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2000-11-06 第150回国会 衆議院 内閣委員会商工委員会逓信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月六日(月曜日)     午後一時開議  出席委員   内閣委員会    委員長 佐藤 静雄君    理事 大野 松茂君 理事 阪上 善秀君    理事 平沢 勝栄君 理事 持永 和見君    理事 荒井  聰君 理事 山元  勉君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 塩田  晋君       岡下 信子君    熊谷 市雄君       自見庄三郎君    谷川 和穗君       谷田 武彦君    近岡理一郎君       根本  匠君    福井  照君       森  英介君    井上 和雄君       石毛えい子君    中田  宏君       楢崎 欣弥君    山花 郁夫君       松本 善明君    植田 至紀君       北村 誠吾君    粟屋 敏信君       徳田 虎雄君   商工委員会    委員長 古屋 圭司君    理事 青山  丘君 理事 小此木八郎君    理事 岸田 文雄君 理事 武部  勤君    理事 中山 義活君 理事 松本  龍君    理事 達増 拓也君       伊藤 達也君    小野 晋也君       大村 秀章君    奥谷  通君       梶山 弘志君    河野 太郎君       坂本 剛二君    新藤 義孝君       砂田 圭佑君    林  義郎君       細田 博之君    山口 泰明君       大谷 信盛君    大畠 章宏君       北橋 健治君    後藤  斎君       鈴木 康友君    中津川博郷君       松野 頼久君    山内  功君       山田 敏雅君    太田 昭宏君       塩田  晋君    吉井 英勝君       大島 令子君    原  陽子君       宇田川芳雄君    西川太一郎君   逓信委員会    委員長 小平 忠正君    理事 小坂 憲次君 理事 佐藤 剛男君   理事 吉田六左エ門君 理事 田並 胤明君    理事 高木 陽介君 理事 佐藤 公治君       左藤  章君    佐田玄一郎君       坂井 隆憲君    阪上 善秀君       高橋 一郎君    宮腰 光寛君       山口 俊一君    山本 明彦君       吉野 正芳君    大出  彰君       大畠 章宏君    武正 公一君       中村 哲治君    神崎 武法君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       平井 卓也君     …………………………………    通商産業大臣       平沼 赳夫君    郵政大臣         平林 鴻三君    国務大臣         堺屋 太一君    総務政務次官       海老原義彦君    外務政務次官       荒木 清寛君    通商産業政務次官     坂本 剛二君    通商産業政務次官     伊藤 達也君    郵政政務次官       佐田玄一郎君    政府参考人    (内閣審議官)      古田  肇君    政府参考人    (内閣審議官)      平井 正夫君    政府参考人    (内閣官房内閣安全保障・    危機管理室長)      伊藤 康成君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局長)      鈴木 孝之君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (大蔵大臣官房審議官)  木村 幸俊君    政府参考人    (国税庁長官官房国税審議    官)           塚原  治君    政府参考人    (通商産業省機械情報産業    局長)          太田信一郎君    内閣委員会専門員     新倉 紀一君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君    逓信委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案内閣提出第一四号)     午後一時開議      ————◇—————
  2. 佐藤静雄

    佐藤委員長 これより内閣委員会商工委員会逓信委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承を願います。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷信盛君。
  3. 大谷信盛

    大谷委員 民主党の大谷信盛でございます。  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法について、我が国情報通信産業世界戦略、そのための技術革新であったり規制緩和というような局面から質問をさせていただきたく思います。  IT基本法、もちろん私、基本的には賛成ではございますが、ある意味少し遅過ぎたのではないか、また、ただインターネット促進法というようなものにならないようにするためにも、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。  まず最初平沼通産大臣に御質問をさせていただきたいのですが、これからの日本の飯の種の一部として、この情報通信産業が新しい産業、新しい雇用を生んでいく、そんな中、どんな分野が開けていくのか、どんなビジョンをお持ちで施策を進めていかれるのかというような質問、もう何回も聞かれているかと思うのです。コンテンツ産業であったりというような御答弁をいただいているかと思うのですが、もう少し踏み込んで具体的に、私自身なんかは、いわゆるモバイル通信発達であったり、また情報家電というような分野であるならば、日本の場合はほかに比べて非常に優位性がある、そこの分野で伸ばしていったりするべきじゃないのかなというふうに思っておりますが、全体のどの辺の技術をねらって日本戦略というものをつくっていくのか、ぜひとも御答弁ただけたらというふうに思います。
  4. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 けさ、ちょうどIT戦略本部IT戦略会議合同会合総理官邸で八時十五分からございました。その中で、今基本戦略の取りまとめということを行っております。民間活力をとにかく入れてIT戦略をやっていこう、こういうことで、次の会合には基本戦略が取りまとまることになっておりますけれども、日本IT分野においては、ネットワークサービスでありますとか、情報化社会対応したルール整備などがまだ特にアメリカに比べてはおくれている、こういう認識、これは委員も御指摘のところだと思います。  今委員が御指摘のように、他方、日本ではすぐれた情報技術を有していることも間違いありません。それは、今御指摘がございました、最近日本では世界が瞠目するほど急速に普及してきました情報家電、あるいは携帯電話に代表されるモバイル端末については、我が国家電産業が持つ強い産業競争力を生かして、そして国際競争の中で発展することが期待をされているわけです。  また、どういったところが強いかというと、半導体電子部品については我が国が強い競争力を持っている分野でありまして、これは情報家電モバイル端末発展と相まって、これからやはり世界に先駆けて発展されることが期待されておりまして、我々としてはこういったところに力を入れてやっていかなきゃいかぬと思っております。  通商産業省といたしましても、そういった情報家電モバイル端末の急速な普及に対応した即効性の高い技術開発の加速を推進するとともに、今後のIT分野で特に重要なナノというレベルがありますけれども、ナノレベルでの電子材料半導体光技術等の先端的、基盤的な技術開発に、産と官と学の連携をとりつつ集中的に取り組んでいかなければならないと思っています。  あわせて、ITは本質的にグローバルな性質を有しておりますから、その標準を獲得することが国際競争上極めて重要である、こういう認識のもとに、我が国から国際規格を提案するための技術開発を通産省としましても重点的に推進をしていきたい。  こういったことで、御指摘のように持ち味を生かしながらIT革命推進していく、こういう認識に立って一生懸命頑張ってまいりたい、こう思っております。
  5. 大谷信盛

    大谷委員 まさに、今大臣の言葉からも出てまいりましたが、産業の個別の分野というのはある意味神のみ知るで、マーケットの中で公正な競争をして生まれてくるものだというふうに思います。そして、民間活力発展を助けていくような役割ルール整備していかなければいけないという話が出てまいりましたが、私自身も、本当にそこのところができなければ新しい産業、飯の種は生まれてこないんだというふうに思っております。  そこで、僕は、今後大きな役割を任じていただかなければいけないのが公正取引委員会かなというふうに思っております。公正な競争条件というものを確立していくためにも、ぜひとも大きな役割を担っていただきたい。このIT革命が進んでいく中、公正取引委員会さんはどんな役割を、これが自分の仕事なんだというようなものを持っておられるのか、ぜひとも抱負をお聞かせいただけたらというふうに思うんですが、長官もしくは局長お願いをしたいというふうに思います。
  6. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  IT革命推進するためには、その基盤となる情報通信のインフラストラクチャーの整備が最重要課題であると考えておりまして、このためには、電気通信事業分野における公正で自由な競争促進する、そして活力ある企業活動を引き出し、我が国利用者世界におくれることのない、質の高いサービスを選択でき、十分に受けられるように制度改革を図っていくことが肝要であるというふうに認識しております。  公正取引委員会としては、従来から、電気事業分野における競争促進を図る観点から、制度改革について調査、提言等を積極的に行ってきているところでありますし、また、規制緩和された後の市場におきます公正な競争ルールの確立に努めてまいりたく、さらには競争政策観点から規制緩和提言するいわゆる唱導活動を積極的に行ってまいりたいと存じております。
  7. 大谷信盛

    大谷委員 ありがとうございます。もうちょっと長い御答弁をいただけるかなと思ったんですけれども。  ちょっと具体的に公正取引委員会さんの方にお聞きをしたいんですが、例えば公正取引委員会さんの方で、政府規制等競争政策に関する研究会ということで報告書がことしの六月に出てきております。これは学者さんばかりが集まった中での検討委員会での報告書なんですけれども、その中に、いわゆる電気通信事業の第一種事業者と第二種事業者区分を撤廃することが自由競争という公正な競争を生んで、もっともっと技術革新発展するために寄与するのではないかというようなことが書いてあるんですけれども、もうちょっと詳しくそこの部分、具体的にお話をしていただけたらというふうに思います、どうしてこれがいいのかということを。
  8. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 電気通信市場における競争促進するためには、新規参入促進し、活発にすることが重要であり、そのためには、自己の経営責任において最も効率的と考える電気通信ネットワークを構築できる制度となっていることが望ましいと考えております。  このような観点からは、電気通信設備の設置の有無に基づき、ただいま御指摘ありましたように、現在第一種の事業者と第二種に区分しておりますが、このような区別をなくし、相互に参入して自由な事業活動ができるようにすることがこの電気通信市場における競争を活発にするために大切なことと考えて、関係方面説明してきているところでございます。
  9. 大谷信盛

    大谷委員 第一種事業者というのはNTTさんであったりKDDIさんであったりするわけですが、第二種の方はインターネットを通じてサービス情報を提供しているそんな会社、プロバイダーのことをいうのかと思うんですが、お互いに、双方に仕事区分がだんだん分けにくくなってきて、もうこれはなくして自由競争をしたらいいというお話ですね。その方が、新しい技術であったり、また接続料も安くなるような可能性競争の結果として出てくるというお話だというふうに受けとめます。  郵政大臣にぜひお伺いしたいんですが、この手の同様の質問に対してどんなような対応、どんなような見解をお持ちなのか、ぜひとも教えていただけたらというふうに思います。
  10. 平林鴻三

    平林国務大臣 第一種、第二種の電気通信事業者区分を廃止してはどうかというお話でございますが、現在の制度を簡単に申し上げますと、第一種の電気通信事業者は、国民生活経済活動に不可欠な電気通信サービス基盤となる公共的な事業であるということに着眼をいたしまして、事業安定性確実性を確保するために許可制度にいたしております。それから、第二種の電気通信事業につきましては、登録や届け出による極めて簡素な規制とすることで、自由で多彩なサービス展開を行わせるようにしておるわけであります。  このような事業区分は、それぞれの事業の特性に応じて、明確でわかりやすい電気通信事業基本枠組み競争ルールとして設定されたものでございまして、今後ともこの仕組み基本としながら、事業者ビジネス展開を支援し、競争促進する観点から、第一種及び第二種事業回線調達柔軟性確保等課題の解決を図ってまいりたい。現行制度で今申し上げましたような努力をしてみたいと思っておるところでございます。
  11. 大谷信盛

    大谷委員 大臣、今の答弁ですと、第一種、第二種の区分を撤廃するような必要性はないと。最初通産大臣がおっしゃいましたが、民間活力を引き出す、これがこの国のIT革命の中での新しい飯の種、産業をつくっていく、技術をつくっていく一つのやり方だというふうにいただきましたが、そこの一つ指摘として公正取引委員会さんの方から、こんな撤廃をするならば自由競争技術力発展するための競争が生まれると。しかしながら、それはやらないということなんですね。  だとしたら、民間活力を引き出すための自由な公正な競争条件を確立するためにはどんな方法があるんでしょうか、どんな思いがあるのか、ぜひともお教えいただけたらというふうに思います。
  12. 平林鴻三

    平林国務大臣 今、現行制度説明をいたしまして、回線調達柔軟性ということを中心に、現在問題になっておりますことの対応をいたしたいというお話をいたしたわけでありますけれども、郵政省として、電気通信事業競争政策といいますか、低廉な価格あるいは自由競争の長所を生かすというようなことはもちろん大事なことと認識をしてやっておるわけでございます。いわばIT革命推進のための大きな課題だということで、料金問題やらあるいは技術開発を考えておるわけでございます。  したがいまして、現在既に料金等低廉化は具体的に実行に移っておるわけでございますし、本年七月に電気通信審議会に、「IT革命推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」について諮問をいたしました。まだ審議中でございますけれども、今後の競争政策あり方全般につきましては幅広く御議論をいただいておる、そういうところでございます。御答申をいただき次第に法改正の準備などをしてまいりたい、そう思っております。
  13. 大谷信盛

    大谷委員 審議会の中で審議中ということだというふうに思うんですが、もちろん安全性というものは大切でございますが、これは技術革新というこの国の将来の飯の種をつくろうという話もそこには含まれているわけですから、ぜひとも大臣リーダーシップをその審議会議論の中で、また出てきたものに対してリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。  もう一つ、ちょっと具体的に突っ込んでお聞きをしたいというふうに思うんですが、いわゆるモバイル通信発達というものがある意味大きな優位性を持っている。そんな中、このモバイル通信発展技術開発であったり、世界の中の市場でもっともっと日本技術が使われていくような、そんな拡大をしていこうとするならば、今の周波数の分け方、これはほとんど早い者勝ちみたいなところがあったわけですけれども、諸外国がやっているように、周波数を配分するような、オークション制、お金をつけてやるというふうなことをぜひともやっていく必要があるというふうに思いますし、公正取引委員会さんの方からはやはりそういうことをするべきではないかというような報告レポートが出ておりますが、これの必要性についてもう一度、公正取引委員会の方から御説明ただけたらというふうに思うんですが、お願いいたします。
  14. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 先生ただいま御指摘モバイルの点、いわゆる移動体通信事業におきましては、周波数割り当て枠が事実上、市場における事業者数を決定する重要な要素となっていることにかんがみますれば、同事業分野におきます競争を公正で自由なものとする観点から、周波数割り当て免許制で行われているところでございますが、新規参入を容易にするという観点、しかも事業者効率性がより反映される仕組みに基づき透明な形で行われることが重要であり、そのために、ただいま御指摘ただきましたように、海外において採用されているオークション制の採用について検討することが必要であるという御提言研究会にいただいておりまして、また、関係方面にも御説明させていただいているところでございます。
  15. 大谷信盛

    大谷委員 一言で言えば、将来のためには必要だというふうな答弁だったというふうに思います。  同じことを郵政大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、以前、郵政省レポート平成九年二月ぐらいの懇談会の中で専門家皆さんが集まって御議論をなさった結果が公表されておりますし、ある意味必要だというような見解をお持ちだと思います。また、きのう、おとついの新聞報道を見ますと、自民党さんの行革本部の方からも、オークション制導入というものが必要じゃないかというような議論をなさっているということが報道されておりました。  モバイル通信、まさに日本の、ある意味僕はドル箱になり得るような分野だと思っておりますので、郵政大臣、同じようにこのオークション制についての御見解というものをいただけたらというふうに思います。
  16. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 先生言われるように、今議論はさせていただいております。そしてまた、このいい点、悪い点という部分、二つありまして、例えば、無線局免許付与手続透明性、こういう観点からは非常に有効じゃないかと思っております。  もう既に先生も御存じのとおり、諸外国でもやっているところがありまして、ただ欠点もありまして、オークション落札金サービス料金の転嫁の懸念であるとか、または非常に資金の豊富な方々周波数の独占の懸念指摘もされておるわけであります。また、落札価格が非常に高額なものですから、そういう中におきまして、米国では、落札金の不払いによりまして、要するに周波数を買ってそれをサービスをしない、一般のユーザーに対するサービスをしないというふうな欠点も出ておるというところがあります。また、イギリスやドイツでは、携帯電話のいわゆる利用料金へのはね返りの懸念、そしてまた電気通信事業者財務状況の悪化による債務の格付の低下など、そういうふうな影響が起きているということでございまして、今先生指摘にありましたように、将来のオークション方式導入につきましてはこれからも慎重な議論を続けていきたい、こういうふうに思っております。
  17. 大谷信盛

    大谷委員 もちろん、メリット、デメリットあるわけですけれども、そこのバランスが一番大切かと思いますが、バランス関係でいえば、全く今まで技術革新だったり自由競争という部分をよそに置いておられて、安全性であったりするようなものを優先するがために規制規制ということになっておりますので、バランスという意味からもぜひとも前向きに御検討いただいて、この国の飯の種というか、新しい産業をつくっていこうという話ですので、ぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。  あと一つ、最後に、公正取引委員会の方にもう一回改めてお伺いしたいのですが、レポートの中で、さらなる自由競争を進展させていくためにということで、ぜひとも関係各位、要するに、市場関係する皆さんがこんなふうにしてやっていかなければいけないんだという指針のようなものをつくりたい、つくっていくべきだという提言がなされているわけなんですけれども、これは具体的にはいつまでにどんなふうにして、関係省庁、またその市場に参入しようとする企業方々とともにつくっていこうとしているのか、具体的にいつまでにやろうとしているのか、そんな抱負をぜひともお聞かせいただきたい。  私自身は、このレポート、本当に全部やれば、もちろん安全性、そして雇用、失業のことを考えたバランスの上に立たなければいけませんが、かなり自由競争のもとに日本IT技術というもの、IT戦略というものがどんどん幅が広がっていく、すばらしいできだというふうに思っております。ぜひともリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますので、抱負をいただけたらというふうに思います。いつやるのかです。
  18. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 先生ただいま御指摘のように、規制緩和された後の市場におきます公正な競争ということでは、特にこの分野市場支配的な事業者も存在するわけでございますので、そのような地位が乱用されることによりまして新規参入がまた妨げられては、せっかくの規制緩和というのが効果を発揮しないということになります。  そこで、私どもとしては、関係省庁、それぞれの産業を所管する官庁と協力してルールを策定していきたい。既に、例えば通商産業省との間では、電力やガスについて適正な取引に関します方針を共同で発表しているところでございます。その時期につきましては、この分野規制緩和の実現の状況を見ながら進めさせていただきたいと存じております。
  19. 大谷信盛

    大谷委員 ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。  ちょっと漠とした質問になりますけれども、改めて郵政大臣、このレポートを全部お読みかどうかわかりませんが、こういう規制緩和方向性について、郵政省抱負というものをぜひとも考えていただけたらというふうに思います。ちょっとそこで見解ただけますでしょうか。郵政省自身も、お役所から出ている資料を読みますと、民間活力を引き出すために規制緩和というものの必要性を訴えてございますので、ぜひともしっかりとした抱負をいただきたいというふうに思います。
  20. 平林鴻三

    平林国務大臣 委員がおっしゃいますように、競争政策をとるということが、今日の日進月歩のこのIT世界では政策として有効に働くものだと私も考えております。今日の段階で具体的にどうしますということをまだ申し上げられませんけれども、現在、電気通信審議会でその方面審議をたっぷりとやっていただいておるわけでございますので、その結論が出次第、それを尊重しながら具体化を図ってまいりたいと考えております。
  21. 大谷信盛

    大谷委員 ぜひとも早急に頑張っていただきたいというふうに思います。ただでさえ、五年、十年おくれているという日本IT分野でございますので、しっかりとそこのところは、早急によろしくお願いしたいというふうに思います。  さて、今僕は公正取引委員会役割が今後大きいというふうに訴えてきたわけなんですけれども、実際、来年から省庁が再編されて、じゃ、どこがどうやってしっかりやっていくんだという話になると、僕自身は、やはり内閣府、内閣だというふうに思っております。  そんな中、今経企庁長官堺屋太一さん、勝手に僕は思っているのですけれども、まさにその中に入っていって中心的な役割をしていくというふうに思うのですが、これを進めていく上で、例えば、私の仲間の議員、委員なんかは、情報通信省みたいな新しい役所なりをつくるぐらいのことを考えた方がいいのじゃないか、じゃないと、省庁の縦割りで、まさに公共事業のように予算分捕りだけの話になってしまうのじゃないか。そこを本当に内閣府がまとめられるのか、まとめられないんだったら、新しい省庁ぐらいのことの考えがあるのか、そんな思いと、どうやってこれを実行していくのかというのと、時間を使って質問をさせていただきました規制緩和のこれまたイニシアチブについての思いをぜひお聞かせいただけたらというふうに思います。
  22. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のとおり、IT革命は、日本全体を変えるような、産業革命に匹敵するような重大な革命だと考えております。したがいまして、各省縦割りでは推進できない。仰せのとおりでございますが、このために、政府といたしましては、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、俗にIT戦略本部と呼んでおりますが、これを総理大臣リーダーシップのもとに置きまして、そして全閣僚をそのメンバーにし、また有力な民間人も本部員に入っていただく、こういうような形にいたしまして、この総合調整を内閣のもとにつくっていきたい。特別の役所をつくりましても、必ずどこかにまたひっかかってくるものですから、そういうような、総理大臣のもとに強力な推進本部をつくっていきたいと考えているところでございます。
  23. 大谷信盛

    大谷委員 ぜひとも、強力な上にもう一つ強力なものにしていただいて進めていただくことを心から要望いたします。  あと一つ、少し時間がございますので、もう一度改めて堺屋経企庁長官に御質問させていただきたいのですが、いわゆる中抜き現象、このIT革命が進んでいくと、中間管理職が抜けていく、ある意味リストラじゃないですけれども、失業者がふえていくという負の部分がございます。  最近の長官答弁をお聞きさせていただきますと、フラット社会になるという説明をなさっておるのですが、私、ちょっとまだよくわかりません。ピラミッド型のものが、真ん中が抜けてフラットになっていくというのですけれども、新しい産業ができて、そこに人が、雇用者が渡っていくわけですけれども、橋がなかったら、これは渡っていけない。私は、橋のようなものを、それはセーフティーネットと呼ぶのですが、例えばアメリカのコミュニティーカレッジであったりするような、能力開発を全国民ができるような橋が要るんじゃないかなというふうに思っておりますが、いま一度、ここの負の部分、失業者が出てくるという部分、もしくは能力を改めてみずからが開発しなければいけないという部分に関するセーフティーネットというか対応策というようなもの、お考えあるものをいただけますでしょうか。
  24. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 確かに、インターネットを初めとする情報通信機能が発達いたしますと、係長から課長に上がって、課長から部長に上がって、部長から取締役社長、こういうピラミッド型に上がらないで、係長がインターネットに入れたものがすぐ社長に行く、あるいはAの会社が入れたものが、途中の問屋さんとかそういうのを抜けてすぐ小売屋さんに行く、あるいは消費者に行く、そういう中抜け現象というのが起こってまいります。  そういたしますと、組織というのは、情報の段階によって縦のピラミッドができておりましたから、それがぐっと圧縮されてフラットな社会になっていく、その結果、中間管理職あるいは中間的な業種が抜けていくのじゃないか、こういうことが言われております。  これは、消費者の側から見ますと、それだけ効率がよくなりまして、物価が下がって、多くの選択肢ができるということですが、その中間管理職の人が、その業界あるいはその企業から出ていかなきゃいけない、あるいは他の職場に変わらなきゃいけない、こんなことがございまして、アメリカでも、九〇年代の初期、かなり中間管理職が減少し、その多くの人々が所得の低い方に変わらざるを得ないということがございました。  これに対しまして、日本の今までの企業のやり方は、なるべく自分の企業の中の人を再教育して、そしてその人たちにITを教える、そういう形で活用していくという例が多うございました。今までの、技術が進歩し、パソコンが使われる、電子製品が使われるときに、大抵そういう形になってきた。その意味では、アメリカよりはましでしょうけれども、やはり出てくるのではないか。  したがいまして、政府といたしましても、このIT技術を学べるように、補正予算等でもかなりの、百五十万人程度の人々がITの技能を持って再就職できるような方法も考えておりますし、また、お互いにミスマッチがないように、新しい人材を供給し、探せる、職を探し、人材を探せるような、そういう仕組みもあわせてつくっていきたいと考えております。ITが人材探し、職探しに役立つという一面も重要だと思っております。
  25. 大谷信盛

    大谷委員 ありがとうございました。日本技術発展するための規制緩和、そしてもう一つ、この失業、負の局面を克服していくためにも、内閣府のリーダーシップというものが本当に必要だと私は思っておりますので、ぜひともよろしくお願いしたく思います。  IT基本法ただインターネット普及促進法にならないようにすることを切望するとともに、そのための議論を建設的に進めていきたいということをお誓いし、終わりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  26. 佐藤静雄

