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堺屋国務大臣 本
法案におきまして、
インターネットなど
高度情報通信ネットワークを通じて自由に安全に、また多様な
情報や知識を全
世界からグローバルに入手し、そして
国民が共有し、同時にまたそれぞれの
国民が発信できる、これがこの
高度情報通信ネットワーク社会というものだろうと
思います。これは現象でございます。
そういうような現象が起これば、
社会全体がどのように変わっていくか。まず第一に
考えなければならないことは、
インターネットを通じましてグローバルな
情報の交換、共有、あるいは発信が行われるということになりますと、各
個人が好みのえにしで、
自分の好きなものを探して同じ趣味の者を友達にする、知り合いにできる、共有できる、そういう
社会が出てくるだろうと
考えております。
人間は、人類は歴史の始まりにおいて、まず血縁
社会をつくりました。先祖をともにすると思う者が部族とか氏族とかいうようなものをつくりまして、けだものをとったり、貝を拾ったり、ドングリを食べたりしておったわけでございます。それが、やがて農業が始まりまして、同じ土地、同じ水の流れで耕す者が地縁
社会をつくるようになりました。
それが
産業革命によって地縁から離れて、勤めて歩く。それで、住居も変わることができれば
仕事の場も変わる、また住所と
仕事の場も違うようになる。そこで地縁
社会、血縁
社会が崩れまして、その後は、同じ職場、同じ職業でつながる者が知り合いになる、共同
社会になる。特に戦後の
日本はこの職縁
社会というのが非常に強く、職業のえにしでつながっていた。
ところが今、新しい
時代になりまして、労働力の流動性が出てくる、あるいは長く生きるようになりまして、職場をやめた後も長く生きる、そういう
社会になってまいりまして、ここでこの
インターネットのような、お互いの好みでつながる第四の
社会といいますか、そういった好縁
社会、好みでつながる
社会が出てくる。これは非常に大きな
社会的
変革であり、人々に楽しみと安心を与えるメリットがあると
思います。これがまず
社会的な基盤であります。
そして、その一方で、
産業経済の面で申しますと、この
ITによりまして生産あるいは流通の生産性はかなり向上する、これはアメリカあたりでも数字が既に出ております。あるいは新規事業ができやすくなる、さらには企業経営の効率が向上する。そういったことで、
産業経済が活性化するであろうと
考えられます。
また文化の面でも、それぞれがいろいろな
情報を得て独創的な文化の創造や研究をし、それを
自分でまた発信して訴えることができる。そういった文化の面での多様な
知恵の
社会が生まれると
思います。
政府といたしましては、そのような
高度情報通信ネットワーク社会の
形成に向けまして、その基盤となる制度
改革を進めるとともに、
施設の充実、
利用技能の普及、そして
情報の
中身であります
コンテンツの創造、この三本柱を立てることで
ITの自律的な発展を確実にしていくという
考えを持っておりまして、そのもとに、学校の
情報関連
施設の充実とか、あるいは公衆
インターネット拠点を設立する。そして、それらの拠点を
利用いたしまして積極的にすべての人に、多くの人々にこの
IT技能を普及し、向上し、さらに
世界最高水準の電子
政府を早期に達成するとか、あるいは電子商取引を拡大するとかいうようなことで、この
利用のまた便利さ、楽しさを引き上げていく。そういうことの
善循環をつくり出そうというのがこの法律のねらいでございます。