで行きましても、どこへ行っても小さな村には三つのものがあります。教会とパブ、つまり居酒屋、そして学校です。学校は必ず小さくてもある。  私は、日本の文部省は間違いをしているのではないかと思います。そうした隅々にまで、山間地、中山間地農業を大切にしてそこの定住を促進しようというときに、学校はちょっと小さくなると、すぐまとめてどんどん町の方へ町の方へと引っ張っていった。そして、子供たちがあぜ道を歩いて通学する風景がなくなります。おじいさんもおばあさんも、高齢者になっても畑の中で、田んぼの中で一生懸命仕事をしておられる。そのおじいさん、おばあさんの一番の励みは、お孫さんたちがおしゃべりをしながらそばの道を通って帰ってくる、通学する、あぜ道を通る、その姿は一つの楽しみであり励みなんです。そういう風景がなくなってしまったら、農業集落は次々と崩壊していきます。  こうした新しい農業基本法の中で農村のあり方、農業集落を守っていこうという姿勢があるならば、農水省から文部省の方に対しても今の学校統合の安易なやり方についても一言あってしかるべきだと私は思います。谷大臣、御感想がおありでしたら、お願いいたします。
  42. 谷洋一

    谷国務大臣 最初にお話をいただきましたのが木造住宅を推進せよというお話で、私と全く意見が一致しておりまして、ありがとうございます。今、補正予算で政府も、たしか九十五億と思いますが、公共建物の中で木造でやる場合には補助を出すというふうなことをやっております。  やはり我々自身が住む住宅につきましては、古来から日本は木造住宅をやっておる。確かに地方によっては石の出るところもある、しかし、石造の建物を日本ではやっていない、木造です。私は、日本という国が島国である、湿度が高い、そういうところにはやはり木と土の住宅が一番いいのではないかと。昔は冷房もなければ暖房もなかった。しかし、それは、暖かいときでも、いわゆる木と土壁であれば非常に体にいいし、また寒いときでも、そのしのぎができると私は思っております。自分自身が寒いところに住んでおりますから、そういう体験から出た気持ちかもしれませんけれども、私は日本じゅうに木造住宅がふえることがいいと思います。  また、木造というものは二酸化炭素を吸収するということは間違いないことでございまして、そういう意味からいえば、鉄筋の建物、この建物のような鉄筋を建てたらそういう吸収は全くないわけでございますから、今の時代にも木造住宅はふさわしいものだと思っております。そういうことで、公共事業の推進ということに力を入れていきたい。  それからまた、個人個人の住宅を建てる場合には自治省の地財措置を講じていただきまして、でき得る限りの援助をさせていただくというふうなことをやらせていただいておるのも、今木造住宅を推進しようという農林水産省の、林野庁の強い立場がそこに出ておるわけでございます。そういうことでございますので、田園風景を残すということも大事でございます。  構造改善事業でも、土地改良事業をどんどんやりましても、最近は土地改良といったら何か親のかたきのように言われておりまして、まことに残念でございますけれども、農村の今の時代にふさわしい、牛馬を使用した時代ではないんです、速く耕作をやろうとすれば機械化になるのは全く当然でして、機械化をやろうと思えば圃場整備事業をやらなきゃならないことはだれしもが思っていることなんです。しかし、それに伴いましていろいろと問題が起きておることも事実でございますから、私はやはりそういう点は謙虚に反省いたしまして、改めるべきは改める、そして、新しい立場で今の新しい時代の農業をやらせていただきたい。  しかし、田園風景等々は、自然の恩恵というのは農村に住んでおる者が一番恩恵を受けるということも大切なことだと思っておりますので、そういう考えでやりたいと思っております。
  43. 岩國哲人

    ○岩國委員 そうした農村のあり方、小さな集落ほどこれから国が守っていかなければならない。  私は、国土審議会の委員も務めさせていただいております。二日前に扇長官を招いて、国土審議会の検討委員会が行われました。そこでも申し上げました。今までのように強い便利な町づくりはもう大きな自治体に任せてしまって、これから国土審議会がやらなきゃならないことは、いろいろな自治体がとても守っていけないような小さな中山間地の集落を守っていく、二十一世紀の国土審議会の軸足はそちらに移すべきではないかということを私は提案いたしました。  大臣のお立場からも、国土審議会は建設省の仕事、国土庁の仕事ではなくて、これからの国土のあり方という場合に、これからの農政農業予算の使われ方ということを考えた場合に、そうした中山間地の農村地帯がどうあるのか、どうあってほしいのか、それが国土審議会の中心に据わっていく、それがあるべき姿ではないかと思いますので、これは要望として申し上げておきます。  時間もなくなってまいりましたから、最後に地球地図についてお伺いいたします。  我々が学校時代に見ておった世界地図、あれは非常に不正確な地図を各国が持ち寄って張り合わせて、それを世界地図、例えばロシアにしてもソ連にしても、道があるところに道をわざとかかない。防衛上でみんないろいろなことをやっております。そういう不正確な地図をつくって世界地図と言っておりましたけれども、もうそういう時代ではなくなりました。  国連の方でもそういう会議が行われ、これからの環境問題のために正確な地球地図をつくっていこう、そういう動きが平成五年、出雲市で出雲宣言が行われ、今八十一の国が既に参加し、このアジア太平洋からも中国を含めて三十一の国が参加して、大変うれしいことですけれども、数年の努力の結果、今週初めて地球地図の第一版が十一月二十八日に発行されたんです。これは人類の歴史始まって以来、初めて正確な地球が地図に写されたということで、私は画期的なことだと思います。  この意義は何か。それは、アジアの環境を守り、アジアの農業生産の効率を高めていこう、そして、できるならば食料安保という構想の中に効率のいいアジアにおける農業生産の分業ができるように、そういったことをねらいとしてやっているわけです。このような構想を日本が中心となってやっていっていることは、私は、大変すばらしい国際貢献だと思いますけれども、しかし、農業の国際会議あるいはこのASEAN会議で、総理大臣からも農水大臣からも、日本が中心となって、国際協力でそういうものが、地味だけれども大切なものがつくられているということについて、一言も発表もなければ議論もなかったというふうに私は聞いておりますけれども、それは事実かどうか。  既に、FAO、国連世界食糧農業機構では、この地球地図を使って農業生産のあり方についてそれを活用していこうという動きが始まっている。これに対して、我が日本の農水省はどういう取り組みをしておられるのか。よその省の予算でやっている仕事だから、手を出さないというような態度ではだめだと思うのです。建設省はだれのためにやっているか、農水省のためにこの仕事をやっているのですから、その点について、農水大臣のお考えを聞かせてください。
  44. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま建設省が取り組んでおります地図の作成につきましては、私どもも聞いておりますけれども、正直申し上げますと、農林省としては積極的な体制をとっておりません。建設省の方では、今数カ国の国が参加いたしまして実施に移しておるということも聞いております。  こういう問題が現実にどんどんと普及することによりまして、先ほどお話しのように、相当な国が今度は入ってくるようでございますから、そういうことが実現されれば、地球の温暖化という問題が大変やかましく言われております、そういう問題の非常に参考になるのではなかろうかと考えたり、また、砂漠化ということ、現実にどの程度のところが砂漠化しておるのかというふうなことを考えてみると、非常に興味津々たるものもあるわけであります。また、中国という広大な国土を抱いておるところが、黄河の方では水不足で全然川に水がない、そういうことを考えてみますと、何が原因だろう。やはり山林の放置ということ、そして、国土の保全に十分力を入れていなかったということに現実の問題があるのではなかろうか。  こういうことを考えたりいたしますと、先ほど来お話しの地図の問題も、現実の問題として非常に貴重なことだと。遅きに失したのではないかと思いますけれども、今からそういうことを何としてでもしなければならない。しかし、これは農林水産省の立場からいえば、野菜不足といっても、今は輸入野菜が多いからといって困っておるようなことでございますけれども、しかし、現実の問題は、日本でも山地がどんどんと変更されておるということは、いい意味における変更ではなくて悪い意味における変更ということがあり得る。山林でも放置されておれば、国土の保全の立場からいえば山地崩壊につながるということも考えますし、そういうことが一目瞭然として地図の上に落ちるということになりますと、非常に先の見通しもはっきりしてくる、大変いいことだな、こう思っております。  そういうことで、きょう、大変いいことだなという答弁だけではなくて、農林省を督励いたしまして、この問題にも重大関心を寄せるようにということを申し上げたいと思っております。
  45. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。  最後に、私は自給率について私の考えを申し上げたいと思います。  自給率が非常に低い。カロリーベースで四〇%、穀類に至っては三〇%を切っておるとか、いろいろ心配な数字がたくさん出てきております。この自給率については、今、飽食、たくさん食べ過ぎているそのときを分母にして、豊作のときの生産量を分子にしている、そういった計算が多いわけですけれども、異常な場合に、例えば凶作だ、二年も三年も食料不足している、そんなときにまさかハンバーガーをたくさん食べるということでもないでしょう。そういうときは日本人は当然、伝統的な野菜とか芋とか、そういう柔軟性があります。そういう異常なときの分母を使い、凶作のときの分子を使い、そうした自給率も計算しておくべきではないかと思うのです。  言ってみれば、戦後の状態を想像していただければ一番よくわかります。平静の時代の分母と分子、戦後のときの分母と分子。ですから、自給率にもA勘定とB勘定の二つをもって、世の中至極太平なときはA勘定、それでも上げていく。B勘定のときには、異常な気象、そして凶作、そのときには、日本人の胃袋というのはある程度順応性がありますから、カロリーベースでは落とすようなことをしてでもしのいでいくでしょう。そういう分母と分子を使ったB勘定の自給率。その二つでこれからの農政のあり方、そして、万一のときの対応の仕方というのを考えていくべきではないかと私は思います。いずれにしましても、どちらをとっても自給率が低いということは否定できないことであります。  この自給率が低いということは、国際会議において、日本のような経済大国が自給率が低いままに放置されている、自給率を上げようとする努力に欠けるところがあるとすれば、これは日本だけの問題ではなくて、よその国にとって、大変大きな問題児を世界が抱えている、そういう意識を私は各国に持ってもらう必要があるのではないかと思います。  なぜなら、凶作のときに、どうしても日本食料をとりたい、買いに行く。買いに行くときは当然、日本のお金で高値で買い付ける、ということは、よその国の食料を奪うということになります。平和的に奪えない場合にはどうするか。残念ながら人類の歴史は戦争です。食べ物を奪うのです。平和的に買い付けるか、戦争で奪うか。こういうことを未然に防ぐためには、日本のように危ない経済大国を放置しては、世界の問題なのだということをもっとアピールすべきではないでしょうか。  経済大国であれば、自分の国の食べ物は自分でちゃんと面倒を見る、それが経済大国の大という字のあらわしているものではないでしょうか。よその国の食べ物をどんどんとりに行きますというような経済大国は、世界の食料需給にとって一番危険な国だということを我々自身がまず知らなければならないし、国民に知らせなければならない。そして、日本の自給率を低いままに置かせようというような外国があるならば、それは日本を危険な存在に放置し、食料の潜在的略奪者を養成しているようなものです。  そういう観点からも、自給率の低い現状を早急に、各国の了解もしっかりと得ながら、そして、今までとは発想を変えて取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、残念ながら大臣の御答弁をいただく時間がなくなりましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 宮路和明