    佐藤委員長 山田敏雅君。
  27. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 山田敏雅でございます。  まず、質問に先立ちまして、堺屋長官平沼大臣に一点だけコメントをお願い申し上げます。  今、日本の経済は雇用問題というのが非常に深刻なわけです。四年間で百二十万人という新たな失業者がふえられました。そして今、政府の経済政策産業政策において、その雇用不安というものがなくなるというようなことは非常に感じられないという現状であると思います。  そこで、このIT基本法についてでございますが、私は、十年前のアメリカのとった、失業率がたしか七・五%だったと思うんですが、そのときにやった方法は一つの参考になるのではないかというふうに思います。  先ほど堺屋長官が、百五十万人の新たな職業訓練をするんだというような話がございました。そういう話は過去にもございましたが、なかなか効果的に、そのような雇用問題、雇用の不安にうまく機能していないというふうに思います。  アメリカは、十年前の財政赤字、それから大幅な失業問題のときに何をやったかというと、まず防衛費の半額近いカットをやった。それから減税をやった。その次にやったことが、新しい産業に向けて人間の能力の開発、すなわち、具体的には全米の大学を開放してインキュベーターというのをやったわけですね。現在、千五百カ所から二千カ所ぐらいあると思うんですが、非常にそれがうまく機能した。そして、コンピューターのソフトウエアあるいはインターネット関連のビジネスが多く育っていきました。  我が国においては、そのようなことをまねてつくられたものが三カ所ほどございますが、ほとんど機能していません。これは、我が国独特の制度、すなわち縦割り行政で、大学については文部省がすべての規制を行う、それから通信技術、コンピューターについてはまた別の省庁がやるというようなことがございまして、今、日本ではうまくいっておりません。  その結果、我が国産業政策は過去四年間に二百兆円という財政出動をやったわけですが、百二十万人の新たな失業者がふえた。アメリカにおいては、そのような財政出動がなかったにもかかわらず大幅な雇用の改善が見られたということがございます。  ここで、堺屋長官平沼大臣にひとつコメントをお願いしたいのは、このIT基本法の根本的な精神は、やはり国民の雇用を確保する、それが一番大事なことであって、産業政策をやるのも新産業をつくるのも、国民の雇用、安心して働ける社会をつくるということでありますので、今のような百五十万人の職業訓練をやりますから大丈夫ですというようなことでは全然問題の本質をつかんでいらっしゃらないというふうに思いますが、その点についてコメントをお願いいたします。
  28. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のとおり、九一年から九二年にかけましてアメリカで大変不況の時代がございました。アメリカの複合不況と言われまして、一番高いときには失業率が七・八%ぐらいまで上がったこともございます。  そのときにアメリカが行いました政策一つとしては、今御指摘になりましたような、インキュベーターをたくさんつくって、それによって創業、新しい業を起こす人をつくろうということでございまして、非常に創業者がふえた。これは、その中で成功した者が今日アメリカ経済を支えるというような状態になっております。もともとアメリカは雇用は流動的でございまして、一二、三%創業率があるという社会でございましたから、日本は今日三%台の中ごろ以下でございますが、それとちょっと条件は違うと思いますが、そういう形で新しい産業をどんどんつくらせた、その一つが軍の技術を開放したインターネットであったということも言えるだろうと思います。  日本のこの基本法の場合も、すべての国民が高度情報通信ネットワークに触れられるようにして、そしてその恵沢をあまねく社会に及ぼすということを前提としておりまして、本質的には、すべての人がインターネットに接するようになり、そこから社会全体の恩恵を受けるようなシステムにしよう、これは重々、何度も書いているところでございます。  ただ、先ほど大谷先生からも御質問がありましたように、その段階でやはり産業構造が変わる、あるいは雇用構造が変わる、産業組織が変わる、そういった中で中抜けといいますか、中間管理職の人が新たな職を探さなきゃいけないということが起こってくると思います。  これに対しまして、日本でも新しい産業が起こるように中小企業基本法も改めましたし、職業訓練の面でもいろいろと手を打っておるわけでございますけれども、従来、日本には終身雇用の習慣が非常に強かった、このことが今まだ労働の流動性あるいは新規産業の創業をそれほど活発にしていない、こういう面があると思います。  やはり、規格大量生産の社会から情報化社会に変わるためには、そういった労働慣行から雇用慣行、産業組織、そういったもの全体が変わっていく必要があると考えておりまして、そのすべての面についてそれぞれに手を打っていかなきゃならない、そういうこともこの理念の中に逐条書いているところでございますが、各官庁にも関係がございますので、ぜひともこれは間違いなく実行していかなければいけないと思っております。
  29. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 IT革命というふうに言われておりますけれども、IT革命自体が目的化されているような嫌いがあります。私は、やはりIT革命というのはある意味では手段であって、その手段をいかにうまく活用して今御指摘雇用等を創造していくか、こういうことが必要だと思います。ですから、高速道路をつくっただけでは意味がなくて、そこを走る車の安全性ですとか、あるいはそれを管理する体制ですとか、そういうことが必要です。ですから、そういう中で、やはりだれもが機会均等で、スピードで、しかも安い、そういう基盤をつくることによって新しい雇用も創造していかなければならないと思っています。  今、一つの試算でありますけれども、このIT革命が今言ったような形でしっかりとした基盤整備されますと、五年後を想定しますと、今堺屋長官が御指摘になられましたいわゆる中抜き現象で失われる労働人口が一応百六十三万人あるだろう、こういう統計があります。しかし、新たにそれによって雇用が創造される、そういう面が二百四十九万人と想定されています。したがって、五年後には八十六万人の雇用が新たに創造されるんじゃないか、こういう試算もあるわけであります。  私どもは、やはりそのためにはベンチャー企業の育成、そういったことも必要なものでありますから、今日本の経済の構造を支えているというのは、御存じのように中小企業、零細企業が大宗を占めています。そういったところの方々に力をつけていただく、あるいは新しく業を起こすベンチャーに対してもやはり思い切った保証制度もつくって、そして万々遺漏なきを期していこう。  今、銀行の貸し渋りで、いわゆるその対策として異例、特例の措置として、来年の三月まで三十兆円のそういう保証枠を設けておりましたけれども、来年の三月以降は、この臨時国会でお願いをしようと思っていますけれども、新たに一般保証として五千万円の枠を八千万円にし、また、例えば取引先の銀行に破綻が生じたとか、あるいは天然災害に遭われたとか、そういう事態には保証の枠をその倍の一億六千万円にして、しかも、いわゆる保証をお受けになる側に対して、しゃくし定規な審査の仕方じゃなくて、IT社会にとって非常に大きな貢献をするような、ポッシビリティーを持っているような、そういった方々には前向きに対応していこう、こういうようなことをもろもろ含めて総合的に、今言われました失業の問題あるいは雇用の問題、そういったものに一生懸命に対処していきたい、こういうふうに思っています。
  30. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 私のもとに十月二十四日の日経新聞の記事がございます。公取委員会がNTTを調査するということでございまして、NTT東日本が私的独占に抵触するということでございます。具体的には、民間企業三社が公取に訴えまして、DSL事業の参入業者に対して不当な妨害を行ったということでございます。これはその後十月三十日に事務総長のコメントが出ました。DSLの競争基盤が非常におくれているというような内容でございます。  実際に、今、ラストワンマイル、すなわち交換機から最終消費者までのラストワンマイルの競争原理が正しく機能していない。実際上、NTTがほぼ一〇〇%独占しているわけです。これを自由に競争、新しい参入業者がふえるようにやるというような方向性も出ているわけですが、今回のIT基本法の精神もそうだと思いますが、実際にはこういうふうにありとあらゆる方法を使って、具体的にこれは四つぐらい、こういうやり方でというふうに書いてありますが、いろいろなやり方でもってやられております。  これについて、まず郵政省さんのこの件に関するコメントをお願いいたします。
  31. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 先生の御指摘にありますように、ラストワンマイルと呼ばれる加入者回線網を含めた地域通信分野における実質的な競争促進というのは非常にこれから重要になってこようか、かように思っております。  そして、DSLのお話が出ましたけれども、日本なんかの場合は非常に一戸建ての家が多いものですから、つなげるといってもなかなか難しい部分があります。そしてまた、韓国なんかでは相当進んでいるというお話を聞いておりますけれども、韓国なんかの場合、集合住宅的なところが非常に多いものですから、我が国としてもしっかりとこういう形で進めていきたい、こういうように思っております。  また、競争政策をやるために、もちろん光ファイバーであるとかCATVであるとか、そしてまたDSL、そして今話題になっております電波関係のFWA等の多様なアクセス網の整備促進、及び先生今言われました話の加入者回線のアンバンドル化、また接続ルール整備充実等、諸施策をこれから一層議論していきたい、かように思っております。また、既存の管路であるとかこういうものにつきましても、もちろん郵政省でも議論いたしますけれども、事業者協会様でも議論をしていただいてルールづくりをこれから進めていきたい、こういうふうに思っております。
  32. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 今、日本のおくれていることは二つの点でもう非常に明らかになっているわけですね。一つは、今のラストワンマイルの競争原理が働いていないという点と、もう一つは、中長期的に光ファイバーの高速通信というのが非常に日本はおくれている、それを早急にやっていかなきゃいけない、この二点だと思うのです。  今、光ファイバーを機能的に早く効率よく、そして低コストでやろうと思うと、下水管とか鉄道、電力、道路、河川、こういうような公共的なものを開放していく、すべて自由に使えますといういろいろな法整備をやっていかなきゃいけないのです。これは緊急の課題であると思いますが、いかがでしょうか。
  33. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 建設省の下水関係お話が今出ましたけれども、確かに下水道は、本当にユーザーのところまでつながっているという部分はあると同時に、ただ、非常に技術的に細い管を使っているという部分もありまして、また法的に管の何%を使えるだとか、そしてまた、今光ファイバーを引いておりますけれども、これはあくまでも下水の管理という関係上使っているものですから、これからもそういう意味におきましては建設省と緊密に話をしながら建設省におけるルールづくりも考えていきたい、かように思っております。
  34. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 今、NTT法というのがあるわけですが、現在、一方では、競争導入しましょう、精力的にやりましょう、一方では、NTTだけに公益的不採算サービス、要するにユニバーサルサービスと言われるものですが、これを強要しているという実態があるわけですね。  ですから、今後、競争原理をどんどん導入していってそういう状態ができたときには、NTTに対しても、そのようなNTT法によって数々の規制を設けていくということは、これから将来、国際的な大競争時代に入って電気通信分野が大きくダイナミックに変化していかなきゃならないときに、そのような足かせは非常に我が国の国益にとってもマイナスであると思います。  郵政大臣、御意見、お願いいたします。
  35. 平林鴻三

    平林国務大臣 山田委員がおっしゃいますように、NTTという組織をこれからどのような方に持っていくのかということが、現在私どもの重要な課題になっております。実際にはただいま電気通信審議会においてさようなことを含めて議論をしていただいておりますが、問題意識は委員がおっしゃったとほぼ同じようなことでございますけれども、私どもが問題として考えておることを若干申し上げて御答弁にしたいと思います。  NTTを完全民営化してはどうかという考え方、これにつきましては、今後、地域通信市場における競争が進展して公正競争条件が確保されるということが前提で検討をしなけりゃいかないということであります。  現状を考えてみますと、地域通信市場におけるNTT東西の事実上の独占といいますか、今DSLのお話がございましたけれども、さような問題が現実の状況として存在するように思います。それで、それによって地域通信市場競争が十分に進展しておるとは必ずしも言えないなというのが私どもの持っておる認識でございます。  また、他方で、NTTをいわば特殊会社として扱っておるという趣旨は、ユニバーサルサービスの確保、こういうこととか、あるいは、研究開発の推進をするあるいはそれを普及するという場合において現在NTTが果たしております役割というものをどう考えるかという問題でございます。  簡単に言えば、NTTが完全な民営化になった場合にユニバーサルサービスというものは確保できるのか、確保しようとすれば別にどういう方法があるのかという問題、それから、研究開発の推進につき、あるいは普及についてNTTが果たしております役割を、果たしてどういうふうにこれからかわるものを探していくのか、NTTの力をこれからどういうぐあいに活用していくのか、そういう現実の対応問題があるわけでございます。  したがって、今申し上げたようなことをこれから検討していくということになるわけでございますが、さきに申し上げましたように、本年七月に、電気通信審議会に「IT革命推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」ということを諮問いたしまして、いわば今後の競争政策あり方全般について幅広く御議論をいただく、NTT問題も含むということで御議論をいただいておるところであります。答申がいつ出るか、NTTに関してはまだはっきり伺っておりませんけれども、今鋭意研究をしていただいておる。  それで、日程的には、部会がございまして、部会の取りまとめを十一月の中旬ごろにやってくださるそうであります。それから中間報告として、これはもう審議会で答申としてお決めになったことを十二月の下旬ごろに私どもに渡していただく。それによって、差し当たり急いでやらなきゃいかぬことは次の通常国会で法律案をつくって御相談をさせていただくというようなことを考えております。
  36. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 郵政大臣に二つお願いしたいと思います。  一つは、先ほどから、電気通信審議会議論を待ってとか審議会でやっているから何も言えないとか、審議会大臣の諮問機関でございますので、大臣が政治家として国の行政を行う立場としてこのNTTの完全民営化についてどういう方向がいいのかという意見を持っていらっしゃらないと、審議会も正しく機能しないのではないかというふうに思います。  それからもう一点、先ほどNTTの完全民営化について障害がある、それはユニバーサルサービスについて、要するに公益な部分についてという御意見がございました。それについていいアイデアがないということでございますが、国際大学の公文俊平さんが二〇〇〇年一月十一日付で論文を発表されております。その中に、ユニバーサルサービス料金については、ユニバーサルサービス基金というものをつくって、いわゆる一種の補助金をして、その上で、NTTだけに頼らないで、ユニバーサルサービスもほかの業者もできるというシステムをやれば、今NTT法を廃止して完全民営化する障害になるという一つのアイデアとして非常に有効だと私は思います。  以上でございます。それを私のコメントとさせていただきます。  次に、私は、先週いろいろ選挙民の方にお話をしておりまして、北朝鮮の我が国の外交についてしゃべっておりました。その中である方が、北朝鮮の拉致事件というのは、あれは本当に証拠があるんですか、単なる疑惑で、日本は拉致が起こったのかどうかはっきりしないから、それで北朝鮮や国際世論に対してはっきりしたことを言わないんじゃないかというようなことをお聞きしました。私は本当にびっくりしました。我が国政策は、このような、国民の方があれはどっちだったかはっきりしないというような認識を持っていらっしゃるということで、本当に国家として国家の理念ということが大きく問われているのではないかと私は思います。  外務省の方に少しだけ時間をいただきましてお願いしたいと思います。  アメリカは、イランの人質のときには国連を動かしました。そして、国際司法裁判所に訴えました。そして、日本などの同盟国に対して経済制裁を要請しました。そして最後に、武力による救出作戦を行いました。それから、さきのボスニアで、たった一人の兵士が捕らわれました。その人質を救うために、国軍、それから航空団、海兵隊、NATOの軍隊も入れて大規模な救出作戦を行いました。国家というのはたった一人の国民を救うために全力を挙げてやるんだというその信念がないと、国民の信頼もあるいは国際社会の信頼も得られないのではないかと思います。  そこで、北朝鮮の拉致問題ですが、よく報道されていないのでございますが、辛光洙という事件がございました。これは平成十二年の九月五日に産経新聞で報道されましたが、昭和五十五年の六月に起こった事件です。これは、詳しく言うと時間がございませんが、北朝鮮のスパイが我が国の原敕晁さんという方を拉致して北朝鮮に送った。その辛光洙という人物が韓国で逮捕されました。そして、裁判が行われました。その中で、原敕晁さんに成り済まして行ったいろいろな、パスポートとか、動かぬ証拠が出てまいりました。そして、韓国の裁判所で判決が出ました。死刑ということで、その次に終身刑です。そのような動かしがたい証言、証拠というのは、もう既に北朝鮮が我が国の国民を拉致したという事件についてはあるわけですね。  さらに、富山県で昭和五十三年の八月に起こりました拉致未遂事件では、たくさんの物的証拠が残されました、手錠とか目隠しとか猿ぐつわとか。このようなものがあるにもかかわらず、日本は北朝鮮に対して拉致があるから何とかしてくれ、しかし向こうは拉致なんかなかった、こういうことを繰り返し、しかも五十万トンという人的な救助をはるかに超えた、一千億円をかけて北朝鮮を支援する。そういうようなことがありますと、国民として非常に納得のいかないことがございます。  外務省にお伺いしたいんですが、まず、日本、韓国、アメリカは三国共同してこの北朝鮮の外交問題について当たるという大原則をずっとやってきたわけですが、ここに至って我が国は非常にその中から外れてしまったということです。アメリカは、人質抑留を国際テロ行為と明示している一九七九年の国際人質抑留禁止条約に加入しています。すなわち、人質をとった国に対しては、これは国際テロ行為であるということをアメリカははっきり条約で加盟して宣言しているわけです。その中で我が国はアメリカ及び韓国に対して、拉致事件の解明なしには国交の交渉などあり得ないということを明確に言うべきではないかと思います。  外務省の方、コメントお願いします。
  37. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 お答えいたします。  我が国政府は、米国及び韓国との間では、従来から、極めて緊密かつ頻繁に北朝鮮をめぐる問題につきまして協議をしております。そういう中で、我が国政府より拉致問題についての立場を繰り返し説明し、理解を得ていると思います。  その証左として一つを挙げますと、日米韓三国により共同で練り上げられましたペリー報告にも拉致問題は適切に取り上げられております。また、先般ソウルで開催されました日米韓外相会議及び日米外相会談におきましても、オルブライト国務長官より、今次の同長官の訪朝の際、北朝鮮側に対しまして、同盟国である日本の関心事項は米国にとっても重要な問題である、米側としては、拉致問題は米国が日本にかわって交渉する問題ではないが、この問題は日朝間の問題であるのみならず、米国にとっても重要であるということを北朝鮮に伝えた、そういう説明がありました。  いずれにしましても、アメリカにおきましても、我が国がこの拉致問題、国民の生命にかかわる重大な問題として極めて真剣に取り組んでいるという立場は十分理解をされているものと考えております。
  38. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 二点だけお願いいたします。  一つは、ドイツやイギリス、これから国交を結ぼうという国に対して、我が国が証拠を持って説得するということが大事だと思うのですね。  先ほどの辛光洙の事件では、裁判において拉致をしましたということを本人は認めているわけですから、それによって判決がおりる。そして、昭和六十年に恩赦によって北朝鮮にこの方はもう釈放されたわけですが、そのときの北朝鮮の政府の発表は、この人物を、信念のつわものである、不屈の闘士である、要するに、日本においてスパイ活動を行って拉致を成功させた英雄であるというふうにたたえております。偉業であると大いに称賛された。すなわち、北朝鮮自身日本において拉致問題をやったということをここで認めているわけですね。  第二点に、これ以外に、例えば北朝鮮スパイ船、北朝鮮の港に帰ったわけですが、その証拠を国際的に開示して、私は防衛庁と警察庁、法務省を呼んで話を聞いたのですが、日本の法律によって、例えば刑訴法四十七条、公判が始まる前には証拠を開示できない……
  39. 佐藤静雄

    佐藤委員長 山田君、持ち時間が終了しておりますので、早くやってください。
  40. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 はい、わかりました。  ぜひ、国内法ではなくて、相手は我が国の財産と生命を奪った相手ですので、その法規を超えて、証拠を持って国際司法裁判所に訴え出ていただきたいと思いますが、お答えをお願いします。
  41. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 先ほどもお答えいたしましたが、この問題は我が国国民の生命にかかわる重要な問題であるとの認識を持っておりまして、引き続き、国交正常化交渉その他の日朝間の対話の場で、この問題の解決に向けまして粘り強く取り組んでいく方針でございます。  なお、一言だけ。  国際司法裁判所に提訴すべきだという御提言もございました。北朝鮮は、国際司法裁判所規程に加入はしておりますけれども、この強制管轄権受諾宣言は行っておりません。そうなりますと、先方の合意がなければ付託できないという条約上の関係にあるということだけ御説明をさせていただきます。
  42. 山田敏雅