    宮路委員長 次に、丸谷佳織君。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  47. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。  本日の委員会のテーマの中心でありますWTOについて、我が国農業政策が、日本国内における食料自給率の向上という問題と、国際間の貿易の自由化とのはざまでどのように明確な路線を示していけるのか。また、先進国の一員として、WTOの精神の推進を図りながら、どのような基準で今後、世界を取り仕切っていこうとしているのか。これらの観点から幾つか質問をさせていただきます。  質問通告をさせていただきました順序がちょっと変わりますが、その点よろしくお願いいたします。  まず、農業多面的機能について質問をさせていただきたいというふうに思うわけなのですけれども、我が国WTO議論におきまして、農業が有している多面的機能、すなわち、農業生産活動に伴って農作物以外のさまざまな有形、無形の価値をつくり出す経済活動であるということを明記しています。  具体的には、まず一つとして環境の保全、そして二番目が地域社会の維持活性化、そして三番目が食料安全保障、この三点に整理されていますけれども、我が国が強く主張しております農業多面的機能について理解を示している国も徐々にふえてきているという認識を持っておりますが、この多面的機能という文言自体について、ケアンズ・グループの方からは、概念規定が明確ではないですとか、貿易歪曲的な措置として利用されるおそれがあるといった意見も出されているというふうにお伺いをしております。  一方、日本のほかEUですとかスイス、ノルウェー、韓国といった国、地域ではほぼ共通した認識がされているようにも思いますけれども、若干ニュアンスに違いがあるようにも思えます。EUの方では、食品の品質あるいは安全性や動物愛護もこの多面的機能に含めようとしている動きの中、今後、我が国がこの農業多面的機能について各国の理解を得ようとしていくためには、さらなる働きかけというのが必要になってくるのでしょうが、その際に、具体的な内容というのを明らかにしていくことが必要なのではないかというふうに思います。  現在、OECDなどで検討作業が進められているこの多面的機能についての検討状況と、我が国の取り組みについて、まずお伺いしたいと思います。
  48. 石破茂

    石破政務次官 お答え申し上げます。  多面的機能とはかくのごとしというきちっとした定義があって、多面的というのはABCDEFG、こういうのが多面的ですよということはまだ確定できたとは思っておりませんし、委員指摘のように、各国それぞれ少しずつ認識の差はあるのですね。  御指摘のように、OECDで、その中に農業委員会というのがあるわけでございますが、そこで今まで検討作業をやってまいりました。一昨年、一九九八年三月の農業大臣会合の合意を受けまして、多面的機能とは何ぞやという検討を開始いたしております。これは、直訳調で余りいい言葉だとは思いませんが、多面的機能というのは何かといえば、農業生産と密接不可分につくり出される価格に反映できない機能だ、こういうような作業上の定義を設けさせていただいております。つまり、とにかく農業生産とは密接不可分ですよ、そして価格には反映できませんよ、そういうようなものですという定義を設けまして、これに従いまして内容や概念の整理をやっておるところでございます。私どもといたしましては、なるべく早くそれに基づいた共通認識が形成をされますように、EUでありますとか韓国でありますとか、そういう国と共同しながら積極的に議論に参加をいたしたい。  いずれにいたしましても、個々の概念をきちんと整理することが私どもが交渉に臨む際において必要なことであろう、このように考えておる次第でございます。
  49. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございました。  政務次官の御説明をお伺いしましてちょっとお伺いしたいのですけれども、価格に反映できないものだというふうな、今、ある程度の共通の認識の上に立っての議論が国際交渉の場でなされているというふうに理解をしましたが、例えば環境保全に関しては、EUの方では、緑の政策の中で環境保全をするような地域について支給金を出しているというような例がありますね。こういったことは、例えば農業の持つ多面的機能を重視した政策ですとかそういうふうな考え方はできるのでしょうか、できないのでしょうか。
  50. 石破茂

    石破政務次官 まさしくそういうことであろうというふうに思っております。  委員御案内のとおり、我が国は、条件不利地域に対します直接支払いというのをやっております。その場合には、町村で条件有利なところと不利なところと、コストの差を上限としてという組み立てをいたしておりまして、そこにはもちろん含意としてはあるわけですが、環境保全という概念で、それによって直接支払いをまだ行っておるわけではございません。  まさしく今委員指摘のような点で、どういう形でそういう環境保全というものに対して、国民皆様の御理解を得ながらサポートしていくかというような議論を深めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  51. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございました。  諸外国に農業多面的機能重要性というのを主張していくに当たって、我が国国内においても、多面的機能を重視した施策というのは今後重要になってくるのだろうというふうに思います。  今挙がりましたけれども、環境保全という面でいえば、環境保全農業に位置づけられています有機農業、昨年の通常国会においては持続的農業法というのが制定されまして、JAS法の改正を行い、有機農産物のJAS表示と認証制度というのを実施することになっていますけれども、JAS表示は、農産物全体の中でも有機農産物及び特別栽培農産物の表示というのを行うだけで、それ以外の持続性の高い農業生産方式、いわゆる環境保全農業により生産されたような農産物についての位置づけというのはまだなされていないというふうに認識をしております。  今後、環境に限らず、それぞれの農業方式に対する、営農面に対する支援策、あるいは流通、消費面での支援策というのを総合的に我が国として確立していく必要があるのではないかと今後の課題として思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  52. 竹中美晴

    竹中政府参考人 農業の多面的な機能確保のための施策でございますが、農業の多面的な機能というものは、それだけ切り離して確保されるというものではなくて、先ほど総括政務次官からの御説明もございましたけれども、農村という地域で農業生産活動が継続的に行われることによって初めて発揮される、確保されるというものであると考えております。  したがいまして、多面的機能の十分な発揮のためには、農業の持続的な発展と、その基盤であります農村の振興を図るための施策を進めていくということが重要であると考えております。  具体的には、委員からもお話がございましたが、農業の持続的な発展を図るために、環境との調和にも配慮しました生産基盤の整備とか、農地の利用集積等による経営基盤の強化のための施策、また農業が本来有しております自然循環機能の維持増進を図っていくための施策、こういった施策を講じますとともに、基盤である農村の振興を図ってまいりますために、生産と生活基盤が一体となったような総合的な農村整備などを進めることによりまして、景観にすぐれて豊かで住みよい農村づくりを進めるとか、また、先ほどもお話にございましたが、中山間地域の条件不利地域におきまして、耕作放棄を防止しながら多面的機能確保を図るというような見地からの直接支払い等の措置を講じることにしているところでございます。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 今後の方向性としまして、今御説明いただきましたけれども、中山間地域の直接支払いは条件不利地域ということで今支払いがされているわけなんですが、例えばEUのような環境対策の意味を含めた支払いになりますと、これは条件不利地域というようなくくりではないですし、平地に対する直接支払いというものも考えていかなければいけないでしょう。また、食料農業・農村基本計画の中でも「農業生産に係る環境面に関連した施策の在り方について、諸外国における動向、今後の国際規律動向等を踏まえながら検討を行う。」というふうに書かれておりますので、今後、今申し上げたような点で、多面的機能を考える際の政府の助成的な介入、これは何に対してサポートするかといいますと、サポートというのは補助金というのを典型的なものとして考えての話なんですけれども、作物や地域というのをターゲットにしてぜひ考えていただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  WTOに向けて日本提案をまとめる際に、いろいろな方から、また農業生産団体の方からもいろいろな御要望をいただいたわけなんですが、特に農業に従事されている方々は、この交渉の行方によりましては直接その仕事に影響が出てくるわけですから、非常に大きな関心を持って見守っているとともに、交渉提案づくりにも国民総意のもとで行ってほしい、交渉に当たっては情報公開を図りながら国民と一体となって行ってほしいとの要望の声がありました。  石破政務次官からの御説明の中にもEメールなどを利用した旨の御説明がありましたけれども、この点について開かれた交渉国民とともに交渉提案をつくっていただきたいという要望にどのような形でおこたえになったのか、この点についてお伺いします。
  54. 石原葵

    石原政府参考人 委員からお話がございましたように、今回の交渉提案を取りまとめるに当たりまして、国民各界各層の御参加をいただくということで、農林水産省はいろいろな努力をしてきたところでございます。  先ほどもお話がございましたが、農林水産省が昨年来開設しておりますWTO農業交渉ホームページを活用したEメールでの意見募集、投書、それから地方農政局単位で御意見を聞く会というのを開催いたしまして、意見募集を行っております。また、ことしの七月には、総理府に農産物貿易に関する世論調査というのを実施していただきまして、農産物貿易政策に対する国民の意識を調査したということでございます。さらに、十月末から十一月下旬までの間に、今回の提案基本的な方向を示しながら、第二次の意見募集を行った。そして最後に、以上以外にも、消費者団体やNGOの方々と随時意見交換をやって意見募集をしてきたということでございます。  このようなプロセスを経て我々、いろいろな御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、そういう御意見を踏まえまして今回の提案をつくり上げていくということで、具体的には、農業多面的機能食料安全保障重要性、昨年来、我が国が強く主張してきております交渉基本考え方国民各界各層の御意見に裏打ちされたものとして、次の交渉にはそれを強く打ち出していくということを考えているところでございます。
  55. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 今までにない多くの声を恐らくEメールですとかITの活用によって吸収をしていただいて、提案に反映させていただけるものだというふうに思うわけなんですけれども、実際に日本国民が自分たちが一緒につくり上げたWTO提案なんだという実感を抱くまでには、まだ若干いろいろな方法をとっていかなければいけないのかなという気もしているわけなんです。今後も、関心のない方も恐らくいるのかもしれないんですけれども、うまくメディアを活用する等、利用をしていただいて、それこそIT時代に即した、本当の意味で国民がいろいろな議論を自分たちも重ねながら、日本提案について参加したのだと実感できる形がとれるような取り組みもしていただきたいというふうに思います。  国際交渉ですから、すべてが情報公開、筒抜けでということにもならないのかなというふうに思うんですが、この交渉に臨む基本姿勢についてお尋ねしたいと思うんです。  基本目標であります各国の多様な農業の共存については、多角的な視点から取り組んでいかなければいけないのだろうというふうに思っております。例えば、各国の多様な農業というのは、当然多様な歴史があるわけで、大きく分けますと、新大陸型と旧大陸型の農業があるというふうに言われています。我が国は旧大陸型であり、ほかにはイギリスですとかEU、韓国、中国等で、一方、新大陸型というのは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドぐらいであるというふうに言われています。  この新大陸型、旧大陸型、どういうふうに分かれるかといいますと、もう御存じの皆さんも多いと思うので、重ねて失礼になるかと思いますが、新大陸型というのは、近代的になった人間が、白いキャンバス地に絵を描くように、その能力に応じて農地を囲って、農場をつくっていった農業であるというのに反しまして、旧大陸型というのは、我が国のように、農業社会というものの中から近代的な人間が育ってきて、近代的な農業をしようとしたときには既に農地は昔ながらの農民の手によって使われていた、だから、農業を進めていく上においては、自然条件の不利を克服して限界地と考えられていた地域まで一生懸命農地を切り開いていったというふうに言われています。  現在、ケアンズ・グループを見てみますと、アメリカが約百七十ヘクタール、そしてオーストラリアでは四千ヘクタールもの大規模農業を営んでいるのに対し、EUなどでもせいぜい数十ヘクタール、そして、日本ではもっと小さな規模での営農となっているのは、こうした歴史的な背景というものももちろん否定できないわけです。ただ、ケアンズ・グループというものを考えたときに、ケアンズ・グループの中でも大規模で行っている国というのはそれほど多くない。ケアンズ・グループの中でも小規模営農の国があるわけですから、こういった視点を国際交渉においてもっと明確にしていくことで、これまでの多面的機能フレンズ国あるいは地域間の連携に加えて、日本提案に賛同してくれる多数派というのをつくっていけるのではないかというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  56. 石破茂