    ○山田(敏)委員 どうもありがとうございました。     〔佐藤委員長退席、小平委員長着席〕
  43. 小平忠正

    ○小平委員長 中村哲治君。
  44. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 民主党の中村哲治です。  まず、障害者、病人に対する配慮についてお聞きいたします。  いわゆるデジタルデバイドの是正のため、第八条では、身体的な条件による格差の是正について規定しています。  そこで、確認なのですけれども、第十七条や三十四条二項三号の教育及び学習の振興には、当然、障害者や病人に対する訓練や指導というものが含まれると考えているのですけれども、いかがでしょうか。
  45. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のとおり、第八条の情報格差の是正は、十五条以下に規定されている施策の基本方針のそれぞれについて横断的に推進するものとして、基本理念を盛り込んだものでございます。  具体的に申しますと、身障者などに対する格差の是正につきましても、御指摘のとおり、教育及び学習の振興にも含まれておりますが、情報バリアフリー機器の研究開発、視覚障害者に配慮した音声転換ソフトの官庁ホームページの対応等研究開発、コンテンツの充実、行政、公共分野情報化等さまざまな分野にこのバリアフリーの問題は含まれております。  今申し上げましたことは、重点計画の各項目についても同様でございまして、さらに、三十四条の二項七号の規定に基づき、情報格差の是正にかかわる施策を重点的に盛り込むことも可能でございます。
  46. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 次に、重点計画についてお聞きいたします。  基本法の第三条から八条が定める基本理念は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が作成する重点計画によって具体化される、そういうふうに認識しております。そして、具体化された重点計画がこの国を大きく動かしていくと考えておりますけれども、その認識でよろしいのでしょうか。
  47. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まさにそのとおりでございまして、この法律に定めます重点計画は、本法案の基本理念や基本方針にのっとって、高度情報通信ネットワークの形成、人材の育成、電子商取引促進あるいは電子政府、行政の情報化等について、政府が迅速かつ重点的に実施すべき具体的な施策の内容を定めるものでございます。  さらに、重点計画には、原則として、当該施策の具体的な目標あるいはそれを達成する期間等も定めますので、具体的な施策が定められることになっておりますから、政府としては、この重点計画を中心として今後のIT施策を推進していくことになると考えております。
  48. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 御答弁を伺いまして、重点計画は非常に重要である、そういうふうに認識いたしました。  重点計画が、IT社会をつくっていくために本当に重要な役割を果たしている、そういうふうに考えるのであれば、その作成の過程に、今この法律では国会の関与がありませんけれども、国会の審議や承認というものがこの法律には欠けていると思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  49. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 重点計画でございますが、政府の最高責任者でございます内閣総理大臣を本部長として、各行政事務を担当いたします所管の閣僚と、高度の情報通信ネットワーク社会の形成にすぐれた見識を持っている民間人等から成る高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が、責任を持って行うことになっております。  もちろん、この重点計画の中で、法律事項、法律を改正するとか作成するとかあるいは予算という面では、国会の御審議をいただきまして承認することが必要になっておりますので、当然、その段階で、予算あるいは法令の審議の形で国会の審議をいただくことになります。
  50. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 それでは、基本法は附則で来年の一月六日を施行期日としておりますけれども、IT戦略本部は施行後どれぐらいの期間で重点計画を策定すると考えたらよろしいのでしょうか。
  51. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 重点計画は、本法案の定めます基本理念、基本方針にのっとって、高度情報通信ネットワークの形成、人材の育成、電子商取引促進あるいは電子政府、行政の情報化等、政府が迅速かつ重点的に実施する具体的な政策を定めたものでございます。  したがいまして、その策定の期日については、この法律が施行されます来年一月六日に設置される高度情報通信ネットワーク社会推進本部において決定されることになっております。この法律の趣旨にかんがみますれば、これはできるだけ早くとしか申し上げられません。何月何日ということは今の段階では申し上げられませんが、この法律の趣旨に従ってできるだけ迅速に行うということになります。
  52. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 大臣、三十四条六項は重点計画の変更を想定しています。私は、この重点計画はどれぐらいの期間で見直されるのか、そういうふうなことも念頭に置いてこの法律はつくられていると思います。だから、先ほどお聞きしました重点計画の作成ができるだけ迅速に、早くという答弁では、国民側としては、どれぐらいのタームでのことを考えているのかなかなか伝わってこないと思います。  大臣の個人的なお考えで結構ですから、どれぐらいの期間でなされるべきものか、一カ月なのか二カ月なのか三カ月なのか、そのあたりのことをお答えいただければ幸いです。
  53. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 何しろ、IT技術というのはドッグイヤーと言われるぐらい回転が速いものでございますから、そうそう長くかかっているわけにはいかないだろうと思います。恐らく、これが一月六日に発足いたしますと、二、三カ月とか数カ月の間には考えなきゃいけないだろうと思いますし、またその時々に応じて変更ということも考えていきますと、かなり早い段階で概要、重点計画はお示ししなければならない。  これから新しい組織をつくるわけですから決定的なことは申せませんけれども、私の個人的な考えでいいますと、三カ月ぐらいのうちには定めなきゃいけないのではないかと思っております。
  54. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 重点計画で定める施策については、三十四条三項、五項により、その具体的な目標の達成状況を適時に公表しなければならない旨の規定があります。この適時にとはどれくらいの期間を想定しているのでしょうか。
  55. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 これも今の段階で何カ月に一回と明確に言うことはできませんが、当該施策の具体的な目標値を定めて、その達成期間を置きます。したがいまして、その目標の達成状況を調査いたしまして適時発表するということになっておりまして、私の感じとしては、それぞれの項目というのじゃなしに、全体のどこかという意味でございますと、やはり年に数回は、こういうぐあいになった、こういうぐあいになったというような発表をさせていただくのが適切だと思っております。
  56. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 かなり具体的なイメージがわいてきましたけれども、IT戦略本部会合自体は何日に一遍ぐらい開かれるというふうなイメージを持てばよろしいでしょうか。
  57. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 正式な本部会合ということになりますと、本部長が総理大臣でございますから、総理大臣の出席というようになりますと、多いときには月に二回、あるいは月に一回ということになるでしょうが、もう少し、しょっちゅう会うという意味では、IT担当大臣を中心といたしまして、少なくとも二週間に一回、普通は月に三回ぐらいの会合は開かれる。もちろん、事務レベル、そういうのは毎日のように行われる。  特に、委員指摘のこの重点政策を決定するような時期でございますと、かなり頻繁に行われなければならない。そのときによって違うでしょうけれども、かなり頻繁に行われるというような形になろうかと思います。
  58. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 次に、いわゆる電子政府についてお聞きいたします。  第十九条「行政の情報化」、第二十条「公共分野における情報通信技術の活用」に共通する必要な措置として、情報の集積体であるいわゆるサーバーをどこに置くのかということがセキュリティー上非常に重要だと考えます。なぜならば、地震等の物理的な破壊、そしてサイバーテロなどの電子的な破壊というようなサーバーの破壊をやはり想定していく必要があると考えるからです。  特に危惧しておるのが、今、日本インターネットは東京に集中しております。この東京への一極集中に関して、もし危機管理を考えるのであれば、それに対する備えをしておかなければなりません。  私は、三十四条二項五号の、重点計画で定める場合には、メーンのサーバーが破壊された場合に備えて、常にメーンのサーバーのバックアップをとっているサーバーをメーンのサーバーが置かれている場所と物理的に離れたところに設置すべきだと考えておるのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  59. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この点も委員指摘のとおりでございまして、政府といたしましては、安全で信頼できるネットワーク社会の基盤をつくるために、官民一体となってこのセキュリティーの問題を考えなければならないと思っています。  その一つはハッカー対策でございますが、もう一つは、今御指摘になりましたような物理的な地震あるいはテロ行為、そういったものに対する対応でございます。  現在のところ、これも委員指摘のとおりでございまして、東京の大手町あたりにかなり集中しているということがございます。それで、その安全を確保するために、できるだけ迂回路をつくり、分散をするというようなことも政府として考えているところでございまして、この七月に全省庁でセキュリティー水準を向上させるための「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」というのを作成したところでございますが、それでは、情報システムの設置場所あるいは物理的な対策についても具体的な項目を定めるべきことを示しております。  各省庁のガイドラインを踏まえて、年内を目途に、災害、不正アクセスの脅威から政府の情報システムを防御するためのセキュリティーポリシーの策定に取り組んでいるところと承知しております。  なお、重点計画には、高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保に関しまして、政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策に盛り込むこととされておりまして、具体的には、御指摘の点も踏まえまして、新たに設置される戦略本部で検討していきたいと思っております。
  60. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 では、物理的な、離れた場所でのバックアップというのは検討されると考えてよろしいのでしょうか。
  61. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 検討しております。
  62. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 それでは次に、情報化と家計への影響についてお聞きいたします。  携帯電話の普及によって、国民の消費傾向が変化していると言われています。この数年で家計に占める情報通信費の割合はどんどんふえてきているのではないかというのが、私がいろいろな人とお話ししたときの感触であります。一九九四年と一九九九年を比べた場合、これは五年間でという意味ですけれども、家計に占める情報通信費の割合はどのように変化したのでしょうか。
  63. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 総務庁の家計調査というのがございますが、これで見ますと、情報関連支出の増加に伴い、情報関連支出の消費全体に占める割合は、一九九四年に二・二%でございましたが、九九年には三・三%に上昇しております。特にその中で、電話通信料金というのだけ見ますと、一・六%から二・三%に上昇しているということでございます。この情報関連支出には、電話通信料、それから通信機器、パソコン、ワープロ、放送受信料、そんなものが含まれております。
  64. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 私は、IT革命推進が、皮肉にも家計を圧迫するような状況になってきているのではないかと思えてなりません。教育費とともに、娘の携帯電話代を見るために私はパートに出なくてはいけないのです、どうにかしてくださいと、この間も言われました。  個人消費はもはや経済の六割を占めています。経済全体に与える影響を考えると、やはり家計に占める情報通信費の割合がふえると、他の産業分野の消費を減らすことにならないかと危惧するのですけれども、その点に対して御所見をお伺いしたいのです。
  65. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 それは確かにそういうところがございまして、IT化が進展いたしますと、家計の情報関連支出の割合がふえまして、家計は、利便性が増しますけれども、それだけほかのものが減らされるというような傾向は確かにあるようでございます。  よく言われるのは、少年、特に高校、大学生向けの漫画雑誌とか、あるいはファッション雑誌とか、ファッションとか、そういったものが最近どうも売れ行きがよくない。その原因はお小遣いが携帯電話に食われているからだというようなことも言われております。  九九年度で見ますと、全体の実質設備投資の中で、IT関係の設備投資が大変プラスに寄与しておりまして、また、名目消費支出全体がやや減少している。物価がちょっと下がっておりますから、名目消費支出は減少しておりますが、IT関係は下支えになっているというか、減っていないというような面がございます。だから、ITがはやってきたことで伸びている面と、やはりそれに食われて抑えられている面とが両方ある。  これは、どの比率であるかというのはちょっと難しいのでございまして、今ちょうど先ほど申しました高校、大学生の人数が減っておるというようなこともございまして、必ずしもITが伸びたからほかが減ったとは限らずに、人数が減った影響もございますれば、所得、収入、物価の影響もありますが、やはり二・二%から三・三%に情報関係の支出がふえている分、ほかで減っているのは大なり小なりあるだろうと思われております。
  66. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 やはり重点計画を定める場合には、世界最高水準の高度情報通信ネットワーク形成の促進のためにも、家計に占める情報通信費の割合を配慮する必要があると考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  67. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 情報化社会がどんどん発展いたしますと、全体としてやはり情報通信にかかわる費用、家計も企業も含めてその費用は大なり小なりふえると思うのです。けれども、その反面で、今まで交通費を使って行っていたところが行かなくて済むようになる。あるいは、物価の安いものを探せるようになる。それによって、流通コストが下がって、より生産性が向上して、人々の買い求めるものの実質的な量がふえる。そういうことが起こってきて、全体としては利便性が高まると思います。  この情報のコストをいかに下げていくか。これは日本にとって大変重要な問題なんですが、それはどんどんとやはり情報の利用量がふえることによって値段も下がる。だから、総量としての情報に支払われるお金は、費用はやはりふえるでしょう、だけれども、それによって得られる効果、それから利便性と楽しみに比べると、単価はずっと下がっていく。そういうような条件を、競争社会、IT分野での競争を激しくする、そして、それを利用した生産、流通を合理化する、そういった面で、全体として家計にも役立つようにしていかなければならない、こう思っております。
  68. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 重点計画に配慮していただけるということを確認して、次に参ります。  大谷委員、山田委員もお聞きいたしましたけれども、雇用への影響についてお聞きいたします。  IT革命の進展は、流通業で卸を不要にして、また中間管理職の存在を不要にする、いわゆる中抜きの現象を引き起こすと言われているのは、先ほどお話があったとおりです。IT革命が起こって失業者がふえてしまうというのでは、五条で言う「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現」は実現できないということになってしまうというふうに考えています。アメリカでも、四条や六条で言うような就業機会の増大はあったけれども、それはいわゆるチープジョブと言われる賃金の安い就業機会の増大であったのではないかと言われています。  私は、この五条に言う「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現」を本当に実現させるためにも、基本法の中に「雇用の創出・増大」というふうな文字を明確に入れていく必要があると思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
  69. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、雇用は極めて大事なことでございますし、先ほど大谷委員からも御指摘がございましたように、中抜け現象というのも起こる可能性もありますし、現にアメリカで起こったこともございます。また、九二年から九三年に、アメリカで雇用がようやくふえ出す、一時ジョブレスリカバリーと言われる時代があって、タイムラグがあったのですが、ようやく雇用がふえ出したときにも、おっしゃるように、チープレーバーといいますか、今までの中間管理職がどちらかというとブルーカラーに近い方の職場に就職せざるを得ない、職業、収入の二極分化が起こるというようなこともございました。  しかし、最近になりますと、IT革命がアメリカ社会全体に浸透してまいりまして、その結果、生産性も向上し、失業率もどんどん下がりまして、底辺の賃金もかなり上昇する、それに伴いまして中間職の賃金も上がっていくというような現象が見られています。  よく言われることですが、知られた例といたしましては、電話交換手と自動交換機、電話の自動交換機ができたときに電話交換手という職業が減りましたけれども、電話が利用されることによってはるかに多くの職種が生まれて、それで雇用も盛んになり、産業も豊かになり、そして多くの人々の生活がよくなったということがしばしば指摘されておりますが、まさにこのITも、一時的にはそういう問題がございます。  これに対しては、政府といたしましても、ミスマッチを解消するとか新しい技能を教育するとかいうような対策が必要でございますが、大きな流れとして見れば、これが新しい雇用を生み出し、新しい産業、創業を築きまして、より豊かであまねく恵沢が与えられるような、そんな社会になるものだと確信しております。
  70. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 私は、そのような意気込みを示されるのであればこそ、基本法の中に「雇用の増大・創出」という文字が明確に書かれる必要があるとお聞きしているのですけれども、いかがでしょうか。
  71. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この法案の中には、すべての国民があまねく恵沢を享受できるというように示しておりまして、そのあまねく受ける恵沢の中には、もちろん雇用の問題、そういう豊かさの問題も入っておりますから、あえてここで雇用だけを抽出して一条を立てるよりも、こういった書き方の方が適切ではないかという気がしております。
  72. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 最後に、技術者の養成についてお聞きいたします。  十七条で、「専門的な知識又は技術を有する創造的な人材を育成するために必要な措置が講じられなければならない。」と規定してありますけれども、現場で活躍している技術者の人たちというのは、文系の人たちが意外に多いというふうにお聞きします。変化の早い通信業界のことですから、今はもう学校で学ぶことではついていけない状態に入っているというふうにお聞きしています。この点に対して、個人の自助努力に任せている現状をいかに変えていくのか、その点についてお聞きしたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  73. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先ほどの雇用の件につきましては、基本理念の四条及び六条に明確に雇用の増大についても書いております。  また、今御質問のありました個人の生活といいますか職業といいますか、こういったものも、どのように変わるか、まだ議論のあるところでございますけれども、私は、規格大量生産の時代の終身雇用であったころから、より多くの情報を得て、より楽しみをともにする、好みをともにするような人々とのつながりが深くなっていくような、そういった社会が生まれてくるのじゃないか。そういう意味で、個人の生活あるいは人生観そのものが大きく変わってくるような気がしております。
  74. 中村哲治

    ○中村(哲)委員 ありがとうございました。
  75. 小平忠正

    ○小平委員長 田並胤明君
  76. 田並胤明

    ○田並委員 今、我が党の中村議員が堺屋長官質問をしましたけれども、例の雇用の増大という面について、第四条と第六条ですか、そこに、就業の機会の増大という、これが書いてあることによって、堺屋長官の方は、これでいいんだ、こういう説明でしたけれども、そうじゃなくて、先ほど中村委員が言ったのは、就業の機会の増大じゃなくて、雇用の拡大、増大を明確にここに文章化するべきじゃないか、こういう意味で言ったので、その辺取り違いをしてもらいたくない、こういうことで、まず申し上げておきたいと思います。  それから、時間の関係がありますので、特に、このIT基本法の中で、私どもが読ませていただいて、若干欠けている部分があるのではないだろうかという点について、幾つか申し上げたいと思うのです。  それは、IT革命が進展をすることによって、日本の民主主義がそれに伴ってさらに徹底をされる、そういう視点をまず一つは持つべきだということが第一点です。  それともう一つは、今の雇用の問題、働く人たちの立場からして、単に、失業者がふえる、新しいITに関連をする雇用がふえる、そのことによってプラス・マイナスでプラスになる、そういう視点だけではなくて、雇用形態が変わりますから、恐らく非正規社員というのが減って、例えば、スモールオフィスだとかホームオフィスだとか、あるいは非正規社員であるパートタイマーだとか、こういうのが増大をして結果的に雇用者の数がふえたという形だけはできるかもしれませんが、非正規社員との間の賃金あるいはその他の労働条件、あるいは年金や医療、そういった面についての差が当然出てくるんじゃないだろうか、こういう気がしますので、その辺の視点を明確にする必要があるのじゃないだろうかということが二つ目です。  それから三つ目は、国内的な情報通信のセキュリティーの問題はこの基本法の中にも出ておりますが、例えば、国際的なサイバーテロに対しての国際的な安全保障といいましょうか、この辺の国際協調の視点というのがこの中にあるのだろうかどうだろうか、こういう面についてお尋ねをしたいと思っております。  第一点目の情報公開の問題ですが、先ほど申し上げましたように、IT革命がどんどん進むことによって高度情報通信社会が実現をする。当然、納税者である国民の皆さんが行政情報をさらに知る、こういうことができないと、せっかくIT革命が進んでも、納税者である国民の皆さんにとって果たしてどうなんだろうか。  要するに、例えばアメリカなんかの場合は、納税者がそのお金を投入したところに対しての知る権利というのは当然あるんだ、こういうことで明らかにして、かなり数多くの、それこそ至れり尽くせりの情報が公開をされておりますし、それにIT革命がうまくマッチをして、まさに国民が知る権利がきちっと保障されている、こういう状態がつくられているというふうに思うのです。  これらについて、堺屋長官は大変知識が豊富でありますから、来年の四月から我が国でも行政情報の公開法が施行になりますけれども、この中には、残念ながら、国民の知る権利というのが保障されていないのですよ。文章化されていないのです。法文化されていないのです。これは、この行政情報の公開法を審議する際にも、かなり野党の人たちが国民の知る権利というものをきちっと入れるべきだ、こういうことを強く主張したようですが、残念ながら、附帯決議の中でそれがうたわれているだけであって、そういうことは今後の検討課題だと。  日本の場合には、IT革命推進とあわせて、国民の知る権利である情報公開制度、それから行政評価の制度、これが進展をしていかないと、本当に国民のためのIT革命なんだろうか、こういう感じがいたします。ぜひ、その辺について、このIT革命情報公開、そして行政評価制度、これらが両々相まって進展をするような方向に行かないと、本当の意味IT革命の成功というのはないんじゃないだろうか。そのことが触れられておりませんので、この辺について基本的な立場をお聞かせ願いたい。
  77. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 情報公開は大変重要なことでございますし、特に政府にとりまして、説明責任と申しましょうか、アカウンタビリティーというのは、今非常に大事なことになってきていると思います。  委員指摘のように、今後、来年四月には情報公開法が施行されることになっておりますし、また、行政情報の電子的提供につきましても積極的に取り組み、より開かれた行政を一層実現していきたい。特に、インターネットなどで行政のあらゆる面をできるだけ示していきたいと考えております。  この法案でも、十九条において、「行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、」この「透明性」というところで情報公開をうたっておるわけですが、「国及び地方公共団体の事務におけるインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用の拡大等行政の情報化を積極的に推進するために必要な措置が講じられなければならない。」こう申しております。この中の「透明性」というのは、まさに委員がおっしゃるように、できるだけ公開しろという意味でございます。
  78. 田並胤明

    ○田並委員 確かに十九条にはそう書いてあるんですが、そうならば、当然、この行政情報の公開について、新しい法律について、国民の知る権利というのを明確に法律の中に打ち出さなくちゃいけないと思うんですよ。だから、本当に、透明性を高めるということと国民の知る権利というのが何か矛盾しちゃっているような感じなんです。  ですから、私が言いたいのは、IT革命推進、非常に結構です。そのことによって日本の民主主義がさらに深まる。その前提として、情報公開制度の中の国民の知る権利というものをきちっと法律として明文化をするべきだし、さらにもう一つ、先ほど申し上げましたように、ついせんだって国の方でバランスシートを出したようですが、もっと明確に国の投資したものあるいは地方が投資したものが、どのように国民のために利益としてつながっているのか、いわゆる行政評価制度というものももっと真剣に、国としてはIT革命と並行して進める必要がある。このことをより明確に基本法の中にすべきではないかというのが私の趣旨でございます。  特にけさの、これはある新聞を見てびっくりしたのですが、アメリカで機密漏えい禁止強化法案を大統領が拒否をした、拒否権を発動した。この中で、「報道の自由が民主主義社会の根幹をなすことを忘れてはならない」、このようにクリントン大統領が強調して、報道の自由を守る意味で、「機密情報の違法な漏えいは国家の安全に害を及ぼす。」アメリカではかなり機密情報は漏れている、しかしながら「民主主義が機能するために必要な情報を市民が得る権利を擁護することも、大統領の責任だ」と言って、この中身について、法案が国家の安全の保障と国民の知る権利の保障の適正なバランスをとったものではないということで、拒否権を発動しているわけですよ。  これは、完全な国民の知る権利を重視した大統領の拒否権発動と比較をすると、日本の行政情報公開法というのは、余りにも国民の知る権利を残念ながらおろそかにしている。そういう中でのIT革命推進というのは、果たして本当に国民のためになる法律なんだろうかどうだろうか、こういう疑念があるということでございます。
  79. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 外国と比較した場合どうかというのは、いろいろ比べ方あるいは人によってとり方も違うわけでございますけれども、本案におきまして、政府は中央省庁の改革とあわせて行政の効率化、透明化の一層の向上などを目的といたしました政策評価制度導入しております。この制度において、評価過程を含め、可能な限り具体的な評価内容を公表していこうということにしております。  御指摘のとおり、このような政策評価制度導入と着実な実施は、IT革命推進と相まって行政の効率的な運用あるいは透明性を一段と高めるものと思っております。この基本法にも十九条におきまして、行政運営の簡素化、効率化及び透明化の向上に資するためということで、国、地方でインターネットを利用して通信ネットワークに情報をできるだけ出さなければならない、そういうことを明記しております。  したがって、このITが進行いたしますれば、どこでもだれでもより多く政府情報に接することができ、また評価も見ることができる。さらに、パブリックコメントなどの制度も非常に今拡大しておりまして、多くの人々からインターネット等を通じて政府に意見もいただく。透明性、しかもインタラクティブに、両方からの透明性ということを発揮していきたい。この法律に書いてある以上にさらに努力していくことが常に必要だと思います。
  80. 田並胤明

    ○田並委員 これだけの問題でやるわけにいきませんから、私の方で考え方を申し上げます。  IT担当大臣でございますから、ぜひ今の答弁をしっかりとひとつ実現をするように、この文章の中で、第十九条の「透明性の向上に資するため、」というのではなくて、国民の知る権利をさらに拡大するためぐらいに本来はすべきだと思うのです。これはあくまでも意見ですから、そういうことを申し上げて、IT革命推進とあわせて、先ほど言った行政情報の公開、さらに行政評価制度の拡充、これに向けてより一層の努力をしていただきたい、このように申し上げます。  それから、続いて二つ目の問題としては、先ほど来、雇用の問題が出ております。IT革命が進んでまいりますと、先ほど申し上げたように、企業としては、IT投資の効果を高めるためには、当然、組織の構造あるいは人事構造、人事制度、こういうものを変えてくるのは当たり前だと思うんですよ。ですから、ITが進展をしたことによって雇用がそのまま増大をするかどうかというのはまだ甚だ疑問でありますが、長官が言われるように、失業する人と雇用が拡大をする分とを差し引きすると雇用が増大をするという、その言葉を仮に信じたとしても、雇用形態が変わると思うんですよ。恐らく、先ほど言ったように、スモールオフィスだとかホームオフィスだとか、あるいはパートだとか、いろいろな就業形態に変わっていくのではないか。いわゆる正規社員がだんだん少なくなって、非正規社員というのが多くなるのではないだろうか。  それは、本人の希望があるいはあるかもしれません。本人の希望として、そういう雇用の形態でもいいよということになるかもしれませんが、一般的には、やはり非正規社員と正規社員との間では、現在の雇用条件からすると、現在はかなり格段の差が出てきていますね。それが、そのままIT革命が進んで、企業IT革命をどんどんする、そのことによって、雇用の形態まで変わる。変わったのはいいんだけれども、やはり非正規社員と正規社員との間では相当の格差が出るということになりますと、これはゆゆしき問題でありますから、当然、賃金面でも、あるいは従来正規社員であった当時に受けておった、例えば年金制度、医療制度、これらについてもきちっと保障する必要があるのではないだろうか、そういう仕組みにしなくちゃいけないのではないか。労働法だとか何か、必要な法律の改正もそのようにする必要があるのではないだろうか。  あるいは、もう一つは、自己都合によらず会社の都合で退職をしてしまった。しかし、そういう場面にぶつかるのは、まだ四十代、五十代の人が多いわけですから、そういう人たちが新しい産業に適応するような職業能力の開発の教育を受ける際に、雇用保険だけではとても、仮に住宅ローンをやっておったりなんだりで非常に、雇用保険だけでは生活もできない。しかも、新しい教育訓練を受けるのにも、どうも困難だ。こういった場合の措置というものも、当然法律の改正によってする必要があるのではないか。あるいは、行政指導によってやる必要があるのではないだろうか、財政的な支援もしなくちゃいけないのではないだろうか、このように思うんですが、その辺の仕組みをどういうふうにこの法律の中では考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
  81. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のとおり、IT革命の進捗によりまして、経済構造あるいは雇用形態が変化してまいります。正規社員が少なくなり非正規社員が多くなるという予想もされますし、また、非正規社員になった場合に、賃金、年金、医療など、正規社員との格差が出るんじゃないか、それは、現在のところはかなりのところであるというのも事実でございます。  しかし、経済、雇用の構造が変化し、価値観が多様化してくるという現実を見ますと、パートタイム労働の多様な働き方を選択する者が増加しているのも事実でございまして、若い人の中には、あえて特定のところに縛られないでフリーターでいる方がいいとか、あるいは自分の適性を求めてかわるという人もたくさんございます。IT革命により経済構造が変化すれば、こういったことも進むだろうと思います。  そうした中で、労働者がその価値観あるいはライフスタイルに応じて多様でかつ柔軟な働き方を選択できるために、働きように応じた適正な措置あるいは労働条件を保障していくことが大変重要になってくるだろうと思います。特に、賃金、年金あるいは医療等につきましては、ポータビリティーを高めて、損得がないようにしなきゃならないという感じが重要だと思っております。私事にわたって恐縮でございますけれども、私のようにちょっとだけ公務員をするとえらい損になるようでございまして、この間もそれを伺って愕然としておったのでございます。  非正規社員が多くを占めるパート労働については、パートタイム労働法において、事業主には、通常の労働者との均衡を考慮して、パートタイム労働者の適切な労働条件の確保を図る必要な措置を講じるというようなことも定められておりまして、そういう面で、健康保険あるいは厚生年金保険等におきましても、従来からの、正規職員であるか否かにかかわらず、当該就業者の労働日数あるいは労働時間等を総合的に勘案して、常用者と常用的被用者との関係を適切に調整していこうというような努力はしております。  まだ完全にしていないというところは御指摘のとおりで、政府といたしましても、できるだけこれは確実にやっていきたいと考えております。
  82. 田並胤明

    ○田並委員 その最後の言葉を信じますので、ぜひひとつ間違いのないようにお願いをしたいと思います。  それで、ことしも、残念ながら、昨年に続いて中高年の人を中心にして自殺者の数が三万人を超えた。確かに、私たちが論議をしているその瞬間瞬間にも、中高年の人はかなり今厳しい雇用環境、経済構造の変化だとか社会構造の変化についていけなくて、命を落とす人が残念ながら出ているようです。  したがって、IT革命推進に伴って、長官が先ほどから言っているように、国民全部の人が豊かな生活ができるような、そういうものに向かって突き進んでいくんだと言う以上は、ぜひその辺の状況も判断をしながら、適切な雇用対策、それこそ、雇用の拡大あるいは失業者に対する手厚い保護と新しい産業対応できる職業能力開発訓練が充実されるようにひとつ配慮を願いたい、このようにお願いをする次第です。  長官にもう一つお聞きをしたいんですが、時間が大分経過をしてしまって、例のサイバー安全保障という関係なんです。これは、先ほど質問が中村さんの方からありましたので、簡単で結構です。  例えば、これもある新聞記事を読みましてびっくりしたんですが、アメリカの前国防副長官のジョン・ハムレさんという方が一九九七年の春就任をして、そこで、まずインターネットを使ってアメリカの国内の各都市の電力供給システムを壊せるかどうか、これをインターネットを使ってやった。その結果、その半数が壊せた、壊せたというより、まあ実際には壊したわけじゃなくて、壊せることがわかった。それともう一つは、アメリカの国防総省のコンピューターへ侵入をしようとした、そうしたら侵入口を見つけた、こういう報道が出ておりました。  既にアメリカでは、九〇年から九一年、オランダからハッカーがアメリカの国防総省のシステムへ侵入して軍事データをコピーしたとか、あるいは不正な銀行資金の移動が行われたとか、米軍のネットワークへの侵入事件があったとか、日本でも政府機関のホームページの書きかえ事件が最近あった、このように報道されているわけですが、これは大変ゆゆしい問題だと思うんですね。  一般論として、アメリカや日本、その他の国をサイバー攻撃しようとしてプログラムづくりを始めている国がある、こういう報道までされているわけです。万が一電力供給システムが壊されますと、当然、医療だとか警察、消防、救急などの分野に大変大きな影響が出てくるのは必至であります。  そういう意味で、国内のセキュリティーだけじゃなくて、IT革命がどんどん世界的に広がっているわけですから、そういう中でこういう事件が発生をしないような国際的な安全保障の枠組みというのを、軍事の安全保障じゃなくて、まさに高度情報通信社会が世界じゅうに広がるわけですから、それに対してのセキュリティーの安全保障というものを国際的な協調で行っていく必要があるのではないか。その視点がこの基本法の中では見当たりませんので、その辺をどう考えているのかということをお聞きしたいということです。  これは、時間がなくなっちゃって済みませんが、郵政大臣にせっかく来ていただいているので、郵政大臣の方に。
  83. 平林鴻三

    平林国務大臣 田並委員のいわば国民生活基本を押さえた御議論を拝聴しておりまして、今のセキュリティーの問題、サイバーテロの問題、かようなことにつきましても、私は同じような危惧を持っております。  この問題につきましては、既に犯罪の取り締まりという観点から、サイバーテロの防止とか情報のセキュリティーの問題を取り上げて法制化する。一部法制化されておるわけでございますが、今後の進展いかんによりましてさらに有効な法的な方法を見出さなければならないかもしれぬ、そう思っております。今後、十分に政府において議論すべきであろう、さように私も考えております。  郵政省といたしましても、さような観点から、この制度なりあるいは法制の運用に誤りなきを期してまいりたい、そのように考えております。
  84. 田並胤明

    ○田並委員 IT担当大臣に最後に聞きますけれども、二十三条の中で「国際的な協調及び貢献」というのがあるんですよ。この「国際的な協調及び貢献」の中に、本来、今言ったサイバー安保的なものを、国際協調的なものを含むべきではないか、このように思うんです。  最後にひとつ大臣の御答弁を聞いて終わりたいと思います。
  85. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 さきの九州・沖縄サミットにおきましても、IT憲章を定めまして、ITの利益を全世界に広めるというので、G8の作業部会を設立いたしました。日本はもちろんこの作業部会にも積極的に参加しておりまして、また、日本自身のイニシアチブで国際的なデジタルデバイドの解消にも努めております。  この国際憲章の中にも、御指摘のセキュリティーの問題、これは非常に重要な問題として取り上げられておりまして、それにも種類も、今御指摘のようなテロ的な行為、スパイ的な行為、それからもう一つ、個人情報のようなものを流されるという行為、こういうものも含めて国際的に守っていかなきゃいけない、これは九州・沖縄サミットで決められましたIT憲章の中でも強くうたわれているところでございます。  現実問題といたしましては、なかなかとめる方と侵す方とがイタチごっこのようなところがございますが、これは全世界、全人類の問題としてぜひ取り上げていき、その種の犯罪をなくさなきゃならないと真剣に考えているところでございます。
  86. 田並胤明

    ○田並委員 以上で終わりますが、特に、どうも高度情報通信社会システムというのが世界的にできると、今度は武器による紛争じゃなくて、ハッカーだとかそういう情報通信をどんどん侵害してくる、そういうことでの危機というのが大変高まるんじゃないだろうかというふうに思うんですね。そういう意味で、今長官が言われたそのことをぜひ基本法の精神としてやはりしっかりと置いておかなくちゃいけないんじゃないだろうか、こういうふうに思いますので、その辺も十分配慮してこの基本法の制定については考えてほしい、このように考えます。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  87. 小平忠正

    ○小平委員長 達増拓也君。
  88. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  自由党は、ITというものは日本一新のための決定的に重要な決め手、日本の自己改革、経済、社会、政治、行政の抜本的な改革のための決め手として非常に重要であると考えております。  今、日本じゅうの志ある企業経営者、しっかりした会社は、今のままのやり方ではだめだ、自分たちのやり方を根本的に改めて、世界の中で競争して勝ち抜いていかなければならないということで、ITをどんどん導入しているわけでありますが、その場合、ただパソコンを買えばいいとか社内にネットワークを張ればいいとかいう考えではなく、それに合わせた経営の刷新、経営手法の抜本的な改革も必要、IT導入あるいはIT化のための基本戦略を各企業必死に練っている、そういうところだと思います。  このIT基本法というのは、日本という国、例えれば日本株式会社と言ってもいいでしょうが、その日本が、この十年非常にだらしがなかった、これを抜本的に改め変えていくために、IT導入し、みずからを大きく変えていかなければならない、そういう危機意識の上に立ったものでなければ効果的ではないと思うわけであります。  ところが、このIT基本法の中を読んでみますと、まずこの第一条の目的のところ、「世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、」云々かんぬん。今世界じゅうですごいことが起こっているから、とりあえずそれに合わせなきゃならない、それに追いつかなきゃならないという非常に表面的な目的と読めるわけであります。第二条ではその目標とする高度情報通信ネットワーク社会について定義がされておりますけれども、これも非常にあいまいで、これで一体日本がどう変わっていくのかということがなかなか見えてこない。  改めて全体をざっと見ますと、これは、ITについてよくわからない個人や商店にパソコンやネットワークを売り込む企画書といいますか、宣伝、パンフレットのような感じでありまして、今世の中ですごいITITと大変なことになってきている、ついてはおたくの会社もITを早く導入しないとだめですよ。IT導入すればこんなふうにいいことがいっぱいあるし、こういうこともできる、ああいうこともできる。電子商取引もできる、行政の情報化もできる。本当に、見れば見るほどそういう売り込みのための非常に軽い宣伝、パンフレットにすぎない、IT基本法の名に値しないと思われるわけであります。確かに、こういう宣伝、啓蒙活動を国民に向かって政府としてやることは大変結構だとは思いますけれども、基本法という名前で立法府が法律とするにはおよそ値しない内容だと思うのですね。  私は、初めから堺屋長官がこれを担当してずっとやっていらっしゃれば、もっと違う内容になったのではないか。ことしの経済白書はITをテーマに取り上げておりまして、その中では、今の日本企業の経営のやり方、あるいは教育のやり方、日本の教育のあり方について、政府の文書ですからはっきりだめだ、だめだとは言えないけれども、身をもむような、非常に問題意識があふれるような経済白書をつくっておられる。堺屋長官が初めからやっていれば、もっとそういう危機意識に根差した、鋭い、日本の問題の核心に切っ先が届くような、まさに基本法にふさわしい内容になっていたと思うのですが、残念ながらそうはならなかったのであります。  以上のことについて、改めて堺屋長官に、どういう問題意識、危機意識に基づいてこういう法律をつくるのかということを伺いたいと思います。
  89. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、現在日本ITで、欧米先進国にはもちろんのこと、アジアの中の幾つかの国にもおくれをとっているというような状態です。  日本は、戦後、エレクトロニクス産業を大変発達させまして、テレビやパソコンの生産は世界一の品質と生産量を誇るようになりました。だから、情報産業でも、パソコンを使ってやっているのなら日本はすぐれているのではないか、そんな安心感が一九八〇年代のバブル時代には何となくあったと思うのです。  ところが、そのころ、アメリカ、ヨーロッパでは、そういうパソコンの機械そのものよりも、これを利用するソフトの技術、特にOSと言われる基本ソフトが発達をいたしまして、だんだんと日本が追い抜かれる状態が起こりました。そこへ九三年にアメリカからインターネットというのが始まった。このとき、我々もそうですけれども、インターネットというものの本質を少し読み間違えて、これはパソコンを使って電話をかけるような、そんな意識が何となくあったのだと思うのです。  これが、今までのパソコンの使い方、計算をするとか設計図を書くとか制御をするとかいうものとは全く違って、人と人との関係だ、今までのは物と人との関係のソフトウエアであったのが、今度は人と人とをつなぐヒューマンウエアに変わった。このことを十分に理解しなかったために、高速通信ネットを引くという段階でがっくりと遅くなった。ネットを引くのが遅くなりますと、当然参加者が少ないものですから、その間に、沸き立つようなコンテンツをつくるという意識がなかった。これが、日本がここ数年の間にそれ以上の、三年の間に五年おくれたと言われているのですけれども、そういう事態が起こった理由だろうと思っています。  実際、学校あるいはパソコン教室をやっておられる方でも、パソコンの操作を教えているところはたくさんあるのですけれども、ほとんど光ファイバーではつながっていない。だから、インターネットにはなっていないのですね。ここが重大な欠点です。そういうような反省に立ちまして、今度は高度情報通信ネットワークという、いわば光ファイバーを拠点としたネットを全体に張りめぐらす、これを大いにやらなければいけないという考えになったのが現在です。  同時に、ではそれでやっていったらアメリカに追いつくよ、フィンランドに追いつくよということだけなのかということでございますが、あわせて日本独特のコンテンツをつくる。光ファイバーというハードをつくる、それから、全国民できるだけ多くの人が使えるというソフトウエアの普及をする、そしてもう一つ日本独特のコンテンツ。特に、これは日本発達しておりますモバイル、短縮情報、そういったものを中心として、日本独特の和歌、俳句の文化から続きました短縮情報世界をつくっていくならば、欧米にないような日本独特の情報社会が非常に早い機会に全国民に広がるようなことができ、それがまた発展途上国に貢献できるだろうと私は考えております。  したがって、今大変日本はおくれましたけれども、取り返せる。これを取り返し、また独特のものをつくれる条件は十分この国に備わっているだろうと期待しております。
  90. 達増拓也

    達増委員 このIT基本法は、宣伝、パンフレットとしてはよくできているとは思うのですけれども、日本株式会社のIT戦略戦略書として、取締役会なりあるいは株主総会、日本の株主総会というのはまさにこの国会なんですけれども、そこにかけられれば、やはりこのままでは没という内容なんだと思うのです。  長官がおっしゃったように、確かに、人と人を結ぶものだということの認識が決定的に足りないがゆえに、パソコン単体にばかり注目されて、ネットワーク部分がおろそかになり、コンテンツも発達しなかった、全くそのとおりだと思うので、そこをやはり基本法の中にきちんと盛り込んでいく必要があると思うのです。人と人、個人がIT革命IT化によってどう変わっていくのかをきちんと訴えなければだめなんだと思います。  法案では、四条、五条、六条のところで、この高度情報通信ネットワーク社会ができれば、経済がこんなによくなる、生活がこんなに変わる、そして社会はこんなによくなるというふうに書いてあるのですけれども、もっと踏み込んで、個人がどうなっていくのか。  自由党は、今の日本の危機的状況の根本は、個人の自立ということが非常に弱くなっている。企業に依存しているし、あるいはお上依存をしている。そういう個人や企業がまたさらなるお上依存、地域、地方は国に依存している。その悪循環を断ち切るために、個人がインターネット、パソコンによって企業から自立し、またそういう自立した個人がお上に頼らなくても自立してやっていける企業をつくっていける、そして地方が自立してやっていける。そういう個人からスタートしたまずは経済的自立の方向性、そして、個人からすればやはりITによる社会参加や政治参加、そういうところも、きちんと目標やそこで描かれるネットワーク社会の中に書いていくべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  91. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この基本法は、やはり基本法にふさわしく、基本理念あるいは重点計画、それから基本概念、それから形成の理念、そして施策の重点項目という形をとっております。  御指摘のように、このIT革命というのは人間生活の多くの面、ほとんどすべての面に改革をもたらすだろうから、それを全部書いたらどうだというのも一つの発想ではあろうかと思いますが、そうなりますと、だんだんボーダーラインが出てまいりまして、予測不能の点もございますれば、他の法律と抵触するところもございます。そして、余り全部書いてしまうと憲法みたいになってしまいまして、これから日本国全体の目指す社会がこれだというような形になるものですから、IT分野に限って書いた、それがこの形でございます。  確かに、このIT革命から社会全体が変わって、そして家族のあり方、あるいはコミュニティーのあり方、それからそれに伴う教育のあり方、あるいは人々の価値観、そういったものまで変わることは予想されますが、これは法律で書くべきことかどうかということになりますと、それはやはり一つの法律で定めることではなしに、解説といいますか評論といいますか、哲学書という形になってくるだろうと思うのです。だから、最小限といいますか、IT基本法というものにふさわしい限界で書かせていただいているというのがこの法案でございます。
  92. 達増拓也

    達増委員 そういう意味では、この条文だけではまだまだ、そういう広がりあるいは政府の決意、そういうところは大分議論審議を重ねないと、なかなか国民に理解が広がらないと思いますので、これは運営の話ですけれども、もっと徹底した、時間をかけた議論が必要だということを今改めて思いますので、一言申し上げておきます。  次に、ITをめぐる議論の中で非常に重要な問題で、この法案の中でも随所に出てきている、いわゆるユニバーサルサービスの問題であります。  法案の七条では「民間が主導的役割を担う」というふうにしつつも、第八条では、格差がきちんと是正されていかなければならない。そして、十六条のところで、これはもう広く国民が低廉な料金で利用することができる世界最高水準のネットワークをつくらなければならない。それは、公正な競争促進その他必要な措置で行われる。  それで、こういう競争的な政策、一方ではそういう民間主導の競争政策ということがあるわけですけれども、例えば今議論があるのは、NTTという会社は、大都市あるいはせめて都市の事業に特化してやればたちまち世界一の競争力になるだろう、ユニバーサルサービスで地方も抱えているがゆえになかなか大変だという議論があるわけであります。例えばスウェーデン、商工委員会の夏の視察で視察してきたのですけれども、スウェーデンの場合、民間はかなり都市の事業に特化して、ラップランドとかそういう北の果てまでつないでいくのは政府がやる、国がやる。そういうユニバーサルサービスを目指しつつ民間競争力も高めていく、まさにそこに戦略があるわけですね。  この基本法だけからはそういった戦略が見えてこないのでありますけれども、ある意味、今の日本情報通信技術のあすを考える上で決定的に重要な問題だと思うのですけれども、この点についてはどういう戦略を政府は持っているのでしょうか。
  93. 平林鴻三

    平林国務大臣 主としてNTTに関係してユニバーサルサービスの将来の問題をおっしゃいましたので、私からお答えをいたしますが、現在この問題につきまして、他の委員にもお答えを申しましたように、競争政策をとるについて、これからどのようなシステムを構築していったらいいかという関係のことを電気通信審議会に七月以降諮問いたしておりまして、とりあえずの中間報告、答申というごときものは大体ことしの十二月の下旬ごろに出していただく見積もりになっております。その中で、今おっしゃいましたNTTのあり方、簡単に言えば完全民営化したらどうなるか、そういう問題についても御議論をいただいて、一定の時期には結論を私どもの方にちょうだいして政策具体化していく、そのようなつもりでおります。  中間報告にNTTの経営全般について明らかな結論が出るかどうかは私も予断をいたしておりませんけれども、今おっしゃいましたような問題意識でもって、要するにユニバーサルサービスと採算性の問題というものを、一つの整理した姿で日本の社会のシステムの中に入れ込んでいきたい、さように思っております。
  94. 達増拓也

    達増委員 具体的なそういう戦略の展開、あるいは行動計画と言ってもいいのでしょうが、そういう具体的なところの詰めがないまま、こういう総論的な基本法を決める。いろいろな、環境基本法のように産業の理論、環境の理論、そういう理念で決定的な対立がある、まず理念が先に必要というのであれば、そういう基本法がまず急がれるのでしょうが、ITは、理念もさることながらアクション、行動、実際の戦略が重要なので、そういう意味では、そういう具体的なところが見えてこないまま総論的な基本法をやるよりは、ちゃんとそういう戦略が見えてきてから、それを含んだ形の基本法にしていくという案も一つなのかなと今思いました。  さて、この法案が大きい柱の一つとして立てている電子商取引であります。第十八条、電子商取引。これは、日本の電子商取引、Eコマースがやはり国際的に見てかなりおくれをとっている、そういう危機感が背景にあるのだと思いますけれども、政府としてその立ちおくれの理由をどのように分析し、どうそれを克服しようとしているのか、伺いたいと思います。  それで、もう一つ伺いたいのは、自由党は、全国民にインターネットに接続できる携帯の端末を無償配布すべきと主張しているのですけれども、これは無償で配布する、しないにかかわらず、全国民にそういうハードが行き渡るということが電子商取引促進にも非常に重要だと思うのですけれども、全国民がそういう接続端末を持った場合に、これが電子商取引にどう効果があるか、これについても伺いたいと思います。
  95. 伊藤達也

    伊藤政務次官 お答えをさせていただきたいと思います。  電子商取引がなぜ我が国の場合おくれたかといえば、幾つかの理由があるというふうに思います。  まず一つは、先ほど堺屋長官からもお話がございましたように、やはりネットワークサービスのユーザーコストが日本の場合高いということが一つ原因として挙げられると思います。二つ目は、サイバー空間を拡大していくための規制改革がおくれてしまったということが二つ目の原因だと思います。そして三つ目は、このサイバー空間に対応した新しいルールをつくっていく、そのことが未整備であったといったことが理由として挙げられるというふうに考えております。  こうした原因を踏まえて、今政府とすれば、先ほどからお話が出ておりますように、世界でも最先端のネットワークの状況をつくり出していこうということで、安くて高品質なネットワークサービスに向けての環境整備に心がけているところでありますし、また、これから国会の審議の中でもお願いをさせていただくように、電子商取引を阻害しているさまざまな規制というものがあります。これを撤廃していくために、五十本の法律をまとめて一括法として、今回、国会の方に審議お願いしております。いわゆる書面一括法を今予定しているところでございます。さらには、新しいルールをつくっていかなければなりませんので、そうしたルールづくりを今一生懸命準備させていただいているところであります。  そして、先ほどから議論が出ておりますように、ITを担うベンチャー企業の創出を積極的にやっていく、あるいは電子政府の実現、さらにはIT人材の育成等々の施策を推進していきたいというふうに考えております。  こうした施策を展開することによって、これから電子商取引市場規模というものは飛躍的に上がっていくと思いますし、そうした中で、今委員が御指摘モバイル端末は相当大きな貢献をしていくのではないかというふうに考えております。  通産省としましては、そうした今の状況を十分認識しながら施策というものを考えて、しっかりとした展開というものをしていきたいというふうに思っております。
  96. 達増拓也

    達増委員 次に、第十九条、行政の情報化、これも本法案の非常に大きな柱の一つでありますので、これについて伺います。  この行政の情報化について、まさに企業IT導入と同じような問題があるのでありまして、これはアメリカの研究にあるそうでありますが、企業IT投資、パソコンを買ったりネットワークを張ったり、そういうIT投資を行っても、経営の改革、組織やあるいは経営手法のそういう改革を行わないまま単にパソコンやネットワークを導入するだけではかえって経営が悪化する、これは何もしないよりも悪化するという研究成果があるそうであります。  したがって、国あるいは地方の行政の情報化の場合でも、単にIT投資をして機械を入れるだけで、組織であるとかあるいは行政の手続、この部分も変えていかなければ、かえって行政の効率が低下かつ投資がむだに終わってしまう、そういう危険性があると思うのですけれども、この点をどう考えるか、質問したいと思います。  あわせて、行政の情報化、電子政府というのは、パソコンを今使える、持っている人たちだけを対象にするのか、それとも全国民を対象にするのかということもここで確認したいと思います。  自由党の、全国民に端末無償配布ということは、経済効果のこともありますけれども、電子政府という理念から考えれば、やはりそこから取り残される人がいてはよくない、電子政府の相手方あるいはその不可欠の一端である国民サイドにも参加するための機械がまず配られることがスタートだと思うのでありますけれども、この点、いかがでしょうか。
  97. 海老原義彦

    ○海老原政務次官 お話のとおり、パソコンやネットワークを導入したからそれでいいんだというような考え方であっては、これはかえって能率に逆行するということになるわけでございます。  電子政府の実現に当たりましては、パソコンやネットワークなどを導入するだけでなくて、内部事務の手続について、現行の業務運営の見直しを含めて、内部の連絡、協議のやり方、それから会計や人事の事務処理、そういったもののペーパーレス化を推進いたします。また、パソコン、ネットワークを利用した文書管理のシステム化を進めております。さらに、国民からの申請手続につきましても、これは簡素化、見直しを行っていく。申請手続が約一万件あるのを、平成十五年までにその九六%を電子化するというようなことも考えておるわけでございます。  さらに、そういったペーパーレス化とあわせて、おのずから事務事業の簡素化、効率化の推進に寄与していくということになるわけでございまして、また内部組織についても、必要があれば必要な見直しを行っていくというふうに考えております。  さらに、電子政府の対象はパソコンを使える国民のみか、それとも全国民か。これは言うまでもないことでございますが、基本法案では、すべての国民が「高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、」「もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会」の実現を基本理念としておることからも当然の話でございまして、電子政府におきましても、その利便はすべての国民があまねく享受できるようにする必要があると考えており、その意味で、電子政府の対象はすべての国民であります。  そのような考え方から、パソコンを持っていない国民が身近な場所に設置した情報端末から行政機関にアクセスできるようにするということ、あるいは、高齢者や障害者が容易に操作できる機器、ソフトなどの開発や整備を進めるなどということ、いわゆるデジタルデバイドの解消、情報のバリアフリー化のために必要な施策を推進していきたいと考えておる次第であります。
  98. 達増拓也

    達増委員 日本株式会社のたくさんの株主から委任状をいただいて株主総会に出ている立場からすれば、やはりもっとインパクトのある法律、あるいは少なくともその説明をいただかなきゃなと思うわけであります。それは、日本国の株が上がるくらいの、まさに株が上がるようなものじゃなければならないはずで、その意味でまだまだ不満だということを言って、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  99. 小平忠正