    石破政務次官 全く委員の御指摘のとおりであろうと思っております。アメリカがあってEUがあってケアンズがあってというような画一的な分け方ではなくて、ケアンズの中にも私どもの主張を理解してくれる国はたくさんあるだろうというふうに思っております。前回はその辺の御説明が十分ではなかったのではないか、そういう反省のもとに、今回は谷大臣を先頭といたしまして、私ども政務次官、また局長、審議官、皆で手分けをいたしまして、世界じゅうを回りましていろいろなお話をさせていただいております。  ケアンズの中でも、例えばフィリピンでありますとかインドネシアでありますとか、ケアンズでオーストラリアやニュージーランドの言うこともわかるが、しかし、同じアジアの国として、米をつくる国として、日本の主張はよくわかると言ってくださる国がたくさんあるんですね。ケアンズの中でも、随分と利害が衝突している部分もございます。何もそれは仲間割れさせようとかそういう話ではありませんで、私どもの言っていることを理解してくださる国をたくさん持っていく。そしてまた、ケアンズでもないが、いわゆる発展途上国と言われる国に対して、まず農業をきちんとやって、国を近代化させていきましょうねと、日本がたどってきたようなプロセスをお話しすることによって、また、日本がなめましたいろいろな反省を御説明することによって、相互の理解、信頼関係を深めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  57. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございました。私は石破政務次官ほど責任の重い立場でないので言わせていただきますけれども、政務次官は仲間割れをさせようという気はないというお話がありましたが、もう仲間割れをさせるぐらいに強い態度で日本の多数派工作というか多数派づくりというのを、味方をどんどんつくっていっていただきたい、いろいろな手腕を振るっていただきたいというふうに御期待を申し上げます。  時間がなくなりましたので、最後の質問となるかと思うんですが、今までお話にありました、本当に国際交渉の場において、また、農業交渉という輸出輸入に関する各国の利益がもろに関係している分野において、交渉というのは非常に難しいものであるというふうな理解はしておりますけれども、我が国と同じような立場をとっていく国々との連携強化を図っていくことが、国際交渉を展開していく上で非常に重要でありますし、その努力を今後も続けていただきたいというふうに思います。  ただ一つ、EUについて若干の懸念を言わせていただくならば、輸出入国間における権利義務のバランスという観点から、輸出に関する規律強化を主張しています我が国とEUの間に溝が生じてくるのではないかというふうにも思うわけなんですね。ケアンズ・グループの方は、すべての農産品についてあらゆる形態の輸出補助金の撤廃というのを提案していますし、また、本年の六月の第二回の農業委員会におけるアメリカ提案でも、輸出信用についてはOECDで交渉するとしながらも輸出補助金は撤廃を打ち出している、こういった各国状況の中、EUへの対応というのをどのようにされていくおつもりなのか、最後にお伺いします。
  58. 石破茂

    石破政務次官 お答えを申し上げます。  全く主張が一緒ということは恐らくあり得ないのだろうと思っております。一〇〇%一緒であればそれは結構なことですが、なかなかそうもまいりません。  ただ、委員の御指摘のような点は確かにあろうというふうに認識はいたしております。しかしながら、EUでも、例えば輸出信用のように輸出補助金と同様の効果を持つ措置については、規律の強化というものも主張しておるという点は事実としてございます。また、輸出補助金につきましても、削減のための交渉の用意はあるというふうな主張をしておるように私は認識をしておるところでございます。ですから、私どもの日本国と全く反対の主張をしておるわけではなくて、相当重なる部分がありますねと、どこが違うのかということを言い立てるのではなくて、どの部分であれば協調できるかという観点に立ちましたときに、EUとの連携はこれから先も重要であり、全力を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
  59. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 以上で質問を終わりますが、これからWTO交渉に当たって、本当に、言葉は、卑近な例で悪いんですけれども、けんかするところはぜひけんかをしていただいて、しっかりと日本の主張をしてきていただきたいというふうにお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 宮路和明

    宮路委員長 次に、山田正彦君。
  61. 山田正彦

    山田(正)委員 自由党の山田正彦です。  農水産物の対外的ないわば交渉の中で、実はWTOと同様に水産の問題、その中で、ことしの八月、実は中西部太平洋における高度回遊性魚種資源の保存管理に関する条約がハワイのホノルルで採択されてしまいました。いわゆるMHLC、マグロの条約、国際的な規制以上に沿岸漁民にとっては大変なことであります。私はそう思っております。  それで、その交渉の責任者として交渉に当たられました川本水産次長さん、実は、この交渉は一九九四年から各国で続けられてきておりますが、この交渉において、事前に沿岸漁民に、こういう交渉がなされている、こういう交渉について今こうなっているという説明があったか否か、まず、そのことについて、私の持ち時間は二十分しかありませんので、端的にイエス、ノーで答えていただきたいと思います。川本水産次長、お願いします。
  62. 川本省自

    ○川本政府参考人 御答弁申し上げます。  非常に長期にわたりまして何遍も何遍も会合を開いておりますので、その都度、必要な情報につきましては、関係団体を通じましてお知らせしたつもりでございますけれども、情報等が錯綜いたしまして、最終的に、沿岸漁業者の方々を含めましていろいろと御迷惑をおかけしたという感じは持っております。
  63. 山田正彦

    山田(正)委員 漁連とかそういう団体を通じて伝えたのか伝えていないのか、それだけで結構です、言ってください。
  64. 川本省自

    ○川本政府参考人 機会を通じまして、全漁連を通じまして各漁連までおりているというふうに理解しております。
  65. 山田正彦

    山田(正)委員 沿岸漁民は全くこのことについて聞いていなかった。それで実際に採択された。その条約の全文、これは半分が和訳ですが、これを私、今入手して、全部読んでみました。そうすると、これから先、例えば長崎県の対馬、壱岐あるいは鹿児島、四国から山口県あるいは大分とか、あの辺の漁民にとっては、将来、マグロの幼魚、ヨコワがとれなくなってくるのではないか。それをなりわいとしている漁民だけで何千人も何万人もいるかもしれません。大変なことにこれからなっていくという事態なんです。私はそう思っております。  その中で、沿岸漁民も大変心配いたして、それについて、採択がなされた後、実は川本水産次長は、十月の五日と六日に、福岡と長崎においてこの案件で説明会を沿岸漁民にいたしております。その中で、漁連の島本さんのMHLC条約の中身を変えることはできるのかといった質問に対して、決まったことは、例えば、日本側に不利だからと拒否権はない、しかし、三カ年の条約発効の条件、皆さんへの影響はゼロだとは言えないが、沿岸漁業への影響はほぼない、そう説明されたようですが、そういったことに間違いありませんか。
  66. 川本省自

    ○川本政府参考人 そのお話は、今すぐにその影響はあるかないかということでございまして、私どもとしては、いまだ、条約は採択はされましたが日本はこれに反対をしておりますし、まだ締結するかどうかにつきましては未定でございますので、今すぐにそういうことはないであろうというふうにお答えしたつもりでございます。
  67. 山田正彦

    山田(正)委員 漁民は、今すぐ影響ないというのと、三年後に効力が生じて、三年後に規制されたらもうとれなくなるのでは、今影響ないから、沿岸漁民にほぼ影響ない、心配要りませんと言われたら安心してしまう。大変無責任なそういう説明は、漁民にとっても、これからの沿岸漁業にとっても大変なことであります。これはこれから先も私はずっと追及していきたいと思っておりますが、実は、今回のこの条約の中で一番大切なことは、マグロ資源の保護のためにどういう規制がなされていくのか。  例えば、沿岸漁民にとって一番心配しているのは体長制限があるのじゃないか、そういって実は説明会のときに随分いろいろと聞いているようであります。私はそのテープを起こさせていただいたりしたので、どのような説明をしたのかということはわかっております。まず、体長制限について、いわば今回の中西部太平洋地域以外、先に進んでいる地域の条約のいわゆる承認進捗状況、具体的規制、その内容が出ていると思えるが、そのような中で体長制限はないのかといった五島漁協の山下組合長の質問に対して、川本水産次長は、漁獲量制限が、体長制限を行っているところはないようだ、そう答えておられますが、事実ですか。そして、なぜそのようなことを言われたのですか。
  68. 川本省自

    ○川本政府参考人 お答えします。  体長制限ということではございませんが、一定の小型魚をとってはならぬ、そのような規制は、例えばICCAT、大西洋まぐろ委員会等にはございます。  以上でございます。
  69. 山田正彦

    山田(正)委員 では、川本水産次長は、そういう一定の制限があったというのは知っておった。知っておったとしたら、実際に、ICCAT、大西洋でのいわゆる資源管理保護条約、それから地中海とかいろいろありますね、その中でどういう規制があったか、あなたが知っている内容をここで答えてください。どういう規制があるのか、体長制限、体重制限。
  70. 川本省自

    ○川本政府参考人 大西洋マグロで申し上げますと、六・四キログラムを下回る漁獲及び水揚げにつきましては、一回の水揚げ量のうち漁獲尾数の一五%までに制限する、それから、三十キログラムを下回ります個体または体長百十五センチを下回る個体の漁獲及び水揚げにつきましては、当該国の総漁獲量の八%までにする、こういうふうな規制がICCATにはございます。
  71. 山田正彦

    山田(正)委員 では、川本次長は知っておられた。知っておって、しかも、六キロ以下のマグロについて、クロマグロについてはどうなのか。ICCATにおいては、いわゆる大西洋の地域の規制においては、六キロ以下はとれないのかとれるのか。今はほとんどヨコワ漁というのは、二キロから三キロ、四キロ、それぐらいのものです。いわば八キロ以上については一五%以上とってならぬとか、あるいは百十五センチ以下のはとっていかぬとか、三十キロ以下のはとっていかぬとか、あるいはまた、私が調べてみましたら、メバチマグロについても、全米熱帯マグロ類委員会においては、六十五センチメートル以下のものはとっていけないとか、いろいろありますね。そういったものを知っておって、川本次長は、沿岸漁民、組合長の質問に対して、体長制限を行っているところはないようだと答えておられますね。それはなぜですか。
  72. 川本省自