    ○小平委員長 佐藤公治君。
  100. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。  本日は、お忙しい中お時間をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、堺屋長官郵政大臣の方にほとんどというかすべてお尋ねをさせていただきたく、ほかの方々はゆっくり休んでいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  堺屋長官IT関係の担当ということになられて、私はすごく期待をしておりました。実際問題、堺屋長官の今までのいろいろな御発言、著書の中でも学ばせていただいたことは多々ございますが、質問の中で何回も繰り返し聞かれている部分があります。私の方としましては、高度情報通信ネットワークの社会形成基本法において、もう少し具体的に社会全体を考えたものに踏み込むべきであったのではないか。特に堺屋長官におきましては、国家観とか道徳観、倫理観、人間関係というものに関しては、だれよりもそのお考えをお持ちだと私は今まで思っておりました。ですが、ずっとここの答弁を聞いていますと、もうでき上がっちゃったから何とかこれをこのままにしておかなきゃいけないから、憲法みたいになっちゃうとか、そのほか、哲学書的になってしまうということで話があっているように私は思います。  入れるべきか入れるべきじゃないかという質問はもう今までも何回もされていると思いますので、逆に堺屋長官が入れたいと思うか思わないか、逆に入れることができないのかできるのか。私は、本当にこの基本法案というのが国家として重大な改革であり、革命であると言うのであれば、そういうものもきちんと入れていくべきだと思いますが、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  101. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 このIT社会、高度情報化社会というのは大変大きな変革ではございますが、現在のところ、どんな社会ができるか、やはり一つの哲学なんですね。私は私として、これからの世の中、ニューパラダイムの世の中というものに個人として自信がある哲学を持っております。しかし、その個人の哲学を法案にすべきかどうかということになりますと、法案というのは、やはり万人が納得するような筋道の部分におさめるべきだと考えております。  したがって、この法案をつくらせていただきました根底には、大勢の方々議論もさせていただきましたし、いろいろな場で案も修正もし、積み上げもしてやってまいりまして、その根底には、一つの知価社会、そして好みのえにしでつながる世の中というものがございますけれども、これをそのまま法案に反映させるには時期尚早で、もっともっと研究をしなきゃならぬ問題だと思っております。したがって、法案としてはこれがベストだと考えておる次第でございます。
  102. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 長官は今ベストだというお話がございましたが、自分は、疑うわけじゃございませんが、まだまだ長官の頭の中にはもっとこうすべきだというお考えがあるように思えますので、ぜひともそういうことを、やはりリーダーシップの中で私どもの将来を本当にいい方向に導いていただけたらありがたいと思います。  この基本法案の中で、国民全体のことを常に考えて法律化しているということはわかるんです。同じような意味合いにもなりますが、私はやはり、国益という立場から大胆な発想と、国益という観点からの見方、考え方、そして表現または具体的なものがあってもいいのではないかというふうに考えます。この国益という言葉も非常に定義が難しい部分があるかと思いますが、長官のお考えをお聞かせ願えればありがたいと思います。
  103. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 国益というのも広い概念でございまして、外交上でどこかの相手の国を前提とした場合と、このIT法案のように相手の国との比較ではなくして日本全体を考える場合と、いささか違うだろうと思うんですけれども、本基本法案で我が国が目指すべき社会を高度情報通信ネットワーク社会と定めておりまして、これは明確に定義づけるとともに、この社会形成に当たりましての理念、施策あるいは基本方針、政府の推進体制などを組み込んでおります。  このような基本法案の制定の仕方といたしまして、IT国家戦略基本的な方向の明確化、それから総理大臣リーダーシップのもとにおける優先順位に基づいた政策課題の設定及び遂行、すなわち重点計画に基づいた政策資源の迅速な投入ということを書いているわけです。  こういうことを進めますと、では、どんな国益が生じてくるかと申しますと、日本人全体がこの高度情報社会の中で、まず第一に、より豊かな経済的な生活ができるだろう、より便利な生活ができるだろう。そしてもう一つは、本当に自分たちが好きな問題、好きな話題に取りつく、そして、そこで同好の士、同じ好み、同じ悩みを持った人々と話し合うことによって新しいコミュニティー、帰属意識の持てるコミュニティーが生まれてくるだろう。これが、どんどんと流動化していく、自由化していく世の中の中で極めて重大な問題だと思います。  そういう意味では、このIT革命というのは今始まったばかり、産業革命でいいますと、いわば蒸気機関が始まったようなところでございまして、これから電気機関が出、内燃機関が出、化学工業が出ることによって、何年か、何十年か先に本当に完成するものだ、こう考えております。  ただ、この蒸気機関の段階で産業革命に乗り出すか、それをちゅうちょするかによって、将来の発展に格段の差ができる。だから、今まだ初期の段階、この段階にこそネットワークという、どんどん拡大発展する社会の利器に我々も早く参加しなきゃいけない、ここでおくれをとったのでは取り戻せない、そういう一種の焦燥感を持ってこの法案の早期成立を願っているわけでございます。
  104. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 それならなおさら、その差を埋めていくためには、よりその前に出るような形での基本姿勢というか、大胆なものがやはり必要なのではないかというふうに私は思います。  また、堺屋長官がたまにお使いになることだと思いますが、必ず成功する仕組みはないというか、そういうことをお話しされたことを聞いたことがございます。そういう意味であるのであれば、何か国民全体のこと、これは当然のことですけれども、余りにもそこに偏り過ぎることによって大事な国益という、基本の大胆な政策なりリーダーシップというものが欠けることで、逆に国民がもっと不幸になってしまうような可能性もあるので、その辺はよく今後とも考えていただき、リーダーシップを発揮していただけたらありがたいかと思います。  先ほど、私どもの自由党の達増も話をいたしました。私は、この基本理念にもっと、言葉は違う意味で使われているとは思いますが、自立という言葉を理念の中に、この文章の中に入れて、それをまた長官なりの定義づけの中で組み立ててもらいたいという気持ちがあります。そういう自立ということを、実際問題、言葉をかえて中で使用しているという部分はあり得ると思いますけれども、直接的な自立ということをこの理念の中に盛り込むことを長官自身はお考えになりませんでしょうか。
  105. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この高度情報通信ネットワークの社会というのは、技術の開発も産業構造の変化も著しいものがございまして、社会の人間関係を大きく変えてくると思います。  人類は、まず血縁社会から始まった。そして地縁社会になった。それから、産業革命を経て、特に戦後の日本では、職場のえにしにつながる職縁社会になった。その職縁社会が今、一方では、自由化、グローバル化の中で、だんだんと終身雇用が崩れる形で緩んできておりますし、他方では、高齢社会が進みまして、職場をやめてからの人生も大いに長い。そういう中で緩み出している。では、それにかわるものとして一体どんな世界があるのか。それが、先ほど申しました好みのえにしでつながる好縁社会。この高度情報通信ネットワークが大きくそういうものに役立つだろうと考えております。  そうであれば、ますます人間は、自分の帰属すべきところをみずから選ばなきゃいけない、自分の好みをはっきり持たなきゃいけない。そういう意味で、委員のおっしゃる自立とか自助とかいうようなものが重要になってくると思います。  この法案ではそういう言葉を使っておりませんが、第二条に、高度情報通信ネットワーク社会を「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会」と定義しております。この中に「自由かつ安全」、まあ安全はセキュリティーでございますが、自由に手に入れる、それから知識を共有する、そして一人一人が発信できる。これは、まさしく自立、自助ということを表現したものと思っております。  そういう形で、この法案では個人の自立ということを強く意識しているとお考えいただきたいと思います。
  106. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 私どもの希望としましては、こういう理念的なものにはやはり直接的な自立という言葉を入れて、自立とはどうあるべきかということをきちんと踏み込んだ形でお願いしたいなという気持ちでおります。  また、今長官がいろいろとお話しになられる中、今後の五年間の目標、スケジュールを具体的に、簡単簡潔にお話し願えればありがたいと思います。よろしくお願いします。
  107. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今後五年間のスケジュールを申し上げますと、本年中に、IT戦略会議におきまして、IT国家戦略、国家戦略といいますか、IT基本戦略というようなものを示す予定でございまして、これを十分に踏まえまして、本法案が施行されます一月六日以降、できるだけ早い機会にこの法案に規定しております重点計画を立てたい、そして二十一世紀における我が国IT戦略の具体的な方向、内容を明確にしていきたいと思っております。  この重点計画に基づきまして、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というものを中心に、政府を挙げて高度情報通信ネットワークの形成を実施していきたいと考えておるわけですが、まず、インターネットを中心とするIT社会を発展させるためには、やはりハードの部分、光ファイバーを引きまして、コンピューターが備わっている、どこでも使用できるというハードの部分、それから、だれでも使用できるというソフトの部分、そして、利用すればそれだけ楽しみがあり、便利であるというコンテンツの部分、この三本柱がきちんとできなきゃいけない。  それで、一方では、来年かなりの学校、公民館あるいは図書館などにインターネットを引こうとしておりますし、それから、かなりの人、五百五十万人と考えておりますが、大勢の一般市民にもソフトを普及したい、百五十万人の人には職業として使える程度の高度の技術を講習したい、こういうソフトの面。そして、Eコマースや電子政府を二〇〇三年ぐらいまでには完成する。そして来年じゅうに、インターネット博覧会、インパクというのでできるだけたくさんの人々が興味を持つようなコンテンツをつくり、しかも、そのコンテンツをつくる能力、人材を発掘する。そういたしますと、またそれにチャレンジする人を含めまして、自転的にどんどんおもしろい社会が出てくる。こういう五年程度の計画を描いているところでございます。  その一部は間もなく提出させていただく補正予算に、また一部は来年度の本予算に組み込める、こう考えております。
  108. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 堺屋長官お話を聞いていますと、堺屋長官のいつもの、循環型社会というようなことで、また料金においても、料金と使い勝手、使う人たちによっては鶏と卵の論議ということがよく長官お話には聞かれますが、全体的にやはり優しい話が今非常に多くて、本当に長官の今までの大胆な発想と意見がこういう場でなかなか聞きづらくなってきたのかなというのが私の率直な気持ちでございます。  長官は、インターネットにはまだ大きな壁があるということをはっきりおっしゃっておりまして、それにはやはり料金の高いことと使いにくいことだということをいろいろとお話しされている。ここまで大きな壁がきちんと見えているにもかかわらず、やはりもっともっと大胆な基本理念というものを打ち出していただければというふうに私どもは期待をしております。こういうふうに今決まってしまった、こういうふうになっている以上、それは変えにくいのかもしれませんが、個々におけることで長官リーダーシップをなお一層発揮していただけたらと思います。  また長官の方に、今後のことなんですけれども、今後具体的な動きになってきたときに、評価を公表していくというようなことも法案の中にもありますけれども、事業などどんな評価基準を考えて決定していくのか、またそれをどういうふうに評価していくのかということが頭の中に何かございましたらお示しをいただき、すべてが動き出すと、政治的また政治家によるいろいろな、大変失礼な言い方かもしれませんが、介入が入り、悪い言い方をすれば食い物にされたり、目的が達成できないようなケースも出てくるというふうに思います。  そういうものに対してあえて真正面から長官が向かっていく、その決意をまたあらわしていただき、また、進めていく中、いい意見や計画がやはりいろいろと出てくると思います。いろいろな委員会、いろいろな省庁におけますことでも、いい意見、いい計画が出てきても、それが採用されないままで切り捨てられていくようなことというのがたくさんあります。こういう意味で、その意見や計画が出てきても実行に至らなかった場合は、明確なそういう理由の公表をお願いしたいかと思いますが、長官の御意見を聞かせていただけたらありがたいと思います。
  109. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今後具体的に行動していくに当たりまして、本法案に定めております重点計画は、本法案の基本理念あるいは基本方針にのっとって、高度情報通信ネットワークの形成、人材の育成、電子商取引促進、あるいは行政の情報化等について、政府が迅速かつ重点的に施行すべき具体的な施策を定めております。その具体的な施策の展開に当たり、そのメニューともいえるものが重点政策でございまして、これを一つ一つ実行していくということになろうかと思います。  それで、この政策評価という問題でございますが、来年一月に新省庁が発足いたしますと、現在総務庁を中心に検討が進められております重点政策に定められた施策の評価について新たな方式が導入され、政策評価制度と整合性を持ったものになろうと思います。  本基本法案が、我が国が目指すべき社会を高度情報通信ネットワーク社会と定めておりますので、当然、評価につきましてもそういう角度でやらなきゃいけない。それに政治的あるいは特定の政治家が介入するというようなことはもってのほかでございまして、政治は判断はいたしますが、評価は公平にやっていかなきゃいけない、そういうことは厳格にやっていかなければならないだろうと考えております。  こういった点から、民間等の意見も求めまして、あらゆる面で、戦略本部の中で政府のアカウンタビリティーといいますか、そういうものを明確にして、決して人々にそしりを受けないような厳格な評価をつくっていきたい。言うはやすくして実行するのは難しいことはわかっておるのでございますけれども、常にそれに最大限の努力をするという覚悟を決めていかなければならないと思います。
  110. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 この法案でどんどんいろいろなことが進んでいく中、やはり本当に国として大変な仕事になってくると思います。私がいろいろな法案とか政府の仕事を見ている中、やはり責任の所在ということが非常に、時としてというか、不明確な状態が間々見られるような気がいたします。これは事前通告というか質問として挙げておりませんが、堺屋長官にひとつお尋ねしたいんです。  政治家、政治の責任もさることながら、それは長官のお立場でできるできないがあるかと思いますが、法律一つ一つに役所なり各省庁におけます担当者の名前をきちんと明確に公表して、それにおけるつくった方の名前を明確に出すことによって、責任をまた一つずつ明確にした法律なり政府であっていくべきではないかと私は考えます。これに関しての御意見をお聞かせ願えればありがたいと思います。  時間がないので、私の方から先に申させていただければ、自由党が政策上、端末モバイル無償配布ということで話をしておりますが、長官も前の御答弁のときは、端末に関してはもう六千万台くらい出ているからそういうことはいいのではないかというようなことを考えている、こんなお話をされましたけれども、私どもとしましては、この技術革新の中、やはり一つ一つの見直しを図りながらそれを考えていく、また政策的に、これを一つだけじゃなくて、やはり経済構造改革とか税制上の問題、いろいろな問題をすべてパックにした状態での中の一端というふうに御理解いただき、そして御検討を願えればありがたいと思います。  なお、郵政大臣、きょう、申しわけございません。いろいろと準備をしていただいたかもしれませんが、御質問を投げることができませんで、申しわけございません。  最後の質問で、ひとついかがか、長官の御意見を聞かせていただければありがたいと思います。
  111. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今の責任の問題でございますけれども、昔、私が万国博覧会をやったときに、カナダの博覧会事務局というのはずっと担当者の名前を公表いたしまして、そして毎週、この部門がおくれているから博覧会全体がおくれているんだというのを公表していたんですね。そうしたら、その部門の担当者の名前が別途公表されておりますから、けしからぬのはあいつだというのがすぐわかるような仕掛けがありました。  これは、そういうエンドレスでない、一時的な事業、タスクフォースには非常に向いているんですね。そうすると皆さんは三年なら三年必死にやりますから非常にいい仕事ができるんですが、人間関係の上ではかなり問題が多いと思います。  確かに日本は余りにも責任の所在が不明でございまして、特に役人、官僚の世界というのは、それによって業績が上下するわけでございませんから、十分これは注意して責任の所在を明確にし、実行におくれがないように、間違いがないようにしていかなければならないと思っております。  なお、端末のことでございますが、端末というハードを提供するのがいいのか、それともソフトの技能の方を教える方がいいのか。いろいろな議論がございます。端末でございますと、既に六千万台出ておりますから、どういう人にどういうぐあいに配るかということも非常に問題でございますので、私は、どちらかといえば、今補正予算で考えておりますように、むしろ利用技能の方を、恵まれない人というか、接する機会の少ない人に教授していって、それで日本全体が、皆さん使われるように、そうするとそれぞれの端末の値段も下がりますし、利用価値も上がりますから、これは余り大きな負担でなくして普及するんじゃないかと考えたものでございます。
  112. 佐藤公治

    佐藤(公)委員 もう最後の最後でございます。  実際問題、光ファイバーとかこの基盤整備がずっと行われていきますが、その時間の間でも、端末モバイルを配布することによって、その期間のランニング期間ということで考えることも可能だと思います。そういう意味で再度御検討願えればありがたいとお願いを申し上げまして、私からの質問を終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございました。     〔小平委員長退席、古屋委員長着席〕
  113. 古屋圭司

    ○古屋委員長 吉井英勝君。
  114. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  日本共産党はITというものについてどういうふうに考えているのか。この基本的な考え方、理念については、前回、十一月二日の内閣委員会での質疑のときに我が党の矢島議員の方から発言がありましたので、きょうはその上に立って質問をしていきたいと思います。  最初に、やはりIT基本法案が国民の期待にこたえるものになっているのかどうか、こういうところからまず質問したいと思うんです。  IT戦略本部戦略会議の第三回合同会議、九月二十日で、委員より、この法律の原案で示されている基本方針、重点計画は、この合同会議でこれから議論しようとしている事項と全く同じものだと思う、IT戦略会議で起草するものはIT基本法案の重点計画の内容であると理解してよろしいかと質問されて、堺屋長官は、そのような理解で全く間違いないと答弁をしておられたと思うんですが、これは間違いありませんか。
  115. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 そのように答弁したと思います。
  116. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、先日、十一月二日の矢島議員への長官答弁の中では、IT戦略会議は、財界、学者、自治体の方々が出席して議論した。民間有識者の知恵を拝借して議論しているので、ある程度尊重するところはあるが、そのまま基本法に写したものではありません。重点計画は、基本理念、基本方針にのっとり、高度情報通信ネットワークの形成、人材の育成、電子商取引推進、行政の情報化等について政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を定める方針だが、なお検討中である。IT戦略会議も結論が出ているわけではない。そのまま丸写しということではないと思いますという答弁でありました。  ですから、九月二十日には、戦略会議で起草するものがIT基本法案の重点計画の内容だと理解して全く間違いないというお答えをされて、国会の方では、先日は、これは丸写しじゃないということですから、まず、どちらが本当なのか、ここのところを伺いたいと思います。
  117. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 正確に言いますと、前の方は前任者の官房長官が申したことですね。ちょっと私、そこを今あれしましたが、今戦略会議議論しておることはこの重点政策に反映するべきことを議論している、その意味では間違いないんですが、そっくりそのまま持ってくるということにはならないであろう。そういたしますと、この法案あるいは政府として受け入れられる範囲のものしか議論してもらっては困るということになります。今の戦略会議は八条委員会でも三条委員会でもございませんで、したがって、その趣旨といいますか、そういうものはここへ加えるべきものとしてやっていただいているわけですが、それをそのまま持ってくるというわけでは、持ってくるかどうかはわかりません。
  118. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、担当大臣は確かに人もかわったわけなんですが、しかし、前の担当大臣はそういう理解で全く間違いないという答弁であり、今度の担当大臣の方は丸写しというわけじゃないということですから、これは全然、戦略会議で言っていることとそれから国会で言っていることとが違うわけです。ですから、これはいずれかが間違いだったので、これは違うんだとはっきり正すなりなんなり、それはしないとおかしいと思うんですね。  まず、ここのところ、大臣、どうですか。
  119. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 それは質問通告になかったものですから、ちょっと確かめたいのでございますけれども、前の方の中川長官のおっしゃったのは、戦略会議での席上のお話でございますか、それとも国会……(吉井委員「第三回合同会議ですね。皆さんの方の議事録を読ませてもらって」と呼ぶ)合同会議の議事録ですね。はい、わかりました。
  120. 古屋圭司

    ○古屋委員長 吉井委員、挙手の後、御質問願います。
  121. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 合同会議の議事録で中川長官がおっしゃったのは、それは戦略会議で出たものの趣旨といいますか、基本といいますか、それを全く尊重する、それを尊重するという意味でございまして、その趣旨を尊重するということと、私が答えました、そのまま丸写しするのではないということとは決して矛盾しないと思っております。
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 中川さんは、IT戦略会議で起草するものはIT基本法案の重点計画の内容であると理解してよろしいかと聞かれて、そのような理解で全く間違いないと、非常に明確に答弁をしております。ですから、ここで私は、やはり国会での議論になると余りにそれは露骨過ぎるということで、大臣、大分気を使って訂正をしておられるのか知りませんが、やはりそれはきちんとするべきだと思うんです。  続いて、産業競争力会議の第九回会合で、今井経団連会長の方は、IT立国に向けた総合戦略の確立というのを掲げて、情報通信市場競争促進、ネットワーク経済社会の基盤整備情報通信の基礎技術開発推進、ネットワーク活用を普及するための支援、IT革命などのための予算特別枠の設定という五つを政府の課題として提起しております。  IT戦略会議第二回会合でのソニー出井戦略会議議長の発言は、一つは超高速ネットワーク網への集中投資、二つ目は電子商取引、三つ目は電子政府の実現、四つ目は超高速インターネットを担う人材の育成というもので、IT革命の国家戦略としての四大戦略を提起しております。実際にこの四つは、順番に、基本法案第十六条、十八条、十九条そして十七条と、きちんと盛り込まれているわけです。  財界のIT立国の法的な受け皿がIT基本法案であるというのは、少なくとも現実の姿としてはそのことがきちっと出ているんじゃありませんか。
  123. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 財界のとおっしゃいますが、これはやはり、財界の人が多いことは事実でございますけれども、政府がお願いしたものでございまして、財界の意見そのものとおっしゃるのはちょっといかがなものかと思います。その中には、数はともかくといたしまして、学者も自治体の人も入っておりますし、また財界の方々にもインターネットその他で入りましたパブリックコメントも見ていただいておりますので、財界の意見とおっしゃるのはちょっと違う、本筋が違うと思います。  先ほども申しましたように、やはり、戦略会議で出していただいた結論というものの趣旨は、大きく政府の意見から離れることがない限り、あるいは、そういう政府の意見と大きく離れることがないであろうような常識ある人々、それは経営者が多いのですが、学者も地方自治体もおられますが、そういう方々に検討していただいておりますので、その趣旨がここに入っている。一言一句違わないわけではございませんで、それぞれ修正もし、改めている部分もございますが、その趣旨は大体似ている。それは先ほどから私が答弁しているように、趣旨は似ているということでございます。
  124. 吉井英勝

    ○吉井委員 産業競争力会議というのは、産業新生会議IT戦略会議の二つに分かれていっているわけですが、いずれにしても、もとになる方の競争力会議のときに今井経団連会長が一定の意向をお話しになり、そして戦略会議でのソニーの出井さんの議長としての発言等に見られるものが、少なくとも、今おっしゃったようにそっくりそのままの言葉ではないにしても、入っていることは事実であって、そういう点では、法的な受け皿、そういう現実の姿としてはあるということは今のお話の中にもあるということ、これははっきりしていると私は思うんです。  この出井さんは、ある本の中で、現在の通信政策IT政策を続けていると日本だけが取り残されてしまうと。だからIT戦略会議議長になったんですねと聞かれて、そうですとお答えになった後、ITに対する政府の政策が現状のままだと、日本は取り返しのつかないほど立ちおくれてしまう、ソニーのような企業も成り立たなくなってしまう、高速大容量の光ファイバーを早く整備し、安く利用できるようにするという発言などもしておられます。  この点では、今井さんにしても、あるいは出井さんにしても、財界の皆さんが描いているIT戦略に関する具体的な要望、要求がIT基本法の中にきっちり入っているということでは、まさにIT戦略会議の出した方向に沿った、受け皿となった法案であるということは、姿としてはやはりこの点も見ておくことができると思うんですが、もう一度大臣に伺っておきたいと思います。
  125. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 出井さんが、このままでは日本情報通信外国に大幅におくれるという危機感を持たれたのは不思議ではございません。別に企業利益ということを除いて考えましても私も同じような危機感を持っておりまして、それでこういう政策を、こういう新しい法律をつくらねばならないと考えたわけでございます。  したがって、今井さんなり出井さんなりは、それぞれ一人の国を愛する国民として発言していただいているのでございまして、特定の企業の利益を代表しておっしゃっているわけではございません。そういう立場として産業新生会議あるいはIT戦略会議に出席していただいてお話をいただき、そしてそのお話しいただいている内容も、それに選んだにふさわしい学識経験のあるお言葉と、私はこう考えて、その趣旨をこの法案にも取り入れておるということでございます。
  126. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、特定企業の利益とか、そんなことを決めつけて言っているわけじゃないのです。  危機感が生まれる背景というものはこれからまた後で見ていきたいと思うんですが、ただIT戦略本部戦略会議、そしてこの重点計画を決定する高度情報通信ネットワーク戦略本部の事務局というのを務めていくところであり、IT基本法の立法作業を進めてきたのは、内閣官房に設けたIT担当室ですね。  このIT担当室には、出井会長御出身のソニー、情報家電の同じく松下電器、光ファイバーの活用で今話題になっております東京電力、それから移動体通信や電子商取引を進める日経連会長企業のトヨタ、それから経団連今井会長の新日鉄、これらの企業の幹部の方が入って、IT担当室を構成しておられるメンバーの一員ですね。大蔵省へのMOF担以上の役割を果たして、IT基本法をつくっているという点では、この法律が、この担当室の構成とか法案作成過程から、やはり財界の皆さんの要望の丸のみ法案になっていく、そういう仕組みというものがあったということは大臣も認めざるを得ないのじゃないかと私は思うんですが、この仕組み、構成についてはどうですか。
  127. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 IT担当室というのは二つに分かれておりまして、場所もうんと違うところにございます。同じ内政審議室の中なんですけれども、今この法律をやっておりますのは、こちらにも来ておりますメンバーで、通産省、郵政省以下、役所の者ばかりでやっております。こちらの、今委員が述べていただきましたのは、戦略会議の方の事務局をやっておりまして、法案をそういう各企業の人が書いているというわけではございません。  ただ、おっしゃるように、この両方は無関係ではございませんから、その一つの大きな方針として、私たちは、そういう産業界の意見も、あるいはインターネットで聞きました国民の意見も、新聞評論、あるいはさまざまな調査、役所の持っております情報、そういったものを含めてやっておるのでございますから、その点は、決して、その人たちに影響されてこの法案が出てきたというわけではございません。
  128. 吉井英勝

    ○吉井委員 幾ら何でも、法案を審査するときに大臣の後ろにソニーや新日鉄の方が座っておったんじゃさまになりませんから、それは当たり前といえば当たり前かと思うんですが、しかし、現実には担当室はそういう形で構成されておった、その人たちの意見なども踏まえてつくられてきたということは事実だということを、これは見ておかなければいけないと思います。  次に、私は、第三条に関連して、すべて国民があまねく享受できる社会云々の部分ですね、つまり、すべて国民が情報通信の恵沢をあまねく享受できる社会を実現するというのであれば、やはりこういう基本法を考えるときには、まず第一に、デジタルデバイドについて基本法できっちりしていくということが大事な問題だと思うんです。  ことし二月に、沖縄サミットに関する懇談会で小渕前総理は、情報の面における格差が経済格差をさらに大きくするおそれがある、いわゆるデジタルデバイドの問題への対処が必要であると述べられているわけです。そこで、このデジタルデバイドとはどういうものかということについて郵政大臣に伺っておきたいのですが、通信白書の解説では、デジタルデバイドを「所得、年齢、教育レベル、地理的要因、身体的制約要因等によるインターネット等の情報通信手段に対するアクセス機会及び情報通信技術を習得する機会の格差。」こういうふうに説明しているのではありませんか。
  129. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 ちょっと今その通信白書を持っておりませんので逐一正確かどうかわかりませんが、私の記憶のある限り、今委員の読まれたとおりに説明しております。
  130. 吉井英勝

    ○吉井委員 三大臣ということで言っておりましたので、何か今トイレに行っておるのか何か、いらっしゃらないようですが。これは通信白書に書いてあるとおりですから、大臣、それは後で確かめられてもそのとおりなんです。  基本法の第八条では「地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差」として、所得による情報格差を全く挙げていないんですね。実は、デジタルデバイドの問題では、通信白書では所得はトップに来るんです。所得格差を法文に明記しないという理由は何なのか、こちらの方は堺屋大臣に聞きたいと思います。
  131. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 「その他の要因」というところで読んでいただければいいと思いますが、決して所得格差がこのデジタルデバイドで関係ないと言っているわけではございません。例示の中に、「その他の要因」の方に加わっただけでございまして、まず地理的、年齢、身体というようなことを挙げた末に、「その他の要因」という中で所得格差ということも読んでいただくようにした、こう御記憶ください。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは通信白書の方ではその他扱いじゃないんですね。デジタルデバイドというのは「所得、年齢、教育レベル、地理的要因、身体的制約要因等」と、一番トップに持ってきているんです。  郵政大臣がまだ来ておられないようですが、郵政大臣に私もう一遍確認しておきたいと思ったのは、通信白書によると、日本インターネット普及率は、年間所得二千万円以上の世帯で三六・七%、四百万円未満の世帯で五・五%と、つまり世帯収入が多いほどインターネット普及率が高くなっており、所得によって格差が生じているということを指摘しているんじゃありませんか。
  133. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 そのとおりでございます。所得の高い人の方が普及率が高くて所得の低い人の方が普及率が低い、これは委員指摘のとおりでございます。その原因はさまざまございますけれども、おっしゃるとおり所得とかなり強い関連性がございます。
  134. 吉井英勝

    ○吉井委員 野村総合研究所の情報機器やサービスの利用に関するアンケートによりますと、九七年九月の世帯収入を一〇〇としたときに、ことし三月にパソコン保有世帯と非保有世帯で指数がどう変わっているのかというのを調べたものがあります。パソコン保有世帯では九三、非保有世帯では八三と、所得によって情報機器の所有状況がまず違う。所得による情報格差が広がっているということが示されております。  厚生省の所得再分配調査結果というのを見てみますと、八四年から九六年、これは十二年間ですけれども、ジニ係数、これが〇・三九七五から〇・四四一二へと、不平等度が高くなっているということを示しています。このことは、この間所得格差が拡大していっているという問題と合わせて情報格差が拡大していっているということがまず現状だと思うんですね。  そういう点では、アメリカの商務省などは、九九年七月の情報格差に関するレポートで、インターネット利用者は、年収七万五千ドル以上ですから日本でいうと大体八百二十五万円以上ぐらいで六〇%、五千ドル未満、日本でいうと五十五万円未満ぐらいで八%であるという報告を出しておりまして、アメリカでも所得による格差は歴然としているわけですね。  ことし二月六日の日経では、経済企画庁が消費動向調査というのを発表しておりますが、日経でなくたってもともと経企庁の方が二月に発表したものですが、所得の高い層ほどパソコン購入世帯比率が高い、さらにパソコンの知識や操作能力のある者ほど賃金が高くなっているという報告も出しております。  つまり、所得格差による情報格差を是正するということは、この基本法にそのことをずばりと明記すべき非常に大きな問題ではないですか。
  135. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今御指摘のありましたジニ係数については学界でも論争がございまして、日本のジニ係数が悪化したといいますか、所得格差が拡大した方向に出ているというのは年齢構成上の問題だというのが統計上の分析でございまして、各年齢別に見たジニ係数は拡大していない。ただ、国民の年齢が全体に上がりますと所得の格差が広がってくる。したがって、年齢構成が変わってくるとジニ係数が上がった、こういう結果が今のところ出ておりますが、それはともかくといたしまして、所得の格差、所得が高い人ほどITといいますか情報にアプローチする機会が多い、これは事実でございます。  したがいまして、我々の方といたしましても、この法案の中に、すべての国民が、またあまねく恵沢がということを繰り返し書いておりまして、デジタルデバイド、特に所得格差によるデジタルデバイドの解消には力を注がなきゃならないという趣旨のことを繰り返し書いております。また、実際の政策におきましても、余りインターネット、パソコン等に接しない、接する機会の少ないような方々に対しまして、市町村等を通じて講習会をやってこの技能を普及しようというような政策もとっておりまして、決してその点は無視しているわけではございません。非常にこれは重要な、デジタルデバイドの中で極めて重要な問題だと考えております。
  136. 吉井英勝

    ○吉井委員 八〇年代と今日でジニ係数の問題については、堺屋長官のような話がないこともありませんが、しかし消費税導入その他の要因がありますので、きょうはそれを論争する場じゃありませんから置いておきますが、そうおっしゃったような簡単な話じゃないということを申し上げておきます。  法文に明記されている高齢者の年齢、身体的条件を克服してとか、それから、これはせんだって本会議松本議員が紹介したように、身体障害者の方がインターネットによってみずからの意思を表明する、企業経営とか社会活動への参加を可能にするという点での、一人一人の障害の内容に応じたパソコン機器の開発や障害者のパソコン保有を進める施策の問題とか、それから今日低所得者、例えば生保基準だって、テレビがあっても電話があっても、その人の条件によっては中古自動車を持っておってもというふうに、そういう時代なんですから。  ですから、私はそういう点では、所得、年齢、身体的条件とかあらゆる格差の是正を、あまねく恵沢とおっしゃったことは、しかし、それを受けて基本法案第三十四条の三項では、「具体的な目標及びその達成の期間を定める」ということでもあるわけですから、それをどのように実現していくかということについての具体的な目標、期間を定めて取り組むということは当然だと思うんですが、そういう考えはお持ちですか。
  137. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 本法案では、基本理念におきまして、高度情報通信ネットワーク社会の形成は、すべての国民がITの恵沢をあまねく享受できるようにということを明記しておりまして、この利用の機会の格差を是正しなければならないと考えております。また、これらの基本理念に沿って講ずべき施策の基本方針として、すべての国民がITを活用できるようにすることが、教育及び学習の振興としても掲げられております。  御指摘のように、このデジタルデバイドの解消を具体的な施策として、これら法案の中に規定しております基本理念、あるいは施策の基本方針を踏まえて、政府の重点計画として、各省庁の個別の施策として対応していきたいと考えております。その点は、実際これが成立させていただきますれば、身体的問題あるいは地域、所得その他のものを含めて、デジタルデバイドの解消には全力を挙げたいと思っております。
  138. 吉井英勝

    ○吉井委員 所得による情報格差の問題などが明記されていなかったり、三十四条三項による具体的な、どうするかというところについての方向づけというのは非常に不分明なんですが、しかし、IT戦略会議の議長や経団連会長の提起にこたえるものについては、かなり具体的に実施する組織と基本方針、計画が示されているという点では、これはやはり、この法案は財界の求めるものの丸のみそのものになっている、そういう姿というものについては私は指摘せざるを得ないのじゃないかということを指摘しておきます。  次に、国民の期待にこたえるためには、二つ目の問題としては、IT化による雇用や労働問題が大事だと思うんです。  第四条で、「経済構造改革の推進及び産業国際競争力の強化」という中に、IT社会の形成は就業機会の増大をもたらすものでなければならないとしているのですが、それでは、九〇年代の規制緩和政策推進によって、情報通信産業分野では雇用は幾ら失われ、幾ら雇用が新しく生まれたのか、日本全体では現状どのようになっているのか、ここのところを伺いたいと思います。大臣があれでしたら、政府参考人の方から御答弁ただいても結構です。
  139. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 前にその数字あったのですけれども、ちょっと今持ち合わせておりませんが、恐らく、現在では大して大きな数になっていないと思います。  これはアメリカも初期ではそうでございましたし、それから、IT産業というのはいろいろなところに影響して出てくるので、そこだけとると、そう大した数ではなかったと記憶しております。  ちょっと具体的数字がなくて済みません。
  140. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、そういう議論ができるように、逐条的にも、その内容を含めてというお話はしておきました。  それで、これは九九年版経済白書ですから、まさに、担当大臣というより経済企画庁長官としての方になりますが、九〇年から九七年にかけて、情報化投資による雇用代替効果はマイナス百九十四万人、情報化投資による雇用創出はプラス百七十二万人で、差し引き二十二万人の減。これは九〇年代の、九七年までの状況です。恐らく、九八年以降はもう少し上向いているだろうと私も思いますが、大臣もおっしゃったように、そう大きく上向いているわけではありません。  通産省の機情局とアンダーセンコンサルティングの調査による、「IT革命がもたらす雇用構造の変化」というのを見てみますと、電子商取引でプラス百五万人創出、電子商取引企業情報化で百六十三万人の喪失で、差し引き五十八万人の雇用の減少というデータも示されております。ですから私は、雇用機会の増大ということが本当にそうなっていくのかどうか、これは厳密な吟味が大事だと思います。  出井さんは、あるものの中では一つ目の国という表現をしておられて、一ドル百円の、グローバルに活動している企業である自動車、電機の一つ目の国と、それから従来型の二つ目の国、購買力平価の方を挙げておられますが、この一つ目の国である自動車、電機の国内従業員というのは九〇年代にどれぐらいふえたのか、減ったのかということを通産省の海外事業活動動向調査概要や工業統計を使って見てみますと、海外移転と国内リストラで、九一年から九七年にかけて、国内の電機関係の従業員の方は二十七万九千人の雇用喪失、国内の自動車従業員は七万五千人の喪失。ですから、国内で電機、自動車合わせると、三十五万四千人の雇用が失われた。  つまり、九〇年代に一つ目の国では三十五万四千人の雇用が失われたということは、通産省のデータを見る限りこれは間違いないと思うんですが、これは通産大臣でも政府参考人でも結構ですから、確認の質問をしておきたいと思います。
  141. 太田信一郎

    太田政府参考人 吉井先生の御指摘が通産省の統計であるとすれば、そのとおりだと思いますが、私ども、先ほどお触れになられましたアンダーセンと九八年に調査をいたしました。今後五年間にどの程度、IT化によって雇用がふえたり減ったりするか。当然、既存の産業においては雇用はマイナスになる、ただ情報IT分野においてはトータルプラスになって、当面は全体として厳しい状況が続くけれども、二〇〇三年には、トータルの雇用数では情報分野雇用増がきいてプラスになる。  ちなみに、アメリカも、たしか九〇年代初めにIT化の波が起きたわけでございますが、最初の年はマイナスになった。その後、まさに新しいベンチャー企業等が生まれて雇用状況は改善したというふうに承知しているところでございます。
  142. 吉井英勝

    ○吉井委員 さっきの調査は通産省の機情局、差し引き五十八万人の減というのを発表しておられるのはまず事実ですから。  将来問題については、ハイテクベンチャーを進めたとしても、ハイテクベンチャーの雇用吸収というのは非常に小さいわけですから、なかなか、将来これは伸びるかどうかというのは予測が非常に難しいというのが、まず現実の問題としてあると思います。  先ほど自動車、電機に触れましたが、これだけではIT担当室に幹部の方を送っている企業としてはちょっと偏っているかもしれませんから、新日鉄本社と新日鉄グループで見ますと、九二年と九九年で比べたときに、十五万一千人から七万六千人へと半減。七万五千人減っております。つまり、私は、IT化というのは時代の流れ、当然の道筋だと思うんですが、しかし、輸出上位三十社で日本の輸出額の五〇%を超える比率を示してきたわけですが、そこが空洞化して雇用が大きく減少している中で、さらにIT化による中抜きも進行していく。その中で、本当に雇用の喪失を補う創出があるのかということについては、本当にきちんとした検討というものが必要じゃないかと思うんです。  「通産ジャーナル」で平沼大臣と与謝野前大臣の対談を読ませていただいたときも、物づくり基盤が崩れていったら、ITITといっても日本経済は崩壊してしまうということで、非常にこの点での心配などもしていらっしゃったように思います。  IT化と言われる中で、特に通産省としては、どういうふうに仕事を生み出して、そして雇用を生み出していくかということについての何か見通しをお持ちだったら、通産大臣から伺っておきたいと思います。
  143. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 確かに、先ほどからの御議論の中にも出ておりましたけれども、ITを進めることによって、アメリカの例を見るまでもなく、中抜き現象が出ることは事実であります。したがって、日本もそういう状況に一時的に見舞われるかもしれませんけれども、しかし、このIT革命推進することによって、やはり国民のだれもがひとしく、そしてスピードを持って、そしてさらに安価で利用できる、そういうすべての条件整備していきますと、これもアメリカの例でありますけれども、雇用が創出をされる、そういう形は私どもはとれると思っています。  そういう中で、やはり通商産業省といたしましても、特にそういうベンチャーを育成する、こういうことに力点を置き、IT関連の啓蒙等にも、この臨時国会、さらには次の通常国会に向けて予算要求もし、そして雇用創出のためにその基盤整備をしよう、こういう努力をいたしております。  また、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる中小企業、零細企業というものが日本の経済のまさに基盤をなしておりますから、ここに活力を持たせ、そしてベンチャー企業が育つような形で、新たにその一般の融資の保証の枠も拡大をした形で、そういうことにも徹底的に支援をしていこう、こういう構想でございます。  やはり一時的には、確かに中抜き現象等で雇用の喪失があると思います。先ほど私の答弁でも申し上げましたけれども、今委員が御指摘の通産省の統計でも、たしか五十万ぐらい雇用が喪失する、こういうデータを出されましたけれども、我々のデータでは、逆に、五年後を想定しますと、いわゆる雇用を生み出す方の数字、これが、二百四十九万人の雇用が五年後創出されて、そして雇用を失う方が百六十三万でございますから、差し引き八十六万雇用がふえる、こういうようなデータを我々は持っております。  私どもといたしましては、そういうことに向けて全力で頑張っていきたい、こういうふうに思っています。
  144. 吉井英勝

    ○吉井委員 これまでの実績値の方は、おっしゃったようにはっきりしているわけです。  これからの問題というのは、実は試算なんですね。しかも、ハイテクベンチャーということになりますと、ベンチャーというのは、一つ一つは、これまでのような自動車、電機の、あるいはその関連分野のすそ野の広がりというのは余りありませんから、雇用の吸収は非常に弱いということで、八十六万というのは一つの試算の値であっても、現実はそうはなっていないということをまず踏まえた上で検討が必要だと思うんです。  次に、私は、郵政大臣に来ていただいておりますので、IT分野の、NTTの例えば正社員がどういう状況で、派遣社員や契約社員がどういう状況かというふうな、細かい数字じゃなくて結構ですけれども、一般的な傾向として、IT分野雇用の実態としては、現実には不安定雇用の増大という現象を見ることができると思うんですが、この点についての郵政大臣の見ていらっしゃるところを、簡潔で結構ですから伺っておきたいと思います。
  145. 平林鴻三

    平林国務大臣 ちょっと長い用足しに立っておりまして、相済みませんでした。  NTTの雇用の状態というのは、実は私、よく承知しておりません。しっかり把握しておりませんので、また必要でございましたら別途お答えするようにいたします。  一般的に申しまして、NTTもこれから競争時代が、さらに競争政策が強化されるという方向に参りますと、NTTの職員をまたどのように活用していくか、そこら辺のところは情勢に応じて適切な対策がとられる時期が来るだろうと思っております。  簡単に申しますと、十五年前に民間会社に、株式会社に移行して、以後さまざまな経営努力を行っておりますけれども、これからさらにまたその努力をしていかなきゃいかぬ。その中で、組織、人員をどう考えるかということは、NTTにとりましては相当な大きな課題であろうと考えておりますので、適切な運用が望ましいと思っております。
  146. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほど、アメリカで雇用がふえたというお話もありましたが、問題は、やはり不安定雇用の増大なんですね。日本でもそうなんですが、総務庁の八月の労働力特別調査でも、パート、バイトの六十二万人増、派遣労働者の十万人増とか、常用雇用というのは二十五カ月連続減少の中で、正規雇用は減ってもパートタイム労働がふえている。これは一般的な傾向なんですが、さらに、労働省の九九年就業形態の多様化に関する総合実態調査によっても、不安定雇用、非正規の労働者の割合が今や二七・五%になってきておる。物すごい急増なんですね。それで、これはまた九八年版労働白書でも、派遣労働者の絶対数、比率とも、パソコンの操作などIT関係が急増しているということも示されております。  つまり、なるほど、その点についてはアメリカもそうなんですよ。実は、グリーンスパン・アメリカ連邦準備理事会議長は、柔軟な労働市場、これがつまり経済構造改革でもあるわけですが、解雇自由の社会ですね、これがアメリカの好況の理由だとしているわけです。しかし、これはアメリカで進んでいる不安定社会の美化にもつながる話だと思うんです。  日本では、産業競争力会議を引き継いで、IT戦略会議産業新生会議がつくられたわけですが、IT化のもう一面で、新生会議の方は労働移動の自由化、これを一層進めることを求めています。つまり、IT分野で派遣労働、契約社員、不安定雇用が激しく進められていっているというのが、やはり日本としてもITの中で雇用というものを考えるときに、最も深刻、真剣に考えなきゃいけない、真っ正面からこのことを検討していかなきゃいけない課題だと思うんですが、これは堺屋大臣の方に伺いたいと思います。
  147. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 IT化に伴いまして労働の流動化が起こるというのはやはり事実だろうと思います。これにも、いい流動化、悪い流動化というのがあるだろうと思うのですが、むしろ、自分の技術に合ったものを選んで職場を変わる、それが勤労者として極めて有利であり、かつ幸せであることもたくさん起こっております。  特に最近の若年層の方々の中には、そういった自分に非常に合ったプログラムを求めて、この技術を買われて、かなり高給で移動している人もたくさんおられるわけです。一方、そうでない部分もございます。これはミスマッチと言われる部分でございまして、それにつきましては、雇用情報、求職情報というものをもっともっと、それこそIT化することによって近代化し、やりやすくしたい。  それからまた、新しい技能の習得の面でも、先ほど申しましたように、補正予算でもかなりの金額を予定しておりまして、どんどんと新しい労働需要の方に転換していきたい。そういうような労働需要が転換することでやはり産業が成立し、発展するのでございまして、昔から石炭産業のときにも国鉄のときにも維持しようということをしましたけれども、決して成功しなかった。新しい産業、新しい技能というものを発展させていきたいと考えております。
  148. 吉井英勝

    ○吉井委員 不安定雇用がそういうふうに美化できるようなものではないということを、まず指摘をしておきたいと思います。そして、まず現場の実態、現実というものをよく見てほしい、私はそう思います。  先日、松下、トヨタ、その他を調査して、企業の方やら下請企業の方、労働者の方からいろいろお話を伺いました。実は、例えばトヨタで、IT化とは、IT機器を労働者の目につけて、一日の労働時間の中で目玉の動きはどうなっているかと、むだな目の動きはどれぐらいあるかを調べて、文字どおり究極の合理化というのが行われているという実態も伺いました。  この基本法第五条でゆとりと豊かさをうたっているんですが、現実にはIT労働でゆとりが奪われ、これは松下の方で働いている人から聞いたんですが、うつ病その他の精神的疾患などがふえている。それはまた企業の人事資料の中でも見ることができます。もちろん、その手前の、目の疲れ、視神経の異常、ストレスなどVDT労働による職業病の増加という形でもあらわれております。  同時に、実は今、まさに不安定労働に係る、いつ解雇されるかわからないとか、IT化が進む中でいつ派遣労働に置きかえられるかわからないという不安、こういうものが——これはWHOとILOがこの十月九日に、職場のメンタルヘルスに関する報告というのを発表しましたが、欧米五カ国の就業者の十人に一人はうつ状態やストレスに苦しみ、入院、失業するケースがふえている、今後ますます経済競争が激化し、うつ病やストレスといった精神疾患が急増するだろう、IT革命の進展の中で問題が深刻化しかねないということを警告していますよ。  これは一つITそのものだし、一つは派遣労働、パート労働など、不安定雇用の増大ということもあるわけです。さまざまな要因があります。それがストレスとしてかかっているわけですね。ですから私は、第五条でゆとりと豊かさをうたうんだったら、やはり雇用の問題の中ではそういう問題についてもきちんとした考えというものを確立する、それが必要だと思うんですが、大臣、どうなんですか、これは。
  149. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 確かに不安定労働という問題がありますが、今私たちが行っておりますインターネット博覧会のデザイナーやプロデューサーに来られる方は、ほとんど不安定労働でございますけれども、実に喜々として創造に励んでおられる。本当にうれしそうで、所得の面でも波はあるんですけれども、皆さん、自己表現ということに大変喜んで励んでおられる、そういう人がうんとふえているというのもまた事実なんです。  だから、雇用の問題、委員指摘のように雇用不安を起こさないように、また、勤労による健康の問題にも留意しなければなりません。そのことは重々心得て執行したいと思いますけれども、決してそればかりではなしに、一方においては、本当にこのIT社会、知恵の社会というものが、喜々として楽しそうに働ける世の中、そういうものをつくっているということもまた、ぜひ委員、御記憶いただきたいと思います。
  150. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう時間が参りましたので、締めくくって終わりたいと思います。  一時間パソコン労働をしたら画面が十分間消えるようになるプログラムの開発など、やはりITを言うのだったら、健康管理などに取り組むルールをきちんとつくって、本当にゆとりと豊かさがまず失われないようにする、そういう重点計画の策定などが必要なんですが、それらについては、重点計画でいえばその他扱いぐらいのところで、全く出てこないんですね。私は、これは基本法という名に値しないんではないか、本当に基本法だと言うからには、それにふさわしい内容にするように、一度この法律案は撤回してよく御研究なさる必要があるということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  151. 古屋圭司

    ○古屋委員長 大島令子君。
  152. 大島令子

    ○大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。  社会民主党は、IT、インフォメーションテクノロジー、情報通信技術の活用とその普及によって、市民生活の利便性が向上し国民の生活がより豊かになっていくことを期待しています。既にインターネットが普及し、私たち社会の不可欠の要素として組み込まれつつあるように、いわゆるITは、産業構造や社会構造を一変させ、新しい経済社会を形づくる決定的な役割を果たす可能性を秘めております。それだけに、私たちが情報通信技術をどのように活用し発展させていくのか、また制御していくのか、その戦略が極めて重要であると思っております。  ITを活用して、質の高い情報が流通する豊かな二十一世紀社会を展望することができるのか、あるいは技術に逆に振り回される、空虚な情報が行き交うだけの殺伐とした社会と化してしまうのかは、それを使う人間の問題であると考えております。その意味でも、このたびのIT活用の戦略を定める基本法たる高度情報通信ネットワーク社会形成基本法は重要な法律であると位置づけております。ITそのものが終着点ではなく、ITはあくまでも、より豊かな市民社会、国民生活の向上を実現するためのツール、道具にしかすぎない、このような認識を踏まえ、質問に入らせていただきます。  まず、堺屋IT担当大臣にお伺いいたします。  戦略会議のメンバー構成について伺いますが、メンバーは産業界のトップの方々が中心となっており、偏りがあると思います。IT革命というならば、革命を起こすに的確なメンバーで構成すべきではないでしょうか。IT革命の主役はまさに国民であり、国民がどんな利益を享受するか、そういう構想を練る戦略会議であるならば、例えばそれを使う当事者の方々、そして中小企業方々も含めた幅広いメンバーの方がこの戦略会議のメンバーになるのがふさわしいと私は思いますが、今後どのように考えられるのか、お伺いいたします。
  153. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 IT戦略会議のメンバーは、IT革命の恵沢をすべての国民が享受できるIT社会の実現に向けて、官民の力を結集して戦略的かつ重点的に検討を行うために、森総理から、IT革命推進に関してすぐれた知識、見識をお持ちの方々を広い視野で集めたものでございます。その結果といたしまして、やはりIT関係の経営者あるいは学者が大変多くなりました。これはやはり専門的知識ということに重点を置いたからでございます。  一方、消費者等一般の市民の方々の御意見につきましては、なるべく多くの方々から御意見をいただけますように、IT関連施策の検討の参考とさせていただくため、ホームページを開設しておりまして、官邸のホームページでITに関する意見を募っております。その結果、現在までに、これは十月二十四日ですから大分前ですが、それまででも二百二十三、官邸のホームページに一般からの御意見もございました。また、私どもの企画庁のページにもITに関する御意見が相当数来ております。そういう形で、一般の方々の御意見も大いに受け入れていく仕組みを持っているわけでございます。
  154. 大島令子