    ○川本政府参考人 その趣旨は、ある程度の大きさ以下のものを全面的に禁止するというふうな話はないという趣旨でお答えしたつもりでございます。例えば、小型魚を全面禁止というようなことは今のところございませんということでございます。
  73. 山田正彦

    山田(正)委員 体長制限は行っていないようだと知っておってそういううそを言ったということになりませんか、漁民に対して。水産庁次長として責任ある立場の者が。
  74. 川本省自

    ○川本政府参考人 お答えします。  現状の御説明をしたわけでございまして、そういうつもりは別に、特にございません。
  75. 山田正彦

    山田(正)委員 漁民の皆さんにとっては、いわば毎日毎日、小さな、三キロ、四キロのヨコワをとって、それで生活している。それがいよいよ三年後にこの条約、この条約はいわば日本が署名しようとしまいと、いわゆる、今私が持っているこの条約のその規定にほぼ全面的に従わざるを得なくなってくるんです。となると、それは漁民にとっては大変ゆゆしき問題になってくるわけですが、この意思決定、規制、どうやって規制されていくか、資源管理の細かいいろいろな規定ですが、それについては、日本の意向、例えば沿岸漁民のために体長制限をしないとか、そういう日本の意向を通して、沿岸漁民が今なりわいとしている漁業を守ることができるのかできないのか、それについて川本水産次長に質問いたします。
  76. 川本省自

    ○川本政府参考人 お答え申し上げます。  このMHLC条約の今の、現行の規定でございますと、御指摘のとおり、加盟国に拒否権というのはございません。多数決でございます。そういう観点から、今回のMHLC条約につきまして、日本といたしましては反対をしたわけでございます。  以上でございます。
  77. 山田正彦

    山田(正)委員 私の質問に川本次長は答えておりません。  私が今質問しているのは、この条約加盟国、例えば二十八カ国、これから先それよりもっとふえていくと思いますが、そういった場合に、この条約の中の第六節の第二十条、意思決定、これを読んでみますと、この中で、いわば体長制限とかいろいろな規制、実質問題についての決定は、出席し投票するメンバーの四分の三の多数決によるものとするが、出席し投票するFFAメンバー、このFFAメンバーというのは、オーストラリア、ニュージーランドを宗主国とする十七カ国、いわゆる捕鯨の規制のときの中心メンバー、こういう大変厳しいメンバーがFFA諸国ですが、非FFA諸国とFFA諸国と分けて四分の三の多数決がされることを条件とし、かつ、いかなる場合においても、このような提案は、いずれの表決グループにおいても二票ないしそれ以下の票をもって否決されることはない。  加盟国の中には、いわゆる鯨のときのアメリカとかいろいろあるわけですが、いわばヨコワ漁というマグロの幼魚をとっているのは日本と韓国だけ、二票ないしそれ以下の票をもってこの条約を、この規制を否決されることはない。ということは、日本の意向、韓国の意向をもってしても日本の今まであるヨコワ漁、長い間、江戸時代から続いてきている漁を何とか続けようという意向は全く反映されない。それでいて、川本水産次長は、沿岸漁民に対して、心配は要らない、ほぼ心配することはない、そういうことを答え、そして沿岸漁民はそれを信じ、大丈夫だ、何とかこのままでヨコワ漁は続けられる、そう思っているのが今の現状であります。  これは大変許せないことで、今回もう一回重ねて聞きますが、意思決定として、いわゆる日本のそういう意向がこの条約に加盟されている限り反映できるのかできないのか、それを、はっきり川本次長の見解をお聞きしたい。
  78. 川本省自

    ○川本政府参考人 今の条約の、今回多数決で採択されました中では、確かにおっしゃいましたように、四分の三の多数でございますし、中で、FFA諸国とその他の遠洋漁業国を分けまして、いろいろな多数決によるものがございます。しかしながら、個々の国につきまして拒否権がない、異議申し立て権がないということにつきましては、おっしゃいますように、日本の主張が通りにくい状況にあろうかというふうに思っております。  ただし、これにつきましては、本協定に入るかどうかというのはまだ決まっておりませんので、そういう状況にしますと、何ともお答えしようがないということでございます。
  79. 山田正彦

    山田(正)委員 交渉の担当に当たった川本次長の、この国会での答弁は全く納得いかないものであります。  石破政務次官にぜひひとつお聞きしたいのですが、重ねて、この条約、いわゆるMHLC、これで、まさにEEZ内においても適用協力義務がこの条約の中にははっきりとうたわれております、この中に。ところが、沿岸漁民に対して、川本水産次長は、これはテープを起こしておりますから間違いないんですけれども、EEZ内では心配要らない、日本に主権があるのだから日本国の法律で決めればいいのだから、いわゆるEEZ内では適用はないんだから、そういう趣旨のことを何回かにわたって発言いたしております。これは、私どもにとっては、まさにうその言葉を言って、漁民を安心させている、水産庁としてあってはならない、農水省としてはあってはならないことだと考えておりますが、そのEEZ内での適用について、農水政務次官としてどう考えられるか。
  80. 石破茂

    石破政務次官 お答えを申し上げます。  もし仮に漁民の皆様方にそのような疑念を抱かせるようなことがあるとすれば、それは大変に申しわけのないことだと思っております。ただ、同時に、私どもは、委員が先ほどから御指摘のように、このヨコワ漁業というものは何とかして守っていかねばならぬ、守るためには何ができるか。ヨコワというものを生存率から考えましても、これはもうとっていっても問題ないのではないか、こういうような知見もあるわけでございます。  今御指摘の点でございますが、仮にこの条約に基づき委員会が設立をされて、具体的に保存管理措置設定をされるということになり、体長制限が設定された場合にはどうするかということであります。  そうしますと、私どもは、日本の国の二百海里内の漁業に対しまして、本条約に基づいて設定される保存管理措置と整合性のとれた措置をつくっていかねばならぬのだろう、これも委員御案内のとおりだろうと思っています。  そういたしますと、二百海里内でございますから、これは基本的に我が国の主権のもとで管理をしていくべきであるというふうに考えておりまして、我が国の漁業の実態を踏まえた保存管理枠組みの必要性というものについて、これは各国の理解を得る努力を最大限にしていかねばならぬ。私どもは、ヨコワ漁業というものを守っていく、それがまた資源の保存というものに決して反するものではない、どのようなやり方をすればいいかということについて、各国の理解を最大限求めてまいりたい。例えば、北緯二十度以北は別途の枠組みでいけるではないかというようなことも含めまして、条約の改善をきちんと粘り強く求めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  81. 山田正彦

    山田(正)委員 石破政務次官の今のそういったこれからの、北緯二十度より北の海域については、例えばFFA諸国とかアメリカとか、いわゆる鯨で大変強硬な見解の諸国と一緒にやるのではなく、むしろ、それに海域、例えば地中海のマグロ協定みたいに、あるいはインド洋みたいに、東シナ海とか中西部太平洋地域の北の部分においてだけ、その条約を離れて、漁業国の意向が反映されるような新しい条約をつくり、マグロの資源保護、そして日本の特殊な、いわゆる古来の漁業形態、そういったものを守りながら沿岸の漁業を考えていく。  そういう考えで、きょうは浅野外務政務次官にも来ていただいておりますが、外務省としてもぜひこれからの交渉においてそれに取り組んでいただけないものかどうか。ひとつ私の方から御意見をお伺いしたい、そう思っております。
  82. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 我が国は、西部及び中部太平洋にカツオ・マグロ類の資源を保存し管理していくための適切な枠組みは、基本的に必要だと考えています。  したがって、この条約を作成する過程にも積極的に参加をしてまいりましたが、山田委員指摘のとおり、我が国のような少数派の漁業国と多数派の沿岸国との調整が不十分のまま採択されましたので、これに反対した経緯がございます。  今月、南太平洋のタラワで開かれた太平洋諸国首脳会議の域外国対話に日本政府を代表して出席いたしました折にも、漁業国と沿岸国とのバランスがとれていないことを強く指摘いたしまして、我が国の立場を理解してもらうような努力をしてまいりました。  ただ、この条約が採択されてから日が浅うございまして、各国考え方が出そろっているわけでもございませんし、もともとこの地域は、我が国のカツオ・マグロ漁の八〇%を占める水域でもございます。したがって、山田委員指摘の、漁業国と足並みをそろえてこれから根気よく沿岸国と協議を続けながら、我が国の利益を十分反映できるような、担保されるような適切な枠組みづくりに努力をしてまいることが当面、極めて重要と理解をしております。
  83. 山田正彦

    山田(正)委員 私の持ち時間がなくなってしまいました。  まだいろいろ突っ込んで聞きたかったんですが、また機会を見て、この問題で、ぜひ沿岸漁民の立場、いわばヨコワ漁で本当に生計を営んでいる沿岸の島々の漁民の立場というものを、外務省もそして農水省もよく御理解いただいて、いわば官僚主導のまま言いなりにならないように、それこそ政治家が責任を持ってこの問題は解決していくという立場での善処をぜひともお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  84. 宮路和明

    宮路委員長 次に、中林よし子君。
  85. 中林よし子

    ○中林委員 私は、今、日本農業を守る上で最大の農民の関心事になって、かたずをのんで見守っている農産物の緊急輸入制限措置、一般セーフガード発動問題について質問させていただきます。  WTO協定を受け入れて以後、急増し続ける農産物のため、日本農家は、米を初め野菜など、価格が大暴落をして、大変苦しんでおります。全国の農業者から、早くセーフガード発動してほしいと、悲鳴に近い声が上がってきております。今まで日本政府は、発動に向けた調査すらしませんでした。かつてショウガが実態把握には入ったけれども、発動はされなかった、こういう経緯もあります。  今回も、速やかな発動を求める農民の声に対して農水省はどういう態度をとってきたかというと、都道府県を通じた慎重な実態の把握が必要だとか、これだけ野菜が大暴落し、産地の打撃が明らか過ぎるほど明らかになっているにもかかわらず、まだ実態が十分にわからない、全体を監視している状況だなどと言っていたわけです。  この委員会でもたびたびそういう答弁が聞かれましたし、今月の十七日に、我が党の小沢和秋衆議院議員の質問主意書への答弁書でも、ほんのわずか前なんですけれども、輸入は、主として国産野菜の不作等による不足を補う形で行われている、卸売価格は、天候による作柄の変動等に応じて変動しており、価格の上昇傾向または下落傾向が一貫して続いている状況ではない、こんな答弁書になっておりますし、価格下落は、国産野菜の生育が順調であったため出荷量が増加したことが主因であると考えるなどということを言っていたわけです。  ここでようやく、二十四日に農水大臣が、ネギ、トマト、ピーマン、タマネギ、生シイタケ、イグサの六品目について、一般セーフガード発動に向け政府調査を行うよう、大蔵、通産省に要請をいたしました。  大臣にお聞きするわけですけれども、ついこの間まではそういう態度をとっておられたのに、一体いつ、事態がどのように変わったから、こういう事態になったのか。私は今回、六品目に限ってではありますけれども、発動に向けての調査を要求されたことについては大変うれしくも思うんですが、一体どういう変化を大臣として見て、そういう結論に達したのか、その経緯お答えいただきたいというふうに思います。
  86. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御質問がございましたように、セーフガード発動につきましては、この委員会におきましても、しばしば御質問がございました。  我々といたしましては、業界の皆さん方の十分なる、詳細にわたる経過を聞くとか、あるいは県につきましても、その地域地域の状況についてのお話を聞くとか、詳細にわたりまして十分な調査をいたしました。  農林水産省としての調査をしたわけですし、その結果に基づいて、このたび、大蔵大臣並びに通産大臣に文書をもって六品目についてのお話をさせていただきました。そこで今度は、農林水産省の立場でなしに政府の立場における調査をいたしまして、この問題についての結論を出していただくというふうに思っております。  それは、今まで申し上げたとおりでございますが、やはり担当は農林水産省でございますから、大蔵省、通産省といえども、農林水産省の立場を十分御理解いただいて、レベルの高い調査を十分やった結果においての今後のあり方、つまり、WTOに対しまして、こういうことをやるということを申し上げるようにしたい、こう思っております。  それは結論の話でございまして、今お話があったように、さあ、言われたからすぐしろと言われましても、農林省の立場からいえば、それは十分な調査なくしてやって、やったけれどもだめだった、これではだめでございますから、何とかきちっとした調査をもってやることが一番大事だと思って、きょうまでの対応をしたわけでございます。
  87. 中林よし子

    ○中林委員 実態把握というのは、常々やらなければいけないことは当然のことです。ただ、もう五年前から要求が出続けてきているにもかかわらず、その価格下落の原因が輸入ではなくして国内にあるというふうに言い切ってこられた。だから、ここでにわかに調査要請をされたのは、一体どこがどのように変化したのかということをお聞きしたかったわけですけれども、実態がそうなっていたということだと思います。だから、これは私どもが要求し続けてきたことが、農水省としても裏づけられたことだというふうに思うんです。  私は、こうした要請が速やかにできなかった要因についてお伺いしたいと思うんですけれども、農水省が今回、大蔵と通産省に発動要請に当たり、農水省内としてセーフガード発動開始のための暫定基準を作成されているわけですが、この内規は一体いつおつくりになりましたか。
  88. 石原葵

    石原政府参考人 お答え申し上げます。  農林水産省から大蔵省及び通産省に対しましてセーフガード発動に向けた調査開始の要請を行うためのセーフガード検討開始暫定基準につきましては、関係局長をメンバーといたしまして、セーフガードに係る問題について全省的な検討を行うためのセーフガード検討部会というのを十一月二十一日に設置いたしまして、翌二十二日に同部会において決定したところでございます。
  89. 中林よし子

    ○中林委員 私は、この二十二日に内規をやっと決めたということ自体、本当に農民に顔向けが農水省としてできるのか、こういうことで大変憤りを感じております。WTO協定以降、輸入の激増で国内の生産者にどれだけ打撃があったのか、本当に真剣に考えていれば、この内規というのはもっと早くできていてしかるべきだったのではないかというふうに思います。  二年前、イグサの価格暴落で、熊本では半年間に未遂も含めて自殺の数が二十数名にも及んでおります。国内の漁業者が輸入サケが激増してどんなに苦しんできたか。そして、輸入はとめないで、国内であれだけ野菜を畑でつぶしてきた。あらゆる野菜について調査中と繰り返してこられたわけです。ショウガについても同等です。  これだけではありません。この間、一般セーフガード発動を求める地方議会からどれだけたくさん来ているのか。農水省からお聞きしたら、ことしだけでも今まで三百九十五件来ているわけですね。一つや二つの話ではない、本当に産地から、これだけ党派を超えたたくさんの声が上がっている。  私は、農水省として、この声が上がったときから内規は決めて、実態把握なり調査に当たるべきだったというふうに思うんですけれども、農水省として、どのようにこの点を反省されているのか。大臣、いかがでしょうか。
  90. 谷洋一

    谷国務大臣 今、非常に厳しい御意見でございますけれども、実態を我々が把握いたしますと、例えて言うと、三年前に三割上がった、そして、その後は五%ずつしか上がっていなかったという場合もありましょう。また、一割上がって、一割ずっと毎年上がっているというのもありますし、それから、上がったけれども、また価格がおさまってきたというのもあります。ですから、かあっとなっておっしゃいますけれども、なかなかその実態というのは難しいんです、実際のところ。だから、上がったからすぐやれとおっしゃいましても、そう簡単にいかないんです。  各県が議会決議をされるとか、あるいは市町村の議会を説明されましても、実際に上がったからぱっと決議をされるところもありますよ、現実の問題として。それは遺憾だということは言えないんです、我々としては。その地域としては非常に悲痛なつもりでやっておられる。だけれども、今はもうおさまったというところもありますよ。だから、現実の問題、もう本当に今せっぱ詰まってきて困っているということばかりをおっしゃいますけれども、そういう事態ではないことも御理解いただきたいと思うんですよ。  だから、それに対する対応をしっかりやれということならわかりますが、すべてにやれとおっしゃいましても、詳細についての事態からいうと、時間の関係もあって、事務当局に説明させたいんですけれども、それも難しいと思いますので、そういう事態のことも判断してもらわなきゃ、もうせっぱ詰まった話だというばかりのことではなかったということも事実でございます。
  91. 中林よし子

    ○中林委員 上がったり下がったりするというのは当然の話ですね。だから、輸入WTO協定後はずっとふえ続けているんですけれども、価格の面では当然上がり下がりがあるんですね。  ただ、セーフガード発動要求というのは、それぞれ品目についてみんなせっぱ詰まるから要求するんです。要求があったときに、農水省は実態把握のために、やはり発動に向けた前向きの姿勢で、内規というものは、持っていてしかるべきではなかったのか。やっと二十二日に内規をつくったというのは、余りにも前向きでなかった農水省の姿勢をそこに示したものだというふうに私は思うんです。  今回、農水省は、都道府県を通じた影響評価を初めておやりになりました。そもそもセーフガードに関する協定を定められている項目について、政府がこれまでつかんでいなかったということ自体が大問題だというふうに思います。セーフガードで必要な項目というのは九項目ありますよ。だから、これを常時モニタリングしていれば、価格が急に上がったり急に下がったり輸入がふえたりしたときに、私はかあっとなってということではないんです、これは五年間という長い長いあれがあるし、それから、去年からことしにかけて増大している。一日や二日の話ではない。この間、多くの農民が泣かされてきているわけですよ。  その都度農水省は産地の声を聞いておられる。であるならば、私は、やはり協定上当然の措置としての、この一般セーフガード発動に向けたモニタリングというものは、体制上当然とるべきことだったのではないかというふうに思います。  今後の体制として、一般セーフガード発動要件に見合う九項目のモニタリング体制、こういうものはおとりになるおつもりがあるんでしょうか。
  92. 石原葵

    石原政府参考人 モニタリングにつきましてお尋ねでございます。農林水産省、このセーフガードに必要なデータにつきましては、統計情報部、物資所管部局を中心といたしまして、地方公共団体や関係団体の協力も得て収集してきたところでございます。  しかし、ただいま委員の方からもお話がございましたように、データの速やかな収集ということになりますと、モニタリング体制は必要だろうというふうに考えております。谷大臣からも強い指示がありまして、我々といたしましては、このモニタリング体制につきまして、速やかに体制を整備していきたいと考えているところでございます。  なお、先ほど、基準をなぜもっと早くつくらないかという御指摘でございましたけれども、一言申し上げさせていただきますと、農産物につきましてセーフガード発動した件数が八件ございます。そのうち四件は完全な途上国でございます。必ずしも輸出国関心がないということで、それはそのまま捨ておかれているというものが四件。残る四件が、アメリカ二件、韓国二件でございます。  アメリカの二件につきましては、一件が既にパネルに持ち出されまして、これはいわゆるクロという判定が下っております。もう一件につきましては、まだ公表はされておりませんが、間もなくクロの判定が下ります。  それから、韓国につきましては二件発動されておりますが、一件は既にクロになっております。一件は、中国がこれに対しまして対抗措置を講じまして、二国間で協議し、当初の韓国の意気込みよりかなり下回った段階で調整がなされたということでございます。  このように、過去の発動事例も非常に少のうございますし、これらの国々もそれぞれの発動基準というものを明らかにしているわけではありません。我々は、そういう中で、あくまで農林省独自の基準でございますが、いろいろ分析等を行いまして、今回そういう基準をつくったという事情を御理解いただければと思います。
  93. 中林よし子

    ○中林委員 モニタリング体制は速やかに整えていくという御発言、御答弁だったので、ぜひこれは強化していただきたいというふうに思います。  アメリカや韓国の例をお出しになりましたけれども、私は、パネルでクロの判定が下ったといっても、やはりその国の産業を守ろうとする姿勢がここにはあらわれているというふうに思います。もちろん、一般セーフガード日本発動して、どこから異議申し立てが来るかもわからない。しかし、農家の皆さんはそれを見て、政府はやはり自分たちの立場を代表して言ってくれているのだ、こういう気持ちになるんですよね。そこが私は政府の仕事だというふうに思います。  そこでお伺いしますけれども、日本セーフガード発動に向け独自の仕事に携わっている専任の担当官は、何人いらっしゃいますでしょうか。
  94. 石原葵

    石原政府参考人 農林水産省には、セーフガードに関する業務のみを担当している専任の職員はおりません。  なお、それぞれの物資を所管する部局におきまして、直近の輸入及び国内価格動向等、個別品目ごと状況把握に努めているところでございまして、その結果、特定品目につきまして政府による調査の開始を要請する等の所定の手続に入ることとなりますれば、本件の当省における窓口でございます経済局貿易関税課、これは職員が二十五名程度おりますが、これと当該品目の所管部局とで協力しつつ必要な調査等の業務を行っていくことになります。  なお、このほか、セーフガードに係ります省内検討体制といたしまして、十一月二十一日に、関係局長をメンバーとし、セーフガードに関する問題についての全省的な検討を行うセーフガード検討部会を設置したところでございます。
  95. 中林よし子