    ○大島(令)委員 私は、臨時国会の冒頭に森総理の所信表明の中にIT革命、革命という言葉を非常に今回の答弁でも使っておられますので、そこに視点を置きまして考えているわけです。  革命というのは、通常、民衆、下からわき起こるものであり、今回の法案は非常にトップダウン、そういう形の印象が私はいたします。政府が、総理大臣が革命を言うならば、革命というのは命令系統を変えることであるわけです。ですから、例えばこの施策が失敗したならば政権を社民党の土井党首に譲るというくらいの覚悟で私はこの革命という言葉を使っていただきたい、革命という言葉を政府が使うというのはそういう意味があるんだ、命令系統を変えるんだ、それくらいのものなんですという認識を持った形で取り組んでいただきたいということで、改めて大臣の御所見を伺います。
  155. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 革命というものの中にも、御指摘のような政治革命でございますと、大部分は権力者に対して民衆が立ち上がったという話が多いでしょうけれども、例えば産業革命でございますとか文化大革命でございますとかいろいろな使い方がございまして、大きく変わるということでございます。  産業革命に匹敵するものとしてこのIT革命を位置づけておるものでございますから、必ずしも一般民衆から命令系統が変わるというのじゃなしに、私たちの生活、産業の様式、社会の仕組み、それ全体が変わる、まさに産業革命五十年のようなことが今集約的に起こっている、そのように御理解いただきたいと思います。
  156. 大島令子

    ○大島(令)委員 今産業革命のことを例に出されましたけれども、では、広く国民が、毎日、新聞紙上、テレビなどで流されている森総理そして大臣の革命という言葉を、産業革命、そのような位置づけで受けとめているでしょうか。一部の方々は、また予算のばらまきとか、ITと名をつければどんな予算でももらえる、福祉関連の予算でも、例えば何かITを利用して予算を要求すれば今度の補正予算でも通る、やはりそういうふうな意見が聞かれます。やはりちまたの世論の風評にもうちょっと大臣に耳を傾けていただきまして、私は、この革命という言葉の意味を考えてこれからはこの法案の審議に、この戦略の計画に当たっていただきたいと思っております。  次に、IT推進後のペーパーレス社会の展望について伺います。  今日の法律や制度は、コンピューターも通信ネットワークもなかった時代に骨格が形成されてきました。今まで、例えば財産権の中心は物であり、無形の財産は、レコードとか音楽CDは著作権、工業所有権で保護されてまいりました。権利や義務というこれらの基礎になる情報は紙が媒体で、目に見える形で記録されてまいりました。紙を媒体とした社会からこれからはペーパーレス社会へ、また印鑑から電子署名の社会にということを、この法案を読んだ全般の印象として受けます。  私は、法案の中には、これらのことに対して具体的な政府のペーパーレス社会に対する展望が描かれていないと思っております。大臣は、ペーパーレス社会をどう想定しながら森総理と一緒にIT革命を進めていくのか、考えを聞かせてください。
  157. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 本法案は基本法でございますので、ペーパーレス社会の具体的な内容までは書いておりませんけれども、今度の重点政策では、電子政府及びEコマースなどの面でこのペーパーレスソサエティーというものがかなり明確になってくると思います。  紙がなくなるということですが、記録は厳然としてございまして、デジタルの中に保存されているわけですから、目に見ようとするとそういう方法で見ることができます。  このペーパーレス社会の一番のいいところは、紙でございますとどうしても物理的な紙を送らなければいけない、そうでないと取引関係が成立しない、あるいは契約ができないということになります。それをだれかが持っていかなければいかぬわけでございますが、電子的に行いますと一瞬のうちに時空間を飛び越えていきます。したがいまして、国際的にもできますし、また、消費者の方々、一般市民の方々も、役所の手続とかお買い物とか銀行とか、そういうことをなさるときに座ったままですべてができる、そういう非常な利点がございます。  この利点は、単に時間が短縮して手間が省けるだけではなしに、それゆえに、紙でございますと一回行ったところでもうそこにあるもので買わなければいけないというところを、何百の中から探せる。そういう、非常に便利になると同時に選択肢も広がる。だから、本当に好きな、本当に得なものを買える、そういうところががらりと変わってくる、これが消費者にとっての大きな利益だと思います。
  158. 大島令子

    ○大島(令)委員 この法案の第四条に、電子商取引促進という言葉が書かれております。大臣は、基本法ですから具体的なところはという回答でございました。しかし、例えば官公庁と住民相手の場合は、行政と住民との信頼関係の上に成立しておりますので、紙がなくても私たちは信頼して、例えば住民票の交付ですとか、いろいろな契約の書類をゆだねられます。しかし、BツーC、企業民間の場合になったとき、どうでしょう。  例えばここに一枚の紙がありますが、これを契約書と仮定したときに、紙ですと、これを破ってもまた契約書として継ぎはぎすれば見えます。しかし、電子媒体になりますと、その情報は、記録しているフロッピー、CD—ROMをだれが持っているのか、書き込みがされて改ざんがしてしまわれないだろうか。そういう意味で私は、官公庁、また商取引、BツーC、そういういろいろな分野の中で問題が出てくると思います。  そういった観点から、私は、ペーパーレス社会に移ろうというこのIT基本法案です、多くの国民に納得をいただいた上で進めるべきと思います。この件に関して、もう一度大臣の御答弁お願いいたします。
  159. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 サーバーというのがございまして、その中に取引情報が記録されますから、一方だけが勝手に消すというのは、やったら犯罪行為ですし、普通はできません。特殊な技術でできるかもしれませんが、やったら犯罪行為になりますから、紙よりもむしろ保存は確実だと思いますね。その意味で、あらゆる取引が確実にかつ瞬間的に行われるという意味で、記録保存としては、コンピューターは忘れませんし、デジタル化したものは退化しませんから、特定の犯罪行為の場合を除いてはこれは非常に安全だと思いますよ。
  160. 大島令子

    ○大島(令)委員 しかし、記録を保存しているのが企業であり、そして、何か紛争が起きたときに消費者である人たちが訴訟を起こすときに、一体どうして法的に弱い立場の消費者が、そういう記録を持っている企業に対して訴訟を起こすことができるのか。私はまだまだ未解決、解決しなければならない課題もあると思います。  次の質問に移ります。
  161. 古屋圭司

    ○古屋委員長 大島令子委員答弁があるそうですので、少々お待ちください。
  162. 伊藤達也

    伊藤政務次官 今御心配があろうかと思いますけれども、その点については、これから国会で御審議お願いします書面一括法の中でそうした問題点をクリアするような法律を準備させていただいております。  まず、大前提として、送り手と受け手がいわゆる電子商取引というものを、その手段を使うというものを了承しなければ、その契約は成立をしないということが前提になっておりますし、また、承諾に当たっては、いずれの電子的手段を用いるかを明示して、また、文字化け等を防止するため、ファイルの記録の方式、使用するソフトウエアを明示し、承諾を得なければならないということを法律で明記いたしております。  今委員が御心配になられているようなことがないように万全の法律の準備をしていきたいというふうに思っておりますし、その点の国会の審議をこれからお願いさせていただきたいというふうに思っております。
  163. 大島令子

    ○大島(令)委員 では次に、電子政府の事例の一つとしまして、確定申告の電子化について伺います。  サラリーマンの年末調整は、税に対する意識の低下を招いている原因の一つであると私は考えております。確定申告を電子化することにより年末調整も簡単にできるのではないでしょうか。これによって租税民主主義が格段に進むと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  164. 塚原治

    ○塚原政府参考人 国税庁におきます電子申告制度導入に向けた取り組みについて御説明申し上げたいと思います。  国税庁においては、電子政府の実現に向けた施策の一環として、ミレニアムプロジェクト等にも掲げられておりますが、電子申告制度導入に向けて現在準備を進めているところでございます。  準備作業の一環として、電子申告を導入するための課題などについて有識者から技術的、専門的な意見などをいただくため、昨年六月以降、申告手続の電子化等に関する研究会を開催し、本年四月の取りまとめにおいて、電子申告制度についての一定の方向性が示されているところでございます。また、この研究会議論を参考にしつつ、今月下旬から東京国税局の二署におきまして、納税者等の方々の協力をいただきながら、所得税、法人税及び消費税について、電子申告の導入に向けた実験を実施することといたしております。  この研究会議論や実験の実施状況を踏まえた上で、電子申告制度の詳細な仕組みの検討を行いまして、平成十五年度までに一部の税目等について運用を開始すべく、今後、システム開発、納税者に対する周知広報、職員研修など必要な措置を講じていく予定にしております。
  165. 大島令子

    ○大島(令)委員 私は、自分の払っている税金が、年末調整を企業の総務担当、税務担当の方がすると、幾ら払っているかわからない、自分が申告することによって初めて、納税者として、自分たちの税金がどう使われているのか、そういうことによって、例えば近年言われている投票率の低下、政治に対する不信感、失望、そういう意識が取り戻せるということで、一面では非常にいいことだと思います。  それで、もう一度伺いますが、平成十五年度めどということですが、例えば、現時点でいろいろな税目がございますけれども、どのような税目が可能性があるのか、お答えできる範囲でお願いいたします。
  166. 塚原治

    ○塚原政府参考人 十五年度において実際に運用する税目につきましては、これから予定されております実験などの結果を見まして、詳細な制度の検討を行う中で考えていきたいというふうに考えております。
  167. 大島令子

    ○大島(令)委員 実は、十月十一日の日本経済新聞に、「ネット株主総会 二〇〇二年から」という報道がありました。政府は、規制緩和ということで商法の改正を打ち出すようですが、ネット株主総会とは、具体的にどういうあり方をイメージしているのでしょうか。新聞の報道では、議決権の行使に電子メールを利用できるようになるということが書いてありましたが。
  168. 細川清

    ○細川政府参考人 法務省におきましては、現在、法制審議会で会社法の全面的改正について審議中でございまして、その中で、高度情報化社会対応した株主総会の運営のあり方についても審議されているところでございます。  お尋ねのインターネットを利用した株主総会の具体的なあり方については、これは実務界等の意見を十分聞いた上、これから法制審議会で十分議論していただくことになりますが、中心的課題としましては、まずは、株主総会の招集通知は、現行法では書面によらなければならないとされておりますのが、この書面にかえて、インターネットを利用した電子的方法により株主総会の招集通知を発出することができることにしてはどうかという点、それからまた、現行法では、株主総会における議決権の行使は、株主本人または代理人が総会に出席して行うということが原則でありまして、特定の大会社につきましては、いわゆる株式会社の監査特例法におきまして、議決権を有する株主の数が千人以上ある場合には、実際に出席しない株主は、書面、議決権行使書面ですが、これによって株主総会で議決権を行使できるということにされております。これをどう変えるかという問題ですが、検討の項目といたしましては、実際の出席や書面を提出することにかえて、インターネットを利用した議決権の行使ができるようにする、こういったところが主要な論点ということになるわけでございます。
  169. 大島令子

    ○大島(令)委員 近年、規制緩和ということで、経済の活性化のために、いろいろな分野でそういう言葉を耳にしております。  しかし、株主総会といいますと、総会屋対策ということで非常にメディアに乗ってまいりますけれども、逆に、現在では、薬害、例えばエイズ、そして原発、放漫経営による企業責任などが非常に問われております。そして、それらの関係者は、自分たちの意見を言う場として、一株株主になり、その場を確保しておられます。そういう方々の意見はネットによってできるのか。これも多分、本人の同意とかそういうことが設けられるんでしょうが、少数意見が果たして本当に株主総会に電子メールによって反映されるのか。  企業側に都合のいい株主総会ではなく、また企業というのも、今いろいろな形で経営者の責任が問われている時代になってまいりました。そごうの水島会長の、例えば二億円の給与とか豪邸などが週刊誌に写し出されるたびに、零細企業の人たちは、会社がつぶれたら、自分が破産をして、整理をして、そして自分の財産を出して、経営者としての責任を果たす、しかし大企業の経営者は、自分の資産は確保しておいて、会社はつぶれる、そういう現在の状況の中で、私は、二〇〇二年、株主総会がネットでできるというこの規制緩和に対しては、もう少し逆の立場からの考察も必要ではないかと思います。  改めて、今の私の考えに対する御意見を聞かせていただきたいと思います。
  170. 細川清

    ○細川政府参考人 ただいま検討しておりますのは、総会の議事の仕方の、招集通知等の問題でございまして、このような改正がなされても、株主個々人が一株について一議決権を有するという大原則は何ら変更されないわけでございます。かえって、こういった議決権行使書面等、あるいは総会に出席するということではなくて、インターネットで意見を提出することができるということになりますから、実際的には、株主はより株主権を行使しやすくなるということになろうかと思います。  それからもう一つただいま検討しております中には、株主総会を全く廃止してしまって、インターネット上だけで議案を提出し、議決権を行使してもらうということが適当かどうかということが大変問題になるところでございまして、そういたしますと、インターネット、例えばパソコンを持っていない人とか、あるいはパソコンを操作できない人は株主になれないということになりますから、そうではなくて、そういうことをしたい人だけが株主総会にインターネットで参加できる、そういう方法がよろしいのではないかということで検討が進んでいるわけでございます。
  171. 大島令子

    ○大島(令)委員 次の質問でございますが、この基本法の重点計画の部分の取り扱いと基本法の審議の仕方について、堺屋大臣にお伺いいたします。  基本法は基本理念を定めているのみで、具体的な施策についてはすべて重点計画にゆだねられています。現状では、基本法そのものの評価も、実はその是非の判断がなかなかつきにくいのが現状でございます。  そこで、伺いますけれども、重点計画の内容があらかじめ示されないのであるならば、先ほど民主党の中村議員も質問しておりましたが、計画が策定される各段階で改めて国会審議等を義務づける必要があると私は思いますが、どのようなお考えでしょうか。
  172. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この基本法では、まず、IT社会の形成のあり方、基本理念あるいは重点計画を定めまして、基本概念として高度情報通信ネットワーク社会というものを定義し、そしてそれの形成の理念を出し、それからこの施策の重点政策、こういう段階を踏んで行っております。  したがいまして、この重点政策部分につきましては、総理大臣が責任を持ちまして、総理大臣が長となったIT戦略本部でこれを策定する。もちろん、その段階で、法律に関係すること、予算に関係することは国会に諮らせていただきますので、その段階で国会審議は十分に尽くしていただく予定でございます。
  173. 大島令子

    ○大島(令)委員 先ほどの中村委員とほぼ同じ答弁でございました。  しかし、政令への委任というところに重点計画が入っております。私はこの政令がみそであると思います。  例えば、法律で私たちが審議するときに、牛乳を百ミリリットル容器に入れなさいというところまで国会で審議した。その結果、具体的なところは政令で構わないということになるわけなんですが、では、この牛乳パックも百ミリリットル、そして、ここにコップもありますが、これも牛乳が百ミリリットル入ります。どちらを政令で決めるのか。私たち国会議員には、牛乳百ミリリットルを入れる箱、細かいこと、これがこういう紙パックがいいのか、果たして、牛乳百ミリリットル入れるのにこちらのコップがいいのか、そこがこの法案だけではわからないわけです。  私たちは、国民の代弁者として国会に来ました。ペーパーレス社会、IT社会に移る中で、私は、基本法といえども、重点計画に関してはすべて政令にゆだねる、私たち議員はその細かいところまで白紙委任することになるわけです。ですから私は、その時々で、計画ができた段階でせめて国会審議、そういうことが必要ではないかということを申し上げております。  この答弁堺屋大臣じゃないといけないんでしょうか。
  174. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 政令への委任というのは法の三十三条にございまして、この法律で定めるもののほか、本部に関し必要な事項でございます。だから、組織は政令に出しておりますけれども、重点事項は三十四条でございまして、これは政令に移しておりません。  そして、前にもありましたように、しばしばこれは公表をいたしまして、国民の透明性も高めて、議論を高めていきたい。そして、予算と法律に関することは国会で御審議ただく、こういう形になっておりますので、この法を施行するに当たっての重点事項は十分透明性を持っていくものと思っております。
  175. 大島令子

    ○大島(令)委員 私は、このIT基本法案というのは、先ほど産業革命と言いましたが、本当に百年、二百年ずっと代々、紙が通用した社会から紙のない社会に行く非常に大きな転換、行政そして民間の商取引、いろいろな部分で大きな転換期を迎える大事な法案であると考えているわけです。  それが、政府で決めたこと、戦略会議で決めたことは私たちにお知らせする。しかし、私たちの、国民の参加する場所が保障されないということが問題であるという趣旨で質問をさせていただいているわけです。何度も申し上げますが、やはり政省令、通達、行政執行に当たるときの裁量権が私たちの遠いところで行われてしまうということに不安を持っているわけです。  だれが見たって、牛乳を保存し、運ぶのにこちらのパックの方がいい、しかし、もし政府が牛乳を運ぶのにこちらのコップにしなさいと言ったら、これはあふれて非常に不便なものになるわけです。そういうことが心配されないというような保障がこの中ではないわけです。ですから、私は心配して質問をしているわけです。
  176. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 いろいろ御心配いただいておるようでございますけれども、基本法として重点項目を、重点計画というのをここに定めました。この中でまた、法律事項になるようなことがございましたら、例えば商取引の問題でございますと電子署名とか、そういうような部分はまた改めて法律を出すこともございます。したがいまして、これですべて委託されたから、産業革命へ進むように、二百年間全部委託ということじゃございません。そのそれぞれの問題について、法律事項になったこと、予算事項になったことはまた国会で御審議ただく、こういう仕掛けになっております。
  177. 大島令子

    ○大島(令)委員 次に、平沼通産大臣質問をいたします。  コンビニ拠点型のIT推進について質問をいたします。  日本におけるIT可能性を広げる要素として考えられるものの中に、携帯電話の普及のほかに、宅配便とコンビニエンスストアがあります。既に多くのコンビニエンスストアでは、銀行などのATMサービスが開始され、二十四時間いつでも引き出しと残高照会、振り込みなどができるなど、利便性が向上しております。  電子商取引におけるBツーCの取引の流れにおける媒介として、コンビニエンスストアの役割は非常に高まっており、将来的にも見逃すことのできない公共的な情報端末の設置場所としても十分考えられると思います。また、宅配便は、ネット物流の担い手としての役割を担うことも十分考えられます。  そこで、携帯電話、コンビニ、宅配便は、日本型のITのいわば三種の神器と言っても過言ではないと思います。ネットの端末となる携帯電話、ネットの拠点としてのコンビニエンスストア、また、ネットで注文して、それを受け取る物流としての宅配、こういった組み合わせは、日本におけるITを進める上では大きな要素になると思います。そのためには、BツーCであっても、環境整備、法的インフラ整備が不可欠であると思います。  通産省として、現在民間レベルで進められているこのような流れの中にどのような援助とか補助体制を考えられておるのか、お伺いいたします。
  178. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 委員指摘のように、最近、消費者向けの電子商取引において、商品の受け取りや代金の決済の拠点としてコンビニエンスストアが活用され、その動きがいろいろ出ている、そういうことは我々もよく承知をしております。例えば公共料金の収納代行でありますとか、あるいは通販、インターネット通販を含め、保険などの収納まで行う、チケット等の販売、こういうようなことも行えるようになってきました。また金融関連サービスも、御承知のとおりもう現実の問題になってきております。  コンビニエンスストアは、現在全国に、御承知のように約四万店ございます。年間売上高は六兆円を超えるというような規模で、小売業全体が減少している中でコンビニエンスストアは伸びの傾向にあるわけであります。しかも、多くの店舗が二十四時間体制、二十四時間営業を行っていることから、店舗でいつでも商品の受け取りができる。ですから、いろいろ仕事を持った方々や時間に制約のある方々は非常にその便利さを享受できております。また、支払いもいつでもできる。こういうことで、電子商取引を利用する消費者にとっては御指摘のように非常に便利な場所である、そうしたことが進展の要因でもあると考えられております。  また、電子商取引を行う事業者にとっても、コンビニエンスストアの有する物流や決済機能や情報システムなどが活用できることで配送コストを抑えられる、そういうメリットもあるわけであります。  このように、コンビニエンスストアの活用は電子商取引の進展過程での一つの形態と見るか、あるいは永続的なものと見るべきものか、現段階では何とも言えないわけですけれども、しかし、いずれにせよ、消費者のニーズに的確に対応しながら、既存の流通や物流などのさまざまなシステムを活用したり、あるいは相互に共存し合いながら電子商取引発展していくことは、消費者にとってもまた事業者にとっても望ましいことであり、今後いろいろな形で、我々通産省といたしましても、消費者、事業者のニーズに合った商取引形態に関してはいろいろ支援をしていく、こういうふうに思っております。
  179. 大島令子

    ○大島(令)委員 流通政策などは特に法的な規制がないサービスであると伺っております。そういう面で民間が先行的にこういうことをやっている中で、今、現段階ではと、ちょっと言葉を濁されましたけれども、非常に便利だから非常に利用者がふえている。例えば、コンビニエンスストアの発展によって二十四時間町が生きている、若者が起きている、そういう町になって、いろいろな意味で、例えば青少年のたまり場になるとか、そういう社会的ないろいろ派生的なデメリット、そして、先ほど申し上げたのはメリット性の高いことであると思います。  そういうことを一つの省だけで考えることは難しいかもしれませんが、将来的には通産省としてもそういったものを促進する環境整備と、また派生的なデメリットに対する法的なインフラというのも考えるべきではないかと思っております。具体的に何かお考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。
  180. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 やはりこういったIT社会を構築していくためには、基本的には、民間活力というものをいかに引き出すか、そして官の役割というのは、その民間活力がいかに発揮できやすいかという環境をつくる、こういうことにあると思っています。そういう意味で、コンビニエンスストアのことを委員が御指摘になられましたけれども、まさに民間活力によって、そして消費者、事業者のニーズにマッチしてそこまで伸びてきました。  今御指摘の影の部分ということもあることは事実です。ですから、そういう部分に関しては通産省は各省庁と協力をしながら適切な処置をとっていく、こういうことが必要だと思っております。
  181. 大島令子

    ○大島(令)委員 では次に、ITによる経済効果とその逆襲について、堺屋大臣質問をいたします。  自動車の普及がもたらした経済効果ははかり知れませんが、その社会的な費用も膨大です。交通渋滞や交通事故だけでなく、排気ガスによる地球環境への影響などを考えれば、自動車革命が人命と環境に与えた損失はその経済的効果以上だと言われております。地球温暖化の問題、COP3の京都議定書から始まって、環境庁も省庁再編では環境省と昇格するくらい、環境の問題が今取り上げられております。愛知万博でも環境問題によって大きく揺れ動いてきたのは御承知のとおりでございます。  同じことはITにも言えるのではないかと思います。携帯電話は実際、非常に便利なものです。しかし、ペースメーカーを埋め込んでいる人たちにとっては、携帯電話が発する電磁波は時には凶器にもなりかねません。その凶器が既に五千万台以上も日本国内で普及していると言われております。携帯電話だけではなく、ノートパソコンなどを飛行機内で離着陸時に使用すれば航空機の機器に障害を与え、旅行の安全を脅かしかねません。  ついこの間もいわゆる二〇〇〇年問題によって、ちょうど昨年の今ごろは、本当に民間も官庁も、コンピューターの二〇〇〇年問題といって社会的な不安、そして、コンピューター社会の持つ脆弱性も明らかになったことは御承知のとおりだと思います。  経済再生の切り札と言われるこのITの背後には、人類の安全と社会の安定を損なう未知の危険もはらんでいることを私は見落としてはいけないと思いますが、堺屋IT担当大臣はどのようにお考えでしょうか。
  182. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 仰せのとおり、あらゆる文明の利器には光と影がございます。私は、やはり自動車は全くないよりあった方がいいんじゃないかと思いますけれども、ふえ過ぎたことは確かに問題でございまして、環境問題その他いろいろな問題を引き起こしております。  ITも同様でございまして、プラスの方が、光の方がずっと多いと思いますが、影の部分があることは確かでございまして、委員指摘の、携帯電話がペースメーカーを狂わすとか、飛行機の運航を妨げるとかいうようなことももちろんございますが、それよりも重大な問題として、やはりプライバシーの侵害の問題あるいは不公正な情報、不良情報が流れる問題、そういったことが多々出てくると思います。  私たちは、やはりそういった影の部分をセキュリティーで、あるいは教育や道徳で、マナーで抑えながら、この文明の利器のいいところをできるだけ大きくしていかなきゃいけない。これも一つの社会的な教育であり、習慣であり、そして人類の文明の進歩だと考えております。  御指摘の点は、この法案でも安全な情報ということで強調しているところでございまして、重々気をつけて、そういった問題も解決しながら進めていかねばならないと考えております。
  183. 大島令子