    ○中林委員 驚くべき状況ですよね。専任はいなかったということです。  これから発動に向けて、いろいろスタッフをそろえながら、兼務ではあるけれどもやっていこうということだというふうに思うんですが、これまで、WTO協定以後は、先ほどアメリカと韓国の例を出されましたけれども、一般セーフガード発動は、一九五〇年から九三年の四十四年間に世界各国では百四十七回発動されて、アメリカは二十七回、ECが二十一回、カナダが二十二回、オーストラリアが三十八回発動され、WTO体制後も六カ国で八回、そのうちアメリカで二回、韓国で二回、先ほど言われたとおりです。  私は、WTO協定上当然の権利であるセーフガード発動アメリカや韓国ではどういう体制でそれができるのかということで、皆さんのお手元に資料をお配りさせていただきました。  アメリカの場合ですけれども、「米国における一般セーフガード発動手続き」なんですが、一九一六年に設立されたUSITC、これは英語でどう読むんでしょうか、それを前身として一九七四年に設立された米国国際貿易委員会、ITCという、これは通商法を運用する、議会や行政府から独立した権限を持って、準裁判所的性格を有した機関ということになっております。ここで六名の委員と約三百六十五名のスタッフが、国際貿易がアメリカの産業に及ぼす影響に関する研究や調査実施する広範な権限を持って、セーフガード発動を議会や大統領に勧告する独自の仕事に当たっております。  さらに、発動に向けた調査開始の要件、これは二枚目のチャートにあるんですけれども、諸団体の提訴があれば直ちに調査は始まる、それから、ITC自身の発意でも調査が開始できるということで、百八十日以内には大統領へ報告されるという機敏な仕組みになっております。  それから、その次にあるんですけれども、韓国の事例も、一九八六年に設立され、さらに九六年にそれが権限も強化されたということで、六人の委員から成り、一名委員長がいますから七人で、五十人のスタッフをもってアメリカと同等のことをやっているという状況です。  だから、今日本で専任が一人もいないというこの体制上の大きな違いに、これだけたくさん地方の議会からも要請がある、産地からも要請があるのになかなか機敏に対応できなかった大きな欠陥があるのではないかというふうに思います。  これまで、日本政府が一般セーフガード発動を回避するために、イグサだとかショウガだとかそういうことで中国側に一定の交渉をして、二国間で譲歩していただくみたいなことでやってきましたけれども、今や中国もWTOに加盟しようとしているときに、相手国に自粛を求めていくなどということはWTO協定違反になってしまいます。  だから、私は、どうしても国内で、アメリカ並みとは言いませんけれども、少なくとも独立した機関、産地を守る、国内産業を守る、そういう立場で新たな機関が必要なのではないかというふうに思うんですけれども、大臣の見解を求めたいと思います。
  96. 谷洋一

    谷国務大臣 アメリカとか韓国を手本としてお話がございましたけれども、私は、行政の仕組みが違うと思うんですよ。  例えて言いますと、おとつい、私はオランダの農林大臣にお会いしましたが、農林大臣だけでなくて、自然環境という意味も含めての大臣になっているんですね。ついせんだって韓国の水産大臣にお会いしましたが、水産だけではないんです。やはり漁港、港湾というものも担当していらっしゃる。そういうことでございますから、水産大臣だと思っておりましたら、港湾、漁港も担当していらっしゃる。行政の仕組みが違います。  先ほどの局長の答弁はまことにまじめな答弁でして、うそを言っていないんですね。担当はおりませんという、それはそのとおりですよ。だけれども、いざ出動する場合には何十人が一緒に仕事をするわけですから、それが日本のよき行政組織の一端だと思うんですよ。だから、アメリカに見習え、韓国に見習えといっても、ちょっとこれは無理だと思うんです、行政の仕組みが違いますから。  そこで、私は、今回の問題について考えますと、私が七月に農林水産大臣に就任させていただいてから、いろいろと、党の総合農政調査会あるいはその中の農業基本問題小委員会あるいは貿対委員会等でも激しく厳しい議論が出ました。また、衆議院、参議院の農林水産委員会でも、皆さんの御意見もよく聞かせていただきました。そういうことでございますが、何もちゅうちょするわけではないんですけれども、しかし、WTOにそういうことを言って話をしたら、必ずシロになるならいいんですが、クロになる例もたくさんあるわけです。数々出ていない、何十といって出ておるわけではないにかかわらず、数少ない中で、シロになるのもあれば、クロになるのもある。だから、日本は言ったけれども、やはり承知してもらえなんだ、あいつらはけしからぬと言うばかりでは能がないわけでして、我々もきちっとしたことを決めなきゃならない。  それから、二十二日に決めたということを先ほど局長が説明しましたけれども、考えてみますと、それは時代の流れ、つまり、今の現状というものを把握してみてそれは決まるんで、今きちっとこういうのをひとつ枠にはめてやろう、こう言いましても、それはまた時代の流れが変わってきますと、その内部の変更もしなきゃならない、そういうことでございますから、一たん決めたことはもうずっと十年間続くんだというわけではございません。そういうふうに考えておりますので、その点は御理解いただかなかったら、ただ政府を追及するだけというのでは困るわけですから、やはり日本の国益のためには、また、日本国民の利益のためにはどういうことをやろうか。  また、もう一つはっきり言えることは、外国が物を売りに来るというのは、外国が直接手を下すというのが多いんですが、日本の場合は、日本の商社がある外国に行って、どんどん日本に売るための種を送り、そして向こうの状況も視察して、日本に売り込むためのことをやっている。こういう国は、日本が一番きついんですよ。それはもう、ほかの外国には見られぬ立場ですよ。そういうことも加味しながら、そういう判断をしておる。  商社のために我々はやるのではないんです。国民のための利益を図ってやろうということでございますから、これは農家のためだけでなくて、いわゆる消費者を含めたすべての国民の皆さんの利益を擁護するのが政府の立場でございますから、そういう点も十分御理解いただきたいと思います。
  97. 中林よし子

    ○中林委員 もう質問時間の終了が来ているんですが、大臣の御答弁がちょっと長かったものですから申しわけございませんが、私は、農家、産地だとか繊維産業だとか、そういう輸入によって困っていらっしゃる方々にとって、この一般セーフガードというのは輸入規制の最も有効な措置だということで、今回、農水大臣が六品目について通産や大蔵に要請されたことは本当にいいことだ、それを応援したい。さらに速やかにやる、今度の、次回のWTO交渉に当たっては、このセーフガードも機動的に、効果的に発動できるように、主張もされようとしている、そのためには、こういう外国の機関のあり方、体制も学ぶ必要があるのではないですかと建設的な提案をしているんですよ。だから、私は、大臣が、この六品目については農水大臣として断固として大蔵省、通産省と渡り合って、発動のためにやるのだと御決意をされているようでございますので、この決意をさらに固めていただいて、必ず発動できるよう御努力を要請し、質問を終わります。
  98. 宮路和明

    宮路委員長 次に、菅野哲雄君。
  99. 菅野哲雄

    ○菅野委員 あしたでこの百五十臨時国会が終わろうとしているわけですけれども、次の国会に向けて、政府としても本当に、農業問題も含めて、第一次産業全体をどのようにしていくのか、この点について質問しておきたいというふうに思っています。  ことしの十二月末までにおいて政府方針WTOの中で提案していきながら今後について交渉していくわけですけれども、私は、WTO農業交渉における基本的スタンスというのは、これまでも一貫してきているというふうには思いますが、今日の世界的な農政の課題もありますけれども、国内農業をどのように維持、発展させていくのかという視点を常に持ちながら交渉に当たるべきだというふうに思っております。そして、先ほどからも議論されていますが、農業の持つ多面的機能を高めていかなければならない、このことは農業基本法の中にもうたわれているわけですけれども、特に、先ほども隣にいる岩國さんが議論されておりますが、農村社会をどのように守っていくか、そういう観点を強めていかなければならないと思っています。  二十一世紀に向けて、農村地域社会を守り抜いて、豊かな環境と伝統や芸能あるいは文化を引き継いでいかなければならない。私は、この農業交渉に当たっての大きな課題であるというふうに思っているんですね。そして、国内の第一次産業を、そういう観点に立って、今日的立場、状況において、どのような維持、発展策を考えているのか、基本的な考え方を農水大臣にお聞きしておきたいというふうに思います。
  100. 谷洋一

    谷国務大臣 何回も申し上げておりますので重複を避けまして、私はこうして大蔵省並びに通産省に対しまして通告申し上げ、これからの協議に入って本格調査をする、そして、WTOに対して通報するということをして、その当事国との話をやるという決意を固めて頑張っていきたいと思っております。
  101. 菅野哲雄

    ○菅野委員 今日的な緊急課題とか、そういうものは先ほど議論されていますが、私は、後で論議しますけれども、今日の農村社会を二十一世紀にどうつないでいくのか、このことを谷農水大臣として今どのように考えておられるのかということをお聞きしているわけでございます。そして、そのためにも、後で申しますけれども、農村社会の置かれている実態というのは、多くの議論をされていますけれども、その置かれている実態をどう見て、二十一世紀にどうやっていこうとしているのか、このことを再度お聞きしておきたいと思います。
  102. 谷洋一

    谷国務大臣 先般、国会開設百十年等ありましたけれども、百十年前の話ではないんですよ。我々は我々の時代に、あの戦争中にどれだけの食料難で苦しんだか。そして、昭和二十年代は国鉄の窓を破ってでも買い出しに行くという時代も知っておるんです。そういうことを考えてみると、自給率が四〇%に落ち込んでおることはどんな事態に日本がなっておるかということも考えなければならない。平和憲法を守ると言ってみたって、外国に戦争が起きたら日本には食料が入ってこない。そのことを思うと、本当に、食料自給率を高めることが日本の大きな仕事だと思っております。これは、日本という国がますます繁栄するならするほど、工業国家として繁栄しても、やはり食料はどんなことがあっても自給率を高めることが大事だと思って、その決意を強く考えております。
  103. 菅野哲雄

    ○菅野委員 基本的には、自給率を高めるという視点はそのとおりだと思うのですが、これから申し上げますけれども、地域農山村社会というのはなりわいとして成り立っていかない現状が存在するということなんですね。そして、大臣のそういう決意はわかりますけれども、なりわいとしてどのように地域社会にこの第一次産業等を定着させていくか、このことが今問われている課題ではないかというふうに思っています。  私がちょうど帰ったときに地元の新聞にセンセーショナルな報道がなされましたから、その資料を取り寄せてみたんです。アンケート調査を行って、「中山間地域農業振興と発展の方向性」という小冊子を、東北農政局気仙沼統計情報出張所というところで出していたのです。これを見させていただきました。そして、この小冊子の中でのまとめの部分に書かれているんですが、今日の中山間地域の農業問題点と発展の方向性について八項目にまとめられておりました。一つは「集落機能の低下が懸念」、集落機能の低下がこれからも懸念される、そしてその上に立って、二つ目として「地域の特色を活かした就業の場の確保や急がれる生活基盤の整備を」、こういうことが必要だと言われています。それから「新規就農者の受け入れ対策の強化と人口減少に歯止めを」、それから四つ目として「早急な農業後継者育成の対策強化を」、五つ目として「多様な担い手の確保を」、六つ目として「地域の観光資源を活かした農業の推進を」、七つ目として「市民農園などへの活用を図り耕作放棄地の解消を」、八つ目として「地域の活性化のため道路交通網の整備を」。あと、ここには多くのコメントが付されておりますけれども、まとめとして概略的にそうなっているということなんですね。  このことは今までもいろいろな場所で議論されてきた課題であるというふうに私も思っていますけれども、このことを解決していこうとするときに、非常に大きな困難がつきまとう、国政の場で本気になってこのことを議論し合って解決方向性をつけていかなければ、地域における、中山間地域の集落も村落も維持できない状態になっているというのが今日の状況だということは、お互いに共通の認識に立てると思うのです。  この八項目について、コメントは求めませんけれども、特に、一つは新規就農者の受け入れ対策の強化と言われていますけれども、このことについてどのように、これからの二十一世紀に向けて考えていくのか。それと同時に、後継者の育成、先ほど言ったように、なりわいとして成り立たなくなっていく状況があるわけですから、この辺をどのように図っていくのか、とりあえずお聞きしておきたいというふうに思います。
  104. 木下寛之

    木下政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、我が国農業の持続的発展を図り、また中山間地域の農村集落の活力の維持を図るという上におきまして、担い手の育成なり確保が重要でございます。私ども、若い就農者のみならず、中高年齢層も含めた幅広い年代層の新規就農の促進を図ってきているところでございます。  この場合、三つの課題があるだろうというふうに私どもは考えております。  一つは、技術などの習得の問題でございます。私ども、農業大学校等におきまして、実践的な研修教育の実施を行っております。現に就農した後でもいろいろな課題がございますので、そういうような課題に対する研修教育の実施も始めているところでございます。また一つ、都市部で現在、他産業に従事しながら、いろいろと農業についての技術を学ぶための就農準備校につきましても、各地域に設置をしているところでございます。  第二点といたしましては、やはり新しい新規就農対策の資金の手当てが重要でございます。現在、私ども、都道府県知事の認定を受けました認定就農者に対しまして、無利子の就農支援資金を設けております。本年度からは、さらに、経営開始に当たりまして、いろいろな施設の設置、それから機械の購入等に必要な無利子資金につきましても、制度の拡充を図ったところでございます。  第三点といたしましては、やはり生産の場の確保が大事だというふうに考えております。新規就農ガイドセンターにおきます農地に関する情報提供、また農地取得のための農地等取得資金の貸し付け等を行っているところでございます。また、私ども、普及の場におきましては、地域におきます後継者あるいは新規就農者も十分視点に置きながら、いろいろなニーズにこたえた指導を行っているところでございます。  このように、いろいろなルートを通じての就農ルートがあるというのが現実でございます。また、就農形態も区々でございます。そのようないろいろな就農ルートあるいは就農形態に対応したきめ細かな施策を今後とも強化していきたいというふうに考えております。
  105. 菅野哲雄

    ○菅野委員 先ほど申し上げたときに、今の答弁でこれからの方向性はわかるのですが、あえて中山間地域農業と言っていますけれども、ここに「あとつぎの確保状況」という一項目があるのですね。読みますが、「七割以上があとつぎが確保されていない」という現状なんです。七割ですよ。そして、「農業が従のあとつぎがいる」という人で二〇・六%です。「将来農業従事予定のあとつぎがいる」は三・三%、「農業が主のあとつぎがいる」というのは一・一%。合計すると、わずか二五%なんですね、この部分が。そして一方、「現在のところ決まっていない」が三五%、「農業のあとつぎはいない」が四〇%。七五%の人が後継ぎが確保されていないという状況なんです。  そうしたときに、こういう状況、農村集落のことを考えたときに、集落が維持できていくのだろうか、こういう観点に立って今質問しているわけですね。そういう実情にあるということを認識された上で、それでは次の課題としてどうやっていったらいいのかというところを、ぜひこれからも検討を加えていただきたいというふうに思っています。  ただ、中山間地域の直接支払い制度が地域においてどのように有効に活用されているのかということも調べてまいりました。人口六万の都市で約一千六百万ぐらいおりる計画になっておりますけれども、これとても焼け石に水という状況が今日あるわけですから、ぜひ私は、難しい問題、新規就農者をどうつくり上げていくのか、後継者がいないのですから、新規就農者をつくっていくしかないと思いますし、そして同時に、二五%の人たちが後継者がいるわけですから、その人たちがなりわいとしてどう成り立っていくのかという視点も含めて、真剣になって考えていただきたいというふうに思います。  そして、中山間地域における農業を考えたときに、農業一本ではやっていけないというのも事実なんですね。これは私も、農水大臣はいないのですが、常に言っているのですが、農業林業とあるいは畜産業、そういう複合経営でやってきたというのが今日までの農業形態だったと思うのです。それが、効率性を追求するがゆえに、畜産業もだめ、養鶏業もだめ、そして、農業単独でやっていく状況に今日、追い込まれているわけですね。複合経営ができないのです。  ただ、一つ言えるのは、あらゆる分野で価格低迷が起こっていますけれども、私は、農山村地域を考えたときに、農業林業というものをどう高めていくのかということが、これからの課題であるというふうに思っているのです。そういう立場を申し上げておきたいと思います。そして、こういうことをぴしっとしていかなければ、地域の農山村社会というのは守られていかないのだといったのが先ほどの議論ですから、そういう意味では、通常国会に向けて森林林業基本法が今議論されていると思うのですけれども、農業基本法は一つ方向性が出ましたが、森林林業基本法方向性と今検討している課題と、それから今後に向けたものを提示していただきたいというふうに思います。  農山村社会と同時に漁村社会も本当に後継者難ということで、同じような状況になっていると思うのですね。そして、水産基本法についても今議論されておると思うのですが、この水産基本法についても今後の方向性というものをどのように考えているのか。水産庁、林野庁の方、答弁をお願いしたいと思います。
  106. 伴次雄

    ○伴政府参考人 森林林業、それから木材産業に関します基本政策につきましては、昨年の七月に森林林業木材産業基本政策検討会におきまして、今後検討すべき基本的課題というものにつきましての報告をいただいたところでございます。それを受けまして、本年十月には林政審議会におきまして、さらに進めまして今後の林政の展開方向というような報告をちょうだいした次第でございます。  現在、これを踏まえまして、林政基本的な考え方を、従来の木材生産主体としたものから、森林の多様な機能の持続的な発揮というものを主体としたものに切りかえていきたいと考えておりまして、具体的には、一つが、多様な機能持続的発揮のための森林管理をいかにやっていくか。二つ目には、森林資源の持続的利用を担う林業木材産業の発展をいかにするか。三つ目には、それを支える山村地域活性化というものを基本にしまして、新たな政策の展開が必要だと考えております。  そして、本年中に政策大綱等を取りまとめまして、新たな基本法案等を国会に提出すべく、準備を鋭意進めていく考え方でございます。
  107. 中須勇雄

    中須政府参考人 水産についてお答えを申し上げます。  水産につきましては、御承知のとおり、昨年、ことしにかけまして、日韓、日中、新しい漁業協定ができ、我が国周辺水域において、二百海里体制というものに大きな一歩がしるされたわけであります。  しかしながら、そういう枠組み自体はでき上がったわけでありますが、周辺水域における漁業資源の状況は大変悪化しているというのが率直な実情だろうと思います。しかも、そういう資源の悪化に加えて、今先生から御指摘がありましたように、担い手の減少とか高齢化、こういうことが大変進んでおりますし、それに伴って漁村の活性、活力が失われる、こういう問題、多くの課題を抱えているわけであります。  こうした中で、私ども、やはり将来にわたる水産業の発展ということを確保していくためには、何よりもとにかく、まず資源の持続的利用ということを、言いかえれば悪化した資源をいかに回復していくか、そこに最大の力点を置いた政策に転換していかなければならないのではないか、こういうふうに考えておりまして、昨年十二月、各方面の御意見を聞きながら、水産基本政策大綱あるいはプログラムというものを策定いたしました。  この中では、資源の適正な管理と利用ということのほかにも、もちろん、担い手の育成確保あるいは漁業地域の活性化と基盤整備、こういった問題が主要な柱に掲げられているわけであります。それを受けまして、これまで全国各地で説明会とか意見交換会を行ってまいりました。漁業関係者の中で検討を深めていただくということと同時に、広く国民一般にも御理解を賜ってきた、こういうことでございます。  これから、私どもとしましては、次の通常国会に向けて法制的な整理を進め、仮称でございますが、水産基本法案という形での御審議をいただくような段取りに向けて努力をしていきたい、こう思っております。
  108. 菅野哲雄

    ○菅野委員 第一次産業総体がなりわいとして本当に厳しい状況に置かれている、そういう中でこれから二十一世紀に突入するわけですけれども、例えば、森林基本法の、森林林業木材産業の維持、発展ということで林野庁長官がおっしゃっていますけれども、多面的な機能の維持、発展という命題はいいのです。そして、山を管理していくという視点でこれからつくっていくというところは、言葉としてはわかるのです。  これをやっていく人が、今日の農山村社会を見たときに、どれだけ確保されていくのだろうか。山で稼いでいる、働いている人たちは、ほぼ六十歳代、七十歳代の人ですよ。そして、民有林も国有林も荒れている実態を若い担い手をつくりながら管理していかない限り、多様な機能の持続的発展は図られていかないというところにあるのではないでしょうか。このことを強く訴えておきたいと思うのです。  そして、やはり国家的政策として人材を確保していくという立場にもう切りかわっていかなきゃならない状況に、今日的な状況としてあるのではないのかなというふうに私は思っています。私は出身地が水産都市でありますけれども、中山間地域であって、七〇%が山林という地域でございます。山がどのようになっているのかというのは本当に毎日見ていますから、このことを強く訴えておきたいというふうに思うのですね。  二十一世紀は環境の時代だというふうに言われていますけれども、山林や農村社会を守っていくこと、中山間地域農業を守っていくことこそ、洪水を防止したり環境を守っていく、そして、地球の温暖化防止に貢献していく、私は本当にそういうものだというふうに思っています。  ただ、林野庁長官水産庁長官、これから準備をしていくということなんですけれども、農林水産大臣、今日のこういう状況を踏まえて、私は、森林林業基本法あるいは水産基本法というものを早急にみんなで議論されて、議論の場に出すべきだと思うのですけれども、来年の通常国会に向けてその決意と用意があるのか、そのことをお聞きしておきたいというふうに思います。
  109. 谷洋一

    谷国務大臣 水産にいたしましても、我が国が世界の王座の立場、水産王国という立場であった時代もございました。しかし、今の水産は、二百海里設定以来、非常に厳しい段階を迎えておりますので、水産業にいそしんでいらっしゃる方々に対しまして、希望を持っていただく、夢を持っていただくというふうなことをやはり施策の上で描きたいと思っております。  林業につきましては、もう長年、三十九年から自由化が行われまして、以来、非常に苦しい立場に追い込まれております。セーフガード発動というふうなことも何回も何回も聞かせていただきましたが、きょうまでこの問題は触れなかったのですけれども、もう今の段階になったら、どうしてもこの問題に対応していかなきゃならないという決意を固めまして、そして、林業の場合は、資産価値は失ったけれども、国土の保全、環境の問題とか水資源の涵養とかというと、今一番、日本じゅうの国民がひとしく緑の大切さを訴える時代になりましたので、そういう次元を踏まえて考えてみると、やはり国政の段階で山林というものをもっともっと大切にすることが大事じゃなかろうか、こう考えております。
  110. 菅野哲雄