    ○大島(令)委員 では次に、IT革命情報のセキュリティーについて質問いたします。  ネットワーク上の諸活動を進めるためには、安全性を確保して、利用者の信頼を築き上げることが不可欠な前提条件認識されます。日本においても、電子認証技術や暗号技術の開発等の情報セキュリティーに関するさまざまな取り組みが政府、民間企業において推進されております。しかし、最近では、ハッカー技術の進歩が見られ、セキュリティー技術や暗号技術の開発が追いつかないという状況も見られます。つい最近も、政府の幾つかの省庁のホームページが占拠されるという事態も生じました。  政府や自治体では多くの個人情報を扱っております。電子商取引や電子政府、電子自治体を進め、ネット取引や行政のオンライン化を進める上で、ITのセキュリティーの確保、向上は不可欠であると考えております。  この安全対策に対してはどのように考えているのか、担当の室長にお伺いいたします。
  184. 伊藤康成

    伊藤政府参考人 御指摘のとおり、安全で信頼できます高度情報通信ネットワーク社会の基盤といたしまして、情報セキュリティーということは非常に大事なことであると思っております。  私ども政府といたしましては、IT戦略本部のもとに全省庁から成ります情報セキュリティー対策推進会議を設けております。また、有識者から成ります情報セキュリティー部会というものも設けまして、先般、本年七月でございますが、情報セキュリティーポリシーにつきましてのガイドラインというものを策定いたしました。  これは、関係省庁がこういうような情報セキュリティーポリシーをつくって、そして、今仰せのようないろいろな問題がございます。特にこの一月のハッカーの問題もございました。ああいうことが将来ともにないようにしていくためのいわば方針をつくっていただくということでございます。現在、この点につきましては、関係省庁において、今年中にセキュリティーポリシーを策定すべく努力をしているところでございます。  また、内閣官房には、私どものところでございますが、情報セキュリティー対策推進室というものを設けておりまして、先ほどの情報セキュリティーポリシーのガイドラインもそこが中心になってつくったわけでございますが、さらに現在は、重要インフラに対しますいわゆるサイバーテロというものの防止につきまして、これもそのポリシーについての審議を進めておるところでございまして、年内を目途に何らかの指針を示せればというふうに考えているところでございます。
  185. 大島令子

    ○大島(令)委員 インターネットには国境がありません。宇宙船に乗った向井千秋さんも、宇宙から見た地球には国境がないと言われたことを私は覚えております。新しいネットワーク社会は、コンピューターウイルス、クラッキングという新たな脅威を伴いつつ発展しているのもまた事実でございます。  ガイドラインを作成するという御答弁がありました。インターネットにより世界が結ばれる今日、セキュリティーの向上も世界的規模の協力のもとに行われる必要があると考えております。ぜひその点もお願いしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  186. 古屋圭司

    ○古屋委員長 平井卓也君。
  187. 平井卓也

    平井委員 21世紀クラブの平井卓也であります。  先週は、内閣委員会IT基本的な考え等につきまして堺屋長官には随分質問させていただきましたので、きょうは、逓信委員の一人として、平林郵政大臣を中心に質問をさせていただきたいと思っております。  きょうも時間が限られておりますので、まず最初に、IPバージョン6に関して質問をさせていただきたいと思っています。  一般の国民は、なれない手つきでIT機器に触れる森首相を見て、ほほ笑ましく、ITに関しては安心できるなという印象を持っていると思います。また、若い人たちにとっては、年齢に対する一つのデジタルデバイドの象徴であるというふうにもとらえている方もいらっしゃると思いますが、そのような中で、森首相が所信表明演説で表明されて、積極的に参加に取り組もうというインターネットの次世代の通信手順であるIPバージョン6について、残念ながら、これは一般の理解、特に国民の理解というものは余りあるように思いません。  このIPバージョン6については、さまざまな議論がなされていると思います。利点としては、近年の世界的なネット利用者の急増に加え、近い将来、テレビや冷蔵庫などの家電機器にインターネット機能を持たせる、またはインターネット電話が普及する時代になった場合のアドレスの不足を解消できる。バージョン4ではたかだか四十億台の端末しか接続できませんでしたが、バージョン6ではけた数が四倍ですから、四十億人がそれぞれ四十億台の端末を持ってもまだ余裕ができるわけです。それ以外にも、アドレスのつけかえの自動化とか、設定の自動化、移動体通信のしやすさ、帯域保証のしやすさ等が挙げられると思います。  しかし一方で、アドレスが既に枯渇しているというのはうそで、まだ半分以上余っているのではないか、普通のLANではローカルにアドレスを振るので、グローバルなアドレスはそんなに必要ない。例えば、私は今、自分のメールはibm.netを使っていますが、この場合でも、ユーザーが何百万人いたとしても、実はIPアドレスというのは数個でいいわけであります。これからの情報家電一つ一つのアドレスが必要になるということでありますが、世界のコンピューターの九五%以上が対応していないプロトコルで通信しても意味がないのではないかという議論もあります。  このように、推進する影にはさまざまな不確定要素、さまざまな意見があるわけですが、私は、IPバージョン6は、十分な議論の上、やはり国家戦略として取り組むテーマだと考えています。  規格を制するものは世界を制すると言われているように、これから我が国IT先進国として世界の先頭に立っていくためには、IPバージョン6に関してもっと積極的に取り組んでいく必要があるかどうか、また、IPバージョン6の早期移行を推進することによって、アメリカにおくれをとっているインターネット分野我が国が優位に立てるかどうか、郵政大臣のIPバージョン6に関する御認識と取り組み方をお聞かせいただければと思います。     〔古屋委員長退席、佐藤委員長着席〕
  188. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 先生の言われたことで、大臣も私と同じ意見でありますけれども、非常にこれは重要なことでありまして、もう先生に釈迦に説法でありますけれども、現在使われているのはIPバージョン4ということでありまして、付与できるアドレスが先ほどもお話ありましたように四十三億ぐらいでありますから、これからのデジタル家電なんかがどんどんふえてきますと、足りなくなるということもあるわけであります。特に、インターネットの急激な普及により、人口の多いアジア地域でアドレス不足が発生するのではないかという危惧があるわけであります。  また、IPバージョン6の場合は、事実上、これは数字での話でありますけれども、三百四十兆掛ける一兆掛ける一兆ですから、これはもうほとんど無限でありまして、これからの対応が非常に重要になってくるんじゃないかと思っております。また、例えば、先生も今御指摘になりました手順の中で、プロトコル自身にセキュリティー機能を装備するということもできるわけでありますから、そういう観点からも非常に重要なことじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。  また、早期にIPバージョン6に移行させることは、もう繰り返しになりますけれども、デジタル家電の器具であるとか、インターネット接続などによる新たなサービスやまたビジネスの創出につながると期待されると同時に、これからアドレス不足が危惧されている地域の、要するにインターネット利用の拡大にも貢献ができるんじゃないか、こういうふうに思っております。  また、我が国は、IPバージョン6技術の研究や関連機器の開発などにおいて、諸外国に比べて先進的に取り組んできたところでありまして、また、IPバージョン6の推進は、米国におくれていると言われるインターネット分野でのおくれを解消する、先生も今言われたとおりで、それを取り返すという非常に重要な要素になりつつある、かようにも思っております。  こういう中におきまして、IT戦略会議においてもIPバージョン6を用いた超高速インターネット整備IT国家戦略の柱の一つとして検討されておりまして、IPバージョン6のテストベッドのためのギガビットネットワークの整備情報家電のIPバージョン6化など、IPバージョン6の普及を促進するために必要な研究開発施策を積極的にこれからも展開していく、そういう所存であります。
  189. 平井卓也

    平井委員 先ほどのお話のとおり、確かにIPバージョン6というのはまだ議論がいろいろあると思います。しかし、国家戦略として取り組まなければならないことであるという認識皆さんあると思いますので、もっと多くの方々に関心を持っていただくようにぜひしていただきたいと思っております。  それでは次に、ファイバー・ツー・ザ・ホームの必要性について御質問をさせていただきたいと思っております。  IT社会の根幹をなすものがだれもが利用できる情報通信インフラの整備であることは、これは間違いありません。しかし、ITの名のもとに各省から予算請求がされ、地方の隅々まで光ファイバー網を張りめぐらしたとしても、実際に世界最高速の速さを使用しなければならない、もしくは必要としている人がそんなにたくさんいるとは私は思えないわけであります。  今までの政府の説明では、光ファイバーを使って何をするのか、それで国民の生活はどのように変わるのかという、国民にとって一番重要かと思われるところの説明が不十分であるのではないかと思います。利用者はあくまでも国民で、国民の視点に立った政策でなければ意味がないと思いますし、ITはやはり、国民に押しつけるものではなく、それぞれ国民が自己実現の手段として参加するものではないかと考えているからであります。  IT化のスピードは政府の政策のスピードよりも明らかに速く、また多岐にわたっているため、一度決定したことだから必ず実行しなければならないといったような今までの考え方は通用しない場合があります。言いかえれば、きのうの常識はきょうの非常識というようなこともありますから、その時々に臨機応変に対応する、つまり当意即妙な決断が必要になってくるのではないかと考えています。  実際、これまでインターネットの活用を原動力とするアメリカ型経済成長モデルの導入に必ずしも積極的でなかったEUが、三月に、リスボンでの首脳会談を経て、eヨーロッパの実現をスローガンに、一日も早くデジタル経済を確立し、アメリカへのキャッチアップの実現を加盟国全体の課題と位置づけるという大幅な政策転換を打ち出しました。これは明らかに、EU各国がIT革命への適応を生き残りに不可避な選択だと認識したことであり、具体的な施策も提示されております。つまりは、IT革命は、一国の問題にとどまらず、国境を越えて国際的な大きな影響力を持つ一方、政治、経済、社会の基本的なスキームまで根底から覆す可能性のある重大な問題ではないかと思っています。  そういう意味も踏まえまして、超高速インターネット整備のため各家庭に光ファイバー網を引く、ファイバー・ツー・ザ・ホーム、FTTHといいますが、一体何に使うのかといった議論は大切であります。その意味において、光ファイバー網の整備の有効性、展望をまず伺いたいと思います。
  190. 平林鴻三

    平林国務大臣 先日の森総理の所信表明にもございましたように、超高速のインターネット日本で形成していくということは、政府としてやはり非常に積極的に推進すべき課題であると考えております。  ファイバー・ツー・ザ・ホームが果たして今すぐにたくさんの家庭で、ホームでどんどんとお使いになるかどうかということは、これは今後の情勢次第、努力次第ということもございましょうけれども、何と申しましても、光ファイバー網を中心にしました超高速インターネット整備を図ることによって、映像ソフト等の動画像やハイビジョン等の超高精細画像といったような大容量のコンテンツを瞬時に伝送できるようになる。例えば、遠隔医療や遠隔教育といった高度のアプリケーションの利用が可能という見込みが立ってまいります。それから、電子商取引に代表されるように、超高速のネットワークを活用したニュービジネスの創出ということ、あるいは既存産業の活性化というようなこともこの超高速の社会では実現するものと考えております。  そこで、光ファイバー網につきましては、政府目標は二〇〇五年、平成十七年において全国整備をするということの実現に向けて積極的な努力をしてまいりたい、そういう政策をとっておるところでございます。
  191. 平井卓也

    平井委員 大臣答弁では、二〇〇五年に全国整備を一応目標に頑張るということでありましょうが、同時に、今後の情勢もごらんになるということです。  私は、ITは、景気対策でもなければ、今までの延長線上の公共事業でもないと思っています。次の社会をどのように変えていくかというもっと大きなテーマであるように思います。その意味において、まずインフラに対する投資だけではなくて、そういうものを使って国民にいかに利便性があり、その可能性を広げられるかということをこれからやはり重点に置いていただきたいなと思っています。  時間がありませんので次々と質問をさせていただきますが、ADSL、CATV等々についてお聞きをいたします。  超高速インターネット網の整備促進に関しては、光ファイバーが絶対不可欠であると言われております。しかし同時に、投資したものがどれぐらい利用され、便益を生んだかを厳しく検証するという考え方、いわば費用便益分析という、これは民間では当然、当たり前の考え方でありますが、その意味からいっても、光ファイバー以外の可能性に関する議論、またはいろいろな手段の組み合わせに関する議論が不十分であるのではないかと思うわけであります。  従来の電話線のメタル回線を使って高速通信を行うDSLという技術のうち、上りと下りの通信速度が異なるタイプがADSLと呼ばれ、下りの通信速度が上りより速くなっているため、一般の国民が通常に利用するには十分な技術だとも言えます。また、従来のダイヤルアップ接続では、アクセスポイントまでの通話料がネックとなり、長時間のインターネット利用が妨げられていましたから、ADSLには通話料が課されないため、やり方によっては低価格で常時接続の環境も提供できるという利点があります。  私は思うのですが、IT時代の重要なポイントは、言うまでもなくスピードだと考えております。先ほどのEUの対応がいい例で、政府の対応のおくれが、即、日本の政治、経済、社会のおくれというふうにつながっていきますが、このADSLは、アメリカ、韓国などでは、CATVとともにインターネット接続用の高速アクセス回線として既に普及しています。超高速インターネット整備推進に関して、確かに今までこの面に関しては多くの問題があったということも私は承知しておりますが、光ファイバー網、そしてDSL、CATVといったそれぞれの組み合わせ、加入者の関係についてどのように考えているか、所見をお聞きしたいと思います。
  192. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 大変いろいろな通信システムが出てきておりまして、先生の言われるとおり、今大臣の方から答弁ただきましたように、二〇〇五年までに光ファイバーを最終的には引いて、そこからまた加入者線を引いていく。その方法を早く進めることによって、地域間格差をなくしたり、そしてまた国民の利益を増進していく、こういうことが私は重要であろう、かように思っております。  先生指摘の、基本的には光ファイバーを全部引くということが一番大容量でありまして、これは十メガビットですから、相当な高速で大容量の情報を送ることができる。ただしかしながら、これは全部というわけにもいきませんから、そういう意味におきましては、DSLであるとかCATV、先ほども答弁させていただきましたけれども、DSLの場合はちょっと日本はおくれているというお話がありますけれども、日本はどうしても一戸建ての家が多いですから韓国なんかに比べてちょっとおくれぎみかな、技術的には決しておくれていない、かように思っております。  それと、DSLとCATVというのは、先ほどの光ファイバーに比べますと、五百キロビットから一・五メガビットぐらいですから、ちょっとおくれぎみでありますけれども、そういう中におきましては家庭等におけるインターネット利用の拡大に資することができるのではないか、かように思っております。また、アプリケーションやコンテンツの開発側に対するインセンティブともなり、また光ファイバーを活用した超高速通信に対する需要も助長していくのではないか、かように思っております。  それで、利用者のニーズに応じた多様なインターネットアクセス網が普及し、また低廉な料金で利用できるという観点から考えた場合に、これはいろいろな利用の仕方がありますから、光ファイバーの敷設を進めると同時に、DSLであるとかCATVであるとか、また電波も利用した形で、あらゆる方向で同時に整備をしていきたい、かように思っております。
  193. 平井卓也

    平井委員 今、総括政務次官がお触れになりましたが、電波ということに関連してちょっと質問させていただきたいと思います。  現在、各家庭のIT化のためには、先ほど申し上げましたとおり、ファイバー・ツー・ザ・ホームとかファイバー・ツー・ザ・カーブとか、広帯域双方向通信網の整備が不可欠であると言われています。  しかし、そのファイバー・ツー・ザ・ホームで何を実現するかといった点は、実は映像系の問題というふうにさっき言いましたけれども、相変わらずビデオ・オン・ディマンドであるとか各種家電機器だとか言われておりますが、はっきり言って、大きな需要があるというものがまだ見込めていないということも言えるかと思います。  さらなる選択肢として、衛星通信を利用した方法、また、固定的に設置した無線方式の加入者線を利用したFWAという方法があります。  衛星通信が注目されますのは、先ほど申し上げましたADSLと同様に、非対称ネットワークの構築がファイバー・ツー・ザ・ホームよりもはるかに少ない投資で、スピーディーに実現できる、またFWAに関しては、さらに過疎地なんかにも適しているという点があると考えています。  電波の利用も含めた議論というもの、高速インターネット網などのネットワークについて、国民の立場になって考えますと非常にわかりづらいところがありますが、郵政省としてそこをどうお考えになっているのか、お願いをいたします。
  194. 平林鴻三

    平林国務大臣 平井委員仰せのとおり、光ファイバーとかそういうもの以外に、電波の利用というのが高速アクセスとしては極めて有効だ、そういう認識を持っております。  具体的には、既に加入者系の無線アクセスシステム、いわゆるFWAでございますが、実用化されておりますし、現在、十の会社がインターネットアクセスサービスを展開いたしております。  したがって、今申し上げましたようなことで、郵政省としては、加入者系の無線アクセスシステムの普及を図るために、税制上の優遇措置など各種の支援措置の創設も要望したいというところでございまして、今後も積極的な活用を図ってまいりたいと思っております。
  195. 平井卓也

    平井委員 関連いたしまして、ひとつテレビ放送のデジタル化について質問をさせていただきたいと考えています。  郵政省の地上波デジタル化のスケジュールは、二〇〇〇年、首都圏で放送開始、二〇〇三年、関東、中京、関西の三大広域都市圏で本格放送開始、二〇〇六年、その他の地域で本放送開始、二〇一〇年に現在のアナログを終了しようといったぐあいに進められていると聞いております。  しかし、デジタル化には莫大な費用がかかり、こうした費用をだれが負担するのか、大きな課題にもなっています。また、デジタル化が世界の潮流であることは認めるにしても、日本周波数事情はアメリカの五十倍、イギリスの二倍も込み合っているとも言われておりまして、そういうことを前提にしますと、外国との比較というのは余り意味がない議論ではないかと思います。実際、アメリカにおいては、デジタルテレビというものは思うように普及しなかったという事実もあります。  こうして、さきに述べた二〇〇三年、六年という郵政省の地上波デジタル計画が期待どおり進められるかどうかについて、疑問符がつき出しているのではないかと思うわけであります。  そこで、地上波テレビ放送をデジタル化しなければならない本当の理由、また、そのことにより何がどう変わり、どんなメリットが国民に提供されるか、さらに、デジタル化されることで、テレビの買いかえ、またはアダプターの設置必要性説明及び国民視聴者はどのような協力と費用負担が必要であるかという議論が不十分であるとも思います。利用者はあくまでも国民でありますから、そういう意味でこれが一番大切な議論ではないかと思います。  地上波のデジタル化を決定した時点と現状の放送・通信の環境を比べてみますと、これは大きく変わっているということがあります。先ほども申し上げましたが、きのうの常識はきょうの非常識という、まさにそんな時代です。  そういう中で、国民の中でまだまだコンセンサスが醸成されていると言えない中、明確な姿はなかなか想定できないと思います。このエブリシング・オン・IPという考え方の一方で、既存の国民が持っていた一つ基本的な権利みたいなものの役割分担はどのようになるのか、その所見をお聞きしたいと思います。
  196. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 先生の御指摘のとおりでありまして、なぜデジタルが必要かということは、大局的には、将来的には、デジタル家電の問題も含めて、インタラクティブな通信が、そしてまた放送がこれからどういうふうになっていくかということに尽きるのではないかと思っております。  それと同時に、平成三年が地上波デジタルで都市部を中心にやられる。そして、平成六年に地方をやられ、そして平成十年にはアナログがなくなるわけでありますから、その中で、先生も御存じのとおり、例えば、今ある周波数を、デジタルの場合、一つ周波数でいきますからぶつかってしまうわけですね。ダブる場合がありますから、それをやるためにアナ・アナ変換をまずやるわけですね。  アナ・アナ変換につきましては、今現在の放送会社の周波数を変えていただくわけですから、それだけの費用はやはりある程度国の方で負担していかなくてはいけないのではないか、かように思っております。  また、デジタルの方につきましては、その後に周波数があくわけですね、そうすると。デジタル化していくと今まで使っていた周波数があくわけですから、それをこれからどういうふうにしていくかということはこれから議論をしていきたい、こういうふうに思っております。  以上です。
  197. 平井卓也

    平井委員 確かにこの問題は、利用者側から見ると、新しいテレビを買わなければいけなかったりいろいろするわけで、まだまだ国民的コンセンサスがあるとは思えませんので、これは、本当に時代の変化の流れを見て、場合によっては方向転換するということも含めて検討をするということは、かえってこの時代に合った一つの選択ではないかなというふうに思っています。  それと、やはりUHF帯の利用というものはどうしてもこれから非常に微妙な問題になってきますので、そのことについてぜひ慎重に検討をなさることをお願い申し上げます。
  198. 佐田玄一郎

    佐田政務次官 ちょっと訂正をさせていただきます。  今、平成三年と言いましたけれども、二〇〇三年、二〇〇六年、二〇一〇年。大変失礼いたしました。
  199. 平井卓也

    平井委員 時間がありませんので、ちょっと堺屋大臣が退屈なさってはいけませんので、一問だけ質問をさせていただきたい。それできょうの質問を締めくくらせていただきたいと思います。  先週はいろいろ基本的な質問をさせていただきましたが、結局、今回は大臣がどのような形でリーダーシップを発揮させていくかについてお聞きをしたいと思います。  IT革命を制するためにはスピードが必要だということで、迅速な法整備、意思決定等、戦略性が決め手になることは異論のないところだと思いますが、二〇〇〇年度補正予算の編成を見ますと、ある方はこのように言っております。通信行政は規制緩和、通産行政は実験から脱却できず、雇用行政は資金援助、教育行政はハード偏重、各省庁ITの冠はついているものの、明確なビジョンのもと一つ方向性へ進んでいるようには思えないという指摘があるわけです。  IT革命は、高度情報社会を目指し、情報基盤整備を通じて地域の格差をなくしていって、日本の国土がひとしく豊かになることを目的とするわけですから、そのためには、従来の縦割りではなくて、急速に変わる状況に対して機敏に対応できるために大臣の強力なリーダーシップが必要であると思います。  ですから、そのためには、既存の公共事業ITの冠をつけて予算をとり合うということだけは厳に慎むべきであると思うわけであります。例えば光ファイバーにしても、各省でばらばらに進めるのではなくて、どなたかが責任を持ってトータルで進めるべきではないか、そのような予算もこれから編成していかなければいけないのではないか、そのように思うのですが、堺屋大臣の所見をお願いいたします。
  200. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のとおりでございまして、今回、総理大臣を長とするIT戦略本部をつくりまして、そこで各省にまたがっているIT関連の予算あるいは規制緩和等々を一括して行うことにしております。  今度の補正予算では、社会資本整備の三分の二ぐらい、全体の事業費の半分近くがこの重点四項目に絞られておりまして、ITにつきましてもかなりの金額がつきますが、その中で、従来のものにITと書いたら通るというようなことは決してしないように、本当にどなたが見ていただいてもそれは情報通信のものであるというようなところに重点を置きたいと思っています。  重ねて、ITにつきましては、ハードとソフト、そしてコンテンツ、この三つを同時にするというのが重要でございます。そのために、学校、図書館等に光ファイバーを引くあるいは都市の管路を設けるというようなハードを整備いたしまして、光ファイバーによる高速ネットワークをつくると同時に、多くの人々にITの技能を習得していただく、これも従来なかった予算でございますけれども、そういうものも今度新設をいたしました。  そして同時に、Eコマース、それから電子政府、そしてことしの十二月三十一日からはインターネット博覧会を開催いたしまして、平井委員のところではめん類をテーマにやっていただけるそうでございますけれども、ぜひインターネットの中で讃岐うどんを楽しんでいただける、こういうようなことで、全体としてITの風を吹かせたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  201. 平井卓也

    平井委員 どうもありがとうございました。  ですから、本当にITの冠をつけたら何でも通るということだけはぜひ慎んでいただきたいということと、もうITという言葉は使われ過ぎて、かえって意味がわからなくなってしまいました。これからの議論ITという言葉を使わない方が丁寧な説明ができるという考え方もあると思います。ですから、ITかイットかわかりませんが、もうこの言葉は聞くだけで嫌になってしまうということもありますので、その辺も含めて、戦略会議の皆様方、そして各大臣の御健闘を心よりお祈り申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  202. 佐藤静雄

    佐藤委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後六時五分散会      ————◇—————   〔参照〕  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案内閣委員会議録第二号に掲載