    ○菅野委員 大臣の今の決意は受けとめておきたいと思うのですが、当面の課題として、通常国会に向けて森林林業基本法あるいは水産基本法というものが今まで準備されておるわけですから、これをぜひ次の通常国会までに形あるものにしていただきたい、私は強くこのことを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  111. 宮路和明

    宮路委員長 次に、金子恭之君。
  112. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。  私の地元熊本県は、八代地域を中心にして、我が国のイグサ生産の九割を占めておりまして、地域農業にとって欠くことのできない重要な地位を占めております。しかしながら、近年の生活様式の変化等によりまして和室が減少し、畳表の需要が減少しております上に、近年、海外から、特に中国からのイ製品輸入の急増に伴いまして価格が下落し、このままではイ業経営は行き詰まり、イグサ生産農家は存亡の危機に陥っております。  畳文化は我が国固有の文化であり、これまで日本人の生活に欠かせないものであり、日本の文化を守る面からも、国内産地を育成することはぜひ必要であると考えております。移植機、乾燥機、織り機など、購入した際の借金が経営を圧迫し、生産者の中には将来を悲観し自殺される方まで出ており、事態は非常に深刻であります。早急に対策を講じなければならないというふうに思っております。  これまで、イグサ生産農家は、コスト削減や品種改良等を進め、一生懸命自助努力をしてこられております。そういう意味で、日本のイグサを守るには、現状では何といっても外国産イグサに対してのセーフガードの速やかな発動しかありません。また、我が国農業生産額の三分の一を占める野菜においても、輸入野菜の急増により価格が下落し、野菜生産農家は大きな打撃を受けております。  そういう我が国農業の危機的な状況の中で、先日、谷大臣が、イグサを含む野菜など六品目の一般セーフガード発動に向けて政府調査を行うように、大蔵、通産両大臣に要請されました。この御英断に対して心より敬意を表しますとともに、速やかに政府調査及び手続を完了され、一日も早く一般セーフガード発動できるように努力をしていただきたいと思います。  そういう観点から質問をさせていただきます。  まず、我が国のイグサ生産農家、野菜生産農家にとって脅威なのは中国並びに韓国ではないかと推測いたします。今回のセーフガードの対象となる六品目について、近年の中国、韓国からの輸入数量について教えてください。
  113. 田家邦明

    田家政府参考人 お答えいたします。  中国、韓国からのイグサそれから野菜五品目についての過去三年間の輸入量についてお答え申し上げたいと思います。  まず、イグサ、畳表でございますが、韓国からは九七年以降ゼロでございますので、中国について申し上げます。一九九七年は一万四千六百二十三トンで対前年二四%の減少、それから次の九八年は一万七千五百八十三トンで対前年二〇・二%の増加、一九九九年、去年でございますけれども、二万三千四十七トンということで三一・一%の増加となっております。  ネギでございますけれども、ネギについては韓国の輸入はゼロないし三年間はごく少量でございますので、中国について申し上げます。中国からの輸入は、一九九七年は八千三百二十トンで対前年四・四%の減少、九八年は一万六千九百八十七トンで対前年一〇四・二%の増加、九九年は二万八千八百十二トンで対前年六九・六%の増加でございます。  それからトマトにつきましては、中国については過去三年間はゼロないし少量でございますので、韓国について申し上げますと、韓国からは、九七年が四百八十六トン、対前年五一・六%の増、九八年は三千百三十九トンで対前年五四六・四%の増加、九九年は六千九百二十二トンで対前年一二〇・五%の増でございます。  ピーマンについては、中国からの輸入については過去三年間ゼロないし少量でございますので、韓国からの輸入について申し上げますと、九七年は二百八十三トンで二〇・九%の増、九八年が一千二百五十トンで対前年三四二・四%の増、九九年が三千五百四トンで対前年一八〇・三%の増でございます。  それからタマネギでございますけれども、過去三年間韓国からの輸入はゼロないし少量でございますので、中国について申し上げますと、中国からの輸入は、九七年が八千八十トン、対前年一二・一%の増、九八年が三万二千三百九十七トンで対前年三〇〇・九%の増、九九年が四万五千九十七トンで対前年三九・二%の増。  最後、生シイタケでございますけれども、韓国からの輸入は過去三年間ごく少量でございますので、中国について申し上げれば、九七年が二万六千二十二トンで対前年六・九%の増、九八年が三万千三百七十四トンで対前年二〇・六%の増、九九年は三万一千五百八十七トンで対前年〇・七%の増。  以上でございます。
  114. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 かなりのカーブを描いて増加しているようでございますが、それ以外でも中国、韓国から野菜を輸入されていると思うんですが、その中で植物防疫法上輸入できるものと輸入できないものがあると聞いております。主なもので結構でございますので、何が輸入できて何が輸入できないのか、お伺いいたします。
  115. 木下寛之

    木下政府参考人 お答え申し上げます。  我が国は、植物防疫法に基づきまして、植物に有害な病害虫の国内への侵入及び蔓延を防止するため、植物輸入禁止等措置を講じているところでございます。  まず、お尋ねの中国でございますけれども、我が国が特にその侵入を警戒しておりますウリミバエ、ミカンコミバエ、またイモゾウムシ等の害虫が発生しているということでございます。これらが寄生するおそれのあるカボチャ、キュウリなどウリ科の野菜、トマト、ピーマンなどのナス科の野菜、それからサツマイモなどの輸入を禁止しているところでございます。  また一方、韓国でございますけれども、地理的あるいは気候的に我が国と類似した立地条件にございますし、植物や動物、微生物などの生物の分布状況我が国と同様の地域に属しているということでございますので、輸入禁止対象としている病害虫の発生はないところでございます。したがいまして、韓国産の野菜類等の植物につきましては、我が国への輸入を禁止しているものはありません。  ただ、輸入可能な植物の輸入に際しましても、まず第一点で輸出国植物防疫機関が発行した検査証明書の添付が必要でございます。また、そのような検査証明書の添付を確認した上で、輸入時に、我が国の植物防疫官によりまして、土あるいは病害虫の付着の有無につきまして輸入検査が行われ、問題がないと確認されたもののみ輸入されているという仕組みでございます。
  116. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 今の御答弁を聞いていますと、現状でも非常に野菜農家にとって厳しい状況であるわけですけれども、中国から輸入されていない野菜が、まだ、キュウリとかカボチャとかトマトとか、日本農家にとって脅威になるような品目があるようでございます。これがすべて解禁になりますと、我が国農家にとってさらに脅威になると考えます。  現状で輸入できない野菜の今後の取り扱いについて、見通しをお伺いいたします。
  117. 木下寛之

    木下政府参考人 中国から輸入解禁要請があるものにつきまして御答弁申し上げますと、ポンカン、それからイチゴ、インゲンマメ及びピーマンの輸入解禁要請が我が国にされているところでございます。  ただ、輸入解禁に当たりましては、中国から我が国への輸入解禁を検討するために必要な科学的資料というのを私どもは要求しているわけでございますけれども、いまだ中国側から私どもの検討するに必要な科学的資料の提出をなされておりません。したがいまして、私ども、このような科学的資料の提出を待って判断をしたいというふうに考えております。
  118. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 ありがとうございました。  次に、中国との関係について質問させていただきます。  中国がまだWTOに加盟していない現状において、日中間の農産物貿易がどのように規律されているのか、お伺いいたします。
  119. 石原葵

    石原政府参考人 我が国と中国との間の関係でございますけれども、昭和四十九年に日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定というものが結ばれております。  これによりますと、関税や通関に関連する手続について相互に最恵国待遇を与えること、そして、両国間の貿易は平等互恵の原則のもとに行われること、そして最後に、両国間の貿易に関する問題については両国の話し合いによって解決することを基本とすることなどが取り決められているところでございます。
  120. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 そこで、中国が利害関係国となる農産物についてセーフガード発動する場合、WTO加盟国であればWTOルールに基づいて交渉が進められるわけでありますけれども、この場合、どのような問題が考えられるのか、そのあたりについても教えてください。
  121. 石原葵

    石原政府参考人 我が国WTOの加盟国でございまして、セーフガード発動に当たりましては、セーフガード協定等に基づき行うことが必要でございます。  セーフガード協定におきましては、セーフガード発動によって影響を受ける貨物の輸出国対抗措置発動できるとされておりますが、輸入の絶対量の増加の結果としてとられ、かつ協定に適合しているセーフガード措置の場合は、三年間対抗措置がとれないということになっております。  一方、中国はWTOの未加盟国でございます。セーフガード協定等による規律は受けないため、御指摘のような場合に中国がどのような対応をとることになるかについて予測することは困難でございます。  ただ、先例といたしまして、韓国がニンニクについてセーフガード発動したことがございます。その際には、中国が韓国製の携帯電話及びポリエチレンに対し、一時的に輸入を全面禁止する対抗措置発動した、そういう前例がございます。
  122. 金子恭之

    ○金子(恭)委員 ありがとうございました。  時間がなくなってきましたので、最後の質問にさせていただきます。最後は大臣にお伺いいたします。  中国が今の状況ではWTOにまだ加盟していらっしゃらないわけでございますが、中国のWTO加盟について、大臣はどういうふうにお考えになっているのか。  それからもう一つ、今回の交渉に向けて、米国がUR合意関税化品目について自動発動できる特別セーフガードでさえ廃止を主張している中で、我が国は、特別セーフガードを維持し、特別セーフガードに近い、農産物の特性に応じ、輸入急増等の事態に機動的、効果的に発動できるよう運用の透明性を高めたセーフガード検討されているということでございますが、私も大臣にはぜひ実現に向かって頑張っていただきたいというふうに思っております。御決意のほどをお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  123. 谷洋一

    谷国務大臣 セーフガード発動につきましては、先ほど来何回も申し上げますとおりに、毅然とした態度で農林水産省の従前の考え方を強く訴えていきたいと思っております。  また、今お話しの問題につきましては、国益を守り、そして農村を守るという強い精神のもとにやっていくことが我が国の国益にかなうものだ、こう思っております。      ————◇—————
  124. 宮路和明

    宮路委員長 この際、御報告申し上げます。  今会期中、本委員会に付託になりました請願は五十七件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。  なお、お手元に配付いたしておりますとおり、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、新たな森林林業木材産業基本政策の確立に関する陳情書外十三件であります。  また、本委員会に参考送付されました地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は、激増する輸入農産物に対し、緊急輸入制限の発動に関する意見書外百五十三件であります。  念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  125. 宮路和明

    宮路委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会